ジェラルディーナ

第48回エリザベス女王杯 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)牝(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

新星ブレイディヴェーグ、わずか五戦目重賞未勝利G1初出走で女王座戴冠!!
ほぼこれは完勝と言っていいんじゃないでしょうか。着差以上の強さを感じました。これまでの4戦はすべて上がり最速。
3歳の初冬に5戦目。クラシックに一度も出られなかったということからも順調な道のりではなかった事は見て取れます。走れば凄まじい脚を必ず使ってくれるのですけれど、その度に軽度ながらも骨折してしまうという足元の弱さ。それを丁寧にケアしてここまで持ってきた陣営の努力に頭がさがります。
ポテンシャルは見ての通り。この世代の女子はリバティアイランドが全部持っていきましたけれど、秋華賞で唯一リバティに迫ったマスクドリーヴァ。その豪脚をローズSで上回ったのがこのブレイディヴェーグでした。スタートで出遅れ、道中は前を塞がれ、それでも最速の脚でぶっ飛んできた彼女。不利なくレース出来ていれば、勝ち負けには十分なったでしょう。いずれにしても、このエリ女でその怪物性は見事に証明してくれました。将来順調に成長していけば同じロードカナロア産駒のG1・9勝馬アーモンドアイにも匹敵する才能があると、鞍上ルメールは即答しました。マスクドリーヴァと並んで、同世代でリバティに挑む資格を有するのは、このブレイディヴェーグ。オランダ語で広い道。ブロードウェイの語源ともなったというその名を以て名女優の道を歩み始めたのではないでしょうか。

今回はかつてジェンティルドンナとヴェルシーナという女傑二人が決戦を繰り広げたこの舞台で、同じ枠番でその娘たちであるジェラルディーナとディヴィーナが激突する、なんていう血統の戦いでもある競馬の歴史を象徴するような対決もあり、見どころの多いレースでもありましたが外枠には厳しい内枠決着になりました。
ラップ見るとなんか3コーナーの坂のあがりらへんでいきなりペース一旦上がってるんですよね。全体を見るとスローペースなんだけれど、ここで脚を使わされて外から回してくる馬にとってはつらい展開になってしまった。普通京都のスローペースだと外有利の瞬発力勝負になる傾向なんだが。
うちのハーパー川田の後ろにスタート出遅れながらもピタリとつけたルメールの、相変わらずのウマさである。2着もそのさらに後ろにつけたルージュエヴァイユでしたからね。
道中ポジションを取れずにここぞという所で道を見つけられずに追い出すタイミングを封じられてたライラックは猛追したもののキレが最後まで持たずにハーパーに届かずの4着。道中のロスが多すぎたよなあ。スムーズにいったらハーパーは余裕で躱せたんじゃないだろうか。今回は力もついてチャンスだっただけになかなかもったいない結果でした、ライラック。今日は弟のアドミラルシップが新馬戦で圧倒的一番人気やジェラルディーナの妹であるエヴァンジェリーナを下して勝っただけにお姉ちゃんも、という勢いだったのですが、残念。
レースを引っ張ったアートハウス、ローゼライト、ゴールドエクリプスは力尽きて失速。
ジェラルディーナはスタートで盛大に出遅れてしまい、ペースも遅く展開向かず外を回らされ、と不利満載でありながらも5着まで持ってきたのは、さすが去年の女王というところでしょうか。
外外外を回ってきたサリエラはゴール前一番いい脚で突っ込んできたものの、わずかクビ差ジェラルに届かず6着。もうちょい距離あったらなあ、という走りでした。ジェラルディーナと合わせる形で追いかけてきたディヴィーナはジェラルと同じ脚色になってしまい距離もしんどかったのかな、サリエラにも躱されて7着。このあたりの子たちは展開ちょっとしんどかったかな、というあたりで上位との差はあまり感じられず。
ブレイディヴェーグの完勝とも見えたレースでしたけれど、それ以外はけっこう拮抗したバチバチと火花飛び散る良いレースでありました。


第64回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 阪神競馬場 2,200メートル(芝・右)

