十文字青

聖断罪(アダムヘッド)ドロシー 02 魔神と少年とかわいそうな魔法使い3   

02    魔神と少年とかわい聖断罪ドロシーそうな魔法使い (角川スニーカー文庫)

【聖断罪(アダムヘッド)ドロシー 02 魔神と少年とかわいそうな魔法使い】 十文字青/すぶり 角川スニーカー文庫

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逃避行を続けるドロシーとカルアが行きついた村は、荒ぶる魔神の脅威にさらされていた。村を救おうとドロシーは一人息巻くが、その魔神こそ、暗黒期の戦闘兵器“虚神”であり、その巨体はカルアですら手に余るものだった。そこに、妙に色気を振りまく魔法使いエルチネが現れ、協力を申し出る。カルアは謎が多い彼女を警戒しつつ、共闘を決意するのだった。しかし、いざ魔神と対峙すると、今度はドロシーの魔王の血が覚醒してしまい!?
このかわいそうな魔法使いって、どう考えてもカルアのことですよね。エルチネさんはあんまりかわいそうでもなかったですし。いったいどういう意図を以てこのサブタイトルをつけたのかはわからないけれど、カルアの何が可哀想なのかを考えるとどうしてもドロシーの後先考えない善意の後始末の一切を彼が負わされている事と捉えざるを得ない。実際、彼が被っている苦労は傍から見ていても同情に値する。
が、わざわざそれをサブタイトルにどうしてするんだろう、という点を考えるとなかなか想像が広がるのである。思えば、第一巻のサブタイトル「絶対魔王少女は従わない」だ。この従わない、という言葉にかかるのは彼女たちを追う帝国に対して従わないという意味ではなく、カルアの指示や意図に全くドロシーが従ってくれないという方と捉えるほうが素直であろう。となると、わざわざ二巻に渡ってドロシーとカルアの関係における軋みを表題に掲げているとなると、まさにそれこそがこのシリーズの肝であり主題、ということになってくる、なんて風にも考えられるんですよね。
この巻において、カルアは初めて同じ魔法使いに出会います。たとえドロシーとであっても決して理解しあえない、魔法使いでしか到れない領域で共感しあえる初めての相手。それは、ドロシーとカルアの二人で完結していた、少なくともカルアにとってはドロシーしか存在しなかった自分を取り巻き形成する世界において、初めて自分と同じ場所に立ってくれる相手の出現。これは、ドロシーとカルアの関係をも揺り動かす大きな出会いになる可能性が非常に高い。
ドロシーのカルアの意見を無視した勝手な振る舞いは、実のところカルアへの絶大な信頼に寄ったものなのでは、という想起は前の巻の感想でも語ったところですけれど、カルアにとってそのドロシーからの信頼は結果として彼を可哀想な目に合わせ続けるものでもあるんですね。ドロシーが、カルアなら何とかしてくれると信じて行動し続ける限り、カルアはドロシーの尻拭いを行い続けなければならない。そんな可哀想な立場に、今のところカルアは散々愚痴りながらも仕方ないことだと諦め、それはもう当たり前になってしまったことなのだと受け入れることが常態となってしまっています。内心では愚痴り倒しながらも、何だかんだとドロシーには善意の塊であって欲しいと思っている部分もあるのかもしれませんし、自分が頑張ることで彼女には今のままであって欲しいと考えているところもあるのでしょう。現状、彼はかわいそうな自分にため息をついていても、可哀想でなくなりたい、とまでは思っていないようです。
ただ、そう彼が思うに至る要因の大きな部分を占めるのは、彼にとってドロシーの存在が世界の大半を担っているからとも言えるのです。また、ドロシーが全面的に自分に頼りきっているから、とも言えるでしょう。
もし、カルアにとっての世界の中で、ドロシーとはまた別の存在が割って入るようになり、相対的にドロシーの比重が少なくなってきたら、或いはドロシーに自分の他に頼みにする相手、心を預ける相手ができた場合、ドロシーが自分の意志を押し通すのに他の人の力を借りることが出来るようになった時、或いは自分の力で何とかできるようになりカルアを必要としなくなった時、はたしてカルアは今までのようにかわいそうである自分を享受し続けることが出来るのでしょうか。
二人きりでこそ維持でき、二人きりでなくなれば破綻してしまうであろう関係、というのはやはり歪なもののはず。はたして、二人の関係はこれから変わり、広がることが出来るのか。
ラストの展開は、逆にカルアを余計に二人きりの世界に拘り閉じこもろうとしかねない出来事だっただけに、これからの展開に色々と思いを巡らせるのでありました。

1巻感想

聖断罪(アダムヘッド)ドロシー01 絶対魔王少女は従わない3   

聖断罪ドロシー01  絶対魔王少女は従わない (角川スニーカー文庫)

【聖断罪(アダムヘッド)ドロシー01 絶対魔王少女は従わない】  十文字青/すぶり 角川スニーカー文庫

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帝国に攻め込まれ、滅んだレベルデッド魔王国。間一髪逃げ出した王女のドロシーは、護衛の魔法使いカルアと共に、追っ手をかわしながら逃避行を続けていた。しかし、身を隠さねばならないはずのドロシーは、各地で目にする帝国によって苦しむ民を見過ごせず、すぐに助けに入ってしまう正義感の持ち主だった!ついには「“絶対魔王”になって帝国を倒し、善政をしく!」と言いだし!?魔王の血を引く聖なる少女の世直し旅が開幕。
一番尖ってた頃の十文字さんなら、このシチュエーション、ドロシーの正義感と善意が原因となって主人公のカルアが落命してしまい、愛する人を自分の独り善がりで殺してしまったドロシーが精神的にズタボロになり自分をズタズタに切り裂いて這いずりながら懊悩する、なんていうキャラクターを追い込みまくることで内面を浮き彫りにしていく、という展開に持って行きそうなものなんだけれど……実のところ、それは一度【いつも心に剣を】という作品で、極限までやり尽くしてるんですよね。私、好きなキャラクターは徹底的に追い込んでナンボ、という趣向も少なからずあるんですけれど、そんな私も、そこまでやるか、と青褪めるほど容赦も救いもない、ひたすらに主人公とヒロインの女の子を精神的に惨殺しながら追い詰めていくストーリーでした。
あれは、書く方も一度きりでもう十分、と思うような内容だったんじゃないかな。あれは、本当にもう書けるところまで書き切った、というような代物でしたし。
あんなバッドエンドをもう一度繰り返すくらいなら、今度はハッピーエンドを手繰り寄せたい、そう思うのが心情です。少なくとも、読み手側としてはドロシーたちがユユやレーレのような末路を辿るのは見たくない……と、流れで書きましたけれど、正直言うと、見てみたいという暗い愉悦も少なからずあったりして。
ただ、この子、ドロシーは愚かな子ではありますけれど、救いがたい愚鈍な人間ではないので、致命的な失敗……カルアを死なせてしまう、或いは再起不能かそれに準じる大きなキズを負わせてしまう、という事は無い気がします。
この子、自分がどれだけ現実を見ない世間知らずで無責任な綺麗事を口にしているか、ちゃんと自覚しています。それなのに、何故なおも綺麗事に突っ走ろうとするのかと言えば、決して平和思想に囚われているわけでも、人の善性を信じ込んでいるわけでもありません。
この子はただ、カルアなら自分の願いなら、どんなお願いだって絶対に叶えてくれる、と信じているだけなのです。自分がどれだけ夢みたいな非現実的な事を言っても、彼なら実現してくれる、と。
でも、それも盲信や信仰の領域までには至っていません。カルアへの無邪気な信頼は、同時に常に現実との折り合いを考慮に入れています。好き勝手しているように見えるドロシーですけれど、本当に自重を要求される場面では、カルアや協力者の言を絶対に無視しませんし、自分の願いが本当にカルアの命を奪いかねないシーンでは、確かに彼女はカルアを優先しようとしていました。
その意味では、彼女は王の器ではないように思えます。この子は、多分、大義や信念などよりも、身近な大切な人を選ぶ普通の女の子です。それで、幸せになれる子なんだと思うのです。
彼女の不幸は、それこそ素朴な善意を実際に世間に差し向けられるだけの権威を持った立場に生まれてしまった事なのでしょう。市井の子だったなら、そこまで大きな視点で善意を執行しようという意識すら生まれず、ただ身近な人に幸いを分け与え共有するだけの人生を歩めたでしょうに。
彼女は絶対に叶わないであろう広義の善を執行する意志を持ってしまった。後は、痛みと苦味を味わいながら、現実との折り合いをつけていくしかない。
カルアに求められるのは、彼女の期待に最大限応えながら、彼女の無邪気な理想を厳しい現実にどれだけソフトランディングさせるか。或いは、カルアと夢想のどちらかを選ばなくてはいけない、取捨選択の場面を起こさせないようにするか。何れにしても、彼に求められている要求はひたすらに高く、彼は男の矜持を以てそれを達成するつもりでいる。
不平屋のひねくれ者のくせに、なんて見えっ張りな男なんだろう(苦笑
こういう歪んで真っ直ぐな、純真な頑固者は、好きなタイプなんですよ。自分の語る言葉が夢物語と知っている女の子に、それでもなお胸を張って夢物語を語らせ続けるだけの甲斐性を見せようと頑張る男の子。幾重もの挫折がカルアを待っているのだろうけれど、それでもこの子には最後まで意地を張り通して貰いたいなあ。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで4   

薔薇のマリア  17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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エルデン浮上により古代九頭竜の呪いがとけ、地上に凶悪な悪魔と異界生物どもがあふれだし、ついに災厄の時代が幕を開ける。しかし絶望的な状況でも、人間たちは各地で悪魔たちに抵抗を続けるのだった。マリアもまた、不安と恐怖を抱えながらも、持ち前の能力を活かし、新たな仲間たちと日々を生き抜いていた。そんなある日、はぐれていたZOOメンバーの生存情報が!?地獄と化した世界へ踏み出すマリアを待ち受けるものとは!?―。

うわぁぁ、ルーシー……。かすかな希望に縋っていたのだけれど、蘇生術そのものが使えなくなってしまった、となればもう死んだらそれまで。どうあっても彼の死は覆らないことになってしまった。ショックなんてものじゃない、ついにZOOから死者が出てしまうなんて。
とまあ、ルーシーの死を発端にして、てっきり皆殺しショーが始まってしまうのか、と戦々恐々としながら新刊を手にとったのですが、みんな思いの外しぶとい!! かなり深刻に誰が死んで誰が生き残るのか、と構えていましたから、ZOOのメンバーのみならず、ランチタイムの面々をはじめとしてエルデンの主要なメンバーが軒並み生き残り、それだけでなく国家そのものが崩壊してしまうようなカタストロフの中で、か弱い人間たちの反抗の要として重きをなし、皆がバラバラになりながらもそれぞれの場所で戦っている姿には胸が熱くなりました。
特にファニー・フランク。あのホラ吹きのおっさんがここまで人類の明るい希望として輝くとはなあ。いや、前巻でも充分輝いていましたけれど、むしろ悪魔とフリークスによって人間が地上から根絶されようという絶望の中でこそ彼の存在はより輝きだしたように思います。これで色々勘違いしているやつだったら嫌な奴なんですが、このおっさんはちゃんと自分が運がいいだけという自覚があり、頭が悪くバカで弱くて何も出来ないという認識もあって、その上で脳天気にネアカに振舞って、難しいことはマリアや周りの人達に任せている。その上で、ちゃんと責任は自分が取ると明言してるんだから、どれだけバカに見えても大人物ですよ。マリアもバカバカいいながら、結構気に入ってるみたいだし。マリアってトマトクン相手でもそうだけれど、むしろ認めている男相手には悪態つくんですよねえ。まあ、憎まれ口を叩いても胸が痛まないようなキャラ相手だけですけれど。
そうそう、生き残ってて驚いたといえば、女豹の人ですよ。あの人、帝国軍に攻められた時、話の流れからして絶対に剣鬼ジジイとの戦いで死んだと思ってたのに、普通に生き残ってたし。ホントにしぶといなあ。

こういう時だからこそ、より恋の炎は燃え上がるのか、何やらあっちこっちでお熱い雰囲気が。もうユリカが完全にデレっデレで、どうするよこの娘。こんな状況なのに、飛燕と再会してからのイチャイチャしている様子はもう幸せ一直線である。まあ、飛燕もね、頼もしいんですよ。コイツがいたら、当人もユリカも大丈夫だな、という安心感があって、この二人のイチャイチャを見ているとそれだけで癒される。
なんかいい雰囲気になってしまっているといえば……なんか、ベアトリーチェとSIXがえらいことになってるんですが。ってか、誰だよこれ! 挿絵のSIXを見て唖然としてしまった。いや、ほんと誰だよこれw 完全に別人、というか憑物を落とされ浄化された? 或いは悟りでも開いてしまったかのような風貌に。そんな彼が、今やリーチェにベッタリですよ。リーチェはリーチェでなんか満更じゃないみたいだし。まあ、この二人がくっつくのなら、彼女がSIXに負わされた傷の意味も変えられようというものだけれど。 


文字通りの世紀末。悪魔やフリークスが闊歩する世界は、さながらトマトクンやSIXの回想の中で垣間見た、人類の文明が滅びたあとの世界そのものだ。文明が滅び、文化が潰え、歴史が一旦断絶したほどの絶滅期。そんな地獄のような時代を経て、ようやく今のような人間がまだ人間として生きられる世界に辿り着いたというのに、どうやらあの時代を生きていた不死の人間の中には、あの頃に戻りたい、という願望を持っていた輩が居た、と言うことなんだろうか。
ジョーカーやロム・フォウといった離れ離れになっていたZOOのメンバーとも合流でき、ジェードリのメンツまで加わって、ようやく集まれる面々は集まることが出来、これからみんな一緒になんとか出来る、そう思った途端に、肝心のトマトクンがあれですよ。
なんてこったい。
……希望が一気に暗転してしまった。
トマトクンがそれこそ全盛期の彼に戻れれば、これほど頼もしいこともないのだけれど、戻るためのフラグじゃないのか、という希望に今は縋るしかないのがつらい。
そう言えば、殆どオールスターキャストでこれまでシリーズで登場した面々の近況が描かれた中に、コロナとレニィの二人の様子が描かれてなかったんですよね。もしかしたら見逃したのかもしれないですが、描かれてないのだとしたら、心配で仕方がない。この二人は決して強くないもんなあ。頼むからモリーのところにでも無事で居てほしい。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 16.さよならはいわない4   

薔薇のマリア  16 さよならはいわない (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 16.さよならはいわない】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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痛くても、泣きたくても、なにがあっても、負けない。
エルデン崩壊!?(※そしてサフィニアとトマトクン急接近!!)


