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勇者のセガレ

勇者のセガレ 4 ★★★☆   



【勇者のセガレ 4】 和ヶ原 聡司/029 電撃文庫

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異世界アンテ・ランデでディアナと再会し、魔導機士フィーグライドも仲間に加えた康雄。翔子に取り憑いたシィを分離する方法を探るため、一行は大国バスケルガルデの博物館で、最初の武機・破軍のオリオンを調べることに。だがその瞬間、翔子の左目の炎が激しく燃え、4人は黒い炎に呑まれてしまう―。気がついた康雄の前に現れたのは、翔子に取り憑いたシィ・ライアであった。彼女は、死者がシィとして現世に復活した理由を康雄に語り掛け―。勇者のセガレの普通の男子高生は、世界の危機を救えるのか!?ディアナと翔子との微妙な三角関係(?)の行方は!?クライマックスの第4巻!

【聖者】康雄かー。さすがに勇者や聖女と比べても【聖者】という呼称は現代日本人からするとハードル高いですわねえ。よっぽど敬虔な聖職者とか、自分の身を削って弱者救済に生涯を費やした人とか、カルト教団関係者、くらいですもんね、イメージ湧くの。
ここは異世界の人との価値観ギャップですわな。まあ、現代でもサブカルチャーに馴染んでいない人なら、聖者も勇者も聖女も変わらないくらい呼ばれて恥ずかしい呼称かもしれませんが。

シィの正体、或いはシィと呼ばれる死者たちがどうして現世に現れるようになってしまったのか、という物語の根幹とも言うべき謎がここにきて明らかに。って、そのあたりまでは良かったんだけれど、中盤越えたあたりからかなり進行早くなりましたよね。さすがに、撒きに入ったな、というのがわかってしまいました。アンテ・ランデ編はもうちょっと続けたかったでしょうし。
ともあれ、翔子に取り憑いていたシィが人格を取り戻してしまった上に翔子の身を乗っ取って動き出す、なんて真似まではじめてしまい事態は急展開。
シィの問題って誰かがいらんことをした、というのではなくてこうして話を聞くと完全に既存のシステムが現状におっつかなくなってオーバーフローしかけている、というものでこれどうしようもないやつじゃん。
そもそも、死後の世界というのが何故出来た、誰が作った、そもそも人の生と死の循環だから一方通行だかわからないけれど、この魂の流れるシステムを作ったのが誰なのか、という所までは話突っ込めなかったか。はたしてそれは本当に神様と呼ばれる高次元の存在なのかもしれないけれど、こうしてシステムが破綻しかかっているのをみると、全知全能ではないのは確かな模様。先の魔王の侵攻も、この崩壊をなんとかしようとした行為の一貫で、今暗躍している人も方法は違うけれど目的は同じ、となるとさてどうしたものか。
などと他人事で言っていられなくなったのは、この死者がシィとして溢れ出す、という現象が実はアンテ・ランデに留まらない、という事実が発覚してしまったからなんですね。
これは地球も無関係ではいられない危機だったのだ。
その発覚のきっかけは、かつて勇者と大魔法使いとなり長じて二人の子供の両親となる日本の少年少女が、どうやってアンテ・ランデに来てしまったのかという召喚の原因がわかったからなんですね。
そしてその原因がわかったのは、今回円香たちがバスの事故でコチラ側に迷い込んでしまった、という事故が起こってしまい、それに連鎖する形で理由が関連付けられたから。この畳み掛けるような連鎖して次々と状況が詳らかになっていく怒涛の展開は中々「おおぅ」と驚かされるものでした。