ああーー、疲れた。今日は湿度が高かったせいか、なんかやたらとしんどかった。つかれたー。
阪神競馬場もほぼ満杯。チケットは今日は予約制だったのかな。それでも全部完売したそうで。人もめちゃくちゃ多かったみたいですね。確実に桜花賞や大阪杯よりも多かったと思います。
それだけ、誰もがイクイノックスを見に来ていたのか。

前走ドバイシーマで化け物じみた勝ち方をしてG1三連勝を飾ったイクイノックス。世代最強、現役最強、そして世界最強の看板を背負い満を持して出走した春のグランプリ。名実ともに一番人気。倍率は1.3倍と、かつてのディープインパクトやビワハヤヒデ、オグリキャップに続くオッズを叩き出してきました。
初の関西遠征でしたが、かなり早くから栗東入りして準備を整えていたみたいで、馬体重も前回から変動なしに止め、調教の様子も抜群も抜群。最高の仕上がりを見せていました。


�� ライラック       牝4 M.デムーロ 158.9(13番人気)
�� カラテ         牡7 菅原明良 180.2(15番人気)
�� ダノンザキッド    牡5 北村友一 35.1(8番人気)
�� ボッケリーニ     牡7 浜中俊  28.3(6番人気)
�� イクイノックス     牡4 C.ルメール 1.3(1番人気)
�� スルーセブンシーズ 牝5 池添謙一 55.7(10番人気)
�� プラダリア       牡4 菱田裕二 262.5(16番人気)
�� ヴェラアズール    牡6 松山弘平 42.1(9番人気)
�� ジャスティンパレス  牡4 鮫島克駿 8.5(2番人気)
�� ディープボンド     牡6 和田竜二 16.6(5番人気)
�� ジェラルディーナ   牝5 武豊   13.8(3番人気)
�� アスクビクターモア  牡4 横山武史 14.3(4番人気)
�� ジオグリフ       牡4 岩田望来 83.1(11番人気)
�� ブレークアップ     牡5 川田将雅 113.4(12番人気)
�� ユニコーンライオン  牡7 坂井瑠星 176.0(14番人気)
�� モズベッロ       牡7 角田大河 480.4(17番人気)
�� ドゥラエレーデ     牡3 幸英明  30.2(7番人気)

他に一桁台の人気は前走天皇賞・春を勝ったジャスティンパレスの8.5倍だけ。パレスは馬の充実っぷりが本格化の様相をていしていて、完成の域に達しようというレベルでしたからね。このメンツでも2番人気にあげられたのもよくわかります。有馬記念ではイクイノックスに太刀打ちできませんでしたが、イクイノックスの3歳秋の覚醒に遅れ馳せながらも、自身もここで結実しての再戦でしたからね。気合も入っていたかと思います。
珍しいところでは、3歳馬としてはいつ以来になるのか。ドゥラエレーデが参戦。斤量が53キロとずば抜けて低いこともあってか、一定の人気は得ていましたね。ただ、ここで勝ち負けになると考えていた人がどれだけいたか。
相手としては、やはり女王ジェラルディーナ。同世代対決として菊花賞馬のアスクビクターモア。
調教で素晴らしい出来栄えを見せていた閃光一線のヴェラアズール。そして重賞を好走し続けている充実一途のボッケリーニ。このあたりがなんとか対抗できるか、というイメージだったですね。
まあ少なくとも、スルーセブンシーズはまったくの眼中外でありました。

