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女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 ★★★★   

女神の勇者を倒すゲスな方法4 「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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あらゆる手を尽くし、女神教との一時停戦をもぎとった真一たち。次は“不死身の勇者”を生み出す女神そのものを倒すため各地を旅していた彼らは、かつて女神が直々に破壊するよう命じたと言う“エルフの墓所”の存在を知る。しかしエルフは人間を忌み嫌い、不死身の勇者たちですら一蹴するほどの魔力の持ち主。なるべく友好的に接しようとした真一たちだったが、暴言を吐きまくるエルフに、ついにはセレスがブチギレ――!! 勇者も敵わないエルフ攻略方法はあるのか!? 魔王の参謀となった少年の異世界攻略譚、第4弾!

前回、女神教のこと不死を権力奪取に悪用せずにわりと健全な組織運用してたんだなあ、と述懐してましたけれど、前言撤回します。充分悪用してるわー!
疲れたら治癒で強制回復、眠くなったら覚醒で起こされ、過労死しても死者蘇生で復活させられ、24時間働け働け、って女神教のヤバさが振り切ってる!
これは人格歪むわー。腐ってるとはいえ、比較的マトモなフェルメータ卿ですらこれ経験してるんですよね。これが当たり前になってるのか。上から下までこんだけ働いてたら、そりゃ女神教躍進するでしょうし、みんなまともな思考ぶっ壊れて狂信者になりますわなあ。むしろ、腐ったり俗世に塗れたりで落ち着いてまともな人格のままでいた二人の枢機卿が凄いのかも知れない。
フェルメータ卿が指導者になって、ある程度女神教もまともになるかも、と期待したいところだけれど、狂信とはまた別の方向でフェルメータ卿が着々と内部腐教を進めているのがちと怖い。順調に行くと、教義自体が腐りかねないんですが! 女神教、別に女人限定の宗教じゃなくて普通に男女入り混じっているのですが、このままだと男の方の立場が掛け算の具だけになってしまいそうだ。

とはいえ、原理派が排除されて現実派が主導権を握った女神教は少なくとも敵対勢力ではなくなったので、当面の驚異は女神そのもの、となったわけで、今後はその女神の正体、彼女が魔族を絶滅させようとする意図を暴く、という探索モード、アドベンチャーパートへと突入。その秘密が眠るかも知れない遺跡を探索するために、遺跡を守護するエルフの里を訪ねることに。
そして、血統を守護するために近親交配を繰り返して、血のどん詰まりを起こして滅びかかってるエルフの里w
うん、そうだよね。外から新しい血を入れずに引きこもってたら種として行き詰まっちゃうよね。わりとファンタジーだと引き篭もり傾向のあるエルフだけれど、大概のエルフは寿命が無いか千年単位で生きるので、血の濃さの問題というのは浮き彫りにならないケースが多かったのだけれど、この世界のエルフは別に長寿でもなんでもないので、あっさり滅びかかってる、という……。
コメディタッチで描かれているけれど、なんとか血縁の遠い者同士での交配をしようとした結果、恋愛感情無視どころではないドロドロの婚姻模様が繰り広げられていたようで、ひたすらエグい実態が。場合のよってはファンタジー世界にも関わらず横溝正史ワールドな世界観になってたんじゃないだろうか、エルフ村。
そんな中で、血の濃さ故に誰とも結婚できない定めとなりハブにされていたエルフ娘のクラリッサ。……あかん、この子本物の変態やー! いやもう、道を誤った人はたくさん出てきましたし性癖としてどうなんだ、という人もたくさん出てきましたけれど、なんかこの子はそんな中でも並外れて「真性」だよ!!
ヒロインとしても色んな意味で「無理!」な感じの真性ですだよ!
まあセレスさんがドスケベエルフだというクラリッサの主張には大いにうなずかざるを得ないけれど。

ともあれ、遺跡の探索によって古代文明にかかわる女神エレゾニアの正体の一端をようやく掴んだところで、ラストの衝撃的な展開である。
真一という人間を現在の形に形作った根源ともいえる部分に、何の躊躇も罪悪感もなく無造作に手をツッコミ、かき回すどころか抉り取って見せつける無慈悲さ、冷徹なまでに愛情も友情も踏み躙る非情さ。なにより、やり口のえげつなさ。
女神エレゾニア、こいつが一番ゲスそのものや!
これは役者も揃って一気にクライマックスか。

2巻 3巻感想

三国破譚 孔明になったけど仕えた劉備は美少女でゲスでニート志望だったの事 ★★★   

三国破譚 孔明になったけど仕えた劉備は美少女でゲスでニート志望だったの事 (ファミ通文庫)

【三国破譚 孔明になったけど仕えた劉備は美少女でゲスでニート志望だったの事】 波口まにま/saraki ファミ通文庫

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ニート暮らしを夢見るダメ人間な劉備とともに三国統一を目指す!?

三国志好きの中原天人は、突然諸葛亮孔明に召喚され「余命少ない自分に代わって劉備に仕えてくれ」と頼み込まれる。願いを聞き入れた天人の元に現れる劉備、関羽、張飛!! 伝説の三英雄は、なんと全員美少女!? ここは女性が活躍する三国志世界だった!! しかも、聖人君子と思われた劉備は、曹操軍と戦う気がないどころか、ニート暮らしを夢見る、卑怯・外道・ゲス作戦上等のダメ人間で!? 孔明として群雄割拠の三国時代を駆け抜けろ!!

貧困の底である草鞋売の身の上から一旗揚げて楽して生きたい、というのはごくごく自然な俗世の欲である。三国志演義での聖人君子のような生き方とも権力を握って思うがままに権勢を振るいたいという野心とも違う、わりと素朴な欲求じゃないだろうか。
この劉備が偉いところはそういう個人的な欲求が根本にあるくせに、自分についてきた人間に対しての責任感は人一倍あるってところなんですよね。周りの人間を利用して自分だけ好き勝手生きる機会はいくらでもあっただろうに、彼女は自分が面白おかしく楽して生きるためには自分を支えて一緒に戦ってくれた人たちを踏みにじって使い捨てにするようなやり方は、後味悪くて嫌だって言うのである。それをしてしまうと、楽しくニート暮らしが出来ないと言っているのだ。
それって、良い人、善人の感性以外の何者でもないのである。
乱世を終わらせて民を救うのだ、なんて高尚な考えなんて微塵も持っていない自分本位な目的な生き方をしている劉玄徳だけれど、少なくとも自分勝手や無責任とは程遠い生き様を見せていて、別に全然ゲスな人じゃないぞ、これ。
というわけで、ある意味史実の劉備に近いんじゃないか、というクレバーな在り方を見せてくれる劉備さんでありますが、これくらいの方が人間味があってよろしいんじゃないでしょうか。
歴史上の英傑の多くが女性になってる、というのは織田信奈の野望がまず想起されるのだけれど、キャラ重視のあっちと比べても本作はかなり歴史遵守のしっかりした作りがなされてる感じなんですよね。ただ、やはり一巻である程度話を完成させないといけないためか、登場人物をかなり絞っていて三国志という群像劇を期待すると登場人物の少なさにややがっかりしてしまうかもしれないけれど。
特に魏なんか敵サイドにも関わらず幾人かの赤壁関連の人物を除くとメインは曹操と許褚の二人しかいないという陣容の薄さですし。
あと、三国志の女性化モノというとかつて、或いは今も【真・恋姫†無双】というゲームの二次創作小説が隆盛を誇っているのだけれど、そこでちょっと目を剥くレベルで正史における当時の社会情勢などを緻密に描写してる作品もかなりあって、それらの既に見た作品群の体験から評価基準がどうしても高くなっているかして、どうしてもそれらと比べてしまう部分があるのだけれど。
それでも、やたらと展開をゆるくしてしまうことなく、しっかりと三国志を書いていこうという姿勢、女性化しても乱世の将星として各々のキャラがみんな気張っているところなど、好感触である。
ある意味、二巻からラブコメ要素も強くなってきそうだし、ここからの飛躍も期待できそうじゃないですか?

女神の勇者を倒すゲスな方法 3.「ボク、悪い邪神じゃないよ」 ★★★★   

女神の勇者を倒すゲスな方法3 「ボク、悪い邪神じゃないよ」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 3.「ボク、悪い邪神じゃないよ」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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ゲス参謀VS女神の勇者軍団10,000人!!! 最終決戦、開幕!?

「女神教の大神殿に攻撃を仕掛ける」
真一は宣言した。最強の魔法使い"聖女"まで魔王城の住人となり、人間側の理解者も得られた。今が攻め時と、セレスと共に聖都に乗りこんだ真一は四大枢機卿の一角、聖母卿に狙いを定め攻略を開始する。だが、魔王たちが平和に暮らせる世界まであと少しに迫ったその時、女神の祝福を得たあの男が一万の勇者の大群を率いて復活しようとしていた――。ゲス参謀VS女神教、最終決戦!? 大人気の異世界勇者攻略譚、第3弾!

そうなんだよな、作中で真一が述懐しているように女神教ってその不死の勇者の能力を悪用したら幾らでも俗世の権力を乗っ取れただろうに、その意味では健全な運用をしていた、とも言えるんですよね。これはむしろ、まだ出来て百年余の新しい組織だから、という要素もあるのかもしれない。古代から続く古い宗教と違って、新しいからこそまだ民草に馴染みきってはいないけれど、新しいが故にまだ組織の理念が腐敗せずに教団の人々に根付いていた、とも言えるのでしょう。もっとも、各国に対する横暴さや傲慢な振る舞い、組織上層部にはびこりだしていた色んな意味での腐った有様wを見ていると、過渡期を通り越して堕落の時代に入りかけていたのかもしれませんが。
とはいえ、純粋な理念や信仰にハマりすぎて排他的になってしまうと現実を無視した危うい集団へと転化してしまうので、その意味では運営母体にある程度の俗さは必要とも言えるんですよね。だから、四人の枢機卿のうち二人は真っ当な人間性の持ち主だったというのは、相応にバランスの取れた組織として落ち着いたものになろうとしていたところかもしれない。いずれにしても、どちらに転がるにしてもまさに過渡期だったんでしょうなあ。
純粋理念に殉じるには組織として老成し、変質するまでは劣化していない時期だった、と。

ここで受け身に回って相手のリアクションを待つのではなく、積極的に攻勢を仕掛けてイニシアチブを握りながらも、女神教を叩き潰すのではなく共存できる環境を作り出すためのグランドデザインを描いてみせるあたり、真一の考え方ってかなり大胆なんですよね。人間側の認識そのものを変えられる可能性、教団組織の影響力の限界と現実認識を前回把握したからなんだろうけど。
自分で人間側の領域に潜入して工作に従事するなど、行動力も抜群な真一にぴったりとくっついてサポートし続けるセレスさんの相棒感がいい加減半端ないことになってるんですよねえ。変に煽てず甘やかさず、毒舌を飛ばしてチクチク弄りながらも、実質はそりゃもう献身的にくっついて離れないわけで、なかなか一緒に行動できないアリアンとはちょっと差が広がってるなあ。
あのグリグリと真一をイビりながらも絶対的に信頼を寄せている、という済ましたセレスさんの態度はなかなか来るものがあるんですよねえ。いざという時は、想定外すぎる絶望的な状況に動けなくなった真一を叱咤激励して背中を叩いてくれるわけで、もう姉さん女房的なところまで垣間見えるわけで、真一側からの信頼感も半端ないところまでゲージあがっちゃってますし。
その絶体絶命のピンチに対する逆転の発想もまた面白い。あくまで真っ向勝負では仕掛けないんですよねえ。相手の盤上には乗らずに必ずその外側から仕掛ける。そのひっくり返し方が実にエッジが効いていて、実に好みでした。
なんか、これで終わりみたいな雰囲気だったので完結か、と焦ったのですがちゃんと続きも出てるようで良かった。

2巻感想

異世界に転生したら美少女で女城主だった。 ★★★☆   

異世界に転生したら美少女で女城主だった。 (ファミ通文庫)

【異世界に転生したら美少女で女城主だった。】 水城みなも/冬ゆき  ファミ通文庫

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チート能力も特殊スキルも無い青年が“美少女力”で三国制覇、目指します!

黒猫を助けるため七門景は命を落とし――小国ステンベルグのお姫様ティフォに転生した。そして彼女のペットの黒猫に、本来のティフォの魂が入ってしまった。「あたしの身体を返してよ!」と言われ困り果てる景。しかし彼女は二つの大国のうち一方から結婚を、一方から戦争をふっかけられ、貞操も命も絶対絶命! 転生スキルも何もない景は、この絶世の“美少女力”で危機を切り抜ける決意をするのだが――!? 興国の美少女となる三国制覇譚、開幕!

中身が入れ替わっての転生モノというのはよくあるけれど、中身を奪われた側のお姫様が側についているというのはあまり見ないパターンかも。その分、主人公が孤立していなくて対話しながら物事を進められる、というのは何気に大きいのかも。お互いに育った環境も世界も違う二人ですから、価値観も違いますし男女の性差の違いもある。だからこそ、お互いに見えていない部分を相互に指摘しあえる、というところもあるんですよね。国を背負う責任というものを、誰にも相談できずに一人で背負うというのは苦しいものですが、それでも胸襟を開けて話し合える相手がいるというのは大きいでしょう。
主人公の景、覚悟が据わるといっそ冷徹なリアリストとしての側面が浮かび上がってくるだけに、そこに国を、国民を愛するという想いを共有するティフォの存在は結構なアンカーになってるんですよね。まあ、その芽生えた愛情こそが、彼に一層冷徹な決断を後押しする燃料になっているというのも皮肉な話なのかもしれませんが。
ぶっちゃけ、景の戦略は敵の思考を誘導するという導線の引き方こそしっかりしているし、それを仕掛ける相手のことをちゃんと把握し、冷静さを奪う策を幾つも重ねているわけで決して行き当たりばったりではないのですけれど、いざ予定外のことが起こった場合、読みどおりに相手が動いてくれなかった場合などに際してのマージンが全然ないんですよね。それだけ、国力にもとり得る選択肢にも余裕がさっぱり無い、という描写が山盛りにあっただけに、決して景の考えが浅いとか甘いとかではなく、文字通り綱渡りの賭けだった、というのを仕掛けたがわも十分承知した上での緊迫感にも繋がっていたわけですが。
しかし、主人公って中身は男なのに意識は完全に身体のお姫様に引っ張られてるのね。本来ティフォ姫のものである恋心を、彼も自分のものとして意識してしまっているわけですし。
TSものに対しての捉え方は人それぞれだけれど、自分は身体が女になったのなら男を好きになってもいいじゃない!派なので、身内のイケメン男子にトキメイてしまうのは大いにありなのですけれど。
恋のライバルが、自分の身体の本来の持ち主であり唯一無二の相棒、というのはなんとも乙女ロードじゃないですか?
あとはもうちょい、その恋愛対象のお兄さんのキャラ立てと掘り下げを進めて欲しいところです。今のところ、脇キャラは宰相と将軍のおじさんコンビの方が遥かに立ってますもんねえ。それはそれで全然構わない気もするのですけれど。

東京ダンジョンマスター 2.新宿でも社畜勇者(28)は眠れない ★★★★   

東京ダンジョンマスター2 ~新宿でも社畜勇者(28)は眠れない~ (ファミ通文庫)

【東京ダンジョンマスター 2.新宿でも社畜勇者(28)は眠れない】 三島 千廣/荻pote ファミ通文庫

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水の魔王五星将が、新宿駅を襲う!

