レガレイラ

第67回宝塚記念 G1 レース回顧  


3歳以上 オープン 阪神競馬場2,200メートル(芝・右)

とんでもねえ、すげえレースでした。
パドックでの周回、騎手の騎乗が行われたうえで本馬場入場が始まろうとした瞬間から降り出した雨。
雨どころじゃないよ、豪雨だよ。ゲリラ豪雨。
東方からは物凄え雨柱が近づいているのが見える状態だったので、ちょうど降るんだろうなとは想ったのですけれど、思ってたどころじゃない凄まじい雨でした。
雹が降る注意報みたいなのも出てた? さすがに雹は降ってなかったと思いますが、尋常じゃない大粒の雨でした。
あれだけの短時間で、馬場が良馬場から重馬場に変わるというのはちょっと経験ありません。

そして、この宝塚記念には1頭の重馬場の鬼がおりました。
もうこの雨を見た瞬間、浴びた瞬間、知る人はみなが思ったでしょう。

メイショウタバルのための雨だよ!!

このレースには史上初の春古馬G1三冠がかかったクロワデュノールが出走していました。文句なしに今一番力充実し、覚醒し、最強として本格化した馬でした。
対するタバルは2番人気。とはいえ、去年この宝塚記念勝った時よりも間違いなく格はあがってましたよね。大阪杯2着の走りはG1馬としての風格を感じさせる本物の気風を感じさせました。
得意の阪神中距離戦。
去年の秋古馬G1戦線を全部3着に入ってるつよつよブロンズコレクター・ダノンデサイル。
去年の有馬記念馬ミュージアムマイル。
女帝レガレイラといった現役最強馬が出揃った中ですら、2番人気にあげられたのはそれだけタバルにとってこのレースが勝負レースだった、と言えるのではないでしょうか。
多分、そのまま良馬場だったとしてもクロワと真っ向引けを取らない本当に強い馬になっていました。
その上で、この恵みの豪雨ですよ。
クロワは、あれ文句なしのレース運びだったと思います。それでもなお、タバルがまったく直線落ちなかった。けっこう後ろ置き去りにしましたからね。
デサイルが頑張って3着入ったけれど、それでも2馬身半近く2頭から離されている。逃げたコスモキュランダの後ろは5馬身近く離れたことを考えると、突き抜けた二頭でした。

あまりにも神がかった天候の変化。
ゴールドシップ産駒として、父子二代に渡る宝塚記念連覇という偉業。
競馬史に語り継がれる伝説のレースでしょう、これは。


マイユニバースは残念でした。心不全ということで。日経賞を勝ってこれからという昇り馬だったのですが。

ダノンデサイルは、これでG1を4戦連続で3着。どんなレース展開でも、どこの競馬場でも、どんな馬場状態でも変わらずこれだけ走れるってのは、揺るぎない強さだよなあ。
エピファネイアの後継種牡馬、エフフォーリアとガチンコで張り合えそう。


第66回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 阪神競馬場2,200メートル(芝・右)

朝までけっこう雨降っていたのですが、馬場はそこまでグズグズにはなっていなかったですね。
当日は晴れ間も見えるほど雨があがり、順調に馬場は回復。稍重まで戻りました。馬場の荒れ具合も土曜降ってたわりには悪くはなく、かといってスピードが出るほどではありませんでしたね。
阪神の足元は良好だけれどパワーがいる馬場ってやつですね。
今年は普段の4週目から開催2週目に番組が変更。暑さを避けるため、という名目でしたけれど、確かにこの月曜から暑さが本格的に夏になったのを思えば、見事にキワキワで真夏の暑さを避けられたのでしょう。馬場もまだ1週しか使っていない分、かなり良好でした。

戦前はベラジオオペラが1番人気。大阪杯を連覇したわけですし、阪神コースの中距離でこの馬を無視せよ、という方が難しいでしょう。ただ圧倒的人気にはならず4.0倍だったあたりにまだベラジオオペラを信じきれない部分が出ていたのではないでしょうか
今回の宝塚記念は人気投票の1〜3位が出走するという、これ今まで長らくなかったそうで。
1位ベラジオオペラ、2位レガレイラ、3位アーバンシック、と出揃いました。
レガレイラはもちろん、去年の暮れの有馬記念で名馬たちを退けて勝利した女傑です。
アーバンシックは強豪揃いの現4歳世代の菊花賞馬。
さらにその前年の菊花賞馬でジャパンカップでドウデュースの2着、ドバイシーマで3着に入っているドゥレッツァ。
春の盾、天皇賞春を勝っているジャスティンパレス。
皐月賞馬のソールオリエンス。
とG1馬が6頭出揃うグランプリとなりました。
もっとも、1番人気ベラジオオペラ、2番人気レガレイラに続いて3番人気になったのはG1馬ではなく、日経新春杯を勝ち大阪杯2着と、年明けからの覚醒パターンを歩んでいるロードデルレイ。
4番人気はドバイ帰りのドゥレッツァで、5番人気が7歳にして今が一番強い状態になっているヨーホーレイク。
6番人気にようやくアーバンシックが入っているあたり、アーバンシックみんな状態が戻っていないと判断していたんでしょうね。最近は以前ほど勝ちまくってないとはいえ、ルメール乗って6番人気ですから。
そして7番人気にこの馬、武豊を乗せたメイショウタバルがいたのです。

前日は5番人気くらいになってたんじゃないですかね、タバル。土曜日はまだ雨がざーざー降ってましたから、本番も相当荒れるんじゃ、という予想もありました。そうなると、露骨に出てくるのが雨適性。ブローザホーンなんかもその典型でしたし。
ゴールドシップ産駒のタバルなんかは特に雨が望まれてたようです。まあ、そこまで重馬場巧者とは思わないんですけれど。
とはいえ、雨とは関係なく、ホースマンの間では今回のタバル、ちょっと違うんじゃない? という雰囲気が漂ってまして、以前までのあわよくば馬券圏内まで入りそうで面白い、みたいなのじゃなくて、今回はガチで勝ち負けまで行きそう、と本気で推してるホースマンがかなり散見されてたんで、あれ? マジで今回ちょっと違うのか? と、タバルの空気をひしひしと感じていました。
どうも、ドバイ遠征はこの馬にとって本当に大きなターニングポイントだったみたいですね。シャドーロールの装着も効果的だったみたいですけれど、菊花賞の大敗、日経新春杯の暴走の印象をドバイで完全に払拭したようでした。
メイショウタバルが気性に左右されず、得意な馬場得意な競馬場で持てる能力を最大限発揮できる環境が用意できたら、どういうレースをするのか。
その答えがこの宝塚記念だったように思います。

まーーーー、今回に関しては武さんが会心の競馬すぎた、というのもありますよ。
まさに思った通り以上のレースが出来たんじゃないでしょうか。タバルの息が持ちスタミナが切れない、そしてタバルに続く先行勢がきっちり消耗してしまって脚を残せず、後方勢がどれだけ追っても届かない。そういうペースを見極め、狭い狭い僅かな正解のラップタイムの綱の上を寸分たがわず駆け抜けた。
仕掛けていったベラジオオペラの横山和生は、あれ? そこで仕掛けるの!? と4角ですでにタバルに並ぼうとしていたのは驚かされたんですが、あそこで詰めにいかないと届かない、という判断だったんでしょうね。道中の位置取りからして、仕掛け遅れた場合他の先行勢と同じ末路になっていたかもしれません。しかし、それでも届かなかった。直線入ってむしろ、タバルと間が空いてしまったのを見たときは、タバルの手応えの素晴らしさも相まって、あこれタバルそのまま行くわ、とはっきりわかるくらいでしたから、今回はタバルと武のあまりにも素晴らしいレースっぷりに勝るものなし、でしたよ。

3着には、大外から捲ってきたジャスティンパレス。やっぱりパレスは最後の脚に賭けた走りが一番ベストのレースが出来ますよ。上がり最速の脚を出せる道中の位置取り、それでいてゴール前で勝ち負けになれるだけの位置取り、そこに導けたら良い所まで来るんですよね。うん、めちゃくちゃ難しい馬だな。んで、そういう難しい馬に勝ち負けさせてくれるのが、やっぱりべらぼうにうまい外国人騎手なんですよ。ディー騎手は、勝ち星こそあんまり稼げてないのですけれど、NHKマイルCのチェルビアットのように人気薄でも実力をフルに発揮させて馬券まで持ってくる、これが1回ならともかく、2回目ですからね。この人が乗る馬はちょっと侮れないですよ。うまいのは間違いない。