もちろん、翔子の中のシィが自分勝手に動き出すわ、秘密裏に動いていたはずが外国に自分たちの正体がバレそうになってしまうわ、円香がこっちに迷いこんでしまうわ、と康雄にとっても余裕なんざこれっぽっちもなく、いっぱいいっぱいになりながら切羽詰まるばかりの所だったのですけれど、彼が何だかんだと肝座っているのは、どれだけ精神的にいっぱいいっぱいになっていても、それでも浅慮せず深慮して判断を下せるようになった所なのでしょう。賢者というほど聡明でも、冷静沈着でもないのですけれど、物事を深く考え捉えて答えを出し選択する姿勢は見事にリーダーシップを取れていたのではないでしょうか。彼自身は自分は何もしていないと自己評価低いですけど、拘束された時のあの判断は翔子にしてもディアナにしても、この人頼りになる! と思って然るべき行動でした。
妹ちゃん、兄ちゃんへの評価低いけど、この兄ちゃん土壇場でこそ頼りになるから、ホントに。
とはいえ、女性への浮ついた感情をうまいこと操れるほどの余裕は残っていないので、ディアナと翔子への対応はもうアップアップもいいところでしたけれど。ディアナの方も経験値がない上に自分の感情を整理出来ていなかったのでコチラもアップアップになってましたけれど、それでも要所要所で適切にアプローチしているあたりは、さすが女の子だなあ、と。
翔子は、2巻から怒涛の後方一気で凄まじい追い上げを見せていましたけれど、やはりスタートの出遅れは大きかった、というのは彼女自身別の意味ですけれどちゃんと自覚していたところでしたので、これはさすがに白旗あげたのかなあ、と思っていた所でラストでさらなる二枚腰を見せてゴールで追いついてみせる、という奇跡の根性を見せてくれて、やっぱりヒロインとしての強度では翔子さんこのシリーズでは最強でした。状況設定からして不利な部分ばかりで、有利な部分、皆無に等しかったのにただただ自らの女っぷりと根性だけで対等以上の舞台に這い上がってみせたんですからね。
親の世代の引き継ぎ、あるいは後始末などではなく、自分たちだけの自分たちによる冒険譚がはじまる! というところで終わってしまったのはやっぱり勿体無いというか惜しいというか。世界の危機の対処にしても、人間関係にしてもここからが本番、という所でしたからね。ともあれ、うまいこと纏めてちゃんと区切りをつけて終わらせてみせてくれたのはさすが、というべきか。もう少し見ていたいお話であり、キャラクターたちだったのですが、ここでお疲れ様でした。