異世界ダンジョンから秋葉原駅を守った元勇者の上総は、紅の元で退魔業を請け負っていた。そんな彼が降り立ったのは、欲望渦巻く新宿駅は歌舞伎町! 聖剣を家に置いてきてしまった上総は、突如魔物が現れピンチに陥るが、持ち前の超人的な身体能力と機転の良さで危機を脱する。しかしそれは、やがて新宿を揺るがす新たなダンジョン発生の、ほんの始まりに過ぎず……。おっさん勇者と愉快な仲間達の異世界ダンジョン攻略記、息もつかせぬ急展開の第2弾!
スナックでホステスとして働く異世界のお姫様……。これが歓楽街の客層の派手な店とかではなくて、地元の小さなお店でお客も近所のオッチャンたちや商店街の旦那さん方、という感じのところで、【3月のライオン】の三姉妹の一番上のお姉ちゃんが働いてる感じのお店、てな風情のところが生活感を感じさせてくれて、ギュッとくるんですよね。そんな場末のお店で働くお姫様を、仕事上がりに毎晩迎えにいく上総くん。自分も遅くまで働いて、帰ってきたらメイドのクリスと一度ご飯食べて人心地ついてからリリアーヌのお迎えに家を出て、そうして二人でブラブラとお喋りしながら歩いて時々公園で休んでゆっくり話して、疲れて眠ってしまうお姫様をオンブしてクリスが待っている部屋に帰る日々。
遅くまで仕事で大変でしんどい生活だけれど、それでもこれはこれで幸せな風景じゃないですか。
紅の方も、学業と退魔業の両立で大変そうだけれど、一巻の時のように身も心も擦り切れるのも構わず突進していた頃に比べたら本当に良い方向に充実している状態になってきてるんですよね。無理をする必要はもうどこにもなくなったわけだし、学生生活を楽しもうと考える余裕が出来るようになっただけでも、見違えるようじゃないですか。退魔業の方でも、上総に無茶振りしつつも好意持っている相手と一緒に走り回ることが出来ているわけで。
異世界サイドから、五星将の連中が侵攻してきてあっちこっちダンジョン化される、という面倒は相変わらず降って湧いてくるにしても、何気に主人公サイドのプライベートってある程度の完成を見て安定しちゃってるんですよね。なので、変に新しいヒロインを増やすのではなく、敢えて任侠・黒田龍という男の……漢の戦いをベースに持ってきてしまったのは、賛否在るのかもしれないが私は好きだ、大好きだ!
いやもうこの兄貴、極道も極道で真っ当な人間じゃあまったくないのですけれど、敵対するヤクザ相手に人を殺めてオツトメまで果たしているような武闘派も武闘派なのですが、人品はえらいスッキリとした人物で、暴力を生業としているにも関わらず決して無闇に暴力を振るわないし振りかざさないタイプの男なのである。堅気に迷惑は掛けない、というだけではなく、舎弟に対しても理由のない暴力や理不尽を強要したりは絶対しなくて、化け物と化す薬物の氾濫で怪物化した人間相手にしたときも、真っ先に舎弟の連中庇ってましたしね。ってか、あれで犠牲にならずに普通に生き残ってるあたり、この黒瀬の兄貴無茶苦茶である。普通の展開だと、最初のシチュエーションで真っ先にこの怪物化薬物事件の犠牲者として血祭りにあげられそうな立ち位置だったのに、普通に殆ど無傷で生き残った挙げ句に、最終的に上総たちダンジョン突入パーティーのメンバーとして参加するわけですから、何者!?てなもんですよ。
実質、この巻の物語の主役はこの黒瀬龍、と言って過言ではないくらい彼と、そして無理やり薬物を服用させられて怪物化してしまった彼の舎弟である桑原との話がメインで進みますからね。
ヤクでトチ狂ってしまった身内にけじめをつけさせる、なんていうと組織のメンツだの男の意地だの、という話になってしまいそうなのだけれど、そんな事でダンジョンと化した新宿に潜ってまでケリをつけようなんて、思いませんわなあ。
桑原というやくざ者が全く似合わない頑固で生真面目な若者と黒瀬との馴れ初めから、二人の若干異物で不可解で、でもどこか心通じ合う兄弟関係。慕い慕われた男と男の絆の物語であり、慕うが故に彼のようになりたかった、敬愛するが故に対等に成りたいと望んだ男の、舎弟の、弟の……無理やり怪物と化せられたあとに、もう二度と元に戻れぬと悟ったが故に、その有り様でこそ成せることを望んだ弟分の生き様と死に様に、真っ向から付き合うことを選んだ、これはメンツでも意地でもない、一人の漢の「愛」の物語なのである。
何気に、上総って人生に疲れた男の様相を背負ってるけれど、黒瀬の兄やんみたいな強面の人と相性がいいというか、えらい意気投合してましたなあ。上総も黒瀬もスレた生き方をしているだけに、対等な友人というものを滅多と得られぬ人種なんですよね。だからこそ、得難い相手を得たのかも。最後、肩組んで夜の街に繰り出す男二人の背中に思わず微笑んでしまいました。
にしても、あんまり社畜感はなくなりましたよね。仕事大変だけれど、生活や人格まで犠牲にしてるわけじゃないし、無茶振りしてくる紅だけれど、けっこう気遣って仕事の割り振り考えてくれてるし。そろそろ社畜から解放された宣言してもいいんじゃないかと思われ。

一巻感想

F級討伐屋の死にスキル 「死ね」と言ってはいけない理由は? ★★★   

F級討伐屋の死にスキル 「死ね」と言ってはいけない理由は? (ファミ通文庫)

【F級討伐屋の死にスキル 「死ね」と言ってはいけない理由は?】 黒九いな/ bun150  ファミ通文庫

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その必殺は無意味!? 竜の棲まう世界での異能アクションファンタジー!

討伐屋になって二年。未だに最低のF級のジンは、ギルドで憐憫の目を向けられても、頑なに単独クエストを続けていたが、C級装備の美少女エインに「秘密をバラす」と脅され彼女とパーティーを組むことになってしまう。しかし、楽勝のクエストのはずが、D級の粘竜に繁殖対象として襲われ、エインはあっさり貞操の危機に! やむなくジンは“あの力”を発動させるのだが――。その"必殺"は無意味!? 最弱のスキルを持つ少年のアクションファンタジー!
これはお父ちゃん病むわなあ。人の死に方にも人間としての尊厳みたいなものがあって、それが踏みにじられるような死に方というのは誰だってしたくないし、見たくない。見ればそれだけで瑕になる。その意味では、このお父ちゃんが即座に発狂しなくて正気を保とうとしたのは深い愛情だったのだろう。でもだからこそ、より酷い惨劇と憎悪を招いてしまった、と言えるのだろうけれど。
主人公のジンの過去が壮絶すぎて、筆舌に尽くしがたい。若干おかしくなっているところはあるものの、ほぼ健全で善良な精神性を保っているのが不思議なほど、というか異常なくらいなんですよねえ。討伐屋稼業をはじめて以来、ずっと最低ランクのまま貧した生活を送っていたものの、何気に周りの人たちに虐げられたりバカにされたりすることなく、けっこう生暖かく見守れてたりと人の悪意に晒されるようなことが少なかったから、というのもあるのかもしれないけれど何よりも彼の心を支える出会いがあったからなのだろう。
尤も、そのかけがえのない出会いが今となっては彼を縛るトラウマとなり、新しい呪詛となっているのだけれど。その呪いに自ら殉じて、残った人生のすべてを叶うことのない願いに費やし、代償行為を以って返しきれない悪夢を清算し続けているのだけれど、彼の偉いところはその行為を一つの信念にまで昇華しているところなのでしょう。代償行為なんてのは、それこそ何も考えず何の想いも込めず自動的に、反射的に行うようなもので、そこに意思なんてなかなか籠もらないものだろうに。
茫洋として希薄に見えて、過去に囚われているように見えて、幻影ではなくちゃんと今、自分の目の前で助けを求めている人の声を聞いて、その姿をちゃんと見据えて、助けようとしている。代償行為ではあっても、過去に助けられなかったあの娘の代わりに、なんてその人を見ていないなんてことはしていない。あれだけ呪われながら、それは本当に偉いと思う。だからこそ、今は彼に向けられる好意や愛情に応えられないとしても、そのぬくもりを否定しないでほしい。彼がいつか報われることを願うばかりだ。
正直、彼のスキルはあまりにも凄惨すぎるし、その過去にまつわる因縁は不吉や不幸をとめどなく引き寄せてしまいそうで、彼と一緒に行動するのは大変だろうけれど、エインにはヒロインとして頑張ってほしい。そのトンチキさとポンコツさを伴う真っ直ぐな好意は確かに、彼の救いになってるから。

Eクラス冒険者は果てなき騎士の夢を見る 「先生、ステータス画面が読めないんだけど」 ★★★   

Eクラス冒険者は果てなき騎士の夢を見る 「先生、ステータス画面が読めないんだけど」 (ファミ通文庫)

【"Eクラス冒険者は果てなき騎士の夢を見る 「先生、ステータス画面が読めないんだけど」】 夏柘楽緒/森沢 晴行 ファミ通文庫

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"ステータス"――それは神が与えし才能を示す唯一の指標である。この世界ではそれが人生のあらゆる場面で重視され、一生つきまとう。騎士団に入ることを夢見る青年ライは、認識できないステータスを持つことでまともな職にも就けず、万年Eクラスの冒険者に甘んじていた。しかし、その剣筋は並の冒険者には視認できないほど疾く、"魔の森"屈指の魔物をも瞬殺する実力を持っていて――。 定められた運命に抗う、最低クラス冒険者の英雄ファンタジー、開幕!


ステータスに記されたスキルという名の才能によって、ほぼ将来が決定してしまう。社会的にも評価基準がステータス表記に基づいていて、それから外れると社会的にドロップアウトしたのと同然になる。というのは、まあこの手のファンタジーでは見る設定なんだけれど、何気に近未来SFのデストピア社会的なものを想起させるのは面白いなあ。尤も、モデルとなる中世世界の職業や身分がガッチリと固定されて自由のない社会に比べるとむしろ才能に基づいて仕事につけたり、わりと職業選択もガチガチではなくて、スキルの成長を見込んだり、表記されたスキルの外側の範囲にも可能性を求めることが出来たり、とけっこう自由度が大きいので、決して窮屈な世界観ではないんですよね。
それでも、評価基準がステータスにあるということは、ステータスがバグって読めないとなると、どれだけ車の運転が上手くても免許持ってなかったら公道での運転が認められないのと同様……と、これは例題がちょっと違うような気もするけれど、ともかく実態が制度上の評価基準と合致しないために不遇をかこつのが、本作の主人公なのである。
尤も、その主人公自身がステータスの価値・評価基準に固定観念を縛られているし、現行社会を逸脱する気、ルールそのものを変えてやる!みたいな事はさっぱり考えずに、今の評価基準に則ったまま憧れの騎士になりたい、と考えているような人なので、まあこの待遇も仕方無いのかな、と思わないでもない。
でも、彼の実力を正確に把握している冒険者ギルドの上層部が、まったく便宜らしい便宜を図っていないのは、なんというか……色々と思わせるところありますよねえ。最低ランクから引き上げることは出来なくても、報酬面とかで幾らでも手当とか出せそうなものなのに。さすがに日雇い仕事でひーくら言いながら生活している姿は可哀想なものがある。イイように利用している、と見られても仕方無い部分があるんじゃなかろうか。受付のリカリアーナさんは出来る範囲で色々とやってくれてるようだけれど。それにしても、ライ自身に自覚が全然ないからなあ。
そもそも、彼が自分の力を正確に把握していないというのが、彼我の実力差もわからない程度、に見えてしまって仕方ないんですよねえ。結局ステータスでしか判断できない、という意味では騎士団入ったクラスメイトの筋肉ダルマとそんな変わらない、という感じですし。なので、あんまり強者的な雰囲気が感じないのがなんともはや。
雰囲気としてよかったのは、あの魔法使いの娘、フレミヤの一族マルドゥナ家にかけられたドラゴンの呪いですか。あれ、西洋ファンタジー的な呪いじゃなくて、むしろ本邦の伝奇風な禍々しいドロっと粘度の高い呪詛っぽいんですよね。それか、宿主の無意識を自分の繁殖の為に操る寄生虫めいたヤバイ感じの。
あの普通のファンタジーな世界観の中にポツリと突然生まれたシミのような仄暗いゾワゾワするような黒点。それがいい意味での「違和感」として首筋を冷たく撫でるような感触が漂っていて、その変に混じったようなまじりきらないように残っている雰囲気が、けっこう好きでした。
ギルドマスターの狂気走った思惑とか、リカさんにつきまとう疑惑とか、なかなか陰惨な要素が入り混じっていて興味深いんだけれど、実のところそういう方向とライのバグった性能と無自覚な性格ってあんまり合ってない気もするんですよねえ。フレミアは、まさにそのライのそれに救われた、と言えばそのとおりなのですが。
あと、聖女さまが完全に自分の男に唾つけようとする相手に喧嘩売りに行ってるようにしか見えなくて笑った。いやこう、一応聖女として意味深に釘刺してる、という体は保ってるんですが、それにしてもアレである、いやはや。

女神の勇者を倒すゲスな方法 2.「返事がない、ただの聖女のようだ」 ★★★☆   

女神の勇者を倒すゲスな方法2 「返事がない、ただの聖女のようだ」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 2.「返事がない、ただの聖女のようだ」】 笹木さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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勇者を撃退した平和な日々のなか、真一は魔族たちと畑作りを進めていた。その時―魔王を狙って放たれた最上級の光魔法『聖光奔流』。城ごと壊滅させる攻撃を放った相手は、新たな勇者“聖女”!さっそく攻略に乗り出すも、神官戦士に囲まれ真一の甘言にも耳を貸さない聖女はまさしく難攻不落。そこで真一は魔王の娘リノに協力を要請するのだが…。今度はゲスな手段でアイドルプロデュース!?大人気の異世界勇者攻略譚、第2弾!
考えてみると、いや考えるまでもなく一巻の勇者アリアンは超イージーモードだったんですよね。当人のキャラからしてチョロい上に境遇や立場、置かれている環境などもすべてが押せば転ぶところに立っていたと言ってもいい。これはアリアン自身も周りの連中も認めていることで、色んな意味で運も良かったと言えるわけだ。なので、アリアンを陥れて味方にする、と言ってもタイトルほどゲスいことをしてたわけじゃあないんですよね。
なので、本番はむしろ今回からなのである。純粋培養の狂信者であるところの「聖女」には小賢しい誰もが思いつくような通り一辺倒の作戦は通用しない。情で訴えることも正義に語りかけることも公正さを掲げてみることも、何もかも伝わらない。
となれば、それこそゲスな方法。策略をもって彼女の寄って立つものを失墜させ、陥れるしかないのである。というわけで、むしろこの巻からが魔王軍作戦参謀となった真一の真価の見せ所だったんですよね。むしろ、イージーモードでなくなってからこそ、彼の柔軟な発想と引き際の速さ、タイミングの見極め方など策略家としての筋の良さが見えてきた感があるんですよね。状況を見極める冷静な判断力なんかも見えてきましたし。かと言ってまあ、やっぱりゲス野郎と言われるほどゲスな事は全然してないんですけどね。むしろ、やるべきことを見落とさず手抜きせず、きっちり計画立てて準備して、失敗も先に考慮しながら手管を整えていくあたり、非常にやりてですし、人心を利用はしても弄ぶような真似はしないあたり、やはりゲスとは程遠いんですよねえ。ってか、普通に良い男である。
教会は相変わらず真っ黒で、ほぼ妥協の余地のない相手なのですけれど、決して古代から人類に根付いている宗教ではなく、むしろここ百年近くで急に勢力を拡大してきた新興宗教であり、まだその土地に根ざした地元の宗教や医学、薬師を迫害した記憶が民衆に色濃く残ってたり、教義と信仰で影響力を広げているのではなく、回復魔法や蘇生魔術という実益を餌に逆らえない環境を誂えて、と決して人心を集めているわけではないようなので、これならガツンガツン敵対しても落とし所は整えられそうなようにはなってるんですねえ。なかなか足場のしっかりした読みやすさで、面白かったです。

