内堀優一

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! ★★★★   

あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! (HJ文庫)

【あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!】 内堀優一/希望つばめ HJ文庫

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Kindle B☆W

高校入学から数ヶ月。大貫悟郎(おおぬきごろう)はその日、長いこと片思いをしていた幼なじみの美少女・杉崎小春(すぎさきこはる)に告白した。
「小春! 好きだ! 俺と付き合ってはくれないだろうか!!?」 「いや、無理ですから」 この一言であえなく玉砕! さらに小春は何を思ったのか悟郎に、「悟郎、あんた彼女作りなさいよ」とムチャぶりまでしてきて!?
両思いなのに付き合えない!? 一途過ぎる少年と本当は彼のことが大好きな少女の、どうしようもない青春大暴走ラブコメ開幕!

これはぁ!! そうか、そうか、そう来たか。そう来たのか!!!
いや、うん、これは絶妙。正直、途中までまったく違和の類いは感じなかった。ラスト近辺に至ってようやく「あれ?」となって、まさかまさか、と狼狽えているスキにもはや取り返しのつかないところまで進んでしまったところで、豹変である。物語の豹変である。
凄いというより素晴らしいのは構成の妙も然ることながら、文章のこうなんというか、握りしめる握力?みたいなものが前半の柔らかなそれが、後半のクライマックスに突入した途端にギュッと固く握りしめられたそれになる、硬度……いや密度というべきか、込められた情感の密度の変化の入り方が、後から振り返ってみると目覚ましいものがあるんですよね。
クライマックスに至るまでの軽快なラブコメ模様、これが周囲の友人たちとの掛け合いも含めて本気も本気、作者の持つ甘酸っぱい恋模様とそれを取り巻く環境醸成のスキルをありったけ詰め込んだ逸品で、ぶっちゃけこのまま進んだとしても作者が手がけた作品の中でも有数の良作になったんじゃないかと思われる出来栄えであり、力が込められていた全力のラブコメだったんですよね。
そこにこの構成を被せてきて、重ねてきて、わずかにひらいた出口めがけてすべての勢いやら展開やらを殺到させた挙句に、その場に立った登場人物たちの、特に悟郎のあの凄まじいまでの想いを、もはや狂気に至ったであろう覚悟を、決心を、執心を、固く固く握りしめきった拳でもって一発で振り抜いて殴りつけてきたわけですから、こちとら一発ダウンどころか殴られた頭が消し飛んだんじゃないでしょうか。
おおう。
これはもう、次巻をもって真価を問われるところだけれど、どうするんだと問うのも無駄だ。ここまでやった以上はもうとことんヤるのだという凄味を、既に味わわされている。覚悟を問われるのはむしろ、読み手側なのだろう。報いなど、定かにあらずというものだろう。読む覚悟は、耐える覚悟は、堪える覚悟は、有りや無しや。

内堀優一作品感想

勇者は、奴隷の君は笑え、と言った ★★★   

勇者は、奴隷の君は笑え、と言った (Novel 0)


【勇者は、奴隷の君は笑え、と言った】 内堀優一/エナミカツミ Novel 0

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『笑え、おかしくなくても笑えばそのうちおもしろくなってくる』
―とある山村で村人たちから奴隷のような扱いを受ける少年ヴィスは、村はずれに住むやたらと明るい男グレンにずっとそう言われ続けてきた。やがて、長き眠りから魔王の復活が迫った頃、とある事件からヴィスはグレンがかつて世界を救った勇者だと知る。そして二人は村を出て、世界を周る旅に出発。魔法使いの少女ニーニとの出会い、初めての大きな街、暁森人の住む森でのこと―勇者と旅した時間のすべてが、大切な何かを失った少年を、ひとりの“勇者”に変えていく。これぞ、必読の“男泣きファンタジー”!
男泣きて、キャッチコピーが邦画のダサい宣伝文句みたいでなんかヤダなあ。
そもそも、大切な何かを失った、というあらすじからしてちょっと違う気がする。このヴィスという少年は、そもそも失うべきものを何も持っていなかったし、与えられていなかったのだから。唯一、母親との思い出が原体験としてあるが故に辛うじて人であり続け、村長の娘が与えてくれた指針が拠り所となっていただけで、そもそも人間として大事な部分というものは、失う以前に持ち合わせていなかったのだから。
奴隷のような扱いという表現もいささか外れていて、彼の境遇というのは「落牧」という国家認定の賤民なのである。それも、使役目的ですらなく、ただただ虐げられることが役割だという立場で、これだとまだ奴隷のほうがよっぽどマシなんですよね。奴隷という財産ですら無い。
どう考えても普通なら成長過程で死んでしまう境遇なのですが、これグレンがなにくれとなく世話しなかったら、まず間違いなく死んでたんじゃないだろうか。村人たちに人扱いされず、家畜のようにすら扱われず、ただただ苛められるだけの日々。心が壊れる以前に、まともな育ち方をしなかったと言えるのだろう。
事実、村が崩壊しグレンと旅立つことになったヴィスの言動は、常識知らずという枠を逸脱した人として明らかに破綻したものであった。そんな彼に、押し付けるのでも引っ張るのでもなく、共に歩きながら人間の心を教えていくのが、かつての勇者グレンという男なのである。
この勇者、という存在もまた神の奴隷、神の人形。自由意志を認められず、役割を押し付けられ、それに逆らえば死をも許されぬ地獄のような苦痛を与えられ続ける、という到底人とも言えない在りようなんですよね。勇者として完成されればされるほど、人でなくなっていく。
そんな人型でしかなくなろうとしていた男が出会い、神に逆らってまでその行く末を見守ろうとした少年。人でなくなった者が、人になれなかった者を少しずつ人間に育てていく物語、と見るべきなのだろう。だから、これは歪ながらもまっすぐな、父と息子の物語なのだろう。
そして、そんな二人を見守る魔女の少女が一人。
この娘、ニーニはヴィスとは逆に愛情いっぱいに育てられた少女なんですよね。しかし、彼女を育てた先代の魔女は、ニーニと過ごすことで永遠に近い人生の終末にようやく人の心を取り戻せた、と述懐している。ニーニはすでに、一人の人間ではなくなってしまっていた存在を人に戻してるんですよね。
一方でまたヴィスも、勇者として人から遠く離れてしまったグレンに、人の心を取り戻させたとも言えるわけで、この子供たちは違う形ですでに「いちばん大切な人」を救ってたんですなあ。しかし、自分が大切にされていたことをよく理解しているニーニに対して、ヴィスは大切にされるという意味も概念も理解できない。ニーニはそんな彼を恐れず、あるがままに受け止めて、彼に人間として大切なことを、そして大切にされていることの掛け替えの無さを一つ一つ教えていく。
惜しむらくは、そのエピソードの一つ一つがえらい駆け足であることか。もうちょっと丹念に話を掘り下げていけば、ヴィスが変化していく様を鮮やかに描き出せただろうに、パタパタとドミノ倒しみたいにとめどなく話が流れていくものだから、じっくり噛みしめる間もなく展開が進んでいってしまう。
そこらへんがねえ。
あまりにもせわしなかった。それが残念。

内堀優一作品感想

グラウスタンディア皇国物語 5 3   

グラウスタンディア皇国物語5 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 5】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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難攻不落と名高きゾラ港を見事手中に収めたクロムたちは、矢継ぎ早に次の進軍準備へと取り掛かっていた。
今度の作戦は、リジア海軍司令部が鎮座する重要拠点アラティアの陥落。
陸路から四つの関を突破することが最低条件とあって、今までにない激戦が予想される中、最後の皇国七聖である鍛冶屋・ウルの血縁を名乗る者がユースティナの下を訪れて――。
ラトルグ国のレイリン姫、優しくて責任感のある人ほど、思いつめて覚悟完了してしまうと徹底的にやらなきゃならないことを妥協せずにやっちゃうもんなのか。彼女の道はこれ、覇道になっちゃったなあ。神代の真実に触れる事が彼女に覚悟を強いたのだとしたら、ユースティナもあの時境界を踏み越えてあちらを覗いていたら、レイリンと同じ道を選択していた可能性もけっこうあるんだろうなあ、これ。コウソンは姫を大事に思いながらも、あくまで彼女に為政者として在るように望んでしまっている。ここが、クロムとユースティナとの関係の微妙な違いになってしまうのか。
リジアの若き法王も、実は賢君である事が明らかになり、それぞれ三国とも内部の他派閥や敵対勢力との権力闘争の中で実権を握ろうとしているのだけれど、たとえ三国が賢君の指導下に収まったとしても、どうやら争いは収まりそうにないのがキツイなあ。利権や権益による争いなら幾らでも妥協できるのに、これは宗教どころか神権による代理戦争の影があるので、どこにも妥協の余地がないんですよね。皆が、それに乗らざるを得ず、神が敷いたルールに則って犠牲を多く出しながらも戦乱を終結させようともがいている。それが、余計に血で血を洗う地獄を引き出しそうなんですよねえ。そろそろクロムが握っているカードを表に向けて貰わないと、希望が持てなくなってくるんですが。
皇国七聖の最後のメンバーが現る……って、二人いるじゃないですか。いや、鍛冶師の兄ちゃんはともかくとして、算術家の妹の方はこれ存在価値がパないんですけれど。ラトログ国の黒色火薬の出現も世界を刷新するかもしれないけれど、彼女のもたらす概念はこの世のすべてをソフト面から刷新しかねない。革命的、とすら言って過言ではないかと。クロムは、果たしてどこまで正しく彼女のもたらした力の及ぶ先を見て通せるのか。弾道力学なんか、本当に瑣末なそれだぞ。
一方で、今回一番スポットが当たったのは七聖の一人にして盗賊、或いは諜報の専門家ファウラの過去話。彼女がいかにして今の彼女になったのか、を彼女を救ってくれた、彼女に名を与え人生を与え未来を与えてくれた恩人の娼婦との物語。この作者の人は、こういう個人にスポットを当てたシットリとしたお話の方が上手い気がするんだよなあ、と思わずウルウルきながら思ってしまった。勿論、ラブコメも素晴らしいのだけれど。
しかし、皇国七聖もこれどんどん世代交代している、ということなのね。実態のない称号のはずなんだが。フィフニスも新七聖に入りそうだな、これ。なにこの地上に舞い降りた大天使様は(苦笑
なんか、一人だけ別次元でわけのわからないことをしてるんだけれどw そのうち、新宗教が立ち上げられかねないんですけれど。リアル神群VS偶像神(アイドルマスター)フィフニス、とかならないだろうか、マジで心配なんですがw

シリーズ感想

グラウスタンディア皇国物語 4 3   

グラウスタンディア皇国物語4 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 4】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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物語の舞台は皇国の外へ! 少数精鋭で月の港を攻略せよ!!

