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岸田メル

楽聖少女 43   

楽聖少女 (4) (電撃文庫)

【楽聖少女 4】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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束の間の平和が訪れる中、ルゥがいよいよ取りかかったのは、歴史的な二大交響曲“運命”と“田園”。しかしその初演にまたしても教会が言いがかりをつけてくる。ただの難癖に終わるかと思われていた教会の妨害工作は、ナポレオンとその敵対勢力の陰謀の絡み合いからやがて大事件に発展し、予測不能の悲劇は悪魔メフィをも巻き込む。死地に追い込まれた僕がついに直面するのは、この奇妙な世界を支配する残酷な“運命”そのもの―。急転する絢爛ゴシック・ファンタジー、第4弾!
あれ? ルゥの外見年齢ってそんなに幼かったの? それだと少女というよりも幼女に近いじゃん! いや、魔法少女が小学生からなのを考えると、12,3歳は少女の範囲か。いや、それでもアウトだよ。なに少女と同棲してるんだよ、このファウストは! ロリコン! 超ロリコン!! あ、でも神様のメモ帳のアリスも外見はだいたいおんなじくらいなのか。だとしたらOK? ……いや、アウトだろ。両方アウトだろ! いやだがしかし、外見はあくまで外見であって実年齢とか生きている年数とか精神年齢を考えると、合法なのか。合法だよな。それ以前に、法なんてこの世界には存在しない!!
無意識に、ルゥの年齢はもうちょっと上だと思っていたので、ちと取り乱してしまいました。でも、今回メフィが怒涛の勢いでヒロイン紛いの扱いになってきたお陰で、見た目的にはユキとメフィ夫婦に娘のルゥ、みたいな家族感になってきてしまったような……。いやだって、12歳だぜ。アウトだろう。
それにしても、メフィはユキよりだとはいえあくまで悪魔であって真意を悟らせない妖艶で惑いを誘う言動で敵味方の境界を浮遊してきたと思うんだけれど、今回の行動を見ていると彼女、もう自分の欲望よりもユキたちを優先してしまってるんですよね。これって、もう悪魔として逸脱してしまっているように見える。これじゃあ、愛と献身に身を捧げる天使みたいじゃないか。おのれ、こんなにエロい天使があってたまるか。
ユキが執行した大魔術もまた、メフィの在りようをそちらに固定してしまったんじゃないだろうか。実際はどうあれ、現実を彼の思う形に照らしあわせて実現してしまったわけですから。その定義された世界では、メフィは自らを犠牲にして愛するものたちを救おうとした者として観測されてしまった事になりますし。
しかし、ここまでデタラメが融通をきかせるとなると、この世界自体が相当に柔らかく芯を持たないことになる。ここまで自在に変容がかなってしまうということは、異世界というよりも箱庭みたいな限定世界なのか。それも、容易に改変……いや、上書き可能な書き換えが可能となると、これは誰かの執筆によって造られた、或いは現在進行形で造られつつある創作世界みたいにも思える。ナポレオンは、その中で一番割りを食ってしまっているキャストにあたるのかもしれない。
相変わらず、音楽と神学的見地から当時の欧州をおもちゃ箱みたいにして遊びまくってる作品だけれど、その軽佻浮薄さに安心してしまうのは、何とも面映い。慣れ親しんでしまった、とも言える。
ルゥが、自分もまた本物のベートーベンではないと自覚した事が、ルゥ自身にもユキ自身にもちょっとした安定感をもたらしていて、二人の親密さにブレがなくなったのも良い方に回ってるんじゃなかろうか。そこに、メフィもまたユキとルウの二人に密接に寄り添ってきた感がこの巻で強まってきたので、クライマックスに向かう上での身内の地固めとしては十分に進展があったんじゃないだろうか。もっとも、メフィは近づきすぎた事で逆にバランスを崩しかねない危うさを抱え始めた気もするけれど、そんな狭間に入り込みつつあるヒロインというのはまた愛しいものじゃないですか。大いにアリで。

杉井作品感想

楽聖少女 33   

楽聖少女3 (電撃文庫)

【楽聖少女 3】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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初オペラの公演失敗で落ち込んでいたルゥのもとに届いたのは、プロイセン王国での再演依頼だった。喜び勇んで楽譜の書き直しを進める彼女の身に、やがておそるべき異変が襲いかかる。…耳が聞こえなくなり始めたのだ。原因を探るうちに僕が見つけたのは、ベートーヴェンの隠された過去と、さらなる謎。不安を抱えたまま僕らはプロイセンに向かうことになるが、折しもナポレオンもまたプロイセンに進軍を開始。歴史に翻弄される僕らの運命は、再び戦場で激しく交錯する―絢爛ゴシック・ファンタジー、第3弾。
はい、もう完全に同棲生活です。一応別々の部屋だったはずなのに、もう一緒に住んでるじゃん!!
そんな幸せ新婚生活を送ることで「時よ止まれ」と言いたくなってしまうのであればそれも面白いのだけれど、しかしゲーテであり幸でもあるユキはあくまで芸術家であり、美しさの業に囚われた悪魔たちの恋人なのである。その業は、ベートーヴェンの非業の人生からもたらされる人類史上に燦然と刻まれる名曲の誕生を渇望してやまない。それが愛するルトヴィカを不幸のどん底に落とすものだとしても、美しさを求めることを否めないのだ。そして、それは当のルトヴィカもまた同じ。自ら悲劇の贄となることでこの世に生まれたことのない音楽を生み出そうという業が彼女の中に生まれている。幸せであることも出来るだろう二人が、しかしゲーテとベートーヴェンである以上避けては通れぬ道である。
しかし、同時に彼と彼女は偉人でも何でもないただのユキであり、ルートヴィヒではないルトヴィカというただの少年少女でもあるのだ。ゲーテとベートーヴェンになりかわった二人の少年少女は、当人でないからこそ選べる歴史にない道があるはず。しかし、悪魔の力を借りる事で二人は歴史の修正を受け、より深くゲーテとベートーヴェンとなり、元の人間としての存在を失っていく。
全てを失い、伝説を取り戻すことが至上の幸せなのか、それとも成り代わったがゆえに生まれるかもしれない新たな創造を求めるのか。言葉にすれば簡単なことだけれど、二人は誰よりも自分が成り代わった偉人の偉業と、その残した伝説的な芸術の素晴らしさを知るがゆえに、それを失わしめる事を恐れざるを得ない。自然と、彼らは自分たちの知る最高にして至高の芸術を顕現させるべく、自らを贄としてしまうのを厭わないのだ。でも、それはあくまで「自らを」なんですよね。どうして、ユキとルトヴィカが一緒にいるのか。一緒になってしまったのかが、そこにあると思うのです。彼らは二人共、自分が贄となることは厭わなくても、相方が贄となって失われてしまうことだけは、最後の最後で認めないし許さないし受け入れない。彼らは二人である限り、決してゲーテとベートーヴェンに成り果ててはしまわないのである。
そのお互いに業に囚われていくのを繋ぎ止めるかのような二人の関係が、まわりまわって徐々に歴史と運命をねじ曲げていくのである。幾つもの、何も残さずに消えていくはずだった去りゆく人の想いが、二人の軌跡が生んだ波紋によって色鮮やかに人々の心に焼き付いていく。果たして、二人が及ぼすこの世界の人々に与える影響は、回りまわってユキとルトヴィカを救うことになるのだろうか。
そして、ユキは、ルトヴィカは、本物のゲーテとベートーヴェンを超える、彼ら自身の芸術を創造できるのか……。

