ファミ通文庫

千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない ★★★   

千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない (ファミ通文庫)

【千年紀のレガリア 帝宝審理騎士は働かない】 夏森涼/マニャ子 ファミ通文庫

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武の名門クルツシルト侯爵家の若き当主ユリエル。没落した家を復興させようとする彼女に下された使命は、帝国国立美術館の館長レインと共に、敗戦によって散逸してしまった「三種の帝宝【トライ・レガリア】」を奪還すること!
しかし肝心のレインは下手な絵を描くだけで、まったく働く気がない。ユリエルはレインを叱り飛ばし、どうにか捜査を始めるのだが――
その任務は、レインと帝国の秘密に迫るものだった! 千年の謎を解き明かすクロニクル・ファンタジー登場!
こういうパンツルックの女性のユニフォームは変にスカートにするよりも好きだなあ。シュッとしてスマートにカッコよく見える。
さて、本作の舞台となる帝国だけれど、これはいうなれば戦後の物語。それまで長く続いていた価値観が全部ひっくり返される大きな大きな戦争に敗北したあとの国の話なんですよね。これまで信じられていたものが崩れてしまった世界。絶対的だった権威が揺らいでいる世界、というべきか。なので、物語のベースとなるのは権威の脆さと価値観の変容であり、その中でも揺るがないものは何か、という主題を千年帝国の建国の謎に絡めて語る物語になっているんだけれど、ぶっちゃけテーマに対して徹底した掘り下げが出来たかというと、どうもぼんやりとしたままで終わってしまった感がある。或いは、主人公の美術品の捉え方に自分の納得がいかなかったからか。それまでの権威が失われてしまったとは言え、美術品としての価値は別だと思うし、それ以上に歴史的史料としての価値は千年帝国という歴史的存在がある以上、失われるはずのないものなんですよね。それらがもてはやされた権威は既になく、それを認めていた価値観は変わってしまったかもしれない。でもだからといって、それらをぞんざいに取り扱うのは別だと思うんですよね。
一方で、人が生きる上で古い価値観や失われてしまっている権威にいつまでもこだわるというのはどうしたって現実と齟齬が生まれてしまう。権威なんてものは万人から認められず、忘れ去られたらそれはもう在って無きものなのに、その価値の絶対性を信じて取り戻そうとして道を踏み外す人がこの作品にも幾人も出てしまうのだけれど、中には現状の自分が持っている権威の大きさよりも、既に失われている虚像の権威に縛られてしまっていた人も居て、あれは終わってみれば悲惨とすら言える有様だった。あれ、血族の使命として端から他の可能性というものが頭のなかに存在しなかった悲劇なんだろうけれど、普通に考えたら現状の地位だけでやれることはなんぼでもあっただろうに、権力だってあれだけ能力が伴っていればどうとでも揮えただろうに、それを台無しにしてしまう行動には唖然としつつ、あれが権威の魔力なのだろうかと納得もさせられたわけだ。
権威、バカにしたもんじゃないんですよね。古かろうと、その価値を万人が認めていたらそれは無視できない力になる。いや、古いからこそ誰もがそれを価値あるものと無視できなくなる。それが失われてしまうというのは、やっぱりよっぽどのことなんだよなあ。なんだかんだと、あのエリザベート皇女殿下は自らの言動を持って帝室の権威を示し続けている。皇族としての世間や民への接し方こそ、新たに生まれようとしている価値観にそって変化させているけれど、それで皇族の権威や価値が失われるわけじゃないんですよね。むしろ、その柔軟な変化が、彼女個人の魅力が同時に敗戦によって揺らいでいた帝室の価値を高めている。三種の帝宝は権威の証明である物品であり無いよりもあった方がいいんだろうけれど、物に頼らなくても彼女がいれば大丈夫、と思えるほどに。いずれ、彼女が居なくなっても、彼女が強固にした権威の枠組みは長く帝室の価値を留めると思えば、面白いものである。
……結局、揺らいでは居ても現状最も確かな権威である帝室を蔑ろにして手前勝手にしようとした連中がみんな失敗したようにも見える不思議。


元・竜砲騎士マデリーンの転職 ★★★   

元・竜砲騎士マデリーンの転職 (ファミ通文庫)

【元・竜砲騎士マデリーンの転職】 佐々原史緒/ぎん太 ファミ通文庫

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育ての親ルイジアが遺したボロ宿で借金取りに追われるラザロ。そのとき突然の衝撃とともに金髪碧眼の美女、マデリーンが現れる。彼女は遥か北の王国からやってきたルイジアの姪、そして世間のことを何も知らないポンコツ美人なのだった。彼女の出現により、ルイジア亭を取り巻く悪党に目を付けられるラザロだが、彼女の真摯な性格と特殊な前職に巻き込まれ、なぜか「もてなしと愛」に満ちた宿への再建を目指すことに―?波瀾万丈ファンタジー開幕!!
ポンコツというよりも徹底した世間知らずと無垢を併せ持ったお嬢さん、と言った風情だなあ。ただ、長らく戦場を駆け回っていただけあって、本気で世知に無見識というわけでもないのだけれど、自分で服も着替える必要がない環境に据え置かれていた、というのはそれだけ上にも下にも置かない扱いではあったんだろう。或いは、戦略兵器としてそれだけ厳重に隔離されていた、か。
肝心の竜砲は置いてきたとは言え、そりゃ辞表一枚でそんな強大な兵器そのものである存在を放り出しはしないよなあ。むしろ、迎えによこしたのが未熟な見習い騎士一人、というのが解せぬ。とりあえず本巻ではあんまり触れられていないのだけれど、王国側は一体何を考えているんだろう。冒頭の描写を見る限り、マディの出奔は裏で陰謀が繰り広げられてたという風もなく、完全に予想外で大騒ぎにはなってたみたいなんだけれど。
そのヒロインであるマデリーン……実はけっこう歳なんですよね。ラザロは危険を察知して女性の年齢を尋ねるような真似は一切していないのだけれど、既にラザロを拾った時点で老婆だったルイジアが若かりし頃にマディって既に少女だったんですよね。竜砲騎士は竜に乗ってる間は特性上年を経るのが極端に遅くなるそうなので見た目は当てにならないし、ルイジアがこの海辺の街に現れて宿を作った時は絶世の美女が現れた、と話題になったと街の古老が語っていたくらいだから、マディとルイジアが別れてから3,40年くらい経っててもおかしくないわけで……。
南国の褐色少年って、色気みたいなものがあっていいですよねー(話題をそらして
そういえば【トワイラト・トパァズ】の主人公だったトパァズも褐色少女だったなあ。

さて、この話、ラザロと一緒にマディが借金まみれの宿屋を立て直して、訪れる宿泊客との間に様々なエピソードを積み重ねていく……というところまでは全然行かず、まず借金返済のために悪徳借金取りや付近の海を制圧している大海賊と丁々発止を繰り広げるはめに、という展開なんですよね。そもそも、宿の有るこの港街からして、海賊や悪党が根城にしている悪徳街という風光明媚とは裏腹の場末も場末。マディが夢見る宿にするには、いかにも立地条件が悪すぎるという。
ただ、この港町がそうなってしまったのも長年の戦争の影響で航路が途絶えてしまったのが原因で、その戦争と終結に深く関わっていたマディが無関係というわけでもなく、またここに宿を立てたルイジアが何やら大海賊と契約を交わしていて、その内容を巡って謎を追いかける……というよりも、ラザロの育ての親でありマディの叔母であるルイジアの過去を追いかけていく、追憶の話でもあるんですよね。
宿にお客はさっぱり来ずに、襲撃と新たに宿で働くメンバーばかりが集まってくるわけです。とりあえず、マディが宿の運営に役に立たなさすぎて、仕事を覚えるところから始めないと。
それにしても、婚期が遅れているからというわけではないんだろうけれど、マディが色々とチョロすぎるのか、それとも早々にターゲットをラザロに据えてしまったのか。
ラザロくん、ご愁傷様である。

佐々原史緒作品感想

偉大なる大元帥の転身 3.行きて、帰りし英雄譚 ★★★   

偉大なる大元帥の転身3 行きて、帰りし英雄譚 (ファミ通文庫)

【偉大なる大元帥の転身 3.行きて、帰りし英雄譚】 竹岡葉月/ともぞ ファミ通文庫

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大波乱の創立祭が終わり、ついに待ちに待った長期休暇。
この機会に、自分を召喚した人物に接触しようと意気込むケータに告げられたのは、成績不良者の退校宣告!
そんなケータを救うべく、つきっきりの特訓を申し出るライラ。
一方イリスは、『白の腕』にスカウトされ、学院を離れる決意を固めていた。
それぞれの進路に揺れる中、首都・水晶府に集まるケータたち。
皇帝、光の勇者、白の腕、四天王――彼らが一堂に会したその時、想像もしない驚愕の真実、
そして彼女の秘められた想いが明らかになる――!
出直し異世界転戦記、最終巻!!
うわぁ、そんなえらいことになってたのか。二巻の感想で散々魔王さまが引きこもって出てこないことにダメ出ししまくったの、正直済まんかった。まさか来たくても来れない事態になってたとは思わんかったですよ。まあ、これたとしてもフードゥ様は絶対に来なかったでしょうけれど。
でも、これはケータが可哀想だよなあ。完全に蚊帳の外だったわけですし、フードゥ様の優しさが結局ケータを傷つけまくっちゃったんですよね。とは言え、真実を最初から知らせていたとしても、フードゥ様が危惧したようにケータは自分を責めたでしょうし。でも、自分を悪者にしてケータを追い払う、という形はやっぱり不器用極まりないですよ、魔王さま。
お陰で、板挟みになったベスティアラがえらい可哀想なことになってたんですよね。ケータには真実を告げられず、しかし魔王さまの有様は見るに耐えかねて、どれだけココロをすり減らしていたか。ケータに何も告げないまま、でもどうか戻ってきてほしいと懇願に来たベスティアラ、あの時は単なる痴話喧嘩の仲裁だと思ってたんだけれど、彼女は彼女で一杯一杯だったんだなあ。
もうこれ、誰が悪いかというと『白の腕』の連中が悪いとしか言いようがなく、幾ら国の為を思っての行為とはいえ、皇帝の生命も勝手にBETしちゃってるわけで、あとの対応もけっこう酷いものだし、もうちょっと責任問題にしても良かったんじゃないだろうか、というくらいには腹立たしい。
結局これ、フードゥ様の勝ち逃げ、になっちゃうんだろうなあ。ラブストーリーとしては、ケータとフードゥだけで殆ど帰結してるし。残念ながら、イリスとライラはあの二人の一世一代の告白の答えがアレだったって時点で、
まるで相手にされてなかった、ということだし。ひ、悲惨だ。でも、二人とも実のところケータとそこまで親密になれてたかというと、友達としてはそれなりに仲良くなってたけれど心の距離を寄せきれていたかというと、そこまで深く歩み寄れるだけのエピソードの積み重ねはまだ足りてなかった気がするんですよね。
これは他の学友たちともおんなじで、結局最後まで秘密を抱えたままのケータと学友たちとでは距離感が詰めきれていなかった気がするんですよね。シリーズ的にはもっと巻数を重ねてその距離を詰めていくつもりだったのかもしれないけれど、三巻で片付けることになって性急に展開した結果、やっぱり足りないままで終わってしまった感がある。この距離を詰めきれていれば、ケータが本当は魔族の大元帥だったという秘密が暴露される展開にもっと劇的なインパクトが生じたんだろうけれど。
なんにせよ、伏線や幾つかの謎についてはきっちり清算したけれど、巻いて巻いての影響はやはり無視しきれなかったんじゃないだろうか、という結論。

シリーズ感想

幻獣調査員 ★★★★   

幻獣調査員 (ファミ通文庫)

【幻獣調査員】  綾里けいし/lack ファミ通文庫

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村を襲うも人は殺さない飛竜の真意とは。老人の巻きこまれた妖精猫の裁判の行方は。
鋭い吠え声が響く村で娘達を食らう獣の正体とは――。独自の生態と超自然の力を持つ生き物、幻獣。
謎多き存在である彼らと人の衝突が増えたため、国家は幻獣を調査し、時には駆除をする専門家を定めた。そのひとりである調査員のフェリは「人と幻獣の共存」を胸に、世界で唯一の幻獣書を完成させるため旅を続けている。
これは、人と幻獣の関わりが生む、残酷で優しい幻想幻獣譚。
ねこー、ねこー! 短編連作形式なのですけれど、掌編とも言ってもいいだろうネコネコ大裁判編がもう好きすぎて。ほわー。
綾里けいしさんというと、代表作の【B.A.D.】に代表されるように物理的なグロさと精神的なグロさをハイブリッドしたようなホラーの印象が強いのですけれど、決してそれ一辺倒ではなく透き通るような純愛だったりライトでポップな明るい話だったり、切なくも美しい御伽話だったり、ドタバタコメディみたいな話だったり、何気に何でも書ける作家さんなんですよね。それも、どの分野もエッジがきいていて心に訴えかける力強さが在る。
この短編集は、そんな綾里さんの作風の広さを堪能させてくれる、見事なくらいにいろんなタイプの話が詰まっているのです。
なかでも【妖精猫の裁判】は、このはにゃーとなりそうなフェリ猫の可愛らしさは特筆に値すべきもので、いやもうこれ反則だろ!!

