徒然雑記

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ライトノベル

婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~ 3 ★★★☆   



【婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~ 3】  ふか田 さめたろう/みわべ さくら PASH! ブックス

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人並み外れた魔法の才から「大魔王」の呼び名を欲しいままにしているアレン。
引きこもり生活を満喫すべく屋敷を買って一人で住んでいたはずが、
令嬢・シャーロットを拾い、フェンリルがホームステイに来て、地獄カピバラも同居、果ては前住人のエルフまで現れて、なんだか屋敷はどんどん賑やかに。
ある日の一家団欒中、妙に嬉しそうなシャーロットに理由を聞くと、「明日が誕生日なんです」と!
初耳のアレンをよそに、次々に届くプレゼントの山。
恋人になったからには、最高のプレゼントを用意せねばならぬ!
ところがシャーロットの体に、ちょっとした異変が…?
シャーロットって、悪役令嬢として断罪されたあと、牢獄に囚われていたんですよね。それが独力で抜け出してきて、行き倒れていた所をアレンが拾ったわけですけれど。
そう言えば、確かになんでシャーロットが捕まっていたのに逃げてこられたのか理由不明だったんだ。アレンと出会う前は魔法も使えず魔獣使いの才能も開花していなかった彼女は本当に無力だったのに、牢破りなんて大層な真似出来るはずがないんですよね。
特に疑問にも思っていなかったけれど、確かに変だ。そのあたり、ちゃんと理由あったのかー。

というわけで、付き合って間もないですしキスもろくに出来ていない初々しい関係ですけれど、娘が出来ましたー。
早いよ。フライングだよ。
でも、シャーロットの中からひり出てきたのですから、実娘と言えなくもないですし、身体の方もアレンが作ったからまさにシャーロットとの合作! なので、娘であってます。
ともあれ、その娘の正体には驚かされましたけれどね。いや、正体というよりも……。かつての伝説の聖女の素性がそんなだったとは。闇が深すぎやしませんかね。
シャーロットの中に隠れていた彼女の前世の人格リディ。一時的にシャーロットの身体を乗っ取る形になってしまった彼女。前世が初代の聖女だという彼女の夢も希望も抱かぬ寂しい意識に、かつてのシャーロットと同様の影を見たアレンは、リディにシャーロットと同じくイケナイ事を教え込み、この世の快楽を、幸せを味わわせてやろうとするものの、尽く空回りして失敗していく。
シャーロット相手にしたことを繰り返しても、同じように反応してくれるとは限りませんよねえ。これはシャーロットがチョロかった、というよりもシャーロットの境遇が不憫すぎた、というのもありますし、リディが餓えていたものの方向性が何も持たなかったシャーロットと違って、確かに求めるものがあったが故だったのでしょう。
有名すぎる聖女の伝説に惑わされず、リディが抱えていた真実を見抜いたアレンは、やっぱり講師の才能、生徒などの他人を見る目、というのが備わっているんじゃないかなあ。
なまじシャーロットの肉体を動かしていたから、全然リディの本来の姿に気が付かなかった。
新しい家族が増えたね! 良かった良かった。
と、もうアレンとシャーロットの周りの充実が満了に達した段階で、ついにかねてから保留していたシャーロットを陥れた彼女の実家の連中への決着をつけるときがキたのである。
そして、義母が想像よりも下衆だった。これ、虐げられてきたとはいえ自分と血が繋がっていないシャーロットよりも、血が繋がってる実の娘であるナタリアの方がキツいんじゃないかなあ。
ただ、ナタリアはネグレイトされていた事もあって、実母は全く家族と思っていなくて、義姉のシャーロットだけが家族のつもりだから、全然堪えておらず真相を知って一番キレ散らかしていましたけれど。
大魔王アレンを筆頭に、みんなで徹底的に王子と義母をぎったんぎったんに肉体的にも精神的にも抹殺するつもりで盛り上がっていたら、肝心の断罪とシャーロットの名誉回復を引きこもりエルフに思いっきり持っていかれてしまってアレンなんにもする間もなく、相手方社会的に完全に抹殺されてしまったのはちょっと笑ってしまいしたが、でもそのひょいっと抜けた感じで締めてくれて、ほんわかと幸せな形でまとめてくれるのは、この作品の良いところでしたねえ。

そして、そろりと明かされる、アレンの父以外は誰も覚えておらず、いや記憶から消されてしまっていたアレンとシャーロットの本当の関係。そうかー、これはまさに運命の出会いであり、良い方の因果応報だったのか。シャーロットの優しさが、アレンを筆頭に多くの人を救い、回り回って彼女自身を救うことになったのでした。
でも、こうなるとアレンの本当の素性、というのが謎めいてくるんですよね。アレンが拾われ子で、今の両親は義理というのは既に皆が周知していることでしたけれど、それだけじゃ収まらない可能性が出てきたのか。
キレイに物語としても終わったこのシリーズですけれど、二部があるなら今度はアレンの素性が本筋に絡んでくるのかな。ぜひ、そのあたり見てみたいところです。


プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~  



【プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~】  久我 悠真/スコッティ  電撃文庫

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奴隷王女×スパイが挑む、学園に集う傑物との王座を賭けたロイヤルゲーム!

【王位選争】――次代の国王の座を王の子たちが奪い合うロイヤルゲーム。
傑物ぞろいの王族が通うロアノーク王立学園に足を踏み入れたのは、奴隷の少女・イヴ。現王と奴隷の間に生まれ、このゲームに巻き込まれた頭脳明晰な才女。そして、彼女を補佐する少年・カイは、国益のために傀儡政権の樹立を狙う敵国のスパイだった。
人間の本質をさらけ出す数々の頭脳戦。候補者同士が《騙し》《謀り》《裏切り》《潰し合う》、このゼロサムゲームの先に待ち受ける揺るぎない真実とは――?
女王になれなければ無惨な死と嘲笑を運命づけられた少女と、彼女を利用しようとするスパイの少年――奇妙な共謀関係にある二人による、命を賭した国奪りゲームが始まる。

こういう知力を振り絞り、駆け引きや謀略を駆使して相手を陥れ、場を支配して勝利を目指すゲーム系の物語というのは、ポッとでの真面目さ誠実さだけが売りの主人公では乗りこなせない。そのせいか、在る種の超常的な精神の持ち主や知力チート、曲者食わせ者といった常人とはかけ離れた突き抜けた人物が主人公になることが多い。賭博黙示録のカイジみたいな俗物の塊みたいなのはむしろ珍しい方なんじゃないだろうか。
同じ作者でもアカギの方だったり、【賭ケグルイ】の蛇喰夢子みたいな向こう岸に渡ってしまっている狂気を孕んだ人物が主人公というケースが、このたぐいの作品では多い傾向にあるんじゃないだろうか。そして、怪物たるその主人公たちゲームを、物語そのものを支配して対戦相手を、観客たちを、読者たちを魅了し夢中にさせてしまう。
そんな主人公たちは、怪物であるからこそ人知を超えたキャラクターである。彼ら彼女らは得体が知れず図りしれず未知であり理解が及ばない存在だ。だからこそ、畏れを抱きその狂気に魅せられてしまう、引き寄せられてしまう。絶対にわからないそれを理解したいと思ってしまう、もっと見たいと思ってしまう。
未知であるからこそ、彼らは魅力的であると言える。
だから、この手の作品の主役となる人物が得体が知れず、正体が知れず、何を考えているかわからない、というキャラクターであるのはむしろ方向性としては王道であると思うんですよね。
しかし、奴隷王女であるイヴの未知は、はたして魅力的だろうか。彼女の理解できない部分をもっと覗いてみたい、と思うだろうか。
奴隷という生まれにも関わらず、人を手玉に取り言葉巧みに取り込んで本人の意思のまま操ってみせる人身操作の手腕。それを元手に奴隷である彼女を買った主人を籠絡し、とても奴隷とは思えない境遇を得て教養や知識を得て王女らしい品格を手に入れたという彼女。それは、生まれながらの資質だったのか。彼女はどうして、王位を狙っているのか。いったい、その腹のそこで何を考えているのか。味方につけたスパイである主人公に語った内容はその奥底を見せること無く、上辺だけで踊っている。彼女が何を考えているか、何を思っているか、その薄ら笑いの向こうで何を望んでいるのかわからない。
わからなさすぎて、なんだか遠い。遠すぎて、共感を抱かない。ゲームのプレイヤーとして読者側の登場人物という感じがあんまりしないんですよね。
だから、誰にも肩入れできることもなく、淡々と目の前で繰り広げられるゲームを眺めている感じ。その勝敗に一喜一憂ができない。ぼんやりと眺めている。
ゲーム自体が面白ければ、そこから没入できるのだろうけれど、ルールばかりがぐるぐるとこねくり回されて、プレイヤー同士の攻防にそこまで動きを感じられなかったりする。
そもそも、奴隷王女の事前の予告どおりにしか状況は進まない。そこには予想外も予定外もなく、彼女が言った通りに事が運び、彼女が言ったとおりに他の人間たちは物事を考え、行動し、発言する。
こうなってこうしたら、彼らはこう考えこのように行動するでしょう。と彼女は語り、で、そのとおりに話が進む。
でも、だからといって奴隷王女すごい、というふうには感じられないんですよね。彼女が言った結果ありきで物事が進んでいるだけで、最初から脚本展開としてそう決まっていたから、というくらいにしか見えないんですよね。そこに彼女の説明、予告がそのとおりになる論理に説得力を与える、補強する状況や背景、論理はあまり見えず。
だから、カタルシスのたぐいを感じることがなかった。
ゲームにも関わらずドキドキもワクワクも出来なかった段階で、まあこれはあんまりあわなかったかなあ、というところで。


わたし、二番目の彼女でいいから。 ★★★★★   



【わたし、二番目の彼女でいいから。】  西 条陽/Re岳 電撃文庫

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俺たちは「二番目」同士で付き合っている――危険な三角関係の行方は?

「私も桐島くんのこと、二番目に好き」

俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――

「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」

お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。

これは凄いっ、凄い作品が来たぞッ!
タイトルやあらすじから、爽やかな青春モノとは裏腹のドロドロの男女関係をねっとりと描いてくれそうなラブストーリーとして期待を募らせていたのですが……。

期待を遥かに上回る不純で倒錯的で不健全な恋物語だったっ! これは本気で凄いし、それ以上にやべえよ、やべえよ、不健全だよ、倒錯してるよ!
でも、恋物語なんです。ドロドロの泥沼のような話でありながら、予想外に青春の物語でした。恋に盲目的なほど全力な若者たちの物語でした。
でも、性癖歪んじゃってるよこれーー!!

二番目だけれど恋は恋。早坂も桐島も、二番目の恋を決して疎かにはしていない。たとえ一番ではなくても、その好きは本気の好きだから。みんなには秘密にしているとは言え、二人は彼氏彼女の関係だから。
この時点で倒錯しまくっているのだけれど、主人公の桐島くんがまた性癖歪んでるんですよ、こいつやばいよ。彼が密かに思いを寄せている橘ひかりにはもう既に彼氏がいるという。その彼氏と思しき男の人と一緒の親密そうな写真を、橘は毎日のようにSNSにあげているのだけれど、桐島はマメにそれをチェックしているのだ。好きな人が自分以外の男と仲良くしている、という胸が掻き毟られそうな写真を食い入るように見入って嫉妬に血を吐きそうになって悶えながら……この男、その狂おしいまでの嫉妬心に恍惚となっているフシがあるんですよね。
……それ、寝取られ属性だよ!!
もう趣味習慣になっていると思しき桐島のその行為を、もちろん早坂あかねは知っていて、同時に嫉妬もしている。二番目の好きな彼が自分以外の女に夢中になっている姿に、いずれもし彼がうまく言って一番目に好きな彼女と上手く行ったとしたら、喜んで送り出してあげると決めておきながら、心定めておきながら、早坂あかねは嫉妬に狂うのだ。脳髄を、焼け付くような妬心に湯だたせるのだ。
そしていずれ、橘ひかりもまた、桐島のそんな性癖を、自分のSNSを偏執的にチェックして嫉妬心を募らせている実情を知ってしまうのだが、この娘は……橘ひかりはドン引きするどころか、むしろ前のめりにその事実を利用して、彼の嫉妬心をかき乱すことになる。
彼女の過去、そして現状が徐々に明らかになっていくことによって、この娘もまた倒錯と執着に囚われまくって歪んでいる娘だとわかってくる。

早坂あかねも、橘ひかりもイラストデザインからすると小悪魔的というか自己主張の強そうな娘に見えるのですが、早坂の方は大人しくて引っ込み思案でクラスのマスコットみたいな可愛い系。橘ひかりの方は無表情で感情的にならない人形のようなクールな美少女。と、決して押しの強いタイプの少女ではないんですよね。
それは、基本的に桐島と二人きりになっても変わるわけじゃない。二人共、猫をかぶっているわけじゃなくて、それが決して器用ではない彼女たちが表で出せる顔だから。
でも、桐島相手には心許せる相手だからこそ、隙を見せてくれて緊張を解した顔を見せてくれる。でも、それ以上に恋という感情が彼女たちを急き立てるのだ。冷静さを、理性を、取り繕うべき外面を、恥ずかしさを、何もかもが引き剥がされていく。
でももし、その恋がお互いを見つめるばかりの落ち着いたものだったら、彼女たちはもっと冷静に穏やかに自分の中に芽生えてくる恋心を制御できただろう。
でも、桐島を含めて早坂あかねも橘ひかりも、その根源に在るのは好きな人が絶対に自分のものにならない、という焦燥であり、狂おしいまでの嫉妬心だ。
それでいて、その恋は届かない所にあるわけじゃない。恋する人は、触れられる近さに居てくれる。その身体を捕まえていられる、抱きしめていられる場所にいてくれる。なんなら、心だって寄せてくれている。一番目だろうと二番目だろうと恋は恋だ、好きは本当の好きなのだ。でも、独占だけはできない。その人の心は、自分だけのものじゃない。いつだって、自分と違うあの人に向けられている。それが正気を発狂させる。なまじ、触れられるだけに抱きしめられるだけに、夢中になって求めてしまう。
そうなると、容易に理性は剥がれていく。夏の外気にさらされたアイスクリームのように、とろとろと溶けていくのだ。そうなれば、現れるのは剥き出しの欲望だ。独占欲だ。この人を自分のものにしてしまいという、原初の欲望だ。
この作品が倒錯しているのは、そうした溶け切った理性の果ての感情が誰か一人の一方的なものではなく、少なくとも桐島くんと早坂あかね、そして橘ひかりの三人の間で完全に共有されてしまっているところなんですよね。そして何より、その狂おしい感情を抱え込んでいる事を三人共が認めあっている、知っている、わかっている、という所なんですよ!
そして、お互いに彼氏彼女という関係を見せつけることで、一番目に好かれているという事を見せつけることで、決して結ばれないという現実を見せつけることで、見せつけ合うことで恋敵を、恋する人を嫉妬で悶え苦しませて、悦に浸るのである。
もう、倒錯してる以外のなにものでもないよ、これ。
そしてその倒錯は、四人目の当事者。早坂あかねが一番に好きな人、橘ひかりの付き合っている人、そして桐島くんが最も信頼し信頼されている人物が、同一人物であることがわかった時に、そしてその人と橘ひかりとの本当の関係が明らかになった時に、圧倒的なまでに加速していくことになる。

改めて見ても、もうむちゃくちゃエロいんですよね、この話。あらゆる場面にエロスが充満している。でも、決して直接的なエロがあるわけじゃないんですよ。誰も裸になんてならないし、肉体的接触もせいぜいキスが一番上。
でも、死ぬほどエロい。好きという気持ちが募りすぎて、理性がポロポロと剥離していく早坂あかりのエロスが、果たしてどれほど突き抜けているか、これは見てもらわないとわからないだろう。理性が吹き飛んでしまった時の男女が、どれほど獣のようになってしまうのか。頭から冷静に考える機能がなくなってしまうのだ。目の前に好きな人が居て、その人に触れるという事実だけが体中を支配する。その甘くてとろけていくような快感が、天上にも登るような心地が、ここには余すこと無く描かれている。
そして、橘ひかりとの逢瀬はそれにも勝る官能だ。部室の奥に眠っていた恋愛ノートと呼ばれるかつてのOBが書いたという、女の子と仲良くなれるという頭の悪いゲームを、橘ひかりに請われて二人きりでプレイしはじめたときの、あの頭が茹だっていくような時間と空間。ねっとりと、理性が蛇のようなものに絡め取られ動けなくなっていく空気感。
甘く囁かれる声が吐息が、全身を痺れさせていく。触れる指先が、唇が、舌先が、理性をドロドロに溶かしていく。体温が際限なくあがっていくのが、目の前にモヤがかかって目の前にいる人のことしか見えなくなっていく様子が、目に浮かぶようだ。ただ、目の前の人を求める原始の感情。
これを、官能と言わずしてなんというのだろう。
ってかこれもう、官能小説だろう!?

