徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  5月の漫画新刊カレンダー  5月のライトノベル新刊カレンダー
  6月の漫画新刊カレンダー  6月のライトノベル新刊カレンダー
 

ライトノベル

公女殿下の家庭教師 6.慟哭の剣姫と南方戦役 ★★★☆   



【公女殿下の家庭教師 6.慟哭の剣姫と南方戦役】  七野りく/cura 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

あいつが隣にいない世界なんて、私はいらない

アレン、生死不明。凶報を受けた彼の教え子たちは、それぞれ王国を巡る陰謀が動いていることに気づく。リディヤがいる南都でも、侯国との開戦が近づき――。アレンの隣に立つため、リディヤは自ら剣を握る!

この表紙のメスガキっぽい娘さん、リディヤだったの!? 髪切ると途端に見た目幼くなるんですね。ある意味、見た目相応だった、という事なのかもしれませんが。見た目もティナたちの方に寄ってしまった感がありますし。

東都動乱でリチャード公子と近衛騎士団と共に獅子奮迅の働きを見せるアレン。獅子奮迅というよりも、死に体になりながらの決死行というべきか。
取り残されていた獣人の領民たちをなんとか救出してくるも、彼に向けられたのは嫌悪と罵声でしかなかった。と、言ってもそれを行ったのは族長クラスの保守派の老人たちだけなのですけれど、彼らは獣人族の指導者層である事は間違いなく、長らく彼らのそうした意思こそが獣人族全体の意思でもあったんですよね。アレンにとっては、彼らこそが自己否定の象徴だったわけだ。
人間でありながら獣人の両親に育てられた存在。でも、人間としても認められず、獣人としても受け入れられず、ずっと中途半端に虐げられ突き放されてきた存在。
彼の自己肯定感の低さの理由がようやくわかってきた気がします。正直、両親や獣人の友人たち、親身になってくれた獣人の大人たちをはじめとして、アレンを全肯定してくれた人達は枚挙にいとまがないと思います。人間の社会の方に出てからも、リンスター家やハワード家のように全面的に彼を受け入れ、それこそ家族同然に受け入れてくれた人達は本当に本当にたくさんいたんですよね。肯定しすぎだろう、というくらい彼の能力も人柄も人格も全部まるごと受け入れて認めて称賛して肯定してくれていた。
にも関わらず、彼にはどうにもそんな肯定が響いていた様子がなかった。穏やかに笑っていながら、心のどこかで自分に与えられるそれに実感を感じていないようだった。自分に向けられる温かい感情を尊く感じながら、どこかでそれを受け取る権利がないように思っているようだった。
確かに、アレンへの肯定は彼を救っていたのだろう。でも、彼にかけられた呪いは厳然として彼を犯し続けていたのだ。
それを植え付けたのが、あの元族長達の罵声に象徴される「否定」だったのだろう。
結局、誰も彼にかけられた呪いは解けなかったのだ。悔しいだろうな、虚しいだろうな。どれほど言葉を尽くしても、心を寄せても、本当の意味で彼の根源には届かなかったのだから。
アレンの両親の慟哭が、リチャードの悲痛な叫びが、胸に突き刺さる。
ハワード公爵家やリンスター公爵家の面々が、アレンMIAの報告にあれだけブチ切れた理由の片隅には、同じくこの「悔しさ」があると思うんですよね。
アレンが与えてくれたものに対して、自分たちはそれに見合う「報い」を与えてやれていなかった。彼を本当の意味で「救う」ことが出来ていなかった。結果として、むざむざと彼を死地に踏み出させてしまった。それが必要な決死だったとしても、自分の価値を低く見て捨て駒にする形で放り捨てさせてしまった。君が大切だ、君を大事に思っている、君を愛している。家族のように思っている。その想いに彼は確かに応えてくれたけれど、その応答がこんな形であったということが。愛情に報いるために、自分を投げ捨てる形であったなんて事は。
悔しいじゃないですか。
彼をこんなつまらない事で喪わしめようとした相手は当然万死に値するし、彼にそんな選択をさせてしまった自分たちには怒りを禁じえない。
ブチ切れる要因としては、煮えたぎる原因としては、十分以上でしょう。一族まるごと、完全に火がついてしまうあたりに、リンスターもハワードも逆鱗に触れられた龍と尾を踏まれた虎の如き、完全にヤベえ一族だというのがよく伝わってきます。
個人的には、リディアにこそ何やってたんだ、と言いたくなる所ですけどね。アレンがいなくなってぶっ壊れてしまうほど依存しておきながら、結局アレンを引き止められるだけのものを彼に刻めていなかったんですから。
アレン様なら絶対大丈夫、と無事を疑いもしていない人達もそれはそれで信頼というよりも信仰に近いものを感じ取ってしまい、どうかと思うのですけれど。
自己肯定の低さから、惹きつけるだけひきつけ魅了するだけ魅了しておいて、釣った魚には餌をあんまりやらないアレンも悪いっちゃ悪いのですが。責任ちゃんととって関係中途半端にしていなかったら、もう少し彼女たちも覚悟みたいなものが定まっていたんじゃないかなあ、と思わずにはいられないのでした。

せめて、アレンの破滅的な献身を目の当たりにしてようやく心改め、彼と運命をともにして謝罪した元族長たちの言葉が、根源であり起源である彼らの拒絶と絶対否定が終わりを告げ、獣人種族がアレンを受け入れたことで彼の呪縛を解けてくれていたら、と願うばかりです。

七野りく・作品感想

ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子 ★★★★   



【ユア・フォルマ II 電索官エチカと女王の三つ子】  菊石 まれほ/ 野崎つばた 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

謎のアミクスによる連続襲撃事件。鍵を握るのは女王の三つ子、最後の一人!

★第27回電撃大賞《大賞》受賞のSFクライムドラマ★
哀切怒濤の第2弾開幕――!!

再び電索官として。歩み出したエチカに新たな事件が立ちはだかる。RFモデル関係者連続襲撃事件――被害者の証言から容疑者として浮上したのは、他ならぬ〈相棒〉ハロルドの名前だった。

「きみの思考に入り込めたらいいのに」
「あなたに潜れたらどんなにいいか」

ままならない状況に焦るほど、浮き彫りになる<人>と<機械>の絶対的違い。埋められない溝に苦しみながらも捜査を続ける二人を待ち受ける衝撃の真相、そしてエチカが迫られる苦渋の選択とは――!

前回の事件を通じて、心から通じ合い認めあったパートナーとなれたエリカとハロルド……と、思ってたらいきなりぶっこんでくる「アミクス」には心なんてないよ、というRFモデルに携わる技術者の発現。いや、開発者であるレクシー博士の態度はまた違うんだけれど、アミクスに携わる科学者たちの見解は、等しくアミクスというロボットが行っているのはあくまで状況に合わせた言葉を用意された「辞書」から引き出しているに過ぎず、そこに思考や意思は介在しない。「中国人の部屋」というロボットSFで良く語られる設問を引き合いに出して語られるそれは、アミクスに心は存在しない、という大前提に基づくものであったのです。
いや、あるだろう心。ハロルドにも、前回登場したRFモデルにおけるハロルドの兄であるスティーブにも確かに心は存在した。エチカは、それと間違いなく繋がったのだ。だから、彼らRFモデルに心があるのは自明の理なのだ。
でも、RFモデルが通常のアミクスと同じ延長線上にあると考えているアミクスの専門家たちには、そんな見解は端からない。
面白いことに、専門家じゃない素人である捜査関係者たちやAI倫理委員会(素人か?)の人たちにはその絶対の大前提が理解できないんですよね。だから、外部からの干渉によってRFモデルが起こした事件を引き合いに出して、不具合がない他のRFモデルも危険視して停止させるべきだと主張する。
技術者たちは、ちゃんと技術的チェックをして不具合の有無を確認し科学的根拠をもって、RFモデル全体の危険性を否定する。そこにはハロルドへの個人的な信頼とかはなく技術的科学的根拠に基づくものしかない。一方で倫理委員会などの面々たちは、漠然と根拠なくあっちがダメだったんだからこっちもヤバいだろ、と危険視してくる。話がそもそも噛み合ってないんですよね。
でも、ハロルドがアミクスというただのロボット、ただの道具、という見解については一致している。だから、ハロルドを心ある存在と認識しているエチカにとっては、両者とも何をわけわからない事言ってるんだ? と、話の噛み合わなさ理解出来なさに苛立つはめになる。
三者三様、相手が何を言っているか全然理解できていないんですよね。
ロンドン警察の捜査部は、さらにアミクスに人権が認められてるせいか、システムチェックじゃなくハロルド当人と拘束して尋問、という人間にするみたいな事を平気でしながら、一方でRFモデル全体の問題トラブル危険性なんじゃないか、とハロルド個人を認めるでなくロボット扱いしているわけで、いやなんか端から端まで矛盾してませんか?と思うんだけれど、彼らとしては一貫してるんですよね。

人間同士ですら、同じ言葉を喋りながら会話を交わしながら、どこかで根本的に意思疎通すら出来ていない、理解が噛み合わないのに。
そもそも、根本的に違う存在であるアミクスと人間が理解し合えるのか。
そもそも、アミクスであるハロルドに意思がある、心がある、という科学的技術的根拠が存在するのか。

RFモデルが引き起こしつづけている連続傷害事件の捜査を通じて、エチカはほんとうの意味でのハロルドという存在そのものへの理解を迫られる事になる。
一旦はハロルド自身が事件の犯人なのでは、という疑いをかけられ任意同行を求められたものの、その容疑は別の事件が発生したことで早々に拭われるのですが、RFモデルそのものへの危険視は増すことでかなり面倒くさいことになってしまうんですね。
ハロルドの容疑を晴らすため、さらに巻き添えになったハロルドの「家族」のために、真相究明のため捜査を行うエチカなんだけど、その過程でRFモデルそのものの誕生の秘密に踏み込むことになる。
そもそも人を遠ざけてきたエチカにとって、他者への理解は避け続けてきたものだった。人の記憶に潜りその感情そのものを体験する電索官でありながら、彼女は人間そのものへの理解が遠い。
だからこそ、結婚詐欺じみたやり方で近づいてきたハロルドに、なんだかんだと心許してしまったわけだけれど、本当の意味でハロルドの心のうちを理解する事は難しく、でも理解したいと願った、願ってしまった。
電索官として捜査官として以上に、私情でハロルドの心を追いかけてしまった。彼の心が誕生した起源に踏み込んでしまった。いやほんとに私情込み込みで、捜査官としての在り方よりもハロルドを優先してしまうほどに。
ある意味彼女、一線を越えてしまっているとも言えるんだけれど、一線を守ろうとするとハロルドの停止は余儀ないんですよね。彼の在り方を世間は許容出来ないことは、一連の各方面の対応からも明らかなわけで。でも、こうなるとハロルド自身が一線を越えようとしたとき、それに干渉できるのはエチカだけになってしまった、という事でもあり、エチカの葛藤はその時が来るまで止まないことになってしまったわけだ。
アミクスに備わっているはずの大前提が、あそこまで徹底して皆無であることがわかった以上は、もうハロルドの心ひとつ、心ひとつなんですよねえ。
結局、彼の「心」に訴えるしかない、という事なのか。
そのハロルドの心はというと、揺れに揺れまくっているのですが。エチカが片っ端から揺り動かしている、と言えるのですが。グチャグチャじゃないか、ハロルドの心。グチャグチャすぎて、処理落ちしてるじゃないか。エラーが出てるじゃないか。
ハロルドもまた、理解したいと乞い願っている。切ないほどに、心引き裂かれんばかりに、切に切に、求めてる。彼女の辛そうな顔を見たくないと願ってる。
それが心でなくて、何なのか。それが人の心と何が違うのか。ハロルド自身が、その存在を頑として認められなくても。

二人のお互いを想い合う切なる気持ち。それは本来とてもシンプルなものなのかもしれないけれど、それを人と機械の相互理解というSFのテーマとして丁寧に描くことでこんなにも深い沼としてズブズブにしてしまえるのか。
シトシトとした雨に降られるような読後感に、しばし染み入るのでした。





虚ろなるレガリア Corpse Reviver ★★★★   



【虚ろなるレガリア Corpse Reviver】  三雲 岳斗/深遊 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

少女は龍。少年は龍殺し。 日本人の死に絶えた世界で、二人は出会う!

その日、東京上空に現れた巨大な龍が、日本という国家の崩壊の始まりだった。
魍獣と呼ばれる怪物たちの出現と、世界各地で巻き起こった“大殺戮”によって日本人は死に絶え、日本全土は各国の軍隊と犯罪組織に占領された無法地帯と化してしまう。
ヤヒロは数少ない日本人の生き残り。龍の血を浴びたことで不死の肉体を手に入れた彼は、無人の廃墟となった東京から美術品を運び出す“回収屋”として孤独な日々を過ごしている。
そんなヤヒロを訪ねてきたのは美術商を名乗る双子の少女ジュリとロゼ。二人がヤヒロに依頼したのは、魍獣を従える能力を持つという謎の存在“クシナダ”の回収だった。
廃墟の街で出会った少年と少女が紡ぐ、新たなる龍と龍殺しの物語、堂々開幕!