この主人公のフェリという娘さんがまた面白い子で、イラストの神秘的な風貌や白いヴェールを被った姿からも、なんとも厳かで重々しい女性なのかと思ったら、バイタリティがあるというかいい意味で図々しいというか、なかなかのタフネスガールなんですよね。面白い子なんだわー。
そして、強い娘でもある。
意志の強さ、幻獣にも人間にも偏らない公平性と、どちらも心から慈しみ愛する心を揺るがさない不屈さ、そしてわりとズケズケと相手の領分に踏み込む図々しさと、それを許してしまう愛嬌。
それらは、人外の存在である、それこそ魔王とも言うべき破壊のために生まれた黒い影クーシュナをして、心奪われてしまうほどに、魅力的な魂の輝きなのである。
そうだよなあ、これもまた怪物と人間のラブストーリーとも言えるんだよなあ。
でも、この本の話を通してみると、幻獣だ人間だ動物だ、という存在の差異に対して、心の在りようの差異はそれほど異なるものではないのですよね。
大事な巫女のために傷つき哀しみのたうち回る飛竜の姿に、想えど想えど離れていく男たちの背にすがることも出来ずに自分ではもぎ取ることの出来ない林檎を胸に抱くマーメイド。
大事な人を奪われた怒りに、憎悪に身を焦がして復讐に身も心も焼きつくす老犬に。
身勝手に利用され、騙されて、しかしそれでも人して罪の裁きを受けようと思いながら、幻獣として討たれることを人としての選択で受け入れた一人のライカンスロープ。
そして、衝撃のラストエピソードで語られた、少女の「人間であり続ける」物語。あの小さき勇者トローの、友のために命を焼きつくす訴えが、その高潔なありようが胸を打ってやみません。
こうしてみると、フェリの物語である以上にこれってクーシュナの物語なんですよね。魔の王様が人を知り、世界を知り、友情を知り、哀しみを知り、絶望を知り、そして愛を知るとてもとても切なくも甘やかなロマンティックなお話なのです。
本作はこれ一冊だけの予定みたいですけれど、フェリとクーシュナとトローの三人の旅の御伽話、これで終わるにはもったいなさすぎる心揺さぶられる作品でした。
ねこー、ねこー。

綾里けいし作品感想

竜騎士から始める国造り ★★★  

竜騎士から始める国造り (ファミ通文庫)

【竜騎士から始める国造り】 いぬぶくろ/ニリツ ファミ通文庫

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転生後の世界で奴隷として生きていた俺は、あるとき死にかけの貴族の少年と出会い看取った後、彼と入れ替わりを果たした。そして、侯爵家の長男として竜騎士育成学校に入学し、強大なドラゴンを手に入れることに成功した俺は、辺境の田舎町を統治実習の場として選び、改革を開始した。農地開拓、衛生概念や教育の普及、道具類の開発と、前世の知識を駆使して次々に実現していく。この過酷な世界で、自分の居場所を作るために―。異世界成り上がり興国記登場!
平民や奴隷階級の人間が、貴族や王族と入れ替わり成り代わって、その新しい立場で成り上がっていく。成り代わりモノ、とでも言えばいいのか。須賀しのぶ【流血女神伝 帝国の娘】や杉原智則【烙印の紋章】なんかが思いつくのだけれど、大抵こういうケースでは入れ替わるための工作を行う協力者やバックにつく権力者なんかがつきものなんだけれど、ここまで完全に偶然と成り行きで、誰一人協力してくれる人もいなくたった一人で入れ替わりをやってしまうのは記憶にないパターンだ。
実のところ、平民以下の階級の人間が貴族以上の階級の人間に成り代わるのって相応の「教育」が必要であるんですよね。貴族的常識のみならず、教養というものがどうしても必要になってくるから。その点においては、主人公は奴隷階級出身だけれど、貴族の生活の様子を直接見聞きできるところにいた事と、前世の知識があるという要素があったからこそ、バックアップ無しでなんとか貴族のフリが出来たのだろう。
それでも、口裏合わせや入れ替わった人物を知る人間との折衝、書類関係の工作や不都合をねじ伏せる権力の行使など、入れ替わった事実を秘密のまま維持するのには大きな力を持った人間による助力が必要になってくるものなんだけれど、それを持たない主人公は面白いことに秘密を守ることに関してはそれほど神経を費やしてないんですよね。奴隷として生きるのは地獄。死んだほうがマシな境遇なのだから、この偶然手に入った立場を汲々として守るのではなく、行けるところまで突っ走ってダメならそれまででいいじゃないか、というある種の投げやりな、保身を考えないダメで元々という心持ちなのである。なので、貴族らしくとか、入れ替わった元の少年の真似をしようなんてさらさら考えずに、やりたいように振舞っている。
この一歩踏み外せば奈落の底に真っ逆さま、という状況に自分の身の安全を図らずにずんずんと進んでいく怖いもの知らずな主人公の姿は、なかなか小気味いいんですよね。わりと計算高い性格をしているはずなのに、その計算高さを保身に費やさない姿勢というのは、危なっかしいんだけれど面白い。
これだけ怖いもの知らずだと無茶やらかしそうなのに、元々生真面目な性格なのか意外とやることに関しては堅実というか、一度決めた目標に対しては黙々と遊びを交えず勤しんでるんですよね。
勤勉で堅実な野心家の怖いもの知らず、ってまた厄介なのか何なのか。
ただ、その仕事に対する勤勉な姿勢で他者の信頼を得ることは叶うものの、あんまり他人と打ち解けるタイプではないんですよね、この主人公。いや、ちゃんと他者に対して信頼を寄せ、信用を置き、その人の良い点を見つけては好意を抱き、親しくなった相手には手を差し伸べ、困ったら助けることを厭わない、とまあ普通に見たら良い人なんだけれど、一番肝心なところでは一線を引いている感じがするんですよね。学友に対しても領地の人間にも、使用人に対しても打ち解けてはいるものの、微妙な距離感がある。もしかしたら、相手の人は感じていない距離感かもしれないけれど。その距離感こそが、成り代わりの秘密の分なのかもしれないけれど。
唯一、乗騎である喋る竜だけが心を許しあった親友同士という距離感で接しているのは、なるほど竜騎士モノらしいのかもしれないけれど。
さて彼のこの境遇を楽しみ全力を尽くしながらも微妙に冷めた、或いは投げやりな感覚を胸に抱えているような改革物語。それは野心か享楽か。

ダンジョン・サーベイヤー 遺跡の街の“人間嫌い" ★★★☆  

ダンジョン・サーベイヤー 遺跡の街の“人間嫌い

【ダンジョン・サーベイヤー 遺跡の街の“人間嫌い"】 嬉野秋彦/irua ファミ通文庫

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太古の魔導文明が眠る遺跡の街。そこへ向かっていたニコルは、山賊に襲われていたところを赤毛の少年に救われる。しかもその少年クローはトップクラスと名高い調査隊“人間嫌い”を率いる凄腕の“調査鑑定士”で、ニコルは埋文局の命により、彼のチームにその身を預けることに!個性的な三人の少女に続く仲間を求めていたクローは、ニコルの力を試すべく“キーンホルツの闇”へ挑む―!広大な迷宮都市を舞台に贈るダンジョンクロールファンタジー!
相変わらずキャラ濃いなあ。男一人に女性三人というチーム編成、しかもそのうちの一人は主人公のクローに好き好き光線出しまくってる、という状況にも関わらず、チーム内に色気の欠片もない!! まったくない!! 件のクロー好きのラムからして、凄まじい残念臭でチームの娘らにヒロインらしさがもう微塵もないという。キーンホルツギルド幹部の獣人の美女二人、といいビジュアル的に美しい女性陣は多いにも関わらず、ヒロインらしいのが全然いないんだよなあ(褒め言葉)。
一番少女らしさが強く、女子力高めで乙女全開しているのがアラフォーならぬアラフィフの支部長なのが、なんともはや。すごい!! いや、マジで可愛いんですよ、直接描写としてはチラッとしか出てないんですけれどw
【彼女は戦争妖精】や【黒鋼の魔紋修復士】では他のライトノベルからは一線を画した主人公観を見せてくれた嬉野さんですけれど、本作のクローも伊織くんやディーのように尖りまくってはいないものの、クレバー極まる食わせ者のしたたか者で、実にイイ性格してるんですよね。
サブタイトルの人間嫌いが誤解を招きそうだけれど、クロー含めてチームのメンバー、別に人間が嫌いという屈折したキャラクターではありません。むしろ屈折しすぎてる問題児集団なおかげで、周りの人間から敬遠され気味なおかげで人間嫌い、と呼ばれてるようなもので、別にわざわざ自分から壁を作ったり孤立したり他者を拒絶したりという思春期拗らせたような若い繊細な連中じゃあないんですよねえ。
むしろ、酸いも甘いも噛み分けすぎだよなあ、という。まあ異様に沸点が低くなるポイントを抱えてる娘もいるので、決して「出来た」人たちではないのですが、でも初心者同然のニコルくんへの、厳しいけれど案外突き放さない態度なんかは、実にプロフェッショナルらしい。
彼らの仲間づきあいというのも、ベタベタしたものではなくかなりサバサバとしたプロらしい「割り切り」が感じられるものなのですが、ちょっと面倒くさそうなラムは別として、他の二人とクローの関係なんかサバサバとしているからこそ、程よい距離感が居心地の良さをそれぞれに抱かせているようで、わりと仲良い感じなのは面白いなあ、と。
どうも、この人間関係はシリーズ進んでいくに連れて、色々と変わってくるようなのでその意味でも楽しみ。これまでのシリーズでも、最初期の関係がシリーズ終わってみるとまるで違うところに着地して激変していた、ということも多いので、このヘンテコチームがどう変わっていくのか、予想もつかずかなり興味深い。前作なんて、見たこともないくらい主人公とヒロインの関係がガチで険悪だったのが、ガチでロマンスな展開になったしなあ。
と、さらにおもしろいのがこのチームに新しく加入することになるもこもこ毛並みの狼の獣人であるニコルくんのキャラである。いや、ほんとにこの複雑怪奇なキャラ、どうやってキャラ付けしてるんだろうと思うくらい面白いわーw
ヘタレで弱キャラでおとなしく内向的に見せかけて、無自覚毒舌系。いや無自覚なのか? 作中のみんなも疑ってますけれど、つい正直に口をついてしまうと装って思いっきりわざと毒吐いてないか、こいつ? 卑屈で無礼、食い物に対する恨みは身内であろうと忘れず結構根に持つタイプで、しかもやたらと攻撃的で、何かあると「告訴しますよ、告訴!!」と騒ぎ立てる告訴キャラに仕上がってます、なにこれw
これだけ見ると凄まじく嫌なキャラに見えますけれど、周りの連中がいちいちちゃんと相手にしない曲者揃いなせいか、それともニコルくん自体の愛嬌のお陰か、おもしろキャラに仕上がってるのが凄いなあ。あとがきによると、ニコルくん、作者の旧作【チキチキシリーズ】の星秀に似てるんじゃないか、と仰られてますけれど、懐かしいな星秀くん! そう言われると親近感も出てきてしまいます。星秀くん、わりとクズだったような気もしますがw いや、あれで、女たらしの軽薄変態野郎だったけれど、あれで鳳月くんに対して友達甲斐はあったんだよなあ、うんうん。
第一巻はスタートということで、主だったキャラクターの紹介や人間関係、世界観やキーンホルツという特別な場所が置かれている現状などを描き出しつつ、現在進行形でキーンホルツに対して何かが策動している、という物語の始まりを感じさせる出だしで、盛り上がりには欠けるかもしれないけれど、長編らしい大きな巨体が身動ぎして閉じていた眼を薄っすらと開いた、みたいな感があって、はじまったというワクワク感を抱かせてくれる。さて、これも長期シリーズの醍醐味を味わわせてくれるだろうか。

それにしても、あのエルフとドワーフはちょっと人種違いすぎるんじゃないか、見た目的に!?

