ガガガ文庫

妹さえいればいい。10 ★★★☆   



【妹さえいればいい。10】  平坂 読/カントク ガガガ文庫

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妹がいる生活、はじめました。

ついに千尋の抱えていた大きな秘密が、伊月たちの知るところとなってしまった。千尋から事情を聞かされ、表向きはそれを喜んで受け容れた伊月は、これまでどおり那由多とイチャイチャしたり、千尋を可愛がったりして、妹がいる生活を満喫する。『妹すべ』のアニメも好評を博し、招待された台湾のイベントでちやほやされるなど、売れっ子作家としても満たされた日々を送る伊月だったが……? 一方、重荷から解放された千尋にも、新たな物語が始まろうとしていた――。大人気青春ラブコメ群像劇、運命の第10弾登場!!

ウチの弟が妹だった件について。
改めて伊月のお父さんが奥さんを喪い傷心しながら幼い息子のために一心不乱に働く中で、今の新しい奥さんに出会うまでの回想を見せられたのだけれど、伊月パパも、千尋のお母さんである義母も真面目な人なので、千尋の性別を誤魔化すなんて非常識なこと余程のことがないと一蹴してただろう事がよくわかる。
それだけ、伊月のデビュー作の衝撃がよほどの事だったのだろう。まあ、性別を偽るのは伊月に対してだけで、学校など公共の所では普通に女の子として過ごしているのだから、書類を偽装したりという危険な行為に手を染める必要はなかったので、親側のハードルは低かったのだろう。
ただ、千尋は学校に通う制服はともかく、普段は外出する時なんかでもユニセックスな服装を心がけてただろうから、結構大変だったんだろうな。まあそれが日常と化していたから、はじめのころはともかくいい加減慣れてはいたのだろうけれど。
しかし、パパの回想を見ると伊月との断絶はかなり厳しいものになってますね。新しい奥さんとの出会いを中心に描いているので、息子に向ける気持ちなんかはあまり描かれていないから、なのかもしれませんけれど、パパの方には伊月を放置していたという自覚は殆どないようでしたし。

さて、千尋の性別がバレた、じゃなくてあれは千尋が我慢しきれずにバラしてしまった、が正しいか。ともあれ、ついに千尋が弟ではなく妹だと発覚する……この作品が【妹さえいればいい。】というタイトルであることの意味を思えば、妹バレというのはこのシリーズはじまった当初から最大の山場であり最大の修羅場、と目していたものでした。
ただシリーズはじまった序盤の頃の狂的な妹属性だった伊月と違って、今の彼は小説家として幾つもの経験を経て、ついにアニメ化という目標まで達成するに至り、自分の中の妹狂いをある程度飼い慣らして小説にアウトプットする事が出来るようになっているかに見受けられていました。
さらに、私的にもカニ公と正式に交際をはじめ、恋愛感情も健全に進捗させ、彼女への愛情に小説家としてのコンプレックスも自分の中に呑み込んでおけるだけの制御が叶うようになっているようでした。
さらに、千尋との関係は年単位で密接に積み上げられ、再婚の連れ子同士という関係は今や父と疎遠になっている以上、唯一の大切な家族、という認識に至るまで育つものになっていました。
千尋が、自分が弟ではなく妹なのだと我慢しきれずに暴露してしまったのも、家族ゆえの距離感だったのでしょう。彼女なりの親愛であり、兄への我儘で甘えでもあったわけだ。それが出来るほどの距離感になっていた、とも言えます。
伊月の人格的にも、千尋との関係としても、この上なく安定を見ていたのが現状でした。
ここまで安定していると、とてもじゃないけれど弟が妹だったという事実を突きつけられたからといって、そうそう揺らぐものではないんですよね。今更、修羅場になりようがなかった、とも言えます。
だから、千尋の暴露が大した騒ぎにならず、知らなかった面々を仰天はさせたものの、ある意味伊月たちを驚かせただけで終わったのでした。拍子抜けなくらい、そうだったのかー、で終わっちゃったんですね。
これまでのシリーズの積み重ねて、前述した安定性について実感していた読者側の身としても、そのあっさりとした特に波乱もないまま終わってしまった展開は、まあそうなるな、という妥当と感じる反応で得心のいく結果だったと思います。
むしろ、変に拗れずに安堵した、と言ってもいいかもしれない。
だから、ラストの展開には「そう来たかー!」と思わずのけぞってしまいました。うん、そっちは不覚にも想定していなかった。
なるほど、これは「安定」していたからこそ、千尋の性別告白が伊月が致命傷になってしまったのか。小説家としての伊月が安定してはいけなかった部分まで、見事に真っ当に安定してしまったのか。それは、千尋が本物の大切な家族になっていたからこそ、でもあるのか。
これはちょっと……どうしようもないんじゃないか? 現実の妹と願望の妹はまったくの別物、と頭じゃなくハートと下半身で感じることが出来るようにならないと、もう無理でしょう。
というか、これはもう性癖を推進力にして感性を変換器にして書いていたがゆえの躓きか。
原因が明らかなのに、対処の方法がまったく見当たらない、というのがこれは辛いなあ。伊月も八つ当たりなんか出来ないだろうし。カニとの関係も順調だったのに。
取り戻すのか、それとも一から全く別物になるか、それとも潰れるのか。小説家としての岐路に立たされた伊月の明日やいかに。

ちょっと驚きだったのだけど、千尋……気になってるのまさかその人なの!? これも全然想定してなかったんだけど。
そしてえっらい実感の篭もってる台湾レポート。これ、実質ノンフィクションじゃないんですか?
前にもラノベ作家が主人公の作品で海外のイベントに招待される話見ましたけれど、ほんとにVIP扱いで大歓迎されるんですなあ。


俺、ツインテールになります。17 ★★★☆   



【俺、ツインテールになります。17】  水沢 夢/春日歩 ガガガ文庫

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危うしレッド!最強最後のエレメリアンたち

トゥアールが奇跡の復活を果たして誕生した戦士・テイルホワイトの活躍で、長きにわたりツインテイルズを苦しめてきた最凶の敵・エンジェルギルディはついに完全消滅した。そして訪れたしばしの休息。愛香はホワイトとの手合わせを熱望するも、あと何回変身できるか保証がないトゥアールはそれを拒否。代わりに、新たな装備の開発に着手することに。ともあれ総二たちは、久方ぶりの穏やかな日々を満喫する。そしてやってきたバレンタインデーをチャンスとばかりに、愛香たちは大暴走。それぞれが、あらためて総二への思いを募らせていく。
一方アルティメギルには、続々と神の力を持つエレメリアンが合流していく。中でも組織一のイケメンであり成功率100%を誇るナンパ師だと自称するポセイドンギルディが、部隊の怨敵テイルブルーをメロメロにして仲間に引き入れると豪語。だが、思わぬところからテイルレッドの正体へと近づいていってしまう。果たして、秘密を探られ始めたテイルレッドの運命は……!?
最強最後のエレメリアンたちが、アルティメギル首領の名の下に侵攻を開始する。決戦の時は近い――今こそ結集せよ、ツインテイルズ! ツインテール最終章へ!
満を持してのテイルホワイト、表紙を飾るの巻。こうしてみるとちゃんと美人なんだよなあ。まるで普段が美人じゃないみたいな言い方だが。
ともあれ、トゥアールが精神的にも復調して元の調子を取り戻してくれて本当に良かった。なんだかんだと彼女がツインテイルズのムードメーカーであったのは間違いなかったわけで、トゥアールが空元気だったり落ち込んでいたりすると、本当にお話の雰囲気から暗くなってしまいましたからね。
一番露骨に影響を受けてしまうのが愛香でしたし。一番うるさい二人が元気ないと、どうしようもありませんでしたし。
おかげで、トゥアールの復活でむしろ愛香の方が元気マシマシになっていたのが微笑ましい。いつの間に、こんな親友ムーブかますようになったですかね。わりと最近までゴキブリを踏み潰す勢いで本気で殺しに掛かってた気がするのですが。むしろ、総二相手よりもトゥアールと愛香でイチャイチャしてる場面のほうが増えてたもんなあ。
トゥアールに関しては、もとに戻ったという感じなんだけれど、愛香はさらに復調と同時になんかピュア度があがってる気がするんですよね。精神的に素直になったというか、建前に拘泥しなくなったというか。思いの丈を恥ずかしがらずにストレートに出すようになった気がします。特にトゥアールに対して。
……ピュア度が増すほどに、女の子らしくなるより蛮族色がむしろ濃くなるのはあれですか。愛香の根源が蛮族そのものということなんですか? 純粋無垢なキラキラした目で、全力で殺り合いたいの、とか言い出しやがってますよ、この神をも覆せぬ貧乳は。
全身にチョコを塗りたくって板チョコ! は、不覚にも笑ってしまったw

と、トゥアールと愛香の話ベースに今回は進むのかと思いきや、後半に入ってスポットがあたるのはまさかの尊先生。齢29歳の崖っぷちで婚姻届を無差別にばら撒いて婚活に勤しんでいたのも今は昔。そう言えば、最近はとんとあのどぎつい婚活は鳴りを潜めていたんですよね。焦りも見せなくなって、むしろ落ち着きある大人な態度で慧理那に侍りつつも、総二にも品の良い女性らしい態度で接してくれるから、癒やし担当なんじゃないかと思えるくらいになっていたのでした。
ツインテイルズのメンバーはみんな少女であると同時に変態だし、大人なお母さん連中はさらに輪をかけた騒がしい変態たちなものだから、尊先生っていつの間にかメガ・ネと並んで良識枠になってたんですよね。
彼女をあの無差別の婚活に走らせていた焦りって、そうか単純に年齢によるものじゃなかったのか。自分自身のためではなく、慧理那を慮ってのことだったのですね。だから、慧理那が総二との仲を深めていき、新堂家としても総二の婿入りを諸手を挙げて歓迎し始めたおかげで焦る必要はなくなったのか。
そうなってくると、彼女の中の結婚願望は余計な要素がなくなって、より自分自身の中の純粋な思いに磨き上げられていったのですね。最近はもう婚姻届は、総二にしか渡してない、ってもうそこに気持ちが現れてるじゃないですか。それに、渡すだけで初期のように署名させようという素振りはないんですよね。ただ、受け取って貰えたらそれでいい、という控えめなものになっていたし、回数も減っていた。一回一回に、楚々とした淡い想いが篭もっていたんですね。それでいて、慧理那の幸せを思い自分の気持ちが叶うことは望んでいなかった、と。
色んな意味で欲望がほとばしりすぎている、ツインテイルズの面々と違って尊先生の淡い恋心がむしろ少女性というか乙女度が凄いことになっていて、ここにきてヒロイン株があがりまくってしまったんですけど!?
いやもうこれ、まず最初に尊さんと結婚するべきじゃないんですか、総二くんは。来年三十になるわけですし、本人はもう焦っていないとはいえ、あんなに可愛らしく控えめに恋を打ち明けられてしまうと、先生を優先させてあげてください、と言いたくなる。とりあえず、童貞だけでも譲ってください、と喚いている変態と比べてしまうと、比べてしまうとw
あの愛香がストレートに直球でプロポーズまでしてきたのにはちょっと驚かされましたけれど、それでもここは尊先生に。尊さんなら、優しく母性で包んでくれそうじゃないですか。今の総二でもうまく受け入れてくれそう。まだ他の娘たちは、小娘すぎてなんともはや。

さて、敵サイドも神のエレメリアン、ポセイドンとゼウス、ハデス、アポロの四人が揃い踏みとなり、今度こそ最後の幹部エレメリアンとなりそう。まさか、ゼウスギルディが女性人格エレメリアンというのは予想外でしたけど。マーメイドギルディが最後の女性エレメリアンではなかったのか。
ついに、向こうもレッドの正体に近づいてきて、とうとう禁断の秘密がエレメリアンたちに明らかになってしまう時が近づいているのか。
そして、歴代テールブルー三人の揃い踏みという戦隊モノの劇場版的花形展開はやっぱり燃えますなあ。

水沢夢・作品感想

物理的に孤立している俺の高校生活 3 ★★★☆   



【物理的に孤立している俺の高校生活 3】  森田 季節/shirakaba ガガガ文庫

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残念系異能力者でも友達と文化祭回りたい!

波久礼業平には友達がいない……わけでもない。むしろ、あわやぼっちで過ごすと思われた夏休みを人研メンバーとともに無事乗り越え、本人はなんとなく成長した気さえしていた。
しかし、業平の持つ異能力「ドレイン」はもちろん健在で、オン・オフができるようになったわけでもなんでもない。やっぱり学校レベルで物理的に孤立している。せつない。
それでも、これなら二学期の文化祭も乗り切れると安心していた中、同じく不遇な異能力に悩む高鷲えんじゅから脈絡もなく連絡が来る。
「男友達作り、早くしないとまずいことになるわよ。うちの高校って修学旅行が二年生の二学期途中にあるから」
いやいや、そんなこと言ったってお前も人研メンバー以外の友達いないじゃんと思う業平だったが、高鷲の言葉は確かに事実。蘇る中学時代のトラウマ。現状、限りなくぼっちな二人は、売り言葉に買い言葉で「文化祭が終わるまでに友達を作れるか」勝負をすることになってしまう。
お互いこいつにだけは絶対負けないよなと思うのだが……あれ、そもそも友達ってどうやって作るんだ!?
残念系異能力者たちだって友達と文化祭を回りたい! 大人気青春未満ラブコメ第3弾!!

友達ってどうやって作るんですか?
いや、真面目な話、学生時代友達どうやって作ったか、とか覚えてないですよ。何となく喋ってたら一緒に遊んでいたらいつの間にか友達になってた、て感じですよね。友達になってください、友達になってよ、みたいに直接言葉にして「友達」という関係になった事はなかった気がする。
でも彼ら、業平と高鷲にとっては友達という関係はそんなに簡単でも軽いものでもなかったのだ。これまで友達という存在が出来なかったコンプレックスもあるのだろう。でも、それ以上に友達という存在に対して真面目なのだ。真剣なのだ。何となくいつの間にかなっているものではなかったのだろう。それこそ、彼氏彼女の関係に勝るとも劣らない、人生における重大事だったのだ、友達を作るという事は。
もっとも、彼氏彼女の関係ですら人種によっては気軽にホイホイとくっついたり離れたり何となくで始めたり終わらせたりしてしまうものなのだけれど。
人間関係というものは本当に人それぞれで同じ名称の関係ですら中身は、いや中身ではなく受け止め方、というべきだろうか、受け止め方が全然異なってきてしまうものなんだなあ。
文化祭の折に、人研部以外の友達をどちらが先に作るか、という勝負をはじめてしまう業平と高鷲。それからのこの二人のノリはというと、完全に男女交際の相手をゲットするつもりみたいな本気度、真剣さなんですよね。形は違えど、仲の良い友達とどっちが先に恋人を作るかの勝負をガチではじめてしまった、みたいな感じになってるんですよね。
そう、冗談ではなくガチで。だから、勝負しているはずなのに、業平ときたら高鷲がクラスの女の子となんだかうまくいきそう、性格に大変問題のある高鷲でも何とか友達になれそうな雰囲気、というのを見て取った途端、内心で応援し始めてしまうのですよ、こいつ。
勝負を忘れているわけじゃないんだけれど、高鷲に感情移入してうまく行ってほしいと本気で祈り始め、便宜だって図り始めてしまう。
イイ奴なのだ。拗らせているけれどこの男、いいヤツなのだ。
その業平も、生徒会から応援できてくれた大福という男の子と、これまでになく自然に気負いなく会話できることで、これ友達になれるんじゃないか、と浮かれだしてしまう。いや、いいんですよ。友達になれそう、と思うことになんの悪しきもない。
実際この大福、いいヤツなんですよ。1メートル以内に近づいた他人の生気を吸い取ってしまうという「ドレイン」の異能を持つがために、タイトル通り物理的に孤立してきた主人公。物理的のみならず、やっぱり近くとヤバいということで心理的にも距離を置かれ、場合によっては拒絶されてきた業平くん。でも大福はもちろんちゃんと距離には気をつけているけれど、業平がドレインという異能を持つ事に対しては常にフラットな対応で、同情も嫌悪もなく、自然とそういうものとして捉えた上で自然に付き合ってくれる人だったんですね。
別に内心で違うことを考えていたりとか、なにか企んでいたり、とかいうこともなく、本当にただいいヤツだったのです。
ただ、彼はそういう業平みたいな人間とも何の偏見もなく付き合える人だからこそ、他人との距離感が軽い人でもあったんですね。人と人が繋がることに、深い意味も重たい価値も特に見いださない、普通に仲良くなって簡単に恋人という関係を作ることの出来る人種だったわけである。
業平とは、どこか価値観が異なっている相手。
軽々に、あの娘なら付き合えそう。別に好きじゃなくても告白されたら、相手が可愛いなら付き合うよ、という大福に違和感を感じてしまう業平。相手に対して、それは真剣じゃないんじゃないか。真摯じゃないんじゃないか、と考えてしまうわけだ。
でも、それはちょっとした価値観の違いなんですよね。どちらが悪いとか間違いだとかいうわけじゃない。はじまりのきっかけや態度が軽いものでも、友達として恋人として付き合いだしたら何かが変わってくるのかもしれない。そもそも、軽い関係ってのが悪いかどうかって話もある。軽くて、なにがダメなんだ? そういう関係も、あっていいじゃないですか。
そういう事は、業平もちゃんとわかってると思うんですよね。彼が、嫌な思いを感じてしまったのは、実は大福に対してじゃないんですよね。好みの問題というのを踏まえた上で、そういう人との接し方が好きではない、と業平は感じたその時に、彼は自分を省みるのである。
あれ? 大福のそういう人との接し方に嫌悪を感じている自分は、大福のことを友達になれるようn相手か「品定め」していなかったか? と。大福が、あの娘なら付き合えるんじゃないか、と思っているのと同じように、こいつなら友達になれるんじゃないか、と打算で考えていなかったか、と。自分のことしか考えずに、友達を作りたいと大福をはじめとする周りの人間たちを選別の目線で見ていなかったか、と。

ちなみに大福くん、業平がどもりながらもそういう見方はよくないんじゃないか、相手に対して失礼じゃないか、という言葉にちょっと驚きながらも真剣に受け止めて、確かに自分も親しい人をそんな風な見方で言われたらあんまりいい気分じゃないよね、と反省してくれるんですよね。
特に何の気もなしに軽く雑談めいて喋っていた内容に、そんな真面目なトーンで反駁されたとして、反発したりドン引きしたりするのは論外としても、曖昧に流してしまったりなんか悪いこと言っちゃったかなと取り敢えず謝ったり、というくらいの対応は珍しくないと思うんですよね。
彼のように、本気でちゃんと考えて、良くなかったと謝ってくれる人は決して多くないと思う。大福くん、マジでいいヤツなんだよなあ。
でもあそこで、迷いどもりながらも、ちゃんと苦言を呈することの出来る業平もまた、大した人だと思うんですよね。それも、大福のことをそれはダメだろうと否定的に思いながら、じゃないんですよね。あそこで彼は、自分を省みて、自分もまた大福以上に失礼な事を考えながら彼に近づこうとしていた、と恥じ入りながら、その大福に対して苦言を呈するという事に何様だとさらに恥じ入りながら、それでも告げているのである。
あの違和感から嫌な気分を感じてしまった場面で、一方的に相手の上位に立った気になってしまうのではなく、そこで自分を省みる業平が。恥じ入りながら、それを自分の中に押し込めてしまうのではなく、相手に告げることの出来た彼が、本当にえらいと思うのですよ。
敬意を抱く。

そして、高鷲もまた、無意識に友だちになろうとしていた娘にマウントを取ろうとしていた事に気がついて、咄嗟に身を引いてしまうんですね。彼女の場合は、ココロオープンという目を合わせると自分が心のなかで思っている事が全部テロップに出てしまうという異能のせいで、相手との関係が決定的に壊れてしまう事を怖れてしまった、というのもあるのだけれど。
業平にしても高鷲にしても、本当に友達という関係に対して真剣だからこそ、真面目だからこそ、その関係に対して真摯すぎるほどに誠実足らんとしてるんですよね。異能のせい、というのも大きいでしょう、適当にこなせない不器用さ、というのもあるのでしょう。性格がこじれてたり捩じれてるのもまあ致命的ですよね。
でも、この誠実さは、真面目さは敬したい。これはたしかに意識高い系の範疇なのかもしれないけれど、胸を張って意識高い!と言ってもいいんじゃないかしら。
それでも、二人はこれまで、ずっと人間関係に惨めな思いをしてきた。異能によってハンデを負って、寂しい思いをしてきた。こうしてみると、誰よりも相手のことを理解しわかっている二人なんですよね、高鷲と業平は。だからこそ、勝負しているのに相手を応援してしまう。挫けそうになっている高鷲を、一生懸命フォローして自分たちは同盟者じゃないか、と背中を押す業平はお世辞抜きにカッコいい……いや、カッコいいというのとは違うかもしれないけれど、高鷲にとっては彼の必死さは胸が一杯になるものだったんじゃなかろうか。

お互いに支え合って、友達作りという一歩を踏み出せた業平と高鷲。そこで友達作りの勝負をなかった事にしないあたりがさすが高鷲えんじゅ、と思う所だけれど……。この勝者の権利を保留にしたの、あとあとに大きな影響をもたらしそう。業平への命令権。この文化祭の中で生まれた二人の間の「空気」の様子に、本当に「ここぞ」という場面が巡ってきそうで、ちょっとワクワクしてしまうラストでした。


友人キャラは大変ですか? 10 ★★★★   



【友人キャラは大変ですか? 10】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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友人キャラよ、永遠なれ。

最終決戦目前。
ソロモンと化した阿義斗によって、龍牙が能力を封じられちまった!

やむなく俺は「代理主人公」をつとめることになるのだが……きたぜパワーアップイベント!

