徒然雑記

終日のたりのたりかな  
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完結

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #11 ★★★★   



【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #11】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫

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終末のとき、開かれる未来の行方は。明日を繋いだ妖精たちの第2部、幕。

〈最後の獣〉が創り出した少年は、最期の選択を迫られる。
今ここにある幸せを慈しみ、浮遊大陸群《レグル・エレ》を滅ぼすか――多くを奪う邪悪として、自分自身が滅ぼされるか。
偽りの楽園は罅割れ、幸福のかけらも削れ行き、少年は自身の存在する意味を覚る。
「ぼくはちゃんと、あなたたちと戦います」
聖剣モウルネンを差し向けるティアットに、示す答えは。
そして、崩れ行く世界は、その跡に何を残すのか。

明日を繋いだ妖精たちの第2部、終幕。

黄金妖精たちは、自分たちを命のない存在だと定義している。自然発生してそのまま自然に消えてしまう死霊の類。自分たちはここにいるけれど、だからといって生きている訳ではないのだと。
だから、彼女たちは自分の命に対してひどく無頓着で、そこにあまり価値を見出していない。それはまだ幼い発生したばかりの幼子たちにこそ顕著に見られる傾向で、少女になった子たちにも少なからず見受けられる。ユーディアなど、この最後に至っても命のない存在としての自分を死を目前としていてもあるがままに受け止めていた。
でも、その最期にユーディアもまだあの子の、アミルタの傍に居続けたいと思ったんですよね。
自分たちのあり方はそのまま受け止めている、それでもその向こう側をこの妖精たちは望むことも出来るのだ。
だから。
そんな彼女たちのあり方に対して、生き続ける可能性を遺したのはヴィレムだった。
そんな彼女たちのあり方を許せないと、否定して消えていったのはフェオドールだった。
彼らの行動の後に、黄金妖精たちの今がある。それに彼女たちが納得しているかどうかは別として。
彼女たちが与えられたのは選択肢だ。摂理に身を任せるのではなく、自分の身を自分の生き方を、自分の終わり方を、そこに至るまでの続け方を、彼女たちは自分自身で選んで今、ここにいる。
パニバルが何も知らない何も持っていない生まれたばかりのモーントシャインに、彼自身が選ぶ選択肢を与えたかったのは、かつて彼女たち自身がそれを与えられたものだったからだろう。
そんでもって、もうちょっとお節介で選択肢という可能性以上のものを与えようとするのがティアットなのだろう。ティアットはいつだって皆に「生きろ」と呼びかける。その声は、命なき妖精たちにも生まれたばかりの世界の種子にも、ダイレクトに届いてしまう。だから、彼女は英雄なのだ。
思えば、この子が、ティアットが一番「生きてる」妖精だったな。この子を起点として、黄金妖精たちは死霊じゃなくて、自分たちの意思で生きようと思う生命に変わっていった気がする。
モーントシャインとの戦いと対話は、最終回答だったんじゃないだろうか。ヴィレムとクトリから始まって、フェオドールがひっくり返して、ティアットが叩き起こしてきたことの。
モーントシャインはかつてのヴィレムたちであり、同時に黄金妖精たちでもあった。その彼に後事を託して行ってしまうのではなく、かつ生きるという選択肢を掴ませるという事は、今までのシリーズであったことの総決算であり、これまで越えられなかった壁を超えたという事であり、終末とともに消えていくはずだったものの向こう側にたどり着いたような、そんな感覚なんですよね。
世界は、滅びるでしょう。でも、そこで全部終わってしまうのではなくて、その先も終わらず消えず生きていく、ゴールを越えて新しいスタート地点にたどり着いたような。
だから、ヴィレムはもう庇護者としての自分を置いていく事が出来たんじゃないかな。もう自分がいなくても、あの儚くふと目を離せば消えてしまう泡のような妖精たちは、これから逞しくしっかりと生きていく事がわかったから。愛すべき娘たちを友に託して相棒と新しい世界に旅立っていくことを選べたんじゃないかな、なんて事を思ったり。
エピローグに入ってからも、黄金妖精たちのその後が描かれていたけれど、みんながこの先も生きていくという確かな意思を持って、それぞれの日々を歩んでいる姿が見られました。特に、大人になってから一番、生の感触が希薄だったアイセアがあんな形になったことで、これからの黄金妖精達は命のない死霊とはまた違う、生きた命として在っていくんだなあ、というのが強く実感できたのでした。
新しい命の輝きを、一番ピカピカ光らせていたのはリィエルでしたけれどね。この幼い妖精は、誰かさんたちの魂の欠片を引き継いでいるのかもしれない幼子は、きっと自分の力であの人にもう一度会いに行くんだろうな。
ラストの「もう一度だけ、会えますか?」への回答は、ちょっとびっくりしましたけどね。こ、こいつあれだけやらかしておいて、最後両手に花かよ。ってかティアットさん大勝利ですか、もしかして。

というか、この「すかすか」シリーズ通しての大勝利者は文句なしにネフレンなんですけどね!
きっととても永いものになるだろう星の旅路に、ヴィレムの傍らに寄り添う少女あり。なんかもう、ついにやってやった感が凄いんですけど。クトリやリーリァを置き去りにして、最後の最後にヴィレムの隣に居続けたのがネフレンだったとは。ってこれ一期にも言っていたような気がするけれど、ヴィレムに先がもう存在しなかったかつてと違って、今度は悠久の旅になるんだもんなあ。
これを大勝利と言わずして、なんといいますか。

ああ、終わったなあ。こんなに続く事になるとは思いもしなかったこの物語が、こうしてちゃんと「終わったなあ」という感慨を浮かべることの出来る結末を迎えることが出来たのは、ずっと読み続けてきた身としても、感無量です。良き、物語でした。読むことが出来て本当に良かったと思えるお話でした。
これからも、この物語の登場人物たちが長く長く幸せに過ごせることが出来ますように。


ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2] ★★★★   



【ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん [Disc 2]】  恵ノ島すず/ えいひ カドカワBOOKS

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破滅の元凶と直接対決! ゲーム実況が導くエンディングの行方は……!?
 現実世界のゲーム実況が神々の声として聞こえるようになったジーク。神託を通じ婚約者リーゼロッテが【ツンデレ】だと知った彼は、その可愛さに悶え、誓った。
 ——彼女の命を奪う元凶【古の魔女】を許さない。
 しかしその討伐のため、神託に従い国の最高戦力を集めたはいいが、婚約者本人まで戦う気満々なのはなぜなんだ……?
 遂にバッドエンドの黒幕と直接対決! ゲーム実況が導く先に不遇な悪役令嬢のハッピーエンドは訪れるのか……!?

「はー、かわいい」
ジーク、しみじみ堪能しすぎであるw
リーゼロッテがもう何を言っても何をしても可愛いしかない存在であることを実況解説神によって知ってしまい、いちいち遠藤くんと小林さんの解説を待たずして彼女のツンデレ、発言とは裏腹の本心を理解できるようになったジークくん、もう毎日毎時リーゼのこと堪能しすぎである。ひたすら、リーゼを愛でて可愛いなー、可愛いなー、と悶える日々。
幸せか!
この娘、私の婚約者なんだぜ!? と内心絶叫し、もういいから早く結婚しよ! と出来る限り早く結婚してしまいたい気分で浮かれている王子様。
だいぶ頭の中、春真っ盛りになってきてお花畑が咲き誇ってるなー、と思っていたのだけれど、実際はリーゼの方も大概だったみたいなんですよね。リーゼの方の内心については、その言動から推察するしかなかったのだけれど、彼女の本心というか意図は理解できていたものの、頭の中でどんな精神状態だったのかについてはわからなかったんだけど、リーゼと繋がっていたあの神様が暴露してくれた話によると、相当こっちもお花畑満開でジークに対して黄色い声を張り上げて、ジーク様素敵! ジーク様かっこよすぎ! とか悶絶しまくっていたらしい。
わりと似たもの夫婦なのかもしれない、この二人。
まあジークの方も結構嫉妬深いところが見えましたしねえ。フィーネと姉妹になって仲睦まじくしている様子にすら嫉妬するくらいですし、さらにショタっ子に姉さまと呼ばれて慕われるようになった際には、小林さんたちに未だ嘗てない表情と評されるくらいの独占欲をたぎらせていましたし。
古き魔女による呪詛でネガティブな感情を掻き立てられていたのをずっと耐えていたリーゼですけど、ジークの方にこの呪詛がキてたら一発で闇落ちしてストーカー化してたんじゃないだろうかw
でも、変に溜め込まずに、自分の嫉妬心を曝け出してリーゼに自分の醜さを見せつつ甘えて見せるあたり、ジークたんはやり手なのである。リーゼに関してはもう手段選ばなくなってたよなあ、コヤツ。
バルの方もフィーネ愛を自覚して以降、完全に開き直ってグイグイ押してくる困ったちゃんになってたし。ラスボスも含めて、この作品の男連中はわりとみんなダメ夫の資質が垣間見せるんですけどw
女性陣の甲斐性を期待するしかないよなあ。幸いにして、女性陣の方は色んな意味で女傑ばかりでいい意味で男連中を尻に敷ける逸材ばかりなので、そっち方面の心配はそれほどしなくて良さそう。
いや、そういう甲斐性を持ち得ていなかったばかりに、痴情のもつれの果てに世界滅ぼしかけるわ、リーゼ破滅させかけるわ、という迷惑極まりないことをしでかしてしまった女性もいるのですが。

……女神様、土下座似合いすぎなんですけどw
開幕、土下座登場した創世神はさすがに初めて見た。なんかもう腰の低さというか、謝罪の堂の入りっぷりは見事というほかなく、このまま宗教図として描き残すか世界中の御神像を土下座ポーズに作り直すの、マジでありなんじゃないだろうか、と思えるくらい彼女の象徴的なポーズになっていました。
いや、この展開はさすがに予想外でしたけれど、元々オーバーキルすぎる陣容! だっただけに、変にバトルにならずにこういう形で収まったのは作品の雰囲気的にも良かったんじゃないでしょうか。
女神も大概でしたけれど、元凶となった輩のどうしようもなさは目を覆わんばかりでしたが。
でも、遠藤くんと小林さん側からの一方通行の力関係で終わらず、双方向で小林さんたちをリーゼたちが助ける展開になったおかげで、両者が本当の意味で心通じ合った友達になれたという形に至ることが出来たのは、とても素敵な結末でした。
これ以上なく素晴らしい文句なしのハッピーエンドでございました。色んな意味でごちそうさま♪






クラスメイトが使い魔になりまして 4 ★★★☆   



【クラスメイトが使い魔になりまして 4】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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最悪改変の世界。俺は千影を振り向かせる!

落ちこぼれの芦屋想太には藤原千影という分不相応な使い魔がいた。
紆余曲折あった末に、晴れて恋人同士となったはずだった。
しかし、ソフィアとの対決で瀕死となった千影を救うために、想太は「神様」を頼ってしまう。
そして、その対価は……千影から想太を取り上げることだった。
最低最悪に性悪な「神様」はまたも世界を改変し、千影との日々の記憶をなきものとした。
改変されたこの世界での想太の恋人は、よりによって「あいつ」……!!
千影、旭、美砂、そしてソフィア。4人の想太への想いが激しく交錯する最終巻。
想太と千影の運命が決する、「険悪なのに相思相愛」主従ラブコメ、ここに完結!!
ああ、神様を喚んだ時点で勝負は終了ではなくて、ちゃんと約束の期日までは勝負続行だったのか。
世界を改変して想太の記憶含めて全部消し去ってしまったとはいえ、神様も律儀なことである。
いや、確かに美沙神がやってる事ってアコギもいい所で相手の気持ち無視してやりたい放題酷い事は間違いないのだけれど、勝負に関しては絶対にルールは遵守していたし、もっと自分に都合の良い状況は設定できたと思うんですよね。
記憶さえ戻ってしまえば、一気に美沙が窮地に陥ってしまうほどのアドバンテージだったわけですし。対策も取ってたというけれど、かなり脳筋というか力任せの対処療法でもっとエゲツないどうやっても抗えないようなドス黒い陰険な罠だって張れただろうに、そういうやり方はしてなかったんだよなあ。
じゃあ美沙が本気じゃなかったのか、というとそんな事はなくて、もうみっともない程ジタバタして八つ当たりするわ泣き喚くわ地団駄を踏んで転げ回ってしがみつくように勝利にこだわっていたように、本気も本気、これ以上無いくらい想太に執着しまくっていたのが彼女だったんですよね。
いやもう、あそこまでみっともなく無様に醜く本性をさらけ出してでも本音で叫んでむしゃぶりついてくる美沙の姿、その突き抜けっぷりを見せられるとなんか絆されてしまいますよ。ひでえ奴なんだけど、人間ちっさいし心狭いし性根曲がってるし根性悪いしなんかもう醜いんだけど、そうなってしまうほど本気だったのは伝わってきた。想太の事が好きで好きで何としてでも離したくなかった、というのは伝わってきた。本当に好きだからこそ、どれだけ卑怯な真似をしても手に入れたかった。でも、本当に好きだからこそ最後の一線は守って勝負にこだわってしまった、というあたりこの神様は人間そのものだったんですよねえ。
まあそれでも、千影のほうが良い、という想太の気持ちに関しては、うんまあそうだろうね、とうなずいてしまうのだけれど。どれだけ絆されても、可愛げを感じても、それはそれこれはこれ、こいつの人間の器が極めてちっちゃくてやべえやつ、というのは変わりませんからね。
ただ想太が彼女に記憶を弄ばれ、人生を奪われ、好き勝手されていた事に嫌悪と憤怒を感じていた事に関しては、気持ちはわかるが美沙の気持ちもわからないでもない、という塩梅に収まってしまったんですよね。それだけ、美沙に絆されてしまった、という事なのでしょう。
だいたいさ、確かに美沙のやってる事はひでえの一言で相手のことなんにも考えてなくて自分本位、自分が優先、自己満足のために想太を含めて全員を振り回して踏み躙ってきた事は間違いないですよ
でもね、それはそのまま想太たち他の面々にも多かれ少なかれ当てはまることでもあるんですよね。
想太がソフィアにした仕打ち見てみなさいよ。あれは本当にドン引きでしたぜ。それでなくても、想太の言動ってかなり無神経な所があってそこまで言うか、そこまでするか、というような結構相手をざっくり傷つけるようなものがあったりするんですよね。それは想太に限らず、千影も似た者同士で同じようなことをやってますし、ソフィアなんかは自分優先自分本位の権化みたいなもの。マリ姉こと三条茉莉花もこの人はかなりマトモな側な人で、美沙に誘導されていたのだけれど、彼女も千影相手にかなりやばいことしてますしねえ。
そもそも発端は想太の自己満足の勝手な行動だったわけで、この巻で最後まで拗れたのは千影の同じベクトルの自己満足だったわけで。ほんと、面倒くさいのしかいないのか。
いや、面倒くさいのしかいないからこそ、この物語が成立してしまったのですけどね。
誰も悪くないのに運命の悪戯で劇的に状況が悪化してしまう、なんて展開は結構見ますけど、本作でいうと誰も彼もが悪いので、案の定シッチャカメッチャカ酷い事になりました、てなもんである。全員ギルティ。
千影に相手にされない事で、かつて記憶のない自分に一生懸命アプローチしていた千影を素気なくあしらっていた事を今我が身に似た仕打ちを受けることで強く後悔し反省している想太だけど、ほんともっと色々と反省した方がいいと思うぞ。これまでの世界改変で受けた苦難でもだいぶ報いは受けたと思うけれど、少なくともソフィア案件については殆どなんにも返せていないですしねえ。
神様に対抗するには大魔王に縋るしかなかったとはいえ、あれほど狂乱していたソフィアがこうもマトモになっちゃって協力的になってしまうとは、意外なんてもんじゃなかったです。
ある意味この人が一番純真に自分本位を貫いていた、とも言えるのでしょうけれど、ソフィアってもう想太からなにか貰おうとは微塵も思ってないんでしょうね、これ。あくまで自分で奪い取る、自分から想太にさせる、ことが前提で。それはもう潔い自分本位なんですよね。自儘に振る舞うのなら、相手に何も期待しない、一方的に自分の望むようにさせるのみ、というある意味の一途。
まあ、一度期待して相手からナニカしてもらおうとして、そりゃもう凄まじい裏切られ方、捨てられ方しましたからねえ。
……あれ、魔神相手でなくても、普通の女の子だろうと背中からナイフでグサリっとやっても何も不思議でないヤリステっぷりだったもんなあ。むしろ、ソフィアは狂乱したまま発狂したままだったからこそ、狂気が狂気として突き抜けてしまったからこそ想太を我が物にしようとして神に全部持っていかれそうな局面ゆえに全面協力してくれた、と見た方が安心できるんですよね。正気に戻ったら絶対殺すだろう、惨殺するだろう、あれだけの事されたんだから。マトモなら、ぶち殺さずにはいられないだろうし。
とまあ、登場人物の人間性について、こいつら酷くね?というコメントを綴ってきてしまったわけですけれど、不思議とみんな嫌悪感とか忌避感は感じないんですよね。いや、想太については折々ドン引きしてたけど。とはいえ、そういう剥き出しの生臭いほどの自分本意さが妙な人間味を感じさせて、愛着が湧くというか可愛げを感じるみたいな感覚を抱いてしまったわけです。美沙に絆されたのもその一環で。好き、というのはなんか違うか。親しみ、というのが一番近いか。だからまあ、想太と千影が想い通じ合って結ばれたのも良かったなあ、と思うし、なおもジタバタしてみっともなくあがいている美沙にも微苦笑とともにまあ頑張れ、なんて思ってしまうわけで。
そんな風にこのキャラたちに想いを持たされた時点で「やられた」んでしょうね。うん、面白かったです。


