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一迅社文庫

折れた聖剣と帝冠の剣姫 4 ★★★☆  

折れた聖剣と帝冠の剣姫(4) (一迅社文庫)

【折れた聖剣と帝冠の剣姫 4】 川口士/八坂ミナト 一迅社文庫

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パルミアの第一王女アルトとの同盟は決裂し、再び独力で国作りを進めることになったルシードとファル。近隣諸国からの移民受け入れを増やし、徐々に勢力を増しつつあるアスティリアに懸念をいだいたルシードの祖国カーヴェルは、いまならば一戦交えればルシードらを滅ぼすことができると判断し、急な派兵を決定した。アスティリアに迫るカーヴェル王国の軍勢。その先頭にはルシードのかつての忠臣ライサンダー将軍の姿が。ルシードたちは経験豊富なライサンダー率いる軍勢を相手に己の国を守り抜けるのか!?
ほとんど一瞬しか登場しなかったライサンダー将軍の奥さんだけれど、その一瞬で全部持ってっちゃったんですけど! インパクトが強烈すぎる!!
元々貴族のお嬢様だったのだけれど、身分の割に行動力が凄い。と度々語られていて、人質にとられたあとも宰相の脅しにも屈しない毅然とした様子を見せていたので、若干アグレッシブなところのある活発な人なんだろうなあ、と特に意識もせずに思ってたんだけれど……ライサンダー将軍、行動力の言葉の意味間違ってませんか!? 完全にアレな人じゃないかっ。あのコンスタンスをあんなにビビらせた人初めてみたぞ。
でも、ライサンダー将軍のあの生真面目すぎて男女の機微に関しては疎そうな性格と奥さんのあの性格はマッチングしやすかったのかもしれない。ライサンダー将軍、奥さんの特異性を目の当たりにしていてもそれが異常なの全然気付いてない感じがするし。この調子だと、家でもメイドさんの類い居なかったんじゃなかろうか。
さて、今までで一番の危機を迎えることに成ったアスティリアだけれど、今まではパルミアとカーヴェルがルシードたちの行方を把握しておらず、国際情勢的にも軍を派遣できない状況だったからこそ悠長にやってこれたわけで、領土が二百人規模の村一つだけという状態で軍備どころか国らしい実態もない状態でまともな軍勢に攻め込まれてきたら、そりゃあどうしようもないわけでけっこう綱渡りではあったんですよね。
それでも、今までなんとか上手いこと立ち回ってきたわけだけれど、故国の簒奪者たちも早々見逃してくれているほどの無能者ではないわけで、この苦境はいずれは覚悟しないといけないところだったわけだ。
ヤバさで言えばパルミラのクログスター卿の方が人間ではないという怪しさも相まって黒幕感たっぷりなんだけれど、ルシードの故国のカーヴェルの方だって国を乗っ取った宰相も、王族を監禁してなお国を平穏に保って実権を得ているほどの人物なんだから、油断ならない相手だったんだわなあ。
でも、小物とまでは言わないまでも、あの妹姫コンスタンスに手綱をつけれるほどではないよなあ、これ。ライサンダー将軍を人質なんて使って言うこと聞かせようとしたり、とわりとせこせこしいてるところも見受けられるし。油断はならなくても、そこまで脅威ではないか。むしろ、ロンガヴェル将軍の方が一癖も二癖もあって怖い感じがある。軍略家としても将軍としてもルシードやファルと同レベル以上っぽいし。今回はなんとか打ち払えたけれど、あれはロンガヴェル将軍が竜という存在に対して殆ど知らなかったがゆえで奇策もいいところ。二度は通じなさそうだし、戦略的にはほぼ完敗でしたからねえ。ルシードの作戦も、戦う前から既に対応策の範囲内で収まってしまっていましたし。これは手強い。
アスティリア国、士官クラス以上は凄まじく充実しているのだけれど、とにかく兵数が全然いないのがネックなので、さてこれからどう人数増やしていくのか。今回の移民受け入れ計画が端となるんだろうけれど。
ルシードとファルの仲は、前回思いが通じ合ったのを気に、もうファルの方がデレッデレになってて以前からルシードには甘い所あったけれど、完全に浮かれてますねえ姫様。ルシードが相変わらず性欲にあっさり屈するあたりは笑ってしまいましたが。

瀬尾つかささんのシリーズも一迅社文庫では一端区切りとなってまた違うところで再スタートするのと同じく、本作もどうやらここで一端区切りとしつつ終わりじゃなくて、違うレーベルで出るようなことがあとがきに記されていたので、取り敢えず打ち切りじゃないみたいで一安心。
どんどん戦乱の気配が広がってきていて、面白くなってきたところですからねえ。


シリーズ感想

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない 2 ★★★★   

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない2 (一迅社文庫)

【高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない 2】 瀬尾つかさ/kakao 一迅社文庫

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書き換わった歴史の中、最善を尽くしつつ現代への帰還を目指すダナン魔導学院の生徒たち。古代文明の遺産を利用した積層都市アルフェで開催される西部都市の魔族軍対策会議にダナンからも人員を派遣するのだが、洞窟都市グリンデのハルメス・ザルダート議長はケーネの姿を見て驚愕する。「あなたこそ、今代の星の神子!」一方、エルドは歴史上の重要人物、魔族軍と苛烈に戦い最後のひとりまで殺し尽くした女将軍シルテシア・アルフェミティと出会う。しかし、エルドの前に現れたシルテシアは、まだ争いとは無縁の優しい母親でしかなかった。星の神子に祀り上げられたケーネの運命、後世に虐殺者として知られるシルテシアの真実、そして積層都市アルフェで蠢く陰謀の影とは―。

難しいところだよなあ。目の前で起ころうとしている悲劇を回避するために力を貸してしまうと、それがそのまま人間サイドの戦力を強化してしまいかねない。人魔大戦と呼ばれた大戦争に対するダナン学院のスタンスは、歴史の改変はもう仕方ないものとして、とにかく人も魔族も被害を少なくしたい、というものである以上、一方の必要以上の強化はより被害を拡大させかねないわけで。かと言って、手の届く範囲で多くの人が死のうとしているのを見過ごす、なんて割り切りが出来るほど学生たちは達観していないわけだし。
これは図らずも魔族側に入り込むことになってしまったガゼットも同じくで、とにかく出来ることをやって酷い有様の現状を改善していたら、著しく麾下の魔族軍が強化されちゃってるわけですし。でも、ガゼットってただのナンパなチャラ男かと思ってたら、どこのチート転生者かと思うくらい様々なジャンルに万能なんですけど、こいつ。全部、付き合ってた女の子から教えてもらったり、話を合わせるために習得したり、というあたりすげえとしか言いようがないんですが。
もしかして、戦闘特化型のエルドより主人公力高いんじゃなかろうかw 伊達に学園から離れてたった一人で魔族側に入り込むことになってしまっただけあるよなあ。助け得られないんですし。
それでも、使い魔を通じてある程度連絡は取れるだけマシなのか。エルドとガゼットの、立場も何もかも離れきってなお、あのお互いに信頼しきった親友関係はいいなあ、と思うんですよねえ。自分の命を預けるどころじゃない、自分の大切な人の命を預けられる、って大変なことだと思いますよ。
ダークエルフ姉妹の全幅の信頼を得ているとはいえ、秘密を抱えて一人奮闘しなくてはならないガゼットと違って、エルドたちはまだだいぶマシではあるんですよね。何よりも、この時代の人間でありながらダナン学園の秘密を知ってなお、味方になってくれたスピカ。時代に埋もれて後世には名前も残っていない彼女ですけれど、政治・智謀99はあって不思議じゃないんですよね。それが、ダナンのために全面的に力になってくれているわけで、この頼もしさたるや。何しろ、この時代の人間であり権力者サイドに立っていた娘ですから、各都市の上層部にも顔が通じてますし、何より国家間の事情や情報に明るい。ダナンの風紀委員長であるケーネも、末端とはいえ後世の統一帝国の皇族の一員であり、彼女も十分政治お化け、謀略妖怪の類いなんですけれど、政治力ってイコール人脈でもあるのでやっぱりスピカの存在は大きいんですよねえ。
まあ、そのケーネもまさかの「星の神子」認定によって、ただの政治交渉能力どころか、宗教系の影響力まで保持してしまったので、こちらはこちらで別方向から政治無双を発揮しだすのですが。
その星の神子認定も、どうやら帝国の血筋に関わりがあるようで、人魔大戦後の人類史においてケーネの帝国って相当裏で色々やってるみたいなんだよなあ。その原点が、丁度この人魔大戦まで遡ることを考えると、歴史上ではこの大戦当時では動きがなかったはずの冥神の使徒が暗躍している件も含めて、まだまだダナンがこの時代に来てしまった理由も絡んで、裏で大きな策謀が蠢いてるっぽいのよねえ。
ある意味、冥神の連中がダナンと同じステージに立っていることがわかった、ということそのものがこれから本番、という雰囲気を醸し出しているのですが……シリーズは一旦ここで一区切りのようで。
でも、また違う形で続き出します、と明言されているので、担当編集の移籍が要因だそうですけれど、これ一迅社文庫そのものの再編が絡んできそうだなあ。一迅社が講談社の子会社になった一件が、一迅社文庫に何の関わりもないまま、ということもあるわけないですし。

しかし、今回ひたすらスピカ推しだったですねえ。スピカのお兄さん登場によって、普段の賢さ爆発している余裕たっぷりの姿とは裏腹の年相応の感情を制御できずにプンスカしている可愛い面も見られましたし。
ケーネさん、ケーネさん、頑張らんとガチ婚約者にぜんぶ持ってかれますよ。当のスピカに全面支援してもらってるのになあ。とかそうこうしている間に、NEW婚約者になりそうな娘まで出てきてしまいましたし。続きが出るなら、ちゃんと巻き返していかないとw

1巻感想

折れた聖剣と帝冠の剣姫 3 ★★★☆   

折れた聖剣と帝冠の剣姫(3) (一迅社文庫)

