ジャスティンパレス

第172回天皇賞(秋) G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,000メートル(芝・左)


天皇賞秋は、3歳馬マスカレードボールが鞍上ルメールで勝利。3歳馬のG1未勝利での天皇賞制覇となるとシンボリクリスエスとイクイノックスになるんだが、どっちも以降のレースで伝説的な成績を残しているだけに、期待値はうなぎのぼりだよなあ。
クラシック未勝利にも関わらず、1番人気というのはイクイノックスに被るものがあるのだけれど、この世代にはあのクロワデュノールがいるわけですから、こりゃもっぺん白黒つけなあきませんなあ。
2着には、同じく3歳の皐月賞馬ミュージックマイルが脚色としてはマスカレードとほぼ同じ勢いで駆け上ってきて3歳馬でワンツーフィニッシュ。正直、マスカレードとはポジショニングの差で、馬の実力に差は殆ど見受けられないんじゃなかろうか。
正直正直、ミュージックマイルはもう天井見えてる、目いっぱいの走りをして勝ったのが皐月賞だと思っていたので、コンディション的にも目一ではなく左回り東京競馬場という舞台ではちょっとG1厳しいんじゃないんだろうか、と思っていただけに、完璧にこの思い込みの見縊りの殻をぶち壊してくれた。まだまだまだ、上がある子じゃないか。ミュージックマイル、クロワデュノール、そしてこのマスカレードボールの三頭、歴代の三強と呼ばれたライバルたちに並ぶ名勝負を繰り広げてくれそうで、今からワクワクしています。本当ならここに菊花賞馬エネルジコが加わっての、シンのナンバーワンを決める戦いを見てみたかったのですが、屈腱炎は辛いなあ。
3着には、今年の引退が決まっているジャスティンパレスが。
すげえなあ、宝塚記念に続いての3着で衰え一切なし。長距離戦線がメインにも関わらず、調子絶好調の走る時は阪神も東京も中距離で馬券絡んでくるの、マジ強いですよ。あかんときでも掲示板付近にはほぼ絶対来るし。今回は特に超スローになったためか、ヨーイドンになりつつスタミナも要求されるとんでもないレースになり、それにマッチしたというのもあるんでしょうけれど、彼もまた歴史に残る名馬ですよ。
4着にはシランケド。ネタネームで有名だった馬が、まあ堂々とG1で勝ち負けできるだけの成長を遂げてまあまあまあ。しかも、今回東京コースの歴史で最速の上がりとなる31.7。
スローペースで軒並み上がりのタイムがあがってるレースとはいえ、31.7はメンバー中でもぶっちぎりである。伊達でこのタイムは出ないですよ。細江さんなんかは、調子悪いんじゃないか、みたいな見立てをしていたのだけれど、実際どういう状態だったのかはわからないけれど絶好調ではなかったのだろう。にも関わらず、それでもG1でこれだけ走るってのは本物ですよ。
5着にはアーバンシック。彼が上がりタイム2位ですね。しばらく成績振るわなかった菊花賞馬でしたけれど、苦手な雨の馬場が続いていたという理由があったみたいで。良馬場の今回はどうなるかと思いましたが、超スローからの後方の位置取りから掲示板に乗るまで突っ込んでこれた、というのはまだまだこれからなんぼでも出来まっせ、という意気込みを感じさせる走りでしたよ。
6着にはタバル。メイショウタバルが。
ぶっちゃけ、ギリギリまで3着残った!? と、思うくらいハチャメチャに粘ってましたね。
超高速戦が予想される東京競馬場の2000メートルで、いかな宝塚記念を勝ったとはいえ重馬場にもっとも力を発揮できそうな切れのあるスピードで一枚劣るだろうタバルに、果たして活躍の余地があるのか。ただでさえ逃げには難しいところのあるバカ長い直線の東京競馬場で、という疑念は大きく存在しました。
タバルの性質上、かつてのパンサラッサみたいな大逃げは出来ない、というかしても潰れるだけですからね。
だとしたら、鞍上の武さんはなんとかして消耗戦に持ち込みたいんだろうけれど、どうするんだ? と、思ってたらまさかまさかの超スロー展開ですよ。1000メートル通過は62秒0。
テレビはカンテレのやつ見てたんで、リアルタイムで走破タイムが表示されていなかったのですが、番手のホウオウビスケッツの鞍上にいる岩田パパが必死に手綱引っ張って行きたがるビスケを抑えてるのを見て、これめちゃくちゃ遅いぞ絶対! と思ってたら通過タイムがあれでしたからね。
これどうなんだろう。タバル、さすがに遅すぎたという声もあるんだけれど、遅かったからこそあそこまで粘れた、というのもあるでしょうし。
一端、タスティエーラに並ばれて抜かされたにも関わらず、そこからもう一回抜きかえしやがりましたからね。見てて思わず興奮してしまいましたよ。タバルばっかり見てしまっていた。
とりあえずG1馬の強さはちゃんと見せてくれたんじゃないでしょうか。

一方でタスティエーラですよ。あそこまで見せ場たっぷりに一度は先頭立ちながら、いきなりガス欠したみたいにズルズル落ちていってしまいましたからね。東京コース合わない血統とはいえ、去年は2着に入っているわけですし。やっぱり、まだ調子途上だったんだろうか。

まー、手に汗握る面白いレースでした。やはり秋天は毎年一際面白いですよ。そして、ルメールが毎度秋以降強すぎる。涼しくなってきたらルメールだなあ、これ。



第66回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 阪神競馬場2,200メートル(芝・右)

朝までけっこう雨降っていたのですが、馬場はそこまでグズグズにはなっていなかったですね。
当日は晴れ間も見えるほど雨があがり、順調に馬場は回復。稍重まで戻りました。馬場の荒れ具合も土曜降ってたわりには悪くはなく、かといってスピードが出るほどではありませんでしたね。
阪神の足元は良好だけれどパワーがいる馬場ってやつですね。
今年は普段の4週目から開催2週目に番組が変更。暑さを避けるため、という名目でしたけれど、確かにこの月曜から暑さが本格的に夏になったのを思えば、見事にキワキワで真夏の暑さを避けられたのでしょう。馬場もまだ1週しか使っていない分、かなり良好でした。

戦前はベラジオオペラが1番人気。大阪杯を連覇したわけですし、阪神コースの中距離でこの馬を無視せよ、という方が難しいでしょう。ただ圧倒的人気にはならず4.0倍だったあたりにまだベラジオオペラを信じきれない部分が出ていたのではないでしょうか
今回の宝塚記念は人気投票の1〜3位が出走するという、これ今まで長らくなかったそうで。
1位ベラジオオペラ、2位レガレイラ、3位アーバンシック、と出揃いました。
レガレイラはもちろん、去年の暮れの有馬記念で名馬たちを退けて勝利した女傑です。
アーバンシックは強豪揃いの現4歳世代の菊花賞馬。
さらにその前年の菊花賞馬でジャパンカップでドウデュースの2着、ドバイシーマで3着に入っているドゥレッツァ。
春の盾、天皇賞春を勝っているジャスティンパレス。
皐月賞馬のソールオリエンス。
とG1馬が6頭出揃うグランプリとなりました。
もっとも、1番人気ベラジオオペラ、2番人気レガレイラに続いて3番人気になったのはG1馬ではなく、日経新春杯を勝ち大阪杯2着と、年明けからの覚醒パターンを歩んでいるロードデルレイ。
4番人気はドバイ帰りのドゥレッツァで、5番人気が7歳にして今が一番強い状態になっているヨーホーレイク。
6番人気にようやくアーバンシックが入っているあたり、アーバンシックみんな状態が戻っていないと判断していたんでしょうね。最近は以前ほど勝ちまくってないとはいえ、ルメール乗って6番人気ですから。
そして7番人気にこの馬、武豊を乗せたメイショウタバルがいたのです。

前日は5番人気くらいになってたんじゃないですかね、タバル。土曜日はまだ雨がざーざー降ってましたから、本番も相当荒れるんじゃ、という予想もありました。そうなると、露骨に出てくるのが雨適性。ブローザホーンなんかもその典型でしたし。
ゴールドシップ産駒のタバルなんかは特に雨が望まれてたようです。まあ、そこまで重馬場巧者とは思わないんですけれど。
とはいえ、雨とは関係なく、ホースマンの間では今回のタバル、ちょっと違うんじゃない? という雰囲気が漂ってまして、以前までのあわよくば馬券圏内まで入りそうで面白い、みたいなのじゃなくて、今回はガチで勝ち負けまで行きそう、と本気で推してるホースマンがかなり散見されてたんで、あれ? マジで今回ちょっと違うのか? と、タバルの空気をひしひしと感じていました。
どうも、ドバイ遠征はこの馬にとって本当に大きなターニングポイントだったみたいですね。シャドーロールの装着も効果的だったみたいですけれど、菊花賞の大敗、日経新春杯の暴走の印象をドバイで完全に払拭したようでした。
メイショウタバルが気性に左右されず、得意な馬場得意な競馬場で持てる能力を最大限発揮できる環境が用意できたら、どういうレースをするのか。
その答えがこの宝塚記念だったように思います。

まーーーー、今回に関しては武さんが会心の競馬すぎた、というのもありますよ。
まさに思った通り以上のレースが出来たんじゃないでしょうか。タバルの息が持ちスタミナが切れない、そしてタバルに続く先行勢がきっちり消耗してしまって脚を残せず、後方勢がどれだけ追っても届かない。そういうペースを見極め、狭い狭い僅かな正解のラップタイムの綱の上を寸分たがわず駆け抜けた。
仕掛けていったベラジオオペラの横山和生は、あれ? そこで仕掛けるの!? と4角ですでにタバルに並ぼうとしていたのは驚かされたんですが、あそこで詰めにいかないと届かない、という判断だったんでしょうね。道中の位置取りからして、仕掛け遅れた場合他の先行勢と同じ末路になっていたかもしれません。しかし、それでも届かなかった。直線入ってむしろ、タバルと間が空いてしまったのを見たときは、タバルの手応えの素晴らしさも相まって、あこれタバルそのまま行くわ、とはっきりわかるくらいでしたから、今回はタバルと武のあまりにも素晴らしいレースっぷりに勝るものなし、でしたよ。

3着には、大外から捲ってきたジャスティンパレス。やっぱりパレスは最後の脚に賭けた走りが一番ベストのレースが出来ますよ。上がり最速の脚を出せる道中の位置取り、それでいてゴール前で勝ち負けになれるだけの位置取り、そこに導けたら良い所まで来るんですよね。うん、めちゃくちゃ難しい馬だな。んで、そういう難しい馬に勝ち負けさせてくれるのが、やっぱりべらぼうにうまい外国人騎手なんですよ。ディー騎手は、勝ち星こそあんまり稼げてないのですけれど、NHKマイルCのチェルビアットのように人気薄でも実力をフルに発揮させて馬券まで持ってくる、これが1回ならともかく、2回目ですからね。この人が乗る馬はちょっと侮れないですよ。うまいのは間違いない。

4着に入ったのが11番人気のショウナンラプンタ。切れる脚じゃないんですけれど、最後までジリジリ伸びるいい脚使うなあ。ってか、全然あかんかったダービー以降は、勝てはしてないもののG1レース含めて掲示板外してないんですよ。以外にもかなり堅実、間違いなくいい脚使って上位まで入ってくるレースを、二桁人気のG1でさえも軽々と継続してみせた。あれ? 強くないですか、こいつ。
ラプンタも、この最強4歳世代の一角を担う馬ということなのか? 秋以降、重賞ポンポンと勝ったりしたら一気にG1勝ち負けするような格を備えそうな気もします。逆にこのまま善戦が続くようだと、堅実にいいレースは毎回するんだけれど勝ちには縁が無い馬、のパターンに入りそうでもあり……秋初戦は大事だぞこれ。

5着にはこれまた14番人気のチャックネイト。パレス、ラプンタ、チャックネイトとみんな後方からの追い込み勢。ちなみに6着も道中最後方からトコトコ付いてきていたソールオリエンスが入っているので、ベラジオオペラを除けば先行勢はすべてタバルと武に振り落とされたわけだ。
7着に番手だったリビアングラスがようやく残っているくらい。きっついレースかまされたんだなあ。

3番人気のロードデルレイは、8着。馬場があわなかったのかな。タフな競馬が求められるところに、大外枠でしたからね。川田騎手、向正面で内側に滑り込ませてましたけれど、水含んだ内の柔い荒れた馬場は、稍重でも嫌だったのかな。4コーナーではもうこいつやる気ないだろ、というような手応えのなさで。川田騎手が手綱しごいても全然反応してないの。こりゃもう、今回は走らないレースでした。
4着だった神戸新聞杯を除けば、今までずっと1着か2着だった戦歴にはじめて刻まれた大負け。これが彼のメンタルにどういう影響を与えているのか。次がちょっと気になりますね。今回のは例外だったらいいのですけれど。

他の人気馬では4番人気のドゥレッツァが、ここ。9着。うち中団前目で脚を溜められていた、と思ったのですけれど、ほとんど伸びず。このペースでしっかり消耗しちゃっていた脚が残っていなかった、って感じですかね。
レガレイラはさらに後ろの11着。有馬記念以来の久々でしかも骨折明け。大外枠で、ずっと外々を走らされ、展開は消耗戦。ちょっと厳しいレースでしたね。
アーバンシックはさらに後ろの14着。調子が戻っていないにしても全然良いところがなく、次に繋がる部分が見つかりません。ちょっと立て直さないと、このままだと勝ち負けどころじゃないですよ。


武豊さんは、ディープインパクト以来の宝塚記念勝利。ってか、50歳越えてまだG1取りますか。目黒記念勝つまで、重賞も今年は勝ててなくて、ピンチ!となってたのが嘘のようなあざやかな、会心の勝ちっぷり。
タバルはあの個性の強さも相まって、現4歳世代でも人気のある馬でしたけれど、勝ちときはポーンと勝っちゃうけれど、負け方はグズグズだし、気性の方もどんどん制御できないようになってきてるなー、と思った先にドバイあたりで急にビシッと馬が見違えて……でも、まさかG1馬に名を連ねられるほどに上がってきているとは思ってなかっただけに、三日会わざれば刮目して見よ、の心地です。
実力が物凄い勢いで追いついてきたようなイメージだなあ。今回会心すぎる競馬でしたけれど、実力がないと出来ないレースでもありますからね。フロックとは言わせまいて。
ゴールドシップ産駒は、牡馬ではこれがG1初タイトル。まじか、ゴルシの後継種牡馬誕生ですか。せっかくなんで、今回に限らずどんどん勝っちゃってほしいですねえ、タバルタバル。







