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夕薙

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 7 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★☆   



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 7 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】  タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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次なる暗躍は――聖女レティシアに迫る闇を払え!

記念式典の裏で動き出した犯罪組織グリモワール。聖女レティシアを狙う彼らを討伐すべく、それぞれ動き出すアルとレオだったが、二人を待ち受けていたのは帝都全体を巻き込まんとする更なる強大な陰謀だった……!

レティシアさん、アルが民草の事は考えてない、というのは流石に見立て違いじゃないだろうか。シルバーがあれはギルドの理念に基づいているのか、常々一般市民を優先で働いているのを見ているだけに、それはちょっと違うんじゃないですか、と思ってしまった。まあそれだけ、親しくなった人にも一番奥底は見せていないという事なのかもしれない。王様に向いてはいないかもしれないけれど、やるとなったら向き不向きはうっちゃってやってのけるんだろうなあ。
ともあれ、今回はレオの主人公回でありました。やっぱり男はヒロインが居てこそ一本芯が通るというものです。
今までのレオは、理想的な英雄の道を歩んでいたと言えます。理念があり理想があり信念があり、家族への愛情があり親しい者たちへの親愛がありました。でも、そこにはレオナルト個人としての原動力となるものがあまり感じられなかったんですよね。キラキラとしたものはあっても、ギラギラとした個人としての欲望、滾る炎が見当たらないからどこか存在感が軽いものがあったのです。
彼を神輿に掲げる人達には関係のないことでしょうし、彼を指揮官に戦う将兵たちにとっても今までのレオで十分だったでしょう。でも、王になるとして、主人公となるとして、彼の拠り所が理想と家族にしかないというのはどこか頼りなかった。
でも、今回彼個人の最優先するべき確かな拠り所ができたわけです。レティシアという彼にとっての芯が通ったことで、レオナルトに揺るぎない重みが生まれたのでした。
……むしろ、未だにフラフラしているアルの方が逆転して軽く感じるようにすらなった気がするぞ。
君の方はなにをしてるんだ?
アルの方にはレオに通ったような芯が通っているのだろうか。フィーネとエルナへのそれは相変わらず中途半端というか、お前が弟をけしかけられるような立場か、というような曖昧さですしねえ。
弟を皇帝にする。家族の身の安全を確保する。それは立派な動機だけれど、そこからさらに上積みをしてみせたレオに対して、アルはどうなんだろうね、というあたりがちょっと気になってきた。アルの方は成長しているのだろうか。
とりあえず、裏で進んでいるであろう陰謀に対して、出来得る限り最適に対応している、とは言えるんだろうけれど、なんかモグラ叩きじゃないけれど、主導権握られっぱなしで対処療法に駆けずり回っている、という印象でそれは暗躍している、とはイイ難い気がする。カバーできているとはいえ、先手が全然取れないまま、というのは策謀家としては些か物足りないなあ。
だいたい、ズルズルとゴードンやザンドラみたいな三流相手に決着つけられないまま、しかも未だにイニシアチブを握られていて叩き潰せていない、というのがねえ。長々と相手するような立派な敵じゃないですしねえ。
まあ、向こうに回してこれは恐ろしい、というような大した敵が今までも居たわけじゃないのですが。未だにヘンリックみたいな雑魚に好き勝手喚かせているというのも、なにやってんだと思ってしまいますし。先にアルが大暴れして自分を舐め腐ってたバカ貴族どもを粛清したのに、似たようなバカ全然減ってないんじゃないの、これ。脅しにもならなかったんだろうか、あれ。
あと、聖女様まわりの政治的な状況、説明されてもちょっとなんでそうなるの? という話ばかりであんまり納得いかなかったなあ。粛清を受け入れていたのも理由含めてよくわからんかったけれど、聖女様、レオに嫁いできちゃったら戦争の機運が萎むどころか、むしろ煽ることになるんじゃないの?
そもそも帝国自体も、せっかく掌中に様々な他国の駒が入ってきている状況なのに、うまく利用するどころか逆に政略謀略のネタにされて振り回されているのを見ると、外交下手か、と思ってしまうところだし、皇帝パパからしてあんた、子供らに実質殺し合いになるような帝位争いさせておいて、身内同士の争いに外国が手を伸ばしてこない、と本気で思ってたんだろうか。裏切らないと信じるにしても、他国にまんまと利用されない、と信じるにしても、それは楽観がすぎる。頭に花畑が咲いていると言いたくなりますぞ。実のところ、あんまり父帝って名君の類には見えないんだよなあ。ザンドラも処分してないからあんな事になるんだし。


最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 6 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★☆   



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 6 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】  タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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次なる暗躍は――表の顔、出涸らし皇子の実力を知らしめろ!?

フィーネに殺到する若手貴族からの結婚の申し込み。歯止めの利かない状況を打破すべく、皇族の力を存分に使うアルに貴族たちは為す術もなく……。そして、ついに開かれる記念式典の来賓にはレオの初恋の相手が!?

これ、今回のフィーネにちょっかいを出そうとした若手貴族たちを一網打尽にした作戦、結構なやらかし案件だったんじゃないだろうか。
皇帝の権威まで持ち出して、事を最大限大きくしていわゆる「大事」にしたのはそれだけフィーネと自分との間を邪魔してくる連中を根絶やしにしたかったからなんだろうけど、結果としてアルは状況のコントロールに大失敗してるんですよね。その挙げ句、国内で内乱が置きかねない、そうでなくても貴族家と皇家の間に修復し難い亀裂が生じる、或いは国内の連携がガタガタになって戦力が喪われる、みたいなかなり酷い混乱が起こりかねない瀬戸際まで行っちゃったわけですから。
一応、アルが事を収めた形になってますけれど、状況をここまで混乱させたのは彼の強硬手段によるものですし、途中からコントロール手放して皇帝に丸投げしてしまった部分もありましたしね。
正直、ここまで大事になってしまったのは評価できないですね、かなりの禍根を残してしまいましたし。元々、ラウレンツたちが自分の感情を制御できない愚かさからこそ起こった案件なのですから、その上彼らの感情をあれだけ逆撫でして徹底的に叩いておきながら、彼と落とし所を共有できると考えた方がちょっとどうなのかな、と。相手らがバカなのを利用しておいて、そのバカさに振り回されてたらねえ。
皇太子妃が皇后を引っ張り出してきたのだって、結局感情の問題ですしね。そもそもアルがこの件を強圧的に片付けようとしたのもアルの感情に基づくものだったのですから、ややも感情がもたらすものを軽視してしまったのかな、と思ってしまうわけです。どれほど愚かでも肉親は肉親、これで皇太子妃やラウレンツの姉だという近衛騎士団長とも隔意が生まれてしまった、禍根が残ったと考えるほうが自然でしょう。レオのフリまでしてしまったことで、なんかアル個人じゃなくて彼らの陣営そのものへのヘイトも集めてしまったように思いますし。
なんか、冷徹な判断もできるとレオの評価高まってるみたいですけれど、直接家に被害くらった人らは恨むでしょう、普通。悪いのは自分達の子息と頭ではわかっていても、それで納得できるかというのはまた別な話ですしね。オマケに、アルが煽った節まであるわけですし。
やり方としてもっと穏当というか、ここまで周りを巻き込む形でないやり方もあったと思うんですよね。軍師候補の人が行ってたみたいなフィーネを巻き込むやり方じゃなくても、親の方はまともな人物が多かったようですし、そちら側からアプローチかけて喫緊の強行を防ぎつつ、あとは個別にプチプチと狙い撃ちして潰していくようなスマートなやり方だって、色々とあったでしょう。
結局は、そうした迂遠な方法を選ばなかったのは、アルがブチ切れたからなんですよね、これ見る限り。自分とフィーネの間柄に口出ししてくるんじゃねえ、という怒りが撃滅・滅殺、全殺し、という殺意の塊みたいな過激なやり方になってしまったようにしか見えない。
フィーネのためではなく、あくまでアルの感情に基づく行動だった、と。
まあそういう情動を悪いとは思わないですし、悪いのはあの若手貴族たちなのは間違いないのですけれど、やり方としては褒められてものではなかった、悪手のたぐいだったと思ってしまいます。あの軍師候補の人になんで合格貰えたのは、正直わからんw
それに、あれだけ過敏にフィーネを自分から遠ざけよう、彼女と一緒にいることを邪魔しようとする相手を徹底的に叩き潰すような真似をしておきながら、肝心のフィーネとの関係は全くはっきりさせるつもりもないまま曖昧に放置しているのは、これも正直ずるいと思う。
ああ、なるほど。なんか今回のアルのやり方に不満というか納得がいかないというか、あんまり良い気分にならない理由がわかった。
俺の女に手を出すな、とはっきり自分の立ち位置を表明した上で、ちょっかい掛けてきた連中を叩き潰していたのなら、それはそれですっきりするものがあったのでしょう。
でも、彼女との関係を曖昧にしたままそれをはっきりさせるつもりもないアルは、あの若手貴族連中と実のところあんまり大差ないんじゃないだろうか。勿論、フィーネが望んでいるという一点において、若手貴族たちとは決定的な隔たりがあるのだけれど、アルはそんなフィーネの意思に甘えていないか、と思うんですよね、そう云う所がどうにもズルいと感じてしまったのでした。

はっきりせいよ! それに尽きる。

さて、一方で継承争いについても新たな進展が。進展というより、新たな観点が加わった、というべきか。前回の継承戦を覚えている人から提示される違和感、そして皇太子の死を契機に変貌してしまった皇子たち。
いやでも、上位の皇子たち、本来なら皇帝になるのに相応しい人品や能力だったのが別人みたいになってる、って別人に入れ替わっているわけではないみたいですし、性格に変化が出ているようなのだけど、そんな精神の変容が一人二人ではなく、というのはどう考えればいいのだろう。
なにやら背後で「悪魔」たちの動向が見えてきているのもあるけれど、うーん。精神面から変容させてしまうことで帝国に混乱をもたらそうというのなら、別に皇子たちじゃなくてもいいんですよね。直接皇帝やら宰相やらを狙い撃ちにしてもいいし、そもそもどうやったのかというのがわからないし。なんともモヤモヤする所だなあ。

と、ここでようやくレオにとってのヒロインが。他国の聖女様というのは、お妃様として引っ張ってこれる人材なんだろうか。ただ真面目で堅物というわけではなく、愛嬌とユーモアを兼ね備えた人みたいですし、レオのコンプレックスを包み込んでくれる人みたいなのでこのまま本当に彼のヒロインになってくれればいいのですけれど、見方を変えるとレオの闇落ちの触媒にもなりかねないからなあw
あと、あのレオ付きのメイドさん、書籍版だけのキャラみたいだけどどうにも持て余してますよねえ。居ても居なくてもいい存在感、というかもうむしろなんか置物みたいな扱いですし。これなら登場させなかった方が良かったんじゃないだろうか。


最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 5 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★★  



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 5 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】  タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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次なる暗躍は――最強の結界使い“仙姫”を護衛せよ!

200年ぶりに目覚めた強力モンスター討伐のため招かれた最強の結界使い“仙姫”オリヒメ。彼女に気に入られたアルは護衛(接待)役に任命されてしまい!? シルバー不在の状況で大規模討戦が開始されてしまう!