エリスの聖杯 3 ★★★★★   



【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

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「ごめんね、スカーレット。本当に、ごめん」

希代の悪女の亡霊スカーレットと、その復讐につきあうことになった地味令嬢のコンスタンス。
奇縁で結ばれた令嬢コンビはついに、十年前の処刑の真相へと辿りつく。
あとは順に復讐相手を見つけ出していくだけ、と気炎をあげるスカーレット。だが、王国内で
暗躍を続ける組織【暁の鶏】は、コニーやランドルフを『エリスの聖杯』の邪魔者であると認識し、
その排除のために動き出していた。
敵の意図を看破したコニーは、あえて冤罪を被って収監されることで、ランドルフの行動の自由を
確保する。しかし、そんな彼女に下された王命は『十年ぶりの公開処刑』だった――!
十年前のサン・マルクス広場、処刑場での邂逅から始まった二人の少女の物語。その果てに待つ
運命とは!? 感動の第三弾!!

はぁぁーーーー…………。素晴らしかった。うん、これを傑作、これを名作と言わずして何という、というレベルのお話でした。感動した。泣いた(語彙力
スカーレットを処刑した犯人、と言ってしまうのは語弊なのだけれど、彼女を死なせる決断をした当事者があまりにも衝撃的だった2巻のそれを引き摺りつつのこの三巻、この完結編。
スカーレットの処刑にまつわる真相はほぼ明らかになった以上、待っているのは解決編であり決着であったのだけれど、スカーレットの処刑の真相がああであった以上悲劇は既に起こってしまっている。これをどうスッキリ終わらせるのか。スカーレットの望む復讐をどう成し遂げるのか。
ちょっと途方に暮れてすらいたのだけれど、冒頭からそのまず最大の壁をスカーレットとコニーはひょいっと越えていってくれたんですよね。ランドルフ閣下が口ごもり躊躇するほどにその真相は残酷だったのに、この娘二人と来たら……強いなあ。
あれ、スカーレットパパを引っ叩いたのはスカーレットじゃなくて、コニーの方なんですよね。引っ叩いておきながら、あれだけビビってるのはこの娘らしいんだけど、あれだけ叩いたあとにビビるくせに衝動的にぶっ叩いたんじゃなくて、ちゃんと考えた上でぶっ叩くのがコニーらしいというべきかなんというか。
スカーレットの処刑を、果たしてアドルファスはどのように受け止めたのか。それをスカーレットの母と出会い、愛を育む所から描いてからあのスカーレット処刑後の様子を克明に描いた上での、あのボロボロに崩れ去った慟哭ですよ、あの遺骨を胸に抱いて咽び泣く挿絵ですよ。
彼の後悔が、絶望がどれほどのものだったのか、有無を言わさず刷り込んでくる。だからこそ、だからこその救いである。
この時点で、いつのまにかスカーレットの復讐って意味が変わってしまっているんですね。まだコニーとスカーレットの中では捉えきれていないけれど、物語上では見事に意味合いが変転している。
それは、コニーがハメられてスカーレットの処刑の再現に当てはめられた時を境に、スカーレットの中でも彼女の復讐、つまり執着、現世にしがみつく祈りは実際の形へと疾走して追いついていく。
自分が何のために、この世に幽霊として顕在しているのか。どうして、コニーなんて小娘にくっついているのか。
彼女にとって、幽霊となってコニーに復讐の手伝いをさせていたのは、過去の精算とはまた少し違っていたのだと、最後まで読むとわかるんですよね。
心残りを晴らすためではなく、過去の後始末をつけるわけでもなく、かつて自分を陥れたものたちに思い知らせてやる……つもりは勿論多分あるけれど、まあそれは落とし前というやつだ。きっちりしっかりミッチリとやっておかなきゃならないことだけれど、それだけを目的にそれだけに執着して現世にしがみつく、というのはツマラナイし、みっともない。スカーレットの名が廃るってなもんである。
ならば、スカーレットらしい幽霊になろうとも現世に降臨し続ける理由とは。君臨し続けるに足る動機とは。そう考えると、彼女のホントのラストシーンは全くもって「らしい」と思うんですよね。
未練、心残りを晴らしてキレイに成仏、なんてらしくないし、そもそも幽霊になった理由とは食い違っている。
スカーレットの記憶に残っていなかった処刑直線からその時の瞬間。それが明らかになる回想、いや時間が戻ってのスカーレット処刑のその時に、彼女が何を思っていたかが明らかになるあのシーンが全部物語ってるんですね。
それは悲劇ではあったけれど、スカーレット・カスティエルがその瞬間抱いていたのは絶望でも恐怖でも怒りでも憎しみでもなく、ああそうだ。
彼女の中にあったのは希望だったのだ。彼女は自分が勝利する事を知っていた。スカーレット・カスティエルが望むべき「未来」を手に入れることを。
そして幽霊になったスカーレットにとって、コニーと共に歩む時間はリミットのある猶予でも、過去の残り香としてこびりついているのでもなく、「今」だったのだろう。「現在」だったのだ。それを、彼女は「過去」で知った。自分が死ぬそのときに理解した。
彼女は、コニーに出会いに来たのだ。つまりは、そういう事だったのだ。
スカーレットがとっておきの秘密をコニーに明かしたシーン、あれこそが最高の本音で、本当の気持ちだったのだから。

ならばこそ、最後のスカーレットの選択は必然なんですよね。殊勝に身を引くなんて、あったもんじゃない。何しろ彼女は強欲傲慢なる悪の令嬢スカーレット・カスティエルなのだから。

そして、一身にその煽りを食らうランドルフ閣下であったw
いやほんとに、一番の被害者になってるじゃないか、ランドルフ。
そりゃね、ずっと闇の中を歩むはずだった人生を光の下に引っ張り出してくれた少女に本当の愛を捧げる事が出来て、ましてやお嫁さんになって貰えるし、一生一緒にいるという約束も交わしたし、万々歳のハッピーエンド!
だったのに、一生離れないにプラス1ですからね。いや、一生を共に、という約束を交わしたのはプラス1発覚後ですから覚悟の上かー。
朝起きたときから夜寝るときまでずっと一緒という状況に既に疑問を感じていないコニーさんが色んな意味で幸せすぎるw

この3巻は文句なしにスカーレットとコニーの物語だったわけですけれど、同時に他の幾人もの登場人物が己の人生の主人公たるを全うする話でもあったように思います。
パメラの方に完全に破滅へと突き進んだ者もあり、セリシア王太子妃のように闇の中を歩き続けた末に最期に自分の人生を取り戻した人も居た。ショシャンナのように一からやり直すためにもう一度歩き始めた子もいれば、ルチアのように絶体絶命の死地をその魂の輝きを以て突破して、ユリシーズ王子というヒロインゲットしてヒーロー道へと突き進みだすもう貴女もう一人の主人公だろう!?という勇躍を示す子もいる。
スカーレットの処刑という大事を境に終わり、はじまった様々な人たちの人生の迷い路。かの陰謀に関わった人も、コニーと共に新たに関わることになった新しい世代の子たちも、それぞれに一区切り、登場人物全員に一つの決着を迎えさせた、という意味でも凄い作品であり、凄い物語であったように思います。
個人的に、国王陛下やアドルファスパパの歩んだ十年も凄惨だったんだろうけど、エンリケ王子の歩んだ人生こそ壮絶の一言だったと思うんですよね。彼のセリシアへの想いの複雑さは、途方に暮れるほどに言葉にし得ないもののように感じるのです。彼のこれから歩むだろう静かな人生の中に、小さくとも心慰められる幸いがあらんことを。
そして、アドルファスパパが、心から笑うシーンが見られただけで、なんかもう万感でした。

あとは、ほんとルチアは次回主人公狙ってます、と言わんばかりの大活躍というか凄えカリスマで。
同じく囚われの身となったコニーが、これまでのエリスの聖杯をめぐる人との関わりから、その人柄でコニーを助けようという大きな動きがうねりとなって世間を動かしていく展開もなかなか胸に来るものがあったのですが、ルチアの方も同じ囚われの身になりながら、片っ端から顔を合わせる人をその魅力で落としていって、同じ囚われの身だったユリシーズ王子を守って大活躍、とか完全にヒーローでしたからね。早々に、自分が彼女を守るのではなくてヒロインの方だと受け入れて大人しくなるユリシーズ王子、なんかもう流石ですw

しかし、ほんと章の間に挟まれる登場人物紹介という名の尖すぎるツッコミと煽り文が面白すぎました。ここでわけの分からんけど的を射すぎてるキャラ付けされてしまった登場人物も多いんでなかろうか。というか、ほとんどの登場人物ここで変な固定印象つけられちゃってるぞw
黒幕のクリシュナへの、実はこいつ失敗ばかりでうまくいった試しがないみたいな煽りは、ちょっと笑いすぎてお腹痛くなりましたがな。

ともあれ、これ以上なく見事に物語にもそれぞれの登場人物にも決着を付けた上で、文句の言いようのないハッピーエンド。超本格サスペンス・ミステリーというジャンルを縦横無尽に走り尽くしてみせたあの緊張感、謎が解けていく時の驚愕、真相への衝撃、話自体のとてつもない凝縮された面白さ、何もかもが素晴らしかった。
これぞ傑作、不朽の名作でありました。



はたらく魔王さま! 21 ★★★☆   



【はたらく魔王さま! 21】 和ヶ原 聡司/ 029 電撃文庫

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魔王城を打ち上げ、エンテ・イスラでの人間同士の争いも治めた魔王たち。残すは天界で神討ちに挑むのみ──だったのだが、その前にやるべきことがあった。魔王と勇者はじめ、一同が正装で向かったのは、千穂の自宅、佐々木家だった。
 千穂の父と会い、日本にやってきた当時のケジメをつけた魔王。しかし頂点会議から続く体調不良で、日常生活にも影響が出ていた。決戦を前に、見かねた恵美は魔王を心配するのだが──?
 最後まで格好つけられない魔王たちを待ち受ける、天界の真実とは。神討ちは成るのか。成ったとして日本での生活はどうなるのか――フリーター魔王さまと元テレアポ勇者の長い戦いもついに決着、庶民派ファンタジー、感動の完結!

10年も続いたのか。長い間お疲れ様でした。終わってみれば……これ、漆原がニートから脱却する話だったんじゃないの?
いや、このラストバトルってなんだかんだと漆原が主体になっていた、とも言えますし、親の軛から脱することでフラフラと当て所なく彷徨っていた彼が地に足をつけて生きていけるようになった、とも見えますし。
ただ漆原ことルシフェル、本当に長い時間フラフラしていたせいで大事な記憶も朧気になっていて、肝心の部分もこの最終局面に現場にたどり着いてようやく思い出す、という感じだったのでそもそも本人に当事者意識がなかったもんなあ。ダァトに関しても一番最後になって現れて、その姿がルシフェルそっくりだった、というのが結構重要な問題になっていた事に殆ど誰も気づいていないという顛末でしたし。
まあこの最終決戦である神討ちって余談は余談だったんですよね、本作においては。そのために千穂ちゃんが槍ゲットするためにエンテ・イスラではっちゃけたり、魔王城飛ばすためにみんなとっかえひっかえエンテ・イスラと日本を行ったり来たりと大忙しだったりしたわけですけど、やっぱり本作においてはエンテ・イスラの政治的な部分だったり戦争の部分だったり、決戦なんてものは余談だったわけですよ。そういう風な作りにしていた、とも言える。そういうのを、日本での日常生活と天秤にかけて日本での生活の大事さの方に比重をかけたかったのでしょう。少なくとも、日本で生活していた主要人物たちにとっては、日本での生活こそが大事という意識になっていたわけですから。
だから、最終決戦なんてものはアルス=ラムスの兄妹たちを開放して小さい娘を喜ばせる誕生日プレゼントであったわけですし、最終目標というのは千穂が思い描いた日本の小さなアパートの一室でみんなが賑やかにごはん食べてる光景をいかに守るか、てなものだったわけです。
守るだけではなく、先々までその光景を継続する、というのが千穂の願いであり彼女が本来の身の程を越えて頑張った理由でもあったのでしょう。千穂にとって、もうハッピーエンドに等しい時間はとっくの昔に彼女の前にあったわけですから。あとは、それを以下にして将来まで維持できるか、という問題が前にあり、恵美たち含め異世界組が元の世界に戻ってしまうなど憂慮すべき問題は山積みだったのを、あれこれ努力して解消していき、自分の願望をみんなにとっての願いであり望む光景として共有していくことに、千穂は見事に成功した、と言えるんですよね、これ。
最後には、みんな一致団結してそれを叶えるべく動く形になっていましたしね。
千穂個人の幸せとしては、真奥とお付き合いする関係になる、というのは勿論無視できない要素ではあったと思うのですけれど、最重要ではなかったと思うんですよね。そういう関係になれるのを踏まえて、みんな一緒の光景の一要素になれれば、という感じで。だから、真奥に対する独占欲みたいなものが薄かったんじゃなかろうか。彼女にとって、アムス・ラムスという娘を間に挟んでパパとママしている真奥と恵美、というのも彼女の望む光景にとって欠かせない要素だったわけですし。
恵美との関係についてもうるさく言わないどころか、寛容な態度をみせていたのはそのせいではないかと。
まあ、その千穂当人がなにやらエンテ・イスラの方に就職しそうな勢いではあるのですが。結構簡単に帰ってこれるだけにハードルは高くないとは思うのですが、あっちに行くとそのまま政治家ロード一直線っぽいしなあ。
個人的には、周りに変に気を使って忖度したりもせず、自分の感情に背を向けて色々繕ったりもせず、まっすぐに本心を曝け出して直向きに恋していた鈴乃のことは応援していたんですけどね。
一番こう、登場人物の中で乙女していたと思いますし。
しかし、なんでこの大司教さまは、異世界宗教の頂点近い地位に立ってるのにお遍路さんなんて仏教ロードに凝りだしてるんだ!?w