第171回天皇賞(春) G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場3,200メートル(芝・右 外)

今年は4歳新勢力と、古参古強者組という戦いでしたね。

鉄板路線の阪神大賞典を圧勝したサンライズアース。2番人気。
ダイヤモンドSを圧勝した菊花賞2着のヘデントール。1番人気。
2歳から最前線で走り続けるショウナンラプンタ。4番人気。
サウジでついに真価を発揮したビザンチンドリーム。6番人気。
青森の星 ハヤテノフクノスケ。7番人気。

これら4歳勢に対して、

前々年度のこのレースの覇者ジャスティンパレス。3番人気。
復活の兆し見せるグランプリホース ブローザホーン。5番人気。
日経賞で初重賞制覇。ユーバーレーベン、マイネルファンロンの弟マイネルエンペラー。8番人気。
良馬場の長距離なら無類の強さを誇るシュヴァリエローズ。9番人気。

主にこの面々の戦いになる予定、予定というとあれだな。まあメインと見られていたのはこのへんです。実際人気薄が紛れることは今回はありませんでした。
G2大将で善戦マンのプラダリア(10番人気)も、流石に中距離が主戦場で3200は長すぎますし、そろそろピークが過ぎてきている所もありましたしね。
去年の長距離戦線では人気だったワープスピードも、去年の暮れの豪州で好走して戻ってきて以降、どうも調子が戻ってきておらず、11番人気。両方とも結果として、プラが10着。ワープが9着という結果でした。

戦前の雰囲気では阪神大賞典を完勝したサンライズアースの方が1番人気かと思ったのですが、ヘデントールの方が1番人気でしたね。条件データ的にはアースの方が鉄板に近いものがあったのですけれど、調教の様子がヘデントールの方がかなり良かったみたいなんですよね。菊花賞2着という実績にスタミナ一辺倒じゃないルーラーシップに母父ステイゴールドという血統の魅力。んで鞍上のレーン騎手。前走ダイヤモンドSの勝ち方と、人気になる要素は確かに満載だったのですけれど、これらの魅力ってひっくり返すと菊花賞勝ち馬以外はあまり結果を残してない。血統データ的にも春天向いているとは言い難い。乗り替わりの初乗りで、超上手いしハマるとすごいけどルメールやモレイラほど完璧万能じゃないレーン騎手。前走ダイヤモンドS組の過去成績の悪さ、と大丈夫か?という要素はいっぱいあったわけです。G1も菊花賞以来でしたしね。
それでも1番人気だったもんなあ。

そして、まあこれはもうほぼ完璧なレースでしたね。ヘデントール、横綱相撲でした。
レースは前半スローの中盤からペース上がって流れて全体に消耗戦を強いながらの、前崩れで後方有利の展開。
逃げるかどうか、と判断が問われていたサンライズアースは行かず、ジャンカズマとマイネルエンペラーが引っ張りました。
ヘデントールは上手いことうちに入って、脚を貯められましたね。4角までじっと動かず、好位置を維持して直線まで待機。もちろん、前が詰まらないようにしながら。この辺流石のレーン騎手でありました。
一方、人気のサンライズアースは、なんか早々に鞍上の池添さんがめっちゃ手綱しごいてて促してるんですよ。あれ? そんな早く仕掛けるの!? と面食らってたら馬の方は全然前に進んでいっている様子もなくて、どうしたんだ?とは思っていたのですが、どうやら途中でハミが抜けてしまっていたらしいですね。ギアが入らなくなってしまったようなものなんでしょう、ハミが外れるって。だいぶ頑張って手綱で押していたみたいですけれど、鞍上からの精密な制御が届かなくなっていた時点で勝負は厳しかったと思います。それでも結果は4着だったのですから、消化不良では在りましたが実力は示したんじゃないでしょうか。
ハミの件がなかったとして、1,2着の馬の猛追を前に粘れたかというとどうだろう、わからんなあ。実力の底がまだ見えないので、次走どんな走りをするか楽しみではあります。

今回は仕掛けどころが非常に難しいレースでもあったと思います。前に居すぎると持たなくて、かといって後方に居すぎても届かない。どのタイミングで仕掛けるか。馬の実力や適性も鑑み、前後内外もうまく先を見越しつつ位置取って、と長距離レースならではの考えながら全体を見ながらのレースプランニングが問われたレースだったんじゃないでしょうか。
それを完璧にやってのけたのが、レーン騎手で。対して、いやそこでの仕掛けは違うくない? と思ってしまったのが、ジャスティンパレスでありました。
なんで三角の上り坂でまくっていくの!? その子、ステゴ産駒じゃなくてディープ産駒よ!? ジャスティンパレスの脚を考えても、ちょっと仕掛けが早かった気がします。結局、向正面終わりに先頭にたったマイネルエンペラーを躱せず6着。
マイネルエンペラーは頑張りましたね。今絶好調の丹内騎手に初G1をプレゼント出来るか、とちょびっと期待はしてたのですが、さすがに厳しかったか。でも、先行に苦しい展開で最後まで脚を鈍らせずに掲示板まで粘ったのは偉いです。前走の中山2500の日経賞がベストの適正距離競馬場だったのかな。さすがに3000超えると苦しそうですし、中距離はスピードが足らなさそうだし。有馬記念?いやいや、それはさすがに……。いや、やっぱり中距離の方がいいかな。もう一度、2000から2400の重賞レースでどう走るのか見てみたいですね。

溜める競馬で一番の末脚を見せたのが、未完の大器ビザンチンドリーム。この馬も2歳の頃は世代トップを争う一団にいたんですよね。きさらぎ賞の勝ち方は衝撃的で、クラシックでもその印象に引っ張られた人はけっこう居たかと思います。しかし皐月賞・ダービーでは後ろから数えた方がいい大敗北。これはスタートだけ良かった早熟かな、と思われたところで菊花賞でぽんと5着に入ったことで、あれ?この子長距離の方が行ける? となったわけです。どうしても後方から一気という戦法しかいけない子だったのですが、それでも古馬初戦のAJCCでは歴戦の馬たち相手に6着とまあまあの結果を残して、これからも重賞戦線でそこそこやっていけそう。と、思っていたら、まさかのサウジ参戦。しかも3000の長距離レースレッドシーターフH(G2)。いやあ、面白いところ行ったなあ、ちょっとでも賞金稼いできてくれたらいいのにね、と思っていたら、まさかの勝利。きさらぎ賞以来の勝ち星。
バチン、となにかハマった感すらある強い勝ち方でした。
海外帰りということで、疲労なんかはどうだろうと心配するところではあったんですが、これはガチで覚醒した感があります。
ただ、中距離で同じようなレースが出来るかどうか。なんかガッツリとステイヤーって感じの実績になってきましたし。さらに、後方で貯めて貯めての直線一気という脚質。まあこれ、まずスローになる長距離なら程よくハマるんでしょうけれど、中距離で上がり時計の速さが上がるとさてどうなるか。内回りの宝塚記念はちょっと届くイメージ湧かないですねえ。得意は京都かしら。結果残しているのみんな京都競馬場ですし。東京はどうだろう。ダービーは全然だったけれど。

3着には武騎手のショウナンラプンタ。ちょっと武騎手としては消化不良のレースになったかしら。いやあ仕掛けどころはあそこがベストだっただろう。4角から直線に入るところの手応えは抜群でしたし。
惜しむらくは最初から最後まで外々外を回らされたところか。その分ですかねえ。4角で先にまくったジャスティンパレスのさらに外を回らされていたあたりがほんとに厳しい。

ブローザホーンは、8着かー。随分と復調はしていたと思うので、それで8着は厳しいですねえ。去年は京都で暴れまわった馬なのですけれど。重馬場ならもう一度目があるかな、という塩梅になってきたかもしれません。

期待のハヤテフクノスケは、残念ながら見どころなしの11着。前半はともかく、ペースが上がった後半はついていけなかったですね。2勝3勝クラスの長距離戦を圧勝してこの舞台に立った子でしたけれど、重賞レース、いやG1レースの壁に跳ね返された感ありです。調子はもう最高潮に仕上げていたと思うので、実力が届かなかった、という所でしょう。まだ4歳ですから、こっからG3G2で立て直してもっかい挑戦してきて欲しい。とりあえず、青森産馬として、ウインバリアシオン産駒としてまずひとつ重賞取って仕切り直し頑張ろう。

というわけで、終わってみれば1着から4着までを4歳世代が独占するという、世代交代を明示するようなレースとなりました。少なくとも、ステイヤー戦線はこれからは4歳世代が主役を務めそうです。
中距離もダノンデサイル、レガレイラ。さらに菊花賞馬のアーバンシックもいますし。
香港で復活したタスティエーラと、大阪杯連覇のベラジオオペラがいる5歳世代と、これから激突となっていくんでしょうかね。ヘデントール、長距離一辺倒じゃない感じするんだよなあ。中距離どう走るか、かなり楽しみです。









第69回大阪杯 G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 阪神競馬場2,000メートル(芝・右)

今年は混迷の大阪杯でした。なにしろ、1番人気がG2を連勝してきているとはいえ、G1の出走自体がダービーの7着だけ、というシックスペンスで。しかも4.8倍という1番人気では相当に高い倍率。
ちなみに一桁台の単勝倍率だったのが、
2番人気 ベラジオオペラ 5.1倍
3番人気 ステレンボッシュ 5.2倍
4番人気 ロードデルレイ 6.5倍
5番人気 ホウオウビスケッツ 9.1倍 
と5頭が一桁台。直前まで6番人気のジャスティンパレスも9倍台。
9番人気のコスモキュランダでようやく20.1倍でしたから、相当に人気は割れていたと思います。
それほどに本命不在のレースでした。
ドバイワールドカップで、ダノンデサイルやリバティアイランド、シンエンペラーといった面々が海外に飛び立っていたこともありましたし、タスティエーラ、レガレイラ、アーバンシック、ローシャムアパークといった面々も休養や春天など違う路線に行ってることもありましたしね。
去年、このレースを勝ったベラジオオペラですけれど、大負けはしてないものの掲示板に乗るか乗らないかといったところ。いや、有馬記念の距離もろともしない激走は4着でも立派で、正直もっと人気になっても良かったと思ってる。
横山和生騎手のこれはお手本のような乗り方でしたね。それもあって、1馬身差という着差以上の完勝だったと思います。
それも、コースレコードを1秒近く塗り替えるレコード勝ち。
これは、出遅れたのにイカレた猛ダッシュで逃げまくったデシエルトの大逃げの影響も多分にあったんでしょうけれど。1000メートル57秒って、出遅れたのになによ!?
ホウオウビスケッツがうまいこと2番手で後続を落ち着けていたものの、前半のラップタイムはかなりわけわからんことになってました。こうなると、前に位置取った馬は苦しいのですけれど、ここでしっかり残れるのが強い馬なんでしょうね。
ホウオウビスケッツのあと、3番手で走ったシックスペンスは、さすがにこのペースきつすぎました。鞍上がこの馬を手の内に入れていたルメール(ドバイ行き)に代わって横山武騎手に代わっていたのも微妙に作用したのかもしれません。ヘタな騎乗してたわけじゃないんですけれど、この厳しい展開を乗り切れるにはコンビとしての成熟度が足りてなかったのかなあ。7着でした。
むしろ、5着掲示板に残ってるホウオウビスケッツが凄いんじゃないの? 確実に確かに強い、あとは展開が向いたらって所なんですよねえ。G2くらいなら余裕で勝てるポテンシャルが今の彼にはあると思うし、G1でもワンチャン……とはいえ、中距離戦線となると宝塚と秋天となるわけですが、さて……。
ともあれ、ベラジオオペラ。先行と言って良い4番手につけながら外のシックスペンスが4コーナーで手綱しごいているのに対して、じっくり溜め込んでいる様子で手綱を持ったまま手応え十分で直線までスムーズに進め、シックスペンスに並んだ瞬間にGOサインを出し、その途端に一気に爆速加速していったのは、貫禄すら感じさせるレースっぷりでしたね。
2着はロードデルレイ。後方からの大外ぶん回しての直線だけでぶっこ抜きでしてよ。クラシックとは縁がなく、古馬となった年も2戦しか出来なかった馬なのですが、とにかく連を外さず這い上がってきて、前走日経新春杯で重賞初勝利。叩き上げですけれど、これは想像以上に強い馬かもしれません。後方からぶっ飛んでくるタイプなだけに勝ちきれない部分もあるんですけれど、逆に言うとそういう脚質でありながら今まで殆ど連を外していない、というのは相当ですよ。今回は特に前が潰れるレース展開で、この馬に向いたこともありましたけれど、G1となるとどうかな?と不安を感じる馬じゃなくて、G1でもしっかり戦えるタイプの子だと認識を改めるべきだと感じました。今後の飛躍、期待できそう。
3着には、ヨーホーレイク。7歳馬! 数々の否定データを覆していく反逆の追い込み馬である。シャフリヤールが去っても、21クラシック世代にはまだ自分が残っている、とばかりの3着入線。
いや、この子内側の後方、馬群の後ろにいたのに、残り100メートルでスイスイと馬群縫っていつの間にか3着まで食い込んできてるの、競馬うますぎないか? パトロールビデオ見ても、決して前が大きく空いてるわけじゃないんですよね。ジグザグに空いてるところ縫ってきてるの。スタートで出遅れてしまったロスもあったにも関わらず。
長期休養明けでずっと重賞好走するわ勝つわしてたヨーホーレイクですけれど、どうにもG1には出るタイミングがなかったみたいで、ダービー以来4年ぶりのG1出走となったわけですけれど、こうしてしっかり結果残してくるあたり、ほんとこの世代やべえですわ。
……同期のソウルラッシュくんも、今週世界のロマンチックウォリアーをついに芝で撃破してのドバイターフ勝利なんてのをカマしてくれましたからね。まだまだ元気な現役が他にもいるんだよなあ。

4着には エコロヴァルツ。10番人気を覆しての激走でした。なんか落鉄もしてたみたいなんですよね。それがなかったら馬券圏内も十分にあったかもしれません。それに、鞍上のミルコが、デムーロがほんと最近昔の辣腕に戻ってきてる感じなんですよね。今のミルコはやってくれる感があります。

