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八薙玉造

異世界最強トラック召喚、いすゞ・エルフ ★★★☆   



【異世界最強トラック召喚、いすゞ・エルフ】 八薙 玉造/bun150  ダッシュエックス文庫

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それなりにコミュ症で異世界に憧れる女の子、ナギはある日、本当に異世界に迷い込む。
「異世界だここ! やったー!」
ナギは国の興亡すら左右する最強の召喚魔法を身につけていた。その力は襲い来る竜を一蹴する!
トラック召喚。いすゞの小型トラック――ELFを喚び出す力。
「なんか思ってたエルフと違う!? これじゃない!?」
愕然とするナギだが、ネコミミ美少女勇者アラシとの出会いを経て、(トラック召喚で無双するとかじゃない)理想の生活を目指し、トラックで異世界を奔走する!
いすゞ自動車容認! トラック召喚ファンタジー! のんびり幕を開けました。
これはズルいですよ! もうタイトル見た瞬間に笑っちゃったじゃないですか。異世界ファンタジーと言えばエルフ! エルフと言えば、あの耳が尖っていて不老長寿で神秘的な森の妖精種族。日本でもっとも有名なファンタジー種族といえるでしょう。
しかし、業界が異なればまた事情も異なってくるもの。エルフと言えば、自動車業界運送業界で言うならば、微塵の疑いもなく「いすゞエルフ」との答えが返ってくる、それくらい有名で巷に溢れている小型トラック、それがいすゞ・エルフ!
いやマジでちらっとでも調べてみると、2トンクラスのトラックって半端ない比率でエルフが占めてますよ?
でもさすがに、ヘッドライトを照らすとビームとなってドラゴンを吹き飛ばすようなエルフトラックは見たことがありませんが。
異世界最強の召喚術が、まさかのトラック召喚ということになっている世界に招かれてしまった少女ナギ。別にトラックにもいすゞエルフにも縁があるわけでもないのに、トラック召喚士になってしまった内気な少女が主人公なのですが……トラック召喚士という語感だけで笑う。トラック運転手の亜種にしか聞こえないw
そして、付与されたこの世界のスキルにあたるクラフト呼ばれる技能「エルフの知識(トラック)」によって語られるいすゞエルフの様々な薀蓄! かつて、ここまで小型トラックの歴史とスペックと能力が語り尽くされたライトノベルがあっただろうか、というくらいに力説されるいすゞエルフ! これを読めば、いかなる人も「いすゞエルフのD-COREってすげえ」とため息をつくだろうくらいにやたらと推されるいすゞエルフのクリーンテクノロジーの粋が集められた環境に優しい排気量を極限まで抑えたエンジン「D-CORE」。
いや、ほんとにやたらと強調されてるんですよ、「D-CORE」w
そして、唐突に習得しているクラフト「準中型自動車免許」。……最近の異世界ファンタジーだと自動車免許もチートで習得できるのか、それは凄いな、それは羨ましいな。教習所にも行かず、飛び込みで運転免許試験場で試験を受けずとも、私有地で運転を練習しなくても取得できるんだから、さすがチート。ってか、女子高生なのに「準中型自動車免許」を持ってるのって、フィクション含めてもあらゆる媒体でこのナギちゃんだけだろうな、うん。ちなみにこの準中型自動車免許って、普通自動車免許を先に取得していなくても、18歳から取れるようで。最近、色々と自動車免許制度は細かく変わっちゃってるんだよなあ。自分らの頃は普通自動車免許とったら4トントラックくらいまでは乗れたんだけれど。大型免許もだいぶ簡単に取れたんだけどねー。
ちなみに、エルフタイプの2トントラックは自分も乗ったことがありますが、下手すると普通乗用車よりも乗りやすい場合がありますよ。車体の長さと後方確認の難しさ、という難点もありますけど、ミラーは見やすいですし、何気にトラックとかダンプって普通車よりも曲がりやすいので。
ってか、エルフの歴史語りを聞いてたらこのいすゞエルフって初代は1950年代に登場してるって話じゃないですか!?
ちょっと待って? そんな昔からいすゞエルフって存在してたの!? 本邦においてエルフが周知されだしたのって、1970年代に出た「指輪物語」あたりからですし、本格的に認知が広がったのは1988年の【ロードス島戦記】シリーズのヒロインであったディードリットがきっかけだった、というのは有力な説であります。
でも、それでも指輪物語でいすゞエルフよりも20年。本格的に知名度が広がるディードリットとなると30年もあとの登場となるわけですよ。
ということは、もしかしてこの作品にも登場する1959年に登場した初代モデルのいすゞエルフこそ、日本最古のエルフとなるんじゃないですか!?

日本最古のエルフ!!

すげえぜ、いすゞ。あの時代にどこからエルフなんて単語持ってきたんだろう。
と、D-COREぱねえっぜ!など、エルフに関して随分と詳しくなってしまいましたが、物語の方はというと……実のところトラックの扱いには結構難渋してたんじゃないだろうか、これ。
いやさ、いきなりトラックで敵集団のど真ん中に突っ込んで、引きまくってやるぜー、的なことはいすゞさまから許可受けて名前出して書いちゃっている以上それはアウトな展開ですし、だからといってじゃあトラックで何するのさー、となると……。
いやさ、実のところトラックの本懐であるところの運送運輸や後ろに架する荷台部分も冷凍やら色々と特殊なものもあるので、それを取っ替え引っ替えして使ったら面白いやりようはあったようにも思うのだけれど、何しろトラック最強(物理)な世界だっただけにトラックを実際にどう扱ったらいいか出し所使い所が難しい状況になってしまってたところはあると思うんですよね。
肝心のトラック召喚士となってしまったナギが、そのあんぽんたんなスキルを縦横無尽に使ってしまうアーパーな娘だったら、色んな意味でシッチャカメッチャカに出来たんだろうけど、この娘からしてちと引っ込み思案であると同時にトラック召喚ってなんなのさー、というネガティブなツッコミを入れるのに忙しいタイプだったので、トラック召喚というネタをなんでもありのやりたい放題やり倒せる武器として振り回せなかったんですよねえ。おかげで、小ネタや掛け合いのキレに関しては、実績のある作家さんらしく面白さがついてまわっていたのですが、大きな物語としての面白さに関してははっちゃけが足りなかったかな、と感じる部分もありました。
その分、中盤から登場人物が主人公含めて全員女の子、というところをいかしたように、やたらと百合百合しい女の子同士の友情モノ、かなり女の子同士でイチャイチャしてるようなキュンキュンしてるような展開になっていたのは、これはこれでご馳走さまでした!

八薙 玉造作品感想

魔法使いは終わらない 傭兵団ミストルティン――七人の魔法使い ★★★★   

魔法使いは終わらない 傭兵団ミストルティン――七人の魔法使い (ダッシュエックス文庫)

【魔法使いは終わらない 傭兵団ミストルティン――七人の魔法使い】 八薙玉造/赤井てら ダッシュエックス文庫

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「魔法使いは終わっている」
戦場の花形、魔法使いの支配で栄華を極めた帝国は、銃による集団戦術の台頭で崩壊した。亡国の姫にして“殱光”の魔法使いリオノーラは追われる身ながらも民のための戦いを続ける。その中で彼女は傭兵シャノンと出会った。数名の魔法使いのみを戦力に、百の敵を容易く打ち破る彼の姿に、リオは希望を見出す。最強の魔法使いリオと、魔法による戦術を熟知したシャノン。二人は互いの望みのために手を結び、幾千幾万の軍勢に挑む。一騎当千の魔法使いが繰り広げる復讐と逆襲の魔法戦記が火蓋を切る!
「我が名はリオノーラ・シゲル・ハートフォード!いざ、魔技を交えん!」

姫様、褒め殺しすぎるっ。これ、能力的にも破格なんだろうけれど、それ以上に性格が無敵すぎる。決して見識がないとかポジティブすぎるとか考えなしに信じすぎ、というわけでもないんですよね。
シャノンのあの皮肉屋で偽悪趣味という性格の歪んでいる部分に全く囚われずに本質をズバズバ突いてくるから、シャノンの方も上手く返せずにタジタジになっている、というべきか。姫様自身にフラフラしたところが一切なく、完全に覚悟完了してるというのも大きいのだろう。魔法使いの鑑みたいに言われる姫様だけれど、この世界の魔法使いってサイヤ人か! というくらいの戦闘民族なんですよね。姫様も、その辺鑑と言われるくらいだから、統治者としての意識と戦って死ね!的な戦闘民族のノリが見事にハイブリッドされてしまっていて……ヤバいぜ。
それで居て脳筋でも蛮族でもないというあたりがエゲツないんですよね。魔法使いの戦い方が銃火器が普及した集団戦が常識となりつつある戦場において、無力化されつつある事を承知した上で魔法使いの戦いに拘るのかと思ったら、全然こだわらずに柔軟に「戦い」に適応して、新たな魔法戦術を構築しようとしているシャノンの戦い方を飲み込んでいくのである。誇りある戦い、という姿勢は損なわないまま「勝ったもんが強い」という戦場の論理に従順な姫様、マジ戦闘民族である。
このある意味「物分り」が良すぎる姫様によって、ひねくれ者属性としてのキャラを語る端から叩き潰されていくシャノンの掛け合いがまた楽しいんだけれど、【鉄球姫エミリー】以来の本作作者の会戦描写も見所の一つでありましょう。
シャノンのクセモノとしてのそれは、リオ姫には褒め殺しされまくってしまってますけれど、一傭兵団の長でありながら戦場を思うとおりにコントロールしてのけるその口八丁と作戦能力はちょっとぶっ飛んだものがあるんですよね。最前線に居ながら敵も、そして自分たちを使い潰そうとする味方司令部をも掌の上で転がしてしまう。ここで凶悪なのは、気がついた時には敵にも味方からも選択肢を奪っていて、シャノンの思惑を見抜きながらもその考え通りに動かないとどうしようもないところまで追い込んでしまっていたところでしょう。敵味方ともに無能どころか極めて有能な部類の指揮官であったからこそ、シャノンの誘導に乗っからないといけない状況に陥れられた、というあたりが実にイカしているじゃないですか。
時代遅れと化しつつ在った魔法使いを、戦場での新たな使い方を提示することで凶悪な兵器として再構築してみせた、その固定観念にとらわれない戦術眼が目立っていますけれど、むしろ彼の真骨頂は自分たちの側の選択肢は可能な限り準備しておいて、自分たち以外の選択肢は決定的に閉ざしていくその作戦的なシナリオの策定能力なんでしょうねえ。
そんでもって、シャノンのその技能が全く通じないのが、用意していた各種選択肢を無視して最短距離でツッコんでくる姫様なんでしょうねえ。何しろ、姫様がツッコんでくるのはシャノンの想定していたそれを、全部上回ってくるような一番良い選択、なわけですから。
んで、完全軍師タイプなのかと思ってたら、平素から自分はすげえ魔法が使える魔法使い、と言っていたのもまんざら嘘ではないようで。あのラスト近くの刺客との対決シーンでの、シャノンの素性を知った刺客の反応なんか、凄く意味深ですもんねえ。
ともあれ、キャラ同士の掛け合いから大会戦の描写に、ひりつくような思惑が絡み合う謀略戦、とこれはもう非常に面白い要素が満載で、久々に八薙さんの真骨頂となるアレコレが楽しめそうな物語となりそう!

