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アース・スターノベル

戦姫アリシア物語 2 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし ★★★★☆   



【戦姫アリシア物語 2 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし】  長門佳祐/あんべよしろう アース・スターノベル

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王国と帝国の戦争は、あっけなく終わりを迎えた。
アリシア指揮による「帝国軍大勝利」という形で。
(思い出して! アリシアは元王国軍大元帥! )
すったもんだがあって、婚約を果たしたアリシアとジークハルトだったが、アリシアは王国のことをレナードに丸投げして、帝国陸軍大学へ進学する。
(レナ子のヒロインルート阻止! )

そして時が(少し)経ち、アリシアは戦場に戻ってきた。なりゆきで。
帝国北方、辺境の地で蛮族相手に無双する
戦姫(と変態皇子)の姿をご堪能あれ!

わはははっ、このスチャラカなノリほんと好きだわー! 大好きだわー。
今回は表紙絵から遊びまくってますもんね。皇子、なんでそんなドヤ顔やねん! お前、ヒロインッて柄じゃねえだろうがw
そんなだから、帝国軍将兵に雑に扱われだすんですよ。ちょっと前まで皇子の為なら命などいらないっ、というくらい将兵からは慕われ親しまれた大人気の名将だったのに。
今や、帝国軍は総じてアリシア姫の為なら死ねる! 状態ですもんね。思い出して、その姫、王国の姫だからっ!
まあそのアリシア狂いの筆頭がジークハルト皇太子なんですが。なんなら、よっしゃーお前らアリシアのために死ににいくぞー! と、先頭で走り出しそうなのが、表紙でドヤ顔してるのがこいつですから。
帝国軍総アリシアファンクラブ化となってしまってる本編ですけれど、何ならそのファンクラブの会長で会員第一号はこの皇子ですからなあ。帝国軍の連中、上から下までアリシアが他の国の姫だというの、完全に忘れてるか頭から追い出してるよね、これ。むしろ、地元以外では胡乱な扱いされていた故郷の王国よりも、帝国のほうが下にも置かない扱いなんですよね。というか、熱狂的アリシア閥となってますし。まあ王国も軍の方は近衛から地方軍まで熱狂的なアリシア狂いだったんですけれど。だから、王国内乱となった時はこぞってアリシアの元に参集して帝国王国共同で政権ひっくり返しちゃったわけですし。
これ、やろうと思ったら返す刀でじゃあ帝国もひっくり返しちゃうぞー!とかアリシアが言ったら、今度は帝国軍が手のひら返してアリシアの元に参集しそうな熱狂度なのである。まあその場合、真っ先に手を挙げるの、ジークハルトなんでしょうが。
概ね配下がバーサーカーしかいない、麗しい女性軍人たち全員が脳筋でウォーモンガーで血に飢えた獣揃いなアリシア直率軍なんですが、当のアリシアが軍人としてはキレキレなものの、基本的に凄くマトモなのでエラいことにはなっていないのですが。このマトモなアリシアをしてブチ切れさせるに至った王国は、まああの惨状なのですが。いやまあ、アリシアもアホの子でもありますけど。可愛いアホの子ですよ?
その点、本当に帝国は上は偉い人から下は一兵卒から市民に至るまでおおらかにアリシアを歓迎してくれていたので、いつバーサーカーどもが暴れ始めないかドキドキしっぱなしだった一巻と比べて、落ち着いてアリシアとジークハルトのイチャイチャラブラブを眺めていられました。いや、もう周りが動物園というかサファリパークというか、凶暴な野獣の群れであることには変わらず、脳筋メアリを筆頭に何をやらかすかわからないのは相変わらずだったのですが。
戦場シーンが北の蛮族掃討戦くらいしかなかったのは、ちょっと物足りなかったですけどね。やはり、アリシアは勇躍戦場を駆け巡っているかっこよい姿が映えましたし。でも、あれだけ戦場無双を誇るアリシアですけれど、その性状は普通の女の子そのもので、むしろ小動物的な可愛らしさの持ち主なんですよね。
豪傑とか姉御肌、とかではないんだよなあ。そりゃあ、戦場では将軍として勇ましい姿を魅せますし、職業軍人としてのプロフェッショナルな冷静な佇まいも見せますが、普段はほにゃーとしたゆるい感じすらあるちっちゃい可愛い、ジークハルトが大好きでキュンキュンしている女の子なんですよねえ。
かわいいかわいい、ほんとかわいい。アホかわいい。アリシアの可愛いを堪能するための第2巻でもありました。そりゃ、帝国軍総ファンクラブ化もしますわなあ。
今までは直接対決していた対王国方面軍がアリシアの熱狂的な支持者で、ある意味限定されていたのですが、アリシアが帝国に来て陸軍大学に入ったのは、奇貨でもあったんですよね。
いくら強いとは言っても、他国から亡命してきた姫将軍を、皇太子がいきなり元帥に任命して軍全体のナンバー2にするよ! とか言ってもそりゃ普通に反発があったのですが。
軍の中枢たる高級参謀や指揮官たちが在する軍大学にアリシアが踏み込んでしまったものですから、彼女に突っかかっていった連中が一夜明けると総じてアリシアの狂信的支持者へと反転しているという、なにそのオセロみたいな掌返し? という勢いで、軍中央が反アリシアの牙城から強烈なアリシア支持の牙城へと変わってしまっているという顛末。その後も行く先々で、軍指揮官として派遣される先々で熱狂的ファンを量産していくアリシア姫将軍。
アイドル巡行ですかね、これ?
アリシアのことが好きすぎて、本来超有能で実際超有能のままなのに、アホになってるジークハルト皇太子と、ジークのことが好きすぎてアホ可愛いことになってるアリシアの、お互い好きすぎてアホになってますよ?というアホっぽいイチャイチャっぷりは、見ていて微笑ましいというかアホらしいというか、まあ可愛らしい相思相愛でした。
いいからさっさと結婚してしまえよ。
というのは、実は本人たち含めて、さらに現皇帝陛下皇后陛下も大プッシュの、よっしゃー結婚するぞー状態なので、嫌でも進展してしまうのですが。これ、推進派が各々勝手に好きに暴走しだしてる?
相変わらず、上から下までドタバタしっぱなしの愉快でノリノリなコメディ、大変楽しいばかりでした。なんか、好みにどストライクなんですよね、このノリと勢いに緩さと軽妙さが。
ツボ、ツボだ。ハチャメチャさが、ドタバタの勢いが、なんかもう色んな意味でも無双っぷりが、痛快で気持ちいいんだ。スカッと笑える楽しい作品でした。願うならば、続きでアリシアの結婚話をば、大騒ぎどんちゃん騒ぎして欲しいものです。待ってますよ。



悪役令嬢、拾いました! しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います 1 ★★★   



【悪役令嬢、拾いました! しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います 1】  玉響なつめ/あかつき聖 アース・スターノベル

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転生者として、ファンタジー・ゲーム知識を魔法に生かし、“幻影"という二つ名で知られるジュエル級まで上りつめた冒険者アルマは、ひょんなことから“追放された悪役令嬢"イザベラを拾う。イザベラの身の上話を聞いて
「この子……前世の漫画の子だ! 」
と一瞬大混乱の彼女だったが、漫画よりも謙虚かつ聡明なイザベラを気に入り、引き取って妹にすることを決意。イザベラは庶民の生活を学びなおし、「自分にとっての幸福」とは何かを考え始める。そこへ元婚約者である王子がやってきて……

ちょっと王子側の動きがガバガバすぎて、ほぼほぼ自滅だったんじゃないだろうか、これ。
いわゆる婚約破棄のシーンは省略されてなかったものの、追放された悪役令嬢を主人公が保護して、という流れから逆襲に転じて王子の断罪と令嬢の名誉回復までの展開、早かったなあ。
いやね、最近は令嬢追放から主人公に拾われるにしても、新天地で令嬢自身が主人公として頑張っていくにしても、肝心の婚約破棄にまつわる一連の事件は話の都合上後回しにされてしまったり、逆にサクッとプロローグで片付けられてしまったり、と喫緊の問題としてあんまり扱われないことが多かったので、本作のようにそこに焦点を当てて追放から逆転裁判までを一連なりのお話として第一巻でやっちゃうのは昨今珍しい部類なのかも、と思いまして。
わりと、それ以外の話に横道それることなかったですからね。
令嬢のイザベラが冒険者で主人公のアルマに保護されてから、平和な日常をアルマの元で過ごしてイザベラが落ち着き、またアルマに懐いてこれまでの次期王妃として固められていた価値が解きほぐされていく、という話の流れがありましたけれど、具体的に特徴的なイベントがあったわけじゃないですからね。
作中時間ではそれなりの期間、王都から放置されていたようですけれど、展開としてはわりとすぐに王都から王子が襲来してきて、という話になりましたし……当事者の王子が自分で突撃してくる、というのも珍しいなあ。それも改心したとか事情があったとかじゃなく、勝手に飛び出してきてイザベラを勝手に連れ戻しにきたという勝手っぷりで、勝手勝手。ガキか、この王子。
これはもう放っておいても早晩王子周りはダメになってたんでしょうけれど、一方的に婚約破棄された事で名誉を失っていたイザベラの名誉回復、あとこんな王子を野放しにしていた王国首脳部にナシをつけるため、アルマはイザベラの保護者として仲の良い冒険者の青年二人組と王都に乗り込むのであった。
これ、ただの冒険者なら無謀だけれどジュエル級という王族も一目置かなくてはならない、在る種の権威ある存在であったアルマが権威振りかざしてうちの妹いじめるやつに一発食らわしたる、と直接暴力じゃないけれど、口撃で一言一発かましたる、という勢いで乗り込む話でしたね。
いやまあ、こういう場合は権威も必要なんですけど。あの王子の教育に失敗していた時点でどうしようもないんだよなあ。エドウィン君も、最初の態度酷すぎたのであんまり弁解の余地ないと思うんだけれど。心改めたとはいえ。いや、こんな好青年ならもうちょっと最初のあの歪みまくった態度はマイルドな描写にしておいた方がよかったんじゃないだろうか。好感持てる要素なかったぞ。

珍しいと言えば、主人公のアルマは女性なのだけれど、拾ったイザベラの可愛さに夢中、は夢中なんだけれど、それとは別に友達以上恋人未満の冒険者仲間が居て、わりとベッタリなんですよね。
イチャイチャしてるとまでは言わないけれど、まだ拾われたてで不安もあるだろうイザベラが、拠り所であるアルマが別の男性に気もそぞろ、というのは凄く可愛がってくれてるにしても、不安定な時期だけに大丈夫だったんだろうか。なんか姉に理解の在る即座に出来た妹、みたいな振る舞いをしていましたけれど。

寄り道せずに、サクサクっと婚約破棄から始まったイザベラの追放事件を一巻で解決。と、なってしまったのであんまりアルマの冒険者としての強さはアピールされなかった気がします。イザベラの庇護者としての振る舞いに終始してましたしね。冒険者としては宝石級という権威を振りかざす事で自己主張はしていましたけれど。

まあ肝心のイザベラがこれで完全に国元から自由になって、悪役令嬢でなくなってしまったので、ある意味元貴族のただの妹になってしまったのだけれど、これからどう話広げていくんでしょうね。

贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 4 ★★★☆   



【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 4】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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朱雀救出作戦、いよいよ実行へ!
ジーン王子によるキス未遂事件から一転、ハスブナル国の地下に囚われているという四神の一、朱雀を救出すべく、出陣することとなったサレスティア。青龍、白虎、玄武までが揃ったドロードラングご一行との直接対決やいかに!?
巻末に大幅加筆されたSSも必読!

朱雀さん、情が深すぎてヤバイことに。ってか、人間形態になれるのかよっ! 村長さんからの矢印はそんな事なかったのだけれど、朱雀の側からは妙な秋波が見えていたので四神の中では唯一の女性人格なんだろうな、とは思ってましたけれど、朱雀だけ人に性愛を抱いてその相手に合わせて性別も変える、ってまた濃い生態してるなあ。これまで、男だったときもあるってことか。
人間形態になるだけじゃなく、村長さんを若返らせて搾り取れるようにしちゃうとか、情熱的というべきか偏執的というべきか。
でも、朱雀に限らず白虎も青龍も、人間への執着を拗らせまくってそれぞれ大問題を起こしている事を思えば、四神って人間が出来た?亀さまを除くと三柱ともこう精神的にねちっこいタイプですよね。お嬢が噛まなかったら、白虎も青龍も執着の相手を破滅させていた可能性高いわけですし。
重ね重ね、亀様はよく出来たお人だなあ。
ぶっちゃけ、ハスブバル王国も亀様がいればだいたいサクっと終わらせられたような気がしないでもないけれど。
まあ亀様だけでなく、白虎と青龍。そしてそのマスターたちにドロードラングの化け物たちに、国王陛下自らが精鋭伴って攻め込んだ、というか押しかけたのだから、まあフルボッコですよね。
ハスブバル王国、ジーン王子が絶望の果てに捨て鉢気味にアーライル王国に謀を仕掛けてきただけあって、酷い状況でありました。国は荒れ果て民は精気を失い、国王は妄執の果てに朱雀の力を利用して怨霊みたいになった挙げ句に、国ごと呪いに侵されたような環境に陥っていたわけですから。
まともな戦争になっていたら、どれだけ死者が出て酷い惨劇になっていたことでしょう。
まあ、瞬殺だったわけですが。
ハスブナル国王がまともな人間じゃなくなって、呪詛の塊みたいなありさまになっていたから、手加減無用でやっちゃったから、というのもあるんでしょうけれど。フルボッコしても文句言われないありさまでしたし。

まあ深刻な話はとっとと終わらせて、平和な日常のなかでドタバタとラブコメやっているのが一番いいんですよ。メインのアンディとお嬢が鉄板も鉄板の関係だけあって他の人が入る余地もないですから、周りの人たちのカップリングが進む進む。既にカップルに成っている人達は仲睦まじく、また新しく恋を勝ち取るために戦う人達も、ロマンスを繰り広げるわけで。全体甘酸っぱい空気が広がっておりました。
まあその中でダントツに甘々なのはアンディ王子とお嬢なのですが。ジーン王子にちょっかいかけられたことがよほどアンディを刺激してしまったのか、もう完全にお嬢のことは腕の中に抱き込んで近づいてくる他の男は徹底的に排除しまくる、という独占欲の塊になってしまってまあ。
そしてお嬢本人には「わからせる」を発動してしまって、もうお嬢の頭の中はアンディでいっぱいですよ。身体と心にわからせられちゃってますよ、まだ12,3歳になったところなのに。
これ、今の段階でこれだけねちっこい愛情を見せられると、いざ解禁となったらお嬢ってば完全にアンディに溺れちゃうんじゃないだろうか。現時点でもう息継ぎに失敗してる感じで溺れてる感もありますけれど。前回までも相当に甘酸っぱいことになってましたけれど、さらに進展と言うか青春模様を通り越して二人共、男と女の顔になってきちゃってますよ。まだお嬢13歳なのにw



人狼への転生、魔王の副官 13.二人の姫 ★★★☆   



【人狼への転生、魔王の副官 13.二人の姫】  漂月/ 手島nari。 アース・スターノベル

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北の帝国(ロルムンド)、再び――!!
2人の少女の友情が国交親睦の要となる!?

