ダッシュエックス文庫

魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 11 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 11】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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激闘の末にガヌロンを滅ぼしたティグルたちはシャルルの軍を退け、ブリューヌには平和が訪れたかに見えた。
だが、不穏な影は晴れるどころか、その濃さを増していく。大陸全土を強烈な寒波が襲い穀物はかつてない不作となり、諸国はその対策に奔走することとなった。隣国の動向を知るために、ミラはブリューヌへ向かう。
ガヌロンのかつての領地ルテティアで魔物たちの企みを探るティグルとリュディたちに忍び寄る魔の手。ついにアーケンの使徒と魔物たちは互いの真の企みを明らかにする。
そして暗く深き祭壇で魔弾の王を待ち受ける神の正体とは――

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許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい? 2 ★★★☆   



【許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい? 2】 疎陀 陽/みわべ さくら ダッシュエックス文庫

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悪役令嬢として名高い彩音と、突如始まった、同居生活。
最初は探り探りだった2人も、同じ時間を共有することで、互いのことを知り、少しづつ距離感も縮まってきていた。
そんなある日、浩之の幼馴染である、快活少女・智美と少しおっとりな涼子が、とある“事情”から大喧嘩に!?
「私たち絶交したからっ!」
その勢いにあたふたするしかない浩之だけど、2人の喧嘩の原因を周りの友達はなぜか察しているようで──。
そんな鈍感よりタチの悪い浩之と、許嫁の彩音、絶賛喧嘩中の智美と涼子──複雑な4人の関係がついに動き出す!
大人気ラブコメ待望の第2弾!

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許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい? ★★★★   



【許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい?】 疎陀 陽/みわべ さくら ダッシュエックス文庫

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「お前には許婚がいる」とある土曜の朝、父親から告げられた衝撃の事実。
東九条浩之、高校2年生。帰宅部、彼女はナシ、だけど不満もなく平穏な日々を送っていた。
はずだったが……浩之を置いて、話はどんどん進んでいく。
しかも、許婚は同じ高校に通う容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群のパーフェクトお嬢様!
「言っておくけど拒否権、無いわよ?」
だけど彼女は学園でも有名な「悪役令嬢」で!?

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迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について ★★★   



【迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について】 ネコクロ/緑川 葉 ダッシュエックス文庫

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ある日、青柳明人のクラスにシャーロット・ベネットが留学してくる。
清楚で上品な振る舞いと可愛らしい容姿のシャーロットに、クラスメイトの誰もが心を惹かれるが、明人は冷静に「住む世界が違う」と感じ、一歩引いていた。しかし、迷子になっていたシャーロットの妹・エマを助けたことで明人の日常は激変。ベネット姉妹がマンションの隣室に住んでいることが分かり、さらにエマが明人に懐いたこともあって、ベネット姉妹が毎日のように明人の部屋へ遊びに来ることに。3人でドミノをしたり、食卓を囲んだり、お出掛けしたり。一緒に過ごす中で、明人とシャーロットは不器用ながらも心を近づけていき――甘々でじれったいお隣ラブコメディ開幕!

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会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった 2 ★★★   



【会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった 2】 雲雀湯/jimmy ダッシュエックス文庫

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義妹の平折と一つ屋根の下で暮らしている昴。
そんな平折がネトゲ上での大親友であったことがわかり、二人の距離は急速に縮まっている。
それまで地味で大人しかった平折も“変わりたい”と、学園のマドンナ・南条凛の協力を得て美少女へと大変身を遂げた。
嬉しい反面で平折を意識することも増えてきた昴だが、その一方で凛との仲も徐々に深まりつつあった。
絶妙なバランスの三角関係で保たれている三人だけど……。
「私が彼女になってあげよっか?」――ひょんなことから再会した、今をときめく高校生モデル・有瀬陽乃が現れて!?
昴が忘れていた過去、平折が抱える問題、陽乃の登場により様々なことが明らかになり――。
青春真っ盛りの男子高校生がおくる、ほのぼのラブコメ第2弾!

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魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 5 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 5】  瀬尾 つかさ/ 八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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円卓の騎士ボールスという犠牲を出しながらも、ティグルたちは魔物ストリゴイを滅ぼした。
アスヴァール全土を覆わんとした影法師の災禍は終わりを告げ、ギネヴィア軍とアルトリウス軍は雌雄を決するべく互いに軍を進める。
決戦の時が迫る中、ギネヴィアは、アルトリウスの剣によって命を落としたリネットのことを夢に見る。
それはただの夢ではなく、善き精霊モルガンと猫の王ケットの導きによるものだった。
一方、アルトリウスは円卓の騎士サーシャを見舞い、彼女から神器を受けとる。
そして、悪しき精霊マーリンは、己が野望の達成のために、両軍が激突する瞬間を静かに待ち受けていた。
よみがえる伝説と、超常の悪意に、ティグルとリムは決死の戦いを挑む。
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異世界サ活 ~サウナでととのったらダンジョンだ!~ ★★★☆   



【異世界サ活 ~サウナでととのったらダンジョンだ!~】 持崎 湯葉/かれい ダッシュエックス文庫

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自宅にサウナを置くほどのサウナ好き・高虎。しかし、好き故にサウナ内で指示厨『ロジハラサウナー』に変貌する奇人であった。
そんなある日、女騎士のベルが突如として高虎の自宅サウナ内に現れる。高虎が驚いて外に出ると、そこは異世界。
なんとサウナごと転移していた様子。
ベルは暑い中で我慢するだけの謎文化『サウナ』に戸惑うが、高虎のロジハラにより、サウナで『尽くしマゾ』の本質が刺激され、身も心もサウナの虜になってしまった。
さらに魔石をサウナストーンにして『ととのう』ことで、特殊能力が発現! ダンジョン攻略をすることになり!?
ロジハラサウナー男と尽くしマゾ女騎士たちがおりなす、サウナファンタジーコメディ開幕!!

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魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 10 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 10】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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ファーロン王の肉体を使って地上によみがえり、ブリューヌを奪うと高らかに宣言した始祖シャルル。
ティグルたちは彼に奪われた城砦を取り戻すべく軍を進めたものの、城砦は焼かれ、シャルルには逃げられてしまった。
ティグルは敵の狙いが自分たちではなく、王都ニースであることを見抜く。
急いで引き返そうとするブリューヌ軍だが、ある事情からティグルたちはザイアンに軍の指揮を任せて、独自の行動をとる。
その先にはおもわぬ出会いが待っていた。
一方、シャルルはガヌロンとともに王都を目指し、両者の争いの裏で、アーケンの使徒たちもひそかに暗躍する。
かつてない強敵に挑むティグルとミラ。刃の輝きと鬨の声が、王都に迫る。

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黒猫の剣士 2 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~ ★★★★   



【黒猫の剣士 2 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~】  妹尾 尻尾/石田 あきら ダッシュエックス文庫

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古竜ムゥヘルに勝利した【紅鷹】メンバーは、息つく間もなくトルネードラゴンとの対決に向かう!
魔力がほぼ0でありながら、あらゆる魔術を斬るナインや、ダリアを擁する最強パーティの活躍により敵の撃破に成功した。
戦いの日々の中、ダリアとの距離が縮まっていくナイン。だが彼の前に、出生の秘密が立ち塞がる。
一方、邪竜王の復活を目的とする【ヴァルムント】教が、封印を解く鍵を握るナインに接近し…!?
本当の父親、ダリアとの恋、邪竜王の復活。黒猫の剣士は己の宿命を断ち斬ることができるのか!
大人気御礼! 無能とされた少年が活躍の場を見つけて成り上がる! 超速の異世界ファンタジーアクション第二弾!!


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会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった ★★★☆   



【会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった】 雲雀湯/jimmy ダッシュエックス文庫

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ゲームが大好きな高校2年生の倉井昴。5年前に両親が再婚し、同じ高校に通う同い年の義妹・平折と4人で暮らしている。
生活に不満はないものの、平折との間には壁があり、いまだに打ち解けられずにいた。
そんなある日、ネトゲで仲が良くなった親友と会うことになった昴だが……
「嘘、だろ……」――待ち合わせに現れた超絶美少女がなんと平折で!?
美少女と一つ屋根の下、青春真っ盛りの男子高校生がおくる、ほのぼのラブコメ!
あっ、意外と早々にタイトルで語られている通りに、妹の平折がネトゲでのパートナーだとわかっちゃうのか。
角川スニーカー文庫から【転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件】シリーズを出している雲雀湯さんのもう一つのラブコメ作品であります。

平素では内向的で周りに友達もおらず、家族となった自分とも最低限のコミュニケーションしか取らない義妹の平折。でも、ネットゲームのアバターで彼女が演じるキャラは明るく社交的で言いたいことはハッキリというシャキシャキとしたキャラクターだったんですね。
尤も、それは平折の本当のキャラというわけじゃなく、作ったキャラであったんだけれど、実はちゃんとそのモデルが居る事があとになってわかるのです。もうひとりのメインヒロインとも言える立ち位置になる南條凛。クラスの中心にして、平折の憧れでもある少女。もっとも、学校での凛の振る舞いは平折のネトゲのキャラであるフィーリアさんのそれとはちょっと違っていて、もっと外面がよく品行方正で他人の見る目を意識した、或いは周りの期待や理想に応えるような振る舞いをする少女でありました。フィーリアさんはもっと親しみやすく遠慮がなくズケズケとした物言いで、ちょっと乱暴なくらい距離感が近いキャラだったのですけれど。
実は、そんなフィーリアさんのキャラの方が外面取り繕った方ではなく、南條凛という少女の本性に近かったんですね。
ひょんなことから、そんな凛の素顔の方と接するようになった昴。気楽に本性を晒せる相手として、凛と昴は急速に仲がよくなっていきます。何より、長年の相棒であるフィーリアさんによく似たキャラの凛は、昴にとっても親しみやすく長年連れ添ったような気安い距離感で居られることが大きかったのでしょう。
そして、面白いことに凛の方も平折のことを特に気にしていて、仮面の自分に良い顔する取り巻きたちのオモテウラの激しすぎる態度に若干人間不信気味になってる凛にとって、言葉数は少ないものの決して他人の悪口を言わず誠実に対する平折のことを、凄く意識していて仲良くなりたいと思っていたわけです。
そんな二人のキューピットに、はからずもなってしまう昴。凛の本性も、平折の素顔も知っていて、お互いに仲良くなりたいと思っていることもわかっていて、そんな二人にダイレクトに言葉を伝えられる昴は、まさに縁結びに最高のポディションだったわけである。
おまけに、凛に勧めたネトゲで凛も平折もお互い知らずにネトゲのキャラ同士で意気投合し、現実での悩みを相談し合うような仲になってしまう。ネトゲでも現実でも順調に仲良くなっていく二人を暖かく見守るポディションのこの主人公ってば……。ついでに、両方からアドバイス求められたりしてねえ。
ただ、そうやって相談に乗ったり自分の本当の気持ちや素顔をさらけ出せる相手、というのは自然と惹かれていくもので。以前から義兄が気になる相手だった平折はもとより、凛の方もどんどんと昴に惹かれていくのがよく分かるんですよね。
なによりこの主人公、今まで平折と仲良くなれないまま燻っていた男のくせに、クラスメイトの一部から嫌がらせを受けだしたり、と本格的に平折が困ったり辛い思いをしだすようになると、日和るような真似をしなくなるんですよね。取り繕うような、本音を隠すような心を押し殺した言葉を鵜呑みにせず、ここぞという時に勇気を出して踏み込むようになるのである。曖昧な言葉でごまかさずにストレートに、自分を頼れ、思ってることを言ってくれ、と憎からず思っている男性に真摯に情熱的に迫られて、あんなに格好良く顔を近づけられて、果たして平静で居られるだろうか。腰抜けてませんか、平折さん。

図らずも、知らずネトゲのキャラのロールプレイをお互いと似たキャラにしてしまう平折と凛。そうしてネトゲでもリアルでも無二の親友となっていく。そんな二人の仲を支える昴と不可思議な三角関係を徐々に築きながら。
学校での姿もプライベートで見せてくれる姿もどんどんと変わっていく平折、友達となった平折のために昴のために、どんどんと本当の自分の姿を見せていく凛。そしてそれは昴自身も。そうして、お互いに良い影響を与えながら絆をつながりを深めていく三人だけれど、凛にも平折にも昴との本当の関係を秘密にしているという隠し事があるんですよね。それは昴も同じことで、平折が義妹だということ。そして凛と隠れて会っている事をそれぞれに隠している。はたしてその隠し事が三人の関係にどんな影響を与えていくのか。
三角関係のはじまりと絆の深まりを描いたのがこの一巻だとすれば、本当に動き出すのは次の巻からになるという事かもしれない。ラブコメとして本格的にはじまるのは、だから次からなのかもと思えば、楽しみばかりであります。

魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 9 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 9】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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バシュラルを戦場で討ち、残す敵はガヌロン公爵だけとなったティグルたち。
だが、ガヌロンはファーロン王と、リュディの父であるベルジュラック公爵をさらって己の領地であるルテティアに逃亡した。
国王たちを救出すべく軍を編成するティグルたちの前に、ひとりの男が現れる。男はシャルルと名のった。
三百年前にブリューヌ王国を興した始祖であると。そして、「この国を奪う」と告げた。
『黒騎士』ロランを軽くあしらって逃げ去ったシャルルはさっそく行動を開始し、ブリューヌに戦風を巻き起こす。
彼の背後には、遠くキュレネーからやってきたひとならざる者たちの姿があった。
国を興した一代の英雄に、ティグルとミラはどう立ち向かうのか。
おいおい、既成事実という言葉が出始めましたよ!?
ティグルの活躍は功績として認められ、ブリューヌ王国としても無視できない重さを得ていく。何よりレギン王女が重用していますからね。かつてのような無名の田舎貴族の子息ではなくなったわけだ。
それは、ミラの伴侶として相応しい格を手に入れる、ミラと釣り合いが取れるだけの人間になる、という目的に叶うものではあったんだけれど……。そりゃ、ティグルがブリューヌ王国の重要人物になっていったら、他国の公国の戦姫であるミラとの婚姻なんて今までとは別のベクトルで難しくなりますよね。ミラも迂闊というか、そこまで深く考えてなかったよな、これ。ある意味、ティグルの事しか見ていなかった、とも言える。ミラにとって、ティグルは自分だけのもの、という意識があったんじゃなかろうか。アルザス伯領については考えることはあっても、ティグルがブリューヌ王国の者であるという点や、自分が所属するジスタートとブリューヌ王国の国際関係が障害になってくると果たしてどこまで頭にあったか。
そう考えると、リュディは凄まじく狡猾な立ち回りをしてるんですよね。ティグルとミラが相思相愛の仲であるという前提を踏まえた上で、そこにどう自分をいっちょかみさせるかを、今のティグルの微妙な立ち位置と自分がブリューヌでも大貴族である公爵家を継ぐ立場であることを逆に利用し、さらにレギンという強大な恋敵の存在をミラにチラつかせる事で、ミラに自分はティグルを奪う敵ではなくミラの味方ですよ、と刷り込ませる。外交的にもブリューヌ国内の調整的にもミラはティグルと結ばれるためにはリュディに一口噛ませないといけないと思っちゃうよなあ、これ。
ティグル本人も積極的にアピールして自分が彼の初恋の人だというのを思い出させつつ、今も憎からず思う可愛い女性だと刷り込み、強烈に意識させる。
強か、というほかない立ち回りである。リュディ自身、父である公爵の死が確定して悲しむ暇もなく自分が公爵家を継がなくてはならない現実が目の前に迫った事で、悠長にしていられなくなったというのもあるのだろうけれど、追い詰められるほど冴え渡るキレッキレのリュディの動きが目立つ回でもありました。

まあ本編の方はシャルル復活!! がほぼすべてを持っていっているわけですけれど。
いやあ……これは想像していた以上にカリスマだわー。それもこんなに陽性で前向きで人を惹きつける魅力の持ち主だったとは。生き返ったことに対してもう少し悩んだり恨んだり、生前の負の感情を持て余していたり、となんらかの陰の要素がこびりついているのかな、と思ったらなんかもう凄く明るいんですよね。復活したからには戦前の未練を果たすぜー、と前向きに世界征服目指しているし。
もっとも、それは彼自身の未練もさることながら、ずっと置き去りにしてしまっていたガヌロンの期待に応えてあげるため、という理由も大きそう。
そう、ガヌロンがまた別人か、というくらい生き生きしてるんですよね。いや、あんたそんな明るいキャラだったか、と。世の全てを嫉み、人を蔑みきっていたような人物だったガヌロンが、皮肉交じりとはいえ軽口をたたき、シャルルの無鉄砲にため息を付きながらもどこか楽しそうに尻拭いをしたり、とああシャルルの生前はこんなふうな良いコンビだったんだなあ、というのが伝わってくるようなやり取りに、二人の友情の深さが垣間見えるのです。
どうして、ガヌロンがあれほどまでにシャルルの復活に固執したのか。どれほど優れた人物を目の前にしてもシャルルと比べて、大したこと無いと断じてしまっていたのか。ガヌロン、ほんとにシャルルのこと好きだったんだなあ。
そんなガヌロンの気持ちを、妄執にまで落ち、魔物同然に歪んでしまうほどに自分を待っていたガヌロンの執着を、シャルルがほぼ正確に把握してるっぽいのも。そんな彼を置き去りにしてしまったことをシャルルが後悔しているらしいところも、また二人の絆の深さを感じさせるんですよね。決してすれ違いではない、ちゃんと繋がりあった主従だったのだ。
このコンビは強いぞ。多分、それぞれ一人ひとりならどれほど強大ではあっても、倒しようは幾らでもありそうなのだけれど、シャルルとガヌロンが二人揃っていたらなんかもう無敵感があって、これ勝てるんだろうかほんとに。あんまり負ける姿が思い浮かばないのだけれど。
でも、前言を翻すけれど二人が負けた時の末路というか、二人がどういう結末をたどるかというのは逆に容易に思い浮かぶんですよね。二人の繋がりの深さが、シャルルの後悔が、それを思い描かさせくれる。
さてもティグル、頑張らないとなんだかんだで主役取られちゃうぞ、これ。
そして、地味に頑張り続けているザイアンくん。こいつ、根本的に小物チンピラ魂は失わないのに、なんでか一線を越えないままギリギリで大事な部分を守って、なんか成長しているように見えてしまう不思議。ちゃんとビビりながらも親父に言うべきことを言えるだけの根性というか勇気も持てるようになりましたしね。そのせいか、ティナルディエ公とザイアンが不器用ながら真っ当な親子としての情愛を交わし始めて、凄く健全な父子になりはじめてるのが微笑ましい。ティナルディエ親子を微笑ましいと思う日が来るとは思わなかった。わりと堅実に一軍を率いられているのもポイント高い。下手に貴族意識高いだけの指揮官より、ザイアンの方が普通に頼もしい指揮官に見えるし、実際ちゃんとやってるもんなあ。
あの物怖じしない無表情キャラな竜の世話係の侍女と、果たしてどうなるんでしょうね。身分はある意味ミラとティグル以上に差がありそうだけど。普通なら愛妾枠なんだろうが。





黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~ ★★★☆   



【黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~】  妹尾 尻尾/石田 あきら ダッシュエックス文庫

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魔力値が限りなく0に近く【無能】と見なされているナインは、冒険者とは名ばかりの雑用を奴隷のように押しつけられていた。食事もまともに与えられない中、パーティのリーダーに難癖をつけられて父の形見の黒剣を勝手に売りさばかれ、唯一の家族である猫のエヌを足蹴にされたところでナインの我慢は限界に達する。「も う 辞 め ま す !」 宿を飛び出したナインは、大陸最強の魔術師――『閃紅』のダリアからスカウトを受けることに。ダリアは偶然見かけたナインの戦い振りから、彼の潜在能力を見抜いていたのだった! 【無能】とされた少年が活躍の場を見つけて成り上がる! 超速の異世界ファンタジーアクション!!

ナインくん、いい子だなあ。まだ幼いくらいの少年で、初々しく直向きで義理堅い。何より純真でだからこそ人には悪意があるという事実に疎くて、イイように搾取され利用されてしまうんですね。
下手に我慢強いものだから、自分だけが不当な扱いを受けていただけなら「恩」を受けていると思っている以上ずっと我慢し続けたんでしょうけれど、相棒の黒猫エヌが痛めつけられた事でようやく今まで所属していた、所属させられていたパーティーから抜け出すのでした。これだって、これ以上一緒に居たらエヌに何をされるかわからないからで、自分ごとじゃないんですよね。
こういう真っ直ぐで可愛げのある子だからこそ、真っ当に報われて欲しいと思うのは当然のことで、こういう今まで理不尽に扱われていたパーティーを抜けて新しいパーティーで大活躍、というストーリーの主人公として相応しいキャラクターでありました。
捨てる神あれば拾う神あり。いや、この場合捨てたのはナインくんの方になるのでしょうけれど、パーティーを飛び出した彼にすぐ声を掛けてきた「紅鷹」の三人がまた、気持ちの良い人達なんですよね。
年少のナインくんに対して三人とも一回り年上なのですけれど、ナインの実力を以前から見かけていてゾッコンだったダリアだけでなく、いきなりダリアが連れてきた何れともわからない少年に対して、残る二人のユージンとリンダもただ優しいというだけじゃない、大人や年上の気遣いや面倒見の良さを見せてくれて、実に良いお兄さんお姉さんしてくれるのである。
元々、やんちゃで無鉄砲なダリアに対しても二人はお兄さんお姉さん的に振る舞っている節があったので、かわいい弟分が出来たという感覚だったのかもしれないけれど。
実際、ナイン君のあの素直さはついつい猫可愛がりしたくなるものがありますからね。あれだけ素直に驚き、目をキラキラさせて頑張ってくれると何でもしてあげたくなっちゃうじゃないですか。
現実として、ナインの実力は大陸最強クラスの「紅鷹」の面々をして瞠目するばかりのもので、手放しで称賛すると逆にナインくんからも凄いです凄いですっと飛び跳ねるようにはしゃぐように称賛が帰ってくるのである。もうめっちゃかわいい年下の子である。そんな子に普段から可愛がってる妹分がぞっこんで一生懸命構っているのも見てしまったら、お姉ちゃんお兄ちゃんとしたらもうこの年下の子たち可愛くてしかたないですわ。ユージンとリンダの気持ちよくわかるわー。

面白かったのが戦闘シーンで、「紅鷹」に加入して速攻で対竜戦闘というとんでもないバトルイベントへと突入してしまうのですが、そのスケールが並のファンタジーとは一線を画してるんですよね。
ファンタジーの4人くらいのパーティーでの戦闘というとせいぜい数十メートルでのお互いが視界に入る範囲で連携しながら戦うというイメージですけれど、本作での対ドラゴン戦闘の場合だと転送や超高密度のバフによる高速移動などによって、数十キロ四方に展開して戦うのである。
それも、個別に勝手に戦うのではなく、これだけの距離に展開しながら相互に緊密に支援とフォロー、連携を行いながら、である。移動は殆どかっ飛ぶように縦横無尽に疾駆して、魔術や支援攻撃の類はキロ単位で的確に届き、あるいは広範囲に降り注ぐ。スケール感とスピード感が地べたの上を走り回るそれとは桁違いの高機動戦闘なのである。
此処まで来ると、もうファンタジーというよりSFアクションのスケールなんですよね。疾走感といい、ド迫力の攻防の数々といい映像になればどれほどの見栄えになるのか、というド派手さで実に痛快でした。
ここらへんは、作者の妹尾さんがかつて書いてた【ディヴィジョン・マニューバ 】とか【終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?】などのSFアクション作品の戦闘シーンを連想させてくれるものでしたね。これらの作品の戦闘イメージから着想を得ていたのでしょうか。
いずれにしても、ド迫力で読み応えあるバトルシーンでありました。

はっきり言って、このレベルの強さだとその辺の街のマフィア相手だと次元が違うどころじゃないなあ。監査役員の老人がまた意味不明レベルの武術の達人で、ポンポン人間横回転や縦回転で吹き飛ばしてパーンと破裂させて倒していくのはまた別種の痛快さがありましたけれど。

追放モノの王道として、有能極まるナインくんが抜けてしまったあと物凄い勢いで凋落していった元のパーティーがザマぁな結果になるのは当然なのですけれど、思いの外徹底してその末路が酷いありさまになっていたのは、まあご愁傷様でしたとしか……。それだけ酷いことをあのナインくんにしていたわけですし、因果応報因果応報。

ある意味、ナインくんとダリアたちの出会いのお話であり、世界観やキャラの紹介とも言える展開でありましたし、本格的にナイン君が加わった最強パーティ「紅鷹」のお話となるだろう次の巻はぜひ読んでみたいので、続き出て欲しいですねえ。
何やら、ナインくんには出自に謎があるみたいですし、相棒の黒猫エヌもただの猫じゃないみたいですし。





魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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再起を果たし、タラードとの戦いにも勝利したベルジュラック遊撃隊は、王都ニースに向かって進軍を開始した。
ティグルとミラ、リュディはレグナス王子の軍との合流をはかり、軍から一時的に離れる。
ファーロン王を捕らえて王宮を我がものとしたガヌロン公爵は、己の野望を押し進める一方、ティグルの故郷であるアルサスを焼き払うべく、軍を差し向けた。
悲壮な決意をもって戦うことを決意するウルスの前に、おもわぬ援軍が現れる。それは風を操るジスタートの戦姫だった。
バシュラル王子はレグナスを討ちとるべく動きだし、テナルディエ公爵もまた決断を下す。ブリューヌ王国を取り巻く状況が二転三転する中で、ティグルとミラは望む未来をつかむことができるのか。

