メディアワークス文庫

絶対城先輩の妖怪学講座 33   

絶対城先輩の妖怪学講座 三 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 3】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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東勢大学文学部四号館四階四十四番資料室。そこに収められた妖怪学に関する膨大な文献は、絶対城が師匠であるクラウス教授から引き継いだものだった。ある日、四十四番資料室に、独逸語の手紙と謎のスケッチが届けられる。そこに描かれた妖怪の正体とは何なのか。見事スケッチの謎を解いた絶対城の前に、クラウス教授が現れる。久し振りの再会に話が弾む師弟。しかしクラウス教授は突如、資料室を文献ごと返し、妖怪学をやめるよう絶対城に迫り―!?
あれれ? 小さな山小屋で冷えた身体を温めあいながら一晩すごしたり、同じ屋根の下で同棲生活とか、甘酸っぱくもちょっとビターでアダルトなラブシチュエーションが満載だったはずなのに、色っぽさが欠片もないのは何故なんだ!? 疑問を抱く余地もなく、女子力皆無の礼音のせいなんですけどね!! あんた、もうちょっと女の子らしくトキメキなさいよ、ほんとにも〜〜こいつは女らしさというか女っ気が全然ないんだから。大学生にもなってそんな健康的なわんぱく小学生みたいなキャラクターでいるの、なんとかしなさいよ。化粧どころか、女らしい服を買うにも四苦八苦してるとか。ってか、10月になってまでなんちゅう薄着でいるんだ、こいつは。小学生か!!
私生活ではまともに自炊もしてないみたいだし。もう、絶対城先輩を嫁に貰うしかないじゃないか。意外と主夫が似合うことが発覚してしまったわけですし。意外とマメなんだよなあ、この人。律儀なところあるし。行くところがなくて礼音が自分の部屋に連れて帰って住まわせていた、というとヒモみたいに見えるんだけれど、礼音に甲斐性がさっぱりなかったせいか、全然そんな風に見えなかったのはなんともはや。先輩、後で色々と言い訳していたけれど、あの時点で意気消沈していたのは間違いないだろうし、本気で凹んでいただろうから、礼音がちゃんと世話しておけば躾けられたかもしれないのに、むしろ餌付けされてたもんなあ、この娘は。だから、いい年した男女が狭い部屋に同居しながら、なんでここまで色っぽい話にならないんだか。この娘はもう……(苦笑
不遜に見えて、絶対城先輩って無茶苦茶可愛らしいところもあって、むしろ女子力がない少年のような礼音とはお似合いのところもあるのかもしれませんが。こういう男のタイプは、同じく大人っぽい女性とのカップルも絵になるんですが、礼音みたいなタイプと噛みあうと妙に微笑ましくなるんだよなあ、それがいいんですが。

しかし、何がに作者、古代種好きですよねえ。前回の怪物の正体にも度肝を抜かれましたけれど、今回のはそれにある意味輪をかける怪で……いや、これならまだ真怪の方が理解できるんですけれど。クライス教授の秘密、コッチのほうが怖いわ!! 羽根の種類からして、クラウス教授が自称していたモノとは違うんだろうなあ、とは想像ついてましたけれど、妖精さんを期待したワクワク感を返せ!!w いや、実際にはマシンの類なんじゃないかと疑っていただけに、これには度肝を抜かれました。
驚いたといえば、鵺の正体についても、絶対城先輩の出した答えはびっくりしましたけどね。マジでそんな説あるの? 言われてみると、鵺の姿ってその動物に当てはまる気もしないでもないですが。これは面白い話だなあ。

絶対城先輩の妖怪学の師でありながら、再び現れた今、妖怪学の危険性を訴え手を引くように強引な手に打って出たクラウス教授。彼の言うとおり、実際にこれまでも妖怪に纏わる話で危険な目にあってきたのも確か。しかも、それは妖怪によるものではなくて、歴史の影から妖怪という存在に関わってきた人間たちの手によるものなんですよね。クラウス教授の残した警告は、絶対城先輩の過去も相まって不穏な空気を漂わせていくのだけれど、礼音の根っからの明るさが暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるので、随分と楽である。女子力ないけれど、場を明るくすることについては信頼がおけるもんなあ、礼音は。これでもう少し女子力が……というのはどうやら絶対城先輩も同意見のようで、そのうちいい加減我慢できなくなって自らコーディネートはじめるんじゃないか、この人。
怪しいと言えば、なんか回を重ねるごとに杵松さんが怪しく思えてきてしまう不思議。いい人で信頼できる人であることは疑いないのになあ。

1巻 2巻感想

絶対城先輩の妖怪学講座 二3   

絶対城先輩の妖怪学講座 二 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 二】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室の妖怪博士・絶対城阿頼耶の元には、今日も怪奇現象の相談者が訪れる。長身色白、端正な顔立ちながら、傍若無人で黒の羽織をマントのように被る絶対城は、資料室の文献による知識と巧みな弁舌で、数多の怪異をただちに解決へと導く。夏休み。絶対城と礼音は織口准教授の誘いで、とある田舎の集落を訪れる。そこで二人は、古代より続く奇怪な風習に巻き込まれるのだった。四十四番資料室の怪人が紐解く伝奇ミステリ第2弾。
絶対城先輩、いつの間に貴方そんなに可愛らしくなっちゃって。
確かに前巻でも最初の傍若無人な印象からどんどんと意外と気遣いの出来る人だというのがわかってきて、愛嬌というか可愛い人だなあ、と思える部分は垣間見えてたんですが、礼音と十分打ち解けてきたこの巻ではちょっと他人行儀だったところがなくなって、ほんとに礼音に対していい意味も悪い意味でも遠慮がなくなってきたぶん、彼女に対する対応がえらく可愛く見えるようになってるんですよね。
あーた、ホントは礼音のこと滅茶苦茶可愛がってるだろう(苦笑
これが女性に対する感情によるものか、それとも後輩を猫かわいがりしているのかは判断の難しいところなんですけど、ともかく礼音の事を大事にしているのが随分とあからさまになってきて、思わずニヤニヤしてしまうシーンが多発してきたものだから、こちとら溜まったもんじゃありません。前はもっと絶対城先輩の礼音に向けた言動って、無関心に根ざした辛辣で突き放したようなものの方が強かったのになあ。比べてみたら、随分と態度変わってるんじゃないだろうか。
その辺、無意識に礼音本人も感じ取ってるのか、以前のように彼の言動に腹を立てることも少なくなり、むしろこう満更じゃない感じでデレデレっとし出したのには、参ったというか意外と聡いなあと思ったというか。
何気にあれだけ酷かった女性として最低限の格好も、結構改善してきているようですし。1巻ではさすがにこれはないわー、とドン引きしたもんなー。

さて、肝心の真贋が混在した怪異とそれに纏わる人間たちとの対決、または真相究明は、1巻に引き続いて民俗学に基づいた妖怪モノ、と構えていると椅子ごとひっくり返りそうな展開が待ってます。いや、さすがにそれは予想の斜め上すぎるわーー! とはいえ、件の怪物については某直木賞なんかでも取り扱われたように、こういったケースで登場することについてはそこまで驚かなかったんですけれど、このジャンル跨ぎはやっぱり意表突かれたなあ。いや、この神様の正体そのものよりも、その生き血云々の効能の方が胡散臭さたっぷりですよw
むしろ、ゾッとさせられたのは裸祭りの原型についての薀蓄でした。あれ、マジなん!? そんな話、初めて聞いたんですが、これ本当だとガチで怖いんですけど。

ともあれ、思っていた以上に絶対城先輩と礼音のコンビがしっくりとハマってきた上に、お互いの心がしきりと動いてお互い目を離せなくなってきたので、面白さが本格化してきました。これは、このまま長期シリーズ化所望ですよ。

1巻感想

キーパーズ 碧山動物園日誌5   

キーパーズ 碧山動物園日誌 (メディアワークス文庫)

【キーパーズ 碧山動物園日誌】 美奈川護 メディアワークス文庫

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都内某所にある『碧山動物園』の飼育員を務める青年・鳥羽晴樹は悩んでいた。絶滅危惧種の肉食獣・アムールヒョウのガイア―。彼女を見るために幼い頃から動物園に通い詰め、その想いを胸に飼育員となった晴樹は、彼女の余命が僅かと知り、その死と、そしてその後の自分との向き合い方を見失っていたのだ。だがある日、悩む彼の前に不思議な少女が現れた。柵から逃げた暴れ馬をたちどころに落ち着かせ、知らないはずのその馬の名前まで言い当ててみせた彼女はなんと『動物の言葉が分かる』というが―?
もう随分と前に閉園してしまったのですけれど、二駅ほど先に動物園があったのですが、今もまだあったのなら、フラッと立ち寄ってみたくなりました。いい年をした大人になった今だからこそ、子供の頃と違った面白さがあると思うんでうよね。
これまで「絵画」「届け物」「音楽」というジャンルを手がけてきた作者、美奈川さんが新たに手がけたのが、動物園。これまでの作品が、人の人生というテーマを大きく意識させる物語だったのですが、さすがに動物相手ではアプローチも異なってくるのかな、なんてことも読む前は思いましたけれど……何の何の、とんでもない。生きている動物と半生にわたって向き合っていく飼育員という仕事は、何よりも「人生」を如実に表すあり様であり、そのクライマックスの圧巻とも言うべき演出は、むしろより迫力を持って演出されていて、最後のエピソードなんかもう涙が出てきました。ドラフィルのオーケストラによるクライマックスシーンでもそうだったんですけれど、ここぞという時のあの時間と空間が凝縮され切り取られたかのようなあの密度、濃度、特別さは何度味わっても圧倒されてしまう。凄い。なんか、余分なものが全部消え去って、そこだけに凝縮されるんですよね。本を読んでいてこの感覚はなかなか味わえないんだけれど、この作者の作品だとクライマックスではほぼ毎回味わえるので、たまったもんじゃありません、たまりません。
動物と話が出来る、というとドリトル先生なんかがあまりにも有名ですけれど、彼女―向島理央は動物と話せるものの、決して動物とお友達! なんていう浮かれた子供ではありません。そして動物の話がわかる、というとどうしても動物医療の話になっちゃいがちなんですけれど……本作はペンギンのアンの件なんかはありましたけれど、本筋としては喋れない動物から問診を得て、普通の獣医では気づかなかったり直せなかったりする病気や怪我に対処する、という方向には向かいません。物語の対象となる動物たち、アジアゾウのマーヤー。ガラパゴスゾウガメのジョージ、そしてアムールヒョウのガイア。彼ら彼女らは、決して多弁ではなくむしろ寡黙に口を噤み、自分を軽々と語ろうとはしません。そこには、彼ら自身の人生の重みがあり、彼らと半生に渡って付き合ってきた飼育員たち、来客たちの過去があり、今があり、先へと続いていくものが積み重なっているのです。だからこそ、彼らの口からこぼれ出る、理央を通して語られた一言一言が、あまりにも重厚であり、偉大であり、畏敬の念に打たれるのです。途中、主人公の晴樹がゾウガメのジョージに深々と頭を垂れるシーンがあるのですが、純粋な生に生き、そして死んでいく「生き物」という存在に対して、人は抗えようもないくらい敬虔な気持ちにさせられるときがあるんですよね。
そしてそれは、自分の人生そのものを、そんな動物たちと寄り添わせる事に選択した彼ら飼育員たちこそ、顕著に感じるであろうことであり、理央が伝えてくれた言葉はそれを明確な形として思い出させてくれるものだったのではないかと。
でもそんなメッセンジャーである理央こそが、自分の人生をどこに向けるべきなのかを悩み、迷った末にこの動物園に辿り着いたというのは意外でもあり、同じく自分の人生そのものだったガイアの死を前に、人生に迷いを得ていた晴樹の前に現れた、という縁に納得もする。

そして、ラストのガイアの気高さ。どれほど、それが見守る人々の心を揺さぶったか。なんて、美しい生き物なんだろう。なんて、偉大な獣だったのだろう。晴樹をはじめとした多くの人間の人生を魅了し、掴んで離さなかった女神の死。もう、言葉はありません。ただただこみ上げてくる敬意と感慨に、目尻を熱くするばかりでした。
自然を愛する、動物を愛する。言葉にすれば安直だけれど、真摯に向きあえば向き合うほど、その言葉は深みを得、深淵に至り、その意味を捉えきることは難しくなります。そこに苦悩が生まれ、迷いが生じ、立つべき寄る辺を見失って、立ち眩んでしまうのでしょう。しかし、それと向き合うことを決めた人たちがここに居ます。
動物たちの守り人(キーパー)として。そんな彼らと、彼らの愛を捧げられる動物たちの生き様の物語と出会えたことに、感謝。

美奈川護作品感想

0能者ミナト 6 4   

0能者ミナト (6) (メディアワークス文庫)

【0能者ミナト 6】 葉山透/kyo メディアワークス文庫

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とある寒村で、青年と家畜が惨殺される事件が起こる。事件に“怪異”の存在を嗅ぎ取った御蔭神道は、高校生ながら英才と称される水谷理彩子を派遣する。彼女が現場で出会った発見者は少し年下に見える少年だった。殺人現場を見ても落ち着き払い、冷静すぎるぐらい論理的な少年―九条湊に戸惑う理彩子。いつの間にか理彩子は少年のペースに引き込まれていくようになり。湊と理彩子が出会い、初めて“怪異”に挑むことになった事件とは?葉山透が贈る現代の伝奇譚。
珍しくスーツなんて着て真面目な顔をしているから、これが少年時代の湊なのかと読む前まで思っていましたけれど、本文を読むとどうやら今現在の湊と考えて間違いはなさそうだ。つまりは、珍しくこういう格好をしてこういう表情をしているシーンがあるんですよね。
というか、あらすじ読んでたらてっきり今回は理彩子との出会いとなった昔の事件を中心に送る過去編かと思ったら、過去はあくまで起因でありそこから派生してきた現在の事件がメインとなるお話でした。とは言え、すべての起因となるこの件の事件は、湊と理彩子が出会った、という点でも重要で、怪異という存在を湊が知ることになるという意味でも重要でありましたが、それ以上に湊が自分の生き方を見出す事件でもあったわけです。
というのも、どうもこの事件に遭遇するまで湊は自分の本質と表向きの人様との接し方にかなりの齟齬を抱えていたようなのです。しかも、彼は明らかにマトモではない自分の本質に対して、相当の忌避感を感じていたようなんですね。自分は、どうしようもない人でなしなのではないか、と。
そんな九条湊の自己不信を一掃してくれたのが、この件で関わる事になった一人のベテラン刑事の助言だったのです。
その後、湊とその刑事は一度も会うことなく十年近い月日が流れたものの、現在で起こった再び件が起因となる事件によって、湊がどれほどその刑事に感謝と恩を感じていたのかがわかることになります。まあ、そんな自分の生き方を見出す助けとなってくれた恩人と、交流するでもなく十年余を過ごしてしまうあたりに湊という人物の面白さが伺えますが。ある意味、湊をこんなろくでなしの悪党にしてしまったのはこの刑事さんとも言えるんですけれど、あのまま湊が自分の本質と折り合いをつけられず、また自分の中の人間性を信じられないままだったとしたら、果たしてどんな人間になっていたのか。少なくともろくでなしどころか本当の人でなし、根本から歪んだ悪意の塊みたいになっていたのではないかと思うと、かの刑事がくれた言葉がどれほど重く大きく温かかったか、年月が経ったからこそ大きく感じる事が出来るような気がします。
まあいずれにしても、少年時代の湊の屈折っぷりと、さらに刑事さんの目を通してみた湊の姿を見ることで、ようやくこのろくでなしの本質を見極められたような気がします。いい加減、どこまでが本気でどこまでが本心か、さすがに悪い人ではないとは確信できていたものの、良い人でないことは絶対的でしたからねえ。どこかでが作り物で、どこまでが本当の心のうちか、その測り方もようやく感覚として捉えられる感じになってきました。
とはいえ、湊が理彩子の事をどう思っているか、までについてはいささか判断の難しいところなんですが。いやいや、この話読むまでお互い本気で相手のことを異性として微塵も意識していないんじゃないか、とわりとマジで思っていたんですが……、ちょっとそうとも言い切れなくなってきたなあ。まあ、理彩子さん、年齢的にかなり瀬戸際なんで、孝元さんかコイツしか身近に居ない以上、選択の余地がない気もするんですが、湊の方が何考えてるかわかんなかっただけに、やっぱり気配感じてなかったんですよね。それが、この出会いのきっかけとなった事件にまつわる騒動によって、湊の本質の奥のほうがむき出しになると同時にそれを見守る理彩子の態度が非常に包容力があるというか、理解と共感を交えたものだっただけに、ちょっと今までと違う特別な距離感を感じたりもしたんですよね。その上で、あのエピソードですから。沙耶はちょっと、まだ湊にとって女じゃなくて子供なんだよなあ、かわいそうながらも。