5着がホウオウビスケッツで、6着にジャスティンパレス。明らかに距離短い上にウルトラハイペースというこの馬にとっては不得意満載だったのにここにつけているのは、強さの証でしょう。でも、イクイノックスの秋天で2着に入ってるように、速いペース自体は意外と悪くないのか? ともかく、どんなレースでもきっちり結果残してくれる馬です。本命はやはり春天でしょう、そこがこの馬にとっての適鞍。

で、人気だったのに大敗してしまったのがステレンボッシュ。来日以来無双しまくってるモレイラ、先週もうますぎるだろう、という騎乗でG1かっさらい、土曜日にもダービー卿勝ったマジックマンですからね。そりゃ人気にもなりますよ。
にも関わらず、13着の見せ場なしの大敗。桜花賞の勝ち以来1着はなかったものの、クラシックを2着3着。香港G1でも3着と好走し続けてきたにも関わらず、もうこのペースに全然ついていけず、という感じの大敗。レース前ではむしろペースは流れてくれれば、と速い展開を望んでいたようなんですが、この結果ですからねえ。桜花賞では栗東滞在した上で阪神に入ったみたいなんですが、今回は美浦から直行の長距離輸送だったのも何らかの影響があったんでしょうか。こんな大負けする馬ではないはずなのですが。

ベラジオオペラはこれで大阪杯2年連続連覇となりました。G2の頃を通じても、このレースを連覇した馬はいなかったんですね。そういう意味でも歴史に名を残しましたね。このまま、大阪杯だけじゃなくて他のG1にも名前を刻んで欲しい、大きな馬になって欲しいものです。
にしても、1着2着の馬のお父さんがロードカナロアかぁ。今年のG1、フェブラリーSも高松宮記念も全部ロードカナロア産駒が勝ってるんですよねえ。偉大すぎるだろ。





第69回有馬記念 G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)

最後の直線に入ったところから、ずっと「シャフ! シャフ! シャフ! シャフ!」と連呼してました。
凄かったよシャフリヤール。マジで大外からぶっ飛んで来たのを見た時は、胸の奥から感動がブワッと吹き上がって頭の中熱くなったもん。

ドウデュースが出走回避したのを知ったあと、彼の秋古馬三冠達成が潰えてしまったのを知ったあと。
じゃあ、この有馬記念。どんな形の結末が、ドウデュースの伝説になる終わり方に匹敵する競馬史に残る劇的な結末となるんだろう、と考えてしまったんですね。
そうして想起されたのが、今まであと一歩の所まで指先がかかりながらついぞ手が届かなかったG1の悲願を達成するディープボンドか。
或いは、お前が居ないのなら先輩である俺がやる、とダービー馬として歴史に残る偉業を海外を飛び回って残し続けたシャフリヤールが、最後に国内に戻ってきてこのグランプリG1で有終の美を飾る。
って、絵面だったんですよね。

しかし、シャフリヤールに立ち塞がったのは、有馬記念に置ける最悪の魔の枠順、大凶の数字である大外8枠。
そして、6歳以上は走らないとされている歴然としたデータ。
有馬記念ではディープインパクト産駒は結果を残せていないという記録。
前走はアメリカでのレースを終えての海外輸送帰り。
突風吹きすさぶ環境は、騎手をして前に馬を置いて壁にしないといけないというさらに大外枠に厳しい状況。
逃げ馬不在の展開からくる、ロングスパート戦が想定されるシャフリヤールに不向きな展開。
ありとあらゆる条件が、シャフリヤールお前には無理だ、と突きつけているような状況でした。
去年、シャフリヤールは内枠を引きあて、そこで完璧に等しい競馬をして5着でした。あれからさらに一年歳を重ね、条件は前年を遥かに越えて過酷でした。
10番人気だったのも、理解できるんですよ。あまりにも、あまりにも不利条件が重なりすぎていた。

でも、そんな壁を乗り越えてきた馬こそが「空飛ぶダービー馬」だったのです。
前年の同じ大外枠だったスターズオンアースのように、スタートダッシュから一気に内に切れ込んで外枠の不利を消滅させてしまったルメールマジックみたいな戦法ではなく、スタート抜群に良かったわけではなかったシャフは、そのまま後方10番手あたりにつけました。当然、外々を回らされる位置。
レース前は逃げるのもありだ、と述べていた陣営ですけれど、こうなればどうしようもなく地力勝負。
実際、なかなか前に馬を置けることもなく、ずっと外側走ることになってるんですよね。
しかし、向正面で前半1000メートル62秒のスローペースにかこつけて、ジワリと前に位置取りを進めたシャフリヤール。ここから4コーナーのマクリは本当に寒気が走るかと思いました。直線に入るところで一気に加速。あのカーブの急な中山の4角をギュンギュンと加速しながら小回りで回りきる。
普通、大外回ったらどんだけ加速していても、大回りした分直線入ったところで横並びになった際には位置的に後ろになっちゃってるものなのに。
直線入ってくるところでは中団大外にいたシャフが、直線入った段階では逃げるダノンデサイルと追随するベラジオオペラを捉える3番手の位置に、既に食らいついていたんですよ。
痺れましたね。一気に頭に血が上りましたよ。
そして、あまりにもシャフばかり見ていて気が付かなかった。
内側を、神がかった進路取りで文句のつけようのないパーフェクトな走りで貫いてきた、レガレイラの存在に。
内から、そして外から軌跡を残すように滑らかに直線に進入したこの二頭が、前にいるベラジオオペラを躱す進路を確保するために1頭分外に出したレガレイラと外から切り込んできたシャフリヤールが。
示し合わせたように馬体が並んで隣り合うんですよ。
そのタイミングが、まさにここからギア全開。フルスロットルだァ! という瞬間。ちょうどアールカーブが終わり直線に入った瞬間。
なんど映像を見直しても、この瞬間は芸術的です。
そして繰り広げられる中山競馬場直線300メートルどちらも譲ることのない一騎打ち。
1996年の阪神大賞典マヤノトップガンVSナリタブライアンの。
或いは1993年天皇賞・秋のヤマニンゼファーVSセキテイリュウオー。
これら歴史に残る死闘に並び立つ、令和の名勝負でありました。

結果は、頭の上げ下げでわずかに鼻差前にあったレガレイラが、3歳牝馬としては64年ぶりの有馬記念制覇の快挙。ヒシアマゾン、ダイワスカーレット、ブエナビスタという名だたる名牝が2着で涙をのんだ3歳での牝馬によるグランプリ制覇を、牡馬たちのクラシックに殴り込みながらついに念願果たせなかったレガレイラが達成して見せた。凄い。この娘ならダービーをとれる。絶対にG1級の馬なんだ、と信じ続けた陣営と、そして彼女を有馬に投票で導いたファンの祈念が届いた劇的な勝利でした。
そして、負けたシャフリヤール。負けた、とか言えんですよ。こんなん、言えんですよ。強かった。21年世代こそが最強なんだと言わんばかりの神がかった激走。あらゆるデータを覆す魂の疾走。
もうあかん、感動や。シャフゥゥゥ、シャフゥゥゥ!!(号泣

新世代も頑張った。菊花賞馬アーバンシックは、スタート出遅れがあまりにも致命的でしたが、それでも最後伸びて6着に入りましたし。
まさかのノリさんの逃げで、先頭で牽引したダノンデサイル。これも前半はスローでしたけれど、残り1000から一気にペースあがって消耗戦となり前有利と言えなくなった展開で、最後の最後まで踏ん張ってみせました。この馬、ほんと根性ありますわ。ただ調教師先生は、あまり走りに満足していないどころか危機感を抱いている様子。こういっちゃなんですけど、この先生面白いッ。
主導権をパパにとられた横山和生のベラジオオペラですが、これも距離の壁を乗り越えて食らいつき続けて4着入線。
5着にはジャスティンパレス。この展開で後方からではここがやはり限界でしょう。毎回毎回、どうしても展開不利になってしまう。にも関わらず、掲示板には毎回乗るんですからホントに勿体ないよなあ。後方末脚勝負では、ローシャム、アーバン、ブローザホーンには負けん、というところでしたね。
7着にローシャムパーク。道中、スロー展開のせいか馬群の中で折り合いをかいてるところが見受けられてしまいましたね。そこで消耗してしまいました。いっそ、そこで前に行かせてもよかったんじゃないかと。
8着にはスタニングローズ。ざっと色んな人の調教評価見回した感じ、一番仕上がっていたのはこの娘だったのかもしれません。しかし、位置取りは悪くなかったと思うんですけれど、4角では既に手応えが怪しくなってましたね。あのエリ女の迸るような手応えが残っていませんでした。4コーナに差し掛かって加速していく段階でちょっともたつくというか走りが乱れる瞬間があったので、ちとカーブに乗り切れなかったところがあったのかな。距離も厳しかったのでしょう。これで引退ですが、未来の子どもたちが楽しみです。
9着ダノンベルーガ。上がり最速を記録していますけれど、最後方ポツンから追い込みだけした、って感じですからまあこんなもんで。
10着シュトルーヴェ。この馬も大外を回らされてましたが、中盤までシャフリヤールの後ろくらいにつけていたのに、4角ではあっさり置き去りにされ、大外ぶん回して後方一気狙ったものの、頑張ってもここでした。大外走らされたこうなるんですよね、普通は。ほんと、シャフはすげえなあ!
11着プログノーシス。この子も出遅れてしまって、前につけたいこの馬としてはあんまりにも致命的すぎました。中距離馬ですから、そこから脚使ってスタミナ消耗するわけにもいきませんし。どうしようもありませんでしたね。
12着はブローザホーン。さすがに追い込みのこの子が、外の列に馬を置いて内側走ってるのを見た瞬間、こりゃ無理だ、となりましたね。どう考えても行き場なかったですし、進路空いた時には遅すぎますもの。2枠4番はこの子としては外枠よりも厳しいものだったかもしれません。かといって外でもキレるイメージ湧かないのですけれど。
映像を見ていると、スタートから鞍上の菅原くんがガンガンしごいているのに全然行かない。あれ、できるだけ前の方につけたかったんでしょうね。出遅れたアーバンシックにも抜かれて位置取り後ろになってしまった時点で苦しかった。中盤、位置を押し上げるくらいの思い切りがあっても良かったかもしれません。
13着ディープボンド。
正直、このレースも夢を見ました。まさかの3番手につけての競馬になりましたからね。幸さんが跨るようになってから、かなり理想的な位置につけるようになったの、あれ手があってたんだろうなあ。
前半がスローペースと判明したのがわかったあとは、もう向正面から早仕掛けてスタミナ勝負の消耗戦に持ち込めーーっ!と念を送っていたのですけれど、3番手から動かず。でもこれラップタイムみたら残り1000メートルから全体に加速してるんで、実際はスピードアップしてたんでしょうね。頑張って、あそこだったわけだ。でも、もっと早く仕掛けても良かったんじゃないかな。4角での幸騎手がグイグイ押していたものの、前に進んでいかずにズブさがもろに出ていて、ズルズルと後方に。
終戦でした。そしてプボくん、これが引退レースになるそうです。種牡馬に離れず、京都競馬場で誘導馬になるそうで。そうかー、ついに第二の馬生かあ。お疲れ様、ほんとうにお疲れ様でした。よー頑張った。G1タイトル、取ってほしかったなあ。取りたかっただろうなあ。
14着スターズオンアース。道中、ちょっともうまともに走れてなかったみたいですね。レース前からどうも不穏な感じでしたし、トラックマンの人達も大丈夫? これどうなん? という感じのコメントが多くて、これ鞍上の川田も下手に追うつもり最初からなかったんじゃないのかな。
15着ハヤヤッコ。大外枠で前に馬を置けなかったせいもあるのか、道中ずっとはしゃいでました。なんか、正面通るところでずっとカメラ目線で走ってたぞこいつw
ともかく折り合いがあわなかったんでどうしようもなかったですね。ただカメラ映りのアピールに冠してはめちゃめちゃ良かったと思います。

改めて、大本命でありドラマの集大成でもあったドウデュースのラストランがなくなり、しかしその消沈を見事に消し飛ばしてくれる、素晴らしい歴史的名レースとなってくれました。
勝ったレガレイラは、来年同期のステレンボッシュ、チェルビニア。クイーンズウォーク、ボンドガールといった面々と改めて決着つけてほしいですね。そして、復活のお嬢様リバティアイランドとも対戦して欲しい。次回はドバイか大阪杯か。ベラジオやダノンデサイル、アーバンシックらとも激戦を繰り広げる25年になりそうで、楽しみ。
シャフリヤールは、なんかもう衰え知らずもいいところで、現役引退もまだ決まっていないみたいですし、これが最後じゃなくてもう一度ドバイまで行くかもしれませんね。あとひとつふたつ、この馬ならG1もぎ取れるよ!!
もし現役続行なら……やったれ、シャフリヤール!!






第44回ジャパンカップ G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,400メートル(芝・左)


今年のジャパンカップは凄いぞぉ!!