4着に入ったのが11番人気のショウナンラプンタ。切れる脚じゃないんですけれど、最後までジリジリ伸びるいい脚使うなあ。ってか、全然あかんかったダービー以降は、勝てはしてないもののG1レース含めて掲示板外してないんですよ。以外にもかなり堅実、間違いなくいい脚使って上位まで入ってくるレースを、二桁人気のG1でさえも軽々と継続してみせた。あれ? 強くないですか、こいつ。
ラプンタも、この最強4歳世代の一角を担う馬ということなのか? 秋以降、重賞ポンポンと勝ったりしたら一気にG1勝ち負けするような格を備えそうな気もします。逆にこのまま善戦が続くようだと、堅実にいいレースは毎回するんだけれど勝ちには縁が無い馬、のパターンに入りそうでもあり……秋初戦は大事だぞこれ。

5着にはこれまた14番人気のチャックネイト。パレス、ラプンタ、チャックネイトとみんな後方からの追い込み勢。ちなみに6着も道中最後方からトコトコ付いてきていたソールオリエンスが入っているので、ベラジオオペラを除けば先行勢はすべてタバルと武に振り落とされたわけだ。
7着に番手だったリビアングラスがようやく残っているくらい。きっついレースかまされたんだなあ。

3番人気のロードデルレイは、8着。馬場があわなかったのかな。タフな競馬が求められるところに、大外枠でしたからね。川田騎手、向正面で内側に滑り込ませてましたけれど、水含んだ内の柔い荒れた馬場は、稍重でも嫌だったのかな。4コーナーではもうこいつやる気ないだろ、というような手応えのなさで。川田騎手が手綱しごいても全然反応してないの。こりゃもう、今回は走らないレースでした。
4着だった神戸新聞杯を除けば、今までずっと1着か2着だった戦歴にはじめて刻まれた大負け。これが彼のメンタルにどういう影響を与えているのか。次がちょっと気になりますね。今回のは例外だったらいいのですけれど。

他の人気馬では4番人気のドゥレッツァが、ここ。9着。うち中団前目で脚を溜められていた、と思ったのですけれど、ほとんど伸びず。このペースでしっかり消耗しちゃっていた脚が残っていなかった、って感じですかね。
レガレイラはさらに後ろの11着。有馬記念以来の久々でしかも骨折明け。大外枠で、ずっと外々を走らされ、展開は消耗戦。ちょっと厳しいレースでしたね。
アーバンシックはさらに後ろの14着。調子が戻っていないにしても全然良いところがなく、次に繋がる部分が見つかりません。ちょっと立て直さないと、このままだと勝ち負けどころじゃないですよ。


武豊さんは、ディープインパクト以来の宝塚記念勝利。ってか、50歳越えてまだG1取りますか。目黒記念勝つまで、重賞も今年は勝ててなくて、ピンチ!となってたのが嘘のようなあざやかな、会心の勝ちっぷり。
タバルはあの個性の強さも相まって、現4歳世代でも人気のある馬でしたけれど、勝ちときはポーンと勝っちゃうけれど、負け方はグズグズだし、気性の方もどんどん制御できないようになってきてるなー、と思った先にドバイあたりで急にビシッと馬が見違えて……でも、まさかG1馬に名を連ねられるほどに上がってきているとは思ってなかっただけに、三日会わざれば刮目して見よ、の心地です。
実力が物凄い勢いで追いついてきたようなイメージだなあ。今回会心すぎる競馬でしたけれど、実力がないと出来ないレースでもありますからね。フロックとは言わせまいて。
ゴールドシップ産駒は、牡馬ではこれがG1初タイトル。まじか、ゴルシの後継種牡馬誕生ですか。せっかくなんで、今回に限らずどんどん勝っちゃってほしいですねえ、タバルタバル。







第69回有馬記念 G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)

最後の直線に入ったところから、ずっと「シャフ! シャフ! シャフ! シャフ!」と連呼してました。
凄かったよシャフリヤール。マジで大外からぶっ飛んで来たのを見た時は、胸の奥から感動がブワッと吹き上がって頭の中熱くなったもん。

ドウデュースが出走回避したのを知ったあと、彼の秋古馬三冠達成が潰えてしまったのを知ったあと。
じゃあ、この有馬記念。どんな形の結末が、ドウデュースの伝説になる終わり方に匹敵する競馬史に残る劇的な結末となるんだろう、と考えてしまったんですね。
そうして想起されたのが、今まであと一歩の所まで指先がかかりながらついぞ手が届かなかったG1の悲願を達成するディープボンドか。
或いは、お前が居ないのなら先輩である俺がやる、とダービー馬として歴史に残る偉業を海外を飛び回って残し続けたシャフリヤールが、最後に国内に戻ってきてこのグランプリG1で有終の美を飾る。
って、絵面だったんですよね。

しかし、シャフリヤールに立ち塞がったのは、有馬記念に置ける最悪の魔の枠順、大凶の数字である大外8枠。
そして、6歳以上は走らないとされている歴然としたデータ。
有馬記念ではディープインパクト産駒は結果を残せていないという記録。
前走はアメリカでのレースを終えての海外輸送帰り。
突風吹きすさぶ環境は、騎手をして前に馬を置いて壁にしないといけないというさらに大外枠に厳しい状況。
逃げ馬不在の展開からくる、ロングスパート戦が想定されるシャフリヤールに不向きな展開。
ありとあらゆる条件が、シャフリヤールお前には無理だ、と突きつけているような状況でした。
去年、シャフリヤールは内枠を引きあて、そこで完璧に等しい競馬をして5着でした。あれからさらに一年歳を重ね、条件は前年を遥かに越えて過酷でした。
10番人気だったのも、理解できるんですよ。あまりにも、あまりにも不利条件が重なりすぎていた。

でも、そんな壁を乗り越えてきた馬こそが「空飛ぶダービー馬」だったのです。
前年の同じ大外枠だったスターズオンアースのように、スタートダッシュから一気に内に切れ込んで外枠の不利を消滅させてしまったルメールマジックみたいな戦法ではなく、スタート抜群に良かったわけではなかったシャフは、そのまま後方10番手あたりにつけました。当然、外々を回らされる位置。
レース前は逃げるのもありだ、と述べていた陣営ですけれど、こうなればどうしようもなく地力勝負。
実際、なかなか前に馬を置けることもなく、ずっと外側走ることになってるんですよね。
しかし、向正面で前半1000メートル62秒のスローペースにかこつけて、ジワリと前に位置取りを進めたシャフリヤール。ここから4コーナーのマクリは本当に寒気が走るかと思いました。直線に入るところで一気に加速。あのカーブの急な中山の4角をギュンギュンと加速しながら小回りで回りきる。
普通、大外回ったらどんだけ加速していても、大回りした分直線入ったところで横並びになった際には位置的に後ろになっちゃってるものなのに。
直線入ってくるところでは中団大外にいたシャフが、直線入った段階では逃げるダノンデサイルと追随するベラジオオペラを捉える3番手の位置に、既に食らいついていたんですよ。
痺れましたね。一気に頭に血が上りましたよ。
そして、あまりにもシャフばかり見ていて気が付かなかった。
内側を、神がかった進路取りで文句のつけようのないパーフェクトな走りで貫いてきた、レガレイラの存在に。
内から、そして外から軌跡を残すように滑らかに直線に進入したこの二頭が、前にいるベラジオオペラを躱す進路を確保するために1頭分外に出したレガレイラと外から切り込んできたシャフリヤールが。
示し合わせたように馬体が並んで隣り合うんですよ。
そのタイミングが、まさにここからギア全開。フルスロットルだァ! という瞬間。ちょうどアールカーブが終わり直線に入った瞬間。
なんど映像を見直しても、この瞬間は芸術的です。
そして繰り広げられる中山競馬場直線300メートルどちらも譲ることのない一騎打ち。
1996年の阪神大賞典マヤノトップガンVSナリタブライアンの。
或いは1993年天皇賞・秋のヤマニンゼファーVSセキテイリュウオー。
これら歴史に残る死闘に並び立つ、令和の名勝負でありました。

結果は、頭の上げ下げでわずかに鼻差前にあったレガレイラが、3歳牝馬としては64年ぶりの有馬記念制覇の快挙。ヒシアマゾン、ダイワスカーレット、ブエナビスタという名だたる名牝が2着で涙をのんだ3歳での牝馬によるグランプリ制覇を、牡馬たちのクラシックに殴り込みながらついに念願果たせなかったレガレイラが達成して見せた。凄い。この娘ならダービーをとれる。絶対にG1級の馬なんだ、と信じ続けた陣営と、そして彼女を有馬に投票で導いたファンの祈念が届いた劇的な勝利でした。
そして、負けたシャフリヤール。負けた、とか言えんですよ。こんなん、言えんですよ。強かった。21年世代こそが最強なんだと言わんばかりの神がかった激走。あらゆるデータを覆す魂の疾走。
もうあかん、感動や。シャフゥゥゥ、シャフゥゥゥ!!(号泣

