オーバーラップ文庫

星詠みの魔法使い 2.黒水晶の夢色プロローグ ★★★☆   



【星詠みの魔法使い 2.黒水晶の夢色プロローグ】  六海刻羽/ゆさの オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

代々、誇り高き魔術剣士を輩出するレ・ノール家の少女・エヴァリーナ。
幼い頃から魔術剣士を夢見た彼女は、しかし、絶望的なほどに才能がなかった。
魔導書作家を志す少女・ルナと共にソラナカルタ魔法学校の定期試験に挑んだエヴァは、ルナに後れを取り、自身の無力さに焦りを覚え始めていた。
ヨヨに特訓を頼み、鍛えてもらう――その最中。
邪教種の襲撃により、ルナが囚われの身となってしまう。
エヴァはヨヨと共に救出に向かうものの、襲い来る脅威によって窮地に追いやられていた。
傷ついたヨヨに守られることしかできないエヴァは、ルナが記した魔導書で覚醒の兆しを手にする――!

ルナってば贅沢ですよね。ヨヨという自分にとっての主人公を前巻で見つけるわ、食らいつくわ、ものにするわ、とやってのけてたくせに、この娘もうひとり自分にとっての主人公を既に懐に抱え込んでたじゃないですか。
エヴァリーナ・レ・ソール。ルナの親友にしてパートナー。1巻でも親友として登場していましたけれど、彼女のパートは結構駆け足で駆け抜けてしまったのと、あくまでルナとヨヨの物語という体だったのであまりエヴァの印象残っていなかったのですが……いや、めちゃくちゃ重要人物じゃないですか。
というかこれ、ルナのワンマンヒロインの作品かと思ったら、ほぼほぼ等距離でエヴァももう一人のメインヒロインじゃないですか、これ。ヨヨが後輩であるルナが魔導書作家として大成するまで一緒に居続けると心に決めたのと同じくらいの比重で、同じく後輩であるエヴァの事もずっと最後まで見守ってやる、と……この男、それって実質プロポーズなんじゃないのか、というくらいの勢いでこのルナとエヴァの二人の少女に入れ込んでるんですよね。その誓いって、もう学生の間だけじゃ済まないのめり込みっぷりなんですけど、お互いからして。
そんなヨヨの後輩二人への姿勢は、なんかもう先生役とか指導役とか通り越して騎士のように身体を張ってボロボロになりながらも絶対に守り通すという献身と、どれほど彼女たちが自分の道を見失い迷い戸惑っていても、とことん付き合って教え導き彼女たちが望む高みへと辿り着くまで後押しする、見守る、応援し絶対助ける、という慈しみに満ちあふれていて、こんな献身と慈愛に守られてたらそりゃ少女たちも奮い立つし、それ以上に好きになっちゃうじゃないですか。
生まれた時から術素の素養を持たず、憧れた魔術剣士としての素質を持たないながら、それでも憧れを諦めきれずに足掻き続ける少女剣士エヴァ。ずっと挫折し続けてきたと言っていい彼女は、それでも性格歪まず素直に真っ直ぐ育っていて、めちゃくちゃいい子なんですよね。
そして、ルナとは親友を通り越してこれラブ入ってるんじゃないか、というキャッキャウフフな関係で、その凛とした不屈の姿はルナにとってヨヨとは別の意味で自分にとっての主人公がエヴァだったのです。同性の主人公ってやつですね。
今回の話はそんなエヴァがヒロインとしてキラキラ輝き、またルナの望んだ女主人公としてついに挫折から立ち上がり、囚われの愛する親友のお姫様を助けに来るという見事な話でもありました。
ルナからすれば、両手に花ならぬ両手に主人公。自分がこの人こそ主人公と見初めた二人が助けにきてくれるという冥利に尽きる状況だったわけですなあ。
そりゃ、筆も捗るw ウハウハじゃないですか。
ヨヨにとっては目に入れても痛くないほど可愛くて仕方ない後輩二人。エヴァからしても、自分の人生を救ってくれて輝かせてくれた何よりも大好きな二人。
と、なんかうまいことスッポリとこの三人が三人でこそ、という関係に収まったなあ。いや、わりと最初から三人でうまいこと収まっていたのを、エヴァの覚醒というお話によって隙間なく埋め尽くした、というべきかもしれないけれど。
いずれにせよ、読んでいるこっちにも登場人物たちの感情が色濃く伝わってくる、という以上に感情の波に乗ってしまうような想いをぶつけてくる文章はほんと好みです。世界観の設定もしっかりしていて、魔術学園という特異な環境の描き方や登場人物のキャラ立ちなんかも濃厚かつ生き生きしているのですが、登場人物の情緒に重きを置いている分、その感情の勢いに任せてどんどんと話が進んでいく傾向があって、ちょっと急ぎすぎの感があるのかなあ。1巻ではそのきらいが顕著に見えたのですが、まだ2巻はそのあたりしっかりと地に足がついていたようにも思えるのですが、それでもまだいささか早い気がするなあ。
ともあれ、何らかの悪意をもって動いている黒幕めいたものの姿も見えてきて、ヒロイン二人のあり方がある程度完成をみたところで、次はヨヨにスポットがあたるのか、それともこの三人組での話になるのか。なんにせよ、次からこそ本格的に物語が動いていきそうで楽しみです。



現実主義勇者の王国再建記 XV ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記 XV】 どぜう丸/冬ゆき オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

――今こそ「結束」の時だ

ハーン大虎王国、グラン・ケイオス帝国、そしてフリードニア王国が盟主を担う海洋同盟――世界は三大勢力拮抗の時代を迎えた。
そんな折に突如、ハイエルフの国・ガーラン精霊王国が三大勢力に接触を図ってくる。目的は魔王領拡大で失った領土の奪還要請。ソーマはメリットがないと拒否するが、大虎王国は要請に応じて軍を派遣する。
しかし健康な兵が次々と倒れる異常事態が発生。実は精霊王国では死の病「精霊王の呪い」が蔓延しており!?
全世界の脅威となり得る未知の病。これに対処すべくソーマが打ち出したのは、前例のない施策で――!?
革新的な異世界内政ファンタジー、第15巻!

未知の感染症の発生。このネタはコロナの前から始まっていて、完全に偶然だったらしいのですが、一旦様子見したあと流行が収まるまで年単位掛かることが予想されたのでそのまま続行されたそうですが。
コロナと違って空気感染ではない病気なので、近代医療設備も医療体制も整っていない中で世界規模の感染症が! という事態にはならず。そうなったら、フウガの拡大方針も何もかも吹っ飛んでシナリオを全部ふっとばさないといけないだろうけれど。
患者から周囲には直接感染はしない、という事はわりと早い段階からわかっていたので空気感染、飛沫感染ではない事ははっきりしていたのですが、それでも未知の感染症ということでソーマは厳戒態勢で臨むことに。そして万が一に備えて、海洋同盟内のみならず帝国、そしてフウガのハーン大虎王国とも医療体制の協力を打診していくことになる。
この世界において初めてとなる、全世界規模の国家間連携体制である。
フウガが野心を燃やし拡大政策を取っているということは、もうかの国は潜在的に仮想敵国なんですよね。しかし、敵対の可能性もある国家連合とも、こうして包括的に協力体制を築いていこう、という発想がちょっと前まで中世の範疇の文明だったこの世界においては存在しないものなんですよねえ。
フウガも、まだ敵対していないとはいえ微妙な緊張感が生まれつつあるフリードニアにメンツに拘らずに援助を求めるというあたり、同時代の人間としては並外れているのでしょうけれど。
最終的に、あの映像の送受信装置を使って一同に集う事が難しいだろう各国の首脳部を集めての首脳会談、この世界初のサミットを開催してしまうのですから。
そもそもこの時代、一国の王同士が顔を合わせて会談する事自体が稀なんですよね。使節を派遣して交流するのがせいぜいでしょう。それが世界サミットですからねえ。これがどれだけ革新的なことか。
結果として、国家や勢力の枠組みを越えて、医師団が派遣されて感染拡大の収束に成功するわけですから。

だいたい、あの宝珠がオーパーツなんだよなあ。あれで帝国の女帝マリアとホットライン繋いでいることでどれだけ世界変わっちゃってるか。どれだけ相手が信頼できるとわかっていても、使節や手紙のやり取りを時間をかけて行うだけの関係って、どうしたって意思疎通が途絶えがちになり、相手が何を考えているかわからなくなってくるもの。齟齬も出てくるでしょうし、誤解や解釈の間違いなんかも出てくるでしょう。ところが、マリアとソーマは頻繁に宝珠使って顔合わせて話し合ってるんですよね。これは本当に大きい。相手の目的も何を考えているか何を望んでいるかがちゃんと伝えあっている状態、ってのは必要以上に警戒を持たなくてもすむということですからねえ。
勿論、国益を優先させるために自国優先で相手を出し抜こうとしたり利益を確保しようとしたりする面は否めないですけれど、三大勢力となっている今の大陸の中のうちの2つが密かにこれだけ緊密に協力体制にあるというのは、大きいなんてもんじゃないんだよなあ。
まあ、帝国サイドの方は帝国の規模が大きいだけにマリアさんの威光を無視して動く者たちがいない事もない可能性も高いのですが。
とはいえ、今回こんな風に世界サミットが行われ、医療関係についてのみとはいえ、国家・勢力の枠組みを越えて協調していく旨が約束された、というのは国際連合的な国際機関の萌芽が生まれたという事でもあるんですよね。
フリードニア王国の安定と、海洋同盟の締結。そして帝国との連携は世界の枠組みそのものが急速に成熟の方向へと進んでいる、その推進力になっている。
こうなってくると、旧態然の他国を飲み込んで勢力拡大を目論んでいる、世界征服的な野心を抱いているハーン大虎王国って、なんか時代遅れなんじゃないか、という風な気もしてくるんですよね。
でも、世界を取り巻く急速な変化、革新の波は……急速すぎてその舵取りをしている国家指導層と比べて、一般大衆はまだ旧来の古い国家のもとに暮らしていた意識のまま、というのがあるんでしょうね。そんな人達にとって、フウガはわかりやすい英雄であり支持を集めやすい。
ソーマはそのへん大いに危惧していて、大衆の意識改革も急いでいるわけですが。

今回の感染症が魔物由来、というのも面白い要素でした。魔物、といってもまあ発生原因はともかくとして野生動物の一種みたいなものですし、その中に病原菌みたいなものを持っているものがいても不思議じゃないんですよねえ。その駆除のために、バチバチ傷つけ合ってたらそりゃ病気が発生する要素はいくらでもありますわなあ。
大体、こういう疫病ってのは敵の罠とか、バイオハザードを狙った仕込みだったりするのですけれど、自然発生的に起こるのが尤も不自然でない展開とも言えるんですよねえ。
特定の宿主によって発生する病気、ということで今回のは風土病という側面もあり、興味深い話でもありました。
一方で、その病気の内容というか病状の発生原因に、この世界の成り立ちに関係する要素も介在していて、話の構造的にも多重になってるんですよねえ。

フリードニアに留学しているフウガの妹、ユリガはこうしてみると新旧世界の狭間に立って両者の相克を一番真剣に見つめている娘なのかもしれない。この娘、イチハくんを意識してたりはしないのかしら。イチハとトモエのお互い無自覚な想いに溜息ついたり応援したりする姿勢を見せていて、自身は二人の間に入ろうという気さらさらなさそうなのだけど。さて、本当にそんな気ないのか、それともこの娘も無意識なのか。


八城くんのおひとり様講座 ★★★☆   



【八城くんのおひとり様講座】  どぜう丸/日下コウ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」
ぼっちを極めた俺・八城重明にそう頼んできたのは、リア充グループの人気者・花見沢華音だった。
周りの友人に合わせてリア充でいることに疲れたという華音に、俺は一人で楽しく過ごすための“ぼっち術”を教えることになるのだが――その結果、華音に師匠と呼ばれて妙に懐かれてしまい!?
さらに華音との交流がきっかけでリア充たちの抱える問題に首を突っ込まざるを得なくなり――!?
ぼっちの達人とリア充たちが繰り広げる青春ラブコメの最先端、ここに開幕!


なかなか厚かましいですよね、「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」って言ってくるのって。ボッチの拗らせ具合によっては、喧嘩売ってんのか、と言われそうな話ですし。とはいえ、こうやって堂々と面と向かって質問して来れるのが、リア充と言われる人種のコミュニケーションに対するハードルの低さなんでしょうなあ。フットワークの軽さ、と言ってもいい。
事前に別のぼっちに同じことを質問しようとしてマルっと無視されているにも関わらず、メゲずに聞いてくるわけですから。
その無造作さ、場合によっては無神経とも取られかねないコミュを、同じリア充グループ内では取れないんですよね、なんでか。合わせて自分を消費してバランスを取らなければ、コミュが成立しない。
こうやって無造作に声をかけてくる、という事はそういう気遣いをしなくていい相手と認識している、とも取れるわけで。
最初は華音にとって八城重明というクラスメートは、まあその程度の相手だったわけだ。名前も覚えてないような相手だったわけだし。
仲良くなってからも、顔色を伺う必要があんまりなく気軽に付き合える相手、と認識しているのだろうけど、いずれにしても別枠ではあるんですよね。普段付き合いのリア充グループとは。そっちに引っ張り込もうとはしていないわけですし。そうやって別の対応が出来る相手を作る、というのは一つの集団の中でだけ時間のすべてを費やすよりも、そりゃあ気分がリフレッシュできるだろう。世界を一つに固定しないというのは賢い生き方である。世間が狭い学生の身なら尚更だ。
ぶっちゃけ、その時点で華音の目的は達成されているんですよね。一人の時間というのは、華音にとってそこまで重要な代物ではなかったと言えるかもしれない。まあ偶に気が向いた時に独りで過ごす手段を身に着けた、という意味では尚更悪くはないのだけど。
も一人の威堂智風についても、傾向は違っても方向は一緒だ。八城と知り合うことで、一つの世界という閉塞に風穴があいた。外を敵視し殻を固くしていた智風にとっては、違うコミュニティと交流を持つようになったことで鬱屈から開放されることになる。周りの見え方から変わってくる、というやつだ。そうなると、今まで居た元のコミュニティに対してももっと柔らかい見方が出来るようになる。華音も、元のグループに感じていた窮屈感が和らいでいったんじゃないだろうか。好循環である。
なるほど、リア充グループの中心である羽鳥くんが、二人の不調を感じながら自分ではどうしようもなかったので、八城には感謝している、と言ったのも納得である。こればっかりは、同じコミュニティの一員である羽鳥には、如何ともし難いものだからだ。というか、この高校生、人間関係に対しての理解が深すぎるんじゃないだろうか、えらいやつだ。

ちなみに、肝心の八城くんのおひとり様講座の内容については、あまり感銘を受けるものはなかったなあ、うん。なんか時間の潰し方、という感じのものが多くて、一人を楽しむ、という時間の有意義な使い方、という感じではなかったですからねえ。これに関してはお一人様の先人である【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。】(富士見ファンタジア文庫)の春一氏が、まさにお一人様の達人、という感じで独りで過ごす幸せな時間を極めていたので、どうしてもそれに比べてしまって……。
まあでもさ、八城くんのそのお一人様の楽しみ方って……自分それ、独りで楽しんでたんじゃないんじゃね? というアレでしたからね。それら、他の誰かさんから教えてもらって、一緒に堪能してたわけですから、究極的に独り関係ないヤツですもんね。
……見方によっては、華音たちに教えたそれって自分たちのデートコースじゃねえかw

あれ? この八城くんってもしかして、と思ったのはわりと早い段階でしたよ。いや、あからさまになんか怪しかったですからね。八城くんとしては、別に隠し立てもなにもしてなかったのかもしれませんが。
ぶっちゃけ、八城くんのどこがボッチなんだ、と思うところもありまして。クラスで誰かとつるんでなかったらぼっちになるんだろうか。そもそも、やたらコミュ力高いのは結構一目瞭然だった気もするのだけど。
八城くん本人が、自分をぼっち、と規定している、というのもあったのでしょうけれど。これに関しては、彼に限らず登場人物の全員が、ぼっちかリア充かでどちらかじゃないといけないみたいに自分を規定してレッテル貼り付けていた印象もあるんですけどね。
そこまで拘らんでも、と転校生佐藤柚月を巡るトラブルを介して思ったり。八城くんの主張はロジックとしては理解できるんですけどね。柚月も、ぼっちを脱却したいと思っている人種だからこそ誰よりもぼっちとかリア充というレッテルに拘っているところもありましたから。
でも、自分じゃダメなんだ! と、そこまで力強く主張しなくても、と思ったり。
いずれにしても、羽鳥くん、あれは聖人か何かなんだろうか。後のフォローも含めて、対人能力が神なんですけど。

というわけで、真打ちは最後にやってくる、メインヒロインも遅れて最後に姿を表す、ってやつでした。すげえ、いきなりラブラブのラブコメになったぞw
二人の少年少女の甘酸っぱい幾つもの初めてを重ねていく物語。他人とうまくコミュニケーションをとれずに自分の殻に閉じこもっていた少女が、急かさず先走らず同じペースに合わせて寄り添ってくれる初めての男の子に、恋をしてしまうお話でした。
これ見ると、八城くんの懐の深さはまたべらぼうなんですよね。相手のペースに合わせることが難しいし、そもそも人によってペースが違うという事を理解できる人の方が珍しかったりする。この娘、ヌエのそれは時間の流れが違うんじゃないか、というくらいペースが異なっているのに、八城くんはそれを見つけ出すことに成功してるんですよね。
ヌエからしたら、人生で唯一のジャックポットですよ。生涯に一人出会うか否か、というような相手ですよ。そういう相手とこの歳で出会える、というのは幸運であり幸福であり。そして、それをおめおめと逃さないだけの、勇気がこの娘にはちゃんとあったわけだ。
あまりにもベストカップルすぎて、ちょっと他の娘入り込む余地はなさそうですなあ、これ。はい、残念でした華音さん智風さん。まああんまりにもラブラブすぎて、華音たちも割って入る気にもならなくなってしまったようですが。まー、あれだけピュアに一途に恋する少女してたらねえw
というわけで、裏章の甘酸っぱさにはちょっとアテられてしまうほど、遅れてきた真打ちは強力でした。
メインヒロイン、てのは別に最初から出てりゃイイってもんじゃないんだなあ。



TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(上)~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★☆   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 4(上)~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

ちょっとしたお遣いのはずが不死者ひしめく迷宮に挑む羽目になり、なんとか攻略したデータマンチ転生者エーリヒ。
彼は共に命を懸けた友であるミカと療養後、ヤバすぎる戦利品やお遣いの品を手に帝都へと帰還を果たす。
そして魔導師(マギア)アグリッピナから破格の報酬を得るのだが、そのアグリッピナが出掛けたまま行方知らずに!
エーリヒは彼女を心配して捜索を――なんて気は全く無く、兵演棋(ボードゲーム)の駒を売る小遣い稼ぎに精を出すのだった。
そこで知り合った僧の少女とささやかな友情を育むが、その縁から今回もトラブルに……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、第4幕が開演!


ウェブ版既読……のはずだったんですが、一度読んだはずだったのですが……。
なんか全然別物なんですけど!?
あれぇ、なんかこの辺ってこんな展開だったっけ? このキャラここに登場してたっけ? なんか初めて読んだ話みたいだなあ!? というのが、冒頭から巻末までずーーーっと続くんですよ。
延々とあれぇ?と首かしげてたら終わっちゃったよ!!
これ実質全面改稿じゃないですかー!! わはーー!!

