徒然雑記

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ダッシュエックス文庫

黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~ ★★★☆   



【黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~】  妹尾 尻尾/石田 あきら ダッシュエックス文庫

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魔力値が限りなく0に近く【無能】と見なされているナインは、冒険者とは名ばかりの雑用を奴隷のように押しつけられていた。食事もまともに与えられない中、パーティのリーダーに難癖をつけられて父の形見の黒剣を勝手に売りさばかれ、唯一の家族である猫のエヌを足蹴にされたところでナインの我慢は限界に達する。「も う 辞 め ま す !」 宿を飛び出したナインは、大陸最強の魔術師――『閃紅』のダリアからスカウトを受けることに。ダリアは偶然見かけたナインの戦い振りから、彼の潜在能力を見抜いていたのだった! 【無能】とされた少年が活躍の場を見つけて成り上がる! 超速の異世界ファンタジーアクション!!

ナインくん、いい子だなあ。まだ幼いくらいの少年で、初々しく直向きで義理堅い。何より純真でだからこそ人には悪意があるという事実に疎くて、イイように搾取され利用されてしまうんですね。
下手に我慢強いものだから、自分だけが不当な扱いを受けていただけなら「恩」を受けていると思っている以上ずっと我慢し続けたんでしょうけれど、相棒の黒猫エヌが痛めつけられた事でようやく今まで所属していた、所属させられていたパーティーから抜け出すのでした。これだって、これ以上一緒に居たらエヌに何をされるかわからないからで、自分ごとじゃないんですよね。
こういう真っ直ぐで可愛げのある子だからこそ、真っ当に報われて欲しいと思うのは当然のことで、こういう今まで理不尽に扱われていたパーティーを抜けて新しいパーティーで大活躍、というストーリーの主人公として相応しいキャラクターでありました。
捨てる神あれば拾う神あり。いや、この場合捨てたのはナインくんの方になるのでしょうけれど、パーティーを飛び出した彼にすぐ声を掛けてきた「紅鷹」の三人がまた、気持ちの良い人達なんですよね。
年少のナインくんに対して三人とも一回り年上なのですけれど、ナインの実力を以前から見かけていてゾッコンだったダリアだけでなく、いきなりダリアが連れてきた何れともわからない少年に対して、残る二人のユージンとリンダもただ優しいというだけじゃない、大人や年上の気遣いや面倒見の良さを見せてくれて、実に良いお兄さんお姉さんしてくれるのである。
元々、やんちゃで無鉄砲なダリアに対しても二人はお兄さんお姉さん的に振る舞っている節があったので、かわいい弟分が出来たという感覚だったのかもしれないけれど。
実際、ナイン君のあの素直さはついつい猫可愛がりしたくなるものがありますからね。あれだけ素直に驚き、目をキラキラさせて頑張ってくれると何でもしてあげたくなっちゃうじゃないですか。
現実として、ナインの実力は大陸最強クラスの「紅鷹」の面々をして瞠目するばかりのもので、手放しで称賛すると逆にナインくんからも凄いです凄いですっと飛び跳ねるようにはしゃぐように称賛が帰ってくるのである。もうめっちゃかわいい年下の子である。そんな子に普段から可愛がってる妹分がぞっこんで一生懸命構っているのも見てしまったら、お姉ちゃんお兄ちゃんとしたらもうこの年下の子たち可愛くてしかたないですわ。ユージンとリンダの気持ちよくわかるわー。

面白かったのが戦闘シーンで、「紅鷹」に加入して速攻で対竜戦闘というとんでもないバトルイベントへと突入してしまうのですが、そのスケールが並のファンタジーとは一線を画してるんですよね。
ファンタジーの4人くらいのパーティーでの戦闘というとせいぜい数十メートルでのお互いが視界に入る範囲で連携しながら戦うというイメージですけれど、本作での対ドラゴン戦闘の場合だと転送や超高密度のバフによる高速移動などによって、数十キロ四方に展開して戦うのである。
それも、個別に勝手に戦うのではなく、これだけの距離に展開しながら相互に緊密に支援とフォロー、連携を行いながら、である。移動は殆どかっ飛ぶように縦横無尽に疾駆して、魔術や支援攻撃の類はキロ単位で的確に届き、あるいは広範囲に降り注ぐ。スケール感とスピード感が地べたの上を走り回るそれとは桁違いの高機動戦闘なのである。
此処まで来ると、もうファンタジーというよりSFアクションのスケールなんですよね。疾走感といい、ド迫力の攻防の数々といい映像になればどれほどの見栄えになるのか、というド派手さで実に痛快でした。
ここらへんは、作者の妹尾さんがかつて書いてた【ディヴィジョン・マニューバ 】とか【終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?】などのSFアクション作品の戦闘シーンを連想させてくれるものでしたね。これらの作品の戦闘イメージから着想を得ていたのでしょうか。
いずれにしても、ド迫力で読み応えあるバトルシーンでありました。

はっきり言って、このレベルの強さだとその辺の街のマフィア相手だと次元が違うどころじゃないなあ。監査役員の老人がまた意味不明レベルの武術の達人で、ポンポン人間横回転や縦回転で吹き飛ばしてパーンと破裂させて倒していくのはまた別種の痛快さがありましたけれど。

追放モノの王道として、有能極まるナインくんが抜けてしまったあと物凄い勢いで凋落していった元のパーティーがザマぁな結果になるのは当然なのですけれど、思いの外徹底してその末路が酷いありさまになっていたのは、まあご愁傷様でしたとしか……。それだけ酷いことをあのナインくんにしていたわけですし、因果応報因果応報。

ある意味、ナインくんとダリアたちの出会いのお話であり、世界観やキャラの紹介とも言える展開でありましたし、本格的にナイン君が加わった最強パーティ「紅鷹」のお話となるだろう次の巻はぜひ読んでみたいので、続き出て欲しいですねえ。
何やら、ナインくんには出自に謎があるみたいですし、相棒の黒猫エヌもただの猫じゃないみたいですし。





魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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再起を果たし、タラードとの戦いにも勝利したベルジュラック遊撃隊は、王都ニースに向かって進軍を開始した。
ティグルとミラ、リュディはレグナス王子の軍との合流をはかり、軍から一時的に離れる。
ファーロン王を捕らえて王宮を我がものとしたガヌロン公爵は、己の野望を押し進める一方、ティグルの故郷であるアルサスを焼き払うべく、軍を差し向けた。
悲壮な決意をもって戦うことを決意するウルスの前に、おもわぬ援軍が現れる。それは風を操るジスタートの戦姫だった。
バシュラル王子はレグナスを討ちとるべく動きだし、テナルディエ公爵もまた決断を下す。ブリューヌ王国を取り巻く状況が二転三転する中で、ティグルとミラは望む未来をつかむことができるのか。

ちょっとギネヴィア王女、自由すぎやしませんかね!? 前作・スピンオフを含めても、彼女ほど立場無視して好き勝手動いてた人、いなかったんじゃないだろうか。オルガだってあれ出奔じゃなくて武者修行という体がついてたはずですし。
こんな「乱入」としか言いようがない戦場横入りはなかなかないですよ。なんで此処にいるの!? と、彼女を知ってる人も知らない人も思ったでしょうねえ。この女、確実にロランをゲットして帰るつもりだ。
バシュラル王子は軍事的には常に圧倒していたにも関わらず、要所要所で邪魔が入りベルジュラック遊撃隊にもレグナス王子の本軍にも決定打を打てないままでいるうちに、情勢が変化していつの間にか劣勢に陥ってしまっていた、という振り返ってみると何でこうなった、というような展開なんですよね。
その要所を抑える形で援軍や後方撹乱やら、バシュラルを徹底的に邪魔したのがティグルだったわけだ。その僅かな差を押し切らないといけない時に押しきれなかったのは、バシュラルの限界だったのかもしれないけれど。彼には魔の手引はあったとしても、天分はなかったのだろう。天地人のうち、人がどうしても足らなかったんだなあ。タラードがいるだけでは足りなかったか。ガヌロンは協力者であっても潜在的には敵という認識は最後まで崩れなかった以上、バシュラルはずっと孤軍だったとも言えるし。それであれだけ大暴れできた、というだけでも彼としては本望なのかもしれないけれど。
彼の根源は、話を聞いた限りではやはり母への想いなんですよね。彼が傭兵になったのも、母を支え護るためだったという。その母が病で亡くなり、その直前戦場で戦士としては致命的な傷を負ってしまったバシュラルにとって、そこで人生は終わっていたはずだった。
それを運命の悪戯から命を繋ぎ、それどころか以前よりも増した力を手に入れてしまった。彼の中で燻っていた想いはなんだったのか。父親であるファーロンへの恨み、というほど父への執着はなかったように思う。でも、母との貧しい暮らし、病に倒れ相応の治療しか与えられなかった事への悔しさは、一介の傭兵ではなく王であったのなら母にもっと幸せを与えてやれたのではないか、という未練だったんじゃないだろうか。
でも、幼馴染から伝えられた母の末期の想いは、今のバシュラルの原動力だった野心の根源に、揺らぎを与えてしまった。果たして、母の願いを自分は無視してしまったのか。独り善がりだったのだろうか。
彼が自分の力を試し、やれるだけやってみたい、という真っ直ぐな我欲に殉じたのは間違いない。それでも、ロランやティグルと比べるとどうしても芯の強さに強弱があったように思える。彼の戦いは彼だけの戦いにすぎなかったわけだ。タラードはそれにこそ共鳴共感してたんだろうけど。
親孝行、できなかったんだなあ、彼は。

こうしてみると、主要登場人物の多くはまだ親が健在だったりするんですよね、本作。前作では既に亡くなっていたティグルの父やミラの母も健在で、リュディの父ベルジュラック公もレグナスの父であるファーロン王も子供達に未だ大きな影響を残している。
でも、なかなか親孝行って出来ない状況になってきてるんですよね。ガヌロンが、ファーロンを生かして人質にとっているのは彼の在り方からしてなんか不自然だなあ、とは思っていたのですが。人質なんてやり方に価値を見出しているような男ではなかっただけに。だから、何の目的でファーロン王を確保していたのかが明らかになった時は、深い納得がありました。いやガヌロンの目的は前回わかりましたけれど、方法がまさかそっちだとは思わんかった。
瀬尾さんの方が受肉した形で生き返ってたんで、普通に同じようなものかと思ってしまってた。

ちなみに、ザイアンもお父さんであるテナルディエ公が元気なんですけど、不思議とチマチマとポイント稼いで、親孝行してるんですよね、こいつw
あんまり出来が良くないと思ってた息子が、思いの外よく働くようになったのでちょっと期待するようになってしまった、ってそれなりに親としては嬉しいことなんじゃないだろうか。
でもザイアン、人間的に成長とか全然してないんですよね。いや、全然って事はないだろうけれど、あからさまに人間的に人格的に成長したという様子はなくて、相変わらず自分を大きく見せたがる見栄っ張りの人間の小ささ、小物っぽさは変わらないんですよね。
飛竜を駆って無双! という事もできず、結構ポカも多かったり締りがない結果になってしまったり、という事も多いのだけれど、わりといいところでそれなりに活躍するものだから、どうしても見直さざるを得ないという、どう扱えばいいんだこの男w
でも、憎めなさは際限ないことになってるので、このまま小物っぽいまま功績あげていって欲しいものです。

しかし、エレンとミリッツァまで介入してきて、いつの間にか戦姫みんなジスタートからこっちに来ちゃってるじゃないですか。戦姫、勢揃い! というには、なんかえらいなし崩しというか、いつの間にか集まってしまってた、という感じなのが若干微妙なのですがw
無事、リーザの記憶が戻ったのは良かったのですが、まさか右腕があんなところから出てくるとはw
記憶が戻ったおかげで、あの純真無垢な幼いピュアリーザがいなくなってしまったのは残念なのですが、そのあいだの記憶全部あるみたいですし……これはリーザ、いたたまれないよなあ、これ。
ただ戦姫勢揃いはしたものの、前作みたいにみんなティグルとイイ仲、という感じにはなってないんですよね。リーザもこれ、良い仲間にはなりましたけれどヒロインとしてはハズレちゃってますし。
その分、リュディがグイグイ来てるのとレギン王女が意外とかなりティグルにご執心なんですよね。まあレギン王女はちょっと後発すぎますけれど、リュディは現地嫁でもいいですよ、というスタンスなのでミラ一筋のティグルをして押し切られかねない勢いがあるんだよなあ。
最後のリュディにとって厳しい展開が、ティグルとの関係にどう影響してくるのか。

あと、ミリッツァはこの娘、クリティカルに出歯亀しすぎでしょうw 興味津々のお年頃とはいえ、覗きすぎ!
もうティグルもミラもこの娘には見られてても仕方ない、くらいの覚悟がないと先に進めないぞ。多分、どこでイタそうとしてもこの娘空間転移で現れて覗いてそうですしw



魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 7 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 7】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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ブリューヌ国王ファーロンに、庶子ながら王子として認められた若者バシュラル。
彼はひそかな野望を胸に、『黒騎士』ロランを罠にはめ、レグナス王子の抹殺を狙う。
レグナスの護衛を務める女騎士リュディエーヌは、幼馴染みでもあるティグルらの助力を得てベルジュラック遊撃隊を結成、バシュラルと戦うも敗北してしまう。
リュディエーヌを、そしてブリューヌ王国の危機を救うため、ティグルは父の親友であるマスハス=ローダント伯爵に助けを求める。
彼の力を借りて、ティグルたちは再起を計るのだが、そのころ王都ニースでは、バシュラルを操る黒幕であるガヌロン公爵が恐るべき行動に出ようとしていた。
混乱の渦に呑みこまれようとするブリューヌ。数々の困難をティグルは突破できるのか。

ガヌロン、ついに動く! なんかもうガヌロンが敵サイドの主人公、とばかりに掘り下げられてるんですよね。こうしてみると、彼に限らずこのシリーズって前作のエレンがメインヒロインだったシリーズでは描ききれなかったキャラクターに光を当ててるんですよね。
早々に退場してしまったロラン然り。テナルディエ公とザイアン然り。早々に人事不省に陥ってしまったブリューヌ国王ファーロンや、シリーズ始まった時にはすでに亡くなっていたティグルの父であるウルクやミラの母であるスヴェトラーナ。シリーズの終わりにようやく出てきた新任の戦姫ミリッツァ。ギネヴィアやタラートといったメンツにもスポットが当てられ、またリュディやバシュラルといったこのシリーズで初登場となるキャラクターもそれぞれメイン級のヒロインにロランに勝るとも劣らない戦士と、見事に存在感を知らしめている。
これで戦姫たちが目立たなかったら本末転倒だけれど、ちゃんと病に倒れているサーシャ以外は全員出張ってきているもんなあ。戦姫を引退したヴァレンティナまで、情報担当としてちょいちょいいい仕事してくれてますし。