そして、それだけ理性を蕩かせながら、その相手を彼も彼女も独占できないのだ。自分だけのものに出来ないのだ。三人とも、人並み以上に独占欲が高く深いにも関わらず、心も体も手に入れられるのにそれを別の人に分け与えなければならないのだ。その狂いそうな感情を、この子たちは甘く苦い飴玉のように舐り尽くしている。苦しみながら、悦んでいる。
なんて、不健全!! 不純! 倒錯的!! 

ラストシーンの橘ひかりのあの台詞は、その極地でもあり、同時にタイトルに多重層の意味を持たせる構成の凄まじい妙を見せつけるすごすぎる台詞でもあって、あれを見せつけられたときには思わず放心してしまった。全身が痺れて震えるほどに、キてしまった。完全にヤられてしまったと言ってイイ。
うわああああ! もう、うわああああ! ですよ。叫ぶしかねえ!

なんかもう脳内物質がぶっ飛んだ。ヤバいですよ、これ。やばいやばい。すげえラブストーリーが来た!! 来たぞーー!!

田中家、転生する。2 ★★★☆   



【田中家、転生する。2】 猪口/kaworu ドラゴンノベルス

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平凡一家、社交界デビュー!? 王都での学園生活始まります!

辺境を襲った魔物災害から一年。
田中家は3兄弟の入学のため一家総出で王都にお引っ越しすることに。
もちろん猫達も一緒です。
しかし待ち受けるは右も左もお貴族様だらけの学園&社交界。
試される礼節(マナー)、派閥争いの影も忍び寄る王都で、元庶民の一家は目立たず平穏に暮らすことはできるのか!?
転生一家の異世界奮闘記、第二弾!

猫、普通サイズならともかくあんなクマみたいなサイズの猫たち、王都につれてってどうやって飼うんだよ! と思ったら郊外にとんでもない広い屋敷を買ってしまってまあ。いや、マジでデカすぎてこれって王族の別荘か大公爵の屋敷とかじゃないの? というくらいなんですが。
でも、最初一家揃って御用商人のヨシュアの本邸に下宿させてもらうつもりだった田中家の面々。
いや、さすがに大商人の屋敷がでかくて部屋も空いてるにしても、貴族じゃなくても一家揃って下宿はあかんてw
いつも騒動を連れてくると家族からも呆れられているエマだけど、いやいやお父様も大概ですよこれ。ヨシュアのパパの大商人ロートシルト氏が身分差も忘れて、いつの間にかお父様にタメ口でツッコミとお叱りの言葉を飛ばすようになってるのも仕方ないよね。
ロートシルト氏に一から十まで面倒見てもらえなければ、今でも高級商材となる地元の産物持て余して貧乏生活してたんだろうし。幾らでもお人好しで世間知らずで金銭感覚ガバガバなスチュアート家から毟り取れただろうに、本当にお世話になりっぱなしじゃないか。
こうしてみると、スチュアート家の人々って基本的に振り回されながらも面倒見てくれる人と相性イイんだろうなあ。ヨシュアみたいなエマ信者で自分を顧みずに尽くし献身しちゃうタイプはちょっとあかん気がする。イエスマンじゃなくて、ついついお小言を言ってしまったり、常識をフォローしてくれたり。
その意味では、フレンチェスカ・デラクール嬢は最初虐めてくる令嬢という立場で、紆余曲折あって貴族社会での立場を失って孤立しかけた所をエマがお友達として守ってくれた事で救われたわけですけれど、エマに凄く感謝して上っ面じゃない本当の友達という関係に親愛の情を深く注いでくれながら、一方で一番常識的な貴族令嬢として、何かあると突拍子もない事を始めたり非常識な行動にでてしまうエマに、最低限越えてはならないラインを死守して、フォローしてくれるので地味ながらかなりエマが貴族社会で注目を集めるのに助けになってるんですよね。
エマ本人は自分の感性で突き進んでいるだけなのだけれど、周りがいい意味で勘違いしてくれて評判になっているのは、祖母の調教によって仕込まれたマナーの良さとフランチェスカのフォローが効いてると思うんですよね。礼儀作法とか基礎的な良識の部分がしっかりとしてなかったら、どうしたっていい印象は残らないですからね。基本的な部分がちゃんとしているように見えるからこそ、エマの突拍子もない言動も好意的に見られる余地が生まれるのですから。
いやしかし、エマたちスチュアート家の三兄弟の学園生活なんて、そもそもマトモに過ごせるのかと思ったら……いや、予想通り決してマトモには過ごせてないのだけれど貴族社会の中で浮いてしまうのではなく、第二王子の派閥の中の一方の旗頭的な立場に立ってしまうとは。それ以上に、エマが貴族令嬢として持て囃されることになるとは。あれ、野猿系だぞ。まあ、上記したように黙って大人しくしていれば楚々とした礼儀作法の整った絶世の美少女に見えるのだけれど。
中身はアレなのにねー。いや、まさか枯れ専のイケオジ趣味とは思わんかったよ、エマさんw
幸い、なのか恋愛対象ではなくあくまで推しとして愛でる対象みたいだけれど。
前世のOL時代からの趣味なんだろうけれど、現世の美少女なのに枯れ専となると倒錯的だよねえ。
エマって前世との混ざり方がちょっと面白くて、年齢相応の少女的な考えるよりも即動いてしまうような忙しない感覚とOL時代の大人の女性としての視点と、年配のおばちゃん的な保護者的な目線というのがまだら模様に介在してる感じがあるんですよね。
別個に別れてるんじゃなくて、コロコロと入れ替わるような感じでもなくて、マーブル模様に様々な側面が同時に垣間見えているような。普段一番強いのはやっぱりエマとしての暴走少女な面なんでしょうけれど。
だからか、これはエマに懸想している男の子連中としては難易度高いだろうなあ。いまいち恋愛的に捉えどころがないですし、いつも自分のほうが振り回しているくせに唐突に保護者目線になってきますし。それに恋愛に対して、前世で疲れてしまって面倒くさいと敬遠気味になってるにも大きいですなあ。前世ではOL時代にそれなりにお付き合いがあったみたいで、実感籠もってるしなあ。イケオジ相手にテンションあがりまくるのも、外から愛でる方に傾倒しているから、とも言えるでしょうし。
ゲオルグ兄ちゃんと弟のウィリアムにもさっぱり彼女になってくれそうな相手の気配がないのは苦笑してしまいますけど。エマの同じグループの令嬢たちとは接触も多いだろうに、ゲオルグは残念お兄ちゃんすぎて、ウィリアムは微妙に気持ち悪くてw やっぱり女性に縁がなさそうなんだよなあ。
いや、ゲオルグ兄ちゃんはついついダメ男の面倒見ちゃう系女子なら良い物件に見えるけれど。フランチェスカが何気に危ない位置にいそうだぞ。
まだ可能性がありそうな兄ちゃんに比べて弟の方はなんか絶望的な気がしてきたぞw



贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 4 ★★★☆   



【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 4】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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朱雀救出作戦、いよいよ実行へ!
ジーン王子によるキス未遂事件から一転、ハスブナル国の地下に囚われているという四神の一、朱雀を救出すべく、出陣することとなったサレスティア。青龍、白虎、玄武までが揃ったドロードラングご一行との直接対決やいかに!?
巻末に大幅加筆されたSSも必読!

朱雀さん、情が深すぎてヤバイことに。ってか、人間形態になれるのかよっ! 村長さんからの矢印はそんな事なかったのだけれど、朱雀の側からは妙な秋波が見えていたので四神の中では唯一の女性人格なんだろうな、とは思ってましたけれど、朱雀だけ人に性愛を抱いてその相手に合わせて性別も変える、ってまた濃い生態してるなあ。これまで、男だったときもあるってことか。
人間形態になるだけじゃなく、村長さんを若返らせて搾り取れるようにしちゃうとか、情熱的というべきか偏執的というべきか。
でも、朱雀に限らず白虎も青龍も、人間への執着を拗らせまくってそれぞれ大問題を起こしている事を思えば、四神って人間が出来た?亀さまを除くと三柱ともこう精神的にねちっこいタイプですよね。お嬢が噛まなかったら、白虎も青龍も執着の相手を破滅させていた可能性高いわけですし。
重ね重ね、亀様はよく出来たお人だなあ。
ぶっちゃけ、ハスブバル王国も亀様がいればだいたいサクっと終わらせられたような気がしないでもないけれど。
まあ亀様だけでなく、白虎と青龍。そしてそのマスターたちにドロードラングの化け物たちに、国王陛下自らが精鋭伴って攻め込んだ、というか押しかけたのだから、まあフルボッコですよね。
ハスブバル王国、ジーン王子が絶望の果てに捨て鉢気味にアーライル王国に謀を仕掛けてきただけあって、酷い状況でありました。国は荒れ果て民は精気を失い、国王は妄執の果てに朱雀の力を利用して怨霊みたいになった挙げ句に、国ごと呪いに侵されたような環境に陥っていたわけですから。
まともな戦争になっていたら、どれだけ死者が出て酷い惨劇になっていたことでしょう。
まあ、瞬殺だったわけですが。
ハスブナル国王がまともな人間じゃなくなって、呪詛の塊みたいなありさまになっていたから、手加減無用でやっちゃったから、というのもあるんでしょうけれど。フルボッコしても文句言われないありさまでしたし。

まあ深刻な話はとっとと終わらせて、平和な日常のなかでドタバタとラブコメやっているのが一番いいんですよ。メインのアンディとお嬢が鉄板も鉄板の関係だけあって他の人が入る余地もないですから、周りの人たちのカップリングが進む進む。既にカップルに成っている人達は仲睦まじく、また新しく恋を勝ち取るために戦う人達も、ロマンスを繰り広げるわけで。全体甘酸っぱい空気が広がっておりました。
まあその中でダントツに甘々なのはアンディ王子とお嬢なのですが。ジーン王子にちょっかいかけられたことがよほどアンディを刺激してしまったのか、もう完全にお嬢のことは腕の中に抱き込んで近づいてくる他の男は徹底的に排除しまくる、という独占欲の塊になってしまってまあ。
そしてお嬢本人には「わからせる」を発動してしまって、もうお嬢の頭の中はアンディでいっぱいですよ。身体と心にわからせられちゃってますよ、まだ12,3歳になったところなのに。
これ、今の段階でこれだけねちっこい愛情を見せられると、いざ解禁となったらお嬢ってば完全にアンディに溺れちゃうんじゃないだろうか。現時点でもう息継ぎに失敗してる感じで溺れてる感もありますけれど。前回までも相当に甘酸っぱいことになってましたけれど、さらに進展と言うか青春模様を通り越して二人共、男と女の顔になってきちゃってますよ。まだお嬢13歳なのにw



王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~ ★★★   



【王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~】  yocco/純粋 カドカワBOOKS

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ハズレ職だけど家族や精霊に支えられ、ほのぼのモノづくり生活!

ハズレ職を理由に家を追い出され、孤独に生を終えた少女は、子爵家の次女・デイジーとして転生する。
だが、今世の職業もハズレの「錬金術師」。怯えるも、今世で待っていたのは家族からの温かい言葉と、真新しい錬金道具!
しかも、希少な「鑑定」を持つデイジーにとって、実は天職で……!?

国家相手にポーションを売ったり、精霊の加護で楽々素材が集まったり、たまにはパンを作ってのんびりしたり……。

チートな錬金術師の明るく楽しい毎日が始まります!

前世で家族から望まれぬ職業を神から授かってしまい、家族から捨てられ病で寂しく孤独にこの世を去ってしまった主人公。生まれ変わっても、前世の記憶があるからこそ、その時のトラウマが彼女を怯えさせていたのも無理ない事なのでしょう。
それが、今世でも同じように望まれた魔術師ではなく、錬金術師というハズレと言われている職業を授かってしまったなら、なおさら前世の恐怖が蘇ってきてもおかしくないはず。
魔術師の家系であるプレスラリア子爵家は、宮廷魔術師を排出する魔道の大家でもあり、一族はみんな魔術師の職業を受けていた中での、全く別の職業ですからね。
さらに錬金術師という職業は、過去には多大な業績が残っているものの、誰もそれを引き継いでおらず、今いる錬金術師はせいぜいが低品質のまともに使えないポーションを作るくらいで、一般にろくでもないハズレ職と見做されているらしい。
それにも関わらず、怯え悲しんで部屋に閉じ籠もってしまった娘を普通に心配して、傷ついただろう彼女のことを絶対守ってやるのだ、と両親が決意するあたりはまだ、親として当然のこと(その当然を出来ない貴族も多いのでしょうけれど)、としてそれだけではなく、デイジーが就いた錬金術師という職業そのものも否定せずに、デイジーが望んだからではありますけれど、娘が錬金術師として学ぶための教材をかき集めてきて、彼女が自分の職業を誇れるようになるための環境を整えてあげようとした、というのは魔術師という別系統の大家であるからこそ、そこにこだわらない柔軟性はお父様尊敬できる人だなあ、と思う所でありました。
デイジーとしても、前世とは裏腹の家族の厚い愛情はトラウマを払拭する温かいものだったでしょう。嬉しかったでしょうね。それどころか、錬金術師として大成するために手厚い援助までしてくれて、とやる気MAXになるのも無理からぬこと。高価な道具類も揃えてもらい、古い錬金術の本なども手に入る限り入手してもらったわけですから。

しかし、デイジーに鑑定という余人にない精密というか解説付き測定方法が備わっていたからとはいえ、錬金術初心者向けの本を読んで作れる程度の普通のポーションも、現在の錬金術師は作れていなかったって、どれだけ他の錬金術師は不勉強で怠け者で不見識だったんだろう、と首をひねってしまいます。
肝心の錬金術も、蒸留水を作ってそこに草をみじん切りにして容器に放り込んで、加熱するだけ、というのが基本ベースなんですよね……小学生の理科実験でしょうか?
沸騰するかしないかの瀬戸際を見極めて火力調整しつつ、数時間ほど温めるだけで素材から抽出できるエキスが、高品質のポーションとなるという……なんだろう、このコストのわりに得られるリターンの破格さは。部位欠損の回復までできるポーションが水に漬けて温めるだけで出来るって、簡単すぎないですかね!? これなら、鑑定なくても普通に試行錯誤してたら易易と出来るレベルに見えるんだけれど。もうちょっとこう……錬金術というからには高度なそれを見せてほしかった気がします。繰り返しになりますけれど、これなら小学校の理科室でできそうw

錬金術の内容はともあれ、両親の手助けもあり、幼い時分にもう将来の夢を描いてそれに邁進できる、というのは幸せな人生でありましょう。錬金術のアトリエを作って、そこでお店をやるんだ♪ とだけいうと、子供の夢のお話そのものなのですけれど、彼女は既にポーションを含めて、この国にはないパンをはじめとした食べ物を作って国王一家に献上したり、モンスターとの戦いでポーションを配り歩いて後方支援で実績をあげたり、と功績をあげてるわけで、夢物語じゃないんですよね。
幼女が戦場に勝手に入ってきて、ポーションを配り歩くとかちょっとどうかしてる状況だとも思いますけれどw

デイジーはまだ年齢二桁になる前に、献上品などで得た収入を家で貯蓄してくれていたものを使って、早々にお店を建てて独立。他の子供達、デイジーの兄や姉たちも学校の寮に入ることになり、一気に幼い子供達が手元から離れていき、寂しそうなパパさんの姿がちょっと沁みるシーンでした。
まだ年齢でいったら小学生くらいだろう子供達が、みんな家を出ていっちゃうって親としては寂しいどころじゃないだろうなあ。いくらなんでも早すぎて、若干かわいそうになってしまった。子供達に深い愛情を注ぐことを厭わない両親なだけに、なおさらに。
こうなっては、もっとどんどん子供を作って寂しくないようにするしかないよね♪

 


ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 2 ★★★☆   



【ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 2】  雨川透子/八美☆わん オーバーラップノベルスf

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婚約者の皇太子と城下町でお忍びデート!?

