和ヶ原聡司

はたらく魔王さま! 84   

はたらく魔王さま! (8) (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 8】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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恵美がエンテ・イスラの実家へ帰省すると言い出した。心配する千穂、羽を伸ばす芦屋。一方魔王は、マグロナルドの新業態のため、免許取得を目指していた。しかし、戻るはずの予定日を過ぎても、恵美は東京に帰ってこなかった。動揺しつつも平常心を保とうとする魔王は、連絡を取る方法を探す鈴乃を後目に、試験を受けるため東京・府中の運転免許試験場へと向かう。道中、魔王はバスで謎の二人組と出会い…?その頃、千穂の通う高校でも問題が勃発していた。勇者不在の中、果たして笹塚の平和は守られるのか!?緊迫のシリーズ第8弾。
表紙絵が公開されたときに、まさかアラス・ラムスが成長してしまうのか、と危惧したのですが良かったのか悪かったのか、アラス・ラムスではない別人でした。彼女が成長しちゃうと、育児生活が終わっちゃうもんなあ。魔王と勇者の育児生活日記は現在のこの作品の醍醐味みたいなものなので、それが失われてしまうのは避けてほしい所だったので良かったのでしょう。とは言え、今回お母さんの勇者は実家に帰り、アラス・ラムスもそれに伴って一緒に実家に帰省することになったので、育児日記はお預けになってしまったのですが。
しかし、冒頭の一同が揃ってあの魔王城でお昼ごはんを食べているシーンを見てると……和むなあ。ちょうどアニメがはじまったばかりで、恵美が部屋の隅っこに転がって寝てるくらいの男二人で家具や家電も何もないというやや寂しいというか侘しい感のある魔王城を目の当たりにしているだけに、こんなふうに賑やかに家族の団欒するようになるんだなあ、とちと感慨深いです。
「じゃあアラス・ラムスのお豆腐のミョウガは、ぱぱに食べてもらいましょうね」
恵美さん、もう真奥のことパパとして遇するのに何の躊躇いもなくなりましたね。完全に普通のママじゃん(笑
ちょっと前まで離婚係争中で別居状態、嫌々仕方なく義務的に赤ん坊を父親に合わせる若い母親、という風情だったのに、そろそろよりを戻したんじゃないか、というくらいになってきてますよ? 一緒にアラス・ラムスの布団を買いに行ったのがトドメになってしまったのか。
帰り道でのなんてことはない身の回りの事についての世間話に雑談が高じて、ついつい長話してしまう、というところがなんかねー、すごくニヤニヤしてしまいました。駅についてもう別れるという段になっても、ちょっとパパさんだけ除け者かつダシにされながら、いくら話しても話が尽きないという感じの恵美に千穂に鈴乃の三人娘。
これまでいろんな生活臭を感じさせる描写が数々在りましたけれど、こういう目的地についたけれども話が終わらなくてついつい立ち話が長引いて、というのもまたあるある、と日常を感じさせるシーンだったりするんですよね。
その日常をひしひしと感じさせる別れのシーンが、そのままこれまでの日常に別れを告げるシーンになってしまうとは思わなかったわけですけれど。
……エミリア、時給1700円ももらってるんかよ。すげえな、全然敵わんよ。あと、真奥さん、世界征服するためにのし上がるなら、車の免許は必須やでぇ。まあ東京近辺に住んでるなら自動車の必要性はあんまり実感しなくて済むんだろうけれど。

帰還予定日を過ぎても帰ってこないどころか連絡一つよこさないエミリア。これ、ちーちゃんが取り乱すのもよく分かるんですよね。この辺りはまだ真奥はやや一般的な日本人の感覚に馴染んでいないのかもしれないけれど、普通こんなふうに一切連絡取れなくなることって、現代日本じゃまず滅多とないんですよ。よっぽどの何かに巻き込まれたか、でないと。今の時代、何かしらの連絡ツールは携えてるもんですしね。
そもそも、仕事が無断欠勤なっちゃうじゃないですか。無断欠勤ですよ、無断欠勤。その時点で大事です、普通ありえないです、無断欠勤なんて。考えただけで冷や汗モノです。洒落になりません。読んでてこのふつふつと沸き上がってきた焦燥感は、エミリアがエンテ・イスラで無事なのか、今どうしているのか、という安否についてではなく、早く帰ってこないと職場のほうが大変なことになってるんじゃないか。無断欠勤で大騒ぎになってるんじゃないか、という方向のことばかりだった気がします。
梨香が先に芦屋たちに状況を聞きに来てくれたから良かったものの、こういうケースでは職場の方から警察の方に通報があってもおかしくなかったんじゃないだろうか。まあ普通は家族親族が行方不明の捜索願を出さないと受理されないのかもしれませんけど。

これまで、恵美や鈴乃の方からの歩み寄りは千穂が解説してくれたように、真奥たちへの信頼感が大きくなっていることは明らかになってましたけれど、翻って真奥の方は具体的に恵美たちにどういうスタンスなのか、という点については、以前彼女らを悪魔大元帥に任命して一緒にやってこうぜ、みたいなことは言ってたものの、もうちょっと踏み込んだ所で彼女たち個人をどう思っているのか、についてはまだ中々こころの中を見せてくれなかったのですが、エミリアが行方不明になったことで図らずも真奥の動揺と焦りを通じて、彼も何だかんだとエミリアの事を本気で心配し、案じるようになっていたんだとちょっとほっこり。真奥にとっても、恵美はアラス・ラムスのママだったわけだ。
戻った実家でトラブルに巻き込まれ帰るに帰れなくなった奥さんを迎えに行くのは、旦那さんの役目でしょう。いったい何を人質に取られて逃げられなくなっているのか、さすがにあの描写では全然わかんなかったんだが、エミリアが囚われのお姫様(娘付き)になってしまったのは間違いないようで、これはちょっと本気で恵美がメインヒロインみたいな展開になって来ましたよっと。これで、真奥が助けることになったら、マジで仲が進展しちゃうんじゃね?w

というわけで、お話はついにエンテ・イスラに移行するのか。リアルな生活感を持ち味として前面に出してきたシリーズとしては、わりとターニング・ポイントなところになってきたのかも。

シリーズ感想

はたらく魔王さま! 7 5   

はたらく魔王さま!  7 (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 7】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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魔王と勇者の庶民派ファンタジー、
第7弾は庶民派成分4倍増しの特別編!