いやそりゃ、こんだけ丁寧に丁寧に上塗りしてたら嵩も増えますよ。上下巻構成になって、さらにページ数やばいことになりますよ。めっちゃ厚い割にサクサクと読めてしまうあたり、ほんと自分的に好みのどストライク入っているのがよくわかるのですが。
キャラの掘り下げもさらに進んでいて、特にミカのキャラクターなんか非常に深く掘り下げてるんですよね。ミカが女性体になった時の美少女っぷりってそんなねっとり丹念に描いてなかったと思うんですけど!? それだけエーリヒが意識してしまうほど、ミカの超絶美少女っぷりが浮き彫りになってるんですよね。同時に、時期によって性別が変わってしまうミカの、そのメンタリティの変化についても非常に丹念に描いているので、彼の…彼女の? ミカの女性体の時のあざとさというか仕草のキュートさがこれでもかと描かれてて、凄く印象に焼き付くことに。そんでもって、男性体や中性体の時の様子も余計に引き立つことになってるんですよね。
正直、ウェブ版のときよりもだいぶミカの印象強くなったんじゃないだろうか。出番も凄く増えてますよね!?
これだけ女っ気を強く発しながら「我が友」とぴったりと寄り添ってくるの、ちょっと凶悪すぎやしませんかね!? 性別の変化に伴って精神性や様子が変わりながらも、この親友というスタンスは変わらない、というのが余計にエーリヒとミカの距離感をおかしくしてしまっているような気がする。
当人たちの間ではその辺無意識であんまり自覚ないみたいなんですけどね。他者から見るとなんかすげえ関係だな、と見て取られるのは後々また語られるところなのですけど。

さて、なにはともあれTRPGの華である都市探索シティアドベンチャーである。in帝都!
その帝都がどういう都市なのか、三重帝国というこの国がどのように成り立ち、今に至り、どんな支配者たちがこの国を動かしているのか、というのが現皇帝の登場とともに描かれる。
てか、あの三巨頭揃いぶみのぶっちゃけ話は結構好きなんですよね。意外と、この物語に登場する権力者たちって、権力そのものにあんまり興味ないどころか、他人にぶん投げたくて仕方ない、他に自分のやりたいこと持ってる抱え込んでる頭のヤベえ趣味人、というのが面白いんですよね。
それでいて、尋常ならざる政治家であり謀略家であり政略家でもあるという皮肉。アグリッピナ師だって、あれだけ責任から逃げ回っておきながらこの人稀代の政治力の怪物だったりするんですよね。まあ、この国そういうのの巣窟だったりするのですけど。
アグリッピナ師をして、ギャフンと言わされいいように振り回されるようなヤベえのが上にいるんだよなあ。そのアグリッピナ師がどれだけヤベえかについて、エーリヒが散々これでもかと痛い目を見つつ言及した上で、そのアグリッピナ師受難の時を描くとか、恐ろしや、である。
何より、この人ら最終的に自分だけがその枷から逃れて、誰かにそういうしち面倒くっさいの押し付けて、自由にやりたいことやり倒すぞー!というのが目的だったりするので、たちが悪いなんてもんじゃないんですよね。見事なまでの政略謀略をやり尽くしての権力の押し付け合いw
まあその流れ矢がなぜかピンポイントでエーリヒのところに飛んでくるんですけどね。どこにいてもなにやってても、ピンポイントで彼のところに飛んでくる不思議。

そもそも、いい年した大人共の大人気ない押し付け合いのとばっちりにして被害者であるところのツェツィーリアさんとエーリヒの間には本来縁らしい縁なんてなかったはずなのにね。
それが、エーリヒが小遣い稼ぎのためにやってた兵演棋というこの世界のチェスか将棋みたいなボードゲームの駒(自作)売りと、営業を兼ねた兵演棋の辻勝負の常連客、というだけの縁だった訳ですから。
ただ常連というだけあって、兵演棋の勝負、指し合いを通じた濃密な会話を何日も何日も続けていた、という意味合いもあるだけに、運命と言えば運命的ではあるんですよね。
出会いのきっかけ、縁のはじまり、としては。

ってか、ツェツィーリアさんってこのシリーズにおいての貴重な「お姫様」枠ヒロインですからねえ。幼馴染枠のマルギット、親友という女友達枠のミカ、妹枠のエリザ、そしてお姫様枠のツェツィーリア……って、こういう枠でくくると意外と王道路線なヒロイン構成だっりするんですね、この作品。
まあ、一人として普通の人類がいないという時点でオーソドックスなんて欠片も見当たらないとも言えるのですがw
いや個人的にツェツィーリアは、一番立場的に色々とお互いハードルが高い分、期待も募っちゃう相手なんですよ。
アグリッピナ師? あの人は……うん、なんかもうクリティカルかファンブルかわっかんねーわ。


というわけで、ついに本格的なシティアドベンチャーの開幕。混在した街の中を敵と味方で走り回る、というのはTRPGの肝にして味噌ですよねえ。そんでもって、地下通路はやはり王道なわけで。
その上で、ちゃんと地下通路の出来た理由やら今現在、どのように地下が使われているのか、なんかが帝国の歴史から社会情勢、インフラにまで言及が及ぶ辺りで世界の設定の濃密さがこれでもかと味わえるのであります。
もうどこ齧ってもどこ舐めても濃厚な味わいを堪能できる設定で敷き詰められた作品ですわー。めっちゃ楽しい。

ヘンダーソンスケール2.0。つまり、今回のIFとなる未来の話は。
生命礼賛主義者……つまりロリコンにしてショタコンという筋金入りの幽霊であるライゼニッツ卿に、エーリヒが貰われてしまった世界線のお話。ガチでピナ師に売り払われる未来も可能性としてあったのかw
ライゼニッツ卿、この巻の前半あたりで貴族階級の金銭感覚は隔絶している、という話題の中でそんな金銭感覚おかしい連中をぶっちぎりで置き去りにした金額を、エーリヒとエリザに着せる衣装代に注ぎ込んでる、という話で思わず笑ってしまったんだけど、ほんとこの人はほんとにもう、どうしたものか。
でも、そんなライゼニッツ卿との未来の話で、ショタを維持するどころではなく、老いた側仕えとして老人として、ずっとライゼニッツ卿の傍に侍っている老エーリヒを敢えて描いてみせるの、なんかいいですわー。
エーリヒもまた、すんげえカッコいい年のとり方してるんですよね。そして、そんな趣味趣向の範疇から遠くハズレてしまったはずのエーリヒを、ついに晩年まで傍から離さず寄り添わせ続けたライゼニッツ卿の、どこか無邪気な姿に感慨を覚えるわけです。
これはこれでイイ世界線だったなあ。好き。






俺は星間国家の悪徳領主! 1 ★★★   



【俺は星間国家の悪徳領主! 1】  三嶋与夢/高峰ナダレ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

好き勝手に生きてやる!
なのに、なんで領民たち(あいつら)感謝してんの!?

星間国家アルグランド帝国――その辺境惑星を治める伯爵家に生まれ、幼くして当主となった転生者リアム。
彼は善良さ故に奪われ続けた前世の反省から、今度は奪う側である「悪徳領主」となって民を虐げようとするのだが――
「こんなの搾り取ろうにも、搾りかすも出ねーよ!!」
受け継いだ領地はこれ以上虐げようのない荒れ果てっぷりだった!
虐げても大丈夫なようにと、まずは領地を繁栄させていくリアム。
それでもできるだけ悪徳領主らしく振る舞うのだが、何故か民からの好感度は上がりっぱなしで……!?
悪徳領主を目指してるのに名君と崇められちゃう勘違い領地経営譚、開幕!!

他人を省みることなく、自分の思う通り好き勝手に生きる。と言われると、まあ眉をひそめてしまいますよね。そんな生き方をしてるやつなんて、ろくな人間じゃないという風に思ってしまう。
ただ、この好き勝手に生きる、というのが意外とポイントだったりする。どんな風に振る舞うことが、その人にとって快感なのか、不快なのか。気持ちよく痛快に感じるのか、居心地悪くどうにも満足に思えない事なのか。
人それぞれなんですよね。
とある悪魔。案内人を名乗る謎の男によって、星間国家の伯爵家の嫡男に生まれ変わらせてもらったリアム。さても彼は、自分の前世を悪意をもって踏み躙った犯人が案内人である事を知らず、また生まれ変わった先でも不幸を撒き散らし自身も不幸になる事を期待され、悪徳に興じて生きるように誘導された哀れな犠牲者、であるはずだった。
のだけれど、リアムという男はもう根っからの小市民なのである。そもそも、悪徳領主のイメージからして、時代劇の悪代官とかその程度の代物しか想像できない。かつて前世で様々な相手からあれだけ搾取され続けたにも関わらず、今度は自分が奪う側に回ってやる、と決意しているにも関わらず、自分から奪った連中を真似したりしよう、という発想がそもそもないんですよね。
だから、本物の悪徳、邪悪に比べるととてもじゃないけれど悪行らしい悪行が出来ないのである。そもそも、領民たちから搾取するために、まずは領地を発展させようという発想からして、悪徳領主としてはおかしい。
本物の悪徳領主なら、領主を継いだ際にどれだけ領地が荒廃し領民達が酷い暮らしをしていても、気にせずさらに搾り取ろうとしていたでしょうしね。
小市民であるがゆえに、根が善良であるが故に、どれだけ好き勝手振る舞うにしても、人でなしとしての振る舞い自体が居心地悪いし不快に感じてしまうのだ。好き勝手生きているのに、しんどい思いをしたり気分悪くなったり面白くないのに我慢し続ける、という状態になってしまうのは本末転倒ですもんね。
なので、リアムが好き放題やりたい放題することが、そのまま領地の発展に繋がり皆の幸せに繋がっていく、というのもまあ必然なのかもしれません。
本人は大いに悪行を成し、悪徳領主として皆を苦しめ高笑いしているつもりなのが、滑稽といえば滑稽なのですが。
なまじ舞台が星間国家というやたらスケール大きい世界観なのも影響しているのでしょう。中近世のファンタジー世界と違って、技術力や文明文化の未発達によって不便を強いられる事が一切ないのもあってか、星間貴族たちの放蕩っぷりは小市民では想像すらできない規模になっているので、リアムの想像力ではどれだけ贅沢しても、この世界の一般常識からすると非常に慎ましく質実剛健に見えてしまうんですよね。不必要な贅沢や意味不明な浪費は、ストレスや不愉快に感じてしまうというリアムの性質もまあ、大いに影響しているのでしょうが。
リアム本人としては、満足そうだからいいんじゃないでしょうか。実際、彼としては人の意見は聞かずに自分の意見をゴリ押ししてやりたい放題やってるつもりですし、決して他人を慮ったりもしていませんし、優しさとか情愛、慈しみの心なんて持っているつもりもないし、それを他人に与えているつもりもないのですから。彼からしたら、ちゃんと他人は利用しているし搾取しているし踏み躙っているつもりなのである。立派に悪徳領主をしているつもりなんですよね。
善意にほだされているわけではないんだよなあ。

全体としては、個々のエピソードを深く掘り下げていくでもなく、さらっと流すようにサクサクと描いていくので、スピーディーではあるのですがじっくり味わうタイプではないのでしょう。個々の登場人物についてもスポットがあたるわけでもなく、モブキャラに至っては名前すらなくリアムの言動や実績に対して、リアクションするだけの単位に過ぎないので、ほとんど印象にも残りませんでした。
まあ案内人が本来の思惑と逆なことになってどんどん酷い目にあっていくのは、実にざまぁな感じになっていて善き哉という風情でしたが。



死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI ★★★☆   



【死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI】  彩峰舞人/ シエラ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

最強(オリビア)vs 最強(フェリックス)

王国の命運を賭した、帝国に対する決死の反攻計画“暁の連獅子作戦"がついに発動する。
第二軍のブラッドを総大将とし、オリビア率いる第八軍、さらには同盟を結ぶメキア神国軍からなる王国第二連合軍は、帝都オルステッドに向けて進軍を開始。
虚を突いた作戦は功を奏し、目標とする帝都は目前に迫っていた。
しかし、帝国最強と謳われる“蒼の騎士団"を前に、戦況は刻一刻と敗北へと傾いていく……。
起死回生の一手として、“死神"オリビアは少数精鋭による玉砕覚悟の強襲作戦に臨む。
立ちはだかるは、帝国最強の将・フェリックス。
最強同士が激突する最終決戦の幕が上がる――!

唐突に死神ゼットと少女オリビアが初めて巡り合う回想が挟まれて戸惑ってしまった。オリビアって、赤ん坊の頃にゼットに拾われて今まで育てられたんじゃなかったんだっけ?
と、思っていたらその少女オリビアは長じてとある男性と結婚し、一人の赤ん坊を産んじゃうんですよ。そう、この物語の主人公であるオリビアは、本来「オリビア」という名前じゃなく、その母親こそがオリビア・ヴァレッドストームだったのである。
紆余曲折あり、赤ん坊は人の立ち入らぬ森の奥深くで父親と思しき亡骸の横で生き残っていたのをゼットが拾い育て、今に至るわけですけれど。
ゼットとオリビアの母にこんな交流があったと知ってしまうと、ゼットが赤子の素性を知っていたかはわからないけれど、その子に「オリビア」の名前を与えて育てたという事実には意味深なものを感じてしまうんですよね。
その天真爛漫さで死神を恐れる事なく彼に多くの示唆を与え、人ならざるその身に今までにない「心」を宿すきっかけになった人間の少女。その娘の事をゼットはどのように思っていたのか。想っていたのか。
オリビアの名前には思いの外「情念」が込められているように見えるんですよね。

しかし、そんな手ずから育てた少女を置いて、ゼットは消えてしまう。未だ彼が何を思ってオリビアのもとを去ったのかはわからないが、ゼットを追い人間の世界に飛び出したオリビアはそこでゼット以外の大切な人たちと出会うことになる。
ただ成り行きで戦争に加わったオリビアが、明確に戦う理由を得たのはそうした友達を得たからだ。
果たして、ゼットはオリビアを人の世界に戻したかったのか。だが、戦争の渦中で得た友誼は、親愛は、同じ戦争によって奪われ失われることになる。
オリビア・ヴァレッドストームはまだその冷酷な現実を知らない無垢なる乙女だ。本当に大切なものを失った時、純真無垢なる彼女の心はどうなってしまうのか。それを目の当たりにするであろう時間が刻々と迫ってきている。彼女にそれを強いる、驚愕の急展開だった。ヒロイン、お前なのかよ!

いやでも、結構急展開続きなんですよね。これまで伏せられていたオリビアの出自、両親の存在が明らかにされ、深淵人と阿修羅と呼ばれる一族との因縁がオリビアにどう繋がっているのかもわかったのですけれど……ぶっちゃけ、オリビアからすれば眼中にない、まま変わってはいないんですけどね。
オリビア率いる第八軍とフェリックス率いる蒼の騎士団との激突は、お互い各々の国の真打ち同士ということで激闘が続く。正直ローゼマリーとの再戦も飛ばして神国メキアの援軍もよそに回して、フェリックスとの対決に突入したのは急だな、とは感じたんですよね。
それ以上に、フェリックスと直接対決に入ったところであの展開は、巻き入ったんじゃないかと思っても仕方ないんじゃないかと。いや、もうちょっと我慢しなさいよ、せめて決着つくまでは。なんでそんな乱入みたいな形で宣言してしまうのか。流石にこれでフェリックスとの決着が流されてしまったのは消化不良ですよ?
蒼の騎士団との戦いも、これまでと違ってあんまりパッとしないイメージが湧きにくい描写で、アシュトン頑張っていたのはわかるんですけど、オリビアの活躍の余地があんまりなかったのもなあ。それだけ、蒼の騎士団がオリビアを封じ込めていた、ということでもあるのでしょうけれど。
オリビアとアシュトン、せっかく二人が同格の作戦能力を持つだけに、一人のフェリックスに対して二人という強みを生かして、というのをちょっと期待していたのですが。

急展開の衝撃的なラストから、さらに次で完結という予告が入って、ここから一気に話終わっちゃうの? と、虚を突かれております。このままだとメキアの人たちあんまり話に入ってこれないんじゃないだろうか。
てっきり、アシュトンとクラウディアはカップリング既定路線かとも思っていたのですが、アシュトンの方はオリビア一途だったのかもしかして。


信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王 ★★★☆   



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王】  大崎アイル/Tam-U オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

未知なる同盟を結ぶべく――災い滾る火の国へ!

エルフの里にて魔王復活を阻止した高月マコト。
依然として勢力を拡大する魔王軍に対抗すべく、マコトは同盟を求めて軍事国家・火の国へ向かうことに。
しかし到着早々、“最強"と謳われる火の国の勇者から強襲を受け!?
さらに、マコトはかつてのクラスメイトが火の国に奴隷として囚われているとの噂を耳にする。
真相究明に乗り出す中、蛇の教団は王都の地下神殿で王都破滅計画を始動。
水の精霊が全く居ない火の国で、マコトは劣勢に立たされるが――!?
「いつぶりかしらね、地上に来るのは」
――突如降臨した女神ノアの奇蹟により、事態は急転し……?
女神と少年の異世界攻略ファンタジー、第7巻!

マコちゃん、修行は12時間が基本ってアホだろう。これ平常運転でやってるもんなあ。
こうしてみると、ストッパー役になっているのがフリアエだけなんですよね。アヤもルーシーもマコちゃんだからー、でスルーしてしまうしソフィア姫はそこまで強く言えないので、自然とフリアエが保護者役になっている気がする。フリアエの騎士なのに、むしろマコトの方が面倒見てもらっている気がするんですけどー!?
さても、次の舞台は火の国なんである。そんな火の国とか水の精霊居るのー? 居ませんでした。さっぱり居ませんでした。必然、役立たずになるマコちゃん。この勇者、相変わらず振れ幅が激しいどころじゃないなあ。やる時は人類の範疇をぽんぽんはみ出さない!とお説教したくなるほどひょいひょいと意味不明なレベルのことをしでかすのに、出来ない時はさっぱり何も出来ないですからねえ。水の精霊を中心にまわりの力を借りることで力を発揮するタイプのマコトは、それが出来なくなった場合本当に無力になってしまう。ただ、マコちゃん本人はそこまで気にしていないというか割り切っているというか、出来ない時は出来ないんだから仕方ないよねー、というこのフラットさ。
でも仕方ない仕方ない、と言いつつ、こっそり何とかしてしまえるようなヤバい工夫を頭の中で常に練っているあたり、頭おかしいんだよなあ。その原動力に、無力が悔しいとかもどかしい、というネガティブな感情を抱いてそれを反発力にしている、という風ではないんですよね。本当に、ただただ出来たら便利だよねー、という程度のことで自滅しかねない危険領域に躊躇なく足踏み入れるんですから。女神さま方、ノア様もエイル様もドン引きしてるじゃないですかw
いきなりやらかさずに、ちゃんと事前にこれ大丈夫ですかねー?と相談するあたり妙に良識的な側面を有しているのが、むしろこう……社会性のあるヤベえやつ、みたいになってる原因じゃないだろうか。
さて、火の国でのご当地勇者とのトラブルは、降り掛かってくる熱量に対してどうしても平常運転で流してしまうマコトじゃなく、わりと受けて立つぜー、みたいなところがあるアヤさんが請け負うことに。アヤもルーシーほど熱くなる短気なタイプじゃないはずなんだけど、この子はこの子でゲーマーはゲーマーでも格ゲーとかアクションゲーの方の対戦で熱くなるタイプのようなので、火の国の勇者の煽りには、がっちり噛み合った感がありますなー。
しかし、ここでアヤが一気に強化、となるとは思いませんでしたけど。そういえば前回はルーシーの強化回にあたるんだったか。あんまり意識していなかったけど。
というわけで、これまで割と放置されていたアヤちゃんの個別強化で一気にレベルアップ。これ、人型だからわからないけど、本性のラミアクイーンの正体表したらその辺のダンジョンボスどころじゃないとてつもないモンスター登場、みたいな事になるんじゃないのかしら。
いや、ちょっと思っていたよりも軽く三桁くらい段違いで強くなっちゃってるんですけど、アヤさんたら。それ、そのスキルってアクションゲームならともかく、現実でやっていいんかい!?って領域のスキルだと思うんですけど!?
一応、この大会の一件で、アヤも勇者認定受けたことになるんですよね。これ、名実ともに桜井くんとマコトとアヤで勇者スリートップになったんじゃないだろうか。アヤちゃんもうこれ、物理最強と言っても過言じゃないでしょ!?

ラストはやっぱり一番頭おかしいのはマコトだよね、という絵面からしてスケールが段違いな光景が現出してしまったわけですが。あ、よっこいしょ、って感じでそっと脇に置き、で済ましていいもんじゃないでしょ、それ!?
あらすじでもあがっていた、奴隷になっていたという元クラスメイトのケイコ。彼女についてはマコトも手を貸そうとしたけれど、実質彼女の幼馴染だったふじやんが自力で解決して助け出しちゃってるんですよね。ほんと、ふじやんはマコちゃんと別のベクトルで主人公やってるよなあ。
ケイコちゃん、諦めなければまだチャンスあると思うぞ。甲斐性に関してはマコトよりも或いは桜井くんよりもふじやんが一番ありそうだしねえ。


現実主義勇者の王国再建記将 ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記将検曄,匹爾Υ檗薪澆罎 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

九頭龍諸島を脅かす巨大不明生物を討伐したソーマ。
王国民はソーマの活躍を大いに称えるが、世界はさらなる快挙に沸いていた。
魔王領、一部奪還――東方諸国連合の小国・マルムキタン王フウガが挙げた大戦果である。
東方諸国連合内で急速に勢力を拡大していくフウガ。
これに危機感を抱いた反フウガ派による“フウガ暗殺未遂事件"を発端として、東方諸国連合は各国入り乱れての大規模な戦に突入し……!?
――この争乱の果てに、世界は新たなステージへ移行する。
革新的な異世界内政ファンタジー、第14巻!