【折れた聖剣と帝冠の剣姫 3】 川口士/八坂ミナト 一迅社文庫

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エルドームでの激戦から帰還したルシードとファル。長くパルミア、カーヴェルに伝わってきた聖剣伝承に疑念を抱く二人のもとにパルミア王国の政権を奪った将軍クログスターからの使者が現れ、ルシードらにとって困難な協力の要請を伝える。時を同じくして、ファルの姉にしてパルミア第一王女のアルトもまたルシードたちの前に姿を現した。正統なる王家の指導者としてクログスター政権の打倒をかかげるアルトは、妹のファルとルシードに合流を促す。いっときは兄弟姉妹のように育ったルシードらは快くアルトを迎え入れるのだが、姉であるアルトの隠すことのないルシードへの好意が徐々にファルの心を曇らせていく。再会を果たした王子と王女、4人の新たな体制は何をもたらすのか?!
アルト姉様、後々普通に合流するものと思っていたので、まさか合流したことで逆に昔のままの関係じゃ居られない、という現実の立場に基づく亀裂を入れてくるとは……。国を割る、国を起こすということは旧体制との決別を意味する以上、これはどうしようもないことだったのか。アルト姫からすると、あくまでパルミア王国の正統としての立場を譲らないのであれば、どう国内を改革しようと新しい国を起こしたファルと同じ道はもう歩めない。なまじ姉妹仲がいいだけにこの決別は辛かったなあ……。ただ、そこにルシードという男が絡んでいるだけに事態が余計に拗れているのですけれど。
ファルが生まれた国を捨てて新しい国を創ろうと思ったのはルシードが居たからで、彼が居なかったらそもそもどう国内で立場が追い込まれようと、アルトから離れることはなかったんですよね。そのルシードを一時的にでも手放してしまうことは、ファルにとって立脚点を失うことに等しい。
そんなルシードを奪おうとする姉は、どれだけ仲が良かろうと大切だろうと敵認定するほかないんだよなあ。まさか、こんな形で男の奪い合いが発生するとは思わなかったけれど。ハーレム展開はどうやったって無理なんですよね、二人の立ち位置からして自分の地位を捨てる以外にルシードを共有することが出来ない関係になってしまっている。
まあこれだけアルトが積極的で、なおかつファルの感情を刺激することになるとは予想外でしたけれど。もうちょっと緩やかにファルのルシードへの気持ちは成熟していくと思っていたから、相当性急にファルは自分の気持ちを自覚して、なおかつそれをフル駆動せざるを得なくなったわけで。アルト姉様、けっこう容赦無いですよね、こうして考えると。実質、可愛い妹から男を奪うのに殆ど躊躇らしい躊躇がなかったわけですから。それだけ、アルトも切羽詰ってたとも言えるのかもしれませんが。ファルが追放され自身も亡命政権を率いる事となり、一人で反乱勢力と内部の旧弊と戦わざるを得なくなったわけで、心から信頼し寄りかかることの出来る相手を欲するという意味では、飢餓状態だったのかもしれません。それが、あのルシードへの過剰なくらいのアプローチににじみ出てしまっていたのかと。
なかなか辛い道を歩いてるなあ。彼女がもっと姫としての立場に無責任なら、全部放り捨ててファルたちのもとに来るという選択肢だってあったでしょうに、それは端から頭になかったみたいですし。

しかし、相手が悪い。

パルミラを制圧したクログスター卿、明らかにただの簒奪者じゃないんですよね。建国の物語であるものの、戦記物ではなくむしろ王道な冒険という要素を重視したファンタジーらしい本作ですけれど、聖剣というものが作られた過去の歴史にまつわる謎が、どうやらダイレクトに事態に介入してきそうで、その根幹に居るのがどうやらクログスター卿。彼がやっぱりラスボスとなってくるのか。またぞろ、人智を超えた人外の存在がバックでうごめいている気配が垣間見えてきた。

あと雷竜さん、あんた金に汚い! 詳しい情報が欲しいなら、約束の財宝とはまた別に金払え、って守銭奴か!!

シリーズ感想

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない ★★★★  

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない (一迅社文庫)

【高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない】 瀬尾つかさ/kakao 一迅社文庫

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いくつもの戦争を経験した人類と魔族は一人の英雄の尽力により種族対立を乗り越え、千年の時の中で平和な世界の実現と技術発展を遂げていた。魔導技術に秀でた魔導学院の学生エルド・アルウェンは、高熱を出した妹のナナリーを見舞うため、特別に学院女子寮を訪れていたそのとき、学院を巨大な地震が襲い、閃光とともに学生女子寮は見知らぬ大地へと転移していた。そこは千年前、世界が混沌としていた戦乱の中世時代だった……。女生徒たちとともに過去へ転移したエルドは風紀委員のケーネ、そしてしっかりものの生徒会長にして騎士科の優等生アレミアとともに元の世界へ帰る手立てを探すが、手違いから大戦を終わらせた英雄の命を奪ってしまい――――
科学文明の発展した未来・現代の人間が過去、或いは中世レベルのファンタジー世界に転移して、という話は山程あれど。ファンタジー世界のまま発展した高度魔法文明の学徒たちが、古代のファンタジー世界に転移して、その昇華された魔法理論で無双する、というのは何気にありそうでなかった設定だなあ。
知るかぎりでは【異世界魔法は遅れてる!】くらいか。これは現代地球の魔術師が異世界に召喚され、という話だったけれど。
ただ、本作における魔法文明の現代ってこっちの21世紀相当じゃなくて、それより遡って19世紀から20世紀初頭くらいっぽいんですよねえ。社会システムに対する意識や認識が近代に入っている過渡期、くらいなのが面白い。国家規模での戦争は遠のいている一方で、戦闘技能がエリートを集めた大学内で一定数の割合で必須技能として求められる程度には、それが必要とされるあれこれがあるわけで。
まあだからこそ、戦乱の世に飛ばされてなお統制が行き届いていたわけですけれど。
でも、高度に発達した、というわりには魔法理論が古代から飛躍していたように見えなかったのはちと残念だったけれど。威力と効率は見違えるように古代からあがっていたとしても、それって元々あった理論の強化発展に過ぎず、古代の人たちから見ても、それは凄いものではあっても訳の分からない未知のものではないと思うんですよね。古代の人間が戦車や飛行機を目の当たりにする驚き、火の明かりしか知らない人が電灯を目にした時の理解、工業技術・医療技術、物理法則や過去ではまだ存在しない概念の数々。高度に発達した未来文明との遭遇、というのは大きな断絶があるものなんだけれど、本作だとどれも過去からの延長線上に存在しているものに過ぎないわけで、タイムトラベルという要素の面白味としては些か物足りない感じがしてしまうんですよね。
一方で、重要となるのが人魔大戦という人と魔族との人種対立が高じた末の殲滅戦争的な大戦の最初期に飛ばされたこの学院では、既に人族と魔族の垣根が完全に取っ払われて、総じて同じ「人間」という括りになっているということ。そもそも、この魔導学院が大戦の終結に伴って、人族と魔族の融和を願って創設されたという理念によって成立している、というのが重要なんですよね。

過去の世界では突出した高度な魔法を使える、というアドバンテージは、大きな武器ではあっても道具に過ぎず、まず生存と元の時代に戻ることを目的としている彼らだけれど、彼らの持つアドバンテージというのはただ生存のために用いるためのものではない、という流れなんですよね、これ。
すでに初っ端で、未来を決定的に変えてしまう歴史的人物の殺害、という改変を行ってしまっている彼ら。本来なら鏖殺され歴史上から消え去っていた街を、図らずも救ってしまったこと。もはや、冒頭で既に過去を変えることなく未来に戻る、という選択肢は喪われてしまっているわけで……。
ある意味、縛りが最初から消えてしまっている、ということでもあるんですよね。既に、周りに関わらずに生き残り続ける、という道も不可能になっていて、必然的に歴史的な大戦に関わらずを得なくなってしまっている。
そこで、ただ戦う、という道だけではなく、魔導学院の創立理念である「融和」が鍵になってくるわけで。果たして、彼らは人類史における最大の悲劇を回避できるのか、という話になってくるのがまたダイナミックなストーリーに出来る拡張性を感じさせてくれるんですよね。
でも、その学院の方向を決めるための戦略眼や政治力、地に足の着いた思考力と未来の影響を受けた社会理念を持っている人物が、学院内には居ないんですよねえ。主人公のエルドはいわゆるサバイバリティは高くても自分で考えるのは苦手な脳筋だし、アレミアはリーダーシップは非常に高いもののあれこれ自分で算段立てていくタイプじゃないし、ケーネは実務能力高くて喫緊の問題の処理能力は高いし将来的な予測とその対処方法もしっかり立てられるけれど、大きな未来図を描いたり戦略的に物事を想像し、方向性を示せるタイプじゃないんですよね。
それが出来るのが、まさか現地から現れるとは。まさに、この学院のターニングポイントって、彼女を完全にこっちサイドに取り込めたことなんでしょうね。真実から何から全部詳らかに明らかにした上で、本来なら現地の利益代表者だった彼女を、完全に味方に引き込めた。どう考えても、今後この学院国家の陰の宰相になるのって、この子なんだよなあ。
とはいえ、元々は外部の人間だった彼女が全部決めるはずもないので、漠然とこうしたい、という決断だけは主人公たち、というか学生全員で決めるんだろうけれど。

しかし、メインヒロインが堅物の風紀委員、というのは珍しいので面白いなあ。ケーネ、面倒くさいんだけれど瀬尾作品はヒロインの攻勢がほんとに容赦ないんで、グダグダやってるとあっさり脱落しかねないし、グズグズしてると尋常じゃない煽りを食らうので、心底をごまかしてられないのでわりと早々にケーネも丸裸で縛り上げられて、エルドの前に放り出されそうw

