伊達康

友人キャラは大変ですか? 10 ★★★★   



【友人キャラは大変ですか? 10】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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友人キャラよ、永遠なれ。

最終決戦目前。
ソロモンと化した阿義斗によって、龍牙が能力を封じられちまった!

やむなく俺は「代理主人公」をつとめることになるのだが……きたぜパワーアップイベント!

お袋いわく、鬼には秘められた能力があるらしい。
それは、口づけした相手から異能を借り受ける力で、人呼んで「窃吻」――っておいコラ、なんだそのトラブルの予感しかない能力は!

龍牙と四神ヒロインズ、あと三姫まで俺を睨んでるから!
これ、ハーレムラブコメ主人公しか許されないやつだから!

――最後まで、笑って泣いて、熱くなれる最強助演コメディ。ここに堂々完結!!

結局、シリーズ通して真面目に敵キャラやってたのって、ほんとに阿義斗だけだったじゃないか。本人はどちらかというと主人公のつもりの節もあったので、それ故の真面目さでもあったのでしょうけれど。
小林少年もいざ主人公キャラやろうとすると、遊び無しで兎に角敵を倒して終了、という行動になってしまうと自分でも認識していたけれど、阿義斗も彼視点からすると殆ど無駄なことはせずに目的を達成するために必要なことを選んでやってたんだなあ、と。
ほんと、彼だけである。他の連中ときたら、片っ端から無駄なことしかしてねー。
キュウキはその意味ではわりとマメに物語を盛り上げるために敵のときも味方になってからも頑張ってくれてたのを見ると、小林少年の相棒として一番ぴったりだったのってキュウキだったな、と。
テッちゃん? 彼はもうなんというか、漫才コンビの相方でしょう、ボケ担当の。
というか本当にボケキャラしかいない敵キャラたちでした。使徒たち、まともに敵として立ち回ってくれたやつって殆どいなかったんじゃないだろうか。一応バトルモノ、と小林少年は定義していたみたいだけど、ちゃんとバトルやってたことってあったっけ? 使徒連中ろくに敵対もしないままなし崩しに全員味方になっていっちゃてたじゃないですか。
敵としてはポンコツなのに、味方になると使徒連中みんなわりと頼もしかったり頼りになったりちゃんと有能だったりするあたりが、なんか小憎たらしいw
結局、使徒たちの親玉だった四凶の魔神たちと来たら、片っ端から小林少年にさっさと取り付いてホームコメディの仲間入りしてましたしねえ。
挙げ句に最後の黒幕たるソロモンまで、あれでしたもの。ソロモンが一番適当で酷いんじゃないですかこれ!?
一応、テッちゃんとコントンのおっさんが洗脳されて敵に回る、という展開は早々に味方キャラになってたボスキャラが敵味方入れ替わり、今度はトッコとキュウキが味方側として相対するという展開になってたのはなんか面白かったです。テッちゃんとコントンってほんと相応に身内になってボケ倒すばかりのキャラになってたんで、ボスの貫禄全然ないし部下である三姫たちにも家庭内序列で下に置かれて、最強キャラの一角だというの完全に忘れ去られていたのですが、いざ敵キャラとなるとほんとに強かった。いや、外見は完全に機能停止仕掛けのポンコツロボなのですが。洗脳が、洗脳が雑すぎるw
まー、何にせよ龍牙たちの力が封じられたため、阿義斗と決着をつけるために今度こそ自分の意志で主人公キャラとして彼と対決する決意を固める小林少年。今までもずっとなし崩しに友人キャラを逸脱してどんどんと主人公の位置に押しやられていくのを無駄な抵抗し続けていた小林少年が、ついに自分から、というのはやはり最終回ならでは、なのか。
でも、主人公キャラ慣れてないから、いざ自主的にやろうとするとなんかぎこちなかったのは仕方ないのか、これ。むしろ、龍牙の方がナチュラルに友人キャラの役をこなしてたぞ。自然に解説を挟み込むとか、実はセンスあるだろう。
それよりも、完璧な友人キャラをやってのけてたのが、阿義斗の親友であるバアルだったわけですけれど。ちょっとこの人文句のつけようのない友情に殉じる友人キャラだったじゃないですか。彼のパーフェクトな掛け替えのない友人であるからこそ、彼を裏切り友のために友の敗北を願い、しかし最後まで友と行動を友にする、という友人キャラの鑑みたいなムーブしちゃってまあ。
彼と比べると、小林少年は友人キャラ芸人に見えてくる不思議w あかん、友人キャラとして小林少年、形無しやん。
友人キャラとしてはやりきれず、バトル主人公としても慣れない事に戸惑うばかりで、何を十全やれてたかというと、これハーレム主人公じゃないですかね、小林くんw
見事なまでに龍牙に四神ヒロインズに三姫と添い遂げることになりそうなどう言い繕ってもハーレム主人公一直線な小林少年でありました。亀さんだけは完全に場の勢いだよねこれ。小林くんからすると、ほかはともかく亀は勘弁、じゃないのかこれw
と、ヒロインはこれで打ち止めかと思いきや、まさかの遅れてきた真打ち、人妻属性未亡人属性の麗斐堕の参戦である。小林少年を父と慕うシズマの実の母なわけですから、夫婦になってもおかしくないのか? 何気にイラストで一番気合入ってた疑惑が湧くんですけど、麗斐堕さん。超絶美人で清楚な色気の塊という、何この儚げな人妻美人はw
女子高生嫁として若くてハツラツとして家庭的、というパーフェクトさで圧倒的正妻感を出していた魅怨に真っ向から太刀打ちできる逸材でありました。
いやでも、やっぱり個人的にメインヒロインは魅怨だったなあ。
BookWalkerの限定書き下ろしでは、後日談の使徒たちの大将軍決定トーナメント(なんでか四神ヒロインたちも参戦)の模様と、ヒロインの誰かを選んだら、という夢という形ですが未来絵図を見せてくれる短編……7万字もあるのを短編と呼んで良いのかわかりませんけど、ってか殆ど本編並にないですか、この分量w 少なくとも本編の半分くらいのページ数はあるぞw
まあこれで見ても、魅怨が一番家庭的で平和な家族作れそうなんですよね。まあ、なんでか魅怨選ぶと他の使徒もついてくる模様ですけど。それなら、龍牙たちも一緒でええやない、となってしまいそうなんですけどw
他の娘も嫁として地雷っぽい所があるのが雪宮さんくらいで、他の娘らは普通に幸せな家庭築けそうなのがなんともはや。いや、黒亀はもちろん除く。あれはこう、駄目だろうw
まー、最初から最後までどんちゃん騒ぎのお祭りみたいな作品でしたけど、テンション最後まで落ちずにどのキャラも暴れっぱなしで、いやはやお疲れさまでした、と思わず言ってしまいたくなります。
こうしてみると、やはりテッちゃんことトウテツのボケキャラっぷりが際立っていて、彼と小林少年のコンビがなんだかんだとこのシリーズを愉快に牽引していたなあ、と思う所。
実に気持ちよく笑い倒せるコメディ作品でありました。あー、面白かった。

伊達康・作品感想

友人キャラは大変ですか? 9 ★★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 9】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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人外でも友人キャラになれますか?

おかんとウチの居候たちがニアミスし、我が家に最大級の悲報がもたらされた。
すなわち、ウチのおかん、小林さつきは“奈落の八傑”の一人であり。
その息子である俺、小林一郎も人外の血を引いていたのだ。
しかも芋づる式に、親父まで人ならざる『鬼』の血族であることが発覚し……!?
「というワケで一郎、あんたは鬼なの」「うぐっ!」
「しかも母親は使徒なの」「むぐっ!」
「ぶっちゃけ人間じゃないの」「おふぅっ!」
もう勘弁してぇ! 鬼はあんたや!(泣)

友人キャラが一気に遠のく、最強助演ラブコメ第9弾!


あかん、この世界ってば徹底的に一郎が友人キャラたるを絶対許さないマンだ。友人キャラという存在が持っていてはいけない属性や設定をてんこ盛りこれでもかと押し込んで来やがりますよ。
そう本来モブで物語の端っこでちょっとだけ主人公に情報を提供したり、日常パートで賑やかしをするだけの友人キャラは、普通の何の裏設定もない一般人でなくてはならず、勿論彼らはただの人間であってややこしい背景なんかあるはずがないのだ。
実は人間じゃなくて人外だったり、それどころか敵勢力の幹部の一人が母親だったり、なんていうのは論外で、それどころか父親まで人間じゃなく鬼という種族だったりして。
一ミリ足りとも人間の血入ってないじゃん! 完膚なきまでに人間要素ゼロカロリーじゃないかー!
オマケに出自に敵勢力の関係者という要素まで混じって、挙げ句にお母ちゃん紆余曲折あって人間融和派として魔神勢力から離脱したという曰く付きの家柄である。
思いっきり、主人公なバックグラウンドぉ!!
まあとっくに魔神四凶全員仲間に引っ張り込んで、一郎自身が融和派の首魁になってるんですけどね。
これまですでに実績でどうあらがっても友人キャラポジでは居られない活躍をしてしまってた一郎くんだけど、本人の成果だけでなく生来から友人キャラは許さん、という設定が放り込まれてきて、これもう全包囲殲滅戦の様相を呈してきた。欠片も友人キャラ要素を残さない、という根絶やしの気概すら感じる勢いである。
トドメに、ラスボスとして暗躍中のアギトくんまで実は一郎と深い関係があって、という龍牙じゃなくてラスボスと決着つけるべき因縁があるのは一郎くんの方ですよー、というお膳立てまで用意され。
また過去からは、かつて主人公キャラとして担ぎ上げた旧友からは、モブな友人キャラとしてはあるまじき憧憬を受け、人生の目標にされ、一郎みたいになりたいとまで望まれる始末。
さて、そろそろ一郎くんも年貢の納め時かしら。トドメもトドメ、ラストの展開はまさに一郎くんに主人公になれ、と告げるようなものでしたし。いやもう今までもずっと図らずも主人公キャラ同然に働いてきたわけですけれど、自覚的に主人公したことだけは決してなかったわけですからね。

しかし、今回はどんどんと畳み掛けるようにソロモンの悪魔たちが襲いかかって……は、あんまり直接襲ってくる事はなくて、むしろ遭遇戦、ばったり行き会ってというパターンが多かったような気もするけれど、極早のテンポで次々に対戦カードが繰り広げられたわけですけれど、凄いのはこれ十把一絡げには全然なってなかったところなんですよね。一戦一戦は決して長くはなく短くスパッと片付いているんですけれど、でも短いなりにやたら濃い内容で在庫整理みたいな片付け方じゃ全然ないんですよ。
これは以前、新聞に連載していた分を纏めた短編集ならぬ掌編集だった「オフコース」の経験が生きたんでしょうか。小刻みにキレッキレのネタをどんどんと投入してくるものだから、もうひっきりなしに笑いっぱなしで、楽しいのなんの。いや、今回はいつもにも増してテンポもキレキレで、メチャクチャ面白かったですよ。テッちゃんことトウテツを身代わりに母サツキに生贄に差し出したシーンはほんと、爆笑してしまった。あれはホントひでえよ。
おかんと蝿の爺ちゃんの使徒二人が、内通者のバエルの所に援軍として行って、あっちサイドの敵として龍牙たちと戦う場面とか、ソロモン軍そっちのけで一体何と戦ってるんだw なシッチャカメッチャカな事になってて、あれも色んな意味で酷かった、笑った笑った。
今回一冊でまた結構な数のソロモンの悪魔たちを倒すことになったのだけれど、一人一人やたらキャラ濃くて、いや一発ネタなやつらも多かったのだけど、考えてみると魔神の使徒たちもみんな一発キャラなくせに引き続き準レギュラー格として毎回チラホラと顔見せしてるんですよね。お見合い編での雑な再登場はやっぱり酷かったw

