【今日も俺は暗黒幼馴染に立ち向かいます。 魔法使いたちの望みと願い】 葉村哲/鈍色 玄   MF文庫J

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クールな幼馴染に弄ばれるドタバタ魔法学園ラブコメ、開幕!

将来を嘱望される天才魔法使い『四大召喚士』近衛ミキヤは六年ぶりに帰国し転入した神智魔法学園で幼馴染と再会した。
「ごきげんよう――天才魔法使いの泣き虫ミーくん」
「うわああああああああああああああああああああああ!」
『武装召喚士』柊シガノ――幼いミキヤに数々のトラウマを植え付けた暗黒幼馴染にしてもう一人の天才魔法使い。
「あなたが生徒会長選挙に立候補すると聞いたから、私も立候補することにしてあげたの」
師の命令により生徒会長を目指すミキヤの前に、再びシガノが立ち塞がる!
前途洋々だった学園生活は何処へ。
クールな幼馴染の、ちょっぴり過激で意地悪な愛情表現に立ち向かえ……!!

んんん!? なんか思ってたよりも暗黒じゃないぞ、シガノさん!
いやてっきり暗黒幼馴染なんてタイトルがついているし、ミキヤのあの再会した途端のあの動転の仕方からして、どれだけ残虐非道なイビりが待っているのかと思ったのですが……。
いやいやいや、シガノさんが仕掛けてくるのって客観的に見るとただのデートのお誘いだったり普通にイチャイチャするだけの内容ですよね!? 特に非道い事はなにもないんですケド。それどころか、シガノのミキヤが好きで好きでたまらない、という感情が滲み出ているどころかバケツをひっくり返すような勢いであからさまにぶちまけているんですよね。
ところが、幼少時に弄られまくったトラウマからシガノに関する物事はまったく冷静に捉えられないミキヤは、過剰に警戒しその意図の裏を穿って考え必要以上にビビりまくって構えるものだから、状況はややこしくなってしまう。
まあ始末が悪いのはシガノの方がそれを誤解だ勘違いだと指摘せず、それどころか煽るは思わせぶりに誤解を助長させるわ、ミキヤが警戒しまくって怯えるのをむしろ喜んでしまっているところなんですよね。
うん、間違いなくドSだわ。
好き好き大好きを全開でぶつけながら、それで変に勘ぐってビビって大げさに右往左往している様を悦に浸って楽しみまくるという。それでいて、ちゃっかり実際の活動の方は当初の予定通りにイチャイチャに終始しているので、シガノさん一から十まで満喫し切ってるんだよなあ。
過去の所業から、本当の想いが伝わらなくてやきもきしている、なんてことは一切なし! これ、最終的には自分の好意が通じることを疑いもしていないのか信じ切っているのか、この揺るぎの無さは正直凄いなあ、と感心する。
まあ実際彼女がやっていることを見ると、ミキヤが勘ぐって空回りして自爆しているだけで、ほぼ積極的にアプローチしている、というだけだもんなあ。特に悪いことは何もしていないという。自分から積極的にパンツ見せつけていくスタイルは、それなりに悪女かもしれないけど。
そのせいか、ミキヤの妹のミヤの方もお兄ちゃんお世話係にも関わらず、この件に関してはシガノの味方なんですよねえ。
込めた感情がそのまま味になる、という魔力注入ケーキが尋常でないダダ甘さだったという所からも、シガノがどれだけベタベタなのかというのが伝わってくるんじゃなかろうか。それでいて、マウント取るのは絶対にやめない、というのはまあ暗黒幼馴染と言われて仕方ないのかもしれない。
どう見ても、どう考えても、ミキヤはシガノには絶対勝てなさそうですしねえ。
さらっと
「まあ仕方ないわよね。一緒に死んであげるわ」
なんて台詞が出てくるあたりが作者らしくて好きなのです。もう少しこんな風に葉村哲調でイチャイチャしてくれても良かったんですけどね。
学校の実体もなかなかカオスでぶっ飛んだ人材の宝庫のようで、普通に学園生活を中心に描いてもドタバタが極まった楽しい話になりそうなので、まずはこの第一巻はキャラや設定舞台のお披露目で次からさらに物語に勢いつけて、という風になりそうなだけに、2巻にはさらに期待したいんだけどなあ。

葉村哲作品感想