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オーバーラップ文庫

駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。2 ★★★★   



【駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。2】  書店ゾンビ/ユズハ オーバーラップ文庫

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芽生えた想いは抑えきれない――

独身リーマン・陽史、女子大生・詩織、女子高生・彩乃。
ひょんなことから始まった同居生活にも慣れ、3人はいつもと同じ日常を過ごしていた。
いつまでもこの生活が続きますように――
そんな思いとは裏腹に、とある出来事をきっかけに動き始めた3人の関係。
さらに、弁護士で陽史の元彼女でもある千里が現れたことで、いよいよ同居生活は崩壊の危機に見舞われることになり……?
「好きな人に好きになってほしい。それは……イケナイことなの? 」
「待ってくれた、話を聞いてくれた。そんな陽史さんが大好きだから」
サラリーマンとJD、JKが1DKから始めるホームラブコメディ、第2幕。
色んな同居モノのシリーズがあって、その中には甘酸っぱいもの、ドタバタと騒がしくていつも明るい雰囲気なもの、様々な形の家族の肖像があったけれど、本作の陽史と詩織、そして彩乃の三人の生活空間は他と比べても一番、リラックスして安らげる場所だったように感じている。
もうずっと何年もそうだったように、自然に三人は同じ部屋でくつろいでいる。誰かがテレビを見ていて、誰かが台所に立ってご飯を作っている。でかけていた誰かがただいまーと帰ってきて、それを他の二人が一瞥して、でもそれまで続けていたことの手を止めないまま、おかえりー、と声をかける。
彩乃がバイトをはじめたときも、日曜日の朝に彼女がいってきま〜す、とでかけていくのを、まだちょっと眠そうにしつつ、並んでソファーに座ったまま朝の特撮番組を見ていた陽史と詩織が、何気ないやり取りの末に二人していってらっしゃい、と送り出すシーン。
あそこはホントに何気ないシーンなんですけれど、特にこの三人の間の空気感、距離感、日常を感じさせてくれるシーンで好きだったんですよね。
彩乃のバイト終わりに、彼女の勤める喫茶店に陽史が顔を出して、雨に降られてずぶ濡れになってじ彩乃にじゃれつかれながら帰ってきたのを、呆れ混じりに詩織が迎え入れるまでを含めて。
このとき、彩乃は陽史がバイト先まで来てくれたら喜びますよ、って送り出してくれたの、詩織なんですよね。一方で彩乃もここぞというタイミングで詩織と陽史が二人きりになれるように取り計らってる。それは、恋敵に塩を送る、みたいな大げさなものでもなく……。
彩乃も詩織も、もしこの時陽史が来てくれたら、一緒に居てくれたら、/彩乃ちゃんは/しぃちゃんは/嬉しいだろうなあ、喜ぶだろうな。そう、考えて自然に陽史の背中を押してるんですよね、二人とも。
無心で、ただただ本来なら恋敵にあたるだろう相手を想ってる。多分、陽史のことと同じくらい大切な人だと感じながら。
二人の関係は、家族のようで姉妹のようで、でも事情に踏み込みすぎない遠慮があって、でもそんな遠回りの気遣い以上の親愛を以て触れ合っている。元々他人だからこそなれる家族みたいな関係って、あるんですねえ。それはきっと親友という関係でもあるのだろう。歳に差がある同性特有の、不思議な親友関係。
彩乃と詩織の想い合う関係は、もしかしたら陽史という要の存在がなかったとしても、女性二人の同居生活という形で一つ、物語ができたかもしれない密接で温かいつながりだ。そしてその温かさは、陽史を間に挟んでも断ち切られない。
陽史が学生時代に撮った映像サークルの映画作品。そこに、当時彼が付き合っていた元カノが映っていて、映像からは陽史が彼女に夢中な様子が伝わってきた時、二人は無言で両側から陽史の腕にしがみついて、無言のままギューギューと両側から陽史のことを押し込んでくるシーン。あくまで何も言わず、でもあからさまに抗議を示しながらギューギューと圧してくる様子は、ほんと可愛らしくて微笑ましいシーンだったんだけれど、コレは同時に彩乃と詩織の共同作業でもあるんですよね。二人からの抗議なのだ。それが、どうしようもなく微笑ましくて、彼女たちの関係に癒やしを感じてしまうのでした。

その元カノである海野千里と、陽史は別れて以来久々に再会するのだけれど……。
大人な関係だよなあ。
あくまで、終わった関係なんですよね、もう。そのへん、二人共割り切っていて、だからこそ友達として気安く付き合いなおせたわけだ。陽史が詩織と彩乃との生活を経てある種心の余裕みたいなものを得ていた事も大きいのでしょう。千里と別れざるを得なかった原因は、陽史の方にあるようだったのですが、彼が迎えた良い変化は彼らが別れる原因となる部分を解消していたんですねえ。
彼の危うさ、というのは彩乃の家庭の事情を巡る話の中で一瞬垣間見えているのですが……こうしてみると詩織が彼のそうした一面を押し留め、彩乃が吐き出させているんですよね。
二人が居てこそ、陽史のともすれば凝り固まってしまいそうな部分が解きほぐされ明るい光に灯されている、というのがよくわかったお話でもありました。
ほんとこの生活空間、優しくてほんわかと明るくてリラックスできてあんまりにも居心地良いものだからか、千里がなんとなく入り浸りだしてしまったのも、なんとなくわかるなー。
いまさら陽史にちょっかいかける気は毛頭ないんだろうけれど、思わずここでゴロゴロしたくなる。普段弁護士として休む暇なく働いて、結構疲れている様子も伺えるので、リラクゼーション空間というか癒やし空間、欲しくなるよねえ。美味しいご飯も食べさせてくれるし。

いつまでもこのままでは居られない。学生である彼女たちはいずれ、卒業してそれぞれの道に進まなくてはいけないし、そうでなくても他人同士の三人が一緒に暮らしている今の状況は無理を重ねている。変化の訪れは、必然だ。
でも今の幸せが変わってしまってなくなってしまう事を恐れる彩乃を、陽史は自分自身も迷走しながら、でも彩乃と詩織こそが教えてくれた変化もまた愛しい日常になっていくことを、改めてこの寂しがり屋の女子高生に伝えるのである。
どれだけ変化してしまっても、陽史も詩織も彩乃と一緒にいると、寂しがらせることだけはしないとと約束するのである。
いつか、どちらかの恋が実っても、それが残る一人を孤独にはしないと、信じることが出来そうです。


TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(下)~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★☆   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(下)~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

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謎の追手から逃げる少女ツェツィーリアと邂逅し、友人ミカと共に彼女を助けることにしたデータマンチ転生者エーリヒ。
そして帝都地下水道で逃走劇を繰り広げる中、エーリヒ達はツェツィーリアが隠していた秘密――彼女の“種族"を知ることになるのだった。
ようやくエーリヒの下宿へと辿り着き、「望まぬ結婚を強いられている」というツェツィーリアの事情を聞いたエーリヒ達。
エリザや妖精達の力も借りて、彼女を帝都から脱出させる作戦を決行するが……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、怒涛の第4幕が決着!
考えてみても凄い国だよな、三重帝国って。持ち回りで帝位を回しているのもそうだけれど、その一角を吸血種が占めているのですから。事実上寿命がないんじゃないか、という長寿種や幽霊の類までが学閥や政治中枢の重要なポディションを担ってたりするだけでも面白いのに、国の頂点である皇帝ですら吸血種という強大な種族が就いたりするわけですから。
でも、そういった不老長寿の種族が短命種を支配しているという構図でもないんですよね。あくまで一角を占めている、というだけ。そもそも、皇帝位だれもやりたくなくてみんなで押し付けあった挙げ句に、前に皇帝やってた研究バカにもう一回お前やれよッ! 嫌だ! イヤとか言うな! という帝国頂点会議とは思えないおっさん同士のガキ臭い醜い押し付け合いとかが、至尊の高みで行われてるとか、この国なー。これで、どいつもこいつも妖怪並みに有能極まるもんだから、この三重帝国ってハイレベルに纏まってるんですよねえ。
これが辺境の方まで行くと色々とまた違った意味で権力との駆け引きが面白いことになっているのですけれど。政治上の怪物ばっかりじゃないか、それでいて権力振るうよりも自分の好きなことをやっていたい趣味人ばかりという地獄。
まあ、その皇帝位の押し付け合いのとばっちりが、回り回ってエーリヒのところまで降り掛かってきてしまったわけですが。
これ、ツェツィーリアさんもいい迷惑、どころじゃない話なんですよね。だから、尻尾をくらまし遁走をはじめたのですけれど、そんな彼女を連れ戻すために皇帝の懐刀ともいうべき近衛猟兵を動員するこの大人気なさ!
いや、この近衛猟兵ってのがまたカッコいいんですよ。帝国中からかき集めた精鋭中の精鋭たるスカウト集団……いや、この場合は非正規戦部隊とでも言っていいのでしょうか。こういう辣腕どころじゃない連中を暗部として使うのではなく、映えある近衛として抱えているあたりがこの三重帝国という国の好きな所なんですよね。この様々な多種族で構成された非正規戦部隊の隊員たちのカッコいいことカッコいいこと。逃げるエーリヒたちを追いかける鬼ごっこの鬼であり、シティーアドベンチャー特有の追撃エネミーなのですけれど、これがもうガンガン攻めてくるし、的確に追い込み、索敵も丹念。それでいて、泥臭いのに近衛騎士らしい品性と懐刀らしいビンビンに尖らせた鋭さを感じさせる物腰がとんでもねーのですよ。それでいて画一的じゃなく、各種族の特技を生かした、あるいは個人が鍛えに鍛えまくって伸ばしたスキルを用いての連携がまた色んなシチュエーションに合わせてビシッと決まっていて、いやもう今までのエネミーの中で一番やばかったんじゃないだろうか。

そんな近衛猟兵たちから、それこそあらゆる手段を使い倒しながら時に周到に、時に瞬発的にどんどんと躱して逃げまくるエーリヒのハチャメチャさが、またよく伝わってくるんですわ。近衛猟兵がやべえのが良く分かるからこそ、その近衛猟兵をして捕まえきれないエーリヒってなんなの!? なにこいつ? なんなの? とむしろ、近衛猟兵たちの方に共感できてしまう面白さでありました。
ミカの方も土系魔術師として、そんな自由なこと出来るの? という実力を見せてくれて、いやはやエーリヒとも仲のよろしいことで。

まあ今はまだ故郷にいるマルゴットも含めて、エーリヒの周りにいたヒロインたちというのは色んな意味で癖の強いクセ者ばかりだったので、あのツェツィーリアの芯は強いけれど温厚で淑女らしい正統派ヒロイン像はなかなか来るものがあったんですよね。吸血種というまたぞろ帝国においては特殊ではないけれど特別な種族ではあるけれど、そのキャラクターは清廉でありお姫様キャラなんですよね。
ちょっと身分差がありすぎるのがネックで、今はこう逃亡者としての彼女を匿えているけれど、この一件が終わった後だとなかなか気軽に会えないし連絡も取れない立場なので、ヒロインとしてはやはり他の娘らよりも縁の遠い人になってしまうのでしょうか。いや本当に正統派ヒロインだけにまたココぞというときに深く絡んできてほしいものなのですが。エーリヒの成長していく道の先で待っていて欲しい人の一人ではあるんだよなあ。

エーリヒの場合、ヘンダーソンスケールがハズレる。つまり本道であるストーリーから踏み外して完全にIFルートに入ってしまうと、わりとやりたい放題好き放題その時に成りたいと思ったものに、それがどんな立場地位能力であろうと、成っちゃうだけの、こうと決めたら絶対にそうしてしまう達成力がちょっと意味不明レベルなので、大概何にでもなれるんですけどね。
ツェツィーリアさんの単独攻略ルートでも、また意味不明な吸血騎士になって世界中から何こいつ意味わからないんですけど、呼ばわりされるハメになってますし。エーリヒ、だいたいどのIFルートでも、こいつ意味わからないんですけど!? こいつ、なにやっても死なないんですけど!? これどうするの!? という、わけわからん存在扱いになってるのはご愛嬌である。

既にまあ現状でもその片鱗は出ていて、今回のラスボス戦なんてそのあたり顕著なんですよね。
というか、今回のラスボスの人、ちょっと能力隔絶しすぎてて本来ならシリーズ通してのラスボスとか言われても不思議じゃない、まだ少年時代の夢である冒険者にもなっていない魔術師の丁稚やってる男の子の前に立ち塞がるには、意味不明なレベルで強すぎる相手のはずなんですよね、これ。
でも、そういうレベルが違いすぎるとか次元が違うとかステータス的にどうやっても敵うはずがない、という断絶は、彼の場合意味ないのである。
一旦、こいつは殺す、と決めたらなにをどうやっても殺す。どういう手段を用いても、どんなルールをひっくり返しても、やると決めたら必ずやりとげる、というそれこそ本当の意味がわからない「凄味」。
これがエーリヒの怖さでありえげつなさなのだろう。
チートじゃないし、覚醒とかでもない。能力値があがるわけでも、偶々偶然何もかもがうまくいく展開を引き寄せる力でもない。

データさえ存在するなら、たとえ相手が神でも殺しに興じてみせよう。

それ趣味として極めた人種を、データマンチと呼ぶそうだ。TRPGプレイヤーとしての、極。
まさに彼のことである。
これ、エーリヒの最後の戦いは普通に考えるならどうやっても負け、デッドエンドのはずなんだけれど、もし本当に最後までやっていたとしたら……。
ちょっとゾッとするというかゾクゾクするというか。
殺っちゃったんじゃね? とどこかで想像してしまう。そういう「凄味」がこのエーリヒという主人公の軽妙なノリの奥底には備わっているんですよねえ。
そもそも、負け試合とはいえエーリヒてばありえない勢いで、相手殺しまくってたもんなあ。この主人公、格上殺しの手段とか手管とか準備しまくりすぎでしょう。相手からしたら意味不明すぎて笑っちゃうわ!

こういう主人公の根底のところにTRPGの業というか粋みたいなのが根付いている、或いはもうそれで存在自体が組み立てられてるみたいな所が、今回はもう舐りつくせるくらい味わえて、大変満足でありました。本当にエーリヒって、手段としてではなく在り方としてTRPGプレイヤーなんだよなあ、というのを実感、堪能させていただきました。

しかし、今回も殆ど書き下ろしか、というくらいウェブ版をこねくり回していて、完全に新規話読んだ気分ですわ。ミカと妹のエリザがこんな形で打ち解けているとはねえ。それに、ツェツィーリア逃亡劇に、ミカもがっつり噛むことになりましたし。
いやはや、ごちそうさまでした。満腹じゃい!



