和泉弐式

学園の聖女が俺の隣で黒魔術をしています ★★★★   



【学園の聖女が俺の隣で黒魔術をしています】  和泉 弐式/はなこ 電撃文庫

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青春に必要なのは、呪いなのかもしれない……!

なにが青春だ。どいつもこいつも、恋だの部活だの遊びだの、楽しそうにしやがって。
俺には友達もいない。恋人もいない。部活にだって入ってない。青春なんて無縁だ。
だけど、それのなにが悪いんだ!?
そんなくだらないものをありがたがっている奴らも、俺を見下すような奴らも、全員くそだっ。

そう思っていた。彼女に出会うまでは。

誰もいない昇降口。壊れた下駄箱。汚れた階段。床が抜けそうな木張りの廊下。
そんな古びた旧校舎の三階の一番奥に、秘密の部屋があった。
黒い三角帽子とローブを身に着けた冥先輩は、床に魔方陣を描き、黒魔術で人を呪うことに余念がない。耳にかかる艷やかな髪をかきあげ、海のように澄んだ大きな瞳で、はにかみながら彼女は俺に言う。
「呪っちゃうからね」
空が青く澄みわたり、桜舞う春。
入学したばかりの高校で出会った彼女の笑顔を、大人になった今も俺は忘れられない。

聖女と崇められる先輩と出会ったことで、かけがえのない青春を送ることになる、ある高校生の物語――。

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セブンサーガ 2.七つの大罪 氷の王国は怠惰に眠る ★★★   

セブンサーガ (2) ~七つの大罪 氷の王国は怠惰に眠る~ (電撃文庫)

【セブンサーガ 2.七つの大罪 氷の王国は怠惰に眠る】 和泉弐式/まじろ 電撃文庫

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七つの大罪のひとつ“憤怒”の力を手に入れたラファエルは、ペルガモン王国で賞金首となってしまう。追っ手から逃れるため、そして宿敵クルセウスを追うために彼が目指したのは、長年敵国として戦ってきたサルデス王国。一年のほとんどを氷雪に覆われ、氷の王国とも呼ばれるサルデスに密入国した彼が吹雪の中で出会ったのは、驚くべきことに―。復讐の念に燃えるラファエル、兄の真相を知ろうとするセルシア、そしてラファエルをひたすら慕うイブ。彼らの冒険の先にあるのは…!?王道ファンタジー、待望の第2巻!
セブンサーガなのにセカンドで終わってしまうんかー。というわけで、壮大なスケールではじまったにもかかわらず二巻で打ち切りと相成ってしまったのですが、個人的には変に話をまとめずに敢えて続く形で終わらせたのは良かったと思う。これは人の好き好きになってしまうんだろうけれど、無理やり纏められた方がもやもやするんですよね。むしろ伏線とかぶん投げて話が終わってないまま続く、で終わってくれた方が書籍としてはもうこれ以上でなくても、物語としてはまだ描かれない先で続いているのだ、と捉えることが出来るというのは一つの救いなんですよねえ。
まあでも、大罪の力を使えば使うほど代償を支払わなければならない、というラファエルが抱えてしまった呪いの行く末とか、ほんと何が待ってるのかとかめっさ気になるんですけどね。アザゼルの過去とか、そういえばウリエルがあんな形で登場するってことは、主人公のラファエルってもしかして単に名前だけが天使ってわけじゃないのか、とか気になるところは色々と残ったままなんですけどね。こればっかりは続きが出ない以上どうしようもないのですが。
様々な国を巡っていき、様々な風俗・民族が暮らす異なる世界を体験し、冒険を繰り広げていくという旅の物語でもあることが、この氷雪に覆われた北国、というか氷結国家が描かれることで作品としての方向性も指し示されただけに、勿体無いんですけどねえ。
題材となる七つの大罪に関しての掘り下げや、土地の風情はともかくとして国としての組織の在り方というかスケールみたいなものをなかなか描けてなくて、一つの国家の女王や宰相の問題というよりもなんか小さな都市の話みたいになってしまっていたあたりがもうちょっと、ってな感じでもあったのですけれど。アスラウグのポンコツな女王様っぷりはなかなか可愛らしかったのですが、傀儡であるという以上にどうも国家元首としての自覚が足りなかったところもあるしなあ。一人で勝手に抜け出してうろついているだけならともかく、あそこで助けるにしても女王として許してはいけない場面というのもありましたし。
折角くっついてきたセルシアも、今ひとつヒロインとして存在感を出せていたかというと、彼女らしいまっすぐな気質は見せながらも若干居るかいないかわからない存在感の薄さが付きまとっていて、もうひと押し二押し欲しかったところかなあ、と。
まあこうしてみると、あれやこれやと物足りない部分があったのも確か。しかし、それもシリーズを続けていけさえすれば密度としても埋めていけるものだと思うし、ストーリーの構成自体非常に魅力的で先を見たいと思わせる作品だっただけに、やはり残念ではありました。
これにへこたれずに次回作も頑張って欲しいところです。