しかし、ガヌロンが最初に仕えたブリューヌ王国初代のシャルルに深い思い入れがある事は前シリーズから語られていましたけれど、ここに来てその詳細が深く掘り下げられる事になったわけですけれど……ちょっとガヌロンさん初代のこと好きすぎじゃね? しかもちょっとツンデレ入っているし。
盲信してるとか忠誠心の塊、とかではなく、口ではシャルルと呼び捨てにしているし、あくまで対等、向こうがうるさいから仕えてやった、みたいな素振りのくせに、実際の様子を見たらめっちゃ一途なんですよ。最初から最後までシャルルの王道に付き合い、その戦いに寄り添い、仲間たちが死んでいく中で唯一最期を看取り、その後も公爵としてブリューヌに仕え続けてたのって、これ間違いなくシャルルへの忠誠ですよね。魔物を食らってしまって人ならざるモノになってしまった時、シャルルの下から離れようとした時に、お前は何も変わっていないじゃないか、と引き止められてその後もそばに居続けることにしたのって、もう完全に魅入られちゃってるじゃないですか。
ガヌロンって、あの他者に対する残虐さ非情さはもう人間としての心を喪っていると思うんですよね。元からそういう人間だったとは思えないんですよね。ガヌロンの記憶から伺えるシャルルの言動からして、今のガヌロンのような人を人とも思わない残酷さ、嗜虐性、殺戮は好まないし、恐怖で派閥の貴族や民を支配するやり方も必要以上にやりすぎていて、初代を支えた名軍師としてのガヌロンにはそぐわないように思える。
魔物を食らったことで、徐々に身も心も魔物のようになってしまった、というのならそれも理解できるのです。他の魔物たちは、ガヌロンの事を食らった魔物とイコールに見ている事からもガヌロンという人間に食らった魔物が侵食して染め上げていても不思議ではないなあ、と思うんですよね。
しかし、ガヌロンは自分が魔物であることを否定し続けている。他の魔物たちを敵視し、彼らには決して迎合しようとしないまま、ブリューヌの貴族としてシャルルの後裔を見守り続けてきたことは、ガヌロンのシャルルへの忠誠と友情、思い入れを伺わせてくれるのではないだろうか。
でも、彼の中では幾ら見守っていても、シャルルに匹敵するような偉大なる王はついぞ今まで現れなかったんですよね。自分が仕えるに足る王は現れなかった。その絶望が、さらに彼の魔物化を推し進めたのか。
それとも、心も魔物になってしまっていたから、どれほどの名君が現れても認められなかったのか。自分の中のシャルルに並ぶ、上回る存在を受け入れられなかったのか。
彼の中でどれほどシャルルが美化されて特別な存在になってしまったのかは定かではありませんけれど、果たして本来のシャルルとガヌロンのイメージの中のシャルルとでは一体どれほど乖離してしまったのか。
自分の記憶の中のシャルルに囚われたガヌロンは、ついに彼の後裔に再来が現れることを諦め、シャルル当人を蘇らせることを願ってしまう。その果てが、本当の絶望である可能性など微塵も考えず。
王都を支配しながら、決して玉座には座らず、その横に立ち続け主君の復活を待つ姿は、彼の挙兵が野心ではなく拗らせた忠誠と友情と……懐旧にあることを如実に示していて、どこか切なく虚しく哀れに見える。
だが、いずれにしてもガヌロンの挙はただでさえ庶子バシュラル王子とレグナス王子の対立によって内乱状態に陥りかけていたブリューヌを一気に争乱へと向かわせるのであった。

ここで、ブリューヌ国内の各勢力が一気に動き出して、王都を目指して参集しはじめるのは情勢が加速し集束していく怒涛の勢いを感じられて、ワクワクしてくる。
それも敵と味方の簡単な二勢力ではなく、リュディとティグルとミラたち戦姫が集うベルジュラック遊撃隊に、ロランが合流したレグルス王子の軍勢。待ちの姿勢を覆して積極的に動き出したテナルディエ公の軍勢、ガヌロン一派でありながらガヌロンの思惑とはまた別の独自の考えを持って動いているバシュラル王子とタラートの軍。そしてついに動き出すエレン率いるライトメリッツ公国軍に、聖剣片手に一人乗り込んでこようとしているギネヴィア女王。いや、最後のギネヴィアさんはちょっと冒険しすぎやしませんか!? こっちには側近のリネット居ないのか、先回りして捕まえる人いなかったのか!? 意中のロラン卿をゲットするため、という目的もなかなか酷いと思うのですけどw

リーザは引き続き記憶喪失のままなのですが、精神が子供帰りしたリーザの純真無垢さが眩しい!
これでティグルにべったりだったらアレなのですけど、ティグルは遊撃隊での仕事が忙しいのも相まってあんまり関わりなくて、主に面倒を見ているソフィーヤとどんどん百合百合しくなっていくのはなんともはや。おかげでソフィーヤもティグルにちょっかいかけてる暇なくなったもんなあ。
リーザの右腕が切り落とされてしまった件は、これで戦姫としてもう戦力外になるのかと思っていたら、そこまで軟弱じゃなかったか。というか、利き腕落とされてしまったにも関わらずリーザを見捨てない操雷の鞭「ヴァリツァイフ」、根っこはワンコなんだろうか、こいつ。








魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4 ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4】  瀬尾 つかさ/ 八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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アスヴァールの地に現れた新たな魔物ストリゴイ。
サーシャの助力もあり、ティグルとリムはからくも魔物を撃退したものの、滅ぼすまでには至らなかった。
そして、逃げ延びたストリゴイはティグルらギネヴィア軍と、魔物の殲滅に全力を注ぐアルトリウス軍を最大の障害と認識し、新たな影法師の大軍をそろえてアスヴァールを襲う。
ストリゴイと魔物の脅威を目の当たりにしたギネヴィアらは、アルトリウス軍との休戦と一時的な同盟の締結を模索するのだが――。
アスヴァールを取り巻く争乱の嵐は、おもわぬ方向へ吹き荒れる。
兎にも角にもラストの衝撃的な展開に触れざるを得まいてや。
まさに目の覚めるような横っ面をぶん殴るような展開で、別に弛緩していたわけじゃないと思うのだけれど、それでも冷や水を浴びせたような心地でありました。
いきなり初手から取り返しのつかない最悪、ではないのでしょうけれど、しかしじゃあ取り返しがつくのか?と言われると、やっぱりこれ最後の一線を越えてしまっていて取り返しつかないんじゃあ、という可能性も非常に高いんですよね。
サーシャの例を見るに決して自由意志が存在しないわけじゃないんだろうけれど、それでも彼女は明確にアルトリウス陣営の将として働いているわけですし、何より紛うことなく彼女は一度死んでいる。
円卓の他の騎士たちも含めて彼らの肉体、在り方が今、一体どのような状態なのか。それについても謎が深まるばかりで実態は見えてきていないだけに、安心できる要素は何もないんだよなあ。

ともあれ、一度逃げ延びたストリゴイはその能力で大量の影法師を生み出し、アスヴァール島の各所にそれを解き放って無差別に都市部村落を襲わせるという挙に出る。
さながらバイオハザードのごとくである。大量の人形をした怪物たちが押し寄せてくる、って銃火器の存在しない中世世界では悪夢に等しいんじゃないだろうか。
竜具やティグルの持つ弓などの宝具は存在するけれど、魔法使いが兵科として存在して軍隊に組み込まれている、というような異世界ではありませんからね。兵士や騎士の戦い方はあくまで槍と盾と弓ベースなわけですし。
強大な怪物、魔物が個別に現れて暴れる、という状況ならばティグルや戦姫のような特別な戦闘力を持つ戦士が討って出たら対処できるのでしょうけれど、影法師のような通常の人間よりも怪力という程度の怪物でもこんな風に大量発生して各地に波のように押し寄せてくる、みたいな状況になるとどうしても普通の人間の軍隊によって対応しないといけなくなる。
そんな状況下で、アルトリウス軍にしてもギネヴィア軍にしても、それぞれ独自に対影法師戦術を通常の軍隊として確立していくのは面白かったなあ。
ギネヴィアサイドは、ギネヴィアが姫鍛冶師!みたいなやっつけ仕事だけど竜の鱗を加工して影法師に通じる特殊な槍の穂先を作っていく、という特殊な対応はありましたけれど、武器は特別性にするにしても戦い方はあくまで集団戦術なんですよね。
人間のように意識らしい意識がないが故に士気崩壊しないものの、考えて動くことができないゾンビみたいな存在に対して、人間の軍隊と戦うようなやり方は通用しない、というのを実際に戦い被害にあうことで体得しながら、必死にそれに対応した戦い方を構築していく、というのは戦記物の醍醐味があってよかったです。
また、ここでティグルが指揮官となる騎兵隊の活躍も目立つんですよね。自分ひとりで弓打ってりゃいい立場と違い、騎士たちを従え指揮して戦わなければならないという経験はティグルにとって新しい見地となっていくのである。幸いにして、竜殺しの名望のおかげで騎士たちの忠誠心はマックスなので言う事を聞いてくれない、という事はないのですが。かといって何でも言う通りしたがってくれるのかと言えばそうではなく、ちゃんと副官相当の騎士が苦言を呈してくれるんですよね。何かと一人で飛び出してしまいガチになるティグルにとっては、自分に全幅の信頼を寄せてくれながら一方で言うべき事はちゃんと言ってくれる相手というのは大変ありがたい存在なのですが。
これまではリムがべったりとその立ち位置にいましたけれど、今回は騎兵遊撃隊の次席指揮官として別働隊を率いて動くことも多かったですし、一緒にいればいたで前以上にこう、男女としてのべったりとした雰囲気が出てしまうようになってきただけに、なかなか今まで通りとはいきませんでしたからね。
しかし騎兵は騎兵で独自の対影法師戦術を編み出していくのも面白かったです。ティグル、妖精から力を分けてもらったおかげで他のシリーズよりも容易に弓の力を引き出して使えるようになっているので、もう弓兵というよりこれ砲兵じゃない? という戦いっぷりで、もうこれ砲撃じゃね? という勢いで爆裂する弓を打ちまくってましたね。
その爆撃で影法師の集団を乱したところに、騎兵によるランスチャージを突っ込ませて敵の戦力をこそぎ取っていく。常に騎兵の衝撃力を失わせないようにしながら、突撃と離脱を繰り返す戦いっぷりはまさに騎兵という感じでしたねえ。

対ストリゴイ戦も、円卓の騎士ガラハッドとボールスと再び共闘することが出来ましたが、こうしてみるとアルトリウスと円卓の騎士たちは未だ主従ではあっても、円卓の騎士たちかなり独自に動いているんですよね。
過去の円卓の騎士たちはあくまで魔物を倒すために動いている、と見るべきなのか。そうなると、ガラハッド卿がどう動くのかわからないんですよね。今更、アルトリウス陣営に寄ってティグルたちと対立する図があまり思い浮かばない。
さても衝撃的な展開で、アルトリウスとの対決は絶対に避けられないものになってしまいましたけれど、果たしてどういった決着を迎えるのか。救いはあって欲しいけれど。


カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ 2 ★★★☆  



【カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ 2】  丈月城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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英雄界ヒューペルボレアの異常事態に立ち上がった勇者・物部雪希乃。
彼女はその異常の原因であり、英雄界で勢力を伸ばしつつある「神殺し」たちを討伐する旅を決意する。

雪希乃は六波羅蓮、鳥羽梨於奈を旅の伴にし、「神殺し」を探す中で、海賊に襲われている国に辿り着く。
海賊退治をした雪希乃たちは、その海賊が「神殺し」のひとり、羅翠蓮の手下だと知る。
罪なき民を苦しめる羅翠蓮を討伐するため、3人は海賊の本拠地へと乗り込む…。
そこで待ち受ける試練は想像を絶するものであった。

時を同じくして、英雄界は各地で不穏な動きが出ていた。
邪教カルト「反運命の教団」、裏社会を統べる組織「影追いの森」、英雄界の交通を牛耳る「旅人のギルド」…。
強大な組織同士の勢力争いの火種がくすぶり始める。

「神殺し」たちの力と覇権を懸けたバトルロワイヤルと、「神殺し」討伐に命を懸ける勇者の運命が交錯する!!

犬猿雉をお供に引き連れ、いざゆけ桃太郎の鬼退治。てな具合に、物部雪希乃が六波羅蓮、鳥羽梨於奈、あとステラを引き連れて世直しの旅よろしく剣をぶんぶん振り回して各地を収める神殺したちに挑んで回る、というのはなんというか、ドン・キホーテ的な滑稽さもあるけれど子供のヤンチャのような微笑ましさもあり、みたいな感じでなんともはや。
雪希乃の師匠であるラーマが桃太郎を名乗っていたのって、雪希乃のこうした世直し旅を暗示していたのでしょうか。それにしては、お供のはずの六波羅蓮が爆弾すぎるのですけれど。
雪希乃は世間知らずの迂闊者で、そこに粗忽乱雑短絡的と三拍子揃えた上にポンコツで未熟者、と剣腕こそ秀でているものの、カンピオーネと戦うにはあまりにも足りない娘さんなんですよね。魔王殲滅の運命を課せられた救世の勇者を名乗るには、あまりにもあまりにも未熟すぎる。
本物の神殺しとの格の違いを知らしめるには、護堂さんみたいなよくわからないけど意味不明に強い、という相手よりも翠蓮姐さんのように誰がどう見てもわけわからんくらいちゃんと強い、という正統派の相手の方が彼我の力量の差というのが明確に伝わるのでしょう。あれで翠蓮姐さんは理不尽だけど師匠として一定のルールを持っている人なので、ちゃんと相手してくれる人でもありますし。
これがヴォバン狼侯なんかだと適当に踏み躙って潰してしまうでしょうからね。ドニはドニで興が乗ってざくざく斬っちゃうかもしれないし。
ただ、なるほど雪希乃の資質が救世の勇者というよりもカンピオーネ寄りにあるとしたら、このあっけらかんとした雑な性格も相まって確かに、そう簡単に死なないし心も折れないしメゲないし闘争心も失いそうにないように見えてくる。
梨於奈ともいいコンビですし、まだまだ半端者で梨於奈と組んででないと抗し得なかったとはいえ、翠蓮姐さんを封じてみせたのは大金星でありました。まあこの女仙、封じられているという体でもひょいひょいと封じられたまま出てきちゃうんですけど。
そんな雪希乃の世直し旅ですけれど、どう考えても獅子身中の虫が傍にいるわけで。
純真な世間知らずの娘さんが、チャラ男の軽薄な態度に呆れ忌避しながらもその馴れ馴れしさにちょっとずつ慣れてきてしまった上に段々とちょっといいな、なんて思う場面がちらほらと出てきてしまって徐々に惹かれ出しているという様子は、完全に悪い男に無垢な少女が騙されて食い物にされそうな構図です。なんか微妙に背徳感が漂ってきたぞw