ちょっとギネヴィア王女、自由すぎやしませんかね!? 前作・スピンオフを含めても、彼女ほど立場無視して好き勝手動いてた人、いなかったんじゃないだろうか。オルガだってあれ出奔じゃなくて武者修行という体がついてたはずですし。
こんな「乱入」としか言いようがない戦場横入りはなかなかないですよ。なんで此処にいるの!? と、彼女を知ってる人も知らない人も思ったでしょうねえ。この女、確実にロランをゲットして帰るつもりだ。
バシュラル王子は軍事的には常に圧倒していたにも関わらず、要所要所で邪魔が入りベルジュラック遊撃隊にもレグナス王子の本軍にも決定打を打てないままでいるうちに、情勢が変化していつの間にか劣勢に陥ってしまっていた、という振り返ってみると何でこうなった、というような展開なんですよね。
その要所を抑える形で援軍や後方撹乱やら、バシュラルを徹底的に邪魔したのがティグルだったわけだ。その僅かな差を押し切らないといけない時に押しきれなかったのは、バシュラルの限界だったのかもしれないけれど。彼には魔の手引はあったとしても、天分はなかったのだろう。天地人のうち、人がどうしても足らなかったんだなあ。タラードがいるだけでは足りなかったか。ガヌロンは協力者であっても潜在的には敵という認識は最後まで崩れなかった以上、バシュラルはずっと孤軍だったとも言えるし。それであれだけ大暴れできた、というだけでも彼としては本望なのかもしれないけれど。
彼の根源は、話を聞いた限りではやはり母への想いなんですよね。彼が傭兵になったのも、母を支え護るためだったという。その母が病で亡くなり、その直前戦場で戦士としては致命的な傷を負ってしまったバシュラルにとって、そこで人生は終わっていたはずだった。
それを運命の悪戯から命を繋ぎ、それどころか以前よりも増した力を手に入れてしまった。彼の中で燻っていた想いはなんだったのか。父親であるファーロンへの恨み、というほど父への執着はなかったように思う。でも、母との貧しい暮らし、病に倒れ相応の治療しか与えられなかった事への悔しさは、一介の傭兵ではなく王であったのなら母にもっと幸せを与えてやれたのではないか、という未練だったんじゃないだろうか。
でも、幼馴染から伝えられた母の末期の想いは、今のバシュラルの原動力だった野心の根源に、揺らぎを与えてしまった。果たして、母の願いを自分は無視してしまったのか。独り善がりだったのだろうか。
彼が自分の力を試し、やれるだけやってみたい、という真っ直ぐな我欲に殉じたのは間違いない。それでも、ロランやティグルと比べるとどうしても芯の強さに強弱があったように思える。彼の戦いは彼だけの戦いにすぎなかったわけだ。タラードはそれにこそ共鳴共感してたんだろうけど。
親孝行、できなかったんだなあ、彼は。

こうしてみると、主要登場人物の多くはまだ親が健在だったりするんですよね、本作。前作では既に亡くなっていたティグルの父やミラの母も健在で、リュディの父ベルジュラック公もレグナスの父であるファーロン王も子供達に未だ大きな影響を残している。
でも、なかなか親孝行って出来ない状況になってきてるんですよね。ガヌロンが、ファーロンを生かして人質にとっているのは彼の在り方からしてなんか不自然だなあ、とは思っていたのですが。人質なんてやり方に価値を見出しているような男ではなかっただけに。だから、何の目的でファーロン王を確保していたのかが明らかになった時は、深い納得がありました。いやガヌロンの目的は前回わかりましたけれど、方法がまさかそっちだとは思わんかった。
瀬尾さんの方が受肉した形で生き返ってたんで、普通に同じようなものかと思ってしまってた。

ちなみに、ザイアンもお父さんであるテナルディエ公が元気なんですけど、不思議とチマチマとポイント稼いで、親孝行してるんですよね、こいつw
あんまり出来が良くないと思ってた息子が、思いの外よく働くようになったのでちょっと期待するようになってしまった、ってそれなりに親としては嬉しいことなんじゃないだろうか。
でもザイアン、人間的に成長とか全然してないんですよね。いや、全然って事はないだろうけれど、あからさまに人間的に人格的に成長したという様子はなくて、相変わらず自分を大きく見せたがる見栄っ張りの人間の小ささ、小物っぽさは変わらないんですよね。
飛竜を駆って無双! という事もできず、結構ポカも多かったり締りがない結果になってしまったり、という事も多いのだけれど、わりといいところでそれなりに活躍するものだから、どうしても見直さざるを得ないという、どう扱えばいいんだこの男w
でも、憎めなさは際限ないことになってるので、このまま小物っぽいまま功績あげていって欲しいものです。

しかし、エレンとミリッツァまで介入してきて、いつの間にか戦姫みんなジスタートからこっちに来ちゃってるじゃないですか。戦姫、勢揃い! というには、なんかえらいなし崩しというか、いつの間にか集まってしまってた、という感じなのが若干微妙なのですがw
無事、リーザの記憶が戻ったのは良かったのですが、まさか右腕があんなところから出てくるとはw
記憶が戻ったおかげで、あの純真無垢な幼いピュアリーザがいなくなってしまったのは残念なのですが、そのあいだの記憶全部あるみたいですし……これはリーザ、いたたまれないよなあ、これ。
ただ戦姫勢揃いはしたものの、前作みたいにみんなティグルとイイ仲、という感じにはなってないんですよね。リーザもこれ、良い仲間にはなりましたけれどヒロインとしてはハズレちゃってますし。
その分、リュディがグイグイ来てるのとレギン王女が意外とかなりティグルにご執心なんですよね。まあレギン王女はちょっと後発すぎますけれど、リュディは現地嫁でもいいですよ、というスタンスなのでミラ一筋のティグルをして押し切られかねない勢いがあるんだよなあ。
最後のリュディにとって厳しい展開が、ティグルとの関係にどう影響してくるのか。

あと、ミリッツァはこの娘、クリティカルに出歯亀しすぎでしょうw 興味津々のお年頃とはいえ、覗きすぎ!
もうティグルもミラもこの娘には見られてても仕方ない、くらいの覚悟がないと先に進めないぞ。多分、どこでイタそうとしてもこの娘空間転移で現れて覗いてそうですしw



魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 7 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 7】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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ブリューヌ国王ファーロンに、庶子ながら王子として認められた若者バシュラル。
彼はひそかな野望を胸に、『黒騎士』ロランを罠にはめ、レグナス王子の抹殺を狙う。
レグナスの護衛を務める女騎士リュディエーヌは、幼馴染みでもあるティグルらの助力を得てベルジュラック遊撃隊を結成、バシュラルと戦うも敗北してしまう。
リュディエーヌを、そしてブリューヌ王国の危機を救うため、ティグルは父の親友であるマスハス=ローダント伯爵に助けを求める。
彼の力を借りて、ティグルたちは再起を計るのだが、そのころ王都ニースでは、バシュラルを操る黒幕であるガヌロン公爵が恐るべき行動に出ようとしていた。
混乱の渦に呑みこまれようとするブリューヌ。数々の困難をティグルは突破できるのか。

ガヌロン、ついに動く! なんかもうガヌロンが敵サイドの主人公、とばかりに掘り下げられてるんですよね。こうしてみると、彼に限らずこのシリーズって前作のエレンがメインヒロインだったシリーズでは描ききれなかったキャラクターに光を当ててるんですよね。
早々に退場してしまったロラン然り。テナルディエ公とザイアン然り。早々に人事不省に陥ってしまったブリューヌ国王ファーロンや、シリーズ始まった時にはすでに亡くなっていたティグルの父であるウルクやミラの母であるスヴェトラーナ。シリーズの終わりにようやく出てきた新任の戦姫ミリッツァ。ギネヴィアやタラートといったメンツにもスポットが当てられ、またリュディやバシュラルといったこのシリーズで初登場となるキャラクターもそれぞれメイン級のヒロインにロランに勝るとも劣らない戦士と、見事に存在感を知らしめている。
これで戦姫たちが目立たなかったら本末転倒だけれど、ちゃんと病に倒れているサーシャ以外は全員出張ってきているもんなあ。戦姫を引退したヴァレンティナまで、情報担当としてちょいちょいいい仕事してくれてますし。

しかし、ガヌロンが最初に仕えたブリューヌ王国初代のシャルルに深い思い入れがある事は前シリーズから語られていましたけれど、ここに来てその詳細が深く掘り下げられる事になったわけですけれど……ちょっとガヌロンさん初代のこと好きすぎじゃね? しかもちょっとツンデレ入っているし。
盲信してるとか忠誠心の塊、とかではなく、口ではシャルルと呼び捨てにしているし、あくまで対等、向こうがうるさいから仕えてやった、みたいな素振りのくせに、実際の様子を見たらめっちゃ一途なんですよ。最初から最後までシャルルの王道に付き合い、その戦いに寄り添い、仲間たちが死んでいく中で唯一最期を看取り、その後も公爵としてブリューヌに仕え続けてたのって、これ間違いなくシャルルへの忠誠ですよね。魔物を食らってしまって人ならざるモノになってしまった時、シャルルの下から離れようとした時に、お前は何も変わっていないじゃないか、と引き止められてその後もそばに居続けることにしたのって、もう完全に魅入られちゃってるじゃないですか。
ガヌロンって、あの他者に対する残虐さ非情さはもう人間としての心を喪っていると思うんですよね。元からそういう人間だったとは思えないんですよね。ガヌロンの記憶から伺えるシャルルの言動からして、今のガヌロンのような人を人とも思わない残酷さ、嗜虐性、殺戮は好まないし、恐怖で派閥の貴族や民を支配するやり方も必要以上にやりすぎていて、初代を支えた名軍師としてのガヌロンにはそぐわないように思える。
魔物を食らったことで、徐々に身も心も魔物のようになってしまった、というのならそれも理解できるのです。他の魔物たちは、ガヌロンの事を食らった魔物とイコールに見ている事からもガヌロンという人間に食らった魔物が侵食して染め上げていても不思議ではないなあ、と思うんですよね。
しかし、ガヌロンは自分が魔物であることを否定し続けている。他の魔物たちを敵視し、彼らには決して迎合しようとしないまま、ブリューヌの貴族としてシャルルの後裔を見守り続けてきたことは、ガヌロンのシャルルへの忠誠と友情、思い入れを伺わせてくれるのではないだろうか。
でも、彼の中では幾ら見守っていても、シャルルに匹敵するような偉大なる王はついぞ今まで現れなかったんですよね。自分が仕えるに足る王は現れなかった。その絶望が、さらに彼の魔物化を推し進めたのか。
それとも、心も魔物になってしまっていたから、どれほどの名君が現れても認められなかったのか。自分の中のシャルルに並ぶ、上回る存在を受け入れられなかったのか。
彼の中でどれほどシャルルが美化されて特別な存在になってしまったのかは定かではありませんけれど、果たして本来のシャルルとガヌロンのイメージの中のシャルルとでは一体どれほど乖離してしまったのか。
自分の記憶の中のシャルルに囚われたガヌロンは、ついに彼の後裔に再来が現れることを諦め、シャルル当人を蘇らせることを願ってしまう。その果てが、本当の絶望である可能性など微塵も考えず。
王都を支配しながら、決して玉座には座らず、その横に立ち続け主君の復活を待つ姿は、彼の挙兵が野心ではなく拗らせた忠誠と友情と……懐旧にあることを如実に示していて、どこか切なく虚しく哀れに見える。
だが、いずれにしてもガヌロンの挙はただでさえ庶子バシュラル王子とレグナス王子の対立によって内乱状態に陥りかけていたブリューヌを一気に争乱へと向かわせるのであった。

ここで、ブリューヌ国内の各勢力が一気に動き出して、王都を目指して参集しはじめるのは情勢が加速し集束していく怒涛の勢いを感じられて、ワクワクしてくる。
それも敵と味方の簡単な二勢力ではなく、リュディとティグルとミラたち戦姫が集うベルジュラック遊撃隊に、ロランが合流したレグルス王子の軍勢。待ちの姿勢を覆して積極的に動き出したテナルディエ公の軍勢、ガヌロン一派でありながらガヌロンの思惑とはまた別の独自の考えを持って動いているバシュラル王子とタラートの軍。そしてついに動き出すエレン率いるライトメリッツ公国軍に、聖剣片手に一人乗り込んでこようとしているギネヴィア女王。いや、最後のギネヴィアさんはちょっと冒険しすぎやしませんか!? こっちには側近のリネット居ないのか、先回りして捕まえる人いなかったのか!? 意中のロラン卿をゲットするため、という目的もなかなか酷いと思うのですけどw

リーザは引き続き記憶喪失のままなのですが、精神が子供帰りしたリーザの純真無垢さが眩しい!
これでティグルにべったりだったらアレなのですけど、ティグルは遊撃隊での仕事が忙しいのも相まってあんまり関わりなくて、主に面倒を見ているソフィーヤとどんどん百合百合しくなっていくのはなんともはや。おかげでソフィーヤもティグルにちょっかいかけてる暇なくなったもんなあ。
リーザの右腕が切り落とされてしまった件は、これで戦姫としてもう戦力外になるのかと思っていたら、そこまで軟弱じゃなかったか。というか、利き腕落とされてしまったにも関わらずリーザを見捨てない操雷の鞭「ヴァリツァイフ」、根っこはワンコなんだろうか、こいつ。








魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4 ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4】  瀬尾 つかさ/ 八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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アスヴァールの地に現れた新たな魔物ストリゴイ。
サーシャの助力もあり、ティグルとリムはからくも魔物を撃退したものの、滅ぼすまでには至らなかった。
そして、逃げ延びたストリゴイはティグルらギネヴィア軍と、魔物の殲滅に全力を注ぐアルトリウス軍を最大の障害と認識し、新たな影法師の大軍をそろえてアスヴァールを襲う。
ストリゴイと魔物の脅威を目の当たりにしたギネヴィアらは、アルトリウス軍との休戦と一時的な同盟の締結を模索するのだが――。
アスヴァールを取り巻く争乱の嵐は、おもわぬ方向へ吹き荒れる。
兎にも角にもラストの衝撃的な展開に触れざるを得まいてや。
まさに目の覚めるような横っ面をぶん殴るような展開で、別に弛緩していたわけじゃないと思うのだけれど、それでも冷や水を浴びせたような心地でありました。
いきなり初手から取り返しのつかない最悪、ではないのでしょうけれど、しかしじゃあ取り返しがつくのか?と言われると、やっぱりこれ最後の一線を越えてしまっていて取り返しつかないんじゃあ、という可能性も非常に高いんですよね。
サーシャの例を見るに決して自由意志が存在しないわけじゃないんだろうけれど、それでも彼女は明確にアルトリウス陣営の将として働いているわけですし、何より紛うことなく彼女は一度死んでいる。
円卓の他の騎士たちも含めて彼らの肉体、在り方が今、一体どのような状態なのか。それについても謎が深まるばかりで実態は見えてきていないだけに、安心できる要素は何もないんだよなあ。

