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スーパーダッシュ文庫

ベン・トー 10.恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円5   

ベン・トー 10 恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 10.恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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甘いだけじゃ、満足できない。
狼たちのターゲットはビター&スウィートな半額弁当!
そして乙女たちのイベントをきっかけに起こる事件とは…!?

半額弁当バトルに青春を賭ける佐藤洋は、節分の日限定の特別な弁当『鬼斬り弁当』に狙いを定めるが、そこへ新たな狼が現れる。「退魔師」という二つ名を有するその狼は弁当だけではなく、なんと白粉を標的として現れたのだった。さらに白粉につきまとう悪しき虫がついたと認識した白梅が介入し、状況はより混乱する一方に。そんな中、間近に迫ったバレンタインデーを前にそわそわする佐藤に、槍水は予定を空けておくように言うのだが…!? 庶民派シリアスギャグアクション、狼たちの想いが交錯する第10巻!!
あれ? これ誰だ? と思ったら、帯の方に書いてあった。って、ウルフヘア!? ちょっ、茶髪差し置いてお前が表紙飾るんかい!!
いや、でもこの娘最近にいたっては確かに茶髪よりもよっぽど出番増えてきていましたし、今回なんぞ殆ど準メインクラスで出ずっぱりでしたからね、この抜擢もありなのではないかと。しかし、中の挿絵でもまだ描かれてなかったんじゃないかな。思ってたよりもずっと可愛かった。実際、この娘性格もかなりマトモな部類で可愛いんですよね。男勝りのワイルド系なのかと最初の頃の印象で思っていたら、意外なほど優しくて情に厚いし、人の良さも見受けられて、けっこう「佐藤くん佐藤くん」と懐っこく佐藤にも接してくる。この「佐藤くん」の君付けが何気に新鮮というかポイントなのです。これが呼び捨てだったら、ここまでキュンとは来なかったでしょう。この娘、同じ学校なんだからハーフプライサー同好会に入ってもおかしくなさそうなんだけれど、なんでか縁がないというか、佐藤たちにも彼女を加えようという発想がないようなので、仲間入りとかはなさそうだなあ。
さて、本編の方ですが相変わらず濃厚というか濃密というか、なんか読んでて実質二冊分あったんじゃないか、というボリューム。実際、毎度のごとく嵐のように削りまくったそうで、随所に「この話はまた別の機会に」と、面白そうなネタがトバされてしまってるパターンが見受けられて、別の機会って何時なんだよ!! と頭掻き毟りたくなります。いやもうほんとに面白そうなんですよ、そのトバされたネタが。絶対笑えるに決まってるのに。もう一冊出すごとに、削ったネタで短篇集か掌編集も一冊作ったらどうなんだ、と言いたくなるほど。
しかし、今回は退魔師編とバレンタイン編と本当に大まかにニ編に分かれていたものだから、退魔師編があらかた片付いたあたりで、そろそろ終わりかと思ったらまだ半分近くページが残っていたときには「うおっ」と素で驚きましたね。もうガッツリ一冊読み切った気で満足してましたから。この大盛り感はお得だわなあ。

前半の退魔師編は、東北の金糸雀の歌につられてやってきた新たな狼、退魔師がよりにもよって白粉につきまといだすという、ある意味飛んで火に入るなんとやら、の展開だったのですが、何気にいつもの腐った思考に走るのではなく、白粉が熱くなっていたのが印象的な話でした。白梅が首を突っ込んだせいでそれどころじゃなかった、というのもあるんでしょうけれど、というか普通にけっこう白粉クリーチャーなネタはふんだんにあったはずなんですが、あの程度ではもうなかったも同然に動じないあたり、相当読んでる此方にも腐海が侵食してきているような気がします。しかし、白粉も当初からトリッキーな狼としての資質は見せていましたけれど、ここ数巻での半額弁当争奪戦での成長っぷりは見間違いではなかったらしく、ついに【幽霊(ザ・ゴースト)】の2つ名が彼女にもつくことに。サラマンダーを出しぬいたときのように、ハマった時の白粉はちょっとすげえ格好良いんじゃないか、と思えるくらいにキレキレのハンティングをするようになったもんなあ。
白粉も二つ名持ちに成長するのにあわせるように、佐藤の変態振りがそろそろリアル犯罪の領域に突入してきたような気がするんですが……。まだ以前【変態】の二つ名がまかり通っている時期のほうがまともだったぞ。あの頃はまだ偶発的、事故的に変態行為に走ってしまっていた傾向があったのに、最近ときたら思考が完全に危ない変態そのものである。今なら二つ名が【変態】でも何も違和感がないんですがw もう気を失っている白梅への変態行為が、筆舌しがたいもので、こいつ極めてやがる。なぜそこで自分が脱ぐという発想にすっ飛んでいく!!w
肝心のスーパーでの戦いでは、久しぶりに二階堂と佐藤の「ツードックス」が見られて大満足。やっぱり、このコンビいいわー。今や【カペルスウェイト】という二つ名を得た佐藤ですけれど、この戦いではもう一度「ツードックス」に立ち戻っての共闘コンビ戦。この二人を見て白粉が猛るのも、段々と理解できそうになってきてしまったぞ。

さて、後半は恋の炎が燃え盛るバレンタイン編。重ね重ね不思議なんだが、この極まってる変態がなぜか「リア充」なんですよね。後半のバレンタイン編でのチョコレート回収率の高さは、普通に笑っちゃうほどなんですけど。いや、意外とみんな「普通」にチョコくれるんですよ。ギャグとか仕方なくとかじゃなく、普通に自然に女の子たちが佐藤洋にチョコをあげてくるのです。なにこのボーナスステージ。
特に白梅さんとか、これ何気にガチじゃありません? 本人は白粉一筋ですし、そんなつもりはないのかもしれませんけれど、義理チョコにしたって彼女、佐藤以外には誰にもあげてないんですから。そりゃ、周りも勘違いしますって。普通に見たら、マジチョコにしか見えないですもん。
一方で、マジで恋話に発展したのが、オルトロスのまともな方こと妹の沢桔鏡。前々から彼女の二階堂への態度にはそれっぽい雰囲気がちらほらとにじみ出てたんだけれど、バレンタインに託けてこれほど直球でアタックしてくるとは思わなかった。まさに青天の霹靂!! 相変わらず二階堂はモナークの人妻松ちゃんに未練タラタラで、店員である彼女のチョコがオマケでついてくるバレンタイン弁当にご執心なんだけれど、それを知ってなお覚悟を決めて勇気を振り絞って、チョコと同時に告白してのけた鏡の、恋する女の子の頑張りには思わず感動。うわー、いいなあ、こういうのいいなあ。ちゃんと告白込みで受け取ってもらえた後、姉の胸で思わず泣いちゃう鏡の姿に胸キュンですよ。こういうこっ恥ずかしいくらいド直球の恋話も書けるんだから、侮れんよなあ、この人。しかし、このシーンがあとで対比となって効いてくるとはこの時点では思いもしなかったのですが。
女子高生が純真無垢な恋心をキラキラと輝かせる一方で、こちらの小学生は妖艶極まる色気でもって迫ってくるわけで、世の中いろいろ歪んでくる。相変わらず、槍水茉莉花のエロさは頭ひとつ抜けている。小学生にも関わらず、なんだこの圧倒的な妖艶さは。完全に魔性の女そのものじゃないか。これ、佐藤じゃなくてもロリコンじゃなくてもヤバいですよ。陥落しますよ。食べられちゃいますよ、小学生に。
「センパイ、早く……お姉ちゃん帰ってきちゃう」
「センパイ……今の、大胆です」
「ふぁあっ、そこっ! センパイ……センパイッきちゃうっ! あっ、もうっ……もうっ!」
おまえら、いったいなにをやってるんだw
この小学生に負けず劣らず、最近やたらと婀娜っぽさを垣間見せて来るのが、幼馴染の著莪あやめ。出番は決して多くないんだけれど、彼女の場合逆に存在感が大きすぎて出番が多いと他ぜんぶ食っちゃう傾向があるんですよね。だから、出番が少なくても出てしまえば強烈な印象を残していく。
ここしばらく、佐藤と著莪の関係というのは非常に土台がぐらついてきていて、著莪も思うところあるのか微妙に佐藤に対する当たりを変えてきているんですよね。自分との恒例行事を差し置いて、槍水センパイとの約束を優先してしまった佐藤に対して、表立って文句は言わないものの露骨に拗ねたような、不満たらたらのような、寂しそうな顔をみせもって、何かをやきつけるように濃厚なキスマークを彼の首筋につけて送り出したあたり、ちょっと壮絶なくらいの女の情念がかいま見えて、なんか凄かった。
佐藤もそろそろ、自分の身辺についてちゃんと考えるべきなんだろう。まあ、槍水先輩のあの無自覚な無防備さにコロッと行ってしまっていたのも仕方ないんですけどね。あの人は、男心を全然理解してない節があるからなあ、妹と違って。あれだけ男に期待を持たせて、餌を見せびらかして、結局食べさせてあげないとか、あれはあれで妹と違うベクトルの悪女ですよ。
槍水先輩の想いの先については、多分そうなんじゃないかな、という素振りがあったんでその意味では意外と言うよりもやっぱり、という感が強かったのですが、ウィザードの態度はあんまりっちゃあんまりだわなあ、あれは。いやでも、突き放すような言葉とは裏腹に槍水先輩の頭を軽くポンと叩く仕草は優しさが垣間見える気もする。金城先輩も決して無神経な人でないのはこれまでのエピソードで示されていたと思うので、彼があれだけの態度に出るだけの何かが、やはりHP部崩壊の際にあったのでしょう。烏頭みことと槍水先輩の関係の拗れというのは一端にすぎないんだろうなあ。ついに、長年の懸案であったHP部の過去に踏み入る展開になるか、これは。
考えてみると、佐藤洋が本気を出すのはいつだって自分が報われるためではないんだよなあ。ならば、これもまた必然か。

アサウラ作品感想

獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった4   

獅子は働かず 聖女は赤く 4 あいつ、我とか言いだしおった (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「君は世界を変えられるんだ」
ついに明らかになったアンナの秘密!
運命に翻弄される少女が選ぶ明日は!?

《裏切りの獅子》ユリウスと、見習い修道女アンナの旅は転機を迎えた。魔女たちの隠れ里《茨の城》を巡る戦いで、ユリウスは中央教会の精鋭《獅子の牙》を打ち破った。しかし、満身創痍の彼は倒れ、アンナは中央教会に連れ去られてしまう。
大きな秘密を抱く彼女を利用しようと策謀が巡らされる中、再び立ち上がったユリウスは、《竜の魔女》サロメたちと共に中央教会の中枢、教都ノヴァリアに襲撃をかける。しかし、彼の前に立ちはだかったのは、驚くべき敵だった!!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第四弾!

もうヤメテ、お師様のライフはとっくにゼロよっ!! 
なんで出てくるキャラ、みんなしてお師様ディスるんだよ。元々サロメって最初からライフゼロの超弱キャラだけどさっ、確かに暇さえあれば苛めたくなるようなキャラだけどさ!!
崇め敬い親愛をこめてディスる、ってちょっとした新境地だよね。これだけ身近な人達に慕われ大切に思われながら、けちょんけちょんにけなされてしまう人が居ただろうか。一応一番の年長者で、実際に功績も確かで<竜の魔女>なる悪名で恐れられる偉大な賢人であり、主人公にもお師様と呼ばれる指導者であり教導者であり、偉くて大変な人だというのに……ここまでチョロくて弱くて押すと引いちゃうどころか、足をもつれさせてひっくり返って後頭部打って悶絶して泣いちゃうような人だというのは、なんなんでしょうねこれ。サロメ師匠については、ちょっと似た類型が思い浮かばない。ナチュラルボーンキラーズなメインヒロインというアンナさんも相当独特で他の追随を許さないガラパゴスなヒロインだけれど、サロメのこれは全く新しいキャラなんじゃないかな。少なくとも、自分は彼女を表すキャラの属性を思いつけない。

というわけで、アンナさんを連れ去られ、自身も心身ともにボロボロに傷つき昏倒したユリウスが再び目を覚ました時に寝ていた場所は、当初の目的地だった魔女たちの隠れ里。そこは、元々サロメが作り、世間から追われた魔女たちを匿っていた場所であり、そこにいる魔女たちはサロメを母として慕っていた。これまでのサロメの発言からして、自分は単に<茨の城>の関係者の一人にすぎない、みたいな顔をしてからに、実際にはサロメ自身が創設者であったわけです。ホントにこの人は弱キャラのくせに、実際にやってることは凄いんだよなあ。ホント、この人がやってるとは思えないくらいの実績なんだが。助けられ守られてきた魔女たちの方も、サロメをお母さんと呼んで慕っているくせに、その扱いときたら酷いのなんの。お師様と呼び崇めながら、サロメに働かせて日銭を稼がせ、食事や洗濯などの家事も押し付けて自分は優雅にニート決め込んでいたユリウスもかくや、という木っ端扱いである。
誰か、サロメに優しくしてあげて!!
そのうち、打算で優しくしてくれる結婚詐欺師とかに引っかかりそうで正直こわいです。

何とか動けるまでに回復したユリウスは、当然のようにアンナを取り戻すために動き出す。働きたくない働きたくない、とサボることばかり考えながらその実、勤勉な働き者だったりするユリウス。ただ、今回ばかりは仕方なしに、というわけには行かず、義務にかられてでも大切な人の遺言を守るためでもなく、気づいてしまった自分の想いに殉じる形でアンナをさらった帝国に乗り込むことに。
立ちふさがるのは、残された最後の「獅子の牙」、かつてのユリウスの同僚たち。まったく、「獅子の牙」という連中はどいつもこいつも、キワモノ揃いか!!
ヤンデレコルネリアが一番マトモとか、どういう一団なんだこの連中。仮にも神聖なる異端審問の執行機関のはずなんだが、とても宗教的な狂信性が見えない連中なんですよね。宗教的じゃない狂乱性については極め付きもいいところなのですが。
とりあえず、この古豪アンドレア爺さんは、真性にヤバイです。というかダメです。あんた、孫くらいの年齢の少女にナニ本気になってるんだーー!! 隠せてない、そのヤバゲな恋愛感情、まったく隠せてませんから!! 老いらくの恋どころじゃねえですってww
これがもっとこう、落ち着いた老人の秘めた静かな恋心、とかだったら叙情的で素敵にすら思えるのかもしれないけれど、こいつのは駄目だ。どう見てもただの「ヘンタイ」にしか見えないw
ただ、相手の超秀才の少女のほうが特に嫌がってもいないので、別にいいのか、セーフなのか? 単に気づいていないだけじゃないのか?w 誰か、教えてやんなさいよ、危険性とか、ヘンタイについてとか。50年以上の年齢差についてとか。

ともあれ、立ちふさがる敵を魔女たちの協力もあって突破したユリウスを待ち受けていた最後にして最大の障害は、驚きのあの人。突然「我」とか言い出しちゃったあの人の登場である。
でも、実のところ「我」モードのこの人はあんまり怖くないんですよね。どれだけデタラメに強かろうと、そんなに怖くないし恐ろしくない。どれだけチートな能力で蹂躙されようと、圧倒的な力でねじ伏せられようと、それがどうした、という感じ。だって……。
あんた、普段の方が無茶苦茶怖いから!!
いや、実はこの能力が無意識に発動してたからあれだけ不意打ちとか食らわせられてたのだっ、とか力説してましたけれど、絶対嘘。絶対嘘です。あんた、そもそもちゃんと相手のこと見てもいなかったじゃない。ハッキリ言ってあのナチュラルボーンキラーなヤバさは、その能力では説明がつきませんから。なんかそれっぽく、実はこうだったんですよ、とか言って自分で納得しているみたいですけれど、違いますからね。あんたがヤバかったのは、能力云々の無意識な発動とかいうぬるい理由じゃないですからね。
本能です!