さて、英雄界に新たに乗り込んできたカンピオーネがまたひとり。黒王子アレクサンドルも見た目若いけどもう壮年か。ともすれば、神の正体の解体を剣をする能力を持つ護堂よりも、神話や神そのものの謎や秘密を解き明かすことを得意として趣味にしている探索者アレクが、この英雄界の混沌としながら何らかの意図が感じられる情勢を見て、探らないはずがなく。
今回はアレクが謎解きおじさんとなって英雄界を駆け巡って現状を紐解いていくぞ!
いや、おじさん扱いは本気で怒られるかもしれないけれど、彼も若い頃に比べると丸くなった、というのとは少し違うかもしれないけれど結構性格も練れてきた感もあるんですよね。青年時代はもっと刺々しくて対人対応ももっとザクザク斬るような感じがあったぞ。そもそも、護堂と顔を合わせて普通に雑談できる時点で、落ち着いたと言ってもいいんじゃなかろうか。
そう言えばアレクって、プリンセスアリスとはどうなったんだろうか。
ともあれ、アレクが追って見出した護堂の足跡と、そこから見出した半運命の気運によって魔王殲滅の盟約の大法が弱まっているという考察には瞠目させられた。これだけ神殺しが揃っているにも関わらず、雪希乃がさっぱりパワーアップしないのは彼女が未熟なだけが理由じゃなかったのか。なるほど。間近にひとりカンピオーネが侍っているにも関わらず、あの反応ですからね。
逆にそういう世界だからこそ、勇者というよりもカンピオーネとしての性質を持つ雪希乃が選ばれた、という鷹化くんの考察も面白く、やはり彼女が今後も騒動の中心になっていくのか。
あと、久々にエリカが登場。いやあ、大人になった彼女の美人なこと美人なこと。その上、ここで生き別れになった子供たちと再会していたのか。珍しくアレクが仰天する姿を見られたのは貴重でした。あんなあからさまに驚くキャラじゃないのに、まじでびっくりしてたもんな。


進路希望調査に『主夫希望』と書いたら、担任のバツイチ子持ち教師に拾われた件 ★★★  



【進路希望調査に『主夫希望』と書いたら、担任のバツイチ子持ち教師に拾われた件】  yui/サウスのサウス/なたーしゃ ダッシュエックス文庫

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高校三年の春、進路希望調査に『主夫』と書いて提出した少年、巽健斗。
そんな健斗に対して担任の美人教師、黒羽遥香(バツイチ子持ち)は「なら、私の旦那になりな」と笑顔で告げた。
こうして秘密の交際がスタートし、四才になる遥香の娘の千鶴を交えて、不器用ながらも心を通わせて親しくなっていく。
千鶴の保育園のお迎えや3人一緒での晩ご飯。休日には遊園地や観光名所への出掛け。
家事万能で面倒見のいい健斗と私生活がズボラな遥香の相性は抜群で、2人はやがて本当の家族になる未来を意識して――。
進路希望調査からはじまる年の差ハートフルストーリー!

進路面談で主夫になりたい、と譲らぬ想いを告げたら担任の美人教師に、じゃあお前、私の旦那になれ、と男前にプロポーズされてしまった主人公健人。
……ヘッドハンティング? 青田買い? 先生、それは職権乱用? 許されざるよ。
いや男前なカッコいい女の人に、お前を貰ってやるとか言われるの男心の中の乙女な部分にキュンキュンきてしまうかもしれませんけれど。
この時点で二人共、別にお互いの事好きというわけじゃないんですよね。担任とは言っても普段から個人的な付き合いがあったわけでもなさそうですし。先生の方は三年間進路志望に主夫と書き続ける健人に興味をいだいていたようですけれど。
最初はお互いに下心ありだったんじゃないでしょうか。ちゃんとした子育てに限界を感じていた先生と、取り敢えず卒業後の進路として主夫業を執り行う相手を欲していた健人と。まあそこで感情の伴わない契約的な関係を結ぼう、というのならそれはそれで導入としては違和感のないものだったのでしょうけれど、先生も健人もその辺事務的にならず、でも結婚するということに対して躊躇も壁も感じている様子もなく、なんか凄く「何となく」ではじめてしまったので、いいのかそれ、と思ってしまうところでもありました。
これは後半になってわかってくるのですけれど、先生も健人も実際はかなり重たい人間なんですよね。少なくともそういう設定のはずなんだけれど、それぞれ結婚、家族を作るという事に対して相当な想いを抱いているわりに、最初恐ろしく軽々にはじめてしまったなあ、と。心理的なハードルとかまったく見当たらなかったもんなあ。
ともあれ、最初の浮薄にすら見える始め方はともかくとして、それ以降は順調に親交を深めていき、お互いの事を知っていくのでありました。
小さいお子さん連れの片親との恋愛は、むしろその子供との仲を深めていくことが親の側との恋愛を進めていくよりも肝心、というのは定番でしょう。その親御さんが子供の事を何よりも大事に思っているなら尚更に。その子供に慕われていくことが親の方の好感度を高め信頼を深めていく事になりますからね。
というわけで、序盤はむしろ先生の子供である4歳の千鶴ちゃんと仲良くなっていく事の方に重点が置かれることになる。過去になんらかのトラウマがあるのか、男の人を極度に怖がる人見知りのちーちゃんこと千鶴ちゃん。そんな彼女に変に媚を売ること無く無理に距離を詰めようともせず、好きなご飯やデザートを作ってあげたり、一緒に好きなテレビ番組を見ることで自然に仲良くなっていく健人。その姿に、どんどんキュンキュンしだす先生。子供ばかりにかまけず、ちゃんと自分の相手もしてくれることで、性格はどストライクだし物件としては優良この上なく大当たり引いたんじゃ、とウハウハしはじめる先生。おめでとうございます。
健人の方も家事全般はダメダメだけれど、常に男前でなおかつ男心を擽る感じで上から甘えさせてくれる先生に、しっとりと本気になっていくわけで。
まあお互いに好きになってく展開としては、穏やかながら順当でありましたね。
でも、なんで健人がそんな主夫に拘っているのか、本人説明してくれていましたけれど、「?」という感じでその理屈がよくわかりませんでした。いや、母を亡くしたことをきっかけに家族を守りたいと思うようになったのはいいんですけど、主夫に拘る理由は? 
それに彼が自責している件についても、何をそんな自分を責めているのかさっぱりわからないんですよね。なんで嘘をついていることになるんだ? ちょっと自分の読解力では彼の理屈がよくわかりませんでした。先生、わかったんですか、それ?
取り敢えず、弱い部分を見せてくれた事に満足していただけのような。
一方で先生の抱えていた方の重い過去ですけれど……いや、それは真面目に間違いだったんじゃないですか? 介護関係の問題は周りと連携して助けを求めながらやらないと破綻し家族崩壊に繋がってしまう、という昨今では良く取り上げられるようになった社会問題の一つであります。相手が老親ではないのですけれど、先生どうも一人抱えしてしまったみたいで結局破滅的な結末を迎えてしまってるように見えるんですよね。
健人、あの場面では先生のこと全肯定して彼女の心を慰めるのは、二人の関係を進める上では正解だったとは思います。あそこで、否定してしまうとちょっと先生の心にトドメさしかねない場面でもありましたし。ただ先生の気持ちは間違いじゃなかったとしても、行動としては間違いだったことは結果が示しているので、この辺の意識をちゃんと後々修正していかないと、同じことを繰り返してしまってはいけませんからね。
さすがに先生もわかっているでしょうけれど、貴女は間違っていない! と言われて、そうか間違っていなかったのか! となってしまうと悲劇再びになりかねないので、ほんと健人はそのあたりちゃんと話し合っていかないとダメだと思うんだけど、大丈夫だろうか。
わりと健人も、意識の問題は先送りにしがちにしているようにも見えるので。父親と弟の不仲の方も、困った困ったと言ってるだけで特に解決に動いている様子はないですしね。あれは時間が解決すると思っているのだろうか。なんか無理っぽいのだけれど。
あと、なんで母の死のショックから逃げるためにお父さん女装趣味に走ったんだろう。このあたりもあんまり突き詰められて無くて、そうなってるという事実だけ見せられているので、よくわからん。
という感じで、重いテーマを扱っているのだけれどその部分に対してはあんまり突き詰めて掘り下げることなく、ふわっと乗り越えちゃっているので、全体的に最初にしても終盤にしても、山となる部分は何となく雰囲気で流して通り過ぎているような感じが……。
あんまり深く考えずに、それこそフワッとお話を眺めていればいい、という作品だったんでしょうかね。ふむ。

魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ギネヴィア軍の先遣隊は偽アルトリウス派の支配する町を攻め落としたが、円卓の騎士サーシャの率いる部隊の反撃に遭って敗れ、町を奪還されてしまった。
両軍が睨みあいに入る中、ティグルとリムはアルトリウスに対抗する術を求めて、古い時代の神殿を訪れる。猫の妖精ケットの導きによって、二人は過ぎ去りし時代の一風景を垣間見た。
アスヴァール島を統一すべく、王を名のって戦い続ける若きアルトリウス、彼を支える勇敢な騎士たち、アルトリウスを愛する少女ギネヴィアの姿を。そして、アルトリウスの腰には二振りの剣――双紋剣があった。
歴史に語られることのない存在が、悪意をもってアスヴァール島を呑みこもうとする。ティグルとリムは抗うことができるか。

打ち捨てられた古代神殿の遺跡を訪れると、アルトリウスの時代の情景がティグルがアルトリウスに、リムがギネヴィアに憑依する形で追想することが出来るので、アルトリウスの情報を得るために一路古代遺跡を調べる旅に、とさながらRPGの王道クエストのような展開に。
これ、あとでギネヴィア王女ゴネるんじゃないですか。円卓マニアの彼女からしたら、垂涎のフィールドワークじゃないですか。なんで連れてってくれなかったんだ、とめがっさ拗ねそう。
まあ過去追想では、アルトリウスの奥方になる少女ギネヴィアが引っ切り無しに登場するのでギネヴィア・ギネヴィアで混乱してしまう、という事情もあるのでしょうけれど。過去追想ではリムがギネヴィアに入り込んでしまうわけですから、ギネヴィアが二人いるとさらにコントンとなってしまいますし。
というわけで、伝説の向こう側のアルトリウスの真実の歴史を追いかけることに。そこでは、アルトリウスが元々羊飼いの出身だったり、王妃ギネヴィアと湖の騎士ランスロットの関係の真実が明らかになっていくのだけれど……こっちのランスロットもなんかこう最強の騎士ではあるんだけれど、残念系の人だったんだなあ。ただ、ギネヴィアとランスロットがそういう間柄だったというのなら、彼がギネヴィアに執着するのも無理からぬ所なんですよね。
あと、驚きだったのが現在リムに託されている双紋剣、前の使用者はアルトリウスだったのか。
円卓騎士団の王様の剣と言えばかの聖剣が一番有名なわけですし、実際この世界でもそのように語られていたはずなのですが。リムもえらい剣を預けられたもんだ。
しかし、せっかく憑依して当時を追体験しているのに、弓使いのティグルがアルトリウスに成っていたら、双紋剣の使い方とか体感してもあんまり意味ないんですよね。リムが体験しないと。
濡れ場ばっかり体験しちゃってまあ。挿絵の方、完全に致しちゃってるんですけどw

ともあれ、情報を集めるうちにまたぞろ魔物と遭遇して、サーシャと共闘することになったのだけれど。やはりサーシャとは、敵として戦うよりも味方として一緒に戦ってくれた方が嬉しいなあ。前作の方では病気故に万全で戦えること無く終わってしまった彼女の、その戦姫最強の力を実感するのは敵よりも味方の方がいいですもんね。
元々、リムとも知己であり友人関係と言っていい間柄だった訳で、現状立場的に対立しているとはいえ心情的には恨み辛みがあるわけじゃないですしねえ。
ただこれ、魔物相手、悪い精霊相手では共闘出来るというのは、サーシャでなければ出来なかった、とはイイ難いんですよね。そもそも、復活したアルトリウスたち円卓の騎士の大きな目的が魔物の討伐にある、というのは彼らも明示している事ですからね。
ただ彼ら側の事情が明らかになってきても、どうしてアルトリウスが現王家をここまで敵視して軍勢を挙げて国を乗っ取るまでしようとしているのかが未だにわからないんですよね。他の復活した円卓の騎士たちは魔物の討伐が第一目的みたいなんだけれど、アルトリウスの行動だけが妙に浮いているんだよなあ。
でも今回のサーシャへの命令なんかを見ても、その背後に悪しき精霊であるマーリンのかげがあるようには見えない。マーリンがいったいどこまで関与しているのか。サーシャに直接干渉してきたのは凶悪ではあるんだけれど、黒幕として背後で万事を操っているのならここで無理に顔だしてくる必要もないと思うんですよね。あれはあれで結構強引だったと思うし、アルトリウスはこうしてみるとマーリンと通じているとも言い難いわけで。
ともあれ、表の敵はアルトリウス、暗躍しているのはマーリンというので間違いなさそう。少なくとも戦うべき敵の姿は浮き彫りになってきたか。
でも、魔物もいるんだよなあ。あれはあれで、精霊たちとはまた別口っぽいし。あれらは大陸由来っぽいしなあ。そのためか、精霊から託された双紋剣は邪精霊や死霊特攻で、ティグルの弓やサーシャの竜具は魔物特攻という特性の違いが。
あ、あの双紋剣の特殊合体ギミックは正直アガった。ああいうの、やっぱりカッコいいじゃないですかー。

あと、猫の王様お魚食べすぎ問題。子猫の姿のくせに、ちょっと要求が欲張りすぎである。いっぺんに三匹とか食べてないだろうな。太るぞ、精霊だろうと。
とはいえ、かわいい。生意気尊大にゃんこかわいい……。



魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 6 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 6】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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ブリューヌ王国に激震が走った。自らを王の落胤であると名のる青年が現れたのだ。彼の名はバシュラル。厳重な調査の末にバシュラルは認められ、正式に王子となった。
そして、大貴族であるガヌロン公爵が彼の後見役となった。
ガヌロンの支援を得たバシュラルは各地を転戦して武勲を重ね、諸侯の支持を得ていく。ごくわずかな期間で、彼は次代のブリューヌ王となるレグナス王子に対抗しうる存在となった。
冬の終わりのある日、バシュラルはついにある行動を起こす。だが、そこに計算外の要素が現れた。
黒騎士ロランの守るナヴァール城砦から火の手があがったという知らせを聞いて急ぎ駆けつけたティグルとミラたち、そしてレグナス王子の腹心のひとりリュディエーヌである。
リュディエーヌと出会ったティグルは、ブリューヌの歴史を大きく変えるであろう出来事に自ら関わっていく。
人気シリーズ、急展開の第6弾。

