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ガンパレード・マーチ

ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 34   

ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 3 (電撃コミックス)

【ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 3】 作画:長田馨/原作脚本:芝村裕吏 電撃コミックス

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熊本近郊へ押し寄せる幻獣群。独断専行で迎え撃つ5121小隊。秋草らは5121小隊の人型戦車の運用法を探るべく最前線へ赴くが…!?
これが、5121小隊の戦争だ!
これまでミリタリー描写……戦争シーンの描き方が緻密かつ誠実だった本作だからこそ、5121小隊という存在の異常性、際立った異常性がこうして見るとよく分かる。外から見た時の、他の普通の戦争をしている面々から比べた時の、彼らの戦う姿はあまりにもおかしい。周りが現代戦を行なっている中で、彼らだけが英雄のいた頃の戦争を行い、そして現実として人類の剣先として一番先端にて幻獣の蹂躙の矛を逆に切り裂いているのだ。
理性と客観性を以て幻獣との戦争を統べようとしている秋草たちにとって、それは許されざる不条理であり、しかし現実として5121小隊こそが人類の希望なのである。
まあなんというか凄い。このように、今回は5121小隊がメインとなって描かれているのだけれど、なまじこれまでがガンパレの世界観をミリタリーの観点から非常に現実に忠実な形で、いっそ生々しいくらいに戦争を戦争として描いてきただけに、5121小隊のとんでもなさというのが余計に浮き彫りになってるんですよね。
面白いのは、そうした5121小隊の異常性について、本作はまず人型戦車の「足回り」から切り込んでいることでしょう。これまで、人型戦車の整備の難しさ……いや、難しいなんてものじゃないな。実戦兵器としては到底成り立たない、並の整備力では稼働率を全く、そう全く維持できない絶望的なまでの整備性の悪さというものは繰り返し語られてきましたけれど、この巻の前半では通常の学生部隊では、人型戦車の運用などまともに出来ようものではない、という事実をこれでもかと叩きつけてくる。人型兵器なんてものは、立って歩くだけでも「破滅的」なのだ。
それを、5121小隊は走らせ跳ばせ、戦場にて舞うように踊らせる。
5121小隊の肝であり根幹は、何よりも整備班、というのを描けているガンパレ作品は、どれも極めて良作だ。そもそも、原作からして5121小隊のメンバーのほぼ半数が整備担当、という人数構成である。人型戦車の戦争が何をベースとしているのか、の考え方が一目でわかる事例だし、本作はあくまでそれに忠実なだけなのだろう。
しかし不条理である。そんな不条理の塊に追いすがろうとする神楽や秋草たち。その目的はいずれ来るだろう幻獣の大攻勢によって訪れる破局の回避。でも、こんな異常の塊を模すことなんて出来るの? 5121小隊の強さに追いすがろうという行為は、どこかイカロスの飛翔を想起させ、いずれ秋草たちは太陽に灼かれて墜ちていくんじゃないかという危うさを感じずにはいられない。彼らが5121小隊に抱く感情は憧れや羨望とは裏腹の憎しみであり怒りであり恨みである事が、果たして吉と回るか凶と出るのか、今はまだ答えは見えない。

1巻 2巻感想

ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 33   

ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編(3) (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 3】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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アメリカ海兵隊とともに、レイクサイドヒル市に生存する一万五千人の救出に向かった5121小隊。しかし市まで二十キロ地点に差しかかったところで、幻獣の執拗な波状攻撃を受け、進撃は頓挫する。救出作戦は大きな見直しを余儀なくされようとしていた。この間、主戦線でアメリカ軍は苦戦し、幻獣はボストンの街にじりじりと迫っていた。敵の物量の前についにアメリカも敗北することになるのか―そのとき、奇妙なことに突如幻獣が退却をはじめた。歓喜するアメリカ軍。しかし、では退却する数万を超える幻獣の群れは、無傷のままいったいどこへ向かおうとしているのか!?
日本ではこうだったから、日本兵ならそんな文句は言わないのに、じゃ通じないのがアウェイの困難。郷に入りては郷に従え、というのとは少し違うのだろうけれど、メンタリティから考え方まで隅から隅まで違うのが文化の違いというもの。それに、常識の一方的な押し付けはどうしても反発を生む。過去には、巨人ではこうだったあーだった、とばかり言い募って総スカンを食らってしまった野球監督などもいらっしゃるようですし、こういうケースではどうしても、上の立場にいるものがうまくコントロールしなきゃ始まらないんですよね。
とは言え、今回にいたってはなし崩しで戦力に組み込まれた上に、準備期間も殆ど無く戦争状態に突入している。本来ならオブザーバーにしろ何にしろ、ある種の連絡将校が付き添うことで両軍の間を取り持ち、実際戦場に立つまでにコミュニケーションを取っておくべきだったんだろうけれど、何しろ時間も何もなかったからなあ。
一緒に戦えば即座に戦友、なんていうのも言わば幻想。特に現状は、幻獣の侵攻がはじまったばかりでアメリカ軍自体が戦争それ自体に実感を得ていない状態。これで長く苦戦が続き、兵士一人ひとりが戦争に辛酸を舐めた状況だったなら、事態を一気に切り拓くような勇戦を見せる友軍の話題に期待や友誼を感じるかもしれないけれど、まだ始まったばかりのこの状況だと、5121小隊というのはやっぱり外国の異端なんですよね。幾ら、司令部の士官クラスが正当に評価してくれていても、末端部分からすると得体のしれない外国の部隊なんですよ、認識としては。実際、現代戦ともなると実態に肩を並べて戦う、という実感はなかなか得られないものですし。
そんな意味で、米国内においての一番の理解者で協力者である海兵隊ですら、こんな疎外感を感じさせてしまうのも致方なしなのかなあ、とやや鬱積を溜めながらも思うわけで。

外国で戦うのって、大変ですよね。

そんな微妙な孤立状態の中で、幻獣軍は明確に5121小隊を狙い撃ちしはじめる。これは、人類の軍隊の戦闘原則などに縛られない、幻獣特有の自由さだよなあ。同時に、5121小隊の危険性を、幻獣知性体の傲慢さに目を曇らせずに真っ直ぐに見ぬいた正当な評価とも言える。謀略によらず、真っ向から正面勢力をかき集めて圧倒的な戦力で押しつぶそうという戦略は、正しすぎて眩暈がしそうだ。幻獣共生派の使い方といい、今アメリカの背後で蠢動している幻獣の王は、これまでにない強敵と言えるでしょう。権力にしろ戦力にしろ、使い方というのを正しく理解している。これは手強いぞ。


シリーズ感想

ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 23   

ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 2 (電撃ゲーム文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 新大陸編 2】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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 アメリカでの軟禁状態から脱し、海兵隊とともにレイクサイドヒル市救出作戦に従事するはずの5121小隊だったが、難問が山積みしていた。アメリカ陸軍が小出しに出撃させた救出部隊は目的地に着く前に包囲され、その援軍も、二重遭難、三重遭難を繰り返していた。そして、負傷兵の救出、後送の任務に就いた5121小隊は幻獣共生派、そして陰謀をめぐらす 「目に見えぬ敵」 との心理戦に神経を消耗させていく。
 一方レイクサイドヒルで、PTSDを発症し精神的に不安定な浅井が、エンターポイント研究所の秘密をめぐる事件に巻き込まれていた……。
上層部の現状把握の失敗と固定観念への執着、さらにそこに組織防衛やらセクト争いが加わった結果、本来の実力を発揮できないまま国内有数の精鋭部隊が無駄に消耗していくという最悪のパターンへと突入していくアメリカ合衆国。とにかく見ている限り、政府も軍部も内向きの争いにばかりかまけていて、というよりも長年の本土の平穏と外界での怒涛の幻獣の侵攻というギャップが、アメリカという国を極端に内向きの体制に仕立ててしまったんだろうな、これは。日本も軍内の閥争いやら、クーデターにまで発展する内ゲバが相当に酷いことになっていたけれど、それでも国として「幻獣」という外敵と戦うシステムと意識がはっきり整っていた分、まだマシだわ。東京などの銃後の地域は平和ボケしているとかさんざん言われてたけれど、まだアメリカに比べたらマシでしたわ。
これは本当に酷い。実際に戦闘が起こり、幻獣に本土を侵略されてなお、自分たちが何と戦っているのか、という意識が非常に曖昧なんですよね。勿論、尋ねれば幻獣と戦っているんだ、と答えるんだろうけれど、その
「幻獣」という存在がどういうものなのか、わからないのはまだしも考えようという意識からして非常に乏しく、漠然とただ銃を握って命ぜられた通りに動いている、という雰囲気がひしひしと漂っているのだ。これじゃあダメだわ、ぼけているとしか言いようが無い。
必然的に、生死による無情の選別が行われていく。生き残ったものだけが、幻獣の恐ろしさを知り、自分たちが何と戦おうとしているのかを把握しようと必死になる。いや、なったものしか生き残れない、というべきか。
この点、一番幸運だったのが、5121小隊を救出して仮編入した海兵隊の部隊でしょう。勿論、5121小隊という歴戦の教導役を得たことが幸運なのですが、それ以上に指揮官のフェルナンディス旅団長がこの時期のコマンダーとしては稀有なくらい優秀な逸材だったことでしょう。何より瞠目させられたのが、5121小隊の有用性を正しく認識しながら、決して使い潰そうとしなかったこと。外国軍の、しかもVIP、曰くつき、といろいろと使いにくい点があったにしろ、5121正体を非常に「大事」に使ってるんですよね。日本での戦闘を見れば分かる通り、ほぼどの戦線でも5121小隊は必要だったとはいえ限界まで「酷使」されるのが常だったのを思えば、フェルナンディス中佐は小隊をびっくりするくらい「適性」に使ってるんです。決して、温存する余裕はなかったはずなんですよ。それなのに「余裕」を持たせることに躊躇しなかったという点で、この人は実にアメリカ軍人らしい最優秀の人材だったと思いました。尤も、そのフェルナンディス中佐がワプスじゃなく、主流派とは成り得ないメキシコ系というのが面白い所。ただ、ちゃんと参謀に東部人の出来物がついてこれまた的確にサポートし、そのサポートを指揮官もまたこれ以上無くうまく使いこなしている、という点で場末で燻らずに機さえ逃さなければメキメキと出世しそうなタイプでもあるんじゃないでしょうか。荒波さんとは全く違うタイプなんだけれど、アレと似た現場叩き上げにも関わらず視野が広くて手が長いタイプの、上に立つのが似合うタイプに見えるなあ、この人は。

一方で、浅井さんがどうやら5121小隊と相対する形での主人公格として動くことになるのか。孤立した街の指導層に絡むことで、民間人・警察側からのシーンを主導することになりそうだし、さらにエンターポイント研究所という裏の動きに接触したことによって、5121小隊とは違って裏側からアメリカの動きに一刺し加える戦力になりそうだ。

此処に来て、アメリカの政財界に深く食い込んだ形で、黒幕が登場。アメリカの歪みっぷりは孤立主義を貫き通してきた事を加味しても変な方向に進んでいる上に、妙な秘密結社が乱立していると思しき様子にはなんぞこれ?と首をかしげる有様だったのだけれど、なるほどここでも幻獣が絡んでたんだ。
それも、王族クラスが。
結局、今に至るまでカーミラ以上の強敵は登場していなかっただけに、果たしてこの連中はカーミラに匹敵する相手になるのか否か。ちょっとカーミラたちを下に見た言動を見る限り、図に乗ってて痛い目を見るパターンに入りそうな恐れもあるけれど、さすがに今までの連中に比べればまだ位階が高そうだし、うーん、大丈夫だろうか……。