しかし、ルトヴィカが本物のベートーヴェンの記録に触れることで、どんどん肉体の記憶をも取り戻していってしまっている、というお話。耳が聞こえなくなるとか、胃腸が弱くなるというだけならまだいいんだけれど……肉体の記憶を取り戻し過ぎて、少女がオッサンになったりしないんだろうな!? ちょっとマジで危惧してしまってビビったんだけど、どうしてくれるw
そして、ハイドン兄弟が想像以上にイラスト的に濃かった。もう、挿絵見た瞬間吹きましたがな。何この汗ばむ闘魂w 服が筋肉ではちきれそうじゃないか。未だに、こいつらの弟子たちが音楽を奏でるシーンがまるでイメージ出来ないんですが、どうしてくれるw

1巻 2巻感想

楽聖少女 23   

楽聖少女2 (電撃文庫)

【楽聖少女 2】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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『神様のメモ帳』コンビが贈る
絢爛ゴシック・ファンタジー、第2弾!

 交響曲の初演成功から数ヶ月、ルゥはスランプに陥っていた。新作の曲が革新的すぎて既存のピアノでは弾けず、新楽器の開発も行き詰まっていたからだ。
 そんな折、フランス軍がウィーンへ進攻。僕はついに魔王ナポレオンと相まみえる。そこで知るのは、魔王のあまりにも意外な素顔と、この歪んだ十九世紀世界の秘密の一端。そして僕らの前に現れる、不吉な銃を操る若き音楽家。
「俺がナポレオンを殺る。邪魔するな」
 復讐に燃える彼の背後には、悪魔の影が……。
四代目!! 四代目じゃないか!! どう考えても、カール・マリア・フォン・ウェーバーが【神様のメモ帳】の四代目こと雛村壮一郎にしか見えない! あと、彼の「手下」の楽団員たちが、どう見ても平坂組にしか見えない!! それ以前にこいつら本当に音楽してるのかよ、というような連中なんですけどね。ただ、それを言い出すと親玉のハイドンからして「ハイドォーーーーーン!」な人なので、壇上でオーケストラがバトルロイヤル風に大乱闘を繰り広げてるようなコンサートしか想像がつかない人なので、その意味ではお似合いの楽団員なのだが……音楽の話だよね、これ?
音楽の話なのである。
或いは芸術の、もしくは人が追い求める理想の形のお話なのである。
果たして理想とは現実の中に降り立つことの出来るものなのだろうか。人の欲望とは果てしない、それこそ悪魔を呼び出し魂を売り渡し、自分という存在すら別のものに取って代わってしまってすら、人間は欲望を、理想を、自分の中に見出したものをつかみとろうとする。それが、半ば叶わぬものだと承知しながら。
「時よ止まれ」
ファウストは、自分自身の人生で最高の瞬間を迎えた時、その言葉を発して最高を永遠にするためにメフィストフェレスに魂を捧げるという契約をしてしまっている。その為に、ゲーテとなった彼は頑なに感動を遠ざけ、自らの著作にも目を通すこと無く、自ら手がける文章にも筆が乗らない日々が続いてしまっている。
欲するを遠ざけるのは、その者が芸術家であり人ならば、果てしなく無駄な所業である、と気づくのが第一巻の題材だったとするならば、この巻で見出した業は、言うなレバどれほど欲しようとも、高みを目指すものは頂きには至れない、という事だったのか。立てば、そこは頂きではありえなくなる。もっと、もっと高く、もっと深く、より果てなきウテナを、よりとめどなき深淵を、人は限りなく求め続けてしまう。強欲こそが、人の業。
「時よ止まれ」
それは、芸術家にとって高みに至った瞬間などではなく、より高みを目指すことを諦めてしまった瞬間なのかもしれない。諦めた瞬間、求めたる者はただ下へと落ちていく。ならばいっそ、時を止めてしまえば、と。
あの魔王ナポレオンは、底の無い奈落へと落ち続けている最中なのだろうか。だとすれば、哀れであり、あまりにも虚しい存在である。
されば、ルゥことルトヴィカ・ベートーヴェンは今はその真逆の存在だ。この世に降り立つこと叶わぬ音の奔流を自らの内に抱えながら、それを現出させる為にひたすら不踏の絶壁を這い上がり続けている。諦めもせず、諦めるという概念すら気に求めず。いずれ辿り着くことなど無いのだと理解しながら、承知しながら、それすらも一顧だにせず、迷いもせず、ひたすらに自らのウチの理想に、欲望の形に殉じ続けている。
あまりにも危うく、だからこそ美しい絶望を知らぬ絶望のカタチだ。ゲーテはそれにこそ魅入られている。そして、自分もまた果てなき強欲の徒である事実に気付かされるのだ。気付かされたらば、もはや前に進み続ける他なくなってしまう。それは一つの絶望ではあるが、同時にこの世界においてはルゥとともに歩み続けることにも繋がる。二人で寄り添い、お互いに求めるものを求め続ける日々。それは暴力的であると同時に、穏やかで至福の時間だ。或いは、それこそが時を止めても留め続けたくなる最高の瞬間なのかもしれない。
或いは、それこそがメフィが求めているものなのか。
この淫蕩な悪魔の女は、不思議と何をゲーテに求めているか解からない。でも、それが明らかになってしまうと、この優しい悪魔は消え去ってしまいそうな儚さを、そこはかとなく醸し出している。
頂きに辿りつけずとも、動き続けるということは変化し続けるということだ。永遠に留めたい光景もまた、そうして移り変わっていく。ユキとルゥの2人の時間がいつまでこうして続くのかはわからないけれど、たとえ変化し続けても変わらずにそこにあって欲しいと、願うばかりだ。

1巻感想

楽聖少女4   

楽聖少女 (電撃文庫)

【楽聖少女】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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杉井光×岸田メルのコンビが贈る絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

 高校二年の夏休み、僕は悪魔メフィストフェレスと名乗る奇妙な女によって、見知らぬ世界へ連れ去られてしまう。
 そこは二百年前の楽都ウィーン……のはずが、電話も戦車も飛行船も魔物も飛び交う異世界!?
「あなた様には、ゲーテ様の新しい身体になっていただきます」
 女悪魔の手によって、大作家ゲーテになりかわり、執筆をさせられることになってしまった僕は、現代日本に戻る方法を探しているうちに、一人の少女と出逢う。稀代の天才音楽家である彼女の驚くべき名は──
 魔術と音楽が入り乱れるめくるめく絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!
ついに武将や軍人英雄といった戦闘系の歴史上の人物にとどまらず、ベートーヴェンほどの音楽家まで女性化させられる時代がキたかー。なんて感慨に耽るまでもなく【境界線上のホライゾン】でシェイクスピアが女の子だったりするパターンは散見されるので、今更っちゃ今更なのだけれど。
ともあれ、舞台こそ二百年前のヨーロッパだけれど、これ完全にファンタジー世界で史実上の過去の世界と捉えるべきではなさそうだ。そも、歴史考証など気にしないからっ、と開き直った結果がこの世界観な気もする。杉井さんは、その手の歴史的背景に忠実で雰囲気や空気感まで当時を再現しイメージをふくらませる、というタイプの作品を書く人じゃありませんからね。その意味では非常に割り切りまくってるとも言えるのですが、ここまで開き直る人も珍しいと思うよ?(笑
ただ、なんて言うんだろう。だからと言って、現代劇の焼き直しじゃないんですよね。【さよならピアノソナタ】などで垣間見えた作者が持つ「クラシック音楽」というものへの知見が思い描き出した「クラシック」と呼ばれる音楽がまさに最先端だった時代が、彩色豊かにキャンバスを彩っている、そんな世界観なんですよ。
やりたい放題やってるのも確かですけどねっ!!
何でハイドン先生が「格闘家」になってるんだよっ! 「はいッどぉおおおおおおおんッ!」って、アホかぁぁ!!(爆笑