ドラゴンものはデビュー作以来って、【コールド・ゲヘナ】のことかー! 懐かしいなあ。って、あれはファンタジーじゃなくてガッツリSFでしたけどね。それ以上に人型ロボットものだったじゃないか。ド派手で何よりスピーディーな高速戦闘は読み応えたっぷりでのめり込んだのを覚えています。まさか20年以上経ってもこうして第一線で活躍し続けているとはさすがに思いもしませんでしたが。というか、そんな先のこと考えもしなかったんだけど。

さても今度の新シリーズは、前作の吸血鬼モノだった【ストライク・ザ・ブラッド】から、龍と龍殺しの物語。ドラゴンスレイヤーというのは本邦でもファンタジー小説やゲームの黎明期から活躍するある意味勇者の代名詞。かのドラゴンクエストからして竜王殺しの話でしたし、それよりも前、ファミコンのアクションゲームでも黎明期からドラゴンスレイヤー的な作品は山程ありました。ライトノベルでも、ロードス島戦記や海外から翻訳されたファンタジー小説なんかでもドラゴンスレイヤーとは最強の戦士、みたいな感じで常に最上位に位置し続けたジョブなのではないでしょうか。
吸血鬼に並ぶ、王道とも言えるでしょう。
しかも、本作の主人公ヤヒロのそれは現代に合わせて様々な形にアレンジやら改造やらされた龍殺しのそれらと比べると、むしろ原典に近いんですよね。古典的と言っていいくらい正統派な形で誕生した竜殺し、と言えるのかもしれません。

魍獣と呼ばれる謎の化け物たちの出現に加えて、世界中の国家、組織、個々の人々からの虐殺によって国家として日本は滅び、民族として日本人は絶滅した。
日本列島は都市の廃墟に魍獣が跋扈し、その縁側で世界各国の軍隊が基地を置く滅びの地と化していた。という、ポストアポカリプスものと言えなくもないけど日本限定終末後、というなかなか類をみない壮絶な世界観である。
でもこれだと、世界中が滅びてしまった後に比べて、他の世界の国々は健在なので物資の面では不足がないので、ガンガンとフルスペックの軍隊をアクションの中に放り込めるんですよね。その上で住民の被害を考えないで、日本の各地各都市各名所を戦場にして吹っ飛ばせるという自由度の高さ。なにしろ無人ですからー。日本人絶滅してますからー。文句はどこからも出ませんね、善き哉。

そんな根絶やしにされたはずの日本人の生き残り、主人公の鳴沢八尋には目的がある。死んでも成し遂げなければならない目的だ。死なないけど。
その死なない身体になった原因と、目的がまた覚悟決まりまくっていて壮絶極まりないんですよね。
まだ十代の若者にも関わらず、背負っている業が重すぎる。彼にとってはこれまでの人と関わらない、関われない孤独ですら、禊だったのかもしれない。
でも、彼はここで出会ってしまうのである。さて、その運命の相手がクシナダヒメであったのか、それとも悪魔(ベリト)の双子の方だったのか。
何もかもが双子の目論見通り、ではあったものの、なにげに双子との邂逅こそがヤヒロにとっての転換点だったのは確かなんですよね。それを運命と呼ぶのは恣意が介在しすぎているか。
でも彼女たちに目的と企みはあり利用する気満々でも、扱いとしては誠実であり好意的であり、駒とか道具扱いじゃなく、ちゃんと同じ人として、共犯者として、仲間としてベリトの双子のみならず、ベリト隊のなかなかに個性的な面々は接してきてくれてるんですよね。
孤独のまま走り抜けるつもりだったヤヒロにとっての、初めての仲間というべき人たち。
日本人の生き残りとして迫害され続けてきたヤヒロにとって、経験のない好意的な交友は戸惑い狼狽えるしかないものだったのだけれど、それでも仄かに嬉しそうで、ついつい警戒を緩めてしまう姿はチョロいとは言うまい。可愛らしいくらいじゃないですか。
憤怒と罪悪感にだけ塗れて生きて死ぬには、まだまだ若すぎるんだから。
にしても、ジュリエットとロゼッタの双子のキャラクターは良かったですねえ。半分マフィアみたいな連中ですけど、天真爛漫でどこか喰えないジュリに、クールでそっけないようでイイ性格しているロゼと、強烈な存在感を残してくれた二人でした。まさに天使のような小悪魔、といった周りを翻弄するジュリの明るさもとらえどころのなさも魅力的なのですが、クールなロゼみたいな子がデレるのは是非見てみたいなあ。
この二人に比べると、メインヒロインの彩葉は裏表のない真っ直ぐな性格していて、色んな意味で汚れていないなあ、とw
ただ行動力というかパワフルさは全然負けてないんですよね。結構グイグイくるタイプだぞ、この娘。こういうブレのないストレートにまっすぐ進める子でないと、超ヤベえレベルの凶悪なヤンデレには対抗できないのかもしれない。

初っ端からしっかりと強烈な世界観を叩きつけると同時に、そこで躍動するメインとなる登場人物たちの存在感を確立し、壮大なストーリーの始まりを強く意識させる。一巻目としては文句なしの、長期シリーズの開始を確信させる盛大な号砲でありました。このあらゆる意味でも面白さと安定感は、さすがとしか言いようがない期待の新シリーズでありました。


母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください ★★★☆   



【母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください】  夏色 青空/ 米白粕 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

俺のことが好きすぎる母親のせいで、人生がハードモード過ぎる!

母・美礼が書いた母×息子の近親相姦エロラノベが大賞を受賞した。なぜか俺が受賞したことになってた。……いやふざけんな!? しかも同期受賞の現役JK作家は俺が好きなあいつで――あ、終わった。人生詰んだわ。

後半に行くほど加速度的にテンポが良くなりリズムに切れ味が増していくぅ。いやこういう勢いマシマシの畳み掛けるようなテンポのコメディは結構好みなんで楽しかった。
最初の頃は結構手探り感あったんですよね。
なにしろ、大賞を受賞したものの、ヤベえ内容過ぎて社会的に死ぬので息子に自分の身代わりになってくれ、と頼む(事後承諾)母親とか、完全に毒親に見えるじゃないですかー。
しかもなかなかいい具合に壊れたお母様で、あんた世間体とか気にするようなタイプじゃなかろうに。書いたの小説じゃなくてノンフィクション(予定)のつもりだったんじゃないだろうか、と思えてくるぐらい、ガチの息子ラブ。ってか、この主人公これまで貞操は大丈夫だったんだろうか。わりと真面目にこの母親危ないと思うんだけど。
ともあれ、母親の身代わりに作家としてデビューする羽目になった霜村春馬。その名も「種付けプレス」というどこに出しても恥ずかしい雄大無辺なペンネームである。昨今エロ小説家でもエロ漫画家でもこれほどダイレクトなペンネームの人、なかなかいないんじゃないだろうか。
と、思ったらこの業界キメセク先生とか立ちバック先生とか緊縛セーラー服先生とか、同類は枚挙にいとまがないようで。この世界のライトノベル業界どうなってるんだ!?
というかこれ、わりとエロラノベの社会的立場が確立されてるんじゃないだろうか。エロラノベ部門とか大々的に他のジャンルに負けない勢いで出版社あげて授賞式とかやってるわけですし。
キメセク先生がラノベ界の神として崇め奉られてるくらいなんだし。

それはそれとして、授賞式を通じて先輩作家たちと知り合い、そこで業界の闇ならぬラノベ作家たちが抱える心の歪みや人生を傾がせる後悔を目の当たりにするのである。
授賞式直後の新人作家に何を背負わせているんだ、と言いたくなる先輩たちの絡みっぷりだ。受賞作の改稿とかデビューにむけての準備とか本当なら忙しいんじゃないんかい!
なぜか、速攻で作家人生を賭けて先輩作家との執筆バトルに挑むことになってしまった種付けプレス先生。まあ春馬は本当は種付けプレス先生じゃないのですし、自身デビューに向けて何度も投稿して三次あたりで容赦なく落とされる日々を送るラノベ作家志望に過ぎないので、むしろ自分の可能性を突き詰めるための手段として、千里エビデンス先生とのバトルは登竜門でありラストチャンスにも成り得る機会であったわけですけれど。
ともあれ、家庭の事情から家族愛を徹底して否定する千里先生。それは、家族愛をテーマにした種付けプレス先生の受賞作や、同時受賞した同級生のカリン先生の作品のテーマを根底から否定するものであり、骨子を捻じ曲げてでも改稿しろ、と迫る千里先生に敢然と否を突きつけるために必須の決戦ではあったわけだ。
このあたりから物語が軌道に乗ったのかスイスイと話が転がり始める。それに合わせて、作品そのものの勢いが加速度的に増していくんですね。会話掛け合いのテンポがどんどんと早くなり、ボケツッコミの連鎖も畳み掛けるようなリズムへと発展していく。
主人公の春馬も、母親に振り回されているだけの受け身の主人公ではなく、こいつはこいつでわりと言いたい放題思ったことを言いまくるヤバいやつなんですよね。先輩だろうが大人だろうが関係なし、勢いとノリで思ったことをズバズバと指摘し、言い放つ一言居士。年下や後輩という立場に甘んじで言葉を濁したりしない、なかなか度胸の据わった男なのでツッコミの切れ味たるや辻斬りもかくやという所なのである。
わりと勢い任せに生きているような節もあるし。
そもそも、彼が小説家としてデビューを目指しているのは、同級生で読書仲間で高嶺の花である同級生、今となっては同期の作家となった凛夏に、一端のプロの作家になって告白するぜ、という志?からだったはずなのに、この男そのへんの動機のこと途中から忘れてやしなかっただろうか。目の前の執筆バトルやら何やらに夢中になって、どんどん凛夏の扱いが雑になっていってるしw
まあ、この凛夏さんが面白いことに雑に扱われることで輝く系のヒロインだったのですが。

実は売れっ子イラストレーターだったという引きこもりの妹も含めて、この母にこの子あり、と言った感じで母一人子二人のこの霜村家、ほぼほぼ勢いとノリだけで生きてやしないだろうか。最初の頃は母親だけ変なのかと思ったけれど、ちゃんと親子だったよこの一家。
というわけで、後半あたりになるとほどこの霜村家が作品のノリを支配してしまったかのような怒涛の勢いで、小ボケとネタが叩きつけられツッコミが応酬し、なんかもう大騒ぎでついつい楽しんでしまいました。
はじめの段階では母親がアレすぎるし、シモネタもポンポン放り込まれてちょっと引き気味に読んでいたのですが、勢いつき出してからはなんだかもう面白くなってしまって、いやあこういうパワフルさ、強引なくらいの勢いはコメディ作品には大事ですよね、というのを再認識した次第。
これだけドタバタやってくれたら、ひたすら楽しかったです。


宮廷医の娘 ★★★☆   



【宮廷医の娘】  冬馬 倫/しのとうこ メディアワークス文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

凄腕の闇医者×宮廷医の娘。この出会いが後宮を変える—中華医療譚、開幕!
黒衣まとうその闇医者は、どんな病をも治すという——。

由緒正しい宮廷医の家系に生まれ、仁の心の医師を志す陽香蘭。ある日、庶民から法外な治療費を請求するという闇医者・白蓮の噂を耳にする。
正義感から彼を改心させるべく診療所へ出向く香蘭。だがその闇医者は、運び込まれた急患を見た事もない外科的手法でたちどころに救ってみせ……。強引に弟子入りした香蘭は、白蓮と衝突しながらも真の医療を追い求めていく。
どんな病も治す診療所の評判は、やがて後宮にまで届き——東宮勅命で、香蘭はある貴妃の診察にあたることに!?

法外な治療費を毟り取る黒衣の無免許医というと、ブラックジャックを想起しますがモデルではあるんだろうか。
舞台は中華風異世界の平原国。中華ファンタジーではないっぽいんですよね、ファンタジー要素ないですし。それとも異世界モノだったら全部中華ファンタジーの範疇になってしまうんだろうか。
ともあれこの平原国、文明レベルは中近世くらいに見えるのですけれど医療水準についてはかなり高そうなんですよね。そもそも、医療科挙という国家試験が存在し医療に関する国家資格があるという時点で、医学に対しての社会的な意識や地位が高いということですし、技術に関しても簡易的な外科手術なんかも行われているようで、基礎的な知識もある程度共通認識として共有されてるんじゃないだろうか。
香蘭はそんな国の元宮廷医の家系に育った医師一族の選良。幼い頃から医学を志ざす、というよりも医学そのものにのめり込み夢中になっていた。人形遊びで人形を分解して外科手術ごっこをしている時点で相当である。今は医療科挙の突破を目指し勉学に励む堅物な生真面目な娘なのだけれど、その女子力を完全に放り捨てた脇目も振らない性格と医学についての好奇心は、闇医者・白蓮との出会いによって見事に刺激されることになってしまう。元々の医学への好奇心がなかったら、平原国で常識とされる医術とはステージが異なっている白蓮の医術をああも純粋に受け止める事は出来なかっただろうし、貪欲に吸収しようとも思わなかっただろう。秩序や枠組みを重んじるように見せかけて、必要とあらばわりとうっちゃってしまえる性格なんじゃないだろうか、この娘。マッドの気質あり、と睨んでいる。
さて、そんな香蘭に色んな意味で目をつけられた医師・白蓮。彼の正体については何者かとは明言されていないのだけれど、明らかに現代水準の医療技術と知識を身につけている以上、中華風異世界版『JIN-仁-』さんなんだろう。医局政治への嫌悪感をむき出しにしていることから、白の巨塔紛いの政争に巻き込まれた経験があったのかもしれない。皮肉屋で世の中を斜に構えて見ているなかなかに性格の歪んだイケメン医師である。
評判のぼったくりに関しては、マジぼったくりで金持ち庶民で区別せず、きっちりと高額報酬を受け取る姿勢は徹底している。金持ちからはふんだくるけれど、貧乏人からは金とらないよ、的な古典的な名医な在り方からは傲然と背を向けている。
かといって守銭奴なのかというと、そういうわけでもなく。ただ、現代レベルの医療をこの文明レベルの世界で行うには、それ相応の元手が掛かるということなのだ。技術費さっぴいても原材料費とか諸経費相当掛かってるんじゃないだろうか。薬や医療器具など金に糸目をつけていないみたいだし。
現代の日本だって、健康保険や高額医療費制度などで控除されている分を取っ払ったときの医療費のはめっちゃ高いよ。なので、白蓮の請求する治療費は法外とは言えないのだろう。
でも、庶民相手でも手心は加えないけれど、むしり取れる所からはより毟り取ってるよね、これ。というわけで、金にがめつい面は着実にあると思われる。
そんな医は仁術とか知ったコッチャないね、という姿勢の医者に弟子入りした堅物の医師の卵の娘が主人公の物語である。

病気に怪我に、それらにかかり負ってしまう患者たちには、病気になるに至る背景があり、また負った怪我によって見舞われる事情がある。香蘭は、医師の卵として病気や怪我よりも患者の抱える問題に踏み込み、その解決に奔走することになる。人と向き合うのが医者の仕事だと言わんばかりに。
当初、白蓮に対してその仁術に背を向ける在り方に反発していた香蘭だけど、弟子入りしてからはさっさと全幅の信頼を師に置いてるんですよね、この娘。そう書くと思い込みの激しい娘に見えるんだけど、案外と柔軟というか師の合理性に判断基準を置くようになっているからなのか、思い込みから暴走して失敗してしまうというような事はなかったんですよね。まあ、思い込みが強いなんてのは医療では致命的なだけに、いろんな可能性を考慮しながら物事を見るという姿勢をちゃんと確立しているということなのかもしれませんが。自身の正義感をたぎらせているときでも、相応に師にお伺いを立てていますし。そういう所、育ちがいいっていうんでしょうね。

最後の話で早速というべきなのか、宮廷の奥に入り皇太子―東宮の寵姫の治療に携わることで、宮廷政治の闇に踏み込んでしまうのですが、東宮の知遇を得たこともあり、今後は宮廷と下町を平行に舞台にしながら話は進んでいくんだろうか。
個人的には、なんかすでに東宮と友達だったという白蓮の過去も気になるんですけどね。医療器具などを作れる職人を探し出したり、抗生物質などの薬品を作り出したり、そういう医療体制を立ち上げられるほどの生活基盤や人脈を整えるまでには、相当の苦労があったはずですし。多分、身一つでこの世界に放り出されたんでしょうしねえ。
いずれ、そっちの話も出てくるんでしょうか。




キミに捧げる英雄録 1.立ち向かう者、逃げる者 ★★★   



【キミに捧げる英雄録 1.立ち向かう者、逃げる者】  猿ヶ原/こーやふ MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

熱さとエモさ爆発の新時代ファンタジー!