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ2K  新大陸編 1 3   

ガンパレード・マーチ2K(にせん) 新大陸編〈1〉 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ2K  新大陸編 1】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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北海道の動乱から二カ月。幻獣との死闘に次ぐ死闘をくぐり抜け、5121小隊の隊員たちは久しぶりに平和な時を過ごしていた。そんな折、人型戦車に強い興味を示すアメリカは、日本政府に5121小隊を軍事顧問としてアメリカ本土へ派遣することを要請する。アメリカから莫大な経済援助を受けている日本政府は要請を断ることができず、小隊をアメリカへ送り出した。そんな彼らを追うように、幻獣がカナダ国境に近い都市・レイクサイドヒルに近づいていた。異国での5121小隊の苦闘の日々を綴る新シリーズ「新大陸編」開幕。
5121小隊、ついに日本を離れて海外進出!! という華々しいお話だったらよかったのだけれど、実際にはアメリカの要求に屈して技術協力の名のもとに生贄同然に差し出され、米国内の基地にて実験動物同然の扱いを受けるという、救国の英雄に対するにはあんまりにもあんまりな仕打ち。前巻のラスト近辺のアメリカ本土への幻獣上陸という展開から、アメリカへの派兵は既定路線だと認識はしていたものの、まさかこれほどあからさまにひどい扱いになるとは。幸いだったのは5121小隊への扱いがアメリカ国内の総意ではなく、人でなしのクズも沢山いるかわりに、健全なモラルの持ち主もまた沢山いてくれて、5121小隊や護衛として同行した自衛軍の身柄を擁護する形で動いてくれたこと。そして何より、大原首相が5121小隊の子供たちへのアメリカのやりように純粋に激怒して、かの同盟国と敵対しても彼らを守ると宣言し有限実行してくれたことだろうか。勿論、大原首相も政治家らしくちゃんとアメリカと敵対しても大丈夫な目算を立てていたからこその決断だったんだろうけれど、それでもリスクは多大にあったわけだし政治家としての立場も危うくなることは間違いなく、それでもなお子供たちを守ろうとしてくれた事実は、5121小隊の子たちが国から捨てられたのではないという安心感を与えてくれて、本当によかった。利を踏まえているとは言え、ちゃんと情を以て庇護してくれる人が上に居るという事ほど恵まれている事はないものね。過酷過ぎる戦争を続けてきた5121小隊だけれど、大原首相と懇意になれたことは幸い以外の何ものでもなかったんでしょうね。

とまあ、前半は5121小隊への人間の尊厳を踏みにじるような扱いにストレスがたまる一方でしたが(例の有名な看守と囚人の実験で明らかになった心理反応が多大に作用したようだけれど)、5121小隊が大人しく柵の中で震えているような子羊などではなく、日本でも有数の獰猛な牙をたぎらせる猛獣そのものであり、小さな子供と侮った連中が痛い目を見てくれたので、スッキリしました。すっきりすっきり。

肝心の幻獣の侵攻は、巨大な戦力を持つアメリカと言えどそれ以上に膨大な物量をもって押し寄せてくる幻獣との戦闘経験の乏しさから苦戦続き。実際のアメリカと違って(言うほど違わないのかもしれませんけれど、情報のせき止め方を見るかぎり自由主義国家というよりも管理国家っぽいからなあ、このアメリカ)、詳しい戦況は都合の悪い情報が削除されてしまっていることもあって、実際のそれとの食い違いから正確な情報が回らずに大混乱。まあ酷いです。
コレに関しては、やはり半世紀近く実際に幻獣と戦い続けた上で、九州から東北での戦いを通じてドクトリンを完成させた日本の経験値が大きくアドバンテージを得ているようで。
というか、アメリカは人型戦車の秘密など技術面ばかりの奪取を目論んでて、実際の戦場での戦い方、戦闘詳報の研究などは実戦部隊に広げていなかったんだろうか。仮にも同盟国なんだから、多少の割引はあってもそれなりに詳しい戦闘詳報は送られているはずだろうに。5121小隊が同行することになった、精鋭と謳われ、実際に優秀で考え方も柔軟な指揮官が率いる部隊が、対幻獣戦においてこれだけ不明を見せる事になってしまったというのは、どう考えても上層部の責任でしょう、これ。

しかし、これから5121小隊はどう動くことになるのか。一応首相からは西海岸に脱出しろ、と言われているし、西側の自治区もクローズアップされてることから、やっぱり現状孤立している街を救出したあとは西進するんだろうか。此処に来て、あの人と合流フラグも立ってるみたいだし。幸か不幸か、学兵の戦車部隊はアメリカまで同行してないんだけれど。

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 24   

ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 2 (電撃コミックス)

【ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 2】 作画:長田馨/原作脚本:芝村裕吏 電撃コミックス

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5121小隊との接触で、速水厚志への憎悪を隠さない秋草。
その夜、熊本のはずれに中型幻獣・ゴルゴーンが突如出現した。
戦闘へ向かう小山率いる歩兵小隊のバックアップとして、神楽&秋草の愛機・騎魂号がついに動きだす!
これは、まさしく正史に連なるガンパレシリーズだ。一巻を読んだ時はあまりにガチに固められたミリタリー関連の設定群から、ある程度榊涼介版ガンバレの世界観も踏襲しているのかとも思ったのだけれど、若宮が年齢固定型クローンとして登場したこと。速水厚志が第六世代クローンの偽物であること(これは、榊版も同じみたいだけれど)。
そしてなにより、その精神性。
どこかのだれかの未来のために
地に希望を 天に夢を取り戻そう
われらは そう 戦うために生まれてきた

この無残とも言える気高さは、正しくガンパレードマーチの世界そのものを描いていると言える。榊版も基本的には一緒なんだけれど、あちらは正義が優しさと良心によって形作られた救いを勝ち取った世界へと移行しているので、ちょっと違うんですよね。正史のガンパレードマーチは、むしろ正義も愛も友情も人間としての誇り高さも、すべてが「悲劇」へと繋がっているような終端を前にした美しさ、或いは永遠永劫に続いていく儚さを内包している。
くそったれな現実がぶちまけられた血反吐のように張り付く戦場の中で、幻獣と人間が殺戮し合い、鏖殺し合う血みどろの地獄の中で、なおも高らかに正義を謳い、弱きを助け、仲間を守り、戦い抜こうとする兵たちの健気さは、見方を帰れば狂気そのもの。そんな狂気を肯定し受け入れて、ささやかな殺し合いの合間の平穏の中で笑いあい、死地へと帰っていく少年少女たち。
この常に「救われなさ」を背負った泥臭さこそが、ガンパレードマーチ、だったんだよなあ、というのを懐かしく思い出した次第。

一巻ではチラリとしか出番のなかったもう一人の芝村の姫、神楽がついにその姫たる力を指し示す。それは常軌を逸した情報処理、分析能力。膨大な情報を五人の小隊員たちの神憑った整理と入力により、一挙に入力。そこから導き出される分析結果は、ほぼ未来予知に等しい確定予測。アナリストの極み、といったところか。彼らの働きは、常に人類側が幻獣群の動きの先手を取る事が出来ることを意味している。これは物量で圧倒された上に、防御側として常に攻撃のイニシアティブを幻獣側に握られている人類側にとって、一軍にも勝る戦力だ。自分たちの計算能力は一個師団に匹敵するという自己評価は、過少なくらいだと思うぞ、これ。
そして、何より神楽はやっぱり芝村だよな、これ。決め台詞というか、発する言葉がいちいち流麗で高揚を誘ってくる。

友軍(とも)を護れ。火蓋開け(オープンファイア)。全火器使用許可(ガンパレード)!!
抜刀突撃!(アールハンドゥ・ガンパレード!!)
此処ぞという時の戦争シーンの熱さは折り紙つき。やっぱりこのセリフ回しは痺れるわー。

舞の姉でありながら、芝村を離れて妹の事は過去のことと言い切る神楽。速水厚志を偽物として憎悪をむき出しにする秋草。騎魂号での戦いのシーンでも、5121小隊を意識した発言もあり、どうも、5121小隊に対して様々な因縁をもっているようで。ちらりと舞と速水を始めとする5121小隊の面々も登場しているのだけれど、スピンオフとして完全に別部隊の話になるのではなく、色々と裏や表で複雑に絡んだ話になりそうだ。

1巻感想

ガンパレード・マーチ2K 5121暗殺 3   

ガンパレード・マーチ2K 5121暗殺 (電撃ゲーム文庫)

【ガンパレード・マーチ2K 5121暗殺】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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 北海道独立戦から一カ月。消耗した心と体を癒すべく、芝村舞と速水厚志は九州のとある島で長期の休暇を楽しんでいた。森精華は壬生屋未央の実家で心身ともにリフレッシュし、原素子はお付きの新井木勇美を従えてショッピング三昧の日々。また整備班の面々は、整備学校を再開させていた。5121小隊の発足以来、初めて与えられた長い余暇の時間。
 しかし、水面下では密かに5121小隊の抹殺計画が進行していた。それは野心溢れる政治家が、某超大国と国内財閥という二つの後ろ盾を得て発動した、極秘作戦だった。各地に散らばった5121の隊員たちに、暗殺者が忍び寄る――
相変わらず憲兵隊が頼もしすぎるシリーズだな、このガンパレードは。戦争の季節が通り過ぎた後に訪れるのは内乱の季節。露骨に戦争継続を狙う樺島財閥を特地と化した北海道ごと処理し解決出来たのは良いものの、芋づる式に這いでてきたのは古くから日本を裏から支配する富士グループと地球上に残された人類唯一の大国アメリカ合衆国。両者にとって目障りな存在となった5121小隊は次々と彼らの送り込んでくる暗殺者に狙われるハメになるのだが……。両者とも狡猾なのは、直接手を下すのではなく良いように使えるトカゲの尻尾を介して5121小隊排除に動くところでしょうか。トカゲの尻尾である文部大臣の小物っぷりがちょっとしたコントみたいになってしまっていて、フィクサー気取りの痛々しさと相まって苦笑が浮かんで来てしまった。とは言え、彼女もただの阿呆というわけではなく、マスコミのえぐい使い方や世論誘導、自分の理想を実現するためには手段を問わない躊躇わない黒さは相当に嫌らしいもので、これが政治力など持たず謀略や情報工作に適正を持たず、組織力学に何の見識もない真っ当な軍人、あるいは正義の味方だったら、良いように振り回されてしまったかもしれませんが、何だかんだと5121小隊の面々は酸いも甘いも噛み分ける裏にも表にも通じた連中ばかりですからね。世界の裏側にどっぷり浸かった人も多いし、今までの経験で真っ当な子たちも黒く汚い意思への対処法は覚えているわけです。
なにより大きいのは、後ろ盾になっている大原首相が辣腕も辣腕の政治家である所なんでしょうなあ。芝村と大原首相がバックについて、情報と治安維持を担う憲兵隊と軍の半分、そして遠坂財閥と何より良心的なマスコミが全面的な味方についてくれている、というのはやっぱり大きいですよ。幾ら5121小隊が出来物ぞろいとはいえ、巨大な組織の圧力に小さな個々が立ち向かうには色々と限界がありますからねえ。
しかし、アメリカの状況は今まで情報出てなかったのだけれど、結構ややこしいことになってたんだな。南北分裂、とは行かなくても、シアトル政府なる別のアメリカが存在しているとは。人口規模が数百万ということで、決してワシントンと対等とは言えない大きさですけれど、それでも別の交渉口があるというのはかなり大きいはず。
富士財閥の方も、ついに本丸である「ラボ」の黒幕が出てきたかー、と感慨深い。ガンパレードマーチ世界の日本において、一番根深い病根ともいうべき巣こそが「ラボ」ですからねえ。これを放置したまま済ますのだろうか、と疑問に思っていた部分もあるので、ついについに、という心地である。まだ、その全体像どころか一端すらも掴めていないような状態ではありますが。それに、憲兵総監の秋本さんや副島さんがあれほど追いつめられる事態が起こる以上、楽観できるところは全然ないのですが、それでも今まで影も形も見えなかったのに比べれば、直接手を出してきた分、お返しも必ず出来るはず。
憲兵隊というとどうしても暗いイメージが強いけれど、この世界の憲兵隊はある意味警察よりも健全で真っ当で有能なので、これが味方というのはホントに頼もしいんですよ。

ラストには卓袱台をひっくり返すような展開が訪れて……これ、もしかして5121小隊の海外派兵フラグですか!?