異世界迷宮の最深部を目指そう 16 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 16】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――祝福の産声。

――HP0。
相川渦波は死んだ(・・・)。
世界の『一番』は『星の理を盗むもの』ラグネ・カイクヲラ。カナミの肉体はラグネが所持し、彼女に付き従うは『血の理を盗むもの』ファフナー。
……それでも。
『光の理を盗むもの』ノスフィーはそれでも誓う。
人生の全てを『代償』として本当の『魔法』に至り、『お父様(カナミ)』を生き返らせるために。
ノスフィーはカナミの肉体を奪還するべく、ラスティアラたちとフーズヤーズ城突入作戦を開始する――。
全てはこの光満ちる『頂上』で、産声をあげるために。

相変わらず登場人物の殆どが躁か鬱のどちらかに極振りしてるなー。どん底まで落ち込んで病み憑かれるか、真実に目覚めてテンションマックスではっちゃけるか。シーソーみたいにどちらかに極振っていずれにしてもメンタル目一杯になっている。毎回誰かに、落ち着けッオチツケッ、と思ってしまうんですよね。
ほんと、いつも冷静なライナーと精神的にリソースの余裕を抱えているリーパーは重要な要という以上に読んでる方としても癒やしですわ。これも毎回言ってるような気がするなあ。
でも、まさかついに裏切り本性を見せてこれまでの謀の主、黒幕として立ち上がったラグネちゃんが、やってやったぜーー!! ついにカミナを殺してやったぜー! というヒャッハー状態からいきなり速攻で鬱モードに入るとは思わんじゃないですか。
なんでラスボス格として立ち上がった敵キャラが、突然情緒不安定になってネガまっしぐらになっちゃうんですか!w
いやそれも「理を盗むもの」になってしまった弊害、というのもあるのでしょうけれど。ラグネちゃん自身、自己制御出来ないほどに情緒不安定になっていく自分の有様に、これまでの「理を盗むもの」たちと同根のものを感じていたようですけれど。
それでも、「理を盗むもの」になる資格がラグネちゃんにあったということなんでしょうけれど。未練、というよりも自覚だよなあ。
自分の本当に求めるものを見つけよ。
その意味では、敵として立ってはじめて、ラグネちゃんはその中身を解体されたのだ。一つ一つ丁寧に腑分けして、その内側をさらけ出された。選り分けて取り出して裏返して、それらすべてに光を当てて、自己で偽っていたものも騙していたものも無視していた矛盾も、照らし出されてしまった。
今回のノスフィーの光は、彼女がなろうとした魔法は、ノスフィー自身を照らし出し、彼女が本当に求めていた父親を、カナミを照らし出し、その鏡写しとなるくらい似通った存在であったラグネちゃんのすべてを照らし出してしまった。
本当に、全部照らし出してしまった。
カナミも、ラグネちゃんも、もう自分を誤魔化すことも騙すことも出来なくなってしまった。自分のどうしようもなさを、情けなさを、愚かさを、これでもかと突きつけられ、目の前にいるのはそんな憎むべき自分の鏡写し。八つ当たりとしてぶん殴るには、最適最上に一品だ。
その発散の大小をノスフィーに支払わせる、というところまで込みで最高の自己嫌悪をもたらしてくれる。近親憎悪をもたらしてくれる。
それを、お前のせいだ、とぶつけられる事はきっと、彼らが前に進むためには必要……かどうかはわからないけれど、効果的なものだったのだろう。決闘だったのだろう。ノスフィーにとっては大満足で、カナミとラグネちゃんとしては最悪最低のこととして。
いずれにしても、ケリはつけなきゃいけなかった。清算だ。

一方でノスフィーは、自分が成すべきを見つけ、在るべき形を見つけ、あとは光のようにまっしぐらに進むだけ。カナミの妻を名乗って現れたノスフィーだったけれど、そうあらんと振る舞い続けた彼女だけれど、ようやくカナミに対して自分が欲したあるべき形を見つけられたんですよね。
本質的に、ノスフィーはどうやったってカナミの妻ではなく、娘だった。娘として父を慕い愛しながら、しかし立場として妻となりその在り方に殉じようとしたが故の矛盾であり迷走であり苦悩であった。それが解消され、迷いが晴れ、自分の想いの方向性が定まった時、ようやく彼女の光は彼女自身をも照らし出すことが出来たのだろう。
彼女の光の本質は刺し貫くことではなく、優しく包み込むものだったのだろう。淡く暖かな光の雨、今回の表紙がそのようにノスフィーの光を表現しているかのようだった。
その光はラグネちゃんをも受け入れて、ラグネは確かにノスフィーの光に救われたのだ。
しかし優しくも厳しいノスフィーの光は、すべての偽りをさらけ出してしまった。光は、闇のように包み込んだまま眠らせてはくれない。それは朝の目覚めの光であり、指し示し進むを促す導べであった。
ラグネの過去を暴き立て、その野望と信念の欺瞞を浮き彫りにし、彼女の心を解体した。本当の想いを照らし出した。その対面として、親和としてカナミの過去もまたラグネという第三者の目からもう一度映されたのだけれど、まさかここまで無造作にカナミの過去に巣食った違和を引っ張り出すとは思わなかった。
ここまで率直に、大胆に、その現況を指し示すとは思わなかった。
本当のラスボスの存在を、ノスフィーの光は照らし出したのだ。それを、カナミに直視させたのだ。
この認めざる存在を、果たしてどうやってカナミに認めさせるのか、長く疑問に思っていたのだけれど、ノスフィーとラグネという二人の「家族」のお陰というのがまた……辛辣なのか心強いというべきなのか。いずれにしても、相応しい理由であり原動力と成り得るものだったように思います。

そして物語は、ついに核心へ。


星詠みの魔法使い 2.黒水晶の夢色プロローグ ★★★☆   



【星詠みの魔法使い 2.黒水晶の夢色プロローグ】  六海刻羽/ゆさの オーバーラップ文庫

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代々、誇り高き魔術剣士を輩出するレ・ノール家の少女・エヴァリーナ。
幼い頃から魔術剣士を夢見た彼女は、しかし、絶望的なほどに才能がなかった。
魔導書作家を志す少女・ルナと共にソラナカルタ魔法学校の定期試験に挑んだエヴァは、ルナに後れを取り、自身の無力さに焦りを覚え始めていた。
ヨヨに特訓を頼み、鍛えてもらう――その最中。
邪教種の襲撃により、ルナが囚われの身となってしまう。
エヴァはヨヨと共に救出に向かうものの、襲い来る脅威によって窮地に追いやられていた。
傷ついたヨヨに守られることしかできないエヴァは、ルナが記した魔導書で覚醒の兆しを手にする――!

ルナってば贅沢ですよね。ヨヨという自分にとっての主人公を前巻で見つけるわ、食らいつくわ、ものにするわ、とやってのけてたくせに、この娘もうひとり自分にとっての主人公を既に懐に抱え込んでたじゃないですか。
エヴァリーナ・レ・ソール。ルナの親友にしてパートナー。1巻でも親友として登場していましたけれど、彼女のパートは結構駆け足で駆け抜けてしまったのと、あくまでルナとヨヨの物語という体だったのであまりエヴァの印象残っていなかったのですが……いや、めちゃくちゃ重要人物じゃないですか。
というかこれ、ルナのワンマンヒロインの作品かと思ったら、ほぼほぼ等距離でエヴァももう一人のメインヒロインじゃないですか、これ。ヨヨが後輩であるルナが魔導書作家として大成するまで一緒に居続けると心に決めたのと同じくらいの比重で、同じく後輩であるエヴァの事もずっと最後まで見守ってやる、と……この男、それって実質プロポーズなんじゃないのか、というくらいの勢いでこのルナとエヴァの二人の少女に入れ込んでるんですよね。その誓いって、もう学生の間だけじゃ済まないのめり込みっぷりなんですけど、お互いからして。
そんなヨヨの後輩二人への姿勢は、なんかもう先生役とか指導役とか通り越して騎士のように身体を張ってボロボロになりながらも絶対に守り通すという献身と、どれほど彼女たちが自分の道を見失い迷い戸惑っていても、とことん付き合って教え導き彼女たちが望む高みへと辿り着くまで後押しする、見守る、応援し絶対助ける、という慈しみに満ちあふれていて、こんな献身と慈愛に守られてたらそりゃ少女たちも奮い立つし、それ以上に好きになっちゃうじゃないですか。
生まれた時から術素の素養を持たず、憧れた魔術剣士としての素質を持たないながら、それでも憧れを諦めきれずに足掻き続ける少女剣士エヴァ。ずっと挫折し続けてきたと言っていい彼女は、それでも性格歪まず素直に真っ直ぐ育っていて、めちゃくちゃいい子なんですよね。
そして、ルナとは親友を通り越してこれラブ入ってるんじゃないか、というキャッキャウフフな関係で、その凛とした不屈の姿はルナにとってヨヨとは別の意味で自分にとっての主人公がエヴァだったのです。同性の主人公ってやつですね。
今回の話はそんなエヴァがヒロインとしてキラキラ輝き、またルナの望んだ女主人公としてついに挫折から立ち上がり、囚われの愛する親友のお姫様を助けに来るという見事な話でもありました。
ルナからすれば、両手に花ならぬ両手に主人公。自分がこの人こそ主人公と見初めた二人が助けにきてくれるという冥利に尽きる状況だったわけですなあ。
そりゃ、筆も捗るw ウハウハじゃないですか。
ヨヨにとっては目に入れても痛くないほど可愛くて仕方ない後輩二人。エヴァからしても、自分の人生を救ってくれて輝かせてくれた何よりも大好きな二人。
と、なんかうまいことスッポリとこの三人が三人でこそ、という関係に収まったなあ。いや、わりと最初から三人でうまいこと収まっていたのを、エヴァの覚醒というお話によって隙間なく埋め尽くした、というべきかもしれないけれど。
いずれにせよ、読んでいるこっちにも登場人物たちの感情が色濃く伝わってくる、という以上に感情の波に乗ってしまうような想いをぶつけてくる文章はほんと好みです。世界観の設定もしっかりしていて、魔術学園という特異な環境の描き方や登場人物のキャラ立ちなんかも濃厚かつ生き生きしているのですが、登場人物の情緒に重きを置いている分、その感情の勢いに任せてどんどんと話が進んでいく傾向があって、ちょっと急ぎすぎの感があるのかなあ。1巻ではそのきらいが顕著に見えたのですが、まだ2巻はそのあたりしっかりと地に足がついていたようにも思えるのですが、それでもまだいささか早い気がするなあ。
ともあれ、何らかの悪意をもって動いている黒幕めいたものの姿も見えてきて、ヒロイン二人のあり方がある程度完成をみたところで、次はヨヨにスポットがあたるのか、それともこの三人組での話になるのか。なんにせよ、次からこそ本格的に物語が動いていきそうで楽しみです。



現実主義勇者の王国再建記 XV ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記 XV】 どぜう丸/冬ゆき オーバーラップ文庫

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――今こそ「結束」の時だ

ハーン大虎王国、グラン・ケイオス帝国、そしてフリードニア王国が盟主を担う海洋同盟――世界は三大勢力拮抗の時代を迎えた。
そんな折に突如、ハイエルフの国・ガーラン精霊王国が三大勢力に接触を図ってくる。目的は魔王領拡大で失った領土の奪還要請。ソーマはメリットがないと拒否するが、大虎王国は要請に応じて軍を派遣する。
しかし健康な兵が次々と倒れる異常事態が発生。実は精霊王国では死の病「精霊王の呪い」が蔓延しており!?
全世界の脅威となり得る未知の病。これに対処すべくソーマが打ち出したのは、前例のない施策で――!?
革新的な異世界内政ファンタジー、第15巻!

未知の感染症の発生。このネタはコロナの前から始まっていて、完全に偶然だったらしいのですが、一旦様子見したあと流行が収まるまで年単位掛かることが予想されたのでそのまま続行されたそうですが。
コロナと違って空気感染ではない病気なので、近代医療設備も医療体制も整っていない中で世界規模の感染症が! という事態にはならず。そうなったら、フウガの拡大方針も何もかも吹っ飛んでシナリオを全部ふっとばさないといけないだろうけれど。
患者から周囲には直接感染はしない、という事はわりと早い段階からわかっていたので空気感染、飛沫感染ではない事ははっきりしていたのですが、それでも未知の感染症ということでソーマは厳戒態勢で臨むことに。そして万が一に備えて、海洋同盟内のみならず帝国、そしてフウガのハーン大虎王国とも医療体制の協力を打診していくことになる。
この世界において初めてとなる、全世界規模の国家間連携体制である。
フウガが野心を燃やし拡大政策を取っているということは、もうかの国は潜在的に仮想敵国なんですよね。しかし、敵対の可能性もある国家連合とも、こうして包括的に協力体制を築いていこう、という発想がちょっと前まで中世の範疇の文明だったこの世界においては存在しないものなんですよねえ。
フウガも、まだ敵対していないとはいえ微妙な緊張感が生まれつつあるフリードニアにメンツに拘らずに援助を求めるというあたり、同時代の人間としては並外れているのでしょうけれど。
最終的に、あの映像の送受信装置を使って一同に集う事が難しいだろう各国の首脳部を集めての首脳会談、この世界初のサミットを開催してしまうのですから。
そもそもこの時代、一国の王同士が顔を合わせて会談する事自体が稀なんですよね。使節を派遣して交流するのがせいぜいでしょう。それが世界サミットですからねえ。これがどれだけ革新的なことか。
結果として、国家や勢力の枠組みを越えて、医師団が派遣されて感染拡大の収束に成功するわけですから。

だいたい、あの宝珠がオーパーツなんだよなあ。あれで帝国の女帝マリアとホットライン繋いでいることでどれだけ世界変わっちゃってるか。どれだけ相手が信頼できるとわかっていても、使節や手紙のやり取りを時間をかけて行うだけの関係って、どうしたって意思疎通が途絶えがちになり、相手が何を考えているかわからなくなってくるもの。齟齬も出てくるでしょうし、誤解や解釈の間違いなんかも出てくるでしょう。ところが、マリアとソーマは頻繁に宝珠使って顔合わせて話し合ってるんですよね。これは本当に大きい。相手の目的も何を考えているか何を望んでいるかがちゃんと伝えあっている状態、ってのは必要以上に警戒を持たなくてもすむということですからねえ。
勿論、国益を優先させるために自国優先で相手を出し抜こうとしたり利益を確保しようとしたりする面は否めないですけれど、三大勢力となっている今の大陸の中のうちの2つが密かにこれだけ緊密に協力体制にあるというのは、大きいなんてもんじゃないんだよなあ。
まあ、帝国サイドの方は帝国の規模が大きいだけにマリアさんの威光を無視して動く者たちがいない事もない可能性も高いのですが。
とはいえ、今回こんな風に世界サミットが行われ、医療関係についてのみとはいえ、国家・勢力の枠組みを越えて協調していく旨が約束された、というのは国際連合的な国際機関の萌芽が生まれたという事でもあるんですよね。
フリードニア王国の安定と、海洋同盟の締結。そして帝国との連携は世界の枠組みそのものが急速に成熟の方向へと進んでいる、その推進力になっている。
こうなってくると、旧態然の他国を飲み込んで勢力拡大を目論んでいる、世界征服的な野心を抱いているハーン大虎王国って、なんか時代遅れなんじゃないか、という風な気もしてくるんですよね。
でも、世界を取り巻く急速な変化、革新の波は……急速すぎてその舵取りをしている国家指導層と比べて、一般大衆はまだ旧来の古い国家のもとに暮らしていた意識のまま、というのがあるんでしょうね。そんな人達にとって、フウガはわかりやすい英雄であり支持を集めやすい。
ソーマはそのへん大いに危惧していて、大衆の意識改革も急いでいるわけですが。

今回の感染症が魔物由来、というのも面白い要素でした。魔物、といってもまあ発生原因はともかくとして野生動物の一種みたいなものですし、その中に病原菌みたいなものを持っているものがいても不思議じゃないんですよねえ。その駆除のために、バチバチ傷つけ合ってたらそりゃ病気が発生する要素はいくらでもありますわなあ。
大体、こういう疫病ってのは敵の罠とか、バイオハザードを狙った仕込みだったりするのですけれど、自然発生的に起こるのが尤も不自然でない展開とも言えるんですよねえ。
特定の宿主によって発生する病気、ということで今回のは風土病という側面もあり、興味深い話でもありました。
一方で、その病気の内容というか病状の発生原因に、この世界の成り立ちに関係する要素も介在していて、話の構造的にも多重になってるんですよねえ。

フリードニアに留学しているフウガの妹、ユリガはこうしてみると新旧世界の狭間に立って両者の相克を一番真剣に見つめている娘なのかもしれない。この娘、イチハくんを意識してたりはしないのかしら。イチハとトモエのお互い無自覚な想いに溜息ついたり応援したりする姿勢を見せていて、自身は二人の間に入ろうという気さらさらなさそうなのだけど。さて、本当にそんな気ないのか、それともこの娘も無意識なのか。


八城くんのおひとり様講座 ★★★☆   



【八城くんのおひとり様講座】  どぜう丸/日下コウ オーバーラップ文庫

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「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」
ぼっちを極めた俺・八城重明にそう頼んできたのは、リア充グループの人気者・花見沢華音だった。
周りの友人に合わせてリア充でいることに疲れたという華音に、俺は一人で楽しく過ごすための“ぼっち術”を教えることになるのだが――その結果、華音に師匠と呼ばれて妙に懐かれてしまい!?
さらに華音との交流がきっかけでリア充たちの抱える問題に首を突っ込まざるを得なくなり――!?
ぼっちの達人とリア充たちが繰り広げる青春ラブコメの最先端、ここに開幕!