生きる伝説“黒狼卿”ヴァイト、“魔王”アイリアの偉大な両親の姿を見て育った娘のフリーデは幼馴染のユヒテ、シリンとともに女帝エレオラが統治する氷壁の帝国ロルムンドへ使節団の一員として派遣されることとなった。

初めての外国で父の偉業を目にしながら研鑽を積んでいくフリーデはその中でエレオラの姪のミーチャと仲良くなる。

しかし、城下町へ2人で出かけている最中、エレオラ失墜を目論む謀反人によってミーチャが誘拐されてしまった。
フリーデはなんとか尾行してアジトを突き止めるが謀反人たちの策略により、なかなか応援が来ない。

しびれを切らしたフリーデは友であるミーチャを助けるため1人でアジトへ潜入することになるが――
アイリア以外では唯一ヴァイトとのラブロマンスの可能性があったロルムンドの女帝エレオラ。ってか、元々継承権も低くて扱いも悪かったエレオラをヴァイトが守り立てて女帝へと擁立したんですよね。ミラルディア・ロルムンド戦争からロルムンド内乱編はシリーズ全般を見てももっとも戦記物として盛り上がってるところなので、またぞろご覧の程を。
やっぱりというかなんというか、エレオラは独身で通していたのか。元来、研究者気質の強い人で恋愛ごとには興味も薄く、女帝として後継を育てなくてはいけなくなる段になっても、姪っ子を養子として後継者にしてしまうのは実に彼女らしい、という所なのでしょう。
エレオラにとって、それは一度きりの運命の交差だったわけだ。そこに縁がなかったのなら、未練がましく引きずらずにスパッと割り切って女帝やって研究者としても突き詰めて、と彼女なりに人生を謳歌しているのが垣間見えて、このフリーデというヴァイトの娘を通じての女帝の再登場は色々と確認できることが多くて、うん良かった。
フリーデに対してもヴァイトの娘ということで複雑なものを抱く、というわけではなく、その才幹にヴァイトの血と教育を確認できて喜んでいる所なんぞ、実にエレオラらしく。それでいて、純粋にフリーデの利発さを慈しんで彼女を彼女として可愛がってくれてるの、いい意味で大人になったなあ、というのが伝わってくるじゃないですか。大人としても女性としても女帝としても余裕が垣間見えて、これはロルムンド安泰だなあ。
そんな彼女の脇を固めるのは彼女が女帝として立つ時に下級貴族の身分からずっと支え戦い続けた護帝十四将と呼ばれるロルムンド帝国の英雄たち。
いやあ、この人たち好きだわあ。実際のロルムンド内戦では、主だった活躍をしたのは大体黒狼卿という体で彼らが名を挙げたという功績は殆どがヴァイトがポイポイと放り投げてきたもの。そのままポイ捨てするわけにもいかず、虚飾に塗れた名望を受け入れる事になった護帝十四将たちだけど、この人たち決して自分たちの功績が自分のものではないという事実から目をそらさなかったんですよね。
ヴァイトから譲ってもらったもの、というか無造作に押し付けられてしまったもの、という認識をちゃんと抱え続けて、つけあがったり調子に乗って増長したり、という事を一切しなかった。そして、今に至るまで謙虚であり続け努力と研鑽を続けて、その護帝十四将という仰々しい名前に負けていない本当の実績と実力を身に着けた、っていうの滅茶苦茶カッコよくないですか?
子供世代たちがそんな自分たちの英雄譚に目をキラキラさせて見つめてくるのを、凄く恥ずかしそうに謙遜してあれはそんな大した事をしていないんだ、と常に正直に告白しているのもとても好感度高まってしまうんですよなあ。
レコーミャ大公をはじめとした彼ら、何気に作中でも屈指の黒狼卿のファン集団なんですよねえ。この人ら、ヴァイトの事好きすぎだろうw
ヴァイトから来た手紙とか家宝にしてるとか、フリーデの姿に黒狼卿の面影を見つけて、いつの間にかニコニコしながら思い出話に花を咲かせたり、とか。
でも、ヴァイトのそういう所が私も一番好きなんですよねえ。畏怖されるというよりも敬服されるというよりも、凄い凄いと持て囃されるというよりも、あああの人はもう、と文句を言いながらもその人の話をしているとみんな笑顔になってしまうような、みんな大好きでどうしようもない、そんな親愛とともにある英雄像が。
様々な物語でいろんな英雄像がありますけれど、自分が一番好きなのはこの手のタイプなんですよねえ。
フリーデも、ロルムンドに来てもお父さんの知り合いばかりで外国に来た気がしない、と言ってますけれど、そうやってパパの話をする時みんな心からの笑顔であることに気づいているだろうか。
恩義もあるだろう、敬意もあるだろう、畏れもあるかもしれない。でもそれ以上に、みんなあの人が好きなのだ。そんでもって自分は副官だ、なんて言って目立ちたがないのを知っているから、その癖真っ先に自分から危地に飛び込んでいくのを知っているから、彼がどんなに凄くてとんでもない人物だとわかっていても崇め奉って遠ざけるのではなく駆け寄っていって一緒になって手助けしてしまう。彼のことが好きだから。
フリーデも、いろんな人から父親のことを聞いてもその偉大さを思い知って遠くに感じる、なんてことはないんですよね。凄い人だと感じても不思議ともっと身近に感じているんじゃないだろうか。彼のことを思い出話する人達の口ぶりは、そんな感じなんですもんねえ。

気負わず自然体で他国の要人たちと顔を繋ぎ、次期女帝である帝姪であるミーチャと身分を超えた友情を育んでいくフリーデ。ただのフリーデとただのミーチャとして、でも次代のミラルディアとロルムンドを担うものとして、二人の友情は2つの国の未来を祝いでいく。二人の友情がいつまでも続くように、いつまでも仲良く出来るように、いつでも会いに行けるように……自分たちの国を育んでいくことを約束するのである。
そんな子どもたちの未来を、子どもたちが自分で立って歩こうとしていくのを、周りの大人たちが優しく見守り、その障害となるだろうものを叩き潰していくのホント頼もしいです。
未来は、明るいなあ。

漂月・作品感想

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 3 ★★★   



【ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 3】 ハム男/藻 アース・スターノベル

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パーティー名は「廃ゲーマー」!?
学園都市編、スタート!!

グランヴェル家の従僕を卒業し、セシルとともに学園へと入学したアレン。
開拓村からやってきたクレナやドゴラとも再開し、新たな生活をスタートさせる。
アレンを中心にパーティーを組んだ4人は、打倒魔王を目標に、学園都市にあるダンジョンを積極的に攻略していく。
ヒーラーを求め、学園で出会った「僧侶」の才能を持つ少年、キールをパーティーに誘うアレンだが、彼には「グランヴェル家」に関連する、ある「秘密」があり……。

一方学園では、「学園武術大会」が開催され、クレナが参加することとなった。
優勝者は王国の大英雄、剣聖ドベルグとの試合が行われる予定だが……。
そして「人類の希望」と呼ばれる勇者ヘルミオスは、入学試験で出会ったアレンに興味を持つが、実力を見せる気のないアレンに対し、ある条件を提示する。

稀代の英雄たちを前に、アレン率いる「廃ゲーマー」の本気が明らかに!?

勇者ヘルミオスの過去を描いた「ヘルミオス回想編」や、もう一人のアレンの幼馴染であるペロムスが登場する「商人ペロムスの奮闘」など、書き下ろしエピソードも収録!


あれ!? もうレベルキャップなの!? 学園生活はじめてまだ一年なんですけど!?
これはさすがに早すぎだろう。原因は魔王軍が全体にレベルが上ったために魔物の経験値が十倍近くになっている、という理由があるみたいだけれど、まだ十代も前半の時期にレベルがカンストしちゃったら、成長も何もあったもんじゃないじゃないですか。ゲームバランス完全に崩壊しているなあ。あとはエキストラスキルを自在に使えるようにしたり強力な武器を装備したりステータス値には表せられないプレイヤースキルをあげたり、という方法が残っているにしても、基本数値が上がらなくなってしまった、というのはこれモチベーション保てるんだろうか。
廃ゲーマーならともかく、他の子たちはそこまでイカレていないと思うのだけれど。
そして、レベルキャップに到達しながら、それだと魔王軍に太刀打ちできない、というの仕様として完全に破綻してますよね。そりゃ、前線で戦う連中が絶望してしまうのも無理ないわー。
それもこれも、魔王軍が正しく「チート」したから、と言えるんだろうけれど、こういう「システム」面からプレイヤーがどうにも出来ない難易度を押し付けてくるって、ヘルモードというよりもただのクソゲーなんじゃないだろうか。
そんでもって、これはゲームじゃなくて現実のはずなのに、ゲームシステムみたいのに縛られてどうにもならない、というのは悲惨以外の何者でもないよなあ。
だからこそ、ヘルモードの主人公が投入されたんだろうけれど、果たして彼一人が現状人類の限界を突破したからと言ってそれでどうにかなるんだろうか。まあ、彼は召喚士として明らかに戦略兵器並のポテンシャルを持ち得ているし、さらに味方に対するバフも常軌を逸している段階に達しているので、彼が参戦しただけでもだいぶ違ってくるのはまあ確かなんだろうけれど。
それにしても、クレナを含めて他のノーマルモードの人間がレベル60でキャップに達してしまったのって、さすがに数値として低すぎるよなあ。さらに限界突破する要素が残されている、という事なんだろうか。

ともあれ、今回はレベルやダンジョンのシステム面にまつわる話ばかりで、現状の魔王軍との戦況とか戦争の経緯、ダンジョンが成立している背景とか、バックグラウンドストーリーはさっぱり出てこないんですよね。というのも主人公がそういうの全然興味ないんですよね。ゲームに関しても数値ばかりに目が言って、ストーリーとかキャラの掘り下げとか各国の歴史とか、武器道具のフレーバーテキストとか一切興味ない、と明言しているくらいですからねえ。個人的に、この主人公とはまったく趣味あわないですわー。設定厨の身としたら。
実のところ、仲間のキャラの掘り下げなんかも全然なんですよね。これまで従僕として仕えるお嬢様という主従の立場だったセシルとも、従僕を卒業した途端にただの仲間になってしまって、なんか全然存在感なくなっちゃったんですよね。ただの仲間の一人、みたいな扱いで。クレナやドゴラといった農村時代の幼馴染とパーティー合流しましたけれど、まあ仲悪くはないみたいなんだけれど、普段どういう交流しているのかもさっぱりですし。
あとから加わった僧侶のキースも、めっちゃ因縁ある出自だったのになんかすんなり仲間になっちゃいましたし。当人たちはもっといろいろと思う所あるんだろうけれど、アレンはそういうのほんと興味ないんだろうなあ。便宜も図るし私生活や家族身内にまでちゃんと気配りしているし、元の家族にも仕送りとか支援して、と決して情がないわけじゃないんでしょう。恩人でもあるグランヴェル子爵に対しても、政治的に結構やばい立場に立っているのをできる限り支えられるように動いているんだけど……余儀なんだろうなあ、こういう行動は。

まあ世界の危機敵状況を鑑みれば、アレンみたいなちょっと頭がおかしい存在こそが救世主になりえるんだろうけれど。勇者のヘルミオスさんはこの人、まともな分絶望をまともに受け止めててしんどそうだもんなあ。


人狼への転生、魔王の副官 12.新時代の幕開け ★★★☆   



【人狼への転生、魔王の副官 12.新時代の幕開け】  漂月/ 手島nari。 アース・スターノベル

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副官(ヴァイト)は平和な世界でも大忙しーー!?
問題解決のため、国境を越えて東奔西走!!

南国クウォールでの未曽有の大混乱が解決し、隣国のクウォール、ロルムンド双方と友好的な関係を築きながら平和な毎日が流れていくミラルディア。
その一番の功労者である魔王の副官ヴァイトは、相変わらず忙しくしつつも、妻アイリアとの間に生まれた娘フリーデが成長する姿を日々楽しみにしていた。

しかし、そんな幸せの中でも仕事は待ってくれない……!
クウォールでの国民と遊牧民の確執問題、謎多き風紋砂漠の調査など、生きる伝説として各地に名を轟かす副官ヴァイトは世界中を飛び回ってスピーディーに問題を解決していく。
すべては早く家へ帰って娘に会うためにーー!!

