徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  10月の漫画新刊カレンダー  10月のライトノベル新刊カレンダー
  11月の漫画新刊カレンダー  11月のライトノベル新刊カレンダー
 

一迅社文庫

深き迷宮と蒼の勇者 銀閃の戦乙女と封門の姫外伝3   

深き迷宮と蒼の勇者 -銀閃の戦乙女と封門の姫外伝 (一迅社文庫)

【深き迷宮と蒼の勇者 銀閃の戦乙女と封門の姫外伝】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

異世界クァント=タンで繰り広げられたすべてを滅ぼす凶生物ゼノとの死闘。ゼノとの戦いはもっと前から始まっていた。エアリア界の魔法を操る少年、法鷹和馬は勇者の血統をもつ青髪の少女あかり・クラインと出会い、迷宮の中で発見された和馬の記憶喪失の妹エーリエとともに深き迷宮、その最深部を目指し攻略に挑んでいた。数多の魔物が闊歩する迷宮の奥底に潜む陰謀と、世界を滅ぼす災厄の正体とは?!『銀閃の戦乙女と封門の姫』の前日譚『放課後ランダムダンジョン』が、加筆のうえ装いも新たに再登場!瀬尾つかさ書き下ろし、『銀閃の戦乙女と封門の姫』の後日談となる物語も収録!
【銀閃の戦乙女と封門の姫】の最終決戦にて颯爽と参戦して、縦横無尽の活躍を見せた蒼の勇者あかり・クライン(既婚・人妻)が、旦那となるお相手と出会い結ばれるまでのお話、というと語弊があるか。正確には、ゼノ戦争の前史。【銀閃の戦乙女と封門の姫】にていくども語られることになる「ゲート・ブレイク現象」と「英雄部隊の最後の戦い」の当事者であり、再びゼノが侵攻してくるまでの一連の出来事を担うことになる、英雄部隊の生き残りと蒼の勇者の後継者の物語である。
作中の時系列的にも、作品の出版時期についてもこちらの方が本当は速く、本作は新装版ということになるのだけれど、自分が読むのはコチラが後発。エリカお母さんもメンバーだったという英雄部隊の活躍については、ずっと気になってたし、ゲート・ブレイク現象から異世界クァント=タンで戦備が整えられるまでの具体的な過程も薄っすらと既に終わった話として語られるばかりだったので、こうして当事者の視点から語られる物語は疑問や好奇心を解消させてくれるという意味では、まさに痒い所に手の届く作品だった。新装版は助かったなあ。
なんでダンジョンなんかに潜る事になってたんだ? という最大の疑問についてもちゃんと答えが用意されていたし。
まだ十代の子供にも関わらず、重すぎる過去と心の傷を負ってしまった和馬やあかり、そしてエーリエ。年齢的にはまだ幼いと言っていいくらいの子供なのに、もう微塵も子供として生きる猶予も余裕も与えられていない彼らが、可哀想でならない。大人であるケンの忸怩たる思いもわかるというものだ。なのに、さらに彼らを戦場へと引っ張り込まなければ、人類が滅びてしまうという矛盾。重責というにも程がある負担である。否応もなく子供で居られなくなった彼らだからこそ、お互いに出会うことが出来たのは何よりの幸いだったのだろう。負担も重責も心の傷も、重すぎる真実も一緒に共有でき、一緒に背負うことが出来、人生を共に歩むことが出来、一緒に戦うことが出来る支え合える相手と出会えたということは、何よりの幸いだったのだろう。あまりにも悲惨で救いのない事実ばかりの中で、こればかりは運命の巡り合わせだったように思う。
エーリエについては、もっと悲惨な顛末になっても仕方なかっただけに、最悪の事態にならずに済んで本当に良かった。救われたと思って、期待を踏みにじられたら立ち直れないよ、これ。
一巻完結ということで、和馬とあかりがイチャイチャするような余裕はあんまりなくて、この蒼の勇者というぼんやり娘が、この朴念仁をどうやって攻略したかについてはざっくり端折られてしまったのはちょいと残念。まああかりが想像以上に奥手だったので、あかりが攻略という形にはならなかったみたいだけれど。これ、エーリエ苦労したんだろうなあ。その苦労をねぎらうためじゃないけれど、彼女についても責任負っちゃえばいいのに。エーリエもごちゃごちゃ言ってないで。
ちゃんと妹含めて、皆まとめて娶ってしまった実績の持ち主が、クァント=タンの方に見本として現れてくれたんだから。まあ、あっちにはラスボス属性の妹と黒幕属性の妹姫様がタッグを組んで暗躍するという怖すぎる肉食系ヒロインの支配領域なので、あかりとエーリエに同じ真似をしろ、というのも難しいというか可哀想なのだけれど。でも、人妻とか言っておいて、あかりにまだ手を出してなかったとか、当時の切羽詰まった事情もあるでしょうが、そりゃあかんでしょう、和馬さん!!

瀬尾つかさ作品感想

赫竜王(イグニス)の盟約騎士 3   

赫竜王の盟約騎士 (一迅社文庫)

【赫竜王(イグニス)の盟約騎士】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

どこからともなく現れた竜の群れに襲われたアルキミア王国は、竜を斬るほど強くなる竜剣を創り、竜剣の使い手を養成する学園を開き対抗した。それから数年、竜との戦争が続くアルキミアに、竜と王家に対する復讐を願う少年ジルと咲夜が現れ、指揮統率の才覚を持つ竜剣使いのティナと出会う。ティナの理想とジルの現実、二人の想いがぶつかりあうとき、新たな歴史が始まる!
竜を倒し、その核を剣に取り込むと剣が強化されて強くなっていく、というシステムは非常にゲーム的だなあ、と思うんですが、折角死ぬ思いをして、実際結構人死を出しながらも竜を倒して、これで剣を強化できるのがたった一人だけ、というのはかなり揉めそうな気がする。
作中では、今のところ何となくその戦闘におけるMVPが雰囲気で選び出されて、特に揉める事なく収まっているけれど、それは主人公サイドのジルにしても咲夜にしてもティナにしても、それぞれに竜剣以外に拠り所となる力があり、単に強くなって生き残り竜を狩るという目的以外の思惑を持って動いているからで、他のチームはかなりもめてそうな気がするなあ。竜との戦いはかなり死亡率も高いし、竜剣を強くすることがダイレクトに生存率に関わってきそうなものだし。
とまあ、世界観のシステムは非常にゲーム的なのだけれど、その枠組から半分足を踏み外し、また向いている方向も違っているのが、この主人公たちである。人間を襲う竜たちを倒して、世界を救え、という定められたエンドマークを端から無視しているわけですからね。むしろ、そのシナリオを構築した側の人間たちに復讐を誓い、或いは抗おうとしているのが主人公たちなわけですから。
しかし、その為にはやはり力が必要、竜を倒し、剣聖と呼ばれる竜狩りの極みに立つような力が必要であり、また人間を滅びに向かわせている竜たちに対する憎悪もまた他の人間たちと変わらず、という意味でシナリオを逸脱することを最終目的としながら、現状ではシナリオに沿って動いてはいるんですよね。
まあ、ラストで速攻で竜ではなく、人間がラスボスになっているのですけれど。
肝心の敵である竜にしても、相対した老竜の理性的な物言いといい、王家の怪しい動きと言い、この竜の襲来による世界の危機そのものについても、何らかの陰謀が張り巡らされている気配があるのですが、王家への復讐にひた走るにつれて、その真相にたどり着いていく、という流れになるのかな。

とりあえず、主人公のジルが内心かなり冷徹で他人に対して突き放したようなことを考えながら、実際の行動ではついつい甘い対応を繰り返して、あれこれ助けて回ってしまっているあたりは、復讐の徒になりきれていないのがありありと見えて、存外可愛らしさすら感じてしまうところです。自分では徹しているつもりでいるあたり、無理しているというわけじゃないんだけれど、本来の柄じゃないんだろうなあ、今のスタイル。実際、その点ツッコまれてたりもしますし。
一方でメインヒロインのティナにしても、ポンコツと出来る子の両サイドに足を引っ掛けて股裂き状態になっているような子で、なんちゅうか面白い。むしろ主人公的なのはジルよりも彼女の方なのかもしれない。その立場にしても、性格にしても、能力にしても、思想にしても。
事実上、彼女こそがみんなを牽引していく立ち位置になるので、下手をすると前作と同様、主人公のハーレムじゃなくて、ヒロインである彼女が中心のハレム形式になるんじゃないかという期待で、ちょいとワクワク♪
とりあえず、スタートということで情報の展開に比重がとられていた感もありますが、どんどん動き出して行く次回以降が楽しみなシリーズ開幕編でした、と。

手島史詞作品感想

聖煉の剣姫(ソーディア)と墜ちた竜の帝国3   

聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国 (一迅社文庫)

【聖煉の剣姫(ソーディア)と墜ちた竜の帝国】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

魔王が60年周期で赤い月からやってくる。人間と竜、妖精、そしてエルフやドワーフといった多種多様な種族は、強大なちからを持つ竜を中心に戦い、都度、魔王を討ち果たした。しかし60年前、魔王は現れず、共通の敵を失った人々は互いに争い、いくつもの国が滅びた。それから60年。豊かな自然に囲まれた辺境の町に住む狩人の少年グレイのもとに、浮遊機動島ネクサス・シティにある賢者の学院から一人の少女が現れた。少女の名はアリシア。賢者の学院に留学したグレイの妹フィーネが失踪したこと、各地に伝わる遺跡や聖遺物を彼女が破壊している疑いがあり真偽を問うべく、フィーネを追いこの地にやってきたという。魔の森、その奥深くにある遺跡へ向かったというフィーネを追い、アリシアとともに旅立ったグレイは、かつてないほど殺気立つ魔物の群れ、そして自らの血に隠された秘密を知る―アリシアとグレイを待つ運命とは、そして赤い月からやってくる魔王とは―
これまでから引き続き、イラストは美弥月いつかさんとのコンビで。今となっては一迅社ではこの絵師さんとでないと、みたいな安心感があります。さて、イラストレイターの人は前作から引き続いたとはいえ、作品自体に繋がりがあるかというと……あれ? 無いとは言い切れないのか。【銀閃の戦乙女と封門の姫】や【魔導書が暴れて困ってます】は、三千世界との行き来が可能な世界観なので、完全な異世界モノである本作とも繋がりが無いとは言えないんですよね。まあ、その三千世界は前作の敵によって殆ど滅ぼされてしまっているのですが。
とはいえ、この60年周期で魔王が赤い月からやってくる、という話と、竜という存在が色々と想像はさせてくれます。特にこの魔王と敵対していた「竜」という存在は、どうやらその単語から思い浮かべるトカゲの王様、ドラゴン的な存在とはちょっと違うみたいなのですよ。少なくとも、作中で描写された「竜」の姿は全部人間形態ですし、「竜」特有の言葉や表現ってのが……完全に現代日本で使われてる「スラング」だったりするんで、あれ?となってしまうわけです。
でも、妖精が爆発するのは宇宙的真理なので、この際共通項として挙げるにはいささか根拠が弱いですよ?