シリーズ感想

勇者のセガレ 3 ★★★☆  



【勇者のセガレ 3】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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度重なるシィの襲撃に耐えかね、異世界アンテ・ランデへと渡る決断をした康雄の父、英雄。シィを身体に宿す翔子も同行させるため、剣崎家&ディアナの5人は、翔子の両親の説得に向かう。
元救世の勇者と大魔導士、そして異世界の魔導機士を含む一同だったが、日本に住む普通の人達へ『異世界』の説明をするという難題に、魔王討伐やシィとの戦闘よりも緊張してしまい!?
何とか理解を得て異世界に通じるゲートに飛び込むと、元勇者の英雄に異変が発生! 見知らぬ森に一人投げ出された康雄は、そこが地球ではない『異世界』だと確信する。勇者のセガレとして、いよいよ冒険が始まる!?な、第3巻!
次の巻になっても直ってなかったですよ、マイホームw
ギャグ時空ではないので、破壊された家はもちろん業者に頼んでなおしてもらわないといけないわけだけれど、これ保険とかきかないですよね。ここまで壊れると建て直しとまではいかなくても本格的なリフォームとか必要そうだし、果たして何百万が飛んでいくのか。場合によってはもう一桁あがりかねない。現職一般的なサラリーマンである勇者・親父どのでありますから、これ死活問題なのである。ここで日本で状況の推移を見守っていても、またぞろ襲撃されて家壊されたら本格的に日本で生活できなくなりそうなので、とにかくアンテ・ランデ行ってなんとかしよう、ということになってしまったわけで。げに金の問題は良きにつけ悪しきにつけ、物事を推し進めてしまうものなのでありましょう、世知辛い世知がらい。
ともあれ、過去に勇者と大魔法使いやってました、という剣崎家のご両親ですから、元はと言えば関わり合いがあったのもの確かな話。一方で、本当に無関係で偶然巻き添えを食ってしまって、シィに憑依されるという状況に陥ってしまった翔子ちゃん。
前回の感想で、翔子ちゃん過去の関わり合いも決して濃いわけでもなくてポッと出の印象が強くて、ヒロインとしてここから果たして巻き返せるのかしら。とか書いてたら、物凄い勢いで巻き返してきましたがな! 
最後方からの直線一気ばりの捲りあげである。
というか、勢い良すぎてこれヒロイン通り越して、貴女が主人公じゃないですか!?という八面六臂の大活躍。ある程度シィの力を制御できることになったために、戦闘力皆無のヤスくんを守って、仮面ライダーばりの大アクション、殴って蹴ってとお嬢さん度胸在りすぎ!
いくらパワーアップしたからと言って、そうそう「敵」なるものに対して殴りかかったり、攻撃したりって喧嘩もしたことないような子がそんな勇気出ないですよ。
でも、やっちゃう翔子ちゃん、すげえ男前である。肝が座った乙女のど根性を見せられてしまった。もう完全にヤスくんヒロインである。元々、聖女属性の後方支援どころか、戦闘終了後に浄化してまわるような役回りなんで、立場が完全に入れ替わってます、はい。
恋愛的にも、無自覚に気を持たせるような言い回しばかりしてくるヤスくんにやきもきしっぱなしで、ある意味吹っ切れたのか言いたいことガンガン言っちゃう開き直った翔子ちゃん、初登場当時のいかにも存在感がなかなか発揮できない感じの雰囲気を消し飛ばして、実にパワフルで魅力のあるキャラクターにグイグイと競り上がってまいりましたよ。
図らずも、異世界のどこかもわからない場所に二人きりで放り出されるはめになり、異世界サバイバルをやるはめになってしまったヤスくんと翔子ちゃん。はっきり言ってこれまでで一番のピンチと言って過言ではない状況だっただけに、だいぶお互いの存在を意識してしまうことになったんじゃないでしょうか、これ。まあ、それどころではないくらい切羽詰まってた、とも言えるのですけれど。
でも、ヤスくんも醜態をさらすことなく、きちんと冷静さを保ってこのピンチを乗り切ったわけですし、相応に頼もしいと思ってもらえたんじゃないでしょうか。まあ、物理的なピンチの時に騎士のごとく活躍しまくったのは翔子ちゃんの方でしたけれど。圧巻の頼もしさだったなあw

しかしこれ、事前に翔子ちゃんのご両親に頭下げにいって、危険はありませんから、と保証したにも関わらずこの事態ですからねえ。助かったとは言え、あとでご両親にどう謝るかを考えると他人事でも胃が痛くなりそうです。ただでさえ、異世界とか魔法とかわけのわからんことについて、まともに説明せにゃならん、凄まじい苦行というか難行を乗り越えたあとだったというのにもう。
これ、ハリーヤさんが事前に魔法とか翔子ちゃんのご両親に見せて、ある種の情報の共有をしておいてくれたから、話スムーズに進みましたけれど、いきなり来ていきなり異世界の話されたらえらいことになってただろうなあ。
翔子ちゃん家の呼び鈴の前で、親父さんが胃を押さえて泣きそうになってたのなんか染みるようにわかるわー。フィクションでちゃんと説明せずに秘密にするの、余計にトラブル増やすだけなんだからちゃんと説明すればいいのに、というの実際にやるとなると「高確率で社会的に死ぬから無理!」という剣崎さん家の人々の悲鳴を聞いていると、なるほど納得である。

しかし、これでしばらく異世界編が続くことになるのか。置いてかれたお母さんと妹、そのままおとなしく待機してられるんだろうか、これ。

1巻 2巻感想

勇者のセガレ 2 ★★★☆   

勇者のセガレ2 (電撃文庫)