精霊が紡ぐ「英雄録」──それは、この世界の誰もが憧れる至高の英雄譚がいくつも記されている書物。何の取り柄もない僕アイル・クローバーは、英雄録に「主役(えいゆう)の一人」として名を刻んだ同郷の英雄ベルお姉さんに「私の弟子になってみない?」と持ちかけられることに。「他の誰も期待してなくても、私だけはアイルちゃんに期待している」。その言葉を糧に、姉弟子シティさんとの絶望的な実力差や魔導書イゼゼエルとの悪夢の関係に直面してもあがき続ける。主役と端役、期待と絶望、臆病と無謀──言い忘れてたけど、これは僕が「最高の主役(えいゆう)」になる物語だ。

臆病ってのは戦場に立つ者の資質としては決して悪いものではない。無謀に身を任せてしまう事もないし、慎重に用心深く立ち回ることが出来る。生き残るための資質として臆病というのはむしろ有用な性質と言えるだろう。
でも、アイルのそれは臆病は臆病でもただのビビリでただのヘタレだ。怖いことがあれば目を伏せて、恐ろしいことがあればうずくまって、震えて動かず怖い何かが通り過ぎていくのをひたすら待っているだけの、根性なしだ。怯え縮こまり迫りくる危機からも現実からも逃避する。小心者だ。
いやさすがにこれはヒドい。何者にもなれず、何者にもなろうとしない、こんな少年が主人公というのはさすがに見ていてキツかった。なんで、主役になりたかったんだろう。こういう自分を変えたいから主役に成りたかったのか、それとも主役に成りたかったからこういう自分を変えたかったのか。
その辺、語られていただろうか。ちょっと記憶に残っていない。
何故か、そのアウルを幼馴染のお姉さんは期待している、と目をかけていた。そして十年経ってなおそれは変わらなかったらしく、英雄になった彼女はアウルに弟子になってと声をかけてくる。そんなベルお姉さんの期待に縋るように、彼は主役になるための旅に出るのだった、無謀にも。
だって、十年間このアウルくん、何か一人で変わろうと努力していた様子ないんですよね。何か鍛えてた? 何か克服しようと積み上げていたものはあった?
なにもないまま、手ぶらでベルの元を訪れるのである。あれだけ卑屈に自分の在りようにまったく自信を持てないままで。
……なんでこの子が選ばれたんだろう。なんでベルはこの子に目をかけたんだろう。真剣に謎であり、疑問でした。
その疑問に対しては、ちゃんと相応しい答えが用意されていて、ヘタレのアウルだからこそベルが求める相手だった、という合理的な理由ではあったんですよね。それはそれで、ヒドい理由であり、いくら卑屈で根っから惨めさをまとっているようなアウルにしても、怒って然るべき理由だったのですが。
でも、それ以前になんでこの子強くなれたんだろう。彼が奮起し、自分の中の臆病者としての方向性を転換することが出来た、覚醒できたその前の段階から、彼はぐんぐんと強くなっていってるんですね。それは、魔導書イゼゼエルというイレギュラーであり悪魔であり相棒である彼と出会ってしまう、その前から。
なにもないアウルでも、あんな簡単に短期間に、メチャクチャ頑張ったとはいえそれは誰でも出来る範疇の努力だったはずなのに、なんでか強くなるんですよ。普通の兵士の何十人分何百人分とかいうなかなか突拍子もない基準の数値で表示されながら。
いやいや、こんな子に勝てない、というかまとめて蹴散らされる普通の兵士ってなんなんだろう。ベルから強くなるためのアイテムを渡されたお陰でもあるんですけど、それこそ普通の人からしたらなんかズルい代物だよなあ。
アウルに与えられていた役割は、まあヒドいものでした。でも、直接陥れられたとか謀略によって嵌められたというわけじゃなくて、結局これってただの実力差であり本人の力不足であり自覚のなさが要因なんですよね。そこまで、悪辣な話だとは思わない。与えられた舞台で踊れなかった方が悪いと言うだけの話じゃないか。
そして、アウルはその舞台でちゃんと自分で踊ってみせた。それだけのことである。それだけの事を成し遂げることがどれだけ大変か、という話でもあるんだけれど、アウルには十分お膳立てが成されていたわけですし、ベルの思惑と違ったとしてもわりと至れり尽くせりな立ち位置だったんじゃないだろうか。
臆病者が勇気を出した。それは称賛されるべき事だとは思うけれど、悪者が偶に善行を施したら注目され褒められる、みたいな感じで真っ当に頑張り勇気を出していた、まとわりつく視線や期待に藻掻いて藻掻いて、それを振り払ってみせたシティちゃんをもっと褒めてッ。
まあそんな感じであんまり主人公に好感を持てなかったので、後半の展開は多少驚くところもあったけれど熱く感じるとかまではいかなかったかなあ、というくらいで。


<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 16.黄泉返る可能性 ★★★☆  



-インフィニット・デンドログラム- 16.黄泉返る可能性】  海道左近/タイキ HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

カルディナに散らばった『UBM』の珠を求めて新たな街にたどり着いたユーゴーたち。
しかしその街では珠の力を求める強者たちが集ってきており、それぞれの思惑により事態は急速に進み始める。
『IF』所属【殺人姫】エミリー、『セフィロト』所属【撃墜王】AR・I・CA、そしてレイとどこか重なる青年【冥王】ベネトナシュ。
『超級』たちが集う街に隠された秘密とは――?
大人気VRMMOバトルファンタジー、混戦必至の第16巻!

今回は主人公であるレイが登場しない完全に別の場所、国となるカルディアを舞台に繰り広げられる事件が物語として綴られる。こういう事がわざわざスピンオフ作品などにせずに本編にぶっ込めるあたり、それだけ世界観とキャラクターの強度が半端ない作品であることの証左なんですよね。レイ/スターリングに頼らなくても、誰でも主役になれるだけの物語を登場人物たちが背負っているという事なのだろう。
そして今回の主人公、てっきりユーゴーなのかと思っていたし間違いではないのだろうけれど、一番描きたかったのは表紙にもなっている冥王ベネトナシュとそのメイデンであるペルセポネである事は読んでいれば疑う余地はないだろう。
作者曰く、レイとネメシスの対比として描かれるキャラクターたちのようですし。善と悪ではなく、同じ不屈の精神を持つものとしての方向性の違い、ベクトルの違い、重きを置く見つめる先の違い、というべきか。同じ者であるがゆえに、このインフィニット・デンドログラムの世界に訪れた最初の時に体験してしまった事で異なる道を歩んでしまったもの。或いは、レイにもベネトナシュにもそれぞれ、真逆の道を歩む機会があったのかもしれない。
いやでも、レイがちょっと一般人というにはアレな家庭環境にあり、兄がこの世界の根幹に足突っ込んでいるなどの要素がある事を考えると、容易にベネトナシュのような道を歩んでいたかは疑問を覚えるところだけれど。
むしろ、ベネトナシュの方がリアルでは本当にただの学生っぽいのが逆にヤバさを引き立たせてるんですよね。このゲームのプレイヤーにはリアルを犠牲にしている、或いは重きをなしていない、放り捨てちゃっている人は結構たくさんいるみたいだけれど、それが許される、或いはそうするしかない環境に置かれている場合が多いんですよね。
ただ、ベネトナシュは違う。明らかに、そんなキャパシティが余裕があるような現実の環境ではないにも関わらず、それらすべてを投げ捨ててしまっている。両立を自ら放棄してしまっている。

このゲームの上澄みを形成するプレイヤーたち。超級に至った人たちというのは大概リアルの方でもぶっ壊れているような人たちであり、そういう人間になる環境に置かれている人たちであり、そもそもそういう素質がある人達だったといえる。でも、ベネトナシュに関しては確実に、このゲームをはじめたことで、この世界の中で変質してしまった。或いはライトスタッフを獲得してしまった人物だ。必然、その鋳型はイビツとなる。彼の抱く願いの異質さを思えば尚更だ。この世界を「現実」と変わらないと認識していながら、あの願いを抱けるというのはもう破綻してしまっていると言っていい。折れないという事は真っ直ぐであり続けるというわけじゃないんですよね。折れぬが故に歪んでしまうケースも有る。
いやこれ、彼一人の事ならまだいいんですけれど、彼にはパートナーがいるわけですよ。レイにネメシスがいるように、ベネトナシュにはペルセポネというパートナーが存在する。一蓮托生の存在であり、彼の末路を見守るもの。その変質を見つめ続けるもの。自分の能力が、ヨスガとなってしまったがゆえに彼をこの世界に縛り付けてしまった事を、彼女はどう感じているのか。
元々明るくて聡明な少女であるという事は、ユーゴーたちとのコミュからも伝わってくる所なのだけれど、だからこそ尚更にこの娘が目を背けることも許されず、自分のマスターが生命を削って魂をすり減らして願いを叶えるために邁進するのを、見守り続ける、支え続ける、共犯として共に犯し続けるその気持ちはいかばかりか。
こうしてみると、ネメシスは幸せだよなあ。
そして、IFにサポートメンバーとして加わった途端にその真面目さから苦労人枠に収まってしまった張さんがほんとお気の毒というか、クソ真面目すぎやしませんか、と思ったり。イイ人なわけはないはずなんだけど、上司に仰いだエミリーがピンチになった時には身を挺して救おうとしたり、と仕事に対してほんとクソ真面目というか面倒見が良いというか忠誠心が高いというか。
同じ常識人枠であるラスカルにスカウトされてしまったために、同じ苦労人のカテゴリーに押し込まれてしまったんだろうか。
そんな張さんの上司、というか被保護者としてあてがわれたエミリーが、これまたプレイヤーなのに野良のラスボスみたいな性能で。プレイヤーの性能じゃねえでしょ、これw
いや、性能云々はぶっちゃけ問題じゃなくてその能力の発現のさせかたが完全にイカレている。彼女は自動的なんだよ、とでも言うのかしら。
リアルからして闇が深すぎる。
……こうなると、ガーベラさんはIFでも癒やし系にあたってしまうんだろうかw

次回は完全に書き下ろしで、先程完結した漫画版のスピンオフである【クロウ・レコード】の面々が活躍するそうなので、ジュリエットのファンとしては実に楽しみ。


クロの戦記 6 異世界転移した僕が最強なのはベッドの上だけのようです ★★★☆   



【クロの戦記 6 異世界転移した僕が最強なのはベッドの上だけのようです】  サイトウアユム/むつみまさと HJ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

新たな領地で港&塩田作り!!

戦争が終わり、クロノは論功行賞で手に入れた領地・カドの開拓に着手する。乏しい現代知識を用い塩田や港の整備を計画するが、人手が足りずにいた。
その解決策として、副官であるミノの故郷の人たちを呼ぼうと、別の貴族領まで出向くことになるが……。
一方、エラキス侯爵邸ではクロノとの夜伽の順番を巡って、女の戦いが勃発していた――!!

「異議ありだ!! どうして、お前が四回も夜伽をするんだ!?」

エロティック王道戦記、内政と夜の性活に大忙しな第6弾!!