今日の馬場は、先週とはちと様相が変わっていました。中間、雨の影響はなかったはずで実際良馬場だったのですけれど、土日で急速に馬場が痛み、今週の芝レース映像見てもらうとわかるのですけれど凄まじい土埃があがってるんですよね。とかく、ゆるい馬場でどうにも足元に負担のかかるパワーのいる馬場だったように見えました。
そのせいか、どの芝レースも前残りで後ろが差そうにも脚が残っていないケースが散見されたんですよね。先週と比べると上がり時計もやたら掛かってますし。
意外と荒れているわりに内を走った先行馬がそのまま残るケースが続く。
これはもちろん実際に乗っている騎手たちもわかっていたでしょうから、この宝塚記念も相当に前掛かりになったっぽいんですよね。
前半600メートルで34.0秒。1000メートルで58.9秒はこの馬場では相当に早かったと思います。この時点で相当消耗する事になっていたでしょうから、よっぽどタフでスタミナがないと、前に居た馬は残れなかったんでしょうね。
実際、先行集団に居て勝負できたのは、ディープボンドだけでした。よくまあ、この流れで5着入りましたよ。或いは、これこそ出走できなかったタイトルホルダーにばっちりハマるレースだったような感じもあるだけに、もったいないよなあ。
結果、上位にあがった馬は2コーナーで最後方に固まっていた集団。勝ったイクイノックスは最後方から2番手。2着のスルーセブンシーズは文字通りの一番うしろでしたからね。
これはなかなか、今日一日のレース展開の傾向を踏まえると興味深いことになりました。
恐るべきはルメール騎手であり、イクイノックスでしょうね。いやだって、前走イクイノックスってドバイシーマを単走でぶっ千切って独走して勝っちゃったんですよ? 大逃げで後ろを寄せ付けないまま勝っちゃったんです。それが次のこのレースでは最後方からの競馬ですよ。ほんまに、どこからでも競馬できるじゃないですか、この子。逃げから追い込みから変幻自在に戦法を駆使したと言えば、マヤノトップガンが有名ですけれど、イクイノックスは彼を上回る雄大な自在性を感じさせてくれます。
そして、この展開を見越し、イクイノックスの能力を信じて後ろから大外ぶん回したルメールですよ。3.4コーナー中間で武さんがジェラルディーナをあげていった際に一緒についていかずに、ジャスティンパレスを見る形で4コーナーに差し掛かるところでまくりあげてってるんですよね。
ただこれ、ジョッキーカメラのルメさんの映像を見ていると、レース後に反応遅かったからお外に出した、って言ってるので、意図した仕掛けのタイミングではなかったのかもしれません。
実際、パレスの外を回らされてかなり大外回らされてますし。結構ゴール前、思ったよりも突き放せずに際どい着差になってましたからね。上がり34.8はイクイノックスでもなかなかしんどかったという数値なんじゃないでしょうか。
2着のスルーセブンシーズは……これ、池添くん痛恨だったなあ。残り300メートルのところでジオグリフとジャスティンパレスの間を突こうとして、その隙間がジオグリフが前のジェラルディーナを躱しに掛かろうとして外に流れてきた煽りをくってなくなっちゃったんですよね。パレスを弾き飛ばそうにも丁度パレスの外にはイクイノックスが馬体合わせて抜きに掛かっている最中で、これはこじ開けるのは不可能だった。ほんの一瞬のタイミングの差。あとワンテンポ早く前に入れていたらジオグリフ寄ってこられなかったんでしょうけれど、そのタイミングの差で進路が塞がれて一度大きく後退しちゃうんですよね。ところが、そこからセブンシーズ内側に空いていたルートに切り込み、再度加速。残り200メートルからとんでもねー脚を見せて、内の先行集団も、外のジオグリフ、ジェラルディーナ、ジャスティンパレスもまとめてぶち抜いて、イクイノックスに迫ったんですよ。
これ、不利がなかったらイクイノックスと勝ち負けになってたぞ。一頭だけ脚色全然違ったもんなあ。
これは池添くん、悔しかろう。
セブンシーズは前走中山牝馬Sでようやく初重賞制覇したような遅咲きの牝馬。ただ、なんでかこの馬、凱旋門賞に登録してるんですよね。それだけ陣営、この馬の能力に信頼を置いていたということなのか。父は宝塚と有馬で無類の強さを誇ったドリームジャーニーというまさに血のサダメを感じさせるような血統。この馬もイクイノックスと同じく栗東に滞在してじっくり仕上げてきたようで、追い切りの評価もダイブ高かったんですよね。さらに当日もあの細江純子さんがこの馬に注目していたようで、出来はほんとに良かったみたいです。
これだけの結果を見せてくれると、今後のレースも楽しみですよね。今回4着だったジェラルディーナ相手に女王の座を争うことが出来るか否か。
3着にはジャスティンパレスが。ずっと長距離路線を走ってきた馬だけに、2200という中距離はどういう結果を出せるか注目もしていたのですけれど、その答えは十分に見せてくれたんじゃないでしょうか。
5着にはディープボンド。良く走ったんですけどねえ。うん、能力は発揮していると思うんだが、勝てんなあ。この子が勝てるレースって、なんなんでしょうね。G1馬なれるだけの力はあるはずなんだが……といわれ続けてここまで来ちゃったなあ。
ボッケリーニは、最内から勝負に掛かりましたけれど、馬込みでスムーズに行かなかったり、やはり内は荒れていたというのもあるんでしょう。最後の脚の切れが外からまくってきた馬とちょっと差が出来てしまいましたね。7着。
8着はヴェラアズール。今日の馬場だと、ヴェラアズールの切れ味は発揮しにくかったかなあ。
アスクビクターモアはもう今日に関しては展開がどうしようもなかった、と。向かなかったですね。にしても、もうちょっと見せ場は欲しいところではありますけれど。