日本からはただいま確変中、この秋古馬三冠完全制覇を本気で狙っている日本総大将ドウデュース。
今年のオークス、秋華賞を勝利した牝馬二冠馬チェルビニア。
日本のディープインパクト産駒現役筆頭にして、天皇賞・春勝ち馬。豪脚一閃ジャスティンパレス。
去年の牝馬2冠にして、海外レースで負けるまで馬券圏内を外したことのない地上の輝く一等星スターズオンアース。
去年の菊花賞を変幻自在の走法で完勝せしめたドゥレッツァ。
フランスダービー馬にして凱旋門賞馬たる名馬ソットサスの全弟。欧州血統の粋にして日本を故郷に鍛え上げてきたシンエンペラー。
キタサンブラック産駒の一番槍にして去年の皐月賞馬ソールオリエンス。
そして小さな巨人。叩き上げて今年宝塚記念を制したブローザホーン。

他にも今春日経賞・目黒記念と長距離重賞を連勝し、これが秋初戦まだ底を見せていないシュトルーヴェ。
同世代でもそのポテンシャルは屈指と言われ続けているダノンベルーガ。
歴戦の8歳馬カラテ。

と、粒ぞろいのメンバーが揃ったのに対して、海外馬は今年は三頭。しかもこの3頭、近年振り返っても他に類を見ないツワモノ揃い。

まずはこれはもう日本でも有名どころじゃないでしょう。帰国子女、ディープインパクト産駒のラストクロップ唯一のG1馬。それも英国ダービー、アイルランドダービーとダービー二冠を取り、BCターフも制覇。都合G1を6勝。このジャパンカップを引退レースの舞台に選んだオーギュストロダン。
そのオーギュストロダンを上回る怪物と関係者の間で瞠目されるのがキングジョージ6世&クイーンエリザベスSで化け物じみた勝ち方をしたゴリアット。このレースでゴリアットはオーギュストロダン。後に凱旋門賞を勝つブルーストッキング。さらにこの後BCターフを勝つG17勝馬。ってか今年だけでもう4つもG1勝ってるレベルスロマンスに今年唯一土をつけたのがこのゴリアットなんですよね。
そして残るファンタスティックムーンもまたバーデン大賞(G1)でG1を3勝しているドバイオナーを下しての参戦。
3頭とも、現役バリバリのG1馬。特にゴリアットはこのレースの結果次第で年末は香港行くぞ、と言ってるくらいなのでかなり本気。賞金だけじゃなくて今年これまでの勝ったレースとの関係で報奨金もあって、勝てば10億近く稼げるとなるとガチです、ガチ。
近年、これほど本気の強い馬が参戦してくれたことはなかったですからねえ。
また、ゴリアット陣営は挑発的な言動を繰り返して、プロレス繰り広げてくれてましたし。いやあ、あそこまで露骨に面白おかしくやってくれると楽しいですよ。ってか、ゴリアットカードって……これはみんなほしがるよ。てか欲しいよw

さて、レースの方ですが当初から懸念というか、これどうするの? という話になっていたのが、このレース、逃げ馬がいないって事だったんですね。率先して前に行く馬が全然いない。
以前逃げたことのあるというゴリアットが、前目の競馬を目論んで先行するか。或いは脚質自在のドゥレッツァが行くか。
スターズオンアースも最近前でレースしていたけれど、鞍上が川田に戻っているので川田騎手はまあまず逃げない印象があるんで、ここは行かないでしょう。
こうなると、誰かが決め打ちするか、自然とスタートが良かった馬が押し出されて、という形になってしまうので……まず、スローペース間違いなし。そうなると、後ろから行く馬が難しくなってしまうので果たして後方からの競馬になるだろうドウデュースやジャスティンパレスは大丈夫か。切れ味勝負となると、欧州血統は厳しいぞ?

ともあれ、誰が先頭で馬群を引っ張るのかは注目でもあったわけです。

驚きました。まさかのシンエンペラー先頭。
シンエンペラーは凱旋門賞に参戦しての海外帰り。凱旋門は12着と残念な結果に終わりましたけれど、そのダメージはだいぶ少なく済んだようで、むしろ帰ってから以前よりも充実した馬体や走り方になってきている、という話もあったんですよね。
とはいえ、良馬場の東京競馬場となると欧州血統の粋でもあるシンエンペラーは切れ味での勝負が難しい。いや、わりと速い上がりは出てるんですけどね。それでも、このメンツでの対決となると同じラインからの真っ向勝負は厳しい、と判断したのかもしれません。
鞍上の坂井瑠星。自然に前に送り出していたので、これは当初からの想定通りだったんじゃないでしょうか。それを果敢に追いかけていったのがソールオリエンス。この馬も本来はもっと後段からの馬だと思うのですが、行きましたね。そのあとにスターズオンアースがつける形。
ゲートはシュトルーベが大きく出遅れ。彼はこれでほぼ終了でしたね。
ゴリアットは思いの外行かずに中段。これは行かなかったのか、行けなかったのか。先週のチャリンも、行き足がつかなかったわけじゃないのだけれどスタートから周りが早くてあのポディションになってしまった、と言ってたみたいで、スタートからのスピードは日本の調教馬はかなり速いんですよね。ここに海外調教馬はなかなかついていけない。ゴリアットとしては逃げじゃなくてももう少し前で競馬したかったじゃないだろうか。1枠1番の有利をさほど活用できなかったようにも見えます。
やばかったのがジャスティンパレス。もう全然折り合いがあってなかった。このスローペースでかなり苦労してたみたい。だいぶ行きたがってましたね。
そしてこれは武豊のドウデュースも同じように見えた。あのどこから見ても武豊とわかるキレイなフォームが今日は最初からえらくバランス悪く見えて、どうしたんだと注目していたらかなり手綱絞っていたように見えたんですよ。行きたがっているのをなんとか我慢させているように見えました。
これ見たときは、ペースはかなり遅いしここでこんなに消耗しつつ最後尾って、ヤバいんじゃないの? とハラハラしながら見ていました。
パレスもこれ、この馬としてはだいぶ前すぎるんですよね。いや、ペースを考えるとあのくらいの位置が最低限だったのかもしれないですけれど、パレスの脚を考えるとあの位置だと弾けきれないという懸念もあって……む、難しいなあ。ともかく、あの位置でもクリスチャン・デムーロをしてずっと必死に宥め続けていたんで、あれは大変だわ。
ようやく馬群が落ち着いた、と思われた向正面で、突如果敢に外からまくりあげて先頭に躍り出たのがドゥレッツァでした。ビュイック騎手、日本ではなかなか大きなタイトル取れていないんだけれど、短期免許取得して来日する騎手がトップジョッキーでないはずがなく、ここぞの見極め極まっていましたね。これはドゥレッツァでないとなかなか出来ない動きだったでしょう。
しかも、ここで一気にペースあがるかと思ったら、ラップタイム見ると全然あがってないんですよ。先頭奪いつつ一瞬でペース落ち着けちゃってる。殆ど消耗なく位置取りイイ所を取り直した形になったんじゃないだろうか。結果から見ても、ここの動きは凄かった。
ここらへんではまだ武さんは、まだまだまだと手綱引っ張ってるのが見えるんですよね。
1000m通過62.2。スローペース。だいぶスローペース。このあたりでドゥレッツァが仕掛けて先頭に立ってます。じわりじわりと前と後ろの距離が詰まってきていますが、目に見えて凝縮しだしたのは残り1000メートルを越えたころ。
武騎手がじわりと手綱を解放して、前に進めだしたのが800を越えたとき。そして、直線に入る直前のゴーサイン。ここで一気に加速して、直線に入った時には後方の馬群の塊を外からクリア。さらに加速して他馬を置き去りにして先頭集団に食らいついたのが残り400メートル前後。
ここの加速が凄かった。このまま一気に突き抜けるか、と思ったほど。
でも、このドスローのペースで最後方に位置取りしていて、仕掛けがかなり早くなったこと。途中、折り合いをかいて消耗がたぶんかなりあっただろうこと。これらが重なって、残り200くらいでブーストが切れたようにも見えたんですよね。
ここから、かなりドウデュースとしては余力を使い切るかなり苦しい競馬になったんじゃないだろうか。
いや、3コーナーからじわりと手綱緩めて4コーナーで加速、この早いとすら思える仕掛けがないと、絶対に届かなかったと思うので武さんの判断極まっていたと思う。
ドウデュースの強さを信じていたからこその、早仕掛け。
それに応えるように、一完歩一完歩グイッ、グイッ、グイッと止まらないドウデュース。
一瞬で伸びていく切れ味こそ収束したものの、今度はパワフルさで突き進む。
一旦抜かれたものの盛り返して食らいついてくるドゥレッツァ、そしてシンエンペラーをだが抜かせない。抜かせない。抜かせない。最後まで、抜かせない。残り200メートル、永遠に抜けないクビ差のままゴール!!
ゴーール!!!

うああああ、激戦激戦! ど根性の重戦車みたいなゴールだぁ!
なんかもう、ラグビーやアメフトで敵の選手にしがみつかれながら止まらずトライ、或いはタッチダウンを決めたような、ど迫力のもの凄い勝ち方でした。

レース展開、完全に前残り、というかドゥレッツァとシンエンペラーがモノにした展開だったのに、ドウデュース、ただただ強さで捩じ切りおった。
強いぃぃ。

ただでさえ尋常ではない出来と言われた秋天から、さらに上澄み重ねたなんか訳分からんピーク状態だったドウデュース。これで、天皇賞・秋とジャパンカップを連勝。ついに、秋古馬三冠に王手をかけました。
未だテイエムオペラオーとゼンノロブロイの二頭しか達成していない伝説の三冠。近年は、レース間隔もあってこの3レースを全部出る馬自体が珍しくなってしまった中で、この令和に時代に秋古馬三冠に王手って……。
うわあああああ、ああああ、えらいこっちゃああ。こんなんなんて呼べばいいんだ?
超弩級戦艦ドウデュース?!

2着は猛追猛追猛追、とこっちの側からしたら噛みつかんばかりにドウデュースに食らいつき続けたドゥレッツァと、内から二の足使ってもう一度伸びてきたシンエンペラーが、まさかの同着。2着同着です!!
この2頭も凄かった。最後まで一瞬たりとも気を抜けない、あと本当に一息、一息、ちょっとの差で、という所まで勝ちへの執着を見せてくれた、痺れる走りでした。
ドゥレッツァは、もう久々、菊花賞以来だったんじゃないだろうか、こんなに本調子で本気で走れたのは。世代最強は実はこの馬なんじゃないか、と密かに言われ続けたドゥレッツァでしたけれど、ようやくその可能性をこうして見せつけてくれた気がします。来年こそ、ドゥレッツァの年だと信じたい。
そして、ついにその真価を日本の競馬場で見せてくれたシンエンペラー。ダービー3着のときとはまた違う、次こそG1に手が届くという実感以上の確信を手に入れることのできたジャパンカップ2着だったと思います。これは、本当に本格化しつつあるのか? 今回は坂井くんの好騎乗もあり、不利と思われた馬場や展開をひっくり返しての2着でしたからね。これは価値がありますよ。
ドゥレッツァも、シンエンペラーもこのレースでは7番人気8番人気でしたけれど、それこそ次は1番人気を狙える立場に立てるんじゃないでしょうか。

4着には……おお、チェルビニアが入りましたか。鞍上のルメールがこのレースでは瞬発力が必要でした、と語っているようにこの子も、キレる脚にはちと物足りないところがあったのでこのレース展開でどういう形になるか、と思いましたけれど、あそこから他馬をねじ伏せてしっかり4着に入っているあたり、今牝馬で一番頂点に近い位置にいるのは彼女で間違いないのでしょう。よう頑張った。褒めてあげて。
5着には、ジャスティンパレスが食い込んだかー。あれだけ折り合い合わなくていつもの後ろからの競馬も出来なくて、展開も向かなくて、と不利不向きが重なったにも関わらず、ちゃんと掲示板に載っているのだから強いんですよ、パレス。でも、本当になかなかこの馬が本領発揮できるレース展開ってのが無いんだよなあ。それはもう仕方ないのだけれど、辛い所。クリスチャンもようやりました。

6着にゴリアット来ましたか。海外勢では彼が最先着。直線、一瞬前に出るかと思ったんですけれどチェルビニア、パレスを抜けなかったか。さすがにこのペースは厳しかったですね。切れ味勝負となると海外勢はどうしても厳しいです。その中でしっかり人気上位勢と先行勢に続いたのですから十分見せ場はあったと思います。レース前も大いに盛り上げてくれてありがとうございました。香港は行くのかな?

7着にはスターズオンアース。ドゥレッツァとシンエンペラーがあれだけの走りを見せたのに、同じく先行していたスターズオンアースは実質脱落。これは本調子には戻ってなかったと見る他ないのですかね。川田騎手も最近、切れがないんだよなあ。
だから、負けた時に中身のないコメントはほんとやめてほしいなあ。

8着にこれが引退レースのオーギュストロダン。さすがに引退レースってことで無理は出来なかったのもあるかな。同じく、このスローペースの瞬発力勝負だとディープ産駒とはいえ母系が欧州血統なロダンだとあの位置では厳しいものがありました。
とはいえ、ディープインパクトのラストクロップとして、ディープインパクトの名を欧州の血に轟かせてくれたロダンには感謝以外ありません。よう来てくれました。よく、最後に日本で走ってくれました。みんな、ロダンを見たかったんだ。ありがとう、お疲れ様でした。

以下、9着ダノンベルーガ。10着シュトルーヴェ。11着ファンタスティックムーン。12着ブローザホーン。13着カラテ。14着がソールオリエンスとなりました。
ソールはどうした!? 道中2番手まで主張していて、前から押し切る形にしたと思ったのに、勝負どころで完全に置いていかれる形に。いくらなんでも負け過ぎだぞ?


まあ何にせよ、役者が揃った大レースにも関わらず、ドウデュース、ドウデュース、ドウデュースな
レースでありました。
よっ、あんたが大将!! 大将だ!






第170回天皇賞(秋) G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,000メートル(芝・左)


遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!
これこそ紛うことなき現役最強、ドウデュースよ!!