なかなか厚かましいですよね、「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」って言ってくるのって。ボッチの拗らせ具合によっては、喧嘩売ってんのか、と言われそうな話ですし。とはいえ、こうやって堂々と面と向かって質問して来れるのが、リア充と言われる人種のコミュニケーションに対するハードルの低さなんでしょうなあ。フットワークの軽さ、と言ってもいい。
事前に別のぼっちに同じことを質問しようとしてマルっと無視されているにも関わらず、メゲずに聞いてくるわけですから。
その無造作さ、場合によっては無神経とも取られかねないコミュを、同じリア充グループ内では取れないんですよね、なんでか。合わせて自分を消費してバランスを取らなければ、コミュが成立しない。
こうやって無造作に声をかけてくる、という事はそういう気遣いをしなくていい相手と認識している、とも取れるわけで。
最初は華音にとって八城重明というクラスメートは、まあその程度の相手だったわけだ。名前も覚えてないような相手だったわけだし。
仲良くなってからも、顔色を伺う必要があんまりなく気軽に付き合える相手、と認識しているのだろうけど、いずれにしても別枠ではあるんですよね。普段付き合いのリア充グループとは。そっちに引っ張り込もうとはしていないわけですし。そうやって別の対応が出来る相手を作る、というのは一つの集団の中でだけ時間のすべてを費やすよりも、そりゃあ気分がリフレッシュできるだろう。世界を一つに固定しないというのは賢い生き方である。世間が狭い学生の身なら尚更だ。
ぶっちゃけ、その時点で華音の目的は達成されているんですよね。一人の時間というのは、華音にとってそこまで重要な代物ではなかったと言えるかもしれない。まあ偶に気が向いた時に独りで過ごす手段を身に着けた、という意味では尚更悪くはないのだけど。
も一人の威堂智風についても、傾向は違っても方向は一緒だ。八城と知り合うことで、一つの世界という閉塞に風穴があいた。外を敵視し殻を固くしていた智風にとっては、違うコミュニティと交流を持つようになったことで鬱屈から開放されることになる。周りの見え方から変わってくる、というやつだ。そうなると、今まで居た元のコミュニティに対してももっと柔らかい見方が出来るようになる。華音も、元のグループに感じていた窮屈感が和らいでいったんじゃないだろうか。好循環である。
なるほど、リア充グループの中心である羽鳥くんが、二人の不調を感じながら自分ではどうしようもなかったので、八城には感謝している、と言ったのも納得である。こればっかりは、同じコミュニティの一員である羽鳥には、如何ともし難いものだからだ。というか、この高校生、人間関係に対しての理解が深すぎるんじゃないだろうか、えらいやつだ。

ちなみに、肝心の八城くんのおひとり様講座の内容については、あまり感銘を受けるものはなかったなあ、うん。なんか時間の潰し方、という感じのものが多くて、一人を楽しむ、という時間の有意義な使い方、という感じではなかったですからねえ。これに関してはお一人様の先人である【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。】(富士見ファンタジア文庫)の春一氏が、まさにお一人様の達人、という感じで独りで過ごす幸せな時間を極めていたので、どうしてもそれに比べてしまって……。
まあでもさ、八城くんのそのお一人様の楽しみ方って……自分それ、独りで楽しんでたんじゃないんじゃね? というアレでしたからね。それら、他の誰かさんから教えてもらって、一緒に堪能してたわけですから、究極的に独り関係ないヤツですもんね。
……見方によっては、華音たちに教えたそれって自分たちのデートコースじゃねえかw

あれ? この八城くんってもしかして、と思ったのはわりと早い段階でしたよ。いや、あからさまになんか怪しかったですからね。八城くんとしては、別に隠し立てもなにもしてなかったのかもしれませんが。
ぶっちゃけ、八城くんのどこがボッチなんだ、と思うところもありまして。クラスで誰かとつるんでなかったらぼっちになるんだろうか。そもそも、やたらコミュ力高いのは結構一目瞭然だった気もするのだけど。
八城くん本人が、自分をぼっち、と規定している、というのもあったのでしょうけれど。これに関しては、彼に限らず登場人物の全員が、ぼっちかリア充かでどちらかじゃないといけないみたいに自分を規定してレッテル貼り付けていた印象もあるんですけどね。
そこまで拘らんでも、と転校生佐藤柚月を巡るトラブルを介して思ったり。八城くんの主張はロジックとしては理解できるんですけどね。柚月も、ぼっちを脱却したいと思っている人種だからこそ誰よりもぼっちとかリア充というレッテルに拘っているところもありましたから。
でも、自分じゃダメなんだ! と、そこまで力強く主張しなくても、と思ったり。
いずれにしても、羽鳥くん、あれは聖人か何かなんだろうか。後のフォローも含めて、対人能力が神なんですけど。

というわけで、真打ちは最後にやってくる、メインヒロインも遅れて最後に姿を表す、ってやつでした。すげえ、いきなりラブラブのラブコメになったぞw
二人の少年少女の甘酸っぱい幾つもの初めてを重ねていく物語。他人とうまくコミュニケーションをとれずに自分の殻に閉じこもっていた少女が、急かさず先走らず同じペースに合わせて寄り添ってくれる初めての男の子に、恋をしてしまうお話でした。
これ見ると、八城くんの懐の深さはまたべらぼうなんですよね。相手のペースに合わせることが難しいし、そもそも人によってペースが違うという事を理解できる人の方が珍しかったりする。この娘、ヌエのそれは時間の流れが違うんじゃないか、というくらいペースが異なっているのに、八城くんはそれを見つけ出すことに成功してるんですよね。
ヌエからしたら、人生で唯一のジャックポットですよ。生涯に一人出会うか否か、というような相手ですよ。そういう相手とこの歳で出会える、というのは幸運であり幸福であり。そして、それをおめおめと逃さないだけの、勇気がこの娘にはちゃんとあったわけだ。
あまりにもベストカップルすぎて、ちょっと他の娘入り込む余地はなさそうですなあ、これ。はい、残念でした華音さん智風さん。まああんまりにもラブラブすぎて、華音たちも割って入る気にもならなくなってしまったようですが。まー、あれだけピュアに一途に恋する少女してたらねえw
というわけで、裏章の甘酸っぱさにはちょっとアテられてしまうほど、遅れてきた真打ちは強力でした。
メインヒロイン、てのは別に最初から出てりゃイイってもんじゃないんだなあ。



TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(上)~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★☆   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(上)~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

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ちょっとしたお遣いのはずが不死者ひしめく迷宮に挑む羽目になり、なんとか攻略したデータマンチ転生者エーリヒ。
彼は共に命を懸けた友であるミカと療養後、ヤバすぎる戦利品やお遣いの品を手に帝都へと帰還を果たす。
そして魔導師(マギア)アグリッピナから破格の報酬を得るのだが、そのアグリッピナが出掛けたまま行方知らずに!
エーリヒは彼女を心配して捜索を――なんて気は全く無く、兵演棋(ボードゲーム)の駒を売る小遣い稼ぎに精を出すのだった。
そこで知り合った僧の少女とささやかな友情を育むが、その縁から今回もトラブルに……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、第4幕が開演!


ウェブ版既読……のはずだったんですが、一度読んだはずだったのですが……。
なんか全然別物なんですけど!?
あれぇ、なんかこの辺ってこんな展開だったっけ? このキャラここに登場してたっけ? なんか初めて読んだ話みたいだなあ!? というのが、冒頭から巻末までずーーーっと続くんですよ。
延々とあれぇ?と首かしげてたら終わっちゃったよ!!
これ実質全面改稿じゃないですかー!! わはーー!!

いやそりゃ、こんだけ丁寧に丁寧に上塗りしてたら嵩も増えますよ。上下巻構成になって、さらにページ数やばいことになりますよ。めっちゃ厚い割にサクサクと読めてしまうあたり、ほんと自分的に好みのどストライク入っているのがよくわかるのですが。
キャラの掘り下げもさらに進んでいて、特にミカのキャラクターなんか非常に深く掘り下げてるんですよね。ミカが女性体になった時の美少女っぷりってそんなねっとり丹念に描いてなかったと思うんですけど!? それだけエーリヒが意識してしまうほど、ミカの超絶美少女っぷりが浮き彫りになってるんですよね。同時に、時期によって性別が変わってしまうミカの、そのメンタリティの変化についても非常に丹念に描いているので、彼の…彼女の? ミカの女性体の時のあざとさというか仕草のキュートさがこれでもかと描かれてて、凄く印象に焼き付くことに。そんでもって、男性体や中性体の時の様子も余計に引き立つことになってるんですよね。
正直、ウェブ版のときよりもだいぶミカの印象強くなったんじゃないだろうか。出番も凄く増えてますよね!?
これだけ女っ気を強く発しながら「我が友」とぴったりと寄り添ってくるの、ちょっと凶悪すぎやしませんかね!? 性別の変化に伴って精神性や様子が変わりながらも、この親友というスタンスは変わらない、というのが余計にエーリヒとミカの距離感をおかしくしてしまっているような気がする。
当人たちの間ではその辺無意識であんまり自覚ないみたいなんですけどね。他者から見るとなんかすげえ関係だな、と見て取られるのは後々また語られるところなのですけど。

さて、なにはともあれTRPGの華である都市探索シティアドベンチャーである。in帝都!
その帝都がどういう都市なのか、三重帝国というこの国がどのように成り立ち、今に至り、どんな支配者たちがこの国を動かしているのか、というのが現皇帝の登場とともに描かれる。
てか、あの三巨頭揃いぶみのぶっちゃけ話は結構好きなんですよね。意外と、この物語に登場する権力者たちって、権力そのものにあんまり興味ないどころか、他人にぶん投げたくて仕方ない、他に自分のやりたいこと持ってる抱え込んでる頭のヤベえ趣味人、というのが面白いんですよね。
それでいて、尋常ならざる政治家であり謀略家であり政略家でもあるという皮肉。アグリッピナ師だって、あれだけ責任から逃げ回っておきながらこの人稀代の政治力の怪物だったりするんですよね。まあ、この国そういうのの巣窟だったりするのですけど。
アグリッピナ師をして、ギャフンと言わされいいように振り回されるようなヤベえのが上にいるんだよなあ。そのアグリッピナ師がどれだけヤベえかについて、エーリヒが散々これでもかと痛い目を見つつ言及した上で、そのアグリッピナ師受難の時を描くとか、恐ろしや、である。
何より、この人ら最終的に自分だけがその枷から逃れて、誰かにそういうしち面倒くっさいの押し付けて、自由にやりたいことやり倒すぞー!というのが目的だったりするので、たちが悪いなんてもんじゃないんですよね。見事なまでの政略謀略をやり尽くしての権力の押し付け合いw
まあその流れ矢がなぜかピンポイントでエーリヒのところに飛んでくるんですけどね。どこにいてもなにやってても、ピンポイントで彼のところに飛んでくる不思議。

そもそも、いい年した大人共の大人気ない押し付け合いのとばっちりにして被害者であるところのツェツィーリアさんとエーリヒの間には本来縁らしい縁なんてなかったはずなのにね。
それが、エーリヒが小遣い稼ぎのためにやってた兵演棋というこの世界のチェスか将棋みたいなボードゲームの駒(自作)売りと、営業を兼ねた兵演棋の辻勝負の常連客、というだけの縁だった訳ですから。
ただ常連というだけあって、兵演棋の勝負、指し合いを通じた濃密な会話を何日も何日も続けていた、という意味合いもあるだけに、運命と言えば運命的ではあるんですよね。
出会いのきっかけ、縁のはじまり、としては。

ってか、ツェツィーリアさんってこのシリーズにおいての貴重な「お姫様」枠ヒロインですからねえ。幼馴染枠のマルギット、親友という女友達枠のミカ、妹枠のエリザ、そしてお姫様枠のツェツィーリア……って、こういう枠でくくると意外と王道路線なヒロイン構成だっりするんですね、この作品。
まあ、一人として普通の人類がいないという時点でオーソドックスなんて欠片も見当たらないとも言えるのですがw
いや個人的にツェツィーリアは、一番立場的に色々とお互いハードルが高い分、期待も募っちゃう相手なんですよ。
アグリッピナ師? あの人は……うん、なんかもうクリティカルかファンブルかわっかんねーわ。


というわけで、ついに本格的なシティアドベンチャーの開幕。混在した街の中を敵と味方で走り回る、というのはTRPGの肝にして味噌ですよねえ。そんでもって、地下通路はやはり王道なわけで。
その上で、ちゃんと地下通路の出来た理由やら今現在、どのように地下が使われているのか、なんかが帝国の歴史から社会情勢、インフラにまで言及が及ぶ辺りで世界の設定の濃密さがこれでもかと味わえるのであります。
もうどこ齧ってもどこ舐めても濃厚な味わいを堪能できる設定で敷き詰められた作品ですわー。めっちゃ楽しい。

ヘンダーソンスケール2.0。つまり、今回のIFとなる未来の話は。
生命礼賛主義者……つまりロリコンにしてショタコンという筋金入りの幽霊であるライゼニッツ卿に、エーリヒが貰われてしまった世界線のお話。ガチでピナ師に売り払われる未来も可能性としてあったのかw
ライゼニッツ卿、この巻の前半あたりで貴族階級の金銭感覚は隔絶している、という話題の中でそんな金銭感覚おかしい連中をぶっちぎりで置き去りにした金額を、エーリヒとエリザに着せる衣装代に注ぎ込んでる、という話で思わず笑ってしまったんだけど、ほんとこの人はほんとにもう、どうしたものか。
でも、そんなライゼニッツ卿との未来の話で、ショタを維持するどころではなく、老いた側仕えとして老人として、ずっとライゼニッツ卿の傍に侍っている老エーリヒを敢えて描いてみせるの、なんかいいですわー。
エーリヒもまた、すんげえカッコいい年のとり方してるんですよね。そして、そんな趣味趣向の範疇から遠くハズレてしまったはずのエーリヒを、ついに晩年まで傍から離さず寄り添わせ続けたライゼニッツ卿の、どこか無邪気な姿に感慨を覚えるわけです。
これはこれでイイ世界線だったなあ。好き。






俺は星間国家の悪徳領主! 1 ★★★   



【俺は星間国家の悪徳領主! 1】  三嶋与夢/高峰ナダレ オーバーラップ文庫

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好き勝手に生きてやる!
なのに、なんで領民たち(あいつら)感謝してんの!?

星間国家アルグランド帝国――その辺境惑星を治める伯爵家に生まれ、幼くして当主となった転生者リアム。
彼は善良さ故に奪われ続けた前世の反省から、今度は奪う側である「悪徳領主」となって民を虐げようとするのだが――
「こんなの搾り取ろうにも、搾りかすも出ねーよ!!」
受け継いだ領地はこれ以上虐げようのない荒れ果てっぷりだった!
虐げても大丈夫なようにと、まずは領地を繁栄させていくリアム。
それでもできるだけ悪徳領主らしく振る舞うのだが、何故か民からの好感度は上がりっぱなしで……!?
悪徳領主を目指してるのに名君と崇められちゃう勘違い領地経営譚、開幕!!

