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壱日千次

五人一役でも君が好き ★★★★   



【五人一役でも君が好き】 壱日千次/うなさか MF文庫J

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好きな人が五人で一人のフリをしていたので、全員カノジョにしようと思う。

(あ、高校生活、終わった……)
入学早々に肥だめに落ちて死にかけ、絶望していた僕を救ってくれたのは、誰もが憧れる完璧な生徒会長、近衛・R・知佳さん。
当然のように恋に落ちた僕は、彼女の隣に並ぶため、そこから猛烈な努力を始める。
学校底辺の成績から学校トップへ。死に物狂いの勉強のすえ、なんとか会長の補佐になることができた。
だが、僕はそこで知ってしまう──完璧な会長の姿は、実は特技の違う五つ子が五人一役で演じていた虚像だったのだ!
僕が好きだった彼女は存在しないのだろうか?
そうじゃない。好きな人が、五人に別れただけだ。だったら──

好きな人が五人で一人のフリをしていたけど、気づかないふりをして全員彼女にしようと思う。

これ全然同一人物に似せようとかしてないだろう!! 五人ともキャラ立ち過ぎているのはともかくとして、そのキャラクターを一切隠そうとしてないし! なんでこれバレないんだ!?w
双子の入れ替わり展開はまあわりとよくあるネタだと思うんだけれど、まさかの五人姉妹で一人を演じるという大技をかましてきて、いやあんまりと言えばあんまりの力技な展開に大ウケなんですけど!
それだけならまだ普通のコメディと言えたのかもしれませんが、ここから凄いのが主人公のアグレッシブさである。
中学で野球で名を馳せた牧原大河はスポーツ推薦で入学を決めた直後に事故で腕を怪我してしまい、野球選手として再起不能になってしまう。将来はプロ野球選手確実と言われた才能を潰され、挫折を味わった彼は、しかしそこで運命と出会う。
元々ストイックに自分を鍛えるスポーツ選手だったせいか、大河って努力を厭わないんですよね。恋を原動力に、スポ選故に学力最底辺だったのをわずか数ヶ月で学年2位まで駆け上るという尋常でない奮起を見せている。
その努力の方向性を、この男とんでもない方向へと差し向けてしまうのである。
生徒会に入るために学力を爆上げしてみせた大河(学則で成績優良者が生徒会メンバーに推薦される仕組みになってる)。その過程で知佳さんとも幾度も接触するのだけれど、その度に彼女の違う側面に触れて、その度に惚れ直していくのだが……その違う側面ってつまるところ別の姉妹に入れ替わってる時の近衛さんだったわけですね。つまり、大河はちゃんと全員に惚れて心奪われているのである。
そして、偶然近衛さんが五人の姉妹間で入れ替わり立ち代わりして一人の近衛・R・知佳という人物を演じている(いやあんまり演じてはいないけど!)事を知ってしまうのだ。
そこからが大河の凄い所で、五人のことそれぞれ好きになったのだから、これはもう五人全員と付き合って、最終的には五人とも結婚してハーレム作ってやるんだ、と決意するのである。
ハーレム展開というのは大概、なし崩しや八方美人に振る舞っているうちに何となく許されて、という展開が多いのだけれど、牧原大河という男は積極的に五人全員と付き合うために策を練りだすのである。
と言っても、近衛姉妹の弱みを握って陥れて、みたいな卑怯な真似をするのではなく、わりと正攻法なんですよね、彼のやり方って。
ごくごくまっとうに、彼女たち全員に自分に惚れてもらえるように、好感度が上がるような振る舞いを心がける、という女性へのアプローチとしてはこれ以上無い正攻法なのである。
また、五人全員と付き合うためにはフィジカルは重要、収入も五人分養えないといけないから高収入の仕事を目指さないといけない、さらに五人と正式に結婚するためには奥さん複数持っても大丈夫な国に移住しないといけないから、海外でもつぶしの効く仕事を選ばないと、ということで医者を目指し、さらに中東付近で通用するようにアラビア語を学び、と肉体と学力をビシバシ鍛え始めるのだ。
五人全員と付き合うために、小賢しい小細工をするのではなく、まず自分を鍛え上げるという発想に至るのが何とも面白く、それでいて五人全員と組んず解れつえっちい事もしたいから、と亜鉛の摂取を心がけたり、五人まとめて相手できるように体力つけようとしたり、下心も満載なんですよね。
この主人公ほど一途で純真にストイックに純情に、欲望に忠実かつ誠実な男はなかなか見たことないよ!?
これで、近衛姉妹の全員にべた惚れ、というのは本当に間違いなく、その恋心はまっすぐでキラキラと輝いているくらいなので、その誠実なくらいの純真な恋心がなぜかダイレクトに五人全員と付き合うという下卑びた方に全振りしているのが、なんかもう面白くて仕方ない。
それに、単に好感度を稼ぐために心にもない事をしているというわけではなく、大河という青年が根っからの善人であるのは、折に触れて何の思惑もなしに赤の他人を助けたり、誰かのために真剣に怒ったり、体を張って他の人の努力を守ったり、という振る舞いが彼が本物の好青年である事を伝えてくれるのである。
そんな彼が夜神月ばりの悪い顔して「計画通り!」と、ハーレムを作るためのあれこれを成功させてほくそ笑むの、そのギャップがなんとも面白いと言うか可愛げがある主人公なんですよね。
実のところ、大河がやってた事って近衛姉妹が五人一役をやっていたのを前から知っていた、というのを黙っていただけで、ほかは本当に正攻法に誠実に彼女たち一人ひとりに接してまっとうに惚れて貰ったので、別にそれほど後ろ暗いことはないんですよね。
彼女たちの秘密の入れ替わりしているのを知っているのを利用して、上手いこと好感度アップのためのアピールをしていたけれど、そもそも近衛姉妹が嘘ついていたことも、覗き見していたことも、彼女たちにも後ろ暗いところはあるわけですしねえ。その嘘を巧妙に罪悪感として利用してハーレムオッケーに持ってこうとしたのは、まあズルいと言えばズルいのかもしれませんけれど、ある意味ここはお互い様でもありますしね。
大河の下心がバレてしまったときも、実はそれほど彼女たちの好感度には影響しなかったと思うんですよね、これ。卑怯なやり方で好感度あげてたら、そりゃ幻滅されたかもしれないけれど、彼女たちが大河に惚れた所に大河の嘘はなかったのですもの。
いや、さすがにあのバレる展開は予想外もいいところでしたが。これはまさかまさかの展開でした。伏線もちゃんと仕込んであったのかー、あれは気が付かなかったぞ。
そして、大きな人生の挫折を経験した、そしてそこから文字通り這い上がった、その這い上がる奮起の、一度心そのものが死んだも同然だった大河の心を生き返らせてくれた、再誕させてくれた近衛・R・知佳という女性への恋を前にして、もう彼は二度と心折れたりしない。
彼は不屈の男。そしてその怪物級な欲望に一途で忠実な男。
牧原大河は諦めない。
近衛姉妹ハーレムを、諦めない。
何気にマジに好感度下がってないっぽいので、あとはホントにハーレム願望を受け入れて貰えるかどうかっぽいんですよね。なんか争奪戦がはじまりそうな勢いですし。
いやー、こっからどんな展開になっていくのか。衝撃的なラストと相まって、続き、めっちゃ読みたいぞッ!!

壱日千次・作品感想

朝日奈さんクエスト センパイ、私を一つだけ褒めてみてください ★★★★   



【朝日奈さんクエスト センパイ、私を一つだけ褒めてみてください】 壱日千次/U35 ファミ通文庫

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人生はクエストの連続ですよ! 一緒に楽しく攻略しましょ!
ぼっちはリア充を凌駕する!! ネトゲ世界に入り浸り、世界中のプレイヤーとコミュニティを築いている僕が言うのだから、間違いない。しかし、そんな僕の計画的ぼっちリアルライフに現れ「現実もゲームと同じクエストの連続でとても楽しいですよ!」と言い放ったのは、スクールカーストの頂点を極めしリア充JK、朝日奈舞! さらにやつは「そんなセンパイに人生攻略の仕方を教えてあげますよ♪」と僕の人生に介入してきたのだ。そこまで言うなら教えてもらおうじゃないか。楽しい人生攻略方法というものを!!

さながら【弱キャラ友崎くん】を彷彿とさせるぼっち君への美少女によるリアルライフ教導もの、なんだけれどこの主人公である月岡草一は実のところ全く弱キャラなどではない。
彼の場合、コミュニケーション不全であったのはその経歴上他人と関わる機会が非常に少なかった事による経験値不足に尽きる。この男、実際は人に自分から話しかけたり全く見ず知らずの集団に飛び込んでいく事に忌避感も恐怖感も持っていないのだ。朝比奈舞の繰り出してくる朝比奈クエストで出されたお題は、ぼっちが行動に移すには大変な勇気を振り絞らないといけないものが多いのに、彼はそれらのクエストを単純に未知のものとして捉え、舞が保証するそれらもまた楽しい事だという言葉を信じて、好奇心にワクワクしながら挑んでいく。そこに、コミュニケーションを不得意とするが故のおどおどとした姿勢は微塵も存在しない。
彼は結局、他人や社会でコミュニケーションを密接に取る必要性を今まで見出してこなかっただけなのだ。そして、初めてのオフ会で舞とうまく話せなかったのも、これまでやってこなかったからやり方を知らなかっただけの経験値不足なだけで、恐れや諦めのたぐいはまったく内包していなかった。
この時点で少しおかしい。
つまるところこの男、他人と関わらない事、周りから孤立し阻害され置いてけぼりにされる事に対して今まで不安感を抱くことがなかったのだ。これまで友達は居たことがない、と顔色も変える事無くそれが特別なことでもない普通のことのように語る草一。小中高校の閉ざされたコミュニティの中で孤立する事に一切苦痛を抱いていなかった事になる。それどころか、幾つかのエピソードから阻害し孤立した彼に対して行われた虐めの類に対して草一は徹底した反撃を行い、自分に対する危害を見事に排除してしまっている。
彼は、朝比奈舞とリアルで顔を合わせるまで、言わばたった一人で完結していたのだ。それで満足していたし、不満も不安も抱いていなかった。それで十分人生を謳歌し、楽しんでいたのだ。
しかし、舞によって草一は「お一人様」とはまた違う「みんなといっしょ」という未知が、自分の抱いていたイメージと違ってこれはこれで楽しいものだ、という教唆を受け、その楽しさを証明し実感させてくれるという朝比奈さんクエストに、未知の楽しさを知るために挑んでいく。
それも、最初期のクエストで実際に自分の知らなかった楽しさを感じることで、そして舞へ抱いた信頼と信用から、彼女の繰り出してくるクエストに嬉々として挑戦するようになるのだ。