幾度も侵略を退けたサンランドの魔導兵たちは、ラフレシア帝国軍の前に沈黙し、軍勢はエルデンに迫る。噂と混乱に満ちるエルデンで、あるものは逃げようと奔走し、あるものは絶望に身を投げ、あるものは喧騒に乗じて略奪と殺戮に走る――。 そんな中、マリアが、ユリカが、サフィニアが、皆それぞれの時を惜しむように、愛する人との時を紡いでいた。 そして圧倒的な破壊の先陣は疾り来たる!! それでもZOOは生き残るために戦う!!

……絶句。為す術なく絶句。超剣士同士の常識はずれの大決闘とか、大魔導師たちの常軌を逸した魔法大戦など、あまりにも途方も無い戦いにむしろ緊張感は解けてたんですよね。軍隊による蹂躙という、個の介在しない逆らいようの無い暴虐の到来によって何もかも叩き潰される、これまで積み重ねてきたもの、築きあげてきたものを巨大な力によって一顧だにされずすり潰されるという、圧殺するような恐怖感、どうしようもないという無力感、ただ逃げ出すことしか出来ない、立ち向かう事すら出来ないという為す術もない有様に慄いていただけに、むしろ剣鬼の爺さんや閃光の魔女マチルダの襲来は、その持ちたる力は未曾有の圧倒的な代物であるにも関わらず、戦争という現実と比べると何故かほっとしたところがあったんですよね。どれほど強大な相手だろうと、それが個人ならそれほど怖くないんですよ。実際、マリアたちも混乱し翻弄され彼らの戦闘が巻き起こす大破壊に逃げ惑っているのだけれど、エルデンから脱出することを決めて、アサイラムと行動をともにし出すまでと比べると、その緊張感は確かに緩んでたんですよね。
その戦闘のド派手さに、話としては大いに盛り上がりながらも、同時にここまで張り詰め続けていた緊張の糸はここで一旦緩みを帯びていたのです。それこそが油断です。
まさに、逆撃が一番効果的に決まる瞬間でした。
一度緩んだ緊張の糸は、一瞬では引き絞れないのです。心の身構えは、簡単には戻らないのです。
突然思わぬところから押し寄せてきたすべてを圧壊させる「戦争」に、マリアたちも読み手であるコチラでもすらも濁流に飲まれた木の葉のように、為す術無く翻弄され、慌てふためき、何も出来ないまま押し流されてしまったのです。
もし、南門についた時点でそのまま戦争に突入していたら、ここまで惑乱することもなかったでしょう。ある程度、どんな事が起ころうと、どんな展開が起こってしまおうと覚悟ができていたはずです。それが、無防備に足をすくわれ、「え? ええ? ええ!?」と落ち着く事もできないまま右往左往した挙句、ラストのあれですよ。もう、呆然です。絶句です。為す術なく言葉を失うばかりでした。完全に緩急にしてやられましたよ。これで次巻に続くって、凶悪にも程がある。しかも、どうやらある程度最後の場面から時間が経っているようだし……ほんとにどうなったんだよ、もう!!

とまあ、後半の怒涛の流れに圧倒された巻のあるこの16巻なのですが、前半は前半でまったり、とは違うのですけれど、刻々と近づいてくる破局を前に、いやだからこそやおら盛り上がる恋人たちの描写の数々がもう甘いような切ないような、どうしたもんですかこれ。いつの間にか、カップル増えたよなあ。ユリカと飛燕だけじゃなく、ヨハンと琺瑠も此処に来て結ばれちゃっているようだし、まさかのカタリ大成功。いや、カタリがそれっていいのかマジでw ダリエロとか、お前凶悪悪漢キャラじゃなかったのかと言いたくなるくらいの、子供好きのお父さんキャラになった挙句にベティといい雰囲気になりやがっておめでとう。本人たちは「はぁ?」という感じのようだけれど、傍目には完全にコンビだよね、この二人。何か得体のしれない関係になりつつあるのがSIXとリーチェなんだが、ここは一体どういう方向に行こうとしているんだろう。サフィニアはむしろ想いが届いてしまったことが逆に悲恋フラグ立ってしまった気がして怖い。
と、気になる純愛模様が幾つも幾つもあるはずなのに、それらが全部どうなってしまったのか、あの状況じゃわからないんだよなあ。楽観視するには、あのラストが見事に釘をさしている。十文字さんは偏執的に悲劇惨劇を演出するタイプじゃないし、どれほど悪夢的な展開でも希望を消したりしない人なんだけれど、やるとなればためらわずに幾らでもやってのける作家でもあるから、ホントに楽観は何も出来ないんですよね。なんかもう、磨り減るわー。
一応、脳や心臓は破損していないはずだから蘇生式は施術可能のはずなんだが、あの状況で遺体を回収して坊主呼んできて式を行えるだけの場を用意できるかというと、とてもじゃないが期待できようはずもなく……あー、あかん。こりゃあかん。あかんわ〜……。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 15.愛も憎しみも絶望も4   

薔薇のマリア  15.愛も憎しみも絶望も (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 15.愛も憎しみも絶望も】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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浮かれている場合じゃない!!!!!
恋とかいろいろあるけれど、謎の逃亡者ハニーメリー登場でZOOに押し寄せる大災厄!!

「あたしは“ハニーメリー”。ハニーでいい」
あー、もう――寝てたのに、寝てたのに。マリアローズの眠りを妨げたのは、輝く瞳の女(ハニー)。マリアはすぐにこの女が厄介事の種だと直感する。女は禁じられた技術に手を出して、組織から追われる機術師(メカニスタ)――背を伸ばし、髪と瞳の色を変え、利き腕も変えて逃亡者として生きてきた。マリアに満ちる嫌な予感……。
風雲急を告げるエルデンで、蛍光緑(ルミナスグリーン)のハニーとの出会いがZOOを新たな運命に誘う!!

皮肉な話だ。生きている実感を手に入れたからこそ、自分が今ここにいるのだと実感したからこそ、生きることに疲れを覚えるとは。
悠久の時を生きてきたトマトクン。彼がマリアに語ったのは、今のZOOの仲間たちと出会った事でようやく得られた生きているという実感。彼らのためには死んだっていい、彼らがいるからこそ死にたくない、そんな自分が今ここに居るのだという実感。
だけれど、自分が今まで存在してきた中ですれ違ってきた多くの人々のコピーとも出来そこないとも言える人形たちと遭遇し、自分が此処に到るまでに積み上げてきた血塗られた迷走の道を突きつけられた時、彼がこぼした「疲れた」という言葉に、胸が締め付けられる。
そして、生に膿もうとしているのは彼だけではない。不死の存在となり、超越者として時代の表と裏を歩んできた他の存在たちも、そう例えばあの「SIX」もそうなのだろう。暴虐を尽くした果てに彼はついに死なない自分に疲れはててしまったが故に自らを檻へと閉じ込めた。そして今回登場した
リルコにも、また同じ匂いを嗅いだ。憎まれることに慣れきってしまったという言葉の裏に垣間見える疲労感。トマトクンへの複雑に入り組んだ感情は、あるいは彼女の拠り所なのだろうか。
マリアをはじめとした多くの登場人物たちが閉塞の壁をブレイクスルーし、今の生を謳歌しようとし始めているのとは対照的に、あるいは並べて比べるかのように彼ら超越者の膿みは沈殿していく。その行先は、狂気へと繋がっていくのだろうか。ZOOという休息にして救済である場所を手に入れたtマトクンと違い、他人の手を借りようやく止まる事のできたSIXと違い、リルコやあのルイには歯止めというものが無くなっているように見える。そして、その歯止めのない狂気は今を生きているエルデンの人々をまさに戦争という形で飲み込もうとしているわけだ。
リルコの襲撃はその端緒であり狼煙であり、トマトクン不在の中で手も足も出ず為すすべなく壊滅してしまったZOOの有様は、そのまま超越者という存在の脅威を教え、それと立ち向かわなければならない困難さを指し示しているようにも伺える。その、圧倒的にして絶望的な差を。
なんだかんだと、とんでもない事件や敵を相手取りながら全員無事に強かに戦い抜いてきたZOOの面々が、あんなふうに為すすべ無く壊滅していくさまは、正直かなり衝撃的だった。リルコって、確かに目茶苦茶強いんですけど、決して神憑ってるわけでもどうやっても太刀打ち出来ない無敵っぷりを見せてるわけでもないんですよね。存在自体が絶望的な相手じゃなかった。だからこそ、あの手も足も出ずに一人ひとりズタズタに倒されていく戦闘は、余計に圧巻であり、読んでいるだけで息苦しく、自信や余裕、身につけている鎧をかたっぱしからひっペがされていくような絶望感が伝わってきた。
酷い戦いだった。
そして、これから彼らを待ち受けている戦争は、最終幕はそれこそそんな戦いの連続なのだろう。
まさに、クライマックスの幕開けにふわさしい、目の前に広がってた幸せな未来をボロボロにされるという途方も無い危機感と切迫感を注ぎ込まれる、最上にして最良の前振りだったと言っていいんでないだろうか。
こっから、最後まで突っ走って行ってくれる、そんな実感を味わわせてくれた巻でした。

新キャラのハニーメリーは、淡々飄々としているわりに好奇心を抑えきれないマイペース人間という今までに見なかったキャラで、面白かったなあ。ルーシーの時よりもはっきりすんなりとZOOに馴染んだ気がするのは私だけだろうか。まだ仲間はみんな戸惑ってる感じだけど、この娘はZOOに良く似あってますよ。まさか、みんなのタブーだったマリアの身体の秘密に、あんなに無造作かつ大胆に踏み込んでいくとは。普段ならぶち切れて突き放すマリアがタジタジですよw
でも、やっぱりマリアの体格は男性としてはあり得ないものなのか。どうやら、マリアにも超越者に関する秘密が本人も知らないうちにあるみたいだし。ああ、アジアンに対する態度は私も酷いと思うぞ。あの鬱陶しい男が可哀想と思ったのははじめてだ(笑
だいたい、あのイカレた態度がどう接していいかわからない単なる照れ隠しだと気づいているのなら、もうちょっと優しくしてやれよう。
あと、最近ピンプの半魚人に対する態度やツッコミが容赦なくなってるんですが。あの純朴だったピンプが、優しいピンプが、容赦ない罵詈を……。ぴ、ピンパーネルさん、もしかしてリア充嫌いだったりしますか?(爆笑

十文字青作品感想

薔薇のマリア 14.さまよい恋する欠片の断章4   

薔薇のマリア  14.さまよい恋する欠片の断章 (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 14.さまよい恋する欠片の断章】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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これはまた、なんという……。400ページ越えの、相応に厚い文章量にも関わらず、事件らしい事件がまったく置きないまま、ほとんど全部日常パートで押し切ってしまいましたよ。と、書くと冗長な内容に思えるかもしれないけれど、それがまったく違うんだな。
これ、極少数のメインメンバーに焦点を当てた日常編ではなくて、数十人に及ぶ登場人物を網羅した、掌編集なのだ。数十人である、数十人。ちゃんと数えているわけじゃないけれど、三十人は上回るんじゃないだろうか。
SIXとの激戦が終わり、ひとときの平和が訪れたエルデン。無統治王国の首都という場所柄もあり、危険な無法都市という顔は変わらないんですが、今はどこか穏やかな空気が流れているんですよね。善良で無力な人間でも、笑って日々を過ごしていけそうな気すらするくらいに。
事実、ここで描かれる登場人物たちの姿には荒んだものがなく、それぞれが停滞を脱し、前を向き、より良き未来に歩き出しているように見える。
過去を過去として噛み締めるように振り返る余裕がうまれ、目を逸らし忌避していたものと向きあう勇気を得て、現状は好転し、培ってきたものが成就し始めている。
カタリには春が訪れ(相手はなかなか意外な人物だったが、けっこうお似合い?)、ピンプは過去に喪ったものを愛する人と受け入れ、哀しむために酒に酔う。羅叉は剣たる自身を解放され、ヨハンはついに自戒を解く。ベアトリーチェはすべてを抱擁するように前に進み、ユリカはついに自分の恋を受け入れる。
他にも、新たな出会いを得るもの、懐かしき人と懐旧するもの、今までの関係に変化が訪れるもの。
ささやかで穏やかだけれども、着実な変化が、それも良き方向への変化が皆に生まれ始めている。
まるで、未来が明るいもののように。
そんな中、またぞろメンタルが陰の方に転がりだすマリア。いい加減成長したはずが、いったい何が原因で悪いスパイラルに入っているのかと思ったら……ユリカやサフィニア、モリーやベアトリーチェといった親友たちに癒されているにも関わらず、いつもなら自己嫌悪しながらも歯を食いしばりながらグッと前に踏み出すはずが、元気をもらっているにも関わらず、妙にウジウジと調子の悪さが抜けないんですよね。変だなー、とは思ってたんだ。以前までの欝に比べれば症状が軽いけど、しつこいというか粘っこいというか、タチが悪そうなどうでもよさそうな、妙な調子の悪さ。ほんとに純粋に、なんだろうなー、と思ってたんですよ。うん……。

マリア、もうダメだわ、これ。末期だ(苦笑
救いようがない。これはもう取り返しの付かないところまで進行してしまっている。どんな乙女だよ、どんな乙女だよ!!
アジアンとしばらく会っていなかったから、とかどんな乙女な理由だよ!! お前、少女漫画の主人公か!!
はいはい、ごちそうさまごちそうさま(苦笑