ループ7回目の人生が始まり、皇太子アルノルトのもとへ嫁ぐことになったリーシェ。
アルノルトとその弟テオドールとの確執も解け、戦争回避に一歩前進、のはずが。
「騎士候補生の訓練に混ざりたい、しかも『男として』だって」?
未来のアルノルトの強さの秘密を体感するべく、リーシェは男装して騎士候補生の訓練へ参加することに!?
アルノルトに発覚しないよう二重生活を送る一方、内緒で城下にお忍びなど、婚約者としての交流を深めていく二人。
そこへ、雪国コヨルの王子・カイルが訪れる。
リーシェにとって薬師人生の患者でもあるカイル。
そんな彼の、国の衰退をかけた決死の願いは、冷酷なアルノルトにすげなく一蹴されてしまい!?
このままではコヨル国が存亡の危機に立たされる。
その未来を回避するべく、リーシェは一計を案じることになるのだが……!?

ただでさえ婚約者として忙しく振る舞っているのに、さらに騎士候補生として男装して訓練に参加するとか、普通に過労死しませんかね? 相変わらずブラック気質というか、過酷な労働環境を労働と全然思っていないと言うか。リーシェって、これまでの人生も殺されなくても早晩過労死してたんじゃないですかね!?
そして、兄との和解を取りまとめてくれた借りもあってか、さっそく訓練に混ざるための裏工作よろしく、と義姉にこき使われるテオドール。人使いも荒いぞ、このご令嬢w
しかもテオドールのアルノルトへの未だもやってる複雑な気持ちを刺激して率先して動かすやり方とか、人使いのコツも備えてるんですよね、リーシェって。なんでも自分で出来るけれど、何からなにまで自分がやらないと気がすまない、ってタイプでもないんだよなあ。
そして、必要以上に騎士候補生の同輩と仲良くなってしまい、未来ある若者に危うい性癖を植え付けてしまってます。男装している以上、相手はリーシェの事を男だと思ってるんだから、男相手にドキドキときめいちゃったら性癖勘違いさせちゃうじゃないですか! どう責任取るんだろうw
一方、婚約者としても外交特使として訪れた前世の旧知であるカイル王子と接触して、コヨル国の危うい先行きと、かの国を滅ぼしてしまうだろうアルノルトの冷酷非情の皇帝となる未来を回避するために、何とか両者の和を取りまとめようとするリーシェ。
ただお国柄で女性に対して過剰な世辞で甘い言葉を投げ掛けてくるカイル王子に、リーシェは何とも思ってないのだけれど、アルノルト皇子が何気に苛ついてるっぽかったんですよね。アルノルト皇子の反応にもリーシェさっぱり気づいてなかったっぽいけれど。カイル王子にやたらとアルノルトが辛辣というか当たり強かったのって、基本はコヨル側の見通しの甘さが悪いんだけれど、アルノルトの私情が入ってなかったとは思えないぞ。
逆に、リーシェがコヨルと同盟を結ぶメリットを見つけ出して提示して見せた時に、アルノルトがそれを受け入れたのも、私情が入ってないとはイイ難い気がするんですよね。そこはリーシェに免じて、みたいな。
そういう意味では、アルノルト皇子の方が自覚的にリーシェの事を意識しているのかな、と見えるんですよね。リーシェの方はその点、アルノルトに凄く執心していて、彼と結婚することも他の選択肢を放り投げるくらいには受け入れてる、というより積極的に選んでいるし、アルノルトに冷酷な皇帝になってほしくない、というのも彼女の個人的な感情に寄るものが多く混じっているようにも見受けられるんだけれど、あんまり赤面したり恋心をあからさまにすることもなくて、結構さっぱり対応なんですよね。
彼からもらった指輪を、薬指にハメてみたりとか、明らかにアルノルトと結婚する事を望んでいるのは伺えるのですけれど、そこに感情的な浮ついたものとかテンション上がったりとか、ぽわぽわ沸騰したりとか、そういう熱量を持て余す様子が見受けられないものだから、果たして自覚がないのか、とも思うのですけれど。好きとか恋してるという感情を自覚していて、ああいうさっぱり対応という可能性もこの娘の場合なくはなさそうなだけに、ちょっとわかんないぞ。

さて、これまで七回繰り返してきた人生でリーシェはそれぞれ違う職業についてそのジョブを極めたわけですけれど、あと二回変身を残している! とばかりに、あと二つのジョブがまだ明かされてなかったのですけれど、今回そのうちの一つがガッツリ話に絡むことに。
その職業……錬金術の師匠がカイル王子と一緒に帝国を訪れてリーシェの前に現れることになるのです。
って、薬師だけじゃなくて錬金術まで修めていたのか、このご令嬢。リーシェのアトリエ、というのもやろうと思えば出来るわけね。
そんな中で出てきた「火薬」という今までこの近隣諸国の人々が手にしたことのない新しい要素が絡んでくる。いやまあ、火薬はどうやったって武器くらいにしか使えんわなあ。爆薬として、戦争以外でも用途はあるかもしれないけれど、意外と工業用の爆薬って近代に入って高度な発展をするまでは使い物になるレベルじゃなかったらしいんですよねえ。

火薬の存在をアルノルトに告げれば、彼はそれを当たり前のように戦争へと使うだろう。
後の冷酷な皇帝、という姿はアルノルトの素の姿ではないかもしれないけれど、彼が望んだ姿であるというのは、現在すでに殊更そうあらんと心がけている節からも伺い知れる。
その意思には、リーシェすらも踏み込ませまいとしているし、そこに干渉してくるならリーシェであろうと排除する、と明確に示してすらいる。
どうしてアルノルトが、冷酷であろうと拘るのか。そこには父である皇帝との関係が絡んでいるようなのだけれど、リーシェが目指すべきは彼が隔てているその壁にどうやって穴を開けて彼の真意を見つけるか、というところなのだろう。
ただ、安易にアルノルトを「甘く柔らかく」して彼の頑なさを解消してしまうと、それが彼の破滅へと繋がってしまいそうな、そんなピリピリとした危機感がアルノルトと皇帝の間に密かに漂っている気配が在るので、そのへんどんな塩梅で彼の懐に入り込んでいくかがリーシェに問われる所になるのかなあ。



魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13 ★★★★☆   



【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 13】  手島史詞/COMTA HJ文庫

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ネフテロス&ゴメリ救出作戦!!

キメリエスがゴメリを救うべく離脱した中、魔王シアカーンが過去の英雄たちの大軍勢を率い、ついにザガン達へと攻め込んできた。
一方で、ビフロンスの策謀により<アザゼル>化してしまったネフテロスも牙をむく。
しかし、迫るあらゆる問題は、ネフィの誕生日を盛大に祝いたいザガンにとっては振り払うべき些事に過ぎない――!!
難敵すらも嫁のためなら圧倒する、最強不器用魔王による大人気ファンタジーラブコメ、反撃の13巻!!

まさに美女と野獣なゴメリとキメリエスが表紙の13巻。シアカーンとの決戦も含めて盛り沢山な内容に加えて、物語の核心とも言うべき情報がポコポコと明らかになっていくものだから、一旦作中で情報整理してほしいな、ホント!
いや、聖剣が天使が変化したもの、とか天使って実はハイエルフ? とかかなり重要な情報がポンポン飛び交ってましたもんね。それどころじゃないとんでもない話も何個か持ち上がっていましたから、ほんとそれどころじゃなくなったのだけれど。
アルシエラとザガンの関係については先だってから匂わされていただけに、ああやっぱりそうだったのか、という納得だったのだけれど、それに意識を取られていてじゃあ「マルク」というザガンの幼い頃の兄貴分だった青年は何者だったの? という話についてはスポンと頭の中から抜け落ちてたんですよね。彼についても伏線はあったんでしたっけ? 自分は全然頭にもなかったですわ。ガチで驚いた。
というわけで、死に体ながら目的のためにあらゆる手段を尽くして、ついにザガンの城がある街に過去から復活させた英雄たちの軍勢を攻め込ませてきたシアカーン。彼の目的というか真意もついに明らかになったのだけれど……この人もまた潰えた愛にしがみついて離すことが出来なかった人だったのか。ザガンと顔を合わせた際に凄くお互いに共感を覚えていたけれど、より相似だったのはやはりキメリエスと、なんですよね。シアカーンは、ある意味ゴメリを喪ったキメリエスと言っても過言ではないくらい、その歩んだ道のりは同じだった。違うのは、シアカーンの保護者だった魔女はわりと真面目な人で、愛で力ーーッ!とか場所も空気も弁えずに興奮している変態ではなかった事くらいか。
いやもうシアカーンの過去を知って、囚われの身にも関わらず興奮しだしたときにはどうしようかと。シアカーンさんが本気で困ってたじゃないか。ガチでオロオロと狼狽えてたじゃないか。
でも、そうやって全くいつもと変わらない顔でいることで、ブチ切れてたキメリエスを一瞬でいつもの彼に戻してしまったんですよね、ゴメリおばあちゃん。囚われの身でありながら、なおもキメリエスの心を護りきったその愛情。その深さも強さも、いつもおばあちゃんが愛でている女性陣の愛で力に何一つ劣っていませんよ。
しかし、キメリエスは誰もが強いと知っていながら、そこまで凄味を感じることはなかったんですよね。彼の温厚篤実で力をひけらかさない性格もあったのでしょうけれど、それを見せる相手も居なかった、というにもあるかもしれません。ザガンとの本気のどつきあいで見せたあのタフさ、百獣の王に相応しい迫力、闘争本能の凄味に魔術の切れ味、戦闘脳の鋭さ、とザガンが片腕と呼ぶのも当然も当然の強さでした。これで性格イケメンのメチャクチャいい男なんだから、完璧だよなあ。
実際、ザガン一家の中でもフォルを除けば実力随一なのか。ガチンコになればバルバロスすらも一蹴できそう。まあ、そのガチンコにさせないあたりがバルバロスなのですけれど。
なんだかんだとこれまで、そこまで本気でガチバトルするような相手、展開がなかっただけに、今回はザガン配下の魔術師たちがどれほどやべえ連中だったか。元魔王候補というのが全然伊達じゃなかった、というのが嫌というほどわかる総力戦でした。ビフロンスのパーティーの際になんか十把一絡げみたいに配下に加わった連中だったけど、どこが十把一絡げだよ、っちゅう超一流どころばかりだったんだなあ。
それはそれとして、魔術師にしても聖騎士たちにしても、底力や火事場のクソ力をひねり出す原動力になったのが、どこもかしこもどいつもこいつも、愛の力! ですよ。みんな、愛する人のために力出しすぎ!! パワー・オブ・ラヴですかっ、それともゴメリおばあちゃん風に言うと、これこそが愛で力ですか!
あっちこっちで、ラブパワーが炸裂していて、なんかもう甘酸っぱいーーっ!

一方で、親の死によってまだ幼い間に独りで生きていかなくてはならなくなった子らが、父親の見ている前で、或いは壁として立ちふさがった父親の残影を倒すことで、父親たちに自分の立派になった姿を見せて独り立ちしていく、というイベントが一つならず、ザガンのところ、フォルのところ、そしてギニアス君のところ、と幾つも見えたのも良かったなあ。ネフィも、父親じゃないけれど母に託されたという意味で、次世代に立ったとも言えますし。
この父親超えは、最後の儀式とも言えるんですよね。ザガンは元より、フォルもギニアスも父を喪った事による挫折と迷走は、それぞれ大事な人を得ることでひとまず克服出来て、自分の意志と力で立つことがもう出来ていた。その立派になった姿を父親に見せることが出来た、というのは心残りの解消としては一番だったはず。もう、彼らに憂いは残っていないでしょう。
特にギニアスくんはまだ小さいですし、ここからぐんぐん立派なイイ男になってステラ姐のお眼鏡に適うようになってほしいものです。まだまだ姉ちゃんには弟扱いでここはカップル成立してませんもんね。
シャックスはついにラーファエルから黒花を任せる、と言ってもらえたので事実上のお義父さん越え成功である。
リチャードもようやくネフテロスに見合うだけの意思と力を手に入れましたね。ある意味彼はザガンに並ぶくらい脇目も振らずネフテロスへと一途に一心不乱に愛を捧げる騎士だったからなあ。その愛の強さ深さに見合うだけの理を、聖剣に認めてもらって聖剣使いになったのはおめでとうの一言。いや、ついにネフテロスの方から男性として凄く意識して貰えるようになった事こそをおめでとうというべきか。

対して敗れた側のシアカーンも、そしてビフロンスも最期の最期に救われ満たされて逝ってしまったんですね。
シアカーンは、正直愛する人を喪ってからやったことの殆どが徒労に終わった、とも言えるのかも知れませんけれど、今際の際に会いたい人に会えた、死に別れてもなおあちらから会いに来てくれた、自分のことを魂に刻んでくれていた、その一事にぜんぶ救われたんだよなあ、なんだか羨ましいくらいだ。
そしてビフロンスは……最期までビフロンスだった。誰にも理解できない傲慢で独り善がりの正体不明の享楽家。自分のやりたいようにやって、誰も彼もを出し抜いて、面白ければそれで良し。そうやって生きた果てが、誰にもどうしようもなかったネフテロスの末路をひっくり返すことだった、というのは……。改心したとかじゃないんですよね。救うとか助けるという気持ちがあったわけじゃない。ネフテロスにナニかを託そうなんて思いがあったわけでもない。
ただ面白そうだからやっただけ。誰もが救おうとして出来なかったネフテロスを出し抜いて自分が生かしてやることで、ザガンたちに勝ち逃げ出来るから。
そこで全部台無しにしてしまう、という詰まらない結末を引かないところも、ビフロンスらしいと思うんですよ。それじゃあただの小物だ。卑屈で器のちっちゃい卑怯者に過ぎない。
正体不明で意味不明理解不能がビフロンス。最初から最期までビフロンスはそれで一貫していた。彼の生き方在り方を貫いた。だから、凄くビフロンスらしかった、と思うんですよね。ビフロンス自身も理解しきれずにいただろうビフロンスというキャラを、一切ブレること無く最期まで書き切った、そんな感じが出ていて、彼の末路はネフテロスが見送る様子も含めて、満足でした。満了でした。
お疲れさん、ビフロンス。良き悪役でありトリックスターでした。

にしても、ザガンも作中で首捻ってましたけれど、今回いったい何人魔王が交代したんだろう。ネフィは本気で予想外でしたし、シャックスにフォルはザガンに言及されていましたけれど、他には引き継いだ人いないのだろうか。キメ君は? 魔王になる気満々だったバルバロスは?w

そして、ラストにはついにあの人が再登場。いや、再登場するの!? ふわーーっ!?