他人を省みることなく、自分の思う通り好き勝手に生きる。と言われると、まあ眉をひそめてしまいますよね。そんな生き方をしてるやつなんて、ろくな人間じゃないという風に思ってしまう。
ただ、この好き勝手に生きる、というのが意外とポイントだったりする。どんな風に振る舞うことが、その人にとって快感なのか、不快なのか。気持ちよく痛快に感じるのか、居心地悪くどうにも満足に思えない事なのか。
人それぞれなんですよね。
とある悪魔。案内人を名乗る謎の男によって、星間国家の伯爵家の嫡男に生まれ変わらせてもらったリアム。さても彼は、自分の前世を悪意をもって踏み躙った犯人が案内人である事を知らず、また生まれ変わった先でも不幸を撒き散らし自身も不幸になる事を期待され、悪徳に興じて生きるように誘導された哀れな犠牲者、であるはずだった。
のだけれど、リアムという男はもう根っからの小市民なのである。そもそも、悪徳領主のイメージからして、時代劇の悪代官とかその程度の代物しか想像できない。かつて前世で様々な相手からあれだけ搾取され続けたにも関わらず、今度は自分が奪う側に回ってやる、と決意しているにも関わらず、自分から奪った連中を真似したりしよう、という発想がそもそもないんですよね。
だから、本物の悪徳、邪悪に比べるととてもじゃないけれど悪行らしい悪行が出来ないのである。そもそも、領民たちから搾取するために、まずは領地を発展させようという発想からして、悪徳領主としてはおかしい。
本物の悪徳領主なら、領主を継いだ際にどれだけ領地が荒廃し領民達が酷い暮らしをしていても、気にせずさらに搾り取ろうとしていたでしょうしね。
小市民であるがゆえに、根が善良であるが故に、どれだけ好き勝手振る舞うにしても、人でなしとしての振る舞い自体が居心地悪いし不快に感じてしまうのだ。好き勝手生きているのに、しんどい思いをしたり気分悪くなったり面白くないのに我慢し続ける、という状態になってしまうのは本末転倒ですもんね。
なので、リアムが好き放題やりたい放題することが、そのまま領地の発展に繋がり皆の幸せに繋がっていく、というのもまあ必然なのかもしれません。
本人は大いに悪行を成し、悪徳領主として皆を苦しめ高笑いしているつもりなのが、滑稽といえば滑稽なのですが。
なまじ舞台が星間国家というやたらスケール大きい世界観なのも影響しているのでしょう。中近世のファンタジー世界と違って、技術力や文明文化の未発達によって不便を強いられる事が一切ないのもあってか、星間貴族たちの放蕩っぷりは小市民では想像すらできない規模になっているので、リアムの想像力ではどれだけ贅沢しても、この世界の一般常識からすると非常に慎ましく質実剛健に見えてしまうんですよね。不必要な贅沢や意味不明な浪費は、ストレスや不愉快に感じてしまうというリアムの性質もまあ、大いに影響しているのでしょうが。
リアム本人としては、満足そうだからいいんじゃないでしょうか。実際、彼としては人の意見は聞かずに自分の意見をゴリ押ししてやりたい放題やってるつもりですし、決して他人を慮ったりもしていませんし、優しさとか情愛、慈しみの心なんて持っているつもりもないし、それを他人に与えているつもりもないのですから。彼からしたら、ちゃんと他人は利用しているし搾取しているし踏み躙っているつもりなのである。立派に悪徳領主をしているつもりなんですよね。
善意にほだされているわけではないんだよなあ。

全体としては、個々のエピソードを深く掘り下げていくでもなく、さらっと流すようにサクサクと描いていくので、スピーディーではあるのですがじっくり味わうタイプではないのでしょう。個々の登場人物についてもスポットがあたるわけでもなく、モブキャラに至っては名前すらなくリアムの言動や実績に対して、リアクションするだけの単位に過ぎないので、ほとんど印象にも残りませんでした。
まあ案内人が本来の思惑と逆なことになってどんどん酷い目にあっていくのは、実にざまぁな感じになっていて善き哉という風情でしたが。



死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI ★★★☆   



【死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI】  彩峰舞人/ シエラ オーバーラップ文庫

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最強(オリビア)vs 最強(フェリックス)

王国の命運を賭した、帝国に対する決死の反攻計画“暁の連獅子作戦"がついに発動する。
第二軍のブラッドを総大将とし、オリビア率いる第八軍、さらには同盟を結ぶメキア神国軍からなる王国第二連合軍は、帝都オルステッドに向けて進軍を開始。
虚を突いた作戦は功を奏し、目標とする帝都は目前に迫っていた。
しかし、帝国最強と謳われる“蒼の騎士団"を前に、戦況は刻一刻と敗北へと傾いていく……。
起死回生の一手として、“死神"オリビアは少数精鋭による玉砕覚悟の強襲作戦に臨む。
立ちはだかるは、帝国最強の将・フェリックス。
最強同士が激突する最終決戦の幕が上がる――!

唐突に死神ゼットと少女オリビアが初めて巡り合う回想が挟まれて戸惑ってしまった。オリビアって、赤ん坊の頃にゼットに拾われて今まで育てられたんじゃなかったんだっけ?
と、思っていたらその少女オリビアは長じてとある男性と結婚し、一人の赤ん坊を産んじゃうんですよ。そう、この物語の主人公であるオリビアは、本来「オリビア」という名前じゃなく、その母親こそがオリビア・ヴァレッドストームだったのである。
紆余曲折あり、赤ん坊は人の立ち入らぬ森の奥深くで父親と思しき亡骸の横で生き残っていたのをゼットが拾い育て、今に至るわけですけれど。
ゼットとオリビアの母にこんな交流があったと知ってしまうと、ゼットが赤子の素性を知っていたかはわからないけれど、その子に「オリビア」の名前を与えて育てたという事実には意味深なものを感じてしまうんですよね。
その天真爛漫さで死神を恐れる事なく彼に多くの示唆を与え、人ならざるその身に今までにない「心」を宿すきっかけになった人間の少女。その娘の事をゼットはどのように思っていたのか。想っていたのか。
オリビアの名前には思いの外「情念」が込められているように見えるんですよね。

しかし、そんな手ずから育てた少女を置いて、ゼットは消えてしまう。未だ彼が何を思ってオリビアのもとを去ったのかはわからないが、ゼットを追い人間の世界に飛び出したオリビアはそこでゼット以外の大切な人たちと出会うことになる。
ただ成り行きで戦争に加わったオリビアが、明確に戦う理由を得たのはそうした友達を得たからだ。
果たして、ゼットはオリビアを人の世界に戻したかったのか。だが、戦争の渦中で得た友誼は、親愛は、同じ戦争によって奪われ失われることになる。
オリビア・ヴァレッドストームはまだその冷酷な現実を知らない無垢なる乙女だ。本当に大切なものを失った時、純真無垢なる彼女の心はどうなってしまうのか。それを目の当たりにするであろう時間が刻々と迫ってきている。彼女にそれを強いる、驚愕の急展開だった。ヒロイン、お前なのかよ!

いやでも、結構急展開続きなんですよね。これまで伏せられていたオリビアの出自、両親の存在が明らかにされ、深淵人と阿修羅と呼ばれる一族との因縁がオリビアにどう繋がっているのかもわかったのですけれど……ぶっちゃけ、オリビアからすれば眼中にない、まま変わってはいないんですけどね。
オリビア率いる第八軍とフェリックス率いる蒼の騎士団との激突は、お互い各々の国の真打ち同士ということで激闘が続く。正直ローゼマリーとの再戦も飛ばして神国メキアの援軍もよそに回して、フェリックスとの対決に突入したのは急だな、とは感じたんですよね。
それ以上に、フェリックスと直接対決に入ったところであの展開は、巻き入ったんじゃないかと思っても仕方ないんじゃないかと。いや、もうちょっと我慢しなさいよ、せめて決着つくまでは。なんでそんな乱入みたいな形で宣言してしまうのか。流石にこれでフェリックスとの決着が流されてしまったのは消化不良ですよ?
蒼の騎士団との戦いも、これまでと違ってあんまりパッとしないイメージが湧きにくい描写で、アシュトン頑張っていたのはわかるんですけど、オリビアの活躍の余地があんまりなかったのもなあ。それだけ、蒼の騎士団がオリビアを封じ込めていた、ということでもあるのでしょうけれど。
オリビアとアシュトン、せっかく二人が同格の作戦能力を持つだけに、一人のフェリックスに対して二人という強みを生かして、というのをちょっと期待していたのですが。

急展開の衝撃的なラストから、さらに次で完結という予告が入って、ここから一気に話終わっちゃうの? と、虚を突かれております。このままだとメキアの人たちあんまり話に入ってこれないんじゃないだろうか。
てっきり、アシュトンとクラウディアはカップリング既定路線かとも思っていたのですが、アシュトンの方はオリビア一途だったのかもしかして。


信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王 ★★★☆   



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王】  大崎アイル/Tam-U オーバーラップ文庫

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未知なる同盟を結ぶべく――災い滾る火の国へ!

エルフの里にて魔王復活を阻止した高月マコト。
依然として勢力を拡大する魔王軍に対抗すべく、マコトは同盟を求めて軍事国家・火の国へ向かうことに。
しかし到着早々、“最強"と謳われる火の国の勇者から強襲を受け!?
さらに、マコトはかつてのクラスメイトが火の国に奴隷として囚われているとの噂を耳にする。
真相究明に乗り出す中、蛇の教団は王都の地下神殿で王都破滅計画を始動。
水の精霊が全く居ない火の国で、マコトは劣勢に立たされるが――!?
「いつぶりかしらね、地上に来るのは」
――突如降臨した女神ノアの奇蹟により、事態は急転し……?
女神と少年の異世界攻略ファンタジー、第7巻!

マコちゃん、修行は12時間が基本ってアホだろう。これ平常運転でやってるもんなあ。
こうしてみると、ストッパー役になっているのがフリアエだけなんですよね。アヤもルーシーもマコちゃんだからー、でスルーしてしまうしソフィア姫はそこまで強く言えないので、自然とフリアエが保護者役になっている気がする。フリアエの騎士なのに、むしろマコトの方が面倒見てもらっている気がするんですけどー!?
さても、次の舞台は火の国なんである。そんな火の国とか水の精霊居るのー? 居ませんでした。さっぱり居ませんでした。必然、役立たずになるマコちゃん。この勇者、相変わらず振れ幅が激しいどころじゃないなあ。やる時は人類の範疇をぽんぽんはみ出さない!とお説教したくなるほどひょいひょいと意味不明なレベルのことをしでかすのに、出来ない時はさっぱり何も出来ないですからねえ。水の精霊を中心にまわりの力を借りることで力を発揮するタイプのマコトは、それが出来なくなった場合本当に無力になってしまう。ただ、マコちゃん本人はそこまで気にしていないというか割り切っているというか、出来ない時は出来ないんだから仕方ないよねー、というこのフラットさ。
でも仕方ない仕方ない、と言いつつ、こっそり何とかしてしまえるようなヤバい工夫を頭の中で常に練っているあたり、頭おかしいんだよなあ。その原動力に、無力が悔しいとかもどかしい、というネガティブな感情を抱いてそれを反発力にしている、という風ではないんですよね。本当に、ただただ出来たら便利だよねー、という程度のことで自滅しかねない危険領域に躊躇なく足踏み入れるんですから。女神さま方、ノア様もエイル様もドン引きしてるじゃないですかw
いきなりやらかさずに、ちゃんと事前にこれ大丈夫ですかねー?と相談するあたり妙に良識的な側面を有しているのが、むしろこう……社会性のあるヤベえやつ、みたいになってる原因じゃないだろうか。
さて、火の国でのご当地勇者とのトラブルは、降り掛かってくる熱量に対してどうしても平常運転で流してしまうマコトじゃなく、わりと受けて立つぜー、みたいなところがあるアヤさんが請け負うことに。アヤもルーシーほど熱くなる短気なタイプじゃないはずなんだけど、この子はこの子でゲーマーはゲーマーでも格ゲーとかアクションゲーの方の対戦で熱くなるタイプのようなので、火の国の勇者の煽りには、がっちり噛み合った感がありますなー。
しかし、ここでアヤが一気に強化、となるとは思いませんでしたけど。そういえば前回はルーシーの強化回にあたるんだったか。あんまり意識していなかったけど。
というわけで、これまで割と放置されていたアヤちゃんの個別強化で一気にレベルアップ。これ、人型だからわからないけど、本性のラミアクイーンの正体表したらその辺のダンジョンボスどころじゃないとてつもないモンスター登場、みたいな事になるんじゃないのかしら。
いや、ちょっと思っていたよりも軽く三桁くらい段違いで強くなっちゃってるんですけど、アヤさんたら。それ、そのスキルってアクションゲームならともかく、現実でやっていいんかい!?って領域のスキルだと思うんですけど!?
一応、この大会の一件で、アヤも勇者認定受けたことになるんですよね。これ、名実ともに桜井くんとマコトとアヤで勇者スリートップになったんじゃないだろうか。アヤちゃんもうこれ、物理最強と言っても過言じゃないでしょ!?

ラストはやっぱり一番頭おかしいのはマコトだよね、という絵面からしてスケールが段違いな光景が現出してしまったわけですが。あ、よっこいしょ、って感じでそっと脇に置き、で済ましていいもんじゃないでしょ、それ!?
あらすじでもあがっていた、奴隷になっていたという元クラスメイトのケイコ。彼女についてはマコトも手を貸そうとしたけれど、実質彼女の幼馴染だったふじやんが自力で解決して助け出しちゃってるんですよね。ほんと、ふじやんはマコちゃんと別のベクトルで主人公やってるよなあ。
ケイコちゃん、諦めなければまだチャンスあると思うぞ。甲斐性に関してはマコトよりも或いは桜井くんよりもふじやんが一番ありそうだしねえ。


現実主義勇者の王国再建記将 ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記将検曄,匹爾Υ檗薪澆罎 オーバーラップ文庫

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九頭龍諸島を脅かす巨大不明生物を討伐したソーマ。
王国民はソーマの活躍を大いに称えるが、世界はさらなる快挙に沸いていた。
魔王領、一部奪還――東方諸国連合の小国・マルムキタン王フウガが挙げた大戦果である。
東方諸国連合内で急速に勢力を拡大していくフウガ。
これに危機感を抱いた反フウガ派による“フウガ暗殺未遂事件"を発端として、東方諸国連合は各国入り乱れての大規模な戦に突入し……!?
――この争乱の果てに、世界は新たなステージへ移行する。
革新的な異世界内政ファンタジー、第14巻!

さすがに主人公サイドじゃないだけに、フウガの躍進を何巻もかけてはやらないか。
というわけで、この1巻で一気にフウガが東方諸国を統一することに。本来なら小国が乱立していて利害関係も複雑に入り組んでいるだろう地域の統一は時間が掛かるものなんですけどね。さらに、チマ公のように係累を各国に送り込んだり婚姻政策も各国同士で結ばれているだろうから、なかなか勢力が纏まることなく統一するとなると虱潰しの様相を呈してしまうのだけれど。
ここでポイントとなったのは東方諸国連合が魔王領と隣接し魔物の脅威を常に受けている地域ということなんでしょうね。利害関係の存在しない人類種にとっての明確な敵が外に存在して、それに対抗しえる英雄の出現は指導者層を除いたその地域全体の希望と期待を一身に背負う存在となったわけだ。それでも、反フウガ派なんてものが確立され、勢力として集合してしまったことが本来複雑化してチマチマと絡まった糸を解くようにしていかないと行けない対立構図を一気に簡略化単純化してしまった事が、統一事業に拍車をかけたのである。
面白いことに、これに関しては反フウガ派の取りまとめを行ったチマ公の想定外ではなく、むしろ彼の意図した所であったのではないか、という節があるんですよね。
これまでのチマ公国の外交政策を維持するために、東方諸国連合の情勢を根底からひっくり返してしまう可能性が非常に高くなっていたフウガを早い内に排除する、という目的は嘘ではなかったのだろうけれど、もしフウガの統一事業を阻止できない場合は下手に地域に戦乱が続いて東方が荒れるよりも、一気に統一が成された方が東方全体としても、チマ家としても良いという判断があったんじゃないかと思われるのである。そのために、反フウガ勢力を糾合したとも取れるんですよね。勝っても負けても、チマ公の想定通りだったのだろう。後継者であるハシムがすでに最初からフウガと繋がっていたのを、彼が見抜けていなかったとも思えないので、チマ公マシューはある意味この戦乱を掌中に収めきっていたと言えるのではないだろうか。
敗れてなお、謀将としての凄味をより知らしめた傑物でありました。むしろ、この人がフウガ陣営の大参謀となってなくて良かったよ、と安堵するくらい。
まあ子供達からの人望があれだけなかった事からも、人徳はなかったんだろうけどなあ。
その意味では、長男のハシムも思いっきりその路線を継承してしまっているとも言えるのだけれど。才はあれど、やり方が陰惨で人から好かれるタチではないわなあ、あれは。
だからこそ、自分が王となるのではなく、参謀として政治や軍事のくらい部分を差配する立場に立つことを、仰ぐべき主君を得ることでこそ羽ばたける、という思いだったのかもしれないけれど。
ただほんと、このハシムってオーベルシュタインなんですよね。ある種のギラギラした自分の才能を発揮したいという欲を持っている分システムに徹したオーベルシュタインよりよろしくないかもしれない。
彼の提案した策は、フウガの統一事業を加速させた上で一気に安定させたかもしれないけれど、やっぱりフウガの英雄としての名望に曇りを与えたことは間違いないと思うんですよね。やったのはハシムかもしれないけれど、それはどうしたってフウガの成した事として認識されてしまう。
今のフウガの躍進が、時代の流れと民からの期待に後押しされたもので、実態以上に勢いによる加算が成されている以上、逆にその勢いが衰えた時に押し寄せてくるネガティブ、しっぺ返しは考えなくちゃいけないだろう。
ハシムが主導したかなり強引で陰惨な勢力としての整理整頓は、現状を勢い任せにしない地固めのため。実態を確かなものにするため。いざというとき踏ん張れるだけの土台、基礎を急いで固めるため、という目的は明らかなだけに、間違いではないんだろうけど。
どうしたってフウガに対しての恨みつらみは買ってしまっているし、今はもてはやしている民草も、いざ風向きが変われば見ないふりをしていたこれらの外道なやり口を唐突に思い出すことになるでしょう。
それに、ソーマたちはハシムの策を丸呑みしているフウガを、本来の自分の好みと違うやり方だろうと必要なら受け入れる器を示した、と濁を呑んだと評価しているけれど、ハシムが臣下に下って以降彼の策が全部実行されていて、なんだかフウガの主導が見えなくなっちゃってる感があるんですよね。呑むべきは呑み、拒否するものは決然と拒否する姿勢が見えていたら、ハシムを使っている感があったのですが。ハシム自身はちゃんと臣下として働いているのはわかるのですけれど、フウガという英雄の色が見えなくなってしまったなあ、というガッカリ感があったのも確か。
これ、昔からフウガに付き従っている古参の部下たちはどう考えているのでしょうね。彼らの趣向もまた、フウガと同じようなものだったでしょうし。顔をしかめるような卑怯な闇討ちやパワハラからの追放なんかを見せられ、協力しないなら危険だから処分するみたいな今までのフウガとは全然違うやり方を目の当たりにさせられて。
それを諸共しないのが、フウガのカリスマなんでしょうけれど。