【勇者のセガレ 2】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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高校3年生になって一発目のテストで、まさかの赤点を3つもとってしまった剣崎康雄。原因は異世界の危機を救うための勇者修行とあって、康雄を指導する魔導機士ディアナは責任を感じ家を出ると主張。剣崎家ではまたしても緊迫の家族会議が開催されることに。
そんな康雄たちの前に、異世界からの新たな使者、ハリーヤが現れる。ディアナの上司だという銀髪美女は康雄の勇者修行に反対で、学校にまで追いかけてくる始末。追試の勉強もままならない中、ディアナとの関係を誤解した同級生の翔子ともギクシャクしたままで……。
異世界を救う前に康雄の追試が大ピンチ!? 一体どうなる庶民派ファンタジー!
あ、そうかー。そういうことだったのか。勇者の子供でしかも男の子で、そんでもって親父の代わりになる、て宣言したからヤスくんも剣と魔法で戦う二代目勇者になるものだと思い込んでたんだけれど。いや、これに関してはヤスくん当人や周りも基本その路線で考えていたからそれにつられてたのもあるんだろうけれど、彼の能力って客観的に見ると勇者じゃなくて「聖女」系統なんだ、これ。しかも、自分で戦うタイプじゃない戦闘能力が皆無なタイプの。
でも、ハリーヤさんに真っ向からダメ出しくらったように、伝説の勇者の代わりとして異世界に赴くにはヤスくんはあまりにも力不足であり、政治的にも無力すぎて向こうに行っても当人にとってもあちら側の世界にとっても不幸な結果にしかならない、というのは至極まっとうな意見で否定のしようがなかったのですけれど、もしヤスくんの持ってた能力が件の通りなら、伝説の勇者の代理ではなく、まさしくヤスくんの力が求められる事態であるんですよね。ぶっちゃけ、あの「シィ」という存在の異質さは往年の勇者の力であっても圧倒は出来たとしても果たして「噛み合う」のか、と疑問符が浮かぶところでありますし。
でも、歌で死霊を浄化する聖女さまが男、というのはちょっとビジュアル的にどうなのよ、という状況でもあるのですが。ヤスくんがカリスマ歌手とかロックバンドのボーカルとか演歌の若手ホープとかだったら、それはそれで、なのだけれど。
それから、ちょっと勉強が疎かになってたからって、三年生にもなっていてテストで3つも赤点、っていくらなんでも普段から授業に身が入ってなかったとしか思えないなあ、あかんぞヤスくん。いくら使い回しとはいえ、追試で90点以上取れてるんだから、出来ないってわけじゃないんだし。
と、ここで翔子がこんな形で深く絡んでくるとは思わんかったなあ。ぶっちゃけ、彼女クラスメイトでもないし、中学時代の同級生ってだけですごい縁が薄いんですよね。そこに昔お互いちょっと気になってた、みたいな関係があったとしても、そもそも友人とすら言えなかった関係だったというのはやはり弱い。もうちょっと以前からの交流が深くないと、なんかぽっと出の印象が拭い去れないままなんですよねえ。ここから巻き返せるのか、というところなんだけれど、それならもうちょっとディアナとの関係の方を踏み込んでいった方がちとどこもかしこもが中途半端になりかねないんじゃ、といささか心配でもあるわけです。
普通にディアナ、スポットがあたると世間知らずなところも含めて非常に可愛い反応が多いだけに、もっと彼女に重点あてて攻めていってくれた方が好みではあるのですけれど。
ともあれ、向こうに行く行かないもはっきりしないし、シィの正体や黒幕も匂わされつつも、こっちの日本でどれだけ真相に踏み込んでいけるのか、これからどう転がしていくのやら。
いい加減、剣崎家のマイホームが破壊されると、世間的にもやばいんですけど。家の修復って、簡単じゃないんですからね! 次の巻になったら直ってる、ってなわけにはいかないでしょうし、ドアくらいならともかく。
あと、出費!!

1巻感想

勇者のセガレ ★★★   

勇者のセガレ (電撃文庫)