さても、イクイノックスが1.3倍という圧倒的人気に応えて勝利。現役最強を名実ともに証明した形です。秋はどの路線に行くのでしょうか。ドウデュースとの再戦がどこかであるのか。色々と楽しみの募る宝塚記念でありました。





第67回大阪杯 G1 レース回顧   

4歳以上オープン(国際)(指定)定量 阪神競馬場2,000メートル(芝・右)


うわっはーー、これはもうジャックドールにとってベストレースだわ!
武豊の手腕が唸る真骨頂とも言えるレースでした。ジャックドールの本領ってものを最大限引き出したレース運びだったんじゃないでしょうか。
今現在、日本競馬界にはパンサラッサ、タイトルホルダー、ジャックドールという素晴らしい逃げ馬がいますけれど、彼らって全員まったく個性の違う逃げのスタイルなんですよね。逃げるというよりも主導権を握り続けるという意味での方向性は一緒なのですけれど。
その中でもジャックドールのそれは速さ。高速性を以てレースを制する逃げなのです。一人だけ大逃げしていく逃走劇としての孤独の速さじゃなくて、馬群全体をどんどんと加速させていき、速さについていけなくなったものを振り落としていく、みたいな。
その無尽蔵のスタミナで後続を振り落としていくタイトルホルダーとは、またちょっと違うタイプなんですよね。
でもその分、スピード管理がかなり難しいんじゃないだろうか。どこかで溜めを作るんじゃなくて、緩めずに一定の感覚で加速する必要がある。
他馬が捕まえに来るタイミングで同じように加速するというレース全体を掌握する感覚も必要でしょうし。
それらを今回、武豊は完璧に近い形でやってのけてるんですよね。ラップタイム見てくださいよ。うははは。いや、笑うしかないわ。ほぼほぼこれ、豊さんの予定通り想定通りにタイムだったんじゃないだろうか。
正直、こんなレースをしたジャックドールに迫ったダノンザキッドと、それ以上に後方から捲ってきやがったスターズオンアースがヤバいですわ。この子らも相当にキテますよ。
武豊の真後ろにピタリとつけて、ほぼパーフェクトなレースをした横山典さんのマテンロウレオがあの位置の4着でしたからね。この前3頭はちょっと格が違ったんじゃないでしょうか。

スターズはやっぱりスタートですね。自身の出もよろけて良くなかったんですけれど、出た直後にさらに寄ってきたポタジェとキラーアビリティに挟まれちゃって、位置取りが後ろになってしまった。そこまで悪影響があったとはいえないかもしれないけれど、もうちょっとだけ前に行きたかったかもしれない。
それでもここぞという時に馬群の隙間を縫ってスターズの脚をフルに発揮させる安定のルメール、ほんとルメール。いや、この展開で飛んでくるスターズの凄さですよ。
そして、ダノンザキッド。中山記念はなんだったんだろ、ほんとに。いや、川田が降りてからの充実っぷりを見るなら、やはり中山記念こそが度外視すべきだったんでしょうね。中山競馬場、キッドが嫌いで走らないというのはもしかしてマジなのか?
正直、今のダノンザキッドならもう一回G1取れそうなんだよなあ。ほんと、もう一回頑張ってほしいです。かといって川田騎手をもう一度乗せるのはやめてほしいな。あれ絶対相性悪いってw
ってか10番人気はこの馬見くびりすぎでしょう。