「竜」の正体も「魔王」の正体も今のところまだ不明なままですが、この60年周期の魔王の襲来という設定は面白いなあ。特に、前回の60年前には魔王は襲来せず、その為に種族間や国家間の結束が崩壊してしまった、というところなんぞは。
強大な敵に対する備え、というものは、必ず来るとわかっていたならば万全を期して待つことが出来ますけれど、来るぞ来るぞと待ち構えていたものをスカされて空振りさせられてしまうと、どうしても次も同じように備える、という事は出来にくいんですよね。
論理的に考えて、もしもの時に備えて準備しておくことは当たり前なんでしょうけれど、60年という世代が1つ2つ更新してしまう年月や、その準備の為にかかる予算や労力のことを考えると、もし次も空振りならば、という何もなかった時の方のリスクへと意識が行ってしまう。
根拠はなんにもないけれど、前回は大丈夫だったんだから、今回だって大丈夫だよ。これまで大丈夫だったんだから、今後だって大丈夫なんだよ、という気分になってしまうのが人間であり、これだけ準備したのに今回も何もなかったら誰が責任を取るんだ! と言い出してしまうのが人間というものだったりします。
その意味では、この作品における魔王サイドの戦略というものは急所を穿ちまくってるんですよね。結果的に見れば、60年前に攻め込まなかったことで、むしろ攻めこむよりも多くの被害、損害、損失をこの世界に及ぼしているのですから。しかも、自分たちの戦力を費やすことなく。それどころか戦力の蓄積増強にすら成功している。人間サイドは、もう魔王の侵攻の可能性自体を無視している状況だし、開戦の段階でもう殆ど戦略的に詰ませた、と言っていいくらいの状況を作り出している。これで負けるとか、あり得ないよね〜〜。

めっちゃやられとるやん!!
ちょっ、せっかく60年掛けて準備してきた侵攻計画が、たった一人の為に半壊状態じゃん!!
魔王サイド、これ涙目じゃないですか?(苦笑
これはもう、妹ちゃんを褒めないとしようがないのか。
前作もそうだったけれど、妹という存在は優秀すぎてたまらんなあ。兄のシスコン振りも、前作に輪をかけてひどくなっているけれど。酷いどころじゃなくて、もうこれ唯一妹神として絶対信仰しているんじゃないか、というレベルでシスコンなんですけど。あかん、この主人公、瀬尾さんの作品の中でも頭ひとつ抜けておかしなことになってるw
あまりにも妹絶対主義の狂信者になってしまっているせいで、肝心のヒロインのはずの、表紙も飾っているアリシアの扱いが微妙に目立たなくなっちゃってるような気がするのだけれど、グレイは妹に対してはイカレてるけれど、それ以外に対しては生真面目で愚直なくらい素直なので、相棒として、ヒロインとしての接し方はかなり丁寧だし対等に尊重している上に距離感に遠慮もないので、今後なかなかよいコンビになっていきそうです。
というか、このアリシアも多分にもれずお姫様としてリーダーシップに溢れているタイプなので、なんかグレイとの関係はお姫様とワンコになりそうだ。グレイって賢い忠犬みたいなところがあるし。
ともかく、まだ物語もスタートしたばかりで、舞台を整えて人員を揃えている状態。本格的に動き出すのは次回以降になるんでしょう。ブースターに火がついてからが本番かな。

瀬尾つかさ作品感想

祓魔科教官(デモンビーター)の補習授業 落第少女に咒術指南4   

祓魔科教官の補習授業 落第少女に咒術指南 (一迅社文庫)

【祓魔科教官(デモンビーター)の補習授業 落第少女に咒術指南】 すえばしけん/NOCO 一迅社文庫

Amazon

異世界との亀裂から現れる異形―魔禍魂を狩る“祓魔技能士”を養成する天原学園。学園に転入してきたフリーの祓魔技能士・日垣悠志朗(18)は、咒術も異能も使えない“常人”なのだが、落第寸前少女3人の補習授業を担当することに!祓魔科の優しい新任教官×クセもの少女たちの学園祓魔バトル!

うははは、これは黒い。ダークサイドまっしぐらじゃないか!
【スクランブル・ウィザード】を好きだった人には、待ちに待ったダーク・すえばしーなんじゃないだろうか。あれも、先生と教え子の教育モノにも関わらず、社会の冷酷非情な暗黒面に踏み込みまくった容赦無い一面が色濃くある作品だったからなあ。
本作も、真っ当な教育・育成モノと見せかけて、人道とか人間性というものに後ろ足で砂を引っ掛けるような、人間として破綻し、壊れてしまった人たちが、物語の中軸でうごめく作品となっている。
何しろ、主人公からしてアレだからなあ。
一見して明らかに壊れてる人間なんて、別に何も怖くないんですよ。怖いのは、普通に接していたら全く破綻している事に気づけない壊れ方をしている人間の方。これがヤバい、本当にヤバい。同じ世界を見て、同じ価値観を有して、同じ気持を共有していると思っていた相手が、まるで感性の異なる怪物だったと知った時の、毛穴が開くようなゾッとする薄ら寒さ。
いやあ、もう読んでて青ざめましたよ。え? ナニイッテンのこの人? とぽかーんとなって、血の引いていく感覚。やばいやばい。
しかも、この壊れ方って、自然にこうなってしまったわけじゃなくて、とてつもなく丁寧に慎重に、外枠が壊れないように繊細に、注意深く、プツリ、プツリ、と致命的なものをちぎって、折って、破壊していく、という偏執的なくらいの情熱をもって、人格を壊していった結果なんですよね。
いや、或いは一度バラバラになってしまったモノを、敢えて元通りにはせずに、大事な部品をわざと抜いて組み立てなおした、というべきなのか。
それが、悪意によってではなく、むしろ愛情によって成されているというのが、余計に肌を泡立たさせてくれる。ヤンデレどころじゃないですよ、いい具合にイカレ狂ってる。
しかし、ここまでイカレ狂っていてこその、人類サイドの切り札なんですよね。こりゃ、確かに普通の“祓魔技能士”とは根本的に存在の在り方が違うわ。どれほど才能があろうと、鍛えに鍛えようと、人類の範疇を越えようと、それでもはやりそれは人間なんですよね。一方で、こいつらは見事に選ばれ反転してしまっている。文字通り人間をやめてしまっている。まるで、人類の決戦存在。絢爛舞踏みたいなもんですわー。
果たして、そんな本当の意味で人間ではなくなってしまっているモノを、人の領域まで引き戻せるものなのか。
スクランブル・ウィザードでは、主人公の十郎はヤサグレてはいたものの、人間としてはまともな部類でしたし、その教え子となったあの子も、小学生ながら「やり手」と言っていい子だったので、あの凄まじい状況を乗り越えることが叶いましたけれど……こっちは、ハードル高すぎですよ。スクランブル・ウィザードで言うなら、能勢っちをまともな人間に戻せ、と言うのと似たレベルに見える。さすがに、あそこまでは致命的に破綻してはいないけれど、何しろこっちには余計な真似をしようとすると邪魔してくる(物理的に死ぬ)人がいるもんなあ。どうすんだ、これ?
とりあえず、落ちこぼれ三人組のうち、メインとなる子以外の二人については、まだ殆ど掘り下げもしておらず、彼女たちにまつわる事情についても触れていないし、三人組がまだ打ち解けているとはいえない段階でもあるので、その辺を進めていかないと話にならないですね。これ、花耶ちゃん一人では絶対にどうにも出来ないですよ。
あと、鈴切先輩と木竜先輩も上手いこと絡んできそう。特に、木竜先輩は良いキャラになりそうなんですよね。出た当初は典型的な、適当にやられるチンピラ役という割り振りだったのに、男キャラでは特に重要かつ美味しいところを担いそう。
ともかく、ラストシーンにはもう完全にヤラレたので、次回以降すごく楽しみです、これは真骨頂が見られそうで、実に楽しみなシリーズの開幕です。

すえばしけん作品感想

剣刻の銀乙女(ユングフラウ) 7 3   

剣刻の銀乙女7 (一迅社文庫)

【剣刻の銀乙女(ユングフラウ) 7】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

皇禍たちの王に即位したエステルを王都に迎えたエストレリャでは、ルチルら王族を中心に会談を重ね、人間たちと罪禍たちと不可侵協定の締結に向けて動き出していた。その頃、協力関係構築の一環で辺境の砦を視察していた皇禍フランの前に、国王暗殺の嫌疑をかけられ行方をくらましていた王国最強の騎士ヒネーテが現れる。ヒネーテはかつての高潔かつ勇猛な騎士の姿を失い、尋常ではない力と剣刻でフランを圧倒し…。時代を超えた剣刻をめぐる戦い、ついに完全決着のとき!
いつ、死んだかに見えたクラウンが現れて、またぞろ悪辣な陰謀でこちらを追い詰めてくるかと恐々として待ち構えていたんだが……あれ? 最後まで現れなかったぞ、クラウン。ほんとに、あの時やっつけてたのか!?
どれほど殺してもしぶとく復活してきそうな質の悪い悪意の塊みたいな敵だったので、それをあそこでちゃんと討ち取っていた、というのはむしろルチルたちを褒めておくべきなのだろう。実際、あの戦いではクラウンを完全に手球にとって陥れる事に成功した上で、油断もなく完膚なきまでに殲滅してみせるという凄まじい謀をキメてみせたので、あれで仕留められてなかったら、どうやって仕留めればいいんだ、という話になるんですよね。
ただ、問題はあまりにもクラウンという敵が邪悪で悪辣すぎたせいで、それを上回るラスボスを用意出来なかった、ということか。過去の長き歴史に決着をつけるべく倒さなければならない敵である「魔神」は、どちらかというと現象とか災害に類するもので、個としての意識を持った存在じゃなかったので、強大ではあってもなんというか、精神的に心を折ってくるような絶望感を強いる敵ではなかったんですよね。災害みたいなとんでもない敵なら、その強大さだけで打ちのめされそうなものだけれど、これまでの戦いを通じて絆を深め、壁を克服してきた主人公たちは、もう言わば最終決戦仕様になってた為に、いまさら絶望感に打ちのめされるような可愛げもなかったですし。言うなれば、もう倒されるべくして倒されに来たラスボス、みたいな感じでした。
むしろ、その最終決戦仕様の主人公たちに立ちふさがるべく現れたのは、ヒネーテの方だったのだけれど、彼も王国最強の騎士という触れ込みに対して、それを実感させるイベントがあんまりなかったせいか、ちょいと立ちふさがる壁としてはインパクトに欠けたかなあ。忠義の士であり、先の世に希望を託すために全てを捧げた騎士、というなかなかグッとくる役どころだったのに、その点についてはちょっともったいなかったかも。
人間関係の方も、千年前の出来事を踏まえて、概ねルチルとエステルの間でヒースの扱いやらなんやらはほぼ固まってたからなあ。あとは、ヒースがどれだけ覚悟を決めるか、というよりもはっきりとどうお持ち帰りされるか覚悟するか、という話になっていたので、まあ全体的に消化試合、という雰囲気になってしまったのは少々物足りなかった部分かもしれません。
それでも、エステルとルチルが一致団結して牽引してくれたせいか、話も嫁取りの話も滞りなく進んで、千年前の因縁もすべて決着し、気持よく幕引きと相成ったのではないのでしょうか。フランちゃんの可愛さがどえらいことになってて、もっと早くこの子渦中に投入しておけば、とか思ったりもしましたけれど。
なんだかんだと最後までお気に入りの物語で楽しかったです。ヒースそっちのけでのルチルとエステルのラブラブっぷりは、ごちそうさまでした。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 13 4   

千の魔剣と盾の乙女13 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 13】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