【勇者のセガレ】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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所沢市の一般家庭、剣崎家では緊迫の家族会議が開催されていた。謎の金髪美少女ディアナが、異世界から剣崎家のリビングに現れたのだ。「私は救世の勇者、ヒデオ・ケンザキ召喚の使者としてやってきました」…って、ヒデオって俺の親父じゃねーか!平凡な高校生の俺こと剣崎康遊にゲームみたいな展開が降りかかると思いきや、親父が勇者で、若い頃異世界を救ったって!?どう見ても普通の中年な親父が「勇者」だとか信じられる訳がないし、ディアナは「勇者の息子」である俺に憧れの眼差しを向けてくるし…。異世界を救う前に、家族の平和が大ピンチ!俺の日常は一体どうなる!?
母ちゃん……。あ、あの格好はさすがになあ。【はたらく魔王さま!】のアパートのオーナーに勝るとも劣らない破壊力なんじゃないだろうか。しかも、本人含めて誰も望んでないッ!
せめて、もう少し美魔女とまでは言わないまでもスレンダーにお年を召してくれていたらまだ良かったんだけれど、普通のふくよかなおばちゃんじゃないですかー。無関係のヒトでも「うわぁ……」となりそうな姿なのに、ましてや実の息子や娘が目の当たりにした時のショックを想像すると……南無。
かつて異世界を救った勇者のその後、というのは多種多様のものがあると思うのだけれど、このお父ちゃんたちは元の地球に戻ったものの、力自体は普通に持ったままだったんですね。しかしそれにも関わらず、普通に就職し普通に結婚し普通に子供を作って普通に生活してたわけだ。まあねえ、むしろこの現代日本で勇者力だの魔法だのの力を持ってたからって何の役に立つんだ、という話なんですよね。役に立つどころか活用することすら案外難しいだろう。だから、この普通の大人であり普通の両親になっていた、というのは一番リアルな結末だったのかなあ。どころか、こうして地に足の着いた生活を送れるだけの落ち着きと割り切りを出来ていた、というだけでも敬服に値する。特殊な経験は容易に「普通」を維持するバランス感覚を失わしめてしまいますからねえ。
一方で危機となれば即座にスイッチを切れかえられるあたり、この両親本当に秀でた英雄だっただろう。それこそ現在進行形で。でも、連絡手段を忘れていく当たり、やや平和ボケしていたとも言えるのかもしれないが。
まあそんなこんなで、普通の親として別に特殊な経験を生かした子育て、なんてことは一切せずに普通に健やかに育った勇者のセガレと娘はどうやったって普通の平和な日本の子どもたちであって、両親が経験してきた「荒事」に落ち着いて対処できるなんてこと、出来るわけないのだ。
いや、かつての両親が異世界に迷い込んだ時はどうだったんだろう、と「敵」が現れた時の普通の反応を示す子どもたちの様子を見ると、ふと考え込んでしまう。
ともあれ、だ。セガレの反応は無理ないというよりも大人げない、いやちょっと現実から目を背けすぎ、という対応で主人公としては格好悪いことこの上ない。この点、むしろディアナの方が物分りが良すぎる上に無理を頼んでいる自覚が必要以上にあるので、余計にセガレの反応が格好悪く見えてしまうんだなあ。この件に関しては、彼だけではなく両親も家族に対するフォローが足りて無くて、みんなが多分に適切な対応を撮り損ねたことで最初の段階が拗れてしまった気がする。あの親父殿、やや息子に対する気配りが無神経なのは過去のエピソードの言動からも伺わせるものがあるし。
その時必要な言葉はそれじゃあないんだよ、というすれ違いがなかなかに生々しい。ただまあ、全体的に居心地悪い話ではあるんですよね。フィットしてない、という感じの気持ち悪さじゃないんだけれど、みんなが収まりの悪い中で身じろぎしているような。
かつて勇者だった親父殿が、新たな異世界の危機に再び召喚を請われてその気になって、じゃあ現在の生活は、家族はどうするの? という現実の問題提起を家族それぞれの感情を、思春期のややピーキーになってる内面の尖りも含めて描き出していく話ではあるんですが、まあ初っ端からずっと行き詰った展開が続くだけに、読んでてしんどいわりに面白味に関しては足りない物語ではあるんですよね。後半、予想外の転がり方をして緊迫感ある怒涛の展開になっていくんですけれど、それも息詰まりに風穴を開けるという感じではなかったですからねえ。
セガレの決断に関しても、いやそれでいいのか、とその内容について不安と懸念が募る方が大きい感じでしたし。
シリーズのはじまりの掴みとしては、やや鈍さを抱いてしまう一巻でしたかねえ。もうちょい、次巻以降は推進力が欲しいところです。

和ヶ原聡司作品感想
 
11月26日

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11月6日

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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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