そんな風に、他愛もない、深刻な事件が起こる予兆もない、明日もきっと晴れるかのような雰囲気……でも、はたしてそれは本当に?
そんなはずがない。だって、この巻は最終巻じゃないんだから。まだ、終章に入る前の、その僅かな一刻を抜き出したのが、この巻なのだから。
微笑ましい、どこか安らぎすら覚えるような穏やかなこの14巻を読み終えたあと、ふと想像して血の気が引いた。

まさかとは思うけど、この巻丸ごと全部、<死亡フラグ>じゃないよねえ?(汗

また、linkと銘打たれた章ではトマトクンの過去と思しきもの。失われた歴史にまつわる秘密などといったこの世界の秘密の根幹に関わるであろう話が描かれている。
平和な日々の向こう側に、闇に沈んだ歴史の真実、世界の本当の姿が徐々にベールを脱ごうとしている。
ここで描かれたすべてのキャラたちに、物語の終幕が訪れようとしているわけだ。今から、身体が震えてきそうだ。

3巻 外伝3巻 外伝5巻 9巻 10巻 11巻 12巻 13巻感想

いつも心に剣を 54   

いつも心に剣を 5 (MF文庫J)

【いつも心に剣を 5】 十文字青/kaya8 MF文庫J

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暗黒騎士となりはてた父を倒し気を失ったレーレが目を覚ましたのは魔女の砦だった。ユユの献身的な看病により、一命を取りとめたレーレ。しかし、容赦なく魔女たちが問い詰める。魔女討伐隊の一員として多くの魔女と魔王と倒したレーレに残されたのは「死」のみ。だが、魔女ルチアが異論を申し立てて−−。レーレに未来はあるのか。ユユと共に道を歩むことはできるのか。人間が、魔女が、心の底から愛し必要としていたものは実はとても近かったのかもしれない……。衝撃の最終巻。−−−「帰らないと。ユユのところへ」−−−


う……わぁ、これはヒドい。これって文字通り生地獄じゃないか。
無辜の民が容赦なく虐殺されて行く戦場で生き別れになってしまい、お互いに死んでしまったと思い込み、片や無気力に、片や復讐に身を任せて孤独に沈んでいたユユとレーレが、奇跡的に再会したことで、それぞれが陥っていた暗冥に似た状況が幾らかでも改善されると思ったのに。喪ったと思っていた半身のような存在を取り戻したことで、ようやく二人で支え合いながらもう一度前に進んでいけるのだろうと、楽観的にとらえていたのに。
まさか、再会することで二人ともが余計にひどい状況に追い込まれるハメになるなんて。そりゃあ、先の巻の終わり、案外あっさりと二人をひきあわせたなあ、とは思いましたよ。もっと切羽詰ったのっぴきならない状況で、例えばお互いに敵対しあう勢力の一員として戦場で、というシチュエーションなどで再会してしまうようなケースを想定していただけに、重傷を負って倒れたレーレを魔女たちが連れ帰り、それをユユが看病するという二人の間に障壁の存在しない形で再会してしまった事に、拍子抜けした事実は否めない。
でも、二人の間に壁が存在しないことが、こんなひどい有様を引き起こすことになるなんて……。私は、好きなキャラクターは追い込んでナンボ、と思っているタイプなので、主人公たちが過酷な状況に追い込まれていく流れは好きな方なんですが、それでもここまでやるか、と読みながら青ざめてしまった。
ユユを人質に取られ、その際立った戦闘能力を振るってつい先だってまで味方だった人間たちを殺戮するよう強要されるレーレ。彼は言われた通りに教会関係者を殺し、その邪魔をする人間を殺し、任務の行きすがらにハチ合った無関係の人間を殺し、自分を手駒として使っていた上司を殺し、同僚だった騎士団の人間たちを殺し、自分を好きだと言ってくれた少女をも殺してしまい、その殺戮への罪悪感に徐々に狂気の縁へと沈んで行く。
そして、そんなレーレをただ見守ることしか出来ず、レーレを置いて死ぬことも出来ず、帰ってくる度に血みどろになりすり減って行くレーレの姿を見せつけられ続けるユユもまた、徐々に精神に破綻をきたしていく。
これが生地獄でなくて、なんなんだろう。
なんで、こんな事になってしまったんだろう。ユユもレーレも、お互いのことを大切に思っているだけなのに。二人の絆は、二人がお互いを求める気持ちは、これ以上なく強まり通じ合ったというのに。それが故に、こんなひどいことになるなんて。
自分が殺戮した人々の怨霊に取り付かれ、呪詛の声に苛まれ、生きながら父と同じ暗黒騎士へと変貌していくレーレ。自分が生きていることがレーレを苦しめ、しかし自分が生きていないとレーレが生きる希望を失ってしまうと言うどうしようもない絶望感に生きる気力を失い、食べ物が喉を通らずやせ細って行くユユ。そんな二人が、魔女と人間との闘争の果てに生地獄をそれでも生き延び、辿りついたふたりだけの自由の果てで見つけるものはなんなのか。
もう、なんか未来への希望とかそういう明るいナニカが欠片もうかがえないエンディングだった。せめて、二人が生き残り二人で歩き出せたことが救いなんだろうけれど、あまりにも罪にまみれてしまった二人がこの先幸せになれるという想像図が、とてもじゃないけど思い浮かべられない。
ユユがかつても持っていた人間の教会の論理にも縛られず、魔女の思想にも偏らない、開明的な個々人としての自由思想の萌芽は、結局彼女自身の無力さによって何の力にもならずに潰れてしまった。恐らく、彼女の剣と成り得たかもしれないレーレの強さは、レーレの自立意識の希薄さからただただ都合よく使われる道具として、殺戮の剣と成り果ててしまったわけだ。言うなれば、ウルトラバッドエンド。
多分、打ち切りとは言わずとも巻を短縮して完結しただろうこのシリーズ。それでも、断固としてこの救われないルートを選択し、これでもかこれでもかと徹底的に叩きつけた作者の迫力には戦慄を禁じ得なかった。恐ろしい。
せめて、ヨナハンとセルジュの二人が、心傷つきながらも彼らのまま生き残ってくれた事が、唯一の幸いなのかもしれない。レーレが二人を殺さずに済んだのが、最後の救いだったのかもしれない。

1巻 2巻 3巻感想

薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め4   

薔薇のマリア  13.罪と悪よ悲しみに沈め (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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なるほどなあ、終わってみればそういう事だったのかと首肯してしまった。
なぜ、もう一度SIXだったのか。一度倒したはずの最悪にして最凶、邪悪にして外道たる男と再び対決しなければならなかったのか。
そして、なぜSIXが父親でなければならなかったのか、という点も幾許かこの理由に含まれているのではないだろうか。ルーシー関連は決して上手く行っていなかった気もするけど。

かつての泉里会戦において、秩序の番人たちがSIXによって受けた傷は、今なお癒えてはいなかった。羅叉を総長に、ヨハンを副総長においた新体制を組み直したものの、お世辞にも順風満帆に行っているとは言えなかった。明らかに歪で、機能不全を起こし、存在が変調をきたしていた。
端的に言えば、秩序の番人は偉大なる総長の死からの再出発に、失敗してしまっていたのだ。それでも、曲がりなりにも秩序の番人が体裁を整えていられたのは、ヨハンの尽力があったからだ。逆に言うと、誰もがヨハンこそが秩序の番人の要と理解しながらも、その彼を前に押したてられなかった時点で、早晩秩序の番人は破綻を迎えていたのではないだろうか。
既に組織は以前とはまるで違うものに変わりつつあったのに、ヨハン本人を含めて誰もが過去にしがみつき、有りの侭の今から目を背け、歪みを放置し続けていたわけだ。

つまるところ、彼らは過去を払拭せねばならなかった。過去の傷を克服し、前を向き、未来を見据え、今の自分達を立て直さなければならなかったわけだ。
とはいえ、それは決して簡単なことではない。薄々感覚としてその真理に気づきつつあったとしても、少なくとも目に見えるはっきりとした形で異常がない以上、組織全体を変革するエネルギーはなかなか湧いてくるものではない。多くのものは現状を維持しようと変化に対して反発するだろうし、何より上層部の人間たちこそが頑なに今の在り方にこだわっていたわけだから。彼らこそが、このままではダメだと一番理解しながら、だ。

そんな時に現れたのが、彼らの今の有様を作り出した元凶であるSIX。彼らがしがみつく過去を粉々に打ち砕いた、ある意味彼らの過去の象徴とも言うべき倒すべき敵。
図らずも、再び現れたSIXは歪みきった今の秩序の番人をも再び無茶苦茶に打ち壊し、真の要であり柱であったヨハンを連れ去ってしまったわけだ。
総長である羅叉が健在でも、今の総長は羅叉だったが、ヨハンがいなくなった後の秩序の番人が、もはやその体をなくしてしまったのを見れば、それこそ誰が太陽鬼亡き後の秩序の番人を担っていたか、その事実が白日のもとに晒されてしまったのである。それこそ、もう誰も目をそらせないほどはっきりと。
とはいえ、今更その事実が露呈したとしても、ヨハンがいない以上どうにもならない。本来なら秩序の番人はSIXの攻撃を受けなくても、このまま崩壊していったはずだったのだが。

そこで思わぬ形で割って入ってきたのがマリアであり、マリアに後押しされたトマトくんだったのである。
うむ、この発想はなかった! いや、あくまでこの展開はハプニングというかトマトくんのウッカリさんのお陰であって、マリアの最初の発案内容は穏当なものだったんだけどね。ただ、マリアの初期案のままだったら決して上手くはいかなかっただろうし、その意味ではトマトクンのうっかりグッドジョブ、なんだが……あれ、本当にうっかりだったのんだろうか。
いつもは掴みどころの無い側面ばかりが表に出ているトマトクンだけれど、今回はいつになく本気だった。将帥としての存在感もそうなんだけれど、ZOOのメンバーに対しても今回はちょっと違った気がするんだよなあ。今まではもうちょっと存在感が茫洋としていたんだけれど、なんか今回はイメージというか存在感が鮮明だった。なんていうかねえ、今までは屋台骨とか大黒柱とか、絶対に必要で大きな存在なんだけれど、そこにズシンと聳えているだけの動かないモノみたいな感覚だったのが、今回は生きた人間だったというか、歳の離れたお兄さんみたいな感覚で。いや、だんだん何を言ってるのか自分でもわからなくなってきたが。リーダーとか大将とかそういう感じでもなく、家族の中の家長みたいな? それも父親ほど遠くはない一回り年上のお兄ちゃんみたいな?
まあ、何にせよそんな感じだったのだ、この巻のトマトクンは。身近だった、というべきかもしれない。もっとも、そんな感覚は読者視点のものに過ぎず、マリアたちZOOの面々からしたらトマトクンが身近で家族だというのは今さらのことなんだろうけれど。

っと、話が逸れた。
SIXによって二度目の崩壊を迎えた秩序の番人は、トマトクンのお陰で三度復活したのだけれど、あくまでこの時の編成というのはSIXを倒すためのものであり、新体制ってわけじゃなかったんだよね。この時点では、何よりSIXを倒すことこそが最優先だったわけだから、これでいいんだけれど。そう、何より過去の象徴であるSIXを倒さないことには始まらなかったわけだ。でも、ただ力任せに倒すのでは、前回SIXを退けた時と何も変わらなかったのかもしれない。
ここで重要な役割を果すのが、ヨハンであり、ベアトリーチェだったのである。
本拠地奪還戦でアジアンの活躍で(この巻でふざけた格好で走り回ってたアジアン、マリアとのイチャイチャばかりが目立ってたけれど、珍しく今回の彼の行動というのはマリアのため、というのとは外れてたんですよね。彼が走り回っていたのは、秩序の番人との関係を修復するため、というクランの頭としての(やり方はメチャクチャとはいえ)過去の失態を挽回し、責任を果たそうとしていたが故の行動という点は、注目に値する)助けられたヨハンは、組織としての秩序の番人がSIXによってグチャグチャに潰れたのとは別に、彼個人も虜囚の憂き目にあい、人間としての尊厳を粉々に打ち砕かれ、ある意味こだわりもしがらみも執着も、何より過去からも、何もかもが漂白されたのかもしれない。その上で彼に残されたのは、ずっと抱きしめ続けた大切な想いあり、自分がかつて太陽鬼たちから託されたものの姿だったわけだ。

そしてベアトリーチェ。彼女もまた、かつてSIXによって陵辱され好きだった人を殺され、それまで彼女が持っていたものの殆どを奪われた過去を持つ。
その後、彼女は秩序の番人を離れたものの、自分のやりたい事為すべきことを見つけ、愛する人たちと生きる道を進みだしていた。
そして今、奪われたもの以上のものを手に入れ、成長した彼女は再びSIXと対峙する。
その時、SIXにむけて彼女が告げた一言こそが、このルーシー編におけるSIXの再登場の意味だったんじゃないだろうか。

リーチェは、素晴らしく素敵な女性になったよなあ。初めて登場した頃と比べると、別人のようである。別人というのとは少し違うか。少女が、大人の女性になったというべきか。
十文字青という人の描く作品の登場人物たちは、多かれ少なかれコンプレックスを抱き、トラウマを抱え、自らの内にある歪みと戦っているけれど、これほど自分の内なる闇や痛み、歪みに対して、決定的な、完全な勝利を手にしたキャラクターというのは、彼女が初めてなんじゃないだろうか。それほどに、この巻におけるリーチェの姿というものは鮮烈でした。
リーチェがピンチに陥った時のマリアの取り乱し方も、けっこう驚かされた。アジアンとは別の意味で、リーチェって確かにマリアにとって特別な人になってるんですよね。親友、とはまた違うんだよなあ。大切で、守りたい人、という感じで。