マテンロウレオは、横山典さんのコメントにつきます。いや凄いよね「負けただけだね。最高の競馬だった」ってセリフ。なんかもうカッコいいですよ。

5着はマリアエレーナかぁ。今回の出来を思えば、5着はちと不満ですらある。もっと行けたんじゃ、と思っちゃうよね。今回かなり密集したレースになって、内ラチ沿いに走った馬は前に出る隙間がなくなっちゃってたんですよねえ。
とはいえ、外回してたら全然追いつかなかったのはヴェルトライゼンデあたりを見るとねえ。

ジェラルディーナは距離もちと短かったというのもあるかもしれませんけれど、馬がまだパンとしてなかったというか気持ちがまだ入っていなかったというか。いずれにしても万全ではなかったみたいなんですよね。マリアエレーナのさらに後ろという位置取りもありましたし、6着は仕方ないか。

ヒシイグアスはもっと来ると思いましたけれど、あまりいいところなく7着。……日中、熱かったけれどさすがにそれは関係ないか。

まあ何にせよ、今回は豊さんがとかく他の馬の選択肢みたいなものを徹底的に潰していくような、それでいてジャックドールのスペックをフルに開放するような、実にパーフェクトなレースっぷりでした。
これで岡部さんの記録を塗り替える最年長騎手G1制覇。レジェンドがいつまで経っても終わらない!



第67回有馬記念 G1 レース回顧  



パーフェクトだ、イクイノックス!
【名刀】イクイノックス、開眼である。

春先は触れるものを切り裂くような鋭さを感じさせたものの、その分細身で折れてしまいそうな脆さを感じさせるものがありましたけれど、夏を経て秋に至ってからの充実っぷりはさながら真っ向から唐竹割りにして刃毀れなしのの名刀の如しでありました。

ぶっちゃけ、もう直線に入る前の4コーナーの時点で勝利を確信した人も多かったんじゃないだろうか。手応え、尋常じゃなかったもんなあ。
手応えよすぎて、道中ルメールが宥めてたくらいだし。ゴーサインが出て抜刀されたあとは、もう一直線に切り裂いて前に塞がるものあらず、ですよ。
文句なしに強かった。文句の言いようを許さないほどの勝ち方でした。おう、ドゥデュース、これ次戦うときはよほどの覚悟決めて挑まないとヤバいくらいになってるぞ。
とはいえ、今回はもうやばいくらい仕上がりが極まってましたからね。正直、ここまで見事に仕上げられるのって今後出来るんだろうかというくらい。馬の調子を整えるって、やっぱり難しいですからね。
今年のエフフォーリアや今回のタイトルホルダーを見ても分かる通り。

エフフォーリアは頑張りました。よく5着入りましたよ。牛みたい、なんて言われるくらいになっちゃってましたしね。陣営、めっちゃ頑張ってエフフォーリアに気合入れまくってたみたいだけど、馬の前向きさがねえ。いっそ、ガンガンレースを走らせた方がいいんじゃないだろうか。

タイトルホルダーはわかりません。フランス帰りの疲れが残ってたんじゃないか、なんて言われてますけれど。スタートの出は良かったし、前に飛び出してから横山和生くんがうまくペースに乗せたところではいい感じ、と思ったんですけれど、1000メートルで1分1秒越えてるくらいのタイムが出たあたりで、アレ?って感じはあったんですよね。 いや、タイム的にも思ったよりも遅かったし雰囲気的にタイホのいつものペースじゃないというか、彼のスタイルであるスピードにノリつつスタミナ任せに後ろの馬に消耗戦を強いるような迫力がなかったんですよね。逃げて粘る、という馬じゃなかったんですよ、タイトルホルダーって。それがトップスピードに乗れないまま走りにくそうにしてるなあ、と。
そうこうしているうちに、直線に入ったらあっという間に後続に呑まれて脱落。まさかの9着である。去年の5着よりも悪い。和夫くんの乗り方に問題があったようには見えなかったので、これはもう言われている通り凱旋門激走の疲れが残っちゃっていたのか。海外は難しいねえ。