お袋いわく、鬼には秘められた能力があるらしい。
それは、口づけした相手から異能を借り受ける力で、人呼んで「窃吻」――っておいコラ、なんだそのトラブルの予感しかない能力は!

龍牙と四神ヒロインズ、あと三姫まで俺を睨んでるから!
これ、ハーレムラブコメ主人公しか許されないやつだから!

――最後まで、笑って泣いて、熱くなれる最強助演コメディ。ここに堂々完結!!

結局、シリーズ通して真面目に敵キャラやってたのって、ほんとに阿義斗だけだったじゃないか。本人はどちらかというと主人公のつもりの節もあったので、それ故の真面目さでもあったのでしょうけれど。
小林少年もいざ主人公キャラやろうとすると、遊び無しで兎に角敵を倒して終了、という行動になってしまうと自分でも認識していたけれど、阿義斗も彼視点からすると殆ど無駄なことはせずに目的を達成するために必要なことを選んでやってたんだなあ、と。
ほんと、彼だけである。他の連中ときたら、片っ端から無駄なことしかしてねー。
キュウキはその意味ではわりとマメに物語を盛り上げるために敵のときも味方になってからも頑張ってくれてたのを見ると、小林少年の相棒として一番ぴったりだったのってキュウキだったな、と。
テッちゃん? 彼はもうなんというか、漫才コンビの相方でしょう、ボケ担当の。
というか本当にボケキャラしかいない敵キャラたちでした。使徒たち、まともに敵として立ち回ってくれたやつって殆どいなかったんじゃないだろうか。一応バトルモノ、と小林少年は定義していたみたいだけど、ちゃんとバトルやってたことってあったっけ? 使徒連中ろくに敵対もしないままなし崩しに全員味方になっていっちゃてたじゃないですか。
敵としてはポンコツなのに、味方になると使徒連中みんなわりと頼もしかったり頼りになったりちゃんと有能だったりするあたりが、なんか小憎たらしいw
結局、使徒たちの親玉だった四凶の魔神たちと来たら、片っ端から小林少年にさっさと取り付いてホームコメディの仲間入りしてましたしねえ。
挙げ句に最後の黒幕たるソロモンまで、あれでしたもの。ソロモンが一番適当で酷いんじゃないですかこれ!?
一応、テッちゃんとコントンのおっさんが洗脳されて敵に回る、という展開は早々に味方キャラになってたボスキャラが敵味方入れ替わり、今度はトッコとキュウキが味方側として相対するという展開になってたのはなんか面白かったです。テッちゃんとコントンってほんと相応に身内になってボケ倒すばかりのキャラになってたんで、ボスの貫禄全然ないし部下である三姫たちにも家庭内序列で下に置かれて、最強キャラの一角だというの完全に忘れ去られていたのですが、いざ敵キャラとなるとほんとに強かった。いや、外見は完全に機能停止仕掛けのポンコツロボなのですが。洗脳が、洗脳が雑すぎるw
まー、何にせよ龍牙たちの力が封じられたため、阿義斗と決着をつけるために今度こそ自分の意志で主人公キャラとして彼と対決する決意を固める小林少年。今までもずっとなし崩しに友人キャラを逸脱してどんどんと主人公の位置に押しやられていくのを無駄な抵抗し続けていた小林少年が、ついに自分から、というのはやはり最終回ならでは、なのか。
でも、主人公キャラ慣れてないから、いざ自主的にやろうとするとなんかぎこちなかったのは仕方ないのか、これ。むしろ、龍牙の方がナチュラルに友人キャラの役をこなしてたぞ。自然に解説を挟み込むとか、実はセンスあるだろう。
それよりも、完璧な友人キャラをやってのけてたのが、阿義斗の親友であるバアルだったわけですけれど。ちょっとこの人文句のつけようのない友情に殉じる友人キャラだったじゃないですか。彼のパーフェクトな掛け替えのない友人であるからこそ、彼を裏切り友のために友の敗北を願い、しかし最後まで友と行動を友にする、という友人キャラの鑑みたいなムーブしちゃってまあ。
彼と比べると、小林少年は友人キャラ芸人に見えてくる不思議w あかん、友人キャラとして小林少年、形無しやん。
友人キャラとしてはやりきれず、バトル主人公としても慣れない事に戸惑うばかりで、何を十全やれてたかというと、これハーレム主人公じゃないですかね、小林くんw
見事なまでに龍牙に四神ヒロインズに三姫と添い遂げることになりそうなどう言い繕ってもハーレム主人公一直線な小林少年でありました。亀さんだけは完全に場の勢いだよねこれ。小林くんからすると、ほかはともかく亀は勘弁、じゃないのかこれw
と、ヒロインはこれで打ち止めかと思いきや、まさかの遅れてきた真打ち、人妻属性未亡人属性の麗斐堕の参戦である。小林少年を父と慕うシズマの実の母なわけですから、夫婦になってもおかしくないのか? 何気にイラストで一番気合入ってた疑惑が湧くんですけど、麗斐堕さん。超絶美人で清楚な色気の塊という、何この儚げな人妻美人はw
女子高生嫁として若くてハツラツとして家庭的、というパーフェクトさで圧倒的正妻感を出していた魅怨に真っ向から太刀打ちできる逸材でありました。
いやでも、やっぱり個人的にメインヒロインは魅怨だったなあ。
BookWalkerの限定書き下ろしでは、後日談の使徒たちの大将軍決定トーナメント(なんでか四神ヒロインたちも参戦)の模様と、ヒロインの誰かを選んだら、という夢という形ですが未来絵図を見せてくれる短編……7万字もあるのを短編と呼んで良いのかわかりませんけど、ってか殆ど本編並にないですか、この分量w 少なくとも本編の半分くらいのページ数はあるぞw
まあこれで見ても、魅怨が一番家庭的で平和な家族作れそうなんですよね。まあ、なんでか魅怨選ぶと他の使徒もついてくる模様ですけど。それなら、龍牙たちも一緒でええやない、となってしまいそうなんですけどw
他の娘も嫁として地雷っぽい所があるのが雪宮さんくらいで、他の娘らは普通に幸せな家庭築けそうなのがなんともはや。いや、黒亀はもちろん除く。あれはこう、駄目だろうw
まー、最初から最後までどんちゃん騒ぎのお祭りみたいな作品でしたけど、テンション最後まで落ちずにどのキャラも暴れっぱなしで、いやはやお疲れさまでした、と思わず言ってしまいたくなります。
こうしてみると、やはりテッちゃんことトウテツのボケキャラっぷりが際立っていて、彼と小林少年のコンビがなんだかんだとこのシリーズを愉快に牽引していたなあ、と思う所。
実に気持ちよく笑い倒せるコメディ作品でありました。あー、面白かった。

伊達康・作品感想

俺、ツインテールになります。 16 ★★★★   



【俺、ツインテールになります。 16】 水沢 夢/ 春日歩 ガガガ文庫

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トゥアールの復讐の旅――ここに終着。

女神ソーラの力を借り、イビルツインテイルズを撃破した総二たち。しかしその戦いの最中にアルティメギル最高科学者マーメイドギルディは、究極の最終闘体・エンジェルギルディへと進化。トゥアールに衝撃の事実を告げる。「あなたはもうすぐ死ぬ」――属性力を自ら捨てた反動で、自覚のないまま生命を削り続けてきたのだと。
トゥアールの心を強く持たせるため、総二はテイルレッドの姿で要求に応え、愛香も発明品で擬似的に幼くなることを渋々了承。仲間たちの献身で元気になったように見えたトゥアールだったが、彼女はすでに、自分が手遅れであることを自覚していた。一方、強大な力を手にしたことで増長したエンジェルギルディは、アルティメギルの意志から外れて己が欲望の赴くままに暴走。自ら作り上げた要塞へとトゥアールを連れ去る。テイルギアの力が通用しない「テイルギアそのもののエレメリアン」を相手に、ツインテイルズに勝機はあるのか!? そして、トゥアールが下した決断とは!?
ツインテールを愛し、孤独に戦い、守り……全てを失った。
悲しみの果てに仲間を得て、恋を知った。
運命に翻弄され続けた少女――トゥアールの復讐の旅が、ここに終着を迎える。

そうか、これがトゥアールの旅の終わり、終着点だったんだ。
自分の世界で最初のツインテイルズとして独り戦い続け、そして破れてツインテール属性を喪ったトゥアール。自分から、そして自分たちの世界からツインテールを奪い去ったエレメリアンに復習するため、自身のツインテール属性を込めたテイルギアを手に、この世界を訪れて総二たちにツインテイルズとして戦う手段を与えてくれた彼女。以来、総二たちの頭脳として軍師として博士としてずっとサポートし続けてくれた。仲間として、ツインテイルズにこそなれないものの一緒に戦ってくれていたトゥアール。
でも、彼女の旅はずっと今まで続いていたのか。彼女にとって、ここは帰るべきホームではなかったのか。エレメリアンと戦うために訪れた異邦の地だったのだ。
普段、その人類の域を遥かに超えた頭脳を反転させたようなバカ極まる言動で、シモネタで、エレメリアンをすら上回る変態性で、場を盛り上げ続けてくれていたトゥアールが、この巻ではほとんどいつものような元気を出せずに、辛さを表に出さないように笑顔で心を隠して空元気で振る舞う姿は痛々しいばかりで、この作品の陽気さというのはホントにトゥアールに支えられていたんだなあ、と痛感させられた。
一方のエレメリアンも、今までは変態ながらも矜持と誇りを持ち尊敬でき親しむとが出来、そのおバカさと健気さに愛おしさを感じるばかりだった歴代のボスキャラたちと違って、マーメイドギルディ改めエンジェルギルディは、正真正銘のゲス野郎。魔道に堕ちたツインテール。友情も愛情もエレメリアンたちを成り立たせる属性への想いも踏みにじる、敬することの出来ない敵。ただの敵。
これが思いの外辛かった。まさに、この作品のもう一方の主役であり主人公は、エレメリアンたちでありましたからね。そして、話をギャグでもコメディでもシリアスでも熱さでも盛り上げてくれたのが、彼らでありましたから。
片や味方のトゥアールと、片や敵側のエンジェルギルディ双方ともがこんな調子だと、話そのものが重苦しくなるばかりでしたから。

トゥアールの、本当の意味でツインテイルズと一緒に戦えない悔しさ、どれだけ望んでも自分の中から喪われたツインテールは取り戻せず、自分の髪を2つに結えない苦しさは度々描写されてきましたけれど、そのどうしようもな事実がどれほど彼女を傷つけてきたか。
それどころか、今度はその自分の中からツインテール属性を抽出してしまった事が、自身の生命を文字通り縮めてしまってたこと。そして寿命が今間近に潰えようとしている事実を前に、怯え苦しむ彼女。どれほど覚悟していたからと言って、怖くないわけがない。未練がなくなるわけじゃない。どれほど絶望的だろうと諦めずに自分を救おうとしてくれている仲間たちへの愛情が、そのまま離れがたい気持ちとなって余計に未練を募らせていく、もっともっとこの人たちと一緒に居たいという乞い願う想いの強まりを加速させ、だからこそ余計にトゥアールを苦しめていく。ここの彼女の苦悩はそのままダイレクトに伝わってきて、本当に辛かった。
彼女を勇気づけるために、「幼女喫茶!」とかみんなで幼女になってトゥアールを饗そう、とか、「並々ならぬ幼さを漲らせ」とか「よし、幼い!」とか、人類言語として本来なら存在していない領域の文章が当たり前に文脈の中に混入しているあたりは、毎度の本作らしくて相変わらずだなあ、と菩薩の如きほほ笑みを浮かべながら遠い目になったものですが。
まだ早い、人類にはまだ早い。
しかし、燃え盛るツインテールはどれほど遠くに追いやられようとも容易に追いついてくる。
今回はほんと、あの変態性こそがアイデンティティで、もう存在自体が下ネタヨゴレ芸人で「ヒロイン枠」ではなく、蛮族系ヒロインに毎回壁のシミにされるボコられ役の座をほしいままにしていたあのトゥアールが、あのトゥアールが、あのトゥアールが、三回言いました、あのトゥアールが、最初から最後までまさかの正統派ヒロインとして振る舞い踊り通してみせた奇跡の回でありました。
そしてついに、ついに、シリーズ16巻目にしてついに今まで見ることのできなかったトゥアールのツインテイルズとしての姿が、バトルフォームが、2つに結ばれた神の型のお披露目となったのでした。
トゥアールのくせに、トゥアールのくせに、ちくしょう、うつくしい……。
本当にこれまでどうやってもツインテールを結べなかった彼女。16巻もの積み重ねです。重く長く本当に遠かった。絶対不可能を可能とするものこと愛と友情とツインテールの奇跡であることは間違いない事なのでしょうけれど、それが仲間たちツインテイルズの、ライバルであり掛け替えのない親友である愛香の、誰よりも愛した総二のそれだけではなく、スワンギルディの侠気であり、そして誰よりもトゥアールを認め励ました帝王ティラノギルディの遺し託したツインテール属性だった、敵であるエレメリアンたちの後押しだった、というのはこの【俺、ツインテールになります。】という作品らしくて、本当に好き、もう大好き。
何よりもエレメリアンたちが尊び求めたツインテール属性ですら、道具へと貶めてしまったエンジェルギルディ。まさにツインテールでありながら、ツインテールの闇を内包してしまった魔道に堕ちたツインテール。
そんな彼女と相対することで、エンジェルギルディに追い詰められ、絶望を突きつけられ、誘惑の手を差し伸べられたトゥアール。この世の何よりもツインテールを愛する総二にとって、ツインテールを結べない自分の価値はどうなのか。あのエンジェルギルディのツインテールに目を奪われる総二の姿に、どうしようもなくツインテールでない自分を突きつけられ、それをエンジェルギルディに煽られ、心揺らがされたトゥアール。
自分にとってツインテールとは何なのか。自分のツインテールを喪っても、エレメリアンに復讐しようと世界を渡った根本の理由とは何なのか。自分の根源を振り返り、そしてこの世界に来て出会った総二たち、そして戦いの果てに心通じ合わせたエレメリアンたちの事を思い出した時、トゥアールはついに答えにたどり着く。
自分にとってのツインテールの真理を、掴み取る。自分が戦う本当の理由、本当に成したかったものを見つけるのだ。

<愛>のツインテール戦士・テイルホワイト爆誕!!

彼女の復讐の旅は、ここに終わりを迎えた。
彼女は、帰るべきホームを本当の意味で今、手に入れたのだ。

水沢夢・作品感想

クラスメイトが使い魔になりまして 4 ★★★☆   



【クラスメイトが使い魔になりまして 4】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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最悪改変の世界。俺は千影を振り向かせる!

落ちこぼれの芦屋想太には藤原千影という分不相応な使い魔がいた。
紆余曲折あった末に、晴れて恋人同士となったはずだった。
しかし、ソフィアとの対決で瀕死となった千影を救うために、想太は「神様」を頼ってしまう。
そして、その対価は……千影から想太を取り上げることだった。
最低最悪に性悪な「神様」はまたも世界を改変し、千影との日々の記憶をなきものとした。
改変されたこの世界での想太の恋人は、よりによって「あいつ」……!!
千影、旭、美砂、そしてソフィア。4人の想太への想いが激しく交錯する最終巻。
想太と千影の運命が決する、「険悪なのに相思相愛」主従ラブコメ、ここに完結!!
ああ、神様を喚んだ時点で勝負は終了ではなくて、ちゃんと約束の期日までは勝負続行だったのか。
世界を改変して想太の記憶含めて全部消し去ってしまったとはいえ、神様も律儀なことである。
いや、確かに美沙神がやってる事ってアコギもいい所で相手の気持ち無視してやりたい放題酷い事は間違いないのだけれど、勝負に関しては絶対にルールは遵守していたし、もっと自分に都合の良い状況は設定できたと思うんですよね。
記憶さえ戻ってしまえば、一気に美沙が窮地に陥ってしまうほどのアドバンテージだったわけですし。対策も取ってたというけれど、かなり脳筋というか力任せの対処療法でもっとエゲツないどうやっても抗えないようなドス黒い陰険な罠だって張れただろうに、そういうやり方はしてなかったんだよなあ。
じゃあ美沙が本気じゃなかったのか、というとそんな事はなくて、もうみっともない程ジタバタして八つ当たりするわ泣き喚くわ地団駄を踏んで転げ回ってしがみつくように勝利にこだわっていたように、本気も本気、これ以上無いくらい想太に執着しまくっていたのが彼女だったんですよね。
いやもう、あそこまでみっともなく無様に醜く本性をさらけ出してでも本音で叫んでむしゃぶりついてくる美沙の姿、その突き抜けっぷりを見せられるとなんか絆されてしまいますよ。ひでえ奴なんだけど、人間ちっさいし心狭いし性根曲がってるし根性悪いしなんかもう醜いんだけど、そうなってしまうほど本気だったのは伝わってきた。想太の事が好きで好きで何としてでも離したくなかった、というのは伝わってきた。本当に好きだからこそ、どれだけ卑怯な真似をしても手に入れたかった。でも、本当に好きだからこそ最後の一線は守って勝負にこだわってしまった、というあたりこの神様は人間そのものだったんですよねえ。
まあそれでも、千影のほうが良い、という想太の気持ちに関しては、うんまあそうだろうね、とうなずいてしまうのだけれど。どれだけ絆されても、可愛げを感じても、それはそれこれはこれ、こいつの人間の器が極めてちっちゃくてやべえやつ、というのは変わりませんからね。
ただ想太が彼女に記憶を弄ばれ、人生を奪われ、好き勝手されていた事に嫌悪と憤怒を感じていた事に関しては、気持ちはわかるが美沙の気持ちもわからないでもない、という塩梅に収まってしまったんですよね。それだけ、美沙に絆されてしまった、という事なのでしょう。
だいたいさ、確かに美沙のやってる事はひでえの一言で相手のことなんにも考えてなくて自分本位、自分が優先、自己満足のために想太を含めて全員を振り回して踏み躙ってきた事は間違いないですよ
でもね、それはそのまま想太たち他の面々にも多かれ少なかれ当てはまることでもあるんですよね。
想太がソフィアにした仕打ち見てみなさいよ。あれは本当にドン引きでしたぜ。それでなくても、想太の言動ってかなり無神経な所があってそこまで言うか、そこまでするか、というような結構相手をざっくり傷つけるようなものがあったりするんですよね。それは想太に限らず、千影も似た者同士で同じようなことをやってますし、ソフィアなんかは自分優先自分本位の権化みたいなもの。マリ姉こと三条茉莉花もこの人はかなりマトモな側な人で、美沙に誘導されていたのだけれど、彼女も千影相手にかなりやばいことしてますしねえ。
そもそも発端は想太の自己満足の勝手な行動だったわけで、この巻で最後まで拗れたのは千影の同じベクトルの自己満足だったわけで。ほんと、面倒くさいのしかいないのか。
いや、面倒くさいのしかいないからこそ、この物語が成立してしまったのですけどね。
誰も悪くないのに運命の悪戯で劇的に状況が悪化してしまう、なんて展開は結構見ますけど、本作でいうと誰も彼もが悪いので、案の定シッチャカメッチャカ酷い事になりました、てなもんである。全員ギルティ。
千影に相手にされない事で、かつて記憶のない自分に一生懸命アプローチしていた千影を素気なくあしらっていた事を今我が身に似た仕打ちを受けることで強く後悔し反省している想太だけど、ほんともっと色々と反省した方がいいと思うぞ。これまでの世界改変で受けた苦難でもだいぶ報いは受けたと思うけれど、少なくともソフィア案件については殆どなんにも返せていないですしねえ。
神様に対抗するには大魔王に縋るしかなかったとはいえ、あれほど狂乱していたソフィアがこうもマトモになっちゃって協力的になってしまうとは、意外なんてもんじゃなかったです。
ある意味この人が一番純真に自分本位を貫いていた、とも言えるのでしょうけれど、ソフィアってもう想太からなにか貰おうとは微塵も思ってないんでしょうね、これ。あくまで自分で奪い取る、自分から想太にさせる、ことが前提で。それはもう潔い自分本位なんですよね。自儘に振る舞うのなら、相手に何も期待しない、一方的に自分の望むようにさせるのみ、というある意味の一途。
まあ、一度期待して相手からナニカしてもらおうとして、そりゃもう凄まじい裏切られ方、捨てられ方しましたからねえ。
……あれ、魔神相手でなくても、普通の女の子だろうと背中からナイフでグサリっとやっても何も不思議でないヤリステっぷりだったもんなあ。むしろ、ソフィアは狂乱したまま発狂したままだったからこそ、狂気が狂気として突き抜けてしまったからこそ想太を我が物にしようとして神に全部持っていかれそうな局面ゆえに全面協力してくれた、と見た方が安心できるんですよね。正気に戻ったら絶対殺すだろう、惨殺するだろう、あれだけの事されたんだから。マトモなら、ぶち殺さずにはいられないだろうし。
とまあ、登場人物の人間性について、こいつら酷くね?というコメントを綴ってきてしまったわけですけれど、不思議とみんな嫌悪感とか忌避感は感じないんですよね。いや、想太については折々ドン引きしてたけど。とはいえ、そういう剥き出しの生臭いほどの自分本意さが妙な人間味を感じさせて、愛着が湧くというか可愛げを感じるみたいな感覚を抱いてしまったわけです。美沙に絆されたのもその一環で。好き、というのはなんか違うか。親しみ、というのが一番近いか。だからまあ、想太と千影が想い通じ合って結ばれたのも良かったなあ、と思うし、なおもジタバタしてみっともなくあがいている美沙にも微苦笑とともにまあ頑張れ、なんて思ってしまうわけで。
そんな風にこのキャラたちに想いを持たされた時点で「やられた」んでしょうね。うん、面白かったです。