大国リジアによる30万の猛攻を辛くも退けた皇国。
それで一息つく間もなく、軍師クロムはたった千の兵で難攻不落と名高いゾラ港攻略に挑むことに。
その前準備として、クロムたちは西の大国ラトルグへと赴き、前代未聞の大博打に打って出る!!
一方、北方騎馬民族との内乱平定に動くコウソンもまた、自らの命を賭して単身、敵陣へと乗り込むが――。
ああ、これは問題が根深いなあ。てっきり神の暗躍は、国々の戦乱を煽る形でこっそりと行われていると思っていたのだけれど、今回明らかになった事実からすると、大陸における国々や民族の紛争そのものが神々の代理戦争という理由で行われている事になる。表向きは国益や安全保障を求めて起こっていると思われた戦乱だけれど、根本に神々の争いというものがあるのなら、多国間における交渉によって平和裏に戦乱が集結する、という可能性は皆無になってしまう。いずれにせよ、何らかの形でどこかの国、或いは民族が他国を支配下に置き、他国他民族の崇める神を自分たちの奉じる神の下に敷く、つまり唯一神が誕生しなければ戦乱はどうやったって終わらない、という構図になっているのだ、この大陸は。
なるほど、クロムが着々と喧嘩を売る準備を整えているのは、こうした神々の作り上げた代理戦争システムそのものか。果たして、この世界の仕組みについてちゃんと理解した上で動いている人物については、クロム以外にもう一人、ラトログ国のコウソンがその辺承知した上でラトログ国を勝ち残らせようと動いているみたいだけれど、果たしてそれがクロムと同じように神と敵対する道なのか、神に沿う形なのかはまだちょっとわからないんですよね。クロムが具体的にどうしようと目論んでいるのかがわからないと、果たしてコウソンが同志足りえるのか、それとも絶対に戦い勝負をつけざるをえない相手なのか見えてこないので、何ともいえないのですけれど。ただ少なくとも、クロムにはリュリュという鍵があり、コウソンの方にはリュリュに該当する切り札が見当たらない、という点は見逃せないかも。
二人の、自身が忠誠を捧げる姫に対するスタンスも結構違うんですよね。主従の関係でこそあっても、目的を同じくする同志として姫に対して遠慮もなく、時に厳しく時に親身に接するクロム対して、コウソンは彼自身が語っているようにレイリン姫に崇拝に近い忠誠を誓いつつ、一線を引いている。レイリン姫はコウソンをもっと身近な親身になって欲しい存在として欲しているのであるから、既にすれ違いが生じているとも言えるんですよね。
ただ、ラトログ国における女王の扱いというのは、聞いている分にはかなりとんでもない代物であるんで、コウソンがレイリン姫をどう扱うかが、彼が神威に従い国の要としての姫に忠誠を誓っているのか、それとも一人の少女としての姫を大切にしているかが明らかになるのでしょう。今のコウソンは潔癖すぎて、或いは背負わされたものがおもすぎて、果たして私情を優先できるのかちょっと危ういところがあるので、今から悲劇の種は撒かれているような気もするのであります。
その点、クロムは緩くて欲張りで欲するものに正直な部分がよく見えるので、逆に安心感があるんだ、特に姫様については。まあ安心感はあっても、ユースティナ姫はなんだか振り回されてえらい目にあいそうな気もするのだけれど。
むしろ、一番正しく姫とその騎士の関係を築いているのは、今回のガジェルとリリア皇女なんですよね。どう考えても幼女と野獣なのですが、あのクロムにも手綱を握りきれてない凶人ガジェルが、まだ一〇にも満たない幼さで既に苦労苦難を自分から背負い込みそうな生真面目な幼女姫の言うことだけはキッチリ聞くとか、何とも微笑ましいじゃないですか。ガジェルに肩車をして貰って心からの笑顔を浮かべるリリア姫の姿は、和ましい癒される光景でした。

一巻 二巻 三巻感想

グラウスタンディア皇国物語 3 3   

グラウスタンディア皇国物語3 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 3】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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大国随一の知将VS皇国最強の軍師、激突!!

陸路と海路の両面から、30万という未曾有の軍勢で皇都陥落を狙う大国リジア。
その目論見を早々に看破した皇国の軍師クロムは、あらゆる策を講じて相手の兵力を着実に削っていく。
一方、皇女ユースティナは皇族が背負いし精霊神シオンを契機に世界の秘密の一端に触れてしまい!?
大国随一の智将と皇国最強の軍師が刃を交える皇都防衛戦、最高潮!!

ヒィーッ、これはたまらん。どれだけ相手の能力を信頼していても、その相手が敵であり、その敵が此方の策を見抜いてくれる事を前提に作戦を立てるとか、怖くて出来んよ。博打的要素を限りなく排し、状況を整える事で相手の意思決定まで必然に近い形で誘引誘導して望んだ形を作り出すという軍師冥利につきる名采配。さらに、相手に意図を読み取られることすら作戦に組み込み、敵将の能力を分析しきった上で肝心要の一手を起死回生の局面に持ってくる。突飛な奇作ではなく、意外と堅実でもあり、同時に非情で容赦のない作戦は説得力を伴っていて、リジア軍の主力を担う貴族たちは決して無能でも短慮でもないにも関わらず、クロムの作戦に絡め取られていく姿にも不自然さはなく、これはもうクロム凄い、としか言えないんですよね。
尤も、クロム一人が孤軍奮闘しているわけではなく、絶体絶命な状況に追い込まれながら精神論に逃げずに最後まで諦める事をしなかったグラウスタンディアの官僚たちといい、名将の名に相応しい攻防のそれぞれに長けたシドとシェルシュ、精強なるラング騎兵隊、若き次世代の逸材として見事に成長しつつ在るフィフニスなど、救国七聖と呼ばれる英雄たち以外にも人材がキッチリ揃えられていたからこそ、クロムが十全に采配を振る整っていたのでしょう。いかな名軍師とはいえ、味方の足並みが不揃いだったり、内部に問題があったりしたら、その能力を活かしきる事など出来ませんからね。
その意味では、むしろ全く無手の状況から着々と足場を築いていっているラトルグ国のコウソンの方が強敵っぽいなあ。今回、読み合いに完全敗北し、手酷い惨敗を負ってしまったナターシア女史も、むしろ叩かれて伸びるタイプっぽいですし。
とまあ、表向きの国同士の鬩ぎ合いの裏では、ファンタジーらしい神と呼ばれる高位存在の干渉が垣間見え、国盗り合戦の一方で、人と神との地上における主権を争う戦いらしきものの存在が提示されたことで、敵味方の構図がガラっとひっくり返る要素も見えてきてるんですよね。
さて、どの段階で物語がひっくり返るのか、楽しみ楽しみ。
絵師さんが今回から交代してますけれど、自分はむしろこっちの野崎さんの方が好きだなあ。


1巻 2巻感想

グラウスタンディア皇国物語 23   

グラウスタンディア皇国物語2 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 2】 内堀優一/鵜飼沙樹 HJ文庫