それでも、そこは音楽と言う名の芸術が結晶化したような、ロマンあふれる夢の世界だ。
過去へと思いを馳せ、作曲家たちが残したもの、残そうとしたものを譜面へと深く深く潜ることで探り当て、現在へと繋ぎ出す、そんなどこか繊細で玲瓏なイメージのあるクラシック音楽の演奏と違い、まさにこの時代の音楽家たちは常にまだ見ぬ先を見つめ、未知の大海へと漕ぎ出し、足あともない真っ白な新雪の雪原を、脚を止めればそのまま遭難死するのだと言わんばかりの必死さで掻き分け前に進むかのような、そんな暴力的なまでの闘争を感じさせる。
戦って戦って、前のめりに死んだあとに自分の紡ぎだした音楽さえ残ればイイ、と言わんばかりの邁進性を。
それは、燃え上がる生命の讃歌だ。燃え尽きることを恐れもしない、眩いまでの命の輝きだ。限りなく、現在を生きている音楽性なのだ。
そして、その眩い輝きを、この瞬間一番高らかに掻き鳴らしていた者こそ、ルドヴィカという少女なのである。
そう、彼女こそ「ルドヴィカ・ファン・ベートーヴェン」。ベートーヴェン、その人だ。
折しもナポレオン・ボナパルトがフランスを率いて欧州を席巻する時代。その濁流のような時代の流れは、当然のようにハプスブルグ家の中枢たるウィーンにも押し寄せ、そこで音の地平を切り開いていた音楽家たちをも飲み込もうとする。しかし、魂の髄まで、芸術家にして音楽家たる彼女は、政治も国際情勢も宗教も信仰も権力や暴力すらも、留めるに至らない。彼女が汲み上げようとしていた音楽を、俗世が理不尽に閉ざそうとしたときの、彼女の魂の叫びを聞くがイイ。ただただ、魂の音色を顕現させることだけに全存在を賭したものの全霊を聞くがイイ。
届かぬ高みへと手を届かせようと足掻き悶え這いずって手を伸ばし続ける表現者たちの、芸術家たちの飢えと渇きを、きっとそこで目の当たりに出来るだろう。
そして、彼女たちがその高みの頂きへと、到達点へと至った瞬間にこそ、その最高の瞬間を永遠にするために、こう望む他ないのだ。

「時よ止まれ」と。

これは、かつて現代にて音楽に触れて生きていた一人の少年であり、著名なる物書きゲーテであり、そしてそのどちらでもなくなったとある悪魔契約者が、至高の感動を、一人の生粋の音楽家たる少女によってもたらされる物語である。果たしてその時、彼の魂を得るのは悪魔メフィストフェレスなのか、それとも彼が愛した少女なのか。悪魔に何かを望めば、対価として魂を捧げるのは当然かも知れなけれど。ならば、時を止めるほどの感動を与えてくれる相手への対価には何が相応しいのだろうとふと考えこんでしまった。

とりあえず、性的な知識については赤ん坊並みに無垢な少女に、知らないことをいいコトに色々とイケナイ事を実地で教えてしまうのは、相応の対価に相応しいんじゃないでしょうか、ファウスト先生。
まさに、悪魔の如き所業ww

しかし、読んでて一番驚かされたのが、この主人公が明らかに【さよならピアノソナタ】の主人公直巳と真冬の息子であったことでしょう。明言されてるわけじゃないけれど、何やってるか分からない音楽業界ゴロの父親とピアニストの母親。エキセントリックでやっぱり何をやってるかわからない業界ゴロの父方の祖父と、指揮者として有名な母方の祖父、とか家族構成とか親族の人物像があからさまなくらいにあの人達そのものなんですよね。これは多分まちがいなし。
それだけに、突然息子が居なくなった事に、あの人達がどれだけ衝撃を受け悲しむかを思うと、結構複雑なんですよね。果たしてどういう結末に至るのかわかりませんけれど、あの人達を哀しませる終わり方はしないでほしいなあ。

神様のメモ帳 84   

神様のメモ帳〈8〉 (電撃文庫)

【神様のメモ帳 8】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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 年末年始、四代目を悩ませていたのは頻発する雀荘荒らしだった。なぜか麻雀打ちとして駆り出された僕は、雀荘で奇妙な男と出逢う。雛村玄一郎――なんと四代目の父親!
 緊迫する親子勝負の裏で、雀荘荒らしをはじめ、無関係に見えたいくつもの事件が結びついていき、やがてよみがえるのは一年前のあの悪夢。
「あの事件をもう一度、完膚無きまでに終わらせるんだ」
 アリスが、テツ先輩と四代目が、そして彩夏までもが、赤い悪夢の残り滓に突き動かされて走り出す──。加速するニートティーン・ストーリー、第8弾!
雀・鬼・降・臨!!
って、鳴海、ついに麻雀の代打ちまで始めちゃって、どこまで行ってしまうんだ。既に学校の方でも鳴海は裏世界の顔役として名が轟いてしまっているようで、ついに表の社会にまで威名が(笑
これで傍目には気弱で押したら押したぶん引いてしまいそうな草食系で、実際も概ねそんな感じのはずなんだがなあ。何がどうしてこうなってしまったのやら……まあ殆ど自業自得なんですけどね? あながち虚名でもないわけだし。挙句、ついに四代目の親父さんを通じて、どうやら関西にまで名前が届いてしまいそうな勢いだし。既に平坂の兄貴経由で関西には情報が流れてそうだし、知らないうちにあちらでは鳴海の名前はえらいことになってるんじゃないのか?w
というわけで、序盤は上京してきた四代目の両親のお話。完全に経済ヤクザだw 【羽月莉音の帝国】でもそうだったけれど、財界とヤクザというのは切っても切れない仲なんだろうかしらねえ。親父さんの振る舞いを見ていると、ヤクザである自分と経済人としての自分に何の矛盾も感じていないみたいだったし。あれで四代目だって、カラーギャングまとめて粋がっているわけじゃなく、先のバンドのプロモートを請け負った芸能関係のイベント会社をはじめとして、ちゃんとした会社として色々と動いているらしいですもんね。まさか、ちゃんと銀行から融資を受けて資産を回しているレベルだとは思わなかった。だって、平坂組って四代目以外頭使えるやつ皆無じゃないか。総務から経理に営業まで、全部四代目一人で回してるんだろうなあ……ごっついな、この人。
まあ今回の両親登場の話で驚かされたのは親父さんよりもむしろお袋さんの方だったわけだが。てっきり最初に出てきた時は旅先まで連れ回してる愛人かと思ったよ。あの四代目がこの人から生まれた、というのは充分驚く要素だろう。極道の妻、って雰囲気じゃ全然ないもんなあ。それでも彼女が相当のくせ者、三代目のパートナーというのは話が進むにつれて大変良く実感できたわけだが。