八薙玉造作品感想

焦焔の街の英雄少女 3 3   

焦焔の街の英雄少女3 (MF文庫J)

【焦焔の街の英雄少女 3】 八薙玉造/中島艶爾 MF文庫J

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ベヒーモス、カルキノスの襲来に乗じ、“桔梗”本部を強襲した“八雷”。杏の奮戦空しく、“八雷”を率いる嵐樹の剣皇・イザナミによって光義が連れ去られてしまう。後悔に苛まれ、一刻も早く光義の奪還に向かおうとする杏。しかし、常に傍で自分の支えとなっていた光義がいないことで、杏は「烈火の剣皇」としての自分の姿を見失っていた。一方の光義も、イザナミを始めとする“八雷”メンバーの目的を知り、迷いを覚える。そんな中、敢行される光義奪還作戦。杏と共に投入される“獣人殺し”と呼ばれる部隊。善意から生まれたはずの戦いがやがて大いなる悪意を呼び込み…。世界の運命に翻弄される、英雄の少女とその幼なじみの物語。愛と悲しみの第3巻。
違う違う、普通は自分を見失うというのはそういうのじゃないから。杏さん、それちょっと違うから。

案の定、豆腐メンタルの杏は拠り所でもあった光義を攫われてしまったことで余裕を失い、これまで演じてきた「烈火の剣皇」としての自分の姿を見失ってしまうのですが……そこはね、普通に元の臆病で内気な一人の少女に戻ってしまえばいいんですよ。剣皇としての自分を見失うってそういうことでしょうに、この娘ってばそういう弱さだけは頑として受け入れないのよね。
なので、ひたすら威厳ある強い剣皇を演じようとして……キャラが迷走し始めちゃいましたよ、この娘ッ!?
突然高笑いキャラになったり、スケコマシキャラになったり、薩摩隼人になったりと舞台上で頭真っ白になってパニックになってる新人女優並みの右往左往っぷり……可愛いなあ、ほんとにこの娘は。
それでも、片時も光義を助け出すことは諦めないんですよね。逃げ出すことも引きこもることもせず、内心半泣きになりながら、パニックになって冷静に何も考えられなくなりながらも、戦うことからは助けることからは決して背を向けない。どれだけ豆腐メンタルでも、その芯だけは揺るがない。これだけ弱くて儚くて可愛らしく守ってあげたくなる少女でありながら、揺るぎない強さを見せるヒロインはなかなか居ないですよ。

こういう娘がヒロインだからこそ、あれだけ光義という少年が身も心も消費し尽くして彼女に尽くそうとする姿が自然に感じるわけです。その一心不乱さ、一途さにいびつさを感じさせない。それだけの献身に足る、相応しいヒロインなんですよね。
新キャラにしてヒロインであろうイザナミこと碧も、凄くいい子で良いキャラしているのだけれど、光義はあまりにも杏に一途すぎて、割って入る余地が殆どなさそうなのが、ちと可哀想になるくらい。鉄板すぎる。
まあ、そんな状態にメゲずに明るく強く輝いてみせるだけのパワフルさと健気さを、碧も持っているのでヒロインとしての輝きはいささかもくすむことはないのですが。新たな剣皇として、仲間としてもこの上なく頼もしいですし。
テロリスト「八雷」として登場した立場の危うさは危惧するところでしたけれど、そもそも八雷という組織からして反政府組織ではなく、こっそりと企業や政府筋から支援を受けて表沙汰にしにくい案件を解決していた、という裏側からとはいえちゃんと秩序を守る側にいた事で、合流にもそんなに不具合を感じさせませんでしたし。
テロリストとしてのヤバイ部分に関しては、あの展開がある意味全部持って行ってくれたとも言えますし。

次の目標も近畿侵食圏の解放と定まり、光義の自分の置かれた境遇への悩みも、この事件を通じて払拭され覚悟も定まったことだし、一気に新展開に突入できる態勢は整いました……整いました。続き、でますよね!?

1巻 2巻感想


獅子は働かず 聖女は赤く 5.かくして、あいつは働いた3   

獅子は働かず 聖女は赤く 5 かくして、あいつは働いた (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 5.かくして、あいつは働いた】 八薙玉造/ポンカン─.后璽僉璽瀬奪轡緤幻

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さらわれたアンナを取り戻すため、“裏切りの獅子”ユリウスは中央教会の本拠地である教都ノヴァリアを襲撃した。激戦の末、アンナを取り戻したユリウスだったが、“焔鎧王”マルテは損傷。その窮地を救ったのは聖なる黒竜と化したサロメだった。彼女の力でアンナと共にガルダ正統帝国に逃げ延びたユリウスだが、教皇ヴァルターはそれをきっかけとして、セレスター王国と共にガルダ正統帝国討伐の軍を挙げる。大軍と共に迫る四機の御使い。戦を阻止するため、ユリウスとアンナは傷ついたマルテ単騎で立ち向かう!竜と鋼と魔女のファンタジー時々コメディ、ここに完結!!

もはやヴァルターが名前じゃなくて「腰痛」が代名詞になっちゃってるあたり、これほど不憫なラスボスも滅多と居ないんじゃないだろうか、と目尻が熱くなってしまった。竜に変身したなら腰痛が解消されるなら、もうずっと竜で居なさいよ、と言いたくなるくらい。
でも、「腰痛」呼ばわりされてる頃のヴァルターの方が愛嬌があって良いキャラだったんですけどね。ラスボス足ることを選んでしまった彼の宿業は、自身の在りようすらも歪めてしまうほどのものであり、希望を標榜しながらもそこにサロメと同じくらいの絶望が垣間見えて、なんだか哀れですらあったのでした。すべてが終わった時、重石から解き放たれたような安堵が感じられてしまった事が、何とも哀しくてねえ。
すべて諦めてしまっていたサロメも哀しい存在でしたけれど、諦めることが出来なくて頑なに、それこそ腰をイワシてしまうほど頑張り続けたヴァルターもねえ、辛かったねえ、と終わってみれば労ってやりたい気分に。
もっとも、その頑なさにどれだけ血が流れたかを思えば苦しい所なんだけれど、全部が全部彼のせいなどではなく、教団の在りようなんてものは時代の趨勢なんて部分も大きかったでしょうしね。【赤き聖女】マルレーネの悲劇なんて、その際たるものだったのでしょうし。
だからこそ、ヴァルターのあのラスボス化はある意味逃れがたい教団の宿業を一度破壊し、時代を一つ進める役目を担ったとも言えるのではないでしょうか。ヴァルターのそれは、教団の宿痾の部分を全部背負い、残った教団の人々に人間として正しい道を選ばせる形になったわけですし。
魔女への迫害も、教団の独善性の暴走も、固定観念そのものもぶち壊していってくれたのですから。
尤も、それが為されたもの、アンナの呼びかけがあったからこそですし、その呼びかけに応えるだけの善性と人として正しい信仰が、セレスター王国や帝国の首脳部や、教団の騎士たちにあったからこそ、と思えば、この大団円はまさにみんなの勝利、だったんですよねえ。
壊れかけのマルテただ一騎で、教団の御使い四機と渡り合うことになる総力戦から、まさかの大どんでん返しとなる、残ったすべてのキャラクターの総力を結集した大々総力戦。ラストバトルとしては十分の盛り上がりだったのではないでしょうか。

さすがに、もうクライマックス一直線の佳境も佳境で、悠長にいつものキレキレの掛け合いに興じるコメディパートは少なくて、なによりいつものアンナさんのごきげん連続殺人未遂事件もなく、アンナさん真面目なほうに頑張ってて、噂の歩く超危険人物的には非常に大人しかったので、その意味では少々物足りないものもありましたが。恒例のサロメお師匠様弄りも、お師匠様一杯一杯すぎてできなかったですしね。
それでも、ようやくつかみとった平和の中で、十分アンナさん自由に暴れるがよろしいですよ。サロメ師匠の弄られポディションは、もう生涯変わらなさそうですけどw
完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

焦焔の街の英雄少女 2 3   

焦焔の街の英雄少女2 (MF文庫J)

【焦焔の街の英雄少女 2】 八薙玉造/中島艶爾  MF文庫J

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皇士帝タイサイの池袋襲来。幼なじみの杏に続き、新たに皇士の剣皇となった光義は彼女と共にそれを打ち破る。しかし、狂気に支配された光義は皇士剣で杏の胸を貫いてしまう。杏の命がけの呼びかけにより、正気を取り戻した光義だが、待ち受けていたのはさらに残酷な真実だった。そんな中、全長1キロを超える剋獣・近衛種ベヒーモスの関東接近が観測され、東京では獣人テロ組織“八雷”が暗躍する。杏を戦わせたくない光義と、彼の身を案じる杏は望まぬ形で心をすれ違わせてしまうのだが…。世界の運命に翻弄される、英雄の少女とその幼なじみの物語。風雲急を告げる第2巻。
いきなり悪堕ちしたのか主人公! と、慄いたのだけれど、さすがに敵味方に別れて、という展開にはならなかったか。杏のメンタルからして、そうなったらなったで立ち直れない気もするけれど。何だかんだと折れないメゲない壊れない杏の豆腐メンタルだけれど、光義に関してはダダ甘もいい所ですしね。光義の過保護すぎるくらいの態度をみていると、尚更にそう思う。
しかし、光義も受難というべきか、理想に近づいたかと思ったら思いっきり遠のいていたという事実が哀れというべきか。無力感に苛まれ続けていたところに、杏と同じ立場に立てて彼女を護れる力を手に入れたと思ったら、むしろ守るどころか彼女を傷つけてしまい、同じ剣皇になれたのだと思ったら実際は真逆だったという悪夢。
あっさり、一般人でしかなかった光義に、杏と同じ力を与えてしまう展開に拍子抜けしていたら、これである。無力で力になれないこともさることながら、幾ら同等に近しい力を手に入れても、それで足を引っ張ってしまったら本末転倒である。
追い詰めるねえ。
幸か不幸か、光義が抱えてしまった事情は、杏だけは全部知る事になったのだけれど、さてこれによって誤解によるすれ違いが起こる事は避けられたものの、現状に対してどう対応するかについては、光義を心配する杏と、杏の力になりたい光義とですれ違いを見せてしまう。まあこれは仕方ない。お互いに自分よりも相手を大事に思っている以上、ここは妥協出来ない部分である。メンタル豆腐の杏は、とてもじゃないけれど光義の侠気を汲んで、自分のために傷ついてくれ、といえるほど男前の少女ではない。それどころか、子供ができたら相当に甘やかして育ててしまう、孫が出来たら嫁から苦情が出るほど溺愛してしまうタイプの娘さんである。……じゃなくて、他人が傷つくならば自分が傷ついた方がよっぽど良い、とする英雄である。その彼女が、前線を支える仲間たちに被害が出ることを半ば承知で、それでも光義に退くように訴えるあたり、この娘にとって本当に光義が特別なのだということがよく分かる。だからこそ、男の子は退けないよなあ。