和泉弐式作品感想

セブンサーガ ~七つの大罪 赤き竜は憤怒に燃えて~  ★★★★   

セブンサーガ ~七つの大罪 赤き竜は憤怒に燃えて~ (電撃文庫)

【セブンサーガ ~七つの大罪 赤き竜は憤怒に燃えて~ 】 和泉弐式/まじろ 電撃文庫

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神が死んだ時代。愛する者を守るために悪魔と契約した男の波瀾万丈の冒険を描く。
「裏切りによる破滅」「子連れの賞金稼ぎ」「繰り返される復讐」「強大で愚昧な王」「果てしなき国家間戦争」「美しき聖騎士」「伝説のドラゴン」「七つの大罪の謎」
神が死に、絶望が世界を支配する時代。愛する者のため、悪魔と契約した男がいた。世界を旅し、地獄をくぐりぬけ、波瀾万丈の人生を経験する彼は、やがて世界を救うことになる――。これぞ王道! 胸高鳴る、壮大なる冒険ファンタジー!!
おお、ファンタジーじゃぁ。これぞファンタジーじゃぁ!
雰囲気出てるなあ。この重厚感ある歴史をなぞるかのように主人公たちが冒険を繰り広げていく様子は、古典的洋物ファンタジーの空気感たっぷりなんですよね。この手のビタータイプはやはり味わい深い。
作者は、戦隊物の悪の組織の戦闘員を主人公とした傑作【VS!!】で名を馳せた和泉弐式さん。二年ぶりの新作である。しかも、今回もダークヒーロー。鮮烈な悲劇を背景に、大切なものも夢も未来もすべて奪われ、ならず者として地の底を這いずってきたかつて騎士に憧れていた少年の成れの果て。
と、それだけだと心もネジ曲がってしまってそうなのですけれど、彼の場合は故郷が滅びたあの時に唯一助け守ることの出来た赤ん坊。七年経った今ではこまっしゃくれた幼女となったイブを守り育てる、という最後に残された光があるために、生きるためにあらゆる悪行に手を染めながらも、その心の中まで穢れきってはいないんですよね。そして、その心の中に残された騎士への愛憎も相俟って、なんとも妙味のあるダークヒーロー感が出ているわけですよ。
面白いのは、冒頭ですでに故郷を滅ぼすきっかけとなった裏切り者に対して、復讐を果たしてるところなんですね。実際は、それで決着がついていたわけではなかったものの、ラファエルの中ではどうしてもここで長年募らせ滾らせ続けた復讐心については、一区切りついてしまっているわけである。復讐に身を焦がし、そのためだけに生きてきた人生に、ぽっかりと穴があいてしまったような空虚感も得てしまってるわけで、そこで自分に残されたものがイブだけしかない、という実感も持っている。
もちろん、その後の激動の展開から彼の復讐はまだ終わっていなかったことが判明するのですけれど、一応復讐心を晴らすための戦いは済んじゃってるんですよね。裏切り者は倒さなければならないのは間違いないんですけれど、その倒すための目的は一度復讐を終わらせていることによって変わってきている。ラファエルを復讐者として走らせる物語ではないことを、最初の段階で示しているわけである。
それに、復讐に対しての心の区切りが終わっていなかったら、もう一人のヒロインであるセルシアとの関係も冷静では居られず最初から随分と変わってきてしまっていたでしょうし。