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軍事大国リジアとの全面戦争、突入。

海賊に扮して罠を張っていた四千のリジア海軍を相手に、少数の軍勢で勝利を収めた《皇国七聖》の軍師クロム。
その際に得た800名余りの捕虜を交渉材料とし、クロムは皇女ユースティナのお付きとして開戦の緊張高まるリジアとの会談に臨むことに。
しかし会談の直前、クロムは皇太子ダカットから急遽、不可能とも思える敵情視察を命じられてしまい!?
これ、タイトルこそ【グラウスタンディア皇国物語】になっているけれど、物語の焦点は皇国に留まらず、リジアやラトルグに散らばる群像劇となっているじゃないですか。クロムは皇国のキープレイヤーとして縦横に活躍する事になるんだけれど、むしろ主人公は後ろ盾のない無力な状態から兄の皇太子や国王に対して自分の理想を立脚していこうとしている皇女のユースティナや、軍官僚から嫌がらせを受けながらも自分だけの部隊を育てて行こうとしている騎士フィフニスのようにも見えるんですよね。一方で、リジア宗旨国家でも、ナターリアという貴族の指揮官将が、国政を主導する十二貴族の中で孤立しながら自分なりの道を模索し、ラトログ国では国政を壟断する宰相に対して、力を持たないながらも理想を持つ王女を補佐して、腹心たる若き俊英が臥薪嘗胆で主君を盛り立てようとしている。
少女たちの戦争……戦乱の時代の中で平和を求めて抗う少女たちの戦いが、表の戦争とはまた別の形で狼煙をあげようとしているのです。単なるグラウスタンディア皇国物語の一国の興亡記、戦争の勝敗の行方を追う物語ではなく、大陸全体の行く末を複数の焦点から導いていこうとする群像劇の様相を見せ始めているんですよね、これ。
同時に、人間の視点とはまた別の、超常の存在の世界への関与を感じさせる要素が各所に垣間見えてもいる。一人、クロムだけがリュリュというこれもまた超常の娘を伴うことで、それと対峙しているようにも見えるわけです。果たして、彼が本当に戦おうとしているのは一体何者なのか。グラウスタンディア皇国の王ジルバの背後にうごめくものとは。なぜクロムがユースティナを盛り立てて行こうとしているのかも、この事実から色々と伺うことも出来るんですよね。
とはいえ、まずは対処するべきは大軍をもって皇国に攻め込んできたリジアである。前哨戦である外交交渉は、クロムとユースティナの頑張りによって優勢を勝ち取ったものの、問答無用で大軍を送り込んできたリジア。
それも、漫然とした侵攻ではなく、その全貌が明らかになった時にはなかなかに唸らされた包囲圧殺作戦なんですよね、これ。凄まじく強引ではあるけれど、被害を鑑みなければ短期決戦狙いとしてはかなりの脅威。自軍を最初からすりつぶして構わない、という心持ちで来られるのって、迎撃する側からするとやっぱりキツいですわ。それが、兵力差からして圧倒的となると尚更であり、しかも初撃でいきなり首都を狙われたとなると。
この外線作戦に如何に対向するのか。幸いにして、敵軍の連携はラング騎兵隊の遅延作戦で乱れている上に、揚陸軍もユースティナの看破でまだ致命的な状態になる前に敵情を把握出来ている。さて、殆どクロムのお膳立てだけれど、ここから挽回の余地はまだ十分に残っていると言っていい。内戦作戦の粋が見れるかもしれないな、次回。
しかし、ユースティナ皇女はクロムに甘えること無く、自分で考え成長し続けてますねえ。あれでクロムって手取り足取りなんでもやってくれるわけじゃなく、自分でやれることはやりましょう、と案外責任ある仕事を放り投げてくる人なので、ユースティナも安穏としていられないのですが。肝心なときにはひょいひょいとフットワーク軽く来てくれる人ですけれど、結構スパルタですよ、クロムって。泣き言言わないユースティナなほんと、頑張り屋さんで健気だのう。
もう一人の少女主人公であるフィフニスも、かなり不当な待遇を受けながら、自分に与えられた権限に誠実に向き合うことで悪意を覆す真っ直ぐな力強さが、気持よかった。もっとへこたれてもいい状況だったと思うんですけどね、こんなに良い娘だったのか、と思ってしまうついつい応援したくなる騎士さまじゃないですか。クロムが手伝ってくれたとはいえ、ほぼ自力で自分の隊を創りだしてしまったんですから、大したものです。このままなら、立派に一軍の将に出世していきそうじゃないですか。
でも、本作で一番ヒロインしているのって、皇国の少女たちよりもむしろ、今回初登場のラトログ国の王女様なんじゃないでしょうか。レイリン姫と侍従のコウソンの二人が実に良いコンビで。ユースティナよりも厳しい立ち位置のレイリン姫が、僅かな忠臣、そしてコウソンという気鋭の才気迸る若者に支え守られ、国にはびこる腐敗と戦う、とかこの人が一番ヒロイン、お姫様プレイしてらっしゃるんですよね。コウソンも地位低いのに、クロムよりもなんか主人公してるっぽいし。こっちサイドも注目だなあ。

1巻感想

グラウスタンディア皇国物語 1 3   

グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 1】 内堀優一/鵜飼沙樹 HJ文庫

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皇国最強の切り札は――双剣使いの英雄軍師! 超王道カタルシスで刻むファンタジー戦記、始動!!

五年前、隣国リジアとの大戦を終結させた七人の英雄――《皇国七聖》。
その一人である双剣使いの青年軍師クロムは、主たる姫君ユースティナとの誓いを守り、再び開戦が迫った皇国の切り札として戦場の最前線へ舞い戻る!
武力と知略の両面で卓越した才能を発揮し、絶望的な戦況さえも鮮やかに覆す英雄軍師の活躍を描いたファンタジー戦記、開幕!!
大戦が終わった後、山奥に隠棲して俗世から離れた生活をしていたという、何とも浮世離れしたというか仙人めいた雰囲気のある経歴からはじまり、また登場してしばらくは生真面目な態度に徹していたので、あんまりおちゃらけたところのない、性格的に面白味のないタイプの主人公かと思っていたら油断した……(笑
大戦期、暇さえあれば読書に没頭していた姿が、当時まだ幼かった少女騎士フィフニスの憧れの記憶として残っており、彼女のクロムへの憧憬を形成する光景となっていたのだけれど、まさかその時黙々と読んでいた古書が……エロ本だったとは思うまいw
バレたからって開き直るな、このムッツリスケベ。いやいや、仙人どころか普通に助平な兄ちゃんじゃないですか、こいつ。本性がバレたあたりから、クロムの態度もなんだか飄々としてとらえどころのない食わせ者的なものになってきて、皮肉や図太い言動、身近な人達をからかって弄るような面も見えてきて、刺客的にも面白味ばっかりじゃないですか。
うむ、エロ本ネタは素晴らしかったな。あの一個だけで、とたんにすんごく親しみの湧く主人公になりましたよ。同じく、再会のシーンが結構重めな展開だっただけに、こちらも重苦しい雰囲気だったフィフニスも皇都に戻ってきたあたりから緊張が解けて素に戻ったからか、乙女的な思い込みの激しい妄想少女であることが発覚してしまい……ああわりと残念な娘だ(苦笑
しかしこのクロム、かなり悪辣というか口が立ち機先を制して現場の応急判断から外交交渉にはじまるグランドデザインに至るまで、状況の主導権を握り続けて自分で描いた図に世界を引きずり込むタイプの軍師にも見えるんだけれど、同時に双剣使いとしても際立った腕前を持ち、さらに器用貧乏的ではあるものの、あらゆる方面に手腕を見せる、とかなりの万能選手なんですが、結構性格が悪いというかイイ性格をしているのであんまり嫌味な感じはしないんですよね。これで性格までスマートで欠点なかったり、理想家や正義感たっぷりだと鼻につくものなんですが。やっぱり、軍師は腹黒でないとねえ。

ストーリー自体はオーソドックスな戦記モノ、と見せかけつつ、クロムの義妹であるリュリュの存在が微妙に違う色を見せてるんですよね。どうやら、人間の戦争の物語にとどまらない、神代と人の世の交錯が介在してきそうな予感。クロムたちの主人となるお姫様の勢力基盤がほぼ無いに等しく、現皇王と皇太子が能力的にも性格的にも存在的にもかなりヤバ目である、というのもなかなか面白い舞台設定なんじゃないでしょうか。平気であの国王に口出しして国政の現場にしゃしゃり出てくるクロムの図太さというか豪腕は、さり気なく凄いと思いました。逆に言うと、あそこでクロムにやらせる国王と皇太子も怖いなあと思うのですけれど。


内堀優一作品感想

吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 5 4   

吼える魔竜の捕喰作法5 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 5】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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終焉の竜が復活する時、タクトとシェッセの運命が流転する!!

竜伐騎士フューゴに深手を負わされ、王立魔法騎士団に捕縛されてしまったタクト。その姿を目撃したシェッセもまた、重要参考人として騎士団の手により幽閉されてしまう。なす術の無い状況下、それでも諦めず抗い続けるシェッセにもたらされた、三千年前の真実とは? 一方、王都では世界を滅ぼしかねない《終焉の竜》を巡る複数の謀略が動き出していた!
前世の因縁かあ。吃驚したんだけれど、この世界は転生という本来なら事実確認できない現象を、現実に起こる現象として事実確認できてるんだ。しかも、身体の中に転生を起こす器官があるという事まで認証済み。いやいや、身体に転生を起こす器官がある、という発想は初めてみたなあ。確かに、器官まで備わっているのなら、それは漠然とした宗教的観念の介在する余地のない厳然とした事実に過ぎないな。しかも、それが魔力に関わる器官となると、現在の魔力関連で大きな事情を抱えているタクトとシェッセの前世から続いている因縁にもダイレクトに繋がってくるわけで、前世ってあまりスポット当たってこなかったけれど、かなり練りこまれた設定だったんだ。
でも、それを今まで極力表に出さずに、純粋にタクトというシェッセという今の時代の人間同士の交流を熟成させていった事は良い方向性だったんでしょう。読んでいるこちらも、前世の二人の関係に意識が引っ張られず、前世と今をちゃんと分けて捉えられるようになってましたし。ラブラブでアツアツ、という目も当てられないほどのカップルという意味では前世の二人も今世の二人も一緒ですけれど、今のシェッセがタクトを好きになったのに前世はなんにも関係ない、というのが心の底から信じられますから。そして、前世の記憶を取り戻した二人が、それでも前世に引きずられずにただのタクトとシェッセとして、お互いを大好きでいられることに何の疑いもわきません。にしても、シェッセの「だいすき」は攻撃力が必殺すぎますて。ええい、可愛いのう、可愛いのう。
一方で、前世の聖女と竜人の伝説にある二人の顛末も、また切なくて心締め付けられるような悲恋でした。たとえ、同じ魂を持つ他人同士でも、今世でタクトとシェッセという形で改めて結ばれた事がせめてもの救い。それに、彼らの唯一の家族だったあの機械人形。生き残った彼が、三千年の時の果てにナギの転生であるタクトを見つけた時の心境は如何許のものだったのでしょう。前巻では、タクトとその育ての親という観点でのみ感動した二人の物語でしたけれど、改めて三千年前の真実を知るとまた違った感慨が溢れて来ました。
そんな、三千年前と現在を精一杯生きている二人に対して、完全に前世に引きずられ飲み込まれてしまったアステイリアは哀れです。この人は、前世でも今世でもちゃんと生きることに背を向けて、妄念に縛られてしまったことが哀れでなりません。ヤッたことは憎々しいことばかりなんですけどね。
そしてもう一人、余りにも遠くを見過ぎ、正しく在りすぎたウィリー・ウォーレン。まさに世界の為を思えば、彼のやろうとしたことは間違いではないんでしょうけれど、失敗したらその思惑が叶うどころか現状も維持できず全部台無しになってしまっていた事を思うと、いくらなんでも足元見なさすぎだ! と思わずには居られない。これって完全に一か八かじゃないですか。竜の被害は確かに大変だけれど、竜伐騎士も居るわけでそこまで世界的に切羽詰まって滅び掛かっているわけでもなく、そこそこ安定軌道に乗っている事を思えば、彼の賭けは迷惑千万と言っても良かった気がします。保守的というなかれ。信念こそ評価しますけれど、それは方向性こそ違え、質的にはアステイリアとさして変わらないものだったのではないでしょうか。彼と違って、幾らでも後戻りできたとは考えられるので、この結末は心苦しいものでしたけれど。