多くの親しい者たちの死を背負い、それ以上の多くの期待を背負う覚悟を決めたクロノ。しかし、そこに雄大な展望があるわけじゃなく、目の前にある喫緊の課題をクリアしていく事に汲々とするわけだけれど。
元々、理想とか野望とか持ち得るタイプじゃないんですよね。流され流されてどうしても許容できない事にだけ徹底して反抗し、あらゆる手段をこうじて生き残る事に終始する。だから、新たに得た領地であるカドの整備開拓も、将来に向けて構想を抱いてというんじゃなくて、領地の人たちの暮らしを少しでも良くするため、部下であり身内である亜人たちが安心して暮らしていける土地にするため、という眼の前のことから一歩一歩固めていく、というそういう姿勢の賜物なのだろう。
でもだからこそ強靭なのである。目の前のことにかかりきりになるから、夢中になれる。頑張れる。タフになれる。
理想を高く持っているわけじゃないから、ちょっと突かれたくらいじゃグラつかないんですよね。ミノさんたちの一族を引き取る際にだって、あれだけの屈辱に耐えてみせた。
自分でも語っているけれど、自分からプライドを捨てる事と一方的に誇りを踏みにじられ恥をかかされる事は全然違う事なんでしょうね。それでもなお、頭をさげてみせた。地べたに擦りつけてみせた。屈辱を受け入れるのが必要ならば、この男はいくらでも我慢できる。自分が恥をかくことを、彼は厭わない。その事実が、その姿がどれほどその背に守られた人たちにとってかけがえのないものに見えるのか、クロノは計算してやっているわけじゃないから始末に終えないんだよなあ。
そういう背中の男だから、絶望を味わった者ほど希望を寄せる。何もかも託せてしまう。クロノが普段だらしなく、へらへらとしたドスケベ男だとみんなわかっていても、クロノの為に生命を惜しまなくなる。先の戦いでクロノを守るために率先して死んでいった連中の想いの根源はここにあり、それは今も他の皆の心に宿っている。

ティリア皇女は、野生化してクロノに襲いかかって搾り取っているばかりのようで、なんだかんだと上に立つ者の姿勢や在り方というものをちゃんとクロノの姿から見て取っているんですよね。
上に立つ者として果たして自分は忠義に対して相応に報いていたのか。
ヤることしか考えてないように見えるんだけど。次の日仕事に支障が出るほど貪り食ってるんだけど。
ちゃんと成長してるんだな、という姿をティリア皇女が見せてくれたのは嬉しいところでありました。それはそれとして、暴君である所は変わっていないのですが。まあ、暴君とは言っても可愛げのようなもので、理不尽を振りまくようなものではなく、双子エルフを手下にして顎で使っているのがせいぜいなのですが。
と、ここでついにあの双子エルフとティリアが出会ってしまうんですよね。そして誕生するポンコツトリオ。双子二人だけでも姦しいのに、そこに傲岸不遜のティリアが加わることで何ともはた迷惑で騒がしい三人組が生まれてしまったわけで。どちらかというと、ティリアに気に入られてしまった双子エルフの受難の日々のはじまり、というべきなのかもしれませんけれど、この頭の悪いポンコツトリオの行脚は何かと楽しく面白いのでホント好き。

しかし、戦争は戦争でいつも死にかけてるクロノだけど、内政パートになっても仕事抱え込みすぎて死にかけてらっしゃるなあ。それでいて、夜のベッドでのお仕事も欠かさないあたりは若さのようにも見えるし、女性陣が貪りすぎというべきか。今日は疲れたもうムリー、ってなってても問答無用で襲われているわけだし。
そんな状態でも、主導権を徐々に奪い返してティリアに対してもいつの間にかマウントポジション取っているあたり、じわりじわりとタイトルに負けないベッドの上での強さを獲得してきたというか、変態度に歯止めがかからなくなってきたというか。いずれにしても、最強と言っても最初からチート無双ではなく、叩き上げのドスケベ根性と言った風情なんですよねえ、クロノ様w

さて、色んな意味で過労死ラインに乗っているようなクロノですが、新たな戦の気配がまたぞろ彼の元へと持ち込まれてくる。再び、戦争の季節である。



エルフに転生した元剣聖、レベル1から剣を極める ★★★  



【エルフに転生した元剣聖、レベル1から剣を極める】  大虎 龍真/屡那 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

魑魅魍魎、悪鬼羅刹を滅し―― その先にある剣の頂点に再び!!
 剣を極められず無念の思いを抱えたまま最期を迎えた男は、神の力を借りエルフの少年ハークの姿となって異世界に転生。
目覚めて早々出会った虎丸と旅立つと、道中で三人組の男に襲われてしまう。剣術が一切通用しないピンチに陥る中、ハークは「この世界は面白い」と笑みを浮かべつつ、どうにか男たちを倒し、王国東の都ソーディアンを目指す。
 情報収集のためハークが街中を探索していると、エルフ・ヴィラデルと刃を交える事態に。そんな中、世界最強の青龍が都に襲いかかる!! ハークは街を守るため立ち向かうのだが……。
 剣の頂きを目指す異世界剣戟ファンタジー、開戦!!

戦国末期から江戸時代にかけて剣に生きた大剣豪。転生する事で名前を失ってしまうのでそれが誰かは明言はされていないのですが、わりとあからさまに情報出しているので読んでいたら彼が誰だったかはほぼほぼわかるんじゃないでしょうか。
ともあれ、寿命を迎えてなお剣に未練を残した男がその淵で希ったとき、謎の存在にスカウトされ別世界で魂を失ったエルフの少年の肉体にその魂を宿す形で転生を果たすことになる。
間違っても肉体派とは言えない線の細い体力もないエルフの少年になったわけだけれど、肉体そのものが別人になったにも関わらず、剣を振るう際に違和感とかはなかった模様。補正とかされていたのだろうか。
しかし、その剣の技の冴えは些かも減じていなかったにも関わらず、彼が乗り移ったエルフの少年を付け狙っていたチンピラ三人組に襲われた際に、ハークを名乗ることになった剣士は予想外の苦戦をするはめになる。
この世界はレベルがすべて。レベルがあがるごとに身体能力があがるどころか、肉体の強度まで増すというレベル絶対世界なんですよね。さすがに、剣の達人が奮った刃がチンピラの肌を切り裂けずに弾き返される、というなかなか意味不明な光景を目の当たりにするとは思わなかった。どういう理屈なんだ?
ここまで来るとゲーム風のシステムが機能している世界、と考えた方がいいのかもしれない。これだけレベルが絶対的な意味を持つとなると、戦うための技術を育てるよりも近視眼的にひたすらレベルを上げる事に終始されてしまって、技量については軽視されてしまっている世界なんだろうか。
結局、ハークも苦戦しながらチンピラどもを倒すことで経験値を得てレベルがあがった事によって最低限の戦うために必要な力を得ることになる。逆に言うと、レベル1のままではチンピラ相手でもギリギリだったわけで、ハークの前世からの剣聖としての技はそこまで無双を約束してくれるものではなかったわけだ。レベルがあがって他のレベル高い連中と同じ舞台に立つようになった際には武器になるんだろうけれど。
そもそも、戦国時代の剣豪が主人公の作品なんだけれど、高度な剣術論が飛び交う剣戟アクション、というわけじゃないんですよね。その手の薀蓄なんかは一切皆無だし、本格的な剣術としての理合や術理、動作について語られるわけではなく、剣豪というそれっぽい雰囲気に終始しているので、そっち方面はあんまり期待しない方がいいかもしれない。
そもそも、剣対剣の対人戦というのは殆ど発生せず、というか最初のチンピラ戦だけじゃないだろうか。いきなりラスボス級のモンスターとのイベント戦闘みたいなのがクライマックスでしたからねえ。
ヒロインはこのヴィラデルというエルフの女偉丈夫になるんでしょうか。どうやら、彼女がハークを邪魔に思って始末しようとした、というのはエルフの少年の誤解、思い込みにすぎなかったようで……この少年、勝手に思い込みで自殺してしまったのか。なんかどうしようもない子だったんだなあ。
本来のヴィラデルという女性は、苦労してきた酸いも甘いも噛み分けてきた人物でありながら面倒見の良い姉御タイプみたいで、旧ハークも随分と面倒を見てもらったようなんですよね。旧ハーク少年がどうやら面倒くさいタイプだったみたいだから、いい加減鬱陶しかったと思うのですけれどそれでも嫌な顔をしながらも声をかけてきてくれるあたり、親切な人だと思うんだけどなあ。
中身が剣聖になったハークも、旧ハークの遺言のおかげでヴィラデルのことを誤解してしまっているおかげで塩対応に終始しているのだけど、誤解が解けたら解けたであんまり相性は良さそうじゃないんですよね。中身がアレなおかげで完全に自立した大人であり他人の助けを必要としない強烈な個であり男であるために、変に世話好きなのもお姉さん顔してマウント取るのもハークからしたらウザいだけになっちゃうだろうし。このヴィラデル、果たしてヒロイン枠に入るんだろうか。
むしろ、相棒である虎の虎丸が人化してヒロインと化す方がまだありそうである。なんか、三下属性なのがネックと言えばネックなのだけれど、ハークは生涯添い遂げる相棒として厚い信頼を寄せているわけですしね。

しかし、このハークくん、なんでまた自前の技を一つも見せないまま、他人の真似である示現流の技を必殺技で奮っているんだろう。てか、この示現流の技って、なんかアクションゲームで出てきたものなんじゃ……。



失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4 ★★★★   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4】  樋辻臥命/ えいひ GCノベルズ

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

ライノール王国内の銀の流れを追う中でポルク・ナダール伯爵の陰謀を突き止め、王太子セイランの危機を救ったアークス。
その功もありセイランへ謁見することになったのだが、なんとそのまま王太子が興したナダール伯討伐軍への参加を命じられてしまう。意図しない初陣に戸惑うアークスだが……?

〈麒麟(チーリン)〉と謳われる王太子と廃嫡された少年――
二人の出会いが戦場(せかい)を変える。

セイラン殿下、正体隠す気ありますかー!? いや、アークスに謁見許した当初から戦場に到着したはじめくらいまでは、厳しい態度を崩さずに王族としての威厳を示していて、アークスにも現状では正体を明かす気はない、ちゃんと隠しますよ、というつもりがあったのはわかるんですが。
だんだん油断してきて、素の顔が出始めるんですよね。
自分で設置したはずの彼我を隔てる立て付けの壁を、ついつい自分で乗り越え気味に身を乗り出してしまうわ、思わず壁押しのけて「いつもの」距離感で接してしまうわ……。色々自分で台無しにしていましたよ、この子w
まあ戦場のさなかで戦況も佳境、色々切羽詰まった状況にもなっていて、セイラン王子としての仮面を被っている余裕もなくなっていた、というのもあるんでしょうけれど。いや、戦況そっちのけでアークスの見せた新魔法に、普段の魔法オタクっぷりを刺激されまくって場を弁えずに魔法論議を仕掛けてしまいそうになったり、と戦場の緊迫感とかは関係ないかもしれない。
でも、このポロポロとセイラン王子としての立ち居振る舞いを取り落していく、そこの微妙な止めどのない変化が良かったんですよね。ちょっとずつ、本来のこの子の顔になっていく、このちょっとずつの変化量が丁寧に見えたんですよねえ。
アークスの方も初陣ということで、殺し合いなんかは経験済みでも数千の兵士たちが激突する戦場の空気に当てられている状態では、普段の洞察力なんか発揮できるはずもなく、セイラン王子の違和感についてはまったく気づいている様子もなかったのですが。
次期王として、神子として、思わず膝を屈してしまうような王者としての威風、威圧感を纏うセイラン王子も、風格あるし大器を感じさせる佇まいでこれはこれでカリスマなのでしょうけれど、どこか非人間的な存在感が徐々に人間味を溢れさせてきて、見知らぬ魔法にはしゃいでしまったり自分の身を呈してアークスや近衛の兵を守ろうとする姿は、それが本来の彼女らしさでもあり、セイラン王子としての姿とは違う人を惹きつける魅力に溢れていて、これはこれでカリスマなんですよね。あの王にしてこの王子あり、というべきか。良く似た親子じゃないですか。
アークスが、心の底から忠誠を誓い、この人のために生涯を尽くそうと奮い立ったのは、そんな人間味溢れた方のセイラン王子だったわけですしね。
これまで、自分を出来損ないだと、失格者という烙印を押して排斥した両親を見返すため、ある種のネガティブな感情を原動力として頑張ってきたアークス。勿論、これまでの間に彼を支えてくれた人、信じてくれた人、共に戦ってくれた人、様々な人の助けや好意がアークスを奮い立たせ、彼らのためにという想いも育ち、決して仄暗い感情だけを燃料にくべて原動力としてきたわけじゃないのだけれど。それでも根底には、見返してやる、という想いがあったわけです。
でも今、そんな彼自身にとっての根源を塗りつぶす、上回る、光が灯ったのでした。それはまさしく、アークスにとっての人生の岐路だったのではないでしょうか。
この初陣で彼が手にした武勲は、彼の廃嫡の評判を今度こそ覆す大きなもので、あの魔道具開発に比肩する、いや功績を表沙汰になかなか出来ない魔力計よりも、誰しもが認める武勲である以上、それは彼の人生の岐路となるものだったのでしょうけれど、それ以上にアークスの心の赴く先が定まったことこそ、彼の人生を決定づけるものになったのではないでしょうか。
まあ、その対象となるセイラン王子の正体を知った時のアークスの反応がまた楽しみなのですが。

しかし、味方側の国定魔術師たちも、帝国側の最高幹部たちも、純粋な戦力としてはまだまだアークスが及びもつかない強大な存在である、というのが伝わってくる戦争パートでありました。
問答無用でアークスに自分の死を実感させる存在もさることながら、作戦面で王国側を手球に取る指し手もおり、今回はアークスもセイラン王子も崖っぷちを綱渡りするはめに。本気で命の危機を感じさせる連続王手の展開は、文字通りギリギリの瀬戸際で緊張感たっぷりでありました。
それでも、頼もしい人が味方に加わってくれたり、王子の股肱の臣として出世が約束されたような面もありつつ、やたら怪しい人に目をつけられたり、精霊チェインに面倒事を頼まれたり、と厄介の種は尽きぬようで、物語としての大筋でも結構ターニングポイントと成り得る巻だったんじゃないでしょうか。ともあれ、動きの激しい巻でもあり、面白いという感情を大いに揺さぶってもらえました。


ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2] ★★★★   



【ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2]】  恵ノ島すず/ えいひ カドカワBOOKS

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

破滅の元凶と直接対決! ゲーム実況が導くエンディングの行方は……!?
 現実世界のゲーム実況が神々の声として聞こえるようになったジーク。神託を通じ婚約者リーゼロッテが【ツンデレ】だと知った彼は、その可愛さに悶え、誓った。
 ——彼女の命を奪う元凶【古の魔女】を許さない。
 しかしその討伐のため、神託に従い国の最高戦力を集めたはいいが、婚約者本人まで戦う気満々なのはなぜなんだ……?
 遂にバッドエンドの黒幕と直接対決! ゲーム実況が導く先に不遇な悪役令嬢のハッピーエンドは訪れるのか……!?