魔女と猟犬 ★★★★   



【魔女と猟犬】 カミツキレイニー/LAM   ガガガ文庫

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使命は、厄災の魔女たちを味方につけること

農園と鍛冶で栄える小国キャンパスフェロー。そこに暮らす人々は貧しくとも心豊かに暮らしていた。だが、その小国に侵略の戦火が迫りつつあった。闘争と魔法の王国アメリアは、女王アメリアの指揮のもと、多くの魔術師を独占し超常の力をもって領土を拡大し続けていたのだ。
このままではキャンパスフェローは滅びてしまう。そこで領主のバド・グレースは起死回生の奇策に出る。それは、大陸全土に散らばる凶悪な魔女たちを集め、王国アメリアに対抗するというものだった――。
時を同じくして、キャンパスフェローの隣国である騎士の国レーヴェにて“鏡の魔女”が拘束されたとの報せが入る。レーヴェの王を誘惑し、王妃の座に就こうとしていた魔女が婚礼の日にその正体を暴かれ、参列者たちを虐殺したのだという。
領主のバドは “鏡の魔女”の身柄を譲り受けるべく、従者たちを引き連れてレーヴェへと旅立つ。その一行の中に、ロロはいた。通称“黒犬”と呼ばれる彼は、ありとあらゆる殺しの技術を叩き込まれ、キャンパスフェローの暗殺者として育てられた少年だった……。
まだ誰も見たことのない、壮大かつ凶悪なダークファンタジーがその幕を開ける。

初っ端からハードモードすぎる!
いや、ハードモードを攻略するために魔女を集めようとしたら、結局ルナティックモードに入ってしまった、というべきか。
最初から実は詰んでいたのを、現実のものとして突きつけられたというべきか。
表紙の魔女は、明らかに見るからに見た目からして危険極まりない危険人物である。そもそも話が通じるかどうかも怪しい風貌をしている、正気とは思えない目をしている、まともな言葉を弄するのかも信じられない舌をしている。
こんなのを、味方につけるという時点で困難は予想されていた。実際、この魔女を集めて対アメリア王国の決戦戦力とする、という領主バドの案は臣下からも多くの反対を受けていたのをバドが押し切った形となる。
或いは、表紙の魔女はそのまま世間のイメージを具象化したものだったのかもしれない。人々にとって、噂される魔女とはまさにこのような見てくれの、狂気の、魔性の存在だったのだ。
しかし、バドだけはそうは見ていなかった。魔女を評判通りの邪悪で人心を持たぬイカレた魔物だとは思わなかった。
集めた直接魔女を見聞きして実際に目の当たりにした人の証言を聞き、その評判通りの残虐な行動の中に彼だけが違う真実を見出していた。
そういう人だったのだ、バド・グレースという人は。

隣国騎士の国レーヴェにて捕らわれたという鏡の魔女を、交渉で引き取るために領主バド自らとキャンパスフェローの重鎮たちと騎士団精鋭を引き連れて向かう使節団の中に、彼は居た。
通称【黒犬】。代々キャンパスフェローに仕える暗殺者の一族。その当代ロロ・デュベルである。
代々語り継がれる【黒犬】の威名は諸外国まで響き、国内でも畏怖される血まみれの血族。冷酷非情の殺し屋一族の結晶たる魔刃。そうした風評、評判を背に、彼は一族の長としてバドとその一族に仕えている。
彼が背負うのもまた評判だ。口さがない者たちが語るうわさ話であり、独り歩きしている詩である。バドが特にお気に入りとして傍に置き、遇しているのロロの真実はまた違う。バドが彼を好み可愛がっている理由こそ、彼が備える真実だ。
バドが持っていたのは、そういう評判に惑わされない人の真実を見極める目だったのだろう。善き部分を見逃さない目だったのだろう。
そういう人だったのだ。
だからこそ、彼は多くの人の支持を集め、尊敬を勝ち得、忠誠を捧げられていた。
思えば、レーヴェ王もまたそうだったのだろう。彼もまた、目の前の真実を見逃さない人だった。人を人のまま愛せる人だった。
こういう人たちだからこそ、逆に人の「悪意」や秘められた「邪」を見抜けなかったのかもしれない。

レーヴェへと赴いたバドたちは、そこで魔女とされる女性のよる結婚式での国王以下列席した国の重鎮たちの虐殺事件の決着と次期国王を巡る混乱に巻き込まれる。
そこで直面するのは、魔女を処刑せよという世論の要求に対して、事前の交渉どおりに魔女が引き渡されるか、という問題であり、虐殺事件に際して行方不明になっているレーヴェ王国の姫スノーホワイトの行方であり、魔女とされる虐殺事件の犯人、新たな王妃となるはずだったテリサリサは果たして本物の魔女なのか、という問題だった。
そして何より、虐殺事件の真相が話が進むにつれてどんどんと曖昧模糊となっていく。
物語は、サスペンス・ミステリーの様相を呈していく。
はたして、虐殺事件は本当に魔女の仕業だったのか。犯人は王妃なのか。これは、実はクーデターではなかったのか。
そもそも、本当の魔女は誰なのか。

バドの命で影に潜み、囚われている王妃テレサリサに接触し、またスノーホワイトの探索を行ってたロロは、徐々にこの国を覆う悪意へとたどり着いていく。
影に覆われた真実を、一つ一つ紐解いていく。
そうして、何もかもが最初から詰んでいたという最悪の真実に気づいたときには、すべてが手遅れであり、しかし最後の希望だけは辛うじてつま先に引っ掛けることが出来た。

魔女は居たのだ。

これ、本当に何もかもを取りこぼしていく、全部が無残に崩れ去っていくクライマックスの展開は辛かった。ロロは黒犬の名に相応しい辣腕だったけれど一線をまだ越えられない甘さを抱えた子であったし、何より作中屈指の凄腕である事は事実でも、何もかもを単騎で覆せるような無双の騎士、みたいな無敵キャラとは程遠く、そして何よりその時その場に居られなかった以上、彼の腕前は何の意味もなさなかったんですよね。いや、無意味ではなかった。ハートランド団長をはじめとしたキャンパスフェローの意地を、そのまま潰えさせずに希望を持ち帰ることが出来たのだから。
ハートランド隊長は、まさに騎士の鑑でござった。
一度は助けたカプチノを、一緒に連れていけなかったというだけでも、彼らがあまりにもギリギリだった事が伝わってくる。あの子、どうなるんだろう。

この作品に出てくる魔女のモチーフはどうやら童話に出てくる魔女たちらしい。この鏡の魔女はまさに「白雪姫」に出てくる真実の鏡を操る王妃様だ。もっとも、話の内容は白雪姫とは何の関係もない波乱の様相を呈するのだけれど。スノーホワイトと王妃様の関係も全然違ってきているし、獅子王と彼に見初められたメイドの愛の物語は、多くの人々に祝福されるはずのものだった。
童話とは異なる悲劇が、これからも繰り返されるのか。それとも、悲劇をねじ伏せる結集された魔女たちのワルプルギスがはじまるのか。
ともあれ、タイトルの【魔女と猟犬】。そして表紙絵から受けるタイトルへのダークな印象は、読み終えたあと見事に反転しているだろう。
これは魔女と猟犬という人ならざる化け物の物語ではない。託された希望を胸に、どうしようもない絶望と理不尽に敢然と抗う、真っ向から立ち向かう「人間たち」の物語だ。

カミツキレイニー・作品感想

ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜 ★★★★☆   



【ホラー女優が天才子役に転生しました 〜今度こそハリウッドを目指します!〜】 鉄箱/きのこ姫 ガガガ文庫

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ホラー女優が碧眼ハーフの天才子役に転生!

貧乏育ちの苦労人ホラー女優の鶫(30歳。努力の甲斐あって演技力はピカイチ)が、自動車事故で即死。
転生した先は碧眼ハーフの超美少女つぐみ(5歳)で、ドのつくお金持ち令嬢だった!!
つぐみの両親はつぐみに「注入された」演技の才能をすぐさま見抜き、テレビドラマの子役オーディションへ飛び入り参加させる。
天使そのもののつぐみの身体を得た実力派ホラー女優鶫は、その奇跡に感謝し、そして誓った。

「今度こそハリウッドを目指します!」

3人の仲良し子役美少女、凛、珠里阿、美海と出会い、幼女の友情を育む。信じられない演技力でドラマの監督、脚本家、大ベテラン俳優を、驚愕させる。
妖艶すぎる5歳の演技で、大の男を骨抜きに。
世界がひれ伏す大天才女優(5歳)がここに誕生!!
おおおっ、面白かった! これは滅茶苦茶面白かっったッ!
面白すぎて、途中で止められずに寝る時間削りまくってしまった。おかげで今日は死にそうになってたわけですけれど。もう若くないんだから。
しかしてこちらは若すぎる肉体に転生してしまったホラー女優の桐王鶫さんである。
あまりに怖すぎる演技から、観客視聴者のみならず共演者たちをすら阿鼻叫喚へと叩き込んだ稀代のホラー女優、恐怖の申し子。
その彼女が事故死のあと20年後に生まれ変わって、もう一度俳優の世界を目指すお話。いや、目指すというよりも、蹂躙するというべきか、或いは降臨するというべきか。
はまり役ということでホラー映画やドラマなどを中心に活躍していた鶫だけれど、それが不本意というわけではなく、元々ホラー好きだし好んでホラー女優やってたんですね。
ホラー作品にばかり呼ばれる事に不満を感じていたり、不自由を感じていてもっと違う役をやりたい、なんて思っていて生まれ変わったのを期に本当にやりたかった主役ヒロインを演じるのだ、なんて事は毛頭考えていなかったわけだ。
それどころか、忌避される悪役を、そんなおもしろそうな役、やらないなんてもったいない、と嬉々として挑む、或いはかぶりつく演じるという事を何よりも好み、飢え餓えた役者だった。
そんな彼女だからこそ、生まれ変わっても望んで役者の世界に飛び込んでいく。何よりも、演じることに魅入られているから。まさに文字通り、彼女は生まれながらの女優だったのだ。
彼女の中には、前世で培われた経験がある、感性がある。並々ならぬ努力で身につけたそれは、才能というのだろう。彼女が生まれながらに持っていた才は、叩き上げで最低の環境から這い上がり積み上げてきた鍛造の才能だ。演じることの出来る喜びを知る才能だ。その場に立つまでの困難を知る才能だ。苦労を知らぬ挫折を知らぬ脆いガラスの才能とはわけが違う。
そうして培われた人造の天才だ。人々の心を恐怖で震え上がらせ、同じ役者たちの、ドラマ映画に本気で関わる人間たちの魂を鷲掴みにした、人造にして本物へと至った天才女優のそれである。
そして、死んでも治らなかった女優魂の塊だ。

尋常ならざる天才子役の出現、その演技を目撃した、或いは実際に演じてみて彼女の「世界」に飲み込まれた現役の役者たちに衝撃を与え、その衝撃は波紋となって界隈へと音速で広がっていく。
ここに出てくる名優と呼ばれる人たちは「本物」である。役者という職業に人生を賭け、生き様として刻んでいる人たちだ。ドラマの番組プロデューサーも、監督も、より良い作品を作らんと気を吐く「本物」だ。だからこそ、彼女の、つぐみの存在に衝撃を受け、刺激を与えられ、彼女が紛れもない本物で、なおかつ「怪物」である事を否応なく肌で感じ取り、歓喜する。
役に入り込んだつぐみの演技は、まさに「世界の降臨」である。ただの練習でも、オーディションでも演技テストでも、その場限りの即興劇ですら、相手の共演者まで現実と演技の境目を見失って自分の役へと没入してしまう。まさに魔性の演技、と言わんばかりの演出に、背筋がゾクゾクしてしまった。さらに外側に居る読者であるはずの自分まで魅入られてしまうような、圧巻の存在感。一瞬にして塗り替わる世界。
いやあ、すごかった。

一方でつぐみという子はプロ魂こそキマっているものの、かつてホラー女優であったと言っても性格は温厚で孤高というわけでもなく、共演者や制作スタッフにもよく気を遣って結構親しまれ、尊敬されていたようなんですよね。
両親から半ば捨てられたような家庭環境で、下積み時代には極まった貧乏生活に耐えながら役者を志し、底辺から這い上がってきた苦労人。だからこそ、人にも優しく出来る、というタイプの人だったのだろう。
それは今世にも引き継がれていて、オーディションを通じて知り合い友達になった同じ世代の子役たちとも、前世の分の経験があるからと上から目線にならず、あくまで役者仲間として対等の視点で見ているようなんですよね。逆に言うと年長だろうと先輩だろうと、役者として対等に、尊重はしても譲りはしない、という穏やかながらプロらしいふてぶてしさを兼ね備えているのですが。
この前世で事故死してから二十年後に生まれ変わった、という二十年という年月が結構重要なキーポイントでもあるようで。
二十年、って充分知り合いが亡くなったりせず業界で現役で居続けているけれど、立場やなんかがそれぞれ変わっていたりする年月なんですよね。かつて自分よりも年下の子役だった人たちも、それなりの年齢になっていたりする。かつての役者仲間たちの現在に思いを馳せ、思わぬ再会が待っていたり、という展開もあり、また新たな世代が台頭してきていたり、と。
そんな中で二十年前に夭折した天才ホラー女優の存在感は、今業界の重鎮となっているかつての同世代の仲間たちの中でしっかりと根づいていて、だからこそ余計にその天才女優の面影を演技から彷彿とさせる新たな天才の出現に、誰も彼もが平静で居られなかったのでしょう。
とまあ、二十年のギャップというのは他にも色々あって。うん、二十年前にはスマホなんて想像しなかったよね。あんなん、二十年前だとSFのアイテムですもん。まさかパソコンと同等の機能を持つ機材が携帯電話の中に集約されるとか、100年後の世界の超科学アイテムでしたもんね。
VHSもビデオデッキ連結して一生懸命ダビングして。うんうん、わかるわかる、わかってしまう。
まだ連続して時代の変化の中にいたからこそついていけてるけど(ついていけてるか?)、二十年の空白があって現代に降り立ったら、ちょっと技術レベルのギャップは訳わからんことになってるよなあ。
というわけで、5歳にしてなんかおばさんくさい、と同世代の幼女に評されるつぐみちゃんでありました。
ってか、今どきって5,6歳の小学生にあがるかという子にまでスマホ持たせてるの珍しくないんですよねえ。
早速両親から与えて貰ったスマホを扱いきれてないつぐみちゃん。それ、5歳の幼児だからではなくて、おばさんだから謎機械にあっぷあっぷ、なんですよね、つぐみさん。スマホを買い与えた際のうちの母(70)の反応とよく似ているぞ、つぐみさんw

とまあ、この時代に生まれ変わったつぐみちゃんは、頼めばスマホを買ってもらえる、どころか演じる事が好きだと知ればすぐにオーディションに参加させてくれたり、付き人も自前で用意してくれたり、というか所属事務所まで自分たちの会社で立ち上げたり、と超お金持ちの家で美男美女、パパの方は外国人という両親にこの上なく愛情を注がれる、衣食住全てに満たされている幸せ一杯の環境にある。望めば、すべて与えて貰える環境だ。
それは、前世の何も持ち得なくて自分ですべて掴み取っていった環境とは真反対の、恵まれたとしか言いようがない環境。光だけに包まれた世界だ。
それが、つぐみの中でわずかに齟齬をうみだしている。
これに気づいているのが、同じ天才子役と謳われている夜旗虹、というのがまた面白い。この生意気兄ちゃんもまた、本物の天才なのか。
同じ天才だからこそ気づいた、つぐみの中のちぐはぐさ。ハングリー精神など全く必要とされない現在の環境と、つぐみの中で息づいている鶫の時代から培われた役者魂のあの獰猛なほどの情熱は、どこかで噛み合っていないのだという。
愛を知らず、だからこそ恋い焦がれるように狂的に愛を演じる事ができた前世と違って、今のつぐみは本当の愛を与えられている。だからこそ、今の自分がどうやって愛に甘えるやり方が分からない。今の自分が鶫のように演じることが出来るのか。鶫のように演じるのが正しいのか。
まだ、彼女の演技は未完成、なのだろう。
今の段階でなお、未完成なのだ。ということは、さらにこの上があるということ。これよりももっと高みが、彼女の前には存在しているということなのだ。
その事実に気づいた時、残念どころかゾクゾクしてしまった。背筋がブルブルと震えてしまった。これより凄いものを見れる可能性がある、という事実に恍惚となってしまったじゃないですか。
この子にはまだ先がある、まだ上がある! 
それに、まだドラマははじまったばかり。彼女の舞台はまだ一度たりとも幕を上げていない。本番ははじまっていないのだ。まだこの段階で前座の前座でしかない。
これはもう本当に、楽しみで仕方ない。続きを読みたくて仕方ない。またぞろ、とんでもねー作品が出てきましたよッ!


現実でラブコメできないとだれが決めた? ★★★☆   



【現実でラブコメできないとだれが決めた?】 初鹿野 創/椎名くろ  ガガガ文庫

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データでつくる最高の理想郷(ラブコメ)!

「ラブコメみたいな体験をしてみたい」

ライトノベルを嗜むすべてのラブコメ好きは、一度はこう思ったことがあるのではないだろうか?
ヒロインとイチャラブしたり、最高の友人達と充実した学園生活を送ったり。
だが、現実でそんな劇的なことが起こるわけもない。
義理の妹も、幼馴染も、現役アイドルなクラスメイトもミステリアスな先輩も、それどころか男の親友キャラも俺にはいない。
なら、どうするか?
自分で作り上げるしかないだろう!

ラブコメに必要なのは、データ分析と反復練習! そして――

第14回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作。

ライトノベルに憧れた俺――長坂耕平(ながさかこうへい)が、都合良くいかない現実をラブコメ色に染め上げる!

ラブコメみたいな体験をしてみたい。言っている意味はわかるけれど、じゃあどうするのかと言えば、まさかの自分で全部作り上げる、それもこの現実世界で。と言い出した日には何言ってるんだコイツ、となるし、実際やってるのを見てると相当にキモい。
彼、長坂の夢中になっているラブコメ世界を自分で作るという夢? いや目標? を知ってしまった、そして実際の作業を目の当たりにする上野原彩乃が「キモい」と「大馬鹿者」を連発するのもまあ当然。いや、実際相当にキモいです、この男。
なんでこれに付き合おう、ラブコメ時空を作るための仕込みに協力しよう、実際調査や支援などで結構労力も掛けているわけで、なんで彼女がそこまでしようと思ったのか、ヒントめいたものは散らばらせているものの、よくわからないまま話は進んでしまうんですね。というか、長坂も勢いで巻き込んだものの、もうちょっと躊躇しろよ、と思わないでもない。あまりに有能すぎて、便利だったからというのもあるのだろうけれど。
とは言え、実際にラブコメするためには登場人物の性格から過去来歴、行動原理などなど。生活環境や学校の設備、周辺地域のスポット調査など、凄まじい規模の調査を行っていて……いや、調査の仕方これガチすぎない? むしろ、調査による情報収集がメインになってるんじゃないだろうか。実際、目的と手段が逆転してしまってラブコメするための調査が調査のための調査、情報収集になってしまって本末転倒になってしまった時もあった程ですし。
これ個人でできる範疇の最大限なんじゃないだろうか。手法もプロじみているし、とりあえず必要不必要の判断をせずに手当たりしだいに情報を集めて、そこから分析精査するというやり口とか、探偵よりも情報機関のやり方みたいじゃないですか。はては情報分析官、アナリストかなんかじゃないのだろうか、こいつ。
しかし、一方で実際にそのデータを運用してラブコメするにしては、ヘボ役者ぽくもあるんですよね。とにかく、クラスメイトを前に委員長として演じる姿が胡散臭い。嘘くさい。実際問題、想定した脚本通りに喋っているのだから、仕方ないのかもしれないけれど、それ何のキャラなんだろう。少なくとも、ラブコメの主人公っぽくはないんですよね。
そもそも、自分以外の生徒たちにはラブコメ適性という分析をしているけれど、自分自身に対してラブコメ主人公適性をちゃんと鑑みた事はあるのだろうか。
それ以前に、ラブコメするって何なんだろう。
冒頭の長坂の宣言からこっち、その趣旨や言いたい事やりたい事は何となくわかったし、うんうんと頷きながら読んでいたのだけれど。
ラブコメをするためには、まず現実をラブコメが繰り広げられる舞台にしなければならない、という事で長坂くんは、集めたデータを駆使しながらラブコメの登場人物を選出し、イベントの準備をはじめ、舞台を設営しようと奮闘しているわけだ。その過程で、彩乃にバレて彼女を共犯者に引き込んで、一緒にラブコメをはじめるための舞台を作り上げようと色々とやっているわけだけれど。
これって、つまるところ企画側であり、脚本側であり、監督側であり、演出側であるんですよね。全部自分で用意して、展開も想定し誘導して、脚本通りに話も進める。それに、自分が主人公になって乗っかる、というのはこれ、マッチポンプの類になってしまうんじゃないだろうか。一から十まで最初から知っている、というか自分が準備した話の通りに演じて、それって本当に楽しいと思えるのだろうか。脚本通りの展開のままに、恋をしてドキドキできるのだろうか。
それはもう、ラブコメの主人公になるというよりも、ラブコメのゲームの主人公に転生する、という方が近いんじゃないだろうか。それも、自分が作ったゲームの主人公に、である。
その末に、ハッピーエンドにたどり着いたとして、現実はゲームや本のようにそこで終わりじゃない。昨今ではゲームや本でだって、エンディングのその後については手配りを欠かさない作品も多いのだけど。現実では、ハッピーエンドのその後は脚本なしで進んでいく。自分で全部準備して整えたラブコメを踏破してエンディングにたどり着いたとして、予定外にはとにかく弱くて咄嗟に対処できない長坂くんは、果たして脚本皆無のその先をどうするつもりなのだろう。
実際、彼がラブコメを現実に再現したいと思うに至った中学時代のエピソードでは、彼は裏方に徹しているんですよね。自分が主人公になろうとしたわけではなく、仲間たちのために舞台を整えていたわけだ。今彼がやっている事も、果たして自分が主人公の役におさまるにはどうも適さないようなやり方をしているように見えるんですよね。ちゃんとそのへん、考えているのだろうか。