瀬尾つかさ作品感想

双剣使いの封呪結界(ロストマギカ) ★★★   

双剣使いの封呪結界2 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

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黒い霧から東京を解放すべく活動を続ける一輝、遙、理沙ら。そんな三人の耳に入ったのは、黒い霧と戦うための帰還者たちの最大組織「東解委」の主力遠征隊が何者かの襲撃を受けたこと、そして襲撃したのが死んだはずの遙の姉である久遠であるという情報だった。かつての想い人の名に動揺する一輝。時を同じくして、混乱する「東解委」が発生し、拓海淳という謎の男の手中に落ちる。新たな「東解委」のリーダーとなった拓海淳は、別行動を取る一輝たちの殲滅を計る。一輝たちはこの危機を乗り越えることができるのかそして、一輝たちの前に立ちふさがる久遠の正体は?!
二巻で実質打ち切りかー。となると、久遠を生き返らせるという一輝の妄執とそれに遥がどう付き合うか、そして命残り少ないかなたの運命とそれに寄り添うことをきめた理沙にどう決着をつけるか、というところに一気に焦点をアテないといけなかったわけで、色々と取っ払ってその辺に多少唐突だろうと久遠もぶっこんで話を持ってきたのは、最善だったんだろう。
もうちょい時間があれば、一輝のイカレ混じりの久遠への執着を煮込んで色々と出汁を取ることもできたんだろうけれど、こうなったら決断を促すしかなかったからなあ。勿論、あれだけ執着を抱えている一輝に一人でそれが出来るはずもないので、久遠ご本人にやらかしてもらうのが一番だったんだろうけれど、遥のあの一輝の落ち込みに付け込むことにまったく躊躇しないガンガンいこうぜ!な姿勢には感服しました。久遠の代わりに自分が居ますよー、とあからさまに攻めこむことに衒いも何もないんですもんね。そのあっけらかんとすらしている態度には嫌味がないので、余計に攻撃力高いんでしょうけれど。
今回の話でやっぱり印象的なのは、まだ小学生にも関わらず、過剰な能力付与で寿命を削りまくった挙句にもう何週間と命が持たない、というところまで消耗したかなたが、自分の命の使いドコロを冷静に選択し続けるところでしょう。その事実については隠すこともなく公にしてるので、一輝たちも全員知っているのですけれど、かなたを止めるでもなく、無闇に延命させようともせず、ぴーぴー騒いで感情的にならず、かなたが本分を尽くせるように支え続ける理沙を含めた、メインキャラたちの姿勢には感じ入るものがありました。
様々な苦悩や葛藤を乗り越えた末の、かなたの覚悟を受け入れた見送る者としての覚悟。泣きわめくこともなく、親友として笑ってかなたとイチャつき続けた理沙の強さは、瞠目すべきものでした。戦闘マシーンとしてではなく、誰かを大切に思うがうえにその人たちを守るために自分の命を使い果たせる人間に、かなたを戻した理沙。それは見るものによっては残酷なことだったのかもしれませんけれど、かなたの迷いの失せた満ち足りた決意を見せられると、かなたにとってそれがどれだけ掛け替えのないことだったか、納得出来るというものです。
よく、見送った。

だからこそ、かなたを見舞った運命については、素直に祝福出来るんですよね。良かった、と言える。この展開を見れただけでも、本望です。
さて、そろそろあの大迷惑な小人族を敵役にして、徹底的に撃滅する話でも描かれないかなあ、と思う今日このごろ。まあ、そうなるとむしろ主人公サイドがこてんぱんにやられてエンドになりかねないのですがw

1巻感想

折れた聖剣と帝冠の剣姫 2 ★★★☆  

折れた聖剣と帝冠の剣姫(2) (一迅社文庫)

【折れた聖剣と帝冠の剣姫 2】 川口士/八坂ミナト 一迅社文庫

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互いに助けあって、新たな国を興すことを決意したルシードとファルシェーラ、コンスタンスの三人。期限つきのドラゴンとの契約に焦り、資金繰りに苦慮しつつも、三人は次の段階へ踏みだす機会をうかがっていた。そんなおり、エルドーム王国からの使者がファルシェーラのもとを訪れる。使者の名はエルドームの第五王女、リュシール。エルドームの鉱山から、劫炎禍の異名を持つ炎の魔物イフリートが現れ、魔物を倒すためにファルシェーラが持つ聖剣の力を借りたいのだという。申し出を受け、エルドームへと向かうルシードたちだが、その行く手にはイフリートの眷族たちが立ちはだかる。同じ王女の立場から友情をはぐくむコンスタンスとリュシールの未来は、そしてイフリート復活の裏に潜む陰謀とは―
自分たちの国を作る、という夢は夢として、ファルたちが一番楽しいのはやっぱり三人で冒険の旅をする、というところなんだろうなあ、とリュシュール姫からの依頼に応えてエルドーム王国に向かうことになってからのファルとルシードのウキウキっぷりを見るとそう思うわけで。
現状、とても国としての体裁を整えられてるとは言えないのだけれど、パルミラ王国からファルを慕って部隊が抜けてきてるのかー。三人だけの旅じゃなく、ちゃんと兵隊を引き連れての旅になってるあたり、メインの三人が何だかんだと全員王族であるのが出てて面白い。一冒険者の出世譚や成り上がり物語じゃなくて一応最初から王族だった人達による建国譚なんですよねえ。
そもそも、パルミラのファルと、カーヴェル王国のルシードとコンスタンスが共同統治してるように彼女たちの国は最初から違う国の者同士が寄り集まって新しい国を作る、というカタチになっているのだけれど、今回エルドーム王国での冒険で、ファルが連れてきたパルミラ兵とリュシュール姫の護衛として連れてきたエルドーム兵が一緒に戦うことで戦友としての共感を抱くようになっているのを見ると、今後はパルミラとカーヴェルだけじゃなく、それ以外の国々からも人が流入してきて、というカタチになるんだろうか。どちらにしろ、今のままだと国どころか都市とも言えない辺境の村に過ぎないので、いずれにしても入植者は募らないといけないことになるんだろうけれど。
となると、今回のエルドームとの誼を通じた件も大事なんですよね。言及はされてませんけれど、リュシュールの第五王女、という立場は身内からは愛されているのはともかくとして、政略結婚の駒として利用されるのが当然の立ち位置ですからね。こっちに送られてくる可能性高そうだなあ。
ただ、そういう婚姻外交が絡んでくると、やっぱりファルとルシードとコンスタンスが上下の差がない共同統治者、という点が面倒になってくるんですよねえ。建前的にも本音的にも、くっついちゃって問題はなさそうなんだけれど……。
ファルも全然まんざらじゃなさそうなんだがなあ。リュシュールからの依頼を受けるかどうかを、彼女がルシードたちの意見を聞いてから受けるかどうか決めたのだって、立場を考えてとか気を遣ってとかじゃなくて、極々自然に勝手してルシードやコンスタンスに嫌がられたくない、という気持ちからみたいでしたし。
まあ、ルシードたちからすると、ファルが受けるのはまず当然として、それをどう処理するか、に最初から頭が行っていたみたいなので、ファルの心配しすぎだったのですが。
でも、姉兄二人がくっついちゃうと、コンスタンスが浮いちゃうのか。この世界の倫理観的に腹違いの妹までならOKなら別にいいんだけれど。コンスタンス的には兄にべったりですしねえ。
今回の冒険で、単に兄にくっついていくだけじゃなく、ちゃんと自分の力で立った上で兄にくっついていく自信は得たみたいですけれど。

しかし、ファルの姉姫様は一応クーデター政府に対して正当派を主張する勢力を束ねて引っ張ってるのかー。聖剣問題からして、正当パルミラを名乗るからには本物の聖剣を手に入れたとするファルに対しては偽物だと非難する他ないので、これは簡単に合流とはいかないかも。一応、姉姫さま当人は沈黙を守ることでファルを守ってるみたいだけれど。
あー、そうなるとイフリートの祭壇の奥で新たに見つかった朽ちた聖剣が、色々と重要になってくるのか。もしかしたら、聖剣は一本じゃなかったかもしれなくなるわけだし。

1巻感想

折れた聖剣と帝冠の剣姫 1 ★★★★  

折れた聖剣と帝冠の剣姫(1) (一迅社文庫)

【折れた聖剣と帝冠の剣姫 1】 川口士/八坂ミナト 一迅社文庫

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知略の英雄、カーヴェル王国のルシード王子。勇猛な聖剣の姫、パルミア王国のファルシェーラ王女。大陸に名を知られる二人が率いた軍は、リスティオンの野で激突し、かつての幼なじみである二人は死闘を繰り広げていた。ファルシェーラの軍勢は着々とカーヴェル軍の陣容を切り崩し、ルシードが首級を上げるべく剣姫ファルシェーラが突入、ついに互いを強敵と認めていた二人は戦場であいまみえる。時を同じくして二人の英雄不在のときを狙ったかのように両国で政変が発生。二人は帰るべき祖国を失う。かくして同じ立場となった王子と王女の二人は居場所を求め世界を旅することになるのだが、その最初の行く手にはかつての勇者が封印した巨大な竜が待ち受けていた。ルシードとファルシェーラ、二人の前に最初の試練が訪れる。
あらすじであらかた語ってしまっているのはいいんだろうか、これ。しかも、ふたり旅ではなくてルシードの妹姫コンスタンスも一緒に逃げて三人旅にも関わらず、まるで居ない娘扱いじゃないか(苦笑
しかし、コンスタンスって腹違いの妹のはずなんだけれど、一貫して義妹表記なんだがこれって意味あるんだろうか。義理の妹なら結婚できますよってか? ちなみに、幼いころに交流していた相手には、ファルの姉姫様もいらっしゃるので、幼なじみハーレムというシチュエーション狙いという可能性も考えねばならぬようだな!
でもこれ、新しい国造りのお話なんだけれど、国の王様になるのってこの流れだとルシードじゃなくて、ファルシェーラっぽいですよね。王権の証が本物の聖剣である事と、あと新しい国を作りたいと言い出した上でどんな国を作りたいか、という方向性を決めたのがファルなわけで、ルシードとコンスタンスはその夢に乗っかるという形で参加したので、あくまで主体はファルなんですよねえ。
新国家建設という目標を打ちたてた上で、ファルはルシードたちを誘ったわけだけれど他国の、しかも妾腹とはいえ王族であるルシードを旗揚げのメンバーに選んだ時点で、どう考えても実際に国がちゃんと成った時の結婚相手ってルシードしかいないんだけれど、当人たちその辺どのくらいまで考えてたんだろう。ファルはわりと「そのつもり」である素振りはあるんですよね。ルシードもその辺わかってないはずはないんだけれど、まさ先のことは後回しにして考えないようにしている感じではあるわけだが……ファルが女王になったら、王配が嫁さんたくさん持っていいんだろうか、と思わないでもない……が、みんな身内だったら血統としては逸れてないからいいのか、別に。