と、何だかんだと終わってみると非常に大迷惑というか、らしいいつものことだったというか、収まるところに収まってくれたのですが……コルネリア乙。いや、コルネリアは置いておいて、ご愁傷さまなんですが置いておいて。これで何とか話もまとまったか、と思われたところで、最後の最後に大ドンデン返しの真実が明らかになり、真の黒幕がヴェールを脱ぐ。
……いや、驚いたけど! すごい驚いたけど!! いいのかこれ、ラスボスというか黒幕がこれで!?
棒でつついたら倒せそうだぞ!? 或いは、ちょっと大きめに実ったスイカなんぞを、思わず受け取ってしまうように投げ渡したら、それで簡単にやっつけられそうだぞ!?
なんでそんなことするんだ、と物凄い怒られそうだけどw

1巻 2巻 3巻感想

ニーナとうさぎと魔法の戦車 53   

ニーナとうさぎと魔法の戦車 5 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 5】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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愛機・ラビット号の砲身がニーナの魔力に耐えきれずに折れてしまい、その買い換えの費用を稼ぐため、アンフレック一周の賞金レースに出場することになったラビッツ。そんな折に出会った天才発明家にして大金持ちの青年社長・コルノがラビッツのメイド・サクラに一目惚れする。レースの主催者でもある彼は、規定の10倍の賞金とサクラとの結婚を賭けた勝負を提案するが、これをサクラが受けてしまう!絶対に負けられないラビッツに、コルノの新型戦車と、それに搭乗するドロシーの過去を知る凄腕レーサーが迫る!結婚・賞金・因縁!?全てを賭けたレースが開幕する。
戦車でレース、という発想が凄いなあ。単純にレースとしての面白さもさることながら、あくまで戦うための兵器だった戦車を「競争」に用いることで、戦争が終わり平和な時代になったのだという実感をもたらしている。これまで、このシリーズは戦争の残滓を引きずるような、まだまだ傷跡から血を流している「戦後」を意識させるエピソードを主軸に進んできていたのだけれど、前回辺りから段々と戦争の時代が過去になろうとしている過渡期が描かれる段階に突入してきたような気がするんですよね。戦車がレースに使われ、レース専用の戦車が現れる、という出来事も去ることながら、サクラの結婚話と失ったものの話。戦中時代における有能な指揮官としてのドロシーの在り方と、現在の彼女との変化など、今が平和な時代に落ち着きありつつあるのだ、という感覚が読み進めるうちに無意識のうちに染み通って伝わってくるのです。これは、最初からもう平和が訪れていた世界ではなくシリーズの当初から戦争を引きずった悲しく痛々しいエピソードが続いていたからこそ、空気の変化がより実感を伴って伝わってきたんだと思うのです。
しかし、サクラさん、今回の話は決して悪い話じゃなかったと思うんだがなあ。いや、確かにあの段階では断って勝負に持ち込むことは何もおかしくはないと思うんですよ。社長、余りにも強引、というか感覚的すぎて何も考えてませんでしたし。ただ、ラストのプロポーズは本当に良かっただけに、あそこは受けちゃってもサクラさん、幸せになれたんじゃないかなあ、と。でも、社長もこれで諦めないで努力し続ければ芽は絶対あると思うんですよね。イイ男なだけに、むしろサクラさんを諦めずに頑張って欲しいとすら思う。彼なら、ラビッツのメイドさん辞めろとは、もう言わないでしょうし。サクラさんも、過去はもう引きずっていない様子でしたしねえ。

社長のあのお金がすべての基準になる、という考え方は一概に間違っちゃいないと思うんですよね。というか、才能や能力さえあれば評価される、何て事はどうしたって難しいし無理な話なんですよね。優れた製品や、素晴らしい作品がただそれだけで評価されるわけじゃありません。兎に角、その対象について知って貰わないと始まらないんですよね。そのために宣伝は必要だし、情報を広めてくれる人や組織、団体に認識してもらい受け入れて貰わなければならない。その為には交渉や金銭というのはどうしても必要になってきますし、そこに必要な能力や才能というのは、その人が認めて貰いたい才能や能力とはまた別だったりする。古来より後世に名を残す天才クリエイターが不遇を託つ事が多かったのは、結局評価を広める才能を持たなかった、或いはその能力を持つ人が側に居なかったからなんでしょうね。その意味では、コルノ社長には副社長という存在が居ました。副社長は、もっと自信をもつべきだったんだよなあ。自分のやったことが決して社長の才能を貶める事ではなかったんだ、と。でなければ、コルノに引け目を持ってしまって苦言を呈する事が出来なくなるなんてこともなかったはず。コルノ社長は、このレース間だけ見てても、サクラやカレンの忠告やお説教をちゃんと聞き分けていましたし、言われたことが間違ってさえいなければ聞く耳は幾らでも持っていたわけですから。と、その割に副社長の悲鳴や文句はスルーし続けていたみたいですけどw まあ、ちゃんと誠意と信念を持って体当たりしてりゃあ、というお話。今からでも、全然遅くはないんですけどね。むしろ、紆余曲折合った分、これからはより深い信頼と友情を持って忌憚ない意見を戦わせることの出来る関係になれたのですから、回り道だったとしてもよりよい道に入ったと思えばいいのかもしれませんね。やり直せるということは、いいことですよ。このシリーズではやりなせずに潰えてしまった人も少なからずいるのですから。

シリーズ感想

覇道鋼鉄テッカイオー 3 5   

覇道鋼鉄テッカイオー 3 (覇道鋼鉄テッカイオーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【覇道鋼鉄テッカイオー 3】 八針来夏/Bou スーパーダッシュ文庫

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かつて父の仇によって撃ち込まれて以来、ルゥランの身を蝕んできた時限陰毒殺。その治療法が見つかったとの報せに歓喜するカザンたちは、治療法を知る電子妖精・ポラリスを完成させるためのスーパーコンピューターを輸送していた。そこに襲撃してきた謎の邪道鋼鉄を、からくも退けた一行のもとに援軍が到着する。それはカザンが幼い頃に別れた義理の姉・ミザカだった。久しぶりの再会を喜ぶ二人だが、ミザカには秘めた想いがあって…?一方、ルゥランの病が治れば、カザンとルゥランが結ばれることへの障害も取り除かれることとなる。だが、カザンの胸には暗黒武侠・ミャウ=ガーのある言葉が突き刺さっていて…第10回SD小説新人賞大賞受賞シリーズ第3弾。
宇宙の中心で愛を叫ぶ痴女、というフレーズが頭をよぎってしまった。とりあえずうるさいから黙れ、とw 
ルゥランの全力愛はあれだよね、下手なエナジードレインよりも周りの人の生気を奪うよね。活人剣で不殺を貫き、その果てに愛でげんなりし殺す、と。どんな残虐無道なんですか。そろそろジャックと姫様も半死半生の体をなしてきたわけで、誰かこの愛欲脳のバカ娘を何とかしてください。
そんなこんなで、今回は特に、愛ゆえに苦しみ争い憎み狂気に落ち、しかし愛ゆえに救われる、という凄絶なまでの愛の因業にまつわるお話でした。驚くべきことに、今回の一件は殆どが純粋な愛情故に、その愛の強さゆえに巻き起こされてしまった事件なんですよね。ほんの一滴の悪意の涙滴が引き金を引いたとはいえ、すべての原因は澄み切った愛情に寄るものであり、他者を想う心が本来祝福されるべき人たちを相争わせ、刃を交わらせ、殺し合わせる因果となる。まったくもって、どうしてこうなった、という状況である。
それを起こし得る火種を作ってしまった銀河第一武侠の愛ゆえの狂気と、さしたる労なく僅か一手で逃れがたい破滅的な状況を作り出してしまった黒幕の悪魔じみた謀には、背筋が震えるほどの恐ろしさを感じてしまった。全くベクトルが違うにも関わらず、この二者の巨大すぎるラスボスとしての存在感には圧倒されるばかり。むしろ、まったく姿を見せないことでその手の長さ、常軌を逸した有り様、壊れ果てた愛情を、手のひらの上で転がしているような巨大さをひしひしと感じさせる話になっていたと言えましょう。よもや、銀河第一武侠、ルゥランの祖父がここまで破綻してしまっていたとは。彼がカザンにしたことは確かに正義の体現者としてはやってはいけない事ですし、それを知ってしまったミサカが憤怒するのも無理ないのですが、孫娘の命を救うために思い余った凶行と思えば……少なくともカザンとルゥランがお互いにあれだけ想い合っている以上、そこまで酷い話だとは実感としては得ていなかったんですよね。頭はろくでもない無茶苦茶なやり口だなあ、とは思っていたものの。その意味では、これまでのルゥランの祖父への複雑な心境がそのまま自分としても同じ感想だったように思います。しかし、その狂気の実体が明らかになってみると、百聞は一見に如かず、というんじゃないけれど、その突き抜けてしまった愛情の醜悪さは、直視できないほどえげつないもので、惨たらしく陰湿で非道で外道で下衆極まるもので、これは情状酌量の余地なんてどこにもないですよ。酷すぎる、あまりにも酷すぎる。
これをなしたのが、悪人である十絶悪鬼のような連中だったのなら、そこまで衝撃的ではないのですが、これをやってるのが現在の宇宙の秩序の体現者、正義の徒、宇宙最強の実力者であり権力者としても随一であろう銀河第一武侠だというのですから、その絶望感は半端じゃない。せめてもの救いが、武衛派の上層部が第一武侠の乱心をちゃんと把握していて、もしやの場合は他の銀河武侠たちと協力してこれを討ち果たそうと計画していたことがわかったことでしょうか。ルゥランからすれば複雑でしょうけれど、少なくとも上の方の連中はまともで、カザンたちの味方となってくれるのがわかったのは大きいかと。
それでも、あんまり勝てる気がしないのは怖い話だよなあ。

しかし、そんな狂気と悪意によって絡まり暴発した愛憎を吹き払うのもまた純粋な愛。ルゥランのカザンへの巨大な愛も、ミザカの義弟への純粋な愛も、カザンの愛ゆえの苦悶も、その捻じ曲げられた方向さえ正せば、こよなく大きな力となり、誰も不幸せにならない不殺否血の剣として振るわれることになる。まさに、愛の恐ろしさと同時に、無辺の愛の讃歌ともいうべき全くもって素敵なお話となったものです。そして、絡まりあった糸を解きほぐす力となったのは、姫様の頑張りなんですよね。武侠でないにも関わらず、この娘の毎度の頑張りには頭がさがる思いです。報われない愛と知りながら、カザンとルゥランの幸せを何より自分の幸せと思い献身的に振る舞う姿は、これぞ無私の愛情というもの。時々頭がおかしくなったみたいに喚いたり、ちょこっとあのバカップルに天誅を加えたりしても、誰も怒りませんからやっちゃいなさいw

今回の話、特にカザンの置かれた状況というのは、実のところこの一件が片付いても最初と何一つ変わっていないんですよね。彼が苦悶し苦悩し絶望した事は何一つ現実的には解消するための方策を見いだせてない。にも関わらず、カザンの悩みは払拭され、ミャウ・ガーの残した事実と言う名の呪いは振り払われた。面白いのは、視点の変換。見方さえ変えれば、どれほど絶望的に思えた事でもまるで姿を変えてしまい、希望の未来へと容姿を変えてしまう。まさに、パラダイムシフト。意識の変革。愛とは、可能性そのものである。
そんな、素敵なお話でした。やー、コメディのりな掛け合いも毎度のごとく切れ味たっぷりだし、やっぱり面白いわ、これ。

1巻 2巻感想

六花の勇者 3 4   

六花の勇者 3 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【六花の勇者 3】 山形石雄/宮城 スーパーダッシュ文庫

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騎士か、叛徒か。
勇気か、暴走か。
テグネウの脅威にさらされたまま、魔哭領を奥へと進む六花の勇者たち。
その道中、ゴルドフが突如「姫を助けに行く」とだけ告げ、アドレットの制止を振り切って姿を消す。
不可解なゴルドフの行動に、六花は再び混乱に陥る。
ゴルドフが「七人目」なのか、それとも何かの策略にはめられているのか…!?
さらに、再び現れたテグネウは凶魔たちの内紛について語り、挙句に自分と手を組まないかと提案をしてくる。
果たしてその真意とは?
伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、第3幕!
敵地に突入してからもう三巻目になるというのに、さらに状況をシッチャカメッチャカにした挙句に謎を解いて真相にたどり着かないといけない、という所に放り込んでしまう舞台の整え方にはホントに感心してしまう。それも、今回に至っては「七人目はだれか」という問題とは一線を引いて、ナッシュタニアの再びの介入という一点から混乱を波及させていくのだから、もうワヤクチャである。
ナッシュタニアの裏切り以来、沈黙を保っていた、というかもう完全に魂が抜けた状態だったゴルドフの覚醒篇。個人的にはもっと早い段階でこの人は動いてもおかしくないと思ってたんだが、彼の出自と心情が回想によって明らかになってみると、やっぱり決断が遅すぎたんじゃないか、と思わざるをえない。だって、こいつどう考えてもニンゲンとか他の仲間よりも姫様優先、というよりももう姫様以外どうでも良い、と思っていてもおかしくない奴じゃないですか。それが、姫様の裏切りに対してショックを受けて今までグズグズしていた、という方がこうなってみると不思議に思えてくる。
とは言え、一度動き出しさえしてしまえば、一心不乱。アドレットさえたどり着けなかった真相に、我武者羅に突き進むことで強引にたどり着き、目的を達した彼こそ、騎士の鑑なのだろう。尤も、勇者としてはやはり落第なのだろうけれど。
さすがに、今回についてはアドレットは与えられていた情報が少なすぎる上に得ていた情報が殆ど誤っているか意図的に捻じ曲げられたものだったので、彼が負けてしまったのにも同情の余地がある。
最大の敗因は、前回と違ってアドレットがゴルドフを信じきれなかった点にあるのでしょうけれど。それもまあ仕方ないんですよね。アドレットは仲間であるゴルドフについては深く考察できても、ゴルドフの行動基準であるナッシュタニアについては、裏切り者である以上それ以上深くはその行動や考えを掘り下げようとは思わなかったわけです。アドレットは今回の一件について鍵となるのはゴルドフだ、といってましたけれど、正しくはナッシュタニアをこそ狙い定めて見極めなければならなかったわけです。とは言え、アドレットの立ち位置からナッシュタニアにターゲットを絞る発想はなかなか生まれないし、何より彼女について考察するための情報からして殆ど無かった以上、今回については無理ゲーに近かったと思われるのですが。もし今回、アドレットが勝利者となるためには、分析材料が足りない以上、根本的にアプローチから変えて行かなければならなかったのでしょうけれど、チャモのリミットがあったために、足を止めてちゃぶ台をひっくり返すために頭を働かせるよりも、釣り餌に食いつくことを選んじゃったんですよね。まあ、判断ミス、負けと言われても仕方ないか。

今回の一連の出来事は、ナッシュタニアの思惑通り、みたいに語られちゃってるけれど、どう考えてもなし崩しに一縷の望みにすがりついたようなものですよね。ハッキリ言ってそうなる前に、そうならないような方法を準備しておきなさいよ、と。覚悟している大前提が無茶苦茶すぎて、挙句解決方法が完全に丸投げじゃないですか。
こうしなければ、最後の状況に持って行け無かった、というのなら解らなくないのですが、リスク高すぎる上に結果論にしか見えないんだよなあ。
テグネウと比べると、やっぱり役者が違うように見えてしまう。
一方のテグネウも、こいつはこいつで遊びすぎですよね。やろうと思えば、いつでも仕留められる立場にいるくせに、獲物を目の前にくだを巻いている。余裕を見せすぎなんだが、現状ではその余裕に見合うだけの隙の無さに腹が立つ。

ともあれ、今回の一件を通じて、ナッシュタニアではない七人目はテグネウの手の者、というのが明らかになった。じゃあだれなんだ、という話なんだけれど、前回はだれも怪しく思えない、だったのになんでか今回終わってみると誰も彼もが怪しく見えてくる、という始末。辛うじて内面描写のあったモーラは大丈夫、に見えるんだけれど、それこそ油断を誘っていて、実はさらに嘘をついていた、とか語られていないことがあった、みたいな展開も無きにしもあらずなので、可能性を否定は出来ない。アドレットについても、テグネウに憎悪を抱いている、という点からしてむしろ伏線なんじゃないかと疑ってしまうし、アドレットの師匠がそもそも妙な点があるんだよなあ。
というわけで、いくら考えてもしかたがないので、次ね、次。

1巻 2巻感想

ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~4   

ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~ (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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欲深い、味わい。
狼たちの至極の箸休め!