嬉野秋彦作品感想

堕落の王 ★★★☆  

堕落の王 (ファミ通文庫)

【堕落の王】 槻影/エレクトさわる ファミ通文庫

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堕落と放棄、逃避と劣化、停止と衰退、惰性と憂鬱……俺は怠惰の魔王である

男の名はレイジィ・スロータードールズ。かつてしがないサラリーマンだった彼は死後、異世界に転生し悪魔のクラスを得るが、自堕落に過ごし続けいつしか怠惰を司る魔王になっていた。
その彼に「反旗を翻した暴食の王ゼブル・グラコスを討滅せよ」と大魔王の勅命が下る。
だがベッドからピクリとも動かない怠惰の王レイジィ。そんな魔王の代わりに臣下である強欲のデジ、色欲のミディアが暴食の王の討伐へと向かうが――!?
欲望渦巻く堕落転生ファンタジー!!
ダラダラ寝てたらそれだけで強くなるってなんだよ! な、なんて羨ましい、妬ましい。ひたすらベッドでダラダラゴロゴロ。身の回りの世話は甲斐甲斐しくメイドさんがしてくれるので、本当に何もしなくていいという生活。しかも、悪魔はそれぞれが体現する大罪に耽溺すればするほど強くなっていく、という仕様なので怠惰を司るこの魔王は、ダラケレばダラケるほどに悪魔として存在の格があがっていく、というなにそれ!
こんな何もしない、本当に何もしない、完全無欠に何もしないのが上司だというのに、部下の魔将たちは優秀極まりなく、その軍勢は精強無比という勝手に周りもレベル上がってくという、だからなにそれズルい。
しかも、しかもですよ、自分で動かなくて済むようにスキルの方も寝ながら、動かないまま色々様々なことが出来るものをどんどん覚えていく、というまさに堕落を極めに極めきったような存在なのである。
羨ましい、特に寝ながらでも色々と出来るって、羨ましいことこの上ない。寝ながら仕事がこなせるように、なんて無茶は言いません。せめて、寝ながら文言を頭のなかで諳んじたら勝手に文章がかきあがるスキルとか、寝ながらパソコンの作業が出来るスキルとか、寝ながら本読んでても腕がだるくならないスキルとか、寝ながらどっちに向いても画面が移動してついてきてくれるテレビとか、もっと安眠できる枕とか、もっと柔らかくてしっかりしたベッドとか、よく効いて電気代がかからないクーラーとか欲しいです。
後半、普通にお金出せば手に入る気もしますが、ベッドとか入れ替えるために部屋片付けるのとか面倒くさい。ああ、面倒くさい、何もかも面倒くさい。私も、もっと堕落したい。堕落してても、このままでいいんだろうか、とか思って何故か焦ってしまうような精神構造を動じないものに鍛えあげたい。ゴロゴロしてたら体が鍛え上げられる肉体とか欲しい。10時間寝ても実際は2時間しか経っていなかったみたいな時間の流れ方がして欲しい。というか、寝てる間は周りの時間が経たないし肉体も老化しないみたいな設定がほしい。
夢である。そして、そんな夢の大半を体現してしまっているのが、この魔王レイジィ・スロータードールズなのである。小説の中の登場人物になりたいなんて、過分にして思ったことはなかったのだが(なにしろ面倒くさい)、このレイジィだけは本当に羨ましい。なってみたい。堕落してみたい。怠惰してみたい。
まあ、とてもじゃないけれどここまで怠惰に徹するなんて無理だけれど。さすがにここまで無為に過ごすのは耐えられんだろうなあ。

しかし、この悪魔の7つの大罪を極めていけばいくほど存在の格があがっていく、というシステムって力が強大になる一方で、確実にまともに生きることが出来なくなりますよねえ。「暴食」、「色欲」、「強欲」、「嫉妬」、「憤怒」、「怠惰」、「傲慢」という7つの欲や感情って、それ一色に染め上がってしまったらマトモにコミュニケーションも取れないし、生きることも儘ならないはず。実際、レイジィはこんなだし、暴食の王ゼブル・グラコスは食欲が極まった末に見境なく食べ散らかしはじめた結果こうなってしまったわけだし、力は際限なくなってもそれを振るうべき地位を担えるか、というと組織の体を維持することすら叶うかどうか。それどころか、理性を失った一個の単なる災害になってしまうんじゃないだろうか。
その意味では、レイジィたちの上司である憤怒を司ってる大魔王さんはまだマトモすぎるんですよね。実際、最古参の魔王たちと比べるとえらい若いみたいですし、力はともかくとして悪魔として大罪に殉じている度合いとしてはまだだいぶ浅層なのかしら。
まあ、レイジィとは特別な関係のようですが……。あれと、どうやったら特別な関係を結べるのかという時点で疑問なのですけれどw ほんとに寝てるばっかりじゃないか。

まじ妬ましい…。

廃皇子と獣姫の軍旗 ★★★☆  

廃皇子と獣姫の軍旗 (ファミ通文庫)

【廃皇子と獣姫の軍旗】 田代裕彦/すみ兵 ファミ通文庫

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《黒狐》と怖れられるアルガンド帝国の皇太子ウィルフレド。獣の半身を持つ亜人族との一戦に勝利した彼は、唯一人、人の姿をした《獣姫》を捕縛し帰国する。しかし凱旋した彼に《偽嫡》の嫌疑がかかり、喝采から一転、ウィルフレドは罪人となってしまう。そんな彼の前に現れたのは《獣姫》ククル。先んじて解放していた彼女に救われたウィルフレドは、彼女と共に亜人達の元へ身を寄せるが――。獣の姫と大帝国に牙を剥く、本格ファンタジー戦記登場!
田代さんて、ミステリー畑の人かと思ってましたけれど、戦記モノもこれがなかなか、面白かった。
大国の皇太子にして、軍の総司令官だった青年が権力争いに敗れて国から逃げる、というのは決して珍しくないシチュエーションだけれど、流れる先がその大国に滅ぼされかかってる小国というのはともかく、完全に文明圏が違う蛮族の生息圏に流れる、というのは結構見ないかも。
国力の差こそあれ、だいたい同じ文明圏ですもんね。ところが、このウィルフレドが落ち延びるのは、侵略者として彼が総指揮していた、海を隔てた新大陸の、部族単位で戦力をなしている獣人たちの郷。国家も軍もないどころか、ちゃんと組織だった統治システムすら構築されてない文明圏なんですよね。
いわば、アメリカ大陸のネイティブアメリカンの集落に逃げるとか、中華圏から遊牧民族の匈奴とかに逃げ込むようなものか。本邦で言うなら、坂上田村麻呂が一度破って捕らえた蝦夷のアテルイと一緒に逃げ出して、蝦夷と協力して逆に蝦夷征伐軍を破っちゃうような話だよなあ、これ。
国に居られなくなったとしても、そこに逃げるか、という選択肢なんですよね。それを、わりと平々と屈託なくやれてしまうあたり、このウィルフレドという皇子、ちょっとおかしい。
どうも価値基準がややズレてる気がするんですよね。あまり、復権に関して関心がない気すらする。力を取り戻して、自分を追い出した奸臣たちを排して、帝国の皇太子として舞い戻るつもりにしては、行動がおかしいんですよね。なにしろ、彼が蛮族たちと協力して徹底的に打ち破ることになる軍団は元々彼が率いていた一団であり、皇子を崇拝し慕う兵士や将校もたくさんいる、ウィルフレド派……身内と言ってもいい軍団なわけですよ。復権を考えるならば、まず最初に取り込まなければならない一勢ですらあるのに。
彼の中の優先順位と、その特性については彼自身の口から語られてしまっているので、齟齬はないのですけれど……これは面白い奇妙さだなあ。
彼が自覚している通り、ウィルフレドって状況に対して対処、或いは準備しておくことに関しては凄まじいの一言なんだけれど、その状況そのものを動かす、或いは作り出すことに関しては全く手を出さないのである。
つまり、事が起こってから、或いは起こることを見越して動くだけれで、対処行動予備行動に限定されちゃってるんですよね。マクロで見ると、徹底して状況に流され続けている、とすら言えるわけだ。これだと、まず政局や戦局のイニシアチブは取れないわけで、常に後手に回り続けないといけないわけで、これは相当に苦しい縛りですよ。本人、なんかそれを楽しんでいる素振りすらあるのが、危なっかしいというか若干壊れてる印象を伴う理由なんだろうなあ。
とはいえ、このままだと蛮族側で発言権を手に入れても、ろくに動けないので彼自身意識改革をしていかざるを得ないんだろうけれど……。何しろ、彼の優先順位的には獣姫ククルが一番になっちゃってるからなあ。帝国に戻ること云々がどうでもいいとなると、ククルが望む方向にどうしたって行くことになるので、むしろこれ、脳筋っぽいククルが先行きに関するヴィジョンを提示しないといけなくなるんじゃないだろうか。つまるところ、獣姫が黒狐を使えるようにならないと、話にならないわけで……こりゃ、ククルが大変だ、大変だ。
えらいもん、拾ってきてしまったんじゃなかろうか、彼女w
既に彼を受け入れた族長が、色々と面倒押し付けられてえらいことになってるし。あの皇子のへらへらした笑顔、救いの神というより疫病神みたいなもんじゃないんだろうか、これw
帝国に残されたウィルフレド派の人たちも大変だし、国を追われた皇子よりもむしろ周りの方が苦労しそうな話だなあ、でも面白い。

田代裕彦作品感想

異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~ ★★★☆  

異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~ (ファミ通文庫)

【異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~】 年中麦茶太郎/夕薙 ファミ通文庫

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地球最強の異能者『勇者』タクトは魔王を倒した瞬間、異世界に転生してしまった!運よく古書店を営む女神クララメラに育てられ14歳になったタクトは、前世から引き継いだ能力を使い、危険な魔導書を仕入れたりと古書店を切り盛りするようになっていた。そんなある日。銀髪の美少女セラナが店を訪れる。魔術学院の生徒として抜群に優秀だが、かなり抜けている彼女に興味を持ち、タクトは依頼を受けようとするが―。最強古書店員の異世界冒険譚、開幕!
セラナさん、ポンコツ可愛いよ、アホ可愛いよ! 表紙絵だと、銀髪のクールで知的美少女っぽく見えますが、これは詐欺です。これって、もうセラナさんを愛でるための物語ですよねえ。
すごい素直で良い子なんですけれど、穏当な表現に終始するあらすじですら「かなり抜けてる」と称されるだけあって、セラナさんの愉快な自爆っぷりは笑えるわ可愛いわ。当人、へこたれないのもあるんだけれど、前向きで明るいだけに、数々の失敗もぜんぶ可愛げになるんですよねえ。反省しないアカン子じゃなく、努力家でネガティブにならない応援したくなる子、というのもあるんでしょうけれど、それ以上にいじり甲斐があるというか。主人公、わりと大人気なく子供か! というようなちょっかいやらイタズラやらセラナにして構いまくるんですけれど、その気持もわかるんだよなあ。反応が素晴らしいんですよねえ、いじった時の反応がもうこれ、もっとやってもっとやって、と言ってるみたいに夢中になる、中毒になる。
それでいて、ちゃんと教えれば教えるだけ吸収し、めきめき成長していってくれるから、構い甲斐もあるんですよねえ。実際、天才少女なんですよ。天才だけに、一本どころじゃなく抜けてしまってる部分もあるのでしょうけれど。でも、これだけバンバン他の追随を許さない成長をしながらも、増長もせず謙虚だし、素直だし、なついてくるし、ワンコみたいに懐いちゃってるし、可愛いし。これ重要、アホ可愛いし。
この二人の和気藹々としたやり取り含め、ポンポンとリズムの良い掛け合いはホント楽しかった。気楽に楽しむぶんには十分なんじゃなかろうか。
一方で、物語としての盛り上がりには若干かけるかなあ。これは、ウェブ小説発信にありがちな特徴なんだけれど、一冊の本としての構成として捉えるとメリハリに欠ける部分がどうしても浮き彫りになってしまう。かと言って、無理に起伏を取り付けても変な構成になって全体の印象が損なわれてしまうので、よっぽど上手く再構成するか、敢えてそのまま投じるか、なんですよね。
ゆるゆるとセラナさんを弄ってポンコツなイチャイチャを楽しむ分には、これでいいんじゃないかなあ、と思ったり。それだけ、セラナさんおもしろ楽し可愛かったので。ので。
この娘、何気にドキッとさせられる無防備な発言をポロポロこぼしてくるので、侮れないのよ、うん。

偉大なる大元帥の転身 2.勇者と炎上トーナメント ★★★☆  

偉大なる大元帥の転身2 勇者と炎上トーナメント (ファミ通文庫)

【偉大なる大元帥の転身 2.勇者と炎上トーナメント】 竹岡葉月/ともぞ ファミ通文庫

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「帰っておいでよ、ヴェーレス」
合同調査から戻ったケータに、四天王の一人である百獣族の族長ベスティアリは告げた。その勝手な言い分に、怒りながらも心がざわめくケータ。そんな折、フレッドフォード召喚学院は、年に一度開催される創立祭の準備に沸いていた。成績上位者のみが参加を許されたイベントの華――精霊召喚タッグトーナメントで、優勝を目指して闘志を燃やすイリスたち。
それを尻目にケータは、光の勇者や“白の腕"が賓客として集結するその日こそ、元の世界に還る糸口が掴めるのではないかと意気込むのだが……。なぜか天才少女ライラとペアを組んで、タッグトーナメントに出場することに!?
波乱の出直し異世界転戦記、待望の第2巻!
魔王さまが表紙にでーんと出てるんで、ついに魔王さまご出馬か、と思ったら全然登場しなかった!!
あかんやん、引きこもったまんまやん。
引きこもったままで動向が伺えないままなら、分からないからこそ無視出来そうな気もするんですけれど、よりにも寄って魔王さまに命じられたわけでもないのに、ベスティアリが来ちゃったからなあ。
その理由があれですよ。魔王さま、凹んでるから帰ってきてあげて、って……。部下に気を使わすなよー。どんだけしょんぼりしてたんだ、魔王さま。ベスティアリは、部下であると同時に同姓の友人という意識があるみたいなので、余計に魔王さまの気持ち慮って余計なお世話をしにくてくれたんだろうけれど、もう完全にこれ痴話げんかの仲裁ですよね〜。
でも敢えて言うなら、自分で来い!
いや、ベスティアリに行ってください、と頼んだわけじゃなく彼女が勝手に来たのだから仕方ないんだけれど、それだけ心配させてしまうくらい凹んじゃってるなら、もうちょっと自分でなんとかしましょうよ。膝抱えて引きこもってるのか。やりかねない、と思わせられる魔王さま像。実際はちゃんと働いてるんだろうけれど。
でも、魔王さまが悪いんですよねえ。悪いと言い切っちゃうのも何だけれど、魔王さま寄りのベスティアリからして、ケータが可哀想と言っちゃうくらい魔王さまがヘタを打ってしまってるんですよね。
魔王さまもわりとか弱い儚げな少女系なんで仕方ないっちゃ仕方ないんですけれど……男の子の心は乙女のように繊細で壊れやすいんですのよ!?
一途系なら尚更に。女の子も面倒くさいかもしらんが、男の子だってそれ以上に面倒くさいのだ。女々しいし乙女だし、拗ねるし根に持つのだ。みっともないというなかれ、それが自然というものなのである。
ベスティアリとしては、悪いのは魔王さまだし大元帥には大変同情さし上げるが、ここはどうかそっちが折れてくださいよ、って頭をさげに来てるんですよね。態度、奔放で偉そうで自由極まりないけれど、真摯なんですよね。部下としてではなくフードゥの友人として、お願いしにきてたわけだ。
だが断る! と蹴っ飛ばすケータはノーと言える日本人ですね、流石です。
いやうん、ベスティアリには悪いけれど、ここは譲らん方がいいよ。ちゃんと、魔王さま本人に来てもらった方がいいよ。でないと、多分拗れる。お互い面倒くさいタイプなだけに、間に入って取り持ってもらったら格好はつくかもしれないけれど、変な距離で固まっちゃう。
あの魔王さまを動かすのは、相当に大変っぽいけれど。