こうしてみると、朝比奈さんクエストによって月岡草一が得ていく変化とは、自己改革……ではないんですよね。月岡草一という青年はこのクエストを熟す以前と以後とでは実のところそれほど変わっていない。彼の個は既に揺るぎなく確立されていて、その事には朝比奈舞も早期に気づいている。
いわばこのクエストは、月岡草一の変革ではなく自己拡張を促すものだった、と考えるべきなのだろう。
なので、途中から舞の目的は兄に似たダメンズだった草一を世間と繋がった社交的な人間にする、というものから自分を好きになって貰うための誘導へと一気に方向転換してしまう。
これまでネトゲでパートナーとなり長くネット上で過ごすうちに画面越しの草一に好意を抱くに至っていた舞だけれど、実際オフ会で顔を合わせてそのコミュ障プリに失望してしまうのですが。
そこで見切りをつけてハイサヨウナラ、とせずに一旦気持ちを切り替えて上辺を取っ払い、草一に踏み込んで話し込んで彼という人間に実際に触れてみた、ここが朝比奈舞という少女の非凡な所なのでしょう。それ以前に同じようなぼっちだった実兄を徹底指導して見事に生まれ変わらせた経験も、彼女を後押ししたのかもしれません。
ともあれ、よく話し込んでみたらやっぱり面白いところも見いだせてきた草一に、朝比奈クエストと称して彼を変えていくことにした舞ですけれど、クエストを出していくうちにどうにも月岡草一という人間が並々ならぬ逸材である事に気付かされ、その本質がネット越しに思い描いていた人そのまま、いやそれ以上の人間であるのだと実感し、改めて自分がこの青年の事を好きだと自覚するのだ。
そして、彼女の目的は最終的に自分に振り向いてもらう事へとグルっと方針転換するのだけれど、折悪しくというか舞自身がヤブに蛇をつついて、なんでかクエストの最終目的が草一の憧れだった先輩に告白して付き合う、というものへとコチラも方向転換してしまうのである。自分が主導しておきながらどんどん自分が望む方向からズレていく草一との付き合いに、あれれぇ?と見た目自信満々に内面はあたふたオロオロしていく朝比奈舞のポンコツ可愛さが炸裂しだすのはこのあたりからなんですね。
実は自爆系ポンコツ娘だった朝比奈さん。そのクエストの内容や効果は眼を見張るものがあり、その頭脳の切れや有能さは折り紙付き、傍目の自信満々で胸張って先輩に対してあれこれ指導する姿も堂に入るものがあるのだけれど、肝心なときには人知れず自爆し内心で七転八倒してる姿が本当に残念で愛らしいんですよね。逆張りしつづけ、どんどんと草一と彼の憧れの人である高嶺遙花との仲がどんどんと進展して仲良くなっていくたびに落ち込み、自分が教導しているくせに告白が失敗するように願っている事に自己嫌悪したり。後半は、舞もまた主人公というべき描写だったようにも思います。
しかし、なんでこの娘は勝利目前になって調子乗るかな! とどめを刺ずに舌なめずりは三流の所業なんですよ、朝比奈さん! いちばん大事な場面で浮かれて調子乗って、盛大に自爆してww
どこをどう見ても自業自得でしかない、本当にどうしようもないアホの娘なのですがそこがまた、うん可愛い、可愛いよ。
とはいえ、パーフェクト美人に見えて隙ばっかりで天然模様な高嶺先輩も非常に魅力的に描かれていて、朝比奈舞のライバルとしてはむしろ格上、圧巻の上位クラスなだけに、ほんと何やってんのかなこのポンコツ娘はw
あれだけオウンゴール叩き込みまくっても、まだアドバンテージを残してくれている草一くんに朝比奈さんはもっとサービスすべきですよ、うん。

なかなか月岡草一くんが思わぬ方向から突っ込んでくる珍しいタイプの主人公でしたが、壱日千次さんの作品として見ると、ヒロイン含めて地に足がついたエキセントリック度の少なめの大人しい作品だったかもしれませんが、現代舞台のラブコメとしてはとてもポップで、ヒロインの舞も生き生きして主人公の草一と絡んでいく、楽しい作品でした。うん、面白かった。

壱日千次作品感想

勇者よ、たのむからオレでなく魔王さまに惚れてくれ! 絶体絶命の魔軍参謀 ★★★   



【勇者よ、たのむからオレでなく魔王さまに惚れてくれ! 絶体絶命の魔軍参謀】 壱日千次/雛咲 ファミ通文庫

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女魔王ジャフィが女勇者エレナに一目惚れしたことに頭を抱える魔軍参謀カイム。さらにジャフィは世界征服よりもエレナを盗撮したり、着ていた服を回収し嗅いだり、触手プレイをしたりと変態的なストーカー行為に夢中になってしまった。そんな中、エレナが冒険者達に襲われ、連れ去られてしまう!すぐさまカイムは人間の姿に変身しエレナを助け出すのだが…。変態魔王&恋愛脳勇者&魔軍参謀が繰り広げるちょっとおかしな三角関係ラブ・コメディ登場!!
ここの魔王軍の四天王、メンツがおかしくないですか!? いや、変態という意味のオカシイではなく……変態も混ざってますが。
魔軍参謀のカイムはまあ参謀とは言え武官的な意味合いも濃い参謀なのでいいのですけれど、他の三人全員後方支援職ですよね。というか、後方支援どころか戦闘に参加しないような職人とか技術者とかそういうタイプじゃないですか、これ?
直接戦闘能力、もしくは直接戦闘指揮能力に著しく欠けた魔王軍四天王w
かつては真っ当な武官相当の戦いに自信のあるタイプの四天王もいたみたいですけど……。排除されてるし。
まあ、まともな武人ならこの魔王は嫌を通り越して許せんわなあ。おかげで盛大に反乱が起こったみたいだけど。それで叩き潰されてしまったみたいだけど。いや、武闘派に限らず魔軍の総力をあげて勇者の支援する魔王は嫌だと思うんが、先代に恩のあるカイムは仕方ないとしても、他の魔族たちも唯々諾々と従っているのは不思議ですらある。
父である先代魔王の遺徳に従ってまともな魔王を営んでいたジャフィが、厳しかった魔王としての父と今際の際に見せた父親としての愛情の食い違い、そして魔王として魔軍を率いるプレッシャーに悩んでいた部分を、暗殺するために出向いた先で勇者にそれと知らず慰められて、自縄自縛から解かれて勇者エレナ個人に惚れてしまった、ところまではまあ良かったんだけど。
この魔王の根っこがどうしようもない変態だったのが、事態をどうしようもない有様にしてしまってるんだなあ。別に同性同士でも魔王と勇者という宿命の関係であってもジャフィがまともなら、なんとでもなっただろうに、変態だったばかりに。ド変態だったばかりに。
何気に勇者エレナの方の境遇も酷いもので、いわゆる100ゴールドだけ与えて後は何の支援もせずに無責任に放り出す国王さまタイプの偉い人たちである。オマケに市井の人たちも勇者に対して求めるだけで、何も与えようとしない民衆で。勇者が不甲斐ない姿を見せると、無責任に非難を浴びせるばかりで助けようともしない。勇者は勇者でゴリゴリと精神を削られて、やる気も急降下真っ逆さまという有様。そりゃ、優しく親切に気配りしてくれて助けてくれたカイムにべた惚れするわなあ。一番辛い時に優しくされたらころっといってしまうのをチョロいというのは酷な話である。
しかし、勇者のこと人間たちは一切支援していないのに、戦っている魔軍の方が至れりつくせりで万全に支援体制をしいて彼女の旅を助けまくってるの、一体勇者何と戦っているのだろう、という有様であります。なんかもう「有様」というほかない有様ばっかりだなあ。
実のところエレナの方ももう人間に対して失望しきっているので、カイムが正体明かしてこっち来なよ、と言ったらキレイに何の後腐れもなく転向してくれそうなんですけどねえ。魔王が変態なばかりに、むしろ魔王が障害になってるんですよねえ。
頼むから魔王に惚れてくれ、ってタイトル、ぶっちゃけ無茶言うな、という話である。あれはうん、真顔で無理と言われても仕方ないんじゃなかろうか。