またラブコメとしても今回結構踏み込んでいて、怜先輩のおぱーいガチ揉みも、これまで慕ってくるヒロイン衆に対して友人キャラとしては深入りしてはならぬー、という心情からあまり踏み込まなかった一郎くんからしたら、完全に一線超えちゃってるムーブだったんじゃないでしょうか。
そして名実ともに魅怨が正妻ポジに。おかんのサツキ公認になったというのもあるんですけど、一郎くん全然嫌がってないし、それどころか膝枕して耳掃除しながらの会話なんぞ完全に結婚するの前提のお話で、もう一郎くん当人が受け入れちゃってるんですよねえ。
ちょっと貫禄が他の娘さんたちとは違いますわ。別格ですわ。二人の雰囲気、もうこれ以降完全に夫婦になってる感ありましたからねえ。

今回はコントンのオッサンとテッちゃんが大いに株あげていて、おっちゃんってロリコンという点を除くと常識人だしホント色々と頼りになるんだよなあ。一発ネタキャラが沢山居すぎるものだから、余計にコントンの安定感が頼もしい。テッちゃんも普段ふらふらと遊び歩いているけれど、デュエル王編で見せたあの子供たちへの配慮は行き届いていて、子供らのカリスマになってるのも納得のかっこよさなんだよなあ。子供らに呼び捨てにされてるんだけどw

長年の懸念材料だったシズマの母であるレイダの救出もようやく手が付き、あらかたの問題に目処がついたところでラストの急展開。いよいよ、この毎回お祭り騒ぎなシリーズもクライマックスかー。
どのように一郎くんの友人キャラとしてのこだわり、生き方に決着をつけるのか、色んな意味で楽しみな次回である。

今回、ブックウォーカーでは書き下ろしのショートストーリーが購入特典でついてたんだけど……、いやこれ他の作品の購入特典のショートストーリーと違って分量が、分量が凄くない?
短編通り越して中編くらいあるよ!?
前巻の特典小説も結構分量あった気がするけど、今回さらに多くない?
内容は、一郎くんが魔界に居残りになっている最中に怒涛の勢いで消化されていた、ヒロイン衆と三姫たちが仲良くなってたイベント、その中でも魅怨と龍牙がやたら親友みたいな距離感になってたその内訳となるエピソードだったのですが……。
魅怨がチョロすぎるw いや、この場合龍牙が懐っこすぎるのが悪い気もするのですけど。同世代で女の子として何も隠さず付き合える相手って龍牙、居なかったんですよね。そのどストライクをついてしまったようで、やたらキャピキャピしてる龍牙さんw
わりと龍牙のテンションが一郎と二人きりのときと変わらないくらいで、君って魅怨の事めっちゃ好きですよね!?
さらっと、三姫がトリオを組んだ過去の回想なんかも挟まれつつ、いつの間にかミオとあだ名で呼ばれるまでの仲になるまでの濃い内容の中編でした。魅怨てば、一郎相手じゃなくても龍牙相手でも正妻ポジになってませんかこれ!?

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 8 ★★★★  



【友人キャラは大変ですか? 8】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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最後の【四凶】キュウキを討ち果たし、ついに名実ともに「歴代最高の主人公」になった火乃森龍牙。

俺こと小林一郎が友人キャラを務めるこの異能バトルストーリーも、いよいよグランドフィナーレか……なんて感慨深く思っていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。

キュウキの器・天涼院阿義斗が、謎の軍勢を率いて異界へと攻め込んできたのだ!
【ソロモンの後継者】などというよく分からない設定をひっさげて。

なにより問題なのは、四神ヒロインズのひとり、黒亀さんがなぜか敵将のひとりとなっていることだ。元気で陽気な拳法少女は、裏切りなんて言葉からは一番遠そうなのだが……。

なんだかなし崩し的に新章がはじまっちまったが、俺の役割りは変わらねぇ。
主人公・龍牙を友人として支えるだけだ!

――最強助演ラブコメ、新展開の第8弾!
亀さん亀さん黒亀さん、表紙まで飾っているのに今までと遜色ないくらい……出番ないじゃないですかー! これまで能天気で何も考えていないアーパーにしか見えなかった黒亀里菜という少女が誰にも、幼馴染のリュウガにも語ることが出来ずにずっと抱え込み、そして仲間を裏切りソロモンの使徒とならざるを得なかった深遠なる事情が明らかになって、里菜をメインにした物語がはじまるのだ、と思っていた頃の純粋な私に謝って!
いやまじでこいつ、何も考えてないじゃん! なんの事情も背景もないじゃん! ただ名字に黒がついてたから巻き込まれで操られてるだけじゃん! このカメはーっ。そして何気に宮本千鶴さんの方が出番も活躍もある、という始末。
しかし、ソロモンの72柱の悪魔たちって全員名字に黒がついてるみたいなんだけど、72種類も黒がつく名前あるの!? というかなんで白望義塾という学校にはそんな黒がついてる名前の人ばっかり集まってたの!?
そして全員の名前考えるのめんどい、とばかりに雑に片付けられていくソロモンの悪魔憑きたち。ほんとに第二期スタートのはずなのに、新たな敵勢力が雑魚すぎる件についてw
前シーズンの敵だった奈落の使徒たちにまるで太刀打ち出来てないし。ってか奈落の使徒たちってこうしてみるとちゃんと強いのね。あっちもこれまで結構雑にやっつけていたフシがあったのだけれどちゃんとやると強いのねー。そしていつの間にか奈落の使徒たちを率いてソロモンの悪魔たちをぶちのめしている雪宮さん。なんかナチュラルに我が軍とか言ってるぞこの娘。異界の城の玉座にナチュラルに座ってふんぞり返ってるぞこの娘。その身にトッコこと魔神トウコツを宿しているので資格はある、と言えばあるんだろうけどノリノリなの雪宮さん自身でトッコ全然表出てきてないじゃんw
まあ異界の奈落の使徒たちの城が攻められたと聞いた時に、激高してテンションあげあげで異界に戻っていった奈落の使徒たちと全く同じテンションで異界に乗り込んでいく蒼ヶ崎、雪宮、エルミーラの四神のお三方がおかしいんですけどね。あんたら直接関係ないのに、なんで奈落の使徒たちと一緒になって突撃していくんですかw

まあお陰で、というのもなんですがわりと久々に現世側では一郎と龍牙が二人きりに。と思ったらまさかのキュウキ復活、ってかこいつまで一郎くんの中の人になっちゃうんですか!? あれだけがっつり敵役悪役ムーブカマして派手に散った、という状況だったのでさすがに他のアホ魔神たちよろしく一郎の中に棲み着くのはあわないだろうな、と思ったらまさかのマスコットポジを確保するという。しかも、同じ裏で画策するストーリープランナー同士でなんだかんだと馬が合うというか性が合うというか、意気投合してますよこいつら? 兄弟めいたテッちゃんとはまた別の意味でようやく意見と価値観があう相棒が出来たような、小動物的な可愛さを全面に出したマスコットキャラが登場してしまったというか、何気に侮れない存在感だぞキュウキたん。こいつ、男だからショタなんだよなあ。でも確かに可愛い。

しかし、同じストーリープランナーなキュウキと話が盛り上がったお陰で、というのもなんだけどソロモンの後継者たちとの戦いという第二シーズンがはじまってしまって、一郎の新たなストーリープランが語られてたけど……やっぱり一郎の目指すヒーロー物の脚本ってどうも古臭いというか目新しさがないというか展開に新鮮さがないというか、お約束を踏襲しすぎててそれだと読者だか視聴者飽き飽きしちゃうんじゃないか、という手堅さなんですよね。水戸黄門ばりにかっちりしているというか。
だからうまく行かないんじゃないの?
ともあれ、現実は一郎くんの立てたプランのようにはいかず、ことごとくうまく行かないわけですけれど、一郎プランはいわゆるテンプレに沿った流れなだけにそれがうまく行かなくて破綻した、となるとことごとくテンプレから外れた、というか吹っ飛んだ展開になってしまう、というのがこのシリーズの特徴でもあり……。
ヴァッサーゴ戦の酷さ(いい意味で)は近年でも極まってましたよこれw いやヴァッサーゴ黒村くんが敵幹部クラスのくせに小物極めすぎてたのも悪いんですけどね! 一郎くんを上回る膀胱のゆるさ! でも一般人な宮本さんにこてんぱんにされてしまうまではまだあれだけど、あそこまでガチに人質放置な展開は初めて見たよw

どれだけ一郎が頑張っても真面目な雰囲気にならない中で、ひとりだけひたすらシリアスを貫いている第二期のラスボスとなったアギト。まあどれだけ格好つけていても龍牙にまったく相手にされていない、という点では一貫してるんだけどなあ。
とか敵側、ソロモンサイドとかもうどうでもよくなるくらいなラストのびっくりどっきり展開である。いや出てない奈落の使徒大幹部な八傑の二人。ほんとにただ忘れられてたのかと思ってたら、これはさすがに驚いたよ。ついに一郎自身の秘密が明らかになってしまうのか。なんも背景も事情もなかった黒亀さんじゃなくて、一郎の背景が明らかになってしまうのか。もうどうやったって友人キャラとか無理になってきたじゃないかw

そんな一郎が友人キャラを目指すようになった幼い頃の体験が、BOOK☆WALKERの電子書籍版購入特典な書き下ろしで描かれてたんですが、よくある2,3ページのSSと違って結構がっつり分量あったぞこれ。シズマも幼児のくせにやたらと大人びてるけれど、一郎も幼児だった頃おまえ何歳やねんとツッコミ入れたくなる七歳児だったんだな。あながちシズマとその辺似ているのも、ラストの展開からすると意味があるのかも知れないが。

さらっと語られてた、夜這いに来ようとして勇気でなくて毎回部屋の前で引き返しちゃう魅怨が可愛らしくて、やっぱり正妻ポジなヒロインがっつり掴んでますよねえ、これ。

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 7 ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 7】 伊達 康/紅緒  ガガガ文庫

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連絡の途絶えたシズマを追って、異界に突入する火乃森龍牙と仲間たち。もちろん友人キャラの俺、小林一郎も一緒だ。なんてったって、シズマは俺の息子(育ての意味での)。普通に心配なのだ。異界の意外な姿に驚いたのも束の間、俺たちはキュウキ陣営の襲撃を受ける。ええい、ここが正念場だ!第三部以降ややこしくなっちまったが、元凶のキュウキをぶっとばせば龍牙の異能バトルストーリーはめでたく完結、俺の本来の居場所(日常パート)も取り戻せるって寸法よ!―大人気名助演ラブコメ、佳境を迎える第7弾!
シズマがやっぱりイイ子すぎる! それ以上に残念なところがなく全般的に優秀な面しかないところなんぞ、彼こそが御輿として掲げるべき主人公なんじゃないかと思ってしまうんだが、どうよ小林くん。友人キャラとしてストーリープランナーとしては、息子が主人公というのは自分のポディション的にも難しいのか?
結局、今回小林くんは友人キャラではなく主人公キャラになってしまおうとする自分の立ち位置、キュウキ側からの後押しを避けるために逃げ回っていたら、友人キャラとしての本分を果たすべき「日常パート」から自分から遠ざかってしまった、という致命的な判断ミスを招いてしまうんですよね。自分でも嘆いていましたが、なにやってんだほんとに!!
異界の方に引きこもってしまった小林くんをそっちのけにして、日本の方ではリューガたち主人公組と三姫たちが様々な日常パートのシチュエーションによって仲良くなったり新たな関係を築いたり、とどんどん進展していってしまうのである。ちょっと会わないうちに劇的に変わってる人間関係! 知らないうちになんか親友同士になってる敵同士だったあの子たち。いつの間にかバンドが結成され解散の危機に陥っているという勝手に進んでるエピソード。
小林くんが異界にいるせいで、幾つも堪能できたはずのエピソードが全然見られなかったんですけど! 読者であるこっちまで見れなかったんですけど!!
いつのまにか魅怨とリューガがお互いを愛称で呼び合う親友ポディションに収まっていたのを目の当たりにした時はひっくり返りましたがな。いやそれ、本来なら一巻分のメインとして描かれるような重要パートじゃないの? なんで知らないうちに終了完結してるの!?
それもこれも、全部小林くんのせいである。おのれっ。
ただ、彼の暴挙ともいうべき引きこもりは、確かにキュウキ側の思惑をも外していたようで状況は一気に総力戦に。いや、でも小林くんらが異界に引きこもってまで守っていた場所は実はまったく意味なかったんですけどね! ただ、本当に意味ないところに引きこもられたことが、小林くんとはまた違うストーリープランナーを自認するキュウキとしては、予定と違ってしまったのか。相手側からしても、あれだけ物語の進行的に無駄なことされると、どうしようもないもんなあ。
ともあれ、将軍ポディションの使徒たちも総出演で、総力戦に。でも、将軍クラスってろくにマトモなの居なかったよね。それをいうと、四凶たる魔神たちも全員ちゃんとしたマトモなやつが一人もいなかったわけですが。キュウキだけなんとか敵として黒幕っぽい動きをしてくれましたけれど、逆にちょっとマトモぽかった分、テッたんことトウテツ、コントンのおっさん、トッコことトウコツの三人のあまりもあんまりな色物キャラに比べてどうしてもインパクトが足りなかったのも確かで。
てか味方陣営が人数過多でラスト供給過剰になってしまったのは笑ってしまった。それでも、ラストはようやくヒーロー物の締めらしいリューガの必殺技での決着で、いやこういうちゃんとした終わり方って初めてだったんじゃw