いい加減もう評判落とすのは不都合の方が増えてくるんじゃないだろうか。侮られている方が動きやすい、なんて言っているけれど、もうここまで色々と動いて実績をあげてしまうと、見る目のある人はアルベルトの資質については見抜いているでしょう。宰相含めて、アルが油断できない人物であると気づいている人の有無については結構触れられるようになりましたし。
そうなってくると、本来油断を誘いたいような抜け目ない人物はアルの事を見抜いていて、そういう人を見る目がない人ほどアルを侮って余計なちょっかいを掛けてくる、という状況に実際なりつつあるようにも見えるんですよね。
ぶっちゃけ、これまでのアルの働きでも彼がぼんくらを装うことで効果あった事ってありましたっけ。何らかの局面を動かす際はアル自身の資質を見せつけ、あるいは証明することで人を動かし局面をひっくり返していたように思うんですよね。
結局、認められないと人も物事も動いてくれないじゃないですか。それどころか、余計な邪魔ばかりが入るようになる事の方が多いんじゃないでしょうか。そうなってくると、アルが自分の評判落とすのってもう害でしかなく、それこそ暗躍するためじゃなくて楽するための方が無意識に目的になってきちゃってないですかね。フィーネと一緒に居たいと思うなら、尚更に自分の立場を確保しなきゃいけないんじゃないだろうか。

皇帝陛下の誕生祭に向けて、賓客の接待役として王族を配するために帝位争いも一旦停止せよ、というお達しもあり、今回は味方を増やし功績を上げ敵勢力を削っていくという争いは鳴りを潜め、その代わりに大型モンスターの復活に伴う冒険者ギルドとシルバーとのいざこざが話のメインとなってくる。
これ、どう考えても冒険者ギルドが大ポカしまくってるんですよね。帝国内に留まらず多国に跨る組織ということで一定以上の権力を持つ冒険者ギルドだけれど、ここまでやらかしたら帝国政府もガンガン詰めて相手の失点論っていきゃあいいのになあ、と思わないでもないのだけれど、今回は皇帝も宰相も、外務大臣の第二王子エリクも動きが鈍いんですよねえ、なんでだろう。
というわけで、シルバーとしての活動が増えるアルだけれど、いい加減親しい人物には正体明かしてもいいんじゃない? と思っていた最中だったので、セバスのお説教にはちょっと考えさせられました。
確かにセバスの言う通り、シルバーとして共闘する事の多いエルナに、自分の正体を明かすのって……別に意味ないっちゃ意味ないんですよね。少なくとも、今の帝位争いにおいてエルナに正体バラすのにメリットがあるかというと……今の所シルバーとしても普通に協力出来ているし、関係ないのかなあ、と。いや、ちゃんと正体明かしていた方がいざという時意思の疎通とかしやすいし、色々と便宜図ってもらったり口裏合わせて貰ったり、変に対抗心抱かせずにコチラの意図を伝えて考えどおり動いてもらったり、とメリットの方が多い気もするんだけれど……。
……いや、やっぱり正体ちゃんとエルナには明かしておいた方がいいんじゃね?
確かに、もうエルナにはばらしていいんじゃないか、とアルが思うに至った理由にはセバスの指摘する通り、エルナに秘密にしている罪悪感から楽になりたい、という気持ちが大半だったんでしょうけれど。
セバスの言うこともわかるんですよね。ただ自分が楽になりたいが為にこれまでやってきた事を投げ出すのは、違うだろうというのも。シルバーというカードを秘密にして帝位争いをやり遂げると決めて、エルナに秘密を作ったのなら最後まで筋を通せ、というのもね。覚悟が問われている、というべきなのでしょう。最も親しいエルナにすら秘密を守り通せなかったら、狡猾なエリク王子にバレずに戦えるものか、というのも。
あれだけ健気に一途に、自分に献身してくれるエルナを目の当たりにしたら、そりゃまあ全部告白したくなるのも、それはそれでわかるんですけどね。
エルナに対しては不義理でもあるのでしょうし。教えて貰えなかったと知ったら、あとで傷つくでしょうしね、エルナも。何しろ、フィーネはシルバーの正体知ってるわけですし。
知ってるフィーネに、アルはそりゃもう色々と頼って精神的にも寄りかかるわけですし。
フィーネに甘えるの、それはそれでだいぶ楽してると思うんですけどね、アルさんや。

ともあれ、今回は概ね冒険者パートで、一番の盛り上がりも霊亀という巨大モンスターとの大規模バトルで。最強の矛である勇者エルナと、最硬の盾と謳われる仙姫オリヒメ、というこれまたお転婆ヤンチャなお姫様の角つき合わせ、額ぶつけ合ってメンチ切り合うような喧嘩するほどなんとやら、なバチバチした関係がメリハリあって良かったですねえ。
オリヒメといい、あの凄腕の面白ぬいぐるみといい、結構新キャラ、濃い人多かったような気がします。ぬいぐるみの方は部下に雇えて、護衛戦力としても盛り上げ役のマスコットとしてもなかなか良いキャラクターを加えられたんじゃないでしょうか。
ゴードンはもうあれダメだなあ。もうどこをどう転がしても、皇帝になる資格全然ないじゃないか。あの軍師の子は、あれでゴードンの元から離脱した、ということでいいんだろうか。
こうなると、当面敵はもう第二王子のエリクのみになりそうなんだけど、彼は彼でまったく動きを見せないし、対抗勢力としてわかりやすかったザンドラやゴードンと違って、どんな風な形で相対するのかよくわからないんですよねえ。
落ち目も落ち目なゴードンは暴発するくらいしか後なさそうですけど、ザンドラの方は直接的には帝位争いから脱落したとはいえ、あれを他国に嫁がせてしまうと余計な火種を外に撒いてしまうようにしか見えないので、もうちゃんと片付けた方がいいと思うんだけどなあ。皇帝陛下だって、愛情なんかないだろうに。


エリスの聖杯 3 ★★★★★   



【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

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「ごめんね、スカーレット。本当に、ごめん」

希代の悪女の亡霊スカーレットと、その復讐につきあうことになった地味令嬢のコンスタンス。
奇縁で結ばれた令嬢コンビはついに、十年前の処刑の真相へと辿りつく。
あとは順に復讐相手を見つけ出していくだけ、と気炎をあげるスカーレット。だが、王国内で
暗躍を続ける組織【暁の鶏】は、コニーやランドルフを『エリスの聖杯』の邪魔者であると認識し、
その排除のために動き出していた。
敵の意図を看破したコニーは、あえて冤罪を被って収監されることで、ランドルフの行動の自由を
確保する。しかし、そんな彼女に下された王命は『十年ぶりの公開処刑』だった――!
十年前のサン・マルクス広場、処刑場での邂逅から始まった二人の少女の物語。その果てに待つ
運命とは!? 感動の第三弾!!

はぁぁーーーー…………。素晴らしかった。うん、これを傑作、これを名作と言わずして何という、というレベルのお話でした。感動した。泣いた(語彙力
スカーレットを処刑した犯人、と言ってしまうのは語弊なのだけれど、彼女を死なせる決断をした当事者があまりにも衝撃的だった2巻のそれを引き摺りつつのこの三巻、この完結編。
スカーレットの処刑にまつわる真相はほぼ明らかになった以上、待っているのは解決編であり決着であったのだけれど、スカーレットの処刑の真相がああであった以上悲劇は既に起こってしまっている。これをどうスッキリ終わらせるのか。スカーレットの望む復讐をどう成し遂げるのか。
ちょっと途方に暮れてすらいたのだけれど、冒頭からそのまず最大の壁をスカーレットとコニーはひょいっと越えていってくれたんですよね。ランドルフ閣下が口ごもり躊躇するほどにその真相は残酷だったのに、この娘二人と来たら……強いなあ。
あれ、スカーレットパパを引っ叩いたのはスカーレットじゃなくて、コニーの方なんですよね。引っ叩いておきながら、あれだけビビってるのはこの娘らしいんだけど、あれだけ叩いたあとにビビるくせに衝動的にぶっ叩いたんじゃなくて、ちゃんと考えた上でぶっ叩くのがコニーらしいというべきかなんというか。
スカーレットの処刑を、果たしてアドルファスはどのように受け止めたのか。それをスカーレットの母と出会い、愛を育む所から描いてからあのスカーレット処刑後の様子を克明に描いた上での、あのボロボロに崩れ去った慟哭ですよ、あの遺骨を胸に抱いて咽び泣く挿絵ですよ。
彼の後悔が、絶望がどれほどのものだったのか、有無を言わさず刷り込んでくる。だからこそ、だからこその救いである。
この時点で、いつのまにかスカーレットの復讐って意味が変わってしまっているんですね。まだコニーとスカーレットの中では捉えきれていないけれど、物語上では見事に意味合いが変転している。
それは、コニーがハメられてスカーレットの処刑の再現に当てはめられた時を境に、スカーレットの中でも彼女の復讐、つまり執着、現世にしがみつく祈りは実際の形へと疾走して追いついていく。
自分が何のために、この世に幽霊として顕在しているのか。どうして、コニーなんて小娘にくっついているのか。
彼女にとって、幽霊となってコニーに復讐の手伝いをさせていたのは、過去の精算とはまた少し違っていたのだと、最後まで読むとわかるんですよね。
心残りを晴らすためではなく、過去の後始末をつけるわけでもなく、かつて自分を陥れたものたちに思い知らせてやる……つもりは勿論多分あるけれど、まあそれは落とし前というやつだ。きっちりしっかりミッチリとやっておかなきゃならないことだけれど、それだけを目的にそれだけに執着して現世にしがみつく、というのはツマラナイし、みっともない。スカーレットの名が廃るってなもんである。
ならば、スカーレットらしい幽霊になろうとも現世に降臨し続ける理由とは。君臨し続けるに足る動機とは。そう考えると、彼女のホントのラストシーンは全くもって「らしい」と思うんですよね。
未練、心残りを晴らしてキレイに成仏、なんてらしくないし、そもそも幽霊になった理由とは食い違っている。
スカーレットの記憶に残っていなかった処刑直線からその時の瞬間。それが明らかになる回想、いや時間が戻ってのスカーレット処刑のその時に、彼女が何を思っていたかが明らかになるあのシーンが全部物語ってるんですね。
それは悲劇ではあったけれど、スカーレット・カスティエルがその瞬間抱いていたのは絶望でも恐怖でも怒りでも憎しみでもなく、ああそうだ。
彼女の中にあったのは希望だったのだ。彼女は自分が勝利する事を知っていた。スカーレット・カスティエルが望むべき「未来」を手に入れることを。
そして幽霊になったスカーレットにとって、コニーと共に歩む時間はリミットのある猶予でも、過去の残り香としてこびりついているのでもなく、「今」だったのだろう。「現在」だったのだ。それを、彼女は「過去」で知った。自分が死ぬそのときに理解した。
彼女は、コニーに出会いに来たのだ。つまりは、そういう事だったのだ。
スカーレットがとっておきの秘密をコニーに明かしたシーン、あれこそが最高の本音で、本当の気持ちだったのだから。

ならばこそ、最後のスカーレットの選択は必然なんですよね。殊勝に身を引くなんて、あったもんじゃない。何しろ彼女は強欲傲慢なる悪の令嬢スカーレット・カスティエルなのだから。

