コスモキュランダ

第85回菊花賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 京都競馬場3,000メートル(芝・右 外)

去年のドゥレッツァのレースに続いて、今年も菊花賞とんでもなく面白いレースになりましたね。
3000という長距離は本当に駆け引き、攻防が激しくて紆余曲折ある展開になって見ていて面白いです。この長距離戦はやっぱりなくして欲しくないよなあ。
まあ今年に関しては、前年の駆け引きによる攻防って感じじゃなくて、もう全体的にハチャメチャのぐっちゃぐっちゃの展開になってしまって、この大混乱の渦に飲み込まれずに捌き切り、乗り切った騎手と馬が抜け出した、と見えたレースでしたね。

まあ一言で言うなら、ルメール神。去年はまさに全体を支配下においたようなルメールマジックでしたけれど、今回は主導権こそ握れなかった、というか今回は誰も主導権握れなかった珍しいレースじゃなかろうか。そんな嵐の中をスイスイと思う通りにアーバンシックの位置取りを決め、思う通りのタイミングで仕掛け、バッチリとゴール前で抜け出す。他がシッチャカメッチャカになっているのも関係ないかのようなスムーズな競馬をやってのける、そういう風に馬を促せる、走る気にさせてあげられるルメール騎手。まあ上手いなんてもんじゃないです。
京都の長距離は何はなくてもルメールでいいんじゃないでしょうか。

アーバンシックはダービーの大敗を乗り越え、セントライト記念の強さをそのまま菊花賞で発揮できました。元々皐月賞でもジャスティンミラノ、コスモキュランダ、ジャンタルマンタルに続く4着。
ダービーと菊花賞の2冠馬が何十年と出ていない事で示されるように、菊花賞ってむしろ皐月賞で好走した馬が頑張れるレースだったりするので、順当ではありましたね。
秋になってセントライト記念でちゃんと結果を残し、夏を超えて成長を見せたことを証明してくれてもいましたし。
セントライト記念の勝ち馬で菊花賞で結果を残した馬は少ない、という結構有名なデータもありましたが、キタサンブラックをはじめとした名だたる名馬が勝ってるレースでもありますからね。将来性はバッチリですよ。
スワーヴリチャード産駒としての初G1タイトルもゲット。まさかスワーヴリチャードの初G1が菊花賞ってのはびっくりでしたけどね。お父さん中距離馬というイメージでしたし。長距離走れないことはなかっただろうけど。2500のアルゼンチン共和国杯も勝ってますしね。


さて、ちょっと話を巻き戻しまして、戦前の各馬の評価評判から語りますと、今回の一番人気は当然ダービーを勝ったダノンデサイルでありました。
2週前の調教からバリバリの時計を出していて、一叩きせずにいきなりの菊花賞というローテへの不安を払拭する、充実の仕上げでありました。馬が一回りデカくなった、という話もありましたけれど、実際にレースに挑んで前走よりプラス18キロ。太め感もなく、大方成長分だったのでしょう。
精神面も落ち着いていて、まあ余裕たっぷり。長距離レースでも前のめりになりすぎないだろう大物感が漂う雰囲気になっていました。
さりとて、菊花賞直行であります。今はトライアルや前哨戦を経ずにG1に直行というのは珍しくもなくなり、ノウハウも確立されたのでしょう。レースを叩かずとも仕上げが完成していきなり本番でも100%で戦える時代になりました。でも、菊花賞だけはまだなかなか難しいのかな。春天も有馬から直行で勝ったフィエールマンを除けば、近年でも前哨戦を使った馬が勝っているだけに長距離が難しいのかも知れません。
また長距離向きの体型じゃない、とも言われていますね。ダービーも内でじっくり貯めてスタミナ消耗しにくい走りでしたし。
また、仕上げすぎた、というのもあるかもしれません。2週前からガンガン時計出てるくらいでしたし、馬の気持ち的にどうだったのかな、と。ピリピリ神経高ぶるタイプじゃないにしても。