『訪問販売』──漆原が悪徳訪問販売業者に騙された! 代金を取り返すため事務所に乗り込んだ真奥の運命は!? 『捨て猫』──帰宅した真奥が懐に抱えていたのは、銀色の捨て猫だった。飼い主を捜す真奥達だが、銀色の猫に異変が起こり……。『お布団』──アラス・ラムス用の布団を買いに行くことになった真奥達。仲良し家族といった雰囲気に恵美は頭を抱えることに。『はたらく女子高生』──マグロナルドでバイトを始めた千穂は、新人時代の真奥と出会う。まだ普通の女子高生だった頃の千穂のお話。「電撃文庫MAGAZINE」掲載の短編3本に、書き下ろし中編1本を加えた特別編!
ヤバイヤバイ。そもそもからして、日常シーンの生活感の半端無さが際立っている作品だった本作が、それこそ日常編を主題にしてしまったらその掘り下げ方たるやとんでもない深みにはまってしまうこと請け合い。いかな短編とはいえ、ひとつの事柄をとことん突き詰めて描いていくことになるので、本編での普段のリアルすぎる生活感がこれまで以上に凄まじいことになってます。それこそ、凄みを感じるレベルで。いや、それ以上に感心させられたのがそういった日常の中の出来事に向き合う登場人物たちの内面の動きの方なんですよ。もう既に、魔王軍の三人にしても、恵美や鈴乃たちも異世界人故に現代社会に戸惑う、ということもなく、現代日本に馴染んでいるのですけれど、だからこそ彼らが感じ、思い悩んでいる事もまた私達日本人と変わらない等身大の考えだったりするんですよね。そういうのを、非常に丁寧に、そして練り込み掘り下げて言語化して描き出しているのです。この内面描写がほんとに凄い。特に戦慄させられたのが、書き下ろしである千穂がアルバイトを始めようと思いたち、実際にマグロナルドで働き始めた時のお話。ここには、社会に出て働き始めるという事に対しての平易にして根源的、そしてとても誠実な一つの回答が示されてるんですよね。高校生くらいの年齢の子が抱く、将来の進路、というものに対する漠然とした不安や、こう言っちゃ何だけれど恐らく周囲や社会が好き勝手述べている「将来の進路というこのは、こう考えるべきなんだ」という指針に対する不信。そう、どれもこれもが白々しく、当事者の身からすると御為ごかしや他人ごと、自分たちの事など理解してなくて所詮今の自分の立場からものを言っているようにしか聞こえない、様々な進路に対する提言に対して、子供たちは信頼も信用もしていなくて、恐ろしく冷めた目で、白けきった気持ちでこういう言葉を聞き流している、と思うんですよ。
これらの提言や言葉も、決して親身になってなかったり他人事で放言しているわけじゃないのも確かなんですけれど、やっぱり子供たちからするととても遠くて、自分たちの感じている切実さに対して、全く理解が及んでいない、不安な気持ちを汲んでくれていない、飾っただけの届いてこない言葉に聞こえてしまうんですよね。
『はたらく女子高生』というお話は、そんな子供たちの不安や迷い、切実でありながらあやふやな心もとない気持ちを優しく丁寧に描ききった上で、こんな考え方もあるんだよ、という風な千穂やその友人たちの目を通して啓かれた社会との繋がり方、将来への展望の持ち方、急かさず甘やかさずそっと支えるような示唆を、物語という形を通して表現しているのです。その誠実さ、実直さ、理解の深さと平易にして伝わりやすい言語化の仕方には感心するばかり。この年頃の子供達にとっては、金言の宝庫というようなお話だったんじゃないでしょうか。何より、今社会人として実際に働き生計を立てている身としても、こうしたお話を目の当たりにすると思わず襟を正すような気持ちを得てしまうのです。心洗われるというかなんというか、凄く頑張ろう、という気にさせてくれるお話でした。正直、この書き下ろしだけでも傑作と呼ぶに相応しいかと。
いやまったく、ちーちゃんは凄いなー。この娘については、シリーズが巻を重ねれば重ねるほど尊敬の念が募っていくばかりです。

さて、他の短編もまたこれ傑作揃いなんですが、中でも素晴らしいのがやはり、魔王と勇者が二人の娘であるアラス・ラムスのお布団を買いに、一緒に買物に出かけるお話でしょう。
はい、もう完全に子供連れの夫婦ですw
いや、ね。もう夫婦同然の新婚ラブラブカップル、みたいな関係は珍しくはないんですよ。他のラノベでも見かけるっちゃあ見かける。中には、事情があって小さな子供みたいのを連れて本当に擬似家族的な関係になっているのも存在します。
でも、ここまで本気で夫婦っぽいのは見たこと無いし、きっと今後も見ることないんだろうなあ、うん。逆に、変にラブラブじゃないのがリアルなんですよ。しかも、その関係たるや既に別居して、親権について係争中の元夫婦、といった感じなのが異様に生々しい。娘のために仕方なく会っている、でも何だかんだと娘のことについては呼吸が合っていてパートナーらしい、というのが凄まじく生々しい元夫婦像なんですよね。
とまあ、この真奥と恵美の二人については普段こんな感じなんですが、この買物に出かけるお話ではそこからもう一歩踏み込んで、離婚協議中とか別居中ではなく、普通に娘のためにお布団を買いに来た若夫婦、みたいになってしまってるんです。二人きりの新婚生活の熱々さもやや時間が経って静まってきて、さらに子供が生まれて忙しくなってそれどころではなくなって、やや赤ん坊が大きくなってだいぶ手がかからなくなり落ち着いてきた頃の、子供が中心となって生活が回るようになった若夫婦、といった感じがにじみ出てるんですよね、この短編での二人って。アラス・ラムスの為に、買い物帰りにちょっと寄り道してピクニックまがいの事をしてみたり、と。真奥と恵美が全くイチャイチャしていないくせに、わりと息のあった様子でまだ赤ん坊で手のかかるアラス・ラムスの世話をしているあたりがもうリアルでリアルで(笑
凄いですよね、ここまで夫婦然としているのに、まったくフラグ立ってないんですからw
や、本編の方では微妙に恵美の方に心境の変化が訪れているようなので、ここから何かしらの進展か何かがあるかはわからないんですけれど、正直ここまで関係が到達してしまっているというか恋愛だのから完全に行き過ぎてしまっていると、今更どうなったらどうなるんだ!? と思わずには居られないよなあ、これ。ラブコメとか本気で想像つかない!!

シリーズ感想

はたらく魔王さま! 6 4   

はたらく魔王さま!  6 (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 6】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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フリーター魔王さま、ついにマグロナルドに復帰!!
絶好調の庶民派ファンタジー、第6弾登場!