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet!2 ★★★★☆   

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 2 (ファミ通文庫)

【佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet】 九曜/フライ ファミ通文庫

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ちょっとHな女の子と送る同棲&学園ラブコメディ、待望の第二幕。

ゴールデンウィークも明け、僕こと弓月恭嗣と、ひとつ年下の佐伯さんとの同居生活は幸運なことに(一部を除いて)誰にも知られることなく続いていた。学校でも容赦なく距離を詰めてくる佐伯さんと、僕の動向に目を光らせる雀さんへの対応に追われる日々だったが、ここにきて何故か宝龍さんが佐伯さんを挑発しはじめて――。常に冷静な弓月くんと、とびきりの美少女なのにちょっとHな佐伯さんが繰り広げる同棲&学園ラブ・コメディ、第二幕です。
宝龍さん、あとで嘘だと撤回してたけれど、あれマジなんだろうなあ。そして、マジなら佐伯さんに負けず劣らずこの娘も凄すぎる。
逆に言うと、そこまでしておきながら余裕かまして大魚逃してしまったんだから、大失敗どころじゃないんだろうなあ、本人としても。
でも、佐伯さんが貴女には資格がない、と言いたくなるのもわかるんですよね。弓月くんの扉を開いてみせたのはどう考えても佐伯さんの努力であって、その結果現れてしまったネオ弓月くんに、一度の失敗で距離を置いてしかも復旧作業を行うでもなく放置していた宝龍さんが、ネオ弓月くんを前にしてまたぞろ食指を伸ばして掻っ攫おう、というのはズルいと言わざるをえないもんねえ。
客観的に見るとそれはもう宝龍さんの未練に過ぎず、宝龍さん自身もう手遅れでどうにもならないと自覚しながらも矢も盾もたまらずついついつまみ食いを敢行していただけで、本心ではネオ弓月くんをご相伴に預かれる、なんて思ってもいなかったんだろうけれど、佐伯さんから見ると超人みたいな宝龍さんがちょっかい掛けてきている、というだけでなんかもう絶望的な気分になってしまう、というのもまあ気持ちはわかるってもんである。心の奥底では絶対の揺るぎない勝利の確信を持っていたとしても、それを揺さぶられるくらいには宝龍さん、凄すぎる人だけに。まあ、その感想は宝龍さんも佐伯さんに感じていたんだろうけれど。
まさに、お互い勝ち目のないラスボス相手にジタバタしているような気分だった、というと滑稽でもあり悲劇でもある。結局、とっとと弓月くんがはっきりすればよかったわけで、しかしこれを優柔というのは弓月くんのキャラクターからするとまた違うんですよね。もったいぶっていたわけでもなく、ズルズルと優柔不断にふらついていたわけでもなく、彼はもっと世界に対して茫洋として希薄な存在で有り続けたからこそ、実体を得る決断に対して意味を見出さなかったのだろうけれど……まあ、あの佐伯さんの攻勢にもうほぼ陥落しているようだった二巻の様子からして、ズルズルと引っ張っていた、と言われてもこれは仕方ないか。無駄な抵抗を続けていたわけだ。未だ、なんでそんな抵抗を必要としていたのか、という点が謎なのだけれど。彼の抱いている虚無は未だ明らかにされていない。ただ、その彼の抱く虚無にこそ、宝龍さんも佐伯さんも惹かれた、という点が明らかになっただけで。二人共、その一目惚れの理由がまた並の女の子と根源から違っていて、とんでもないなあ、と思わざるをえない。運命だとかいう他人任せじゃなくて、二人共自分でその衝撃をとっ捕まえる気迫が満天なんだもんなあ。それで宝龍さん、大失敗してしまっているというのがこの人のある意味途方もないところで、浮世離れしすぎてたんだなあ、と思ってしまう。佐伯さんのやり方を見て、はじめて自分が決定的にアプローチの仕方を間違えていたのに気づいてしまって、遅ればせながらやり方を変えてみた、というのがこの二巻までのあれこれだったんだろうけれど、その時点で表面上は抵抗しながらも、弓月くんはとっくの昔に佐伯さんに完全陥落してしまっていたわけだから、どうやったって手遅れだったんだよなあ、残念なことに。でも、宝龍さんの手遅れの攻勢が佐伯さんの余裕を奪ってしまって、それが弓月くんに無駄な抵抗をするという遊びを続ける余裕を奪ってしまった、というのがまた面白い構図でもある。
しかしこれ、お父さんが襲来してなかったら、歯止めきかなくなってたんじゃあないだろうか。何しろ、巣でぇろぃことが好きな佐伯さんである。実質的のみならず公式にも弓月くんが陥落した場合、これ幸いとやりたい放題だっただろうし。すでに、それ以前にその萌芽は見えていたわけだし。弓月くんがいくら理性的であっても、理性を本能が上回らなくても、相手から攻め続けられたら敗北することもあるのだし。実際、負けかけてたし。理性的にやっちゃってただろうし。うんうん。
いやしかし、まじでお父さん良く認めてくれたよなあ。あれはおそらく、佐伯パパも弓月くんのスマートな受け答えに、一目惚れ的にズキュンと来てしまったんじゃないだろうか。何しろ、あの佐伯さんのパパである。趣味はニてるだろうし。

1巻感想

皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園 ★★★★☆   

皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園 (ファミ通文庫)

【皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園】 やのゆい/mmu ファミ通文庫

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蛮族との戦の功績により、竜王国の騎士隊長へ成り上がった竜騎士アルス。将来を期待されていた彼だったが、ある日、空から飛来した謎の巨大軍船を駆る皇国によって国を滅ぼされ、流浪の身となってしまう。すべてを失ったアルスが唯一求めるのは、祖国や友を奪った皇女ハルノミヤの首。しかしその復讐の旅の最中、敵国の娘サファイアと出会い、なぜか旅館経営を手伝うことになり―。仕える国を失ったエリート騎士の再生ファンタジー、開幕!
面白かった! すんげえ面白かったよぉ。やのゆいさんと言えば、現代を舞台にしたポップでコメディちっくな青春譚をこれまで手がけてきて、そのどれもがどストライクだったのですけれど、波長が合うのかな。完全にジャンルの異なる今回の作品も、なんかもうべらぼうに好きだわこれ。
亡国の騎士の復讐譚としてはじまったかと思えば、主人公のアルスと、その旅路の中で出会ったサファイアとリョウという二人の少女たちが立つ舞台はそこからジェットコースターのように目まぐるしく変転していく。それこそ、世界観から二転三転していくのだからとんでもない。作品のジャンルそのものすらピョンピョン飛び跳ねていったんじゃないだろうか。最終的に到達した地点から最初のスタート地点を振り返ってみた時、その余りにも遠くなりはてた出発点の姿にめまいすら起こしそうになる。それでいて、実はどこにも行っていない。最初に辿り着いたところが終着点であって、そこに居続けるために、そこを護るために舞台も世界観もジャンルすらも飛び越えて、ソラを翔ける物語なんですよね、これ。
そして、これほど目まぐるしく取り巻く世界が激流に翻弄される中で、読んでいる読者側が位置を見失わなかったのは、まさに渦中にあって一番翻弄され続けた主人公のアルスが、それでもなお愚直に自分の生き方を貫き通していたからなのだろう。
どれほど立っている世界が有り様を変えていこうとも、アルスが基準点として毅然と立ち続けたからこそこの物語は一本芯の通った真っ直ぐな物語として成立しているのだ。
そして、このアルスの愚直さとは、頑なさや意固地とはまた全く別の在りようなんですよね。騎士でありながら戦うことしか知らないような不器用な人間ではなく結構なんでもこなせる器用な人間であり、凄まじい堅物で頑固者にも関わらず認めがたい真実も、受け入れがたい事実も、理解できない未知のことすらも柔軟に受け止めることの出来る柔らかさを持つ男なのだ。そんでもって誠実で、七歳の幼女相手にも子供だからと適当な相手をせず、子供リョウの聡明さを認めた上で一個の人格として丁寧に扱い、それでいて大人として保護者として子供が子供らしくいられるように守り育てる姿勢をみせているわけで。殆ど理想的な子供に対する接し方なんだよなあ、これ。
途中明らかになる真実によって、彼がそれまで見ていた世界そのものが崩壊し、かつて彼が仲間たちと抱いた野望・大望、純粋なる夢がすべて矮小化してしまい、価値観そのものがひっくり返り、世界観は未知のものへと変転し、縋っていた復讐の念ですら意味をなさないどころか行き場のないものになってしまった時、彼は二度と立ち上がれないのではないか、というほどに打ちのめされ……乗り越えるんですよね、この男は。
理不尽を飲み込み、自分の非力さを飲み込み、理解の追い付かない無茶苦茶さを飲み込み、その上で騎士としての在り方にすがるのではなく、改めて自分の騎士としての在り方を見出して、護るべきものを見つめ直し、復讐者としてではなく騎士として、幼子の養親として、大事な人たちの居場所となった旅館の親父として、戦い抜くことを選ぶのである。
復讐は何も産まない、なんて言葉の上っ面だけをさらった綺麗事を思うつもりはない。時として、復讐は正しい権利として機能し、果たすべきものとして成り立ち、次へと進むための必要な踏み台となるものだ。
それを認めた上でなお、復讐を止めた彼の決断は尊いものであると思うのだ。仲間たちの死に様を思えば、彼らの無念を思えば、それはどれほど辛い決断だっただろう。心引き裂かれそうなものだっただろう。それでも、彼の復讐が誰も救わないどころか破滅をもたらすものだと理解した時、いやそんな公のことだけではなく、私人としてもその渦巻く感情を飲み込んで折り合いをつけてみせたんですよね。
どこまでも人間らしい懊悩の果てに、のたうち回って苦しんで泣きわめいて自失し果てた末に、自らを奮い立たせて選んだ「それから」。
格好いいですわ。愚直なまでにオトコの生き様というやつですわ。騎士の鑑とはこういうのを言うんですわ、きっと。
そういう彼だからこそ、絶望のどん底に追い込まれていただろう少女たち。リョウも、そしてサファイアも、潰えたはずの未来の先に希望の光を見出すのである。新たな夢を得るのである。やっと手に入れた「居場所」を護るために、どこまでも飛べるだけの勇気を得たのである。

ブンブンと振り回され、吹き飛ぶような嵐のごとき展開に翻弄され、しかしそれがあまりにも痛快で、痛切で、見ている景色がどんどん後ろに吹っ飛んでいき、速度があがり、スケールが加速度的に広がって、いつしか宇宙の彼方まで。そして、いつでもあの小さな、ちょっと改装して大きくなった旅館に戻ってこれるとんでもなくでっかいものとこじんまりと掌に乗るようなものを併存させたような、しっちゃかめっちゃかで愚直なまでに一本筋の通った、実に楽しく切なく、そして何より面白い、面白い!お話でした。
けっこう、これ一巻で話片付いちゃってるのですけれど、ここから続くのであればそれはそれでどうなるのか想像つかない部分があってワクワクするんだよなあ。出ませんかね?

やのゆい作品感想

東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~ ★★★☆  

東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~ (ファミ通文庫)

【東京ダンジョンマスター ~社畜勇者(28)は休めない~】 三島 千廣/荻pote ファミ通文庫

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おっさん勇者と愉快な仲間たちの、異世界ダンジョン攻略記!!

かつて異世界を救った勇者の上総も、現代に戻った今は一人の企業戦士。今日も残業を終えて帰宅すると、そこに現れたのは、異世界の仲間である王女リリアーヌとメイドのクリスだった。彼女らを六畳一間の自室で養うことになった上総は、その後秋葉原駅で出会ったJK巫女の紅に弱みを握られ、彼女や同居人たちと共に異世界の魔物が跋扈するダンジョンに足を踏み入れることになる――。サラリーマンと愉快な仲間たちのダンジョン攻略記、開始!
28歳はおっさんと違うわー!! と、アラフォー熱く絶叫する。
いやマジで。ほんとにマジで、28歳ってのは若者ですから。肉体年齢的に!
十代の学生からすると28も38も変わらないようにみえるかもしれませんけれど、絶望的に違いますから。
でもおっさん呼ばわりされて笑ってられずに本当にショックを受けるのは、自身でおっさん化している自覚がある場合なので、上総は精神年齢的にちょっと老成というか草臥れているところがあったので、余計にガツンと来たのかもしれないなあ。気が若けりゃあ、子供におっさん呼ばわりされても笑っていなせるものでしょうし……いやでもわりとこの年代の方がおっさん言われるとショックな記憶も無きにしも非ず。

異世界から戻っても、何の保証も余録も社会的特典もなく、もちろん大学進学への補助も推薦入学もなく、ただ行方不明だったわけですからそりゃ帰ってきてからが辛いです。それでも、高校中退からちゃんと就職してのけた上総は偉いと思うのだけれど、異世界勇者生活がハードすぎてブラック企業で働いててもそれほど疑問にも感じない、というのはなんかもう世知辛い!!
ただ、まんま勇者の頃の身体能力とか残っているならそれを利用した職につけたら有利に働いただろうに、と考えたところでそう言えばこの鬼畜な労働環境を体も壊さず乗り切れてるのって人並み外れた身体能力のお陰か、と思えばちゃんと有効利用していると言えるのか。
あまりにもあまりにも、だけれど。
そんな社畜と化し、ひたすら働くために生きている、みたいな有り様と成り果て、かつての勇者の栄光どこへやら、という格好になってしまっている上総ですけれど、そんな環境にも関わらず彼の精神というのは勇者の頃から何一つ変わっていない、というのは立派ですわ、ほんと。異世界から彼のもとに。ただただ、彼と生きるために元の世界を後にしてこの世界へと飛び込んできたリリアーヌとクリスが、今の上総と再会してなお失望も幻滅もせずに居られたことこそが証左でありましょう。違う世界で生きる覚悟を決めてきた姫様たちの肝の据わり方も確かにあるのでしょうけれど、かつてと変わらぬ上総の人となりが、再会してみれば一回りも年上の男性となっていてなお、何も変わっていなかったことこそが彼女たちに大きな安心を与えたと思えば、立派な大人になってるじゃあないですか社畜なのはともかくとして。
なによりこの上総という勇者の在りようというのは、頼まれたら断れない、困っている人が居たら見捨てない、という性格で、それはもちろん優しいとかお人好しとかに分類されるのかもしれないですけれど、それよりも強く感じたのが「侠気」というやつなんですよね。
仁をもって義をなす。
義によって仁を尽くす。
或いは、義を見てせざるは勇無きなり、とも言うべきか。
彼の行動を見ていると、その優しさや人を助ける行為に対して無責任な甘さがなく、ごくごく自然に自分の行いに対して責任を負う覚悟を持ってやってるところがあるんですよね。それはバッサリとした割り切りとも少し違うようで、これは頼りがいがある漢だよなあ、と感じてしまうわけですよ。
普段の情けない言動とは裏腹の、その懐の深さと背中の頼もしさは、この手のお人好し系主人公にはなかなか見られない、ピリッとした侠客的な味わいをかんじて、なるほどさすがまだ未熟な未成年勇者とは違う、おっさん呼ばわりされてもいいんじゃないかな、という大人の風格でありました。