新世代も頑張った。菊花賞馬アーバンシックは、スタート出遅れがあまりにも致命的でしたが、それでも最後伸びて6着に入りましたし。
まさかのノリさんの逃げで、先頭で牽引したダノンデサイル。これも前半はスローでしたけれど、残り1000から一気にペースあがって消耗戦となり前有利と言えなくなった展開で、最後の最後まで踏ん張ってみせました。この馬、ほんと根性ありますわ。ただ調教師先生は、あまり走りに満足していないどころか危機感を抱いている様子。こういっちゃなんですけど、この先生面白いッ。
主導権をパパにとられた横山和生のベラジオオペラですが、これも距離の壁を乗り越えて食らいつき続けて4着入線。
5着にはジャスティンパレス。この展開で後方からではここがやはり限界でしょう。毎回毎回、どうしても展開不利になってしまう。にも関わらず、掲示板には毎回乗るんですからホントに勿体ないよなあ。後方末脚勝負では、ローシャム、アーバン、ブローザホーンには負けん、というところでしたね。
7着にローシャムパーク。道中、スロー展開のせいか馬群の中で折り合いをかいてるところが見受けられてしまいましたね。そこで消耗してしまいました。いっそ、そこで前に行かせてもよかったんじゃないかと。
8着にはスタニングローズ。ざっと色んな人の調教評価見回した感じ、一番仕上がっていたのはこの娘だったのかもしれません。しかし、位置取りは悪くなかったと思うんですけれど、4角では既に手応えが怪しくなってましたね。あのエリ女の迸るような手応えが残っていませんでした。4コーナに差し掛かって加速していく段階でちょっともたつくというか走りが乱れる瞬間があったので、ちとカーブに乗り切れなかったところがあったのかな。距離も厳しかったのでしょう。これで引退ですが、未来の子どもたちが楽しみです。
9着ダノンベルーガ。上がり最速を記録していますけれど、最後方ポツンから追い込みだけした、って感じですからまあこんなもんで。
10着シュトルーヴェ。この馬も大外を回らされてましたが、中盤までシャフリヤールの後ろくらいにつけていたのに、4角ではあっさり置き去りにされ、大外ぶん回して後方一気狙ったものの、頑張ってもここでした。大外走らされたこうなるんですよね、普通は。ほんと、シャフはすげえなあ!
11着プログノーシス。この子も出遅れてしまって、前につけたいこの馬としてはあんまりにも致命的すぎました。中距離馬ですから、そこから脚使ってスタミナ消耗するわけにもいきませんし。どうしようもありませんでしたね。
12着はブローザホーン。さすがに追い込みのこの子が、外の列に馬を置いて内側走ってるのを見た瞬間、こりゃ無理だ、となりましたね。どう考えても行き場なかったですし、進路空いた時には遅すぎますもの。2枠4番はこの子としては外枠よりも厳しいものだったかもしれません。かといって外でもキレるイメージ湧かないのですけれど。
映像を見ていると、スタートから鞍上の菅原くんがガンガンしごいているのに全然行かない。あれ、できるだけ前の方につけたかったんでしょうね。出遅れたアーバンシックにも抜かれて位置取り後ろになってしまった時点で苦しかった。中盤、位置を押し上げるくらいの思い切りがあっても良かったかもしれません。
13着ディープボンド。
正直、このレースも夢を見ました。まさかの3番手につけての競馬になりましたからね。幸さんが跨るようになってから、かなり理想的な位置につけるようになったの、あれ手があってたんだろうなあ。
前半がスローペースと判明したのがわかったあとは、もう向正面から早仕掛けてスタミナ勝負の消耗戦に持ち込めーーっ!と念を送っていたのですけれど、3番手から動かず。でもこれラップタイムみたら残り1000メートルから全体に加速してるんで、実際はスピードアップしてたんでしょうね。頑張って、あそこだったわけだ。でも、もっと早く仕掛けても良かったんじゃないかな。4角での幸騎手がグイグイ押していたものの、前に進んでいかずにズブさがもろに出ていて、ズルズルと後方に。
終戦でした。そしてプボくん、これが引退レースになるそうです。種牡馬に離れず、京都競馬場で誘導馬になるそうで。そうかー、ついに第二の馬生かあ。お疲れ様、ほんとうにお疲れ様でした。よー頑張った。G1タイトル、取ってほしかったなあ。取りたかっただろうなあ。
14着スターズオンアース。道中、ちょっともうまともに走れてなかったみたいですね。レース前からどうも不穏な感じでしたし、トラックマンの人達も大丈夫? これどうなん? という感じのコメントが多くて、これ鞍上の川田も下手に追うつもり最初からなかったんじゃないのかな。
15着ハヤヤッコ。大外枠で前に馬を置けなかったせいもあるのか、道中ずっとはしゃいでました。なんか、正面通るところでずっとカメラ目線で走ってたぞこいつw
ともかく折り合いがあわなかったんでどうしようもなかったですね。ただカメラ映りのアピールに冠してはめちゃめちゃ良かったと思います。

改めて、大本命でありドラマの集大成でもあったドウデュースのラストランがなくなり、しかしその消沈を見事に消し飛ばしてくれる、素晴らしい歴史的名レースとなってくれました。
勝ったレガレイラは、来年同期のステレンボッシュ、チェルビニア。クイーンズウォーク、ボンドガールといった面々と改めて決着つけてほしいですね。そして、復活のお嬢様リバティアイランドとも対戦して欲しい。次回はドバイか大阪杯か。ベラジオやダノンデサイル、アーバンシックらとも激戦を繰り広げる25年になりそうで、楽しみ。
シャフリヤールは、なんかもう衰え知らずもいいところで、現役引退もまだ決まっていないみたいですし、これが最後じゃなくてもう一度ドバイまで行くかもしれませんね。あとひとつふたつ、この馬ならG1もぎ取れるよ!!
もし現役続行なら……やったれ、シャフリヤール!!






第49回エリザベス女王杯 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)牝(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

レガレイラ、ここで勝てなかったのは痛いぞぉ。
今年は特にメンバーの層は薄かった。何しろ、2番人気が重賞前々走のマーメイドS(G3)しか経験のないホールネスでしたからね。戦績は6戦4勝の4歳と勢いのある馬で前評判も高かった馬ですけれど、クラシックは未出走。まあまだ強い馬とも走っていない経験不足の未知の馬です。普通なら4番か5番人気くらいが良いところなんじゃないでしょうか。それが、レガレイラに続いての2番人気ですからね。
G1馬はレガレイラを除けば、秋華賞を勝ったスタニングローズのみ。その薔薇の血族も本来ならスターズオンアースやナミュールみたいにG1一線級で活躍できるはずの器だったのに、秋華賞以降泣かず飛ばず。前走クイーンSはだいぶ復調の気配が見えたと言われてましたけれど、それでも6着でしたからね。
それでも今回はさらに往年の調子を取り戻してきたんじゃないか、と調教の様子を見ても言われていたみたいで、前日オッズでは5番人気12.9倍だったのが最終オッズでは3番人気9.5倍まであがっていたので、だいぶ見込みはあると判断されたんでしょうね。その見立ては間違っていなかったわけだ。
ともあれ、ここまでの戦績は秋華賞馬としては寂しい限りだったのも確か。
他もG1こそ勝ちきれないもののG2やG3戦線で牡馬相手に暴れまわってるような元気のいい女傑もおらず、ようやく最近真価を発揮しだして前走で新潟記念で重賞初制覇したシンリョクカ。ずっと3勝クラスを好走しつつもくすぶっていたものの、前走の府中牝馬Sで3F 32.8の豪脚でブレイディヴェーグの2着に入ったシンティレーションくらいでしょうか、近走重賞である程度良い結果を残せていたのは。

本来ならG1戦線でバリバリやってなきゃいけないだろうハーパーは、有馬記念以降メンタル面で走る気なくしてしまったみたいな気のない走りを続けているし、サリエラは良血を開花しきれずずっとくすぶったまま。
モリアーナも春先までの好調が嘘のように失速して一流の波に乗れず、今年いっぱいで引退みたいだし。
まあG2番長どころか、地方重賞荒らしぐらい走っている馬もあんまりいない、という実績も近走の勢いも足りていない馬たちが大半という、最近でも特に手薄なエリザベス女王杯だったと思います。
そりゃ、レース運びに不安のあるレガレイラでも1倍台の1番人気になりますよ。多少、出遅れても展開恵まれてなくても、才能と実力でねじ伏せられる相手であり、京都競馬場のコースである、と見られてたんですよね。
最悪、大外ぶん回しゃいけるじゃろう、と。