古くから敵対していた国同士の間に訪れた、僅かな休戦期間。その際に行われた国家間交流で幼い頃の時間を共に過ごしたカーヴェル王国の兄妹とパルミラ王国の姉妹。
長じて、再びカーヴェルのルシード王子とパルミラのファルシェーラ姫が再会したのは、お互いが軍勢を率いてぶつかり合う戦場であった……という、幼いころに友誼を交わし仄かな想いを抱きあった幼なじみ同士が久闊を叙する代わりに戦場で槍を交わし合う、というなかなかにワクワクする戦記モノとしての舞台からはじまるこの物語ですが、こっからの展開がまた大胆というか贅沢というか。
この作品、戦記モノであると思ったら、貴種流離譚に様変わりして、そこから少人数のパーティーで秘境に眠るという伝説の聖遺物を求めて旅する冒険譚になったと思ったら、僅かな人数の同じ志を持つ者同士で全く新しい国を一から立ち上げる、という国作りの物語になる、という一つのネタで1シリーズ作れそうなのを上手いことブレンドして一つの作品にまとめ上げる、という凄まじく贅沢な作りをしてるんですよね。作者の川口さんのこれまで描いてきた物語の経験を注ぎ込んでいるのが伝わってくるだけに、非常にワクワクさせられるスタートであります。
主人公のルシードは、王子という貴種の身の上ではあるものの、妾腹の子として王宮ではかなり肩身の狭い思いをしている上に、母が亡くなるまでは貧民窟で育った、という経歴で、王族で将軍でありながらもわりとしがらみがないんですよね。母方の伯父が冒険家であるせいか、旅や冒険に憧れを持つような側面もあり、王子でありながらクレバーな自由人な感じなんですよね。これで、国に縛られていたら王子という血筋は枷になるんですけれど、国を追われた身の上だと逆に武器の一つになってくるのが面白い。新国家を立ち上げるにも、王族の血は大きな要素の一つになりますし、ファル姫との身分差に悩むこともないですからねえ。唯一のしがらみとなり得るはずだった妹のコンスタンスも、ちゃっかり逃亡の旅にくっついてきちゃってるわけで、もう何の憂いもないわけです。ファル姫も、あちらの国で色々と不自由な身であったらしく、コンスタンス含めて三人と、国を追われた立場でありながらその事実に落ち込み傷つき鬱屈をためるどころか、むしろスッキリしたと言わんばかりに籠から飛び出した鳥みたく、羽根を伸ばしてのびのびしている様子には思わず微苦笑してしまったり。溜まってたんだなあ、色々と。
未だ合流出来ていない姉姫さまも、いずれ登場してくるでしょうし、新しい国を立ち上げる目処こそついたものの、それにはいきなりのリミット付き。周りは既存の国家群に囲まれ、自分たちは賞金首。率いる兵士も国民もいない三人きりの国の旗揚げ、とそれだけでも相当どころではないハードルの高さなのに、その上にまたとんでもないリスクを背負ったもんだわ、と思いつつもリスクをメリットに変える算段はあるわけで、さあどでかいスケールのシリーズのスタート、ワクワクしますなあ。

川口士作品感想

双剣使いの封呪結界(ロストマギカ) ★★★  

双剣使いの封呪結界 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/ 美弥月いつか 一迅社文庫

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若者たちが異世界に勇者として召喚されては、ちからを手に入れたまま帰還することが頻発するようになった地球。あるとき、東京は謎の黒い霧に覆われ異世界とつながり、強大な怪物たちが現れるようになり東京は閉鎖された。高い戦闘力を保持した異世界帰還者たちは、霧を発生させている謎の黒い柱を破壊することで霧から東京を解放できることを発見するが、黒い柱の数は膨大で……。帰還者たちの中でも最強と呼ばれる一輝と遙、特殊な魔術を行使する理沙の三人組は、激しい戦いの中、黒い霧の奧に潜む途方もない何かの存在に巻き込まれていく……。スカイワールド、銀閃シリーズを完結させた瀬尾つかさが挑むバトルファンタジーの新境地!
相変わらずどこでも出てくるな、このマッド小人族。黒い霧が無数の異世界を侵食していく、という危機的状況だけれど、侵食具合なら作品の枠を超えてどこにでも登場するこの自爆系小人族の方がよっぽど侵食してますよね!?
多数の次元世界を滅ぼした勢力が、現代地球にも侵略の手を及ぼしてくる、というのは瀬尾さんの得意のツールなんだけれど、本作は最初期に東京の中枢部がやられてしまっているために、優秀かつ指導力を持った層が根こそぎいなくなっているので大人側の指揮系統が完全に劣化してるんですよね。割りと他の作品では後方支援組織やバックアップ体制は中身が真っ黒であろうとかなり頼りがいはあったんですよね。人類の存亡を賭けた総力戦、に相応しい体制だったのですが、こっちはバックアップがしっかりしているどころか、足を引っ張られている状況なので前線戦力となる帰還者たちは精神的にも肉体的にも疲弊する一方。かなりストレスの溜まる状況なんですなあ。
そんな中で世界を救うよりも個人的な事情を優先して動いているのが、主人公となる一輝と遙。政府の紐付から離れて独自に動いているのですが、この子たちも目的に向かってひたすら脇目もふらずに邁進していたが為に、気付かずかなりメンタルがヘタって先鋭化していたようなんですよね。
そんな中で、召喚された異世界で仲間たちをすべて殺されて自身もその世界の侵略者のボス相手に潰えようとしていたところを一輝たちに助けられた理沙。彼女の参入と地球への帰還が、思えばすべての変化の起点になってるんですよね。彼女自身、共に召喚されて辛い戦いをくぐり抜けてきた仲間たちを失い、大きな心の傷を負っているにも関わらず、微妙に三下っぽい、しかし意図された陽気さと前向きさによって、徐々に一輝たちの凝り固まったメンタルを解きほぐして、彼らを人間に戻していくんですね。また、帰還者たちのリーダーとしてこの世界の盾となり、無能なバックとの調整や一輝たちに便宜を図るなど組織運営や防衛戦略についてもほぼ一人で奮闘していた小学生戦士かなたの孤高にして孤独な心を本当の意味で救い支えようとしているのも彼女、理沙ですし……もうこれ、理沙が主人公でいいんじゃないだろうかw
理沙は決して強い子じゃないんですよね。戻った学校ではうまく馴染めず、失敗を繰り返してはへこんで落ち込んでいるし。それでも、この娘だけはひたすら目的に向かって邁進する、突き進まなければもう二度と進めないくらいにボロボロになっている帰還者たちの中で、周りの人たちを支えようとしている。かつて、自分が居世界で仲間たちに支えられ助けられ、最期まで守られたことを。彼女の能力が、誰かに守られることを前提としているからこそ、当たり前のように自分を費やして周りの人たちを身も心も守ろうとしている。それこそ、自分を使い尽くすのを望んでいるように。その意味では、彼女もまたいい具合に壊れているんだけれど、その壊れ方が他人を癒やすことに費やされているのは、何とも健気だなあ、と遠い目になってしまう。これに関しては、かなたも似たようなものなんですけどね。かつて喪われた仲間たちが自分に託したものを、目いっぱいに背負い込んで、世界を守るために全力全壊で使い尽くそうとしている。小学生の幼女が背負うには、あまりにも酷じゃあないですか。でも、優秀すぎるが故にみんな、彼女自身も含めて彼女を決して歳相応の小学生の子供としては扱わない。それを、理沙がするりと滑り込んで誰もやらなかったことをやっているわけですけれど……。
いずれにしても、惨い世界観だなあ。ただでさええげつない状況下で、さらに悪意を持った謀略が帰還者たちを陥れ、屠ろうと手を伸ばしてくる。さて、いったいどの段階で痛快にこの行き場のないどん詰まりのような状況をふっ飛ばしてくれる展開になってくれるのか。

瀬尾つかさ作品感想

吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました4   

吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました (一迅社文庫)

【吸血鬼に彼女役を頼んだ結果→とんでもないことになりました】 すえばしけん/LENA[A-7] 一迅社文庫

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異世界に続くゲートが開いたことにより、異種族と人間が共存する現代日本。何故かやたらと女性(人外限定)にモテる体質のため、トラブルに巻き込まれがちな俺・真城大河は、ひょんなことから、行き倒れていた密入界者で吸血鬼の美少女・リーゼロッテを助けることになる。彼女をかくまう代わりに、形だけの恋人になってもらうことで女難を避けようと、偽の彼女役をお願いすることにしたのだが、それがさらなるトラブルの引き金に―!?モンスター娘にモテモテ!?人外ハーレムラブコメ!
すえばしさんの作品としては【ひきこもりの彼女は神なのです。】寄りの世界観だなあ、これ。しかも、この作者特有のああこれはヤバイとゾクゾクさせられるような黒かったり壊れてたり、という部分が見受けられない久々のマイルド路線。かと言って味気なくなっているわけではないのは、さすがというべきか。ハーレムラブコメというには独特の渋みといいますか、キャラクターに味わいがあるんですよねえ。特にリーゼロッテと日和子さん。リーゼロッテは庶民的な生活の知識を殆ど経験していないまさにお姫様で態度も偉そう、という記号的になりそうなキャラクターにも関わらず、これが妙に面白いというかシットリとした雰囲気のあるキャラに仕上がってるんですよね。偉そうだけれど素直でクール。無愛想だけれど人付き合いが良く、世間知らずなのに世知に長けている。誤解されがちな大河という少年に対する深い理解者、それも大河当人が自覚していない部分まで短い付き合いの中でよく読み取り、彼の在りようを定義づけていたりもするんですよね。そういった点から見ても、彼女の性質が崇め持て囃されるお姫様というよりも……なるほど、彼女が異世界において与えられていた特殊な役割に相応しい在り方を培っていたのが何となくわかるなあ。観察し、把握し、価値を見抜き、在りようを捉え、その真贋を見極める。
必要に迫られて、緊急措置的にあの最後の選択をしたわけではなく、リーゼロッテはしっかりと選定を行っていたんですよね、これ。
さて、そんなお姫様にしっかりじっくり見られていたことに、この主人公の大河はどれだけ気づいていたのか。全然気づいていなさそうだな、うん。この大河って子、体質によるこれまでの不遇な人生の影響によるものなんだろうけれど、他人に自分がどう見られているか、という点について恐ろしく鈍感なんですよね。まあ自分の出すフェロモンによって、正気を逸しかけてる人外によるトラブルに遭い続けた、というのは相手から向けられる意思や感情が常に変な状態であり、普通の人間もちゃんと彼の人となりや言動を見てくれずに一方的な思い込みから来る決め付けで判断され続けたのだから、むしろ他者からどう思われているか、については鈍感にならないとやっていけなかったのかもしれないけれど。
ただ彼の偉いところは、他者から何も与えられず理不尽に見まわれ続けながらも、自分からは礼節を喪わず信義を重んじ、他者が見舞われる理不尽に正しい怒りを示す人品を保ち続けたところなのでしょう。これだけ心を叩かれ続けながら、歪むことがなかったというのは果たしてどれほど強靱だったのか。
いや、冗談抜きでリーゼロッテの見る目というのは、まさに選定の側に立つに相応しかったんじゃないでしょうか。惜しむらくは、主人公の大河が鈍感故に基本一方通行であることとリーゼロッテが物語の核心としては能動的でありながら、内面の問題に関しては基本観察者モードで積極的に相手に干渉してくるタイプ、或いは時期ではなかったせいか、肝心の主人公とメインヒロインの関係の醸成がひどく大人しかった、というところでしょうか。いや、あんまりバンバンぶつかり合うことも干渉しあうこともなく、静々と熟成されて行ってたんですよね。わりと物語の進行が捲いてるのか早かったんで、微妙に二人の関係の修熟のスピードと合ってなかった気が……。これが長期シリーズでゆっくり進行していくなら、この二人の関係のスピードもちょうどよい丁寧さなんですけれど。
あと、面白かったのが日和子さん。大河のTシャツの匂いかいでハアハアしてる変態さん、と定義付けてしまうと可哀想か。でも、この人の立ち位置もヒロインとしてあるまじき苦労人的なポディションで。主人公たちが関知しないところでひたすら公務員としての立場と大河たちの隣人としての情に挟まれて、あたふたと苦悩しストレス溜め続けるという、一人で何をしてるんだろう、と思わず涙誘われる人だったんですよね。この人、ヒロイン枠にちゃんと入ってるんだろうか(苦笑
いやでも、一番感情移入してしまうのがこのいい人すぎる日和子さんだったわけで。もう少し良い目見させてあげてください。