相変わらず、怪異への存在を明確に認めつつも、そこから科学的にアプローチしてみるという発想の枠の外を行く湊の行動は、面白いんですねえ。神道の連中も驚いていましたけれど、確かに生まれて予言を残すとすぐ死んでしまう「件」の、その死因について調べよう、という発想にはなんと! と意表を突かれましたし。なかなか、そういう着眼点にはいかないもんなあ。「件」の正体についてはぶっとびながらも、件の能力を考えるとそっち方面に行くのはいっそ当然か、とも思えてくるのですが、むしろそこに件という個体の悪意がある、というのはぞっとする話である。あそこまで無機的、或いは自動的な装置のような存在に、あそこまで生々しい悪意が付随しているというのは、かなり気持ち悪いですよ。
いや、それ以上に気持ち悪かったのが、件の倒し方の元になったてんかんを治す手術法ですがな。いやいや、マジであんな治療されてたんですか? ホラーどころじゃなくゾッとさせられたんですけれど。
いやあ、これはエグいわ。

残念ながら今回は孝元さんは登場せず、湊と理彩子、そして孝元のトリオ結成の話はまだ未公開、ということになってしまいましたが、これまで得体のしれなさばかりが深まっていた湊という人間の真実にかなり迫るお話で、興味深いと同時に面白かったです。

葉山透作品感想

好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く 4   

好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く (メディアワークス文庫)

【好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く】 瀬那和章/川井マコト メディアワークス文庫

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七年前、年下の男の子に、好きだといわれた。それから、手も握らせないまま恋人のような関係をずっと続けている。そして、私はまた、彼とは別の人を好きになる――〈表題作より〉。
 好きな人と好きになりたい人が、どうして違うんだろう(長女)。
かっこいいって、卑怯だぁ(次女)。
恋は魔物の巣窟です(三女)。
神戸の街を舞台に、一緒に暮らす三姉妹の恋の、始まりと、真ん中と、終わり。同じ時間を過ごす三人の恋を、三篇の短編で描く、切なく優しいラブストーリー。恋は、いつだって、私たちの心をつんとさらっていく。
〜〜♪ 〜〜♪ 〜〜♪
これは三編の大人の恋の物語、のはずなんだけれど、その一方で三人の姉妹の友達でも恋人でない姉妹故の関係、のお話なんですよね。プリズムみたいに見る位置によって様々な色合いを見せる、でも確かな一つの物語はとても綺麗で、素敵で、いいなあ凄くいろいろなものが好きになれるお話でした。この作者さんは、もっとポップで軽快なリズムを奏でる作品をこれまで手がけてきていただけに、こういうしっとりとした情緒豊かなラブストーリーを描かれるのは意外でしたね。
しかし、やはり興味深いのは姉妹それぞれの恋愛観以上に、三姉妹の仲の良さ。それぞれに個性の違う三人の姉妹は多分、他人として出会ったならば友達どころか仲良くなることもなかったのだろう。それは、末の妹も呟いている。肉親って、ほんと不思議。勿論、血縁だからって仲良くない家族も居るだろうけれど、家族だからこその関係って確かにあると思うんですよね。
この三人も、決して滅菌されたような純真無垢な仲の良さではないんですよね。隠し事もあり、嘘をついていることもあり、コンプレックスもあり不信や複雑な想いを相手に抱いているところもある。でも、そういうものも含めた上で姉や妹のことが大好きで仕方ないという、熟成された仲の良さなわけです。意外とベタベタしたものも感じさせないんですよね、不思議。それでも、姉妹が側に居てくれるという安心感がこの三人の女性の人生を常に良い方向に進ませているのが、この三編のお話を見ているとよく分かる。恋愛にしても、生き方にしても、もし彼女たちが独りで居たなら決して幸福な道行を得ることは叶わなかったんじゃないでしょうか。人生の分かれ道で、彼女たちは知らず知らずお互いによい影響を与えて、一番ステキな道を選ぶ手助けをしているのです。実のところ、誤解や思っていた結果と違っていたりして決してスムーズに個々の思惑通りに進んでいるわけではないのですけれど、それぞれの大好きな姉妹を思っての行動が、予想していた以上の最良の結末を招き寄せる縁となって行く様子が、なんとも素敵で胸の奥を暖かくさせてくれました。
個人的に、次女の恋愛は今が良くってもどちらかの気持ちが冷めてしまったら続かない関係だよなあ、と次女の話を読んでいた時は思ったのですが、三女の話を読むと次女の恋人の印象が微妙に変わって、というかかなり上方修正されることになって、憂いらしい憂いが綺麗サッパリ取り払われたのも大きな要因だったのでしょう。三女のお話は、三姉妹の仲の良さの本当の姿と、本当の絆の強さをこれまでの二編では見えなかった方向から詳らかにしてくれたお話でもあり、ここでこの作品の印象が固まった感もありますね。長女のお話の深い情念と純粋な想いの絡まった恋模様も良かったですし、次女のお話のコンプレックスと諦観の向こう側から手繰り寄せようとする切実で真摯な気持ちを描いたお話もとても好きだったのですけれど、それら全部を一つに取りまとてバラバラのオムニバスではなく、三姉妹の恋愛物語にして家族愛の物語という一つの形に見事に収束させた三女のお話が一番好みだったように思います。
上品でしゃんしゃんとした、神戸という街のイメージをふんわりと纏った、ほんとうに素敵なお話でした。また、この作者さんのお話は読みたいなあ。

瀬那和章作品感想

サマー・ランサー3   

サマー・ランサー (メディアワークス文庫)

【サマー・ランサー】 天沢夏月/庭 メディアワークス文庫

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剣道界で神童と呼ばれながら、師である祖父の死をきっかけに竹刀を握れなくなった天智。彼の運命を変えたのは、一人の少女との出会いだった。高校に入学したある日、天智は体育館の前で不思議な音を耳にする。それは、木製の槍で突き合う競技、槍道の音だった。強引でマイペース、だけど向日葵のような同級生・里佳に巻きこまれ、天智は槍道部への入部を決める。剣を失った少年は今、夏の風を感じ、槍を手にする―。第19回電撃小説大賞“選考委員奨励賞”受賞作。
ま、眩しいっ!! 真夏の雲ひとつ無い快晴の日差しって、目も開けていられないほどキラキラしてて眩しい時ってあるじゃないですか。まさにそんな感じ。そんな感じのキラキラしているお話でした。青春だーっ、これ以上ないほど青春してる。
まずこの表紙の装丁ですよ。これは何度見なおしても思わず見とれてしまう、何度称賛しても飽き足りないくらい素晴らしいイラスト。作品の、物語の全部がこのシーンに詰め込まれてると言っていいくらい。年間通して見てもベストにあげていいくらいの珠玉の逸品。ライトノベルもなあ、こういう表紙の増えてくれたらいいんですけどねえ。
さて、内容の方は剣道に挫折し心折れ、彼に剣道を教えた祖父の死によって立ち直るヨスガもなくしてしまった少年の前に現れた槍道、という新たな道。いや、槍道という道を引っさげてドカーーンと現れた一人の少女。彼女との出会いが、立ち腐れてしまった彼に再び息吹くきっかけを与えてくれた。この里佳って娘が、まさに夏の爽やかなキラキラそのものなのです。存在自体が輝いてるみたいな、眩しい少女。けっこう強引に、天智を槍道に誘ってくる、ともすれば鬱陶しいくらいに動的で止まったら死んでしまいそうな活発な娘なのですけれど、全然嫌味がないんですよね。それは、自分の好きなことに対して不純なものがなく、一途にして真剣だからなのでしょう。そして、その好きという気持ちを、真剣さを他人に押し付けるのではなく、楽しさを知ってほしい、この好きという気持ちに共感してほしいと迫ってくることが、無理矢理ではなく手を引かれて誘われたような嬉しさを伴ってくるのです。
可愛くて元気な女の子が、キラキラした笑顔で「一緒に行こう」と手を握ってきてくれたら、そりゃあ嬉しいです。ほいほい付いて行ってしまいます。
勿論、彼の心を動かしたのは彼女でありそれがきっかけではあっても、惹かれたのは槍道という競技でした。
この槍道という設定がなかなか良くできていてねえ……まさか架空の競技とはあとがき読むまで思いもしませんでした。完全に、あるものと信じちゃってましたし。自分は全然知らなかったけれど、世の中にはこんな競技があったんだなあ、と。何気に予想だにしない競技が普通に全国的に普及してたりしますものねえ。そんな中で、槍という武術は古来より弓と並ぶ武士の必須技能であり、存在してなんらおかしくないものでしたから疑いもしませんでしたよ。防具の設定なんかも、地味に凝ってましたし。さすがに、なんで突きばっかりで、叩きや払いがないんだろう、と不思議には思ってたんですけどね。

心新たに、とはなかなかいかず、うじうじと同じ所でぐるぐる回り続けた挙句に、テンパッて同じ所どころか後ろに全力で後退していってしまう主人公のジメッとした感じに、お前は梅雨か、カラッと晴れろ、とイライラさせられたりもしたのですが、それだけ里佳を中心とした槍道部の面々の明るさ、快活さに救われた感がありますね。でも、やっぱり主人公が内向き過ぎたかな。内面を掘り下げていくというのは大事だけれど、そこばっかりに重点を置くと、どうしても内と外に断裂が出来てしまうんですよね。本来なら、その架け橋として里佳みたいな娘が動いて、じっくり内と外を繋いでいくものなんだけれど、ややもその辺りの熟成が足りないままクライマックスに行ってしまったんじゃないでしょうか。天智が槍道部に入るまでのドキドキさせられるキラキラが、入ってからのバタバタした展開で多少陰ってしまった気がします。この辺りは新人賞に応募するということで、パタパタと話を盛り上げたたたむ必要があったからなんでしょうけれど、ちょっと後半パサパサに乾いちゃって勿体無かったかなあ、と思ったり。

なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る3   

なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る (メディアワークス文庫)

【なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る】 野崎まど/戸部淑 メディアワークス文庫

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お人好しの青年・波多野ゆかりくんは、あるとき謎の白うさぎと出会いました。いきなり喋ったその「うさぎさん」は、なんとその自慢の長い耳で人の『縁』の紐を結んだり、ハサミのようにちょきんとやったり出来るのだそうです。さらにうさぎさんは、ゆかりくんにもその『縁』を見る力があると言います。そうして一人と一匹は、恋人や親友、家族などの『縁』をめぐるトラブルに巻き込まれ…?人と人との“こころのつながり”を描いた、ハートウォーミング・ストーリー。
この作者のことだから、さあどこで卓袱台返しが待ってるんだ? とおもいっきり構えてたら、最後まで揺るぎなくハートウォーミング・ストーリーでした……なんですと!?
さすがに、第一話を読んだ時点でこれは少なくとも最終章までは安心して見ていられそうだな、と察せられたので油断しきって読んでいたのですが……いや、本当に油断していたので途中で崖下に突き飛ばされていたら全く抵抗できずに滑落していたでしょうから、危ないところでした。いやいや、だから全然危なくないとても安全なハートウォーミングだったんですけどね。危ないハートウォーミングってなんだよ、という話ですが、一度安全だったからといって野崎まどを読むにあたって油断などもってのほかと、改めて心構えを律する次第でありました。って、普通に心温まっておけよ、という話なんですが。
まあね、第一話ってあれハートウォーミングなのかと言われると何気に微妙じゃありませんか? 一途に想いを寄せてる女の子と、相手の男性には残念ながら縁の紐が繋がっていなくって、紐が見えてしまうゆかりくんが苦悩するお話なのですが……あの縁が繋がったシーンって冷静になって見なおしてみると私としては相当に怖いんですけれど。少なくとも、自分の絵を無数に描いて飾ってる女の子の部屋を覗いてしまったら、と想像するとわりとドン引きなんですがw 絵だからあれですけれど、これが写真だったりすると立派にストーカー……w
ま、まあ本人同士がよろしければよろしいんじゃありません?
それに、第二話は掛け値なしにほろりと胸の熱くなる友情話でありました。ただの男の子同士、女の子同士じゃなくて、女一人に男三人の大学生が恋愛感情抜きで、というのがまた良かった。四人はサークル費もマトモにもらえない弱小自転車部のメンバーなのだけれど、その中の唯一の女性部員の娘が、家庭の事情から大学を辞めて実家に帰ることになり、その娘の為に彼女が温めていた夢の可愛い自転車を実際に作って贈ろうとする男三人とそれに関わることになったゆかりくんの奮闘記で、これがまた泣かせるんだ。四編あるお話の中で、自分はこれが一番好きでした。仲良し四人組は、離れ離れになってもずっと大切な友達同士。男女に友情は存在しないというけれど、こういう男女だからこその友情ってのもアリじゃないかなあ。

第三話はシングルマザーとその出来た一人息子の家族の縁のお話。
ここで出てくる少年は、ちょっと子供らしくなさすぎるくらい出来た男の子なんですけれど、礼儀正しくお母さん想いで誠実で、と確かにこんな出来た子が育つならゆとり教育って大変なシロモノですよね。完全にお母さんの教育の賜物なんでしょうけれど。でも、聡い子だからこそ頭がよく周り世間や自分の環境のことをよく理解できるからこそ、余計なことまで考えてしまうというのは、子供らしく無邪気で居られないという意味ではしんどいことなんだろうなあ。でも、そんな彼が抱いてしまう不安を、このお母さんは真っ向から吹き飛ばしてくれたので、読み終えたあとは笑顔笑顔。自分の都合や予定を諦めかなぐり捨ててまで、この男の子をひとりきりに放置せず、最後まで付き合ったゆかりくんもまた、素直にカッコ良かったです。あれはなかなか出来んですよ。そして、ウサギのうざいことうざいこと。このおっさん、煮物にして食ってしまえば良いんでないか?