何やら、テロ組織と剋獣に妙な接点ができていたり、新たな剣皇が不穏な動きを見せていたりと、襲ってくる剋獣を撃退する、というシンプルな構図が混迷しだしてきて、そろそろ杏たちが何と戦っているのか。それをきちんと整理することで話に一本の筋を通す頃合いに来ているのかも。その辺りがしっかり描き出せたら、作品としてもどっしりとしてくるんだろうけれど。

1巻感想

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 3 3   

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 3 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-15)

【オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 3】 八薙玉造/雛咲 スーパーダッシュ文庫

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万能で最強の【星】のオリジンズだった伊原迅は仲間の裏切りで全ての力を奪われた。力を取り戻すべく、卑怯な手段でかつての仲間を次々と撃破していく迅だが、戦いの中で、彼女たちが抱えていた事情や想いを知り、仲間との絆を取り戻していく。そんな折、《異形》曲辻綾子が何者かに襲撃された。襲撃者を追う迅たちの前に立ちふさがったのは、かつてわかり合ったはずの【破滅】のオリジンズ、ミカボシ! しかし彼女は……。全てのヒロインを倒すバトルアクション、ノンストップでシリーズ完結! 事情も想いも知るか! 俺はヒロインを全員倒す!!
これは酷い!! って、これまで酷くないことなど一切なかったので今更なのですが。まだ毒されてない常識人のミカボシが、あまりの迅のクズっぷりとそれを許容してしまっていて、まあいつもの事です、とか気にする素振りもみせない迅の仲間たちの有り様にオロオロと動揺しまくっているのが、見ていて可哀想な程に。いやいや、彼女のほうがまだ当たり前の反応だから。なんだか、普通の反応してくれる子が出てきて安心してしまった。何気に今までの娘って、風紀委員の三人も含めてあっちゃこっちゃに性格すっ飛んでたもんなあ。本来敵サイドだったミカボシが、一番マトモというのは何とも皮肉なんだけれど、この場合完全にマイノリティとしてえらい目にあっているので、やっぱり可哀想w
今となっては一番酷い有り様になってしまっているのは、従者のサラですけれど。あんたもう、従者のオリジンとか関係なしに自主的に猫耳装着してるじゃないかっ! 当たり前に、語尾に「にゃ」とかつけてんじゃないか、自主的に! 命令だから仕方なく、とか自分に言い訳しておきながら、いつの間にか目覚めちゃってるじゃないか!
キャラが壊れる娘は案外珍しくないのだけれど、ここまで壊乱してしまった例は珍しいの一言。結局最初から最後までネタキャラに終始してしまったわけだし。
色々と予想外、というよりも予定外の茶々が入ってしまったせいで混乱したけれど、【星】のオリジンを盗んだ犯人は概ね予想通りの人物だった。
まあ、この娘しか居ねえわなあ。ちゃっかり最初の下手人のサラが本当に星のオリジンの一部を盗んでいたから、実際仲間連中がみんなして迅を裏切っていたのかとも思っていたけれど、咲楽の一件で決して仲間は裏切ったわけじゃなく、なんか実際にギッたのサラだけっぽいんじゃ、という流れになってきた段階で、じゃあ誰が怪しんだ、というとあからさまに怪しい人がすぐ側に居たのはだれでも気づいていたと思う。
つっこむとえらいこわいことになりそうなので、知らないふりをしているのが安全だったのですけれど。何しろ、心の闇が、心の闇が……怖い。
しかし、迅ちゃんよ。こんな痛い子が、自分の日記を公開朗読されたからといって何らの精神的ダメージも食らいそうにないんだが、本気で脅しのために放送で日記の朗読したんだろうか。単に咲楽とかイジメたかっただけじゃないんだろうか。この公開処刑、思いっきりバックファイアーで味方が処刑されてたんですけれどw

さすがにこの3巻は話をまとめにかかっていたせいか、2巻までのようなひたすらギャグコメでキャラクターをいじり倒す破壊力はやや鳴りを潜めていたように思う。その割に、迅の酷さはまったく衰えてなかった気もするけれど。お前、実は【マッサージ】のオリジン超気に入ってたんじゃないのか? ゴッドハンドで女の子イかせまくるのにはまってたんじゃないのか? ある意味、星のオリジン本体を取り戻すよりもマッサージの方に執着してたような。
【ヒューマンダスト(人間の屑)】伊原迅の変質者風小悪党的復讐譚、本当に酷くて、楽しかった。これを楽しかった、と言ってしまえる下衆さがたまらなかったですw
この作者さんの場合、ひたすらギャグし倒すというのも大いにアリというのが良く理解出来ました。

1巻 2巻感想

焦焔の街の英雄少女3   

焦焔の街の英雄少女 (MF文庫J)

【焦焔の街の英雄少女】 八薙玉造/中島艶爾 MF文庫J

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焼け落ちた品川の街、逃げまどう人々。別世界から侵入した剋獣――世界の敵に人々は脅かされていた。しかしこの世界には英雄がいる。世界を喰らう剋獣五帝と戦い、討ち果たす者。焔まとう英雄、烈火の剣皇・紅地杏だ。だが彼女には秘密があった。そのメンタルは豆腐で英雄然とした姿は演じているだけ。自分の台詞の恥ずかしさに赤面、後輩の相談に狼狽し半泣き。その真実を幼なじみ・黄塚光義だけが知っている。度重なる戦いでその身を、英雄であろうとすることでその心を、傷つかせていく杏。だが無力な光義ができることは、彼女の平穏な日常を守ってあげることだけで……。これは世界の運命に翻弄される、英雄の少女とその幼なじみの物語。
いやいや、全然豆腐メンタルじゃないよ! 臆病で内気で恥ずかしがり屋さんだからこそ、どれほど怖くても、大切なモノを守るために逃げずに戦おうとする姿は、勇気の塊なのである。
本当に豆腐メンタルだったら、折れて挫けて内に篭って自分で作った殻から出てこなくなっちゃいますよ。
それなのに、それどころか杏ちゃんは愚痴らないし、恨み事も言わないし、泣き言一つこぼさない。自分だけが、世界を守れると知っているから、その使命を全力で果たそうとしている。それが、家族や大好きな幼なじみを守る事に繋がっていると知っているから、笑って戦場へと走って行く。
それを、どうして豆腐メンタルなどと言えよう。
言えるのは彼だけである。黄塚光義その人だけの、特権であり義務である。
彼だけが、人類の英雄の持つ弱さを、肯定してあげられる。してあげなければならないと、固く心に誓っているのだ。英雄である彼女を手助けできない無力さを、どれほどこの少年が忸怩たる思いで、痛切に感じているかは、彼が本来有していた人格を封印し、性格を湾曲させ、ただ杏が穏やかで幸福な日常を送れるように、彼女の心の平穏を守るためそれだけにカスタマイズして接している事からも明らかだろう。
その彼女の日常を守る行為がむしろ、杏を余計に英雄として戦う事に駆り立てる理由となっているという矛盾を前にしても、彼にはもうそれ以上何も出来ないが故に。
だからこそ、光義が杏と同じ英雄として並び立つ、という展開は彼の心を掻き毟るような渇望が叶えられるという意味で、とても王道であり、鬱屈を吹き飛ばす痛快な話の流れであったんだけれど。問題はこれを書いているのが、八薙玉造という作家だった、という所に尽きるわけで……。

しかしまあ、この豆腐メンタルヒロインの杏ちゃんのキャワイイ事キャワイイ事。このネガティブとはベクトルの異なる弱々キャラは、相変わらず八薙さん上手いですよね。【獅子は働かず〜】のサロメお師様もそうだったけれど、この全力でイジメて光線を出してるヒロインは抜群ですね。残念ながら、この主人公はイジるどころか、過保護なくらいにフォローしまくってますけれど、うむ、杏の場合はイジメて光線よりもむしろ過保護にしないと死んじゃいそうな庇護欲を掻き立てるタイプなので、コチラのほうがいいのか。でも、本来の光義の性格ってむしろあんな繊細に接するタイプじゃないっぽいんですよね。光義が本性剥き出しにしてしまった時の、杏の半泣きの様子はナニカ良からぬ嗜好を刺激してしまい兼ねないアレな雰囲気が……w やめろよ、ついつい色々と想像しちゃうじゃないか。

ラストの展開は衝撃的でしたけれど、あの光義の杏への接し方、というか彼のずっと自分を歪めてしまっている生き方がかなり負荷がかかってそうな在り方だったので、こう…ガラっと二人の関係を変えてしまいかねないこの展開は、ちょいと舌なめずりな代物でした。次こそが楽しみ。

八薙玉造作品感想

神話殺しの虚幻騎士(フェイクマスター) 3   

神話殺しの虚幻騎士 (角川スニーカー文庫)

【神話殺しの虚幻騎士(フェイクマスター)】 八薙玉造/有坂りこ 角川スニーカー文庫

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神々に故郷を滅ぼされ、その追っ手から逃亡するクラウスと姉のリンデは旅の途中、氷の棺に閉じ込められた銀髪の少女と出会う。それはかつて神々と敵対し、封印されていた魔狼マナだった。
「人間、貴様喰らってやろうか」
封印を解き放つも、殺意を向けてくるマナに対しクラウスは悠然と言い放つ。
「お前にとって俺が必要だと教えてやる…!」
クラウスは命がけの交渉で伝説の魔狼を仲間に引き込もうとするのだが―!?
おおっ、ジローさんだ! と咄嗟に思ってしまった赤コートに赤帽子の主人公の姿。富士見ファンタジア文庫はあざの耕平さんの【BBB】のジローさんの格好もこんなだったのだけれど、やっぱり印象強く残ってるんだなあ。しかし、この赤コートって元ネタなんかあるんだろうか。こうしてみると、赤揃えもなかなか格好良く見えるのですが、着ている当人であるクラウスが、若干どころではなく気持ち悪いので、色々と台無しである。
お姉ちゃんが好きすぎて気持ち悪い主人公とか、大丈夫じゃありませんよ?
しかしこれ、世界観がまた独特なんですよね。典型的な中世型ファンタジー世界かと思いきや、そうではなくて神代の時代の延長線上であると思しき、そう言うなれば「ラグナレク・アフター」?
北欧神話において、神々の黄昏と呼ばれる最後の神々の戦いは、殆どの神が巨人たちと相打ちになって果てているはずであり、本作においてもその神話は残っている……にも関わらず、なぜかラグナレクのあとにも関わらず生き残っている神々。まるで、巨人たちとの最後の闘争に完全勝利したかのように、死んだ神々が顕現している世界。それでいて、異様ないびつさがそこかしこにこびりついているのである。まるで、一度終わった歴史を無理やり歪めて続けているようなイビツさが。
おそらく、その歪みを正し、今のこの狂った世界の秘密を穿つ要となるのが、神の巫女であるリンデであり、それこそがオーディンたちが彼女を執拗に狙い続ける理由なのでしょうが……。
その強大さはそのままに、どこか常軌を逸して妄執にとりつかれたようなオーディンたち神々。神としての威厳、秩序を見失い、切羽詰まった感すらある彼らがはびこる世界は、明らかに変なんですよね。まるでパースが壊れたようなちぐはぐさすら感じるのです。虚構とはまた違う、詐術によって無理やり嵌めこまれたようなアンバランスな世界観。
そんな中で、神々と敵対し封印されていた魔狼マナ。月喰らう狼と呼ばれるマーナガルムだけが、妹を討ち取られた復讐の一念で牙を剥いている姿が、唯一まともに見える不思議さである。歪められた世界のルールに、彼女が関与していない、或いは関わっていないからこそ、なのでしょうけれど。
しかし、マーナガルムとはまたマイナーなところをついてきたなあ。魔犬ガルムと姉妹だとか、フェンリルと父娘だとかいうのは、確かにフィクションなんだけれど、関連性としてはありか。マーナガルムだけだと、知名度が……。