しかし、この世界、肉屋が強すぎだろうw タクトだけが強いんじゃなくて、爺さん含めて肉屋全員が竜伐騎士並って、そりゃ他の竜伐騎士もテンション上がるわ(笑
最後は見事な大団円。ボクっ子にも関わらず、非常に可憐で可愛らしいヒロインが素敵な恋をして結ばれる、全力で応援したくなるような壮大にして掌の上に乗るかのような愛らしいラブストーリーでした。これほど、お味噌汁が似合うヒロインもなかなか居ないですよ。お幸せに〜〜。

シリーズ感想

吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 44   

吼える魔竜の捕喰作法 4 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 4】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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とある任務中のアクシデントにより、身体が10歳程度に退行してしまったシェッセ。
それでも何とか肉屋のバイトに復帰した矢先、肉屋フランシーヌに一通の手紙が届く。それはタクトの親代わりにも等しい存在である《師匠》に関連する知らせだった!!

「お前についてきて欲しい」

タクトに言われたシェッセは、小さな身体のまま彼の旅に同行するのだが――。
なに? 幼女枠はリュカがもういるじゃないか、だと!?

シェッセのそれは別腹です!

というわけで、年齢退行魔法を喰らってしまい子供の姿になってしまったシェッセ。出会う人出会う人全員から愛でられ、可愛がられまくるのだけれど、仕方ないよ。だって可愛いんだもん! 反則的に可愛いんだもん!!
元々ボクっ子のくせに性格的にも非常に可愛らしい女性だっただけに、それが子供化してしまうと、ひたむきに頑張る姿が実にこう……頭を撫でてあげたくなる可愛らしさで、正直たまらん!
あのクールビューティーなカティナさんが、シェッセを抱っこして夢中になって頭を撫でてる姿には思いっきり吹いてしまいましたが。あんた、その娘親友でしょうに。友達相手になに萌えまくってるんですか。普段は生真面目なくらいの人なのに、壊れてる壊れてる。
まあ、常からシェッセを目の敵にしているターニャまで、コロッと行っちゃってるんだから仕方ないよなあ、うんうん。リュカが小さくなったシェッセを前にして、突然お姉さんぶりだしたのも、それはそれでまた可愛らしかったんですが。
まあ、童女と化してもそんなに態度が変わらなかったのは、タクトくらいなのですが、最近のタクトとシェッセはもういい雰囲気を通り越して、なんだか見ていて赤面してしまうくらいの初々しい熱々さを醸し出していたので、その態度が変わらないとなると、いい年をした男が10歳くらいの童女と熱々の空気をまき散らしている、といういささか犯罪的な絵面になってしまっていて、大変危険であるw
「いや、まっとうな成人男性が真夜中に女児と、子供何人作るって会話をしている。というこのシチュエーションは、一介の騎士として逮捕するべきか悩むところだ」
カティナさん、逮捕です、逮捕。
なんというしっかり幸せ家族計画w
「かかか、カティナもこっちに来て、一緒に話そうよ、ね!」
「……ごめん、無理。さすがに、そこに入るのは、無理。かんべんしてください。お腹一杯なんです! 甘くて胸焼けです」
カティナさん、だからキャラだいぶ変わってますってw
逆に言うと、カティナのキャラが変わらざるをえないほどの、凄まじい甘々っぷりだったというわけですね、わかります。

とまあ、今回災難だったのか何なのか、いろいろ大変だったカティナさんですが、ようやく彼女の背景が明らかに。以前から、彼女の動向には微妙な違和感があったんですよね。そこはかとなく、後ろ暗いところがあるような、他人に言えない秘密を抱えているような。シェッセにも明かさずに、どこか影を抱えているような様子から、最初の頃はカティナが黒幕、或いは敵側の隠密、という可能性もわりと真剣に考えていたのですが、最近はどうも敵サイドではなさそうだなあ、と首を傾げていたわけですが、なるほど彼女にはそういう背景があったのか。
超エリートであるカティナが、単なる友情という以上にシェッセに対して肩入れ、ないし感情移入している素振りがあったのは、魔法が使えず不遇を託つシェッセに対して、ある種の共感みたいなものがあったのかもしれないなあ。ともあれ、彼女がちゃんと今まで見てきた通りの、或いはそれ以上にまっすぐで誇り高い人物とわかってホッとした。
一方で、肝心要のタクトの過去もついに明らかに。今でこそ飄々と日々を過ごしてますけれど、タクトって現代日本から異世界に放り込まれた系の主人公としては、かなり最低最悪の部類の経歴の持ち主じゃないですか。いや、本作の主人公はどちらかと言うとシェッセの方なんだけれど。いずれにしても、これは酷い、というかエグい。まだ右も左もわからないほんの子供の頃に、何の案内もなく異世界に一人で放り出されて放置され、拾ってくれた相手は残虐非道な盗賊団。師匠に助けられるまで、奴隷同然に扱われ、傷つけられてきたってんだから、これはキツいなんてもんじゃないですよ。
そんな彼を身も心も救い、異邦人という孤独からも救ってくれた師匠。その師匠とも非業の別れを経てしまいながら、よくぞまあここまで立派に育ったもんです。一端の、きちんとした大人だもんなあ。
それだけ辛い思いをしてきたなら、もうあとは幸せになってもいいはずなのに。家族とも呼べる人たちと出会い、今またシェッセという大切に思える人と出会ったのだから、あとは幸せになるだけでよかったはずなのに。
彼に課せられた運命は、未だそれを許してはくれないわけだ。
ラストの子供みたいに泣きじゃくるシェッセの姿があまりにも悲痛すぎて、胸が痛い。ほんと、なんとかしてあげてください……。

内堀優一作品感想

ラブコメ圏外 4   

ラブコメ圏外 (HJ文庫)

【ラブコメ圏外】 内堀優一/かわいそうな子 HJ文庫

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普通の高校生になる方法=ラブコメを発生させること!?

「普通の高校生の共通点……それは、ラブコメをするということだ! 」
過去の自分に別れを告げ、普通の高校生デビューを狙う井口銀次朗。
そんな彼は同じクラスの真宮久奈が自分と似た野望の持ち主と知り、ならばと一緒に普通の高校生になるための方法を検討。
そこに転校生の美少女を巻き込んだ結果、銀次朗たちはラブコメ発生を目指すことに!?
再序盤だけいまいちテンポが悪かったのだけれど、カラオケの場面を過ぎてから、銀次朗と久奈がお互いの正体を察して腹を割った話し合いを交わしたところから、完全にブレイク。もう、こっから最後まで自分、ずーーーっと笑いっぱなしでした。冗談抜きでずっとケタケタ笑ってましたから。いやあ、面白れえぇ!! 誰もツッコミが居ないから、ボケにボケを重ねた挙句ボケたまんま突っ走っていくので、誰かこいつら止めろ状態。内部はダメでも外部なら、と本来なら微妙な空気とか雰囲気ですっとぼけた主人公たちを掣肘してくれそうな立場にあるはずの周りのクラスメイト達が……むしろコイツラが一番暴走を煽ってんじゃないのか、というくらいにノリが良すぎる。あかん、このクラスメイトたちが面白すぎる(爆笑
そもそも、【ラブコメ圏外】というタイトルからして題名詐称である。もう突端から圏内ですから! 凄く圏内ですから!!
今までの過去の自分から脱却し、普通の高校生になろう、と志すのはいいのですが、銀次朗にしても久奈にしてもまず普通の高校生なるものの定義からして理解していなかったので、高校デビューの段階で既に足を踏み外し、密かにクラスメイトたちからは注目、或いは畏敬の的になっているという有様(当人たちは自覚なし)。その上で、お互い全然普通じゃないからっ! と指摘し合った所で、じゃあ普通の高校生ってなんだ? と応談した結果導き出された答えが……自らを普通の主人公と称して揺るがないギャルゲの主人公みたいな高校生を目指そう! と間違いまくった結論にたどり着いて悦に浸る銀次郎と久奈。この時点で大いに外しまくっているわけだけれど、恐るべきことにこの二人の置かれた環境は、その結論に辿り着いた時点で既に目指しているギャルゲの主人公とヒロイン的な普通の高校生そのものなんですよね。
目標を設定した時点で既に目標を達成してゴールを通り過ぎてしまっているにも関わらず、その事実に気づかないまま更に突貫を続けるこやつらは、いったい何処へ向かってしまっているのか。どこまで行こうとしているのか。誰もこのボケ倒しをツッコまないので、やめられない止まらない。
その上、美人な転校生の到来である。完全に世界はラブコメ時空に突入しているにも関わらず、自分たちが既に普通の高校生のゴールテープをとっくの昔に切って通り過ぎてしまっている事に気がついていない銀ちゃんは、このイベントの意味も思いっきり履き違えた挙句に、クラス纏めて変な方向に。いや。このエピソードで解ったんだけれど、このクラスメイト達、めっちゃ良い奴らだわ。おまいら、まだ高校生になって初めて顔をあわせてなんぼも時間経っていないのに、息合い過ぎw いや、でも気持ちいい奴らですわ。
肝心の転校生は、まさかの方言少女。博多弁きたーー!! しかも、博多の人にすら伝わらない博多弁きたーー!! この子がまた、わりと良識人にもかかわらず天然がこじれていて、肝心の所で同じようにボケ倒してくれるお陰で、やっぱりツッコミ不在のまま混迷を深めていく普通の高校生を志向する会の面々。
うん、ここで部活を作ろう、という定番の流れになるのはよく分かる。よくわかるんだ。まずそれはありだよね。そうしないと始まらないし……。

部活作ろうとしてガチで失敗したのは初めて見たわ!!