さすがに主人公サイドじゃないだけに、フウガの躍進を何巻もかけてはやらないか。
というわけで、この1巻で一気にフウガが東方諸国を統一することに。本来なら小国が乱立していて利害関係も複雑に入り組んでいるだろう地域の統一は時間が掛かるものなんですけどね。さらに、チマ公のように係累を各国に送り込んだり婚姻政策も各国同士で結ばれているだろうから、なかなか勢力が纏まることなく統一するとなると虱潰しの様相を呈してしまうのだけれど。
ここでポイントとなったのは東方諸国連合が魔王領と隣接し魔物の脅威を常に受けている地域ということなんでしょうね。利害関係の存在しない人類種にとっての明確な敵が外に存在して、それに対抗しえる英雄の出現は指導者層を除いたその地域全体の希望と期待を一身に背負う存在となったわけだ。それでも、反フウガ派なんてものが確立され、勢力として集合してしまったことが本来複雑化してチマチマと絡まった糸を解くようにしていかないと行けない対立構図を一気に簡略化単純化してしまった事が、統一事業に拍車をかけたのである。
面白いことに、これに関しては反フウガ派の取りまとめを行ったチマ公の想定外ではなく、むしろ彼の意図した所であったのではないか、という節があるんですよね。
これまでのチマ公国の外交政策を維持するために、東方諸国連合の情勢を根底からひっくり返してしまう可能性が非常に高くなっていたフウガを早い内に排除する、という目的は嘘ではなかったのだろうけれど、もしフウガの統一事業を阻止できない場合は下手に地域に戦乱が続いて東方が荒れるよりも、一気に統一が成された方が東方全体としても、チマ家としても良いという判断があったんじゃないかと思われるのである。そのために、反フウガ勢力を糾合したとも取れるんですよね。勝っても負けても、チマ公の想定通りだったのだろう。後継者であるハシムがすでに最初からフウガと繋がっていたのを、彼が見抜けていなかったとも思えないので、チマ公マシューはある意味この戦乱を掌中に収めきっていたと言えるのではないだろうか。
敗れてなお、謀将としての凄味をより知らしめた傑物でありました。むしろ、この人がフウガ陣営の大参謀となってなくて良かったよ、と安堵するくらい。
まあ子供達からの人望があれだけなかった事からも、人徳はなかったんだろうけどなあ。
その意味では、長男のハシムも思いっきりその路線を継承してしまっているとも言えるのだけれど。才はあれど、やり方が陰惨で人から好かれるタチではないわなあ、あれは。
だからこそ、自分が王となるのではなく、参謀として政治や軍事のくらい部分を差配する立場に立つことを、仰ぐべき主君を得ることでこそ羽ばたける、という思いだったのかもしれないけれど。
ただほんと、このハシムってオーベルシュタインなんですよね。ある種のギラギラした自分の才能を発揮したいという欲を持っている分システムに徹したオーベルシュタインよりよろしくないかもしれない。
彼の提案した策は、フウガの統一事業を加速させた上で一気に安定させたかもしれないけれど、やっぱりフウガの英雄としての名望に曇りを与えたことは間違いないと思うんですよね。やったのはハシムかもしれないけれど、それはどうしたってフウガの成した事として認識されてしまう。
今のフウガの躍進が、時代の流れと民からの期待に後押しされたもので、実態以上に勢いによる加算が成されている以上、逆にその勢いが衰えた時に押し寄せてくるネガティブ、しっぺ返しは考えなくちゃいけないだろう。
ハシムが主導したかなり強引で陰惨な勢力としての整理整頓は、現状を勢い任せにしない地固めのため。実態を確かなものにするため。いざというとき踏ん張れるだけの土台、基礎を急いで固めるため、という目的は明らかなだけに、間違いではないんだろうけど。
どうしたってフウガに対しての恨みつらみは買ってしまっているし、今はもてはやしている民草も、いざ風向きが変われば見ないふりをしていたこれらの外道なやり口を唐突に思い出すことになるでしょう。
それに、ソーマたちはハシムの策を丸呑みしているフウガを、本来の自分の好みと違うやり方だろうと必要なら受け入れる器を示した、と濁を呑んだと評価しているけれど、ハシムが臣下に下って以降彼の策が全部実行されていて、なんだかフウガの主導が見えなくなっちゃってる感があるんですよね。呑むべきは呑み、拒否するものは決然と拒否する姿勢が見えていたら、ハシムを使っている感があったのですが。ハシム自身はちゃんと臣下として働いているのはわかるのですけれど、フウガという英雄の色が見えなくなってしまったなあ、というガッカリ感があったのも確か。
これ、昔からフウガに付き従っている古参の部下たちはどう考えているのでしょうね。彼らの趣向もまた、フウガと同じようなものだったでしょうし。顔をしかめるような卑怯な闇討ちやパワハラからの追放なんかを見せられ、協力しないなら危険だから処分するみたいな今までのフウガとは全然違うやり方を目の当たりにさせられて。
それを諸共しないのが、フウガのカリスマなんでしょうけれど。

しかし、東方諸国連合に所属しているユリウスたちはこれどうなるのかと思ったら、直球でソーマのところに亡命してきてユリウスが臣下に下るというのはさすがに予想外だった。いや、確かに現状現場で軍全体を統率する大将軍クラスってフリードニア王国にはちゃんと居なかったよなあ。
それができるライオン丸は今や影働きですし、これは良い貰い物だったんじゃないだろうか。ハクヤと共に政軍の二本柱が出来たということだし。


駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。1 ★★★★☆   



【駅徒歩7分1DK。JD、JK付き。1】  書店ゾンビ/ユズハ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

面倒な家事も、些細なイベントも、女子大生と女子高生が一緒だとちょっと楽しい。

「泊めてくれたっていいじゃん。そっちのエッチな人も泊まるんでしょ? 」
「ええっ! あっ、その、私は……エッチな人では……」
谷川陽史26歳、黙々と激務をこなす独身リーマン。
ひょんなことから幼なじみの女子大生・詩織を自宅で預かることになったのだが、とある行き違いで女子高生・彩乃も転がり込んできて――。
「お風呂、先にしますか? それとも、お食事に……」
「あたしが寝付くまででいいからさ、添い寝してくんない? 」
そして始まった奇妙な同居生活。
それは、想像以上に楽しくて、刺激的で……?
サラリーマンとJD、JK。
そんな3人が1DKから始める、ホームラブコメディ。

息が詰まる、一緒に居ると気が休まらない。そんな窮屈な人間関係は家族間にだって存在する。でも、彩乃の家族はそんな窮屈という範疇にも留まらないものだったのだろう。
彼女の家の事情は詳しくは語られない。彼女がそれについては触れようとしない。ただ断片的に漏れ聞こえる様子を見れば、彼女が家族と同じ空間に存在することすら耐えられなかっただろう事が伺える。夜は街を徘徊して時間を潰し、学校で寝ることで辛うじて体を休める。そんな破綻した生活はあっさりと限界を迎えていた。肉体的にも精神的にも摩耗していた彼女は定期を落とした若いサラリーマンに声をかけたことで。正確には、定期に記されていた名前を呼んだことで、彼女の運命は変転する。
丁度、田舎から出てくる十何年ぶりかに会う幼馴染。と言っても一回りも年齢が違う年の差があり、幼い頃に毎日遊びに来ていたものの長らく顔も見ていなかった女性だ。母親からの依頼で、大学進学のために上京してきたものの、住む所が見つからずにしばらく一緒に住まわせてあげて欲しい、という話を了承し、その彼女・詩織と会うのがその日だったのだ。
たまさか自分の名前を呼んで声をかけてきた彩乃を、件の幼馴染と勘違いした結果、彼・陽史は家まで連れ帰ってしまう。預かった合鍵を使って部屋で待っていた詩織とばったり鉢合わせるまでがプロローグである。
かくの如く、この三人には深いつながりなどなにもない。詩織と陽史は幼馴染ではあるけれど、随分と年の差もあり、詩織が大きくなるにつれて疎遠になってしまいこれが久々の再会だった。彩乃に至っては二人と面識すらなかった。

でも、この三人が家族になるのに、時間なんて殆ど必要なかったのだ。
共同生活をはじめたこの三人の間に流れる時間は、読んでいるこっちまでリラックスしてしまいそうになるほど穏やかで、心地いい。自然体で気負わずあるがままに。
家主である陽史が、いい意味で大雑把であるのがいいのだろう。飛び入りで居候させてもらうことになった彩乃も、必要以上に気を使わずかしこまらず、ようやく呼吸できる場所を得たように陽史と詩織の横でゴロゴロとくつろいでいる。
気配りは、詩織の担当だ。おっとりとした物静かそうな彼女は、細かい所に気が付き世話好きで彩乃の不調に気が付き、彼女を泊めてあげられないかと陽史に頼んだのも彼女だった。
世代も性別も趣味も性格も違う三人は、だけれどまるで凹凸を埋め合うように収まるところに収まって、日々を過ごしていく。朝起きて、ご飯を食べて、それぞれ仕事や学校に向かい、帰りに買い物なんかして、休みの日には一緒に遊んだりして。それぞれに好きな事を教え合ったり、教えてもらったり。二人がゴロゴロしている横で、残る一人が干した布団を叩いていたり、なんて光景が十年前からずっと繰り返してきたかのように、流れていく。
一つ一つのエピソードは派手でもなんでもない。本当にただの日常の一コマだ。どこでも見かけるような風景だ。騒がしかったり、逆に誰も喋らず静かだったり。そのどちらでも、そこに窮屈な空気はない。穏やかに流れる時間は、息が詰まることがない。
当たり前に息が吸える。ただいま、いってきますを自然に口にできる。じんわりと、今幸せだなあ、なんか楽しいなあ、と染み入る空気がたゆたっている。

こうしたじわりと染み込んでくるような生活感を描き出すのは、派手ではないからこそ難しいでしょう。空気感、流れる時間の速さというものをこんなに穏やかに、心地よく描き出すのは、ただドタバタとラブコメさせているだけでは決して引き出せない、絶妙さなんですよね。

この手の同居モノも増えてきましたけれど、本作の空気感はそれらの中でも自分の好みとしては頭一つ二つ図抜けている、と思わせてくれる自然なリラクゼーションの粋でした。
そして、そんな穏やかな時間の積み重ねだからこそ、ふわりふわりと「好き」が降り積もっていくのも伝わってくるのである。今が幸せだからこそ、それを壊したくない、ずっとこのままで居たいと思いながら、幸せだからこそ好きが降り積もっていく。それはもう、溶けない雪だ。
姉のような詩織と、妹のような彩乃。他人だった女二人が、家族同然、姉妹同然になっていき、お互いがかけがえのないモノになっていく、これ以上なく大切な存在になっていってしまうことが、より三人の関係を複雑に、離れがたいものにしていってしまう。
幸せに満ちてしまったからこその想いの決壊、行き着く先の切なさが、ラブストーリーとしての速度を早めていく。果たして、三人の今が続くことを願いながらその先をも望んでしまった矛盾の結果がどうなるのか。不安と期待に、心拍数があがってしまいます。

ほんと、素晴らしい一作でした。ちょっともう大好きかもしらん!


星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか? ★★★☆   



【星詠みの魔法使い 1.魔導書作家になれますか?】  六海刻羽/ゆさの オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

魔導の極致に至る、主人公(ヒーロー)を綴る物語。

魔導書作家――魔法使いの極致で、世界にほんの一握りしかいない存在。
世界最高峰の魔法使い教育機関とされるソラナカルタ魔法学校に籍を置く上級生の少年・ヨヨ。
魔法学校の地下空間に広がる工房迷宮でヨヨが出会ったのは、夢を抱く新入生の少女・ルナだった。
「わたし、魔導書作家になりたいんです! 」
あまりにも非現実的な夢を、当然のように口にするルナの瞳は輝いていた。
目的を見失っていたヨヨには、より一層そう見えた。空っぽの少年・ヨヨと、夢を追う少女・ルナ。
二人の魔導書を巡る物語が、今幕を開ける――。

輝きが力を喪って光が消えていく時、その輝きに魅せられていた者はどうなってしまうのか。
一人の少女の眩しいくらいの輝きに魅せられてしまった少年は、彼女に憧れ追いかけその夢を全力で応援することにした。それが彼にとっての魔法使いの生き様だったのだ。
でも、その彼女の輝きが失墜してしまったとき。彼女が挫折して夢打ち砕かれ去っていったとき、彼は諸共折れてしまった。彼女の夢を応援し支えその輝きに寄り添うつもりだった彼はただ一人そこに置き去りにされてしまった。
これは熱によって駆動する物語だ。勢いによって加速し、夢見る人の熱量によってパワーを得て、その夢を後押しする周りの人たちの声援によって走り出す、そんな輝きの物語だ。
だからすごく熱いし、キャラクターたちはキラキラと輝いていく。力尽きて落ちて行く姿すら流星のように美しい。
第一巻だからだろうか、物語の起承転結は最初から最後まで全力疾走で駆け抜けるようだった。メインヒロインのルナの魔導書作家という夢にかける想いは、さながら雪崩落ちる瀑布のようだ。彼女に関しては本当に留まるところを知らない。諦めることができない。書くことへの衝動は本能的なもので、前向きな気持ちに留まらず悔しさや怒りですら書くことへと変換される。書かずには居られない、トビッキリの本物の作家だ。彼女自身は物語の主人公を見出しその姿を追いかけ書き留める存在だと自認しているけれど、ある意味主人公以上に輝いている。
肝心の主人公のヨヨの方は、いわば月だ。他者の輝きに照らされて彼自身が輝いていく。流星であり星の示す運命を体現する魔法使いである彼は、その実彼独りでは輝けない。空っぽ、という自認はある意味間違っていないのだろう。しかし、その空っぽの器を満たす輝きが差し込めば、誰よりも光り輝くという意味ではやはり主人公なのだ。
その意味では、ベルベットの見立ては完璧なまでに当てはまっていたのだろう。この物語の監督はまさしくこの死霊魔術師であったと言える。
願えば叶う、世界の在り方すらその想いの強さでねじ伏せる、そんな魔法の在り方は幻想的で力強い夢想にあふれている。しかし、そんな魔法を使う魔法使いを生み出す学園の在り方は残酷なまでに容赦がない。篩を掛けて余分を排していき、無為を脱落させ、魔法を極めるために必要不可欠な狂気を孕むためのシステムを体現している。このソラナカルタという学校で年度を生き残り学年をあげていく、という事はそれだけ人から逸脱していくということだ。その情熱に狂っていくということだ。
その濃厚な世界観には酩酊すら覚える。実に味わい深い舞台であり、そこで踊る登場人物たちは熱く激しく生き急いでいて、それ故に魅力的だ。
面白い。

しかし問題もあって、あまりにも急ぎ足で駆け抜けているために、物語としての貯めの部分がスコーンと抜けている感覚があるんですよね。実際、自分は丸々一章分抜けてるんじゃないかと思ったくらい。ちょうど真ん中、充実していた前半からいきなり真ん中がストンと抜けたように、ヨヨが折れちゃうんですよね。そして、唐突に復活してしまう。
彼自身の葛藤、苦しみ悩みは、彼自身の口で語られていて、自分自身の中の矛盾、支離滅裂な言動への嫌悪など思考の行程の筋道はちゃんと順番に立っているのだけれど、ちょっとそのあたりの表現が急ぎ足すぎたんじゃないだろうか、と思うんですよね。
ヨヨとルナの交流パートも、ルナの親友のエヴァとのパートも含めてもう一幕必要だったんじゃないだろうか。再会からそのままダンジョン探索に出て、そこからいきなりヨヨのトラウマ再発、でしたからね。コミュパートがやっぱりもの足りない、必要分が抜けてるよ。
終盤、ルナの絶対に諦めない輝きの強さもヨヨ復活からのドライブ感たっぷりのクライマックスパートの盛り上がりも、非常に充実して密度も濃くスピーディーだっただけに、やはり真ん中の抜け落ち感がどうしても気になってしまったんですよね。
緩急の緩さがほしかったなあ、と。起承転結の承をじっくりコトコト煮込んでほしかったなあ、と。
そのあたりがスコーンとハマったら、ハチャメチャに面白くなりそうな感触なんですよね。ポテンシャルは十分、化ける要素はみっしりと詰まってる。あとはひと手間、ワンクッション。
そんな塩梅を期待したいところです。その意味でも先が楽しみな作品でした。

王女殿下はお怒りのようです 6.戦地に舞う銀風 ★★★☆   



【王女殿下はお怒りのようです 6.戦地に舞う銀風】  八ツ橋 皓/凪白みと オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

自軍の劣勢を覆し、悪しき野望を砕けーー! !

隣国・イーリス帝国との同盟が突如破棄され、緊張が走るプラティナ王国。
冬期休暇が終わり、進級した学生たちに不安が伝播していく中、帝国の侵攻により戦争が始まってしまう。
国王の命により、前線に駆り出されたレティシエルは、別ルートで戦地へと赴いたジークと共に、敵国の用いる謎の兵器を研究・改良。王国側の戦力増強に成功する。
だが帝国は、呪術によって力を得る代わりに体が蝕まれていく兵士達を戦場へ投入。
二人を嘲笑うように、戦況は混迷を深めていく。そんな中、戦地を舞い、敵を次々に無力化するレティシエルにも異変が起こり始め……?
シリーズはじまった当初、レティシエルが目覚めた時、この娘まったく周りの環境にも今世の自分であるドロッセルという少女にもその人間関係にも興味も関心も持っていなかったのが、今や友人も沢山でき、プラティナ王国という今を生きて過ごしているこの国にも愛着を抱き、この国を守るために戦地に赴く事を迷わない、というのはやはり感慨深いものがあります。
突如、帝国との関係に緊張が走り始め、にわかに戦雲が立ち込め始める中、畳み掛けるように国王陛下の不予。前巻で不吉と言われる赤い目の持ち主の寿命についても触れられていましたけれど、こんなに唐突に理不尽に訪れるものだったのか。この間まで全然なんともなく元気な人柄を見せてくれていただけに、たった数ヶ月で病み衰えた姿を見せられたのは結構なショックでありました。
さらに、いきなり陛下の健康が目に見えて悪化したお陰で後継者問題が持ち上がるわけです。
ただでさえ王太子だったロシュフォードが大問題を引き起こして廃嫡された上に記憶喪失にまでなってしまった直後。第二王子のライオネルと第三王子のエーデルハルトは二人共優秀だし仲も悪くなさそうなので、普通にライオネルが後継者になるのかと思ったら、母親の身分が低いという障害がある上に本人も闇抱えてそうじゃないですかー。ちょっとこれ相当に不穏なことになってきましたよ。
こんな状態で帝国と開戦だなんて、絶対やばい、と思ったら帝国の方も内部で相当に揉めているらしく、開戦派と非戦派で激しい対立が起こっていると。お陰で帝国の侵攻も独断専行の卦が強いようで辛うじて王国も戦線を維持できているようですけど。
どうにも各国ともに内憂が起こっているようなんですよね。それが偶然とは思えないのがなんともはや。帝国の主戦派には白の結社の関与が伺えるし、先のラピス國では明確に国政に深く結社が関与しているようなので、ほんと結社が国際的に暗躍してるんですよね。

ストーリーは、かつての大戦の英雄再び、とばかりに前線に決戦兵力として投入されたレティが大暴れ。ここで勿体ぶらずにレティに参陣を要求する王様も学園長も腹据わってるし、戦争自体は忌避しながらも戦時とあらば迷わず戦場に赴くレティはレティでさすがは戦乱を戦い抜いてきた歴戦の戦士の心構え、といったところなのでしょうか。ただ強いだけじゃなくて、風格があるんですよね。お陰で現地の将兵からもすぐに信頼を得られることになる。敵兵には容赦ないところも戦乱時代の人らしいなあ、と。
正体を隠して、というのは慎重だけれどここまで突出した戦力だと未知でいさせた方が帝国相手にも脅威なのか。下手に調べられて個人を狙われだすと王国の防諜守備戦力では防げない、という考えもあるのでしょうけれど。
でも、現地で敵の兵器やらの研究解析をしてる、というのは危なくないのだろうか。後方に送ってそこで調べて情報をフィールドバックして、というのだとタイムラグが生じて現場対応に遅れが出てしまう、と考えると現地で調べて解析してそれをちょくで現地部隊に反映させて、というのが実際に出来ているのでこれはこれで正解なのかもしれないけど、リスクは高そう。
そんな研究チームにいつの間にか参加していたジーク君。この子わりと何でも出来るよなあ。そのわりに何が出来るのかあまり見せようとしてこなかったところがあるので、ほんと何してるんだろうと謎な部分もあったんですよね。別に隠してたわけじゃないんだろうけど。
そんな彼も、なにやらただの平民ではなく不意にその素性が明らかになることで、レティにとっての重要人物というだけじゃない、国際関係においてもキーパーソンとなってきそうな勢いじゃないですか。エーデルハルト王子、強力ライバル出現ですよ、これ。


犬と勇者は飾らない 2 ★★★☆   



【犬と勇者は飾らない 2】  あまなっとう/ヤスダスズヒト オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

元勇者(無職)、逮捕――そして【猫組】へ

勇者として異世界に召喚され、魔王を倒したのちに数年ぶりに帰還した佐藤草介――小卒、無職の18歳。
魔術学校の教師だった土村の企みを阻み、幼馴染のこづみとのすれ違いも解消して、全て元の日常に……と思った矢先、草介は無免許魔術師として逮捕されてしまう。
そして「実は俺、異世界で勇者やってたんですよ」と自供し、おちょくってると判断され無事牢屋にぶち込まれるのだった。
そんな草介の前に現れたのは、世界に6人しかいない「天位魔術師」の1人【不死猫】ナイン。
彼女は草介に釈放をかけた勝負を持ち掛けてきて……?
前科一犯となった勇者の拳が炸裂する最強ヒーロー譚、待望の第2巻!!