ただ、キュウキ編も結局新章開始の前段階だったわけで。これはタイトルコールを変更しての第二シーズン開始ですよね? あのキャラの突然のポディションチェンジについては、今までの立ち位置の不可解なまでの中途半端さというか蚊帳の外なところからして、なにか絶対にあると感じていただけに、むしろようやくか、という待ってました感が。いやまあ、いまさらヒロイン枠になるにも色物キャラすぎるのですが。
やはり不動のメインヒロイン、小林家のお嫁さんは魅怨が譲らんかったよなあw

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? オフコース ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? オフコース】 伊達 康/紅緒  ガガガ文庫

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俺こと小林一郎は、ただの友人キャラである。親友・火乃森龍牙の世界の命運を懸けた戦いに関わってしまったり、龍牙ヒロインズと次々フラグを立ててしまったり、敵の美少女使徒たちが居候してきたり、ラスボスである魔神に取り憑かれたりしているが、やはりただの友人キャラである。『そんな友人キャラがいるかァ!』というご指摘はいったん呑み込んで頂きたい。俺もツッコみたくて必死に我慢しているから。これは、そんな俺の苦悩に満ちた、日常の記録である―。

短編集どころではなく、掌編集というような短い話を集めたもので、どうやら新聞の方に連載していたものを改稿してまとめたもののようなのですが、これいきなり新聞で連載されても原作知らないと事情の方がさっぱりわからないんじゃないだろうか。はじまりの方で一応原作の展開の説明はされていましたけれど、ざっくりとしたものですし何より一郎の奇天烈極まる友人キャラへの拘りというものは、原作のあのしつこいまでの偏執的な彼の側面を見ないとなかなか伝わらないんじゃないでしょうか。
とはいえ、原作を読んでいる身からするとこの掌編集は見ていて楽しいものでした。特に大きな事件が起こるでもない日常の様子を徒然と描かれることで気楽に楽しめましたしねえ。
まあ、日常風景の方は本編の方でもわりと分量割いて描かれているのでここでしか見れない姿、というのは案外無いとは思うのですけれど、けっこう多くなってきたキャラが満遍なくこうやって登場するのは本編では意外となかったことなので嬉しいんですよね。龍牙ヒロインズって意外と横のつながりが少ない、というわけではないはずなんですけれど、本編だと意外と絡みが少なかったりするのでその意味ではここで見るヒロインズの友人関係というのは新鮮だったりしますしね。
何気に、三姫とのライバル関係の絡みの方が多かったりするんですよね。ここでも、そのライバル同士の丁々発止はよく見られましたし。というか、本編よりも特に事件やトラブル、問題が背景にない分気楽にやりとりしているので、普段よりも仲の良い姿が見られたり。
てか、ほんとに普通に仲良いですよね、こいつら。敵同士なのにw
小林家の家庭内の様子もお陰様で丹念に描かれているので、三姫のあのもう居候という段階を完全に通り越した所帯じみた家族感がなんともほのぼのさせられます。テッちゃん、魔神でボスのはずなのに家庭内ヒエラルキー自然に一番下になっちゃってるよな、これ。でも、蔑ろにされているわけではなくて、なんだかんだ頼られているのはテッちゃんの不思議な魅力でもある。パシリとして尊ばれている気もするけれど。
そして、ここでも小林家のオカン力を見せつける魅怨さん。小林家の内部の仕切り方がもう完璧におかあちゃん、なんですよねえ。主婦力の高さが素晴らしすぎる。それでいて、おばちゃんくさくなくて、怜さんとファッション談義で盛り上がっているようにセンスも良いし、生活力あるし、可愛いし、とお嫁さんにしたいキャラナンバーワンの座は圧倒的すぎて揺るぎなさ過ぎます。
龍牙、君は残念ながらダメだ。気がついていないけれど、君は色物系ヒロインだぞ、その本性は。
何気にテッちゃんと相性ピッタリに見えるのはあれなんなんでしょうね。
ちなみに、小林一郎の呼び方で一番自分がキュンと来るのはやっぱり魅怨の「一郎くん」です、あれが一番好きw

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 6 ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 6】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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しっちゃかめっちゃかな学園祭編!!!

雪宮さんの体調不良から始まった第三部。
物語はおむすびのごとくころころ転がって、完全に俺、小林一郎の手を離れてしまった。

「まさかラスボスがダブルブッキングしてしまうとは……」

なによりの問題はこれである。
モッサリ魔神のトウコツだけでなく、あくどいキュウキの相手までしなくてはならなくなった。
例えるならFCバルセロナとの試合中に、レアルマドリードも相手にしなくてはならなくなった感じだ。

どうしたものかと悩む俺だが、日常は容赦ない。季節は秋、まもなく学園祭を迎える。
歌唱ライヴをやるという龍牙と四神ヒロインズのサポートも、当然友人キャラたる俺の職務である。

さらに、龍牙をメインに据えた女装メイド喫茶がクラスの出し物に決まり……?

くそ、明らかに手も足も足りてねえが、学園祭で主人公を輝かせられなくて何が友人キャラだ!
ぜんぶ並行しながら、龍牙を祭の主役にしてやるぜ!

カオスがカオスを呼ぶ第三部学園祭パート、ここに開宴!
いやいやいや、モッサリ魔神のトッコはもう戦う気端からないんだから無理にラスボスにしなくていいじゃないか。そういうとこだぞ、小林一郎。自分の友人キャラムーヴとシナリオに拘泥して、役を強いようとするところ、ほんとダメだからね。
それ、指摘されて自省したと思ったらわりと速攻で反省したのを忘れちゃったような有様になっちゃってるし。こいつ、まるで反省していない!?
よくよく冷静に振り返ってみると、状況がシッチャカメッチャカになっている最たる原因は一郎なんですよね。彼が自分のシナリオに拘泥して情報の共有を制限して各人の行動をコントロールしようとした結果、見事に片っ端から破綻しまくって見事にしっちゃかめっちゃかになっちゃったんだからね、これ。ある程度大事な情報を共有して目的を一本化したら大方のトラブルは混乱を来す前に解決できたような気がする。まあ、状況が混沌と化したからこそ魔神サイドが身内になったんじゃ、と考えることも出来るので一概に一郎の行動が状況を悪化させ続けたとは言えないのだけれど。
だいたい、一郎が最善を尽くしてしまうとこの話、何の面白みもないハーレム異能モノになってしまうので、混沌を牽引する一郎がいないとこれほどドタバタと騒がしくハチャメチャな話にならなかったわけですけれど。
まあすでに、一郎ってもうどう見てもシナリオ管制のコントロールを失ってしまっているんですよね現状。あまりに状況が錯綜しすぎて、一郎も全体的に何がなんだかわかんなくなってるきらいがあるんだけどw

そんな中で、ぽややんとした魔神たちの中から唯一強烈なラスボスムーヴを発揮しだしたキュウキ。話のわかるいいヤツ揃いだった魔神の中で、一人真っ当に悪人をやってくれるキュウキはこの際、状況を一纏めにしてくれる救世主なんじゃないだろうか、この場合。
一郎としても、ラスボスがちゃんとラスボスしてくれるとシナリオがすっきり一本通って収拾しやすくなるだろうし。
阿義斗が一郎が関わったせいなのか、クールで非情な敵役がやたらとシモネタを連発する変態になってしまった今、悪役ムーヴしつづけるキュウキが唯一の希望である。いや、アギトまじでキモいからそれw

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 5 ★★★☆  

友人キャラは大変ですか? 5 (5) (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 5】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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もうひとりの主人公、登場!?

最近、雪宮さんが体調不良で学校を休んでいる。彼女は白虎の巫女。生命力は折り紙つきで、そんな雪宮さんが体調不良なんてこれは一大事だ。すわ、雪宮汐莉メインエピソードが始まるかと思いきや――。
俺的に、とんでもないメインイベントが始まってしまった。うちのクラスに、転校生が来たのである。しかも、とんでもない主人公オーラの持ち主が!

「よろしくお願いする。名前は、天涼院阿義斗(てんりょういん・あぎと)だ」

こんな主人公感のあるやつは、龍牙のほかに見たことがねえ……!
……俺も最近、友人キャラ(笑)みたいになってたからなあ。男・小林一郎、ここは阿義斗とがっつりダチになって、友人キャラの面目躍如としてやるぜ!
――新たな主人公の登場で、新旧主人公対決が勃発!? そして汐莉の問題にも意外な展開が……?
大人気名助演ラブコメ、新展開の第5弾!
雪宮さん回なのに表紙は保険医の呪理なのかー、と思ったんだけれど雪宮さんは一応二巻で表紙飾っていたのか。
敢えてここで三姫長女の呪理を持ってきたということは、このまま魅怨、忌綺と三姫で続けていくつもりなんだろうか。それだけ先の見積もりが立っているというのはありがたい話だけれど。
まあ今回はようやくヒロイン衆の残されていた最後の一人、雪宮さん回だと思ったらそう見せかけて殆どトウコツことトッコちゃん回だったんで、雪宮さん物語的にも大迷惑である。小説だとビジュアル的にお嬢様な雪宮さんが超田舎娘状態になってる見た目のギャップはあんまり伝わってこなかったのだけれど。
セバスチャンも、なんでこんな仕え甲斐のなさそうな魔神に忠誠を誓ってしまったんだろう。昔は違ったんだろうか。どうもトウテツたち、こいつら元々こんな感じだったようにしか見えないんだけれど。
とまあ、トッコちゃんがテッちゃんたちを上回る超穏健派だったために、物語的にはバトルも起こらず穏当に済みそうになってるのに、一郎がむしろそれを混ぜっ返そうとしてキュウキ勢力に利用されてしまって、となんだかんだと今回一郎が要らんことをしまくっていた気がするぞ。
友人キャラとしての立場にまだ未練があるのか、ストーリー展開のバランサーを気取ってしまっているのか、あれこれ話を盛り上げようとして無駄にしっちゃかめっちゃかにしちゃっているあたり、君はいったい何キャラを目指しているんだ、と。黒幕キャラか!? 少なくとも、もう友人キャラも主人公キャラでもない気がするんだけれど。
新登場の阿義斗に龍牙たちほっぽりだして嬉々として友人キャラとして絡んで行っちゃってるところなんぞ、それもう浮気同然ですし。こらこら、今龍牙たんたちの話にあれだけどっぷり首まで浸かっているのに、他の物語にまで首を突っ込もうとしてどうする。それも本気ならともかく、久々に友人キャラやりたいから、という遊び感覚だったしなあ。
今回はちょっとデートイベントに関しても、みんなのこと蔑ろにしすぎていたように思う。少なくとも友人キャラを自認しようというのなら、友達は大切にしなさいよ。
あと、幾つかの秘密、龍牙が女の子だという話とか、三姫が一郎の家に同居しているのとか、知っている人と知らない人が錯綜してしまっているのは、とりあえず本当に一度整理した方がいいと思うぞ。トラブルに際して誰にどう相談していいのか、混乱してしまいますし。
必然的に全部承知している三姫たちに頼り切りになってしまって、メインヒロインがそっち側に移りがちになってしまう原因にもなってますし、三姫とえらい仲良くなってしまったエルミーラの出番が加速度的に増えて、なんもしらん雪宮さんが加速度的に外の方に追いやられてしまっている遠因にもなってる気がしますし。とりあえず雪宮さんはメイン回がこれって出番的にも可愛そうすぎるので、次回の決着編では頑張ってほしいものであります。

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 4 ★★★★  

友人キャラは大変ですか? 4 (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 4】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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「事情あって使徒に味方することになった」。
謎の書き置きを残して姿を消したエルミーラさん。仲間たちの捜索の結果、たまたま俺が見つけるのだったが――。
――オギャア、オギャア――
「お~よちよち。泣いてはダメですわ、シズマ」
なんと、エルミーラさんは子連れヴァンパイアになっていた!
しかも、キュウキ陣営に子どもが狙われているってんだから尋常じゃない。聞けば、この子はヴァンパイアと使徒の間に生まれた子で、とある縁でエルミーラさんが引き取って育てているらしい。

エルミーラさんに口止めされてしまった俺は、龍牙たちに報告することもできず、ナイショの子育て生活を始めるのだが――。
「ぱぁ、ぱぁ」「お、おおおお! パパって! パパって言ったあああ!」
……赤ちゃんってホントかわいいのな。思わずパパキャラに目覚めちゃいそうだぜ!