異世界迷宮の最深部を目指そう 16 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 16】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――祝福の産声。

――HP0。
相川渦波は死んだ(・・・)。
世界の『一番』は『星の理を盗むもの』ラグネ・カイクヲラ。カナミの肉体はラグネが所持し、彼女に付き従うは『血の理を盗むもの』ファフナー。
……それでも。
『光の理を盗むもの』ノスフィーはそれでも誓う。
人生の全てを『代償』として本当の『魔法』に至り、『お父様(カナミ)』を生き返らせるために。
ノスフィーはカナミの肉体を奪還するべく、ラスティアラたちとフーズヤーズ城突入作戦を開始する――。
全てはこの光満ちる『頂上』で、産声をあげるために。

相変わらず登場人物の殆どが躁か鬱のどちらかに極振りしてるなー。どん底まで落ち込んで病み憑かれるか、真実に目覚めてテンションマックスではっちゃけるか。シーソーみたいにどちらかに極振っていずれにしてもメンタル目一杯になっている。毎回誰かに、落ち着けッオチツケッ、と思ってしまうんですよね。
ほんと、いつも冷静なライナーと精神的にリソースの余裕を抱えているリーパーは重要な要という以上に読んでる方としても癒やしですわ。これも毎回言ってるような気がするなあ。
でも、まさかついに裏切り本性を見せてこれまでの謀の主、黒幕として立ち上がったラグネちゃんが、やってやったぜーー!! ついにカミナを殺してやったぜー! というヒャッハー状態からいきなり速攻で鬱モードに入るとは思わんじゃないですか。
なんでラスボス格として立ち上がった敵キャラが、突然情緒不安定になってネガまっしぐらになっちゃうんですか!w
いやそれも「理を盗むもの」になってしまった弊害、というのもあるのでしょうけれど。ラグネちゃん自身、自己制御出来ないほどに情緒不安定になっていく自分の有様に、これまでの「理を盗むもの」たちと同根のものを感じていたようですけれど。
それでも、「理を盗むもの」になる資格がラグネちゃんにあったということなんでしょうけれど。未練、というよりも自覚だよなあ。
自分の本当に求めるものを見つけよ。
その意味では、敵として立ってはじめて、ラグネちゃんはその中身を解体されたのだ。一つ一つ丁寧に腑分けして、その内側をさらけ出された。選り分けて取り出して裏返して、それらすべてに光を当てて、自己で偽っていたものも騙していたものも無視していた矛盾も、照らし出されてしまった。
今回のノスフィーの光は、彼女がなろうとした魔法は、ノスフィー自身を照らし出し、彼女が本当に求めていた父親を、カナミを照らし出し、その鏡写しとなるくらい似通った存在であったラグネちゃんのすべてを照らし出してしまった。
本当に、全部照らし出してしまった。
カナミも、ラグネちゃんも、もう自分を誤魔化すことも騙すことも出来なくなってしまった。自分のどうしようもなさを、情けなさを、愚かさを、これでもかと突きつけられ、目の前にいるのはそんな憎むべき自分の鏡写し。八つ当たりとしてぶん殴るには、最適最上に一品だ。
その発散の大小をノスフィーに支払わせる、というところまで込みで最高の自己嫌悪をもたらしてくれる。近親憎悪をもたらしてくれる。
それを、お前のせいだ、とぶつけられる事はきっと、彼らが前に進むためには必要……かどうかはわからないけれど、効果的なものだったのだろう。決闘だったのだろう。ノスフィーにとっては大満足で、カナミとラグネちゃんとしては最悪最低のこととして。
いずれにしても、ケリはつけなきゃいけなかった。清算だ。

一方でノスフィーは、自分が成すべきを見つけ、在るべき形を見つけ、あとは光のようにまっしぐらに進むだけ。カナミの妻を名乗って現れたノスフィーだったけれど、そうあらんと振る舞い続けた彼女だけれど、ようやくカナミに対して自分が欲したあるべき形を見つけられたんですよね。
本質的に、ノスフィーはどうやったってカナミの妻ではなく、娘だった。娘として父を慕い愛しながら、しかし立場として妻となりその在り方に殉じようとしたが故の矛盾であり迷走であり苦悩であった。それが解消され、迷いが晴れ、自分の想いの方向性が定まった時、ようやく彼女の光は彼女自身をも照らし出すことが出来たのだろう。
彼女の光の本質は刺し貫くことではなく、優しく包み込むものだったのだろう。淡く暖かな光の雨、今回の表紙がそのようにノスフィーの光を表現しているかのようだった。
その光はラグネちゃんをも受け入れて、ラグネは確かにノスフィーの光に救われたのだ。
しかし優しくも厳しいノスフィーの光は、すべての偽りをさらけ出してしまった。光は、闇のように包み込んだまま眠らせてはくれない。それは朝の目覚めの光であり、指し示し進むを促す導べであった。
ラグネの過去を暴き立て、その野望と信念の欺瞞を浮き彫りにし、彼女の心を解体した。本当の想いを照らし出した。その対面として、親和としてカナミの過去もまたラグネという第三者の目からもう一度映されたのだけれど、まさかここまで無造作にカナミの過去に巣食った違和を引っ張り出すとは思わなかった。
ここまで率直に、大胆に、その現況を指し示すとは思わなかった。
本当のラスボスの存在を、ノスフィーの光は照らし出したのだ。それを、カナミに直視させたのだ。
この認めざる存在を、果たしてどうやってカナミに認めさせるのか、長く疑問に思っていたのだけれど、ノスフィーとラグネという二人の「家族」のお陰というのがまた……辛辣なのか心強いというべきなのか。いずれにしても、相応しい理由であり原動力と成り得るものだったように思います。

そして物語は、ついに核心へ。


婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~ 2 ★★★★  



【婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む~美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロデュース! ~ 2】  ふか田 さめたろう/みわべ さくら PASH! ブックス

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魔法使いアレンとお尋ね者の令嬢シャーロットは今日も健全にイケナイことに邁進中!
だけどふとしたシャーロットの仕草に、言動に、アレンは心臓のドキドキが止まらない。
やはり俺は、シャーロットのことを好いているのか……?
それは本当にいけないことだ——

そんななか一行はアレンの古巣・アテナ魔法学院に向かう。シャーロットの妹・ナタリアが密かに留学中らしいのだが、なにやら問題が発生しているようで?

想いが爆発寸前なアレンと、輝く笑顔を見せるようになったシャーロットのめくるめくイケナイ毎日、第2巻!

判断がはやーーいっ!! ふとしたきっかけで、シャーロットへの温かい気持ちが保護者のものではなく、彼女への恋だと自覚したアレン。ここでグダグダとくだらないことで悩まないのがこの大魔王のいいところ。
即断即決、即行動の男である。
ここで自分には資格がないとか彼女の幸せを考えると、などとうだうだする男も多い中で、彼は自分の気持ちに一切嘘をつかない。色んな意味で正直すぎて偽らずにガンガンやりまくった挙げ句が、魔王呼ばわり。むしろ、誇らしげに魔王では物足りないから大魔王と呼ぶがいいッ、と言い放つ男である。そんな無駄で無意味な回り道などで貴重な時間を浪費しないのである。
ここまで自分に正直で居られる、というのはむしろ凄い精神力であると思うんですけどね。
シャーロットには幸せになってほしい。でも、願わくば彼女を幸せにするのは自分でありたい、そんな我欲を清々しいまでに真摯に思える彼は、実にカッコいいですよ。
それに、考えなしに行動するわけじゃなく、ちゃんと周囲に相談もして準備を整える理性も備えているあたり、隙はなし。なんで、シャーロット・ファンクラブとも言うべき街の輩なおにーさんたちにわざわざ相談に行くのか、相談相手間違えてないか? と思わないでもないけど。いや、ある意味義理を通しにいったとも言えるので、それもまた男前なんだよなあ。
おにーさん方と同じく、いつまでもはっきりしない関係のままイチャイチャし続けるんじゃないか、と思ってたんですけどねえ。その辺はっきりした主人公を描くのは、この作者さんとしては慣れたものなのでしょう。
GA文庫の【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく】の作者さんでもありますしねえ。

しかし、恋を自覚してしまうということはシャーロットの外見的性格的な究極的可愛さを保護者目線なんていうフィルターを通さず、ダイレクトに受領するということ。
毎秒更新でシャーロットの可愛さに貫かれてのたうち回るアレンの姿をご愁傷さまというべきか、ごちそうさまというべきか。仕方ないよね、シャーロットかわいいもんね。
うちの娘がかわいい、からうちの彼女が可愛いにバージョンアップしてしまった以上、常に致死量の可愛さ成分で血を吐く大魔王は、毎秒爆発しろ。
シャーロットとお付き合いをはじめて浮かれっぱなしのアレン、ひたすらデレデレしてたな、この男。

と、これだけシャーロットの身辺も安定して、メンタルの方もアレンが全面的に引き受けることで最初の頃のような虚無や諦観も消え去り、本当に幸せそうに笑うようになってくれた。
あとは、残る懸念を解消していくばかり。幸いにしてシャーロットにかけられた指名手配の方は、アレンと住むこの街ではもうシャーロットの人となりが知れ渡り、むしろ街中がファンクラブみたいになっているのでもうコソコソと変装したり隠れたりする必要もなくなってきた。
とはいえ、彼女を苦しめ貶めた実家や故郷の国の問題はまだまだ解消されず、放置されたままなんですよね。なにやら、あちらはより闇を深めているというか泥沼に陥っている様子が、アレンの情報網に引っかかってくるのだけれど。
それよりも、まずシャーロットが実家で唯一好意をもって接してくれていた妹のナタリアが今どうしているのか、というのがシャーロットの心残りだったんですね。
ナタリア、妹なんだけれどまだ7歳……って、結構年離れてたんだ。それだけ幼い娘が周りの空気に流されずに、シャーロットを慕って彼女を庇う姿勢すら見えていた、というのはそれだけ意思の強い娘でもあったのだろう。
それがシャーロットの失踪と指名手配である。どんな想いでいなくなった姉の事を思っているのかと思ったら……グレてたw
わずか7歳でひとりアレンの古巣である魔法学院に留学という形で放り出されて、寂しい想いをしているどころかそこではぐれものたちの希望の星になり、派閥を立ち上げて女親分として姉御肌全開でカリスマになってるの、年齢設定間違えてないですか?
やたらと周りの人に慕われ好かれる、というのはシャーロットの妹らしい人徳とカリスマ性なんだけれど、その方向性が親分肌姉御肌というのはお姉さまとかなり傾向違いますよねw
むしろ、大魔王アレンの系譜なんじゃないだろうか。シャーロットが出奔するまではそこまで我が強い様子はなかったそうなのだけれど……グレたのか。
ヒロインの妹登場、なんてなると恋のライバルにもなりかねないのですが、さすがに7歳というのは範囲外でしょうし、それも考慮しての7歳という年齢だったのかもしれません。
ラブコメとしては、アレンとシャーロットは不動のカップルとして揺るぎなく君臨しそうですしね。

滞りなく恋人関係にまで行き着いてしまった本作のメインのお二人ですけれど、甘酸っぱくもテンポのよいストーリー展開の勢いは、甘ったるさよりもピチピチと弾けるような活きの良さを感じさせてくれるラブコメで、このスピード感は心地よいものがありました。
次はシャーロットの実家へと乗り込んでくれるのでしょうか。アレンの言動はいちいちスカッとさせてくれるので、素直に楽しみです。



魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8 ★★★☆   



【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア) 8】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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再起を果たし、タラードとの戦いにも勝利したベルジュラック遊撃隊は、王都ニースに向かって進軍を開始した。
ティグルとミラ、リュディはレグナス王子の軍との合流をはかり、軍から一時的に離れる。
ファーロン王を捕らえて王宮を我がものとしたガヌロン公爵は、己の野望を押し進める一方、ティグルの故郷であるアルサスを焼き払うべく、軍を差し向けた。
悲壮な決意をもって戦うことを決意するウルスの前に、おもわぬ援軍が現れる。それは風を操るジスタートの戦姫だった。
バシュラル王子はレグナスを討ちとるべく動きだし、テナルディエ公爵もまた決断を下す。ブリューヌ王国を取り巻く状況が二転三転する中で、ティグルとミラは望む未来をつかむことができるのか。

ちょっとギネヴィア王女、自由すぎやしませんかね!? 前作・スピンオフを含めても、彼女ほど立場無視して好き勝手動いてた人、いなかったんじゃないだろうか。オルガだってあれ出奔じゃなくて武者修行という体がついてたはずですし。
こんな「乱入」としか言いようがない戦場横入りはなかなかないですよ。なんで此処にいるの!? と、彼女を知ってる人も知らない人も思ったでしょうねえ。この女、確実にロランをゲットして帰るつもりだ。
バシュラル王子は軍事的には常に圧倒していたにも関わらず、要所要所で邪魔が入りベルジュラック遊撃隊にもレグナス王子の本軍にも決定打を打てないままでいるうちに、情勢が変化していつの間にか劣勢に陥ってしまっていた、という振り返ってみると何でこうなった、というような展開なんですよね。
その要所を抑える形で援軍や後方撹乱やら、バシュラルを徹底的に邪魔したのがティグルだったわけだ。その僅かな差を押し切らないといけない時に押しきれなかったのは、バシュラルの限界だったのかもしれないけれど。彼には魔の手引はあったとしても、天分はなかったのだろう。天地人のうち、人がどうしても足らなかったんだなあ。タラードがいるだけでは足りなかったか。ガヌロンは協力者であっても潜在的には敵という認識は最後まで崩れなかった以上、バシュラルはずっと孤軍だったとも言えるし。それであれだけ大暴れできた、というだけでも彼としては本望なのかもしれないけれど。
彼の根源は、話を聞いた限りではやはり母への想いなんですよね。彼が傭兵になったのも、母を支え護るためだったという。その母が病で亡くなり、その直前戦場で戦士としては致命的な傷を負ってしまったバシュラルにとって、そこで人生は終わっていたはずだった。
それを運命の悪戯から命を繋ぎ、それどころか以前よりも増した力を手に入れてしまった。彼の中で燻っていた想いはなんだったのか。父親であるファーロンへの恨み、というほど父への執着はなかったように思う。でも、母との貧しい暮らし、病に倒れ相応の治療しか与えられなかった事への悔しさは、一介の傭兵ではなく王であったのなら母にもっと幸せを与えてやれたのではないか、という未練だったんじゃないだろうか。
でも、幼馴染から伝えられた母の末期の想いは、今のバシュラルの原動力だった野心の根源に、揺らぎを与えてしまった。果たして、母の願いを自分は無視してしまったのか。独り善がりだったのだろうか。
彼が自分の力を試し、やれるだけやってみたい、という真っ直ぐな我欲に殉じたのは間違いない。それでも、ロランやティグルと比べるとどうしても芯の強さに強弱があったように思える。彼の戦いは彼だけの戦いにすぎなかったわけだ。タラードはそれにこそ共鳴共感してたんだろうけど。
親孝行、できなかったんだなあ、彼は。

こうしてみると、主要登場人物の多くはまだ親が健在だったりするんですよね、本作。前作では既に亡くなっていたティグルの父やミラの母も健在で、リュディの父ベルジュラック公もレグナスの父であるファーロン王も子供達に未だ大きな影響を残している。
でも、なかなか親孝行って出来ない状況になってきてるんですよね。ガヌロンが、ファーロンを生かして人質にとっているのは彼の在り方からしてなんか不自然だなあ、とは思っていたのですが。人質なんてやり方に価値を見出しているような男ではなかっただけに。だから、何の目的でファーロン王を確保していたのかが明らかになった時は、深い納得がありました。いやガヌロンの目的は前回わかりましたけれど、方法がまさかそっちだとは思わんかった。
瀬尾さんの方が受肉した形で生き返ってたんで、普通に同じようなものかと思ってしまってた。

ちなみに、ザイアンもお父さんであるテナルディエ公が元気なんですけど、不思議とチマチマとポイント稼いで、親孝行してるんですよね、こいつw
あんまり出来が良くないと思ってた息子が、思いの外よく働くようになったのでちょっと期待するようになってしまった、ってそれなりに親としては嬉しいことなんじゃないだろうか。
でもザイアン、人間的に成長とか全然してないんですよね。いや、全然って事はないだろうけれど、あからさまに人間的に人格的に成長したという様子はなくて、相変わらず自分を大きく見せたがる見栄っ張りの人間の小ささ、小物っぽさは変わらないんですよね。
飛竜を駆って無双! という事もできず、結構ポカも多かったり締りがない結果になってしまったり、という事も多いのだけれど、わりといいところでそれなりに活躍するものだから、どうしても見直さざるを得ないという、どう扱えばいいんだこの男w
でも、憎めなさは際限ないことになってるので、このまま小物っぽいまま功績あげていって欲しいものです。

しかし、エレンとミリッツァまで介入してきて、いつの間にか戦姫みんなジスタートからこっちに来ちゃってるじゃないですか。戦姫、勢揃い! というには、なんかえらいなし崩しというか、いつの間にか集まってしまってた、という感じなのが若干微妙なのですがw
無事、リーザの記憶が戻ったのは良かったのですが、まさか右腕があんなところから出てくるとはw
記憶が戻ったおかげで、あの純真無垢な幼いピュアリーザがいなくなってしまったのは残念なのですが、そのあいだの記憶全部あるみたいですし……これはリーザ、いたたまれないよなあ、これ。
ただ戦姫勢揃いはしたものの、前作みたいにみんなティグルとイイ仲、という感じにはなってないんですよね。リーザもこれ、良い仲間にはなりましたけれどヒロインとしてはハズレちゃってますし。
その分、リュディがグイグイ来てるのとレギン王女が意外とかなりティグルにご執心なんですよね。まあレギン王女はちょっと後発すぎますけれど、リュディは現地嫁でもいいですよ、というスタンスなのでミラ一筋のティグルをして押し切られかねない勢いがあるんだよなあ。
最後のリュディにとって厳しい展開が、ティグルとの関係にどう影響してくるのか。

あと、ミリッツァはこの娘、クリティカルに出歯亀しすぎでしょうw 興味津々のお年頃とはいえ、覗きすぎ!
もうティグルもミラもこの娘には見られてても仕方ない、くらいの覚悟がないと先に進めないぞ。多分、どこでイタそうとしてもこの娘空間転移で現れて覗いてそうですしw



現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 3 ★★★★☆   



【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 3】  二日市とふろう/景 オーバーラップノベルス

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ここからは、大人の仕事だ

現代社会を舞台にした乙女ゲームに転生した悪役令嬢・桂華院瑠奈。
21世紀を迎えた日本では恋住劇場が開幕し、瑠奈はその中で『小さな女王陛下』として辣腕をふるっていた。
子供の身でありながら国政だけでなく世界情勢にも関与し、事業としても新宿新幹線の開通を目指す。
そんな瑠奈の特異性を嗜め、『子供のままで居なさい』と叱る大人は、政策的には敵対する恋住総理ただ一人だけ。
それでも、瑠奈は新たな味方として赤松商事の精鋭である岡崎祐一を引き入れ、起こりうる未来の回避に全力を注いでいく。
――そして迎える2001年9月11日。
九段下桂華タワーで落成記念パーティーを催したこの日、世界が変わる。
「ゆっくり休みなさい。そしてありがとう。ここからは、大人の仕事だ」
現代悪役令嬢による日本再生譚、第3幕!

