3年B組 ネクロマンサー先生 (GA文庫)

【3年B組 ネクロマンサー先生】 SOW/ がおう GA文庫

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「というわけで、俺を魔王軍に入れてくれ! そして人類を滅ぼそう!!」
暗黒式魔導師クトゥーは勇者の仲間だったが、その女勇者レティシアにフラれたショックからパーティーを離脱。そのまま魔王に直接リクルート!?

「それなら、君にピッタリの仕事があるんだよ~」
魔王は過激なクトゥーを持て余し、彼に与えた役職は、気まぐれで創っちゃった学校の教師!!
しかし、担当クラスは人類文化に憧れる落ちこぼれの低級魔族ばかり……

「お前らを人類廃滅の使徒にする! 」
「「ええ~っ面倒くさい人きたー」」
激ネガティブなクトゥーの腐りきった性根と型破りな授業が、生徒たちの心を育み、彼らの才能をグングン伸ばす!?
これは、後世に『闇統べる者』と讃えられし、
伝説の教師の授業記録である。
せ、先生がだめな人すぎる! ぼっち拗らせたコミュ障が、生まれてはじめて優しくしてもらった女性に勘違いしていきなり重すぎる告白したら案の定振られました、からのー勇者パーティー裏切ってそのまま魔王軍に寝返るというこの無意味なアグレッシブさw
いやレティシアさん、別に酷い振り方したわけじゃなくて、誠実にごめんなさいしただけなので、別に彼女は特に何も悪くないのはご了承ください。
しかし先生、根っから腐ってるのに、思考が完全にネガティブ拗らせてるのに、なんでこんなにヒャッハー系なんだろう。僻み妬みもしまくるくせに、意外と陰に篭ってないのはそれを押し殺してグツグツ煮立てないからなんだろうけれど、堂々とああいう思った端から口にして発言してたらそりゃ友達できませんよねー、そうですよねー。
ただ、裏表はまったくなくて裏で何かを画策しているとか、ねちっこいヤバさは感じない分、生徒たちが一定の信頼を寄せていたのはよくわかるんですよねえ。それに、あれだけネガティブなのに他人の悪口とか陰口とか非難の類い、マイナスを誘発するような発言だけは確かにしてないんですよね。人を悪く言わない、その分自分を比べて腐して拗ねて捻て鬱陶しいことこの上ないんですけど。
他者から常にヘイトを浴びせ続けられていた子たちにとって、表面的な優しさや意識した平等ではなく、本気で・素で・自然に自分たちの劣等感を抱いている要素を一顧だにせず、全力で自分たちの中にある様々な要素を羨み地団駄踏んで妬んでくれる相手、ってのは随分と不思議な感覚だったんだろうなあ。
ネガティブで自分を卑下しているからこそ、相手を自分と比べて妬み嫉み羨んで負の感情を溜め込む腐った面倒くさい性格だからこそ、どんな相手でも妬み嫉むに足る良いところを探し出し見つけ出すことが出来る、という勇者レティシアが見出したこのネクロマンサーの性質は本当に面白い。単純に良かった探しが上手い主人公ってのは居るけれど、そういうポジティブ思考のキャラクターって同時に相手に劣等感を抱かせてしまう性質も持っているだけに、ネガティブだからこそ相手の良いところを見つけられる、いうキャラはなるほど、と思うと同時にその激烈と言っていいアグレッシブさは鬱陶しいけれどネガティブさがもたらすジメジメとした鬱陶しさとはまた違う鬱陶しさですからねえ。いや、鬱陶しいのは同じなのですが。生理的に無理、というのは闇の性質を持つが故の生来のものだけなのか。案外、この後天的な性格が唸りを上げているような気がしないでもない。
でも、これだけ腐ってるくせにちゃんと先生らしいこともしてて、責任感をもって仕事してるのは好感が持てるんですよね。振られただけで、人類陣営裏切るような無責任さも持ち合わせているのですけれどw
軽快にポンポンとぶつけ合うデットボール上等なボケツッコミの応酬がまた愉快で、最後までスルスルと読める良作でした。魔王サイドと勇者サイドの思惑とか、裏で蠢き絡んでいる要素もあるので、続いたらさらにおもしろくなりそうな匂いもプンプンしているだけに、ガンガン行ってくれればなあ、と思うのでした。

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