壱日千次作品感想

俺のお嬢様と天使と悪魔が生徒会で修羅場ってる! ★★★☆  



【俺のお嬢様と天使と悪魔が生徒会で修羅場ってる!】 壱日千次/ぱん MF文庫J

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この生徒会には問題がある―それは天使と悪魔とお嬢様が、副会長の少年執事・一斗を巡って世界の運命を賭けた恋の駆け引きを繰り広げているからだ。話は悪魔ネフィリアと天使ユリエルがその正体を明かした日に遡る。二人はお嬢様・桜華の月ヶ瀬財閥を没落させるため同盟を結成。だが、一斗の活躍でユリエルがあっさり堕落した結果、互いをけん制し合う三すくみの関係になってしまった。この均衡を崩すには一斗の誘惑しかない!というわけで世界のキーマンとなった少年をめぐる各勢力と乙女の意地を賭けた恋の争いは―何だかんだ仲良しだけど、ふんわり修羅場に発展中!世界の命運は、このラブコメの先にある!?
メイドの紫鏡さんはもっと怒ってもいいと思うよ。いやもうすでに相当に怒ってらっしゃいますが。
プロローグの段階ですでに相思相愛。優柔不断なこともなく、一気呵成に告白敢行する主人公の一斗くん。これで桜華が変にツンツンした前置きを挟まずに即座にOKしておけば、なんの問題もなくハッピーエンドに終わったのに、振られたと勘違いしてしまった一斗くんはここから終わった恋と執事としての職務&月ヶ瀬家への借金の板挟みに苛まれるのである。
こんなもん、桜華お嬢様がもう一度ちゃんと告白すれば済む話で、紫鏡さんが散々舞台を整えてくれるにも関わらず、片っ端からヘタれて台無しにしていく桜華の有様に、なにやっとんじゃーとなる紫鏡さんのリアクションが結構楽しい。
一斗くんの境遇と過去を思うと、桜華に告白したのって一大決心以上に覚悟があったはずなんですよね。月ヶ瀬家に借金と言っても、むしろ彼の家と彼自身の瀬戸際の状況を助けてもらったもので恩は多大なものがあるし、桜華も上から目線ではなく本当に親身になって彼のことを労って慈しんで、ただの主従に留まらない関係を育んできただけに、いやはやどうしてこうなってしまったのか。超セレブとはいえ、桜華お嬢は傲慢とは程遠い温厚で優しいキャラクターでツンデレのツンも殆ど見当たらない人なのに、なぜ肝心なときだけやらかすのかw
紫鏡さんがやさぐれるのもわかるぞ、うん。
ほんともう、絶対有利どころかゴール寸前だったのにねえ。やらかしてしまったが故に、最強の刺客が放たれてしまったわけだ。悪魔であるにも関わらず品行方正で善人の鏡みたいなイイ人筆頭の生徒会長ネフィリア。もう根がいい人すぎて、後光が見えるんですけどこの悪魔。
トドメに実は幼馴染でお互い大切な思い出であり自身の原点となっているエピソードの相手であった、というのが発覚して、まさに恋が芽生える瞬間、まで発動してしまうし。ただでさえイイな、好きだな、と思っていた人が運命のあの人だった、というのは少女漫画的な必殺技すぎて、お嬢様の地道に積み上げてきた実績が消し飛んでしまうぅぅ。
一斗くんはお嬢様に振られたと思い込んでいるし、彼女の優しさに甘えて執事を続けていると思い込んでいるので、他の女性からの好意というのはむしろお嬢様に迷惑になっているだろう未練を振り切るためにも、受け入れていいんじゃないだろうか、という超低いハードルになってて、障害って本当に彼のお嬢様への捨てきれない想いだけなんですよね。お嬢様、決死の思い出その想いを補強しようと駆けずり回っているけれど、泥縄感が否めない。ってか、告白すれば済む話なのにそれだけは「ボクは自動的なんだよ」と言ってしまえるくらいオートマティックにヘタレてしまうので、無理という……。いやそこが無理だと、お嬢様絶対にハッピーエンドないですよ?
こうしてみるとユリエルだけ、取っ掛かりが少なくて不利は不利なんですよねえ。彼女自身、恋というものを知るのは遅かったですし。この娘の場合はあれだな、子供の頃に漫画やアニメから徹底して遠ざけられていた人が、長じてまっさらな状態でそれらに触れてしまうと一気にディープなオタクにハマってしまう、というケースと似たようなもので、節制がすぎると堕落への耐性が著しく低下してしまう、という典型ですなあ。
財閥の総力をあげなくても、美味しいご飯と漫画だけで堕落させられてしまったあたり、無茶苦茶安上がりな天使様でしたが。
三人娘共、なんだかんだと根っこが善良というかいい人ばかりで自分より他人の心配を優先するような娘ばかりなので、結局の所修羅場は修羅場でも「ふんわり修羅場」に発展というあらすじのアオリは言い得て妙かと。一斗くんの立場とか結構洒落にならないというか、きついものがあると思うのだけれどヒロインが全員ポンコツ癒し系であるというのが結構場をもたせている重要な要因なのかもしれない。
でもまあ、次はネフィリアの攻勢が本格的になりそうだし、だいぶ動きを見せてきそうだけれど。


魔法塾 生涯777連敗の魔術師だった私がニート講師のおかげで飛躍できました。 ★★★★   

魔法塾 生涯777連敗の魔術師だった私がニート講師のおかげで飛躍できました。 (MF文庫J)

【魔法塾 生涯777連敗の魔術師だった私がニート講師のおかげで飛躍できました。】 壱日千次/リン☆ユウ MF文庫J

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落ちこぼれや変態でもきっと居場所がみつかる、はみだし魔法塾コメディ。

魔法大国・日本のトップ魔術師に史上最年少で成り上がった天才・鳴神皇一郎。だが、仲間の裏切りに遭い、ニートに転落。そこへ亡き恩師の娘・結が「私が経営する魔法塾・黎明館の講師になって」と頼んできた。承諾した皇一郎だったが、やって来る塾生は、生涯全敗の魔法騎士・ベアトリクス、禁忌の術で死霊軍団の結成を夢見るお嬢様・芙蓉、ヤンキー魔法高校で屋根裏登校をする謎の少女・つぼみ……と落ちこぼれや変態ばかり。「安心しろ。俺がこの塾を『母校より母校』と思える場所にしてみせるから!」。天才と呼ばれた元ニートによる、カリスマ講師としての破天荒な指導が始まった……笑いと感動を巻き起こす、はみだし魔術師たちの痛快魔法塾コメディ!

先月に出た【バブみネーター】がもう筆舌に尽くしがたい狂気に犯された作品だったので、ついに壱日千次先生は分水嶺を超えてしまったのか、と呆然としていたのだけれど、良かった本作はまともだ……、とこれがまともに見える時点で相当おかしくなっている自覚もあるものの、実際あれと比べれば、という形になってしまうのでまともなのである、壱日千次作品内における相対的に。
というわけで、いつものノリの壱日千次作品でありました。相変わらず、というべきかこの人の作品って全編すっ飛んだギャグ調にも関わらず、主人公含めた登場人物の置かれた境遇というのが極めて過酷だったり悲惨だったりするんですよね。特に、社会的な立場において。
深刻かつシリアスに話を転がしていくならとことん暗く鬱々としたブラックでダークな物語にできそう、というか自然となってしまいそうな境遇や立場に置かれた登場人物たちが、そんな暗さを吹き飛ばすかのような明るさとノリで困難を乗り越え、世間の白い目を覆していく姿は、お腹の底から笑わせてくれるのと同時に凄く救われる気分にしてくれるのである。
理不尽な目にあっている人たちが、たとえ変態であろうとまっとうに頑張って、まっとうに報われる、というストーリーは何だかんだとカタルシスがあるんですよね。
本作もまた、決死の思いで頑張った末に仲間に裏切られ、社会的に抹殺された挙句にネット上で自作自演の自分の擁護スレに張り付く日々を送る主人公・鳴神皇一郎。ニートになりたくてなったわけじゃないけれど、ネット廃人と化しているのは紛れもなく自業自得です、はい。
そんな彼ですけれど、一番悔しい思いを抱え後悔に苛まれているのは自分の零落よりも、自分を育ててくれた魔法塾が自分の不名誉の煽りをくって潰れてしまったことなんですよね。学校の教育方針に馴染めずにいた自分を超一流の魔法使いに育ててくれた恩師に、報いるどころか仇で返してしまったこと。それを悔み続けていた鳴神皇一郎は、自分の名誉回復などよりも何よりも、恩師の娘が頼ってきてくれた時にまず恩返しだ、と勇んで協力するのである。良い男っぷりじゃあないですか。無職から抜け出せなかったのが就職させてもらえそうだから飛びついた、というわけではないのである。いやほんとに。
実際、叩き上げて一度は魔法使いの頂点にまでのし上がり、一人で魔王討伐を成し遂げたほどの男なので、力が封印された今でもあれこれ有能ではあるんですよね。むしろ、第一塾生として入ってくるベアトリクスが見事なくらいポンコツなので、ダメっ子要員はほぼ彼女一人で賄います、パーフェクトダメっ子です。呪いのせいで勝てない、というベアトリクスですけれど、呪い関係ないところでもおバカなのでほぼポンコツなんだよなあ。唯一剣才のみが前人未到の才能を秘めている、にも関わらずそれが呪いで封印されているお陰で、オールラウンダー・ポンコツなのである、素晴らしい。表紙絵のあのビキニ鎧かと思われた装備も、貧困極まってお腹のところ売っちゃった、と聞くと露出度の高さが切なくなってくるのでありますよ。
しかし、彼女もまた諦めず頑張り続けた娘なのです。生涯一度も勝つことができないにも関わらず、心折れずに頑張り続けたベアトリクス。そんな娘が、報われなくてどうするのか。社会的に良く見られないから、世間的に受け入れられないから、そういった理由で排斥される落ちこぼれや変態や外側の人間が、努力も実績も認められず報われない。そんな閉塞を吹き飛ばすギャグと燃えのカタルシス。重たいテーマだからこそ、笑ってぶん殴れ、とばかりの力強さと切れ味は、まさにこの作者さんの持ち味であり魅力なのでしょう。笑いネタのキレキレさは、他の追随を許さないものがあるだけに、あまり狂気に走らないでほしいです、いやもう。

壱日千次作品感想

三千世界の英雄王<レイズナー> 3.女帝と剣帝 ★★★☆  

三千世界の英雄王<レイズナー>3 女帝と剣帝 (MF文庫J)

【三千世界の英雄王<レイズナー> 3.女帝と剣帝】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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世界中の異能者が最強を目指す、バトルトーナメント「暗黒狂宴(サバト)」。「今世無双の天才」ながら「最弱の悪役(ヒール)」という役割を与えられた剣士・刀夜(とうや)は、迫り来る常軌を逸した強敵(変態)たちを次々と葬り、学内予選を勝ち上がる。世界変革の力を宿すプルの異能アウローラを狙う組織の陰謀も光王院と共に壊滅させ、いよいよ、姉・氷華が待つ準決勝まで到達した。しかし、一方で、この世界のルールが、自らの望む「厨二」=強者ではなく、「変態」=強者という構図になってしまっていると気づいてしまった学園長・血鶴は、さらなる常軌を逸した企てを画策。刀夜に決戦の時が迫っていた。こんな変態見たことない!? 最も熱くて笑える学園バトルラブコメ、第3弾!
そうですよね! これ、中二病の祭典じゃなくて変態どもの祭典ですよね! 厨二的な言動や振る舞いをするほどに、つまりなり切ればなり切るほどにその属性のシンクロ値があがって異能が強化される、という世界である以上、厨二を極めたようなキャラが揃うのかと思ったら、出てくるのは厨二というよりも「変態」を極めたようなキャラばかり。植物を性的に愛してる人とか、巨大建造物にしか興奮しない男とか、ホームレスを極めて風属性をあげてる女の子とか赤ちゃんプレイをするほど強化される益荒男とか、いや逆によく考えるよな! という変態ばかりで。
それをまさか元凶である学園長自らツッコんでくれるとは思わんかったけど。
というプロローグの小話にちょっと納得しながら、ついに学園長の裏に控える存在が顔を見せてきたのか、と思った矢先にあのオチ、あのオチ。
初っ端からシリーズ最高に爆笑してしまったわな!!!

おのれよし子ぉーーーっ!!

