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佐々原史緒

薔薇十字叢書 ジュリエット・ゲェム ★★★★   

薔薇十字叢書 ジュリエット・ゲェム (講談社X文庫)

【薔薇十字叢書 ジュリエット・ゲェム】 佐々原史緒/すがはら竜 講談社X文庫ホワイトハート

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昭和十七年四月、中禅寺敦子は兄・秋彦の薦めで、横浜の港蘭女学院に入学し、寮生活をはじめる。同室の麗しい先輩・紗江子と万里にかわいがられ、学校にも慣れた頃、学校で『天使様』というゲームが流行りはじめる。天使様のお告げで、紗江子が万引きの常習犯だと噂されるようになり、敦子は兄の知識も借りて、天使様の存在を否定する。ところがその翌日から敦子の周囲で不気味な事件が相次ぎ…。少女探偵・敦子登場!!

京極夏彦の代表作である【京極堂シリーズ】。そのスピンオフとして、京極堂シリーズの世界を様々な作家さんが手がける【薔薇十字叢書】という企画が、講談社X文庫や富士見L文庫などを中心に結構な数の作品が出ているのだけれど、本作はその中で中禅寺敦子……主人公中禅寺秋彦の妹であり、京極堂シリーズでも屈指の可憐なヒロインとして活躍している彼女を主役として描かれた物語だ。
中禅寺敦子の青春、である。
いや、本編でもまだ二十代の若い女性なんですけどね。新聞社務めの社会人とはいえ、女学生のような溌剌とした物腰には読者や作中の人物の区別なくファンも多い。その彼女の紛れもない女学生時代の物語である。まさに青春真っ只中。でも、彼女が学生の時代ってまさに戦時中、なんですよね。そのためか、戦時中の不穏な空気と、女学院というある意味時代と隔絶された世界である環境が相俟った、独特の雰囲気が醸し出されている。
戦時中というと戦争戦争で、世間の雰囲気もそればかりに凝り固まったものになっていた、と思われがちだけれど、戦時中でも庶民は当たり前の日常をそれぞれに過ごしていたのだ、というのをかの名作映画【この世界の片隅に】が、固定観念に風穴をあけてくれたものですが、本作もまたヒタヒタと迫ってくる破滅の空気と、どこかそれを実感できないままそれまでの日々を続けていこうとする人々の、現状と認識との齟齬と適応と変化しないモノ、建前と本音がそれぞれブレンドした形で描かれているんですよね。
昭和17年というと、まだ戦争末期のあの破綻は遠く、一般の人達は中国との戦争の延長線上という認識を拭い去れていない頃でもあるんですよね。幾ら英米と戦争が始まったと言っても、なかなか実感は得られないだろうしねえ。
一方で、この女学院という環境もまた特別なんですよね。
うちの亡き祖母も、あっちゃんよりはまだ年代上なのですけれど、戦前は女学校に通っていて、その頃の話を聞いたり写真なんかを見せてもらったことがあったのですが、全然「昭和」ってイメージじゃないんですよ、これ。
凄いハイカラ。
むしろ、戦後の高度成長期までの方がよっぽど野暮ったいように見えるくらい。
戦前の田舎の方と都市部との格差にはとてつもないものがあったのでしょうけれど、都市部での発展具合、都市部に暮らす人たちの文化レベルというのは、戦前というレッテルイメージ・固定観念を一度消し去った方がいいかもしれない。
この大半が、空襲によって焼き払われて消えてしまったからこそ、イメージと実情の断絶が起こってしまったのかもしれませんが。
ともあれ、何が言いたかったかというと、あっちゃんが過ごした青春時代の女学院の様子というのは、なかなか侮れないまでに実情に沿ってたんじゃなかろうか、と。ハイカラハイカラ。
女学校の英語教育の随意授業化も、まさにこの昭和17年あたりだったそうですしねえ。

女学校では、かなりのクセモノな先輩二人と同室になり、猫可愛がりされ振り回されながら一度しか無い貴重な青春時代を、あっちゃんらしい胸を張った自分を裏切らない生き様、というようなあり様で突っ切ってく彼女ですが、同時に兄・中禅寺秋彦との家庭環境に基づく微妙な関係というものに、ある種の決着をつけていく時代でもあったんですなあ。
京極堂こと中禅寺秋彦の家庭環境については、語られているようで何気にちゃんと語られていなくもあり、謎の部分も多々あったんですが、あっちゃんと元々離れて暮らしていて、初めて対面したのもだいぶ遅かった、というのは意外な事実でした。ってか、アニキよりも先に、後に京極堂と結婚することになる千鶴子さんとこの家族と住んでいたとは。むしろ、兄よりも義姉の方になついている、と言ってもいいんじゃなかろうか。実の姉妹さながらに暮らしてたみたいだし。
面白いのは、若き京極堂がけっこう妹に対して過保護気味だった、というところか。そりゃ、まだこの頃はあっちゃんも子供なわけで、一足先に成人となってやってる兄としては、親と離れている妹に対して保護者としての責任感もあっただろうしねえ。ただ、あの性格なのでところどころ失敗しているのはご愛嬌。それをうまいことフォローしてくれたのが、あの榎木津礼二郎というのが面白いなあ。この時代、というかあっちゃんとの関係において、京極堂って榎木津にかなり貸しがあるんじゃなかろうか、これ。

しかし、あっちゃんの女学校時代の先輩や友人たち、紗江子先輩や万里先輩、ひさ実といった人たちが本編の頃にはどう過ごしているのか、みんなキャラも立っていたし敦子との関係も掛け替えのないものになっていただけに、なんとも気になって思い巡らせてしまいます。

ってか、やっぱり佐々原さんは女の子が主人公の作品の方が、活き活きしてるなあ。

佐々原史緒作品感想

即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡 ★★★☆  

即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡 (富士見L文庫)

【即興ワルツ 青遼競技ダンス部の軌跡】 佐々原史緒/くじょう 富士見L文庫

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成島拓海は同大学の橋本秋帆に狙われていた。彼女は拓海の長身を頼みに―共に“競技ダンス”で日本一を目指そうというのだ。さる事情から人付き合いを避けてきた拓海に、よりによって女子の手を取り笑顔で踊れだなんて!当然断るものの、諦めようとしない秋帆の真剣さに屈し、拓海は期間限定で入部する契約を交わす。優雅なイメージとは裏腹、体育会系な活動に絞られる日々を送る拓海。やがて応援に訪れた大会で、予期せず出場することとなり…。ダンスにかけるふたりたちが描く、青春と人生の心躍る軌跡。

燃える闘魂!! というのがヒロイン橋本秋帆の印象でした。
競技ダンス、というと最近では少年ジャンプでマンガ連載がはじまったお陰で最低限の知識は得ていたのですが、思っていた以上にスポーツという側面が強いんですなあ。まさに、闘う競技なのだ。ダンスに懸ける情熱、というよりもむしろ闘争心を剥き出しにして気炎を上げて挑み続けるハードスポーツなんですよね。
面白いのは、競技ダンスというジャンルの中で大学生の大会だけが「団体戦」というジャンルがあるというところ。パートナーと二人、とは言え他のチームメイトと協力してプレイするような団体競技ではなく、あくまで自分たちだけで完結している競技ではあるものの、自分たちの成績がそのままチームの成績へと繋がっている、という意味ではまさに自分たちだけで闘っているのではない、みんなで闘う競技である、と。これを「駅伝」に例えていたのは、なるほどなあ、と納得させられました。
ダンスは、自分ひとりでは踊れない。自分と踊ってくれるパートナーが必要。であるがゆえに、人並み外れた長身(女性ながらに180センチ超え)に育ってしまった秋帆は、ダンスに対して狂的なほどの情熱を、闘魂を注ぎながらも、それを共にしてくれるパートナーに巡り会えずにずっとグツグツと内なる炎を煮え滾らせていたところに、自分よりもさらに長身の、しかも剣道経験者で運動神経も抜群な拓海という逸材に出会ってしまい、なりふり構わず彼をパートナーにするために奔走することになります。
その爆発する火山のような炎に、やる気のなかった拓海も押し切られ、その手を握り続けるうちに彼女の炎に彼の冷え切った情熱も炙られていくわけですが……同時に、秋帆の闘いはある時点までただただ彼女自身の一人の闘いであったのです。団体、チームとして闘う大学競技ダンスであるのに、彼女は自分のパートナーとなる相棒の事すら本当の意味では手を取っていなかった。
その生い立ちから自己評価も低く、また何かに本気になることも、誰かを信じて懸けることにも及び腰だった拓海と、方向を見失ったまま自分の中の溶岩を爆発させて一人で踊ろうとしてしまった秋帆。すれ違いにもならない噛み合わなさは、おそらく必然だったのでしょう。
でもここからが、秋帆の炎が消沈してしまったところから、いつしか彼女の炎が燃え移り、その熱量に魅入られていた拓海の本気が、男役リーダーとしての自覚が、生まれた情熱が、止まりかけた物語を推し進めていくのである。でも、逆に拓海が自分が引っ張る、というのではなくて、自分の魅入られたものの素晴らしさをもっともっとみんなに認めて欲しい、見て欲しい、俺ではなく彼女を見ろ! とばかりに気炎をあげるのは何とも彼らしいというか。作者の描く男性主人公って、気合入ったというか色々と開き直ってる女主人公に比べて女々しいというか、ウジウジしたところが散見される場合が多くて、この拓海もわりとそっちなんだけれど、まあらしい開き直り方だったかな、と。
ちょっと残念だったのは、秋帆の元パートナーとなる四条くんのヤバさが触りしか描いていなくて、ガチンコでぶつかるに至らなかったところと、肝心のダンス描写があんまりイメージ湧かなかったところかなあ。同じ競技ダンス部の面々はなかなか個性的で面白いメンバー揃ってたと思うんだけれど、それだけにもうちょいこの人たちとの絡みも欲しかったんだけれど、これはシリーズ続いてくれないと一巻では無理か。

佐々原史緒作品感想

元・竜砲騎士マデリーンの転職 ★★★   

元・竜砲騎士マデリーンの転職 (ファミ通文庫)