「はー、かわいい」
ジーク、しみじみ堪能しすぎであるw
リーゼロッテがもう何を言っても何をしても可愛いしかない存在であることを実況解説神によって知ってしまい、いちいち遠藤くんと小林さんの解説を待たずして彼女のツンデレ、発言とは裏腹の本心を理解できるようになったジークくん、もう毎日毎時リーゼのこと堪能しすぎである。ひたすら、リーゼを愛でて可愛いなー、可愛いなー、と悶える日々。
幸せか!
この娘、私の婚約者なんだぜ!? と内心絶叫し、もういいから早く結婚しよ! と出来る限り早く結婚してしまいたい気分で浮かれている王子様。
だいぶ頭の中、春真っ盛りになってきてお花畑が咲き誇ってるなー、と思っていたのだけれど、実際はリーゼの方も大概だったみたいなんですよね。リーゼの方の内心については、その言動から推察するしかなかったのだけれど、彼女の本心というか意図は理解できていたものの、頭の中でどんな精神状態だったのかについてはわからなかったんだけど、リーゼと繋がっていたあの神様が暴露してくれた話によると、相当こっちもお花畑満開でジークに対して黄色い声を張り上げて、ジーク様素敵! ジーク様かっこよすぎ! とか悶絶しまくっていたらしい。
わりと似たもの夫婦なのかもしれない、この二人。
まあジークの方も結構嫉妬深いところが見えましたしねえ。フィーネと姉妹になって仲睦まじくしている様子にすら嫉妬するくらいですし、さらにショタっ子に姉さまと呼ばれて慕われるようになった際には、小林さんたちに未だ嘗てない表情と評されるくらいの独占欲をたぎらせていましたし。
古き魔女による呪詛でネガティブな感情を掻き立てられていたのをずっと耐えていたリーゼですけど、ジークの方にこの呪詛がキてたら一発で闇落ちしてストーカー化してたんじゃないだろうかw
でも、変に溜め込まずに、自分の嫉妬心を曝け出してリーゼに自分の醜さを見せつつ甘えて見せるあたり、ジークたんはやり手なのである。リーゼに関してはもう手段選ばなくなってたよなあ、コヤツ。
バルの方もフィーネ愛を自覚して以降、完全に開き直ってグイグイ押してくる困ったちゃんになってたし。ラスボスも含めて、この作品の男連中はわりとみんなダメ夫の資質が垣間見せるんですけどw
女性陣の甲斐性を期待するしかないよなあ。幸いにして、女性陣の方は色んな意味で女傑ばかりでいい意味で男連中を尻に敷ける逸材ばかりなので、そっち方面の心配はそれほどしなくて良さそう。
いや、そういう甲斐性を持ち得ていなかったばかりに、痴情のもつれの果てに世界滅ぼしかけるわ、リーゼ破滅させかけるわ、という迷惑極まりないことをしでかしてしまった女性もいるのですが。

……女神様、土下座似合いすぎなんですけどw
開幕、土下座登場した創世神はさすがに初めて見た。なんかもう腰の低さというか、謝罪の堂の入りっぷりは見事というほかなく、このまま宗教図として描き残すか世界中の御神像を土下座ポーズに作り直すの、マジでありなんじゃないだろうか、と思えるくらい彼女の象徴的なポーズになっていました。
いや、この展開はさすがに予想外でしたけれど、元々オーバーキルすぎる陣容! だっただけに、変にバトルにならずにこういう形で収まったのは作品の雰囲気的にも良かったんじゃないでしょうか。
女神も大概でしたけれど、元凶となった輩のどうしようもなさは目を覆わんばかりでしたが。
でも、遠藤くんと小林さん側からの一方通行の力関係で終わらず、双方向で小林さんたちをリーゼたちが助ける展開になったおかげで、両者が本当の意味で心通じ合った友達になれたという形に至ることが出来たのは、とても素敵な結末でした。
これ以上なく素晴らしい文句なしのハッピーエンドでございました。色んな意味でごちそうさま♪






死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI ★★★☆   



【死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く VI】  彩峰舞人/ シエラ オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

最強(オリビア)vs 最強(フェリックス)

王国の命運を賭した、帝国に対する決死の反攻計画“暁の連獅子作戦"がついに発動する。
第二軍のブラッドを総大将とし、オリビア率いる第八軍、さらには同盟を結ぶメキア神国軍からなる王国第二連合軍は、帝都オルステッドに向けて進軍を開始。
虚を突いた作戦は功を奏し、目標とする帝都は目前に迫っていた。
しかし、帝国最強と謳われる“蒼の騎士団"を前に、戦況は刻一刻と敗北へと傾いていく……。
起死回生の一手として、“死神"オリビアは少数精鋭による玉砕覚悟の強襲作戦に臨む。
立ちはだかるは、帝国最強の将・フェリックス。
最強同士が激突する最終決戦の幕が上がる――!

唐突に死神ゼットと少女オリビアが初めて巡り合う回想が挟まれて戸惑ってしまった。オリビアって、赤ん坊の頃にゼットに拾われて今まで育てられたんじゃなかったんだっけ?
と、思っていたらその少女オリビアは長じてとある男性と結婚し、一人の赤ん坊を産んじゃうんですよ。そう、この物語の主人公であるオリビアは、本来「オリビア」という名前じゃなく、その母親こそがオリビア・ヴァレッドストームだったのである。
紆余曲折あり、赤ん坊は人の立ち入らぬ森の奥深くで父親と思しき亡骸の横で生き残っていたのをゼットが拾い育て、今に至るわけですけれど。
ゼットとオリビアの母にこんな交流があったと知ってしまうと、ゼットが赤子の素性を知っていたかはわからないけれど、その子に「オリビア」の名前を与えて育てたという事実には意味深なものを感じてしまうんですよね。
その天真爛漫さで死神を恐れる事なく彼に多くの示唆を与え、人ならざるその身に今までにない「心」を宿すきっかけになった人間の少女。その娘の事をゼットはどのように思っていたのか。想っていたのか。
オリビアの名前には思いの外「情念」が込められているように見えるんですよね。

しかし、そんな手ずから育てた少女を置いて、ゼットは消えてしまう。未だ彼が何を思ってオリビアのもとを去ったのかはわからないが、ゼットを追い人間の世界に飛び出したオリビアはそこでゼット以外の大切な人たちと出会うことになる。
ただ成り行きで戦争に加わったオリビアが、明確に戦う理由を得たのはそうした友達を得たからだ。
果たして、ゼットはオリビアを人の世界に戻したかったのか。だが、戦争の渦中で得た友誼は、親愛は、同じ戦争によって奪われ失われることになる。
オリビア・ヴァレッドストームはまだその冷酷な現実を知らない無垢なる乙女だ。本当に大切なものを失った時、純真無垢なる彼女の心はどうなってしまうのか。それを目の当たりにするであろう時間が刻々と迫ってきている。彼女にそれを強いる、驚愕の急展開だった。ヒロイン、お前なのかよ!

いやでも、結構急展開続きなんですよね。これまで伏せられていたオリビアの出自、両親の存在が明らかにされ、深淵人と阿修羅と呼ばれる一族との因縁がオリビアにどう繋がっているのかもわかったのですけれど……ぶっちゃけ、オリビアからすれば眼中にない、まま変わってはいないんですけどね。
オリビア率いる第八軍とフェリックス率いる蒼の騎士団との激突は、お互い各々の国の真打ち同士ということで激闘が続く。正直ローゼマリーとの再戦も飛ばして神国メキアの援軍もよそに回して、フェリックスとの対決に突入したのは急だな、とは感じたんですよね。
それ以上に、フェリックスと直接対決に入ったところであの展開は、巻き入ったんじゃないかと思っても仕方ないんじゃないかと。いや、もうちょっと我慢しなさいよ、せめて決着つくまでは。なんでそんな乱入みたいな形で宣言してしまうのか。流石にこれでフェリックスとの決着が流されてしまったのは消化不良ですよ?
蒼の騎士団との戦いも、これまでと違ってあんまりパッとしないイメージが湧きにくい描写で、アシュトン頑張っていたのはわかるんですけど、オリビアの活躍の余地があんまりなかったのもなあ。それだけ、蒼の騎士団がオリビアを封じ込めていた、ということでもあるのでしょうけれど。
オリビアとアシュトン、せっかく二人が同格の作戦能力を持つだけに、一人のフェリックスに対して二人という強みを生かして、というのをちょっと期待していたのですが。

急展開の衝撃的なラストから、さらに次で完結という予告が入って、ここから一気に話終わっちゃうの? と、虚を突かれております。このままだとメキアの人たちあんまり話に入ってこれないんじゃないだろうか。
てっきり、アシュトンとクラウディアはカップリング既定路線かとも思っていたのですが、アシュトンの方はオリビア一途だったのかもしかして。


信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王 ★★★☆   



【信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 7.灼熱の勇者とラミアの女王】  大崎アイル/Tam-U オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

未知なる同盟を結ぶべく――災い滾る火の国へ!

エルフの里にて魔王復活を阻止した高月マコト。
依然として勢力を拡大する魔王軍に対抗すべく、マコトは同盟を求めて軍事国家・火の国へ向かうことに。
しかし到着早々、“最強"と謳われる火の国の勇者から強襲を受け!?
さらに、マコトはかつてのクラスメイトが火の国に奴隷として囚われているとの噂を耳にする。
真相究明に乗り出す中、蛇の教団は王都の地下神殿で王都破滅計画を始動。
水の精霊が全く居ない火の国で、マコトは劣勢に立たされるが――!?
「いつぶりかしらね、地上に来るのは」
――突如降臨した女神ノアの奇蹟により、事態は急転し……?
女神と少年の異世界攻略ファンタジー、第7巻!

マコちゃん、修行は12時間が基本ってアホだろう。これ平常運転でやってるもんなあ。
こうしてみると、ストッパー役になっているのがフリアエだけなんですよね。アヤもルーシーもマコちゃんだからー、でスルーしてしまうしソフィア姫はそこまで強く言えないので、自然とフリアエが保護者役になっている気がする。フリアエの騎士なのに、むしろマコトの方が面倒見てもらっている気がするんですけどー!?
さても、次の舞台は火の国なんである。そんな火の国とか水の精霊居るのー? 居ませんでした。さっぱり居ませんでした。必然、役立たずになるマコちゃん。この勇者、相変わらず振れ幅が激しいどころじゃないなあ。やる時は人類の範疇をぽんぽんはみ出さない!とお説教したくなるほどひょいひょいと意味不明なレベルのことをしでかすのに、出来ない時はさっぱり何も出来ないですからねえ。水の精霊を中心にまわりの力を借りることで力を発揮するタイプのマコトは、それが出来なくなった場合本当に無力になってしまう。ただ、マコちゃん本人はそこまで気にしていないというか割り切っているというか、出来ない時は出来ないんだから仕方ないよねー、というこのフラットさ。
でも仕方ない仕方ない、と言いつつ、こっそり何とかしてしまえるようなヤバい工夫を頭の中で常に練っているあたり、頭おかしいんだよなあ。その原動力に、無力が悔しいとかもどかしい、というネガティブな感情を抱いてそれを反発力にしている、という風ではないんですよね。本当に、ただただ出来たら便利だよねー、という程度のことで自滅しかねない危険領域に躊躇なく足踏み入れるんですから。女神さま方、ノア様もエイル様もドン引きしてるじゃないですかw
いきなりやらかさずに、ちゃんと事前にこれ大丈夫ですかねー?と相談するあたり妙に良識的な側面を有しているのが、むしろこう……社会性のあるヤベえやつ、みたいになってる原因じゃないだろうか。
さて、火の国でのご当地勇者とのトラブルは、降り掛かってくる熱量に対してどうしても平常運転で流してしまうマコトじゃなく、わりと受けて立つぜー、みたいなところがあるアヤさんが請け負うことに。アヤもルーシーほど熱くなる短気なタイプじゃないはずなんだけど、この子はこの子でゲーマーはゲーマーでも格ゲーとかアクションゲーの方の対戦で熱くなるタイプのようなので、火の国の勇者の煽りには、がっちり噛み合った感がありますなー。
しかし、ここでアヤが一気に強化、となるとは思いませんでしたけど。そういえば前回はルーシーの強化回にあたるんだったか。あんまり意識していなかったけど。
というわけで、これまで割と放置されていたアヤちゃんの個別強化で一気にレベルアップ。これ、人型だからわからないけど、本性のラミアクイーンの正体表したらその辺のダンジョンボスどころじゃないとてつもないモンスター登場、みたいな事になるんじゃないのかしら。
いや、ちょっと思っていたよりも軽く三桁くらい段違いで強くなっちゃってるんですけど、アヤさんたら。それ、そのスキルってアクションゲームならともかく、現実でやっていいんかい!?って領域のスキルだと思うんですけど!?
一応、この大会の一件で、アヤも勇者認定受けたことになるんですよね。これ、名実ともに桜井くんとマコトとアヤで勇者スリートップになったんじゃないだろうか。アヤちゃんもうこれ、物理最強と言っても過言じゃないでしょ!?

ラストはやっぱり一番頭おかしいのはマコトだよね、という絵面からしてスケールが段違いな光景が現出してしまったわけですが。あ、よっこいしょ、って感じでそっと脇に置き、で済ましていいもんじゃないでしょ、それ!?
あらすじでもあがっていた、奴隷になっていたという元クラスメイトのケイコ。彼女についてはマコトも手を貸そうとしたけれど、実質彼女の幼馴染だったふじやんが自力で解決して助け出しちゃってるんですよね。ほんと、ふじやんはマコちゃんと別のベクトルで主人公やってるよなあ。
ケイコちゃん、諦めなければまだチャンスあると思うぞ。甲斐性に関してはマコトよりも或いは桜井くんよりもふじやんが一番ありそうだしねえ。


聖剣学院の魔剣使い 7 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 7】  志瑞祐/遠坂あさぎ MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第7弾!
「――〈海王〉リヴァイズ・ディープ・シー!?」海の底に眠る〈天空城〉で、竜王ヴェイラが遭遇したのは、古代の海を支配した最強の魔王だった。火花散らし、激突する二人の魔王。一方、レオニスの所属する第十八小隊は〈帝都〉で開催される聖剣士の武闘大会、〈聖剣剣舞祭〉に参戦することに。復讐のため魔王の配下となる咲耶、王家の宿命に導かれるレギーナ、〈魔剣計画〉の裏で暗躍する、フィレット家と戦う覚悟を決めたエルフィーネ。それぞれの因縁を抱え、舞台は人類最後の絶対防衛戦――帝都〈キャメロット〉へ。嵐の前に静けさはない。嵐の前には〈魔王〉が来る――!!