しかし、東方諸国連合に所属しているユリウスたちはこれどうなるのかと思ったら、直球でソーマのところに亡命してきてユリウスが臣下に下るというのはさすがに予想外だった。いや、確かに現状現場で軍全体を統率する大将軍クラスってフリードニア王国にはちゃんと居なかったよなあ。
それができるライオン丸は今や影働きですし、これは良い貰い物だったんじゃないだろうか。ハクヤと共に政軍の二本柱が出来たということだし。


駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。1 ★★★★☆   



【駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。1】  書店ゾンビ/ユズハ オーバーラップ文庫

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面倒な家事も、些細なイベントも、女子大生と女子高生が一緒だとちょっと楽しい。

「泊めてくれたっていいじゃん。そっちのエッチな人も泊まるんでしょ? 」
「ええっ! あっ、その、私は……エッチな人では……」
谷川陽史26歳、黙々と激務をこなす独身リーマン。
ひょんなことから幼なじみの女子大生・詩織を自宅で預かることになったのだが、とある行き違いで女子高生・彩乃も転がり込んできて――。
「お風呂、先にしますか? それとも、お食事に……」
「あたしが寝付くまででいいからさ、添い寝してくんない? 」
そして始まった奇妙な同居生活。
それは、想像以上に楽しくて、刺激的で……?
サラリーマンとJD、JK。
そんな3人が1DKから始める、ホームラブコメディ。

息が詰まる、一緒に居ると気が休まらない。そんな窮屈な人間関係は家族間にだって存在する。でも、彩乃の家族はそんな窮屈という範疇にも留まらないものだったのだろう。
彼女の家の事情は詳しくは語られない。彼女がそれについては触れようとしない。ただ断片的に漏れ聞こえる様子を見れば、彼女が家族と同じ空間に存在することすら耐えられなかっただろう事が伺える。夜は街を徘徊して時間を潰し、学校で寝ることで辛うじて体を休める。そんな破綻した生活はあっさりと限界を迎えていた。肉体的にも精神的にも摩耗していた彼女は定期を落とした若いサラリーマンに声をかけたことで。正確には、定期に記されていた名前を呼んだことで、彼女の運命は変転する。
丁度、田舎から出てくる十何年ぶりかに会う幼馴染。と言っても一回りも年齢が違う年の差があり、幼い頃に毎日遊びに来ていたものの長らく顔も見ていなかった女性だ。母親からの依頼で、大学進学のために上京してきたものの、住む所が見つからずにしばらく一緒に住まわせてあげて欲しい、という話を了承し、その彼女・詩織と会うのがその日だったのだ。
たまさか自分の名前を呼んで声をかけてきた彩乃を、件の幼馴染と勘違いした結果、彼・陽史は家まで連れ帰ってしまう。預かった合鍵を使って部屋で待っていた詩織とばったり鉢合わせるまでがプロローグである。
かくの如く、この三人には深いつながりなどなにもない。詩織と陽史は幼馴染ではあるけれど、随分と年の差もあり、詩織が大きくなるにつれて疎遠になってしまいこれが久々の再会だった。彩乃に至っては二人と面識すらなかった。

でも、この三人が家族になるのに、時間なんて殆ど必要なかったのだ。
共同生活をはじめたこの三人の間に流れる時間は、読んでいるこっちまでリラックスしてしまいそうになるほど穏やかで、心地いい。自然体で気負わずあるがままに。
家主である陽史が、いい意味で大雑把であるのがいいのだろう。飛び入りで居候させてもらうことになった彩乃も、必要以上に気を使わずかしこまらず、ようやく呼吸できる場所を得たように陽史と詩織の横でゴロゴロとくつろいでいる。
気配りは、詩織の担当だ。おっとりとした物静かそうな彼女は、細かい所に気が付き世話好きで彩乃の不調に気が付き、彼女を泊めてあげられないかと陽史に頼んだのも彼女だった。
世代も性別も趣味も性格も違う三人は、だけれどまるで凹凸を埋め合うように収まるところに収まって、日々を過ごしていく。朝起きて、ご飯を食べて、それぞれ仕事や学校に向かい、帰りに買い物なんかして、休みの日には一緒に遊んだりして。それぞれに好きな事を教え合ったり、教えてもらったり。二人がゴロゴロしている横で、残る一人が干した布団を叩いていたり、なんて光景が十年前からずっと繰り返してきたかのように、流れていく。
一つ一つのエピソードは派手でもなんでもない。本当にただの日常の一コマだ。どこでも見かけるような風景だ。騒がしかったり、逆に誰も喋らず静かだったり。そのどちらでも、そこに窮屈な空気はない。穏やかに流れる時間は、息が詰まることがない。
当たり前に息が吸える。ただいま、いってきますを自然に口にできる。じんわりと、今幸せだなあ、なんか楽しいなあ、と染み入る空気がたゆたっている。

こうしたじわりと染み込んでくるような生活感を描き出すのは、派手ではないからこそ難しいでしょう。空気感、流れる時間の速さというものをこんなに穏やかに、心地よく描き出すのは、ただドタバタとラブコメさせているだけでは決して引き出せない、絶妙さなんですよね。

この手の同居モノも増えてきましたけれど、本作の空気感はそれらの中でも自分の好みとしては頭一つ二つ図抜けている、と思わせてくれる自然なリラクゼーションの粋でした。
そして、そんな穏やかな時間の積み重ねだからこそ、ふわりふわりと「好き」が降り積もっていくのも伝わってくるのである。今が幸せだからこそ、それを壊したくない、ずっとこのままで居たいと思いながら、幸せだからこそ好きが降り積もっていく。それはもう、溶けない雪だ。
姉のような詩織と、妹のような彩乃。他人だった女二人が、家族同然、姉妹同然になっていき、お互いがかけがえのないモノになっていく、これ以上なく大切な存在になっていってしまうことが、より三人の関係を複雑に、離れがたいものにしていってしまう。
幸せに満ちてしまったからこその想いの決壊、行き着く先の切なさが、ラブストーリーとしての速度を早めていく。果たして、三人の今が続くことを願いながらその先をも望んでしまった矛盾の結果がどうなるのか。不安と期待に、心拍数があがってしまいます。

ほんと、素晴らしい一作でした。ちょっともう大好きかもしらん!


星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか? ★★★☆   



【星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか?】  六海刻羽/ゆさの オーバーラップ文庫

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魔導の極致に至る、主人公(ヒーロー)を綴る物語。

魔導書作家――魔法使いの極致で、世界にほんの一握りしかいない存在。
世界最高峰の魔法使い教育機関とされるソラナカルタ魔法学校に籍を置く上級生の少年・ヨヨ。
魔法学校の地下空間に広がる工房迷宮でヨヨが出会ったのは、夢を抱く新入生の少女・ルナだった。
「わたし、魔導書作家になりたいんです! 」
あまりにも非現実的な夢を、当然のように口にするルナの瞳は輝いていた。
目的を見失っていたヨヨには、より一層そう見えた。空っぽの少年・ヨヨと、夢を追う少女・ルナ。
二人の魔導書を巡る物語が、今幕を開ける――。

輝きが力を喪って光が消えていく時、その輝きに魅せられていた者はどうなってしまうのか。
一人の少女の眩しいくらいの輝きに魅せられてしまった少年は、彼女に憧れ追いかけその夢を全力で応援することにした。それが彼にとっての魔法使いの生き様だったのだ。
でも、その彼女の輝きが失墜してしまったとき。彼女が挫折して夢打ち砕かれ去っていったとき、彼は諸共折れてしまった。彼女の夢を応援し支えその輝きに寄り添うつもりだった彼はただ一人そこに置き去りにされてしまった。
これは熱によって駆動する物語だ。勢いによって加速し、夢見る人の熱量によってパワーを得て、その夢を後押しする周りの人たちの声援によって走り出す、そんな輝きの物語だ。
だからすごく熱いし、キャラクターたちはキラキラと輝いていく。力尽きて落ちて行く姿すら流星のように美しい。
第一巻だからだろうか、物語の起承転結は最初から最後まで全力疾走で駆け抜けるようだった。メインヒロインのルナの魔導書作家という夢にかける想いは、さながら雪崩落ちる瀑布のようだ。彼女に関しては本当に留まるところを知らない。諦めることができない。書くことへの衝動は本能的なもので、前向きな気持ちに留まらず悔しさや怒りですら書くことへと変換される。書かずには居られない、トビッキリの本物の作家だ。彼女自身は物語の主人公を見出しその姿を追いかけ書き留める存在だと自認しているけれど、ある意味主人公以上に輝いている。
肝心の主人公のヨヨの方は、いわば月だ。他者の輝きに照らされて彼自身が輝いていく。流星であり星の示す運命を体現する魔法使いである彼は、その実彼独りでは輝けない。空っぽ、という自認はある意味間違っていないのだろう。しかし、その空っぽの器を満たす輝きが差し込めば、誰よりも光り輝くという意味ではやはり主人公なのだ。
その意味では、ベルベットの見立ては完璧なまでに当てはまっていたのだろう。この物語の監督はまさしくこの死霊魔術師であったと言える。
願えば叶う、世界の在り方すらその想いの強さでねじ伏せる、そんな魔法の在り方は幻想的で力強い夢想にあふれている。しかし、そんな魔法を使う魔法使いを生み出す学園の在り方は残酷なまでに容赦がない。篩を掛けて余分を排していき、無為を脱落させ、魔法を極めるために必要不可欠な狂気を孕むためのシステムを体現している。このソラナカルタという学校で年度を生き残り学年をあげていく、という事はそれだけ人から逸脱していくということだ。その情熱に狂っていくということだ。
その濃厚な世界観には酩酊すら覚える。実に味わい深い舞台であり、そこで踊る登場人物たちは熱く激しく生き急いでいて、それ故に魅力的だ。
面白い。

しかし問題もあって、あまりにも急ぎ足で駆け抜けているために、物語としての貯めの部分がスコーンと抜けている感覚があるんですよね。実際、自分は丸々一章分抜けてるんじゃないかと思ったくらい。ちょうど真ん中、充実していた前半からいきなり真ん中がストンと抜けたように、ヨヨが折れちゃうんですよね。そして、唐突に復活してしまう。
彼自身の葛藤、苦しみ悩みは、彼自身の口で語られていて、自分自身の中の矛盾、支離滅裂な言動への嫌悪など思考の行程の筋道はちゃんと順番に立っているのだけれど、ちょっとそのあたりの表現が急ぎ足すぎたんじゃないだろうか、と思うんですよね。
ヨヨとルナの交流パートも、ルナの親友のエヴァとのパートも含めてもう一幕必要だったんじゃないだろうか。再会からそのままダンジョン探索に出て、そこからいきなりヨヨのトラウマ再発、でしたからね。コミュパートがやっぱりもの足りない、必要分が抜けてるよ。
終盤、ルナの絶対に諦めない輝きの強さもヨヨ復活からのドライブ感たっぷりのクライマックスパートの盛り上がりも、非常に充実して密度も濃くスピーディーだっただけに、やはり真ん中の抜け落ち感がどうしても気になってしまったんですよね。
緩急の緩さがほしかったなあ、と。起承転結の承をじっくりコトコト煮込んでほしかったなあ、と。
そのあたりがスコーンとハマったら、ハチャメチャに面白くなりそうな感触なんですよね。ポテンシャルは十分、化ける要素はみっしりと詰まってる。あとはひと手間、ワンクッション。
そんな塩梅を期待したいところです。その意味でも先が楽しみな作品でした。

王女殿下はお怒りのようです 6.戦地に舞う銀風 ★★★☆   



【王女殿下はお怒りのようです 6.戦地に舞う銀風】  八ツ橋 皓/凪白みと オーバーラップ文庫

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自軍の劣勢を覆し、悪しき野望を砕けーー! !

隣国・イーリス帝国との同盟が突如破棄され、緊張が走るプラティナ王国。
冬期休暇が終わり、進級した学生たちに不安が伝播していく中、帝国の侵攻により戦争が始まってしまう。
国王の命により、前線に駆り出されたレティシエルは、別ルートで戦地へと赴いたジークと共に、敵国の用いる謎の兵器を研究・改良。王国側の戦力増強に成功する。
だが帝国は、呪術によって力を得る代わりに体が蝕まれていく兵士達を戦場へ投入。
二人を嘲笑うように、戦況は混迷を深めていく。そんな中、戦地を舞い、敵を次々に無力化するレティシエルにも異変が起こり始め……?
シリーズはじまった当初、レティシエルが目覚めた時、この娘まったく周りの環境にも今世の自分であるドロッセルという少女にもその人間関係にも興味も関心も持っていなかったのが、今や友人も沢山でき、プラティナ王国という今を生きて過ごしているこの国にも愛着を抱き、この国を守るために戦地に赴く事を迷わない、というのはやはり感慨深いものがあります。
突如、帝国との関係に緊張が走り始め、にわかに戦雲が立ち込め始める中、畳み掛けるように国王陛下の不予。前巻で不吉と言われる赤い目の持ち主の寿命についても触れられていましたけれど、こんなに唐突に理不尽に訪れるものだったのか。この間まで全然なんともなく元気な人柄を見せてくれていただけに、たった数ヶ月で病み衰えた姿を見せられたのは結構なショックでありました。
さらに、いきなり陛下の健康が目に見えて悪化したお陰で後継者問題が持ち上がるわけです。
ただでさえ王太子だったロシュフォードが大問題を引き起こして廃嫡された上に記憶喪失にまでなってしまった直後。第二王子のライオネルと第三王子のエーデルハルトは二人共優秀だし仲も悪くなさそうなので、普通にライオネルが後継者になるのかと思ったら、母親の身分が低いという障害がある上に本人も闇抱えてそうじゃないですかー。ちょっとこれ相当に不穏なことになってきましたよ。
こんな状態で帝国と開戦だなんて、絶対やばい、と思ったら帝国の方も内部で相当に揉めているらしく、開戦派と非戦派で激しい対立が起こっていると。お陰で帝国の侵攻も独断専行の卦が強いようで辛うじて王国も戦線を維持できているようですけど。
どうにも各国ともに内憂が起こっているようなんですよね。それが偶然とは思えないのがなんともはや。帝国の主戦派には白の結社の関与が伺えるし、先のラピス國では明確に国政に深く結社が関与しているようなので、ほんと結社が国際的に暗躍してるんですよね。

ストーリーは、かつての大戦の英雄再び、とばかりに前線に決戦兵力として投入されたレティが大暴れ。ここで勿体ぶらずにレティに参陣を要求する王様も学園長も腹据わってるし、戦争自体は忌避しながらも戦時とあらば迷わず戦場に赴くレティはレティでさすがは戦乱を戦い抜いてきた歴戦の戦士の心構え、といったところなのでしょうか。ただ強いだけじゃなくて、風格があるんですよね。お陰で現地の将兵からもすぐに信頼を得られることになる。敵兵には容赦ないところも戦乱時代の人らしいなあ、と。
正体を隠して、というのは慎重だけれどここまで突出した戦力だと未知でいさせた方が帝国相手にも脅威なのか。下手に調べられて個人を狙われだすと王国の防諜守備戦力では防げない、という考えもあるのでしょうけれど。
でも、現地で敵の兵器やらの研究解析をしてる、というのは危なくないのだろうか。後方に送ってそこで調べて情報をフィールドバックして、というのだとタイムラグが生じて現場対応に遅れが出てしまう、と考えると現地で調べて解析してそれをちょくで現地部隊に反映させて、というのが実際に出来ているのでこれはこれで正解なのかもしれないけど、リスクは高そう。
そんな研究チームにいつの間にか参加していたジーク君。この子わりと何でも出来るよなあ。そのわりに何が出来るのかあまり見せようとしてこなかったところがあるので、ほんと何してるんだろうと謎な部分もあったんですよね。別に隠してたわけじゃないんだろうけど。
そんな彼も、なにやらただの平民ではなく不意にその素性が明らかになることで、レティにとっての重要人物というだけじゃない、国際関係においてもキーパーソンとなってきそうな勢いじゃないですか。エーデルハルト王子、強力ライバル出現ですよ、これ。


犬と勇者は飾らない 2 ★★★☆   



【犬と勇者は飾らない 2】  あまなっとう/ヤスダスズヒト オーバーラップ文庫

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元勇者(無職)、逮捕――そして【猫組】へ

勇者として異世界に召喚され、魔王を倒したのちに数年ぶりに帰還した佐藤草介――小卒、無職の18歳。
魔術学校の教師だった土村の企みを阻み、幼馴染のこづみとのすれ違いも解消して、全て元の日常に……と思った矢先、草介は無免許魔術師として逮捕されてしまう。
そして「実は俺、異世界で勇者やってたんですよ」と自供し、おちょくってると判断され無事牢屋にぶち込まれるのだった。
そんな草介の前に現れたのは、世界に6人しかいない「天位魔術師」の1人【不死猫】ナイン。
彼女は草介に釈放をかけた勝負を持ち掛けてきて……?
前科一犯となった勇者の拳が炸裂する最強ヒーロー譚、待望の第2巻!!