と、物語の本筋とはまた別に、どうやらトマトクンやSIXが根幹に関わっているらしいこの世界の謎についても、今回大胆に踏み込んできた。SIXの回想からだけでも、この世界の成り立ちが幾許か想像しえる。
トマトクンが時折漏らす単語などから、この世界が現代西暦から直接つながっている世界だというのは薄々承知していたけれど、どうやら冒頭の回想からして、一度マジで文明崩壊したみたいだな、こりゃあ。
しかし、そこにマリアがどう関わってくるんだ?
マリアの謎については、トマトクン関連とはまったく関係がないと思い込んでいただけに、この流れには驚かされた。
そろそろこのシリーズも、クライマックスへと足を踏み入れてきたんだろうか、

絶望同盟3   

絶望同盟 (一迅社文庫)

【絶望同盟】 十文字青/ま@や 一迅社文庫

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この人が描く、生きることそれ自体に苦しみもがく若者たちに向けたそっと肩を抱くような優しさは、それがあると信じているものではなく、あって欲しいと思い焦がれる願いのように感じられる。
この物語に登場する四人の男女の抱く絶望は、決して精神の死や心の歪みに繋がるような激しいものではないが、その絶望は生きる上において一生ぬぐい去ることのできない類のものであり、何らかの形で妥協を繰り返しながら、生涯付き合い続けなければならないものだ。
彼らはその性癖、その在り様に絶望するというよりも、斯く在る自分自身にこそ絶望している。故にこそ、彼らは積極的に他人と関わることを避け、自らを余人から遠ざけようとしている。いずれ社会に出ることで彼らは否応なく、現在の他人との距離を表向きは解消することになるのだろう。だが、自分自身への絶望が解消されることはない。それは自身の内側へと内包され、露骨に表面に出せないまま、永遠に抱え込むことになる。仕舞い込むことになる。
露骨に表にサインを出す事が叶わぬ侭、生涯絶望を内面に秘めることになる。それは、どれほどの孤独だろう。誰にも知られる事の無い絶望こそ、真の絶望の一つではないだろうか。
それは、とてつもなく寂しいことである。
だが、それは普遍的に起こりうる事でもあるはずだ。世の中の少なくない人たちが、形や性質が違うとしても、このような絶望を誰にも知られぬまま、内面に飾っているのではないだろうか。

そんな中で、彼ら四人は出会った。
思う。
他人を遠ざけながら、普通の人とは違う挙動を示すことで、彼らはサインを出していたのではないだろうか。誰かに、自分の絶望に気づいて欲しい。この絶望を知って欲しいと。
だからこそ、彼らは他人から離れようとしながら、距離を置きながら、この四人同士からは離れようとしなかったのではないだろうか。

作者の優しさは、まさにこの四人が出会ったこと、そのものにあるように思う。
絶望を抱える四人の男女が出会い、各々が抱える絶望を知った。絶望が解消される云々は関係が無い。絶望の事実を共有することそのもので充分なのだ。それだけで、起こりえない奇跡なのである。その上で、彼らは絶望の先に在る希望を、共に過ごし共に在ることで見出すことになる。希望が在ることを、彼らは知るのだ。もう、寂しくはないのだと気づくのだ。
これが、願いでなくて何なのだろう。
微笑ましくも温かい結末が彼らには訪れる。その優しい光景は、どこか憧憬によって成り立っているかのようだ。
その憧れに似た祈りに、私はひどく共感を覚える。


その中で、一人絶望しない小野塚那智。
この第九高校シリーズの中で、彼女の存在は異色であり出色である。
彼女の物語が描かれる時こそが、このいつの間にかシリーズとなってしまった作品群の結末にして集大成が現出するのだろうか。
彼女のことが知りたくてたまらない……。

ばけてろ 影の大統領はとてつもなく偉いのだ!3   

ばけてろ  影の大統領はとてつもなく偉いのだ! (角川スニーカー文庫)


【ばけてろ 影の大統領はとてつもなく偉いのだ!】 十文字青/みことあけみ 角川スニーカー文庫

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サブタイトルの影の大統領の人、あれだけギャーギャーとうるさくて幼児性が傍迷惑でどうしようもないキャラクターにも関わらず、恐ろしいほど存在感がなかったなあ。本気でどうでもいいと、どれだけ声が大きくても印象に残りにくいのか。この【ばけてろ】という作品が、景敦とメルカ、千夜子の三人による三人のための三人の物語なんだからだろうか。結局、二巻にはミポルは出てこなかったわけだし。
第一巻のある意味最大の特徴だった、景敦のムッツリスケベっぷりは今回はわりと控えめだった。初登場時はあれだけ煩悩に身を任せていたのに、結構自重していた。一話でメルカたちが裸に剥かれてしまったときなど、前の彼なら一生懸命チラ見しそうなものだったのに。まあ、今回も覗きをやってしまったりと色々やっているのはやっているのだけれど、妄念がいささか押さえ気味だったんですよね。それが、メルカと千夜子の二人の女の子が、AVやエロ雑誌のモデルとある意味変わらない他人でしかなかった頃と違って、身近な親しい人間となってしまった事で、そういう対象として見ることに一方ならぬ罪悪感、申し訳なさ、バツの悪さといったものを感じるようになってしまったと言う事なのでしょう。それでも、なかなか若い情念を抑えきることが出きずに、ついつい出来心を迸らせてしまうのだけれど。
この初々しさは、人付き合いを今までまるでしてこなかった未熟さ故なんだろうけれど、意外と純真で誠実なんだなあ、と微笑ましく思ってしまった。
そんな自重しだしたかれに対して神様が祝福を送ってくれたのかは分からないが、今回は妙に景敦に対してラッキースケベが多かったような。メルカと千夜子、なにかと見られてはいけないところを見られてしまっているわけで。ご愁傷さまというべきか、お粗末様でしたと言えと言うべきか(?)
この三人の日常を追って行くと、意外なことに対人スキルが一番まともなのは一番鈍い千夜子だったりするんですよね。普通に友達もいるみたいだし、社交性もある。一番頭にお花畑が咲いているのも彼女だったりするわけですが。これは彼女個人の資質ではなく、彼女の家族全体がそんな感じみたいなので、千夜子の責任じゃないのですけどね。
一方で、メルカの方は逆に景敦並に対人スキルに欠けているっぽい。高飛車な性格とは裏腹に、かなり他人に対して臆病なんですよね。幼い頃のトラウマが未だに残っているからなのでしょうけど、千夜子以外の同級生に対しては積極的に距離を置いているみたいですし。その分、唯一の友人である千夜子に依存してるんですよね。何事にもトロくさい彼女を助けている庇護者という立場に、しがみついている。
ただメルカが偉いと言うか健気なのは、千夜子を決して自分の所有物のようには見ていない所なんですよね。彼女を独占しようとはせず、千夜子が他の友達と交遊する事を邪魔しようとはしないし、自分と付き合うことについて彼女の意思を強く尊重しているように見える。たぶん、この娘は千夜子が他の友達を優先して過ごすようになっても、何も言わず黙って距離を置いてしまうんじゃないかな。その点に関してはいささか危惧する処でありますけど。
それでいて、千夜子に何かあったら血相を変えて飛んでくるし、彼女を守り助けることに労を厭わない。確かに、その原点となる部分は多少歪んでいるのかも知れないですが、メルカと千夜子の関係というのは素晴らしい親友同士なんじゃないでしょうか。
正直、あの千夜子の桜の友人との一件ではメルカを見直したもんなあ。千夜子しかまともに友達のいないメルカが、ああも積極的に千夜子の友人探しに協力するとは。あれ、一つ間違えれば、自分から千夜子が離れて行くかも知れない可能性を、聡いメルカが気付いていないはずなかっただろうし。それでも千夜子のため、とがんばれるメルカはイイ子ですよ。どっか、危ういけれど。
あの話では、恐ろしく腰が重かった景敦も、自分から積極的に千夜子のために動いているんですよね。二人と付き合うことで、この少年も今までにない変化を迎えているということなのか。

しかし、なんだかんだとメルカたち、景敦の家にほとんど日参してたのか。なんか、遊びにいく、のノリが小学生レベルな気もするんだけれど、このむしろ何もセずにだらだらと家で過ごす時間があるからこそ、この三人の関係、やたらと距離感が近くなってしまってる気がするなあ。
メルカも景敦も他人との距離感の取り方がまるで上手くできないタイプだし、千夜子は何も考えてないタイプだし、そんな三人が不用意に近いところに固まってしまったために、随分と三人の関係って変なことになってるんですよね。お互いみんな気になっているのに、それをどう扱ってイイのか分から無いまま持て余しながら、ズルズルと距離感だけがどんどん近くなってしまっていってる。これは、ラブコメ展開になっていっても、どっちを選ぶか、とかそういう話にはならなさそうだなあ。

ばけてろ 成仏って、したほうがいいですよね?3   

ばけてろ  成仏って、したほうがいいですよね? (角川スニーカー文庫 182-51)

【ばけてろ 成仏って、したほうがいいですよね?】 十文字青/みことあけみ 角川スニーカー文庫

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こ、これはまた、主人公がかの【バカとテストと召喚獣】のムッツリーニを上回る逸材だな!!
なんというムッツリスケベエw
エロビの収集が密かな趣味、というのは序の口で(というか、コイツの年齢でそんなもん買い集めてたらダメだろうw)、そもそもムッツリスケベというのは露骨に、もしくはあけっぴろげに自分の性欲をアピールするものではなく、自分はまったくそんな女の子のエッチな事になんか興味がありませんよー、などと取り澄ました顔をしながら、その実内心は鼻息を荒くしてガツガツとエッチな事に喰いついている輩の事を云うのです。
而して、主人公の景敦はというと陰気でやる気なさげなぶっきらぼう、他人を寄せ付けまいとする硬質の狷介さを身にまとった少年なのですが、この野郎、女なんぞあっちいけ、と言わんばかりのそっけない態度をとりながら、霊感のない人間でも霊を見れるようになる方法と称して、ヒロインのおっぱいやおしりをつついたり、自室の秘蔵のDVDを発見されると、拾ったんだ、と言い訳したり、ヒラヒラと翻るスカートからチラチラと見え隠れする下着を、必死に身を低くして覗こうとしたり、ともう握手して肩を叩いてやりたくなるほど見事なムッツリスケベ野郎なのでした。仕方ないじゃない、ナイーブで繊細なお年頃の男の子なんだから(笑

そんな主人公の景敦は、中卒で高校にも行かず、社会とのつながりを絶ってどこか隠遁しているような生活を送っている霊媒師。ただし、霊感はなく肝心の幽霊とか怪異が見えない、というインチキ寸前の代物。でも、金銭には困っていなさそうで、ろくでもない商売をしているという風でもないんですよね。見えないなりに、怪異への対処法はちゃんとしていますし。ただがめつくない分、仕事へのやる気は皆無に等しい。何をするにも面倒くさそうだし。仕事が雑ってわけでもないんですけどね。メルカと千夜子の依頼には何だかんだと真面目に対応してましたし、千夜子が怪異に襲われた時は積極的に助けてくれましたし。人間関係を疎んでいるというよりも、そもそも対人関係に慣れてないのかな。話すとき目を合わそうとしないのも、最初は呪術関係の問題なのかと思ってたら、単に目を合わして話すのが苦手なだけみたいだし。その分、真っすぐ相手の目を見て話すときは真剣度が伝わってくるのですが。もしかしたら、千夜子もメルカもこの真っすぐ見られた時に、コロっと言ったのかも。別段、大して魅力がある振る舞いではないのですけど、ヒロイン二人ともわりと易そうだしw
何だかんだと、遊びに来るメルカたちを邪険にしながら、追い返したりしないわけですし、もしかしたら人恋しい想いをしていたのかも。
ただ、せっかく女の子が遊びに来てるのに、特に何をするでもなくダラダラとテレビ見てるだけ、という対人スキルの無さに思わず拍手(笑 いやもう、女の子が遊びに来てもどうしたらいいのかわからない、というのは分かるんですが、なんとかしろよw
メルカも千夜子も積極的に何かしようと提案もせず、この妙に居たたまれない時間をしばらくとはいえ大人しく甘受してるあたり、相当なんですけど。メルカがキレなければ、千夜子あたりはそのまま無言でテレビ見てたんじゃないのか?(苦笑

かなり惚けたゆるーい空気で転がっていくこんなラブコメって、作者が手がけるのは初めてなんじゃないのかなあ。というか、そもそもラブコメ自体初めてなんじゃないだろうか。この人がこれまで描いてきたラブって、どちらかというと渾身一途な純愛系統ばっかりだったし、そこにコメディの要素が入るのはなかったような。
その意味では新境地だし、結構会話の方に分量割いているのも意図して違う書き方をしている雰囲気。普段はもっと内面の独り言が多いというか、ページ埋め尽くしてるもんね。
自称宇宙人なるミポルなんてキャラまで登場して(これがまた、幼馴染という……)、相当アレなおばかラブコメっぽい要素が揃ってるんですけど、それでもやっぱり十文字青というのは消えてない、とでも言うんでしょうか。妙に生っぽい雰囲気というか空気な、人間関係の距離感といい、お気楽とは程遠そうな主人公のシガラミやら、頭をからっぽにして楽しむタイプのドタバタものでも、恋心の機微に手に汗握るばかりに傾注できるラブものでもなさそう。この不気味でふと視界の途切れた先に得体の知れない恐ろしいものが蠢いていそうな不安感は、正しくオカルトものとしての道を踏襲しているのかもしれない。
その、一つ間違えればまた陰惨になりそうな境界を、メルカや千夜子らの惚けた個性の強いキャラクターでグイグイと押し渡っているのが、この作品の面白いところなんでしょう。
ラブコメとしても、ニヤニヤできるところが多いし、まだ見ぬ十文字青の境地が見れそうで、続きが楽しみでした。

いつも心に剣を 33   

いつも心に剣を〈3〉 (MF文庫J)