セカンド幼馴染きたーー! あ、いや、ファースト幼馴染はティッタだから、サード幼馴染になるのか。
というわけで、サイドテールが眩しい公爵令嬢騎士リュディエーヌ・ベルジュラックの参戦である。前シリーズでは登場しなかった完全新キャラ。サイドテールと書いたけれど、これ結構複雑な結い方した髪型だぞ?
なんか既視感あるなー、と思いながら見ていたキャラデザインなのだけれど、そうか、リリカルなのはのヴィヴィオに似てるのか。スッキリした。
いやこの期に及んで新キャラ、しかも幼馴染って、と思ったけれどこれが遅れてきた最終兵器の様相を呈する強キャラでした。幼馴染と言っても、ずっと一緒に居たタイプじゃなくて毎年ある季節に遊びに来ていた来訪型なんですが、ティグルと一緒に山の中を駆け回っていたという意味ではミラと負けず劣らずで、色んな意味でミラの最大のライバル出現、なんですよね。
何よりキャラクターがいい。性格は明るく活発で前向き。ちょっとドジっ子な所もあるのは愛嬌で、
気性は素直で女の粘っこい所が全然ないんですよね。同性相手にも嫌味がなくて、ミラに対しても無邪気なくらい当たりが良くて、裏表がないものだから、ティグルに幼馴染全開で身近に親しく接するリュディにミラもモヤモヤするものの、どうしても敵意や対抗心を持てないという感じになってしまってるんですね。
戦士としての技量も相当のもので、竜具やそれに匹敵する伝説の武器こそ持たないものの技量に関してはミラも自分と同等以上、エレンと比べても引けは取らないのでは、と評価する強者で、女性キャラとしては最強格なんですよね。だから、ミラも同じ女性の身の上で自身を鍛え上げたリュディを騎士としてこの上なく認めている。おまけに自分の紅茶の趣味でも結構話が合って話題も尽きないし、ティグルとの距離感の近さもミラに見せつけようとするものではなくて、二人の世界を作らず自然にミラの方へも距離感詰めてきて気の置けない様子で接してくるのである。それも気を遣ってとか気を回してみたいな意識的なものではないんですよね。
ミラって、オルガにも入れ込んでたようにこういう純真で直向きで悪意とかまったくないタイプって弱いですよね。ミラ自身面倒見が良いタイプというのもあるんだろうけど。
リュディの方はこうしてみると、人間関係引っ掻き回しているようで、ミラがあれだけティグルと眼の前でイチャつかれているにも関わらず絆されてしまっているように、これ誰とでも仲良くなれるっぽいタイプなんですよね。グイグイと懐に飛び込んで、自分とだけじゃなくて周り同士を繋いでしまうような。何気にハーレムなんかだとヒロインたちのまとめ役みたいになりそうなポディションだぞ。
この物語においても、リュディってこうしてみるとティグルとあらゆる意味で相性ピッタリなんですよね。山に放つと帰ってこないティグルと一緒に山野を駆け回れる活動派だし、お姉さん風吹かせつつドジっ子要素でティグルも目を離せずにいてしまうタイプでお互い変に気を使わずそのままで過ごせる距離感ですし、同じブリューヌ国民であり、公爵令嬢として嫁にすればティグルの国内での躍進に寄与する立ち位置ですし。彼女の実家であるベルジュラック家というのはちょっと特殊な立ち位置の公爵家で、血を取り込むことに積極的であまり身分差とかはこだわらない所らしいんで、ヴォルン伯家でも結婚相手としては何の問題もないようなんですよね。
他国の貴人として、ティグルとは身分差だけではなく国の違いというものが大きく横たわっているミラとは、ハードルが全然違ってくるんだな、これが。ティグルが国を捨てずにブリューヌの貴族として生きていくなら、リュディエーヌこそが最上のパートナー足り得るわけで。
ミラとしては、リュディエーヌの登場はかなりショックなことだったんですね。
今回のブリューヌの内乱で自分がブリューヌの人間であることを強く意識しだしたティグル。これまで他国をめぐり、そこで自分の国を立て直そうという人たちと一緒に戦ってきた事も大きいのでしょう。外国で過ごすことで、自分の出自や故国をより強く意識するようになるケースはよくあるようですが、ティグルも今改めて自分の国について自分がよく見ようとしてこなかった事に気づき、自分がアルサスという自分の故郷だけではなく、ブリューヌという国自体に帰属意識を持っていることを自覚しだしているのである。
ミラと結ばれるため、という最大目標の他に、この故国ブリューヌという国を自分の手で変えていく、という事をこの内乱とリュディエーヌの誘いをきっかけに考え始めるんですね。
それは、ミラにとってある種のパラダイムシフトでもあったわけだ。これまではティグルが自分を射止めるために、武功を上げて立場を獲得して自分のいる所まで駆け上がってくるのを、期待して手助けして待ちわびていたのだけれど、リュディエーヌは公爵令嬢というティグルよりも立場が上の人間であるのだけれど、待つのではなく彼の隣に自分が駆け寄ることに躊躇する事がないのを知って、自分が彼の隣に立とうと自分から動こうとした事がないこと。今回ティグルが他国との内通を疑われたように、自分と仲良くすることによってティグルが被るデメリットがあったように、リュディと違って自分が彼に与えてあげられるものが、どれほどあるのか、という疑念。
こういう形でミラがティグルと自分の将来について、不安と心もとなさを抱いたのは初めてだったんじゃないだろうか。それは、ティグルがいずれ自分に矢を届かせてくれるという信頼と期待と愛情とは関係ない、ミラが自分自身に抱いたティグルと結ばれるに足る資質と資格への疑念だったわけですから。
即座に解消、とまでは行かないもののミラの憂いを晴らしてみせるあたりが、さすがティグル、といった所なのですけれど、今回のことはミラにとってもティグルとの関係を進める上で意識を変えるものがあったんじゃないでしょうか。
ティグルは、ミラに一途なんですけどねえ。

さて、今回のブリューヌの内乱には新たに庶子として王族にたったバシュラル王子という新キャラの登場があったのですが、ガヌロンを後ろ盾に表舞台に立った、という時点でこいつ傀儡かそれとも魔物の擬態か? と一旦は疑ったのですけれど、どうやら純粋な人間であり本当に王子であり、ガヌロンとは利用し合う関係以上のものではなく、彼個人としてはガヌロンのヤバい部分には気づいていて、いずれ袂を分かつつもりはあるようなんですよね。
それ以上に、元傭兵であり彼個人がロラン級の戦士というのが何ともはや。いやいや、ロランと互角以上ってこの世界で実質最強格ってことじゃないですかー。ミラたち戦姫よりも確実に上、複数人掛かりでも勝てず、って魔物じゃない人間相手だと初めてなんじゃなかろうか。
おまけに、アスヴァールから流れてきたタラードが仕官していて、弓の腕ではティグルに匹敵する上に指揮官としても最上級のこの男がロラン級の戦士にして指揮官であるバシュラル王子と組んでいる、ってちょっとヤバくないですか?
実際、ティグルはミラとリュディエーヌと共に戦って、最初は何とか逃亡。諸侯や騎士団をリュディが糾合して軍勢として戦った次の戦いでは、敗走の憂き目にあったわけで。
ミラが自軍を率いていなかったのと、ティグルが一勢を率いるだけの権限を持てずに指揮権を持てなかった、という点が大きいにしても、完全にバシュラル・タラードのコンビに敗北を味わわされる結果に終わったんですよね。このバシュラルの強敵感よ。
これ、こっちも早くロランと合流してのロラン・ティグルの最強コンビを組まないと対抗出来ないぞ。
このバシュラルも、ガヌロンから与えられたという形とはいえ、オートクレールという伝説の武器を携えているわけで、また伝説の武器持ちの英雄が現れたということなんですよね。
各国それぞれにレジェンド級の武具を携えた英雄たちが降り立ち、割拠するというなんか群雄伝の様相を呈してきて、前シリーズよりも戦記寄りのダイナミックな展開になってきたなあ。

しかしロラン卿、今回だけで二度も「ロラン暁に死す!」になりそうな死亡フラグ全開の展開を切り抜けたんですよねえ。ほんと、ロラン卿しぶとい!

そして、ソフィーに拾われたエリザヴェータが、記憶喪失のお陰で外面を全部引っ剥がされて根っこの部分の正義感たっぷりの優しいイイ子な所が思いっきり曝け出されてしまい、おかげさまでソフィーが思いっきりリーザに情が移ってしまって肩入れしてしまうことに。
記憶ないとここまで人懐っこいのかリーザってば。まさかここで、ソフィーとリーザがここまで親密なコンビになってしまうとは。記憶の方は早晩戻りそうな気配があるのだけれど、その前にエレンとも会っておいてほしいなあ。エレンの反応が面白いことになりそう。或いは、エレンの方からリーザに気づくことも可能になりそうだし、今のリーザなら。


カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ ★★★★   



【カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ】 丈月 城/BUNBUN  ダッシュエックス文庫

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神殺しの集う異界。そこへひとりの勇者が――。 アテナによる地球滅亡を懸けた決戦を制した六波羅蓮たち。戦いの傷が癒えない中に、驚愕の報せが舞い込む。英雄界ヒューペルボレアの異変。そこに「神殺し」たちの影がうごめく。蓮たちの先が読めない冒険が始まる――。 その時、ひとりの「神殺し」が動き始めていた。「魔王」と称され「神殺し」として数々の功績を残す草薙護堂である。彼もまた異界での異変を耳にしていた。その足は異界へと向かっていた。蓮たちとの邂逅はあるのか…。 そして、異界の異常事態に対してそれを収めるために新たなる勇者が立ち上がる! 英雄界ヒューペルボレアにおける神殺したちの新たなる戦いと冒険の幕が開ける――!

護堂さん、16歳で神殺しになってからもう十数年、って年齢三十路前後ですか。いい歳じゃないですか。そして、言動がなんだかおっさんくさくなってない!?
ニュービーな神殺しである六波羅蓮との対面でも兄貴分というよりも若い蓮に対してロートル感が出ちゃってて、さて貫禄が出てきたというべきなのか。
ただもう行動原理が完全にカンピオーネなんですよね。今はお供も連れ添いも誰もいないから尚更に、根無し草でどこにでもふらりと現れては大混乱を引き起こす大迷惑存在そのものだったかつての同輩カンピオーネたちと同じような有様、有様になっているわけで。自覚あるのかなー。
権能も、かつてはウルスラグナ縛りみたいなものがあったのに、今となってはわりと奪い取った権能使い放題使ってますし。
まあ若い女の子に手を出すような節操なしではなさそうなので、そのへんはちょっと安心ですけれど。嫁さんたちも、いい具合に熟成された年齢になってるんですねえ、そう言えば。妹ちゃんがどれだけ女帝と化しているかが楽しみのような恐ろしいような。

さても今回のお話、というかシリーズは護堂さんが主人公というわけでもなく、さりとて六波羅蓮が引き続き主人公、というわけでもなさそうで、新たな魔王殲滅の勇者と相成った物部雪希乃でもなさそうで。あっちこっちから神話世界ヒューペルボレアに集った神殺しや英雄英傑どもで、オールスター感謝祭をやろうってのかこれ。主人公を特定しない群像劇。まさにオールスターキャストでお送りする劇場版、って感じなんですよね。
確か蓮くんが主人公の作品では、神話の原型となる世界ということで神様や神代の英雄たちが主体の世界だったはずのヒューペルボレアなんですが、興味をそそられるものがあれば遠慮呵責なく首を突っ込んでくるカンピオーネどもが、あちらこちらかの世界からたかってきたお陰で、もうこれヒューペルボレア乗っ取られてますよね。神殺したちの遊び場みたいになってるのですが。
まあ最初にやらかしたの、カンピオーネじゃなくて鳥羽梨於奈の妹の鳥羽芙実花ちゃんなんですけどね。厩戸皇子とセットで、と言うべきなんでしょうけれど。まあ好き勝手に土地こねくり回してリアルシムシティはじめちゃったお陰で、その真似をしていろんな面々が自分の好き勝手に土地を作り出して、自分の都市を築き始めちゃったものだから。
最新のヒューペルボレアの地図が、もはやテーマパークの案内図みたいになってるんですけど。ディズニーランドさながらに、各都市がアトラクションかイベントゾーンみたいになっとるしー。
とまあ、神話世界をそうやってわやくちゃにして好き放題しているお陰で、他の次元世界がえらいことになってしまっているようで。神話の原型となる世界ということは、ここが改変されると多次元にまたがる神話そのものが変わってしまい、人類史そのものがねじ曲がった挙げ句に煽りを食って幾つもの次元が消滅するという過程を辿ってしまっているわけか。
そりゃカンピオーネぶっころ!機運高まりますねえ。しかし、魔王殲滅前殺し、の運命さんは護堂さんがラーマくんを解放するためにサクっと殺っちゃったわけで……ああ、やっぱり元凶になっちゃってるじゃないですか、護堂さんてば。
お陰様で、新規魔王殲滅の勇者に選定された雪希乃ちゃんは、あからさまに勇者レベル1なんですね。アリアハンから旅に出た、という風体で。まあレベル1であれだけワケワカラン剣才を漲らせてしまっているのですが、本人がポンコツ粗忽者迂闊者だからなあ。彼女の世界、もろに滅びかかってるにも関わらず、本人にそこまで深刻さを感じないあたり、大物なのか頭空っぽなのか。どっちもあるんでしょうけれど。しかし、彼女自分の世界では敵うもの無しというばかりの無双状態にも関わらず、しかも神の末裔でほんと敵無しなのに、それでもまつろわぬ神にはほぼ敵わないし、カンピオーネ相手じゃあ子供扱い、というあたり、カンピオーネがわんさといる世界ってどれだけインフレ状態だったんだろう。護堂さんとこの世界ですよ。蓮くんの世界でも、梨於奈がやたらでかい顔してましたもんね。カンピオーネが君臨している世界そのものが、結構珍しいのでしょうしましてや複数のカンピオーネが徘徊している世界とか、ゴジラが生息している世界とあまり変わらないんだろうねえ。
とかく、居るだけで目立ちまくるカンピオーネの中で、神殺しであるという存在感を消せる六波羅蓮という子はかなり同類の中でも特異ではあるんですよね。さらに、裏に回って暗躍までしているわけですし。あの要領の良さはやはり曲者だよなあ。
しかし、カサンドラを女王に仕立てて、ちゃっかり自分の国作っちゃった蓮ですけれど、カサンドラとは懇ろになりつつ、婚約者の梨於奈の方はというとなんか人間に戻れなくなってるし、おもしろ枠のキャラになっちゃってません? 登場当初の傲岸不遜で偉そうなお嬢様はどこへいってしまったのか。いや、今も傲岸不遜で偉そうなのはさっぱり変わっていないのだけど、コメディリリーフになってるもんなあ。せめて人間に戻れないと、ヒロインにも戻れないですよ梨於奈さん。蓮くんの婚約者どころか、なんか勇者さまに食われかかってますし、恋愛的にw

他にも、まったく世界観の違うはずの【クロニクル・レギオン】の方から、リチャード獅子心王と黒太子エドワードまで参戦してきていますし。あちらの作品から、というわけではないのでしょうけれど、キャラクターや二人の関係性なんかはそのままでしたしね。このコンビ、お気に入りだったのね。
しかし、その二人の上に立つ新たなカンピオーネのテオドリックですけれど、今のところはあんまり目立った個性感じないんですよね。いや、他のカンピオーネたちが目立ちすぎて頭おかしい個性の持ち主ばかりなのもあるのですけれど、あんまり特徴的なものがまだ見えてきていないような。特にカンピオーネとしての強かさというかしぶとさというか、殺しても死ななそうな意味不明の生き汚さが。
っていうか蓮の支援あったとはいえ梨於奈と雪希乃の二人に苦戦しちゃってたらなあ。今回は顔見せ程度でもありますし、今後に期待というところでしょうか。

なにはともあれ、このごった煮感たっぷりのオールスターにはやっぱりワクワクしてしまいます。これからどれだけしっちゃっかめっちゃかになるのか、楽しみ楽しみ。
にしてもラーマくん、今は弟と一緒に護堂をファミリーネームにしてるのか。どんだけ護堂のこと好きなのかw まあ今度はその護堂を狙う雪希乃を送り出したりしているのですけれど。護堂の名前を彼女に教えなかったあたり、運命に任せてという感覚もあるのでしょうねえ。


魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2】 瀬尾 つかさ/ 八坂ミナト ダッシュエックス文庫

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ティグルとリムはアスヴァールの王女ギネヴィアに助力し、三百年前から蘇った始祖アルトリウスと戦うことを決意する。そしてついにギネヴィア派と偽アルトリウス派の決戦の火蓋が切られた。会戦でティグルたちの前に立ちはだかる敵将は、かつてのジスタートの戦姫、サーシャと呼ばれていた女性。「僕は死んで、蘇った」神器を持つサーシャの圧倒的な剣技と体術に苦戦を強いられるティグルたち。彼らの苦境を救ったのは、あまりにも意外な人物だった。「空間エザンディスの力か」円卓の騎士サーシャの言葉と共に、戦いは更なる次元に突入する!