【元・竜砲騎士マデリーンの転職】 佐々原史緒/ぎん太 ファミ通文庫

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育ての親ルイジアが遺したボロ宿で借金取りに追われるラザロ。そのとき突然の衝撃とともに金髪碧眼の美女、マデリーンが現れる。彼女は遥か北の王国からやってきたルイジアの姪、そして世間のことを何も知らないポンコツ美人なのだった。彼女の出現により、ルイジア亭を取り巻く悪党に目を付けられるラザロだが、彼女の真摯な性格と特殊な前職に巻き込まれ、なぜか「もてなしと愛」に満ちた宿への再建を目指すことに―?波瀾万丈ファンタジー開幕!!
ポンコツというよりも徹底した世間知らずと無垢を併せ持ったお嬢さん、と言った風情だなあ。ただ、長らく戦場を駆け回っていただけあって、本気で世知に無見識というわけでもないのだけれど、自分で服も着替える必要がない環境に据え置かれていた、というのはそれだけ上にも下にも置かない扱いではあったんだろう。或いは、戦略兵器としてそれだけ厳重に隔離されていた、か。
肝心の竜砲は置いてきたとは言え、そりゃ辞表一枚でそんな強大な兵器そのものである存在を放り出しはしないよなあ。むしろ、迎えによこしたのが未熟な見習い騎士一人、というのが解せぬ。とりあえず本巻ではあんまり触れられていないのだけれど、王国側は一体何を考えているんだろう。冒頭の描写を見る限り、マディの出奔は裏で陰謀が繰り広げられてたという風もなく、完全に予想外で大騒ぎにはなってたみたいなんだけれど。
そのヒロインであるマデリーン……実はけっこう歳なんですよね。ラザロは危険を察知して女性の年齢を尋ねるような真似は一切していないのだけれど、既にラザロを拾った時点で老婆だったルイジアが若かりし頃にマディって既に少女だったんですよね。竜砲騎士は竜に乗ってる間は特性上年を経るのが極端に遅くなるそうなので見た目は当てにならないし、ルイジアがこの海辺の街に現れて宿を作った時は絶世の美女が現れた、と話題になったと街の古老が語っていたくらいだから、マディとルイジアが別れてから3,40年くらい経っててもおかしくないわけで……。
南国の褐色少年って、色気みたいなものがあっていいですよねー(話題をそらして
そういえば【トワイラト・トパァズ】の主人公だったトパァズも褐色少女だったなあ。

さて、この話、ラザロと一緒にマディが借金まみれの宿屋を立て直して、訪れる宿泊客との間に様々なエピソードを積み重ねていく……というところまでは全然行かず、まず借金返済のために悪徳借金取りや付近の海を制圧している大海賊と丁々発止を繰り広げるはめに、という展開なんですよね。そもそも、宿の有るこの港街からして、海賊や悪党が根城にしている悪徳街という風光明媚とは裏腹の場末も場末。マディが夢見る宿にするには、いかにも立地条件が悪すぎるという。
ただ、この港町がそうなってしまったのも長年の戦争の影響で航路が途絶えてしまったのが原因で、その戦争と終結に深く関わっていたマディが無関係というわけでもなく、またここに宿を立てたルイジアが何やら大海賊と契約を交わしていて、その内容を巡って謎を追いかける……というよりも、ラザロの育ての親でありマディの叔母であるルイジアの過去を追いかけていく、追憶の話でもあるんですよね。
宿にお客はさっぱり来ずに、襲撃と新たに宿で働くメンバーばかりが集まってくるわけです。とりあえず、マディが宿の運営に役に立たなさすぎて、仕事を覚えるところから始めないと。
それにしても、婚期が遅れているからというわけではないんだろうけれど、マディが色々とチョロすぎるのか、それとも早々にターゲットをラザロに据えてしまったのか。
ラザロくん、ご愁傷様である。

佐々原史緒作品感想

見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに-3   

見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに- (ファミ通文庫)

【見習い神官レベル1 -だけど、この手を離さずに-】 佐々原史緒/せんむ  ファミ通文庫

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多くの犠牲と謎を残し、砂の巨人となり滅びたペルスカ。その黒幕と思しきリベカを警戒し、ヨシュア達は太守ダルタスを護衛してルステラへ赴くことになる。だが現れたのは偽教師だった破戒神官。そして彼女を追って、雷凰の対・雷鳳の少年が襲来する!神々の禁忌を犯したリベカを捜しているという彼は、人と神魔の婚姻もまた禁忌だと告げてきて―。「リベカ様を助けて」と願う敵と明かされる神魔の秘密を前に、ヨシュアが選ぶ道は!?シリーズ堂々完結!!
幕間におけるリベカの回想を読んでると痛感してしまったのだけれど、リベカが抱えている家族への執着、殺された姉やその姉から託された弟であるヨシュアへの偏執的なまでのこだわりは、結局とうとう最後までヨシュアには理解されなくて、違う言語で喋っているような噛み合わなさのまま終わっちゃってるんですよね。いや本当に哀れ。
これはもう、それぞれの立っている時間が全く異なっちゃってるんですよ。リベカは過去にしがみついて過去という位相から喋っているのに対して、ヨシュアは現在に立ち未来の方ばっかり見ているから、リベカの声は聞こえてもそこに込められている過去という位相にしがみついた情念については観測できてないのよ。だから、リベカが何を考えているのかサッパリわからない。
でも、仕方ないのよ、これ。ヨシュアはさ、今新婚ホヤホヤなのよ。可愛い新妻とイチャイチャしながら、家族計画立ててるのよ。二人の未来に向けて一緒にあれこれ楽しい苦労をしながら積立ててってる最中なのよ。さらに、そんな新婚生活や将来にむけての展望を、支えてくれるトモダチも出来て、今は現在と未来に対して精一杯であり夢中であり、後ろ振り返っている暇なんてないのですよ。今が旬の新婚夫婦に、小姑が呼んでもいないのに首突っ込んできて、応援してくれるどころかいちゃもんばっかりつけてきた挙句に、昔はああだったこうだった、と茶々入れてこられても、耳に入るもんですか。
それでもヨシュアとしてもリベカは家族だし、姉弟だから気にかけますけれど、前提が違うことを理解してないから、お互い噛み合うもんじゃなし。そのまま、全く歩み寄ることなく、そもそもボタン掛け違っている事にすら気づかないまま、終わってしまったのはやっぱり憐れな話です。
しかし、ことヨシュアとスーリィンの結婚生活に視点を移すなら、お互いに愛し合いながらも人間と神魔という種族の差によるしがらみとわだかまりが多少なりとも意識の端にこびりついていたのを、神魔位階第一との直接対面によって一気に吹き払ってしまいましたからね。もう何の憂いもなくなったわけですから、素晴らしきハッピーエンドじゃないんですかね。
なんかなー、単に事実を客観的にみるならば上級神魔の黄昏って感じの世界の流れで暗い雰囲気になりそうなものだったんだけれど、スーリィンの解釈と大言壮語がもう突き抜けてて、素晴らしく楽観的で、なんだかその終わりはとても素敵な事なんじゃないかと思えてきてしまいました。ほんと、大した嫁さんですよ。確かに上級神魔の歴史は終わっちゃうかもしれないですけれど、それが一つに交わって先へ先へと新たな形で繋がっていく新たな世界の形が出来上がるのだとしたら、その成り立ちが幸せによって生まれるのなら、やっぱり偉大なるハッピーエンドなんじゃないでしょうか。
まあその偉大なるスタートが、留年によってはじまるというのは、やっぱり憐れなんですけれどw
当初は、一人だけ年かさという主人公のヨシュアが、幼い子供たちの保護者役、牽引役となる不思議な配役のお話だなあ、と思っていたのですけれど、いつしかちびっ子たちがヨシュアとスーリィンのかけがえの無い仲間となり、生涯の友となり、導き役となり、支えとなっていたのには、今更ながら人間関係って面白いなあと頷くばかりでした。あの子たちと、こういう関係になるなんて、ほんと最初は思いもしなかったもんなあ。
最後まで、色々と堪能させていただきました。面白かった。
諸般の事情から出版できなくなりそうだった短篇集が、どうやら電子書籍限定で出版されることになったそうで。ありがたい限りです。これ、こういうケース増えてくればいいんですけどねえ。

シリーズ感想

見習い神官レベル1 亡き姫君のための狂想曲   

見習い神官レベル1 -亡き姫君のための狂想曲- (ファミ通文庫)

【見習い神官レベル1 亡き姫君のための狂想曲】 佐々原史緒/せんむ ファミ通文庫

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修練場を燃やしてしまってあわや落第かと思われたが、何とか進級を果たしたヨシュア。張り切って二年生をはじめようとした矢先――まさかのイジメの標的に!?
刃を向けるでも毒を盛るでもない嫌がらせに、むしろ新鮮と思うヨシュアだが、突き止めた犯人は、何と最上級生の現首席だった!
暴虐王【アフェク】の自主留年のせいで、とんでもない迷惑を被っているという彼女は、実は、暗殺者時代のヨシュアとある因縁があり……!?
最凶嫁つき学園ライフ、好評第3弾!
二年に進学してもレベル1のまま、と勘違いされそう。レベル制度のある世界じゃありませんからね、念のため。
二年生になったということは、キッチリ一年間作中でも時間が経ったということで、振り返ってみると始まった当初からずいぶん色々と変わってきたものもあり、変わらないものもあり。そうなんだよなあ……このシリーズが始まった時って、主人公のヨシュア一人だけが一回り年上の青年で、周りの子たちは幼いと言ってイイくらいの本の子供ばかりで、なんでこのシリーズは主人公が子供の引率みたいな役回りなんだ? と首を傾げたものでしたが……。
内心正直に言うと、子供たちのことを面倒くさい、鬱陶しいというくらいにしか思っていなくて、一回り年上で外の世界でそれなりに過ごしてきた分社会経験も豊富ということで、ともすれば好き勝手に動きまわる無軌道な子供たちの面倒を見て、あれこれと世話を焼いて、みんなのおかん役みたいな役回りになってヒーヒー言っているばかりだったヨシュア。嫁のスーリィアとも自由にイチャイチャ出来ず、ストレスをどんどん蓄積していっているのが傍目にもよくわかって、何とも息の詰まる学生生活を送っていたものですけれど……旅を通じて子どもたちとも打ち解けて、スーリィアの事も自分の過去の事もバレてしまった事で逆に隠し事をする必要がなくなり、いつしか自然に笑えてる事が増えてたんですよね。そういえば、ティエルが変にヨシュアに突っかからなくなったのも、ヨシュアが子供を適当にあしらう笑顔の仮面をかぶらなくなって、自然に彼女に接するようになってからなんですよね。今回ヨシュアが過去の罪を突きつけられる事で苦悩を抱え、ふと子供たちと心の距離を置こうとしてしまっていた時にティエルが鋭く指摘してきたことで、それを思い出した。
この子たち、なにも考えずにスィーリアの事やヨシュアが昔暗殺者として働いていた事を受け入れていたのかと思ってたんだけれど、彼らは彼らなりに真剣に、ヨシュアの過去とその犯した罪について向き合ってたんだなあ。ヨシュアの過去を他人事ではなく、その罪もひっくるめて一緒になって抱えていくんだ、というあの心意気には、思わず言葉を失ってしまいました。なにも考えてないなんてとんでもない。彼らは覚悟を持って、暗殺者だったヨシュアを、仲間として、家族として受け止めていたのだ。
年上のお兄さんに引率される幼い子供たち、なんて最初の頃の印象なんて、もうとっくに吹き飛んだよ。今のこの子たちは、ヨシュアにとって対等以上の、掛け替えの無い一生涯の親友たちだ。