ただでさえ何もかも喪って泥をすすって生きてきたラファエルに訪れた転機は、かつて彼が抱いていた騎士である父への憧れ、騎士になるという夢に手を差し伸べてくれる仲間たちとの出会いであり……そして再び彼から何もかもを奪い去ろうとする残酷な運命。もう徹底的に、彼には何も与えない、絶望の淵に蹴って蹴って蹴り落とすという容赦のない落としっぷりである。一度、本当に騎士になるのかと思うような展開だったもんなあ。
一方で、これだけ心折れそうなことが続きながらもラファエルが諦めず抗い続けるのはイブの存在あってこそ。幼女つおい、幼女たいせつ。ぶっちゃけ、一時期孤児院に入っていたとはいえ、まだ幼い子供に過ぎなかったラファエルが、乳飲み子だったイブを一人で育て上げた、というのはそれだけで大したもんなんですよね。食うことも儘ならない身の上だったにも関わらず、である。どれだけ苦労し、形振り構わなかったのか想像もつかない。
セルシアは、相棒としても十分な清廉でカッコいい女性であり、またその背負う背景も重たいもので、ラファエルの旅のパートナーとして足りうる人物なんだけれど、それでもラファエルにとってのイブの存在感は人生の大半掛けているようなものなので、果たしてこの幼女に対抗できるんだろうか、とついついイラぬ心配をしてしまうほどでした。

ともあれ、激動に次ぐ激動の展開によって、ある程度物語は整理され、ラファエルたちの進む道は定まり、七つの大罪を開放していく旅がはじまったわけで、実に歯応えのあるビターテイストのファンタジーにわくわくが高まるばかりであります。

和泉弐式作品感想

VS!! 3.アルスマグナの戦闘員4   

VS!!3 ―アルスマグナの戦闘員― (電撃文庫)

【VS!! 3.アルスマグナの戦闘員】 和泉弐式/白羽奈尾  電撃文庫

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英雄機関の捕虜となり、その秘密基地内で拷問のような実験を施される戦闘員21号。彼の目論見は、英雄たちの機密情報を奪い、持ち帰ること。しかし幽閉されている部屋から脱出する術は、まったくと言っていいほどない。21号にチャンスはあるのか?そして彼の生還を待つ22号たち悪の戦闘員の運命は…!?長きにわる悪と正義の戦いに、いよいよ決着がつくときがきた―。
あとがきを見る限りでは、最初から三巻で話をまとめるつもりだったみたいだ。その為か、こうして全三巻を見通してみると、最初から最後まで物語の焦点がブレること無く、余計なものを付与せずに決着まで走り抜けたことがよく分かる。三巻分あったことで変に詰め込むこともなく、見事なくらい過不足無く描くべき所を描ききっているあたり、機能美すら感じさせる完成度だった。
何より面白かった。
正義の味方に勝ちたい、その一念で突き進むニーイチたち。悪も正義も関係なく、生まれた意義に縋るのでもなく、ただただ負け続けた挫折の日々から、失った最愛の友人に報いる気持ちから生まれた純粋な願い、単純な執着。シンプルであるからこそ、裏表がないからこそ、そこに共感が生まれようというものです。
戦うことを嫌ったジャバウォックが、身を捨ててまで守ろうとしたものの意味が、何となく伝わってくる。そんな彼女の残影が、最後の決戦を前にニーイチたちを見守り、送り出してくれたシーンには、わかっていたけれどウルっと来ちゃったなあ。
そんな彼らが倒そうとする英雄機関の正義の味方たちは、ニーイチたちの勝利の執念を受け止めるに相応しい最強の正義の味方たちである。この手のお話で出てくる正義の味方というのは、ヒーローという名前とは裏腹に瑕疵を持っていたり歪なところがあったりと、決して正義の味方とは言い切れない部分を持つメンバーが傾向として多いのだけれど、ここで出てくる彼らは正真正銘の正義の味方、それも正義という思想に凝り固まった独善の存在でもなく、正しい秩序と優しさの体現者である。人間味もあり、精神的にもブレはない、度々のニーイチたちとの戦闘から油断もなく、侮って隙を見せるような間抜けでもない。言うなれば、心身ともに完全充足したパーフェクトな正義の味方。毎週勝利が約束されているような、あの正義の味方そのものなのである。
ハッキリ言ってムリゲー。真っ向から立ち向かえば瞬殺は必定、成長して強くなったリヴァイアサンと言えどもまともに太刀打ちなんて出来るものではない最強のヒーローたち。
そんな相手にどうやって勝つというのか。
そんな絶望的な戦力差からの逆転劇、これこそが本作の見所なのでしょう。ラストの余人を介さぬ戦闘員たちとリヴァイアサン対英雄機関の五人との最終決戦は、二重三重に張り巡らされたニーイチの手練手管と、不撓不屈の信念で次々に予想を上回る限界突破をみせる正義の味方たちの意地と熱量がせめぎあい、お互いに譲らぬ、決戦の名に相応しい手に汗握るシーンの連続でした。
面白かった。本当に面白かった。これは、次回作以降も期待が膨らむばかりです。大満足の完結編でした。