と、2着はイクイノックスと同じ3歳馬。菊花賞2着のボルドグフーシュがこれがラスト騎乗の福永さんの鞍上で、見事に古馬どもを撫できっての2着。菊花賞はレベル低いレースじゃなかったんだよ! と叫びたくなるじゃないですか。レースに出なかった菊花賞馬アスクビクターモアの面目も守ってくれる走りでした。
今回、積雪の影響で関西馬の多くが輸送でトラブルに巻き込まれて、軒並み7時間以上余計に時間かかっちゃったみたいで、それでもうアカンことになってる馬もいたなかで(キミだよ、ディープボンド)、フーシュくんは大丈夫だったんですかね。大丈夫じゃなかったかもしれないけど、それでもこれだけ走れたんだからそれだけ地力あるって事なのでしょう。まだG1どころか重賞も勝ってないんですよ? まだまだ成長過程、身体も出来上がってないみたいですから、これは来年が楽しみな馬です。福永さんの気合も入りまくってたという事もあるでしょうけれど。
ただ、このままだと歴戦のシルバーコレクターになりそうで怖いんだが。

3着はジェラルディーナ。いや、3番人気は伊達じゃなかったなあ。ちょっと前まで重賞で善戦するのがいい所だったとは思えないくらい、雰囲気と格を感じさせるようになってきた。
とはいえ、今回スタートで大きく出遅れてしまったのはやはり大きかった。主導権全くないところから、とにかく良いポイントを見つめ潜り込み狙い定めて、と不利を鞍上の手腕に大きく寄って挽回していかざるを得ない展開になってしまいましたからね。
しかし、乗っていたのがクリスチャン・デムーロですよ。ほんと、出稼ぎにきた外国人騎手の腕前ときたら、とんでもないですわ。ポルトグフーシュのさらに外を回すんじゃなくて、いつの間にか内に切り込んで、空いたスペースをスーッスーと抜けて来てるんですから。それも偶々空いたスペースじゃなくて、周囲の馬の流れからここが開くだろうな、と見越してるルート選択してるのか、これ?出遅れがなくて、ポディションをもっと前につけていたら、2着3着はわからなかったですよ、これ。

4着はイズジョーノキセキ。内にピッタリとつけて走った馬の中では、この馬が一番来ましたか。岩田パパの剛腕唸る、という感じで、よくまあ2500を最後まで走らせたもんです。もし適距離ならゴール前でもっとバビューンと伸びたでしょうね、これ。鞍上も岩田パパとか和田竜二みたいなタイプが相性いいのかもしれませんね。

5着は頑張ったエフフォーリア。今年はこれが最後ですけれど、むしろエフフォーリアとしてはここがスタートですね。まずは再スタートの第一歩を踏めたという感じじゃないでしょうか。ここで一旦切らずに、そのまま立て直してなんとか春を迎えてほしいところですけれど。

6着はウインマイティー。マイティー来たんか! 前走エリザベス女王杯では馬場の悪さに泣き、今回は調教でもあんまりピリッとしてない、という話も聞いていたのですが、ばっちり入賞してくるあたりやはり地力は高いんだよなあ。出来ればもう一個、ちゃんとG2あたり勝っておきたいところ。

7着はジャスティンパレス。菊花賞3着馬はここでしたか。この馬もまだまだこれからが本番って馬ですからね。来年がどんな感じになってくるか楽しみです。

ディープボンドはここかぁ。8着。もう、なんか不運が束になって襲いかかってきた、みたいな。生涯最高の仕上がり、だったはずなのに、枠順抽選では最悪の大外枠。おまけに輸送トラブルでかなりダメージ食らったらしく、走る前になんかもうボロボロじゃないですか。
川田がおっつけて前で前で勝負に行っていたはずなんですけれど、なんかびっくりするくらい存在感を感じませんでした。2,3番手付けてたのに、居たの!? って感じでしたからね。
位置取りとしては文句なしだったはずなのですが。直線入ったあとはもうどこへいってしまったやら。
いつもなら、どこに居てもやたら存在感は発揮しまくってど迫力カマしてたはずなのに、もう今回はほんとダメでした。今回こそチャンスだと思ってたんだがなあ。