死闘の末に魔王バロールを打ち倒したロックたち。だが、生きていたケンコスがエリシアの身体を奪い、新たな魔王と化して姿を消した。失意の底に沈むロックだが、仲間たちに支えられ、エリシアを解放するための旅に出る。一度別行動をとり『文化都市』ベアルフェルで合流を果たしたとき、ロックの心は荒み、変貌していた…。一方、ケンコスはクロウ=クルワッハ覚醒の準備を進めるとともに、己が目的の妨げになる者を葬り去らんとして動きだした。ロックは新たな魔王を倒すことができるのか。そしてエリシアを救いだすことができるのか。本格魔剣ファンタジー緊迫の第三部!
ケンコスさんのセンスがイカしすぎてる!! 何を思ってこんなアグレッシブすぎるファッションを身につけてるんだ。あまりにも如何にもすぎて、逆にちょっと笑えてきすらしましたよ。ああ、ケンコスってそういう趣味の人だったのね、と(笑
それはともかくとして、エリシアを奪われたロックたちの荒れっぷりが酷い。本当に酷い。エリシアの意思がどれだけ持つかのタイムリミットもあり、彼女の体を取り戻すための方策も見つからず、と絶望する要素は満載なのだけれど、それにしてもロックの荒み方が、こいついったい誰だ!? というくらいになっていて、さすがに愕然としてしまった。このロックを見てしまうと、普段のロックってすごく大らかで温厚で朗らかな青年だったんだなあ、と今更のように納得してしまった。これまでだって、精神的に余裕が無い窮地はいくらでもあったはずなのに、ロックは切羽詰まりながらも、その柔らかな性格にはブレがなかったですもんね。それだけに、これだけロックが荒んでしまった姿を見るのは、なかなかショックでした。荒んでいると言っても、無愛想になったり寛容さが薄くなったり周囲に対して反応することを面倒臭がるようになったり、といった感じで社会性、社交性を失うほど荒れきっているわけではないのが、逆に身に詰まるものを感じさせられ、かなりキツかったです。こうなってみて初めてわかったんですけれど、自分、このロックという主人公のキャラクターがかなり気に入っていて好きだったんだなあ、と今更のように実感させられた次第。フィルやナギも、こんなロックには戸惑いを隠しきれず、エリシアを助けるために一致団結しなければならないパーティーは、自然とギスギスして居心地の悪い空気が流れることに。ナギやフィルの方も、ロックの変化を受け止め宥める事が出来るだけの余裕を失い、彼女たちも荒んでいた、と言えるのでしょうね、これ。特に、プライヴェートでも後衛として余裕を持ってみんなを誘導してきたフィルがあれだけ余裕を喪ってバタバタしていたのが印象的でした。なんだかんだとこのパーティー、要はこのフィルだったんですよね。その彼女に余裕がないと、これだけ不安を助長させるのか。
何気に、これまでで一番のパーティー崩壊の危機だったんじゃないでしょうか。それでも、こういう歪みを乗り越えられてこそ、家族になろうという男女の仲というもの。これまで出会った人たちの、助言や助けがあり、相棒であるホルプの献身的な慰めもあり、ちゃんと危機を乗り越えられたロックたちは、えらいですよ。正直、エリシアが戻ってくる前に修復できて良かった。エリシアを取り戻してから、じゃ格好が悪すぎますもんね。いくら、エリシアが正妻とはいえ。旦那さんにしてもお嫁さんにしても、それじゃあ情けなさすぎル。
それにしても、エリシアが居ない分、ホルプがちょっと献身的すぎるでしょう。あんた、雄じゃないのかよ。まさか、ホルプの龍身を見る機会がこのシリーズでもあるとは。世界よりも相棒であるロックや、エリシアたちを優先することを明言するホルプは、彼がこれまでなしてきたこと、彼の性格を思えばかなり衝撃的な事で、だからこそホルプの、傷つき荒れ果ててしまったロックへの慈しみが伝わってきて、思わずジンとしてしまいました。ほんと、最高のバディじゃないですか。
さり気なくリャナンシー復活フラグを立てつつ、エリシアを助けるための手段も無事見つかり、あとは決着をつけるだけ。ファーディアが何気にチョロすぎる気もするんですけれど、彼も仲間に加えて、さあクライマックスだ。

シリーズ感想

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている 2 3   

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている2 (一迅社文庫)

【引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている 2】 棺悠介/のん 一迅社文庫

Amazon

強く美しかった幼馴染・紫羽と再会し、重度の引きこもりに変わり果てていた彼女を救い出した春哉。顧問・犬養先生の下『引きこもり対策部』として本格的に活動を開始した彼らだが、部員のひとりで中二病をこじらせた少女、ハリエット・ミューカスこと田中和美には、人には決して見せない素顔があって…!?引きこもり学園ラブコメ、待望の第2弾!!

あれ? 四人目の新入部員こと<紅の魔女>塔崎先輩は、ほんとに登場しただけで後回しにしちゃったよ? うん、まあ確かに順繰りに一人のひきこもり問題を解決したら次のキャラが現れて、みたいなベルトコンベアー式の展開はどんなもんか、とも思うんだけれど、塔崎先輩を一応部に参加させつつ、田中さんのお話に殆ど絡ませなかったのには驚いた。塔崎先輩については、かなり変なキャラクターである程度事情に踏み込まない限りは何考えてるのかさっぱりわからない、コミュニケーション取れているのかも定かではない人なので、田中さんのお話に絡ませようにも今の段階だと、確かに今回みたいに一言二言、意味があるのかないのかわからないような発言で差し込んでくる以外なかったと言えるんだけれど。ちょいと構成のバランスが悪い気がするのは否めないなあ。
そもそも、肝心の紫羽が田中さんの話になった途端にやっぱりというか、あんまり目立たなくなってしまったわけで。彼女の強烈なキャラクターがシリアスな展開になっても場を引っ掻き回して落ち着くに落ち着かない「迫」を演出していただけに、彼女が脇に回っておとなしくなってしまうと、途端に話自体も落ち着きすぎてしまった気がする。田中さん自体、中二病全開というわりに不思議と上品に落ち着いている女の子なところも大きいんだけれど。田中妹も、我を通すキャラのわりにお姉ちゃんそっくりでさらりと落ち着いてたからなあ……ん? いや、よく考えると田中さんが云々じゃなくて、作者の筆致自体が柔らかく落ち着いてるのか、これ。紫羽のキャラがあんまりにも強烈だったし、掛け合いの会話もテンポよく軽妙だったので気が付かなかったけれど、そう言えば主人公だってわりと熱い前向きなキャラのわりに妙に品のよい緑茶みたいな良い男だもんなあ。
この涼やかでしっとりとした感じの作風は、後半の展開、結構青臭いくらいの姉妹愛、青春劇ってな感じの流れだったのに、鼻につくような青さを感じさせずにふんわりと胸に落ち着くような優しい柔らかさを感じさせる話へと仕立てあげるに至る強い要因になっているような気がします。
一方で、前半の益体もないドタバタコメディのノリも悪くなかったし、前半と後半の感触がうまいこと混ざり合ったら、かなり良質の青春モノになりそうなんですよね。それが見事に完成されていたのが1巻だったのですけれど、2巻は紫羽の扱いがどうも活かしきれていなかった感じもあり、前半と後半のノリもうまく混ざりきれずに斑になってしまっていたような。1巻で感じた、物語の構成の基礎部分がふらふらとして心もとない、という点が解消されないまま浮き上がってきてしまってる感があります。とかく注目は、このやたら脱ぎたがる発情メインヒロインをどれだけ活かしきる事が出来るか、に掛かってるのかなあ。何だかんだと、紫羽と主人公のイチャイチャも足りなかった気がしますし。お互いこれ以上無く両思いなんですから、もっとイチャイチャして欲しいのですよw
というわけで、次回にこそ大いに期待したいところです、そのへん。

1巻感想

銀閃の戦乙女と封門の姫 6 4   

銀閃の戦乙女と封門の姫6 (一迅社文庫)

【銀閃の戦乙女と封門の姫 6】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

ついに始まった大侵攻により王都は陥落し、ゼノの指令中枢である七体―始祖七桂―に広域殱滅スキルを持つフレイを連れ去られた。フレイの広域殱滅スキルをコピーされたらクァント=タンに勝機はない、その前にゼノを討滅する。第一王女エレオノーラの指揮のもとクァント=タンの全王族と機士を中心に結集した連合軍は、最終決戦へと向かう。一方、カイトたちも囚われのフレイの救出と始祖七桂を打倒するため、ゼノの中核へと切り込んでいくのだが、その行く手には最強のゼノ、始祖七桂が立ち塞がる。はたしてカイトはフレイを助け出すことができるのか、そして最悪の侵略者ゼノとの戦争の結末は―。瀬尾つかさが贈る剣と魔法の異世界ファンタジー、ついに終幕!
とっとと表紙飾るヒロイン持ち回り制にしたら良かったのに、フレイで引っ張り続けたせいでシャーリーが割り食っちゃったじゃないか。実質、シリーズ通じてのMVPは紛れも無く彼女だったのに。
というわけで本シリーズもこれが最終巻、最終決戦でありますよ。三千世界を滅ぼしつくし、押し寄せてきたゼノを食い止めるために創造された異世界クァント=タンを舞台に、全時空生命の存亡をかけた戦いが今此処に。
クァント=タンって、いうなればワールド・オブ・キルゾーン。地球を含む残された世界群を一つの城に見立てたならば、クァント=タンは虎口と言っていいでしょう。異世界一つ丸々を、侵略者を誘い込み殲滅するためのキルゾーンとしてカスタマイズして創造し、そこにこれまた戦闘用にカスタマイズされた人類を住まわせる、というのは改めて見ても凄絶を通り越した発想なんだけれど、これですら殆どゼノを破る希望もなく、ほぼ時間稼ぎか自爆覚悟の捨鉢な期待しかされていなかったというのだから、いったいどれだけ絶望的な状況だったのか。まあ、クァント=タンを創造する以前の戦いの被害の凄まじさを考えたら、もう絶望しかなかったのも仕方ないのか。
そんな、もう終わるしかなかった状況をひっくり返すきっかけになったものこそ、カイトの存在だったというけれど、傍から見ている限りではキングクラスのモンスター戦からこっち、ずっと無双状態を続けていたのはシャーリーと梨花の謀将二人であったのは間違いなく。正面戦力としてはソーニャさまや他の王族どころか、カイトやフレイと比べても片手落ちだったシャーリーと梨花ですけれど、戦局を打開し続けたのは常に二人の頭脳と度胸だったのですから大したものです。この場合、頭脳担当が二人揃っていたというのが味噌で、どちらかが機能不全に陥っても即座にカバーとフォローをまかなえてたのが大きいんだよなあ。今回も、シャーリーが決断できなかった時に背中を押したのは梨花でしたし。これ、どちら片一方しかいなかったらまずどこかで綱渡りの縄から転げ落ちていたと思われる。それくらい、ゼノ登場付近から厳しい判断を問われ続けていたわけですし。
この敵のゼノが曲者で、意思の疎通が不可能な異生物、というとどうしても機械的、或いは昆虫的な存在で対応力が突出していても、先手を取るのは頭を使う人間側、というパターンが多いのですけれど、ゼノの場合知略でもシャーリーや梨花の上を行くことがしばしばで、イニシアティブについてはほぼ相手に握られていたんじゃないか、というくらい。シャーリーたちの知謀の冴えは間違いなく一級品だっただけに、相手の手強さの感触は並外れていました。それでも諦めずに、彼女らが食らいついていったからこそ、辛うじて希望の糸が途切れないまま最後まで繋がったのですが。
つまるところ、ゼノの侵攻戦で終始最前線で火花を散らしていたのはシャーリーと梨花だったと言えるので、彼女ら二人がメインだったはずのカイトやフレイやソーニャ様よりも実質活躍していたのは、まあ仕方ないよなあ。
王族差し置いて囚われの姫の役を担った上に触手に蹂躙されるなんて美味しいところまでやらかしたフレイはともかくとして、敵中枢に殴りこんだカイトとソーニャも、結局始祖七桂のシャーリーの想定を上回る対応策のお陰で一番美味しいところではなくなっちゃいましたしw
最後の対決でも、一番美味しかったのはもっとも戦力的に劣り絶望的な戦いを強いられ、健気に覚悟を決めながら起死回生の目を引いたシャーリーでしたし。
一方で、ソーニャ様はというと、ホントにヒロインかというくらい残念脳筋として弄られまくってて、もしかしてこの人作品のマスコットだったんだろうか、という思いが湧いてくるほど、愛され系になってましたよ?
彼女だけは嫁というよりもペット扱いでも違和感がないような……w
ともあれ、文字通りの総力戦となり人類世界の存亡をかけた激戦が存分に繰り広げられる展開は、手放しで燃えました。カイトも頑張ったよ、うん。自爆妖精も、最後に見せてくれましたし。何でもとにかく爆発させずにはいられない性のアルルメルルが、一番肝心の爆発を阻止してみせた、というのは色々と粋だったなあ。
個人的には、同じ一迅社文庫なんだから【魔導書】の面々ももっと前面に出てきて活躍してくれると嬉しかったんですけどね。モリー男爵は一人で頑張ってましたが。まあ、チラッと顔見せてくれるだけでも嬉しかったんですけどね。
エピローグで、梨花が世界相手に盛大にやらかしてたのは爆笑ものでしたけれど。ちゃんとフレイが正妻になりそうですけれど、これはもう、「妹(梨花&シャーリー)からは逃れられない」は決定ですね。ふたりとも有能すぎる。なんにせよ、ほんと最高に面白かったです。次回作も大いに楽しみ♪