すえばしけん作品感想

赫竜王の盟約騎士 4 3   

赫竜王の盟約騎士4 (一迅社文庫)

【赫竜王の盟約騎士 4】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

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5年前に起こった2柱の竜王、イグニスとアルゲントゥムとの争い。その真実を知ったジルはアルキミア王城へと攻め入ろうとするが、いまの弱くなったジルでは勝てないと立ちふさがった教官ベルクマンに返り討ちにされてしまう。かつての己の力が復讐心から生まれ、その昏い情熱が薄れたいま戦いへの執着が薄れていたことに気づいたジルは、失意の淵に沈んでしまう。一方ティナは、アルキミア王の手によるアルゲントゥムの復活を阻止すべく、動き出すのだが…。
前回は咲夜とフルフルがイチャイチャしてたんだけれど、今回は咲夜さん、ティナを弄り倒して法悦に浸りまくってるんですけど、この人。ある意味、ティナとイチャイチャしっぱなし。いじり倒して涙目になったティナに対して、うっとりと「かわいい……」とご満悦なあたり、もうなんというか。一方で、ジルに対しても余計な情念が排されたことで同志や運命共同体、共犯者という枠組から抜けだして、純粋に一人の女性として寄り添えることになったことで、こちらともイチャコラ……。ついには行くところまで行き着いてしまったわけで……あれ? これって咲夜の一人勝ちじゃね?
いや、名目上はジルが咲夜と良い仲になりつつ、ティナやフルフルとも良い雰囲気で……という体裁なんだけれど、よく見ると咲夜の方がじっとりねっとりキャピキャピと全方位にイチャコラしちゃってて、なにこの咲夜ハーレム(笑
物語の方は、若干巻いて巻いて、と早送りになってたけれど、概ね書きたいところは注ぎ込めたんじゃないかなあ、という内容で。ジルという人間の性質が過去や死人に対する復讐や怨念よりも、今生きている大切な人たちを守り助けることの方にこそより力を搾り出せる人間であった、というところや、復讐のために命を使い果たして未来など望まない竜狩りたちに、それでも未来を掴ませること、恩讐を超えて竜と対話し共存すること。それぞれきっちりと結論までは描けた、とは思うんだけれど、やはりそこに至る過程をドラマとして実感を与えつつ描くことには、質量ともにちと足りなかったかなあ、と思う。アルキミア王が、白竜王アルゲントゥムに対して挑んだ賭けとか、イグニスが密かに仕掛けていた人間たちに対するトリガー含めて、多分ジルとティナとの対比にもなってたはずなんだけれど、王様との対決含めて溜めなしで駆け抜けちゃったのももったいなかったかなあ。
ともあれ、ティナのあの弄られ属性は実に素晴らしいもので、手島作品における至宝に値するキャラ付けだと思うので、メインサブ問わず、今度もこういうキャラは登場させてほしいものです。
ただ、あれほどメインヒロインとして圧勝ムードを漂わせていたにも関わらず、あっさり咲夜に先越されて撃沈していたのはさすが過ぎます。まああくまで先を越されただけで、あとでちゃんと拾って貰えそうな雰囲気でしたけれど。拾って貰えそう、というのも凄いなあ。
なんか、イラストの八坂さん、本作前作含めたイラストの画集出すみたいだけれど、なるほどこのシリーズでもなかなか色っぽいイラスト満載で、堪能させていただきました。イラスト買いさせる力のある絵師さんですなあ。

シリーズ感想

パンツではじまる世界革命 3   

パンツではじまる世界革命 (一迅社文庫)

【パンツではじまる世界革命】 綾野陽一/崎由けぇき 一迅社文庫

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“レベル”によって全ての価値が決まる、ゲームのような異世界―“アイランド”。その世界に一人の男子高校生が飛ばされた!女の子が大好きな「彼」は異世界に来て早々記憶喪失に陥ったが、女の子への熱い思いは変わらなかった。その世界では文明技術が発達しておらず、みんなまともな「パンツ」を履いていない…!「俺は…この地にパンツを発明する!」ロマンのない世界を変えるため、一人の男が動き出した!

いや、これは大したもんだ。本当にパンツを生み出すことで世界を革命しちゃったよ。面白いのは、主人公はひたすらパンツをこの世に生み出し根付かせる事を念頭に動いていたのであって、別に世界を革命したり世の中を改革して良くしよう、なんて事は特に考えていなかった、という所なのでしょう。彼はただ、パンツを生み出すために必要な事に邁進しただけ。それに伴い発生した技術革新が既存の社会構造を揺さぶり、国際関係すらねじ曲げ、意識改革を発生させ、在り得なかった相互理解を生じさせ、と湖面に投じた一石が波紋となって全体に及んでいくように全てが変わっていくのである。この波及効果の描き方がまあお見事。かなり早回しではあるし、上手いこと行き過ぎなのは間違いないんだけれど、理屈的にはスッキリしているのでその激変の様子が痛快なんですよね。それに、変化の伝播の仕方が段階的であり、距離的にも遠方とはギャップがあるのも、うん物語の構造的にも面白いんだよなあ。そのギャップが摩擦となって、旧来の価値観と衝突しだすのも、革新のスピードが駆け足であることに物語的な意味をもたらしてもいるわけですし。
そもそもこの名前のない主人公、殆ど初っ端から既存の世界のルールには見向きもしてないんですよね。世界の有り様がゲームに近ければ近いほど、もともとゲームにハマっていた元プレイヤーたちはゲームシステム通りに、定められた進行方向に則って進んでしまうものなんですよね。実際、当初はヒロインの女の子はそのとおりに進もうとしていたのですし。
既に敷いてある道があれば、それのとおりに進むにしても敢えて外れるにしても、道を意識せずには居られない中で、殆ど眼中になし、という主人公のフリーダムさは非常に面白かった。別にゲームのような世界だったとしても、律儀にゲームのように動く必要なんてどこにもない、現実というのはそれだけ自由なのだ、と言ってもその通りに本当に自由に振る舞える人はなかなか居ないですもんねえ。

千の魔剣と盾の乙女 15 4   

千の魔剣と盾の乙女15 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 15】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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魔王ケンコスの手からエリシアを救いだすも、ロックらの力及ばず、伝説の竜クロウ=クルワッハが永い眠りから目を覚ました。それと呼応するかのように各都市に大型竜たちが出現し、バルトゥータスやニーウらは都市防衛戦を展開する。世界崩壊のときが近づく中、ロックとエリシアは魔剣ホルプとともに最悪の破壊竜クロウ=クルワッハを再び封じることができるのか。ついに完結!
近年においては15巻まで辿り着くような長期シリーズはお目にかかれないので、その意味でも貴重だった本シリーズもこれにて完結。書ききったなあ、うん余すこと無く書くべきこと書きたい事を全部書けた、という達成感が伝わってくる結末でした。残念ながら数巻で幕を閉じざるを得なかった【星図詠のリーナ】の後日談というか本番の話もさり気なくホルプの過去回想で盛り込んでくれたお陰で、何となく欲求不満だったあっちのシリーズもケリをつけてくれたような側面もあって、二重の意味で大満足。どうやら、あとがきによるとロックは当初の作者さんの考えを超えて成長し、自分なりの目的を見つけ、師匠の後追いだった魔王討伐のその先へと突き抜けていったのは、ご覧のとおり。そして、ついにエクストラボスともいうべきクロウ=クルワッハとの決戦に、世界の都市に放たれた竜の眷属たちと、かつて旅の中でロックたちが出会った人たちの戦いが同時展開されて、うん最終決戦に相応しい盛り上がりでした。
このシリーズの一番のピークはやはり王道魔王戦の極地と言えた魔王バロール戦だったと思うのだけれど、本身を現したホルプとともにケンコスの残した妖剣を携え、魔王バロールの力をも借りて、仲間たちと共に滅びの竜と立ち向かう、という文字通りの総力戦はバロール戦に負けぬ大舞台だったと思います。
なんか、ロックとエルシアが盛り上がりすぎて、先走ったというか抜け駆けしてしまった模様ですが。うん、最終決戦前にはありですよね。でも、それなら他の二人にも……。生き残れるかも分からない戦いの前だったのに(苦笑
正直、この展開だとホルプについては色々と諦めてた部分があったので、あの結末はむしろ救いでありました。今生の別れではあっても辛い別れでも哀しい別れでもなく、竜としての正しい在り方の末でありまた「いつか」……ロックとホルプ当人同士ではないにしろ、「いつか」を夢見させてくれる「さようなら」でありましたから。
唯一「えーー」と思ったのは、ヴァル師匠ですけどね。あんたには、弟子と同じくらいの甲斐性を期待したんだがねえw ニーヴ師匠、二年後に帰ってきたというし、そこからの粘り腰の寄り切りを期待するばかりです。
大作、ほんとお疲れ様でした。