そして、一身にその煽りを食らうランドルフ閣下であったw
いやほんとに、一番の被害者になってるじゃないか、ランドルフ。
そりゃね、ずっと闇の中を歩むはずだった人生を光の下に引っ張り出してくれた少女に本当の愛を捧げる事が出来て、ましてやお嫁さんになって貰えるし、一生一緒にいるという約束も交わしたし、万々歳のハッピーエンド!
だったのに、一生離れないにプラス1ですからね。いや、一生を共に、という約束を交わしたのはプラス1発覚後ですから覚悟の上かー。
朝起きたときから夜寝るときまでずっと一緒という状況に既に疑問を感じていないコニーさんが色んな意味で幸せすぎるw

この3巻は文句なしにスカーレットとコニーの物語だったわけですけれど、同時に他の幾人もの登場人物が己の人生の主人公たるを全うする話でもあったように思います。
パメラの方に完全に破滅へと突き進んだ者もあり、セリシア王太子妃のように闇の中を歩き続けた末に最期に自分の人生を取り戻した人も居た。ショシャンナのように一からやり直すためにもう一度歩き始めた子もいれば、ルチアのように絶体絶命の死地をその魂の輝きを以て突破して、ユリシーズ王子というヒロインゲットしてヒーロー道へと突き進みだすもう貴女もう一人の主人公だろう!?という勇躍を示す子もいる。
スカーレットの処刑という大事を境に終わり、はじまった様々な人たちの人生の迷い路。かの陰謀に関わった人も、コニーと共に新たに関わることになった新しい世代の子たちも、それぞれに一区切り、登場人物全員に一つの決着を迎えさせた、という意味でも凄い作品であり、凄い物語であったように思います。
個人的に、国王陛下やアドルファスパパの歩んだ十年も凄惨だったんだろうけど、エンリケ王子の歩んだ人生こそ壮絶の一言だったと思うんですよね。彼のセリシアへの想いの複雑さは、途方に暮れるほどに言葉にし得ないもののように感じるのです。彼のこれから歩むだろう静かな人生の中に、小さくとも心慰められる幸いがあらんことを。
そして、アドルファスパパが、心から笑うシーンが見られただけで、なんかもう万感でした。

あとは、ほんとルチアは次回主人公狙ってます、と言わんばかりの大活躍というか凄えカリスマで。
同じく囚われの身となったコニーが、これまでのエリスの聖杯をめぐる人との関わりから、その人柄でコニーを助けようという大きな動きがうねりとなって世間を動かしていく展開もなかなか胸に来るものがあったのですが、ルチアの方も同じ囚われの身になりながら、片っ端から顔を合わせる人をその魅力で落としていって、同じ囚われの身だったユリシーズ王子を守って大活躍、とか完全にヒーローでしたからね。早々に、自分が彼女を守るのではなくてヒロインの方だと受け入れて大人しくなるユリシーズ王子、なんかもう流石ですw

しかし、ほんと章の間に挟まれる登場人物紹介という名の尖すぎるツッコミと煽り文が面白すぎました。ここでわけの分からんけど的を射すぎてるキャラ付けされてしまった登場人物も多いんでなかろうか。というか、ほとんどの登場人物ここで変な固定印象つけられちゃってるぞw
黒幕のクリシュナへの、実はこいつ失敗ばかりでうまくいった試しがないみたいな煽りは、ちょっと笑いすぎてお腹痛くなりましたがな。

ともあれ、これ以上なく見事に物語にもそれぞれの登場人物にも決着を付けた上で、文句の言いようのないハッピーエンド。超本格サスペンス・ミステリーというジャンルを縦横無尽に走り尽くしてみせたあの緊張感、謎が解けていく時の驚愕、真相への衝撃、話自体のとてつもない凝縮された面白さ、何もかもが素晴らしかった。
これぞ傑作、不朽の名作でありました。



最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 4 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★★   



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 4 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】 タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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次なる暗躍は三つ巴の極秘情報争奪戦!?
帝国南部での災禍を瀬戸際で食い止めることに成功した双子の皇子アルとレオ。 火種は燻ぶり続け、今度は三勢力間での極秘情報争奪戦が始まる――!

正直ここまで局面が変わってきて、レオの陣営も勢力が高まってくるとそろそろアルが無能を演じているの、メリットよりもデメリットの方が大きくなってきている気がするんだよなあ。まだまだ無能を装うことで、味方にする相手の取捨選別などに利用できたり油断を誘ったり出来る、という風に語っているけれど、実のところあんまりアルが無能演じていて良かった、という場面見たことないんですよねえ。
対立陣営も、アルの存在を無視したり下に見たためにヘマをした、思わぬ隙を作ってしまった、などといった展開も今の所案外見受けられないですし。警戒されてないのかどうなのか、よくわからないんですよね。警戒されていないからこそ、わりと自由にコソコソと動けている、という事なのかもしれませんけれど、要所要所ではアルもちゃんと表に見える形で動いちゃってますからね。今回も、無所属の精鋭騎士団を引っ張り込んだり、など。ちゃんとした見識を持って入ってくる情報を注視していれば、アルが無能とは到底判断しないでしょう。してしまうとしたら、噂くらいしか情報がない民衆世論が、アルを出涸らし呼ばわりしてるのと、変わらない情報力、或いは判断力しか持たないぼんくら、という事になってしまわないか。
まあ、ザンドラもゴードンも蓋を開けてみるとなんか想像していた以上にダメな感じなので、あの程度の無能演技でも効果あるのかもしれませんが。
ザンドラはまともに人も使えないし、ゴードンもあれ軍人派閥だそうだけど軍人としてもとても有能とは思えないんだよなあ。軍政家として軍人貴族たちに利益誘導できる、みたいな手腕もなさそうだし。なんでアレが支持されてるんだろう。軍師系の人は遠ざけられてるって、参謀職を敵に回しているようなものじゃないのかしら。まあこの時代、中央参謀本部とか軍令部みたいな軍令を司る組織はないのだろうけど。
今回登場した、ゴードン派閥の軍師として引き込まれたソニア、彼女をあんなにろくに使えずに飼い殺ししてるようじゃあねえ。まだ経験不足とはいえ、ちゃんと益ある発言はしてるのだから、自分にとって耳障りの良い言葉以外は聞かないって、ほんと意味ないだろうに。

とまあ、トップも周りも大した事無いように見える第二王女、第三王子閥だけれど、それでもレオやアルたちの陣営が後手に後手に回ってしまうのは王位継承者として動き出したのが後発だったこともあるし、やはり勢力の大きさ、数が違うからなのでしょう。
それも、ここまで巻を重ねていく中でしっかりとレオ陣営として大きくなってきたわけで、主だった面々はアルについてもわかっているのだから、そろそろアルがレオ陣営の頭脳として動いているのを表に出してもいい頃なんじゃないかなあ、と思うわけですよ。その方が動かしやすかろうに。
どう考えても、レオが王様になったら宰相やれるのアルなわけですし。アルは自分が適役だと全く気づいていないようですけど。アルが思い巡らして条件並べた宰相役に当てはまるのって、どう考えてもあるですし。

とは言え、そのアルも話が進むにつれて想定通りに物事が進まなくなっているのも伝わってくるんですよね。色々とうまく行かない、期待していたように展開が転がらない、失敗に近いミステイクまで発生してしまう。タイトルでは支配する、なんて万全万端みたいな表現されていますけれど、とても支配には程遠い現実にぶつかってなんとかしがみつきながら、方向を整えているという感じである。
でも、苦心惨憺するからこそ、よりアルの必死さが伝わってくるわけですよ。失敗して見込みを間違えて、さらに想定外の横やりが入ってくる。自分ひとりでなんとかなる範疇を遥かにこえてしまい、どうしても誰かに手を貸してもらわなければならない、それもババを引かせる事になりかねない、となった時に、アルの中でエルナの姿が思い浮かぶわけです。
これ、余裕のある時には決して辿り着かない道程なんですよね。利用したり、利益を与えてウィンウィンにしたり、なんて余裕一切なく、相手に傷をつけてしまう、とわかっていてなお、頼ってしまう。自分の弱さを曝け出して、どうにか助けてもらう。それをしてしまえる相手、よりかかれる相手、ほんとうの意味で頼れる相手、それをこの切羽詰まった状況の中で思い浮かべた時に、エルナが出てきた、というのはアルにとってエルナの存在の意味がまた一段ステージ違ってしまったと思うんですよね。普通のときならば、決してエルナに抱かなかっただろう必死な想いなわけですよ。
これがまた、エルナの対応が男前通り越してるから尚更に。
騎士としての誇りも、近衛騎士となる夢も投げ捨てて、アルとの幼い頃の約束を守ることを選び、そしてそれを一切後悔することなく、清々しいとすら呼べる笑みを浮かべて、やってやったという顔をするエルナに、さてアルが何を思うのか。
アルを信じて、危険な使者の役目を引き受けたフィーネといい、彼の周りの女性陣は覚悟決まりすぎてますわー。こんな娘らに囲まれてしまってたら、そりゃアルの目も厳しくなっちゃいますよ。ソニアに対してわりと厳し目の対応とったのって、これ比較対象がエルナとフィーネのお陰でもっと覚悟決めろよおら、ってなってませんかねw

しかし、こうなってくるとそろそろレオにも、エルナやフィーネくらい貫目のある女性が寄り添う機会、ないものでしょうか。リタ? あれもだいぶ覚悟完了している子だけどまだ11歳ですよ? わりと真面目にレオのヒロイン候補なんだろうか、この子。
なんか表向きには、どんどんとレオとフィーネの関係が近くなっているように見える気がするんですよね。色々と行動をともにする機会も多いですし、戦場も一緒にくぐっているわけですから。公式にはアルじゃなくて、レオに助けられた、みたいになってる話もあるはずですし。
このまま行くと、フィーネってアルじゃなくてレオのお妃になってしまいそうな流れなので、祖の意味でもアルはそろそろ無能の皮脱ぎ捨ててちゃんとした立場作っておかないとダメなんじゃないだろうか。フィーネが兄弟二人共婿にする、という展開もそれはそれで微妙に興奮してしまう気もしますがw

これまで足りなかった、レオ陣営固有の戦力にも、アルが体張って引き込んだお陰で目処がつきましたし、ザンドラ陣営はこの度の南部貴族の混乱で大きく後退し、ゴードンの陣営も荒が見えた所で、そろそろ第二王子閥の動きが見えてくるのかなあ。

しかし、アルも亡き皇太子に凄く影響受けてたのか。彼がレオの兄として振る舞い出したのが、皇太子の影響だって言うのだから、ほんと惜しい人を亡くしたんだなあ、帝国は。


エリスの聖杯 2 ★★★★☆   



【エリスの聖杯 2】 常磐くじら/夕薙 GAノベル

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希代の悪女スカーレットの亡霊にとり憑かれたコニーは、その復讐に付き合う羽目になった。十年前の処刑の真相を調べるための潜入捜査に、死神閣下ことランドルフ・アルスター伯との偽装婚約、果ては大貴族に睨まれての私的な弾劾裁判と、忙しい日々を送るコニー。だが、王国内に潜む陰謀の影が見え始めたと同時に、彼女自身にも得体のしれない魔手が迫る。謎の襲撃者をかろうじて撃退したのもつかの間、今度は親友のケイトが誘拐され!?リリィ・オーラミュンデが遺した謎の言葉『エリスの聖杯を破壊しろ』の意味とは?そして、スカーレットを処刑台に送り込んだのは誰なのか?悪女の亡霊×地味令嬢のコンビが、王国の闇に潜む巨大な陰謀に立ち向かう、大好評の貴族社会クライムサスペンス第二弾!

