ドゥレッツァ

第60回金鯱賞 G2 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 別定 中京競馬場2,000メートル(芝・左)

パーフェクトだ、プログノーシス&川田将雅。
中団最内を走っているのを見たときはこれ前詰まるんじゃね? と思って見ていたのが、直線に入るとスルスルと間を縫っていつの間にか前に出ているし。
むしろ枠順的には3番のドゥレッツアの方がこの位置に来そうなもんだから、うちにプログノーシス、その外にドゥレッツアという並びになった時にはルメールやりやがったか? とすら思ったんですけれどね。いやはやどうして。コメントやあとの展開見る限り、選択として川田この位置につけてるっぽいんですよね。
中距離までの先読み、特に四角を曲がる際にできるだろうルートの見極めに関して、悔しいが川田騎手は一級品ですわ。そして、その騎乗に万事応えて見せるプログノーシス。
去年はここからクイーンエリザベス2世カップに行ったんですね、香港の。
そちらでは惜しくも二着だったのですけれど、内容を見れば去年よりも遥かに完璧な完勝。
実績的にも現段階での充実っぷりでも現役に残った古参の中ではトップクラス。G1を獲っていないのが不思議な馬なだけに、次走が大阪杯だろうと海外だろうと期待は十分でしょう。

それでも、まだプログノーシスはG1勝っていない馬であります。
そんなプログノーシスに5馬身ちぎられてしまったドゥレッツアは、2着ながらもこれはちょっと厳しい着差だよなあ。進路開かなくて仕掛けがワンテンポ遅れたにしても、ですよ。
アンカツに改めて4歳のレベルに疑問を持った、と言われたのも仕方ない。皐月賞馬ソールオリエンスを筆頭に今年全然勝ててないですもんね。ベラジオオペラ、エルトンバローズ、サトノグランツ、ハーツコンチェルトといった後続勢もパッとしませんし。

3着には2年2ヶ月ぶり!? ヨーホーレイクが先行集団で唯一粘って3着滑り込み。エフフォーリア、タイホ、シュネルの同世代が長き眠りから帰ってきましたよ。いやしかし凄いな、2年ぶりでこの競馬は。最近、超長期休養明けでもしっかりと走れるまで仕上げてくる事が増えてます、凄いです。
2年前4歳になっての初戦日経新春杯を勝ったときは、タイホたちと大いに競馬盛り上げていく一頭になると思えるだけのポテンシャルを見せてくれた馬だけに、同輩たちが去ったあとのこのターフでもう一花咲かせてほしいものです。まだ今回含めて8戦しかしてないんだから、行ける行ける。
戻ってきたステラヴェローチェといっしょに頑張って欲しいです。
しかし、クラシック殆ど縁無く遠回りしてここまで駆け上ってきたプログノーシスと、クラシックでバチバチやってきて、しかし古馬になり屈腱炎で長く現場を離れることになったヨーホーレイクが、同世代の最強馬たちが引退したあとのここで初対戦となる、というのもまたドラマよなあ。

4着には8歳馬ハヤヤッコ。このコはまた老いて盛んというか、衰え知らずというか。G1からは縁遠いけれどG2以下となるとかなりの確率で掲示板、入賞までは来るあたりほんとずっと頑張りやさんですわ。

5着にはアラタ。この馬も7歳でなお健脚。地方の重賞では欠かせない馬ですね。
6着にはいきなり新人まだ三週目ながら重賞初騎乗となった高杉吏麒騎手のワイドエンペラーが上がり2番目で追い込んできて、入線。12番人気の馬を6着まで持ってきたのなら、十分えらい。


第84回菊花賞 G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 京都競馬場3,000メートル(芝・右 外)

