サヴォーナ

第71回日経新春杯 G2 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(特指) ハンデ 京都競馬場2,400メートル(芝・右 外)

久々の京都開催での日経新春杯であります。
年明け最初の大きいレースって感じですね、日経新春杯。
とはいえ、近年はここを勝ってステップアップ、とはなかなか行かず以降燻ってしまう馬も多いのですけれど。

今年は特に、去年の暮に各世代でG1戦線を引っ張ってきたトップランナーたちがまとめて引退しちゃったこともあり、現役世代どうも小粒になった印象がどうしてもあるんですよねえ。
現5歳世代がドウデュース、スターズオンアースの両巨頭以外ではジャスティンパレスくらいしか中長距離以上のG1馬がいないだけに。……ディープボンド、まだワンチャンあるんじゃない、今年?
ボッケリーニとヒシイグアスの8歳も。
まあここから去年のクラシック世代の台頭も期待したいところですが。
そんな現4歳世代で筆頭のリバティアイランドを除くと、やはり注目はクラシック三冠をとったソールオリエンス、タスティエーラ、ドゥレッツァの3頭なわけですけれど、この3頭以外にもクラシック戦線をライバルとして戦い抜いてきた連中がいるわけで、彼らの活躍も期待したいところなんですよね。そんな世代牡馬の中長距離での有力馬と言えるのが。
チャレンジCで古馬を撃破したベラジオオペラ。共同通信杯を勝ったファントムシーフ。札幌記念で2着に入ったトップナイフ。そして今日このレースを出走したサトノグランツ、ハーツコンチェルト。このあたりがクラシック戦線を賑わせた面々でしょう。
実際、この2頭が3番人気2番人気を集めたのですが、彼らを置いて1番人気にあげられたのがブローザホーンくんでした。
この子はまた遅咲きの馬で3歳の時はなかなか勝ち上がれずに9戦目でようやく未勝利を勝ち、1勝クラスを突破したのは暮れの12月。ここで長距離路線に目覚めてとんとんと勝ち上がり、そのまま初重賞の函館記念で3着。ここらへんから新興勢力として認識され始め、続く札幌日経OPで6馬身の圧勝をキメたことで重賞を勝てる馬の新規参入だ! と盛り上がったんですよね。
ところが、続くG2京都大賞典でディープボンドの2番人気にまであげられたものの、レース途中に心房細動を発症してしまい、競走中止。一気に最上位クラスまで駆け上がっていたのが一旦躓いてしまったわけです。
その後病み上がりという事もありじっくりと調整されていたのですが、3ヶ月ぶりの実戦としてこの日系新春杯を選んだのでした。
果たして以前通りの力を発揮し、勢いが失われていないか。本当に重賞クラスの力があるのか。ここから、G1戦線で戦っていける力があるのか。その真価が問われる一戦でもありましたが。



序盤、貫太のリビアングラスとディアスティマ、そしてシンリョクカの3頭による先頭争いが生じたために相当早いことに。先頭争いというか、比較的早めにディアスティマが前に立ったんだけれどシンリョクカとリビアングラスが並んじゃってスピードが落ち着かなかったんですよね。馬場も重めだったみたいだし、消耗戦に。
ここをジワリと前にいるハーツコンチェルト、サトノグランツ、サヴォーナをまとめて差し切ったブローザホーンは一枚実力上でしたね。ちょっと地力が違うところを見せた。これは今後も楽しみな勝ち方。
2〜4着は4歳世代が占めたのだけれど、2着は実績のある上にあげた2頭と違い3歳時はあまり評価されてなかったサヴォーナが同世代を捲くってきた感じ。神戸新聞杯で10番人気ながら2着に入っているし、菊花賞でも5着と掲示板に載っているので、実力に人気と実態が追いついてきたというべきか。3着のサトノグランツがハンデ戦というのもあって57.5キロを背負い、サヴォーナが56キロと斤量に差があったのもあるんだろうけれど、クラシック三強に追いつき追い越せの中ではベラジオオペラに続く位置くらいにはつけたんじゃないだろうか。
グランツはとりあえず菊花賞10着の大敗からは立て直せたんじゃないかと。ハーツコンチェルトも外外回らされての4着は悪くはなし。ただ新馬戦以来勝ってないのも確かなんで、とりあえず2勝目欲しいわなあ。