でもねえ、カラー口絵のキャラ紹介に寄せられているコメントで、学園長血鶴さんの「大体全部この人のせい」というのがまさか一片も偽り無くまさしくそのとおりとは思わんかったですわ!
その意味では思いっきり予想を外されたというか登っている途中の梯子が上まで登りきってみると上まで届いてなかったというか、立っている床板の片足を踏み抜いてハマってしまった、みたいな感じである。
こんなヒドイどんでん返しがあっていいのだろうかw
多分、これも打ち切り決まって急遽まとめる必要があったから、というのもあったかもしれないけれど、それで役割が変わったのではないでしょうし、やっぱりこういう身も蓋もない人だったのか。この作者の何気に容赦ない部分がわけのわからんブレンドを見せたキャラクターだったなあ、血鶴さん。どうあがいてもギャグキャラ以上のナニモノでもない、だいたいこいつが悪いんだけれど本人何にも考えて無くて蚊帳の外、という人だと思ってたんだけれど。
まあ考えてみると、本来舞台の裏で陰謀をめぐらして暗躍するはずの黒幕であり敵対組織であるはずの「黄金の暁會(ゴールデン・ドーン)」が二巻でようやく刀夜たちと接触して存在を匂わせた、と思った途端に主人公関係ないところで壊滅して、ボス捕まってる時点でアレだったんですが。
主人公のライバル組織勝手に潰すなやww

キャラクターたちは相変わらず……まさに相変わらずで。総じてオールポンコツだわなあ。でも、変態だろうとなんだろうと、ここぞという時にはみんな漢を見せるんですよねえ。児山先輩や光王院らは本当にイイヤツだった。
世間の対応の、あの他人事な冷たさといい、全編コメディ調なのに実際の物語はかなり凄惨でえげつない話だったり、とコメディのあのキレキレなセンスとキャラの楽しさに突き放すような冷たさが混じった作風は一貫していて、このあたりは作品変わっても維持してほしいなあ、と思うところでした。
「田中よし子パニック」には吹いたw

シリーズ感想

三千世界の英雄王<レイズナー> 2.煉獄学園の魔人たち ★★★★   

三千世界の英雄王<レイズナー>2 煉獄学園の魔人たち (MF文庫J)

【三千世界の英雄王<レイズナー> 2.煉獄学園の魔人たち】 壱日千次/おりょう  MF文庫J

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敵が濃すぎる! いま、一番熱くて笑える学園アクションラブコメ第2弾!

世界中の異能者が最強を目指す、バトルトーナメント「暗黒狂宴」。「今世無双の天才」ながら「最弱の悪役」という役割を押し付けられた剣士・刀夜は、仲間のプルを狙う敵を撃退し、直後の一回戦も見事突破。だが、彼らの前には「ぼっち」であることで無敵の壁を作り出す真壁、戦艦大和に変身できる大和、ホームレスとして生活し風系異能を高める少女・風見鶏……と常識の範疇を軽々と超えた異能者たちが立ちはだかる。刀夜は変態的な強敵たちの攻略と、プルと一二三のパワーアップを図り、彼女たちを自身と姉・氷華が住む邸宅に招く。一方、世界中から失笑を買った光王院が……!? 最弱最強をぶっ飛ばす、今、一番熱くて笑える学園バトルラブコメ、第2弾!
「戦艦大和に変身できる大和」って言語的におかしかないですか!? という程度のことには動じなくなる程度には頭のおかしい変態たちが跋扈しすぎて、密度が高すぎます!!
敵が濃すぎるってキャッチフレーズ、看板に偽りがなさすぎてもうちょっと手加減してくれてもいいのよ? と懇願したくなるくらいなんですよね。カルピスを原液で飲め、と強いられているような濃さである。
とにかく、変態のオンパレード。それも、想像を絶する方向からの変態性で、世の中こんな変態が存在するのか!? と驚かされる、或いは絶望させられる。いやね、この登場人物だけの話ならまだ理解できるんだけれど、その変態嗜好の具体的な解説として歴史上に実在したその変態嗜好の持ち主について語ってるの、あれって全部ほんとなの!? 本当だとしたら、人類の可能性ってもうヤバイところまで届いちゃってるんじゃないの? 可能性が開けすぎて、いけないところまで開いちゃったんじゃないの!?
確か、第一巻ではまだ登場人物たちの特殊性というのは、その属性になりきることによって能力的にパワーアップできることから、ガチの厨二やファッションとしての厨二じゃなく、ビジネスとして厨二を演じることが主だった登場人物の方が多かったはずなのだけれど、いつの間にか真性の変態ばかりが次々と繰り出されてくるあらゆる変態が百花繚乱するバトルトーナメント「暗黒狂宴」という恐るべき有様になってるんですがww
極悪のヒールでしかも最弱、という役作りを理事長に強いられた上に、必殺技も一日一回にしないと失格、と制限されがんじがらめになってしまった刀夜だけれど、わりとめげてないというか堪えてないというかこの主人公もけっこうイケイケですよねえ。強いられた悪役にも関わらず、なにげに外道な口上も卑怯極まる手練手管もノリノリでこなしているあたり、この主人公才能あるんじゃないだろうか、悪役の。
しかし、根は真面目で熱い男なのは変わらないので、同じく真っ当で熱い相手には共感して悪役で最弱という制約をこねくり回して、うまいこと真っ向勝負に持ち込むあたり、気持ちのいい男なのである。
それに比べたら、理事長のあの厨二欲に塗れたゲスっぷりは……いい年してと目を眇めたくなる惨状である。あれ、ヒロインの母親なんだぜ。
自分の母親が全裸で液体の満たされた巨大なフラスコの中に浮かぶ黒幕ごっこしているのを見せられた娘の心境を答えよ、ってなもんである。ちなみに、液体は温泉の素が入れられた適温のいいお湯である。自分で用意したんだろうか、それ。

ともあれ、次々と現れる対戦相手の変態っぷりに度肝を抜かれながらも、あれこれと頭をひねって対抗戦術を編み出していくあたり、力押しじゃなくてある種の知略戦の様相も呈しているんですよね。刀夜も何気に作戦練るの楽しそうなんだよなあ。
そして、出落ちかと思われた光王院くんがまた、良い奴でねえ。ガチの世界を救った男にも関わらず、その方法が方法だっただけに世間の評判はキワモノ扱い、というのが本当に可哀想すぎるんだ。救世主に対してその扱いはないんじゃないのか、と悔しく思うくらいに。この作者って、こういうところの社会や世間の残酷さや醜い悪意については徹底してシビアに描くんですよねえ。
それでも、主人公の刀夜だけは光王院を蔑まず、その英雄的行為を正統に評価し続け、世間の彼への扱いに憤るのである。二人の汚れのない友情が、世間の目に屈しない熱い想いの交換が、また胸を打つのである。
かっこいい男たちの話でもあるのだ、本作は。

1巻感想

三千世界の英雄王(レイズナー) 厨二じかけの学園都市 ★★★☆   

三千世界の英雄王(レイズナー) 厨二じかけの学園都市 (MF文庫J)

【三千世界の英雄王(レイズナー) 厨二じかけの学園都市】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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学園都市“三千世界”では、世界中から異能者が集い最強を目指すバトルトーナメント『暗黒狂宴』が人々を熱狂させている。『今世無双の天才』と謳われた剣士・刀夜は、イカれた異能者の世界を生きるため煉獄学園に編入し、暗黒狂宴への参加を決意。だが、学園長が課したのは、天才の彼には受け入れがたい参加条件だった。「よし、お前は『最弱の悪役』でいけ!その方が盛り上がるから」「ひどすぎる!?」そんな彼とチームを組むのは、DQNネームの令嬢・羽瑠歩流祇栖と自称ロボットの幼女・一二三。反逆の徒となった少年は、仲間と共に最底辺から“三千世界”の頂=英雄王への道を歩み始める。最強も最弱も笑い飛ばす―超ド級学園バトルラブコメ、開宴!
突っ込みどころだらけを通り越して突っ込みどころしかないあれやこれや。自称とかソウルネームで酷いドキュンネームはあったかもしれないけれど、親につけられた本名で羽瑠歩流祇栖(ヴァルプルギス)なんて名前、酷すぎやしませんかね! しかもメインヒロイン! メインヒロイン!!
メインヒロイン・羽瑠歩流祇栖! 読めねえよ、ルビつけないと! これで当人まだノリノリならいいのだけれど、普通に真面目な子なので、人生罰ゲームです。ただでさえ罰ゲームなのに、厨二的振る舞いがなによりも評価の対象となり、具体的な能力の向上に繋がってしまう学校に放り込まれて、毎日が罰ゲームです。というか、殆ど全部原因が学園長となる羽瑠歩流祇栖のお母さんなので、家族からして罰ゲームです。だいたい全部こいつのせい、だもんなあ。
おかげで、ガチ厨二、ファッション厨二を通り越して、ビジネス厨二という概念が誕生してしまう始末。
そして、学園長のその場のノリと思いつきで、無理やり最弱にして皆の嫌われ者になる悪役をやれ、と命令強制されて、最弱の悪役を演じることになってしまった主人公。未だかつてこんなしょうもない理由で最弱とか悪役を任じられた主人公がいただろうか。まあ、自前で気取るよりかはよっぽど健全なのだけれど。
しかし、だいたいこいつのせい、な学園長がすべての糸を裏で引いている黒幕、だったらまだ格好がつくんだけれど、この人黒幕を気取りたいだけで本当になんにも知らないからなあ。その場のノリで色々と知ったかぶりをして、黒幕っぽく振る舞うものの、アドリブ聞かなくてわからないことがあると素に戻って???連発するのやめてくださいww
いや、本当に何の関係もなく気取りたいだけならまだ面倒はなかったんだけれど、何も知らないくせに本当にだいたいこいつのせいでこんなヒドイ世界観になっちゃってるからなあ。もうなぜこいつにやらせたww

相変わらずギャグ一辺倒な風に見せかけて、何気に重い設定を背負っている登場人物たち、という構図は作者の常道なのですなあ。今回も、主人公姉弟は両親や門弟たちを皆殺しにされ、主人公自身何年も昏睡状態だった、という壮絶な過去を背負っていたりしますし。
お姉ちゃんが「すずねえ」級のダダ甘お姉ちゃんと化してしまったのも、理由だけ見ると切実なものがありますしなあ。さらに、自分の昏睡治療の借金で首が回らない状態、お姉ちゃん身売りの危機、という喫緊の問題も抱えているわけですし。
ビジネス厨二だろうと、最弱だろうと悪役だろうと、文句も言わずにやり切らにゃあならんという、なかなかに世知辛い背景なのですわな。まあ、最後らへんもう主人公、ノリノリで悪役的振る舞いを堪能していた気がしないでもありませんが。
とりあえずのお気に入りは、やはり邪竜王を封印せし学園最強の光王院くん。この性格も顔もイケメンにも関わらず、たったひとつの理由ですべてが台無しに壊滅している残念イケメン、でもやっぱりカッコいいww そのカッコ悪さすらもかっこよく見えてくるじゃあないですか。でも、やっぱりヒドイw
さて、タイトルともなっている「三千世界の英雄王(レイズナー)」も果たしてどこまでが本当なのか。場合によっては、本気でその場の勢い、みたいな可能性もあるだけに、もしそうだと作品のタイトル自体がヒドイことになってしまうw

壱日千次作品感想

魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) 4 ★★★☆  

魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) (4) (MF文庫J)

【魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) 4】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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ホルムの簒奪王アレクサンドルを撃退し、「魔剣の軍師」ジュリオと英傑たちは、カラーラ半島に平和をもたらした。束の間の休息を満喫しつつも、ジュリオは魔剣ルーナにまつわる秘密を探るために故郷の村へ向かう。一方で、教皇ガブリエレ率いるサーヴァイン教皇国には行方不明となったアレクサンドル、さらには教皇と結託した聖剣フォルトゥーナとその使い手ファウスタらが集結。聖剣の御旗の下に「虹の帝国」の復活を宣言し、大陸支配に乗り出す。圧倒的な暴力で周辺国を呑みこむ未曾有の脅威を目前に、ジュリオとアウトな仲間たちは、存亡を懸けた史上最大の戦いに挑む。全戦記業界が唖然とするおバカ系フアンタジー戦記、秘密と決戦が交錯する第4弾!