ルメールマジック炸裂ぅぅ!! これ、これこれこれ。マジかー。うはははは、これは凄いわルメール。マジかよ。
大外17番ドゥレッツァ。京都3000メートルとなると、スタートしてすぐにカーブに入ってしまうためにやっぱり圧倒的に外枠不利だったんですよ。
ルメールの勝利者インタビューを聞く限りではスタートの飛び出しの勢いが良かったんでそのまま逃げる事にした、と最初からの作戦じゃなかったと言ってるんですけれど、それでもスタートダッシュの良さを活かして一気に内に寄せてそのまま勢いを殺さず先頭に躍り出るわけです。
ドゥレッツァ、別に逃げ馬じゃないんですよね。むしろ仕掛けやや遅めでゴール前で捉えるような競馬をしている。って、前走も前前走も完全に勝ちに入った馬差し切ってるんで無茶苦茶強い競馬してるんだよなあ。ともあれ、前を捕まえに行く競馬主体で自分が主導権握って走る競馬は初めてだったはず。
既に逃げの体勢に入っていたパクスオトマニカを躱してさらにぐんぐんと前に行ってしまう勢いは3000メートルにしては勢い良すぎと思ったし、実際に最初の1000メートルは1:00:4と2000メートルとかの中距離戦レベルの速さで、これは速すぎて前持たないんじゃないか!?
と思ったんですよね。しかも、もう向正面に入ったところで先頭をパクスオトマニカに譲ってジリジリと下がってっちゃうんですよ、ドゥレッツァ。あれ? もうバテちゃった? 一瞬思ったんですよね。ところがある一定のところまで下がった所でピタリと止まり坂をあがって下りだしたところで他の先頭集団と一緒に前にいたパクスオトマニカとリビアングラスを捕まえに行ったんですよ、ドゥレッツァ。

タスティエーラやソールオリエンスまだ後ろのほうか。どの時点で進出してくるんだ?とそっちの方に意識持ってかれてたんで、ふと見たらまたドゥレッツァが先頭捕まえに行っているのに気づいて……もうそりゃもう戦慄しましたわな。
ルメール、中間完全に溜めやがった!!
あとで確認したら中間の1000メートル64秒台最後の1000メートルが58.6。
つまり60.4ー64.1ー58.6という思いっきり中間で緩んだレースになってるんですよね。
これあれですよ。98年のセイウンスカイ横山典さんさながらの変幻自在の菊花賞の再来ですよ。
もうこれ、中距離の後傾レースみたいなもんで、これは後ろからの差し届かせるの至難ですわ。無理。ってか上がり最速ドゥレッツァ当馬じゃないか。これは勝てんわー。むしろ、しっかりと伸びてきて2着に入ったタスティエーラと、抜群の手応えながらも最後緩んだのはあれ距離かなあ、やっぱり。でも3着確保したソールオリエンス。この皐月賞馬とダービー馬の強さは本物ですわ。
それを踏まえた上で、その二頭相手に完勝したドゥレッツァはちょっととんでもないです。それ以上に、このレース展開を作り出したルメールがすごすぎました。やっぱりルメールやばいですわ、やばい。

この菊花賞。出走馬のお父さんたちがちょうど同じレースの舞台で切磋琢磨していたライバルたち。キタサンブラックの息子がソールオリエンス。サトノダイヤモンドの息子がサトノグランツ。タスティエーラの子がサトノクラウン。そしてドゥラメンテの子がドゥレッツァと、丁度この父親世代がアニメ・ウマ娘プリティーダービーの3期の主役を担っているのも相まって、実質アニメ三期実写版とか言われたりもしていたのですが。
まさかそんなレースでウマ娘のアニメの第一期の菊花賞セイウンスカイを再演するような展開になるとは、ってかこんなレース展開想像できるかーー。
まあウンスはあれずっと先頭で逃げてたわけで、一度馬群に引っ込んでまた抜けてくるという今回のドゥレッツァみたいなとんでもねーレースはしてなかったけど。あ、でもこういうレース見たことあるぞ。ノリさんやったことあるだろ、これ。どっかの競馬動画で見たような記憶が。カンテレ競馬だったっけか。
いずれにしても、これは故障で菊花賞に出られなかった父ドゥラメンテに捧げるがごとき勝利じゃないですか。それは以前にタイトルホルダーが叶えてるじゃないか、と言われる向きもあるかもしれませんけれど。でもさー、当時せめぎ合った好敵手たちの息子同士が揃って一緒に走って、そして勝ったというのにまた違う価値と感動があると思うんですよねえ。
ああ、ここにセントライト記念を勝ったレーベンスティール(リアルスティール産駒)が居たら完璧だったんですけどねえ。いや、これからいくらでも機会はあるさ! くははは、なんて楽しみな世代なんだ。牝馬にあのリバティアイランドというとてつもない怪物少女がいるために、どうしても牡馬の方は今年の前の方は有象無象感があって存在感が足りてない雰囲気あったけれど、もうそんな事全然ないよ。強い子らが揃って、ライバルとしてぶつかり合い競い合う形がしっかりと浮かび上がってきた。これからがホントに楽しみですわ。