第四話は、作品通してのヒロインではないかと目していたこの大学の屋台骨として機能している才媛・
西院さんが囚われてる死者との縁のお話。
てっきり、ゆかりくんが第一話でバッサリとぞんざいに大した理由もなくその場の空気でうさぎさんに切られてしまった彼と繋がる縁が、実は西院さんと繋がっていて、それが結ばれてめでたしめでたしハッピーエンド、という油断しきったお話になるのかと緩みきっていたら、これがどうしてかなりヘヴィーな過去が彼女にはあり、それが現在もなお彼女の時間を止める形で縛り付けていたのでした。
ここで立ちすくまないのは、ゆかりくんのイイトコロ。このゆかりくん、決して能動的じゃなくてすっとぼけたところはあるけれど、温厚篤実で大人しい感じの青年にも関わらず、此処ぞという時に立ち止まらずに気がつけば動いている、というあたり大した男だと思うのです。まあ何気に、それはあの人イイ人だね、で止まってしまうようなキャラクターな気もするし、動いているわりにフラグがあんまり立たないという自然体の持ち主という事でもあるのですが。
あれだけガツンと、動けなくなっている西院さんを励まし急き立て背中を押して、彼女を縛っていた因果を振り払う手伝いをして、彼女が気持も新たに未来へと歩いていけるだけの手助けをしたにも関わらず、殆どフラグらしいフラグが立たなかったのはある意味奇跡的とすらいえるくらい……人畜無害?
でも、もし続きものだったら、ここからもう一度西院さんとの縁を繋げて育んでいってほしいなあ、と思ったり思わなかったり。西院さんはあくまで憧れの先輩ポディションで、という欲求も無きにしもあらず。何にせよ、ヒロインが新しく出てきてくれないことにはねえ……何しろ、現状うさぎさんとの縁が鬱陶しいくらいに太すぎて、鬱陶しい鬱陶しい(苦笑
あれでうさぎさんが実は女の子でした、なら実にライトノベルらしいんですけれど、声や生活態度からしておっさんだしな、このウサギ。おっさんとの縁がしめ縄みたいに太くて祝われてるって、なんか嫌だ。相手が可愛らしいうさぎさんでも、おっさんは嫌だw

野崎まど作品感想

絶対城先輩の妖怪学講座 3   

絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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 妖怪に関する膨大な資料を蒐集する、長身色白、端正な顔立ちだがやせぎすの青年、絶対城阿頼耶。白のワイシャツに黒のネクタイ、黒の羽織をマントのように被る彼の元には、怪奇現象に悩む人々からの相談が後を絶たない。
 季節は春、新入生で賑わうキャンパス。絶対城が根城にしている東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室を訪れる新入生の姿があった。彼女の名前は湯ノ山礼音。原因不明の怪奇現象に悩まされており、資料室の扉を叩いたのだ――。
 四十四番資料室の妖怪博士・絶対城が紐解く伝奇ミステリ登場!
はじめは現代版【巷説百物語】かと思ったら、最後はMMRになっていた。
ぬらりひょんの正体は○○だったんだよっ!! なっ、なんだってー!?
いやいやいや、いくらなんでもそのネタは面白すぎますよ。それまでの実直な妖怪薀蓄から一転して奇想天外すぎるフリに、思わず吹いてしまいましたがな。それはない、それはないw
基本的に妖怪は存在するも実在せず、という学問的スタンスで進行していただけに、ユーレイちゃんが長年悩まされ続けていた耳鳴りの真相から、ぬらりひょんの正体に基づくある旧財閥の秘されし罪業という展開にはさすがに面食らったのだけれど、傲岸不遜な妖怪狂いの怪人・絶対城阿頼耶と彼の小間使いとして働かされることになったユーレイこと湯ノ山礼音の軽妙な掛け合いと、妖怪に絡んだ、或いはこじつけた事件を次々と解決、もしくはでっち上げて金銭を巻き上げていく、それ詐欺じゃね? というお話の数々は、得意の妖怪ネタをより学問的な方向から掘り下げながら、今までの著作とは違った新境地を構築していて、峰守ひろかずを知らない人も元からのファンの人も区別なく楽しめる作品になっていたんじゃないでしょうか。
実は前から妖怪薀蓄についてはもっとやりたかったんだろうなあ。【ほうかご百物語】では経島先輩がそりゃもうこれでもかと喋り足りなさそうに語りまくっていた薀蓄ですけれど、此方ではさらに深く長くひたすら絶対城先輩が語る語る。遮ったら絞め殺されそうな勢いで語る語る。でも、京極堂以来、こういう薀蓄話は私も大好物なので思わずニコニコしながら絶対城先輩の熱の篭った論に聞き行っておりました。いやー、幽霊って厳密には妖怪のカテゴリーなんだ、あれ! この幽霊の話については初めて知るような情報や目からウロコの内容もあって、思わず礼音と同じく「へぇ!」と唸ってしまいました。いや、この話が本当だとすると、今まで当たり前のように思っていた幽霊の既成概念がけっこう崩れるんですよね。落ち武者の幽霊とか、わりと根本から存在否定されてないですか、これw

さて、鉄甲はしないんですか、と尋ねたくなる怪しい風貌の絶対城先輩ですが、その風体や横行な名前は商売柄(?)の看板のようなもので、ちゃんとした場面ではきちんとTPOをわきまえた格好や言動に移行するあたり、実は社会性については礼音よりもしっかり備えているんじゃないだろうか、と思えてくる。礼音の方が、無地のTシャツにホットパンツという女子大生にあるまじき格好をどんなシーンでも改めないあたり、なかなかどうかしている。ってか、コンパにその格好はないよ、さすがに。それどころか、口絵の礼音ちゃんの格好はどう見ても油断してる部屋着以上のものに見えないんですけれど。これで外うろつくとか学校行くとか、ないわー。この娘に、絶対城先輩の格好を云々言う資格はあんまりないように見える。
まあ、格好はともかく、あの傍若無人な性格について文句をいうのは、それに振り回されている限り権利ありとは思いますけどね。なかなかの絵に描いたような傲岸不遜、傍若無人、居丈高で性格も悪く口を開くと罵詈雑言が自在に行き交う、とてもお付き合いしかねる人格の持ち主である。
早々にこれに慣れてしまう礼音は、なかなか大した打たれ強さというか、精神的に鈍感というか、実は大物なんじゃないだろうか。
とはいえ、確かに深く付き合ってみると、この歪んだ性格が拗ねたわんこみたいに可愛く思えてくるから不思議である。意外ときめ細やかに気遣いが行き届いてたり、口ではなんやかんや言いながら実は結構礼音のことを大切に扱ってたり、時々ストレートに素直だったり優しかったり、と後半に差し掛かるにつれて違う側面が見えてくるので、心憎い限りである。礼音にしても、仕方ないなあこの先輩はデュフフフ、みたいな感じでハマっていってるような気がするが、それはドツボだぞ、お嬢さん。まあ、こういう偉そうなのに時々もろにデレたりされたら、たまらんものがあるよね、わかるわかる。
次があるかまだわからないそうだけれど、これはもう少し続き読みたいものだなあ。

ドラフィル! 3.竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋4   

ドラフィル!〈3〉竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋 (メディアワークス文庫)

【ドラフィル! 3.竜ヶ坂商店街オーケストラの凱旋】 美奈川護 メディアワークス文庫

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再び季節はめぐり、次の竜ヶ坂祭りに向けて練習を続ける『ドラフィル』のメンバーたち。しかしそのさなか、響介のもとにある奇妙な依頼が舞い込んだ。依頼者の名は、七緒の育ての親であり、彼女を見捨てたはずだった女性―一ノ瀬真澄。その内容は真澄の姉であり、世界的ヴァイオリニストの羽田野仁美が所有するヴァイオリンの鑑定であった。所持した者に不幸を呼ぶという呪いのヴァイオリン“チェリーニ”に酷似した、その楽器の正体とは?そしてドラフィルの演奏会の行方は―。

……しばらく、余韻を噛み締めるばかりで放心していました。さて、この物語をして何から触れるべきか。
そもそも、響介がとある演奏会にてある少女の神がかった演奏に遭遇し、音楽と言う魔に取り憑かれたのも、彼の手元に一ノ瀬ゆかりが使っていたランドルフィが訪れたのも、因果を求めていけば羽田野仁美へと辿り着く。
そう、七緒が足の自由と指の感覚を失ったあの事故さえも。羽田野仁美が持つ謎、彼女の真意こそがあの七緒という奔放な女性を今も縛り付け、前に進もうという意志を遮っている。
それこそが、最後の難関。羽田野仁美との対決こそが、このドラフィルという物語に課せられた、最後の障壁であったのだ。
その謎を紐解くためのきっかけとして、もたらされたものこそ「呪い」というキーワードである。“チェリーニ”という、持つものを次々と不幸に陥れてきた伝説の「呪いのヴァイオリン」。かの名器「メサイア」のコピーを携えている羽田野仁美が持つという、もう一つのオリジナルに比肩するコピー“チェリーニ”は、果たしてその「呪い」をも再現しているのか。彼女の持つ「呪い」こそが、彼女の娘である七緒と、妹親子である真澄とゆかりの運命をもねじ曲げてしまったのか。
果たして真実は何処にあるのか。一ノ瀬真澄から託された依頼をきっかけに、響介は自分を七緒に巡りあわせ、そして今なお七緒を縛り付けているものを解き放つために、真相を追い求めていくことになる。
そして、決着は……呪われた王者とドラゴンの対決は直接向き合い音楽を交えることではじまり……終わる。

思い返すとこのドラフィルという物語は……いや、作者の美奈川護さんの描く物語は見送る者と、その背を見守られながら前へと進んでいく者の、往く者と残る者の構図によって成り立つことが多い。それは別離であり、切ない別れであると同時に、再出発であり新たな時間のはじまりでもある。不思議と、残された者も置いていかれた、という感じではないんですよね。残ることもまた選択であり、その別れは最後の心の整理であり、往く者を見送るその心境は道別れたことへの寂寥と共に祝福が込められていて、そこには自分が選んだ道を進んでいく覚悟が得られていく。
一巻のゆかりに贈ったドラフィルの演奏も、二巻の最後に響介の父親に聞かせた演奏も、惜別であり決着であり、新たな出発であった。それはこの三巻も同様で、かつてこのドラフィルでヴァイオリンを弾いていた高柳とのそれも、羽田野仁美とのそれも、同じ意味を持っていたように思う。
そして、ここで描かれた別れが、別れた道が永遠に別れたままではないということも、この三巻では見せてくれた。
「おかえり」

皆が待ち続け、七緒が迎えたその言葉を贈った演者の凱旋は、まさに一度別れたものの帰還であった。そして、倒れた王者もまた、いつか「再生」することを、ドラゴンを率いる男勝りの指揮者は疑いもしていない。今度こそ、同じ音楽を奏でるために。

いつになく弱気だった七緒。彼女が初めて響介に吐露した弱音は、しかし響介の背筋を伸ばすことに繋がったような気がします。指揮者がブレたときこそ、コンマスが支える時。迷い、悩みながらも、ゆかりという七緒を支えるもう一つの支柱に助けられながらも、響介は今回、コンマスとしての本分を、七緒の相棒としての役割を毅然と果たしてくれたのではないでしょうか。七緒とドラフィルが、王者を前にしてもドラゴン足り得たのは、響介がブレずに尽くしたからなのでしょう。
かつて、そして今に足るまで、七緒にとっての英雄は羽田野仁美であり続けました。しかし、羽田野仁美を敗北させた今、彼女の音楽の英雄はどうなったのか。七緒の内面の詳細は、ついに曝け出されることなく終わってしまい、それが微妙に残念なのですが、その辺りは想像の余地あり、ということで。
うん、個人的にはもう少し、響介と七緒の二人の関係について踏み込んでほしい気持ちはあったんですけどね。ラブ寄せとまでは言わなくても。
もっともっと、このアマオケの話は見続けていたかったのですが、これにてこの物語は完成です。素晴らしい、音楽というものの素晴らしさを轟々と浴びせかけてくれた、凄絶なくらいの傑作でした。
次回作もまた、芸術方面で大いに期待したいと思います。

シリーズ感想

シアター! 23   

シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)

【シアター! 2】 有川浩 メディアワークス文庫

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「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」―鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。
社会的には駄目な人間の集まりだが、協力することで辛うじて乗り切る日々が続いていた。しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。どうなる『シアターフラッグ』!?書き下ろし。
あっ、そうか。司に言われるまで頭になかったけれど、確かに二年後に300万返せたら、それは終わりじゃなくて、そこから改めてはじまりなんですね。んで、二年以降は司が管理してくれるわけではない、と。無意識に、二年後以降も司が面倒見てくれるように思い込んでいたけれど、そんな事はなかったのか。お兄ちゃん、その辺りはきっぱりしてるからなあ。でも、役者当人たちが経営管理まで全部こなさなきゃならないというのは大変だと思うよ。誰だって、役者として自分を高めることに時間も労力も費やしたいだろうし。かと言って、専門に事務統括方やってくれる人を雇おうとしたら、中堅クラスの劇団であるシアターフラッグでは到底やってけない。こりゃあ、司兄ちゃんが業界としてマトモじゃないというのもわからんでもない。
というわけで、先を見越してメンバーは持ち回りで今のうちから司の仕事を引き継げるように裏方仕事の分担を増やし経験を養っていくことに。
前回一巻が、劇団解散の危機から組織体制を見直し、舞台を成功させるまでの一連の大きな流れとなっていたのに対して、今回はメンバー一人ひとりにスポットが当たっていくことになる。掘り下げ回、ということなんだろうけれど、端役とは言え何人かはテレビに出れるような役者なのか。普通に凄いなあ。
あらすじでは、メンバー同士の中に亀裂が、などと煽っているけれど、読んでいる限りではそこまで不穏なことにはならなかった。波乱を経てそれでも残り、そして一致団結して一つの目標に向かうことを選び、実際成し遂げている途中というメンバーだけあって、何だかんだと仲いいんですよね。ここまで仲良いか、と思うくらいみんな胸襟を開いて付き合ってる印象がする。だからこそぶつかり合ったりもするんだけれど、拗れるようには全然見えないんですよね。むしろ、出てったメンバーの中途半端なクズっぷりを見る限り、千歳の乱は結果として膿を出したと言っても過言ではなかったかと。いや、出てったメンバーの嫌がらせが見事なくらい小物で卑屈で、よくぞまあ、と思わず笑えてくるくらい。こんなん、牧子姐さんと張り合えるもんじゃないでしょう。姐御は、あれは自分の在り得た姿だ、と自戒してるけれど、それはちょっと自分を過小評価しすぎてるよなあ。千歳が司相手とはまた別の意味で牧子姐さんに懐いているには、至極当然ですよ。その牧子さんが巧と司の母親そっくりだ、とお母さん当人が認めているのは面白いなあ。まあ、巧みたいなのは牧子さんくらいでないと御せないですよ、うん。あんな鬱陶しいのw
今回は司兄さんが一歩後ろに引いた感じで、見守るお兄さん的に動かなかったためか、全体の動きにもどかしいものを感じるところもあったのだけれど、そうやって一歩引いているからこそ、お兄さんがどれだけみんなから慕われてるかが伝わってきたし、千歳との仲もビジネスライクじゃなくて司兄さんの方から踏み込んでいく展開もあり、なかなかニヤニヤさせられる場面も多かったです。千歳は完全にお兄さん気にしてるよなあ、あれ。ちょっと本格的な進展が見たいので、第三巻はそのあたり期待したいなあ。