異世界のダンジョンが現代社会に現れて、という作品は昨今だいぶ見かけるようになってきましたけれど、そこに現代側の魔術サイドが絡んでくるのはともかくとして、それ以上に突如都市部に降って湧いていた「災害」という側面を、一般人の被害状況も含めて如実に描いている展開は、物語の迫真性や緊迫感に勢いと重心をもたらしていて、このタイプの話としてはかなり歯ごたえがありました。読んでて面白かったですね。
ヒロインの一角の紅が、さすがに狷介に過ぎていて、対人不信と色々拗らせまくってる原因があるので、仕方無いっちゃ仕方ないですし、やっとこ心許してくるラストあたりはちゃんと可愛くなるんですけれど、管狐くんが取りなしてくれなかったらさすがに途中でしんどくなってたでしょうね。いや、あの管狐の取りなしって、上総は全然気にしてなかったのを考えると完全に読者に対して向けられてたよなあ、と思わないでもない。その意味ではちゃんと効果的ではあったんじゃなかろうか。紅の抱えているものの説明としても大切でありましたし。
しかし、ここまで日本の術者側の実力が太刀打ちできない格差がある、というのは辛いものがあるなあ。

赫光の護法枢機卿(カルディナーレ) ★★★☆   

赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)

【赫光の護法枢機卿(カルディナーレ)】 嬉野秋彦/新堂 アラタ ファミ通文庫

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神の法に逆らうことなかれ――神の武器プレロマを手に、悪神を殲滅せよ!!

悪神【マラーク】に抗う唯一の神の武器【プレロマ】を授けられ、めでたく護法枢機卿【カルディナ―レ】となったアルゾラ。だが初陣を無事に切り抜けた彼女に与えられた聖務は、輿入れの最中に行方不明となった法王の妹君の救出。しかし一緒に聖務にあたるキュリアロスは、人の心を解さない超合理主義の失礼な少年だった。過激にも思える彼の発言にヒヤヒヤするアルゾラだったが、実は彼は最強の枢機卿と言われる“黒の巡礼者”で――神に愛を捧げる枢機卿達の苛烈なファンタジーアクション!
また凄え主人公来たなあ。嬉野さんの主人公の多くは正論でぶん殴ってくるタイプなのだけれど、このキュリアロスは合理性という意味ではこれ以上なく正しいのだけれど、人間倫理や社会規範、基本的な善悪基準など人間が人間であるための最低限のルールや社会性、或いは生物としての欲ですら放棄しているような、完全にぶっ壊れているタイプなんですよね。
ただ、過酷な戦場においては彼の人心を無視した合理性というのが案外無視できない「正解」であることが侭あって、簡単に切って捨てられないのである。何より、そのべらぼうな強さが、無私さが強烈な存在感となってそそり立っている。ヒロインのアルゾラは、それこそ成り立ての護法枢機卿でありしかも、長年修行してきて護法枢機卿になった類いではなく、突然プレロマに選ばれて急遽護法枢機卿に就任した「素人」さんなので、ただでさえ足を引っ張る方なのでキュリアロスに何か言えるもんじゃないんですよね。
それでも、言ってしまうところが彼女の図太さであり、魅力なのでしょう。
キュリアロスだけじゃなく、他の護法枢機卿たちも一癖も二癖もありそうな人たちばかりの中で、アルゾラは……まあこの娘も癖のあるタイプですわね。ただ、いい意味でも悪い意味でも感性が普通であり、だからこそ実家と軋轢を催して家を飛び出したわけで、なにかとズケズケとした物言いをしてしまうあたりも大したもんなんですよね。それに、わりと身の程は理解している方でオカシイと思ったことはちゃんと言うけれど、わからんこと出来ないことについては聞き分けが良いどころかむしろ自分から聞いていくような積極性もあるし。このガンガン行く属性は面白いなあ。
そんな彼女だからこそ、誰もが触れることも関わることも避けるキュリアロスに対しても、結構ズケズケと言っちゃうんですよね。彼にそれが届いている様子は残念ながらさっぱり見当たらないのですけれど、彼の異常性というのは後天的なものではなく、幼少期に故郷を家族ごとマラークに殺戮され、その際にプレロマに見出されて、まともな見識が形成される前の幼少の頃から戦い続けた、或いはそう育てられた弊害みたいなものなんですよね。あとから歪んでしまったものを治すのってかなり難しいのですけれど、まだ大人ではない年齢のキュリアロスくん。今なら横からワイワイうるさく言ってくる新たな雑音が、彼の在り方に影響を与えていく可能性というのは無きにしもあらず、なんですよね。
ラストにアルゾラが目撃してしまったモノが、果たしてアルゾラの意識に何を働かせるのか。ここで無視できないのが彼女っぽいので、恐らく積極的に関わっていくことになるだろうキュリアロスとのコンビがどう変化していくのか。嬉野さんの作品の主人公・ヒロインカップルのあの性格の不一致からの関係の変化は毎回楽しみですので、この二人もどうなっていくのか非常に楽しみ。

嬉野秋彦作品感想

異世界建国記 ★★★  

異世界建国記 (ファミ通文庫)

【異世界建国記】 桜木桜/屡那 ファミ通文庫

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異世界に転生した少年アルムス。森を彷徨っていると神獣グリフォンが現れ、強引に住処に連れていかれてしまう。さらに「三年以内に独り立ちしろ」と一方的に告げるグリフォン。仕方なくアルムスは、前世の知識と経験を活かして農作物を育てたり、隣国の国王や大臣と交渉したりと、住処にいる子供達と一緒に村を作り始めるのだが、その一方で発展したアムルスの村を手に入れようと侵略を開始する国が現れ……!! のちに『神帝』と呼ばれる男の英雄譚、開幕!!
この味けなさすぎるタイトル! いや、よく元のタイトルを書籍化に際してむっちゃ変えてしまう、なんてケースがあるけれど、こういうのこそちゃんと変えるべきじゃないの!? と思うんだけれど。
舞台となるのが、おそらくは古代ローマ……いや、ローマという国が成立する以前の豪族が群雄割拠していた時代のイタリア半島っぽいところが物語の舞台となるようである。中世ヨーロッパどころか、共和政ローマが誕生するよりももっと前。伝説の初代ローマ王・ロムルスの伝説に当てはめているだろうから、古代も古代。国家という単位じゃなくて、部族単位で物事が動いていた時代。神代にまだ片足を突っ込んでいる時代が舞台なんだろう。なにしろ、グリフォンなんて神獣がデーンと不可侵領域を人類側に認めさせつつ存在しているわけなのだから。
このグリフォン様がまた便利でねえ。難しいことはグリフォンさまがやってくれました、とばかりに手の行き届かない部分はグリフォン様任せなんですよね。いやもう、それだけ助けてくれるならもっと親身に関わったらいいのに、と思うのだけれど、頼まれたときだけ助けてくれる、という都合の良さで。ここまで来ると単なる舞台装置なんじゃないのか、とすら思えてくる。物語の一員としての登場人物ではないんじゃないかな、これ。アルムスも、助けてもらったことや援助し続けて貰っていることに感謝はしているようなんだけれど、それにしては便利に使いすぎてるし、深く関わろうともしないですしねえ。
まあ子どもたちだけで村を作って暮らしを成立させる、といういわゆる内政モノ? としては頭で考えたことが百%以上の確率で成立しまくる、という前提で物事が転がっていく、という感じで常にサクサクっとうまいこと行きます。古代という文明レベルにも関わらず、普通に鉄製の農具とか出てくるのはおおっ!となりましたけれど。おおっ!って感じで。
ただ、適当にノリで書き散らしたようなアンバランスさは感じられなくて、村を作り、都市国家の王族と懇意になって、近隣で発生した戦争に参加し、どんどん出世して、という成り上がっていく流れをわりと淀みなく、盛り上げどころではちゃんと盛り上げながら転がしていくストーリーテリングは、けっこう巧みなものを感じさせてくれるんですよね。深くは潜らないけれど、流水プールみたくプカプカ浮かんでさえいれば、すいすいと勝手に動いていくように読み手をうまいこと誘導していくような風情で。
その意味では、読ませる文章、物語とも言えるのかもしれない。読み終わったあとに、なんとなく面白かったなあ、と不満めいたものは不思議と感じませんでしたしね。
ただやっぱりキャラクターにあんまり個性というか、印象が残らないだけにインパクトには欠けるしちょっと間をおくと色々と忘れてしまいそうなきらいもあるだけに、なるほど名は体を表すじゃないけれど、あのざっくりとしたタイトルはわりと内実に沿ったものなのかもしれない。

僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している ★★★☆  

僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している (ファミ通文庫)

【僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している】 手島史詞/烏羽 雨 ファミ通文庫

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美坂亜理寿10歳。職業は魔法使い。

浪人生になってしまった九条篤志。バイト先の珈琲店でおいしい珈琲を淹れることに腐心する日々の中、気がかりが一つあった。それは店の片隅で平日の昼間からランドセルを傍らに珈琲を飲む亜理寿のこと。そんなある日、魔法使いを自称するその少女から篤志はある悩みを打ち明けられて――「人を殺してほしいようなことを言われました。断ると今度はわたしが殺されてしまうそうで、少しだけ困っています」。――これは小さな魔法使いと若い珈琲係【バリスタ】が紡ぐ奇跡の物語。
タイトルは「僕の珈琲店には小さな魔法使いが居候している」だけれど、別に「僕」の珈琲店じゃなくて単にバイトしている店だし、JS魔法使いは別に店に居候しているわけじゃなくて普通に常連客として来店しているだけのような……。
むしろ、亜理寿とボンクラ店長との関係を考えるなら、僕の珈琲店じゃなくてアリスの珈琲店と言った方が誤謬は少ないんじゃなかろうか。
とか細かいところはまあどうでもいいとして、客が少なくても別に気にしなくていい個人経営の店って、色んな意味で最高ですよね! と、ぼんくら店長のあのやる気の無さに逆に店の潰れなさそうな雰囲気が伝わってきて、なんとも羨ましくなってくる。店の一切は九条くんに任せっきりですしねえ。
こういう店は変に客引きしないで、むしろ閑古鳥ないていた方がいいのかもしれない。繁盛してしまうと、頑張らないといけなくなってしまいますもんねえ。
でも、繁盛してアリスがエプロンして給仕してくれるような絵面になったら、それはそれで可愛らしくて良いのだけれど。小学生を働かせて店長サボってたらそれこそ末期なのですが。
本作の魔法使いはゲームみたいなそれと違って、古式ゆかしい伝統的な魔法のそれ。「魔法遣いに大切なこと」とか「ふらいんぐうぃっち」の類と思ってくれれば間違いはないだろう。アリスもまた、魔界から現れる怪物たちと夜な夜な戦う魔法少女ではなく、占いを嗜み異界に交わった障りを解き、時折持ち込まれる依頼や相談を請け負うわりと渋めの仕事人なのである、なんて言ってしまうとやはり大間違いか。大っぴらに魔法のこと承ります、と広告うっているわけではなく、彼女の依頼が持ち込まれる展開って本巻では少ないんですよね。あらすじにも載ってる一件だけじゃなかろうか。それもあんまり正式な依頼じゃなかったみたいだし、他はむしろ九条くん絡みで巻き込まれたことにアリスが助言や手助けをする、という形で短編連作とはいえ、アリスはあんまり主体とは言えないのである。ちゃんと九条君が主人公をしている、というべきなのかもしれないけれど、魔法や不思議な異界側の出来事、との遭遇という意味でもちょっと踏み込みが浅いというか、珈琲店の雰囲気も含めたこの不思議な静けさをまとった魔法の世界に、もっとどっぷりとハマった話を期待していた身とすると、ちょっと俗世の九条くんの側によってそこから魔法の世界を垣間見る、というもうちょっと首まで浸かりたい気分からスルと物足りなかった気がしないでもない。
それをしてしまうと、むしろアリスとしては気が気がないことになってしまうかもしれないけれど。でも、それほど危ない世界、というわけでもなさそうなんだよなあ。禁忌やヤバい魔導書がどうの、というのも少なそうですし、何しろアリスの師匠があんなんですからねえ。もうちょっと魔法の世界について色々と踏み込んで知りたいところでしたが、それを最も深く垣間見ることになるラストの話が、逆に大仰というか舞台のひっくり返し方がそれまでのアリスと一緒に覗いた魔法の世界とはスケールが違いすぎてて、若干その幅についていけなかった感もあるんですよねえ。
いや、そこまで大幅に改変してしまって大丈夫なのか、とか。あと、九条くんに生じていた異常って結局原因わからないままだったんだろうか。件の改変となにか関わりがあるんだろうか。いうほど話に関わって来なかったムキもありますし。
せっかくなので、もうちょっと小学生と浪人生のイチャイチャ?するような状況が発生してくれると、まあむにゃむにゃ……。アリス的にはもうバシバシ狙いすまして射掛けている節もありますし。

手島史詞作品感想

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 ★★★★☆  

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

【佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1】 九曜/フライ ファミ通文庫

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ちょっとHな女の子と同棲してみませんか?