そんな偉大な両親の姿を見て育った娘のフリーデは、母であるアイリア譲りの美貌と知性に加え、父ヴァイト譲りの人狼の力と行動力をもった快活な少女に成長していく。
しかし、おてんば故にとんでもないトラブルに巻き込まれることもあって……!?
ウェブ版既読。だいぶすっ飛ばす事になりましたが、ちょっと追いつけなくなったのでイラストレーターさんも変わった新章から改めて追いかけることに。
と、言っても本筋におけるあら方の問題はミラルディアの安定と近隣諸国との戦争、戦神と呼ばれる過去からの置き土産などなど、多くの大陸全土を揺るがす問題は片付けられ、11巻に渡る長き戦乱が終わりを告げ、問題や国際緊張などありつつも平和が訪れておりまする。
めでたしめでたし……じゃあ終わっちゃう。

まあこの新章からは、新世代であるフリーデら子供達の成長を通して、ヴァイトたちがつかみ取り築き上げていく平和の形が描かれていくのであります。
平和になりましためでたしめでたし、じゃなくて、どんな風に平和な世の中が形作られていくのか。その平和がうたかたの夢などではなく、しっかりとした基礎の上に建てられた崩れることのない城として未来まで引き継がれていくのか。その行程を、子供達の目を通して見ることで実感していく感じなんですよね。
生まれた時にはもう大方戦争は過去のことになっていて、魔族と人間たちが争っていた事もミラルディア国内で南北に分かれて隔たりがあったことも他国と戦争を繰り広げたことも、知識としてしか知らない子供達。でもその過去は歴史となるほど昔ではなく、今まさに歴史の向こう側へと押し流していくべく、ヴァイトたち大人たちが現在進行系で頑張って平和という枠組みを土台から築いている様子が、フリーデたちの目線で見えるんですよね。
まだ幼い頃はその光景を意味もわからず見ていたフリーデたちだけれど、成長するに連れて自分達が今歩いている道がどんな風に創られていっているのかを、この聡明な子らは理解し意欲的に学んでいくのです。今まさに道は整備され、横に広くなりどこまでも伸びていく様子を。自分たちの未来のために敷かれていっているのを、体感していくんですなあ。
魔王アイリアと黒狼卿ヴァイトの娘であるフリーデは、重要人物の子息という事で将来も嘱望され、知人も各都市の首長や幹部職たちと顔も広く、自然とそういう人たちと親しくすることで見聞も広がっていく。また、ミラルディア国内ではあるけれど色んな都市を回ることで世界の今を識っていくのである。
住む都市も違う国も違う人種も違う種族すら違う、そんな多種多様な人々が争うことなく一緒に生きている世界。多様な人たちが、信頼によって結ばれている世界。それらを結びつけたのが、黒狼卿ヴァイトであるのだと、かつての英雄がただ武勇以上に壊す以上に、創り融和し色んな人と友達になり様々なものを築き上げてきたのだと。
自分のパパが、そんな誇るべき人物だと娘は知っていくのだ。色んな人達が笑顔で嬉しそうにその活躍を、人柄をフリーデに語ってくれる。
目をキラキラさせて、パパすごーい、とはしゃぐフリーデは可愛いでのう。
そんなフリーデの胸にもいつしか、志が、野望が生まれるのだ。
外の世界を見てみたい。自分の腕を試したい。冒険とかしてみたい! あと、もっと勉強して出来る女になって、パパを楽させてあげたい。
……パパ冥利に尽きるじゃないですか、ヴァイトくん。

お転婆でヤンチャで明るく育ったフリーデは、皆に愛されスクスクと真っ直ぐに成長していく。そんな彼女に、愛する子には旅をさせよ、とばかりにロルムンド帝国への使節団の一員として旅立つ使命が与えられる。狼の子が世界に勇躍する、その冒険のはじまりだ。実に心躍る、ワクワクのはじまりである。

漂月・作品感想



贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 3 ★★★☆   



【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 3】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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我流の魔法で領地改革を推し進める“悪役令嬢"サレスティア。魔法学園での生活も慣れてきて、ついにヒロインと遭遇……苦しむヒロインを救うべく奔走する悪役令嬢のもとに、新たな四神がやってくるわ、敵国からは転校生まで⁉ 陰謀渦巻く学園生活をお嬢はどう乗り切る? 史上最善な悪役令嬢の、猪突猛進ほっこりストーリー! 第一回アース・スターノベル大賞佳作受賞作、待望の3巻登場!

ぎゃー、これヒロインのミシルが置かれていた状況、えげつなすぎないですか!?
ってか、この娘ゲームだとこんな状態からどうやってゲームのヒロインになれたんだ? ゲーム開始時点で廃人になっててもおかしくなかっただろうに。
肉体的にも衰弱死しかけてるし、精神的にはもっとひどく追い詰められててとてもじゃないけれどまともな学生生活を送れるような状態ではなかった。ここから、キャッキャウフフの学園生活とか無理でしょ。イケメン王子様たち攻略対象と恋と青春の物語とか、スタートすら出来ないでしょうに。
ここまで酷い有様になっているミシルを、お嬢が放っておけるはずもなく。全力全開で救出行程に突入である。お嬢にとって、贅沢三昧して悠々自適に過ごすという目標は自分ひとりが贅沢出来る環境じゃなく、周りの人みんなが贅沢三昧して豊かに幸せに暮らせるようになってこそ、自分も存分に贅沢を堪能できる、というものですからねえ。

お嬢の圧倒的な行動力と存在感は、そしてお嬢たちが提供する美味しいもの、楽しい娯楽、努力に見合う報い、正当な評価、偏見やしがらみなく肯定してくれる姿勢、これらは充実した時間を、やる気を、幸福感を多分に与えてくれて、これまでの埃のかぶった価値観を根こそぎひっくり返していく。
学園でも魔法科の生徒たちが、先輩後輩や身分差など関係なく、同じ釜の飯を食った仲間として一体感を得ていく姿はもう見ていてのなんか楽しかった。
この世界、決してヌルい世界じゃないんですよ。それどころか、残酷で悲惨でむごたらしい現実が腐臭を放ちながらぶちまけられている。人の悪意に踏みにじられた者、欲望に食い尽くされたもの、心に傷を負い、飢えてやせ細り、絶望の果てに人の道を外れてしまったものもいる。
そういう無慈悲な世界だからこそ、お嬢を中心に築き上げられていく「幸せな世界」がすごく心に沁みるんですよね。人に優しい世界、幸せを独り占めせずみんなで分かち合える世界。みんなで大声で笑って助け合える世界。それを本当に築こうとしているのが伝わってくる。
お嬢一人に押し付けず、お嬢が中心になってはじめたことだけれど、その輪がどんどん広がっていくのがなんか和むし、嬉しいし、温かいんだなあ。

そしてまあ、どんどんと仲睦まじくなっていくお嬢とアンディのカップル。いや、仲睦まじさは最初からだったのだけれど、幼い頃は元気爆発な妹分とそれを優しく見守るお兄さん、という感じだった二人がいつの間にか、こんなにも甘酸っぱい雰囲気を漂わせるカップルになるなんて。
お嬢の価値があがるにつれて、婚約者の交代なんかが囁かれはじめるのだけれど、そこで見せたアンディの独占欲と、アンディ以外は絶対にいや、というお嬢のスタンスがまた眩しいわけですよ。女子力を前世からすでにどこかに落としてきてしまっていたはずのお嬢が、乙女回路をキュンキュン唸らせる普通の女の子になっちゃってまあ。
そしてアンディの方ときたら、まるで乙女ゲーのイケメン王子ですよ。まったく、かっこよくなっちゃってまあ。ただ優しいだけじゃなく、ちゃんとお嬢は渡さないという男気を見せてくれたところは最大評価です。今や、お嬢を本当の意味で制御できるのってアンディなんじゃないだろうか、というくらい彼の器のデカさが素晴らしい。
アンディの兄二人とその婚約者の貴族令嬢たちとも、ようやく色々とあけっぴろげに付き合うことで親しくなることができ、ミシルに取り憑いていた青龍ともナシをつけ、いまや王国内ではもう安泰といったところですか。
そうなると、問題は外患の方になってくるわけで。
盛大に喧嘩売ってきた敵国と、ケリを付けにいくことになりそう。そうなる前にお嬢が傷物にされかけた結果、彼女に関わる人々の逆鱗に触れ、敵国、色々と始まる前に更地になりかけてたのには苦笑三昧でしたがw
お嬢よりも周りの連中のほうがやべえじゃないかw



贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 2 ★★★☆   



【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 2】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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我流の魔法で領地改革を推し進めるサレスティア。弟が増えて俄然やる気まんまんのお嬢のもとへ、突然「意外なお客様」がやってくる。守るべき家族・領民・領地をかけて、一大勝負に出るサレスティアだったがーー!?
史上最善な悪役令嬢の、猪突猛進ほっこりストーリー! 第一回アース・スターノベル大賞佳作受賞作、待望の2巻登場!

あー、ドロードラング男爵領に残っていた面々の中でも年嵩、先代の頃からの住人って凶状持ちが多かったのか。先代とクラウスにとってこの領地に落ち着くことになった彼ら。故郷も帰る家も持たずいつか破滅するまでの人生を歩むのみだった彼らにとって、此処こそが最後の安住の地であったからこそ、地獄と化したあともこの地に骨を埋めるつもりだったのか。そりゃ覚悟も据わっているし、サレスティアへの対応も最初から鷹揚だったのか。サレスティアがハチャメチャに動き出してこの死に絶えようとしていた地を蘇らせはじめたのを見たときは、きっと彼らにとっての恩人であった先代を見るかのようだったのだろう。年嵩の大人たちのサレスティアへの慈愛に満ちた眼差しの意味がようやくわかってきた。ただの古くから土地に根ざした農民や猟師たち、というには懐が深いというか変化や外からくる異物に対して忌避感が少ないな、とは思っていたのですけれど、自分達こそがそもそもアウトサイダーだったというのなら、そういう連中に対しての対処の仕方や理解も深いだろう。そして彼らの抱いている諦観や世を斜めに見ている心の傷も。
領地改革が進むにつれて、スラムからストレートチルドレンたちを引き取ったり盗賊崩れを引き受けたり、とかなりリスクの高い人材を領地に取り込むことになってくるのですけれど、家族同然という間柄になっていた領民たちとの間に隔たりが生じないか、余計な問題を引き起こさないか、など心配の種は尽きなかったのですけれど、なるほど領民たちからして元々がそっち側だった、というのなら安心だわなあ。
そもそもからして、みんなちょっと尋常じゃない所がありましたし。
もちろん、心得違いをしているような輩も出てくるわけですけれど、そういった連中を排除するのでも見過ごすのでもなく、ちゃんと責任を持って正し教え受け入れる、という姿勢に終始しているのはサレスティアの方針もあるのでしょうけれど、ちゃんと実行していることも含めて大したものだなあ、と感心するばかり。
かと言って、そういう余剰人員ぽいぽい放り込んでくる陛下とか、もうちょっと自重した方がいいと思われるよ。
まあ国のトップである以上、ぬるいことは言っていられないというのもあるのでしょう。利用できる所は利用しようという根性はむしろトップとして信頼できる証でありますし。
テーマパーク化が進む男爵領に隙あらば遊びに行けるようインフラ整備までさせようというあたりは、かなり私物化が入ってるような気もしますけど。

まあアンディことアンドレイ王子との婚約を決定したのはグッドジョブ以外の何者でもなかったですけどね、国王陛下。僅か齢10歳にしてアンディ王子性格イケメンすぎますわー。
もうお兄ちゃんとしての風格というか、サレスティアお嬢の自由奔放さをまるっと受け入れる懐の広さ深さが素晴らしいというか。本当にやりすぎたらちゃんと止めてくれたり、さり気なく方向修正してくれたり、とアンディってちゃんとお嬢の事制御出来ているとも言えるんですよね。基本、もう口出しせずにお嬢のやりたいようにするべきだ、とばかりにニコニコと笑ってくれているあたりも素晴らしいですし。むしろ、アンディの腕の中に居るほうが常識はうっちゃりつつもハメを外しすぎずに自由に振る舞えるんじゃないだろうか、お嬢は。それくらい相性がいいというか、お似合いのカップルなんですよね。
いつの間にか、女子力皆無だったはずのお嬢に、恋愛脳とか乙女回路が欠落していそうなお嬢に、ちゃんと年頃の女の子らしいときめきを生じさせるとか、偉人じゃないのかこの王子。
そもそも、あの最悪の両親の処刑(わりとサクッと片付いた)でなんだかんだと落ち込んでいたお嬢の心を慰めてくれたのがアンディなわけで。……王子、尊い。
本来のゲームなら主人公とアンディの仲を邪魔しにかかるという妹姫のレティも、こちらではむしろ婚約推進派。お嬢がお姉様になってくれたら嬉しいな派ですしねえ。
何気に王妃様がたから絶大な支持を得ているあたりも、お嬢の人望というか徳を伺えさせる。兄王子たちからは隔意を抱かれているようだけど、彼らも別に悪い人たちではないようなのでこれ時間の問題だろうなあ。

そんなこんなで、いつの間にかさくっと学園編に突入。学校に入学とか、このお嬢に務まるのか? と思うところだけど務まってるのかこれ? ゲームの主人公たるヒロインの少女も登場したわけですけれど、なんかこの子置かれている状況というか環境が変すぎるぞ?
わりとネアカなテンションでサクサク進む物語ですけれど、個々の登場人物の置かれた環境なんか見ると素でエグい酷いえげつない、といった境遇に置かれてたりするので油断できない本作ですけど、このヒロインの子もいきなりこれ死にかけてないですか!?
そりゃ、お嬢なら放っておけんし見過ごせんわなあ。拒絶とかまったく堪えないでガンガンぶち当たっていく暴走特急っぷりは歳を重ねても衰えず。次回はこのヒロイン、ミシルとの件がメインになりそう。


贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 1 ★★★☆   



【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 1】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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前世で貧乏、転生しても貧乏!?
だったら改革してやるわ!
サレスティアは5才の誕生日に激怒した。頭を打って前世の記憶を取り戻したと思ったら、また貧乏だったからだ。そしてその怒りで魔法に目覚めた。乙女ゲーの悪役令嬢のはずなのに、贅沢できないなんて許せない!? 貴重なはずの魔法を、惜しむことなく領地改革に活用し、没落&処刑回避を目指すサレスティア。領民が何より大事な悪役令嬢の、猪突猛進ほっこりストーリー! 第一回アース・スターノベル大賞佳作受賞作、ついに登場!!