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ2K北海道独立 43   

ガンパレード・マーチ2K北海道独立 4 (電撃文庫 J 17-34)

【ガンパレード・マーチ2K北海道独立 4】 榊一郎/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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 外国人師団を私兵化し、北海道共和国の実質的な支配者に収まった死の商人・樺山亮平の野望は、幻獣の知床半島上陸によって潰えようとしていた。日本自衛軍は道東に集中している樺山財閥の工場を次々と破壊し、さらに南下する幻獣の大群を迎え撃つべく着々と準備を整えつつあった。一方、圧倒的な破壊力を誇る人型戦車・神威の正体を探り、これを抑えるべく、5121小隊は総力を結集し、芝村舞は神威のパイロットと接触。この地で世にも凄惨な人体実験が行われていたことを知る。正義のために、目の前で苦しんでいる被験体の少年少女のために、舞は、実験施設の破壊を決意する。
 北海道独立シリーズ最終章―― !
シコルスキー、案外と小物だったなあ。陰謀家としてはカーミラの兄貴と比べても中途半端だし、王器も愚物とはいえ九州で戦った西王の方がよっぽどスケールが大きかった。シコルスキーに与えられていたアドバンテージは本当ならかなり大きかったはずなんですよ。幻獣としての存在を知られていなかった上に北海道行政、軍政にガッチリと食い込むポディションにあり、幻獣軍を自由に引き込める環境にあった以上、日本に対して東北戦役を上回る完全な奇襲を食らわせられるだけの位置に居たんですよね。それがなし崩しに正体をロシア人たちにばらしてしまい、せっかくの幻獣軍も逐次投入で最大の効果を発揮する最適な場所に最初の一撃を与える事に盛大に失敗した上に、自衛軍に迎撃の体勢を整えられてしまった。
そこで行われたのは、圧倒的な火力によって敵の侵攻を蹂躙し、兵の危険と被害を最小限に敵への損害を最大限に与えるという、善行が思い描いていた英雄を必要としない戦場。
九州戦役以来、いや人類が幻獣の侵攻を受けて以来、これほど一方的に幻獣に圧勝してみせたのって初めてなんじゃないだろうか。
此処に来て自衛軍の対幻獣戦戦術はほぼ熟成の域に達したように見える。少なくとも、今までみたいな数で圧倒するだけの戦い方では、幻獣側はよっぽど戦力比がないと押し切れないでしょう。幻獣側にそれなり以上の将帥でもいない限りは。個々の幻獣の質も九州戦役時代と比べるとどうやら落ちてきているようですし。
とはいえ、幻獣は世界中へと侵攻しているわけで、さらに幻獣の中でも何らかの勢力分布があるようなので、極東地域の幻獣の質の低下は何らかの形でパワーバランスを崩す事となる可能性もあるかもしれないんだよなあ。ただ、カーミラとシベリア王が居る以上、他の地域の幻獣が押し寄せてくる、という大乱は早々なさそうだけれど。カーミラはともかく、シベリア王は相当の力持ってるみたいだし。
とはいえ、幻獣側だけじゃなく人間側も国際問題が持ち上がりそうなんだよな。北海道共和国崩壊の推移を見ていると、アメリカの蠢動が激しくなっているようだし。どうやらシリーズ続くとして、次の相手はアメリカになりそうな予感。さすがに直接アメリカと戦争、なんてことにはなるはずないだろうけれど、パワーゲームに絡んだ非公式の暗闘が繰り広げられそうだ。とはいえ、この世界の日本は防諜能力べらぼうに高そうだし、対幻獣戦の経験値が戦場から遠いアメリカとは段違いなんですよね。あの北海道に潜入したアメリカの特殊部隊が対幻獣戦のノウハウが皆無だったことからあっさり全滅していた一件は注目に値するんじゃないだろうか。

難民の武装化と暴動の問題は、とりあえず幻獣の精神操作が背後に介在していた、という形で問題を処理していたけれど、これって幻獣が絡まなくてもいずれ起こっていた問題なんだろうなあ。というか、幻獣が絡んでいてよかったね、って話だ。対馬の事件、詳しくは語られてないけれど、もし表沙汰になったら真相がどうだろうと国民の難民への意識は最悪に転じるだろう、これ。大原首相からすると、今回の一件は渡りに船だったのかもしれない。北海道の行政システムを刷新出来た上に、中国、ロシア難民との間に拗れた問題の悪い部分を幻獣のせいに押し付けて、何とか対話と交流が叶うようになり、ある程度の制御が効くようになったんだから、ある意味シコルスキー様様なんじゃないだろうか。まあ今後は北海道の事も難民の事も放置じゃなく、ちゃんと関わって整えて行かないといけないから、責任は重大だろうけど。

とりあえず、神威関係が悲惨な結果に終わらず、ある程度ハッピーエンドで済んでくれたのは良かったですよ。あれが流れのままに救われない犠牲者が出ていたら、正義の砦を自認する5121の面々へのダメージ大きかっただろうからなあ。良かった良かった。

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 33   

ガンパレード・マーチ2K―北海道独立〈3〉 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 2】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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後押しをするというアメリカの口約束を信じ、北海道は共和国として独立を宣言した。自ら大統領となった小笠原は、犯罪者である樺山を国務長官に任命する。しかしアメリカはその後、積極的な介入はせず、静観したまま動かない。徐々に苛立ちを募らせる小笠原に、側近の吉良と本間は、アメリカを信用せず日本政府と和解するよう迫った。その時、シコルスキー率いる外人部隊が、上陸した本土自衛軍に向け燃料気化爆弾を使用。一挙に2000人近い死傷者を出し、浮き足立つ自衛軍。さらに追い討ちをかけるように、標津町から幻獣上陸の報せが……。風雲急を告げる 「2K」 シリーズ第3弾!
本間中将が全然イメージと違ったんですが!! おいおい、見た目若すぎだろう、これ。亡き塩沢兼人さんが声を当てそうなデザインだぞ。あるいは、今なら子安武人さんか。てっきり吉良さんはオジさん趣味なのかと生暖かい目で見てたのに、ただの面食いなんじゃないか。
戦局は人間同士の戦争ということで自衛軍はなるべく被害を出さず与えずの方針、北海道軍の中核をなす第七師団は本間中将の命令で沈黙を守り、敵はロシア人率いる外国人部隊と樺島系列の部隊のみ。被害は最小限で抑えられると思われた時、幻獣として暗躍し始めたシコルスキーの策謀によって血で血を洗う凄惨な戦場がアチラコチラで現出をはじめる。ただでさえ人間同士の戦争なんて幻獣共生派との暗闘を繰り広げてた憲兵や裏方の部隊しか経験がないところで、幻獣に操られた人間たちによって自殺攻撃、自爆攻撃、無差別攻撃なんてものを受けてしまったら精神的にダメージくるわなあ。あの合田小隊に被害が続出する局面が訪れるとは。それでも、合田小隊含めた二個小隊で大隊規模と相手に錯覚させるほどの激戦をやってのけたんだから、さすがは歴戦の部隊である。でも、学兵部隊をこんな戦争に注ぎ込むのはどうかと思うんだがなあ。

さて、シコルスキーが正体をあらわし、本格的に幻獣が北海道乗っ取りに参戦してきた中で、これほどアメリカの存在が重要なキーワードになってくるとは思わなかった。カーミラたちの和平派幻獣軍が味方となって表立って動けば、アメリカは日本を幻獣共生派とみなして攻撃してくる、か。本土まで幻獣に侵攻させて息も絶え絶えの時には援軍も派遣してくれなかったくせに、今更調子のいいことを言いやがって、と思っちゃうよな、これは。日本がどれほど国民と国土を死なせて戦ってきた末に勝ち取った和平なのか知らないくせに、本土をまだ攻められもせずに安定を保っているアメリカに好き勝手言われたくないよなあ。それでも、現存している人間国家の中では最大で最強であるアメリカを無視する事は不可能。故に、日本とカーミラ、ミハエル派の幻獣とはあくまで表向きは休戦状態という事にしておかないといけない、というのは今は仕方ないことなのか。
幻獣側もはっきりと国という国家単位を表明してくれれば、カーミラやミハエルの国は人間と共存するつもりであり、他の幻獣とは全く別の集団である、と旗幟を鮮明にして国際的にも堂々と付き合える余地が生まれてくると思うんだが、でもアメリカは幻獣はどんな幻獣でも倒すべき邪悪である、という思想に染まってるようなので関係ないか。今の地球上、アメリカ以外にまともな国家も残ってないわけだし。

ともあれ、自衛軍が本気になり、シコルスキーが正体をあらわしたことで逆に落とし所は見えてきたか。小笠原知事は権力の魔力に魅入られて完全に見識を失ってしまっているが、この状況では諦めなきゃどうしようもないと悟ったようだし。本当なら本間中将がもっと強硬に本土回帰を迫るべきだったようにも見えたけど。吉良ちゃんに比べてどうしても遠慮が見えて、ちともどかしかった。

シリーズ作品感想

ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 14   

ガンパレード・マーチアナザー・プリンセス 1 (電撃コミックス)

【ガンパレード・マーチ アナザー・プリンセス 1】 作画:長田馨/原作脚本:芝村裕吏 電撃文庫

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ふおおおおっ、これはっ、これは凄いわッ。これが【ガンパレード・マーチ】なのかっ! 
これ、榊版ガンパレの設定に基づいているのではないでしょうけれど、少なくとも戦闘描写や組織編成、学兵の扱い方など明らかに榊版ガンパレのそれを参考にしていると思われる。最初、本当に榊版の漫画化なのか!? と思ったくらいだもの。対ゴブリン戦闘のやり方や人形戦車の使い方、学兵の交流の様子など散々読んできた榊版のそれとだいたい一緒であるし。そうか、対ゴブリン戦、いわゆるゴブリンの海ってこんな感じなんだ。漠然とイメージはしていたものの、やはりマンガで実際に描写されると非常に分かりやすい。さらにキメラがタンクキラーと呼ばれる所以。ミノタウロスが幻獣の中でも特に恐れられる理由。なるほど、これは一目瞭然だ。
後世、殆ど伝説のように語られる激戦の地、熊本要塞。廃墟と化した市街地を舞台に繰り広げられる激烈な殲滅戦争。そう、戦争だ。ここではまったき戦争が描かれている。これだけ背景がしっかりと描かれてると、同じ戦闘シーンでも迫真性が全然違うわ。瓦礫とかした街の悲惨さ、その街にうごめく幻獣という存在の異質さ。街を容赦なく破壊していく砲撃の火力、鉄量。人型戦車やミノタウロスの巨大さ。どれもが圧倒されるような迫力で描かれている。単純にミリタリーものとしてもこれ相当の出来栄えなんじゃないのか?

登場人物はガンパレのメインである5121小隊の面々ではなく、別の学兵部隊。勿論、彼女らは5121のようないい意味でも悪い意味でも「特別」な人間の集まりではない以上、死地である熊本戦線においては早晩死体を路上に晒す、あるいは亡骸すらも残らない死に方をして消え去るような人材だ。何しろ、軍令部は投入した学兵数十万の殆どが死亡すると見立てている、熊本はそんな戦場なのだ。だが彼女らは0101小隊の秋草という少年と出会うことで運命を変転させることになる。
01010小隊ってまた凄いナンバーだな、と思ったらこりゃまた相当「怪しい」部隊だなあ。アナザープリンセスのサブタイ通り、芝村のお姫様。それも舞の姉になる(芝村の家の特徴からして血が繋がっているかは分からないが。というか、これ<本当のガンパレ>の設定だと壮絶にアレな内容だからなあ。その辺はあんまり考えないほうがいいかもしれない)芝村家の長女・神楽が所属している事からして5121小隊を上回る芝村的な部隊なのかもしれない。その割に、メンバーの様子はかなり変だけど。軍人じゃないよね。技術畑。それも原さんたちとはタイプの違うコンピューター関連?
総じて殺伐とした内容なのかというとそうでもなく、死と生の瀬戸際を突っ走りながら結構コメディタッチの掛け合いなんかも頻繁に入るので、暗い雰囲気ではないんですよね。メリハリがきいている、というべきか。
人型戦車の使い方も面白いなあ。あれって一般部隊が使うと稼働率がとてもじゃないけど実戦で使えるようなものではなく、5121小隊があれほど活躍できたのは原さん率いる整備部隊の凄まじい腕によるもの、という話なわけで、他の部隊じゃまともに扱えないはずなのでどうするんだろう、と思ったら。モコスみたいな使い方しながった。いや、それが正解。足回りが一番やばいんだから、初心者が無理やり戦力化しようと思ったら自然とこの選択になるんだろうけど、それを陣地構築と共に実行できるのはえらい、相当にえらい。というか、漫画でこういう発想の戦闘を見れるとは。
一応主人公は秋草くんになるんだろうけど、むしろ戦車随伴兵(スカウト)の小山美千代のが主人公っぽいんだよなあ。こう、心の強いタイプの子だし。
しかし、肝心のヒロインのはずの神楽さんが一回しか出てこないというのはどういうわけだ?w

ともかく、期待していた以上に素晴らしい出来栄えで、ちょっと感動すらしてしまった。最後の話では5121小隊、舞や厚志も出てきたし、これは楽しみなシリーズが出てきました。榊版ガンパレを愛読している人は、これは必読ですよっ。

ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 2  

ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立(2) (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 2K 北海道独立 2】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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北海道特別措置法 ―― それは日本政府の国策によって集中的に資本を投下され、さらに難民労働者の奴隷労働によって豊かになった北海道の、半独立国としての特権を保証するものだった。この地に拠点を移した軍産複合体は、日本政府と袂を分かち、北海道共和国の樹立をもくろむ。一方、独立派の暴走を憂え、本土回帰を志す者は、特別措置法の廃案をめざす日本政府との交渉に奔走する。戦争か平和か? それを決めたのは、独立派による本土へのミサイル攻撃だった。芝村舞と速水厚志は、道東を逃亡中、難民労働者の窮状をつぶさに知り、正義を貫くため、北海道上陸作戦への参加を決意する。白熱のシリーズ第2弾!