こういうときに限って、ぽんとゲートをスムーズに出ちまうレガレイラなのでありました。いや、本来ならスタートが良いっての悪いはずがないんですが、道中馬群の中に入ってしまい、直線前が空くのを待つしかなくなってしまったのが痛かった。
先頭は事前に予想されていたとおり、コンクシェルが引っ張ったのですがもっとスローになると思われていたのが、1000メートルを一分切る流れたレースに。
スタニングローズ、すごかったですね。道中も好位の一番いい位置につけていて、これは来るぞ!という手応えを感じさせる走りでしたけれど、4コーナーから直線にかけてのグイグイ前に進んでいくあの勢いは、この時点で勝ちを確信させられるほどのものでした。
久々に、強いスタニングローズを見られた。これぞG1馬の走りですよ。あとは追随を許さず。完勝でした。復活の薔薇でありました。
どこまで現役を続けるかわかりませんけれど、今回の走りを見ていると2000メートル以上の方がいいのかもしれませんね。クリスチャンも会心の騎乗だったと思います。
2着にはまさかの12番人気のラヴェルがこれは3コーナーの坂の下りからうまく加速したなあ。彼女、マーメイドSで5着に食い込んだときはまだまだやれる手応えを見たんですけど、次の前走のリステッドでは案外だったんでやっぱりダメかなあ、と思ってたのですが、川田騎手がフルスペック発揮させてくれたらここまで行けるのかー。伊達に、リバティアイランドに勝った馬じゃないですよねえ。
3着はホールネスが根性で他馬より前を維持して3着。一瞬突き抜けるかとも思ったのですけれど、キレる脚が思いの外長持ちしなくてゴール前一度躱したシンリョクカやレガレイラに抜かれるかと思いました。2番人気は伊達ではなかったかもしれませんけれど、欲を言うならスタニングローズに食らいついてほしかったなあ。直線加速していた時はそれくらいの勢いはあったように見えたのですが。
4着には シンリョクカ。内の経済コースを走ったとはいえ、道中2番手近くで走っていたのに直線でもずっとジリジリと伸びる脚を使っていて、それがゴール前まで途切れず一旦躱されたホールネスを追い詰め、急追するレガレイラを抑えての4着ですから、前走新潟記念を勝って本格化したというのは間違いではなかったみたいです。これは負けて強しの4着だったんじゃないかな。わりと早い流れで前にいた馬はキツかったでしょうし、この馬の距離適性からして2200はちょい長かったでしょうし。それであれだけ頑張れたのはえらい。
5着にはレガレイラ。直線でシンティレーションとハーパーの間にあいた隙間を突破しようとして、ハーパーがよれてきたもんだから今更引けずに強引に突破することに。一応行こうとした時には通れるスペースはあっただけに、間違っちゃいないのでしょうけれど、ルメールはそこからアカンとなってしまった時にそれでも強引に行っちゃうタイプだからなあ。騎乗停止とまでは行かないケースでしょうね、これだと。でも罰金は喰らいましたね。さすがにこれで一旦脚が止まってしまい、自分はあこれはもうあかんわ、と思って視線を切ったのですけれど、そこから改めてリスタートして内から伸びてきたのを見た時はビビリました。いや、ほんとに能力は本物なんだよなあ。それがどうしても成績を伴わない。
しかし、ハーパーはよっぽどふらふらしてたんですね。武さんが普通に走らせるのに苦労しましたとコメントしてるの滅多見たことないですよ。武さんの乗る馬って下がってくるにしてもまっすぐブレずに下がっていく事が普通なので、こんなフラフラしながら後退していくケースは珍しいです。ルメール、いつも武さんの後ろにつけてるから、いつも通りまっすぐ下がってくる感覚で間に行こうとしてしまったのかもしれませんね。いやそれはないか。その前からふらふらしてそれでルメール外に行くのをやめて内に方向変えたっぽいですし。

6着にはライラック。いや、4着がライラックかと思いましたよ、ゴール前。6着なんか、これ。場合によってはホールネスさえ躱しそうな勢いで突っ込んできました。ここ4戦二桁着順が続いていてもう終わった馬なのかとも思われての10番人気だったのでしょうが、ライラックってエリ女はなんか走るんだよねえ、とも言われていて、いやあこれは実際その通りなのかもしれません。マイルは短いでしょうから中距離以上のしかも重馬場だったりしたならまだだいぶ侮れないぞこれ。

7着にはサリエラ。ムーアがこの距離でもまだ短いとか言ってるんですが。本格的にステイヤーなの? いずれにしても、今回の速いタフな流れはキツかったかもしれません。

4番人気のシンティレーションは、レガレイラとの接触もあって再起動できず10着。マーカンドさんいわく距離もちょっと長かったみたいです。

ハーパーは殿。これで3戦連続の最下位です。能力じゃないですね、完全にもう走るの嫌!ってなっちゃってるみたいです。武さんがあんなコメントするなんて相当ですよ。これ立て直しできるんですかねえ? 能力でいうなら、世代でリバティアイランドのライバル筆頭になり得たのは彼女だったはずなんですけどね。クラシックでしのぎを削り、古馬になってもライバル同士で牡馬も蹴散らしながら二頭で勝ち負け、というのが理想だったはずなのですが……。

ともあれ、今回はスタニングローズの復活をお祝いしましょう。薔薇の再演、お見事でした。


第42回関西テレビ放送賞ローズステークス G2 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 中京競馬場2,000メートル(芝・左)


レース展望の方はこちら。

あーー、レガレイラ、危惧していた不安要素が全部もろに出てしまった。
稍重で前有利の馬場。タイムは平均だったけれど、あれ逃げたセキトバイーストが一頭大逃げの形になったんで、後続はスローペースハマってるんですよね。というわけで、ペース展開的にも完全に前残り。
レガレイラは出遅れとまではいかないものの、相変わらず行き足がまったくつかずに馬群に置いていかれて最後方。結局、大外をぶん回すはめになり距離もロス。
上がりは33.1と勝ったクイーンズウォーク以外は軒並み34秒台だった中で圧倒的末脚を見せたものの、幾らなんでもここは届かず。5着まで。
レガレイラなら不利が重なってもそれでも差しきれる能力はある、という1番人気でしたけれど、ここまで役満揃ったら流石に無理でした。ダービーの二の舞いになっちゃいましたね。
能力は文句なしなんだけれど、これだけ出足が悪いとどうしたって展開に左右されてしまって、主導権を握れない。これでさらに成長してスタートから馬群についていけるようになるだけで、随分違ってくるんだろうけれど、今のままだと前が潰れる展開でないと厳しいかもなあ。

勝ったのはクイーンズウォーク。こういう展開になると、川田騎手の操縦技術が抜群に利くよねえ。
レース展開は永島まなみ騎手のレディーヴァリューが逃げる展開だと思われていたのだけれど、ここで藤岡佑介騎手のセキトバイーストが譲らず。
潰し合いになるのを避けて、レディーヴァリューが二番手に控えた結果、セキトバイーストがグイグイと止まらず前進して大逃げの形になりました。レディーヴァリューは無理してついていかず、セキトバを行かせる形に。
ところが、ラップタイムは1000メートルで1:00:3。完全に平均ペースなんですよ。一旦加速して引き離したものの、藤岡兄ってば600メートル地点でもう36秒台まで落としていて、ゆったりとした自分のペースに持ち込んでるんですね。
大幅に引き離された形になった後続集団は知らない間にスローペース。
この時点でもう後方の差し追い込み組は絶望的。
直線に入る段階でもセキトバにはまだ余裕あって距離も詰めきれていなかったので、後続も追いかけるタイミング遅れてましたね。
そんな中で先行後ろ目につけていたクイーンズウォークは余力十分。2番枠だったのにうまいこと内の荒れてる馬場は避けて走っていた上に、直線の進路取りもスムーズに外に行きすぎず内に入りすぎず、ちょうどバラけた馬群の良いところを選んでゴーサイン。クイーンズウォーク自身、出来に不安要素はなかったんでしょうけれど、それ以上に川田騎手のエスコートが完璧なレースでした。
まあレガレイラを除けば圧倒的な33.5の上がりを出してましたからね。レガレイラとクイーンズウォークの二頭が抜けていた、というのも正答だったのでしょう。
ラップタイムが13.0 - 10.8 - 12.3 - 12.2 - 12.0 - 12.1 - 11.9 - 11.9 - 11.8 - 11.9と、見事なくらい同じペース。これはやっぱり後方勢に厳しすぎる、そしてセキトバイーストを結局3着まで粘り込ませた藤岡兄のファインプレイでした。セキトバ、今までマイルしか走ってなかったのを考えると、よく頑張ったよなあ。力は一枚落ちると思ってたし距離も不安があると見てたんだけれど、とかく頑張った激走でした。
2着はこれも前。レディーヴァリューをマークして3番手につけていたチェレスタ7番人気が、一杯になったヴァリューを超えて、そのまましっかりと2着に入り込む形に。ベストの位置取りでベストの競馬をした結果、でしょうね。展開に恵まれた感はありますけれど、それでも結果は結果です。
4着は、タガノエルピーダ。これもチェレスタとだいたい同じ位置につけていたんですけれど、エルピーダは直線でラチ沿い最内を走らなきゃいけなくなっちゃったんですね。荒れてる場所を走ることになり、これが最終的に響いたのかも。荒れながらも前残りある内側の馬場でしたけれど、それでも4列目くらいより外側の芝と比べたら不利ですからね。それでも4着。前回オークスの大敗は払拭できたんじゃないでしょうか。
で5着にはぶっ飛んできたレガレイラ。
6着にはレディーヴァリューが一杯になっていながらも落ちきらずにここまで粘ってる。
7着にはラヴァンダ。この子も前目にはつけていたんですけれど、スタートで不利くらったのかゲート出てから遅れちゃったんですよね、この子。そこから足使って前まで進出したのはこの展開を考えるならこれ以外なかったと思うのですけれど、ちょっとこの消耗分が響いたのかなあ。
もともと力のいる馬場で後方追い込み勢、それなりにパワーと実力が要求されるレースでしたけれど、そこにこの展開が加わってしまったら、やはり差し追い込み勢は軒並みアウト。
カニキュル、オーロラエックスも初手からだいぶ後ろからになって馬群に包まれてしまいましたから、もう成すすべなし。オーロラはもうクイーンズウォークに押し負けずに前譲らず内に押し込むくらい出来てたらまた違ったのかもしれませんけれど、そこまで馬体まだしっかりしてなかっただろうからなあ。
まあここは後方勢の結果はいささか度外視はしておいたほうがいいかもしれません。それでも、最後方からあれだけ追い込んできたレガレイラとは、やっぱりスケールが違ってしまいますなあ。


