デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。 (GA文庫)

【デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。】 山貝エビス/柴乃櫂人 GA文庫

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伝説の傭兵ルーウィンが出会ったのは、可愛い見た目と裏腹に、誇り高きハイ=エルフとは思えないほど人使いが荒く、金に汚い少女だった。地上げ屋…もとい不動産屋で働く事となった元傭兵の運命やいかに!?
『下僕募集 年齢性別不問 あご あし まくら 恵んでやる』
「ひでえなこりゃ……」
ボロボロの求人広告にはそう、書かれていた。伝説の傭兵【双剣の餓狼】と呼ばれたルーウィンだったが、今はとある事情で仕事も宿も金も、ない。わずかな望みをもって訪れたそこは、(見た目は)可愛いエルフの少女が営む不動産屋だったのだが――。

「……はぁ!? この誇り高きハイ=エルフのあたしがぁ?恥知らずで守銭奴でクソったれの浅ましい欲にまみれたチンピラみたいな地上げ屋だってぇ!?あたしはね不動産屋! そんなクズと一緒にしないで!!」

かくして、エルフの地上げ屋×元・傭兵の最凶不動産屋が超爆誕!!

なんだ、ガチで不動産のお仕事モノ、というわけじゃないのか。千年単位で生きる不老長寿のハイエルフが土地を転がす、というのだから超ロングスパンで土地の購入と転売を行うファンタジーならではの斬新な不動産屋のお仕事モノなのかと思ったのだけれど、時間的に見るとむしろ超お急ぎモードで土地を守るスプリガンをブチのめして土地の支配権をゲットするや、即座に転売してしまうという……いやどう見ても地上げ屋でしょうっこれ。デボネアが一緒にするなと怒っている他の地上げ屋と何が違うのかさっぱりわからん!!
守銭奴を通り越して金に汚いデボネアは、単にお金が好きというのではなくちゃんと急いでお金を貯めなければならない理由というものを持ってカネ集めに終始しているのですが、それでもこれはヒドイ金の亡者だよなあ。GS美神の美神さんだって横島くんに時給250円は払ってたぞ……あれ? 飯と足代と住居の世話してもらっている分、まだルーウィンの方がマシか? 無給とは言え、頑張ったら少々は特別給もらえるし。
とはいえ、扱いがヒドイのは間違いなく、ツンデレのツンがキツすぎるのよねえ。ちらっと垣間見せるデレはなかなか悪くはないのだけれど、分量が少量すぎる。その分、ココの優しさに癒される毎日です。
ルーウィンが大人というか、あんまり不遇や理不尽に怒らず流す飄々とした性格なので拗れてないですけれど、あの当たりは普通怒るよなあ。でも、最初の方はともかく、中盤以降はデボネア、そのルーウィンの怒らない性格に甘えて遠慮無くやらかしてた節もあるんだけれど、怒らなくてもそれでは好かれないと思うんだがなあ。
勿論、無償で使用者から愛されていた魔法人形を修復したり、呪われてしまった哀れな貴族を解放してあげたり、ココへの情愛の深さなど根っこでいい人なところがあるからこそ、ルーウィンも離れずくっついているわけだけれど……それでも金汚さといいちょっとご勘弁を、というような性格だよなあ。
ルーウィンの呪いのリミットが迫っているのを知って焦ったり、と悪い人じゃないんだけれど……。
こういう傲岸不遜で居丈高なヒロインをデレ蕩かしていくのがまた妙ではあるんですけどね。ラストでルーウィンと重大な契約を結んでしまった以上、ただの雇用関係としての主従じゃ居られなくなってしまったわけですし、関係を改新していくのはこれからか。