 2階が新たにカフェ形態に改装され、ついにマグロナルド幡ヶ谷駅前店が再オープンする。張り切る魔王は、心機一転新たな資格に挑戦することに。
 そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂が、テレパシーである概念送受(イデアリンク)を覚えたいと言い出す。天使や悪魔から接触があったときに、すぐに助けを求められるようにするためだ。だが、鈴乃が選んだ修行場所はなぜか銭湯で──!?
 フリーター魔王さまの庶民派ファンタジー、みんなでお風呂で大暴れ!?な第6弾登場です!
ついにアニメ化が決まった【はたらく魔王さま!】。でも、この作品もまた極めてアニメ化とか漫画化とか難しい作品なんですよね。文章だけでなく映像になってしまうと、映っている画面の隅々にまで「生活感」が追求されてしまうのですから。部屋においてある家具や小物の様子とか家事のやり方、ちょっとした家庭内の知恵袋的な細工に至るまで、常に注視の対象になるんだから、これ気が抜けないよ。見てる人、多分厳しい姑さん並にチェック入れるでしょうし。既にPVで芦屋さんが食器の水洗いをしているシーンで、水出しっぱなし勿体無い!! とかツッコまれてたみたいですし(笑
さて、本編の方はマグロナルドの改装が終了してようやく真奥が職場に復帰。やっぱり魔王さまは働いてないと輝けません。でも、今回一番輝いていたのは問答無用で千穂ちゃんでしたけど。
一般人であるはずの千穂の重要度の高さは以前からストップ高状態だったのですけれど、それも此処に来て極まったんじゃないでしょうか。半ば冗談みたいに扱われていた、千穂を新たな悪魔大元帥に、という話が一気に現実味を帯びてきてしまいましたがな。それも、大元帥筆頭!(笑
いや、でも笑い事じゃなく千穂の人望の高さは他の追随を許さないんですよね。ぶっちゃけ、彼女がいなかったら恵美と鈴乃サイドと真奥側って此処まで親密にはならなかったでしょう。たとえアラス・ラムスの存在があったとしても、もっと冷めた関係になっていたはずです。それこそ、離婚して親権を争った夫婦程度にはw
以前、真奥側にしても恵美側にしても、千穂の意志や考え方が重要な判断基準になっている、と述べましたけれど、とにかく今のこのグループって完全に千穂を核として繋がってるんですよね。彼女こそが、要と言っていい存在になっている。そして、それはどうやらこの狭いグループに留まらず、魔界やエンテ・イスラにも徐々に影響が及んでいきそうな勢いなのである。もはや、異世界の事情に巻き込まれた一般人、という括りは逸脱され、その大きな変化の方向性こそ真奥が指し示そうとしているものの、その方向性に絶大な信頼性を与える保証人というかカリスマみたいになりつつあるのが、今の千穂なのだ。新たなる悪魔大元帥だ、四天王だ、というのも虚名などではなく、実態を伴っての事と言わざるを得ない。
とは言え、千穂に限らず、真奥のぶちまけた魔王軍新体制はかなりの革新性が漲ってましたけどね。あれは大爆弾だよなあ。
ともあれ、ようやくと言っていいのか、真奥の言う世界征服という言葉の意図が明らかになってきましたよ。彼の真意を理解するには、そもそも魔界の社会体制がどういうものなのか、というところから把握していなければならなかったわけだ。まさか、魔界には金銭の通念すらなかったとは。断片的に聞き及ぶ限りでも、魔界では中世的どころか古代的な社会構造すら形成されていない節がある。それこそ、原始的な力による支配という概念しか存在しないような世界なのか。だとすれば、エンテ・イスラの侵略が何故失敗に終わってしまったのかについて真奥がどう考えているかも見えてくるし、またそもそも真奥が何を目指して魔王となったのか。そして何が足りず、何を知らず、何を成せなかったのか。そして、日本に流れ着いた彼が何に感動し、感銘し、何を貪欲に吸収しようとしているかも分かってくる。
真奥がマグロナルドで正社員になり、そこで出世していくことが将来の世界征服に繋がるのだ! と力説していたのは、嘘でもハッタリでもなかったんですよね、これ。正直、そんな最低編に近い立場から現代社会の在り方を学んでも、と思わないでもないけれども、ただのバイトから最高経営責任者までのし上がった事例が少なからずあるファーストフード業界の一角であるマグロを舞台にしていることと、本作の尋常ならざる生活感が社会の在り方を実地で学ぶ、という意味において無視できない説得力をもたらしている。一見してただ日々の生活に負われているようにも思えるが、彼の向上心は確実にその生活の中から必要にして大事なものをどんどん吸収しているように見える。それこそ、社会を上から見下ろす立場ではなく、下から支える立場であるからこそ、得られるものを得ているような。一度は強大な勢力の頂に立った真奥である。そして優秀さには裏打ちがある男である。そうして得て学んだ日本の社会構造という概念を、新たな支配において反映させる事は決して難しい事ではないでしょう。
そうなると、彼が語る世界征服って、俄然現実味を帯びてくるんですよね。勿論、言葉通りの世界征服じゃないんですけれど……それこそ、魔界も天界もエンテ・イスラも巻き込んで、世界のあり方を根底からひっくり返すくらいの変革が。
それは、目的を見失い、元居た場所に裏切られた恵美にとっても、信仰を失いつつあった鈴乃にとっても、心に響くものがあったはず。何より、千穂が抱いた夢に具体的な道筋を示すものだったはずですから。
何だかんだと呉越同舟だったこれまでの関係から、この巻での出来事はひとつ前に進んでしまったんじゃないでしょうかねえ。少なくとも、勇者と魔王は敵同士ではなくなり、協力者という枠すらも乗り越えて、今や確かな「仲間」となりつつあるのではないでしょうか。
そうなると、恵美も真奥のことを仇として見るのではなく、こう……フラットな視点で見るようになってきて……今までに無かった反応が、ようやく、ようやくと言っていいのか、ちらほらと見え隠れし始めてきましたよっと!

シリーズ感想

はたらく魔王さま! 14   

はたらく魔王さま! 1 (電撃コミックス)

【はたらく魔王さま! 1】 柊暁生/原作:和ヶ原聡司 電撃コミックス

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勇者に打ち砕かれて異世界へ撤退した魔王サタンがたどり着いた先は、東京都渋谷区笹塚だった!? 再び侵攻する力をたくわえるため、魔王改め真奥貞夫は、今日も幡ヶ谷駅前のマグドでアルバイトに励むっ!
電撃文庫にて絶賛シリーズ展開中の【はたらく魔王さま!】のコミカライズ作品である。これ、原作大好きなんですよ。異世界から紛れ込んできた人間が現代日本の中で生活していく、という話はわりと昔からあるんですけれど、どちらかというとそれらの作品というのは異世界と日本の文化的なギャップに戸惑い変な行動に出てしまうキャラを面白おかしく描くパターンが多いものでした。でも、この【はたらく魔王さま!】というのはその手のとは違っていて、「都会で暮らす」という事をものすごく丹念に描いているんです。身に覚えのある様な普通に生活している時に体験する細かいあれこれが、山と描写されているのです。お陰で、びっくりするくらいの生活感が、作中から感じられる。それが、読んでて凄く楽しかったんですよね。

さて、そんな作品の漫画化ですから、正直タイトルコールを聞いた時にはどうなんだろうと出来栄えに疑問をいだいたものでしたけれど……まず、この表紙を見てとりあえず一巻は買ってみよう、と思ってしまったんですよ。
ちょうど、これが原作小説の第一巻と第二巻なんですけど、
 
一瞬、原作のイラストレーターが漫画を書いたのかと思ったほど、キャラの特徴を掴んだデザインだったんですよね。特にあの恵美の憮然とした顔とか、まさにこれぞ、っていう表情なんですよ。
これでもう、読みたい、って思ったんだな。

で、中身の方も実際期待通り、この魔王と勇者のやり取りとは思えない世知辛さ…(笑
この日本で刃物出して暴れたら、そりゃ警察に捕まりますww そう言えば、原作でも第一巻ではちゃんと仕事している警察の優秀さに感心したものでしたっけ。生活安全課、なめたらあかんで。
ただ、原作の描写をなぞっているだけじゃなくて、しっかり雰囲気を掴んで【はたらく魔王さま!】してるのが実に素晴らしい。その中でも特に良かったのが、最後らへんの恵美の同僚にして親友である梨香とのやり取りは、なんか凄く胸が暖かくなった。大事故に巻き込まれた恵美を、一人にしておかずに無理にでも自宅のマンションに連れて帰って今日は泊まっていくように言い含める梨香。ここっで原作でもちょっと感動したシーンだったんだけれど、財布をなくすわ大事故に巻き込まれるわと散々な目にあって、それで誰もいない家に帰って暗い部屋の中で怪我の痛みを我慢するのって、すっごく心細くなりますよね。それを気遣って、無理矢理にでも恵美を一人にさせまいとする梨香の心遣いが、この漫画からも一コマ一コマから伝わってきて、ホントじんわりきた。
こういう友達一人でも、日本に来てすぐにできたのって、恵美にとっては凄く幸いな事だったんだろうなあ……まあ、異世界から日本に魔王を追いかけてきて、すぐにちょっと高めのマンションに入居するわ、OLとして就職するわ、とこの女の生活力はパないんですけど。さすがは勇者である。

漫画になってよかったのは、エミリアの元の世界での仲間のビジュアルが明らかになったこと。逆に漫画になって大変だったのが……大家さんのビジュアルが明らかになってしまったことでありましょう。
なんでモザイク掛けないんだよ!!

