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割内タリサ

異世界迷宮の最深部を目指そう 16 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 16】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

――祝福の産声。

――HP0。
相川渦波は死んだ(・・・)。
世界の『一番』は『星の理を盗むもの』ラグネ・カイクヲラ。カナミの肉体はラグネが所持し、彼女に付き従うは『血の理を盗むもの』ファフナー。
……それでも。
『光の理を盗むもの』ノスフィーはそれでも誓う。
人生の全てを『代償』として本当の『魔法』に至り、『お父様(カナミ)』を生き返らせるために。
ノスフィーはカナミの肉体を奪還するべく、ラスティアラたちとフーズヤーズ城突入作戦を開始する――。
全てはこの光満ちる『頂上』で、産声をあげるために。

相変わらず登場人物の殆どが躁か鬱のどちらかに極振りしてるなー。どん底まで落ち込んで病み憑かれるか、真実に目覚めてテンションマックスではっちゃけるか。シーソーみたいにどちらかに極振っていずれにしてもメンタル目一杯になっている。毎回誰かに、落ち着けッオチツケッ、と思ってしまうんですよね。
ほんと、いつも冷静なライナーと精神的にリソースの余裕を抱えているリーパーは重要な要という以上に読んでる方としても癒やしですわ。これも毎回言ってるような気がするなあ。
でも、まさかついに裏切り本性を見せてこれまでの謀の主、黒幕として立ち上がったラグネちゃんが、やってやったぜーー!! ついにカミナを殺してやったぜー! というヒャッハー状態からいきなり速攻で鬱モードに入るとは思わんじゃないですか。
なんでラスボス格として立ち上がった敵キャラが、突然情緒不安定になってネガまっしぐらになっちゃうんですか!w
いやそれも「理を盗むもの」になってしまった弊害、というのもあるのでしょうけれど。ラグネちゃん自身、自己制御出来ないほどに情緒不安定になっていく自分の有様に、これまでの「理を盗むもの」たちと同根のものを感じていたようですけれど。
それでも、「理を盗むもの」になる資格がラグネちゃんにあったということなんでしょうけれど。未練、というよりも自覚だよなあ。
自分の本当に求めるものを見つけよ。
その意味では、敵として立ってはじめて、ラグネちゃんはその中身を解体されたのだ。一つ一つ丁寧に腑分けして、その内側をさらけ出された。選り分けて取り出して裏返して、それらすべてに光を当てて、自己で偽っていたものも騙していたものも無視していた矛盾も、照らし出されてしまった。
今回のノスフィーの光は、彼女がなろうとした魔法は、ノスフィー自身を照らし出し、彼女が本当に求めていた父親を、カナミを照らし出し、その鏡写しとなるくらい似通った存在であったラグネちゃんのすべてを照らし出してしまった。
本当に、全部照らし出してしまった。
カナミも、ラグネちゃんも、もう自分を誤魔化すことも騙すことも出来なくなってしまった。自分のどうしようもなさを、情けなさを、愚かさを、これでもかと突きつけられ、目の前にいるのはそんな憎むべき自分の鏡写し。八つ当たりとしてぶん殴るには、最適最上に一品だ。
その発散の大小をノスフィーに支払わせる、というところまで込みで最高の自己嫌悪をもたらしてくれる。近親憎悪をもたらしてくれる。
それを、お前のせいだ、とぶつけられる事はきっと、彼らが前に進むためには必要……かどうかはわからないけれど、効果的なものだったのだろう。決闘だったのだろう。ノスフィーにとっては大満足で、カナミとラグネちゃんとしては最悪最低のこととして。
いずれにしても、ケリはつけなきゃいけなかった。清算だ。

一方でノスフィーは、自分が成すべきを見つけ、在るべき形を見つけ、あとは光のようにまっしぐらに進むだけ。カナミの妻を名乗って現れたノスフィーだったけれど、そうあらんと振る舞い続けた彼女だけれど、ようやくカナミに対して自分が欲したあるべき形を見つけられたんですよね。
本質的に、ノスフィーはどうやったってカナミの妻ではなく、娘だった。娘として父を慕い愛しながら、しかし立場として妻となりその在り方に殉じようとしたが故の矛盾であり迷走であり苦悩であった。それが解消され、迷いが晴れ、自分の想いの方向性が定まった時、ようやく彼女の光は彼女自身をも照らし出すことが出来たのだろう。
彼女の光の本質は刺し貫くことではなく、優しく包み込むものだったのだろう。淡く暖かな光の雨、今回の表紙がそのようにノスフィーの光を表現しているかのようだった。
その光はラグネちゃんをも受け入れて、ラグネは確かにノスフィーの光に救われたのだ。
しかし優しくも厳しいノスフィーの光は、すべての偽りをさらけ出してしまった。光は、闇のように包み込んだまま眠らせてはくれない。それは朝の目覚めの光であり、指し示し進むを促す導べであった。
ラグネの過去を暴き立て、その野望と信念の欺瞞を浮き彫りにし、彼女の心を解体した。本当の想いを照らし出した。その対面として、親和としてカナミの過去もまたラグネという第三者の目からもう一度映されたのだけれど、まさかここまで無造作にカナミの過去に巣食った違和を引っ張り出すとは思わなかった。
ここまで率直に、大胆に、その現況を指し示すとは思わなかった。
本当のラスボスの存在を、ノスフィーの光は照らし出したのだ。それを、カナミに直視させたのだ。
この認めざる存在を、果たしてどうやってカナミに認めさせるのか、長く疑問に思っていたのだけれど、ノスフィーとラグネという二人の「家族」のお陰というのがまた……辛辣なのか心強いというべきなのか。いずれにしても、相応しい理由であり原動力と成り得るものだったように思います。

そして物語は、ついに核心へ。


異世界迷宮の最深部を目指そう 15 ★★★★☆  



【異世界迷宮の最深部を目指そう 15】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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立ち上る火柱を視認し、ラスティアラたちの安否を確認するべく地下街に向かったカナミ。
そこで目にしたのは、捕縛から抜け出したノスフィーによって『素直』にさせられ、仲間内で争うラスティアラたちの姿だった。
すぐに加勢しようとするが、ラスティアラに制止され……!?
ノスフィーとの決着をつけるため、ラグネが持ち込んだ触媒で過去視を行ったカナミは、いかにして彼女の在り方が形成されたかを知る。
さらに未来視でフーズヤーズ城を支配したカナミは、ついにノスフィーと対峙し――。
そして、『彼女』とどこまでも落ちていく。

今もパーティーの中核をなすこのヒロインたちが一堂に会したのは7巻でしたか。あの時はリヴィングレジェンド号でカナミが常に死を感じるくらいヒロイン同士がギスギスして火花が飛び散り、ちょっとでも燃料が投下されたら即座に爆発炎上して地獄が現出してしまうような修羅場でした。
そうかこれが常在戦場! と悟りを開いてしまうくらいの殺伐とした空気でした。カナミ、わりとすぐに刺されるだろうなー、血みどろの惨劇はいつ起きるかなー? という雰囲気だったのも今は昔、なんですよね。
いや、実際カナミってば結構ザクザクと切り刻まれて血みどろになりましたけれど、厳密には女性関係を拗らせて刺されたのではなくて、千年前の所業がもとになって攻撃されるパターンが大半だったはずなので、自業自得ではありますけれどヒロイン衆が妄念を拗らせて殺しにかかったケースには結局行き当たらなかったんですよね。
あの極めつけのヤンデレが揃いも揃ってしまった地獄のパーティーが、よくぞまあ。
そして今回、ノスフィの能力によって強制的に各々の奥底に秘めていた病んだ部分を引き出されてしまったにも関わらず、ラスティアラの邁進によって全部彼女たちヒロイン同士でしっかり話し合って気持ちを通じあわせて病んだ部分を解消、もしくはそのまま受け入れる形で地上最強の絆で結ばれてしまうのである。
むしろ、カナミは居るだけ邪魔、やることなすこと邪魔! 邪魔してばっかり! になってしまっていた有様だったのである。感慨深いじゃないですか。人の話を全然聞かずに自己完結してカナミだけに執着していたヤンデレヒロインたちが、カナミ関係なしにメンタル薄弱な部分を克服して自分たち同士でぶつかり合い胸襟を開けあって、理解しあい認め合い心寄せ合って、今や親友、今や運命共同体。共に行き共に死す仲間として、同じ人を愛し恋した同志として、手を取り合い頬を寄せ合い額を合わせて満面の笑みを浮かべる関係になったのである。いや、なったんじゃなく、ラスティアラを中心として、そして各々の克己心によって、そういう関係を自分たちで築き上げたのである。
本心から、すげえなあ、と感心させられてしまいました。ここまでヒロインたちがしっかりと自立して自分たちだけで関係を築き直したケースはちょっと見たことがないですよ。
主人公がそれを阻害しまくってたパターンもw
いや、いつの間にか話を全然聞かないのってヒロインたちじゃなくて、カナミの側になってたんだなあ、と気付かされてしまう。いや、カナミは視野狭窄になっててもちゃんと自力で気づくし、而今完結してしまわずに、ライナーをはじめとして話を聞いて考えを改めることができる、そういう風に成長した主人公なので、話を聞かない、なんて事はないのだけれど。
でもだからこそ、カナミはそれだけ成長した、と思っていただけに読者側もカナミ自身もいつの間にか考え方捉え方見方が偏ってしまっていた事に気づかなかった、というのもあるんですよね。
……何度も何度も思い知らされるけど、ライナーはこういうときでも外側から冷静な視点でカナミを掣肘してくれるので、ほんと助かりますわ。彼が居てくれるだけでどれだけ道踏み外しかねない判断や思考を食い止めてくれたか。
ともあれ、今回の視野狭窄はカナミの人間的な欠陥というよりも明らかに仕込まれたものっぽかったので、カナミ自身なんか自分おかしくなっていると自覚してますし、彼が悪いというわけではないみたいなのですけれど。