まさに9.11のテロの発生とそれに起因するアフガン紛争の勃発が主軸となるだろうこの3巻が発売する直前に、当のアフガニスタンが米軍撤退に先んじて政府崩壊、タリバン全土制圧などという事態が起ころうとは、誰が想像できただろう。
この作品、ウェブ連載中もちょうど書いてる内容に付随関連する、というか根底からひっくり返すような出来事がリアルで殴りかかってくるもんで、なにしてくれるリアルパイセン、と作者の人が良く嘆いていらっしゃるのですが、これはその最たるものでしょう。ちゃぶ台ごと全部ひっくり返されたようなものだもんなあ。
まさか18年を経て、またぞろマスード将軍の名前を聞くとは思わんかったよ。マスードJrが英国士官学校を出て地元パンジシールに戻ってるとか全然知らんかった。

かのマスード将軍に関しては、作中では北部同盟の将軍という形で登場している。最初にテロ勢力による核テロの情報をもたらしたキーパーソンとしてだ。
9.11の悲劇を知る瑠奈としては、もちろんあのテロを防ぐために動き出す。
彼女がエコノミックアニマルであり金の亡者なら、その情報を元手にというかもうインサイダーですよね、激動する世界経済を手球に取ることも可能だったのでしょうけれど、そもそも瑠奈が小さな女王と呼ばれるまでに立ち上がったのは、世界の理不尽に抗うため、弱きものを食いつぶすこの世界の理と戦うため、時代そのものに逆らうためでした。
でも、あまりにも巨額な金を握り、経済を動かし、世界に手を伸ばす彼女を、金の亡者たちは自分と同じ価値観のフィルターを通してしか見ないんですよね。
彼らは瑠奈を、自分たちの同類としてしか見ない。同志とすら考えている。賤しくも賢しくも、その価値観で善意を持って手を差し伸べてくる。その醜さに、彼女を貶めようとする。
彼女の本意を知るものは少なく、彼女の悲痛な想いを理解するものは更に少ない。誰もが、彼女を自分の都合の良い偶像としてしか見ない。彼女の言葉は、彼女の願いは、殆どが伝わらないのだ。
ゆえにこそ、カサンドラの慟哭。
だが、このカサンドラは決して無力な王女ではない。無尽蔵の経済力と、天より俯瞰する目と、張り巡らされた人脈をもって、世界そのものと渡り合う小さくも偉大なる女王陛下だ。
しかし、その彼女をして運命の日9.11は防げなかった。
瑠奈ほどの影響力と情報資源があれば、容易にアメリカを始めとする対テロ機関の働きで事前にテロの予防が叶うのも難しくはないと思ったのですが、まさかそこに被さる形でもたらされた数発の核がテロ組織の手に落ちたという情報が舞い込んでくるとは。
いつ、世界のどこかの都市で核弾頭が、或いはダーティーボムが炸裂するかもしれない、という危機感に世界中が厳戒態勢に突入し、アメリカや欧州をはじめとする情報機関が血相を変えて消えた核弾頭の行方を追う。
もし核テロが本当に起こるなら、ゆうに数万を超える被害者が出ること必至。対テロ機関の持つリソースのすべてが核テロ追跡に費やされ、陽動と思しき数々のテロ情報は後回しにされることになる。
この際の核弾頭追跡劇と、世界中が張り詰めた緊迫感はヒリヒリするものがありました。これだけで映画一本作れるんじゃないだろうか。
ついつい国際情勢ってのは一国と一国の対で見てしまうのですけれど、世界で何かが起こったときには国の大小を問わず様々な国が様々な形で関与し関連しクビを突っ込んでるんですよね。
この核弾頭追跡劇は、それをもうわかりやすいくらいロジカルに描いていて、パキスタンの国内情勢がどれだけアフガン情勢に関与していたのか。インド・パキスタン間の緊張がどれだけ周辺各国に波及していたか、がいろんな側面から照らされて良くわかるんですよね。
ここで核弾頭の行方の経路にリビアとイラクが登場してきてしまったが故に、のちのイラク戦争への強烈な後押しがなされてしまうんですなあ。
そして、核テロの予防へと各国情報機関治安維持組織は全力を投入し、結果……アンジェラは核テロの阻止を確約することで瑠奈を安心させようとして、こんな台詞をこぼすんですね。
「陽動テロについては『コラテラル・ダメージ』として割り切る事もまた必要なのです」
それがアメリカの、世界の見解だった。
ズーンと重く響くような衝撃が読んでる側のこちらまで伝わってくるのだから、テロ阻止に動き続けた瑠奈が受けたショックはどのようなものだったのだろう。
そして運命の日が訪れる。

そう言えば、前巻で雇用したアンジェラ・サリバンだけれど、これ以降ほぼ瑠奈の片腕として働きだすんですよね。ウォール街で辣腕のトレーダーとして暴れまわり、また元カンパニーとして今も合衆国の様々な地層にラインを繋げているくせ者中の曲者。合衆国の表と裏、政治と経済と謀略の世界と深く関わる彼女が側近として働き出すことで、瑠奈は今までとは桁違いの規模で世界とコミットしはじめるのである。
そういう意味ではスリルジャンキーの岡崎も、瑠奈のもう片方の腕としてアンジェラとは違うラインから世界の裏側表側と繋がり影響力を及ぼしていくんですよね。忠臣である橘や一条や藤堂が瑠奈傘下の桂華院グループの主要ポストにつくことである意味手足となって働いてくれる距離から離れちゃったのも大きいのでしょうけれど。
ってか、お誕生日パーティーに普通にアメリカの国務副大臣とか来て、イン・パ問題や共産中国も絡んだ地域情勢についてチャンネル繋いでくれ、と相談持ち込んでくるとか、どういうレベルなんだよって話で。
それでトラブってるネパールに PMC送り込むお嬢様もお嬢様ですが。こうしてみると、自前で赤松商事という総合商社という名の諜報機関と、北日本崩れの軍人を取り込んだ PMCという私設軍隊まがいの戦力抱えてるんですよね、お嬢様ってw
そりゃ危険視もされるわなあ。おまけに、ロシアで神輿として担がれかねない血筋まで抱え込んでいるのですから。
一方で国内でも恋住政権が猛威を振るう中でも堂々と手を尽くしていくわけで。大々的なパーティーじゃない方の内輪の友達身内だけで開いた誕生会で、さらっと新宿新幹線建設してしまおうかと、なんて言っちゃう小学生w
四国新幹線の方も作っちゃってるし、それ以外にも国内各地で路線立て直してるんですよね、このお嬢。そのうち海外でもえらいところに鉄道走らせちゃうからなあ。平成の鉄道王じゃないのか、これ。
彼女が獅子奮迅の勢いで進めた不良債権処理のお陰で、この日本って正史よりもまだだいぶマシな状態できてるんですよね。ただ、本来の日本と違ってこの作品の日本はWW2で分断国家となってしまい、近年樺太の北日本共和国を取り込む形で統一したわけだけれど、その際の北と南の経済格差や負債が重くのしかかってるっぽいんですよね。さらに、北日本の人間が二級市民としてあからさまに低く扱われていて、それが治安悪化に拍車をかけている。
普通の国として、自衛隊も軍隊扱い、海外派兵も普通に行っていることから軍事も正史ほどアメリカに任せっぱなしで、というわけでもないでしょうから。
それら諸々の負債を鑑みると、瑠奈が救済してなんとか取り戻した「正史よりもマシになった不良債権」部分を含めて、ようやく正史とおんなじレベルになってる、なんてことないでしょうかね、これ。
財閥も不自然に残っちゃってるみたいですし。それが、恋住総理の財閥解体論へと繋がっているのでしょうし。これ、郵政改革よりも覿面にわかりやすくクリティカルヒットしますよねえ。華族絡みで不逮捕特権なんて理不尽までまかり通ってしまっている以上。

今の所、まだ恋住総理とのゴングは鳴る前。お互いに様子見段階と言ったところで鳴りを潜めていますけれど、総理の瑠奈へのスタンスは既にここで明らかになってるんですよね。

あとは大人に任せなさい。

子供がこんな事を頑張らなくてもいい。子供が、こんなことで傷つかなくていい。
小さな女王様の恩恵に、大人たちが群がる中で彼のスタンスは、瑠奈に子供のままでいる事を許してくれる優しさであり、大人の責任を果たそうという姿勢でもあると思うのだけれど。
それは、瑠奈がまだ子供なのに世界を相手に、時代を相手に立ち上がらざるを得なかった。その理不尽に戦いを挑まざるを得なかったことへの救いにはならないんですよね。
総理は、彼女の絶望を、彼女の怒りを、彼女の悲壮を、果たして理解しているんだろうか。
それでも、まだ桂華院瑠奈はあどけない子供なのだ、という事実に彼女の義父や義兄などは家族だからこそ苦悩する事にもなるのだけれど。
そうした彼女の心情を端から理解しようともしない、ただ瑠奈の金儲けのセンスだけしか見ない亡者どもが、地獄のような善意で群がりだすのもこの頃。
勝ち抜けさせてあげよう。もっともっと、儲けさせあげよう。その対価に、私達も多大な利益をわけてもらうけれど、弱き者たち力ないもの達、時代に流されるしかない者たちを生贄に、踏み台にして、自分たちだけ幸せを謳歌するために。彼らにとってはWin−Winの提案なんですよね。本心からの善意なんですよね。彼女を過酷な競争から救ってあげようという、瑠奈の意思を徹底して無視した。
桂華院瑠奈は金儲けに狂喜しているわけじゃない、世界政治に関与して権力に酔いしれているわけでもない。彼女は、戦士だ。いや、騎士と言えるのかもしれない。彼女はずっと、護るために戦っている。それを、余りにも多くの人が知らない、理解しようとすらしていない。
護られる王女ではなく、女王として彼女は自らが破滅するその日まで戦い続けるつもりなのだ。
だからこそ、桂華院瑠奈は彼女の幸せを願う善意に怒り狂った。激怒した。
ゼネラル・モーターズ・オンラインの経営破綻。史実においてはエイロン事件と呼ばれるこの多国籍企業の断末魔を機に、彼女はもう一度時代に逆らう闘争を再開することになる。

しかし、同時に桂華院瑠奈という少女の真の幸せを願う人々の苦悩は深まってもいくのだ。どうすれば、彼女は幸せになってくれるのか。
自らを滅ぼすことも厭わないように身命をなげうって行く少女の姿に、彼女の意思を、魂を尊重し守った上でどうやって彼女を護ることができるのか。そもそも、まだ子供でしか無い彼女がこんな風に立ち上がらなければならなかったのは、戦い続けるハメになったのは。
大人たちが不甲斐ないからだったのに。この時代を作ってしまったのは、今いる自分たちの責任なのに。
故に、大人たちは、大人であるからこそ悩み藻掻くことになる。

四巻発売決定、おめでとうございます。これでやきもきせずに、続きを待てる♪



転生王女と天才令嬢の魔法革命 4 ★★★☆  



【転生王女と天才令嬢の魔法革命 4】  鴉 ぴえろ/きさらぎ ゆり 富士見ファンタジア文庫

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結ばれた二人の、そのあと。

王位継承権を得て、王になる未来に向かうユフィリア。しがらみから解放され、研究を続けられるアニスフィア。望む未来を掴んだ二人の、王宮百合ファンタジー。イチャイチャに研究にと盛りだくさんの第四幕!

ユフィさん、エロエロすぎですぅ。完全に肉食と化し虎視眈々とアニスを(性的)に食らうその時を待ちわびているユフィさん。毎日同じベッドで寝てチュッチュと魔力を吸いながら最後の一線は我慢しているあたり大変な自制をなさっている事は理解できるのですが、ほらー我慢してるんですけどぉ、アニスはいつになったら許してくれるんですかねえ、とばかりにプレッシャーかけまくって目前で舌舐めずりをしながらペロペロチュッチュして摘み食いは欠かさないあたり、アニスが完全に陥落するまでの過程を楽しんでいるようにしか見えないのでした。
いや、一巻の頃のユフィを思い出してみると誰だよ、というくらいの攻めに回ってしまったユフィである。色んな意味で女王様だよ、この娘ってば。
いや、3巻読み終わった段階ではガールズラブと言ってももうちょっとマイルドで大人しい女の子同士の親友からの延長上にある愛情かな、と思っていただけにユフィのガツガツっぷりはさすがにビビりました。
アニスもビビってるじゃないかw
とはいえ、アニスも女王となるプレッシャーから解放され、ユフィともどもシリーズはじまって以来の二人してメンタルが安定している状態なんですよね。そういう意味ではようやく穏やかな日常パートがはじまった、と言えるのですが、ユフィの王位継承が決まりアニスがその補佐として働くことが決まって、精霊の真実が明らかになり、王国の政治改革魔法改革が本格的にはじまったことで、国内の緊張が高まっていて、早々呑気にしていられる状況でもないんですよね。
ユフィは既に各組織感の調整に走り回っていますし。

そんな中で特に反発が激しくなっているのが魔法省。軍部の支持が高いアニスだけれど、魔法が使えないことを端緒にして昔から魔法省とは深刻な対立が続いていて、感情的にももつれていたところに、今度の改革によって国内の精霊の位置づけや魔法使いという人種の地位の低下が懸念されることで、魔法省が内部で大きな混乱を抱えることに。
将来的に魔法の地位や存在価値そのものが失われてしまう、というのは魔道具の普及や魔法を使えない平民の地位向上なんかが起これば、いずれ地殻変動として起こるものなんだろうけれど、さすがにまだそれは将来の話で今から混乱する話でもないと思うんですよね。まだ魔道具の普及ははじまる以前の段階だし、現状王国の政治や各領地の運営を行っているのは魔法使いである貴族たち。文官、つまり官僚であり代官であり領主である彼らのスキルや経験は早々失われるものではなく、今から平民の台頭を恐れてバタバタするというのはさすがに過剰反応じゃないかなあ、と思うんですよね。
そりゃ、早いうちから身の振り方は考えていた方がいいのは確かですけれど、10年20年のスパンで起こることでしょうし、それでも早くてという冠がつくもので、現実的には50年、100年スパンなんじゃないだろうか。世代交代が2,3回進んだくらいで徐々に様相が変わってくるくらいの。
それなのに、今の段階から魔法省が実務から遠ざかって魔法を使ってしか出来ない儀式や儀典を執り行う部署、というえらい職掌の狭い、名誉職的な象徴的な実権を持たない役職になろうとしているのは、何はなくとも急ぎすぎなんじゃないか、と思ってしまった。
いや、別にユフィもアニスもそこまでせえ、とは全然言ってないのに、魔法省側がせかせかと事を進めてしまっている感じで。無意味な抵抗勢力を引退に追い込むのはユフィとしても大変助かるのでしょうけれど。
下手したら実務官僚が根こそぎこれまでの仕事から遠ざかってしまって、えらいことになってしまうとかないだろうか、と心配になってしまうくらい、なんか魔法省の面々の身の処し方が潔すぎて、危機感がありすぎるのもちょっと問題じゃないかなあ。
まあ、ユフィやグランツ公が使える官僚とか逃さないでしょうけれど。