シリーズ感想

赫竜王(イグニス)の盟約騎士 3   

赫竜王の盟約騎士〈3〉 (一迅社文庫)

【赫竜王(イグニス)の盟約騎士 3】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

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王家の秘密を探っていた剣聖の一番弟子は王国で秘密裏に進められていた新世代の竜狩りの育成計画の存在を知るが、気配に気づいた完成形の新世代竜狩りたちとの戦いで行方不明となってしまう。ジルたちは王国が作った新たな竜狩り部隊の脅威から学院を守りきることができるのか、そしてジルに強い復讐心を抱く新世代の竜狩りのリーダーの正体とは。竜を狩って強くなれ!手島史詞の竜狩りファンタジー第三弾登場!
こうなってくると、フィーネの退場がちょっと早かったんじゃないかと思えてくる。彼女の死がこれほど重く多くの人に影響を与える事になるにしては、彼女、ジルたちと知り合ってから退場するまであんまり間がなかったんですよね。交流していた期間が短かったんで、どうしても通り過ぎていったような感覚しか残っていなかったので、あそこまで彼女の死がジルに後悔とともに焼き付いているとは。
そもそも、そこまでジルが責任を感じるところじゃないもんなあ。もっと、本格的にフィーネを利用して殺す形になっていたら、罪悪感の抱きようもあるってなもんだけれど、あれはちょっとした錯誤のようなもので、別に彼女を死なすつもりなんて毛頭なかったわけですし。
その意味ではジークリットのそれは完全に八つ当たりも良いところで、あそこまでショックを受けてしまうジルはどれだけ人が良いというべきか、復讐という行為に神聖さを抱いているというべきか。ジルや咲夜が抱いている復讐と対照とするには、ジークリットのそれはちょっと理不尽すぎてパワーが弱かった気がします。
それならそれで、もっとビシッと復讐を否定する調停者たるティナが切って捨ててくれればよかったのですが、丁度ジルの変節を感じ取った咲夜が不安定になっているところで、彼女の迷走と暴走が重なってしまったせいでその辺のテーマの回収も、ちとあやふやになってしまった感がある。
今回、咲夜が一人ティナの影響を受けて破滅の道から外れつつあるジルに置いてけぼりにされて、彼女自身破滅型の生き方を貫くか、それともジルと同じく違う道を行くか。甘い破滅に身を任せるか、それとも厳しくも眩しい希望の道へと踏みしめるかの岐路に立つ、という彼女の主役ともなる話だったわけで、コチラも蔑ろにするわけにはいかなかったのだろうけれど。
結局咲夜って、最初からもう復讐者としてよりも女としてジルに寄り添っていた節があるので、自覚して認めるか否かの話ではあったんですよね。依存からの脱却、とも言えるのだけれど。でなきゃ、あれほどフルフルにほだされないですよ。もうちょっと咲夜にはフルフルとイチャイチャしてほしくもありましたが。

まあこれ、まんまとティナの圧勝ムードなんですよね、これ。ジルも、ティナを敵とか言いはるのもそろそろ無理が出てきてますよ。

シリーズ感想

王道楽土の聖堂騎士団(タンプリエ) 23   

王道楽土の聖堂騎士団2 (一迅社文庫)

【王道楽土の聖堂騎士団(タンプリエ) 2】 不動准/TwinBox 一迅社文庫

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いつものように騎士王の座を狙うクランに挑まれる壮馬たち“王道楽土の聖堂騎士団”の前に、皇女エピカと近衛騎士団長“不抜のシュタインハルト”ことレギーナが現れる。エピカの近侍である美少年オズグール公爵と一触即発の険悪な雰囲気になる壮馬たち。理事長となって神衛騎士学院を掌握したエピカは、かつての約束どおり、壮馬に近衛騎士団へ加わるよう命じるのだが―。“魔道鎧甲”をまとって戦う“神衛騎士”が躍動する学園騎士ファンタジー第2弾!!
うーん、これ結構面白いんだけどなあ。読書メーターとか見ると、全くというくらいに読んでる人が居ない。少なくとも、異世界ファンタジーで女の子とチーム組んで戦う学園モノとしては、他と比べても勝るとも劣らないと思うんだけれど。
特に、スットボケたノリで繰り広げられるコメディタッチのやりとりやイベントの数々は、その軽妙さ加減において瞠目すべきテンポの良さがある。この手の文章から溢れ出る軽妙さ、軽快さを伴うテンポの良さやリズム感というものに関しては、なかなか後天的には獲得できないその人特有のセンスや才能みたいなものなので、これが喪われない限りラブコメについてはまずある一定以上の面白さは安定して導き出せるんですよね。勿論、そのテンポに乗っかるキャラクターを、キッチリと作り上げないといけないのだけれど、主人公の壮馬をはじめ、アンジェや鎮西など、少なくとも状況に放り込めばある程度勝手に動いてくれるくらいの滑らかさで、キャラが立ってますし、いい意味で軽妙な緩さを備えている。
その上で、ストーリーの方はメリハリ良く、展開にピリリと刺激のある締まった筋立てが用意されていて、全体的に甘さや粗さはあるとはいえ、ここまでスルーされてしまう作品だとは思わんのだけれどなあ。
残念ながら、後書きを見るとどうやらこの2巻までで打ち切りみたいですし、壮馬を一度殺した騎士が誰なのか、など色んな伏線がそのまま置き去りにされる形になってしまったのは勿体無い限り。それでも、作者が出したかったというエピカ姫を登場させることが出来たのだから、幾らかでも未練は果たせたか。
周囲に信頼できるものが居らず孤独なまま野心を募らせていたエピカ姫が、剣として盾として、友として、王道楽土の聖堂騎士団の面々を召し上げて近衛にして、立ちふさがる様々な壁やしがらみに喧嘩を売り、一方で味方を増やし、どんどんとのし上がっていく、みたいな展開はぜひ見てみたかったんですけどね。
個人的に、次回作はすごく期待したいと思ってます。もっともっと、面白くて盛り上がる作品が出てきておかしくない人だと。

1巻感想

祓魔科教官の補習授業 2.優等生は振り向かない4   

祓魔科教官の補習授業2 優等生は振り向かない (一迅社文庫)

【祓魔科教官の補習授業 2.優等生は振り向かない】 すえばしけん/NOCO 一迅社文庫

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異世界との亀裂から現れる異形―魔禍魂を狩る“祓魔技能士”を養成する天原学園。教官を務める“常人”にして最強の祓魔技能士、日垣悠志朗は、稀有な才能や能力を持つドロップアウト組5人の生徒と合宿を行うことに。しかしそこでは、フィオと因縁浅からぬ男と、謎の組織が暗躍していた―学園育成祓魔バトル、第2弾!
あかん、すえばしさんが本気出すと最初から最後まで胃がキリキリなりますわー。この人【スクランブル・ウィザード】でキッチリ前科がありまして、政府の暗部やアウトサイダーのダークな部分を容赦なく引っ張ってくるんですよね。お陰様で、いつどの登場人物が惨たらしくまともな死に方じゃないような最期を迎えるかわかったものではないので、ハラハラを通り越して胃がキリキリ締め付けられる始末。今回、悠志朗の友人として登場した医師の猪浦先生や、その助手で悠志朗やその義姉のかがりとも古い付き合いのある琴羽さんなんか、モロに標的になりそうだったわけですよ。案の定、暗部サイドの傭兵部隊に身柄を狙われ、手段を選ばないそのえげつない姿勢に、いつ場面変わってバラバラ死体になって主人公たちの目の前に、とか首だけ梱包されて送られてきたり、とかいうサイコな展開になるのか恐々としていたのです。普通なら、間一髪助けに来てよかったね、で終わるんですけれど、その辺いい意味で信用してませんからw
まあこれ、猪浦先生か琴羽さん、どっちかはヤバいなあ、と。二人共医療を志し、人を癒やす事に人生を捧げている立派な人だけに、尚更にフラグ立ってるなあ……、となんかもう暗澹たる気持ちになりながら読み進めていたのですが……。

ぎぃやぁーーーーーーーーーーーーーー!!www

もうやだこわい。

あかん、予想以上どころか完全に死角からブスリとやられて、そのままグリグリと脇腹を抉られたような有り様ですわ。違う意味で怖くて涙目だわぃ!!
これはちょっと、本当に頭の片隅にもなかったので、泡吹きました。この作品、ヤバいわ。いい具合にイカレてる。悠志朗やかがりが人間としておもいっきり欠落しているのは前巻で見せつけられたところですけれど、いひひひ、いやああそこが振り切った限界点であって、そこからもうちょっと落ち着いて、というか範囲を限定してカウンセリングじゃないんですけれど、花耶が徐々に悠志朗の狂気を解きほぐし、欠落を埋めていくのだと思ってたんですが……あかんこれ、狂乱博覧会の様相を呈してきたw
神和、本気で全員ヤバいんだ。頭おかしくなってるんだ。この人達が怖いのは、一見して正常であり、それなりに日常に適応し、体制側にキッチリ収まっていながらも、人間として完全に破綻してしまっている所なんですよね。制御されてない暴走している狂気なんて、これに比べたらただ暴れてる動物だわ。ふとした瞬間にヌルリと湧き出してくる狂気が、正気と並列していて、なおかつそこに全く自分で違和感を抱いていない時点で、本当にヤバい。怖い、泣きそうw