まあ、千年前にやらかした事に関してはどうやったってカナミあうと、ですよね。カナミが悪い。
ノスフィーがねえ。いやうん、まさかここまで並外れてイイ子だとは思わなかった。悪い子じゃない、という風には今までの感触で納得はしていたんですけれど、ここまでこんなイイ子だとは想像できませんよ。むちゃくちゃイイ子じゃないですか。善良の結晶であり、健気の塊じゃないですか。
なるほど、元妻、という肩書にも意識が引っ張られていたのでしょう。その素性が本来なら妻じゃなくて、娘。しかも、ずっと父親に焦がれていた子となればなおさらに……。
もう完全無欠にイイ子でしかないイイ子が必死に悪いことしようと頑張っているものだから、そりゃ行動がどこかちぐはぐになりますよね。凄く悪意をもってカナミを狙い撃ちに彼を陥れる、苦しめるようなことを企てているにも関わらず、結果見ると妙に良い結果に終わったり誰かが救われてたり、報われてたり、助けられてたりして、なんかここしばらく物事の巡りが良いような感じがしてて、凄く違和感たっぷりだったんですよね。カナミがなにかすると大概悪いことになったりケチがついたりする印象だっただけに、妙に居心地わるくすらあったのですが。そうかー、ノスフィーが悪いことにしきれなくて、ついついみんなが助かったりするように着地点を変更しちゃってたのかー。
……いい子すぎるッ(思わず両手で顔を覆って
そんな頑張っても頑張っても悪堕ちしきれないこの善良無垢な子を、それでも悪者にならねば、と追い込んだ元凶こそが、千年前のカナミであったわけで。
もう死ねばいいんじゃないかな、こいつ。現在のカナミが黒歴史どころじゃない自分のアレっぷりに怖気づいてヘタレてしまうのも、ちょっと仕方ないなあ、と同情してしまうほどの、あの無神経っぷりはここまで来ると凄いなあ、としか言えない。正直、間が悪かったとも言えなくもないのだけど、ノスフィの健気さを思うとそれをこれでもかこれでもかとクリティカル連発でピンポイントに踏み躙ったカナミの所業は、言い訳しようがないんですよね。どう考えてもお前が悪い。
そこで最大限これ以上無いくらい覚悟決めて完膚なきまでに謝ってみせるところは、カナミえらいと思いますよ、素直に。極端に走りすぎ! と思わないでもないんだけど、ノスフィが拗らされた状態がそこまで極端に走らないと言葉も気持ちも届かないまでにグリグリ踏み躙られっちゃってるんだから、仕方ないよね、としか言えない。正しい極端であった、と言えるのかも知れない。多分、あれこそが正解だったのでしょう。
取り敢えず、修羅場を越えて一致団結したカナミパーティーが、一人ひとり意味不明な強さすぎてそれが一堂に襲ってくるとか、魔王軍総攻撃かな? というくらいのスケールなんですけど。この娘ら、しがらみとか要らん拘りとか全部放り出して最適化した協働したら、ここまで分けわからんレベルの集団になってしまうのか。
いやこれもう無敵じゃん。と、凄まじい安心感に後ろ支えられつつ、一番の難関であった対ノスフィ。これは戦って倒すという方向性には行かない時点で、無敵無双の強さは意味をなさず、だからこそ最難関だろうという壁の高さを感じていただけに、うん、それを乗り越えることこそがこの巻の山場だと思っていたわけだ。あくまで、山場……峠であって、まさか分水嶺だとは思っていなかったし予想もしていなかった。
いやこれどうすんの!?
途中で散々、カナミと似た者同士と言ってたの、こんな形で放り込んでくるとは思わないじゃないですか。そうだよね、カナミと同類項、同じ穴のムジナ、似た者同士なら……そいつはカナミと同じ「人間のクズ」にカテゴライズされる側だった、とも言えるのか。
どうなるんだこれ? さすがに驚天動地の展開過ぎますよ!? ……まあ、次の瞬間普通に何事もなかったかのように動き出しても不思議ではないブキミさというか得体のしれ無さというか、化け物感がこの人にはつきまとっているのも確かなのですが。
むしろ、いついきなり目をぱっちり開いて喋りだすか、ホラー感覚でずっとハラハラドキドキしていた自分がいるのも確かでありますw


異世界迷宮の最深部を目指そう 14 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 14】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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『告白』の末、晴れてラスティアラと恋人同士になったカナミ。マリアとリーパーに再会し、ノスフィーとの決着をつけるため、一行は『本土』の大聖都フーズヤーズに辿り着く。訪れた冒険者ギルドにて『世界樹汚染問題』という依頼を発見したカナミ。なんでも、鮮血属性の魔法を得意とする男が世界樹を真っ赤に染めているという。その男は、七十層の『理を盗むもの』で―。そしてノスフィーは、自身の記憶を呼び起こす。『光の理を盗むもの』として生まれた日を。―愛を知ったあの日を。

挿絵の鵜飼沙樹さんのツイッターで目撃したアリ得たかもしれないもう一つの14巻表紙絵「血の海と太陽と空で、水遊びするカナミファフナー」が、見たときは意味不明だったのだけれど、読み終わってみると概ね間違ってなかった事を理解したときの思わず遠い目になる自分w
というわけで、70層「血の理を盗むもの」ファフナー・ヘルヴィルシャインの登場である。いやもう、なんだろうねこの人。今までで一番イージーモードを自分から進呈しているような人なんだけど、どう判断したらいいんだろう。実は地雷とか、裏があるとかは絶対ないようで信頼できる人物なのは確か。結局面倒くさいことになるにしても、彼の協力的な姿勢がまがることはないんだろうけど、ノスフィー次第になるのか。
そのノスフィーはというと、案の定仕掛けてきたのだけれど、準備万端であらゆる展開に備えた網を張っている、というふうでもなく、なんか「その話聞いてないんですけどー!?」というような反応を度々見せていて、彼女の企みって穴だらけなんじゃないの実は? と思わされてポンコツ属性があるんですかもしかして。洗脳して手駒にした戦力たちも、なんかさっぱり思う通りに動いてくれなくて、洗脳しているはずなのにみんな各々好き勝手に動いていて、ノスフィー振り回されてる感あるし。カナミとライナーへの嫌味っぽい言動はともすれば子供っぽくすらあって、もっとクールビューティーというか底冷えするような怨念で駆動しているのかと前は思っていたのだけれど、ちょっとイメージがわからなくなってきたぞ。
カナミとライナーは多分、自分と前まで自分が抱いていたような印象をノスフィーに持っていたからこそあそこまで警戒しているのだろうけれど、今の姿しか知らない女性陣が彼女をあまり危険視している様子がないのもわかるんですよね。別に仮面をかぶっている、という風でもないんだよなあ。
とは言え、カナミたちと敵対していて彼らを陥れるために動いているというのは確かで、まあ最終目的がどうなっているかはともかく。
それに今のノスフィーは、ラスティアラの皆仲良く思想に激しく反発している様子なので、むしろみんな仲良くの反証を成立させる方を重視しての、あの仕掛けだったのかしら。事前に仕掛けてた事はないのだろうけど、結局カナミのパーティーを壊滅させるためには仲間割れが一番ではあるんですよね。
ただ、うーん。ノスフィーがありえないと、心の奥底では許せないと思っているに違いない、という主張は今のカナミパーティーの女性陣に対して周回遅れな感じはあるんですよね。
数年前の、みんな一緒に船で旅に出たあたり。全員集合で漏れなくカナミが修羅場で頓死しそうな時期だったら、当てはまりそうではあるのだけれど。今となってはみんな多かれ少なかれ、精神面の不安定さの原因だった部分を解消して成長しているだけに、ノスフィーの指摘もそれって何時のこと? みたいな的外れ感があったんだけど。実はやっぱり内に、ラスティアラと結ばれたカナミという関係を認められない受け入れられない許せないという感情を滾らせていたのだろうか。皆無ではないのだから、それをアルフィーの魔法で無理やり掘り起こされた、という事なんだろうけど。正直になったくらいで、今の彼女達がそんな仲違いするまでになるんだろうか。現場を見れていないので、実際の所はまだ判断がつかない。

でも、ラスティアラのみんな一緒思想がないと、現状でもカナミが生命途絶の危機の警告が自動発令してしまうほどのヤバいバランスで保たれていたのはまあ間違いないんですよね。スノウとかディアとか見事に爆弾が破裂しそうにはなってたわけですし。
そう考えるとカナミの愛する人は唯一一人だけ。一人だけを永遠に愛するのが正しい姿、という思想は見事に起爆スイッチでもあるんですよね。
どうしてそこまで頑なに、そう思い込んでいるんだろう。いや、愛する人は一人という考え方自体は不思議でも不自然でもないのですけれど、ラスティアラの趣味嗜好と比べると、カナミのそれはある一線を超えると激烈に拒否反応を示していて、妙に自動的なところがあるんですよね。
それに、永遠、とかいくらカナミがロマンティストで厨二病気味でも、ちょっと彼のキャラクターからはズレている気がするんですよね。その考え方は、彼らしくない。
という違和感を補強するような情報が次々と舞い込んでくる。というか、明らかに外からの誘導じゃないか、というもろな話が色々と。わーい、ラスボス確定じゃないですかこれー。ってかラスボスもほぼ作中で明言指摘されてますもんね。
となると、カナミがなんか妙にせかせかと、或いは視野を固定しているようにゴールを妹ちゃんを起こす事に定めているのも、封印を解くように意識誘導されているように見えてきてしまうわけで。
なるほど、今ラスティアラが座っている椅子、座す人物を入れ替えるのはわりと簡単そうだ。
いやこうなってくると、ノスフィーの立ち位置ってどこにあるんだろう。彼女の過去にしても回想はまだ生まれてからしばらくのものだけで、カナミと結婚したという経緯もわからないし、今現在の真意がまだわからないので、判断が難しい。いや、「素直」になったノスフィーの本音からして、愛されなかったと思って拗らせまくったネガティブな感情の賜物なんだろうけどさ。それだけなのかしら。
それに、今回新たに名前が明らかになった80階層、90階層の理を盗むもの、たち。こうなってくると、むしろラスボス戦を前にした味方、なんだろうか。
なんにせよ、判断材料がまだ出揃わない状態なので、兎にも角にもノスフィーとの決着がつかないと目の前は開けないように思える。
しかし、洗脳されてるはずのグレンさんや、世界樹の前に立ちふさがっているファフナーといい、敵対しているわりに協力的な人がやたらと多くて、変な感じだ。悪意や敵意がほぼノスフィーだけに集中していて他の人からはおおむね好意しか向けられていないんだもんなあ。ノスフィーにしても、好意の裏返しみたいな所が見受けられるし。
じゃあ状況はヌルいのかというと、順調に最悪な方に転がっているようにも見えるし、いやでも大丈夫なのか? ともかく、混沌だなあこりゃ。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 13 ★★★★☆   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 13】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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ジークを主とする騎士、ライナー・ヘルヴィルシャイン。
それが僕の名前だ。
迷宮から一年の時を経て帰還し、再びフーズヤーズの騎士に戻った僕は、ラスティアラの密命を受け、任務に励んでいた。
内容は魔石人間に流れる『ティアラ様の血』の回収。その任務にも目処がつき、あとは『再誕』の儀を待つばかり。
だが、そんな僕の前にティアラを名乗る人物が現れる。
彼女は『ティアラ様の血』を全て僕に受け取って欲しいと言い始め――。
「君に『異世界迷宮』の『最深部』を目指して欲しい」
このフーズヤーズ十一番十字路から、僕は『プロローグ』へと歩み出す。

これは酷い!