ちなみに、真奥と千穂の関係ですけれど真奥が何となく流れで受け入れるのではなく、ちゃんと千穂との出会いまで遡って彼女に対する気持ちを自己分析した上で、彼女が大事という気持ちに特別な感情があるのだと発見して、ちゃんとそれを踏まえた上で千穂に返答したことは評価してあげたい。
でも、悪魔だから恐怖を力に出来て、逆に愛情には拒絶反応、という設定は構造上は誠実に捉えてあって然るべき設定ではあったかもしれないけれど、物語上はちょっと面倒くさくてあんまり必要性がない設定だった気がするなあ。というか、真奥以外の他の魔族はこの問題どうするんだろう。真奥も先々種族間の分断に繋がりかねない問題だと認識していたけど。魔族でなくしてしまえば、解消されるにしてもそれ恵美がして回るわけにもいかないだろうし。
ちょっと、リヴィクォッコと岩城店長の関係に期待してしまったのですが、あれはまったく職務上の関係以上ではなさそうだなあ、うん。
逆に度肝を抜かれたのはやっぱりサリエルと木崎さんで、うんあれが一番驚いた。なにがどうしてそうなったんだろう。想像がつかないのだけれど、木崎さんのあの娘に対した時のキャラ崩壊してるんじゃ、という声音みると、あの人知らざる一面がまだあるに違いない、うん。
お付き合い、という面でみると三年後の場面の方で真奥と話す千穂ちゃん、もう敬語が抜けてるんですよね。あれは新鮮でしたけれど納得でもあり、順調にお付き合い進んでるんだなあ、と実感させてくれる小さくも丁寧な描写であったと思いますし、ちーちゃんが大人の女性になったんだなあ、と感じさせてくれるシーンでもありました。
芦屋と梨香はもうワンチャンないかなあ。

というわけで、結構ややこしくもなっていたセフィラやら天使関連の話もなんとか伏線を回収し終わり、三年後の場面と並行しながらの最終決戦はあんまり盛り上がらない事は想定済みだったのでしょう。そういう構成でしたし、というかこの作品の方向性そのものがラストを決戦で盛り上げるものではなかった、というのを徹底して貫いたとも言えるのかも。そういう手かせ足かせを嵌めたまま外さなかった、とも言えるのかも知れません。それは四角四面であったとも思いますし、また誠実でもあったとも思うんですけどね。
恵美ことエミリアはもうちょっと許されざる秘恋に葛藤するというかドロドロするというかねっとりしても良かったかなあ、と思うのですが、彼女なりにあの一夜のキスは精一杯のそれだったと思うので、それなりには堪能させて貰いました。
神は細部に宿る、を体現するような日常シーンの細かすぎるほど繊細な描写によって他の追随を許さない生活感のリアリティを常に物語そのものに根ざしつづけた本作、存分に楽しませてもらったと思います。長い間お疲れさまでした。完結、おめ♪

シリーズ感想


……でも、昨今のコロナ禍がこっちにも直撃してたら、真奥さんの会社もろにやられてそう、とか思っちゃうのがリアリティありすぎる世界観ゆえか。図らずも、梨香に語ったまおう組の顛末繰り返しかねないか、恵美のヒモですね、うん。

ストライク・ザ・ブラッド 22.暁の凱旋 ★★★★   



【ストライク・ザ・ブラッド 22.暁の凱旋】 三雲 岳斗/マニャ子 電撃文庫

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世界最強の吸血鬼と監視役の少女の物語 ついに完結!

異境(ノド)を制圧し、咎神(きゅうしん)カインの真の遺産である六千四百五十二発の眷獣弾頭を手に入れたシャフリヤル・レン。眷獣弾頭の圧倒的な威力の前に聖域条約機構軍の艦隊は壊滅し、三真祖たちも沈黙する。
日本政府は異境への『門(ゲート)』を閉じるために絃神島の破壊を決断。雪菜と那月を要石のあるキーストーンゲート最下層に派遣する。自らの手で絃神島を沈めることに苦悩しつつも、忠実に任務を果たそうとする雪菜。そんな雪菜の前に吸血鬼の力を取り戻した古城が立ちはだかる。
そのころ異境では、謎の仮想空間に囚われたアヴローラが、モグワイと名乗る怪しいぬいぐるみと接触していた―― !
世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、ついに堂々の本篇完結!

いきなり雪菜の夜這いからはじまるという最終巻。この中学生すけべえすぎる。さすがに夜偲んできて襲いかかってくるようなヒロインは……あれ? わりと過半数に達しているような。
というわけで、長く続いたこのシリーズもついに完結。第四真祖の誕生の真実、咎神カインとは。三人の真祖たちの意図とは。などなど、シリーズ通して紡がれてきた物語や世界観の根底を担う設定や伏線などもほぼほぼキッチリと明かされたんじゃないでしょうか。総じてカインと彼を殺す為に生み出された初代第四真祖との友情の物語であり、その後始末を現代で古城くんが一生懸命に頑張るはめになった、と。まあ彼に言わせれば、こいつは自分の戦争(ケンカ)だっ、てなもんなのでしょうが。
しかし、モグワイはただのAIじゃない、とは最初期から感じてはいたんだけれど、彼を作った浅葱が天才すぎるもんだから、浅葱が作ったAIなら妙に浅葱からすら独立した個性や意志を感じてもおかしくはないよね、という微妙なライン上を走ってたんでどうにも判断つかなかったんですよね。最後まで。
その御蔭か、なんかあるかもとは思いつつも正体云々にまで想像が及んでいなかったんですよね。なので、アヴローラの前に出てきた段階でようやく「あれ?もしかして」と思ったくらいで、結構素直に驚きましたよ。そうなると浅葱のカインの巫女って思いの外直接的な意味でもあったのか。

ラストという事で総力戦であり、シリーズ通して最初のヒロインであり最後のヒロインでもあったアヴローラ、囚われの姫君との再会でもありました。って、折角のアヴローラとの再会シーン、そんなんでええんかい! いやもう古城らしいと言えば古城らしく、アヴローラらしいと言えばアヴローラらしいんだけど、もっとこう感動の再会とは行かなかったんだろうか。ほんと、長きにわたる別離からの邂逅だったというのに、唯里のツッコミも冴え渡りますわ。何気にヒロインの中で随一のツッコミ役になってしまった感のある唯里さんである。普段は一番温厚でツッコミとかには程遠い人格者のはずなのに、こんな子に何をさせるんだか。
しかし、唯里さんは仄かに古城に対して「イイなあ」という淡い気持ちを抱いていたからいいものの、むしろ父親の方の牙城の方に惹かれていた志緒や、古城に対しては特になんにも思ってなさそうな妃崎霧葉まで血の伴侶にしてしまってよかったんだろうか。霧葉さん、あれはツンデレ、てわけでもないだろうし。
というわけで、正式な12人の花嫁は叶瀬夏音、江口結瞳、ラ・フォリア・リハヴァインに仙都木優麻、藍羽浅葱、煌坂紗矢華、香管谷雫梨・カスティエラ、羽波唯里、斐川志緒、妃崎霧葉。んで、アヴローラ・フロレスティーナと姫柊雪菜。これでちゃんと12人。自前の眷獣を持っているアスタルッテは血の伴侶には慣れないものの、魔力連結はしているので事実婚状態。十三人居る!?
一度、暴走した古城を元に戻すために招集された12人の花嫁たちだけど、あの時は結局血の伴侶を集めて儀式して、という通常の流れにならなくて、暴れる眷獣ヒロインたちがぶん殴って正気に戻すというそれどうなの? 嫁怖い、というかなり力づくな流れで片が付いてしまったので折角の花嫁設定ががが、という所があったのですけれど、この最終盤になってもう一度仕切り直して血の伴侶たち12人の想いと力が合わさって、古城復活、という王道の流れが来るとは思いませんでした。ベタだけど、この整えられた流れは美しさすらあるよなあ。
そしてメインヒロインが12人いて誰一人として個性埋没していない、というのが何気に凄い。この中では煌坂とカス子が圧倒的イジラレ役になってしまいましたなあ。まあ最初からですけど。
煌坂がもう、チョロ坂さん、チョロいさんの面目躍如とイイますか、結瞳の夢魔の力にアテられてたからといって本音ダダ漏れすぎでしょう。どれだけ古城のこと好きなのを拗らせてるんだ、この愛人体質娘。おまけに、相手が最強の夢魔だからといって簡単に操られすぎである煌坂さん。魅了かけた結瞳ですらちょっと引くくらい完璧に洗脳されちゃってたし。普段よりスペック発揮してるし。なんかもう、あらゆる方向にチョロいよねこの人w
そして、古城だけじゃなくて多方面からも変なあだ名や呼び名つけられてキャンキャン鳴くはめになってるカス子さん。那月ちゃんにパッパラ修女騎士(パラディネス)とか呼ばれたのにはこっちまで吹いてしまった。なんかもう誰も雫梨とか呼んでくれてないんですけどw
浅葱はもう女帝としての貫禄が根付いてしまっていて、今回何気に一番ヒロイン的な活躍をしていたのって妹の凪沙だったんじゃないだろうか。結局、凪沙こそがアヴローラをはじめとした人造吸血鬼たちを救うための鍵となる存在だったわけですし、巫女としての役割をいかんなく発揮して本来手の届かない場所から、アヴローラに手を差し伸べる姿なんぞは美しさすらありました。この子、現在はやかましい中学生の小娘なんですが、将来美人になるんだろうなあ。父親と母親がアレなので、あんなふうにはなってほしくないですけど。
そして、本命の雪菜はというと。結構今回置いてけぼりというか仲間はずれというか。獅子王機関のエージェントという立場もあったので、一連の危機の中で絃神島の住人として動く古城たちとどうしても距離を置かないといけない、という所もあったのですけれど。
下手にどっちかを選べ、みたいな選択肢を突きつけるのではなく、監視役という雪菜のアイデンティティを最後まで尊重してあげたのは、古城くんらしいなあ、と思いつつ、そこはもっとグイグイと押して本当の意味で自分のものになれ、みたいな事もちょっとは言って欲しかった所もあります。
彼の朴念仁は結局最後までゆるぎもしませんでしたからね。いや、案外雪菜含めてかわいいかわいいは連呼していたような気もしますけれど、恋愛的な意味で古城がデレたかというと……最後まで変わらんかったもんなあ。個人的にはもう一声、古城くんの方から恋愛感情に目覚めた所を見せてほしくはありました。というか、責任取るところ?
まだまだ古城くんの長い物語は続くようで、この天部編は序の口、みたいなことを未来から来たあの子たちがこぼしてましたけれど、ほんと全部片付いて終わったー、という感じは全然しないんですよね。
わりと今までと同じような感覚で一つの事件が幕を下ろした、んですぐにまた新たな事件が……と続きそうな感じで、あんまり最終巻という感じしないんですよね。そのお陰で、長く長く親しみ楽しんだシリーズが終わっちゃった、という寂寥感も味わわずに済んでいる、とも言えるのですけれど、もうちょっと区切りの感覚も欲しいので、後日談的とかスピンオフ的なものは出して欲しいなあ。
ともあれ、9年近くにも渡って長らくお疲れさまでした。うん、ひたすら楽しかったなあ。


魔術破りのリベンジ・マギア 7.再臨の魔人と魔術破りの逆襲術士 ★★★★   



【魔術破りのリベンジ・マギア 7.再臨の魔人と魔術破りの逆襲術士】 子子子子 子子子/伊吹のつ HJ文庫

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九曜に告げられた「己が何物であるかを知れ」という命題に向き合うべく、晴栄は自身の母親・葉子の足跡を辿っていく。幸い、大和へ帰国していたことで調査の足掛かりを掴むが、同行していたティチュを発端に、陰陽寮を揺るがす大事件が発生。その事件の中で、兄・晴雄から語られる真相とは―!?「―この土御門家は、俺が完膚なきまでに終わらせてみせます」かつての復讐者と、今もなお憎悪の炎に身を焦がす復讐者。二人の邂逅と激突の先に、新たな物語が紡がれる。

シリーズ完結編は、最終巻に相応しくオールキャストによる総力戦。それ以上にシリーズ通してのテーマを見事に帰結させた集大成となっていたのが素晴らしかった。
物語のはじめは、母を殺した土御門の家そのものを憎み、当主に成り上がってこの家そのものを滅ぼそうと復讐の念を滾らせていた主人公の晴栄。彼の孤独な憎悪と復讐心は、留学先で出会ったティチュをはじめとした様々な人達が抱え持っていた苦しく辛い人生を目の当たりに、彼らに寄り添い時には向こうから手を差し伸べられ、共に困難を乗り越えていく中で徐々に晴栄の心は解きほぐされていきました。
そうやって心の余裕を持ち得て今まで自分が歩いてきた人生を振り返ってみると、新たに得た友人だけではなく、復讐の同志だった狐狼丸や幼馴染の鴨女をはじめとして故郷日本でも様々な人に助けられ、一度実家に帰ってみれば兄・晴雄やその側近である斎藤藤子や剣の師匠であった法麗らに暖かく迎え入れられ、憎しみの対象でしかなかった土御門の家ですら本当は晴栄を孤独にはしていなかったと気付かされたのでした。
晴栄の心が晴れ渡っていく過程は、その様々な出会いの描写もあり丁寧なもので、彼の復讐はこうして周りの人たちによって癒やし解きほぐされる事で消え去ったのでした、めでたしめでたし、でも十分綺麗な纏め方となるだけの晴栄の変化は良きものでした。
でも、それで終わらずにさらに一歩踏み込んで、晴栄と全く同じ復讐を、晴栄と同じ孤独にまみれた憎悪と怨念ではなく、なくなった晴栄の母への敬愛と晴栄という弟への愛情によって成し遂げようとしていた人を、復讐を辞めた晴栄の前に立ち塞がらせたことで、この復讐の物語はステージを一つ駆け上がったように見えたのでした。
実際、晴雄の思惑はこの最終巻に至るまで判明せず、決して悪い人には見えなかったけれど結局自分の都合で何かを企んでいる人で晴栄を利用するつもりだったのか、と思っていたのが理由が判明してみれば、そりゃもう凄く情愛溢れた人ゆえの思いつめた行動で、弟への愛情が満ち満ちていて思わず目尻が熱くなるほどだったんですよね。
愛深いからこそ、その一念は決して止められない。止められるのは、それこそ同じ復讐者であった晴栄だけ、という構図がまた素晴らしかった。
お互いを愛し何よりも大切に思うが故に、刃を交えることになる兄弟。この熱量は、熱かった。