いやこれ、貧乏なんてものじゃないですから。良心の類を一切持たない人で無しとしか思えない貴族の両親から育児放棄され、送り出された領地でサレスティアが目にしたのは……控えめに言っても地獄。
食べるものもなく反乱する気力も逃げる体力も失い、毎日誰かが息絶えていくという飢餓地獄だ。これはもう貧乏なんて範疇じゃないでしょう。サレスティアが魔法に目覚めるほど怒り狂ったのは、貧乏という境遇だったからじゃなく、こんな惨状を作り出して平然と放棄している両親とこれまでこんな地獄絵図の存在を知らずにのうのうと生きてきた自分自身への憤怒だ。
そこからのサレスティアの行動は、もう救急活動か難民救護なんですよね。なけなしの私物を売り払って食料を確保して、領館に生き残っていた領民たちを保護して炊き出しを行い、絶望に心が完全に死んでしまっている老若男女の彼らを励ましてまわる。
生きて! 今はとにかく生きて! どれだけ死にたくても、頑張って生きて!
抱き締めて体温を伝え、必死で懸命な気持ちを伝え、そのまま止まってしまいそうな領民たちの心を呼び起こしてまわるサレスティア。
この娘、終始明るくテンション高く笑顔を絶やさないので、話の雰囲気も暗くなることなくずっと賑やかなままなのですけれど、特に序盤の惨状はちょっと常軌を逸していたと思う。
その地獄絵図を共有していたからだろう。生き残った領民たちの間には、決して切れない紐帯が結ばれることになるんですね。彼らに命を吹き込んだサレスティアを中心に、彼らは一つの家族同然となり寄り添って生きていくことになる。サレスティアへの感情も、領主代行とか恩人という立場の差を感じさせないもので。
自分達に生きて生きてと叫びながら抱き締めて体温を分け与えてくれた小さな子どもに芽生えた気持ちは、もう愛情以外のなにものでもなかったのです。私達の愛しいお嬢。私達の愛しいサレスティア。
サレスティアへの領民たちの接し方、扱いは貴族や領主といったものじゃなく、ほんとに我らの娘という感じで、遠慮もなく容赦もないのだけど何よりも愛情が目一杯注がれているのが言動の端々から伝わってくる一つの家族感が本当に素晴らしいのである。
これ以降、困窮した他国からの難民や王都のスラムに住まうストリートチルドレンを受け入れたり、と行き場のない生きる事自体に辛さ苦しさ痛みを感じるようになってしまっている人たちを迎え入れるケースが増えてくるのだけれど、印象的なのが領民たちみんながそんな人達にスキンシップを欠かさないんですね。
触れることを厭わない。手を握り、ギューッと抱きしめ、髪の毛をかき混ぜるくらいの勢いで頭を撫でて。老いも若きも関係なく、領民たちは笑顔を浮かべながらそうやって心が止まりかけている人たち、傷ついて怯えている子供たちに体温を、気持ちを、生きているという実感を絶え間なく伝えようとするのである。かつて、自分達があの幼いお嬢様にそうされたように。

救われること無く逝ってしまった家族を悼みながらも、今新しく結ばれたお嬢を中心としたこの家族で幸せになるために。作中で、何組も生き残ったもの同士の間で愛情が育まれて結婚するカップルが生まれるのですけれど、それをみんなが我が事のように笑顔で大騒ぎしながら祝福するのである。みんなが幸せになるように、みんなで幸せになれるように。
今度こそ。先に逝った家族が心配しないように。
贅沢三昧したい、というサレスティアの願望も……この娘元々前世の頃からいい子すぎて、別に贅沢したいというのも自分だけ、とは露ほども端から考えてないんですよね。前世も貧乏から脱出して、家族みんなで贅沢するんだ、と頑張っていたように。今世でも、もう家族同然の領民たちと一緒に贅沢できるように、と頑張るのである。明るく笑顔を絶やささずに。
このバイタリティはほんと尊敬に値する。

そんな彼女と知り合うことで、サレスティアの惜しみない愛情の一端に触れることで、彼女を取り巻く人々の慈しみの想いを感じることで、ある兄妹もまた大いに感化されることになる。
他人とのふれあい方、そして「家族」との向き合い方。その影響の大きさは、物語にも転機を与えることになる。

正直、あれだけの惨状を起こしているサレスティアの両親を、放置している……或いは手出しできずにいる王政府はちょっと力不足もいいところなんじゃないかと思う所なんですけどね。あんなの、困窮を極めているどころじゃなかったものの。下手すりゃ領地全体が飢餓で死に絶えていても不思議ではなかった。その現状もろくに把握していなかった、資料から経済崩壊していることだけ見て取って放置していた、というのもねえ。
ある意味国そのものにも見捨てられていたと言っていいサレスティアたちが、この国に対して未練を持っていない、というのも当然といえば当然なんですよね。復興も全く支援無しで自給自足で立て直したわけですし。
アンドレイとレスティアとの出会いがなかったら、それこそこの国にこだわる要素は何一つなかったでしょうし。

さて次回は正式に領地を継ぐことになったサレスティアと、自分以上に生まれた瞬間からネグレイトされてまともに意識を持っていなかった幼い弟の覚醒。そして鬼畜両親との対決、といったところですか。お嬢のハチャメチャな明るさと勢いはなおも継続するのか。次回も楽しみ。

戦姫アリシア物語 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし ★★★★☆  



【戦姫アリシア物語 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし】  長門佳祐/葉山えいし アース・スターノベル

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「アリシア・ランズデール! 貴様との婚約を破棄し、反逆罪で……へぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅう!」
王太子に会心の右ストレートを放つとともに国外へ脱出した公爵令嬢アリシア。元帥号をもつ将校かつ、戦の天才でもある彼女を助けたのは、敵国の第一王子で、しかも理由は「嫁にしたいから」だった!?
帝国軍にアリシアを迎えることで、長く続いた王国VS帝国の戦は、最終局面に突入。反逆罪ものの大事件の行く末は? ほのぼの優しくてくすくす笑える、ドタバタ戦乱コメディ。

超大ウケ!!
やばい、なんだこれ、めっちゃ面白かったんですけど!?
あらすじの「ドタバタ戦乱ラブコメ」ってなんだよ? と思う所なんですが、読むとドタバタ戦乱ラブコメなんですよ、確かに。しかも「ほのぼの優しくてくすくす笑える」、てのもその通り。
何しろ、登場人物の殆どがアリシアを筆頭に愉快な愛すべき馬鹿ばっかり。戦記物でシリアスな場面も血腥い場面も確かにあるのだけれど、基本的に敵も味方も憎めないやつらばかりなのである。
優しい世界、なのだ。
王太子をぶん殴る、という言い逃れできない大逆罪をやらかしてしまったアリシア、なのだけれどそれまでずっと王太子からパワハラを受け続けていたのをグッと我慢してきたので、むしろ周りは「よくやった!」と拍手喝采。しかも、アリシアは帝国との戦いでは軍事強国相手に見事に国境を守り続け、北の蛮族の大侵攻には逆に大侵撃をかましてぐうの音も出ないほど叩きのめした大英雄。個人的武勇でも軍略でも天才の名を恣にする軍神である。軍部は東西南北の諸侯軍から本来王族を守るべき近衛軍に至るまで、アリシアの支持者を通り越して信奉者。ちなみに、敵である帝国軍も彼女の熱烈なファンである。筆頭が、会戦にて出会い頭にぶっ殺されかけた経験者の帝国皇太子である。部下たちからは、あれはキモいと称されるほどのもうべた惚れ。ちなみに、お前らも相当にキモい同類だからな、帝国軍諸氏諸君よw
とまれ、アリシアが我慢の限界ぶっちキレてやらかしてしまった殴打事件を引き金に、反アリシア派の王妃派閥が王族権限で近衛軍を動かしてアリシアの捕縛、謀殺に動いたために、アリシアは王都を脱出せざるを得なくなったわけだけれど、もう初っ端からドタバタお祭り騒ぎなんですよね。
アリシアの脱出を支援するのは、アリシアの影響で血の味を覚えてしまった宮廷の淑女軍団。いや、お嬢様方、なんでそんな血に飢えた狼みたいな人種なんですか!? 統制された餓狼の群れのように迫りくる近衛軍(士気どん底)を蹴散らして王宮への逆撃をかまそうとする淑女たち。
淑女とは!? あまりの凶暴さに、アリシアもドン引きである。
というか、アリシアの支持層めちゃくちゃ分厚いのに、何がどうして帝国に亡命するなんて事になってしまったのか、よくわかりませんよ!? 軍部だけでなく、平民宰相のシーモアおじさんも味方サイドですし、何気に王太子エドワードの取り巻きである近衛軍司令官の息子のアランも、宰相の息子のレナードも、幼い頃からのアリシアの馴染みで仲良いんですよね。とどめに、ゲームで言うところのゲームの主人公である所のアンヌもまた、幼馴染の腐れ縁。マブダチと言っていいんじゃないかしら。
ちなみに、アリシアの亡命劇をプロデュースしたのは彼女アンヌである。王妃のアリシア粛清謀殺の動きを察知したアンヌの王国と帝国を巻き込んだ大謀略、というのが真相だ。
おかげで、理は完全にアリシアの側にあると理解し心情的にもアリシア支持なんだけど、エドワードを見捨てられないレナードとアランが、えらい苦労するハメになるんですよね。
国力差から絶対敗北を避けられない帝国との戦争を軟着陸させつつ、王妃派の粛清劇を逆手にとってのアリシアを女王に奉るクーデター、というのが真相というべきなのか、これ。アリシア自身は、帝国に勝てない事を悟りつつうまく双方に被害も遺恨もなるべく少なく負ける事は企図していたものの、自身が登極することはまったく考えていなかったので、誰かの明確な意図あってのことではなかったみたいなんですよね。ただ、王妃が引き金を引いてしまったことで、愛想を尽かした皆が逆の方向に怒涛のように流れ込んで走ってしまったわけだ。
実際、諸侯軍根こそぎアリシアに寝返るし。
そして、亡命してきたアリシアに、帝国皇太子ジークハルト率いる対王国侵攻軍総員大はしゃぎ。君たちちょっと喜びすぎw
この帝国軍の面々がまた面白い連中で、やたらテンション高い愉快な馬鹿たちなんですよね。ジークハルトの事は慕いながらも全く遠慮なく罵倒しますし、からかうし雑に扱いますし、皇太子への不敬罪とかないんですか、ほんと!? 
ノリが体育会系というよりもいつも全力で大騒ぎしている文化系クラブのノリなんですよね。騎士道なんぞくそくらえの歴戦の戦争屋で実に楽しそうに戦争をピクニックする連中であるはずなんだけど、アリシアが帝国軍の指揮も取ると決まったのに反対するどころか大はしゃぎだし、軍議は酔っ払いどもの酒盛りかというくらいテンションあげあげで、アリシアの立てる作戦に大盛りあがりで、挙げ句じゃんけんで配置決めだすのはさすがにヤメレ。これでも世界最強の軍隊である。
これだからこそ、なのかもしれないが。
決戦前のアリシアの演説に、アリシア麾下に入った諸侯軍と一緒に「王国万歳ー!」とテンションマックスになって叫んでる帝国諸卿、控えめにいってもバカばっかりで大好きであるw
もちろん、皇太子のジークハルトもまたそのバカどもの筆頭で、でも同時に何だかんだとカッコいいんですよね。色んな意味で隙だらけではあるんですけれど、周りのバカたちに弄り回され、自由奔放なアリシアに振り回され、でもそれ以上のノリの良さでうまいことウケながら、アリシアラブを貫く姿は気持ち悪いけどイケメンw
アリシアの方も自分のことを大事にしつつアプローチを欠かさない彼のことは満更でもなく、なんだかんだとイチャイチャしてるのが微笑ましいんですよね。いいじゃない、ラブラブカップルじゃない。

これ、書籍版はウェブ版から結構中身変わっていて、アンヌやアラン、レナードと言ったゲームの主人公と取り巻き連中、雑にフェイドアウトしてるんですよね。自分ウェブ版は冒頭あたりだけ読んだのですが、断罪イベントで完全にアリシアの敵に回っていて、物語上からもキレイに排除されてしまっていたのが、アランとレナードは書籍版では王国側の主人公と言っていいくらい頑張って、自体の収拾とソフトランディングに努めていて、大活躍してるんですよね。活躍というよりも、作中でもっとも苦労しているというべきか。アリシアとエドワード、王国の要人としての立場の板挟みに合いながら、筋を通し義理を果たし友情を捨てず誠実であろうとし、道理に合わせようと頑張った、というべきか。もうおバカのノリでイケイケドンドンな連中ばかりの中でほんとようやったよ。王妃派閥の無能無知無見識の暴走を可能な限り抑え込みながら、でしたからね。
彼らのお陰で、王国サイドにも気持ちを割きながら読めましたし。この大幅な改変は実によいものだったんじゃないでしょうか。噛めば噛むほど味のあるキャラがメインに増えて悪いことはないですし。
元凶であるエドワードですら、ある程度汚名返上する機会がありましたしね。これも最後まで見捨てなかったレナードたちの尽力のお陰なのですが。追放後に備えて農業スキルをあげる、という某野猿系悪役令嬢の考えは間違いじゃなかった、と何気にエドワードくん証明しとるがなw
楽しそうに戦争するやつら、というと血と硝煙を背景に血走った目と凄惨な笑みで彩られた戦争狂どもの話になりそうなのだけれど、これは本当にこいつら楽しそうだなー、と思わず微笑ましくなってしまうような、愛すべきバカどもによるドタバタ馬鹿騒ぎ。
ひたすら、愉快痛快、笑ってちょっと胸があったかくなる、なんだかんだとみんなに優しい楽しいお祭りでした。
この調子、このノリで、帝国の学園編、やってくれたら嬉しいです。あー、面白かった。ウケたウケた。

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 2 ★★★☆   



【ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 2】  ハム男/藻 アーススターノベル

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貴族の従僕となったアレンの、新たな冒険が始まる! ! 開拓村の農奴からグランヴェル家の従僕となったアレンは、ワガママお嬢様のセシルに振り回されながらも、自由に街の外に出れるようになったことでモンスター狩りに熱中していく。 召喚獣たちとともにストイックにレベル上げに勤しむアレン。ゴブリンやオークを狩り続け、召喚獣もアレンもどんどん成長していく。 一方グランヴェル家の従僕としてもアレンは順調に信頼を獲得していた。従僕生活も順調かと思われたが、男爵家を狙う隣領の子爵の暗躍により、不穏な空気が流れ始める。 男爵の娘であるセシルを狙う魔の手に対し、アレンは 「セシルお嬢様を必ず守ると約束しました。約束は守りますよ」 自らのスキルと召喚獣をフル活用し、巨悪へと挑むのだった。

うわぁ、これはこれは。一巻の感想ではアレンに課せられたレベルアップの上限が取っ払われた代わりに、必要経験値が意味不明なほど必要、という成長リスクはヘルモードだけれど、彼の置かれた環境は農奴という最下層がはじまりだけれど、全然ヘルモードじゃないですよね、という風に書いたんですよね。
実際、家族はみんな素晴らしい人でしたし、同じ村の農奴たちもいい人ばかり。農奴という立場も思ったより悪くなく、色々と自由は制限されているものの本来農奴という身分からイメージするよりも相当に権利も保障されていて、領主やその配下の騎士たちからも相応に尊重されて扱われていたように見えました。また、領主の屋敷に仕えるようになってからもお嬢様のセシルこそわがまま気味ですけれど、子供の無邪気さの範疇でしたし、領主含めて上役の人たちもアレンを粗雑に扱うことなく、世界は平和で戦争も起こってないというし、これ生きる環境としてはむしろイージーだよなあ、と思ったものです。
本気でヘルモードだと、知り合いは全員クズで、ダイスは常にファンブル。親しくなった人は裏切るか悲惨な死を迎え、プレイヤーのメンタルをガリガリと掘削していく。運命ヘルモード、みたいなのが自分のイメージする地獄だったので、まあぬるいよねえ、と。
これ、領主のグランヴェル家がダイスでクリティカルの当たりだったんだなあ。ここまで領民に優しくしっかりした領主は、どうやらむしろ相当に珍しいみたいで。領民の負担を減らすために、自分の家から持ち出ししていたみたいですし。アレンがスキルあげるために狩りを、屋敷での仕事の合間に行おうとしようとしたときもかなり便宜図ってくれた上に、賃金とは別に彼があげた成果にはちゃんと報酬出してるんですよね。財政苦しいのに。ミスリル鉱脈を発見した際も、何も知らないアレンにちゃんと発見者には権利が発生する旨を申告して、従僕にすぎない彼に権利与えてますしねえ、立派すぎるだろうこの領主様。権力者としては良い意味でも悪い意味でも立派すぎる、と言えるのかも知れない。そのために、随分とあくどい近隣の他の領主には利権を奪われ利用されて痛い目を見てきたみたいだし。
でも、アレンにとっては最高の主家だったんですよね。
この地にアレンが生まれたのも、神様の配剤だったんだろうか。
間違いなく、周辺環境については配慮が行き届いたイージーモードだったのでしょう。
ただし、もっと視点を広げて世界そのものを俯瞰して見てみた場合……なるほど、世界情勢そのものがヘルモードだったのか。