シリーズ感想

剣刻の銀乙女(ユングフラウ)63   

剣刻の銀乙女6 (一迅社文庫)

【剣刻の銀乙女(ユングフラウ)6】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

ヒースたちのもとへと帰還したエステルは、新たな魔王となるとともに、最初の皇禍、初代魔王の記憶を継承していた。エステルが語るエストレリャとプレギエーラの建国にまつわる悲劇、皇禍と罪禍の誕生の謎、魔神を倒した十二人の騎士たちと聖女、そして聖剣伝説の真実とは。これは、時代をさかのぼること千年前、槍の達人プルガトリオ、北方からの旅人サクヤ、呪われた少女マーリン、聖女イリア。すべての始まりとなる四人の出会いと別れの物語。苛烈を究めた剣刻争奪ファンタジー、すべての謎が明らかとなるシリーズ第六弾がついに登場!
一千年前の真実と悲劇。千年前に剣刻誕生の当事者となった人たちが、今のヒースやエステルたちに生まれ変わった、という証拠はどこにもないんだけれど、いざ過去の悲劇と悲恋を思うとかつて叶わなかった恋が、千年後に改めて成就しようとしているという風にも見たくなるもの。それこそ、千年前のサクヤやマーリンの夢なのかもしれないけれど、そういう運命ならあってもいいじゃない。
ただ、女性陣が大幅に逞しくなりすぎているような気がしないでもないけれどw マーリンさんは、もっと薄幸の美少女という感じでしたよ? それが、ルチルみたいな随分とクレバーなお姫様になっちゃって。サクヤの方もアグレッシブではあったけれど、エステルはそれにもまして傍若無人になってるし。イリアだけですよ、シルヴィアという全力全壊で弄られ系に成り果ててるのは……w
しかし、剣刻という聖剣伝説に基づく存在はクラウンによってねじ曲げられ、今回の呪われた事件を起こしてしまったように捉えていたけれど、千年前の発端を見る限り、そもそもからして濃厚な呪詛の産物みたいなものだったんだなあ。最初から、聖剣の使い手を贄として喰らう仕組みになっていたようだし。血統一族まるごとを呪って皇禍なんていう存在に変貌させてしまった上に、罪禍という完全な化け物として扱っていた存在だって、その正体が明らかになってみれば、これも呪詛の賜物みたいなもんだし。
つまるところ、ほぼ何もかもが魔神を発端にしているわけか。千年前から続く悲劇を総決算してここに精算するには、やはり魔神を綺麗さっぱりぶち倒して、エステルとルチルがハーレムを完成させてこそ、なんだけれど……改めてみても、これってヒースのハーレムじゃなくて、エステルとルチルのハーレムだよねえ。ヒースの意見は端から考慮されてなくて、完全に二人の管理に基づいちゃってるしw ここまで男に主導権のないハーレムも珍しい。ってか、ほとんどこれ添え物扱いなんじゃないのか、という疑いすら浮かんでくる(笑

決意を新たにして千年前の人たちの思いを受け継ぎ、この救いのない呪いの連環を打ち壊そうとするエステルやルチルを、千年前の一部始終を、あの人達の人生そのものを実際その目で見守っていた黒い竜はどんな思いで見つめてるんだろう。あのラストシーンは、なんだかジーンと来てしまったなあ。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 12 4   

千の魔剣と盾の乙女12 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 12】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

熾烈を極める魔王城の戦い。難敵ケンコスをついに退けたロックたちは、バルトゥータスとの久方ぶりの師弟再会を果たす。しかし、再会を喜ぶまもなくバルトゥータスはロックに真剣勝負を挑む。魔王との最終決戦を前に、愛弟子が魔王との戦いについてこられるか、その実力を見極めんとしているのだ。バルトゥータスにはたしてロックは打ち勝つことができるのか。そして、魔王との最終決戦。バルトゥータスとロックは魔王を倒すことができるのか、そして蒼輝の勇者サーシャを助け出すことができるのか。川口士が贈る本格魔剣ファンタジー、ついに魔王バロールとの最後の戦いへ!
ふわぁ……いやあ、これだけ正統派の魔王戦って果たして今まであっただろうか。この場合の正統、というのはドラクエ3とかあの辺ですね。魔王城に突入して、一番奥の玉座で待ち構えている巨大な怪物状態の魔王に立ち向かうスタイルでの魔王戦。意外と、このスタイルの魔王戦って小説系統では全然浮かんでこないんですよね。なんかあったっけ。
ラスボスが等身大の人間サイズだとまた違うんですよ。ちゃんと巨大サイズで知性があり、様々な特殊攻撃を仕掛けてくるという醍醐味がないと、RPGで味わったようなラスボス戦じゃないんですよ、こここだわりね。
その意味では、このバロールは百点満点と言ってイイラスボス魔王でした。初手の魔眼による即死攻撃から、肉弾攻撃、大威力の範囲攻撃に状態異常、などなど読んでてなんだか無性に嬉しくなってくるほどの魔王らしさで、今回ページの大半を割いての膨大な分量で魔王戦が描かれることになったのですけれど、最初から最後まで手に汗握りっぱなしの白熱した大激戦で、これもう文句なしの大満足のラストバトルでした。最近どころか古典までさかのぼっても、ホントここまで立派な魔王決戦見たことないよ。
しかも、囚われのお姫様ならぬ勇者様を救出するという王道イベント付き、ってあれ? 主人公バル師匠じゃね、これ? バル師匠絶体絶命の際に彼のために手を差し伸べられた救いの手がまた完全に主人公イベントなんですよね。まあ仕方ないか。こればっかりはバロール相手の戦いはバル師匠がメインでしたもんね。ぶっちゃけこの手の師匠キャラは死亡フラグ立ってるものなんですけれど、彼に関しては師匠キャラというよりももう一人の主人公だもんで、そういう気配全力で振り切ってたもんなあ。
それでも、バル師匠はともかくとしてサーシャの方が大丈夫なのかと不安が残っていたところだったんですけれど、文句なしに見事に救って見せたもんなあ。二十年近い執念が結実したわけで、大したもんである。
挙句、巻末ではバルトゥータス関係ないところでサーシャとニーウが仲良くなっちゃってる始末。あかん、こっちも嫁が二人になりそうだ。これでサーシャが一番年下で、ニーウがお姉さん、しかしサーシャの意識ではバルはまだ十歳の子供で弟みたいなもんだけれど、実際バルは三十超えたおっさん、という倒錯した三角関係なんですよね、なにこれ面白い。
しかし、バロール戦から間を置かずにそのままクロウ・クルワッハ戦になるのかと思ってたら、完全に予想外のとんでもない展開に。なるほど、今回の表紙がエリシアなのも相応の理由があったのか。
いやあ、バロール戦があまりにも激戦すぎたので、ほんとに今回で終わるのかと思ってしまいましたがな。まさか、リャナンシーがあんなことになるとは予測もしてなかったもんなあ。彼女の思惑が、あそこまで決意篭ったものだったとは思わなかっただけに。もうちょっと感情として冷たいものと思ってた。これも妖精の情、というやつなんだろうけれど、切ないのう。

ともあれ、二部関係でそのまま三部突入という思わぬ自体に。もっとも、続きは残り二巻だけみたいですけれど、バル師匠の旅はこれで終わり、これからは本格的にロックたちの物語だ。いやでもこれ、パーティーバランス的に彼女抜けたのめちゃくちゃ痛いんじゃね?

川口士作品感想

銀閃の戦乙女と封門の姫 5 4   

銀閃の戦乙女と封門の姫5 (一迅社文庫)

【銀閃の戦乙女と封門の姫 5】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

ついに明らかになった世界の脅威「ゼノ」。王城へと侵入したゼノが王族最強の第一王子タウロスを無力化したことで、ゼノの脅威とその特殊能力が明らかとなる。カイトとフレイ、第三王女ソーニャたちは、第四王女シャーロッテの指揮の元、逃走するゼノの群れを追撃することになるのだが、その高い戦闘力と組織的な連携攻撃に苦戦を余儀なくされ、ついには王族からの犠牲者も出してしまう。その頃、梨花は第二王女アアフィリンの秘密に気づき…。瀬尾つかさが贈る剣と魔法の本格異世界ファンタジー、急転の第五弾!
おっもしろいなあ、もう!!
そういえば、瀬尾さんって先の【魔導書〜】でもそうだったけれど、キャラ被りを恐れないんですよね。竹中半兵衛と黒田官兵衛、或いは諸葛亮に龐統といった感じに、ヒロインに軍師格を二人突っ込む事を厭わないわけです。この作品の場合は、シャーロッテと梨花が双頭の龍のように政治・戦略・作戦・戦術・情報・謀略戦と頭を使うことに関してはほぼ二人でやってのけてます。普通は、こういう知謀系のキャラは作品にひとりいれば良くて、概ねその一人で大方の方針や指針を示していくものなんですけれど、こっちは一人ですらオーバースペックなシャーリーと梨花が二人で足りない部分を補いながら作戦を仕立てていくので、殆ど反則級の無敵状態です。いや、今回の一件、ゼノの仕掛けていた罠がかなり悪辣で、はっきり言ってどう考えても詰んでいてたように見えたんですけれど、第二王子の遭遇という偶然があったにしても、絶体絶命の場所からの挽回の仕方が洒落にならない勢いと精度で、もうシャーリーと梨花の独壇場、というくらいに二人の知謀が冴え渡ってました。恐るべきことに、第一王女と第二王女、エレ姫さんとアアフィリンもこれ、頭の回転がべらぼうに速いタイプで、政治と知謀が90オーバーしてそうな人たちなんですけれど、この二人も後半全面的に協力体制に入ってくれたことで、四人もの稀有にして屈指の賢人がフル回転で知恵を絞りだすという展開になってしまって、これがもう頼もしいのなんの。頭の方は残念なソーニャ姫やカイトは完全に仕出し係である(苦笑
特にソーニャ姫は、残念ながらその頭の悪さは王様になるのはちょっと無理ですね。早々に王位継承放棄していて正解でした。いや、頭悪い悪いとは言われてたし実際悪いとしか言いようのない言動は今までも数々あったけれど、今回は特に実感させられました。この人は最前線で誰かの命令に合わせて大暴れしているのが一番合ってるわ。使う人じゃなくて使われる事によって最大の能力を発揮できるタイプなんだなあ。