第84回菊花賞 G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 京都競馬場3,000メートル(芝・右 外)

ルメールマジック炸裂ぅぅ!! これ、これこれこれ。マジかー。うはははは、これは凄いわルメール。マジかよ。
大外17番ドゥレッツァ。京都3000メートルとなると、スタートしてすぐにカーブに入ってしまうためにやっぱり圧倒的に外枠不利だったんですよ。
ルメールの勝利者インタビューを聞く限りではスタートの飛び出しの勢いが良かったんでそのまま逃げる事にした、と最初からの作戦じゃなかったと言ってるんですけれど、それでもスタートダッシュの良さを活かして一気に内に寄せてそのまま勢いを殺さず先頭に躍り出るわけです。
ドゥレッツァ、別に逃げ馬じゃないんですよね。むしろ仕掛けやや遅めでゴール前で捉えるような競馬をしている。って、前走も前前走も完全に勝ちに入った馬差し切ってるんで無茶苦茶強い競馬してるんだよなあ。ともあれ、前を捕まえに行く競馬主体で自分が主導権握って走る競馬は初めてだったはず。
既に逃げの体勢に入っていたパクスオトマニカを躱してさらにぐんぐんと前に行ってしまう勢いは3000メートルにしては勢い良すぎと思ったし、実際に最初の1000メートルは1:00:4と2000メートルとかの中距離戦レベルの速さで、これは速すぎて前持たないんじゃないか!?
と思ったんですよね。しかも、もう向正面に入ったところで先頭をパクスオトマニカに譲ってジリジリと下がってっちゃうんですよ、ドゥレッツァ。あれ? もうバテちゃった? 一瞬思ったんですよね。ところがある一定のところまで下がった所でピタリと止まり坂をあがって下りだしたところで他の先頭集団と一緒に前にいたパクスオトマニカとリビアングラスを捕まえに行ったんですよ、ドゥレッツァ。

タスティエーラやソールオリエンスまだ後ろのほうか。どの時点で進出してくるんだ?とそっちの方に意識持ってかれてたんで、ふと見たらまたドゥレッツァが先頭捕まえに行っているのに気づいて……もうそりゃもう戦慄しましたわな。
ルメール、中間完全に溜めやがった!!
あとで確認したら中間の1000メートル64秒台最後の1000メートルが58.6。
つまり60.4ー64.1ー58.6という思いっきり中間で緩んだレースになってるんですよね。
これあれですよ。98年のセイウンスカイ横山典さんさながらの変幻自在の菊花賞の再来ですよ。
もうこれ、中距離の後傾レースみたいなもんで、これは後ろからの差し届かせるの至難ですわ。無理。ってか上がり最速ドゥレッツァ当馬じゃないか。これは勝てんわー。むしろ、しっかりと伸びてきて2着に入ったタスティエーラと、抜群の手応えながらも最後緩んだのはあれ距離かなあ、やっぱり。でも3着確保したソールオリエンス。この皐月賞馬とダービー馬の強さは本物ですわ。
それを踏まえた上で、その二頭相手に完勝したドゥレッツァはちょっととんでもないです。それ以上に、このレース展開を作り出したルメールがすごすぎました。やっぱりルメールやばいですわ、やばい。

この菊花賞。出走馬のお父さんたちがちょうど同じレースの舞台で切磋琢磨していたライバルたち。キタサンブラックの息子がソールオリエンス。サトノダイヤモンドの息子がサトノグランツ。タスティエーラの子がサトノクラウン。そしてドゥラメンテの子がドゥレッツァと、丁度この父親世代がアニメ・ウマ娘プリティーダービーの3期の主役を担っているのも相まって、実質アニメ三期実写版とか言われたりもしていたのですが。
まさかそんなレースでウマ娘のアニメの第一期の菊花賞セイウンスカイを再演するような展開になるとは、ってかこんなレース展開想像できるかーー。
まあウンスはあれずっと先頭で逃げてたわけで、一度馬群に引っ込んでまた抜けてくるという今回のドゥレッツァみたいなとんでもねーレースはしてなかったけど。あ、でもこういうレース見たことあるぞ。ノリさんやったことあるだろ、これ。どっかの競馬動画で見たような記憶が。カンテレ競馬だったっけか。
いずれにしても、これは故障で菊花賞に出られなかった父ドゥラメンテに捧げるがごとき勝利じゃないですか。それは以前にタイトルホルダーが叶えてるじゃないか、と言われる向きもあるかもしれませんけれど。でもさー、当時せめぎ合った好敵手たちの息子同士が揃って一緒に走って、そして勝ったというのにまた違う価値と感動があると思うんですよねえ。
ああ、ここにセントライト記念を勝ったレーベンスティール(リアルスティール産駒)が居たら完璧だったんですけどねえ。いや、これからいくらでも機会はあるさ! くははは、なんて楽しみな世代なんだ。牝馬にあのリバティアイランドというとてつもない怪物少女がいるために、どうしても牡馬の方は今年の前の方は有象無象感があって存在感が足りてない雰囲気あったけれど、もうそんな事全然ないよ。強い子らが揃って、ライバルとしてぶつかり合い競い合う形がしっかりと浮かび上がってきた。これからがホントに楽しみですわ。