王国中央の学園に通っているというグアンヴェル家の長男に纏わる話で、妙に不穏な空気が時々挟まれるなー、とは思ってたんですよね。なんぞ、王国上層部に闇の部分があって辺境の木っ端貴族は金銭面以外で人的な負担を、相当ヤバいレベルで負わされているんじゃないか、というのはまあ想定していたのですが。
なんかダンジョンかなにかがあって、そこに毎年一定数貴族家から選出されたメンバーが強制的にぶち込まれる、とか。
うん、一国の問題じゃなかったよ。それも、国が欲を拗らせて無理を押しているなどといった方向性ではなく。
人類、滅びかかってるじゃないか。もうこれ人類絶滅戦争じゃないか。
そして、実質赤札徴兵じゃないですか。え、これ貴族とか王族、才能アリの方が地雷なのか。ただでさえ高貴な身分の人間って、才能の格式は低いものしか発現しないようになっているらしいのに。

アレンの元々の身分である農奴は、毎日毎日を生きるのに精一杯で、自分たちの村のことしか見る余裕がなく、国どころか自分のところの領主の領地の様子ですら全然知らないようなものでした。
だから、国の上の方の様子なんてのも、たまに来る商人から話を聞くくらいでアレンも漠然としか知らなかったんですよね。まあこいつ、レベルあげとスキルの検証にばかり夢中なタイプで、世界観の設定とか興味なさそうだったもんなあ。
それでも、地方貴族とはいえ領主家の従僕という相応の身分になったにも関わらず、世界の様子については戦争してないよー、とか隣国とは平和、くらいしか知ることなかったんですよね。
これ、上の方で情報統制されてたのか。貴族でも当主と後継者までで情報がせき止められて、一般市民まで降りてこないほどの機密だったのか。
まあ、実際は暗黙で知られていたみたいですけれど。そりゃ、他国と交易している商人なんかは知らないはずないだろうし、そこから幾らでも話は漏れ出てくるでしょうしね。でも、そういう情報は中央近くまでで、辺境地方では文字通り一番上でせき止められていたんですね。

領主様に打ち明けられ、はじめて、世界のおかれていた情勢を知るアレン。
どうして自分が、生まれ変わった時に「ヘルモード」なんてものを受けるかどうか提示されたのかを理解したアレン。
アレンがヘルモードを選んだのは趣味に過ぎなかったのだけれど。それはアレンの理由にすぎない。
ちゃんと、神様がヘルモードという異質な条件を用意するだけの理由はあったわけだ。

これまで、アレンは人間に対してはちゃんと情を抱いて、心を寄せて、親しみ愛情を抱くようになっています。それは、家族の影響も大きいでしょうし、幼馴染と過ごした日々も人掛け替えのないものとして彼を構成するものになっているからでしょう。
でも、同時に彼はどうもこの「世界」に関してはゲーム感覚にどっぷりハマったままな感じもあるんですよね。レベル上げのため障害になるなら、グアンヴェル家に仕えることを辞めるのを本気で検討してますし、結構無神経に自分の我を通そうとするところがあったんですよね。この世界は、自分がレベル上げをするのを楽しむために存在している、みたいな感覚を抱いているんじゃないか、というところが。
一方で、親しい人への親愛は本物でしたので、そのあたりアンバランスではあったんですよね。自分優先か、というとそうでもないですしね。家族については常に気にかけていますし、お世話になってるグアンヴェル家にも、自分の中で条件区切っていますけれど、不都合を呑み込んで義理は通そうとしてますし、グアンヴェル家の長男がアレンに遺した妹を守ってくれ、という遺言となった頼みをずっと忘れずに抱えていたり。情や恩や義理は蔑ろにはしてないんですよねえ。
つまるところ、人に対しては現実に沿って向き合っているのに、世界そのものに関してはゲーム感覚、という感じに感性が分離しているのかなあ、などと思ったり。
しかし、領主さまから世界の有様を打ち明けられ、娘を託された時、彼は自分がどうしてヘルモードを与えられたのかを知りました。世界における役割を、自覚したと言えるのでしょう。そして、怯えながらも義務を果たさんと覚悟したお嬢様を、託された約束を守ると決めたアレンは、はたして世界そのものをどう認識したのか。前と変わらないのか、それとも見る景色の色が変わったのか。
そのあたり、次の巻ではどう変わってくるのか変わらないのか。もう優しい世界とはならないだろう学園編に突入しそうな第三巻も楽しみです。


ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 1 ★★★☆   



【ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 1】 ハム男/藻 アース・スターノベル

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「何々……終わらないゲームにあなたを招待します、だって」
ヌルゲー嫌いの廃ゲーマー、健一が偶然たどり着いた謎のネットゲーム。
難易度設定画面で迷わず最高難易度「ヘルモード」を選んだら――異世界の農奴として転生してしまった!
農奴の少年、「アレン」へと転生した健一は、攻略本のない異世界で、最強への道を手探りで歩み始める――


難易度ヘルモード、と言っても同じヘルでも種類というか方向性が色々とあると思うんですよね。たとえばシューティングゲームとクトゥルフ系TRPGとでは同じヘルモードでもその意味は異なっているでしょう。RPGでもゲームのシステムの難易度がヘルなのと、ストーリーの難易度がヘルなのとでは全然意味合いが異なってくる。
本作は、というと所謂ゲームシステムの難易度がヘルモードって奴のようでした。人生ヘルモードじゃなくてよかったね! 人生がヘルモードだと、環境そのものが地獄であり主人公の人間性や正気度をゴリゴリと削っていくようなイベントが目白押し。家族は悲惨な死を迎え、幼馴染は惨たらしく殺されて、親友には裏切られて、みたいな展開が生きている上で引っ切り無しに続いたら、廃ゲーマーとか意味ないですもんねえ。
アレンに転生した主人公に課せられたのは、リスクとしてはノーマルモードよりも百倍経験値を必要とするスキル上昇率であり、メリットとしては限界無しの再現の無さ。というわけで、他人よりも何倍も、どころか百倍以上努力しないとマトモに成長できないという縛りを追う事になる。
普通にやってたら、周りの人よりも完全に能力的に劣ってしまってただ生きていくのもハードになる、という意味では確かに難易度高いのだろうけど、元来やりこみ系なだけあってあれこれと手探りで検証をしながらも、ガンガンと経験値を溜めていくアレン。
これ、自分の経験値を溜めていけるのもそれだけある程度生活に余裕があるからなんですよね。身分としては最底辺の農奴という立ち位置なんだけれど、この世界の農奴って確かに権利に制限はあるもののわりと融通きいてるんですよね。パパさんがかなりデキる人で、狩りなどで小作農以外のところで食い扶持をしっかり稼いでいる、というのもあるんですけれど、それでも平民や騎士階級からも虐げられているというわけではなく、農奴もそれなりに権利が与えられている環境はかなり過ごしやすいものがあったんじゃないだろうか。
最初の職業選択での話を聞いていると、上級職については下層身分から主に発言するように設定されているようで、過去にも何人もの剣聖や賢者といった超一流の人材が定期的に下層から排出されているようなので、この世界では農奴や平民でもある程度の地位が保証されているのかもしれない。

何にせよ、主人公は幼さも相まってかなり自由に時間を使える環境にあったと言える。生きるだけで精一杯の環境なら、まず日々生きることを、明日まで生き残ることを優先にして毎日を過ごさないといけなかっただろうし、両親や近隣の大人たちの理解もあったということだ。廃ゲーマーが廃ゲーマーらしく、時間を消費できていた、と言えるのかも知れない。
しかしそれは同時にモラトリアムでもあったのだろう。神様がゲーム運営そのままな活動をしていて、環境設定している世界だけれども、決してゲームの世界ではなくここは人が生きているリアルの世界であり、主人公もまたこの世界で生きる一人の人間だった。決して、アバターでもなければプレイヤーでもない。
その事実をアレンが突きつけられるのは、保護者であり庇護者であった父ロダンが狩りの際に大怪我をして働き手としての力をしばし失ってしまった時だろう。幸い、ロダンたちの親友でもある幼馴染の両親など村の大人たちの援助もあったものの、家族の危機にアレンは強烈に自覚を促されることになる。自分が、父の代わりに家族を守り支えなければ!!
このときに、彼は確かにこの世界に生きる人間として覚醒したのだろう。ヘルモードのゲームを攻略していくための日々ではない、この世界の人間として、この愛する家族の長男として、この世界で生きていくために。家族を守るために、幼馴染の両親たち優しい村人たちの差し伸べてくれた手に応えるため。
スキルを鍛え、強くなる。それ自体が目的だったのが、この時から強くなるのもスキルを鍛えるのも、家族を支えていくために必要な成長、と認識が変わったのだ。まあもちろん、ゲーマー気質は変わらないので趣味的な好奇心とやりこみ癖は全然衰えなかったのだけれど。
それでも、生活に必要なスキルの成長にリソースを分けるようになったし、この時を境にアレンは一気に大人びていくのである。
異世界に来た後世界をゲーム的に捉えて自分を成長されていく作品は数多あるけれど、やっぱりただただ自分本位に強くなっていくものよりも、異世界に転移して、転生して出会った新しい家族をちゃんと愛して慈しんで一緒に笑って喜んで泣いて怒って、と感情を心を分かち合うお話の方が好きなんですよね。家族は、大事にして欲しい。成長も、一人で強くなるよりもそれを喜んでくれる人、褒めてくれる人、一緒に頑張ってくれる人が居てこそ、嬉しいものじゃないですか。
本作はその辺、両親含めて周りの人たちも気持ちの良い人たちで、このちょっと変な子供であるアレンの事も本当に愛して大切にしてくれる人たちなので、家族の為にと奮起するアレンの姿は嬉しかったですし、幼い弟や幼馴染の妹なんかを優しく見守る様子はやっぱり良かったです。

さて、家族の為に頑張りすぎてある意味やりたい放題やってしまったために、領主様に目をかけられて、ひたすら地道にやりこみしてりゃいい環境から飛び出すはめになったアレン。でもまあ、いいじゃないですか。小さな村の農奴として移動もできず同じ視界の中で日々を過ごすのも、ひとつの幸せであり、やりこみし続けることのできる環境ってのは幸せなのかもしれませんけれど、広い世界に出て同じスキル上げでも違うアプローチを見つけることができるかもしれない、という可能性を広げられるというのは、それはそれでゲーマー冥利に尽きるじゃないですか。
というわけで、次回から辺境領主の姫様の従僕編のはじまりである。将来、剣聖な幼馴染との学園生活フラグが立っているだけに、相当の長丁場が目算として立てられてるんだろうか。わりと一巻ごとにサクサクっと進みそうな気もするけれど。

クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました…… ★★★   



【クール美女系先輩が家に泊まっていけとお泊まりを要求してきました……】 識原 佳乃/しぐれ うい アース・スターノベル

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スミシン精機の総務課には、とんでもない化け物がいる。入社後すぐ大手他社とのアライアンスをまとめ、次に業務管理システムを刷新、そしてAIサポーターを開発。生産性を向上させ、グループ社員10万人から一人しか選ばれないCEO表彰を3年連続で受賞した才女。完璧無比の瀬能先輩だが、ほんとは天然で無邪気で甘えたがりでもあり!?クール美女・瀬能先輩と、がんばる新入社員・弓削くんの関係は…甘さと幸せいっぱいの傑作ラブコメ、スタートです!
……なにこの可愛いいきもの。あらすじにもある通り、バリバリ働くキャリアウーマンで完璧超人の瀬能先輩。傍から見ている限りは確かに「超絶」の冠をつけて過言ではないクール系美女なんだけど。
弓削くんだけに見せる隙だらけの素の顔が、もうやたらめったら可愛いのである。それも女子として可愛いというよりも、生き物として可愛いという感じ。小動物的な可愛らしさというべきか。
あざとい! 先輩があざとい!
これが後輩だったり妹的な子だったりするなら、そのあざとさにも鼻がつくものもあったかもしれませんけど、主人公の指導役であり仕事の出来る才女な先輩がぽろりと垣間見せる一面なだけに、完璧超人の新鮮な側面、或いは愛嬌や可愛げとして作用してるんですよね。指導役であり庇護役である相手にも関わらず、つい撫でたくなるような愛でたくなるような可愛らしさというのはズルいね、ズルいよね。
とはいえ、どうして初対面な弓削くんに他人には見せてなかっただろう可愛らしい顔を、あんな隙だらけの無防備さで見せてしまったのかはよくわかんないんですよね。てっきり、会社に入る以前に面識でもあったのかと思いきや、入社式が完全に初めての顔合わせだったみたいですし直接話すことになるのは弓削くんが総務課に配属されてからになるわけで。
そこから速攻で油断しまくった顔見せちゃってるんですよね。配属から三日目くらいから速攻で。歓迎会ではもうデレッデレ。いやちょっと早すぎじゃないですか? 初対面から好感度MAXじゃないですか。
確かに入社式で琴線に触れるものがあったようではあるのですけれど、それにしてもである。一目惚れではあったんでしょうけれど、それにしても可愛い系の顔を見せるのが早すぎて、クール系美女としての顔の方ほとんど見せてない気がするんだけれど。ギャップで攻めるどころか、いきなり手札全部見えちゃってる状態なんですけど。
まあここからはひたすら二人でイチャイチャしながら仕事してるだけと言えばそれだけだったような気もするのですが、瀬能先輩も新人の弓削くんも両方優秀なのでデレデレしながらお互い仕事のクオリティに関しては妥協しないので、同僚の人たちも二人のイチャイチャっぷりを歓迎して推奨して応援しているのがまたなんともはや、心地の良い職場のご様子で。
これで弓削くんが使えない新人だったりしたら、瀬能先輩も指導役としての顔をキリリと引き締めないといけないところなんだけれど、弓削くんの場合放っておいてもこれまで他人の追随を許さなかったワンマンアーミーな瀬能先輩をフォローするどころか追いつく勢いで仕事するので、その意味でも彼女は油断しまくる心の余裕があるのだろう。羨ましい限りである。
しかしここまで青信号なら、速攻でお泊りしても何の問題もなかったんじゃないだろうか。弓削くんも展開が早すぎる!なんてことは微塵も思ってなかったようだし。それだけ好意を持っていながら相手が折角押してきたのに応えなかったというのはただのヘタレになってしまうぞ。ちなみに、瀬能先輩はすでに28なのでゆっくりのんびりしている暇はあんまりないのである、実際問題w

怪力魔法ウォーリア系転生TSアラサー不老幼女新米侍女 ★★★★   



【怪力魔法ウォーリア系転生TSアラサー不老幼女新米侍女】 Leni/ハル犬 アース・スターノベル

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前世日本男児だった私は、異世界に女児として転生した。生まれつき怪力で魔力の強かった私は、魔女の力を受け継いで不老幼女となる。
その後、自分の身長よりはるかに大きな武器を手に、怪力魔法ウォーリア系幼女として世界中を旅する冒険者となり気付けばアラサー。冒険の限りをしつくした私は安定した老後のため王城付き侍女に転職するのだが…。

「とりあえずここに居る騎士全員をこてんぱんに伸してもらうかな」
…なぜ
「私の主になって欲しいのです。剣の姫よ。そして、許されるならば未来の私の妻になっていただきたい」
はあああああ!?