それにしても、なんであの愚王から、これだけ出来物の息子・娘が生まれたのか不思議でならない。本気で全員傑物じゃないですか。いささか腹に一物ありそうだったアアフィリンも、決して足を引っ張るような事を考えていたわけではありませんでしたし、一番性格悪そうだったエレオノーラ姫も、いざとなったら頼もしいわカッコいいわ。確かに、この人ツンデレだわ、ツンデレだわ。男の王族の方も、タウロス閣下は文句なしのイイ男でしたし、今回えらいことになってしまったアシュレイ王子も、好漢と呼んでふさわしい人物でしたし。
ハズレが居ないし!!
能力だけではなく、危急時に身内同士で争わない、という原則をキチンと守れる人たちだというのが何より凄い。なんだかんだと足を引っ張り合ってしまいそうな場面だってのに、そういう時こそ普段対立しているくせに、一致団結して目の前の危機に対処できるというのは、実際目の当たりにすると感動すら覚えてしまう。
さすがは、三千世界最後の砦として造られた世界の王族たち、という他なし。

この三千世界を滅ぼしつくしたゼノという生命体に対する、クァント=タンという出城での迎撃作戦。凄まじい犠牲を払って構築し、現在進行形で様々な犠牲を強いながら用意されたゼノへの対抗措置。もう傍から聞いているだけで、これを構築したメンバーの鬼気迫る凄味には薄ら寒さすら感じるものだったんだけれど、見事にこれらが機能してゼノに対抗できる舞台が整ったのを見た時には、なんかこう……心揺さぶられるものがあった。ここまでしなければならなかったのか、という思いと、ここまでしてのけるだけの覚悟への敬意、そしてそれが成就したことで、犠牲が無駄にならなかった事への胸の詰まるような感慨。
ふー。今回はほんと、度々息を止めてしまうような迫真の展開が続きました。なにしろ、初っ端から一手打ち間違えるだけで破滅、という綱渡りの状況でしたし、幾度か取り返しの付かない事に実際なりかけてましたしね。各人の獅子奮迅の活躍がなければ、どうなっていたことか。
これまでのモンスターと違って、今度のゼノはシャーロッテや梨花の手を掻い潜り、思考の死角を突いてくるような狡知の徒でもあるので、読んでても一時も油断できない展開が続きましたし。ふとした瞬間から、いきなり大ピンチに陥ってたりと、気を抜く暇がなかったからなあ。
ともかく、この流れはどうやら最後まで行かないと終わらないようで、次の巻まで緊迫しっぱなしだ。
個人的には、ソーニャ姫さまの力説する漫画脳的展開は大いにありなんだがなあw

さて、瀬尾つかさオールスター、とも言われる本作。私が読んでいない作品のヒロインも今回がっつりと登場していたようで、このヒロインも既に人妻か!!
それどころか、あれですよ。イリーナさん、ご懐妊おめでとうございます♪ 挿絵付き、とはどんなご褒美だ(笑

一巻 二巻 三巻 四巻感想

剣刻の銀乙女(ユングフラウ) 54   

剣刻の銀乙女5 (一迅社文庫)

【剣刻の銀乙女(ユングフラウ)5】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

エステルに続き騎士姫ルチルも王宮の動乱を鎮めるためにヒースの元を去った。小隊をまとめる中核を失った一行は残り3つの剣刻を集めるため、エリナが発案したヒースとエリナ自身を囮にした誘き出し作戦を実行するのだが、剣刻の所有者は現れず、剣刻目当ての欲にかられた者たちに襲われるばかりの結果に。そんな中、ヒースたちに助力する男女の傭兵が現れる。どこか憎めない風情の兄貴分めいた雰囲気のベニートと、ヒースたちとさほどの歳の変わらない少女ドゥルセの二人は、ヒースたちの剣刻を狙ったならず者を瞬く間に倒してしまう。二人の助力に感謝するヒースとエリナは言葉を交わすうちに二人に親しみを覚えるのだが、そんな二人に剣刻の封印を解かんと画策する悪魔の道化師クラウンの仕掛けが襲いかかる。ヒースたちは剣刻の封印を守りきることができるのか。そして最後の剣刻の持ち主とは?剣刻争奪ファンタジー、急転の第五弾!
ちょっ、最近はあれなのか? 弓使いの時代が来たのですか!? 小隊メンバーの中では唯一、剣刻持ちではないマナ。所謂「魔法使い」ポジションに近い<占刻使い(オーメントーカー)>であることから、マナは後衛での支援要員と考えていて、実際そのとおりではあったんですけれど、ぶっちゃけ思っていたのとマナの戦闘力が違いすぎた! め、めちゃくちゃ強いじゃないかっ!! しかも、火力押しじゃなく、戦慄するような神がかった技量の弓術と占刻のコラボレーション。この弓の人間離れした神技の数々は、【魔弾の王と戦姫】のティグルを彷彿とさせるような凄まじいモノで、魔弾の射手の名に相応しい代物でした。いや、バトルシーンでここまでゾクッとさせられることはなかなかないですよ。その意味でも、マナのそれはティグル並みと言ってもいいかも。いやあ、川口さん以外にもここまで弓矢を映えさせる事の出来る人がいるとは。久々に鼻息荒く興奮させていただきました。

ダブルヒロインであるエステルとルチルの両方が一時的に剣刻を巡る現場から離脱し、残されたヒースとエリナ、そしてマナにシルヴィアたちだけで、残る剣刻3つを集めるために策を練ることになったのですけれど……正直、これは読んでるこっちも騙された。よくよく考えると、最大戦力である二人が抜けるって、誰がどう見てもあからさまに大ピンチなわけだけれど、それって=釣りの餌としてもあからさまなくらい魅力的なんですよね。残されたヒースたちが、自分たちの中で囮を選び出して動いていたために、その外側の大枠をまったく意識できなかった。ルチルとエステルが離脱した理由が、それぞれどうしても避けられないものであったことから、彼女たちの離脱が意図したものではない苦渋の決断だった、と思ってしまったんですよね。思うよなあ、これ。誘引策としては、鮮やかなくらい見事ですわ。
この策の唯一のネックは、ターゲットを完全に捕まえられるところまで対象を引きずり込めるまで、囮となったヒースたちが耐えられるか、という点だったわけだけれど、これについてはルチルもエステルもよく決断したものである。場合によっては比喩抜きで死地送りでしたしね。相手は何しろ、今までずっと手玉に取られ続けていたあのクラウンだったわけですから。それでも、敢えて任せたルチルは男前ですわ。自分を死地に置く事を厭わないヒロインは珍しくはないですけれど、好きな相手を死地に送り込めるヒロインはやっぱりなかなか居ませんよ。
その意味では、ルチルって実は主人公枠なんですよね。で、ヒースの方がヒロイン、と(笑
だって、ラストのルチルとエステルのイチャイチャっぷりを見せられるとねえ。あのパターンは読めなかった。これって、ルチルとエステルのダブルヒロインじゃなくって、ルチルがメインでエステルとヒースのダブルヒロインじゃないのか、マジでw
一応、エリナとシルヴィアもヒースにくっついてヒロインちゃんとしてますけれど、この二人もルチルやエステルには結構メロメロだしなあ。
クラウンが仕掛けてきた極悪極まる謀の数々は、これまでと同様かそれ以上に悪辣で外道でヒースたちの警戒を安々と打ち砕き死角から襲いかかってくる壮絶なものでした。甘さなんか何処にもない、謀略戦の極みだったと言えるでしょう。だからこそ、そんなクラウンを最終的に手玉に取る形で手のひらの上に収めてみせたルチルの王器は文句なしの大器を感じさせるものでした。エステルも無事に魔王座につけたみたいだし、これでようやく剣刻戦争も受け身に回る段階はくぐり抜け、収拾をつける段階に辿りつけた……と、思いたいところなんだけれど、果たしてあのクラウンが本当にこれで退場させることが出来たのか。ちょっと、未だに信じられないんですよね。それに、剣刻の真実についてまだ全然明らかになってないし。クラウンが、ちょっぴり新たな真実とそれに付随する新たな謎をもたらしてしまい、結局余計に剣刻の裏には深遠に似た真実が横たわっているというのがわかってしまったわけで……こりゃあ、戦力が整ったこれからこそが本番、と言う事になってしまうのか。いずれにしても、それは盛り上がるのもこれから本番よ、と言っているようなものでもあり、楽しみなことこの上ない。

シリーズ感想

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている4   

引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている (一迅社文庫)

【引きこもりたちに俺の青春が翻弄されている】 棺悠介/のん 一迅社文庫

Amazon

いじめられっ子の蒼衣春哉は、『凶鳥』の異名で恐れられる美少女・瑞鳥紫羽に助けられた。厳しくも美しい彼女の隣に並びたいと願う春哉だったが、自身の転校によって離れ離れに。六年後、高校生になった春哉は誰もが憧れる強い男へと成長していた。かつて紫羽と過ごした地に戻った春哉は彼女と再会するが、紫羽は重度の引きこもりに変わり果てていた…!?一迅社文庫新人賞、初の大賞受賞作品登場!!
おいおいおい、これは大当たりなんじゃないですか!? なんで一迅社文庫に!? というくらいの出来物ですよ。一迅社文庫も創設されてから随分と経ちましたけれど、自前の新人さんとしてはようやく恒星級を捕まえる事が出来たんじゃないでしょうか。これは絶対に逃したらアカン魚ですよ。これまで出していなかった大賞を送ったのも宜なるかな。確かに新人らしく、様々なところに粗やらおかしなところ、バランスの悪さは見受けられるのだけれど、そういうのをポイっと無視してしまえるポテンシャルの高さがそこかしこから伺える。手応えがねえ……ガッツリあるんですわ。まだ土台となる基礎部分がシャンとしていなくてフラフラしているので、先々このままスクスクと伸びていけるかはわからないんですけれど、ドシッと揺るがないものを掴むことが出来たなら、これは一掴みの領分に入れるという感触を感じ取れましたね。いいよいいよ、これはいいよ〜〜。