さて、ゴタゴタは人間の学園サイドでも進行中で、前回ライラだけ地上に取り残されて死線を潜らなかったことが、こうも影響出てくるとは……。
本人はまったく悪くないどころか、クラスメイトたちを助けるために頑張ったのに、結果として孤立を深めてしまうことになってしまったわけで。地下で戦ったクラスメイトたちも、ライラが悪いとは思っていないのだけれど、それでも死地を一緒にくぐり抜けた戦友意識は、地上に居たライラとは分かち合えないわけで、かねてからのライラの特別扱いと相俟って、人間関係はこじれにこじれまくることに。
ライラもライラで、長年の習性から表面を繕うことに長けていた、というかそれを強いられる人生だっただけに、内面と外面の乖離が酷いことになって、えらいことに。
ケータがこの絡まってしまった結び目を解けたのは、ある意味当事者じゃなかったからなのかなあ。自分と魔王の件に関してはあれだけ意固地になってしまってるくせに。人の事ならよく見える、という部分かもしれないし、形式に拘らずに自由にライラの囚われていた意識を打破してみせるあたりは、ライラのように今の立場に縛られているわけではなく、彼の学生という身分が今唯一絶対のものではなく、大元帥という別の世界をくぐり抜けていた社会経験があってこそ、と思うとなかなか面白い。
ライラは、父の期待する娘としての立場や学生としての自分を捨てられないし、しがみついていかないといけないけれど、ケータは今の立場を「諦める」ことが出来るんですよね。その自由度こそが、思考の幅に繋がるのか。過酷な戦場での経験、というのは彼の強さの要素の一つですけれど、この自由度の大きさも結構占めてる気がするなあ。

で、ケータを召喚した相手も判明したわけだけれど、あれ? 黒幕的なものじゃなくて、アクシデントの要素多めだったの!? これは、召喚時の召喚者側の思惑から現状が相当に外れてしまっていることからも、事態は錯綜していると思われるし、ついにケータの正体に気づく娘も出てきてしまったわけで。
むしろお膳立てが揃って、ここからが混迷していきそう。

1巻感想

アルカナ・ナラティブ ★★★★☆  

アルカナ・ナラティブ (ファミ通文庫)

【アルカナ・ナラティブ】 射当ユウキ/シイ ファミ通文庫

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かつて天才詐欺師だった少年、翔馬。過去を悔いる彼は嘘を封印し、これから始まる“普通”の高校生活に思いを馳せていた。ところが入学初日、額に“1”の痣が浮かび、他者に自分の姿を偽って見せる能力が発現してしまう。同じように“2”の痣を持つ少女氷華梨と出会った翔馬は、この学校に『アルカナ使い』と呼ばれる能力者達がいる事を知り、さらに学内で巻き起こる様々な諍いへと巻き込まれてしまう―!?過去に囚われた子供達の贖罪と救済の物語、開幕!!
単なる学園異能モノじゃなくて、発現した能力はそれぞれが持つトラウマや鬱積などから生じたものなのか。能力自体も、例外はあるにしても特別凄いというものはなくて、メインヒロインの周防氷華梨のそれなどは、その人が嘘を言ったかどうかわかる能力とか、部長の完全記憶など魔法じみたものではないんですよね。
能力を便利な道具として使って事件を解決していく物語、というよりも能力という自分の傷を浮き彫りにしたものと向き合いながら、同じく傷を抱えた人たちと心を通わせ、一緒になって乗り越えていく物語、なんですよね。だから、コンセプトとしては非常に真摯な青春物語と言っていいんじゃないだろうか。
その中で、一際現在進行形で傷つきボロボロになっていたのが、メインヒロインである周防氷華梨であり、主人公の翔馬であったわけだ。特に、氷華梨のそれは当初、触れればそれで壊れてしまうそうなほど儚く、脆く、危うげだったんですよね。過去の事件から人のつく嘘に敏感になり、男性恐怖症となり、人間不信をつのらせ、それ以上に悪いのは全部自分、という自己否定を根幹に据えてしまっている。一方の主人公の翔馬の過去も壮絶で、幼さを言い訳にできない大きな許されざる「罪」を背負ってしまっていて、それゆえに「嘘」をつくことに非常に嫌悪を感じ、自分が幸せになることを否定してしまっている少年なのである。

この、嘘にまつわる大きなトラウマを抱えたもの同士である翔馬と氷華梨。二人の出会いから始まり交流によって育まれていく「想い」が、もう素晴らしいんだ。
これは、氷華梨の様子を見ていると非常に顕著なんだけれど、翔馬の自分の身を切るような行為によって守られ、勇気を得て、トラウマを乗り越えていく度に、彼の存在が彼女の中で大きく膨らんでいくのが如実に見て取れるんですよね。これが、上から救い上げるような一方的な行為ならともかく、翔馬のそれって同じ泥沼に肩まで浸かりながら、同じようなところにいる氷華梨を自分を顧みずに泥沼から押し上げるようなそれ、なんですよね。
同じようなところにいるからこそ、氷華梨には翔馬がどれほどツライ痛みを我慢しているかはわかるし、だからこそそんな思いをして守ってくれること、崖っぷちにいた自分をしっかりと立たせてくれたことがどれほどかけがえのないことか、他の誰でもない氷華梨だからこそ実感できることで、彼女の心が翔馬という存在に塗りつぶされていくのが目に見えるかのようなんですよね。
一方で、氷華梨だからこそ翔馬が自分以上にずぶずぶの泥沼の中に居るとわかってしまうから、彼がこれ以上沈んでしまわないように必死なんですよね。自分のことで精一杯で、自分を傷つけることに必死だった少女が、後半になるとその必死さを今度は翔馬に向けるようになるのです。自分を守ろうと、支えようと、押し出そうとした手を必死に捕まえて、顔をくしゃくしゃにしながら自分が上がった岸に引きずりあげようとする。
そう、二人共、お互いを守ろうとすることにとても必死で、余裕なんて一欠片もなくて、懸命なんですよ。その必死さが、全部を捧げるような想いが、とてつもなくかけがえない綺麗で神聖なものに思える。
この二人のそんな関係が、本当に胸を打つんですよ。すごい、好きなカタチだったんですよ。これぞ、純愛だよなあ。
幸せになっちゃいけないのだと思い定めていた二人が、育んでいく小さな幸せ。お互いを許し肯定するささやかな免罪符。
うん、こんなにも幸せになってほしい、と思ってしまったヒロインは久々だなあ。

今回主に描かれたのは翔馬と氷華梨でしたけれど。その他のキャラクター。カナエと天野先輩や、キリカと理音にもそれぞれ能力にまつわる傷があり、それにまつわる物語があり、歴史があり、という感じなので彼らの話も見てみたいし、また未だ現れぬアルカナたちや、今回悪い役回りだった連中にもそれぞれ贖罪するべきナニカがあるんじゃないか、と思うので、これはシリーズ化を期待したい。

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente ★★★★  

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界2 amorosamente (ファミ通文庫)

【黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 2.amorosamente】 久遠侑/ はねこと ファミ通文庫

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……本当にやっと、生きることが楽しく思えてきたから。

文化祭、そしてノギハラとの件を経て、少しずつ変わってきた黒崎。本格的にピアノを習いたいと言う彼女を、僕は入谷市で行われるコンサートに誘うことにした。その奏者である青島未華子さんは、黒崎のお母さん、奏さんの教え子であることがわかり、黒崎との出会いを喜んでくれるのだけど、彼女は黒崎の両親の過去、そして二十年前の事件にも深く関係していたようで――。
第16回えんため大賞優秀賞受賞作、ドラマティック青春ストーリー第2巻、登場。
綺麗だなあ。
美しい世界、なんてタイトルにあげるからには相応の美麗たるものを、物語として示さないといけない心積もりはあったんだろうけれど、うん、このタイトルも納得の「美しい」純愛ストーリーだった。
主人公とヒロインの二人共が物静かな性格をしているから、凄く落ち着いた静かな雰囲気で物語は流れていく。静謐と言っていいくらいの雰囲気は、透明な情景描写や深々と丁寧に塗り重ねられていく内面描写と相まって、思わず目を閉じて情景を思い浮かべて浸ってしまうような美しさをそこに描き出していくのです。
かと言って、二人が浮世離れしている、というのではないんですよね。そこにある美しさは、人智を超えた手の届かない場所に描き出される美しさではなく、何気ない日常の中でふと目を留めた瞬間にそこにある手に届く美しさなんですよね。
人から外れた、神懸った美しさはそこにはもう無いのです。前巻、黒井くんとの交流にとって黒崎麻由を取り巻いていた神性は剥がれ落ち、今ここにある彼女は無垢で純粋な一人の女の子に過ぎず、誠実で生真面目な少年と紡ぐ純愛は、ちゃんと地に足がついたものだから、そんな彼ら二人が織りなす日常だからこそ、その美しさは静謐でありながら、どこか安心できる温もりを宿しているのでした。
二人は世界から孤立せず、仲の良い友人たちに囲まれ、そうした交流は新たな友人の誕生や、黒崎の母のピアノの弟子であるピアニストとの師弟関係、或いは姉妹と言っていいだろう関係の芽生えによって、ゆっくりと外へと広がっていく。
それは、過去に閉じこもろうとして今を閉ざした彼女が、生きたいと願って歩き出した彼女が、自分が望む未来の絵図をしっかりと描き始めた、その証左であるのだろう。一巻で、生を取り戻した少女が、大切な人たちと未来へと歩き出すのが、この二巻の役割だったのだろう。
そのために、もう一度彼女は自分の過去と向き合うことになる。図らずも、過去を今も引きずり続けていたピアニストとの出会いが、黒崎に彼女の知らない母の素顔を教えるきっかけとなり、もう一つの、もう一人の彼女たちの交錯点である、若くして亡くなった詩人の若者、幽霊として黒崎を見守ってきた青年の真実に触れることになる。過去と向き合う痛み、真実を知る息苦しさ、目の前に立ち塞がる現実。生きる勇気を得た黒崎に、それらは止めどなく降り注いでいくのを、黒井くんは自分に何が出来るのかを常に思い悩み煩悶しながらも、じっと見守り、支え、勇気づける。真摯な、想いだ。それはとても純粋で、懸命で、一途な想いだ。
静謐で決して言葉を多く費やさない、しかし万感の想いが往還するとても情熱的な純なる愛情。眩しくも、ずっと見守っていたいような、とても綺麗で美しいラブストーリー。ある程度、一巻で物語は形を得ていたのかもしれないけれど、めでたしめでたしではなく、これからも彼らの歩みがいつまでも続いていくために、この二巻は必要だったのでしょう。そう思わせてくれる、終わりとはじまりの物語でした。

1巻感想

偉大なる大元帥の転身 出直し召喚士は落第中3   

偉大なる大元帥の転身 出直し召喚士は落第中 (ファミ通文庫)

【偉大なる大元帥の転身 出直し召喚士は落第中】 竹岡葉月/ともぞ ファミ通文庫

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平凡な中学生だったケータが、異世界ディルスマグナに召喚されて早三年。フレッドフォード召喚学院に通うケータには、ある秘密があった。それは彼が魔王の腹心、大元帥ヴェーレスとしてかつて名を馳せていたこと! ヒトと魔族が和平を結んだ後、正体を隠し、強大な魔力を封じて元の世界に戻る方法を探すケータだったが……。ヒトの操る精霊召喚術はうまく発動せず、討伐するべき魔物はこっそり逃がし、ついた渾名は、任務達成率ゼロパーセント。しかしそんなある日、優秀な生徒だけを集めた遠征調査隊のガイドに任命される。その行き先はなんと、魔王軍の戦略拠点要塞ベルタ――元自分の城で!? 魔王の腹心が、落ちこぼれの戦術召喚士にジョブチェンジ!? 波乱尽くしの出直し異世界転戦記、堂々開幕!
この人に限らないんだけれど、超ベテランの粋に達している作家さんが流行りのジャンルに手を出しても、この流行が初乗りの人たちと比べるとやっぱりちょっと話の雰囲気、というか根本からの話の作り方が違うんですよねえ。基礎構文が異なっているというか。ベーシックとなる部分がこれまでの蓄積からなる経験によって形成の仕方、積み上げていくやり方のルールが違うんですよねえ。なので、同じような話の展開や構図だったりしても、独特の気配を纏っている。
……面白い。