ただ、面白いのが今回、かがりさんという悠志朗の破綻を助長させている狂人に対して、花耶は対決姿勢を露わにしているんですが、どうもその手段が悠志朗の周辺からの排除、という形ではないっぽいんですよね。花耶自身はまだ何も具体的に考えていないと思うのですけれど、琴羽の途中で途切れてしまった昔話からは、かがりがもはや後戻り出来ないまでに狂ってしまった存在とは言い切れない事が示唆されているわけです。
この作者さんは、面白いことに弱い者を一方的に救われるべき存在とは見なさないんですよね。むしろ、強い者こそ、見捨てず、見放さず、切り捨てず、手を差し伸べようという試みを感じるのです。絶対的強者であることが、同時に誰にも救いを求めずにいられる存在であるのか。強いからこそ、誰かの助けを必要としているんじゃないのか。その時、そんな絶対強者を助けてくれる人は、手を差し伸べてくれる人は誰なのか。
自分は、1巻の最後の場面で、かがりがラスボスとなるであろう展開にゾクゾクすると同時に、ラスボスとなるからこそ、彼女は倒されるんだろうなあ、と思ってました。
悠志朗を救うために、かがりは排除されなければならないんだ、と思ったのでした。
でもね、【スクランブル・ウィザード】で、作者は完全に破綻し狂気に身を任せ、殺戮者になろうとした能勢という人物を、しかし最後まで見捨てなかった。彼を単なるヤバい敵にせず、最後の最後までその手を離さなかった。
それから、この2巻。新たな神和は、悠志朗やかがりと同じく欠落した狂人でありながら、既にその手を握って貰っている人でもあったわけです。
そして、花耶はラストシーンでかがりに対して、真っ向から宣戦布告してみせた。かがりのそれも、悠志朗のそれをも皆指摘した上で、すべてを受け入れた上で、対決姿勢を露わにしてみせた。あれを見た時、思ったんですよね……ああ、かがりは切り捨てられなかったんだ、とね。
こう言っちゃなんですけれど、もうこれでこの作品の主人公は花耶ですよ。そして、ヒロインは悠志朗であると同時に、かがりにもなりました。ダブルヒロインですよ。あの宣戦布告で、花耶は悠志朗だけじゃなくかがりの同時攻略が必須になってしまったわけですし。むしろ、かがりをどう落とすか、という話になったとすら言えます。失敗すれば、文字通り惨殺されて排除されかねない、という危険度ルナティックな攻略なのが、もう色んな意味で鳥肌です。
ヤバいヤバい、期待以上に面白くなってきた。これはいい具合にキマって来ましたよ。

1巻感想

聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国 2 3   

聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国2 (一迅社文庫)

【聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国 2】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

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アリシアに連れられて賢者の学院に入学したグレイだが、生物学や薬草学など狩猟以外の座学ではまったくの役立たずであることが判明する。実母の故郷であり、かつて地上に墜落し地下迷宮と化した竜の帝国の廃墟へ向かうのだが、そこには意外な人物が待ち受けていた…。

あれぇ、二巻で打ち切りですか。長期シリーズを睨んだ仕込みが随所に見られる作品でしたし、主だったキャラクターもまだ出揃ってもいない段階でこれはキツいなあ。
主人公グレイの、シスコンを通り越した妹教狂信者的な妹至上主義なキャラは面白かったですし、そんな妹にしか眼中にない彼をアリシアが必死こいて靡かせていく流れは楽しみだったんですけれど。どこか、動物の調教めいていて(マテ
振り返ってみると主人公のグレイは天然のスットボケたアホの子であり、ウェンディは瀬尾作品の小人族らしい自爆教派で引っ掻き回すのが大好きな享楽家、新登場のイルミナは恋愛脳の妄想家、んで唯一のツッコミ役をあてがいたいアリシアからして、真面目ゆえにどんどん空回りしていって歯止めを見失うタイプなので、カオスを止める人が全く居ない。これでは、掛け合いもポンポンと弾むはずです。この手の漫才はキャラの立ち位置がある程度定まってからガッチリ噛みあうのが常ですから、まず出会いがありそこから交流があり親密になっていく紹介と微調整という過程が必要な1巻よりも2巻からが本番であり、実際本作もこっから調子出てるんですよね。一旦軸が定まれば、後からキャラが追加されても上手いこと嵌り込むので停滞はなく、イルミナやラストの彼女の登場と加入はよいアクセントになるはずだったのですが……。特にイルミナは、まだ本番はこれからといった風情で、馴染む前に終わっちゃうというのは辛いなあ。アリシアの噛ませ臭がプンプンしていたのは確かですけれど。
興味深いのはエルシオーネという人の存在。彼女に近似するのが【銀閃の戦乙女と封門の姫】のエリカなんだけれど、このパターンのヒロインは中々他では見ることの出来ない属性なんですよね。エリカだけだったなら、特別で済んだのだけれど、ここでエルシオーネという存在を改めて登場させてきたとなると、作者にはそっちの嗜好もあるということなのか。もしかしたら、以後のシリーズでも似たような存在についてはお目にかかれるかもしれない。
魔王側の埋伏作戦といい、妹フィーネの暗躍といい、竜の一族の謎といい、ここで放棄されるのは勿体無いネタと伏線と謎ばかりで、本当に勿体無い限りです。頼むからほんと、2巻打ち切りというのは勘弁してほしいなあ。3巻切りと比べても余りにも中途半端になってしまうし。

瀬尾つかさ作品感想

王道楽土の聖堂騎士団(ダンブリエ) 3   

王道楽土の聖堂騎士団 (一迅社文庫)

【王道楽土の聖堂騎士団(ダンブリエ)】 不動准/TwinBox 一迅社文庫

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“魔道鎧甲”をまとって戦う“神衛騎士”を育成する神衛騎士学院に、ある日ふらりと現れた転入生・早雲壮馬。不幸な事故(?)により“不敗の聖堂騎士”の異名をもつ美少女騎士・アンジェに決闘を挑まれる壮馬。ところが、壮馬は“魔道鎧甲”をもたない「鎧なき騎士」だった。にもかかわらず、アンジェの剣戟の前にも余裕をみせる壮馬に、とうとうアンジェは必殺の“焦天劫火”を発動させて―。壮馬と“王道楽土の聖堂騎士団”の美少女騎士たちとの過激な学園生活がはじまった!学園騎士ファンタジー!
うん、なかなか引き締まった良い主人公である。巫山戯ておちゃらけすぎず、かと言って真面目すぎず軽妙にして快活。愛嬌があって人好きし、なおかつ一本芯の通った信念の持ち主ときた。ストーリーラインそのものは、基本に忠実な王道路線なのだけれど、それを描く筆致には変に肩に力が入っていない柔らかさがあって、テンポのよい緩急によって彩られている。コメディタッチの場面はリズム良く、気合の入った燃えるシーンは迫真に。掛け合いの軽妙さは手放しで楽しいし、ゲスな敵役をぶっちめるシーンは実に盛り上がるための種と肥料の塩梅を心得ていて、掴みはばっちり。ヒロイン衆もそれぞれ小粒ながらも相応のツボを備えていて、シンプルに可愛い。
こうしてみると、オーソドックスな作りながらも高いレベルでまとまっている、テンプレだからツマラナイではなく、王道だから面白い作品へと仕上がっているのがよく分かる。
欲を言えば、後なにか足りないひと匙を加えれば、間違いなく一線級に駆け上がれるような感触なのだけれど、さて何が足りないかというと、これは何とも感覚の問題なんですよねえ。もしかしたら、これ第一巻はプロローグ的に作品の雰囲気やキャラの紹介、世界観を掴ませるためのもので、敵も逆恨み混じりの典型的なやられ役だったので、本番本筋に入る二巻以降になればトントンとステージ上がる気もしないでもないです。
感想書いてて、全体大まかについてばかり語ってしまい、細かい部分に筆が乗らない、というあたりがその「何となく」の部分なのかなあ。
というわけで、個々にキャラに目を向けると、個人的にはブーパンこと、鎮西ちゃんが案の定ストライク。こういう颯爽として堅物な女侍キャラは、可もなく不可もなくという位置なんだけれど、彼女については幼馴染要素に加えて、自分でスカートめくってみせるあのシーンで色々と撃墜されました。あれは反則、いきなり何をしでかすやら。参りました。
ともあれ、本筋である、誰が壮馬を殺したのか、なぜあの事件が起こったのか、というストーリーに踏み込むだろう次回以降が本番なのでしょう、と言うことで楽しみ楽しみ。

千の魔剣と盾の乙女 14 3   

千の魔剣と盾の乙女14 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 14】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ルーの虹を手に入れたロックたち一行は、エリシア救出のため砂漠を越えゴリアスを目指す。いにしえの竜クロウ=クルワッハを目覚めさせて地上を滅ぼさんとする新たな魔王ケンコスは、魔物たちをゴリアスへと集結させていた。数に勝る魔物の大軍に苦戦しながらも、フィル、ナギ、ファーディアの力を借り、いよいよケンコスとの対決を迎えるロック。しかし、ケンコスはかつての魔王バロールと同等の魔力を手にしており、ロックらはかつてない苦戦を強いられることに。ロックたちはケンコスを倒す事ができるのか、そして囚われのエリシアの運命は?!本格魔剣ファンタジー、いよいよクライマックス目前!