そんな風に、ヨシュアが新たな人生を歩みだしているように、かつてヨシュアが手にかけた被害者の遺族たちもまた、過去にそのままとどまっているわけではない。ヨシュアが出会ったこの学園で出会ったネイラという少女もまた、変転する人生を溺れながら、ここまで辿り着いて新たな生活の中を歩み始めている一人だった。
ヨシュアもネイラも、こうして学園という箱庭の中で過ごすことで過去に区切りをつけて、新たな人生を手に入れいている一方で、外に取り残された彼らの家族たちは未だに過去から現在に続く連続性の中に囚われているのを見ると、俗世との断絶という意味合いもあるこの学園での時間というのは、何かしらの意味があるんだなあ。でも、外に取り残された人たちからすると、連続性を断ち切って違う人生を歩みだしているヨシュアやネイラたちに対して、許しがたい怒りを感じてしまうのもわからなくはない。裏切り、置き去り、妬みか喪失感か。そうした負の感情による吸引は、断絶に後ろめたさを感じてしまっている人間には悪夢めいた痛みを得てしまうものなのだけれど、ヨシュアはスィーリアという嫁がいて、今ティエルたちみたいな大事な友だちが、身内が出来る事で決別という痛みを乗り越える決意が出来ていて、今改めて自分の犯した罪に対しても向き合う意思を持つに至っていたのだけれど、ネイラはずっと友達と呼ぶ使役精霊一人だけだったのよね。それ以外に初めての大きなつながりをヨシュアに求めた事は、果たしてネイラにとってどういう心境だったんだろう。彼のことについては、気づいていたというのだから。
何れにしても、彼女もまた決別という決断を選び通したのである。意思の力は、斯くの如く凛として尊いものであるのか。

無事3巻まで出て、さらにまだ4巻にも続くという、佐々原作品としては久々に3巻超えのシリーズが出来ましたよ、っと。ただ、どのシリーズも何故か四巻で締めちゃっているので、ここは4巻で満足せずにさらに長期シリーズを目指して欲しいものです。

佐々原史緒作品感想

見習い神官レベル 1.放課後は朝まで砂漠で3   

見習い神官レベル1 ~放課後は朝まで砂漠で~ (ファミ通文庫)

【見習い神官レベル1 放課後は朝まで砂漠で】 佐々原史緒/せんむ ファミ通文庫

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いちゃラブ度倍増! (生殺し度もUP!!) だがそこへ“暴虐の沈黙王"が来襲!?

見聞の旅から無事戻り、優等生のティエルに教えを請うて、魔操の習得に励むヨシュア。だが何とこれっぽっちも上達しない。このままでは落第する! 焦る彼に、さらに不運が降りかかる。夜な夜な寮を抜け出しているのを上級生に見つかったのだ。しかも相手は首席最上級生、人呼んで"沈黙の暴虐王"。これで落第確定かと戦慄するヨシュアだが、彼はとある"取引"を持ちかけてきて――!?
元・最強暗殺者の最凶嫁つき学園ライフ、好評第2弾!
もしかして、本当に魔操の腕前まったくあがらずにレベル1のまんま(この世界はレベル制ではないので、あくまで比喩表現です)なのかとハラハラしてたら、ちゃんと上達してるじありませんか! まあ、ヨシュアが魔操を上手く出来ないのは技術の問題ではない部分が大きいので、最初からレベル1相当じゃないじゃん、と思うところもあるのですが。いずれにしても、きちんと魔操出来たんだから、タイトルもレベル1のままというのは何気に酷い。このままだと、延々レベル1のまんまですもんね、どれだけ上達しても。
普通に、巻数ごとにレベルあげていけばよかったのに。というかこれ、毎回第一巻と誤解されかねないぞ。

クラスメイトの子供たちに、スーリィアのことがバレた事で結果的にスーリィアの方が精神的に安定したというか余裕が出てきた感じがする。前は、存在自体を秘密にしていた事によって、かなり汲々とした生活を送っていたせいか寂しがっててちょっと精神的に余裕なかったもんなあ。それが、子供たちとも普通に顔を合わせてお話できるようになったことで、スーリィアにも余裕が出てきて、夫婦生活の方にも潤いが出てきたように見える。具体的には、ヨシュアへのイチャイチャの仕方に切羽詰まった感が薄れて、自然に愛情を寄せてくるようになった、と。
元々ヨシュアの方もスーリィアを大好きで、ほぼ正式に夫婦関係営んでるんだから、スーリィアにまとわり付くような鬱陶しさがなくなって、ヨシュアの様子を見てちゃんと彼の邪魔にならない時に擦り寄ってこられたら、理性に対するダメージとしては、そりゃ今の方が深刻ですわ。
ほんと、肉体関係まで持っていけないのは単純にこれ以上関係を深めると、スーリィアのことが学校にバレてしまう、という一点だけで、それ以外に障害ないったら全然無いんだもんなあ。
ちなみに、ティエルが独り悶々とヨシュアへの恋心を育て持て余しながら苦悶していますけれど、残念ながら年齢的にどうやったって、子供たちは対象外なものですから、ヒロインにはなりようないんですよねえ。もう、傍目にはちっちゃい子が大人のお兄さんにドキドキしている、という構図は甘酸っぱいというよりも微笑ましい、としか見えないw
今回は、人間と神魔の愛の末路、という主題があったんだろうけれど、ヨシュアとスーリィアではもう結論出ちゃってるからなあ。過去の悲恋とその残影を前にしても、共感はしても今更それを我が身に当てはめて苦悩することもなく、ブレることはありませんでしたし。相手のことを大切に思うが故に相手の意思を無視する事はままある事だし、それが決して悪い事とは言えないんだけれど、ヨシュアとスーリィアに関しては同意がなされているので、すれ違いにならない安心感はあります。

さて、今回の目玉は子供たちはメインのカップルよりもむしろ【沈黙の暴虐王】ことアフェク先輩(男)その人だったのではないでしょうか。もうキャラ立ちすぎというか、佐々原さん昔からこの手の暴虐だけれど理不尽じゃないキャラ上手いよなあ、と思うんですよね。無茶苦茶しているようで、頼れる感バッチリだし、暴言毒舌の嵐にも関わらず何気に愛嬌が感じられて、嫌な感じさっぱりしないし。逆に女性キャラじゃないのがイイのかもしれない。
スピンオフ作品かなんかで、女性主人公出して相方この人にしてくれんかなあ。

佐々原史緒作品感想

バタフライ×ブレイクダウン 1.君が世界を救うというなら3   

バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)

【バタフライ×ブレイクダウン 1.君が世界を救うというなら】 佐々原史緒/H2SO4 ファミ通文庫

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世界の運命、故障中【ブレイクダウン】!
祐吾の前に突然“空から降りてきた”少女、桜庭せせりは未来からきた「時軸修復士」だった。何でも祐吾の時代のとある些細な出来事が巡り巡って未来の運命を大きく変えてしまうのだという。それを阻止するための彼女の任務とは――「はぁ!? TVの向こうのトップアイドルの○○を××しないと世界滅亡!?」「協力してください!」「え? ま、任せとけ! でも、まずアイドルに会うのがそもそも無理じゃね!?」 時を越え地位【ポジション】を越える、崖っぷちの ボーイ・ミーツ・ガールズ開幕!!
毎回、佐々原さんが新シリーズ出すたびに同じ事を思ってしまうんだけれど……佐々原さんって絶対主人公を女の子で書いた方が面白い気がするんだよなあ。
佐々原さんのこれまでの作品を読んでると、男の主人公ってどうしてもキャラが弱いんですよね。自己主張も精神的にもややも薄弱で、此処ぞという時の決断も客観的に見るとしっかりと覚悟は決めてるんですけれど、全体的に流されがちで、微妙に魅力に欠けてしまうのです。その点、女性が主人公だと感情豊かでアグレッシブ、それでいて肝心なときには凄まじくクレバーな腹黒になり、ど根性も発揮する、物語の主導権を握って離さない強さがあるのです。
【トワイライト・トパァズ】のトパァズ然り、【暴風ガールズファイト】の麻生さん然り、【ドラグーン・デリバリー】のコゼット然り。
今回も読んでて思ったんですよ……これ、高峯揚羽が主人公で彼女視点で書かれてた方が面白そう、とか。
だって、これ、アイドルグループ「クアトロA」の面々が面白すぎるでしょう!? 逸材ですよ、この娘たち。公私のギャップが凄まじすぎて、それぞれの素の顔見た時には笑ったのなんの。それなのに、出番が少なすぎるという勿体なさ。だから、むしろクアトロAのアイドル活動を見たくなってしまったんですよね。その上で、この四人のメンツが、アイドルとして芸能界でのし上がっていきながら、同時に突然現れたせせりの持ち込んできた世界滅亡のバタフライ効果の修復作業に協力していく、という展開だったらば、揚羽以外のあの面白すぎる三人もそれぞれに個性を発揮して暴れられますし、揚羽もあのやたらと黒そうな女王様気質を遺憾なく発揮しつつ、記憶喪失、アイデンティティの確保、自分探しに記憶を取り戻すことによる仲間との距離感の変化など、主人公らしい煩悶のネタは尽きませんし。
と、幾らそんな事を言っても今更話が変わるはずもなく、ならば主人公の祐吾に頑張ってもらい、クアトロAの連中も引き立ててくれるのを願う他ないのですが、今のところそのお調子者の性格もあってか流される一方で、彼の中の芯の通った行動原理、世界滅亡の回避という大仰すぎる理由以外の、身近な彼だけの動くべき理由というのを見出してくれないと、物語の牽引役たる主人公としてまだまだ物足りなさすぎるんですよね。頑張ってくださいよ〜〜。
しかし、燿奈とアリスはまあまだ判るとしても、元気っ娘のあやかの素の顔は予想外過ぎてひっくり返りましたよ。幾らアイドルになるためにキャラ作りが必要とはいえ、そこまで変えるのは色々と無茶すぎる。別人どころの話じゃないじゃないか(笑
でもこれなら、素に戻って変装したらファンでもまず気付かんな、うんうんw