ひきこもりを社会復帰させる、という類の物語は決して珍しいとまでは言えないものです。そのひきこもりになっている子は、大概内向的な性格だったりする傾向が多いのですけれど、この作品は瑞鳥紫羽という本来なら性格的にも能力的にも他者よりも高みにあるような、自信満々で実力もそれに比例して卓抜していて、下々の者が見上げる他ないタイプの誇り高き女王様、という風な子でした。それが、何らかの理由で挫折しドロップアウトして、主人公が再会した時には見る影もないほど落ちぶれてしまっていたのです。
幸いにして、性格まで暗く内向的になってしまっているわけではなく、しかし強気でガンガン行こうぜという性格に卑屈さと下品さとネガティブさが変に混入されてしまった結果、随分と奇怪なひきこもりに成り果てているのですが、この紫羽のバランスが崩れてしまったキャラクターが最後までこの作品を牽引していくことになりました。
そもそも、本来の紫羽のキャラクターというのはどんどん他を置き去りにして付いてこれるものだけ付いてきなさい、とでもいう感じのもので、主人公も多分にもれず必死に彼女に追いすがって追いつこうと頑張るはずの立ち位置だったのですね。それが、何がどうしてこうなってしまったのか、蹲って動かなくなってしまった彼女を逆に引っ張り励まし先に立って手を差し伸べる立場になってしまった。手を伸ばしても届かないかもしれなかった人が、そりゃもう自分が居ないとどうしようもないと言った感じに、ベタベタとくっつき擦り寄ってきてごろにゃ〜んと甘えてくる。自分には貴方しかいないのだ、と言わんばかりにしがみついてくる。
追いかけて追いかけて、憧れるばかりだったあの人が、である。
こりゃあ、ちょっとした「愉悦」です。なんだかイケナイ負の部分を擽るようなシチュエーションなんですよね。
もっとも、幸いにして春哉は、そうした仄暗い征服欲に溺れてしまうような子ではなく、ちょっと惚れ惚れするような性格イケメンで、危ない感じのする依存関係には陥らず、相手がどんなに堕落しても失望せず一途に想いて尽くす事に徹していたので、二人の関係はかなりイチャラブに近いものになっていたんですけどね。それでも、紫羽みたいな子がデレデレにデレまくっているのは、見ていてニヤニヤが収まらないものでしたが。
まあ、紫羽がメロメロになるのもわかるんですよ。彼女の立場からすると、春哉の存在ってもう自分の妄想かドリーム小説か、というくらいのどこのおとぎ話の王子様やねん、というくらいの代物ですからね。かつて手を差し伸べて助けたいじめられっ子が、長じてイケメンの好青年になって帰ってきて、心折れて見る陰もなく引きこもってきた自分と再会しながら、失望することもなく見捨てることなくかつてと同じように一途に想いを向けてくれた上に、颯爽と救いあげてくれたのですから。
惚れますよ、そりゃ。
他にも何人か女性は登場しますけれど、この二人に関しては間に割って入る余地はなさそうです。若干一名、間に割って入るために無茶苦茶しやがりましたが。
まああの娘に関しては、正直心変わりの説得力が足りない気がしましたけれど。あそこまでやらかす娘が、あの程度の言葉と行動で心を入れ替えるかというと、ちょっと信じられないんですよね。じゃあどうするんだ、と言われると、あれはどうしようもないだろう、としか思えないのですけど。
先生も、あれは出来すぎな人だわなあ。逆に、あそこまで都合のいい人が居ていいのか、と思うくらい。特にお肉を奢ってくれるあたりとか! 

そこそこ綺麗にまとまっているのだけれど、どうやら続くようですが、ひきこもり対策部ということはどんどん変なひきこもりが出てくるんだろうか。あくまでメインは紫羽と春哉の二人に絞って欲しい気持ちも強いので、キャラ増やしすぎて迷走しないように願うところ。
いずれにしても、このまま順調に伸びていって欲しいなあ。期待株出現、ということで。

紫電の刃と慟哭の精霊姫3   

紫電の刃と慟哭の精霊姫 (一迅社文庫)

【紫電の刃と慟哭の精霊姫】 坂照鉄平/COMTA 一迅社文庫

Amazon

「日本人」が恐れられる剣と魔法の異世界。魔法王国の少女・ミラベルは、ひょんなことから侍の少年・陣八に助けられる。気の良い「日本人」が新鮮なミラベル。意気投合した彼らは一緒に旅をすることになるのだが、行く手には無法者たちの影が迫り―。失われた「ブシドー」の境地を求め、侍と少女騎士は荒野を駆ける!異色の西洋×日本ファンタジー!!!
こ、これはまたスチャラカな洋風異世界と和風ファンタジーの混合ワールドだ。真面目に世界観を融合させたものとは少しずれていて、そう…漫画の「銀魂」に似た路線、とでも言うんでしょうか。あちらは江戸時代に宇宙から異星人がやってきて、混ざった文化が素っ頓狂なことになっていましたけれど、こちらも現代日本ではなく恐らく戦国末期か江戸初期の日本がまるごと異世界に飛んできてしまって陸続きとなり、以来500年が経過して異世界ファンタジーが混ざったへんてこな文化が育ってしまった、と。もっとも、日本とは言っても日本人、倭技(ヤマトクラフト)なる天然の精霊魔法みたいなのを生来備えている人が多かったり、とどう見てもこっちも和風ファンタジーの世界の日本だったりするのですが、横文字の流入もお洒落とか粋とはベクトル真逆の、でも妙にツボに入るルビ振りで、これが結構楽しかったり。
しかしこの世界の日本人って、扱い完全に亜人蛮族だよな(笑 というよりも、オークとかエルフとかドワーフに混ざって、日本人が加わってる、みたいな。種族・日本人って感じでヒューマン扱いされてないw
このごった煮感はあんまり見たことが無いタイプな上に、全体的にノリが軽くてワイワイと大騒ぎしながらテンポ良く進行していくお話なので、このノリと味付けが気に入ったら読んでいてもかなり楽しい気分になってくる。主人公の陣八とお姫様のミラベルが完全に脳天気アーパー系で波長が合ってしまっていて、お供のグーデリアが二人に振り回されて、とりあえずぶちきれて蹴りを入れる係、になっているあたりも、ドタバタコメディとしての形ができているんじゃないだろうか。
一方で、脳天気でありつつもこの二人、一本芯の通った信念を胸に秘め、肝心なときには毅然とそれを振るう事が出来る子たちであり、同時に抑え役であり世話係であるグーデリアもそういう時には見事に主人の意思を体現しようとする剣となるので、締まるところはビシっと締めてくれるあたり、緩急がしっかりしているとも言えるのではないでしょうか。
加えて、主人公の陣八に与えられた話のテーマは受け継がれる魂に託される意志。師弟愛とも親子の愛情とも取れる少年がある意味本当の意味で独り立ちする成長のお話でもあるんですよね。

若干、内包している様々なテーマや要素の整理に手間取り、とっちらかってやや焦点がブレている感もあって完成度としては甘さもあるんですが、楽しくも読み応えのある物語としては十分な出だしだったんじゃないでしょうか。あと、どうもこのメインの三人、配置的に水戸黄門的な世直しの旅とか出来そうな塩梅で、てっきりそっち方面に話が展開するのかと思っていたくらいで、次回辺りはそんな方向に行くのかなあ、とチラ見で期待してみたり。あとは、もうちょっとグーデリアの方も持ち上げてほしいな。まだこう、三人のキャラの紹介、みたいな要素に留まっていて、三人の関係の掘り下げというところまではまだ至っていなかった気がするので。

坂照鉄平作品感想

銀閃の戦乙女と封門の姫 44   

銀閃の戦乙女と封門の姫4 (一迅社文庫)

【銀閃の戦乙女と封門の姫 4】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

湖底の水中迷宮から帰還したカイトは、王都で第一王子タウロスと久方ぶりの再会を果たす。清廉な王者の風格を持つタウロスに変わらぬ好感を覚えるカイトだが、タウロスが梨花に一目惚れしたことで、おかしな事態に巻き込まれていく。その頃、水中迷宮から持ち帰った謎の生物の死骸を調査していたシャーロッテらは、前王が秘匿していたクァント=タン建国の真実と、強大な侵略者たちのことを知る。そんなとき、演習で大半の機士団が不在の王都を魔物の大群がかつてない規模で急襲し、クウロスとシャーロッテの指揮の元、カイトたちが防衛戦を始める。魔物たちが王都を襲撃した理由とは、そして着々とクァント=タンに迫る脅威の影がついに明らかになる。
横で姫様が寝ているにも関わらず、構わず致しだすとはフレイとカイト、レベル高いなあ。ある意味ハーレム作ろうってからにはこれくらい出来ないといけないのかもしれないと、むしろ感心すらしてしまった。感心云々というと、カイトにとってフレイってちゃんと正妻なのよね、という点についてもこの一件で納得できたというかなるほどなあと感心したというか、よく理解できた気がする。前回はそこに凄く疑問を感じていたんだけれど、なるほどヒロインという事に関しては、確かにフレイがメインだわ。
この辺り微妙な感覚なんだけれど、カイトって公私の区別がついている、詰まるところ仲間としての対応と好きな女の子としての対応ってそれなりに分けてやってる気がするんですよね。カイト・ハーレムの主なメンバーを振り返ってみると、政治・謀略に長けたシャーロッテに正面戦力として突出したソーニャ、術師として特別枠のエリカ、そして未来視と鋭い知性でシャーリーと同じ知的水準で立ちまわる梨花。これらに比べて、フレイって戦力的にどうしても一歩引いているんで、仲間としてみるとフレイはカイトの戦闘面での支援役として振る舞う事が多く、必然的に目立たない枠に入っちゃうので、常々メインヒロインにしては存在感があまり主張出来てないなあ、と思っていたのです。
でも、よく考えてみると仲間であることと好きな女の子であることって一緒くたにして考えたらダメなんですよね。それは、全く別のことで仲間としての役割で特別扱い出来なくても、それでその娘を一番好きな娘として扱わないのとは別の話なんだよなあ、と。
これって当事者である当人たちにしたらわりと当たり前の話なんだけれど、読者からするとなかなか気づけなかったりする事なので、なかなか刺激を受けるところでした。

さて、肝心のお話の方は、その出現が憂慮されていたキング級が、よりにもよって突然王都の中心部に地下から穴掘って急襲してくる、という最悪にして絶望的な戦いが勃発するという、とんでもない展開なんだけれど、今回明らかになった真相は、そんな死戦をすら踏み台に過ぎなかったと思い知らされるとんでもない内容で……え、ちょっと絶望感半端ないんですけれど。なにそれ、冗談抜きでクァント=タンだけじゃなく三千世界全部の危機なの!? 更にいうと、今までクァント=タンで起こっていた一連の瀬戸際の攻防は意図的に作られた状況であったということで、しかもその目的が件の話通りだとすると、これまでの戦いってつまり……うぇぇぇえ!!?
いや、いやいやいや、それって洒落にならないんじゃないですか? なんかもうこれまでの認識全部根底からひっくり返っちゃうじゃないですか。クァント=タン、始まった時点で終了してた! というか、いやもうなんというか。
驚愕の真相、以外の何物でもなし。これが個人や単独の組織による野望、欲望に伴う謀略の結果だとしたら、それを打ち破れば済む話ではあるんだけれど、今回の一件が仕組まれた理由が理由だけに絶望感が半端ない、ホントに半端ない。挙句になんかタウロス殿下まであの最後のシーン、うわぁぁ!てなことになってるし。
驚いたといえば、同じ作者の作品である【魔導書が暴れて困ってます。】シリーズと全く同じ世界観だったことが今回明言されて、アルルメルル、スターシステムでの登場じゃなくあっちに出てた当人だったのかよ! と叫んでしまったところなのですけれど、前から同じ世界だというような話ありましたっけ。もしかして共通の出来事とか設定とか描写されてたかもしれないのだけれど、全然気づかなかった。モーリ男爵が出てきた時はえーっ!てなりましたよ。
しかし、あちらのシリーズの根幹にも関わる事件であった邪神戦争が起こった本当の理由がそんなんだったなんって、これこそ絶句もの。いや、マジですか。
カイトたち、これじゃあ新しい国の立ち上げとか言ってる場合じゃなくなってしまったぞ。梨花もどうやら良からぬ予知を抱えてしまったみたいだし、ちょーっとこれは最悪な感じで盛り上がってきてしまいました。