とはいえ、そういう問題が現実に立ちふさがってくるのも、実際にラブコメをやる状況、舞台が整ってから。現状では長坂はその舞台づくりに終始していて、完成というかラブコメをはじめるに至る設営の段階で奮闘しているに過ぎない。その段階で、問題が噴出し、彩乃がトラブルに巻き込まれその解決のために設定の大改編をやってしまう、みたいな現状だ。
つまるところ、結局のところ、そうなんですよね、なるほどなるほど。
お祭りもゲームも、作っている最中が一番楽しい、というやつだ。長坂は、気づいているのだろうか。
今まさに、自分がラブコメ真っ最中だという事実に。
それも一人遊びではなく、彩乃を共犯者として同じ目論見に巻き込んで、一緒に本気のやりたいことをはじめた時から、それが始まっていることに。
一から十まで自分が考えたとおりに物事が運んでいくのではなく、他人の思惑が介在し何が起こるかわからない状況で、相手が何を考えているかわからない状況で、目の前で起こるトラブルを誰かといっしょに解決していく。協力して、心つないで、新たな関係を構築していく。それが自分の周りで繰り広げられはじめていることに。
彼の周りではじまっているそれをきっと、ラブコメと言うのだ。

しかし、幼馴染がいないなら作ってしまえばいいのだ、という発想には脱帽した。いやどう考えても無理筋だし、これが単にラブコメ企画のために無理やり作り出すというのならアレだったのだけれど、トラブル解決のための豪腕でのことで、人造幼馴染にされてしまった彼女にとっても予想外とはいえ決して満更ではなかったようなので、なんか痛快でもありました。
長坂としてはラブコメの中では幼馴染枠というのは相当推しの強い枠だと、あの強弁からしても思われるので、それをわざわざ彼女にあてがったというのは、それだけあの幼馴染への熱弁に値するものを彼女に感じている、というのは邪推でしょうかねぇ。
そして、メインヒロインの叛乱。前とは大いに多難で、まさにラブコメ渦中だなあ。なかなか先がどう転がっていくかわからないだけに、次回以降楽しみです。

シュレディンガーの猫探し ★★★   



【シュレディンガーの猫探し】 小林 一星/ 左 ガガガ文庫

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探偵嫌いの僕と迷宮落としの魔女

妹にまつわる不思議な現象、「やよいトリップ」。未来視とも思えるその力が原因で巻き込まれたとある事件をきっかけに、訪れた洋館。
洋館の表札には『探偵事務所 ラビリンス』。
そして、古めいた書架に囲まれるように彼女はいたーー。
魔女のような帽子に黒い服。書架に囲まれた空間そのものが一つの芸術作品のように美しい佇まい。
「解かれない謎は神秘と呼ばれる。謎は謎のままーーシュレディンガーの密室さ」
彼女ーー焔螺は、世界を神秘で埋め尽くしたいのだと言った。
「私は決して『探偵』なんかじゃない。神秘を解き明かすなんて無粋な真似はしないよ」
探偵じゃないなら、いったい何なんだ。
問えばふたたび、用意していたように即答だった。
「魔女さ」
まったく、時代錯誤も甚だしいと嘆かずにはいられない。
神秘的で、ミステリアスな一人の魔女に、この日ーー僕は出会った。

第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞。
ゲスト審査員・若木民喜氏絶賛の新感覚「迷宮落とし」謎解き(?)開幕!

魔女である。探偵ではない。謎を暴く存在ではない。謎をそのまま神秘として喰らい上げる存在である。すなわち事件を解決するのではなく、迷宮入りさせてしまうのだ。
人呼んで【迷宮落としの魔女】。
そして、本物の魔法を使う魔女である。

そう、本物なのだ。本当に魔法を使うのだ。ならば、彼女の存在そのものが論理的帰結によって謎を解き明かし事件を解決する探偵のお仕事の天敵である。意図を持って、事件解決を邪魔して謎を神秘に昇華させるのだから、尚更に明確なる敵対者だ。
まあ、名探偵諸氏が果たして彼女を本当に本物の魔女として認識しているのかは定かではないが。明智くんは知らないよね? 金田一さんは知っててもおかしくなさそうだけれど、知ってたっけ?
でも魔女なる彼女、焔螺さんがやってるのって詰まるところ「証拠隠滅」であり「偽装工作」ですよね。
興味深いのがそれをやる立ち位置として、通常の「犯人サイド」からではなく、完全な第三者、或いは依頼されて、或いは巻き込まれて事件に遭遇しその対処に取り掛かる、という「探偵サイド」に互換される立ち位置から行っていることでしょう。
だから、不思議と焔螺さんのやってる事は名探偵のそれと同じに見えてしまい、同時に名探偵がやる謎解きの正反対である謎隠しに見えてしまう。ややこしいんだけど、探偵VS犯人じゃなくて、探偵VS探偵という範疇に見えるんですよね。
しかしやってる事は証拠隠滅偽装工作である。犯人がやることであり、犯人を擁護したい介入者がやることである。
……これ、警察沙汰の場合普通に犯罪ですよね、うん。
なので、ここで起こる事件はおおむね警察案件ではない。日常の範疇で、探偵へ依頼された失せ物探しの範疇である。だってこれ、警察に捜査されたらわりと普通に科学的な検査とか監視カメラや聞き込みでのアリバイなんかでバレそうな偽装工作ですし。
あくまで対象は、「名探偵皆を集めてさあと言い」に代表される探偵の謎解き推理を成立させないためのおじゃま虫、と考えればいいのだろう。
それでも、探偵側が主役だったりするとこの手の偽装工作なんぞは、込みで簡単に暴かれてしまうのが常なように思えるので、あれくらいで「証明」が出来なくなってしまう明智くんはちょっとがっかりだぞ、うん。
まあ殺人事件などのように、犯人の指摘こそが最大の目的である案件と違って、これらの事件は決して犯人のあぶり出しが必要ではなく、不安の解消だったり予定の時刻通りの消化が目的だったりしたので、明智くんも金田一さんも手段が目的より優先になるタイプの探偵ではないちゃんとした人だった、という事なのかもしれません。
それでも明智くんとは、謎は謎のままであった方がいい場合もある、という見解に関して決定的に決裂はしているのですが。
でも、とある謎を暴けば主人公の妹である弥生の心が致命的に傷つく、というあの案件に関してはそこまで主人公が強迫観念に駆られるほど致命的な謎であったかというと……ちょっと弱い気もするんですけどね。妹に対する過保護で心配しすぎ、と言ってしまうのは酷だろうか。
ちょっとこの件に関しては主人公、余裕なくし過ぎててフラットに見れないところもあるのですけれど。それでも、それだけ余裕を無くしていたにも関わらず、自分ひとりで背負い込みきれず、それでも背負い続けて潰れる、ではない最後の最後で魔女さん炎螺に頼ることが出来た、というのは主人公が縛られていた自縄自縛が解けた、と見ていいのだろう。
向こうが求めてくるまで無理押しせず、しかし優しく寄り添い続けて主人公が致命的に損なわれるのを防ぎ続けていた炎螺さんは、言動見た目エキセントリックというか派手というか魔女魔女しい人だけれど、基本的に包容力の人なんだよなあという印象を受けるのでした。
そんな魔女さんからお母さんと呼ばれる芥川さんの、あのあんまり出番ないのに出たら出たでやたら安心感を与えてくれる存在力は何なんでしょうね。ガチ母性? これぞ包容力?
ってか、あの人がお母さんならお父さん誰だよ問題。
個人的に金田一探偵が大人でマイルドな聡明さと渋さがあって、ああいう探偵カッコいいです。明智くん、あんなの目指しなさいよ。まあ主人公も青いと言えば青いので、明智くんとならどっこいどっこいなのかもしれませんが。
謎は謎のままで、真相は闇の中、真実は箱の中。それこそが神秘のはじまりで、この物語の趣旨でもあるのだけれど。
……いやうん、実際の所謎が本当に謎のままだったり、犯人にさっぱり言及がいかないのって、ぶっちゃけモヤっとするというか、スッキリしないというか、引っかかるというか、気になっちゃうんですけどね! 
気になるのよ?

董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 2 ★★★☆   



【董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 2】 伊崎 喬助/カンザリン ガガガ文庫

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相国を拝命し、いよいよ国外逃亡が難しくなってきた董白。

「こうなったら……リクルートです!」

生存戦略のため関羽を仲間に引き入れようとするも、これが“義侠”の逆鱗に触れてしまい……。
そんなとき、後に“虎威将軍”と呼ばれる青年が敵陣にいることを知る。

名は趙雲、字は子龍。

窮地に立つ董白は、彼のリクルーティングに一縷の望みを託すのだが――?

孫堅の襲来。伝国の玉璽。呂布と陳宮の暗躍。そして、長安遷都。

絶えず流れを変える歴史の渦のなか、幼き魔王が打つ一手とは?
打擲(ちょうちゃく)幼女の覇道ファンタジー、第2幕!
ただ自分のみを守るため、うまいこと逃げ出すためにあれこれと謀を巡らし、動き回っていた董白。最大の味方である馬超はロリコン百合で董白ちゃんに首ったけというのもあるのだけど、それ以前に董白は子供なんだから責任なんか負わず逃げていい、という考えの人なのでその意味でも全面的に味方だったのだけれど、逆に言うと本当の意味で味方だったのってその馬超だけだったんですよね。
だから、あれこれと画策しても自分本位の方向性にまつわる方策はどうにもうまくいかなかった。
ただ董白ちゃん、これで真面目なので相国任されちゃった以上は仕事放ったらかさずにちゃんとこなそうとしちゃうんですね。そうなると自分のことばかりやっていられなくなって、まさに国を動かす仕事を自分の手づから動かすことになる。そうなると、どうやったって漢という国そのものの事を考えちゃいだしてしまう。
さらに、親族の董一族の我欲全開の企みによって皇帝劉協に対面することになってしまった董白ちゃん。そこで出会ってしまったのは、自分と同じようにわけわからん立場を仕方なく押し付けられてしまった同世代の子供。しかも彼劉協はどこか諦観とともに傀儡たる皇帝を全うしようとしているときた。これをこう、蔑ろにしてしまえないのがまた董白ちゃんなんですよね。わりと自分本位の子だと思うんだけど、仲良くなってしまった人を無視できるような子でもないんですよね。
そうやって放り出せないものが増えてくると、身動きだって取れなくなってくる。一応真面目に仕事してる分、漢を牛耳る軍閥の長として敵対勢力はどんどんと悪名を宣伝するものだから、もう魔王董卓の娘、ではなく董白自身が魔王として悪名を轟かせ付け狙われることになってしまったわけだ。
こうなると、もう身ひとつで逃げ出すなんてこと危険すぎて出来なくなってしまう。それでも未練がましくウダウダとやっていたのですが、とある人の指摘、或いは忠告によって彼女開き直るんですね。
このまま相国として漢帝国と劉協護りながら、天下統一とか無理だけれどなんとか勢力として生き残ってやる、と。そのために、前世の経済人としての経験と知識フル回転させて、この旧世界に喧嘩売ってやる、と。自分の命と、自分が背負って手放せなくなったものを守るために、ついに董白ちゃん、命を大事にという自縄自縛から解き放たれ、その才覚を存分にふるい出すのである。

ここに来て、まだお神輿というか、偶然担ぎ出されて本人の意志とはあまり関係ない所で歴史の表舞台に立たされてた、という感じだった董白ちゃんが、自分自身の意志で列強の一角を担う群雄の一人として振る舞い出した、という意味でも戦記物らしくなってきた感があるんですよね。
馬超と今回仲間になってくれた趙雲という二枚看板に、李傕という辣腕の軍指揮官、郭椶箸いι隊長もついて一応董白軍としても格好付き出しましたし。軍師が、軍師が足りないけどいないけど。
そういえば、軍師格のキャラって今の所陳宮しか出ていないのかそういえば。有名所は未だ沈黙を名乗ってるけど、どれだけ登場予定があるんだろう。
前回驚かされた劉備のキャラだけれど、案の定桃薗三兄弟、仲間になるどころか最大の敵に。いや「劉備」の仁の在り方からして未だ可能性はあるかもしれないのだけれど、何しろ「関羽」の義侠がなあ。あれ完全にマイルール正義で自分が絶対の判断基準、人の話は聞きません、皇帝の言うことだって聞きません、ってやつで話にならないもんなあ。ただ関羽だけだと本当に融通聞かなくなるので、それで劉備とセットという組み合わせにしているのだろうけれど、ルールが厳密すぎて彼ら自身にもコントロール出来ていない、常に現場対応って感じだし。
しかし董白ちゃんが責任感じているように、蜀の五虎将軍、まだ未登場の黄忠を除いて見事に分断されてしまったのか。趙雲がなんとなく今まで見たこと無いタイプの下積み型なのがちょっと面白い。

しかしこの董白ちゃん、中身は元おっさんということでTS転生、性別が反転しての転生になっていて、おかげで男とのお付き合いは生理的にムリー、って本人は言ってますけれど……。
TSモノの醍醐味の一つとして、元男だけれど女に目覚める、というのがあると思うんですよね。そのまま心は男のまま、というのもあるんだろうけれど、段々と体に引っ張られて心も女になっていく、というのもまたあると思うんですよ。
董白ちゃんの場合、別に体に引っ張られているという様子はないのだけれど、別に普段の振る舞いとか男出てるわけじゃないし、中身の方もそんなおっさんくささもないんですよね。
それでも、恋愛とか生殖の相手として男はちょっと、とはコメントしてるんですけれど……君、劉協くんとわりといい雰囲気じゃね?
董白ちゃんはそんなつもりないんだろうけれど、皇帝という位ではなく劉協個人に接してくれる董白ちゃんに、劉協くんかなり心捕われてますよ?
それでも、皇帝として自分を律しようとしていた劉協の心に、踏み入ったのは貴女の方ですからね董白ちゃん。
前世から、ある一線を超えると自分を制御出来ずに相手の心をへし折る形の悪口雑言を撒き散らしてしまう悪癖がある董白ちゃん。この生でも、度々炸裂させていたその悪癖、まあ呂布や今回は孫堅といった名だたる怪物たちの心を一度とはいえ真っ白にするくらいの超攻撃的煽りをカマしていたわけですけれど……(孫堅の格好は挿絵見て、うん思った。確かにそう思った。董白ちゃん言ってくれて、スッキリした!)、董白ちゃんの言葉、攻撃だけじゃなかったんですね。
同じように自分の中の統制を離れて発せられてしまった言葉。でも、相手は「友達」である劉協であった時、絶体絶命のさなかにそれは確かに親愛と真摯さと誠実さで形作られた、心をへし折り傷つけるものではなく、その心に響かせ鷲掴むものでした。
あれ、完全に劉協くん落ちましたよ? あれ、完全に女の子ムーブでもありましたよ?
あれ、かなりいい雰囲気になってたと思うんですけど、うん。
いやうん、個人的にはですけれど董白ちゃんよ……劉協くんアリじゃね? 有りで、うん。
馬超は怒り狂うかもしれませんが、有りで。あの男の子、可愛いじゃん。さり気なく、後宮誘ってるし。ちょっと勇気も出してたよねw

長安脱出を成功させ、名実ともに一大勢力董白軍の棟梁となった董白ちゃん。反董白連合の魔の手からも、義侠の魔の手からも親族の魔の手からも逃れ、彼女なりにただ生き残り逃げ延びるのではなく、大切なものをまもりながらこの三国志の世界に経済圏を打ち立てて生き残りを図ろうと目論むわけだが、群雄は今なお割拠し、皇帝の身柄を手にしている董白ちゃんは色んな所から狙われること必定。未だ、あの「曹操」が姿を見せていないのも不安が募るんですよね。
董白ちゃんは、果たして生き残れるのか。なかなか一巻よりも見ごたえある展開になってきました。



サンタクロースを殺した。そして、キスをした。 ★★★★☆   



【サンタクロースを殺した。そして、キスをした。】 犬君 雀/つくぐ ガガガ文庫

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クリスマスを消すため僕は少女の恋人になる。

聖夜を間近に控え、街も浮き立つ12月初旬。
先輩にフラれた僕は、美しく輝く駅前のイルミネーションを眺め、どうしようもない苛立ちと悲しさに震えていた。
クリスマスなんて、なくなってしまえばいいのに……。
そんな僕の前に突如現れた、高校生らしい一人の少女。

「出来ますよ、クリスマスをなくすこと」

彼女の持つノートは、『望まない願いのみを叶える』ことが出来るらしい。
ノートの力で消すために、クリスマスを好きになる必要がある。だから――

「私と、疑似的な恋人になってください」

第14回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作品。
これは、僕と少女の奇妙な関係から始まる、恋を終わらせるための物語。


寂しいってなんだ? 人恋しいってなんだ?
心を絞め殺されるように、この物語の登場人物は、主人公や女子高生は寂しさや人恋しさに打ち震えている。水に沈められて、息ができず、溺れかかるように自分以外の誰かとの繋がりを求めている。
そんなに必死に、それがなければ死んでしまいそうなほどのたうち回って、心掻きむしる感情だったのか。寂しいってことは。人恋しいって思いは。
知らなかった。それが寂しいという事だというのなら、それが人恋しいという事なのだとしたら、自分はそれらを多分、本当は知らないまま生きてきた。
だからきっと、自分は彼らにはどうしたって共感を抱けないだろう。かと言って彼らが遠くに望んでいる幸せいっぱいな人たち、という存在もまた自分にとっても遠い存在だ。
どうにも、この世界において幸福と不幸は概ね人と人との関係の間に成立しているもののようだ。他者との関係の中に完結している。人と関わることが嫌いだろうと煩わしかろうと上手く出来なかろうと、しかし前提として当たり前としてまず人と関わり触れ合う事が人の在りようとして成立している世界だ。
概して他人に対する関心が薄いように思える自分のようなタイプの人間は、この世界の中には存在していない、或いは成立していない。ここにあるのは、価値観の断絶した自分にとって向こう側の世界だ。
でもそんな断絶した隔てられた向こう側に居ても、伝わってくるものがある。感じ入るものがある。それだけ訴えてくる強さ、いや必死さのある物語だ、これは。共感できなくても、美しいと……食い入るように見つめてしまうものがある作品だ。
小説というツールは凄い、とふと感激すらしてしまった。作者は、小説という形を持って、本来なら届かない伝えられないだろうほどに理解も価値観も隔てられた向こう側に、コチラ側に確かにわからないはずのナニカを、その片鱗だけかもしれないけれどあるがままそのままに、届かせてきた。
受け取ってしまった。

好きか嫌いかでいうと、多分自分はこの作品をあまり好きとは言えないのだろう。正直、好みじゃあない。
だが、今自分はかつてない程衝動にかられている。受け取ったものを、吐き出して刻んでおかないと、という切迫感に。
こうなると好き嫌いじゃないのだ。共感もできず理解も遠い、だからこそこの作品はきっと自分の中には何も残らず忘れて落ちて消えていく。
だからこそ、今のうちにこの感じた、届いた、なにかがあったという事実だけでも書き残しておかないと。

彼らは、主人公である大学生の青年やヒロインである女子高生の少女は、うまくいきることの出来ない人間だ。生きることそのものが下手くそだ、と言っていいかもしれない。泳げないくせに、水の中で生きていて、いつだって溺れていて、いつか力尽きて水面に顔を上げて息も吸えなくなって沈んでいくのを待っているかのような人間だ。
溺れる者は藁をも掴む、という言葉のように彼らは掴める藁たる誰かを求め続けている。人とうまく接することが出来ず、人と人との繋がりの中で自分を確立できず、いつだって辛い思いをしているのに、そうやって誰かを求めている。そうしないと、寂しくて生きていけないのだ。
掴んでいた藁である「先輩」から別れを告げられ、溺れて半分死んでいた状態から辛うじて死んでいない状態に戻れていた彼は、少女に出会った。
出会うべくして出会ったのか、それとも本当に奇跡の賜物だったのか。いずれにしても、それは運命でもあったのだろう。
上手く生きることの出来ない二人。でも、それはそれだけ真面目に「生きる」事に向き合っているからなんじゃないだろうか。適当に生きてたら、漠然と生きていたら、果たしてこんなに苦しいと思うだろうか。悲しく感じるだろうか。必死だからこそ、一生懸命だからこそ、本気だからこそ、それが上手く出来ないことに失望してしまう、絶望してしまう、ぽっかりと穴があいてしまうんじゃないだろうか。そうやって真面目に向き合ってしまうこともまた、生きることそのものが下手くそだという一要素なのかもしれない。
寂しい、苦しい、哀しい。惨めで歯がゆく、幸せが憎く、自分たちを苛む生き辛さを内側に押し込むことが出来ない。それを主人公と少女は二人で共有し、寄り添う事で耐え忍ぼうとしている。
一緒に寂しくなりましょう。そう言って、お互いにボロボロに欠けた部分を嵌めあわせて溺れないように繕おうとする。
不幸と不幸をかけ合わせて重ね合わせて、彼らは幸せになれたんだろうか。かつてあった幸せを、取り戻せたんだろうか。それは、凍えて遠ざかる意識の端でマッチの火に照らし出された幻だったのだろうか。
寂しいまま寂しくなくなる。悲しいまま笑うことが出来る。何もかもがどうしようもなく不幸なまま、幸福になる。相矛盾するそれらは、確かに彼らの間に在った、気がする。
そんな風に、描けるんだ。