あ、でも女子同士のパジャマパーティ―は楽しいかも♪
そんな最強侍女による日常系王城ファンタジー!


怪力魔法ウォーリア系転生TSアラサー不老幼女新米侍女、属性マシマシで多すぎる! と言いたい所だけれど実はまだまだ載せ足りないくらいには属性やら肩書やらがあるんですよね。魔人だったり魔女だったり姫だったりゲームマスターだったり、と。しかしてそんな属性過多な幼女先輩がここで何を繰り広げるのかというと、壮大な冒険でも陰謀渦巻く宮廷劇でもなく本当に嘘偽りなく「平和な王宮の侍女生活」なのである。もっとも、その属性に多さの原因の一つでもある幼女先輩キリンさんの多芸さは、まさに芸達者という風情で日常風景を大いに賑やかしてくれるのですが。

本作は古くは2012年頃に小説家になろうにて連載が開始された相当に古参な作品です。何気に自分が小説家になろうの作品群を読み始めたのもその頃で、自分のブックマークの中でも最初に登録した10作品の中に入っていた作品でした。それだけ思い入れもあったんですよね。
結構更新ペースは遅く、というか何年も間があくのも珍しくなく、それでもエタる事なく再開すれば変わらずあの飄々とした雰囲気でキリンさんが呑気に侍女生活を送る様子を眺める事が出来て、随分と癒やされ慰められたものです。
去年あたりに急に連載が続くようになり、喜んでいたら今度は書籍化の一報でしたから、やはり嬉しかったです。

そんなキリンさんの物語は、蛮族系の父に鍛えられ、魔女の師匠に育てられ、「庭師」と呼ばれる特殊な冒険者職として世界を飛び回り名を馳せて、30代を前に荒事中心の生活に少々疲れを覚えて、安定した穏やかな第二の人生を志し、友人である地方領主のコネで王宮侍女に転職するところからはじまります。
そう、荒事トラブルお断り、これはそんな世界から綺麗サッパリ足を洗って引退した幼女オバちゃんの穏やかな日常ものなのである。
なので本作は、日常系四コマ漫画に匹敵するくらい平和なんだよ? ホントだよ?

いや実際、派手な冒険やトラブル、深刻な事件や陰惨な陰謀劇というのは皆無で、侍女という慣れない仕事と王宮という職場に戸惑いながらも真面目に務めるキリンさんのガチな日常譚なのである、これ。
ただ、面白いのがこれ、ファンタジーに見せかけたSF世界なんですよね。決して隠された秘密というわけではなく、この世界観は一般にも概ね周知されているのですけどね。世界の住人たちはファンタジーとかSFとかの区分は知らないので、その辺を意識していないのだけれど、現代地球から転生してきたキリンさんからするとここは本当に面白い世界で、事あるごとに自分の体験談とともにこの世界の様子とか有りようを深刻さゼロで軽妙に語ってくれるので、これがまたとても興味深く楽しい話になってるんですよね。
そんなキリンさんですけれど、荒事世界から急に王宮勤めとなって価値観や常識の違いからトラブルや暴走を引き起こす、なんて事もなく。この人、凄く常識人でTPOも弁えてて庭師時代にも貴族王族とも付き合いあったので礼節なんかもしっかり弁えてるんですよね。基本、アラサーに相応しい大人の女性なのだ。
多少失敗もあるけれど、トラブルメーカーとは程遠いむしろトラブルシューター側の人間なんですよね。周りに破天荒な人間が多かったせいかしら。
しかし一方で畏まった性格ではなく、伸び伸びとした明るい性格で、脳筋とは程遠き小器用で多芸な人なので、その多彩な才能と経験を以て狭い世界しかなかなか知らない同じ侍女仲間の子たちを楽しませ、王宮を賑わせてくれるんですね。
結構、庭師時代に色々してるんですよねえ、この人。
世界観的な事情から、というかここって厳密には「宇宙船」にあてはめられる場所なので、人口爆発を誘引する社会を発展させるような技術や知識などは、道具協会というところで厳密に制限されているのだけれど、娯楽方面に関してはかなりユルユルなので、そっち方面で開発原案で活躍してるんですよね。
また庭師……なんで「庭師」という名前がつけられているかについても緻密な設定があり面白おかしく語られているのだけれど、それは本編にてご覧あれ。庭師時代の冒険譚も、後々この巻以降に開示されてくる事になると思いますし。そう、そんで世界の園丁としての庭師としても活躍著しく巷でも有名なヒーローの一人でも有り……巷で今大人気のトレーディングカードゲームwでもレアカードとして取り上げられてるので、色んな意味で人気者でもあり、王城内でもファンが多かったりするので新米侍女としては何気にわけわからん立ち位置だったりもして、そんな中で真面目に侍女やってたり、キリンさんの事知ってる人と知らない人でギャップがあったり、とそんな所が楽しかったりするんですねえ。何気にキリンさん、現国王とけっこうなマブダチだったりするし、騎士団にも知り合い多かったり、と男衆とのつながりも深いので、新米なのに騎士たちと侍女たちの橋渡し役みたいな立ち回りも見せてるんですよね。
この世界における騎士の仕事や、王城での侍女の仕事なんかも結構細部まで丁寧に描かれているので、日常の背景を見ているだけでも面白かったり。

ちなみに幼女なキリンさんですけれど、10歳で成長が止まっているので本当に永遠の幼女なんですよね。お陰で、性別としては二次性徴前でもあるので女に馴染む前に止まっちゃっているわけです。かと言って、前世が男だからと言って男性としての精神性はあんまり残ってないように見える。自分は男の側と本人は主張しているけれど、身だしなみに気をつけたり仲良しの若い侍女たちとガールズトークに勤しんだり、パジャマパーティーでキャッキャウフフしてるのをみると、立派にお姉さましてるんですよね。男に対して厳しいしw
どっちつかずのある程度女性寄り、というべきか。幼女戦記のデグレチャフ少佐と似たような様子と言えばそれなのかしら。

侍女たちには慕われ、騎士たちには懐かれ、本人はけっこう真面目に新米侍女として仕事を覚えて頑張る日々。時々騎士たちに呼ばれて教官紛いの大暴れ訓練することもあるけれど、毎日平和なキリンさんの第二の人生、日常譚。ほっこり愉快で楽しいです。

実家の魔女の塔の帰郷から王城に戻る途中で山賊からRTAで助けた貴族のご令嬢のあの人、登場は次の巻以降かー。あの人も楽しい人なので登板は楽しみ。

野生のラスボスが現れた! 9 ★★★★   



【野生のラスボスが現れた! 9】 炎頭(ファイヤーヘッド)/YahaKo  アース・スターノベル

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私(ルファス)が夢から目覚め、力を取り戻したころ女神(アロヴィナス)は龍を起動させ、世界(ミズガルズ)をリセットすべく動き出していた。ところが覇道十二星天、七英雄、魔神族――敵味方関係なくミズガルズに住まう者たちは力を合わせて対抗し見事に龍を退けた。

龍を倒されたことでついに女神が動き出すとあらゆる神話の神々たちを従えて強力な攻撃を仕掛ける。
しかし私は気づいていた。この世界には『完全オリジナル』はなく、全てのルーツが『地球』にある。女神には本当の意味での『未知を創り出す力』はない。

つまり……

「其方は恐らくは元々神などではなかった。そう――其方は地球人だ、アロヴィナス」

その瞬間、女神は笑みを消す。
それは初めてルファスを『敵』として認識した合図で――!?

勇者・瀬衣と、十二星乙女・ウィルゴの後日談を綴った大ボリュームの書き下ろしストーリー「野生のEXボスが現れた!」収録!
インフレさんが、インフレさんがお亡くなりになられておる!?
創造神(笑)のアロヴィナスとの最終決戦。なんかもう色々な方向に向かって杜撰で残念極まりないアロヴィナスでしたが、そのでたらめな力に関してだけは本物。未知を創り出す力こそないものの、それ以外なら何でも出来る、という力を備えてしまったのが彼女なんですよね。
その上で、彼女は基本的には善良で結局自分の欲得のために自分の得た力を振るうことはなかったわけです。ただ、人を幸せにしようとした、それだけは間違いなく。しかし残念なことに、アロヴィナスという人は……アホだったのですw
彼女のアバターであったディーナがあれほど優秀極まりないキャラになったというのに、本体の方のどうしようもなさは他の追随を許さずして本当にどうしてこうなった、というようなダメっぷりですもんね。それでも、並び立つものが存在しない無限の力が彼女の好き勝手を許してきてしまったわけで、だからこそ強引に力技でアロヴィナスと同じ地平にまで駆け上ったルファスの無茶苦茶っぷりも際立つのである。
そして発生する究極のインフレバトル。宇宙をビッグバンで生み出しさらにそれを崩壊させた力で攻撃するような、そんな宇宙の誕生と崩壊を×100したものをぶつけてくるような、いっそ陳腐にすらなってしまう上限のない戦い方。インフレバトルも行き着く所まで行き着くと、子供の遊びであるタッチバリアごっこになってしまう。相手の攻撃よりも強いバリアを張れば、そのバリアを貫ける攻撃を、さらにその攻撃を防御できるバリアを。そんなルールも反則もない設定だけを積み重ねていく子供の遊び。そこに行き着いてしまうのだと。
最初からラスボスがフィールドをうろついているような、ミルガルズというこの世界そのものが物理法則を無視してインフレバトルを推奨しているような世界観で、物語もそれに乗っかる形で際限なくバトルをインフレさせていったわけですけれど、究極的最終的に宇宙創生からあらゆる想像の範疇にあるスキルで攻撃し無効化し、という結局スケールだけ極大した子供のお遊びのような形に辿り着くという結末は、インフレバトルというものを野放しにして暴走させた結果ではなく最初から最後まで見事に制御しきった形になっていて、そのへん非常に面白かったんですよね。統制されたインフレとも言うべきか。
一方で、そんなインフレしていくばかりのバトルから距離を起き、力に寄らない強さを示し続けた存在として瀬衣くんという本当の意味で勇者となった少年を、ちゃんと存在感を最後まで示しながら立たせ続けることに成功したのは、なかなか凄いことだったんじゃないでしょうか。ルファスも絶賛してしましたけれど、瀬衣くんこそが最初から最後まで女神アロヴィナスのシナリオに逆らい続け、彼女の脚本を破綻させた立役者だったわけですし、ルファスたちに本当の強さの価値観を示してみせた救世主だったわけですから。
見事に自力で、主人公の一人になってのけたんだよなあ、彼は。ルファスだからこそ、そんな瀬衣くんの在り方は痛快で爽快に思えたのでしょう。
しかし、あれだけ女っ気のないむさ苦しいパーティーでの冒険を余儀なくされていたくせに、最終的にちゃっかりと乙女座のウィルゴとイイ仲になっていたのはさすがであります。基本化物しかいない中でウィルゴだけまっとうな美少女枠だったもんなあ。番外編として、二人が結ばれるまでの甘酸っぱい書き下ろしエピソードまで描かれちゃってまあ。
瀬衣くん、ルファスのお気に入りだけに寿命きても何らかの形でミルガルズに引き取られそうなんですけどね。ルファス、ウィルゴも猫可愛がりしてるから地球での生活が終わってもウィルゴを独り身で置いとくとかしないでしょうし。
しかしこの番外編、相手が龍とはいえ主要キャラ総出演で袋叩きはちょっと可哀相じゃありませんか、というくらいオーバーキルだったようなw
そして、シリーズ通して地味に痒い所に手が届く活躍をシていたカルキノス。蟹ってば、結構美味しいポディションでしたよね。終盤に仲間入りした連中の出番の少なさに比べて。まああの防御の固さがかなり使いやすかったというのもあるのでしょうけど、エセ外人みたいなキャラクターが意外とわかりやすく濃かったのか。魔神王とポルクスがまさかの甘酸っぱい関係になってしまうのはさすがに予想外でしたけど、苦労し続けたお父さんが最後幸せになれるというのはいい話じゃないですかー。

ハチャメチャなようで実に統制されたストーリー展開。ディーナの暗躍はあれ本当に見事の一言で、最初見せられた設定をひっくり返される大どんでん返しは、異世界憑依モノとしては特筆に値する展開だったと思います、あれは凄かった。その上で、結構たくさん登場するキャラクターがみんなキャラ立ちしていて、コメディタッチながらもガッツリと腰を据えて進むシナリオは読み応えあるもので、いやあ本当に面白かった、面白かったです。やりたいことを全部やりつくしたものを見せてもらえた満足感を味わわせてくれる名作でした。

7巻 8巻感想

野生のラスボスが現れた!8 ★★★★   



【野生のラスボスが現れた!8】 炎頭(ファイヤーヘッド)/YahaKo  アース・スターノベル

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世界存亡をかけた最終決戦、開始っ!!!!!!!!
敵(ラスボス)は――この世界を創造した女神!?