千の魔剣と盾の乙女 11 4   

千の魔剣と盾の乙女11 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 11】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ホルプの帰還を喜ぶロックたちだが、一連の回り道で魔王城攻略戦には今からでは間に合わないとわかる。焦るロックだがしかしホルプの提案で大陸のあらゆる場所へと移動できる転移門があるという天空の塔へと向かうことになる。その頃、ガーリャに集結していたバルトゥータスら魔剣使いの軍勢は、ついに魔王城攻略戦を開始。しかし、魔剣使いたちの前に復活した魔王とケンコスに操られた勇者サーシャが立ちふさがる。最大の難関にバルトゥータスは…、そしてロックたちは最終決戦に間に合うのか。川口士が贈る魔剣ファンタジー。
今回の表紙絵は相当に衝撃的でした。何しろ、これですからねえ。バル師匠クライマックス!!て感じで。いや、こういう表紙持ってこれるなら、もっと早く色々なのやればよかったのに、と思ってしまいます。イラストのアシオさんって融通多芸がききそうですし。冒頭のカラー口絵の漫画、毎回面白いんですよねえ。今回のエリシアの餌食っぷりは、眼福そのものでしたし。ってか、酔ったロックってここまでやらかしてるのか。普通にエロス直前じゃないですか。
というわけで、ようやくホルプが帰還し、装備・仲間ともに完全モードに達したロックたち。ところが、魔王城攻略戦にはどうやっても間に合わない、というどうしようもない状況に。
しかし、ホルプが帰ってきてくれたこの安心感は大きいなあ。助言者として、ある意味年長者として見守ってくれる存在としてのホルプの存在感は、改めて帰ってきてくれたことで実感できます。何よりロックの余裕が違いますもんね、ホルプがいると居ないとでは。でも、ホルプが居ない間の成長は、よりホルプとの相棒関係の深化を促したようにも見えますし、この別れていた時期というのは思いの外意義あるものになったなあ。
一方で、師匠サイドはある意味オールスターキャストの濃いおっさん連中の連合によるもので頼もしいはずなんだけれど、それを上回って魔王サイドの油断のなさが恐ろしい。おまけに、件のサーシャの友人の竜のお姉さんが、何をトチ狂ったのか一人で魔王城に侵入して、魔王にやっつけられて食われてパワーアップの食材&知識の補給にあてられてしまい、さらにサーシャの魂にダメージを与える、という完全に敵の強化アイテムになってしまってて、一体何しに行ったんだあんた!!
一応、サーシャの魂がまだ生きている事は明らかになったので、その点は安心材料なんだけれど、逆に言うとそれしか良いネタがないという。でも、このバル師匠死亡フラグびんびんに立ちまくっていたところで、辛うじて生き延びてくれたのは良かった。ある意味、此処さえ凌げれば師匠も生き残れそうだもんなあ。師匠については、サーシャだけじゃなくてニーウというアンカーが二人も居るので、実のところ死んでしまうことは無さそうだと踏んでるんですけどね。今回、ニーウがバル師匠のこと諦めかけてきた時にナイジェル師匠が諦めんなと発破かけてたのを見る限り、ハーレム王としてもバル師匠はロックの師匠として先例を見せてくれそうな期待が膨らみますw 大体、魔王討伐はバル師匠の本懐ですからね。ロックの方はクロウ・クルワッハという本命が待っているわけで、魔王は師匠がやっつけてくれないと。
と、ここで師匠と弟子の本気対決が魔王城の中で行われる展開になるとは。場をわきまえろ、と言いたくなるけれど、この頑固さ、真っ直ぐさ具合は嫌いじゃありません。捻くれたところのない、ホントに師を慕い弟子を可愛がってる師弟関係なんですよねえ、この二人。
ちょっと印象的だったのは、ロックの靴屋スキルの発揮具合でした。エリシアの毎度のエロイベントが、ラッキースケベじゃなくて自発脱衣というのはなかなかインパクト高かったのも確かですけれど、ロックの戦士という生き方以外の地に足がついた、というか手に職がついてるのが何とも印象的で。戦いが終わったあと、何をしたいかについても、ある意味ホルプの琴線に触れそうな話をしていて、いい意味でちゃんと先を見通している主人公だなあ、と。ってか、甲斐性あるよね、ロックって。

シリーズ感想

剣刻の銀乙女(ユングフラウ)44   

剣刻の銀乙女4 (一迅社文庫)

【剣刻の銀乙女(ユングフラウ)4】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

シルヴィアを仲間に加えたヒースたちは、新たに集めた“剣刻”のことを報告するため、エストレリャの王城へ赴く。そこで一行を出迎えたのはヒネーテ、最後に残った円卓の騎士だった。王の側近で信頼も厚いヒネーテはすでに複数の“剣刻”を宿しており、“剣刻”の最終形態“賢者の刻印”を手にするためにと、ヒースにも“剣刻”の譲渡を迫る。騎士姫ルチルの機転でその場を逃れたヒースたちだが、エステルと縁のある皇禍が現れたことで再び事態は急転していく。ヒースとルチルの“剣刻”の行方は、エステルに突きつけられる困難な決断とは、そしてシルヴィアの知る事実から明らかになっていく“剣刻”の謎とは―謎が謎を呼ぶ剣刻争奪ファンタジー、怒濤の第四弾!

一応、ルチルと同じお姫様属性でどういう扱いになるのかと思っていたシルヴィアだけれど……これはひどい(笑
なんか思いっきりパーティーの中の弄られ役になってるんですが。しかも、悪戯好きのエステルだけじゃなくて、他のわりと真面目な面々までついつい弄って遊んでしまうという天性の弄られ屋気質のご様子で、何この変則型癒し系w
殺伐としているはずの現状の中で和やかな雰囲気が途切れないのは、エステルだけが頑張ってるんじゃなくて、皆が積極的にエステルのノリを肯定しているからなのでしょう。何しろ、一番反発しそうなルチルが現状、一番の協力者だもんなあ。
面白いのは、恋愛面でも人間関係の方でも堅物に見えたルチルの方が色々と積極的であり寛容なんですよね、これ。恋愛感情というものを今まで実感したことのなかったエステルが、ヒースに抱いてしまった不思議な感情に戸惑っている一方で、ルチルは完全に開き直ってしまったのか、エステルのそれをヒースへの恋だ、と指摘した上で、エステルがヒースに抱いている感情も引っ括めて、ヒースも貴女も自分のものにしたい、という大胆発言。冷静に聞くとこの姫騎士さま、ものすごい欲張りなこと言ってるんですけど、あんまりにも涼やかに言ってのけるものだから、思わず納得してしまうところでしたけれど。
ヒースそっちのけで盛り上がってる魔王と姫様、という構図は、作者の別シリーズ【影執事マルク】でもお目に掛かってるんですよね。ラブコメになるとむしろ女性側での結束が強まる傾向にある作風のようなのですが、これがまた盛り上がるんですわ。しかも、あちらが正々堂々と張り合おう、という趣旨のものだったのに対して、こちらはルチルもエステルも、ヒースは私のモノ、貴女も私のモノ、という方針で、お互いにかなりべた惚れ状態なものですから、ちょっとえらいことになりそうです。「私の魔王」「あたしの姫騎士」なんてやりとりなんて、完全に主人公とヒロインの掛け合いですから、それw

今回はクラウンが直接的に介入してこなかったとは言え、王都の方で波乱含みの展開に。ルチルとエステルの将来が定まる、という意味ではかなり重要な流れだったのではないでしょうか。まさか、王様があそこまで覚悟決めちゃってるとはなあ。というか、そこまで王として責任感あるなら、もうちょっと早く何とか出来そうなものだったと思うのですけれど、そこは陛下自身が無能と自嘲する所以だったのか、クラウンの横槍が巧妙だったのか。しかし、はじまった当初はただの門番だったはずのヒースが、随分と格上げされてきたものです。むしろ、門番という職業自体が得体のしれないハイクラスの職業だったのでは、という誤解が生じかねないヒースの門番の概念がオカシイのですが。オカシイのですが。ヒースの思い描く門番だと、そのまま大臣でも王様でもなれそうなんですけどw

手島史詞作品感想

銀閃の戦乙女と封門の姫 3 3   

銀閃の戦乙女と封門の姫3 (一迅社文庫)

【銀閃の戦乙女と封門の姫 3】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

Amazon

クァント=タンを襲った新たなノーブルを撃退した武勲を称えられ、カイトと梨花は避暑もかねシャーロッテの所有する湖の別荘へと招かれる。湖畔の別荘で夏休みを満喫しようとするカイトだが、いつものようにフレイとソーニャもやってきて、いつものドタバタ騒ぎに。そんなさなか、シャーロッテから湖底に巨大な水中迷宮があると知った一行は探索を開始するのだが、様々な魔物が巣食うとともに希少金属オリハルコンの痕跡があることを発見する。泳ぎの苦手なフレイ、ソーニャの代わりにカイトと梨花が水中迷宮へと挑むのだが、そこには意外な先住民たち、そしてクァント=タン全土を揺るがしかねない脅威に直面する。瀬尾つかさが贈る本格異世界ファンタジー早くも第三弾!
親子丼はさすがにないよなあ、という立場だったのだけれど、母親が娘よりも年下ならそれもありかと思えてくる不思議!
しかし、なんでこのシリーズって表紙がフレイ固定なんだろう。実のところ、フレイは確固たるメインヒロインというわけでもないんですよね。この作品って、フレイにソーニャ姫、それから梨花と前回加わったシャーリーの四人がヒロインとしてほぼ均等位置いるので、ことさらフレイが表紙でだけ特別扱いされるのがどうにも違和感が残ってしまいます。
さて、前回国王の排除に成功した結果、後継者争いが水面下で激化。一応、ソーニャ様は表向き後継者レースから距離を置くことを表明しているものの、立場的にも実力的にもライバルたちからすると無視できない存在であるのは間違いなく、そうした立ち位置がカイトとの関係を踏ん切りつかないものにしてしまってもいる。
面白いのは彼ら、カイトとヒロインたちは既に恋愛をゲームとして楽しむ段階は疾うの昔にクリアしてしまっているところなのでしょう。女性陣たちはカイトにしっかりと好意を伝えているし、カイトとしても彼女たちに好意を持っている事を自覚し、またそれを彼女たちに伝えてもいる。じゃあそれでハッピーエンドじゃないか、と思うところなんだけれど、問題は現実的なところにあって、クァント=タンという異世界の成り立ちと現状、ソーニャたちの王族としての、英雄としての立場を考えると好きだから付き合って、という風にはなかなか行かない。シリーズの初期段階ではカイト自身、日本側に長らく暮らしていたせいか視点が人間関係によってしまっていて政治的な立場としての問題に理解よりも実感が追いついておらず、半ば感情面を優先して動いていたのでその辺りがフレイたちとの齟齬ともなって、様々な点で二の足を踏む形になってしまっていたのだけれど、将来の展望というか人生の方針となるべき考え方が前回の事件で大方定まったというか覚悟が決まったようなので、何気に目立たないけれどいつの間にか物語の方向性が大きく変わっていたことに、読んでいるうちに気づいた。
つまるところ、王族であるソーニャやシャーリーも含めた女性陣を正式に娶る為の環境整備を、カイトが精力的に始めてるんですよね、これ。それも、既存の選択肢からどちらを選ぶか、ではなくて新しく選択肢を構築する形で。この辺り、ソーニャが脳筋だったり、フレイも事務方仕事はともかくとして緻密な戦略を描ける性格じゃなくわりと感覚で動くタイプだったので、カイトも相談相手がいなかったのもあったんだろうけれど、頭脳担当のシャーリーが本格的にともに行動することになった上に、梨花も片足だけじゃなく両足でクァント=タンに立つ覚悟を持ち、この異世界に対する理解を深めていったお陰で、カイトの大まかな方針に対して具体的な政策を練りあげてくれるメンツが加わった、ということも大きいのでしょう。
この三巻は大事件、というほど大きく状況が動くような出来事こそ無かったものの、地道に基盤部分から手を加えていっているような状況であり、何気に状況自体は激震レベルで進んでるんですよね。さり気なく、ラストバトルへと繋がりそうな、世界の危機クラスの予兆も滲み出ていますし。
ラブコメサイドについても、カイトの覚悟が決まったお陰で彼の甲斐性については十分すぎるほど発揮が期待できるようになって、イチャイチャするにも壁がなくなったお陰で全体的にラブコメ摩擦係数が低かったですしねえ。あんまりみんなベタベタした性格じゃないからか、さくさくっと進んでましたけれどこういうカラッとしているけれど関係の密度の深さを察せられる恋模様というのは大変好みなので、美味しかったです、はい。
そもそも、この世界観の設定自体も人工の異世界という点からして面白い仕組みなんだよなあ。そのせいか、社会システムもかなり独特な所があって、そういう設定群を追っているだけでもなんだか楽しいです。楽しいといえば、アルルメルルのキャラの尋常じゃないギャグキャラとしての存在感は楽しいどころじゃない笑いどころだよなあ、あれ。ソーニャ姫さまもネタキャラとしては相当の逸材なんだけれど、アルルメルルは無双すぎるw