有馬記念でイクイノックス去りしあとの競馬界を任されたのは俺だ、と言わんばかりの劇的な勝利を収めたドウデュース。
ですが、年明けてドバイで勝てず、宝塚記念では崩れ、現役最強を継いだ矜持は潰えたかに思いました。
しかしそれでも、このレース間隔を大きく保つご時世において、秋古馬三冠。ゼンノロブロイ以来20年誰も達成できず、近年では挑戦すらままならない中で、これを狙いそして達成して引退すると宣言し挑んだ陣営。
まさに有言実行。そして復活にして覚醒にして逆襲の末脚。武豊というレジェンドの専用機として世に出た彼は、すでに伝説でありながらさらなる伝説を完結させるための第一歩を勝ち取った。
令和の神話となったイクイノックス、そのライバルを名乗るに相応しい伝説を打ち立てるための、最初の盾を彼は堂々その怪物っぷりを見せつけることで、奪取したのである。

正直言って、ドウデュース、そこまでキレる脚を持っているとは思わなかった。イメージとして一瞬の切れ味はないけれど、長くて良い脚を使うタイプ。だから、東京の2000.しかも前年までの牽引役としての逃げ馬がいないのでスローになるだろう展開で、ドウデュースは決め手に欠けるだろうな、と。
おいおい、こいつはダービー馬なんだぜ? 東京2400でイクイノックスを2着に下した馬なんだぞ?
とはいえ、去年の秋天では7着惨敗。ジャパンカップも4着と、東京競馬場でキレる脚を持っているイメージはなかったんだけれど。
でも、振り返ってみると有馬記念でもそうだったんだけれど、ドウデュースの最適解の走りって本当にごくごく狭いポイントにしかないっぽいんですよね。しかし、そこにガッチリとハマった時、溜めに溜めた脚が尋常でない勢いで炸裂する。あの爆発力をいつでも出せるわけじゃないんだけれど、それが出た時はまさに怪物としか言えない走りが顕現するのだ。
そして、そのポイントの見極めが出来るのが武さんしかいない。本当に、武専用機なんだよ、おドウって。
今回、どう考えても最後方2番手っておドウの位置は後ろすぎるんですよ。事前の展開予想でもペースは遅くなるだろうとされていて、実際1000メートル経過タイムは59.9。今の東京競馬場の馬場でG1というハイレベルというのを考えるなら、これはややスローと言って良かったでしょう。
武さんが体幹でこの遅さを感じていないはずもなく。
位置取りとしての最適解は、おそらくリバティの位置あたりだったと思いますよ。そういう意味では川田騎手はいつもどおり予想される最適の位置を確保していた。
おドウはいくらなんでも後ろ過ぎた。でも、ドウデュースという馬にとってはそここそが最もこの馬が力を発揮できるポディションなのだ、と武さんは腹据えたんでしょうね。武さんはこの子の乗り方に関してはもう徹底してこの乗り方を貫いているように見える。
ドウデュースという馬の力を信じ抜く、信じ抜いた上で自分はその全力を発揮できるように全てを注ぎ込む、そんな乗り方だ。

結果がこれだ。直線で、何頭抜いた? 残り400から自分と最後方にいたニシノレヴナントを除いたおよそ13頭ごぼう抜き。圧巻の上がり32.5。上がり2位のレヴナントとジャスティンパレスが33.0だから恐るべき事に他馬と最低でも0.5秒もの差がついていたことになる。
圧倒的だ。
武さんのゴール後の客の声援に応えたりアピールしたりするガッツポーズと違う、ムチを握った右腕をグッと振る姿に、歓喜と手応えの深さを感じ取れた。

秋天でこんな勝ち方されたら、ジャパンカップの東京2400ももう何の問題もないじゃないですか。府中で勝てる目処がつき、暮れの有馬はすでに実績あり。馬体の仕上がりは完璧でしたけれど、ここが上限じゃなくてまだ上澄みがありそう、まだ仕上がる、という見解も多々見ます。
これはまじで、テイエムオペラオー、ゼンノロブロイ以来の3頭目の秋古馬三冠、あり得るんじゃないのか!?

2着は9番人気のタスティエーラ。だがしかし、彼も去年のダービー馬だぞ!? ダービー馬によるワンツーフィニッシュだったのだ。
スタート良く、内前目につけれていましたけれど、ペース考えてもかなり良いポジションを確保出来ました。先頭を逃げるホウオウビスケッツを33.4と先行勢としては抜群の脚で捉えてゴール前できっちり抜いた。映像を見ていると直線入った段階ではまだギアが入っていなくて、先行勢からは若干置いてかれ気味になってるんですよね。でも外に進路を取って前があいた残り200から一気に抜き去っている。ドウデュースという規格外がいなかったら、これは鮮烈な差し脚で前の集団まとめて躱しきった強い勝ち方なんですよねえ。あまりにも圧巻のドウデュースが外側ぶっ飛んでいったんで、視線全部持っていかれましたけれど。
菊花賞2着から、有馬記念の6着。これは不利があったんですが、一番人気に押された大阪杯では11着大敗、春天でも7着と株を落としてしまっていたタスティエーラですが、この秋に向けてしっかりと立て直しが出来たみたいで。
プラス18キロは減っていた身体を戻したと見ていいのでしょう。ダービー馬の面目躍如でありました。まさか府中だけ得意ってわけじゃないでしょうから、今年前半の不調はやっぱり調整あかんかったんかな。

3着はホウオウビスケッツ。岩田望来くん、パパみたいなじんわりとした逃げを上手いことしやってからに。しかし、騎乗に応えて逃げながらも上がり34.0の時計を叩き出してゴール際まで粘りました。逃げ馬にこの時計出されたらちょっと後ろは厳しいですよ。最後まで行ってしまうか、とすら見えましたからね。
クラシックではスプリングSで2着に入ってますが、才能はありそうだけどまだまだ1枚も2枚も足り無さそうという感じでしたが、年明けから着実に好走を重ねてG3函館記念を勝って重賞初勝利。また実力馬の揃う毎日王冠でも2着と足りなかった1枚2枚をしっかり積み上げて力を備えてきた、という雰囲気はあったんですけれど、これだけのメンバー揃ったG1でこれだけの走りをするとまでは思ってませんでした。思ってた以上に強くなってましたね。これからも重賞で上位の勝負が出来そう。G1制覇出来るかまでは、格の高いG2で勝ち星掴んだらもうワンステップあるかもしれない。

4着はジャスティンパレス。去年の春天を勝った馬であり、また去年の秋天の2着でありました。あのイクイノックスの人外魔境のレコード勝ちの2着です。
後方からの追い込みは天下一品。宝塚記念の10着はまあこれもう重馬場が原因以外になく、度外視して良かったと思います。そういう意味でも6番人気は過小評価だったよなあ。
今回も追い込みの切れ味については唯一ドウデュースに引けはとっていなかったかと。ただ、内側を走っていた分、進路取りに失敗しましたね。前が壁になってしまい、仕掛けが遅れてしまった上に辛うじて空いた内に思いっきり斜行で身体をねじ込んでしまったために、制裁食らってます。
スムーズに行ってたら2着争いまで十分できたでしょう。ドウデュースとはどこまで張り合えただろうか。

5着はマテンロウスカイ。仕上がりはかなり良かった、というのはいろんなところで声あがってましたね。ただこのメンツの中だとどうしても格が見落とししてしまったのも事実。12番人気だったのも順当かな。それで掲示板乗ったんですから、鞍上のノリさんとしても会心の競馬だったんじゃないでしょうか。位置取りもずっと最内の経済コースを先行してこの展開ではベスト。直線でもずっと内ラチ沿い。前にいたベラジオオペラを躱しての5着ですから、よく走りました。

6着はベラジオオペラ。今年入って大阪杯の勝利に加えて宝塚も3着と馬券圏内。何より、4歳世代では最初に古馬になってのG1勝ちした馬ですから、クラシック組の中では筆頭格という印象の4番人気でした。
1枠1番という枠順を活用して、3番手につけての快走。残り400で仕掛けた時はこれ一気に行くかも、と思ったのですが脚がなんでか続かないで200メートルくらいから失速。結局、マテンロウスカイにまで抜かれての6着でした。仕掛けが早かった? でも、あのままだとビスケッツを捕まえきれないかもしれませんでしたし。なんか夏負けして状態あんまり良くなかったって話も。
この子ロードカナロア産駒なのですが、東京2000があってないという可能性もあるなあ。カナロア産駒って、東京2000の重賞、アーモンドアイの秋天しか勝ってないですし。3着まで含めても、パンサラッサの2着だけ。相性悪かったのかも。ローテーションはどうするんですかね。JCや有馬に行くのか? 距離長そうだけど。

7着は去年の皐月賞馬のソールオリエンス。宝塚記念で2着と復調したかに見えましたけれど……重馬場巧者という側面がやっぱり強かったんだろうか。仕上がり自体はほんと素晴らしかったみたいなのだけれど、も一つピリッとせんかったなあ。33.3とそれなりに脚はキレてたんだが。

8着に3番人気だったレーベンスティールが。エプソムCとオールカマーを激勝して、実質今年後半にかけての出世頭な馬でした。両レースともにとんでもない強い勝ち方しましたからね、そりゃ期待値も爆上がりでしたよ。鞍上がルメールだったというのも大きいでしょう。東京競馬場で外枠ですから、オールカマーみたいな窮屈な競馬も強いられないでしょうし、伸び伸び走ったらさあどれだけ強い走りをするのか!?
とまあ、そんな風にして人気も上がったんだと思います。
ところが、スタートで出足がつかず、そこから全体スローになってレーベンちゃんが行きたがってルメさん宥めに入り後方から。隣やや後ろにドウデュースがいる位置。最後方近くですよ。パレスよりも後ろから。さすがにまだ、ここからドウデュースやパレスみたいな追い込みをかませるほどではなかった。というか、好位から行く馬で後ろから行く馬じゃないですからね。理想はリバティくらいのポジだったと思います。
まあもう一回やり直しですね。人気落ち着いた所からもう一回ですよ。強いのは間違いないんですから。

9着にステラヴェローチェ。まあ良馬場の東京2000は元々厳しかったと思います。馬場渋ってたらともかく。でも、パレスの斜行でだいぶ不利食らって進路が急に潰されて馬に挟まれて立ち上がりかけて、ともうそこで流石にレース終了でした。それがなかったら、ソールオリエンスやベラジオと勝負くらいまでは行けてたかもしれません。あのまま伸びてたらね。


で、1番人気のリバティアイランドは、13着。残り400までまあ理想的な位置取りでした。川田騎手としても、400らへんで鞭入れたらあとはかっ飛んでいって後方置き去りにする、くらいのイメージはあったんじゃないでしょうか。ところが、全く仕掛けに反応せず、それどころかそこからズルズルと下がっていくという、どうしたリバティアイランド!?な結果に。
なにが原因だったのか。調子自体は多くの人が見解として凄く良かった。怪我の影響は見られない、と言っていたので、これは休み明けも大丈夫、元の強かった頃のリバティを取り戻していそう、と思ったものですけれど。
なんか、何気に前走から20キロ以上増えてたみたいですね。前走は海外のドバイで体重計測がされてないもんだから、前走からの体重変動が不明になってたわけで。
そういえば、馬体というか馬格が見違えるほど立派になった、というコメントも散見されてたなあ。てっきりあれ、筋肉量が増えてムキムキの走るための立派な馬体になった、という風に捉えていたのだけれど。もしかして、単に太ってデカくなってたとか???
細江さんが、返し馬覇気がなかった、と仰ってまして、これもう馬自身走る気になってないんじゃ……。
怪我とかではないみたいなので、原因はなんとか見つけてほしいなあ。

5番人気のダノンベルーガも14着。これもちょっと負け過ぎでしたね。これまでコンスタントに好走を続けていて、掲示板を外したのもJCの6着だけと、同世代の中でも勝ちきれないながらも安定度があって伸びしろなら一番高そう、と今年の秋への期待は高まるばかりだったのですが。
レースはじまってすぐに、シルトホルンに外から被せられて躓いてるんですよね。シルトホルンには斜行で制裁入りましたし。序盤で走るリズム崩れちゃったかなあ。こういう負け方をする馬じゃないと思うのですが。


まあともかく、秋の主役はドウデュース、というのを知らしめる大レースでありました。
秋だけじゃなく、今年はドウデュースの年だった、と語り継がれる残り2レースを期待してしまいます。あまりにもドラマ性が強すぎるんだよ、ドウデュース。












第65回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

やったぜブローザホーン、やったぜ菅原くん!!
すげえな、今年G1を初めて獲る騎手がこんなにたくさん出るなんて。いや、だいたい菅原くんはもっと早く取れてても不思議じゃない騎手だったんですよ。って、今年G1初戴冠した騎手たちはみんなそんな感じのあと少しもうちょっと、の人ばかりだったんで凄く良かったなあ、と思うばかりなんですけどね。
おまけに今年はこの宝塚記念で前半終了ですけれど、全G1全部違う騎手が勝ったそうでこんなん滅多ないでしょう。大概、ルメールと川田が3つ4つ獲ってくのに。

さて、今年の宝塚記念は宝塚記念なのに宝塚市の阪神競馬場ではなく、京都競馬場開催となりました。
阪神競馬場が来年前で改装に入っているため、代替開催になってるんですね。
おかげでいつもよりレース開催が多く、馬場状態もかなり厳しいことになっているところにさらにトドメで雨! しかもざーざーぶりの大雨が土曜日から。
幸いにして不良まではいかなかったものの、重馬場発表とあいなりました。

競馬場ってのは各場で全然特性が違い、同じ2200メートルでも阪神と京都ではまったく条件が異なってきます。例年の宝塚記念のデータは殆ど役に立たないと見るべきでしょう。

今年は出走馬が13頭。香港の英雄ロマンチックウォリアーが宝塚参戦を匂わせていましたけれど、安田記念をゲットしたものの疲労を理由に回避。リバティアイランドは怪我で春は全休、菊花賞馬ドゥレッツァと春天のテーオーロイヤルは剥離骨折、ダービー馬のタスティエーラは見送り。ブレイディヴェーグやスターズオンアースも調整で秋まで出走は見送りとなりました。
それでも、イクイノックスの後を継ぎ現役最強を張るドウデュース。
去年の春天、そして宝塚記念でイクイノックスに迫ったジャスティンパレス。
去年覚醒して以来、心房細動で競走中止になったレース以外全てで3着以内に入るブローザホーン。
4歳世代で古馬になっても気を吐く大阪杯勝馬のベラジオオペラ。
そして復活なるかの皐月賞馬ソールオリエンス。
G2無双のプラダリア。
同じく、無冠の帝王ディープボンド。
去勢手術以来3連勝。G2も連勝してこの舞台にあがってきたシュトルーヴェ。
エアグルーヴの末裔にして大阪杯2着と一気に有力候補の一角にあがってきたローシャムパーク。
重賞勝ちがないものの、エリ女、大阪杯で2着3着とここぞの脚を持つルージュエヴァイユ。

現役メンバーでは実績馬が相応に出揃ったんじゃないでしょうか。
まあ今回はとにかくポイントは雨と京都。この中で露骨に雨が全然ダメ、というメンバーは見当たらなかったのですが……ローシャムパークあたりはダメなんじゃない?と言いたい所だったのですけれど、陣営は行ける行ける!と主張していましたね。このあたりの陣営のコメントってあんまり信じられないというか、参考にならないというか。取捨選択はよほどコメントを発する人の内容の傾向を把握してる人でないと無理なんじゃないかな。
ドウデュースは難しいところで、血統的にはそれほど問題はないとか。あかんかったフランスの重馬場は日本の競馬場の重馬場と質が全然違うから参考外、という意見が大半でまあ問題は少なかろう、という塩梅でした。
ジャスティンパレスは、できんことないけれど晴れた良馬場の方が良いパフォーマンスを出せる馬。でも気難しい馬って馬場悪いとそっちに集中してむしろ落ち着くらしいので、パレスも不得意というほどではないだけに割引材料というほどではなかったかと。