ヴァンパイアと友人キャラが子育て共闘!? 赤ちゃん旋風吹き荒れる、名助演ラブコメ第4弾!
トウテツが何気に他のヒロイン衆とフラグ立ててんなあ。一郎と同じ姿だから、というだけじゃなく結構デレてる場面が見受けられる龍牙のみならず、今回などメシマズの極みの雪宮さんのお弁当を平然と食べて好感度バリバリあげてたし。いや、ぶっちゃけトウテツすげえイイ男なのでこの際人間のヒロインたち全員持ってっちゃってもいいんじゃないかとすら思ってる。なにしろ、一郎くんてば使徒の三姉妹と同居状態、殆どもう家族同然で暮らしてるわけで、あの魅怨なんかホントに一家のお母さんのポディションを不動のものとしてしまってるわけですし。
今回、エルミーラが子連れで家に駆け込んでくることになったわけですけれど、魅怨のオカン性は揺るぎなく、エルミーラ母子を受け入れていましたし。トウテツやコントンという本来上役である魔神ですら頭があがらないわけですし。ってか、コントンのおっちゃんニンジン残して怒られてたぞw
今回エルミーラさん当番回ということでしたけれど、彼女と赤ちゃんのシズマに関してもどちらかというと使徒寄りの話になってて、段々と話の比重が使徒側に寄ってきてるんですよねえ。ついに、人間と使徒の間にも子供ができてしまう、という事実まで発覚してしまったわけですし。
そう言えば、コントンとうとうああなっちゃいましたけれど、あれも龍牙の妹ちゃんに憑いたままだとなかなか話に絡めないということでもあるんでしょうし、そもそも今回なんか龍牙自身出番少なかったですしね。一郎少年とすれば、龍牙を主人公として話を展開させたくてそう動いてきたのに、今回とうとう主人公らしいこと何も出来ないまま終わってしまうという自体になってしまいましたし。
一方で肝心の一郎くんはというと、思わず主人公みたいな独り言をつぶやいてしまって、慌てて自分でモブキャラっぽいセリフに言い直してたりしましたけれど、いい加減手遅れ!!
さらには、パパ役としてもう後ろ引っ込むこと無く義理の息子の為に奮起しちゃってたわけで。手遅れ!!
というわけで、エルミーラさんには三姉妹と同居していることがバレてしまって、色々とある秘密をまったく知らないままなのが雪宮さんだけ、という何気に可哀想なことになってしまっている最後のヒロイン。しかしトリはトリだけに最高の爆弾を隠し持っていたわけで、これは最後に回されるのも仕方無いトビッキリの隠し玉じゃないですかっ。ってか、そうなるとキュウキは誰なんだ、ということにもなるのだけれど。めちゃ怪しい人はまあ居るのだけれど。

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 3 ★★★★   

友人キャラは大変ですか? 3 (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 3】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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その結婚、待った!!

俺の名は小林一郎。本物の主人公・火乃森龍牙の親友だ。

【第二部】終了後、唐突に持ち上がった蒼ヶ崎さんの縁談。

相手の名は、月見里(やまなし)朝雄(あさお)――通称「アーサー王」。央明高校の現生徒会長にして、巨大な剣術道場の跡取りらしい。
たいそうな設定だが、こっちは世界を救うメインキャラ、それもヒロイン三巨頭の筆頭・蒼ヶ崎怜である。釣り合わないにもほどがある。
だというのにこの野郎、

「いいかい怜、道場経営とはビジネスなんだ」
「今のままでは、蒼ヶ崎道場に未来はない。」
「女だてらに今より強くなってどうする?」

ゲストキャラのくせに調子こきやがって……メインキャラへの無礼千万、お天道さんが許してもこの小林一郎が許さねぇ!
当然のごとく結婚阻止に動く俺たちだったが、道場vs道場のごたごたに巻きこまれることになり――?
サブストーリーは突然に、大人気助演ラブコメ第3弾!

第三部からは本編から少し外れてヒロインたちにスポットがあたる番外編だー、と嘯く一郎だけれど、当人も半ば覚悟していたとおり、そんなサブシナリオで話が収まるはずがなく。あっちゃこっちゃに話が飛び火し拡散していき、案の定一郎のシナリオコントロール下から逸脱していってしまうのである。
もうこの期に及んで、まだ龍牙のモブ友達ポディションに戻りたい、とあがいているあたり往生際が悪すぎるのだけれど、時折訪れる一般人の親友ポディションとして振る舞えるチャンスのときの一郎のハッチャケっぷりというか、あのノリノリで演じている楽しそうな様子を見ていると無駄とは知りつつも、まあ頑張れと思ってしまわないでもないのである。
まあ無駄なんだけれどね。
一郎くん、ちゃんと自分が人を自分が当てはめた役回りで見てしまって、その人自身を見ていない時がある悪癖について、ちゃんと自覚している上に、いざとなると自分の願望は後回しにしてその時の最良の選択、敵味方を問わず窮地や理不尽な状況に追い込まれた時には、それを覆す行動を取ってしまう以上、どうやったってモブで居られるはずがないのよね。その意味では、龍牙はともかくとして、怜さんたち本来のヒロイン衆も男を見る目はあるんだよなあ。とはいえ、やっぱり一番一郎のヒロイン適性が高いのって、キャラ的にも立場的にも魅怨が圧倒的なんですよね。登場したときの二巻での出っ端特有のインパクトに収まらず、この3巻でも一番美味しい立ち回りしていたのって、魅怨ですからねえ。怜さんの好敵手という役回りといい、一郎の家族、殆ど嫁みたいな現状といい、圧倒的なんですよ(二回目)。三姫+てっちゃんとの家族なやり取りが馴染みすぎていて、横入り不可能なんじゃないだろうか。
これまで懸案だった、龍牙が実は女の子なんだけれどヒロインたちはそれを知らない、といういびつな状況にも今回盛大に穴があけられましたし、むしろ怜さんに龍牙の女の子バレとなったあとの二人の距離感の急激な接近、一気に仲の良い女友達になれたのを見ると、他の二人にも早いところ教えた方がこの正義のミカタチームってしっくりするんじゃないだろうか。今のところ、どうしても龍牙と他のヒロインたちに秘密が介在する分、距離感がありましたからねえ。
しかし龍牙、この娘褒められなれてないというか、無邪気に好意を向けられることに慣れてないのか、姿形は一郎そのものとはいえ、ちゃんとトウテツとわかっている相手に積極的にアプローチされて、案外まんざらでもなさそうな対応だったの、この娘チョロすぎて心配である! でも、トウテツと龍牙って、好きな相手への誰かクビにリードつけて捕まえとけよ、と言いたくなるような狂奔っぷりを見ていると、わりと同類なんですよね。実は相性いいんじゃないだろうか。双方向になったら、とんでもないバカップルになりそうなんだけれど。

さすがに今回は魔神は登場しなかったものの、既にキュウキは復活して暗躍しているということなので、次回は早速それがらみの暗謀絡みの話になるのかしら。なんかもう既に一人、圧倒的に怪しいのがいるんですよね。肝心な時にいつも用事があっていないあの人とか……w

1巻 2巻感想

友人キャラは大変ですか? 2 ★★★★   

友人キャラは大変ですか? 2 (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 2】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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【第二部】一郎、魔神と友達になる!?の巻

【~前回までのあらすじ~】
俺の名は小林一郎。“本物の主人公”火乃森龍牙の親友だ。
龍牙の衝撃の事実を知ったことで色々あったものの、それでも俺たちの友情は盤石、まさにベストパートナー、ベストフレンドシップを築いていた。

なのに、何故こんなことに……。

「旦那はいいなぁ。俺も龍牙たんとイチャイチャしたいなぁ」
「どんな魔神だ! お前はラスボスとしての矜恃を持て!」

第一部のラストで、なんの変哲もない友人キャラ(俺)に取り憑いた魔神トウテツ。ラスボス四凶の一人。
こいつがまさか、龍牙のファンになってしまったのだ!!

「何でしたら残りの四凶、俺がやっちまいやしょうか? 使徒たちも殲滅しやしょうか?」
「どんな超展開だ! おかしいだろ第二部!」

しかもこの魔神トウテツ、俺とそっくりの外見をしているのだ。こんなやつに自由に出歩かれたらたまらない。
ラスボスとして、ちゃんと龍牙に倒してもらうしかねえ。そして、俺は友人キャラに回帰するのだ!!
ナニやってんだこいつ、ほんとなにやってんだ!?
最高の主人公キャラとして見込んだ龍牙の、親友キャラとしてのポディションを確保するために暗躍していたら、実は龍牙が女の子で何故か恋人ポディションに収まってしまって、龍牙のヒロインとなるはずの女の子たちとも個人的に仲良くなってしまって、最後にラスボスとの対決にまでクビを突っ込む羽目になり、元の友人キャラに戻るために四苦八苦してた一郎。
いやもう無理だろう、とかすでに一巻の段階で「なにやってんだ!?」という暴走っぷりを見せていたのだが、今回に至っては友人キャラに戻るためにやる気がないラスボス・トウテツに代わって本気でラスボスキャラとして龍牙たちを陥れるために暗躍することに。って、一巻よりもエスカレートしてアホなことをはじめる一郎。モブキャラになろうとするがあまりラスボスになってしまうって、遠回りすぎて意味がわからん!
しかし、同化してしまった魔神トウテツがこれなかなか良いキャラをしていて、飄々として軽妙洒脱な粋なキャラなんですよねえ。龍牙に惚れてしまってラスボスとしての役割を放棄はしているんですけれど、一郎のことを妨害することもなく、なんだかんだと手伝ってくれるしその意を汲んで色々とフォローしてくれるわ、自分に対して結構ヒドイ扱いを受けながらも、笑って身を犠牲にして一郎の望みを叶えてくれようとするわ……あれ? 日常サイドのそれじゃないけれど、これってトウテツ、立派に親友・相棒ポディションじゃないの?
前回登場した魅怨に、長女の呪理、末妹の忌綺が加わって三姫となった敵サイドの魔物たちも、なんでか一郎と同居することになって、ヒロインたちそっちのけでアットホームな家族モノのストーリーが展開しだしてるし。
いや、実際魅怨とか、龍牙含めてヤンデレ入ってる物騒なヒロインたちよりもよっぽど家庭的で献身的で情熱的で、とお前がメインヒロインだったのか!! というくらいの正統派ポディションで、もうこれキャラポディションが錯綜しまくって意味わからんことに。いや、一郎が主人公という視点に固定されれば一気にスッキリするはずなのだけれど、この男はあくまで龍牙を主人公に置きたい上に本人はラスボスとして暗躍するものだから、当人の中でもかなりこんがらがってわけわからんことになってるフシがあるw
でも、中盤状況が一郎の制御を離れて一気に加速してしまった時に、テッちゃんことトウテツの覚悟決めた心意気に一郎が打たれて、思いを改めてからのそれは熱かった。一番重要視していた友人キャラへの回帰を放り投げて、テッちゃんたちと最後まで【第二部】を演りきってやるぜ、と開き直るわけだけれど、トウテツたちと胸襟を開けて、本心からワイワイと賑やかにやりあってるの、ほんとの友達同士みたいで良かったんですよねえ。
龍牙たちとだと、どうしても隠し事があったり本心を隠して、ということが多いだけに、もやもやする部分も多々あっただけに、こうして振り切ってる一郎を見ていられるのは心地よかった。一巻では一郎一人で走り回っていただけに、こうして一緒に暗躍してくれる連中が出来たというのは喜ばしい。
しかし、一方で一郎サイドが充実した分、龍牙戦隊側の特に龍牙以外のヒロインたちが出番追いやられはじめてしまってるので、怜さんに結婚問題が出てきたのはそれもあるんだろうなあ。
これで本来のヒロイン衆とももっと距離詰めることが出来たら、もっと賑やかになってくるだろうから、期待したいところ。

1巻感想

友人キャラは大変ですか? ★★★★   

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか?】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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出会っちまったぜ、俺の理想の主人公に!