……あれ? 終わった? 終わっちゃったよ? 2巻、終わっちゃったよ!?
草介が無免許魔術使用の罪で逮捕されてしまい、お目溢しを貰うためにナインの引きで彼女のチーム「猫組」に参加して、いざこれから何がはじまるんだ? というところで終わっちゃいましたよ!?
いや、真面目にまだ序盤のつもりで普通に読んでた所に、いきなり「あとがき」のページが現れたんで、一瞬マジで固まってしまいました。電書だと残りページって確認しない限りは出てこないので全然気づいてなかったんですよね。
2巻のページ数そのものがめっちゃ少なかったのかとも思いましたけれど、多くはないけれど特別少ないわけではないというページ数で、まあ普通くらいだったんですよね。一冊分丸々読み進めていたにも関わらず全くそれだけ読んでいるつもりがなかった、というのはそれだけ本に没頭していたという事でもあるのでしょう。
実際、時間を忘れて読み耽っていたわけですし、特に派手なイベントが起こっているわけでもなかったにも関わらず、面白! オモシロ! と思いながら読んでましたし。
いや、なんかこう文章が楽しいと言うか妙な癖があって面白いんですよね。イラストレーターにヤスダスズヒトさんを持ってきた人、ストライクなんじゃないですか。この絵師さんの絵柄にむっちゃあったノリですし。
でも、それにしても余りにも話途中でぶった切りすぎというか、これ起承転結の承どころか下手すると起の部分ですよ。いや、さすがに承には差し掛かってるか。【猫組】に入ったわけですし。でも、話の展開からして【猫組】参加は起の部分に含まれてても全然おかしくないと思う。
なにしろ、どうしてナインが草介を猫組に誘ったのか、その理由がまったく明かされないまま、目的がわからないままなのですから。草介からしたら、いきなり無免許とかで知らない罪で逮捕されてしまい、どうしたもんかと思ってたらナインに声かけられて仕方なく、じゃあ参加します、って加わった……というだけの所ですからね。こいつ、現状何もしてないしあんまり考えてないぞ、いやバトル二回ほどしましたけど、ほんと触りだけですし。

とはいえ、ウェブ版の内容をガリガリ削って巻いて巻いて一冊に収めろ、なんぞして欲しくもないので、これは仕方ないと言えるのかも知れませんけれど、せめて上下巻表記にはしてほしかったかな。それなりに読む前から気持ちの覚悟も固まっていたでしょうし。

さて、世知辛いことにこの現代地球、世界魔術機関アルテリアの統制はかなりの規模で及んでいるらしく、無免許のモグリの魔術師とか存在自体許されないらしい。というか、アルテリアが関知していないところで高レベルの魔術の習得なんぞ不可能、という所まで至っているというのは何気にすげえ。
そりゃ、そんな中で無免許であんな規模で魔法ぶっ放す存在とか、見逃すわけにはいかないのだろうけど。成果をあげたから無罪、なんてのは法がちゃんと敷かれていない証拠なんですよね。
なもんで、普通に逮捕されてしまった草介。いや、マジで普通に逮捕されてるしw 拘束とか捕縛じゃなくて、警察に逮捕されました的な。ニュアンスの違い、わかってもらえるだろうか。
前科一犯というのも洒落ではなく、ちゃんと表の世界でも公式に履歴にばっちり付いちゃうらしい。
正式に、無職で前科一犯になってしまう草介。ただでさえ、異世界で何年も過ごしてしまい、帰ってきたら学歴も家族も何もかもなくなって、バイトで糊口を凌ぐ日々なのにさらに前科までついた日には……。まあ、焦るよね。
というわけで、なんかアルテリアでも偉くて最強の一角にいるらしい不死猫・ナインの誘いにウマウマと乗ってしまうのだ。
彼女のチーム「猫組」は少数精鋭で有名な強力な魔術師チーム、なんだけどどうしてナインが草介をかなり強引にアルテリアに対して横紙破りをしてまで引き込んだのか、その理由がまだ全然わからないんですよね。おまけに、家庭問題で留学させられそうになったこづみまで、草介のオマケなんだろうけど、猫組に入れているし。
取り敢えず猫組に参加することになって、戦力評価試験的に最初の任務をこなして、チームメイトとも面通しして、というところで終わってしまったので本気でナインの目的とかわからないまんまなんですよ。それに纏わる伏線とか情報も殆ど出ていない段階ですし。なので、物語の展開の方は先の巻が出てから、だなあ。

幼馴染とはいえ、お互い今の立場が違いすぎてこれからどう接触していくのか難しそうだったこづみと一緒にチームになれたのは、ラブコメ的にも幸いだったのでしょうけれど。
幼馴染というのは、幼い頃から自分の家の事は明かさずにいたこづみとは何もかも共有している存在とは言えないし、さらには思春期のいちばん大事な時期にずっと草介が行方不明だったこともあって、なかなか関係難しい所もあったんですよね。でも、草介がこづみの留学話を聞いてわりと素直に「いやだな」という気持ちを自覚できたのは良かったんじゃないだろうか。そこには彼女とできるだけ一緒にいたいという気持ちがある証明なのですから。
さっぱりしすぎてどうにも割り切りが良すぎるというか、情が厚く侠気がある一方でヘヴィな自分の境遇にもサバサバしているように、執着とか薄そうな草介がこづみに関しては微妙にでも「じっとり」とした湿度とか粘度のある感情がある、というのは良い事だと思うんですよね。
この調子で二人にはぐいぐいと行ってほしいなあ。
というところぐらいしかあんまり触るところがないぞ、ほんと話がまったく進んでいないものですから。というわけで、続きはなるべくお早めに、お願いしたくありますねえ。



異世界迷宮の最深部を目指そう 15 ★★★★☆  



【異世界迷宮の最深部を目指そう 15】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

立ち上る火柱を視認し、ラスティアラたちの安否を確認するべく地下街に向かったカナミ。
そこで目にしたのは、捕縛から抜け出したノスフィーによって『素直』にさせられ、仲間内で争うラスティアラたちの姿だった。
すぐに加勢しようとするが、ラスティアラに制止され……!?
ノスフィーとの決着をつけるため、ラグネが持ち込んだ触媒で過去視を行ったカナミは、いかにして彼女の在り方が形成されたかを知る。
さらに未来視でフーズヤーズ城を支配したカナミは、ついにノスフィーと対峙し――。
そして、『彼女』とどこまでも落ちていく。

今もパーティーの中核をなすこのヒロインたちが一堂に会したのは7巻でしたか。あの時はリヴィングレジェンド号でカナミが常に死を感じるくらいヒロイン同士がギスギスして火花が飛び散り、ちょっとでも燃料が投下されたら即座に爆発炎上して地獄が現出してしまうような修羅場でした。
そうかこれが常在戦場! と悟りを開いてしまうくらいの殺伐とした空気でした。カナミ、わりとすぐに刺されるだろうなー、血みどろの惨劇はいつ起きるかなー? という雰囲気だったのも今は昔、なんですよね。
いや、実際カナミってば結構ザクザクと切り刻まれて血みどろになりましたけれど、厳密には女性関係を拗らせて刺されたのではなくて、千年前の所業がもとになって攻撃されるパターンが大半だったはずなので、自業自得ではありますけれどヒロイン衆が妄念を拗らせて殺しにかかったケースには結局行き当たらなかったんですよね。
あの極めつけのヤンデレが揃いも揃ってしまった地獄のパーティーが、よくぞまあ。
そして今回、ノスフィの能力によって強制的に各々の奥底に秘めていた病んだ部分を引き出されてしまったにも関わらず、ラスティアラの邁進によって全部彼女たちヒロイン同士でしっかり話し合って気持ちを通じあわせて病んだ部分を解消、もしくはそのまま受け入れる形で地上最強の絆で結ばれてしまうのである。
むしろ、カナミは居るだけ邪魔、やることなすこと邪魔! 邪魔してばっかり! になってしまっていた有様だったのである。感慨深いじゃないですか。人の話を全然聞かずに自己完結してカナミだけに執着していたヤンデレヒロインたちが、カナミ関係なしにメンタル薄弱な部分を克服して自分たち同士でぶつかり合い胸襟を開けあって、理解しあい認め合い心寄せ合って、今や親友、今や運命共同体。共に行き共に死す仲間として、同じ人を愛し恋した同志として、手を取り合い頬を寄せ合い額を合わせて満面の笑みを浮かべる関係になったのである。いや、なったんじゃなく、ラスティアラを中心として、そして各々の克己心によって、そういう関係を自分たちで築き上げたのである。
本心から、すげえなあ、と感心させられてしまいました。ここまでヒロインたちがしっかりと自立して自分たちだけで関係を築き直したケースはちょっと見たことがないですよ。
主人公がそれを阻害しまくってたパターンもw
いや、いつの間にか話を全然聞かないのってヒロインたちじゃなくて、カナミの側になってたんだなあ、と気付かされてしまう。いや、カナミは視野狭窄になっててもちゃんと自力で気づくし、而今完結してしまわずに、ライナーをはじめとして話を聞いて考えを改めることができる、そういう風に成長した主人公なので、話を聞かない、なんて事はないのだけれど。
でもだからこそ、カナミはそれだけ成長した、と思っていただけに読者側もカナミ自身もいつの間にか考え方捉え方見方が偏ってしまっていた事に気づかなかった、というのもあるんですよね。
……何度も何度も思い知らされるけど、ライナーはこういうときでも外側から冷静な視点でカナミを掣肘してくれるので、ほんと助かりますわ。彼が居てくれるだけでどれだけ道踏み外しかねない判断や思考を食い止めてくれたか。
ともあれ、今回の視野狭窄はカナミの人間的な欠陥というよりも明らかに仕込まれたものっぽかったので、カナミ自身なんか自分おかしくなっていると自覚してますし、彼が悪いというわけではないみたいなのですけれど。

まあ、千年前にやらかした事に関してはどうやったってカナミあうと、ですよね。カナミが悪い。
ノスフィーがねえ。いやうん、まさかここまで並外れてイイ子だとは思わなかった。悪い子じゃない、という風には今までの感触で納得はしていたんですけれど、ここまでこんなイイ子だとは想像できませんよ。むちゃくちゃイイ子じゃないですか。善良の結晶であり、健気の塊じゃないですか。
なるほど、元妻、という肩書にも意識が引っ張られていたのでしょう。その素性が本来なら妻じゃなくて、娘。しかも、ずっと父親に焦がれていた子となればなおさらに……。
もう完全無欠にイイ子でしかないイイ子が必死に悪いことしようと頑張っているものだから、そりゃ行動がどこかちぐはぐになりますよね。凄く悪意をもってカナミを狙い撃ちに彼を陥れる、苦しめるようなことを企てているにも関わらず、結果見ると妙に良い結果に終わったり誰かが救われてたり、報われてたり、助けられてたりして、なんかここしばらく物事の巡りが良いような感じがしてて、凄く違和感たっぷりだったんですよね。カナミがなにかすると大概悪いことになったりケチがついたりする印象だっただけに、妙に居心地わるくすらあったのですが。そうかー、ノスフィーが悪いことにしきれなくて、ついついみんなが助かったりするように着地点を変更しちゃってたのかー。
……いい子すぎるッ(思わず両手で顔を覆って
そんな頑張っても頑張っても悪堕ちしきれないこの善良無垢な子を、それでも悪者にならねば、と追い込んだ元凶こそが、千年前のカナミであったわけで。
もう死ねばいいんじゃないかな、こいつ。現在のカナミが黒歴史どころじゃない自分のアレっぷりに怖気づいてヘタレてしまうのも、ちょっと仕方ないなあ、と同情してしまうほどの、あの無神経っぷりはここまで来ると凄いなあ、としか言えない。正直、間が悪かったとも言えなくもないのだけど、ノスフィの健気さを思うとそれをこれでもかこれでもかとクリティカル連発でピンポイントに踏み躙ったカナミの所業は、言い訳しようがないんですよね。どう考えてもお前が悪い。
そこで最大限これ以上無いくらい覚悟決めて完膚なきまでに謝ってみせるところは、カナミえらいと思いますよ、素直に。極端に走りすぎ! と思わないでもないんだけど、ノスフィが拗らされた状態がそこまで極端に走らないと言葉も気持ちも届かないまでにグリグリ踏み躙られっちゃってるんだから、仕方ないよね、としか言えない。正しい極端であった、と言えるのかも知れない。多分、あれこそが正解だったのでしょう。
取り敢えず、修羅場を越えて一致団結したカナミパーティーが、一人ひとり意味不明な強さすぎてそれが一堂に襲ってくるとか、魔王軍総攻撃かな? というくらいのスケールなんですけど。この娘ら、しがらみとか要らん拘りとか全部放り出して最適化した協働したら、ここまで分けわからんレベルの集団になってしまうのか。
いやこれもう無敵じゃん。と、凄まじい安心感に後ろ支えられつつ、一番の難関であった対ノスフィ。これは戦って倒すという方向性には行かない時点で、無敵無双の強さは意味をなさず、だからこそ最難関だろうという壁の高さを感じていただけに、うん、それを乗り越えることこそがこの巻の山場だと思っていたわけだ。あくまで、山場……峠であって、まさか分水嶺だとは思っていなかったし予想もしていなかった。
いやこれどうすんの!?
途中で散々、カナミと似た者同士と言ってたの、こんな形で放り込んでくるとは思わないじゃないですか。そうだよね、カナミと同類項、同じ穴のムジナ、似た者同士なら……そいつはカナミと同じ「人間のクズ」にカテゴライズされる側だった、とも言えるのか。
どうなるんだこれ? さすがに驚天動地の展開過ぎますよ!? ……まあ、次の瞬間普通に何事もなかったかのように動き出しても不思議ではないブキミさというか得体のしれ無さというか、化け物感がこの人にはつきまとっているのも確かなのですが。
むしろ、いついきなり目をぱっちり開いて喋りだすか、ホラー感覚でずっとハラハラドキドキしていた自分がいるのも確かでありますw


TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★★   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 ~ヘンダーソン氏の福音を~】  Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

妖精にまつわる悲しい事件を経て、魔導院のある帝都へとたどり着いたデータマンチ転生者エーリヒ。
魔導師(マギア)アグリッピナの丁稚として、今度は魔導院で働く生活が始まった。
危険人物に目を付けられたりもしたけれど、半妖精の妹エリザの学費のため、エーリヒは丁稚の仕事と魔導院のクエストでお金を稼ぐのだった。
そんな中、友人となった魔導院の聴講生ミカと共にアグリッピナの「お遣い」で旅に出たエーリヒ。
しかしダイスの女神の悪戯か、安全な旅のはずが命懸けのダンジョン攻略(アドベンチャー)に変貌し……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、ダイスが荒ぶる第3幕!

ライゼニッツ卿、分類がエネミーになってますよ!? エーリヒ、完全に敵認定してるのか。あれだけお世話になってるのに。どれだけ苦手なんだこの人のこと。人柄としてはアグリッピナと比べるべくもなく善良な人……死霊のはずなんだけど、生命礼賛主義者(ロリショタコン)の餌食とされた事でトラウマ化してしまったか。いい人なんだけどなあ。
というか、この場合はエーリヒを生贄に長期休暇もぎ取っていったアグリッピナ師がどう考えても邪悪でしょうに。そもそも、絶対エーリヒそのために連れてきたでしょ。ライゼニッツ卿の前に人参よろしくぶら下げるために丁稚として連れてきたでしょうw
望外にエーリヒが出来る子だったから重宝してるけど、最初は見た目容姿がライゼニッツ卿のどストライクだったから丁稚で同行するの同意したようにしか思えん、この人の邪悪さを思えば。
というか、エリザを弟子にしたのだって、フィールドワークから戻る理由付のためだったわけですし。

というわけで、やってきました帝都ですよ、帝都編。シティアドベンチャーのはじまり、とはいきなりは突入しませんけれど、ここから風景が一気に変わるんですよね。
この作品の特色は、舞台となる土地や街、場所によって漂ってくる空気感がまったく異なってくるところでしょう。特にこの「帝都」が凄いんですよね。
辺境の村から国の首都まで出てきて、その発展具合に驚く、というのは定番も定番の展開なのですけれど、この帝都の異様はひと味もふた味も違ってくる。現代の地球を知っているエーリヒをして、圧倒される帝都のスケール、凄まじい威容。それを如実に伝えてくれる左を見ても右を見ても視点を縫い留められるような圧倒的な情報量が、情景描写に込められているんですね。視覚情報のみならず、そこに建造物や土地の来歴や歴史的エピソードを挟みつつ、目の裏にすげえディティールで浮かんでこらせられる緻密な描写と、その景色の中に実際にいる登場人物たちの受けている感覚、空気感がダイレクトに伝わってくるのである。そりゃもう圧巻ですよ、なんかもうすげえ、としか言えなくなる。
ライン三重帝国と呼ばれる重厚な歴史と多様な異民族を内包する巨大国家の中枢たる帝都。いやこの帝国という国家の内実を聞いてるだけでも楽しいんですよね。これもうリアルタイムで続いている古代魔法帝国じゃねえの!? という魔法文明そのものですし、国の構造からして面白いのなんの。まだここでは帝室周辺の話はまだ持ち上がってないのか。あれは次巻になるんですか。いやでも、この国、皇帝周りの体制がちょっと面白すぎてすごすぎて。
それでなくても、多民族国家の粋みたいなところがあって、国の拡張に従って取り込まれたあらゆる種族が貴族として国家の運営に携わってる、ってなんかもうそれだけでワクワクしてきませんか? そもそも、皇族からして人間じゃねえし。いや、そう言えば現状、エーリヒの周りって妹含めて普通の人間種っていないんでしたっけ。妹は半妖精だし、アグリッピナ師は長命種で魔導院の五大閥の長たるライゼニッツ卿ときたら死霊ときた。この国、ちゃんと死人にも自我があって動いてたら財産権とか法律で認められてるんだぜ。相続権の方、ちょっとややこしい事になってるの、法律が制定されるまでに結構色々トラブルあったんだろうな、というのが伺いしれてこれはこれで面白い。

さてもそんな混沌たる国の魔法文化の核である魔導院だ。国中の多種多様な種族から魔導を志すものたちが集った魔法版虎の穴。その内実を聞いたエーリヒの、過激派とカルトしかいないんですが? というお言葉にそうだね、と満面の笑みで応じてしまえるマッドたちの巣窟にして楽園である。
学園編、と言ってもいいかもしれないけれど、エーリヒは丁稚というなの従僕であり学生……ここでは聴講生と表現されていますか、ではないのだけれど、アグリッピナ師やライゼニッツ卿のツテで学んで魔法使いから魔導師と呼ばれる存在になっていくわけですが。
この魔導院、魔法学校と言っても中学高校みたいなタイプの学校ではなく、大学に近いものと捉えるべきでしょう。なので学園編と言ってもそこから連想されるものとはだいぶ様相が異なっているし、その日常風景もある種大学的な自由さとわやくちゃさに溢れている。探求の場、としてのみならず、貧乏聴講生たちがそれぞれ四苦八苦して努力と工夫を重ねて生活と学ぶための資金や伝手を手に入れるために駆けずり回っている様子や、学校周辺にそんな聴講生や教授方を対象とした様々な店や職種が軒を連ねていて、独特の学園都市風味な風景にさらに魔法的なエッセンスが加わった光景が、エーリヒの物語の背景にごくごく自然に流れてるんですよね、これがまたいいんだ。雰囲気最高なのですよ。
たとえば、エーリヒの何気ない普段の朝の風景からして、凄まじく絵になるんですよ。
下宿で朝起きたら、家事妖精によって準備された朝餉が湯気を立てている。彼が曰く付きの下宿になぜ住まうようになったか、シルキーという妖精の在り方に触れながら、そのシルキーとの不可思議で温かいコミュニケーションを挟みつつ、仕事のために魔導院に向かえば、彼が駆ける街角では貧乏聴講生たちがバイトとして窓越しに目覚ましの魔法をかけてまわっている様子が、朝の町並みの当たり前の風景として流れていくんですね。
このワンシーンだけでも、魔法文化の結晶のような濃密な描写なんですよ。もうここだけで酩酊してしまいそうな、見たこともない異文化の、でも目の裏にありありと浮かぶように描かれていて、それがそれがさらっと章の導入として触れられるだけで、流れていくのです。

密度が濃すぎて、濃厚すぎて、ちょっともうたまんないッ!!

背景だけでもやたらと濃厚濃密にも関わらず、登場人物たちときたらさらに濃い人ばかり。個人が濃いだけではなく、人間関係そのものがやたらと濃いものになってくるわけですよ。
郷を出てはじめて得た同世代の友人。北方出身の中性的な黒髪の麗人ミカとの出会い。
このミカとエーリヒとのやり取り、というか掛け合いが最初遊びまじりだったんですけど、お互いオペラか演劇のセリフみたいな言葉遣いで会話するんですよね。大仰もいいところで、エーリヒてば絶対TRPGの演技というかロール? あれが楽しさのあまり捗りすぎて、ちょっと酔っ払ってね? という具合にノリノリでやっちゃってて、彼自身あとで恥ずかしさのあまり枕に顔を埋めてジタバタするに違いない、などと述懐しつつ、やめないんですよねえ。
エーリヒもミカもまだ13歳という、それはそううん、お年頃なんですから、この特別感ある友達関係にウカレてしまっているのも仕方ないんでしょうけれど、それにしても「ねっとり」というのがふさわしいような距離感にどんどんハマっていくんですよね、彼ら。ちなみにこれ、少年期特有の距離感、で終わらずに青年期になってもこの調子のままなので、君等結局全然恥ずかしがってないだろう、とw
ミカなんて、自分の秘密がエーリヒにバレてなお受け入れられたあとなんぞ、もうべったべたですからね。エーリヒのこと、名前で呼ばずに普通に「友よ」と呼ぶのがデフォルトになってたり。
なんかもう波長があってしまった上に、コンプレックスを解消するきっかけにもなり、距離感がズブズブになっちゃったんですよね。これにはミカの特殊なありようも大きいのでしょう。これ、ミカが単にヒロインだったらこうはならなかったでしょう。ミカだからこその、同性同士にしては妖しすぎ、異性間としては気安すぎる、中性的なミカ相手特有の特殊にして特異な関係が成り立ってしまった。「おお友よ!」と実際に口にしながら、肩を組み、髪に顔を埋め、頬を寄せ合ってクスクスと笑みを交わすような近すぎる距離で睦み合う距離感の、なんかもう凄さたるやすごいよ?

そして、エーリヒの戦闘力が手がつけられなくなってくるのがちょうどこのあたり。
いや、あの「見えざる手」が強力すぎるでしょう、これ。本来なら日常生活の補助に使うのが通常の簡単な魔法、とされているけれど、エーリヒの手にかかるとちょっとこれ尋常じゃないものになってしまってるんですよね。
これって、いわゆるところの「念動力」にあたる能力のはずなのですけれど、無形の漠然としたサイコキネシスではなく「手」という具体的なイメージを固めて使っているせいで、汎用性と応用性がわけわからんレベルになっちゃってるんですよね。使い手本人のイメージとしてもそうなんだろうけど、読んでる読者側も「手」というイメージ付をしてくれているせいで、その異常さが具体的によく認識できるんですよ。いやもう、これ強すぎませんか? 魔法を使わなくても、戦場刀法が神域にまで達しているエーリヒは剣士として尋常ならざる領域に達しているのに、ここからさらに「見えざる手」の多重同時使用をマルチタスクで運用することで、意味不明わけわからん強さを発揮することになっちゃってるんですよね。攻撃にも防御にも特殊機動にも応用が聞きすぎだろう、この「手」。あげくにアグリッピナ師に教えてもらった空間転移魔法の応用で防御の方に絶対的なアドバンテージが手に入って……。
正直、これエーリヒに正面からぶつかって勝てる方法がさっぱり思いつかないんですけど!