佐々原史緒作品感想

残光の女神と1/2アンデッド4   

残光の女神と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

【残光の女神と1/2アンデッド】 佐々原史緒/kyo ファミ通文庫

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死と生を越え、ふたりはいつしか心を通わせる――。

"半死人"冬哉と、死者を彼岸へ送る"渡し"那由子の奇妙な協力関係は、信頼へと変化しつつあった。だが冬哉の体は日ごとに死者に近づいている。「自分は消滅しても、那由子だけは"人"としてこの世で生きてほしい――」そんなとき、彼此見市を謎の光が襲い人々が昏倒する現象が発生。那由子と共に調査を始めた冬哉は、この街で密かに進行していた驚愕の"儀式"を、そして遂に己の死の真相を知ることに!! 愛憎と慟哭のダーク・ミステリ・ロマンス最終巻!!
愛憎と慟哭のダーク・ミステリ・ロマンスってキャッチフレーズ、最初に見たときはまた大げさな、と思ったものだけれどこうして最後まで読み切ってしまうと、一切誇張のないそのままのフレーズだったんだというのが、嫌というほどわかってしまった。
重たい、もうめちゃめちゃ重たい。重たいんだが、那由子と冬哉の明らかになった関係を思うと、二人が出会った事も、そこに愛情に近い絆が育まれた事も、奇跡のような運命だったんですよね。冬哉が一度死に、那由子が渡しだったからこそ出会ってしまった、それだけでもあり得ない出会いだったのに。
変な話ですよね、不思議な感覚です。幾つもの死が重なって初めて成立する運命の出逢いなんて。
結局、幾許かの人間的な成長と、人らしさを身につけた上での穏やかで賑やかな太平楽なハッピーエンドが待っているものだと勝手に思い込んでいただけに、まさかこんなヘヴィーな展開になだれ込んでいくとは。一巻や二巻における死者と生者を繋ぐような話は、冬哉は生者の立場から物事にあたっているように捉えていたのだけれど、今にして思うと結果として逆だったんだなあ。だからこそ、この巻で冬哉は自分の運命を知ってもあまり取り乱すこともなかったのだろう。むしろその意味では、ちゃんと「生者」の側にいたのは那由子の方だったのだろう。彼女が見せた必死なまでの執着や形振り構わぬやり方は、未練を残した亡者のそれではなく、生きているからこその懇願だったような気がする。
だからこそ、冬哉が送り出してやらなきゃならなかったんだろうなあ。止まってしまった死者が、先に行けるくせにその場に留まろうと足掻く生者にしてあげられるのは、きっと安心して納得させて、送り出してあげる事だけなのだから。今まで、死者を渡すおはなしはみんな生きた人が死んだ人を送り出してあげる話だと捉えていたけれど、そうか、これまでの話もよく見れば逆だったんだなあ。
「生きな」

ラストは、ハッピーエンドというのもどこかおこがましい感動的な結末でした。ちびっと泣いちったよ。クライマックスに入ってからの情感たっぷりの盛り上がりは、ほんと凄かったです。惜しむらくは、もう1つか2つ、那由子と冬哉がお互いに掛け替えのない存在だと感じあうようなイベントがあったらなあ、と言ったところか。2巻の終わりで那由子が冬哉に心開いて懐いたのは伝わってたけど、この最終巻でももう一回は念押しでグッと来るエピソードを前半に用意しておいて欲しかった。そうすれば、終盤の二人の話ももっともっと感動的になったんじゃないかなあ。

次回は、佐々原さんのあの軽快なノリの楽しい話が読みたいなあ。出来れば、女の子が主人公で。

生贄の羊と1/2アンデッド3   

生贄の羊と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

【生贄の羊と1/2アンデッド】 佐々原史緒/kyo ファミ通文庫

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死生の狭間を越えるダーク・ミステリ・ロマンス第2弾!!

一度死んで蘇生した"半死人"冬哉と、死者の霊を彼岸へ送る"渡し"の那由子。ふたりは那由子の大切な「鏡」を取り戻すために奇妙な協力関係を築いていた。夜な夜な霊を"渡す"仕事に勤しんでいたある日、近隣の高校の構内に漢字が描かれ、その文字が苗字に含まれる生徒が怪我をするという事件が相次ぐ。霊の仕業と噂されるこの事件の裏に蠢いていたのは、ある女子生徒の血塗られた愛憎劇だった――。死生の狭間を越えるダーク・ミステリ・ロマンス第2弾!!
前回、冬哉の事を佐々原作品にしては珍しく芯の定まっていない弱キャラ、と書いたのですが、そう言えば前作の【創立!? 三ッ星生徒会】の向坂恵も相当なさけないキャラだったっけか。ただ、彼が粘り強い調整型のリーダーへと成長していったのに対して、こちらの冬哉が歩み始めているのは似て非なるものと言えよう。芯がない、あるいは信念が無い。つまり確固とした思想や自分の在り方というものを持たず周りに迎合することを良しとしがちだった冬哉ですが、こと霊関係に対する那由子のやり方というのはよく言えば合理的、ぶっちゃけると非人間的なところがあって、冬哉としてもそのまま受け入れるには人としての良心が耐え切れないのである。故にか、彼は食べ物で釣りながらも那由子に辛抱強くただ機械的に効率よくこの世に未練あって残っている霊たちを問答無用で成仏させるのは違うんじゃないか、という考えを諭しはじめるのだ。面白いことに彼のやってる事、やろうとしている事もある意味「渡し」と言えるんですよね。生きている人の話を聞き、死んでいる霊の想いを聞き、本来ならばもう通じることのないはずの両者の想いをつないで渡す「橋渡し」。まさに半分生きて、半分死んでいる彼にしか出来ないことだ。尤も、彼は別にそれを信念を持って行っているわけじゃない。目の前で起こる生者と死者の錯誤と誤解、すれ違う事によって大きくなっていく悲劇惨劇を目の当たりにしてしまったが故のことだ。誰だって、目の前で燃え出したボヤを無視なんて出来ないだろう。放っておけば大変なことになってしまうと分かっていて、周りにそれに対処できる人が誰もいないとき、人は何もせずに居られるだろうか。冬哉はただ、当たり前の善良な一般人というだけに過ぎない。だからこそ、思わず自分の出来ることをやってしまっているだけなのだ。でもだからこそ、なし崩しでしか無く確固とした信念の上での行為でないからこそ、彼は他人の心の領域にまで踏み込むような自分の行為に恐れのようなものを感じている。それ以上に、これまでの生き方も、生き返った事も、自分が那由子を引き止めてまでやっていることも、何の意味もない、価値もないことなんじゃないのかと、恐れている。
だからこそ、他でもない那由子が、食い物以外この世の何にも興味も感心も示さなかった彼女が、冬哉を肯定してくれた事は彼に取ってとてつもない衝撃であり、ブレイクスルーになったのだろう。死んだと同時に心の何処かでせき止めていたものが、あふれだして涙になってしまうくらい。
そう考えると、那由子の変化の傾向は微妙だけれど顕著だったのだなあ。あれだけ、那由子が自身の判断を冬哉が認めてくれなかったとき、珍しいくらいにムキになって拗ねまくっていたのは、それだけ冬哉の言や考えに重きを置いていたって事なんですよね。最後の、あなたが言うのならきっと意味があるのでしょう、という言葉を聞いて、ちょっと前の変だった那由子の様子がようやく腑に落ちたのでした。
まあ、餌付けが効いたんだろうな、とは敢えて言うまいw

しかし、また不穏な終わり方だなあ。誰が見てたのかは明言してないけど、多分あの人だろうし。となると、瀬尾っちのややも不安定で危うい雰囲気も余計に不安を煽られる。今回、彼についてはとことんイイヤツだというのをつくづく思い知らされたので、出来れば彼には報われて欲しいんだが。

死神少女と1/2アンデッド 3   

死神少女と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

【死神少女と1/2アンデッド】 佐々原史緒/kyo ファミ通文庫

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死と生の境界を越えて出逢ったふたりのダーク・ミステリ!