9着にタイホくん。そして10着にはジャパンカップを勝ったヴェラアズール。ヴェラはまあ参加賞でしたね。さすがにジャパンカップからここはこの馬としては辛かった。調子は下降線だったし輸送遅延の巻き添えくらった分もあったでしょう。元々、中山向きじゃない走り方っぽいですしねえ。


まあ何にせよイクイノックスです。これ、年度代表馬レースでもトップに躍り出ましたかね。春を席巻したタイホをここで下したというのも大きいですし、天皇賞秋と有馬記念を3歳で両方勝ったというのはやはり大きいですよ。何より勝ち方が強かった。
とはいえ、来年になったらタイホも立て直してくるでしょうし、エフフォーリアだって黙っちゃいないでしょう。ヴェラアズールも舞台が変わればあの閃光の差し脚は必殺技です。ジェラルディーナもまだまだこんなもんじゃない、というくらいの充実度。そして同じ同世代の連中だってドゥデュース、アスクビクターモア、そしてポルトグフーシュとさらなる本格化を迎えることでしょう。
香港組だっているわけです。
さあ、来年も盛り上がっていきましょう!

……って、だから有馬で終われば気持ちもスッキリキレイに片付くのに、なんでまだもう1日あるんだよぉ。ホープフルステークス、ほんと日程考えてくれないかな。





第47回エリザベス女王杯 G1 レース回顧  

3歳以上オープン(国際) 牝馬限定 阪神競馬場芝2200メートル。

エリザベス二世が亡くなって初めてのエリザベス女王杯。偉大なる女王を悼み称える追悼レースともなった今年の本レースは、国内外の名牝が揃った激戦とあいなりました。

復活を期する無敗の三冠牝馬デアリングタクト。
秋華賞で念願のG1を制覇した薔薇の一族スタニングローズ。
十数年ぶりに海外から参戦。あのスノーフェアリーと同じアイルランドオークスを勝って本邦に乗り込んできたマジカルラグーン。

これらG1馬以外でも
ついに本格化しはじめた猛女ジェンティルドンナの娘ジェラルディーナ
牝馬クラシックを常に上位で駆け抜け、どこかあった線の細さに芯が通り始めたナミュール。
小さな馬体でゴールまで高速回転のピッチ走法で懸命に駆け抜ける舞闘独楽ピンハイ。
去年の栄光を再び、運命の糸を手繰り寄せるかアカイイト。

その他、マリリン、キートス、マイティーの重賞戦線を駆け回るウイン三人娘。
常に後方から抜群の手応えで上がってくる小さな穿孔白花ライラック。
府中牝馬Sを勝ってこの舞台にあがってきたイズジョーノキセキ。
偉大なる女帝エアグルーヴの孫として重賞戦線で戦い続けるアンドヴァラナウト。
といった面々が参戦。現役牝馬でも役者が揃ったメンバーとなりました。


天気は生憎の雨。幸いにも午後2時前後で止んだものの、午前中けっこうな雨量で馬場状態は重にまでなってしまいました。
レイパパレが勝った大阪杯ほど、阪神競馬場の馬場としてはグズグズの泥沼みたいに決壊はせず、ある程度持ったとは思うんですけれど、雨は止んでも芝レースが続くとそのぶんダメージは蓄積されていくんですよね。
特に正面直線は。他も3コーナーから4コーナーあたりまではだいぶ傷んでたんじゃないかな。
G1レースのある日は、同じ競馬場で同じ距離のレースが行われる事が多いんですけれど、この日は8レースに2勝クラスで2200のレースがあったんですね。
ただ雨の日で難しいのは、予行演習的なこのレースと実際の本番では馬場状態が同じとは言えない事なのでしょう。この8レースのダメージに9レースでも芝2000が行われたため、雨で柔らかくなった馬場は補修が行われても、さてどれだけ荒れが進むのか。レース状況や含水率、気温や日差しによっても変わって来るでしょうから、騎手としても判断が難しいところなんですよね。
少なくとも、9レースまではそこまで内側がダメというほどでもなかったんじゃないかな。
ただ本番は明らかに外のほうが伸びていましたね。