さて、妹に見えるちいちゃなお姉ちゃんが好きすぎて、周りのヒトから人間魔獣神々問わず気持ち悪いと評されるところの主人公クラウスは、人の身で人外の力を振るえる、なんてことはなく、ただただヒトの悪知恵、詐術、手妻の類を駆使して相手の認識をだまくらかし、言葉巧みに誘導して、神だろうと戦乙女だろうと思うとおりに陥れる、という技術の使い手のはずなんだけれど、意外と真っ向勝負が多いよね、クラウスって。むしろ、他のシリーズの主人公の方が絡め手ばかり仕掛けてくる印象で、クラウスはかなり身体を張り、敵の前面に出て切った張ったを続けてるんですね。クラウス、気持ち悪いけれど基本的に善人だからなあ。もっと小悪党で性悪で性根がひん曲がっているヒトの方が小細工が冴え渡りそうなんだけれど、クラウスわりと正直者な気がする。気持ち悪いけれど。
お陰で、かなりの勢いで怪我が手に負えないレベルに跳ね上がってる気がする。今のところ味方してくれているマナだけれど、まだ心の底から仲間になったというわけじゃないしなあ。本当に言葉通り、利害関係の一致、という部分に寄っている模様。それと、案外とお人好しなのか、マナが。
もうちょいと、ヒロインとして映えてきたら、この歪んだ世界の秘密とあわせて面白さが加速していくんだろうけれど、今のところ最大の売りが、お姉ちゃん好きすぎてキモい、というあたりなのが、なんともはや(笑

八薙玉造作品感想

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 2 4   

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 2 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-14)

【オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 2】 八薙玉造/雛咲 スーパーダッシュ文庫

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マジで弱い主人公がマジで強いヒロインに挑む異能バトルアクション!

エロイよ!!!!!

最強のオリジンズだった伊原迅は仲間の裏切りで全ての力を奪われた。力を取り戻すべく、卑怯な手段でかつての仲間《鬼神》武速咲楽を倒したが、戻った力はほんの一部、絶妙の揉み心地を提供する力【マッサージ】のみだった。残る仲間を追う迅は逃亡中の《凶剣》戸塚布津乃、《異形》曲辻綾子が風紀委員会に命を狙われていることを知る。「だが、二人を倒すのは俺だ!」迅は風紀委員会を出し抜き、自らの手で二人の少女を倒そうとするのだが……。全てのヒロインを倒すバトルアクション! どけよ! 俺が先にやる!
犯罪、犯罪、それはもうアウトに見えてアウト!! こらーー、女子中学生になにするだー!! いやまじでなにするだーー!! 
おまわりさん、こいつです!!
あ、速攻で捕まった。逮捕されたよ。警察仕事した、さすがおまわりさん。良かったね、悪は滅びた……。

……だからちょっと待てというに、主人公!!

これでも自分、相当数のライトノベルを読んでますが、女の子に対してペロペロしたいと妄想したり、口に出して言っちゃうお馬鹿な主人公は存在しますよ、居ますよ。でもね、ほんとに女の子にペロペロしやがった、しかも女子中学生を裸にひんむいてペロペロして、あまつさえスカートを自分でめくらせて、ここをペロペロしてください、なんて懇願させる鬼畜主人公は初めて見たよ! 史上初だよ!!
凄いよ迅ちゃん、あんた星のオリジンなんて万能の力を振りかざしていた頃よりもずっとずっと輝いてるよ、最低にして最高だ! もうみみっちくて人間ちっちゃくて性根も歪んちゃって凄まじいろくでなしになっちゃったけれどさ、昔の爽やかで涼やかで嫌味のないイケメンなところなんて欠片も残っちゃいないけれどさ、それでも今の方がキラキッラ輝いてるよ。キラキラというよりも油っこくテラテラ輝いてるみたいな嫌な感じの輝きだけれどさ。

ああ、面白かった。お腹痛くなるほど笑った笑った。
上記したように、かつて世界を救うほどの万能の力を振るっていた頃からは見る影もなく、性格がねじれて卑屈な小悪党になってしまった主人公だけれど、どこか悪になりきれなくて、復讐を誓ったはずの自分を裏切ったヒロインたちに対しても、恨み妬み憎みながらもどうしても情を捨てきれず、未練がましく指を咥えているようなところがあって、決して鬱々とした暗さはないんですよね。憎めない愛嬌のある小悪党振りは健在。むしろ、加速中。しかし、女子中学生に犯罪行為をしでかすような最低な真似をしまくっているのだから、もうどうしようもないんですが。
どうしようもないといえば、サラのどうしようもなさも加速しっぱなしで、誰かブレーキ踏んでやれよ。もう弄られすぎて、ドM属性が発現してしまったのか、元の従者キャラってどこいったの?というくらいに完全崩壊。今度は無理やり魔法少女のコスプレとキャラの演じを強要されてのなされようが、それはそれもう……笑いすぎて涙を誘われる有り様で。サラの扱いに関してはもう誰も何も言わないのがまた……。
でも、結局ヒロイン全員のアリバイを明らかにしたら、マジで星のオリジン奪いにきてたの、実はサラだけだった、という、わりと酷い仕打ちをされても仕方ないような結果が出てしまったわけで……割りと自業自得なところあるよね、サラさん。

復讐相手となる元ヒロイン衆もさることながら、ちょい役かと思われた風紀委員の面々がまた異様にキャラ濃くて、登場シーンからの掛け合いで一気に存在感を確立していきましたね。桃ちゃんと儚菜ちゃん。漫才コンビとしては、迅と加那を上回る使い手なんじゃありませんか、これ。あかん、面白すぎる。桃ちゃんの能力なんか、効果を見たら凄まじい力のはずなんだけれど、何故かこの作品だとネタを提供しているようにしか見えない不思議。
心の闇との対決(物理)。
待ってください、物理的に心の闇を倒したからといって、心の闇を克服したのとは違うから、全然違うから。ただ殴って倒してるだけだからそれ、フルボッコにしただけだからww
何気に加那の心の闇に爆笑してしまった。あんた、そんな脳天気なキャラしておいて、どんだけやねん!! その一方で主人公と、肝心の能力者の桃ちゃんの心の闇が、また……おーい、いやもうまじでおーーーい!!

どこを見渡しても突っ込みどころしかないような気がしてきたが、綾子さんとの対決なんぞその極みである。おまえ、ほんとに最低だな!! 幼なじみになにやらせてんのやーー!!
もう卑劣な手段というよりも、卑猥な手段しかとってないんじゃないのか、迅ちゃん、よしもっとやれ!

バカエロの極みでありました、お馬鹿だ、本当にお馬鹿だ(絶賛

1巻感想

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! 4   

オレのリベンジがヒロインを全員倒す! (スーパーダッシュ文庫)

【オレのリベンジがヒロインを全員倒す!】 八薙玉造/雛咲 スーパーダッシュ文庫

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物理法則を超える力、オリジン。伊原迅は地球上に存在する全てのオリジンを操る万能にして最強の“星”のオリジンの使い手だった。“流星事件”の夜、迅は地球を救ったが、直後、仲間だったはずの少女たちに裏切られ、“星”の力を奪われた。二年後、迅は力を持たないただの高校生になっていたが、諦めてはいなかった。裏切りの少女たちに復讐し、“星”の力を取り戻すため、迅は手段を選ばず、エロい手も辞さず、最強無比のヒロインたちに迫る!全てのヒロインを倒すバトルアクション!
さ、さすが落ちぶれて身を持ち崩してクズになってしまったダメ人間を描かせたら天下一品だぜ、八薙先生!!
全然褒めてない気もするけれど、もうねえ、この人ダメ人間書かせると素晴らしく輝くんですよね。想えばデビュー作のエミリーもあれ、相当に落ちぶれて堕落しきってたもんなあ。現在も続いているもう一つのシリーズの【獅子は働かず 聖女は赤く】の主人公なんか、幼女に働かせて自分はニート決め込んでる怠惰の極みだったし。その最低っぷりが、どのキャラもホントキラキラと煌くように腐ってるんですよね、あんなイキイキと全力で腐ってるクズはいないぜ、って勢いで。
本作の伊原迅も、それはもう拍手喝采で讃えたいくらいの惨めな落ちぶれっぷりで、もう未練がましさが見っともないわ目も覆わんばかりの有り様だわ、性根のネジ曲がり方の清々しいこと。かつての英雄が狡っ辛い卑怯な手蔓と、浅ましい欲得と、口から出任せの虚言を駆使して、ほの暗い復讐心を満たして悦に浸る小悪党っぷりが、もう素晴らしく輝いてるのであります。腐りっぷりがキラキラ輝いてる、というのは変な表現だけっれど、迅くんの場合はもうそうとしか言いようがないもんなあ。これだけ腐りきってるのに、見ていて微笑ましいというか愛嬌があるというか、あまりにチョロい小悪党すぎてついつい応援したくなってしまうほどである。
彼にくっついている幼なじみの神那がまた、迅の外道働きの制止役になってるのか煽り役になってるのかわからない、かなり訳の分からないキャラで……、てか煽ってるよね、これ煽ってるよねw 実はこいつが黒幕なんじゃ、と思えてくるくらい無邪気にはしゃいでおります、この娘。

で、肝心の裏切り者への復讐劇なのですが、かなりシリアスに進行するのかと思ったら、変に深刻にならずに思いっきりコメディ進行で突き進むのですね。小悪党に落ちぶれた迅に成り代わって、新たに正義の味方な主人公役は風のオリジンの持ち主である樹が務めて、迅と真っ向から敵対していく流れなのかと思ったら、全然予想外の方向にキャラが突き進んでいってしまって……待て新主人公、おまえ神那と同類の煽り役になってるぞ! あかん、この子はこの子で立ち位置が面白すぎる。真面目で正義感の塊である主人公枠は変わってないはずなのに、アホの子であることが明らかになった途端、その主人公キャラのまま迅の外道働きを全力で後押しする煽り役にハマっちゃってるんですが。一緒になってサラさん弄りまくってるんですがw 子分か!
クールで感情を見せない鉄面皮の従者キャラとして登場したはずのサラさんからして、途中から凄まじい勢いでキャラが崩壊してしまってるし。カラー口絵とか登場時と全然キャラ変わっちゃってるんですけど!! 
……ニャンニャン(爆笑

あかん、すっとぼけた掛け合いが面白すぎる。
迅くんもほんと性根腐りきってしまっているのですけれど、彼の復讐はある意味正当ですし、オリジンを失った彼は卑怯極まりない外道な手練手管で復讐相手に挑んでいくんですけれど、ほんとやり口ゲスなんですけれど、いい感じにノリノリなので嫌悪感とかは感じなくて、いいぞもっとやれ!! という感じで思わず声援を送ってしまうノリに……。だって、周りの連中だって煽ってるしw
本当に越えてはいけない一線はこえてませんですしね。小悪党には成り下がってますけれど、ちゃんと良心とか自分を省みる視点とか他人への思いやりとかは失ってませんし。単に落ちぶれて腐って歪んでしまっただけなんですよぅ。ダメじゃん。
まあ、エロ方面については軽くこえちゃってる気がしますが。若干アウトです。こいつ、自重しねえ。やるな、基本ヘタレっぽいくせに、エロに関しては益荒男だったぜ、尊敬。
まだまだ裏切り者に対する制裁は半分が済んだばかり。残る二人に対する復讐劇がいかなる目を覆わんばかりのついつい指の隙間からガン見したくなるような酷い惨劇になってしまうか、期待が募るばかりです。
いい具合のバカ小説でした、グッジョブ!(笑

獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった4   

獅子は働かず 聖女は赤く 4 あいつ、我とか言いだしおった (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 4.あいつ、我とか言いだしおった】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「君は世界を変えられるんだ」
ついに明らかになったアンナの秘密!
運命に翻弄される少女が選ぶ明日は!?