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、冬休み明けの部室で槍水の掃除を手伝うのだが、そこで起きたアクシデントをきっかけに禁断のフェティシズムの世界へと飛翔することになり…!? そして白粉が初体験した年末年始のビッグイベントにおける豊潤なエピソードや、それを見守る白梅との過去が明らかに!
書き下ろしの他にウェブ掲載された短編や、雑誌掲載の『間食版』、白粉花の新作『獣道』をアツくレビューする『ANの5時の読書会』まで収録! 様々な意味で濃厚に仕上げた(当社比)庶民派シリアスギャグアクション、狼たちの欲望うずまく9.5巻!!
先の短篇集【箸休め】を、箸休めというには厚いし濃すぎるよ! と喚いたら、今度の短篇集は濃厚と自ら銘打っていた(笑
今度はサブタイトルに偽りなく、濃いは厚いは……そして味わい深いなかなかしっとりとしたお話もあり、と何だかんだと盛りだくさんで、これもまたパーティーサイズとでも言うのか。


【ボーダーをブレイク】

佐藤が基本的に白粉と対して変わらない高レベルの変態だというのを改めて実感するまでもなく奴は変態なのだけれど、それでもなお変態性を畳み掛けてくるあるフェティシズムの局地を、しかし局地と見せずに平常運転で運行している事が尚更に変態性を極めて居るのだということを実証している実録挿話である。
槍水先輩の太ももをモミモミ。
女性の御御足を蹂躙したことはともかく、その感覚を後生大事に寮にまで持ち帰って長く反芻するつもりだった佐藤キモいw
揉む奴も揉む奴、揉まれるヤツも揉まれるヤツ。さり気なく先輩も無防備なので、あらゆる場面で反対の餌食になっているのである。この人もその内悪い男に引っかかりそうだな。ウィザード、なんとかしてやれ。

【簡単な質問】
沢桔梗は末期である……。
この人、ホントになんでこんな得体のしれない方向性に突っ走っちゃったんだ? 「どうしてこうなった?」の実例である。最初からこうだったのなら、なおさら嫌だなあ。しかし、この姉は恋人は姉妹で共有というのは考慮するまでもない自明の事実以外の何物でもないのか。それはそれで凄いが完全にエロマンガの住人である。鏡の苦労が偲ばれる。が、妹が逃げ出さずに何だかんだとこの姉といつもいっしょにいるのは、この面倒くさいほど手間のかかる姉が好き、なのか姉の面倒くさい世話がかかる部分が好きなのかは興味の湧く部分である。もし後者だったならば、案外男の趣味も姉に似た面倒くさい男なんじゃないだろうか。自分では、自分と一緒になって姉の暴走を食い止めてくれる自分側のタイプ、と言っていたけれど。私は、案外高清水くんはこの姉妹と波長の合うタイプの男だと思うのだが。性欲はまあなんとかなる……ならんか。やっぱり、佐藤とその寮のメンツくらいの変態性がないと持たないのか。


【有明の狼】
白粉の夢とは言え、それだけ半額弁当奪取戦とこのお祭りには共通性があるということなのか。レギュラーが茶髪、坊主、顎髭だというのは、白粉の認識の中で彼らの比重は他の二つ名持ちの狼たちよりも大きいからなのか、単に身近だからなのか。顔見知り程度、という距離感がいいのかな。


【間食版4 その存在価値】
間食版は、槍水先輩が新米のぺーぺーで先輩たちに囲まれて居た頃のお話である。こうして見ると、槍水仙って烏頭というひねくれた先輩に、最初はちゃんと可愛がられてたんですよね。性格は悪いけれど、烏頭は烏頭なりに仙を育てようとしていて、仙もそれに応えている。理想的な先輩後輩とは、相性も良くないし、行かなかったんだろうけれど、それでもちゃんとした先輩後輩ではあったんだな。
あと、酢豚とパイナップルの関係は知らなかったよ!!


【白粉花の年末】
……血迷ったことを言うようだが、【獣道】って凄く面白そうじゃね? アンさんの紹介記事が抜群に上手いからなのか、普通に白粉の本が面白いように見えてしまったw
そして、白梅が持ってきてくれたサンドイッチとサラダの美味しそうなこと美味しそうなこと。ただのサンドイッチとサラダのはずなのに、なんでこんなに美味しそうに描写できるんだ!?
どん兵衛の描写も去る事ながら、この作者の美味いもの描写はオリジナル弁当のみならず、むしろこうした普段から食べて味を知っている軽食やジャンクフードの時こそ引き立つのかもしれない。

【だいたいいつもそんな感じ】
佐藤と著莪の平常運転だそうである。特にオチやら前フリがあるわけでもない日常ネタだそうである。
何と凄まじい日常生活風景だよ!!
 佐藤の両腕が著莪の胴にゆったりと巻き付けられてきた。
「……なんだよ」
 佐藤は応じず、膝立ちのまま寄りかかるように体を密着させると、著莪のうなじに唇をつけるように長い金髪に顔を埋めてきた。鼻から大きく息を吸い、そして吐き出した彼の吐息がくすぐったい。
「少し……こうしていたい」
 あまりはっきりとは言わなくても、佐藤がこうして自分の髪に鼻をうずめて犬のように匂いを嗅ぐのが好きなのは、著莪も流石に知っている。だが、ここまでストレートにされたことはあまりなかった。
 著莪はグラスを傾けながら苦笑する。
「別にいいけど、今日のは佐藤のと同じシャンプーとトリートメントだよ」
それでも……こうしていたい。それはいつものような張りのない、佐藤の声。でも、耳のすぐ近くで囁かれると、どこか重みがあるように聞こえた。
他に誰もいない家の中で、二人きり、しかも風呂あがりという状況でこのしっとりとした空気感。ってか近い、距離感がチカすぎるよ、あんたらは!!
この後、普通に二人ちゅっちゅしてますし。キスするくらいはもうなんでもない事なんですよね、この二人。

【やっぱりいつもこんな感じ】
ノーブラTシャツ一枚とショートパンツの著莪と一緒にお風呂に入って抱き合うお話。
いやマジでw
結構……いや、滅茶苦茶エロいです、この話。著莪と佐藤の二人の話は大概エロいんですが、そろそろ限界突破しだしてる。ってか、エロ漫画の領域です、もう。

【間食版 特別編 いい塩梅】
ウィザードこと金城って、わりとくたばってるシーンの印象が強い。最初期の、弁当をダッシュしたものの力尽きて路端で倒れ伏しながら弁当を食ってた、というシーンが焼き付いているからか。倒れても倒れても弁当を離さない、という姿が結構ウィザードのイメージアップに貢献しているような気がする。ああいう姿勢がないと、容易にスカした兄ちゃんになってしまいそうなくらいスタイリッシュで格好良い人だもんなあ、金城って。

【波の音】
著莪と佐藤が二人で遠出して初日の出を見に行く話。この話で著莪と佐藤が、物心付く前から普通にチュッチュしていたという事実が明らかになる。というか、高校生になった今でも同じようにチュッチュしていることが明らかになる。ってか、初日の出を見ながらチュッチュする話である。
……さて、一体誰がどのようにしたらこの二人の間に割って入れるんだ? 


【白梅梅】
白梅梅の愛情が、決して浮ついた思春期の迷いだったり勘違いだったりするのではなく、人生を賭けた熱量の賜物だというお話。その恋は本気であり、その愛は本物である。たとえ、それが同じ女性へ向けたものであったとしても。たとえ、未来に待っているのがどれほど困難で世間から認められない苦行の道だったとしても、既に覚悟は完了しているのでありました。ここまでガチで、冷静に理性的に覚悟しているのなら、むしろ応援したくなる。いいんじゃないですか、その道を征くは。梅さんは、けっこうイイお嫁さんになれるタイプの人だと思ってたんで勿体無いっちゃ勿体無いのだが。ってか、唯一彼女だけは佐藤とくっつける可能性があると思ってたんですけどね。梅なら、著莪も咥えたまんま佐藤を踏みつけられるし……って、発想が沢桔梗の方に走ってる走ってるw
ところで、本作ってちょっとアレを思い出します。
【バニラ A sweet partner】。作者のアサウラさんのベン・トー以前のガチ百合ガンアクションピカレスクロマンの良作。またこの頃からすると随分と違った道に進んだものだなあ、と感慨深い。また、こっち方面も読んでみたいところですけどね。


シリーズ感想

獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ5   

獅子は働かず 聖女は赤く 3 あいつはもう一人でも大丈夫じゃ (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「わしは誰かが傷つくところを見たくない。それだけなんじゃ」
《竜の魔女》サロメ。優しき魔女が最後にたどり着いた想いは…!

中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメ。
彼らと共に、アンナの旅は続く。
その途中で救った魔女の姉妹を匿うため、彼らは魔女の隠れ里《茨の城》を目指していた。
そこに中央教会の刺客《獅子の牙》が襲いかかる。
《大空の貴公子》フェルディナンドに翻弄されるユリウス。
さらにユリウスを想うコルネリアは、共に死のうとユリウスを抱きしめながら、谷底へと身を投げる。
散り散りになる一行。
そんな中、アンナに秘められた謎が明らかに…!?
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第三弾登場!!
こう言っちゃあ語弊があるかもしれないけれど、八薙玉造という人はあれだ……

キャラクターの殺し方が巧過ぎる!!

久々に、この人が【鉄球姫エミリー】を書いた人だというのを思い出した。思い知らされた。この巻で、かつてのユリウスの想い人であった【赤き聖女】マルレーネの処刑前夜と、実際に火刑に処せられるシーンが描かれているんだけど、この人が描く「死への直面」って、もうほんとエグいんですよ。生きたい人がそれでも死ななきゃいけない事の無残さ、無念さ、恐ろしさ、悲惨さ。もう、読んでいるこっちまで心をズタズタにされるんです。【鉄球姫エミリー】シリーズの時に、どれだけ心を八つ裂きにされたものか。それを久々に思い起こされました。泣けてくるとか哀しいとかそういうんじゃないんですよね、なんかもう立ち直れないんじゃないか、というショックと脱力感が襲ってくる。マルレーネの、処刑を前にして怯える姿。火をかけられ、ユリウスが見ている前で体中を焼かれながら苦痛に絶叫する姿。もう、耐え難いショックなんですよ。
人が死ぬシーンというのは、それこそ億千万と描かれるシーンです。そして、それぞれに心揺さぶる意味合いが篭められている。印象的な、衝撃的なシーンを効果的に書く人もたくさんいる。でも、この人のように直接読者の心を殺しにかかる「残酷な死」を描く人は滅多居ないと思います。
……ほんとにねえ、キツいんすよ、この人のは。でも、だからこそ真摯で誠実に、死ななきゃならなかった人と生き残った人の想いを描ききっていて、素晴らしいんだ。

とまあ、ここまでの感想を読むとそりゃもう重い話に見えるんですけれど、実際相当に重い話ではあるんですが……この作品の味はむしろキレキレに切れまくった個性的過ぎるキャタクターたちによるぶっ飛んだギャグの掛け合いにこそあり、この三巻もまた超残念ダメッ娘不憫師匠のサロメを中心に、心優しく親切だが親愛がなぜか殺傷力を帯びているメインヒロインのアンナ、もういい歳なのにツインテがそろそろ厳しいコルネリア、昔はイケメンだった善人のフェル兄さん、腰痛が持ちネタを通り越して代名詞になりつつ有るヴァルターなど、当人たちの真面目なのか不真面目なのかかなり判別のしにくいやり取りが、かたっぱしから大爆笑すぎて、色々な意味で息苦しいです、たすけてーww
アンナは、もう相変わらず世話好きでユリウスに構いまくるのですが、世話を焼こうとすると客観的に見て殺人未遂と拷問のオンパレードになってしまうという……何を言っているかわからないと思うが実際にこのとおり以外の何物でもない、ほんとになにやってんの? という有様で、このヒロインやばいよー!(爆笑
今回表紙にもなっているサロメ師匠もまた、表紙を飾って燃えたのかして、不憫さがいつもにもましてフル回転。もうヤメてあげてよ!! 誰とは言わないけれど、もうヤメてあげてよ、ほんとに(笑
なんでこの人、偉い魔女で師匠で凄い人なのに、こんなに不憫枠なんだろう。虐めてオーラ漂ってるんだろうw 色々駄目すぎて、助けてあげたくなる、というか慰めてあげたくなる。生きてるだけで、不憫!

とまあ、お笑い成分も多分に含みつつも、ストーリーの根幹は常にハード路線。此処に居たり、ついに赤の聖女マルレーネと、アンナの関係も明らかとなり、なぜアンナが各勢力から追われるのかというユリウスも知らなかった真実が暴かれていく。そして、なぜユリウスがアンナの元に現れたのかという理由も。
ユリウスも彼の抱えていた過去を見れば悲惨極まりないんだけれど、それ以上にコルネリアがもう一杯一杯で見ていられない。人を好きになる事がこれほど一人の少女を追い詰め、苦しませる事があるんだなあ。てっきり彼女については、もっと女の情念ドロドロで、マルレーネへの対抗心からユリウスと心中を図ろうとしていたのかと思ってたんだけれど……まさかマルレーネから直接あんな呪いを掛けられていたとは。ただ憎めていれば、ただ呪えていれば、ただ嫉妬にまみれていられればむしろ楽だっただろうに。あんなふうに託されてしまったら、耐え切れずに狂ってもおかしくなかろうに。
この子も、かわいそうな境遇すぎる。

そして、アンナに隠されていた真実が、世界を激震へと導いていく。
これは、ちょっと予想していなかった。これ、作品が長期に続くなら、これを期に物語全体が大きく飛躍するターニングポイントになるんじゃないだろうか。それくらいに、この展開はこれまでこの作品に抱いていたイメージからすると予想外。
ある意味、彼もまたマルレーネの呪いによって流されていたユリウス。その彼が、無気力に約束に縛られていた彼が、ついに自分の為すべきを自覚した時、自分のやりたいことに気づいた時、彼がもう一度本当の意味で立ち上がり、<炎鎧王>マルテと完全に繋がったこのタイミングで、ユリウスが秘していた秘密がアンナとユリウスに逃れがたい錯誤を生み、そしてアンナの真実がすべてを覆す。
まさに、これからどうなるの!? という大盛り上がりのところで引きですか、引っ張るなあ、引っ張りやがりまするなあ!!
このシリーズはもっと話題になってもおかしくないと思うくらいに面白いんだけど、なぜか微妙に知名度が低いのが勿体無くて仕方ない。
面白いですよーー! これ、ホントに面白いんですよーー! と、場末で叫んでおきましょう。
面白いんですよーー!!