片岡さんまじロリコン!(笑
この人もまたえらい波乱万丈の人生を歩んでいる。元々、会津閥のエリート幕僚であり、九州奪還戦や東京クーデターで果たした役割からは、今の彼の姿は想像だに出来なかった。夜郎自大に陥り、選良意識に凝り固まり、正義の何たるかを履き違えていた彼は、泉野清秀から片岡歳三という別の人間になり、今までの自分を文字通り殺すことによって、何かを脱ぎ捨てることが出来たのかもしれない。彼が情報分析官として介入した現場で遭遇した理不尽に対し、彼は純粋に人間として怒りを覚え、人として当たり前の正義感に身を委ねる事になる。そう、彼はここで初めて自分の為でも世の中の為でもない、誰かの為に、他の人の為に怒りを覚えるのだ。もしかしたら、この瞬間こそが死人だった彼が一人の人間として蘇った瞬間だったのかもしれない。
この人は、やらかした事が事だけに好きになれなかったのだけれど、こうして自分の為でも社会や世間の為でもなく、彼が助けることが出来たあの子の為に生きる事が出来るようになったのは、素直に良かったね、と思えた事が嬉しい。しかし、浅井所長も若い女性との間に色々とあったせいか、アドバイスが的確というか、実が篭ってましたよねえ。経験者は語る、か?(笑

本土と北海道の緊張状態は、樺島の暗躍と小笠原知事の未練と執着により、悪化の一途をたどっていく。大原首相は一切の妥協を許さず、断固とした崩さない。これが民族自決や圧政の結果、支配から逃れるために独立を図るというのならまだ理解も出来るんだが、幻獣との戦争から一歩距離を置き、無数の戦死者を盾にして謳歌してきた繁栄を、特権を、利権の数々を失いたくないから、という理由で他国にすりより独立をはかろうなんて、そりゃ認められないし許せたもんじゃないよなあ。あくまで戦争を支えるための特例措置を、戦争が終わってもなお維持する理由はどこにもない。これはもう、小笠原知事は冷静な判断を失っているのじゃないだろうか。それとも、何らかの精神操作を受けているのか? アリエスがやらかしたみたいな強引で無秩序なものとは違って、ほんの僅か視野を狭窄させているだけ、みたいな。完全に人間同士の内戦なのかと思ったら、思わぬところで幻獣の別勢力が一枚噛んでいた事を考えると、北海道側の主要人物たちに対して僅かずつ思考を誘導している可能性は、現段階で否定しきれない。
ただ幸いなのは、第七師団の師団長がまったく冷静であり、自らが自衛軍の軍人であるという意識を持っていることだな。政治側も、吉良潤という人が、ほとんど正ヒロインみたいな形で表舞台に飛び出してきたし、兎にも角にも政軍両方の要に健全な理性を持った人がいてくれたというのは、この内戦間際の状況がまだ最悪になる前に歯止めがきく可能性が残っている事を示している。泥沼の内戦、国内有数の生産基地となっている北海道の壊滅、なんて現状ではそのまま日本の破滅に繋がるような事態だもんなあ。せっかく、幻獣との戦争が終わったというのに、こんな事で国が潰れたら、それこそ国を守って死んでいった人たちが浮かばれない。
しかし、内戦を防ぐことに筋道が見えてきたと同時に、本当の黒幕の存在が垣間見えたことで、この事態が収束してもそのまままだ「次」の何かが待ち構えていそうだ。
まあその前に、吉良ちゃん頑張れ、ですよね。この娘が好きなのって、やっぱりあの人なんだよなあ。最近、歳の差カップル多く無い?

榊涼介作品感想

ガンパレード・マーチ2K 北海道独立 14   

ガンパレード・マーチ2K(にせん)―北海道独立〈1〉 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ2K 北海道独立 1】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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 幻獣との本土決戦に辛うじて勝利を収め、日本は平和を取り戻した。しかしその代償は大きく、政治は混乱、経済は疲弊し、そして決戦を戦い抜いた日本自衛軍は壊滅的ともいえる状態に陥っていた。そんな中、唯一不気味な沈黙を守るのが北海道だった。北海道は対幻獣戦に加わらず、無傷の軍を温存。難民労働者を吸収して日本最大の生産基地へと成長していた。本土での政争に敗れた軍産複合体はこの地に拠点を移し、日本政府への反撃の準備を整えつつあった。死の商人たちの夢見る独立国家とは? そして心身ともに疲弊の極に達した5121小隊は、再び立ち上がることができるのか? 新シリーズ、渾身の第1弾!!

これこそまさに「どうしてこうなった!?」、である。主戦派の幻獣王を討伐し、カーミラとミハエルという極東地域の幻獣を纏める王族と和睦を結んだことにより、長年に及んだ幻獣との戦争も何とか日本が破滅に至る前に終結を迎え、さあ平和が訪れた……とは行かないこの理不尽。
ユーラシア大陸を横断し日本に上陸してくるであろう幻獣を迎え撃つために、後方の生産基地として北海道を特区化した上に、大陸から逃れてきた難民を治安維持のために全部押し付けた結果、いつの間にか北海道は中央政府の力が全く及ばない、半ば独立した全体主義国家と変貌していた……って、ちょっ、おい!?
謎に包まれた第七師団とか、幻獣の東北侵攻にも沈黙を守り続ける北海道とか、私はもっとあの地域や軍部隊は神秘的な理由で戦争の枠外にいるのかと思ってましたよ。第七師団なんて、5121とは全く別の意味合いでの、自衛軍の決戦部隊なのかと思ってたのに。現実での自衛隊の第七師団が、唯一の機甲師団であるのと同様に。
まさか北海道がこんなことになってたなんて。中央政府の政治家や役人たち、幾らなんでもこれ放置しすぎだろう。それだけ、樺島財閥の威光が幅を効かせていたのかもしれないが。
もうこれ、なんて【征途】? だよなあ。ほとんどこれ、南北の分裂国家状態じゃないか。精鋭の特殊部隊がピンポイント上陸での強行偵察を行わないと情報も探れないって、ある意味大陸に対する捜索よりも危険度が高くなっているようだし。
問題は、現状の日本国が戦争による疲弊によって、北海道の生産能力がないと立ち直る前に潰れてしまいかねないということ。逆に北海道は本土と関係を完全に絶ってしまっても独立して生存出来るということ。
建前として、奴隷まがいの労働力として働かされ迫害されている大陸難民や不必要なほど管理されている一般市民を救済し、非人道的な実験を繰り返している軍研究施設の摘発と、北海道がかくまっている国家反逆者樺島財閥の関係者の逮捕の為に、という理由はあるけれども、一番切実な理由として最初に書いた北海道の生産能力が今の日本には必須な訳で……こりゃ大原首相も後には引けンわ。
待ち構えているのは、人間同士の戦争、それも同じ国民同士の血みどろの内戦である。
これまでも幻獣共生派テロリストとの戦い、という人間同士の血で血を洗う泥水を啜るような戦争は陰でずっと行われてきていたのだけれど、表立って同じ軍同士が砲火を交えるというのは…悪夢だ。これは滝川たち普通のメンタルしか持たない少年少女組が関わっちゃダメだよなあ。さすがにこればっかりは、精神が持たないだろう。それこそ、本物の戦争の犬とも言うべき人間でないと。
いずれにしてもこれ、ヘタをすると幻獣戦争よりも遥かにエグい戦争になるぞ。
言わばこれは清算である。生存戦争という極限の中で目を逸らされ、無理やり抑えつけられていた矛盾が、これまで秘され続けていた日本という国が犯した罪が白日のもとにさらされ、償いを求められているのだ。
戦争が終わりました。平和になりました。めでたしめでたし、とはいかないんだよなあ、現実は。むしろ、戦争が終わった後にこそ、積もり積もったツケが吹き出してくるのだろう。それを、この作品は如実に体現していると言えるのかも知れない。

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 極東終戦4   

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻―極東終戦 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 極東終戦】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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末期戦も末期戦。超ウルトラ末期戦の様相を呈する最終決戦。とんでもないよな、これは。本当に予備兵力も何も無い、日本中の出し得る戦力を根こそぎ投入してあとはスッカラカンという、マジで後のない総力戦中の総力戦。近現代の戦争において、ここまでカツカツの戦闘ってのは考えられないよ。敗戦時の日本やドイツですら、戦場に投入できる位置、練度があったかは別にしてまだ戦う力を残した戦力というのはあったはず。
本来ならば、ここまで戦力が枯渇した状況というのは負け戦一直線なのだが、今回に関しては東北は青森方面に限定された局地戦である上に、相手の幻獣勢力もほぼ攻勢限界に達した状態。
事此処に至ると、あとはノーガードの打ち合いでどちらが先に心折れるか、という瀬戸際の綱渡りなんですよね。
これまでも九州撤退戦や山口攻防戦、南王討伐戦と極限状態の凄まじい末期戦は続いていたのだけれど、それもここで極まりに極まったって感じだよなあ。
精神的に大きく成長し、神経をすり減らし人間性を削り取られていく戦場の中で、見違えるような心のタフネスさを手に入れていた5121部隊の連中ですら、精神的に追い詰められ、絶望に心折れそうになり、壊れかけていた、という姿を見るだけでも、この最終決戦がどれほど凄惨で絶望的なシロモノだったかが伺える。絶望的といえば南王討伐戦も極まってたけれど、あれに勝る過酷な戦場があるとは思わなかったよ。
それでも耐え抜けたのは、ここを凌ぎ切れれば戦争が終わる、人類が生き残れるという確かな希望があったから。淡く正体がはっきりしないうっすらとした希望しかつなげなかった今までと違って、今回はシベリアの和平派幻獣王との平和条約の締結があり、中央を蝕んでいた戦争継続を願う軍需産業閥の粛清が行われ、本当の意味で平和が訪れる下地が築かれ、未来への展望が開かれていたのである。勝っても負けてもここが本当の終わり。どちらにしても次はない、という状況。破滅か、未来か。
人であることを捨てて獣に成り果てたが故に、本能に身をゆだねるばかりだった幻獣と、人であるからこそ先を見据える意志を持っていた人間と、幻獣となりながらも人であることを捨てず、人間とともに未来に手を携える決意を固めた者たちとでは、次へと進もうという意志の力の違いがあり、心の強さが天秤を人の側に傾けたのだろう。
最後、何か決定的な、見た目にも分かる派手な攻撃や破壊、勝利があったわけでもないのに、ある一線を超えた途端、幻獣軍の攻勢が止まり、雪崩をうつように潰走が始まったという描写は、特定の誰かの強さで得た勝利ではなく、人類全体の勝利を強く印象づける展開で、派手ではないどころか静かで拍子抜けすらしてしまいそうな唐突な勝利だったけれども、これしかなかったと思わせられる展開でした。
その上で、シベリア王やカーミラたちとの和平や共存を続けていく上で、彼らが幻獣という全く異種の存在ではなく、ちゃんと意思疎通が出来、心で交流できる、違う種族であっても同じ人なのだ、という認識を強く人間側が抱けるようになったのは、本当の意味で平和が紡がれる安心感があって、非常に良かった。同じ人として付き合うのだという意識が在る限り、少なくとも、バカバカしい理由で彼らと道を違える顛末は危惧しなくてよくなったはず。