原作小説の感想

はたらく魔王さま! 54   

はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)

【はたらく魔王さま! 5】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫


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 修理の終わった魔王城(築60年・六畳一間のアパート)がなんと地デジ対応に! テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。家電に詳しくない魔王たちは、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜだか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。
 そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に危機が迫っていた──!
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、第5弾登場です。
そうかー、本作が鈴木梨香を通じて阪神の大震災について触れている以上、東北の震災についてどうするのか、という問題があったのか。どうやら、本作ではそれについては起こらないものとして描いてくと決めたようですけれど、そもそこまでリアルな日本を描くことについて深く考えているということにこそ好感が持てる。元々、びっくりするくらい生々しい生活感を作中の端々、或いは隅々から感じ取れることこそこの作品の醍醐味だと思ってましたけれど、そのリアリティにはちゃんと作中の世界が西暦の何年何月という細かいところまでキッチリと定めた上で描かれていたのだという事実に驚嘆すると同時に納得したのでした。いやあ、もっと曖昧に「現代日本」という適当な括りでやってるのかと思ってた。でも、確かに事細かに作中時間を決めておかないと、何気なく使ってる日用品の流行り廃りや、社会時勢の流れ、物価や電気水道代などの料金時価など、ナマの生活の声を感じ取れなくなってしまうのかも。
今回は魔王城の地デジ化、というお話なんですけど……価格からして作中の時期と現在とではやっぱり値段違うんですよ!! 私もこの春、ようやく液晶テレビをBDレコーダーと合わせて購入したのですけれど、魔王様たちの購入プランと比べると、かなり自分が買った時のほうが安かったんですよね。自分の時でも、まだ魔王様たちが出した金額ならもうワンサイズかツーサイズ大きなサイズのテレビが買えたはず。そう考えると、液晶テレビの値崩れがどれほどの規模で進んでいたのかというのを、なんだか生々しく実感させられてしまった。そりゃ、家電業界のテレビ部門、悲鳴上げるわ。

とまあ、今回は魔王様たちは働く側ではなく、むしろお客様としての立場で家電売場や外食店を回ることになるのですが、これはこれでまた生活感溢れてて面白いなあ。さらに、客の立場から販売者側の様子を見るという視点の転換的な意味合いも篭ってて、これもまた「働く」の一つの意味合いの範疇に収まるのではないかと。
そして、それとは別に、恵美がもう完全に若いお母さんなんですけど(笑
なんかもう、一番の山場を乗り切って赤ちゃんの扱いに心身ともに慣れきった頃の、手慣れた様子で赤ん坊の世話をする若いママさんそのもので、とてもじゃないけどこの勇者がまだ誰とも結婚していないどころか、恋人すら居ない独身女性、なんて見えないよ! 降って湧いたような突然の両親の存在の有無も、なんか勇者とか天界との関係とかそっちのけで、子育てに独りで頑張っていたシングルマザーが、突然両親の消息を聞いて動揺しているようにしか見えない!! これで、ちゃんと結婚してたら、旦那さんに相談できるんだろうけれど、そこは真奥と恵美、籍を入れていないしがらみもあってか、気軽に相談もできず恵美も一人悶々と悩む日々。あれで素っ気ないながらも真奥は真剣に悩みを打ち明ければ、親身になって相談に乗ってくれるようなイイ男だと思うんですけどね、赤ん坊アラス・ラムスの事ならまだ母親と父親として相談もできるんだろうけれど……っていうふうに書くと、えらく微妙で繊細な男女関係にある二人みたいに見えるけど、こいつら今のところほんとに恋愛関係とか無いんだよなあ(笑
でも、この二人がアラス・ラムスを挟んでいるとはいえ、仇敵同士この微妙な関係を続けていけているのも、本来異世界と関係ないにも関わらず、深く彼らに関わることとなった千穂の存在が橋をかけているんでしょうね。巻を重ねるごとに、彼女の重要性というのはあがっている気がする。真奥にしても、恵美にしても、芦屋さんや鈴乃といった周りの連中にしても、一番肝心な時の判断の基準として千穂の存在や考え方、自分たちの中での立ち位置というのを目安にしてるっぽい所があるんですよね。客観的にも主観的にも、損得勘定としても情の面からしても、千穂の存在は彼らの中でとてつもなく大きくなっている。だからこそ、彼女に危機が迫った時今までになく迅速かつ積極的に、両者が一致団結して事にあたる事に躊躇がなかったように見えるのだ。
今回の千穂の扱いについては賛否両論あるのかもしれないけれど、個人的には彼女が力を手に入れることに関しては、割りとどうでも良い、と言ったらおかしいかもしれませんが、重要ではないと思うんですよね。彼女は一般人で居て欲しかったとか、力を手に入れて深く事に関われるようになったから良かったとか、もう千穂はそういう括りで捉えるキャラじゃないと思うわけです。どっちでもいいんですよ、本作は別段能力のあるなしが物語を左右するような作品じゃありませんし、能力が無いからと言って本筋からハブられるような話でもない。既に、千穂は無力に対するコンプレックスを自力で克服して前を向いていた節もありましたしね。
ならば、話を回すのに都合がいい、というかやりやすい展開を持ってくることに何の不備もないように思います。ちーちゃんも、うぬぼれたり暴走したりせず、いつも通り自分の身の丈にあった自分に出来る事を一生懸命にやる、という彼女らしいスタイルは全然変わっていないわけですし。

さて、天界の事情、というか天使の素性も徐々にベールを脱ぎ始め、漆原が実はガチで大物だったという事実に目を剥きながら、物語が大きく動き出している状況を今、目の当たりにしているのですが……。
今回、何気に鈴乃さんも当番回だったのかなあ。表紙の一番前は彼女でしたし。ってか、鈴乃さん、魔王城への差し入れにうどんばっかり持ってきていたのは、単に引越しそばを誤解したんじゃなくて、うどん好きな面もあったのか。完全にマニアじゃないかw
そして、一番の見せ場は、あの天使への啖呵でしょう。信仰厚い聖職者が、その信仰の対象を己の信仰に基づき断罪する……聖職者であらんとするが故に、たとえ神であろうと天使であろうと、その教えに背くものを許さない。この異端審問官としての振る舞いは、林トモアキ著【お・り・が・み】のクラリカを彷彿とさせて、実にすこぶるカッコ良かった。悪との慣れ合いの結果だけじゃなく、自らの信仰に忠実であるが故に天と矛を交えるを厭わない。正義や善、ってのはこれだよなあ、これ。