これだけゆらゆらと不安定に揺れる精神のもとで、心の中身を剥き出しにしたように情動を吐き出して、描かれる物語なのに不思議とこの作品は理性的だ。視点は読者を置き去りにせず、むしろ苦しみもがく彼らを突き放したように淡々とそのもがきようを描写していく。感情のままに語られれ吐き出される言葉は、支離滅裂のようでどこか整理されていて平易にその奥底にある心情を伝えてきてくれる。
吐き出すがままに描かれた物語は本来もっと主観的で、勢いや感情の強さ激しさ痛切さで押し切ろうとするものが多い。しかし、本作はそういうものを本質的に忌避したのだろう。だからこそ、共感のない自分のようなものにまで届き得たのだ。小説として、この作品は整え切られている。読まれるものとして、見事なまでに理路整然と描かれている。このセンシティブで脆く儚い作品は、物語としての美しさ以上に、小説という枠組みとして美しい。

クラスメイトが使い魔になりまして 3 ★★★☆   



【クラスメイトが使い魔になりまして 3】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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言葉で言えないなら……直接行動で示して。

落ちこぼれの俺、芦屋想太には藤原千影という分不相応な使い魔がいる。
紆余曲折はあったが一応主従関係は継続中。
いや「一応」どころか、藤原は俺のことをはっきりと「好き」と言った。それが恋愛感情かはわからないけどなんて言い訳つきだが。
もはや俺も藤原のことを好きなんだろう。俺だってそれが恋愛感情かは分からないが……。
そんななか、俺の魔術の師匠・真紀美がやっかいな頼みごと(命令?)をしてきた。
「新魔術」使いの俺を手に入れたくて仕方ないらしい魔術結社「宵の明星」(今、一番危険な連中)をおびき出すために、俺と藤原で婚前旅行にでかけろと。
ふざけんな!婚前!?……そうか、俺と藤原、許嫁どうしだったんだよな(ため息)。おまけに藤原と犬猿の仲の生徒会長・三条茉莉花までなぜかくっついてきて最低。ただし「3人いっしょに温泉につかろうじゃないか!」の提案だけは、俺は一応、拒否しません。
そして案の定、肝心の囮作戦は激しくヤバい展開となり、藤原が「宵の明星」のヤツのとんでもない「謎の一撃」を食らってしまって――。
喧嘩ップル好きに贈る、「険悪時々デレ」主従ラブコメ第3弾!
これ、このまま終わったらすげえ結末になるなあ。いや、それならそれできっちりと苦い余韻を噛みしめるエンドの演出にしないと締まりが悪いから、続くになるんだろうけど。というか、8月に4巻発売予定になってますね。何気にバッドエンドでもそれならそれで、と思っちゃう所もあったんですよね、なんでだろう。

ともあれ、前回で千影は勇気出して本音ぶつけて、想太の本音をぶつけられてある程度開き直れたし、彼が自分に抱いていた不信感の正体、想太自身は記憶なく断絶している過去の想太にばかり傾倒して、今の自分はどうでもいいんじゃないか、という思いも認識したことで、自分を省みることも出来たのだと思う。
その結果が、このデレデレっぷりだ。二人きりになると、途端心を許して甘えてくる。そうやって素直にデレられたら想太だって満更じゃない。元々、過去の自分に嫉妬めいた想いを抱いてしまうくらいには千影のこと、意識してしまっていたのだから。
というわけで、最初の頃のガチでギスギスしていがみ合っていたのが嘘のように、甘い雰囲気に浸る二人である。これがまだ人前だとツンツンして見せているあたり、なんか古典的なツンデレだなあ千影さん。逆にあんまり見ないぞ、人前ではツンツンだけど二人きりだとデレデレっていうツンデレは。
このまま何事もなく時間が進めば、穏やかに二人は結ばれたのだろう。しかし、そうは問屋がおろさない。
神様はダイスを振らない。そのやり口はハメ殺しである。相手に選択肢を与えず、しかし自分が考え決めたと思わせて望む形に誘導するのは謀略の極みであるが、ルールと勝利条件の設定から神様の側から決定してるんだから、それはズルいよなあ。それ以上に、やり方が陰湿である。
それでも、子供の想太は勝てると思ったからこそ、勝負に乗ったわけだけれど……うん、子供想太が青年の想太と対面したらドン引きして嫌悪感丸出ししているように、君って大人になったらこんな人間になっちゃうんだよ? こいつに勝負を預けてしまったのは、幾らそれが自分だったからといって見込み違いだったんじゃないだろうか。
期待通り、彼が想太である以上、千影にはちゃんと惚れたんですよね。惚れたくせに、やたら迂遠に立ち回ったり、敷かれたレールの上を通って用意されたゴールテープを切るのは嫌だ、と婚約までした千影との関係を決定づけるのを嫌がってウダウダやっていたのもなあ。
まあ、強制を本能的に嫌がる、というのは彼がそれまでしてきた経験と現在進行系で行われていた勝負の無理やり感からしても、間違った反応じゃなかったんでしょうけどね。ただ、惚れた好きになったという感情に対してもっと率直になっても良かったんじゃ、と思ってしまう。
でもなあ、こいつがソフィアにやらかした所業を思い返すと本質的にクズっぽくてなあ……。
どうしようもない人間というと、千影もわりとそっち側だったりするんですよねえ。そもそも元凶がこの女である。茉莉花に指摘された、力を求めてすべてを失ったくせにまた同じことを繰り返してる!というのは尤もな話で、いやほんとに性懲りもなく同じことやってますよね、貴女!?
欲しがるばかりで、与えることをあまりしないというのか。想太に近づくものは片っ端から吠え立てて噛み付いて、想太にも嫉妬してみせ自分を選ばせようと押し付けていく。かなり面倒くさい性格なのは間違いなく、狂犬めいていると言われても仕方ない。
じゃあ茉莉花は、というと神様に心理誘導されてたとはいえ、千影を陥れようと細工までして殺人未遂に近いことまでやってたわけですし、その後もかなりエグいストーカー気質を垣間見せてくるわけで……。
おいおい、改めて見るとろくなヤツいないなあ。暴君な師匠真紀美が真人間に見えてくる。藤原家も三条家も、派閥の上の方の連中は権力争いに汲々としてどれだけやばい事態になっても足の引っ張りあいと罵り合いばかり。大人としての責任感なんて、まったく見せてくれないと来た。
やっぱり、やることちゃんとやって子供たちの面倒も見ようとしてくれる真紀美師匠、真人間だ。まあ、子供らをテロ組織の囮にしようとする人ですけど。ちゃんと本人の了承を取ろうとして、勝手に知らせず囮にするなんて真似をしないだけでも良心的じゃないですか。イエスかハイしか返答は許してくれないにしても。
もう、癒やしは旭さんだけである。しかし、癒やしである以上出番はないに等しいのでもある。

ともあれ、ソフィアの復活というか再臨も含めて、すべては神様の手のひらの上。神様自身が誰かになって近くにいる、という情報が出た時点で、まあ正体はすぐに察しがついたのですが。
いやだって、明らかに立場がおかしく、それ以上にゲスさがこびりついてましたからねえ。
さあ、ここから果たしてどうやって決まってしまった結末をひっくり返せるのか。……普通に愛想尽かして別れました、という展開はないんだろうか。あれ、まともな精神で付き合うのかなりキツイですよ?


友人キャラは大変ですか? 9 ★★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 9】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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人外でも友人キャラになれますか?

おかんとウチの居候たちがニアミスし、我が家に最大級の悲報がもたらされた。
すなわち、ウチのおかん、小林さつきは“奈落の八傑”の一人であり。
その息子である俺、小林一郎も人外の血を引いていたのだ。
しかも芋づる式に、親父まで人ならざる『鬼』の血族であることが発覚し……!?
「というワケで一郎、あんたは鬼なの」「うぐっ!」
「しかも母親は使徒なの」「むぐっ!」
「ぶっちゃけ人間じゃないの」「おふぅっ!」
もう勘弁してぇ! 鬼はあんたや!(泣)

友人キャラが一気に遠のく、最強助演ラブコメ第9弾!


あかん、この世界ってば徹底的に一郎が友人キャラたるを絶対許さないマンだ。友人キャラという存在が持っていてはいけない属性や設定をてんこ盛りこれでもかと押し込んで来やがりますよ。
そう本来モブで物語の端っこでちょっとだけ主人公に情報を提供したり、日常パートで賑やかしをするだけの友人キャラは、普通の何の裏設定もない一般人でなくてはならず、勿論彼らはただの人間であってややこしい背景なんかあるはずがないのだ。
実は人間じゃなくて人外だったり、それどころか敵勢力の幹部の一人が母親だったり、なんていうのは論外で、それどころか父親まで人間じゃなく鬼という種族だったりして。
一ミリ足りとも人間の血入ってないじゃん! 完膚なきまでに人間要素ゼロカロリーじゃないかー!
オマケに出自に敵勢力の関係者という要素まで混じって、挙げ句にお母ちゃん紆余曲折あって人間融和派として魔神勢力から離脱したという曰く付きの家柄である。
思いっきり、主人公なバックグラウンドぉ!!
まあとっくに魔神四凶全員仲間に引っ張り込んで、一郎自身が融和派の首魁になってるんですけどね。
これまですでに実績でどうあらがっても友人キャラポジでは居られない活躍をしてしまってた一郎くんだけど、本人の成果だけでなく生来から友人キャラは許さん、という設定が放り込まれてきて、これもう全包囲殲滅戦の様相を呈してきた。欠片も友人キャラ要素を残さない、という根絶やしの気概すら感じる勢いである。
トドメに、ラスボスとして暗躍中のアギトくんまで実は一郎と深い関係があって、という龍牙じゃなくてラスボスと決着つけるべき因縁があるのは一郎くんの方ですよー、というお膳立てまで用意され。
また過去からは、かつて主人公キャラとして担ぎ上げた旧友からは、モブな友人キャラとしてはあるまじき憧憬を受け、人生の目標にされ、一郎みたいになりたいとまで望まれる始末。
さて、そろそろ一郎くんも年貢の納め時かしら。トドメもトドメ、ラストの展開はまさに一郎くんに主人公になれ、と告げるようなものでしたし。いやもう今までもずっと図らずも主人公キャラ同然に働いてきたわけですけれど、自覚的に主人公したことだけは決してなかったわけですからね。

しかし、今回はどんどんと畳み掛けるようにソロモンの悪魔たちが襲いかかって……は、あんまり直接襲ってくる事はなくて、むしろ遭遇戦、ばったり行き会ってというパターンが多かったような気もするけれど、極早のテンポで次々に対戦カードが繰り広げられたわけですけれど、凄いのはこれ十把一絡げには全然なってなかったところなんですよね。一戦一戦は決して長くはなく短くスパッと片付いているんですけれど、でも短いなりにやたら濃い内容で在庫整理みたいな片付け方じゃ全然ないんですよ。
これは以前、新聞に連載していた分を纏めた短編集ならぬ掌編集だった「オフコース」の経験が生きたんでしょうか。小刻みにキレッキレのネタをどんどんと投入してくるものだから、もうひっきりなしに笑いっぱなしで、楽しいのなんの。いや、今回はいつもにも増してテンポもキレキレで、メチャクチャ面白かったですよ。テッちゃんことトウテツを身代わりに母サツキに生贄に差し出したシーンはほんと、爆笑してしまった。あれはホントひでえよ。
おかんと蝿の爺ちゃんの使徒二人が、内通者のバエルの所に援軍として行って、あっちサイドの敵として龍牙たちと戦う場面とか、ソロモン軍そっちのけで一体何と戦ってるんだw なシッチャカメッチャカな事になってて、あれも色んな意味で酷かった、笑った笑った。
今回一冊でまた結構な数のソロモンの悪魔たちを倒すことになったのだけれど、一人一人やたらキャラ濃くて、いや一発ネタなやつらも多かったのだけど、考えてみると魔神の使徒たちもみんな一発キャラなくせに引き続き準レギュラー格として毎回チラホラと顔見せしてるんですよね。お見合い編での雑な再登場はやっぱり酷かったw

またラブコメとしても今回結構踏み込んでいて、怜先輩のおぱーいガチ揉みも、これまで慕ってくるヒロイン衆に対して友人キャラとしては深入りしてはならぬー、という心情からあまり踏み込まなかった一郎くんからしたら、完全に一線超えちゃってるムーブだったんじゃないでしょうか。
そして名実ともに魅怨が正妻ポジに。おかんのサツキ公認になったというのもあるんですけど、一郎くん全然嫌がってないし、それどころか膝枕して耳掃除しながらの会話なんぞ完全に結婚するの前提のお話で、もう一郎くん当人が受け入れちゃってるんですよねえ。
ちょっと貫禄が他の娘さんたちとは違いますわ。別格ですわ。二人の雰囲気、もうこれ以降完全に夫婦になってる感ありましたからねえ。

今回はコントンのオッサンとテッちゃんが大いに株あげていて、おっちゃんってロリコンという点を除くと常識人だしホント色々と頼りになるんだよなあ。一発ネタキャラが沢山居すぎるものだから、余計にコントンの安定感が頼もしい。テッちゃんも普段ふらふらと遊び歩いているけれど、デュエル王編で見せたあの子供たちへの配慮は行き届いていて、子供らのカリスマになってるのも納得のかっこよさなんだよなあ。子供らに呼び捨てにされてるんだけどw

長年の懸念材料だったシズマの母であるレイダの救出もようやく手が付き、あらかたの問題に目処がついたところでラストの急展開。いよいよ、この毎回お祭り騒ぎなシリーズもクライマックスかー。
どのように一郎くんの友人キャラとしてのこだわり、生き方に決着をつけるのか、色んな意味で楽しみな次回である。

今回、ブックウォーカーでは書き下ろしのショートストーリーが購入特典でついてたんだけど……、いやこれ他の作品の購入特典のショートストーリーと違って分量が、分量が凄くない?
短編通り越して中編くらいあるよ!?
前巻の特典小説も結構分量あった気がするけど、今回さらに多くない?
内容は、一郎くんが魔界に居残りになっている最中に怒涛の勢いで消化されていた、ヒロイン衆と三姫たちが仲良くなってたイベント、その中でも魅怨と龍牙がやたら親友みたいな距離感になってたその内訳となるエピソードだったのですが……。
魅怨がチョロすぎるw いや、この場合龍牙が懐っこすぎるのが悪い気もするのですけど。同世代で女の子として何も隠さず付き合える相手って龍牙、居なかったんですよね。そのどストライクをついてしまったようで、やたらキャピキャピしてる龍牙さんw
わりと龍牙のテンションが一郎と二人きりのときと変わらないくらいで、君って魅怨の事めっちゃ好きですよね!?
さらっと、三姫がトリオを組んだ過去の回想なんかも挟まれつつ、いつの間にかミオとあだ名で呼ばれるまでの仲になるまでの濃い内容の中編でした。魅怨てば、一郎相手じゃなくても龍牙相手でも正妻ポジになってませんかこれ!?

シリーズ感想

結婚が前提のラブコメ ★★★   



【結婚が前提のラブコメ】 栗ノ原 草介/吉田ばな  ガガガ文庫

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“結婚できない人を結婚させる仲人”、白城縁太郎は今日も婚活女子のサポートに奔走している。言動がアレなエロ漫画家、牡丹(25♀)。ひたすら玉の輿を狙う元令嬢、カレン(年齢非公表♀)。究極のダメンズほいほい保育士、まひる(30♀)。そして、とある婚活パーティで出会った結衣(26♀)は、なにやらワケありの様子で…?結婚するには難アリな彼女たちと過ごす、第二の青春。そこには、笑いと涙、葛藤と希望が満ちていて―。ぜったい結婚したい系婚活ラブコメ、ここに開宴!

結婚相談所ってこんなんなの!?
婚活ってやったことないですし、結婚相談所というものがどういう活動をしているのか本当に全くと言っていいほど知らないので、実際の事情とか実態はわからないのでこの縁太郎が母親から引き継いだ個人経営の結婚相談所のスタイルがどれほど現実の結婚相談所を踏襲しているのかは定かではないのですが、少なくとも彼の相談所のやり方には呆気に取られてしまいました。
いやこれ、お金をもらってサービスを提供する顧客との関係としては馴れ馴れしすぎるんじゃないだろうか。登録した会員である女性たちとは下の名前で呼び合うわ、婚活関係なしに会員たちは事務所に入り浸って遊びに来たりご飯食べに来たりと、仕事上の付き合いではなくプライベートでの付き合いなんですよね、これ。
それだけ近しい間柄になり、会員の為人を把握して仲人として相応しい相手を見繕うため、と言えばそれらしいですけど、あまりにも顧客との距離感が「公」ではなく「私」によりすぎていてずっと違和感がまとわりついている感じだったんですよね。
結婚相手を探している女性に対して、仲人が一番近しく親密な異性となり最大の理解者となり、というのは正直どうなんだろう。紹介された男性だって、その女性が仲人とやたらと仲良くしてたり以心伝心でコンタクトしてたりしたら、なにこれとか思っちゃわないのかな。
なんやかんやと夜中にお酒が入った結衣の部屋に上がり込んでしまうわ、不可抗力とは言え部屋に泊まってしまうとか、彼の仕事の内容を考えたらあまりにも甘い考えで行動していて、不誠実であるように見えるのです。こんな仕事の仕方をしている人はちょっと信用しがたいなあ。
本人はいたく真面目で真剣な姿勢で会員にも向き合っているだけに、彼個人の人格の誠実さと仕事のやり方の締りのなさがどうにもチグハグ、というのも違和感の根拠の一つなのだと思います。

またヒロインである結衣をはじめとした会員たちが、どうして結婚したいのか。その結婚願望の理由についてはそれぞれ語られてはいるのですけれど、何というかよくある話の類ばかりでキャラを掘り下げて掘り下げてその奥底から覗けてくる剥き出しのナニカ、という迫真性のある理由は特に見当たらないんですよね。結婚したいという願望にそこまで根源的な理由など必要ない、というのならまあそうなのかもしれませんけど。
メインとなる結衣もまた、親の敷いたレールの上から逸脱したい、自分の心の奥底から湧き上がる願望に従いたい、自分の気持ちを見つけたい、という話は彼女が元々登録していた大手結婚相談所からの強引な引き抜き話に絡んで、彼女自身気がついていなかった本音という形で引き出されてくるのですけれど……うん、まだそこに熱量が、結婚というものへの強い渇望みたいなものが感じられたかというと。表層だけ、なんですよねえ。
ラブコメというほど、ラブなコメディもしていませんでしたし、というか仕事上のそれとは思えないやたら個人的な関係を築いておきながら、結衣と縁太郎の間にそれほど恋愛の絡んだ強い感情の交錯はなかったりするんですよね。結衣は自分にまとわりつく柵に苦しみ、縁太郎は本人の望まない婚活なんぞさせたくない、というあたりに終止していて、二人が向かいあってお互いに対して感情をぶつけ合う、相手に対する感情を強く発する、という所がまだ見当たらないので、コメディしていない以前にラブもしていなかった気がする。
ちょっとこのままだと唆られるものはないかなあ。

塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い ★★★☆   



【塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い】 猿渡 かざみ/Aちき ガガガ文庫

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胸焼け必至!両片想い男女の甘々ラブコメ!

「佐藤さんは高嶺の花で誰に対しても塩対応。でも、意外と隙だらけだって俺だけが知ってる。写真を撮るのが下手。そのくせドヤ顔しがち。そして、へにゃっと笑う顔がすごく可愛い」
「押尾君は誰に対しても優しい。でも、意外といじわるなところもあるって私だけが知ってる。SNSを使うのが上手。オシャレなカフェの店員さん。そして、悪戯っぽく笑う顔にすごくドキドキする」

――これは内緒だけど、俺(私)はそんな彼女(彼)のことが好きだ。

初々しくて、もどかしい二人の初恋の物語。
尊さ&糖度120%! 両片思いな甘々青春ラブコメ!
爽やか性格イケメンかよ! 押尾くんが涼やかで人の気持ちを察する気遣い上手な男の子でカッコいいのなんの。なんか、性格捻れてる男子が主人公の青春モノで比較対象的に登場する完璧超人男子みたいである。嫉妬するのも馬鹿らしくなるほどイイやつで人間的にも大きい上で等身大の高校生だったりする弱い部分もあって、というキャラを最近見かけるけど、それをもろに主人公にしたみたいな子だなあ、押尾くん。
こいつ、絶対モテるだろう。
実際、佐藤こはるの従姉妹である凜香、男嫌いな潔癖中学生に一発で初恋させてしまうわけですし。親友に手伝ってもらって身嗜みとファッション整えた時の爽やかな格好良さなんか見ると、少なくとも大学生とか社会人になったらもっとモテるぞ、この子。
ともあれ、今の押尾くんはこはるさんに夢中。仲良くなるきっかけはインスタ用の写真撮影を手助けしたことからだけれど、実際はお互いにもっと前に面識があってその時から密かに想いを寄せていた両片思い状態だったんですね。
いや、てっきりタイトルを見て、性格悪い他人を見下す悪役令嬢みたいなヒロインが主人公だけ特別扱いして接してくる、という難儀な話を想像してしまっていました。普通に考えたらそんな話なわけないよな、どんだけ最悪なヒロインなんだw でも、それで面白くラブコメに仕立て上げられるならそれはそれで凄い気もするし読みたくもあるのだけれど。
ともあれ、本作はそういうアカン系女子がヒロインなのではなく、こはるさんはただコミュ力皆無で話しかけられても塩対応しかできない娘、というだけで打ち解けて緊張せずに済むようになったら途端に無防備になってしまうんですね。心許してくれたらくれたで接し方が下手くそすぎる気もしますけれど、性格はとても素直で純真なので面倒くさい事は一切ないので関係自体はトントン拍子で進んでいく。
押尾くんが、グイグイ行くような肉食系ではないものの、自分の好意を押し殺さず積極的に仲良くなろう、距離を縮めようとひたむきに努力するタイプ、というのも大きいでしょう。唯一、相手の好意だけは察することのできない鈍感男子、というのは玉に瑕ですけれど、距離の詰め方もひたむきで清潔なんですよねえ。
ただの爽やか男子かと思えば、こはるさんが理不尽な目にあっていると思えば、彼女の父親を呼び出して真っ向から啖呵を切るような熱さも見せてくれるわけで。
優良物件すぎるw
お互い恋愛初心者だし、こはるさんに至ってはコミュニケーション能力が下手くそすぎて、押尾くんですら振り回されてることしばしば。でも、これだけ睦まじくお互いを想い合っててそれが成就したとなれば、もうこれ以降なんの問題もないんじゃないだろうか。
……あれ? これもうここでハッピーエンドで済んじゃうんでは。続きでたら、とにかくダダ甘なカップルの様子が描かれるしかないよなあ。変に拗れてトラブルになるのもなあ。


董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ ★★★☆   



【董白伝~魔王令嬢から始める三国志~】  伊崎 喬助/カンザリン ガガガ文庫

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心を病んだ元商社マン、城川ささね。中華街で意識を失った彼は、目覚めると幼女になっていた。三国志に悪名を轟かせる、“魔王”董卓の孫娘に。
「って、死ぬだろふざけんな!!!」
このままでは董卓ともども処刑されてしまう。転生って、もっとチーレム無双なんじゃないの?ささねは元商社マンの経験と三国志オタクの知識を使って、生存戦略を図るが―?呂布、曹操、劉備、馬超…。煌めく英傑たちとの出会いが、中原に幼き魔王を誕生せしめる。魔王令嬢が「史」を刻む覇道ファンタジー、堂々開幕!!