高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった僕こと弓月恭嗣は、何の冗談か不動産屋の手違いで、ひとつ年下の佐伯貴理華さんなる女の子と同居するはめになってしまった。やたらと距離を縮めてきたがる彼女に、ささやかな抵抗を続ける僕だったが、なんと彼女も同じ高校!学校でも家でも彼女に振り回される日々が始まって――。常に冷静な弓月くんと、とびきりの美少女なのにちょっとHな佐伯さんが繰り広げる同棲&学園ラブ・コメディ、開幕です。
ごめん、こんなん男の都合の良い妄想じゃん、と言われようがなんだろうが、あまりにもどストライクすぎて撃墜されざるをえない。轟沈されざるをえない。可愛いなんてもんじゃない、恋をしてしまいそうなほどキュートでコケティッシュな彼女、佐伯さん。これあかんわー、マジあかんわー。一挙手一投足にキュンキュンしてもうて、もうあかんわー。
自分の読んだ範囲において、本年度最強ヒロインの冠を捧げても宜しかろうと言って過言ではないほど、どうしようもなくかわいい。
チョロいと言うなかれ。男は女の子にちょっと「好き!」みたいな素振りをされたら、簡単にときめいてしまう生き物なのだ。
しかし、この主人公たる弓月くんは、そんな男子の大半に属さない極少数の側の人間なのである。ぶっちゃけ、この主人公が年相応の思春期を迸らせる、女の子に振り回されるだけの受け身な男子なら、或いは容赦呵責のない肉食系なら、これほど佐伯さんなる小悪魔は引き立たなかったでしょう。ぶっちゃけていうと、弓月くんは非常に面倒くさいタイプの人間である。歳不相応に枯れていて、しかし周囲に対して無関心ではなく、それでいてどこか徹底してロジカルに物事を捉えようとしている。そのわりに偏屈で、こうと思い込んだらなかなか自分の意見を譲らない。頑固者で、しかし傷ついた少女を無視できない程度には紳士だ。とても懐に抱き入れるように優しくて、突き放すように辛辣な、温厚で物静かでどこか虚無を好んでいるかのような彼は、透明で消えてしまいそうに儚くもある。
その内面に踏み込むにはあまりにも複雑で難解で糸をクシャクシャに絡めたような彼に近づくは生半なことではないだろう。それを、佐伯さんは遙々と無造作に踏みしだいていくのだ。揺れないはずの青年の心を、彼女の小悪魔的な言動は的確に揺さぶり、色のない彼の心象に風を送り込んでいく。
それは爽快であり、痛快ですらある。
どれほど理由を鎧のように重装備しようと、弓月くんは年頃の男の子だというあまりに普遍的な事実を浮き彫りにしていくことが、なんともむず痒く心地よい。
時折挟まれる佐伯さんパートから、彼女が無意識なんて無作法ではなく、意図的に頑張って、加えてわりと一杯一杯になりながら、弓月くんを揺さぶろうとしてることが伺えて、その恋する乙女の一生懸命さに微笑ましさを抱くのだ。
なんとも可愛らしい頑張りじゃあないですか。
なんでも見透かしたような弓月くんの予想をいつも上回るように、距離感を詰めてくる彼女。ライバル出現に動揺し、ふてくされ、反攻の炎を滾らせる彼女。そっけない弓月くんに、硬軟織り交ぜた攻勢を繰り返し、してやったりとドヤ顔をする彼女。思わぬ弓月くんの切り返しに直撃喰らって逆にノックダウンされてしまう彼女。
学校と自宅ではキャラを変えていて、弓月くんの前でだけ素の無防備な顔をこれでもかと見せてくる彼女。
そのどれもがとても素敵で可愛らしくて、抗いがたい魅力を迸らせている。漲らせている。噴火させている。大噴火だ。
そんな活力を吹き出させている佐伯さんとは裏腹に、物語は弓月くんの静止したような性質に寄り添うように淡々としている。頻繁に挟まれる沈黙の描写。それは、明るい佐伯さんと一緒の場面においても現れる。しかし、弓月くん独りの時に現れる時間が止まったようなそれとは違い、佐伯さんとの静謐はどこか温かい。何も言わずとも、何も喋らずとも、彼女が傍にいるだけで静かでじんわりと温かい時間が流れていく。その差を、その変化を噛みしめ、浸るのもまた味わい深い作品なのである。
何はともあれ、凄まじくキュンキュンさせられた、という意味で凶悪極まる作品でもあった。罪深し。

俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する 2 ★★★☆   

俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する2 (ファミ通文庫)

【俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する 2】  藍月要/閏月戈 ファミ通文庫

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ギルドから指名依頼を受けたザザと一緒に、新たな街ウルテラを訪れた幹人たちギルド・オオヤマコウセン。そこでは年に一度開催される一大イベント、ナンバーワンギルドを決める『大精霊祭』を前に活気付いていた。初めて見る精霊魔法に興味津々の一同、さらに大会のルールを聞いて驚愕する。前衛の精霊操作と、後衛の補助役(サポーター)二人のタッグマッチ戦――「これってなんかロボコペみたいじゃねえ!? 超楽しそおおお!!」どうにかして出場するため動き出す幹人たちだったが……。情報通信、データの処理、自動実行のアルゴリズム――精霊魔法も分析、解析! ますます盛り上がる高専生たちの普通じゃない超英雄譚、第2弾!
ちょっとちょっと、なんか一巻のときよりも全員のテンションがおかしくないですか!?
異世界に放り込まれて右往左往する段階を通り過ぎて、自分たちの興味感心の赴くままに突っ走れるだけの余裕ができたから、なのかもしれませんけれど、一巻の時よりも三倍増しくらいの大騒ぎであまりの躁状態になんか変なきのこでも食べたのかと心配になるくらいだったのですが、これだけハイテンションであげあげにガンガン進んでくれると、読んでいるこっちも引っ張られてグイグイはまり込んでしまうので、これくらいパワフルにテンション高くやってくれた方がいいのかも。ネガティブ大王だったザザの方も、私がメインヒロインだとばかりにチョロくなってしまわれて。いや、ちょっと褒められただけで舞い上がって、かっこいいザザさんですから、とか自分で言っちゃいながらブンブン若手最強の力をぶん回してしまっているあたり、すげえ可愛くなってしまわれたのですが。こうしてみると、ザザさんはザザちゃんと言っていいくらい精神年齢幼いんじゃないかと思えてくるんですよね。いずれ、高専のメンバーは元の世界に戻るのだという目的を告げた時のザザの泣きっぷりを見てもそうだし、ギルド・オオヤマコウセンのメンバーに入れてもらったときの無邪気な喜びようといい、一巻の時の頼もしいお姉さんキャラから一転して、何気に妹の咲ちゃんよりも幼い感じになってしまってるもんなあ。
むしろ、それがこの場合ザザというキャラの魅力にブーストかけているのだから、大成功の部類だと思うのだけれど。
で、負けていられないのが高専側のヒロインである魅衣先輩である。こちらはこちらで、怒らせたら怖いどころじゃない大魔神っぷりをみせつけてくれて、ばっちり存在感を見せてくれてるんですよね。
今回は、異世界に飛ばされてしまって結局出場できなかったロボコンの代替えじゃないけれど、みんなで一致団結して「精霊」作っちゃいました、ってなもんで、ロボコンのノリで大会に出場したおかげか、せっかく多人数で召喚されたにも関わらず、殆ど存在感なくているのかいないのかわからなかった他のメンバーもちゃんと日の目を見るようになってきて、よかったというかちょっと遅いよというべきか。主人公の幹人と親友の犬塚との凸凹コンビが、今回は殆どダブル主人公的な勢いでしたし、彼らを見守る先輩たちに、逆に慕ってくれる後輩くん、と息の合った、というかお互いをよく見ている、良く見ようとしているチーム感が出てて、より多人数召喚モノとして充実してきたんじゃないでしょうか。
駆け出し記者のモニカと犬ちゃんとの不器用ながら真摯で淡い交流はとてもほっこりするものでしたので、犬ちゃんの決断はすっげえ男前というか、誠実この上ないんだけれど勿体なかったなあ。

1巻感想

幻獣調査員 2 ★★★★☆  

幻獣調査員2 (ファミ通文庫)

【幻獣調査員 2】 綾里けいし/lack ファミ通文庫

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伝説の悪竜に攫われた村娘。その御伽話にも似た事態の真相とは―。かつて海豹乙女を嫁にもらった老人。だが人と幻獣の結婚の先にあったのは…。第一種危険幻獣の中でも伝説級に該当する生物ヒュドラ。行く手を全て毒に染め、不死の体を持つヒュドラを倒すには幻獣、それも「火の王」の炎が必要だという。フェリ達は王都が保護していた“勇者”を連れて「火の王」の元に赴くことになり―。人と幻獣の関わりが生む残酷で優しい幻想幻獣譚、第二集!
あの幕間の醜い怪物と美しい女王の話にはやられたなあ。あれほどシンプルな話でありながら完全に持っていかれてしまった感がある。第7話のヒュドラの話で出てきた「あれ」になんの疑問も抱かなかったんだもの。その直前のめでたしめでたし、に本当にうまいこと意識を誘導されていただろう。まさかまさかのことであったと同時に、それが意味することにもう胸を打たれてしまって……。
運命とは斯くの如く、か。はたして、クーシュナとフェリが出会ったように、この世に使命持って生まれてくる王様たちに、与えられた使命ではなく自身の体験と意思によって選択を得るために、大事な出会いが待っているというのは運命的とも言えるし、運命の軛から解き放たれているとも言えるし、なんとも不思議な感覚である。
それにしても、フェリは前回にもましてこう、クーシュナが我が花と一途に愛するだけの魅力が増していると云いますか。一巻でももう凄い魅力的な女性であったのですけれど、ここまで来るともう聖女様ですよね。それも神秘的で近寄りがたいという類のではなく。人と幻獣の両方を護るという理想に殉じながらもしっかりと現実を直視して粘り強い対応を見せる強かさも然ることながら、なんかもう生き方が美しい。芸術品のような飾り立てて引き立つ美しさじゃなくて、自然界の野生の動物のような精悍な美しさというべきか、荒野に毅然と咲く花の如くと言うべきか。そこに女性らしい柔らかな靭やかさが備わっていて、もうフェリの一挙手一投足が凄く綺麗。ここまで来ると浮世離れした遠い存在になってしまいそうなのだけれど、ここでトローとクーシュナとの暖かな関係が効いてくるんですよね。
このホムンクルスの小さなコウモリと闇の王様と、フェリとの三人の関係。これが、彼らが遭遇する人と幻獣との様々な、悲しく楽しく滑稽だったり優しかったり残酷だったりする物語に、傍観者でも外から余計な手を入れてくる部外者でもない、ここに一つの人間と幻獣との揺るぎない関係を築いている同じ当事者として、それぞれの物語の中に飛び込み寄り添う意義を持たせているんですね。
人間と幻獣とは確かに違う生物であり、それぞれのルールの中に生きていて、そのルールそのものが行き違うこともある。時として、それが惨劇や悲劇を生むこともある。正しくは住み分けすべきものなのかもしれない。それでも、時として住み分けして生きる領分を隔て、時に最大限の配慮を交えて共に生きる道を選ぶことを導くのが、幻獣調査官、幻獣調査員の仕事なのか。その領分の判断は、同じ幻獣調査官や調査員の中でも食い違ってくる各個人のものなのだろうけれど。
その中でも、フェリは……。時として人と幻獣の間に何の区分も必要ないことを信じている。それは幻獣に家族を殺され、幻獣そのものを憎む親子に見せたあの「景色」が示していて、そして同時に彼女が七話で宣言したクーシュナを愛していること。クーシュナに愛されていること。人として幻獣としてではなく、ただフェリとして彼を愛し、クーシュナとして彼女を愛している、その事実を以って生き様を体現している。
その生き様に根ざしたフェリの在り方が、折々で見せる喜怒哀楽が、トローやクーシュナに見せる愛情が、本当にもう綺麗で、美しくて、胸をひきつけてやまないのである。
もう魅了されてしまった、と言っても過言ではないかもしれない。闇の王様クーシュナがあれだけ溺愛してしまうことに、かつてないほどに共感している。小さな騎士トローがあれほど一途に彼女に尽くしている姿に、共感を覚える。
彼女こそ、いつまでも見つめていたい花である。

1巻感想

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 2 ★★★☆   

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係2 (ファミ通文庫)

【近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 2】 久遠侑/和遥キナ ファミ通文庫

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雨宿りのなか、突然の由梨子からのキス。幼い頃より長い時間を過ごしてきた彼女から、異性としての気持ちを突きつけられた健一だが、ともに暮らし始めてわずか二カ月の里奈への感情も混じり合い、由梨子に返事をすることができないままでいた。夏、秋と、これまでとは違う里奈のいる季節を経て、子供の頃とは確実に変わった自分、そして周囲との関係を受け入れていく、健一の選ぶ答えとは―。多感に揺らめく十七歳を映し出す、恋愛ストーリー第二巻。

さすがにそれは待たせすぎだろう、少年!! とことん突き詰めるそれは誠実ではあるかもしれないけれど、十代の時間ってのはね、凄まじく濃厚で長い人生においても相対的にめちゃくちゃ重くてめちゃくちゃ長くてめちゃくちゃ密度が濃いものなんだ。アラフォーのおっさんからすると、高校生の三ヶ月ってのは大人の三年とか五年くらいに匹敵しかねないほどの代物なんだよ。
もちろん、人生なんてその人のもんだ。その貴重な青春の時間を大事に使うのも良い、無為に垂れ流しにしてしまうのだって実のところ構わない。勿体無いとか言われようがそんなの関係ねえ、あとで後悔するかもしれないし、後悔してからまた時間があってそう言えばなーんもせんかったな、あの頃、なははは、なんて笑い飛ばせるようになるかもしれない。好きに使っていいんだよ、自分の時間なんてものは。
でもそれを、自分だけじゃない、人にまで押し付けるというのはやっぱりひどい話なんだと思う。それだって結果として相手も受け入れてくれるかもしれないし、いい思い出として遠い未来に笑い飛ばしてくれるかもしれない。実はそうやって待たせ続けて誠実に考えて出した結果だったからこそ、先々までうまくいくだけの「説得力」「意味」「意義」そして「確信」を得られたのかもしれない。本気で心から手を取って、後顧の憂いをなくして進んでいけるだけの「なにか」を生み出せたのかもしれない。何が正しかったなんて、結果でしかわからないし実際は結果を見てすら判断できないものなんだろう。
だから、それは正解だとか間違っていたとかそういう範疇の話じゃないのだ。ただ、それは酷い、という話なのだ。その実感を、彼と彼女は噛み締めていくことになる。彼女の方は、それを違うものに昇華するかもしれないけれど、少年、君はそれを焼き付けておくべきなんだろうな。
それにしても、いやもうここまで生活感、というのとも少し違うか、毎日を普通に過ごしている人たちの呼吸の仕方、息遣いっていうのかな、リアリティなんて言葉にしてしまうとどうにもイメージを固定化してしまいかねないんだけれど、等身大の日常描写が実に生々しいんですよね。人と人との会話の距離感というのもそうですし、自分の家の中での振る舞いとか、身近な人達とのやりとりにおける意識の揺れ方とか、劇的さは一切ないのだけれど、内も外も描写がとても丁寧であると同時に落ち着いているせいか、じっくりしみてくるものがある。
恋愛に対する向き合い方も、ちょっともどかしいくらいに動性が少ないんですよね。でも同時に、悩みに囚われすぎていない。毎日毎日、そればかり考えているというのはやっぱり難しくて、学生生活を過ごす上でやることは多い以上、そこにばかりのめり込んではいられない。それでも、自分の中に生じていく意識について慎重に考察を重ねる、考察してたのかな? とりあえず観察、というくらいかもしれない。それを誠実に重ねつつ確信を得るまで動こうとせず、動いたら動いたで周りの反応に即応できずに置いてけぼりにされてついていけなくて、ついていけよ! と言いたくなるくらいうだうだしてしまったこの少年、ちょっとどんくさいんじゃないだろうか、と実は今思った。若者はもっと軽々しくいけよ! とはなかなか言えないけれどね。過ごした人生が少ないということは、それだけ時間の比重は重いのである。タイプによるのだろうけれど、若いからこそ軽々と動けない人というのもまた少なくないのだ、きっと。
里奈の方に期待があったのかは定かではない。健一の視点からするとそうした素振りらしいものは見当たらなかったけれど、他者の内面というのはうかがい知れぬものである。いくら親しくなり家族同然となり、一緒にいることを自然と思うようになったとしても、見える深度も深まっているかどうかまでは定かではないのである。
少なくとも、由梨子の方がまだわかりやすかった。見えているのに微妙に察せられてない気がするこの少年……。お兄ちゃんが、由梨子のこともっと気を使ってやれよ、と説教したの、今更ながら深く首肯せざるを得ない。ちょっとでも気を使えるような人間に成長した要因が、里奈との生活にあったというのは面白いところだけれど。そんな健一の変化というか成長があったが故に、待てた由梨子さん。そこで待ててしまった、ということはこれからもうずっと待ってくれるんだろうなあ。いや、こうなってしまったからには追い立てるか引っ張るか、主導権握って帳尻合わせ続けそうな気もするけれど。なんにせよ、受け入れ続けてくれるんでしょうねえ、それがなんとも羨ましい。
それこそが、羨ましい。