1巻感想

シアター! 4   


シアター! (メディアワークス文庫)

【シアター!】 有川浩 メディアワークス文庫

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 とある小劇団「シアターフラッグ」――ファンも多い劇団だが、現在は解散の危機が迫っていた……お金がないのだ!! その負債額300万円!
 劇団員も減り解散の危機に悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。兄に借金をして劇団は助かったが、司は巧たちに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。 できない場合は劇団を潰せ」という「シアターフラッグ」には厳しい条件を出す。
 新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員が10名に。そこへ鉄血宰相・春川司を迎え入れ、巧は新たな「シアターフラッグ」を旗揚げするが……。
 果たして彼らの未来は――!?
すっごい今更なのですが、ようやく読めました【シアター!】。うちの部屋は一度沈むと、なかなか浮上して来ないからなあ。というわけで、せっかく発掘したのでこれを機にチマチマ読み進めるか、と職場での空き時間にちょっとずつ読むつもりで持っていったのですが、即日持って帰りました。あかん、これ途中で栞挟んでちびちび読むなんて無理じゃった。先が気になって仕方ないんじゃ! というわけで、結局一気に読んでしまうことに。しゃあなしだな。
読む前はもっとこじんまりした場末でホソボソとやっているようなアマチュア零細劇団の話かと思っていたのですが、実際読んでみると大手メジャーではないものの、そこそこ人気もあるマイナーメジャークラスの劇団の話で、実際の活動も本格的。いや、司兄ちゃんじゃないけれど、この規模、このレベルの団体の金銭感覚がアレ、というのは非常識もいいところなんだけれど、劇団に限らずどんな業界、媒体でもこの手のどんぶり勘定で平気でぶん回しているケースは結構あったりするので侮れない。まあ、往々にしてしっちゃかめっちゃかになって最終的に散華してしまうのですが。
よくある末路を考えるなら、ここでお兄ちゃんが債権者として介入してきたのは幸いだったのだろう。この兄ちゃんときたら、表向きは弟を真っ当な道に戻すためにこんな劇団潰しちゃる、と息巻いているくせに、生来の世話好きなのか、やってることは劇団再生の手助け。財務再建から営業から劇団員のメンタルケアまで、裏方仕事をオールでこなし倒すという辣腕ぶり。これで、本業でちゃんと仕事していて、空いている時間でやっているってんだから、どれだけ時間の使い方が上手いんだ、と感嘆の溜息が出るばかり。そもそもさ、この三百万、返ってこないつもりで出しているわけでしょ。弟のためとはいえ、この金額を出せるのはそれだけ稼いでるってコトなんだよなあ。務めている会社も決して大きい所ではないみたいだから、飛び抜けて高いサラリーをもらっているわけでもなさそうですし、兎角お金の使い方が抜群にうまいんですよね。これは社会経験云々があれば、誰でももってる金銭感覚だ、とは言わせませんよ。
何にせよ、性格的にキツいし辛辣なんだけれど、これだけ頼もしいし人間的にも懐が広いとなると、ついついどんな人種も頼りにしてしまうのもよく分かる。弟が甘えん坊だったから、兄貴が頼り甲斐のある人間になったのか、それとも順番が逆なのかはわからないけれど、司兄ちゃんという人は兎角甘えられ体質のご様子。それは、自分を律して厳しくしている千歳が、兄ちゃんを前にすると歳相応どころかもっと幼い少女みたいな顔ですねたり甘えたりしてしまっていることからも明らかだろう。果たして、それを目撃して複雑そうな顔をしている巧は、兄ちゃんに嫉妬しているのか、はたまた兄ちゃんに甘えていいのは俺だけなんだぞ、と嫉妬しているのかw
ともあれ、司の前では子供みたいな千歳がホントに可愛いんですよね。色々と無理してるこの子が、司の前でだけは気のおけない態度を見せるのにはほっとさせられます。決して、他のみんなに心を許していないわけじゃないんですけれどね。でも、自分の弱い部分をさらけ出せる相手というのは、自分に厳しい人間ほど厳選してしまうわけで。女性って、やっぱりこういう年上の男性がいいのかねえ。逆に、男もこういう年上の女性がいい、というパターンもあるので、人それぞれいろいろなんでしょうけれど。
こう言っちゃなんだけれど、巧と千歳ではうまいこと行く想像が出来ん。それこそ、兄ちゃんみたいな性格のきっちり締める、或いはシメる事のできる冷酷非情な人でないと、巧みたいな自由人は御せないですよ。その意味では、司と巧の母親はバリバリのキャリアウーマンでしたけれど、夫に自由にやらせていたという点で司とはタイプ違ったんでしょうねえ。

これまで描いてきたイメージを捨て去り、千歳という逸材が加わったことで心機一転、新しい自分とこの劇団の可能性を追求しようという巧に、多くの劇団員が反発し去っていってしまい、残ったメンバーも複雑な思いを抱えたまま、ついでに借金も抱えてしまい二進も三進も行かなくなってしまう、という形は、変わることの大変さ、それも周りを巻き込んで古きを捨て新しきを求めようとする道の厳しさを示しているように見える。みんな、先々鎖落ちていくことがわかっていても、今いる場所を打ち捨てて未知に打って出ようとする勇気というのをなかなか持てるもんじゃないんですよね。それも、そのきっかけとなったのが、新しく外から来たモノだとしたら尚更に。
残ったメンバーの中でも、その複雑な気持ちを一際燻らせていたのが牧子さんだったわけだけれど、結局頑として負の感情を外に漏らさず、見事に飲み下して胸を張って見せたこの人は、実にイイ女だと思います。憤懣の持って行き方も、素晴らしいですよね。女々しさとはまさに真反対。牧子さんにべったりの子は、イイ目利きですよ。アプローチの仕方は大いに間違っている気もしますけど……いや、あながち間違っていないのか? 意外と、あれで絆される、ということもありそうだし。

結局のところ、劇団の運営は社会的常識の範疇に収めればわりと簡単に上手く回り出す、という兄ちゃんの辣腕ぶりも去ることながら、元々この劇団の価値自体が優良だったのでしょう。やるべきことをやったら、全部うまく回るというのは、何気に凄いですよ。これで健全な運営が出来ないなら、業界構造自体が間違っているんだ、という司兄ちゃんの唸り声には、自分の弟が率いる劇団を自慢するような誇らしさと、それが認められないことへの憤懣が込められていて、なんとも胸に来るシーンでした。にしても、この兄ちゃん、ホントに弟のこと大好きなんだなあ……誰がどう見ても過保護です、はい。

ビブリア古書堂の事件手帖 4.栞子さんと二つの顔4   

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

【ビブリア古書堂の事件手帖 4.栞子さんと二つの顔】 三上延 メディアワークス文庫

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珍しい古書に関係する、特別な相談――謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その古い家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。そして、迷宮のように深まる謎はあの人物までも引き寄せる。美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが――。
今回は、以前からビブリア古書堂を目の敵にしていたヒトリ書房の井上さんが深く絡んでくることに。店の名前を「ヒトリ書房」と設定した時点で、彼に纏わる話は既にできていたんだろうか。SF畑を特に重きをなして扱っている店、というのは当初から明かされていたわけですし、構想はあったんでしょうね。となると、思っていた以上に本作における構想は大きく広がって出来ているのかもしれない。栞子の母親が追い求めている古書、というのもまた同様に。
にしても、あんな脅しをかけられていたら、そりゃあ井上さんもビブリアを恐れ嫌悪するわなあ。直接関わりなかったとしても、場合によっては結果として同じような形で智恵子によって人生ねじ曲げられていたかもしれないのですから。この脅迫って、本気で犯罪レベルじゃないんですか? 以前の藤子不二雄の古書の事件でも大概でしたけれど、他人の弱みに付け込んで、というのはどんな理由があっても嫌悪しか催さないです。
その意味では、栞子さんの母親への拒絶というのは当然のようにも見えるんですけれど、あの過剰な反応は同時に彼女のフクザツな心境をもうかがわせるんですよね。それが理解できたのは、文香の母親への反応なんです。
これまで密かに母親につながりを求めるようにメールを送り続けていた文香。てっきりこの子は、姉と違って殆ど会ったこともない母親に対して、会わないからこその愛情に飢えているのかな、と考えていたのですが、この子はそんなタマではなかったですね。十数年ぶりに再会した母親に対して、年月のブランクもないかのようになついた素振りを見せておいて、バッサリと切り捨てたあの怜悧な態度には思わずゾクゾクっとなってしまいました。その文香が智恵子に示してみせたものこそ、あんまり不義理を働いしていると、あんた本当にこの店に居場所無くなるよ、私のこころの中に居場所なくなっちゃうよ……つまり、貴女に対して興味も関心も無くしてしまう、無関心・無価値な存在になってしまうよ、という最後通告だったわけです。
好きの反対は、嫌いじゃなくて完膚なきまでの無関心、というのはよく言われる言葉ですけれど、それを文香は再会を純粋に喜びながら、同時に冷厳と突きつけてみせてくれたわけです。ハッとさせられましたね。つまり、これが子を捨てた親に対する一番厳しい姿勢だとすれば、じゃあ栞子さんのそれは? と考えてみると、彼女の頑ななまでの智恵子への反発というのは、以前からその傾向がありましたけれど、惹かれてしまうからこそ過剰に反発することで逃れようとしているように見えてくるわけです。
嫌らしいことに、それを智恵子もまた十分わかっているっぽいところなんですよね。この母親は、異常な自分の最大の理解者がこの長女であることを十分に承知している。彼女をこれまで放置していたのは、まさに栞子さんが自分の分身のように育っていっていた事に安心していたからなのではないでしょうか。
ところが、ある日突然、その分身のもとに一人の男が寄り添うようになってしまった。
智恵子が栞子の元にその姿を見せ始め、ちょっかいを入れだしたのが、ちょうど五浦くんがビブリア古書堂に出入りするようになった後であることを鑑みると、あながち穿った見方でもないと思うのです。そして、彼を傍におくことで、娘が想定していたのとやや違う形を取り始めたことに焦りを抱き始めたのではないでしょうか。今回、直接姿を見せたのも、何より先に五浦くんに会いに来たのも、その現れだったのではないかと。そもそも、智恵子さんの言動は今回いくらなんでも挑発的すぎるんですよね。あれじゃあ、栞子さんを煽っているようにしか見えない。もっとも、完全に栞子さんを自分一人のものとして連れて行こうとしていたか、というと本気ではあったけれど、絶対そうしなければならないとまでは思いつめてはいなかったんじゃないかなあ、とも思える。最大の理解者を腕の中に留めたいという気持ちと同時に、自分から娘が本当の意味で離れていくことを受け入れようとする気持ちもあったのではないかと。
この人はやっぱり好きになれないんだけれど、やはり完全な悪人というふうには持って行かないと思うんですよね。でも、やらかしていることを思えば、とてもじゃないけれど許容は出来んよなあ。
まあそれだけに、最後の栞子さんのきっぱりとした答えには胸がすく思いでした。五浦くんの告白に対する答えとしたら、これ以上なく痛快じゃあないですか。それに、デートで栞子さんのあの癖が、本を読んで上機嫌な時しか出ないはずのその癖が、五浦くんとのデートで出た時には思わずニヤニヤしてしまいましたよ。いい雰囲気じゃあないですか。

1巻 2巻 3巻感想

路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店3   

路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 (メディアワークス文庫)

【路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店】 行田尚希 メディアワークス文庫

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高校生の小幡洸之介は、画家である父の作品が夜になると動き出すという怪奇現象に悩まされていた。「そうした事件を解決してくれる場所がある」と耳にして訪ねると、そこはいかにも怪しげな日本家屋。意を決して中へ入った洸之介が目にしたのは、驚くような光景だった。そして彼は、加納環と名乗る、若く美しい女表具師と出会う―。人間と妖怪が織りなす、ほろ苦くも微笑ましい、どこか懐かしい不思議な物語。第19回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。
煙草屋のお婆ちゃん結界!(笑
人避けの結界とか張ってるんじゃないんだ。お婆ちゃんに見張ってもらってるんだ。いや、それ以前に煙草屋のお婆ちゃんなんて存在自体がもう妖怪なんぞより伝説の向こう側の存在じゃあないですか。まだ駄菓子屋のお婆ちゃんの方が居てそうだ。
そんな煙草屋がある時点で、随分と古風で明媚な街だというのが窺い知れる。そも、横丁だとか小径というのが風情があるんですよね。これは、その辺の商店街だとかではなかなか醸し出せない彩食である。
さて、本作が取り扱うのは表具師と呼ばれる絵画などを彩る表装を手がけるお仕事。この話の中では主に掛け軸や絵画の装飾などを手がけているけれど、表具師の仕事内容というのはかなり多岐に渡っているようで結構現代でも需要があるようだ。職業訓練校などもあるようですし。とは言え、平安時代から続く伝統工芸のジャンルでもあり、父親が画家だったとはいえ当人は特にそちらの勉強もしたことのない一般的な高校生だった主人公が、ひょんなことから出会った美人の女表具師に弟子入りして、表具という職人の世界に入り込んでいく、というシチュエーションにはこうそそるものがある。まあ、まだ本格的な弟子入りというわけでもなく、通り一辺倒基本的な知識を教えてもらい、実践しながら覚えていく、というわりとのんびりした雰囲気で、厳しい職人の世界、という感じではないんですけどね。
でも、若い子がこういう古くから続き今にもしっかりと根付いている工芸の世界に参入していく、というのはやっぱりいいものですよ。彼がこの後、父親の残した絵の表装を完成させてなお、表具師の道へと進むのかはまだわかりませんけれど、若い人がこういう技術の担い手となって行ってくれる事は良いことだと思うんだ。
って、あんまりそんな伝統工芸とか職人の世界の話じゃないんですけどね。むしろ、古い絵に託された想いが溢れて、付喪神と化した絵の想いを汲み取り、それに適した表装を仕立てることで絵を残した人、受け取った人の気持をつなげ、また純粋に絵を素晴らしい形で見栄えよくして仕立てあげる、というまあ言うなレバ人情話の連作集でありますな。
様々な職業、仕事を通じて、人の想いを汲み取っていく、というパターンは今やメディアワークス文庫の王道路線とも言うべき流れになってきているような気がします。その意味では、のっけから新人作品でこういう話が投稿され、受賞してこうしてお目見えしてきた、というのはあるべくして、なのかなあ。
ここに登場する妖怪たちは、非情に人間味あふれていて、えらく現代社会に適応してしまっている人たちなのですけれど、その分人間としての魅力には長けていても、やや神秘性については失われてしまっているきらいがあります。何百年も生きているが故の、人間を超越した精神性、異なる価値観、というものはあんまり見当たらないのですが、ただ若い風体のわりに時折垣間見せる年輪を経たどこか透徹とした立ち居振る舞いは、人情モノとしては十分な重さのような気がします。狸は例外として。
特に面白いのが、主人公の洸之介と加納環の関係でした。さすがはメディアワークス文庫というべきか、主人公とヒロインであるはずの二人の関係は、色恋沙汰が介在しない艶めくものがないものでした。かと言って冷めた他人の付き合いというわけではなく、師弟でありつつも厳しい上下関係があるものでもなく、どちらかというと親戚のお姉さんという風な、身内特有の親密でありながらどこか憧れに彩られた近くも遠い距離感、なのです。環さんも、洸之介の事を可愛い弟分のように扱っていて、双方ともにそうした近くて遠い関係に満足しているので、とても穏やかな雰囲気に浸ることが出来ました。どちらかが寂しい思いをしている時には、純粋に優しく寄り添って隙間を埋めあえるような、やわらかな関係。流れる時間の異なる二人ですけれど、洸之介がおとなになり、自分の家族を持って、やがて老いていったとしても、この二人はさいごまで変わることなく優しく寄り添えあえる関係なんだろうなあ、と思えたことが心地よい感慨でした。