俺の友達、火乃森龍牙。高校に入ってできた、気の置けない親友。

龍牙の第一印象は、「アニメとかに出てくる主人公っぽい奴」だった。そしてその思いは、すぐに確信に変わった。
まず、こいつは過去をほとんど話さない。で、よく授業を抜け出す。帰ってきたかと思えば、唇から血を流してたり、制服のあちこちが破けてたりする。

そして龍牙の周りには常に美少女がいる。学園のアイドル、雪宮汐莉。剣の達人であるクールビューティー、蒼ヶ崎怜。謎の転校生、エルミーラ・マッカートニー。こいつらが龍牙の前に現れると、俺は非常に疲れる。それぞれが龍牙と絡むたび、「お、おいリューガ! どうしてお前が雪宮さんと知り合いなんだよ!」とか、「う、麗しの剣士である蒼ヶ崎さんが、わざわざ教室までリューガに会いに!?」とか、「エ、エ、エルミーラさん! リューガなんかのドコがいいんスかぁ!」とか、必死に騒ぎ立てる羽目になるからだ。

……じゃあ何でやるのかって? それは俺、小林一郎が友人のプロだからだ。
主人公の中の主人公、火乃森龍牙を支える親友キャラこそが、俺の生き様だからだ。

――ベストフレンダー小林が贈る名助演ラブコメ、開幕!
こ、こいつ本当にプロだ。趣味や娯楽で友人キャラをやっているわけではない凄みを漂わせている。そもそも、別に楽しくて友人キャラをやっている風ではないんですよね。場合によっては友人キャラとして影に日向に走り回ることに大きな疲労感を感じている節すら伺える。でも、決して小林一郎は友人キャラであることをやめようとしない。ナゼならばそれは生き様だからだ。自分で決めた小林一郎という男の生き方なのだ。その高いプロ意識は彼に妥協を許さず、甘えを許さず、常に厳しい自己研鑽を自身に課している。一体何がそこまで駆り立てるのか。幼少時の体験が彼の人生の方向性を決定づけてしまったとは言え、その後も彼の魂の燃焼は衰えること無く友人キャラとしての使命を成し遂げることに気炎を上げ続けているのだから、ある意味怪人である。
彼の凄まじいところは、主人公足ると見定めた人物の側について友人キャラを演じるだけじゃないんですよね。自分だけそれらしい格好をして振る舞って満足するだけでは終わらないのである。小林一郎が見定めた相手がちゃんと主人公となれるように環境を整え状況を揃え当人を鍛え上げシチュエーションを用意し影に日向に徹底したプロデュースをやってのけた上で、何食わぬ顔で主人公の影で何の益も害もない無名の友人キャラとしてほくそ笑みながら佇んでいるのである。
ただの黒幕じゃねえか。
まあこれだけ派手に暗躍してたら、そりゃ主人公にされた人は気づくよね、という感じで今まで小林一郎がプロデュースした人たちはみんな小林くんのやってることには気がついていたみたいなんだけれど、今回彼に見初められてしまった龍牙くんは、その点さっぱり小林くんの暗躍に気づいていない当たりこそが真の主人公として見込まれてしまった要因なのかもしれない。
まあ、他の主人公たちと違って、小林くんが特に派手に立ち回らなくても極ナチュラルに物語の主人公をやっていて、小林くん日常パートで賑やかしをやってるだけで良かったからなのかもしれないけれど。
でも、小林くんがどうして分不相応にも非日常パートにまでついつい首をツッコんでしまったのかを考えると、龍牙が手のかからない主人公過ぎたから、という理由が思い浮かんでくる。これまでの主人公たちは小林くんが丹念に手をかけてプロデュースして主人公として成功した人たちだったのを思い返してみると、龍牙は何もしなくても良すぎたんですよね。だからこそ、ちょっと非日常パートのことも知っておいた方がいいか、ナニカ出来ることがあるかもしれない、という欲が出てしまった。
それは、友人キャラのプロとしては出してはいけない欲だったのかもしれない。だからこそ、それをきっかけとして小林くんの友人キャラのプロとしての在り方に破綻が生じてしまったのだ。
まあ、龍牙の正体を最初から見誤っていた以上、破綻は時間の問題だったのかもしれないし、既に小林くんのスペックとメンタリティが友人キャラのそれをオーバーしてしまっていて、物語としては彼をその枠に押し込めておくことが叶わなくなった、と考えることも出来るのかもしれない。
しかし、友人キャラのプロとしての高い意識を持つ小林くんとしては、破綻を前にしてもなんとか友人キャラにしがみつこうとして、そのキャラの在り方と物語上に用意された役割との食い違いがお話を混沌へと突き落とし、傍から見るとどうしようもない喜劇へと発展していく、というのが本作の様相はわけだ。
これがまた、すこぶる面白い。
主人公としての役割と全く異なるキャラクターを秘めている龍牙を始めとして、何気にヒロインズたちも当てはめられたキャラクターの枠組みにどうしたって収めきれないものを抱えていて、あっちこっち目も当てられない形で飛び出してしまっている娘たちだったわけで、サイズの合わない服を着ようとして踏ん張る度にボタンがはじけ飛んでいくような滑稽な出来事が次々と噴出していってしまうのを、むやみにスペックが高い小林くんがむやみに頑張って蓋を締めてまわってしまったものだから、余計に酷いことになってしまっていくという寸法なんですね。これ。しかも、龍牙を初めとして、ヒロインズはむしろ今の無理な役割に窮屈な思いをしたくて、全部吹き飛ばして生まれたままの姿になりたいという溜め込んでいた欲求を皮肉にも小林くんとの交流をきっかけに積極的に吐き出そうとしだしてしまったから、余計にえらいことになってしまう。小林くん、蓋を締めているつもりでむしろその高いスペックをガソリンみたくして、火に注いでしまってるからなあ。ヒロインズもガンガンその気になってしまうという。
小林くん自身も高い友人キャラ意識を保ちながらも、年頃の男の子としての素直な欲望、可愛い女の子しかも好みドストライクな娘とキャッキャウフフしてたい、という欲求に流されがちで、試練は募るばかりという……。
龍牙、今まで溜め込みすぎてたせいか、乙女を拗らせるどころかこれちょっとアレな領域まで足突っ込んでますよね。自宅でコスプレ大会とか、並の恋人同士よりも濃い時間過ごしてるんですが、この人たちw
個人的には小林くんには秘めたなんたるかがある云々ではなく、あくまで普通の人間としてやたらスペック高いまま振り回されてもほしかったのですけれど、明らかになったシチュエーションも美味しいと言えば非常に美味しいものですし、物語に何らかの役が必要という考えからすると小林くんが置かれた立場もまた必要なものなんでしょう。
ちょっと後半、各ヒロインとのふれあいが駆け足気味だったので、もうちょいコミュニケーションを増やしていくか、龍牙に集中するか中途半端にはならないように調整していって欲しい所ですね。
続きとなる次の巻もありそうですし。

伊達康作品感想

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 4 ★★★★   

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? (4) (MF文庫J)

【結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 4】 伊達康/そりむらようじ MF文庫J

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人々が竜人の支配に怯える大陸で旅を続ける、銀髪巨乳女剣士メルと、異能“忍法”を扱うシノビのサビトとアトリ。フラオディールの危機を救った直後、メルシオーネの実父を名乗る“巡見者”クロムクラッハに敗北を喫した3人。さらに、彼の手により4人の間で『結魂』が結ばれ、「無効化の魔法」を持つクロムクラッハに一方的に命を握られてしまう。八方塞がりの状況の中、クロムクラッハの命令で再びナトゥアを目指す3人だったが、道中の度重なる亜人の襲来で疲弊したサビトとアトリが戦闘中に倒れてしまい―!?ニンジャとドラゴンが雌雄を決する、人類反抗バトラブ活劇・第4幕!ところで結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの!?

神聖不可侵な「命の共有」である『結魂』に無理やり割って入られた上に、ナトゥアの人々を皆殺しにしないとお前たちを殺す、とタイムリミットを区切られてしまったメルたち。
何しろ、結魂を結んでしまった以上、クロムクラッハを殺してしまうと自分たちも一緒に死んでしまう。しかし、「無効化の魔法」によってクロムクラッハの方はメルたちを殺しても、結魂の影響がないという完全に詰んでしまった状況である。八方塞がりに追い込まれてしまったメルたちだけれど、そのお陰か余裕がなくなったからこそか、特にメルなんだけれど、サビトとアトリへの湧き上がる愛情を隠したりごまかさなくなったんですよね。愛しさが募るのを、そのままギュッと抱きしめるように離さなくなった。面白いのはメルの場合、以前はサビトにべったりでひっついて離れない、という感じだったのだけれど、今回のことでむしろメルの方がサビトとアトリの二人を抱擁するように、包み込む側の大きな存在になってるんですよね。気持ちを誤魔化す余裕がなくなったからこそ、サビトからの愛情を求めたり、実感を得ようと焦ったりすることもなくなって、逆に二人への愛しさに余裕を感じるようになったのでした。愛していること、愛されていることに疑う余地がなくなったのでしょう。
だからこそか、この最終巻で最後の戦いに関しても主導権を握り、サビトとアトリの二人を支え引っ張るのはメルになってくるのですけれど。この三人の関係は、見事この三巻で完成をみた、って感じだなあ。
アトリに対しては当初戸惑いもあったけれど、今となってはメルとアトリの組み合わせでさえ、好き好き大好き光線出まくってるし。ってか、女性二人でイチャイチャしすぎー。
アトリの提出してきた夜の営みのプランニングで、ちゃんと女性二人での日も入ってるのには笑ってしまった。まさに、三人平等ですねえ。

結局、途中で打ち切りっぽい結末となってしまった本作ですけれど、それでいて最終巻の展開は途中終了を感じさせない、見事な総力戦でした。まさか、一巻から関わった人たちがみんな集結して味方してくれる、みんなで一緒に戦ってくれる展開になるとは。
人からも竜からも迫害され、憎まれる竜の落し子であったメルたち。それが、今までの頑張りが結実したように、今までの献身が、流した血と涙が報われたように、みながメルたちを信じて、手を取り合い、力を合わせて最終決戦に挑む流れには、やっぱり血が熱くなりましたよ。今まで全否定サれ続けてきたものが、こうして報われ、肯定されることのなんて嬉しいことか。
ぶっちゃけ、王子含めて今回合流してきたサブリーダーたちも、登場した時の巻ではあんまり目立ってなかったし、ここまでキャラ立ってなかったと思うんだけれど、この巻で一気にキャラ立ったなあ。
残念ポンコツな要素も加わってしまいましたが、それ以上に人として一皮むけて、実にかっこ良い連中になってました。