これってよくまあ使われる言葉だけれど、今回これほどピッタリの言葉はないでしょうよ。
いやホントにもうさ、一体何を見せられたんだろうと天を仰いでしまった。まあこれを今回一番しみじみとこぼしたいのはライナー君だろうけどさ。でも君、自業自得だぜ。散々、ジークやラスティアラのこと愚痴ってたけど、君だってそういう人たちをわざわざ主に選んで命賭けちゃってるんだから大概だよ?
というわけで、ライナーくん。千年越しの厄介事にさらにラスティアラがややこしく拗らせて引っ掻き回しているトラブルを密かに収集解決してまわる後始末役を拝命する、のまき。
ラスティアラのやつ、ジークの事振るわ戦線離脱して引っ籠ろうとするわ、なにかよそよそしさも感じられる態度は深刻な問題とか体質体調の不調を抱えているとか、何がしかの予言とか悪い予測が立ってしまって奔走してるとか自分だけで抱え込んでなんとかしようとしているのか、とか色々心配してたのに。この女……アホだった。ただのアホだった。加えて、完全に駄目女だ。スノウとは別のベクトルで同じくらいダメ人間だ。
ほんともうなにやってんの、この娘!? なにやってんの!?
うわーー、もう面倒くせーー! 話を聞けーー!! なまじ昔のマリアとかみたいにヤベえ感じ、薄氷を踏むようや危うさがなくてガンガン殴っても応えなさそうな頑丈そうな分、コメディタッチになってしまってるんだけれど、なんだかんだとやらかし切ってしまうとえらいことになってしまうのは変わらないどころか、国際紛争とか世界の危機とかジーク爆発みたいなところまで発展しかねない顛末になってしまうだけに、おバカが爆弾の導火線に火をつけて騒いでるようにしかみえない、とにかくヤバいことになっているのが、なんかもう脱力してしまう酷さなんですよね。
そういうヤバい話を、こんなアホなことでやらかすなー!
まあね、うん、この物語のヒロインは総じて話まったく聞かないんですけどね。ほんと、馬耳東風というかスルーというか都合の悪いことは聞こえない作りになっているというか。何気にヒロインだけじゃない気もするというか、登場人物おおむねそんな感じなのは、アイド先生とか振り返ってもそうだったので、もう誰も彼もが重い! で片がつく話なのかもしれないけど。
今回またぞろ話ややこしくした魔石人間の女の子も、重すぎるの! なんでそういう事しちゃうの!? そこまで変に思いきれるのなら、普通に頑張りなさいよ! 相方の男の子、完全に置いてけぼりじゃないか。相談しろ! 話を聞いてもらえ、それ以前に相手のこと考えてあげて!

その点、ライナーくんは昔こそこいつも話聞かないやつだったけど、今は話は早くて行動も早くて決断も早くて、と三拍子揃った思い切りの良さで頼もしいったらありゃしない。ティアラ様もよい人材を見つけたものである。ティアラ様的には時間もなかったことだしウダウダウクズクズ迷い悩まれてる暇なかったところに、パッパッと決断してくれる信頼できる頼もしい騎士様の登場ですから、諸手を挙げての万歳三唱だったんじゃないだろうか。わりと、騙しやすいし騙されたことに対してネチネチイジけるような子でもないし。
ほんと、なんでこんなイイ子がラスティアラとジークに仕えてくれてるんでしょうね。だめな子ほど可愛いのだろうか。ライナーくん、完全にラスティアラとジークの保護者扱いだもんな、これ。
ジークとラスティアラも、ライナーくんに頼りすぎである。

まあラスティアラに増して酷かったのが、ジークなんですけどね。あの登場シーンにはひっくり返りましたがな! ガチでひっくり返りましたがな! なんで来る! そのタイミングで来る!?
すげえ勢いで、一生懸命ライナーが用意したお膳立てを出会い頭に蹴っ飛ばしてひっくり返して台無しにして、おまけに自分でひっかぶってしまうという、ほんと何しにきたの!?
ここもう神業みたいな場面でしたよ。ジーク出現してからのあれやこれやはもう伝説級のシッチャカメッチャカだったんじゃないだろうか。あれほどガチで「自分は何を見せられているんだろうか」と真剣に思ったのは初めてだよ。この台詞ってこういう心境の時に使うのか、と変に感心してしまいましたがな。
表紙絵の二人、ジークとラスティアラのこの神秘的とすら言える睦み合いに見合う感動的なシーンが見られるのかと思ったら。

これだよ!

このありさまだよ!

いやわりとこのイラストなで合ってるのかもしれないし、おおむねこんな感じの構図の話な気もするんだけど……おおぅ。
本当に、これは酷い。見るたびに、思わず顔を覆ってしまいたくなる顛末でありました。
でも終わってみると、最良の形になっているというのはジーク、ズルいよねえ。主人公だよねえ、これが主人公のパワーというものか。運命力というものか、引きの強さというものか。引きすぎて、本人もエライ目に遭いまくって被害がえらいことになってるけど。
もう無茶苦茶になってしまったのだけれど、それでもライナーとティアラ様が目指した最善が、大混乱の挙げ句に最良の結果に落ち着いてしまった、というわけの分からなさがなんかもう、笑ってしまうのだけれどすごいなあ、と惚れ惚れしてしまう展開の流れで。
うん、いやすげえわ。
わりと深刻に拗れきってた状況と拗らせきっていたラスティアラの心が綺麗サッパリうまく片付いちゃったんですもんね。懸念だったラスティアラ関連の話、おおむね着陸できちゃったわけですし。
ほんと、なんで無事着陸できたんだこれ? 不思議だ、謎だ、意味わからん!? アクロバティックすぎて、一部始終見てたのにわからん!(笑
とにかく凄かった。

しかしこれ、なんぞ妹・陽滝がすげえラスボス的な空気出してきてるんですけど。そうなのか? 最後の最後に一番とびっきりにヤバい、中身ヤバいヒロインが目を覚ますのを待っているという事なんだろうか。うん、ヤバいね。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 12 ★★★★☆   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 12】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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ディアと陽滝を取り戻し、『風の理を盗むもの』ティティーを故郷へ送るべく、ヴィアイシア国へ向かうカナミたち。
一方、『木の理を盗むもの』アイドは、その王都にて着々とカナミとの決闘に備えていた。
――すべては『統べる王(ロード)』のために。記憶の最果てにある『代償』が何かを知らずに。
……そして童は、その瞳の中に答えを知る。
「――姉様。よかった、今度は間に合いました」
千年より長い一瞬の『いま』『ここ』に、寄り道は終わる。
白桜に満ちた『第四十の試練』の帰り道を、童二人が歩いていく。
ティティーとはアイドとの決着がつけばお別れ。それがわかっていたから彼女がはしゃいでいる姿が楽しくもどこか寂しい思いを抱いていた。きっと彼女が消える時は悲しくて仕方ないだろうと感じていた。
どうにも人は、かつて抱いた思いを忘れてしまう。ローウェンのときだってそうだったじゃないか。
その別れは寂しく辛く悲しくとも、未練を果たして帰っていく「理を盗むもの」たちはみんな幸せそうに笑っていたじゃないか。
だから今回も、ティティーとアイドにはこう言葉を送るのだ。
おめでとう、良かったね。


そう、今回はカナミの試練じゃなかったんですよね。アイドが司り守護する『第四十の試練』の挑戦者は……。
この物語の途方も無いところはこういう所なんだろう。階層を守護するものを打倒して、さらなるダンジョンの深層に潜っていく。そんな本来あるべきダンジョン攻略の概念を、根底からひっくり返してきた本作だけれど、此度もまたとびっきりの前提の抹消だったのではないだろうか。
今までの理を盗む者たちに比べたら、アイドは随分と素直な迷い方をしていた。他の連中のドツボのハマりっぷりときたら目を覆わんばかりだったけれど、アイドの優しい気質ゆえだろう。相変わらず話を聞かずに自己完結してしまっているという意味では他の連中と変わらなかったけれど、彼の本来の未練の見失い方はこう言ってはなんだけれど、迷走して蛇行してどこを走っているのかさっぱりわからなくなっているような酷いものではなく、まっすぐにUターンしているようなもので、お姉ちゃんのウザったいくらいのグダグダっぷりと比べたら、いっそ清々しいくらいに真っ直ぐ間違っていてくれて、戸惑いようがなかったとも言える。
でも、話は聞こうね、ほんと。
使徒シスみたいに話がまったく通じない本当の意味で自己完結してしまっているような輩もいるので、何事も話し合いでなんては言えないけれど、アイドくんは分かりやすく聞かない振りしすぎである。だからこそ、耳かっぽじって聞こえるように言ったらすぐに理解して受け入れてくれたという意味でまったくもってやりやすかったのですが。
使徒シスは自己完結している分、考え方の拡張性が全然なってなくて、やらかしまくっていたわりに何も出来ない奴だった。パリンクロン・レガシィを見習いなさいよ。あの難敵は未だにトラウマだもの。アイドが本来の在り方に立ち戻り、千年前に果たせなかった未練を取り戻すためについにティティーと通じ合い、ありえない決着を引き寄せようとテンションあげまくってもう勝ったよし風呂入って来よう、くらいのクライマックスに入っても、ここまで上げてると逆に落としてくるのでは!? もしかして負けちゃうのでは!? と、本気で心配になったのはおおむねパリンクロンの影響に違いない。彼のおかげで、この物語にはあげたら落とすんじゃないか。上げてなくても落とすんじゃないか。落としておいてさらに落とすんじゃないか、という不信感が常につきまとっているんですよね。もうパリンクロンを打倒して以降はカナミも成長し、ヒロインたちも病んでれているのを除けば概ねマトモな思考になっているはずなので、シリーズ後半に入ってからはそうそう酷い意味でのちゃぶ台返しはなくなっているのですが、それでも未だに戦々恐々としてしまうのは十分トラウマだと思うのですよw
これはもう、作品が完結するまでは拭えないキズだと思われる。それくらいどれだけ調子に乗ってても構えて精神的に備えていないと不安で仕方ないし、それくらいの警戒は常に絶やさない方が安全安心なのである。ひどいお話もあったものだ。
全然ひどくない、とても美しい終端の物語だったんですけどね。本当に何事もなく順当にティティーとアイドの姉弟の絆が取り戻せて、二人の未練が果たされた安堵感が、余計に二人の結末を透明に彩ったように思います。
心の焼き付かれるような美しい情景を残して帰っていった、文句なしのハッピーエンドでした。
千年前の英雄たちが、今に顕現してかつての夢の名残を叶えて残していってくれた贈り物は、正しくルージュたちに引き継がれる。それは場所であり想いであり、姉弟の祖父母から引き継がれた精神であり……。多くが失われても、無くされないまま継がれていくものがここにある。
ディアもようやく戻ってきてくれて、彼女の中のシスと決着をつけた事もあって、ようやくディアがいだき続けていた不安や怯えを解消できて、本当の意味で最初に仲間になった時にやり直しが出来た。何かを押し殺し隠すことのない、様々な側面を内包したあるがままのディアとカナミ/ジークとして一緒になれた。初めて、ここから始められる事が出来たのではないでしょうか。
そして、ようやく妹陽滝を取り戻したカナミ。未だ目覚めぬ彼女だけれど……寝てる割に動き回れるわ戦えるわ、なにこの便利睡眠女子w
これほど汎用性機動性稼働性能に長けた眠り姫は見たことないんですけど。

しかして次回は……ライナーが主人公!?