とか思ってたら、エーリヒに正面からぶつかって、ぶち転がしまくる敵がひょいっと出てきて、もう笑うしかねえんですけど!?
いやこれどうやっても負けるはずがないだろう、とばかりに見せた途端にこれですよ。だからといってエーリヒの方が弱体化したわけじゃなく、格が下がったわけじゃなく、それどころか描写の方もエーリヒの凄まじさが死地に突入したことでより磨かれ研がれ叩かれて、ガンガン凄み増すわ鋭さ増すわやべえくらい強者的オーラを纏っていくのですよ。
それをさらにその大上段からばっさりと叩き潰していくようなとんでもねーボスキャラのとんでもねー事とんでもねー事。つ、強すぎる、なんじゃこりゃーー! てなもんである。
いやこれ、どうやったら勝てるんだよ!? と、思わず悲鳴。ついさっき、エーリヒどうやったら負けるんだよ! と言ってた時点から秒である。
ちなみに、わりとたまたま遭遇しただけのエリアボスであるよ。因縁ある怨敵とか先々まで対決し続けることになるライバルキャラ登場、てなもんでは全然ない。

TRPGだよなーー! こういうのTRPGならではだよなーー!! わははは!!

GMの殺意さまである。それ以前のエーリヒとミカが全然準備してないのに巻き込まれるはめになった魔宮ダンジョンの、あの正統派だけど難易度ヤバすぎで、どんどん順番に強力なエネミーが出てくる展開も、あるあるなんだけど、それにしても殺意が高すぎw
13歳の子供たちが挑むには、あまりに殺意が高すぎる。それを、なんかもう拗らせ過ぎて昇華してしまった運命共同体か比翼の鳥のような一心同体親友ムーブで、死にかけながらもクリアしていくエーリヒとミカ。激闘激闘、あまりにも凄まじい激闘すぎて、密度が濃すぎるーー!!
いやほんとに、シリーズ通しても最高潮の戦闘パートだったんじゃないだろうか。熱量がほんと凄かった。熱は熱でも、これ圧縮熱だろう!? と言いたくなる濃度密度濃厚さで。
いやもう、これあらゆる方向に満足度が高すぎて、ちょっと読み終えた時いっぱいいっぱいになってしまいました。しばらくクール時間をおかなくてはならなくなった。酩酊状態よ。
ウェブ版から大量加筆されていた、というのもあるのでしょうけれど、書籍として一気に読むとほんと凄えですわ。濃密さにアテられる。
しかししかししかし、おっもしろかったー! 面白い面白い面白すぎて、もうわけわかんねえ、あははは!!
クールタイム一日置いたはずなのですが、感想書いてたらテンションがまたぞろあがってしまった。
でもだって面白いんだもの。いやあ、好きすぎですわ、これ。もう大好き。

そして、3巻のヘンダーソンスケール1.0。いわゆるIFルートの未来編は、エーリヒくんそのまま魔導院で教授になったよ編!
いやあひどい(爆笑
なにがひどいって、周りからの評価評判と本人の意識が180度異なっている件について。周りからはやりたい放題好き勝手にやりまくって魔導院全体を振り回している超問題児扱いなのに、本人は振り回されて苦労して窮屈な思いをしている側だと信じ込んでいるこのギャップw
漂泊卿とまで呼ばれて自由に世界中を飛び回って帰ってこない、と呆れ嘆かれ怒られているのに、本人気楽に冒険もいけなくて好きに遊びにもいけない、と嘆息しているあたり、こいつ本気で解き放ったらどうなるんだ? おまけに、気が向いたら同僚や派閥問わず若い連中を冒険に引っ張って連れ去っていくものだから、半ば妖精扱いされてるしw
めっちゃ冒険行きまくってるやん! ほぼほぼ冒険者やん! これで、当人不満しか無いって、彼の持つ冒険者のイメージはいったいどこまでイッてしまっているのかしら。
そして、あまりの問題児っぷりに集まって謀殺を企んだものたちが、意味不明な壊れ性能の戦闘能力に「何をどうすりゃ殺せるんだこれ?」とふと冷静になって解散してしまった、というくだりとか、ちょっと大好きすぎるんですけどw

しばらく出番のない幼馴染のマルギットがここで短いながらも登場してくれていて、ちょっとうれしい。こうしてみても、エーリヒの本命ってマルギットで揺るぎないのは間違いないんだよなあ。
ちょうとウェブ版の連載ではマルギットとミカがはじめて対面、或いは対決? しているところなので、この未来での二人の仲の良さは興味深い。
あと、名前の出てこないお弟子ちゃん。年齢的には一回りは違うんですよね。なので、本編には登場しづらいでしょうし、多分エーリヒが魔導院に残るルートでないとなかなか関わるチャンスなさそうなんだけど、いいキャラなだけにチャンスはあって欲しいなあ。
しかし、アラサーになってもライゼニッツ卿に着せかえ人形にされかけてるのか、エーリヒ。そりゃ、エネミー認定してまうわなあw

しかし、毎回毎回、IFルートがどれも面白そうすぎて、それぞれで1シリーズできそうなんですよね。もう各ヘンダーソンスケール1.0のバージョンごとに一冊ずつでも本書いてくれないかしらw



信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 6.紅蓮の魔女と不死の魔王 ★★★☆  



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 6.紅蓮の魔女と不死の魔王】  大崎アイル/ Tam-U オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

エルフの里・木の国にて、魔王復活を阻止せよ!

古竜を撃退し、水の街(マッカレン)を救った高月マコト。
ノアより新たな神託を受けたマコトが向かう次なる攻略の舞台は木の国(スプリングローグ)――エルフであるルーシーの古里だった。
ルーシーの家族と面会し親交を深めるも束の間、隣接する魔の森にて“魔王"復活の兆しが見え始める。
マコトはさっそく調査へ向かうものの、暗躍する魔王の強力な配下相手に全く歯が立たない。
さらに、上級魔族率いるおびただしい数の軍勢が国境を急襲し、木の国(スプリングローグ)は危機に瀕するが――!?
「聖級火魔法・権天使(プリンシパリティ)」――行方を眩ませていた木の国最高戦力“紅蓮の魔女"が突如として現れ……?
女神と少年の異世界攻略ファンタジー、第6巻!

水の女神エイル様、下衆すぎーー!! えー、この人こんな人だったのかー。人じゃない? 神? 神にしてもセコくないですかー? なんかもう手口が詐欺師か壺売りつける系の宗教団体なんですけど。これで壺に効果がない全くの嘘つきというのも酷いは酷いのですけれど、効果はあるけど別口で呪い付きだったり、説明書にない部分でバックドアが仕込まれてたり搾取構造になってたり、というよりあくどいやつだぞ。
そして、意図してやっているにも関わらず全然悪びれた様子がなくホントに無邪気なんですよね。騙してるの、嘘ついてるのバレても、ごめんねー♪で済ますような、いいじゃんいいじゃん、で片付けてしまうような軽々しさがある。
邪神かな?
いや、聖神族みんながエイル様みたいに腹黒のあくどい神様ではないと信じたい。さすがにちょっとドン引きだったよ、エイル様。これまでノア様と気軽に付き合って、マコトにも気前よく協力してくれてたから、イイ女神様だなー、と思っていただけに尚更に。
でも、これでもマコトを利用はしていても、敵対しようとは思ってないんですよねえ。ノア様と対立するつもりも別にないみたいで、普通にこれまでと同じく付き合っていこうと考えているあたり、神様の価値観としてズレてるんだよなあ。
まあそれを、まあいいや的に受け入れちゃうマコトも相当にズレているのですが。
これ、マコトの素の考え方なんだろうか。あの明鏡止水スキルは、精神的な動揺や外部からの侵食を防ぐという意味で破格の精神防壁系スキルであります。マコトの最大のチート能力はこの明鏡止水だと思うんですよね。このスキルのお陰でどんなピンチでもパニックにならず、常に冷静に思考を回転させることで死地をくぐり抜けてきたところがありますし。
でも、度を越した平静さってどこか人からハズレてしまう感覚にも見えるんですよねえ。感情が消されているとか薄められているとかではないですし、機械めいた合理主義的になる、という風でもないので感性が狂ってしまっている、とは思わないんですけれど、あの気にしなさは異常だもんなあ。
少なくとも、自分の寿命に対しての無頓着さは明鏡止水スキルの影響は間違いなくあるでしょうし。でなきゃ、あそこまでノア様の生贄スキルでほいほいと自分の寿命つぎ込めないでしょう。
でも、エイル様にあれだけ利用されて、神としての価値観の違いを見せつけられて、それをちゃんと承知した上で別にいいですよー、と気楽に言ってしまえるのとか。
どう見ても邪悪というか、もうコズミックホラーの領域じゃね?というくらいの異形じみた姿かたちと精神をしている魔王の側近であるセテカーさんと、あんなフラットに話せて、話がちゃんと通じてて、わりと意気投合してる感じに話が合って、普通に誼を通じてしまったのって。
元々のマコトの性質、なのかしらねえ。
特にセテカーとあれだけ話が噛み合うのって、マコトもセテカーと似たステージというか思考回路をしているから、と言いたくなる所がありますし。まあ確かにセテカーさん、ちゃんと話して見ると頭若干おかしいにしても、わりと筋の通った人だというのはわかるだけに、マコトが単に異形や魔族や敵対者に対して偏見を一切持ってないから、と判断してもいいのかもしれないけど。
でもやっぱりマコト、おかしいっちゃおかしいよなあ。
伊達に邪神ノアの使徒ではない、という事なのか。

取り敢えず、エイル様には釘を刺しつつ気にせずこのまま水の国の勇者を続けるみたいだけど、やっぱり聖神族は信用ならないところがあるし、かといって魔族側につくのもノア様も嫌がっているし。一応人間と魔族の争いでは人間側としてちゃんと頑張る予定ではあるものの、これノア様を実際復活させると、第三勢力ポディションを築いていくことになるんだろうか。
エイル様含めて聖神族の女神様の幾人とは結構仲良くなっているし、巫女たちとも交流はある。各国の勇者たちとも、こうしてみると良好な関係を気づいていて、一方で今回セテカーと誼を通じたように魔族側とも完全に断絶しているわけじゃあないんですよねえ。わりと面白い立ち位置をうろちょろしてるんだよなあ、マコトってば。
そのお陰でか、マコトの嫁候補の中で水の国の姫であり水の女神の巫女であるソフィアが一番苦労しそう。今回なんぞ、自分の預かり知らぬところで水の女神様の悪行によって風評被害にとばっちりがソフィアの方まで飛びかけてたしw
さーさんやルーシーはマコトがどうなろうと自由にくっついてくるでしょうし、ソフィアは立場がある分大変そう。まあその分、どーんと腰を据えて説教するのでマコトを尻の下に敷いている感があって、正妻強度高そうなんですけどねー。

しかし、今回の一番強烈なキャラはやはりルーシーの母親であるドロシーでしょう。なんだこのインフレキャラはw 性格の方も完全にインフレ破綻してるしw
よくまあ、この母親からルーシーみたいな奥手の子が生まれたなー。性格もルーシー、健気だしなんだかんだ真面目だし、母親を反面教師にしたのだろうか、これ。
ロザリーさんはあのどうしようもないほどのフリーダムさが強味であるんでしょうけど、これ身内だと大変だ。
そう言えば、ロザリーってエルフキャラ、昔の作品で有名なのが居る、とあとがきで書いていたの、誰だったかなあ、と考えてたんですが、そうだドラゴンクエスト垢離蹈競蝓蕊韻澄ピサロと恋仲だった。あれ、塔の最上階からピサロの事を想い続けるという、典型的な深窓のお姫様じゃない。
キャラがもう正反対すぎるんだから、別に名前被っててもいいじゃないですか。ってか正反対すぎて面白いなそれ。


月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1 ★★★☆   



【月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1】 黄波戸井ショウリ/アサヒナヒカゲ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

社畜の松友裕二(まつともゆうじ)が残業から帰ると、隣に住むOLの早乙女ミオ(さおとめみお)が家の鍵をなくして立ち尽くしていた。雨でずぶ濡れのミオが不憫になった松友はベランダからミオの家に入り、玄関を開けて言う――「おかえりなさい。今日は大変でしたね」
そんな何気ない「おかえり」が心に刺さったミオに、松友は衝撃の提案を受ける。
「私の月収は五十万です。月に三十万円であなたを雇います」
実は生活力ゼロで極度の人間不信だったミオと、彼女の身の回りの世話をする仕事を引き受けた松友。ゆっくりと距離を縮めていく二人の間にあるのは単なる雇用関係かそれとも――。孤独なお隣さんとのアットホームラブコメディ。

お隣さん、ミオさん本気でいっぱいいっぱいだったんだにゃー。
生き甲斐がないどころか、もう精神的に死にかけてたんじゃないだろうか、これ。30万で裕二を雇うというのも、金持ちの道楽なんかじゃなくて溺れる者は藁をも掴むという方が相応しい縋りなんですよね。
本気で、ただ家で待っていてくれて「おかえり」と言って欲しい、それだけだったんじゃないだろうか。それ以外何も望んでいなかった、というより望む余裕もなかったように見える。
幸いというかなんというか、裕二は家事も一通り出来るしこれ以上無く気配りできる面倒見の良い男だっただけに家政夫的な事もするようになったのだけれど、ミオさんが求めたのは「癒やし」だったんだよなあ。
もっとも、当初ミオさんが求めた「癒やし」と裕二と過ごすようになってから日々が過ぎてから裕二から与えられるようになった「癒やし」とは違ったもののようにも見えるけれど。
さて、裕二が得た仕事というのは結局具体的にはなんなんでしょうね。
ヒモ? 家政夫? 疑似家族? 
どれも少しずつ違うような気がする。或いはそれらすべてをまぜこぜにしたものか。
ストレスを負えば負うほど家の中では精神年齢が退行してしまうミオさん。辣腕のキャリアウーマンとの生活ってどんなものになるのか、と思ったら家での彼女は舌っ足らずな幼女みたいな感じになってしまっていて、裕二は甲斐甲斐しくそんな彼女をお世話するという、良い年した大人同士じゃなくてベビーシッターな裕二である。この男も嫌な顔一つせず、若干壊れてると言っても良い彼女の世話をまめまめしくこなすんですよね。そこまで付き合わなくても、と思うくらい。
仕事に対して真面目、というのもあるんでしょうけれど、さて彼自身はどこまでこれを仕事と捉えているのか。ビジネスライクに割り切っているようには全然見えない。むしろ、彼女への親愛がこれだけ彼に甲斐甲斐しさをもたらしているようにも見える。恋とかじゃあないんだよなあ。もちろん、女性として魅力は感じているけれど、普段の幼児退行の相手をしていることもあってか保護者のような微笑ましく見守る、守ってあげたいという感覚が強いようにも見える。
それに、本当に楽しいのだろう。彼女の面倒をみることにやりがいを感じているのだろう。
そんな彼の気持ちは、ミオにも伝わっているはずである。それでも、雇用関係に拘ってしまうのがミオが患っている宿痾なのだ。
彼女の人間不信は、相手への不信というよりも自己不信の方が近しいように思う。相手に信じてもらうに足る人間だと自分を思えないのだ。何かあったら相手じゃなく自分が悪いと思ってしまうのだ。そんな在り方がどんどんと彼女自身を追い込んでいき、彼女を孤独にし、寂しさに打ち震える日々を招いてしまったのだろう。
どれほど相手が良い信頼に足る人物だとわかっていても、そんな立派でイイ人に相手される人間じゃないのだと自分のことを思い込んでいるミオにとって、金銭による契約関係というのはあくまで賃金に寄って結ばれた関係だからこそ、自分という人間性を担保にせずに済む。だからこそ、雇用関係にこだわり続けるし、デートにも出張費や休日出勤手当てをあててしまう。
いやそこまでせんでも、と誰もが思うのだろうけど、彼女にとってそれが拠り所なのだ。
裕二が偉いのは、そのへんごちゃごちゃ言わず、お金なんて要らないなんて御高説をたれず、彼女の怖れを尊重したところなんでしょうね。彼女のよすがを、自分の価値観で破壊して押し付けようとせず、一方的に否定してしまわず。大切に守り続けた。
でも、何もせず従順に従っているのではなく、ちゃんとそんな彼女の怖れやトラウマを解消するために手を回し、動いているのだ。こっそりと、雇用関係を逸脱しながら。こういうのが、気の利いたイイ男って奴なのでしょう。
幾ら大金を払っても続けていきたい大切な時間。ミオにとって、裕二が待っていてくれる生活というものはどんどん掛け替えのないものになっていく。いつしか、彼の存在はいっときの慰めや癒やしでは収まらないものになっていく。
そうなった時、彼との間を繋いでいた雇用関係という間柄は、逆に行き詰まりになると思うんですよね。より踏み込んだ関係になるためには、お金を払って一緒に居てもらうという繋がりがむしろ障害になってしまう。裕二の方はそのへん最初から気にしていないので、あまり問題にならないと思うのですが、ミオの方こそが自分から望んだ関係だけに、拘った関係性だけに、そして彼女自身の対人能力の不器用を通り越したポンコツなところをみると盛大に迷走しそう。
まあ、今の所は現状でこの上なく幸せに至っているだけに、しばらくこの状態を維持することになるのだろうけど。

大人の女性の幼児化というのは絵面としては若干キツイものがあるのかもしれないけれど、字面だとあの理屈じゃないフリーダムっぷりと大人としての体裁を持たぬが故の甘えっぷりが、裕二の甲斐甲斐しいお世話も相まって大変可愛らしかったです。外ではカッコいいくらいの女性に、これだけ無防備に甘えられたら男の方もなんかこう、くるものがありますよね、うん。確かに、楽しいでしょうw

現実主義勇者の王国再建記 13 ★★★☆   



【現実主義勇者の王国再建記 13】 どぜう丸/冬ゆき オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

敵対国家・九頭龍諸島連合へフリードニア王国艦隊の派遣を決定したソーマ。
故国を救うべく身を捧げた九頭龍諸島の姫シャボンを味方に付けたソーマは、彼女の手引きで王国艦隊の到着前に島へと潜入する。
――目下の問題は諸島連合艦隊よりも、近海に出没する謎の巨大生物。そう睨んだソーマは敵国内で巨大不明生物の情報収集にあたる。かくして判明したその実体は常識を逸脱した怪物で……!?
敵国艦隊と巨大生物、迫る二つの脅威にソーマが講じた策略とは!?
革新的な異世界内政ファンタジー、第13巻!

ああっ、そこまで昔から連絡取り合ってたのか。いやこれ、相当以前からじゃないですか。これは相手さんの先見の明を褒め称えないといけないでしょうし、余程の根気と忍耐と粘り強さがないとこの段階まで引っ張れないですよ。
やたらとソーマたちが和平を求めて飛び込んできたシャボンたちに辛辣だったのもわかります。献身的で現状を行き止まりと感じて打破するために自分から動く、というのは都合の悪い事実に目をそらしてなあなあで流れに身を任せてしまう事に比べれば上等この上ないとは思うのですけれど、危機感に対して深い考えなく動いてしまった、とも言えますからね。特に、深い思慮と遠謀とともに強かに交渉を続けてきたという比べる相手が居るのですから。
まあそれ以上に、何年も掛けて練り上げただろうシナリオに則って準備を整えていざ幕をあけたら、突然脚本も何も知らない役者が舞台に乱入してきて引っ掻き回されてはそりゃあ、何しに来たコイツ、てなりますよね。しかも、その乱入目的が計画の破綻に直結しているのですから、邪魔しないでおとなしくしててくれ、って事にもなりますか。
とは言え、なんにも知らないシャボンとしてはソーマたちに縋るという以外何も考えていなかったにしても、戦争を止めようという目的自体は彼女の立ち位置からすると間違ってはいないですからね。全然足りないにしても、彼女は自分の身でやれることをやろうとしたわけですから。
ただまあ、知らないとは言え自分から見事に地雷を踏み踏み踏んづけまくってしまったのは確かなのですけど。それでも、もうちょっと優しくしてあげてw

しかし、長年かけてシナリオ練り上げたにしては、本番での演技は大根もいいところだったような……。まあ、別に演技うまかろうが棒だろうが、ファニーウォーとして建前さえ成立すればよく、要は現場に王国と諸島連合の艦隊が勢揃いすればよかったのだから、別に演技力は求められていなかったのだろうけど。
それでもソーマはテレビ出演も多いんだから、もうちょっと頑張りなさいよw

その分、実戦の方で今までになく活躍してた気もしますが。あれをソーマの活躍というべきなのかは定かではありませんが。
というわけで、今回の本題は特撮怪獣映画。冒頭の嵐に襲われた島で未知の存在の痕跡が、というのはまさにゴジラ以来の伝統ある導入でもありましたしねえ。
いやでも、メカドラ出撃! には吹いた。完全にメカゴジラだこれ。漫画が違うw
これ九頭龍諸島連合の連中、魂消たどころじゃなかったでしょう。あんなの見せられたら。世界観が違うw
ソーマのあの人形の遠隔操作の能力の可能性については常々様々な形でアプローチされていましたけれど、あんなデカイの操作できるんだったらそれこそ戦争感が変わってしまい兼ねないですよ。あとドリルは定番、うんわかる。わかるんだけど、メカドラの腕に装着じゃなくてちょっと戦艦の艦首に取り付けて「海底軍艦突撃!」なノリも見てみたかった気がする。特撮でドリルだとやっぱり軍艦の艦首でしょう、定番は。

ただ今回注目すべきは派手なメカドラよりも、島型空母「ヒリュウ」の実戦投入でしょう。本来、海を嫌うワイバーンの部隊を搭載して、海上を自由に移動し好きな所からワイバーン部隊による航空攻撃をぶつけることが出来る海洋機動力の顕在化。
ソーマはここで、国家の方針としてシーパワー重視で国際関係の主導を握っていくことを明言しています。ちゃんとここで列島国である九頭龍諸島連合と盟を結んで海洋同盟を締結しているあたりが偉いんだよなあ。ランドパワーの超大国である帝国とは裏で密かに協力関係結べているし、もし大陸で大規模な紛争が起こって内陸の交通網が機能不全を起こしても、海洋交通網を握っている限り海運を通じて友好国との連絡や商業ルートは確保し続けられますし、空母の運用は常に攻撃のイニシアチブを握り続けることが出来るということでもあり、本当の最悪の場合でも九頭龍諸島連合という後背地が出来たというわけで。まともに戦わずして海洋の支配権、並びに九頭龍諸島連合という精鋭かつ多数の艦船群の協力を得られるようになったのですね。大陸中央ではいままさにフウガが勇躍をはじめている真っ最中ですけれど、こうしてみるともう既に着々と何が起こっても対処できるような、価値観の異なる者からすると全く視界に入らないところで盤石の包囲網が敷かれつつあるんですよね。
ユリガちゃんは、王国に居て間近に見えているから、また彼女自身の柔軟な視点からソーマの戦い方を理解しつつあるけれど、これを伝えるのは難しいだろうなあ。フウガもまた野性的な感性で何となくソーマの脅威はわかっているものの、わからないものを理解できるタイプじゃなさそうなんですよね。果たして、いつかあるだろう彼らの激突は、激突足り得る形になるのだろうか。
なにはともあれ、ジュナさんオメデタ!


虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2 ★★★★   



【虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2】 蓮見景夏/こーやふ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

周囲の心を殺すほどの圧倒的な才能『虐殺スペック』。
低スペックな俺、九木野瀬伊吹は、【万能】の虐殺スペックを持つ絶対的美少女・赤三月朝火の攻略本制作に巻き込まれてしまった。
夏休み前の休日に出かけた俺は、本屋で出くわした朝火に誘われ、黒花とともにテニスの試合を見学することに。
試合を優位に進めていた朝火だが、あろうことかケガをしてしまう。
真意を問いただすと、「人間関係」の攻略法のためにサンプルを取ったとか言い始め!?
そして、『あいつ』も学校にやってきて――。
低スペックが虐殺スペックと挑む人生攻略本制作、第2巻!
あー、これ終盤あたりから展開に巻きが入っている様子が伺えるんですが。歌ノ森という赤三月に匹敵する総合虐殺スペック・戦争の持ち主の登場までは予定通りだったのか、それとも九木野瀬伊吹の過去に因縁を持つ彼女の出現自体がクライマックスへのトリガーだったのか。
九木野瀬くんの容姿と恋愛に関しての人生攻略本作成、黒花に宿題出されてまだそれがはじまった所で急転してしまいましたからね。いや、ここで状況がそっちに急転してしまうのは、九木野瀬の変化の分量が足りない、少なくとも人生攻略本の作成が全然進んでなくて、赤三月が密かに抱えているだろう問題や悩みに対してのアプローチ、或いは攻略の材料が全然足りないままポイント・オブ・ノーリターンを越えてしまったんじゃないだろうか。

……黒花夜はアホかわいいなー(現実逃避)

赤三月朝火が九木野瀬伊吹に何を求めていたのか。詳しい所は結局の所わからない。話はそこまでいかなかったし、そこに行くにはまだ赤三月も九木野瀬もスタートラインに立っていなかった、というのがラストの展開で明らかになる。
ふたりとも、お互いの実像をちゃんと直視しきれていなかった。相手に幻想を押し付けて、そうして出来た虚像を見ていただけだった。いや、それは赤三月朝火という人物を、九木野瀬伊吹という人物を形作る様々な側面の中の一つであり、実像でもあったのだけれど、その一面だけを見ていることでやはり本来の姿とはまた違った虚飾をかぶせた上っ面だけ。その内実を無視していた、目に入っていなかった、というべきか。
九木野瀬伊吹の場合は、赤三月たちを虐殺スペックなんて言葉で繕って自分とは根本から存在が違うという線引きしていた。というよりも、あれは憧れに近い特別視、いやここまで来ると神聖視していたとすら言えるのかもしれない。信奉に近いナニカ。
しかし赤三月だろうと、中学時代から近しい仲だった歌ノ森だろうと、彼女らがどれだけ特別な存在で世間からも隔絶している能力の持ち主であり、実績を伴う才能の塊であったとしても、一皮剥けばただの年相応の女の子だ、という当たり前の事実を、この男は信じていなかった。
彼女らは本当に特別で余人とは違う存在なのだと、本気で思っていたのだ。
それが間違いだということを、すでに彼は中学時代に歌ノ森との出来事でわかっていたはずなのに。痛感していたはずなのに。
彼は未だそれを「裏切り」だとしか感じ取れていなかったのか。
だから、赤三月で同じことを繰り返し、また戻ってきた歌ノ森にすらもう一度それを求めてしまった。
特別な人間なんて、いなかったのに。
一方でまた、赤三月の方も何もかも投げ捨ててこの世からおさらばしてしまおうと思った瞬間に、自殺してしまおうとした瞬間に、自分の前に現れた九木野瀬のことを特別視していたのか。他と違うナニカを持った特別な存在。彼のことを中学時代から実は知っていて、中学時代の歌ノ森を思いも寄らない形で変えてしまった謎の男。それがすべてを終わらせようとしたときに、自分の前に現れて、こう言っちゃなんだけれど、自分を救ってくれた。止めてくれた。もう一度始めさせてくれた。
ああ、舞い上がってたのか赤三月朝火は。
そのわりに、扱いが酷いなんてものじゃなかった気がするけれど、それだけ気のおけない素の顔を見せていた、他のクラスメイトには見せないような姿を預けていた、というのはそりゃあ特別視だ。
そんな特別なナニカなのに、この男は何もかもがうまくいってない。この自分が特別な存在だと思っている男がそんな体たらくというのは納得できない。そのための、彼がうまく人生を歩けるための人生攻略本、というわけだったのか。いやはや、浮かれまくってるじゃないか。
しかし、その男は一皮剥けばただ挫折して、一方的に憧れて神聖視していたものに裏切られたと思い込んで人生すねてしまっただけの、ただのつまらない普通の男だった。
ただの人間だった。
失望、と彼女はそう評して、そう語ったけれど……。
でも、切り捨てたわけじゃあないんだよなあ。あの日の再現で身を投げて、でも普通のつまらない人間の男にすぎなかった彼はもう一度必死になって、今度は自分と空を飛んでくれた。
テニスのとき、己を顧みずにわりと自業自得なことをしていた自分のことを守ろうとしてくれた。
幻想から目が覚めて、憧れに冷水を浴びせられて、現実に立ち返って、彼がただのその辺にいるのと同じ人間だと失望して、でもそうしてただの人間の彼と向き合ってみれば、彼がしてくれたこれまでの事は何一つ失われてなかったんですよね。
だから、赤三月の心は死ななかった。同じように、今度こそ自分の中の幻想を失いながら九木野瀬伊吹も素直にそれを受け入れることができた。

熱が冷めて、痛々しい妄想から解き放たれて、誰も特別なんかじゃないと理解して、ようやくスペックだとかそういうのを抜きにした、ただの人間として向き合うことができるようになった。
ようやくここで、赤三月朝火と九木野瀬伊吹はスタートラインに立てたのだ。

……ってところである意味ここからが本番のはずなのですが。わりと酷いことを言ってしまって泣かせた歌ノ森へのフォローとか、赤三月が自殺しようとしていた本当の理由、彼女の中の爆弾とか大事なことはまだまだ残っているし、何より人生攻略本の中の「恋愛」項目。ラブコメがはじまりそうで始まらないまま。
終わりっぽいなあ、これ。てか事実としてこの2巻が出たの一年半近く前なので、こりゃあ続きは出なさそう。
ある意味、終盤に巻きを入れつつこの物語の趣旨にラストで見事に切り込んで、なんだかんだと綺麗に着地させて余韻を感じさせるエンディングに持ち込んでみせたのは結構凄くね、と思ったり。
ここで終わるのは非常にもったいない作品でした。次回作にも大いに期待したいなあ。


信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 5.竜に呑まれし水の街 ★★★☆   



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 5.竜に呑まれし水の街】 大崎アイル/Tam-U オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

最強の古竜から――故郷(マッカレン)を護れ!

太陽の国にて「蛇の教団」の陰謀を阻止した高月マコト。
水の国崩壊の神託を受け、水の街へ帰還したマコトは、懐かしき面々と再会する。
不吉な神託とは程遠い、慣れ親しんだ街での平和な時間。しかし、“崩壊"が始まる。
ついに魔の森にて大規模な魔物の集団暴走が発生してしまい、水の街は一気に戦場と化す。
さらに予期せぬ「幻の古竜」の襲来により、仲間たちは為す術なく倒れていく――。
危機に直面したマコトは形成逆転の裏技をノアから告げられるのだが……?
「マコト……あなたの命を私に捧げなさい」
クラスメイト最弱がマイナー女神と最強へ至る異世界攻略ファンタジー、第5巻!


フリアエさん、もっと気難しくてパーティー入りしても距離置こうとするのかと思ったら、案外とすぐにルーシーとすーさんと打ち解けたのね。ルーシーたちが積極的、というか相手が月の巫女とかあんまり考えずに素で突っ込んでいったから、というのもあるのだけれど、拒絶せずに誘われたら普通に一緒に買い物に行ったりもしているし。
こうしてみるとフリアエさん、ただの寂しがり屋という側面が見えてくる。まあ月の巫女なんて生まれで迫害され忌避される一方、信者からは変に崇められてなかなか親身になってくれる相手もいなかったようですし、多少仲良くなっても迫害を受ける身の上としてそれを理不尽に失う事も多かった。
仲良くなっても相手を名前で呼ばず、マコトの事も私の騎士、ルーシーたちの事も魔法使いさん、戦士さん、なんて風に呼ぶのもいざという時少しでも自分の心を守るために一線を引いているらしいですし。桜井くんだけが、殺しても死にそうにないから、という事で名前で読んでそれだけ心も寄せていた、ということみたいで、そりゃ彼女みたいな境遇だったら唯一味方してくれた桜井くんに好意を抱きますわなあ。
これがヤンデレ気質だったりすると、そこから執着に走ってしまうのですがフリアエはそのへんサッパリとした性格のようで、ある種の吊り橋効果という認識も自分で持っていたのでしょう。マコトとルーシー、さーさんの三人が彼女の味方になってくれたことで余裕が持てたというのもあるでしょうし。あれはノエル姫への対抗意識みたいのもあったんじゃなかろうか。
それで急にマコトの方にベタベタしだす、なんて事もないフリアエのさっぱりした、でも情の厚いところのあるキャラは結構好みです。名前で呼ばないことで線を引いてると言いつつ、魔法使いさん、戦士さんという呼び方にはあれはあれで情愛が籠もってて、フリアエさんルーシーたちの事だいぶ好きでしょう、というのが伝わってきますし。

さて、桜井くんやふじやんくん、それにコチラで親しくなった冒険者のジャンと言った友人たちが結婚していくのを目の当たりにして、そろそろ自分も責任を取る時期に来ているんじゃないか、と思い出すマコトである。でも責任と言ってもちゃんとした恋人らしい事もルーシーたちと出来てないんですよね。お互い青信号なのに、どうしてか肝心な時にお邪魔が入ってしまうパターン。いや神様邪魔してないよね、それどころかノア様とエイル様興味津々で生放送かぶりつきじゃないですか。ってか、エイル様水の女神なんでマコトとは関係ないはずなのに普通にずっとノアと一緒に覗き見してらっしゃるな、あの人。一応、マコトが水の国の勇者になったからか?
というかこの水の女神、邪神ノア様よりも奔放というか自由人というか緩くないだろうかw
まあその緩さというか適当さが、堅物な水の巫女のソフィア王女をけしかけてなかなか距離を詰められない彼女を強引に婚約者に仕立て上げる後押しになったと思えば、あれはあれで良い所も多いんだろうけど。
しかしマコちゃん、ずっと女神たちに覗き見されててルーシーたちといい雰囲気になり場合によっちゃあベッドイン、なんて状況になっているのも出歯亀されているのをちゃんと気づいていながら、もう平然と気にしなくなっているあたり、明鏡止水スキルが行き着く所に行き着いちゃってるんじゃないだろうかw 

今回は精霊使いというマコトの戦い方のアンバランスさ、というか使い勝手の悪さが伝わってくる展開でもありました。自由に思う通りにいつも使いたい魔法を使えるわけじゃないし、威力も思い通りにままならない。相性やら土地効果なんかがハマったら尋常じゃない規模の術を使える一方で、精霊さんたちの気分次第の所もあるし相性の悪い土地柄だったりすると、ほんと魔法使い見習い程度の力しか出せなくなってしまう、という不自由さ。
それを補う意味でも、ヒロインたちとの同調というのは思いの外重要な鍵となってきた感がある。単体でも強力なユニットとして動けるヒロインたちだけれど、余計にマコトと一緒の場所で戦う理由が出来てきたな、と。マコトの場合、ずっとその精霊使いとしての能力をフルに出せたら単身でどこまでもイケちゃう、なんでも出来る、という所がありましたし。

今回書き下ろしで商業の国にまで出張ってましたけれど、今度は女神さまたちの依頼もあって木の国に行くことに。この調子で世界中めぐることになるんだろうか。それはそれで楽しそう。


死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く V ★★★★  



【死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く V】 彩峰舞人/シエラ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

ノーザン=ペルシラ軍を退け、国の再起に活路を見出したファーネスト王国は、脅威であるアースベルト帝国に対抗するため、メキア神国との同盟を結んだ。
第八軍の総司令官であるオリビアは、王国代表としてメキア神国の国主・ソフィティーアに招かれる。
表敬訪問と銘打ち、手厚い歓待を受けるオリビアたちだったが、ソフィティーアの狙いは圧倒的な武力を誇るオリビアを自国へ引き込むことだった。
オリビアの悲願とも言える死神の捜索を条件に交渉を試みるソフィティーア。
魅惑の条件を前に、心揺れるオリビアが下す決断は――?
王国軍“最強の駒"として、常識知らずの無垢な少女が戦場を駆ける、第五幕!




いや、アシュトンくん、君ってオリビアがいなくても相当にしぶといよ? というか、なんでアレで死なないどころか大した怪我も負ってない上に絶体絶命から逃げ延びる事が出来たのか、主人公並の天運がなければ普通に死んでてもおかしくないんですけどね!?
クラウディアなんか、完全にアシュトン死んだー! と自失しちゃってましたし。あれでクラウディアが自分の気持ち、アシュトンに知らず知らず好意を抱いていたことにアシュトンが死んだと思った事で気がつく展開になるかな、とちょっと期待したのですが、この娘も筋金入りの鈍感娘でした。
傍から見たらどう見てもべた惚れなんだけどなあ、自覚がまったくないという。
そしてアシュトンの方も軍師として頭は冴えてるのに、クラウディアの気持ちについては全然気がついていないというコチラも筋金入りの朴念仁。いやまあアシュトンの方は恋愛感情についてはフラットか、若干オリビアに惹かれている、という具合なのでアンテナ高くなくても仕方ないのかもしれませんけど。察しが悪い方じゃないのですが、何しろクラウディアの方に自覚も何もあったもんじゃないので、むしろクラウディアの認識の方を察して無自覚の好意には気がついていない、というきらいもあるんじゃないか、と。
ただまあ、このオリビアとアシュトンとクラウディアのトライアングルは、天然に鈍感に無自覚というポンコツ揃いのお陰でお互いの関係を深く考えることがないゆえか、距離感に遠慮がなくてほんと仲良いんですよね。大人の酸いも甘いも噛み分けた仲の良さ、というよりもどこか幼さすら感じられる子供同士の純粋な仲の良さ、というふうな感じで。アシュトンもクラウディアも本来は年齢よりも大人びた性格の若者なんだけれど、天真爛漫なオリビアに引きづられたというか染まったというか。上司と部下でありながら、同世代の友達という側面を深く内包している密接な関係になってるんですよね。見ていても微笑ましいというか、いいなあと思えるトリオで。これ、見方によってはアシュトンくん両手に花なんだけど、不思議とそうは見えないのよなあ。
まあアシュトンとクラウディアは特に、なんだけれど、身近に接した人たちとこうして心寄せあえる関係になれたからこそ、ソフィティーアの勧誘を蹴っ飛ばせたのでしょう。
オリビアにとってゼットの存在は絶対で、彼を探すことこそが至上命題だったはず。王国軍に参加したのも、ゼットを探すためという理由だけで何の思入れもなかったはずなのに。そもそも、死神のゼットに育てられた自分と「人間」とはどこか別の存在として分けて見ていたオリビアが、今こうしてゼットを探すよりも優先したいこと、彼を後回しにしても一緒に居たい人たちが出来た、というのは何とも感慨深いものがあります。
面と向かって、君たちが大事、と言われたアシュトンやクラウディアもこれ嬉しかったんじゃないかな。どうしたって人外とも言える力を振るうオリビアは、まともな人間からは忌避されそうなものだけれど、オリビアの無邪気さとこんな風に衒いなく率直に偽ることなく心ぶつけてくるものだから、どうしたって恐れを抱けないんですよね。
第8軍の指揮官に任命されて離れてしまいましたけど、元々所属していた第七軍のパウル将軍以下の幹部のおっさん連中が揃って、オリビア居なくなって寂しい、と愚痴こぼしてあっているのを見ても、戦力云々だけじゃなくてオリビアってムードメーカーでもあったし、老若男女問わずに部下からも上司からも好かれ親しまれてマスコットめいた扱いもされてるんですよねえ。
これだけ特異で異常な存在でありながら、こういう風に好かれるのはやっぱりあの天真爛漫な性格ゆえなのでしょうなあ。七軍のオットー副官とか本気で怒ったクラウディアとか、無敵に思えるオリビアがガチでビビって頭上がらなかったり、という隙があるのもむしろ親しまれる理由なのかもしれません。
ただ彼女を強大な戦力、としてしか見ていないメキア神国の者たちがオリビアを引き入れようとしながら、一方で畏怖を押さえられずにオリビアを一人の少女として見ることをしないのがまた対照的だったりするんですよねえ。

さて、帝国の侵攻をオリビアの活躍に寄って辛くも退け、なんとか体制を立て直すことに成功し、逆に帝国に対して乾坤一擲の大勝負に打って出た王国軍。
その要となるのが、オリビア率いる新設第8軍。いやこうしてみると、オリビアの武力をただ利用して使い倒してやろう、みたいな考え方じゃなくて、適切に最大戦力を運用しようという戦略を立てて実行する王国軍の将軍たち、みんなホント優秀ですし人格的にも他人の足を引っ張るようなのが居ないんですよね。或いはこれまでの激戦で淘汰されたか。オリビアがどれほど強くても、周りが足を引っ張って力を発揮できない、というような場面を殆ど見ることなく、自由奔放なオリビアの理解者が部下にも上層部にも同僚にも揃っている、というあたりにオリビアの快進撃の大きな理由が伺えるのではないでしょうか。いくら彼女でも周りに足引っ張られて思うように動けなかったら、力をどれだけ発揮できるか。こうしてみると、随分とオリビアが恵まれているのがわかります。そういう立ち位置を自分で築き上げてきた、とも言えるのでしょうけど。

一方で帝国の方はというと、内部で不穏な動き在り。これまで人知れず暗躍するに留まっていた宰相がついに動き出したことで、迷走がはじまっているんですよね。帝国軍の支柱というべき人物が、突然排除されたりもしていますし。動乱の種が芽吹き始めているさなかに、王国軍の攻勢がはじまったわけで、果たしてこの作戦、成功するのか。
オリビアに相対するのは帝国最強の蒼。ついにはじまる頂上決戦、ということで次回への引きに際しての盛り上がりとしては十二分。というか、ここで切るのは何ともいやらしいじゃあないですか。続きが出るのを待つのがまた長く感じてしまいますなあ、これ。
うん、面白かった♪


王女殿下はお怒りのようです 5.邂逅、そして ★★★☆   



【王女殿下はお怒りのようです 5.邂逅、そして】 八ツ橋皓/凪白みと オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

明かされる転生の真実――

公爵家の領地において妹のクリスタと対峙したレティシエルは、未だ見ぬ『ドロッセル』の記憶に触れた。
『ドロッセル』の過去とクリスタの抱えていた想いを知ったレティシエルは、彼女へと歩み寄り、二人の関係は新たなものとなる。
だが、黒い霧を巡る謎が解決されたわけではない。ジークと共に、霧についての調査を続けるレティシエルは、自身を幾度となく襲撃した『白の結社』と、それを従える仮面の少年と相対する。
そして少年は、この時代において誰も知らないはずの名を呼んだ――
「君に会えることをずっと待っていたよ、レティシエル」
その邂逅が意味するものとは。
転生王女の最強魔術譚、核心に迫る第5巻!
赤い目を持つ人についてのお話とか前々から出てましたっけ? 寿命の件も含めて、えらい唐突感があったんですが見逃してたのかな。ロシュフォール王子もさることながら、国王陛下もそんな業背負ってたとか全然頭の中に入っていなくて、あれ?そうなの!? と、びっくりしてしまったのですが。
さてもその暗躍する『白の結社』を動かしている幹部たちの姿が見えてくる。と、同時にその黒幕がどうやらレティの前世に関係ある人物である、というのは当初から匂わされてきたのだけれど、正体に関しては明かされてこなかったんですよね。それどころか、レティに執着はしているもののその方向性が正負どっちなのかも、どちらのようにも見て取れる言動を繰り返してきたわけで。
うん、普通に「彼」を想像してしまいますよね。
場合によってはレティシエルは、前世から抱き続けている大切な人への想いと、ドロッセルとして生きる現世で出会った人々との絆との間に板挟みになって苦しむ展開も予想できたわけで。それどころか、前世の旦那と今世の想い人とが違うお陰でドロドロした修羅場に! という仄暗い期待もあったりして。まあ白の結社がどう考えても悪役ムーブな悪いことをしている連中なので、どうあっても対決は避けられなかったのですから、レティシエルがどちらを選ぶかは疑いようのないところではあったものの、それでも良くメンタルを揉まれて苦しむ羽目になるのかな、とは危惧してたんですよね。
どうやら危惧で終わってしまいそうですけど。案外とひねらずに進むのか。
でも黒幕の正体に関しては、ちょっと「え?」と意表を突かれたというかその人は想像していなかったというか。いやだってねえw