まあ、そういう事情やデータを抜きにして、単純に展開不利だった、という見方も出来ますけどね。
これについてはレースについて話す段階で。

2番人気はアーバンシック。セントライト記念の勝ち方もそうですが、まあ何よりルメール人気でしょう。調教や仕上げも、順調ではあっても目立つほど完璧!とかなんか凄い雰囲気!みたいなのはあんまり誰も言っていなかったし。
とはいえ、あかん事もなく時計云々よりも、折り合い面をじっくりやってた感じかなあ。
今回、他に前走にルメールが騎乗していた馬が3頭もいたのですが、選んだのはアーバンシックでした、というのが馬券的にも結論だったのでしょう。まあ、他の馬たちはまだまだ条件戦から上がってきたばかりで比べるべくもなかったのですが……でも、そのうちの2頭が2着3着に入ってくるんだよなあw

3番人気はコスモキュランダ。春からの秋にかけての安定した実績を見たら、3番手評価は順当でしたでしょう。ただ、まあアルアイン産駒というのを見ただけでも長距離向きではないよなあ、というのはありました。それも、操縦性の高さ、折り合いも大丈夫なメンタルを考えれば越えられない壁じゃないよ、と思う所然り然り、だったんですが……その肝心の折り合いがえらいことになってしまった。

4番人気、これが面白いことに前走3勝クラスの日本海Sを勝ったばかりのヘデントールでした。
重賞成績も青葉賞に出走しただけで8着といいところなし。ただ、この青葉賞で一番人気だったんですよね。これはそれだけ才能がその時点で評価されていた、ということなんでしょう。また、日本海Sは去年のドゥレッツァと同じローテーションでもあります。さすがに同じローテだからって評価が高くなるわけじゃないので、とにかくこのヘデントールの実力評価が菊花賞を前に急上昇していたのは間違いなく。馬の調子を見る調教の評価でも、数々のデータを照らし合わせて該当する好走データを鑑みても、このヘデントールが他の実績馬や夏の上がり馬を押しのけて圧倒的に注目されていましたね。

5番人気に神戸新聞杯を勝ったメイショウタバルがエントリーしていました。これがまた評価が難しい馬で、まず神戸新聞杯というのが菊花賞で好走する馬の鉄板レース。まあこのレースで好走したら菊花賞でも走ります、大概。そのうえ、父が長距離で鳴らしたゴールドシップ。なんかすごく走りそうじゃないですか。
一方で、実はゴールドシップ産駒は長距離で全然成績残していなかったり、菊花賞というレース自体、差しの馬が支配する後ろ側有利のレースで、前々で勝負する馬にとっては不利この上なし、というレースだったりするものですから、タバルってファンも多いんだけれどさりとて勝つかどうかと問われるとどうなの? と首を傾げつつも……なんか走っちゃってもおかしくなさそう、という気にもさせられる、まあ判断が難しい馬でありました。ホースマンの少なくない人たちが、タバルは中距離が適性だよ、とは言ってましたけどね。

6番人気にショウナンラプンタ。この馬もダービーこそ全然でしたが、春から好走レースがあって先々走りそう、実力あるよー、と言われていた馬でした。それが神戸新聞杯で3着となかなか気張ったところを見せてくれて、菊花賞の走りにも期待が持てる伸びを見せていたんですね。
一方で、この馬は気性の荒さが心配されていて、長距離レースで折り合い大丈夫?というのが不安要素でありました。そのへん、特に考えて調教メニューこなしてだいぶ落ち着きをみせるようになった、と評価を受けていたようなのですが……レース前荒ぶる神と化していたようです、あかんやんw
ところが、実際のレースとなると他の馬たちがスローペースで折り合いを欠くなかで、ラプンタしっかり我慢できてるように見えました。仕掛けどころまで鞍上の鮫島くんの指示をじっと待てていた。