そして、これもうどうやっても勝てないじゃない、という詰んだ状況のまま挑むことになったクロムクラッハ戦。
ぶっちゃけ、どうやってこいつとの結魂を破棄するのか、というのが最大の難関だと思っていたのですけれど、その一番わかりやすい方法を選ばず……いやそれを成し遂げる方法が本当に皆無だった、というのはちょっと予想外だった。どこかで抜け穴的なものがあると思っていただけに。
だからこそ、最終決戦の小細工抜きの正面突破のどんでん返しには、かなりあっと言わされました。考えてみれば、伏線はあったのかもしれないけれど、よくぞまあそこまで細い可能性の穴に糸を通してタグってみせたものだ、と。いやあ、この粘りに粘った戦いは、見応えありました。面白かった。

何より、この最終決戦に挑むまでの猶予期間の間、最後の最後までメルたちが諦めず、生きようとし続けたのは良かったなあ。一番楽な選択は、死なば諸共で自分たちが死ぬのを仕方ないとして、クロムクラッハを倒してしまうことだったのですけれど、その楽な道を決して選ばず、しかしナトゥアの人たちを犠牲にする事に関しては全く考慮せず、後ろ向きにならず絶望に俯かず、ひたすら三人ギュッと手を握り合って励まし合い続ける姿は、いくら結魂したとはいえクロムクラッハは所詮割り込みの余所者であって、この三人こそ誰にも邪魔されない唯一無比の夫婦であることを実感できて、これもいわゆるラブストーリーだったなあ、と首肯するのでした。
もうちょいこの三人の夫婦の話を見ていたかったのですが、これで幕もまた致し方ないし。次回作での更なる盛り上がりと面白さを期待します。

シリーズ感想

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 3 3   

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? (3) (MF文庫J)

【結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 3】 伊達康/ そりむらようじ MF文庫J

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人々が竜人の支配に怯える大陸で旅を続ける、銀髪巨乳女剣士メルと、異能“忍法”を扱うシノビのサビト。ナトゥアを支配していた竜公ゴルニシチを討伐し、サビトの幼馴染みのクノイチ・アトリとも『結魂』を交わしたことで新たな嫁(?)を得た二人。そんな3人が次に目指すはナトゥアの北部。その地を治めるは序列第五位の竜公バークナー。彼の驚異的な魔法を前に、3人はこれまで以上の苦戦を強いられる。さらに訪れた集落で新たな竜落子と出逢い、メルシオーネ出生の秘密が明らかに…!?「私は…伴侶失格です」ニンジャとドラゴンが雌雄を決する人類反抗バトラブ活劇第3幕、竜落子とシノビとクノイチ、3人の夫婦の運命は―。
バークナー公の能力、よくある能力なんだけれど破り方が斬新というか……破ってないよね、これ?
そもそも、バークナーってこの能力アクティブに使ってたんだろうか。いや、能力を持っているという時点でそれを使うという事実を織り込んだ結果が導き出されるわけだから、そりゃ持っている事そのものに意味があるんだけれど、これを活用していると言えるんだろうか。バークナー自身、自己評価低かったみたいだけれど、そらまあねえ。でもそうなると、ゴリ押しというサビトたちの攻略法は成功ではあったのか。破ってはいる、ということになるんだろうか。
ともあれ、バークナー戦はわりとサクッと終わって、次の竜公を探す旅程で砦に篭って抵抗を続ける人間の一団と遭遇するサビトたち。彼らを率いる王子様がまた容姿性格ともにイケメンなんだけれど、実はその本性は……ということもなく、中身もイケメンというサビトも妬むことすらできなくなるくらい完璧超人。トドメに、サビトの嫁であるメルに、余計なちょっかいをかけてこないという一部の隙もない好人物っぷりである。
彼を通じて、メルの出自が明らかになるのだけれど、そうなるとやはり彼女の父親が誰か、という疑問に話題が及ぶわけで、それがこの巻の根幹に関わってくるわけですね。
まあそれはそれとして、やはり肝心のメインはメルとサビトとアトリの三人夫婦のイチャイチャっぷりでしょう。と言っても、メルの方はアトリの存在が本能よりも理性を目覚めさせたせいか、前巻のような自重を忘れたようなベタベタ甘えてくる様子は鳴りを潜め気味になってしまったのですが、それでもアトリとサビトが仲良く喧嘩している様子を見てジリジリしているのは、可愛かったなあ。アトリはアトリで、和解したことで喧嘩していても以前までの殺伐とした空気がなくなって、サビトをチクチク攻撃するのにもじゃれつくような可愛らしさが垣間見えるようになったので、これはこれでニヤニヤ、と。やっぱり、この三人の軽妙な掛け合いは面白いなあ。命を共有し、身も心も預け合う関係というのはともすれば重くなりそうなものだけれど、彼らの場合それに不自由さや責任を感じるのではなくて、文字通り一心同体であることに安心を覚えているようなのが、ちょっと印象的なんですよね。
しかし、そんな命の伴侶ともいうべき三人の間に、割って入ってくる邪魔者が。これが、まだ別のヒロインというのなら一考の余地はあったんでしょうけれどね。
無邪気であるけれど悪意の塊であり、故にこれこそが邪悪そのものなんだろうなあ。メリットだけ奪い去ってデメリットについてはスルーとか、なんという反則。個人的にはこれをNTRというのは違和感あるんだけれど、相手との関係性もそうだし、アトリやサビトと心が離れてしまったわけでもないですしね。なので、厄介なことになったなあ、というくらいで。いや、実際厄介どころではなく、さらにエグい責めで嘲弄してきて、徹底的に追い詰めてこられているわけですけれど、これくらい追い詰められた方が逆転の際に痛快ですから遠慮無くやって欲しいですのう。

シリーズ感想

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 2 4   

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 2 (MF文庫J)

【結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 2】 伊達康/ そりむらようじ MF文庫J

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人々が竜人の支配に怯える大陸で、圧倒的な剣技とシノビ特有の異能“忍法”で氷竜を倒したサビトは、運命共同体となった少女剣士メルと竜を狩る旅に出ていた。訪れた街ナトゥアで、メルはウェイトレス、サビトは兵士団として離ればなれで次の敵の情報収集をすることに。分かったのは、3年も竜の襲撃が絶え、兵士ですら緊張感を欠くこの街の異常さだった。メルが黒髪の同僚、シノと仲良くなる程には街に馴染み始めた頃、次の竜の手がかりとなりそうな“神隠し”の噂を耳にするが…?街を覆う偽の平和が破れるとき、ニンジャが立ち上がる!「いいじゃないですか、久し振りなんだから」人類反抗バトラブ活劇第2幕、サビトと会えないメルの不満爆発でラブも爆発!?
良かった、どうもサビトのコメントだけだと頭領の座を争う相手であるアトリとは本気で敵意を抱いている関係に思えたし、人格の方もより忍者らしい冷酷非情なニュアンスだったので、もしかして本当に敵対者になる流れなのかと危惧していたのですが、登場した女忍者さんはサビトと同じく忍者らしい冷ややかな考え方の持ち主ではあるものの、根本的なところで普通に優しかったり情に篤かったりする良い娘さんだったよ……って、アトリさん、あんた男女の性別の違いはあっても、キャラはわりとサビトと被ってるよ!? なんか一番肝心な所で「アホ」なところとかも被ってますよ? シノビの里、大丈夫か!? 頭領候補がこの二人で大丈夫か!? こいつら、結構アホの子ですよ?
しかし、幼なじみで実は将来を誓い合った仲、という強力な布陣を構えたヒロインということで、当然のようにメルと……サビトとなんやかんやあって伴侶となったメルと修羅場るのか、と身構えてたら……うん、当初はアトリもビンビンに意識して、メルはメルで幼なじみの登場に焦りを見せ、とお馴染みのサヤのぶつけあいになるかと思っていたのですが、あれあれあれ? という間に……。

な、なんかメルがアトリ寝取ったよーーー!?
積極果敢なコミュニケーションで誠意を見せ、心意気を見せ、胸襟を開き、情熱的なアプローチを重ねた上で、絶体絶命のピンチを乗り越えたら、メルのお婿さんがもうひとり増えてたよ!?
こ、これ、サビトハーレムじゃなくて、メルの逆ハーもの(男女問わず)だったのか!! サビトの取り合いが起こるのかと思ったら、忍者同士で姫騎士の奪い合いをはじめちゃいましたよ? なんてこったい、最高じゃないかw
でも、サビトとメルの新婚夫婦も、わりとガチでラブラブカップルしてるんですよね。お互い、お付き合いの期間がないまま結婚してしまったので、距離感を掴めずに動転していますけれど、メルが一人で前のめりになっているわけじゃなくて、サビトの方も形式だけじゃなくて本気で夫婦としてメルを慈しむつもりがあったのはちょっと意外だった。そのあたり、もう少しすっとぼけるかすると思ってたんだけれど……結構、欲望に忠実だよね、この忍者。慣れてるのか無垢なのか微妙にわかりにくいアトリも加わることで、さらに甘ったるい雰囲気に……とりあえず百合方面には濃厚になりそうか。

さて、今回の敵となったドラゴンだけれど……前回もちらっと口ずさんだけれど、どうも「ドラゴン」というのがしっくり来ないんですよねえ。今回の相手の能力なんて、ドラゴンであるのが似合わなさすぎる。ドラゴンというイメージと、どうしても合致しないというかなんというか。それを除けば、お互いの能力を駆使した術比べ、みたいな要素がふんだんにあって、バトルものとしてもなかなかおもしろかったのだけれど。

1巻感想

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? 3   

結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの? (MF文庫J)

【結局、ニンジャとドラゴンはどっちが強いの?】 伊達康/そりむらようじ MF文庫J

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魔法を操る竜人が現れたことで大陸の人類は滅亡寸前にまで追いやられていた。とある村を守る剣聖女・メルシオーネは、ある日ヒノモトから来た“シノビ”サビトと出逢う。常識外れの剣の技量と魔法にしか見えない奇妙な術―ニンポウ―を操り、強大な豚人と妖人の群れを容易く蹴散らしたその腕を見込み、メルは彼を村へ招くが…。「大体お前って、胸に重りつけて戦ってるようなモンだし」「ひ、酷い!エッチ!もう荷物を持ってあげませんから!」寡黙(のフリして内心饒舌)なニンジャと清楚(だけど天然)銀髪巨乳女騎士。凸凹な2人の相性は、だけどなかなか悪くないようで…?ニンジャとドラゴンが雌雄を決する人類反抗バトラブ活劇ここに見参!
日本人って、なんだかんだとアメリカナイズにカスタマイズされた「ニンジャー」好きですよね。だからといって、古式ゆかしい忍者も好まれていて、両方屈託なく楽しめるのだからお得な人民だよなあ。
さて、昨今はメリケン国から襲来したニンジャスレイヤー・サンがそのマッポウ的な世界観を携えて大暴れしている影響もあってか、本作もあれくらいニンジャしているニンジャ・サンが出てくるのかと思ったけれど、流石にあそこまでぶっ飛んでなかったよ。
とはいえ、こちらもマッポウもマッポウ。もはや国家が存在しないくらい人類が追い詰められた世界である。世界、終了のお知らせ。そういえば、つい最近富士見ファンタジア文庫で西部劇の世界で空飛ぶ吸血鬼と戦うニンジャというわりといい具合にハッチャケた作品があったけれど、それに比べればドラゴンと妖魔軍団に制圧された中世世界で姫騎士とニンジャがカップルになって戦うぜ、というのはまだまともなんだろうか、はてさて。
いずれにしても、ニンジャである以上はザコ敵を殲滅するにしても普通のやり方では収まらないし収めてはいけない。それはもう、ニンジャ的エキゾチックでエキセントリックな無双法でないと、意味が無い。その意味では、あのゴブリンやオーガたちの倒し方はインパクトあったんじゃないだろうか。