【いつも心に剣を 3】 十文字青/kaya8 MF文庫J 

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ああ、やっぱりそう来たか。これまで醜悪で旧弊に塗れ、正義を高らかに謳いながら、欲望に引き摺られ社会の枠組みからはみ出たものを容赦なく棒で叩く人間たちのおぞましさをこれでもかと描く一方で、魔女の側を自由と友愛によって結ばれた、はみ出し者で社会のルールに疑問を抱くユユやレーレにとって共感を感じるように描かれていたのですが、前巻で予想していた通り、これまでユユたちが見てきた魔女の姿が、結局は一面的なものでしかなかった事が、この巻では嫌というほど描かれることになる。
彼女らの優しさや愛は結局のところ、仲間だけの間で通じるものであり、人間に対しては残虐非道の限りを尽くす。そこに老若男女の区別なく、かつてユユが親しみを感じた魔女や魔王もまた、容赦なく罪悪感のひとかけらもなく嬉々として人間たちを殺戮していく。
一方で、アナベルを追いかけるヨナハンたちとレーレたちが出会った以前とは別の聖騎士団は、団長以下とても立派な人物であり、これまで殆どがろくでもないものとして描かれていた人間の側にも、光となりえるようなものが存在することが此処に示される。
結局、真に正しいものなどどこにもなく、人も魔女も己の正義に寄って立ち、それを否定するものを排除しようとし、剣を向け合っているに過ぎないことに、両者の狭間に立つレーレとユユは思い知ることになる。人の社会の在り方を許せず、だからと言ってハイデンを襲う魔女たちのやり方を見てしまったユユは、自分が結局どこにも受け入れられず受け入れる事の出来ない、本当の意味でのはみ出し者なのだと気付く。その上で、彼女にとって寄る辺となるものが何なのか。ありのままの自分を受け止めてくれる人が誰だったのか。それを絶体絶命の危機を前にして、ユユは悟り認め受け入れる事になるのだが……。
ユユの顛末は詳しくは描かれる事はないのだけれど、おそらくはあっち側に引き込まれる事になったんでしょう。彼女の意思による決別ではなかった事は、このシリーズを読み始めて予想していた展開と違ったのでちょっと意表を突かれた所ではあったけど。そのあり方に失望を感じた瞬間に組み入れられる、というのは皮肉な限り。でも、彼女が自分の安息の地をはっきりと自覚したのは、物語の進む先を展望するに希望の光なんだろうけどね。現時点では、彼女はレーレの生存を絶望視しているだろうし。
それよりも、これまで人を殺す事に忌避感や罪悪感を抱き、そもそも魔女たちに対して害意を抱いていなかったレーレの変貌の方が恐ろしい。もっとも、独りになることで思考停止しているようで、その実色々と深く考えるようになっているっぽいのは、進展かもしれないけど。これまでは考える事は殆どユユに預けてたもんな、レーレは。

予想と言えば、ヨナハンはもっとひどいことになるかと思ってたんだけど、思いのほか真っ当に荒んだ上で一つ皮がむけたなあ、彼は。元々馬鹿がつくくらい純粋一途な人品だっただけに、一度けがれてしまえば取り返しのつかない所まで堕ちてしまうかと思っていたんだが、ちょっと彼の事を見縊っていたらしい。どうやら、本当に強い男だったようだ。彼には、これまで何くれとなくレーレに助けられていた分、独りになってしまったレーレの支えとなって欲しい所だけど。

この巻、セルジュがどれだけ陰険にユユをいたぶるのか、ちょっと楽しみにしてたところがあったんだけど(おい
そりゃあ思いっきりユユのことを精神的に揺さぶってたのは確かだし、レーレのこといたぶって楽しんでた所はあったけど、もっとエグイこと仕掛けてくると思っていたので、この子、生い立ちや現在の環境やヨナハンとの関係のストレスから色々鬱屈たまってるんだろうけど、思いのほか歪んでるわけじゃなかったんだろうな、これだと。元々はイイ子なんだろう。先日まで、ユユに慰められて素直にうれしそうにしていた面もあるんだし。
まー、これはセルジュのやり口がヒドイというよりも、ユユの方が意外と撃たれ弱かったというべきなような。レーレを取られて、あれだけ素直にヘコむとは。レーレがイヤイヤ従っているのはあからさまなのに、レーレが自分に嘘をつき、誤魔化そうとしているという行為そのものにあれだけ傷ついているあたり、この子は本当にレーレに精神的に寄り掛かっていたのが察せられる。
もし、彼女がレーレと別れた時、一人になってしまっていたら、もっとヤバかったんだろうけど。どうやらあのベラって子は一緒なんだろうし。ユユの性格からして、護るべきものがあったらこの子は早々くじけないっぽいので、やっぱり心配なのはレーレの方だな、うん。

1巻 2巻感想

ヴァンパイアノイズム4   

ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫 し 1-7)

【ヴァンパイアノイズム】 十文字青/ま@や 一迅社文庫

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よくぞまあ【ぷりるん】から殆ど期間が開いていないにも関わらず、こんな皮むきして中身の果実だけをポンと置かれたようなモノを、書き出してくるもんだ。この作者の中ではどれほど描きたい情念が渦巻いているんだろう。
でも、【ぷりるん】でもそうだったけど、この手の迸る内面を加工せずにそのまま叩きつけたような作品って、それだけ書き手の生々しい感情とかがそのまま伝わってきそうなものなんだけど、この人の書くそれは異様なほど客観的というか、冷静な観察者的な視点によって支えられているんですよね。恐ろしく情緒的なものが、空恐ろしいほど淡々と、しかし生々しく描き出されている様は、ちょっと背筋が寒くなるくらい。
多少なりともこんな話をこんな風に書いたら、情念に引っ張られてフラフラしそうなもんだけど、その辺は怖いくらいに冷徹なんだもんなあ。
あとがきでは、この物語は十代・二十代の方々に届けたい、って触れているけど、果たしてこの話がそれらの世代に共感を覚えさせるものかどうかは、ちょいと疑問に感じてしまう。まさに、十代・二十代の世代に直撃するような内面が克明に描かれている作品だからこそ、当事者である世代がこれを直視するのは、かなりキツいんじゃないのかなあ。自分なんか三十代で、ある程度突き放した立場であの頃を振り返る事が出来るから、懐旧とともに沁みるような共感を覚えるけど、十代のころにこんなの読まされてたら、気持ち悪くて恥ずかしくて参ってしまってたんじゃないだろうかと思えてくる。
でもまあ、投げ捨てるような話じゃないんですよね。詩歌との関係なんか、成り立ちといい、現状に至った経緯といい、非常にアレで耐えがたくも甘美極まりないものなんだけど、それを直視せずなあなあで済ますのではなく、二人でちゃんと語りあい忌憚なく暴きあい、率直に想いを打ち明け合う、というシーンは、ある意味正しくフィクションもので、エンターテインメントしてると思うんですよね。現実として人はなかなかここまで率直に話し合うことなんてできないし、自分の気持ちをここまでさらけ出し合い、生ぬるくも心地よい関係の正体を暴いてしまうなんて、出来るもんじゃない。本当に生々しくも気持ち悪いだけの話なら、この二人はこのままずっと向き合わず、自然消滅するまでなあなあで時間が過ぎていくのを待っているだけ、となるんだろうけど、この作者はどんなにギリギリの崖っぷちを渡っていても、物語としての幻想は投げ捨てないんだよなあ。
それがどう評価されているのかは定かではないんだけど、自分としてはそここそが、この人の著作を好きな根源的に理由なのかもしれない、と思っている。


今回の一迅社のこの本の帯は、趣向がきいてて面白かったなあ。
よげん【予言】
詠み終えたら、あなたはきっとこの地味な眼鏡娘が愛おしくなる

やれやれ、大当たり。

薔薇のマリア 12.夜に乱雲花々乱れ4   

薔薇のマリア  12.夜に乱雲花々乱れ (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 12.夜に乱雲花々乱れ】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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君を、この腕で抱いておけばよかった。

ZOOの新メンバー、ルーシー。彼の父親は、あのSIXなのか。マリアたちが息の根を止めたはずのSIXが、生きていたというのか。ルーシーにどう接するべきか戸惑うマリア。そして、真偽を確かめるために第八区へと向かい、SIXらしき男と対峙するアジアン。一方、SIXへの復讐を誓う、≪秩序の番人(モラル・キーパーズ)≫の副長ヨハンは……。「君を一度、この腕で抱けばよかった」――。最も過酷な最後の戦いが幕を開ける! 慟哭の新章、第2弾登場!!


SIX再臨!!
巻を十二にまで数えるようになり、名実ともに長編シリーズとなった薔薇マリだけれど、物語の中で幾多登場した敵の中でも、もっとも凶悪でもっとも邪悪で最悪の鬼畜外道だった男こそSIX。
薔薇のマリアという作品において、まさに悪徳の象徴であり、多くの好漢たちを惨殺し、無数の人々に慟哭の涙を流させ、消えない傷跡を残した最大の大敵であった男こそSIX。
思えば、彼奴がエルデンから退場して以降、この無法都市であったエルデンから、悪徳の気配がごっそりと消え去ったような気がするのは、はたして気のせいだろうか。たった一人の男の存在が、街そのものの在り様そのものを一変させる。それほどの影響力を備えていた男が帰ってきたのだ。エルデンの街の雰囲気には暗雲たちこめ、甘くえずくような腐臭が漂い始める。

ただ、SIXの再登場が即座に倒すべき大敵の帰還という定路をとらないのは捻ってるよなあ。ZOOの新人であるルーシーの父親がSIXではないかという疑惑。ルーシーが語っていた父親の姿は、ちょっと変人入ってるみたいな所はともかくとして、あのSIXの実像とはまるで重ならない。
加えて、腕一本を残して消し墨と化したはずのSIXがなぜ、復活してきたのか。そして、トマトクンと、随分古くから旧知であるらしいという一面。どうやら、トマトクンの正体や秘められた謎にも、これは踏み込んでいく展開になるのではないだろうか。どうも、トマトクンの身体にも異変が起こりつつあるみたいだし。

アジアンは結局、独りで動いているのか。マリアのアジアンへの危惧は的確で、何気によくアジアンのこと見てるよなあ、というのがこっそり伝わってくる。前に邪険にしていたばかりの頃に比べれば、表面上はともかく、内面はやたらと変わっちゃったよなあ。ルーシーが二人のやり取りを見てムッとしているのも仕方ないぞ。
イチャイチャ、といえばユリカと飛燕のそれは、もう素晴らしい領域に。飛燕の誕生日をユリカが密かに祝ってあげてたらしいとか、二人でこっそりデートみたいな事を何度もやってるみたいとか。知らないうちに親密度がえらいことに。飛燕はもう彼氏だー、なんて公言しちゃってるし、ユリカは否定しつつもその態度ときたら巻を重ねるごとに甘くなっている始末。
いいんだいいんだ、ユリカさんはそうやって幸せになればいいんだよー。飛燕はバカだけど、馬鹿であるが故にイイやつなんだし。
そのユリカさん、今回はカラーの口絵でのおめかしがもう、とんでもないことに。絵師のBUNBUNさんがもう神がかってる。可愛いとかそういうレベルじゃねーっ。このあたりはもう、作中のマリアと物凄い勢いでシンクロ。シンクロニティィ!!

久々にベアトリーチェの様子も見えて、非常に満足。少女だった彼女も熟成した美女へと変貌しつつあるのねー。凛として可憐だった彼女だけど、今の充実した振る舞いには以前のような芯の堅さが拭い去られ、いい意味で柔らかくなった気がするなあ。
でも、その彼女もかつてのSIXとの戦いで大きな心の傷を負った身の上。彼女が彼奴に負わされた恥辱と屈辱と恐怖の記憶は、未だ彼女の心身を苛み続けているはずであり、あの男の復活が彼女にどんな影響を及ぼすのか。
マリアを守るのはアジアンであるべきなのかもしれないけど、ベアトリーチェを守る騎士は、やっぱりマリアであって欲しいんですけどね。
ヨハンも、どうも父を喪ったあと、気負ったまま来ているみたいだしなあ。この子には、どうもまだまだ化ける要素が多々見受けられるので、この事件を壁を乗り越えるための踏み台にしてほしいところだけど。もう悲恋は充分なんだから、惚れあった男女は上手い事行って欲しいよ。ちなみに、眼鏡は好し。

ぷりるん。 特殊相対性幸福論序説5   

ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)

【ぷりるん。 特殊相対性幸福論序説】 十文字青/ま@や 一迅社文庫

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 bk1

これ、桜庭一樹著の【砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない】でも感じたことだけど、著者がふと思い立って一気に、本当に一気に書き上げてしまった作品って、独特の生々しさが匂い立つように感じられるんですよね。
脳内物質がドパドパあふれ出しているのがもろに伝わってくるような、その人の書き手としての根源が剥き出しになったような、憑かれたような勢いが。
なんかもう、読んでる途中で分かっちゃいましたもん、ああ、これ加工してない天然モノだって。【砂糖菓子の弾丸――】と同じ書き方だって。
その意味では、この作品は十文字青という作家の根底がさらけ出されてると言っていいのかもしれない。薄汚れ醜く吐き気を催すような醜悪な現実にのたうちまわりながら、だけれどその果てに辿り着くのは絶望でも闇でもなく、希望であり光であり温かなぬくもりであり、確かに存在する愛であるという、ごく自然な善性の信奉者としてのそれが、ここにはあますことなく描かれている。

桃川みうとの関係の変転。
親友だと思っていた可賀池ノボル
部活の先輩、小野塚那智
姉の綾
妹のうずみ

それぞれの関係は、泥沼に陥り、嫌悪にまみれ、停滞に入り、敬慕を弄ばれ、失望に突き放され、主人公ユラキの日常は徐々に暗転し破滅の淵へと落ち込んでいく。
そのひとつひとつの出来事は、誰にでも起きかねない生々しいまでの現実社会での悲嘆であり、生きていくうえで時に遭遇を免れない醜悪な人間の負の一面だったのだろう。不幸にも、ユラキはその重石を多重連鎖的に背負うはめになり、徐々に彼の精神は摩耗し、心は押しつぶされ、虚無に塗りつぶされていく。
心が、傷つき悲鳴を上げて突っ伏してしまったのだ。
正直、ここまでの彼には同情を禁じ得ない。彼が傷だらけにされた一連の事象の中に、彼の責任だったもの、彼が悪かったものは特に見当たらなかったからだ。とはいえ、だとしたらそれは相手の責任だったのか、というと多少の責はあったとしても、それは価値観の相違やタイミングの悪さ、桃川の場合はかなり性質が悪い部分はあったものの、その大半は不可抗力だったと言っていい。
だからこそ、そこに悪意がなかったからこそ、ユラキが傷つき潰れていく姿は、現実の侭ならなさ、生々しいまでの醜悪さがにじみ出ていたように思えてくる。
だが、そこからすべてのカードがひっくり返されていくのだ。まるでカードに裏と表があるように、現実の醜悪さの裏にこそ、鮮烈な、もしくは仄かな善性が潜んでいるのだと告げるように。