と、世界情勢の方は見事に片がついたものの、個々のキャラクターに関しては手が回らなかったって感じだなあ。元5121小隊の面々はこのまま大原首相直属の特殊部隊ということで、民間には戻れないようだけれど、これは仕方ないのかなあ。彼らはあまりにも特別になりすぎたし、血に慣れすぎてしまった。滝川なんかは案外、大丈夫そうだけど……いや、普通にみえるからこそ逆にちょっと心配か。
オリキャラたちの今後については、もう少し何らかの情報が欲しかったなあ。まだ先行きとか見てみたい人たち、いっぱいいたし。佐藤ちゃんとかねえ。出来れば、後日談でも短編集でもなんでも、もう一冊は出して欲しいよなあ。ちょっと欲求不満だよ。
まあ、はたしてこれで本当に榊版ガンパレが完結か、というところから疑いたいところですが。願望に近いものですけどね。黒い月はまだ健在だし、世界各地にはまだ人間を殺し尽くそうとする幻獣の派閥がはびこっているし、幻獣共生派の勢力圏も広い。なにより、行方不明の幻獣たちの元の世界の王という不安要素もあるわけですし。
でも、もう日本が戦争を続行できるような力はないですし、国外に派兵するような余力なんてもっと無いわけで、やっぱり無理なんかなあ。
それでも、一抹の期待を込めつつ……せめて短編集だけでも〜。

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 欧亜作戦4   

ガンパレード・マーチ逆襲の刻欧亜作戦 (電撃文庫 J 17-29)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 欧亜作戦】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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先の感想で西王アリエスの策謀を嫌がらせレベルで収拾出来ている、戦局を左右されるほど致命的なものにはなっていないと書いたけれど、どうやらそれは甘い見通しだったみたいだ。
青森への幻獣軍の強襲上陸という危機に、ようやく防御体制が整い戦力が結集、敵の攻勢限界を支えきろうとしたその瞬間に、致命的な一撃をくれてきたのだから。
これほど厳しい一撃は、かつてのカミーラの爆破テロくらいじゃなかろうか。早々に新生壬生屋が元凶を叩いてくれたからまだ被害は抑えられたけれど、実際青森から八戸に下がらなくてはならなくなったのは戦線が崩れたと言っても過言ではない。不幸中の幸いは、津軽半島の部隊が孤立せずに撤収できたことだろうけど、あの攻撃の発端となったのがその津軽の部隊が撤収してきて戦力が結集してきた事にもあるわけで……。にしても、希少な優秀な海兵団の将校をここで失ってしまうことになるとは。芝村側の上級将校が戦死したのは、初めてじゃないだろうか。ただでさえ、海兵団は扱いが難しくて、これを自在に使える人材は少なかったのに。

とはいえ、戦線を下げて青森を放棄、折角復旧した北海道との補給線、青函トンネルも奪還され追い詰められたものの、数年に一度という強力な低気圧による猛吹雪は幻獣軍を鈍らせ、下げた戦線は縮小され、密度は逆に厚くなっている。敵の攻勢限界は近く、荒波少将はここは守勢で支え、攻勢のタイミングを伺うという方針に。
この青森での戦いは善行がデザインした欧亜作戦全体から見ると、全体の一部でしかない。大原首相が中心となって行う首都における政治的作戦・白。善行が直接シベリアに赴き、シベリア王との間で行われる外交作戦・紫。そして秘匿軍事作戦・紅が同時進行で実行されることになる。これらが成果をあげれば、単体の軍事作戦としては北海道との補給線を絶たれて先の見えないものになってしまう荒波の守勢は、そのまま逆襲への布石となるわけだ。スケールがでっかい話だ。勿論、荒波たちとしては、青森は保持したままで状況を進行させたかったんだろうが……。
戦艦の艦砲射撃とは、やはりここまでごっついものなんだなあ。
その守勢も、アリエスが投入してきた新型幻獣のお陰でまたぞろピンチになってきたのだけれど。合田少尉の部隊がここまでピンチに陥ったのってかなり久々なんじゃないだろうか。被害を考えると、初めてと言ってもいいかも。ここまで数あるフラグを乗り越えてきた部隊なのに、いきなりえらい危機的状況に陥っちゃったなあ。合田少尉は大丈夫だとは思うけど(冒頭のコメントからして)、それでも胃が痛いw

激戦化する一方の青森市街の最前線だけれど、実のところ今回の一番の見所は実際の戦場ではなく、後方である首都東京で行われる政治劇なのである。
特に一番見ごたえがあったのが、山川中将とクーデターの立役者の一人だった秋月中将とのテレビ対談。シビリアンコントロール下に徹し、民主主義の軍人としての本文を尽くした山川中将と、国の状況を憂いクーデターを起こすことになった秋月中将との、真っ向からの主義主張のぶつかり合い。とはいえ、お互いにすでに信念や固定観念に凝り固まった状態ではなく、ふたりとも事の真実に真摯に目を向け、この国の病巣を目の当たりにし、無私の思いと客観的視点でこの国の危機的状況を見つめる勇気を得るに至った状態、立場は異なりながらもある意味同志として対話を行う二人のやりとりは、熱く、真摯で、誠実であり、非常に訴えてくるものがあった。
そして、大原首相が暴露する戦争の真実と、軍需産業の解体劇。まだ現在進行形だけれど、ダイナミックな政治活劇が展開されている。
一方で、シベリアでも幻獣領に取り残され、人類圏から秘匿され忘れられた自治居留区の人々の生きざまと苦悩、そしてカーミラと同じく人の姿と心を持ったままこの世界に降り立ち、同胞の末路と人類が虐殺されて行く地獄絵図、その地獄に自らも手を下したという事実に苛まれ、絶望に犯されたシベリア王ミハエルの真実の姿。そこに踏み込んで行く善行と、彼を支える原さん。そして遠坂くん、といった面々による外交交渉も行き詰まる展開。
正直、ミハエルに対して日本が与えられるメリットというのは何もない上で協力を取り付けよう、というのはゾッとするくらい無謀な試みなんだよなあ。本当にここまで何も無いとは思っていなかっただけに、善行おまえ何考えてるんだ? と愕然としてしまいましたよ。
それでも、厳しいとはいえ条件を出してくれるまで話を聞いてくれたのは、ひとえにカーミラのお陰だわなあ。日本、もう彼女には頭上がらないよ。

そして、ミハエルの要求に応え、青森戦線を救うために企画される秘匿号・紅。これ、場合によっちゃあ野間集落での戦いよりハードル高いぞ、おい(汗

シリーズ感想

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 青森血戦4   

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻―青森血戦 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 青森血戦】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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うわ、青森市街って口絵の地図を見る限りじゃ、完全に戦線の内側じゃないか。段々と応援の部隊が送り込まれているとはいえ、兵力不足は否めず後方の青森市街にまともな部隊が残っているはずもなく、アリウスの仕掛けた罠により、無力な市民がデーモンの虐殺に晒されることに。
毎度のことながらアリウスの仕掛けてくる罠は陰惨で陰険で憎たらしい。だけれど、逆に言うとそれだけだ。智者を気取っている風なアリウスだけれど、その策は戦局を動かすほどの致命的なものにはなりにくいものばかりなんですよね。言ってしまうと、嫌がらせレベル。先の東京クーデターはさすがにヤバかったしイタイ所を突かれたけれど、東北侵攻を連動させられずに先走らせて各個撃破されてしまった手際を考えると、決して褒められるものではない。
ことこの手の特殊工作を戦局を左右するまでに効果的に運用する手腕に関しては、やはりカーミラの方が際立っていた。彼女の爆破テロは西部戦線を殆ど壊滅寸前にまで追いやったわけだし、彼女がその後手を緩めず、人類の協力者になってくれなかったらいったいどうなっていたことやら。……どうなってって、そりゃもう、負けていたに決まっているんですけれど。

もう現状、日本は殆どカーミラ頼みなんですよね。シベリアで語られている通り、実のところ彼女が人類に強力しているのは完全に好意であって、損得勘定ではないわけだ。実際のところ、カーミラは人類が滅び去ってもその立場上、何の痛痒も感じないんですよね。彼我の関係は決して対等ではない。とはいえ、卑下して付き合うのもまた意味がない。カーミラは人類が対等の友人であることに何よりも価値を見出しているわけだから、なかなか難しく微妙な関係だよなあ。
何はともあれ、カーミラが差し伸べてくれた支援の手は、着実に青森戦線を立て直しつつある。シーレーンの確保は地味ながら、日本の生命線を文字通り支えてくれているわけだし、直接戦力として送り込んできてくれた青スキュラ軍団の頼もしいこと頼もしいこと。
あの幻獣の中でも最強を誇った空中要塞、しかも人としての知性を残した賢いスキュラが大挙して味方として加わってくれるんだから。あれに苦しめられ続けた人類側からすれば、想像を絶する頼もしさだ。おまけに、補給も担ってくれるってんだから。
青スキュラとそれを指揮する知性体がこぞって滝川に懐いているのには笑ったけどw
そりゃあ、舞や厚志、壬生屋と比べると滝川の親しみやすさは圧倒的だもんなあ。滝川も別にビビるでもなく、懐かれてそこはかとなく嬉しそうだし。なんか、幻獣なのに小動物みたいに可愛らしさく思えてきた(笑

第四師団の到着と戦線の再構築によって安定を取り戻した青森戦線。さらに、相手の虚を突く打通作戦で青函トンネルを奪還して北海道との連絡線を取り戻し、日本滅亡のタイムリミットを先延ばしにすることに成功。一時期の幻獣軍の快進撃はなりを潜め、芝村支隊を中心に効率的に浸透してくる敵軍を撃滅するシステムが機能し始め、何とか一番危ない時期はやり過ごした。
とはいえ、過度の出撃は勝ち戦続きとはいえ、兵士の疲労を蓄積していくわけだ。
人間、なかなか勝っている時には後ろに下がることはできないもの。全部上手く廻っているから、もう少しもう少しと先延ばしにしてしまう。この辺の見極めが一番難しいんだろうなあ。人間の集中力というのはいつまでも長続きするものではなく、ふとした瞬間に一気に瓦解してしまうもの。平素なら何でもない作業や判断にミスが生じ、これまでうまく行っていたものが連鎖的に壊れていく。その前に充分に休養をとるようにした方がイイ、というのはそりゃあ頭じゃ分かっているんだけれど、この手のうまく行っている時の疲労度と言うのは兵士も指揮官も自覚症状がないだけに、本当に難しい……。兵力に余力が在るなら、余裕を以てサイクルさせられるんだろうが。その意味では、限定された戦力できちんとルーティンを構築している第四師団の三宮参謀の能力は、作戦能力とは別の意味で参謀として際立っていると言ってイイ。この東北戦争における隠れたMVPだな、三宮大佐は。

その休養先の温泉で、5121小隊の面々と合田小隊が久々に再会するのだけれど、そういえば合田さんや橋爪たちと舞たちが顔を合わせるのって本当に久々なんだ。合田小隊はもう一つの主人公組としてずっと出ずっぱりだったから忘れてたけど、意外とこの両者が肩を並べて戦うことってなかったんだよなあ。同じ戦場に居るのは居ても。
文部省指定の小隊は、5121小隊の面々から見てもやはり他とはちょっと違うらしい。そりゃあ、あれだけ学兵抱え込んで、被害を最小に押さえてるんだから、大したもんだわなあ。ただ強いというのとは質が違う。こと、守るという意味では芝村たちよりも際立った働きをしてるもんなあ。
ほんと、合田さんは死亡フラグ回避出来てよかったよ。この人にはしっかり出世して欲しい。