1巻 2巻感想

カンピオーネ! 13.南洋の姫神4   

カンピオーネ! 13 南洋の姫神 (カンピオーネ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【カンピオーネ! 13.南洋の姫神】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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英国の魔王・アレクの元に二人の美女が訪れていた。
白き姫・アリスとサルデーニャの魔女・ルクレチアが、ある疑問を神殺しにぶつけると、彼はそれには答えず、なぜか曖昧な態度をとり続けていた。
一方、日本の魔王・護堂は東日本の媛巫女が集まる大祓に、祐理や恵那と共に参加していた。
当然、注目を一身に浴びていた護堂たちにもたらされた甘粕からの依頼が、魔王一行に意外な展開を与える!
南の島で祐理と二人きりになってしまった護堂だったが!?
あれ? 陸鷹化に義甥から義弟フラグが立った? そういえば、この子って14歳で静花と同い年なんですよね。まあ、立ったと言っても恋愛フラグじゃなくて、女王様と下僕フラグなんだが(笑 静花って兄の女性遍歴に苦言を呈するなどまともな振りをしているけれど、よくよく見ると女性キャラの中で一二位を争うヤバい性格の子なんだよなあ。流石は草薙護堂の妹、草薙一族の女であるw

クリスマスも終わり、歳の瀬も押し詰まった頃、草薙護堂は恵那のお誘いでエリカやリリアナも連れて大祓の儀式見物に。とはいえ、これ、大層な儀式ではなく、本質は媛巫女たちの組織の忘年会みたいな集まりなんですね。殆ど公式の場に出ない草薙護堂の、ある意味これは魔王としての日本でのお披露目会。VIP扱いは当然なのだけれど、窓口はエリカやリリアナが担当して護堂本人は遠巻きにして誰も直接話しかけてこない、という様子が王様の権威を見せつけられているようで、思わず笑ってしまった。美少女の媛巫女を両脇に侍らせて、人々が遠巻きに伺う中を悠然と会場を散策し、料理に舌鼓をうって寛ぎ、いつの間にか二人を連れて別室へとしけこんでしまう。傍から見ると、どれだけ謎の大物なんだという(笑
普通、こういう場面だと場違いなところに連れて来られた子供みたいに途方に暮れて、所在を無くしそうなものなんだけれど、護堂さんはわりとアッサリ馴染んじゃってるんだよなあ。この人、もう完全に自然体で王様として振舞ってるよねw
しかし、最近ちょっと恵那が可愛くて仕方ないなあ。登場した当初は「んんん?」とまだ馴染んでなかったんだけれど、この天衣無縫で無邪気なくせに実はあんまり強引じゃなく聞き分けのいい懐っこい子犬みたいなところが本当に可愛く思えてきた。これで、甘え上手で女っぽい色も備えているからたまらない。なんでエリカがこの子を一番手強いと感じているのかようやくわかってきた。恵那って、押しと引きの感覚が絶妙なんですよ。護堂って押しが強すぎると負けず嫌いな性格からか抗ってしまう傾向があり、さりとて押しが弱いと護堂からは寄ってこない。その点、恵那は結構がんがんと押してくるんですけれど、割りとすっと聞き分けよく引いちゃうんですよね。これが、護堂の性格にはピッタリ合っている節があるんだなあ。主導権を握りたがるエリカに対して、恵那は奔放に見えて実は一番大和撫子なんじゃないか、と思ったり。

さて、今回は何気にシリーズでもトップクラスに移動距離が長い話になったんじゃないだろうか。国内でも大祓の参加から犬吠埼への電車の旅。そこから飛行機でマレーシアに飛び、南国リゾートを堪能した後で今度は船旅で南シナの小さな島へ。とまあ、時期が年末だけあって日本では真冬の、南国では熱帯の、と全然季節感の違う旅行風情を堪能できて、今回けっこう贅沢な展開だったんじゃないでしょうか。
しかし、護堂さんのチームはこうして見ると本当に美少女を侍らした王様の遊覧にしか見えない(笑

結局終わってみると、今回の騒動もまた黒王子アレクサンドルが発端というか原因というか、お前のせいか! というお話で……まあこのシリーズ、振り返ってみるとどこ事件も概ね護堂さんを含めたカンピオーネがなんかやらかして起こっている気がするので、平常運転と言えばその通りなのかもしれないw
とは言え、今回の敵の女神様はこれまでの軍神たちと違って一筋縄ではいかない食わせ者。前回のサンタクロースの搾りかすも搦め手で仕掛けてきましたけれど、あれと違って今回は真っ当な(?)まつろわぬ神。それが、直接仕掛けてくるでもなくあれやこれやと手の届かない所からいくつも手を繰り出してくるという、護堂からすると初めての展開に苦戦の連続。なんだかんだとこれまでの神様は戦神として正々堂々と直接ぶつかってくるのを至上とする神様たちでしたからねえ。
しかも、今度の敵は護堂の権能を封じるどころか、奪って自分のものにするという事までしてくる始末。直接戦うことも叶わず、それどころか自身の能力を減じられた上で自分の権能とも対決することになった護堂。
しかしこうなると頼りになるのが、護堂の隣に侍る女性たち。多少手こずるとはいえ、強力な神獣相手に一歩も引かずに立ち回れるんだから、エリカもリリアナも強くなったものである。それに、恵那と天叢雲のコンビと来たらこと攻撃力に関してはカンピオーネやまつろわぬ神にも匹敵するほどになってきたんじゃないだろうか。恵那は、神と護堂の戦いに直接介入出来てますしねえ。
そんな前に出て直接剣や魔術を振るえる他の三人に対して、純然たる攻撃力を持たない祐理は後ろに控えてサポートに徹する、のがこれまでの形だったわけですが……もしかして一番レベルアップしてたのこの子なんじゃないだろうか。直接的な攻撃力を持たないなど何の問題にもならないほどの縦横無尽の大活躍。攻撃の補助や支援という括りを逸脱した、支えであり根幹を担うサポート。言うなれば、剣の鞘ではなく剣の柄。どれだけ刃が鋭く強大だろうと、それを握る柄がなければ振り回せないのである。
前回のリリアナの若奥様も良かったけれど、やっぱり祐理には「正妻」の風格があるんだなあ、と実感したまさに万里谷祐理回でした。女神相手に堂々と、あんな宣言しちゃうんだもんなあ、この子も別の意味でも成長してしまったものですw

さて、バトルの方ではついにアテナが護堂の為に遺してくれた遺産に、護堂が開眼。アテナ、こんなハチャメチャなものを護堂に贈っていたんかい。もっと使い勝手の良いものを遺してやれよ、と思うところだけれど、こういう制御できるかどうか関係なしの野放図な代物こそ護堂には相応しい、とアテナは思ったのかもしれない。何を考えて彼にこれを渡したのか、是非後々でいいから当人の口から聞きたいものである。あの描写からして、それは不可能ではないようだし。
肝心の眠れる「最後の王」については、女神様が残してくれた大ヒントにアレクの呟きから、おおよそ絞込みは出来たように思います。多分、これじゃないかなあ、と。

シリーズ感想

ニーナとうさぎと魔法の戦車 43   

ニーナとうさぎと魔法の戦車 4 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 4】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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クーがラビッツを離れる!? 素直になれないエルザは…?
私立戦車隊・ラビッツの動力手・クーに届いた一通の手紙。
それはあこがれの先輩・エミリアからの国立学園への復学の誘いだった…!
願ってもない知らせに素直に喜びを表すクー。
しかし、復学するためには、当然ラビッツから離れなければならない…。
一方、学園の新入生歓迎祭に招かれたラビッツ一行だったが、エルザはエミリアの貴族としての矜恃に打ちのめされることに。
さらにクーのエミリアへの強い好意を見せつけられたエルザは、クーにひどい言葉を投げつけてしまう!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第4弾!!
……あれ? なんで女同士って結婚できないんだったっけ? と素で思ってしまうほどにエルザとクーがラブラブすぎる! なんじゃこりゃ〜〜〜(笑
凄いなこれ、なんでかわからんのだけれど、このシリーズの女性同士のラブラブっぷりって、あんまり百合とか同性愛って感じがしないんですよね。偶々両方が女性同士だっただけの、極々当たり前の燃え上がる恋! に見えてしまう。それも、どちらかが男役、ってな訳でもないんだよなあ。クーもエルザもあくまで女の子としてのキャラに徹しているんだもの。……ふむ、よくよく見ると彼女らの関係を恋愛と呼んでしまうのも違うのかもしれない。当人たちはラブラブな空気を醸し出しているものの、どちらかというと二人の関係って親友関係の延長線上、一心同体比翼の鳥にまで昇華させてしまったものであるとも見て取れるんですよね。それが恋とどう違うんだ、と言われると口ごもってしまうのだけれど、チューまでしてどうなのよ! と言われるとごめんなさいその通りです、と謝ってそのまま続けてください、と促してしまいそうになるけれど。それに、二人の間に男が介在する余地の方もさっぱり許されなさそうですもんねw もはや夫婦同然だもんなあ、この二人。両方嫁、って感じなのが凄すぎる。
という訳で、極論するならば一巻丸ごとクーとエルザの痴話喧嘩して仲直りして結婚へと至るお話でした……それ以外どう言えと?w
痴話喧嘩って、傍から見てると辟易させられるよなあ。それって結局、惚気られてるのと一緒ですもんねえ。クーに昔の女が現れて、エルザが無様に嫉妬してそれにクーが過剰反応して、お互い引っ込みがつかなくなって大激突……そのくせ、エルザは後悔しまくるわ、クーも憧れの先輩の身近に接しながらエルザに未練タラタラだわ、と……はいはい、ご馳走様ご馳走様。
いつもは素直で健気なニーナとアリスが揃って呆れ果てるのも無理ないかと。無理ないよなあ。この娘ら年少組は年少組でちょっと仲よすぎるんですけれど。なんでこのちっちゃいカップルの方が退廃的でインモラルな雰囲気を醸し出しているのか謎であるw

んで、痴話げんかの果てに、アレですよ。チューですよ。できすぎでしょう、あんたらお伽話の王子様とお姫様かっちゅうねん。今時、王子様のキスでお目覚めとか、見たことないわ〜。素でやりやがったw
もうお前ら結婚しちゃえよー、とか思ってたら、よしあたしらもう結婚するーー! とまで言い出すし! 言い出しちゃうし! はいはい、おめでとうおめでとう。もういいじゃん、女同士でだって、結婚したけりゃしちまなさいよ。OK出して、エライ人。でないと、うちゅうのほうそくがみだれるから。もう乱れてるから。何言ってるか自分でもわからなくなってきたけれど、惚気話なんざシラフで聞いていられない、況や感想をば。というこれもひとつの教訓である。

1巻 2巻 3巻感想

覇道鋼鉄テッカイオー 25   

覇道鋼鉄テッカイオー 2 (覇道鋼鉄テッカイオーシリーズ)

【覇道鋼鉄テッカイオー 2】 八針来夏/Bou スーパーダッシュ文庫

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「わたしの分まで生きてね。愛してるわ。さようなら」
銀河に響く愛の言葉。この心は君を救うために。


心身を極限まで鍛え、兵器をも超えた力を持つ存在・武俠。
童貞のみが極めることのできる『童子神功』を使うカザンは、幼馴染みの美少女・ルゥランや、とある星の姫・アルフェミナたちとともに旅を続けていた。
そんな一行の前に暗黒武俠『神算魔女』ミャウ=ガーが現れ、取引を持ちかける。
不可解な内容のそれを拒絶したカザンたちだったが、今度は自分と同じ名をした少女を捜すジルエッダという少女が訪ねてくる。
このジルエッダこそがミャウ=ガーの求めていた少女だったことから、カザンたちはミャウ=ガーとその義父にして暗黒武俠最凶の男、『巨凶暴星』ガーナラクと対立することになってしまう。
アルフェミナからの依頼にも拘わるジルエッダを追う中で、カザンたちはジルエッダたちにまつわる哀しい、あまりにも哀しい物語を知る…!!
第10回SD小説新人賞大賞受賞シリーズ第2弾!


大陸間弾道鉄拳(オービットナックル)ッッ!!

もう最高じゃね、これ。
この技のイカした馬鹿馬鹿しさだけでも読むに値する。これロケットパンチなんですけどね、いわゆる。でも、スケールから何から今までに見たことがないレベルの段違い。ハッタリの効かせ方も段違い。一度躱してもスイングバイで再加速。惑星外周を一周して再攻撃とか、もうね、もうね♪
このスケールの馬鹿馬鹿しさを真面目にやるのって、なんかあれですよね。【斬魔大聖デモンベイン】と【鬼哭街】を合体させたような底抜けの楽しさがもう素晴らしいのなんの。やっぱ、宇宙を舞台にした武侠モノって、素敵極まるわ。

今回の敵となる十絶悪鬼の『神算魔女』ミャウ=ガーと『巨凶暴星』ガーナラクは、それぞれ悪党ではあるものの、一本筋の通った武侠としての誇り持つ格好良い悪なんですよね。勿論、暗黒武俠である以上、銀河武侠であるカザンたちとは拳と拳を交える間柄であり、それぞれに相容れぬ思想によって反目せざるを得ない関係なのですが、それでもお互いにある種の信頼を交えられる、敵として相交えるに胸の高なる敵なんですなあ。
特にガーナラクの爺さんなんぞ、銀河第一武侠と双璧をなす、暗黒武侠の第一人者にも関わらず、親馬鹿で小気味の良い実に楽しい爺さんで、いやもうなんでこのジジイ敵なの? と思ってしまうくらい素敵な爺さんなんですわ。ぶっちゃけ狂って頭のおかしい所がある銀河第一武侠と比べても、このじいさん娘思いだし、イカしてるし、三枚目さ加減がひっくり返ってむしろ格好良いくらいだし、ジジイ最高!!
その養女であるミャウ=ガーもまた、計算高い悪女かと思ったら、何だかんだと情深いし、約束は必ず守るし、悪ではあるものの非道は嫌いでこの一件でもやらかしている事に対していちいちフォローして被害が深刻にならないように手回ししているし、何より彼女らの今回の目的が、カザンたちとはやり方が違うとはいえ人助け、だったりするんで、全然憎めない。どころか、むしろ惚れ惚れとするようなイイ女っぷり。
自分を助けてくれなかった銀河武侠には、並々ならぬ思う所がある、というのもむしろ苦悩を抱え込む美少女という点でポイント高いですし。後半の、思わず計算も何もうっちゃって、感情に任せたまま爆発してしまうところなんかも、ガーナラクのジイさんじゃないけれど、この子の場合はそれくらい発散した方がいいんじゃないか、というような感じで、根本のところで暗黒武侠という以前に女の子らしさがあって……いやあ、実にイイ新キャラでしたよ。
もうラストの略奪愛宣言には、むしろ嬉しくなったくらい。この子は鬱屈してるよりも、そんな風に暗黒武侠として開き直って好き勝手やってくれた方が気持ちがいいですわ。この子の場合はどれだけはっちゃけても、悪の道を外れず、残虐非道な外道働きはしない、という安心感もありますし。