ともあれ、一度逃げ延びたストリゴイはその能力で大量の影法師を生み出し、アスヴァール島の各所にそれを解き放って無差別に都市部村落を襲わせるという挙に出る。
さながらバイオハザードのごとくである。大量の人形をした怪物たちが押し寄せてくる、って銃火器の存在しない中世世界では悪夢に等しいんじゃないだろうか。
竜具やティグルの持つ弓などの宝具は存在するけれど、魔法使いが兵科として存在して軍隊に組み込まれている、というような異世界ではありませんからね。兵士や騎士の戦い方はあくまで槍と盾と弓ベースなわけですし。
強大な怪物、魔物が個別に現れて暴れる、という状況ならばティグルや戦姫のような特別な戦闘力を持つ戦士が討って出たら対処できるのでしょうけれど、影法師のような通常の人間よりも怪力という程度の怪物でもこんな風に大量発生して各地に波のように押し寄せてくる、みたいな状況になるとどうしても普通の人間の軍隊によって対応しないといけなくなる。
そんな状況下で、アルトリウス軍にしてもギネヴィア軍にしても、それぞれ独自に対影法師戦術を通常の軍隊として確立していくのは面白かったなあ。
ギネヴィアサイドは、ギネヴィアが姫鍛冶師!みたいなやっつけ仕事だけど竜の鱗を加工して影法師に通じる特殊な槍の穂先を作っていく、という特殊な対応はありましたけれど、武器は特別性にするにしても戦い方はあくまで集団戦術なんですよね。
人間のように意識らしい意識がないが故に士気崩壊しないものの、考えて動くことができないゾンビみたいな存在に対して、人間の軍隊と戦うようなやり方は通用しない、というのを実際に戦い被害にあうことで体得しながら、必死にそれに対応した戦い方を構築していく、というのは戦記物の醍醐味があってよかったです。
また、ここでティグルが指揮官となる騎兵隊の活躍も目立つんですよね。自分ひとりで弓打ってりゃいい立場と違い、騎士たちを従え指揮して戦わなければならないという経験はティグルにとって新しい見地となっていくのである。幸いにして、竜殺しの名望のおかげで騎士たちの忠誠心はマックスなので言う事を聞いてくれない、という事はないのですが。かといって何でも言う通りしたがってくれるのかと言えばそうではなく、ちゃんと副官相当の騎士が苦言を呈してくれるんですよね。何かと一人で飛び出してしまいガチになるティグルにとっては、自分に全幅の信頼を寄せてくれながら一方で言うべき事はちゃんと言ってくれる相手というのは大変ありがたい存在なのですが。
これまではリムがべったりとその立ち位置にいましたけれど、今回は騎兵遊撃隊の次席指揮官として別働隊を率いて動くことも多かったですし、一緒にいればいたで前以上にこう、男女としてのべったりとした雰囲気が出てしまうようになってきただけに、なかなか今まで通りとはいきませんでしたからね。
しかし騎兵は騎兵で独自の対影法師戦術を編み出していくのも面白かったです。ティグル、妖精から力を分けてもらったおかげで他のシリーズよりも容易に弓の力を引き出して使えるようになっているので、もう弓兵というよりこれ砲兵じゃない? という戦いっぷりで、もうこれ砲撃じゃね? という勢いで爆裂する弓を打ちまくってましたね。
その爆撃で影法師の集団を乱したところに、騎兵によるランスチャージを突っ込ませて敵の戦力をこそぎ取っていく。常に騎兵の衝撃力を失わせないようにしながら、突撃と離脱を繰り返す戦いっぷりはまさに騎兵という感じでしたねえ。

対ストリゴイ戦も、円卓の騎士ガラハッドとボールスと再び共闘することが出来ましたが、こうしてみるとアルトリウスと円卓の騎士たちは未だ主従ではあっても、円卓の騎士たちかなり独自に動いているんですよね。
過去の円卓の騎士たちはあくまで魔物を倒すために動いている、と見るべきなのか。そうなると、ガラハッド卿がどう動くのかわからないんですよね。今更、アルトリウス陣営に寄ってティグルたちと対立する図があまり思い浮かばない。
さても衝撃的な展開で、アルトリウスとの対決は絶対に避けられないものになってしまいましたけれど、果たしてどういった決着を迎えるのか。救いはあって欲しいけれど。


カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ 2 ★★★☆  



【カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ 2】  丈月城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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英雄界ヒューペルボレアの異常事態に立ち上がった勇者・物部雪希乃。
彼女はその異常の原因であり、英雄界で勢力を伸ばしつつある「神殺し」たちを討伐する旅を決意する。

雪希乃は六波羅蓮、鳥羽梨於奈を旅の伴にし、「神殺し」を探す中で、海賊に襲われている国に辿り着く。
海賊退治をした雪希乃たちは、その海賊が「神殺し」のひとり、羅翠蓮の手下だと知る。
罪なき民を苦しめる羅翠蓮を討伐するため、3人は海賊の本拠地へと乗り込む…。
そこで待ち受ける試練は想像を絶するものであった。

時を同じくして、英雄界は各地で不穏な動きが出ていた。
邪教カルト「反運命の教団」、裏社会を統べる組織「影追いの森」、英雄界の交通を牛耳る「旅人のギルド」…。
強大な組織同士の勢力争いの火種がくすぶり始める。

「神殺し」たちの力と覇権を懸けたバトルロワイヤルと、「神殺し」討伐に命を懸ける勇者の運命が交錯する!!

犬猿雉をお供に引き連れ、いざゆけ桃太郎の鬼退治。てな具合に、物部雪希乃が六波羅蓮、鳥羽梨於奈、あとステラを引き連れて世直しの旅よろしく剣をぶんぶん振り回して各地を収める神殺したちに挑んで回る、というのはなんというか、ドン・キホーテ的な滑稽さもあるけれど子供のヤンチャのような微笑ましさもあり、みたいな感じでなんともはや。
雪希乃の師匠であるラーマが桃太郎を名乗っていたのって、雪希乃のこうした世直し旅を暗示していたのでしょうか。それにしては、お供のはずの六波羅蓮が爆弾すぎるのですけれど。
雪希乃は世間知らずの迂闊者で、そこに粗忽乱雑短絡的と三拍子揃えた上にポンコツで未熟者、と剣腕こそ秀でているものの、カンピオーネと戦うにはあまりにも足りない娘さんなんですよね。魔王殲滅の運命を課せられた救世の勇者を名乗るには、あまりにもあまりにも未熟すぎる。
本物の神殺しとの格の違いを知らしめるには、護堂さんみたいなよくわからないけど意味不明に強い、という相手よりも翠蓮姐さんのように誰がどう見てもわけわからんくらいちゃんと強い、という正統派の相手の方が彼我の力量の差というのが明確に伝わるのでしょう。あれで翠蓮姐さんは理不尽だけど師匠として一定のルールを持っている人なので、ちゃんと相手してくれる人でもありますし。
これがヴォバン狼侯なんかだと適当に踏み躙って潰してしまうでしょうからね。ドニはドニで興が乗ってざくざく斬っちゃうかもしれないし。
ただ、なるほど雪希乃の資質が救世の勇者というよりもカンピオーネ寄りにあるとしたら、このあっけらかんとした雑な性格も相まって確かに、そう簡単に死なないし心も折れないしメゲないし闘争心も失いそうにないように見えてくる。
梨於奈ともいいコンビですし、まだまだ半端者で梨於奈と組んででないと抗し得なかったとはいえ、翠蓮姐さんを封じてみせたのは大金星でありました。まあこの女仙、封じられているという体でもひょいひょいと封じられたまま出てきちゃうんですけど。
そんな雪希乃の世直し旅ですけれど、どう考えても獅子身中の虫が傍にいるわけで。
純真な世間知らずの娘さんが、チャラ男の軽薄な態度に呆れ忌避しながらもその馴れ馴れしさにちょっとずつ慣れてきてしまった上に段々とちょっといいな、なんて思う場面がちらほらと出てきてしまって徐々に惹かれ出しているという様子は、完全に悪い男に無垢な少女が騙されて食い物にされそうな構図です。なんか微妙に背徳感が漂ってきたぞw

さて、英雄界に新たに乗り込んできたカンピオーネがまたひとり。黒王子アレクサンドルも見た目若いけどもう壮年か。ともすれば、神の正体の解体を剣をする能力を持つ護堂よりも、神話や神そのものの謎や秘密を解き明かすことを得意として趣味にしている探索者アレクが、この英雄界の混沌としながら何らかの意図が感じられる情勢を見て、探らないはずがなく。
今回はアレクが謎解きおじさんとなって英雄界を駆け巡って現状を紐解いていくぞ!
いや、おじさん扱いは本気で怒られるかもしれないけれど、彼も若い頃に比べると丸くなった、というのとは少し違うかもしれないけれど結構性格も練れてきた感もあるんですよね。青年時代はもっと刺々しくて対人対応ももっとザクザク斬るような感じがあったぞ。そもそも、護堂と顔を合わせて普通に雑談できる時点で、落ち着いたと言ってもいいんじゃなかろうか。
そう言えばアレクって、プリンセスアリスとはどうなったんだろうか。
ともあれ、アレクが追って見出した護堂の足跡と、そこから見出した半運命の気運によって魔王殲滅の盟約の大法が弱まっているという考察には瞠目させられた。これだけ神殺しが揃っているにも関わらず、雪希乃がさっぱりパワーアップしないのは彼女が未熟なだけが理由じゃなかったのか。なるほど。間近にひとりカンピオーネが侍っているにも関わらず、あの反応ですからね。
逆にそういう世界だからこそ、勇者というよりもカンピオーネとしての性質を持つ雪希乃が選ばれた、という鷹化くんの考察も面白く、やはり彼女が今後も騒動の中心になっていくのか。
あと、久々にエリカが登場。いやあ、大人になった彼女の美人なこと美人なこと。その上、ここで生き別れになった子供たちと再会していたのか。珍しくアレクが仰天する姿を見られたのは貴重でした。あんなあからさまに驚くキャラじゃないのに、まじでびっくりしてたもんな。


進路希望調査に『主夫希望』と書いたら、担任のバツイチ子持ち教師に拾われた件 ★★★  



【進路希望調査に『主夫希望』と書いたら、担任のバツイチ子持ち教師に拾われた件】  yui/サウスのサウス/なたーしゃ ダッシュエックス文庫

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高校三年の春、進路希望調査に『主夫』と書いて提出した少年、巽健斗。
そんな健斗に対して担任の美人教師、黒羽遥香(バツイチ子持ち)は「なら、私の旦那になりな」と笑顔で告げた。
こうして秘密の交際がスタートし、四才になる遥香の娘の千鶴を交えて、不器用ながらも心を通わせて親しくなっていく。
千鶴の保育園のお迎えや3人一緒での晩ご飯。休日には遊園地や観光名所への出掛け。
家事万能で面倒見のいい健斗と私生活がズボラな遥香の相性は抜群で、2人はやがて本当の家族になる未来を意識して――。
進路希望調査からはじまる年の差ハートフルストーリー!