サーシャの復活で、新旧双剣の戦姫対決だー! と無邪気に喜んでたんですが……あのぉ、サーシャの最強度合いが想像より桁2つくらい上だったんですけどw
新旧対決どころじゃないよ! 双剣使いというと、どちらかというと技倆重視の軽量ファイターという印象だけど、もうこれ呂布じゃん!? というくらいの豪傑っぷりで。
膂力があがったのは復活してかららしいのだけれど、スピード、技倆、パワー全部別次元ってなんですかこれ。後書きでもサーシャの強さについては語られているのですけれど、総合するとロランに匹敵するって事ですよね。
ただでさえ手に負えないのに、これでアルトリウスはもっと強いとか、どうするんですかこれ?

ただ、幸いなことにサーシャみたいなのがゴロゴロと集まった円卓騎士団集結、突撃ーー! という有様にはなりそうにないんですね。
ようやくアルトリウス側の内実が描かれだしたのですけれど、確かに過去ではアルトリウスは王であり、円卓騎士たちは臣下として彼に従っていたのですが、この時代においては一応主従ではあるものの、復活した目的については厳密な所でアルトリウスと円卓の騎士たちは異なっているようで、そのまま配下の将軍として付き従う、という様子ではないということ。
そもそも、どうも魔物を相手にすることを主目的としているようで、むしろアルトリウスが本来の復活の目的からはズレた意図の読めない行動をとっている、という事らしい。
モードレッドがむさいおっさんで出てきたときには吹いてしまったけど。いや、Fateシリーズではなくても、モードレッドってアーサー王の「息子」という扱いだから若い騎士、という印象だったんですよね。いや、ここで出てきたモードレッドも実際は肉体年齢的には若者なのかもしれないけど、挿絵のデザインむさいおっさんなんだよぉ。しかも、見事なくらい噛ませ犬の小物だし。
そういえば、この世界での円卓騎士団はモードレッドの反逆で潰えた、というわけではないようで。そもそも、アルトリウスとモードレッドは親子関係ではないようなんですよね。むしろ、この関係は外部からお目付け役で派遣された軍監みたいな?
どう見ても悪そうな黒幕が別にいるので、アルトリウス自身はしたたかながら清廉な王様のようだし、何を目論んでいるかわからないにしても決して邪悪な事を企んでいるのではないのだろうけど。
でも、それはそれとしてギネヴィアの家族など王族を鏖殺しているわけで盛大に血は流しているのだが。あの殺戮には何らかの理由があったのだろうか。もし、魔物の討伐が目的なら、アスヴァールの征服は必ずしも必要とは思えないし。いや、どうも魔物は各国の上層部に食い込んでいるらしいし、ブリューヌはあいつだとして、ジスタートは誰なんだろう。
ともかく、ギネヴィア側との和解はどうしたって無理なようで。
そんなアスヴァールを二分する争いの片方を担うギネヴィア軍を事実上差配しているのが、若き公爵令嬢リネット・ブリダイン。
なにこの政治チート娘はw この若さ、わずか16歳で立派に宰相職をこなして、というか宰相職どころじゃないですよね、ほぼワンマンフリート状態。父親のブリダイン公爵が軍に参加してようやく一息ついているようだけれど、ほぼ彼女ひとりでギネヴィア派は持っていたようなもので、すげえなこの娘。
ちなみに、川口先生が手掛けるシリーズでは彼女の存在は見受けられないのだけれど、この娘が居ると居ないとではギネヴィアの政治基盤の強固さがパンケーキと大理石くらい違いそうなんですよね。
あっちのギネヴィアはまだ政治できそうな器用さを見せていたので、何とかなるのかもしれないですけど。
何れにしても、過労死しそうな勢いで八面六臂の働きをしていて、リネットさんの存在感が半端なく、またティグルを竜殺しの英雄として活用する手練手管も練達で、挙げ句にティグルへのアプローチも軽快快活と来て、これリムさんぼんやりしてたらヒロイン食われますよ!?
冗談めかしてますけど、わりとガチでティグルの事捕まえられたら捕食するつもりですし。まああんまり目がないだろうなあ、と冗談で済ましている節もあるのですけど。

猫の王というケット・シーがティグル一行に加わり、登場人物みんなが寄ってたかってニャンコ詣でしてて猫ご満悦、はまあいいとして、猫の妖精が仲間になり、また敵も伝説上の騎士たちに、精霊たちもそれぞれにティグルたちに力を添え、とこのスピンオフの雰囲気はより濃厚な神秘の匂いのするファンタジーになってるんですよね。
それでいて、リネットの奮迅によって戦記物としてアルトリウス派とギネヴィア派の、中立派の貴族を取り込みつつ随所で戦いを繰り広げる本格的な国を二分する内戦ともなっていて、本編とはまた味の違うファンタジー戦記として、色々と漲ってきたんじゃないだろうか。
騎士ガラハッドと騎士ボールスの無口と多弁のコンビがまた仲良くて、まさに好漢という感じがして見てて気持ちよかったです。円卓の騎士がみんな敵、というわけではなかったのは何にせよホッとしましたよ。戦力的にも心情的にも。
さてしかし、サーシャとは明確に対決に向かっているだけに、ほんとこれどうやって対抗するんだ!!?


魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)5 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)5】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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アスヴァール王国の内乱は、勝者となったギネヴィア王女が宝剣カリバーンを正式に継承し、父王の跡を継ぐ形で幕を閉じた。ティグルはブルガスの地で手に入れた黒い鏃にまつわる『魔弾の王』の足跡を追って、ミラたちとともにザクスタン王国へ向かう。ザクスタンでは王家と土豪が対立を深めており、各地で小さな争いが頻発していた。王都を目指して旅をしていたティグルたちは、雪の降る山中で因縁のある魔物ズメイに遭遇する。激闘の末にティグルと離れ離れになってしまったミラは、ヴァルトラウテと名のる土豪の娘に助けられる。彼女の傍らには、少女と呼んでいい年齢の戦姫の姿があった。山と森の王国で、ティグルとミラは新たな戦いに身を投じる。

ザクスタン王国で出会ったのは、14歳の最年少戦姫のオルガ・タム……14歳だったのか! ミリッツァが15歳なのでほんとに一番下じゃないですか。しかも、二年ほど自分のブレスト公国を出て放浪していたらしいので、戦姫になったの12歳だったんですね。子供じゃないの!
そりゃ、公国の運営とかそうそう上手くやれんわなあ。
前作でもオルガは戦姫になった直後に公国を出て旅に出てたんだけれど、実際に何があって自分が領主には相応しくないと思うに至ったのか具体的な話は出てきてなかったんですよね。なので、どちらかというと最良の領主とはというテーマに対して哲学的に悩んでるみたいな感じになってて、その解決もティグルを見初めてアルサスという領地を守るという明確な意識を持っていた彼を観察するために行動を共にするうちに、そのまま特に具体的な解決があったわけではなく流されてしまった感があったんですよね。
一方、今回はまず最初にあったのがミラだったからか、彼女が戦姫として立派に領主を務めている事もあって彼女に相談することに。その際、オルガの経験不足や潔癖な姿勢から起こしてしまったミス、失敗例などが話にあがって、なるほどなあ、と。
これは誰が悪いということではなく、本当に経験不足ゆえだったんですよね。ミラのように生まれが代々戦姫の家柄で、幼い頃から教育を受けていたわけじゃなく、傭兵として生きていたエレンや商家の人間だったというソフィーのように実地で経験を詰んできたわけでもない、遊牧民族の中で生きてきたわずか12歳の子供にいきなり公国の政務をやれ、と言われてもできんわなあ。
いや、それまで公国の運営を担ってきた文官の人たちも決してオルガを蔑ろにしていたわけじゃなく、むしろ幼い彼女を慮り気遣って尊重しすぎたことがまずかったのか。この娘、傍目こそ無口で無表情で何考えてるかわかりにくい娘なのだけど、凄く真面目で何事にも真剣で緩みがない娘なんですよね。いや、遊牧民族らしい自然体こそが本質なんだろうけど、慣れない環境で肩肘はって頑張っちゃったんだろうなあ。
でも、こういう娘、ミラからするとどストライクだと思うんですよね。真面目な子、シンパシーが通じると言うか、ミラってこの手の娘凄く相性いいんですよ、多分。なのでか、随分と親身になってオルガと接することに。
ミラの変化、ティグルと出会った事によって戦姫という枠組みにはめ込んだ自分だけではない、枠組みを広げて俯瞰的に余裕を持って違う視点から自分の立ち位置を振り返ることが出来るようになっていた事が、余計に悩むオルガに親身になれた要因なのかもしれません。
自分でもちょっと触れていますけれど、ティグルと会わなかったミラなら、戦姫としての責任を一時とはいえ棚上げして、放浪の旅に出てしまったオルガのこと、たとえ理由があったとしても未熟と断じて突き放しそうですし。代々戦姫を継いできた家柄ゆえのプライドが、そういうの甘えとして見たんじゃないかな、というのが前シリーズのミラからは伺えましたし。
その意味でも、ミラとオルガがこんなに仲良くなるのはちょっと意外なくらいで面白かった。こんな世話好きだったっけ、と思うくらいオルガの事可愛がってますし。妹みたいに思ってるんじゃないだろうか。この新しい関係性はなかなか新鮮で味わい深いです。

さて、舞台はアスヴァールからザクスタン王国に。国が変われば自然も変わり、国情も変わってくる。漫遊記みたいになってきたなあ、と思いつつ国をまたぐたびに景色が変わるのもまた何とも楽しい味わいで。ザクスタン王国は前作でも戦争してたりしましたけれど、実際にザクスタン本国に足を踏み入れることは……あったっけ。ただあったとしても軍勢を率いての進軍、という形だったと思うので国の中を実際に歩いて周りを見渡し、匂いを嗅いで人々の生活の様子を眺めて、という風情ではなかったですからね。このアスヴァールとはまた違う深い森の国の様子はなかなか情緒的なものがありました。人狼、と呼ばれるあやしい存在の噂がまた拍車をかけるのですが。
それに、国の体制も他と違って王家の力が非常に弱く、土豪と呼ばれるこれもう独立勢力ですよね、公然と王家と張り合ってる勢力と常に小競り合いしてるような情勢で。
そんな中で、魔物との交戦によって別れ別れになってしまったティグルたちとミラ。はからずも、王子と行動をともにするようになったティグルたちと、土豪連合の主力を担うヴァルトラウテという若き女主人に保護されたミラ。なんか、ロミオ&ジュリエットな様相も呈している状況のなかに首を突っ込んでしまう。ジュリエットがまた勇ましいんですけどね。勇ましいと言っても性格的には理性的で、むしろ家のしがらみに囚われているというべきか。先代の父を王家とのトラブルで喪ってしまったが故に、余計に土豪としての立場にこだわってしまっているというべきか。心情としては王子の側にあるのに、自縄自縛になっていた所にミラとオルガという外の人間であるからこそ胸襟を開けて話せる友人と出会えて、想う所変わっていくという感じでしたね。
同じく領主としての悩みを抱えるオルガに、自分と同じ女領主として戦士として堂々と振る舞いつつ恋にもまっすぐ生きているミラ。影響を受ける、という意味では実に効果的な二人でありましたし。
王子の方はひたすらいい人で、こいつ大丈夫かと思うくらいお人好しなんですよね。ただなよなよしてるし戦う力はないものの、無力さに打ちひしがれて縮こまらずどんどん行動に出る気力があり、聡明でもあり、彼を侮らずに脇を固める人材がいたら見違える気配はあるんですよね。実際、ティグルが協力することで一気に状況を打破できたのは、彼の手腕でもありましたし。何より、あの一途さは好感を持たざるを得ないですわ。

しかし、魔物側の思惑も相変わらずまとまっていないというか、個人個人で勝手に動いているというか。最終目的は一緒のはずなんだけれど、やはりこのシリーズの最大の敵はミラの祖母の体を使っているズメイ、ということになるのか。今回の人狼と呼ばれる人の意識を失わしめ徐々に怪物に変えてしまう存在も、ズメイの仕込みだったわけですし。
このザクスタンでは、宝剣バルムンクが登場してきましたけれど、どうもこの剣は一筋縄ではいかなさそうな気配があるんだよなあ。なんか、危険視されて封印されてたみたいだし。今の所、ヴァルトラウテが使ってるけれど特に怪しい影響はないんだが……。

ところでこれ、結果的にザクスタン王国、中央集権化が進みそうなんだけど、隣国であるブリューヌ的には大丈夫なんだろうかw ティグルくん、思いっきり手助けしちゃってるけど。

さて、前回えらいことになってたリーザですけれど、途中で彼女に呪いかけてた魔物の婆ちゃんが呪いが解かれちゃった、という話をしだして、その流れであいつ死んだわー、みたいな話になってて、マジかー! と結構焦ってたんだが、どうやら生存はしていたみたいで……。
でもこれ、まさに前シリーズと真逆の立場になっちゃってませんか、リーザさん。残念ながら拾ってくれたのティグルではない、という時点で不憫度はまったく解消されてないのですが。どうもソフィーが引き取ってくれそうなので、変なやつに拾われてない分まだマシなのかもしれませんが。

そして、なんかもう登場するだけで面白くなってきたザイアンくん。お父さんに怒られるの巻。竜の世話係の娘が理不尽な目にあった、と勘違いして父親への恐怖も忘れて激高するなど、なかなか良いところも見せてくれましたけれど、オチがやっぱりザイアンくんでナイスザイアンw
いやでも、ザイアンくんちょっとチョロすぎませんかねw 勝手にどんどん侍女のアリエットへの好感度あげてってるんですが。多分、アリエットの方は別に好感度あがってないぞw


魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)などダッシュエックス文庫の電書化  


この22日に、【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)】の5巻などこれまで電子書籍化されていなかった作品4冊がKindleやBOOK☆WALKERにて配信となりました。

 【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 5】 川口士(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)2】 瀬尾つかさ(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【双月のエクス・リブリス】 早矢塚かつや(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【帝剣のパラベラム】 川口士(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W