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 11 ★★★★  

異世界迷宮の最深部を目指そう 11 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 11】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――千と一年越しの告白。

迷宮から地上への脱出を果たしたカナミ、ライナー、ティティー。
散り散りになった仲間達の足取りを追って辿り着いたフーズヤーズは、すっかり様変わりしていた。
かつて親交を深めた人々と言葉を交わし、そしてカナミは最愛のひと、ラスティアラと再会を果たすが、とある理由から同行を拒否されてしまい――。
「さよならだね」
千と一年越しの再会と決別が繰り返され、互いにもつれゆく関係性の中で、カナミが取る道は。
【運命】に抗う異世界迷宮ファンタジー、第11巻!
カナミのテンションがいつになく高いぃ!!
テンション高いというか、これ躁状態なんじゃないだろうか、というくらいティティーと二人ではしゃぎっぱなし。未だかつてこんなに明るいカナミがいただろうか。異世界来てこれだけ開放感堪能してるカナミ初めてなんじゃないだろうか。
これまで、幾多のトラブルを乗り越えていわゆる平穏な環境を手に入れても、周りヤンデレに囲まれて気が休まる時がなかったもんなあ。場合によっては何事もトラブル起こってない時のほうが命の危機が迫ってるんじゃないか、一つ選択肢を間違えれば、一つ発言をしくじれば、即座に「死!」という常にギロチン台に首据えてるような状態だったもんなあ。
それを思えば、ちょっと開放感にテンションあがっちゃうのもしょうがないよね。そのテンションに任せてラスティアラに告っちゃってもしょうがないよね。
見事なまでに粉砕玉砕してしまいましたが。
おかげさまでカナミのテンションが余計に変になってしまってるぅぅ!
いや、この場合は無理やりあげあげにメンタル持ち上げようとカナミがテンションあげてるところに、ティティーが容赦なく無神経にそして無邪気に急所をナイフでスッパンと切り裂いてしまうような発言をしてしまうのが悪いのですが。
というか、ティティー狙ってないのになんでそんな会心の一撃なコメントばっかりするんですか、この子! 押してはいけませんと看板立ててあるあからさまなボタンを、全く見ないまま気づかず、でもピンポイントでガン押ししてしまうような的確な発言を繰り返すティティーさん。悪気が一切ないのが怖いです。なんか違う意味でサークルクラッシャーだぞ、この子。
それでも、それでも今までのヒロインたちと違うのは、ティティーはヤンデレじゃないというところなのでしょう。いや、前回ちょっとこの子もヤンデレ気質があるんじゃ、という恐れを抱いてしまったのですが、今回見る限りどうやらその卦はなかったようで、ティティーとしてもカナミに対してはお姉ちゃんというか相棒というか、異性という見方はしてないんですよね。その分、カナミも気後れなくティティーとは付き合えてて、なんていうかなー、これまでカナミって一緒に居たどの女の子もメンタルヤバイ子ばっかりだったから、いろいろと気を遣いっぱなしで相手のことを常に繊細に考えながら慎重に接してきたわけですけれど、ティティーに対してはそういう気遣い一切なく、ものすごく気安く接しているわけですよ。ティティーの方も、カナミに対しては全然気をつかったりせず、言いたいこと言ってやりたいことやって、とそういう無思慮な言動を場合によってはちゃんと受け止めて、場合によっては適当に受け流してくれる、という大きな信頼があるんでしょうな。
だから、二人してもう子供か、というくらい一緒にはしゃいでしまって、ライナーが別件で一時離脱してしまったせいもあってか止める人もいなくなって、今回ほんとカナミとティティーの二人して大騒ぎの大はしゃぎ、という楽しいお話に終始していました。
別れてしまった昔の仲間との再会の旅、というともっと深刻なものになるかとも思ったのですが、二人の躁状態もあってか、ガンガン進んだって感じですねえ。
カナミのいなくなったパーティーがバラバラになっていた、というのは案の定というか当然というか、まあそうなるな、ってな感じではあったのですけれど、もっとやべえ感じにバラバラになっていたのかと思ったら、わりと穏当に分裂してたなあ、という印象を持ってしまったのは我ながらどうなんだろう、と思うところですけれど。いやあ、もっと殺し合いとまではいかないまでも、喧嘩別れに近いものになってるんじゃ、と恐れてた部分もありましたからね。
実際、喧嘩別れみたいになっているところもあったのですが、感情的な行き違いというよりも方針の違いであり、ラスティアラの弱気から来たもので、わりとみんなの間にはパーティーを維持しようという気持ちがあったんだなあ、というのは意外でありました。
マリアがまたたくましくなりすぎ、というくらい頑張ってるのも意外でしたけれど。成長という意味では能力だけじゃなく、メンタル的にもこの子が一番かもなー。
ただ、この一年で一番頑張っていたのは文句なしにスノウでしょう。キャラ変わるくらい頑張ってたって、どんだけ無理してたんだこの子ったら。スノウって怠惰なのに一度頑張りだすと果てしなくやり倒してしまうところが凄いというかヤバイというか。
それでもまあ、一人でこれだけ頑張ってたわけですから、これは大いに褒めてあげないと。ある意味一番に合流したのもこれご褒美だわねえ。
ラスティアラはもうなんか拗らせちゃってますし。カナミもあれだけ面倒くさい性格だったのを頑張ってこれだけ矯正してきたのに、肝心のヒロインさんがどんどん面倒臭さを拗らせてきちゃってますよ。最初出てきたときは、もっと自分本位な子だと思ってたのにねえ。
とりあえず、ラスティアラは置いておいても他のマリアたちなどの面々とは合流して、という順番で話は進むと思っていたのですが、アイドの方から動いてきましたか。
ぶっちゃけ、今のアイドって前回までのロード・ティティーと状態は同じなだけに、それはもう乗り越えてきた場所だ、という印象が強いので、あとはティティーと……何気にアイドのヒロイン的存在らしいルージュ、この表紙の子が展開の上でも鍵となってくるんでしょうね。ティティーと同じ展開、というわけにはいかないでしょうし。ティティーとアイド、患っているものは同じでも立ち位置も違えば、現在置かれている環境も違うわけですし。
しかし、この件が解決してもティティーはなんとかならんですかねえ。本人もう覚悟完了しているのは仕方ないですけれど、カナミとのコンビが思いの外本当に気安くて心地よいものだっただけに、いなくなってしまうのはとてもとても寂しい。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 10 ★★★★☆  

異世界迷宮の最深部を目指そう 10 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 10】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――可測する前日譚(トータル・リコール)

地上への帰還を目指すカナミに立ちはだかる『風の理を盗むもの』ティティー。呼応するかのように千年前へ変貌するヴィアイシアの街。愛憎に満ちあふれるノスフィーはカナミを『未来(ちじょう)』へ逃がしはしない……。
全ての罪過を償うと誓ったカナミは、『詠唱』の『代償』を糧に未来(かのうせい)の先譚を垣間見る。
――それは、千年と百十一年に及ぶ前日譚。
見栄っ張りの魔人混じりが起こした、他愛もない『ごっこ遊び』。
「なんで……?」「なんで、こんなところまで……!?」
虚ろに満ちる『第五十の試練』の果てで、いま童の原風景が想起する。

ああ……。
これは、そりゃもう表紙ティティにしますよね。
敢えて順番を入れ替えて9巻はノスフィー。そしてティティをこっちに持ってきた、という話ですけれど、納得、納得。納得以上に、これ以上無い選択だったのではないでしょうか。
あとがきでは、「この10巻は彼女そのもののようなものになる」という作者さんの明示があったそうなのですけれど、この「彼女そのもののようなもの」って表現すごいですよね。ロードと敬われたティティの人生そのものを描き尽くす、みたいな言い方でもおかしくなさそうなのに、そうじゃないんですよ。人生そのものじゃない、彼女そのものだというんです、この一巻丸ごとが。
丸ごと、この巻にはロード・ティティが詰め込まれている。人生だけではない、その思いも感情も悲嘆も在り方も生き様も死に様も何を求めていたのかも、何から逃げていたのかも、何から逃げなかったのかも。
多かれ少なかれ、この作品では守護者と呼ばれる者たちは、その存在のすべてが暴き出されて探りだされ発掘され、余すこと無く曝け出し、当人もたどり着けなかった当人そのものを、カナミに寄って引っ張り出されます。ローウェンがまさにそうだった。
死力を尽くした対話によって、ようやく通じ合うことが叶う。それほどに、彼らは深淵の奥底に囚われている。ロード・ティティはまさにその極地に居たと言えるのだろう。
どうやったってたどり着けない極地。ティティ当人も遥か遠くに置き去りに、加速して加速して果てしない向こう側へと置き去りにしてしまったそれは、もう誰も手を伸ばせないはずだったのだ。誰にも触れられず誰にも知られず、狂い果て朽ち果てた末に何の救いもなく消え去るはずだったものなのだ。
だから、カナミの次元魔法は反則みたいなものなのだろう。ついに、空間だけではなく時間まで。忘れ去られた過去から、いつかたどり着ける可能性がある未来まで、観測し体感するに至ったカナミの次元魔法は、もうこれいったいどれほどの領域なのだろう。
いや、カナミの境地はこの際置いておこう。彼の魔法によって奈落の底から掬い上げられたロードの過去。そこに横たわって蹲って顔を伏せて誰にも見えなくなっていたロードと呼ばれる前の小さな少女の願い、祈り、そして未練がついに明らかになる。
一人の女の子が、みんなのために身の程を超えてありえないほどに頑張り続けたその姿が、無理して無茶をして出来ないことをやり遂げ続けて、そうして壊れてしまった有り様が。
悲鳴が、泣き声が、後悔の呻き声が、もがくように響き続ける様子が余すこと無く映し出されていく。その果てに、ようやくようやく、小さな女の子が押し込めた本当の願いが見つけ出される。
一人の女の子の途方もない絶望と小さな希望が込められた、まさにこれは彼女・ロード・ティティそのものの物語。
この娘は、報われるべきだと思う。この娘は救われるべきだと固く思う。こんなに身の程を超えたことを、やりたくなんて全然なかったことを、求められたから、頼られたから、守りたかったから、そんなささやかな優しさを支えにして、やり通したこの娘を誰が非難できようか。
だから、彼女に救われ守られ導かれた人たちが、みなみな彼女の本当の願いを知ったとき、誰も彼女を責めなかったことに、こみあげるものがあった。みなが彼女に感謝し、彼女を追い詰めたことを悔やみ、彼女に与えられた「これから」を祝福してくれたことに、拳を握りしめた。
千と百年の地獄のはてに、彼女は確かに報われたのだ。そして、未来を祝福されたのだ。
もうこれで、半分未練が消し飛んだ、というのもよくわかる、というかこれで未練全部消し飛んでもおかしくないくらいの、救いある区切りでした。
そして、これに匹敵する半分を担うほどに、ティティにとって幼い頃の想い出が掛け替えのないもので、弟のアイドのことが大切なのか。
これまで、ティティの未練そのものが封印され、忘れ去られていたことから、弟のアイドに関してもティティはあんまり大した反応を示さなかったので、この姉弟の関係がいまいちわからなかったのだけれど、こうも鮮やかに描き出されてしまうと地上に戻ったあとのアイドとの対決が今から楽しみでしかたない。いや、アイドとティティ。ロードじゃなくティティとの再会がどうなるか、というところが。
今回の殊勲賞は間違いなくライナー君ですね。これほど頼りになる騎士、カナミの騎士になってくれるとは思いませんでした。なにより、ヤンデレじゃないのが頼もしい! 精神面で危うい部分があったのもかなり解消されたように見えますし、同世代の親友にして絶対的な信頼を寄せられる相棒格、しかもまだまだ成長の余地あり、てすごいですよ。今回もノスフィーを見事に足止めしてみせましたし。カナミとライナーの信頼を寄せて寄せられて、の今の関係、とても好きです。
さあ、ようやく地上に戻っての新たな章の開幕、ということでガラッとメンツが変わることになりましたけれど、そうかーあれから一年も経っちゃってるのか。
ラスティアラたちの現状も心配だけれど、一方でなんか新たなヤンデレ誕生の予感がw
カナミ、さらっと要らん事口にしなかったかしら!? せっかく、ヤンデレのいないニューパーティーだ!と思ったのに、大丈夫ですか?本当に大丈夫ですか!?