バンク! コンプライアンス部内部犯罪調査室3   

バンク!―コンプライアンス部内部犯罪調査室 (メディアワークス文庫)

【バンク! コンプライアンス部内部犯罪調査室】 高村透 メディアワークス文庫

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全国に数多くの支店をもつメガバンク、東協名和銀行。新入社員の有村麻美が配属されたのは、表沙汰にはならない数々の不正を追究する「コンプライアンス部内部犯罪調査室」。どこかズレた個性的なメンバーが揃っているのを見て、前途に不安を覚える有村だが、普通の企業では考えられないような事件が次々と起こり、激務の奔流に呑み込まれていくのだった―。元銀行員の著者がリアルに炙り出す、銀行内部の驚くべき実情。銀行って…こんなに生臭いものなの…。
これはもうお仕事モノという範疇をはるかに通り越して、本格的な企業小説ですよ、ガチンコです。ここで描かれている銀行での業務内容は、中で働いた経験がないとわかったもんじゃない専門的なものばかりで、素人さんには聞いたこともない単語が飛び交う飛び交う。社内の取り決めや慣例、規約や業務手法なんかも初めて見聞きするものばかりで、はぁーー、と吐息が漏れるばかり。でも、それだけあってかリアリティはビシバシです。迫真性もたっぷりで、思わずのめり込んでしまいました。
何より、この「コンプライアンス部内部犯罪調査室」という社内の犯罪や不正を追求する部署、というのが社内の警察、というとかなり語弊があるのですが、隠蔽された事実を暴き出すという意味でちゃんとミステリーとして話が機能しており、また銀行という特殊な環境と社内の権力闘争、組織腐敗を描くという意味でちゃんと企業小説として機能しており、その上で個性的な「コンプライアンス部内部犯罪調査室」が様々な圧力や障害を乗り越えて真相の追求と組織腐敗の刷新のために駆け回る、というキャラクターに観点を当ててもよく動いている、ライトノベル的な側面もちゃんと維持していて、非常に高いレベルでバランスがとれている小説になっているんですよね。何より、銀行について何も知らなくても、全然面白い! 専門用語が飛び交いますけれど、決してそれで置いてけぼりにはなりません。一応、新入社員の有村くんが聞き役としてうまうこと働いてくれているので、基本的に物語の進行上知っておくべき知識や情報はちゃんと適時レクチャーしてくれますし、八代さんとかが。
この有村くんがまた明るくてさっぱりとしたいい子なんですよ。内容的にジメジメと鬱屈した話になりそうなところを、彼女の明るさが雰囲気をカラッと乾かしてくれるんですよね。それに、この娘なかなか優秀です。新入社員なので、無知なところも多いですし、ズボラで天然で鈍くさいところもあるんですが、物覚えがいいんですよ。うーん、物覚えがいいというよりも、一を教えると十を理解するようなところがあるんです。教えたら、教えたことだけしかできないのじゃなく、基本的なことを教えるとその基本から派生する枝葉の部分までちゃんとわかって動いてくれるんですよね。本人、いまいち自分の出来ている部分を理解していなくて、ぽややんとしてるんですけれど、教える方としては実に教え甲斐がある生徒です。結構偏屈っぽい八代さんがお気に入りにしているのもむべなるかな。それでいて、抜けててからかうと面白いですしねえ、いじり甲斐もあるというか……後輩の鑑みたいな娘ですよ、うんうん。

銀行という組織は、通常の民間企業とはまた違ってある種のお役所的が多くある組織です。昨今監視の目が厳しい公務員などよりも、ある意味腐敗の温床となってしまっているのかもしれません。ここで描かれる事なかれ主義と責任回避、そして権力志向のパワーゲームは目も当てられないほど醜いものばかり。でも、これって多かれ少なかれ、どんな企業や組織でも内包している問題なんですよね。人の振り見て我が振り直せ、じゃないですけれど、貴方達の中で自分に罪がないと自信を持って言えるものだけこの罪人に石を投げるがイイ、てなもんで、なかなか一方的に銀行ってやつは酷いね、なんて言い難い。でも、見て見ぬふり、というのもやっぱり間違っていて、この「コンプライアンス部内部犯罪調査室」の面々が、自分たちの出世を投げ出し、職を賭して組織のモラルを守り、規律と秩序を正そうとする姿は眩しいばかりです。
コンプライアンス、って言葉の意味、知ってました? 私は、ここで初めて知りました。

沢木道楽堂怪奇録 最後の魔女3   

沢木道楽堂怪奇録―最後の魔女 (メディアワークス文庫)

【沢木道楽堂怪奇録 最後の魔女】 寺本耕也 メディアワークス文庫

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なんでも屋を営む男と元気が取り柄の女子高生。男は霊を見ることができ、少女は霊に好かれていた。そんなふたりの、怪奇でのんきな物語。失踪した母。残された娘は闇を恐れていた母の運命を知る「ほらこの夜、またあいつらが」。黒猫を預かった雪穂。想いはかつての愛猫、寅さんのもとへ…「きみに照らされて」。13人が死に、ひとりが生き残った。生き残ったのは幼い少女、葉山有紗。だが彼女の周囲では次々と人が死んでいき…「最後の魔女」。以上、三編収録。
………あうぅ。
面白かった、面白かったんだけれどこれはダメージきつすぎるわー。正直読み終えたときはグロッキー状態。ここまで救いのないことになるなんて。いや、当人としては救われたのかもしれないけれど、それまでの悲惨な人生の結末がそれなんて、報われてない、全然報われてないよ。この子自体は何も悪くなかったのに、一切非難されるような所業も罪もなかったのに、なんでこんなことになってしまったんだろう。あまりにも悲惨すぎてあれで報われたと思った有沙が不憫で不憫で。最後まで絶望したままよりはそりゃあマシなんだろうけれど、心も救われたんだろうけれど、もっと幸せになって然るべき良い子だっただけに後味が悪いなんてもんじゃない。それに、彼女を引き取った占い師のお母さんが可哀想過ぎますよ。二度も娘を失うはめになったお母さんの絶望たるや如何ばかりか。
なまじ、その前の「きみに照らされて」が亡き飼い猫に纏わるハートフルなストーリーで思わず目尻が熱くなるほど温かい良いお話だっただけに、てっきり最後の話もハッピーエンドで終わってくれると信じていたので最後の最後に崖から突き落とされたような感覚でしたよ。
うん、「最後の魔女」の衝撃が強すぎて印象が弱まってしまうかもしれませんが、二編目の「きみに照らされて」もとても良い話でした。ふとしたすれ違いから致命的なまでにこじれてしまった友人との仲。仲直りしようとあれこれ努力してみるものの、そのどれもが食い違って上手く行かずズブズブと泥沼にはまっていってしまう中で交錯する今はなき飼い猫との勇気によって得た出会いと後悔ばかり引きずる別れの思い出。そして、現れた飼い猫の幽霊がそっと後押ししてくれたことで、もう一度勇気を得て立ち止まってしまっていた自分を奮いたたせる物語。一人の優しい少女の心の成長と飼い猫との温かな交感を如何なく描ききった素敵な話でした。
冒頭の「ほらこの夜、またあいつらが」は、ちょっとまさかと思うような展開。怪奇って、幽霊方向限定じゃなかったんかい!! 
一応主人公にあたる沢木が、幽霊が見えるものの霊能力者でも霊障のスペシャリストでもなんでもないので、経験則からあれこれと参考になる助言をくれたり、実際助けてもくれるのだけれど、基本的に凄く頼りなくてバシッと解決、というわけにはいかないのでなかなかスッキリとした終わり方にはならないのだけれど、サバサバとしていて明朗な雪穂と組み合うとその若干の情けなさが上手く合うのか、結構いいコンビなんですよね。でも、まだまだ今のところ知人以上友人以下という微妙なラインをさまよってるので、もうちょっと接点が増えないと関係が薄すぎる気も……。とはいえ、何でも屋のおっさんと女子高生って、普通は接点生まれないもんなあ(苦笑

0能者ミナト 5 4   

0能者ミナト〈5〉 (メディアワークス文庫)

【0能者ミナト 5】 葉山透/kyo メディアワークス文庫

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完璧な降霊術で人を集める『彼岸の会』。天性の法力を持つユウキは直感し、降霊術がまやかしだと糾弾する。だが、主催者の士道骸に手玉に取られてしまうのだった。この男、総本山から野に下った切れ者で、まったく隙がない。かくして、業界ではいかさま師と揶揄される湊の出番である。0能者対詐欺師の稀に見る攻防は、騙し合いの熾烈な駆け引きへと発展していく。霊を降ろしている様子はないのに、霊と完璧に対話してみせる。その矛盾を湊はどう解体してみせるのか。
0能者VS詐欺師って、やってることは完全に詐欺師VS詐欺師のシロサギVSクロサギじゃないですかww
今回は短編一話、中編一話の二話構成。何気に短編のほうがとんでもないのと戦ってる気もするんですが。
第一話の短編「石」は、とある町で開催されている「大幽霊妖怪展」という博覧会に展示してある「夜泣石」を調べに来たユウキと沙耶の奮闘編。
珍しく、湊が居らず沙耶とユウキの子供二人組で、起こった事件を解決することになる。二人共霊能者としてはすこぶる優秀なために、生半な相手なら力技でねじ伏せることも可能なはずなんだけれど、こういう時に限って相手は力でねじ伏せられるような相手じゃないんですよね。特にユウキなんて異能バトルもので主人公でも中ボスでも張れるような天才くんなのに。何気に、今回は沙耶も大立ち回りしていますし、アクション的にも派手な回だったような気がします。とは言え、そうした直接的な攻撃でどうにかなる相手ではなかったので、いつも思わぬアプローチから攻略法を導き出す湊さんがいない以上、代わりに沙耶が相手の素性や能力を見抜き、対処法を考えざるを得なくなるのでした。以前の彼女たちならばここで思考停止してしまいかねないのですが、湊の助手として根底からの発想の転換や、古い時代には未知の現象だったとしても現代においては解き明かされた物理現象であったケースなど、幾度も霊能者としての自分の中の常識をひっくり返されてきた経験が、ここで生きてくるわけです。若いが故に、古い考えにとらわれないとも言えますけれど、この子たちもちゃんと柔軟な思考を育てていたんだなあ。
正直、あんな録音で再現できるのか、とも思ったけれど、過去の伝承においても犬追物で代用できているからには、細かい周波数とかは問わないでいいんだろうな。しかし、夜泣き石の本当の正体が……、というのには素直に驚いた。こいつは相当にヤバい案件だったんじゃなかろうか。

第二話の「詐」はあらすじにもある通り、イカサマで信者から金を巻き上げる詐欺師との対決編。とは言え、本作は本物の怪異を現代の知識で攻略する、みたいな方策でまかり通るお話だけに、完全にイカサマではなくそこには降霊術とは違うものの本物の怪異・異能が関わってくる。彼岸の会の代表が総本山の出身者である以上、本物に対する知見も多く有しているわけですしね。
まあ、このイカサマの正体についてはそれほど複雑に入り組んでおらず、ある程度見てたら気づく事が出来るでしょう。ということは、あとは湊の悪辣で陰険で詐欺師をもだまくらかす手練手管を堪能するだけであります。
でも、ユウキや沙耶もこの頃は湊に任せっぱなしでその後をついてくるだけではなく、自分の考えで積極的に動くようになってきているのには目を細めたくなる。湊の武器となったものも、なんだかんだと沙耶が手に入れてきたものを活用したものでしたしね。
それと、あとから出てきたあれは、なんか【うしおととら】リスペクト、って感じでしたよね。キャラクターがまんまアレの通りでしたし。あの話はうしとらでも傑作だっただけに、結構感慨深い。お前は其処で乾いてゆけ。
攻略法は、凄まじいばかりに湊らしくありましたけれど。でも、この時は湊も相手の襲来は唐突すぎて何も準備していなかったはずですし、よくまあ徒手空拳でねじ伏せられたものです。あれの攻略法として伝えられているものとは、まるで真逆を行くやり方であったのは、やっぱり面白いなあと溜息をつかされるところですけれど。

さて、次回は満を持して、といいましょうか、理沙子と孝元に湊を含めた大人トリオにスポットがあたる可能性が高いそうで、過去編でも現代で改めて三人が組んで事件を解決するにせよ、これは素直に楽しみです。

葉山透作品感想

ドラフィル! 2.竜ケ坂商店街オーケストラの革命5   

ドラフィル!〈2〉竜ケ坂商店街オーケストラの革命 (メディアワークス文庫)