……あれ? 終わった? 終わっちゃったよ? 2巻、終わっちゃったよ!?
草介が無免許魔術使用の罪で逮捕されてしまい、お目溢しを貰うためにナインの引きで彼女のチーム「猫組」に参加して、いざこれから何がはじまるんだ? というところで終わっちゃいましたよ!?
いや、真面目にまだ序盤のつもりで普通に読んでた所に、いきなり「あとがき」のページが現れたんで、一瞬マジで固まってしまいました。電書だと残りページって確認しない限りは出てこないので全然気づいてなかったんですよね。
2巻のページ数そのものがめっちゃ少なかったのかとも思いましたけれど、多くはないけれど特別少ないわけではないというページ数で、まあ普通くらいだったんですよね。一冊分丸々読み進めていたにも関わらず全くそれだけ読んでいるつもりがなかった、というのはそれだけ本に没頭していたという事でもあるのでしょう。
実際、時間を忘れて読み耽っていたわけですし、特に派手なイベントが起こっているわけでもなかったにも関わらず、面白! オモシロ! と思いながら読んでましたし。
いや、なんかこう文章が楽しいと言うか妙な癖があって面白いんですよね。イラストレーターにヤスダスズヒトさんを持ってきた人、ストライクなんじゃないですか。この絵師さんの絵柄にむっちゃあったノリですし。
でも、それにしても余りにも話途中でぶった切りすぎというか、これ起承転結の承どころか下手すると起の部分ですよ。いや、さすがに承には差し掛かってるか。【猫組】に入ったわけですし。でも、話の展開からして【猫組】参加は起の部分に含まれてても全然おかしくないと思う。
なにしろ、どうしてナインが草介を猫組に誘ったのか、その理由がまったく明かされないまま、目的がわからないままなのですから。草介からしたら、いきなり無免許とかで知らない罪で逮捕されてしまい、どうしたもんかと思ってたらナインに声かけられて仕方なく、じゃあ参加します、って加わった……というだけの所ですからね。こいつ、現状何もしてないしあんまり考えてないぞ、いやバトル二回ほどしましたけど、ほんと触りだけですし。

とはいえ、ウェブ版の内容をガリガリ削って巻いて巻いて一冊に収めろ、なんぞして欲しくもないので、これは仕方ないと言えるのかも知れませんけれど、せめて上下巻表記にはしてほしかったかな。それなりに読む前から気持ちの覚悟も固まっていたでしょうし。

さて、世知辛いことにこの現代地球、世界魔術機関アルテリアの統制はかなりの規模で及んでいるらしく、無免許のモグリの魔術師とか存在自体許されないらしい。というか、アルテリアが関知していないところで高レベルの魔術の習得なんぞ不可能、という所まで至っているというのは何気にすげえ。
そりゃ、そんな中で無免許であんな規模で魔法ぶっ放す存在とか、見逃すわけにはいかないのだろうけど。成果をあげたから無罪、なんてのは法がちゃんと敷かれていない証拠なんですよね。
なもんで、普通に逮捕されてしまった草介。いや、マジで普通に逮捕されてるしw 拘束とか捕縛じゃなくて、警察に逮捕されました的な。ニュアンスの違い、わかってもらえるだろうか。
前科一犯というのも洒落ではなく、ちゃんと表の世界でも公式に履歴にばっちり付いちゃうらしい。
正式に、無職で前科一犯になってしまう草介。ただでさえ、異世界で何年も過ごしてしまい、帰ってきたら学歴も家族も何もかもなくなって、バイトで糊口を凌ぐ日々なのにさらに前科までついた日には……。まあ、焦るよね。
というわけで、なんかアルテリアでも偉くて最強の一角にいるらしい不死猫・ナインの誘いにウマウマと乗ってしまうのだ。
彼女のチーム「猫組」は少数精鋭で有名な強力な魔術師チーム、なんだけどどうしてナインが草介をかなり強引にアルテリアに対して横紙破りをしてまで引き込んだのか、その理由がまだ全然わからないんですよね。おまけに、家庭問題で留学させられそうになったこづみまで、草介のオマケなんだろうけど、猫組に入れているし。
取り敢えず猫組に参加することになって、戦力評価試験的に最初の任務をこなして、チームメイトとも面通しして、というところで終わってしまったので本気でナインの目的とかわからないまんまなんですよ。それに纏わる伏線とか情報も殆ど出ていない段階ですし。なので、物語の展開の方は先の巻が出てから、だなあ。

幼馴染とはいえ、お互い今の立場が違いすぎてこれからどう接触していくのか難しそうだったこづみと一緒にチームになれたのは、ラブコメ的にも幸いだったのでしょうけれど。
幼馴染というのは、幼い頃から自分の家の事は明かさずにいたこづみとは何もかも共有している存在とは言えないし、さらには思春期のいちばん大事な時期にずっと草介が行方不明だったこともあって、なかなか関係難しい所もあったんですよね。でも、草介がこづみの留学話を聞いてわりと素直に「いやだな」という気持ちを自覚できたのは良かったんじゃないだろうか。そこには彼女とできるだけ一緒にいたいという気持ちがある証明なのですから。
さっぱりしすぎてどうにも割り切りが良すぎるというか、情が厚く侠気がある一方でヘヴィな自分の境遇にもサバサバしているように、執着とか薄そうな草介がこづみに関しては微妙にでも「じっとり」とした湿度とか粘度のある感情がある、というのは良い事だと思うんですよね。
この調子で二人にはぐいぐいと行ってほしいなあ。
というところぐらいしかあんまり触るところがないぞ、ほんと話がまったく進んでいないものですから。というわけで、続きはなるべくお早めに、お願いしたくありますねえ。



異世界迷宮の最深部を目指そう 15 ★★★★☆  



【異世界迷宮の最深部を目指そう 15】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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立ち上る火柱を視認し、ラスティアラたちの安否を確認するべく地下街に向かったカナミ。
そこで目にしたのは、捕縛から抜け出したノスフィーによって『素直』にさせられ、仲間内で争うラスティアラたちの姿だった。
すぐに加勢しようとするが、ラスティアラに制止され……!?
ノスフィーとの決着をつけるため、ラグネが持ち込んだ触媒で過去視を行ったカナミは、いかにして彼女の在り方が形成されたかを知る。
さらに未来視でフーズヤーズ城を支配したカナミは、ついにノスフィーと対峙し――。
そして、『彼女』とどこまでも落ちていく。

今もパーティーの中核をなすこのヒロインたちが一堂に会したのは7巻でしたか。あの時はリヴィングレジェンド号でカナミが常に死を感じるくらいヒロイン同士がギスギスして火花が飛び散り、ちょっとでも燃料が投下されたら即座に爆発炎上して地獄が現出してしまうような修羅場でした。
そうかこれが常在戦場! と悟りを開いてしまうくらいの殺伐とした空気でした。カナミ、わりとすぐに刺されるだろうなー、血みどろの惨劇はいつ起きるかなー? という雰囲気だったのも今は昔、なんですよね。
いや、実際カナミってば結構ザクザクと切り刻まれて血みどろになりましたけれど、厳密には女性関係を拗らせて刺されたのではなくて、千年前の所業がもとになって攻撃されるパターンが大半だったはずなので、自業自得ではありますけれどヒロイン衆が妄念を拗らせて殺しにかかったケースには結局行き当たらなかったんですよね。
あの極めつけのヤンデレが揃いも揃ってしまった地獄のパーティーが、よくぞまあ。
そして今回、ノスフィの能力によって強制的に各々の奥底に秘めていた病んだ部分を引き出されてしまったにも関わらず、ラスティアラの邁進によって全部彼女たちヒロイン同士でしっかり話し合って気持ちを通じあわせて病んだ部分を解消、もしくはそのまま受け入れる形で地上最強の絆で結ばれてしまうのである。
むしろ、カナミは居るだけ邪魔、やることなすこと邪魔! 邪魔してばっかり! になってしまっていた有様だったのである。感慨深いじゃないですか。人の話を全然聞かずに自己完結してカナミだけに執着していたヤンデレヒロインたちが、カナミ関係なしにメンタル薄弱な部分を克服して自分たち同士でぶつかり合い胸襟を開けあって、理解しあい認め合い心寄せ合って、今や親友、今や運命共同体。共に行き共に死す仲間として、同じ人を愛し恋した同志として、手を取り合い頬を寄せ合い額を合わせて満面の笑みを浮かべる関係になったのである。いや、なったんじゃなく、ラスティアラを中心として、そして各々の克己心によって、そういう関係を自分たちで築き上げたのである。
本心から、すげえなあ、と感心させられてしまいました。ここまでヒロインたちがしっかりと自立して自分たちだけで関係を築き直したケースはちょっと見たことがないですよ。
主人公がそれを阻害しまくってたパターンもw
いや、いつの間にか話を全然聞かないのってヒロインたちじゃなくて、カナミの側になってたんだなあ、と気付かされてしまう。いや、カナミは視野狭窄になっててもちゃんと自力で気づくし、而今完結してしまわずに、ライナーをはじめとして話を聞いて考えを改めることができる、そういう風に成長した主人公なので、話を聞かない、なんて事はないのだけれど。
でもだからこそ、カナミはそれだけ成長した、と思っていただけに読者側もカナミ自身もいつの間にか考え方捉え方見方が偏ってしまっていた事に気づかなかった、というのもあるんですよね。
……何度も何度も思い知らされるけど、ライナーはこういうときでも外側から冷静な視点でカナミを掣肘してくれるので、ほんと助かりますわ。彼が居てくれるだけでどれだけ道踏み外しかねない判断や思考を食い止めてくれたか。
ともあれ、今回の視野狭窄はカナミの人間的な欠陥というよりも明らかに仕込まれたものっぽかったので、カナミ自身なんか自分おかしくなっていると自覚してますし、彼が悪いというわけではないみたいなのですけれど。

まあ、千年前にやらかした事に関してはどうやったってカナミあうと、ですよね。カナミが悪い。
ノスフィーがねえ。いやうん、まさかここまで並外れてイイ子だとは思わなかった。悪い子じゃない、という風には今までの感触で納得はしていたんですけれど、ここまでこんなイイ子だとは想像できませんよ。むちゃくちゃイイ子じゃないですか。善良の結晶であり、健気の塊じゃないですか。
なるほど、元妻、という肩書にも意識が引っ張られていたのでしょう。その素性が本来なら妻じゃなくて、娘。しかも、ずっと父親に焦がれていた子となればなおさらに……。
もう完全無欠にイイ子でしかないイイ子が必死に悪いことしようと頑張っているものだから、そりゃ行動がどこかちぐはぐになりますよね。凄く悪意をもってカナミを狙い撃ちに彼を陥れる、苦しめるようなことを企てているにも関わらず、結果見ると妙に良い結果に終わったり誰かが救われてたり、報われてたり、助けられてたりして、なんかここしばらく物事の巡りが良いような感じがしてて、凄く違和感たっぷりだったんですよね。カナミがなにかすると大概悪いことになったりケチがついたりする印象だっただけに、妙に居心地わるくすらあったのですが。そうかー、ノスフィーが悪いことにしきれなくて、ついついみんなが助かったりするように着地点を変更しちゃってたのかー。
……いい子すぎるッ(思わず両手で顔を覆って
そんな頑張っても頑張っても悪堕ちしきれないこの善良無垢な子を、それでも悪者にならねば、と追い込んだ元凶こそが、千年前のカナミであったわけで。
もう死ねばいいんじゃないかな、こいつ。現在のカナミが黒歴史どころじゃない自分のアレっぷりに怖気づいてヘタレてしまうのも、ちょっと仕方ないなあ、と同情してしまうほどの、あの無神経っぷりはここまで来ると凄いなあ、としか言えない。正直、間が悪かったとも言えなくもないのだけど、ノスフィの健気さを思うとそれをこれでもかこれでもかとクリティカル連発でピンポイントに踏み躙ったカナミの所業は、言い訳しようがないんですよね。どう考えてもお前が悪い。
そこで最大限これ以上無いくらい覚悟決めて完膚なきまでに謝ってみせるところは、カナミえらいと思いますよ、素直に。極端に走りすぎ! と思わないでもないんだけど、ノスフィが拗らされた状態がそこまで極端に走らないと言葉も気持ちも届かないまでにグリグリ踏み躙られっちゃってるんだから、仕方ないよね、としか言えない。正しい極端であった、と言えるのかも知れない。多分、あれこそが正解だったのでしょう。
取り敢えず、修羅場を越えて一致団結したカナミパーティーが、一人ひとり意味不明な強さすぎてそれが一堂に襲ってくるとか、魔王軍総攻撃かな? というくらいのスケールなんですけど。この娘ら、しがらみとか要らん拘りとか全部放り出して最適化した協働したら、ここまで分けわからんレベルの集団になってしまうのか。
いやこれもう無敵じゃん。と、凄まじい安心感に後ろ支えられつつ、一番の難関であった対ノスフィ。これは戦って倒すという方向性には行かない時点で、無敵無双の強さは意味をなさず、だからこそ最難関だろうという壁の高さを感じていただけに、うん、それを乗り越えることこそがこの巻の山場だと思っていたわけだ。あくまで、山場……峠であって、まさか分水嶺だとは思っていなかったし予想もしていなかった。
いやこれどうすんの!?
途中で散々、カナミと似た者同士と言ってたの、こんな形で放り込んでくるとは思わないじゃないですか。そうだよね、カナミと同類項、同じ穴のムジナ、似た者同士なら……そいつはカナミと同じ「人間のクズ」にカテゴライズされる側だった、とも言えるのか。
どうなるんだこれ? さすがに驚天動地の展開過ぎますよ!? ……まあ、次の瞬間普通に何事もなかったかのように動き出しても不思議ではないブキミさというか得体のしれ無さというか、化け物感がこの人にはつきまとっているのも確かなのですが。
むしろ、いついきなり目をぱっちり開いて喋りだすか、ホラー感覚でずっとハラハラドキドキしていた自分がいるのも確かでありますw


TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★★   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

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妖精にまつわる悲しい事件を経て、魔導院のある帝都へとたどり着いたデータマンチ転生者エーリヒ。
魔導師(マギア)アグリッピナの丁稚として、今度は魔導院で働く生活が始まった。
危険人物に目を付けられたりもしたけれど、半妖精の妹エリザの学費のため、エーリヒは丁稚の仕事と魔導院のクエストでお金を稼ぐのだった。
そんな中、友人となった魔導院の聴講生ミカと共にアグリッピナの「お遣い」で旅に出たエーリヒ。
しかしダイスの女神の悪戯か、安全な旅のはずが命懸けのダンジョン攻略(アドベンチャー)に変貌し……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、ダイスが荒ぶる第3幕!