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 9 ★★★★   

異世界迷宮の最深部を目指そう 9 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 9】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――騙り得ぬ沈黙。

ついにパリンクロンを倒したカナミだったが、迷宮・六十六層の裏で目覚めを果たす。
【五十守護者】ティティーと出会い、一年という空白期間を認識したカナミは、ともに落ちたライナーと迷宮を脱出するべく「地上」を目指すことに。
六十層まで到達したふたりが出会ったのは、『光の理を盗むもの』ノスフィー。
「――あ、あぁっ!! わたくしを迎えに来てくれたのですね! 」
未練を残す守護者がふたり。
語るたびに騙られ、諦観が未練を呼び、誰も彼もが意味をはき違えていく。
その果てにも届かぬ手を伸ばした先に――彼女の『試練』が訪れる。
カナミ・メンタルヘルスケア!
というわけで、悩める守護者さまのこの世の未練を晴らしていく、という精神介護か地縛霊の除霊みたいになってきた迷宮攻略戦。いや、何気に今までもずっと守護者の未練を晴らすという目的は一貫していたのだけれど、何しろ登場人物全員が精神を病んでいるという考えてみると凄まじい状況だった挙句に、肝心の主人公のカナミが一番やべえ状態だったのが長く続いていたので、病める主人公が病める周りの登場人物たちの精神を癒やしていく、というのはぶっちゃけ無茶無理無謀の類で、お互いに足を引っ張ってドボドボと縺れて溺死しまくるという有り様だったんですよねえ、懐かしい。
それがなんやかんやと、ついにカナミンがそのあたりを見事に克服したおかげで、ようやく周りの人たちのこともある程度的確にすくい上げることが出来るようになってきたのが昨今の話。それでも、嫁候補たちが揃って修羅場っているお陰で、カナミン一歩どころか一言間違えるだけで即死惨殺完全犯罪被害者の回の適格者になってしまいそうな勢いで、これまでとは違う意味で精神がゴリゴリ削れて病みはじめていただけに、それらから開放されて自由を! 自由を得たカナミは実は今までで一番精神的に開放された状態なんじゃないだろうか。さらに、ライナーというかつては突っかかってきたものの、今では一番忠実で健気で暴走せずちゃんと人の話も聞いてくれて、男同士色んな共感を得ている親友にして弟分にして最良の癒し系という、今まで出てきた登場人物の中で唯一にしてぶっちぎりのマトモな頼りになる相方の登場によって、もうカナミン最高潮である。
つまり、完全に余裕を持って他人のことを、守護者たちのことを考えてあげられる状態なんですよね。
経験に基づくデッドラインの見極めと危機の感知が、さすがこれまでありとあらゆるやらかしを経験してきただけのことはある、という冴えっぷりで、結構ヤバイ感じアリアリな二人の守護者のこともなんとか落ち着かせて、宥めて、時折散布される地雷や機雷も丁寧に掃除して安定を保ちつつ、二人の未練を解こうとしていたけれど、まあ結局ラインを割ってしまうんだなあ、これが。
とはいえ、「やっちまったー」という失敗ややらかしの結果ではなく、なるべくしてなった、という感じでもあり、カナミは決して選択肢ミスったり地雷踏み抜いたりもせずやれるだけはやった、というカンジがするので、これまでで一番頑張ったんじゃないだろうか。いや、頑張ったというか間違わ無かったというか。それでもこうなってしまうのは、結局始祖カナミの因果であり負債であり、既にもうやらかし尽くしたあとの後始末の段階である以上、穏当に終わるはずがないというカナミとしては実のところもうどうしようもない、はじまった時点で終わっている話でもあるんだよなあ、これ。
結局はそれを清算しないといけないのが、カナミという青年のもう宿命なのだ、と言わざるをえないのか、これ。
つまるところ、ご愁傷様です。
今のところ、ティティーの方がメインで進行しているようなのだけれど、今回拍子はノスフィーだしキャラ人気的にもノスフィーの方がなにやら突出しているようで、これから元嫁の出番アリアリなのか。それはそれで楽しみというべきなのか、既に火がついている爆弾を焚き火に投げ入れるようなものなのか、修羅場的に。
とりあえず良い所というか、肝心の場面で終わってしまったので続きハヨゥ。
それにしても、今回は異世界迷宮の階層を上にあがろう、になっててなんか徹底してタイトルの「異世界迷宮の最深部を目指そう」とポカポカ殴り合う内容ですなあ、本作って。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 8 ★★★★☆  

異世界迷宮の最深部を目指そう 8 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 8】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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―それは千年前の契約。使徒の力を受け継ぐという使命。『英雄』と『化け物』たちの戦いを続ける遊び。『境界戦争』の中で誰もが『運命』や『生まれ』に振り回され、契約を果たすパリンクロンの計画をもはや誰も止められない。戦場でついにパリンクロンを捉えたカナミは、千年前の再来を止めるべく仇敵に戦いを挑んでいく。『世界奉還陣』の発動する戦場が紫水晶の魔力に満たされ、再び始まる第二十の試練―。
「―『ああ、我こそが死罪人』『闇の理を盗むもの』―」
心に宿る運命に『誓約』を果たしたその時―少年は『最深部』を暴く者となる。
激動! 激動! まさに急転直下の激動の展開。いやいやいや、ここまで引っ張ってきた様々な謎や秘密が閉店セール大盤振る舞いの如く、一気に開陳されていくその怒涛の勢いたるや、正直泡を吹く勢いでありました。
パリンクロン、そこまで核心に近いところにいたのか。あまりに核心すぎて、当事者であるカナミがついていけないほどの急展開なんですよね。本来ならこれもう少しじっくり一つ一つ明らかにしていくような真実の数々であろうに、駆け抜けるようにぶちまけられてしまいましたからね。それだけ、パリンクロンの土俵の上だった、とも言えるのでしょうけれど。カナミから、そのじっくりの余地を徹底して奪って自身のところで集約していたわけですから。
もし、ワイスさんが居なかったら、まず詰んでたんじゃないだろうか。あれほど苦労した結果集った凄まじい戦力である仲間たちも、見事なくらいにほぼ無力化されてしまいましたし。みんな、おおよそ「千年前」というキーワードに深く関わる人達だっただけに、そこに絡める形で根こそぎやられたもんなあ。スノウも、トラウマ込みで仕込まれていたわけだし。
この「千年前」という鍵に関しては当事者のカナミですら該当するわけで、あれほど強くなったはずのカナミが、メンタルの方も苦難と試練を山と乗り越えて随分鍛えられたはずなのに、パリンクロンの手口を嫌というほどわかっていながら、わかっていてなお、クシャっとやられてしまったわけですから。
だからこそ、「千年前」というキーワードと全く関係ない位置に居たマリアが、もう戦力的にも精神的支えとしても獅子奮迅の活躍だったんですよね。これもうマリアに頭あがんないでしょう。
そして、再誕してなおカナミに力を貸し続けてくれたワイスさん。彼女の意識がどうなっていたか、というのを探るのはもう無粋というものでしょう。彼と彼女の意志は、確かに弟であるライナーへと受け継がれたのですから。
もうライナーがカナミにとってあらゆる意味で癒やしと救済になりそうでなんともはや。ライナー、兄の遺志を継いでカナミを守ることを思いっきり決意しちゃっているけれど、その場合敵からだけでなく、パーティーメンバーからも守ってあげないといけないことになりそうで、今からご愁傷様である。絶対カナミ、ライナーに逃げそうだもんなあ。
と、そう悠長なことを言っていられない大どんでん返しが、最後にも待っていたのだけれど。
パインクロン戦は、この詐術士の真意と本心と苦しい胸の内を理解した上で相容れぬ敵として、許せない相手として、ローウェン戦のあの奇跡的な噛み合い方とはまったく別の、逆方向のベクトルで噛み合った、お互いに絶対に負けられない、負けたくない、激情をぶつけ合う激闘でした。わかっていてなお騙される、意識をそらされる、死角を作られるというもう二度と会いたくないような敵だったなあ。わりとカナミめためたにやられてしまいましたけれど、それでもなおこれまでの試練でメンタル鍛えてなかったらそのメタメタにされるまでの僅かな抵抗すら叶わなかった、どころか敵対すら許してもらえなかっただろうことを思えば、十分カナミ強くなってたのよねえ。マリアやワイスたちの助力が合ったとはいえ、よくまあ倒せた、と思うばかりです。

そして、明かされてしまった千年前の真実、迷宮最深部の真実、カナミという男の真実。この巻だけでもかなり大胆なミスリードが用意されていたり、あれの出現には度肝を抜かれたり。
表紙絵のカナミが抱きかかえている娘、誰だろうと思ったらそういうことだったのか。そう言えば、面影もある。
しかし、事態はそう簡単には落ち着かず、まだまだ千年前に端を発する因縁は幾つも残ってるんだなあ。各階層の守護者たち、ともかく彼らとの決着が必要で、そうでないとほんとうの意味の最深部には到達しないのか。
まだまだ、これは続くよ!!

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異世界迷宮の最深部を目指そう 7 ★★★★   

異世界迷宮の最深部を目指そう 7 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 7】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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武闘大会が終わり、遂にラスティアラたちと本当の再会を果たしたカナミ。下手な火薬庫より危ない彼女たちと共に、カナミのパーティーはリヴィングレジェンド号に乗って海原を行く。向かうは『本土』―全ては、パリンクロンとの決着をつけるため。パリンクロンを倒す実力をつけるために潜った迷宮で、カナミは“天上の七騎士”ハインの面影を残す少女と遭遇し…!?「初めまして―私の名前はワイス・ハイリプローペ」彼女はいったい何者なのか。『迷宮』とはいったい何なのか?カナミは真実を求め、迷宮に再突入する―。
あ、あれぇ? 確か、前回で色々と切羽詰まっていた懸案を解決して、行き詰まって絡まりすぎていた人間関係も上手いこと精算して、柵や呪いに囚われていたヒロインたちも開放して、カナミ自身もジークとしての自分とカナミとしての自分を合わせることで足りなかった部分が補われて、万事が万事上手く行って船出したはずだったのに。
上手く行ったその先であるリヴィングレジェンド号船上が、明らかに今までで一番危険地帯なんですが。一つ選択肢を間違えるだけで即死してしまうダンジョンよりも恐ろしいデッドゾーンなんですがw
普段の日常生活内で、何故かスキル「感応」による護身の極みが発動しまくってるんですが。スキル「???」がちょっと慰めてくれてるみたいな感じに肩叩いてきてくれてるんですがww
常在戦場って、こういう意味でしたっけ? と思うくらいに、神経をすり減らして女性陣の間をおっかなびっくりつま先立ちでツナ渡るカナミくん。なにしろ、一つ発する言葉を間違えただけで船は爆発炎上、人生終了のお知らせ、という事態が精密な未来予測である感応や次元魔法のスキルによってもたらされるのだ。
そこは紛れも無く、最恐最悪の死地である。どうしてこうなった。笑える!