《裏切りの獅子》ユリウスと、見習い修道女アンナの旅は転機を迎えた。魔女たちの隠れ里《茨の城》を巡る戦いで、ユリウスは中央教会の精鋭《獅子の牙》を打ち破った。しかし、満身創痍の彼は倒れ、アンナは中央教会に連れ去られてしまう。
大きな秘密を抱く彼女を利用しようと策謀が巡らされる中、再び立ち上がったユリウスは、《竜の魔女》サロメたちと共に中央教会の中枢、教都ノヴァリアに襲撃をかける。しかし、彼の前に立ちはだかったのは、驚くべき敵だった!!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第四弾!

もうヤメテ、お師様のライフはとっくにゼロよっ!! 
なんで出てくるキャラ、みんなしてお師様ディスるんだよ。元々サロメって最初からライフゼロの超弱キャラだけどさっ、確かに暇さえあれば苛めたくなるようなキャラだけどさ!!
崇め敬い親愛をこめてディスる、ってちょっとした新境地だよね。これだけ身近な人達に慕われ大切に思われながら、けちょんけちょんにけなされてしまう人が居ただろうか。一応一番の年長者で、実際に功績も確かで<竜の魔女>なる悪名で恐れられる偉大な賢人であり、主人公にもお師様と呼ばれる指導者であり教導者であり、偉くて大変な人だというのに……ここまでチョロくて弱くて押すと引いちゃうどころか、足をもつれさせてひっくり返って後頭部打って悶絶して泣いちゃうような人だというのは、なんなんでしょうねこれ。サロメ師匠については、ちょっと似た類型が思い浮かばない。ナチュラルボーンキラーズなメインヒロインというアンナさんも相当独特で他の追随を許さないガラパゴスなヒロインだけれど、サロメのこれは全く新しいキャラなんじゃないかな。少なくとも、自分は彼女を表すキャラの属性を思いつけない。

というわけで、アンナさんを連れ去られ、自身も心身ともにボロボロに傷つき昏倒したユリウスが再び目を覚ました時に寝ていた場所は、当初の目的地だった魔女たちの隠れ里。そこは、元々サロメが作り、世間から追われた魔女たちを匿っていた場所であり、そこにいる魔女たちはサロメを母として慕っていた。これまでのサロメの発言からして、自分は単に<茨の城>の関係者の一人にすぎない、みたいな顔をしてからに、実際にはサロメ自身が創設者であったわけです。ホントにこの人は弱キャラのくせに、実際にやってることは凄いんだよなあ。ホント、この人がやってるとは思えないくらいの実績なんだが。助けられ守られてきた魔女たちの方も、サロメをお母さんと呼んで慕っているくせに、その扱いときたら酷いのなんの。お師様と呼び崇めながら、サロメに働かせて日銭を稼がせ、食事や洗濯などの家事も押し付けて自分は優雅にニート決め込んでいたユリウスもかくや、という木っ端扱いである。
誰か、サロメに優しくしてあげて!!
そのうち、打算で優しくしてくれる結婚詐欺師とかに引っかかりそうで正直こわいです。

何とか動けるまでに回復したユリウスは、当然のようにアンナを取り戻すために動き出す。働きたくない働きたくない、とサボることばかり考えながらその実、勤勉な働き者だったりするユリウス。ただ、今回ばかりは仕方なしに、というわけには行かず、義務にかられてでも大切な人の遺言を守るためでもなく、気づいてしまった自分の想いに殉じる形でアンナをさらった帝国に乗り込むことに。
立ちふさがるのは、残された最後の「獅子の牙」、かつてのユリウスの同僚たち。まったく、「獅子の牙」という連中はどいつもこいつも、キワモノ揃いか!!
ヤンデレコルネリアが一番マトモとか、どういう一団なんだこの連中。仮にも神聖なる異端審問の執行機関のはずなんだが、とても宗教的な狂信性が見えない連中なんですよね。宗教的じゃない狂乱性については極め付きもいいところなのですが。
とりあえず、この古豪アンドレア爺さんは、真性にヤバイです。というかダメです。あんた、孫くらいの年齢の少女にナニ本気になってるんだーー!! 隠せてない、そのヤバゲな恋愛感情、まったく隠せてませんから!! 老いらくの恋どころじゃねえですってww
これがもっとこう、落ち着いた老人の秘めた静かな恋心、とかだったら叙情的で素敵にすら思えるのかもしれないけれど、こいつのは駄目だ。どう見てもただの「ヘンタイ」にしか見えないw
ただ、相手の超秀才の少女のほうが特に嫌がってもいないので、別にいいのか、セーフなのか? 単に気づいていないだけじゃないのか?w 誰か、教えてやんなさいよ、危険性とか、ヘンタイについてとか。50年以上の年齢差についてとか。

ともあれ、立ちふさがる敵を魔女たちの協力もあって突破したユリウスを待ち受けていた最後にして最大の障害は、驚きのあの人。突然「我」とか言い出しちゃったあの人の登場である。
でも、実のところ「我」モードのこの人はあんまり怖くないんですよね。どれだけデタラメに強かろうと、そんなに怖くないし恐ろしくない。どれだけチートな能力で蹂躙されようと、圧倒的な力でねじ伏せられようと、それがどうした、という感じ。だって……。
あんた、普段の方が無茶苦茶怖いから!!
いや、実はこの能力が無意識に発動してたからあれだけ不意打ちとか食らわせられてたのだっ、とか力説してましたけれど、絶対嘘。絶対嘘です。あんた、そもそもちゃんと相手のこと見てもいなかったじゃない。ハッキリ言ってあのナチュラルボーンキラーなヤバさは、その能力では説明がつきませんから。なんかそれっぽく、実はこうだったんですよ、とか言って自分で納得しているみたいですけれど、違いますからね。あんたがヤバかったのは、能力云々の無意識な発動とかいうぬるい理由じゃないですからね。
本能です!

と、何だかんだと終わってみると非常に大迷惑というか、らしいいつものことだったというか、収まるところに収まってくれたのですが……コルネリア乙。いや、コルネリアは置いておいて、ご愁傷さまなんですが置いておいて。これで何とか話もまとまったか、と思われたところで、最後の最後に大ドンデン返しの真実が明らかになり、真の黒幕がヴェールを脱ぐ。
……いや、驚いたけど! すごい驚いたけど!! いいのかこれ、ラスボスというか黒幕がこれで!?
棒でつついたら倒せそうだぞ!? 或いは、ちょっと大きめに実ったスイカなんぞを、思わず受け取ってしまうように投げ渡したら、それで簡単にやっつけられそうだぞ!?
なんでそんなことするんだ、と物凄い怒られそうだけどw

1巻 2巻 3巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ5   

獅子は働かず 聖女は赤く 3 あいつはもう一人でも大丈夫じゃ (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 3.あいつはもう一人でも大丈夫じゃ】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「わしは誰かが傷つくところを見たくない。それだけなんじゃ」
《竜の魔女》サロメ。優しき魔女が最後にたどり着いた想いは…!

中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメ。
彼らと共に、アンナの旅は続く。
その途中で救った魔女の姉妹を匿うため、彼らは魔女の隠れ里《茨の城》を目指していた。
そこに中央教会の刺客《獅子の牙》が襲いかかる。
《大空の貴公子》フェルディナンドに翻弄されるユリウス。
さらにユリウスを想うコルネリアは、共に死のうとユリウスを抱きしめながら、谷底へと身を投げる。
散り散りになる一行。
そんな中、アンナに秘められた謎が明らかに…!?
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第三弾登場!!
こう言っちゃあ語弊があるかもしれないけれど、八薙玉造という人はあれだ……

キャラクターの殺し方が巧過ぎる!!

久々に、この人が【鉄球姫エミリー】を書いた人だというのを思い出した。思い知らされた。この巻で、かつてのユリウスの想い人であった【赤き聖女】マルレーネの処刑前夜と、実際に火刑に処せられるシーンが描かれているんだけど、この人が描く「死への直面」って、もうほんとエグいんですよ。生きたい人がそれでも死ななきゃいけない事の無残さ、無念さ、恐ろしさ、悲惨さ。もう、読んでいるこっちまで心をズタズタにされるんです。【鉄球姫エミリー】シリーズの時に、どれだけ心を八つ裂きにされたものか。それを久々に思い起こされました。泣けてくるとか哀しいとかそういうんじゃないんですよね、なんかもう立ち直れないんじゃないか、というショックと脱力感が襲ってくる。マルレーネの、処刑を前にして怯える姿。火をかけられ、ユリウスが見ている前で体中を焼かれながら苦痛に絶叫する姿。もう、耐え難いショックなんですよ。
人が死ぬシーンというのは、それこそ億千万と描かれるシーンです。そして、それぞれに心揺さぶる意味合いが篭められている。印象的な、衝撃的なシーンを効果的に書く人もたくさんいる。でも、この人のように直接読者の心を殺しにかかる「残酷な死」を描く人は滅多居ないと思います。
……ほんとにねえ、キツいんすよ、この人のは。でも、だからこそ真摯で誠実に、死ななきゃならなかった人と生き残った人の想いを描ききっていて、素晴らしいんだ。

とまあ、ここまでの感想を読むとそりゃもう重い話に見えるんですけれど、実際相当に重い話ではあるんですが……この作品の味はむしろキレキレに切れまくった個性的過ぎるキャタクターたちによるぶっ飛んだギャグの掛け合いにこそあり、この三巻もまた超残念ダメッ娘不憫師匠のサロメを中心に、心優しく親切だが親愛がなぜか殺傷力を帯びているメインヒロインのアンナ、もういい歳なのにツインテがそろそろ厳しいコルネリア、昔はイケメンだった善人のフェル兄さん、腰痛が持ちネタを通り越して代名詞になりつつ有るヴァルターなど、当人たちの真面目なのか不真面目なのかかなり判別のしにくいやり取りが、かたっぱしから大爆笑すぎて、色々な意味で息苦しいです、たすけてーww
アンナは、もう相変わらず世話好きでユリウスに構いまくるのですが、世話を焼こうとすると客観的に見て殺人未遂と拷問のオンパレードになってしまうという……何を言っているかわからないと思うが実際にこのとおり以外の何物でもない、ほんとになにやってんの? という有様で、このヒロインやばいよー!(爆笑
今回表紙にもなっているサロメ師匠もまた、表紙を飾って燃えたのかして、不憫さがいつもにもましてフル回転。もうヤメてあげてよ!! 誰とは言わないけれど、もうヤメてあげてよ、ほんとに(笑
なんでこの人、偉い魔女で師匠で凄い人なのに、こんなに不憫枠なんだろう。虐めてオーラ漂ってるんだろうw 色々駄目すぎて、助けてあげたくなる、というか慰めてあげたくなる。生きてるだけで、不憫!