悪役令嬢モノの皮を被った超本格サスペンス・ミステリーという内実に度肝を抜かれた前巻。時間を忘れて夢中になって没頭してしまった経験からそれなりに構えてこの第二巻に取り掛かったのですが……。
わぁーーーうわぁあーー! マジかっ、マジなのかこれーー!!
ベールを剥がすように徐々に明らかになってくる暁の鶏という犯罪組織の暗躍の実態に、その目的、そしてこの国にまとわりつく闇の深さにハラハラさせられ、数年前に自殺したスカーレットの好敵手でランドルフの妻だったリリィの生き様に雷で打たれたような衝撃を食らっただけでもたまらんかったのに、トドメにスカーレット処刑の真実ですよ。
ついに、明らかになってしまったスカーレットがなぜ処刑されなければならなかったのか。彼女を殺したのは一体誰なのか。それが明かされた時の衝撃たるや。
呆然、呆然ですよ。なんてこった! なんてこった!! 不死身のデュランと呼ばれる御仁の痛みを堪えるような一言にもっと疑問を覚えるべきだったのかもしれない。そうだよな、あまりに都合良すぎるもんな。でも、普通それは偶然タイミングが良かったと思うよ、そのシチュエーションだと。
だって、そう考えないとおかしいもの。絶対におかしいもの。
でも、徐々に明らかになってくる真実は、スカーレットを害した犯人が佇む位置をグルリと反転させていく。待って、いや待って! と、引き留めようにも話はどんどんと進んでいってしまう。
スカーレットは、狙われていて狙われていなかった。誰もその死を望んでなどいなくて、しかし彼女は死ななければならなかった。なんて、こんな話があっていいのだろうか。
ああ、そうか。だから、スカーレットには処刑の時の記憶だけが残っていないのか。逆説的にではあるが、スカーレットにその時の記憶がないことこそが、既に彼女はその時すべてを知っていた、悟っていた可能性を指し示している。
コニーは、これコニーは果たしてスカーレットの復讐をどう果たすのだろう。元々、ただの貧乏貴族の子女に過ぎないコニーには巨悪を断罪する権力も権限も盛っていない。それでも彼女は自分に取り憑いたスカーレットの亡霊に親愛を感じ、彼女の怒りを自分のことのように受け止め、彼女のために復讐を果たすのだと意気込んでいる。これはもう、優しきコニーの怒りでもあるのだろう。
だから、これはもうコニーの復讐でもあるはずなのだ。しかし、これはほんとうに、どうするべきなのだろう。それはもしかしたら、スカーレットの望まぬ復讐になってしまうかもしれなくても、コニーは断罪の刃を振るうことになるのだろうか。どんな形で振るうことになるのだろうか。これはもう、まさにコニーという少女一人に託されている結末なのかもしれない。

しかし、この物語における令嬢達、みんな覚悟決まりすぎじゃないですか? ケイトなんか、コニーのために死ぬことに泣き言一つ言おうとしなかった。アビゲイル・オブライエンは自らを慕う者たちのために刑場の露となることを粛々と受け入れた。そしてリリィ・オーラミュンデは、このスカーレットの好敵手にして幼馴染にして生涯の友たる女性は、この国を滅ぼそうという巨悪の蠢動を前にたった一人で戦い抜き、その生涯における敗北はスカーレット相手だけという負けず嫌いの誇りに見合う、見事な勝ち逃げを敢行してみせた。勝利して去る。壮絶なまでの美しいと言ってすらいい生き様を刻み込み、あとに託して駆け抜けていったのだ。
カッコいいにも程がありすぎて、途方に暮れてしまいそうだ。男ども、本当になんとかしろよ、おい。
閣下ランドルフは一人気を吐いていると言っていいのかもしれないけれど、彼のバツイチとは思えない女性の扱いのポンコツさは、色んな意味で目を覆わんばかりだし。こいつ、何気にスカーレットパパと同類なんじゃないだろうか。パパはもう笑えない、でもランドルフはコニーにかすかにでも笑みを見せてくれている、その違いは大きいのだろうけれど。

ちょっとショックが大きすぎて、まだ頭がぼんやりしているのだけれど、処刑の真実、そしてエリスの聖杯というリリィが遺した言葉の意味がわかった以上、あとはこの国を取り巻く謀略をどうぶち壊していくか、なんだろうけれど、まだコニーとスカーレットのコンビはこの真実には辿り着いていないんですよね。ってか、ランドルフ閣下が先に辿り着いちゃって、これどうするんだろう。幕間の登場人物紹介でも思いっきり揶揄されちゃってるし。主人公コンビより先に真相にたどり着くとか空氣読めなさすぎー、とか書かれてるんですけど。相変わらず章ごとの登場人物紹介の皮を被ったキャラ煽りが面白すぎるんですけどぉ!!
ともあれ、三巻。次の巻を早く、早くしてくれぇ!(禁断症状


最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 3 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★★   



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 3 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】 タンバ /夕薙 角川スニーカー文庫

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外交でも完璧に暗躍し、弟・レオナルトの評価を高めた出涸らし皇子・アルノルト。安堵も束の間、次は皇族最強の将軍・第一皇女リーゼの縁談を取り持つよう皇帝に命じられる。一方、流民の村で起きる人攫いの解決を命じられたレオナルト。しかし、調査の最中に帝国を揺るがす異常事態が発生し!?
帝国とその民の危機を前に、獅子奮迅の活躍を見せるレオ。その成長と決意を目の当たりにしたアルは
「未来の皇帝が俺に本気を見せてみろと言った。その返礼はせねばならんだろう」
弟を助け、帝国を護る為、出涸らし皇子は戦場で暗躍する! 最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、決意の第三幕!

リーゼ皇女の旦那候補のユルゲン公爵がちょっと格好良すぎて男惚れしてしまった。幼少の頃から一途! ホントに一途! 
頑なに結婚しようとしない姉の縁談を取りまとめろ、とかまた無茶振りだと思ったら今回に関してはちゃんと相手いるじゃないですか。一方的に言い寄り続けているのかと思ったら、他の縁談候補には梨の礫なリーゼ姉さまはこのユルゲン公爵相手にだけはずっと交流続けてるんですよね。詳しく話を聞いてみれば見るほど、満更でもないじゃん! 満更でもないじゃん!
となってきて、実際にユルゲン公に会ってみたら本当にいい人なんですよ。その上、一代で衰退していた公爵家を経済的にもり立ててみせた経世の巨人だったりするんですよね。有能! とびっきり有能! その能力も公爵家を大きくしたのもリーゼに見あう自分になるため。また姫将軍として武力を重視しているその眼鏡に叶うために武術の鍛錬も欠かさず、才能もないのに努力で一端に使えるようになってるし、率先して自分から戦場に先頭で立つ勇気も欠かさない。それでいて押し付けがましくなく、忠犬ワンコのように許されるまでその場におすわりしたまま身じろぎもしないような所もあるし、リーゼにアタックを続けているとはいえストーカー的なものではなくて、リーゼが許す範囲に留めてるんですよね。
逆に言うと、リーゼの方が許しているからこそずっとアプローチし続けているということで。
いやこれ、目があるどころじゃないですよね?
人柄的にも誠実で紳士的で、なにこのパーフェクトジェントルマン。今まで帝位争いのために様々な人とコンタクト取って味方に引き入れたりしてきましたけれど、ユルゲン公を味方に引き入れたらお釣りが来るくらいなんじゃないだろうか。能力的にも人間的な信頼においてもちょっと今までの人材と比べても別次元すぎる。
何より、この人はなんというか義兄として家族として迎え入れたい、そう本気で思わせてくれる人だったんですよね。
帝位争いからは一線を引いている長女のリーゼだけれど、彼女が一番仲良く心許しているのは同母妹のクリスタと、アルだけなんですよね。あれ? レオは? と思ったら、過去に一悶着あって今は疎遠になっているらしいものの、アルとレオの兄弟はリーゼにとっても一番身近な家族であったわけだ。
味方になってくれれば、とてつもなくありがたい人だったわけですけれど、これにユルゲン公がくっついてきたらとんでもないアドバンテージを帝位争いの中で確保できるんじゃないだろうか。
まあ、リーゼ姉さまってば横暴な姉、のテンプレみたいなジャイアン姉なんだけど。
で、直接この揉めてる二人と会ってみたらですよ……いや、リーゼ姉さま満更じゃないどころじゃないじゃん。もうべた惚れじゃん。その口からユルゲン公に関しての惚気しかこぼれてこないんですけど。
結局、彼女が結婚しようとしないのは相手が悪いわけじゃなく、二人の関係がどうこうじゃなく、リーゼの問題であり、皇太子の死によって起こることになってしまった帝位争いが鍵になってたんですなあ。

今回は、皇帝陛下の父親としての側面がよく見える回でもありました。皇帝としての父の姿をアルに見せて、アルの生き方にある方向性を与えたように。未来を託していた皇太子の死に、誰よりも皇帝陛下こそがダメージを受けていたことに、今更気付かされるんですね。
皇帝陛下だって、自分の子どもたちが殺し合ってでも争い帝位を奪い合う状況を喜んでいるはずがなかったのだ。子供たちを一人ひとり、ちゃんと愛しているのが今回は特にその行動や言葉から伝わってくるんですね。
最初の印象とは違って、血で血を洗う争いを行うことになるこの皇帝一族に家族としての親愛などないか薄いのか、と思っていたのですけれど、帝位争いに参加しない皇族の兄弟とは仲良いし、むしろ家族愛を深く感じさせてくれるような間柄も、方方で垣間見えることもある。この争いを起こさせた皇帝陛下からして苦渋の選択であり、家族への愛情には事欠かない事を今回よく見えてくれたわけで。
だからこそ、その父である皇帝からもリーゼからも敵意を向けられているザンドラとその母はちょっと異様なくらいハズレてるんですよね。この母子だけは他に家族に愛情なんかひとかけらも抱いていない。どころか、どうも第二王妃や皇太子への暗殺疑惑はガチみたいで……。
ちょっとこのあたりとは徹底しての潰しあいになりそう。

アルと離れて南部の人身売買疑惑への監察使として派遣されたレオは、今度こそ兄の手助けなく一人で獅子奮迅の活躍を示すことに。本作の主人公はアルなんだけど、レオもまたもう一方の主人公と呼ぶに相応しい成長をメキメキと見せてきたなあ。
かつて、アルにも知れずにリーゼの暴走を止めていたように、アルのオマケなんて印象を吹き飛ばすだけのスケールを見せてきた感がある。それでいてアルから独り立ちするとかじゃなく、アルとレオ二人揃ってこそあらゆる方面に大きな力を発揮する双頭の竜みたいな感じになってきているのが本当に好みかと。
しかし、今のレオやアルをして二人揃ってようやく皇太子に比肩するように、って亡き皇太子殿下がいったいどれだけ偉大な人物だったのか。そりゃ、皇帝陛下も心ひしゃげるわなあ。


エリスの聖杯 ★★★★☆  



【エリスの聖杯】 常磐くじら/夕薙 GAノベル

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「いいこと、コンスタンス・グレイル。お前のこれからの人生をかけて、わたくしの復讐を成功させなさい! 」

誠実だけが取り柄の地味な子爵令嬢コニーは、とある夜会で婚約者を奪われ、窃盗の罪まで着せられる絶対絶命の窮地に陥っていた。
しかしそんな彼女の元に、10年前に処刑された希代の悪女、スカーレット・カスティエルの亡霊が現れる!
かつてその類稀なる美貌と、由緒正しき血統と、圧倒的なカリスマでもって社交界の至宝と謳われたスカーレットは、コニーに憑依するや瞬く間に形勢を逆転し、危機を救う。だが、その代償としてコニーが要求されたのは、スカーレットの復讐に協力することだった!?
利害関係から始まった二人のコンビは、貴族社会に潜む悪意や陥穽を蹴散らすうちに大切な絆で結ばれた真の相棒へと成長し、やがて過去から続く巨大な陰謀と対峙していく……!