一方で最前線とは別のところで、戦争を終結させるための手は着々と打たれている。東京では樺島勢力の圧迫に対して、大原首相はカーミラの助言を踏まえ、山川中将を最大限に働かせて政局の一発逆転を図り、シベリアでは善行と原さんがカーミラと緑子とともにシベリアの幻獣王と逢うことに。
その前に、シベリアに残された人類の居留地に立ち寄るのだけれど、そうか、ここが日本の資源の供給地だったのか。日本がどうやって戦争を遂行し、日常を成り立たせるだけの資源を確保しているのかとずっと疑問だったのだが、幻獣の支配地であるはずのシベリアに残されたここから……。幻獣に支配された土地では、人類は絶滅しているというのは嘘だとは知っていたけれど、これほどちゃんとした街が残っているとはなあ。しかも、日本政府とはちゃんとチャンネルを開いて貿易までしているとは。日本としたらそりゃあ表沙汰には出来んわ。
でも、このシベリアの街が維持出来ているのも日本からのバーター貿易で送り込まれt来る物資があるから。日本が滅びれば必然的にこのシベリア幻獣王に見逃されてきた街も、物資の途絶によって滅びるしかない。
お互い、胸襟を開いて本当の意味で協力しなければならない局面が来たと言うことか。そして、シベリアの幻獣王とも。
カーミラって、王族の中ではかなり下の方の血統だったのか。幻獣側の事情もさらに明らかになって、謎に包まれていた幻獣の現状もだいたい見えてきた。あちらはあちらでまたややこしいことになってるみたいだ。
カーミラとシベリアのミハエル、その両者が手を取ったとき、極東には新たな局面が訪れることになる。それは、幻獣が埋め尽くす世界全体に波及することになり……果たしてどうなるんだろう。ここからどういう展開になって、オーケストラの話になるのやら。

さすがに毎月連続刊行も四ヶ月目のこの青森血戦で一旦終了。でも、既に次巻「欧亜作戦」はアナウンスされているし、あまり待たずにこの続きは読めそうである。この刊行スピードはありがたいですわ、本当に。

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 弘前防衛4   

ガンパレード・マーチ逆襲の刻―弘前防衛 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 弘前防衛】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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考えてみると、<憲兵>という存在をこれほど肯定的に描いている作品って、滅多に見ないよなあ。しかも、決して正義の味方とか清廉潔白な存在としてではなく、ちゃんと冷酷非情、時に残虐な暗闘を繰り広げる組織として描きながら、重要な存在として描かれている。
戦争と言う非常時の中で秩序を保つためには、彼らの存在は必要不可欠と言うことなのか。九州から山口にかけての戦線では、そういえば度々憲兵が仕事をしている描写が挟まれていたけれど、彼らがいないとここまで戦場というのは酷い無法地帯になるのか。戦争と言う過酷な状況は、人を容易に悪魔に変え、その本性を野獣へと変えてしまう。それら兵隊でなくなった兵隊たちを排除し、捕らえ、取り締まる憲兵がいてこそ、まともな兵隊たちは敵と戦うことに集中できる。逆に言えば、憲兵がいないことで軍人たちは敵と戦いながら、味方の無法とも相対しなくてはならなくなるわけだ。そりゃあ、精神がすり減るどころの騒ぎじゃないよ。ただ敵と戦うだけでもまともな人間と言うのは心が傷ついていくものなのに、その上味方の無茶苦茶さにまで向き合ってたら持つはずがない。この東北戦線では、以前の東京クーデターのお陰で、さらに未だにくすぶり続ける主戦派の蠢動によって、憲兵隊が首都圏から離れられず、敗色濃厚な東北戦線は秩序の崩壊した敗残兵と幻獣共生派テロリストの跋扈する無法地帯と化している。
東京クーデターで受けた精神的なダメージを乗り越えた皆だからこそ、耐えれている状態だけれど、酷いと言う意味では今までで一番酷い戦場なんじゃないだろうか。山口や九州も無茶苦茶だったけれど、少なくとも兵隊のモラルはそこまで壊れていなかったし。
おまけに、主戦派と和平派の対立は敵と直面する最前線でも決して消えたわけではなく、クーデター鎮圧に活躍した5121小隊は当然のごとくそれら主戦派の部隊からの敵意に晒され、舞たちは正面の幻獣だけではなく、背後の味方にも注意を配らなくてはならないというありさま。
ああもう、本当に末期戦だ!!

事実、日本経済は青函連絡線を遮断されたことにより、完全に破滅のコースに乗り、カウントダウン状態。大原首相の主導するプロパガンダは、効果をあげすぎ、国民はこの危機的状況を全く知らず、政府の弱腰を攻め立てるという、壊滅的状況。その風潮に乗り気勢をあげる主戦派。
もう、本当に終わっている状態なんですよね、この国。
まさか、カーミラお嬢が本当にここまで大きな意味で救世主となるとは。前回彼女が示してくれた救済策は、いわば戦術、いや大戦略的な凄まじいまでの救援で、それだけで十分と興奮させられましたけど、まださらに上があったのか!
今回荒波少将とカーミラの間で交わされ、大原首相に示された案は、その意味では政治的な大転換の、起死回生の一策となっている。
もしこれが本当に叶うなら、このガンパレード・マーチの世界はまったく様相を変えた世界になっていくに違いない。ちょっと、ドキドキしてきたよ。

前回、恐ろしいくらいのシビアな死亡フラグを立てていた合田少尉。もう、ヒヤヒヤしながら読んでたんですよね。完全に敵中に取り残され、孤立しかかった状況。弾薬は尽きかけ、負傷兵は護送できず、兵たちの士気はどんどん落ちてきてしまっている。これほど絶望的なのは彦島以来と、合田さんと橋爪が言うくらいだから、相当だったんだよなあ。
民間人で子供である、ある意味爆弾である二人の小学生を抱えているというのもヤバかったし。今回のグッドジョブは斉藤さんと言って良かったかも知れない。出会った頃は必死に合田さんと橋爪にしがみついてやっと戦場をくぐり抜けていた人が、ある意味部隊の士気を支えるような役割を担ってたもんなあ。子供らにも、厳しくも正しく接したことでありえたかもしれない悲惨な未来を回避してるっぽいし。
本当に本当にヤバかった今回。でも、合田少尉は、これは見事にしのいでみせた。それどころか、単に死亡フラグを回避しただけではなく、物語における存在感と言う意味で、ブレイクスルーしたような感さえある。今回読んでてしみじみ感じたもんなあ。この人だけは死なせちゃだめだと。絶対偉くならないといけない人だと言う、決定的なナニカが今回刻まれたような気がする。もう合田少尉って、今や兵たちの希望そのものだもんなあ。
一方で山川くん。この子は順調にと言うか順当にというか、政治家としての資質がちらほらと垣間見えるんですよね。それも、父親のそれとはだいぶタイプが違うように見える。あの、自然と人が集まってきて彼に話しかけてくる、構ってくるというのは、ある意味人の中心になるということで。これって、政治的な資質の一つだと思うんだけどなあ。本人はまだ気付いてないみたいだけど。
荒波少将、一瞬死んだかと焦ったけど、どうやら無事みたいでホッとした。前園さんも。この人らが死んだら、もしくは前線から離れることになったら、もう本当にチェックメイトだったもんなあ。カーミラに語った不退転の決意、やっぱカッコイイわこの人。
カッコイイといえば、今回の5121小隊で一番かっこよかったのは茜というサプライズ。いつもチャラチャラしていて浮ついてばかりの半ズボンくんだけど、こいつ何故かこと友人、滝川と厚志のことになると凄くマジメに真剣に、いっそ健気なくらい慎重に、でも決然と動くんだよなあ。それで毎回見直すんですよね。頭の良さ、作戦能力も去る事ながら、根底の人間性が大したもんなんだわ。その分。なんで普段、アレなのかと思うけど。

戦争がシビアになるに連れて、興味深いのがこの作品、憲兵隊の扱いに代表されるように清濁併せ呑むことに躊躇しないんだよなあ。それが悪でも罪人だとしても、勧善懲悪として断罪はしないんですよ。歪んだものは正せる。必要悪は認める、というスタンスにはいっそ潔さすら感じる。特に、今回のあの人の扱いには、ちょっと驚かされた。普通の作品なら、ほぼ絶対的に悲惨な末路を辿るパターンだもんなあ。そういえば、近江貴子という前例もあったもんなあ。

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 津軽強襲4   

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻(とき)―津軽強襲 (電撃ゲーム文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 津軽強襲】 榊涼介/きむらじゅんこ  電撃ゲーム文庫

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年末に突如勃発した主戦派によるクーデターは鎮圧され、首都・東京は静かな正月を迎えていた。しかし、5121小隊に初めて人間相手の戦闘を強いた内乱は、隊員たちの心に大きな負荷をかけた。そのストレスに壬生屋は再入院、滝川は過食に、さらには原の言動さえも怪しくなり始めていた。危うい状態の中、正月3日に北の大地から凶報が届く。津軽半島に幻獣上陸。予想だにしていなかった襲来に、民間人はもとより半島沿岸部の守備隊、警備隊までもが逃げることができず、殺戮の海にのみ込まれていった……


山川中将の活躍がもう八面六臂の域にまで達していて、凄いのなんの。会津閥の先鋭として芝村閥と対立し、大原首相派と距離を置いていた頃は、海千山千の寝業師としての並外れた政治屋ぶりに振り回され、頭を抱えさせられたものだけど、いざ味方になるとここまで頼もしい人材になるとは。芝村も政治はやるとはいえ、この一派は俗人離れした処があるので、剛腕かつ鋭利なやり方で表に裏に力攻めすることには長けているんだけど、ある種の搦め手、人間関係や政治情勢のバランスを手管にした絶妙の駆け引きの類は、どうも得手としてる風情じゃなかったんですよね。そこに、会津閥にも顔がきく軍内政治の名手である山川中将が加わったんだから、まさに足りないところに手が届く状況。さらに、今回手きが攻めてきたのは会津閥の本拠とも言うべき東北地方。山川中将の手練がなかったら、まともに軍を送って態勢を立て直すこともできなかったんじゃないだろうか。
いやあこの人、戦争は下手だったけど、政治は本当に抜群に上手いわ。自分でも言ってるけど、ただの政治好きな軍人と違って、好きな上に上手いと来た。そりゃあ、これほどの凄腕だったなら、味方じゃないときは厄介だったのも当然か。あの九州侵攻戦での大失態にも関わらず、政治的ダメージを殆ど負わなかったという不思議さも、今回の働きを見てたら大納得。今回のクーデターで、息子とともに単身戒厳令下の東京を駆け回り、軟禁された首相を助け出して脱出するという大立ち回りや、義父である官房長官の西王によう精神操作によるクーデター参加などの事態を経たことで、山川中将の意識もだいぶ変わったみたいだし、以前にあったある種の硬直した思考がほどけて、組織や派閥の益に目線を囚われない広い視野を取り戻したみたいだし、本当に頼もしい。これで、ちゃっかり適度に私利私欲は維持し、自分の政治好きを肯定しているところも、逆にしたたかさが失せてないと言うことで頼もしいんですよね。
こう言っちゃなんですけど、あの悲惨なクーデターの中で、最大の戦果はこの山川中将の取り込みだったんじゃないでしょうか。
クーデターのあと、立て続けに休戦状態にあるはずの幻獣が津軽に上陸したことで、穏健派の立場はかなり悪化したようですし、山川中将がいなかったら軍内の会津閥の空気はどうなっていたことか。幻獣側の内実については、本当に軍や政府の一部しか知らない状態で、津軽に攻めイってきた勢力と、カーミラが掌握している九州の勢力はまったく別の<国>とすら言っていい違いがあることを、国民は知らないんですからね。そりゃあ、休戦を支持する勢力は立場悪くなりますよ。
幸い、憲兵、警察という治安維持組織は大原首相の元にまとまり、西王に受けた精神操作を解除してまわったおかげで、カーミラに対する認識も完全に味方というものになって、一本化されているのは大きいですけど。