この巻で完結というのは予定通りだったんだろうか。結構、巻いて急いだような雰囲気もあるんだけれど、それでも聖剣と魔剣、ルーナの出自からジュリオたちの村にまつわる歴史まできっちり話をまとめていたのはお見事。それでも、半島を飛び出しての大陸規模の戦記ストーリーはじっくり見てみたかった、というのが正直なところなのですけれどね。それでも、巻いて巻いてとなったらギャグなんか挟んでいる暇ねえ、となりそうなところを、急がないといけないから、急いでお馬鹿をやり尽くそう、とばかりになんかこれまでよりもより一層変態性の露呈する頻度が増していたようなきがするのですけれど、どうしようもないなあ、この人たち!
実のところ、客観的に見ると登場人物の一人ひとりが抱えている事情って、かなりダークというか重たい鬱々となるようなものが多いんですよね。極めつけの、フォルトゥーナとルーナの親子関係なんて、ドロドロにまみれて拗れていますし。ギャグと変態性を排すると、相当ヘヴィーな戦記モノになる要素は満載だったんですよねえ。それを、この愉快なノリで眩してマイルドにしつつ、当該の問題については避けることなくわりと直球で向かい合っているのは、ギャグに逃げてないという意味でかなり腰をどっしり据えていたんじゃないでしょうか。
一方で、ルーナを見舞った絶望を晴らす要因が、まさかこれまで完全にネタとして扱われ続けていたトリスタンのあれになるとは……。
いや、個人的にはこの人の一途な愛情には、どれだけ変態性が混じっていても応援したい気持ちはあったので、この展開は個人的には大喜びですよ!
てか、トリスタンのあれは別にロリコンじゃないと思うんですよね。幼児に見境なく欲情しているわけではなく、あくまで娘のルーナ一人に対して興奮しているだけなのですから。これが実の娘、というのなら非常にヤバイですけれど、血のつながりはないわけですしね。いやでも、まだ幼い娘さんにあれだけガチに興奮している時点で人間としてアウトなんですけれど、プラトニック! プラトニックですから! そのプラトニックを最後まで貫き通したからこその、あの戦場の奇跡だったのですから。
感動した! いやマジで。感動した!!
ルーナの方はさっぱり脈なし、というよりも完全にお父さんとして見ている様子だったので、これはトリスタンは娘の幸せを願って身を引くパターンかなあ、と思っていただけに、奇跡の展開でしたなあ。

最終回の主役は、ほぼルーナとトリスタンが持って行ったような感もありますけれど、その分ジュリオたちの方はちょいとなし崩しになっちゃったかなあ。もっと、ラン女王にはヤンデレを極めて欲しかった。この軍師、浮気しすぎですし。せめて、宦官と姉ちゃんだけにおさめておきなさいよ(苦笑

振り返ってみると、むしろ敵サイドよりも味方サイドの方が性癖的に闇堕ちしたHENTAIばかり、というヤバゲな一団で、一部の良識人枠の人たちに一手にストレスが押し寄せているようなところでしたけれど、この愉快なノリはほんと楽しくて、笑えました。やっぱり、ギャグのセンスという意味ではこの作者さん、前作から図抜けてるところがあるなあ。
次回作も是非期待したいです、そして長期シリーズ化を、と願うばかり。あー、面白かった。

シリーズ感想

魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) 3 4   

魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) (3) (MF文庫J)

【魔剣の軍師と虹の兵団(アルクス・レギオン) 3】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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ダンテ将軍との決戦に勝利し、ついにトレントの地から敵勢力を駆逐した「魔剣の軍師」ジュリオとアウトな仲間たち。だが、敵国ロンバルディアの弱体化は、新たな脅威を招くことに。南の強国ホルムの内乱の勝利者となった簒奪王アレクサンドルが、教皇国の力を借りて、ロンバルディアへの侵略を画策。その野望の標的に自国トレントが含まれることを看破したジュリオは、クリスティーナや仲間たちの助言を受け、幽閉されたロンバルディアの不屈王子ことカンパネルラ擁立のため、救出に乗り出す。伝説と虚飾に彩られたジュリオたちの戦いの舞台は、ついに祖国を飛び出す!?――見た目はまとも、頭脳はおバカ。戦記業界戦慄のおバカ系ファンタジー戦記、第3弾!

今度の新キャラも酷いな! でも、酷いキャラを出すにしても、それぞれ他に類を見ない変態質を出さなきゃならないわけで、これってなかなか難しいですよね。単なるドMならすでにエスメラルダが歴史を横断する被虐志向という特筆に値するドMなわけで、単に虐げられることに興奮してしまうキャラなら被っちゃうところなんだけれど、不屈王子のそれは特殊すぎて、もうあかん、笑ってしまう。いや、その特殊性癖に目覚めたからこそ発狂しかねない境遇を乗り越えられたのだから、それはそれで凄いんだけれど、もうなんちゅうか笑ってしまう。第一巻の強敵だった公爵令嬢クリスティーナが死んだ魚みたいな目になってるのが可哀想で可哀想で。いっそ、彼女も目覚めてしまえばいいのに、踏みつけるのに目覚めてしまえばいいのに、なまじ真人間なだけにエライ目にあっちゃってるのが笑えて仕方ない。これだけ有能とマトモが両立してる人って、この作品では稀有なんだけれどなあ。彼女以外、ほぼ有能にして残念、というキャラばかりだし。いやダンテ将軍の部下の二人はまだ変な性癖発露してないので、まとも組の方に入るのか。つまり、酷い目あいそうw
というわけで、トレントの地をロンバルディアから取り戻したところでどう動くのかと思っていたら、半島国家である両国のさらに南、大陸側の大国からの脅威迫る、という展開になってきたか。そもそも、ロンバルディアを逆制圧する、という発想や国力はなかったようでロンバルディアという国を動かす人材をごっそり入れ替える寸法に。
ちゃんと、国土を犯され虐げられてきた側と虐げてきた側の相克を描きつつ、目の前の脅威を前に未来の為に手を携える展開を真面目に描いたりするところも、相変わらず緩みっぱなしではなく締めるところはシリアスに締めるこの作品の良い所。こういうところを疎かにしないのが、これだけお馬鹿な話にしつつ、緊張感を失わしめていない部分なんでしょう。
そして、どれだけ残念なキャラクターでありながらも、人格人品まで残念ではない、ちゃんと尊敬できる一廉の人物であるのだ、というのを見せてくれたのが、今回のトリスタンのエピソードなのでしょう。自分の義理の娘(幼女)に恋しちゃい愛欲を抱いてしまい、その為に祖国をぽいぽい裏切ってしまったトリスタン。それだけ娘命、娘のためならなんでもやっちゃう、という残念大将が、娘の幸せの為に自分の欲望も愛も願いも押し殺し、永遠に封印して戦おうというその姿は、いっそ神々しいくらいに尊いものでした。うん、普段が筆舌しがたい酷さなので、その対比で、対比で。
いやでも、彼の娘への愛情はガチもガチなんですけれど、だからこそ本気なんでわりと応援してるんですよね。ルーナの方は、トリスタンのことを父親として尊敬し慕って愛しているけれど勿論異性としてはまるで意識していないのですが、犯罪臭がするとしても、うまいこといってほしいなあ、と思うばかりなのであります。
敵サイドに一神教、という排外者の要素が出てきましたけれど、本来なら一神教と多神教の宗教対立みたいな空気が流れそうなところなのに、自己顕示欲が高まりすぎて自分が神の宗教まで立ち上げようとしているロスヴァイセがたった一人で対立軸の一方を担いそうなのが笑えます。一神教VSロスヴァイセになんかなりかけてるw
どうも、ジュリオが住んでいた村に何か秘密があり、ジュリオの幼馴染の姉ちゃんが一連の戦乱の引き金を引いてしまった、という歴史の影に隠れていた大きなうねり、みたいなものが垣間見えてきて、スケールの大きな話になってきた? とりあえず、このまま長期シリーズに乗りそうなのが嬉しいところ。ついに3巻の山を越えましたがな!

シリーズ感想

魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン> 2 4   

魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン>II (MF文庫J)

【魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン> 2】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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ティタニアでの奇跡的な勝利により、一躍その名を轟かせた「魔剣の軍師」ジュリオ率いる新生トレント王国。勢力を拡大させる彼らだったが、敵の強国ロンバルディアがこのまま黙っているはずがなかった。ジュリオたちの前に立ちはだかるのは、名うての将軍たち―裏切りの“吸血鬼”エスメラルダ、ジュリオに歪んだ愛を向ける宦官将軍チマブーロら。さらには、神槍の使い手“悪鬼”ことダンテ将軍率いるロンバルディア最強の黒狼兵団までもが、トレント討伐に動き出す。迫りくる強敵との決戦に、魔剣の軍師はアウトな英傑たちと捏造ではない伝説の歩みを進めることができるのか!?戦記界が騒然!伝説になってはいけない英雄たちの残念伝説、第2弾!
いきなり物欲に負ける新女王と庶民派軍師w それを窘めてきた魔剣幼女を逆に堕落させて「権力最高!」と叫ばせるとか、初っ端から酷い(笑
いやもう、「これひどい!」が褒め言葉になる戦記モノって、凄いね、素晴らしいね。
改めて繰り返しますけれど、この英雄さんたちが酷いのってあくまでプライベートと内面部分だけであって、実際の戦記モノとしてのストーリー部分はかなりガチで進んでいくんですよね。戦略や実際の戦闘ではふざけた展開は一切ないのです。いや、実際勇猛果敢に戦っている外面の一方で、内面の方はそりゃもう残念すぎる思考を垂れ流しにしちゃったりしているのですが。でも、勘違いや誤解が運良く転がってトントン拍子にうまくいく、というタイプの作品では全然なかったりします。むしろ、奇策やトンデモな作戦を用いない恐ろしく質実剛健で堅実な戦略や作戦を元に進行していくタイプなんですなあ。
それなのに、キャラだけは本当に酷いから、そのギャップがえらい楽しいのだ。一巻でその目も当てられない性質を露呈してしまっているトリスタンやロスヴァイセ、なんか増す増すロリコンと目立ちたがりをこじらせてやしませんか、さらにひどくなってる! ジュリオの軍師としての資質って、軍略や政略よりもむしろこの残念すぎる将星たちの性癖を利用して自在に操る操縦法だよなあ。しかもこれ、考えてやってるわけじゃなくて、本能的に操縦してしまっているっぽいし。旧トレント王国の将軍でありながら裏切り者としてロンバルディアに仕えていたエスメラルダが、その本性というか性癖を明らかにしてしまった時なんぞも、ほぼノータイムで十年来の付き合いです、と言わんばかりの人参の与え方してましたもんねえ。これはもう、ボケに対して反射的にツッコミを入れてしまうレベルである。いやまあ、こいつがみんなの性癖を抑えるどころか余計暴走させるような操り方するから、みんな抑制するどころかどんどん酷いことになってってる気がするんですけれどね! エスメラルダあたりは、最初から手遅れな気もしますけど。いや、もう大体全員もう手遅れなんですけど。ロスヴァイセはそろそろ止めろ。放っておくと、大宇宙将軍神あたりまでレベルアップしそうだぞw 
周りがみんなこんなんなので、ラン女王も大概な様子になってきてますし、魔剣幼女ルーナにも悪影響が浸透しだしてきてますよ。そのうち、平気で夜の寝室をピンクに照らす仕事をこなすようになっちゃいますよ?w