進路面談で主夫になりたい、と譲らぬ想いを告げたら担任の美人教師に、じゃあお前、私の旦那になれ、と男前にプロポーズされてしまった主人公健人。
……ヘッドハンティング? 青田買い? 先生、それは職権乱用? 許されざるよ。
いや男前なカッコいい女の人に、お前を貰ってやるとか言われるの男心の中の乙女な部分にキュンキュンきてしまうかもしれませんけれど。
この時点で二人共、別にお互いの事好きというわけじゃないんですよね。担任とは言っても普段から個人的な付き合いがあったわけでもなさそうですし。先生の方は三年間進路志望に主夫と書き続ける健人に興味をいだいていたようですけれど。
最初はお互いに下心ありだったんじゃないでしょうか。ちゃんとした子育てに限界を感じていた先生と、取り敢えず卒業後の進路として主夫業を執り行う相手を欲していた健人と。まあそこで感情の伴わない契約的な関係を結ぼう、というのならそれはそれで導入としては違和感のないものだったのでしょうけれど、先生も健人もその辺事務的にならず、でも結婚するということに対して躊躇も壁も感じている様子もなく、なんか凄く「何となく」ではじめてしまったので、いいのかそれ、と思ってしまうところでもありました。
これは後半になってわかってくるのですけれど、先生も健人も実際はかなり重たい人間なんですよね。少なくともそういう設定のはずなんだけれど、それぞれ結婚、家族を作るという事に対して相当な想いを抱いているわりに、最初恐ろしく軽々にはじめてしまったなあ、と。心理的なハードルとかまったく見当たらなかったもんなあ。
ともあれ、最初の浮薄にすら見える始め方はともかくとして、それ以降は順調に親交を深めていき、お互いの事を知っていくのでありました。
小さいお子さん連れの片親との恋愛は、むしろその子供との仲を深めていくことが親の側との恋愛を進めていくよりも肝心、というのは定番でしょう。その親御さんが子供の事を何よりも大事に思っているなら尚更に。その子供に慕われていくことが親の方の好感度を高め信頼を深めていく事になりますからね。
というわけで、序盤はむしろ先生の子供である4歳の千鶴ちゃんと仲良くなっていく事の方に重点が置かれることになる。過去になんらかのトラウマがあるのか、男の人を極度に怖がる人見知りのちーちゃんこと千鶴ちゃん。そんな彼女に変に媚を売ること無く無理に距離を詰めようともせず、好きなご飯やデザートを作ってあげたり、一緒に好きなテレビ番組を見ることで自然に仲良くなっていく健人。その姿に、どんどんキュンキュンしだす先生。子供ばかりにかまけず、ちゃんと自分の相手もしてくれることで、性格はどストライクだし物件としては優良この上なく大当たり引いたんじゃ、とウハウハしはじめる先生。おめでとうございます。
健人の方も家事全般はダメダメだけれど、常に男前でなおかつ男心を擽る感じで上から甘えさせてくれる先生に、しっとりと本気になっていくわけで。
まあお互いに好きになってく展開としては、穏やかながら順当でありましたね。
でも、なんで健人がそんな主夫に拘っているのか、本人説明してくれていましたけれど、「?」という感じでその理屈がよくわかりませんでした。いや、母を亡くしたことをきっかけに家族を守りたいと思うようになったのはいいんですけど、主夫に拘る理由は? 
それに彼が自責している件についても、何をそんな自分を責めているのかさっぱりわからないんですよね。なんで嘘をついていることになるんだ? ちょっと自分の読解力では彼の理屈がよくわかりませんでした。先生、わかったんですか、それ?
取り敢えず、弱い部分を見せてくれた事に満足していただけのような。
一方で先生の抱えていた方の重い過去ですけれど……いや、それは真面目に間違いだったんじゃないですか? 介護関係の問題は周りと連携して助けを求めながらやらないと破綻し家族崩壊に繋がってしまう、という昨今では良く取り上げられるようになった社会問題の一つであります。相手が老親ではないのですけれど、先生どうも一人抱えしてしまったみたいで結局破滅的な結末を迎えてしまってるように見えるんですよね。
健人、あの場面では先生のこと全肯定して彼女の心を慰めるのは、二人の関係を進める上では正解だったとは思います。あそこで、否定してしまうとちょっと先生の心にトドメさしかねない場面でもありましたし。ただ先生の気持ちは間違いじゃなかったとしても、行動としては間違いだったことは結果が示しているので、この辺の意識をちゃんと後々修正していかないと、同じことを繰り返してしまってはいけませんからね。
さすがに先生もわかっているでしょうけれど、貴女は間違っていない! と言われて、そうか間違っていなかったのか! となってしまうと悲劇再びになりかねないので、ほんと健人はそのあたりちゃんと話し合っていかないとダメだと思うんだけど、大丈夫だろうか。
わりと健人も、意識の問題は先送りにしがちにしているようにも見えるので。父親と弟の不仲の方も、困った困ったと言ってるだけで特に解決に動いている様子はないですしね。あれは時間が解決すると思っているのだろうか。なんか無理っぽいのだけれど。
あと、なんで母の死のショックから逃げるためにお父さん女装趣味に走ったんだろう。このあたりもあんまり突き詰められて無くて、そうなってるという事実だけ見せられているので、よくわからん。
という感じで、重いテーマを扱っているのだけれどその部分に対してはあんまり突き詰めて掘り下げることなく、ふわっと乗り越えちゃっているので、全体的に最初にしても終盤にしても、山となる部分は何となく雰囲気で流して通り過ぎているような感じが……。
あんまり深く考えずに、それこそフワッとお話を眺めていればいい、という作品だったんでしょうかね。ふむ。

魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ギネヴィア軍の先遣隊は偽アルトリウス派の支配する町を攻め落としたが、円卓の騎士サーシャの率いる部隊の反撃に遭って敗れ、町を奪還されてしまった。
両軍が睨みあいに入る中、ティグルとリムはアルトリウスに対抗する術を求めて、古い時代の神殿を訪れる。猫の妖精ケットの導きによって、二人は過ぎ去りし時代の一風景を垣間見た。
アスヴァール島を統一すべく、王を名のって戦い続ける若きアルトリウス、彼を支える勇敢な騎士たち、アルトリウスを愛する少女ギネヴィアの姿を。そして、アルトリウスの腰には二振りの剣――双紋剣があった。
歴史に語られることのない存在が、悪意をもってアスヴァール島を呑みこもうとする。ティグルとリムは抗うことができるか。

打ち捨てられた古代神殿の遺跡を訪れると、アルトリウスの時代の情景がティグルがアルトリウスに、リムがギネヴィアに憑依する形で追想することが出来るので、アルトリウスの情報を得るために一路古代遺跡を調べる旅に、とさながらRPGの王道クエストのような展開に。
これ、あとでギネヴィア王女ゴネるんじゃないですか。円卓マニアの彼女からしたら、垂涎のフィールドワークじゃないですか。なんで連れてってくれなかったんだ、とめがっさ拗ねそう。
まあ過去追想では、アルトリウスの奥方になる少女ギネヴィアが引っ切り無しに登場するのでギネヴィア・ギネヴィアで混乱してしまう、という事情もあるのでしょうけれど。過去追想ではリムがギネヴィアに入り込んでしまうわけですから、ギネヴィアが二人いるとさらにコントンとなってしまいますし。
というわけで、伝説の向こう側のアルトリウスの真実の歴史を追いかけることに。そこでは、アルトリウスが元々羊飼いの出身だったり、王妃ギネヴィアと湖の騎士ランスロットの関係の真実が明らかになっていくのだけれど……こっちのランスロットもなんかこう最強の騎士ではあるんだけれど、残念系の人だったんだなあ。ただ、ギネヴィアとランスロットがそういう間柄だったというのなら、彼がギネヴィアに執着するのも無理からぬ所なんですよね。
あと、驚きだったのが現在リムに託されている双紋剣、前の使用者はアルトリウスだったのか。
円卓騎士団の王様の剣と言えばかの聖剣が一番有名なわけですし、実際この世界でもそのように語られていたはずなのですが。リムもえらい剣を預けられたもんだ。
しかし、せっかく憑依して当時を追体験しているのに、弓使いのティグルがアルトリウスに成っていたら、双紋剣の使い方とか体感してもあんまり意味ないんですよね。リムが体験しないと。
濡れ場ばっかり体験しちゃってまあ。挿絵の方、完全に致しちゃってるんですけどw

ともあれ、情報を集めるうちにまたぞろ魔物と遭遇して、サーシャと共闘することになったのだけれど。やはりサーシャとは、敵として戦うよりも味方として一緒に戦ってくれた方が嬉しいなあ。前作の方では病気故に万全で戦えること無く終わってしまった彼女の、その戦姫最強の力を実感するのは敵よりも味方の方がいいですもんね。
元々、リムとも知己であり友人関係と言っていい間柄だった訳で、現状立場的に対立しているとはいえ心情的には恨み辛みがあるわけじゃないですしねえ。
ただこれ、魔物相手、悪い精霊相手では共闘出来るというのは、サーシャでなければ出来なかった、とはイイ難いんですよね。そもそも、復活したアルトリウスたち円卓の騎士の大きな目的が魔物の討伐にある、というのは彼らも明示している事ですからね。
ただ彼ら側の事情が明らかになってきても、どうしてアルトリウスが現王家をここまで敵視して軍勢を挙げて国を乗っ取るまでしようとしているのかが未だにわからないんですよね。他の復活した円卓の騎士たちは魔物の討伐が第一目的みたいなんだけれど、アルトリウスの行動だけが妙に浮いているんだよなあ。
でも今回のサーシャへの命令なんかを見ても、その背後に悪しき精霊であるマーリンのかげがあるようには見えない。マーリンがいったいどこまで関与しているのか。サーシャに直接干渉してきたのは凶悪ではあるんだけれど、黒幕として背後で万事を操っているのならここで無理に顔だしてくる必要もないと思うんですよね。あれはあれで結構強引だったと思うし、アルトリウスはこうしてみるとマーリンと通じているとも言い難いわけで。
ともあれ、表の敵はアルトリウス、暗躍しているのはマーリンというので間違いなさそう。少なくとも戦うべき敵の姿は浮き彫りになってきたか。
でも、魔物もいるんだよなあ。あれはあれで、精霊たちとはまた別口っぽいし。あれらは大陸由来っぽいしなあ。そのためか、精霊から託された双紋剣は邪精霊や死霊特攻で、ティグルの弓やサーシャの竜具は魔物特攻という特性の違いが。
あ、あの双紋剣の特殊合体ギミックは正直アガった。ああいうの、やっぱりカッコいいじゃないですかー。

あと、猫の王様お魚食べすぎ問題。子猫の姿のくせに、ちょっと要求が欲張りすぎである。いっぺんに三匹とか食べてないだろうな。太るぞ、精霊だろうと。
とはいえ、かわいい。生意気尊大にゃんこかわいい……。



魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 6 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 6】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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ブリューヌ王国に激震が走った。自らを王の落胤であると名のる青年が現れたのだ。彼の名はバシュラル。厳重な調査の末にバシュラルは認められ、正式に王子となった。
そして、大貴族であるガヌロン公爵が彼の後見役となった。
ガヌロンの支援を得たバシュラルは各地を転戦して武勲を重ね、諸侯の支持を得ていく。ごくわずかな期間で、彼は次代のブリューヌ王となるレグナス王子に対抗しうる存在となった。
冬の終わりのある日、バシュラルはついにある行動を起こす。だが、そこに計算外の要素が現れた。
黒騎士ロランの守るナヴァール城砦から火の手があがったという知らせを聞いて急ぎ駆けつけたティグルとミラたち、そしてレグナス王子の腹心のひとりリュディエーヌである。
リュディエーヌと出会ったティグルは、ブリューヌの歴史を大きく変えるであろう出来事に自ら関わっていく。
人気シリーズ、急展開の第6弾。

セカンド幼馴染きたーー! あ、いや、ファースト幼馴染はティッタだから、サード幼馴染になるのか。
というわけで、サイドテールが眩しい公爵令嬢騎士リュディエーヌ・ベルジュラックの参戦である。前シリーズでは登場しなかった完全新キャラ。サイドテールと書いたけれど、これ結構複雑な結い方した髪型だぞ?
なんか既視感あるなー、と思いながら見ていたキャラデザインなのだけれど、そうか、リリカルなのはのヴィヴィオに似てるのか。スッキリした。
いやこの期に及んで新キャラ、しかも幼馴染って、と思ったけれどこれが遅れてきた最終兵器の様相を呈する強キャラでした。幼馴染と言っても、ずっと一緒に居たタイプじゃなくて毎年ある季節に遊びに来ていた来訪型なんですが、ティグルと一緒に山の中を駆け回っていたという意味ではミラと負けず劣らずで、色んな意味でミラの最大のライバル出現、なんですよね。
何よりキャラクターがいい。性格は明るく活発で前向き。ちょっとドジっ子な所もあるのは愛嬌で、
気性は素直で女の粘っこい所が全然ないんですよね。同性相手にも嫌味がなくて、ミラに対しても無邪気なくらい当たりが良くて、裏表がないものだから、ティグルに幼馴染全開で身近に親しく接するリュディにミラもモヤモヤするものの、どうしても敵意や対抗心を持てないという感じになってしまってるんですね。
戦士としての技量も相当のもので、竜具やそれに匹敵する伝説の武器こそ持たないものの技量に関してはミラも自分と同等以上、エレンと比べても引けは取らないのでは、と評価する強者で、女性キャラとしては最強格なんですよね。だから、ミラも同じ女性の身の上で自身を鍛え上げたリュディを騎士としてこの上なく認めている。おまけに自分の紅茶の趣味でも結構話が合って話題も尽きないし、ティグルとの距離感の近さもミラに見せつけようとするものではなくて、二人の世界を作らず自然にミラの方へも距離感詰めてきて気の置けない様子で接してくるのである。それも気を遣ってとか気を回してみたいな意識的なものではないんですよね。
ミラって、オルガにも入れ込んでたようにこういう純真で直向きで悪意とかまったくないタイプって弱いですよね。ミラ自身面倒見が良いタイプというのもあるんだろうけど。
リュディの方はこうしてみると、人間関係引っ掻き回しているようで、ミラがあれだけティグルと眼の前でイチャつかれているにも関わらず絆されてしまっているように、これ誰とでも仲良くなれるっぽいタイプなんですよね。グイグイと懐に飛び込んで、自分とだけじゃなくて周り同士を繋いでしまうような。何気にハーレムなんかだとヒロインたちのまとめ役みたいになりそうなポディションだぞ。
この物語においても、リュディってこうしてみるとティグルとあらゆる意味で相性ピッタリなんですよね。山に放つと帰ってこないティグルと一緒に山野を駆け回れる活動派だし、お姉さん風吹かせつつドジっ子要素でティグルも目を離せずにいてしまうタイプでお互い変に気を使わずそのままで過ごせる距離感ですし、同じブリューヌ国民であり、公爵令嬢として嫁にすればティグルの国内での躍進に寄与する立ち位置ですし。彼女の実家であるベルジュラック家というのはちょっと特殊な立ち位置の公爵家で、血を取り込むことに積極的であまり身分差とかはこだわらない所らしいんで、ヴォルン伯家でも結婚相手としては何の問題もないようなんですよね。
他国の貴人として、ティグルとは身分差だけではなく国の違いというものが大きく横たわっているミラとは、ハードルが全然違ってくるんだな、これが。ティグルが国を捨てずにブリューヌの貴族として生きていくなら、リュディエーヌこそが最上のパートナー足り得るわけで。
ミラとしては、リュディエーヌの登場はかなりショックなことだったんですね。
今回のブリューヌの内乱で自分がブリューヌの人間であることを強く意識しだしたティグル。これまで他国をめぐり、そこで自分の国を立て直そうという人たちと一緒に戦ってきた事も大きいのでしょう。外国で過ごすことで、自分の出自や故国をより強く意識するようになるケースはよくあるようですが、ティグルも今改めて自分の国について自分がよく見ようとしてこなかった事に気づき、自分がアルサスという自分の故郷だけではなく、ブリューヌという国自体に帰属意識を持っていることを自覚しだしているのである。
ミラと結ばれるため、という最大目標の他に、この故国ブリューヌという国を自分の手で変えていく、という事をこの内乱とリュディエーヌの誘いをきっかけに考え始めるんですね。
それは、ミラにとってある種のパラダイムシフトでもあったわけだ。これまではティグルが自分を射止めるために、武功を上げて立場を獲得して自分のいる所まで駆け上がってくるのを、期待して手助けして待ちわびていたのだけれど、リュディエーヌは公爵令嬢というティグルよりも立場が上の人間であるのだけれど、待つのではなく彼の隣に自分が駆け寄ることに躊躇する事がないのを知って、自分が彼の隣に立とうと自分から動こうとした事がないこと。今回ティグルが他国との内通を疑われたように、自分と仲良くすることによってティグルが被るデメリットがあったように、リュディと違って自分が彼に与えてあげられるものが、どれほどあるのか、という疑念。
こういう形でミラがティグルと自分の将来について、不安と心もとなさを抱いたのは初めてだったんじゃないだろうか。それは、ティグルがいずれ自分に矢を届かせてくれるという信頼と期待と愛情とは関係ない、ミラが自分自身に抱いたティグルと結ばれるに足る資質と資格への疑念だったわけですから。
即座に解消、とまでは行かないもののミラの憂いを晴らしてみせるあたりが、さすがティグル、といった所なのですけれど、今回のことはミラにとってもティグルとの関係を進める上で意識を変えるものがあったんじゃないでしょうか。
ティグルは、ミラに一途なんですけどねえ。