とまあ、お笑い成分も多分に含みつつも、ストーリーの根幹は常にハード路線。此処に居たり、ついに赤の聖女マルレーネと、アンナの関係も明らかとなり、なぜアンナが各勢力から追われるのかというユリウスも知らなかった真実が暴かれていく。そして、なぜユリウスがアンナの元に現れたのかという理由も。
ユリウスも彼の抱えていた過去を見れば悲惨極まりないんだけれど、それ以上にコルネリアがもう一杯一杯で見ていられない。人を好きになる事がこれほど一人の少女を追い詰め、苦しませる事があるんだなあ。てっきり彼女については、もっと女の情念ドロドロで、マルレーネへの対抗心からユリウスと心中を図ろうとしていたのかと思ってたんだけれど……まさかマルレーネから直接あんな呪いを掛けられていたとは。ただ憎めていれば、ただ呪えていれば、ただ嫉妬にまみれていられればむしろ楽だっただろうに。あんなふうに託されてしまったら、耐え切れずに狂ってもおかしくなかろうに。
この子も、かわいそうな境遇すぎる。

そして、アンナに隠されていた真実が、世界を激震へと導いていく。
これは、ちょっと予想していなかった。これ、作品が長期に続くなら、これを期に物語全体が大きく飛躍するターニングポイントになるんじゃないだろうか。それくらいに、この展開はこれまでこの作品に抱いていたイメージからすると予想外。
ある意味、彼もまたマルレーネの呪いによって流されていたユリウス。その彼が、無気力に約束に縛られていた彼が、ついに自分の為すべきを自覚した時、自分のやりたいことに気づいた時、彼がもう一度本当の意味で立ち上がり、<炎鎧王>マルテと完全に繋がったこのタイミングで、ユリウスが秘していた秘密がアンナとユリウスに逃れがたい錯誤を生み、そしてアンナの真実がすべてを覆す。
まさに、これからどうなるの!? という大盛り上がりのところで引きですか、引っ張るなあ、引っ張りやがりまするなあ!!
このシリーズはもっと話題になってもおかしくないと思うくらいに面白いんだけど、なぜか微妙に知名度が低いのが勿体無くて仕方ない。
面白いですよーー! これ、ホントに面白いんですよーー! と、場末で叫んでおきましょう。
面白いんですよーー!!

1巻 2巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに4   

獅子は働かず 聖女は赤く 2 あいつも昔はイイ子だったのに (獅子は働かず 聖女は赤くシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【獅子は働かず 聖女は赤く 2.あいつも昔はイイ子だったのに】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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「あなたの命は、わたくしが護ります」
「お前の命は私が奪う!」
過去と現在、少女の決意が共鳴する!
中央教会の見習い聖職者であるアンナは、その身に秘められた謎により狙われていた。そんな彼女を、中央教会に追われる反逆者《裏切りの獅子》ユリウスと《竜の魔女》サロメは、半ば誘拐する形で、旅に連れ出した。旅路を進む一行の前に突如姿を現した、蛇のような体をした紫の禍竜。さらには拳を振るう蒼き禍竜までも出現する。だが、その遭遇はユリウスの過去を巡る戦いの始まりに過ぎなかった! 二頭の巨竜が、獅子の聖印をさげた鎧の少女が、ユリウスに迫る! 竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ第二弾!!
お師匠、あんたユリウスと出会う前からそんなチョロ弱キャラだったのか。てっきり昔はちゃんと偉くて偉そうで、それが戦中戦後の苦労を通じて色々と精神的に磨耗してしまった結果として、あんな風な可哀想な娘さんになってしまったかと思ってたのに。あ、でもその設定は無理があるよな、うん。あんなチョロ弱いキャラクター、後天的になれるはずもなく、明らかに生まれつきだし。でも、こんな性格でよくまあ【竜の魔女】なんて呼ばれるだけの実力を蓄えられたものだと逆に感心する。サロメちゃん、明らかに誰からも舐められそうだし。実際、既に亡くなった赤の聖女さまですら、お師匠様と呼びながら明らかにちょー舐めてたし。鼻であしらいちょろまかしてたし。聖女ちゃん、あんた性格悪いっすよね、それ。聖女というよりもむしろサロメよりも魔女っぽいというか悪女っぽいというか、性格悪いというか。まあ、概ねサロメ相手だけだったのかもしれないが……って、それもひどいよな、うん。

とまあ、上から下まで概ねぶっ飛んだキャラクターによってお送りされるファンタジー巨編。正直、このシリーズ作者の手がけた作品の中で一番好きかもしれん。なにが時々コメディだぃ。殆どコメディじゃないかい。なまじストーリーの根底部分が相変わらずの人間の悪意やらしがらみタップリのドロドロの内容なだけに、それを豪快にキャラの愉快さで押し割っていくパワフルなコメディーラインが楽しくって仕方がない。
そも、ヒロインのアンナからして、息をするように拷問をユリウスに仕掛けるような子だもんなあ。なんでこの娘は反射的に拷問するんだ!? 驚いた拍子に思わずユリウスを関節固めして沸騰した湯を耳に流し込もうとするとか、なぜ其れを反射的にやる! とユリウスじゃなくても突っ込むよな、うん。これがちゃんと意図した行動だったら、まだ拷問趣味の危ない子で済むんだけれど、全部条件反射なのが恐ろしい。条件反射でなんであんなに的確に拷問を仕掛け、もしくは暗殺に走るのか。もしかしてアンナって物心付く前から暗殺者の訓練でも受けてたんじゃないか、と疑いたくなるレベルである。マジ危ないんだが、この娘(笑
さすがに命の危機を感じだしたユリウスのキレっぷりがまた切実すぎて笑えてくる。ヒロインに対してマジギレっすよ。相変わらずニートのダメ人間だけれど、これはさすがに同情する。そこまでされるいわれはないよ、ないよ。よくまあ、これまでアンナさん、ひょいとした事で人殺しちゃったりしなかったものである。育ての親の苦労が忍ばれる。
そんな死の危険、というかアンナに殺戮される危機を何とか回避しながら彼ら三人が辿り着いた地域では、禍竜を伴った改革教会の反乱が村で起こっており、ユリウスが何故か普段のぐーたらさをかなぐり捨てて、反乱の鎮圧に首を突っ込もうとするのだった。

ここでようやく本格的に明らかになる、ユリウスがまだ裏切り者になる前の時代、そして赤の聖女と運命的な出会いを得る事になるエピソード。そして、過去の因縁を引き連れて現れたかつての同輩・コルネリア。
彼女、場合によっては仲間になるフラグ立ってるのかなあ、と思ってましたけれど、交戦中にユリウスに訴えかけたあの台詞で、ああこりゃダメだ、と確信しましたね。この娘、教会の信仰や正義で裏切ったユリウスを許せず憎み、殺そうとしているわけじゃないんだ。それなら、教会の不実を訴え、協力を求めることもやぶさかではなかったんだろうけれど、根本的な所でコルネリアは正義や信仰などどうでもいいんだ、これは。
もし、そこに拘ってるなら、一緒に死んでやる、なんて台詞が出てくるはずがない。
彼女がユリウスを憎んでいるのは、女の情念ゆえ。教会を裏切ったことではなく、自分を裏切って赤の聖女についていってしまった事をこそ憎んでいるのであり、だからこそ自分こそがユリウスを殺さないとと決め込んでいるのだ。赤の聖女が死んでしまった今となっては、本当の意味でユリウスを奪い返すことはかなわない以上、彼を殺して自分も一緒に死ぬしか赤の聖女から愛するユリウスを取り戻す事は叶わない。そう思っている以上、どれだけどちらに正義があるか、などを説いても通じるわけがない。
ドロドロの愛憎劇ですよーー! 修羅場らVANVANですよーー! さすが八薙玉造。能天気だけじゃ済ませませんね、最高ですw
これでコルネリア、決して情念に狂ってるだけじゃないのがまた素晴らしい。ちゃんとまともな理性を持ち、正義や倫理を重んずる騎士としての本分も忘れていないだけに、個人的な感情と公的な立場の摺り合わせに汲々としているあたりにも、揺さぶり甲斐のあるキャラクターっぷりがにじみ出ていて、実に魅力的だ。
今のところ、公的な任務と感情の向く方向を無理やり同一化されているから、精神的にもそれほどブレてないけれど、これが比重崩れてくるともう色々とむき出しになってくるぞ。
おそらく、むき出しになってきたときにそれとまともに相対するハメになるのは、ユリウスよりもヒロインであるアンナっぽい気がするが……はたしてこの天然娘とどこまで噛み合うか。合ったら合ったで修羅場だろうし、合わなかったら合わなかったでより悲惨な修羅場になりそうで、実に楽しみである。
アンナも、ちゃんとメンタル成長してますしねえ。何も出来ないと嘆いてうずくまるのではなく、何も出来ないなりに何とかしようというひたむきな姿勢。肝心な時に限って暴走ではなく、ちゃんと考えてユリウスの迷惑になる形での行動ではなく、ちゃんと益となる結果を求めて動こうとするあたりは、大した成長ですよ。
なぜそれが普段の行動の反省に繋がらないのかは不思議極まりないところでありますがw 反省しても、すぐに忘れるからなあ、これ。


このシリーズ、あんまり欝な方向には行かないつもりなのか、正直悲惨な結末になるかと思われた村の反乱の顛末も、救いや報いがちゃんとある形に収まって、作者の容赦無い残虐展開っぷりを思い知らされている身とすれば、ホッと一安心。あの暴走姉妹なんぞ、よっぽどひどい目にあったまま終わっちゃうかと危惧してましたしね。まさか、レギュラー化するとは。何故か旅の連れが増えたことでますますお師匠様が不憫と化しそうな気がするのは気のせいかしら?(w

1巻感想

獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる3   

獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-9)

【獅子は働かず 聖女は赤く あいつ、真昼間から寝ておる】 八薙玉造/ぽんかん(8) スーパーダッシュ文庫

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ファンタジーですが、主人公はニートです。
でも、それだけじゃ終わらない物語が始まる!!