“俺"が存在していた現代日本で覇道十三星天の『蛇遣い』(ディーナ)を回収した“私"は、自身のすべてを思い出した。
私が夢から覚め、力を取り戻したということはきっとミズガルズに帰れば女神(アロヴィナス)が龍を起動させ、世界をリセットすべく破壊を進めるだろう。
そうなれば女神のアバターであるディーナが女神に操られることは避けられない。
私は必ず救い出すことを彼女に誓って最終決戦場ミズガルズへと舞い戻る。

世界の終焉がはじまったミズガルズで十二星天、勇者、七英雄たちが力を合わせて龍に立ち向かう中、私は対峙する。女神に操られたディーナ、そして傍らにたたずむ見知った姿のゴーレム(十二星天『天秤』)と。

この二人がいずれ敵として立ち塞がる事など分かり切っていた。だから驚きはない。ただ決意があるだけだ。返してもらう、などと図々しい事は言わない。
――ただ奪い取るだけだ!!
超インフレバトル、ついに開幕!!

の前に、冒頭近くでこのシリーズでも特に好きなシーンの一つがあるんですよね。ルファスのアバターとして誕生した地球の少年と道端ですれ違うシーン。自分がゲームのキャラであるルファスに憑依してしまった、と思い込んでいた「俺」の記憶の元となった少年。ディーナによって生み出された彼は、いわばもう一人のルファスだったんですよね。
ルファスは本来の記憶をディーナを通じて封印し、この地球の少年。自分のアバターである彼の記憶を自分の意識に上乗せすることで、自分がルファスではなくゲームのキャラに憑依してしまった地球の少年だと思い込むことで、ルファスを無力化したと女神アロヴィナスを誤解させ、ディーナの導きに従って女神のシナリオを覆す展開を着々と構築していったわけですが、この地球来訪によってついにルファスは自分の記憶を全部取り戻し、かつて自分とディーナの二人で企んだ作戦も全部思い出すことが出来たわけです。そして、それは地球人としての自分の記憶が、借り物であったという事実を知るということでもあり、この自分の記憶の元となったアバターの少年との邂逅は、同時にもう一人の自分との決別でもあったのです。
これ以降、「俺」はこの物語から離れ、関係のない一般人としての人生を歩んでいく。そして、ルファスはミズガルズへと帰り、女神との決戦に挑むことになる。
この自分との最初で最後の邂逅、二度と交差せず離れていく二人の人生の分岐点というシーンで凄く感慨深いんですよね。少なくとも、このシリーズの大半はルファスの自意識は彼女自身でありつつ、この少年でもあったのですから。読者としても、ある意味シリーズ最初からの付き合いである主人公であった彼がこの物語そのものから離れていく姿、というのは何とも複雑に心揺らされる想いだったのです。
そして、この物語は名実ともにルファス・マファールのモノとなるのである。


ここからの、本来の力を取り戻したルファスを中心とするバトルの展開は、とんでもないレベルでのインフレとなっていってこれがまためっちゃ楽しいのですよ!!
通常インフレバトルって、結局作者が強さの表現のバランス調整に失敗した結果、表現をどんどん過剰にして行かざるを得なくなってしまった結果、というパターンが多いのですけれど、本作に限って言えばまったくの真逆で、完全に統制され制御され計算しつくされた結果のインフレバトルなんですよね。
最初から、最終的にこの展開にしてやる、と周到に予定され準備された上でのバトルなのである。もう最初から、惑星ミズガルズさんや物理法則さんを「やめてー、もうライフはゼロだからやめてー」とガン泣きさせるつもりで粛々と物語が積み重ねられてきた、と思うとゾクゾクしてきてしまいます。
女神のしもべであり、世界そのものをリセットさせるためのシステムである龍たちの起動、の前の魔神王オルムとのタイマン決闘の時点で既に、いきなりスケールが惑星上から宇宙規模に跳ね上がりますからね。ってか、オルムの正体の全長が12万3000キロある、って地球一周で4万キロですからね、ちなみに!
まともな物理法則が機能していないミズカルズ世界だからこそ成立する戦いではあるんですが、それにしても本気でやりたい放題好き放題やってて、この滅茶苦茶さがホント好きです。
速攻で爆発四散させられる火星! 龍との掴み合いドツキ合いのさなかにその辺に転がってた石ころ感覚で鷲掴みに掴まれて、鈍器として相手の龍をボコボコに殴った挙げ句に粉砕されて粉々になってしまうお月さま。その後も、日龍、火龍、木龍、土龍と味方側との激闘でものすごい勢いでボロボロに消し飛んでいく太陽系ww
太陽系がやばいww
ミズガルズ本星。一応地球をモデルに女神が創った星なのだけれど、この規模の戦闘の舞台としてはあまりにも脆く小さすぎて、よくまあ原型保ってるな、頑張ってるな、と健気に思えてくるほどの悲惨なありさまに。いや、こうなるのはわかっていたので、事前にルファスとディーナが用意していた宇宙船にミズガルズ上の生命体や街や都市国家ごとまるまる避難させてたので、みんな無事は無事なのだけれど、世界をリセットするシステムである龍という存在、まったく過言でもなんでもなかったわけで。これとまともに戦えているルファス軍団が規格外すぎる。魔神王オルムは、正体が正体だけに順当ではあるんだけれど、ルファスの配下である覇道十三星も復活の七英雄も、なんというかさすがズブズブの女神が創った世界の存在というべきかなんというか。

とまあ、宇宙規模で大暴れしている連中がいる一方で、女神のシナリオをひっくり返した最大の功労者としてMVPの活躍を見せていたディーナとはまた別にもう一人、勇者として召喚された瀬衣少年がまた手放しでルファスたちから称賛されてるんですよね。このデタラメに力がインフレしてる世界の中で、ルファスたちの存在を目の当たりにしながら心折れることなく、さりとて力を求めることなく、弱ければ弱いなりにやるべきことを見つけて、世界を救う方法を手繰り寄せてきたのが瀬衣少年なのです。力があるからではなく、勇気あるからこその勇者。女神の誘惑にも誘導にもまったく揺るがされず、女神のシナリオを徹底的に台無しにしてみせた彼は、見事にこのインフレした世界の中で勇者しきってみせてくれたんですよね。最終的にも、ルファスが一番信頼してたのってディーナを除けば彼だったかもしれません。ルファスを世界の敵にせず、ルファスと自ら接触し話し合うことで未だ彼女を恐れる世界の人々と繋げてみせたのも彼でしたし、女神との決戦を前にして、ルファスが人々を纏めて避難させることを全面的に任せたのも彼でしたし。
瀬衣くん、登場から一貫して戦闘なんかでは一切活躍していないにも関わらず、しかし物語の中で肝心なタイミングでは常に活躍し続けてきてるのである。ひたすらインフレしていく展開の中で、きっちり彼のような存在を用意して、要所で大事な役割を負わせて、最後まで重きを成させるというのは何気に難しいと思うし、こういう子をちゃんと「弱くても関係なく格好いい」と思わせるように描くのって難易度相当だと思うのですけれど、瀬衣少年に関してはホントにお見事でした。ちゃんと、もうひとりの主人公になってたもんなあ。

そして、魔神王オルムが女神のシナリオから自ら外れた理由。このあたりも、ディーナの忠義のはじまりともかぶるものがあって、ジワジワと心揺さぶってくるのである。機械人形リーブラの、真なる魂の覚醒の場面もそうですし、個々のキャラクターの情理を深く掘り下げてくるタイミングといい描き方といい、なかなかいい具合にハートを鷲掴みにしてくる描写なんですよねえ。
もう色んな意味で際限なく果てしなく盛り上がってきたクライマックスバトル。
稀代のポンコツ女神アロヴィナスとの最終決戦、どこまでテンション上げきるか、どこまでインフレし尽くすのか。ウェブ版読んではいるのですけれど、さらに上乗せマシマシしてくれそうで、実に楽しみです。というか、何回読んでも楽しいなあこれ。
ルファスさま、リーブラの件でかましたアロヴィナスへの煽り方、ちょっと芸術的なくらい最高すぎますよ、それww

7巻感想

野生のラスボスが現れた! 7 ★★★★   



【野生のラスボスが現れた! 7】 炎頭(ファイヤーヘッド)/YahaKo  アース・スターノベル

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伝説の女傑ルファス(♀)として旅を続ける俺(♂)と仲間たちは覇道十二星天の残るメンバー『水瓶』『魚』、そして女神(アロヴィナス)のアバター疑惑があるまま行方を晦ませた参謀の少女ディーナを手分けして捜すことに。

しかし、世界のどこを捜してもディーナは見つからない……。困り果てた俺は、かつて彼女がスパイとして手を組んでいた公式ラスボスこと『魔神王』に話を聞いてみると、なんと彼はディーナから言伝を預かっていた。

「貴女の記憶の中にある、私達が最初に会った場所でお待ちしております」

最初に会った場所と言えばルファスの拠点だけど、そこは捜したし……その前となると“俺"の記憶になってしま……あっ。

そうだ、“俺"が最初にディーナを見たのはこの世界(ミズガルズ)ではない。ルファスになる前の“俺"の自室――つまり、ディーナは異世界(現代日本)で待ってるはずだ!!
これまで作品の大前提となっているはずだった設定そのものが、根本からひっくり返される大どんでん返し回、それがこの第七巻なのであります。
それまでもこの作品、ラスボスというか隠しボス、エクストラボス的な存在であるルファスになってフィールドをうろつきまわる、という実にノリノリのインフレバトルが楽しい作品だったのですけれど、物語の構成自体がもう天晴というほかない見事な仕掛けで整えられていて、この展開を目の当たりにしたときは思わずリアルで「ウワァァァ!」と叫んでしまったものです。
自分がプレイしていたゲームでの、自分の育成したキャラに憑依してしまう、という形でスタートしたこの【野生のラスボスが現れた!】。まさに最初の最初から全部仕組まれ、何もかもが事前の計画通りに進行していたという事実が明らかになったときの衝撃、驚きは今なおハッキリと記憶に焼き付けられています。
その立役者であるディーナがまた素晴らしいんですよね。物語の最初からナビゲーターとして現れた彼女。ゲームでは玉座の背景にいる誰もその存在を覚えていないモブキャラ、という扱いだったのがゲームが実際の異世界に移って生きたキャラクターになった、という体で現代日本から少年の魂が封印から復活したルファスに憑依して右も左もわからない「彼」を案内し、世界の概要と現状を解説して案内人として、ルファスを先導しはじめたディーナ。
でも順を追って物語を進めていくと、彼女の存在は非常に胡散臭いことの積み重ねで成り立っているんですね。
折々に触れてその隠された立場が明らかになっていって、ダブルスパイがトリプルスパイ、と味方と思われたのが実は魔神王側の密偵であった、はずだったのにさらに裏に秘められた役割に沿って動いていて……と思いきやさらに実は!? と、実は彼女こそが裏ですべてを操り暗躍していた黒幕的存在の実行役だった、と判明したのが前巻までのお話。
そしてそして、そのディーナこそ黒幕的存在の仕掛けた策謀の実行運営役だった、という真実そのものは動かさないまま、その意味するところが180度反転してしまう大逆転のドンデン返しが明らかになるのが、この7巻なのです。
つまり、そのディーナに指示してすべてを仕掛けていた黒幕的存在……、これが創世神アロヴィナスだと思われていた、てかアロヴィナス本人もそのつもりだった、ディーナというアバターを操ってすべての状況を思うがままに操ってた、と思い込んでいたのが、実は!! というとんでもない展開だったんですよね。
いや、これは計画を立てた人も大概と言えば大概なのだけれど、それを見事に実行してのけたディーナがあまりにもすごすぎるのである。作中でもルファスが大絶賛しているのだけれど、この策を成功させるためにディーナはあらゆる存在を、それこそ敵も味方も裏で動いている存在もこの世のすべてを支配している存在も、それどころか自身にこの策を指示した存在をすらもすべて騙して騙して騙しきって、思惑通りのゴール地点へとすべての状況を導いて達成してのけたわけですから。
もうシリーズ通して揺るぎなくディーナこそがMVP、ぶっちぎりでMVPなのである。
すべてを成し遂げての、誇らしげなディーナのその名乗りがまたカッコよくて震えてしまうのです。

しかし、インフレバトルが売りの本作ですけれど、ここまで振り切れてしまうと楽しくて仕方ないですなあ。いやもう半分以上ギャグのようになってしまっているのですけど、これが面白いことに同時に真面目なバトルモノとしてのバランスもちゃんと取れているんですよね。
本作のインフレバトルの特徴は、インフレでありながら作者がちゃんと全体の手綱を取れている、統制されたインフレだというところなのでしょう。物理法則さんを無視するのではなく、物理法則さんの存在をしっかり認めた上でその襟首を締め上げて完全に気絶させた上で舞台の上から蹴り落として、あとは好き放題するみたいな!
その証拠に、物理法則さんがいい加減な仕事しかしていないミズガルズと違って、物理法則さんがちゃんと頑張っている地球に移動した際はミズガルズと同じノリで光速でパンチしたりしたら確実に軽く一発スイングしただけで地球が滅びる、てか銀河も滅びるかもしれないからみんな自重! てな感じでちゃんとルファスも考慮してますし。
まあ、この世界法則のいい加減さこそがミズガルズという世界の秘密にも繋がっていたりして、油断ならないのですが。
そして、そんなミズガルズのいい加減さなどに、徐々に女神アロヴィナスの内実が滲み出してきてるんですね。彼女に関しては、この巻では一度あからさまにやらかしちゃってますしw

これまで旅を続けるうちに徐々に明らかになっていった魔神王戦争の真実、覇王ルファスへの仲間たちの裏切り、そしてこの世界に隠された思惑など、幾つもの積み重なった謎の真実が明らかになる回答編、真相解明編な本巻、ウェブ版既読でしたが改めて読んでも面白い。
そして、ここから一気に対女神の決戦編。そして、このインフレがさらにインフレしていく展開の中で、インフレについていくのではなく力のない一般人とさして変わらぬ立ち位置から、女神の駒ではなく本物の勇者としてルファスに並び立つセイくんの活躍。クライマックスもこのまま際限なく盛り上がりますよっと!