さて、今回のブリューヌの内乱には新たに庶子として王族にたったバシュラル王子という新キャラの登場があったのですが、ガヌロンを後ろ盾に表舞台に立った、という時点でこいつ傀儡かそれとも魔物の擬態か? と一旦は疑ったのですけれど、どうやら純粋な人間であり本当に王子であり、ガヌロンとは利用し合う関係以上のものではなく、彼個人としてはガヌロンのヤバい部分には気づいていて、いずれ袂を分かつつもりはあるようなんですよね。
それ以上に、元傭兵であり彼個人がロラン級の戦士というのが何ともはや。いやいや、ロランと互角以上ってこの世界で実質最強格ってことじゃないですかー。ミラたち戦姫よりも確実に上、複数人掛かりでも勝てず、って魔物じゃない人間相手だと初めてなんじゃなかろうか。
おまけに、アスヴァールから流れてきたタラードが仕官していて、弓の腕ではティグルに匹敵する上に指揮官としても最上級のこの男がロラン級の戦士にして指揮官であるバシュラル王子と組んでいる、ってちょっとヤバくないですか?
実際、ティグルはミラとリュディエーヌと共に戦って、最初は何とか逃亡。諸侯や騎士団をリュディが糾合して軍勢として戦った次の戦いでは、敗走の憂き目にあったわけで。
ミラが自軍を率いていなかったのと、ティグルが一勢を率いるだけの権限を持てずに指揮権を持てなかった、という点が大きいにしても、完全にバシュラル・タラードのコンビに敗北を味わわされる結果に終わったんですよね。このバシュラルの強敵感よ。
これ、こっちも早くロランと合流してのロラン・ティグルの最強コンビを組まないと対抗出来ないぞ。
このバシュラルも、ガヌロンから与えられたという形とはいえ、オートクレールという伝説の武器を携えているわけで、また伝説の武器持ちの英雄が現れたということなんですよね。
各国それぞれにレジェンド級の武具を携えた英雄たちが降り立ち、割拠するというなんか群雄伝の様相を呈してきて、前シリーズよりも戦記寄りのダイナミックな展開になってきたなあ。

しかしロラン卿、今回だけで二度も「ロラン暁に死す!」になりそうな死亡フラグ全開の展開を切り抜けたんですよねえ。ほんと、ロラン卿しぶとい!

そして、ソフィーに拾われたエリザヴェータが、記憶喪失のお陰で外面を全部引っ剥がされて根っこの部分の正義感たっぷりの優しいイイ子な所が思いっきり曝け出されてしまい、おかげさまでソフィーが思いっきりリーザに情が移ってしまって肩入れしてしまうことに。
記憶ないとここまで人懐っこいのかリーザってば。まさかここで、ソフィーとリーザがここまで親密なコンビになってしまうとは。記憶の方は早晩戻りそうな気配があるのだけれど、その前にエレンとも会っておいてほしいなあ。エレンの反応が面白いことになりそう。或いは、エレンの方からリーザに気づくことも可能になりそうだし、今のリーザなら。


カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ ★★★★   



【カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ】 丈月 城/BUNBUN  ダッシュエックス文庫

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神殺しの集う異界。そこへひとりの勇者が――。 アテナによる地球滅亡を懸けた決戦を制した六波羅蓮たち。戦いの傷が癒えない中に、驚愕の報せが舞い込む。英雄界ヒューペルボレアの異変。そこに「神殺し」たちの影がうごめく。蓮たちの先が読めない冒険が始まる――。 その時、ひとりの「神殺し」が動き始めていた。「魔王」と称され「神殺し」として数々の功績を残す草薙護堂である。彼もまた異界での異変を耳にしていた。その足は異界へと向かっていた。蓮たちとの邂逅はあるのか…。 そして、異界の異常事態に対してそれを収めるために新たなる勇者が立ち上がる! 英雄界ヒューペルボレアにおける神殺したちの新たなる戦いと冒険の幕が開ける――!

護堂さん、16歳で神殺しになってからもう十数年、って年齢三十路前後ですか。いい歳じゃないですか。そして、言動がなんだかおっさんくさくなってない!?
ニュービーな神殺しである六波羅蓮との対面でも兄貴分というよりも若い蓮に対してロートル感が出ちゃってて、さて貫禄が出てきたというべきなのか。
ただもう行動原理が完全にカンピオーネなんですよね。今はお供も連れ添いも誰もいないから尚更に、根無し草でどこにでもふらりと現れては大混乱を引き起こす大迷惑存在そのものだったかつての同輩カンピオーネたちと同じような有様、有様になっているわけで。自覚あるのかなー。
権能も、かつてはウルスラグナ縛りみたいなものがあったのに、今となってはわりと奪い取った権能使い放題使ってますし。
まあ若い女の子に手を出すような節操なしではなさそうなので、そのへんはちょっと安心ですけれど。嫁さんたちも、いい具合に熟成された年齢になってるんですねえ、そう言えば。妹ちゃんがどれだけ女帝と化しているかが楽しみのような恐ろしいような。

さても今回のお話、というかシリーズは護堂さんが主人公というわけでもなく、さりとて六波羅蓮が引き続き主人公、というわけでもなさそうで、新たな魔王殲滅の勇者と相成った物部雪希乃でもなさそうで。あっちこっちから神話世界ヒューペルボレアに集った神殺しや英雄英傑どもで、オールスター感謝祭をやろうってのかこれ。主人公を特定しない群像劇。まさにオールスターキャストでお送りする劇場版、って感じなんですよね。
確か蓮くんが主人公の作品では、神話の原型となる世界ということで神様や神代の英雄たちが主体の世界だったはずのヒューペルボレアなんですが、興味をそそられるものがあれば遠慮呵責なく首を突っ込んでくるカンピオーネどもが、あちらこちらかの世界からたかってきたお陰で、もうこれヒューペルボレア乗っ取られてますよね。神殺したちの遊び場みたいになってるのですが。
まあ最初にやらかしたの、カンピオーネじゃなくて鳥羽梨於奈の妹の鳥羽芙実花ちゃんなんですけどね。厩戸皇子とセットで、と言うべきなんでしょうけれど。まあ好き勝手に土地こねくり回してリアルシムシティはじめちゃったお陰で、その真似をしていろんな面々が自分の好き勝手に土地を作り出して、自分の都市を築き始めちゃったものだから。
最新のヒューペルボレアの地図が、もはやテーマパークの案内図みたいになってるんですけど。ディズニーランドさながらに、各都市がアトラクションかイベントゾーンみたいになっとるしー。
とまあ、神話世界をそうやってわやくちゃにして好き放題しているお陰で、他の次元世界がえらいことになってしまっているようで。神話の原型となる世界ということは、ここが改変されると多次元にまたがる神話そのものが変わってしまい、人類史そのものがねじ曲がった挙げ句に煽りを食って幾つもの次元が消滅するという過程を辿ってしまっているわけか。
そりゃカンピオーネぶっころ!機運高まりますねえ。しかし、魔王殲滅前殺し、の運命さんは護堂さんがラーマくんを解放するためにサクっと殺っちゃったわけで……ああ、やっぱり元凶になっちゃってるじゃないですか、護堂さんてば。
お陰様で、新規魔王殲滅の勇者に選定された雪希乃ちゃんは、あからさまに勇者レベル1なんですね。アリアハンから旅に出た、という風体で。まあレベル1であれだけワケワカラン剣才を漲らせてしまっているのですが、本人がポンコツ粗忽者迂闊者だからなあ。彼女の世界、もろに滅びかかってるにも関わらず、本人にそこまで深刻さを感じないあたり、大物なのか頭空っぽなのか。どっちもあるんでしょうけれど。しかし、彼女自分の世界では敵うもの無しというばかりの無双状態にも関わらず、しかも神の末裔でほんと敵無しなのに、それでもまつろわぬ神にはほぼ敵わないし、カンピオーネ相手じゃあ子供扱い、というあたり、カンピオーネがわんさといる世界ってどれだけインフレ状態だったんだろう。護堂さんとこの世界ですよ。蓮くんの世界でも、梨於奈がやたらでかい顔してましたもんね。カンピオーネが君臨している世界そのものが、結構珍しいのでしょうしましてや複数のカンピオーネが徘徊している世界とか、ゴジラが生息している世界とあまり変わらないんだろうねえ。
とかく、居るだけで目立ちまくるカンピオーネの中で、神殺しであるという存在感を消せる六波羅蓮という子はかなり同類の中でも特異ではあるんですよね。さらに、裏に回って暗躍までしているわけですし。あの要領の良さはやはり曲者だよなあ。
しかし、カサンドラを女王に仕立てて、ちゃっかり自分の国作っちゃった蓮ですけれど、カサンドラとは懇ろになりつつ、婚約者の梨於奈の方はというとなんか人間に戻れなくなってるし、おもしろ枠のキャラになっちゃってません? 登場当初の傲岸不遜で偉そうなお嬢様はどこへいってしまったのか。いや、今も傲岸不遜で偉そうなのはさっぱり変わっていないのだけど、コメディリリーフになってるもんなあ。せめて人間に戻れないと、ヒロインにも戻れないですよ梨於奈さん。蓮くんの婚約者どころか、なんか勇者さまに食われかかってますし、恋愛的にw

他にも、まったく世界観の違うはずの【クロニクル・レギオン】の方から、リチャード獅子心王と黒太子エドワードまで参戦してきていますし。あちらの作品から、というわけではないのでしょうけれど、キャラクターや二人の関係性なんかはそのままでしたしね。このコンビ、お気に入りだったのね。
しかし、その二人の上に立つ新たなカンピオーネのテオドリックですけれど、今のところはあんまり目立った個性感じないんですよね。いや、他のカンピオーネたちが目立ちすぎて頭おかしい個性の持ち主ばかりなのもあるのですけれど、あんまり特徴的なものがまだ見えてきていないような。特にカンピオーネとしての強かさというかしぶとさというか、殺しても死ななそうな意味不明の生き汚さが。
っていうか蓮の支援あったとはいえ梨於奈と雪希乃の二人に苦戦しちゃってたらなあ。今回は顔見せ程度でもありますし、今後に期待というところでしょうか。

なにはともあれ、このごった煮感たっぷりのオールスターにはやっぱりワクワクしてしまいます。これからどれだけしっちゃっかめっちゃかになるのか、楽しみ楽しみ。
にしてもラーマくん、今は弟と一緒に護堂をファミリーネームにしてるのか。どんだけ護堂のこと好きなのかw まあ今度はその護堂を狙う雪希乃を送り出したりしているのですけれど。護堂の名前を彼女に教えなかったあたり、運命に任せてという感覚もあるのでしょうねえ。


魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2】 瀬尾 つかさ/ 八坂ミナト ダッシュエックス文庫

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ティグルとリムはアスヴァールの王女ギネヴィアに助力し、三百年前から蘇った始祖アルトリウスと戦うことを決意する。そしてついにギネヴィア派と偽アルトリウス派の決戦の火蓋が切られた。会戦でティグルたちの前に立ちはだかる敵将は、かつてのジスタートの戦姫、サーシャと呼ばれていた女性。「僕は死んで、蘇った」神器を持つサーシャの圧倒的な剣技と体術に苦戦を強いられるティグルたち。彼らの苦境を救ったのは、あまりにも意外な人物だった。「空間エザンディスの力か」円卓の騎士サーシャの言葉と共に、戦いは更なる次元に突入する!