しかしこれ、魔王軍の大元帥から落ちこぼれ学生に転進、というと思惑あっての事ならまだ格好つくのですけれど、実際の様子を見てると……殆ど家出だよなあ(苦笑
気持ちはわかるんだけれど、拗ねてるようにしか見えない可愛らしさが透けて見えてしまう。魔王さまの思惑が、そもそもどうして人間サイドと戦争していたのか、などの理由もわからないので、どうして和平を結ぶつもりになったのか、という理由も全然想像……出来ないわけではないのだけれど、根拠となる情報がさっぱりだからなあ。そこは魔王さまの気持ちも察してあげなよ、とは言えないか。
僅かな登場シーンから窺い知る限りでは、どう見ても薄幸の病弱系美少女でしかない魔王さまなんだけれど、強力なカリスマ性とかリーダーシップがある方には見えないので、やっぱりケータがやり過ぎてしまったんだろうか。いずれにしても、魔王さまと最終目標のすり合わせ、みたいなのが出来てなかったのは確か。ケータからすると、魔王さまの為に頑張ってきたのに、少なくとも魔王さまが望んでいると思ってその方向に頑張ってたのに、突然ハシゴを外されてしまったのだから、まあ不貞腐れる気持ちはわかるんですよ。そこで、クーデターだとか本意を問い詰める為に殴りこみだ、とならないあたり健全なのか、子供っぽいのか。子供っぽく見えるからこそ、家出に見えちゃうんだけれど。
だいたいさ、あの条件ってどう考えても最初に条件を出された段階で条件クリアされてますよね?
ぶっちゃけ、後続出演のヒロイン二人ではちょっと条件クリアできてるとは思えない。色々あって、好感持たれだしているんだろうけれど、さすがにあの条件をクリア出来てるとは思えない。だとしたら、その条件クリアしてるのって、条件を提示してみせたあの人としか思えないんですよね。
そう考えると、拗ねてないで戻ってちゃんと話しあおうよ、と言いたくなるわけですよ。あの魔王さま、どうにも言いたいことをグッとこらえて胸に秘めちゃうタイプに見えるし。拗ねて実家に帰る、と言い出して飛び出そうとする男の子に対して、引き止めることの出来るようなタイプに見えないんですよね。でも、直接言わないけれど、何もしないわけではなくて凄く遠回しにあれこれしたり、アピールしたり、と面倒くさい人っぽいんだよなあ。和平だってさ、先に大元帥に言っとけよ、てなもんでしょ? それを、直接言わないで先に人間側と話まとめちゃって、結果だけ見せてハイ終わり、とかあれ問答無用で結果出して止まらざるを得ない状況を用意しないと、ケータに止めて、と言えなかったんじゃないかしら。
自分、そういう面倒くさいヒロイン大好物なんで、あんまり放置しないでかまってあげて欲しいんですけどねえ(苦笑

終始ギスギスしたままで、本当に追いつめられてから素の顔を剥き出しにしないと生き残れない状況で、やっとキャラが立ってきた学園の実力者たち。逆に、次からは最初から生死の境を一緒にくぐり抜けた戦友たち、としてある程度気心の知れた状態で始まるので、男女問わずキャラがたくさん出てきましたけれどけっこういい感じの仲間たちとして動けるんじゃないかしら。
その意味では、ライラが戻ってこれなかったのは地味に痛い気がする。学友たちを心配して危険も顧みずに戻ろうとしていたのに、あれだと一緒に死にかけた他のメンバーたちとちょいと差が出てしまうのではないかと。いい子なだけに、ちと心配。

竹岡葉月作品感想

黒鋼の魔紋修復士<ヒエラ・グリフィコス> 134   

黒鋼の魔紋修復士13 (ファミ通文庫)

【黒鋼の魔紋修復士<ヒエラ・グリフィコス> 13】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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ディヤウスとしての己の出自を知った上で、その手でメルディエトを葬ったディー。彼の苦悩を包み込むかのように、ヴァレリアはディーと結ばれる。一方その頃、カリンと決着をつけたいと願うダンテと、ついにルオーマに直接攻撃をかける用意を整えたルキウスとオルヴィエトはユールローグを出立する。それぞれの相手を迎え撃つべく、カリンが、シャキーラが、そしてディーとヴァレリアが最後の戦いに臨む!大人気ファンタジーアクション、堂々最終巻!!

結ばれちゃってたんかーー! しまった、あそこから勢いで雪崩れ込んでしまってたのか。若いなあ。いや、ディーといえど身内を手に掛けた衝撃を受け止めるのに、ヴァレリアの愛情を肉の感触として必要としたのは仕方ない事なのか。元々覚悟を決めていたディーだけれど、家族だったルキウスとオルヴィエトに対するのに今回まったく動揺しませんでしたからね。その意味では、ディーにとっての至上をヴァレリアに揺るぎなく固定するのに、これは必要なプロセスだったのかも。
いやしかし、今に至ってなお、ディミタールとヴァレリアがこんなに情熱的なラブロマンスへと揺蕩う関係になるとは信じがたい結果ですよねえ。
第一巻を読んだ時の感想で自分、こんな風に書いてるんですよ。
ここから、二人に恋愛感情が芽生えるとか、まるで想像できんな!! あり得んよな!! あり得んだけに、見たくはなるんですけどね。想像できないだけに、そうなっていく時の過程がまた面白そうなんですよねえ。
まあ現段階ではやっぱり無いよなあ、というレベルの断絶が二人の間には横たわっているのですけれど。いやあ、無いよなあ。

ここから、あれだけどうしようもないくらい険悪だった段階から、本当にロマンスに至ったんだから本当にすごいですよ。それも、安易に一足飛びにではなく、一つ一つ積み重ね、徐々にお互いへの認識を変えながら、ですからね。まさに、険悪な仲から家族も国も敵に回しても構わないというほどの深い愛を抱くまでの過程を、余すことなくじっくり丹念に描き切って見せたのだから、感嘆の吐息をつかざるをえません。
その代わりと言っては何なのですけれど、一番可哀想だったのはやはりルキウスでしたね。彼自身、何も悪くはなかったのに、兄弟同然だったディミとたもとを分かつことになり、覚醒してしまうことで元の人格も殆ど変わってしまって、敵という立場に置かれてしまったわけですしね。
彼の真面目でちょっと苦労性で優しくて、イザーク王子に振り回されながらもテキパキと有能に仕事をこなしていくキャラクターは好きだったので、やはり可哀想だったなあ、と思ってしまうところであります。尤も、彼の性格からしてそんな運命ですら、割りきってしまった後となると粛々と受け入れてそうなのですが。いかんせん、彼には欲というものが良くも悪くも薄かったんだろうなあ。せめて、ティアルの想いに答えて忘れ形見を残してくれただけでも、良かったのか。

こうしてみると、色んな所で家族仲が深まったり、カップルうまく行ったりとわりと全体的にハッピーエンドなんですよね。
ついに全身鎧ガチャピンクから姿を現し、その容姿をイラスト化してくれたベッチーナ。以前、イザーク王子がその中身を覗いて驚いてたのって、そういうことだったの! イザーク王子も一目惚れだったの!? なるほど、それで自分以外顔見せないようにもっかい鎧の中に押し込めてたのね。
まさか、この世界でも有数の美少女だったとは。イラストの方も本当に可愛く描いてくれていて、嬉しい限り。まさに玉の輿で、ちゃんと正式にイザーク王子との婚約にまでこぎつけるに至るとは思わなかった。でも、頑張ってたもんねえ。
一番驚いたのは、カリンの好きな人でしたが。ちゃんと他に好きな人が居る、と言っていたけれど、まさかねえ。そう、好きな人が居るのに、自分に対して因縁を晴らそうとするダンテとちゃんとケリをつけに行ってあげるあたり、あれは優しいというよりもカリン男前って言うべきなんでしょうねえ。
いやしかし、まさかあの人だったとは。言われてみると、カリンの登場時からあれこれと絡んでいるので、そ、そうだったのかー、と思ってしまうんですけれど。でも、恋愛感情があると知ってるのと知らないのとでは、あれらの接触、見ても全然意味の捉え方変わっちゃいますよねえ。
ラムピトーもクロチルドも、順調に思いを遂げれそうですし、最大の問題は先送りとなり子孫にお任せとなっちゃいましたけれど、そこまで面倒は見きれんですし、概ねハッピーエンドだったんじゃないでしょうか。
長いシリーズでしたが、それに見合う濃厚で読み応えのあるストーリーで、大満足。次回作も既に準備済みということで、実に楽しみです。

シリーズ感想

魚里高校ダンジョン部! 2.軍艦迷宮の幽霊部員 4   

魚里高校ダンジョン部!(2) 軍艦迷宮の幽霊部員 (ファミ通文庫)

【魚里高校ダンジョン部! 2.軍艦迷宮の幽霊部員】 安歩みつる/ 冬空実 ファミ通文庫

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守護神を得て、ダンジョン部へ復帰したタツマ。部も一つにまとまり、夏はついに始まった!しかし地区予選の初戦、魚里高校の弱点が露呈してしまう。それは司令塔の不在。甲子園へ勝ち進むため、とある幽霊部員の元を訪れたタツマだったが…。突然休部したという司令塔、毎夜コンビニに出没する謎の痴女、そして封印された死と災いの廃墟『軍艦迷宮』。幽霊部員の謎と真実は、最凶最悪の迷宮に隠されていた!ダンジョン攻略×熱血青春物語、第二巻登場!!
あー、二巻にとりかかる前に打ち切り決定だったのか。うーん、熱血青春物語という謳い文句通り、実際熱い物語で若い連中が一つの目標に向かって打ち込む、というのは部活もの、スポーツものっぽくてよかったし、手に汗握る面白さだったと思うんだけれど、いかんせんダンジョン競技というもの自体がしっくり馴染まなかったんですよね。野球に合わえて見立てているポディションだのも、何が野球と共通しているのかよくわかんなかったですし。ウェブ版は読んでないのでどうなってるかわかんないのですが、少なくとも一巻でもこの二巻でも、最大の盛り上がりどころは試合じゃないガチでの実戦でのダンジョン攻略戦であって、競技としてのダンジョン攻略は結局見どころらしい見どころを描けないまま終わってしまっている、という点に尽きるんじゃないでしょうか。基幹となる設定がうまく使えてなかった、という感があってはなあ。
むしろ、試合じゃないガチのダンジョン攻略戦がちゃんと面白かった分、変に捻らずに競技にするにしても野球なんかに引っ掛けない通常のダンジョン攻略にまつわる競技にすればよかったのに、と思っちゃったもんなあ。

ともあれ、今回のお話、最初に読んでいる時は単に休部している優秀らしい幽霊部員をどうやって引き戻すか、という実に部活モノらしいお話かと思って油断していたので、途中から明らかになるヘヴィーすぎる重たい展開にはかなり度肝を抜かれたし。
全然予想だにしていなかったんで、タツマが真相にたどり着いてしまうまでこっちも全然気づかなかったですしねえ。
そして、クライマックスの激戦は見事の一言。作中時間としてはほんの数分にも満たないはずなんだけれど、あれほど濃厚に二転三転する白熱した展開に、激しく上下動する感情の盛り上がりを凝縮して詰め込みまくってましたからね。この手のスピード感をバトルシーンでギュッと詰め込んで描ける描写力は、一つの武器となりますからね。
タツマのみならず、前回からバーン先輩やアイアン先輩といった上級生組の見せ場が熱すぎです。こういう男臭さも希少なんだけれどなあ。
しかしこの作品、カヤやウィリスといった正統派ヒロインよりも、オルタ様やカエデさんみたいなある意味イロモノに類されるような娘たちの方が圧倒的にヒロインとして存在感示しちゃってるのは、面白いなあ。

1巻感想

ヴィランズテイル 有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫4   

ヴィランズテイル 有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫 (ファミ通文庫)

【ヴィランズテイル 有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫】 綾里けいし/リラル ファミ通文庫

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「私を、食べて欲しいんです」怪物の安寧を壊したのは“食糧”志願の少女だった――。

食糧と書かれた宅配便に入っていたのは『淑女』と名高い同級生、白咲初姫だった。姉を殺し内臓を食べた人物に自分も食べて欲しいという。彼女は『有坂家【モンスターファミリー】』次男である俺、有坂有哉が犯人だと言い、自分を食べろと居座り始めた。折しも俺は兄妹の部屋から誰かの内臓と手首を見つけてしまい……。それでも俺は家族を推定無罪とし、平穏を守るべく、初姫が納得する別の犯人探しに乗り出すが――。青春を生き抜く悪役たち【ヴィランズ】の学園ミステリアス・エンタテイメント!
これは見事にミスリードされたじゃありませんか。有坂家の面々の異常性って、最初なんかキャラ作っているみたいな浮いた滑稽さを感じていたんだけれど、有坂家にまつわる真相が明らかにされてから彼らの言動を振り返ると、途端にぞっとするほどの生々しさを鼻面に突きつけられる。彼らがそうであることに、迫真を感じてしまったのである。その、なんとおぞましいことか。納得、得心、腑に落ちる、本来そんなもの、感じてはいけない領域に至っているのに。
これが怪異譚だったなら、異能ものだったり、伝奇ものだったりしたならむしろ救いがあったのかもしれない。「早く人間になりたい」という願望は、人間でないからこそ願えるのだ。ならば人間でありながら人間になれなかった者は。人間にしてもらえなかったものは、どうやって人間になればいいのだろう。
真っ暗な闇を覗いてみたつもりが、そこにあったのは闇どころではない底なしの深淵だったなんて、笑い話にもなりゃしない。滑稽を通り越して凄絶ですらある。主人公の有哉が殊更脳天気に、楽天的に、享楽的に、どんなグロテスクな事柄も浅薄に、冗談交じりに、茶化すように語る姿は、最初は随分と安っぽくみえたものだったけれど、今にして思えば必死さすらうかがい知れる。ともすれば切れ落ちそうな均衡を、辛うじてそうやって保っているような、そうでもしなければ容易に脆く割れ砕けてしまいそうな、危うい瀬戸際を綱わたっているような、そんな気すらしてくるほどだ。
だからこそ、そんなヒビ割れたガラスみたいなところに、釘バットをブンブン振り回しながらスキップして突っ込んでくるような初姫のアプローチは、今にして思うと無茶苦茶で、どれだけ有哉が肝を冷やしたか寒気がしてくるほどである。でも、面白いことにそんなずかずかと踏み込んできた初姫の遠慮のなさ、傍若さこそが有哉の冷えた肝を、逆に据わらせたと言えるのかもしれない。危機感こそが、尚更に彼に覚悟を決めさせたのかもしれない。愛していても信頼出来ない家族の中で、自分を含めて誰も信じられない中で、そんな彼女だけが信じられたのか。初めて、信じる人が出来たのか。悪役でしかない自分たちに、人間の中に居場所のない自分に、初めて安らぐ場所を与えてくれた人。
何の事はない、これもまた、これほどにグロテスクで人間のもっともおぞましい部分をさらけ出す物語でありながら、異常にして異端にして破綻して既に破滅した怪物たちの末路でありながら、
眩しいくらいに綺麗なピュアラブストーリーなのだ。
底なしの深淵に首まで浸かった救われようのない悪役たちの話でありながら、彼らが幸せを求めて良い物語なのだ。
さあ、目指すは極々平凡な日常のごときハッピーエンドだ。

綾里けいし作品感想

黒鋼の魔紋修復士 12 4   

黒鋼の魔紋修復士12 (ファミ通文庫)

【黒鋼の魔紋修復士 12】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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教えてやろう。“ディヤウス”として生まれた意味を。

オルヴィエトの命により、各国の拠点破壊と神巫襲撃を続けるユールローグ一派。
それに合わせるかのように、ディーはかねてより自分を苦しめる悪夢の真実に気づき始める。
予断を許さない状況の中、ディー、ヴァレリアを含めたアーマッド首脳陣を招集した国王とシャキーラは、
ついに神聖同盟とレドゥントラの、本当の歴史について語り出す。
一方、虚無に囚われ圧倒的な力で殺戮を続けるルキウスにも変化が訪れ――。
真実、歴史、そして宿命が翻弄する第12巻!