いやもうなんというか、ご愁傷様としか言いようが無い。自業自得と言うには、カナミ悪いところないもんなあ。別に女の子みんなにいい顔した結果、というわけじゃないし。親しくなった、そして人生を破綻させようとしている娘たちを、自分を救うのと同様にして助けて回った結果がこれだもんなあ。
とりあえず、スノウあたりは捨てて来ても良い気がするけど。この女、本気でただの怠けモノなだけじゃないか。まさに怠惰。マジモンの怠惰だ、これ。スノウさん頑張らない、が身に刷り込まれちゃってるよ。本来、彼女の怠惰は無力感から来ていたはずなのに、家の柵から逃れて自由になったあとも何も変わってないどころか、むしろ悪化しているように見えるこれは、いったいどうしたらいいものか。燃やそう、マリアに頼んで燃やそう。もしくは、ディアに頼んで焦がそうぜ。
これで、ほんの数巻前はわりといい感じにヒロインしてたのになあ。ダメな感じが放っておけない系のヒロインとして結構いい具合に絡めてたんだけれどなあ。今はむしろこのダメな粗大ごみ放っておこうぜ、という感じになってしまっている。いや、放っておくのも腹立つので、なんとか働かせてやらないと、という気になってる。なんというニートw
逆に甘酸っぱい度を増々しているのがラスティアラで。前巻までは頼もしい脱出のためのパートナー、という感じだったのだけれど、落ち着くと途端に可愛らしくなっちゃって。戦闘経験や駆け引きの経験の豊富さとは裏腹の恋愛というものの初心さのおかげか、距離感の無防備さと恋に気づいた瞬間の湯立ちっぷりがめちゃくちゃかわいくてねえ。いや、カナミの本命がラスティアラだ、というのもわからなくはないよ。
しかし、彼女も彼女でトラブルメーカーなのは確かで、一行の中で一番良識的で空気読めて気遣いが出来て細やかなサポートもしてくれる優しい癒し系が……リーパーだというのは、なんという幼女頼りなんだ、この一行……。いや実際、リーパーちゃんマジ心配りが神対応なんですけれど。
でも、個人的にはマリアが意外と精神的に安定しているので、何がきっかけで船が爆発炎上するかわからない、ということはなさそうなので、それほどピリピリはしてないんですよね。以前の不安定な頃の彼女は地雷の感度が高すぎて、ハラハラドキドキだったもんなあ。その頃からすると、マリアすごい落ち着きましたよ。その代わり、物理的火力も限界まであがってますけどね。そうか、実質アルティの力を継いでいるから、守護者クラスの力を得ちゃってるんですねえ。ディアとのコンビで後衛無双してラスティアラとカナミをでくのぼうにしてしまった展開には笑いましたけれど。ってか、二人ともわりとメンタル緩いよww

まああれこれドタバタはありながらも、久々にダンジョン攻略なんぞも絡めながら、まあ穏やかな日々、なんだろうなあ。とりあえず切羽詰まってヤバイ状況ではないわけですし。今までは、何かしら追い詰められていたのを思うと、カナミが普段の生活の中で決死の綱渡りしているというのもまあ船が実際爆発炎上するまでは笑い話です。
唯一不穏だとすれば、ディアのあのやたらと眠そうな様子だけか。今のところ、誰もあんまり気にしている風ではないのだけれど。
そして、新たなキャラクター、騎士ハインの面影をもったワイスの登場。外見も中身もハインとは違う、という話だけれど、むしろハインよりも落ち着いていて安定感がある感じのワイスだけれど、本土編のキーキャラクターになっていくのか、彼女が。本土編の助走編、仕切り直しの章としてはちょっとずつ色んな謎を明らかにしていく段階に足を踏み入れつつ、今の関係やpartyの能力を再確認する、という意味でもなかなか今までなかった日常編としても、大変面白かったです。またここから、激動となってくるのでしょうけれど、その前の一休みとしては十分だったのではないかと。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 6 ★★★★★   

異世界迷宮の最深部を目指そう 6 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 6】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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パリンクロンにつけられた腕輪を破壊し、記憶を取り戻したカナミ。全ての決着をつけるため、『ある人物』に狙いを悟られないよう、カナミはラスティアラたちと共に行動を開始する。スノウを説得し、マリアを虚偽の記憶から解放する―全ては孤独な親友であるローウェンを救うため。一方、未練を果たせると武闘大会に臨んでいたローウェンは、『最強』の『英雄』としての在り方に疑問を抱いていて…?「さあ―『第三十の試練』を始めよう」夢のような日々が結実した今ここに、一ノ月連合国総合騎士団種舞踏会は終幕する。

見ろ、この光景を。往く者と、受け取った者。一振りの剣を間に挟み、この表紙絵には物語が込められている。この6巻に語られたメッセージのすべてが描かれている。
時に、想いは表情以上に手に結実する。ローウェンの左手と、カナミの右手。背を向け合い視線が交わることのない二人の言葉は、その手にすべて込められている。語り終えた余韻が、残っている。

親友との約束を果たしに……。
そう、これは決着をつけるための戦いじゃあなかった。伝えるため、惑うローウェンを導くため、運よく先にたどり着いた答えを、一緒に受け取るための、会話でありコミュニケーション。いや、それ以上の……ローウェンとカナミという親友同士の関係の結実、その出会いの価値を満たすための結晶のような時間だったのだ。
貴方に出会えて良かった。貴方と友達になれて良かった。貴方と一緒の時間を過ごせて良かった。貴方とともに歩めて、良かった。
そんな幸福を、噛みしめる時間。実感する一時。確かめるための、大切な大切な積み重ね。
その貴重な宝石のような時間は、たとえもう二度と会えなくても、これが生涯の別れとなったとしても、その心はこれからも共に在るのだ、という事実を二人に与えてくれた。二人で、作ったのだ。それを、みんなが支えて助けてくれた。
その証が「剣」である。その剣こそが、ジークと名乗った冒険者と、カナミという虚像の英雄が交わった、相川渦波という少年の存在を、証明してくれる。ローウェンの親友として、彼のすべてである「剣」を継いだ者として、この世の証としてくれた。
ジークフリートでもカナミでもない、相川渦波の門出を祝ってくれるモノとして、これ以上のものはないだろう。これ以上に、結実したものはないだろう。
実に、カッコいい戦いだった。とてもとても爽やかで、全身全霊を尽くしきれた、何の邪魔も入らない、思う通り、願うとおりにやり切った戦いだった。
ずっと笑顔で、満ち足りた笑顔で戦えた、素敵な眩しい試合だった。
未練を残して死んだ、何を未練に思い、何を本当は望んでいたのかもわかっていなかった英雄の、最期の戦い。親友たちとの、心ゆくまでの語らい。それが叶ったローウェンに送るべき言葉は、きっとこういうものなんだろう。

おめでとう、良かったね。


誰も信じず、目的を果たすために手段を選ぶまいとしながら手の内に入った少女たちを突き放せずに迷い続けたジークフリート。
人を信じて助けることを厭わずに、しかし真実から逃げ続けて直視しないまま惑い続けたカナミ・アイカワ。
どちらも歪で、中途半端で、それゆえに守りたいと思ったものを取りこぼし、相手の想いを掬い取れず、ボロボロにしてしまう生き方だった。
間違い続けた選択肢。
でも、記憶を取り戻し、ジークに戻るのではなく、ジークと混ざり合ったカナミは、人を信じて人に請いて心の中を率直に語り、しかし冷静に図り、判断し、甘さを排して合理的に計算し、虚実を手玉に取ることを覚えた相川渦波は、ようやく此処に至り間違えずに進めたのだ。
何一つ間違えず、正解を選び続けることが出来た。最初から最後まで、スノウもマリアもリーパーすらもローウェンさえも、誰一人取りこぼさず、その願いを掬い上げて見せてくれた。これまで、本当に苦労して失敗してダメでダメで痛い想いを、辛い思いをし続けていただけに、それが運命の理不尽さ故だったり他者の悪意だったり、カナミ自身の不徳の致すところだったりと理由は様々だけれど、破綻させ取りこぼし、失って、踏みにじられた結末を経験してきただけに、それだけに万事が上手くいったこの結末には、万感の思いである。
よくやった、よくやったよ渦波。頑張った、苦しんで苦しんで、よくぞやり遂げた。それでこそ、それこそが主人公だ。

まさか、ラスティアラにセラにディアにスノウにマリアにリーパーまで加わった七人パーティーが結成されるとは、思わなかったですけどね! カナミの甲斐性がまさかそこまでパワーアップするとは思ってなかったから、まさか全員パーティー入りするとは想像もしてなかったからね!
ちょっと待ってください、このパーティーヤンデレ率が高すぎるんですけれどw ってか、全員多かれ少なかれ、油断すると脇腹をナイフでぐさッと刺してきてもおかしくないというか、何人かは既に前科と実績がありそうな感じのやばい人たちなんですけれど。一人でも命の危機なのに、セラはまあいいとして、それ以外の危険性が有頂天!?
いやうん、スノウが変な感じにヘタレ切ったというか、ゲージがダメな方向にいい具合に振り切って逆に安定したのでダメな感じに大丈夫そうだし、リーパーは実のところ今回がピークで今後は一番落ち着いてそうだし、ラスティアラは今のところ一番安定しているというか表面上は抑え役のパートナーなんで、彼女メインの事件のあかん事態にならなければ大丈夫……って全然大丈夫じゃない気もするけれど大丈夫大丈夫。
つまり、ディアとマリアの呉越同舟が一番弾薬庫の中でロケット花火の打ち合いっ子をしてるようなものなんですね。実質、終わってますね、ご愁傷様ですw
多かれ少なかれ、とりあえず今は火がついていないにしても全員導火線持ち、というのが今の正しく開花した渦波にとっても難易度高すぎるんじゃないでしょうか。ある意味、これからこそが選択肢を一つも間違えられないような……。ちょっと間違えると、ボン! ですね♪ ボン♪

いずれにしても、涙腺を刺激しまくってくれる、実に熱い戦いでした。これだよ、この熱量だよ。この熱こそが、面白いというモノの結実なのだ。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 5 ★★★★☆  