これは、他人が踏み込みようのない、どうしようもないほどの家族間の軋轢だったわけですけれど、それにズケズケと踏み込んでいく鳴海の言い分が、小気味よくて好きなんだなあ。この子、最初は意味もわからず半ば押し付けられるようだった四代目との義兄弟の契りを結ぶ盃を、ほんと良い意味で利用するんだよなあ。四代目と鳴海が義兄弟なら、そりゃあ雛村家の問題だって鳴海の家族の問題になるってものだ。これ、四代目怒りながらも嫌がってないのが味噌ですよ。最初は多分、そんなつもりはなかったんじゃないかな。もっとクールな、信頼で結ばれる盃であったはず。それがいつの間にか、もっと距離の近い、本当の家族としての兄弟という関係になっていた事に対して、四代目、何も言わないんですよね。言わないんですよ。文句があるなら、断固としてはっきり言うだろうこの人が、怒った振りをしながらも否定的なことは何も言わないんです。
嬉しいんだろ、あんた(笑 大事で大切な事ほど口に出したりしない人だからなあ、四代目は。
それは後半の話にも如実に繋がっていて、何だかんだと後半に二人の間に入ってしまった亀裂は、作中でも誰かが言ってたみたいに、ようは兄弟喧嘩なんですよね。鳴海もムキになってたけれど、あれは四代目も充分ムキになってましたよ。四代目ならもっと上手く立ち回れるはずなのに、やたらと意固地になってましたしねえ。四代目があれだけ大人気なくなるなんて、それだけ甘えている、と言ったら変かもしれませんけど、クールになりきれない相手だったからなんでしょう。それは鳴海も同じで、ココぞという時にはびっくりするくらいにクレバーになる彼が、この件では勢い任せで感情を激発させている。あとでもっといい方法があったはずなのにと後悔しているくせに、でも四代目に譲って頭を下げようとはしないのだ。
事態が深刻なだけに和んでる場合じゃないしそんな雰囲気じゃなかったのだけれど、でも改めて振り返ってみるとこの時の二人って、馬鹿だけどかわいいよ。

そして、これまである意味眠っていたと言っていい彩夏の覚醒。再びエンジェル・フィックスに纏わる騒動が起こり始め、終わったはずの事件は傷つき眠っていた彩夏を渦中へと引き戻してしまう。それを何とか食い止めようと、彩夏を悪夢から遠ざけようとする鳴海だったのだが……彼女、逃げなかったな。
なんというか、一巻の初登場時から通してみても、ここで初めて彩夏という少女の真の姿がやっと表に出たような気がする。これが、本当の篠崎彩夏だったんだ。
これ、もしかしてミンさんをすら上回る、ニートたちが頭の上がらないヌシ様の誕生じゃないのか?(w
結構イイたいことズケズケ言いなさるし、アリスを含めたニートたちの言い分など一顧だにしない強制力。アリスと鳴海を纏めて首輪をつけて飼育調教してしまいそうな勢い。これまでの存在感のはかなさが嘘のような彩りのまばゆさに目を眇めてしまった。カップルとしてはもうアリスと鳴海が鉄板過ぎて入り込む余地はなさそうなんだが、それでも二人への多大すぎる影響力の強さを見てしまうと、入り込まずに二人纏めて包み込んでしまいそうな雰囲気ではあるなあ。これなら、これからもヒロインの一人としてかなり大きな位置を占めるのかも。

事件の真相は、予想外の方向へ。これは、誰にも悪意がなかっただけに中心になってしまった人には同情を禁じ得ない。特にあの女性には。あの人、本当に何も悪くないもんなあ。結末も大団円とはいかず、結構な凄惨な流れに。最悪の事態を食い止められただけでも良かったのか。
全部読み終えたあとだと、表紙の風景が、舞い散る白い花弁が胸にしみる。幸せの行方に思いを馳せる。生きるって簡単なはずなのに、時にどうしてこんなにも難しくなってしまうんだろうなあ……。

杉井光作品感想

神様のメモ帳 74   

神様のメモ帳 7 (電撃文庫 す 9-15)

【神様のメモ帳 7】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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アニメもついに放送スタート!
ニートティーン・ストーリー、第7弾の依頼者はアイドル!?


 クリスマスが近づき、探偵事務所のそばにあるホームレス公園の改装工事が始まろうとしていた。そんなある日、事務所にやってきた依頼客は、なんと売り出し中のアイドル歌手。子供の頃に失踪した父親そっくりのホームレスをその公園で見かけたのだという。
 父親捜しの過程で浮かび上がる、エアガンで武装したホームレス狩り集団。そして、なぜか探偵団を離脱する少佐。
「これは自分ひとりでかたをつける」
 やがて──事件が起きる。僕が探偵助手として体験した中で、最も奇怪なあの事件が……戦慄のニートティーン・ストーリー、第7弾!
ついにフィクサー扱いされるようにまでなってしまったナルミ。ヤクザやチャイニーズマフィアに顔きくだけじゃなく、バンドのプロモ活動を通じて何だかんだと芸能界にまで伝手ができちゃってるんだもんなあ。ある意味街の顔役、と言われても仕方ない。って、ただの高校生の園芸部が一体どういう有様になってしまっているのか。この子の将来は本当に想像できない。少なくともサラリーマンとかありえない。
「俺たちには家(ホーム)がない。それだけだ」

この七巻は、その帰るべき家を失ってしまった人たちの物語だ。路上生活者たちばかりではない。ホームレス狩りに没頭する若者たちもまた同じく帰る場所を無くしてしまった者たち。父が消え母が亡くなり立つべき地面もわからなくなり、フワフワと覚束無く訳もわからないまま芸能界を泳いでいる今回の依頼人、ユイもまた同様に帰るべき場所を失ったまま彷徨うホームレスなのだろう。そして、少佐もまた今回の事件を通じてホームだと思っていた場所をなくしてホームレスとなった一人だったと言える。
ユイが父親を探して逢おうとしていたのも、少佐が一人で事件を追いかけていたのも、それぞれに無くしたホームを取り戻そうとする抵抗だったのだ。
無駄だ。一度失ったものは、もう二度と取り戻せない。往々にしてそれが世の常である。
見つけたとしても、それはもうきっと別物なのだ。だけれど、一度ホームを失った人にとって、それが別物だろうと、幻想だろうと、失ったものを取り戻したかのような奇蹟そのものなのだろう。その奇蹟が惨劇の引き金を引いたのだとしても、それは確かに美しいものだったのだ。その人にとっての、ホームだったのだ。
ホームとは、帰る場所の事を言うのだそうだ。帰れる所とは、つまりどういう場所なんだろう。寛げる場所? 安らげる場所? 身も心も裸にして、ゆっくりと眠れる場所? 愛する人が待っていてくれる場所? 故郷のような場所?
わからない。厳密に区分など出来ない。ただ、ホームという言葉から生まれる各々の心象こそがそれぞれの正解なのだろう。そして、そんなホームを見つけた彼が幸せだったかなど問う必要などきっと何処にもないのだ。生き死にすらも越えて帰る場所を求める魂に、ただ帰りたいという想いに、幸不幸の理は意味をなさないのだから。