禍竜戦争と呼ばれる大乱に見舞われたガルダ正統帝国。
戦が終わり、国が平和を取り戻しつつあるそんな頃、聖職者見習いのアンナは、毎日自分を見つめる青年の姿に気づいた。その青年・ユリウスが何か悩みを抱いているのだと勝手に思い込んだアンナは、持ち前の行動力で、彼の自宅を強襲する。妹のような少女・サロメを働かせ、自分は働きもしないユリウスに怒るアンナは、彼を更正させることを誓うのだった。
しかしそんな彼らに、運命と過去が戦いを引き連れて迫る!
竜と鋼と魔女のファンタジー、時々コメディ。物語がついに始まる!!
ファンタジーでニートというと、最近では富士見Fの【柩姫のチャイカ】の主人公の兄ちゃんが最初そんな感じだったけれど、丁度あちらもこちらも大きな戦争が終わった後、という環境が共通しているな。文明レベルが中世レベルであることが多いファンタジー世界だと、そもそもよほど裕福で地位や身分が高い家庭の子女でないと無職でブラブラなんて社会的にも存在が許されないと考えられる。そんな中でニートなんてのが成立し得る社会情勢というと、戦争で国や仕事を失った難民や、戦争終結により軍を放り出された兵士崩れが続出し世情も落ち着かず戦火の残り火がくすぶっている<大戦後>、という所になるのでしょう。
これが主人公が公職についている側だと、治安維持と社会不安の解消に奮起する、世の理不尽と向きあう事になるとしても正道を歩む物語になるのでしょうけれど、これがニートなんていう生産性のない、戦後社会の歪みの一端を担うような立ち位置にいる人物が主人公なんぞになってしまうと、これが自然と反社会的なサイドへとまわってしまうものらしい。
とはいえ、既に戦争の終結という形で既に大方の命運は決してしまっているわけです。これを個人の反抗から訪れた平和そのものをひっくり返すというのは非常に難しい。必然的に彼らは既に終わってしまった所をスタートラインにして、敗北を背負い、過去のものとなってしまった遺物を縁にして、現在と未来を司る者たちを相手に戦いをはじめなければいけない事になる。最初からなかなかヘヴィーな立場じゃないですか。
今回については、敵はある意味主人公たちと同じ敗残者であり、過去に囚われた亡者だったが為に、過去の精算という形に終始してましたけれど、先々これはなかなか厳しい展開になりそうです。
しかし、このユリウスなる主人公、本気でパラサイトしてやがるな!! 完全にサロメに養って貰ってるじゃないか。しかも家事はしない、働かない、あれこれ言い訳して食っちゃ寝食っちゃ寝。サロメが何気に精神的に疲れはててるあたりが切羽詰ってるよ!! それでいて強く言い聞かせる事もできずに現状に流されているあたり、完全に働かずにブラブラしてる息子を持ったお母さんだよ!!
ちゃんと目的あって働いてないのかと思ってたら、サロメもそう思ってたらしいが、よくよく言動を見ていると目的は目的でさておいて、働かないのは働きたくないからだというのが透けて見えてしまうやる気の無さ。
駄目だこいつ。
そんな残念な方向に強烈すぎる個性を振りまくユリウスとサロメのコンビの印象を吹き飛ばすくらいに、メインヒロインのアンナのインパクトがすごすぎた。
このヒロイン、既に三、四人過失で殺してるだろう! 
天然で危なっかしいヒロイン数あれど、ここまで無意識に意味なく殺しに掛かるヒロイン観たことないよ! 思い込みが激しく熱弁を振るえば振るうほど、無意識に手に持った刃物も一緒に振り回す、という銃刀法違反で逮捕しないとマジ危ない少女である。取り敢えずなぜ刃物を持つ!? デフォで包丁を持ち歩くな!
主人公、敵と戦って危うくなるよりも、遥かにアンナに殺されかかってる回数が多いし。この主人公、死にそうになり過ぎだと思うんだが、その全部がヒロインの無意識の攻撃によるものというのは如何なものか。

あらすじでコメディですよ、と主張しているように、常時暴走しているヒロインはじめ、個性的なメンツで緩いやり取りを繰り広げながらも、そこは八薙玉造である。サクサクッと人が死に、ヒロインが足蹴にされて、人間が壊されます。さすがに【鉄球姫】ほどエグい展開はまだないけれど、油断してると同じファンタジーですし、サクサクっと血みどろになりそうですから、気を付けないと。

神剣アオイ 2.幼なじみと黒猫メイド4   

神剣アオイ  2 幼なじみと黒猫メイド (集英社スーパーダッシュ文庫) (神剣アオイシリーズ)

【神剣アオイ 2.幼なじみと黒猫メイド】 八薙玉造/植田亮 スーパーダッシュ文庫

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 bk1

猫踊りを御存知でしょうか? と、坂兎たばねは誰彼かまわず尋ねたくなった。その日、彼女は飼い猫のクロが踊っているのを目撃した。しかも、その直後クロはメイド姿にその身を変える。彼女の飼い猫は、異世界からの力を取り込み、異形の能力を得たもの、すなわち『賓』だったのだ。
一方、名嘉田幸人はその『賓』と刺し違えるために生まれた『神剣』の少女、アオイとデートをすることになっていた。初めてのデートに幸人は苦労し、アオイは新たに生まれた感情に戸惑う。
少し不思議な日常は、それでも穏やかに過ぎていくように思えたが、『神剣』の使命は、過酷な選択を幸人に迫る!
これ、一巻の感想は書いていませんでしたね。わりとフォーマットな伝奇バトルファンタジーで、特に書きたい事も見当たらなかったというのもあるんですが、あの【鉄球姫エミリー】を書いた人にしては大人しい内容だと拍子抜けした部分もあったんですよね。
なので、今回もあの処構わず身も心も血みどろに引き裂くような牙を収めたフォーマルな内容になるのかなあ、と思いながら読んでたら……ぐああ!! しまった、この作者、ド派手なイメージが強くて隠れガチになっていたけれど、人間関係をグチャグチャの泥沼に叩き落すも上等、というタイプの人でもあったんだ。しかも、今回のこれは後々にじわじわと亀裂が広がっていくタイプの遅延性の神経毒じゃないか。しまったしまった、油断していたら蛇のように舌なめずりしているところに頭から突っ込んでしまった気分だ。
思えばこの人は、元々理想に対する甘く楽観的な姿勢に対して、否定はせずとも恐ろしく冷徹にその甘さが通じない非情で容赦苛責のない現実を突きつけて、希望を踏みにじり、絶望を露呈させ、「おら、どうするよ?」と問いかけてくるタイプの作者だったのを思い出さされた。
この【神剣アオイ】でも、主人公の名嘉田幸人はその甘い理想論の信奉者として、自身の思想に愚直に準じている。その真っ直ぐな姿勢は、確かに一巻で神剣として滅びる運命だったアオイを救い、またこの巻ではクロやたばねを救っているんですよね。その結果は認めなければならない。ただ、結果が良ければすべてよし、と行かないのが現実というもの。たまたま今回うまく行ったからといって、反省もなく同じことを続けていたら破綻はすぐさま襲いかかってくる。
幸人は愚か者ではあるのだけれど、自分が愚かであるという自覚はあるし、自分のやり方が決して上手いものではなかった、それどころか綱渡り的に失敗しなかっただけでむしろ拙く危険で最善とは程遠いやり方だったという事もちゃんと分かっていて、落ち込み悩むだけの聡明さは持っているんですよね。その点はまだ芽があると言えるのかもしれないけれど、でも幸人は自分に悪い部分、いけない部分がある事は理解しているけれども、肝心の何が悪いのか、という所にまでは思考が辿り着けずにいるのである。
それは、彼の鈍感さであり無神経さであり、他人の在り方を自分の想像の範疇でしか規定できない了見の狭さであるわけだ。本来なら、主人公のそういう部分はヒロインたちの妥協や受容、寛大さやフォロー、ご都合主義的な流れによって処理されてしまうものなのだけれど、本来なら人間のそういう他人と分かり合えない部分こそが、人間関係を破綻させてしまうもののはずなんですよね。それをご都合主義に逃げずに冷徹に作用させたケースがこの二巻の顛末に現れている。
テンプレならば、ここは幸人の幼馴染であるたばねが、話の中盤で実際に実行していたようにアオイへの気配りや、気心の知れた幼馴染との以心伝心によって上手くバランスをとり、和やかな方向で人間関係を纏めてくれるはずなのだが、彼女自身がこれまでただの幼馴染という以上の関係を考える事を停止してきた幸人への気持ちに目覚め、飼猫であり賓(まろうど)となったクロとの絆を深めることで、結果的にバランサーとしての役割を放棄してしまったのである。
アオイはというと、生まれてまだ数カ月で人間の感情の機微というものを未だ理解できずにいる純真無垢な幼子であるがゆえに、自分の内から湧き出してくる生々しい感情を制御も理解も出来ずにいる状態。人間という枠に縛られないが故に、常識も平然と逸脱する危険性を内包した彼女が自分の感情を持て余しているのである。まるで火種に放り込まれた爆弾みたいなものだ。

私は、幸人が幾多の主人公くんたちに比べて、それほど鈍感だとは思わないし、彼は彼なりに一生懸命アオイを大切にしようとしているのも分かっている。自分の至らなさを自覚し、苦悩しているのも確かだ。でも、現実として彼はどうしようもなく無神経であり、想像力が欠如している事実は否めない。それが、まさに状況を最悪なものへと転げ落としつつあるんですよね。
つまるところ、幾ら頑張っていようと自覚も努力も、現実の状況を前にしては意味をなさないわけです。
もっとも、今のところはまだ毒が植え込まれた状態であり、亀裂が生じ始めている段階であり、致命的な所には至っていない取り返しのつく所のはずなんですが……でも幸人の問題とされる部分が、他人がどう指摘しようと、自分で直そうとしてもなかなかどうにもならない部分である以上、この後の破綻は避けられないのかもしれないなあ。その根源は若さであり、ある意味一度痛い目を見ない以上なかなか捉えきれないところでもあるわけだし、しっとりとした絶望感がじわーっと広がってくる。
こりゃあ、血を見ずにはいられないか。修羅場確定か。


と、重苦しいところはとてつもなく重苦しいのだけれど、ハチャメチャにコメディしている部分は徹底的にハッチャケてて、これがやたらと面白かったですよ!? 一巻ではその方面でもおとなしかったと言わざるを得ない。たばねの暴力系幼馴染としての傍若無人さは、他の追随を許さない凄まじさ。もう、普段の幸人へのムチャぶりがすごすぎる(爆笑 会話の内容からしてぶっとんでるもんなあ。気心が知れているにも限度があるだろうw
とりあえず斬華さんがドジっ娘というのは大いにアリだ、アリだ!
って、嵯峨先生って、金華さんに養われ、斬華さんに侍られて、スニーカーの娘は滅多に人化しないそうだけど、それでもこの人の生活って、ハーレムだよな、あれw

鉄球王エミリー  鉄球姫エミリー第五幕5   

鉄球王エミリー―鉄球姫エミリー第5幕 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-5)