これまで、【魔弾の王と凍漣の雪姫】と【魔弾の王と聖泉の双紋剣】の2シリーズは、なんでか最新刊が発売になってから、その前の巻が電子書籍化されるという変なルールで配信されてたんですよね。通常書籍発売の翌月、ですらなくて最新刊が出てから、ですよ。これは電子書籍派としては大変迷惑でした。迷惑というのも変か、不満…そう不満でした。だって数ヶ月遅れ、場合によっては半年近く経たないと読めなかったんですから。今どきこんなんしてるのダッシュエックス文庫だけでしたからね。
それが今回、最新刊が出ていないのに2月に発売された【魔弾の王】関連の上記2作品に、去年の12月発売の他2作品が配信となりまして。理由はなんなんでしょう。コロナ関係?
できれば、今後他の作品と同じく通常の本と電子書籍の同時発売となる前フリになってくれればありがたいのですが。

魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ライトメリッツ公国の戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと、エレンの副官・リム。故あって二人はいま、ジスタートに突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立していた。
そこで二人は、アスヴァール王女ギネヴィアから、信じられない話を聞かされる。三百年も昔の人間であるはずのアスヴァール建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったというのだ。
ギネヴィアに協力することになった二人だったが、その前に、ティグルを上回る弓の力を持ち、そしてティグルのことを「今代の王」と呼ぶ謎の男が立ちはだかり――。
魔弾の王VS魔弾の王。異国の地で、かつてない戦いがティグルとリムに迫る。

エレンをメインヒロインとするシリーズを最初に、現在ミラをメインヒロインとする「凍漣の雪姫」シリーズを現在手掛けている原作の川口士先生ですけれど、新たに瀬尾つかささんを筆者に迎えてエレンの副官であるリムをメインヒロインとして新たに繰り広げられるスピンオフというより、完全に新シリーズとなるのがこの「聖泉の双紋剣(カルンウェナン)」であります。
最初はリムがヒロイン!? と、仰天しましたけれど、よく考えるとリムも第一シリーズでは戦姫となる歴史があるだけに、戦姫としてヒロイン張る資格はちゃんとあるんですよね。
それも、ティグルと同じく完全に無名で無冠の所から一緒に成り上がっていくことになるわけだ。
しかしエレンの副官という重要な立場である以上、なかなか自由に動けないだろうにと思ったら、まさかのティグルと二人でのアスヴァールに迷い込んで遭難という事態に。なるほど、これならエレンという星の輝きから解き放たれ、ティグルも他の戦姫と関わる事なく下積みする事ができるなあ、と。
下積みどころではなく、本作ではいきなり竜殺しとしての名望を得て、それを振り回しながら戦う羽目になるのだけれど。
初っ端から英雄として持ち上げられ、その名望に違わぬ活躍を続けるティグル。対してリムは何も持たない所からはじまる。エレンの副官、というよりもう次席司令官であり政務官という公国の実質的なナンバー2であったリムですから、その組織管理能力は際立っていて、偶然行き合い一緒に戦うことになるギネヴィアの立ち上げた反乱軍の、まさに要として活躍する事になるリムなのですけど、その縁の下の力持ちという立場に今まで以上に悩むことになるのです。
まだ子供の頃、傭兵の時分からエレンと共に生きてきたリムにとって、戦姫としてのエレンは親友であると同時にどうしても遠ざかってしまった存在でした。そのことに寂しさと焦燥を感じていた彼女ですけれど、そういうものだと受け止めてもいた。
一方でティグルの事も、このシリーズではリムが最初に見出しアルサスからライトメリッツ公国へと自分が連れてきた存在でありました。前作でも教育係としてティグルに付きっきりでともすればメインのエレンよりも一緒に居たリムですけれど、アスヴァールに飛ばされた今作では文字通り二人きり。二人三脚でサバイバルしなくてはいけない状況になり、よりお互いの存在が他に比べるもののない無二の相手となっていきます。
だからこそ、余計にリムもより切実にティグルの隣に立ちたいという想いを持つことになる。支えるだけではなく、共に並び立って戦いたい、生きたいと願うようになる。
その願いが、彼女の手元に双紋剣を呼び寄せることになるのですが……。神器を手にして戦う力を手に入れながらも、リムの自己評価ってずっと低いままなんですよね。いやもう他の人からシてもティグルからしても、リムってば何でもできるし万能すぎて彼女抜けるとあらゆるすべてがどうしようもなくなってしまう要も要の重要人物、という扱いなのですけれど、ずっとエレンの輝きのもとでやってきたせいかそのあたりの自己認識低いんだよなあ。
でも、そんな自己評価の低さを受け入れて、縁の下の力持ちでいいんだと受け止めていたのがこれまでの彼女なら、そういう自分を脱却したい、ティグルの隣に立ちたいという願いを自覚し、求めるようになったことが彼女の成長であり新たな献身の形なのでしょう。これもまた、可愛い話じゃないですか。
お堅いリムさんが実は可愛いもの好きでぬいぐるみに目がない、というあたりもティグルさん目ざとく拾ってポイント稼ぐの欠かさないあたり、ティグルはリムのことよく見てます。見ているのがほぼリムだけでいい、というのもあるのでしょうけれど。

しかしこれ、厳密に言うとリムって戦姫になったわけじゃないのかしら。同じ双剣でも竜具である「煌炎」バルグレンではないっぽいんですよね。リムの双紋剣(カルンウェナン)って。そもそも泉の精霊から頂いたものですし、双剣の持つ能力もバルグレンとは違っているっぽい。
それはそれとして、まさか「彼女」とリムが戦うことになるとは想像だにしてませんでしたけど。いや、このシリーズの敵が死者から復活したかつての歴史上の英雄たちだったとしても、それは思い至らなかったですよ!
「凍漣の雪姫」シリーズではかつて見ることの出来なかった最強の騎士ロランの活躍を改めて堪能できていますけれど、今作ではもう一人の見ることの叶わなかった「最強」の真価を目の当たりにできるのか。それが敵というのはたまったもんじゃありませんけど。

そして、「凍漣の雪姫」シリーズに引き続き出番ありまくりなギネヴィア王女。「凍漣の雪姫」では兄弟と争うことに後ろめたく複雑な想いを抱いている様子がありましたけれど、今作では身内同士での争いではなく家族の敵討ちという側面もあるだけに、あちらのシリーズよりも後ろ暗さなく背筋がピンと伸びた英雄らしい振る舞いを得ている気がするんですよね。派閥争いなどの変な政治バランスを気にする段階でもないですし。リネットなどの同じ趣味を持った気心のしれた有能な腹心がいる、というのも大きいのでしょうし。にしても、他の戦姫よりもよっぽど出番あるようになってしまったなあ、このお姫様。

瀬尾つかさ作品感想

魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)4 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)4】  川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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エリオット王子を利用してアスヴァールの内乱に介入すべく派遣されたティグル、ミラ、ソフィーたちジスタート軍は、暴虐の限りを尽くしていた魔物・トルバランを討ち取り、港町デュリスの解放に成功した。が、王子の急死という予期せぬ事態の発生により、急遽、ギネヴィア王女を総指揮官とするアスヴァールおよびブリューヌとの連合軍を結成して、ジャーメイン王子と対峙することに。ジャーメイン王子の勢力圏へ橋頭堡を築くために港町マリアヨを目指す連合軍だったが、待ち構える敵の船はこちらの倍以上。圧倒的劣勢の中、アスヴァールの覇権を巡る戦いの幕が上がろうとしていた。

ミリッツァちゃん、この娘いい性格してるわー。性格というか、おませさんというかエロ小娘というか。エザンディスの瞬間移動能力をヴァレンティナとは別の意味で悪用してやがるw
しかしヴァレンティナ、この世界線でも他の戦姫たちから嫌われてたのかー。どうせ寿退社した件で他の戦姫たちにマウント取りまくったとかそんなんじゃないのか?

さて、アスヴァール内乱編は本格的にギネヴィア立志伝という体の戦記モノに。後ろ盾を持たないギネヴィアが頼らざるを得ないのは、ブリューヌ軍とエリオットの死によってギネヴィアに乗り換える事にしたジスタート軍という外国軍という状況なのだけれど、地元に基盤がないというのが逆に今のアスヴァールの状況では差し引きプラスに働いた、というべきなのか。
大陸派と島派の対立構図が激化している現状では、どちらの諸侯とも縁を繋いでこなかったギネヴィアはフラットな立場で扱えるということなのだけれど、勿論扱いを間違えると父王のようにバランスを重視しすぎて何も出来なくなってしまうか、内部対立を激化させて組織集団としての体をなくしてしまうか、のどちらかなのでギネヴィアの手腕とカリスマが問われることに。
こういうケースだと、外国軍であるブリューヌとジスタートは傀儡とならずとも主導権を握って権益や利益を確保しまくり、自国に都合の良い政権を誕生させようと尽力するものなんだけれど、何しろブリューヌ側の指揮官は清廉な騎士であるロランだし、ジスタート側も寝技は得意だとしても悪辣ではないソフィとミラなだけに、ほんとに純粋な支援軍みたいになっちゃってるし。
勿論、ギネヴィア政権が誕生したらその功績からアスヴァールには多大な借りを貸し付けることになるんだろうけど、良心設定になるんだろうなあ。

ともあれ、後手後手に回ってしまったジャーメイン。さらに疑心暗鬼を募らせて信望を喪っていってしまったのも相まって、戦況はギネヴィア有利に。海戦での大勝がきっかけだったとはいえ、なんとか島派・大陸派を取りまとめて戦略も堅実に進めて間違わなかったギネヴィアの手腕は大きかったのではないかと。この点、ギネヴィアを侮ったジャーメインの失点ですね。この内乱がはじまるまでギネヴィアを眼中に入れていなかったのも、それまでのギネヴィアの自由気ままな振る舞いを見ていればわからないでもないのですけれど、内乱始まってからのギネヴィアの動きを注視していれば、もう少し積極的に動けたのかもしれません。戦姫や黒騎士ロランの輝きに目を取られてギネヴィア本人の資質に目を曇らせてしまった、とも言えるのかもしれませんが。

しかし、まさかのザイアンくん登場参戦ですよw
相変わらず性格ネジ曲がってますけれど、仲良くはなれないけれど信頼はできる、というくらいに成長したんじゃないでしょうか。人間的な余裕が出来た、というべきか。あれで出来たの? と言いたくなる所だけれど、昔のザイアンなら飛竜にちょっかいかけようとした子供を止めることすらしなかっただろうしなあ。あの若干飛竜に舐められてる竜との関係は愉快なんだけど、もうちょっと頑張れと応援したくもなりますなあ。

一方でひとりえらい目にあってしまうリーザさん。この娘、相変わらず貧乏くじ引いてるよなあ。仮にも戦姫が暗殺者紛いの仕事を請け負っているという時点で、他の戦姫よりも公国の王としての立場苦しいんじゃないだろうか。他の貴族からの要請を断れない、という事でもありますし。
しかし、あのラストの展開はどう持っていくつもりなんだろう。ギネヴィアとしても、今回の一件は変な形でボタンを掛けてしまった気がしないでもないですし。なんか変なスイッチ入ってません?
リーザもまさかあれで、とはならないでしょうけど。むしろ、彼女の右手の問題が早く解決するきっかけになればいいのだけど。ってか、この世界でもリーザってばエレンにボコられて例の力望んじゃったのかしら。

今回はロランとがっつり組んでのタッグ戦、みたいな形になっていたティグルですけれど、この二人の相性ってもしかしたら戦姫たちよりも上なんじゃないだろうか。息ピッタリすぎやしませんかね!?
ってか、ロランのデタラメっぷりがホント凄いんですけど。こいつ、人間か!?
そんなロランが前衛にいたら、後ろからティグルがやりたい放題なんですよね。もちろん、竜具を使う戦姫たちとティグルのコンビはその竜具の能力や黒弓との相乗効果も相まってバッチリ以外の何者でもないのですけれど、ロランとティグルのそれは虎に翼、という感じすらしたんですよねえ。
二人共、純粋に技量が噛み合った結果、なのかもしれませんけど。にしても、繰り返しになるけどロランがバカ強すぎるw

シリーズ感想

容姿端麗、文武両道な生徒会長は俺のストーカーではない(願望) ★★★   



【容姿端麗、文武両道な生徒会長は俺のストーカーではない(願望)】 恵/ぎうにう ダッシュエックス文庫

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全生徒憧れの生徒会長、東雲綾先輩のピンチを救った俺、守谷廉は、彼女にひと目惚れされ、告白を受けてしまう。しかし、黒歴史を理由に交際を断る俺に、諦めきれない綾先輩はストーカーと化し!?お弁当作りに始まり、家に押しかけられ、子作りを迫られ、いつでもどこでも綾先輩の気配が!?しかも、半強制的に生徒会メンバーの一員になることに!?お嬢様な姫華先輩に、小動物系の小毬先輩。唯一の常識人である雫。俺は、平穏な学園生活を望んでいたはずなのに…。綾先輩の暴走が止まらない!ストーカー系ラブコメ開幕!!
これ、相当ガチ目の洒落にならないタイプのストーカーじゃないかしら!?
東雲綾会長、それまで一切ストーカー的な気質を見せておらず、偏執的執着的な性向があったわけではなかったにも関わらず、廉くんに助けられて恋という感情を芽生えさせた途端に、アレですよ。元々そういうタイプだった、というのなら加減もわかってるだろうし(?)、なんだかんだとラインをわかっていそうだけれど、この突然目覚めてしまったあたりがヤバい。恋は盲目じゃないけれど、自分の明らかにヤバい行動に一切疑問を抱いていないし、はっきり言って怖い! 
これは男の側としても美人の先輩にアプローチされて嬉しいというよりも、なにこれ怖い、という感情が先立ってしまうのではないだろうか。実際、廉くんドン引きである。
生徒会長としての綾は尊敬に値する人物だし、その優秀さや人格も含めて廉も敬意を抱いているんだけれど、女性としてはドン引きしっぱなしで結局彼女に女性として好意を抱く瞬間はなかったんじゃないだろうか、これ。うん、会長として尊敬したり信頼したりする機会はあったかもしれないけれど、それ以外の通常の廉への接し方がアウトすぎて、好意を抱くよりもストレスで胃に穴があきそうな感じになってるし。副会長のサディストな性格もストレスに拍車をかけているし、顧問の松本先生は放任を通り越して無責任に推してくるし。
正直小毬ちゃん先輩の毒舌も笑ってられないくらい舌鋒尖すぎて普通に傷つくレベルだと思うのだけれど、この娘は口が悪いだけでそれ以外は無害だし悪意も少ないので、廉くんとしても癒やし枠の方に入ってる気がする。小毬先輩で癒やされているあたりに、彼の境遇の瀬戸際さがにわかに感じられてしまうのだけれど。
こんな環境なものだから、唯一の真人間で会長を制止してくれる唯一の存在で、なにくれとなく助けてくれてサポートしてくれる松本先生の妹で綾会長の従妹という肉親でもあり、唯一のストッパー役でもある雫が、完全に廉にとって救いになってるんですよね。むしろ、相対的に綾会長に迫られるたびに助けてくれる雫への好感度がぐんぐん上がってるんじゃないだろうか。
真面目だけれど堅物じゃなくて物腰も柔らかくて、と傍から見てても雫の方が断然優良物件に思えてしまう。
ただ……正気の状態だったら綾会長も雫にも増して穏やかで真面目でかっこいい女性で、あの酷いありさまを見てなかったら学校のアイドルなのも当然な女神っぷりなんですよね。これ同じ血族である雫も、恋をしてしまうと同じ状態になっちゃうとかじゃないだろうか。だとするとやっぱり怖いw