1巻感想

フレームアームズ・ガール 可愛いってどういうこと? ★★★☆  

フレームアームズ・ガール 可愛いってどういうこと? (ファミ通文庫)

【フレームアームズ・ガール 可愛いってどういうこと?】 手島史詞/島田フミカネ ファミ通文庫

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小さな人型自律メカ『フレームアームズ・ガール』。そのひとり轟雷はマスターの少女・あおが言う「可愛い」が理解できず悩んでいた。そんなある日、あおの友人・武希子が様々な武器や装甲を持って遊びに来てくれた。だが轟雷が一番気になったのはあおが自作したという“リボン”。それはただの飾りなのに轟雷の胸を温かくするのだ。この気持ちを、あおにお返ししたい! ――それが思わぬ冒険の始まりだった。大人気アニメの日常を繋ぐノベライズ、オリジナルエピソードで登場!
おっ、新キャラだー。と、表紙絵見て勘違いしてたんだが、これって轟雷だったのか。リボンなんかしているからわからなかったのですよ。
というわけで、あおに作ってもらったリボンでおしゃれなんかしてしまった轟雷。かわいいかわいい、と連呼されて戸惑う轟雷は思うのでした。
「可愛いってどういうこと?」
そもそも、どうして自分たちはバトルするために作り出されたメカなのに、人間の女の子の姿をしているのか。ただ強さを求めるのなら、こんな姿必要ないのに。
という疑問を、FAガール当人である轟雷が抱き、マスターである「あお」と賑やかなFAガールズとの日常の中で探求していく、それが本作の通しのエピソードである。
既に自我がある程度以上成長して確立しているスティレットやバーゼラルドは、可愛いという概念に対して特に違和や疑義を持っておらず、人と同じように「可愛い」を認識し、使いこなし、それを自分にも適用しているのだけれど、感情というものを学んでいる最中の轟雷にとって「可愛い」はかなり未知の領域のものなんですね。だからこそ、普通なら当たり前に受け止めてしまう「可愛い」に対して、探り探り向き合っていくことになるのだけれど、丁度それが――可愛いを理解していくことが、同時に轟雷に未成熟だった感情を彩っていくことに繋がっていくんですね。
可愛い、と言われて覚える感情。可愛い、を求めることで生じる思い。そして、マスターであるあおに対して抱く「可愛い」という溢れんばかりの気持ち。
そんなめくるめく轟雷の「芽生え」をなめらかな内面描写が見事に描き出していくわけですなあ。
アニメの轟雷も回を重ねるごとに、感情表現が豊かになっていき見違えていったものでしたが、その過程の一部、もしかしたら轟雷の感情が本格的に駆動し始めたそのステージアップの段階を、轟雷の心の内側を詳らかにすることで表したのが本作だったのかもしれない、と思えるほどに良い目覚めの物語でした。
ただバトルする為のメカではなく、女の子の姿をした意味を捉え、可愛いを理解し、そしてマスターのあおや、スティレットたち同じFAガールズを家族として受け止める。アニメでの後半に轟雷の原動力のかなめとなる部分を、ここで多く得ていることに気付かされるのです。
また、初っ端から相性悪そうだったスティレットとマテリア姉妹の対立と歩み寄り、なかなか何を考えているのかわからなかったマテリア姉妹をぐぐっと掘り下げて、彼女たちのロジックを解体してみせたり……あれでマテリアたちってふざけたりからかったりしているだけじゃなくて、本気で愛でてるだけだったんだなあ。って、そのほうが何気にたちが悪いんですがw
そして、強烈な存在感を示しながら実はあんまりアニメでは出番のなかった武希子が、こちらではむしろ「あお」よりも出番多く、轟雷たちのアドバイザーとして色々と付き添ってくれることで、その本性と真価を明らかにしていくのである。
趣味人として極めつけで、友人として得難く、人間としてかなりダメ、という個性的な逸材でありました。さすが、コトブキヤの化身である。なにしろ、名字「寿」だもんなあ。
アニメのノベライズではありますけれど、本編を見ていなくてもちっちゃい人形サイズのロボットたちと、人間の少女が共同生活している、という前提さえ踏まえておけば、それだけで十分楽しめる作品であると同時に、アニメ見てた人には二度三度美味しい、というノベライズ作品の珠玉という出来栄えに完成しておりました、これは良作!

手島史詞作品感想

魔術師たちの就職戦線 2 ★★★☆  

魔術師たちの就職戦線2 (ファミ通文庫)

【魔術師たちの就職戦線 2】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫

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二年朱雀組最強のギャル佐原閑丸、ユキナリ争奪戦に参戦!?

年二回行われるクラス対抗戦が近づき、代表者三名の選出で揉める二年朱雀組。実力的には自分とミオ、マルコがふさわしいと主張するカオリだが、嫌がるマルコと監督・山崎の推薦で三人目はユキナリに決定! さらにマルコの提案で、ユキナリはカオリと賭けをすることに。実力者集団“不動連”の思惑も錯綜する大イベントで盛り上がるその頃、学園都市に謎の少女が姿を現し、不穏な気配が不動台高専を包み始める……。
新世代学園異能バトル、第2巻登場!
あれ!? あれあれあれ!? これ、飛び入りじゃなくて閑丸がマジでメインヒロインじゃない。候補じゃなくて、この流れだと閑丸ことマルコがガチンコのメインヒロインなんですけど!
いやあ、毎度ながら嬉野さんって、他の作品じゃあ三番手・四番手以降のヒロインになりそうなキャラがメインヒロインを張らせるから面白いよなあ。【戦争妖精】でも普通メイン張るであろう女性キャラ全部押しのけて、あの人がメインヒロインになっちゃいましたし。そう言えば、同じ世界観かわからないのだけれど、【ハルマゲドンバスターズ】【シャイニング・ウィザード】のメインヒロインも回り回って南米の褐色美女が収まってたんでしたっけ。
しかし、思いっきりギャルな娘がメインヒロインかー。ただ、この娘は軽薄とは裏腹の超慎重型だし、手の内を晒そうとしない、という意味では学生という身分に甘えずに退魔師としてのスタンスを守っている、という意味でもプロ意識が強いとも言えるし、その上でラスト近辺でのユキナリに対する態度を見るとある種の健気さと、あっけらかんとした積極性を兼ね備えている女の子なので、ヒロインとしてかなりスペック高いんですよねえ。
犬毛まみれはどちらかというとカオリ相手に脇見している娘だし、肝心の姉のカオリは和解などとは程遠い面倒な状態になってしまっているし、であとがきでは三人ともヒロインベースで行くつもりみたいだけれど、今のところマルコが圧倒的すぎてちょっとどうにもならんでしょう、これ。
だいたい、カオリがメンタル的に幼すぎるからなあ。ユキナリも若干意固地なところあるけれど、他人に指摘されて反省できる程度には自分を省みることが出来ているのに比べて、カオリの方は人の話聞かないし、聞く耳持たないし持ったら負けだと思ってるタイプだし、その上で追い詰められると途端に動揺するタイプだし、追い詰められなくても自分で自分を追い詰めていくタイプなので、端的に言って凄くダメな娘なんじゃなかろうか。
女の子としてはもとより、退魔師としても何気に実戦弱いタイプなんじゃなかろうか、これ。それに比べて、ヤマザキやマルコはかなりの実践派であるからこそ、わざわざ学校で実力をひけらかすことをしない強かさが、食わせ物感を強めてる。
特にヤマザキ、まさか二年筆頭だったのか。そりゃまあ、赤の書なんか持ってたら只者どころじゃないのはわかってたけれど。一応アレ、赤の書じゃなくて深紅の書という類似品なのか別物なのかわからないけれど、ヤバすぎるあの魔導書そのものではなさそうでちょっと安心した。いや、十分同じレベルでやばい代物なのかもしれないけれど。
赤の書繋がりではないけれど、件の【ハルマゲドンバスターズ】【シャイニング・ウィザード】では、いざなぎ流陰陽術の後継者で佐原閑という小僧キャラが居たんだけれど、ここまで名前を寄せるということは逆に世界観は一緒じゃない、ということなんかな。使役しているものも使い魔(ファミリアー)扱いで、式王子という表記じゃないみたいだし。いや、何気に同類な気もするけれど。あと、あっちだと当麻家って修験道・飯縄使いの系統だったのだけれど、こっちじゃ呪禁道みたいだしねえ。当麻のおっさんの娘と閑がお付き合いしていた事から鑑みても、佐原家と当麻家の仲が密接、というのは筋としては通っているのではあるのだけれど。
まあいずれにしても、直接クロスすることは何となくなさそうな感じ。ちょろっとでも向こうのキャラが出てくれたら嬉しくはあるんですけどね。

1巻感想

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 ★★★★   

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)

【近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係】 久遠侑/和遥キナ ファミ通文庫

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母と二人で暮らす家で、遠い親戚の女子、和泉里奈と同居することになった坂本健一。里奈の控えめな性格や気遣い、女子校育ちの無防備さは、他人との距離に悩む健一に、初めて思春期の性を意識させる。同じ十七歳の女子と一つ屋根の下で生活していることを友人達にも隠そうとしていた健一だが、幼い頃からの腐れ縁、森由梨子に知られてしまい、彼女との距離感にも微かな変化がもたらされることに―。多感に揺らめく十七歳を映し出す、恋愛ストーリー。
こういう思春期の青少年たちの繊細な内面の揺れをすくい上げていく作品で、主人公視点のみに視界を限定されていると周りの人達が何を考えているのか、何を感じているのかが本当に不鮮明でハラハラしてしまう。何気にここで主人公の察しが良すぎたり悪すぎたりすると、途端に不細工な物語になってしまうのだけれど、本作はそのあたりの視点の主観のバランスが非常に良くて自分の感情の動きを捉えきれていないのと合わせて、生々しいくらいで凄くいいんですよねえ。前作も、登場人物たちの内面の触れ方、見え方がとても丁寧で良かったんだけれど、その良さを失わずに見事にこの次回作に繋いでいるなあ、というのが所感でありました。
イベントとしてはこれといった大きな出来事があるわけではなく、冒頭の和泉が一緒に暮らすようになった段から淡々と続く日常生活が、むしろ派手なイベントを盛り込まない分じんわりと染み込むような浸透力があるんですよねえ。和泉が一緒に生活する中で段々と緊張が解けてきて慣れてくる描写も、大きな振れ幅がないからこそ本当に細かい変化の蓄積を描写できていて、これってむしろ大きく動かないからこその描き方だよなあ、と。スポットを彼女との生活に限定せずに、等価で学校生活の方、由梨子とのやりとりの方にも重きが割かれていて、だからこそ和泉の登場によって起こった本当に小さな小さな変化の蓄積と、由梨子がそれを感じっていく様子が浮き彫りに出来るんですよね。これ、本当にちみっちゃいミリ単位の変化で、実のところ当事者である健一の視点からすると何も動いていないにも等しいんですよ。でも、周りの人からするとその僅かな変化が、無視できないものだったんだなあというのがそれぞれの反応から伝わってくるのである。
この健一と、今一人暮らししている兄に対する母親の評価がなかなか面白くて、他人との距離感が物理的に取れなくて危なっかしかった兄と、それに比べて適切な距離を取ることに長けていて手がかからなかった弟の健一、という評価は何気にこの主人公の、適切な距離を取るに長けているからこそ距離を近づける、距離を近づけられるということに関して、ひどく不器用で無頓着で鈍いというところに繋がっているようなきがするんですよね。実際、兄のほうがまあ外から客観的に見られたからにしろ、僅かな時間で彼を取り巻く感情のせめぎ合いについて把握して、健一に忠告していたことからもよく人間関係について見ることができてるんですよね。それが、遠慮なくぶつかり合える在り方に寄っているのかはわかりませんけれど。兄のコミュ力もまあ結構空疎、とまでは言わないまでもある種の距離感の取り方のうまさの賜物であることは、母親との久々の再会にタジタジとなって苦手感思いっきり出していたことからも明らかなわけですし。それでも、弟よりはよっぽど見れてるもんなあ。
健一視点では特に何も感じること無く日常風景として流れていく幾つものシーンが、でも客観的に捉え直すと由梨子の複雑極まる内面の嵐がちゃんと映ってるんですよねえ。兄のおごりで焼肉食いに行ったときはさすがにあからさますぎるくらいでしたけど。いやああれは兄でなくても気づくかなあ。
ただ、由梨子への態度はそのまま気安さであり、距離感の近さでもあったと思うので、由梨子の焦りは的外れ……というには、終盤の和泉への健一の複雑な心境からしても的外れではないのかもしれないですが。というよりも、敏感に感じたのか。それまでは、由梨子もそこまで過剰に反応してませんでしたしねえ。
ラストに投下された爆弾の直撃。それまでの淡々とすらあった日常の展開からすると、そりゃもう思い切った行為であり、ちょっとカッコイイくらいの勇気の発露で、個人的にはこっち応援したいのだけれど、果たしてどうコロンでいくのかまだまだ予断がつかない開幕回。いずれにしても、なんですなー、青春ですなー。

久遠侑作品感想

だからお兄ちゃんと呼ぶなって! ★★★☆   

だからお兄ちゃんと呼ぶなって! (ファミ通文庫)

【だからお兄ちゃんと呼ぶなって!】 桐山なると/あなぽん ファミ通文庫

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兄と妹は、愛し合っているのが常識である。
目を覚ますとそこには息を呑むような美少女。そして彼女は、「お兄ちゃーんっ!」と俺に抱きついてきた!誰なんだこの子?いや俺は―。どうやら俺こと蓮杖アキは、事故によって記憶を失ってしまい、萌々と名乗るこの少女は俺の妹なのだそうだ。しかし、記憶を取り戻させるためと俺を襲うのは、過剰なまでの妹の愛!しかも記憶を失くす前の俺は、萌々よりヤバい兄だったようで!?思い出すのが恐ろしい、記憶と絆を辿るドメスティックラブコメ!
ふぉっ!? あれ? なにこれ? 記憶喪失になった兄と、兄を溺愛する妹のラブコメじゃなかったの? いやうん、確かに表向きは記憶喪失によって齟齬が出てしまった兄と妹の関係を取り戻す話になってるんだけれど。話の筋立ても、記憶喪失モノらしく現在の自分と妹たちの口から語られる過去の自分との自己統一が取れずにアイデンティティを失いそうになりながら、献身的な妹の愛情に拒絶感を感じながらもその愛情を縁に何とか妹との関係を取り戻していく、という行程を辿ってはいるんだけれど……明らかに根底となっている部分がおかしい。なんか、背筋が寒くなるような異常性が影の中からジーーっと常に此方を見つめているようなヤバイ感じがずっとつきまとってるんだよ!