1着ドゥレッツァは未勝利戦からこれで5連勝。初の重賞挑戦がこの菊花賞であり、それを勝利。しかも過去に二回しかいない17番枠での勝利である。しかも逃げでの勝利。どれだけ常識を打ち破っての勝利か。しゅごい。
2着タスティエーラ。ディープインパクト記念弥生賞1着、皐月賞2着、ダービー1着。そして菊花賞2着。もうこの馬の強さに文句つける人はいないでしょう。この一頭でサトノクラウンの種牡馬の価値を爆上げさせてますよもう。今回は鞍上のモレイラもやっぱり上手かった。直線入るところでポッカリと前開いたもんなあ。
3着はソールオリエンス。展開は向かなかったし外外を回らされるという距離的不利もあり、元々距離に不安のあったところがモロに出てしまった感のある脚の止まり方でしたね。
でも3着。止まって3着である。位置取り次第でタスティエーラともう少し良い勝負になったんじゃないでしょうか。中距離ならやはり無類の強さを見せてくれそう。
4着には、番手に位置しながら最後まで粘ったリビアングラスが滑り込む。9番人気ながら素晴らしい激走でした。逃げたパクスオトマニカが最下位に沈んだことを考えれば、相当に走ったんじゃないでしょうか。元々調教は抜群で出走馬の中でも出来は最上位近くだったみたいですし、これはすぐに重賞くらいは取れそうじゃないですか?
5着のサヴォーナはちと行き足がつかなかったのか。本当ならもっと前で競馬したかったみたい。でも直線早めで前につけていて今出来る競馬は出来たんじゃないでしょうか。池添騎手もベテラン味出てきたねえ。神戸新聞杯2着も実力でしたね、これは。

さて3番人気で皐月賞馬・ダービー馬に並んで三強を形成していたサトノグランツは、まさかの良いところなしの11着。出走馬の中でもステイヤー適性は一番高いと距離不安のなかった馬のはずなんだけれど。仕掛けどころで全然動こうとしてなかったね、グランツくん。先週までもう悪魔的といっていいくらいの騎乗技術を見せていた川田がほんと良いところなくて。今の充実っぷりなら長距離になると全然だめ、まったくダメという評判を軽々と払拭してしまうんじゃないか、と疑ってもいなかったのだけれど、これだけ惨憺たる有様になってしまうとなあ。
川田騎手はほんとレースのスタートからゴールまで他馬を含めた馬の動きを想定して立てるプランニングがもう凄まじいと言っていいくらいの精度なんだけれど、逆に言うとそのプラン通りにお手馬が動いてくれないと途端にダメになる傾向があるんですよねえ。その馬に言うことを聞かせる技術は年々磨き上げられていってるんだけど、気性が荒かったり長距離で馬に気分良く走らせないといけないパターンだと思わぬ脆さを垣間見せる。今の川田だとそこも克服していくかな、と思ってたんだけれど……。
まあグランツの場合、それ以前に後傾の流れに全然ついていけなかったというのが大きいみたいだけど。神戸新聞杯で前に離されずについていけただけに、流れについていけないパターンはないと思ってたんだけどなあ。前走レコード勝ちの反動があったのか、メンタルになにかあったのか。
このまま沈んでしまうような馬ではないと思うので、来年立て直してきてほしいところです。

いやーそれにしても見ごたえのある菊花賞でした。すごかったなあ、すごかった。



 

4月25日


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