それにしても、先のクーデターの影響は悪すぎるなあ。軍内、もうボロボロじゃないか。軍の中核を為す中堅士官も相当ごっそり抜けたみたいだし。まだ、クーデターに参加した士官の多くは戦闘経験の無い者が多かったようだから助かってるけど(経験がないからこそ、現実をみないクーデターに参加したわけだが)。ただ、本来ならじっくり立て直しを図るはずが、早々に津軽に幻獣軍が強襲上陸。ただでさえ、経済が破綻寸前で、故にこそカーミラと結んで大博打を打って敵の首魁を討ち、和平にこぎつけたというのに、さらに戦争は続き、挙句、人造石油の供給地である北海道との連絡線を切断され、座していても早晩日本は干上がってしまうという……地味だけど、これ、これまでで一番追い詰められた状況かもしれない。
本来なら、日本みたいな長い海岸線に囲まれた国は、制海権がなかったら、どこからでも上陸されて、防衛のしようが無いもんなあ。
そもそも東北では、まともな軍は先の九州上陸戦のためにごっそり抜き取られているから、残っているのは兵備も訓練もろくに出来ていない警備部隊ばかり。援軍を送るにも、クーデターのおかげで予備部隊はボロボロ。ここで、大阪第四師団が出てくるのは笑ったけど。ほんとに、陸軍中枢からの大阪第四師団への扱いはひどかったんだなあ(苦笑
またも負けたか第八連隊、それでは勲章九連隊などと言われて、最弱呼ばわりされてたのは史実でも同じなのですけど、実際はかなり精強な部隊で、戦果もかなりあげています。
ここでも、ユーラシアでの悲惨な撤退戦で、かなり際立った働きを示したらしく、分かっている人の間では歴戦の撤退戦の名手として知られる部隊となっているようで、山川中将が切り札と持ち上げるのも、まんざらお世辞じゃないんですよね。ユーラシア以来の古参の兵士下士官が多数残り、装備も充実。山口や九州で無茶な突撃をかました連中と違って、粘り強く敵の攻勢に耐え忍べる部隊の性質といい、よくこの段階でこれだけの師団が無傷でまるまる残っていたものだと。陸軍中枢を統べる会津閥から軽視されてきたからだろうが、本気で切り札になりそうだ。

我らが5121部隊も、休暇を切り上げ、北へと向かうわけだけど、先のクーデターでこれまでと違い人間相手に殺し合いをしてしまった子どもたちは、いつにもまして精神的にダメージを受け、多かれ少なかれPTSDに罹ってるんですよね。原さんなんか、ほとんど壊れかかってたし。あれ、みんながうまくフォローし、善行さんが頑張らなかったら今回本気でヤバかったんじゃないだろうか。ホテルに連れ込んでナニをしてたかは詮索しませんけどw
まさか壬生屋が人型戦車で対人戦闘をやっていたとは思わず、ただでさえ疲弊しがちだったミオが、これは持つはずないよなあ。それでも、ボロボロになりながら、限界を超えて、さらにその先に限界を作り直して立ち上ある5121部隊の面々。
もっとも優れた反戦作品は、もっとも優れた戦争作品だ、という言葉はよく聞く言葉だけど、これもまさしくそれだよなあ。


どう手を打っても、これはもう殆ど詰み、という状態の中で、差し込んでくる一筋の光。
いや、これはまさか! と驚かざるをえない展開だけど、これが叶い、国民が真実に耐えられたなら、まさしく状況は一発逆転。これまで日本、ひいては世界が置かれてきた末期的な状況が、大転換を起こす一手になるんじゃないだろうか。
これは、正直興奮させられましたよ。

ただ、希望的観測とは裏腹に、なんかフラグ立っている人もチラホラ。あの……合田少尉、なんかヤバくないですか? なんか、微妙にコツコツとフラグ立てまくってるような、今回。まあ、前々から一番ヤバそうな立ち位置でありながら、しぶとく生き残ってきた人だから大丈夫だと信じたいんですが、今回特にヤバそうなんだよなあ。
その上、荒波少将がなんか、えらいことになってるみたいだし。前園さんと一緒にアレ、どうなっちゃったんですか! 描写が肝心なところで途切れて、レイニー止めどころじゃないですよ!!

ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 東京動乱4   

ガンパレード・マーチ逆襲の刻 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 東京動乱】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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「121作戦」の成功により幻獣王・カーミラとの和平にこぎ着けた日本政府は、長すぎた幻獣との戦争終結を宣言した。しかし、その平和を嫌う、軍需により私腹を肥やしていた軍産複合体と好戦派の面々が、都心部で暗躍しはじめていた。
自衛軍はそうした不穏な動きを察知し、警戒を強めていた。しかし、自衛軍の考えをあざ笑うかのように、予想より数週間も早く反乱軍は都心部で蜂起する。
その日、5121小隊の面々はそれぞれに束の間の平和を謳歌しようと、一切の武装を解いた状態で都内へ繰り出していた。そこに突然の戒厳令が下される……。
舞台を首都・東京に移し「榊ガンパレ」の新シリーズがついに開幕!


クーデターなるものが発生してしまった原因は多様にあるんだけれど、軍の根幹となる中堅将校の多くを動かしてしまった原因は、政府のプロパガンダにあるよなあ、これは。
軍の被害を過少に見積もり、高らかに戦果を強調する。確かに121作戦はとてもじゃないけど公にしてただですむような作戦じゃなかったから、カバーストーリーをでっちあげたのは仕方ないにせよ、山口や九州での運と偶然と莫大な戦死者によって辛うじて手に入れた薄氷の勝利を、大勝利と謳ったのは大本営発表以外のなにものでもない。
現地にいなかった人間は、結局与えられた華美な情報と貧困な現状のギャップに戸惑うほか無く、華やかな戦果を現実に反映できない政府への不満を募らせることになる。
ここで、自分たちに対して都合の良い情報ばかりを信じず、今自分たちが置かれている現実から、真実を見極めることが出来るのならよいのだろうけれど、作中でも冷厳と指摘されているけれど、この国の国民は冷静よりも感情に重きを為し自分たちに都合の良い話を信じたがる傾向がある。
マスコミは視聴率のとりやすい耳障りの良いニュースばかり流し、スポンサーの意向に従って政府の弱腰を攻め立てる。現場で本物の戦争を経験した兵士や住民たちの声は幾ら叫んでも伝わらず、世論は容易に勢いに呑まれて、掛け替えのない血と命によって勝ち取られた平和に不満を漏らし始める。
クーデターとは、決して軍や地位の高いモノたちの権力欲や正義感だけで発生してしまうものじゃないんですよね。絶対に、その下地となる世の空気というものがある。
ゆえに、こうした国家の凶事というものは一部の主犯の愚かさに責任を押し付けてしまっていいものじゃないんですよね。
ラストで舞たちが苦渋とともに吐露していますけど、クーデターとは発生してしまった時点で国家にとって敗北であり、同じ国軍同士が相打つことは、もはや消えない傷を穿ってしまったということ。
幸いにして今回の一件で、東京を中心に中枢に蔓延っていた自衛軍内の強硬的な主戦派が悪役となりこれを排除できたものの、これで世論が和平派に傾き大原首相の政府支持率があがるかというと、クーデターを未然に防げず、一般市民にまで被害を出してしまった時点で、果たしてどうなることやら。
今回の一件で、前線に出さずに予備兵力として置いておくことが出来た首都圏の兵力が軒並みがたがたになり、再編にも時間がかかることになっただろうし、このクーデターでこの国が受けたダメージはかなり深刻なことになってるんじゃないだろうか。
カーミラーとの休戦で一息つき、疲弊し破綻寸前だった国の財政を立て直すはずが、クーデターで国家中枢がぐちゃぐちゃになったところに間をおかず、今度は北から新たな幻獣軍の侵攻がはじまるわけだから、これは本格的にヤバいですよ。
地味に、西郷長官が精神操作を受けてクーデター側の首班となってしまったのが痛い。この人、和平後の経済立て直しの中核となって働くはずだった人だろうし。
山川中将はどう動くのかと思ってたけど、なかなか意外な働きを見せてくれたよなあ、この人は。いやあ、見直した。この状況下で反乱軍側に身を寄せなかったことではなく、政治的に大ダメージを受けてそのまま軍内での力を失いかねなかった状況で、素直に軍人としての清廉さに目覚めるのではなく、シビリアンコントロールに従うと言う軍人としての正統な原則にきっちり従いながら、強かに大原首相に軍内での重要なポストを要求して、これをせしめたところでしょう。
反乱軍が勝っても和平派が勝っても立場がなくなるところだったところを、上手いこと勝ち組に載ってしまうんだから。公のためと個人の権力欲を並列処理してしまったこの人、本物の政治屋だわ。実際、それだけの働きを示したわけでもあるし、ここまでやられてしまうと、ちょっと惚れそうなくらい、もう凄いとしか言いようがないですよ。たいしたもんだ(笑
まあ、その行動を引き出したのは、山川息子の純真な国を憂う気持ちなんですけど。

さすがに人間相手、しかも同じ国軍同士では5121小隊の面々も幻獣相手の大暴れができるはずもなく、戦闘力の発揮という意味では大人しかったものの、戦争の悲惨さを生で知り、平和の尊さ、その価値をなによりも体感している現場の兵の代表のような立場で、和平を否定する世論の空気に憤りと嘆きを示し、その平和を覆そうとする反乱軍への純粋な怒りと現すという意味では、しっかりとみんな主人公やってましたよ。

恐るべきことに、こっからガンパレ新シリーズは四ヶ月連続刊行を敢行するのだという。の、のりに乗ってるなあ、榊先生。
こりゃあ、オーケストラの時期まで一気に話も進みそうだ。


シリーズ感想

小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ5   

小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ

【小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ】

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これはもう、小説版ガンパレードマーチのファンならば、必読の書と言いきってしまってもいいでしょう。それくらい、内容は充実している。
山口防衛戦から九州奪還戦にかけては、歴史群像顔負けの詳細な戦況分析と緻密な図解が掲載されており、これさえ読めばあれらの激戦の推移が容易に理解でき、具体的なイメージが湧くのではないだろうか。
注目のオリジナルキャラクターの情報も、記事自体は短いながらもこれはかなり充実していると言ってもいいんじゃないだろうか。作者:榊涼介氏によるコメントも製作者ならではのキャラメイキング秘話がチョロチョロっと載ってて、何気に嬉しい。さらに、文庫の口絵だと基本制服の上半身だけのビジュアルだったのが、こちらでは私服姿で全身像が描かれているので、けっこうイメージ変わった人もちらほら。前園少尉なんて、やたらキレキレの美人に仕上がってるし。島さんや橘なんか、かなりしっとりした美人だし。特に島ゆかりなんか、衣装とか立ち姿とかかなり気合入ってないか、これ? さらに、なんかオナベにしか見えなかった石丸隊長は、こうして全体像を見ると、しっかりと女性に見える不思議。これはアスリートタイプの美人だな。このスポーティーな装いは大正解だったんじゃないだろうか。何気にスタイル抜群なのが一目でわかるし。
意外にも、男連中がこれまたシブかったり、イケめんだったりと何気にみんなかっこいいんだ。鈴木は全然ダメだったけどな(笑

そしてなにより必読対象なのが、九州奪還後を描いた短編7編。
こうして東京観光を楽しむカーミラを見ると、ほんと彼女いい方向に変わったなあ、と実感される。前はもっと陰惨な雰囲気を漂わせていたのに、今は王としての気構えと同時に見た目相応の無邪気で奔放な少女の顔をさらけ出していて、非常に魅力的な存在になっている。なんだかんだと舞たちとの関係も良好で、お互い信頼と、今となっては友諠と呼んでも過言ではないものを結んでいる。
今後、さらに榊ガンパレ、続くみたいな話もしているし、その場合は東京を舞台にクーデターだ! みたいなやたら具体的な話も出てきてるわけだけど、そうなるとカーミラの微妙な立場と、それを守る舞たち5121小隊という、今回の短編【幻獣王の休日】は、先のモデルケースであると同時に発端とも言うべきエピソードになるのかもしれない。
それはそうと、突撃レポーターの桜咲レイちゃん。マジで箕田の野郎といい感じなのかよ。レイちゃん虎ちゃんって……。でも、このレイちゃんも登場時からすると、実に気合の入った素晴らしい報道マンになったよなあ。人気も出てきてるし、今回の一件では大スクープもものにしてるし。見る目もあれば、勇気もある。さらに素直でイイ子ときたら、この子とコネクション持ててるのは、5121小隊としても将来的に大きなアドバンテージになるのかもね。