これ、ラブコメじゃなくてサスペンスサイコスリラーじゃないの!?

まず、妹がおかしい。目を覚まして最初に出会った少女。妹を名乗るモノという彼女は、だけれどその言動が明らかに妹の範疇を逸脱してるんですよね。その過剰すぎる愛情は、まともな家族や妹という関係としては破綻しすぎていて、まず彼女にビビってしまうのである。
なんだ、こいつは?
アキを診察していた担当医だという新屋先生。この人の発言にも所々不信な点があって、そもそもアキが事故に遭って記憶を失うことになる前から、どうも新屋先生はモモと密接な関係があったっぽい。というか、モモの担当医、らしいんですよね。一体、なんの担当?
それに、だ。肝心のアキが記憶喪失になった事故に関して、全くと言っていいほど触れられないのである。彼がどのような事故にあって記憶喪失になってしまったのか、から何故か誰も教えてくれないのである。
と、ここまでは違和感はあってもそこまで無茶苦茶変、というわけでもなかったんですよね。妹の過剰な愛情だって、ちょっと頭のネジが飛んじゃってる兄ラブ妹というのはキャラとしては良く扱われる題材ですし。
ところが、退院して自宅に帰り普段の日常に戻ったアキが目の当たりにしたのは、元々異常だったのは自分自身だった、という事実を示す数々の証拠や証言だったのである。
両親を病気や事故で失ってたった二人きりの家族であるアキとモモ。モモが兄を溺愛するのと同様に、いやモモにそれが常識だと教え込み、モモが兄にする以上に妹であるモモを溺愛していたのがアキの方だったという家に残された部屋一面の妹の写真や、日記に記された妹観察日記という証拠物件。
完全に病んでるヤバイ、ヤンデレ系兄なんですよね、ここから透けて見えてくるアキという男は。
しかも、学校に登校してみればアキはクラスメイトから頭のオカシイ異常者扱い。実際、その所業や振る舞いを聞いてみると問題児どころではなく、人格破綻者の類いなんですよね。
記憶喪失のアキからすると、どう考えても記憶を失う前の自分と今の自分が合致しない。というか、したくない。普通の記憶喪失モノでも、過去の覚えてない自分が他人にしか思えない、という齟齬から苦しむパターンは多いけれど、彼の場合は知らないどころじゃない、むしろ記憶なんか取り戻したくない恐ろしい存在なわけですよ、過去の自分は。ところが、妹は執拗に記憶を取り戻させようと画策し、記憶を取り戻すためのあれこれに積極的ではないどころか、むしろ忌避感を見せるアキを糾弾し、過去の自分を取り戻すことを強いてくるのである。
一度、二人の関係が破綻するのは当然の流れだったのだろう。
いっそ、恣意的、とすら見えるほどの流れである。
色々とおかしいんですよ。確かにクラスメイトの態度、幼なじみの話からしても、アキが学校で孤立するような振る舞いをしていた上に、妹とは特別仲良さそうにしていた、というのは事実なんでしょう。
でも、傍から見た事実と、当事者たちの間の真実って往々にして食い違ってたりもするんですよね。なぜ、アキが学校で言われているような振る舞いをしていたのか。単に性格の問題なのか、それとも何か理由があったのか。
そもそも、あの家の中のアキの部屋の異常性や、日記に記された内容って……信用できる事実なの? と思う部分があるんですよね。ああいうのって、事前に準備して用意しておくことは決して難しいことじゃないはず。何しろ、記憶が無いのである。過去の自分がどういう人間だったのかを知るためには、記憶ではなく周りの人の言葉や、目の前に実存する物証しか頼るものがないわけで。その殆どは妹の手の届く範囲に用意されていて、実はクラスメイトや幼なじみとはほぼ交流が断絶していたために、何気に彼らは外から見た光景しか知らないわけだ。
そして、決定的なのが自分自身、過去のアキが残したと思しき……謎のメッセージ。なかなか、ラストはゾクゾクさせられました。これは、本筋は続編前提で色々と仕込まれてるよなあ。
でも、あのメッセージもちょっと文章変ではあるんですよね。なんで「ハ」なんだろう。「ヲ」の方がこの場合しっくりくるんだけれど、何故か「ハ」と書き残しているのはまずちゃんとした理由があると思うんだが。

リンドウにさよならを ★★★★☆   

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

【リンドウにさよならを】 三田千恵/DANGMILL ファミ通文庫

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想いを寄せていた少女、襟仁遙人の代わりに死んでしまったらしい神田幸久。二年後、自由かつ退屈な日々を過ごす地縛霊として目覚めた彼は、クラスでいじめに遭う穂積美咲にだけ存在を気づかれ、友達になることに。一緒に過ごす内に美咲の愛らしさを知った幸久は、イメチェンを勧め彼女を孤独から解放しようと試みる。少しずつ変わり始める美咲の境遇。それはやがて、幸久が学校に留まる真実に結びついていく―。必然の出会いが紡ぐ、学園青春ストーリー。
ああなるほど、そういうことだったのか。
実のところストーリーの根幹を担う要となる事実については、一つはおおよそ序盤で。もう一つも早いうちから察することは出来ていたのだけれど、序盤から違和感や不自然さを感じていた幾つもの部分についても終盤でことごとく答え合わせのごとくキチンとした理由がある事が明らかになっていって、物語全体が思いの外高い完成度で構築されていたことに否応なく気付かされていく。
「そうだったのか!」
思い違いをスパッとひっくり返される時に感じる痛快感はミステリー仕立ての物語を読んでいる時によく感じるものだけれど、本作のそれは思い描いていた展開をひっくり返される快感とは違う、これまで見えていなかった「人の想い」が次々と紐解かれていくと同時にそこに篭められていた切実な願い、祈り、暖かな気持ちや勇気といったものの存在が確かなものとして証明されていくような、じんわりと心を温めてくれるような感覚だったんですよね。
そして、主人公の幸久が気づいていなかったその事実こそが、鍵となって扉を開き、それぞれの心の部屋の中に閉じ込められたままだったみんなの想いを繋いでいったことがわかった時の、こみ上げてきた優しい気持ち。これをなんと呼ぶべきなのだろう。彼ら若者たちが抱えた痛みを乗り越えた勇気を、讃えて祝福したい想い、とでも言うのだろうか。
辛かっただろう、苦しかっただろう。みんな心から悲鳴をあげながら、日々を耐え忍んできた。孤独でも、諦めずに戦い続けてきたのだ。それでも、うちに抱え込んでいるだけならそこで停止してしまっていただろう。きっかけがあったとは言え、自分の心の内側を他人に曝け出すことの恐ろしさを思えば、奮い立ち自分で決断し、自分の過ちを認め、他人の想いを受け入れて頑張った、頑張った彼らの勇気には敬意を抱かずにはいられない。
そう、勇気だ。
恐れ慄きながら恐る恐るでも前へと踏み出し続けた美咲や、自分の中に生じた気持ちから目をそらさなかった高木綾香も、拠り所となるものを手放して過ちを認めた松下香苗も、彼女らが示した勇気には胸を突かられるような思いだ。否定ではなく、肯定する勇気。簡単なように見えて、それは決して決して簡単に湧き起こるようなものじゃないんだから。
果たして、彼女たちが見せてくれた勇気を、幼なじみの守が示し続けてくれた自分の在り方の肯定をこんな形で目の当たりにしなければ、幸久はあるべき現実を受け入れられただろうか。
さよならを、認められただろうか。
そう考えると、幸久の支えが穂積美咲という少女を救い、支え、彼女に勇気を与えた事実をそのままひっくり返して、彼女が示した勇気こそが最後に幸久に受け入れ、先へと進むための勇気を与えることになったんじゃないだろうか。
神田幸久と襟仁遙人の間に育まれた想いが、こうして色んな人たちの間を巡り巡ってもう一度幸久の元へと戻ってきて彼に未来を与えてくれた。ラストシーンで明かされた真実は、幸久と遥人の間に生まれた想いの旅路であり、その一つの結実であったからこそ、結末であったからこそ、あんな感慨を抱いたのかもしれない。
喜びと、祝福と、終わりの切なさを。
そうして、【リンドウにさよならを】というタイトルを噛みしめる。
永遠の想いを胸に抱きしめながら、でもさよならを告げて、君と長い長い夏の終わりを精一杯の笑顔で見送る青年が横たわる屋上の光景を焼き付ける。

心に残る、文句なしに素晴らしい青春小説でした。これが新人作品かあ、ほんと素晴らしいなあ。

俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する ★★★   

俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する (ファミ通文庫)

【俺たちは異世界に行ったらまず真っ先に物理法則を確認する】 藍月要/閏月戈 ファミ通文庫

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高等専門学校(高専)に通う雨ケ谷幹人は、学校の友人11人と中学生の妹と共になぜか異世界へ飛ばされた!そんな彼らがまずやったのは、物理法則の確認。摩擦、重力、大気構成―自分たちの知識を駆使して周辺を調べあげるメンバー。そして始まるサバイバル生活を想像して落胆するのだが…。そんな中で見つけたのは、ある魔道具。それが彼らの運命を大きく変えていく―。のちに魔法技術の礎を築きあげ“賢人”と称された英雄たちの物語が、今始まる!
そうなんだよなあ。異世界って別の宇宙の世界なの? 同じ宇宙の他の惑星とはまた違うの? という疑問は異世界モノを見続けているうちに常にこびりついてたんですよね。
異世界へと時空間だか次元間だか移動することと、何万光年も離れた惑星へと空間跳躍してしまうこととどちらが難しいんだろう、とかね。まあここが本当に異世界なのか、それとも別の惑星なのかという問題についてはあっさりと流されてしまうのだけれど。
あっさり、というとせっかく物理法則を確認するのに地球とほぼ物理法則が変わらない、というのは折角スポットを当てているのにちょっと勿体なかった気がする。むしろ、所々法則が異なっていたほうがそこから派生するトラブルがいいネタになっただろうに、それもあっさり流されてしまったなあ。
まあ、本作の主人公たちは物理学などの学者じゃなくて、あくまで高専の技術者たちなのでタイトルとは裏腹にそっち方面専門じゃないから仕方ないのか。
というわけで、異世界に飛ばされてしまった高専生たち。高専というと、一般人の認識は「ああ、ロボコンでロボット作る人たち」という認識に集約されてしまうのだけれど、まあロボット作る人達はやっぱり一部なんですよね。それでも、ここで登場する人たちは高専生としてのアピールらしくちゃんとロボコンやってる人たちなのですけれど。
ただ、折角十一人もの様々な分野のスペシャリストが集まったというのに、その中でちゃんと話に絡んでくるのって主人公と部長とヒロインの天才プログラマーの他2,3人だけで他の人達は名前すら明らかにならずに結構扱いぞんざいなんですよね。数少ない女性キャラにしても、化学と建築が専門分野ということだけ明示されただけで、中盤くらいまで名前も表示してもらえない始末で。
スポットを当てるキャラクターを絞って描きたいというのと、実際に物を作り上げるのにはそれなりの人数が必要だろうという実情がぶつかってのメインと脇の扱いのこの差なんだろうけれど、若干不器用さが目立ってしまったかな、と思う。
所詮技術者でしかない彼らが、冒険者として前線で戦うのは難しいという現実に直面しつつ、運良く保護してもらった元貴族の冒険者の庇護のもとに、魔道具を嬉々として分解して解析していく、技術系変態集団の普通の転移者のメンタリティとは異なるこの技術バカの理屈優先の馬鹿騒ぎは、見てるだけでも面白かった。一応一般人枠の妹ちゃんがちゃんとアクセントになってるんですよね。異世界側の人たちにとっては、高専生たちは異世界人であって彼らの変人っぷりの根拠がよくわかっていない以上、ツッコミや反応要員としては力をフルに発揮できませんからなあ。
「電流帰還バイアス回路ごっこしようぜ! 俺、安定抵抗な!」にはなんというか、笑ってしまうしかなかった。工学系の分野出身の人には色々とあるあるネタが詰まってるんだろうな。


魔術師たちの就職戦線 ★★★★   

魔術師たちの就職戦線 (ファミ通文庫)

【魔術師たちの就職戦線】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫

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魔術師候補が集まる不動台高専を舞台に贈る、新世代学園異能バトル!

「……死ね」という言葉とともに気を失った進藤雪也は、編入先の“不動台術式高専”の保健室で目を覚ました。紹介されたクラスで彼を攻撃した少女を見つけたユキナリだが、クラスメイトとなった山崎雅明や網代木澪の話から、「この学園は素養のある生徒だけが集められた日本最高の退魔士育成機関」であること、そしてあの少女の名が蘭崎香織里であることを知り、彼女が幼い頃に別れた双子の姉であることを思い出す――!
アストラル骨法って、語感がすごい好きなんですけどッ。
いやいや、わりとフザけた名前に見えますけれど、骨法なだけあってアクション描写は也に痛そうなんですよね。概ね食らってるのは主人公のユキナリなのですが。霊体をぶん殴る古武術と古神道のハイブリッドという名目なのですが、カオリのオリジナルなだけにネーミングセンスはほぼ彼女の寄与されます。ってか、母親の詩織里も実戦骨法詩織里式なんて名前つけて自分で組み立ててたらしいので、血筋だわなあ、これ。
本作、なんか読んでるとこう懐かしいというか既視感を感じるというか、嬉野さんの作品は概ね読んでいるだけに今更懐旧を感じるというのは何なんだろう、と首を傾げていたのですが、赤い表紙の本が出てきた事でビビッと来たんですよ。思い……出したっ! てなもんで。
舞台が現代、そんでもって本格的な古今東西の魔術呪術を扱う話、ということで学園モノだったり主人公たちが十代の学生だったりとキャストの傾向こそ違うものの、魔術描写の手法的にはこれ作者の旧作である【ハルマゲドンバスターズ】【シャイニングウィザード】の正統な系譜なんだわ。世界観自体は異なるんだろうけれど、ブーメラン効果とか、まさにまさに。
しかしそうなると、赤い表紙の本なんか使ってる山崎くん、それだけで色々と怪しくなってきてしまうんだけれど大丈夫か、こいつ。そう言えば、作者の著作だと主人公の友人キャラはみんな山崎雅明という名前らしいんだけれど、確かに【戦争妖精】でも居たなあ、ヤマザキ。でも、今まで本編にがっつり噛んでくる山崎って覚えがないだけに、レギュラー化した山崎はこの山崎が初めてなんじゃないだろうか、山崎。
それにしても、相変わらずというかキャラの配置の仕方が絶妙に既存のライトノベルと異なっているのはこの人らしいなあ。普通どうしてもサブヒロインに収まってしまうようなキャラがメインヒロインになったり、というケースには事欠かないのですが、本作も順当に澪がメインになるのかと思ったらどう考えても双子の姉の香織里がどうあってもメイン譲りそうにないですし。いやでも、この姉弟長い間離れ離れで色々と拗らせてはいるものの、お互いへの感情は今のところあくまで普通の姉弟のものなのでそのままノーマルな姉弟モノとして行くんだろうか。取り敢えず、険悪極まる姉の感情がどのようにデレへと移行していくのかは楽しみでしかない。以前、仲が悪いなんてもんじゃないだろうという男女関係を見事にガチのラブロマンスにまで仕上げた実績があるだけに、その手腕への心配はないのだけれどそれも昨今の業界全体の早期打ち切り傾向からするとじっくり堪能できるかどうかやや心配なのである。
主人公のユキナリ、いきなりマシントラブルを起こした母の操縦する小型機からパラシュートで脱出してくる、という落ち物ヒロインならぬ落ち物主人公しかもアラスカ帰りという、魔術師高専という魔術師呪術師の卵たちというアレな人材が集まっている中ですら、なにそいつ!? な経歴の持ち主なのだけれど、魔術云々についてはさっぱりド素人な分、非協力的を通り越して近づくと殺す的な姉の振る舞いもあって結構苦労はしてるんですよね。性格的には言動見ても結構ヤンチャ系というか当たりの強い性格してると思うんだけれど、姉とのいざこざが原因で喧嘩っ早く見えるだけなのか、人の言にはかなり素直に耳を傾けるわりと人当たりは丁寧な人物なんですよね。その意味では読んでいてもなかなか掴みづらいキャラクターで、主人公としてはシンプルなようで複雑なところもある、何とも食み応えがある面白さなのである。
今回の事件に関しては、どうやら何事か裏で企んでいる黒幕が居る、というのがなんとなく見えてきただけの導入編ですっきりしないと言えばしないのだけれど、登場人物の紹介編と思えば多種多様なキャラクターの動向が伺えて、じんわりと楽しみが湧いてきているような塩梅である。あの行き過ぎなくらいサッパリしたママンは面白いキャラだなあ。
あとヤマザキ! こいつ年上の彼女がいるって、あの人と付き合ってるの!? おのれ!
個人的にはさらっとした描写なんだけれど、姉弟の思い出の料理であるマカロニグラタンの話なんかは凄い好きだったなあ。バチバチ反発しあってる姉弟ですけれど、ユキナリってわりとシスコンなんじゃないだろうかこれ。