どうやら、物語の核心には魔剣であるルーナが絡んでいるようで、実はラン女王よりもメインになるのか、彼女。ルーナ自身もジュリオに惹かれている様子はあるのですが、ジュリオ自身は既にランとラブラブですし、トリスタンのロリコンに対してツッコミ入れながらも、一切止めようとしていないあたり、わりとトリスタン応援している風な気も。応援しとかないと、ガチでロリコンに抹殺されかねないのですが。

戦記モノとしては、この巻の段階で対ロンバルディア戦については最大の難関を突破した感もあるのですが、展開としてはけっこう捲いているのかな。いずれにしても、魔剣に関する謎も深まってきたところで、次回もどんなイロモノが登場するのかも含めて、楽しみ楽しみ。

1巻感想

魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン> 4   

魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン> (MF文庫J)

【魔剣の軍師と虹の兵団<アルクス・レギオン>】 壱日千次/おりょう MF文庫J

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「魔剣の軍師」―類稀なる知略と武勇により、後世の歴史にその名を刻む天才軍師ジュリオ・ロッシの異名である。だが、彼の実像は、歴史書とはかけ離れた不埒な男。そして、そんな彼の下に集い、後の世に「虹の兵団」として語り継がれる古今無双の英傑たち―修道女ラン、金獅子トリスタン、弓聖の娘ロスヴァイセ―も、負けず劣らずのアウトな連中ばかりだった。これは、亡国の地トレントから大国に反旗を翻し、歴史上、最も「けしからん」奇跡をつむぐことになる、魔剣の軍師とその仲間たちの“伝説になってはいけない伝説”。奇才が贈る衝撃のファンタジー戦記、爆誕!
こ・れ・は・ヒ・ドい・!! マジでけしからんじゃないかっ! 壱日千次さんといえば、類まれなる笑いのセンスで読んでるこっちの横隔膜に大ダメージを与えてきたMF文庫でも屈指の爆笑作家。その人が戦記モノなんて明らかなジャンル違いを手がけるということで、自分の持つアドバンテージを放り投げるつもりなのか、と危惧していたのですが……捨ててない、全然捨ててないよ! 戦記モノなのに、ギャグがキレキレすぎるっ!
あらすじは誇張などではなく、登場人物は掛け値なしのアウトな人材ばかり。癖があるとか変人とかいうレベルじゃないし。もうアウトという他ない。特にトリスタン! こいつどうにかしろよ。もう末期じゃないか。自分が育てている養女の幼女に欲情するという度し難いロリコン、ロリコン、ガチロリコン! いやでも、彼の場合は幼女だから欲情しているのではないので、正確にはロリコンではないのかもしれない。でも、自分の娘だけどな。うん、せめてもう少し大きくなってからな。その段階でそこまで狂うのはヤバいから、アウトだから。
まあでも、理性で必死に我慢してたりするあたり、まともな部分は残っているし血の繋がった娘ではないし、ある意味純愛とも言えるので、実はわりと応援しているのよ、トリスタンくん。
弓聖の後継者であるロスヴァイセも、これがまたひどい。三顧の礼で満足しとけよ、欲張って五顧の礼とか粘るなよ! そのくせ、もう来ないんじゃないかと不安になってへこむなよ。目立ちたがりで格好つけのくせに、やたらとメンタルやわいし、面倒くさいし。面倒なわりに操縦法がわかるとチョロいんだけど。とにかく、こんな残念なヒロイン参るわー。これで、弓の腕だけは掛け値なしなのが反則すぎる。
こういう残念でアウトな連中ばかりが繰り広げる色々と大事なものを切り売りしながらの掛け合い漫才は本当に面白くて、この作者のギャグセンスはやっぱりちょっと格が違うわ、と笑いながら感心しきりなのでした。
でも、これはラブコメじゃなくてファンタジー戦記ものなんですよね。だから、じゃあ戦記サイドはどうなのか、という風に見ると……これがなかなかシリアスで質実にできてるんですよね。壱日さんて、本気で笑わせにくる一方で、それだけではなくシリアスで真剣なテーマの方も、前作前前作で疎かにせず、じんわり心に染み入るウェットな話を作り上げてるんですよね。笑いとシリアスのバランスが非常に上手いとも言えるわけです。
本作も、戦記部分はギャグでお為ごかしに済まさず、なんだかんだと主人公含めてキャラの背景には凄惨なものがありますし、容赦なく削っていく部分もあるのです。佞臣を重用し国政を蔑ろにし放埒な日々で国を傾けた挙句に、敵国の侵攻に最後には身一つで国も臣も捨てて逃げ出した、擁護のしようのない愚王。そんな愚かな王が、村を焼かれ家族も師も殺されて身一つで森のなかを彷徨う少年と出会い、共に何も持たない状態から一緒に過ごすことによって、初めて芽生える王としての自覚。これまで何もしてこなかった愚かな男の、五十を越えてからの初めて本気で、真剣に、自らを鍛え、学ぼうとする努力。あまりにも遅すぎて、しかし手遅れではなかった愚王の再起。この王様の生涯は、頼りなくて情けなくてしかし見離せない王様の頑張りには、胸を打たれざるを得ませんでした。人間、本当に手遅れな事は思っているよりも少ないのかもしれません。

ちょっと面白いなあ、と思ったところなんですけれど、この主人公のジュリオって軍師キャラとしては珍しいタイプなんですよね。彼には全くと言っていいくらいバックグラウンドがない。世界的に有名な師匠の元で学んだ弟子、というわけでもなく、最高の学舎で高等教育を受けた訳でも異界の知識を持っているわけでもない。異世界からの転生者でも、高貴な血筋の末裔などでもない、掛け値なしの最底辺の村人出身。それも、戦争によって焼け出された身の上で、森のなかで出会った王様と一緒になって、だんだんと集まってきた森に逃れてきた難民たちと作り上げた村の中で、自力で学び自力で鍛えたという完全な下からの叩き上げなのです。
古今の軍師キャラって、それに相応しい箔付けを持ってるもんなんですけれど、彼は本当にそういうもの何も持ってないんですよね。これはなかなか珍しいと思う。
そんな身の上のせいか、軍師としての戦い方も奇策や天才的な発想とは縁のない、わりと質実剛健な秀才タイプなんですよね。合戦の方も、突飛な戦法は何もなく、かなり地味と言えるかもしれません。でも、こういうの好みだなあ。派手で突飛なことがない分、むしろ彼の地力の高さを実感できますし、後のない籠城戦という切迫感と一体感が感じられましたし。敵将のクリスティーナが無能ではなく、こちらも優秀な良将だったことも伯仲した息の抜けない戦いになった要因だったんじゃないでしょうか。
こうして振り返ってみると。いや、ギャグの方のインパクトが凄すぎて、まずそっちに意識が持ってかれてましたけれど、うん、戦記部分も充分面白かったんだなあ。
掴みとしてはこれ以上ない出だしだったと思います。このまま大きく盛り上がって欲しい期待のシリーズですね。

壱日千次作品感想

ひきこもりパンデモニウム 2 4   

ひきこもりパンデモニウム2 (MF文庫J)

【ひきこもりパンデモニウム 2】 壱日千次/うすめ四郎 MF文庫J

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サタンの正体が日高見家の亡くなった長女・聖歌だと判明し、再び家族3人での生活を始めた春太たち。そんな中、ひきこもりを脱し学校に通い始めた義妹・久遠がクラスで孤立していないか心配する春太のもとに、久遠からSOSの“空メール”が送られてくる。慌てて一年の教室に駆けつけた春太は、クラスのイケメン・雷火が久遠に告白するため彼女を屋上に連れ出したことを知る。“×××されそうです(><)”。的外れな久遠のSOSにツッコミを入れつつも、気持ちが逸る春太。そんな彼に対して、雷火は久遠をかけて決闘を申し込んできた。そこに聖歌たち悪魔も絡めば、事態が明後日の方向へ向かうこと必至で―抱腹ハートフルギャグラブコメ待望の第2弾!
抱腹絶倒、という慣用句がそのままバッチリ当てはまるような、キレキレに切れまくったギャグラブコメディでした。比喩じゃなく笑いどころしかない、というか、間断なく襲ってくるギャグネタに落ち着く暇がないというか。突然予期せぬ方向からポンとネタを放り込んでくるんで、どうしても笑っちゃうんですよ。そこ、感動的シーンだったんじゃないのか、という流れで突然ネタ振りしはじめるし。恐るべきは、そのネタの放り込み方が全然無理してなくて、突然ギャグに舵を切るのも含めて自然にリズムに乗っているのですね。お陰で作品全体、立ち止まる所無く凄まじくテンポよく最後まで読み切ってしまえます。しかも、一本調子じゃなくてちゃんと緩急がついているので急き立てられて息も詰まるようなこともありませんし。ただ、一息入れているといきなりデカイネタが振り込まれたりするので油断はさっぱり出来ませんでしたが。
感心するのは、これだけ圧倒的なギャグ進行でありながら、しっかりとハートフルで思わず胸が温かくなるような家族の愛の物語になっているところでしょうか。前作でもそうだったんですけれど、主人公周辺が置かれた環境、状況ってなかなか笑えないくらい酷いもので、シリアスに振るとどこまでも陰鬱になれるバックグラウンドだったりするんですよね。それをこれだけすっとぼけた雰囲気に染め上げながら、しかし茶化してしまわずに真摯に切ない雰囲気を同居させられるのは、ただのギャグセンスだけじゃないセンスを感じさせられます。客観的に見るとギャグ展開以外の何者でもないんですけどね、今回なぞ特に。でも、当事者の日高見家の人たちはとても一生懸命で一途でひたむきなんで、凄く清々しいんですよ。見ていてホント、応援してあげたくなる。
変態だけどな!!
悪魔王のおねえちゃんが一番の常識人という限りなくアウトに近いアウトな一家である。
お姉ちゃんが不在の時期、このダメ兄妹がどうやって生活出来てきたのか、深刻に謎である。沙枝さんのサポートが結構あったんだろうか。沙枝さんといえば、彼女もちゃんと報われてくれてよかったなあ。家族間だけではなく、彼女が家族の外側からも手を差し伸べて抱きしめてくれたからこそ広がったものがあったわけですし。1.2倍相当だけど!! 
最後はかなりまきが入ってて畳み掛けるように終わってしまいましたが、最後の最後まで気持ちよく笑わせてくれる素敵なハッピーエンドでした。二巻で終わるのが勿体ないくらいみんなキャラ立ってたんで、ちと勿体ないですけどね。
ほんと、これだけお腹を抱えて笑わせてくれる作品は滅多ないので、次回も大いに期待したいです。