うしなったホームは取り戻せない。得られるのは、新しい家だけだ。ユイは新しい家を手に入れられたのだろうか。多分、出来たのだろう。自分の中に、確かなホームを。彼女はようやく、空っぽだった自らのホームに失った家族を迎え入れる事が出来た。そうしてようやく、そこは彼女の帰る場所になったのだ。
少佐にとってはどうだったのだろう。彼もまたナルミによって失ったホームと決別し、ニートとしての新たな寄る辺を手に入れたはずだ。多分、彼の僅かな変化が失ったものと得たものを示している。
そしてナルミは……。
「おまえ、窓の隙間から猫がするっと入ってきたら、土足で入るなって怒るのか?」
「え……?」
「そんな感じなんだ、おまえは。怒る気も失せる」
四代目の台詞だ。あの四代目の言葉だと思うと笑えてくるし、得心も行く。ナルミは、他人の家にずけずけと入っていっても、その人の特別な場所に入り込んでも、見逃して貰える奴なんだな。
でも、そんな彼にも帰る場所はある。彼のホームはアリスだ。最初から一貫して揺るがぬホームを持ち、その寄る辺の何たるかをはっきりと自覚しているナルミは今回の話についてはとても強かったと思う。
ただまあ……アリスのあのダダ甘を通り越しただだデレっぷりを見ていると、もう結婚して名実ともにホームにしちゃえよ、と思わないでもないよな。アリス、ナルミのこと好きすぎるだろう、あれじゃあw

本格的な一巻丸ごとの長編は4巻以来だから、2巻ぶりになるのか。やはり、神様のメモ帳はがっつりと長編かつ密度の濃い話でやってもらったほうが格段に面白い。堪能した。満足。

1巻 3巻 4巻 5巻 6巻感想

神様のメモ帳 63   

神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)

【神様のメモ帳 6】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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 高校の文化祭が押し迫る晩秋、ラーメンはなまるにやってきたのは、チャイナマフィアの後継者兄妹。なんとミンさんの親戚だという。ミン父・花田勝の引き起こした事件をきっかけに、なぜか持ち上がるミンさんの縁談。そこで立ち上がったのは、ヒロさんだった。
「おれからの依頼。この婚約、ぶっ壊してくれ」
 ヒモのくせして、ついにミンさんに本気! 二転三転の結婚騒動を描いた「電撃文庫MAGAZINE」掲載作と、ヒロさんの師匠初登場の書き下ろし短編『ジゴロ先生、最後の授業』を収録した第6弾!
雑誌掲載分が載っている巻ということで、ああ短篇集なのか、と勝手に思い込んで読んでたら、読んでも読んでもミンさんの結婚騒動が終わらずにあれあれあれ? と戸惑っている内に最後まで行き着いてしまった。
短篇集じゃないのかよ!?
というわけで、本気で中盤まで短い話だと思ってたんで、ミンさんの結婚騒動もわりとドタバタで締まらない真相が待ち受けてる、笑い話で終わる話なのだと勝手に思い込んでたんで、話がどんどん深刻になっていくのには相当に混乱させられてしまった。いや、徹頭徹尾こっちの勝手な勘違いのせいなんだが。だいたい、前の五巻が短篇集じゃないか。続けて二回もしないですよね。
ミンさんが中華系だというのは、最初に出ていた時に名前から想像はしてたんですが、以前に父親の話が出てそれがちゃんとした日本人だという事が分かったので、じゃあミンさんは何かのアダ名でちゃんと日本人としての名前があるんだなあ、とこれも勝手に思い込んでたんですよね。最初の第一印象であってたのか。いやあ、花田勝という人、以前登場したときに明らかになった素性がまたえらく突飛で、この作品の中では妙に浮いた設定だなあ、と思ってたんですが、まさかそういう事情があっての来歴だったとは。
あんたはどこの南雲慶一郎だよっ!?
いずれにしても、哀しい父と娘のすれ違いである。親ってのは、時として身勝手が過ぎる時がある。子どもが親に望んでいるものをまるで省みず、勝手なエゴを押し付けて勝手に満足して勝手に居なくなる。ミンさんは、真実を知ったとき、本当は何を思ったんでしょうね。やっぱり、悲しかったのか。それとも、口走っていたように虚しかったのか。何れにしても、ミンさんとしては、そうじゃないだろう、という気持ちだったんだろうなあ。
虚しい話である。
結局これ、どういう話だったんだろう。何が得られて、どんな結論が出てきた話だったんだろう。最初から最後まで、誰にとっても意味が無い話だったんだろうか。
少なくとも、ナルミたちの働きによって、無意味という結果を得られたのなら、それはそれでナルミたちが恐ろしい思いをしながら走りまわった意味はあったのかな。最悪、誰もが不幸になる、という結果も考えられたわけだし。最良なんて最初から無かったにしても、最悪を回避できたのならそれで十分意味はあるのかもしれない。ただ、虚しいですけどね。

しかし、ナルミは本当に何者になって行ってるんだろう。高校生のくせに、これもうまともな人生歩めないような世界に首突っ込んでるもんなあ。普通にひょいひょいと境界線を跨いでしまってる。裏業界に名前も知れ渡ってきてるみたいだし、実際にヤーさんや中国マフィアにまで顔がきくって、何が何だか。
おまけに最後の掌編じゃあ、ジゴロの才能まであると看破されてしまってるし。他のニートたちは今イチ将来もこのままって感じはしないんだが、ナルミだけは本気で無職でこの世を渡って行きそうな気がしてきた。

杉井光作品感想

パラケルススの娘 10.永遠に女性的なるもの4   

パラケルススの娘 10  (MF文庫J)