ライゼニッツ卿、分類がエネミーになってますよ!? エーリヒ、完全に敵認定してるのか。あれだけお世話になってるのに。どれだけ苦手なんだこの人のこと。人柄としてはアグリッピナと比べるべくもなく善良な人……死霊のはずなんだけど、生命礼賛主義者(ロリショタコン)の餌食とされた事でトラウマ化してしまったか。いい人なんだけどなあ。
というか、この場合はエーリヒを生贄に長期休暇もぎ取っていったアグリッピナ師がどう考えても邪悪でしょうに。そもそも、絶対エーリヒそのために連れてきたでしょ。ライゼニッツ卿の前に人参よろしくぶら下げるために丁稚として連れてきたでしょうw
望外にエーリヒが出来る子だったから重宝してるけど、最初は見た目容姿がライゼニッツ卿のどストライクだったから丁稚で同行するの同意したようにしか思えん、この人の邪悪さを思えば。
というか、エリザを弟子にしたのだって、フィールドワークから戻る理由付のためだったわけですし。

というわけで、やってきました帝都ですよ、帝都編。シティアドベンチャーのはじまり、とはいきなりは突入しませんけれど、ここから風景が一気に変わるんですよね。
この作品の特色は、舞台となる土地や街、場所によって漂ってくる空気感がまったく異なってくるところでしょう。特にこの「帝都」が凄いんですよね。
辺境の村から国の首都まで出てきて、その発展具合に驚く、というのは定番も定番の展開なのですけれど、この帝都の異様はひと味もふた味も違ってくる。現代の地球を知っているエーリヒをして、圧倒される帝都のスケール、凄まじい威容。それを如実に伝えてくれる左を見ても右を見ても視点を縫い留められるような圧倒的な情報量が、情景描写に込められているんですね。視覚情報のみならず、そこに建造物や土地の来歴や歴史的エピソードを挟みつつ、目の裏にすげえディティールで浮かんでこらせられる緻密な描写と、その景色の中に実際にいる登場人物たちの受けている感覚、空気感がダイレクトに伝わってくるのである。そりゃもう圧巻ですよ、なんかもうすげえ、としか言えなくなる。
ライン三重帝国と呼ばれる重厚な歴史と多様な異民族を内包する巨大国家の中枢たる帝都。いやこの帝国という国家の内実を聞いてるだけでも楽しいんですよね。これもうリアルタイムで続いている古代魔法帝国じゃねえの!? という魔法文明そのものですし、国の構造からして面白いのなんの。まだここでは帝室周辺の話はまだ持ち上がってないのか。あれは次巻になるんですか。いやでも、この国、皇帝周りの体制がちょっと面白すぎてすごすぎて。
それでなくても、多民族国家の粋みたいなところがあって、国の拡張に従って取り込まれたあらゆる種族が貴族として国家の運営に携わってる、ってなんかもうそれだけでワクワクしてきませんか? そもそも、皇族からして人間じゃねえし。いや、そう言えば現状、エーリヒの周りって妹含めて普通の人間種っていないんでしたっけ。妹は半妖精だし、アグリッピナ師は長命種で魔導院の五大閥の長たるライゼニッツ卿ときたら死霊ときた。この国、ちゃんと死人にも自我があって動いてたら財産権とか法律で認められてるんだぜ。相続権の方、ちょっとややこしい事になってるの、法律が制定されるまでに結構色々トラブルあったんだろうな、というのが伺いしれてこれはこれで面白い。

さてもそんな混沌たる国の魔法文化の核である魔導院だ。国中の多種多様な種族から魔導を志すものたちが集った魔法版虎の穴。その内実を聞いたエーリヒの、過激派とカルトしかいないんですが? というお言葉にそうだね、と満面の笑みで応じてしまえるマッドたちの巣窟にして楽園である。
学園編、と言ってもいいかもしれないけれど、エーリヒは丁稚というなの従僕であり学生……ここでは聴講生と表現されていますか、ではないのだけれど、アグリッピナ師やライゼニッツ卿のツテで学んで魔法使いから魔導師と呼ばれる存在になっていくわけですが。
この魔導院、魔法学校と言っても中学高校みたいなタイプの学校ではなく、大学に近いものと捉えるべきでしょう。なので学園編と言ってもそこから連想されるものとはだいぶ様相が異なっているし、その日常風景もある種大学的な自由さとわやくちゃさに溢れている。探求の場、としてのみならず、貧乏聴講生たちがそれぞれ四苦八苦して努力と工夫を重ねて生活と学ぶための資金や伝手を手に入れるために駆けずり回っている様子や、学校周辺にそんな聴講生や教授方を対象とした様々な店や職種が軒を連ねていて、独特の学園都市風味な風景にさらに魔法的なエッセンスが加わった光景が、エーリヒの物語の背景にごくごく自然に流れてるんですよね、これがまたいいんだ。雰囲気最高なのですよ。
たとえば、エーリヒの何気ない普段の朝の風景からして、凄まじく絵になるんですよ。
下宿で朝起きたら、家事妖精によって準備された朝餉が湯気を立てている。彼が曰く付きの下宿になぜ住まうようになったか、シルキーという妖精の在り方に触れながら、そのシルキーとの不可思議で温かいコミュニケーションを挟みつつ、仕事のために魔導院に向かえば、彼が駆ける街角では貧乏聴講生たちがバイトとして窓越しに目覚ましの魔法をかけてまわっている様子が、朝の町並みの当たり前の風景として流れていくんですね。
このワンシーンだけでも、魔法文化の結晶のような濃密な描写なんですよ。もうここだけで酩酊してしまいそうな、見たこともない異文化の、でも目の裏にありありと浮かぶように描かれていて、それがそれがさらっと章の導入として触れられるだけで、流れていくのです。

密度が濃すぎて、濃厚すぎて、ちょっともうたまんないッ!!

背景だけでもやたらと濃厚濃密にも関わらず、登場人物たちときたらさらに濃い人ばかり。個人が濃いだけではなく、人間関係そのものがやたらと濃いものになってくるわけですよ。
郷を出てはじめて得た同世代の友人。北方出身の中性的な黒髪の麗人ミカとの出会い。
このミカとエーリヒとのやり取り、というか掛け合いが最初遊びまじりだったんですけど、お互いオペラか演劇のセリフみたいな言葉遣いで会話するんですよね。大仰もいいところで、エーリヒてば絶対TRPGの演技というかロール? あれが楽しさのあまり捗りすぎて、ちょっと酔っ払ってね? という具合にノリノリでやっちゃってて、彼自身あとで恥ずかしさのあまり枕に顔を埋めてジタバタするに違いない、などと述懐しつつ、やめないんですよねえ。
エーリヒもミカもまだ13歳という、それはそううん、お年頃なんですから、この特別感ある友達関係にウカレてしまっているのも仕方ないんでしょうけれど、それにしても「ねっとり」というのがふさわしいような距離感にどんどんハマっていくんですよね、彼ら。ちなみにこれ、少年期特有の距離感、で終わらずに青年期になってもこの調子のままなので、君等結局全然恥ずかしがってないだろう、とw
ミカなんて、自分の秘密がエーリヒにバレてなお受け入れられたあとなんぞ、もうべったべたですからね。エーリヒのこと、名前で呼ばずに普通に「友よ」と呼ぶのがデフォルトになってたり。
なんかもう波長があってしまった上に、コンプレックスを解消するきっかけにもなり、距離感がズブズブになっちゃったんですよね。これにはミカの特殊なありようも大きいのでしょう。これ、ミカが単にヒロインだったらこうはならなかったでしょう。ミカだからこその、同性同士にしては妖しすぎ、異性間としては気安すぎる、中性的なミカ相手特有の特殊にして特異な関係が成り立ってしまった。「おお友よ!」と実際に口にしながら、肩を組み、髪に顔を埋め、頬を寄せ合ってクスクスと笑みを交わすような近すぎる距離で睦み合う距離感の、なんかもう凄さたるやすごいよ?

そして、エーリヒの戦闘力が手がつけられなくなってくるのがちょうどこのあたり。
いや、あの「見えざる手」が強力すぎるでしょう、これ。本来なら日常生活の補助に使うのが通常の簡単な魔法、とされているけれど、エーリヒの手にかかるとちょっとこれ尋常じゃないものになってしまってるんですよね。
これって、いわゆるところの「念動力」にあたる能力のはずなのですけれど、無形の漠然としたサイコキネシスではなく「手」という具体的なイメージを固めて使っているせいで、汎用性と応用性がわけわからんレベルになっちゃってるんですよね。使い手本人のイメージとしてもそうなんだろうけど、読んでる読者側も「手」というイメージ付をしてくれているせいで、その異常さが具体的によく認識できるんですよ。いやもう、これ強すぎませんか? 魔法を使わなくても、戦場刀法が神域にまで達しているエーリヒは剣士として尋常ならざる領域に達しているのに、ここからさらに「見えざる手」の多重同時使用をマルチタスクで運用することで、意味不明わけわからん強さを発揮することになっちゃってるんですよね。攻撃にも防御にも特殊機動にも応用が聞きすぎだろう、この「手」。あげくにアグリッピナ師に教えてもらった空間転移魔法の応用で防御の方に絶対的なアドバンテージが手に入って……。
正直、これエーリヒに正面からぶつかって勝てる方法がさっぱり思いつかないんですけど!

とか思ってたら、エーリヒに正面からぶつかって、ぶち転がしまくる敵がひょいっと出てきて、もう笑うしかねえんですけど!?
いやこれどうやっても負けるはずがないだろう、とばかりに見せた途端にこれですよ。だからといってエーリヒの方が弱体化したわけじゃなく、格が下がったわけじゃなく、それどころか描写の方もエーリヒの凄まじさが死地に突入したことでより磨かれ研がれ叩かれて、ガンガン凄み増すわ鋭さ増すわやべえくらい強者的オーラを纏っていくのですよ。
それをさらにその大上段からばっさりと叩き潰していくようなとんでもねーボスキャラのとんでもねー事とんでもねー事。つ、強すぎる、なんじゃこりゃーー! てなもんである。
いやこれ、どうやったら勝てるんだよ!? と、思わず悲鳴。ついさっき、エーリヒどうやったら負けるんだよ! と言ってた時点から秒である。
ちなみに、わりとたまたま遭遇しただけのエリアボスであるよ。因縁ある怨敵とか先々まで対決し続けることになるライバルキャラ登場、てなもんでは全然ない。

TRPGだよなーー! こういうのTRPGならではだよなーー!! わははは!!

GMの殺意さまである。それ以前のエーリヒとミカが全然準備してないのに巻き込まれるはめになった魔宮ダンジョンの、あの正統派だけど難易度ヤバすぎで、どんどん順番に強力なエネミーが出てくる展開も、あるあるなんだけど、それにしても殺意が高すぎw
13歳の子供たちが挑むには、あまりに殺意が高すぎる。それを、なんかもう拗らせ過ぎて昇華してしまった運命共同体か比翼の鳥のような一心同体親友ムーブで、死にかけながらもクリアしていくエーリヒとミカ。激闘激闘、あまりにも凄まじい激闘すぎて、密度が濃すぎるーー!!
いやほんとに、シリーズ通しても最高潮の戦闘パートだったんじゃないだろうか。熱量がほんと凄かった。熱は熱でも、これ圧縮熱だろう!? と言いたくなる濃度密度濃厚さで。
いやもう、これあらゆる方向に満足度が高すぎて、ちょっと読み終えた時いっぱいいっぱいになってしまいました。しばらくクール時間をおかなくてはならなくなった。酩酊状態よ。
ウェブ版から大量加筆されていた、というのもあるのでしょうけれど、書籍として一気に読むとほんと凄えですわ。濃密さにアテられる。
しかししかししかし、おっもしろかったー! 面白い面白い面白すぎて、もうわけわかんねえ、あははは!!
クールタイム一日置いたはずなのですが、感想書いてたらテンションがまたぞろあがってしまった。
でもだって面白いんだもの。いやあ、好きすぎですわ、これ。もう大好き。

そして、3巻のヘンダーソンスケール1.0。いわゆるIFルートの未来編は、エーリヒくんそのまま魔導院で教授になったよ編!
いやあひどい(爆笑
なにがひどいって、周りからの評価評判と本人の意識が180度異なっている件について。周りからはやりたい放題好き勝手にやりまくって魔導院全体を振り回している超問題児扱いなのに、本人は振り回されて苦労して窮屈な思いをしている側だと信じ込んでいるこのギャップw
漂泊卿とまで呼ばれて自由に世界中を飛び回って帰ってこない、と呆れ嘆かれ怒られているのに、本人気楽に冒険もいけなくて好きに遊びにもいけない、と嘆息しているあたり、こいつ本気で解き放ったらどうなるんだ? おまけに、気が向いたら同僚や派閥問わず若い連中を冒険に引っ張って連れ去っていくものだから、半ば妖精扱いされてるしw
めっちゃ冒険行きまくってるやん! ほぼほぼ冒険者やん! これで、当人不満しか無いって、彼の持つ冒険者のイメージはいったいどこまでイッてしまっているのかしら。
そして、あまりの問題児っぷりに集まって謀殺を企んだものたちが、意味不明な壊れ性能の戦闘能力に「何をどうすりゃ殺せるんだこれ?」とふと冷静になって解散してしまった、というくだりとか、ちょっと大好きすぎるんですけどw

しばらく出番のない幼馴染のマルギットがここで短いながらも登場してくれていて、ちょっとうれしい。こうしてみても、エーリヒの本命ってマルギットで揺るぎないのは間違いないんだよなあ。
ちょうとウェブ版の連載ではマルギットとミカがはじめて対面、或いは対決? しているところなので、この未来での二人の仲の良さは興味深い。
あと、名前の出てこないお弟子ちゃん。年齢的には一回りは違うんですよね。なので、本編には登場しづらいでしょうし、多分エーリヒが魔導院に残るルートでないとなかなか関わるチャンスなさそうなんだけど、いいキャラなだけにチャンスはあって欲しいなあ。
しかし、アラサーになってもライゼニッツ卿に着せかえ人形にされかけてるのか、エーリヒ。そりゃ、エネミー認定してまうわなあw

しかし、毎回毎回、IFルートがどれも面白そうすぎて、それぞれで1シリーズできそうなんですよね。もう各ヘンダーソンスケール1.0のバージョンごとに一冊ずつでも本書いてくれないかしらw



信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 6.紅蓮の魔女と不死の魔王 ★★★☆  



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 6.紅蓮の魔女と不死の魔王】  大崎アイル/ Tam-U オーバーラップ文庫

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エルフの里・木の国にて、魔王復活を阻止せよ!

古竜を撃退し、水の街(マッカレン)を救った高月マコト。
ノアより新たな神託を受けたマコトが向かう次なる攻略の舞台は木の国(スプリングローグ)――エルフであるルーシーの古里だった。
ルーシーの家族と面会し親交を深めるも束の間、隣接する魔の森にて“魔王"復活の兆しが見え始める。
マコトはさっそく調査へ向かうものの、暗躍する魔王の強力な配下相手に全く歯が立たない。
さらに、上級魔族率いるおびただしい数の軍勢が国境を急襲し、木の国(スプリングローグ)は危機に瀕するが――!?
「聖級火魔法・権天使(プリンシパリティ)」――行方を眩ませていた木の国最高戦力“紅蓮の魔女"が突如として現れ……?
女神と少年の異世界攻略ファンタジー、第6巻!