………………お!? うぉお!? あれ? 読み終わった? 終わっちゃった? 一巻これで終わり!? ここまで!?
……おおおおーー。ほわーーー。なにこれ、完全に引き込まれてたよ。夢中になってた。気がついたら読み終わってた。
お、面白かった〜〜。なにこれ、すごい面白かったんですけど。すごいすごいわはー(テンションあげあげ

いやこれ、普通の悪役令嬢復讐譚じゃなくて、本格サスペンスじゃないですか。十年前の陰謀が現在まで宮廷の闇の奥底にはびこり、様々な宮廷貴族や貴族令嬢たちの思惑や悪意のさらにその奥、その裏、その底でさらなる闇が蠢いている。そこに、真相を求めて踏み込んでいくコニーとスカーレットのコンビ。
謎が謎を呼び、過去に秘されていた秘密を見つけ出せば、さらなる秘密が浮き出してくる。すでにスカーレットだけではなく何人もの人間が謎の死を遂げており、一度なりを潜めていた宮中での蠢きは、コニーがスカーレットと共に動き出すと同時にこの現代においても表舞台に浮上してきて、謀殺と思しき死人が、様々なトラブル、事件とともに現れだす。
そんなかなり危うい橋を、コニーとスカーレットはドタバタお互い騒ぎながら突っ込んでいくのである。いや、危ない、危なっかしい!
コニー、元々「誠実」を家訓とする家のおとなしい内気な貴族令嬢だったはずなのですけれど、スカーレットに背中を蹴飛ばされるように叱咤されて、ヒーヒー言いながら走り回っているうちに段々と本性なのか秘められた素の顔なのか、結構面の皮が厚いと言うかタフというかすっとぼけて天然でガンガン行こうぜ、な所が出てきて凄い面白い子になってくんだよなあ。
土壇場に追い込まれたり、思わぬ事態に遭遇したりすると、貴族のお嬢さんとは思えない俗語(スラング)を素で飛ばしたりしますし。内気でおとなしい貴族のお嬢様が「マジかよ!」とか叫ばない!
スカーレットはスカーレットで、冤罪で処刑された悲劇の女性かと思ったら、処刑の要因となった後に王子の妃となる女性に毒を持った、という殺人未遂こそ完全に冤罪だったものの、それ以外の傍若無人な振る舞いは完全に悪役令嬢のそれでありました。ってか、悪気のない傲慢悪女だー!
でも非常に頭が良くまわり記憶良くもよく、相手にマウント取って這いつくばらせることには天性の才能を持つすげえ女だったのも間違いないようで。十年前の宮中の社交界を支配していたのは間違いなくこの娘だったわけだ。
だからこそ、なぜ彼女が処刑されるまでにハメられなくてはならなかったのか。一体誰が仕組んだのか。十年前、貴族界では何が起こっていたのか、そして今もなおそれはこの国の闇に根をはりうごめいているのか。
十年前、スカーレットのライバルだった、スカーレット以上に頭がまわり彼女とは比べ物にならないほど慎重で、狡猾で、多分悪友だった女性も、数年前に謎の自殺を遂げていたり。彼女がこっそり残していた謎の遺書を探しだしたり、とこれホントに本格サスペンスになってるんですよね。
スカーレットを陥れた者たちは、決してわかりやすいぼんくらどもなどではなく、正体もわからない巨悪であるというのがわかってきて、それと対決することになっていく展開はむちゃくちゃワクワクさせられて、引き込まれてしまいました。

しかし、幕間のたびに書かれてる人物紹介、人物紹介というかその章での登場人物の動向やら心境が綴ってある紹介表の内容が毎回爆笑もので、そのあまりの身も蓋もない書き方は笑う笑う、これ酷いからほんと。言いたい放題じゃないか。しかも、書き方にセンス溢れてるんですよね。っていうか、最後のケイトの欄とか、本編で彼女が置かれたシリアスな状況をぶち壊すような書き方してあって、そうかもしれないけどおおいッ!!てな感じで。あの人物紹介、毎回楽しみにしてしまいましたがなw

コニーとスカーレット、二人の令嬢コンビも最初は下僕と女王様みたいな感じだったのが、段々とコニーの方にも遠慮がなくなってきて、ほんとの相棒みたいになっていくのが良かったんですよねえ。
スカーレットに追い立てられながら、コニーもわりと最初からズケズケとモノ言ってたような気もするけれど、スカーレットに対して素直な気持ちもどんどん打ち明けてるんですよね。あの最初に助けてもらった時の感謝も。スカーレットも、何気にガンガン安全確認せずに突き進んでしまうコニーが心配でたまらなくなって、あれこれと世話も焼き出すし。スカーレット、過去にはリリィのような天敵兼宿敵兼好敵手みたいな悪友(仮)もいたけれど、その傲慢でつけあがった性格もあってか本当の友達はいなかったのでしょうけれど、こうやって遠慮なく言い合いつつお互い気遣い会える、お互いストップかけられる関係というのは初めてだったんでしょうね。自分を既に死んでいる幽霊だと忘れたように振る舞う(多分、実際忘れてる)コニーと打ち解けていく様子は、ほんとイイものでした。尊い。スカーレットと呼び捨てされるようになって、自分もコニーと愛称で呼ぶようになるあたりとか……うんうん。

なんか途中で死神閣下などと呼ばれる憲兵として活躍している、スカーレットの自殺した友人の元旦那と、事件の捜査も絡んで婚約(仮)するはめになるのですが、一緒に行動してみると「なんだこいつ!?」とお互いなってるあたりが笑えるやら案外お似合いやら。
まだまだ真相には爪先が掛かっているかわからないくらいなのですけれど、本当に面白かった。物語に引き込まれてしまいました。これは続き、楽しみで仕方ないわー。ってか、あそこで止めるとか凶悪すぎませんか!? どうなるのさー!

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 2 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★★   



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 2 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】 タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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優れた才能とSS級冒険者の力を持ちながらも、無能を装う出涸らし皇子・アルノルト。国を狙う謀略を正体を隠して阻止したものの、皇帝の戯れにより、国の代表として他国に赴く双子の弟・レオに同行するはめに。更に、その船旅の途中で『海竜』に遭遇してレオと引き離され、2人は入れ替わることに!?レオのフリを完璧以上にこなし、異国でも暗躍するアルだったが、目覚めた『海竜』が民に襲い掛かり―「竜の誇りか、くだらないな。人間を舐めるな」爪を隠した出涸らし皇子は、聖剣を召喚したエルナと共に、外交も『海竜』も完全制圧する!最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、激動の第2幕!

どれだけ有能でも一人で出来ることには限りがある。当たり前だけれど、その当たり前を踏まえて現実に当てはめて動くことは案外と難しい。アルノルトも決して慢心して自分が派閥の裏仕事を一手に担っているわけではなく、そういう仕事が出来るのが自分ひとりしかいないという人材不足から、暗躍という名の謀略に駆けずり回っているわけだけれど、余裕綽々で熟せるほどにはキャパシティ大きくなかったんだな、というのが伝わってくる回でした。
はからずもまたレオに化けて予定にない他国との交渉に乗り出さなきゃいけない、という仕事をこなさなくてはならなくなった事もありましたけど、今回ほんとに疲弊してヒーヒー言ってましたもんね。
逆にアルに化けなくてはならなくなったレオも、慣れないぐーたらを演じなくてはいけなくて、こっちもヒーヒー言う羽目になってましたけど。ストレスが貯まるとはいえ、ほぼほぼ完全にレオを演じられるアルと違って、怠ける事に全く慣れてないレオの方はアップアップしてましたもんね。ぐーたら怠けることになんでそんなに頑張らなきゃならないのか。しかも、全然怠けられてなくて、アルさま勤勉になった、みたいな目で見られてた節があるし。
おかげで、二人がようやく合流して入れ替わりをもとに戻せた時の、お互いの安堵感と重石を外したような伸び伸びとした息のあった空気感は、この兄弟がなんだかんだとお互いなくてはならない間柄なんだな、と。二人一組でそれぞれの得意分野で頑張ることが一番うまく回るんだな、というのが伝わってくるシーンでもありました。1巻では、若干ですけどあれだけ完璧にレオに化けられるなら、最悪レオ無しでも場合によってはアルだけで何とかなってしまうんじゃないか、と思われるところがありましたけど、うんこれレオがいないとアルが精神的に過労死するわ。
裏方だけでもこんな疲れ切っているのに、表舞台でまでレオ並に働きだしたら、完全に死ぬわー。
そんな一杯一杯になってるアルを精神的に癒やしてくれるのがフィーネ嬢。彼女、自分の名声をいかして、看板役として以上に勘所で重要な役目を担ってくれたり、よく働いてくれているのですけれど、それより何よりアルのストレス浄化役としての役割が大きな仕事だというのが今回よくわかりました。シルバーとしての正体や、レオやエルナという身内にもあかせない幾つもの事情を踏まえて、あるがままのアルをまるっと受け止めてくれる献身的なフィーネの存在は、今のアルにとってもう生命線みたいになってるんですよねえ。

今回印象的だったのは、前回は見ることができなかった此方も幼馴染同士のはずのレオとエルナのコンビ。レオって結構、エルナとアルの関係についてよく見てるんですよね。ちょっと離れた所から見ているからか、当事者たちよりもよほどそれぞれがお互いに抱いている心情がわかっているようで。アルに対してはムキになって迷走しがちなエルナを、レオがあんな風に諭すとは。彼なりに仲人役を買ってるようにも見えますし、エルナもレオには割と素直に自分の気持ちを吐き出してるんですよね。アルとエルナとはまた違う形ではありますけど、レオとエルナも仲の良い幼馴染なんだなあ、と。
ダイバー卿というもとはエルナの家の騎士だった近衛の隊長も、幼い頃のアルを見知っていた事もあって、アルの人柄や能力、レオを守り立てていくという目的の理解者となり、よき助言者となり支援者となってくれましたし、フィーネの護衛役に雇うことになった傭兵のリンフィアがまたえらい拾い物で。この娘、政治統率謀略武力と軒並み優秀な万能選手じゃないんですか、これ? 色々と任せられる所が多すぎて、一気に人手不足が解消されてしまった感すらあるんですが。
レオのメイドのマリーさん、もっと頑張れw

ともあれ、アルの個人的な手の広さの限界が見えてくると同時に、それを補って余りある人材の確保、人脈の拡大が着々と進み、またレオとアルの一心同体っぷりがよく伝わってくる回でもありました。
しかし、手強いとはいえザンドラやゴードンは性格的に瑕疵が大きすぎて早々に脱落しそうだなあ。

1巻感想

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する ★★★☆  



【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】 タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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無能で無気力な底辺皇子・アルノルト。気ままに過ごす彼は「優秀な双子の弟に良い所を吸い取られた『出涸らし皇子』」と、帝国中から馬鹿にされていた。しかし、皇子達の帝位争いが激化し危機が迫ったことで、遂に"本気を出す"ことを決意する。
「皇帝になる気は無いが、負けて殺される気もさらさら無いな」
隠していた類まれな才覚による策略や交渉術、そして「禁忌の古代魔法を操る、最強のSS級冒険者」という真の力とその地位――全てを駆使し、正体を隠して暗躍する出涸らし皇子は、彼に尽くす国一番の美姫を従え、帝位争いを影から支配する!
最強皇子による縦横無尽の暗躍ファンタジー、ここに開幕!