なるほど、なるほど、そういう事だったのか。今までずっと謎だったオルヴィエトたちの目的とその動機が、アーマッドを始めとする国々が継承していた秘密や神巫の成り立ちとともに明らかになったことで、これまで意図がわからなかったり、意味が捉えられなかった出来事や言動がほぼ明快になったんじゃないだろうか、これ。ルキウスがどうしてあんな風になってしまったのか。なぜ、ディーが母親から殺されそうになったのか、についても明確な答えが。これは、どちらが悪とかそう単純な話ではないんだけれど、過去においては人間たちが、今においてはオルヴィエトたちが、様々なものを踏みにじってるんですよね。これで、ディヤウスとやらがまったく情を持たない存在だったとしたらもうちょっと割り切れるんだろうけれど、人間の持つ感情や価値観とは異なる理を持って動くのだといいながら、オルヴィエトにしてもメドウにしてもディーに対してちゃんと情らしいものを持っているだけに、決別せざるを得ない状況にやるせなさを感じてしまう。シャキーラとオルヴィエトにしても、本当にその間になんの友情もないままだったのか。その突き放せない、割り切れない繋がりこそが、この先のルキウスの対決に憂鬱さを抱かせる。ルキウス当人は元々すごく良いやつだったし、ディーとの友情や親愛は本物だったのに、その身の上やディヤウスに覚醒したことで立ち位置や価値観が変わってしまったが故に敵対することになってしまったけれど、彼個人には悪いところは何もなかったもんなあ。それでも、まだ本当に別人になってしまったのなら、人格から変わってしまったのなら割り切れるかもしれないけれど、ディヤウスになったからといって人としてのすべてが失われてしまうのかというと、オルヴィエトたちが緩やかながらそうと言い切れない態度をとっていることからしても、決して絆は全部切れてしまったわけではないのだろう。それが辛い。もう二人共、殺しあうことを覚悟し確信しているからこそ、尚更に。
もう、ディーは選んじゃってるしね。
人として、すべてを賭して守るべき、手放せないものをもう見出してしまっている。ヴァレリアとの関係、もっとラブラブになるかと思ってたんだけれど、嬉野さんのラブストーリーって意外とこう……愛が重たいのよね。【戦争妖精】の常葉さんとの恋愛や先生と叔父さんのそれもそうだったけれど、恋だの愛だのに浮かれている余裕がなくて、切実であり切羽詰まっていてそれ故に必死なんですよね。だからこそ、力強いとも言えるのですけれど。
素朴な正義感の持ち主で、国の事情や理不尽さによる不誠実さ、間違ったことに対して嫌悪を抱くような濁を飲むのが苦手であるヴァレリアが、ディーが傷つくと感じたら自ら手を血で汚すことを厭わないような、あの覚悟ですらない必死な想い。ヘヴィーな愛ですよ。
ヴァレリアって、もっと頭軽くて脳天気でふわふわしていたのをディーにメタクソに叱られ嫌味言われて怒られて、涙目でグギギギと悔しがっているのが当たり前だった娘さんだったのに。恋に恋するような女の子だったのに。
いざ本当に愛する人が出来てしまったら、ここまで女っぷりをあげてくるとは。もう、少女じゃないですね。神巫としての自覚や成長も著しかったけれど、ソレ以上に女として幾つも階段をかけあがってしまった。それが眩しくて、少し悲しい。
まだまだ二人して傷つくことが多く待ってイそうなんだけれど、なんとか二人には幸せになってもらいたい。切実にそう思う。
カップルというと、ベッチーナやクロチルドなど、わりとうまくいきそうな組み合わせがいるのに対して、カリンあたりはどうなんだろう。あとがきで、彼女には好きな人が居る、と明言されているんだけれど……。まーちゃん枠がこの作品にも存在するのにはびっくりしましたけれど。シリルとのあれは、読んでて変な声が出てしまった。クロチルドといい、けっこうイイ趣味してる人たちがいるものです。

シリーズ感想

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 3   

黒崎麻由の瞳に映る美しい世界 (ファミ通文庫)

【黒崎麻由の瞳に映る美しい世界】  久遠侑/はねこと ファミ通文庫

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高校入学の日から、彼女の異様な大人しさは僕の印象に残った。誰もが気になって仕方ないほどの存在感を持ちながら誰も触れられなかった彼女―黒崎麻由。文化祭の準備の中、僕とのささいな会話をきっかけに、黒崎は少しずつクラスに迎え入れられていくのだけど、彼女には僕たちの知らない影が寄り添っていて…。そんな彼女のそばに、僕はいたいと思った―。えんため大賞優秀賞、美しく危うく脆い二人の「黒」が織り成すドラマティック青春ストーリー。第16回えんため大賞優秀賞。
むー、これはこれは。一人のキャラクターの印象が読んでいく間にこれほど劇的に変わっていくのを見たのは、なかなか無いですねえ。冒頭、ヒロインである黒崎麻由は間違いなく人の枠から外れていました。クラスメイトたちから遠巻きに見られている中で超然と存在し続けた彼女は、人が触れることを畏れる存在でありました。それはきっと、神性といわれるたぐいの性質。少なくともぼっちだとか孤独や孤立という括りに収めることが途方も無い見当違いというべき在りようでした。
と、そう思い込んでいたのは果たしていったい誰の幻想だったのか。
その黒崎麻由のまとっていた神性は、一人の少年が誠実さ故にかけた恐れ知らずの一言によって、ほろほろと剥がれ落ちていったのです。
或いはその一言によって、差し伸べられた手によって、彼女はようやく現実の世界に顕現したのかもしれません。黒崎麻由という神懸ったナニカだったものは、その時を境に纏っていた神性という天の衣をほろり、ほろり、と落としていきました。そうしてヴェールの奥から見えてきたそれは、超然としているわけでもクールに心を整えているわけでもない、ただ世間知らずと言っていいくらいに無垢で幼い心を持った一人の少女に過ぎなかったのです。
彼女自身は最初から何一つ変わっていなかったのでしょう。ただ、周りからの扱いが、見る目が、変わっただけ。ですがこの時を境に、誰にも触れられることなく穢れを知らず奉られていた神性なるモノが、彼に触れられることでただの人になったのです。とはいえ、誰にも触れられることなかった彼女は、その年頃としてはあまりにも無垢で、純粋で、心根の幼いままでした。幸いなことに、彼女を人にしてしまった黒井くんを始めとする黒崎麻由に関わると決めた人たちは、その幼さ純粋さを傷つけることなく、優しく見守り導くことのできる人たちでもありました。
突然人になり、どう振る舞っていいかわからないであろう黒崎麻由を、本当の意味でただの女の子へと変えていったのは、白石さんや美黄川たちの功績だったのでしょう。
そうして芽生えた黒崎麻由の少女としての心が、気がついたのはいつも自分を優しく見守る視線。いつの間にか追い求めていたのは、自分を皆のもとに導いた言葉をくれた男の子の姿。差し伸べてくれた手の主。それはいつもさり気なく間近にあって、だからこそ離れがたく感じていた。
動く心すら持たないように見えた彼女から垣間見える、黒井くんという存在に対しての純粋な想い。ただの女の子として振る舞うことになれていないからこそ、無垢で偽りを知らない姿は、とてももろく儚げで、なるほどだからこそ美しい。壊れやすく傷つきやすく、しかし人になった今でも、女の子になった今でも揺るがない芯が、強さが惹きつけてやまないヒロイン。彼女の姿を追っているだけでも、色々と感じることの多い作品でした。
惜しむらくは、主人公である黒井くんの方に、愛嬌というか面白味が乏しいことか。でも、彼の生真面目さと、黒崎麻由の純真さは相性良いから、もしこのまま純愛ものへと突き進んでいくのなら、これはこれでアリとも思うんですけどね。彼の堅さは、黒崎麻由のピュアな可愛らしさをちゃんと引き立たせてくれると思うし。

創世のエブリオット・シード 平和の守護者 1 4   

創世のエブリオット・シード 平和の守護者1 (ファミ通文庫)

【創世のエブリオット・シード 平和の守護者 1】 池崎数也/赤井てら ファミ通文庫

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超常の力をもたらす『ES』に適合し、能力を得た『ES能力者』。彼らの存在は少数ながら、世界のパワーバランスの一翼を担っていた――。
そんな超常者達が集まる訓練校に入校を果たした河原崎博孝は、自分の力で空を飛ぶ事に思いを馳せるのだが、彼一人だけが能力を発現できず、同期生からは劣等生のレッテルを貼られてしまう。さらに、小隊を組む事になったメンバーはある問題を抱えていて――!?
新たな次代を担う者たちの創世の物語、堂々開幕!!
やっぱり、この作品もネット小説だったか。いやね、入学してからこっち事件らしい事件も起こること無く、ゆっくりじっくりES訓練の教育課程が描かれてくんですけれど、これが本当に懇切丁寧なんですわ。ああ、これは元々ネット小説だった作品だなあ、というのがこの辺りでわかるんですよね。どうしても最初から商品として創りだされた作品というのは、早々に読む人に食いつかせる釣り餌となる派手な、そうでなくても特徴的な何らかのイベントをどうしても盛り込まないといけない、みたいなんですよね。そうでなくても、一巻でひと通りの起承転結はつけないといけないし、見せ場となる盛り上げどころを設けないといけない。物語だって、最初なんだからバーンと打ち上げて動かさないといけない。
ところが、ネット小説だと何の制約もなく自分の好きに書いていいモノですから、そりゃもう好みによっては微に入り細に穿つまでとことん丁寧に描写し続ける人だっているわけだ。これ、下手を打つとダラダラ話も進まずどうしようもなくなるモノや、延々状況描写ばかり続いて物語として成立してないようなのも出てくるんだけれど、時として丁寧であり細かいところまで行き届いた描写であるからこそ、特に派手な展開でなく地味に石をコツコツ積み上げていくような話であっても、やたら面白くなる事があるんですなあ。これは、ネット小説だからこその特色なんでしょう。少なくとも、最初から売り物として書かれた作品に、この手の進行の遅さを垣間見ることの出来るモノはちょっと覚えがない。
本作なんか、もう延々と訓練ばかりで一度実地訓練で初陣は経験するものの、曰くのある敵と交戦するわけでも強大な世界を揺るがすようなバケモノと戦うわけでもなく、単にその辺のやや手強めのザコ敵と偶々ぶち上がるだけ、というくらいで、全くと言っていいくらい派手な展開はない。皆無。訓練の内容も、地道の一言。いやでもこれが、なかなか訓練過程としては実直なもので、訓練教官もいかついオッサンなんだけれど、変に若い姉ちゃんじゃない分、言動や考え方に威厳や重みがあって、頼りがいのある尊敬できる先生って感じなんですよね。その教育方針も、よくよく考えられていて、訓練生への声のかけ方、扱い方一つに至るまで考慮を重ねられたもので、地味ながらこれを読んでいるのが意外なほど面白かったのです。
メインとなる博孝と恭介のコンビが二人共お調子者のムードメーカーで、終始明るく作品の雰囲気を盛り上げてくれていたのも、読みやすかった要因なのでしょう。同時に、二人共お調子者でお馬鹿でありながら、しかし考えなしのバカではなくて、むしろ思慮深く賢明な人物で決して人間関係にしても訓練過程に関しても、停滞させたり無意味に場を混乱させたりしないんですよね。だから、彼らの明るさに引っ張られ、彼らの賢明さにスムーズに背を押され、地味ながらも飽きもせず物語の丁寧な描かれ方を楽しむことが出来たわけです。
特に博孝は、能力が発現しないにも関わらず、めげることなく頑張り続ける努力家でひたむきな面もあり、頼もしいリーダーとしての資質も開花させていくのですけれど、やっぱり徹底してお調子者のスチャラカなノリを崩さないので、主人公として実に好感持てる奴なんですよね。この子は、好きだわあ。
本格的に物語が動き出すのは、恐らく次巻以降となるのでしょうけれど、これだけ地道に基礎となり土台となる部分を建築されると、そりゃあやっぱり先々どれだけ面白くなるかは、自然と期待してしまいます。まあ問題は、やはりスロースターターという事になるんでしょうね。