【瑠璃色にボケた日常】で散々味わったけれど、この人の書く漫才めいた掛け合いはやはり切れ味たっぷりなんですよね。サビトももうちょっと早くから地の顔出してくれた方が良かったんだけれど、ニンジャらしく格式張ったしゃべり方しているとどうしても対応が固くなってしまうのですよね。その点、素の少年らしい屈託も遠慮もないキャラの方が、頑張り屋だけれどやや天然にボケているメルと掛け合いにしてもがっちり噛み合うのです。二人がようやく馴染みはじめたあたりからの掛け合いは本当に面白かった、それだけに序盤ちょっとお互い遠慮が混じっていた感もあったからか、もたもたしていたのがちと勿体無い。
ドラゴンは、人間形態が多いせいかあんまり竜って感じがしなかったかなあ。あんまり人間相手にガツガツしているのもドラゴンっぽくなかったし。こういう敵役で一番しっくり来るのってやはり吸血鬼とかの類なのかなあ。
この作者さんの特性はやはりラブコメにこそあると思うので、メルとサバトがしっかり噛み合ったカップルになった次回以降にこそフルスロットルの威力を期待したい所。真打ちっぽい幼馴染の存在も匂わされてることですしねえ。

伊達康作品感想

瑠璃色にボケた日常 44   

瑠璃色にボケた日常4 (MF文庫J)

【瑠璃色にボケた日常 4】 伊達康/えれっと MF文庫J

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瑠璃がボケなくなった!?
突然の事態に衝撃を受ける孝巳。だが、翠や柘榴に聞けば、これは霊能者特有の病気、霊虐と言うらしい。しばらくすれば治るというが、霊力が低下しまるで普通の女子高生のような言動をする瑠璃に、孝巳はどうも調子が出ない。
翠「まさか高校生にもなって霊瘧になるなんて…そういえばこの子、まだ下の毛も生えてないし…」
瑠璃「翠ちゃん!それ内緒だって言ったのに!」
孝巳「…」
そんなとき、孝巳の前に、怨霊を人につける“与霊師”、美濃部春喜が現れる。瑠璃を探しているという美濃部に危険を感じた孝巳は、彼女を守るべく動き出すが―。瑠璃色にボケた日常は戻ってくるのか!?美少女ツッコミ系バトコメ、第4弾!
なんか、翠まで普通にしもネタ使うようになっちゃってるんですけどっ。あかん、柘榴の影響、地味に受けてる!? だけれどこの作品、実はしもネタ絡みが一番漫才、掛け合いネタとして面白かったりするので洒落にならない。孝巳のツッコミが必死系になってしまうから、という理由もあるのかもしれないけれど、甚振り系の柘榴のしもネタに、翠のテンパリ系しもネタが相乗的に掛け合わされることで、笑いの効果を増しましていたのは間違いない。
それ以前に、普通の漫才ネタからして、柘榴と翠が加わったことで面白くなってるんですよね。最初の頃はネタとしてみると巧いけれど、巧いだけで別に笑いどころは何処にもない、という代物だったんだけれど、今回なんか冒頭の漫才の練習風景見てると、普通に面白かったもんなあ。ちゃんと上達の様子が伺えるのが、なんともかんとも。これは瑠璃たちの漫才レベルがあがったというよりも、単純に作者が熟れてきただけなのでしょうが。
その証拠、というわけでもないんですけれど、四巻にまで至ったこのシリーズ、本当に面白くなりました。この手のご町内限定の地元の街を舞台にした異能モノという類の中では、MF文庫Jの中でも一番好きだったかも。うん、話の見せ方、キャラの立たせ方の上手さと同時に、ホントに登場人物や作品の雰囲気が大好きな作品でした。それだけに、4巻で終わってしまったのが惜しくて惜しくて。いや、すでに2巻あたりからシリーズ継続については綱渡りな感じがしてましたし、正直三巻で締められるんじゃないかと覚悟はしていたので、四巻まで出たのは御の字だったのかもしれませんけれど、それでもやっぱり自分、この作品好きだったんだなあと終わる段になって改めて実感した次第。
笑い、というポイントに根ざしたコミカルさと、それに相反するような霊を相手にする世界のおどろおどろしさと重さが見事に掛け合わさった、特筆すべき作品でした。少女たちが背負った重責や業、彼女たちと関わる孝巳の覚悟が逆に「笑い」という要素を引き立たせ、「笑い」という要素が物語の闇や登場人物の必死さをより際立たせる、そんな相反するはずの双方の要素がうまく絡み合って作品そのものに味わい深さをもたらしていた気がします。
三人娘の仲の良さも、素敵でしたね。ベタベタした友情ではなく、そっけないけど実は、というものでもなく、一人ひとりが立派に自立していながら、苦境に陥れば躊躇いなく全霊を掛けて支えあう。尊重しあっている友情が、見ていても眩しかったです。孝巳も、眩しかったんじゃないかな、これ。三人共、この業界では禍々しいくらいの二つ名を負わされ、一廉の霊能者として扱われている身であり、三人共それに相応しい立派な振る舞い、或いは凄味や強かさを備え持つ大した少女たちなのですけれど、三人寄ると何だかんだと普通に仲良いのも見ていてニマニマしてしまう要素でした。特に翠と瑠璃は幼馴染というのもあるのでしょうけれど、自然な距離感が凄く好きでしたね。
でも、そんな関係も一度は破綻していて、孝巳が介在することで再び繋がることが出来たというのですから、感慨深い。柘榴がここに加わることが出来たのも、孝巳が頑張った結果ですしね。彼は、もともと単なる一般人であり、三巻までもちょっとずつ霊術は覚えていたものの、素人に近くて単純な戦闘能力という意味では三人娘に遥かに及ばず、殆ど役立たずに近い立場だったはずなのですけれど……なんちゅうか、此処ぞという時の抑えるポイントの見極め方といい、男前な心意気といい、無力なはずなのに頼りがいのある主人公でした。力の強弱を抜きにして、肝心なときに心や魂を預けられるような気合の入った男の子だったんですよね。だからこそ、誰に頼ることもせずに一人で立てる三人娘があれだけ慕い、見る目厳しそうな翠の家人がぞっこん見込んでしまったのでしょう。
特に秀でた力を持たない段階でこれだけ頼もしかった主人公です、これが覚醒した日にはどれほどのものになるか。その可能性を垣間見ることになったのが、今回の孝巳の目覚めっぷりでした。覚醒と言っても、これまでコツコツと修練を重ね構築してきたものが、ちょっとしたコツを掴んだことで使い方をモノにした、という感じのものだったのですけれど、柘榴や翠が瞠目するほどの可能性で、思わずこっちまでワクワクしてしまうほど。いやあ、こいつホントにコチラの業界でも大人物になれるんじゃないだろうか。
翠がテンパリながら、婿に婿に、と口走ってしまうのもわかるわかる(笑

今回はあの傍若な瑠璃が、霊能者特有の疾病でメンタル普通の可愛い女の子になってしまう、というアクシデントが中心に展開するのですけれど、瑠璃はやっぱりあの自由にマイペースの方が好きだなあ。ああいうキャラだからこそ、孝巳や翠にデレるのが強力なインパクトになるわけで。孝巳たちが、迷惑極まるけれど普段の瑠璃の方がいい、と言うのに何度もウンウンと頷きながら読んでいました。三人娘のトリオで居る時も、ルリがいつもの彼女でないとなんか調子でないですもんね。

やっぱり、この四人のボケツッコミとしもネタ三昧と微笑ましいラブコメはいつまでも見ていたかったなあ、とエンドロールに寂しい気持ちになってしまいました。凄く好きなシリーズでしたけれど、これはもう気持ちを切り替え、作者さんの新作に期待したいです。次はもっと大長編で、おねがいしますよ。

シリーズ感想

瑠璃色にボケた日常 3 4   

瑠璃色にボケた日常3 (MF文庫J)

【瑠璃色にボケた日常 3】 伊達康/えれっと MF文庫J

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晦式(つごもりしき)――それは『獣筋』三家で代々おこなわれてきた、自身の守護霊と戦い再契約を結ぶ儀式。翠の父・之臣の誘いで翠の晦式に立ち会う孝巳と瑠璃だったが、儀式の場に突如賊が現れ、翠が負傷してしまう。しかも、禽踊と牙穿まで奪われてしまい――!? 間もなくして、儀式の行われた裏山で何者かに壊された石塔が発見される。そこに封印されていたのは“朽縄"。瑠璃の父、有働壮馬をもってしても祓えなかった最強の獣霊だった――。二つの事件から導きだされる真実とはいったい何なのか? 美少女ツッコミ系バトコメ第3弾――鴫原翠、試練の刻!
幼馴染っていいなあ、なんて思うのは大概男女の幼馴染についてなのだけれど、本作については男女じゃなくて女同士の幼馴染。瑠璃と翠の幼馴染という関係が実に素晴らしいんですよね。普通の女性の親友という関係とも姉妹という関係とも少し違う、幼い頃から培った近くても同じではなく息があっていてもベタベタしておらず、互いに遠慮知らずの無造作な、でも大切な宝物を扱うかのような関係。そんな独特の、幼馴染同士という他ないような空気感が二人の間には流れている。
ヒロイン同士仲の良い、主人公に頼らずにきっちりと立っている女性同士の関係をちゃんと描いている作品はそれなりに見受けますけれど、そういうのと比べても瑠璃と翠のそれはちょっと独特なんですよね。「親友」と「幼馴染」というのは描き出すにしてもやっぱり違うものなのだなあ、と本作を読んでしみじみと思った次第。
そんな二人ですけれど、一時期家庭の事情もあって疎遠になってしまっていたのですが、それを再び繋げたのがまさに「縁」あって関わるようになった主人公の孝巳なわけで、そのせいか入り込む余地のなさそうな瑠璃と翠の間にすんなりと寄り添う事が出来ている。この三人、わりと個々人で好き勝手動いているのでいつも二人一緒、三人一緒というわけじゃないのだけれど、面白いことに一人でいるのも二人でいるのも三人でいるのも至極自然なんですよね。無理に引き寄せることもなく、無理にはねつけることもなく。人間関係の距離感について、無理なストレスが掛かっていないのです。勿論、瑠璃も翠もほんのりと嫉妬心は持っていますし、孝巳と一緒に居たいという気持ちは持っているようなのですけれど、気持ちの余裕に遊びがあるのか、距離感のバランス調整に苦心苦悩している様子がなく、えらく自然体なわけです。そのせいか、瑠璃と翠の間に恋敵としての牽制や駆け引きはありませんし、女の子二人(柘榴が加わる場合もありますが)と孝巳が一緒にいてもあんまりハーレムという感じがしないのが、この作品の雰囲気からしても好印象なんだよなあ。
初々しい恋愛感情をほんのりと描いていることから、ラブコメらしいニヤニヤさせてくれる部分は多分に欠かしていないにも関わらず、むしろ全体としては友情や家族身内からの親愛の情、といった愛情……「情」を主体においた心の温まるお話になっていて、凄い好きです、こういうの。何気に、ベースとなる物語の基礎の部分がかなり硬質でハード路線であるからこそ、登場人物たちの優しい気持ちが余計に浮き出るところもあるのかな。
先ほど、疎遠だった瑠璃と翠を復縁させたのは孝巳だと書きましたけれど、二人の仲が戻るきっかけとなる舞台を整えたのは、今回のお話を読むと鴫原の大人たちの配慮があった事が伺えるんですよね。退魔の名家・鴫原家の総帥としての責任を追わせ、その才能と実力に容赦なく重責を与えながらも、その一方で年頃の少女であり自分たちの娘であり孫であり身内である娘として配慮し、親愛の情を注ぐ事に躊躇いのない厳しくとも優しさに満ち溢れていて、非常にバランスのとれた態度なんですよね。
こういう大人たちに守られてきたからこそ、翠もこんないい女に育ったんだろうなあ。環境って大事ですよね、と瑠璃を横目に見ながら……。
いやでも、ほんと自分、この翠って娘好きだわ。瑠璃よりもよっぽどヒロインらしく恋する乙女しているところもさる事ながら、妙にハマり症凝り性なところも面白い。あの趣味が行き届き過ぎている翠の部屋は、なんかすごく居心地がよさそうです。琴をはじめたら最後にエレキギターにハマってたって、ハマり方の勢いがなんか面白すぎるぞ、この子。弦楽器しかあってないじゃないか。こんな風に趣味が多岐に及んでいるせいか、生真面目に見えて何気に何でも出来そうな娘さんであります。そして、今は漫才にハマってしまっている、と。当初は瑠璃の側に踏み込むための方便みたいなものだったはずなのになあ、翠のおわらい同好会参加は(苦笑