これ、何気にコミカライズ作品の【野生のラスボスが現れた! 黒翼の覇王】が傑作なので、機会があればぜひ御覧ください。勇者セイがはじまりの街から旅立ち、街の外門を一歩出た途端に、野生のラスボスと公式のラスボスにエンカウントしてしまう回は、今振り返っても思い出し笑いしてしまうw

戦国小町苦労譚 三、上洛 ★★★☆  

戦国小町苦労譚 三、上洛 (アース・スターノベル)

【戦国小町苦労譚 三、上洛】 夾竹桃/平沢下戸 アース・スターノベル

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戦国の乱世に迷い込んで早三年…生き残るため、存在価値を示すため、がむしゃらに農業改革に邁進していた静子だったが、いつの間にか信長から要職まで任されるように。そしてついに「女が軍勢にいると宣しくないという験担ぎなどぶち壊す」と言いだした信長のせいで、戦場デビューを果たすことに!そんな後方支援の甲斐あってか、いよいよ上洛を果たす信長。一方、濃姫が新しい料理人を雇うことになるが、そこにいたのは静子もよく知った人物で―
足満はいくらなんでも名前変だよなあ、と改めて思ったり。それはともかくとして、戦国時代への時間遡行が実は静子メインなのではなく、あくまで彼女の方は巻き込まれ、だった可能性を示唆する人物の登場である。まあ、どうしてタイムスリップしてしまったのか、という方面には話はそれほど掘り下げないみたいなので、あくまで散りばめられた設定としての話限定のようだけれど。
相変わらず、静子の知識の引き出しがガチで凄い。彼女が生産系の中でも特筆に値するのはあくまでこの時代に存在するモノと技術レベルによって様々なものを生み出していることなんですよね。用いるネタも初めて聞くようなものばかりであると同時に、なかなかに堅実でもあり、信長の保護と支援があるからこそ資材なども手に入れられるとはいえ、彼女がもたらしたものというのはほぼ全部が静子がいなくなってもなんとか維持、発展させられることが出来るまでに実用と定着がなされている。
本作が面白いのは、そうした技術開発ネタが単なる作業メモや読むのが辛いただの薀蓄を書き連ねたものになってなくて、さらっと読めるように噛み砕いてわかりやすくまとめた上で、物語の流れに上手く浮かべてスルリと入り込むように描いてあることなのでしょう。この絶妙な塩梅はさり気ないものではあっても作家としての腕前を確信させられるものなのだ。
にしても、三巻……静子が信長の元に落ち着いて三年も経つと信長の方もいい意味で静子に対して遠慮がなくなってきてるんですよね。それ以上に、ただの臣下として以上に可愛がっているのだけれど。静子に対する我儘と、それを上回る親身な気遣いは静子に利用価値があるというだけでは説明できないものになってきてますしねえ。家に対してではなく、信長個人への忠誠と親愛。これが信長当人の意識にもたらしている変化が生み出す、彼の他者へのあたりの変化はかなり歴史への舵取りの変転にも関わっていて、興味深い限り。
ここに、静子命の足満と近衛前久という庇護者が加わるわけで、それだけ静子の身の安全というものは確かになってきているはずなんだけれど、逆に言うとそれだけ庇護者がしっかりしていないと危うい立場に追い込まれかねないくらいには、静子もやりたい放題やっている、という考えもあるわけで。
勿論、静子も決して野放図にやっているわけでも、織田政権内での立ち位置について真剣に考えていないわけでもないのだけれど、信長を前に狼たちを枕に寝こけてる姿を見ると、基本呑気もいいところなんで、そりゃあ周りの人たちが自分たちが何とかしてまもってやらないと、とは思っちゃうか。
まあ怪しい動きを見せているのが、羽柴秀長の方というのは面白いところだけれど。本作だとどうも秀吉がそこまで切れ者っぽくないんですよね。もしかしたら、秀長が黒幕で外面の良い兄貴をうまく操縦して出世街道に乗せている、というスタイルなのかもしれない。静子に敵対的という建前だった柴田のおっさんと佐々くんは、ほんと建前だけでなんかあっさり籠絡されちゃってるし。まあ彼らの場合対立点は深刻なものではない、と言っても拗らせると修復不可能なタイプではあるんだけれど、打ち解ければどうとでもなるものでもあったからなあ。
しかし、本作で魔王と呼ぶのに相応しいのって信長じゃなくて、奥さんの濃姫の方ですよねこれ。傍若無人で享楽的というだけでなく、感情の機微に疎い信長に変わって対人謀略戦も担ってそうだし、織田家の奥だけじゃなくて、裏方全部掌握してるんじゃないだろうか。信長、全然頭上がってないww

農業に留まらず、生産・商業システムそのものが静子のもたらしたものに端を発して変革され、凄まじい勢いで国力の強化を実現する織田家。領地を増やして勢力を拡大していくのとは根本的に異なる、しかし他の追随を許さない織田家の富国強兵策は戦国時代そのものを震撼させ、各々の立ち位置を揺さぶることとなる。
それが織田家包囲網をもたらすことになってしまうのだけれど、既に内外に楔が打たれているわけで……静子の近衛前久へのアプローチはいわばターニングポイントでもあったのか、なるほど。

1巻感想

大陸英雄戦記 2 ★★★★   

大陸英雄戦記 2 (アース・スターノベル)

【大陸英雄戦記 2】 悪一/ニリツ(アース・スターノベル) 

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現代日本からユゼフ・ワレサが転生したのは、滅亡寸前の小国だった!? 祖国を守るため、ユゼフは士官学校への入学を決意する。士官学校の卒業を間近に控えたユゼフたち士官学校5年生は教官から「隣国内の独立戦争に義勇兵として参加」するよう言い渡される。大国・東大陸帝国の大軍を相手に、ユゼフたちの“本当の卒業試験”が始まる――。半年で2,100万PV超を獲得したwebで大人気の転生戦記が、アース・スターノベルから書籍化!

ユゼフの参謀としての能力が開花するラスキノ防衛戦編。本格的に戦争に参加するのはこれが初めてとなるのだけれど、その初っ端が士官学校を卒業する前に義勇軍として国外に派遣されて、孤立した独立都市で圧倒的劣勢な戦力比の中で防衛戦、というのだから過酷もいいところなんだよなあ。
しかも、市街戦である。
籠城戦というと、中近世のそれは城に篭って城壁を間に挟んで攻防戦、とイメージしがちだけれど、本作は近現代に足をツッコんでいるせいか、イメージとしてはスターリングラードとかのそれである。
ラスキノって、こっちで言うところのケーニヒスベルク――カーリングラードなんですよね。ドイツ、ロシア、ポーランド間で揉めに揉めまくった紛争地。主人公とはいえ新品少尉にもなっていない士官候補生が最初に首をツッコムにはえげつない場所である。
一方で、身分を隠しているとはいえエミリア王女のそばに居たからか、地べたをはいずりまわって歴戦の下士官に叱咤されながら最前線で震えてチビるという新品少尉にありがちな体験はせず、士官候補生ながらいきなり参謀扱いで使われることになったのは運の高さでもあるのだろうけれど、戦いがはじまる以前から入念に市街戦の可能性を高く見積もって、詳細な作戦案を実際に街を歩いて地形や建築物を把握しながら構築していたあたりに、ユゼフが根っからの幕僚型……というよりも、状況に対応するのではなく自分で状況を掌握して作り出そう、というスタイルが感じられるんですよね。それも、「情報」という武器を収集、集積、分析、運用、応用、利用することでその特質がこのラスキノ独立戦争で浮き彫りになってきてるんですね。
ユゼフもそうなんだけれど、サラやラデック、エミリア王女にマヤさんとその後の得意分野となるものをこの初陣でどんどん掴んでいってるのである。その後の彼らの飛躍を考えると、この段階でラスキノ防衛戦という過酷な市街戦を戦った経験というのは、思いの外大きかったのかもしれない。特に、ラデックのあの兵站参謀としての際立った能力は、便利極まるもんなあ。ユゼフが好き勝手思うとおりに仕掛けを施せるのも、サラが好き勝手動き回れるのも、エミリア王女が思うがままに指揮を取れるのも、それを動かすための物資が必要な時に必要な場所に必要な分用意されてこそなので、それを十全整えられる人材が一番の身内にちゃんと居る、というのはどえらいことである。
ユゼフ自身語っているけれど、この五人組、ユゼフが農民階級出身、ラデックが商人階級、サラが騎士階級、マヤさんが貴族階級、エミリア様が王族と見事に全身分階級が揃ってるんですよね。まあユゼフについては農民と言っても裕福な家ですし、そもそもユゼフは農民詐欺みたいなもんでどう見ても知識階級なんですけど。ここにイリヤ先輩やヘンリク先輩という学識部門、治安部門の各人が参加してエミリア派の中核となるメンバーが揃うのだけれど、決して意図したわけではない関係にも関わらず面白いメンバーが揃ったもんだなあ。
そう言えば、この2巻ではイリヤ先輩とヘンリク先輩がエミリア様と出会ったエピソードが書き下ろしで描かれているけれど、この二人わりと重要なポディションのわりにあんまり描写がなされなかったので、この追加は良かったんじゃないだろうか。ってか、イリヤ先輩思ってた以上に面白い変人なんですけれど、もっと出番増やしてくれてもいいんじゃないだろうか、ヘンリク先輩もだけれどもっとメインで扱っても良さそうな良いキャラなんだけれどなあ。

しかし、近世の市街戦なんて描写難しいだろうに、魔法の使い方を限定というか、利用法を専門化したせいもあってか、攻防が非常にわかりやすくなっている。その上で防衛戦の重要な部分、注視すべき部分、それぞれの戦略目標をきっちり説明した上で、戦術選択の必然性とその実行における効果など、簡易かつ筋立てて描かれているので、戦場の動きが把握しやすくて同時に生々しいダイナミックさがあり、ウェブ版でも読んでたけれど、改めて見ても面白かった。戦記物における実際の戦闘シーンって、わかりやすさと緻密さが並列していてこそ面白いんだよなあ。

さて、士官学校卒業前に実戦を経験したユゼフたち。その勲功は卒業時に反映されて、みんな卒業時には少尉任官どころか、中尉や大尉任官からという……なにそのフライングスタートw
そして、ユゼフ自身はエミリア様の懐刀として、ただの軍人として以上に彼女の政治にガッチリ食い込むこととなり、オストマルク帝国に大使館付武官として向かうことになる。まあ大使館付武官なんて、スパイも良いところなんですけれど。
さあ、そしてそこでサラの存在をメッタ斬りに脅かす、メインヒロインの登場ですよ?

1巻感想

戦国小町苦労譚 一、邂逅の刻 ★★★☆  

戦国小町苦労譚 一、邂逅の刻 (アース・スターノベル)

【戦国小町苦労譚 一、邂逅の刻】 夾竹桃/平沢下戸 アース・スターノベル

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農業高校生(♀)が戦国時代にタイムスリップ! ?

「山道を抜けたらそこは戦国時代でした」ばりに唐突に現れたのは、憧れの織田信長。
主人公・静子はこの時代で生き抜くために「農業で才を示す」約束を信長にしてしまう。
寂れた農村を与えられ、来る日も来る日も農業に明け暮れる静子だったが、やがて本人も気づかないうちに、信長にとってなくてはならない存在=重臣にまで上り詰めてしまってーー

こんなライトノベル今までになかった!
知人に言いたくなる「豆知識」ふんだん系新感覚時代小説が登場。
web版既読。こうして読み返してみると、タイムスリップしてから信長と出会って引っ張り込まれるまでの流れが強引極まるなあ。
ここらへんは初めて物語を書き始めた人特有の拙さがもろに出てる部分であるんでしょうね。まず役者を舞台の上に乗せて話を回しだすことを優先して、そこに至るまでの準備を整え舞台の上までの階段をあがる部分を思いっきり蔑ろにしてしまってる。まず書きたい内容の該当部分を早く書きたかったんでしょうね。なかなか、これまで書いたことのない人って、ここを丁寧に描くという意識がポーンと抜けてるパターン珍しくはないですから。こういうのは、書いている内に自然と身につくところなんですけどねえ。
ともあれ、一度舞台の上にあがってしまえば、静子の楽天的で脳天気、物事を楽しみ好奇心旺盛に自分のやりたいこと(農業関係)を貪欲に試していくキャラクターは、作品そのものを快活に動かしていくのでありますが。
こういう異世界や過去の世界に現代知識を持ち込んで生産無双を繰り広げる作品というのは一つの隆盛を気づいているのですが、大概の作品は知識だけではない能力的な「ズル」をしてる場合が多かったりします。知識だけではどうにもならない部分を、チートで誤魔化すわけですな。おかげで、技術的な蓄積のない一足飛びの技術革新なんかがポンポンと飛び出して、まあ時代や文明レベルではありえない発展なんかが起こってしまって、ちと白けてしまうんですよね。
その点、この静子は完全に知識のみの勝負をしていて、最初に持っていたサツマイモの種なんかは最初の掴みとして使って、以降はほぼ現地にある動植物や技術レベルを使った試行錯誤に終始してるんですよね。
まあとかく、静子の持つサバイバル技術込みの農産知識の豊富さがまた女子高生レベルじゃないんですよねえ。いや、農業高校生だったりすると尋常でない知識量を持ってたりするので、侮れないのですけれど。
それにその知識も教科書のものを丸写ししてるようなものではなく、ちゃんと実地で蓄積されたもの、という地に足がついた感じのするものなんですよね。頭でっかち、机上の空論ではなく、身についている技術と知識を再編し、実地で発展させていく、というような安定感がある。
彼女のもたらす知識というものは、他と断絶している彼女特有のものではなくて、経験し慣れて覚えればちゃんと現地の人たちにも血肉となって身についていくものなだけに、それは広がり国そのものを富ます可能性を持ってるんですよね。
それにしても、静子の引き出しの広さは尋常じゃないのですけれど。いやまじで、現地調達と現地改良が主でありながら、生産系最強なんじゃないだろうか。
あと、餌付けは万物に共通する交流手段だよなあ、と。美味しい飯は、大概の人を黙らせ唸らせる。
ひたすら、農村で農作物を作ったりしているだけなので、今のところ非常に地味な展開なのですが、こういう土いじりしてる話、なんだかんだ好きなのよねえ。
主人公が女性、というのも珍しいけれど、信長の庇護があるというのも大きいけれど、女性であるからこそ蚊帳の外で自分の好きなことをしていられる、という所も大きいので、バイタリティある女性主人公というのは面白い試みだったんじゃないかと。

第一巻ではまだ、静子は結果を出すためのあれこれに終始していて、信長たち現地の武将たちとの交流などはまだ端緒なんですよね。今後、成果と美味しいご飯に釣られた、かどうかはわかりませんが、どんどんと出入りが激しくなってくるので、ドタバタ風味の日常も盛り上がってくるのでそれも期待。
慶次と濃姫さまが出てきたからが本番よなあ。
 
10月22日

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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスNEXT)
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(バンブーコミックス)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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