海辺で遺体となり発見された冬哉は、恐怖に満ちた夢を見て蘇生した。だが心音もなく姿も鏡に映らず、屋内外に佇む霊が見える……。そんな異常を隠し日常に戻った彼のクラスに突然、あの夢で見た大鎌の少女が現れた! 戦慄し逃げる冬哉に、少女は迫る。「鏡を返せ」と――。それが己の死の真相を忘却した"半死人"冬哉と、迷える魂を彼岸に送る"渡し"那由子の奇妙な関係の始まりだった。死と生の境を越えて出逢ったふたりのダーク・ミステリ・ロマンス!
おおおっ、佐々原史緒さんの久々の新作はガチのホラーなのか。いつもの何だかんだとコミカルなノリは影を潜めて、抑制のきいた文章でジワジワと現世と幽世の狭間で交錯する死者と生者の邂逅を描いている。それでも佐々原さんらしいのが、ヒロインの死神少女の天然マイペースっぷりである。最初出てきた時は、人間の常識も情理も通用せず、理解もしてくれない本当の意味で恐ろしい人外なのかと思ったら……ただの食いしん坊キャラじゃねえか!(笑
明らかに理性よりも本能、厳密には食い気が勝ってるし。人外だから人間の常識が通用しないというよりも、単に常識知らない気にしない関係ない、というだけみたいじゃないですか、これ?(苦笑 那由子、君、自分の無くした鏡に執着し、探して現世に来たの、あとに行くほど忘れてないか? 折角認識を惑わせて転校までしてきたのに、学校にも登校してこず、それで死神として働いているのかと思ったら、単に食い倒れツアーに勤しんでただけだし。ほんとに何しに来た!w
まあこの娘の惚けっぷりで随分と和まされてる。彼女がもし真面目なキャラだったらこの作品、もっと重々しく陰鬱な話になっていただろう。主人公の冬哉が、佐々原作品の主人公としては珍しく芯が定まってない弱キャラというのもあって、快刀乱麻を断つような展開とは行かず、ジクジクと膿むように話が進んでいきますからね。何しろ、あだながチャラ眼鏡、だからなあ。でも、悪いヤツじゃないんですよ。ヘタレで事なかれ主義だけど目の前のことに見て見ぬ振りが出来ないだけで、充分に主人公の資質はあります。泣き言を言いながらも行動できるのなら、後悔しながらでも渦中に飛び込めるのなら、ヘタレだろうが自己薄弱だろうが芯となるものが無かろうが、そんなものは進んだ先で見つけりゃいい話。頑張れる奴は、半分死んでようがこれ以上なく主人公です。そんなこんなでチャラチャラしてて初期の期待値が低い分、これからは株上がりっぱなしですよ……多分。

しかし、今回はあくまで導入編だなあ。何しろ、冬哉を取り巻く状況が未だにまったくはっきりしない。結局、彼は何らかの理由で死んだものの、何故か生き返り、しかもその際、那由子の鏡を取り込んでしまっている上に、亡霊のたぐいを見ることが出来るようになってしまった、という現状がなんとか把握できていた段階で、なぜ今みたいな事になってしまったのか、発端から原因からさっぱりなわけですから。だからこそ、ラストに明らかになった新事実が衝撃的な引きとなっているのですけれど。これは凶悪な引きだよなあ。なんとか戻ってきたはずの日常が、俄然、様相を変えてくる事実な訳ですし。これで長く待たされるとキツいんですが、既に4月末には連続刊行する予定のようなので、ホッと安心。これは畳み掛けないといけませんものねえ。

創立!? 三ツ星生徒会 4.そうして恋3は辿りつく4   

創立!? 三ツ星生徒会4 そうして恋3は辿りつく (ファミ通文庫)

【創立!? 三ツ星生徒会 4.そうして恋3は辿りつく】 佐々原史緒/大場陽炎 ファミ通文庫

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 bk1

調整型というと、どうしてもリーダーとして軽く見られる傾向があるように思われる。たとえば、政治家にしても、組織やグループのリーダーとしても調整型という肩書きがつくだけで、声が大きく率先して行動するタイプのリーダーと比べて、いささか指導力が一段落ちるような印象を抱いてはいないだろうか。
だが、それは現場を知らない外野からの一方的な認識と言えるのかもしれない、と自他共に調整型の生徒会長として認められ、広く支持を集めつつある向坂恵の存在感を目の当たりにすると、ふとそんな考えを巡らせてしまった。
実際、様々な意見や立場、利害関係が絡まりあう現場において、強烈な指導力による突破力は時に大きな革新の波となって旧弊を打ち砕くものかもしれないが、現実としてそれが全体の機能停止を招き、より大きな弊害を生み出すケースを挙げれば枚擧に暇がない。
皆の意見を集約し、立場を考慮し、利害の妥協点を見出して、誰もが納得し得る最適の解決方法を導き出すということは決して安易な解決法ではないのだ。むしろ、非常に困難で結果を導きだすことに多難を擁する道だとも言える。真の調整型とははいはいと人の意見を簡単に聞き入れ、耳障りの良い返事を返し、都合のいい題目を唱えるようなものではない。皆に難を割り振り、損を共有化し、恨まれながらも客観的な視点における最善を具体化し、その上で誰かにとっての致命的な損壊を回避するというものだ。
それは、ただがむしゃらに突き進めばいいものではない。俯瞰的な位置からの視野の広さを維持しながら、細心の注意を払い足元に目を凝らすという舵取りが要求される、余程の我慢強さと粘り強さと慎重さとタフネスさが要求されるやり方だ。

鳥越と葛城、二人の個性的な生徒会長の狭間で、向坂恵はずっとそのやり方を黙々と実行し続けた。嘆き愚痴り疲れ果て、何度も挫けながらも、彼は最後まで決して自分の仕事を放り出さなかった。
それがどれほど偉大なことなのか。彼の成し遂げていくことがどれほど大変なことなのか。それを堅実に実現していく彼がどれほどの人物なのか、一緒に仕事をしている生徒会の皆が気づかないはずがない。鳥越たちも、葛城女史たちも、とても優秀な人たちであるからこそ、恵本人が自覚している以上に、彼を高く評価し、一目置くようになっていく。
そして、その理解は幾度もの学校行事と、それら行事が頓挫しかねない危機を乗り越えていくことで、一般生徒にまで広がっていく。この巻においてもうすぐ始まろうとしている総生徒会選挙で、向坂恵はもう鳥越と葛城、二人の偉大なる生徒会長のオマケでも、名前だけの居るだけ生徒会長でもなく、星イチ出身生徒のみならず広く支持を得られ、三高校合併後の統一生徒会を任されるに足ると誰しもに認められるほどの評価を得るに至っていた。
よくぞ、あの意志薄弱でヘタレた男の子がここまで来たものだ。あとがきで作者も述べているけれど、向坂恵は作者がこれまで手がけてきた作品の主人公の中でもとびっきり、ダメな子だったように思う。なんだかんだと、作者の書く主人公はバイタリティにあふれていて、弱音や愚痴を吐きながらヒーヒー泣き言わめきまくる子は多かったものの、喚きながらも土壇場になるとガァーーーっとものすごい勢いで目の前の障害をバッタバッタと片付けていくような子たちだったのだ。それに比べてこの子と来たら、イジケる拗ねる自虐に甘える、と本当によわっちくちっぽけでツマラナイ、なんの取り柄もないお子様だった。

そんな子が、ここまで成長したのだ。なんかもう、感慨深くて仕方ない。
面白いことに、恵は結局最後まで才能が開花したり、能力が覚醒したり、という事はなかったんですよね。目覚しくやり手になった、という風情はどこにも見当たらない。ただ、堅実にみんなの意見を聞き、投げ出さないで、地味に黙々とやるべき事を投げ出さずに最後までやり遂げ続けただけ。でも、それこそが本当に立派だった。
どうしようもないと投げ出しても仕方ない、これはできないと諦めても仕方のない事件が起こっても、ラノベの主人公としては滅多と見ない、マジフラレ、本気の失恋を喰らって精神的にボロボロになるという、辛い辛い目に合ったにも関わらず、ピーピー泣きじゃくりながら、グチャグチャに凹みながらも、最後まで歩き抜いたこの子は、本当に偉かった。

心の底から褒めてあげたい主人公である。


しかし、見事に途中からヒラリとメインヒロイン入れ替わったなあ。最初から四月さんは脈薄そうではあったものの、当初は確かに恵は一途に彼女にアプローチしようと粘ってたもんなあ。
実のところ、もうちょっと水穂さまの方と恋愛イベントあるかとも思ってたのですが、意外にも最後まで親愛関係で終わってしまいましたね。
水穂さま、あれだけ俗っぽいにも関わらず、不思議と神様としての立場でキャラクターが立脚していて、ひとりの女の子の顔は本当に最後の最後の一瞬まで見せなかったもんなあ。あの最後の行為にしても、異性への愛情というよりも、心の底からの親愛、という感じだったし。
でも、とても美しいラストでした。
あの、駄神と呼ばれるにふさわしい身も蓋もない俗っぽさは、本当に大好きなキャラだったんですけどね(苦笑
ネトゲもできず、Amazonも配達してくれない神の庭でこの人がやっていけるのか、かなり絶望的にも思えるのですがw 

創立!? 三ツ星生徒会 3.それでも恋3は終われない4   

創立!? 三ツ星生徒会3 それでも恋3は終われない

【創立!? 三ツ星生徒会 3.それでも恋3は終われない】 佐々原史緒/大場陽炎 ファミ通文庫

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 bk1

学園祭目前、大錯綜の多重三角関係ラブコメ第3巻!!

「学校に、行きたくない」夏休み、陽菜に告白→玉砕した恵は憂鬱な2学期を迎えた。陽菜との関係はもちろんギクシャク……でもアレ? 陽菜と鳥越もギクシャクしてるのはなぜ? 一方で鳥越もまどかも向坂水穂(恵×金魚神=性別不詳!)への恋心を隠さない。そんな絡まった恋模様の中、突然文化祭の日程が一カ月も前倒しに。全校大混乱、黒プニ増量&生徒会の仕事も大激増! さらにその陰で蠢く"陰謀"も明らかに!? 多重三角関係、波乱の第3巻!!