レース前、この菊花賞は大方メイショウタバルが逃げるだろうなあ、と予想していたと思います。
浜中騎手は逃げないとコメントしていたみたいなんだけれど、神戸新聞杯でも馬に任せて積極的に行こうとは思わないみたいなコメントをしてて、実際馬に任せたら逃げちゃいましたからねえ。
今回もまあ鞍上が逃げないと言いつつも嫌よ嫌よもなんとやらで、行きたいタバルが行っちゃうだろう、と皆が思っていたと思います。
が、行かなかった。本当にタバル、行かなかった。
じゃあよっしゃ、ワシが行ったる、とばかりに行っちゃったのがエコロヴァルツ、岩田パパ。待て、お前が行くんかい!? いや、確かに神戸新聞杯でもダービーでも彼が最初行ったんですが。
とはいえ、それでガンガン逃げて果てまで行ってしまうわけではなく、すぐに脚を使わないように速度をグッと落としてしまうのです。
おかげで、超スローに。それで馬群が落ち着いたら良かったのですが、この遅さに我慢できない馬たちが続出。歴代の菊花賞でも見たことがないくらい、先頭が次々と入れ替わり立ち替わり、と目まぐるしく変わりまくるシッチャカメッチャカの展開になってしまったのです。
あかん、我慢できん、俺が行くぜーーーーーー、疲れた。というのを何頭もの馬がひっきりなしに逐次投入がごとくやらかしたものだから、最初超スローだったのに、後半に行くほどラップタイムが上がっていく、どんどん全体が加速していくという滅多とないタフなレース展開に。
そして、折り合いを欠いてガンガンと行ってしまった馬たちは早々にスタミナを消耗して脱落していく。これ、脱落した馬は消えるんじゃなくて、スピードが落ちて後方にズルズルと下がっていってしまうわけですよ。
これでえらい目を見てしまったのが、4番でダービーと同じく内でじっくりと脚をためるつもりだったダノンデサイルである。
これ、レース序盤は3,4番手近くとかなり前目につけていたのが、どんどんと後ろにさがっていってしまいました。ただこれって、ペースを落としたわけじゃなくて、折り合い欠いた馬たちが次々にペースあげて先頭に襲いかかっていったのを尻目に、自分のペース、リズムで進めていたが故の後方への展開だったと思うんですよね。菊花賞は差し勝負、というのは当然ベテランの横山典さんなら承知の上でしたでしょうし。この展開で前の連中が潰れていくだろうから、最終コーナーの坂の下りで加速しながら外に持ち出し大外まくり。或いは内にスペースがあるならイン突き、という構想だったんじゃないかな。
ところが、想定外だったのがガンガン行こうぜ、になって先頭に立とうとする馬が異常なほど多かったこと。普通は一頭や二頭ですよ。それが、次から次に外から上がっていって先頭に立とうとする。そうなると、バテて脱落する馬はどうなるか、というと外側が上がっていく馬たちに塞がれていくから、インのままズルズルと順番に落ちていくんですね。
これ、内の後方で待っている馬がどうなるか、というと落ち物回避ゲームみたいに、どんどんと後ろに下がってくる馬たちを必死に回避しながら進路を探す無理ゲーになってしまったわけです。前は伸びしろがない壁、外に逃げようにも、そちらは捲っていく馬たちの上昇コースになっていて塞がっていて出れない。ようやく外に進路を見いだせたのは、四コーナーから直線に差し掛かってから。
こっからちゃんと伸びて6着まで伸びているのですから、完全燃焼してダメだった、能力が足りなかったというわけじゃないのでしょう。ゴール後も一気に前の方まで駆け抜けている様子を見ても、まだ余力も十分だったのではないでしょうか。ノリさんのコメントを見ても、まあ展開としてどうしようもなかったんだろうなあ。最悪のところにハマってしまった、にしても展開が予想外過ぎました。こんな目まぐるしいことになるなんて、誰も思ってなかったでしょうから。

勝ったアーバンシックは13番枠、と外側から展開を見れる場所でもありましたしね。それにしても、ルメールの位置取りが凄すぎるんですけれど。4番であのペースと展開だとちょっとどこにも行きようがない。