見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに-3   

見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに- (ファミ通文庫)

【見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに-】 佐々原史緒/せんむ  ファミ通文庫

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多くの犠牲と謎を残し、砂の巨人となり滅びたペルスカ。その黒幕と思しきリベカを警戒し、ヨシュア達は太守ダルタスを護衛してルステラへ赴くことになる。だが現れたのは偽教師だった破戒神官。そして彼女を追って、雷凰の対・雷鳳の少年が襲来する!神々の禁忌を犯したリベカを捜しているという彼は、人と神魔の婚姻もまた禁忌だと告げてきて―。「リベカ様を助けて」と願う敵と明かされる神魔の秘密を前に、ヨシュアが選ぶ道は!?シリーズ堂々完結!!
幕間におけるリベカの回想を読んでると痛感してしまったのだけれど、リベカが抱えている家族への執着、殺された姉やその姉から託された弟であるヨシュアへの偏執的なまでのこだわりは、結局とうとう最後までヨシュアには理解されなくて、違う言語で喋っているような噛み合わなさのまま終わっちゃってるんですよね。いや本当に哀れ。
これはもう、それぞれの立っている時間が全く異なっちゃってるんですよ。リベカは過去にしがみついて過去という位相から喋っているのに対して、ヨシュアは現在に立ち未来の方ばっかり見ているから、リベカの声は聞こえてもそこに込められている過去という位相にしがみついた情念については観測できてないのよ。だから、リベカが何を考えているのかサッパリわからない。
でも、仕方ないのよ、これ。ヨシュアはさ、今新婚ホヤホヤなのよ。可愛い新妻とイチャイチャしながら、家族計画立ててるのよ。二人の未来に向けて一緒にあれこれ楽しい苦労をしながら積立ててってる最中なのよ。さらに、そんな新婚生活や将来にむけての展望を、支えてくれるトモダチも出来て、今は現在と未来に対して精一杯であり夢中であり、後ろ振り返っている暇なんてないのですよ。今が旬の新婚夫婦に、小姑が呼んでもいないのに首突っ込んできて、応援してくれるどころかいちゃもんばっかりつけてきた挙句に、昔はああだったこうだった、と茶々入れてこられても、耳に入るもんですか。
それでもヨシュアとしてもリベカは家族だし、姉弟だから気にかけますけれど、前提が違うことを理解してないから、お互い噛み合うもんじゃなし。そのまま、全く歩み寄ることなく、そもそもボタン掛け違っている事にすら気づかないまま、終わってしまったのはやっぱり憐れな話です。
しかし、ことヨシュアとスーリィンの結婚生活に視点を移すなら、お互いに愛し合いながらも人間と神魔という種族の差によるしがらみとわだかまりが多少なりとも意識の端にこびりついていたのを、神魔位階第一との直接対面によって一気に吹き払ってしまいましたからね。もう何の憂いもなくなったわけですから、素晴らしきハッピーエンドじゃないんですかね。
なんかなー、単に事実を客観的にみるならば上級神魔の黄昏って感じの世界の流れで暗い雰囲気になりそうなものだったんだけれど、スーリィンの解釈と大言壮語がもう突き抜けてて、素晴らしく楽観的で、なんだかその終わりはとても素敵な事なんじゃないかと思えてきてしまいました。ほんと、大した嫁さんですよ。確かに上級神魔の歴史は終わっちゃうかもしれないですけれど、それが一つに交わって先へ先へと新たな形で繋がっていく新たな世界の形が出来上がるのだとしたら、その成り立ちが幸せによって生まれるのなら、やっぱり偉大なるハッピーエンドなんじゃないでしょうか。
まあその偉大なるスタートが、留年によってはじまるというのは、やっぱり憐れなんですけれどw
当初は、一人だけ年かさという主人公のヨシュアが、幼い子供たちの保護者役、牽引役となる不思議な配役のお話だなあ、と思っていたのですけれど、いつしかちびっ子たちがヨシュアとスーリィンのかけがえの無い仲間となり、生涯の友となり、導き役となり、支えとなっていたのには、今更ながら人間関係って面白いなあと頷くばかりでした。あの子たちと、こういう関係になるなんて、ほんと最初は思いもしなかったもんなあ。
最後まで、色々と堪能させていただきました。面白かった。
諸般の事情から出版できなくなりそうだった短篇集が、どうやら電子書籍限定で出版されることになったそうで。ありがたい限りです。これ、こういうケース増えてくればいいんですけどねえ。

シリーズ感想

魚里高校ダンジョン部! 藻女神様と行く迷宮甲子園4   

魚里高校ダンジョン部! 藻女神様と行く迷宮甲子園 (ファミ通文庫)

【魚里高校ダンジョン部! 藻女神様と行く迷宮甲子園】 安歩みつる/冬空実 ファミ通文庫

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魔物の巣くう迷宮を探索し、ポイントを競うスポーツ、ダンジョン競技。その夢の舞台「迷宮甲子園」を目指し、名門魚里高校ダンジョン部に入部した須田タツマは、しかし純血のヒト族で何の能力もないという理由で、監督に退部を告げられてしまう。部への復帰を果たすため、ある女神に助力を求めた彼だったが、そこで出会った相手は―髪!?黒髪のみの女神の守護を、誤解で得てしまったタツマは…!?第16回えんため大賞特別賞受賞の熱血学園グラフィティ開幕!!
おおっ、ダンジョン探索をスポーツ化しているというだけあって、内容は完全にスポ根モノだ。
ダンジョン攻略をスポーツ化って最初意味がわからなかったのだけれど、なるほどこれは試みとしては面白いアプローチだ。甲子園とか言ってるだけあって、野球と同じ9人のチーム制。しかも、対戦形式なんだけれど、てっきり対戦というのだから実際に剣を交えて交戦するのかと思ったら、相手チームへの妨害はあっても直接攻撃を加えることは禁止されている、というルールは思わぬ着眼点じゃないだろうか。あくまでポイント奪取を目的としているあたりはスポーツらしいと言っていい。魔物を効率的に狩りつつ、相手チームが魔物を狩るのを進路を塞いだり攻撃を邪魔したりなどして妨害する、そのためには明確なチームとしての戦術があり、個々にポディションとしての役割があり、単なるステータスに寄らない頭の良さが必要であり、チームプレイが必要である、と。
息のあったコンビプレイが決まったり、試合を通じて選手としての殻を割って大きく成長していく展開といい、スポ根モノとしては、実に燃える展開がたくさんあって、面白かった。
ただもったいないな、と思ったのがこれ、単純に魔物をどれだけたくさん狩るか、という点にポイントが集約されていて、ダンジョンものではあっても「ダンジョン攻略」モノではないんですよね。罠を回避したり、謎を解き明かしたり、秘密の隠し部屋を見つけたり、特定のモンスターを限られた手段で倒してみたり、といったダンジョンを攻略する上での醍醐味、という点については殆ど省かれてしまっている。だから、いわゆる盗賊系のジョブはないみたいですし、魔物を倒して魔石をゲットする以外の、例えばユニークアイテムをゲットしたり、隠された秘宝をゲットしたり、謎を解いて新たなフロアを解放したり、ということで加点される、というのはないんだよなあ。
そういうじっくり腰を据えて時間をかける知的パズルゲーム要素はなく、あくまで制限時間にどれだけたくさん魔物を倒してポイントを貯めるか、という点取りゲーム、純粋に野球やサッカーのような球技寄りのスポーツということか。
能力も加護も持たないヒト族ということで、監督から排斥されてしまった主人公が、その資質を見ぬいた副監督から誘われ、気心の知れた仲間たちに支えられて再び立ち上がり、くすぶっていた二軍の連中とともに一軍のエースたちを倒してジャイアントキリングを成し遂げるために奮闘する、という王道といえば王道の、そしてハマれば間違いなく面白い燃える展開が、また素晴らしい。この主人公の子が真っ直ぐでひたむきで、気持ちのよい素直に応援したくなるピチピチした若人なんですよね。彼とともにコンビを組む天狗族の女の子と、リザードマンの親友がまた気持ちのよい連中で、そうなんだよなあ、スポ根ものというのは対象が思わず応援したくなるような、清々しい連中であるほど、試合展開が白熱していくほど燃えるものなんである。
そして、対戦相手が噛ませではなく、主人公たちが真っ向からぶつかるに相応しい王者であり、尊敬に足る大物であり、同時に主人公たちと同じ目線の高さから組み合える、同じくらいの泥臭さを持っていれば尚更に、試合は燃え上がるというもので、一軍の先輩たちがこれはまたこれで戦う相手として充分に熱くなれる気合入ったヒトたちであり、主人公たちの熱い気持ちをまっすぐに受け止めてくれる相手でもあったわけです。
そしてよくよく考えてみると、一軍ということは最終的には同じチームの仲間となる人達でもあるわけで、この人達と同じチームで戦えるようになるって、それはそれで燃えるなあ、と思ってたら、勿体ぶらずにラストのあの展開である。いやあ、全員これでもかというくらい株をあげまくるあげまくる。燃える燃える。
うん、面白かった。
藻女神ことオルタ様は、どう見ても毛羽毛現以外の何者でもないのですが、この人を喪女扱いはちょっと可哀想すぎるってもんでしょう。ちょっと重たい感じはあるかもしれないですけれど、健気で儚げで優しく思いやりがある大和撫子じゃないですか。毛だけですけど。
まあ、ギャップという点では氷結クール美女なウィリス先輩のキュートな素顔が一番でしたけれど。ちょっと表に出ないだけで中身可愛くないですか、この人。

ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ3   

ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ (ファミ通文庫)

【ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ】 志田用太朗/三月 ファミ通文庫

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鼓膜から脳へと、快感が駆け巡る―!聞こえてきたその理想の声に、俺は“ひと耳惚れ”をした。生まれつき人一倍耳が良かったせいで不遇な時代を過ごしてきたこの俺が、遂に出会った美声の君!その声の主だと思われる美少女を追ってノータイムで入った朗読部は、先輩も優しいし同級生のイケメンも案外いい奴…なのに、なんでトラブルばっかり起きるんだ!?第16回えんため大賞優秀賞受賞作、音利きで万事解決!超聴覚系スクールコメディ、誕生!!
むむむ、希少な方言少女の方言を聞いて気分を悪くするとは何事ぞ、と憤ってしまったのだけれど、どうやら誤解だったようでよかったよかった。露骨な方言、というかその喋る方言の地方の印象をそのままキャラに当てはめているようなキャラはあんまり好かないのですけれど、あくまで方言とキャラの性格を別としているのなら、ヒロインの使う方言というのは素晴らしいチャームポイントになると思うんですよね。個人的には中国から四国らへんのが好みだったりするわけで。伊予弁? いいじゃないですか、素敵です。ヒロインの子は、凄くはんなりとしていて、しゃべり言葉も使い方がキュートなんですよ。特に「だんだん」は使いドコロといい、良かったなあ。こんなんアクセント直さんでいいですよ、そのままの君で居て?
あらすじにはスクールコメディと表されていますけれど、実際は5つあるエピソード全部で日常の中で遭遇した謎を解いて、起こったささやかな事件を解決していく学園日常ミステリーでした。ミステリー研究会でも文芸部でもなく、朗読部でありながらなんで謎解きをやっているのかはそれこそ謎なんですけれど、当人たちは起こっている問題を解決するために動いていたら結果として現れた謎を解き明かす、という作業をしていた、という形になるので、決してミステリー小説バリに探偵になりきって謎解きをやっているつもりは特になかったと思うんですよね。音好くんも、全然探偵っぽくなかったですし。耳は良くても、頭がキレるタイプではなかったからなあ。基本的にみんなで情報を集め、意見を寄せ合い、わいわいやっているうちに、例えば音好くんの耳が良いという特徴が役に立って真相にたどり着いたり、というように一人の頭脳が冴え渡って複雑に絡み合った謎を快刀乱麻を断つがごとく解き明かす、というスタイルではなくて、みんなで知恵を寄せ合い、足で稼いで答えを見つけ出すというスタイルのお話だっただけに、終始和やかな雰囲気だったように思います。全然肝心の朗読はしてませんでしたけれど。
しかし、途中まで実は保健の先生のえみさんが真ヒロインじゃないのか、と疑ってしまうくらいの音好くんとの絡みの多さはなんともはや。向日葵さんが素顔を明らかにするまで結構間がありましたからねえ。方言少女というのが発覚してからは、ギュンギュンとプッシュされてはきたのですけれど。相方となる友くんはトモくんで、実は女じゃないの?という疑惑が終始つきまとってましたし。ラブコメ、というにはそっちの空気はちょっと薄かったか。

この恋と、その未来。 一年目 春 4   

この恋と、その未来。 -一年目 春- (ファミ通文庫)

【この恋と、その未来。 一年目 春】 森橋ビンゴ/Nardack ファミ通文庫

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『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー登場。