桃川との間に芽生える友愛。
ノボルとの間に始まる、本当の友情。
那智先輩との間で決した、優しい過去の清算。
姉が与えてくれた家族の愛情。
妹が教えてくれた、兄妹愛。

傷つき、苦しみもがいて倒れ伏した彼がそこから見つけたのは、傷つけられたはずの相手から与えられた抱きかかえられないくらいの一杯の愛。
ここには、十文字青という人が作品の根底に込めているモノの原型が、もとも原液に近い形でぶちまけられているように思えてならない。
彼の描く凄惨で残酷で醜く悲惨な物語の数々が、それでも胸を熱くさせ読み終えたあとに温かい優しさの欠片を感じさせてくれるのは、そこに、こんな風に人には、現実には、愛や優しさが詰まっているんだということを信じようとしているからなんだろうと、そう思う。

読み終えるまで、ぷりるんの存在の意味がよくわからなかったのだけれど、こうして考えてみるならば、きっと彼女の存在は、一つの象徴であり、結晶だったのではないだろうか。
拒絶し、無視し、捕まえようとして手に入れられず、傷だらけになって皆の愛情に抱かれて、はじめて見つけられたもの。

それがなんなのかは、読めばきっとわかるはず。

かなり荒削りでぶった切るような強引な部分も目につく、さすがはプロットも何もなく一気に書き上げた代物という雑然としたところも多い作品だけど、それ以上に勢いゆえの迫力とパワーがビリビリと伝わってくる、渾身の一作でした。

いつも心に剣を 24   

いつも心に剣を〈2〉 (MF文庫J)

【いつも心に剣を 2】 十文字青/kaya8 MF文庫J

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こりゃあ、少し思い違いをしていたのかもしれない。私はレーレの事を人間らしい心はあるにしても、人間性が表に出にくい道具的な特異性を強く持つ子供なのだと思っていたのだけれど、この巻におけるヨナハンに対するレーレの接し方を見てると、少し違うんじゃないかなと思うようになってきた。
もともと、この作者のキャラクターの描き方って、地の文でこれでもかと書かれるキャラの心の内の言葉が決してイコール本心ではないんですよね。その場面におけるその登場人物が心の内側で思っている事なのは間違いないんですが、それがそのままその人の表裏ない本当の気持ちかというと、そうでもないわけです。
レーレが言葉に出さないところで思っていることというのは、ユユに関してのことばかりで、それ以外の人間の事については邪魔者としか思っていないし、旅程を同じくすることとなったヨナハンとセルジュのことは消えてほしいと願ってばかりいます。彼の内面の言葉をその通りに受け取ると、彼はユユの存在以外には何者にも価値を見出していない、一種異常な人間にしか見えないわけですけど……はたしてこの子、本当にそこまで異常な子なんだろうか。追い詰められたヨナハンへの共感や、彼を叱咤するような言動。他者の命を奪うことへの忌避感や嫌悪感。一般的な社会通念の従順な浸透。普段のユユへの執着を除くと、咄嗟の判断や無意識の行動、ユユが介在しない場面での彼の在り方というのは、冷静に振り返ってみると言うほどおかしいものではないんですよね。
特に、向こうから積極的に接してくるヨナハンへの態度を見てると、レーレの特異性というのは、単純にこれまでユユ以外の人間と接することが極端に少なかったために、ユユ以外の人間との接し方を知らない事によるものなんじゃないだろうか。
もしかしたら、ユユとレーレ当人たちが思っているほど、二人の関係というのは強固ではないのかもしれない。
ただこれは、二人の関係がより良い方向に発展していく可能性がある事を示しているようにも見えるんですよね。今のままだと、二人ともお互いを拠り所にし過ぎていて、泥沼に足を突っ込んでしまっているようにも見えるし。


このシリーズ、読んでてなんでこんなに苦しいかと思うんだけど、これって結局、視点となるユユとレーレのいる人間側の論理が醜悪で旧弊的であり、むしろ剣を交える魔女側の方が共感を覚えやすい思想に則って行動しているからなんでしょうね。だいたいからして、ヒロインのユユが心情的に魔女側に共感している節があるし、今回に至ってはヨナハンやセルジュたちも含めて、自分たちが座している人間側の社会通念に苦しめられるわけですから、そりゃあ苦しい。
でも、その人間側の通念を、簡単には間違っていると否定することはできないんですよね。実際、ヨナハンはあれほど苦しみのたうち回りながら、最後までそれが出来なかった。自分が所属する社会の正義を否定することは、人間である事を捨て、人間の社会に生きる事を捨て、それこそレーレが言ったように何もかもを捨てる覚悟が必要になる。捨てるだけではなく、今まで自分が所属していた世界から罵られ、蔑まれ、憎まれ、全否定されることになる。まあ無理だわな。難しいとかいう話じゃなく、自分が生まれた時から教え込まれてきた考え方、意識を根底から刷新しなければ、とてもじゃないと出来るものではない。多少疑問を抱いた程度では、とても出来るもんじゃない。それこそ、何かに魅入られでもしない限り。
ユユとレーレにしても、根なし草の平民という、殆ど外れかかっている立場ではあるけれども、それでも人間社会に所属することで生きている、という身の上にしがみついているわけですし。

それに、今のところ人間社会側の暗部がこれでもかと見せつけられ、魔女側の自由で愛に溢れた姿が描写されているわけだけど、それらはそれぞれ一面的なものでしかない、と考えて構えておいた方がよさそうではあるわけで。魔女側だって、決して正義ではないはずなんですよ。今回だって、随分と残酷な仕手を打ってるわけですし。今のところ彼女らの側は虐げられる少数派であるが故に、しがらみが少なく見えている、と考えた方がよさそう。

いずれにせよ、泥沼が待ち構えているのは間違いなく。色々な意味で続きが楽しみである。
セルジュが仕掛けてきた策謀は、これ大波乱必至だよね。ユユがどう反応するか、すっげえゾクゾクするのですけどw

薔薇のマリア 11.灰被りのルーシー  

薔薇のマリア  11.灰被りのルーシー (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 11.灰被りのルーシー】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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だーまーさーれーたーーー!!

なんというかもう、笑うしかないっすね。あははははははは。
別にがっかりしたとかやられたーとかそりゃねえよ、というような感覚はないのですが、もうね、君が言うなよ、って話で。お前が言うなよ、って話で。えっ? 君がそういうショックを受けてるわけ? 死にたくなるほど落ち込んでるわけ? ぐだぐだになっちゃってるわけ? マテマテ待て、そりゃあカタリちゃんとかこっちのセリフで会って、感慨であって、悲嘆であって、まず君は自分がどうこうショックを受ける前に自分を顧みなさいよ、ねえねえねえ?
という、教導的な気分なわけですよ、はいだらー!

おちつけ、まいさん。


というところで、新キャラクター、ルーシーを主人公として描かれる薔薇のマリア新章スタートの回である。
故あって故郷を追われ、父親に会うためにエルデンを訪れたルーシーが直面する現実の過酷さ、非情さ。街に着くなりあっと言う間に身ぐるみはがされ、無一文にさせられて、挙句に拉致られ売り飛ばされそうになったところをマリアローズに助けられたのをきっかけに、クラン・ZOOに身を寄せることになったルーシーなのですが、なんだかんだで特殊技能の持ち主ばかり、エルデンでも有数のクランとして名高いZOOの面々に比べて、剣も握ったこともなく街で働いた事もない何もできない田舎者。無力で弱く意気地もなく、何もできない役立たず。ルーシーの目から見たら、あのマリアだって超人のように強く見える。
助けられ、拾われ、世話されて、生まれて初めてというほど優しくされているのに、それに対して何もお返しできない無力感。頑張れば頑張るほど役に立たない自分の無能さに打ちひしがれ、情けなさに頭を抱える日々。
それでも懸命に頑張る日々の中で、ささやかな希望や、こんな自分でも何か出来るのじゃないかという光が垣間見えるときもあるけれど、すぐさま辛辣で意地悪な現実の前に、泥の水たまりに叩き落とされ、自己嫌悪にのたうちまわる。
相変わらず、作者はこういう自分の弱さにのたうち、転げまわるのを書かせるの、一品なんだよなあ。まったく、感心させられる。
でも、この人の素敵だな、と思うところは、こうした惨めで恥ずかしくてみっともない日々が、俯瞰的に見たら決して無駄でない時間を過ごしているのを、きっちり書いてくれるところなんですよね。ルーシー本人はきづいていないかもしれないけれど、その失敗続きのろくでもない日々の中で、この子は頑張った分、きっちりと昨日よりも一昨日よりも着実に前に前進しているのです。しっかり、ちょっとずつでも成長している。泥の中に頭から突っ込むような毎日が、後々にしっかりと糧となって作用している。
嬉しいじゃないですか、やっぱり。頑張った分、前に進んでるのを見られるのは。

それは、今回見守る立場にあるマリアにも通じることであるんですよね。ルーシーが苦悩し涙を流し、唇を噛んで懊悩しているその姿は、それこそマリアが通過してきたところなんですよね。それを、マリアはきちっとわかってる。ルーシーがどんなことで傷つき、痛みを感じているかをちゃんと理解して、丁寧にフォローしているんですよね。
マリアは、優しくなったよなあ。もっと前だったらこんなに素直にルーシーみたいな子に手を差し伸べただろうか。根っこの部分は優しくてお節介というのはあったかもしれないけど、それを表に出せるような余裕が以前はなかった気がするわけで。その意味では、自分が他人から与えてもらったものを、それ以上にして他人に与えられるようになったというのは、着実なマリアの成長をも示してるんですよね。
ルーシーという第3者の目を通すことで、これまでマリア視点でうっすらと感じてきたマリアの成長というものを、こうしてはっきりと認識出来たわけで。その意味では、ルーシーを描く以上に、このマリアを描けたことに今回の巻の意味はあったんじゃないでしょうか。
しかし、ルーシーは幸いだよ。マリアの時は、ZOOの面々は細かいケアが出来るような人いなかったもんなあ。まあ、マリア本人がスレてて捻くれていたから遠回りした、ってところもあったんだろうけど、それこそマリアみたいに手助けしてくれる人がいたら、マリアももっと早くZOOに馴染めたんじゃないだろうか。
まあ、そのマリア本人が苦労した分、ルーシーに還元できてるんだろうけど。

しかし、ルーシー視点からみるマリアって、尋常じゃなく可憐で可愛らしくて、こりゃどうしようもないなあ。キラキラ輝いてて、儚くうるんでて、なんですかこの超ド級ヒロインは。普段のウジウジグルグル捻くれて斜に構えた内面描写も、ルーシー視点だから見えないもんだから、マリアが本気で可愛く見えるわけで。そりゃ、アジアンのみならず、荊王なんかがベタ惚れちしゃうのも無理ないよなあ。性別関係ないよなあ。マリアだってだけで、色々超越しちゃうよなあ。
でも、女の子ではないと主張してるけど、じゃあ男の子だと明言しているわけでもなく(今回のあいつと違って)。メンタル面はどう考えても女性側のようにしか見えないわけで(裸見て大慌てって、ねえ?)
ユリカとサフィニアの3人でいる時なんて、どう見ても同世代の仲の良い女性のグループという雰囲気だし。
これだけシリーズ冊数出ているにも関わらず、未だに主人公の性別がはっきりしないというのは、凄いよなあ。そして、作中関係者や読者がみんなもう性別なんてどうでもいいや、という境地に至ってしまっているのも、なんともすごいとしかいいようがなく(笑

薔薇のマリア Ver5 つぼみのコロナ24   

薔薇のマリア Ver5  つぼみのコロナ2 (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア Ver5 つぼみのコロナ2】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

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最近の作者はいったいどうしたというんだろう。薔薇マリ本編の。ANGEL+DIVE。いつも心に剣を。今、十文字青という人はのりにのっているのか、書いて書いて書きまくってる。そのシリーズのことごとくで、愛が語られているのだ。それも情熱的に、包容するように。小指を絡ませるように。
ときに閉じられた夜から新しい世界へと飛び出す原動力として。ある時は、破滅へと誘う甘くも切ない罪過として。様々な形で愛と呼ばれる人の根源に連なる情動が、渾身のフルビートを以って叩きつけてくるのだ。
そして、今ここに一つの愛が成就する。
正直に言うと、この【つぼみのコロナ】の第二編を読み終えたときには唖然とした。こんな真っすぐで歪みなく素直に花開く恋愛譚を、この作者が描くとは思いもよらなかったのだ。確かに、読めばこの書き方は十文字青その人以外のなにものでもない、原色的な一心不乱の内面描写のオールナイトパレードそのままなのだけれど、その筆致で描かれていくのは、一生懸命に苦しい毎日を生き延びながら、大切になってしまった人を守ろうと、役に立とうと懸命にあがく少年少女の、きっと世界を見渡せばどこにでもある、でもだからこそ尊い姿。
レニィもコロナも、とても素直なんですよね。いじけたり悩んだり、目の前の嫌なものから逃げ出したり、それはこの作者の書くキャラクターの姿から逸脱したものじゃないんだけれど、とかく歪んだものがない。それぞれ、相手に対する想いに関しては、吃驚するくらいに偽らずに自分を騙さず、素直に受け止めている。
異常な、もしくは極端な繋がり方をしている他のカップリングと違って、この二人のそれはとてもナチュラルで純粋で、それゆえに見ていて安心できるものなんですよね。もしなんらかの形で片割れが喪われてしまったとしても、コロナなんか爆弾持ちですからね、遠からず命尽きることになるかもしれない。でも、その場合でも残された方は悲しみに打ちひしがれ膝折れることはあったとしても、その片割れの喪失によって魂をゆがませてしまうようなことはないように思えるのです。たとえその存在が消えてしまったとしても、想い出となって残された人を支え続けるような、そんな優しい繋がり方、お互いを守りたいという想いの正当な形。その人が好きだという感情の純朴な結実が、このレニィとコロナという少年少女の恋愛からは透けて見えてきたのでした。
こんな素朴で優しい恋愛を、この作者が書くとはねえ。
ずっと眠り続けていた二片のつぼみが、ふわりと花を咲かせる瞬間を目の当たりにしたような、どこか優しい気持ちにさせられる、心温かなお話でした。