【ドラフィル! 2.竜ケ坂商店街オーケストラの革命】 美奈川護 メディアワークス文庫

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 『お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない』
 相も変わらず、公民館の職員をしつつ竜ヶ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』でコンマス(兼、団員のトラブル解決係)を続けていた響介。しかし急にかかってきた父・藤間統からの電話と唐突なその物言いに、響介のヴァイオリンの音色は大きくかき乱される。
 そんな彼に発破をかける七緒だったが、彼女の元に送られてきた『ある物』により事態はより混迷を極め――!?
 商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場!
ぐおおおお、凄い、なんだろうこれもう凄すぎる。最後のオーケストラ【ラ・カンパネラ】の演奏シーンなんか、圧巻もいいところである。
どおおおおん、ぐおおおおん、ぐわっしゃああん、ぶわあああっ、どがああああああん、てな感じなんですよ。って、何一生懸命擬音を書き連ねてしまっているんだろう、自分は。
豪壮な音の洪水、という音楽の表現だけではここまで圧倒的な圧力に押し流されるような感覚は味わえないだろう。その音の波の中には一人の男の人生があり、ひとつの親子の相克があり、その男たちを今此処に立たせている家族の、一族の歴史が存在し、奏でられている曲が生み出された時代そのものが刻まれていて、曲を生み出した作曲家の、この曲を今まで奏でてきた音楽家たちの妄念が渦巻き、音をはじき出す楽器たちの魂が飛び交い、今ここで音を奏でている者達の、その曲を聞いている観客たちの息吹が、それらすべてが渾然一体となって荒れ狂い、吹き荒んでいるのだ。これがオーケストラ。これがフィルハーモニー!!
まさしく、これが「魔」である。ここで目撃するものは、舞台上の「魔物」であり、その魔物を食いちぎり雄叫びをあげるドラゴンの咆哮であり、無機物であるはずのヴァイオリンたちの歓喜の祝福なのである。
コンマスである響介と、その父との幼い頃からの冷たいすれ違い。父親の突き放した態度に秘められた真相は、縁か運命か、不思議と指揮者である七緒へとつながっていき、やがて驚くべき真実が明らかになっていく。
人生とはドラマそのものである、なんて使い古された言葉かもしれないけれど、これほど真贋を貫いている文句もないのかもしれない、とここで目にすることになる一人の男の人生を前にして、しみじみと思わざるを得なかった。彼が取り戻そうとして手を尽くし、何もかも上手く行かなかった果てに、息子にも音楽にも楽器にも、すべてに背を向けようとしたその先に、こんな結末が待っているなんて。
運命とは、斯くも絡まり合うものなのか。人間の人生とは、こうも交錯しあうものなのか。光も闇も、いつどこから差し込むかわからない。なんて、ドラマティックなんだろう。そして、そんなドラマティックな人間の生き様は、それこそ生き続ける限り終わらないのだ。いや、たとえこの世から消えさっても、何らかの形で残り、残された人々に何かを残し続ける。それは名声だったり、楽器だったり、曲だったり。そんな明確な形のものではなくても、子供に引き継がれていくもの。歴史に刻み残されていくもの。何も残らなかったように見えて、その人生にすれ違った人の心の片隅に焼き付いて引き継がれていくもの。そうしたものが一杯あるはずなのです。
そんな渾然とした想いが、この物語においてはオーケストラの演奏会にて、一気に渦巻き吹き出すのです。幾多の想いも運命も、魔も奇跡もすべてを内包したまま、この世に現出する。
そりゃあ、圧巻ですよ。魂消るのも当然だ。それだけの、凄まじい密度が詰まっているのだから。
そして、恐るべきことにそんな圧縮され解放されるのを待っている人生のドラマは、演奏者一人ひとりの中にもあるわけです。前奏となる、それぞれのオケのメンバーのお話は、そうしたドラマに触れて実感するための機会の一つ。オケのメンバーの一人ひとりに人生と言う名の歴史がある。老若男女関係なく、モブなんて誰一人もいないというのを、肌で感じるためのひとときなのです。
音楽って、すげえなあ。そして音楽を歴史として、伝説として、物語として、語り表現できる小説って、凄いよなあ。
今回、かなり頼りない響介が主体の話でありながら、そして父親からのプレッシャーに響介の内面がかなり不安定になる展開でありながら、前回よりもむしろ不動の安心感が一番底の部分で失われなかったのは、七緒からの響介への信頼感が最後までブレなかったからかもしれません。いつの間にか、ずっと絆が深まってるんですよね、この二人。色っぽい雰囲気は皆無なのですが、そういう男女の機微を抜きにしての揺るぎない信託がお互いに行き交ってました。だから、響介も不安定になっているようで、芯の部分で負けを意識させない強さがにじみ出ていたような気がします。七緒が、ああやって自分の体を運ばせるって、何気によっぽどの事だと思うんだがなあ。

響介と父親との対決がこれで片が付いた以上、残るは七緒の方の問題でしょう。彼女と、その本当の母親。音楽に魅入られてしまった本物の魔物との対決が済まないと、やはり片手落ちの感は否めません。作中でも、七緒が母親についてまだ自分の中で持て余している描写が、いくつか見受けられましたしね。
この人達のドラマを最後まで見届けたいと思い願うばかりです。

1巻感想

2 5   

2 (メディアワークス文庫)

【2】 野崎まど メディアワークス文庫

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 数多一人は超有名劇団『パンドラ』の舞台に立つことを夢見てやまない青年。ついに入団試験を乗り越え、パンドラの一員となった彼だったが、その矢先に『パンドラ』は、ある人物によって解散を余儀なくされる。彼女は静かに言う。「映画を撮ります」と。その役者として抜擢された数多は、彼女とたったふたりで映画を創るための日々をスタートすることになるが――。
『全ての創作は、人の心を動かすためにある』
 彼女のその言葉が意味するところとは。そして彼女が撮ろうとする映画とは一体……? 全ての謎を秘めたままクラッパーボードの音が鳴る。
これまでの野崎まどの手がけた作品
・【[映]アムリタ】
・【舞面真面とお面の女】
・【死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死】
・【小説家の作り方】
・【パーフェクトフレンド】
この5作品のキャラクターがすべて総登場するオールスターキャスト作品。と言うと、集大成というかお祭り騒ぎみたいな賑やかながらもやや軽佻な作品を想像してしまうかもしれないが、この【2】はさにあらず。ってか、このタイトルからして凄いよね。単純に昨今の長いタイトルに逆行して、というのとはこのタイトルになった意味は全く異なると思う。なんかねー、そういう周り見て決めましたって感じじゃないんですよね。外の世界は眼中になし。ただ、ひたすらに野崎まどワールドにしか視野は置かれて、その上でこのタイトルが舞い降りてきたんじゃないでしょうか。
終わってみれば、このタイトルは「暴虐的」ですらある。最原最早が、大衆に見せるための映画を作らないように、このタイトルは野崎まどワールドの中の座標を示す数字に過ぎないと言える。読者に何かを訴えるための意味が篭められたようなものではないんじゃないだろうか。ただし、読者たる自分はそれを決して無視できないのだけれど。ただ佇立するだけの番号に、これほど圧倒されてしまうなんてねえ……いやはや。
さて、スーパー野崎まど大戦、などと言っても過言ではない本作。ところが、冒頭から始まる物語にはこれまで出てきたキャラクターなど一人も登場しない。あの最原最早が出る、という情報だけは聞き及んでいたのだけれど、強烈な個性とキャラクター性、情緒深く人間味ある登場人物たちが、これまた凄まじい「パンドラ」と呼ばれる超劇団の激烈なまでの在り様の中に飛び込み、演劇感の革命に遭遇するさまは果たしてこれからまたどれほど天上に駆け上るかのような想像を絶する物語が始まるのか、とワクワク感が滾って仕方ないような、それはそれは躍動感に満ち溢れたはじまりだったのです。
多分、このまま物語が進んでもそれはそれで大変面白い作品だったんじゃないかなあ。
だがしかし。だがしかし。

あの女が現れた。

自分、ここまで完膚なきまでに「物語」が潰乱するアリサマを見たのは初めてかもしれない。
そう、潰乱である。その時点まで綴られていた、紡ぎあげられていた、築きあげられていた、今まさに産声をあげ誕生しようと、飛躍しようと、羽ばたこうとしていた「物語」が、木っ端微塵に消し飛んだ。吹き飛んでしまった。消滅してしまった。溶けてグズグズになってしまった。自壊して崩壊して溶解して形をなくし過去をなくし未来も現在も意味も無意味も価値も概念も何もかもがなくなって、まさに跡形もなくなってしまいましたとさ。
最原最早の発した、ただの一言で。本当に、ただの一言で。
物語は潰乱した。

たった一人の役者を残して。

そこからは、もはや最早の蹂躙戦である。何がオールスターキャストだ。何もかもが最早の掌の上。探偵も仮面の女も不死の生徒も小説家も、そして愛すべき子供たちですら、すべてが最早の思うがままに蹂躙されていく。
圧倒的である。
圧倒的である。
それ以外に、何といえばいいのか。最原最早……あの【[映]アムリタ】で現れてしまった、人類の最果て。以降の作者の作品を読んで、様々な突拍子もないキャラクターが現れましたけれど、常々彼女だけは立っているステージが根本から違っているんじゃないか、と思わせる超常感があり続けたのですが、それが揺らいだのがあの【パーフェクトフレンド】での、彼女の立ち位置でした。
いったい、あの最原最早に何があったんだ!? と心底仰天させられた彼女の現状は……やはり俗に収まったわけじゃなかったんですな。そんなはずがあり得るはずがない、という確信は間違っていなかった。うん、揺らいだなんて嘘だ。むしろ、そんな母親なんて立ち位置に立っていた、まるで健全で善良な母親のような価値観で、やってることややり口のえげつなさこそ相変わらずだったけれど、まるで普通の良い子を育てるような真似をしている彼女の在り様には、空恐ろしさしか感じなかった。何を、企んでるんだ? って。
まさか、その答えが次の作品で速攻で語られることになるとは思わなかったけれど。

そして、留まるところを知らない大どんでん返しの連続! 普通、この規模の大どんでん返しってのは作中に一回あれば充分なわけで……クライマックスに差し掛かっての謎の種明かしに種明かしに種明かしを重ねまくる驚愕の連続には、もうあいた口が塞がらなくて……よだれ垂れてきた。
だがちょっと待って欲しい、というフレーズを使いたくなるほど、待った待った待った、を掛けたい気分になったんだが、読み終わった後。
あの、これ全部終わってみるとさ……最早さんマジ最強、とか言う前にあれですか? 彼女の思想とか映画への執着とかその高みに至り過ぎて立ってる次元が違いすぎる、とか人類の到達点に至っちゃった、とかは大前提としてさておいて、この話って……なんというか、ぶっちゃけ……イチャラブ惚気話だったのか、もしかして!?
いやあ、自分、あの人かなりの勢いで使い捨てにされちゃったのかと思ってたんで、このラブラブっぷりは望外と言っていいくらいなんだけれど、終わってみると僕の最早さんはこんなに凄いんだぞー、という自慢話みたいな惚気話を聞かされてたんじゃないか、と傍と思い至ってしまった。なんか、変な所に到達してしまったぞ、自分w これもまた、人類の最果てを覗いてしまった、と言うことなんだろうか。
取り敢えず、最中ちゃんが道具扱いじゃなく、ちゃんと愛されていたのには安心した。この子の心の成長譚が、ただの作業過程だったら、悲惨以外の何物でもないですしね。
紫先生は、あれどうするんだろう。彼女の書いたモノがちゃんと「読まれた」というのは、彼女の目的が叶ったとも言えるんだけれど……でも、最早さん以外読めないとなると、まだ改良の余地ありということか。

あと、野崎まどキャラ総出演してなお言い切れるのは……一番の萌えキャラはやっぱり「アンサー・アンサー」さんですよね、というところでしょうかw ついに本名まで普通にしようとしてしまってますが、頑張れ、超頑張れ!!

野崎まど作品感想

ビューリフォー! 准教授久藤凪の芸術と事件3   

ビューリフォー!―准教授久藤凪の芸術と事件 (メディアワークス文庫)

【ビューリフォー! 准教授久藤凪の芸術と事件】 波乃歌/toi8 メディアワークス文庫

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 学生から大人気のイケメン美術史研究者・久藤凪准教授。でもわたし、田之中花はその忠実な奴隷です……。
 ひょんなことから容姿端麗で頭脳明晰、温厚篤実で知られる久藤准教授の助手になってしまった、貧乏学生の花。
 一見好青年な久藤先生だが、花にだけはその悪辣な本性を露わにする。まさに奴隷なみにこき使われる花は、一方で彼を次々と、自分が首を突っ込んだトラブルへと巻き込んでいき――。
 名画『イカロスの墜落のある風景』の絵葉書に隠れた秘密とは? ピカソの人生が導く恋の処方箋とは? 奇妙で楽しいアート・ミステリ登場!
歴史的な名画をネタにして、こんな風に短編連作として綴っていく作品というと、まず真っ先に思い出すのが美奈川護さんの【ヴァンダル画廊街の奇跡】ですが、あれが人間ドラマが主題だったのに対して、こちらはあらすじにもある通り、ミステリ調。それも、他愛もない、というと語弊があるけれど、日常の中で起こる出来事にまつわるミステリ。まあ明らかに、今おなじメディアワークス文庫で大ヒットとなっている【ビブリア古書堂の事件手帖】を意識した作品ですねえ。ともあれ、ネタ元が絵画というのはビブリアみたいな古書やクラシックなどの音楽などと比べると、一つだけ明確な利点があるんですよね。それは、主題となる絵画が、ひと目でどんなものか判るというもの。書籍や音楽と違って、絵画はその絵の写真を掲載すれば、それがどんなものか明確に判別できるのです。実際、この【ビューリフォー!】にも、毎回取り扱われる絵画の絵が載っています。書籍や音楽だと、まず登場人物がその作品から感じ取ったものを表現する前に、その想いの元になった作品が一体どういうものか、作中の人物たちが感じたものの何割かでも共感して貰うために様々な形で言葉を尽くさなければなりません。それに対して絵画は……勿論、その絵の背景や描かれた意図や画家当人の在り様など、言葉を尽くさなければならない所は多々ありますけれど、前提として語るべき作品とはまずこういうものである、というのを「見る」ことで一先ず把握できる、というのはやっぱり大きいのです。
ただ、こればっかりは久藤先生と同意見なんだけれど、絵はちゃんと本物と同じ採寸と色彩で見たいですよね。印刷で潰れた縮尺の小さな絵だと、もひとつこう、絵のインパクトが伝わってこない。第一話の『イカロスの墜落のある風景』なんざ、この絵については全く知らなかったので、久藤先生の説明に度肝を抜かれて慌てて章の頭に掲載されていた絵に目を凝らしたんですが、ちっちゃくて見難いーー! それでも、肝心の部分を見つけた時には思わず笑ってしまったのでした。
改めてネットの方で検索して、それなりの大きさとちゃんと色のついた画像を発見して見直したんですが……、これ本当に凄い絵ですよね。普通に見てたら、タイトルの意味全然分からんよ、きっと。

しかし、大学の准教授なんて給料がいいなんて話、殆ど聞かないのにこの久藤先生ってやたら金回りがいいんですよね。性格のオモテウラが激しいと言っても、別にアコギな商売を裏でしている様子もないですし、裕福な家の生まれなんだろうか。外面の良さといい、スイーツが通好みなところといい、それっぽいけれど。
分からないといえば、先生ってばなんでわざわざ花ちゃんみたいな子を助手にしたんだろう。確かに、いびると反応が面白いけれど。好きな子をいじめて喜んでいる、という風情でもありませんし、先生が本性を露わにしたきっかけは、花ちゃんが先生を怒らせたからですしねえ。ダメ学生をこき使ってイビってるだけ、というにはお金に困っている花ちゃんに対して殆ど援助と言っていいくらいの給金を出してますし、この子が困ってたり悩んでたりしたら、まず見逃さずに、また彼女の方からお願いしたら、皮肉や文句付きではありますけれど、必ず手を差し伸べてくれますしね。
案外と世話好きなんかじゃないかと思えてくる。この花ちゃんという娘は、単純で直情的で頭の回りも良くないにも関わらず、しょっちゅう自分からトラブルに頭を突っ込んでいく子ですからね、放っておけない、という気にさせられるのはよく分かる。かと言ってただで火消しをして回るのは本人悪気がないけれど、いやむしろ無いからこそ腹が立つ。
故にイビってイジリ倒してストレス発散。うむ、なるほど納得した。花ちゃん、ある意味ガーガー文句言いながらもメゲないタフな子だから、ある程度やりすぎても大丈夫ですし。
懲りない小娘と性格ネジ曲がった准教授のコンビは、笑える意味でギスギスしたお世辞にも仲の良いものではありませんけれど、嫌味もないしサッパリして引き摺らず、何だかんだと認める所は認めあう良いコンビなんじゃないでしょうか。
ただ、この「ビューリフォー」という決め文句は微妙だなあ(苦笑
いっそ、アルファベット表記にしてしまえばよかったのに。どうもカタカナでビューリフォーとか言われると腰砕けになってしまうw