【パラケルススの娘 10.永遠に女性的なるもの】 五代ゆう/岸田メル MF文庫J

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「永遠に女性的なるもの、我らを引きて高きに昇らしむ」
ゲーテの「ファウスト」を締める一説を、最後の巻のサブタイトルに持ってくるその理由の如何や何処。
生憎とファイストはちゃんと読んでないんだけれど、あらすじと第二部におけるラストの展開と最後の締めに使われるこの語句に込められた意味を考えると、なるほどこのサブタイトルは強く本編を意識して銘じられた事がよくわかる。
それとも、最初からこのサブタイトルを意識して本編は綴られていったのか。
陰陽をあわせ持つ存在であるクリスティーナ。彼女にして彼である存在の秘めたる闇とその救済。闇のシモンによって築かれる新たな秩序を打ち破る一人の少年の原動力となる力。
そして、戦乱へと突き進む時代の激動。その滅びの果てで、佇む遼太郎の痛みと決意。
そこに垣間見えるのは、男性的なるもの、女性的なるもの。その対比と対立、融和と秩序、愛と恩寵によって救済されるもの。
世界は、愛によって救われるのか。そもそも、愛によって救われるべきなのか。
「永遠の女性的なるもの、我らを引きて高きに昇らしむ」
クリスティーナが問い続けたのはそれであり、遼太郎が答え続けようとしたのがそれだったのだろうか。
最後は全部遼太郎のターン。あの自信を失い、自分に価値を見いだせなかった少年が、ついにこんなところまでたどり着いてしまったのか。皆の助けを受け、このイギリスの生活の中で、クリスティーナのもとで学んだものを信じ抜き、彼は失われようとしていた多くのものを助けることに成功する。
意地を貫き、バカをやり通し、一念石を貫いたわけだ。
でも、彼の一番幸福だった時間は、取り戻す事が叶わなかったんですよね。大切な人達を守ることは出来たとしても、彼らと過ごした時間をもう一度取り戻すことは叶わなかった。
せめて少しだけでも、あの賑やかで穏やかな時間が、日常が過ごせればよかったのに、と最後の胸を張った別れに感動しながらも、寂しさを押し殺せなかった。
今ならば、飛行機でひとっ飛び、ある程度の懐と時間の余裕があれば、欧州と日本の距離は決して遠いものではないのだけれど、この時代においては簡単に行き来出来るものではなく、また遼太郎が負うことになった立場では、もう日本を離れることは難しく、そして何より時代はまさに大戦前夜。世界を火の海に沈めるであろう激動の時代が、足音を立てて近づいてきている。
あの波止場での別れは、殆どの人との間でまさに今生の別れとなるものであったのだ。
そう思うと、やはり胸を締め付けられるような寂寞がよぎっていく。別れは、やはり寂しいものだ。
遼太郎とクリスティーナの間でかわされた約束は、きっと遼太郎が生涯果たし続けるものになるんだろう。あれは、頑固者だから。
それでも、皆が自分のできることを全力で果たしきった、素晴らしい大団円でした。

シリーズ感想

神様のメモ帳 54   

神様のメモ帳〈5〉 (電撃文庫)

【神様のメモ帳 5】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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ニートティーン・ストーリー、待望の初短編集登場!

 ニート探偵アリスとその助手である僕は、深刻な事件の合間にもばかばかしくてつまらない、けれど忘れられない揉め事にいくつも巻き込まれている。今回はそんな僕らの事件簿からいくつかをご紹介しよう──

 ミンさんを巡るストーカー事件「はなまるスープ顛末」、アリスご執心の酒屋を襲った営業妨害事件「探偵の愛した博士」、平坂組のバカどもを総勢で巻き込んだ誘拐事件「大バカ任侠入門編」に、特大100ページ書き下ろしのオールスター野球騒動「あの夏の21球」を収録。
 泣き笑いの日常満載のニートティーンストーリー、初短編集!


みんな胸を張ってプレイしろ。
おまえたちがつけている背番号は、すべて近鉄バファローズの永久欠番だ。
        ――梨田昌孝
ページを開いた途端に目に飛び込んできた近鉄最後の監督の名言に反射的に胸が熱くなりかけて、ふと我に返る。
なんぞこれ?
最後のエピソードである「あの夏の21球」を読み、あとがきにてそれを書くに至った顛末を目にしたあととなっては、この巻の頭にこの言葉を打ち込むのは必然だったと理解できるのですが、いきなりこんなのがページめくったとたんに飛び込んできたら「????」となるよ!(笑

【はなまるスープ顛末】
つまり、ミンさんのラーメンは、もうナルミたちが口々に言うほど不味くはなかたと言うことなのか、それとも父親の代から不味かったのか、どっちなんだ?
ミンさんの素性に関しては、その本名不詳年齢不詳それっぽい呼び名から、もしかして中国とか台湾の人なのかと疑っていたんだけれど、どうやら正真正銘の日本人だったらしい。ミンさんが普通に高校に通っていたというのは、なかなか想像しにくいものがある。此の人にもそんな若い時代があったのか。というか、今もまだ若いんだけど。二十代だけど。それはそれとして一番気になったのは、高校にも制服のしたにサラシを巻いて通っていたのか、という事だな。色々と恐ろしい話じゃないか。わりと気のおけない仲間みたいな同級生(男)がたくさんいるみたいだから、浮いた話はなくても結構周囲の人間関係には恵まれた学生生活だったのかもしれないが、それにしてもみんなミンさんの胸には騙されたり揺らされたりしなかったんだろうか。制服の下にブラじゃなくてサラシを巻いていたら、目立たないもんなんだろうか。気になる気になる。
浮いた話といえば、ミンさんには春は来ないのかなあ、と要らない心配をしてしまう。此の人、男には縁なさそうなんだよなあ。おぱーい大きいのに。
なんか、ミンさんのおぱーいの話に終始してしまった。いや、この話自体も大まかそんな感じなので方向性としては間違っていないのだと信じたい。
ところで、ミンさんのお父さんは何をまかり間違ってそんなことになってるんだ?


【探偵の愛した博士】
ナルミの嫉妬の仕方はウジウジと矮小でみっともないなあ(苦笑
嫉妬するなとは言わないし、ウジウジするなとも思わないけど、もうちょっとはっきりモヤモヤしろ! と言いたくなる。矛盾な事を言っているのは百も承知だが、この男の自分のジメッとした感情を表にも出さず内に秘めもせず、形にもせず、ひたすら鼻水みたいに垂らし続けるみっともなさは、ミンさんじゃないが一発頭を叩きたくなってくる。いざとなったらあれだけ行動力を持っているくせにこの薄弱さは、杉井光作品の主人公の共通特性とはいえ、どうしようもないなあ、うん。この特性をまるごと愛するのはなかなか大変だと思うよ。そのせいか、今や若いときはともかく、将来イイ歳になったときに結構揉めそうなイメージあるんだよなあ、杉井作品主人公w
あれ? この話の感想を書いてないぞ? ええっと、珍しく探偵っぽいお話になっていたようななかったような。実の親よりも、タマにしか会わない友人の方がそいつの事をよく理解している、というのは色々と考えさせられるものがある。親身になって考える事とその人を理解すると言うことは、全く異なる事なのかもしれないなあ。


【大バカ任侠入門編】
なんだかんだとこういう話の生々しい部分をサラッと許容して出せるのは、電撃文庫くらいだよなあ。他となると幻狼ファンタジアとか新書系までいかないと。いや、ガガガ文庫は意外といけるか?
珍しく、アリスがナルミに真相への先着を許してしまうお話でもある。あれ? 珍しくでもないのか。いずれにしても、平坂組のバカさ加減の理解度については、アリスよりもナルミの方がよく把握してしまっていた、というお話。伊達に兄貴分じゃないんだよなあ。あれをまとめられるのは、四代目やナルミのようにバカをバカのまま受け入れて導いてやれるような人でないといけないわけだ。腕っ節は関係なく。


【あの夏の21球】
すでに終わってしまった過去の栄光は、たとえ遥か手の届かない遠くへと遠ざかってしまったとしても、決して永遠に失われてしまったのではなく、誰かの記憶に残り続け、燦然と輝き続けるのだ、というお話。
近鉄バファローズ消滅の話を反芻すると、この短編が伝えたかった思いがダイレクトに押し寄せてきて、あとがきでこの短編が書かれた経緯を読んだ後にもう一度この話を思い返してみると、感慨がまた違ってくる。
野球ってやつは、どうしてこうも、陽炎の向こうに揺らめく淡くも儚いイメージが似合うんでしょうなあ。そりゃあ、甲子園の影響よ、と言ってしまえばそれまでなのですが。
にしても、この頃になると、後書きでも触れていたけれど、アリスとナルミのキャラクターというか、生き方考え方が初期の頃とは大きく変わっているのに気付かされる。最初の頃のアリスなら、こんな野球のことでここまで一生懸命頑張らないですよ。自ら体を張って。
でもひきこもった部屋の薄暗い闇の中で白い肌を浮かび上がらせている少女よりも、へたばりながらも汗だくになって悪態をついているこっちのアリスの方が今となっては好きだなあ、うん。