この作者さんはねえ、ほんとにとてつもなく残酷でむごたらしい世界観を描きながら、そこにいる人たちの多くはびっくりするくらいの善性を、その根底に忍ばせてるんだよなあ。そのギャップにいつも酩酊させられるわけです。この酔わせ方がたまらんわけですけど。

書き下ろしの方で、思わぬ人物が再登場していて、読んでて思わず「おおっ!」と声を上げてしまいましたよ。本編での退場の仕方がずいぶん酷いものでしたから、あのあといったいどうなったんだろうと何気に気になっていたのですが、なんとか持ち直していたみたいで。以前よりもどこか柔らかい雰囲気も感じられましたし、今はけっこう幸せに過ごしているのかなあ、これ。
なんにせよ、良かったよかった。

いつも心に剣を 14   

いつも心に剣を 1 (1) (MF文庫 J し 5-1)


【いつも心に剣を 1】 十文字青/kaya8 MF文庫J

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凄いな、作者は。いったい、どういう展開を目論んでるんだ? これほど共依存しているキャラクターを構築しながら、その二人が進む方向にはこれでもかというほど、別離と敵対へと繋がっていくだろう伏線を仕込んでるんだから、いったいどういう手管を用意しているのか、ゾクゾクしてくる。
もちろん、敵対に至るかどうかは定かではないのだけれど。ちゃんと、ユユが成っていくだろう魔女という存在には、魔王と呼ばれる愛によって結ばれ身命を共にするパートナーがいるわけで、ユユとレーレがそうした関係に転がっていくという展開も同じくらいの強度でルートが構築されているようにも見える。
この作者は、希望も絶望も等価に扱い、必要とあらばどちらも偏りなく放り込んでくるから、傾向からは予想が不可能なんだよね。おかげ様でドキドキですよ。

ヒロイン、ユユの性格はまたこれ極端だわなあ。普段は高圧的でレーレに対して小馬鹿にしたような辛辣な態度しかとらないのに、行動を見てるとレーレに対してとても深い愛情を抱いているのが伝わってくるのですよね。この娘、内面描写でもレーレに対して常にキッツイこと考えてるあたり、徹底してる。それでも行間を読むと常にレーレのこと心配してるし、なんだかんだと自分よりもレーレの事を考えてるんですよね。そもそも二人で旅に出た理由から、レーレの為だし。
いや、旅立ちの理由に関してはあながちレーレの為だけとも言えないか。あれは、彼女の誇りや世の中に対する疑問への抵抗とも言えるし。彼女のその世の中の矛盾に対して、論理的に考える事をやめられない。矛盾を座視できないことが、彼女をより自然に愛を語り、自由に生きる魔女たちの世界に誘っていくことになるんだろうけど。
一方で、レーレの方はと言えば、とてつもなく従順なんですよね。これは、人間よりも道具として育てられた子供によく見受けられる特質。よくあるパターンだと、物心つく前から暗殺者として働くように育てられたような子供。刷り込まれたみたいに、ユユに懐き、ユユを一番に考えている。ただ、単なる道具と違うのは子供の頃の子羊とのエピソードに見えるように、何かを愛する心を持っているところ。ユユに対するそれも、従属に見えて、単純に愛情故とも言える。単に表への出し方が特異なだけで。
その普通の人間としての心は、決してユユ個人だけに指向しているわけでもなく、ラストの戦いの中で感じた苦悩や拒否感は、彼がユユのためならなんでもやらかすような異常者ではなく、通常の感性を有していることの証明でしょう。
その感性が、果たして魔女と敵対するものなのか、共感するものなのか。今のところは、むしろ魔女たちのそれ、そしてユユと同じものに感じるんですけどね。魔女狩り騎士団の連中と比べても。

ウィザードリィを彷彿とさせる薔薇マリとはまた違う、濃厚な中世欧州の匂いが漂ってくるファンタジー作品。ユユとレーレという、珍しく二人の主人公に人間関係が収束した話でもあり、これは素晴らしい冒険ファンタジーであると同時に、ラブストーリーになりそうな予感。なかなかこれほど男の子女の子の絆が深い段階で話が始まる物語もないので、面白くなりそう。期待大の新シリーズです。

ANGEL+DIVE 3.LOVENDER5   

ANGEL+DIVE〈3〉LOVENDER (一迅社文庫)

【ANGEL+DIVE 3.LOVENDER】 十文字青/青稀シン 一迅社文庫

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今、読後の呆然とした心地のまま、衝動的にブログを立ち上げ内々に湧き上がったこの情動を言葉として出力しようとして、はたと我を取り戻す。
その途端、ハラハラと零れおちていく涙。
立ち尽くすようなこの自失感が、さざめくようなサラサラとした悲しみなのだと、今になって気づく。感想を書くということは、時として今のように自分が自身の中に入力したものを具体的に検証することにも繋がる。もっとも、それらを精緻に分析した挙句に言語化して出力できるのかというと、恐らくは殆どが失敗に終わり、その大部分が曖昧なまま不定形のあやふやなもののまま内在し、消化されていくのだろうけれど。

と、再びここで我に返る。今呼んだこの本について書いているつもりが、なにかわけのわからないことをいつの間にか書きなぐっていた。思いのほか動揺しているのか、出力する段階でこう変換するべきだと心霊が囁いたのか。

悲劇が墜ちていく。

太陽を目指したイカロスが、地に墜ちたようにして。いや、彼らが望んだのはそんな大層なことじゃない。ささやかな、普通の人ならば当たり前のように得られる穏やかな幸せだ。
でも、今、彼らの幸福な日々は完全に破滅した。

それが、とても悲しい。悲しい。
誰のせいでもないのが、誰のせいにも出来ないのが、とても悲しい。

人は滅びる為に、生きているのか。
それは真理なのだとしても、それを受け入れてしまえばそれは人間ではなくなってしまうということ。
でも、抗った結果がこれだというのなら。

変わってしまった夏彦は、この結末を経て、さらにどれほどの変化に至ってしまうのか。あの未来の姿は、さらに人間性を失った姿だったのか、それとも何かを取り戻した姿だったのか。
どこか歪んだまま混じり入ってしまった幼馴染との関係といい、彼にとっての破滅はまだ始まったばかりだったのかもしれない。
この悲劇ですら、まだ端緒に過ぎないというのは、それこそ悪夢なんだろうけれど。

そして、この巻の文字通り主人公だった桜慈。生涯唯一の運命と出会い、引き裂かれた彼がどうなっていくのか。

この作者は、どれほど負の感情にまみれ、地を這いつくばり、花の曲がるような腐臭を漂わせていようとも、そんな登場人物たちの中にある善性を信じさせてくれる人だけど、それだけにそんな彼らをグチャグチャに叩き潰す展開を容赦呵責なく描かれると、ダメージがでかい。
この結末は、ある程度予想出来ていたものだけど、それでもショックだった。ショックだった。
だって、秋葉が(涙

ANGEL+DIVE 2.REUNION4   

ANGEL+DIVE 2 (2) (一迅社文庫 し 1-2)

【ANGEL+DIVE 2.REUNION】 十文字青/青稀シン 一迅社文庫


夏彦の欠落は、純心であるということなんだろうか。他人の気持ち、思考を推測するという行為が出来ないという以前にその概念すらなく、言葉通りの意味や表層の感情しか受け取れない。
あるがままをあるがままにしか受け取れない。そのことについて疑問すら浮かばず、疑念すら抱かず、受け入れてしまう。
まるで赤ん坊のような心、というべきか。純心無垢で、なにものにも染まっていない、ということは善悪の区別や倫理観からも逸脱しているということで、第一巻のエピローグなんかは、その心のまま成長した結果の一つの末路と言ってもいいのかもしれないけど。うーん、このような単純な解釈だと、まるで夏彦がロボットみたいな印象になってしまうんだけど、確かにこの子には優しい感情や人を想う心はあるように見えるので、なんか違うんですよね。
外からの入力に対しての処理の仕方が、普通の人間と違うのはまちがいないんだけど。

なんにせよ、こういう心の在り様って、ある程度裏表のない子供時代ならともかく、相手に対して自分でも理解しがたい複雑な情緒を抱くようになる中学生以上の思春期になると、途端コミュニケーションに支障が出てくるというのも仕方のない話。
今まで一心同体のように気心の知れた存在だった幼馴染の希有との距離が開いていく過程は、この年頃の男女の幼馴染の関係としてはむしろよくあるパターンなのかもしれないですけど、夏彦がこの疎遠になっていく関係を改善したいと考えながらも、まったくどうしたらいいのか分からなくなっているのは、彼本人の在り様の問題が大きいように思う。希有がどうして自分と距離を置きたがるのか。その複雑な感情の在り様を、彼がまったく想像できていないのだから。
一方で希有も、夏彦という特殊な子とともに成長してきた事から、いざ以心伝心が通じなくなった時に、どうコミュニケーションを取ったらいいのか、夏彦以外の友人との接触が最小限だった影響もあるのだろうけど、普通のコミュニケーションに対する経験値が圧倒的に少ないんですよね。だから、いざ自分の感情をもてあますようになった時にどうしたらいいのか分からず身動きが取れなくなってしまっている。
彼女に関しては、その感情をかき乱す原因が同じ家にいて常にプレッシャーをかけ続けられている、という可哀想な状態もあるのですが。
普通なら、ある程度この疎遠な時期をやり過ごし、それぞれが成熟した精神を得つつある高校生くらいに至れば、再び距離感は取り戻せるパターンもあろうはずなんだけど、この二人の場合はそれぞれに問題が多くあるために、もしこの巻であった決定的な亀裂を生むエピソードがなくても、いささか難しい結果になっていたかもしれない。
……いや、でも時間の経過が解決してくれた可能性は、やっぱり大きいと思うので、今回のあのエピソードはかなり厳しい結果を生むことになるのかも。希有の家があれなわけだし。

ところで、この物語のヒロインってなんだかんだ言っても本命は依慧なんですよね?
あのエキセントリックな性格や、同世代からは一段離れた大人びた判断力、異常ともいうべきビジュアル、なによしその異能力。学校での立ち位置など、彼女はとにかく<特別な存在>というイメージがあったのですけど。
ああ、この娘も普通の、まだ十五にも届かない普通の幼い、子供だったんだなあ。
出自も特別でない、普通の家庭で生まれ、普通の家族と育った普通の子供。それが、いきなり不慣れな環境に否応なく放り込まれ、それでも妹を守るために精一杯背伸びして生きてきた、頑張る普通の女の子だったわけだ。
その緊張の糸がブチンと切れてしまったのが、ある身近な大人の死。
そして、自分たちを置き去りにした父親との再会。
彼女の姉妹二人だけで生きていこうという健気な決意が、どれだけ幼い発想だったかを思い知らされる展開で、でもそれ以上にそんな幼い発想をほとんど実現させていた彼女の強さには敬服するしかない。
だからこそ、自身の幼さと弱さを突きつけられながら、それに屈することなく飲み込み、認めたうえで乗り越えた彼女の成長は眩しくて、こいつは絶対イイ女になるぜ?
無論、もし本当に彼女が妹と二人きりだったなら、今回付きつけられた現実に、彼女が立ち向かえたかは疑わしいところだ。たぶん、ポッキリと折れていただろう。
そんな限界ギリギリの場所に立たされた彼女を支えたのは、間違いなく夏彦だった。

この少年は、間違いなく人間として大事な部分が欠落しているのに、どこか不気味で非人間じみた薄気味悪さがあるくせに、確かにどこか人を惹きつけてやまない魅力があるんですよね。
工藤桜慈という第一巻のエピローグで登場した男も、この巻で登場し、なんだかんだと夏彦と遭遇するうちに、夏彦の傍に居場所みたいなものを見つけたみたいですし。
ありのままの姿をありのままに受け入れる在り様というのは、ある意味ではとても居心地のいい場所になる存在に成りえるのかもしれない。
自分を偽らずに済むし、自分を隠したければ隠したいだけ隠しておけるし、さらけだそうと思えばどんな自己嫌悪を催す姿であろうと、何の是非も好悪も表わさず、そのまま受け入れてくれるのだから。
でも、その何でも受け入れる在り様に、不満を抱くのも人間なんだよなあ。
人と人との関係は常に変化流転し続けるもの。この一年における希有との関係の変化は、そのまま他の登場人物たちとのそれにも通じ、繋がっていくわけで。
良好な関係が続いている人たちとも、今後どうなるのか不安が尽きない。
なんか、今回のエピローグでは、前巻のエピローグからまた時間がある程度経過しているらしく、なんかえらいとんでもないことになってるみたいで、だいぶ混乱させられたんだけど。
先が見えんし、読めんなあ。

薔薇のマリア X.黒と白の果て4   

薔薇のマリア  X.黒と白の果て (角川スニーカー文庫 182-14)