1巻 2巻感想

VS!! 2.史上最悪の怪人4   

VS!!2 ―史上最悪の怪人― (電撃文庫)

【VS!! 2.史上最悪の怪人】 和泉弐式/白羽奈尾  電撃文庫

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世界を守る英雄たちを倒すべく新たに生み出された怪人は──

 廃止処分をまぬがれた、悪の組織の戦闘員たち。いまは亡きジャバウォックの悔しさに想いを馳せながら、21号や22号は、次こそは英雄たちを倒そうと苦闘していた。しかし、思うように事態は好転しない。
 そんな彼らを助けるべく、アルスマグナの幹部パラケルススが新たな怪人を生み出す。その名は──。
 悪の組織の下っ端戦闘員、21号の熱血アクションストーリー!

英雄とは、死してなお英雄である。

戦闘員たちのみで、英雄機関のヒーローたちをあと一歩まで追い込み、戦闘員廃棄の決定を覆したニーイチたち。戦闘員たちの指揮を取り、作戦を立て、自分の身を掛けてヒーローたちに勝利したニーイチは、皆からダークヒーローと呼ばれて祭り上げられるのだけれど、彼にとって最大の英雄は今もなお亡きジャバウォックであり続けている。
そして、自分たちのために彼女が死んだことを。彼女を助けられなかった事を後悔し続けている。恐らく、その後悔こそが今のニーイチの原動力なのだろう。英雄機関のヒーローを倒すために作戦を練るニーイチには、かつてのように世の中を小馬鹿にしたような斜に構えた笑いを見せることがなくなってしまっている。変わらず戦闘員廃止を推し進めようとするアルスマグナ上層部のプレッシャーもそれに拍車をかけているのだろう。ダークヒーローと仲間たちに呼ばれる彼には、それに自惚れ調子になる余裕もなく、まるで追い立てられるように打倒英雄に邁進していくのだ。
亡き英雄の残影は、ニーイチのみならず多くのものたちに影響を与え続ける。ジャバウォックの後継として生み出されたリヴァイアサンにとっても、ニーイチの傍に寄り添い続けるジジにとっても、ジャバウォックの影は無視できない大きな楔だ。ニーイチにとってはジャバウォックの背中を追いかけて英雄機関の英雄たちを打倒するのが一番の目的だけれども、リヴァイアサンやジジにとってはむしろジャバウォックこそが乗り越えるための大きな壁なのかもしれない。ニーイチの中で大きな位置を占め続けるジャバウォックから、彼自身を取り戻すためにも。
ただ、自分というものがしっかりと固まっているジジに対して、生まれたばかりで経験が少なく、さらに自分の存在意義を見失いかけ、その拠り所をニーイチから寄せられる期待に求めていたリヴァイアサンはあまりにも不安定だった。