ラスボスも、最終決戦に相応しい大物で、それを前にこれまで出会ってきた人たちの助力と、これまでの旅路で知ることになった母の出自に基づく家族としての縁あるアヤカシたちの支えも受けて、最終決戦に挑むという構図は実にオールキャストの決戦に相応しいもので、それに加えてスペックや数の過多で押すのではなく、相手の仕掛けを逆利用して術を反転させて起死回生の一手とする、というのは歴史における魔術という媒体をふんだんに取り入れ、丁寧に解きほぐして物語の中に取り入れて、目玉にしてきた作品らしい、ギミックでありました。

それに、怨念無念を晴らした、という意味では土御門兄弟だけではないんですよね。シリーズ通して多くの登場人物が経てきた行程であり、多かれ少なかれ皆が気持も新たに自分の未来を歩みだしている。それが、ラスボスの彼にまで当てはめてくるとは思わなかっただけに、彼の執念怨念があの一言で祓われたのは、清々しくもありました。

しかし、邪悪の樹の首領の正体についてはちょっと吃驚でしたけどね。その行動原理というか目的も含めて、思いもよらぬ方向からボールを投げられて、なんかこう「うわっ、そう来たか!」とちょっと心跳ねるような驚きでした。邪悪とかそういう方向性じゃなかったもんなあ。というか、この人ありなのか。歴史上の実在の人物をちょくちょくガチの登場キャラとして放り込んできた本作ならではの横入りでありました。

このシリーズ、設定や魔術の使い方などは非常に面白く、物語の展開そのものはオーソドックスな面もありつつ紆余曲折あって良いな、と思いつつそのお話の語り口がちと固かったり運び方が性急だったり、と物足りない面が垣間見えることもあったのですが、この最終巻はキャラの内面描写も含めて最初から最後まで勢いよく情緒も揺さぶられる緩急もあり、前のめりにのめり込まされました。良かったよー。特に主人公の物語としては、見事に完成を見ていてお見事でした。
次回作も、この調子この勢いで期待したいです。

……しかし、エピローグってば晴栄くん、もう自分に何の疑念もなく女装してましたなw

シリーズ感想

勇者のセガレ 4 ★★★☆   



【勇者のセガレ 4】 和ヶ原 聡司/029 電撃文庫

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異世界アンテ・ランデでディアナと再会し、魔導機士フィーグライドも仲間に加えた康雄。翔子に取り憑いたシィを分離する方法を探るため、一行は大国バスケルガルデの博物館で、最初の武機・破軍のオリオンを調べることに。だがその瞬間、翔子の左目の炎が激しく燃え、4人は黒い炎に呑まれてしまう―。気がついた康雄の前に現れたのは、翔子に取り憑いたシィ・ライアであった。彼女は、死者がシィとして現世に復活した理由を康雄に語り掛け―。勇者のセガレの普通の男子高生は、世界の危機を救えるのか!?ディアナと翔子との微妙な三角関係(?)の行方は!?クライマックスの第4巻!

【聖者】康雄かー。さすがに勇者や聖女と比べても【聖者】という呼称は現代日本人からするとハードル高いですわねえ。よっぽど敬虔な聖職者とか、自分の身を削って弱者救済に生涯を費やした人とか、カルト教団関係者、くらいですもんね、イメージ湧くの。
ここは異世界の人との価値観ギャップですわな。まあ、現代でもサブカルチャーに馴染んでいない人なら、聖者も勇者も聖女も変わらないくらい呼ばれて恥ずかしい呼称かもしれませんが。

シィの正体、或いはシィと呼ばれる死者たちがどうして現世に現れるようになってしまったのか、という物語の根幹とも言うべき謎がここにきて明らかに。って、そのあたりまでは良かったんだけれど、中盤越えたあたりからかなり進行早くなりましたよね。さすがに、撒きに入ったな、というのがわかってしまいました。アンテ・ランデ編はもうちょっと続けたかったでしょうし。
ともあれ、翔子に取り憑いていたシィが人格を取り戻してしまった上に翔子の身を乗っ取って動き出す、なんて真似まではじめてしまい事態は急展開。
シィの問題って誰かがいらんことをした、というのではなくてこうして話を聞くと完全に既存のシステムが現状におっつかなくなってオーバーフローしかけている、というものでこれどうしようもないやつじゃん。
そもそも、死後の世界というのが何故出来た、誰が作った、そもそも人の生と死の循環だから一方通行だかわからないけれど、この魂の流れるシステムを作ったのが誰なのか、という所までは話突っ込めなかったか。はたしてそれは本当に神様と呼ばれる高次元の存在なのかもしれないけれど、こうしてシステムが破綻しかかっているのをみると、全知全能ではないのは確かな模様。先の魔王の侵攻も、この崩壊をなんとかしようとした行為の一貫で、今暗躍している人も方法は違うけれど目的は同じ、となるとさてどうしたものか。
などと他人事で言っていられなくなったのは、この死者がシィとして溢れ出す、という現象が実はアンテ・ランデに留まらない、という事実が発覚してしまったからなんですね。
これは地球も無関係ではいられない危機だったのだ。
その発覚のきっかけは、かつて勇者と大魔法使いとなり長じて二人の子供の両親となる日本の少年少女が、どうやってアンテ・ランデに来てしまったのかという召喚の原因がわかったからなんですね。
そしてその原因がわかったのは、今回円香たちがバスの事故でコチラ側に迷い込んでしまった、という事故が起こってしまい、それに連鎖する形で理由が関連付けられたから。この畳み掛けるような連鎖して次々と状況が詳らかになっていく怒涛の展開は中々「おおぅ」と驚かされるものでした。

もちろん、翔子の中のシィが自分勝手に動き出すわ、秘密裏に動いていたはずが外国に自分たちの正体がバレそうになってしまうわ、円香がこっちに迷いこんでしまうわ、と康雄にとっても余裕なんざこれっぽっちもなく、いっぱいいっぱいになりながら切羽詰まるばかりの所だったのですけれど、彼が何だかんだと肝座っているのは、どれだけ精神的にいっぱいいっぱいになっていても、それでも浅慮せず深慮して判断を下せるようになった所なのでしょう。賢者というほど聡明でも、冷静沈着でもないのですけれど、物事を深く考え捉えて答えを出し選択する姿勢は見事にリーダーシップを取れていたのではないでしょうか。彼自身は自分は何もしていないと自己評価低いですけど、拘束された時のあの判断は翔子にしてもディアナにしても、この人頼りになる! と思って然るべき行動でした。
妹ちゃん、兄ちゃんへの評価低いけど、この兄ちゃん土壇場でこそ頼りになるから、ホントに。
とはいえ、女性への浮ついた感情をうまいこと操れるほどの余裕は残っていないので、ディアナと翔子への対応はもうアップアップもいいところでしたけれど。ディアナの方も経験値がない上に自分の感情を整理出来ていなかったのでコチラもアップアップになってましたけれど、それでも要所要所で適切にアプローチしているあたりは、さすが女の子だなあ、と。
翔子は、2巻から怒涛の後方一気で凄まじい追い上げを見せていましたけれど、やはりスタートの出遅れは大きかった、というのは彼女自身別の意味ですけれどちゃんと自覚していたところでしたので、これはさすがに白旗あげたのかなあ、と思っていた所でラストでさらなる二枚腰を見せてゴールで追いついてみせる、という奇跡の根性を見せてくれて、やっぱりヒロインとしての強度では翔子さんこのシリーズでは最強でした。状況設定からして不利な部分ばかりで、有利な部分、皆無に等しかったのにただただ自らの女っぷりと根性だけで対等以上の舞台に這い上がってみせたんですからね。
親の世代の引き継ぎ、あるいは後始末などではなく、自分たちだけの自分たちによる冒険譚がはじまる! というところで終わってしまったのはやっぱり勿体無いというか惜しいというか。世界の危機の対処にしても、人間関係にしてもここからが本番、という所でしたからね。ともあれ、うまいこと纏めてちゃんと区切りをつけて終わらせてみせてくれたのはさすが、というべきか。もう少し見ていたいお話であり、キャラクターたちだったのですが、ここでお疲れ様でした。

シリーズ感想

賭博師は祈らない 5 ★★★☆   



【賭博師は祈らない 5】 周藤 蓮/ニリツ 電撃文庫

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賭博師と奴隷の少女、二人に訪れる結末は。

ロンドンの裏社会を牛耳るジョナサンと対立し、一度はすべてを失ったラザルス。だが賭博師としての矜持を奪われ、地の底を這いつくばったその先で、彼は自らが進むべき新たな境地へと辿り着く。
再起したラザルスはフランセスにも勝利し、ジョナサンとの全面対決を掲げた。かつて帝都にいた友人たちが残した、ちっぽけな約束を守るためだけに。
一方、ラザルスの無事に安堵したリーラだったが、彼女は故郷へ帰る為の乗船券を渡されたことに戸惑い、自分が主人に対して抱いていた想いに気付かされる。

――『私は、ご主人さまが好きです』

そしてラザルスはリーラとの関係にひとつの答えを出すことに。二人の物語に訪れる結末は、果たして。

嫁さんになってしまったフランセスを連れて帰って、リーラと一揉めあるかと思ったのだけれど、フランセスもリーラも思ってた以上に大人だった。というか、フランセスがずっと部屋に引きこもって寝倒してたのって、変に自分の存在がリーラの居場所を奪わないようにという配慮ですよね、あれって。かと言って出ていかずにラザルスの家に居続けるというのもラザルスへの配慮だろうし、何気に気を遣ってるんだよなあ、フランセス。もっと色んな方面にマウント取るかと思ったんだけれど、そう言えばそんなグイグイ自分押し出すタイプじゃなかったよなあ。
リーラはリーラで平素と同じ対応で、ホントにできた娘さんである。

そんな女性陣を放っておいて、ラザルスはというとボウ・ストリート・ランナーズと協力して、ジョナサン打倒に駆けまわる日々。その動機が、かつて罪人として街を追放され豪州へと旅立った友人夫婦との約束のため、というのだから……これってロマンチストというのだろうか。
師の言葉に従って厭世的というほどの醒めた生き方をしてきたラザルスが、地べたを這いつくばった先で見つけた自分に正直な新しい生き方は、なんというか裏の世界で生きる賭博師としては望外なほどの、ピュアな生き様なんですよね。約束を守るため、とか信念に殉死しようとしている女を死なせないため、とかあんな人と関わる事自体を忌避し、他人のことを考えること事態膿んでいた男の生きざまとは思えない、光のような在り方なのだ。
多分、それがラザルスにとって「人」になるという事だったのだろう。薄汚れ俯き未来を諦めるゴミクズのような存在だった自分が、真っ当な人になるというのは、そういう眩しいほどの在り方だったのかもしれない。
そうしないと、リーラと対等になれなかったのだ。彼女を人として愛するのなら、自らもまた人にならなければならない。
まあそんなクソ難しいことを具体的に考えていたわけではないのだろうけれど、リーラに恥ずかしくないように、という意識は常にあったはずだ。
だけれどそれは、リーラを愛玩するというくびきから解き放たなくてはならない、という意味でもあったんだなあ。回りの優しい人達の反応から随分と忘れてしまっていたけれど、リーラの立場は異民族の奴隷という社会に公然と差別される対象。ラザルスとリーラの関係は、正しく契約に基づいて結ばれた奴隷と主人という主従関係。どれだけ当人同士が愛し合おうとも、はじまりから二人の関係はいびつなものでしかなかったのである。だからこそ、このままでは二人の関係に瑕疵が生まれる。いずれ、どこかでひびが入る。当人同士がどれだけ固く結ばれていても、社会はそれを許さない。未来は苛まれるだろう。
二人共、このまま一緒にここに居たい、という願いを胸に宿しながら、しかしそれは叶わぬ願いだったのだ。
本当に対等になるのなら。愛玩ではなく、人と人として愛し合うのなら、一度関係を精算しなくてはならない。そして、ラザルスもリーラも「人」に戻らなくてはならない。そうやってはじめて、愛玩の関係ではなく、相手を一人の人として尊重し愛し合う関係になれるのだから。
それでも離れがたい気持ちは強く強くあっただろう。それを手放す勇気を示した二人は、敬服に値する。本当に相手が大事だからこそ、今は一度離れるのだ。それが、永久の別れになろうとも。
もっともその行く先は、まあラザルス曰く、賭け事にもならないのだそうだけれど。なにそれ、惚気け?

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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ネウロの召喚魔法により、突如戦場に現れた皇帝リンドヴルムと麾下の精鋭たち。
リルルを殺して封印を解こうとする彼らと超人高校生たちの激突は、圧倒的な皇帝の力と、その考えに共鳴した《超人医師》桂音の裏切りにより幕を閉じた。
《超人王》となった皇帝の下、平等な世界へと作り替えられていくフレアガルド帝国。
勝人や林檎、葵までが取り込まれた中《超人政治家》御子神司は不敵に言い放つ。
「リンドヴルム皇帝。私と勝負しろ」
エルム村から始まった超人高校生たちの戦い。果たしてその行き着く先は!?
異世界革命物語・最終章!