やっぱり杉井さんは現代劇が一番面白いなあ、と再確認。色々手がける作品の幅は広がってますけどね、やっぱり。ただ、ひとつの傾向に集中してしまうのも先が窄まりそうな気もするので、今みたいに色々手を広げるのは悪くないとは思うんですよね。
幸い、このシリーズはもっと続いてくれるみたいですし。アリス当人の話が片付かないと、ねえ。

1巻 3巻 4巻感想

パラケルススの娘 9.メフィストフェレスは踊る4   

パラケルススの娘 9 メフィストフェレスは踊る (MF文庫J)

【パラケルススの娘 9.メフィストフェレスは踊る】 五代ゆう/岸田メル MF文庫J

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冒頭の夢の中での多華が吐露した本音には泣かされたなあ。現実世界では立場もあって決して明かさなかった孫への愛情、今はもう失ってしまったものへの痛切な思い。それを夢の中でしか口にできないつらさ。かつて自分が切り捨てた者に縋る気持ち。彼女にとって睦月は本当に大事な人だったんだなあ。それを自らの手で討ち果たさねばならなかったことが、どれほど彼女を傷つけ続けたのか。その傷の痛みにずっと耐えながら当主の座を守り続けなければならなかった苦しさが如何ばかりだったのか。今まで頑なに表に出すことをしなくて、彼女が本当は何を思っているのか、その一番奥深くの大事な部分が見えていなかっただけに、それだけに彼女が見せた本当の気持ち、その切実さにはやられたなあ。
そんな誰にも明かさなかった彼女の気持ちを一番分かっていたのは、やっぱり睦月以外の誰でもなかったわけか。夢の中でとはいえ、彼女がずっと溜め込んできたものを吐き出させた彼は、たとえ死していても、二度と会うことが叶わぬ身でも、今でも忠実な彼女の従者のままなのでしょう。

その彼が、何故かあのリース警部とセットになって、この事態に当たることになるとは意外も意外な展開になったなあ。彼が自身で言っていたように、彼の存在はこの危機に際しては遊軍であり、それは本来夜の側とは関わりのない一般人でありながら、クリスティーナへの執念と刑事の勘によって踏み込んではいけない部分にまで入り込んでしまったリース警部の立場と重なることになったからなのだろうけれど。あの傲岸不遜で人の話を聞かないことこの上ない警部が、度重なる不可解な事象に参っていたとはいえ、睦月の言に従って一緒に動くことになるとは。いやはや、現実とは時に奇妙極まりないことになるものである。何気に、今回一番危ない橋を渡っていたのは、調べ者に徹していた女性陣やバ(略)ではなく、彼らでしたしね。

クリスティーナの裏切りにもめげず、彼女(彼?)を信じて自分たちのできることを全力でやり続ける少女たち、そして囚われの身になりながらもめげることも心折れることもなく、シモンに立ち向かい続ける遼太郎。みんな、当初に比べて本当に心が強くなった。心折れ、鬱屈し、未来への希望も失い、失意とともに訪れたロンドンで、少年は信じるべきものと信じるにたる自分のありようを見つけ、いつの間にかこんなにも強くなっていたんだなあ。そんな彼を支えたのが、彼を絶望に浸る間も与えずに振り回し続けたクリスティーナであり、そのクリスティーナもまた、この東洋からただ一人の友人が送り込んできた少年によって、千年の停滞からはずれ変化を迎えていたのだと、彼女の傍らにあり続けたレギーナは語るのだけれど、本人は認めたがらないだろうなあ(苦笑
この人はやっぱり捻くれものだし意地っ張りだし、変に意固地だし。
だからこそ、真っ当な説得ではなく、今シモンが引き起こしつつある壮大な霊的実験など一顧だにしないような、遼太郎のあの身も蓋も無い、普段の不精や奇矯な振る舞いを嗜めクドクドとお説教するのと何も変わらない、普段の日常でのそれそのままの、だけれど誰よりも真摯にクリスティーナの身を案じ、クリスティーナの在り様を尊重し、訴えかける説教は、素晴らしく心に響いたわけで。
あんなふうに言われたら、どんなに頑なになっていても、千年の重みから逃れようと無我夢中になっていようと、普段のあの太平楽な日常に引き戻されて、やれやれ仕方ないなあと文句をぶうぶう垂れながら、嫌味と皮肉でチクチクと攻撃しながらも、言われたとおりに腰をあげるしかないじゃないですか。
そのとおりにクリスティーナが思い立ったのか、あのラストでのまたぞろここでとめるんかい! という衝撃的展開の具体的な真実は、それこそ最終巻であるところの次の巻になってみないと分からないわけですけど。
でも、それにしても、遼太郎のあのお説教はよかったなあ。もう、あんまりにも身も蓋もなさすぎてw シモンが珍しく頭に来てるのも、まあ仕方ないでしょう。自分が崇高と信じている行動原理を、あんなふうに言われちゃあねえ。いや、ぶっちゃけ、遼太郎の言うとおりというのが、やっぱり身も蓋もないわけですけど。
前回のシャルロットへの慈しみに満ちた言葉といい、遼太郎の口から紡がれる言霊の美しさと力強さは、ほんと凄いよなあ。

今回の注目は、やっぱりバ(略)の人の覚醒でしょう。幼稚なお遊びにかまけ、現実を直視せず自分の殻に閉じこもったままだった彼も、その情けないあり方から目をそむけるのをやめ、ついに自分の限界と無力さを認めたうえで、自分のできることを全力で行いだしたわけですけど、うんうん、よくがんばった。がんばったよ。
そして、自発的にそれに気づき、自分を変えたいと願うまでじっと待ち続け、そっとその先へと導いた母親の伯爵夫人の賢明さは、尊敬に値する。この危機に際しての迅速な対処や、少女たちへの気遣いようといい、頼もしさは半端なかったもんなあ。
こういうしっかりとした大人が傍にいてこそ、子供たちは自分たちの持つ可能性というものをつぶさずに開花させることができるんだろうなあ。

少年少女たちの努力にもかかわらず、ついにシモンが仕掛けた一連の罠は発動のときを向かえ、倫敦は闇に堕ちる。そんな中でついに動いたクリスティーナ。次がこの物語の本当の最後、最終巻になるそうで、またしばらくあきそうな感じではありますけれど、首を長くして大団円の時間を待ちたいと思います。

神様のメモ帳 4  

神様のメモ帳〈4〉 (電撃文庫)