水の女神エイル様、下衆すぎーー!! えー、この人こんな人だったのかー。人じゃない? 神? 神にしてもセコくないですかー? なんかもう手口が詐欺師か壺売りつける系の宗教団体なんですけど。これで壺に効果がない全くの嘘つきというのも酷いは酷いのですけれど、効果はあるけど別口で呪い付きだったり、説明書にない部分でバックドアが仕込まれてたり搾取構造になってたり、というよりあくどいやつだぞ。
そして、意図してやっているにも関わらず全然悪びれた様子がなくホントに無邪気なんですよね。騙してるの、嘘ついてるのバレても、ごめんねー♪で済ますような、いいじゃんいいじゃん、で片付けてしまうような軽々しさがある。
邪神かな?
いや、聖神族みんながエイル様みたいに腹黒のあくどい神様ではないと信じたい。さすがにちょっとドン引きだったよ、エイル様。これまでノア様と気軽に付き合って、マコトにも気前よく協力してくれてたから、イイ女神様だなー、と思っていただけに尚更に。
でも、これでもマコトを利用はしていても、敵対しようとは思ってないんですよねえ。ノア様と対立するつもりも別にないみたいで、普通にこれまでと同じく付き合っていこうと考えているあたり、神様の価値観としてズレてるんだよなあ。
まあそれを、まあいいや的に受け入れちゃうマコトも相当にズレているのですが。
これ、マコトの素の考え方なんだろうか。あの明鏡止水スキルは、精神的な動揺や外部からの侵食を防ぐという意味で破格の精神防壁系スキルであります。マコトの最大のチート能力はこの明鏡止水だと思うんですよね。このスキルのお陰でどんなピンチでもパニックにならず、常に冷静に思考を回転させることで死地をくぐり抜けてきたところがありますし。
でも、度を越した平静さってどこか人からハズレてしまう感覚にも見えるんですよねえ。感情が消されているとか薄められているとかではないですし、機械めいた合理主義的になる、という風でもないので感性が狂ってしまっている、とは思わないんですけれど、あの気にしなさは異常だもんなあ。
少なくとも、自分の寿命に対しての無頓着さは明鏡止水スキルの影響は間違いなくあるでしょうし。でなきゃ、あそこまでノア様の生贄スキルでほいほいと自分の寿命つぎ込めないでしょう。
でも、エイル様にあれだけ利用されて、神としての価値観の違いを見せつけられて、それをちゃんと承知した上で別にいいですよー、と気楽に言ってしまえるのとか。
どう見ても邪悪というか、もうコズミックホラーの領域じゃね?というくらいの異形じみた姿かたちと精神をしている魔王の側近であるセテカーさんと、あんなフラットに話せて、話がちゃんと通じてて、わりと意気投合してる感じに話が合って、普通に誼を通じてしまったのって。
元々のマコトの性質、なのかしらねえ。
特にセテカーとあれだけ話が噛み合うのって、マコトもセテカーと似たステージというか思考回路をしているから、と言いたくなる所がありますし。まあ確かにセテカーさん、ちゃんと話して見ると頭若干おかしいにしても、わりと筋の通った人だというのはわかるだけに、マコトが単に異形や魔族や敵対者に対して偏見を一切持ってないから、と判断してもいいのかもしれないけど。
でもやっぱりマコト、おかしいっちゃおかしいよなあ。
伊達に邪神ノアの使徒ではない、という事なのか。

取り敢えず、エイル様には釘を刺しつつ気にせずこのまま水の国の勇者を続けるみたいだけど、やっぱり聖神族は信用ならないところがあるし、かといって魔族側につくのもノア様も嫌がっているし。一応人間と魔族の争いでは人間側としてちゃんと頑張る予定ではあるものの、これノア様を実際復活させると、第三勢力ポディションを築いていくことになるんだろうか。
エイル様含めて聖神族の女神様の幾人とは結構仲良くなっているし、巫女たちとも交流はある。各国の勇者たちとも、こうしてみると良好な関係を気づいていて、一方で今回セテカーと誼を通じたように魔族側とも完全に断絶しているわけじゃあないんですよねえ。わりと面白い立ち位置をうろちょろしてるんだよなあ、マコトってば。
そのお陰でか、マコトの嫁候補の中で水の国の姫であり水の女神の巫女であるソフィアが一番苦労しそう。今回なんぞ、自分の預かり知らぬところで水の女神様の悪行によって風評被害にとばっちりがソフィアの方まで飛びかけてたしw
さーさんやルーシーはマコトがどうなろうと自由にくっついてくるでしょうし、ソフィアは立場がある分大変そう。まあその分、どーんと腰を据えて説教するのでマコトを尻の下に敷いている感があって、正妻強度高そうなんですけどねー。

しかし、今回の一番強烈なキャラはやはりルーシーの母親であるドロシーでしょう。なんだこのインフレキャラはw 性格の方も完全にインフレ破綻してるしw
よくまあ、この母親からルーシーみたいな奥手の子が生まれたなー。性格もルーシー、健気だしなんだかんだ真面目だし、母親を反面教師にしたのだろうか、これ。
ロザリーさんはあのどうしようもないほどのフリーダムさが強味であるんでしょうけど、これ身内だと大変だ。
そう言えば、ロザリーってエルフキャラ、昔の作品で有名なのが居る、とあとがきで書いていたの、誰だったかなあ、と考えてたんですが、そうだドラゴンクエスト垢離蹈競蝓蕊韻澄ピサロと恋仲だった。あれ、塔の最上階からピサロの事を想い続けるという、典型的な深窓のお姫様じゃない。
キャラがもう正反対すぎるんだから、別に名前被っててもいいじゃないですか。ってか正反対すぎて面白いなそれ。


月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1 ★★★☆   



【月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1】 黄波戸井ショウリ/アサヒナヒカゲ オーバーラップ文庫

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社畜の松友裕二(まつともゆうじ)が残業から帰ると、隣に住むOLの早乙女ミオ(さおとめみお)が家の鍵をなくして立ち尽くしていた。雨でずぶ濡れのミオが不憫になった松友はベランダからミオの家に入り、玄関を開けて言う――「おかえりなさい。今日は大変でしたね」
そんな何気ない「おかえり」が心に刺さったミオに、松友は衝撃の提案を受ける。
「私の月収は五十万です。月に三十万円であなたを雇います」
実は生活力ゼロで極度の人間不信だったミオと、彼女の身の回りの世話をする仕事を引き受けた松友。ゆっくりと距離を縮めていく二人の間にあるのは単なる雇用関係かそれとも――。孤独なお隣さんとのアットホームラブコメディ。

お隣さん、ミオさん本気でいっぱいいっぱいだったんだにゃー。
生き甲斐がないどころか、もう精神的に死にかけてたんじゃないだろうか、これ。30万で裕二を雇うというのも、金持ちの道楽なんかじゃなくて溺れる者は藁をも掴むという方が相応しい縋りなんですよね。
本気で、ただ家で待っていてくれて「おかえり」と言って欲しい、それだけだったんじゃないだろうか。それ以外何も望んでいなかった、というより望む余裕もなかったように見える。
幸いというかなんというか、裕二は家事も一通り出来るしこれ以上無く気配りできる面倒見の良い男だっただけに家政夫的な事もするようになったのだけれど、ミオさんが求めたのは「癒やし」だったんだよなあ。
もっとも、当初ミオさんが求めた「癒やし」と裕二と過ごすようになってから日々が過ぎてから裕二から与えられるようになった「癒やし」とは違ったもののようにも見えるけれど。
さて、裕二が得た仕事というのは結局具体的にはなんなんでしょうね。
ヒモ? 家政夫? 疑似家族? 
どれも少しずつ違うような気がする。或いはそれらすべてをまぜこぜにしたものか。
ストレスを負えば負うほど家の中では精神年齢が退行してしまうミオさん。辣腕のキャリアウーマンとの生活ってどんなものになるのか、と思ったら家での彼女は舌っ足らずな幼女みたいな感じになってしまっていて、裕二は甲斐甲斐しくそんな彼女をお世話するという、良い年した大人同士じゃなくてベビーシッターな裕二である。この男も嫌な顔一つせず、若干壊れてると言っても良い彼女の世話をまめまめしくこなすんですよね。そこまで付き合わなくても、と思うくらい。
仕事に対して真面目、というのもあるんでしょうけれど、さて彼自身はどこまでこれを仕事と捉えているのか。ビジネスライクに割り切っているようには全然見えない。むしろ、彼女への親愛がこれだけ彼に甲斐甲斐しさをもたらしているようにも見える。恋とかじゃあないんだよなあ。もちろん、女性として魅力は感じているけれど、普段の幼児退行の相手をしていることもあってか保護者のような微笑ましく見守る、守ってあげたいという感覚が強いようにも見える。
それに、本当に楽しいのだろう。彼女の面倒をみることにやりがいを感じているのだろう。
そんな彼の気持ちは、ミオにも伝わっているはずである。それでも、雇用関係に拘ってしまうのがミオが患っている宿痾なのだ。
彼女の人間不信は、相手への不信というよりも自己不信の方が近しいように思う。相手に信じてもらうに足る人間だと自分を思えないのだ。何かあったら相手じゃなく自分が悪いと思ってしまうのだ。そんな在り方がどんどんと彼女自身を追い込んでいき、彼女を孤独にし、寂しさに打ち震える日々を招いてしまったのだろう。
どれほど相手が良い信頼に足る人物だとわかっていても、そんな立派でイイ人に相手される人間じゃないのだと自分のことを思い込んでいるミオにとって、金銭による契約関係というのはあくまで賃金に寄って結ばれた関係だからこそ、自分という人間性を担保にせずに済む。だからこそ、雇用関係にこだわり続けるし、デートにも出張費や休日出勤手当てをあててしまう。
いやそこまでせんでも、と誰もが思うのだろうけど、彼女にとってそれが拠り所なのだ。
裕二が偉いのは、そのへんごちゃごちゃ言わず、お金なんて要らないなんて御高説をたれず、彼女の怖れを尊重したところなんでしょうね。彼女のよすがを、自分の価値観で破壊して押し付けようとせず、一方的に否定してしまわず。大切に守り続けた。
でも、何もせず従順に従っているのではなく、ちゃんとそんな彼女の怖れやトラウマを解消するために手を回し、動いているのだ。こっそりと、雇用関係を逸脱しながら。こういうのが、気の利いたイイ男って奴なのでしょう。
幾ら大金を払っても続けていきたい大切な時間。ミオにとって、裕二が待っていてくれる生活というものはどんどん掛け替えのないものになっていく。いつしか、彼の存在はいっときの慰めや癒やしでは収まらないものになっていく。
そうなった時、彼との間を繋いでいた雇用関係という間柄は、逆に行き詰まりになると思うんですよね。より踏み込んだ関係になるためには、お金を払って一緒に居てもらうという繋がりがむしろ障害になってしまう。裕二の方はそのへん最初から気にしていないので、あまり問題にならないと思うのですが、ミオの方こそが自分から望んだ関係だけに、拘った関係性だけに、そして彼女自身の対人能力の不器用を通り越したポンコツなところをみると盛大に迷走しそう。
まあ、今の所は現状でこの上なく幸せに至っているだけに、しばらくこの状態を維持することになるのだろうけど。

大人の女性の幼児化というのは絵面としては若干キツイものがあるのかもしれないけれど、字面だとあの理屈じゃないフリーダムっぷりと大人としての体裁を持たぬが故の甘えっぷりが、裕二の甲斐甲斐しいお世話も相まって大変可愛らしかったです。外ではカッコいいくらいの女性に、これだけ無防備に甘えられたら男の方もなんかこう、くるものがありますよね、うん。確かに、楽しいでしょうw

現実主義勇者の王国再建記 13 ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記 13】 どぜう丸/冬ゆき オーバーラップ文庫

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敵対国家・九頭龍諸島連合へフリードニア王国艦隊の派遣を決定したソーマ。
故国を救うべく身を捧げた九頭龍諸島の姫シャボンを味方に付けたソーマは、彼女の手引きで王国艦隊の到着前に島へと潜入する。
――目下の問題は諸島連合艦隊よりも、近海に出没する謎の巨大生物。そう睨んだソーマは敵国内で巨大不明生物の情報収集にあたる。かくして判明したその実体は常識を逸脱した怪物で……!?
敵国艦隊と巨大生物、迫る二つの脅威にソーマが講じた策略とは!?
革新的な異世界内政ファンタジー、第13巻!

ああっ、そこまで昔から連絡取り合ってたのか。いやこれ、相当以前からじゃないですか。これは相手さんの先見の明を褒め称えないといけないでしょうし、余程の根気と忍耐と粘り強さがないとこの段階まで引っ張れないですよ。
やたらとソーマたちが和平を求めて飛び込んできたシャボンたちに辛辣だったのもわかります。献身的で現状を行き止まりと感じて打破するために自分から動く、というのは都合の悪い事実に目をそらしてなあなあで流れに身を任せてしまう事に比べれば上等この上ないとは思うのですけれど、危機感に対して深い考えなく動いてしまった、とも言えますからね。特に、深い思慮と遠謀とともに強かに交渉を続けてきたという比べる相手が居るのですから。
まあそれ以上に、何年も掛けて練り上げただろうシナリオに則って準備を整えていざ幕をあけたら、突然脚本も何も知らない役者が舞台に乱入してきて引っ掻き回されてはそりゃあ、何しに来たコイツ、てなりますよね。しかも、その乱入目的が計画の破綻に直結しているのですから、邪魔しないでおとなしくしててくれ、って事にもなりますか。
とは言え、なんにも知らないシャボンとしてはソーマたちに縋るという以外何も考えていなかったにしても、戦争を止めようという目的自体は彼女の立ち位置からすると間違ってはいないですからね。全然足りないにしても、彼女は自分の身でやれることをやろうとしたわけですから。
ただまあ、知らないとは言え自分から見事に地雷を踏み踏み踏んづけまくってしまったのは確かなのですけど。それでも、もうちょっと優しくしてあげてw

しかし、長年かけてシナリオ練り上げたにしては、本番での演技は大根もいいところだったような……。まあ、別に演技うまかろうが棒だろうが、ファニーウォーとして建前さえ成立すればよく、要は現場に王国と諸島連合の艦隊が勢揃いすればよかったのだから、別に演技力は求められていなかったのだろうけど。
それでもソーマはテレビ出演も多いんだから、もうちょっと頑張りなさいよw

その分、実戦の方で今までになく活躍してた気もしますが。あれをソーマの活躍というべきなのかは定かではありませんが。
というわけで、今回の本題は特撮怪獣映画。冒頭の嵐に襲われた島で未知の存在の痕跡が、というのはまさにゴジラ以来の伝統ある導入でもありましたしねえ。
いやでも、メカドラ出撃! には吹いた。完全にメカゴジラだこれ。漫画が違うw
これ九頭龍諸島連合の連中、魂消たどころじゃなかったでしょう。あんなの見せられたら。世界観が違うw
ソーマのあの人形の遠隔操作の能力の可能性については常々様々な形でアプローチされていましたけれど、あんなデカイの操作できるんだったらそれこそ戦争感が変わってしまい兼ねないですよ。あとドリルは定番、うんわかる。わかるんだけど、メカドラの腕に装着じゃなくてちょっと戦艦の艦首に取り付けて「海底軍艦突撃!」なノリも見てみたかった気がする。特撮でドリルだとやっぱり軍艦の艦首でしょう、定番は。

ただ今回注目すべきは派手なメカドラよりも、島型空母「ヒリュウ」の実戦投入でしょう。本来、海を嫌うワイバーンの部隊を搭載して、海上を自由に移動し好きな所からワイバーン部隊による航空攻撃をぶつけることが出来る海洋機動力の顕在化。
ソーマはここで、国家の方針としてシーパワー重視で国際関係の主導を握っていくことを明言しています。ちゃんとここで列島国である九頭龍諸島連合と盟を結んで海洋同盟を締結しているあたりが偉いんだよなあ。ランドパワーの超大国である帝国とは裏で密かに協力関係結べているし、もし大陸で大規模な紛争が起こって内陸の交通網が機能不全を起こしても、海洋交通網を握っている限り海運を通じて友好国との連絡や商業ルートは確保し続けられますし、空母の運用は常に攻撃のイニシアチブを握り続けることが出来るということでもあり、本当の最悪の場合でも九頭龍諸島連合という後背地が出来たというわけで。まともに戦わずして海洋の支配権、並びに九頭龍諸島連合という精鋭かつ多数の艦船群の協力を得られるようになったのですね。大陸中央ではいままさにフウガが勇躍をはじめている真っ最中ですけれど、こうしてみるともう既に着々と何が起こっても対処できるような、価値観の異なる者からすると全く視界に入らないところで盤石の包囲網が敷かれつつあるんですよね。
ユリガちゃんは、王国に居て間近に見えているから、また彼女自身の柔軟な視点からソーマの戦い方を理解しつつあるけれど、これを伝えるのは難しいだろうなあ。フウガもまた野性的な感性で何となくソーマの脅威はわかっているものの、わからないものを理解できるタイプじゃなさそうなんですよね。果たして、いつかあるだろう彼らの激突は、激突足り得る形になるのだろうか。
なにはともあれ、ジュナさんオメデタ!


 
10月22日

(MFC)
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(ウィングス・コミックス)
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10月21日

(4コマKINGSぱれっとコミックス)
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(4コマKINGSぱれっとコミックス)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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10月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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10月19日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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10月18日

(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(裏少年サンデーコミックス)
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10月16日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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10月15日

(ハルタコミックス)
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(KCデラックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス月刊マガジン)
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(コロナコミックス)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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10月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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10月12日

(まんがタイムKRコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(アース・スターコミックス)
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(メテオCOMICS)
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(メテオCOMICS)
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10月9日

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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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10月8日

(カドカワBOOKS)
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(電撃文庫)
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(ニュータイプ100%コミックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ヴァルキリーコミックス)
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(ヴァルキリーコミックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(アルファライト文庫)
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(アルファライト文庫)
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10月7日

(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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10月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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10月5日

(フロース コミック)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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10月4日

(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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10月1日

(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(講談社ラノベ文庫)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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(PASH!コミックス)
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(PASH!コミックス)
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(FUZコミックス)
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(FUZコミックス)
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9月30日

(バンブーコミックス)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(モンスター文庫)
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(ファミ通文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(楽園コミックス)
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(楽園コミックス)
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9月28日

(ヤングアニマルコミックス)
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9月27日

(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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