董白!? 董白ですかー。色々と三国志系の創作は読んだけれど、董白がメイン級で登場する作品ははじめてみた。何しろ、政局戦局に関わる所にいる娘じゃないですからね。
転生先としては相当にブラックである。ほとんど自力でどうこう出来る地位にないくせに、破滅確定な董卓の孫娘ということで将来は見事に真っ暗なわけですし。これで歴史を変えるのだー、とか言われてもどうせいっちゅうねん。
暴君の代名詞とも言える董卓ですけれど、最近は再評価される向きもあり田舎者だけどわりとマトモな武将である董卓をよく目にしていただけに、ここまで敢然と残虐非道の暴君やってる董卓見るのは久しぶりで、逆になんか新鮮ですらあった。
その悪逆っぷりは凄まじいもので、これは董白じゃなくてもこれだけ恨みや憎悪を身分の上下を問わずに買っていたら、早晩殺されるだろうと想像がつくくらいの酷さでありました。或いは、董卓も自分が殺されるという自覚があっての恐怖ゆえに、過剰なくらいに残虐な行為に夢中になっていたのかもしれませんが。
董白に煽られた時の反応からしても、既に正気を失っていた節もありますし。
いやしかし、董白の煽りスキルは凄まじいですな。口が悪い、という特徴のキャラは珍しくないですけど、あそこまで的確に相手の神経逆撫でする文言を吐けるのはいっそ才能と言えるくらいなんじゃなかろうか。前世ではそれで人生棒に振ったらしいですけど、そりゃ当然でしょう、面と向かってあんな事ばっかり言ってたら敵を作るどころじゃないですよ。しかも、自分で制御できずについつい出てしまうと来た。使うべきときに自分の意志で吐けるのならまだ使いようもあるでしょうけれど、追い詰められて精神的にいっぱいいっぱいになると反射的に口撃に出てしまう、って現代だと自分で致命傷引っ被るようなシチュエーションしか思い浮かばないんですが。
これ、どう生きても結局誰かに刺されて死んでたんじゃないだろうか。
かと言って、生き死にの軽さが現代の非ではない三国時代となったら、もっと簡単にぶち殺されそうなのですけど、董白の身分とその口撃の対象になった人物が董卓にしても呂布にしても、恐怖される対象であって遠慮なくキッツい言葉を浴びせられる事に慣れていなかったせいか、怒りや憎しみに煽られながらも無力な小娘のくせに恐れなく悪口雑言を浴びせてくる董白という存在に当惑してしまい、その場で手を出される事を避けられた、という経緯なんですよね……これ、偶々じゃね?
董卓のみならず、呂布の方もまたこれ怖いキャラになってるんですよね。軽薄極まるチャラ男なのですけど、その武勇はまさに人中の呂布であり一騎当千の化け物であるから腕尽くでどんな相手でもぶち殺せるという自信が漲っていて、地位にも権威にも何らの価値を見出していない。常識も倫理も備えていなくて、だから何をしでかすかわからない底知れなさがその軽薄な顔の裏におどろおどろしく揺蕩ってるのである。これがホント怖い。こんな男に真正面から罵倒するとか、董白ちゃん頭おかしいと思われても仕方ないよ?
ちなみに、呂布はロリっ子に罵倒されて喜ぶたぐいの性癖の持ち主ではありませんので悪しからず。
ほかにめっちゃ喜ぶ人が居たんですけどね。李傕って言うんですけど、その人、ってかその武将。史実でも一時期呂布を破り、董卓軍の後継を担ったようにその軍事手腕は侮れないものを持つ将帥なのですけど、ぶっちゃけただの変態です。
ただ、彼が董白ちゃんの後ろ盾になってくれたお陰で、彼女は命脈を保つことが出来たわけですから彼の存在は何気にめちゃくちゃ大きいんだよなあ。
あれほど魔王、暴君として凄まじい存在感を見せつけていた董卓を、史実よりも早く排除してしまう展開はさすがに予想外でありました。孫娘として可愛がりながら、幼くも色々と小賢しく動き回って生存ルートを確保しようとしている董白ちゃんの才能を、自分のために利用し尽くしてやろう、などと目論んでいただけに、どうやって董卓の魔の手から逃れるか、という所が最初の難関だと思っていただけに。まさか最大の重石が速攻で取れてしまうとは。
ただそれは、同時に最大の庇護者が突然消え失せてしまって、董氏への恨みつらみだけが残った状態で放り出されてしまった、という意味でもあり。いやそれでも、董白ちゃんが董卓軍の全権を引き継ぐ、というのは無理筋でしょう! 親戚筋、みんな継ぐの嫌がって董白ちゃんに押し付けた、ってなってるけど。董卓の息子についてはろくに史料も残ってないみたいだけど、弟の董旻なんかかなり野心家的な動きを、董卓の洛陽入城前後に見せているだけに、大人しくすっこんでるタマでもなさそうなのですが、本作ではほぼほぼ居なくてもいいよ、的に逃げちゃいましたね。
ってか、頭領継がなくても負けたら族滅必至なんだから、もうちょっと頑張れよw

ともあれ、偶々知り合い意気投合、というかロリコン百合だった模様な馬超を護衛役に、軍の統率は李傕を後ろ盾に、となんとか軍を統制し、呂布に裏切られて早速乗り出してきた反董卓連合と渡り合うことに。ここで、董卓自身ではなく董白という小娘という立場が危機とチャンスを両取りすることになるんですね。
三国志の主人公とも言える劉備も終盤で登場してくるのですが……これまた、なんというかびっくりするような設定できたなあ。これはこれで、呂布とは違うベクトルで怖いキャラになってるぞ、劉備さん。
ただでさえやべえ呂布に、いい具合に頭オカシくなってる軍師陳宮が合流してしまったせいで危険度増しまくってる呂布軍が完全に敵に回っている状態で、桃園ブラザーズが味方になってくれそうな可能性がありそう、というのは或いは希望なのかしら。劉備さんの方もあれはあれで、マシィィンて感じで独自の理屈で動いているっぽいのがまた怖いのだけど。

伊崎喬助作品感想

クラスメイトが使い魔になりまして 2 ★★★☆   



【クラスメイトが使い魔になりまして 2】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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スキなんて嘘――キライも、たぶん嘘。

落ちこぼれの俺、芦屋想太には藤原千影という分不相応な使い魔がいる。紆余曲折はあったが一応主従関係は継続中。そんななか、藤原本家に呼び出された俺は、売り言葉に買い言葉で千影との婚約を認めることに。おまけに俺たちが婚前交渉しないか、監視役まで付くときた。いや、全裸で懇願されたってしねーよ……一方で、『新魔術』を狙う連中に対抗するため、俺は師匠に特訓を申し込む。
だけどまずは千影と信頼関係を結べ?
なんでこのゴリラ女と、ってうそ暴力はやめ――ごふっ。
喧嘩ップル好きに贈る、険悪主従ラブコメ第2弾!

前回まではソフィアという強烈な魔神が千影に憑依していたが故にその存在感に振り回されて落ち着く暇がなかったのだが、改めて改まって想太と千影、向き合うとなるとここまですれ違っていたのか。
二人とも頑なで意固地なくせに繊細すぎる。
この二人で居てもどうにも落ち着かない空気感って、千影の方じゃなくて想太が原因だったのでしょう。本気で千景に対して心を許していなかったんですよね、これ。彼女に対してだけ他の女性と比べても態度が辛辣でキツイ、というのは決して千影の思い込みではなかったように思う。いや、藤原分家の麗のアプローチに対しても完全拒絶してたけど、あれは藤原家という強圧的な存在そのものへの拒否感みたいなものであったのに対して、千影に対しては彼女本人に思う所あってきつく当たっていた、という感じでしたし。
紐解いて見ると、彼の千影への不信感もわからなくはないんですよ。前回で初めて知った、自分の記憶の封印。それ以前の想太と今の想太は完全に断絶していて、今の想太からすると別人、他人の話にしか思えない。しかし千影が傾倒しているのはその自分の知らない他人の想太なのである。これを果たして面白くない、と思っていたのかどうか。そこまで行くと嫉妬まじり、になるのだけれどそこまで行っているのかどうかはちと微妙に感じられるわけですが、それでも今の自分の方を一顧だにせず自分を消して過去の想太を取り戻そうとしている千影にある種の不信感を抱くのもシチュエーションとしてはわからなくもないんですよね。だからといって、ああいう態度をとってしまうのは意固地もいい所だと思うのですが。
一方の千影は、実のところ今の想太に対しても決してちゃんと見ていないわけではなくて、今の想太と過ごしてきた最近の時間に対しても素直に楽しかったと思うこともあったし、今の想太を気にしている部分もあったわけですけれど、肝心の彼がどんどん自分に対してだけ突き放したような冷たい態度をとってくるわけで、彼女も頑なな性格ですからやっぱり前の優しかった想太が良かった、とどんどん前の想太の方に傾倒していってしまうのも無理からぬこと。
そりゃ、信頼関係なんか結べませんよね、こんな状態じゃ。
お互いに素直になれない、なんて表層のすれ違いではなく、わりと深刻な悪循環だったわけです。ラブコメってる状態じゃないよな、これ。
おまけに、千影の実家の藤原本家への印象は最悪も良い所だし。夢では過去の記憶封印前の幼い頃の自分なんていうどう見ても別人な子が出てきてしまって、余計に過去と今との自身の断絶を実感してしまう、という状況ですし。
そんな今の状態を二人とも自覚さえ出来ていれば解決の緒はあったのかもしれませんけれど、二人ともまるで自覚がなかった。それどころか、信頼関係が結べていないという事実ですら認識していなかったのですから、お師匠の言う通り話にならない段階だったんだなあ。

あの師匠の試練によってようやく二人が現場を認識した上で、本音を突きつけあえたわけですけれど、今回は千影の方が勇気出してて想太の方はずっと受け身で燻っていた気がするなあ。本音ぶつけ合えたのも千影がちゃんと自分の有様に気づいて、踏み込んできたからだし。なので千影えらい。
それでも、ようやくマイナスが解消されてスタート地点じゃないの?という段階に思えるわけだけれど、千影からすると今までずっとスカスカだった手応えがちゃんとした感触として戻ってくるようになったわけだから、大きな進展になるのかな。
しかし、今回は二人の関係をスタート地点に戻すという一歩下がって一歩半進むみたいな話に終始していて、結局前回のソフィア憑依に至った工作の黒幕の話も殆ど進展しなかったんだよなあ。あのまつろわぬ者たちの背後で誰かが動いているというのが明らかになったくらいで。
それどころじゃないくらい、ソフィア再び、のインパクトが大きかったわけですし。あそこまで激烈に酷い振り方をしてヤリ捨てたみたいな形になったソフィアさんですよ。戻ってきたら八つ裂き上等じゃないですか、想太は覚悟したらいいと思うよ。
麗の方もなんか中途半端というか、彼女のポディションが良くわからん。どういう立ち位置を意識しているのだ、この娘。

1巻感想

友人キャラは大変ですか? 8 ★★★★  



【友人キャラは大変ですか? 8】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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最後の【四凶】キュウキを討ち果たし、ついに名実ともに「歴代最高の主人公」になった火乃森龍牙。

俺こと小林一郎が友人キャラを務めるこの異能バトルストーリーも、いよいよグランドフィナーレか……なんて感慨深く思っていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。

キュウキの器・天涼院阿義斗が、謎の軍勢を率いて異界へと攻め込んできたのだ!
【ソロモンの後継者】などというよく分からない設定をひっさげて。

なにより問題なのは、四神ヒロインズのひとり、黒亀さんがなぜか敵将のひとりとなっていることだ。元気で陽気な拳法少女は、裏切りなんて言葉からは一番遠そうなのだが……。

なんだかなし崩し的に新章がはじまっちまったが、俺の役割りは変わらねぇ。
主人公・龍牙を友人として支えるだけだ!

――最強助演ラブコメ、新展開の第8弾!
亀さん亀さん黒亀さん、表紙まで飾っているのに今までと遜色ないくらい……出番ないじゃないですかー! これまで能天気で何も考えていないアーパーにしか見えなかった黒亀里菜という少女が誰にも、幼馴染のリュウガにも語ることが出来ずにずっと抱え込み、そして仲間を裏切りソロモンの使徒とならざるを得なかった深遠なる事情が明らかになって、里菜をメインにした物語がはじまるのだ、と思っていた頃の純粋な私に謝って!
いやまじでこいつ、何も考えてないじゃん! なんの事情も背景もないじゃん! ただ名字に黒がついてたから巻き込まれで操られてるだけじゃん! このカメはーっ。そして何気に宮本千鶴さんの方が出番も活躍もある、という始末。
しかし、ソロモンの72柱の悪魔たちって全員名字に黒がついてるみたいなんだけど、72種類も黒がつく名前あるの!? というかなんで白望義塾という学校にはそんな黒がついてる名前の人ばっかり集まってたの!?
そして全員の名前考えるのめんどい、とばかりに雑に片付けられていくソロモンの悪魔憑きたち。ほんとに第二期スタートのはずなのに、新たな敵勢力が雑魚すぎる件についてw
前シーズンの敵だった奈落の使徒たちにまるで太刀打ち出来てないし。ってか奈落の使徒たちってこうしてみるとちゃんと強いのね。あっちもこれまで結構雑にやっつけていたフシがあったのだけれどちゃんとやると強いのねー。そしていつの間にか奈落の使徒たちを率いてソロモンの悪魔たちをぶちのめしている雪宮さん。なんかナチュラルに我が軍とか言ってるぞこの娘。異界の城の玉座にナチュラルに座ってふんぞり返ってるぞこの娘。その身にトッコこと魔神トウコツを宿しているので資格はある、と言えばあるんだろうけどノリノリなの雪宮さん自身でトッコ全然表出てきてないじゃんw
まあ異界の奈落の使徒たちの城が攻められたと聞いた時に、激高してテンションあげあげで異界に戻っていった奈落の使徒たちと全く同じテンションで異界に乗り込んでいく蒼ヶ崎、雪宮、エルミーラの四神のお三方がおかしいんですけどね。あんたら直接関係ないのに、なんで奈落の使徒たちと一緒になって突撃していくんですかw

まあお陰で、というのもなんですがわりと久々に現世側では一郎と龍牙が二人きりに。と思ったらまさかのキュウキ復活、ってかこいつまで一郎くんの中の人になっちゃうんですか!? あれだけがっつり敵役悪役ムーブカマして派手に散った、という状況だったのでさすがに他のアホ魔神たちよろしく一郎の中に棲み着くのはあわないだろうな、と思ったらまさかのマスコットポジを確保するという。しかも、同じ裏で画策するストーリープランナー同士でなんだかんだと馬が合うというか性が合うというか、意気投合してますよこいつら? 兄弟めいたテッちゃんとはまた別の意味でようやく意見と価値観があう相棒が出来たような、小動物的な可愛さを全面に出したマスコットキャラが登場してしまったというか、何気に侮れない存在感だぞキュウキたん。こいつ、男だからショタなんだよなあ。でも確かに可愛い。

しかし、同じストーリープランナーなキュウキと話が盛り上がったお陰で、というのもなんだけどソロモンの後継者たちとの戦いという第二シーズンがはじまってしまって、一郎の新たなストーリープランが語られてたけど……やっぱり一郎の目指すヒーロー物の脚本ってどうも古臭いというか目新しさがないというか展開に新鮮さがないというか、お約束を踏襲しすぎててそれだと読者だか視聴者飽き飽きしちゃうんじゃないか、という手堅さなんですよね。水戸黄門ばりにかっちりしているというか。
だからうまく行かないんじゃないの?
ともあれ、現実は一郎くんの立てたプランのようにはいかず、ことごとくうまく行かないわけですけれど、一郎プランはいわゆるテンプレに沿った流れなだけにそれがうまく行かなくて破綻した、となるとことごとくテンプレから外れた、というか吹っ飛んだ展開になってしまう、というのがこのシリーズの特徴でもあり……。
ヴァッサーゴ戦の酷さ(いい意味で)は近年でも極まってましたよこれw いやヴァッサーゴ黒村くんが敵幹部クラスのくせに小物極めすぎてたのも悪いんですけどね! 一郎くんを上回る膀胱のゆるさ! でも一般人な宮本さんにこてんぱんにされてしまうまではまだあれだけど、あそこまでガチに人質放置な展開は初めて見たよw

どれだけ一郎が頑張っても真面目な雰囲気にならない中で、ひとりだけひたすらシリアスを貫いている第二期のラスボスとなったアギト。まあどれだけ格好つけていても龍牙にまったく相手にされていない、という点では一貫してるんだけどなあ。
とか敵側、ソロモンサイドとかもうどうでもよくなるくらいなラストのびっくりどっきり展開である。いや出てない奈落の使徒大幹部な八傑の二人。ほんとにただ忘れられてたのかと思ってたら、これはさすがに驚いたよ。ついに一郎自身の秘密が明らかになってしまうのか。なんも背景も事情もなかった黒亀さんじゃなくて、一郎の背景が明らかになってしまうのか。もうどうやったって友人キャラとか無理になってきたじゃないかw

そんな一郎が友人キャラを目指すようになった幼い頃の体験が、BOOK☆WALKERの電子書籍版購入特典な書き下ろしで描かれてたんですが、よくある2,3ページのSSと違って結構がっつり分量あったぞこれ。シズマも幼児のくせにやたらと大人びてるけれど、一郎も幼児だった頃おまえ何歳やねんとツッコミ入れたくなる七歳児だったんだな。あながちシズマとその辺似ているのも、ラストの展開からすると意味があるのかも知れないが。

さらっと語られてた、夜這いに来ようとして勇気でなくて毎回部屋の前で引き返しちゃう魅怨が可愛らしくて、やっぱり正妻ポジなヒロインがっつり掴んでますよねえ、これ。

シリーズ感想

プロペラオペラ ★★★☆   



【プロペラオペラ 】 犬村 小六/ 雫綺一生  ガガガ文庫

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極東の島国・日之雄。その皇家第一王女イザヤ18歳。
彼女はしかし同時に、重雷装飛行駆逐艦「井吹」の艦長である。イザヤのためなら命を投げ出す乗組員達は、全員彼女の大ファン!
そんな「井吹」に、突然イザヤの部下として乗り込んできたのは、主人公クロト。皇族傍系黒之家の息子であったクロトはイザヤとは幼なじみであったが、ある日、イザヤに対し最っ低の事件を起こして皇籍剥奪となり、家族もろとも敵国ガメリア合衆国へと逃亡したのであった。そのクロトが(どのつら下げて)なぜ今ここに!?
クロトは言い切る、「俺はガメリアを牛耳る怪物から日之雄を守るために帰ってきた」!おりしも我が国日之雄は、カネと武力で日之雄を我が物とせんとするガメリアと開戦に踏み切った。イザヤとクロトは「井吹」を駆り、超大国ガメリアの世界最強飛行艦隊に対し決戦を挑む!!
自信満々、超傲慢、頭が切れるのに加えてバカがつく努力家クロトの大驀進人生の絢爛舞台、ファン待望の犬村小六真骨頂「空戦ファンタジー戦記」が堂々開幕!!!