ジャバウォックの次に、あのパラケルススが生み出した怪人については、その発想の持って行き方には随分と驚かされた。史上最悪の怪人なんてタイトルがついていた分、思い込みを誘導されてたんだろうね。それでなくても、物語の展開においてこういう娘をわざわざ持ってくる、というのが発想の勝利だと思う。彼女の在り様が明らかになった時には、思わず巧いと唸ったくらいだし。
どう見ても善人であり、自分が生み出した戦闘員や怪人に、我が子のような愛情を傾けるドクター・パラケルススがなんで悪の組織に加わっているのか、その理由の一端も、アルスマグナ上層部との確執から段々と透けて見えてきた事だし、この辺の人間関係も面白くなってきたなあ。

一方で、敵側である英雄機関のヒーローたちもまたイイキャラクターしてるんだわ。この作品、悪の組織側が主人公で描かれているのに、ちゃんとヒーロー側は真っ当にヒーローしてるんですよね。それも独り善がりの正義なんかじゃなく、それぞれに自分の正義を抱えて、その在り様に悩みながら。まだまだ、彼らについては個々に掘り下げて行っているわけじゃないんだけれど、逆に言うと掘り下げていないにも関わらず現段階でここまで魅力的に描かれているというのは瞠目に値すると思われる。
ひょんなことから、英雄機関側の桃色こと桜とニーイチの交流も深まって人間関係も錯綜してきた事ですし、どうやら英雄機関側もこのまま着実に描写が増えていきそう。
ラストの展開を見ても、英雄機関側に踏み込んでいくことになりそうですしね。
しかし、ラストのジジの一言には度肝を抜かれた。引きとしては、超一級でしょう、これ。うわぁ、これは続きが気にならざるをえないよ。

1巻感想

VS!! 正義の味方を倒すには4   

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

【VS!! 正義の味方を倒すには】  和泉弐式/白羽奈尾  電撃文庫

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雑魚キャラの下っ端戦闘員が特撮ヒーローに勝てるのか?

 俺は21号。悪の組織の下っ端戦闘員だ。キーって叫びながら、変身ヒーローにアッサリ倒されちゃう、全身黒タイツのアレだよ、アレ。キー!
 毎度毎度、新たな怪人とともに懲りもせずにヒーローに挑み、敗北ばかりの日々。よくみんな飽きねぇな。さあ今日も、正義の味方にコテンパンにやられてくるか……。
 怪人ですら敵わない無敵のヒーローに挑む、雑魚戦闘員の熱血ストーリー!
戦隊モノ、悪の組織モノは何だかんだとゆるゆるの内容のパターンが多く、ヒーロー側と悪の組織側に馴れ合いがあったりして勝っても負けてもちょっと痛い目みました、程度の被害で収まってしまうものが多い。それらは往々にしてほのぼのコメディというジャンルで良作だったりするので、決して悪い事ではないんですけどね。とかく、そういうパターンの作品がよく見受けられるだけに、この作品もその類なのかな、と思って読んでみたのですが、思いの外ガチな展開に驚かされる。さすがに一般人に多く死者が出たり、描写がグロかったりという殺伐とした内容ではないし、イタズラ好きの小悪魔みたいな21号や、天衣無縫のジャバウォックのような明るいキャラクターが主軸にいる上に、悪の組織の連中も概ね温厚な性格の持ち主で粗暴だったり邪悪だったりという人間性とは縁がないので、作品の雰囲気自体はライトで軽妙。重たい気分にならずにサクサクと読み進める事ができる。
しかしだ、21号ことニーイチたち戦闘員たちは、ヒーローとの戦いであっさりと死んでいく。消耗品のホムンクルスとして培養される彼らは、死ねば死体も残らず泡と消え、代わりの同じ番号のしかし記憶も身体も別人の個体が工場製品のように生成され、補充されていくだけの存在だ。
それこそヒーローたちと戦闘員の力は隔絶していて、ほとんどの戦闘員は数回戦闘を重ねれば死んでしまい、二桁以上戦闘を重ねて生き残っている個体など皆無に近い。