超理不尽な三人の姉の下、不遇な家庭生活を過ごしてきた松永四郎。その地獄から逃れるため、新設された全寮制の高校へと入学を決めた彼は、期待を胸に単身広島へ。知らない土地、耳慣れない言葉、そして何よりもあの姉達との不条理な日々から離れた高揚感に浸る四郎だったが、ルームメイトとなった織田未来は、複雑な心を持つ……女性!?
四郎と未来、二人の奇妙な共同生活が始まる――。
『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー。
これはまた、難しいテーマで挑んできましたね。性同一性障害で女性でありながら自分は男であるという意識を持つ少女織田未来と、彼女ないし彼と寮で同室にされ、一緒に生活する事になった少年松永四郎の恋物語。
帯のキャッチコピーも、
「恋は、ココロでするのだろうか? それとも、体でするのだろうか?」
と、なかなかに考えさせられるものとなっている。
基本的に、性同一性障害とは肉体の性別と意識上における性別の違いからくるもので、その人の性的指向は関係ないとのこと。だったら、ココロは男であっても、男を好きになる、という同性愛は成立してもおかしくはないんですよね。でも、未来の側からはそれで帰結するとしても、逆に四郎の側からこの恋愛を見ると難しさが見えてくるんですよね。未来を女として好きなのか、男として好きなのか。この問題は決して小さくないはず。性的指向がノーマルであろう四郎は、勿論未来のことを女として好んでしまうのだろうけれど、でもそれは男であろうとしている未来にとっては、受け入れがたい……って、話はまだそういう段階まで進んでないので心配するのはもっと話が進展してからでいいのか。
今回は、衝撃の出会いから新たな学校での生活を未来と過ごすうちに、四郎が自分の恋を自覚してしまうまで。その明かしてはいけない、伝えてはいけない恋情を。
不思議なことに、ノーマルなはずの四郎の恋は、その秘めて明かさずと飲み込もうとする姿といい、どこか同性愛的な禁忌の蜜を感じさせる雰囲気になってるんですよね。それは、それだけ四郎が誠実に未来を男として尊重しようとしている証でもあり、こいつホントに良い奴だなあ、と溜息をつきたくなる。彼を選んだ未来の見る目は確かだったんだろうけれど、それがどれだけ残酷な顛末を導き出してしまったのか、さて未来はどれだけ気がついているのか。
その未来なんだけれど、果たして彼女は彼女で完全に「彼」と成り得ているんだろうか。この子の心が男を指向しているのは嘘でも偽りでもなく、真実そのものなんだろうけれど、同時にまだかすかに「女」の部分がかいま見える瞬間があるんですよね。性別の違和がまだ確定しているわけじゃなく、精神的に未分化の状態という可能性もありそうな……。まだカウンセリングでも性同一性障害ではない、という僅かな可能性について言及されているようですし。そうではなく、未来もまた四郎に「特別な感情」を抱いていることがゆらぎとして「女」のようだと誤認させているのかもしれない。
いずれにしても、四郎も未来も苦しい恋だなあ、これ。想いのままに突き進んでは絶対に破綻してしまう恋なんて。この恋は、徹底的に解体して論理的に結論を導き出さないとどうしても受け入れられない恋である。しかし、そこまで詳らかにロジカル化されて消化されてしまったものが、果たして恋として成り立つのだろうか。
どこまで深く深く溺れるように沈んでいくのか、最後まで見守りたいラブストーリーである。

森橋ビンゴ作品感想

おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム4   

おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム (ファミ通文庫)

【おいしいサンドイッチの作り方 スタンバイタイム】 やのゆい/U35 ファミ通文庫

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一杯のコーヒーが、僕をモブからシェフにした。
誰でも作れる、本格的サンドイッチラブコメ登場!


「特別な自分になってみない?」
モブから脱却すべく高二デビューを目指す草加雄馬。始業式の日に一緒に帰ろうと誘ってくれた剣道部のエース吾妻剛毅、そしてもう一人下校に加わった文坂記子と過ごした時間をもう一度、と願いつつも彼は自分に自信が持てない。そんな時、あの日三人で飲んだ、衝撃的においしいコーヒーを淹れた美人店長、天宮甘美が雄馬にビシっと問いかけてきて――!?
恋も友情もリアルにおいしくはさみ込む、本格的サンドイッチラブコメ!

前作に引き続き女の子の主人公で、という希望はかなわなかったものの、期待通りに面白かったー! この人の描く作品って、恋愛に対しても友情に対しても今回については「働く」という事に対しても、物事に対してとても本気で真剣であると同時に、その向き合う姿が凄くキュートなんですよ。
軽妙でコミカルなノリが、ともすれば真剣であるからこそギスギスしかねない展開に弾けるような力強い柔らかさをもたらしてくれてるんですよね。この感性は独特のもので、大きな武器だよなあ。
帯の煽り文なんかを見るとガッツリとした料理モノに見えてしまうんですけれど、料理云々じゃなくてこれは「カフェ」という空間そのものの演出、というものを強く志向している作品ですね。なので、主人公の雄馬が特筆すべき能力を見せるのも、サンドイッチを作るという単品ではないのです。勿論、メニューを考え実際に自分で何度も練習して、サンドイッチという一見簡単に出来るものを妥協すること無く突き詰めて完成させていく、という料理に手を抜かない姿勢も、雄馬には備わっているのですけれど、彼が天宮店長に見染められたのはそれだけではありませんでした。その一部始終は本編にて堪能してもらうとして……天宮店長も時給880円で求めるレベル高いなあ……。いや、折々につけて特別料金弾んでくれているみたいですけれど、雄馬くんのそれはアルバイトレベルの働きじゃないですよ。能力的なものだけではなくて、自宅で研究を重ねる向上心といい本職でも果たしてこれだけ頑張れる人がどれだけ居るか。
まあ彼の場合、それだけ頑張れたのはお金の為ではなく、天宮店長の下で学ぶ事の楽しさ、充実感もさることながら、店長が餌に垂らしてくれたカキコちゃんとの恋愛問題サポートが大きかったのでしょうけれど。実際、天宮店長の助言やさりげないサポートは効果的なものばかりで、思わずこっちも感心してしまうものばかり。さすがは大人の女性、恋愛経験も人生経験も豊富なだけあるなあ、とその頼もしさに惚れぼれさせられたものでした。
……普通、大人だと思うよねえ。
いやあ、てっきりガチで20代後半とは言わなくても、25前後。最低でも大卒直後くらいだと思ってた。オーナーは別に居るとはいえ、店長として一人で店を立ち上げるまでの準備をやってのけてたり、カフェの経営に関しての見識も非常に高くて、以前どこかのカフェで経験積んできたような貫禄ありありだったし、何よりあの抜群のコーヒーの腕前。うん、どう見ても雄馬たち高校二年生と比べると一回りも二回りも上だよね。
しかし、そうかなるほど。あのカフェとしてもどうも遅めの経営時間は、こういう理由もあったのか。いやあ、立地条件とか鑑みても、午後三時くらいから店開けておく方が普通だもんなあ。
さて、天宮店長、まるでヒロインという認識なかったんですけれど、これはもしかして店長ルートもあるのかしら? 今のところ、雄馬くんはカキコちゃんに夢中であり、それを天宮店長も全力で応援していて、なおかつカキコちゃんの方も青信号、という状態なのだけれど。
これで順風満帆じゃない、というところに恋愛の難しさがある。こじれているわけではなくて、微妙なさじ加減の違いが重なって、というあたりが面白い。実に面白い。
このカキコちゃんがまた、本気で可愛いのよ。カキコちゃんも雄馬もどちらかというと内向的、みたいな紹介をされているけれど、決してそういうわけではなく、二人共結構アグレッシブなんですよね。それとも、よほど二人の相性が良いのか、結構二人きりで行動する事になる場合も多いのですけれど、決して気まずい雰囲気になることもなくて、会話も弾んで、それどころか甘酸っぱい空気になることもしばしば。
さり気なくカキコちゃんが攻めるのよ。どれだけ勇気振り絞っているかわからないんだけれど、もうドキドキしてるのが伝わってくるような仕草や表情で、押すわ押すわ。その時のカキコちゃんの様子が滅茶苦茶キュートなんですよね。
お互い、一緒にいるとき本当に幸せそうだったんで、この二人にはうまくいって欲しいなあ。とはいえ、親友となる剛毅がまた不器用でまっすぐで良い奴なので、彼も報われる形でうまいこと収まって欲しいものです。

あと、作中でズキューンとハートを撃ち抜かれたのが、闘うバトル書道部のシーン。半紙に墨で書き殴られる必殺技の応酬には、思わず「おおぅっ!」と唸ってしまいました。書かれた必殺技の名前の、文字の力強さ、巧さ、迫力によって勝敗が決するバトル書道。これは男の子心が擽られますよ。
書道部のシーンは毎度の定番にして欲しいなあw

やのゆい作品感想

黒鋼の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 11 4   

黒鋼の魔紋修復士11 (ファミ通文庫)

【黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 11】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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カリン、シャキーラを一蹴しアーマッドを去ったオルヴィエトとルキウス。重鎮であったリヒテルナッハ家の罪を問う声は大きく、連座としてディーも獄中の身となってしまう。誰よりも信頼していたふたりを失い捨て鉢になるディーだが、彼の下を訪れたカリンから、同盟各国で起こる破壊活動にルキウスが加担していること、さらに自分への恩赦のため、ヴァレリアがイサークと婚約するという噂を知らされる。気持ちの揺らぐディーは決死の行動に出るが…!
えええっ!! ええんかい! 別にかまへんかったんかいっ! 衝撃の事実すぎて、変な笑いが。ちょ、この設定ってわりと重要というか、揺るぎないものだと思い込んでいただけに、シャキーラさんのあまりといえばあまりのぶっちゃけに、ひっくり返ってしもうたわ!
これ、絶対ディーとヴァレリアに教えたらいかんですわ。今のこの二人にこんな事実を教えてしまったら、歯止めがなくなるぞ。この男ならやる。今の此奴なら、躊躇いなくやる!!
しかしもう、嬉野さんの書く主人公というのは、前作の【彼女は戦争妖精】の伊織くんといい、マジ凄いわ。ライトノベルの主人公で、これほど女の扱いというものに対して容赦ないやつ、他に居ないよ。始まった時はさ、ディーとヴァレリアが、ラブロマンスに至るなんて有り得ねえ! と、喚いてしまうくらい二人の仲って最悪だったんですけれど、だからこそ嬉野さんならこの二人の恋愛、書くだろうなあと感じたんですよね。その予想というか直感を、思わず「やっぱり無いんじゃね?」と否定してしまいたくなるほど、二人の断絶は凄まじかったんですけどね。あれだけ容赦なく、ヒロインこき下ろす主人公とかw
でもでも、このあり得ないからこそやってくれたら面白くなるに違いない、と感じたのは間違いじゃありませんでした。最初の断絶が大きければ大きいほど、相手を認め、受け入れ、それがロマンスへと発展した時の激烈さ、濃厚さたるや、生半可なもんじゃありませんぜ?
だいたいあのディミタールが、普通にデレるとお思いか。あの男が、恋する男の子なんて可愛い顔見せるもんですか。デレたらデレたで、凄まじい獰猛さであるこの男。デレ方が人喰い狼みたいな獰猛さって、どういう主人公だよ。ヴァレリアが自分を助けるためにイサークと婚約するという噂を聞いた後のディーのとった行動を目の当たりにした時は、もう呆気にとられてしまいましたがな。あの冷徹と言っていいくらい冷静で、クレバーだった男があれですよ、これですよ。完全に理性焼かれてるし。頭おかしくなってるし。メーター振り切るにしても、ぶっちぎりすぎである。でも、こういう獰猛さはやっぱりカッコイイのよ。若いなあ、いいなあ。あれでディミタール、思いっきりテンパってるんですよね。テンパったら襲い掛かってくるって、獣か!!

しかし、シャキーラ様も思い切った手をとったもんだ。前回いい所なかったのを大いに挽回してくれた。さすがにここで国内でグダグダやってたら、致命的な事になりそうでしたもんね。イサーク王子の小細工といい、国王陛下の一刀両断の喝破といい、色々と煮詰まり行き詰まりかけてた雰囲気に、風穴があけられたような気分でしたよ。淀んでいた空気が吹き払われましたなあ。
同時に、これ王子とベッチーナのフラグが確定したような。イサーク王子とヴァレリアの婚約話、こうしてみるといろんな方向に影響力及ぼしてたのね。
でも、こうなるとルキウスの方がちょっとかわいそうになってきた。あんな状態になってるとはなあ。危なっかしいどころじゃないですよ。

シリーズ感想
 

7月4日

松本直也
(ジャンプコミックス)
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稲垣理一郎/Boichi
(ジャンプコミックス)
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藤本タツキ
(ジャンプコミックス)
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阿賀沢紅茶
(ジャンプコミックス)
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マポロ3号
(ジャンプコミックス)
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yatoyato
(ジャンプコミックス)
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土田健太
(ジャンプコミックス)
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橋本悠
(ジャンプコミックス)
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辺天使/津田穂波
(ジャンプコミックス)
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伊藤砂務
(ジャンプコミックス)
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三条陸/芝田優作
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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有馬あるま/フカヤマますく
(ジャンプコミックス)
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田中靖規
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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堀越耕平
(ジャンプコミックス)
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古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
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神江ちず
(角川コミックス・エース)
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路生よる/藤堂流風
(角川コミックス・エース)
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蝉川夏哉/ヴァージニア二等兵
(角川コミックス・エース)
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三上康明/田中インサイダー
(角川コミックス・エース)
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7月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
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メソポ・たみあ
(角川スニーカー文庫)
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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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shiryu
(角川スニーカー文庫)
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あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
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ミヤ
(角川スニーカー文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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シクラメン
(HJ文庫)
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かみや
(HJ文庫)
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ぎんもく
(FUZコミックス)
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晩野
(FUZコミックス)
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明地雫/霜月緋色
(HJコミックス)
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森山ゆっこ/はむばね
(HJコミックス)
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黒野ユウ/遠野九重
(B’s-LOG COMICS)
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大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
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弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
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雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
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虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
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謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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