こうしてみると、セリアの部隊のメンバー。リーセリアにレギーナ、エルフィーネ、そして咲耶と四人ともそれぞれに並々ならぬ事情を抱えているんですよね。四人とも高貴な身分でありながら、その立場を失ってしまっている身でもある。エルフィーネは厳密には違うけれど、密かに実家とは対立しているわけですしね。
各々の事情については、これまでだいたい一人にスポットをあてて一巻ほど掛けて描いてきたわけですけれど、帝都での大規模イベント〈聖剣剣舞祭〉に参戦する事になったのを期にみんなの抱えている問題が一堂に会する形で浮き彫りになってきた感がある。
その中心はエルフィーネが探っている魔剣計画とそれを主導していると思しきフィレット家。ついにアンタッチャブルだったフィレット伯爵家、実家の父や兄たちと対決する覚悟を決めたエルフィーネを裏面に、表側では特別招待枠として参加することになった〈聖剣剣舞祭〉。という事になっているけれど、レギーナも実の姉妹であるはずの王族と対面することになり、咲耶も一族の行く末をかけてレオニスが化けている魔王の配下として、帝都で暗躍することになり。と、せわしなくなっている一方でリーセリアに関しては、家の事情関係なく話が進むのかな、と思ってたんですよね。
セリア自身は、レオの第一の眷属という立場がヴェイラの再びの登場で脅かされて、なぜかレオにくっついて眷属と名乗るヴェイラと張り合ってしまい……という感じにレオとの関係の方で忙しそうにしていたんでねえ。クリスタリア公爵家の生き残り、という立場故に特別招待枠で武闘大会に参戦することになった、という事情だけで実家関係の話は十分大変そうだっただけにセリアについてはそれ以上クリスタリア公爵家云々の話は掘り下げられないかな、と。少なくとも実際に大会がはじまるまでは関係ないかな、と思っていたのですが……。
ラストで思いっきりひっくり返されてしまいましたよ。正直、その人物の登場は結構驚いた。
なかなか怒涛の展開になってきていて、それだけこの帝都編が山場という事なのでしょう。そろそろ、黒幕の正体と目的についても暴いてきてほしい頃合いだっただけに、ここに来てのストーリーの激しい動きようは大歓迎である。敵の正体はもとより、いったい何を目論んでいるのか、何をしようとしているのかがわからないまま、というのはひたすらに受け身で居続けないといけない状態でもありましたからね。
不死王レオニスの復活を、敵側に今の今まで悟られていない、というアドバンテージもあったので一方的に受け身だった、というわけでもないのですけれど。
おかげで、わりとレオニスはこれまで呑気に過ごしているんですよね。帝都に来たら来たで普通に観光気分ですし。シャーリーが届けてくれる食べ物レポート、結構重宝してるでしょう、レオくんw
本来の諜報活動よりも、美味しい食べ物探しの方がレポート量多いじゃないか、とツッコミながらもそれを咎めるでもなく、何気に楽しみにしてるんじゃないか、というくらいに読み込んでますし。
それ、普通にシャーリー編纂のイベントや観光スポット、お店情報誌な帝都ウォーカーですよねw
しかも、セリアとのデートでレポートが役に立ったものだから、シャーリーに勲章を授与しようか、とまで悩んでますし。呑気だw

とはいえ、ヴェイラと組んでのリヴァイズとの激突に、最後のあの人物の出現、といつまでも呑気してられなくなったか。風雲急を告げるなかで次回に続く。



クラスに銃は似合わない。 ★★★☆   



【クラスに銃は似合わない。】  芝村 裕吏/さとうぽて MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

相棒は拳銃とAIの妹? 芝村裕吏が贈る予測不能の学園潜入アクション!

突然だが、世界初の完全無欠のAIな妹を持つ兄は、高校生になると何を始めると思う? 俺は妹・瑞穂の膨大な維持費のため、大金を稼げる殺し屋になる…はずだった。だけど会社が自分の仕事適正を護衛と見いだしたから、今俺は中学校に潜入し、ある少女を秘密裏に守る任務を遂行中だ。コードネームはPP01。そしてなぜか相棒は妹(口うるさい)。妙に可愛過ぎる護衛目標に接近(仕事だ)すると、妹がぎゃーぎゃーと騒ぐ(やかましい)。ちょっと都合の良いラブコメ展開を期待したが、そもそも甘い任務を用意されるはずがなかったわけで――では、こっそり銃を忍ばせて、クラスで任務を始めよう。

AIの妹って、AIが勝手に妹を名乗ってるとか、実妹が電脳化してしまいAIになってしまった、とかじゃあないんだ。これ、文字通り電脳人類じゃないですか。科学者である父親にとって、ネット上で人体錬成シミュレーションされた非実存にして電脳上に実在している存在。史上初のネットベイビー。それが瑞穂である。さらっと流されちゃってるけれど、ちゃんと自我、人間としての自意識が生まれちゃってるの、どえらい事なんじゃないのか。
この超存在のAI妹の扱いが、日本政府にしても社会にしてもアホすぎる。そんな社会悪に仕立て上げて叩いて終わり、みたいなレベルの存在じゃないし研究じゃないし、結果じゃないでしょうに。
人類の未来が間違いなくネジ曲がる存在だろうに、ほんとに何考えてんだか。なんでここまで物事を矮小化してしまえるのか。
生み出した科学者の父親は社会的に抹殺され、家で役立たずになっているそうだけど、第三国に拉致られても全然不思議じゃなさそうなんだけどなあ。
莫大な維持費、生存費が掛かるという妹のために、死にものぐるいで働きまくっているという母親も結構謎の存在である。いやだって、必要な金額の桁が尋常じゃないじゃないんですよ。スーパーのレジ打ちとかパート業とかで賄える話じゃないでしょうし、一体何の仕事をしてるんだ?
そもそも、この妹の瑞穂って母親からすれば自分関係ないところで夫がこさえてきた娘なんですよね。しかも、非実存。でも、主人公の語り口によれば母親は彼女を実の娘としてちゃんと受け入れ愛していて、だからこそ彼女を生かし続けるために過労死しそうな勢いで働いているわけで……地母神か。
主人公も主人公である。高校一年生、いや訓練期間とかから考えると中学生の段階で関わっていたのか、この裏稼業を営む「会社」とどのようなツテを使って働くことになったのか。何があったら、中学生が暗殺業なんぞを営んでいる会社で働く縁が生まれるんだ?
まあ作者の他のシリーズでも、普通の会社の採用試験受けたら傭兵会社の戦闘単位の指揮オペレーターになってた、などという顛末もあるので、どこに裏稼業の世界に入り込むルートが埋設されてるかわかったもんじゃないのだけれど。
それに彼自身、スペックが意味不明なところあるんですよね。みっちり訓練は受けたみたいだけど、受けたからってあんなに動けるの? それ以前に、周りには舌打ちにしか聞こえないレベルで圧縮された高速言語で妹と雑談してる段階で、ちょっと意味不明なところあるんですけど。この子、常態的に超加速思考を行ってるってことなの? 脳改造とかされたみたいな話全然ないんですけど。肉体的にはノーマルのはずなんですけど。
特に、この主人公、スペックが凄いとかいう話は一切していなくて、やることなすことさらっと流すのでなんか普通に誰でもできる当たり前のことなんじゃないか、と錯覚しそうになるけれど、かなり無茶苦茶意味不明な動きとかしてますからね?

しかして、この少年、現段階ではまだ見習い以前。今回の護衛案件はテストであって、実際の仕事ですらないのである。訓練自体はみっちり受けているからして、素人っぽい戸惑いは一切ないのだけれど、やはり初仕事ということで勝手がわからないところや、自分に適正がないんじゃないか、という疑念を抱えながら探り探りやってるんですね。これを初々しいと取るべきか、それとも実は熟れてるんじゃ、と思うべきか。内面的には迷い悩み、ながらなんですけどねえ。
実際、彼はエージェントでありながら護衛対象の少女である谷城祥子にどんどん感情移入して肩入れしていってしまう。いや確かに彼、あんまりこういう仕事向いてないよ。仕事として徹しきれない、割り切れない。毎度、あれだけ依頼人に情を持っちゃったら持たないぞ。
一見するとクールに徹しクレバーであろうとしているように見えるし、いざとなったら多分本当に「選択」してしまえる、妹の方を優先するだろう「覚悟」を備えちゃっているのがまた苦しいんですよね。感情に振り回される未熟ものなら、情けないで済むのだけど。
下手にプロに徹してしまえるだろう鋼の芯を持ってしまっているのが、余計に辛みを抱えている。こういう人物は、本当に選択しなければならないギリギリまで、なりふり構わずあらゆる手段を講じて、自分自身を容易に損なってでもやれることをやってしまおうとするからだ。場合によってはやれないことまで強引にやれる範囲に引きずり込んでみせる。
妹ちゃんが必死に、本当になりふり構わず必死にがむしゃらにこの兄が殺し屋の道に進もうとするのを止めたのは、多分大正解なのだろう。そっちの道に進むには、この兄は危うすぎる。いくらでもやらかしそうだ。本気で、人を殺すこと自体はなんでもない、と思っている所なんぞ尚更に。

それはそれとして、この兄、女たらしであることは間違いないんですよね。あれだけ安易に女の子に対して「かわいい」を連呼するとか、ちょっと考え無しすぎる。そんなに本気で可愛いとか言われたら、意識しちゃうの当然じゃないですか。しかも、この谷城ちゃん、学校では孤立気味なんですよね。人恋しさに飢えているところに、隙間なくビシッと寄り添うわけですよ。精神的に。
そりゃ、出会って数日で即転んでもおかしくないですわ。谷城ちゃん、ちょろいかもしれないけど、これは責められない。これは心ぐらつく。
元々、兄が分析していたように谷城ちゃんってかなりこう、面倒くさいタイプなんですよね。いやなるほど、確かに妹瑞穂とその面倒臭さの方向性とか似てるかもしれない。容姿も結構似せてきているの、意図的なんだろう、イラストデザインとか。
その面倒臭さが、丁度ハマるところにハマると恐ろしいほどチョロい合致になっちゃう典型だなあ。兄の性格が、その面倒臭さを受け止めるのにピッタリすぎてるんだ、これ。


事件の方は、なんか突然前触れ無く、異形の「モンスター」が現れたことで「お!? う!? えお!?」と面食らってしまった。これ、どういう方向性の作品だったんだ? 
そういえば、初っ端から電脳人類たるAI妹という存在が爆誕している世界だけに、こんな超常的な存在が出現しても不思議ではなかったのかもしれないけれど、作中の登場人物たちも警察も兄妹が所属する裏稼業のやべえ会社の人たちも同じように「お!? う!? えお!?」と面食らっていたので、この作中世界的にもあまりにもイレギュラーで異常な出来事だったのだろう。
おかげさまで、このモンスターと戦う兄の姿が冒頭の描写にあるお嬢様の目に止まり、物語はこの兄妹が裏稼業の任務から任務に渡り歩いていくエージェントものから、やや異なる方向へと舵を切ったみたいなのだけど。
犯人も意外といえば意外。いやなんでこいつがそんな力持っていたの? というこの事件の異常さに繋がっている。
これ、本当にどういう方向性の物語になるんだろう。2巻が出ないことには判断できないぞ?
それはそれとして、日常と非日常がぐるぐるにかき混ぜられた、主人公のちょっと外れた独白やら自問自答に味が出ている、面白い作品でした。個人的には芝村さんには「大軍師」の方を優先して欲しいとも思うのですけれど。


ロード・エルメロイII世の冒険 1.神を喰らった男 ★★★★☆   



【ロード・エルメロイII世の冒険 1.神を喰らった男】  三田誠/坂本 みねぢ TYPE-MOON BOOKS

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「これより、私は、神を問う」魔術と伝説、幻想と神話が交錯する『ロード・エルメロイII世の冒険』、いざ開幕。
「これより、私は、神を問う」

 時計塔支部での講義のため、夏のシンガポールを訪れたエルメロイII世とグレイ。
 様々な文化が混淆するこの国で、ふたりはエルゴという名の若者と出逢うことになる。謎多き若者を追って現れる、アトラスの六源。かのアトラス院と彷徨海バルトアンデルス、そしてもうひとりの魔術師が行ったという太古の実験とは? そして、II世が問うことになる神の名とは?