嬉野秋彦作品感想
 
5月20日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
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<
kattern
(富士見ファンタジア文庫)
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進九郎
(富士見ファンタジア文庫)
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飴月
(富士見ファンタジア文庫)
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凪木 エコ
(富士見ファンタジア文庫)
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七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
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氷高 悠
(富士見ファンタジア文庫)
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下等 妙人
(富士見ファンタジア文庫)
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下等 妙人
(富士見ファンタジア文庫)
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イスラーフィール
(TOブックス)
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ヤマモトユウスケ
(TOブックス)
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早瀬黒絵
(TOブックス)
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望月淳
(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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はくり
(ガンガンコミックスpixiv)
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はくり
(ガンガンコミックスpixiv)
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5月19日

渡航/伊緒直道
(サンデーGXコミックス)
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5月18日

久住太陽/杉浦理史
(ヤングジャンプコミックス)
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わだぺん。
(ヤングジャンプコミックス)
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クール教信者
(ヤングジャンプコミックス)
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オニグンソウ
(ヤングジャンプコミックス)
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雪森寧々
(ヤングジャンプコミックス)
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辻村深月/武富智
(ヤングジャンプコミックス)
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武田綾乃/むっしゅ
(ヤングジャンプコミックス)
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錆び匙/ひびぽん
(ヤングジャンプコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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椎名高志/高橋留美子
(少年サンデーコミックススペシャル)
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サンドロビッチ・ヤバ子/MAAM
(裏少年サンデーコミックス)
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村崎久都/アトラス
(裏少年サンデーコミックス)
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ほりかわけぇすけ
(裏少年サンデーコミックス)
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のんべんだらり/山悠希
(裏少年サンデーコミックス)
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さと/小田すずか
(裏少年サンデーコミックス)
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川岸殴魚
(ガガガ文庫)
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境田吉孝
(ガガガ文庫)
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冬条一(ガガガ文庫)
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虹元喜多朗
(ガガガ文庫)
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5月17日

吉河美希
(KCデラックス)
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赤衣丸歩郎
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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sigama
(マガジンエッジKC)
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阿部花次郎
(マガジンエッジKC)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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音羽さおり
(講談社コミックス)
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金城宗幸/ノ村優介
(講談社コミックス)
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水森崇史
(講談社コミックス)
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吉河美希
(講談社コミックス)
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片瀬茶柴/城平京
(講談社コミックス月刊マガジン)
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森下真
(講談社コミックス月刊マガジン)
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えんじゅ
(電撃の新文芸)
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こはるんるん
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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仏ょも
(アース・スターノベル)
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らる鳥
(アース・スターノベル)
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5月14日

福成冠智/柊遊馬
(コロナ・コミックス)
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abua/ナカノムラアヤスケ
(コロナ・コミックス)
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ありのかまち/箱入蛇猫
(コロナ・コミックス)
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烏間ル/紅月シン
(コロナ・コミックス)
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勝木光/香月美夜
(コロナ・コミックス)
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5月13日

あわむら赤光(GA文庫)
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只木ミロ(GA文庫)
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佐野しなの(GA文庫)
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佐伯さん(GA文庫)
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ケンノジ(GA文庫)
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海月くらげ(GA文庫)
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小林湖底(GA文庫)
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浅名ゆうな
(富士見L文庫)
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久生 夕貴
(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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来栖千依(富士見L文庫)
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綾里 けいし
(講談社タイガ)
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汀 こるもの
(講談社タイガ)
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広路なゆる
(サーガフォレスト)
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yocco
(サーガフォレスト)
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和田 真尚
(サーガフォレスト)
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内々けやき/佐伯庸介
(リュウコミックス)
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5月12日

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酒月ほまれ/アルト
(アース・スター コミックス)
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かじきすい/左リュウ
(アース・スター コミックス)
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青辺マヒト/十夜
(アース・スター コミックス)
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名苗秋緒/九頭七尾
(アース・スター コミックス)
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沢田一/夾竹桃
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス(月刊アクション))
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ワタヌキヒロヤ
(メテオCOMICS)
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いしいゆか
(まんがタイムKRフォワードコミックス)
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須賀しのぶ/窪中章乃
(サンデーうぇぶりコミックス)
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しょたん
(サンデーうぇぶりコミックス)
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川岸殴魚/so品
(ビッグ コミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックススペシャル)
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大井昌和/いのまる
(夜サンデーSSC)
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大井昌和
(夜サンデーSSC)
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鎌池和馬/近木野中哉
(ガンガンコミックス)
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緋色の雨/菖蒲
(ガンガンコミックスONLINE)
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わるいおとこ/彭傑&奈栩
(ガンガンコミックスUP!)
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5月10日

佐島勤(電撃文庫)
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逆井卓馬(電撃文庫)
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西条陽(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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入間人間(電撃文庫)
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岸本和葉(電撃文庫)
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有象利路(電撃文庫)
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西塔鼎(電撃文庫)
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和泉弐式(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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餅月望
(TOブックス)
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古流望
(TOブックス)
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ひだまり
(TOブックス)
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内河弘児
(TOブックス)
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内河弘児/よしまつめつ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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TYPE-MOON/コンプエース編集部
(角川コミックス・エース)
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じゃこ
(角川コミックス・エース)
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5月9日

黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)
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少年ユウシャ
(カドカワBOOKS)
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yocco
(カドカワBOOKS)
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たままる
(カドカワBOOKS)
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明。(カドカワBOOKS)
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ジャジャ丸
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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草壁レイ/紙城境介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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緑青黒羽
(ドラゴンコミックスエイジ)
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碇マナツ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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潮里潤/三嶋与夢
(ドラゴンコミックスエイジ)
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渡真仁/三嶋くろね
(ドラゴンコミックスエイジ)
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サイトウミチ/高橋徹
(ドラゴンコミックスエイジ)
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小虎
(ドラゴンコミックスエイジ)
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七菜なな/Kamelie
(電撃コミックスNEXT)
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門司雪/アルト
(KCデラックス)
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石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
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真木蛍五
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
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志瑞祐/青桐良
(シリウスKC)
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閃凡人/木緒なち
(シリウスKC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニングKC)
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蒼井万里
(ワイドKC)
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奈央晃徳/山川直輝
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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5月7日

ケンノジ/松浦
(ガンガンコミックスUP!)
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道草家守/ゆきじるし
(ガンガンコミックスUP!)
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宇佐楢春/やまだしゅら
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉/硝音あや
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉
(SQEXノベル)
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九頭 七尾
(SQEXノベル)
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守野伊音
(SQEXノベル)
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5月6日

CLAMP
(KCデラックス)
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雨隠ギド
(アフタヌーンKC)
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細川忠孝/山村竜也
(ヤンマガKCスペシャル)
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植野メグル
(ヤンマガKCスペシャル)
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藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
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南勝久
(ヤンマガKCスペシャル)
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山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
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あっぺ/明石六郎
(PASH!コミックス)
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航島カズト/タンサン
(PASH!コミックス)
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明石 六郎
(PASH!ブックス)
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まえばる蒔乃
(PASH!ブックス)
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深凪雪花
(PASH!ブックス)
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5月5日

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5月2日

東冬/三田誠
(角川コミックス・エース)
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金丸祐基
(角川コミックス・エース)
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古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
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和月伸宏/黒碕薫
(ジャンプコミックス)
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龍幸伸
(ジャンプコミックス)
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平方昌宏
(ジャンプコミックス)
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天野明
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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浅倉秋成/小畑健
(ジャンプコミックス)
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朱村咲
(ジャンプコミックス)
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春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ジャンプコミックス)
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村田 雄介/ONE
(ジャンプコミックス)
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猪口(ドラゴンノベルス)
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しんこせい(ドラゴンノベルス)
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猫又ぬこ
(講談社ラノベ文庫)
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倖月 一嘉
(講談社ラノベ文庫)
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御子柴 奈々
(講談社ラノベ文庫)
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はにゅう
(Kラノベブックス)
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子日あきすず
(Kラノベブックス)
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茨木野
(Kラノベブックス)
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せきはら/柚原テイル
(フロース コミック)
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iNA/Yuna
(フロース コミック)
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Minjakk/Liaran
(フロース コミック)
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西山アラタ/春野こもも
(フロース コミック)
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榎戸 埜恵/涙鳴
(フロース コミック)
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4月30日

藤木わしろ(HJ文庫)
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サイトウアユム(HJ文庫)
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坂石遊作(HJ文庫)
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ハヤケン(HJ文庫)
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紺野千昭(HJ文庫)
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結石(HJ文庫)
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御子柴奈々(HJ文庫)
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りゅうせんひろつぐ
(GCノベルズ)
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ムンムン
(GCノベルズ)
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龍央(GCノベルズ)
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わるいおとこ
(ファミ通文庫)
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山崎 響
(エンターブレイン)
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やまむらはじめ
(YKコミックス)
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4月28日

天空すふぃあ/奈須きのこ
(星海社COMICS)
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餅田むぅ/新山サホ
(ライドコミックス)
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しめさば
(角川スニーカー文庫)
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しめさば
(角川スニーカー文庫)
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御宮 ゆう
(角川スニーカー文庫)
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久慈 マサムネ
(角川スニーカー文庫)
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桜木桜
(角川スニーカー文庫)
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岸馬きらく
(角川スニーカー文庫)
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御宮 ゆう
(角川スニーカー文庫)
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すずの木くろ
(モンスター文庫)
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雪だるま
(モンスター文庫)
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可換環(Mノベルス)
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てぃる(Mノベルス)
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木嶋隆太(Mノベルス)
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川井 昂(ヒーロー文庫)
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アネコユサギ(ヒーロー文庫)
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4月27日

TYPE−MOON/大森葵
(REXコミックス)
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友麻碧/夏西七
(Gファンタジーコミックス)
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小龍/八木戸マト
(電撃コミックスEX)
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朱月十話/ROHGUN
(電撃コミックスNEXT)
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あさなや/yocco
(電撃コミックスNEXT)
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小祭 たまご
(電撃コミックスNEXT)
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4月26日

ユリシロ/紙城境介
(角川コミックス・エース)
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三河ごーすと/奏ユミカ
(角川コミックス・エース)
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平安ジロー/灯台
(角川コミックス・エース)
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火野遥人
(角川コミックス・エース)
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オクショウ/MGMEE
(角川コミックス・エース)
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犬塚惇平/ヤミザワ
(角川コミックス・エース)
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槌田/TYPE−MOON
(角川コミックス・エースエクストラ)
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リヨ/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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4月25日

紙城境介(MF文庫J)
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三河ごーすと(MF文庫J)
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花間燈(MF文庫J)
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三月みどり(MF文庫J)
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両生類かえる(MF文庫J)
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どぜう丸
(オーバーラップ文庫)
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大崎アイル
(オーバーラップ文庫)
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彩峰舞人
(オーバーラップ文庫)
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三嶋与夢
(オーバーラップ文庫)
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馬路まんじ
(オーバーラップ文庫)
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まさみティー
(オーバーラップ文庫)
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友橋かめつ
(オーバーラップ文庫)
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六海刻羽
(オーバーラップ文庫)
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あボーン
(オーバーラップ文庫)
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紙木織々
(オーバーラップ文庫)
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御堂ユラギ
(オーバーラップ文庫)
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泉谷一樹
(オーバーラップ文庫)
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丘野 優
(オーバーラップノベルス)
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龍翠
(オーバーラップノベルス)
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エノキスルメ
(オーバーラップノベルス)
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桜あげは
(オーバーラップノベルスf)
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参谷しのぶ
(オーバーラップノベルスf)
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稲井田そう
(オーバーラップノベルスf)
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虎馬チキン
(MFブックス)
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ぷにちゃん
(MFブックス)
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氷純(MFブックス)
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epina(MFブックス)
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Y.A(MFブックス)
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COMTA/樋辻臥命
(ガルドコミックス)
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Nokko/龍翠
(ガルドコミックス)
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灘島かい/三嶋与夢
(ガルドコミックス)
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霜月なごみ/瀬戸夏樹
(ガルドコミックス)
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野地貴日/黄波戸井ショウリ
(ガルドコミックス)
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つむみ/君川優樹
(ガルドコミックス)
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ぱらボら/馬路まんじ
(ガルドコミックス)
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中曽根ハイジ/丘野優
(ガルドコミックス)
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遊喜じろう/みりぐらむ
(ガルドコミックス)
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松浦/大堀ユタカ
(ビッグガンガンコミックス)
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成田良悟/藤本新太
(ヤングガンガンコミックス)
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はっとりみつる
(ヤングガンガンコミックス)
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六本順
(ヤングガンガンコミックス)
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まつたけうめ/栖上ヤタ
(ヤングガンガンコミックス)
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4月22日

川上真樹/富士伸太(MFC)
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新挑限(MFC)
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丹念に発酵(MFC)
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やませ ちか(MFC)
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