さて、王国の政権体制が刷新され、ついにユフィが王位継承を受けて女王に即位することに。
現王から、本来王権を継ぐはずだったアニスへとまず王冠が渡され、そのアニスからユフィの頭に冠が被せられ、正式に王位が継承される式典……と、粛々と進んだ儀式がさいごのユフィの即位演説で……堂々と公の場でアニスに愛の告白をして生涯を誓ってしまうユフィニア女王陛下。
なんか、継承式がユフィとアニスの結婚式に様変わりしちゃったんですけど!
いいのか、二人のお父様方!?
いや、ユフィさんてば精霊契約者になった以上、不老長寿になったので実質後継者とか必要ない、或いは将来養子を取ればイイ、ってな事考えているのかもしれませんけれど、ここまで堂々と百合百合であることを宣言してしまうとは。前代未聞!
なんか、アニスの従者であるイリアとレイニまで百合が成立してしまって、いやイリアさん年齢差!
思えば、アニスとユフィの出会いからして、婚約破棄され糾弾されているユフィを、窓を割って現れたアニスが颯爽と掻っ攫っていく、というお姫様と王子様みたいなはじまりだったわけですけれど。
この二人はもっと普通に親友同士になると思っていただけに、本当にアニスがこの娘は貰っていくぜ、という言葉通りになってしまうとは思わなかったなあ。
まあ、お姫様と王子様の立場の方は見事に逆転して、ユフィの方が熱烈な攻め王子様になってしまったのですけれど。いや女王様ね、うん、女王様。
そして、ついに観念して女王様に食べられちゃうお姫様でした、めでたしめでたし。


転生ごときで逃げられるとでも、兄さん? 2 ★★★★☆  



【転生ごときで逃げられるとでも、兄さん? 2】 紙城 境介/木鈴カケル MF文庫J

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――今はあなただけが知っている。あの妹の存在を。

俺がジャック・リーバーとして転生し、同じく転生していた妹との死闘から8年。ヴィッキー率いる『真紅の猫』との事件後も、俺はラケルの指導の下で精霊術に磨きをかけていた。
そして遂に、リーバー家に一人の使者がやってくる。王立精霊術学院――才能・努力・天運、己の全てを賭けて同世代の神童たちと鎬を削る、弱肉強食の世界への招待状を携えて。
いいだろう、やってやるさ。最高の環境でさらなる力を身につけ、もう何も失うことのないように。転生しただけの凡才が、それでも最強だってことを、本物の天才どもに証明してやる!
神童が集う待望の第2巻! ――戦え。ただ一つのために、他全てを捨てることになっても。

ライトノベル史上最恐最悪と言っていい妹の恐怖から一年五ヶ月ぶりとなる第2巻。
いや、長いこと続き音沙汰ないから心配していたのですが、どうやらこのまま続いてくれるご様子で。作者の紙城さんは【継母の連れ子が元カノだった】の方が順調な上にアニメ化の企画も進んでいるようなのでてんやわんやだったと思われるので、兎にも角にも出てくれてありがたいところ。
おまけに、ちゃんと前回のあらすじを丁寧に書いてくれたことで物語への没入もすんなりと……って、あらすじでめっちゃ語ってる人ーー!!
ウェブ版既読なのでこの人誰なのかわかるし、こういう場面で口挟んでくる立ち位置にいる人だというのは知ってるんだけれど、それでもえらいところで顔だしてきたなあ。普通はいや誰だよ!? となるところであるんだけれど、そもそもラスボスである「妹」からして正体不明所在不明存在不明すぎるので、そういう得体のしれない「領域(ステージ)」が存在していると認識しておいた方がいいかも知れない。
それに、一巻で描かれた中で不自然な描写だった場面や疑問点をちゃんと項目にしてあげてくれているのは物語を理解する上で非常に親切な仕様になっている。まあ一連の最重要な疑問点は、この時点では絶対にわからないんですけどね。おいおい、物語が進んでいった上であれがそうだったのか! と、なるわけですけれど。
それでなくても、この2巻も伏線のオンパレードだったのですが。ちなみに、このあらすじで喋っている人に関しても、この2巻の作中でちゃんと?触れられていたりします。

さて、9つになったジャックとフィルは、スカウトを受けて国中から天才たちが集まる王立精霊術学院を受験することになる。そこで出会ったのは四人の同級生たち。
アゼレア・オースティン。
ルビー・バーグソン。
ガウェイン・マクドネル。
エルヴィス=クンツ・ウィンザー。
血と涙と魂で結ばれる、ジャック・リーバー生涯の友となる者たち。
この物語はジャック・リーバーと彼を陵辱する妹との悪夢のような戦いの、絶望を終わらせる戦いの物語であると同時に、ジャックとこの四人の青春の物語であり、果てしない闘争の物語でもある。
彼ら四人との出会い、そして友情の始まりこそがこの物語の本番のスタートだと断じてもいいくらいに、重要な四人なのである。
しかし彼らの関係は最初から、手に手をとってのお友達ごっこ、ではないんですよね。端から真剣勝負、あらゆる手段を講じて相手を蹴落とし、自分を有利に立ち回らせる、ほんとうの意味での全力の戦い。
これ学園モノではあるんだけれど、精霊術学院の入学から卒業までのシステムを見ていると、教え学び成長するための学舎ではなく、常に上を目指し届かなかった者から脱落し追い落とされるシステムになってるんですね。厳然とした勝敗数がものをいうシステムになっている。
これウェブ版読んでいる時は全然気づかなかったんだけれど、改めて書籍版を読んでるとまんま「将棋」の「奨励会」がモチーフになってるんじゃないかと思うようになったんですね。
毎期、総当たりの勝敗で負けが込んだら脱落退学。もし卒業できたとしても、あくまで段位を取得する資格を得ただけで、本番はプロの精霊術士になってから。という過酷極まるシステム。
【りゅうおうのおしごと!】なんかを読んでたら、奨励会という場所が天才ばかりが集まり蠱毒のようにお互いを食い合いながら、その上澄みとなるほんの数人だけが上に抜けられるという、現代の魔窟さながらの場所であり、何人もの人間の人生そのものが食い潰されていく壮絶という言葉では表現しきれない場所だ、というのがおわかりになるでしょう。
この精霊術学院もまたそれと同じく、まず天才である事は前提条件。その上で生き残ることの出来るだけの餓狼のような意欲が、闘争心が、何としてでも勝ち抜くという本気が必要になってくる場所。
その上で、この物語では本気でぶつかることこそ、本気で潰し合うことによってこそ、本当の友情が芽生えるのだという理(ことわり)が描かれている。相手の強さに敬意を抱くならなおさらに、相手の強さを認めるのならなおさらに、全力で潰せ、全力で戦え。
そうして初めて、真の友情が生まれるのだ。

相手の戦い方を研究し、対抗策を練り上げ、罠を仕掛け、妨害し、相手に不利を自分に有利をもたらす環境を整える。この手練手管の応酬が面白いのなんの。
フィルが入った諜報科、というのが大手を振って学院の看板の一つとして機能しているのがとびっきりに奮っている。まず前提として、戦闘科の生徒は諜報科・支援科の生徒と組んで実際に戦う前に情報戦に勝利しろ、というクレバーきわまる学校の方針なんですよね。
んでもって、この策略謀略環境調整こそがジャック・リーバーの真骨頂、と言ってしまいたくなるほど、ジャックのケレン味とズルさを極めた立ち回りがイカしてるんですよね。すべての仕掛けを御覧じろ、とばかりのジャックとフィルのコンビの食わせ者っぷりは最高でした。
院長先生がもうずっと楽しそうに「ウヒヒヒヒヒ」と爆笑してた気持ち、よくわかるわー。

しかし今回のこれはあくまでご挨拶。本気の戦いではあっても死命を左右する殺し合いではない。国や世界の命運をかけた負けられない戦いではない。
そうした戦いを前にした時、この子たちはただの神童ではない、掛け値なしのとびっきりだという事が証明されるだろう。
その時こそ、もう一度彼らは突きつけられることになる。
相手の強さに敬意を抱くならなおさらに、相手の強さを認めるのならなおさらに、全力で潰せ、全力で戦え。真の友であるからこそ、死力を振り絞って戦わなければならない時が来る。
だが今は、今だけはこの黄金の時間を穏やかに過ごして欲しい。青春という名のかけがえのないひとときを、宝物のような世界を、今はただ心ゆくまで楽しんで欲しい。溌剌とした、ワクワクを隠せない子供達の輝くような笑顔を前に、そう願うばかりだ。
「どうか悔やまないで。出会ったことは、きっと罪じゃない」

その存在の悪意は、未だ一瞬たりとて途切れずに纏わり続けているがゆえに。

それはまだ始まってすらいないはずなのに、とっくの昔にはじまっていて、もう取り返しがつかないほどに手遅れで。
でも、すべてはまだこれからなのだ。

頑張れ、負けるな。君たちは出会った。だからもう、独りじゃないんだから。


そう言えば、2巻は表紙フィルでもラケルでもなく、アゼレアなんですね。この順番には意味があるんだろうか。
アゼレアは改めて見ると、こう気の強さ以上に言動の端々に人の良さ、善良さ、優しさが滲み出ていて、もうツンツンしているのを見ているだけで微笑ましくてたまらなくなる。イイ子なんだよなあ。
めちゃくちゃイイ子なんだよなあ。
折角仲良くなった同級生、クラスメイトがお互い腹の探り合い騙し合い暗闘が日常になってしまうことに落ち込んで、元気なくしてしまうところとか、もういい子すぎて甘やかしたくなってしまいます。
フィルはジャックとイチャイチャしすぎー! いや、アゼレアが怒るのもしょうがないぞ、あれだけチューチューしてたら。9歳でおませすぎるだろう、この子は。でもポワポワしているのに、作中でこの子が随一のくせ者なんだよなあ。今回もそのくせ者っぷりをこれでもかと見せつけてくれましたし。
まだまだ萌芽ですけれど、こうニヨニヨしてしまうライバル関係がはじまっているのが、ルビーとガウェインで。不倶戴天の関係であるからこそ、意識しまくってるこのスラムの野良猫と正々堂々とした騎士の二人の関係も要注目なのである。
エルヴィスは、もうめっちゃ王子様然とした王子様なんだけどね。この子もイイやつなんだよなあ、それでいて頼もしいし、聡明だし、茶目っ気もあるし愛嬌もあって可愛げもあるしで完璧か、と。でも、完璧である以上に弱いところもあり不足もあり抱えているものもあり、だからこそジャックと無二の親友となっていくんですねえ。
ほんと、この新しいクラスメイトであり友人となる四人は大好きなキャラなので、彼らが揃ってようやく本番スタートという気持ちであります。
トゥーラ先生も、このロリババアも、好きなんだよなあ。あのババアっぽい笑い方とかホント好き。この人が笑ってるときってめちゃくちゃ楽しそうなんですよねえ。
好きなキャラが多いって、本当ならとてもイイ事なんですけどね……。

さて、次回霊王決戦編は、なるべく早めに出してきてほしいものです。このワクワクドキドキは、はやめに次の段階に進めたい。



厄災の申し子と聖女の迷宮 1 ★★★☆   



【厄災の申し子と聖女の迷宮 1】 ひるのあかり/桜瀬 琥姫  ドラゴンノベルス

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死闘と混沌に満ちた迷宮を攻略する最強冒険者は現地生まれの狩人だった!

神が創りし迷宮のある世界。狩人の少年シュンは、現代日本から召喚された双子の少女ユアとユナと成り行きでパーティを組んで迷宮を攻略することに。銃と剣と魔法で戦うRPGのような迷宮で、シュンの"狩り"が始まる! しかし、それは、異世界からの召喚者、果ては神までもが驚愕を超えて苦笑するほどの超絶廃プレイそのものだった――!?
コミカライズの連載がはじまったのを見たのですが、これが一話からえらい面白い内容だったので、原作の方はどうなのかな、と読んでみた次第。
なぜか、漫画が連載されているのは【B's-LOG COMIC】だったりするのですが。まあ【カドカワBOOKS】などからも漫画化されて連載されてる作品が多い雑誌なのですが、だいたい女性が主人公の作品が多いので、本作みたいに男の子が主人公で、というのは珍しいというのもあったのですが。
そもそも、異世界転生モノでありながら純粋な現地人が主人公という点から結構珍しいと思うんですよね。それも、転生者の若者とパーティーを組む形での。
主人公のシュンは、若いながらも育ての親たちの仕込みで名うての狩人として、そしてソロの冒険者として活動する少年でした。
この世界では、孤児にはダンジョンを探索する義務が課せられていて、シュンもその義務を果たすために故郷から旅立ち、潜ったダンジョンでこの世界の神が行っている悪趣味な遊戯の存在を知ることになる。自分たちもまたその神の遊びの駒であるということも。
そして、異世界……この場合は地球から神が毎年のように集団召喚によって、少年少女たちを呼び寄せ、無理矢理に神がプロデュースしたダンジョンの探索に投入されているということを。
シュンは、そこで召喚された学生たちに混じって、ダンジョン攻略を行うように命じられるのだった、という内容。まあそこまでも細かく紆余曲折あるわけですけどね。

このシュンという少年が歳のわりに達観しているというか、ずっと独りで活動してきたせいか非常に狩人として研ぎ澄まされていて、まさにプロフェッショナルなんですよね。
突然、異世界に転生させられチートを与えられたといっても右も左もわからないところから、いきなり命がけのダンジョン攻略を強いられた学生たちの素人丸出しの姿を比べると、転生モノのテンプレとかスラング、用語、概念から全然知らないものの、冷静さを失わずにじっくり観察を重ねながら黙々と目的を達していくシュンの様子がまた頼もしいのである。
狩人という生業ゆえの我慢強さ、慎重さがそのまま廃人プレイ紛いの行動に繋がっていくのは面白かった。予断を持たないが故に安易に不可能と判断せず、検証と実証を繰り返していくところとか。
また現地人で銃なんて存在自体知らなかったのに、弓や弩の延長にある遠距離武器だと把握するやどんどん使いこなしていくところとか。

そして興味深いのがヒロインとなる双子の姉妹なんですね。双子キャラにも色々あると思うのですけれど、双子といっても個性が正反対だったり見た目は一緒でもキャラや性格は随分違っていたり、とヒロインとして扱われるキャラクターは特に個々の個性を重視した形で描かれることが多いと思うのですけれど、本作のユアとユナはぶっちゃけ全く差別化する様子がないのである。
双子二人セットで描かれると言うと、最近では【クロの戦記】の双子エルフのアリデットとデネブが思い起こされるけれど、二人セットで掛け合いという点でもユアとユナはアリデットとデネブもコンビと良く似てるんだけれど、なんだかんだと姉と妹で性格が違っててちゃんと二人別々にわかるように描写されている双子エルフと違って、こっちの二人は完全に不可分の二人一組で描かれていて、区別する様子が見受けられないんですよね。完全に二人で一人、という様相を呈している。
挙句の果てには、あの合体ですからね。あんなの、個々に自律した意識があったら出来ないことでしょう。生まれる時に無理やり二人に分けられた、という双子の妄想はあながち間違っていないのかもしれない。
いや、こういう自分自身と双子の姉妹との間で自己と他者であるという認識が曖昧になっている、という双子キャラはたまに登場したりしますけれど、それがメインヒロインとなるとちょっとお目にかかったことがない気がする。
とはいえ、二人差別化されていないとはいえ、双子というひとくくりでみるとこれが面白いキャラなんですよね。喋ってる内容はアーパーでお調子者というのは、プロというか職人気質なシュンと案外相性が良くってこの双子がいると雰囲気も自然と明るくなっていますし。
見るからに幼く実年齢からしても同世代と比べてもかなりちんまい双子は、シュンをして庇護欲を湧き立たせるのか面倒見よく扱っていますしね。……まあ過労死寸前になりそうな何日も跨ぐような長時間戦闘を当然のように強いたり、と現地人らしく労働基準法の概念は存在しないので、儲かるし強くなるけれどブラック!という環境なのですがw
とはいえ、双子もクラスメイトたちから見放され、そのままなら衰弱死するか魔物に殺されるかという運命を辿るはずだったところを、シュンに拾って貰って生きる術、戦う術を教えてもらい、一緒にパーティー組んでくれたという恩もあり、最後まで運命を共にする気満々なのですが。

しかし、悪質なのがこのダンジョンを運営して、無理やりプレイヤーを現地や異世界から引き込んで遊んでいる神様である。シュンたちがゲームマスターが本来想定していないクリア方法やモンスター攻略を行った際は、あとで修正してモンスターの強化をしてたりするんですよね。
バグや不具合をなくすのはわかるんですけれど、攻略されたから二度目はないように強化するって単純にGMとしてズルいし卑怯な気がするんですよね。
本気でダンジョンを攻略させる気があるとは思えないムーヴしてるんですよね。とにかく、どんどん脱落者を出すような運営ばっかりしていますし。
でも、シュンの国の偉い人には日本人らしい名前の人もいるらしく、ちゃんとクリアしてダンジョンから出ることの出来た者はいる、という体になっていて、それが新たに召喚された若者たちの希望になっているんだけれど……どこまで本当なのやら。
今の所駒に過ぎないシュンたちは、神様の言われた通りにダンジョンを攻略していくしかないし、シュンからして孤児の義務を果たしてダンジョン攻略を終えてさっさと帰る、くらいしか思っていないようなので、神様への反発とかはないみたいだけれど、さて果たして本当にダンジョンの攻略は可能なのか。
あとがきだと、どんどんとあの少年神の顔色が青くなっていくそうなので、ちょっとザマァ展開も期待できるかも?