 魔術と伝説、幻想と神話が交錯する『ロード・エルメロイII世の冒険』、いざ開幕。

凛さん、あんた何してんすか!?
事件簿シリーズから数年が経ち、日本は冬木の地では第五次聖杯戦争が執り行われ、そして終結した時間軸。聖杯戦争に生き残った遠坂凛は、あの赤毛の少年を引き連れて時計塔への入学を果たしていた。どうやら、士郎はこのルートでもルヴィアの執事になっちゃっているらしいけれど。
どうやら、ゲーム上におけるどのルートでもないらしく、のちに聖杯解体戦争へと至るルートらしい。本来、凛が士郎を連れて時計塔に留学してくるのは凛ルートのグッドエンドなのですけれど、連れてきている割に恋人関係にはなってないんですよね。大丈夫か? 中途半端だとあの麗しのハイエナに持ってかれるぞ? こっちのルヴィアはギャグ大系の彼女と違って色んな意味でガチだからなあ。
ともあれ、長期休暇に入った時計塔の学院で、暇になった凛が何をしているかと言うと……宝探しの挙げ句、地元のガキどもをまとめ上げて海賊団立ち上げてました……って、ほんとになにやってんだこの女w

舞台はロンドンはおろかヨーロッパを離れて遠く東はシンガポールに。東南アジアの中でも特に地理的に東西を結ぶ海上交易路の中枢という所にある国なせいか、特に東西の混合が目立つ土地柄なんですよね。総人口の七割近くを華人が締めているように中華系の特色も強いし、古くからイスラム商人の足場となっていたために中東の影響も強い。大英帝国の東方支配の要衝であったために勿論、英国の影響も色濃く残っている。まさに斑色のお国柄なんですよね。勿論、魔術サイドにもその特色は焼き付いているわけで……いや、それにしてもいきなり時計塔などの魔術協会などが扱う西洋魔術とはまるで別物である大陸東方に根ざしている「思想魔術」関連の話が放り込まれてくるとは。
それも、匂わすとかいうレベルじゃなく、これでもかとばかりに山程わんさか放り込まれてきたんですけど!?
「螺旋館」とか「山嶺法廷」とか、いきなり時計塔レベルの大組織の名前がポンポン飛んできて、目を白黒、アワアワ、ですよ。
ほんと、世界観の根底に近いような設定群を、それもこんな今まで情報が殆どなかった系統の設定をこんな贅沢にばら撒かれたら小躍りしてしまうじゃないですかー。

とまあ、目移りしてしまうような設定群の大盤振る舞いとはまた別に、ストーリーの方はストーリーの方でしっかりと地に足を付ける形で進んでいくんですね。エルメロイ二世がずっと執着していた聖杯戦争は、結局彼が駆けつけることが出来ないまま冬木の地で終わり、新たなシリーズであるこの「ロード・エルメロイII世の冒険」は、このシリーズとしての話の核が必要になってくるであろう事は考えられていたんですが、何を目的にして話は進んでいくのかなあ、と思っていたら……そうかー、いよいよ「グレイ」の話になってくるのか。
グレイの置かれている状況、そういえば最終巻で第五次聖杯戦争がはじまってアーサー王が召喚されてしまった際に、同期が進んでしまっていたのか。
これについては、聖杯戦争が終わってセイバーが帰還すればその時点で進行みたいなものは止まるだろうし、グレイ自身の能力は強化されるにしても当面問題らしい問題は起こらないんじゃないか、と特に深刻には考えていなかったのだけれど……。
そうか、セイバーと同じように肉体年齢が止まってしまう、なんて状態になっていたとは。
これまで普通に成長していただけに、これは予想外だった。これで、本格的にグレイの中のアーサー王の因子を取り除く必要が出てきたのか。
エルメロイ二世が本気になって動くには十分な理由じゃないですか。
同時に、魔術師としてのエルメロイ二世の至らなさを彼自身が痛感させられる自体、とも言えるのかもしれない。だからこそ、講師を辞めてグレイの件に力を注ぐ、などと考えだしたのかもしれないけれど……。
シンガポールの地で出会ったエルドという記憶喪失の青年。神の手をその身に宿し、それ故に自分自身の存在を食われようとしているエルドの姿は、まさにグレイと同等で。
素直で聡明なところもどこかグレイににてるんですよね。そんな彼をいっときの生徒としたことで、エルメロイ二世一行はエルドを巡る事件に巻き込まれることになるわけだけれど、ここでエルメロイ二世の教え導く者としての在り方がより色濃く描かれていく事になるんですね。
講師から退こうとしている今だからこそ、彼の教える者としての在り方、姿勢、存在意義が浮き彫りになっていくのは非常に興味深かった。
グレイが、師の講師引退を考えている告白に激しく動揺したのも、彼と教え導くという事がイコールで強く結び付けられていたからなのでしょう。グレイにとって、師と講師という在り方は不可分であったからこそ。エルメロイ二世自身、教える事が好きだというのがこの巻からは様々な場面で垣間見えるんですよね。そして、生徒となった者への愛情や責任感も。
征服王の背中を追いかける人生。しかし、その夢を諦めずも一区切りついた今、ロード・エルメロイ二世には今一度、自分のこれからの在り方を見つめ直すときが来ているのかもしれない。
グレイを救う物語であると同時に、エルメロイ二世の未来を決めるシリーズでもあるわけだ。

しかし、今回ほんとに大冒険してるよなあ。ただの冒険じゃない、大冒険ですよ、これ。海賊になってはるか昔に沈んだ沈没船を探し当てて、お宝ゲットとか普通に海洋アドベンチャーじゃないですか。
その上アトラス院の六源の一人の登場に、さらにとんでもない存在の出現である。
いやこれ、魔眼列車編のフェイカーよりもヤベえんじゃねえの? 下手なサーヴァントどころじゃないじゃないですか!?
いきなりナマの「酒呑童子」と遭遇しました、レベルの相手じゃないの? それどころか、年代の古さから言っても酒呑どころじゃないとすら言えますし。
シリーズ初っ端にして、とんでもねースケールの話をさらっと繰り広げてるんですけどねえ!?
びっくり仰天ですよ!
逆に言うと、この段階の敵を相手にして、相手になっているという時点でエルメロイ二世って施行しているルールが普通の魔術師と全然違うんですよねえ。
魔術どころか、神をすら解体しようというのかこの男。
そりゃ、魔術師としては二流三流かもしれないけれど、ほんとやってる事は頭おかしいし、首突っ込んでいる事件は、エルメロイ二世が羨む一流超一流の魔術師でも現代の魔術師である以上は十把一絡げ扱いに蹴散らされるような案件ばかりなんですよね。つまるところ、三流だろうが二流だろうが一流だろうが、相手からしたら大差ないような。
にも関わらず、この男はなんとかしてしまう。対抗手段をひねり出す。絶体絶命をひっくり返す。
いやほんとになんなんだこいつは!? 
今更ながら、ロード・エルメロイII世という存在の異質さ、凄まじさを思い知った気がします。
やっぱり、このシリーズ面白いですわー。

にしても、ライナスの方年相応に18,19の美少女になってるのかー。今回イラストなかったけれど、彼女の成長した姿は是非に見てみたいところである。
それに、ライナスとグレイの両思いっぷりがもう、深い深い。お互い気持ち通じ合っているし、思いやり合う心の尊いこと。グレイが年取らないことを気にしている理由の大半が、ライナスとどんどん見た目の姿がズレていってしまっていることで。彼女に置いていかれているような気がして、となっているのライナスの事好きすぎやしませんかねえ。ライナスの方もそんなグレイの気持ちにちゃんと気づいていて、凄く思いやってるわけですよ。なにこの尊い関係。この二人の型月世界屈指の女性同士の親友っぷりをこうしてまた見られただけでも大いなる価値を感じる次第でありました。


って、エピローグぅぅ!!
最後の最後でとんでもない人物が出てきたんですけどー!? そっち!? そっちのキャラが出てくるの!?

三田誠・作品感想

俺、ツインテールになります。18 ★★★☆  



【俺、ツインテールになります。 18】  水沢 夢/春日歩 ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

決戦の時。アルティメギル基地へ突入せよ!

ツインテイルズとの激闘の果てに、ついに集結した四体の神のエレメリアン。自分たちを「終の零星」と名乗る彼らは、テイルレッドらの実力を認め、この世界に侵攻しているアルティメギル基地への転送ゲートを手渡す。最後の幹部戦士、そしてアルティメギル首領との対決が目前に迫り、総二たちも緊張を隠せない。
一方で残存軍のエレメリアンたちは「終の零星」が勝手にツインテイルズを基地に招待したことを知り、テイルブルーが乗り込んでくることに怯え、大混乱に陥ってしまう。追いつめられた仲間の姿を見た隊長スワンギルディは、一つの決意を胸にするのだった。
総二は敵の基地へと乗り込む前に、心残りがないよう日常を謳歌しようと提案。トゥアールが、慧理那が、イースナが、思い思いに総二との時間を過ごす。愛香もまた、少しでも総二との仲を進展させたいと奮い立っていた。
しかし、そんな彼らの願いを余所に、世界ではツインテールの地上絵が現れ、ツインテール型に火山が噴火するなど、徐々にカタストロフィーの前兆が起き始めてしまう……!
決戦の時、来たる。ツインテールへの愛を胸に、今こそ敵の本拠地へ突入せよ、ツインテイルズ!!

変態とは、真の変態とは修行し特訓して為るものではないのだ。いつの間にかごく自然に成っているものなのだ。結果として、変態と呼ばれる者に成るだけなのだ。
そこが心得違いだったんだな、スワンギルディ。君は真面目すぎたのだ。その真面目さを、自分の趣味趣向にのみ突き詰めていたら、君は並ぶもののない変態になっていただろう。だが君は、その真面目さを勤勉さを、憧れの人たちを真似ることその背を追いかけることに費やしてしまった。彼らが何を愛し、何にその全身全霊を捧げていたのかには着目せず。
だが、そんな彼を皆が愛していたのだろうな。そんな彼が、みんな可愛くて仕方なかったのだ。
残念ながら、ツインテイルズはそこまでの縁をスワンギルディと結ぶことは叶わなかった。結翼唯乃が健在だったなら、フェニックスギルディとも親しかったスワンギルディと何らかの形でもう少し関わりも増えていたかもしれない。
アルティメギルの中で最初期から着々と成長を続けたスワンギルディ。逆に言うと、ほぼアルティメギルの中でのみ彼の物語は進んでいて、ツインテイルズとあまり深い関わりのないままここまで来てしまったんですね。もし、彼とツインテイルズと橋渡しとなる人物が居たならば。彼との最後の戦いももう少し噛み合うものになったんじゃないだろうか。
ドラグギルディをはじめとする、折に触れてツインテイルズと激闘を繰り広げたライバルたち。敵でありながら戦友と呼ぶに相応しかった彼らとは、戦いながらも魂から相通じるものがあった。だからこそ、彼らとの戦いは滾るように熱いものになったのだ。
それが欠けていたスワンギルディとの最後の戦いが、熱量に欠けたものになってしまったのは、彼の成長を見守ってきた身としても些か残念と言ってしまっていいものだった。
願わくば、この戦いこそが因縁と成り得るものであれば、と思うばかり。彼の好漢の消え方が特殊だったのは、再登場フラグだと思いたい。

さて、ついに敵首領からの招待状が届き、最終決戦が間近と迫る。敵の本拠地に乗り込む、というと敵勢力を追い詰めているようにも見えるけれど、同時に敵地に乗り込むわけで、帰ってこれないかもしれない、という決死感も漂っているわけですね。
だからこそ、決戦前夜は思い残すことがないように未練を果たすのが、これまでつけていなかった決着を、精算を果たすのが王道というやつなのです。
相変わらず蛮族が暴れ、変態が壁に埋まり、露出狂が脱ぎ、という荒行のごとき穏やかな日常を、かけがえのないものとして大切に過ごしながら、終わりの予感を噛みしめるテイルズたち。
この戦いが終わったら。これまでがむしゃらに戦ってきた、その後を、これまであまり考えてこなかった「未来」へと思いを馳せる。
そして、告げられないままずっと平坦な胸に秘めていた想いを、打ち明ける勇気を振り絞るタイミングでもあった。
愛香出陣、というには切羽詰まってもヘタレる蛮族である。トゥアールがせっせと塩を送るんですよね。煽り倒しながら促すわけですよ。ほんと、トゥアールって場合によっては総二よりも愛香の方が好きなんじゃないか、と思うくらい愛香にだだ甘なんですよねえ。
ただし、最近ヒロイン感がとみにましていたのは、尊先生の方なのですが。婚期を逃しかけて狂乱していたのも今は昔。最近は本気で落ち着いちゃって、婚姻届ネタも本気のままではあるんだけど、以前のような殺気や切羽詰まった問答無用さもなく。ちょっとした冗談交じりながら、深い愛情の籠もった、でも押し付けがましくなくむしろ包容感のある穏やかな雰囲気が、なんだか自然に婚姻届にサインしてしまいそうな流れを感じてしまうんですよね。
なんか、いつの間にか他のヒロイン差し置いて総二と添い遂げてるの尊先生なんじゃないか? と思わせるようなナチュラルさが。
元々、婚期云々を除けば人格的に非常にまともなのは折り紙付き。健全で正常で精神的にも安定していて家庭的で女性の魅力に溢れていて……瑕疵が見当たりません! 瑕疵しかないほかのヒロインと比べて……比べて……比べるのが間違っています!
まあ愛香も女の子としては非常に可愛らしいですし。あの蛮族さは総二に対しては一切発揮されないので、総二に対しては純粋に幼馴染としてイチャイチャしえる人材なのですけど。
ただ、ここに来て総二はもう今までと比べてもちょっと大丈夫か? と思えるくらい、認識力がツインテールになってるんですよね。思考もあらゆるものがツインテール互換になっているし。
大丈夫か? まだ人間か? いい加減、侵食が完了に近い所まで来ている気がするんですよね。とはいえ、ここから人間の側に後戻りするというのも、総二らしくないですし。この主人公、どうなってしまうのが一番良い形なんだろう。
愛香は本当に頑張って勇気出しましたけれど、総二はそれに男として応える感性を持っているのだろうか。

首領との初対面は、消化不良のまま一旦仕切り直しになりましたけれど。本当の最終決戦となるには、やっぱりまだまだ手札が足りないですよね。

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢 ★★★   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢】  細音 啓/neco MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

預言者シドが語る真実――「その先」が最も気になるファンタジー、第6弾!

「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイは、各種族の英雄や精鋭たちと出会う中で、この世界を改変した黒幕へと近づく。機鋼種の強敵・マザーDを激戦の末に破った後、カイが手に入れたレコーダーには、預言者シドを名乗る男の声が残されていた。シドから語られる黒幕の真相とは――。一方、六元鏡光(リクゲンキョウコ)、ヴァネッサ、ラースイーエら三英雄たちが、三種族の思惑が入り乱れる中で衝突を始める。そして、預言神の加護を受けたこの世界の“二人のシド”アーカインとテレジアは三英雄を強襲する機会を伺う。今、この世界は「誰の記憶にもない」局面に突入する――!