前回の直接拳を交えた敵であり、仇であった『氷棺冥送』グントラムへのリスペクトが多分に含まれていたのも、なんか感動モノでした。お互いに家族の仇同士でありながら、戦いの果てに認め合い、最後は自分の魂そのものである武術の秘奥を託して逝った仇敵グントラム。そのグントラムが残してくれた技が折々で切羽詰まった事態を打開するための鍵となり、今回の最後なんぞは亡き男の魂が手助けしてくれたように新たなる技が生まれ落ちる展開なんぞ、激燃えであると同時に胸が熱くなるようなシーンの連続で……もう、お腹いっぱいですわー。

とまあ、テンポのよいギャグや掛け合いを交えながら、涙あり、笑いあり、萌えがあり、感動があり、何より宇宙に浪漫があり! 宇宙を股にかける銀河武侠活劇、この第二弾もまたパワーも熱量もいささかも衰えず! 一期からのメインキャラたちも相変わらずいい意味ではっちゃけてて、ほんと読んでて楽しかった。アルフェミナ姫さまが元々ツッコミ担当だったけれど、朱に交わってしまったのか更に頭がいい感じに悪くなって、色々大変なことになってますが、それもまた良し!!
此処に来て、童貞で無くなれば無力になってしまい、ルゥランに守られるだけの存在になってしまう、という兼ねてからの男の矜持の問題もつきつけられ、ただ単純にルゥランが冒された内功の「毒」を解除するだけでは話が終わらないという点も浮き彫りになってきて、さあどうなるどうなる?
読む前から読んでいる間じゅう、そして読み終わった後も次の展開に思いを馳せて、とどまることを知らないこのワクワク感。たまんないっすわー。
いやあ、期待通り、それ以上の最高さ加減でした。バンザイ!! 次回も期待しておりますぞ♪

1巻感想

ベン・トー 9.おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円5   

ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 9.おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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おかずたっぷり!ご一緒にいかがですか?
HP同好会、冬の雪山合宿!
そして奇跡のイベントが…!?
半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会は正月明け、冬の合宿へ向かう。槍水仙の愛妹・茉莉花も同行し、佐藤の心は密かに躍る。しかしその合宿地では元HP部の《大厄の闘牛士》と呼ばれる狼が待ち受けていた。彼は槍水と深い因縁があるのだと言うのだが…。さらに佐藤たちは《ギリー・ドゥー》こと禊萩真希乃とも再会を果たし、田舎のスーパーは激闘の最前線と化す! そんな中、茉莉花と佐藤がゲレンデでアクシデントに遭ってしまい、そして…!?
雪山に響く狼たちの咆哮! 香辛料が青春にピリッと効く、庶民派シリアスギャグアクション、第9巻!!
これでも結構ライトノベルは読んでいる方だけれど、この作者は本当に頭がおかしいと思ったのは古今を鑑みても三人しか居ません。川上稔、ろくごまるに、そしてこのアサウラ先生であります。
もうね、一方向ならまだしも、変態としても狼としても物語としても、多方向にキ印に至っちゃってて一体これ、何処に行こうとしているのか、何処まで行こうとしているのか。いろいろな意味で限界を探求しすぎだろうw
ともあれ、本巻のカラー口絵を開いてそこに描かれていた狼の姿を目の当たりにしてしまった時の、あの逆流してきたかのような筆舌しがたい感覚を、いかに表現していいものか恥ずかしながら全く思いつかない。思いついたらついたで人間としての大切な何かを踏み外してしまいかねない気もするのですが。
いやあ【ベン・トー】でけったい極まる狼が出てくるのも、狼のみならず変態についても大概こう、慣れてきたつもりだったけどさ、まだまだ全然舐めてたわ。あのビジュアルは、ホントにありえんて。思いつかんて。想像できへんって。ドヤ顔で「いいだろう、俺も本気を出そう。大厄の闘牛士、その名の意味を知れ」と物凄い格好良いセリフを吐いて、実際このシーン、クライマックスもクライマックス。物語も最高潮に達した最高の燃えシーンなんですけど、絵で見ると何度見ても吹く。笑ってしまう。思い出しても笑ってしまう。
明らかに、見えてる光景が狂ってるw
これを本気でやってるんだもんなあ。実際、茶化しようのないくらい真剣で熱い勝負なんですよね。劇燃えも激燃えなんですよね。
やっぱり、こんなの書く人、頭がおかしいとしか言いようがない。

という訳で、今回は年も明けての冬休み。以前からいくども話題に登っていたHP同好会の冬合宿がこの度の舞台である。かつて、槍水仙が腰巾着の異名を返上し、そして彼女を残してHP部が崩壊した発端となったという因縁の冬合宿。その出先で待ち受けるのは、かつてのHP部のメンバーであり過去に起こった悲劇を精算するために槍水への復仇を目論む【大厄の闘牛士】秋鹿雅であった。
と、以前からこの物語の最大のミステリーであり、根幹を担っているとも言えるHP部崩壊の真実が明らかに……なりそうでならない!! 秋鹿さんの物言いだと、別に槍水仙に対して恨みを抱いているとかそういうんじゃないっぽい。それどころか、自分が彼女を倒し、さらにウィザードを倒して最強の座を手にすることで、槍水先輩に科せられた何かを取り払おうという親心ならぬ先輩としての優しさが言動の端々から見え隠れするのである。尤も、槍水先輩その人は単純に他のメンバーとは決裂してしまい意趣を抱かれている、と思っているようで、心当たりはなさそうなんだが。
あるトラブルから結局、槍水先輩と秋鹿先輩との直接対決はお流れになってしまったものの、ここで漢を魅せるのが変態・佐藤洋である。最初は眼中にすら入れて貰っていなかった彼が、槍水先輩の教え子であり秋鹿から連綿とつながるHP部の栄光を担う後継者であることを認められ、死力を尽くして戦いながらも敵としてではなく、先達と教え子として教授し学びながら勝負を昇華していく光景は熱いと同時に感動すら覚える輝かしさだった。
そして、HP部を離れ、学校を卒業してなお置き去りにしていた心残りを、可愛い後輩である槍水の救済を、佐藤に託す秋鹿の無念と安堵の篭った清々しい敗北感が、また心に沁みるんだ。これほどの重く熱い決意と信念を、覚悟と後悔を……託せる相手に巡り合えたというのは、どういう気持なんだろう。わからないなりに、それも男の本懐なんだろうなあ、と思い馳せるばかりだ。

その託した相手は、生粋の変態なんだがな!! やっぱりこいつ、カペルスウェイトなんてイカシタ異名なんかじゃなくて【変態】で十分だよ!!
しきりと自分はロリコンなどではないと強調し、槍水茉莉花は幼すぎてあと1,2年は経たないと手は出さないぞ、と断言する佐藤洋。
だが待って欲しい。だが待って欲しい。
……槍水茉莉花は、現時点で満十歳である。
一年や二年経ったところで、まだ小学生だろうがこらーーーー!!!!
こいつ、この野郎、小学生を襲う宣言を堂々としやがったぞこの野郎!!!ww

そして、一、二年すら待つこと無く、本当にやりやがったこの変態ww マジでやりやがったww

こ・い・つ・は〜〜〜〜

ピッキングツール片手にガチで夜這いかけようとしている時点で既にアウトにも関わらず、ガチでアウトなことしちまいやがりましたよ、先生。もはや、再アニメ化など眼中にもないと言いたげな暴挙である(笑
これについては、茉莉花が魔性の女すぎる、という点も考慮に入れないといけないかもしれない。まさか、著莪の最大のライバルが槍水先輩ではなく、幼女・茉莉花だったとは。
ぶっちゃけ、佐藤と著莪の仲というのは既に一線越えたところで癒着ちゃって引き剥がすと死にそうな勢いなんで、他人が割って入る余地など何処にもないのですけれど(詳しくは公式サイトの短編を御覧じろ)、それでもなお可能性があるとすれば、この幼女である。この娘だけは、ガチで佐藤を喰い兼ねない凄みと迫力が備わってる。著莪との仲を目の当たりにしてなお、だからどうしました? と鼻で笑いそうな魔が潜んでいそうだ。
此処に来て、白梅のセクシーアピールが偉いことになってきてるんし、実際一番嫁度が高そうなの彼女なんだけれど、それでもなお対抗筆頭はこれ、槍水茉莉花だわなあ。まさかのダークホースだ。

しかし、白粉は白粉で佐藤と伍する変態で、HP同好会のメンバーは逸材揃いにも程がありすぎる。この二人が部を率いることになる世代は、いったいどんな惨劇になるんだろう。順調にイケば、あの頼もしいギリー・ドゥが入学してきそうなんだが、この娘は数少ない良心なだけに、本気で彼女頼りになりそうだなあ。
狼としては白粉も、ついに異名持ちになりそうな動きを見せ始め、そちらは楽しみなんですよね。白粉って、実は最初からかなり面白い動きをしていて、狼としての才能は最初佐藤よりも高そうだったし、実際奪取率はかなりのものだったから、どうなるかと思ってたんですが、しばらく「あっち」の方が忙しくてあんまり狼としての活動を目の当たりにする機会がなくて微妙にやきもきする部分もあったんですが……いや、今回はなかなか凄かった。かなり状況に左右される能力なだけに、安定した力は発揮できないかもしれませんが、それを言うなら佐藤だって発揮するパワーの振り幅がちょっと大きすぎるきらいがあるだけに、HP同好会に安定を求めるのはやはり間違ってるかw

意外な登場だったのが、まさかのサラリーマン・レッド再誕!! こいつ、短編のあの結果として人生オワタ、と思ってたら……何気に運いいよな、こいつw 
そのうち、絶対にまた警察のご厄介になりそうな……ってか既に何度かなってそうな生き様なんだが、悪い人じゃないんだよなあ。というよりもむしろ現代には存在できない類に正義の人なんだよなあ。結構、その語りには含蓄もあるし、社会人としての経験則に基づく見識ある言葉も多くて、良いことたくさん言ってるんですよ。やってることも親切で気配りも効いていて、とても助かる事が多いのに……なんでだろう、この残念感はw
こいつ、独りだと絶対アカン方向にすっ飛んでいきそうだから、首輪つけてしっかり捕まえていてくれて、しつけもちゃんとしてくれる相手を見つけたほうがいいんじゃないだろうか。誰か、いいオンナの人紹介してあげてください。
間違っても、佐藤の母みたいなのはダメでありますw
この母親、ある意味あのオヤジよりも凄いよな。というか、既に巻二桁に達しようとしている今まで、この母親がネトゲーしている以外のシーンを過去回想ですら見た記憶がないんだがw

シリーズ感想

カンピオーネ! 12.かりそめの聖夜4   

カンピオーネ! 12 かりそめの聖夜 (カンピオーネ! シリーズ)

【カンピオーネ! 12.かりそめの聖夜】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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エリカや祐理は護堂の仲間ではない…!?
クリスマスも近づく時期、草薙護堂は心労を重ねていた。
七人目の魔王である護堂を監視するために派遣されてきたイタリアの魔術師・エリカやリリアナからの視線は厳しく、日本の正史編纂委員会からの遣い、媛巫女・祐理は護堂を恐れている。
もう慣れてはしまったが、ギスギスとした雰囲気に居心地悪くも思うため、護堂は彼女たちとの関係を改善しようと思うのだが…。
なぜか護堂には「今」のこの状況ににぬぐえない違和感があって…?
TVアニメ放送開始を7月にひかえ、さらに大注目の新神話第12弾!
神殺しに仲間はいない…!?
一応これはこれで日常回、という事になるんだろうか。
あらすじの不自然さから、護堂たちに精神干渉か記憶操作系の幻術が掛けられたのだろうという予測は立っていたのだけれど、そもそも外部からの魔術干渉が殆ど出来ないカンピオーネである護堂に何故幻術が効いているんだろう、という根本的な疑問から、派生する幾つもの小さな疑問があったのだけれど、それらについては作中にてマルっとちゃんと説明がなされていて、それもいちいち納得できる内容だったので安心した。端的に言うなれば、今回の敵の多くを望まず欲張らずに最低限必要な目的のみを達成するための限定戦術がかなり巧妙の作用していたのだ。絶対的な強者にまず力で対抗するのではなく、その力を使わせないように立ちまわる、というのはそれはそれで卑怯でも何でもなく、戦巧者と賞賛するべきで、護堂もこれについては特に怒ってたり憤っていたりはしてなかったんですよね。多分、彼がカチンと来たのは最後の最後に見苦しく情に訴えて来た所なんじゃないかと思うんです。護堂さんという人は、アレはアレで何だかんだと実に王様らしい人なので、他者を「憐れまない」。憐れまないからこそ、彼は他者を誰よりも尊重するし、それを踏み躙るような相手には怒りを隠さない。そして、敬するに値しない相手は一顧だにしない。
護堂さんは義姉の翠蓮姐さんをとんでもない人のように言ってるけれど、その振り幅はともかくとして性格の方向性は結構似てると思うぞ。
さて、孫悟空編以来の登場となった翠蓮姐さんですが、この人が登場するシーンになると、途端に文章の雰囲気まで中国武侠モノっぽくなるのが面白すぎる。これが、ジョン・プルートー・スミスの場合だとアメコミ風になるので、ぜひ比較してみましょう。
今回は事件自体がそれほど大規模なものではなく、というか原因はあからさまに翠蓮姐さんにあったので、彼女が参戦するなどといった展開はなかったものの、翠蓮姉さんの洞に招かれて、まったりと歓待を受けるというもしかするとバトルシーンなどよりもよっぽど希少なシーンだったんじゃなかろうか。
そうして発覚したのが、翠蓮姐さんの義弟へのダダ甘っぷりである。完全にダダ甘姉チャンじゃありませんか。およそ七十年ぶりに厨房に入り、護堂の為に手料理を振る舞うとか、姐さんどれだけ弟が来るのを楽しみにしていたんだ、と。護堂も珍しく周りの女性の中で翠蓮姐さんにだけは自然体で気を置かずに接しているので、二人のやり取りは掛け引き抜きの穏やかなものとなり、いい意味で緊張感なくニヤニヤできるのでした。ただ、ホントに自然体で接しちゃってるもんだから、翠蓮姐さんぶっちゃけ無茶苦茶な事を言いまくっているにも関わらず、護堂さんてば多少困ったふりをしてるけれど、全然無茶ぶりされてると思ってないんですよね。自然体過ぎて、魔王としての本性が抜き身で引き摺り出されてる気がする、あれ。お陰様で、ダダ甘姉弟のイチャイチャシーンにも関わらず、超常の存在が人倫の壁の向こう側で語らっている仙郷魔境のワンシーンにしか見えないという罠、なにこれ?(笑