1巻 2巻感想

剣刻の銀乙女<ユングフラウ>3 3   

剣刻の銀乙女3 (一迅社文庫)

【剣刻の銀乙女<ユングフラウ>3】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

魔力の大半を失い、どこかいつもと違うエステルのことを気遣うヒースたち。国境沿いに巨大な刻魔が現れたとの急報を受け、ルチルたち小隊はその討伐へ向かうのだが、その途上で隣国プレギエーラの使者が従刻魔たちに襲われていたのを助ける。まだ15歳の使者の名はシルヴィア。ヒースと師を同じくする妹弟子だというシルヴィアはエストレリャの王都へと向かっている途中だったという。はぐれた仲間を探したいしと助力を申し出るシルヴィアを加えた一行だが、想像を超えた力を持つ刻魔に予想外の苦戦をしいられる。そんなさなか、シルヴィアの前にヒースたちの宿敵クラウンが現れ、彼女の心をかき乱す事実を告げる。ヒースたちは刻魔を討伐することができるのか、そして力を失い傷ついたエステルは―。シリーズ待望の第三弾。
あれ? 師匠ってそうだったの!? どっかで情報でてましたっけ。てっきり渋いおっさんを想像していたので、このヒースのお師匠様の情報には驚かされた。これ、だとすると思っていたよりも相当に厄介な人なんじゃないか。現れたらさんざん引っ掻き回されそうな予感がする。
まあ、出ていない人を今から危惧しても仕方ないので、今いる人から心配すると……ルチル姫がなんか変なふうに悟ってるーー!? あかん、エステルに悪い影響を受けてしまってる。常識とか価値観が変な方向にズレちゃってます、それって。てっきり、ルチルがエステルを教育する方向に流れるのかと思ってたら、逆に感化されてましたって、大丈夫なのか!? お姫様なのに、良識面については若干焦点がぐるぐる回りだしてる気がするぞ。
しかし、視点を変えてみるとそうしたルチルの変化は精神面の不安定さを解消し、誰が敵か、そもそも味方ですら一瞬後に後ろから襲いかかって来かねない恐ろしい状況下にあっても揺るがず対処出来るだけの拠り所を見つけた、という意味でもあり、決して悪いことじゃあないんだが。前回までの疲弊っぷりがかなり酷かっただけに、多少おかしくなってもルチルが安定してくれたのは見ていて大いに安心できる材料になっている。こうして見ると、やはりパーティーのリーダー格はルチル姫なんだなあと実感出来ますね。エステルやヒースも欠かせない要であることは間違いないんですが、ルチルの頼りになる感はやはり桁違いのものがある。
さて、そんなルチルと交代するように、やや元の元気の良さを欠落させる面が垣間見えるようになったのがエステル。リーダーがルチルだとすれば、ムードメーカーは間違いなくこの娘なので、エステルが元気がないと明るさが損なわれてしまうという点で、彼女もまたもう欠かせない一員なんだなあ。
魔王候補であるエステルが力ではなく笑顔をもって制する道化師を志すようになった出来事を、改めて詳しく。彼女にとってのパラダイムシフトだったそれは、しかし魔王としての力を否定するものでもなく、力の大半を奪われ喪ってしまったことで、彼女にも考え事が増えたようで……。力に頼らず、しかし力を否定するでもなく、現状が筆舌しがたい悪意の混沌の中にある以上、理想を実現するために何が必要か、というのは難しい問題だわなあ。もっとも、エステルはあれで潔癖とは程遠い現実主義者でもあるので、力でねじ伏せる事にあんまり躊躇いもないんですよね。まあだカラこそ力がなくなったことに色々と思い巡らす事もあったんだろうけれど、そのあたりのさっぱりした割り切りは、なかなか頼もしかったりする。少なくとも、彼女については状態がどうあろうと果断であり足を引っ張るような真似はしませんからね。
割り切り、切り替えの速さという意味ではヒースもかなり実戦向きというか、普段はなよなよしているくせに肝心なときには即断即決でウジウジと悩まない、その上で考えなしではなく早い判断の中で十分思慮を巡らしているので、このパーティーは若さのわりに脆さがなく強靭なんですよね。今回、特にバタバタとして次々に想定外の展開が襲ってくる展開だったからこそ、余計にその辺りが引き立って見えた気がします。クラウンなんてたちの悪い謀略家が相手な以上、勢いだけが取り柄なチームでは良いように手玉に取られてしまうだけなので、この臨機応変な柔軟性と相手の手を早めに潰していける速攻性を持つこのパーティーは、ホント頼もしいです。
シルヴィアの持つ剣刻の能力は、あれで攻撃支援としてはかなり強力ですし、立場上もけっこうイイカードを持っているので、その参入はだいぶプラスなんだろうなあ。何だかんだと信頼出来る味方が増えるというのは、今の状況では宝石の価値がありますし。

しかし、剣刻の元来の持ち主、もうルチルを含めてそんなわずかしか残ってないのか。逆に、それだけの惨状で生き残っているというのは、特別な理由でもあるのか。次回、その円卓騎士に会いに行くようなので、ヤバい人物だったらそれはそれで面白そうなんだけれど……。

1巻 2巻感想

千の魔剣と盾の乙女 10  4   

千の魔剣と盾の乙女10 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 10】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ホルプの復活を急ぐロックたちは、竜の少女から教えられた竜の墓場を目指す。コノートで得た手がかりをもとに目的地があると思われる大陸へと上陸した一行は、墓場を守護する不死の骸骨剣士たち、そして侵入者を狙う数多くの危険な罠に命を狙われる。ときを同じくして、新たな力を得た魔王軍最凶の魔物アレンが、ロックを葬るべく再びその姿を現す。ロックたちはこの危機を乗り越えることができるのか。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、怒濤の第十弾。
ああ、なるほどなあ。ずっと違和感はあったんですよ。結局のところ、魔王を倒すべき役割を担っているのは最初っからバル師匠なんですよね、この物語。師匠筋のパターンとしてよくある、弟子にすべてを託して逝ってしまうという展開も、バル師匠の目的からすると有り得ない。彼の目的というのは誰か他人に託せるものじゃありませんからね。サーシャを助けることを託して自分は死んでしまう、という悲劇的パターンも考えないではなかったのですけれど、この師匠サーシャを助ける役割を他の誰かに任すつもりは毛頭ないようで、そもそもサーシャとロックたちに接点らしい接点も無いままここまで来てしまっている以上、ロックたちがバル師匠の代わりにサーシャを助けるという展開は物語としてお粗末なほど穴が出来てしまう状況にあるわけです。それに、バル師匠にはサーシャとは別にニーウ姉さんというアンカーが別に在ることからも、限りなく死亡フラグは立ってない人なんですよ。
そうなると、どうしても魔王討伐に関してバル師匠とロックは被ることになってしまう。これまで何だかんだとロックたちが魔王を倒すという理由付けに繰り返し丹念に説得力を持たせようとしてきたことで違和感そのものは薄れていたものの、何れにしても最後にロックかバル師匠が割りを食って決着を付ける役をどちらかに譲らなければならない事は避けられなかったわけである。
自分としては、最大の目的がサーシャの救出にあるバル師匠が、何らかの形でサーシャだけ先に助けて、魔王討伐についてはロックたちに譲る形になるのかと考えていたのだが……。
さてさて、どうやらロックたちが倒すべき、他の誰でも無くロックたちこそが倒すべき敵がちゃんと用意されているようじゃあないですか。これで、美味しいところを持っていかれるのはファーディアだけ、ということに(オイ
だ、大丈夫大丈夫、ファーディアもデレたら仲間に加えてあげるよ? とか思ってたら、何を考えてるのかリャナンシーにちょっかいかけてやがるし、この男。ちょっと待てあんチャン、そこでロックの真似をしようとか変なフラグが立っちゃうよ? 上手くイケばダブル瘴気アタック! みたいに協力必殺技になるけど、失敗フラグの方が立ちそうなのが怖い。いや、大丈夫だ、あれでファーディアもかませ役じゃなくてちゃんと主人公格だから(多分ネ
しかし、正直魔王の強さが半端ないだけに、それ以上の敵なんてどうやって太刀打ち出来るんだろうとビビってしまう。何しろ、ロックたちが遭遇し半ば蹴散らされた魔王は分身体にすぎず、その力も本来のものからすると及びもつかないくらい弱体化してるというじゃないか。勇者サーシャって、よっぽどデタラメだったんだなあ。
尤も、ロックたちもだいぶ強くなったとはいえ、まだまだ成長の余地があることは、ドゥガルドとの模擬戦でフィルとフィオナが二人がかりでかなり良いようにあしらわれてしまったことからも明らかであり、フィルの成長のヒントが得られた事でまだまだ強くなれる実感が得られたんじゃなかろうか。何より、ついにロックの元にホルプが帰ってきた時の安心感の大きいこと。
随分と長く手元を離れていた気がするが、やっぱりこの物語ホルプが居てくれないと締まらないよなあ。彼がロックの相方として鎮座してくれていないと、ハーレムもどこか落ち着かなかったですもの。やっぱり、ホルプが居てくれた方がロックも精神的に落ち着いているというか、女所帯の中に男一人というのはやっぱり何だかんだとやりにくかったんじゃないか、こいつ。ファーディアが加わった時も何気にテンションあがってたし。エリシアもナギもフィルも全員大事にするぜ、と覚悟しても、心許せる男友達がいるかいないかはまた違う話しなんだよなあ、うんうん。
しかし、ホルプって想像以上に大物だったのか。竜の中でも桁違いもいいところじゃないですか。伝説どころか神話上の存在といってもいいくらい。半ば竜神と呼ぶに相応しい力の持ち主。ってか、大陸全土の地図を完成させるんだ、と意気込んでたリーナさんたち、その大陸の形を変えてしまうほど盛大にふっ飛ばしちゃってたってなにやってんですか。せっかく作ってた地図、自分たちで台無しにしちゃってたのね。まあ彼女の場合、改めて測量に走り回っていそうですけれど。

ついに物語は、ガーリャを擁して大陸に突っ込む人間たちと、復活した魔王とともに待ち受ける魔族たちとの最終決戦に。ロックたちとファーディアはこの大会戦に間に合うのか。ラストに向けて盛り上がって来ましたよっと。
にしても、エリシアの全裸担当エロ要因は安定してるなあ(笑

シリーズ感想
 
11月26日

(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月25日

Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W

11月22日

(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスpixiv)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月20日

Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W

11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月18日

(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W

11月16日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月15日

(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Gファンタジーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月12日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(宝島社)
Amazon Kindle B☆W


(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W

11月10日

(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
11月6日

(角川書店単行本)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月5日

エンターブレイン
Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon


(KCデラックス)
Amazon


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

11月4日

(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(JUMP j books)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索