これはもう、普通に可愛いだけな水原さんが安牌なんじゃないだろうか。ギャル仲間に無理やり引っ張り回されてたり、廉とのやり取りでも何気に押しとか圧に弱いところがあるだけに、とても綾会長なんかと修羅場できないだろうけど、この人じゃあw
しかし漫研の一件での廉くんの動き方は、あんまり納得行かない。話の都合上動かされたというような不自然さを感じさせられたんですよね。あの写真取られて脅されたとき。あそこでただただ黙って言いなりになるのって、展開的にも廉というキャラがこれまで見せていた姿からしても「!??」って感じでしたからね。あそこで若干テンション落ちてしまったところがある。他の時には空気も読まずにグイグイストーカーらしく絡みまくっていた会長が、このときだけは妙に動き鈍かったのも違和感だらけでしたし。
そういうのも含めて、話の転がし方に不自然というかぎこちなさというか、ちゃんと舗装してレールしかないで未整備のまま無理やり押し込んでいくような所が若干見受けられたのだけれど、キャラ同士のやり取りなどギャグ寄りのラブコメのテンポの良さは非常に心地よく読みやすいものがありました。いやでも、ヒロインとして綾会長は自分としてはホントにガチなストーカーすぎてちょっと無理かもしらん(苦笑

最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある ★★★★★   



【最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある】 紙城 境介/きただ りょうま ダッシュエックス文庫

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孤高のゲーマー、古霧坂里央。
学校一の完璧美少女、真理峰桜。
現実世界では何の関わりもない2人だったが──VRゲーム《マギックエイジ・オンライン》では最強コンビとして名を馳せていた。
そんなある日、二人は秘境の温泉クエストの攻略へ。しかし見つけた旅館は廃墟と化しており――「どうしたんですかぁ、先輩? もしかして怖いんですかぁ~?」「はっ……はなれちゃだめって、言ったじゃないですかぁ……!」「人前で裸になるのって……思ったより、ずっと恥ずかしいですね」お化け屋敷気分の廃墟探索。混浴イベントに超大型ボスとの激戦。最強カップルの日常はすべてがデート! ……なのにこの二人、付き合っているつもりはないらしい。

ぎゃあああああ! もうめっちゃ面白れぇぇ! もう好きぃぃ!!

今一躍ラブコメ界の旗手の一角に名乗りを上げた【継母の連れ子が元カノだった】の紙城境介さんの新シリーズ。小説家になろうで発表してきた作品の中では代表作と言ってもいいのがこれ、【最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ】である。自分もこれ、めちゃくちゃ好きでねえ。いやだってもう面白いもん。
これはゲームであって、遊びである。そう語られたのは、本作の前身でもある【遊者戦記 #君とリアルを取り戻すRPG】でありましたが、本作でもこの目一杯全力で遊ぼうという精神が進化しつつ体現されています。
本作の主人公であるケージとチェリーの最強カップル。ひたすらイチャコラしている二人ですけれど、その根底にあるのは心から楽しく遊びたい、という思い。それを一緒に成し遂げられる相棒であり相方であるのが、お互いであるという認識、或いは誓約。それこそが、二人をこの上なく結びつけているのです。
そして、それこそが。余りにもお互いを特別だと思っているが故に、カップルだとか彼氏彼女という目に見える、形のある枠組みに自分たちを当てはめたくない、という暗黙の了解につなげている節もあるのですけれど。
ケージもチェリーも、人付き合いにおいて脛に傷持つ身。彼と彼女はあまりにも周りから突出していたが故に孤独に追い込まれ、傷ついてきた子供たちでした。そんな二人にとって、この先輩は、この後輩は自分の全部を全力を全開を微塵の取り零しもなく受け止めてくれる唯一の相手。自分についてこれる、なんてレベルじゃない。常に自分の傍らに寄り添ってくれる、それどころかふと気を抜けば置いていかれてしまうような、全身全霊を尽くしてなお余りある無二の人。
古霧坂里央にとって真理峰桜は、真理峰桜にとって古霧坂里央は、唯一無二の連理比翼な特別な人なのだ。
だから、彼らが付き合っていないのは現状維持で満足しているとか関係をはっきりさせる勇気がない、という停滞した想いゆえではないのだろう。それよりももっと特殊で重たいものなのだ。
……そう、重たいんですよ、この子らの人間関係に対するスタンスって。愛が重たい者同士なんだ。
自分が相手のことを好きという自覚もある。相手が自分を好きという確信もある。でも、お互い約束しあったようにその関係を既存の枠組みに当てはめる事をシャットダウンしている。カップルじゃない、と周りからの指摘を否定しながら二人の間にあるものは絶対に否定しようとしないのだから。
なので、この二人の間に割って入ろうとするには、とても軽々な感情では無理なんですよね。その点、たびたびこの1巻でも名前だけ出ていたUO姫はチェリーに負けず劣らず、というか結構似たもの同士なんじゃね? という中身は面倒で重たい女性なのでかなりの勢いで切り込んでくる事になるのですが。
ともあれ、関係性だけははっきりさせていないけれども、お互いに好き同士だからケージとチェリーのやり取りは傍から見てて呼吸するようにイチャイチャしているのである。ちなみに、本人たちは普通にしているだけのつもりなので、まったく無意識である。無意識でこれである。
場合によっては、意識し合って本気でイチャイチャしだす時があるので、その時は当人たちも本気なのでイチャコラ糖度がさらに跳ね上がるという、イチャイチャの基準がバグってる仕様w
いやもうね、【継母の連れ子が元カノだった】も読んでくれればわかるだろうけど、作者の紙城さんのラブコメ手腕、特に自然にカップルがイチャイチャする描写力に関してははっきり言って化け物級である。正直、尋常ではない。果たして読んでてここまで切れ目なくニヤニヤさせられ続けて顔面の筋肉が痙攣しそうになるレベルのラブコメ描写は、今まで読んできたものの中でもどれだけの数あったか。
ヤバいです、ほんとに。
お化け屋敷編とか、あれもうズルいですよ。最強ですよ。お化け屋敷なんかでカップルで入ると急接近できる、みたいなネタってあくまでネタであって実際にライトノベルでもマンガでもそのシチュエーションをやると大概、余計な邪魔が入ったりカップルの片方が居なくなっちゃったりと本来の趣旨通りに展開する試しがないものですけれど、今回のケージとチェリーのそれとかもう完璧にお化け屋敷ネタをコンプリートしてるんですよね。ってか、ここのケージ君が可愛すぎてたまらん! なにこのビビリまくる男の子の可愛さ。チェリーが調子乗るのもめちゃ分かりますもん。それはそれとして、チェリー主導で最後までいかないあたりが素晴らしすぎて。同時に、コメディとしても最高領域に達していてお互い生贄にしだす所なんか笑い倒しましたがな。それでいて、傍からみたらひたすらイチャイチャしてるわけですから、色んな意味でたまんねー。
チェリーってやたら攻めるくせに防御力は紙仕様なんですよね。あまりに防御力が低すぎて、ケージの事イジろうとして自分にもダメージ食らって自爆攻撃となることも度々ですからねえ。
可愛いなあ、もうほんとチェリー可愛い。これでイイ女・カッコいい女要素も目一杯詰まっているのだから、たまらんヒロインであります。自分の後輩属性って、このチェリーに大いに発掘された感すらあるのです。
ケージ視点だけじゃなく、チェリー視点も並行して描かれているあたりで、イチャイチャっぷりが一方向からではなく双方向から眺められるのもお得感満載なんですってば。

と、本作がこうしてケージとチェリーがイチャコラしているだけの物語だったらただのラブコメになってしまうのですが、これは同時にこの上なく「ゲームで遊ぶ」作品なのでした。
彼らが遊んでいる舞台であるVRゲーム《マギックエイジ・オンライン》。これがまた、本当に素晴らしく面白いのです。ただのVRゲームではない、運営が用意したシナリオをクリアしていくだけのものではない、プレイヤーたちが本当に世界の歴史を作っていく、紡いでいくゲームなのである。
そして、プレイヤー同士の一体感。自分たちが歴史を作っていっているという一体感が本当に凄い。あのやり直しのきかない、ゲーム上で起こった事は決して覆らない、NPCが死んでも生き返らないし地形や気候の変化も戻らない、という設定なんかは他のゲームを舞台にした小説でも決して珍しいものではないのですけれど……本作はなんかそこに凄い特別感があり緊迫感があり迫真性があるんですよね。この実感は、巻を重ね話が進むごとにより確かなものになっていくと思う。プレイヤーたちが抱いている感覚に追いついていくと思う。
これはゲームであって遊びではあっても、みんな本気で真剣で全力なのだ。それはケージとチェリーだけではなく、多くのプレイヤーたちが共通して宿している認識でもある。
VS.神造炭成獣フェンコール戦なんかは、導入から本当に素晴らしかったもんなあ。あの配信者プレイヤーのセツナやろねりあたちが配信している映像を共有して、万を越える視聴者たちが同じ戦いを、同じ歴史が作られる瞬間を共有する、あの熱狂、一体感。そこに、読んでいる此方まで飲み込まれる。自分もまた、一視聴者となり、共有している感覚に引きずり込まれる。
ああ、みんな無茶苦茶楽しそうだ! という傍観者的な感覚を超えた、自分も今この瞬間、めちゃくちゃ楽しい! という感覚。この盛り上がり。テンション上がりっぱなしになりましたよ、フェンコール戦は。
ってか、ウェブ版でも既に読んでいるはずなんですけどね。そういう関係なしに、テンションあがってしまった。楽しかったッ!
とはいえ、これでまだまだフェンコール戦は序の口。このあとに繰り広げられるだろうさらなる大規模レイド戦なんぞ、ちょっとやべえレベルの大会戦になるのでほんと楽しみ。チェリーのクロニクルでもちらっと描かれていた指揮官としての力量も見られますし。
それ以上に、日常でのイチャコラとはまた別の形での戦闘シーンでのケージとチェリーの息のあった以心伝心、を通り越したもう二人で一人なんじゃないか、という神業コンビネーションは見どころたっぷりすぎて、いやもうたまらん。そりゃ、ゲーム内でこの二人が最強カップルなどと呼ばれるのも当然で仕方ないですよ。あんなシーン、万単位の視聴者の前でやらかしまくってたらなあ。
章タイトルのひとつ「カップルの人間離れ」にはワラタ。

この世界はゲームだけれど、本物である。
章間に記載されているこの《マギックエイジ・オンライン》の解説でちらっと書かれているのだけれど、AI搭載のNPCの中にはこの世界がゲームである事に気づき理解する人も出てきていてそういうNPCは電子人類と呼ばれ、明らかにただのプログラムを逸脱しだすんですよね。はたして、このゲームって本当にただのゲームなの? というバックグラウンドまで見えてきて、物語のスケールも途方も無い事になってきて、ワクワク感が止まらないのです。
この楽しさをぜひ共有してほしい。メインのケージとチェリーのみならず、脇を固める無数の登場人物たちも個性的でイキイキと躍動していて、カップルの小さな閉じた世界の話ではないこのぐんぐん広がっていく世界の痛快さを。そのうえで、もう顔がにやけて仕方ない最強カップルの糖度致死量のイチャイチャを、存分に堪能されたし。そして、これからももっともっと堪能したい。がんがん、続き出てほしいヨ。

ああ、楽しかったッ!!

紙城 境介作品感想

浮気は恥だが役に立つ ハイエルフ嫁の嫉妬は100年単位  



【浮気は恥だが役に立つ ハイエルフ嫁の嫉妬は100年単位】 早矢塚 かつや/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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世界を救いし英雄に迫る美少女たちの浮気の魔の手! 強大な力を持つ叛逆の妖精ヴィースを倒し英雄となったライオは相思相愛のハイエルフの王女リアーシュと婚約するが、ヴィースにより異性からの求愛を拒めぬ呪いをかけられていた。 心ではリアーシュを一途に想っているにもかかわらず、義姉で放蕩ハイエルフのミージュ、昔なじみの美少女商人セリン、偶然助けた王国の要人と、成り行きまかせで淫行を重ねていくライオ。「たしかに下半身は途方もなく喜んでるけど――ちがうんだっ!」 キスで子供ができるなんて信じている純情なリアーシュにバレれば、確実にすべてが終わる。 色を拒めない大英雄のファンタジーラブコメ、ここに開幕!

エルフが日焼けして褐色になったのがダークエルフ説は稀に見るけど、結構好きw
そのエセダークエルフなお姉ちゃんのミージュだけれど、初っ端からなんか一発目は誤射かもしれない、で死んじゃってるのだけれど、いいのかあれ!? わりとガチであれ殺人だと思うんだけど、たまたま化け猫みたいな能力に目覚めてたから良かったものの、普通はアウトでしょうに。
殺された本人があっけらかんとしているのはまあいいんだけど、勢い余って殺っちゃったリアーシュと目撃者なライオがそのままスルーして尊い犠牲だったで誤魔化して済まそうとしたの、これが探偵ものだったら犯人役であっさり退場だよ? ギャグにしてもちょっと酷かったような。
浮気の件も、呪いのせいなので不可抗力なのは間違いないのだけれど、その後の対応がひたすら誤魔化しに走っているあたりが否応なくゲスである、ライオくん。一度の過ちならともかく、その後も何度もやらかしてしまうわけですし。
寄ってたかって浮気に拍車をかける他の女連中も大概と言えば大概なのですけど。
それに比べて、ライオに呪いをかけることになった妖精ヴァースたちの方が、段々と事件の真相が明らかになっていくうちに、あっちのカップルの方がよっぽど誠実に恋愛していた事がわかってしまって、なんともはや。
好意を拒めない呪いに掛かってしまったという境遇自体は一緒のはずなのに、あちらさんはどちらも純愛を貫いているとも言えるんですよね。まあその結果があの悲劇だとしたら、いい加減にやらかしていたこっちの方が確かに役に立っていたかもしれないと思うと、いささかげんなりしてしまう。
しかしリアーシュの方がイジられキャラとしてのヒロインだとすると、ミージュの方が完全にネタキャラ扱いされていて、いいのだろうかこの扱い。本人その手の深刻さが全然なくて面白ければオッケーみたいな性格なので、それこそ殺されても気にしないくらいだからどうでもいいのかもしれないけど。
パロディ自体は決して嫌いじゃないのだけれど、本作のはちょっと品がないというか工夫がないというか、ネタの使い方にしても捻りがなくてあのドラゴンボールネタは本当にちょっとどうかと思う。自分はああいうのは好きじゃないや。
敵キャラの方の事情とかなかなか捻ってあって良かったと思うのだけれど、さすがに全体的に雑が過ぎたように思う。エロネタだけで引っ張るのはさすがに辛いと思いますよ。

神域のカンピオーネス 5.黙示録の時 ★★★☆  



【神域のカンピオーネス 5.黙示録の時】 丈月 城/ BUNBUN ダッシュエックス文庫

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ヒューペルボレアで繰り広げた太陽神アポロンとの戦いによってカサンドラを奪還した蓮たちは、芙実花と厩戸皇子を羅濠教主の下に残し、地球へ帰還の途につく。しかし、その際に「聖ヨハネの魂」に出会う。聖ヨハネは蓮たちに、地球滅亡の兆しがある、と告げる。聖ヨハネの警告を受け、地球に戻った蓮たち。地球はかつて無い程の異常気象に直面し滅亡の一途を辿っていた。その時、蓮の目の前に女神アテナが姿を現す―!!彼女は蓮に宣戦布告をし、地球に終末の時を迎えさせるべく、世界各地を駆け巡る!!蓮は、アテナと終末の時を阻止することが出来るのか…!?地球滅亡を懸け、「神殺し」とアテナとの決戦が始まる―!!