そして、本作で特筆すべきは、まず何よりもあの担任の先生でありましょう。七浜小夏先生、通称【フェアリー】。
……マジで本物の妖精さんだ、この人w
妖精さんは、妖精さんは実在したんだよ、此処に現実に実在したんだよ! UMAなんかじゃなかったんだ。写真を、証拠写真を撮るのだ。撮っても映らなさそうだけど! よし、餌付けしてみよう。何を食べるんだろう。あれか? 花の蜜とかか? 加工食品は絶対食べられなさそうだな。お肉も無理だな。甘いもの、甘いもの。
……先生ですよ?
よくまあ妖精さんが先生なんか出来るなあ、と思うところだけれど、妖精さんの見える純真な生徒さんたちが全力でサポートしているので、万事大丈夫なのであります。なにこの自主的ネバーランドw

作者の内堀さんが現在手がけているもう一つのシリーズ。【吼える魔竜の捕喰作法】の方でも、現在ヒロインの娘がそれはもう甘酸っぱくて仕方のない素敵な恋をしている真っ最中、デビュー作のシリーズでもなかなかに乙女心が迸っている恋模様が描かれていたので、内堀さんがラブコメ描いたらかなり素晴らしいのが出来るんじゃないのか、と思ってましたし実際言及したこともあるのですが……いや、まだまだ全然見縊ってました。正直、ここまで笑えるノリノリでテンポの良い会話劇主体のラブコメを描かれるとは、あったくもって御見逸れしました。
久奈が芸能界を引退したきっかけと銀次朗との関係など、まだまだ掘り下げていけるところはたくさんありますし、もにょもにょっとなっている久奈の本当の気持が見え隠れしている部分など、ニマニマが留まるところを知らず、さらにラブコメ深度が深まっていく要素はこれでもかと詰まっているので、これはぜひ続編続けて欲しいですね。なんか、ラストではおよよ!? と思うような意外な展開が待っていましたし。正直、この作者さんは片方鈍感で片思いの空回りをしているよりも、お互い顔を突き合わせて赤面しあうような甘酸っぱいタイプのラブコメが絶妙な人だと思っているので、このラストの展開を大事にしてくれたら、とびっきりのが出てきそうで、滅茶苦茶楽しみですよ、はい。
繰り返しになりますが、どうもかなり笑いのツボに入ったみたいで、途中から最後まで笑いっぱなしでした。最高。面白かったです、オススメ。

吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 34   

吼える魔竜の捕喰作法3 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 3】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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リュカの祖父とクーミエの祖父が、長い竜狩りの旅から帰ってきた!
久しぶりの再会に喜ぶ肉屋一同。
そんな中、タクトとクーミエの仲を進展させたいクーミエの祖父から、二人をデートさせるための協力を頼まれてしまったシェッセ。
断る理由が無いため引き受けてしまうが、その胸中には今まで感じたことのないモヤモヤが渦巻きはじめ――?
甘酸っぺーーー!!
カティナがキャラ壊してまで叫んじゃうのもよく分かる。甘酸っぺーーー!! 甘酸っぺーーー!!
シェッセ、どうしてそこまで具体的に自分の気持を表現しておきながら、それが恋心だと気づかないんだ!! 計算式の過程の部分は完璧に導き出せているのに、なぜか=の先、答えだけが出てこないといった感じで、回りからしたらモドカシイやら微笑ましいやら。
これ、惚気てたり気づかないふりをしてたりしているわけじゃ絶対に無いんですよね。ほんとにピュアな娘なんだよなあ、シェッセって。こんなピュアなボクっ子が居ていいんだろうか。
この娘の凄い所は、そうした自分の中の理解できないモヤモヤした気持ちが何なのか、まあ友人でもあるカティアに相談するのはまだイイとして、この娘、この相談をそれこそ当事者であり、その気持の相手でもあるタクト本人に素直に相談しちゃうところなんですよね。
それこそ微細にどう聞いても貴方にLOVEしちゃってます! という精神的な症状を列挙した上で、これって原因なんだと思う? と真剣かつ純真無垢な目で小首を傾げられちゃったりしたら……タクトもあとには引けんでしょうこれ(笑
幸いにして、タクトの方もシェッセを純粋に女の子として好ましく思っていたようなので、恥ずかしさはあっても渡りに船だったのかもしれない。クーミエなどの他の親しい女性にはキッチリとそれは親愛であって恋愛ではないと区別してたようですし。
ラストのやり取りなんて、あれタクトの台詞、告白そのものと思ってもいいんじゃないのか? シェッセが可愛すぎて目立たないけど、結構凄いこと言ってるぞ。

とは言え、二人の甘酸っぱい恋模様がそのまま余人に関係のないプライベートのことで済むのなら誰もが幸せで居られたのだろうけれど、二人には過去の神話の因縁が纏わりついている。今のところは表に出ていないけれど、裏で色々な思惑が動くと同時に、シェッセ自身の中でも目覚めつつあるものがある。となると、彼女の恋の自覚は幸せな時間の始まりであると同時に、またぞろこのボクっ娘を苦しめる由縁になるんだろうなあ。本当に良い子なだけに、哀しい想いだけはしないでほしいなあ。
幸いにしてこの子の周りには、親身になって心配してくれる良い人たちが揃っているので、孤立無援にはならないと思いたいところだけれど……微妙に不安なのが、カティアが上司の切れ者参謀と密談していた時のウォーレンが最後のカティアに問いかけた出自に関する質問なんですよね。あれ、どういう意味合いが篭められてたんだろう。

しかし、竜退治の方はガチでリアルモンハンになってきたなあ。モンハンやったこと無いんで適当言ってますがw 今回の竜はコンセプト自体が捻ってて面白かったなあ。ああいう特殊な生態って、妙な生々しい動物!って感じの感触があって好きなんですよねえ。

1巻 2巻感想

吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 2 4   

吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア)2 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法(バルバクア) 2】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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ただ倒すためでなく、美味しく食べるためにドラゴンを狩る肉屋の青年タクト。謎多き彼の身辺調査任務についた騎士の少女シェッセは、すっかり肉屋の一員として、タクトたちと過ごすことが楽しくなっていた。
そんな折、シェッセはタクトと一緒に泊りがけでドラゴン狩りへと出かけることになるのだが、そこでリュカの秘密を知ることになり――。
なにこれ面白い!? 作品の雰囲気は一巻のそれから全然変わっていないにも関わらず、作品のジャンルというかスタイルというか、主眼とする部分がガラッと変化していて驚いた。いやはや、これは驚いた。でも、雰囲気は一緒だから、一巻とはまるで別の作品じゃん! という訳ではまるで無いのが実に面白い! 一巻はシェッセという、立場的には完全にヒロインポジの女の子を主人公にして、本来主人公的な存在であるタクトを相方に回すことで、普通のファンタジーとはちょっとだけ位置をズラした面白い視点で描かれた成長譚だったんですが、あくまで主体は竜を倒すぜー、なファンタジーでした。倒した竜を美味しく食べるよー、というか美味しく食べるために上手いこと竜を倒すよー、な設定はそれはそれで珍しく面白いところだったんですけれど、正直物語の中のウェイトとしては味付けくらいの印象だったんですよね。竜を食べる、しかも美味しいと言われてもどうしてもゲテモノ食材的なイメージがつきまといますし。
だから、この「食べる」という部分はタクトが肉屋であり、さらにリュカの秘密がある以上、物語の要素として必要不可欠ではあっても、特に重要視する部分じゃないんだろう、と意識もしていなかったんですが……。
二巻読んで、驚きましたよ。
く、喰いラノベになってる!?
いやもう、びっくりするくらいに食事シーンがやたら多い。かなりのウェイトが、収穫、食材見聞、下拵え、調理、実食、ごちそうさま、に占められている。その上、本作の特色である「竜を食べる」には拘らず、むしろタクトの日本食文化の方に焦点を当てつつ、食材も一般人が扱うようなものを使っての普段の食事、普通の食卓に描写を傾けているのだ。
そして何より、これがめちゃくちゃ美味しそうなんだわ。食事シーンが見てる読んでるこっちまでお腹が減るほど美味しそうな作品は名作、というのはジャンルを問わずに共通する話だと思うけれど、それに当てはめるなら本作は実にお腹が空く良作でした。豪華で特別な料理ではなく、旅の空での簡素な食事だったり家庭料理だったいするのに美味しそうなのが肝だよなあ。
一巻ではここまで食事シーンに力は入れてなかったと思うんだけれど、この方向へのハンドル切りは大英断じゃなかろうか。飯食いシーンが美味しそうな本って、結構何度も読み返してしまう所があるし。