この局面でよりにもよって桂音が裏切るのかー。以前、ロボトミー手術めいたものを平気でやらかしていた事からも、彼女の倫理観というものは普通からかけ離れているのはわかっていたけれど、優先順位が他の人と違ったんだろうなあ。それだけ、医療キャンプでの虐殺事件が彼女の心に傷を負わせたのか。そりゃそうだよね、いくら超人だろうと当時の桂音はまだ十代前半から半ばだったのだから。
桂音に限らないけれど、超人高校生たちは高校生にも関わらずそれぞれが抱えている闇が深すぎる。成せる能力以上に、成してしまった罪や業が大きすぎ、体験してきた事柄が惨たらしいんですよね。
果たして、この異世界の旅で彼らの幾人が自身の中に抱えていた闇を払拭できたのか。
唯一、暁だけがそういう闇とは一線を画していたわけだけれど、だからこその純真さと真っ直ぐな勇気が仲間たちにとっても「光」だったんだろうなあ。
なので、個人的には桂音の闇を幾分なりとも払ってくれるきっかけになるのは暁に期待してたんですけどね。司にやらせてしまうと、どうしたって思想を叩き潰す形になってしまうからなあ。まあ、超人皇帝と桂音の理想は、最初から矛盾していた実現不可能な理想である事は自明だったのですから、司としては現実を突きつけるしかなかったのだろうけど。
そうだよねえ、愛もまた欲である。理想を欲する、という事自体が欲なのだと思えば桂音もまた大いなる欲に従って世界を革命しようとしたのだし、それを否定してしまえば何もはじまらなくなってしまう。
救いは、超人皇帝も桂音も決して権力を握り続ける建前としてではなく、本気で世界を救おうとしていたところでありましょうか。やってたことは殆どポル・ポトの原始共産制めいたディストピアだったわけですけれど、それが実現不可能だと証明されたあとで現実を認めなかったり無駄な足掻きをしなかったり、というあたりがリンドブルムの強さでもあったのでしょうね。
伊達に邪竜の意志を塗りつぶすだけの超合金超人メンタルの持ち主ではなかったわけだ。自分の生涯の夢が実現しようというときに、それを全否定されて果たして並の精神で耐えられるだろうか。彼は耐え、事実を飲み込み、間違いを認めるという勇気を示した。それこそが、彼の超人たる証明なのだろう。
この人なら、極端に走らなくてもそれこそ臨機応変に柔軟に、目の前の困難を克服してよりよい社会をリアルタイムで構築し更新していけそうなだけに、むしろこれからの方が楽しみなんだよなあ、帝国は。エルムに留学して司たちが残してきた新しい学問を吸収した若い官僚たちも彼のもとに集うことになるのだろうし。さっそく地球文化をノリノリで楽しんでる皇帝陛下見ると、ねえ。

終わってみると、いやわりと最初の方から司たちはその常人ならざる超人っぷりを見せつけながら、けっこう余裕とは程遠いギリギリの局面を渡ってきたわけですが、最後も力押しではなく思想の対決、それも自分の足で立ったエルムをはじめとする各国が自ら主導する形での未来を示す万博、というイベントで帝国は超人皇帝との最終決戦へと持ってきたのは、このシリーズらしい結末だったのではないでしょうか。まさに初期の宣言通り、彼らは世界を数百年進め、人民が近代を担う意識を育むことに成功したわけだ。有言実行である。
なんか、この世界と地球と行き来できるようになったみたいだけれど、ここまで文明が進んだなら地球から一方的に搾取されることもないだろうし、対等のプレイヤーとして付き合うことも出来るでしょうし。
ラブコメ方面ではリルルがメインという事で収まりましたけれど、林檎ちゃんともはっきりしていないだけに、さてどうなることやら。
個人的には暁ハーレムでもよかったんですけどねw


デート・ア・ライブ 22.十香グッドエンド(下) ★★★★   



【デート・ア・ライブ 22.十香グッドエンド(下)】 橘 公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

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さあ――私たちの戦争を終わらせましょう
精霊が存在しないはずの世界に現れた謎の精霊“ビースト”。目的も正体も不明の中、五河士道への執着を見せる謎の少女に、少年は命懸けの対話を試みる。元精霊の少女たちも士道の決意を叶えるため、覚悟を以て戦場へと集結する。精霊としての力があろうがなかろうが、関係はない。デートして、デレさせる―それこそが、これまで積み重ねてきたすべてなのだから。
「―おまえを、救いにきたんだ」「―シドー…」
そして戦争は物語の始まりでもある運命の日、四月一〇日を再び迎える―。新世代ボーイ・ミーツ・ガール完結!

終わった……。しばし感慨に浸る。
あらすじのいつもの「さあ――私たちの戦争をはじめましょう」がこの巻に至って、「さあ――私たちの戦争を終わらせましょう」と綴られているのを見てから、最終巻の雰囲気たっぷりだったのですが、読み終わって改めてぼんやりと終わったなあ、という感慨を噛みしめる。
長い、長いシリーズでしたけれど本作ってどちらかというと尻上がりのシリーズだった気がするんですよね。巻を重ねるごとに面白くなっていった。盛り上がっていった。キャラが掘り下げられ、世界観の深淵が覗けて、増えていく精霊たちが一人ひとりの出番が薄くなるどころか化学反応を起こして、むしろ自己主張や存在感が増えていくような。そんなどんどん広く大きく密度濃くなっていく物語でした。
正直、グッドエンドというサブタイトルは……この次にトゥルーエンドとかグランドシナリオとかがあるんでは、と構えてしまったのですけれど、どうやら本当にこれが最後の模様です。
あとがきで作者さんが登場人物の一人ひとりに、感謝の言葉を綴っていくんですよ。キャラの感想とか紹介じゃなくて、一人ひとりに語りかけてありがとうを告げていく。この物語とキャラクターたちへの愛情の深さと温かさを感じさせてくれる光景でした。
さながら卒業式みたいで、じんわりキてしまった。

涙腺に殴りかかってきたと言えば、冒頭からの六喰の話は初っ端からガンガン来られましたけどね。六喰という娘は後発も最後発の登場で、日常編なんかでも新しい顔を見せてくれてこれからもっと色んな側面を見せてほしいと思わせてくれる娘だったんだけれど、この家族との再会編はあの「頑張って」に送り出されるシーンの破壊力はほんとパなかった。
対してなかなかショックだったのが七罪の過去。この娘の過去って、本人が匂わせていた人間不信気味のコミュ障とか学校で虐められてたっぽい反応から想像していたものと、実際のそれはかけ離れてたんですよね。悪い方向に。
虐められてたレベルじゃないじゃん。うん、いや学校ではいじめというか阻害されてたみたいだけれど、それ以上に家族関係が最悪すぎてちょっと絶句レベルでした。むしろ、あんな環境で育ってよくこんないい子に育ったものです。七罪の強さ優しさは家庭環境に負けなかった、歪まず屈折せず七罪が個人で勝ち取ったものと言えるのでしょう。多少捻くれてたり自虐気味だったりするの、むしろよくその程度で押し留めたよ、と言いたくなる。
皆がなすすべなく倒されてしまった中で、ひとりビースト相手に大金星をあげてみせたのも、七罪らしい活躍でした。普通に考えても、七罪の精霊の能力って他の精霊の力ほぼ完コピできるって尋常でないよなあ。
そして、ついに八舞完成体の登場。そうかー、元々耶倶矢と夕弦って別々の双子の姉妹が精霊化したわけじゃなく、本当に一人の人間「風待八舞」が二人に分裂した形だったのか。精霊が元人間、という設定が確定してからも彼女たちについては詳しく触れてこなかったのでどうなのかな、と気になってはいたのですけど。
でも、ここで覚醒した風待八舞は本来の八舞さんとはまたちょっと違うんですね。耶倶矢と夕弦という人格がそれぞれ確固としたものになり、幾多の経験を経て確立された結果、その融合体として現れた八舞は、二人の性格的特徴を引き継いだ全く新しい八舞だったのである。
……なにげに、まだこれキャラ定まってないですよねw 耶倶矢と夕弦のキャラ混ぜた感じがマーブル模様みたいになってるし。ただ、今まで居なかった「お姉さまキャラ」(二亜はナチュラルに切り捨て)だっただけに、八舞日常編も見ていたかったけれど。
いやでも、この風待八舞って精霊たち全体で見てもこれ普通に登場してたら最強格だったんじゃなかろうか。
誘宵美九はブレることなく一貫してヘンタイ美九でした。うん、ホントブレなかったなこの娘!
というかこの娘の場合、可愛い元精霊の女の子たちと同居生活、という時点でハッピーエンディング、ハッピーウェディングだったのでその時点で彼女の物語は完成してしまってたわけか。海外進出とかも、こうなると余技だわな。

そして、異世界平行世界でも相変わらず大便利な狂三さん。この人、冷静に振り返っても世界救いまくってません? 滅びが確定した世界をどれだけひっくり返して救世してるんだか。なにげに、色っぽい大人の女性になった狂三さんが見られたので、それはそちらで大満足である。
狂三に関しては、まだ物語としてのやり残しが正直あると思うので、そちらは短編であるアンコールがまだ出るようなので、そちらで決着つけるんだろうか。

そして、サブタイトル通りのエンディング。うん、これってね最後まで崇宮澪の愛の物語だったな、と思うのですよね。世界に溶け込んだ彼女の意志、十香を産んだのもまた彼女だとするならば、このエンディングこそが母の愛だったんじゃないだろうか。
親友だった令音さんに思い馳せる琴里が、ようやく流せた涙が胸を熱くする。
この世界は、きっと彼女がずっと見守ってくれているのだろう。

そして、再び訪れる四月一〇日。五河士道と精霊たちの戦争の始まりの日は、ついに終戦の日と相成ったのである。

長い長いシリーズでした。完結、お疲れ様でした。そして、良い物語を、本当にありがとう。


シリーズ感想

異世界拷問姫 9 ★★★★★   



【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J

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「どうか、皆、みーんな、一緒に死んでください」
最愛の父・ルイスを失い、【異世界拷問姫】アリスは世界を壊し始める。
かつて最愛の従者・瀬名櫂人を失った【拷問姫】エリザベートは世界を守り続ける。
それは鏡映し、共にあり得た可能性。
それ故に決定的に交わらない二つの道。
だから二人の拷問姫は“彼ら”の遺志を継ぎ、各々に世界へと立ち向かう。
「どうして、私だけお父様を失うの? 『瀬名櫂人』のエリザベートは生きているのに!」
「この【拷問姫】が全てを賭けるのだ──【異世界拷問姫】が受けずして、どうする?」
これが神話に至る物語。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー、最終巻。


……冒頭の、見開きのカラー口絵。表紙絵がその一部分なのだけれど、これがもう美しすぎて、呆然と見とれてしまう。どこぞの美術館に飾ってあってもおかしくないと思えてしまう。初っ端から魂を鷲掴みにされて、そうして始まるのは生命の讃歌だ。

不思議だ。皆が皆、死んでいく。片っ端から、消えていく。惨たらしく、残酷に、血塗れになりながら、ろくな死体も残さず死んでいく。
なのに、これほど皆の「生」を、生きたという実感をどうして感じるのだろう。彼らは死んだ。だが、生きたのだ。生きて生きて、生き抜いた先での死だったのだ。それは惨劇ではない、悲劇ではない、そう思えてならない。そして、彼らの死は終わりではなかった。結末ではなかった。終わるためではなく、終わらないための、その繋ぐための彼らの生き抜いた証だったのだ。だから、彼らの死は犬死であっても無為ではなかった。その先へと続いていくための、橋渡し。不要ではあっても、証明だったのだ。世界は、人は、生きるということは、美しいモノだという事実を証立てる証明だったのだ。
瀬名櫂人とヒナが去ってからずっとエリザベートが自問し続けた問いかけ。果たして、世界は守るに値すべきものなのか。この人々の愚かさと醜さで彩られる世界は、瀬名櫂人が命を掛けるに値するべきものだったのか。救われるべきものだったのか。滅びてしまえばよかったのではないのか。愛するに、値しないものだったのではないか。
どうしようもない争いを目の当たりにしながら、何度も彼女が問いかけた疑問。そんな彼女を支え続けたのは櫂人の世界を愛し守ると願いであり意志であったけれど、この醜い世界で幾度も彼女が目にした美しい人の心がエリザベートを進ませ続けた。そんな美しい光そのものだった人たちが、キラキラと輝きながら散っていく。醜いと、愚かだと思えてならなかった人々すらも、この滅びの最果てで答えを得たかのように光り輝いていく。
そう、みんなこの世界の滅びゆく最果てで、各々に自分にとっての答えを得ていくんですね。迷いは払われ、それぞれが未来を思い描く。果たして、そこに自分がたどり着けないのだとわかっていても、思い描く未来が実現するのなら、それはきっと素晴らしいことなのだと。
だから、皆が胸を張り、ほほえみながら自分の成すべきことを見出して、成し遂げていくのだ。
聖女もまた、ついに自分の腕からこぼれ落ちていたあの「肉屋」を思い出し、彼の献身に思いを馳せ、愛おしさを胸に宿して、彼の愛に応えるように胸を張ってかつての自分の思いを取り戻し、貫き通していった。
神に身も心も捧げたはずの聖人たちも、兵器と成り果てていたはずの彼らもまた、一人一人が神と別れ自ら立ち、それぞれが思い描いた未来のために戦ってくれた。教会の人たちもそうだ。誰かに言われたからでも命じられたからでもない。その信仰は己の心のうちにあり。神の意志ではなく、彼ら自身の意志でその信仰を貫いた。
エリザベートを隊長と仰いだ治安維持の隊員たち。彼らこそが、いわばエリザベートを拷問姫というくびきから救い出した張本人たちだと言えよう。櫂人とヒナのいない世界で、エリザベートを人の子へと変えていき、解き放ったのは間違いなく彼らだ。
亜人たち。間違いだと知りながら敢えて間違いを貫いた者たち。綾里さんがちらっと某所で長い後書きを書いていてそこで触れているのだけれど、行き着く果に先のない亜人の彼らの絶望のなかで、あの父子は対局の立場に立ちながらそれぞれ同じ方向を向いて、先のない未来に立ち向かったんですね。そこには、確かに愛があった。同族への、家族への深い深い愛情が。

そして、愛があったのはアリスとルイスの疑似親子にもまた確かに。
愛があったからこそ、アリスはルイスの最期の願いに答えざるを得なかった。もう、それしかなかったから。ああ、なるほど。確かに、アリスはエリザベートと対極だ。世界を呪った者と世界を愛した者に遺されたもの同士、その遺志に寄り添う以外にその存在に意味はない。でも、ジャンヌとイザベラの愛しあう二人の姿にアリスは心打ち砕かれ、一方でエリザベートの世界への愛情は櫂人からの預かりものだけではなく、彼女自身が多く関わった人たちから貰ったもの。彼女自身が抱いた想い。彼女自身の意志でもあり、願いともなっていた。その違いだろう。それだけの、違いなのだろう。

アリスにはもうなにもない。でも、確かに彼女は愛されていて、父を愛した。その事実と過去だけを胸に、もう何もない彼女はそれからどうやって生きていくのか。残酷な結末でもあり、小さな希望の結末なのかもしれない。

皇帝は、ほんとね、こいつ悪魔だったはずなのに。契約者があのヴラドと櫂人であったのが災いしてしまったのか。もういつの間にか、悪魔であるという存在すら突破して違うものになっていた気がする。彼は彼で証明したのかもしれない。悪魔もまた、悪魔でなくなり自ら選んだ存在になれるのだと。誰よりも誇り高く、共に駆けてくれた戦友だった。

リュートはもう、なんというか、ほんと登場当初から彼はこの物語の救いそのものだった気がします。だからこそ、彼はいつでもどこでも無残に無為に死んでしまいそうだった。他の誰よりもただリュートであるというだけで死亡フラグそのものみたいな存在だった気すらする。
故に、彼が生きている限り。エリザベートを支えてくれている限り、この物語は希望を失っていないのだと信じることができた。実際、そのとおりであったことに、深い深い感謝を。

そして、ジャンヌとイザベラのカップル。多分、この物語で一番幸せだった二人。もっとも幸福だった二人。世界を愛し祝福し、だからこそ愛され祝福された二人。結婚おめでとう。最後まで、最期まで二人は二人でいることが目一杯幸せそうで、良かったね、という言葉を送ることができる。
でも、同時に泣いてしまうのは仕方ないですよね。泣いて泣いて、目が痛くなるほど泣けてしまって、でもやっぱり祝うのだ。おめでとう。ずっとずっとお幸せに、と。

そうやって、みんなやるべきを見出し、己の中の答えを得て、生きて生きて生き抜いて、やり尽くして去って逝く。
そんな彼らに問いかけたい。満足だったか? 満ち足りたか? 救われたか? 幸せだったか? 想いを果たせたか?
潰えることに無念はあるだろう、でも後悔はないに違いない。だから皆が皆、起立して胸を張って悠然と、笑顔すら浮かべて、去っていく。その胸に、目いっぱいの愛を宿し抱きしめて。
だからだろう、世界はこんなにも惨たらしく血塗れで死と破壊に侵されていたのに、切ないほどに美しい。
こんなにも、優しい。
だからこれは人間讃歌の物語。綺麗な夢のおとぎ話。

生きて生きて生き抜いて、途中で進めなくなった人たちに背中を押され、多くのものを預けられ、辛くでも苦しくても寂しくても悲しくても、背負いきれない罪を背負いながら、それでも進み続けたエリザベートの辿り着いた結末は。皆が思い描き、託したそのさき、その未来に辿り着いたエリザベートは。
拷問姫でなくなった、ただのエリザベートは。ようやく、ようやく、焦がれ焦がれた幸いをその手にとり戻す。
小さな小さな、幸せの夢を。

これは、ヒトが小さな幸せを手にする物語だ。



絶対城先輩の妖怪学講座 十二 ★★★★   



【絶対城先輩の妖怪学講座 十二】 峰守 ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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傍若無人な黒衣の妖怪博士・絶対城の活躍を描く伝奇譚、第12弾!