この作品の主人公、向坂恵ってなにが凄いのか、三巻まで読み切っても分かんないんですよね。特別な才能もなければ、弁が立つわけでも事務処理能力が高いわけでも、頭の回転が速いわけでもない。本当にただの凡人。いつも愚痴ってるわ、失敗してへこんでるわ、自分の言動を後悔してウジウジしてるわ、と彼の内面を常に目の当たりにしていると、精神的に強いとか言う事も出来ない。むしろ、打たれ弱い。
咄嗟に八つ当たりしてしまうこともあれば、大人げない態度をとってしまう事もある。そうしてやってしまってから、後で頭を抱えてまたへこむ。
間違いなく特別で優秀で才気あふれる鳥越や葛城まどかと比べれば、どうしようもないくらい平凡なんですよ。
ところが、その鳥越もまどかも、恵には一目置いている。前巻で戻ってきてくれた同じ星一の三谷や池部さんも恵に信を置き、物凄く期待している。他の生徒会メンバーも、今となっては何だかんだと恵の事を大いに認めてるんですよね。
ほんと、言葉にして評しようとすると何も出てこないような主人公なんだけど、何か特別なものを持ってたり感じさせたりする所なんて一切ないんだけど。
まったくもって平凡そのものなんだけど。
この文化祭一か月前倒し、という緊急事態の学内大パニックの中で示した恵の働きと言うのは……やっぱり地味で、特別な何かをした、というような派手な事は何もないんだけど。
でも、言葉に変換しがたいんだけれども、確かに鳥越やまどかが一目置き、みんなの信望を集めるにたる、何かがあるんですよね。
皆が心理的に切羽詰まり、追い詰められ、余裕をなくしている中で、恵も例にもれず同じように余裕なんか一切なく、それどころか四月陽菜に振られたショックもあって、精神的にはボロボロのはずなんだけど、それでも仕事を投げ出さず、堅実にこなしていくんですよね。
必死に一生懸命に頑張っているのは皆、同じなんだけど、皆がその自分の一生懸命さに振り回されて、自分たちの足元や周囲の些細な出来事に目を配ることが出来なくなっている中で、恵だけは必死に慌ててバタバタとなりながらも、細かいところまで目を配り、他人の話を蔑ろにせずちゃんと聞き、物事を一つ一つ着実にこなしていくわけです。
凡人だからだろうか、劇的に幾つもの案件をバッサリと片付けるような真似なんて到底できないからこそ、目の前につみあがったものを一つ一つ丁寧に処理していくその地味さ、堅実さが、皆がギリギリの瀬戸際の中で慌てふためいている中で、際立って見えてくる。
前々から、恵のそんな所は同僚である生徒会の面々からは認められていたわけだけど、修羅場となった文化祭準備の中でも、一切ぶれることなく揺るがず、普段以上の堅実な仕事ぶりを見せた、というのはやっぱり凄いことなんだろうなあ。
それまで接点がなかった一般生徒たちにも、恵の存在感は伝わりだしているわけだし。
その誠実さ、真摯さは、確かに彼の得難い資質であり、皆の信望が集まってくる要因なんだろう。
恵の愚痴っぽくへたれまくった内面見てると、なかなか分かりにくいんだけどねえ(苦笑

一方で、玉砕してしまった恋模様の方は、何故だか振った陽菜と、鳥越がギスギスしてしまい、恵の内心は穏やかではないわけで。これ、忙しさにかまける状況じゃなかったら、みんなメンタル的にかなりアップアップな事になってたんじゃないかなあ。その意味では、この修羅場も良かったのかもしれないけど。
目の前でイチャイチャされたらたまらんけど、だからと言って上手くいかないのを見せつけられても、キツいわなあ、恵は。
それでいて、幼なじみ特有の特別な雰囲気や、余人の割り込む余地のない絆を折あるごとに見せつけられてるわけだから、恵の立場は悲痛そのもの。
まさしくこれ、ギャルゲの親友ポディションそのものだよなあ(苦笑
失恋模様のなんという苦しさよ、痛みの辛さよ、てなもんである。
でも、この文化祭の背景で起こっていた鳥越の家庭環境にまつわる問題と、それに対する陽菜の決死の行動。陽菜のピンチに取り乱しながら叫ばれた鳥越の本音。二人の関係は、どう見てもお似合いで、陽菜の一途さは眩しいくらいで、この二人はやっぱりこの二人だからこそいい、という感じなんですよね。恵には可哀想なんだけど。
陽菜のあんな想いを見せられたらねえ。鳥越も、めちゃめちゃイイヤツだし。こいつ、まったく完璧に主人公キャラクタだもんなあ。しかもあんな堅物ひねくれ者のドジっ娘ヒロイン属性持ちだと、嫌味も感じられないし。
病院の一室での一幕は、恵の立場からするとトドメの一撃。告白して振られた時よりも決定的な、完膚なきまでの失恋だったわけだけど、第三者の立場から見ると、ほんとによかったねえ、という甘酸っぱくも微笑ましい気持ちにさせられたわけで。
恵の悲痛な思いと、鳥越や陽菜側。そのどちらにも傾かず、異なる共感を同時に抱かさせる作者のバランス感覚は驚嘆に値する。両者の気持ちが伝わってくるだけに、複雑なんだけど、妙に清々しいんですよね。

まあ、この二人はくっつくだろうな、と予想はしていたので、ラストの展開もまた、ある程度は推測できていたわけだけど。
水穂さんを女性と誤解していた鳥越と違って、まどかの方は男性と認識していたから、齟齬はそれほどじゃなかったわけだしねえ。
でも、今のところ恵は失恋したばかりで他を見る余裕はないだろうし、まどかの方も真実を知って収まりがつくかどうか。
どうやらあと一冊でシリーズ完結するみたいだけど、はたしてこの整理されはじめた多角関係がどう決着するのか。もう一、二波乱があるのか。ううっ、これは完結編が待ち遠しい!

ドラグーン・デリバリー 竜の背はまごころを運ぶ4   

ドラグーン・デリバリー ~竜の背はまごころを運ぶ~ (HJ文庫)

【ドラグーン・デリバリー 竜の背はまごころを運ぶ】 佐々原史緒/水月悠 HJ文庫

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竜に憧れる女の子コゼット・パースンは、念願であった竜に乗って宅配便事業を行う「ドラグーン貨物」に就職することになった。希望に胸を膨らませて配属先にやってきたコゼットを出迎えたのは、問題ばかり起こす不良社員の部下2人、竜騎手のリズとアイリーンだった。
竜に乗った宅配便屋さんが届けるハートフル・コメディ!


いや、確かに間違いなく読んでて大いに笑い、ほんのり心が温かくなる見事なまでのハートフル・コメディなんだけれど。
佐々原さんって、特に異世界ファンタジー系の話を手掛けたときですけど、やたらその世界観、その社会情勢が過酷というか、殺伐としているというか、やたら生々しい悲惨な現実ってのが横たわってるのが多いんだよなあ。【サウザントメイジ】【トワイライト・トパァズ】シリーズもそうだったし、【スイートホームスイート】もあれ考えてみると置かれた環境、かなり理性的に厳しいものでしたし。
そういう一歩踏み込むと生々しいまでの現実がドンと坐している世界の中で、そういう背景の暗さ重さを表に出さずにグッと飲み込み、あっけらかんとにぎやかにドタバタ騒いで笑って、己が夢や生活に立ち向かってはしゃいでいるキャラクターたち。
この作者のコメディがやたら楽しく面白いのって、なるほどこの相容れぬはずのアンバランスさが見事に調和して料理されているからなのかなあ、となんとなく思ったり。
アイリーンが主役の話なんて、そうとうヒドイ話ですよ、あれ。人身売買が根底にあり、元は兄弟のような関係だった幼なじみとあんなことになり。ただ、そういう人間性が歪んでも仕方ないと思われるような環境の中で、多少暴走しがちだけれどみんな人情味あふれた人たちで、それがどうしたといわんばかりに笑い飛ばして、突っ走ってる。そりゃ、痛快だし気持ちいいし、心も温まらあな。
コゼットがえらいことになったときでも、リズやアイリーンが暴れたいだけ金儲けたいだけ、会社のみんなも騒ぎたいだけ、なんてコゼットには表向きそう見せておいて、その実態を知ったときのコゼットの感動は、読んでるこっちの感動でもありました。
ほんと、いい職場じゃんかよ。

改めて思ったけど、佐々原さんは主人公女の子の時のほうが面白いよね。このコゼット、お嬢様育ちでポヤポヤおっとりしてて、リズやアイリーンに振り回されっぱなしという、今までの女の子主人公からするとやや頼りない風情だけど、それでも負けん気根気は十分以上にあって、なんだかんだとしっかり仕事はこなして見せる根性ガールでしたよ。この仕事ちゃんとできるのはやっぱり偉いよ。誰かに認められるだけの働きをしてみせるやつってのは、大したもんなんだと思うよ。押しは弱いし、ギャンブルは泥沼はまるほうだし、蹴っ飛ばされるは弄られるはと、ほんと頼りないったらありゃしないんだけど、ここぞという時、肝心な時には絶対にリズやアイリーンの信頼を裏切らないんですよね。そして、ちょっとした心遣いや優しさを異端児ともいうべき二人に自然に差し伸べる。だからこそ、二人も同じような感情を投げ返してくれるわけだ。
このアットホームな雰囲気の醸成は、作者独特の腕前だよなあ。これがまた、とびっきり心地いいんだわ。
話としてはこの一冊でうまいこと終わってるけど、まだまだ続けるのは難しくなさそうなので、できれば続き出てほしいなあ。

それにしても、時代は今やイタチさんなのか!?