1巻感想

ひきこもりパンデモニウム4   

ひきこもりパンデモニウム (MF文庫J)

【ひきこもりパンデモニウム】 壱日千次/うすめ四郎 MF文庫J

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史上最強の退魔師・日高見久遠は引きこもりである。肝心の悪魔がやってこないため周囲から家業をバカにされ、久遠が力を発揮するのは自宅警備のみ。兄の春太は妹を学校に行かせようと奮闘するが、久遠の引きこもりスキルは磨きがかかるばかり。そんなある日、ついに念願(?)の悪魔軍が襲来。だが、最強の悪魔王サタンすら久遠の相手ではなく、悪魔軍はあっさりと降伏。しかも成り行きでサタンが地獄に帰れなくなり、退魔師兄妹と悪魔王の奇妙な同居生活が始まってしまった!?最強なのに引きこもりな妹と優しい(?)サタンたちとお贈りするハートフルギャグラブコメディ!


あははっはっ、やばい、期待以上に面白い!! おすすめ!

自宅警備って名目だけなのかと思ったら、自宅に地獄の門があったのですね。なるほど、それなら自宅警備して悪魔の侵入を防いでいたら、世界を守っていることになるのか。でも、実際に悪魔が召喚されることはこの百年全くなく、退魔師の技はまったくの役立たず。しかも、この退魔師の技は悪魔にしか通じず、同じ退魔のちからを持つものにしか見えず、現実世界には物理的にまったく影響を与えないので、自然と退魔師は詐欺師呼ばわり。史上最強の力を持つ久遠も、そのせいで虐められて引きこもるはめに。
お陰で、悪魔のいない平和を満喫するどころか、どうか悪魔さんいらっしゃい、と悪魔の召喚を待ち望んでしまっている兄妹なのだけれど、実際悪魔がやってきた時に幾らなんでも諸手をあげて歓迎し過ぎ!! 歓待のレベルがVIP扱いもいいところに。それ、倒す相手だから。撃退しないといけない相手だから! サタンさんも困ってらっしゃるから。
ちょっとおかしいのは引きこもってる妹だけなのかと思ったら、妹を社会復帰させようとしている兄貴の方も話が進むにつれて微妙に頭がおかしいことが明らかになっていく。いや、微妙じゃないな、大いに変だな! 
全体に掛け合いのすれ違いっぷりや、ボタンの掛け違い、会話の発想のすっ飛び方、素っ頓狂なやりとりなど、とにかく可笑しくて、テンポよくポンポンと変な方向に跳ねていくので楽しいのなんの。
それでいて、ギャグ特有の無理やり感、強引さや荒っぽさがあんまりなくて、話の進み方がすごくマイルドでやさしいんですよね。誰かがひどい目にあったりするのを笑い飛ばしたりする系統じゃないので、お陰で、笑いも腹の底から笑えると同時にほんわかとなるものであったりします。これぞ、ハートフルコメディってかんじでしたねえ。
でも、このギャグセンスは前作の時から感じていた通り、ちょっと突き抜けたものがあります。いやあ、前作けっこうきつい展開の連続だったので、主人公たちの厳しい状況を思うとあんまり心から笑えなかったのからすると、久遠、春太、サタンのあんまり憂いのないのんびりとした家族間のバカ話は構える必要がなくて、安心して笑えたんですよね。その意味では、よりコメディとしての濃度は高まっていたんじゃないかと。
そう安心していたら、いきなりラスト近辺で急展開となり、終わってみるとほんのり目尻に涙が浮かぶイイ話になっていて驚愕!! いや、マジですごく良い話になっちゃったんですけれど。
今回の久遠と春太も、退魔師という仕事から世間から半ば排斥され孤立した過酷な状況であった上に、養子である春太に隠された日高見家の苦悩と秘密、そして早くして亡くなってしまった姉の残照など、切なくも重苦しい設定はしんなりと横たわっていたので、気になってはいたのですけれど、まさかこういう展開が待っているとは。春太に隠されていた秘密についてはなんとなく予想がついていたのですが、サタンについては全然気づかなかったなあ。うわぁ、全部わかってから振り返ってみると、こんなに愛情深い話もないですよ。切なくも胸があったかくなるイイ話じゃないですか。全員アホのくせに。アホのくせに。良かったねえ。
まわりまわって、みなが笑顔になれるハッピーエンドになれて、本当に良かったです。
これ、シリーズ続くのかな。このままここで終わっても綺麗ですし、そのまま続いてくれるのもこのアホな子たちを愛でられるので嬉しいのですけれど、この調子なら新作に新たにとりかかっても全然大丈夫そうなので、どっちでもばっちこーい、な感じです。
あー、面白かった。

壱日千次作品感想

社会的には死んでも君を! 33   

社会的には死んでも君を!3 (MF文庫 J い 5-3)

【社会的には死んでも君を! 3】 壱日千次/明星かがよ MF文庫J

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ちょっとスケベなハプニングが起こる呪い『ラブコメ現象』のせいで、周囲から嫌われている男子高校生・薩摩八平。彼の周りにも、ようやく彼のことを理解してくれる人々(だいたい美少女……だが変態)が集まってきた。八平は、彼女らと共に無人島へと旅行へ行くことに。美少女たちの水着姿に歓喜したり、懐かしの人間大砲で飛ばされたりと、楽しい(?)時間を過ごしていた。しかし、彼の前に試練が訪れる。それは、八平が心から愛する幽霊の少女・香月の消失だった――! 純情少年と幽霊少女が織り成す、ハートフル・アンチ・ラブコメディ待望の第3弾!
香月の正体が予想の斜め上……いや、斜め下を行っていた。これは酷い、誰が悪いって訳でもない話なんだが、これは酷い! いくら何でも香月がこれ可哀想すぎるだろう。ある意味死にたくなるような正体だぞ。ってか、普通に死んで幽霊になってた方がまだマシだったんじゃないだろうか。少なくともそれなら、生前の歴史が彼女には備わっていたはずなのだから。
八平以外で唯一香月の存在を認識できる柚姫の登場で辿り着いてしまった香月の謎の真相は、八平と香月にとって僅かな期待をもなぎ払うものだったはずだ。香月の正体が分からない、という事はもしかして香月には戻れる肉体があるかもしれない。【GS美神】のおキヌちゃんみたく、生き返る余地があるかもしれない。それは二人にとって期待するにも値しないゼロに近い可能性だったかもしれないけれど、奇跡として夢見てもいい可能性ではあったわけですよ。ところが、真実はそうした淡い期待をも一切許さないものだった。
と、同時に八平にはこれまでの不遇に耐え続けてきた頑張りが報われるように、彼が侵された呪いを知った上で彼の気高いまでの努力を讃え、受け入れ、呪いも含めて彼を愛してくれる女性たちが現れたのです。
決して報われる事がないと分かってしまった人との恋と、これまでの苦労をすべてを報いてくれるだろう女性との恋。丁度、相対する道が現れた時、香月が以前の彼女の自作自演と違って本当に八平の前から消えてしまいます。香月はついに八平にとっても姿が見えず、声も聞こえない存在になってしまったのでした。
それでも、ようやく陽の下を真っ当に歩める、幸せが約束されたような道が示されながらもなお、彼はそれに背を向けて、香月の元へと向かうのです。全部知った上で好きだと身も心もなげうって告白してくれた相手に、キッチリとごめんなさいをして、彼は決して報われないと分かってしまった恋へと脇目もふらずに走りだしたのです。
昨今稀に見る、一途な主人公ですよ、こいつは。
中学生の頃から暗黒のような日々を送っていた八平は、鈴音たちから好意を向けられ、これまで自分が培ってきた努力を認められ、褒められた事にとても感動してたんですよね。嬉し泣きしそうなほどに、幸せを感じていた。そんな描写が繰り返し繰り返し描かれてた、それだけ本当に八平は天にも昇る心地だったのでしょう。
それでも、八平はようやく報われた幸福を投げ打って、香月を選んだのです。たとえ再び暗黒の時代に戻ろうとも、香月と一緒に居ることを、自分以外の誰にも存在を認識できない、客観的に見れば脳内彼女でしかない香月と居続けることを。
最後まで漢でした、薩摩八平は。
何も知らなければ奇行を繰り返す上に性犯罪紛いのセクハラを何度もやらかす危ない人間なんですけどね。香月が見えていた柚姫は別として、よくまあ何も知らない鈴香は薩摩八平という男の本質を見抜いたもんです。よっぽど男見る目あったんだろうなあ。八平が正直鈴香にはかなりぐらついたのも無理ないのでしょうか。

結末は大団円とするには、八平と香月には辛いだろう繋がりのままなのですが、二人がそれで満たされているようなので、ちゃんと悲恋混じりとはいえハッピーエンドだったんだろうなあ。何だかんだと限定的にだけれど、香月が八平だけにしか見えないし声が聞こえない存在、ではなくなり、香月がみんなとちゃんと友達になれて孤独じゃなくなった事については文句なしのハッピーエンドだったわけですし。
期待したよりもちょっとより定例的なラブコメよりに傾いた最終巻でしたが、それでも決して結ばれない男女の切ない一途な悲恋モノとして、最後まで飽きさせない読み応えのある一作でした。次回作も期待。

1巻 2巻感想

社会的には死んでも君を! 24   

社会的には死んでも君を! 2 (MF文庫J)