『真怪秘録』をまとめる中で、妖怪学の限界を感じたという絶対城。熱意を失った彼は、文学部の非常勤講師として妖怪学を教えてくれないか、という織口からの誘いも断ってしまう。
そんな中、礼音が何者かに狙われていることが発覚。大切な人を守るため、事件の調査に乗り出す絶対城だったが、一方で、その一件の解決をもって妖怪学徒を廃業するとも宣言し――。
猫また、猫ばば、五徳猫。事件の鍵を握るのは『猫』!?
絶対城阿頼耶、最後の事件!

礼音さんがタフすぎるw 礼音が狙われてた案件、あれ彼女じゃなかったらほとんどが普通に事故死しちゃっているケースのはずなんだけれど、素の身体能力の高さからひらりひらりと回避して当人ケロリとして最近ちょっと運が悪いなあ、くらいの認識でしか無いあたりがさすが礼音である。このあっけらかんとした性格が、絶対城先輩の心の助けにどれほどなってきたか。
今回なんぞ見てて微笑ましいほどの仲睦まじいカップルでしたもんね。礼音は元より絶対城先輩もわりと素直なので今更好意を照れ隠しとかしないので、率直にお互いを気遣い合う関係は見てて温かいものでした。かと言ってそれほどベタベタしないサッパリしたところは二人らしいのですけれど。
はからずも同棲生活になってしまってからも、まるで色っぽいことにはなってませんでしたし。いやそう言えば恋人になる前も一緒に住んでた時期があったっけか。その時より関係は進んでいても、それでイチャイチャしだすかというとそういう二人ではないんですなあ。
それでも、旅行に行った時のあのギューッと抱き合ってぬくもりを伝え合うシーンは、恋人というよりも、そして夫婦というのでもなく、なんというかこれからもずっと人生のパートナーとして共に歩んでいくという仲睦まじさを感じる場面で、二人の関係の結実を思わせてくれてジーンと来たんですよね。
白鐸という目下の脅威を退けて、『真怪秘録』の編纂も一区切りついてしまったところでいわゆる「燃え尽き症候群」のようなものに罹ってしまった絶対城先輩。一方の礼音も大学三回生に進級するにあたって今までのまま経済学部で勉強していくのではなく、今最大に興味ある妖怪学の道へと進んでみたいと考えるようになり、とお互い次の段階を考えるところに来ていたんですね。
そこでこの「猫」の事件はさて最後の後押しになったのか。絶対城先輩に妖怪学の奥深さをもう一度教えてくれる、という意味ではよいきっかけになったのでしょうけれど、何気に今までで最大のピンチとなりかねない最大の敵だったんじゃないですか、これ!?
杵松さんとの雑談で出てきたパソコンの連結についての話が伏線だったとは思いませんがな!
本作では実際に本当の「妖怪」は出さない、という方針で一貫していたと後書きでも触れていましたけれど、今回の「猫」を含めてどれもある意味本物の妖怪よりも突拍子もない「正体」で、いやあぶっ飛んでたなあ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、じゃなくて幽霊の正体見たりビオランテ、みたいな感じのものばかりで、その突拍子もなさがまた面白かったんですけどね。
でも、それで不気味だったり得体の知れなさが陰気な感じにならなかったのは、礼音の明るさに牽引されるどこか作品全体に流れる呑気な雰囲気ゆえだったのでしょう。メインとなる絶対城先輩も、傍若無人なんてあらすじに書かれていますけれど、実際は非常に紳士で人柄が伝わってくる優しいキャラクターでしたので、この人を見てて嫌な感じになった事はなかったですし、相対する「敵」はみんな想像を遥かに超えた存在でありつつ、今回の猫のようにどこか「スットボケた」愛嬌を持っていたのが、和やかさにつながっていたように思います。この物語の持ち味というか特色でもありましたね。
礼音と阿頼耶くんには幸せになってほしいものです。二人の将来、についても具体的に色々と考えているようでしたしね。心残りは、杵松さんと織口先生の関係がどうなってるの? と、そこんところ不明のまんま終わってしまった所ですけれどw
これで終わってしまうのが本当に寂しくなる、慣れ親しみを抱かせてくれた作品でありました。


シリーズ感想

お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4 ★★★★   



【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。4】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫

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文化祭。当日は何処で何をしてひとりで過ごそうか胸を弾ませていた春一を襲うテンプレ展開…実行委員に抜擢される。面倒くさいことは迅速に、の精神でおひとり様スキルフル活用で仕事を完璧にこなす春一へ華梨の余計な一言が炸裂する!
「私、姫宮君に勝ってみたい!姫宮君っ、私と勝負しよう!」
強制戦闘イベントを華麗にスルーし続ける春一のもう一つの悩みの種、「い、今は恥ずかし過ぎて姫宮の顔もまともに見れないから…」キャンプでの告白で英玲奈とは妙にギクシャク。華梨と英玲奈、二人との関係は確実に変化しているようで―。ひねくれボッチートな青春ラブコメ、文化祭はひとりに限る。

いやこいつ凄えわ。なにこの姫宮くんてば、完璧超人? ただでさえ文化祭の実行委員としていい仕事してるのに、トラブルは片っ端から解決していくはトラブルになる前にうまいこと収めるわ、なんだかんだとクラスはうまいことまとめるわ。それを必死に駆けずり回って、ではなく無理なく自分のペースでちょいちょいっと手を入れて調整していく感じなんですよね。暴走する美咲にストップかけるタイミングまで絶妙でしたし。アフターフォローの気遣いというか観察力まで言うことなし。
美咲華梨が対抗心むき出しにして勝負しにかかってきたものの、見事に返り討ちにあって心折れてしまうのも無理ないですわ。いや太刀打ちできんてこれ。美咲も本来なら超ハイスペックのなんでも出来る少女なんだけれど、今回は常にがむしゃらに全力、で行き過ぎてしまったところもあるのでしょう。競馬で言う所のかかった状態、とでも言うのか。
正直な所、なんで美咲がこんなに姫宮に対抗心むき出しにしてきたのかちょっとわからない部分もあったんですよね。姫宮のおひとり様好きについては理解を示しているものの、それはそれとして彼がみんなと関わる方向で動くことを喜びはすれど、こうやって張り合ってくる理由については彼女の明るいキャラクターを込みにしても微妙に変だなあ、と思う真剣さがあったんで。
その疑問が紐解かれたのが、実のところ本作じゃなくて「小説家になろう」で作者の凪木さんが公開している美咲視点の後日談の短編なんですよね。
これ読んで、彼女の心中を目の当たりにして、ようやく「そうだったのかー」と納得した次第。これは本文中になんとかして付与していくべき内容だったんじゃないかな。思いっきり美咲の動機であり原動力である「こたえ」がそこにあったわけですし。
うん、そうかー。そうだよなあ。彼女がそうなってしまうのも無理ないよなあ、姫宮のそれとあれだけ向き合ってたら。むしろ、一番影響受けてるのが美咲ですよね。
美咲華梨という少女は色んな意味で意識高い系なんですよね。姫宮春一という青年のおひとり様ライフに対しても良き理解者となっている事を加味してみると、彼女としてはここで何としてでも姫宮くんと対等となれる自分を自分自身に証明したかったのではないでしょうか。彼のおひとり様ライフを邪魔することなく、しかしその隣に立てる自分を。そうでもしないと、彼女としてはスタート地点に立てなかった、とするならまあ何という自立意識の高さというべきで。

これは英玲奈もそうなんだけれど、本来ならもっととっつきにくいだろう姫宮春一のおひとり様ライフをちゃんと理解して凄く尊重してくれる稀有な人物なんですよね、この二人。まあ彼女らに限らず、ここのクラスメイトたちや学校の人たちもなんだかんだと許容範囲の広い器の大きい人物揃いの気もしますけど。対人能力が異常に高い姫宮だけれど端から異端を理解しようともせず見下してきたり自分たちの価値観を押し付けてこようとするような連中に対して、わざわざ理解を求めて歩み寄ろうなんて真似をするようなタイプではないでしょう。
そんな彼がこうして歩み寄っているのは、間違いなく彼の生き方を尊重してくれる美咲と英玲奈たちが居たからなんですよね。だから、姫宮も特にこの二人に対しては口には出さないけど、随分と敬意と親愛を抱いているのがよく分かる。他のクラスメイトたちにも自分からあれこれ動いてあげようと思うだけの、親しみを持ってるみたいですし。
今回、文化祭実行委員として働くためにいつものようなおひとり様ライフはあんまりしていなかったし、みんなとあれこれ作業することを素直に楽しい、と感じていましたけれど、それは決して彼のおひとり様好きな生き方から妥協したり変節したりしたわけではないのです。
姫宮のみならず、この文化祭では様々な階層の、グループの人たちが分け隔てなく盛り上がることが出来ていました。相互になかなか理解し合えない、価値観を共有できない断絶のある人種が、歩み寄れた日。ちょっとした理解と尊重が、それぞれの在り方をそのままの形で受け入れあえる。共存と融和が成せた楽しい日、という趣きだったんじゃないでしょうか。
まあこれ、普通は無理でしょうけどね。こういう自分の知らない価値観を拒絶しない、拒否しない、無視しない、否定しない、忌避感を抱かない、という子たちが揃うなんて難しいことでしょうし。
それだけ、ここに登場する子どもたちは良い子で聡明な子たちで優しい子たちだった、ということなのでしょう。
しかし姫宮は、ホントに英玲奈と華梨の二人は大事にせんといかんと思うよ。果たして彼の人生でこれほど自分の生き方に理解を示し尊重してくれながら、同時に好意を抱いてくれる女性なんて滅多現れないだろうし。これだけ自立していて、自分も相手も殺さないで楽しくしようとしてくれる人もいないでしょうから。姫宮はこの二人となら、おひとり様ライフを存分に堪能し楽しみながら、そこにプラスして違う楽しさも味わうことが叶うことになるのでしょうから。
残念ながら、売上の関係もありこのシリーズはここで終了。恋愛編の方の結論も見てみたかったんですけどねえ。着実に一歩一歩寄り添ってくる英玲奈に対して、美咲華梨の怒涛の逆襲編とか、姫宮のおひとり様ライフを踏まえての恋愛観なんかも実に興味あるところでしたし。
ぼっちとは異なる毅然敢然としたおひとり様ライフをこよなく愛する姫宮春一という特異な主人公はホントに見応えあるキャラで面白かった。ぜひ次回作でも、彼に負けない主人公を引っ張り出してきてほしいものです。

1巻 2巻 3巻感想

迷宮の王 3.神と獣と人と ★★★★☆   



【迷宮の王 3.神と獣と人と】 支援BIS/かとろく レジェンドノベルス

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迷宮の王となったミノタウロスに勝つため、英雄パンゼルの息子・ザーラは修行の旅に出た。山の民の娘やラミア、水の巫女らとの出会いと幾多の冒険を経て成長するザーラ。道中ザーラは、赤い甲冑に身を包んだ女騎士ラウラの一団と出会い、冒険を共にすることになるが、ラウラの故郷である城塞都市ビア=ダルラでかつてないほどのすさまじい戦いに巻き込まれることになる。
果たして、ザーラはサザードン迷宮に帰りつき、迷宮の王であるミノタウロスの首級を挙げることができるのか!?
史上最高のダンジョンファンタジー三部作、感動と驚愕のクライマックス!

最も新しい英雄詩篇の完結編。ザーラの冒険譚の終幕であり、長きにわたる迷宮の王と英雄の系譜の因縁の決着である。
パーシヴァルとミノタウロスとの決闘から始まったかの系譜との運命は、パンゼルとの引き分けを経てザーラへと引き継がれた。でも、これは倒すものと倒されるもの、魔物と英雄の物語ではないんですよね。ミノタウロスもまた、英雄であり勇者であった。本来与えられたエリアボスとしての軛を、その闘争本能で打ち破り、自力で迷宮最下層へと到達してそこに棲まう迷宮の主を下して自らの意志と力によって迷宮の王へと成った者。ただ本能のままに暴れるのではなく、迷宮に潜り自分を倒そうとする人間たちとの戦いを通じて、その技術を習得し貪欲に戦う術を身に着けていった者。そして何より、強き者への敬意を惜しまない存在であった。
だからこそ、人もまた彼を恐れるのではなく、畏れ憧れ偉大なる迷宮の主として讃えたのである。ザーラがいずれ彼と戦う運命にあったのも、父パンゼルが成し得なかった偉業であり打倒を果たすためではあったけれど、それだけではなかったんですよね。
でも、そんな迷宮の王に抱くべき想いは実際に迷宮を踏破して彼の前に立つまで湧き上がるモノではなかったはずだったのだけれど。
運命はそんな約束された対決よりも先に、二人により芳醇な出会いを与えてくれた。
第20話「二人の勇者」は、なんというべきか……美しいと表現出来てしまうような戦いだったんですよね。生まれ落ちた邪神たちに対して、神に導かれた二人の勇者が出会い、そしてお互いに背中を合わせて剣を振るう。お互いに見知らぬ者同士でありながら、言葉もかわさず振るわれる剣を見て、戦いの身のこなしを見て驚嘆しあい、意を通じ合わせ、敬意を抱いて、燃える意志を共有する。
その正体をお互いは知らなくても、読んでる読者は知っている。運命の一人と一匹が共に戦う姿は、ただただ美しく、それ以上に胸が熱くなる場面でありました。
戦い終わったあとの、ミノ閣下の独白がまたいいんですよね。これまで無数の人間の振るう技を見て、武技を磨いてきた。闘うすべを学んできた。でもこれまであれは良い技だと思いながら真似できないものがあった。それは「連携」。その素晴らしさを実感しながら、仲間のいないミノタウロスには決して実践できなかったもの。やってみたいと思いながらどうしてもできなかったもの。それを、最高の形で体現できたことに心すくような思いを抱いて、満足するミノタウロスが本当に素敵なんですよ。
この邪神との戦いの時のザーラの姿が、とある要因からミノタウロスの目にはコボルトに見えていたのですけど、ザーラに匹敵するコボルトの強者を探して迷宮の上層部へあがってきて、10日間も居座った挙げ句に多分ガッカリして帰っていっただろうミノさま、ちょっとかわいくないですか?w