ヴァル師匠の頭を、背伸びしてナデナデしてるサーシャがめっちゃ可愛い。サーシャが勇者として魔王討伐に向かった頃はまだ幼い子供だったヴァルが、今や自分よりも年齢も年上で背丈も見上げるような大男になってしまって、性格だって随分と厳ついものになってしまったのですから、彼女ももうちょっと距離感に戸惑うのかと思ったのだけれど、さすが勇者だけあって大物というか、あのヴァル師匠を子供扱いとかさすがだなあ、と。
さすがにメインとは行かないけれど、ヴァルとサーシャとニーウの関係についてもさり気なく進めてくれているので、彼ら三人についてもこのまましっかりと行く末を描いて欲しいですねえ。というか、弟子の方はみんな自力で今の関係を構築していったにも関わらず、師匠の方はというと周りが手取り足取りお膳立てしていて、どれだけ世話かけているんだと笑えてくる。特にニーウについては、周囲の人がしきりに発破かけるわ、わざわざ三人で生きていけるようにわざわざ状況を整えてくれたりと、背中押されっぱなしなんですよね。弟子のエリシアも随分面倒臭かったけれど、彼女はちゃんと自分でロック捕まえたぞ、っと。まあ、甲斐性のあるロックと違って、ヴァル師匠はほんとダメだからなあ(苦笑
紆余曲折を経て、なんとかエリシアを救い出すための宝具を手に入れ、タイムリミットが迫る中彼女の救出に向かうロックたち。ファーディアの愛想の無さがえらく女性陣には不評なのに、それをロックやホルプが宥めたり庇ったりという構図はなんだか面白い。普通は男同士が反発し合い、角を突き合わせて、そこからライバルと言う名の親友になっていくものなんだけれど、この二人の場合対立自体は女性陣そっちのけでふたりきりである程度やっちゃったし、ロックの性格的にファーディアのあのキツい性格はあんまり気にしないタイプだから、女性陣よりも先に受け入れちゃった、というのもあるんだろうけれど。
でも、ファーディアも最初の頃と比べるとだいぶ丸くなったよ、あれでw
焦点であるケンコス戦は、さすがに先の魔王戦は越えられなかったか。そもそも、ケンコスはあくまで魔王の側近であって、王の格ではないんですよね。いや、格が低いというわけでもなく、キャラクターが浅薄というわけでもないのですけれど、あの用意周到で人間のように策を弄する個性は、将としては非常に強敵だし、実際たちの悪さでは先の魔王よりもよっぽどだったかもしれないですけれど、やっぱり「魔王」としては弱いんですよね。
それに、精神的にケンコスはもうロックたちのことを上から傲然と見下ろすのではなく、対等の怨敵と見ているというのもあって、どうしても同じステージで真っ向からぶつかり合う相手、以上ではなかったわけです。
でも、最初から魔王より凄い相手、として見るのではなく、対等の立場から敵意を剥き出しにして、あらゆる手段を使ってエリシアを助けに来るロックたちを倒そうとしてくる強敵、として見るならば十分以上に歯ごたえのある戦いでした。ロックたちからしても、最大の目的はケンコスの打倒ではなく、エリシアの救出なだけに、お互い相手の手を読み合いながらの戦いでしたしね。
それに、あれだけロックへの敵意に囚われながらも、本来の目的を見失わずに着々と手管を巡らしていたあの手腕は、ラストバトルの前哨戦としてはまさに十全の敵だったんじゃないでしょうか。
しかし、エリシアは体を乗っ取られ、精神を侵食され、とえらい目にあったわけですけれど、最後の役得を思うと差し引きとしてはプラスだったんじゃないですか。ご馳走様です(笑
最後の展開はある程度予想していたとはいえ、まさにクライマックスに相応しいワールドクライシス!!
お膳立ては全部揃った。あとは、最終巻のみ。

シリーズ感想

赫竜王(イグニス)の盟約騎士 2 3   

赫竜王の盟約騎士2 (一迅社文庫)

【赫竜王(イグニス)の盟約騎士 2】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

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学園の新たな理事長に就任したベルクマンは、アルキミア王家の裏の顔を知り、王国の庇護を離れることを決意する。王国との同盟を破棄したいま、新たな勢力、種族との同盟なくしては、今後の竜たちとの戦い、王国からの圧力に抗せない。そう判断したベルクマンにより、ジルたちは竜の骸を鍛え、盾や剣に加工できる水棲種族と接触をはかるべく隣国へと派遣されることに。長老竜の手がかりが見つかるかもしれないと考えたジルは、ティナと咲夜、フルフルらを伴いその種族が住む巨大湖へと向かったのだが、そこには特殊な竜が待ち構えていて―。本格竜殺しファンタジー、第二巻登場!
前作でヒロインの一角にも関わらず、その際立った弄られ属性から、完全にみんなのオモチャとして定着してしまったシルヴィの、あの弄られヒロインの魂をティナが引き継いでくれました! 今度はメインヒロインが弄られっ娘ですよっ!
真のMとは、Sっ気がない人でもついついイジメてしまいたくなる光線を無差別に出してるものなんですよ。そんな気がなくても、思わずイジっちゃって、あとでハッと正気に返るものの一度味わってしまった甘美にして恍惚となる感覚を忘れられず、ついつい繰り返してイジってしまうこの中毒性。それこそが真の弄られっ娘! 
あのティナのプルプルカタカタと涙目になりながら挫ける姿は、もうなんかたまらんですよっ、タマランデスヨッ!
この娘、あとがきでも作者が語っているように、ヒロインというよりももう一人の主人公なんですよね。絶望的な現実と人間の沸騰するまでに煮詰められた情念に対して、負けず理想を掲げ続け不屈の精神で戦い続ける少女なのである。平和を説きながら、その為に力が必要なコトも理解している理想家のリアリストというべきか。彼女が倒さなければならない敵は、竜のみならず、竜を憎み呪う竜狩りたちすべてであり、この状況を現出させて社会を成り立たせているすべてのシステムであり、思想であり、意思であり、すなわち世界のすべて、と言ってもいいほどのスケールを相手にしているのである。畢竟、それに立ち向かうティナには揺るぎない信念があり、ブレない意思の強さがある……にも関わらず、些細な身の回りのことについては茹でる前の素麺の芯ほどの脆さでポキリと折られるこの柔らかさw
ちょっと押すと、ポキっと折れるんですよね、この娘。泣いて謝ってくる姿がもう可愛くて可愛くて。最初は飽きずに毎度抵抗の素振りを見せるのが、またついつい啄いてしまいたくなる要素でもあったり。
折れてもすぐ復活するメゲなさも魅力だわなあ。

竜と人の相容れず殺しあい続けるという不毛な世界情勢。竜に家族を殺され、故郷を滅ぼされた人間たちの怨念がベッタリと張り付いた世界観は、作品そのものに仄暗い雰囲気を与えていて、主人公のジルたちからして竜だけが相手じゃなく、国そのものにも復讐心を滾らせているという負の方向に定まってしまったキャラクターだったので、何だかんだと息が詰まるような苦しい感覚のする物語だったのですが、この2巻に入ってこのティナが凄い頑張ってくれたんですよね。いや、イジられることで空気を和ませてる、というのも大いにあるんですけど、あるんですけれど!
恨み、憎しみ、呪い、怒り、そういった負の感情に染まりきり、先の展望、未来への望みといったものを何も持っていないジルやすべての竜狩りたち、この世界の行く末そのものに、ティナだけが反逆し、未来を語り、それに影響されるように、ジルたちが本来持っていただろう柔らかい人間性が引っ張りだされてきて、何だかんだと前向きな雰囲気に、優しい気持ちを大事にする空気になってきたんですよね。これは、大いにティナの功績だと思う。理想を語り、しかし理想を実現するために必要な力を否定せず、その上で皆の意識を変え、未来を示し、竜との対話を叶えようとするティナの姿は、力強い光そのもので、これはヒロインというよりもまさに主人公なんですよね。当の主人公のジルからして、感化されはじめていることを強く実感していたようですし。
さらに、この竜と人間とが殺しあう状況が何故始まったのか、竜たちの真意と事情、そして世界を覆う悪意の姿が見えてきたことで、物語そのものの方向もグッと面白くなってきました。
メインパーティー以外の周りのキャラクターも充実してきて、枠組みの拡大と強化も順調ですし、この2巻でだいぶ加速しだしたんじゃないでしょうか。さあ、舞台が整いだした。

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている 3 3   

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている3 (一迅社文庫)

【引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている 3】 棺悠介/のん 一迅社文庫

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重度の引きこもりだったため、高校生らしい夏を過ごしたことがない紫羽のために、春哉は『引きこもり対策部』としての合宿の開催を提案!合宿当日、行動するペアを逐一くじで決めることに。紫羽と一緒に過ごしたい春哉なのに、ことごとく違うペアになり、徐々に二人はすれ違って―!?大人気引きこもり学園ラブコメ、ついにクライマックス!!
前半は新たな引きこもり(?)の登場があったにも関わらず、後半で一気に纏めちゃった流れには相当な巻きを感じたので、実質打ち切りになるのかなあ。うーん残念。
前半は、あれ?このシリーズってオカルトもありだったっけ?と真剣に悩んでしまったくらいの迫真の怪奇ミステリーでした。ってか、新ヒロインの名前からして誰も突っ込まないもんな。幾らなんでも妖子はないんじゃね?と思って、誰か指摘しないものかとキョロキョロしてたのに先生含めて誰も何も言わないから、そこらへんからアレアレアレ?と認識があやふやになってきた感がある。冷静に考えると、異能だとオカルトだのが実在する世界だったら、中二病田中があんな風に抉らせてるはずなかったわけなんだけれど、それを思い出させないぐらいに上手いことあのオカルト部に誘導させてしまったしまった。いや、春哉があんまりにも疑わないもんだから、それに引っ張られたというのもあるんだけどさ、ちょっとは春哉も超常現象疑えよ。最初からある事前提みたいな感じで突っ走るからついついこっちまでその気になっちゃったじゃないか。
とまあ、前半は新たな引きこもり生徒の登場もあって、メンバーも増えてさあこれから、という雰囲気だったのに、後半からは新加入のオカルト研究部の連中はハズレてもらって、今までのメンバーで総括的に夏休み合宿という顛末に。それも、かねてから怪しげな雰囲気をまとわせていた真紅の魔女の正体と真相、そして恋愛模様の決着編、とかなり巻の入った急ぎ足で片付けちゃった感じなんですよね。
本作の一番の魅力は、紫羽という強烈な個性を持ったヒロインと主人公の関係性でした。幼少時は、まさにヒーロー、或いはモンスターとも言うべき存在感を示していた彼女が、高校生になって再会した時には挫折し引きこもりの状態でえらくひん曲がった存在になっていて、主人公との関係も過去と現在の立ち位置の違いから凄く変な具合に絡まりあった状態になっていた、その特殊性が魅力だったと思うんですよね。二人の関係については第一巻の記事に詳しく書いたつもりなのですけれど、紫羽ほどの強烈なヒロインが落ちぶれて春哉に依存しているというほどぞっこん寄りかかっている、というどこか背徳的な関係は背筋がゾクゾクするような魅惑的なものだったんですけれど、この締めに入ったこの巻、特に最後のエピソードらへんでは、そういう二人の特殊な恋愛関係が、尖って歪んだ部分が殆ど削り取られて、ごくごく普通のラブコメみたいになっちゃってたんですよね。
勿論、紫羽と春哉は歪だった関係をいずれは矯正してまともに向き合い支え合える健全なお付き合いに発展させられれば、それが最良だったんでしょうけれど、なんか有耶無耶のうちになんとなく普通になってました、という雰囲気で、一巻を読んだ時にビリビリと感じたこれはどこまで突っ走るのか、という期待感はあえなくしぼんでしまった気がします。その意味では残念な結末だったかなあ。折角なのですから、もうちょっと無茶しても手綱はとれるくらいのポテンシャルは感じてたんですが。
次こそは変に纏まらずに、とことんやって欲しいです。
1巻 2巻感想
 
10月22日

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(電撃コミックスEX)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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