今回、鈴木梨香がついに履歴書登場で顔出しまであったんですが、ショートカットでけっこうボーイッシュなんだ。もっと女っ気強い印象あったんだけれど、むしろ元気よすぎて男慣れしてなさそうな感じで……この娘が、あの芦屋に対して初々しい乙女みたいな反応してるのかー。やばい、ニヤニヤしてきた。
意外と、二人の関係については恵美よりも真奥の方が鷹揚というか、なるようになると考えているのが面白いなあ。いや、恵美がショック受けるのは相手が悪魔大元帥だし、というのもあってよくわかるんだけれど。それに、異世界の悪魔と現代日本の友人が結ばれるとか、異世界を跨いだ恋という現実に戸惑うのもわかるんだけれど……それを、真奥の方があんな風に考えてるとはなあ。伊達に魔王、というか王様をやってなかったって事なのかな。そのぶん、千穂との関係を今後どうしようと思ってるのかが気になるところだけれど、というかそもそも彼に関しては、まだ彼の言う「世界征服」がどんなものかわからないだけに、なんとも言えないのだけれど。
わりと本気で千穂を悪魔大元帥として魔王軍の重鎮に据えようと思ってるのかもしれない。
それはそれで面白そう、と思えるようになってきた昨今でしたw

1巻 2巻 3巻 4巻感想

はたらく魔王さま! 44   

はたらく魔王さま!〈4〉 (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 4】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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魔王さま、失業のうえ魔王城を失う!? 庶民派ファンタジー第4弾登場!

 バイト先のマグロナルドの休業により、職を失った魔王。さらに住居であるアパートも、壁の修理のため一時退去させられてしまう。
 職と魔王城を同時に失い失意の魔王は、大家・志波の勧めで、“海の家”ではたらくことに。しかも、魔王に想いを寄せる女子高生・千穂や、魔王の命を狙う勇者・エミリアまでもが魔王を追って海の家に現れて!?
 夏で海でも仕事です!な、庶民派ファンタジー第4弾!
おお!? これ、ボーダーラインを突き抜けたんじゃないですか!? この三巻まででも充分以上の良作だったんですが、同時にそろそろ現在位置から次に行かないとパターン化して小さく纏まってしまいかねない時期に来ていたとも言えました。異世界の魔王が現代日本に流れつき、何気にバイタリティあふれる生活力で日々労働に勤しみながら再び世界征服の機会を伺う、という状況。魔王たちや勇者のあまりに生活感あふれる日常は、そのちょっとリアルすぎて笑えてくるくらいの鮮やかさもあって、全然飽きがくるものでもないのですが、その生活のリアルさの中に魔王や勇者が居ることに馴染みが進んでしまって、そろそろ「魔王が」「勇者が」というギャップゆえの愉快さが薄れてくる頃でもあったんですね。それに、真奥が「魔王」である、恵美が勇者エミリアである事の意味が徐々になくなりつつありました。これは、この巻の冒頭でエミリアの仲間だった神官が思い描いた、日本で魔王や勇者である事を忘れて元の世界に戻ること無く平和の中に埋没していく真奥とエミリアの未来図が進行し現実化つつあった、という事でもあるんですね。これには、真奥が実際どういう展望を持っているのか見えていない事も大きく作用していたように思います。なにしろ、世界を再び征服するといいながら、やっていることは正社員になるために真面目に働いているだけで、本気で元の世界に戻って魔王として復活する気があるのかと、読者もエミリアも、配下であるルシフェルですら真奥の真意に首を傾げ、本気を疑う状況でしたからね。
ある意味、ここは物語の進む方向のみならず、作品の方向性をも左右するターニングポイントだったのかもしれません。このまま、ちょっとした非日常のドタバタした大騒ぎを混じえながらも、魔王や勇者という身の上を単なる過去の衣装にして、平穏でにぎやかな日常を過ごしていく、細かくリアリティあふれた生活描写を売りにしたアットホームコメディに、という道もあったはず。そして、その路線でもこの作者の腕前ならば素晴らしい良作として成り立っていったでしょう。
でも、この4巻において、どうやらこの【はたらく魔王さま!】は現状を構成する枠組みをついに突き抜け、新しいステージへと立つ事を選んだようです。いえ、選んだというのは言葉のアヤで、既に前巻でアラス・ラムスと彼女にまつわる設定群を物語の進行に取り込んだ時点で、この展開は用意していたのでしょうけれど。でも、前巻の段階だとどちらかというと擬似家族設定の構築にこそ主眼が置いてある感じだったので、ここまで重要なファクターとして機能するとは、ちょっと驚きでした。
何れにしても、これまで曖昧に濁されていた、真奥貞夫の魔王としてのスタンスや将来的な目標が魔界の腹心の登場に連なって明らかになり、さらに彼の目指す世界征服の形が明確に示された事によって今後、彼が庶民としてこのまま安定した平穏に埋没するのではなく、再び元の世界に魔王として戻る意思があること。そして、彼の征服の真意を知った恵美もまた、勇者エミリアとしてこれまでの敵対と征服の阻止とは違うスタンスで関わっていく必要性が生じたわけです。ここに、何らかの世界のバランスの崩壊が起こりつつあり、そこに天界の関与と魔界の一部の動向に人間の国家間紛争が絡んで、エンテ・イスラの乱世突入という事態が勃発し、物語はご町内ほのぼのコメディという枠組みから一気にボーダーを突き抜けて、一つスケールが上の枠組みを必要とする物語へと移行したわけです。
こうなると、逆に売りでもあった日常パートとのバランスが気になってくるところですけれど、このあたりは作者の腕の信頼しどころでしょう。実際は殆どそれについては心配してませんし。枠組みが大きくなったところで、細部を曖昧にするような真似をする筆致の作者ではないでしょうから、実に絶妙にバランス整えてくれるに違いありません。
それに、所謂日常パートの要でもある千穂が今回、一般人であり、しかし魔王や勇者の事情を知る立場にある人物として、物凄いとしか言いようの無い立派な見識を見せてくれましたからね。なんか、彼女が居る限り物語がどう転がって、パートの比重がどう傾いても【はたらく魔王さま!】という作品として、ブレることはないように思います。いやもう、千穂についてはちょっと侮ってたかもしれません。芦屋さんが、ほとほと感心して是非新生魔王軍大元帥として招きたい、と本気で言ってたのもちょっと納得。

とまあ、大きなターニングポイントを迎えた本作ですけれど、何気にこれまでで一番タイトルの【はたらく魔王さま!】らしい話でもあったんですよね。これまではどちらかというと働くのはあくまで生活の一環であって全体としてみると【生活する魔王さま!】だったんですよねw それが、今回は寂れた海の家で働くことになり、もうとことん働く働く働く(笑
細部に神は宿る、とはまったくよく言ったものだと、この作品を読むたびに思います。恒例の細かいまでのリアリティは、一般生活の分野のみならずこうした商売編にも遺憾なく発揮されていて、開店準備から営業中のトラブルまで実際に取材か経営に携わった経験があるんじゃないかと思ってしまうくらい細かいところまで行き届いた描写が続いて、思わずのめり込む勢いで読み耽ってしまいました。こういうシーンもまたべらぼうに面白いんだよなあ。