蓮とカサンドラ、こそこそチュッチュしすぎ! 梨於奈がいるところでも構わず、彼女が見てない後ろでじっと見つめ合ったり、ハグしたり、チュッチュしたりとイチャイチャイチャイチャ。
完全に二人の雰囲気作っているにも関わらず、全くその空気に気がついていない婚約者(笑)の梨於奈さん。後ろでチュッチュしているのにも全く気がついていない梨於奈さん。さすがです、さすがの恋愛リテラシーの低さに定評のある梨於奈さんである。
一方で、これ蓮とカサンドラはそんな梨於奈を出汁にして楽しんでますよね、これ。バレてはいけないというスリルを味付けにして、背徳感をスパイスにして、コソコソイチャイチャ。バレたらバレたで全然気が引けた様子もなく、むしろ堂々と見せつけてさらにイチャイチャ。
そんなのを見せつけられて、婚約者(笑)であることも論破されて、色んな意味でメタメタにされてしまう梨於奈さんが不憫、に対して思えないのがこのお嬢様のイジられ上手なところなのでしょうか。怒るよりも動転してしまってあたふたしているところが可愛らしくもあります。以前みたいに、蓮に対してサバサバした関係でいられたのなら、別に蓮とカサンドラがどうこうしようが関係なく動じる必要もなかったのにねえ。
あのチャラ男くんにまんまと落とされてしまっていたお嬢様キャラなのでした。

とかやってるうちに、アテナによって着々と滅亡の一途をたどる世界。物理的な破壊ではなく、これってもう神話的終末なものだから、人類にどうこう出来るたぐいの話じゃないんだよなあ。わざわざヨハネ黙示録の著者とされる聖ヨハネさんご本人が登場して、終末のはじまりじゃー! と宣言してもらうほどでしたし。
ここまでくるとアテナをどうこうする他ないのだけれど、ぶっちゃけここまで世界の破壊神にして新たな世界の創造神となるまで発展しきっちゃった神様相手だと、蓮じゃあ役不足感は否めないところがありました。彼、やっぱり歴代のカンピオーネと比べるといささかデタラメさというか無茶苦茶さというか、理不尽さや生き汚さが足りない感じだったんですよね。実際、死にかけた時もあっさり受け入れて死にそうになってましたし。蓮くんってどうも責任感とか使命感とか好奇心とか独善性とか、ガツガツした意志力や強い動機、目的意識に欠けるところがありましたから。その何物にも囚われない飄々とした流転の生き様こそが、チャラ男を自認する彼の特徴であり長所でもあったのでしょうけれど、果たしてカンピオーネとしてはどうだったのか。
おかげさまで、よりにもよってアイーシャ夫人なんていう決して触れてはいけない最終兵器に神殺し殺しの剣に修正力さんに運命力さん、という厄災そのものだったりカンピにとっての天敵、或いはカンピが天敵!な存在に総掛かりで支援してもらって戦うことに。
特に歴史の修正力さんとか、カンピオーネにいつも泣かされてガン泣きしながらシッチャカメッチャカにされた歴史を必死に修正してまわって、片っ端から台無しにされるという酷い目にあってるにも関わらず、今回は手を貸してくれたという器の大きさには敬意を抱いてしまいました。
しかし、よりにもよってアイーシャ夫人に手伝ってもらうとか、いくら切羽詰まってたからって。とはいえ、蓮のキャラってアイーシャさんとは何気に波長合うんですよね。彼女が何やらかしても蓮の場合気にしなさそうだし。
ただ、ラスボスがアテナだったのはなあ。アテナについてはどうしても護堂さんの好敵手というイメージが強いだけに、最後まで微妙にしっくり来ないなあ、という感覚がつきまとったような気がします。
さて、これで終わりかと思いきや、いや蓮が主人公のストーリーはこれで終わりみたいですが、さらにカンピオーネたちを総浚えしての新展開がある模様。
どう転んでも元凶がアイーシャさんになりそうなのは、色んな意味で流石すぎる。今回のシリーズで起こった事件もみんな根本を遡ると全部アイーシャさんに行き着くわけですし。とんでもないキャラを生み出してしまったものである。

シリーズ感想

最強の傭兵少女の学園生活 ―少女と少女、邂逅する― ★★★   



【最強の傭兵少女の学園生活 ―少女と少女、邂逅する―】 笹 塔五郎/ Enji  ダッシュエックス文庫

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伝説の傭兵エインズ・ワーカー。彼には、拾い育てた娘同然の傭兵少女―シエラという子がいた。…なのだが―、「俺は傭兵を引退する」エインズの突然の引退宣言。戦場以外の世界を知らないシエラは、エインズの言いつけで王都の学園に単身通うことになる。傭兵の経歴を隠す生活は窮屈だったが、シエラは孤独な貴族令嬢のアルナと出会い、友情を育む。しかし王位継承争いにアルナが巻き込まれ、暗殺者の手が迫ったことで事態は一変。アルナを守るため、シエラはエインズ譲りの最強の力を振るうことを決意する。世間知らずの最強傭兵少女が繰り広げる、ガールズバトルファンタジー!堂々開幕!!

空気を読まない・読めないというのは良し悪しがあるのだけれど、場の空気に気づくことなくあるがままを押し通せる強さというのは、時にその空気そのものに縛られ雁字搦めになっている人を空気から救ってくれるんですよね。
アルナという子は周囲によって縛られているというよりも自縄自縛に陥っていたと言えるのでしょうけれど、シエラの空気を読まずあるがままを、身分やしがらみに囚われずにその人を見て思った事をそのまま口にすること、考えをそのまま行動に移すあり方はアルナのどこにも行けなかった自身への捉え方をひっくり返してくれるのである。というよりも、シエラの自由な言動に振り回され引っ張り回され、一方で放っておけずに世話を焼いているうちにそれどころではなくなった、というべきか。
シエラもあれで決して無神経に好き勝手やっているわけではなくて、彼女なりに一生懸命気を使ってはいるんですよね。父親がくれた凡人ノートという一般生活に必要な知識が記されたマニュアルを頼りに、自分を一般人に合わせようと努力しているのがその証左で。本当に全く空気も読まず自分の好き勝手するだけの子なら、そもそも周りに合わせようという努力すら発想もしないのでしょうけれど。最も、シエラの場合は最初は父親にそうしろと言われたから、という理由であるあたり真剣度はいまいち足らなかったのだけれど、途中からアルナのため、という彼女個人の理由であり原動力が生まれることで、真剣度がまた変わってくるのですが。
しかし、パパさんもちゃんとマニュアルを用意してくれているのは素晴らしい配慮なのですけれど、そういうマニュアルが必要な娘であるという正しい認識を持ってるにも関わらず、肝心のマニュアルである凡人ノートの中身が、対象であるシエラに内容の意図が殆ど伝わらない仕様になっていたのは失敗なんじゃね?と思うんですが。シエラがそういう子だというのは、パパさんが一番誰よりも分かっていただろうに。まあ、わかっていてもそれに対応できるマニュアルを書けるかどうかは能力四次第であって……文筆力なかったんだろうな、うん。脳筋タイプの傭兵っぽかったもんな、うん。
とはいえ、本当に大事なことについては過不足なくちゃんと伝わっていて、それがシエルという少女の人生を決定づけ、運命の人と出会い道行きを同じくする一番重要な要となったのだから、なんか苦手そうなのに頑張って書いたっぽいノートは無駄ではなかったのでしょう、良かった良かった。

個人的にはアルナの方にもうちょっとシエラの人生を一変させるだけの存在感を見せて欲しかったかな、と。伝説の傭兵の娘であるシエラの、その能力に対して下心を持っていたのは全然構わないのだけれど、全体的にウジウジとした陰に籠もったところのある子でシエラの世話を焼くわりに面倒見が良いという印象もなく、もう一つ百合ヒロインとしての魅力に物足りなさを感じてしまった所があったので。
ここからもっと仲を深めていって、自身を輝かせていってほしいものです。


魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)3 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)3】 川口 士/ 美弥月 いつか  ダッシュエックス文庫

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ライトメリッツを襲ったアスヴァール軍を撃退し、エリオット王子を見事に捕らえたティグルたち。ジスタート王国はエリオットを利用して、アスヴァールの内乱に介入することを試みる。遠征軍の指揮官に任命されたのはミラとソフィーの二人だったが、その人選にはいくつもの思惑があった。
同じころ、アスヴァールの王女ギネヴィアは、自らの野心をかなえるためにブリューヌ王国を訪れていた。ブリューヌは黒騎士の異名を持つロランに、あることを命じる。
野心家たちが入り乱れ、混迷渦巻くアスヴァール島で、ティグルとミラの前に新た
な強敵が立ちはだかる。戦いの先で二人は何をつかむのか――。
アスヴァールって前作では特に元ネタがどこに国とか意識していなかったのだけれど、今回はハッキリとイングランドがモデルとわかる描かれ方になっている。とはいえ、大陸側に領地を得る過程など歴史的推移に関してはイングランドのそれとはだいぶ違っているので、史実のイングランドと重ねて考える必要などこにもないのでしょう。ただ聖剣カリバーンが実在し円卓騎士団がかつて存在したというのはかなり重要になってきます。
このシリーズだとジスタートの戦姫たちが携えている竜具とティグルが持つ「黒い弓」以外にも魔物に対抗できる伝説の武器が各国に一つ以上はあるみたいなんですよね。いや、実際に国ごとにあるかはわからないのですけれど、ブリューヌには現在ロランが所持しているデュランダルがあり、こっそりギネヴィアがくすねていたカリバーンと、色々と登場してくるんですよね。そして、それらは実際に得意な力を秘めていて、魔物たちと相対せる力を持っている。ギネヴィア王女は前作ではタラードが下剋上した時の旗印というか神輿という扱いで特に自己主張していなかったのですが、今回のシリーズでは兄弟の争いに割って入る形でブリューヌに助力を求めて女王として立つために第三勢力として名乗りを上げて、さらにカリバーンの所持者として戦場に立つことに。前は立ち絵すらなかったのに、今回は挿絵にもバンバンと登場して戦姫はジスタートの専有ではありませんぞ、とばかりに大活躍。泳げなくて溺れるロランを自ら海に飛び込んで助けたり、と活発に動いてますし何やらロランにご執心。さらに彼女に指針を与えたのが昔ブリューヌを訪れたときに出会ったティグルのお父ちゃんというのだから、ティグルにも縁があるわけで面白いポディションになってきてるんですよね。
ジスタート側は前回ライトメリッツにちょっかいかけて捕えたエリオット第二王子を傀儡にして後押ししアスヴァール王に仕立てようと、ミラとソフィーの軍を派遣させたわけですけれど、ブリューヌ側も王様がけっこう積極的に動いていて、ギネヴィア王女を支援してロランたちの騎士団を送り込んで来てるんですよね。彼女が女王になればよし、そうでなくてもガヌロンの暗躍の裏付けを取りにかかっているところなど、ブリューヌ王がかなり意欲的なんですよ。この方、元気だったらこんなに政略にも謀略にも手を伸ばせる人だったのか、と感心する次第。
とはいえ、現状ミラについているティグルとしては、アスヴァールの地で故国と対立する陣営に立ってしまったわけで、これ困るよなあ。
幸い、魔物トルバランが暴れまわっていたお蔭で渋々共闘しなくてはならなくなったエリオット王子側とギネヴィア王女側。でも、トルバランが動き出してなかったらティグルとしては非常に苦しい立場に追い込まれてたんじゃないだろうか。とはいえ、ティグルの行動もブリューヌ王の指示でもありますし、王命に違反しているというわけでもないんですよね。その点を押し出してティグルってばミラの元から離れる気は一切なかったようですけれど。ミラの味方をし続ける、という点に関してはティグルはどう情勢が変わっても譲らない覚悟はあるようで。ある意味ブリューヌという国もアルザスという故郷も、今のティグルにとっては重くはあってもミラよりは軽い、という比較になってるっぽいなあ。親父殿が生きていて、弟が生まれているという前作からの変化が、ティグルの気持ちを想像以上に軽くしているように見える。
しかし、エリオットはあの退場の仕方はなかなかひどいと言うか可哀相というか。さらっと彼なりの王になりたい動機やギネヴィアにはちゃんと告げなかったけれど、王位を得たらどういう国を作るかというものに伝統を廃してやりたい指針を持っていたようなので、それを誰にも告げず知られず秘めたまま、結構雑に退場させられたのはなんとも無残な話であります。これ、何気にミラとソフィの失態として本国から怒られちゃうんじゃなかろうか。まー、ジスタート王がどれだけ本気だったかどうかだけど。
しかしトルバランはこっちでもやはり強大な敵でした。変な異能ではなく、純粋に化物としてのパワーで押してくる、ってレベルを上げて物理で殴るそのものなので、ちょっとどうしようもない所ありますもんね。しかも、トルバランの特性として竜具を眠らせてしまう、というのがあるのでこっちの特殊能力で押し切るという手段がとれないですし。
デュランダルを装備したロラン、という人類最強の近接戦闘型人間がいなかったらまともに太刀打ちすら出来なかったんじゃなかろうか、今回。前作ではついに実現しなかったロランとティグルの同じ戦場、同じ敵を前にしての共闘、という夢のタッグマッチが見られたのは感慨深いにも程があります。剣のロランと弓のティグルのタッグってそれもう無敵じゃないですか。
それですらもトルバラン相手だと負けそうになったわけですから、どれだけ強かったんだ、というところ。ロランが為すすべなく吹き飛ばされる場面とか想像だにしなかった。

前作ではアスヴァール王になったタラードだけれど、今回は今も第一王子の麾下にいるようで。おとなしくしているようなタマではないですけれど、ギネヴィアはカリバーンの力もあって自力で女王へと登極しそうな勢いですし、傍らにはすでにロランを配しているわけで、タラードはどうなるんだろうホント。
そして、竜を乗りこなせるようになりつつも、竜騎士ドラゴンライダーになったらなったで意外と実際に竜に乗って戦うって難しいというか戦いようがないことに気づいて愕然とするザイアンくんw
竜に乗っての偵察って何気に戦局に重要な価値をもたらしそうな兵科ではあるんですけれど、公爵の御曹司が担うのって確かに微妙ではあるんだよなあ。テナルディエ公爵が危惧しているように、かなり危険でもありますし。どうするんだ、ザイアンくん!

シリーズ感想
 
12月3日

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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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