そして、約束された最後の戦い。ザーラが本来の名であるアルスに戻り、外の世界では大陸から訪れた異人たちとの大戦が繰り広げられ、そこで中心的な活躍を示し剣士としても凄まじい経験を積んだザーラことアルスが、肉体的にも精神的にも最盛期を迎えた時に、ようやく挑むことになった迷宮の王との決戦。
それは、でもアルスの視点ではなく、ミノタウロスの視点によって描かれるのである。恐るべき、若き人間の剣士。迷宮の魔物では理解できない人間の父と子という受け継がれる関係。かつて自分に打ち勝ったパンゼルという人間の剣士に似た、あの邪神との戦いで共に戦ったコボルトの戦士と同じ、ミノタウロスが求めた最高の対戦相手。
その凄まじい強さに歓喜しながら、自らが鍛え続け磨き抜いた武技と闘争本能を存分にぶつける迷宮の王。それを見事に受け止め真っ向から向かってくる若き剣士。
それは、人間の英雄と怪物の戦いではなく、誉れたる英雄同士の決闘でありました。まさに最後の戦いに相応しい、勇者たちの戦いでありました。

そのエピローグは、迷宮の時代の終わりを告げ、新たな世界に広がる航海の時代のはじまりを告げるものでしたが……惜しむらくは、あれなんですよね。ウェブ版の外伝にあるエピローグというべき後日談の【春の山辺に降る雪は】が掲載されてなかった事が少々残念で。
異人戦争の簡単な顛末と、ザーラが旅先で出会い縁を結んだ人々とのその後の話が載っているのですけれど、そのラストシーンが滅茶苦茶美しいんですよ。それは再会の物語であると同時に、ザーラへと引き継がれた英雄の系譜が、その先へ、新たな世代へと引き継がれ幕開く……終わりにして始まりを告げる話でもあって、この作品のラストシーンとしてはコチラの方が好きだったりします。

あと、この外伝でアルスの巡礼の旅にこっそりついてこようとしていたエッセルレイア様はあれですよね、「冒険について来ようとするお母さん」の先駆けじゃないですかね!? 
ラミアのナーリリアも相変わらずの天然おバカさんが炸裂してて可愛いのなんの、個人的にこの人主役の話が見てみたいくらいでした。


1巻感想


2巻感想

エクスタス・オンライン 08.それはまだ見ぬ、仮想と現実の彼方 ★★★☆   



【エクスタス・オンライン 08.それはまだ見ぬ、仮想と現実の彼方】 久慈 マサムネ/平つくね 角川スニーカー文庫

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必死に現実世界への帰還を模索する堂巡。その鍵を握るのは、この世界を支配する神エグゾディアだった。神と魔王の最終決戦に臨むヘルシャフト、しかし謎の黒幕は更なる罠を仕掛けてきて!?そしてついに、堂巡は2Aギルドに正体を明かすこととなり―。“堂巡=ヘルシャフト”を2Aギルドは理解してくれるのか。この世界に愛着が湧いてしまった堂巡は、現実世界と仮想世界のどちらを選ぶのか。哀川愁子と朝霧凛々子、堂巡を中心とした三角関係の行方は…。究極の選択に、最後の魔王ポエムが響き渡る!
終わってみると、2Aのクラスメイトたちがどうしてゲームの世界に閉じ込められる事になったのか、堂巡に一部記憶がない理由。朝霧の怪しさなど、真相へと至る謎の数々はちゃんと紐付けされた理由があり、よく出来てたんですよね。哀川さんはどう考えてもトバッチリな気もするのですけれど、紆余曲折の末に若いツバメをゲット出来たと思えば、これ幸いと思えばいいのでしょう。
ってか、哀川さんルートかよ!
いやでも、最初の最初から堂巡くんがヘルシャフトやっている事を知っていて、彼の弱い部分をずっと見続けていたのは哀川さんだったんだよなあ。色々とコンプレックスを抱えていた堂巡くんが、果たして誰にも頼れず誰にも自分の秘密を抱えたまま魔王とクラスの底辺の二足のわらじを両立する事に頑張ることが出来ただろうか、と考えると哀川さんの存在がなければ壊れていたんじゃないだろうか。
まあこの人、ギャーギャー不満を喚き散らしてばかりだったんですけどね、最初は。それでも事情を知ってる自分よりも大人の人が居てくれて全部さらけ出してしまえる、信じられる相手がいるというのは大きかったと思いますよ。途中からは完全に哀川さんの所が帰る家みたいな感じになっていた所ありますし。
哀川さんの方からしても、奴隷として魔王軍に囚われの身になってる状態で生殺与奪権を魔族たちに握られて、生きた心地しない中で頼れる相手はバイトくんな堂巡くんだけという状態の中で、何だかんだとずっと面倒見てくれてる彼に縋って行くのも分かる話である。でも、現実に戻れば相手は高校生の子供で、自分は成人した大人。年の差以上に、将来ある子供の彼を大人な自分がどうこうしていいのか、という罪悪感を抱えながらそれでも本気で好きになってしまいつつある葛藤に苛まれる姿は、何かと唆るものがありましたし。あの今だけ、今だけはこのゲームの中でだけはこの子の側に、という切ない思いが垣間見えてねえ、うん良かったんですよね、哀川さん。
なので、最終的に本命哀川さんルートに乗ったのは、ちょっと嬉しく思ったり。まあ朝霧も一歩も引いてないご様子なので、ガチ修羅場になりそうですが。哀川さんも朝霧も、刺すとなったら躊躇わず刺すタイプだぞ、大丈夫か堂巡くん。
クラスメイトでギルドの仲間たちである2Aの皆を助けようと駆け回りながら、一方で魔王軍として自分に従ってくれる魔物たちに愛着を覚え、彼らにも心を寄せてしまう描写はシリーズの最初の方からありましたけれど、四天王にそこまで入れ込むとは思わなかった。ほんとなら、もう少しだけでも彼ら個々の個別エピソードを重ねてくれたら最後の決断にもう少し共感を覚えたかもしれないんですけどね。もうちょい、それぞれの掘り下げが自分的には欲しかったかなあ。
その点、一番がっつり堂巡くんと噛み合わさったのは赤上壮馬だったんじゃないだろうか。最終決戦で、封印した彼を召喚する流れはなかなか燃えるものがあった。いや、必要だったの壮馬が持っていた剣だったんだけどさ。
2Aギルドのリーダーだった一之宮との、何だかんだと信頼し合った関係もそうだけど、男キャラとの関係もいい味出していたのがまた良かったんですよね。
ラストまでキレイに纏まった、振り返れば完成度も高かったシリーズでした、エロ面白かった。

ロード・エルメロイII世の事件簿 10「case.冠位決議(下)」 ★★★★☆   



【ロード・エルメロイII世の事件簿 10「case.冠位決議(下)」】 三田 誠/坂本 みねぢ TYPE-MOON BOOKS

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衝撃の真実と向き合う覚悟を決めて、エルメロイII世は仲間たちとともに霊墓アルビオンへと乗り込む。ロンドン地下に広がる大迷宮は、
神秘を操る魔術師ですら想像を絶する、もうひとつの世界であった。
同時に、ライネスもまた、II世の代わりに冠位決議(グランド・ロール)へ出席することとなる。
複雑に絡み合う、迷宮探索と陰謀劇。
そして、迷宮の最奥にて儀式を進めるハートレスの謎とは。

幾多の神秘に彩られた『ロード・エルメロイII世の事件簿』、その結末を今ここに。
ああ……私はきっと、ウェイバー・ベルベットのその言葉をこそ聞きたかったのだ。
第四次聖杯戦争の際、Fate/zeroで描かれたウェイバーとイスカンダルの別れのシーンで二人の関係の集大成として少年が征服王に投げかけたのは臣下の誓いであった。でもね、私はどうしてもそれに納得がいってなかったんですよね。あそこで、ウェイバーに臣下にしてほしいと願われて果たしてイスカンダルは嬉しく思ったのだろうか、と。そこに至るまでに少年と征服王が二人で過ごした時間は、果たしてそこに帰結するものだったのだろうか、と。
あの自分に食って掛かる未熟な少年を可愛がりながら、腹の底から笑っていたあの巨漢の王が彼との間に感じていた心地よさは、主従の関係に収束してしまうようなものだったのだろうかと。
私は、あの王がウェイバー・ベルベットとの対等な関係をこそ楽しんでいたのではないかと、思っている。
でも、ウェイバーはどう思っていたのだろう。あの時、彼にとってイスカンダルに付き従いたいと願った事こそ魂から欲した願いだったのかもしれない。彼が得た強烈な体験は、目の当たりにした本物の英雄は、彼の魂を揺さぶりに揺さぶり、その後の少年の人生を一変させるに至る。少年は青年となり、身の程を超えた役割をその身に背負い、しかし膝を屈することなく走り続けることになる。
どうやって、あの背中に追いつくべきかわからないまま、右往左往しながらも、霧中をゆくが如き不安を抱えながらも。
そうやって大人になって、それでも物分りよく諦めたりせず足掻きながら、彼はずっとイスカンダルを追い求め、彼のことを考え続けた。
そんなロード・エルメロイII世となったウェイバー・ベルベットは、考えなかったのだろうか。あの時、あの王にかけるべき言葉が果たしてあれだけで良かったのだろうか、と。
あの聖杯戦争で過ごした時間が自分たちの間に育んだものがあったのではないか、と。誰よりも王の事を考え、王の心中を思い描く時間があった彼だからこそ、そう思い巡らす可能性はあったんじゃないだろうか。
思えば、フェイカーの登場に伴いイスカンダルを語ることも増えた。直接征服王を知る本物の臣下を前に、王への悪態をつくこともあった。そこにあったのは忠誠でも尊崇でも憧憬だけでもない、一緒にゲーム機を前に大騒ぎしていた大男への親愛だったじゃないか。
10年掛かって、あの時ウェイバーが言えなかった言葉が言えた。それを聞けた。それで満足である。


ハートレスの正体についてはライナスが会議にて言及した所までは想像できていて、それはほぼ確信に近いものがあっただけに、真っ向から否定されてしまった時には正直マジで驚いてしまった。
その正体についてはまさかまさかの一言で、だからこそ彼が負っていた絶望の深さを思い知る。どちらか一方だけでも立ち上がれない裏切りだ、それを2度も二重に渡って味わわされた時の喪失感はいったい如何許のものだったか。
彼にとって青春そのものであり人生そのものであった、過去であり現在であり未来ですらあったものからの裏切り。まさに全否定であり、絶対的な孤独であったからこそ、彼が最期に求めたのはずっと自分に寄り添い続けてくれたフェイカーだったのだろう。
惜しむらくは、ハートレスにとってフェイカーでなければならなかった理由、フェイカーにとってハートレスでなければならなかった理由がなかったところか。でも、そんな理由がなくても二人は出会い、通じ会えた。それで十分なのかもしれない。
……フリューの師匠であるあの老人もまた、すべてに裏切られたという意味では同じなのかもしれないけれど、彼の場合大切にしていたものには裏切られはしなかったんですよね。弟子たちは皆殺しにされたとはいえ、彼を慕い続けたわけだし。そしてフリューに至っては汚名を背負っても師を救い守ってくれた。そして、ロード・エルメロイII世によって彼の怨念は報われた。対比というのも違うかも知れないけれど、余計にハートレスの孤独が浮き彫りになったような気がするのです。
いや、本当に対比すべきはやはりウェイバーの方なのでしょうね。ハートレスの正体からしても、妹がいるなんて話も出てきちゃったわけですし。あらゆる意味で対称的、になる。

……ウェイバーは、幸せものなんだろうな。弟子が居て、生徒たちが居て、義妹が居て、友もいる。困難を前に、彼に手を差し伸べてくれる人がこんなにも居た。
イスカンダルの背中を追い続けたウェイバー・ベルベットの人生は、だが孤独などではなくその歩みにはこうしてこんなにも多くの人たちが寄り添ってくれている。図らずもそれは、彼が追う征服王とその同志達の姿と重なる、というと言いすぎだろうか。先頭を突っ走る征服王と違って、この男の場合は息を切らせながら後ろをヨタヨタついていくのを、皆がワイワイと騒ぎながら周りで急き立てていたり背中を押したりしているのが関の山なんだろうけれど。
でも、孤独ではない。それだけは確かだ。

これはFateシリーズの中でも屈指の「魔術師」の在り方を描き出した物語だろう。でも人でなしと言われる魔術師という在り方に、こんなにも「人間」そのものを見出したのがこのシリーズでした。

一旦、このシリーズはここで幕引きとなりますけれど……いや、絶対これ装いを新たにしてもう一度再会するよなあ、するよね、してよね!!
グレイのアーサー王との同調に関してもまだ解決していないどころか、侵食が酷くなっているわけだし。ってかこれ、フェイト・ステイナイトのルート次第ではアーサー王本人が来ちゃうんですけど、その場合グレイ大変どころじゃないじゃないかw
ともあれ、次あるとすれば聖杯解体にまつわるエピソード。聖杯解体戦争になるのだろうか。でも、あれって第五次聖杯戦争のさらに十年後らしいので、グレイもライネスもみんな妙齢の女性になっちゃってるんですよね。それはそれで見てみたくもありますが。

シリーズ感想

戦うパン屋と機械じかけの看板娘 10 ★★★★☆   



【戦うパン屋と機械じかけの看板娘 10】 SOW/ザザ HJ文庫

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皆に祝福され、結婚式を挙げたルートとスヴェン。しかし、人と機械では生きる時間が違いすぎた。だから、スヴェンは人間になることを決意し、人化の方法を知るマイッツァーを探すのだが、彼は保安部の手によって誘拐された後だった。マイッツァーの救出に動いたルートたちは、否応にも聖女が画策する次なる大戦の火種に飛び込むことになり――今はもう英雄でもなく兵器でもない、普通のパン屋店主と看板娘が贈る街角パン屋繁盛記、感動のフィナーレ!!