ちょっと面白かったのが、仮でありながらもアラス・ラムスを介して真奥とパパとママの関係になってしまった恵美が、何だかんだと真奥への対応が以前よりも柔らかくなってるところでした。真奥が邪悪な存在ではない事はこれまでの事件を介して頭で理解してたはずなんですが、それが一緒の時間を過ごす機会が増えたことで良い意味で打ち解けてきたという事なんでしょうか。以前は本気で毛嫌いして敵対してたのが、この巻では口では散々文句を言いながらも、彼が困ったときには自分から手を差し伸べて助けてあげるという積極性まで出てきたわけで……。勿論まだ異性として意識しだした、なんて段階どころじゃなく敵同士だという建前は崩していませんけれど、少なくとも仲間意識みたいな親近感は持ちだしたのかなあ、と。思ってたら、ラストの展開と真奥の宣言はまたこれ、ちょっと意識変わるんじゃね!? なんか此処に来て、ついにヒロイン化してきたのか、恵美さん!?
恋愛事情というと、何気に芦屋さんがこっそりあの人と本格的にいい関係になりつつあるような描写が。芦屋はそんな意識ないのかもしれませんけれど、傍から見てるとごっつい雰囲気出てるんだよなあ。

そして、一番驚かされたのが、こちらの世界の裏の顔、でしょう。大家さんっててっきり見鬼の力がある程度で妙な人脈があるくらいの人、大黒さんもそっち系だと分かったあとも退魔士の類だと思ってたんですが、凄いわ、大きく違った。なるほど、それで海の家なのか。というか、大黒さんの発言から推察するに、異世界エンテ・イスラよりも此方の世界の方が神々のシステム管理が安定してるっぽいんだよなあ。普通のパターンだと、異世界と違って地球は神無き魔法無き物理法則の無謬たる世界というケースが多いだけに、これは意外だった。

とまあ、本作も四巻まで来ましたけれど、中だるみするどころか、さらなる飛躍を試みる展開と相成り、これはもうさらに面白くなって来ました、としか言いようがなく、うっはうはです、ただでさえ面白かったものが、さらに面白くなってきた!!

1巻 2巻 3巻感想

はたらく魔王さま! 34   

はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 3】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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魔王が“パパ”で勇者が“ママ”!? 波乱必至の庶民派ファンタジー第3弾!

 魔王城(築六十年の六畳一間)の庭に、異世界からのゲートが開く。そこから現れた少女は、魔王をパパ、勇者をママと呼んだ! まさか2人がそんな関係だったなんて……とショックを受ける芦屋や千穂だが、一番混乱していたのは魔王と勇者だった! 
 魔王城で預かられることになった少女を巡り、魔王と勇者がまさかの大接近!? フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、第3弾!
生活感のリアリティについては凡百の作品とは一線を画する魔王と勇者の現代日常コメディ第三弾は、育児編! この【はたらく魔王さま!】シリーズの事だから、幼児を出すとなったら子育て描写も生中のものにはならんのだろうな、と思ったら全くその通りだった! 自分、小児用の経口補水液なんてものがあるなんて初めて知りましたよ。子育ての経験でもあるんじゃないかという実に詳しく実践的な育児知識の数々に、思わずほぉと感心してしまったほど。よっぽど勉強したんだろうなあ、と思ったらあとがきでそのあたり触れてましたが、中途半端は嫌いなんだろうなあ。そして、単に得た知識を転載するのではなく、作中の登場人物たちの身となり肉となり、実際にそれらの育児の知識を実践したり応用したりとちゃんと生きた知恵になってるんですよね。このへんは、この作品の特徴である生活感の出し方と共通で、この地に足の着いた描き方はもう才能だよなあとほとほと感心してしまいましたよ。
育児以外でも、例えばアイスを食べたあと、ごく自然に分別してる描写があるんですが、ここで思わず絶句してしまったのが、その描写が魔王がいちいちアイスのカップを洗って分別して捨てている、というギャップを強調して魅せようとしているわけじゃないところなんですよね。もう誰もその行動を注視もしてないし、誰も突っ込まない。登場人物視点からしても、ごく自然な行動として流されている上に、作者視点からもセリフとセリフの間の特に益体もない、強調する必要もない当たり前の挙動の1つとして処理されてしまっているのです。このシリーズ、こうした感じの、やたらと身に覚えのある、普通に生きていると普通にやっている行動や反応が、作者サイドからは何のライトアップもされないまま、登場キャラの言動、一挙手一投足にいちいちついて回るのです。これ、自然なのがいいんですよ。いちいち強調されてしまうと、嫌らしいし段々と辟易してくるけれど、それが気にならない形で登場人物の生活習慣として描かれているので、そのままダイレクトに生活感として伝わってくる。
これ、何気に余人にはなかなか出来ない特別な技ですよ。

今回登場のアラス・ラムスによって、真奥と恵美の関係は否応なく強化されてしまったみたいですが、今のところまだ個人同士ではきちんとした人間関係、信頼関係は出来てないんですよね、この二人。いや、信頼関係は一応構築されているのか。それでも、それはどちらかというと一方通行のもので、気持ちが通じ合ったという形の繋がりはまだ出来てないっぽいんだよなあ。
ただ、その関係構築が出来ない大きな原因の一つであった、魔王サタンの得体のしれなさや、心の奥底で何を考えているのか、何を目的にしているのかという点が、彼の過去が明らかになることでかなり見えてきたのは大きい進展じゃないだろうか。少なくとも、魔王サタンがどういう存在であったかがわかったのは、この先の話のすすむ先と着地地点が見えてきたという点でも大きいです。少なくとも、真奥も芦屋も人間同然に力を失ってからあんな性格になったわけじゃなく、考え方も庶民的になってしまったわけじゃあなかった事がわかったのは、足場として機能するんじゃないだろうか。いやまあ、庶民的にスケール小さくなってしまったのは否定できないかもしれないけど。うーん、しかしだとすると彼がファーストフード店で出世していくことがのちのちの世界征服に繋がるのだ、という主張には絵空事じゃない、ちゃんとした理由があるのかもしれないな。
ともあれ、アラス・ラムスが来たことでパパとママになった以上、真奥と恵美には魔王と勇者という敵という以外の平和であり、また様々なことで協力していかないといけない関係が構築されたわけで、今まではフラグらしいフラグも立てられなかったけれど、これから関係が変化していく可能性、高くなってきたなあ。これは、千穂ちゃん大ピンチだ。もう彼女、お助けキャラとして縦横無尽の活躍をしてまわってたんだけれど、どうも一番美味しいところは持ってかれてしまいそうな雰囲気が常につきまとっているので、うん頑張れ。超頑張れ。
艱難辛苦な千穂ちゃんと違って、何気に順当にフラグ当てているのが恵美の同僚の梨香さんである。なんかとんとん拍子でこの人、芦屋と接点深めて距離感詰めてきてるよ!?

1巻 2巻感想

はたらく魔王さま! 24   

はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)

【はたらく魔王さま! 2】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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フリーター魔王さまがついに“店長代理”に昇進!?
庶民派ファンタジー、第2弾!