逆に馬場悪いと無類に強さを発揮するのが、ブローザホーンであり、プラダリアであり、ディープボンドあたりだったわけです。特にディープボンドは、上がりがかかりつつ京都の下り坂を利用して勢いをつけられる、という事で今回の宝塚記念は降って湧いたような好条件だったんですよね。
また、今日の京都の馬場はとにかく外、外、外だったのは間違いない模様。土曜から日曜のレースで騎手たちはよほど痛感していたみたいで、各所でそのへんのコメントがレース後に飛び出してました。

ということで、今日の宝塚記念は4コーナーで外に出し、大外から一気に突き抜ける。これが最適のコース選択プランだったわけですね。
これに一番合致していたのが、ブローザホーンだったわけです。何しろ、ブローザホーンてば前走の春天でこれと同じ位置取りコース取りを行って2着までぶっ飛んできたんですからね……いや、あの時はなんで内に入らんでそんなロスばっかりのところを、てなもんだったんですけれど、今回に関してはそれが正解だったわけです。
なんせこのブローザホーン、京都では無類の強さを誇っています。京都大賞典で心房細動を起こして一度競走中止している以外は、日経新春杯で勝ち春天で勝っているように2勝2着1回という成績を残してるんですね。また菅原くんは京都を一番得意にしているジョッキーだ。
去年の10月、京都大賞典で心房細動を起こして躓くまで、びっくりするような覚醒具合ですぐに重賞を勝ちG1の勝ち負けまで出来る馬になるだろう、と思ってたのに秋は全休。悔しい間隔が空いてしまいましたが、年明けの復帰戦日経新春杯でいきなり勝って覚醒の勢い衰えず、というのを見せつけ、阪神大賞典、春天で一線級であることを証明し、そしてここで見事にフロックではない堂々3番人気での宝塚記念勝利を見せつけてくれました。
一段一段、着実に成長と強さを見せつけての勝利でありました。また長距離レースを主に出てたブローザホーンですけれど、むしろ母系のスピード血統を活かして中距離も行ける、というか中距離でこそ本領を発揮できそうなんですよね。今日は重たい馬場でしたけれど、晴れてても関係なくいけますし、これは秋さらにパワーアップしてきそうですよ。

しかしそれにしても今日のレースはみんな外外にまわして、京都では滅多と見たことのない外ラチ沿いに全馬が近づいての直線勝負になりました。あんなん新潟の1000直くらいでしかあんまり見ないよ!
それくらい、内側難しい馬場になってたんでしょうね。
また、ちょうどレースが始まると同時に猛烈な雨が降ってきて、雨中のレースとなりましたし。
改装後の京都競馬場は4コーナーの角度がゆるくなって、以前ほど馬群が広がらずに内に固まったまま直線勝負になることが多くなったのですけれど、今日はほんと珍しい形になりました。
ゆえにこそ、今日は内側に入ってしまった、入らざるを得なかった馬は苦しかった。
また、ペースも中盤じっくり緩んで残り800くらいから一気にペースがあがる重馬場には厳しい展開になりましたから、思いの外前が苦しいレースになったなあ。
今回は明確な逃げ馬不在だったので誰が逃げるかは注目点だったのですが、まさかの13番ルージュエヴァイユが逃げる。えっ、エヴァちゃんあんた追い込みでしょ!?
その切れる脚で好走を続けていた馬だったのですけれど、緩い馬場は苦手だそうですし道悪である以上普段の差しは届かないと見て積極的に前に行ったんでしょうか。結果としていつも通り控えた方が良かったんでしょうけれど。初騎乗の川田があんまり後ろから行きたくないタイプなんで、主導権握りに行ったというのもあるのかもしれません。追い切りがバチクソに素晴らしかったみたいなので調子はほんと良かったと思うんですけれど、前に行ってしまった事で展開が向かず、得意の脚も出せず、重馬場でスムーズに走れず、とマイナス要素が重なってしまった感がありますね。8着、本来ならもっと上に行ける馬だったと思います。

逃げはベラジオオペラが押し出される形で行くんじゃないか、という予想が多かったみたいですけれど、結局ルージュエヴァイユが引っ張りカラテ、プラダリアが続く形。ベラジオオペラはその後に控えることが出来ました。ディープボンドがその後、やや遅れて中団先頭。プボくんとしてはベストポジでしょう(レース後の幸さんのコメントだとここでも後ろすぎたらしい)。復調の気配ありだったソールオリエンスがそのやや外の後ろ。ローシャムパークがさらにもう一段その後ろで……ちょっと後ろ過ぎましたね。本当ならソールの位置のその少し前あたりがローシャム的には最適だったのではないかと。大阪杯でも後ろから途中で押し上げて、という競馬で2着に入っていましたけれど、今日の馬場だとローシャムの適性的にそれをやるとさすがに消耗がキツイ。
逆にブローザホーンは、そこがベストポジションだったんですよね。
問題はドウデュースとジャスティンパレスですよ。ドウデュースは出足がつかずにそのまま最後方。パレスはソールの内側にいたんだけれど、どうも手応えが悪い。1番のシュトルーヴェはさらにその内ラチ沿い。シュトルーヴェはもう1枠1番がとにかくあかんかった。
ローシャムは3・4コーナー中間で早々に押し上げていき、やっぱりこれ早かった気がするなあ。いやタイミング遅くしても届かないだろうし、あの位置取りで前半走ってた時点で余力残らなかっただろう。脚が残っていなくて上がりも遅く5着。
ブローザホーンは下りに差し掛かったところで一気に加速。タイミングもばっちりで直線に入ったところで大外も大外で加速が乗ってバッチリの騎乗でした。
プボくんは下りで思ったよりも加速出来なかったなあ。前には行ってるんだけれど、プボくんからして直線入ったところで先頭近くに立っていたかったが、この時点で横並びで馬場の真ん中外あたり。こっから伸びたのは外も外を走った馬ばかりだったので、プボくんくらいから内側の馬は全然伸びなかった。そして、プボくんよりも外に出せた馬ってそれだけ加速乗ってた馬なんですよね。
ここで強烈に食らいついたのがベラジオオペラ。先行集団側にいたのにきっちり手応え残して4コーナーに入って、グイグイ伸ばしてきたんだからやっぱり相当に強いですよ、ベラジオオペラ。
しかし、ブローザホーンの脚色が明らかに違っていて、大外の外の外をぶっちぎり道悪と思えない軽やかな差し脚で2馬身ちぎって完勝のゴール。
2着はそのまま粘るプラダリアを抑えてベラジオオペラが食いつくか、と思ったらさらにその後方からまさかのソールオリエンスが急追。ゴール前で躱して菊花賞以来久々の馬券圏内2着入線を果たしたのでした。
ソール、ブローザホーンがぐいぐい上がっていったとき、全然反応のないドウデュースと共に置いていかれたんで、あこれあかんは、と目線を切ってたんですけれど、よー追いついてきたなあ。よく見たら残り600くらいでギア入ってブローザホーンの後ろまで食いついてきてましたわ。そのままほぼ同じ勢いで追いすがってきていた模様。あれだけの脚が仕えるなら、復活したと言っても大丈夫でしょう。
弱い弱いと言われた4歳世代ですが、なんとかここで皐月賞馬と大阪杯勝ち馬が2着3着に入って面目を保った、と言えるんじゃないでしょか。
プラダリアはこれだけ良条件揃ったものの4着。先行としては彼らしく最後まで良い所を譲らない根性を見せましたけれど、やっぱりG1だと掲示板までですかねえ。
ドウデュースは結局外に出せずに内に切り込むしかなく、馬場の悪い所を通らざるを得ず反応も鈍く、6着惨敗。調教では最高潮くらいまでいい感じに仕上がってたみたいなんですけれど、それだけ仕上がってても勝てないときがあるんだよねえ。敗因はなんなんでしょう。雨? 初めての京都競馬場? 前走のドバイに引き続きスタートが悪くて望む位置取りを取れなかった、というのも大きそうですし、分析が待たれるところです。
ジャスティンパレスはさらに悪く10着。テンション高いのはずっとルメさんがうまいことなだめてたと思うんですけれど、これはもう馬場でしょうねえ。相当に緩い馬場になってたみたいですし、合わなかったかあ。まあこっちはわりと敗因はっきりしてるだろうし、次回あまり気にしないでいいんじゃないでしょうか。

なにはともあれ、菅原くんG1ジョッキーの仲間入りおめでとうございます。
そしてブローザホーン、名実ともにG1馬。貫目も得ました。現役トップランナーの一角に名乗りをあげて、秋も主役の一頭になりそう。そして、逆襲の4歳世代。
しばらく夏競馬になりますけれど、秋のG1シーズンが楽しみになるレースでありました。





第68回有馬記念 G1 レース回顧   


ああ……凄いレースやった。もうブルブル震えるようなレースやった。敵わんなあ、たまらんなあ。

1着 ドウデュース。

武豊、復活の勝利。怪我で秋にこの馬に乗れず、しかしこのおドウに乗るために50を超える年齢にも関わらず、驚異的な回復力で帰ってきた男。この日曜日、武さんが乗ったのはこの一鞍のみである。
こんなんもう、劇的すぎるやろう。イクイノックスが去ったあと、そこで最強を証明したのはイクイノックスに勝ったこの牡である。あのイクイを倒した馬が、易易と負けてたまるかよ。
お前がいなくなっても俺がいる。それを名実ともに証明してみせた、最強の走りでありました。そして、人馬一体最高のコンビってのはこういうのを言うんだよ。松島オーナーも、なんかもうたまんないでしょうね、これ。
レースの方はまさかの後方から。しかも後方2番手あたりで序盤進めましたよね。これは意図的だったんでしょう、武さん前行かす様子も見えませんでしたし。このレースにおけるドウデュースにとっての最適解がそこだと見込んだのか。後方でじっくりとおドウの走る気を落ち着かせつつパワーを溜めて、ってこの塩梅の見極めはまさに相棒たる武豊にしか出来ないコンビプレイ。
リリーフした戸崎さんがあかん、ってわけじゃないんですけどね。むしろ、天皇賞秋、ジャパンカップと難しい馬であるドウデュースをすごく丁寧に乗りはったと思うんですよね。武豊は十全ドウデュースの力を引き出せる相棒でしょうけれど、その十全に足るパワーを損なわずに充填したままバトンタッチした戸崎さんには頭さがります。
白眉はやはり3コーナーから馬なりで上がっていくシーンでしょう。この時点で手応えがもう化け物だった。このドウデュースがダービーだけに一発屋じゃない本物の怪物級だと思い知らせてくれた京都記念のすさまじい勝ち方を彷彿とさせる馬なりで位置をグイグイとあげていくあの走りは、痺れたなあ。
そして最後のスターズオンアースとの叩きあい、ゴール寸前で粘るタイトルホルダーをきっちり躱してゴール板を突き抜けたシーンは、もう今年もこれ伝説の有馬記念でしょう。最高じゃないですか、なんだこれ、もうなんだこれ!?


ふぁあああ

あと、青嶋アナのゴール前の実況はもうこれ最高でしょ。


2着スターズオンアース。
だからこの馬もルメールも怪物か!? 魔の8枠絶望の16番を引きながら、ついに馬券圏内に叩き込んできましたよ、この一頭と一人と来たら。
スタートがまた素晴らしいのなんの。あのロケットスタートが大外枠ながらあの絶望領域を突破する最大要因だったんじゃないでしょうか。あれでほんと大外のロスを最低限に減らせたと思う。抽選会であの枠順引いちゃってからずっとルメさんこのスタートに賭けることを考えてたんだろうなあ。このスタートをクリアすることが、スターズにとっての勝ち負けになる条件だとルメール覚悟据えたんでしょう。
対照的にこの大外枠の不利を思いっきり踏んでしまったのが15番のスルーセブンシーズ。スタートから後方に置いていかれ馬群の一番外側を回らされ、しかも前に他馬を置けない状態になり馬が落ち着かずにもうかかりっぱなしになってしまいました。ドリジャ産駒のアウトなところがもろに出てしまった感じ。目一杯の仕上げもメンタルのキレキレ具合に繋がっちゃったんでしょうか。馬群の中で脚をためる展開になっていれば違ったんでしょうか。いずれにしても、持ち得る力を発揮できずに沈んでしまったレースとなりました。
対してスターズはもうルメさんマジックですよ。それに応えるスターズの実力も半端ない。
惜しむらくは、本当に惜しむらくは3コーナーでスターズうちによれちゃったんですよ。柵に激突して急減速してしまった。ここから再加速して再び2番手に出るんだけれど、このロスが本当に大きかった。まじでこの分だけドウデュースに遅れを取ったって感じなんですよね。まさに同じこの時に馬なりで位置あげていったドウデュースと対称的な展開になってしまった。
まじでこれなかったら勝ってた可能性十分あります。惜しい。もうめちゃくちゃ惜しい。
ともあれ、本調子で走った時のスターズオンアースはやっぱり怪物です。リバティにだって負けないよ!

そして3着。3着にタイトルホルダーですよ。感動した、もう感動した、頑張った、よく走った。引退レースに相応しい激走でした。横山和生ジョッキーのカッコよかったというコメントが全部代弁してくれてますよ。めちゃくちゃ格好良かったよ、タイトルホルダー!! ラップ見たら、和兄さんまあ完璧なタイムですよ。タイトルホルダーに求められる最適の走りをしてみせた。
惜しむらくは、全盛期からはやはり衰えが見られたことか。スタート、全盛期ならもっとスルスルと抜けて先頭に立って、もっと勢いの余裕稼げていたんじゃないかな。そして最後の直線、かつての無尽蔵のスタミナをもってすればもう一声残せたと思えてしまう、願ってしまう。
それでも、このラップで引きずり回して皆の切れ味叩き潰してくれましたからね。往時の殲滅戦を彷彿とさせる、後ろを引きずり回す圧巻の走りの一欠けを最後にもう一度見せてくれたことが嬉しい、本当に頑張った、カッコよかった。そして、ジャスティンパレスに最後の最後まで前を譲らなかった意地。
エースの引き際、見せてもらいましたよ。


4着にジャスティンパレス。
スタートで行き足が伸びず最後方からの競馬になってしまいました。元々後ろから行く馬ですけれど、タイホにこのペースこの展開にされるとやはり苦しい。それでも、4着にまで伸びてくるのはこの馬の強さと思っていいでしょう。ドウデュースにこそイクイの後継の称号を持っていかれてしまいましたが、来年もう一度まっこうからドウデュースと世代最強、現役最強を競うがよい。

5着シャフリヤール。
完璧ピークに持っていった香港に出られず、この海外からの緊急輸送という体調整えるのが難しい状況で、まじで掲示板外さなかったな、シャフリヤール。これは万全だった香港で走ってたら絶対勝ってたよ、と考えちゃうよね。そして、どんな状況でも常にベストを尽くし、常に結果を残してきたシャフリヤール、まさに偉大なる馬でした。これで彼も引退ですよ。いやああんたもすげえダービー馬だったよ……あれ? 引退じゃないの!? 現役続行なの!? どっちなの!?