2着は16番戸崎のヘデントール。最初えらい後ろからになってしまいましたが、前半のスローペースもあり余裕を持って前を捕まえにいけました。慌ててあがっていかないで良かった判断。それでいて、加速していくラップに置いていかれることなく、スムーズに位置取りあげていきましたしね。直線で脚を貯めていながら既に先行集団捕まえられる位置にいたのは戸崎さん、京都であんまり良い成績残せて居なかった中で、今年は秋華賞も結果出してますけれど勘所の習得に成功しつつある雰囲気ですね。
3着はアドマイヤテラ。この馬も前走3勝クラスだったのですが、京都新聞杯では4着とクラシックへの切符まであと一歩だった、才能は前々から高く評価されてた馬でしたね。今回も、クラシック未出走組の中ではヘデントールに次いで来そうなデータが揃っている馬でした。
トドメに、京都が庭な武さんが鞍上。ということで、この馬も前半の狂騒に巻き込まれず後方で息を潜め、中盤から一気に先行勢を駆逐して前を伺った流れでしたね。というか、向正面でぐいぐい位置取り押し上げていってるのは凄いなあ。普通なら早すぎるくらいの仕掛けに見えるんだけれど、アーバンシックが直後、坂の下りでもう手応え十分でスムーズにあがってきているのを見ると、アーバンより前でねじ伏せたかったんでしょうね。それが出来る実力があると踏んだわけだ。
そして実際、ヘデントールとアーバンシック以外は置き去りにして、ショウナンラプンタの猛追をしのぎ切ったのですから、このタフなレースで一番タフな走りを見せたんじゃないでしょうか、アドマイヤテラ。
4着はショウナンラプンタ。先述した通り道中はしっかりと折り合いついてゴーサインが出るまで我慢できました、良き! 坂の下りで一気に加速。タイミングもベストで前に障害もなし。やるべきことは全部出来たレースだったんじゃないでしょうか。付け加えるなら、もうちょい直線では外に寄せてテラに合わせるくらいするべきだったか。馬場ちょっとでも良い所を走ったらテラに追いつけなかったかなあ。無理かなあ。

5着は後方から猛追してきたビザンチンドリーム。春からの有力馬がクラシックではボロボロでいいところなく名声も地に落ち、人気もなくなり、でも最後の一冠で意地で掲示板に載る、ってのは好きな話ですよ。
6着にはダノンデサイル。あそこから、ここまで良くきました。
7着にはシュバルツクーゲル。テラよりもワンテンポはやく仕掛けて、直線では先頭に。でも、そこから内に切れ込みましたけれどさすがに脚残ってなかったですね。それでも、この着に残るのですから頑張りました。

メイショウタバルは最初行かなかったのですけれど、最初の一周目でスタンドの歓声に煽られたのか結局先頭まで駆け上がってしまいました。その後、もうあんまりやる気なくなってしまっていたのか、もう4コーナーに差し掛かるころには一杯に。気分良く走れなかった、というのもあるんでしょうけど、やっぱり長距離向きじゃなかったってことなんでしょうね。16着でありました。
コスモキュランダも、最初のスローペースに折り合いを欠いちゃったみたいでずっとバタバタ。向正面でまくりあげようとデムーロが仕掛けましたけれど、足が残ってなかったですね。距離不安があるのに折り合わなかったらどうしようもないです。13着でした。

勝ったアーバンシック。強かったですけれど、それよりもルメールの上手さの方が際立ってた感じで、まだこの馬特有の強烈な印象、強さの迫力というのは見えてない気がします。今後の古馬との戦いでその真価が見えてくるかなあ。
2着のヘデントール、そしてショウナンラプンタはまずひとつ重賞勝って格を身につければ重賞戦線の常連になりそう。
3着のアドマイヤテラはどうなんですかね? タフなレースを見せてくれましたけれど、この馬も次の重賞でのレースっぷりを見ないとわからんなあ。
ダノンデサイルは、今回はあんまり参考にならず。次ですよ、次。次で見せましょう、ダービー馬の意地ってやつを。