【鉄球王エミリー  鉄球姫エミリー第五幕】 八薙玉造/瀬之本久史 スーパーダッシュ文庫

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峻烈なスタートを飾った鉄球姫エミリーも、これにて完結。正直に申しますと、第一巻を読んだ時はここまで面白くなるとは思ってなかったんですよね。ぐいぐいと引き込むパワーあふれた凄惨な描写、容赦呵責のない残酷極まる展開、こそ目を見張るようなものがあったものの、肝心の主役であるエミリーは、物語においての主役として寄与する指針も意志もなにもなく、お下劣でお下品な奇天烈なお姫様という性格以外は、あんまり存在感を感じなかったのです。端的に言うと、暗殺者に襲われ、それをからくも撃退する。この一言に要約されてしまうような話であり、物語と言うより状況描写というような代物だったんですよね。
それが二巻になると、作品の魅力だった野性味あふれた勢いが消え失せてしまい、悪い意味で小さくまとまった作品になってしまっていた。こりゃあ、このままスケールダウンしていくだけかな、と期待もあまり抱かず手に取った第三巻。これが、ターニングポイントでした。ブレイクスルーだった、というべきかもしれません。
一巻二巻でそれぞれ物足りないと思っていた部分。物語としての骨子がしっかと固まり、朱役たちキャラクターの目的、苦悩煩悶の方向性が定められ、その上で一巻で目を見張らされたあのギンギンに迸るパワフルさが舞い戻ったのでした。まさに足りない部分を補ったかのような完成型、どころかそこにとどまらず、さらにこのエミリーシリーズの特徴ともいうべき冷酷非情の展開を、さらに凶悪な形でぶちまけるという、あくまでこの作品はこういう方向性で行くのだという強烈な一手にあっと言わされ、のけぞらされた第三巻。
ここから、このシリーズは完璧に飛躍した、と考えています。

思えば、たった五巻の編成にも関わらずこのシリーズ、尋常でない数の登場人物が死んで行ってるんですよね。その誰もが使い捨てのモブキャラなどとは程遠い、それぞれに信念を持ち、守るべきもの、守りたい人を胸に抱き、国を守るため、約束を守るため、生きるために戦った人たちでした。
そして、無残な形で散っていったわけです。
その悲惨さ、無念さがあまりに残酷で、可哀想で、だからこそ一人一人の死が読み手にも強烈なダメージとなって伝わってくるわけです。
ですが、そんな死があまりに多すぎたからこそ、エミリーの決意。もう誰も死なせない、という必死な想いが痺れるような峻烈さを持って撃ちかけてきたのでした。身近な家族とも言うべき臣下を皆殺しにされ、絶望に撃ち沈んだ自分を救いあげ、希望を投げかけてくれた家族をも殺され、誰もかれもを目の前で失って、打ちのめされ一度は心砕け散ったエミリーだからこそ、その願いには安っぽさなどどこにもなく、神聖不可侵とすら感じられる尊い想いへと昇華されたのでしょう。
ベレスフォード公爵が弾劾したように、エミリーはこれまで常に逃げ続けていました。逃げるのをやめ、希望の光を見せてくれた弟のために戦おうとしながら、その矢先に弟王を暗殺され、またも彼女は現実から逃げました。
そんな彼女が、グレンのために武器を手に取り、戦場にかけつけたとき、彼女の戦いは自分の身を守るためのものではなくなったのでしょう。
そして、いざ戦うと決めた彼女は、自分の周りにいる人たちを守るため、弟の遺志を守るため、王となることを決断するのです。王になったから国を守ろうとするのではなく、守りたい人たちがいるこの国を守るために、王になることを選んだのです。
最初の頃の彼女を思えば、このあり方は目覚ましい限りです。その輝きを得るために、あまりに多くの人が亡くなりましたけど、そのどれもを無駄な死ではなくしたんですよね、エミリーは。
そう、彼女はこの最終巻でようやく、自らの願いを皆とともに叶えるのですから。


主に暗殺劇をメインに戦闘シーンを扱ってきた本作ですけど、もしかしたら4巻からの戦場での戦争場面でこそ、真価を発揮したのかも。戦場シーンの迫力たるや、ほんとに凄まじかった。特に、201ページのそれは挿絵の効果もあって、激燃え。いや、エミリーという人はほんとに戦場映えするキャラですわ。その豪壮さは、圧巻。
何気に感嘆されられるのが、大甲冑というファンタジー要素を、戦場に投入した場合、実際問題どのように扱われるのか、戦闘・戦術的観点から非常によく練り込まれて描かれてるんですよね。
意外とこれって難しいんですよね。実際にないもの、特にファンタジー的な存在を戦争シーンに反映させるのって。それを見事にやってのけてるのだから、いや大したものです。この特徴的なアクションシーン、戦争シーンの迫力は、作者のイマジネーションのこうした密度の濃さにあるんでしょうかねえ。

というわけで、激動の展開ということで個々のキャラ同士が絡み、想いを紡ぎ合うシーンは少なめになってるですが、これ少ないながらにそれぞれ、けっこうイイシーンが多いんですよね。
エミリーのお下品なところとか、グレンの変態なところとか(この二人、どうしようもないという意味では結構お似合いだなw)は置いておいても、エミリーがけっこう恋愛方面で初心で可愛らしい顔を垣間見せてたり、リカードとヘーゼルのラブシーンが妙味だったりと、何気に作者、ラブコメもいけるんじゃないかしらw
そう言えば一巻でも、後アトまで引く、切ないラブシーンあったものなあ。
次回作はぜひぜひそちら方面も増やしてほしい所ですよ。

戦場のエミリー 鉄球姫エミリー第四幕4   

戦場のエミリー―鉄球姫エミリー第四幕 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-4)

【戦場のエミリー 鉄球姫エミリー第四幕】 八薙玉造/瀬之本久史 スーパーダッシュ文庫


前巻、花園のエミリーの宣誓式のシーンで「おっ!?」と思わされる行動を取っていた人がいたんですよね。猿騎士エリオット。半島貴族でエミリーとガスパールを除けば王位継承権の最上位にも関わらず、かなりひどい評判の男で、実際にそれまでのシーン、品性下劣の野卑な振る舞いしか見えず、途中までいわゆる今後の敵役の一人なんだろうというくらいに見てたんですが、宣誓式でのガスパールの宣言に、幼王への真摯な敬意を垣間見せた彼の態度に「おっ!?」と思わされたのですよ。
こいつ、もしかしたら今後重要な役どころ、それもエミリーやグレンの味方的な立場となるんじゃないだろうかと。
どうやらこれ、正解だったんじゃないでしょうか。
パーシーの謀略で内乱状態になった戦いで、グレンたちノーフォーク公爵軍は半島貴族連合と相打ち、グレンと猿騎士は刃を交えるわけですが、この兄ちゃん、粗野だが発言聞いているとバカじゃないんですよね。口は悪いが発言自体は理路整然としているし、むしろグレンより大貴族の長子として視野の広い見方をしている。
加えて、後半の破滅的展開のさなか、敵であるグレンの決断で生き残ってるんですよね。
元々戦闘力のある味方が少ない上に、今回の一件で国内全体が壊滅的な打撃を受けた中、彼の存在はグレンたちにとってなかなかおもしろいものになってくるんじゃないでしょうか。

一方で、グレンも今回は大いに活躍したなあ。エミリーを置き去りにして戦場に出てしまったことも、決して考え無しのことではないですし。エミリーもあとで認めているとおり、彼なりの最善だったのではないかと。彼にとっての騎士の在り様、大切な人を守るやり方と言うのは、傍で一緒になって傷をなめ合うのではなく、ただ言葉なくとも戦うことだったのではないかと。それは、不器用ですけど、実直で、なによりエミリーみたいな女にとっては、一時的には不興をかっても最終的にはそうした行動を選ぶ男を好ましく思うのではないでしょうか。
だいたい、眼の前にいるより手の届かないところで心配させている方が、女心は揺らぐものです、その点グレンは無自覚ながらかなり上手くやったのではないですか?(笑い
これまでは、まあなかなか気に入ってる、ぐらいの好意だったのに、今回のエミリーは、失意と絶望に打ちひしがれ、拠り所を求めていたのもあるのでしょうけど、グレンに対して見せた想いはかなり強く、異性に対するそれを垣間見せるものだったんじゃないでしょうか。
おかげで、底の底をはいつくばるような精神状態の描写が続いたことも相まって、すべてを吹っ切り、窮地のグレンを救いに現れたときのフルスロットルなエミリーの登場シーンは、最高に気分が高揚させられました。
わりと陰険な暗殺劇での戦闘ばっかりだったのであんまり分かってなかったんですが、華々しい戦場でのエミリーは、本当に華のある姫将軍じゃないですか。あの口汚い罵詈雑言ですら、意気軒昂で頼もしく思えてくるくらい(笑

いや、これは面白かった。どん底まで落ち切り、潰滅的な被害を受けながらも膿を出し切った以上、これからは反撃に転じてくれるはず。
次の巻には、さらなる期待が膨らみます。楽しみ♪

花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三幕4   

花園のエミリー―鉄球姫エミリー第三幕 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-3)

【花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三幕】 八薙玉造/瀬之本久史 スーパーダッシュ文庫


うわぁ……これはむごい。むごすぎる。
ざっくり心に突き刺さり、容赦なく希望だとか明るい未来というものを挽き肉のようにすり潰す、そんなむごたらしさ。
あの王宮での宣誓シーンで、てっきり路線変更、王道ともいうべき華々しいファンタジー戦記モノにスライドするのかと思ったのに……この揺るぎなさ、この作品に対する作者のスタンスの一貫性には頭がさがる。屈服させられる。
まいった。
アクションにおける肉体破壊描写の惨たらしさもさることながら、この作家の妙たるは、やはり人の想いをぐちゃぐちゃに踏みにじる物語としての惨たらしさなんだよなあ。それも、どちらかというと悪意によってもたらされるものではなく、人がそれぞれ抱く信念、良かれと思い悪行と分かってなお断行するその揺るぎない想いこそが、他の人の想いを踏み躙り、徹底的に破壊する、その無情さがなにより惨たらしく胸を掻き毟る。

正直、一巻ではその圧倒的な勢い、秘められたパワー、ドライブの効いたキャラクター描写などに比べて、作品そのものの方向性というか芯のようなものが見えず、物語というより展開描写に過ぎないような、中身のすっぽ抜けた印象が強く、二巻は物語としての骨格こそ通ったものの、逆に一巻にあったパワーや勢いが消え失せて、ややも先の野性的な魅力を減じてしまってがっかりしてたんですが、この三巻の発展ぶりにはおおっ、と目を見張らせられましたよ。
一巻・二巻でそれぞれ物足りないと感じていた部分が補填され、あのビリビリと感電するような圧力こそまだ一巻のそれに至っていないものの、非常に高い位置で足場が固まり、安定した感がこの巻の随所から見受けられました。
そして、ラストの急展開。エミリーの真骨頂ともいうべき…無常の惨劇。
あのまま、作品性の方向転換を図ってもまったく問題ないように思われるほど華々しく、眩しく、充実した展開だったからこそ、それを容赦なく粉々に打ち砕く破砕の威力は凄まじかった。
このエミリーシリーズ、ぶっちゃけあんまり期待してなかったんですが、ごめんなさい、大間違いでした。三巻で完全に脱皮にしてのけました、これ。素晴らしい。間違いなく、スーパーダッシュでのこれからの注目作品です。
 
11月26日

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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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