6着タスティエーラ
3歳の牡馬たちはまだまだこのメンツの中に入ると1段力不足……なんかないってばよ!! 最後の直線、内に切り込んできたジャスティンパレスと内にいたスルーセブンシーズとの間に挟まれて思いっきり進路潰され急ブレーキ進路変更。そっからもっかいギア入れ直して再加速して猛追したの、根性ありますし実際強かったと思いますよ。あそこパレスに一歩負けずに身体ねじ込めていたらパレスと同じ勢いでゴールまで伸びてたくらいありそうでしたよ。プラス18キロ分一瞬の瞬発力が必要だったんだろうか、この場合。いやでも、こんなもんじゃないってレースはしたと思う。来年、この馬の本気を是非見てみたい。

7着ウインマリリン
しれっとこのメンツの中で7着に入っちゃってるマリリン、まじ名牝すぎませんか!? いやもうまじでタイホに追いつけ、おドウとスターズに負けるな、とばかりに追随してギアあげてぶっ飛んでくる集団の中にしっかり混ざってるんですから。最後までみっともないレースはしない、最後まできっちりと走り切る22戦して半数を超える12戦をG1で走った最前線の散らぬ花のような強い女性でありました。これからは繁殖にまわりスクリーンヒーローの、グラスワンダーの、ダイナアクトレスの血を母系で繋いでいってください。


8着ソールオリエンス
案の定、最内枠1番で苦しみ馬群で揉まれ、前を塞がれ行くに行けないまったく競馬できないレースとなってしまいました。行こう行こうと馬はしてるんですけどね。やっぱり川田ジョッキーはこういう展開だとこうなっちゃうよなあ。

ハーパーはまだまだこれから。上澄みの同世代と比べるとどうしても格が違ってるけど、ここから成長して追いつけるかしら。
ライラックもちょっとまだ力不足でしたね。後方から前に行けなかった。
ディープボンドは良いところ無しでしたねえ。こういうレースの場合は前で前でで競馬してほしかったけれど、そういう位置取りがほんと出来なくなってきている。馬にかつてのみなぎるような覇気ややる気がだいぶなくなっちゃってる感じなんだよなあ。


いや、改めて振り返ってももう素晴らしいレースでした。一年を締めくくるレースに相応しいドラマが満載で、勝った馬も負けた馬も総じて「強い!!」と思わせてくれる感じさせてくれるレースなんて早々ありませんよ。
個人的にはタイトルホルダー推しだったんで、もうタイホタイホで感動しっぱなしの有馬記念でした。
菊花賞のあの幻惑の逃げで脳をやられ、天皇賞(春)の殲滅戦で脳を焼かれ、以来ずっとタイトルホルダー推しだった身としては、この最後のレースはたまらんものがありました。
ようやった、本当に格好良かった。もう泣くわー!!
これからは種牡馬として、早世した父ドゥラメンテの後継種牡馬として、イクイに負けない産駒の活躍を期待させてください。タイホの子供かーー、今から想像しただけであがりますわ。




第168回天皇賞(秋) G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,000メートル(芝・左)

…………(白目

これでも自分、長いこと競馬見てきたつもりだし、天皇賞・秋だって随分見てきたつもりですよ。
アーモンドアイを見た。キタサンブラックも見た。レコード持ってたトーセンジョーダンも見たし、ブエナビスタも見た。カンパニー、ウォッカ、ダイワメジャー、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエス。テイエムオペラオー、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ハブルガムフェロー、ネーハイシーザー、ヤマニンゼファー。色々見てきたつもりだけれど。
いや、天皇賞・秋に限らず、これはもう今まで見てきた馬の中で一番強い、と言ってもいいんじゃないかと、今そんな気分ですわ。ディープでもオルフェでも、ここまでは思わなかった。

イクイノックスは今まで見てきた競走馬の中で、一番強い。
こんな恐れ知らずの文言を、言わずにはいられないほどに、凄いレースでした。1:55.2ってなんだよ!? アタマおかしいんじゃないの!?

去年もパンサラッサが1000メートル57.4という快速も快速でかっ飛ばしましたけれど、今年はジャックドールが57.6という数字で逃げました。でも、去年ってかっ飛ばしたのはパンサラッサだけで、他の馬はむしろ超スローペースだったわけです。
ところが今年はジャックドールにみんなついていったために、全体的に超ハイペースになった。1000メートルのタイム聞いた時はびっくりしましたもんね。ジャックドール、そんな無理してかっ飛ばしている感じではなかったですから。ジャックとしてはハイペースで後続を削り落としていくスピードスターの走りを狙ったのでしょうしそれが唯一の勝ち目ではあったのでしょうけれど、それにしてもペースが速すぎたのでしょう。直線入ったところで粘るもなにもなく失速。これについていっていた先行馬たちも軒並み脚があがってしまった。ドウデュースですらついていけなくなって失速してしまいましたからね。
ドウデュースは大事な相棒である武豊が5レース後に馬から降りたところで足を蹴られるアクシデントがあり、まさかの乗り替わり。今の武豊にとって一番大事と言って良いドウデュースの晴れの舞台でこんなことになってしまうなんて。本人もオーナーもどれだけショックだったかわかりませんけれど、乗り代わった戸崎騎手は決して悪い競馬したわけじゃないんですよ。前に行ったイクイノックスの真後ろにつけられたのはベストの位置取りだったんじゃないでしょうか。
ただ展開があまりにも先行に対してキツすぎるものだったのと、今のイクイノックスがあまりにも凄すぎたのがどうしようもない問題でした。
他の逃げ先行馬が軒並み壊滅して脱落していく中で、逃げてるジャックからさほど離れていない3番手につけていたイクイノックスだけ耐えるどころじゃなくてむしろ逆にどんどんと伸びていくって、ほんと何度見ても意味わかんないんですけど!?
この展開であがり34.2って意味わかんないんですけど!?
ラップタイムこれですよ?

12.4 - 11.0 - 11.5 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.6 - 11.4 - 11.7
最初以外全部11秒台って、これまったく息入れるところなかったですよね。去年のパンくんみたいに後続ぶん離してたら息入れるタイミングもあったでしょうけれど、このペースで後ろ離されずずっとプレッシャー掛けられてたらそりゃジャックも溺れるわ。
番手につけていたガイアフォースが5着まで残ったの、むしろよく頑張ったと言えるんじゃないでしょうか。
……いやだから、イクイノックスだけわけわからんのですよ。なんだこれなんだこれ?
2着のジャスティンパレスと3着のプレグノーシスは両馬ともスタート出遅れてしまって離れた後方からの競馬になった馬。このハイペースの流れからなんとか逃れて足を溜められた、という事なのでしょう。にもかかわらず、イクイノックスには全然追いつけなかった。イクイノックスの鞍上ルメール、もう正面でスクリーンチラ見してセーフティーを確認してからは無理追いしてないんですよね。まあ後方突き放すときも鞭何発か入れてゴーサイン出しただけで飛び出したので、そこまで叩いてないですし。
凄いなあ。凄いなんてもんじゃないわ。

今日は令和がはじまって以来はじめての天皇陛下皇后陛下をお迎えしての天覧競馬。その天覧競馬で両陛下に競馬史上でも歴史に残るであろう素晴らしいレースをご覧いただけたことは、幸い以外のなにものでもありません。陛下にええもん見てもらえたなあ。

これ秋華賞でのリバティアイランドのあまりの強さに、ジャパンカップでも古馬たちと互角以上に渡り合える、というか本命もあり得るんじゃないか、と思っていましたけれど。
ちょっとこれは、無理やろ。相手があまりにも悪いわ。

いやー、ものすごいものを見さしてもらいました。世界の超一流馬たちを相手にもせずに蹴散らしたドバイシーマみたいな競馬を、何度も見れるとは思わんですよ。こんな競馬、ありえるんや……。




第64回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 阪神競馬場 2,200メートル(芝・右)

ああーー、疲れた。今日は湿度が高かったせいか、なんかやたらとしんどかった。つかれたー。
阪神競馬場もほぼ満杯。チケットは今日は予約制だったのかな。それでも全部完売したそうで。人もめちゃくちゃ多かったみたいですね。確実に桜花賞や大阪杯よりも多かったと思います。
それだけ、誰もがイクイノックスを見に来ていたのか。

前走ドバイシーマで化け物じみた勝ち方をしてG1三連勝を飾ったイクイノックス。世代最強、現役最強、そして世界最強の看板を背負い満を持して出走した春のグランプリ。名実ともに一番人気。倍率は1.3倍と、かつてのディープインパクトやビワハヤヒデ、オグリキャップに続くオッズを叩き出してきました。
初の関西遠征でしたが、かなり早くから栗東入りして準備を整えていたみたいで、馬体重も前回から変動なしに止め、調教の様子も抜群も抜群。最高の仕上がりを見せていました。


�� ライラック       牝4 M.デムーロ 158.9(13番人気)
�� カラテ         牡7 菅原明良 180.2(15番人気)
�� ダノンザキッド    牡5 北村友一 35.1(8番人気)
�� ボッケリーニ     牡7 浜中俊  28.3(6番人気)
�� イクイノックス     牡4 C.ルメール 1.3(1番人気)
�� スルーセブンシーズ 牝5 池添謙一 55.7(10番人気)
�� プラダリア       牡4 菱田裕二 262.5(16番人気)
�� ヴェラアズール    牡6 松山弘平 42.1(9番人気)
�� ジャスティンパレス  牡4 鮫島克駿 8.5(2番人気)
�� ディープボンド     牡6 和田竜二 16.6(5番人気)
�� ジェラルディーナ   牝5 武豊   13.8(3番人気)
�� アスクビクターモア  牡4 横山武史 14.3(4番人気)
�� ジオグリフ       牡4 岩田望来 83.1(11番人気)
�� ブレークアップ     牡5 川田将雅 113.4(12番人気)
�� ユニコーンライオン  牡7 坂井瑠星 176.0(14番人気)
�� モズベッロ       牡7 角田大河 480.4(17番人気)
�� ドゥラエレーデ     牡3 幸英明  30.2(7番人気)

他に一桁台の人気は前走天皇賞・春を勝ったジャスティンパレスの8.5倍だけ。パレスは馬の充実っぷりが本格化の様相をていしていて、完成の域に達しようというレベルでしたからね。このメンツでも2番人気にあげられたのもよくわかります。有馬記念ではイクイノックスに太刀打ちできませんでしたが、イクイノックスの3歳秋の覚醒に遅れ馳せながらも、自身もここで結実しての再戦でしたからね。気合も入っていたかと思います。
珍しいところでは、3歳馬としてはいつ以来になるのか。ドゥラエレーデが参戦。斤量が53キロとずば抜けて低いこともあってか、一定の人気は得ていましたね。ただ、ここで勝ち負けになると考えていた人がどれだけいたか。
相手としては、やはり女王ジェラルディーナ。同世代対決として菊花賞馬のアスクビクターモア。
調教で素晴らしい出来栄えを見せていた閃光一線のヴェラアズール。そして重賞を好走し続けている充実一途のボッケリーニ。このあたりがなんとか対抗できるか、というイメージだったですね。
まあ少なくとも、スルーセブンシーズはまったくの眼中外でありました。