第84回皐月賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

藤岡康太騎手が亡くなられてから最初の競馬開催週。今まで見たことのないピンと張り詰めたような沈んだような空気感でした。騎手の方々もスタッフの方々も緊張感というよりも、グッと溢れ出てくるものを我慢しているような雰囲気で。
それが決壊したとき、もう耐えられん感じでみんなボロボロ泣いてた。月曜日の合同葬のときもみんな泣いてたし、テレビやYouTubeなどでも堪えきれんと泣いている人たくさん居ました。
ほんと、それだけ藤岡康太くんの人柄が偲ばれるというものです。辛いなあ。

悲しみを飲み込んで、皆さんは競馬を続けていかれます。
クラシック第一弾、皐月賞です。

今年の前評判としては、3歳世代は牝馬の方が強くて牡馬の方はちょいといまいちなんじゃないか、みたいな言も流れていました。
ホープフルステークスを牝馬ながらに勝ったレガレイラが桜花賞ではなく皐月賞に参戦、というのも勝てると踏んだからなのでしょう。尤も、阪神芝1600メートルよりも中山芝2000の方がレガレイラの適正に合っているから、という判断だったからなのでしょうけれど。
いずれにしても単勝1番人気が皆がその実力を認めていた、という事を証明していたと思います。

2番人気はジャスティンミラノ。まだ2戦ながら2戦目で共同通信杯を勝利。この馬、友道厩舎の馬なのですが、友道厩舎では有力馬の調教を藤岡康太くんに頼むことが多く、ミラノの仕上げに跨ったのも康太くんだったそうです。
無敗で皐月賞に挑んだ馬はミラノの他にサンライズアーズ、きさらぎ賞を勝ってきたビザンチンドリームと他に二頭いましたが、共同通信杯で2歳牡馬チャンピオンのジャンタルマンタルを下して勝ち上がってきたミラノは、1段階強い馬と見られていたと思われます。
ただ不安点としましては、新馬戦、共同通信杯ともにかなりのスローペース。特に後者は勝ったミラノが上り32.6を記録。というか全頭33秒台で上がってきた完全後傾戦だったんですね。
つまり、速い流れのレースを今まで走った事がない馬だったのです。血統的にも良馬場のスローが一番力を発揮できるレースだろう、と言われてた感じで。

そして、この日の中山は爆速速い馬場でした。8レースの2勝クラス 牝馬限定戦で1:58.2と余裕で2分台を2秒近くぶっちぎるようなレースが出てましたからね。
とかく前目につけておかないと、とても後ろからはまくっても追いつけないのが今日の中山であり、そうなるとどの馬も前につけたがるので全体的にまた速くなるという、まあ馬のスピード、巡航速度が試される皐月賞だったんですね。

とどめに、逃げるだろうなと思われていて実際に逃げたメイショウタバル。これが重馬場の毎日杯を良馬場かよという好時計でぶっ千切って勝ってしまった馬で、4番人気と人気も高めでした。
ところが、このタバルがテンション上がってしまって、掛かってしまったんですね。鞍上の浜ちゃんも康太くんの同期という事もあって気合はいりすぎてたんじゃないか、みたいな事も言われてたりもしますけど、さすがにそんな事はなかったでしょう。向正面入る辺りで重心が後ろによって手綱引いて押さえようとしているらしき所が伺えます。でも全くペース落ちず息を入れられないまま、1000メートル57秒5という超ハイペースの時計を叩き出してしまった。
タバルは直線で早々に力尽き、最下位にまで落ちてしまいます。実力は間違いなくあるんでしょうけれど、これはまたコントロールが難しそうな馬が出てきたなあ。

ともあれ、ただでさえ速い馬場で暴走気味に先頭が逃げたために、完全にこれこの早い流れについていける馬と、ついて行けない馬に別れちゃったんですよね。
レガレイラは、この速いペース無理だったんでしょう。スタッフの人がまだトモが鍛えきれていなくてスタートが遅れてしまい二の足がつかない、というような事を仰っていましたからね。北村騎手が最後大外ぶん回さなくてはならなくなったのも、このハイペースでの位置取りがあそこになってしまった以上、仕方ない部分もあったかと。うまい騎乗ではなかったかもしれませんけれど。