さて、九州奪還終了時、先々えらいことになりそうだった橋爪軍曹。同居している飯島リサに加えて、斎藤弓子にまで見初められた挙句に、押しかけられそうになってるところで終ってたんで、こいつらどうなるんだろう、とやきもきしてたら、ちゃんと書いてくれましたよ(笑
しかも、なんでか合田さんの方まで。というか、こっちの方がキツそうじゃないかw いい雰囲気だった橘に、野球部時代のマネージャーが現れて、凄まじい修羅場に。修羅場にw 確かに、こちらに比べれば橋爪くんの方は牧歌的だわ。飯島ちゃんみたいなタイプ相手だと、斎藤みたいな子は変に強く出れないんだよなあ。
なんだかんだで、うまく収めてしまうあたり、やっぱり橋爪は大した野郎なのかもしれない。その彼が恩人と慕い、尊敬する合田さん……いや、橋爪くんの方笑ってる場合じゃないでしょう、あんたw
ただ、確かに橋爪が訴えるように、この人はそろそろ前線から下がって上を目指すべきなんだろうな。<政治>は性格的に好きではなさそうだけど、この人の場合やろうと思えばかなりこなせそうなんですよね。あまりすれてない善行、というタイプかしら。上からは可愛がられ、下からは慕われ、同輩からは担がれて、というライプにも見えるし、この人ならばかなり出世しそう。


戦争が終わった後。平和が訪れました、めでたしめでたし、で済めば万事が万事簡単なんだろうけれど、世の中そうそう単純に事が回るわけでもなく、むしろ戦争中には問題にならなかったことが浮かび上がってくるのが、戦後というやつで。
戦場神経症というのも、たとえばベトナム戦争後の帰還兵の精神障害が問題になったように、重大な戦後の(戦中でもむろん発生しまくってるわけですが)問題となってくるわけです。こういうテーマについてもしっかり書いてくる、この小説版ガンパレは、改めて凄いなあと感心するばかり。しかも、それを発症してしまうのは予想もしないあの人で。ここでの前園少尉の精神面も、なかなか興味深いものなんですよね。彼女のそれも、一種のPTSDなんだろうけど。
このエピソードでの箕田は、実にナイスでした。この子、本編だとあんまり印象強くなかったんだけど、この短編集には二話分登場してるし、ずいぶん株上げて名前売ったな。しかし、この話をこういう風に転がすかー。思わぬ展開に、ニヤニヤが止まらんw


そして、著者はこれこそを書きたかったんじゃないかという【試験の副産物】。うわーーー、せつねー。なんてせつないお話。でも、あのまま別れたままというのに比べれば、この再会は福音と言っても良かったんじゃないでしょうか。二人の会話が、とにかくせつない。
しかし、ウィチタ更紗はマジで鬼だな。


まだ確定ではないものの、芝村・榊両氏の会談や、ちょこちょこ書いてある内容を見る限り、おそらくかなり高い確率で続きは出そうな感じ。氏の中では既に構想も立ち上がってるみたいだし。なにより、ここまで育ったものをここで放り投げるのは勿体なすぎるよな。
うふふ、やはり楽しみすぎる。首を長くして待つことにします。いや、それにしても大満足のファンブックだった。ファンブックでここまで充足感を満たしてくれた代物にはとんと覚えがない。2100円、全然高くなかったさ。

ガンパレード・マーチ 九州奪還54   

ガンパレード・マーチ 九州奪還〈5〉 (電撃文庫)

【ガンパレード・マーチ 九州奪還5】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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憲兵隊に内閣調査室、中央情報局、軍調査部が味方って、つまるところ日本国内の全情報機関が手中にあるってことじゃないですか、大原しのぶ首相。
あはは……そりゃ、お飾りなんて思いこんでる方が間抜けだわ。

というわけで、大原首相の後ろ盾を受け、カーミラに野間先生ら幻獣共生派和平派との同盟を結び、幻獣の南王を討伐する極秘決戦に打って出ることになった5121小隊を中核とする決戦部隊。
成功すれば、幻獣との全面戦争終結。負ければ人類に対する反逆罪で粛清対象となるというウルトラハイリルク・ハイリターンの文字通り最終決戦。
ここにきて、ついに幻獣の正体が明らかに。カーミラが以前から徐々に明らかにしてたけど、ほんとに幻獣ってそういう存在だったのか。
カーミラ本人は、自分は精神操作の特殊能力が備わっただけだ、と言ってたけど本当だろうか。以前の彼女は、他の幻獣と同じようなもっとどす黒い悪意の気配を漂わせていた気がするのだけれど。まだ貴子を引っ張りこんだ頃もそんな感じを漂わせていたから、変わってきたのは森ちゃんを連れ回すようになり、緑子を傍に置くようになってから。特に、この巻で5121小隊の面々と話すようになってからは、より変化は顕著だったように思う。決定的だったのは、やはり石津との対決だろうか。以前の爆破攻撃で数千の兵士の命を奪ったカーミラを、直接傷つき死んでいった兵士たちを目の当たりにした石津は酷く憎んでいて、カーミラはその憎悪と哀しみ、悲痛な祈りと対面することになる。戦争だから、カーミラはその件については謝罪も後悔もしないししていない、と公言し、実際あながち間違いとも言えないから、5121の他の面々やこの作戦に参加している将兵は割り切れない思いを抱えながらも、カーミラに対して直接責めるような真似はしていなかったんですけどね。でも、石津はそこでカーミラに欠けていた決定的なものを、あの場面で突きつけたように思う。
その指摘を理解し、涙を流した時点で、カーミラは本当の意味でこの世界にわたってくる前の本当の彼女に戻れたんじゃないだろうか。
この場面以降、それまでの彼女にあった微妙に嫌な感じが払拭されて、何の含みもなく好感の持てるキャラになったように感じますし。
なんかもう、最後は温泉魔人になってるし(笑

しかし、毎回ながら酷い消耗戦ばっかりだなあ。それも、今回は極まった感じ。前回までは未熟な兵団が崩れるのを、精鋭部隊がなんとか支えて戦局を挽回していく展開が多かったように思うけど、今回は精鋭部隊を揃えての拠点防御戦だから、損害比 キルレシオは圧倒的に人類側に傾いているはずだったのに、幻獣は損害を考えずにとにかく圧倒的な数の暴力を以って人類側を圧殺していく。
WW兇療貮戦線も、こんな絶望感だったのかねえ。
その人海戦術の立役者だったソ連ですら、幻獣軍の大軍の海に逆に飲み込まれて滅亡したんだから、彼奴らの数の凄まじさは推して知るべし。

今回は、オリキャラの面々も相当追い込まれてたもんなあ。今回ばっかりは何人かはダメかもしらん、と覚悟したほど。
合田小隊があれほど叩かれたのは、初めてなんじゃないだろうか。橋爪くんが下士官として加わってからの合田部隊は上手く被害を躱してきてたはずだし。だからこそ、これまでそつのない指揮振りを見せてきた合田さんの弱さが初めて見えた感じ。こんなにボロボロと櫛が欠けるみたいにして部下を失うの、初めてだったもんなあ。結局、この人もやさしい人なんですよね。極限での冷徹さに、まだ欠けている。うまいこと、橋爪くんがフォローしてくれたから良かったけれど。いや、役割分担を考えるなら、合田さんはそのままの方がいいのかもしれない。下手に厳しく振る舞うよりも。ただ、後悔ばかりにとらわれなければ、だけれど。
その橋爪くんだけど……もしかして、このシリーズで一番もててるんじゃないのか、彼(苦笑
まあ、あのふてぶてしく頼もしい割に、不器用に優しくどこかしら世話を焼きたくなるところなんか、母性本能を擽るわ女の子としてベッタリ寄りかかりたくなるわ、モテる要素たっぷりなんだけど。
戦後は戦後で、修羅場だぞ(笑

5121小隊の面々は、ほぼ完成された感じだわなあ。一時は狂気に呑まれそうだった厚志も、ほぼ完全に己が狂気を制御できるようになったし。壊れかけた森も、カーミラに拾われ野間の村で過ごすことで、精神的に立ち直り、辛いこと悲惨なことにもまっすぐ目を向けられるようになったし。壬生屋も自分の脆さを自覚した上で上手く扱えるようになったし。

今後も彼ら5121小隊は、オーケストラで垣間見たように、要所要所の戦局で姿を見せる、伝説的な特殊部隊として活躍するそうだけど……もちろん、それも見せてくれるんですよね?
オリキャラの連中のその後も含めてww

ガンパレード・マーチ九州奪還 44   

ガンパレード・マーチ九州奪還 4 (4) (電撃文庫 J 17-22)

【ガンパレード・マーチ九州奪還 4】 榊涼介/きむらじゅんこ 電撃ゲーム文庫

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いや、まさか。
これは、今までの対幻獣戦争の前提条件が根本からひっくり返されるパラダイムシフトじゃないですか!
幻獣と人類、どちらかが滅ぼされるまで戦うしかない殲滅戦争。そこに交渉の余地はなく、そもそも交渉が可能な知性を有する相手なのかすら分からなかった敵との戦争だったのに。
鈴原先生たち和平派幻獣共生派の存在などで徐々に下地を作ってきたとはいえ、カーミラの正体と彼女の提案はまさにこの作品そのもののパラダイムシフトと言ってもいいんじゃないでしょうか。というか、幻獣の正体ってそうだったの?

無理に無理を重ねて精神的疲労もピークに達していた5121小隊も、壬生屋が狂乱するという最大の危機を乗り越えたところで、なんとか山場を越えた、と言ったところでしょうか。九州の戦局もなんとか最悪の所を脱し、新たに司令官として就任した荒波少将と岩田参謀の遅滞作戦により、一応の安定を見たことで、舞にも原の助言を聞く余裕が出てきたみたいだし。
まあでも、これまでも舞が部下を気遣ってなかったって事じゃないんだけど。指揮官として就任してからの舞の精神的成長は実際著しく、周囲に対する気遣いもあの唯我独尊の頃と比べれば雲泥の差。読んでても、常に壬生屋や滝川たちのことを気遣いつつ指揮していたように見える。けど、それでもまた人型戦車の危険性に対する認識が薄かった、と言うことなのか。
でも、同じミスは二度繰り返すことなく、芝村として指揮官として成長の歩みを止めない舞の姿は頼もしい限り。
ただ、まだ彼女の視野は戦場、前線に限られていて、後方・政治についてはさっぱりなんだなあ。あの具申書は拙いよ。素人目に見ても、あんな内容の具申を何の政治的下拵えもせず、ぽんと中央に放って寄越すなんて。善行が青くなるのも無理ない。マヂで5121小隊含む関係者、全部粛清対象、なんて展開も考えられたわけで。へたすりゃ戦時下で恐怖の大粛清、芝村と会津閥の権力抗争が物理衝突に発展する余地もなくはなかったわけで。どれだけ危ない橋を渡ったものか。それを無自覚でやるんだからなあ。あれが、首相に直接渡ったのは運が良かったとしか言いようがない。
おかげで、戦争の落とし所も見えてきたわけだけど。
ただ、その落とし所も結局のところは一時的な休戦に過ぎないともいえるわけで。カーミラの理想を聞く限り、一時的に共闘は出来ても、急進派の討伐が終われば、じきに対立に入りそうなものだけど。
ただ、交渉できる相手との戦争と言うのはまだ救いがあるからなあ。野間・鈴原ラインの幻獣共生派の和平派はさらに共存という意味では認識が人類よりだから、交渉の窓口としては最適な存在として活用できそうだし。
現実的に、人類側に日本を出て厳重に支配された外国地域を奪還できる戦力、国力があるかというと、かなり怪しいどころか戦争遂行能力すら既に限界に達している風なところ見るに、戦局は限定的なものにできそうだけど。
……あれ。となるとオーケストラの方はどういう状況なんだ?

 
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