今日の馬場は、先週とはちと様相が変わっていました。中間、雨の影響はなかったはずで実際良馬場だったのですけれど、土日で急速に馬場が痛み、今週の芝レース映像見てもらうとわかるのですけれど凄まじい土埃があがってるんですよね。とかく、ゆるい馬場でどうにも足元に負担のかかるパワーのいる馬場だったように見えました。
そのせいか、どの芝レースも前残りで後ろが差そうにも脚が残っていないケースが散見されたんですよね。先週と比べると上がり時計もやたら掛かってますし。
意外と荒れているわりに内を走った先行馬がそのまま残るケースが続く。
これはもちろん実際に乗っている騎手たちもわかっていたでしょうから、この宝塚記念も相当に前掛かりになったっぽいんですよね。
前半600メートルで34.0秒。1000メートルで58.9秒はこの馬場では相当に早かったと思います。この時点で相当消耗する事になっていたでしょうから、よっぽどタフでスタミナがないと、前に居た馬は残れなかったんでしょうね。
実際、先行集団に居て勝負できたのは、ディープボンドだけでした。よくまあ、この流れで5着入りましたよ。或いは、これこそ出走できなかったタイトルホルダーにばっちりハマるレースだったような感じもあるだけに、もったいないよなあ。
結果、上位にあがった馬は2コーナーで最後方に固まっていた集団。勝ったイクイノックスは最後方から2番手。2着のスルーセブンシーズは文字通りの一番うしろでしたからね。
これはなかなか、今日一日のレース展開の傾向を踏まえると興味深いことになりました。
恐るべきはルメール騎手であり、イクイノックスでしょうね。いやだって、前走イクイノックスってドバイシーマを単走でぶっ千切って独走して勝っちゃったんですよ? 大逃げで後ろを寄せ付けないまま勝っちゃったんです。それが次のこのレースでは最後方からの競馬ですよ。ほんまに、どこからでも競馬できるじゃないですか、この子。逃げから追い込みから変幻自在に戦法を駆使したと言えば、マヤノトップガンが有名ですけれど、イクイノックスは彼を上回る雄大な自在性を感じさせてくれます。
そして、この展開を見越し、イクイノックスの能力を信じて後ろから大外ぶん回したルメールですよ。3.4コーナー中間で武さんがジェラルディーナをあげていった際に一緒についていかずに、ジャスティンパレスを見る形で4コーナーに差し掛かるところでまくりあげてってるんですよね。
ただこれ、ジョッキーカメラのルメさんの映像を見ていると、レース後に反応遅かったからお外に出した、って言ってるので、意図した仕掛けのタイミングではなかったのかもしれません。
実際、パレスの外を回らされてかなり大外回らされてますし。結構ゴール前、思ったよりも突き放せずに際どい着差になってましたからね。上がり34.8はイクイノックスでもなかなかしんどかったという数値なんじゃないでしょうか。
2着のスルーセブンシーズは……これ、池添くん痛恨だったなあ。残り300メートルのところでジオグリフとジャスティンパレスの間を突こうとして、その隙間がジオグリフが前のジェラルディーナを躱しに掛かろうとして外に流れてきた煽りをくってなくなっちゃったんですよね。パレスを弾き飛ばそうにも丁度パレスの外にはイクイノックスが馬体合わせて抜きに掛かっている最中で、これはこじ開けるのは不可能だった。ほんの一瞬のタイミングの差。あとワンテンポ早く前に入れていたらジオグリフ寄ってこられなかったんでしょうけれど、そのタイミングの差で進路が塞がれて一度大きく後退しちゃうんですよね。ところが、そこからセブンシーズ内側に空いていたルートに切り込み、再度加速。残り200メートルからとんでもねー脚を見せて、内の先行集団も、外のジオグリフ、ジェラルディーナ、ジャスティンパレスもまとめてぶち抜いて、イクイノックスに迫ったんですよ。
これ、不利がなかったらイクイノックスと勝ち負けになってたぞ。一頭だけ脚色全然違ったもんなあ。
これは池添くん、悔しかろう。
セブンシーズは前走中山牝馬Sでようやく初重賞制覇したような遅咲きの牝馬。ただ、なんでかこの馬、凱旋門賞に登録してるんですよね。それだけ陣営、この馬の能力に信頼を置いていたということなのか。父は宝塚と有馬で無類の強さを誇ったドリームジャーニーというまさに血のサダメを感じさせるような血統。この馬もイクイノックスと同じく栗東に滞在してじっくり仕上げてきたようで、追い切りの評価もダイブ高かったんですよね。さらに当日もあの細江純子さんがこの馬に注目していたようで、出来はほんとに良かったみたいです。
これだけの結果を見せてくれると、今後のレースも楽しみですよね。今回4着だったジェラルディーナ相手に女王の座を争うことが出来るか否か。
3着にはジャスティンパレスが。ずっと長距離路線を走ってきた馬だけに、2200という中距離はどういう結果を出せるか注目もしていたのですけれど、その答えは十分に見せてくれたんじゃないでしょうか。
5着にはディープボンド。良く走ったんですけどねえ。うん、能力は発揮していると思うんだが、勝てんなあ。この子が勝てるレースって、なんなんでしょうね。G1馬なれるだけの力はあるはずなんだが……といわれ続けてここまで来ちゃったなあ。
ボッケリーニは、最内から勝負に掛かりましたけれど、馬込みでスムーズに行かなかったり、やはり内は荒れていたというのもあるんでしょう。最後の脚の切れが外からまくってきた馬とちょっと差が出来てしまいましたね。7着。
8着はヴェラアズール。今日の馬場だと、ヴェラアズールの切れ味は発揮しにくかったかなあ。
アスクビクターモアはもう今日に関しては展開がどうしようもなかった、と。向かなかったですね。にしても、もうちょっと見せ場は欲しいところではありますけれど。


さても、イクイノックスが1.3倍という圧倒的人気に応えて勝利。現役最強を名実ともに証明した形です。秋はどの路線に行くのでしょうか。ドウデュースとの再戦がどこかであるのか。色々と楽しみの募る宝塚記念でありました。





第167回天皇賞(春) G1 レース回顧   

4歳以上オープン(国際)(指定)定量 京都競馬場3,200メートル(芝・右 外)


ううううう、タイホー。タイトルホルダーくん、競走中止。古馬の中では一推しの子だけにショック。
ショック大きすぎて、昨日はあれからずっと意気消沈してしまってなんとなく何もやる気になれずに一日が終わってしまったです。
今のところ怪我も大したことがないみたいで、具体的な症状はまだわからないですけれど、少なくともいきなり命に別状があるものではなさそうなのが不幸中の幸いでした。下馬したあとの歩いている様子見て大丈夫そうかも、とは思ったんですけどね。
話題にもなっていますが、確かにレース前にテレビでアンカツさんが横山和騎手が妙に入念にほぐしてるけどどうなのかな、と言及してましたし、細江純子さんもパドックでちょっと違和感を感じてるみたいだったんですよね。聞いた話ではグリーンチャンネルのパドック解説でもちょっと変みたいに言われてたみたいなので、見てわかる人はみんなわかるくらい歩様に違和感があったみたいですね。
海外では歩様に異常が少しでも見られたら強制除外、ってこれはドバイでしたっけ。香港でしたっけ。結構厳し目なのに比べて、日本はJRA側から出走アウトとか言うの聞いた事ないですからねえ。
圧倒的一番人気という事もありましたし、走る前に除外とは行かなかったのかもしれません。横山和くんもどこかおかしくなったら即止めるつもりだったんでしょうね、これ。大事になる前に止めたのは良判断だったと思います。
このレースは頑張って先頭切ってタイホの頭を抑えてみせたアフリカンゴールドも道中、心房細動を起こして脱落。さらに代わりに先頭に立ったタイトルホルダーまで脱落という波乱も波乱のレースとなってしまい、ペースで鑑みるとかなり乱れた事になってたんじゃないでしょうか。
入線後、トーセンカンビーナも浅屈腱不全断裂と大怪我になってしまいましたし。これ、ウインバリアシオンが競争能力喪失してしまった怪我ですよね。カンビーナももう7歳だし、復帰は難しいかもしれませんね。
タイホの真後ろにつけていたアスクビクターモアは一番煽りを食ってしまいましたね。外に逃げるスペースもなく、下がってくるタイホに押される形で後退。まさかタイホがこんな形で後退するとは想像もしていなかったでしょうから。本来なら、タイホが先頭千切るのについていって、最後に躱すみたいなプランニングしてたんじゃないかな、というのがレース後コメントからも伺えます。
ディアスティマやヒュミドールあたりも不利食らったのかな、このあたりで。
予想外というなら、ディープボンドも先行陣が早々に壊滅してしまったために、まさかの4コーナーから直線に入るところで早々に先頭に立ってしまうことに。この展開なら仕方ない、変に抑えても遅れちゃいますしね。ただ、こっからぐんぐんと後続を突き放していくような脚は彼には乏しいんだよなあ。和田さんのコメントでも目標がなくなっちゃったと言ってるんですよね。追いかける方が闘争心発揮するタイプなのかな。でも頑張った。早々にジャスティンパレスに抜かれてしまうものの、その後もしぶとく踏ん張り続けて3年連続の春天2着。惜しいよなあ。ほんと、G1までもうちょっとなんだけどなあ。
そして勝ったのは、ルメールのジャスティンパレス。1枠1番なのに、2周目の1コーナーでルメール、スススっと馬を外側に持ち出してるんですよね。これ見たとき、うひゃーっと思わず呟きましたよ。ルメちゃん、4コーナーの下りで仕掛けるつもりだこれ、と思って。
改装によって以前よりもコーナーの角度がゆるくなり馬群がバラけなくなったのは先週のマイラーズカップで各所で語られていますけれど、一番実感しているのは実際に走っている騎手の人たちでしょう。早速ルメール、新京都競馬場のコース仕様のレースしてきたぞ、と。そして、今の京都なら外ラインを走っても届く、という自信がジャスティンパレスの出来栄えに対してあったのでしょう。
前走の阪神大賞典の時点でジャスティンパレス、馬体重が16キロアップして馬格がめちゃくちゃデカくなった! なんか馬が全然去年と違うぞ!? これとてつもなく成長しているぞ、と。
レースっぷりも明らかに馬の強さが別格になっていて、ディープボンド、ボルドグフーシュを実力でねじ伏せてるんですよね。
今回も増えた馬体重は結局増減なしで来て、増えた分は全部成長分でしたと言わんばかりの迫力。
ルメールの騎乗に100%応えるまったく強い勝ち方でした。3歳時はクラシック完走はしたものの、どうあっても主役にはなれないその他大勢の一頭に過ぎなかったのですけれど、本当に見違えました。今の彼なら、イクイノックスを筆頭とした最強世代に主役の一人として名乗りをあげるに相応しい力があるでしょう。すごいですね、年を跨いでこれだけ馬が見違えるってのは。

3着には後方から唯一捲ってきたシルヴァーソニック。彼も去年の落馬で変に目立ってしまいましたけれど、その休養明けからの連勝はついにその才能が開花したのを示すような強い勝ち方でしたけれど、それを証明するような気合の入った3着入線でした。
ブレークアップも頑張ったんだけど、ちょっと距離のある4着。前の三頭とはちと実力差がまだありそう。
ボルドグフーシュもこれは離されちゃいましたね。3000で2着2回してるようにスタミナが足りないわけじゃないんだろうけど、バテちゃったみたいですね。2400〜2500あたりでどういう走りするのか見てみたいところ。

競走中止やトーセンカンビーナが入線後に大怪我発覚と過酷なレースになってしまいましたけど、とにもかくにもみんな命を失わずに帰ってこれたことだけは幸いでした。
この日は、京都競馬場のライスシャワー碑にとんでもなく長い行列が出来ていたというのが話題になっていましたけれど、無事を願う人々に応えてくれたライスの加護があったのかもしれませんね。




第71回阪神大賞典 G2 レース回顧  

4歳以上オープン(国際)(指定)別定 阪神競馬場3,000メートル(芝・右)

厩務員ストが20数年ぶりに行われようかという事で開催の危機となった今週ですが、なんとか行われることになりました。
とはいえJRAはこれ、色々と給与体系や雇用関係の制度改革をはかってあげないと今回のは相当にイメージ悪くなってしまいますよ。

さて、天皇賞・春の前哨戦となる長距離重賞でも最上位にあげられる阪神大賞典。春の盾を目指す有力馬が集まりました。
菊花賞2着、有馬記念2着と22年世代でもトップクラスの実績を残し、今年の主役を目指すポルドグフーシュ。
神戸新聞杯ではそのボルドグフーシュを下して勝利し、菊花賞では3着。年を越してびっくりするくらい馬体が大きくなって成長著しいジャスティンパレス。
今度こそG1奪取を目指して盾に挑む、阪神大賞典三連覇がかかる大御所ディープボンド。
これが1〜3番人気を形成。というか殆ど人気はこの3頭に集まっていたんじゃないでしょうか。

ディープボンドが調子も素晴らしく良さそうなのに、3番人気に落ち着いてしまったのは意外だったのですけれど、昨日の雨が馬場に残らず結構しっかりとした良い馬場状態だった、というのもしぶいパワーの居る馬場の方があうディープボンドにとっては不利と見られたのかもしれません。
実際、レースは前半こそアフリカンゴールドがゆったりとしたペースに持ち込んで超スローペースに落ち込んだものの、


ハロンタイム 13.0 - 12.3 - 13.3 - 13.3 - 13.0 - 12.8 - 12.5 - 13.2 - 12.6 - 12.2 - 11.9 - 11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.7

これを見る限り、残り1000メートルからもうずっと11秒台。数字を見る限り、さらにその前から一気にレースが加速しだしてます。このペースはさすがに、ディープボンドは苦しいですわ。スタミナはともかく、彼みたいなタイプだとスピードがおっつかん。
そういう意味では、ボルドグフーシュも外から捲った分、ちょいと最後苦しくなったのかも。
ジリジリと下がってくる先頭のアフリカンゴールドというリスクを承知でアフリカンゴールドとディープボンドの間に切り込んだルメールの勝負勝ちですね、これは。
実際、300メートル付近で行き場なくなって苦しくなるんですが、アフリカンゴールドがかなり粘って一気に落ちてこなかったのが幸いしてちょっと余裕が出来た隙に、ディープボンドとの間をこじ開けたわけで、そのあたりの馬の根性は素晴らしかったです。前が開けば一気に飛び出して完勝の形になりましたからね。
あそこでディープボンドがもうちょっと伸びてたら、圧力に負けなければちょいと話しは違っていたかもしれませんけれど。なんにせよ、これは実力勝ちでしょう。3歳のときよりもジャスティンパレス、明らかに強度が増してます。強い馬になってますよ。
ボルドグフーシュはプボとジャスパと3頭並んで叩きあいになった後、あそこからぐぐっと伸びる事がなかったのがなかなか辛い。ディープボンドみたいにズルっと下がってしまうことはなかったものの、200のハロン棒を過ぎてからのジャスティンパレスとの脚色の違いは明確でしたからね。
これで阪神大賞典も2着。勝てない、なかなか勝てない! 未だ重賞未勝利というのは辛い!
このままシルバーコレクターの道を歩んでしまうのか。重賞未勝利どころか2勝クラスまでしか勝ってないんだよなあ。
3着に入ったのは、5番人気だったブレークアップ。見てると道中はジャスティンパレスをピタリとマークする位置。直線に入る4コーナーのカーブですすっと外に持ち出して、ボルドグフーシュの後ろにつけてるんですよね。さすがに前をぶっちぎるような脚までは残していませんでしたが、ディープボンドを躱し、粘るアフリカンゴールドを躱し、ゴール前ボルドグフーシュを躱す直前までじわりじわりと最後の最後まで伸びる脚をつかっての見どころ在る3着でした。松山騎手、今回はかなりスムーズな騎乗だったんじゃないでしょうか。先週マリアエレーナで悔しい思いしてましたからねえ。
この馬も長らく下積み生活だったのが、去年の暮れ近くにポンポンと連勝。アルゼンチン共和国杯を勝っていきなり有馬記念に出走するという遅咲きの出世を果たした馬だったのですが、一発屋ではない実力を見せてくれたレースだったんじゃないでしょうか。
4着には粘ったアフリカンゴールド。いや、ほんとに粘ったなこいつ。逃げた馬にとっても前半はスローだったとは言え、後半はかなり消耗を余儀なくされるレースだっただけに立派の一言です。
ディープボンドは5着。この展開ではまあ仕方ないかなあ。本番の春天が新生京都でどんなレースになるのか。

今村聖奈騎手騎乗のメロディーレーン。相変わらずちっちゃい彼女は11着。まあ流石にこのレベルは苦しいですよね。とはいえ、相変わらず一生懸命走ってくれて、頑張りました。





 

10月9日

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