刹那の風景 1.68番目の元勇者と獣人の弟子 ★★★☆   



【刹那の風景 1.68番目の元勇者と獣人の弟子】 緑青・薄浅黄/sime  ドラゴンノベルス

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二度目の人生は棄てられ勇者、三度目の人生は獣人のわんこ族と旅に出ます。

68番目の勇者として異世界に召喚されつつも病弱で見放されていた杉本刹那は、23番目の勇者カイルからその命と共に大いなる知識と力を受け継ぎ、勇者の責務からも解放される。三度目の人生にしてようやく自由を得た刹那は、冒険者として生きていくことに。見るもの全てが新しい旅の中で生まれる出会いと別れ、それが彼とそしてこの世界を変えていく。

不知の病で若くして死んで、異世界に転生させられたと思ったらそこでも同じ病気で動けず、ってどんな地獄なんだ。
絶望のダブルバインドですべてを諦めてしまった刹那の前に現れたのは、23番目の勇者だというカイル。かつて、同じように勇者から力と知識を受け継ぎ悠久の時を生きてきたカイルは、二人分の勇者の力と長く生きた知識と経験を刹那に託してこの世界から消失する。
一時間にも満たない僅かな邂逅でありながら、まるで生来の親友のように或いは兄弟のように打ち解けたカイルと刹那。それでいながら、同じ時を生きることが出来ず、託すという形でカイルは刹那に未来を与えて去っていった。
まさに、一期一会の邂逅だったのだ。
世界を旅したい、生まれてこの方病室に閉じ込められつづけた刹那が抱いた願いは、こうして異なる世界で叶えられることになった。でもそれは、一所に留まること無く流離い続ける旅から旅への人生が約束された、ということでもあるんですよね。
実際、最初に冒険者ギルドに登録して居を構えた街では、良き出会いに恵まれ続ける。ギルド長には随分と親切にされて良く面倒を見てもらったし、宿では女将(?)に我が子のように慈しんでもらった。そして、まだ冒険者として右も左もわからない刹那に、臨時パーティを組んだベテラン冒険者は冒険者としての様々な心得や心構え、ノウハウを教授してくれて、先々の心配までしてくれた上で刹那を一廉の男として見込んでくれた。
それでも、刹那は居心地のよかったこの街を、旅立っていく。それはこの国ではひどい扱いを受ける獣人の子アルトを拾い弟子にした事がきっかけだったかもしれないけれど、アルトと出会っていなくても早晩旅立っていたのは、ベテラン冒険者のアギトの誘いを丁寧に断っていたことからも明らかだろう。
刹那の風景というタイトルは、主人公である刹那のいる風景というだけではなく、彼の一所に留まらない人生の常に移り変わる景色を表してのことなのかもしれない。
悠久の時を生きることになる青年の人生の旅路を、刹那の風景と名付けるのもまたどこか詩的じゃないですか。

この物語は、主人公刹那の人生の旅路を描いたお話だ。きっと、長い長い話になるのだろう。人と違う時間を生きることになった刹那は、本質的に人の集まりの中に留まることが出来なくなった存在だ。彼の人生は、一つの場所で送られることはない。でもだからなのだろうか、彼の物語はどこか人との出会いに比重が傾けられているように見える。
上記したように、彼の旅立ちは最初からかけがえのない出会いに恵まれ、そして別れを内包していた。長く付き合うことも出来ただろうギルド長やアギトさんと言った人たちとも、惜しみながらも手を振って別れを選んだ。これからもきっと、刹那の旅には出会いと別れが寄り添い続けるのだろう。
そんな中、奴隷商人に虐げられていた獣人の子供を刹那は引き取ることになる。アルトという名の獣人の子は刹那に懐き、この子は弟子という形で刹那の旅に連れ添う。
最初、もしかして実は女の子の可能性も、とボロボロの風体や栄養不良からの成長不足から性別がわかりにくくなっていたものだから、ちょっと期待したんですけれど、一緒にお風呂に入って丸洗いする、という誤解しようのない入念な確認作業が介在してしまったために、性別誤認という可能性はきっぱりとなくなってしまった。
とはいえ、男の子だろうと女の子だろうとアルトの可愛さはかわらない。なんかもう、健気で一生懸命慕ってくる幼い子供の可愛らしさはなんなんでしょうね。無条件で庇護欲が湧いてくる愛おしさに、ギューッと抱きしめてあげたくなる。きっと、そうすれば向こうも嬉しそうに抱きついてきてくれるだろうから。
でも、刹那はアルトを目一杯可愛がりながら、最初からいつか大きくなって自分の手元から巣立っていく日の事を考えているんですよね。アルトが一人前になり、師匠の自分が心配する必要がないくらい自立して、旅立っていく日のことを思い描いている。それを、とても嬉しいことだと考えながら。
それは、刹那にとっては寂しくても哀しくはない、良き別れ、なのでしょう。今は、懸命に離れまいと抱きつき手を握ってくる幼子を優しく包み込みながら。
刹那のこの穏やかで優しく、しかしどこか遠い精神性がこの作品の空気感を形作っているような気がします。
果たして、刹那が一人の弟子を連れながら歩く世界が、次に見せてくれる風景はどんなものなのか。
どこか切ないような、落ち着くような、穏やかな気持ちにさせてくれる作品でした。


七つの魔剣が支配する ★★★★   



【七つの魔剣が支配する 察曄 ̄野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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運命の魔剣を巡る魔法バトルファンタジー、待望の第7弾!

キンバリーの今後を左右する一大イベント、決闘リーグの開幕が迫る。三年生に進級し成長を見せるオリバーたちは、そのために三人一組のチームを組むことになった。同学年の中でも実力上位と目されるナナオらは、他チームから徹底的にマークされて厳しい戦いを強いられる。
一方で、例年以上に豪華な報酬と特殊なルールは、教師殺しの犯人を探すための教師陣の罠でもあった。さらに次期学生統括の座を巡る選挙戦もその影響を受け、駆け引きは激しさを増す。
そんな中、ユーリィが追いかけていた「骨抜き事件」の犯人、サイラス=リヴァーモアが動き出す。激動のキンバリーで、屍漁りの魔人は何を企むのか――。

決闘リーグというか、なんかアスレチック競争みたいな……そう、これってなんか大昔の大人気ゲーム「熱血硬派くにおくん」シリーズの「熱血大運動会」をちょっと思い出してしまったんだがw
それはともかくとして、キンバリーの生徒たちが一年生を除いて各学年が全部参加する決闘リーグというイベントが開幕。図らずも次回生徒会選挙の行く先を占う代理戦争、派閥戦の様相をも内包するイベントになってきたのだけれど、それはそれとしてオリバーたちもそれぞれ三人一組のパーティーを作って参加することに。いつもなら、剣花団の6人が3人ずつに別れてパーティーを編成するんだろうけれど、ミシェーラが家の事情もあってステイシーとフェイと組むことに。家の事情とか関係なく、かつて揉めてた従姉妹とこうして仲良く組めるようになったというのは素直に嬉しくなりますなあ。
また、カティとガイ、ピートが3人で組むことになったので、自然オリバーとナナオが前回登場したあの「探偵」ユーリィと組むことに。
剣花団では特に戦闘面ではまだまだ未熟のカティたちが、3人で頑張る、となったのは相変わらず向上心が高くて微笑ましくなる。未熟といっても最初の頃から成長著しく、それぞれの得意分野を順調に伸ばしているだけに、優勝候補のアンドリュー組といい勝負になっていて見ごたえある対戦でした。
アンドリュー、ロッシ、オルブライトの同年代ではオリバー、ナナオ、ミシェーラと並ぶ最強格の三人がチームを組んだのは面白いなあ、と。彼らも最初の頃は色々と能力的よりもむしろ人格的に甘いところや隙や油断、傲慢さが見られたものですけれど、そういった余計なものが削ぎ落とされてホントに強いキャラになりましたよね。アンドリューなんて話の転び方によっては噛ませ犬のまま小物落ちしそうな危ういポディションだったのに、見事に立て直して風格すらある強キャラになりましたし。
なんて、感慨深く思ってたらオリバーたちが戦うことになったバトルロイヤルの他の三組を率いるリーダー格含めた面々が、これまたモブとはとても思えない凄味を見せてくれることに。
いやマジでミストラル、リーベルト、それにメカクレ剣豪ことエイムズの三人にリーベルトチームの狙撃手カミラはこれまで名前を聞かなかったのが不思議というかありえないくらいの強キャラで、特にカミラの狙撃は戦闘中も神業の連発で背筋がゾクゾクするほど研ぎ澄まされたプロのお仕事だったんですよね。
そしてまさかのオリバーやナナオに比肩するほどの剣士だったジャスミン・エイムズ。あとがき読んでびっくりしたんですけれど、ミストラルやエイムズって前に読者から募集していた投稿キャラだったんですね。そうとはまるで想像できないくらい作り込まれたキャラクターに、主人公たちと対等に渡り合う能力以上にその個性と存在感が作者の手の内にあって、まさか投稿キャラとは思いませんよ。
オリバーやナナオの実力はこれまでに嫌というほど知らしめられているにも関わらず、静かに剣でなら渡り合えると自負する、おとなしそうに見えて結構強気でメンタルも動じない不動感があるキャラクターはまさに強キャラでしたよ。ナナオとは違うタイプの静の型の剣客という風格で。
実際、同年代ではまじで最強の一角に入るみたいですし、出番がここだけ、というにはあまりにももったいないので、せめてロッシくん並には今後も登場して活躍してほしいですね。

他の3チームが結託してオリバーのパーティーが集中的に狙われることになったバトルロイヤル。カマセ役とは程遠い練達の技、急造とは思えない巧みな連携、そして得意の分野では他の追随を許さない魔術の粋を見せてくる怒涛の攻勢を、ギリギリの瀬戸際でしのいで3チーム相手に渡り合うオリバーたち。躍動感あり、頭脳戦あり、詰将棋さながらの指し合いあり、と思っていた以上に読んでる側をぶん回してくる楽しさ満載の攻防で、いや満足の面白さでした。
これは観客も盛り上がっただろうなあ。見た目も派手でしたし、見応えたっぷりでしたよ。

まだまだ決闘リーグは開幕したばかり、とこんなガッツリと続く、になるとは思っていなかったのですが、ラストでイベントとは無関係の、以前から起こっていた骨抜き事件がイベントの最中に発生、その被害者があの人、ということでイベントの裏の意義でもある生徒会選挙にも影響が出そうな勢いなんですよね。
それよりも、犯人であるリヴァーモア先輩の目的がなんかヤバそうなのですが。またぞろ魔術の闇を覗き見る展開になりそう。

それはそれとして、先生がちょっと大暴れしすぎである。最上級生含むあの大多数相手でも無双するのか。お互い、殺し合いじゃないので切り札は切らないにしても、化け物しか残っていない上級生相手に、手も足も出させない、というのはさすがキンバリーの教師ということか。
ってか、これらを殺さなきゃならない、以前に二人すでに殺ってるのよねえ。
こんなん相手にしてたら、あと何人犠牲者が出るものやら。その犠牲者候補であるあの子を、成長譚のなかに組み込んでいるの、結果次第では邪悪極まるやりくちですよねえw

あと、今回オリバーたちと同じパーティーで戦ったユーリィ。今まで得体のしれないというか掴みどころのないキャラでいまいちどういうキャラなのかわからなかった所に、前巻の最後でその正体が明らかにされた事で、どういう取り扱いのキャラになるのかと思っていましたけれど。
結構、がっつりとオリバーとナナオのコンビにからめて一緒に戦うことになって、掘り下げたみたいな感じになってるんですよね。正体わかっているにも関わらず、なんか仲間感が出てきてしまったのとか、それこのやり口よw
こうなってくると、ユーリィは正体が明らかにされて底が知れた、のではなく与えられた役割に留まらない可能性を持ってるんじゃないか、と思いたくなってくるんですよね。無知の知であり真理に届くための存在だからこそ、本来の役割を越えた彼だけの発見、到達があって欲しいなあ、と。

なんにせよ、ストーリーとしては続く、になったので早い目に次巻が来てくれることを願うばかりです。6巻と7巻の間そこそこ空きましたしね。まあ、私自身7巻発売されてから読むまでちょっと間あいてしまいましたけど。って、9月にもう出るんだ。ありがたや。


主人公じゃない! 02 ★★★☆   



【主人公じゃない! 02】  ウスバー/天野 英  エンターブレイン

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能力差5倍!? 脇役 VS 「序盤、中盤、終盤最強」の剣聖

素質看破、無限骸骨トラップ、囮召喚装置……ゲーム知識を駆使したレクスの手法によって、常識外れな速度で成長していくラッドたち新人パーティ。
だが、その総仕上げに挑んだ「世界一決定戦」で待ち構えていたのは「序盤最強」のレクスを超える「真の最強キャラ」で……!?

現実で無限に敵湧くフィールドでレベル上げ、って出来るのかー。
いや、実際にはゲームでやってたレベル上げの多くはゲームみたいに上手く行かなかったのだけれど、その中から何とか実用に耐えられるものを検証の上で採用して、という形で実現しているのですね。
シナリオの展開でもそうだけれど、ゲームが現実化したからと言ってすべてがゲーム通りに進行するのではなく、ゲームでは可能だったことが不可能になっていたり逆にゲームではシステム上不可能だったことが、自由に動き回れる現実だと可能になっていることがあったり、とその辺の現実とゲームの可能と不可能の範疇のバランスが非常に高く取れていて、読んでても引っかかりが少ないんですよね。
レクスがゲームと同じつもりでやらかしてしまい、失敗してしまうというケースもありますし、ゲーム表現と現実とのすり合わせがうまいんだなあ。
そんな中で自分たちよりも明らかにレベルの高いダンジョンボスを、ゲームさながらにハメ技で傷一つ負わずに倒してしまうシーンは、苦笑交じりながら面白かったです。
ゲームではNPCが不規則な行動を取ってしまうためにランダム要素が強かったハメ技が、現実側ではパーティーでしっかり個々のメンバーと信頼関係が結ばれていて意思統一が取れているために、余計な行動を取る人間がおらず、安全にハメられた、というのはなんともはや。
まあ現実は現実で不確定要素があったり、思わぬミスがあったりという事もあるので結局完璧に安全という事はなかったのだろうけれど。