まあそっちの可能性はパッと排除できたので、落ち着いて今世でのドロッセルとしての今の立場を振り返ってみると、あれ? 結構男の影があるぞ、この娘さん。
実家の公爵家の失墜によって、身内は貴族位を取り上げられて追放の憂き目にあい、自身も身分を剥奪されたわけだけれど、今の所平民になって困ることはないんですよね。国王陛下は、状況いかんによっては貴族位の復活、もしくは新しい陞爵も考えているようなので、いつでも貴族に戻れるチャンスはあるようですし。
となると、再会なって以来なんだかいい雰囲気になっている幼馴染のエーデルハルトとも身分差ゆえの弊害は最小限で済みそうですし、逆に平民であるジークとの仲も現状身分の壁がなくなった、と言えるわけで、さらに使用人のルヴィクとも何だかんだと自分に前世の記憶があり、昔のドロッセルとしての記憶がなくなってる……最近朧気に思い出してきているけど……という事情を打ち明けて、しばらくギスギスしていた分逆に関係が密接になったきらいもありますし。
どうやら、レティシエルが転生した件については明確な理由があり、それに伴ってかつての旦那も転生している可能性が高まっているのだけれど、この中ではジークがどうにもそれっぽいメモリーを垣間見せているのですが、エーデルハルト王子の寄せはなかなか強烈にも思えるんですよねえ。

さて、件の事件によって明暗別れたフィリアギス公爵家の一族ですけれど、自ら事件の解決に動いたドロッセルは当然として、クリスタが思いの外救済されてるんですよね。ってかロシュフォード王子ヤバい存在として目が覚めたのかと思ったら記憶障害はあるものの当人の意識は保っているのか。彼の側に残れるのなら、クリスタとしてはむしろ良かったという立ち位置なのでしょう。逆により泥沼にハマってしまったのがサリーニャの方で、なんか過去の不始末を隠そうとしてどんどん余計な罪を背負っていっているような。でも本人、いい加減振り切って小悪党でしかなかったのが濃密な悪女めいたキャラになってきて、そんな悪女ムーブ楽しいみたいなのでそれはそれでいいんじゃないだろうか。
あのしょうもない雑魚両親から、三姉妹全員これだけ濃いキャラに育ったというのは何とも面白い事なのかもしれない。

しかし、もうレティシエルは自分がドロッセルであるという事実に疑問も違和感も抱かなくなったのか。最初は、自分をレティシエル以外のなにものでもなくドロッセルって誰? という感じで、自分の肉体だった少女の事は話を聞いても他人事でしかなかったのに、いつの間にかドロッセルという少女に興味をいだき、彼女が何を考えどのように生きてきたのかを追いかけるようになり、それがいつしかドロッセルの記憶が断片的にでも蘇るようになり、いつしかドロッセルもまた自分なのだという同一性が進み始めて……、とここまでじっくりと時間をかけて前世と今世の自分をすり合わせていく展開というのは結構珍しいんじゃないだろうか。ルヴィクやエーデルハルトにレティシエルという前世の記憶がある、と告白するに至ったのは、自分がドロッセルであるという認識あってこそでしょうし。
もし最初の頃なら、自分は本当はレティシエルという違う人間だ、なんて言ってたかもしれませんしねえ。ドロッセルの記憶がもっと沢山戻ってくれば、完全な同一化が進むのだろうか。


TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 2 ~ヘンダーソン氏の福音を~ ★★★★☆   



【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 2 ~ヘンダーソン氏の福音を~】 Schuld/ランサネ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

この出会いは致命的(ファンブル)!?

魔導師アグリッピナに窮地を救われたデータマンチ転生者のエーリヒ。彼はアグリッピナから、妹のエリザが「半妖精」であると告げられる。
そして「半妖精」の悲惨な運命を避ける唯一の道として、契約を結ばないか、と――。
契約により、エリザは弟子として、エーリヒは丁稚としてアグリッピナと帝都の魔導院へ行くことに。
故郷を離れるエーリヒは、マルギットに一つの誓いを捧げるのだった。
一路帝都へ向かう旅路の中、エーリヒの前に現れた妖精。
彼女がもたらす新たな物語の行方は、どうしようもなく致命的……!?
ヘンダーソンスケール行方不明のデータマンチ冒険譚、待望の第2幕!


わりとこれ、アグリッピナとの出会いをきっかけにしての、故郷との離別は「ヘンダーソンスケール1.0(致命的な脱線によりエンディングに到達が不可能になる)」に該当するようにも見えるんだけれど、そうはならないという当たりにエーリヒの冒険者になるという夢が行き詰まったわけではなく、またマルギットとの約束が不履行となるわけでもないことが、示唆されていると思われる。
まあエーリヒのやりたいようにやるのだ、という生き方の中には愛する末妹のエリザの良き兄として彼女を守る、という事も多分に含まれているので、エリザが半妖精として生まれていた以上は、アグリッピナ師の提案は、エリザの行く末を思うなら唯一無二の道ではあったんですよね。
それでも、将来の展望、力を蓄えてある年齢に達したら冒険者となり村を出て、思うがままの旅に出る、そこには幼馴染の少女の姿も隣、というか背中にあって、という確かなそれなりに細かく予定を敷き詰めた計画が建ててあったにも関わらず、それらを全部放り捨てて、故郷を出るはめになってしまったわけですからね。人生うまくいかないものである、特にTRPGプレイヤーなら尚更にここぞという時にファンブルかますのは必然とすら言えるのである。
とはいえ、溜まったもんじゃないのは家族であり、人生を共にする約束をしていたマルギットなんですよねえ。アグリッピナ師の提案は、まあ自分の都合優先、引き篭もり欲求を叶えるためにエリザを弟子として招く、というのは大変に自分に利のある事ではあるんだけれど、この人にしてはエーリヒやエリザたちにも配慮しまくってくれてる取引ではあるんですよね。
それでも、普通ならばエーリヒの丁稚契約というのは要求される金の単位からして永久雇用である。辺境の農民が左右できる金額と、魔導師の弟子となるエリザが必要となる金銭の桁は文字通り、2つ3つ異なってくるわけで、それを稼がないといけないエーリヒは当然雇用主であるアグリッピナ師にそれだけ奉仕し続けないといけない。
本来なら、これはもう二度と故郷には帰ってこれない、と思われても仕方のない旅立ちなんですよね。マルギットも、エーリヒに会いに来た時の悲愴さからしてそのあたり、覚悟はともかく理解はしていたんじゃなかろうか。でもこの少年と来たら「5年かそこらで上がれたらいいなあ」である。
しかし、5年ですら今14歳のマルギットからすると待つには長過ぎる年月。そもそも5年で年季明けるかどうかすら、普通に考えたら一生涯借金地獄から逃れられない金額を思えば怪しい所。
でも、信じるわけですよ、この娘は。行き遅れになっても、冒険者になると誓った幼馴染をここで待っている、と約束するのである。もうなんか、敵わないよね。
子供同士の拙い約束ではないのは、マルギットとエーリヒの間で交わされた誓いの儀式でまた明瞭なのである。ただの子供の約束で、あんなふうに重く妖しく神聖な「交換」は成せないですよ。
ある意味、どれほど時間が流れても、どれほど距離が離れても、彼女マルギットこそがその定位置を据え定めた、と言える一幕でありました。
でもしばらく、この幼馴染とは残念ながらお別れ、となってしまうんだよなあ。うん、大丈夫、彼女これでフェイドアウトということはないので。その場所は譲らんのでありますよ。

この別れのシーンでもうひとつ印象的だったのが、親父さんとのシーンなんですよね。秘められた父親の過去がその口から語られ、末妹を守って旅立つ我が子に己の過去の夢の残滓と拠り所を託して送り出す。それが、息子が夢を叶えるための旅立ちならば、大いに祝福してのことなのだろうけれど、誰の意にも沿わぬ苦しい別れとなるのなら、そこに託す思いの痛切さはいかばかりか。
しかし、愛娘を託せるに足る男に育ったという末息子への信頼もあり、忸怩たる思いを抱きながらも安心がある。父から子へ、家族の一幕としてはこう染み入るシーンだったんですよねえ。
本作はこういう何気なくもじんわりと染み入る交流のシーンが多くて、なんか熟成が進んで出汁でも溢れ出てきそう。それくらい、味わい深い情緒があるんですなあ。

そして、そういう情緒をさっぱりと理解しないし出来ないアグリッピナ師みたいな、人間とは根本的に異なる価値観の元に生きている長命種、みたいなのがどんどん出てくるのが、種の坩堝となる帝都なのですが……おおう、そこまでたどり着かないのか、お話。
まあアグリッピナ師みたいなの、早々居ないんですけどね。居てたまるか、というくらいなのですけど。長命種というのがどれほどイケててイカレた種族なのかは、実にしみじみと作中でも語り尽くされるのですけれど、その中でもとびっきりの変人極まっているのがこのアグリッピナ師であり、変人=魔導師という基本方程式の中ですら「アグリッピナ」という特別枠で括られそうな人なのである。
まあエーリヒの方も「エーリヒ」という特別枠で括らないとアレすぎる人種なんですけどね。魔導師の丁稚なんてものにならなきゃならなくなり、故郷も出て、まだ7歳の分別もつかない妹の面倒もいなくちゃいけなくて、人生オワタ、みたいな境遇に陥ったにも関わらず、後ろをまるで振り返らずにグジグジと思い悩まず、至極前向きに現在の境遇でバリバリビルド鍛え上げるぞー、とワクワクしているあたり、何気にどんな人生歩んでても幸せになれる奴なんだろうなあ、と実感する次第。
実際、ヘンダーソンスケール1.0が発生して、IFルートに突入する際もどんな境遇立場に陥ってても、ほぼほぼ人生満喫してるもんなあ、こいつ。
しかし、そういう前向きの権化のような人物でも、耐え難い試練というものはあるもので。
実質初陣となる戦いで、そのラスボスがこれ、というのは厳しいにもほどがあるでしょう、居るのならばGMさん。ゲームバランスとして反則、というのではなく精神を摩耗させるという意味で。
というか既に戦闘に関しては、この段階で意味分からんレベルなんですよね、エーリヒって。比べる対象が殆ど現れない上に、居てもアグリッピナ師みたいな超絶存在だったりするのでエーリヒも自分の現在の立ち位置把握しきれてないようだけれど、現段階でちょっとおかしいですもんね。
それに、アグリッピナ師によって魔法のロックが外されて、魔法が使えるようになったという所で、覚えた魔法がアレである。炎とか氷、とか定番のそれではないというのは、フワフワとした魔法使い像に引っ張られるTRPGプレイヤーではないのですよ、と言わんばかりで。というか、よっぽどキャラビルドについて日頃から練りに練って思い巡らせてなかったら、こんな発想そうそう出てこないでしょうしねえ。いやまあ、人生そのものを費やしてビルドに勤しんでいる人物なので、それこそ息を吸い息を吐くようにビルド練ってるんでしょうけれど。
でも、この発想は面白いよなあ。後々までエーリヒの戦闘面のみならずあらゆる場面に置いて得難い効力を発揮し続ける「見えざる手」とのファーストコンタクトである。いや、能力にコンタクトというのも変だけれど、ある意味彼の相棒みたいな能力になりますからなあ。
しかして、初期段階から既にわけのわからないレベルの汎用性を見せてるんですよね。どんだけ便利で応用範囲が広いんだか。ここらへん、プログラムの組まれたゲームではなくTRPGというGMとの駆け引きでどのようなケースにも対応できるゲームのプレイヤーならではの発想の自由さと、それをシステムに組み込んで、はめ殺しを図る応用力か。

ヘルガ編については、書籍用の書き下ろしでウェブ版にはなかった展開なのですけれど、エーリヒにとってはきつい試練でありました。あのラストシーンもさることながら、そのあとの「Tips」の語りがまたここでは凄く優しいんですよね。ただの説明文のはずなのに、ヘルガの想いを伝えてくれているようで。
ここに限らず「Tips」は時にウィットに富んでいたり、アイロニーをきかせていたり、と実に表情豊かで、話の余韻を際立てせてくれる。この作品の色彩の鮮やかさを担う特徴の一つでもあるんですよねえ。

さて、次こそはようやく魔都たる帝都を舞台にシティーアドベンチャー! まではいかないか。それでも、この世界の不可思議で魅力的で怪しげな設定群の精髄が詰まったような都市であり、その情景描写、街を歩き人と出会うシーンだけでも凄まじい情報量が飛び込んできてワクワクしてしまうような舞台がここからはじまるわけです。いやあ、ここまでで楽しかったという余韻に浸るまもなく、ついつい次回に思いを馳せてしまいます、ワクワク。


異世界迷宮の最深部を目指そう 14 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 14】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

『告白』の末、晴れてラスティアラと恋人同士になったカナミ。マリアとリーパーに再会し、ノスフィーとの決着をつけるため、一行は『本土』の大聖都フーズヤーズに辿り着く。訪れた冒険者ギルドにて『世界樹汚染問題』という依頼を発見したカナミ。なんでも、鮮血属性の魔法を得意とする男が世界樹を真っ赤に染めているという。その男は、七十層の『理を盗むもの』で―。そしてノスフィーは、自身の記憶を呼び起こす。『光の理を盗むもの』として生まれた日を。―愛を知ったあの日を。

挿絵の鵜飼沙樹さんのツイッターで目撃したアリ得たかもしれないもう一つの14巻表紙絵「血の海と太陽と空で、水遊びするカナミファフナー」が、見たときは意味不明だったのだけれど、読み終わってみると概ね間違ってなかった事を理解したときの思わず遠い目になる自分w
というわけで、70層「血の理を盗むもの」ファフナー・ヘルヴィルシャインの登場である。いやもう、なんだろうねこの人。今までで一番イージーモードを自分から進呈しているような人なんだけど、どう判断したらいいんだろう。実は地雷とか、裏があるとかは絶対ないようで信頼できる人物なのは確か。結局面倒くさいことになるにしても、彼の協力的な姿勢がまがることはないんだろうけど、ノスフィー次第になるのか。
そのノスフィーはというと、案の定仕掛けてきたのだけれど、準備万端であらゆる展開に備えた網を張っている、というふうでもなく、なんか「その話聞いてないんですけどー!?」というような反応を度々見せていて、彼女の企みって穴だらけなんじゃないの実は? と思わされてポンコツ属性があるんですかもしかして。洗脳して手駒にした戦力たちも、なんかさっぱり思う通りに動いてくれなくて、洗脳しているはずなのにみんな各々好き勝手に動いていて、ノスフィー振り回されてる感あるし。カナミとライナーへの嫌味っぽい言動はともすれば子供っぽくすらあって、もっとクールビューティーというか底冷えするような怨念で駆動しているのかと前は思っていたのだけれど、ちょっとイメージがわからなくなってきたぞ。
カナミとライナーは多分、自分と前まで自分が抱いていたような印象をノスフィーに持っていたからこそあそこまで警戒しているのだろうけれど、今の姿しか知らない女性陣が彼女をあまり危険視している様子がないのもわかるんですよね。別に仮面をかぶっている、という風でもないんだよなあ。
とは言え、カナミたちと敵対していて彼らを陥れるために動いているというのは確かで、まあ最終目的がどうなっているかはともかく。
それに今のノスフィーは、ラスティアラの皆仲良く思想に激しく反発している様子なので、むしろみんな仲良くの反証を成立させる方を重視しての、あの仕掛けだったのかしら。事前に仕掛けてた事はないのだろうけど、結局カナミのパーティーを壊滅させるためには仲間割れが一番ではあるんですよね。
ただ、うーん。ノスフィーがありえないと、心の奥底では許せないと思っているに違いない、という主張は今のカナミパーティーの女性陣に対して周回遅れな感じはあるんですよね。
数年前の、みんな一緒に船で旅に出たあたり。全員集合で漏れなくカナミが修羅場で頓死しそうな時期だったら、当てはまりそうではあるのだけれど。今となってはみんな多かれ少なかれ、精神面の不安定さの原因だった部分を解消して成長しているだけに、ノスフィーの指摘もそれって何時のこと? みたいな的外れ感があったんだけど。実はやっぱり内に、ラスティアラと結ばれたカナミという関係を認められない受け入れられない許せないという感情を滾らせていたのだろうか。皆無ではないのだから、それをアルフィーの魔法で無理やり掘り起こされた、という事なんだろうけど。正直になったくらいで、今の彼女達がそんな仲違いするまでになるんだろうか。現場を見れていないので、実際の所はまだ判断がつかない。

でも、ラスティアラのみんな一緒思想がないと、現状でもカナミが生命途絶の危機の警告が自動発令してしまうほどのヤバいバランスで保たれていたのはまあ間違いないんですよね。スノウとかディアとか見事に爆弾が破裂しそうにはなってたわけですし。
そう考えるとカナミの愛する人は唯一一人だけ。一人だけを永遠に愛するのが正しい姿、という思想は見事に起爆スイッチでもあるんですよね。
どうしてそこまで頑なに、そう思い込んでいるんだろう。いや、愛する人は一人という考え方自体は不思議でも不自然でもないのですけれど、ラスティアラの趣味嗜好と比べると、カナミのそれはある一線を超えると激烈に拒否反応を示していて、妙に自動的なところがあるんですよね。
それに、永遠、とかいくらカナミがロマンティストで厨二病気味でも、ちょっと彼のキャラクターからはズレている気がするんですよね。その考え方は、彼らしくない。
という違和感を補強するような情報が次々と舞い込んでくる。というか、明らかに外からの誘導じゃないか、というもろな話が色々と。わーい、ラスボス確定じゃないですかこれー。ってかラスボスもほぼ作中で明言指摘されてますもんね。
となると、カナミがなんか妙にせかせかと、或いは視野を固定しているようにゴールを妹ちゃんを起こす事に定めているのも、封印を解くように意識誘導されているように見えてきてしまうわけで。
なるほど、今ラスティアラが座っている椅子、座す人物を入れ替えるのはわりと簡単そうだ。
いやこうなってくると、ノスフィーの立ち位置ってどこにあるんだろう。彼女の過去にしても回想はまだ生まれてからしばらくのものだけで、カナミと結婚したという経緯もわからないし、今現在の真意がまだわからないので、判断が難しい。いや、「素直」になったノスフィーの本音からして、愛されなかったと思って拗らせまくったネガティブな感情の賜物なんだろうけどさ。それだけなのかしら。
それに、今回新たに名前が明らかになった80階層、90階層の理を盗むもの、たち。こうなってくると、むしろラスボス戦を前にした味方、なんだろうか。
なんにせよ、判断材料がまだ出揃わない状態なので、兎にも角にもノスフィーとの決着がつかないと目の前は開けないように思える。
しかし、洗脳されてるはずのグレンさんや、世界樹の前に立ちふさがっているファフナーといい、敵対しているわりに協力的な人がやたらと多くて、変な感じだ。悪意や敵意がほぼノスフィーだけに集中していて他の人からはおおむね好意しか向けられていないんだもんなあ。ノスフィーにしても、好意の裏返しみたいな所が見受けられるし。
じゃあ状況はヌルいのかというと、順調に最悪な方に転がっているようにも見えるし、いやでも大丈夫なのか? ともかく、混沌だなあこりゃ。

シリーズ感想

外れスキル【地図化(マッピング)】を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む 2 ★★★☆   



【外れスキル【地図化(マッピング)】を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む 2】 鴨野うどん/雫綺一生 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

最強パーティー『到達する者』の一員となった“外れスキル保持者”ノート・アスロン。最高到達階層の更新に挑む一行だったが、ダンジョンのトラップにはまり、ノートとエリンは別の場所へ転移させられてしまう。『ようこそ、ここは20階層』未知の強敵。出口不明の未踏階層。圧倒的な戦力不足。頼り切れないスキル。そして生還を目指すノートとエリンの前に、最凶の敵が立ちはだかり…!?「心配いらないよ。絶対に二人で生きて帰ろう」最強パーティーの少年が、やがて高みに至るファンタジー成長譚、第2幕!