0能者ミナト 44   

0能者ミナト〈4〉 (メディアワークス文庫)

【0能者ミナト 4】 葉山透/kyo メディアワークス文庫

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 豪華客船に現れる船幽霊。柄杓で水を撒くだけの時代錯誤な怪異に巨大な船を沈められる訳がない。湊が依頼を受けたのは言うまでもなく──クルーズを楽しむためだった。
 ユウキと沙耶は湊に見切りをつけ、早々に事件を解決。これで大っぴらに遊べるとばかりに、湊は泥酔しカジノで暴れボヤ騒ぎまで起こす始末。
 だが、怪異は終わっていなかった。巨体を誇る豪華客船が傾き始めたのだ。裏に潜む本物の怪異の仕業か? 転覆寸前の極限状況の中、湊の科学的推理が始まる!
理沙子姉、あんたって人は……(苦笑)
この人、なんか回を重ねるごとに馬脚を現してってるよね。初登場した時はびしっと決めたクールで知的な出来る
美人さんだったのに、もはや完全に生き遅れ残念美人である。
一冊丸ごと使った長編だったのに、理沙子姉さんがオチで全部持って行ってしまったというのはなんともかんとも。
腹抱えて大爆笑してしまったじゃないかw

さて、今回は豪華客船を舞台にした大スペクタクル巨編、と言っちゃっていいんだろうか。映像的にはハリウッドのパニック映画クラスの事は起こっているので、決して間違っては居ないはず。シリーズ通して初めての、一冊丸ごと使った長編になっていますしね。
今回の肝は、柄杓で掬った水を撒くだけの怪異「船幽霊」が、どうやって5万トンクラスのクルーズ船を転覆寸前にまで追い込んだのか。前提として発生している船幽霊は数体。単純な物量で沈めにかかってるわけじゃない、という点を踏まえて、この謎を解いていかなければならない。
この豪華客船で船幽霊が目撃された、という話から湊たちに依頼が舞い込む以前に、実は一隻、巨大タンカーが謎の事故を起こして沈没しているのですが、このしらなみ丸の事件がまた、今回の一件に上手く絡んでくるんですよね。このしらなみ丸に絡めた思考の誘導の仕方は、後から考えてみれば見るほど見事の一言につきる。原因と因果の逆転とでも言うべきか、面白いくらいに綺麗にミスリードさせられてたんですよね。
これには、湊も発想の転換に至るまで、珍しいくらいに事件の謎の解明に手間取っているあたりに、今回の一件の巧妙さが伺えるのではないだろうか。尤も、巧妙とは言っても、結果としてそういう形になっただけで誰かの意志や目論見が介在したわけではない、真に偶然の産物だったことが湊の思考を制限し、事態をギリギリまで悪化させてしまった要因になるのではないだろうか。まったく、悪魔に魅入られたような状況だった。
しかし、船幽霊の特質については、ちょっと笑ってしまってすらあったんだが。確かに、船幽霊の由来を考えたら、彼らが彼らなりに全力を賭しているのはわかるんだが、そういう知恵の回し方はしないでほしいなあ(苦笑
その理論からすると、むしろ迷信や無知に縛られていた古い時代の幽霊よりも、科学によって蒙を啓いた現代人の幽霊の方が、相当に厄介になってしまうぞ。
湊については、感心させられたのが、むしろ謎をといた事よりも、乗客のアフターケアにまで心配りをしたことでしょうね。ここが、彼が単純な探偵役なんかじゃなく、同時に偽悪者である事の証左なんでしょうね。事件そのものは、謎を解き明かした時点で解決し、客船転覆の危機も回避できたのですから、仕事自体はそれで終わりでも良かったはずなのに、乗客のメンタルケアまでキチンと請け負って、豪華客船の旅という夢の様なひと時を壊すこと無くこの一件に幕を下ろしたわけですから。
それに合わせて、先のタンカー沈没事件の犠牲者であり船幽霊になってしまった船員と、その恋人との哀しくも穏やかな別れには、切なさに胸を締め付けられ、ふうと吐息をついたのでした。

と、一部に哀しい決着を迎えながらも、概ね明るくどこか皆の心が重なるような、一連なりの映画を見終わったような感慨に浸っていたのに……続く閑話で、あの理沙子姉さんが全部オトしてくれやがって、もうこの人はw
いや、彼女は被害者なんでしょうけれど……湊にネタ提供しすぎなんですよ! あんたがネタ出さなかったら、湊だってそんなにおちょくれないんだからw
しかし、本作メディアワークス文庫で、挿絵なんて無いに等しいのに、なんでピンポイントで沙耶のあの姿をピンポイントでイラスト化してるんだよ(爆笑
カラーの振袖姿とのギャップがまた……。こうなったら、理沙子姉さんの例のドヤ顔の御姿も見てみたかったw


1巻 2巻 3巻感想

ビブリア古書堂の事件手帖 3.栞子さんと消えない絆4   

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)

【ビブリア古書堂の事件手帖 3.栞子さんと消えない絆】 三上延 メディアワークス文庫

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 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連となった賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
 人々は懐かしい本に想いを込める。それらは思いもせぬ人と人の絆を表出させることもある。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読み取っていき──。
 彼女と無骨な青年店員が、妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは? 絆はとても近いところにもあるのかもしれない。あるいはこの二人にも。
 これは“古書と絆”の物語。
へえ、古書店同士こういう組合を作って横の繋がりを作って相互援助し合っているんだ。こうした仕組みを古書店が作っているのは世界的にも珍しいことのようで、思わぬトリビアでした。そんな顔馴染みの古書店主の中に、なんと栞子さんの幼馴染が!!
作者の三上延さんと云えば、電撃文庫においては渡瀬草一郎さんと並んで、名うての幼馴染ストとして勇名をはせた幼馴染作家。よもや三上さんがこんなカタチで幼馴染キャラを出してくるとは、時代は変わったんだなあ、と訳の分からない感慨に耽ってしまった。
でも、滝野さん、普通に良い人でよかった。ちょっと立ち回りが怪しかったから良からぬ事を企んでいたり、ビブリア古書堂に意趣があるのかもしれない、とか疑っていたりしてごめんなさい。純粋に幼馴染の栞子さんを心配し、かなり面倒くさい性格をしている彼女を深く理解している五浦くんを何かと応援してくれたり、トラブルになりそうな情報を先回りして教えてくれたり、とかなり助けて貰ってるんですよね、この人には。一応これ、ちょっとしたミステリー調の作品でもあるんで、むしろそんな風に細々と助け舟を出してくれる人って逆に怪しく見えてしまう時があるんですよね。そうじゃなくて、よかったと。
まあ、昔栞子さんとは滝野さんの妹の方が仲が良くて、滝野さん当人とは本の趣味で仲違いして以来、わりと疎遠、というのはなんというか栞子さんらしいw
でも、彼女が滝野さんの妹とよく店に飲みに行っているというのは、五浦くんじゃないけれど意外な情報だった。外飲みなんかしない引きこもりだと思ってたのに。店で飲む雰囲気が好き、というのは驚きだったなあ。人見知りなのに、外が苦手ってわけじゃないのか。
むしろ、伝え聞く母親の性格や、妹の文香のかしましいくらいの社交性を鑑みると、栞子さんがこれだけ内気というのも見合わない話なんですけどね。

しかし、母親の篠川智恵子という人物は、話を聞けば聞くほど怪物的な人物に思えてくる。殆ど空想の産物じゃないか、実際にこんな人間が居るのか、というバイタリティ?の持ち主なんですよね。その貪欲さや得体の知れなさが、ちょっと生身の人間離れしたところがある。例の古書店主が化け物のように恐れいているのも無理からぬところがある。あの手紙を見たら、ビビるよなあ。
そんな母親の異常性を、同じ血を引く自分は多分に引き継いでいるに違いない、と自分の本の執着性におびえている栞子さん。実際、彼女が本に対して異様なスタンスを見せることは、五浦くんも認める所なんだけれど……これまで、母親と栞子の複雑な関係が話しの中で浮き彫りになり、その母娘ゆえの類似性、同じ穴の狢、そういう理屈が語られるたびに、ずっと違和感というか、疑問というか、モヤモヤとしたものを感じていたんですよ。
うん、確かに篠川智恵子と篠川栞子には、否定出来ない共通性がある。異常性、破綻した人格、得体のしれない恐ろしい部分が引き継がれている。それは、血の繋がった母子故に、消せない繋がりなのかもしれない。
でも……どうして、その共通性は智恵子と栞子の間でばかり強調されるんだ? と。
それが母子ゆえに受け継がれたものなら……なんで、もう一人の娘、妹の文香についても同じじゃないかと、誰も考えようとしないんだろう、と。

血は争えない、という言葉が当てはまるのが、何故長女独りだと思った?

決して文香が黒いとかヤバイ、危険な子、だとは思わないけれど、いささかこの子を軽視しすぎていたんじゃないだろうか。仮にもこの子だって、篠川智恵子の娘で、栞子さんの妹なんだから、迂闊で口が軽い今時の女子高生、ってだけでは収まらないだろうに。
今後はこれ、もっとこの妹ちゃんについてもスポットが当たってきそうで、ちょっとワクワクしてます。この、不意にすぐ近くに底の知れない存在が居る事に気づいた時のドキドキ感って、結構くせになるんですよねえ。

とまあ、全体的に篠川智恵子の影を感じさせるエピソードが多かった中で、あの坂口夫婦が出演したお話は、このシリーズらしい親しき仲の心の機微に優しく触れる内容で、素敵なお話でした。あのしのぶさんが出てくると、大概こういう素敵な話になるから、この夫婦は好きだなあ。好きというか、しのぶさんについてはもうファンと言っていいくらい。
何やらおめでた、になってしまいましたけれど、次回以降もエピソードの主人公にはならなくても、是非顔を見せてほしいところです。

1巻 2巻

ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄5   

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)

【ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄】 美奈川護 メディアワークス文庫

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寂れた町に、オーケストラと言う名の『ドラゴン』が舞い降りる――!!
 音大を出たけれど音楽で食べていく当てのないヴァイオリニストの青年・響介。叔父から紹介されて彼がやってきたのは竜が舞い降りた――と思われる程に何もない町、竜ヶ坂の商店街の有志が集まったアマチュアオーケストラだった。
 魚屋のおっさんから女子高生、スナックのママまで、激烈個性的な面子で構成されたそのアマオケを仕切るボスは、車椅子に乗った男勝りの若い女性、七緒。彼女はオケが抱えている無理難題を半ば強引に響介へ押し付けてきて――!?
 竜ヶ坂商店街フィルハーモニー。通称『ドラフィル』を舞台に巻き起こる、音楽とそれを愛する人々の物語。

うおおおおおおお!! ドラフィルちょーー面白れぇ!!!

いや、これすげえわ。音楽モノとしては杉井光【さよならピアノソナタ】以来のヒット。アレとはまた違う方向から、魂を揺さぶられ、体の芯から高ぶる興奮を得られた一作でした。演奏シーンの迫力がまた凄いんですよ。文章から音楽が聞こえてくるどころじゃない、音塊を生でぶつけられるような圧力が襲い掛かってくる。轟々と、竜の咆哮みたいな波が押し寄せてくる。【のだめカンタービレ】や【天にひびき】の最高潮のシーンを彷彿とさせるような、意識を鷲掴みにされ、タクトの切先の動きに引っ張りまわされ、音の奔流にドカンと飲み込まれるような、恍惚とした瞬間を嫌というほど味わわされた。

すげえわ、これ。

物語の世界観とはまた別の独自の「世界」が生み出され、その真っ只中に放り込まれ、ただただその目覚ましさに音の世界を仰ぎ見る。こんな最高の体験が出来るなんて、痺れるどころの話じゃないですよ。

素晴らしかった。

デビュー作のシリーズである【ヴァンダル画廊街】でも、有名な絵画をモチーフとした数々の話の中に、一人の音楽家を主人公にしたお話があって、それがまた素晴らしい出来栄えだった記憶があるのですが、この美奈川さんという人の筆は、絵画やクラシック音楽など芸術作品をテーマをした時にこそ真価を発揮する独特の空気感があるんですよ。一つの絵画、ひとつの楽曲に込められた製作者の想いとそれが作られた個人の、或いは時代の背景、そして現在に至るまでその作品に関わってきた人たちの思いに基づく歴史の年輪を、この人の筆致は色鮮やかに描き出し、その上で今この瞬間にその作品に関わっている人の物語に絡めて、独自の「世界」を生み出していく。
この「名作」として今に残る作品たちの纏う「オーラ」を、この人の筆は自在に束ね、操り、その感覚的な大きな存在感を、雰囲気として物語の中に敷き詰めていく。その手腕が、本当に見事なのです。
メディアワークス文庫に移ってから最初に出した【特急便ガール】が、ヒューマンドラマとして格別の出来栄えだったのにも関わらず、少し物足りないな、という感覚が常につきまとっていたのは、多分この芸術作品と今を生きる人の人生との交錯と一体感がなかったからなのかもしれません。
それが今、クラシック音楽とオーケストラ、という主題を携えて、骨太で温かく妥協のないより昇華されたヒューマンドラマに挑んだ本作は、まさに美奈川護という作家の現段階での集大成と言わんばかりの素晴らしい完成度で、もう文句の付け所が見当たりませんでした。敢えて言うなら恋愛色の薄さですけれど、この人はもともとそういう色恋は主人公やヒロインの主体の中には盛り込まないタイプの人のようで、今まで描いた作品の中でもそういう色は一切見かけた事はないので、わざわざ付け加えるのも無粋という話でしょう。遠まわしに見るならば、七緒と主人公との間に育まれた絆の果てには、ちょっといい雰囲気も芽生えてた気もしますし。

いやあ、それにしてもすごかった。なんか、凄かったばかり言ってる気もしますけれど、音楽を通じて交錯する人と人との縁や繋がり、人生が重なる瞬間をこうもダイナミックに、感動的に見せられると、凄いなあとしか言えないですよ。本来ならまじわる事のない一人ひとりの人間の人生が、ちょっとした縁でつながっていく。その目に見える形の一つが、オーケストラという集団で一つのことを行う行為であり、そこに音楽という人類にとってとてつもない魔とも神とも付かない領域のものが絡むことで誕生する奇跡と言う名の結実。その魂が震えるような美しさに、ただただ溜息をつくばかりでした。
人の優しさ、素朴な好意、温かな気持ちの繋がり、さり気ない愛情。そういった当たり前の素晴らしいものを、この田舎と都会の中途半端な狭間にある特徴のない街の商店街で見ました。そして、聞いたのでした。