と、そんなお食事パートの濃さを踏まえた上で、一緒の屋根の下、同じ食卓、同じ厨房、同じ野営地で一緒に買い物し、或いは野で食材を収穫し、一緒に調理し、一緒に食べてるシェッセとタクトがもう完全に新婚の若夫婦です(笑
もはや、イチャイチャを通り越して御似合いすぎるw まだイチャイチャするにも至っていないんだけれど、その辺すっ飛ばして馴染んじゃってるよなあ。
面白いのは、リュカの存在がいい味付けになっているというところ。一巻の段階ではこの娘って、タクトの相棒でありシェッセと張りあうヒロインなのかと思ってたんですけれど、そうじゃなかったんですね。この巻を読むと、リュカは人間としては自立していても、女性として立脚する以前の子供、童女だというのがよく分かる。そして、タクトはリュカの相棒ではあるものの、むしろ保護者というウェイトの方が重く、更にいうと兄貴よりも若い父親って感じなんですよね。そうして振り返ってみると、タクトとシェッセとリュカの関係は子連れの若い男とその後妻に入った少女、というスタンスに落ち着くわけですよ。

なにこれ萌える

そういえば、リュカって最初はシェッセと微妙に距離を置いて、なかなか心を開いてくれませんでしたけれど、あれって新しいお母さんと子供の関係としてみたら、なかなか滾るものがある。シェッセがリュカと仲良くしようとあれこれ手を尽くしていたのも、また違って見えてきますし。
てっきり姉と妹くらいの関係になるんかと思ってたんだけれど、リュカが踊っているのを見てキュンとなったり、リュカを膝の上に載せて一緒に御飯食べたりしているシーン見てたら、確かに友達とか姉妹よりも母子と言った方が似合うんですよね。
僕っ娘お母さんですよ。なにこれ萌える。
リュカもリュカで可愛いんですよね。健気で子供らしい献身さにあふれている。あの幼稚園でのお遊戯めいた踊りと歌は、確かに鼻血レベル。あれは可愛すぎるよ、録画しないとまずいですよ。親がカメラ持って七転八倒するのもアレはよく分かる、うん。
その上で、連れ子らしい遠慮と配慮、そしてタクトとシェッセへの感謝と好意がリュカからはひしひしと伝わってくる。いや、連れ子じゃないんですけどね、別に! ただ、当てはめると実に似合うんだよなあ、うんうん。

そして、シェッセである。もうこの娘、文句なしに可愛いわ。なにこのかわいいボクっ娘、最強だろ。なんか語りだすと、此処が可愛いよシェッセさん論で延々と終わらなくなりそうなのでやめときますけど、こんな子に毎日味噌汁作るよ! と言われたタクトはもう命賭けろよな、おい。

さて、その本来なら主人公格にあるタクトなのですが……こいつ、てっきり異世界人、現代日本から召喚でもされた奴なんだと思ってたんですが……予想と微妙に違っていて、ちと見る目変わった。
そうかー、そうだったのか。明確な自我が確立する前だったとしたら、アイデンティティも曖昧になるわなあ。だからこそ、彼の師匠は同化させるのではなく、拠り所となるものを彼に与えたわけだ。ただ、それは彼に安定をもたらしたのだとしても、潜在的に自分が居場所のない異邦人、心の奥に帰りたい場所を刻んだまま取り残された稀人であり続けることを決定づける事にもなってしまっている。幼かったが故、だなこれ。タクトが最初の予想通り、召喚されたのが最近で既に大人だったとしたら、このあたりは明確な意思の上で処理される問題なんだろうけれど、小さい頃にこれだと無意識レベル、在り方の根源に基づいちゃうから、なかなか自分の意思や精神力とかでは儘ならない。
だからこそ、シェッセの味噌汁は思いの外重要なポイントだったんじゃないだろうか。マレビトであるタクトの「ホーム」に、帰る場所になれると彼女は示したわけですから。
もうマジであれがプロポーズでもいいんじゃね?

とまあ、今回は二人の、いやリュカも含めて三人の関係を進展、というか在るべき形を整えるようなお話でしたけれど、ひたすら家庭的な方向に突っ走っているシェッセの想いとは裏腹に、彼女の「運命」は着々と鎌首をもたげてきている。竜伐騎士の兄ちゃんたち、どうも既に色々と知ってるっぽいなあ。
なんかもう、この家族の形を壊されるのは本当に嫌なので、なんとかシェッセとタクトには頑張って欲しい。そして、シェッセの実家訪問もタクトには頑張って欲しいな、うんw
超親ばかっぽいシェッセの親父さんだけれど、案外タクトと意気投合しそうな気もするんだよなあ。いずれにしても、面白くなってきたという以上に、このキャラクターたちが好きになってきた。次回が楽しみです。

1巻感想

吼える魔竜の捕喰作法3   

吼える魔竜の捕喰作法 (HJ文庫)

【吼える魔竜の捕喰作法】 内堀優一/真琉樹 HJ文庫

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国を守護する《魔法騎士団》を易々と蹴散らす巨大な竜。しかしそれは、一人の青年によってあっさりと倒された。あまりに強すぎるその男・タクトの正体は――皆が畏怖する竜を狩り、その肉を美味しく食べてしまう《下町の肉屋》だった! そんな彼に丸め込まれ、肉屋でバイトをさせられることになった劣等騎士の少女・シェッセの運命やいかに!?
はい、ボクっ娘きましたーー! しかも、男勝りだったりイケメンだったり、ボーイッシュだったりするボクっ娘ではなく、むしろ逆に可憐で素直で庇護欲をかきたてるタイプの実に女の子らしい女の子なボクっ娘である。ボーイッシュなタイプのボクっ娘も嫌いじゃないんですけれど、私はこういう女の子らしいボクっ娘も大好きなんですよ、うん。ツボったツボった。
この作品の面白いところは、そんなヒロインであるところのシェッセを主人公に据えたところでしょう。実のところキャラの配置だけ見ると、タクトが主人公で周りに様々なタイプの女性陣が集っているという典型的なスタイルなんですよね。タクトの竜狩りの相棒である無口な小動物タイプのリュカ。肉屋の主人でタクトの雇い主である変態のクーミエ。そして魔法騎士団のエリートで文武両道の才女であるカティア。そして、とある理由から落ちこぼれ扱いされているものの、努力家で性根の真っ直ぐなシェッセ。と、こんな感じでヒロインの配置は常道を歩んでいる。のですが、主人公であり視点の主である人物をタクトではなく、シェッセにしているために、物語の見える景色がぐるんと大きく変わってくるのである。さらに、シェッセが主人公になることで、リュカやカティアといったほかのヒロインたちとの人間関係もタクトではなくシェッセが中心になるために、タクトを介するのではなくみんなシェッセとダイレクトに友情を育んでいくことになるんですね。そして、タクトが教導役を担うことで、ある制約を課せられ不当な扱いを受けながらも、コンプレックスに負けずに努力を続けていたシェッセの閉ざされていた道が開かれていく、という成長物語にもなっている。
素直で純粋で、でも負けず嫌いで弱音を吐かずに歯を食いしばって頑張っている子が、きちんと報われる成長物語って、それだけで素敵じゃないですか。一生懸命過ぎて笑顔を浮かべる余裕もなかった娘が、新しい触れ合いから自然に笑えるようになる話って、それだけで素晴らしいじゃないですか。
タクトって、主人公格としては最近珍しいくらいの野生的なマッチョ系なんですが、こういう配役だと頼もしい限りですよね。生真面目なシェッセをからかうのも、やりすぎて叱られるのも、良い意味で息抜きになっていますし。

とはいえ、それだけのシェッセの成長物語、というわけでもないんですよね。主人公でありながら、ちゃんとシェッセはお姫様的なヒロインとしての役割も、物語の本筋の方で割り振られている節がある。彼女の才能が開花していくことは、同時に神話として伝わり、この異世界における信仰となっている伝承に直接関わってくる、というスケールの大きな話に繋がっているのである。どうやらタクトは、既に真実を概ね承知した上で行動しているようですし、その意味でも主人公には成り得なかったのかな。全部知っているということは、物語の方向を決定づけるであろう大きな選択を前にした決断や決意を担うのではなく、主人公に託す立場にあるわけですし。
実際、冒頭に記されている神話と、ラスト近辺で匂わされた神話とは異なる真実を照らしあわせてみると、どう見てもシェッセが選択を迫られる状況ですし。

デビュー作が現代劇ということで、ファンタジーに移ってどうなることかと思いましたが、相変わらず人間関係の微妙な揺らめきの妙は変わることなく、さらに女主人公というのが思いの外ハマった感もあり、新シリーズとしては良いスタートを切れたのではないでしょうか。ここからどれだけ大風呂敷を広げていけるか、楽しみにしたいと思います。

内堀優一作品感想

笑わない科学者と神解きの魔法使い4   

笑わない科学者と神解きの魔法使い (HJ文庫 う)

【笑わない科学者と神解きの魔法使い】 内堀優一/百円ライター HJ文庫

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 bk1

物理を修める学生・耕介は魔法使いの女の子・咲耶との同居生活で思わぬ難問「年頃の女の子の服装について」に直面する。新しい服を買いに町へ出た二人は、そこで非科学的な連続落雷現象と遭遇。その謎を解き明かす為、耕介は『咲耶の友達』磐長媛との危険な接触を決意するが……。知識と閃きで運命の呪縛から少女を守りぬく、物理と魔法の化学反応ファンタジー!!