サーシャの復活で、新旧双剣の戦姫対決だー! と無邪気に喜んでたんですが……あのぉ、サーシャの最強度合いが想像より桁2つくらい上だったんですけどw
新旧対決どころじゃないよ! 双剣使いというと、どちらかというと技倆重視の軽量ファイターという印象だけど、もうこれ呂布じゃん!? というくらいの豪傑っぷりで。
膂力があがったのは復活してかららしいのだけれど、スピード、技倆、パワー全部別次元ってなんですかこれ。後書きでもサーシャの強さについては語られているのですけれど、総合するとロランに匹敵するって事ですよね。
ただでさえ手に負えないのに、これでアルトリウスはもっと強いとか、どうするんですかこれ?

ただ、幸いなことにサーシャみたいなのがゴロゴロと集まった円卓騎士団集結、突撃ーー! という有様にはなりそうにないんですね。
ようやくアルトリウス側の内実が描かれだしたのですけれど、確かに過去ではアルトリウスは王であり、円卓騎士たちは臣下として彼に従っていたのですが、この時代においては一応主従ではあるものの、復活した目的については厳密な所でアルトリウスと円卓の騎士たちは異なっているようで、そのまま配下の将軍として付き従う、という様子ではないということ。
そもそも、どうも魔物を相手にすることを主目的としているようで、むしろアルトリウスが本来の復活の目的からはズレた意図の読めない行動をとっている、という事らしい。
モードレッドがむさいおっさんで出てきたときには吹いてしまったけど。いや、Fateシリーズではなくても、モードレッドってアーサー王の「息子」という扱いだから若い騎士、という印象だったんですよね。いや、ここで出てきたモードレッドも実際は肉体年齢的には若者なのかもしれないけど、挿絵のデザインむさいおっさんなんだよぉ。しかも、見事なくらい噛ませ犬の小物だし。
そういえば、この世界での円卓騎士団はモードレッドの反逆で潰えた、というわけではないようで。そもそも、アルトリウスとモードレッドは親子関係ではないようなんですよね。むしろ、この関係は外部からお目付け役で派遣された軍監みたいな?
どう見ても悪そうな黒幕が別にいるので、アルトリウス自身はしたたかながら清廉な王様のようだし、何を目論んでいるかわからないにしても決して邪悪な事を企んでいるのではないのだろうけど。
でも、それはそれとしてギネヴィアの家族など王族を鏖殺しているわけで盛大に血は流しているのだが。あの殺戮には何らかの理由があったのだろうか。もし、魔物の討伐が目的なら、アスヴァールの征服は必ずしも必要とは思えないし。いや、どうも魔物は各国の上層部に食い込んでいるらしいし、ブリューヌはあいつだとして、ジスタートは誰なんだろう。
ともかく、ギネヴィア側との和解はどうしたって無理なようで。
そんなアスヴァールを二分する争いの片方を担うギネヴィア軍を事実上差配しているのが、若き公爵令嬢リネット・ブリダイン。
なにこの政治チート娘はw この若さ、わずか16歳で立派に宰相職をこなして、というか宰相職どころじゃないですよね、ほぼワンマンフリート状態。父親のブリダイン公爵が軍に参加してようやく一息ついているようだけれど、ほぼ彼女ひとりでギネヴィア派は持っていたようなもので、すげえなこの娘。
ちなみに、川口先生が手掛けるシリーズでは彼女の存在は見受けられないのだけれど、この娘が居ると居ないとではギネヴィアの政治基盤の強固さがパンケーキと大理石くらい違いそうなんですよね。
あっちのギネヴィアはまだ政治できそうな器用さを見せていたので、何とかなるのかもしれないですけど。
何れにしても、過労死しそうな勢いで八面六臂の働きをしていて、リネットさんの存在感が半端なく、またティグルを竜殺しの英雄として活用する手練手管も練達で、挙げ句にティグルへのアプローチも軽快快活と来て、これリムさんぼんやりしてたらヒロイン食われますよ!?
冗談めかしてますけど、わりとガチでティグルの事捕まえられたら捕食するつもりですし。まああんまり目がないだろうなあ、と冗談で済ましている節もあるのですけど。

猫の王というケット・シーがティグル一行に加わり、登場人物みんなが寄ってたかってニャンコ詣でしてて猫ご満悦、はまあいいとして、猫の妖精が仲間になり、また敵も伝説上の騎士たちに、精霊たちもそれぞれにティグルたちに力を添え、とこのスピンオフの雰囲気はより濃厚な神秘の匂いのするファンタジーになってるんですよね。
それでいて、リネットの奮迅によって戦記物としてアルトリウス派とギネヴィア派の、中立派の貴族を取り込みつつ随所で戦いを繰り広げる本格的な国を二分する内戦ともなっていて、本編とはまた味の違うファンタジー戦記として、色々と漲ってきたんじゃないだろうか。
騎士ガラハッドと騎士ボールスの無口と多弁のコンビがまた仲良くて、まさに好漢という感じがして見てて気持ちよかったです。円卓の騎士がみんな敵、というわけではなかったのは何にせよホッとしましたよ。戦力的にも心情的にも。
さてしかし、サーシャとは明確に対決に向かっているだけに、ほんとこれどうやって対抗するんだ!!?


魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)5 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)5】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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アスヴァール王国の内乱は、勝者となったギネヴィア王女が宝剣カリバーンを正式に継承し、父王の跡を継ぐ形で幕を閉じた。ティグルはブルガスの地で手に入れた黒い鏃にまつわる『魔弾の王』の足跡を追って、ミラたちとともにザクスタン王国へ向かう。ザクスタンでは王家と土豪が対立を深めており、各地で小さな争いが頻発していた。王都を目指して旅をしていたティグルたちは、雪の降る山中で因縁のある魔物ズメイに遭遇する。激闘の末にティグルと離れ離れになってしまったミラは、ヴァルトラウテと名のる土豪の娘に助けられる。彼女の傍らには、少女と呼んでいい年齢の戦姫の姿があった。山と森の王国で、ティグルとミラは新たな戦いに身を投じる。

ザクスタン王国で出会ったのは、14歳の最年少戦姫のオルガ・タム……14歳だったのか! ミリッツァが15歳なのでほんとに一番下じゃないですか。しかも、二年ほど自分のブレスト公国を出て放浪していたらしいので、戦姫になったの12歳だったんですね。子供じゃないの!
そりゃ、公国の運営とかそうそう上手くやれんわなあ。
前作でもオルガは戦姫になった直後に公国を出て旅に出てたんだけれど、実際に何があって自分が領主には相応しくないと思うに至ったのか具体的な話は出てきてなかったんですよね。なので、どちらかというと最良の領主とはというテーマに対して哲学的に悩んでるみたいな感じになってて、その解決もティグルを見初めてアルサスという領地を守るという明確な意識を持っていた彼を観察するために行動を共にするうちに、そのまま特に具体的な解決があったわけではなく流されてしまった感があったんですよね。
一方、今回はまず最初にあったのがミラだったからか、彼女が戦姫として立派に領主を務めている事もあって彼女に相談することに。その際、オルガの経験不足や潔癖な姿勢から起こしてしまったミス、失敗例などが話にあがって、なるほどなあ、と。
これは誰が悪いということではなく、本当に経験不足ゆえだったんですよね。ミラのように生まれが代々戦姫の家柄で、幼い頃から教育を受けていたわけじゃなく、傭兵として生きていたエレンや商家の人間だったというソフィーのように実地で経験を詰んできたわけでもない、遊牧民族の中で生きてきたわずか12歳の子供にいきなり公国の政務をやれ、と言われてもできんわなあ。
いや、それまで公国の運営を担ってきた文官の人たちも決してオルガを蔑ろにしていたわけじゃなく、むしろ幼い彼女を慮り気遣って尊重しすぎたことがまずかったのか。この娘、傍目こそ無口で無表情で何考えてるかわかりにくい娘なのだけど、凄く真面目で何事にも真剣で緩みがない娘なんですよね。いや、遊牧民族らしい自然体こそが本質なんだろうけど、慣れない環境で肩肘はって頑張っちゃったんだろうなあ。
でも、こういう娘、ミラからするとどストライクだと思うんですよね。真面目な子、シンパシーが通じると言うか、ミラってこの手の娘凄く相性いいんですよ、多分。なのでか、随分と親身になってオルガと接することに。
ミラの変化、ティグルと出会った事によって戦姫という枠組みにはめ込んだ自分だけではない、枠組みを広げて俯瞰的に余裕を持って違う視点から自分の立ち位置を振り返ることが出来るようになっていた事が、余計に悩むオルガに親身になれた要因なのかもしれません。
自分でもちょっと触れていますけれど、ティグルと会わなかったミラなら、戦姫としての責任を一時とはいえ棚上げして、放浪の旅に出てしまったオルガのこと、たとえ理由があったとしても未熟と断じて突き放しそうですし。代々戦姫を継いできた家柄ゆえのプライドが、そういうの甘えとして見たんじゃないかな、というのが前シリーズのミラからは伺えましたし。
その意味でも、ミラとオルガがこんなに仲良くなるのはちょっと意外なくらいで面白かった。こんな世話好きだったっけ、と思うくらいオルガの事可愛がってますし。妹みたいに思ってるんじゃないだろうか。この新しい関係性はなかなか新鮮で味わい深いです。

さて、舞台はアスヴァールからザクスタン王国に。国が変われば自然も変わり、国情も変わってくる。漫遊記みたいになってきたなあ、と思いつつ国をまたぐたびに景色が変わるのもまた何とも楽しい味わいで。ザクスタン王国は前作でも戦争してたりしましたけれど、実際にザクスタン本国に足を踏み入れることは……あったっけ。ただあったとしても軍勢を率いての進軍、という形だったと思うので国の中を実際に歩いて周りを見渡し、匂いを嗅いで人々の生活の様子を眺めて、という風情ではなかったですからね。このアスヴァールとはまた違う深い森の国の様子はなかなか情緒的なものがありました。人狼、と呼ばれるあやしい存在の噂がまた拍車をかけるのですが。
それに、国の体制も他と違って王家の力が非常に弱く、土豪と呼ばれるこれもう独立勢力ですよね、公然と王家と張り合ってる勢力と常に小競り合いしてるような情勢で。
そんな中で、魔物との交戦によって別れ別れになってしまったティグルたちとミラ。はからずも、王子と行動をともにするようになったティグルたちと、土豪連合の主力を担うヴァルトラウテという若き女主人に保護されたミラ。なんか、ロミオ&ジュリエットな様相も呈している状況のなかに首を突っ込んでしまう。ジュリエットがまた勇ましいんですけどね。勇ましいと言っても性格的には理性的で、むしろ家のしがらみに囚われているというべきか。先代の父を王家とのトラブルで喪ってしまったが故に、余計に土豪としての立場にこだわってしまっているというべきか。心情としては王子の側にあるのに、自縄自縛になっていた所にミラとオルガという外の人間であるからこそ胸襟を開けて話せる友人と出会えて、想う所変わっていくという感じでしたね。
同じく領主としての悩みを抱えるオルガに、自分と同じ女領主として戦士として堂々と振る舞いつつ恋にもまっすぐ生きているミラ。影響を受ける、という意味では実に効果的な二人でありましたし。
王子の方はひたすらいい人で、こいつ大丈夫かと思うくらいお人好しなんですよね。ただなよなよしてるし戦う力はないものの、無力さに打ちひしがれて縮こまらずどんどん行動に出る気力があり、聡明でもあり、彼を侮らずに脇を固める人材がいたら見違える気配はあるんですよね。実際、ティグルが協力することで一気に状況を打破できたのは、彼の手腕でもありましたし。何より、あの一途さは好感を持たざるを得ないですわ。

しかし、魔物側の思惑も相変わらずまとまっていないというか、個人個人で勝手に動いているというか。最終目的は一緒のはずなんだけれど、やはりこのシリーズの最大の敵はミラの祖母の体を使っているズメイ、ということになるのか。今回の人狼と呼ばれる人の意識を失わしめ徐々に怪物に変えてしまう存在も、ズメイの仕込みだったわけですし。
このザクスタンでは、宝剣バルムンクが登場してきましたけれど、どうもこの剣は一筋縄ではいかなさそうな気配があるんだよなあ。なんか、危険視されて封印されてたみたいだし。今の所、ヴァルトラウテが使ってるけれど特に怪しい影響はないんだが……。

ところでこれ、結果的にザクスタン王国、中央集権化が進みそうなんだけど、隣国であるブリューヌ的には大丈夫なんだろうかw ティグルくん、思いっきり手助けしちゃってるけど。

さて、前回えらいことになってたリーザですけれど、途中で彼女に呪いかけてた魔物の婆ちゃんが呪いが解かれちゃった、という話をしだして、その流れであいつ死んだわー、みたいな話になってて、マジかー! と結構焦ってたんだが、どうやら生存はしていたみたいで……。
でもこれ、まさに前シリーズと真逆の立場になっちゃってませんか、リーザさん。残念ながら拾ってくれたのティグルではない、という時点で不憫度はまったく解消されてないのですが。どうもソフィーが引き取ってくれそうなので、変なやつに拾われてない分まだマシなのかもしれませんが。