胸がいっぱいになった、傑作でした。しばらく、このまま余韻に浸っていたいです。

源氏 物の怪語り 5   

源氏 物の怪語り (メディアワークス文庫)

【源氏 物の怪語り】 渡瀬草一郎  メディアワークス文庫

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 千年の時を経て――
 なお歴史にその名を残す希代の文人、紫式部。
 中宮彰子に仕えつつ、『源氏物語』を書き綴る彼女の傍らには、とうの昔に亡くなったはずの“姉”がいた。
 愛娘の賢子にとり憑いたその姉に導かれ、紫式部が出会うのは、四人の歌人と四季を巡る四つの物語。
 伊勢大輔、和泉式部、中宮彰子、赤染衛門――当代の歌詠み達の前に現れる物の怪は、時に恐ろしく、時に儚く……けれど人の心を映し、朧々としてそこに在る。
『陰陽ノ京』の渡瀬草一郎が贈る最新刊。
何故に、この人の絵描く平安絵巻はこんなにも生きている人を感じられるのでしょう。生活感、というと少し違う気もするのですが、登場人物たちに確かな生の感覚があるんですね。歴史上の人物、特に平安時代の人々なんてものは、どこかおとぎ話の住人のような印象があるものなのですが、あとがきでの語りに絡めて述べるならば、千年前と言えども今と地続きで、そこには今と変わらない「人間」が、幾つかの価値観や考え方が違っていても今の人達と変わらない喜怒哀楽の感情を持った人たちが暮らしていたんだなあ、という実感がこの本を読んでいると得られるのです。平安時代の風俗がしっかりと描かれているのも、うそ臭い書き割りの虚構を感じさせない要素なのでしょう。
それでいて、生臭さは感じないのです。
生と死の境界が曖昧で、ともすれば強い感情に引きずられて魂が身体を離れてしまいような、肉体と魂魄の繋がりがどこか薄い、夢幻の幽玄の世界が表裏となって横たわっている時代。死がとても身近で、それゆえに生の美しさを実感しているかのような、「現もまた夢の如く」とでもいうかのごとき死生観を持つ人々が暮らす時代。
この「幽か」な雰囲気は、酩酊にも似た感覚を以て心を惹くのです。読後も、いつまでも余韻が残るのが心地よい。これは、渡瀬さんの平安もの独特の感覚だよなあ。これ、ハマるんですよ。

今まで紫式部や和泉式部などといった人たちには、歴史上、文学史上の記号的な認識しかなかったのですが、この作品を読んでしまうともういけませんね。単なる記号、コマではなく、その時代を生きた人として、どんな人だったのか、どんな人生を歩んだのかという生きた人間としての彼女たちに興味が湧き、そんな彼女たちが残した作品や、彼女らが生活の場とした平安という時代そのもの、そして朝廷内の人間模様まで気になってくる。そもそも、歴史に興味を持つ、ということはこんな風に人に興味を持つ、ということから始まるのでしょう。
今回の紫式部こと藤式部が主人公となる四篇のお話は、彼女に絡んだ幾つかの逸話を題材にしていることからも、新たに湧いた好奇心を満たし、擽る仕様になっています。お話を読んだあとに、彼女らに関するWikiなんかを読んでみても面白いかも。ああ、このエピソードが元になっているんだ、と知ると同時に、記述すれば単なる一文にすぎない歴史の一コマに、こんな物語が、こんな人々の想いが込められ巡り巡っていたのかと思い描くと、また心躍るのではないでしょうか。私は踊りました。
ここで描かれる紫式部は既に夫君に先立たれ、娘である賢子(この娘もまた有名な人なんですね。この作品を読むまで全く知りませんでした)を育てながら女房として出仕し、また小説の書き手として名を馳せる三十代後半というお年ごろの女性なのですが、娘に取り憑く二十代の頃に亡くなった姉の幽霊と絡むことが多いからか、妙に若々しい少女然とした姿を見せて、随分と可愛らしい一面も見せてくれます。それと同時に、中宮彰子に仕える女性の中でも赤染衛門に次ぐ筆頭格として、皆に慕われ信頼される困っている人を見捨てられない頼もしくも優しい一面もあり、と実に魅力的な女性として描かれています。もう一人、奔放な女性として描かれる和泉式部と相対するときなどはつっけんどんで大人げなかったり、という一面も見せてくれるんですけどね。
史実では、日記に和泉式部について「あの娘、歌はとんでもなく上手いんだけど、素行が悪いのよね」などという意味の言葉を残している紫式部ですが、本作では仲が悪いのではなく、むしろ唯一といっていいくらい遠慮なく言いたいことを言える間柄同士みたいな感じで描かれています。ケンカするほど仲が良い、というのとは少し違うか。素行の悪い不良少女に目くじらを立ててばかりの委員長、と言った感じで当人は嫌っているつもりだけれど、実際はすごく気にかけている、みたいな。和泉式部の方は邪険にされたり説教されたりと辛辣な態度をとられてばかりなのに、気にもせずすっごく紫式部に懐いて信頼してますしね。傍から見ても、二人は良い友だち同士に見えるようで、実際作中でもこの二人の絡みは見ていてとても楽しかったです。
【陰陽の京】を描いた渡瀬さんらしく、陰陽師も登場はするのですが、本作ではあまり活躍の場はありませんでした。物の怪とタイトルにはありますけれど、真性の化生が相手ではなく、どちらかというと人の心のうちから溢れ出した想いが化けたというべき、幽かな存在が絡んでくるお話となっていましたし。故にこそ、人の想いと向き合う話に、いずれの物語もなっていたようです。
ちなみに、本作は【陰陽の京】の時代からはおおよそ40年ほど下った時代で、あちらの登場人物は殆ど名前も登場しません……殆どということはチラリとだけ名前出てる人はいるんですよね。安倍吉平とか、賀茂光栄らはどうやら陰陽寮のえらいさんになっていたようで。吉平なんか五十代ですよー。さらに付け加えると、吉平の長男も登場しているんですが……安倍時親、彼の融通のきかなさそうな、頭の硬そうなところはこれ絶対母親似だよなあ(笑 晴明よりも頭柔らかそうだった吉平の息子とは思えないくらい硬っ苦しい男である。
あと、どうでもいい話なんでしょうけれどね、この時親、年齢が既に四十代に達しているようなのですが、吉平の方は五十余歳と表記されてるんですよ。二人の年齢を差し引いてみると……吉平くんよ、あんた貴年にいったいいつの段階で手を出したんだ、おい! 【陰陽の京】では二人の恋愛模様を、吉平の押し捲りの口説き攻勢にこいつ本当に12歳か!? と冷や汗を垂らしながらもまだまだ子供、幾らプロポーズしてたってまだ先の話だよね、と侮って見ていたのですが、もしかして早晩押し切られて押し倒される運命にあるのですか!? そ、早熟にも程があるだろう。さすがだ、平安時代!! 凄いぜ、平安時代!! いや、この場合時代が云々じゃなくて、純粋に吉平が凄いんだな。すげえぜ、吉平さんw

渡瀬草一郎作品感想

0能者ミナト 3 4   

0能者ミナト〈3〉 (メディアワークス文庫)

【0能者ミナト 3】 葉山透/kyo メディアワークス文庫

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 死なない死刑囚を殺して欲しい。まるで、矛盾しているかのような奇妙な依頼。
 九条湊が対面を果たした死刑囚は物静かで端整な面立ちの青年だった。だが、その本質を知れば慄然とする。不死者ゆえか、死を愛する殺戮者。しかも、あらゆる方法をもってしても蘇るというのだ。
 自分の死が楽しめないから殺すのだとうそぶく青年。いかなる怪異が不死をもたらしたのか、本当に殺すことはできないのか?
 異端者、湊の知性がその謎に挑む!

湊の悪口雑言って、どうも軽いというか悪意や下品さを無理やり込めようとして失敗しているみたいな感じがして、苦笑しか浮かんでこないんだよなあ。たまに垣間見せる誠実さや真摯さ、優しさのこもった言葉に比べると、借り物の言葉にしか聞こえないのだ。つまるところ、あんまり上手じゃない偽悪趣味の露悪主義者、と言う事なのだろう。尤も、その借り物の言葉をマシンガンのように吐き出すことに全く臆面も無いので、初対面などの慣れない人はやっぱり忌避感や嫌悪感をいだいてしまうのだろうけれど。実際生活態度はろくでなし以外の何者でもないですし。でも、逆に慣れさえすれば簡単に無視して流せる、とも言える。沙耶もユウキも、もういちいち反応しなくなってきてますもの。
そんな三人が挑むのは、不死者の死刑囚を殺して欲しい、という依頼。ぶっちゃけ、殺人依頼である。それを承知した途端に、策を弄してとっとと二人の子供たちを依頼から遠ざけようとするあたりに、湊の人品というのが自然と滲み出てしまうんですよね。だから、どうしてもこの人の態度には微苦笑が浮かんでしまうのである。まあ、逆転して真面目で清廉な態度をとられても、それはそれで困ってしまうのでしょうけど。沙耶もあれで、湊が真人間になったら最初は喜んでも、そのうち居心地悪くなって混乱しだしそうだ。彼女、微妙にダメ人間属性っぽいし。
さて、肝心の死刑囚の不死の原因は、これはまったく予想外の内容で。いや、このシリーズ、怪異の原因についてはいつもちゃんとオカルト側に寄っているので、完全に予想外というわけじゃなかったんだが、ここまでスケールの大きい話だとは思わなかった。そんでもって、このシリーズの面白さは、原因が完全にオカルトだったとしても、その解決、退治方法は科学的な方法に徹しているところなんですよね。不死に纏わるルールを科学的に解釈解体した結果の医学的処置には、もうビックリ感嘆である。そんな発想で覆せるのか!!

二話での夢魔の話も、解決法から夢魔の正体の解体まで、その発想はなかった! のオンパレード。これは、人が夢を見るという現象に対する研究が事細かに進んでいる現代ならではの、しかし科学信奉者にもオカルト従事者にも決して辿りつけない発想であり、技術の利用法である。うーん、めちゃくちゃ面白い!
しかし、沙耶にとって理沙子という叔母はそういう対象だったのか。人間、純粋に尊敬しているように見えても腹の中、或いは無意識の領域では色々と思うことはあるんだなあ。まあ、沙耶の性格からして、理沙子みたいなタイプは確かに理想像からちょっとどころじゃなく外れてるのは確かだ。それに理沙子がまったく気づいていなかったというのは笑い話でありますけど。ご愁傷様というべきか、それなりに自業自得というべきか。いやでも、沙耶ってやっぱりダメ人間とかアクが強すぎるタイプの人の方が相性良さそうなんで、沙耶の理想像は置いておいて、今の理沙子が一番沙耶と良い関係で居られそうなので、結局今のままが一番なんでしょう。さすがに理沙子、キャラ変えるには薹が立ってしまってますしw

チラッと、湊と理沙子、孝元たちの間に過去に大きなナニカがあった、という件についに触れたこともあり、そろそろ過去の事件にスポットが当たるのかしら、と期待してみたり。まあ、理沙子と湊がいい関係だった、というのは今回の話を見るかぎり、全然無さそうでしたけど。いやあ、まったく似合わないし、この二人w

1巻 2巻感想

超能力者のいた夏3   

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫)

【超能力者のいた夏】 寺本耕也 メディアワークス文庫

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都内の高校で問題を起こし長野県の私立学園に転入した高校生、高那聡。番長と呼ばれる小柄な少女・翼と出会い、成り行きで入った山奥の寮で彼を待っていたのは揃いも揃って役に立たない、不思議な能力を持つ寮生たちだった。寮生たちの能力に翻弄されながらも高那は新たな生活をはじめるが、不吉な予言は彼が重傷を負うと告げ…。―誰もが知り誰も見たことのない力、超能力。なぜ我々はそれを見たことがないのか?傷つきながらも前向きに走る、少年と少女たちの物語。
美味しい食べ物は文明的な生活の基本中の基本です。食が満たされていなければ、心の余裕も生まれません。という訳で、主人公が料理を振舞ったらコロッと拒絶の態度をとっていた面々が態度を翻したのも当然っちゃー、当然なのです。どうやら寮では全くまともなものが食べれてなかったみたいですしね。まかり間違えれば半額弁当争奪戦にでも繰り出さなければ生き残れない状況だったのではなかろうか。そう言えば、弁当争奪戦で役立つ能力でも持ってなかったんだろうか、この人達……全然無いっぽいな。
持ち得た能力が自然消滅するまでの期間を穏やかな環境の中で過ごさせようという意図で作られた私立学園。そこには数多くの超能力者たちが集められているのだが、その中でも普通の生活を脅かしかねない能力の暴走を起こしてしまった超能力者の問題児たちが集められた寮こそが、高那が入寮することになった場所である。
と言っても、みんな人間性に問題があるわけではなく、件の暴走もみんな話を聞いてみればそりゃあ大迷惑でドエライ騒ぎになっているものの、被害も何事もなく終われば笑い話で終わるようなものばかりだ。幾人かの例外を除けば。
主人公の高那は、以前の学校で大きなトラウマを負った事で、いやトラウマというよりも自分を保つことのできないほどの後悔、というべきか。兎も角、前に進む勇気も気力も喪ってしまった彼にとって、その人生の多くの痛みや喪失を抱えて生きている超能力者たちは、決して他人事ではなかったのだろう。彼自身の性格は、どちらかというと軽薄でお調子者っぽい様子が垣間見えるくらいで、別に人間関係に生真面目だったり無闇に世話好きだったり、綺麗事が大好きなお行儀の良い優等生とは程遠い少年だ。
それでも彼は自分の痛みを忘れておらず、他人の痛みと向き合える。それだけで、十分なのだ。

超能力者だからと別の生き物だと捉えるのではなく、彼はあくまで周りで起こる問題を友達の事として向き合っていく。そして、一度逃げ出してしまった自分の後悔にもう二度と背を向けまいと、危険の中にがむしゃらに飛び込んでいくのだ。それは若気の至りではあるけれども、後悔に押し潰されないために必要な無理であり、同時に気になる女の子の為に頑張ってしまう男の子の可愛い、しかし覚悟を決めた意地なのだ。
カッコいいよ、高那くんは。こういう男の子は、好感度高いです。番長がコロッと行ってしまったのも、まあ仕方ないんじゃないだろうか。
ただ、翼と高那の仲が深まる過程には、もう1エピソードは欲しかったかなあ。お互いが気になる相手から、確かに好意を意識しあう関係になるまでの間が殆どなかったもので、いつの間にか高那がそこまで翼に傾倒していたのか気が付かずに、かなり居を突かれたものですから。もうワンシーンくらい、二人きりで交流を深める日常の場面があったらねえ。
ともあれ、直球勝負の青春劇としては、心すくような良作でした。この作者の作品はもっと追いかけてみようかな。
 

7月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
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メソポ・たみあ
(角川スニーカー文庫)
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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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shiryu
(角川スニーカー文庫)
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あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
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ミヤ
(角川スニーカー文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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シクラメン
(HJ文庫)
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かみや
(HJ文庫)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
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弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
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雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
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虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
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謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
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安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
Amazon


東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
Amazon B☆W


佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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