そんな卑小で哀れで儚くすらある存在にも関わらず、彼らには人と変わらない意識があり、心がある。人形でも機械でもない、生き物と同じ心があるのだ。
最初はその事実に、残酷な話だよなあ、と思いながら読んでいた。彼らは自分たちが消耗品である事実を受け入れてしまっているし、仲間が次々と入れ替わっていく事にも慣れ切っている。人の社会の中に潜入して生活しているにも関わらず、人間たちが普通に持っている楽しみを何も知らないでいる。食事を楽しむ、ということすら知らないのだ。料理が美味しいものだという事すら、彼らは知らないのだ。戦闘員としての生き様を斜に構えて眺めているニーイチですら。
そんな生き様、機械で十分じゃないか。何も考えない人形で代行できるじゃないか。なぜ、彼ら戦闘員を作った悪の組織の博士は、彼らをこのように作ったのだろう、という疑問まで沸き上がってきたほどである。

後になってみると、博士は敢えて、戦闘員たちを心ある存在として作ったのだろう。彼の人がなぜジャバウォックという特異な怪人を生み出し、わざわざニーイチたちと一緒に居させたのかを考えれば、そしてラストで彼の人がいかなる人物かが明らかになったのを目にすると、博士は意図して心を持った人造人間や怪人たちを作ったのだろうと確信できる。
この人は、「人間」を作りたかったんだろうか?
とても悪を為す組織の暴力を担うとは思えない、真っ当なくらいに人間らしい心を持った人造人間や怪人を作ったこの人が、なんで悪の組織に居るのかが、まったく分からないんですよね。なんでなんだろう。
そもそも、この悪の組織がどんな悪をなしているのかも殆ど明らかになっていないのだけれど。アカシックレコードの欠片を強引に集めているのは説明されたけれど、その利用法は単なる脅しのネタ集めみたいな感じでいまいちウソっぽいというか、カバーストーリーっぽいんだよなあ。
かと言って、正義の味方の戦隊たちが裏の悪役か、というとヒーローたちの方もちゃんと描写があって、単なるヒーローという記号で表されてしまっている存在ではなく、それぞれ信念を持って戦っている個々人であることがきちんと描かれている。敢えて言うなら、母体の英雄機関なる組織がまだどんな存在なのかよく分からないというのが気になるところだけれど、別段怪しい動きをしているわけじゃないしなあ。

史上最強の触れ込みで誕生した怪人・ジャバウォック。ところがそんな看板そっちのけで彼女は戦う気など一切無く、自由気ままな立ち振る舞いでニーイチたちを振り回していく。でも、自由であるからこそ誰よりも人間らしかった彼女とのふれあいで、どこか諦観をもって戦闘員としての人生を眇め見ていたニーイチや何の疑問も持たずに戦っていたジジの中に、何かしら芽生えたものがあったのだろう。それは、役立たずだった戦闘員の生産の廃止、そしてニーイチたちを守るために戦い散ったジャバウォックの最期をきっかけにして爆発するのだ。
意地である。
身内である組織からは役立たずと切って捨てられ、敵であるヒーローたちには眼中にすら入れられない、無力で無意味な戦闘員という自分たちの、生まれた意味を、存在の価値を知らしめるための、意地である。
名前すらない番号だけで表される名も無き戦闘員たちの、存在意義を賭けた意地を示す戦いが幕を開ける。

激熱である!!!

雑魚という悲哀を吹き飛ばし忘れさせてくれるような、痛快なお話でした。うん、この熱さは素晴らしかった!
続編があるなら、是非に読みたいです。
 

4月25日


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