とまあ、今回は第一巻から瑠璃が独自路線を行く分、筆頭ヒロインばりに自己主張していたにも関わらず、二巻の表紙を飾れなかった翠の、名実ともに主役回。これでもか、というくらいに【鵺御前】と呼ばれる天才少女のあれこれを味わえる一作となっていましたが、さり気なく今回初めて瑠璃もヒロインらしい反応してたんですよね。偶然裸を孝巳に見られた時の反応は、まるで年頃の女の子みたいじゃありませんか。瑠璃もこういう反応するんだ、と思わずキュンキュンしてしまいました。うんうん、偶にでいいんで、そういう女の子らしい反応をしてくれないと翠に全部持ってかれちゃいますよ、っと。
柘榴は今回出番はかなり少なし。とはいえ、ラストにはおっとり刀で駆けつけてくれましたし、冒頭の下ねた押しは相変わらずの強力さで。ハッキリ言ってお笑いネタでは柘榴の下ネタがぶっちぎりで面白いんだよなあw
これでひと通り、ヒロイン三人衆の主役回は回ったわけですけれど、なんかあとがきの文調見てるとこれでシリーズ締めちゃうんじゃないか、という雰囲気があるようなないような。ちょっと、折角キャラも充実してるのに、ここで終わるのは勿体無いですよ? ほんとにこの作品、自分は大好きなのでもうちっと続けてほしいなあ。

1巻 2巻感想

瑠璃色にボケた日常 2 4   

瑠璃色にボケた日常 2 (MF文庫J)

【瑠璃色にボケた日常 2】 伊達康/えれっと MF文庫J

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タイプの違うボケ二人(瑠璃&翠)に延々ツッコミを入れ続ける……そんな孝巳の日常は、とある少女の来訪で破られた。グラマーな肢体に泣き黒子が印象的な彼女の名は、三塚柘榴。とある事情で関西から来た彼女は、生霊を専門に扱う霊導師、三塚家の者らしい。丁寧な言葉づかいの割に際どいネタをふってくる柘榴に振り回される孝巳だったが、凄腕の霊導師と勘違いされたことで「頭取さん」という怪人をめぐる事件に巻き込まれてしまい――「紺野様はGカップがお好みなのですね。ちなみに、私はFカップでございます」……ボケその3はエロネタ担当!? 大人気美少女ツッコミ系バトコメ、幽雅に白熱する第二弾!
漫才って脚本が面白いんじゃなくて、芸人の喋りだよなあ。と、実は結構よく出来ているんじゃないかと思える瑠璃の作ったネタを見ながら思ったり。これ、まかり間違ってアニメにでもなって、絵と声がついたら実は笑えたりするんだろうか。なんてことを書いている以上、漫才それ自体は特に笑えるものでもなかったことがあからさまなわけですけれど、これを読んでいるとむしろ作中で演じられている漫才を見て腹を抱えて大爆笑、なんてことになってしまうとむしろ雰囲気を損ねてしまうので、実はこれでイイんじゃないか、なんて思えてきた。
一巻の感想でも力説してしまったことだけれど、この作品、メインヒロインの瑠璃が(何気に翠もハマってきてる)「お笑い」を志向している一応コメディに類される作品にも関わらず、それは表向きだけで実際はそれぞれが抱えている事情もヘヴィだわ、立場にまつわる話もシビアだわ、話しそれ自体一貫してハードでシリアスだわ、と軽く読みながせるんじゃなくて逆に読み応えある厚みのあるタイプの作品なんですよね。
ただ、一巻の段階では若干物語の推移に硬さが見られて色んな状況説明なども介在したためか、話が佳境に入るまでやや退屈さを感じさせる側面があったのですが、その辺りがこの二巻では劇的に改善されていて、いやあぶっちゃけ凄い面白かったです。全体のバランスも完成度も高かったし基礎部分もしっかりしていて良作だなあ、という感想からさらにステップアップして、読んでてグイグイと惹きつけられていく吸引力が生まれていて、キャラクターも新キャラの柘榴も含めてかなり自由に動き出して魅力的になり、とにかく今回は最初から最後まで面白いなあ面白いなあ、と感じながら完走してしまいました。これは、思っていた以上に伸びる作品になりそうな手応えをガッツリと感じましたよ。
ちなみに、お笑いという意味では間違いなく新登場の柘榴が使いこなす「シモネタ」が断トツのトップを快走しつつ、翠が目覚めた一発ネタには、あれはやられた、さすがに笑かされてしまいましたよ。あそこまで霊導師としてのあれこれを投げ捨てながらの捨て身ギャグで、どや顔されてしまうとねえw
と、お笑い的なスタンスはさておいても、ヒロインとしても翠と新キャラ柘榴の躍進は目覚ましいものでした。特に翠は瑠璃と和解できてメンタルに余裕ができたのか、折々に触れて非常に可愛らしい側面を見せて来ましたし、基本的にカッコいいんですよね、この娘。
逆に瑠璃は、この娘はほんとになかなか本音を明かさずふざけてるのか真剣なのかわからない言動で周りを引っ掻き回すので、未だにメインヒロインにも関わらず掴みどころがなくてよくわからない娘なのですけれど、たまーにいきなり急所をつくような可愛い言動を見せるから侮れない。孝巳の膝にごく自然に乗ってしまったりしているのを見ていると、あれで案外甘え上手なんじゃないかとすら思えてくる。さらっと語る孝巳に対する絶大な信頼を寄せている相棒宣言や、翠が困ってたら何があっても助けるよと気負いもなく口にしてみせたりと、こうツボを心得てるんですよね。果たして、それが意図したものかはわからないんですけれど。
丁々発止を繰り広げながら、瑠璃と翠が本当に親友同士でお互い大事にし合っているというのが、今回の巻では折にふれてかいま見えたのが、なんだかほっこりさせられてよかったんです、うんうん眼福眼福。ここに、柘榴も加わって、何気にまれに見る仲の良いヒロイングループだわな、これ。
ちなみに、柘榴の【首斬小町】の本性炸裂のラストはかなりの威力でした。なんで翠が表紙じゃないんだよ! と思いましたけれど、この娘も色んな顔があって実に魅力的なヒロインだったなあ。

1巻感想

瑠璃色にボケた日常3   

瑠璃色にボケた日常 (MF文庫J)

【瑠璃色にボケた日常】 伊達康/えれっと MF文庫J

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霊障に悩む少年・孝巳が出会ったのは、天才霊導師――「美少女をつけたまえ」――じゃなくて、とボケた少女・有働瑠璃だった!? 美少女ツッコミ系コメディ、開幕!

紺野孝巳は、霊障に悩まされる高校一年生。ある時、校内でも有名な霊能者の少女、有働瑠璃の所属する『お祓い研究会』を訪れるのだったが――おはらいではなくおわらい。そこはなんと『お笑い研究会』だった! 謎の会話から孝巳にセンスありと認めた瑠璃は、その場で孝巳を入部させてしまう。さらに“霊導師”を名乗る学校一の美少女、鴫原翠まで現れ――「フン、『霊感女』の称号なんて翠にくれてやるさ。私には『爆笑王』の称号と、『ミス青鶴高』の称号があればそれでいい」「その二つは同時に成立するのか?」――いま、霊と笑いに囲まれた非日常な青春が幕をあける! 美少女にツッコミまくる青春系フルスロットルコメディ!
おもいっきり粗筋ではコメディコメディと連呼してますし、実際ヒロインである瑠璃は真剣にお笑いを指向している娘なんですが……ぶっちゃけて言うと本作はコメディよりもシリアス寄り、しかもかなりハードで真面目系です。幽霊関係のお話も死んだ人を茶化さず真剣に扱っていて、感心するほど。特に、幽霊が怨霊となって取り憑き霊障を起こすのは幽霊の意志ではなく、取り憑かれた人の幽霊となった人への後悔や恨まれている憎まれているに違いないという思いが、幽霊を怨霊にするのだ、という仕組みには思わずうならされました。結局、生きている人の心の問題であり、幽霊はその人の心を映す鏡のようなものなわけだ。心残りとは幽霊の側じゃなく、現世に残った人の方にあるのです。結果、自然と霊障を解く、と言うことは憑かれた人の過去と人間関係と内面に踏み込み、これを紐解いていく事になります。
そもそも冒頭から、親友だった男の怨霊に取り憑かれた主人公の孝巳からして相当にヘヴィな状況に置かれていますし、その件をきっかけに幽霊が見えるようになってしまった彼が遭遇した、自殺した少女の霊にまつわるお話など人間のド汚さと一抹の救いが描かれたドロドロの人間ドラマですし、クライマックスの瑠璃と翠の物語も瑠璃がお笑いに拘る発端となった話が明らかになるものなんですけれど、笑いどころなんざ全然さっぱりこれっぽっちもないくらいシリアス一直線の深刻で情緒的で切なさが迸ってるストーリーでした……改めて振り返ってみても、本作のどこにコメディ♪なんて主張できる要素があったんだろうw 一応、ちゃんと漫才のシーンはあるんですけれど、自分は笑点とかで笑ったことのないタイプの人間なので、笑いどころがどこにあるのかはさっぱりわかりませんでしたw いや、これで笑えというのが結構難しいですよ。漫才のネタをちゃんと舞台で見たら笑えるんでしょうけれど、楽屋裏でネタ合わせしているのを見てても面白くもなんとも無いだろうケースとあんまり変わらない気が……。正直、無理にコメディ路線に乗せようというのは本気でやめておいた方がいいんじゃないだろうか。この人、ハッキリ言ってシリアス畑の人ですよ。それも、抜群に上手い類の。切なさ爆発系とか、ほんのり心温まる人間ドラマとか、そっちに進んだら相当な所まで突っ走っていけそうな気配が、このデビュー作からひしひしと感じますし。翠のぶきっちょな孝巳との関わり方を見てると、恋愛ドラマ方向でも行けそうですし……何となくファミ通文庫っぽいんですよね。いや、MF文庫がこういうタイプの作品に佳作とは言え賞を取らせたというのは、このレーベルも画一的に同じ路線の萌えラブコメばっかり書かせず、シリアス寄りの新人も確保して道を広げていこう、という意志がある、と見たい所なんだけどなあ。出来れば、大事にしてあげて欲しいものです。そう期待したいだけの手応えは充分ありましたから。
 
1月27日

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1月26日

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1月21日

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1月20日

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(ガガガブックス)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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1月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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1月15日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(コロナ・コミックス)
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(コロナ・コミックス)
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1月14日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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(GAノベル)
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1月12日

(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ビッグ コミックス)
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(アース・スター コミックス) Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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1月10日

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1月8日

(BLADEコミックス)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(電撃コミックスNEXT)
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(角川コミックス)
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1月7日

(少年チャンピオン・コミックス)
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(マガジンポケット)
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(マガジンポケット)
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(マガジンポケット)
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(マガジンポケット)
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(good!アフタヌーン)
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(good!アフタヌーン)
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(good!アフタヌーン)
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(good!アフタヌーン)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(マガジンポケット)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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1月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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1月5日

(ヒーローズコミックス)
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(ヒーローズコミックス)
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1月4日

(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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12月28日

(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(一迅社ノベルス)
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(一迅社ノベルス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグ コミックス)
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12月27日

(ヒーロー文庫)
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(YKコミックス)
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(YKコミックス)
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(B's-LOG COMICS)
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