第91回東京優駿 日本ダービー G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 東京競馬場2,400メートル(芝・左)

デサイルっ、デサイルっ、ノリさんだーーーっ!!!

直線最後、ミラノが前を捉えようとしたその時に、既に内ラチ沿いをシュガークンとエコロヴァルツを食い破るように突き抜けようとしていたダノンデサイルの方に目が釘付けにされました。4ハロン棒の時点でこれはデサイル、勝ち負けだ! と確信させられる迫力でしたし。
うおおお、ダノンデサイル、多くの人が口を揃えて調教ヤバい、変わり身凄い、と発していたので注目はしていたのですけれど、それでも3着までと思ってたんですけどね。ここまで強かったとは。

ダノンデサイルは、1月の京成杯で今回4番人気となっているアーバンシックを二着に退けて皐月賞に挑みました。が、レース直前鞍上の横山典弘騎手が歩様に違和感を感じて、出走を取りやめちゃったんですね。生涯に一度しかチャンスがないクラシックレースで、明確な異常がないにも関わらず馬の安全を考慮して出走を断念する。なかなか出来ない決断だったのですが、今回この結果を持ってその判断が正しかったのだと証明する形になりました。馬のことを第一に考える横山典さんらしい英断だったわけですけれど、その返答がこういう形で返ってくるとはねえ。武騎手の記録を超えて最年長G1記録の更新、さらに最年長ダービージョッキーの誕生ですよ。御年56歳。レジェンド武豊が目立つけれど、このヒトもまー意味わからんレベルのレジェンドだよなあ。
でも重賞は毎年相応に獲ってるものの、G1はほんと久しぶりだ。中央のG1となると2017年のNHKマイルカップのアエロリット以来。アエロリットかー。この馬も古馬になってからもずっとマイルから中距離戦線の牝馬のトップランナーとして活躍したいい馬だったなあ。


さて、改めて今回の日本ダービーについて語っていきましょう。
まずはレース当日までの各馬の情勢などから。

クラシックの一冠目。皐月賞、これを制したのはジャスティンミラノ。
ちなみに皐月賞が行われる前の雰囲気としましては、どんぐりの背比べ。むしろ紅一点殴り込んできた牝馬のレガレイラが一番人気になってたんですよね。というのも、彼女は2歳の頂点を決めるホープフルSを牝馬ながら参戦したうえで完勝。この時点でどの牡馬よりも自分が上だと証明してみせたわけです。
一方で2歳時に将来のクラシック候補として評判を集めた馬たちは、いまいち評判通りに活躍できず、また成長が遅れていて二の足を踏んでしまい、前哨戦は思わぬ伏兵が勝つことも多くて、果たしてトライアルレースを勝った馬は本当に強いのか、負けてしまった評判の馬たちは評判倒れなのか。ともかく評価が混沌としてしまったわけですね。
そんな中で、朝日杯を勝ったジャンタルマンタルを共同通信杯で下したジャスティンミラノが、強い相手に勝ったしこの馬もかなりのもんじゃあないか、とされて2番手評価を受けていたわけです。
ただ皐月賞の時点ではミラノはスローペースしか経験しておらず、ハイペースが想定されていた皐月賞向きではない、とされてたんですね。そもそもペース早くなったら追走できるのか、って。また走法や血統もどちらかというと東京2400向きだからダービーが本番、なんて言われていたわけです。
ところが、ミラノはそうした評判を覆してべらぼうに早くなって向かないと思われた展開を、余裕で前につけてあっさりとレコードでぶっちぎって勝ってしまった。
ちなみにこの時3着になったジャンタルマンタルは先日のNHKマイルで快勝しましたから、距離の問題はあったとはいえ文句なしに強い馬です。
そんなジャンタルに共同通信杯に続き完勝してみせた。向かないはずの展開をもろともせずに、向かないはずの舞台で。あれ? ジャスティンミラノってべらぼうに強いんじゃないのこれ!?
と、皆が新星の出現に愕然とさせられたのが、皐月賞だったのです。
亡き藤岡康太騎手が調教パートナーを務めたこともあって、感動の皐月賞制覇となったんですね。

ちなみに皐月賞のレース回顧がこれですね。



というわけで、大勢としてこのダービーはジャスティンミラノの一強だよっ! という声が強かった。まああれだけのパフォーマンスをみせたミラノ、むしろジャストフィットするのはこのダービーの方だよ、となればそれも当然。
戸崎騎手のダービー初制覇も間際だよ、という雰囲気……かというと、うむ。実のところ、2.2倍という人気は十分ではあるんだけれど、圧倒的とまではいかないんですよね。
実際にレースを迎えるとなるとあらゆるデータをほじくり返してくるのが、予想屋さんたちです。
ミラノは血統的にもダービー向き、とされながらも、焦点を父キズナに絞ってみるとこれがまた東京競馬場で全然重賞成績良くないんですよ。いや、それに関しては他のキズナ産駒……今回やたらとキズナ産駒の出走馬多かったので、そっちは気にしておいて良かったんでしょうけれど、ミラノに関しては共同通信杯で東京競馬場走って完勝してるんで、彼個人はあんまり考慮しなくていいデータだったかもしれません。ただ戸崎騎手が、ダービー勝ってない。初勝利間近、というのは期待膨らみますけれど、一方でこれまでずっと勝てなかった、という事でもあり……こういう勝てない呪いってほんとに続くんですよね。そういう意味でも、馬自身よりもそれ以外の要素で微妙な不安が消しきれない、という雰囲気はあったと思います。
間違いなく強い! しかし絶対視は出来ない、という塩梅ですか。

皐月賞とは違うんだよ皐月賞とはっ、と意気込んでいたのが2番人気レガレイラです。牝馬ながら牡馬クラシック参戦した紅一点、2歳チャンピオンでしたが。皐月賞では相棒のルメール騎手がドバイで怪我、という影響がこっちにも波及していて、皐月賞本番では乗り替わりが発生。馬群を縫って前に出るのに少し手間取り、結果6着に終わってしまいます。回顧記事にも書いてますけれど、皐月賞のハイペースも合わなかったんじゃないでしょうか。
しかし、今回は鞍上のルメールが戻りました。これは大きいです、ほんと大きい。ルメール買っときゃだいたい当たる、は真理です。それくらいほんとにこの人は上手い。
それに、今回は切れ味勝負になりそうですし東京競馬場向きという意味ではスワーヴリチャード産駒の彼女はミラノ以上だったかもしれません。