異世界迷宮の最深部を目指そう 5 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 5】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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「三十層の守護者を打ち破ったら、真実を教えてやる」
パリンクロンにそう告げられ、舞闘大会に出場することになったカナミ。その後、スノウの提案により竜退治に旅立ったカナミは、リーパーと話すうち、自身の置かれた状況に疑念を抱く。記憶喪失の元凶が腕輪だと考えたカナミはローウェンに腕輪の破壊を相談するが、なぜかその依頼を拒否されてしまい……。
方法を探すカナミに手を差し伸べたのは、かつての彼を知るラスティアラで――!?
因縁渦巻く舞闘大会が幕を開け、自身の誓いを違わなかったとき――少年は《全て》を思い出す。
おおう、面白かった、面白かったぞーー!!
頑張れば頑張るほど媚び媚びで気持ち悪くなっていくスノウが、これ思いっきり当人の望みとは逆効果で空回りだったんだよなあ。ここまでスノウがカナミをドン引きさせなかったら、カナミももうちょっと現状に甘じてしまったのかもしれない。スノウがあんまりにも、このままじゃ駄目だ早く何とかしないと、状態になってしまったからこそ、カナミもリーパーの言葉に含まれる「自分の意思」により真剣に意識を傾けた素振りもあるし。彼女が招いた虚飾こそが、彼に自分を取り巻く嘘を強く意識させてしまったわけですしねえ。やだもう逃げたい、とカナミに思わせてしまったスノウが全部悪いw
でも、この段階でカナミが腕輪を壊して記憶を取り戻す決意をするとは思わなかったなあ。もっと悪い意味で決断が出来ないのが、今のカナミだと考えていたから。それだけ、スノウやばかったのかー。スノウだけではなく、ローウェンも明らかにおかしくなってたし、カナミとしてもこのまま記憶を取り戻さないでいたほうが幸せだ、とはとても思えぬ状況でしたからねえ、そりゃある意味当然の選択か。
そして、この段階であっさりとラスティアラとディアにコンタクトが取れて、状況と選択を説明した上で協力を取り付けられたのも、意外といえば意外。いや、目的が一致している以上協力してくれるのは間違いなかっただけれど、まず余計な介入があって拗れるか、コンタクトが取れないところに追い込まれると思っていたからなあ。
それでも、腕輪の呪いが強力であったから、舞踏大会で真っ向から戦って腕輪を壊してもらうことになったけれど……非常にまっとうな展開であったのも確か。いや、大丈夫なのか、とまっとうすぎて不安に思ってしまったくらい。カナミの記憶を封じたパリンクロンが、こんな簡単にカナミの記憶が戻るのを、ひいてはカナミが今の環境から脱出することを許すのかなあ、と。
でも、そもそもからして、パリンクロンが本当な何を考えているのか、からまだ良くわからないから、カナミが記憶を取り戻すことまで織り込み済みなのかもしれないし、と構えているのですが。
ともあれ、やっぱり味方となるとラスティアラは頼もしい。むしろ、立場やら余計な思惑が介在していた以前よりも、純粋にカナミを取り戻すためという目的が定まっている今のほうが信頼感は高いとすら言える。
こうして振り返ると、ジーク出会った頃は他者に対して常に「不信」が介在していた分、仲間に対しても絶対的な信頼なんておけなくて、結構胃が痛くなる関係性だったんですよねえ。今のカナミはあらゆる意味で「甘ちゃん」であるのは避けて通れない事実なんですけれど、他者を信じられる、というのは悪く無い。元々、それはカナミの資質でもあったわけですし。ジークの頃は随分無理してたもんなあ。
でも慎重さや思慮深さ、必死さという点においてはジークであった頃の方が遥かに彼に高いサバイバリティがあったのを思うと、ジークフリートって相当にピーキーではあっても頼みにするに足る強さがあった。カナミの甘ちゃんさは、良いところもあれば悪い部分は本当にヌルくて雑で適当で、極限状況においてはやはり信頼に欠けるところがある。
カナミのヌルさには、随分やきもきさせられましたからね。一方でジークの尖り具合にも、いい加減もうちょっとなんとかならないか、と焦れるものがあった。
だからこそ、記憶を取り戻して、ジークとカナミの両方の性質を混合させた新しい「カナミ」には正直ビリビリくるものがあったんですよね。新しい彼には、甘さに甘んじずに貫ける強さがある。優しさを弱さと断ぜずに罷り通る覚悟がある。靭やかな強さ、とでも言うのか。いいね、これこそ主人公だ。ちょいとこれは、テンションあがりましたよ。盛り上がってきた。

あと、舞闘大会の司会さんは名前ないのにキャラ立ち過ぎだw 大好きだけれど。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 4 ★★★★  

異世界迷宮の最深部を目指そう 4 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 4】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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―戦いは終わった。少年は休息を経たのち、命の恩人であるパリンクロンの協力によって、冒険者ギルド『エピックシーカー』のギルドマスターとなる。妹のマリア、竜人のスノウと共に平和な時間を過ごしていく、足りないものは何もない幸せな日々―。だがそんなある日、少年は仲間だと名乗る二人の少女、ラスティアラとディアに出会う。「初めまして、僕はアイカワ・カナミです」運命の新章を切り開く異世界迷宮ファンタジー、第四弾!
もー、これに登場するヒロインのメンタルぐずぐず率の高さと来たら……。病んでない健全な女の子はいないのか!? まあ女の子に限らず、男もいい具合にイカレちゃってる人が往々なので、どれもこれもなのですけれど。
パリンクロンによって精神を弄くられ、記憶を改ざんされたカナミとマリア。彼の手引によってギルドマスターに祭り上げられ、サブリーダーのスノウと一緒にギルドマスターとして日々奮闘することに。
……なんか、すごくまっとうなんですよね。カナミも、ジークとして生きてきた頃に比べて、自分の中の善性と勤勉さを何の疑念も不信もなく、素直に前面に出して働いて、それが周りに受け入れられ、認められ、その功績はみんなから真っ当に讃えられる。細かいトラブルは幾つもあるものの、カナミもマリアも誰も苦しまない陽の光の下の正道を歩みはじめるのである。

パインクロン、怖いわ、これ。

恐るべきは、精神操作・記憶改ざんされている事がある程度カナミにも自覚されるくらい秘密の統制はゆるいにも関わらず、それに触れられないようになっている。精神操作の事実から無意識に目を逸らすように操られている、という理由もあるんだけれど、その操作にカナミが抵抗できることも前提なんですよねえ、これ。
ラスティアラとディアの接触も妨げてない。
その上で、記憶が改ざんされる以前よりも、今の方がカナミも、そしてカナミが誰よりも大事にしているマリアも、幸せでいることが出来る、という事実を突き付け、さらにスノウと一緒に過ごさせることで彼女に情が移るそうにした末に、カナミがギルドマスターとして英雄となり彼女を守ってあげないと、彼女は確実に不幸になる、という状況に追い込んでいるのである。
カナミが、記憶を取り戻そうとすれば、彼自身ではなく周りを巻き込んで不幸になってしまうけれど、それでも記憶取り戻す? とわざと制約を緩くしてカナミ自身に選択するように仕向けているんですよね、これ。
エグい。実にエグい。こいつ、ぶっ殺してえ。

前巻で、多くの偽りで身体も心も鎧ってきたカナミたちが、ようやく自分の中の本当を、本当に求めるモノを見定めようと前に進みだしたところで、そのすべてをぶった切った挙句に、この偽りの事実の上に築き上げた現実に存在する幸せの檻の中に閉じ込めて、その中にとどまるも壊すも君次第だ、と言わんばかりに突き放す。
手を変え品を変え……もうやだこれw

破綻に至る亀裂は既にもういくつも見えている。惨劇の萌芽もまた、いくつも芽生えている。そして、この物語のトゥルー・ルートを辿るには、カナミは破綻を防ぐのではなく、むしろ自分で破滅を選ばなければならない、ということになるわけで……。
私ね、こういうこれでもかと主人公やヒロインを追い詰めて追い詰めて精神的に殺しに掛かるお話って……きっと大好物なんだよね、うん。
好きな子ほど苛めてしまうのが、作家の本分だと思うのよ。我が子を千尋の谷に突き落としてこその愛情なのよ。その本分を、ねちっこくねちっこくこれでもかこれでもか、といびり倒すように実に丹念に趣向を凝らし、手を変え品を変え舐るようにやり倒すこのやり口には、溢れんばかりの愛を感じて仕方ありません。背筋がアワダチソウですけれどw

しかし、カナミ以外寄せ付けない難攻不落のヤンデレかと思われたマリアに、あんな方面からのチョロさがあったとは……ふむふむ。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 34   

異世界迷宮の最深部を目指そう 3 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 3】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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激しさを増す“天上の七騎士”によるラスティアラの奪還計画。このパーティで最深部を目指そうと考えるカナミだが、突然ラスティアラがフーズヤーズに帰ってしまったことにより途方に暮れてしまう。そこへパリンクロンがラスティアラを救う方法を持ちかけてくるが、マリアの様子もまた変わり始めていて―。いよいよ幕を開ける聖誕祭。ラスティアラの死期。マリアのカナミに対する恋心。恋を成就させたいアルティ。“天上の七騎士”との決闘。忍び寄る『???』の影。様々な思惑が絡んだ聖誕祭が幕を開け―そして全てが清算される。ここが運命の収束点―異世界迷宮ファンタジー第3巻。
こーれは、またえげつないなあ。セーブポイント、回復ポイント無しでイベントボス戦の連戦連戦また連戦、みたいな? しかも、消耗しきった後の戦いの方ほど難易度が高いとか、えげつないにも程がある。どの戦いも、切り抜けて終わった後に次があるとは思わないから、気をゆるめてしまって気持ち的にも立て直しにくいんですよね。キツイわー。
それにしても、これって考えてみるとカナミを含めて登場人物のほとんどが精神に異常をきたしてる、ということになるんですよね。ある意味凄いよなあ。しかも、カナミにしてもスキル『???』の影響だし、ディアやラスティアラ、ハインにアルティ、マリアにしても全員が外的要因によって精神を弄くられている、というのだから本当になんだこれ。でも、お陰でか登場人物たちの求めるモノへの渇望が尋常じゃなく先鋭的になっていて、物語そのものがひたすらに細く鋭く尖っていって、触れるだけで問答無用に血まみれ傷だらけなます切りにするような勢いで加速していく。刺激的、という意味ではこの上ないのだろう。その分、心やすまる所が全然ないんだが。微笑ましいはずのシーンがあったとしても、甘酸っぱいはずのシーンがあったとしても、一皮剥くとそこにグチャグチャにかき回され沸々と煮立っているナニカが内在しているとなったら、とてもじゃないけれど気分が休まるどころじゃないし、ジリジリと火で炙られてるような気分にさせられる。何がホンモノで、何がニセモノなのかももうわからない。
それでも。
だからこそなのか。カナミをはじめ、誰もが嘘偽りのない「ホンモノ」を求めるのだ。渇望するのだ。縋り付き、むしゃぶりついて掴み取ろうとするのだ。それは、掴み合いの取っ組み合いでもあり、お互いを傷つけあう形になり、しかし求め合ってホンモノを確かめるのに必要な過程でもあったのだろう。
カナミが名乗ったジークフリードという偽名。一向に馴染まなくて、カナミの異世界での「本名」としてどうもしっくりこないままだったんだけれど、あの名前はやはり、彼のニセモノの象徴だったのか。だとすると、その名前を捨てたカナミが、誰に対しても「カナミ」として振る舞えた時こそ、彼の本当の物語がはじまる、はずだったのかもしれないが、そうは問屋がおろさないとばかりに、怒涛の展開に。いや、今回ほんとに怒涛の展開しかなかったんだけれど。どんでん返しありすぎて、何回転しましたか?
ラスティアラが、ハインが、アルティが、マリアが、そしてカナミが自分の本当に求めるモノを見出し確信し、それを掴み取ろうとようやく走りだした、そしてそれを掴んだと思った瞬間に、バラバラになって弾け飛んでいくこの容赦無い展開は、ある意味絶品なんですよね。ここまでするか、と言わしめるような流れを作り出すのはよほど会心の手応えがないと難しいですから。
未だスキル『???』の謎は明かされないままですけれど、その凶悪な副作用はついに露呈してしまったわけで、このスキル、本当になんなんだ!?
異世界迷宮の最深部を目指そう、というタイトルに対して、どんどん逆に目指すのが困難な状況に置かれつつ在るカナミですけれど、こっから果たしてどうなるのか。むしろ、ここがスタート地点なのか。