さて、これまで築いてきた絆の記憶を失い、自然と疎遠になってしまった護堂さんと彼の女たちでありますが……ぶっちゃけ、疎遠になった程度なら何の問題もないんですよね。あの呼吸するように女をメロメロに落してしまう護堂さんが、疎遠のまま放っておくわけがないじゃないですか。ただでさえ、記憶の整合性については曖昧で虚が大きすぎる状態、ちょっと話せば簡単にしっくり行ってしまうのを感じ取れるくらいに身も心も合わせてきた女たちである。ちょっと一緒に過ごせば、途端に前とさして変わらない距離感に。いや、他の女たちと張り合ったり、これまでの経緯がない分、逆に自然にただの男と女として日常を過ごせたんじゃないだろうか、特にリリアナ。やっぱり、エリカは一番のパートナーだけあって、意気投合するのも一瞬だったんだけれど、彼女の場合切れすぎるから、そうなったらすぐにからくりに気づいちゃうんですよね。実際、エリカ、護堂と接触したら即座に状況の不審さに気づいて、全部解いちゃいましたし。その意味では、リリアナは鈍すぎる気もするんだけれど、その分存分に楽しんでたんだなあ、うん。
ハーレムの中で、リリアナが一番少女らしいという護堂の感想には全く納得。前は祐理の方が家庭的なのかと思ってましたけれど、実はリリアナの方がよっぽど家庭的で若奥様って感じなんですよね。ぶっちぎりでエプロンが似合うヒロインw こうして見ると、ひかりを加えて、ちゃんとエリカ、リリアナ、祐理、恵那と女性のタイプとしても、嫁のタイプとしても異なってバラエティに富んでいるのが見て取れて面白い。
と、同時に、ここに陸鷹化、甘粕冬馬、沙耶宮馨が加わることで、極めて高水準にバランスの取れたチームが現出する。個々の能力と共にその連携、バリエーションの充実度、後方の支援組織も加味すれば、草薙護堂は少なくともバックアップ体制においては容易に他のカンピオーネを凌駕していると言ってもいいだろう。自らの魔術結社を持っている黒王子アレクを始めとして、他のカンピオーネたちもちゃんと支援体制を築いてはいるものの、最終的にどこまでも唯一無二の単騎独行であるカンピオーネを、ここまでガチンコで支えられ、共に戦えるのはやはり草薙護堂一味だけに見えます。その意味では、確かに彼女たちこそが護堂のカンピオーネとしての強味だよなあ。その強みを削ってきた今回の敵は、目の付け所はさすがの着眼点だったと言っていいのだろう。詰めが悪かっただけで。

さて、幕間回、の気配もあった今回ですが……さすがにこれ、一連の最後の王に纏わる事件とは無関係のはず無いですね。あの棺で眠っていた神の亡骸もまた、最後の王と繋がっていたのではないでしょうか。それに、今回もミトラスの名前が出てきたのは無視できない要素ではないかと。結局、誰も彼もがミスラ=ミトラスと繋がっているんですよね。こうなってみると、あのペルセウスが生き残らずドニに始末されたことすら、ただの敗残処理なのではなく、最後の王の復活に纏わる意味のある結果だったのではないかと思えてくる。あの示唆からすると……もしかして最後の王って……ふむ。もし、この想像が当たっていたら、ラストバトルって本気でとんでもなく凄いことになってしまう。うははは、想像あたっててほしいなこれ。

シリーズ感想

ニーナとうさぎと魔法の戦車 33   

ニーナとうさぎと魔法の戦車 3 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 3】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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ラビッツの前に現れた気弱な美少女。彼女は実は…!?
温泉旅行に出かけた私立戦車隊・首なしラビッツの面々。
久しぶりの休暇に羽を伸ばす一行には、妖精のような儚い美しさをもつ少女が同行していた。
少女の名はアリス。ドクターのもとでメイドとして働く彼女は、テオドーレの事件で研究所から脱出し、ラビッツに救助を求めた人物だった。ドクターの命でラビッツと同居することになったアリスだが、なぜかみんなから距離を置くように振る舞う。アリスと友達になりたいと思うニーナも、彼女から強烈に拒否されてしまう。
これにはアリスの過去と驚くべき秘密が関係していて…?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第3弾!!
2巻のテオドーレ・ショックもあってか、戦々恐々となりながら読んだ【ニーナとうさぎと魔法の戦車】第三巻。もう出てくる新キャラは非業の死を遂げるのがデフォなんじゃないかという強迫観念に苛まれながら開いたページ。速攻、見開きのカラー口絵では恐れていたようなシーンが(半泣
もうやめてよね〜〜。
前巻でラビッツに助けを求めてきた少女アリス。てっきりその時限りのモブキャラかと思ってたら、何故かこの巻ではラビッツに預けられて一緒に生活することに。話を聞いてみたら、この娘もまたとてつもない悲惨な過去の持ち主であり、現在進行形で災厄の塊だったという、ニーナよりもある意味テオドーレよりもひどい境遇の娘だったのです。ってか、この娘過去がヘヴィーすぎるよ。ある意味気の弱さ、内向性が負の感情に沈まずに自戒へと繋がったという稀有な例。ダークサイドに落ちてても何らおかしくはない境遇だもんなあ。
何よりも、彼女には力があった。
思うがままに振るったならば、誰も逆らえようのない強大すぎるくらいに強大な力だ。
あの中将、ホント馬鹿なんじゃないかと思う。藪をつついて蛇を出す、じゃないけれど、下手をすれば再び人類の敵を生み出しかねない安易な暴挙だった。信念があるのはいい。だが、自分の信念こそ唯一無二と断じて他の価値観を徹底的に排する考え方は、容易に視野狭窄を引き起こし、自分に都合の良い情報の取捨選択にかまけてしまう。それじゃあ、自分に甘いただの駄々っ子だ。恐るべきは、彼がその地位に出世するまでそんな無茶苦茶がまかり通った事だろう。まったく、馬鹿じゃないのか?

アリスの極端すぎるほど極端な自虐性は正直鬱陶しかったのだけれど、彼女に纏わる事情を知ってしまえば、自分自身の危険性への自衛とせめてもの縁をという人として最低限の温もりを欲する気持ちの鬩ぎ合いの結果ともなれば、同情しか湧いてこない。ギリギリの、本当にギリギリの妥協点がアレだったんだろうなあ。
テオドーレは多分に間違っていたと言わざるを得ない。彼女はそうやって、大切な物を手に入れるチャンスをいくども見送って、復讐にかまけてしまったのかと思うと……またぞろ悲しくなってきた。レオも相方なら、彼にこそ何とかして欲しかった。

さて、しかしこれ、言っちゃあ悪いけれど、大事故が起こったタイミングが良かったとしか言いようが無い。尤も、事故が起こった理由は中将の強引な施政にあったわけで、野村監督の名言じゃないですが「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ですなあ。面白し。
幸いにして、本当に幸いにして今回は犠牲者は出ず。本当に出なかったよ。良かった。不憫な子が不憫なママ不憫な末路を辿るのは見ていて忍びなさすぎますからねえ。
しかし、アリスの能力はある意味戦闘車両を操れるよりもよっぽど強大だと思えるんですけどね。ワンマンアーミーどころか、ワンマンゼネコンだもんな、これ。

1巻 2巻感想

六花の勇者 2 4   

六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ)

【六花の勇者 2】 山形石雄/宮城 スーパーダッシュ文庫

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Love and Lie
愛には愛を、嘘には嘘を。


新たに現れた「七人目」。
そして一人の勇者が密かに挑む試練!
「七人目」だったひとりの六花は去ったが、ロロニアという少女が現れ、またもや七人になってしまった六花の勇者たち。魔神再起までのタイムリミットが迫っており、疑心暗鬼はぬぐえないまま、魔哭領の奥へと進む。するとそこへ一体の凶魔が現れ、モーラに「君には時間がない」と告げる。さらに凶魔を束ねる統率者の一体、テグネウが六花の勇者の前に突如現れる。それは「七人目」の関わる策略なのか!? 混乱の中で激闘が始まる!
伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、第2幕!
すげえええ! なんじゃこれ、すげええええ! いやいやいや、これ凄いわ。
第一巻が話題になった本作ですけれど、自分の中の感触ではこの第二巻の方が明らかに面白かった。既に舞台設定とキャラクターの紹介を一巻で済ませていたのが良かったのか、この二巻では冒頭から積極的に、というかダイナミックにと表現していいくらいの勢いで、謎の構築とその解体がなされていくのですが、一瞬たりとも止まらないスピード感が実に素晴らしい。こうしてみると、一巻はあれで舞台の設営と状況の説明、容疑者となる登場人物の紹介という前提の提示にだいぶ容量を費やしていたんですね。言うなれば、助走期間がそれだけ必要だった、と。ところが、状況とキャラが概ねわかっている続刊は、最初からトップスピードで突っ走れたわけである。それでいて、勢い任せじゃないんですよね。
今度は最初から「七人目」を明らかにして注目をひきつけた上で、実に巧妙に状況と読者の視点を誘導しつつ、落ち着く暇を与えずドンドンと激しい動きの展開を畳み掛けてくるのです。もう、手に汗握って目も釘付けでハラハラ・ドキドキ。
絶対条件と思われていた前提が、根底からひっくり返された時にはもう頭を抱えましたよ。
今回は内輪だけで疑心暗鬼を募らせる展開ではなく、明らかな敵である凶魔の幹部が登場したことで、内と外の両方に駆け引きを必要とした上で、幾重もの謎を複合的に解いていかなければならない状況に陥り、さらにタイムリミットまで用意されたことで、後半に行くほど読んでいるこっちまで追い立てられるような切迫感に苛まれ、息もつかせぬ状況に。
挙句に、あのラストですよ。
一巻の時はまだ七人目が誰かというのはなんとなくわかったんですけど、これもう無理。こと此処に至ってこの中に七人目が居る、なんて言われても絶対にわかんない。誰もが怪しすぎた最初と違って、誰も疑わしいと思えない! 敢えて言うなら、絶対に違う、と言われている人じゃないのか、と見るくらいしか……。
更にその上、最初の七人目のあの人が動き出したことで、状況はさらに混沌。いや、これマジでこれから先どうなるの? 齧り付きで次巻を待つしかないですよ、これは。なんつー凶悪な。たまらんね。

1巻感想

ニーナとうさぎと魔法の戦車 24   

ニーナとうさぎと魔法の戦車 2 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ニーナとうさぎと魔法の戦車 2】 兎月竜之介/BUNBUN スーパーダッシュ文庫

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ゴシック&ロリータを身にまとい、世界で一番眼帯が似合う美少女・テオドーレは17歳にしてエンデ市の市長を務める貴族のご令嬢だ。私立戦車隊・ラビッツの面々は彼女の招待に応じ、エンデ市を訪れていた。一方、ラビッツを離れ、家族を探す旅に出ていたニーナは、エンデ市付近の開拓村で家族と、さらには意外な人物とも再会を果たす。
しかし、開拓村は野盗によって定期的な略奪を受けており、存亡の危機に立たされていた。野盗に抵抗し、戦うことを主張するニーナ。それに対して開拓民たちがとった選択は、ニーナを…!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第2弾!!
うっふっふ、や……やってくれるじゃないか。これまた最高にっ、欝にさせられたゼ!!
読み終わったあとの、あの凹みに凹みまくった落ち込み具合をなんと表現したらいいか。哀しいと言うよりも虚脱感に苛まれ、涙よりもむしろ憤りが湧き出してくるのに気力が湧いてこないような、そんな欝っぽさ。
まいった。
なんかねー、もうねー、泣くにも泣けませんよ、ホントに。ラビッツたちが悪いわけじゃなく、彼女たちはちゃんとやるべき事、やらなきゃいけないことをやったわけで非難されるべきところなんぞ何処にもないんです。彼女たちにこの哀しさの責を求めるのは幾ら何でも酷すぎるでしょう。悪いことをしていたのは、全面的にあの人たちだったわけですから。でも、それでも……助けてあげられなかったかなあ。うんうん、ニーナたちは、少なくともニーナは全力で助けようとしてくれてました。だから、恨めしく思うならばやっぱりその感情はこの容赦呵責のない顛末を用意した作者に向かうしかないわけで……うらめしや〜〜w
結局のところ、弱者は心ある強者が手をさしのべて助けてくれる余地があります。開拓民たちが遅まきながら求めた「助けて!」の声に、市長は敢然と応えてみせました。あれ、マッチポンプなんかじゃないんですよね。裏の顔とはまた別に、表の顔もまた本当の顔だったはずです。彼女は間違いなく、助けを求める弱き人々に心から手を差し伸べられる人でした。
でもさ、そんな弱い人たちに手を差し伸べられる強い人を、自分で絶望から立ち上がることの出来た強い人を、じゃあ誰が助けてくれるの? 強い人は、誰にも助けてもらえないの?
自分が感じたこの悲劇への理不尽は、多分そんな所にあるのだと思います。
罪は裁かれなければなりません。たとえそれが大局的に見て必要悪だったとしても、許容してはいけない領域というのは確かにある。彼女は、やり方を間違えてました。同じ必要悪でも、許容されるやり方はあったはずなのです。でも、彼女は間違えた。だからこそ、断罪は必要でした。でも、彼女は間違いなく多くの弱き人達を助けた英雄でした。彼女は決して、助けを求めた手を払いのける人ではありませんでした。あの開拓民の一件だって、もしもっと早く彼らが助けを求めていても、彼女はきちんと応えていたでしょう。
功罪を如何に見るか。難しい話です。結論のでない難しい話です。でもね、あんな終わり方をするのだけは、納得できない。彼女が弱きを助け、同時に悪を成したように、彼女もまた断罪されると同時に、助けを得て欲しかった。誰か、彼女と彼を助けてあげて欲しかった。
彼女と友だちになったニーナにはその資格と意思があったのですが、結局彼女の手は届かなかったのが悔しくてたまらない。ニーナの力が足りなかっただけではなく、あの二人にソフィアと同じく、助けてと手を差し伸ばす意思と勇気がなかったのも大きな理由の一つなのだろうけれど。あれだけさ、開拓民には偉そうに言っておきながら、あれだけ格好良く悲鳴に応えたってのにさ、自分は悲鳴一つあげずに、助けも求めずにいっちゃうんだから、馬鹿ですよ。馬鹿ですよ。二人には、無様でもどんな形でも生きて欲しかった。
正直、これほどの人材が失われて、あの街が今のままで居られるとは思えません。あの街を悪徳から立ち直らせたのは、決して優れたマニュアルなどではなく、市長のカリスマこそが原動力だったのですから。彼女が英雄として失われたのなら、街の人々も遺志を継ごうと頑張れるでしょうけれど、あんな形で終わられたら、果たしてこれまでのように頑張れるでしょうか。あれほど素晴らしい人でも自分たちを裏切っていたと思ってしまったら、もう二度と頑張れませんよ。上を信じられませんよ。未来が、信じられなくなる。
ひどい事にならなければ、いいのですけれど。

はぁ……ほんと、テオドーラは今後レギュラー化するものとばかり思っていましたから、ショックも半端じゃありませんでした。まったく、良いように心揺さぶられて押しつぶされてしまいましたよ。参りました。でも、だからこそ面白かったです……いや、面白かったというとちょっと違う気もしますけれど、物語に引きこまれたという意味では同等か。やや新作からは遅れ気味になってますけれど、何とか追いつけるようにがんばろう、うん。またへこまされるかと思うとやや気後れもするけれど、続きも気になるもんなあ。

1巻感想

吟遊詩人に贈る歌4   

吟遊詩人に贈る歌 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【吟遊詩人に贈る歌】  佐々之青々/COMTA スーパーダッシュ文庫