エピローグまでしっかりやってのやるべきをやり尽くしての終演でした。これからも続いていく登場人物たちの人生を見送る形の終わりではなく、その行く末を見届けてのエンディングは満足感に浸れると同時にひどく寂しさも感じるんですよね。読み終えたあと、しばし感慨を噛みしめる。そうしないといけないくらいには、この作品のキャラクターたちには愛着を感じていました。
思えば登場当初から機械人形らしからぬ感情豊かさ、我の強さがロボ子の定型からは随分と外れていて、それがスヴェンというヒロインの魅力だったのを覚えています。そんなスヴェンですけれど、当初は機械的、というよりもマスター至上主義な所があってそれ以外に関しては酷く冷徹な所もあったんですよね。でも、パン屋の看板娘として多くの人と関わるうちに、ルートを経由するのではなくスヴェンが一人の個人として大切に思う人、関係が生まれてきてますます人間らしくなっていったんですよね。
そんなスヴェンですが、幾ら心を持とうと身体は機械。人間であるルートとの時間の流れの差は、結婚という関係の刷新を行ったからこそ尚更に彼女自身に現実を突きつけることになりました。
だから、マイッツァーを助けに渦中へと赴いたのは世界の危機を救うためではなく、ルートにとっては義父に会うため。スヴェンにとっては円滑な結婚生活のため、というあくまで個人的な理由によるもの、という建前で。
いやでも、実際建前でもないんですよね。
この物語、個々のキャラクターに焦点を合わせてみるとそれぞれ概ねみんな幸せを掴むに至っています。でも視点をマクロに広げて世界的な観点から見ると、ルートをはじめとするみんなの行動は聖女という悪意を退け、大きな意味での人類の行く末の破滅を防ぐことは出来ましたし、直接的な大被害をなくすことは出来ましたけれど、世界の危機そのものを回避することは叶わなかったんですよね。
これがもし、世界を救うための旅や戦いの物語だったとしたらこの結末はバッドエンドとすら言っていいかもしれない。でも、パン屋の新婚夫婦の物語としてみたら、苦労も多く背負うことになったかもしれないけれど、多くの別れを経たかもしれないけれど、でも大切な人たちの間では殆ど不幸を得ることがなかった、とても幸せなハッピーエンドだったと断言できるでしょう。
だから、これは間違いなくただのパン屋の店主と看板娘のお話だったのです。
まったく、ただのパン屋が幸せになるために潜らなきゃならない鉄火場のレベルじゃなかったんですけどね、一連のあれやこれやは。
結果的にですけれど、多分多くの友人たちとは二度と会えない形になってしまったと思いますし。ミリィが一番苦労したんじゃないかな、いきなりだっただろうし。
レベッカはあれ、人間になれたんでしょうか。レベッカとリーリエに関してはスヴェンが人間になる方法を用いることで、つまりスヴェン次第でなれてもおかしくないんですよね。二人とも、ズヴェンと同じく大切な人と一緒にいたいと願うでしょうし。挿絵ではレベッカ、少女然としたままでしたけど。
でもって、一番ままならなかったのはこれソフィア姐さんなんだろうなあ。多分、本人たちはこれで満足なのかもしれないし、報われていないとは露ほども思わないのだけれど、ただでさえルートの件で恋破れてしまったソフィアさんが、次の恋も傍らに置いておけなかったというのは胸に来るものがあります。でもあれ、ちゃんと恋人にはなったんですよね、ダイアンと。
あの結末はむしろダイアンの方が寂しがっていそうですけれど。それに、もっと後年になって戦後も遠くになりにけり、というくらいに戦争が過去のことになったら、また会える機会も一緒に過ごすことも叶わなくはない、と思えば……。
そのダイアン博士。この人もまた随分と定型から外れたキャラクターでした。いや登場当初って絶対に黒幕ですし、ラスボスかエクストラボスだろうというキャラだったじゃないですか。それがいつ裏切るか、いつ本性を現すか、と戦々恐々としていたら怪しげな素振りは欠かさないままズルズルとソフィアから離れないまま終盤まで来てしまい、終わってみれば全編通して味方側の黒幕として常に痒い所に手が届く働きをさり気なくやってくれてた上に、肝心なときにはいつも重要なポイントを解放して先に進めるようにしていてくれて、挙げ句に絶体絶命のピンチを覆す大どんでん返しまでそつなくやってくれていて、とシリーズ通して間違いなくMVPはこの人だったよなあ。
人格的には破綻していても、人間的には情深く愛を知る人であり、その出自からして人を愛することの素晴らしさを誰よりも感じる形で育てられた人だった、という事で随分と見方も変わった黒幕さんでしたし。軽薄な胡散臭さはついぞ変わりませんでしたけど。ソフィア姐さんとは本当に良いコンビでした。
最後のルートとスヴェンが写った写真のイラストは珠玉で、エンディングを飾るに相応しいこの物語の結末の形を描き尽くした素晴らしいものでした。
二人の新しいパン屋での生活に関しては、チラッと電子書籍版の描き下ろし短編で描かれているのですが、異国の地での生活は本当に苦労したようで、でもそこでの新しい営みがスヴェンの独白から伺い知れて、彼女が幸せですと語る言葉が胸に沁み入るものでした。スヴェン、ルートのこと「あなた」と呼んで慈しんでいるんですよね。長年連れ添った夫婦という雰囲気が伝わってきて、良かったなあ。
終わるのがほんとに寂しい、良い作品でした。次回作も同じくらい長く楽しませてもらえるものになってほしいものです。

シリーズ感想

神域のカンピオーネス 5.黙示録の時 ★★★☆  



【神域のカンピオーネス 5.黙示録の時】 丈月 城/ BUNBUN ダッシュエックス文庫

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ヒューペルボレアで繰り広げた太陽神アポロンとの戦いによってカサンドラを奪還した蓮たちは、芙実花と厩戸皇子を羅濠教主の下に残し、地球へ帰還の途につく。しかし、その際に「聖ヨハネの魂」に出会う。聖ヨハネは蓮たちに、地球滅亡の兆しがある、と告げる。聖ヨハネの警告を受け、地球に戻った蓮たち。地球はかつて無い程の異常気象に直面し滅亡の一途を辿っていた。その時、蓮の目の前に女神アテナが姿を現す―!!彼女は蓮に宣戦布告をし、地球に終末の時を迎えさせるべく、世界各地を駆け巡る!!蓮は、アテナと終末の時を阻止することが出来るのか…!?地球滅亡を懸け、「神殺し」とアテナとの決戦が始まる―!!

蓮とカサンドラ、こそこそチュッチュしすぎ! 梨於奈がいるところでも構わず、彼女が見てない後ろでじっと見つめ合ったり、ハグしたり、チュッチュしたりとイチャイチャイチャイチャ。
完全に二人の雰囲気作っているにも関わらず、全くその空気に気がついていない婚約者(笑)の梨於奈さん。後ろでチュッチュしているのにも全く気がついていない梨於奈さん。さすがです、さすがの恋愛リテラシーの低さに定評のある梨於奈さんである。
一方で、これ蓮とカサンドラはそんな梨於奈を出汁にして楽しんでますよね、これ。バレてはいけないというスリルを味付けにして、背徳感をスパイスにして、コソコソイチャイチャ。バレたらバレたで全然気が引けた様子もなく、むしろ堂々と見せつけてさらにイチャイチャ。
そんなのを見せつけられて、婚約者(笑)であることも論破されて、色んな意味でメタメタにされてしまう梨於奈さんが不憫、に対して思えないのがこのお嬢様のイジられ上手なところなのでしょうか。怒るよりも動転してしまってあたふたしているところが可愛らしくもあります。以前みたいに、蓮に対してサバサバした関係でいられたのなら、別に蓮とカサンドラがどうこうしようが関係なく動じる必要もなかったのにねえ。
あのチャラ男くんにまんまと落とされてしまっていたお嬢様キャラなのでした。

とかやってるうちに、アテナによって着々と滅亡の一途をたどる世界。物理的な破壊ではなく、これってもう神話的終末なものだから、人類にどうこう出来るたぐいの話じゃないんだよなあ。わざわざヨハネ黙示録の著者とされる聖ヨハネさんご本人が登場して、終末のはじまりじゃー! と宣言してもらうほどでしたし。
ここまでくるとアテナをどうこうする他ないのだけれど、ぶっちゃけここまで世界の破壊神にして新たな世界の創造神となるまで発展しきっちゃった神様相手だと、蓮じゃあ役不足感は否めないところがありました。彼、やっぱり歴代のカンピオーネと比べるといささかデタラメさというか無茶苦茶さというか、理不尽さや生き汚さが足りない感じだったんですよね。実際、死にかけた時もあっさり受け入れて死にそうになってましたし。蓮くんってどうも責任感とか使命感とか好奇心とか独善性とか、ガツガツした意志力や強い動機、目的意識に欠けるところがありましたから。その何物にも囚われない飄々とした流転の生き様こそが、チャラ男を自認する彼の特徴であり長所でもあったのでしょうけれど、果たしてカンピオーネとしてはどうだったのか。
おかげさまで、よりにもよってアイーシャ夫人なんていう決して触れてはいけない最終兵器に神殺し殺しの剣に修正力さんに運命力さん、という厄災そのものだったりカンピにとっての天敵、或いはカンピが天敵!な存在に総掛かりで支援してもらって戦うことに。
特に歴史の修正力さんとか、カンピオーネにいつも泣かされてガン泣きしながらシッチャカメッチャカにされた歴史を必死に修正してまわって、片っ端から台無しにされるという酷い目にあってるにも関わらず、今回は手を貸してくれたという器の大きさには敬意を抱いてしまいました。
しかし、よりにもよってアイーシャ夫人に手伝ってもらうとか、いくら切羽詰まってたからって。とはいえ、蓮のキャラってアイーシャさんとは何気に波長合うんですよね。彼女が何やらかしても蓮の場合気にしなさそうだし。
ただ、ラスボスがアテナだったのはなあ。アテナについてはどうしても護堂さんの好敵手というイメージが強いだけに、最後まで微妙にしっくり来ないなあ、という感覚がつきまとったような気がします。
さて、これで終わりかと思いきや、いや蓮が主人公のストーリーはこれで終わりみたいですが、さらにカンピオーネたちを総浚えしての新展開がある模様。
どう転んでも元凶がアイーシャさんになりそうなのは、色んな意味で流石すぎる。今回のシリーズで起こった事件もみんな根本を遡ると全部アイーシャさんに行き着くわけですし。とんでもないキャラを生み出してしまったものである。

シリーズ感想

野生のラスボスが現れた! 9 ★★★★   



【野生のラスボスが現れた! 9】 炎頭(ファイヤーヘッド)/YahaKo  アース・スターノベル

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私(ルファス)が夢から目覚め、力を取り戻したころ女神(アロヴィナス)は龍を起動させ、世界(ミズガルズ)をリセットすべく動き出していた。ところが覇道十二星天、七英雄、魔神族――敵味方関係なくミズガルズに住まう者たちは力を合わせて対抗し見事に龍を退けた。

龍を倒されたことでついに女神が動き出すとあらゆる神話の神々たちを従えて強力な攻撃を仕掛ける。
しかし私は気づいていた。この世界には『完全オリジナル』はなく、全てのルーツが『地球』にある。女神には本当の意味での『未知を創り出す力』はない。

つまり……

「其方は恐らくは元々神などではなかった。そう――其方は地球人だ、アロヴィナス」

その瞬間、女神は笑みを消す。
それは初めてルファスを『敵』として認識した合図で――!?

勇者・瀬衣と、十二星乙女・ウィルゴの後日談を綴った大ボリュームの書き下ろしストーリー「野生のEXボスが現れた!」収録!
インフレさんが、インフレさんがお亡くなりになられておる!?
創造神(笑)のアロヴィナスとの最終決戦。なんかもう色々な方向に向かって杜撰で残念極まりないアロヴィナスでしたが、そのでたらめな力に関してだけは本物。未知を創り出す力こそないものの、それ以外なら何でも出来る、という力を備えてしまったのが彼女なんですよね。
その上で、彼女は基本的には善良で結局自分の欲得のために自分の得た力を振るうことはなかったわけです。ただ、人を幸せにしようとした、それだけは間違いなく。しかし残念なことに、アロヴィナスという人は……アホだったのですw
彼女のアバターであったディーナがあれほど優秀極まりないキャラになったというのに、本体の方のどうしようもなさは他の追随を許さずして本当にどうしてこうなった、というようなダメっぷりですもんね。それでも、並び立つものが存在しない無限の力が彼女の好き勝手を許してきてしまったわけで、だからこそ強引に力技でアロヴィナスと同じ地平にまで駆け上ったルファスの無茶苦茶っぷりも際立つのである。
そして発生する究極のインフレバトル。宇宙をビッグバンで生み出しさらにそれを崩壊させた力で攻撃するような、そんな宇宙の誕生と崩壊を×100したものをぶつけてくるような、いっそ陳腐にすらなってしまう上限のない戦い方。インフレバトルも行き着く所まで行き着くと、子供の遊びであるタッチバリアごっこになってしまう。相手の攻撃よりも強いバリアを張れば、そのバリアを貫ける攻撃を、さらにその攻撃を防御できるバリアを。そんなルールも反則もない設定だけを積み重ねていく子供の遊び。そこに行き着いてしまうのだと。
最初からラスボスがフィールドをうろついているような、ミルガルズというこの世界そのものが物理法則を無視してインフレバトルを推奨しているような世界観で、物語もそれに乗っかる形で際限なくバトルをインフレさせていったわけですけれど、究極的最終的に宇宙創生からあらゆる想像の範疇にあるスキルで攻撃し無効化し、という結局スケールだけ極大した子供のお遊びのような形に辿り着くという結末は、インフレバトルというものを野放しにして暴走させた結果ではなく最初から最後まで見事に制御しきった形になっていて、そのへん非常に面白かったんですよね。統制されたインフレとも言うべきか。
一方で、そんなインフレしていくばかりのバトルから距離を起き、力に寄らない強さを示し続けた存在として瀬衣くんという本当の意味で勇者となった少年を、ちゃんと存在感を最後まで示しながら立たせ続けることに成功したのは、なかなか凄いことだったんじゃないでしょうか。ルファスも絶賛してしましたけれど、瀬衣くんこそが最初から最後まで女神アロヴィナスのシナリオに逆らい続け、彼女の脚本を破綻させた立役者だったわけですし、ルファスたちに本当の強さの価値観を示してみせた救世主だったわけですから。
見事に自力で、主人公の一人になってのけたんだよなあ、彼は。ルファスだからこそ、そんな瀬衣くんの在り方は痛快で爽快に思えたのでしょう。
しかし、あれだけ女っ気のないむさ苦しいパーティーでの冒険を余儀なくされていたくせに、最終的にちゃっかりと乙女座のウィルゴとイイ仲になっていたのはさすがであります。基本化物しかいない中でウィルゴだけまっとうな美少女枠だったもんなあ。番外編として、二人が結ばれるまでの甘酸っぱい書き下ろしエピソードまで描かれちゃってまあ。
瀬衣くん、ルファスのお気に入りだけに寿命きても何らかの形でミルガルズに引き取られそうなんですけどね。ルファス、ウィルゴも猫可愛がりしてるから地球での生活が終わってもウィルゴを独り身で置いとくとかしないでしょうし。
しかしこの番外編、相手が龍とはいえ主要キャラ総出演で袋叩きはちょっと可哀相じゃありませんか、というくらいオーバーキルだったようなw
そして、シリーズ通して地味に痒い所に手が届く活躍をシていたカルキノス。蟹ってば、結構美味しいポディションでしたよね。終盤に仲間入りした連中の出番の少なさに比べて。まああの防御の固さがかなり使いやすかったというのもあるのでしょうけど、エセ外人みたいなキャラクターが意外とわかりやすく濃かったのか。魔神王とポルクスがまさかの甘酸っぱい関係になってしまうのはさすがに予想外でしたけど、苦労し続けたお父さんが最後幸せになれるというのはいい話じゃないですかー。

ハチャメチャなようで実に統制されたストーリー展開。ディーナの暗躍はあれ本当に見事の一言で、最初見せられた設定をひっくり返される大どんでん返しは、異世界憑依モノとしては特筆に値する展開だったと思います、あれは凄かった。その上で、結構たくさん登場するキャラクターがみんなキャラ立ちしていて、コメディタッチながらもガッツリと腰を据えて進むシナリオは読み応えあるもので、いやあ本当に面白かった、面白かったです。やりたいことを全部やりつくしたものを見せてもらえた満足感を味わわせてくれる名作でした。

7巻 8巻感想
 
10月22日

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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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10月1日

(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(講談社ラノベ文庫)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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(PASH!コミックス)
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(PASH!コミックス)
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(FUZコミックス)
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(FUZコミックス)
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9月30日

(バンブーコミックス)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(モンスター文庫)
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(ファミ通文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(楽園コミックス)
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(楽園コミックス)
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9月28日

(ヤングアニマルコミックス)
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9月27日

(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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