んで、これまでゆるい流れしか経験したことがなかったのに、あっさりとこのハイペースに追走して前目につけてしまったのが、ジャスティンミラノなのであります。
元々距離不安もあり、限界ギリギリのタイミングで攻めて前残りを狙ったジャンタルマンタル・川田をゴール前で悠々と躱して、1:57.1というレコードタイムでクラシック一冠目を戴冠。
……あれ? ちょっと待って。このジャスティンミラノって……無茶苦茶強くない? スロー展開で後方から強烈な末脚を決めることもできれば、追走できない馬も出てくるほどのハイペースの流れに悠々と乗って、ほぼほぼ馬の現状の最大能力を引き出し、これしかないという展開に持ち込んだであろう、モレイラのコスモキュランダ、川田のジャンタルマンタルを相手に完勝と言ってイイ勝ち方をしちゃったんですから。
思ってたよりスケールが2周りくらい大きい馬なんじゃないの、この子。
ストライドも大きいですし、本来なら中山2000よりも東京府中は2400の方が合ってるタイプと言われていたにも関わらず、中山の方でこの勝ち方。じゃあダービーになったらどうなるんだ!?
これは下手をするとソングラインを超えてキズナの代表産駒になるかもしれない器ですよ。クラシックはじまって、牡馬の方にも大物感感じさせる馬が出てきた。

2着は弥生賞勝馬のコスモキュランダ。なかなか最近では本番に繋がらないステップレースなんですけれど、今の中山のスピードに乗れるタイプの速い馬だったんじゃないでしょうか。それ以上に、モレイラ騎手のポジショニングがちょっと極まってるんだよなあ。ルメールが怪我でしばらく休養する以上、これモレイラ騎手無双になりますよ、さすがマジックマン。
3着はジャンタルマンタル。正直絶対距離持たないと思ったし、実際1800で限界っぽい走り方だったんだけれど、それでも踏ん張るマンタルの根性とそれを引きずり出す川田の騎乗の凄まじさ。
ただこれ、本当にここが限界の限界、上限でしょう。もう2000メートル走らすこともないかもしれない。そして最大限の力を発揮しても3着というところ。いやむしろよく3着持ってきたよ。

4着はアーバンシック。レガレイラと血統的にほぼ同じ、母が姉妹で8分の7一緒なんでしたっけ。そういう話で話題にあがってたんですけれど、現段階の完成度でいうならレガレイラより上だったかもしれない走りっぷり。そして伸びしろもこれ、レガレイラに負けてないでしょ。将来性で言うなら、ミラノに追随するのがこの馬なんじゃないだろうか。
5着には最優良血馬のシンエンペラー。兄姉がアメリカやヨーロッパのG1勝ちまくってる、世界でも頂点級の良血馬です。全兄がフランスダービーに凱旋門賞勝ったソットサスですよ。
とはいえ、さすがに欧州血統にこのウルトラハイペースをどうにかせい、というのは酷。むしろ展開も馬場も向かないだろうに能力だけで5着まで持ってきているあたり、よう走っとる。ってか、この子もう海外中心で走らせた方がいいんじゃないだろうか。超赤字になるかもしれないけど。
そしてレガレイラは6着。上り最速でここまで繰り上がってきたのですから、能力不足ではないでしょう。木村調教師は調教の仕方間違えてた、と仰ってますけれど、はてさて。まあ馬の調子自体満足いってなかった感じの物言いでしたね。これはオークス路線になるのかな。






第61回報知杯弥生賞ディープインパクト記念 G2 レース回顧   

3歳 オープン (国際)(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

今週は新人騎手のデビューと調教師先生の定年引退。
調教助手から障害騎手に33歳で転身という坂口騎手は応援してあげたいなあ。もちろん、若人たちも。
柴田裕一郎騎手は初日で初勝利は立派でありました。馬が先頭に立ってしまった時は制御できてないなー、あとで叱られるぞー。と思ったのですけれど1000メートルのタイムがむしろ標準からスローくらいで、おや?となったんですよね。離された後続の方がこれ遅すぎるぞ、てなってて短い小倉の直線で手応えもまた十分ありましたし、これは残るぞと。まあみんな新人がやらかした、と思ってペース控えちゃったんですかね?