【社会的には死んでも君を! 2】 壱日千次/明星かがよ MF文庫J

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首ブリッジをしたり、彼に憑いている香月に周囲を警戒してもらったりと、『ラブコメ現象』を回避するため、日夜努力を欠かさない薩摩八平。そんなある日、1日に2回しか起こらないはずの『ラブコメ現象』が4回起きてしまう。八平は呪いが強化されたのではないかと不安になる。顔に白濁した液体がぶっかかる『ラブコメ現象』を起こした魅剣柚姫を監視する香月。彼女はただの変態さんのようで、『ラブコメ現象』が増加したわけではなかった。しかし、どうやら柚姫には香月のことが見えているようで……!? 純情少年と幽霊少女が織り成す、ハートフル・アンチ・ラブコメディ第2弾開幕!!
うわぁ、切ない。やっぱり切ないよ、この話。八平以外には誰にも見えず、声を聞くことも出来ない幽霊少女香月。故にこそ、この二人のやり取りというのは傍目から見ると、脳内彼女と一人遊びしている痛いヤツ、にしか見えないんですよね。決して誰からも理解されず、認められず、受け入れられず、奇異と忌避と嫌悪の目でしか見られない宿命にあるのが、八平と香月の恋なのです。その上、八平にはラブコメ現象というラッキースケベを強制的に発動してしまう原因不明の呪いがまとわりついている。おはなしの上では笑い話で済むラッキースケベも、現実世界で起こってしまえばただの性犯罪。中学時代、将来を嘱望され彼自身青春を賭けていた野球を、この呪いのせいで辞めなければならなくなった過去を持つ八平。性犯罪者と蔑まれ、女の敵と嫌悪され、人間のクズと憎まれて、社会的に抹殺されかかった八平は、高校生になった今、非常の努力を重ね、対策を練り、日々襲来するラブコメ現象と戦っているのです。社会的に死ぬって、真剣に考えるととんでもないことなんですよね。笑ってられない。それってもう、まともな人間として扱って貰えず、普通に生きていく事すら出来なくなるということなのである。それがどれだけ悲惨なことなのか、恐ろしいことなのか。過去に実際そうなりかけた事のある八平は、そんな恐怖と毎日戦っているわけだ。中学時代と違って高校生になった今、一ツ間違えれば本当に冗談じゃすまなくなる、警察沙汰に成りかねないわけですしね。
そんな本来なら生きて行くだけで精一杯で心の余裕なんかないにも関わらず、彼は前巻で想いを通じ合わせ、恋人になった幽霊の香月を思いやり、誰とも触れ合えない彼女が喜ぶであろう事を、それこそ自分の社会的な立場と引換の綱渡りのようなやり繰りで尽力していくのである。その必死さ、健気さ、ひたむきさは見ていて涙が出てきそうなほど献身的なのだ。そんな無類の愛情を受ける香月もまた、何も彼のためにしてやれない自分の無力さに苦しみ、彼の立場を危うくするしかない自分の存在を恨み、それでも彼を愛さずにはいられない欲求に、愛して貰うことを求めてしまう事に密やかに咽ぶのだ。その切実さ、儚さ、懸命さにはこちらも涙が出そうになる。こんなにも二人はお互いに愛し合い、互いを思いやっているのに、二人を取り巻く世界は彼らに優しくしてくれないのだ。いつだって、彼らを哀しませ、苦しませようとするのだ。なんて理不尽で、悲しい事なんだろう。
なんて切ない、悲恋なのだろう。
二人の苦労も、前向きな努力もむなしく、呪いは八平をただの卑しい性犯罪者という認識を周りに広め、見えない香月の存在は八平を痛々しい脳内妄想に耽溺する異常者と皆に誤解させ、彼の社会的立場は崖っぷちへと立たされる事になるのです。幸いにも、彼のラブコメ現象の最大の被害者である鈴音が彼を擁護し、彼の行為そのものを受容する旨を皆に宣言したことで、かろうじて彼の立場は守られるわけだけれど、現実の女性が八平を救う事が香月を苦しませ、そんな恋人の懊悩も、鈴音の想いも知らないまま、八平はひたすらに香月を想い続けるのである。
初めて、第三者であり彼らを取り巻く全ての事情、あらゆる理不尽を知った柚姫の目から見た、八平と香月の逢瀬。このラストシーンを見たときの事をなんと表現したらいいでしょう。
これほど神聖にして侵しがたい、切なく美しい情景を、私は知りません。
すごいなあ。一巻の段階でもう既に悲恋たる純愛モノとして際立ったものがありましたけれど、少なくとも香月と八平のピュアラブストーリーとしては、この二巻でより純化されたような気がします。もういっそ、余計なラブコメは撤して、より濃厚に、鮮烈に、二人の物語に特化してもいいんじゃないでしょうか。

八平の頭痛や柚姫と香月の関係などからして、どうやら、気配的に次の巻で完結の匂いがしてきましたけれど、出来れば感動のハッピーエンドを迎えて欲しい。この二人が幸せになれないなんて、嘘ですよ。

1巻感想

社会的には死んでも君を!4   

社会的には死んでも君を! (MF文庫 J い)

【社会的には死んでも君を!】 壱日千次/明星かがよ MF文庫J

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薩摩八平には呪いがかかっている。その名も『ラブコメ現象』――それは呪いじゃなくて祝福だろ! と言われそうな、ちょっとエッチなハプニングが起こってしまうのだ。元凶(?)は八平に憑いている幽霊(らしい)、香月。八平以外の人間には見ることも声を聞くこともできない香月と出会って以来、八平の生活はラブコメ現象によってさんざんなものだったが、それでも八平は香月と出会えたことを後悔していない。なぜなら、香月が美少女だから。見えない女の子と喋るイタい男と思われても、ヤンデレ同級生に迫られても、美人な姉にストーカーされても、香月に触ることができなくても!「それでも君を○○!」一途でまっすぐな八平の、アンチラブコメ生活!
アンチラブコメと銘打ちつつ、真っ当にラブコメです! いや、厳密に鑑みるなら微妙にラブコメと違うのかも知れないな、これ。
第6回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作作品、ということで新人作品なわけですが、ぶっちゃけて言うとこれ小説としては技量的に稚拙な部分が多々見受けられる。文章構成はとてもじゃないけど、上手いとはお世辞にも言えません。
ただね、そういう下手さを補って余りあるほど、面白い! 面白かった!!
これは面白かった!!
三斗繰り返しました。
これって、いわゆる典型的なラブコメもの、なんですが上記したように微妙に違うんですよね。厳密に言うとこれ「悲恋もの」に分類していいラブストーリーなんじゃないだろうか。
メインヒロインの香月は八平以外の誰にも見えない幽霊。この手のお話だと、八平以外にも彼女を認識出来る霊能者的なヒロインだか敵キャラだかが出てくるものですけど、この作品では八平以外には本当に誰も香月の事は見えないし、声は聞こえない、その存在を認識出来ない。香月の存在を八平以外で知っているのは同居している義姉の霧子だけで、それも半ば以上本当に香月がいるのか信じていなくて、八平の脳内彼女なのだろうと思い込んでいる。当然、香月とコミュニケーションを取ろうという発想すら無いわけです。
つまり、香月は八平以外に喋る相手がいないという孤独を内包しているのですが、彼女には八平が中学生のころにどうも自分が原因らしいラブコメ現象と、誰にも見えない自分と喋ることで気持ち悪い独り言をブツブツとつぶやいている気持ち悪い人扱いされ、社会的に死んだような目にあい、将来の夢も奪ってしまった、という負い目があるお陰で、この手の取り憑き幽霊キャラとしては珍しいくらい控えめで、八平優先なんですよね。なるべく八平に自分のせいで奇矯な振る舞いをさせないように何時も気を配っている。
ところが、この八平がまたイイ奴で、しかも香月にマジ惚れしているものだから、なるべく彼女を寂しがらせないよう、蔑ろにしないように、大切に扱っているのです。彼女がどれだけ孤独なのか、この少年はとても良く理解してるんですね。だから、再び中学時代のように社会的に死んだように生きる事は避けようとしながら、一生懸命ギリギリのラインで頑張って香月と一緒に過している。
香月はそんな彼の優しさを嬉しく思いながらも、だからこそ彼に中学時代のような辛い思いをさせたくなくて、高校に入って親しい女の子や友人が出来、なんとか楽しい学生生活を送る八平を自分の事のように喜び、応援していくのですが、それでも彼が女の子と親しくするさまを見て切なさに心を痛め、自分の存在が彼の足枷になっている事実に苦悩を深めていくのです。
どれだけ好いても、誰にも見えない自分の存在は世間にとっては八平の妄想でしかない。彼が自分に構えば構うほど、彼の社会的な立場は危うくなっていく。そして何より、幽霊のような幽かな存在である自分は、八平に触れられない。八平に触れて貰えない。温もりを分け合う事も、肌を合わせる事も出来ない。彼を慰めてあげることすらも出来ない。
それは、少女にとっての絶望で、悲嘆で、つまりは叶わぬ恋なのでした。
八平と香月の関係は気心が知れた息のあった相棒のようで、それ以上に成熟した恋人未満みたいにとても仲睦まじくて、お互いを大切に思っていて、何よりお互いに恋焦がれていて、だからこそ切ない。バカバカしくも賑やかなラブコメらしいラブコメなんだけれど、それ故にここぞというときに現れる二人の切ない焦がれる想いが作品の空気を一色に染め上げていったように思います。
社会的に死んでも君を。このタイトル、てっきり世界を敵に回しても、的な物言いの言い回しなのかと思ったけれど、うん、確かに世界だとかそういう大仰なモノを敵にまわすような話ではありませんでしたね。でも、その愛は貫けば貫くほど世間からは正気を疑われ、気が狂ったかと思われ、まさに社会的に死んでいく。そして、その愛はこのままなら決して報われる事はない。どれほど愛しあい恋焦がれても、二人は触れ合うことも出来ないのだから。
それでも、その愛を貫くというのなら、それは紛う事無き純愛なのでしょう。ふざけたようなタイトルと見せかけて、これ真っ向勝負のピュアラブストーリーなのでした。
やばいなあ、八平と香月の健気なまでの想いに、ちょっと感動してしまったかも。

他のヒロイン衆は、これは別の意味でヤバいです。ヤンデレ率が高すぎる! 重たすぎる!!(笑
その分、ワントップであるかのように、ドジっこ生徒会長の鈴音さんがヒロインスペックがやたら高くて、秘めた純愛パートのヒロインが香月なら、表のラブコメのヒロインは間違いなく鈴音でしたね。年上でやり手の生徒会長のはずなのに、ちょとかわいすぎますよこのヒト。
比べて、染谷と霧子はちょっとアウトすぎる(苦笑
 
12月1日

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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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