正史において、どうやって人類が勝利したのか。そもそも他の四種族をまとめて封印できたんだ? という点についてはずっと疑問点であり続けていたのですけれど、こうして実践という形で答えを見ることになるとは。
これは確かに人類の勝利とは程遠いよなあ。預言者シドが苦悶することになったのも良く分かる。
時に刃を交えて戦い、時に同じ敵に立ち向かうために共闘し、時に旅の道連れとして寝食を共にして、カイたちは本来敵でしかなかった異種族たちとコミュニケーションを重ねてきた。
彼らは人類とは全く異なる種であったけれど、ちゃんと言葉も通じるし、意思も交わせるし、一緒に笑って一緒に怒り、一緒にご飯を食べて触れ合うことのできる存在だった。
カイだけでなく、鏡光がバルムンクにべったりとなってバルムンクの方も真っ向からぶつかろうとして妙に噛み合う仲になってしまったり、ハインマリルがサキのことを気に入ってちょっかいを掛けまくるうちに何だか相通じるようになってしまったり。
カイだけじゃない、人類種と他の種族が種を越えて仲良くなれる、その可能性は示されていたのだ。
レーレーンがこっそりと告げてくれた「期待」は、まさしくカイが僅かずつかき集めたまだ見ぬ未来への可能性だった。
もし決着を付けるなら、お互い同士でつけるべきだった。それが融和であろうと決裂であろうと、当事者同士でつけるべき決着だったのだ。
それを、横やりで人類がなんら関与できない置いてけぼりの状態で、勝手に決着がつけられてしまった。今話していた相手を、意思をかわそうとしていた相手を、友情が愛情が通じていたかもしれない相手を、一方的に消し去られてしまったのだ。
納得なんてできるはずがない。

でも、それが人類のためになるのなら。人類がこれ以上滅びに怯えることなく、犠牲が生まれることなく、平和を得ることができるのなら。それは享受しなければならない、妥協しなければならない無力感だったのかもしれない。
だから、カイ以外のみんなは起こった事から目を逸らし、与えられた平和を受け取ることにしたのだろう。多くの何の力も持たない一般人たちからすれば、自分たちを脅かしていたものが消えたのだ。いつ死ぬか、いつ殺されるか、家族を失うか、愛する人を殺されるか。そうした不安を、恐怖を、戦うすべの無い人たちは常に抱えて、怯え暮らしていたことを思えば、ジャンヌもバルムンクもこの与えられた平和を否定はできなかっただろう。
カイだってそうだ。どれほど納得できなかろうと、拒否したくても、彼はそれを自分の感情だけで否定したり拒絶したりできなかった。真面目だなあ、と思う。
レーレーンやリンネという大切な友人、大切な人を奪われて受け入れられるはずがないのに、自分ひとりの都合で、人類がようやく手に入れることができた平穏に後ろ足で砂をかけることが出来なかったのだ、この少年は。
だから探したんですよね。この結末が理不尽で、人類にとっても不都合である理由を。決して、このいっときの平和が人類に良き未来をもたらさない、という証拠を。
見つからなかったら、ずっと苦しんだんだろうなあ。それこそ、預言者シドのように。
幸いにして、カイは証拠を見つけることが出来た。この結末が、世界を軋ませる悪手であることを知ることが出来た。ならば、あとは邁進するだけだ。
見知らぬ世界に一人放り出されたときも。かつて居た人類が勝利した世界と違って、放り出されたこの世界が人類が滅びようとしている世界だと知ったときも、カイは怯むことなく戦い続けた。そういう少年なのだ。やるべきことがあるのなら、たとえたった一人でも、誰にも理解して貰えなくても邁進する。そういう気概を彼は根本に備えている。
なるほど、つまり彼こそが正しく「人類種族の英雄」となるのか。その証こそ、世界種リンネの剣。
そうしてもうひとり、退場したと思われていた最後の英雄が出番を待つ。ここでまさかの主天アルフレイヤ再び、にはさすがにゾクゾク来ましたよ。


賢者の弟子を名乗る賢者 1 ★★★☆   



【賢者の弟子を名乗る賢者 1】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

VRMMO『アーク・アース オンライン』で、
九賢者の一人という渋い召喚士「ダンブルフ」としてロールプレイしていた咲森鑑(さきもりかがみ)は、
プレイ中の寝落ちを境にゲームが現実となった世界へと飛ばされてしまう。
しかも、老練な渋い賢者の姿ではなく可憐な少女の姿となって……。

このままでは築き上げてきた賢者の威厳が失墜してしまう!

そう考えた咲森鑑(さきもり・かがみ)ことダンブルフは、
賢者の弟子「ミラ」と名乗るのだったが――。
あれ? この作品ってアニメ化予定なのか。知らんかった。
GCノベルズでも創刊最初期からシリーズが続いているレーベルの看板作品の一つです。コミカライズされた漫画の方を見て、これがなかなか面白そうだったので原作の方もいつか手を出してみようと思っていたのですが、思ってからが長かったw
ゲームのキャラクターのまま、現実化してしまったゲームの世界に転生、或いは転移? ともあれゲームの世界へと入ってしまった主人公だけれど、通常と違ったのは転移する直前たまたま自分のキャラクターである渋いジジイの姿をした召喚士「ダンブルフ」のキャラクターデザインを、課金アイテムを使ってついつい趣味で作り込んでしまった美少女キャラへと変更してしまっていたんですね。ちょっと勢い余って造形してしまったというだけで、完全にキャラデザインを変更してしまうつもりは毛頭なかったものの、タイミングが悪すぎた。
結果として、誰も知らない超絶美少女の姿でゲーム世界へと降り立つ羽目になってしまったのである。
かの世界では自キャラ「ダンブルフ」は世界屈指の魔術師の一人であり超有名人ではあったものの、今の自分は誰も知らない美少女。しかも、何やらゲーム世界では前回ログインしていた時から中の時間で三十年もの時間が経ってしまっていたらしい。
おまけに、ゲームが現実化したのか、元々ゲームが異世界に接続されていたのかはわからないものの、ゲームの時に使えていた機能が幾つも使用不能になっていて、キャラデザも変更できなくなってしまった主人公。これでダンブルフを名乗っても信じてもらえるはずもなく、信じて貰ったら貰ったで何やってんだ賢者、てな事になりそうなので急遽賢者の弟子を名乗ることにしたのでありました。
しかし、ゲームならともかく現実化してしまった世界でいきなり「女の子」になってしまうというのは、現実であるからこその困ったことがたくさんあるわけで。
異世界に戸惑うよりもTSしてしまった自分の肉体の方に困惑し慌てふためくダンブルフ改めミラ嬢。

TS願望があるわけじゃなく、それどころかジジイ専じゃないけれど、渋いジジイキャラにこだわりと愛着と趣味がある身としては、女性化というのはどうしたって抵抗があるわけで。かといって、女性の肉体には興味が尽きない、という複雑な心境が女の子パンツを履くこと、女性下着への抵抗感という形でにじみ出ているの、ついに現実に屈するところまで含めて、TSならではの妙というものがあって味わいがありました。
「わし、かわいい」
と、思わずこぼしてしまった瞬間は、ついに後戻りできない一線を越えてしまった感があって、よかよかw

幸いにして、なのかはこの先わかりませんけれど、ミラとは別のゲームプレイヤーたちが何人もミラと同じくこの世界に降り立っている、というのは世界観が広がる感覚があって面白かったです。
元々、知名度も世界における立場や役割なんかも、プレイヤーたちは重たい所にいて超有名人ばかりなんですよね。すぐに旧友とも再会できたのは両者にとっても幸いだったのでしょう。まあ、ミラの降臨はプレイヤーの中でも特に遅い方だったみたいだけれど。何しろ30年ですからね。
それでも、孤独でないというのはそれだけで良いことです。友達はそれだけでもかけがえのないものですし、もう戻れないとしたら、かつてのゲーム時代の想い出を一緒に笑って語れる相手がいる、というのは、生きていく拠り所にもなりえますからねえ。
まだ世界の設定から、キャラの立ち位置や主だった登場人物の紹介といった感じで、事件も起きているけれどまだまだ冒頭。ミラも世界屈指の召喚士である能力をまだまだ見せていない状況なのですが。
語り口が軽妙ゆえなのか、すいすいと読める上に目が滑らずゆるい雰囲気を心から楽しめる読み込ませる作品になっていて、さすがは長期シリーズになっている看板作品なだけあるなあ、と思った次第。いやほんと、まだ大して何も起こってないんですけどね。
ただ、プレイヤーのみならず、元々NPCだったこの世界の元からの住人達も、まだ出始めにも関わらず活きが良くて、好感の持てるキャラが多くて、そういう意味でもミラと同じようにこの世界を見て回り、この世界に暮らしている人たちとお話するのがなんともポワポワして楽しい、と思わせてくれる作品でした。
遅れ馳せながら、ぼちぼちとですがシリーズ全部追いかけてみたいと思います。



というわけで、実はわし「ダンブルフ」

可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 6 ★★★   



【可愛ければ変態でも好きになってくれますか? 6】  花間燈/トマリ MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

変態VS生徒会!? 新感覚変態湧いてくる系ラブコメ、波乱の第6巻!!

ついに、書道部なのに書道をほとんどしていないという至極当たり前な指摘を生徒会から突っ込まれた俺with変態娘たち。
さらには部長による部費の使い込み(バニーガール衣装代)も発覚して、補填のためにお金を稼がなければならなくなり……
え? 今回のペナルティとして俺が生徒会の人質に!?
会計の愛梨に冷たい視線を向けられながら、副会長の彩乃に執拗に匂いをかがれながらも生徒会の臨時役員として奔走する日々が始まった。
書道部のためにもこんなことをしている場合じゃないのに……あれ、生徒会も美少女揃いで、案外悪くないかも……?
中高生男子に圧倒的支持な変態湧いてくる系ラブコメ、変態VS生徒会編、突入!

はいアウトー!! いや、紗雪先輩、部長、部費使い込みは普通にレッドカードですから! 私的流用したらダメですから。一応、部内でみんなのために使った、と言えるのかもしれませんけれど、書道とバニーガールスーツは何の関係もなさすぎる。バニーガールの衣装を買うために部費使いました、ってそれ普通に問題になるでしょうに。しかも、わりと値段が洒落になってない金額なんですが。
ダメだ、この部長なんかもうダメだ。社会に出てやっていけるんだろうか、なんか普通に心配になるぞ。文武両道の才女、できる女という落ち着いた雰囲気を醸し出している紗雪先輩ですけれど、この人普通にダメ人間なんじゃないだろうか。
何気にメンタルもガラス並みに脆いヨワヨワの雑魚ですし。繊細というより雑魚ですし……。
慧輝くん、この人真剣に飼ってあげた方がいいんじゃないだろうか。他の人と比べても、ほったらかしにしてたら勝手に死んでそうなんですけど。籠から出して野生に逃してしまうと、そのまま生きて行けずに死んじゃいそうなんですけど。飼育しないと生きていけないタイプじゃなかろうなw
この人のやたらペットになりたがる性癖って、変態性じゃなくて生存本能によるものなんじゃないだろうか。あんまり真性って感じはしないですし。
まあ書道部の面々の変態性って、わりとみんななんちゃって変態っぽいヌルい感じではあるんですけどね。
……ただし瑞葉、てめえは別だ。この妹だけかなりガチの露出趣味なのは間違いないので注意されたし。今の所、まだ見られるかも、というスリルに興じる段階でとどまってますけれど、早晩見られることに興奮を覚えそうでヤバいよなあ。兄の慧輝に対してはすでに見て欲しい願望が滲み出しはじめてますし。

ともあれ、紗雪先輩の私的流用はかなりアウトなので、普通に廃部案件なんですよね。書道部にろくな活動実態が存在しない、まともに書道してるの紗雪部長だけ、という状況が追い打ちかけてますし。いやこれ、普通に廃部にしますよ、自分なら。お金返せばお目溢し、というのは凄まじい温情なんじゃないだろうか。
というわけで、書道部から身売りされ、あるいは借金の方、人質、担保として一時的に生徒会の手伝いをすることになった慧輝。先から知り合いにして匂いフェチの変態である副会長の彩乃の他にも、慧輝を目の敵にする長瀬愛梨に書記の三谷凛、生徒会長の鷹崎志帆という面々が迎えてくれたわけですけれど、まあそうですよね。これで生徒会の人たちは一般的な性癖の人たちでした、となると作品の主題を揺るがしてしまうので、案の定変態揃い……生徒会長除く。まあこの志帆さんも何らかの性癖の持ち主なんでしょうけれど。
いやでも、匂いフェチの彩乃はともかくとして、愛梨の百合ラブも三谷の女装癖も、これ趣味の範疇ですよねえ。だいぶマイルドですよ。これを変態と呼ぶのは過剰というか烏滸がましいというか。
彩乃さんはだんだんガチというか、そろそろヤバいんじゃね?というくらいに増しましてきましたけれど。
書道部の面々の変態趣味の対象が慧輝くんが相手でないとダメ、と指向性が定まっているのに対して、まだ生徒会の面々のそれは自分の趣味の範疇なんですよね。
まあ彩乃さんはそろそろそっち方面でも怪しくなってきた、慧輝くん限定になってきた感があって、その分ヒロイン度を増してきているのですけれど。
でも、いい加減変態だから付き合えないという姿勢、なんとかしないとダメでしょう。紗雪先輩、メンタルボロボロじゃないですか。元々、雑魚メンタルだったのが追い詰められてグダグダじゃないですか。慧輝くんが面倒見てあげないと生きていけないんですから。
だいたい、性癖に関してはフラットかもしれないけれど、慧輝くんが一番根っこの根性が変態臭いんだよなあ。普通の頭の中身したやつは、女友達や妹にエッチなメイド服着せようとしませんからw


 
6月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス月刊マガジン)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月16日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川文庫)
Amazon


(角川文庫)
Amazon


(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W

6月15日

(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W

6月12日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W

(GAノベル) Amazon Kindle B☆W


(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W

6月11日

(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月10日

(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Kindle B☆W

6月9日

(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス〔スペシャル〕)
Amazon Kindle B☆W


(バンチコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月8日

(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(徳間文庫)
Amazon Kindle


(河出文庫)
Amazon

6月7日

(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(まんがタイムコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W

6月5日

Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W

6月4日

(JUMP j BOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月2日

(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W

6月1日

(芳文社コミックス/FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(芳文社コミックス/FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(芳文社コミックス/FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(芳文社コミックス/FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W



(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Kindle B☆W

5月31日

(WITノベル)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


5月28日

(ヤングアニマルコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サイコミ×裏少年サンデーコミックス)
Kindle B☆W


(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W

5月27日

(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


(Gファンタジーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


5月26日

(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W

5月25日

(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

5月24日

(あすかコミックスDX)
Amazon


(あすかコミックスDX) Amazon

5月21日

(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W


(ワイドKC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(アルファポリス)
Amazon Kindle B☆W


(アルファポリス)
Amazon Kindle B☆W


(アルファポリス)
Amazon Kindle B☆W


(アルファポリス)
Amazon Kindle B☆W


(アルファポリス)
Amazon Kindle B☆W

5月20日

(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W



Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索