あらすじだけだと自分が皇帝になる勢いだけど、双子の弟であるレオナルトを守り立てていこうという話なんですね。何気に皇子皇女の数が多くて同母兄弟以外は全部敵というハードモード。いや、実際はそこまで厳選して厳しくはないのだけれど、後継者候補上位の連中が自分が皇帝に即位したら政治的に取って代わる危険性を持つ不穏分子は係累まとめて族滅よー、というバッサリした奴らなので必然的に生き残りたかったら穏当な人物か自分が皇帝にならないといけないよ、という追い詰められた状況になっちゃってるのである。
そんでもって皇族としての役割を半ば放棄して自由気ままに過ごしてきたアルノルトにはそんな人徳もなく、しかし弟のレオナルトにはそれだけの人望と才能とカリスマがあったので彼を神輿にして守り立てていくことに、というお話なのである。
ただのお神輿ではなく、ちゃんと弟のレオには才能があり人を惹きつける魅力があり、と上に立つに相応しいものを持ち人物である、というのは良かった。肝心の弟の方に魅力がなかったら、面倒くさいことしてないでアルがとっとと皇帝になりゃいいのに、なんていう興ざめな状況になってしまいますし。
しかし、一方でレオは性格的に優しく裏で画策して政敵と争ったり損得で駆け引きをしたり、という分野については苦手な人間である。元々他人と争うのも嫌う性分なので、誰かを陥れたりとか利用したりというのがどうしても出来ないし、発想が湧かないタイプなんですよね。それが必要であるというのはわかっているので、潔癖とかではなくちゃんと濁を飲める人物ではあると思うのだけれど、それを自分で出来るかどうかはまた別の話なんですよね。
なので、その分野を担うのがアルノルトの役割、という事になってくる。実際、彼が全部筋書きをかき、交渉をまとめ、謀略を仕掛けて逆に相手が仕掛けてきた仕手を防ぎ迎え撃つ、と裏方仕事をほぼ全部引き受けているんですよね。それどころではなく、派閥を作るために中立貴族と交渉を持ったり表の方にも手を出しているので、参謀役と言った方がいいかもしれない。
いやこれ、わりと表立っても動き出しているのでちゃんと見る人が見ていたら、調べていたら誰がレオナルト陣営の手綱を握っているのか簡単にわかりそうなものなので、出涸らし王子とバカにしてる連中はそれだけ見識がない、と見なされても仕方ないと思うぞ。
狩りの際には元々アルノルト贔屓な勇者エルナだけじゃなく、アルの陣営に配置された騎士たちも肝心な時にこの皇子が器を示すことが出来る忠誠を傾けるに不足のない人物であると受け取った事はその時の彼らの反応からも明らかですし。
完全に影に徹するのではなく、徐々にこうして才覚を見せて評判とは異なる一廉の人物である、というのを露わにしていく、というのはなかなかに面白い。
でも、これは必要なことでもあると思うんですよね。本当にぼんくらに徹してしまうと、同じレオナルト陣営に所属するようになった派閥の構成貴族からレオの足を引っ張る邪魔な存在として排除対象になってしまい兼ねないですし。
アルが性格上、或いは性質上多くの人の上に立つタイプではなさそうなのは間違いなく、同時にレオが人の上に立つ、というよりも多くの人から支持され期待され手を差し伸べられる君主の器であるのは確かなようですし。上に立つ弟を兄が影から支える、という今の構図は一番最適な形に思えるのも確か。目指せオーベルシュタインw いやマジでレオが皇帝になったとしても、アルが宰相くらいになって政治的にちゃんと支えてあげないと結構辛い気もするぞ。

ただアルの場合、レオと同じ立場をやってやれない訳ではなさそうなのが微妙に不穏ではあるんですよね。図らずも、あるワンシーンでレオのふりを完璧にやってしまったシーンがあったのですけど、あれってアルがレオになれる、という意味でもありますしねえ。
今の所、アルが超有名冒険者のシルバーであるという正体を偶然知ってしまい、色々合ってアルに潜伏の信頼を抱いている国一番の美姫フィーネも、表向きにはレオと恋仲という噂が立っちゃっているわけですし。フィーネのヒロイン振りには眼を見張るものがありましたけど、あれだけアルの傍らにぴったり寄り添っていると、果たして周りからはどう見られることになるのか。

あと、もう一人のヒロインである勇者の家系の今代エルナ嬢。一応、国の貴族であるけれど政治的には特別枠で隔離されてきたせいか、貴族令嬢でありながらあの政治センスの致命的欠如はなんかもう色々と通り越して素晴らしいとすら思えるくらいでw
幼馴染のアルの評判に憤懣を抱いているせいか、文句小言を言いながらもできるだけアルの評判をあげようとしてくれるのはいいのだけれど、その行為が尽くアルの企みを台無しにしたり政治的に足を引っ張ったり、と逆張りになってしまっているのが何とも苦笑を誘われるところで。いや、ほんと悪気ないんですけどね。今、レオを守り立ててアルが前に出て目立つのはマズイ、というのが騎士として純真なエルナにはわからない世界なんですよね。少しでも隙を見せれば踏みにじられる激烈な政争や暗殺すらいとわない後継者争いの闇、というのはまあ関わらずに済むのならそれに越したことはないのでしょうけど。いや、ほんとイイ子なんですけどね。今なおアルのために本気で怒ってくれる子なわけですし。むしろ、あれだけピンポイントにやらかされていながら、悪い印象があんまりないというのは得難いヒロイン力じゃあないでしょうか。単純に戦力としてはこの上なく頼もしいですし。
ともあれ、ここからこそが面白くなってきそうな楽しいなシリーズの開幕でありました。

そして黄昏の終末世界<トワイライト>2 ★★★☆   



【そして黄昏の終末世界<トワイライト>2】 樋辻臥命/夕薙 オーバーラップ文庫

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シスカ社へ潜入し、信頼を勝ち取れ!

東雲冬夜は『刻の黄昏』に巻き込まれ、如月御姫と共に魔人『ペイガン』を退けた。
そして冬夜は、御姫が発症した吸精病を隠しつつ、シスカ日本支社の終末化特別対策室の面々と接触を果たす。
そこでクラスメイトの古道いつきも対策室に所属していることが判明。
自身の目的と御姫の発症を隠し通すために、対策室への加入を申し出た冬夜は、御姫と同じ第一隊へ編入されることに。
すぐに非凡な力を示し始める冬夜だが、加入に納得できないといつきに勝負を挑まれてしまい――!?
「異世界魔法は遅れてる! 」に通ずる現代神秘ファンタジー、第2巻!

対策室に加入しようという冬夜の文言が、何も知らない一般人が正義感とか義侠心だけで突っ走ってる危なっかしい輩のそれとだいたい一緒になってしまっている件について。
いやいや、見過ごせない、自分に出来る事があるなら手伝いたい、って無知で自分が置かれている現況をちゃんと理解していない思い込みの激しい男の子が言うとこっ恥ずかしいくらい青い主張なんですけど、冬夜ってばこれ自覚して言ってるのかしら。対策室の人から見たら、まんまこれなんですよね。一瞬みんな何言ってんだこいつ、となるのも無理はないでしょう。
いつきが後々まで突っかかってくるのって、冬夜という人間の実情と傍から見た時の齟齬から来てるとも取れるんですよね。
冬夜としては、対策室に入るのは御姫の吸精病をカバーするためと、自分の仇がシスカ社にいるらしいのを調査するため、という確固とした理由がありつつそれを説明できないが故の表向きの理由という体であり、同時に本心も混じっているという主張なんだろうけど、上記の通り変に青い主張になっててしまってて、いやいやもう少しこう何か良い言い訳があったんじゃあ、とついつい苦笑してしまいました。
これ、作者側としてはわざとなんでしょうけどね。
本来ならド素人の一般人が色々やらかしてしまったり、または思わぬ才能を見せて云々という展開なのが、冬夜自身が『刻の黄昏』という現象にまつわる話は全く知らなかったものの、神秘に携わる側の人間でありなおかつ歴戦の騎士という来歴の持ち主であるために、定番の展開となるはずのところに妙なエッセンスが加わって常とは異なるノリと味わいの展開になってくんですよね。そのへんのギャップが妙に楽しくて。そういうところが狙い目だったのかな、と。
冬夜くんてば、自身がオリジナルのサクラメントを保有している事や出自なんかは隠そうとしているくせに、神秘側の人間であることとかサクラメントが使えることとか素人じゃないの、全然隠そうとしないんだもんなあ。素人だと思って採用したら一流のプロでした、てなもんだから上司の人たちが嬉しい悲鳴をあげるのもよくわかります。ただでさえ人員不足でのたうち回ってて、苦肉の策で自分売り込んできたやつ使ってみたら、バリバリ第一線のヤツだった、とか色んな意味でたまらんでしょうに。
戦場帰りとも知らずに素人が粋がって死ぬかも知れない戦場で戦う覚悟を問うてやる、とつっかかってくるいつきくんが、この場合的外れすぎてちょっとかわいそうですらあるんですが。
いや、いつきからすると冬夜はクラスメイトだし『刻の黄昏』についてなんにも知らないし、ド素人が粋がって、となるの当たり前じゃないですか。冬夜はあれ、どこか天然でわかってないところもあるので仕方ないかも知れないけど、御姫あたりが教えてあげたらいいのに、とか思ったのですが御姫は御姫で自分と冬夜の事で色々と一杯でそういう余裕なかったか。ポンコツと思い込みの強さという意味では、御姫は追随許さないことになってるからなあ。この女、エロ妄想が激しすぎる。
それでも、冬夜が自分を助けた事で自分が想像していた以上のものを背負い、責任を請け負う覚悟を持っていた事に気づいてしまったら、平静では居られなかったのでしょう。ただ命を助けた、吸精病の事を秘密にしてくれた、だけでは済まない事になってしまっていましたからね。
しかし、冬夜の方もこれだけ運命共同体として御姫に対して責任を請け負ってしまって大丈夫だったのだろうか。冒頭の回想にもあったように、彼もまた敵討ちという所業に正義ではなく業を背負ってしまってる。その果てにあるのは自分もまた仇討ちという名の殺戮の報いを受ける末路だという覚悟もしているわけだけれど、彼の死がそのまま御姫の死となってしまった中で粛々と報いを受け入れることが出来るのか。まあ、御姫の方は何があろうとどうなろうと、冬夜の報いに喜んで付き合うのだろうけど。
一日の時間が24時間から23時間になり、冬夜を除いて誰もがその事を忘れてしまっている、という設定、これが今後最重要のポイントとなりそう。秘跡狩りなど次回へ続く伏線もぶっこんできたし、立場も確立できたので次回以降ガンガン動いていきそう、楽しみ楽しみ。