まさかの水雷戦隊ものである。大井さん北上さん出番ですよ!?
主人公のクロトは超自信家にして超傲慢、いわゆる俺様主人公なのだけれど順風満帆の人生ではなく、幼い頃にバカの両親のバカな所業のおかげで大逆事件に巻き込まれガメリア合衆国へと渡り、そこでまたぞろ父親の失敗と失踪から浮浪児同然の身の上から成り上がっていくという底辺と頂点を経験して苦労を味わったせいか根拠のない浮ついた自信で増長するのではなく、自分の天才な部分を努力で補強して実をちゃんと確かめて、という地に足がついた考え方や行動が身についている上に、弱い立場の人間のこともちゃんと考えられる、傍目とは裏腹の真人間になってるんですね。その上で、イザヤという幼馴染に対しても、幼い頃のいびつな見方ではない真摯で純粋な想いを抱くに至っているのである。俺様な態度からは分かりづらいのだけれど。
いや、わかりづらくはないのか。閣下閣下、なんて部下たちからはからかわれながらも慕われ懐かれてるんですよね。その態度の上から見下ろすような嫌らしいものがなく、それどころか愛嬌めいたものがあるのを、諸氏も感じているのだろう。
可愛いヤツなのである、クロトくんは。そもそも、日之雄に戻ってきたのもやべえやつに目をつけられたイザヤを守るため、彼女を渡すまいとするためなので言うてしまうと恋に健気な男なのだ。
でも、その目的でただ一軍艦の士官になる、というのはちょっと遠回りしすぎなような気もするんですよね。ぶっちゃけ、現場で一人の軍人がどうこうしようが近代国家間戦争、それも総力戦の行方を左右するなんて不可能なわけですから。彼はその不可能に挑もうとしているのだけれど、とりあえずメチャクチャ出世して例えば司令長官にまでなっても、やっぱりまずやりようがないんですよね。どうするんだろう、これホント。
そんなクロトくんとガメリアのやべえヤツに惚れられてしまっているが故に、何気に彼女傾国になってしまってるんじゃ、というメインヒロインのイザヤ。クールで誇り高くしかし優しい彼女はヒロインとしても戦場の花としても指揮官としてもとても輝かしく、彼女が艦長を務める飛行重雷装駆逐艦「井吹」の艦の雰囲気は推しのアイドルを頂いたファンクラブ艦艇みたいな感じになってて、実にアホっぽいのだけれど、そのノリのよさが十分楽しいわけである。クロトとイザヤを中心に艦内の明るいポンコツの雰囲気や、ガメリアの大艦隊に挑む戦闘シーンなど個艦単位で描かれる部分は非常に面白い。水雷戦隊の被害無視の突撃の惨状と、それでも突っ込む心意気と破壊力なんぞはまさに夜戦の華を見事に描ききっていたんじゃないでしょうか。
しかし、これを仮想戦記として見ると戦争という視点からしてもかなり大味というか古臭いんですよね。ガメリア軍人たちの差別的な横柄な態度とか、逆に日之雄側の軍人たちのやたらと精神主義なところとかは、昔の火葬戦記なんて呼ばれたものでよく見られたもので、戦記物としての程度を下げる要素でしかないんですよねえ。ハルノートをモデルにしたと思われる最後通牒なんかをはじめとする、戦争のはじまりを取り巻く歴史的なあれこれに関しても、近年になって語られてる諸説や見解と比べると二十年前くらいに隆盛を誇っていた勢い重視の仮想戦記でよく見られた構図が散見されて、なんかこう微妙な気分になってしまうわけです。ただああいうの好きな人も多かったわけで、だからこそブームにもなったわけですけれど。さて、今にそれが流行るのかどうか。

ただ、この作品特有の浮遊圏という設定はすごく面白いと思うんですよね。色々と想像を羽ばたかせる余地があるのですけれど、特に航空機の価値を壊滅させたという意味ではかなり重要だと思われます。空戦ファンタジーと銘打ってますけれど、何気にこの浮遊圏のおかげで空戦における三次元要素はほぼなくなってると考えていいですし。高度1200メートル以上にあがれない、という設定は航空機の戦闘的な運用がほぼ不可能になっているという以上に、航空偵察が本来のそれよりも殆ど意味を失っている、という点だけでもえらいことなんですよね。高高度から見下ろして偵察するからこそ目標物の発見が容易になるだけに、敵艦隊の位置を探るのだけでも従来とは比べ物にならないくらい難しくなってるはず。1200メートルってたとえば時速500キロだと一番上から海面まで10秒かからず移動できてしまうので、ちょいと機首を下に向けると何秒もしないうちに上昇しないと海面に激突してしまうくらいなんですよね。こんなん、殆ど上下移動、三次元機動の自由がないので航空機の優位性がかなり失われてしまう。雷撃機あるみたいだけど、海上すれすれをツッコんできて視界的にもレーダーでも捉えにくい従来の雷撃機と異なり、こっちはいいカモじゃないですかねこれ。
さて艦隊決戦とは、お互いの艦隊が望まなければ発生し得ない、とか何とか述べていたのはどの作品だったか。1200メートル上空を浮かんでいるだけで、海上にいる艦隊とは条件も違ってくるんだろうけれど、航空偵察・追尾・攻撃もろくに出来ない状況だと色々と面倒なことになりそうだなあ。
ただ浮遊圏って想像の余地がありまくるわけで、じゃあその揚力を失う浮遊圏を射出なりロケット推進での打ち上げなりで突破して浮遊圏より上にあがれば飛行機も使えるんじゃ、とか、飛行空母からなら浮遊圏より上に射出するのも容易なんじゃ、とか。浮遊岩積んだ空雷、海上から撃ちあげても浮遊圏まであがったらそこから水平に推進して当たるんじゃ、とか色々と想像できるんですよね、面白い。浮遊圏より上にも薄いとはいえ揚力を剥離させちゃうセラス粒子があるみたいなので、浮遊圏突破しても飛行機は飛べないのかなあ。
しかし、飛行戦艦と海上戦艦の優劣って、ちょびっと書いてあったけど普通に海上戦艦の方が強そうに見えてしまう。いやこれ、浮遊体を釣ってる懸吊索が破壊されたら船体落ちちゃうわけで、相当脆いですよ。
巻末に飛行戦艦獅子丸のデザインが載ってるんですけど、主砲って左右の舷側にそれぞれ配置されてるのかー……これって前弩級戦艦じゃね? 片舷二基四門ってこれだけ砲門数少なくなると投射量ガガガ。
ってか、これだと主砲撃ったら反動で浮遊体を支点にして船体がゴンドラみたく振り回されたりしないんだろうか。それどころか、角度かなり上の方に向けて斉射したら、下に向けて負荷がかかって懸吊索破断しそうで怖いぞ!?
それに浮遊体、船体の上に位置してるんだけれどこれって戦艦同士の打ち合いだと砲弾かなり直上に近いところから降ってくるから、まず浮遊体にぶちあたってエライことになるんじゃあ。いや、本作の交戦距離って1万2000って書いてあったな。それだと海上戦艦の砲戦距離である20〜30キロくらいに比べるとだいぶ近いので成層圏まで達するような山なりでは飛んでこないのか。さらっと雑に調べてみると、落角10度くらい。ほぼ舷側装甲にぶち当たる角度である。想定される砲戦距離がこのくらいなら、浮遊体が船体に覆いかぶさっている形なのもそれほど問題ないのかしら。
でも、船体を飛び越す形で遠弾となる弾道だともろに浮遊体に当たりそう。あれって砲弾の直撃食らったらどうなるんだろう。割れるんだっけか?
ってか、1万2000って40センチ級の主砲での打ち合いだとちょっとやべえくらいノーガードの殴り合い距離じゃね!? これが基本的な砲戦距離なの? もっと装甲厚くした方がよくない? 実際もろにやべえことになってるんですが。
いやあ、この距離ならレーダー関係なしに多分かなり当たるべさ!

その肝心のガメリア製レーダーがまた凄いんですよね。これもう、これだけ当たったら勝てないでしょ、日之雄。命中精度が化け物じみてるんだもの。ぶっちゃけ、史実のアメリカの射撃用レーダー、第二次世界大戦時代のものだとそこまで当たんなかったはず。チャフも有効ではあるけれど、それでレーダーが無意味と化すようなものではなく、一時しのぎに近いものなので、正直ここまであたる射撃管制レーダー装備されてると、勝てる要素が見当たらないんだよなあ。
水雷戦隊の必殺技である魚雷攻撃も、水中を行く通常の魚雷と違って普通に撃ち落とせるし、レーダーのお蔭で発見も容易。史実における酸素魚雷の優位性の一つだった気泡の少なさによる発見の難しさも、こっちの酸素空雷では失われているし。
……これ、戦闘で勝てる要素どれだけあるんだろう。なんか、史実の日米よりも戦力差ありそうなんだけど。
それこそクロト、その投資家としての能力の方で戦争にアプローチした方がよっぽど勝利条件確保できそうだよなあ、これ。いや、投資家としては人間性の悪辣さの面でどうしたってあの「野郎」には勝ち目薄いか。でも、国という単位への影響力の及ぼし方としては、一軍人よりもよほど出来ることは多そうなんだけど。金という力は、それこそ変に日之雄の政治権力中枢に入るよりも合衆国という国の方向性にダイレクトにアプローチできそうなものだし。そもそも合衆国どうこうしようとするよりも、あの野郎個人を狙い撃ちしてどうにか失墜させる方がだいぶ簡単そうに思える。
クロト、なんでそっち方面で勝負しようと思ったし。いやほんとにこれ、どうしたら勝ち目が見えてくるんだか本気でわかんないですよ。まあでもあの御仁、カイルも戦争で最前線で戦ってるイザヤ、日之雄の国家体制が解体されるような負け方したら、普通戦死しますよね。ってか今回の戦いでも普通なら死んでてもおかしくなかったですよね、というのをわかってるのか気にしてないのか、イザヤは死なないとでも信仰しているのか。頭おかしいキャラではありますけれど、はっちゃけてるなあ。
巡り巡って国家間戦争を出汁にしてイザヤを奪い合う三角関係という構図になっている本作ですけれど、なればこそカイルはなんか面倒くさいツンデレで本心、イザヤが好きというのをイザヤに隠すというのはこの際、余計な遠回りになってる気がするんですよね。とにもかくにもイザヤが好きという点こそが起因になってるんだから、そこを誤魔化さずにもっかいちゃんと告れ、と好みな主人公クロトくんですが、そこだけはちと不満が募っているところであります。すでに間男なカイルですけれど、そんなカイルに付き合う必要ないじゃないですか。まあ最初のアホなプロポーズがクロトにとっても引っかかる要因になっているのかもしれませんが、いい加減お互いに素直になれないカップルというのはもういいんじゃないですか、と申したい所です、はい。
そこらへんも、引っ張らずにガツンとグイグイと進展させてくれたら嬉しいなあ。

犬村小六作品感想




クラスメイトが使い魔になりまして ★★★★   



【クラスメイトが使い魔になりまして】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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「その貧乳で使い魔は無理だろ」「死ね!」

クラスの美少女を侍らせてみたい。

誰もが一度くらいは考えるんじゃなかろうか。でもまあ、正直オススメしない。
落ちこぼれ魔術師の俺、芦屋想太には藤原千影という使い魔がいる。彼女は魔術師の名門出身で、ついでに誰もが憧れる学年一の美少女だ。
え、羨ましい? まじか、じゃあ譲ってやるよ。
まず、こいつはご主人様に求める理想が高い。負けん気が強く、中々反抗的で、絶望的に貧乳だ。
それでもいいならぜひ引き取って……あ、うそ! 許して、藤原さ―――

この物語は主従関係からはじまる、ふたりの恋(?)のヒストリー……らしい。
ストーリー展開にも世界観にも特筆スべき部分がなく概ねオーソドックスにも関わらず、ついつい没頭してしまう面白さというのは、やっぱり語り口の上手さということになるんでしょうね。どれだけお話が面白いネタであっても、それを伝える喋りが下手ならその面白さなんてものはさっぱり伝わらない。いやこれ、なんでこんなに面白いんだろう、と思わず首をひねってしまう作品は大概これなんですよねえ。
主人公は控え目に言ってもろくでなし。やる気のないクズ。実は熱い心を秘めていて情にも厚く義理堅い、というわけでもない。とはいえ、正真正銘のクズ野郎でも悪人でもゲスの類でもないんだけど。そこまで悪くはないんだけど、という中途半端さは実に一般人らしい範疇である。こういうのを、意識が低いというのか。
対してヒロインにして事故で使い魔になってしまった藤原千影は自分にも他人にも厳しい意識高い系。そりゃ相性悪いよね、という所なんだけれど事情が明らかになってくると千影の想太への当たりの強さは彼女の意識の高さとは関係ない、いや極めて強い関連性はあるんだけれど、想太の向上心の無さ実力の無さが自分の美意識と合わない、許せない、という類の苛立ちとは種類が異なっていたことがわかってくる。
これ、最初想太の使い魔になってしまったこと、千影は本気で絶望して錯乱して嫌がっていたのだと思っていたのだけれど、わりとさっさと諦観に飲まれてしまったというか想太の使い魔として一生仕えなければならない、という悪夢を白目剥いて虚ろになりながらも現実のものとして受け入れてしまっていたんですよね。それを不思議には思わなかったのですけれど、考えてみるともっと現実逃避したり、もっと必死になって使い魔の楔を解く方法を探し回ったり、想太に対して敵愾心を剥き出しにしてもおかしくはなかったんですよね。いや、もう想太とバチバチ文句言い合って暴れて罵倒しまくって、としていたからあんまり違和感感じていなかったのだけれど。
でも、最後まで読んで想太と千影の過去を垣間見てしまうと……千影さん、実は渡りに船だったのじゃないのか、これ。嫌がらせで、このままならアンタを婿入させて名家の当主に仕立て上げて権力闘争の渦中に放り込んで一生苦しめてやる、死なばもろともだー、とかほざいてたのも、いやわりと的確に想太が本気で嫌がる未来絵図だったので真実嫌がらせだと思ってたんですけど……実はわりとマジだったんじゃないのか?
意識して意図的だったかは怪しいけれど、無意識に望んでいたことをぶちまけていた可能性は十分にある。現場、千影自身の罪悪感や名家の後継者として決して望んではいけなくて叶うはずもなかったことを、周りにも実家にも自分自身にも言い訳できる形で、これは仕方ないことだから仕方ないのだ、と受け入れさせることができるチャンスだったわけですから。
実際の使い魔生活は、実質同棲生活そのもの。お互い距離感を図りながらのそれは、はじめて一緒に暮らし始めてお互いうまくやれる範囲を探り合う、という点で同棲じゃん、としか言えないし、その中で魔力供給のためとはいえ、週一回映画を借りてきて手を握りながら一緒に一本見るのを決まりごとにしている、とか完全にお家デートじゃないですかー。
これでどうにかならない主人公は、それほど徹底した貧乳排外主義なのか。ただ、どうにも過去の呪いの影響で記憶への干渉があるのは確かとしても、それ以外にも何らかのリセットが度々掛けられている可能性はあるんだよなあ。もしくは、自分自身で千影という存在に対してセーブをかけているか。
でも想太、呪いによって記憶だけじゃなくて人格そのものに影響を受けている可能性もあるにしても、やっぱりクズの資質はあると思うんですよね。ソフィアに対してのあのラストの仕打ちは、なかなか出来るもんじゃあないですもんね。
でも、あれはソフィアが悪いしなあ。人の話を端から聞かず、要望も懇願も無視して好き勝手して自分のやってほしいことを無理やり押し付けてくる。嫌だ嫌だといってるのをあれだけスルーされて強要されたら、現実的には弁護士案件の範疇と言えなくもない。縁切りは、相手を慮っていてはキリがないもの。
でも、それを加味した上でもあれは恨まれるよなあ、酷いよなあ、鬼畜カレシよなあという切り捨て方ではありました。浮かれてたんだよ、浮かれきってたんだよソフィアさんは。あれを可哀相、と思ってしまうのは仕方ないよなあ。ソフィアさんといいスケバンといい、感情的に一杯一杯になった時のあの描き方は、テンパってる様子や頭のなか本当にぐちゃぐちゃになってる様子がダイレクトに伝わってきて、特にいいなと思うところでありました。
一連の出来事の引き金をひいたあの召喚事故の本当の黒幕は、結局わからないまま次回へ続くか。あからさまに怪しい人が一人いるけれど、さてそれが本命かそれとも釣り餌か。なにはともあれ、面白かった。

筺底のエルピス 6.四百億の昼と夜 ★★★★★   



【筺底のエルピス 6.四百億の昼と夜】 オキシ タケヒコ/toi8  ガガガ文庫

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ゲート組織の過去に広がる、巨大な真相――

殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。未来を閉ざすその脅威に立ち向かうためには、衝突や非干渉を続けてきた鬼狩りの派閥――三つのゲート組織を和解させる必要があった。

バチカンの《ゲオルギウス会》との同盟が締結された今、日本の《門部》と敵対するゲート組織は不死者の軍勢《I》のみ。組織の裁定権を握る式務の一員となった百刈圭は、和解交渉の特使として、世界を牛耳る巨大な秘密結社のもとに赴くこととなる。
一方その頃、鬼狩りの訓練生となった若者たちも、各ゲート組織に君臨する異星知性体の目的を独自に考察しようとしていた。海を隔てた二つの場所で、真実に肉薄していく彼らが目の当たりにする、星界の影に覆われた、この世の真の様相とは。

不死者の首魁《プロフェッサー》と対峙し、夜空を見上げ、すべての真相にたどり着いたその先で、若き狩人たちが足を踏み出すことになる標なき道は、果たして、いかなる荒野へと続くのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終わりが始まる、継続の第6弾。

…………(白目
ヤベえわ、やっべえわこれ。なんちゅうもうを書いてくれなんさるんじゃ。
前回の感想で
これまでも十分壮大な話だったのですが、これからはもっと途方もなく、しかし地に足の着いた「ヒト」の話になりそうだなあ。
なんて書いたんですけどね。
それどころじゃなかったよ。途方も無いどころじゃなかったよ。想像を絶するレベルで想像以上に壮大すぎで、途方もなさすぎで、あまりにも「ヒト」の物語りすぎて、そうか筆舌に尽くし難いというのはこういうのを言うのか。
叶が二人になったあの絶望的な捨環戦でもうとてつもないスケールに圧倒されてたというのに、ここで明かされた真実はあの捨環戦ですら、砂漠の砂の一粒に過ぎなかったのだと思い知らされるこの世界の置かれた状況だった。
捨環戦というものがどれほど悲惨なものなのかは、叶のあの捨環戦で十分味わったはずなのに、あれと同じことが、或いはそれ以上に悲劇的な結末が、凄まじい数繰り返され世界が切り捨てられてきたという事実には立ち尽くすしかない。
もうこれ以上の絶望はないだろうという奈落の底を、毎度毎度なんでこんな簡単に更新していけるんだろう。
同時に、こんな絶望どうやったってもうどうしようもないじゃないか、という諦めを蹴飛ばしてみせる希望をどうやったらこんな風に繋げていけるんだろう。
絶望と希望が斑に押し寄せてくるのに、濁流の中の木の葉のように押し流されていくばかりだ。
でもこんな、3つのゲート組織の間に生じてしまっていた組織間抗争の根源的に理由がまさかあんな理由だったなんて、想像だに出来るはずがないじゃないですか。色々とな前提となっていただろう世界や組織の在り方とか状況が、次々とドミノ倒しのようにひっくり返っていき、その結果として全く違う世界の姿が現れだしていくのは、ただただ呆然と見ているしかなくて、こんな真実を抱えて今までずっと動いていたのかと思うと、阿黍師匠にはもう言葉もない。
そう、この人こそが根幹だったんですね。元々謎の多い人ではあったけれど、まさかここまで真実の根幹に食い込んでいる人だとは思わなかった。まさか、こんな風に生きてきた人だとは想像もしていなかった。
すごい人だ凄い人だとは思っていたけれど、どこか遠い人ではあったんですよね。あまりに遠くの境地にある人で、圭たちと同じただの人の地平に立っている人には思えない部分があった。でもそれは、結局この人のことを知らなかったからだったのだ。シリーズはじまった当初に、当主になってしまった妹の燈のことを、大切に思いながらも別人になってしまったように感じて心の距離が遠くなってしまっていたように、その人の内面がわからないとやっぱりどこか突き放して捉えてしまうんですよね。
しかし、ここで語られた阿黍宗佑という男の人生は……やっぱり常人離れしたとてつもないものだったんだけれど、その根幹に横たわり続けたのは常に人としての意志であり、愛した人たちとの約束であり、どうしようもないくらい人間という存在の体現者であり守護者そのものだったんですね。
ただ、彼はあまりにも突き抜けすぎて、大切な約束を守るために孤独になりすぎてしまった。
空虚の中身を叶をはじめとした周りの人たちによって埋め尽くした圭とは、そこで食い違ったのですね。覚悟の質が異なってしまった。彼の兄や姉が可愛い弟に願ったことは、その約束の本当の意味はもうちょっとだけ、違うものだったんじゃないかと思えてならないのです。彼の終着駅が、本当にここだったのか。まだちょっと信じきれないところがあるのですが、もしこれで終わりだとすると辛いよなあ。報われたとは、言えないよなあ。

そして、「i」の本拠地で行われる和睦会談。って、いきなりあのエンブリオが、3巻における絶望の権化そのものだったあの狂人がちょっかい掛けてきた時には本気で青くなったのですけど……花さん、貴治崎花女医がもうなんだこれなんだこれ!?
なにこの人、なんなのこの人!? ポカーンですよ、口開きっぱなしですよ。もしかしなくても、門部で一番ヤベえのって、花さんなんじゃないのか!?
別に力とかステータスとか能力がインフレしたわけじゃないのに、三巻で登場人物たちも読んでる読者の方も根こそぎ虐殺して心へし折ってくれたあのアクマが、エンブリオが……あばばばば。