また、三歳のこの時期ってまさに成長期の真っ只中なんですよね。夏を経て秋に別の馬みたいになって現れる、みたいなパターンも多いのですけれど、皐月賞からダービーまでの一ヶ月前後でまさしく一変してしまう、という馬も少なくありません。
先週、オークスを勝ったチェルヴィニアなんかもそうでした。
今回も前走からまるで見違えた、という馬が何頭かいたようです。ちなみに、自分は馬体とか調教とかパドックとか返し馬とか見てもさっぱりわかりません、けっこう長い年月競馬見てきましたけれど、未だにさっぱりですね!
というわけで、自分で見て確認したわけじゃないのですが、こういう時は情報の集積です。昨今は競馬新聞だけではなく、ブログやSNS、コラムにYouTubeと様々なところで色んな人がコメント出しています。同じ調教見てもみんな見解違ったりするのですけれど、それでも集まった情報を俯瞰してみると傾向というものは見えてきますし、あれ?この馬ちょっと今回凄そうだぞ!? という意見が多方面から吹き上がっていることも観測できます。
今回特に前走とまるで違うぞっ!? という声が多方面からあがっていたのを観測できたのが、5番ダノンデサイル。8番アーバンシック。13番シンエンペラー。そして14番のゴンバデカーブースでした。9番のダノンエアズロックも一度調子を崩していたのを前走のプリンシパルSで快勝したように復調してきた、という向きの話は盛り上がってましたけれど、明らかに以前よりもワンランク上に覚醒したような話題があがっていたのが上記四頭でしたね。
コンバデカーブースは中2週でNHKマイルカップを激走したばかり。正直NHKマイルの時は調子かなり悪かったみたいで、それでも4着に入ったのはむしろ能力凄いよね、という話になっていたのですが、まさかのダービー参戦。いや流石にローテきつすぎない?と思ったのですが、これがむしろNHKマイルの出走が休み明けの一叩きになった感があって、ここにきて急上昇、本格的に二歳時に世代最強の一角と言われた才能を発揮できる態勢になってきている、というご様子でした。
体がようやく仕上がってきた、という意味ではシンエンペラーもそうで、これまで体がまだできあがっていなくて才能だけで結果を残してきたのが、皐月賞のあとようやくこれ本格化してきたよ。本気で走れる体になってきたよっ! と心身の充溢を伝える話が聞こえてきたわけです。
んで、とにかく調教の走りがヤバい、なにこれ凄い走ってるよ!? 別馬!? 別馬!? とあちこちから驚き混じりの声が飛び交っていたのがダノンデサイルであり、同じく今回の仕上がりが一等ヤバいっ、打倒ミラノがあるのはこの馬だろう、という凄まじい強者感を出していたのがアーバンシックでありました。
特にアーバンシックは、皐月賞で六番人気と脇ポディションだったのが、今回四番人気ですけれど明らかにミラノの対抗馬候補という雰囲気でしたね。或いはレガレイラすら上回る形で。
あ、最終オッズシックスペンスと並んで三番人気になってたのか。

そのシックスペンスは、というと……三番人気なんですけれど、不思議と自分の観測範囲ではほとんど話題にもあがってなかったんですよね。なんでだろう。ただ戦歴もスプリングSから皐月賞も出ずにダービー直行というローテ。これが満を持して、という感じでもなくて。ミラノと並んで二頭だけの無敗馬だったのですけれど鞍上・川田ゆえの人気、という印象でした。
ダービー直行という意味では皐月賞回避したダノンデサイルの方が休養期間長かったんですけどね。実際、九番人気というのはそこらへんにも原因はあったのでしょう。ノリさんも、G1という事を考えると最近の成績を見てもなかなかプラス要素とは言えなかったからなあ。

取り敢えず人気で並べると
一番人気ジャスティンミラノ
二番人気レガレイラ
三番人気アーバンシック
同率シックスペンス
五番人気ダノンエアズロック。エアズロックは鞍上がマジックマン・モレイラというのも大きかったんでしょう。トライアルがプリンシパルS経由の馬は歴史的にも成績よくありませんから。エアズロックが高額購入馬としてデビュー時から評価も高く、プリンシパルSの勝ち方も強かったですから、過剰人気とは言えないですけれど。
六番人気がコスモキュランダ。皐月賞で2着に入った実績を考えるならこの評価は低いっちゃ低いとも言えるのですけれど、鞍上がモレイラで皐月賞の乗り方が神騎乗と呼べるものだったのを考えると、妥当とも思えます。アルアイン産駒の星なんですけれど、距離的に皐月賞がベスト、という向きもありましたし。ただ、アルアインってダービー馬シャフリヤールの全兄であるので適正がないかというと……。でもアルアインとシャフって兄弟なのに全然違うんだよなあ。
7番人気がシンエンペラー。この馬も才能は認められながら、それを発揮しきれないでここまで来た……って、いや戦歴みると悪くは全然ないんですけどね。7番人気は低いだろう、と思いつつも上の並びを見ると、まあ、うん、となってしまうわけで。でも、本格化の気配はあったわけですしね。この時期の馬の成長はほんと三日会わざれば刮目して見よ、なくらい急変があるだけに油断できません。
8番人気はシュガークン。武豊のお手馬ですね。デビュー当初からあのキタサンブラックの弟だっ!てことで注目は集めていたのですけれど、この血統は総じて晩成型が多かったんで、むしろ新馬戦で2着。2戦目で勝利、とかなり早く勝ち上がったなあ、くらいの印象でまさかクラシックに参戦してくるとは思わなかったんですよね。それが参戦どころか青葉賞を快勝。だいぶ驚かされました。
とはいえ、青葉賞組の関西馬はなかなか実力を発揮できないのが長年の傾向です。馬としての人気はけっこうあると思うのですけれど、それが馬券の人気につながるかというとそのへんはシビアな競馬ファンなのであります。
ちなみにシュガークンのクンってなかやまきんに君とかの君じゃなくて、フィンランド語で「時」を意味する言葉だそうで。砂糖時間……甘い時って、めちゃくちゃスイートな名前だなw

あとは、皐月賞まで無敗だったサンライズアース。
トライアル京都新聞杯の勝馬であるジューンテイク。
世代でも最強クラスの追い込みを決める脚を持つきさらぎ賞馬ビザンチンドリーム。
これまた2歳時には世代最強候補の一角だったミスタージーティー
クラシックの登竜門で後に歴代勝利馬には名だたる名馬が並んでいる若駒Sの勝ち馬サンライズジパング。
これがダービー初騎乗となる鮫島克駿騎手がまたがるショウナンラプンタ。
そして朝日杯FSでジャンタルマンタルの2着に入る実績があるエコロヴァルツ。

この18頭で日本ダービーは行われました。



……違う、18頭じゃないんだ。
一頭メイショウタバルが挫石…蹄が炎症、内出血を起こす症状だそうで。のために金曜日に出走取消になっちゃったんですね。毎日杯で凄い逃げて勝った馬。皐月賞でも大逃げをカマし、このダービーでもこのタバルがレースを引っ張ることになる、と目されていた馬でした。

そう、直前でレースを牽引する予定の馬がいなくなっちゃったわけです。
シュガークンをはじめとしてこれまで逃げた事がある馬はいましたが、どれも本職ってわけじゃありません。
明確な逃げ馬不在、かわりに引っ張るような馬も不在。となると、誰かがやったるぜーっ、と一発逆転を狙ってか逃げを打つという奇策にうって出ない限りは、お互いに様子を見ながらのスローペースが予想されました。

この時点で騎手や関係者諸氏は頭悩ませたでしょうね。はたして、この予想される展開でどう立ち回るべきか。

天気は快晴、馬場良好。内外はもう関係なかったかな。
レースは大方の想定通り武豊のシュガークンが端を切るかな、と思った所で大外18番から岩田康誠騎手騎乗のエコロヴァルツがまさかの強襲。一気に先頭に立ち、エコロヴァルツが馬群を引っ張ることに。シュガークン武豊はこれを見て、さっと前に出る動きを抑えて先行集団に落ち着けるんですね。
注目はこの時点でノリさんがデサイルを番手につけたこと。場合によっては自分が先頭に出ることも辞さないつもりだった事はインタビューでも語っていますが、この時にもう絶好の位置につけてたんですね。
これは予想外に荒れる展開になるか!? と、思ったのですが、岩田パパはそこから無理に飛ばすことなく、すぐにスピードを絞ってペースを落とす。
その後ろにデサイルがつき、だいぶペースが一気に落ちたのを見たのかシュガークンもデサイルの外側に、エコロヴァルツを見る形で。
スローペースを見越したんでしょう、ミラノ戸崎も早めに前につけようと馬を押し上げてきます。
コーナーの時点で川田が武豊の真後ろに付けているのも、この展開を見るに最良のポジショニングと言えるでしょう。実に川田らしい位置取りであります。
意外だったのがルメールレガレイラ。1コーナーから2コーナーの時点で11番手あたり。中団後方。思ったよりも後ろだった。レガレイラの脚や馬群の捌きの上手さを考えるなら、確かにそこは悪くない位置なんだけど、ペースを考えるとそこはちょいと後ろだ。
アーバンシックはさらに後方。いや、レガレイラはともかくとしてアーバンシックの方はほんと後ろすぎない!? 脚質考えるとどうしても追い込みなんだろうけど。出遅れというほど出は悪くなかったし、エコロヴァルツが果敢に前にいった事でスローペースにはならない、と見たのかな。
実際は、向正面での馬たちのあのゆるゆるの走り方を見て、これ明らかに遅すぎじゃない!? と素人目にもわかるくらいのスローペースに。いや、ほんとに見るからに遅いよ!という走り方でしたからね、あれ。ハロンタイムに13.1と13秒台が入ってる。昨今3000メートル以上のレースでもあんまり見ない数字だぞ。結局1000メートルの通過タイムは1分2秒2。凄まじいスローペースになりました。
こうなってしまうと、馬群の後ろの方に居る馬は直線でどれだけ追っても前に追いつけなくなる。スローなんで全頭余力を残したままヨーイドン、となるために差し脚に差がつきにくくなるから、ギアを入れる位置取りが前でないと届かないのです。
あっ、これはあかんぞ!? と気づいて迅速に方針転換したのが、最後方とブービーの位置にいたコスモキュランダのミルコ・デムーロとサンライズアースの池添くんでした。彼らは後方一気に早々に見切りをつけて、向正面で加速、馬群を外から躱して一気に先頭集団に取り付きます。
その判断が間違っていなかったのは、コスモキュランダが6着、サンライズアースが4着まで粘って入っている事からもわかるでしょう。この時動かなかった後方集団はレガレイラを除いてほぼ下位に壊滅しています。その中にはダノンエアズロックやアーバンシックも数えられます。まあエアズロックはあの内側の位置からあの時点でお仕上げていくのは難しいからなあ。
アース池添が一気に先頭にまで襲いかかったことで、ここからペースは急上昇。直線入ってからヨーイドン、とならずその前の段階から皆が加速し始めたのである。ペース遅かったわりにこっからスタミナも要求されたことになるのか。
キュランダもアースも脚を使った分消耗はありますし、前で引っ張ったエコロヴァルツも後ろを引き離してのスローペースじゃないんで、彼もオツリはそこまで残っていなかったでしょう。
こうなると、ベストもベストの位置で力を貯め発揮できたのはジャスティンミラノであり、ダノンデサイルだったわけです。シュガークンも武さんベストを尽くしたよなあ。これは文句なしの騎乗でした。あとはまだ馬の力が足りていなかった。デサイルとミラノの強襲に耐えられずに後退。シュガークンはやっぱり秋以降か古馬になってからが期待ですかね。
直線残り400の位置でミラノがGOサイン。前は大きく進路が拓き、エコロとシュガーはまだ余力はあれどここから切れる脚はない。ここより後ろの連中はそれこそ位置が後ろ過ぎる。豪脚を見せてもミラノがミラノの走りを見せたら届かない。これは再び完勝かっ、と思った瞬間、視界の右端に内ラチ沿いからエコロとシュガーの塊を抉るように内に潜り込む赤い帽子が映り込む。
その勢い、その迫力たるや、外からまくってくるミラノを上回るオーラ。俄然、視線は内ラチ沿いを食い破ってくるダノンの勝負服に惹きつけられる。