1着ドゥレッツァは未勝利戦からこれで5連勝。初の重賞挑戦がこの菊花賞であり、それを勝利。しかも過去に二回しかいない17番枠での勝利である。しかも逃げでの勝利。どれだけ常識を打ち破っての勝利か。しゅごい。
2着タスティエーラ。ディープインパクト記念弥生賞1着、皐月賞2着、ダービー1着。そして菊花賞2着。もうこの馬の強さに文句つける人はいないでしょう。この一頭でサトノクラウンの種牡馬の価値を爆上げさせてますよもう。今回は鞍上のモレイラもやっぱり上手かった。直線入るところでポッカリと前開いたもんなあ。
3着はソールオリエンス。展開は向かなかったし外外を回らされるという距離的不利もあり、元々距離に不安のあったところがモロに出てしまった感のある脚の止まり方でしたね。
でも3着。止まって3着である。位置取り次第でタスティエーラともう少し良い勝負になったんじゃないでしょうか。中距離ならやはり無類の強さを見せてくれそう。
4着には、番手に位置しながら最後まで粘ったリビアングラスが滑り込む。9番人気ながら素晴らしい激走でした。逃げたパクスオトマニカが最下位に沈んだことを考えれば、相当に走ったんじゃないでしょうか。元々調教は抜群で出走馬の中でも出来は最上位近くだったみたいですし、これはすぐに重賞くらいは取れそうじゃないですか?
5着のサヴォーナはちと行き足がつかなかったのか。本当ならもっと前で競馬したかったみたい。でも直線早めで前につけていて今出来る競馬は出来たんじゃないでしょうか。池添騎手もベテラン味出てきたねえ。神戸新聞杯2着も実力でしたね、これは。

さて3番人気で皐月賞馬・ダービー馬に並んで三強を形成していたサトノグランツは、まさかの良いところなしの11着。出走馬の中でもステイヤー適性は一番高いと距離不安のなかった馬のはずなんだけれど。仕掛けどころで全然動こうとしてなかったね、グランツくん。先週までもう悪魔的といっていいくらいの騎乗技術を見せていた川田がほんと良いところなくて。今の充実っぷりなら長距離になると全然だめ、まったくダメという評判を軽々と払拭してしまうんじゃないか、と疑ってもいなかったのだけれど、これだけ惨憺たる有様になってしまうとなあ。
川田騎手はほんとレースのスタートからゴールまで他馬を含めた馬の動きを想定して立てるプランニングがもう凄まじいと言っていいくらいの精度なんだけれど、逆に言うとそのプラン通りにお手馬が動いてくれないと途端にダメになる傾向があるんですよねえ。その馬に言うことを聞かせる技術は年々磨き上げられていってるんだけど、気性が荒かったり長距離で馬に気分良く走らせないといけないパターンだと思わぬ脆さを垣間見せる。今の川田だとそこも克服していくかな、と思ってたんだけれど……。
まあグランツの場合、それ以前に後傾の流れに全然ついていけなかったというのが大きいみたいだけど。神戸新聞杯で前に離されずについていけただけに、流れについていけないパターンはないと思ってたんだけどなあ。前走レコード勝ちの反動があったのか、メンタルになにかあったのか。
このまま沈んでしまうような馬ではないと思うので、来年立て直してきてほしいところです。

いやーそれにしても見ごたえのある菊花賞でした。すごかったなあ、すごかった。



 

4月25日


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