 店長代理に昇進することになり、ますます張り切る魔王こと真奥貞夫(まおう・さだお)。そんなある日、魔王城(築60年の六畳一間)にご近所さんができる。なんと隣の部屋に、儚げな和装の女の子が引っ越してきたのだ。魔王に恋する女子高生・佐々木千穂と、魔王の命を狙う勇者エミリアこと遊佐恵美(ゆさ・えみ)は、いろんな意味で心穏やかではいられない。
 時を同じくして、魔王が勤めるファーストフード店マグロナルドの向かいに、競合他社のセンタッキーフライドチキンが進出してくる。センタッキーに売り上げを負けたら減給だと言われた魔王は戦慄し、店長代理の職務を全うするため奔走することに。不思議な隣人とライバル店の登場で、魔王城は俄に騒がしくなっていき──!?
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作、第2弾登場!
あ、相変わらずこの目の前にありありと思い浮かぶ、というかひしひしと伝わってくる生活感の実在性に関しては頭ひとつ抜けている作品である。本筋の魔王だ勇者だ、という所を抜きにすると、これって都会の生活に関するドキュメンタリータッチの話なんじゃないかと思えてくるほど。
聖法気の補充に関するイベントなんて勇者としての力を現代でも取り戻せるという話なのだから恵美ももっとこう、聖法気についてテンションあがればいいのに、それはそれとしてお気に入りの雑誌の表紙にガムテープが張り付いて破れてしまって凹むだの、御飯作るの面倒だからレトルトカレーを晩ご飯にして寂しい夕食に凹んだり、明日ジャンプーの買い替え分買っておかないと、とかテレビの番組表をチェックしたり、と心構えから完全にOLになりきってます、勇者様。
いや、まだサトウのごはんをチンして世知辛い気分に陥ってるくらいならまだいいんですよ。勇者としてそれでいいのか、と思ってしまったのは、防犯対策として男性の下着を購入して洗濯物と一緒に干してる、というお話。いや、それは一人暮らしの女性としては全く以て正しい対策ですけどさっ、勇者としてはどうなの!?
染まってる、もう完全に現代女性に染まってしまってるよ、勇者エミリア!!
他にも細々と感心させられる描写があらゆるところにあるのですが、例えば恵美が勇者として魔王が悪行をはじめないか監視するために、魔王たちが住むアパートに張り込むという展開があるのですが、この作品の生活感の生々しさの凄いところはアパートを張り込む所そのものじゃなく、その前後にあるのです。恵美がOLとして働いている以上、勤務中はアパートの監視なんて出来ないわけんです。だから、必然的に監視は仕事の後になるのですけれど、仕事が長引いたりするとどうしても魔王のアパートまで足を伸ばせない、特に週末なんかは忙しいので終業時間が押してしまう、そもそも仕事の後は疲れてヘトヘトなのでさっさと家に帰りたい、という方向に話の観点が向いてしまうんですよね。しかも、自宅のマンションと魔王のアパートとでは降りる駅が違うので、電車代も気にしないといけないと悩んだり、定期の区間内だからラッキーとほくそ笑んだり、ついでに定期も更新したり、とそういう話ばっかりなんですよ。
手作り弁当イベントでも、必ず、暑い日は防腐対策のためにちゃんと保冷室で保管しよう、という話なんかが出てくるし。とにかく、魔王と勇者のファンタジーな関係に基づくイベントだろうと、ラブコメイベントだろうと、一から十まで実感を伴う生活臭漂う細々とした描写が付帯してくるんですよね。それを実演しているのが、本来魔王や勇者や異端審問官や、といった生活感からは一番程遠い突飛なキャラクターだからこそ、いちいち彼らが普通に生活している様子が可笑しいのです。
いっそ、シリアスな異世界の問題を持ち込まない方が面白いんじゃないか、と考えてしまうくらいに。
正直、鈴乃の問題意識の発露、信念と現実とのすりあわせの葛藤は掘り下げ方が浅かったと思いますし。
ただ、此処に来て他ならぬ現代人である千穂から、この物語が成り立っている前提の虚を突くようなヒトコトが発せられて「おっ!?」と思う所があったんですよね。

「――真奥貞夫になる前の、魔王サタンに会ったことあるんですかっ!?」


そう言えば、そうなんですよね。魔王サタンは配下の魔族を率いて世界に侵攻してきて悪逆非道な行いで阿鼻叫喚の地獄絵図を描き出した、そういう話をエミリアたちの体験を通して話は聞いていたし、真奥たちも別にそれを否定もしてこなかったので、魔王をやってた頃の真奥たちはそういうものだったのだ、と特に深くも考えてなかったのですが、そう言えば実際に真奥が魔王として君臨していた頃の描写は全然無いんですよね。
そして、エミリアたちの知る魔王とこちらの世界での真奥の人間性のギャップ。それを魔力を失って肉体のみならずメンタル面まで人間的になってしまった、とするには幾度か魔力を回復した状態となってなお彼の性格が変わっていない事からも否定的に捉えざるを得ない。
でも、かと言って本当はイイ人だったんですよ、と断言してしまうには真奥って得体の知れないところがあるんですよね。腹に一物抱えている、という風ではないのだけれど、エミリアたちと比べても妙に見識が広いというか彼女らが知らないことも含めて多くを悟っている、というような賢者の風格がたまに見え隠れするんですよね。単純に推し量るのをちょっとためらってしまうキャラクターなんだよなあ。だからか、真奥って主人公っぽくはないんですよね。むしろ、恵美の方が主人公っぽい気がする。妙なくらい前向きで楽観的な真奥と比べて、現代社会に順応しながらも迷いを抱え、疑問を覚え、自分の行く道を探りながら進んでいる所がありますし。
次あたり、もしかしたら「魔王サタン」とは何者なのか、という点について話の焦点が合わさる事もありそうな気がするなあ。

それにしても、ルシフェルは真奥たちと同じ有様になって彼らと同居する、という話になったときはあんな敵キャラどうするんだ、と思ってたら見事なくらいに見事なニートキャラになってて、似合い過ぎて笑ったw
なんて如何にもなひきこもりなんだw

1巻感想

はたらく魔王さま!5   

はたらく魔王さま! (電撃文庫)

【はたらく魔王さま!】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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魔王城は六畳一間!? フリーター魔王さまが繰り広げる、庶民派ファンタジー!