【薔薇のマリア .黒と白の果て】 十文字青/BUNBUN スニーカー文庫


あ、中てられた。なんかもうね、マリアの性別がどうだこうだなんて、この<愛>の前にはどうでもいいことのように思えてきた。本当は男だろうが、女だろうが、両性具有者だろうが無性者だろうが。
アジアンはあんな変態だし(この変態性は、マリアの前だけで、単にマリアの前に出るとテンパってしまってこんなキャラクターになってしまってたという事が、ここ数巻のアジアンのクラン<ランチタイム>編で明らかになっているのだが)、マリアはマリアで自分の性別を秘密にしていてなんかコンプレックスもあるみたいな上に、アジアンに対しては好悪が入り混じってグチャグチャになった感情を抱いていて、二人の関係ってのは一見複雑怪奇に絡まり合って、いったいどうなってるのかよくわからない混迷カオスな様相を呈していたものだけれど、アジアンがクラニィの事や今回の一件で追い詰められ、酷くその内面をシンプルにそぎ落とさなければならなくなったのと、マリアが事件を多く乗り越えることで精神的な成長と安定性を得だしたことで、霞がかってよく見えづらかったお互いの想いが、ここ数巻でよく見えるようになってきたんですよね。
その結晶がこの巻というべきか。
そうして、現れた想いは、たがえようのない強い<愛>。
赦しと優しさ。痛みと罪の共有であり、これまでよりもお互いをよく理解し合った上での、支え合い、背中合わせのぬくもり。
これじゃあ、文句のつけようがないですよ。こんなの見せつけられたら……ベディ、可哀想だなあ、んん(貰い泣
まあ、ベティは憐れまれるようなそんな女じゃないですけど。
いや、個人的にはベティよりもベアトリーチェの方が、なんとかしてほしいよ。あの娘だって、マリアのこと大好きなのになあ。言わないけど。マリアって、ベアトリーチェの前だと案外男の子っぽくて、この野郎とか思うんだけど、でもいかに男の子っぽかろうとその関係性ってのは特別仲の良い女の子同士にしか見えないのも確かで。
……実際の性別はともかくとして、マリアの精神的な性別ってのはどっちなんだろう。正直、ここまで男の子らしさと女の子らしさを等分に兼ね備えたキャラクターってのは、他に思い出せないんだよなあ。まあ、性別が不明でなおかつ精神的性別も曖昧というキャラクター自体、めったいないわけですけど。

まあでも、今回はアジアンとマリア以上にラブラブでお似合いのカップルが、これ薔薇マリ? かと思うほどにイチャイチャしやがってて、この野郎、もうニヤニヤしっぱなしだったんですけどね(笑
ユリカと飛燕。
マリアとカタリは大変お怒りのご様子でしたけど、これほどお似合いのカップルはそうそういないと思うのですよ。なにより、ユリカの照れっぷりと幸せそうなそぶりが、もう微笑ましくて。
彼女もね、そろそろ幸せになってもいい頃だと思うんですよ。小猿は、いい奴だと思うぞ、絶対。
いや、ここまでお似合いだと、もしユリカか飛燕のどっちかが死んだりだとかいう絶望展開なんかきたら、私発狂しますよ、しますよ?

戦闘シーンでは、やはりユリカ・飛燕組の戦いが一番面白かったかな。二人の息のあったコンビネーションも去ることながら(ちゅーしやがった!)、ユリカの中にしっかりとマリアの戦術が息づいているのが、妙にうれしかったんですよね。もうすっかり、仲間としてのマリアの存在感がユリカの中に根付いてて。サフィニアもそうだけど、一緒に戦ってる感がズワンズワンと伝わってきて。
このシリーズ、世界観は救いようのない残酷で悪逆ばかりが罷り通る地獄のような世界なんだけど、だからこそというべきか、人間関係の尊さが、絆の強さが、信頼が繋がっていく様が、ほんとに眩しい作品なんですよね。
絶望にまみれながら、なおも希望に支えられる物語。

ダリエロなんか、ある意味この作品を象徴してるキャラかもしれない。どう言い繕っても極悪人で最悪な人物にも関わらず、クラニィ亡きあとでの<ランチタイム>でのあの存在感。
この十巻、ちょっと泣けてしまったシーンがあって、それがこのダリエロのシーンなんですよね。その人の望む夢を見せる魔獣に囚われていた時に彼が見ていた夢と、エピローグでダリエロに訪れた現実が、重なったシーン。ベティのセリフとか、酒場の盛り上がりとカ。
ダリエロ、こんなろくでなしなのに……こいつが望んだ夢ってのが、本当に普通の風景で。この男の飢餓感の正体と、求めていた場所の姿が見えた気がして、なんか泣けたんですよね。
何気にランチタイムで一番好きなのが、彼だったりします、うん。



ANGEL+DIVE 1.STARFAKE5   

ANGEL+DIVE (1) (一迅社文庫 (し-01-01))

【ANGEL+DIVE 1.STARFAKE】 十文字青/青稀シン 一迅社文庫


……うー(頭を抱えてます)

……あー(天井を仰いでます)

……はぅ(項垂れた首を左右に振っております)


参った。なんというか、参った。降参。この作者、やっぱり一筋縄ではいかないですわ。ラストエピソードで、そこまで読んでジワジワと培ってきた淡くも柔らかな感慨を、一気に捻り潰された。
それこそ、クキッと仔猫の首を折るみたいに。
おかげさまで此方の気分と来たら、幸福な夢から覚めたばかりの餓えた生き倒れだ。ちくしょうめ。
別に怒ってるわけじゃない。ただ単に、いきなり仄かな満腹感を、飢餓感にすり替えられたものだから、悶え苦しんでいるだけだ。
正直、たまったものじゃないが、さらに正直にのたまうならマゾヒスティックな至福に恍惚としているともいえる。
おかげで、このまま放置されれば、それこそたまったものじゃないことになってしまう。続きを。迅速に続きを。
その空白の時間に何があったのか。彼女たちはいったいどうなっているのか。なにをしているのか。どういう関係性を保っているのかいないのか。
生殺しだ、ちくしょう。
最後の最後まで、これを【時載りリンネ】のたぐいだと勝手に誤解していた自分が腹立たしい。これを書いているのがあの十文字青だということをすっかり忘れていた。
いっそ、そのままのジュブナイル的なストーリーだったとしても十分傑作の縁に足を乗っけて飛び越えて行けただろうに。斟酌することなく、自分のスタイル、自分の書きたいように突き進むその筆調には尊敬の念すら覚える。
ただ、容赦のないのがこの作者の特徴ではあるけれど、同時に【薔薇のマリア】でも示されているように、悪徳に淀み、邪心にまどろむ世界の中でも、弱き人々の心の中にある善意を否定せず、闇の中で儚くも燦と輝く魂を描くのもこの人の筆なのである。
なので、単なる鬱々とした展開になることはないと信じているし、期待している。たとえ心に大きな傷を負っても、失われた人がいたとしても、これはきっと前に進む物語なのだと、思いたい。
でも、登場してきた人たちは、ヒロインである依慧、織慧の双子の姉妹に、幼馴染の希有。黒雪氏にマタノリア。春と秋葉の姉妹といい、みんな好ましいキャラクターだったので、誰か欠けてたらヘコむだろうなあ(苦笑
春姉なんか、非常にヤバそうなんだけどww



薔薇のマリア 宗,気茲覆蕕旅圓着く場所  

薔薇のマリア 9 (9) (角川スニーカー文庫 182-13)

【薔薇のマリア 宗,気茲覆蕕旅圓着く場所】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫


なんという恋の嵐の猛威哉。
今回は、男も女もバカも変態も小猿も、みんな可愛いなッ!!
アジアンが頭領をつとめるクラン<昼飯時>のメンバーが、ベティとヨグを除いてすべて消えてしまうという非常事態で、あのアジアンが完璧にへこみモード入ってしまっている状態にも関わらず……、いやだからこそか。これまでアジアンから逃げ回っていたマリアが、アジアンに対してガードが下がりまくってる状態で……。ただでさえ、例の一件でアジアンに負い目みたいなものを感じてしまってるマリアが、元々自分で思っているよりも遙かに人が良くて世話好きなところがあるマリアが、こんな状態のアジアンに対して辛く当たるなんて出来ないわけで。
ZOOに入って精神的に成長したマリアは、以前に比べて自分の内面を変に鎧ったり、繕ったりしなくなったせいか、かなり自分の中から浮かんでくる感情に対して、むやみに拒絶しなくなりましたね。その分、アジアンへの防備が非常に疎かになってる。それでも、並程度のツンは保ってるわけですけど。マリアもへこんだときとか、精神的に追い詰められた時にアジアンの顔が思い浮かんでしまうあたり、かなりドツボのハマってきてるんですよね(苦笑
ただ、荊王に対しても、ああいう仕打ちを受けて寛容に済ませてしまうあたりは、自分の抱いているアジアンへの感情にかなり動揺している節が伺えますw いや、もともと優しいからなあ。彼に悪意がないとしたら最終的には赦しちゃっただろうけど、ああもイビるような言動や皮肉めいた態度も一切見せずに許しちゃうあたり、いろいろ緩んでるなあと思うわけですよ。
ベティが怖い(笑

と、マリアがかなりデレ期に入ってる今回ですけど、MVPはマリアじゃなくユリカでしょう!(力説
挿絵も、やたらと力入ってるし。高級服バージョンだけじゃなく、ちゃんとシリアルキラー・ブランドのバージョンも出してくるなんて、パーフェクトです、完璧ですw
飛燕、ナイス。
天真爛漫自由奔放な飛燕に振り回されながらも、どこか自縄自縛の頸木から解き放たれて楽しそうなユリカが、またかわいくて仕方ないんだ、これが。
あんな無防備な寝顔見せられたら、そりゃ参るわ(苦笑
マリアやカタリが、お父さんは許さんですよの完全に舅モードに入ってるのに比べて、サフィニアがそういう批判的な素振りみせないのは、あのお似合いと言えばあまりに素敵な二人のシーンを見てしまったからなんでしょうねえ。トマトクンとの関係に悩むサフィニアからすれば、あの光景は憧憬に値するような眩しいものだったんじゃないかと。
いや、でもこのユリカと飛燕の見た目子供カップル(実年齢二十三歳)は、薔薇マリでもベストカップルなんじゃないですか? 私、凄い好きです、好き好き。
いつもは引っ込み思案なサフィニアも、今回はユリカに触発されたのか風邪でダウンしたトマトクンに対して、今までからは考えられないくらい積極的にアプローチ。でも、どれだけ妄想を広げても、手を握るあたりで思考がオーヴァーヒートするあたり、超ド級の清純派なのがサフィニアで……w 和むなあ、愛いなあ(笑

今回は男連中も可愛かった。可愛かったよ。叱られてばっかりだったですけどね♪
荊王にしても、飛燕にしても、ピンパにしても、それぞれ怒られてしょげる姿が、もうね? しんぼうたまらんw

と、なぜかラブストームが吹き荒れている今回ですけど、ストーリーの方は昼飯時のピンチにクランの枠を超えて、ZOOの面々や龍州連合のボスである飛燕や荊王が協力することになるという、この悪徳に塗れた世界観からすればかなり燃える展開に。
しかし、マリアは戦闘になっても存在感を発揮できるようになったなあ。感慨深い。個体戦闘能力は相変わらず下の下、役立たずに等しいんだけど、幾多の激戦を経た経験からくる自信もあってか、完全に戦闘指揮者としての才幹を発揮しつつある。今まで連携を組んだことの無い昼飯時や龍州連合の連中にもてきぱきと指示を出し、戦場を制するマリアの指揮。
なかなか魅せてくれます。

そして、ラストの衝撃的な展開。
あれは……ちょっと驚愕だったなあ。なんてこったい。
次巻、どうなるんだ? 気になる、気になる、うっうー。
一応、このエピソードは次の巻で終わるらしいんですけど…終わるのか? またぞろめっさ厚くなりそうな予感。

薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に  

薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に (角川スニーカー文庫 182-11)

【薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に】 十文字青/BUNBUN スニーカー文庫


今回は全遍、アジアンアジアン。
というよりも、アジアンが頭領を務めるクラン【昼飯時(ランチタイム)】の短編集。
ランチタイムってまた、マリアたちの<ZOO>にも勝るとも劣らない変な名前だなあ、と思ってたんですけど、命名にはこんな理由があったわけか。
おそらく、名付けた時には特に深い考えがあったわけじゃないんだろう。でも、この短編集の最後の話での物語を思うに、この物語の舞台、法の無い無統治国家の首都エルデンという悪徳蔓延る街の中、人として壊れているものたちが集まるこの街で、このランチタイムという名前の導くこのクランの在り様というのは、このクランに参加している人たちにとってどれほどかけがえのなく大切なものになっていたのか。
うあ、なんか胸が熱くなる。

アジアンは、マリアのストーキングしている時とそうでないときとは、まるで別人なんですなあ。マリアの前では甘い言葉ばかり吐く気障な変態ストーカーでしかないのに、普段のアジアンと来たら……。
それでも、その魅力的な雰囲気と来たら、なるほど男女常人異常者問わず、惹かれるのも無理はない。
ただ、そんな特別なアジアンを、クランを作ろうか、なんて言葉を吐かせるようなところまで引っ張り下ろしたのは、亡きクラニィという男の人間味、人情味なんでしょうね。
無法の街で、己が優しさを恥じらい照れながら黙々と貫く男。
二巻で、彼が殺された時のアジアンの気持ち。あの時はクラニィという男がどういうやつなのか、こちらには何も情報がなかったのでアジアンのクランの仲間が殺されたんだな、という事実を淡々と見つめるだけだったけど、こうして彼の人となりをじっくり見せられると、今更ながらに苦しくなる。
思わず、二巻と三巻を読み返してしまった。アジアンが受けた衝撃たるやいかばかりか。

それゆえに、最後の話は感動したなあ。
結局のところ、みんなアジアンが大好きで仕方がない、という結論は単純だけどこの上なく素晴らしくて、アジアンは何だかんだと幸せなやつなんだと思うのでありますよ。

でも、ランチタイムの雰囲気を見てると、確かにマリアがここに加わるのはちょっと違うなあ、と納得。

この本読んで、いっぺんにランチタイムの面々、好きになっちゃったわけですけど、やっぱり一押しはダリエロでしょう。なに、このツンデレな極悪人(笑

 

7月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
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メソポ・たみあ
(角川スニーカー文庫)
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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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shiryu
(角川スニーカー文庫)
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あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
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ミヤ
(角川スニーカー文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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シクラメン
(HJ文庫)
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かみや
(HJ文庫)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
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弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
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雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
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虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
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謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
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東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
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佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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