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歌は願いを叶え、想いを告げる。若き吟遊詩人と魔法人形が奏でるピュアファンタジー、開演!
「世界で一番の吟遊詩人になって、必ず戻ってくる」
十二歳のレントは、幼なじみのトルチにそう約束して街を出た。五年後、トルチに告げる言葉を胸に帰ってきたレントはしかし、再会する前に幽霊騒ぎに巻き込まれ、女警吏のテアに騒乱罪で捕らえられてしまう。テアに幽霊退治を押しつけられたレントは取調室でやっとトルチと再会するも、告げる言葉を言えずにいるうちに今度はトルチを想う青年デリックから決闘を申し込まれ――悲劇の吟遊詩人と悲恋の騎士を生んだ街ルネスでおこる、“約束”の物語。
おおっ、これは面白かった。抜群にストーリーの構成が上手かったんですよ、これ。しかも、その巧さが見事に物語の面白さに直結している。
幼馴染みとの約束を守れないことを告げに街に戻った少年が、その事を幼馴染みに告げられないでいるうちに、彼女を巡る決闘の当事者にまつり上げられる。幼馴染みを守るための力を手に入れるために、街に伝わる騎士の悲恋の物語を追う内に、少年は歴史の闇に葬り去られた、悲劇の真相を紐解いていくことになるのである。その歴史の真実は、ちょうど自分と幼馴染みの約束を通じた今の境遇に相通じるものがあり、少年は街の伝説に秘められた謎を解き明かすことで闇に囚われた過去の亡霊を解き放ち、現在の自分たちが伝説と同じ道を辿らないよう新たな道を切り開こうとするのであった。とまあ、全体のあらすじを捻り出すとこんな感じか。この過去と現在が巧妙に絡まりあい、伝説の悲劇の秘密を解き明かしていくことで同時に彼らが今直面している障害や、レントが受け入れてしまっていた諦めを打破するきっかけに繋がっていく。ちょうど、歴史ミステリーの要素も盛り込まれていて、物語にグイグイ引きこまれました。また、キャラの配置が上手いことミスリードを誘うものになってるんですよね。お陰で、伝説の真相をかなり終盤になるまで誤解していた。過去と現在が鏡合わせみたいになっていると思い込んでいたから、ついつい全部一緒なんだと思ってたんだよなあ。本来ならテアが負けてたシーンで気づくべきだったんだが、レントと同じ勘違いをしてしまったんですよね。さすがに完全な八百長だとは思わなかったけれど、あの人も周りの関係者絡みで優れた腕前の持ち主だったんだな、としか考えなかった。今になって振り返ってみると、メイドさんがそんなわけないんですよね。武装メイドじゃあるまいに。
他にも、ちゃんと謎解きできる情報は揃っていたはずなので、決して複雑に入り組んだ謎ではなかっただけに、かなり不覚を取った感覚を味わうはめになってしまった。この、しまったっ! 感がまたいいんですけどね。
キャラクターは、主人公のレントはなかなか前に進めず立ち止まってぐるぐる考えちゃうタイプのヘタレなのですが、相性だよなあ、幼馴染みのトルチはまさにそんな主人公にうってつけのヒロインでした。全然、待ってるだけのお姫様なヒロインじゃありませんでした。バイタリティといい自立性といい、深窓の令嬢とは程遠い生気や活力がピチピチ弾けているような女性。登場した当初はまだ五年ぶりという空白期間もあって、レントが成長したトルチのキャラクターをつかめていなかった上に、微妙に経年による美化も混じっていたようで、いまいちレントの眼を通してだと現実の言動と齟齬があって実像が掴めなかった上に、ストーリーの関係上あんまり目立たない立ち位置に居たので、後半に入るまであんまり印象強くなかったんですよね。むしろ、トリックスター的に動きまわってレントを引っ張りまわしたり手助けしてりしてくれるテアの方がよっぽど目立っていたくらい。
まあ、最後に全部トルチが持ってっちゃいましたけどね。いやあ、姐さん、あんた男前すぎるでしょう、それ(笑
レントがどうして別れ際の約束をちゃんと覚えていなかったのか、記憶力を疑うね。自分の決意表明をあんな約束で返されたら普通忘れたくても忘れられんだろうw もっとこう、純愛的なものを連想していただけに、あんまりにもかっこ良すぎる子供時代のトルチの約束に思わず爆笑した次第でした。こいつ、一生トルチには頭上がらんよ。
ファンタジーとは言え決して派手な内容でもなく、事件自体も街の伝説に纏わるものでありながら、実際は極々個人的な件に終始しているような小さなお話でしたが、思いの外読み応えのある良作で、楽しませて頂きました。これは次回作も注目ですよ。

ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円4   

ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会ではメンバーの白粉に元気がないことを気に掛けていた。佐藤たちは彼女を元に戻そうと奔走する一方、クリスマスに合わせるかのように、『最も最強に近い狼』と呼ばれる猛者、サラマンダーが徐々に街へと近づきつつあるのを警戒していた。そんな中、槍水はHP同好会のメンバーと伝統である聖夜のパーティをしようとしていたのだが、白粉、そして佐藤も著莪と別の予定を立ててしまっていて大変なことに―!?トナカイより多忙な「狼」たちの聖夜。庶民派シリアスギャグアクション、全国の同志へ贈るクリスマス・ギフト。
おおおおっ、ついに、ついに佐藤にまともな二つ名が付いた!? 毛玉がサラマンダーが名づけ、ウィザードが立ち会い、毛玉が聞き届けたとなるとちゃんと定着しそうだ。特に情報通の毛玉の前で命名されたとなると、確実だろうし。しかし、ちゃんと「変態」も意味に込められてる二つ名になったんだ。もっとも「HENTAI」じゃなくて「メタモルフォーゼ」の方みたいだが。ある程度ムラがある、というかモチベーションの差によって大きく強さが変わってくる佐藤のことをよく考えてくれた二つ名じゃありませんか。調べてみると、懐っこい「ワンコ」としての特性も強いみたいですし。
一方で、冒頭から我らが「茶髪」にも【シリーコート】なる二つ名がついに命名。これまでの戦歴や印象度からも、彼女に二つ名がないのは違和感を覚えるレベルになってきていたので、むしろようやくと言った感じである。立場が人を作る、じゃないけれど、二つ名が付いたことで茶髪の立ち振る舞いにも風格のようなものが出てきたのは興味深い。折角二つ名がついたのに、無様は見せられないものな。
もしかしたら、槍水先輩も【氷結の魔女】の二つ名が付いた時からこんな風に威風棚引かせるようになったのかもしれないな。よく考えてみると、茶髪と先輩は同学年。どうやらデビューの時期も同じくらいだったようで、今回ようやく同じ高みに辿り着いた茶髪と、並び立って背中合わせで戰う二人の姿には燃えました。以前のダンドーと猟犬群相手に、【オルトロス】を引き連れて立ち向かった時と同じくらい、有象無象の【アラシ】の群れに、たった二人で立ち向かう魔女と妖精。カッコいいなあ、もう。

そんないつもどおり、かっこいい姿を見せてくれつつも、今回の槍水先輩はやたらとみっともない姿を見せることに。以前からチラチラと垣間見せてはいましたけれど、この人本当に面倒くさい性格してるよなあ。この頑なさは、将来絶対に何度も付き合ってる男と揉める原因となりえる要素だぞ。このシリーズ、何気に女性陣の多くは多かれ少なかれ面倒くさい一面を持っている。恋人持ちの連中は元よりとして、その他でもあの広部さんや著莪なんか、その代表だ。でも、広部さんも著莪も、一時的に見境はなくしても、常に冷静に一歩退けるだけの冷めた部分は持ち続けている。
著莪なんかその最たるもので、この女ほど相手との距離感を冷静かつ大胆に弄んでいる女は珍しいだろう。と言っても、それは佐藤相手だけみたいだけれど。普通の男友達相手にはむしろ慎重なくらいだし。
其れに比べて、槍水先輩は根本的に男慣れしていない分、加減がさっぱりわかってないんですよね。鳥頭みことに子供だと嘲られ軽蔑されるのもまあ仕方ない。あんな下手くそな甘え方を目の前でされたら、人によっては生理的に受け付けないだろうし。
佐藤はある意味、著莪との付き合いから甘えられる事自体には並の男性よりも遥かに慣れていると言えるんですが、実際は著莪の甘え方って完全に佐藤に合わせたものなので、傍目から見ると度の過ぎた理不尽でひどい甘え方でも佐藤の許容範囲は絶対に超えず、彼に不快感を与えないように制御されきっている。
加えて、佐藤って大らかというか鈍いというか、理由が明快な理不尽に対しては全く気にもしないので、白梅梅の横暴なんかも肉体的ダメージにはなってもあれ、精神的なストレスには一切なっていなかったりするのが興味深い。案外あの二人、相性いいんだよなあ。白梅の親父さんが妙に佐藤のこと見込んでいるのもあながち節穴ってわけではない。まあ、相性がいいだけで愛情が生まれる余地がさっぱり見当たらないのだけれど。
ところがだ、こと槍水先輩の我儘に関しては、佐藤はまるで対応が取れないのである。著莪に甘えられているようで実は甘やかされている佐藤は、さらに鈍感で大らかである分、実際にストレスを受ける事に耐性が乏しかったりする可能性もあるんだが、とにかく拗ねる女性への対処能力にちょっと欠けてるところがあるっぽいのだ。その辺り得意そうな山乃守さんを見習えばいいんだろうけどさ。でもまあ、今の佐藤だと咄嗟に反応できない。上手く宥めたり、相手の期待する言葉を並べ立てたり、という器用な真似はまあ無理なのだ。広部さんみたいな計算ずくで拗ねられる女性なら、そんな下手糞相手でも上手いこと言って欲しい事、やって欲しい事に誘導していくものなんだけれど、「子供」である槍水先輩は計算度外視で本気で拗ねているだけなので、むしろムキになって余計に拗らせようとしてくるものだから、まあ佐藤はイライラとストレスを貯めることしかできないわけだ。
そりゃもう、うまくいくはずがない。
著莪はよくまあ黙って見てるもんだなあ、と感心するね。ほんとこの娘、佐藤には甘いよなあ。確かにこの辺の佐藤に好きにやらせているところは兄弟同然に育った血の繋がった身内だと思う。多分、幼馴染みでも此処まで許容は出来ないよ。こいつは絶対に自分のものなんだ、一心同体なんだ、自分の手元から離れないんだ、ぐらいの確信がないと。その点、著莪は余裕ある。確信、あるんだろうなあ。
まあ、男子トイレに一緒に入って佐藤が小用たしているのを見物するのも両方平気な関係なんだから、そりゃあ余裕だわなあ……ねえよなあ、こんな関係。どんな変態だよ!! ベッドの中でも乳繰り合ってるしさ。佐藤のやつ、関心ないふりして著莪の体触りまくってたのかよ、このやろうw

ベン・トーバトルの方は、サラマンダーの南下に合わせて最近出てなかったキャラクターたちの近況も交えつつ、オールスターキャストの賑わいで。ちらっとしか触れられてなかったけれど、サラリーマンレッド、脱サラしたのか、おい。というか、会社クビになって無職ですか!?(笑
パッドフットは完全に引退したと思っていたので、偶に狼活動しているとはちょっと驚き。

もはや弁当なのか、想像もつかないクリスマス限定の超大物「超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版」をめぐる攻防は、クライマックスに相応しい盛り上がりの末の、まさに大団円、クリスマスらしい結末で、ほんとこの作者は上手く締めてくれますよ。こんなにニコニコ満面の笑みで幸せに終われるとは思わなかった。奪い合い、しかし支え合う。まったくもって、いいライバルたちじゃないですか。

そして、相変わらずまったく脈絡なくSEGAのウンチクに突入して平然と数ページを浪費する作者の情熱には痺れた。この人のSEGAネタは単なるちょっとした遊びのネタじゃなくて、いつだって本気だというのが伝わってくる。アニメもさ、バーチャとはわかりやすいネタじゃなくて、もっと一般人にはまるで意味不明だけれど、SEGA魂の人ならば理解できるだろうと信じる事ができる、くらいのきわどいネタで攻めればよかったのに。ネタは突っ込まれてこそだ、というのがよくわかる今回のSEGAネタだった。いやあ、さっぱり何を言っているやらわかんなかったもんな♪

あと、最近ニワカに新人のウルフヘアが台頭してきた感じ。まだまだ未熟とはいえ、これは次の年中くらいには二つ名がついてもおかしくないんじゃないだろうか。
今回はオルトロスのお二人がこれでもかというくらい堪能できましたし、ともかく豪華特別版という感じでお腹いっぱいでした、はい。

シリーズ感想

獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに4   

獅子は働かず 聖女は赤く 2 あいつも昔はイイ子だったのに (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「あなたの命は、わたくしが護ります」
「お前の命は私が奪う!」
過去と現在、少女の決意が共鳴する!
中央教会の見習い聖職者であるアンナは、その身に秘められた謎により狙われていた。そんな彼女を、中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメは、半ば誘拐する形で、旅に連れ出した。旅路を進む一行の前に突如姿を現した、蛇のような体をした紫の禍竜。さらには拳を振るう蒼き禍竜までも出現する。だが、その遭遇はユリウスの過去を巡る戦いの始まりに過ぎなかった! 二頭の巨竜が、獅子の聖印をさげた鎧の少女が、ユリウスに迫る! 竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第二弾!!
お師匠、あんたユリウスと出会う前からそんなチョロ弱キャラだったのか。てっきり昔はちゃんと偉くて偉そうで、それが戦中戦後の苦労を通じて色々と精神的に磨耗してしまった結果として、あんな風な可哀想な娘さんになってしまったかと思ってたのに。あ、でもその設定は無理があるよな、うん。あんなチョロ弱いキャラクター、後天的になれるはずもなく、明らかに生まれつきだし。でも、こんな性格でよくまあ【竜の魔女】なんて呼ばれるだけの実力を蓄えられたものだと逆に感心する。サロメちゃん、明らかに誰からも舐められそうだし。実際、既に亡くなった赤の聖女さまですら、お師匠様と呼びながら明らかにちょー舐めてたし。鼻であしらいちょろまかしてたし。聖女ちゃん、あんた性格悪いっすよね、それ。聖女というよりもむしろサロメよりも魔女っぽいというか悪女っぽいというか、性格悪いというか。まあ、概ねサロメ相手だけだったのかもしれないが……って、それもひどいよな、うん。

とまあ、上から下まで概ねぶっ飛んだキャラクターによってお送りされるファンタジー巨編。正直、このシリーズ作者の手がけた作品の中で一番好きかもしれん。なにが時々コメディだぃ。殆どコメディじゃないかい。なまじストーリーの根底部分が相変わらずの人間の悪意やらしがらみタップリのドロドロの内容なだけに、それを豪快にキャラの愉快さで押し割っていくパワフルなコメディーラインが楽しくって仕方がない。
そも、ヒロインのアンナからして、息をするように拷問をユリウスに仕掛けるような子だもんなあ。なんでこの娘は反射的に拷問するんだ!? 驚いた拍子に思わずユリウスを関節固めして沸騰した湯を耳に流し込もうとするとか、なぜ其れを反射的にやる! とユリウスじゃなくても突っ込むよな、うん。これがちゃんと意図した行動だったら、まだ拷問趣味の危ない子で済むんだけれど、全部条件反射なのが恐ろしい。条件反射でなんであんなに的確に拷問を仕掛け、もしくは暗殺に走るのか。もしかしてアンナって物心付く前から暗殺者の訓練でも受けてたんじゃないか、と疑いたくなるレベルである。マジ危ないんだが、この娘(笑
さすがに命の危機を感じだしたユリウスのキレっぷりがまた切実すぎて笑えてくる。ヒロインに対してマジギレっすよ。相変わらずニートのダメ人間だけれど、これはさすがに同情する。そこまでされるいわれはないよ、ないよ。よくまあ、これまでアンナさん、ひょいとした事で人殺しちゃったりしなかったものである。育ての親の苦労が忍ばれる。
そんな死の危険、というかアンナに殺戮される危機を何とか回避しながら彼ら三人が辿り着いた地域では、禍竜を伴った改革教会の反乱が村で起こっており、ユリウスが何故か普段のぐーたらさをかなぐり捨てて、反乱の鎮圧に首を突っ込もうとするのだった。