「デサイル、デサイルだっ!」

思わず声が出た。
ミラノも伸びてるんだが、完全に脚が違う。ほぼ同じ位置から加速したのに残り200の時点で明確な差がついていた。
これは届かないっ。無理だ。

「デサイルだっ、ノリさんだぁぁ!!」

残り100メートルの時点で絶叫してしまった。
早めに前に出て粘った勝ちじゃない、明らかに強者よりも凄い脚で突き抜けた。9番人気人気薄でも、間違いなく強い勝ち方。ここだけの一度の輝きじゃない、世代最強を名乗るに相応しい、ダービー馬らしい勝利だった。
ダノンデサイル。安田 翔伍調教師に初の中央G1で初のダービーを送ることになりました。そしてダノンの冠についにクラシックを、それもダービーの冠を与えることになったわけです。
ダノンというと、朝日杯やホープフルは勝ててたんですけどね。クラシックではどうしても届かなかったのが、ついに届いたか。

2着にはジャスティンミラノ。戸崎、ダービーは遠かった。乗り方しくじったようには見えなかったんだが、1着は遠いなあ。
とはいえ、まだまだこんなもんじゃない。繊細な皐月賞馬だけで終わる馬じゃないので、これからですよ。

3着にはシンエンペラー。上り2位の差し脚で追い込んできた。ここで3着入るだけの実力を示せたのは大きいよ。本格化はマジですよ。秋以降は最上位の一角に食い込んでくる。

4着サンライズアース。序盤最後方にいたのに、向正面で十数頭抜き去って逃げてるエコロとその後ろのシュガーに並ぶまで食いついてきたという凄まじいレースをしながら、そのまま落ちていったエコロとシュガーを尻目に最後まで粘りきった。何気にエグいレースしてませんかね!?
調教でも抜群の仕上がりをみせていたようですし、馬を仕上げたスタッフと池添騎手の好騎乗の賜物でしょうか。皐月賞では惨敗しましたけれど、この馬もこれは逸材ですよ。

5着にはレガレイラ。これはポジショニングにつきるなあ。あの位置に入ってしまったのが辛かった。途中で動かせなかったですもんね。
にも関わらず、他の後方勢が壊滅する中でなんできっちり5着まで食い込んでるんですかね、このお姫様は。上り3F33.2で17頭中最速を記録。バタバタせず、直線で前があくまで我慢し、外を回さず当初の予定通り内側から食らいついていったルメールのリカバーも考慮に入れねば。
実力不足ではなく、展開が向かなかったなあ。

6着はコスモキュランダ。展開や距離の不安を考えれば、皐月賞2着の実力は証明できたと思われる。デムーロも出遅れなければもう少し前の位置から競馬出来たかもしれないのがちと勿体ない。

7着にシュガークン。これはもうちょいおとなになってからですねえ。
8着エコロヴァルツ。最低人気だった事を考えるなら、逃げに打って出てこの位置に残した岩田パパの判断は正しかったのでしょう。果敢に攻めた結果であります。朝日杯FS2着ですからね、このまま沈むのも勿体ないですよ。
9着にシックスペンス。位置取りは十分上位に食い込めるポディションだっただけに、ズルズルと沈んでしまった以上は現状ではまだ力不足か、仕上がっていなかったか。折り合ってもいなかったみたいですし、さすがに3番人気は過剰だったかと。

アーバンシックは11着。さすがにこのペースであんな後ろではさすがに勝負にならなかったか。
ゴンバデカーブースは13着。道中までいい感じに思えたんですけどね、直線で息切れしてしまったみたいで。調子が良かったのは間違いないみたいなので、やはり距離が長かったか。レースの疲労って調子とはまた別の、ここぞというスタミナに出ることもありますからねえ。

ダノンエアズロックはレース後のコメントみるとずっとテンション上がっちゃってたみたいですね。こっちもレース間隔の短さがこういう形で出てしまったんでしょうかね。


なにはともあれ、横山ノリさん、ダノンデサイルおめでとうございます。世代の頂点ですよ、頂点。
新たな主役の登場ですなあ。これは秋以降も盛り上がってくるぞ。3歳ってのは次々新星が現れるのが毎年楽しいや。




第84回皐月賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

藤岡康太騎手が亡くなられてから最初の競馬開催週。今まで見たことのないピンと張り詰めたような沈んだような空気感でした。騎手の方々もスタッフの方々も緊張感というよりも、グッと溢れ出てくるものを我慢しているような雰囲気で。
それが決壊したとき、もう耐えられん感じでみんなボロボロ泣いてた。月曜日の合同葬のときもみんな泣いてたし、テレビやYouTubeなどでも堪えきれんと泣いている人たくさん居ました。
ほんと、それだけ藤岡康太くんの人柄が偲ばれるというものです。辛いなあ。

悲しみを飲み込んで、皆さんは競馬を続けていかれます。
クラシック第一弾、皐月賞です。

今年の前評判としては、3歳世代は牝馬の方が強くて牡馬の方はちょいといまいちなんじゃないか、みたいな言も流れていました。
ホープフルステークスを牝馬ながらに勝ったレガレイラが桜花賞ではなく皐月賞に参戦、というのも勝てると踏んだからなのでしょう。尤も、阪神芝1600メートルよりも中山芝2000の方がレガレイラの適正に合っているから、という判断だったからなのでしょうけれど。
いずれにしても単勝1番人気が皆がその実力を認めていた、という事を証明していたと思います。

2番人気はジャスティンミラノ。まだ2戦ながら2戦目で共同通信杯を勝利。この馬、友道厩舎の馬なのですが、友道厩舎では有力馬の調教を藤岡康太くんに頼むことが多く、ミラノの仕上げに跨ったのも康太くんだったそうです。
無敗で皐月賞に挑んだ馬はミラノの他にサンライズアーズ、きさらぎ賞を勝ってきたビザンチンドリームと他に二頭いましたが、共同通信杯で2歳牡馬チャンピオンのジャンタルマンタルを下して勝ち上がってきたミラノは、1段階強い馬と見られていたと思われます。
ただ不安点としましては、新馬戦、共同通信杯ともにかなりのスローペース。特に後者は勝ったミラノが上り32.6を記録。というか全頭33秒台で上がってきた完全後傾戦だったんですね。
つまり、速い流れのレースを今まで走った事がない馬だったのです。血統的にも良馬場のスローが一番力を発揮できるレースだろう、と言われてた感じで。

そして、この日の中山は爆速速い馬場でした。8レースの2勝クラス 牝馬限定戦で1:58.2と余裕で2分台を2秒近くぶっちぎるようなレースが出てましたからね。
とかく前目につけておかないと、とても後ろからはまくっても追いつけないのが今日の中山であり、そうなるとどの馬も前につけたがるので全体的にまた速くなるという、まあ馬のスピード、巡航速度が試される皐月賞だったんですね。