宵月閑話 はかなき世界に、最期の歌を4   

はかなき世界に、最期の歌を―宵月閑話 (トクマ・ノベルズEdge)

【宵月閑話 はかなき世界に、最期の歌を】 佐々原史緒/toi8 トクマ・ノベルズEdge

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おお、珍しい! 小野篁の末裔が出てくるとは。阿倍清明なんかはそれこそ無数にあるわけですけど、同じ中世の幽冥の世界に足を踏み入れている人物であるにも関わらず、小野篁なんか無名も無名。小野篁が関わるライトノベルなんて、自分、【札屋一蓮】シリーズしか見たことないです。
まあ、清明や役小角なんて人たちは本職の魔術師ですし、その阿倍さんなんてその子子孫孫に至るまできっちり陰陽師を生業としてきたのに比べて、小野篁は歴としたお公家さん、しかも結構な要職についてた偉いさんらしいし、地獄に生きたまま出入りして閻魔大王の側近やってたというエピソードの他には、特に妖しい術を使ってた、という人でもないですしね。その子孫も普通にお公家さんですし。
その意味では、扱い難いのかな。

この小野篁の子孫を名乗る小野閑さんが酷い(笑
初対面の主人公に「ニートと引きこもりとヒモを全部合わせたダメさ」と称されるくらいに酷いw
元々華族で有数の資産家だった小野家の財産はすでに喰い潰されてろくに残ってないみたいだし。一応、元臣下の人たちの支援があるんだろうけど、使用人の仁希が主人公・麻里の依頼に、ちゃんとお礼するからの一言で眼の色変えるくらいだから、現状でもよっぽどお金ないだろうはずなのに、どうやって暮らしてるんだ、この人。まさか、デパ地下お菓子売り場の無料試供品食べ歩きだけで栄養補給しているわけでもあるまいに。

話は、祖母の異様な死にざまを目撃し、その死に不信を抱いた主人公麻里が、クラスメイトの仁希を通じて小野篁の子孫という小野閑に祖母の死の真相を調査してくれるように頼む事から始まる伝奇ホラー、ということなんだけど……閑・仁希・岡部の小野一家のやり取り掛けあいが面白すぎて、あんまり怖い雰囲気にはならなかったなあ(苦笑

閑いわく、頭の中身が明治時代の少女、仁希ちゃんが愛いの何の。元々小野家の家令の家系の出身ながら、両親を幼いころに事故で失い、閑のもとに引き取られ、養われている……というか、放っておくとそのままのたれ死んでしまいそうな閑の身の回りの世話をして、逆に養っている始末。それでいて、閑を崇め敬い、主君として絶対の忠誠を誓っているわけです。いやなんでこんなのにそこまで……と、周りのみんなは思ってるんですけどねえw
閑以外の人間に対しては人を人とも思わない辛辣な性格なのですが。同じ使用人の家系の出身である岡部さんに対しては、目上の人に対してとは思えないような酷い態度だったりしますし。でも、依頼を通じて親しくなった麻里を心配して、閑に手助けを頼みこんだり、と本質的には優しくて情に厚い少女というのがよく伝わってくるので、可愛いんですよね。
閑に対しても結構、仕事するように宥めすかし餌で釣ったり、と甘やかしてばっかりではないところがあって、伊達に独りで貧乏生活やりくりしているわけじゃないしたたかなところもあるようで。

その仁希が慕う閑ですけど、暢気で人畜無害のぐーたら男、という様相とは裏腹に……かなり怖い人ですよね、この人。黒いだのという次元でなく、どこか人の心を持たないまま人間の皮を被って人間のふりをしている怪物じみたところがある。岡部が、自分の娘が仁希のようにこの男の傍に仕えてたら、気が狂いそうになるだろうな、という心証をこぼしているのが、なんとなくわかるんですよね、その感覚。その気になれば一口で人間など頭から丸のみ出来てしまうだろう怪物の目の前で、子供を遊ばせているようなもんだもんなあ。しかも、怪物当人が、将来的には喰っちゃうよ(性的にだけど)と宣言してるもんだから、なおさらにw
ただ、閑が仁希を心底可愛がってるのは間違いなさそうなんですよね。彼女のお願いはなんだかんだと聞いてあげてるし、甘いんですよね、仁希には。
ただ、この怪物じみた男に愛でられるのがはたして幸せなことなのか。今でこそ無邪気に身の回りの世話をしていられるけど、お手つきになったらなんか淫蕩なあり様になりそうで、色々な意味でドキドキw


と、奇妙でおかしな小野一家の事はいいとして、肝心の本編部分もなかなか予期せぬ流れで、読み応えがありました。祖母がなぜ、あんな凄惨な死にざまを晒すことになったのか。過去から現在に繋がる祖母が胸の奥に秘め続けた想い。それが発芽してしまうきっかけになった出来事。
ただそれだけのことで。何も知らない人なら、唖然としてしまうような些細な、だけれど、すべての推移を見つめれば、それが破綻の原因とはっきりと知れる決定的な壊れゆく思いには、胸を打つものが。
そんな中で、麻里が真相に苦しみのたうちながら、さいごまで目をそらさずに祖母の遺した想いに追いすがっていったのは、最後の救いだったんだよなあ。誰にも知られずあの想いが消えて行ってしまうのは、あまりに救いがなかっただろうから。
傷つきながら、のたうちまわりながら、最後まで逃げなかった麻里は偉かったと思う。それこそ、他人に関心のない仁希がなんだかんだと気にかけてしまったのも無理ないよなあ。

うん、一巻完結としては非常に完成度が高くて面白かった。特に小野一家の掛け合いは楽しくて仕方なかったので、もう一度読みたいところですねえ。続編希望。


創立!? 三ツ星生徒会 2.それから恋3は加速した4   

創立!? 三ツ星生徒会2 それから恋3は加速した (ファミ通文庫)

【創立!? 三ツ星生徒会 2.それから恋3は加速した】 佐々原史緒/大場陽炎 ファミ通文庫

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この作品って、考えてみると凄いんですよね。ラブコメにも関わらず、ラブコメとして在って当然の、ラブコメとして大前提となるべき部分を放棄してるんですから。
ラブコメ史上、他に類をみないこの設定。

主人公を好きな異性が皆無!


これ、読み終えたあとにサブタイトルを見直すと、なんだか泣きたくなってきますよ。主人公・向坂恵、恋の加速に完全に置いていかれてるじゃないか!(涙
普通、ラブコメの主人公っていったら、誰かしら女の子に好意を持たれてるもんじゃないですか。たとえ現在は好きに至らなくても、好意の萌芽のようなもの。現代風にいうなら、フラグみたいなものが立ちかかってるみたいな。
皆無。
もうびっくりするくらいに皆無。

これほど誰からも眼中にない、っていうのは凄いですよね。恵の秘密を知る共犯者であり、恵の恋の相手である陽菜は、一途に鳥越の事を想っていますし、葛城さんはと言えば水穂さんに夢中。ゴスロリヤンキーさまはと言えば、葛城女史一択ですし。敢えて言うなら水穂様なのかもしれませんけど、この駄神様に恵へのそういう感情があるようには一切見えないしなあ。
ただこの主人公、恋愛面でこそ誰からもアウトオブ眼中なんですけど、肝心の生徒会活動に関しては、その地味ながらも堅実な働きが徐々にですが皆に認められ、信頼を得はじめているわけです。三校が合併してできた新設校の三ツ星学園は、それぞれの学校出身者が別れて対立軸を構成し、これまで反発や敵対、そして無関心によって乱れに乱れていたのですが、それが今、ここに恵を中継点というか楔というか緩衝地帯みたいにして、段々と一体感を獲得し出してるんですよね。
その意味では、彼はほんとによくやってると思うし、皆もその努力をちゃんとわかって認めてくれてるわけです。
ちゃんと頑張って、結果出してるんですよー。存在感薄いというわけじゃないんです。
なのに、恋愛面ではひとり蚊帳の外(笑
いや、蚊帳の外ではないのか。水穂様と合体した謎の転校生水穂さん(性別不明)として、葛城・鳥越両名のハートをがっちりしとめてるわけですし。
ただ、水穂として頑張れば頑張るほど、恵としては割りを食っていってしまうわけで。また、葛城・鳥越の二人を騙してるわけでもあり、精神的にも罪悪感によるダメージ大きいしで、恵ってけっこう一貫してボロボロなんですよね。可哀想に。
そんで、最後のアレでしょ。報われないんだよなあ。

陽菜の行動は、正直確かに酷いと思います。本人も最後に自分の酷さに気づき、愕然としてましたけど、やっぱりこの娘の目には鳥越しか入ってないんですよね。
ただ、彼女はそれでいいと思うんだよなあ。そりゃ、本人は大いに反省し、罪悪感に打ちのめされ、痛みに唇をかみしめるべきだとは思うけど、それでも恋する少女としてそれは受け入れるべき悪業ではないかと。綺麗なだけじゃいられない、というかなんというか。
でも、生徒会活動で付き合うにつれて、恋敵である鳥越の魅力的な人柄に気づかされ、そのたびに打ちのめされる恵の心の痛みは如何ばかりか。
実際、鳥越君のスペックって、主人公マックスレベルなんですよね。多少性格が気難しかったり、とてつもないドジっこだったりという欠点すら、完璧へと至る御愛嬌ってもんです。挙句、過去にトラウマあり。そんで、陽菜とは幼馴染。本来ならこれ、主人公とヒロインの立ち位置で、他人が割って入れるもんではないわけで。
……本気でなさそうだもんな。

今後これ、どういう展開になるんだろう。まるで想像できないんですよね。あれは、完璧にどうにもならない失恋だったわけだし。
可能性としては、葛城女史が一番大きいのかなあ。衣装選びで一応接点あったわけだし。ただ、恵も葛城女史も今のところ異性としてはお互いまるで眼中ないわけだし。これからの進展によるんだろうけど……。
しかし、あの恵のファッションセンスは彼女無し、姉妹無し、ただの野暮ったい一般高校男子としては、的確すぎて吹いたんですけど。佐々原先生の中身ですぎじゃないですか、あれ(笑
出すぎといえば、サッカーネタもアレですけどw

なんだか水穂さまも調子悪いみたいだし、ここから話がどう転がっていくのか。星イチ生徒会のメンバーもここで合流したことだし、改めて恋模様、複雑に再編されていくのかしら。どうなるのか、次また楽しみ。期待期待。

暴風ガールズファイト 2  

暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫 (さ3-5-2))

【暴風ガールズファイト 2】 佐々原史緒/倉藤倖 ファミ通文庫



うっ、うっ、うおおおおおおおおおおお!

MARVELOUS!!

MARVELOUS!!

MARVELOUS!!

素晴らしい!
最高!
超最高!!
凄い、素晴らしい、最高傑作!!
絶叫、咆哮、爆笑、号泣!
もう、どうしろってんだ!!(大興奮状態

はぁ、はぁ、はぁ(深呼吸して

大傑作!!