ここでようやく本格的に明らかになる、ユリウスがまだ裏切り者になる前の時代、そして赤の聖女と運命的な出会いを得る事になるエピソード。そして、過去の因縁を引き連れて現れたかつての同輩・コルネリア。
彼女、場合によっては仲間になるフラグ立ってるのかなあ、と思ってましたけれど、交戦中にユリウスに訴えかけたあの台詞で、ああこりゃダメだ、と確信しましたね。この娘、教会の信仰や正義で裏切ったユリウスを許せず憎み、殺そうとしているわけじゃないんだ。それなら、教会の不実を訴え、協力を求めることもやぶさかではなかったんだろうけれど、根本的な所でコルネリアは正義や信仰などどうでもいいんだ、これは。
もし、そこに拘ってるなら、一緒に死んでやる、なんて台詞が出てくるはずがない。
彼女がユリウスを憎んでいるのは、女の情念ゆえ。教会を裏切ったことではなく、自分を裏切って赤の聖女についていってしまった事をこそ憎んでいるのであり、だからこそ自分こそがユリウスを殺さないとと決め込んでいるのだ。赤の聖女が死んでしまった今となっては、本当の意味でユリウスを奪い返すことはかなわない以上、彼を殺して自分も一緒に死ぬしか赤の聖女から愛するユリウスを取り戻す事は叶わない。そう思っている以上、どれだけどちらに正義があるか、などを説いても通じるわけがない。
ドロドロの愛憎劇ですよーー! 修羅場らVANVANですよーー! さすが八薙玉造。能天気だけじゃ済ませませんね、最高ですw
これでコルネリア、決して情念に狂ってるだけじゃないのがまた素晴らしい。ちゃんとまともな理性を持ち、正義や倫理を重んずる騎士としての本分も忘れていないだけに、個人的な感情と公的な立場の摺り合わせに汲々としているあたりにも、揺さぶり甲斐のあるキャラクターっぷりがにじみ出ていて、実に魅力的だ。
今のところ、公的な任務と感情の向く方向を無理やり同一化されているから、精神的にもそれほどブレてないけれど、これが比重崩れてくるともう色々とむき出しになってくるぞ。
おそらく、むき出しになってきたときにそれとまともに相対するハメになるのは、ユリウスよりもヒロインであるアンナっぽい気がするが……はたしてこの天然娘とどこまで噛み合うか。合ったら合ったで修羅場だろうし、合わなかったら合わなかったでより悲惨な修羅場になりそうで、実に楽しみである。
アンナも、ちゃんとメンタル成長してますしねえ。何も出来ないと嘆いてうずくまるのではなく、何も出来ないなりに何とかしようというひたむきな姿勢。肝心な時に限って暴走ではなく、ちゃんと考えてユリウスの迷惑になる形での行動ではなく、ちゃんと益となる結果を求めて動こうとするあたりは、大した成長ですよ。
なぜそれが普段の行動の反省に繋がらないのかは不思議極まりないところでありますがw 反省しても、すぐに忘れるからなあ、これ。


このシリーズ、あんまり欝な方向には行かないつもりなのか、正直悲惨な結末になるかと思われた村の反乱の顛末も、救いや報いがちゃんとある形に収まって、作者の容赦無い残虐展開っぷりを思い知らされている身とすれば、ホッと一安心。あの暴走姉妹なんぞ、よっぽどひどい目にあったまま終わっちゃうかと危惧してましたしね。まさか、レギュラー化するとは。何故か旅の連れが増えたことでますますお師匠様が不憫と化しそうな気がするのは気のせいかしら?(w

1巻感想

カンピオーネ! 11.ふたつめの物語4   

カンピオーネ! 11 ふたつめの物語 (カンピオーネ! シリーズ)

【カンピオーネ! 11.ふたつめの物語】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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神殺しの物語、第二幕がついに上がる!!
待望のカンピオーネ!セカンドエピソード公開!!

草薙護堂は友であった軍神・ウルスラグナと相打ちとなり、神殺しの魔王・カンピオーネへと生まれ変わった。
かの神を殺す際、護堂に利用された神王・メルカルトは新たに誕生した王を次なる敵と定める。
さらにはイタリアの剣の王サルバトーレ・ドニも護堂に興味を示し、護堂との戦いを求めるが、それは彼の配下の魔術結社に所属するエリカの、護堂との別れを意味していた…!
魔王となったばかりの護堂の物語がついに明かされる!
いざキスをしなければならなくなったとき、受身でエリカにして貰うのではなく、あくまで自分から、という所が護堂さんの男前な所なのだ。
こうして改めて見ると、ファーストエピソードの時も強く思ったことだけれど、護堂さんって本当にエリカの事は特別なんですよね。こればっかりは、後でどれだけ周りに女性が増えても変わらない。むしろカンピオーネでなかったらすんなりと恋人同士になってたんじゃないかと思うくらいに、護堂はエリカのことを意識しまくっているのです。過去編はまさにエリカとの馴れ初め話で主だった女性が彼女しか登場しないだけに、より顕著に護堂さんの意識がエリカに向けられているので、その点非常にわかりやすい。特に、この頃のエリカはまだ護堂に対してツンデレさんなので、エリカの方からイチャイチャとくっついてくるわけじゃないので、余計に護堂が彼女を気にして気にして仕方ないのが傍目にもよくわかる。微笑ましいのは、エリカもエリカで護堂を意識しまくりながらも素直になれずにツンケンした態度をとってしまうところだ。今となっては、護堂を愛しているといって憚らず、熱烈なアプローチを常とするエリカの初々しい様子は、もう見ていて可愛いのなんの。あのエリカが、照れたり恥ずかしがったり、普通の女の子みたいにいじましい姿を見せてくれるんですよ。こりゃあもう、堪らん。
今でこそ清純派とは程遠い、いっそ艶美と言っていいほどの艶めいた色香で護堂を弄るエリカさんですが、この話を読んでしまうと本来は潔癖で身持ちのかたい乙女だったのがよく分かります。シチリアの熱い夜に貴方に純潔を奪われた、と度々護堂をこのネタでからかってたエリカですが、当時は決してからかい混じりに冗談で純潔を奪われたと言っていたわけじゃなく、本気でそう思ってたんですなあ。事後にベッドの中ですすり泣いているエリカの姿はなかなかショックでしたよ。もっとケロリとした顔で受け止めていると思っていただけに、彼女としても一大決心だったんだなあ。
結局のところ、エリカはあれだけ計算高く、賢明で抜け目がなく、常に客観性を失わない理性派なのに、護堂に関してはあれで一から十まで損得勘定は抜きなんですよね。まだ護堂のことを好きだと自覚してない頃から、自分の不利益も鑑みずに面白そうだからと理由をつけて護堂の世話にかまけて離れまいとしていましたし、いざ護堂が死地に飛び込んでしまった時には、今まで彼女が築きあげてきたものすべてを投げ捨てて彼のもとに駆けつけてしまっている。あとで上手いこと挽回して帳消しどころか自分の利益を確保しているあたりは、さすがエリカと言ったところですが、護堂のもとに駆けつけてきた時はそんな事頭になかったでしょうからね。
これほどの女性から、一生添い遂げる覚悟があると告げられて、痺れない男はいないでしょう。この時の護堂は、カンピオーネになったとはいえ、まだ成りたてで魔王の格なんてまだしっかりと持ちえていない段階。しかも、絶体絶命で自分の味方をしても損なだけ、という場面でしたしね。まあ、そういう彼我の状況と立場の軽重をわざわざ意識しなければならないような関係では、護堂とエリカはもうこの時点でなかったようですが。
実際、この二人は本当に良いコンビなんですよね。というよりも、護堂にとってエリカは既にかけがえのない存在、というべきか。あれほど絶対的で隔絶した強さを持つカンピオーネとなりながら、護堂にとってエリカが傍に居るのと居ないのとでは全然安定感が違うのだ。超越者は往々にして周りの追随を許さず付き従うものを添え者と化させ孤高を強いられるものだけれど、護堂に関してはむしろ独りでいるよりも、エリカが傍に居てこそ完成しているような雰囲気がある。なるほど、これは相棒であり伴侶である、としか言えない関係だ。エリカが、この人は自分が居ないとダメなのよ、というのもあながち自己アピールの一貫ではなく、客観的な一つの事実なのだろう。
しかし、一度自分の気持を素直に受け入れたあとの、エリカの積極性と情熱的なアプローチは、さすがはラテンの人である。二度目の教授の魔術シーンなんて、一度目とは全然雰囲気違ったもんなあ。あれほどエリカが我を失って恋に溺れ、官能と悦楽に浸ったのは、後の「少年」の権能を受けるまでなかったこと。まずもって理性をなくさないエリカが、素の感情をさらけ出して護堂に身を任せた本当に珍しい一例であり、それだけこの時のエリカが浮かれてた、と言うことなのでしょう。
可愛いじゃないですか。

肝心のバトルシーン。メルカルト神王との再戦と、因縁の間柄となるドニとの決闘が描かれるという、豪華二本立てなのだけれど、さすがにカンピオーネになったばかりで勝手がわからない新米の護堂さん。そりゃもう、死ぬわ死ぬわw
これほど短期間に雄羊の権能にこれだけお世話になったのは後々にも無いことで。それだけ危うい戦いだったんだよなあ。それでも死なずに、心も折れずに、カンピオーネとしての戦い方を身につけていく護堂さん。果たしてメキメキと魔王らしくなっていく、と見るべきかはたまた最初からこんなんだったんだよ、と見るべきか、なかなか難しい所である。
まあ、メルカルトは兎も角として、あのドニにこの時の護堂がよく勝てたよなあ。あれだけの死闘を繰り広げた直後に、普通に一緒に召し食ってるあたりに、護堂にしてもドニにしても、カンピオーネという存在が絶対的な強さによって成り立っているのではなく、その精神性、中身のハチャメチャさによってカンピオーネたるのだ、というのが如実ににじみ出ていたんではなかろうか。

これで護堂がカンピオーネになってからの一巻までのミッシングリンクはだいたい埋まったのかな。如何にしてあの自称平和主義者たる魔王・草薙護堂が形成され、エリカとの関係が築かれたのかが余すことなく描かれた過去編。どうやら後書きによると最初はこの前史については書く予定なかったようだけれど、読めて良かったですよ。ツンデレエリカという貴重な一品も見れましたね。
ついにアニメ化も決まりましたし、此方としては良き出来栄えを期待するばかり。やれば出来ると信じたい。あと、本編の続きもなるべく早く読みたいなあ(チラッチラッ

あと、さり気なくですけれど、序盤のほうでウルスラグナを神聖視する小さな魔術結社が使っていた魔術。ミトラの名前が出てましたね。ウルスラグナとの深い関係を考えるなら別段おかしくはないのですが、意味深ではある……。

シリーズ感想

覇道鋼鉄テッカイオー5   

覇道鋼鉄テッカイオー (集英社スーパーダッシュ文庫 は 6-1)

【覇道鋼鉄テッカイオー】 八針来夏/Bou スーパーダッシュ文庫

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第10回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞! 最強の童貞あらわる! 銀河を揺るがす武侠たちの大バトル!
心身を極限まで鍛え、兵器をも超えた力を持つ存在・武侠。
童貞のみが使える強力な武術『童子神功』を使うカザンは、ある時、相棒の美少女・ルゥランと共に海賊から一人の姫君を助ける。
しかし、同時に海賊の背後に控える恐るべき敵の存在を知ることとなる。
カザンたち『銀河武侠』の最大の敵対者『暗黒武侠』が姫君・アルフェミナを狙っていたのだ!
しかもその男・グントラムは、カザンとルゥランの人生を狂わせた原因ともいえる、宿縁の相手だった…!
銀河を揺るがす武侠たちの戦いが、いま始まる!
第10回SD小説新人賞大賞受賞作、堂々刊行!
おおおおおおおおおっ、ちょーー面白れぇ!!
銀河武侠ですよ、銀河武侠。宇宙を舞台とした武侠ものを目の当たりにする日が来るとは。ただでさえ武侠ものそのものが滅多とないのに、スペオペで武侠モノが読めるなんて、なんて幸せ! 星方武侠アウトロースター以来じゃないかしら。いや、純粋に「武侠」らしさでは此方のほうが一途に濃い。武門の繋がりや技や武術に対する精神性。秩序と混沌という正邪を背負った社会性。生真面目に破天荒をやらかす荒唐無稽なハチャメチャさ。意外とこの手のガチな武侠小説らしさを盛り込んだライトノベルってあんまりなかったんじゃないだろうか。思い出せる限りでは、虚淵さんの【鬼哭街】くらいしか咄嗟に思い浮かばないや。或いは、本場中国の金庸の作品とか。
お陰で、どこか古臭さを匂わす作風が逆に新鮮に感じてしまいましたよ。最高じゃね、これ?
童貞じゃないと力を発揮できないという強大な武術、という設定からして素晴らしく頭が悪いんだが、ちゃんと主人公に意地や見栄や拘り、或いは最強になりたいという求道者としてではなくこの武術を捨てられない理由があったのには感心させられた。極めてアホな設定であるのに、お陰ですこぶる主人公が格好良く見える要素になってるんですよね。彼のブレない一途さは非常に格好良くて、心揺さぶられる。
そりゃこんな男前相手じゃあ、ヒロインもメロメロだわー。
カザンとルゥランの関係は、もう完全に熱々の恋人同士。ヒロインのルゥランがまたエロエロでおちゃらけた天真爛漫な娘なんだが、この子はこの娘でカザンに一途で内側はピカピカの乙女なんですよ。ここまで可愛らしい子に全身全霊で愛されたら、そりゃ男の子だったら頑張っちゃうわ。ぶっちゃけ、童貞というだけでそれ以外は何も不自由してないんじゃないか、コヤツ。イチャイチャベタベタブチュブチュ、傍から見ててご馳走様としか言えないくらいにずっとラブラブだし。正式に交際初めてしまったら、たとえ死んでも我慢できねえ、絶対押し倒す。と息を荒らげながら宣うルゥランえろすぎですw
もうこの二人には割って入る余地が全く存在しないので、一応ヒロイン枠であるところのお姫様アルフェミナは殆どツッコミ担当という割り振りに。いや、これがなかなか切れ味の良い、というか独特のノリのツッコミで、お姫様生き生きとはっちゃけてたりするのですが。それにツッコミしかしてねえ、というわけではなく、ちゃんとお姫様らしく攫われたり、過酷な運命を前に甘えを廃して成長したり、と一人のキャラクターとして十分以上に動いてくれているので、これはこれでキャラ立ってるんだろうなあ。
一方で、敵キャラも単なる悪役ではなく、ルゥランの父親の仇でありルゥラン自身を蝕む厄災の原因であるという仇敵でありながら、思わぬ背景も明らかになり、単純な憎悪を以て相対する敵に当てはまらない複雑で奥行きのある関係へと発展していったので、わかりやすい勧善懲悪物から逸脱した味わい深い読み応えのある筋立てになってて、これは私の好みドストライクでした。
いやあもう、大賞取ったのも納得の素敵極まるエンタメ作品。とにかく痛快で愉快でびしっと一本芯の通った大宇宙活劇でございました。勿論、続編は期待してもいいんですよね!?
 
11月26日

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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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