とどめに、逃げるだろうなと思われていて実際に逃げたメイショウタバル。これが重馬場の毎日杯を良馬場かよという好時計でぶっ千切って勝ってしまった馬で、4番人気と人気も高めでした。
ところが、このタバルがテンション上がってしまって、掛かってしまったんですね。鞍上の浜ちゃんも康太くんの同期という事もあって気合はいりすぎてたんじゃないか、みたいな事も言われてたりもしますけど、さすがにそんな事はなかったでしょう。向正面入る辺りで重心が後ろによって手綱引いて押さえようとしているらしき所が伺えます。でも全くペース落ちず息を入れられないまま、1000メートル57秒5という超ハイペースの時計を叩き出してしまった。
タバルは直線で早々に力尽き、最下位にまで落ちてしまいます。実力は間違いなくあるんでしょうけれど、これはまたコントロールが難しそうな馬が出てきたなあ。

ともあれ、ただでさえ速い馬場で暴走気味に先頭が逃げたために、完全にこれこの早い流れについていける馬と、ついて行けない馬に別れちゃったんですよね。
レガレイラは、この速いペース無理だったんでしょう。スタッフの人がまだトモが鍛えきれていなくてスタートが遅れてしまい二の足がつかない、というような事を仰っていましたからね。北村騎手が最後大外ぶん回さなくてはならなくなったのも、このハイペースでの位置取りがあそこになってしまった以上、仕方ない部分もあったかと。うまい騎乗ではなかったかもしれませんけれど。

んで、これまでゆるい流れしか経験したことがなかったのに、あっさりとこのハイペースに追走して前目につけてしまったのが、ジャスティンミラノなのであります。
元々距離不安もあり、限界ギリギリのタイミングで攻めて前残りを狙ったジャンタルマンタル・川田をゴール前で悠々と躱して、1:57.1というレコードタイムでクラシック一冠目を戴冠。
……あれ? ちょっと待って。このジャスティンミラノって……無茶苦茶強くない? スロー展開で後方から強烈な末脚を決めることもできれば、追走できない馬も出てくるほどのハイペースの流れに悠々と乗って、ほぼほぼ馬の現状の最大能力を引き出し、これしかないという展開に持ち込んだであろう、モレイラのコスモキュランダ、川田のジャンタルマンタルを相手に完勝と言ってイイ勝ち方をしちゃったんですから。
思ってたよりスケールが2周りくらい大きい馬なんじゃないの、この子。
ストライドも大きいですし、本来なら中山2000よりも東京府中は2400の方が合ってるタイプと言われていたにも関わらず、中山の方でこの勝ち方。じゃあダービーになったらどうなるんだ!?
これは下手をするとソングラインを超えてキズナの代表産駒になるかもしれない器ですよ。クラシックはじまって、牡馬の方にも大物感感じさせる馬が出てきた。

2着は弥生賞勝馬のコスモキュランダ。なかなか最近では本番に繋がらないステップレースなんですけれど、今の中山のスピードに乗れるタイプの速い馬だったんじゃないでしょうか。それ以上に、モレイラ騎手のポジショニングがちょっと極まってるんだよなあ。ルメールが怪我でしばらく休養する以上、これモレイラ騎手無双になりますよ、さすがマジックマン。
3着はジャンタルマンタル。正直絶対距離持たないと思ったし、実際1800で限界っぽい走り方だったんだけれど、それでも踏ん張るマンタルの根性とそれを引きずり出す川田の騎乗の凄まじさ。
ただこれ、本当にここが限界の限界、上限でしょう。もう2000メートル走らすこともないかもしれない。そして最大限の力を発揮しても3着というところ。いやむしろよく3着持ってきたよ。

4着はアーバンシック。レガレイラと血統的にほぼ同じ、母が姉妹で8分の7一緒なんでしたっけ。そういう話で話題にあがってたんですけれど、現段階の完成度でいうならレガレイラより上だったかもしれない走りっぷり。そして伸びしろもこれ、レガレイラに負けてないでしょ。将来性で言うなら、ミラノに追随するのがこの馬なんじゃないだろうか。
5着には最優良血馬のシンエンペラー。兄姉がアメリカやヨーロッパのG1勝ちまくってる、世界でも頂点級の良血馬です。全兄がフランスダービーに凱旋門賞勝ったソットサスですよ。
とはいえ、さすがに欧州血統にこのウルトラハイペースをどうにかせい、というのは酷。むしろ展開も馬場も向かないだろうに能力だけで5着まで持ってきているあたり、よう走っとる。ってか、この子もう海外中心で走らせた方がいいんじゃないだろうか。超赤字になるかもしれないけど。
そしてレガレイラは6着。上り最速でここまで繰り上がってきたのですから、能力不足ではないでしょう。木村調教師は調教の仕方間違えてた、と仰ってますけれど、はてさて。まあ馬の調子自体満足いってなかった感じの物言いでしたね。これはオークス路線になるのかな。






第40回ホープフルステークス G1 レース回顧  

2歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

朝日杯フューチュリティステークスが芝1600で、ここを走った馬の少なくない数がマイル路線や短距離に向かうのに対して、旧ラジオたんぱ杯→ラジオNIKKEI杯2歳ステークスの変遷を経てきたこのレースはより顕著にクラシックを意識しているレースと言える。
と言っても、たんぱ杯からホープフルに変わりG1となって以降、勝利馬からは皐月賞を勝つサートゥルナーリア。三冠馬コントレイルを輩出したものの、初代G1馬のタイムフライヤーはダートへ。ダノンザキッドはマイル路線。キラーアビリティはローカル重賞を遍歴する事になってしまった。いや中央もちゃんと走ってるんですけどね。そして去年のドゥラエレーデに至ってはサイコロの旅に出てしまった。
G1になって6年で、以降クラシックを勝ったのが2頭というのは打率として微妙とまでは言いづらいか。ただ順当に中長距離の有力馬となり得ていないケースは多いと見ていいんじゃないかと。
ダノンザキッドにしてもドゥラエレーデにしても路線完全に変えちゃってますしね。
ただ、勝ちに届かなかった馬、全然上位に食い込めなかった馬でも後々G1馬になった馬はけっこう居ますので。パンサラッサにジャスティンパレス、タイトルホルダーと今年に至るまで競馬界を引っ張るような超大物に育つ馬がこのレースを経由していた、というのは覚えていてもいいかもしれません。

さて、今年はというとホープフルS始まって以来の初めてとなる牝馬が勝利をかっさらっていきました。
ルメール鞍上のレガレイラ。後方でじっくりと脚をためて、4コーナーで外に膨らみきらないように曲がって直線で前の空いた外に持ち出し、一気に脚を爆発させ後方一気で前を一掃。んまあ、強い勝ち方でした。
本命の一角と目された松山くんのゴンバデカーブースが風邪引いておやすみ、というのを含めて2頭の出走取消がありましたけれど、他の牡馬を寄せ付けない貫禄の勝ちでありました。
レガレイラは来年、牝馬ながら皐月賞参戦を匂わせていて、牡馬クラシックへの殴り込みを画策している模様です。
現状では2歳牡馬戦線は朝日杯フューチュリティステークスを勝ったジャンタルマンタル。
ホープフル2着のシンエンペラー。
今回出走できなかったものの、出世レースのサウジアラビアRCを勝っているゴンバデカーブース。
朝日杯2着のエコロヴァルツ。
他にダノンエアズロックや札幌2歳Sを勝ったセットアップ。朝日杯で大暴走しちゃったけれど、素質はぴかいちのシュトラウス。
このあたりが有力どころですか。
矢作師匠に怒られてたけど、坂井瑠星のミスタージーティーもちゃんと走らせれば馬券圏内はあったぐらいの脚はあったんで、けっこう将来性ありそう。
アドミラルシップも低人気覆して4着入ってるあたり、見込みあるかしら。姉のライラックと同じくしぶとく根性ありそう。
2着にシンエンペラーはムルザバエフがだいぶ無茶して過怠金取られてましたが、早め先頭に立ったことでだいぶフワフワしちゃったみたいですね。最後までびっしりちゃんと走ったらこれ普通に勝てててもおかしくなかったでしょう。
3着のサンライズジパングはずっとダート戦で走ってた馬なのに、いきなり芝2000で3着に入ってきたのはちょっと驚き。いや、スムーズどころか道中なんども不利食らってたのに食い込んできましたからね。
まあ年明けてから伸びてくる馬も沢山いるので参考程度ですけれど。
まだこうドカンと今の段階でど迫力を放っているようなオーラを持つ馬は見当たらないだけに、レガレイラ皐月賞に出ても人気集めるかもしれませんね。

タリフラインは残念ながら骨折で競走中止。予後不良となってしまいました。サトノダイヤモンド産駒として躍進を期待したい所だったのですけれど。残念です。


 

10月8日

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