もうあり得ないほど傑作! 大傑作! 最高!
間違いなく、本年度でも二指に入る大傑作!! ひゃっほう! いやっふう!!
うわっ、もうやっべえっすよ。本年度中に【BBB7】以外で、またこれほど興奮させられる、魂のレベルで恍惚とさせられる、絶叫せずにはいられない作品に出会うとは。巡り合えるとは。
うおおおおおおおおお!!(落ち着け

これ、一応この巻できれいに終われるように締めてありますけど、続かんとウソでしょう? あとがきでは売れ行き次第とか書いてますけど、これで終わりなんてあり得ないでしょう!?
そんなの、業界の
大損失じゃろうがッ

というか、私の人生の
大損失じゃろうがッ

な、ななな何冊買えばいい? 十冊か? 二十冊か!? 個人に出来る売上への貢献など限られておりますが、やれることはやらせていただきますぞ。
とりあえず、まずはもう一冊bk1で注文だ!!
いや、これこそお決まりの定例に倣って鑑賞用、保管用、普及用と三冊分購入するべや!
私は今、猛烈に感動しているぅぅぅ!!(本気で落ち着け

はぁ、はぁ、はぁ。

すみません。お見苦しいところをお見せしました。
でも、とりあえず皆さん、これ買え。買え。買え。
私に続きを読ませるために、買え。

買え〜〜〜〜〜(呪呪呪


今回の表紙は、ついにというか本命というか、真の主人公にして語り部にして元優等生令嬢にして学級委員長。真・影番。麻生広海。
ああ、広海さま。その黒さたるやますます磨きがかかって最高級の黒壇のごとく。

「ありがとう、アナタは親切な人デース」
「よく言われます。わたしは麻生広海と言います。みんなは級長と呼んでいます」
「キューチョー?」
「いちばん偉いという意味です」



敵に回せば魔王のごとく、味方にすれば史上最強。その恐ろしさは仲間たちの方がよく分かっているようで

「こらあ、廊下は走るな! これ以上走るなら、明日からわたしがおまえら全員の敵に回ると思えッ!!」


さりげなく、同級生に対して言う脅し文句じゃありません(笑
それでいて、とてもじゃないけど大人だろうが教師だろうがまともに言うことを聞きそうにないメンツが、ビシッと一糸乱れぬ動きで言うことを聞いてしまうあたり、彼女を敵に回した相手がどうなるのか、麻生広海が本性を現して以降一番間近で見てきた面々ゆえの恐ろしさが骨の髄までしみ込んだ脊髄反応として現れておりますww

「正論で世の中すべてのカタがつくっていうのなら、わたしはあと10年で世界征服してみせるわよ」
「い、言い切った! アソーさんが言い切ったッ」
「この人の場合、本当に出来そうなところがなんとも……」
「10年と猶予をおいたあたりが、よりリアルですわね」
泣きそうな五十嵐と目を逸らす長谷川と納得する宮前。いや、そこはツッコんで欲しかったんだけど。

「いーや。これで相手が油断してくれりゃ御の字。ていうか、絶対にした。ああいう手合いは自分の都合のいいことしか覚えていられないんだから」
「あ、相変わらず抜け目のないお人や。恐ろしい」
「キューチョー、こわいデスカー?」
「怖いで。貞子も伽椰子もこの人にはかなわへん。キラやL相手でもいいとこいくで。日本最終兵器として輸出したいぐらいや」
「言いたい放題かよ」



そんな麻生さんにも、ほのかに将来的なラブな展開を匂わせるフラグも立ったりして、そっち方面でも期待が募ってたのになあ。
続き〜〜


目指せラクロス日本一。一巻にて、その熱い思いを共有するに至ったラクロス同好会の面々だけど、いまだメンバーは8人。正式な試合をするためには12人のメンバーが必要で、その前に学校に学外活動のできる部活として認めてもらうためには十人の部員が必要となる。
合宿のため、試合のため、そして日本一を目指すため。残り四人のメンバー探しに奔走する麻生たち。
いやー、冷静になって考えれば、なんと今回、新メンバー含めてラクロス部のメンツだけでも十二人もいるんですね。ページ数も限られているはずなので、一人一人に多く文章量を費やしているはずはないのですが、いやはや、十二人もの人間がひしめいているとは思えないくらい、すんなりとみんな個性を発揮し、自己主張して前面に張り出しております。
もう一人の主人公。ちっこい爆弾暴風娘五十嵐千佳、腹黒白雪宮前雪乃、オタク関西ポニテ娘の嶋あかねに、ラクロス部最後の良心元サッカー部ゴーリー長谷部悠里、性格発育生意気中坊小坂依奈、そして無愛想クールな黒田先輩に、弱虫泣き虫部長大西先輩。
そして新キャラクターに日本型オカルトオタクの方向音痴豪州娘カレン・バクスター。女学院の王子様、タカラヅカの活造り九條香月に双子の高梨光葉と明葉。
新キャラで双子で同じく新キャラの九條の親衛隊、という一番影薄くなりそうな立場だった光葉と明葉ですら、最後にゃキラキラ輝いてたもんなあ。

熱い、ひたすらに熱い初の公式試合。
初めての勝利。
そして、初めての敗北。

本気で何かに取り組み、成し遂げようとし、そして打ち砕かれる。
本気だったからこその、悔しさ、無念さ。でも、それでも本気だからこそ輝くもの。
強くなりたい。
雨の中、導き出された光景は……泣きました。泣くよ、泣けましたよ。うおおおおおおおおお!!

今まで、最高のスポーツ系ラノベは間違いなく【銀盤カレイドスコープ】だと思っていましたけど、あちらは言うなれば個人競技。
チームで、仲間で戦うスポーツモノとしては、間違いなくこれが一番。
まだメンバーも揃わず、初心者の域からも脱していなかった前巻の比べて、十二人の正式メンバーがそろい、みっちりと練習し、挑んだ公式戦。これでもかっ、というくらいにラクロスという競技の魅力が満載で、いや燃えた。興奮した、ゲームの描写、読んでて楽しかった。

繰り返しますけど、これほどの作品がここで終わってしまうなんて、どう考えてもあり得ないです。損失です。もったいないです。
というか、いやだーーーー!!!
いやだーー!
いーーーやーーーだーーーっっ!!(じたばた

さあ、読みましょう。
私立聖ヴェリタス女学院ラクロス部ロッソ・テンペスタ。赤い嵐の大進撃と、我らが級長様麻生広海の活躍が待っております。
だから、読め。読め。よめ〜〜(呪呪呪

暴風ガールズファイト5   

暴風ガールズファイト (ファミ通文庫 さ 3-5-1)

【暴風ガールズファイト】 佐々原史緒/倉藤倖  ファミ通文庫



黒い、黒いよ麻生さん!!(爆笑

冒頭の頃はちょっとおしとやかで控えめなクール系優等生クラス委員長キャラだったのに。だったのに。
本性が、本性が剥き出しに、剥き出しに。ひぃいいい。
最初はあまりに個性的でぶっ飛んだ周りの連中に振り回される主人公さまかと思ってたら、というか本人もそのつもりだったくせに、最終的にあんたが一番危険人物じゃねえか。ラクロス部の良心、数少ない常識人の振りしておいてからに、あんた最凶最悪じゃないですか(笑
いったん、プッチン切れてからの麻生ちゃんの黒化振りは凄まじいったらありゃしない。ナチュラルにブラックな思考垂れ流しすぎてますから。気軽に同級生を社会的に抹殺しちゃおうとか思ったらダメですから。
かぶってた猫を取り払ったら、出てきたのは虎だとか竜とかのレベルじゃねえ、秘密警察の長官か、あんたは!!(笑

やっぱり、佐々原さんは女の子の主人公を書かせたらとびっきりだ。素晴らしい。文句なしに面白かった。
やっぱりこの人の作品、大好きだーーー!!

とにかく、登場人物みんなキャラの立ち方が尋常じゃなさすぎ。それでいて、これぞ佐々原史緒作品と思わされるのは、これだけぶっ飛んだキャラたちが縦横無尽に駆け巡るコメディテイストの話なのに、その根幹はすがすがしいほどまっすぐで気持ちの良い青春物語という軸がまったくブレないこと。等身大の少女のささやかな悩みを、大仰になりすぎず深刻になりすぎず、それでいてないがしろにせず大切に物語の中に組み込んで消化している。読んで胸の奥からスカッとして、それでいてほんわかとした温もりが胸の奥に残る。佐々原さんの作品は、本当に読んだあとに幸せな気持ちになって、気持ちがいい。
素晴らしいのは、ラクロスというマイナー競技の楽しさが読んでてひしひし伝わってくること。自称嵐を呼ぶ女、五十嵐千果のラクロスにかける熱い想い。麻生ちゃんや、他のラクロス部のメンバーたちが彼女から受け取っただろうこの想いが、読んでるこっちまでダイレクトに伝わってくる。単なる精神論じゃなくて、技術や競技の特性なんかも丁寧に描写されてて、キャラたちがどこに興味を覚え、どんな瞬間に気持ちを高ぶらせ、どんなプレイをしたときにどういう感動を覚えたのか。それが、スルリと理解を伴って頭の中に滑り込んでくる。
なんかなにやってるのかよくわかんないけど、気持ちだけは伝わってくる、というのとは少し違う、具体的な感覚。シュートを打った時のスパッと重さが抜ける腕の感覚、パスをキャッチしたときの衝撃。グラウンドを駆け回り、息をつきながら敵味方の動きを必死に追いかける目線の動き。
その場にいるような息使いが伝わってくるような文章、これスポーツものとしてはとびっきりの上物なんじゃないだろうか。

満足、満足、大満足。すっごーーく、面白かったです。最高。

ちなみに、キャラの人気はやっぱり雪乃お嬢が一番かもしれないけど、私はぶっちぎりで麻生ちゃんですね。
あの暴れ馬のような腹黒さがタマラナイ(w

スイートホームスイート 2   

スイートホームスイート2 ウィンナ・ワルツは憂鬱の調べ
【スイートホームスイート 2.ウィンナ・ワルツは憂鬱の調べ】 佐々原史緒

奇襲(きしゅう, surprise attack)は、防御側が十分予期していない状況で開始される 戦闘行為である。――奇襲 - Wikipediaより

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12月6日

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