他者を知ろうとする、他者を理解しようとするということは、すなわち他者を受け入れ、他者を尊重することである。
表情がなく感情表現も抑揚のない彼―大倉耕介がその人間関係が希薄そうな表面的な人となりとは裏腹に、多くの人から信頼と親愛を得ているのは、やはり彼のそうした部分が大きいのだろう。
彼は誤解も偏見も独り合点もなく、相対する人を理解しようと常に努力を欠かさず、相手がどんな人間であろうと尊重し、対等であろうとしてくれる。
人間は多かれ少なかれ、自分というのもを理解して欲しいと願う生き物だ。自分のエゴを押し付けず、そのままの形で受け入れてくれる相手に、心を許さないのは難しい。
今回出てきた耕介の知人、友人に様々なタイプの人間が居たことからも、彼がある種の人たらしであることを示しているのではないだろうか。
もっとも、女性関係に関してはあまり広い交友があるわけではないようだけれど。耕介は、女性が男性に求めるある種の幻想を、まったく許してくれないタイプだからなあ。気安い、お手軽な関係を維持しにくいタイプでもあるし。須崎の同僚の瀬名さんみたいに、耕介に何かを求める必要のない立場にある人や、あすみや咲耶のように彼が与えてくれるとてつもない総量の安心を受け止める意志がある子なら別ですが。
とはいえ、あすみが、耕介への感情に一生懸命一線を引こうと頑張っている理由にも、その一端が介在しているように思える。結局のところ、彼女は耕介から得ているものが大きすぎて、それを恋愛感情という単純な枠組みに押し込めて矮小化したくない、と思い込んでいるんでしょうな。もしくは、多々ある耕介への想いに指向性を与えることを恐れているか。理性的であり論理的な人間である耕介に、感情だけの生き物になって一方的にそれを押し付けてしまう羽目になるのは、ひどく情けなく思えるのかもしれない。不器用なあすみらしい考え方だ。悪い意味で、大人になってしまっている。この点、素直な咲耶はお得である。子供の特権と言えるのかもしれないけれど、子供云々というよりも取り返しが付かないまでにひねくれる直前に、耕介と出会い、大人の青年である耕介から子供扱いされず、一個の人間として尊重され対等に扱われたことが、今の彼女を形作っていると言えるのかもしれない。
あすみは、もう少しワガママになってもいいのだろうにね。

一方で、もう一人、ひねくれてしまった女性が耕介の前に現れる。磐長姫だ。咲耶としか交流できない孤独の中に三千年もの間逼塞していた彼女にとって、ごく平静に自分をただの人間として等身大に見る耕介という人間の思考は想像の埒外にあったはず。今は感情的な反発に引きずられているが、嫌悪でアレなんであれ、耕介は磐長姫の中で咲耶にちょっかいを出している邪魔者、という認識から直接自分自身に関係する無視できない存在となったようだ。
今はまだ邂逅しただけの関係だけれど、思わぬところから第三極が現れてきたものだ。こりゃあ、あすみもうだうだとやってられないぞ、などと要らぬ心配をしたくなるところだけれど、あすみの性格からして、磐長姫もまた猫可愛がりしそうなんだよな。ある意味、あすみご満悦の三角関係になってしまうのかもしれない。妙なところで満足しないでくださいよ、あすみさん。

1巻感想

笑わない科学者と時詠みの魔法使い4   

笑わない科学者と時詠みの魔法使い (HJ文庫)

【笑わない科学者と時詠みの魔法使い】 内堀優一/百円ライター HJ文庫

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 bk1

「一言でいうなら魔法使いですかね」そんな言葉と共に、物理学を修める学生・大倉耕介が教授から託されたのは、咲耶と名乗る女の子だった。謎の儀式『時詠みの追難』をめぐり、命の危機に晒されていた咲耶。耕介は論理的思考を積み重ね、彼女を守る最適解にたどりつけるのか!? 
物理と魔法が手を結ぶ化学反応ファンタジーを観測せよ!!


魔法と物理科学、相反する二つの要素に対して、それぞれのエキスパート――魔法使いと科学者はどういうスタンスで挑むのか。
普通ならばそれはまず反発と否定から始まるケースが多いのだろうが、この物語の主人公である大倉耕介は自分が学ぶ物理法則と真っ向から対立するであろう魔法というモノを、否定もせず信仰もせず、フラットに受け入れるのである。
未知の要素に対して、何らの憶測も予断も挟まず、そのあるがままを知ろうとするのだ。その知識欲は貪欲であると同時に人間として最大に近いであろう柔軟さと言えるだろう。その姿勢はまさに科学者の鑑と言える。
そして、彼の柔軟な器は、魔法という概念だけではなく、自分の運命に萎縮しきった魔法使いの少女そのものをも、何の予断も偏見もなく、その在るが儘に受け入れるのだ。
その優しくも論理的な受容性は、萎縮し警戒心をむき出しにしている少女の心を解きほぐし、自身に課せられた運命を知ってからやすらぐことのなかった少女に、包まれるような安らぎを与えてくれるのである。
もちろん、その大樹のような受容性は魔法使いの少女にだけ適応されているわけではない。過去の事件から感情を面に出すことができなくなり、無機質な無表情を鉄仮面のように張り付けている耕介の、その表層からは見えてこない彼の本質に近づいた者は、男女の頚木なく彼に惹かれて行くのだ。探偵の須崎しかり、高校時代の同級生であるあすみしかり。
特にあすみなどは、耕介という存在の与えてくれる安心感のあまりの大きさに、家の事情があり考えないようにしていたとはいえ、耕介のことを異性として意識している自分のことを、同様の境遇に置かれた魔法使いの少女咲耶とお互いの気持を照らし合わせるまで、気づくことすら出来なかったくらいだ。

そんな彼の特異性は、やはり表情が無い、というところにあるのだろう。彼は感情を表に出すことが全く出来ない。が、それ故なのか彼は自分に対しても他人に対しても自分の感情、思いや気持ちというものを全く偽ることをしないのだ。
面白いことに、感情を自由に表に出せる咲耶やあすみたちの方が、表に出している表情を偽っている。咲耶は必死にしかめ面を貼りつけて、自分の中の弱くて泣きそうな表情を隠している。あすみはふにゃりとした柔らかい笑顔を決して崩そうとせず、その裏で浮かべている苦しくて泣きそうな表情を見せようとはしない。
真実の感情が表にでないのなら、無表情と何の違いがあるのだろう。むしろ、無機質な無表情の方が、嘘も偽りもないという意味では真実に近いのかも知れない。
そして、そんな偽りの表情を、表情を持たない耕介は決して見誤らないのだ。嘘の表情の裏にある、泣いている彼女たちの本当の表情を、彼は決して見逃さない。
その上で訪ねるのだ。
おまえは、どうしたい?

この主人公の、最も敬するべきところは、まさに此処なのだろう。彼は、絶対に相手の意志を無視しない。彼は、人と人が真の意味で理解し合えないのを理解している。人が、言葉や態度でしかものを伝えられな不便な生き物だと理解している。他人の気持ちなど、勝手に想像して決めつけても、それが正しいかはワカラナイと知っている。
それゆえに彼は勝手に判断しない。
それは、魔法という未知を否定も拒絶もせず、偏見も抱かず、予断も挟まず、その存在を受け入れた事とダイレクトにつながってくる。
彼は偏見を抱かず、予断を挟まず、憶測にかまけない。彼は、常に純粋に知ろうとしているだけなのだ。

そして、彼は大切な存在が苦しんでいると、泣いていると、予断でも憶測でもなく、事実として知ったが最後、自分の為せるあらゆる全力を振り絞ることを厭わない。
本当に、なりふり構わない。
まったく、偉大で、敬意を抱かずにはいられない主人公さまである。

ちょーっち、咲耶と耕介たちが打ち解ける期間が短すぎたのが気になったけど。殆ど一日で、というのはさすがに早いよ(笑
三人の絆の深まりが素敵だっただけに、一日というのは即席過ぎてちょっと軽く感じた部分があったかなあw
でも、主人公の耕介はもちろん、健気な小さな魔法使いの咲耶、奔放に見えてその実、不器用なくらい誠実で一生懸命なあすみ。みんな魅力的なキャラクターで、とても優しく気持ちが温かくなるハートフルな物語でした。
 
5月18日

川岸殴魚
(ガガガ文庫)
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境田吉孝
(ガガガ文庫)
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冬条一(ガガガ文庫)
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虹元喜多朗
(ガガガ文庫)
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5月17日

えんじゅ
(電撃の新文芸)
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こはるんるん
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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仏ょも
(アース・スターノベル)
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らる鳥
(アース・スターノベル)
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5月14日

福成冠智/柊遊馬
(コロナ・コミックス)
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abua/ナカノムラアヤスケ
(コロナ・コミックス)
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ありのかまち/箱入蛇猫
(コロナ・コミックス)
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烏間ル/紅月シン
(コロナ・コミックス)
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勝木光/香月美夜
(コロナ・コミックス)
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5月13日

あわむら赤光(GA文庫)
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只木ミロ(GA文庫)
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佐野しなの(GA文庫)
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佐伯さん(GA文庫)
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ケンノジ(GA文庫)
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海月くらげ(GA文庫)
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小林湖底(GA文庫)
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浅名ゆうな
(富士見L文庫)
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久生 夕貴
(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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来栖千依(富士見L文庫)
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綾里 けいし
(講談社タイガ)
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汀 こるもの
(講談社タイガ)
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広路なゆる
(サーガフォレスト)
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yocco
(サーガフォレスト)
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和田 真尚
(サーガフォレスト)
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内々けやき/佐伯庸介
(リュウコミックス)
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5月12日