道中はずっとデアリングタクトに注目していたのですけれど、コーナーとかで馬込みがだいぶごチャついていた感じがします。レース後の騎手コメント見ても、あっちこっちで馬同士ぶつかってたみたいですし、馬が走りにくそうにしてたように見える所があったんですよね。馬場のせいか、密集具合のせいか。
デアリングタクトはかなり行きたがってたのか、中団の位置しながら騎手がブレーキかけてた風に見えましたし、いつもリズム良く上下していた首がなんか変にあがったままだったり首振るタイミングが変だったり、なんか走りにリズム取れてないように見えたんだよなあ。4コーナーから直線に入るところもスムーズじゃなかったですし。

マジカルラグーンは、直線入る前の4コーナーで必死に追い出しているのに、馬が前に行かなかった時点であかん感じでしたね。手応えが入らないみたいな。これはスタニングローズも同じく手応えが全然なし。
うーん、これ3コーナーから4コーナーで内から2列にいた馬が軒並み全然手応えしんどくなっちゃってたんじゃないかな。その外を走っていた馬が、上位に食い込んできている気がします。
デアリングタクトも直線でおっ、と思わせるキレを一瞬見せてくれるんですが、とにかくそこまでスムーズに行けなかったぶんが響いたのか、脚が止まっちゃいましたかねえ。

勝ったのはジェラルディーナ。4コーナーで外に持ち出しつつも膨らんで大きくロスをしない抜群の位置取りで前が開いた状態から、一気に状態の良いところを突き抜けての横綱相撲。
牝馬三冠にその年に3歳でジャパンカップ。さらにJC連覇にドバイシーマ、有馬記念を勝ったという化け物牝馬の娘として大きく期待を寄せられながらも、G1どころか重賞も勝ちきれずに片鱗はあれど一流未満という感じだったジェラルディーナ。それが明確に変化したのは前走オールカマーでの堂々とした重賞初勝利でした。とはいえ、あれも外が異様に伸びなくてコース取りが上手かった勝ち方、という感じで決して覚醒! という印象ではなかったと思ってたんですけどね。
この見事な脚を見せられたら、善戦娘に芯と勝ちグセがついた、と思ってもいいのかもしれません。ジェンティルとモーリスの血が唸る勝ち方でした。

2着はまさかの同着決着。早めに抜け出したウインマリリンと後方から貯めに貯めて小柄な体をグイグイと伸ばして飛んで来たライラックの追い込みがゴール板でバッチリと噛み合い、久々のG1馬券圏内での同着。マリリンにスムーズな競馬をさせたレーン騎手の手腕と、ついにライラックの追い込みを炸裂させたデムーロ兄の手綱さばきが際立ったレースでした。
勝ったジェラルディーナのクリスチャン・デムーロを含めて、上位三頭全員外国人騎手という決着。まあミルコはずっとこっちでやってるんだから地元騎手扱いでいいとも思いますけど。

4着にこれも最後方からじっと我慢に我慢を重ねていた前年の覇者アカイイトが飛び込んできました。この娘もずっと消化不良のレースを強いられてきただけに、阪神のコースと距離が合うんでしょうね、久々に彼女の良い脚を見られました。

5着にはナミュール。彼女もタクトと同じくごちゃついた馬群でスムーズに競馬できなかったみたいで、気持ちも入り切らなかったみたいです。切れ味ある持ち味の差し脚も考えれば外々で行った方が良いレースだったんでしょうね。
6着はデアリングタクト。終始苦しいレースを強いられているように見える中で、頑張ってたんですけどね。なかなか全力を発揮できるようなレースが出来ず、もどかしいですね。

秋華賞を勝った薔薇の女王スタニングローズは、14着。これはもう馬がやる気なくした、という事なんですかね。
18着の最下位にはマジカルラグーン。彼女もこの湿った馬場がお気に召さなかったようです。むしろパワーやスタミナでは欧州馬という事もあって、この馬の方が日本の馬より適正あるんじゃないか、と言われたのですが。陣営は良馬場の方が良い、と仰ってましたし馬場が合わんかったんかな。









 

10月9日

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10月8日
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