そんな風にズルにも思える強化策を取り続けるレクスだけれど、彼の教授する攻略法や強化法は効率の最適化というもので決して楽して強くなるものではないんですよね。いや、楽しようとすれば楽できるんだろうけれど、コードをイジってステータスの数字を変更するみたいなチートではなく、ちゃんと鍛えて強くなる方法ですからね。ハメ技はシステムの穴をついたみたいなものだけれど、リスクはあったわけですし。
まあレクスの思惑以上に、ラッドたちは真面目なものだから彼に提示された訓練法にレクスの思惑以上に真剣に向き合って、数値だけをアップさせるのじゃない自力からお仕上げていくような地道な強化に繋がっているので、その成長も大きいのでしょうが。
それでも、あっさり2巻でラッドたちがレクスのステータス数値を上回ってくるとは思いませんでしたが。スペックだけなら、もうレクスよりも強いのかw
それでもこの世界で認知されている戦闘システムを越えたプレイヤースキルと知識を駆使するレクスは、戦闘巧者としてまだまだ新人で戦闘のイロハを学びきれていないラッドたちでは、遥か天上にいる英雄に思えるのでしょう。レクス自身、その憧れを裏切るようなこすっからい真似はしてませんしね。
結構内心卑屈だし、コンプレックスも強いし、ラッドたち才能あふれる若者たちに嫉妬を滾らせているレクスですけれど、その教育は熱心で誠実ですし、ついつい面倒を見てしまうところなんか、教えて貰う側もレクスがそれだけ心砕いてくれているというのが伝わるから、慕うのも無理ないんですよね。
彼の誠実さは、今回の大きな壁だった剣聖相手にも示されていて、単にゲーム感覚だけだったら彼に勝ったあとにあんな塩を送る真似は思いつきもしなかったでしょうからね。与えてもらったら、少なくともそれに比肩するものを返したい、と今以上に彼に強くなるためのシステムブレイクのヒントを与えてしまうとか、ほんとそういうところだぞ、という感じで。
しかし、主人公じゃないと自重し逃げ腰にもなりながら、いざというときには逃げないし、度胸も据わって思い切るあたりが、このレクスの中の人の資質だよなあ、と思う所だ。大人のくせにガキみたいなピチピチした心を持ってるんじゃないだろうか、この人。まあそういう粋人じゃなかったら、高くて売れなかったゲーム機を買い揃えて夢中になって攻略したりとかしないですわなあ。
彼ならたとえ本当の現実だとしても、必要ならバカ高い高級品を使い潰すことを躊躇わなかったんじゃないだろうか、と思えてくる。
同時に、その必要な時を見極めるのも上手いよなあ、と。単に意地や見栄だけで不必要に超高級アイテムを使い潰したりはしない強かさもあるんですよね。
まあ、単純に負けた場合面倒見てる若手の女の子の身の安全がヤバイ、という段階で勝つために躊躇うことはなかったかもしれませんけれど、ちゃんと得るべきものは得ているあたりが抜け目ないんですよねえ。

さて、これでレクスの行き止まりだった成長の壁を突破できたわけですけれど、だからといって順調に波に乗れる、というはずもなく。また不用意に名声があがってしまったために余計なトラブルも舞い込んできそうですし、果たしてこれからもシナリオ管理や成長管制ができるのか。
あと、若手の中心であるラッドの成長はわりと丁寧に描かれているのですけれど、それ以外のメンバーはあんまり掘り下げた描写も少ないので、もう少し描いてほしいかなあ。それとレクスの妹のレシリアのポディションもまだ中途半端でどういう立ち位置なのか微妙によくわからんのですよねえ。ラッドのパーティーとは一歩距離置いていますし、レクスの相棒というわりにはレクス単独行動が多いですし。レシリアがヒロイン枠ではあるんだろうけれど、もうちょっとハッキリ立ち位置がしてくるとありがたいなあ、と思ったり。


となりの彼女と夜ふかしごはん ~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~ ★★★☆  



【となりの彼女と夜ふかしごはん ~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~】  猿渡 かざみ/クロがねや 電撃文庫

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となりの彼女が「おかえりなさい」と「いただきます」を言ってくれる生活。

大手スーパーの文具部門で新任マネージャーとなった俺・筆塚ヒロトは、仕事漬けの毎日にすっかり憔悴しきっていた。そんな俺の唯一の楽しみは、深夜帰宅後につまみを作って酒を飲むことだけだった、んだけど……いつの間にか、隣に住む腹ペコ女子・朝日さんと賑やかな半同棲生活をすることになってました。

「し、深夜に揚げ物は犯罪なんですよ!」
「今夜こそ誘惑に負けませんからね…!」
「こんなに美味しいなんて優勝ですぅ…」

優勝――それは大切な人と美味い料理で食卓を囲う瞬間のことを言う、らしい。
腹ペコ女子があなたの暮らしを彩る深夜の食卓ラブコメ、召し上がれ!

いやこれ、腹ペコJDと深夜ご飯食べるのがメインじゃなくて、職場の総合スーパーで働く模様を描く方がメインのお仕事モノじゃないですか。
てっきり、仕事で疲れ切って帰ってきたところを、JDとイチャイチャしながらご飯食べて癒やされる日常ものというスタイルかとタイトルや粗筋から想像していたのですが、思っていたよりもかなりガッツリお仕事モノでした。
突然前の部署から慣れない文具部門のマネージャーをやらされて、売上も現場管理も部下との関係も何事も上手くいかず疲弊しきった主人公ヒロト。そんな彼が疲れ切って自宅のマンションに帰ってきた時、隣室のJDが居酒屋で鍵をなくして困っていて、縁あって彼女を部屋に入れて深夜ご飯を振る舞うことに。
そこで実に美味しそうにご飯を食べ、缶ビールを飲む朝日さんと愚痴を言い合うなかで、ヒロトは朝日さんに職場での部下への姿勢にお叱りを受けてしまうのです。
不本意だった部署の移動に余裕を失った事と不満から内向きになったことで、部下とちゃんと向き合わず現場を把握せずいい加減な仕事をしていた事に気付かされたヒロトは、心入れ替え今の部署のマネージャーとしてやるべき事をやり、部下ともちゃんとコミュニケーションを取って、おかしくなっていた現場を立て直し始める。
まあ言ってしまえばこういうことか。だいたい誰が悪いかというと、文具部門がおかしくなったのはヒロト自身の問題だし、彼のモチベーション管理を全くせずに放り出した人事部門の問題だし、しわ寄せは全部現場に来ていました、というのは仕事あるあるだよなあ。
実際、ヒロトはほぼ現場の人間の信頼を失っていたので、いきなりあんな新しい事をはじめようとしても、知らん顔されても不思議なかっただろうに、よくまあ助けてもらえたものである。パートの人たち、聖人だろう、これ。
まあ破綻状態にあった現場の環境が改善される、となったら協力するのもやぶさかじゃないのかもしれないですけど、いきなり一人でやろうとされてもねえ、というところもあるし。今まで現場出てこなかったのに、いきなり顔出すようになって特に話通さず相談もなく勝手にあれこれ動かされだしたら、相手が偉い人でもなんやねん、と思っちゃうんじゃないでしょうか。
去年の売上の百%超えも、前年がよっぽど低かったんじゃない?と意地悪なことを考えてしまう。
正直、心改めたからってそれからの彼のやり方はうまいもんじゃなかったと思います。本当にパートの皆様のお陰サマサマじゃないでしょうか。

さてJDの朝日さんとのお話の方ですけれど、女子大生っつっても高校卒業したばかりで右も左もわからない上京したての初々しい女の子、というわけじゃなく。そんな娘を餌付けしてご飯食べさせて癒やされる話、というふうではなく、朝日さんもう二十歳になってるんですねえ。なったばかり見たいではあるんだけれど、酒が飲める年齢である。
というわけで、夜食作って一緒にご飯食べて一緒にパカパカとビールの缶開けながらゲームしたり愚痴言い合ったりと二人して管を巻く、これ普通に宅飲みじゃないですか?
合コンの居酒屋で鍵なくして、部屋に入れなくて困っていた朝日さん。なんかぐだぐだな理由でヒロトの部屋に入り浸り、というほど図々しくはなく、むしろ申し訳無さそうに家事手伝ったり、と決して居心地良さそうにしているわけではなかったので、あんまり半同棲とかそういう雰囲気ではなかったですね。後半、住居侵入トラブルがあったあとは別の人の部屋に避難してしまったから、結局ヒロトの部屋にいたのは3日程度でしたし。
ただ、変に半同棲なんて言わず、夜中に宅飲みしてぐだぐだになって、ついつい二人して寝落ちして朝になってた、という実際の状況の方がよくある話である分生々しくて二人の間の雰囲気としては良かったんじゃないでしょうか。意図せず同じ部屋で寝ちまった、というのが何度か続いた方が意識してしまう所も大きいでしょうし。
それに、朝日さん、なんか最初こそ頼りなかったものの、よりどころ無くフラフラしてる女子大生じゃなくて、学生ながらしっかりと稼ぎを持ち、それ以上に自分の生き方をしっかりと見定めている大人の女性だったんですよね。むしろ、今現在迷走して鬱屈を溜め込んでしまっていたヒロトよりも、ここぞというとき大人びていたかもしれない。だからこそ、ヒロトは彼女の芯ある言葉に影響を受け、自分を見つめ直すことになったのですから。
とはいえ、彼女の方も自分の生き方を定めていたとはいえ、周りからそれを叩かれ否定されることも少なくなく、彼女の方もまたヒロトに負けず劣らず精神的に疲弊していた部分は少なくなかったのでしょう。
彼が困り果てていた自分を助けてくれたこと、そりゃもう美味しい夜食を振る舞ってくれて、お酒かぱかぱ煽る余裕をくれたこと、色々と吐き出させてくれたことは、間違いなく救いであり、張り詰めていたものへの癒やしだったのでしょう。他でもない彼に、自分の書いた2冊の本についての講評を求めたのは、彼が抱えていた仕事の苦しみの中に自分が耐えているものと共通したものを見出したから、だからこそこの人の意見を聞きたかった、というのもあるのでしょうけれど。
優しくしてくれた彼にこそ、自分の選択を認めてほしかった、という風に見えたのはラブコメフィルターの働きですかね。

あと、最後のは間違いなく犯罪なので、ちゃんと警察に通報しましょう。勝手に取引のネタにするの、余計に拗れると思うし、朝日さんの身の危険に直接関わるだけに、拙いんじゃないかなあ。



処刑少女の生きる道(バージンロード) 6.塩の柩 ★★★☆   



【処刑少女の生きる道(バージンロード) 6.塩の柩】  佐藤真登/ニリツ GA文庫

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彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
「お前は、忘れない。ここで死ねるのなら、お前は幸運だ」

メノウと導師「陽炎」。
塩の大地での師弟の戦いは、メノウへと天秤が傾きつつあった。
アカリとの導力接続で手に入れた膨大な導力と、行使可能になった疑似概念【時】。
新たな力を得たメノウの勝利で終わるかと思われた訣別の戦いは、しかし、見え隠れする【白】の存在により予想外の方向へ向かいはじめる。

その頃、“聖地”跡では万魔殿が「星の記憶」へ足を踏み入れていた。
マノンの遺した一手が彼女に致命的な変化をもたらすことも知らず――。

そして、最果ての地にひとつの破局が訪れる。
彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
そして貴女は落ちていく。
地面に横たわる姿にはじまったこのシリーズの表紙絵は、5巻でついに立ち上がり戦う決意を見せた。そこから立つべき地面を失ったようにメノウはどこかへ落ちていく。墜ちていく。堕ちていく。

メノウは自分の生きざまをふらふらと蛇行しながら前進していると言っていたけれど、同時に師匠のことを悪でもなく前でもなく中道で、合理的で残酷でありながらも人間的だと語っている。フレアは、冷たく硬い鋼のような人間だった。その在り方は最初から最後まで変わらなかった。
でも、彼女は冷たいまま、金属のように硬いまま、無二の友情を得て、一人の弟子を慈しんだ。
友を殺し、弟子も利用した挙げ句に殺そうとして、そこに後悔も罪悪感も持たないのに、それでも彼女にとってあの日本人はたった一人の友人だったのだ。メノウは、自分の手で育てた娘だった。
だから、友人を殺したことを後悔もしていないのに、彼女の敵を討つために20年を費やした。その20年掛けた罠のためにメノウを育てて、利用して殺すつもりは一切揺らがずやり通したのに、フレアは娘を愛していた。その双方が矛盾せず両立していたのが、フレアという人物だったのだろう。彼女はあまりにもその在り方が一貫しすぎていて小揺るぎもしなかったが故に、矛盾すらも貫いてしまったのか。
後悔も罪悪感もなかったフレアにとって、自分の人生に不満も痛みもなかっただろう。彼女は最後までゆるぎもしなかった。ただ、揺らぎたかったのだろう、という願望だけは透けて見えた。友人と旅していた頃、自分の人殺しの生き方にずっと罰を欲していたことを思えば、メノウの在り方はかつて自分が望んだものだったのだろうか。
最後に至っても、フレアの心のうちは理解の遠く向こうだ。フレア自身が自分をわかる必要を認めていなかったように、自己分析の欠片も思い描いていなかった事もあるのだろうけれど。その奥底にある真実は彼女の言動や回想の欠片から一つ一つ拾い上げていかないと見えてこないし、そうして組み上げたものが本当の真実かなんてわからない。
ただ、事実だけを見るならば、フレアは自分の人生の大半をかけて、自分が友人を殺すことになった原因である白を討とうとしていた。そして、そのために利用し尽くすつもりだった弟子に、彼女はずっと選択肢を与え続けていた、ということだ。
彼女が最期に撫でようとした腕の位置は、幼い女の子の頭の位置だった。
その事実さえ覚えていれば、きっと事足りるのだ。

これまでずっと鳴りを潜めていた勇者・白。それが、アカリという少女がこの地に降り立ったことで、そして日本帰還の術式の準備が整ったことで、ついに千年の長き時を経て動き出す。
あの白の名前とは裏腹の凄まじい黒穴の如き眼が描かれた姿の挿絵は、やべえの一言。これ、夜中に見たら本気で「ひぇ!」となる絵だったりする。マジ怖い。
こんな眼をしているやつがやばくないわけがないという逆説が成り立つくらいヤバイ。どういう塗り方したんだ、この眼。

しかし、白が動き出したことでアカリとメノウの繋がりが断ち切られたと同時に、一気にパーティーの再編が行われるんですよね、これ。
シャッフルされたというべきか。モモと姫様が現場を一旦離れたのに合わせて、まさかの人災(ヒューマンエラー)サイドからの参入である。そのおぞましいというほかない、存在自体が災害であり呪いであり破滅そのもの、という悍ましさをこれでもかと今まで見せつけてきた以上、人災たちの存在というのは倒したり乗り越えたりするべき敵であるか、それ以上に逃げなければならない厄災天災そのものか、というスケールだったのに、まず最初にそれをひっくり返したのがマノンだったんですね。
まさか、あんなあっさり退場するとは思っていなかったのだけれど、それ以上に置き土産が盤上をひっくり返すどころじゃない、とんでもねー一手だったわけだ。
ある意味それは神を零落させたようなもので、理解が全く出来ないが故に脅威だったものを理解できるものに堕としてしまった、或いは昇華させてしまったとも言えるんだけれど。いずれにしても、話ができる相手になった、というのは大きいどころじゃないんだよなあ。
そして、なんであんな根っからの小物なのに、大きな仕事ばっかりするんでしょうかね、サハラさんは。こいつ、自分では何しようとしてもろくなことにならないんだろうけれど、他人から強制されながらイヤイヤやる気なくむしろ失敗してしまて、と思いながらやると大成功するみたいな業を持ってるんだろうか。
なんか思わぬところからお姉ちゃんが出来てしまったところとか、笑っていいのか呆れていいのか、わからんのですけどw まるで話が通じなさそうなところとか、サハラにばっちり合いそう。しかし、このお姉ちゃんも所謂計り知れないヤバイ枠なのだから、メノウの新パーティーってかなり意味不明なことになってるんですがw
いや、相手が相手だからこれくらい揃ってないといけないのかもしれませんけれど。
というか、これ人災両方サハラに紐付きになっちゃったんだけど、この小物どこまで行ってしまうんだw

そして、モモはまだ正期の昇進を果たしたのでいいのですけれど、姫ちゃまの行く末がかなりヤバそうなことになってるんですよね。あの姫ちゃまが大人しく他人のイイようになるとはこれっぽっちも思わないのですが。むしろ、待ち受けている使徒の方が酷いことになりそうな予感w



 
9月21日

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(MFC)
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9月19日

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9月18日

(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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(HJ NOVELS)
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9月17日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(ジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(チャンピオンREDコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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少年サンデーコミックス
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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9月16日

(ボニータ・コミックス)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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9月15日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(ハルタコミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(LINEコミックス)
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9月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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9月12日

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9月11日

(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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(アルファポリス)
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9月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(電撃コミックスNEXT)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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(夜サンデーSSC)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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(アース・スター コミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(ジャルダンコミックス)
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9月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(アクションコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス/フォワードシリーズ)
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(双葉文庫)
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9月8日

(少年チャンピオン・コミックス)
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(少年チャンピオン・コミックス)
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(ヴァルキリーコミックス)
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9月7日

(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(まんがタイムコミックス)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(アフタヌーンKC)
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9月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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9月5日

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9月3日

(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(フロース コミック)
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(フロース コミック)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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9月1日

(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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(B's-LOG COMICS)
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(B's-LOG COMICS)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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8月31日

(講談社ラノベ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(エンターブレイン)
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(ヒーロー文庫)
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8月30日

(エンターブレイン)
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(エンターブレイン)
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(エンターブレイン)
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(ファミ通文庫)
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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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8月28日

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8月27日

(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスEX)
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8月26日

(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(REXコミックス)
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