ちょっと茫然自失になりながらも、なんとかはじまった不死者のプロフェッサー、百刈圭、そしてゲオルギス会の休眠者ギスラン猊下の三者による和解鼎談。その中で次々と明かされていくゲート組織誕生の秘密と人類史を横断する真実。
これまで疑問点として浮き上がっていた部分、そもそも疑問にも思っていなかったところに至るまで、キレイにパタパタとピースがハマり、伏線が明かされ、情報が一新されていく。そうして見えてくる世界のありようはこれまでとまったく一変していて、言葉が本当に出てこない。
でも集約するなら、これは愛の物語だ。
そう、この世界は真実、人の意志と愛によって成立していた世界だったのです。各ゲート組織の頂点に立つ異性知性体と人間の関係は、本当にまさかまさかのものでした。まさか過ぎるんだよぉ!!
もうこれ、紛れもなく人間讃歌じゃないですか。人の愛の素晴らしさと尊さを説く物語じゃないですか。
ギスラン猊下、人類愛を心の底から信じている生粋の平和主義者なんだけれど、その過去の重さも相まって愛という在りようへの狂信者めいた所があるんですよね。でも、彼の在りようはこの物語においては徹底して否定されない。彼の愛も善良さも狂うほどに極まっていても壊れてはいない。少なくともこの巻の間においては、彼はもっとも人らしい人で在り続けてくれて、愛とは素晴らしいものだと体現してくれ続けてくれた。彼の在り方こそ、この世界が人の意志と愛情によって成り立っていることの証明だった。彼がずっと人間そのもので居てくれたことで、どれだけ救われたことか。
もし、この会談がプロフェッサーと圭の二人きりのものだったら、圭はもっと深みにハマってしまっていたかもしれない。少なくとも、この現場においてギスさんの存在は圭にとってもアンカーになり続けてくれたんですよね。
この三者会談がはじまったとき、プロフェッサーとギスラン猊下という何百年もの時代をまたに掛けて戦い続けている化け物たちと果たして自分みたいな木っ端が肩を並べて対等に話し合えるのか、と圭は緊張を通り越してビビってすらいましたけれど、いざ会談がプロフェッサーが知る真実を伝える場になって佳境に入った頃には、この場における真の化け物はプロフェッサーと圭の方であって、ギスラン猊下こそがマトモな人間の側であったという、立場立ち位置の逆転には息を呑む形となりましたけれど、猊下が二人に置いてけぼりにされながら必死に圭がハズレ切らないように食い下がってくれた姿には、この猊下のファンになった人も多かったんじゃないでしょうか。
だいたい、この猊下いい年したおっさんなのに、色んな意味で可愛すぎるんですよ。なんだよ、この作品屈指の愛されキャラは! まさしくゲオルギス会の秘密兵器じゃないか。こんなの隠し持ってたのかよ、ゲオルギス会、色んな意味で侮れない、侮れなさ過ぎる。

プロフェッサーの正体も、想像を遥かに上回るものでした。確かにこの人、黒幕然として色々と暗躍しているんだろうな、と思ってはいたんですけれど所詮は3つあるゲート組織の一つを掌握する人物として出来る範囲の暗躍だと思ってたんですよね。
人類史そのものの黒幕じゃねえか!!
いやそれ以上だ。彼は反逆者であり、紛れもない人類の守護者であり志士であったのだ。そして、彼もまた人を愛して人のために戦い続けていた人だったのだ。その正体にはほんと度肝を抜かれたけれど。彼の素性というか、歴史上における本名ってこれまで伏線というか、推察できるヒントとか出てましたかね!?
でも、これほどの人が、プロフェッサーが本当の意味で味方であり、猊下がやっぱり味方になってくれるというのは、もう万軍の味方を得たような頼もしさなんだけど。なんだけど。
本当の意味で和解以上の同志、運命共同体めいた共感と結束を得た途端に、さらなる絶望のどん底が、地獄の釜の蓋が開くはめに。
だから、絶望と希望の波状攻撃が毎回毎回凄まじすぎるんですよぉ。しかも、波が来るたんびにそのスケールがわけわからん規模で大きくなってるし。これいったいどうするんだよ、という有様になってるし。
それでも、それでも叶とカナエがついにその日が来たと覚悟とあきらめを得た瞬間に戻ってくるとか、圭さんちょっとヒーローすぎやしませんかね!? くそう、格好いいぞお兄ちゃん。
だいたい、叶とカナエ、二人の置かれた状況が過酷すぎるんですよね。同一存在である二人が同じ場所にいる以上、常に一本角の鬼がどちらかの叶を抹殺することで正常化をはかろうとするために、いずれどちらかが鬼に殺される日が来ることを受け入れている。生きたいと願いながら、いつかその日が来ることを受け入れて、生き残った方が圭と幸せになるんだ、と叶とカナエの二人で決めている、とか。そんなの、圭さん受け入れていいんですか? 許していいんですか? 

異性知性体の目的はついに明らかになったのですけれど、「なぜ」そんなことをしているのか、については未だ明かされていないんですよね。そして、鬼の本当の正体についても。絶対に存在しないハッピーエンドに辿り着く、鍵はやはりそこなのか。
その前に、目の前の窮地をなんとかしないとどうにもならないんですけれど、正直コレどうにかなるのか!? 全面核戦争が起こる核ミサイルの発射スイッチが押されてしまったのと大して変わらない状況だぞ、これ!?


シリーズ感想

学園者! ~風紀委員と青春泥棒~ ★★★★☆   



【学園者! ~風紀委員と青春泥棒~】 岡本 タクヤ/マグカップ  ガガガ文庫

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青春全部入りの学園物語、開幕!

青春のすべてがここにある! ……かもね。
「先輩、最高の青春時代をおくるためには、どうすればいいんでしょう?」
「……はァ?」
椎名良士は高校二年生にして、学園の平和を守るトラブルシューター、風紀委員会の一員だ。
生徒同士の揉め事の仲裁や、教師には頼れない相談ごとを請け負い、学園内で起こる事件に翻弄される日々を送っていた。
そんな椎名の前に現れたのは、帰国子女の新入生、天野美咲。
青春というものに対して斜に構える椎名と、日本の学園生活を知らないがゆえに理想の青春に憧れる天野は、ひょんなことからコンビを組むことになる。
「思春期のガキを三千人、学校なんて狭いところに押し込めりゃ、そりゃ色んなことが起きる。いいことも、悪いことも」
入学シーズンの巨大学園を舞台に、個性的な生徒たちに翻弄されながら、次々と起こる事件を解決すべく学園内を走り回る椎名と天野。
果たして二人は最高の青春時代を掴み取ることができるのか。

リア充もぼっちも、モテも非モテも、優等生も不良も、文化系も体育会系も、みんながここで足掻いてる!
恋も友情も出会いも別れも勝利も敗北も甘さも苦さも、全部入りの青春学園物語、開幕!
風紀委員の新機軸だなあ、これ。この学校の風紀委員って、取締官や治安維持要員ではなくて、自分たちではトラブルシューターって言っているけれど、日本語で言うならいわゆる調停人なんですよね。かといって生徒の分際で揉め事トラブルを颯爽解決、なんてふうには行かないわなあ。それでも、足で稼ぎ頭を下げて周り、話を聞いて考えて損得勘定を計算して、と地道に働くことでどうにかこうにか、みんなが納得する形で物事を収めて調整していく。決して言うほど派手ではない仕事で、何気にトラブルメーカーで愉快犯気質の風紀委員長が首を突っ込んできて中途半端に大事にしようとしたり、さらっと多彩な人脈を駆使して助けてくれたり、と余計なのか何なのかわからない手出しをしてくるけれど、そう概ね派手ではなく地道な活動してるんですよね、風紀委員。と言っても、委員長除けば主人公の椎名に此度新入生で入ってきた天野の二人コンビだけが実働員なのですが。
しかし、トラブルはどこにでもあって、あらゆる種類の人間が抱えている。三千人も所属するマンモス学園である。様々な属性の生徒たちが存在しているのだ。でも、普通どれだけたくさんの生徒が所属していても、一人の生徒が活動する範囲というのはどうしたって自分のグループの近縁のみになる。しかし、あらゆるトラブルが持ち込まれる風紀委員は、いわば学校のあらゆる場所、あらゆるグループと関わり合いになる組織だ。
青春のすべてがここにある、というお題目は決して伊達ではないのである。
作品の雰囲気は明るく軽妙で、ポップともいうべきノリで繰り広げられる。でも、ギャグやコメディという領域には足を踏み入れていないんですよね。これだけ明るいノリなのに、しかし常にストーリーはシリアスに、真剣に展開していく。そこで描かれるのは、直球勝負の「青春」をテーマにした物語だ。逃げず茶化さず、真っ向から青春というお題目に挑戦しているのが本作【学園者!】なのである。
最後まで読み終えて、改て全体を振り返ってみると、本作のクオリティの高さに圧倒される。いやもうなんだろう、この絶妙なバランス感覚によって整えられた青春活劇としての完成度は。
本作の作者である岡本タクヤさんというと、【異世界修学旅行】で極めてレベルの高い異世界で青春するコメディ!を見せてくれたものですけれど、舞台を変え題目を整え直し、ひたすら一点集中で青春モノというものを突き詰めて描くと、ここまでのレベル、ここまでのクオリティのものを描き出せるのか、と正直震えたほどである。
惜しむらくは、ラストの展開がとても情緒的で主人公を含めてこの作品に登場した主要な人物の誰もが抱えていた孤独に繋がる展開の妙がある話であったのに対して、強烈さとかインパクトには少々欠ける落ち着きを得てしまっていたところか。いやそれも、しんみりと噛みしめるという意味では人それぞれの好みによるだろうし、決して惜しむようなものではないのかもしれない。
個人的には、椎名くんと三島香澄ってあれ実はプライベートで関わり合う分には滅茶苦茶相性いいんじゃないだろうか。今までは生徒会の人間と風紀委員の人間という立場同士だったり、クラスメイトとしても入学当初のトラブルから特定の立ち位置に立ってしまった椎名と、ほど最初からある種のカリスマ的な存在だった三島って、立場を踏まえてのかかわり合いしかしてこず、近く頻繁に接触があって遠慮もないわりに、一線とか壁というほどのものじゃないのだけれど、立ち位置立場を踏まえての関わり合い方しかしてこなかったようにも見えるこの二人。でも肩書とかそういうの全部取っ払ってしまって、ほんとに一個人、プライベートでのお付き合いとなったら滅茶苦茶相性良さそうな気がするんですよね。何気に趣味とかもあってるみたいだし。
色んな意味で対等で、色んな意味で特別なこの二人の関係は、物語が続くならもう少し突き詰めて見てみたい気がする。
その意味では、椎名と元気いっぱいな天野の関係って、前作の【異世界修学旅行】の沢木とプリシラの関係と似たものがあるかもしれないなあ。今の所恋愛関係に発展しそうに微塵もなさそうなところが。まあ今の所、という冠がつくけれど。何しろ、天野が堪能したい青春というものの醍醐味の一つこそ、恋愛なわけですし。
ともあれ、読み味が非常に滑らかで同時に読み応えもたっぷりという、実に読み甲斐のある傑作青春モノでありました。一応この一巻で格好ついているとはいえ、魅力的な登場人物がたくさんいますし、是非、続きが出てほしいものです。

岡本タクヤ作品感想

やがて恋するヴィヴィ・レイン 4 ★★★☆   



【やがて恋するヴィヴィ・レイン 4】 犬村 小六/岩崎美奈子 ガガガ文庫

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ガルメンディア王国に戻ったルカはファニアとの約束を果たすため暗躍を開始。テラノーラ戦役、ウルキオラ暴動、ドル・ドラム戦役で傑出した戦果をあげたことにより、ルカは民衆からの絶大な支持を得て反体制勢力の中心人物へとのしあがっていく。一方のファニアは王政に身を捧げる覚悟を決め、ルカに蜂起を思いとどまらせようと煩悶していた。ふたりの思いはすれ違ったまま王国はついに革命のときを迎える―。
「民に君臨し、民を搾取し、民のために我が身を捧げる、それがわたしの誇りです」。
風雲急を告げる恋と会戦の物語、第四巻。
ヴィヴィ・レイン……可能性として何らかのシステムとか概念か何かなのか、と考えたこともあったのだけれど、ちゃんと人の名前だったのか。
って、今回一気に怪しさ大爆発な人物が浮かび上がってきちゃったんだけど、え? このタイミングで露骨すぎない?

ファニアと再会するために、彼女との約束を果たすために、ついに革命の旗印へと名乗りを上げたルカ・ヴァルカ。ただの戦場の英雄という御輿じゃなく、自らの言葉で未来を示し、人を導き、反体制組織の幹部たちを懐柔し、利益誘導をして組織間のパワーバランスを調整し、と名実ともに革命勢力の指導者へと駆け上がっていくルカ。こういうの苦手なんだけれどなあ、と気乗りしない様子だったくせに、いざ機運が盛り上がり民衆の不満がどうあっても爆発してしまう状況になって、それをコントロールするためにその苦手な分野に自ら飛び込んでいくこの男、大したものなんだけれど、それ以上に苦手とか言ってるくせにやってるうちに革命指導者として揺るぎない才覚と実力を示しちゃうんだから、こいつなんなんだろう、天才? いや、これでスラムで這いつくばって食料を探し回っている頃から本だけは手放そうとしなかった読書家であり、元々インテリでもあるんですよね、ルカって。ほんとそうは見えないんだけれど。
それでいて、理想だけで羽ばたこうとしない一歩一歩歩いて進んでいく現実主義者でもあり、ただ一人の女性との約束を守るために世界を変える決意を固めた情熱家でもあるわけだ。
はたして、これだけの出来物を歴史のいたずらが災厄の魔王と呼ばれるまでの人物に仕立て上げてしまうのだから、なんかもうたまったもんじゃないよなあ。ルカの性質からして、魔王なんて呼ばれたの結果論か、風評の類なのかと思ってたのだけれど、あのラストの展開を見るとどうやら魔王と呼ばれるに当然の所業へと走ってしまう模様で……いや、でも気持ちはわからないでもない。
あんな、いちばん大事な時にいきなり頭から水ぶっかけられるような真似されて、怒り狂わない男がいるだろうか。もう、怒髪天ブチ切れまくって正気も吹っ飛ぶわ、というようなことをやらかしてしまったのが、かのジェミニ先輩であります。
ほんとにもう最高にして最低のタイミングで、やってくれましたねこの人。ルカに嫌がらせするために全身全霊を賭けている男の面目躍如というべきか、ルカを煽るにこれ以上ないタイミングでさすがとしか言いようがない。
まあルカとファニアも、ファニア自身がこんな時になにやってるんだろう、と思わず自問してしまうような状況で積年の想いを爆発させてしまっていたわけだけれど、いやほんとにこんな時にそんなことしてて大丈夫なんかー!?とは思った、思うよ! だって、いつ民衆が暴徒化して突入してくるかわかんない場面ですよ、状況ですよ。それでもなお、辛抱たまらんかったというルカなんですよね。そりゃあねえ、何年も何年も戦火くぐり抜けて戦って戦って戦友失いながら実際革命までこぎつけて、心身すり減らしてようやく辿り着いてみたら、相手のファニアさんてばグダグダと今更になって建前ばっかりで本音を押し殺して聞かせてくれなくて、もう「だらっしゃーー!!」と爆発させてしまうのもわかる、わかる。ファニアと同じ調子でグダグダし始めずに、本音本心本体ぶつけ合わなきゃはじまらんわー、とばかりに押し切ってしまったルカはえらいです、大したもんです、男です。こういう果断でバッサリしたところ、いい主人公だと思うんですよねえ。
決して悩まず考えないわけではなく、立ち止まっていいタイミングではとことん思慮に耽溺し、想いにふけって迷って悩んでいるんですもの、彼は。
ファニアと結局どうすればよかったのか。その結論を出す時間はありませんでしたけれど、あの全部捨てて逃げる、という選択肢はあのジェミニの執着を思えば、あまり良い選択ではなかったんでしょうね。結局、どこまでも追いかけてきそうですし。ジェミニめー。
……お兄ちゃんの元皇太子さまの方は、あれだけファニアに執着してたのに実際会って自分に目がないとわかるとのたうち回った挙げ句ですがあっさりフラれたと受け止めて諦めて、ルカとファニアを応援してくれるようなさっぱりした人なのに……。いや、あれをサッパリと言っていいのか激しい疑問を覚える変人っぷりではあるのですけれど。それ以上に面白い人すぎて、この皇太子いったいどこへ行こうとしているキャラなんだろう。
アステルの残り時間もそろそろ本格的に余裕がなくなってきた状況で、ルカとジェミニの本格的な対立がはじまってしまう。ヴィヴィ・レインの正体にも徐々に近づいているけれど、風雲急を告げっぱなしだな、これ。

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 7 ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 7】 伊達 康/紅緒  ガガガ文庫

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連絡の途絶えたシズマを追って、異界に突入する火乃森龍牙と仲間たち。もちろん友人キャラの俺、小林一郎も一緒だ。なんてったって、シズマは俺の息子(育ての意味での)。普通に心配なのだ。異界の意外な姿に驚いたのも束の間、俺たちはキュウキ陣営の襲撃を受ける。ええい、ここが正念場だ!第三部以降ややこしくなっちまったが、元凶のキュウキをぶっとばせば龍牙の異能バトルストーリーはめでたく完結、俺の本来の居場所(日常パート)も取り戻せるって寸法よ!―大人気名助演ラブコメ、佳境を迎える第7弾!
シズマがやっぱりイイ子すぎる! それ以上に残念なところがなく全般的に優秀な面しかないところなんぞ、彼こそが御輿として掲げるべき主人公なんじゃないかと思ってしまうんだが、どうよ小林くん。友人キャラとしてストーリープランナーとしては、息子が主人公というのは自分のポディション的にも難しいのか?
結局、今回小林くんは友人キャラではなく主人公キャラになってしまおうとする自分の立ち位置、キュウキ側からの後押しを避けるために逃げ回っていたら、友人キャラとしての本分を果たすべき「日常パート」から自分から遠ざかってしまった、という致命的な判断ミスを招いてしまうんですよね。自分でも嘆いていましたが、なにやってんだほんとに!!
異界の方に引きこもってしまった小林くんをそっちのけにして、日本の方ではリューガたち主人公組と三姫たちが様々な日常パートのシチュエーションによって仲良くなったり新たな関係を築いたり、とどんどん進展していってしまうのである。ちょっと会わないうちに劇的に変わってる人間関係! 知らないうちになんか親友同士になってる敵同士だったあの子たち。いつの間にかバンドが結成され解散の危機に陥っているという勝手に進んでるエピソード。
小林くんが異界にいるせいで、幾つも堪能できたはずのエピソードが全然見られなかったんですけど! 読者であるこっちまで見れなかったんですけど!!
いつのまにか魅怨とリューガがお互いを愛称で呼び合う親友ポディションに収まっていたのを目の当たりにした時はひっくり返りましたがな。いやそれ、本来なら一巻分のメインとして描かれるような重要パートじゃないの? なんで知らないうちに終了完結してるの!?
それもこれも、全部小林くんのせいである。おのれっ。
ただ、彼の暴挙ともいうべき引きこもりは、確かにキュウキ側の思惑をも外していたようで状況は一気に総力戦に。いや、でも小林くんらが異界に引きこもってまで守っていた場所は実はまったく意味なかったんですけどね! ただ、本当に意味ないところに引きこもられたことが、小林くんとはまた違うストーリープランナーを自認するキュウキとしては、予定と違ってしまったのか。相手側からしても、あれだけ物語の進行的に無駄なことされると、どうしようもないもんなあ。
ともあれ、将軍ポディションの使徒たちも総出演で、総力戦に。でも、将軍クラスってろくにマトモなの居なかったよね。それをいうと、四凶たる魔神たちも全員ちゃんとしたマトモなやつが一人もいなかったわけですが。キュウキだけなんとか敵として黒幕っぽい動きをしてくれましたけれど、逆にちょっとマトモぽかった分、テッたんことトウテツ、コントンのおっさん、トッコことトウコツの三人のあまりもあんまりな色物キャラに比べてどうしてもインパクトが足りなかったのも確かで。
てか味方陣営が人数過多でラスト供給過剰になってしまったのは笑ってしまった。それでも、ラストはようやくヒーロー物の締めらしいリューガの必殺技での決着で、いやこういうちゃんとした終わり方って初めてだったんじゃw

ただ、キュウキ編も結局新章開始の前段階だったわけで。これはタイトルコールを変更しての第二シーズン開始ですよね? あのキャラの突然のポディションチェンジについては、今までの立ち位置の不可解なまでの中途半端さというか蚊帳の外なところからして、なにか絶対にあると感じていただけに、むしろようやくか、という待ってました感が。いやまあ、いまさらヒロイン枠になるにも色物キャラすぎるのですが。
やはり不動のメインヒロイン、小林家のお嫁さんは魅怨が譲らんかったよなあw

シリーズ感想
 

7月4日

松本直也
(ジャンプコミックス)
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稲垣理一郎/Boichi
(ジャンプコミックス)
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藤本タツキ
(ジャンプコミックス)
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阿賀沢紅茶
(ジャンプコミックス)
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マポロ3号
(ジャンプコミックス)
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yatoyato
(ジャンプコミックス)
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土田健太
(ジャンプコミックス)
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橋本悠
(ジャンプコミックス)
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辺天使/津田穂波
(ジャンプコミックス)
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伊藤砂務
(ジャンプコミックス)
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三条陸/芝田優作
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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有馬あるま/フカヤマますく
(ジャンプコミックス)
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田中靖規
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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堀越耕平
(ジャンプコミックス)
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古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
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神江ちず
(角川コミックス・エース)
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路生よる/藤堂流風
(角川コミックス・エース)
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蝉川夏哉/ヴァージニア二等兵
(角川コミックス・エース)
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三上康明/田中インサイダー
(角川コミックス・エース)
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7月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
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メソポ・たみあ
(角川スニーカー文庫)
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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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shiryu
(角川スニーカー文庫)
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あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
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ミヤ
(角川スニーカー文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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シクラメン
(HJ文庫)
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かみや
(HJ文庫)
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ぎんもく
(FUZコミックス)
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晩野
(FUZコミックス)
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明地雫/霜月緋色
(HJコミックス)
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森山ゆっこ/はむばね
(HJコミックス)
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黒野ユウ/遠野九重
(B’s-LOG COMICS)
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大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
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弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
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雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
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虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
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謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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