1巻 2巻感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 2   

異世界迷宮の最深部を目指そう 2 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 2】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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戦いを終えたカナミは『十守護者(テンガーディアン)』のアルティと再会する。
彼女の「恋を成就させたい」という依頼を受けつつ、迷宮攻略を再開するカナミ。
カナミは新たな仲間として火炎魔法を操るマリアと、類いまれなる実力を持つラスティアラを加え、ついに前人未到の領域に辿り着く。
しかし、順調に迷宮探索を続けるカナミの前に、『天上の七騎士(セレスティアル・ナイツ)』が立ちはだかる。
逃亡してきたラスティアラを取り返さんとする彼らに、カナミは決闘を申し込まれてしまうのだった。
「――お嬢様を、返してもらう」
運命の車輪はここから加速する――異世界迷宮ファンタジー、第二弾!

余裕が生まれると言うことは、必死に切羽詰まってがむしゃらにやってきた分、これまでは顧みる事の出来なかった部分にまで眼が、意識が行き届いてしまうという事でもあります。
生き残るために、元の世界に戻るために、迷宮の最深部に潜る為に、打算的に冷徹に他人を信用も信頼もせず、自分以外の存在はすべて利用するつもりで立ちまわってきたカナミですが、ディアと出会い、また自分の能力を研鑽して、この異世界で当面生きていく余裕、迷宮に潜る上での展望が開けたことで、なりふり構わずという必死さにしがみつくだけの余裕の無さも、当面解消されていったわけです。
そうなると、本来の彼の善良さ、または小市民性というものが頭をもたげてくる。本来の彼は、決して打算的でもないし、臆病で警戒心が強くても優しいたぐいの人間なのです。そういう人間が、意識的に利己的に、打算的に、他人を信用しようせず必要あらば切り捨てる事も厭わないような考え方をし続ける事は、自分自身に無理を強いるという事でもある。冷酷であろうとすることは、彼にとっては精神をすり減らすやりようなのだ。
もし、この異世界で出会った人間の大半が、悪意を以って彼に迫ってくるような人間ばかりならば、カナミも己を守る殻として針を生やしつづけたかもしれないけれど、幸か不幸か彼が巡りあった人たちは決して心根の腐った人ばかりではなく、むしろ善良と言っていい人たちの方が多かったであろう。そんな人たちに対して冷徹に常に利用するつもりで接し続けるというのは、小市民にとって心が疲弊してしまうものなのだ。
そのせいだろうか。この巻におけるカナミは、迷宮最深部に潜るためにすべてを利用するのだという冷徹さを維持できない。他者に対して情が湧き、情によって縛られ、しかしそんな自身に密かに安らぎを覚えてしまっている。他者を身内として自身の中に抱え込む事に、満たされたものを感じ始めている。
そんなカナミの姿は、自分の本来の姿とそぐわない在りように無理を重ねて痛々しさすら感じ、危うさを垣間見せていた以前からすると、むしろ安堵を伴う変化とも言えるのだけれど……。
残念ながら、恋を探求し続けるアルティも、奴隷であったマリアも、押しかけパーティーのラスティアラも、セラピー効果のある置物でも、心を慰めてくれる従順なペットでもないのである。他者を身内として抱え込むということは、決して甘い話ではない。彼女たちには各々に事情があり、思惑があり、理念がある。それは常にカナミの行く先と重なるわけではない。もっとも、それは人間関係における常道というものだから、難しく考えるものではないのかもしれない。でも、彼女たちが抱え込む情念はともすれば彼女たち自身ですらコントロール出来ない「火」を灯し続けている。それは、いつしか手の付けられない炎となって燃え上がる可能性を秘めた熾火であるのだ。
ディアが熟成しつつある妄執も、マリアの内に秘めた焦燥も、ラスティアラの自身も知らない人造の運命も、すべてが導火線に火のついた爆弾だ。知らず、カナミは火薬庫の中で松明を掲げ持つ少女たちとダンスを踊っている。
何もかもがわけもわからないまま、タイムリミットだけが提示された。残るは2日。聖誕祭、それこそがすべての始まりとなるのか、終わりそのものとなるのか。
カナミの中途半端な生き様への、決断が問われる。それでもなお、すべてを投げ打って守るのか……それとも、自身を壊しても切り捨てるのか。善意が、優しさが、好意が、むしろ針となって突き刺さり追い立ててくる。実に、心地良いダークファンタジーである。

1巻感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 1 3   

異世界迷宮の最深部を目指そう 1 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 1】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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最高の素質(ステータス)を持つ少年が攻略するのは、異世界迷宮の最深部――!

「絶対におまえを助ける。そのためなら、僕は――!!」
見覚えのない回廊で目覚めた相川渦波(アイカワ・カナミ)は、魔物から受けた傷をラスティアラという美少女に治療してもらい、ここが非常にゲーム的な異世界であることを知る。カナミは優遇されたステータスやスキルを武器に、美少女剣士のディアと『どんな望みでも叶う』と噂される迷宮の最深部に向けて突き進んでいく――。
これは少年が迷宮の最深部(しんじつ)を暴き、願いを叶える物語。
怒涛の展開で話題を呼んだ大人気WEB小説、ついに登場!!
なるほど、面白いのは「レベルを上げて物理で殴れ」的な、攻撃力や技術力の高さなどからなる能力・スキル優遇によって、優位に立つのではなくて、ゲーム的な「ステータス表示」「持ち物表示」「詳細閲覧」などの情報入手に、スキル「ディメンション」による索敵能力といった、情報系の能力によってダンジョン攻略の優位性を確保しているところにある。ダンジョン攻略のみならず、カナミだけが扱える「表示の閲覧」は他人が隠している、どころか当人が把握すらしていない情報まで簡単に手に入ることから、戦闘やダンジョン攻略のみならず、様々な場面で優位性を確保出来るんですね。これは、身一つで異世界の放り込まれ、右も左もわからない状態だったカナミにとっては、情報が簡単に手に入る、というのはとてつもなく大きな拠り所になったであろう事は容易に想像できる。
もっとも、情報なんてものは受け取りて次第であって、それを武器にできるか、応用して自分の利益に出来るように活用できるか、という意味ではまったく話が変わってくるのだが、そこで大きな意味を持ってくるのがカナミに最初から備わっていたスキル「????」である。
理性を保てないほどのパニックや激情に駆られた時に発動し、強制的に冷静な判断力を付与されるスキル。というと、とても有用なスキルに思えるし、実際無理矢理にでも冷静に合理的に理性的になることで、ようやくいきなり現実から異世界に放り込まれるという理不尽や、過酷で非常な異世界の現実に対して生き残る事ができ、きちんと計画を立てて生計を起てるだけの居場所を確保出来たわけだから、彼が死ななかったのはこのスキルがあったから、というのは間違いないだろう。
けれど、そのスキルが発動するに際して「混乱」という数値が淡々と加算されていくのは、傍から見ても徐々に体温が下がっていくような薄ら寒さを感じさせる。都合がいいだけのスキルとは、到底思えないのだ。この数値が一定を超えれば、一体何が起こるのか。時限爆弾のリミットが刻々と増えていくような恐ろしさを感じるスキルなのである。興味深いことに、このスキルによって冷静さ、理性を得ることでカナミ自身も、このスキルを危険視するに至るのだから、なんとも皮肉な話である。もし、この強制的な冷静さがなければ、切羽詰まった状況の中で役立つスキルがあれば、リスクから目を背けてむしゃぶりついてしまうものだろうに。

この「????」は、一時的に感情を吸い上げるものであって、決してカナミの情緒や感情の起伏を恒常的に失わせるものではないようなのは、幸いであるのか不幸であるのか。
カナミは、少なくともパニックに襲われるまでは、その小市民的なメンタリティでこの過酷な迷宮探索を続けていかなくてはならないのだ。そして、可能な限り「????」のスキルを発動して混乱数値を上昇させないようにするために、その弱々しいメンタリティを無理やりにでも揺るがないように立たせ続けなくてはならない。
その為に、彼は必死に利己的に、対外的には敵を作らないように人当たり良く、しかし他人は利用するものとして、良心や好意といったものに蓋をして生きていこうとする。
そうしなければ生き残れない、生きて迷宮の最深部まで潜れないから、と。絶対に、元の世界に変えるのだという決意を胸に。
でも、どれほどステータスが優遇されていようと、結局カナミは本来弱い小市民的な人間なのである。弱さとは、優しさでもあるのだ。弱さ故に、非情で利己的に、計算ずくで他者を利用して生きることを肯定する。これは正しい事なのだと、思い定める。と、同時に、正しさを確信しながらも、そう在る事への罪悪感、忌避感を拭い切れないんですよね。だからこそ、彼のように強い弱者は、常に悩み苦しみながら彷徨い、此処ぞという時には自分が定めた正しさに徹しきれずに、背を向けてしまう。その背を向けた先にも、また自己保身の一欠片がまじいってしまう。
こういう清濁併せて飲んだり飲めずに咽たりしている弱くて優しい主人公は、すごく好みなんですよね。
彼も、そして彼と出会ってしまうヒロインたちも、誰もが世界の真実と共に、自分の中の真実を探り探り歩いている。一緒に戦い、一緒に歩き、一緒に深淵を覗きこむことで、化学反応を起こすように彼や彼女の心の中が開けていく。もっとも、開いた先が解放であるのか、新たなる呪縛であるのか定かでないあたり、すごく意地が悪い話でもあるんですよね。カナミと出会い、彼とパーティーを組み、見たことのない境地と日常をかいま見て、新たな指針と自分で規定していたものを滅ぼしてしまったディアという少女然り。そして、恋をしたいという彼女然り。
むやみに陰険ではなく、しかし仄暗い闇の温もりを感じさせるダークさが非常にそそられる、ダンジョン探索モノのスタートでした。文字通り、まだ始まったばかりで横たわっている謎の一端も明らかになっていないんですけどね。それらはここから、新しいヒロインの参入を待って堪能したいところ。


 
12月3日

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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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