そして、なんかもう登場するだけで面白くなってきたザイアンくん。お父さんに怒られるの巻。竜の世話係の娘が理不尽な目にあった、と勘違いして父親への恐怖も忘れて激高するなど、なかなか良いところも見せてくれましたけれど、オチがやっぱりザイアンくんでナイスザイアンw
いやでも、ザイアンくんちょっとチョロすぎませんかねw 勝手にどんどん侍女のアリエットへの好感度あげてってるんですが。多分、アリエットの方は別に好感度あがってないぞw


魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)などダッシュエックス文庫の電書化  


この22日に、【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)】の5巻などこれまで電子書籍化されていなかった作品4冊がKindleやBOOK☆WALKERにて配信となりました。

 【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 5】 川口士(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)2】 瀬尾つかさ(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【双月のエクス・リブリス】 早矢塚かつや(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W
 【帝剣のパラベラム】 川口士(ダッシュエックス文庫) Kindle B☆W


これまで、【魔弾の王と凍漣の雪姫】と【魔弾の王と聖泉の双紋剣】の2シリーズは、なんでか最新刊が発売になってから、その前の巻が電子書籍化されるという変なルールで配信されてたんですよね。通常書籍発売の翌月、ですらなくて最新刊が出てから、ですよ。これは電子書籍派としては大変迷惑でした。迷惑というのも変か、不満…そう不満でした。だって数ヶ月遅れ、場合によっては半年近く経たないと読めなかったんですから。今どきこんなんしてるのダッシュエックス文庫だけでしたからね。
それが今回、最新刊が出ていないのに2月に発売された【魔弾の王】関連の上記2作品に、去年の12月発売の他2作品が配信となりまして。理由はなんなんでしょう。コロナ関係?
できれば、今後他の作品と同じく通常の本と電子書籍の同時発売となる前フリになってくれればありがたいのですが。

魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ライトメリッツ公国の戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと、エレンの副官・リム。故あって二人はいま、ジスタートに突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立していた。
そこで二人は、アスヴァール王女ギネヴィアから、信じられない話を聞かされる。三百年も昔の人間であるはずのアスヴァール建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったというのだ。
ギネヴィアに協力することになった二人だったが、その前に、ティグルを上回る弓の力を持ち、そしてティグルのことを「今代の王」と呼ぶ謎の男が立ちはだかり――。
魔弾の王VS魔弾の王。異国の地で、かつてない戦いがティグルとリムに迫る。

エレンをメインヒロインとするシリーズを最初に、現在ミラをメインヒロインとする「凍漣の雪姫」シリーズを現在手掛けている原作の川口士先生ですけれど、新たに瀬尾つかささんを筆者に迎えてエレンの副官であるリムをメインヒロインとして新たに繰り広げられるスピンオフというより、完全に新シリーズとなるのがこの「聖泉の双紋剣(カルンウェナン)」であります。
最初はリムがヒロイン!? と、仰天しましたけれど、よく考えるとリムも第一シリーズでは戦姫となる歴史があるだけに、戦姫としてヒロイン張る資格はちゃんとあるんですよね。
それも、ティグルと同じく完全に無名で無冠の所から一緒に成り上がっていくことになるわけだ。
しかしエレンの副官という重要な立場である以上、なかなか自由に動けないだろうにと思ったら、まさかのティグルと二人でのアスヴァールに迷い込んで遭難という事態に。なるほど、これならエレンという星の輝きから解き放たれ、ティグルも他の戦姫と関わる事なく下積みする事ができるなあ、と。
下積みどころではなく、本作ではいきなり竜殺しとしての名望を得て、それを振り回しながら戦う羽目になるのだけれど。
初っ端から英雄として持ち上げられ、その名望に違わぬ活躍を続けるティグル。対してリムは何も持たない所からはじまる。エレンの副官、というよりもう次席司令官であり政務官という公国の実質的なナンバー2であったリムですから、その組織管理能力は際立っていて、偶然行き合い一緒に戦うことになるギネヴィアの立ち上げた反乱軍の、まさに要として活躍する事になるリムなのですけど、その縁の下の力持ちという立場に今まで以上に悩むことになるのです。
まだ子供の頃、傭兵の時分からエレンと共に生きてきたリムにとって、戦姫としてのエレンは親友であると同時にどうしても遠ざかってしまった存在でした。そのことに寂しさと焦燥を感じていた彼女ですけれど、そういうものだと受け止めてもいた。
一方でティグルの事も、このシリーズではリムが最初に見出しアルサスからライトメリッツ公国へと自分が連れてきた存在でありました。前作でも教育係としてティグルに付きっきりでともすればメインのエレンよりも一緒に居たリムですけれど、アスヴァールに飛ばされた今作では文字通り二人きり。二人三脚でサバイバルしなくてはいけない状況になり、よりお互いの存在が他に比べるもののない無二の相手となっていきます。
だからこそ、余計にリムもより切実にティグルの隣に立ちたいという想いを持つことになる。支えるだけではなく、共に並び立って戦いたい、生きたいと願うようになる。
その願いが、彼女の手元に双紋剣を呼び寄せることになるのですが……。神器を手にして戦う力を手に入れながらも、リムの自己評価ってずっと低いままなんですよね。いやもう他の人からシてもティグルからしても、リムってば何でもできるし万能すぎて彼女抜けるとあらゆるすべてがどうしようもなくなってしまう要も要の重要人物、という扱いなのですけれど、ずっとエレンの輝きのもとでやってきたせいかそのあたりの自己認識低いんだよなあ。
でも、そんな自己評価の低さを受け入れて、縁の下の力持ちでいいんだと受け止めていたのがこれまでの彼女なら、そういう自分を脱却したい、ティグルの隣に立ちたいという願いを自覚し、求めるようになったことが彼女の成長であり新たな献身の形なのでしょう。これもまた、可愛い話じゃないですか。
お堅いリムさんが実は可愛いもの好きでぬいぐるみに目がない、というあたりもティグルさん目ざとく拾ってポイント稼ぐの欠かさないあたり、ティグルはリムのことよく見てます。見ているのがほぼリムだけでいい、というのもあるのでしょうけれど。

しかしこれ、厳密に言うとリムって戦姫になったわけじゃないのかしら。同じ双剣でも竜具である「煌炎」バルグレンではないっぽいんですよね。リムの双紋剣(カルンウェナン)って。そもそも泉の精霊から頂いたものですし、双剣の持つ能力もバルグレンとは違っているっぽい。
それはそれとして、まさか「彼女」とリムが戦うことになるとは想像だにしてませんでしたけど。いや、このシリーズの敵が死者から復活したかつての歴史上の英雄たちだったとしても、それは思い至らなかったですよ!
「凍漣の雪姫」シリーズではかつて見ることの出来なかった最強の騎士ロランの活躍を改めて堪能できていますけれど、今作ではもう一人の見ることの叶わなかった「最強」の真価を目の当たりにできるのか。それが敵というのはたまったもんじゃありませんけど。

そして、「凍漣の雪姫」シリーズに引き続き出番ありまくりなギネヴィア王女。「凍漣の雪姫」では兄弟と争うことに後ろめたく複雑な想いを抱いている様子がありましたけれど、今作では身内同士での争いではなく家族の敵討ちという側面もあるだけに、あちらのシリーズよりも後ろ暗さなく背筋がピンと伸びた英雄らしい振る舞いを得ている気がするんですよね。派閥争いなどの変な政治バランスを気にする段階でもないですし。リネットなどの同じ趣味を持った気心のしれた有能な腹心がいる、というのも大きいのでしょうし。にしても、他の戦姫よりもよっぽど出番あるようになってしまったなあ、このお姫様。

瀬尾つかさ作品感想

魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)4 ★★★★   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)4】  川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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エリオット王子を利用してアスヴァールの内乱に介入すべく派遣されたティグル、ミラ、ソフィーたちジスタート軍は、暴虐の限りを尽くしていた魔物・トルバランを討ち取り、港町デュリスの解放に成功した。が、王子の急死という予期せぬ事態の発生により、急遽、ギネヴィア王女を総指揮官とするアスヴァールおよびブリューヌとの連合軍を結成して、ジャーメイン王子と対峙することに。ジャーメイン王子の勢力圏へ橋頭堡を築くために港町マリアヨを目指す連合軍だったが、待ち構える敵の船はこちらの倍以上。圧倒的劣勢の中、アスヴァールの覇権を巡る戦いの幕が上がろうとしていた。

ミリッツァちゃん、この娘いい性格してるわー。性格というか、おませさんというかエロ小娘というか。エザンディスの瞬間移動能力をヴァレンティナとは別の意味で悪用してやがるw
しかしヴァレンティナ、この世界線でも他の戦姫たちから嫌われてたのかー。どうせ寿退社した件で他の戦姫たちにマウント取りまくったとかそんなんじゃないのか?

さて、アスヴァール内乱編は本格的にギネヴィア立志伝という体の戦記モノに。後ろ盾を持たないギネヴィアが頼らざるを得ないのは、ブリューヌ軍とエリオットの死によってギネヴィアに乗り換える事にしたジスタート軍という外国軍という状況なのだけれど、地元に基盤がないというのが逆に今のアスヴァールの状況では差し引きプラスに働いた、というべきなのか。
大陸派と島派の対立構図が激化している現状では、どちらの諸侯とも縁を繋いでこなかったギネヴィアはフラットな立場で扱えるということなのだけれど、勿論扱いを間違えると父王のようにバランスを重視しすぎて何も出来なくなってしまうか、内部対立を激化させて組織集団としての体をなくしてしまうか、のどちらかなのでギネヴィアの手腕とカリスマが問われることに。
こういうケースだと、外国軍であるブリューヌとジスタートは傀儡とならずとも主導権を握って権益や利益を確保しまくり、自国に都合の良い政権を誕生させようと尽力するものなんだけれど、何しろブリューヌ側の指揮官は清廉な騎士であるロランだし、ジスタート側も寝技は得意だとしても悪辣ではないソフィとミラなだけに、ほんとに純粋な支援軍みたいになっちゃってるし。
勿論、ギネヴィア政権が誕生したらその功績からアスヴァールには多大な借りを貸し付けることになるんだろうけど、良心設定になるんだろうなあ。

ともあれ、後手後手に回ってしまったジャーメイン。さらに疑心暗鬼を募らせて信望を喪っていってしまったのも相まって、戦況はギネヴィア有利に。海戦での大勝がきっかけだったとはいえ、なんとか島派・大陸派を取りまとめて戦略も堅実に進めて間違わなかったギネヴィアの手腕は大きかったのではないかと。この点、ギネヴィアを侮ったジャーメインの失点ですね。この内乱がはじまるまでギネヴィアを眼中に入れていなかったのも、それまでのギネヴィアの自由気ままな振る舞いを見ていればわからないでもないのですけれど、内乱始まってからのギネヴィアの動きを注視していれば、もう少し積極的に動けたのかもしれません。戦姫や黒騎士ロランの輝きに目を取られてギネヴィア本人の資質に目を曇らせてしまった、とも言えるのかもしれませんが。

しかし、まさかのザイアンくん登場参戦ですよw
相変わらず性格ネジ曲がってますけれど、仲良くはなれないけれど信頼はできる、というくらいに成長したんじゃないでしょうか。人間的な余裕が出来た、というべきか。あれで出来たの? と言いたくなる所だけれど、昔のザイアンなら飛竜にちょっかいかけようとした子供を止めることすらしなかっただろうしなあ。あの若干飛竜に舐められてる竜との関係は愉快なんだけど、もうちょっと頑張れと応援したくもなりますなあ。

一方でひとりえらい目にあってしまうリーザさん。この娘、相変わらず貧乏くじ引いてるよなあ。仮にも戦姫が暗殺者紛いの仕事を請け負っているという時点で、他の戦姫よりも公国の王としての立場苦しいんじゃないだろうか。他の貴族からの要請を断れない、という事でもありますし。
しかし、あのラストの展開はどう持っていくつもりなんだろう。ギネヴィアとしても、今回の一件は変な形でボタンを掛けてしまった気がしないでもないですし。なんか変なスイッチ入ってません?
リーザもまさかあれで、とはならないでしょうけど。むしろ、彼女の右手の問題が早く解決するきっかけになればいいのだけど。ってか、この世界でもリーザってばエレンにボコられて例の力望んじゃったのかしら。

今回はロランとがっつり組んでのタッグ戦、みたいな形になっていたティグルですけれど、この二人の相性ってもしかしたら戦姫たちよりも上なんじゃないだろうか。息ピッタリすぎやしませんかね!?
ってか、ロランのデタラメっぷりがホント凄いんですけど。こいつ、人間か!?
そんなロランが前衛にいたら、後ろからティグルがやりたい放題なんですよね。もちろん、竜具を使う戦姫たちとティグルのコンビはその竜具の能力や黒弓との相乗効果も相まってバッチリ以外の何者でもないのですけれど、ロランとティグルのそれは虎に翼、という感じすらしたんですよねえ。
二人共、純粋に技量が噛み合った結果、なのかもしれませんけど。にしても、繰り返しになるけどロランがバカ強すぎるw

シリーズ感想
 

9月22日


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