1巻感想

黄昏の騎士団、蹂躙、蹂躙、蹂躙す ★★★☆   



【黄昏の騎士団、蹂躙、蹂躙、蹂躙す】 あわむら赤光 /夕薙  GA文庫

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裏城紫苑は余命少ない末期患者の少年。生きる楽しみを何一つ知らず死にたくないと、闘病を続ける姿が、天上界の姫エミルナの目に留まった。
「適格者よ。我が“不死の騎士公”となり、君が求む快楽を探すといい」
不滅の肉体と、『他者にも不死性を与える』規格外の力を得る紫苑。そして、彼が見出した喜びとは―エミルナの右腕として無敵の軍団を結成し、地上を支配せんとする天上界の王族を殱滅することだった!
「強くなって悪い奴らを踏みにじる。これより気持ちいいことってある?」
不死の暴力。不滅の純愛。今、灰色だった人生への大叛逆が始まる!正義を娯楽とし圧倒的な力で為す独善懲悪バトルパレード、開幕!!
これはまたぶっ飛んでぶっ壊れた主人公だ。でも人間として異常であり破綻していて壊れていても、人間性という部分においては真っ当で物事の善し悪しについても純朴で、他人の感情の機微についても敏いものだから、独善懲悪なんて自ら謳いながらも不快ではなく好感の持てる少年なんですよね。作者のあわむらさん、こういう規格外の一方で感性真っ当な孤立しない主人公描くのうまいなあ。
エルミナ姫も、あらすじ見ると偶々出会って適格者だったので拾い上げました、みたいな感じですし傲慢なお姫様っぽく見えるんですけど、それどころか行きずりの犯行ではなく、何気に何年も紫苑のもとに通って闘病生活を支えてたんですよね。それも、逃亡生活で本来なら一処に留まることすら危険なのに。長きに渡って紫苑の闘病を、終末治療を拒んで苦しみ抜きながら生きることを諦めようとしなかった彼の足掻きと絶望をずっと見続けていたからこそ、献身的に介護し続けてきたからこそ、言えるセリフがあるというものです。
これは間に割って入るの難しい主人公とメインヒロインの一途な関係ですよ。
不死となり、あれだけ自由闊達に振る舞いながら、いざお姉ちゃん属性を振りかざすエルミナにはついつい弟気質が出てしまって、エルミナにうまく迫れなくてジタバタしている紫苑くん、あのお姫様に対してだけ初心でぶきっちょな姿は、別にショタじゃないのだけれど妙に可愛らしくて心擽られるものがありますなあ。
何気にダダ甘お姉ちゃんな姫様も、これはこれで実に可愛らしいのですけど。なんとも微笑ましいカップルなのです。
しかし、一方で敵に対しては死んでも死んでも瞬時に再生して、ニコニコと満面の笑みを浮かべながら迫りくる不死身の怪物さながらで、この盛大にぶっ壊れた精神性こそがキモなんでしょうなあ。普通に怖いもんね!!
とはいえ、不死身とはいえ決して無敵ではなく、封印などの術によってあっさり無力化されかねない可能性は一番最初の戦闘から提示されていて、これ何気に一番最初の戦いこそが最大のピンチだったんじゃないだろうか。というわけで、不死そのものが無敵の理由ではなく、不死の体、そして将棋のように相手の駒を不死にして自軍へと取り込むその能力、そして不死身という特性を存分に利用し尽くした死を全く恐れない理外の戦術策謀こそが、この紫苑の蹂躙劇の要なのである。
でも、もともと死に慣れていると言っていい紫苑と違って、後から仲間になるみんなはそこまで死に瀕するような状況に陥ったこともないだろうに、何気にすぐに身体が原型トドメないほど損壊するような死に様晒してもすぐにもとに戻る状況に適応してるの、果たして彼らが凄いのか不死になったことで彼らも何かが壊れたのか、微妙に恐ろしいところである。一度死ぬたびに人格やらが徐々に欠損していく、と最初から明言されているのでみんなもう少し気をつけて死のうよw
しかし、紫苑くん。あんな境遇でいながら性格壊れはしても歪んでないのは凄いなあ。もっと世界を憎み嫉み負の感情を拗らせていてもおかしくないどころか死んだら怨霊になっても不思議じゃない有様だったのに、常に前向きでプラス思考なんですよね。だからこそ、死に抗い続けられたとも言えるのでしょうけれど。あるいは、それだけエルミナの看護が心の支えになり続けていたのか。
それを言うと、渚なんかも酷い境遇で理不尽を強いられ続けていたのに、根っこはものすごくイイ子であり続けていたのは何とも微笑ましい。いや、境遇相応に性格ひねちゃってるんだけれど、そこから善良さや優しさが滲み出てくるのって、やっぱいいんですよね。ただまあ、紫苑はエルミナに一途も一途だから、報われなさそうなのは可哀想なところだけれど、これに関しては最初からバッサリされているので、ある意味後腐れはないのか。でも、姫様の悪口言うと紫苑にセクハラされる、という取り決め、悪用するとえらいことになりそうだぞ。渚ってむっつりっぽいキャラだしw 紫苑って、変なところで頑固だから一度決めたことは自分に都合悪くても曲げないだろうしw

あわむら赤光作品感想

幼い女神(アマテラス)はかく語りき 2 ★★★☆  

幼い女神はかく語りき2 (講談社ラノベ文庫)

【幼い女神(アマテラス)はかく語りき 2】 暇奈 椿/夕薙 講談社ラノベ文庫

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時は古代、空白の四世紀――未だ神話が綴られる神秘と幻想の時代。
真人と常夜が誓いを交わしたあの激戦から一月後。
まつろわされたクラカヒメこと少女アスラウグと《鬼》の姫マウラに振り回される真人の元に、奇妙な狐耳の女神アメノウズメが現れる。
彼女はある荒神霊に狙われた神倉の都を援けて欲しいと真人に懇願するが――
「――――――――で。その話、どこからどこまでが嘘なんだ?」

これは嘘と真実、誓いと許しの話。
後世に生きる人々が果たすべき約束、そしてとある女神が叫んだ初恋の《歴史》――――!
過去と現在が交錯する新たなる創世ファンタジー、待望の第二弾!
天津倶羅伽比売命―つまりクラカヒメって和名じゃなくて、アスラウグのもう一つの名前なのか。アスラウグのアスラに引かれたのか、インド神話世界にも首を突っ込んでいた、というのは面白い要素ではあるのだけれど。
この作品、未だ神秘と人外が跋扈しながらも現代文明に沿う形で発展している異形の日本を訪れた外国人が、現地日本の人……いや、人じゃなくて神になるのか。そんな存在にインタビュー、あるいは取材して聞いた話という体裁を取っていて、なんでこんな未だ神話が続いているような国になったのか、という原因の源泉たる建国神話の当事者たちから生の話を聞いているというものなんだけれど。
なんちゅうか、ちゃんと神代と現代が地続きなんですよね。それを実感させてくれたのが、インタビュアーの兄ちゃんが、現代に至った日本に理想郷めいた称賛を口にした際に、現地人たるケンタウロスのお姉さんが、きっぱりとそれを否定して、特定の幻想種への不便もアレば社会制度の不具合もある、偏見もあるし理不尽も存在する。ここは理想郷なんかじゃなく、神秘と幻想が残っていたとしてもただの現実の国に過ぎない、という趣旨の話をしてくれるわけだ。
つまるところ、なんもかんもうまく言ってる理想の国なんかじゃなく、でも他の世界では滅びた神や魔のものが生きていく上でこの地はなんやかんやと相応に現実的にやりくり出来ている場所でもある。
間違いは幾つもあって、失敗もまた幾つも重なっている。神だって人だってそりゃもう間違えるし、やらかしてしまうのだ。でも、それで終わりじゃあない。そこで止まってしまってはなにもならない。
止まって、終わってしまおうと望んでいたのはアスラウグで、それが嫌だったけれどどうしたらいいのかわからなかったのがトヨヒメで、そういうなんもかんもが面倒くさかったのが真人だったと捉えればよかったのか。
結局の所、そうした完全ではない世界。無駄に終わってしまうかもしれない世界を、しかし許容し、むしろ傲然とそれでいいんだと受け止めて、違う方向を向いている者同士でも手を取り合えば失敗も間違いもそこで止まってしまわない。終わってしまわずに済む。間違いをカバーして、前へ進んでいける。
そうした、過去の、神話の時代におけるその当時生きていた人たちが選んで受け入れて踏ん張って、やってやるさと結論づけた結果の延長線上に、この現代不思議日本がある。現代に至る礎となる意思が生まれた物語が、つまりはこれなのだと思えば、それは感慨深く……そしてその当事者たちである神様たちがまだ存在して、今もその意志を輝かせている、導くでも後押しするでも下から支えるでもなく、一緒に輪の中に入って、世界の旅を共にしている、という事実はなんだかワクワクしてくる。
人も神も魔も妖も、共に同じ輪の中に入って生きることを選んだ、夢見て未来を作ることを選んだ、大いに間違い損ないながらも、折り合いをつけて現実的にそこに共に在ることを選んだ、理想郷ならざる夢の世界なのだろう。
そして、恋してる、ということは今を生きている、ということそのものだ。
だからこそ、これは死せるアスラウグの再誕の物語であり、今なお生き続ける女神の今語りなのである。

1巻感想

幼い女神はかく語りき ★★★☆   

幼い女神はかく語りき (講談社ラノベ文庫)

【幼い女神はかく語りき】 暇奈椿/夕薙 講談社ラノベ文庫

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現代の日本、燈京―アメリカから訪れたインタビュアーを前に、幼い女神はかく語る。「それじゃあ、彼の話をしましょう―」時は古代、空白の四世紀―未だ神話が綴られる神秘と幻想の時代。この国のはじまりを築いた、はじまりの“士”の話。―邪馬台の侵略、異国の神々、異形のモノノケ、“化外”の民。真人と常夜。ただの人間だった少年と、無力な女神だった少女との出会いが、最新にして最古の誓約を結び奉る―!!アニメ化された大人気シリーズ『クロックワーク・プラネット』の暇奈椿が紡ぐ、過去と現在が交錯する新たなる創世ファンタジー!