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酒月ほまれ/アルト
(アース・スター コミックス)
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かじきすい/左リュウ
(アース・スター コミックス)
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青辺マヒト/十夜
(アース・スター コミックス)
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名苗秋緒/九頭七尾
(アース・スター コミックス)
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沢田一/夾竹桃
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス(月刊アクション))
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ワタヌキヒロヤ
(メテオCOMICS)
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いしいゆか
(まんがタイムKRフォワードコミックス)
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須賀しのぶ/窪中章乃
(サンデーうぇぶりコミックス)
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しょたん
(サンデーうぇぶりコミックス)
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川岸殴魚/so品
(ビッグ コミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックススペシャル)
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大井昌和/いのまる
(夜サンデーSSC)
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大井昌和
(夜サンデーSSC)
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鎌池和馬/近木野中哉
(ガンガンコミックス)
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緋色の雨/菖蒲
(ガンガンコミックスONLINE)
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わるいおとこ/彭傑&奈栩
(ガンガンコミックスUP!)
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5月10日

佐島勤(電撃文庫)
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逆井卓馬(電撃文庫)
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西条陽(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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入間人間(電撃文庫)
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岸本和葉(電撃文庫)
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有象利路(電撃文庫)
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西塔鼎(電撃文庫)
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和泉弐式(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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餅月望
(TOブックス)
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古流望
(TOブックス)
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ひだまり
(TOブックス)
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内河弘児
(TOブックス)
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内河弘児/よしまつめつ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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TYPE-MOON/コンプエース編集部
(角川コミックス・エース)
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じゃこ
(角川コミックス・エース)
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5月9日

黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)
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少年ユウシャ
(カドカワBOOKS)
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yocco
(カドカワBOOKS)
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たままる
(カドカワBOOKS)
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明。(カドカワBOOKS)
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ジャジャ丸
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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草壁レイ/紙城境介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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緑青黒羽
(ドラゴンコミックスエイジ)
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碇マナツ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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潮里潤/三嶋与夢
(ドラゴンコミックスエイジ)
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渡真仁/三嶋くろね
(ドラゴンコミックスエイジ)
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サイトウミチ/高橋徹
(ドラゴンコミックスエイジ)
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小虎
(ドラゴンコミックスエイジ)
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七菜なな/Kamelie
(電撃コミックスNEXT)
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門司雪/アルト
(KCデラックス)
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石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
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真木蛍五
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
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志瑞祐/青桐良
(シリウスKC)
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閃凡人/木緒なち
(シリウスKC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニングKC)
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蒼井万里
(ワイドKC)
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奈央晃徳/山川直輝
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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5月7日

ケンノジ/松浦
(ガンガンコミックスUP!)
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道草家守/ゆきじるし
(ガンガンコミックスUP!)
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宇佐楢春/やまだしゅら
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉/硝音あや
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉
(SQEXノベル)
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九頭 七尾
(SQEXノベル)
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守野伊音
(SQEXノベル)
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5月6日

CLAMP
(KCデラックス)
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雨隠ギド
(アフタヌーンKC)
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細川忠孝/山村竜也
(ヤンマガKCスペシャル)
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植野メグル
(ヤンマガKCスペシャル)
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藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
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南勝久
(ヤンマガKCスペシャル)
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山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
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あっぺ/明石六郎
(PASH!コミックス)
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航島カズト/タンサン
(PASH!コミックス)
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明石 六郎
(PASH!ブックス)
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まえばる蒔乃
(PASH!ブックス)
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深凪雪花
(PASH!ブックス)
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5月5日

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5月2日

東冬/三田誠
(角川コミックス・エース)
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金丸祐基
(角川コミックス・エース)
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古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
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和月伸宏/黒碕薫
(ジャンプコミックス)
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龍幸伸
(ジャンプコミックス)
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平方昌宏
(ジャンプコミックス)
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天野明
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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浅倉秋成/小畑健
(ジャンプコミックス)
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朱村咲
(ジャンプコミックス)
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春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ジャンプコミックス)
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村田 雄介/ONE
(ジャンプコミックス)
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猪口(ドラゴンノベルス)
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しんこせい(ドラゴンノベルス)
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猫又ぬこ
(講談社ラノベ文庫)
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倖月 一嘉
(講談社ラノベ文庫)
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御子柴 奈々
(講談社ラノベ文庫)
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はにゅう
(Kラノベブックス)
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子日あきすず
(Kラノベブックス)
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茨木野
(Kラノベブックス)
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せきはら/柚原テイル
(フロース コミック)
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iNA/Yuna
(フロース コミック)
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Minjakk/Liaran
(フロース コミック)
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西山アラタ/春野こもも
(フロース コミック)
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榎戸 埜恵/涙鳴
(フロース コミック)
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4月30日

藤木わしろ(HJ文庫)
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サイトウアユム(HJ文庫)
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坂石遊作(HJ文庫)
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ハヤケン(HJ文庫)
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紺野千昭(HJ文庫)
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結石(HJ文庫)
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御子柴奈々(HJ文庫)
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りゅうせんひろつぐ
(GCノベルズ)
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ムンムン
(GCノベルズ)
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龍央(GCノベルズ)
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わるいおとこ
(ファミ通文庫)
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山崎 響
(エンターブレイン)
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やまむらはじめ
(YKコミックス)
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4月28日

天空すふぃあ/奈須きのこ
(星海社COMICS)
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餅田むぅ/新山サホ
(ライドコミックス)
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しめさば
(角川スニーカー文庫)
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しめさば
(角川スニーカー文庫)
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御宮 ゆう
(角川スニーカー文庫)
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久慈 マサムネ
(角川スニーカー文庫)
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桜木桜
(角川スニーカー文庫)
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岸馬きらく
(角川スニーカー文庫)
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御宮 ゆう
(角川スニーカー文庫)
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すずの木くろ
(モンスター文庫)
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雪だるま
(モンスター文庫)
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可換環(Mノベルス)
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てぃる(Mノベルス)
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木嶋隆太(Mノベルス)
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川井 昂(ヒーロー文庫)
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アネコユサギ(ヒーロー文庫)
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4月27日

TYPE−MOON/大森葵
(REXコミックス)
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友麻碧/夏西七
(Gファンタジーコミックス)
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小龍/八木戸マト
(電撃コミックスEX)
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朱月十話/ROHGUN
(電撃コミックスNEXT)
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あさなや/yocco
(電撃コミックスNEXT)
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小祭 たまご
(電撃コミックスNEXT)
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4月26日

ユリシロ/紙城境介
(角川コミックス・エース)
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三河ごーすと/奏ユミカ
(角川コミックス・エース)
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平安ジロー/灯台
(角川コミックス・エース)
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火野遥人
(角川コミックス・エース)
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オクショウ/MGMEE
(角川コミックス・エース)
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犬塚惇平/ヤミザワ
(角川コミックス・エース)
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槌田/TYPE−MOON
(角川コミックス・エースエクストラ)
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リヨ/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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4月25日

紙城境介(MF文庫J)
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三河ごーすと(MF文庫J)
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花間燈(MF文庫J)
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三月みどり(MF文庫J)
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両生類かえる(MF文庫J)
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どぜう丸
(オーバーラップ文庫)
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大崎アイル
(オーバーラップ文庫)
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彩峰舞人
(オーバーラップ文庫)
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三嶋与夢
(オーバーラップ文庫)
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馬路まんじ
(オーバーラップ文庫)
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まさみティー
(オーバーラップ文庫)
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友橋かめつ
(オーバーラップ文庫)
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六海刻羽
(オーバーラップ文庫)
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あボーン
(オーバーラップ文庫)
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紙木織々
(オーバーラップ文庫)
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御堂ユラギ
(オーバーラップ文庫)
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泉谷一樹
(オーバーラップ文庫)
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丘野 優
(オーバーラップノベルス)
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龍翠
(オーバーラップノベルス)
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エノキスルメ
(オーバーラップノベルス)
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桜あげは
(オーバーラップノベルスf)
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参谷しのぶ
(オーバーラップノベルスf)
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稲井田そう
(オーバーラップノベルスf)
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虎馬チキン
(MFブックス)
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ぷにちゃん
(MFブックス)
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氷純(MFブックス)
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epina(MFブックス)
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Y.A(MFブックス)
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COMTA/樋辻臥命
(ガルドコミックス)
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Nokko/龍翠
(ガルドコミックス)
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灘島かい/三嶋与夢
(ガルドコミックス)
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霜月なごみ/瀬戸夏樹
(ガルドコミックス)
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野地貴日/黄波戸井ショウリ
(ガルドコミックス)
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つむみ/君川優樹
(ガルドコミックス)
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ぱらボら/馬路まんじ
(ガルドコミックス)
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中曽根ハイジ/丘野優
(ガルドコミックス)
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遊喜じろう/みりぐらむ
(ガルドコミックス)
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松浦/大堀ユタカ
(ビッグガンガンコミックス)
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成田良悟/藤本新太
(ヤングガンガンコミックス)
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はっとりみつる
(ヤングガンガンコミックス)
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六本順
(ヤングガンガンコミックス)
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まつたけうめ/栖上ヤタ
(ヤングガンガンコミックス)
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4月22日

川上真樹/富士伸太(MFC)
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新挑限(MFC)
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丹念に発酵(MFC)
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やませ ちか(MFC)
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瀬尾 つかさ
(ダッシュエックス文庫)
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川口 士
(ダッシュエックス文庫)
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とーわ
(ダッシュエックス文庫)
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柑橘 ゆすら
(ダッシュエックス文庫)
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すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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マサト 真希
(メディアワークス文庫)
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紅玉 いづき
(メディアワークス文庫)
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近江 泉美
(メディアワークス文庫)
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4月21日

小杉光太郎
(4コマKINGSぱれっとコミックス)
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荒井チェリー
(REXコミックス)
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森高夕次/足立金太郎
(モーニングKC)
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須賀達郎
(モーニングKC)
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白浜鴎(モーニングKC)
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三原和人
(モーニングKC)
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吉本浩二
(モーニングKC)
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田素弘(モーニングKC)
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佐藤宏海/白浜鴎
(モーニングKC)
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オキモトシュウ/藤川よつ葉
(モーニングKC)
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