【友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 1】 世界一/トマリ オーバーラップ文庫

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目つきの悪さから不良のレッテルを貼られた俺・友木優児には、『主人公キャラ』の池春馬以外に誰も近寄らない。
そのはずが──俺は突然告白された。
「先輩っ。私と恋人になってくれませんか?」
しかも相手は春馬の妹でカースト最上位の美少女・池冬華。
腑に落ちない俺は、告白の真意を冬華から聞き出す。
その上で『ニセモノ』の恋人となった俺に、冬華はところ構わずイチャイチャしてきて!?
俺たちの関係が学園中に広まった結果、春馬の幼馴染や美人教師まで俺たちに関わってくるようになる。
まるで学園ラブコメみたいな状況だが、彼女らが俺のことを好きなわけがない。
……なぜって、友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ?
もう古典じゃないか、というくらい古くからある、顔が怖いので友達が出来ません系主人公である。あるんだけど、それにしても怖がられすぎである。顔が怖いくらいでここまで無差別にビビられるか? 無意識に一般人でも感じ取れる殺気を常時撒き散らしているのか、と疑ってしまうレベルの怖がられ方である。というか、その描写が過剰すぎて、ちょっとどうかと思うんですよね。これ、普段から顔を合わせてる学校の生徒や教師からこれだけそこに居るだけで怖がられてたら、街歩いているだけで集団パニックが起きかねないぞ。店で買い物とか出来ないだろう。コンビニとか入ったら強盗と間違えられるんじゃね?
と、思ってしまうくらいには過剰すぎて、なんだかなあという所なんですよね。学校の集会とかで全校生徒の前で生徒か教師をボコボコにして血祭りにあげた、とかだったらあれだけ怖がられても納得なんですが。なんにもしてないし、普段も声を荒げたりといった行動もしていないのに、あれは不自然すぎてなあ。そういう設定だから、というのがいささか強すぎるのではないかしら。クロマティ高校の生徒くらいヤバい顔してたら、物凄いブンブンうなずいてしまうだろうけど。
そんな恐怖の権化みたいな不良と思われてる先輩に、早々に懐いてくる唯一の友達にして親友の池くんの妹。この池くんがまったくの主人公気質で、優秀で人望があり凄くいいヤツなのですが……彼がどれだけ言っても、優児への認識があまり変わらないあたり、実はそんなに池くんの信望がないんじゃないかと疑ってしまいそうになる。全然信じられてないよ!? それか、それ以上に優児の顔が怖いか。
ともあれ、みんなが避ける怖い先輩にそうそう懐いてくる友達の妹。彼女にも下心があって、優児にくっついてくるのですが、この娘もこの娘で色々と面倒くさいもん抱えてるんですよね。
優秀な兄へのコンプレックスを抱えているわけですけれど、兄弟ならまだしも2つは歳離れている兄妹で、これだけ兄への対抗心をむき出しにしているというのは、この冬華って相当に意識高いと思うんですよね。自分が自分として認められたい、という欲求がとても強い。兄の付属物として認めてこられなかったからこそ、なんだろうけれど、見た目や池春馬の妹という立場だけで見られ決めつけられる事に強烈な忌避感を抱いている。本当の自分を見てほしいという願望を持つからこそ、レッテルを張らずにそのままの冬華を見てくれる(とそう見えた)優児に、最初は告白避けで兄への嫌がらせで偽りの恋人という関係を紡いだ先輩に、心惹かれていく。その過程はよくわかる、わかるんですけど……。
……冬華が気づいてないだけで、優児もこれ冬華に対して「主人公の妹」というレッテルを貼り付けて、彼女の心を決めつけてるんですよね。主人公キャラの妹だから、池春馬という兄の事を好きでたまらない、と決めつけている。だから、最初から冬華から自分への好意を、恋愛感情ではないとシャットダウンしてしまっているわけで、でもこれって冬華が一番嫌っている外から見て勝手に人の事を決めつけている、事そのままなんじゃないだろうか。思いっきり地雷じゃないですかね、これ。
優児は他にも、春馬の幼馴染の夏奈の気持ちをちゃんと考えたりせずに、こちらも勝手に決めつけているケースもあるので、他人との接触が少ないがゆえなのか勝手に他人のことを自己完結で認識してしまうきらいが強いタイプのようなんですよね。
これって、冬華にとってのアウト案件のような気もするのですけれど、彼女はこの先輩のことをレッテルをはらずにあるがままそのままを見てくれる人、と思い込んでいる。果たして、このあたりの錯誤が今後問題になってくるのか。明らかにがっつり踏んでる地雷は爆発するのか。
どうも友木優児がどういう人間だと、意図して書いているのかそれとも全然意図していないのかわからないので、あっさりスルーされてしまうんじゃないか、という不安もあるのですけれど。
冬華のあの邁進する性格からして、自分の気持ちがはっきりしたら相手から告白を促すとかせず、自分からガンガン行きそうに思えただけに、ラスト妙にもったいぶってたのもちょっと違和感あったしなあ。夏奈がちょっかい掛けてきそうな事わかってるだろうし。まあ優児のことを掌中に入れている自信があり、彼の気持ちを引き寄せるためにイジるのが楽しくて仕方ない時分なのかもしれないけど。