 世界征服まであと一歩だった魔王サタンが、勇者に敗れてたどり着いた先は、異世界『日本』の東京・笹塚だった! そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服!!”──ではなく、アルバイトをして生活費を稼ぐことで!? その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレアポとして日本の貨幣経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり──?
 六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働く魔王さまが繰り広げる、庶民派フリーター・ファンタジー登場!
結論から言うと、すんげえ面白かった。言い換えるとめちゃくちゃ面白かった!!
魔王サタンなんて安易な名前を使っているものだから、内容の方も兎に角ノリ重視特化型で中身のない勢いだけの作品なのかと不安だったんだがどうしてどうして。中身が無いどころか、地に足の着いた表現力についてはちょっと新人離れしてないか、これ? キャラクターたちの、実際に働いて生活費を稼いで家賃、光熱費を払って、生活必需品を買って毎日しっかり生活してます、という生活感がリアルすぎてビビるくらい。異世界から現実世界の日本に来て、文明レベルや文化の違いに戸惑い困惑しながらも日本での生活に慣れていく、というパターンの作品は枚挙の暇がないけれど、正直ここまで生活というものにリアリティを感じる作品を見たことがない。というか、異世界から現実世界に、というパターンどころじゃなくて、普通に現代日本を舞台にしたものでもライトノベルでこれだけ生活感を感じさせてくれるのって読んだことが無いですわ。まあ、ライトノベルは大概子どもが主人公だから当然といえば当然だろうけど。社会人が主人公のガチの恋愛ものとか、仕事がメインの漫画とか行かないと、こういうコミカルにして実在的な話って見ないよなあ。
そうなんだよなあ。日本で生活するには、まず戸籍が必要で住居を確保するには不動産屋に相談するのが必須で、健康に生活するにはとりあえず国民健康保険には入っておかないとマズイんだよなあ(笑
最初期に戸籍を入手する際など多少催眠魔術を使ったとは言え、基本的に無一文から犯罪など起こさず正当な手段で貧乏なりにも生活していけるだけの衣食住を確保し、安定した収入を得るに至った魔王さまこと真奥貞夫と悪魔大元帥アルシエルこと芦屋四郎のバイタリティは尊敬に値します。いや、ホントに凄いんですよ。バイトバイトに明け暮れて、勤務内容も真面目で優秀ですし。なんだよ、勤務態度優秀な魔王ってw
いやいや、侮ってはいけません、笑ってはいけません。現在契約社員として務めているファーストフード店での接客態度はぶっちゃけ神がかってました。そんなに出来る店員、滅多と居ねえよ!! それはもう、こっそり様子を伺っていた勇者が、魔王のくせになにやってんだと逆ギレするほどにw
その勇者は勇者で、やっぱりこちらの世界では力を発揮できず普通の人間になってしまったが為に、生活のためにテレアポの仕事をしてるOLをやってるんですけどね。こっちはこっちで、わりと高収入の仕事を確保して、ちゃっかりマンションなんかに収まってるあたり、ある意味魔王たちよりも上手くやってるわけですが。
魔王のくせに、魔王のくせに、とか言ってる勇者様ですけど、アンタだって財布落とした際に、銀行カードやクレジットの手続きをしないと、と昼休みに行列の出来る店に誘ってくれた同僚に断りながら愚痴ってるとか、あ、最近はカード類は電話するだけで止めるだけは止めれるのよ、とちょっとした豆知識を開陳したり。どんな勇者だ!! 完全にそこらのOLじゃないか(爆笑
日本での魔王と勇者初遭遇の際なんて、痴話喧嘩と間違えられて交番に連行されて調書まで取られてるし。どんな勇者と魔王だw
この作品の警察は、真奥と勇者エミリアこと恵美が謎の敵に襲われた際も、遺留物の真奥の自転車から所有者を割り出して、真奥を参考人として呼び出したり、恵美に身元引受人として来て貰ったりと、ちゃんと警察らしく仕事してるんですよね。そうだよなあ。警察って普通こういう風な仕事してるんだよなあ。他のラノベじゃ、何もしてないか、逆に特殊な部署が出てきて活躍したり、と極端な登場しかしないので、こうして普通に警邏課が実直に仕事してるのを見てると何やらジーンと感動してしまった。いやいや。

兎に角、様々な部分に身近な生活感が感じられるんですよね。部屋の中の家具や小物の配置から、身につけている衣服、通勤用のスーツについてのあれこれや、ちょっとした生活習慣に到るまで。それらが、単なる置物としての背景に留まっておらず、キャラクターの存在感や魅力として生き生きと活用されているのです。ぶっちゃけ、魔王と勇者、という異世界ファンタジーとしての要素が皆無の、現代が舞台のドラマでも、面白さの格は何一つ変わらず落ちず、創りあげられるんじゃないだろうか、この作者なら。かと言って、ファンタジー要素が邪魔だなんてことは全く無いですよ。異世界から飛び込んできた魔王たちと勇者が、普通の人間として日々を懸命に生きているというギャップや、自分たちを追ってきた第三の敵に図らずも共闘して戦うという展開も非常に面白かったですし。
さらに言うと、あの真奥のキャラクターは興味深いですよね。元々善人の魔王だった、というわけじゃなく異世界では典型的な魔王だったにも関わらず、魔力のほとんどを引き剥がされ人間同然になってしまったこちらの世界での真奥は、なんか凄い性格イケメンになってますし、異世界に舞い戻り魔王として再起を果たす、という目論見を些かも捨ててないにも関わらず、現状に対して絶望も不満も抱いておらず、まずは現在の職場で正社員になるんだっ、と非常に前向きに生きてますし、魔王として魔力を取り戻して戻るにしても、かつてのようにどんな犠牲を払っても、どんな手段を使っても、何がなんでも、という気持ちはまるで無いようだし。
そりゃ、勇者としてはかつての仇敵の変貌に混乱するだろうし、葛藤も生まれるよなあ。しかも、魔王軍との戦いは義務や使命感などからではなく、恵美は自分の父親の仇として、復讐者として戦ってきたわけだし。
そんなギャップに積もり積もった鬱積が爆発し、自分の復讐心も露に魔王に詰め寄った時の、彼の弁解のような謝罪のような、曖昧な内容が、実はけっこう自分は好きだったりします。
変に理屈をこね回して論破するでもなく、全面的に今までの所業を悔いて謝るのでもなく、あの戸惑いながら、実際彼女の悲しみや怒りに対して罪悪感を感じながら、でも今まで自分が魔王としてやって来たことに対して悪気を感じていないような、ただ今後魔王として戻るならちょっとこれまでのやり方を考え直すべきだよな、とでも考えていそうな、なんだろうこれ、自身の内面の変化によって過去と同じ事を以降も続けるべきではないと思いながらも自分の過去を否定する気はさらさらない、というふうな在り方? 反省はするけど後悔はしない? 見方によっては卑怯とも取れるそれが、自分には何故か好ましく思えてしまったのが、ナンでだろうと思いつつも面白い、うん面白い。
結局のところ、ここで描かれている人の在り方というのは、恵美の同僚にして友人である梨香が語った、かつて経験した大災害によって学んだという人間哲学、「今までの価値観がまっさらになったとき、人間ってどう転ぶか分からないんだよね」に尽きるのかもしれない。恵美は、その発言の後の言葉の方に関心が言ってしまって、この言葉についてはあんまり気に止めなかったようだけど。

何にせよ、この新人作品はとびっきりに面白かったです。続編が出るにしろ、新作になるにしろ、これは最優先で追いかけないと♪
 
1月27日

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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(電撃コミックスNEXT)
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(角川コミックス)
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1月7日

(少年チャンピオン・コミックス)
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(マガジンポケット)
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(good!アフタヌーン)
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(good!アフタヌーン)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(マガジンポケット)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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1月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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1月5日

(ヒーローズコミックス)
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1月4日

(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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12月28日

(GCノベルズ)
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(HJ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(一迅社ノベルス)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグ コミックス)
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12月27日

(ヒーロー文庫)
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(YKコミックス)
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(B's-LOG COMICS)
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