調教師は七名が引退。特に安田隆行先生は重賞59勝って凄い先生だったんだよなあ。
騎手も秋山真一郎騎手が調教師試験に合格したこともあって、2月で引退。G1勝利は2つだけでしたけれど、中堅でずっとしっかり勝ってくれる良い騎手で好きだったなあ。
まだ44か43ですか。調教師になるには一番いい頃ですし、今度は先生として良い馬育ててほしいですね。

さらに、今日は阪神のメインレース「大阪城ステークス」。リステッド競走ですけれど、これ昔から重賞級の馬がたくさん出るなかなか質の高いレースだったんですが、今回もルージュスティリアやアリストテレスといった歴戦の重賞馬や、ピンハイ、オニャンコポンというクラシックを激走した馬たちが参戦していたのですが、勝ったのが……あのステラヴェローチェ。
ステラ、ここに出てたの!? と、レース前に出馬表チェックしてびっくりしましたがな。
エフフォーリア、タイトルホルダー、シャフリヤールたちとクラシックで火花散らして堂々と競り合ったあのステラヴェローチェ。ドバイシーマに出走したあと放牧に出されたまま一年以上音沙汰なくなり、そのまま消息不明になってしまうんじゃないかと心配されていた中で、去年の10月に突如富士Sで1年半ちかくぶりに復活。とはいえそこで7着。続く武蔵野Sではダート初挑戦で最下位と精彩を欠いて、往年の輝きはもう見られないのか……と、思った所で今日激走の末にデビットバローズを頭差押さえて神戸新聞杯以来の約2年ぶりの勝利ですよ。21年クラシック世代の強さを古豪の多くが去った今こそ見せてほしい。次は重賞ぞ!

っと、肝心の弥生賞の話にたどり着くまでだいぶ遠回りしてしまった。
今日の中山は馬が蹴った芝土が飛ぶわ飛ぶわ、良馬場だったけれど芝自体はだいぶ緩んでたんじゃないだろうか。
2戦無敗でぶっちぎりの上がりを見せてるトロヴァトーレ。同じく無敗でダノンの決戦存在ダノンエアズロック。
凱旋門賞馬ソットサス、G1を7勝した名牝シスターチャーリーを兄姉に持つ世界的良血シンエンペラーといった馬が人気を集める中で、勝ったのは伏兵6番人気コスモキュランダ。
久々のデムーロの騎乗炸裂というレースでしたよ。父は皐月賞大阪杯を勝つなど中距離戦線で活躍したアルアイン。産駒では初の重賞馬誕生です。
馬場も荒れ気味でしたし、まだこの勝ちがそのまま実力として認められるかは微妙な所ですけれど、時計も優秀みたいですし、これがフロックではないとここから証明してほしいですね。
2着はシンエンペラー。本番前とはいえ、勝ちきれなかったのはちと微妙か。
ダノンエアズロックは7着と直線で伸びを欠く結果に。プラス18キロが重かったのか、テンションも高かったですしね。にしてもちょっと負けすぎ。

あ、乗ってたキング騎手はこれがラスト週なのか。レイチェル・キング騎手。女性ながらも、当たり前みたいにガンガン追ってガンガン勝つ、短期免許で来てる海外騎手の中でも一際の活躍を見せてくれました。この人、今の女性騎手の一つの理想像だよなあ。今の女性騎手たち、まだまだ経験も浅い若い騎手なんで、経験積んでいってここからキング騎手みたいにガンガン勝てる騎手になってほしいです。すでに平場じゃしっかり乗れてるんですから。




 

10月8日

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