神代の黄昏時、神々の時代が終わりを迎えようという時、それでも神の存在は隔絶していて、人間はそれに付き従うばかりだった頃に、神々の血を引く英雄ではなくあくまでただの人間として、「人の強さ」を証明しようとした男の戦いが、結果として現代においてなお本邦のみが物質文明の中に神秘を内包した神話と地続きの国になっている、というのは面白い話である。
他の外国がみな、人間の世界になっているのに日本だけが、神と魔と魑魅魍魎妖怪変化と人間が入り混じった怪異にして神威の国になってるんですよね。まあこの日本を現代に至るまでの歴史に組み込むのは難渋すると思うのですけれど。海外が日本の国情を正確に把握できていない、というのもよくわからない原理ですし。認識阻害でも掛かってるんだろうか。
ともあれ、神が威を奮った他所は神々が滅び去って人の世界になったのに、人たる英雄である真人が女神である常夜や鬼であるマウラたち人外を飲み込み巻き込んで、その上でたった一人の強さではなく、「人の強さ」とは依存ではない支え合う力、弱さもまた力だという答えのたどり着いた結果が、神も妖も幻想も現実もすべてを丸っとひっくるめた世界へと繋がる道だった、というのは興味深いなあ。はっきりと具体的に書いてあるわけじゃないけれど。
北欧神話のヴァルキリーまで出てきた時はびっくりしたけれど、このごった煮感はむしろ好きなんですよね。神仏習合や他の地域の神話体系を自分の地域の神話に取り込む、外の神様にこっちの名前をつけて同体にしてしまう、というのはよくあることなので。マリア菩薩みたいなものか。
そうでなくても、神話というのはそれぞれ隔絶しているのではなく、案外距離が離れた地域同士でも地続きであるので、違和感というのはないんですよね。それよりも、他の地域では神代が次々と消えていき、それでも現世に残ってしまった神々の生き残りがはるばるこの極東の地まで流れてきてしまった、というシチュエーションはむしろ世界の大きさを感じられて、ワクワクさせられるじゃないですか。同時に、各地の神話体系が黄昏を迎えているという事実そのものに寂寥を感じさせられるわけでもあります。かのヴァルキリーの出自からして、北欧神話の最盛期の向こう側ですもんねえ。
でも、そんな終わりを迎えつつ在る存在が、この極東の地で生き残るために足掻いている。それは、元々この地に居た土着の女神でありながら、外夷によって追いやられて彼女の民もろとも滅びを迎えつつ在る常夜も然り、世界中でその製鉄と鍛鉄の腕を持って名を知らしめながら、今この極東の地で末路を迎えつつ在る鬼の一族、ドヴェルグ、ドワーフと呼ばれた民の末裔マウラもまた然り。
だからと言って、神々の時代が終わって代わりに人間に拠る人間のための輝かしい時代が幕開けようとしている、という雰囲気は微塵もなくて、むしろ人間もまた神々の庇護のもとで翻弄され無力に踏み躙られ、或いは威を借りて暴れまわり、と新たな時代を担うような輝きを感じさせるものではなかったのであります。
そんな中で、そんな何もかもが黄昏を迎えつつ在る世界の中で、果たして真人がどうしてあんなに「人間の強さ」にこだわっていたのか。彼の来歴は語られることはなかったのですが、彼自身手探りで正解を見つけられないまま、強さを証明しようとあがいていた中で、弱い女神と出会い自立した鬼娘と出会い、反発し喧嘩し諭され支えられ叱咤して、そうして手を取り合って真人自身、寄って立つ答えにみんなで辿り着いていくという過程は、新たな時代の英雄の誕生であると同時に何より主人公らしい一端の姿でありました。
まあ、圧倒的にマウラがイイ女、良い嫁すぎてあらカタ持ってったような気がしないでもないですが。エロいし姉御肌だしロリだし母性的だし、と非の打ち所が無い。なんじゃこの鬼仕様はw

振り翳す旗、寄って立つ核、生き様を手に入れた真人であるけれど、果たしてここからどのような軌跡を辿って、アマテラスを名乗る女神が今なお国を司る神国が現代に続いたのか、その道程は大変気になるところであり、ってかちゃんとした国造りするくらいまではちゃんと書いて出してほしい。
あと、現代では真人どうなってんの、とか。

暇奈椿作品感想

そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1 ★★★☆  

そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1 (オーバーラップ文庫)

【そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1】 樋辻臥命/夕薙 オーバーラップ文庫

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―終わりは、すでに約束されている。人類は予言された終末に抗うため、人知れずその要因『刻の黄昏』と、内部に現れる魔人『ペイガン』と戦ってきた。そんなことが世界の裏側で繰り返されるなか、日本の高校生・東雲冬夜は突如異変に巻き込まれ、刻の黄昏に迷い込んでしまう。刻の黄昏でペイガンに襲われた冬夜は、終末と戦う少女・如月御姫に助けられ、事なきを得る。翌日、冬夜が御姫から異変について説明を受けていると、再び刻の黄昏が発生。御姫はペイガンを倒しに飛び出すが、なぜか一介の高校生である冬夜の手にも、普通の人間が持ちえないはずの超常の武器・サクラメントが握られていて…!?
現代異能モノというよりも、往時の現代伝奇ものを想起させてくれる作品でした。最近、意外とこの手のガッツリ凝った伝奇テイストのものは多くはないですからねえ。作者の処女作が元のベースだそうですけれど、ある種の年代が感じられるのもそのせいかもしれません。
そして、作者の同じ作品の【異世界魔法は遅れてる!】シリーズとどうやらリンクした世界観の模様。リンクしていると言っても、あっちは異世界なのですがあっちに強制転移させられた主人公が実は現代地球で活躍していた魔術師で、という設定だったんですよね。で、どうやら地球サイドにもかなり分厚い設定があった模様でそっちの話も読みたいなあ、と思っていたので本作はまさに期待に応えてくれた作品といえるのかもしれません。と言っても、あっちの主人公・水明くんが所属していた魔術組織やその周辺からは関係ないとは言わないまでも離れた舞台となるようで、水明くんの回想に出ていた仲間たちの出番があるかどうかは不明だけれど、少なくともメインからは程遠いようだ。
主人公と言えば本作の主人公である東雲冬夜。彼ってあらすじ見てると全くの一般人としか読めないんだけれど、これってあらすじ詐欺じゃないですかぁ。お陰でプロローグの話から本筋始まったとき主人公に対する思い込みから少々混乱してしまいました。でも、この一般人のように見えて実は、というパターンもTYPE-MOONの作品なんかでは定番もいいところですし、異世界転移みたいに後から能力が付与されるような機会など滅多無い現代伝奇モノだと、むしろ最初から主人公も異質の側でないとなかなか話に追いついて行き辛い面もあるのでしょうなあ。冬夜の場合は巻き込まれ型、というには彼は彼で頭までズブズブに浸かってる現在進行系の深い事情があるのですが、考えてみると作中でさり気なく宣言されているとおり、冬夜くんはたった一人の女の子のために、それらすべてを放り捨ててるんですよねえ。プロローグで見せた狂気にも似た喪ったものへの執念を思うと、投げ捨てた人生をさらに投げ捨ててるようなものなんですよね。
古典的な、というとちょっと違うか。あり得るべき理想の騎士像を体現してるなあ。実際は騎士どころか王子様なのですが。
ほら、御姫さん。ご希望の白馬に乗った王子様ですぞw
そんな王子様が手を差し伸べるお姫様の方は、これがまた実にポンコツ臭の漂う残念クール美人で。学校じゃあ涼やかな品行方正の委員長という猫を被りながら、その素の顔はというと早とちりしたり注意不足だったり結構けたたましいおしゃべりだったり、と本人が理想としている姿と実体がやや乖離しているポンコツさが、でも愛嬌になってて親しみやすく可愛らしいんですよ。実戦となると覚悟も定まっててちゃんと凛としているし。
だからこそ、色んな意味で彼女を「汚して」しまうのはそれなりに衝撃的でした。あれ、本当に殺っちゃってるんですか。てっきり勘違いの類いかと期待しながら先まで読んでいたのですが、結局そのままでしたし。
こうなると、どうしたって彼女の魂には罪業の傷がついて、陰がつきまとって払われる事は難しくなるでしょうし、冬夜が負った代償も含めて今後の雰囲気って相応にダークサイドに寄っていくことになるのでしょうか。
そうなればそうなったで、一蓮托生となった冬夜と御姫の関係に共に闇に堕ちる的なインモラル感が漂ってくるので、それはそれで雰囲気が出て良き哉、なんですが。
冬夜が気づいた世界の異常も、単に『刻の黄昏』に関わることになった人間の共通認識なのかと思ったら、全く予想と違った展開に転がってしまって、いわゆる「今、世界に起きている謎」についての探求も物語の進行に組み込まれ、正しく役者が揃い舞台が整った、という体の一巻でした。いや、役者についてはまだ全然揃って無くて、メインの二人をがっつり舞台にあげた、というところなのかもしれませんが。
ってか、何気に冬夜の悪友の彼も謎なスペックですよね。あれ、一般人なのか?

樋辻臥命作品感想

異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~ ★★★☆  

異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~ (ファミ通文庫)

【異世界魔導古書店 ~チート魔力あるけど、まったり店員することにした~】 年中麦茶太郎/夕薙 ファミ通文庫

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地球最強の異能者『勇者』タクトは魔王を倒した瞬間、異世界に転生してしまった!運よく古書店を営む女神クララメラに育てられ14歳になったタクトは、前世から引き継いだ能力を使い、危険な魔導書を仕入れたりと古書店を切り盛りするようになっていた。そんなある日。銀髪の美少女セラナが店を訪れる。魔術学院の生徒として抜群に優秀だが、かなり抜けている彼女に興味を持ち、タクトは依頼を受けようとするが―。最強古書店員の異世界冒険譚、開幕!
セラナさん、ポンコツ可愛いよ、アホ可愛いよ! 表紙絵だと、銀髪のクールで知的美少女っぽく見えますが、これは詐欺です。これって、もうセラナさんを愛でるための物語ですよねえ。
すごい素直で良い子なんですけれど、穏当な表現に終始するあらすじですら「かなり抜けてる」と称されるだけあって、セラナさんの愉快な自爆っぷりは笑えるわ可愛いわ。当人、へこたれないのもあるんだけれど、前向きで明るいだけに、数々の失敗もぜんぶ可愛げになるんですよねえ。反省しないアカン子じゃなく、努力家でネガティブにならない応援したくなる子、というのもあるんでしょうけれど、それ以上にいじり甲斐があるというか。主人公、わりと大人気なく子供か! というようなちょっかいやらイタズラやらセラナにして構いまくるんですけれど、その気持もわかるんだよなあ。反応が素晴らしいんですよねえ、いじった時の反応がもうこれ、もっとやってもっとやって、と言ってるみたいに夢中になる、中毒になる。
それでいて、ちゃんと教えれば教えるだけ吸収し、めきめき成長していってくれるから、構い甲斐もあるんですよねえ。実際、天才少女なんですよ。天才だけに、一本どころじゃなく抜けてしまってる部分もあるのでしょうけれど。でも、これだけバンバン他の追随を許さない成長をしながらも、増長もせず謙虚だし、素直だし、なついてくるし、ワンコみたいに懐いちゃってるし、可愛いし。これ重要、アホ可愛いし。
この二人の和気藹々としたやり取り含め、ポンポンとリズムの良い掛け合いはホント楽しかった。気楽に楽しむぶんには十分なんじゃなかろうか。
一方で、物語としての盛り上がりには若干かけるかなあ。これは、ウェブ小説発信にありがちな特徴なんだけれど、一冊の本としての構成として捉えるとメリハリに欠ける部分がどうしても浮き彫りになってしまう。かと言って、無理に起伏を取り付けても変な構成になって全体の印象が損なわれてしまうので、よっぽど上手く再構成するか、敢えてそのまま投じるか、なんですよね。
ゆるゆるとセラナさんを弄ってポンコツなイチャイチャを楽しむ分には、これでいいんじゃないかなあ、と思ったり。それだけ、セラナさんおもしろ楽し可愛かったので。ので。
この娘、何気にドキッとさせられる無防備な発言をポロポロこぼしてくるので、侮れないのよ、うん。
 
11月26日

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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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