ロズリアのこの聖騎士正装の衣装はカッコよくて好きだなあ。軍服風のデザインにちゃんと僧侶っぽいあしらいもあって見た目かなりグッと来るものがある。
それはそれとして、加入当初の様子が完全にサークル崩壊五秒前なんですけど、なぜこれでメンバー入り認めようと思ったしw
女性陣からは総スカンだわ、男性陣はジン以外メロメロだわ、速攻で和に乱れが、軋みが、ひび割れが! おまけに、ロズリアが話すのはノートばかり、という歪さ。
逆にここまで最初から人間関係ギスギスしていながら、ロズリアがその実力を示せばシブシブとはいえ仲間入りを認める空氣になるあたりは、大学のサークル活動レベルの話ではなく命掛かった実戦主義実力主義の世界ということなのか。まあ、命掛かってるからこそ、人間関係大事という向きもあるとは思うので、どちらが正解かはシチュエーションによるのでしょうけれど。
でもこの段階ではノート自身もまだパーティーに溶け込めていない面があるので、下手をするとロズリアとセットで浮いちゃう危険性もあったんだなあ。
ただノートはロズリアが周りと打ち解けられない事は気にしながら、自分が周りの超一流の冒険者たちとは違う人種なんだ、という僅かな意識の壁を生じさせている事には無頓着だったわけだ。いや、無頓着ではなくむしろ気にして、必死に彼らの域に達しようと焦りすら憶えて、がむしゃらに自分を鍛え続けていたのですけれど、それで実力が追いついたからといって果たして彼らと自分が同等である、と思うことが出来たかどうか。ノートがこぼした本音、メンバーのことを心から尊敬してはいたけれど親しみのようなものは抱いていなかった、というのはそれだけ幼馴染と決別した時の自分のダメさ加減が頭に残っていたからなんでしょうね。それを払拭しようにも、一度自分につけてしまったレッテルは剥がせない。挫折を克服しても、挫折したという事実は消せない。それが僅かな壁となって、仲間たちとの間を隔てていたのでしょう。
そんな中でひょいっと向こうから壁をまたぎ越してきたのがまずフォースだったですよね。前回の一件でこいつはダメな野郎だ、と新入りのノートにすら刷り込んでしまったパーティーのリーダー。どう見てもジンの方がリーダーやってて、こいつなんにもしてないどころか盛大に足引っ張ってんじゃん、というキャラだったのですけれど、この二巻では戦闘面で最強剣士の面目躍如。さらにはジンの教えをうまく消化できなくて悩んでいるノートに、不器用にも親身になってヒントをくれたりする仲間思いな面を見せてくれるんですね。男の仲間としていっしょに肩組んで歩けそうないい意味で身近な親近感を感じさせてくれて、どこかお客様な感じだったノートがようやくパーティーの仲間として馴染んできた、その過程を感じさせてくれるフォースの接し方だったのです。

と、ユルユルと進むかと思いきや急展開するのがこの作品の特徴的ムーブメントなのか。
ダンジョンもので転移罠、というのは往々にして劇的な展開の作用をもたらすもので。エリンとたった二人きりでダンジョン未踏の深度へと飛ばされてしまったノート。前衛なしのたった二人きりで、未だ潜ったことのなかった階層で生き残りをかけたサバイバルである。
ここで、二人は心身の限界まですり減らし、各々上っ面で覆い隠していたものすべてをぶちまけ、さらけ出すことになるのである。抱え込んでいた弱さも、傷も剥き出しにして、見せつけ合うことになるのである。そうして何もかもを見せ尽くして、出し尽くして、恥も外聞もなくした先に露呈してくるものがある。それでも、どうしてもしがみついてしまうものがある。それを、ここでノートとエリンは共有することが出来たのだ。出来たからこそ、生き残れたと言っていい。
まあでも普通、この手の遭難、一週間でも無理ですよね。さすがにこの日数は盛りすぎたんじゃないだろうか、と思ってしまった。いや、水を魔法で生成でき、食べ物は食用に出来る魔物を狩って、と最低限の補給はまかなえるとして生存条件は整えられたかもしれないけど、常にモンスターが徘徊している場所で数カ月間生き残ってた、というのはなあ。
とはいえ、この吊り橋効果は並大抵じゃないですよ。吊橋を端から端まで渡る時間だけで人が恋に落ちるのなら、この限界を明らかに通り過ぎたギリギリをはみ出してしまった精神状態で、さらにお互いの弱みと罪をさらけ出しあい、受け入れあい、支え合ってしまったわけですから。
エリンがああも、デロデロになってしまったのも無理からん。
ロズリア加入の際にパーティー内恋愛禁止! とエリン自身がぶちあげてしまったがために自爆的に自身を縛ってしまってる状態になってますけど、これどうなるんすかね。色んな意味で振り切って自分の枠を壊して突破したエリンとしては、そんなん知るか! というテンションでぶち抜いてきてもなんら不思議ではないくらいには、変わっちゃったと思うんですよね。
なかなか、恋愛面でも面白くなってきた。ノートもあれ、完全にエリンに傾いちゃってますし。


犬と勇者は飾らない 1 ★★★☆   



【犬と勇者は飾らない 1】 あまなっとう/ヤスダスズヒト オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

中1の夏、幼馴染に振られたその日に勇者として異世界へ召喚され、魔王を倒して数年ぶりに帰還した佐藤草介―18歳、小卒、老け顔。どこにも就職できずバイト生活を送る草介は、幼馴染との距離感に悩んだり巨乳な同僚(JK)と仲良くなったりと穏やかな日々を送っていた。しかしそんなある夜、地球には存在しないと思っていた“魔術師”と“魔物”の戦闘に遭遇!魔物をあっさり倒した草介だったが、その力を見込まれて魔物討伐に巻き込まれることになり…!?無職と魔術が交差する時、勇者の拳が炸裂する!小説投稿サイト「エブリスタ」で話題沸騰の最強ヒーロー譚、ついに登場!!


小卒で帰還も辛いけど、幼馴染のこと振ったらその日に行方不明になってしまったこづみはこれ辛かっただろうなあ。決して嫌いだとかで振ったわけじゃなく、家の事情でお付き合い出来なかったというのが真相で当人はむしろ魔術サイドから日常側に引っ張り込んでくれた草介の事を本当に特別に思っていたわけですから尚更に。
それでも中学から高校までの六年間なんて青春真っ盛りですから、それだけの間会わずにいたら心残りではあっても現実現在の付き合いもあるから気持ちも遠ざかっていく、となるのが一般人なんでしょうけれど、こづみちゃんの場合家が財閥だったり魔術の名家だったり、という家庭環境もありますから、これ青春なんか送ってる暇なかったんじゃないだろうか。そりゃ6年の空白あっても草介の事一途に思ってたというのも不思議ではないかも。彼女には、他なにもなかったんだろうし。

しかし、草介は草介でいきなり異世界飛ばされるわ、いきなり前触れ無く今度は戻されてしまうわ、帰ってきたら両親亡くなってるわ、自分中学も卒業してない小卒だわ、でまあそりゃ生活基盤整えるだけで精一杯ですわ。周りに気を使っている暇ないよなあ。
ただ相当殺伐とした異世界での戦いを経てきたわりに、草介悪い意味でスレてないんですよね。根性もひん曲がってないし、神経すり減らして日常生活戻れなくなっているみたいな症状もない。
幼馴染に振られて事情も聞かずに海まで突っ走ってしまうような男ではありますけど、基本こいつ精神金属製だったんじゃないだろうか。叩いても折れず曲がらず傲然と自分を維持し続ける鋼の男。
実年齢よりも一回り年嵩に見られてしまうのって、単に老け顔だからじゃないですよ。普段からの物腰が凄く大人びている、というか兄貴じみているというか。どーんと落ち着いていて、揺るぎなさそうなんですよね。それでいて喋ってみると礼儀正しく丁寧な物腰だし、厳つい図体だけど人当たりも穏やかで柔らかい。バイト先のスーパーでよく働けてるのも、店長はじめ従業員がみんなイイ人というのもあるんだろうけれど、草介がそれだけ周囲から信頼されるような振る舞いを普段からしているから、なんでしょうこれ。履歴書で小卒、とか書かれてたらそりゃ書類選考でちょっとご遠慮、となってしまうのも仕方ないかもしれませんけれど、もう適当に高卒、くらいの詐称ならあんまり調べられないでしょうし、通っちゃうんじゃないだろうか。面接、ないしは実際働かせてみたらその実直さはすぐに伝わるだろうし、現場仕事ならすぐに色んな所顔広げられるだろうし、就職はそこまで難しくはないんじゃないだろうか。
てか、強化魔術使えるならもっと体力仕事のバイトすればいいのにw

というわけで、バイト帰りに遭遇した魔術案件に、死にそうになってるヤツがいたものだから首突っ込んで助けたら、その海人な魔術師の学生兄ちゃんに懐かれてしまい、彼ら魔術学生の実習を外部支援者として手伝うことに。
異世界帰りの草介の力は、初見の地球側の魔術絡みのトラブルにも十分通用、どころじゃなく発揮されてしまうのですけれど、最初の高槻くんに先生と慕われてしまうのも、ピンチを助けたティアに深く信頼を得てしまうのも、草介がそれだけ飛び抜けた力を見せたからこそ信用されたという向きはあるんでしょうけど、好意は力を見せたからじゃなくて草介の人柄と頼りがい故、なんですよね。
ただ力の強いだけの得体の知れない男だったら、こうも高槻くんもティアも出会ったばかりの彼に信頼は寄せなかったでしょう。なんとなく、彼があっちの世界でどんなふうに勇者やってたのか思い浮かぶようじゃないですか。
やはり主人公がこの手の好漢だと、話自体が痛快にかっ飛ばしたものになりますねえ。
とはいえ、鋼の男佐藤草介にも柔らかい脇腹はあるわけで。大切な人、幼馴染に拒まれたり否定されたらそりゃ傷つくし、怒ることもあるってなもんです。でも、そういう弱い部分があるのも強いだけじゃない魅力があって、実に良い。
それに、喧嘩になってもちゃんと面と向かって自分の悪かった所を堂々とごめんなさい、と謝れるんだから男前はぴくりとも揺るがない。

しかし、圧倒的な草介の勇者力ですけれど、決して地球側の魔術が貧弱だったり出力弱かったりするわけじゃないんですよね。こづみやティアたちが学生の中でもトップクラスの優秀な連中、というのを差し引いてもかなり強力な魔術をぶちかましてますし、見た目も派手、破壊力も青天井、敵さんときたら下手な軍隊なら一撃で吹き飛ばし、街ごとぶっ飛ばしかねない規模の魔術を揚々とぶちかましていたのですから、決して尋常なレベルじゃないんですよね。
これもう、草介が規格外すぎる。ほんとにチラッと話の中に出た草介の向こうの仲間も、訳のわからん規模の魔法使ってたみたいだし、いったい何と戦ってたんだ、草介たち、異世界で。
魔王じゃなくて、宇宙怪獣とか邪神群じゃないのか?

なにはともあれ、好人物な主人公が実に気持ちよくやることちゃんとやってくれる痛快さで、実に面白かった。異世界帰りの勇者、地球の魔術世界に遭遇してしまう、という導入っちゃ導入な展開でもあり、幼馴染の事情含めて深入りするのはこれからなだけに、次もに期待です。

 

3月23日

殆ど死んでいる
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


カガミツキ/和多乃原かぼれん
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


洋介犬
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


岡まだち/今井真椎
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


岡まだち/今井真椎
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


ぐう/水無瀬
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


hoihoi
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


久遠まこと/徳川レモン
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


にぃと/アネコユサギ
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


橋本良太/時野洋輔
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


ハミタ
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


大槻 俊也/二八乃端月
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


Spider Lily
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


阿部かなり/Spider Lily
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


雨水龍/細音啓
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


鬼麻正明/暁なつめ
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


井冬良/二丸修一
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


葵季むつみ/二丸修一
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


新海誠/甘島伝記
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


松本明澄
(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


ハナツカシオリ
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


榎本あかまる
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


藤田和日郎
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


オキモト・シュウ/藤川よつ葉
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


田素弘
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


江口夏実
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


支倉凍砂
(中公文庫)
Amazon Kindle


入間 人間
(メディアワークス文庫)
Amazon Kindle B☆W


浅葉 なつ
(メディアワークス文庫)
Amazon Kindle B☆W

3月22日

川村拓
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


河本ほむら/八嶋諒
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

3月20日

MIZUNA
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


もちだもちこ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


島田征一
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


暁晴海
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


星畑旭
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


生駒陽
(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


サイトウケンジ/垣野内成美
(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


河本ほむら/ズズ
(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


柚木N’
(ヤングチャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


紺野千昭/岩葉
(ヤングチャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


佐賀崎しげる/鍋島テツヒロ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


あずまゆき
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ルーツ/むにゅう
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W

3月17日

久住太陽/杉浦理史&Pita
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


森本大輔
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


藤川よつ葉/うえののの
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


岡叶/樋口直哉
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W



(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲葉みのり
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W

L._SL290_.jpg" title="推しの子" />
奥浩哉/花月仁
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


すかいふぁーむ/ぺんたごん
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


午子/赤石赫々
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


椎橋寛
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


こうじ/鳴瀬ひろふみ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


広江礼威
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


えのあきら
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


雨森たきび
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


冬条 一
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ツカサ
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


伊達 康
(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


えんじゅ
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


結城 涼
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


急川回レ
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


一分咲
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


日日 綴郎
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


福山 陽士
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


蒼塚 蒼時
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


早月 やたか
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


ヰ森 奇恋
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


竹町
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


竹林 七草
(集英社文庫)
Amazon

3月16日

西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


山本崇一朗
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


福地カミオ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


吉河美希
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


春場ねぎ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


金城宗幸/ノ村優介
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


金城宗幸/三宮宏太
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


新川直司
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ひらかわあや
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


渡井亘
(バンブーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

3月14日

あわむら赤光
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐藤真登
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


星崎 崑
(GAノベル)
Kindle B☆W


白石定規
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


白石定規
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


白石定規
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


一ノ谷鈴
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


よっしゃあっ!
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W

3月10日

四季大雅
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


宇野朴人
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


宇野朴人
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


鎌池和馬
(電撃文庫)
Amazon B☆W


時雨沢恵一
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


眤嫉駛
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


三河ごーすと
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


真代屋秀晃
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


アサクラネル
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


仁木克人
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


天乃 聖樹
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


安崎 依代
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


台東 クロウ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


新天新地
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


浅葱
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


米織
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


yocco
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


遠野 九重
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


橘 由華
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


橘 由華
(カドカワBOOKS)
Amazon


流優
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


naginagi
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


稲井田そう
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


やしろ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


かのん
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

 【隻眼・隻腕・隻脚の魔術師 2 〜森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神
すずすけ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


福山松江
(DREノベルス)
Amazon Kindle B☆W


熊乃げん骨
(DREノベルス)
Amazon Kindle B☆W


小鳩子鈴
(DREノベルス)
Amazon Kindle B☆W


ななてる
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


黒麦はぢめ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


根雪れい
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


美月めいあ/雨音恵
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


源素水/美月りん
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


さわむらリョウ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


TYPE-MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


雨咲はな/有馬ツカサ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


矢神うた/葛原昏
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


青木潤太朗/森山慎
(角川コミックス)
Amazon Kindle B☆W


七菜なな/Kamelie
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


宮月新/下内遼太
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

3月9日

てにをは/いなば
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


佐藤夕子/篠浦知螺
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


白鷺六羽/小宮地千々
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


文屋リヱ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


つむみ/愛七ひろ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


あび/樋辻臥命
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


ゆきの
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W



(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


たかの雅治/神無月紅
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


コトバノリアキ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


古川五勢
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


ヤチモト/resn
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


鷲見九/モンチ02
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


御影夏
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


あるくひと/小川慧
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


高田裕三
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


マツモトケンゴ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


NEO草野
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


町田とし子
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


秋風緋色/ブロッコリーライオン
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


中島豊
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


園心ふつう/FUNA
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


横田卓馬
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


白土悠介/鬱沢色素
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


雪あられ/ツカサ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


福田直叶/むらさきゆきや
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


タクミユウ/橘ケンチ
(ワイドKC)
Amazon Kindle B☆W


金田陽介
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


三香見サカ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


奈央晃徳/山川直輝
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


手名町紗帆/燦々SUN
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ひつじロボ/悠木碧/キメラプロジェクト
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


橙夏りり
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ノブヨシ侍/クール教信者
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


檜山大輔
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


中村カンコ
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W

3月8日

日野草/如月にまる
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


湯水快/山座一心
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


ありしゃん
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


佐々木善章/大地幹
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


黒崎リリー/島田英次郎
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


倉地千尋
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


宗我部としのり
(少年チャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


板垣恵介/猪原賽
(少年チャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


佐藤ショーキ
(少年チャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


やとみ/藤田里奈
(ブシロードコミックス)
Amazon

3月7日

かみはら
(ハヤカワ書房)
Amazon Kindle B☆W


FUNA
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


初枝れんげ
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


メアリー=ドゥ
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


空倉シキジ
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


赤堀君
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


初枝れんげ/柴乃櫂人
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


筧千里/堂島ノリオ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


あざね/大慈
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


ふか田さめたろう/植田亮
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


IMAGO/エイベックス・ピクチャーズ/こゆびたべる
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


機織機/川崎命大
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


中村基/中村なかち
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


えぞぎんぎつね/阿倍野ちゃこ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


白石定規/七緒一綺
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


蒼乃暁/BARZ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W

3月6日

三好智樹/瀬戸義明
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


ずいの/系山冏
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


岡本倫
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


福本伸行
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon


上原求/新井和也
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

3月5日

Kindle B☆W

3月3日

著 緑青・薄浅黄
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


かずなし のなめ
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


緒二葉
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


猪口
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


河田雄志/行徒
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


出内テツオ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


竜騎士07/赤瀬とまと
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


東冬/三田誠/TYPE−MOON
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


槌田/TYPE−MOON
(角川コミックス・エースエクストラ)
Amazon Kindle B☆W


阿賀沢紅茶
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


龍幸伸
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


伊科田海
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


平方昌宏
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


芥見下々
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


尾田栄一郎
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


タイザン5
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


西尾維新/岩崎優次
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


松本直也
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


普津澤画乃新
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鳥山明/とよたろう
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


へちぃ
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山崎将
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山本棗
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


SUHO/Chae Habin
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


mini/yuin
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


iNA/Yuna
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


hiro者/すずね凜
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


ORKA/Spice&Kitty
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


鳥生ちのり/なまくら
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
3月2日

佐藤 謙羊
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


FUNA
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


FUNA
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


LA軍
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


芳賀 概夢
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W

3月1日

あざの 耕平
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


みょん
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


あさのハジメ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


半田 畔
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


タンバ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


海道左近
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ハヤケン
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


猫又ぬこ
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


軽井広
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


雨宮和希
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ハヤケン
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


サイトウアユム
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


鷹山誠一
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


健速
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


野菜ばたけ
(角川ビーンズ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ルーシャオ
(角川ビーンズ文庫)
Amazon Kindle B☆W


黒野ユウ/遠野九重
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


小原彩/のの原兎太
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


練間エリ/石田リンネ
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


尾野凛/たかた
(アライブ+)
Amazon Kindle B☆W


幾弥なごみ/新巻へもん
(アライブ+)
Amazon Kindle B☆W


琴か
(アライブ+)
Amazon Kindle B☆W


今井神/海道左近
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


katoson/守雨
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ミナミト/六升六郎太
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W

2月28日

Kindle B☆W


宮原るり
(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮原るり
(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


桜木桜
(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


之 貫紀
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


藤浪 保
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


いかぽん
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


坂石 遊作
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


とくめい
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


金城宗幸/平本アキラ
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


辻次 夕日郎
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


米代恭
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


高尾じんぐ
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


太田垣康男/矢立肇
(ビッグコミックス スペシャル)
Amazon Kindle B☆W
 【機動戦士ガンダム アグレッサー 17】 万乗大智/矢立肇(少年サンデーコミックス) Amazon Kindle B☆W

2月27日

空地大乃/黒山メッキ
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


長野文三郎/結城心一
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


槻影/蒼和伸
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


荒井チェリー
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


荒井チェリー
(REXコミックス)
Amazon


しはる
(REXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ばらスィー
(電撃コミックス)
Amazon Kindle B☆W


芝村裕吏/ku−ba
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


鈴木マナツ/羽田遼亮
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


みなみ/逆井卓馬
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


Dormicum
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


険持ちよ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ルッチーフ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


相馬康平/日下氏
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


こだまり
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

2月25日

おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon Kindle B☆W


おがきちか
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon


高島 雄哉
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


日向夏
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


小東 のら
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


木嶋隆太
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


猿ヶ原
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


鈴木 大輔
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


広ノ祥人
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


黒鍵 繭
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


花間燈
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


天乃 聖樹
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


衣笠彰梧
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


榎宮 祐
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


鳳乃一真/原作:Liars Alliance
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


五示正司
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


常陸之介寛浩
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


まさみティー
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


名無しの権兵衛
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


相模優斗
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


藍澤建
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


猫子
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


エノキスルメ
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


桜あげは
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


当麻リコ
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


雨傘ヒョウゴ
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


コミックガルド編集部
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


コミックガルド編集部
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田中清久/しば犬部隊
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


青色まろ/赤池宗
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


すたーきー/君川優樹
(ガルドコミックス) Amazon Kindle B☆W


ハム梟/寺王
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


もちろんさん/猫子
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


びび/五示正司
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


桃色ペ子/KK
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


リュート/オオハマイコ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


伏見つかさ/森あいり
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


窪茶/涼暮皐
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


おいもとじろう/夕蜜柑
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


植野メグル
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


うさぴょん/古来歩
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


神奈なごみ/かがちさく
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


氷樹一世/蘇我捨恥
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


今ノ夜きよし/イノノブヨシ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


高木秀栄/矢立肇
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


瀬川はじめ/結城涼
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


大和田 秀樹
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


大和田 秀樹
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


大和田 秀樹
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


まえば
(角川単行本コミックス)
Amazon Kindle B☆W


明音
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


はぐはぐ
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


村中悟
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


大嘘
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


comori/美浜ヨシヒコ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


神奈
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


日高/七野りく
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


緑華野菜子/鹿角フェフ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


白金透/きぃやん
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


武富 智/カンザキイオリ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


宝乃あいらんど/震電みひろ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


野人/小林嵩人
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


戦上まい子
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


甜米らくれ/糸瀬 ねめ/おーうち/長谷川三時/閃凡人/mono
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


北斗 すい
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


緒里たばさ
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W


日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


まつたけうめ/栖上ヤタ
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


くずしろ
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山崎夏軌
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


水城水城/Ko-dai
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


鮭no.マリネ/日本サぱ協会
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田澤裕/友井太郎
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


優風
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W

2月24日

四辻 いそら
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


あかむらさき
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


でんすけ
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


福寿 草真
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


一分咲
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


蒼月 浩二
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


遠野 九重
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


みかみてれん
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


緑豆空
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


ケンノジ
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索