【神様のメモ帳 4】 杉井光/岸田メル 電撃文庫

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「僕がいる。あんたらはまだつながってる」


そう、そうだ。繋げたのは、君なんだよ、ナルミ。
ヘタレで軟弱で弱虫のくせに、頑固で未練がましく地べたを這いずろうと縋りついて諦めない、君がいたから、まだ繋がっていたんだ。
四代目って本気で怖いじゃないですか。殴るし凄むしにらむし蹴るし。それなのに、ナルミ、ビビッてるくせに何の躊躇もなく彼に近づいていくんですよね。彼の懐に、怖気づきながらズケズケと踏み込んでいく。それで殴られ蹴られしているくせに、体の痛みは恐れない。この子は、一度こうと決めたら、ほんとにためらわないんですよね。根がヘタレなだけになかなかそういう印象持たれないんだけど、いっそその他人の領域に踏み込む姿は、図々しくすらある。ただし、彼の場合はそれ相応の、そして相当の覚悟を決めて踏み込んでるんだろうけど。

こうしてみると、ニートたちにとってナルミという存在は今となってはとてつもなく大きいんだろうなあ。
個々の能力はとてつもなく大きい彼らだけれど、彼ら単独ではぶっちゃけ何一つしようとしない。一歩も踏み出そうとしない。彼らは本来、ただそこにあるだけの存在なのかもしれない。
でも、ナルミの縋りつくような願いがあってこそ、見っともないほどの踏ん張りがあってこそ、彼らニートたちの巨大な力に方向性が与えられ、それはとてつもない大きな流れとなって、沈澱してしまった淀みを押し流していく。
この希薄な人間関係が尊ばれる現代の中で、彼のように他人の心の内側までズケズケと踏み込んでいくことは、とてつもない抵抗感と勇気が必要なはず。実際、ナルミは何度も反発と抵抗に遭い、その人からの信頼や友情を喪うかもしれないという恐怖感にさいなまれ、全身を震わせている。
でも、どれだけビビッても恐れても、彼は歩みを止めないんですよね。その重さを十分知りながら、ちゃんと覚悟を持って踏み出している。だからこそ、前の巻のテツさんも、今回の四代目も彼の行動を疎ましく思い、錨を覚えながらも、決して彼への信頼を失わなかったわけです。
普通無理ですよ、自分がだれにも見せないようにしてきたものの内側に無理やりに入り込もうとしている相手に、これほどの信頼を抱くなんて。
でも、それを成せるからこそ、ナルミという少年は大した野郎なんだろうなあ。四代目が、ナルミに後事を託したシーン、ちょっと本気で感動してしまった。そこまで、あの四代目がナルミを信頼してたのか、って。
最初のころ、ナルミが平坂組の連中から誤解を発端に兄貴として敬されるのを失笑とともに眺めていたのが、懐かしい。
今となっては、この軟弱な高校生には、確かに連中から兄貴と慕われるだけの器があると信じられる。それは彼の成長とも言えるんだろうけど……早々に彼と杯を交わした四代目は、見る目があったんだろうなあ。

しかし、ナルミってまだ高校生なんだよね。この巻で彼がやってる仕事みてると、とてもニートとか高校生のレベルじゃないんですけど?
バンドのプロモ活動って、バイト気分でできるもんじゃないでしょう? 四代目から結構な給与貰って驚いてたみたいだけど、仕事内容を考えるとこれ、多分妥当な金額なんだろうなあ。

アリスは、なんかもう最近、ナルミに甘くなっちゃったよねえ(苦笑
もうベタベタじゃないか。彼がいないともう生きていけないレベルまで至っちゃってるじゃないんですか? ああもう、可愛いなあちくしょう。

パラケルススの娘 8.クリスマス・キャロル4   

パラケルススの娘〈8〉クリスマス・キャロル (MF文庫J)

【パラケルススの娘 8.クリスマス・キャロル】 五代ゆう/岸田メル  MF文庫J

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ほぼ二年ぶりの新刊だけれど、このシリーズは意外と内容をしっかりを覚えていたなあ。と、言うよりも首を長くして続きが出るのを待っていたんだから、覚えていて当然か。この頃はさすがに打ち切りになったのか、と諦め半分だっただけに、新刊が出ると知った時は嬉しかった。
というわけで、久々に手に取ってみて読んでみて思うんだけど、かなりマイルドかつ今どきのライトノベル風のスタイルにのっとって描かれているとはいえ、この作者の作品は同じMF文庫の他の作品と比べるとどこか異色な雰囲気だよね。この二年の空白を得ることでよりその辺が顕著に感じられた気がする。筆調の風格が違うんですよね。さすがは富士見ファンタジア文庫の黎明期から活躍している古参の正統派ファンタジーの書き手、というべきか。
この人、作品があまりにも正統派すぎてちょっと話にしても世界観にしても重厚すぎて人好きしないきらいがあったかして、決して売れ線ではないし長いシリーズも書いていなかった覚えがあるんですけど、その中ではこのパラケルススの娘はこれで8巻という長期シリーズになっているわけで。五代ゆうという人の特色や風味を損なうことなく、現在のライトノベルのスタイルを取り入れて、見事に昇華した素晴らしい作品になってるんじゃないでしょうか、これ。
とはいえ、そろそろ物語もクライマックスに入っているわけで。クリスティーナとレギーナ。匂わされていた二人の正体、彼女たちの過去がここでスパンと明らかにされてきたのでした。今までは、遼太郎が主役であり、彼の成長や彼の周りに集っていく女の子たちをクリスティーナが皮肉めいたそっけない態度ながら、庇護者として見守り、時に導いてきたわけですけど、ここに至り物語の主体がクリスティーナへと移っていった感じ。精神的な修養がほぼ完成へと至った遼太郎に対して、庇護者であったクリスティーナの方が未だ過去の呪縛にとらわれ、永劫の時間の中でうずくまり続けていることが明らかになってくる。魔術師シモンとの対決が迫り、傲岸不遜のクリスティーナの奥底にチラチラと垣間見え出す怯えの影。それは、シモンを恐れているというよりも(このクリスティーナが誰か個人を恐れるというのは考えにくいしね。あの凄惨な過去回想でのシモンの圧倒的な威容に対してすら、クリスティーナは少なくとも恐れは感じていなかったわけだし)、遼太郎たちとの生活を通じて自分の中に芽生えはじめていた何かが、自分とレギーナに対して決定的な変化をもたらすであろう予感に、震えていたように見える。そのあたりを顕著に示唆していたのは、数十年ぶりの日本の友人との再会のシーンだろう。あんなに感傷的になってるクリスティーナって、見たことなかったもんなあ。
遼太郎と出逢ってから…否や、訪ねてきた櫻井が残していった感謝と友誼の言葉や孫を託してきたおたかからも分かるように、レギーナとクリスティーナ、二人だけで完結していた世界は、いつの間にか随分と広がり、二人にとって大事だと思える人は両手で抱えきれないほど増えていたわけだ。
それは既に変化しているということであり、ようはそれを認めるか否定するかという段階に至ってるんですよね。過去に引きずり込もうとするシモン。現在という安住にとどまりたいクリスティーナ、未来に引っ張り出そうとする遼太郎たち。この綱引きの鍵を握っているのは、やっぱりレギーナなのかな。彼女が本当の彼女として動いたとき、何もかもが動き出し決定づけられるような予感がする。


それにして、遼太郎は。あの出てきた当初は拗ねていじけていた少年が、大きくふてぶてしくなったもんだなあ、と感慨深い。クリスティーナの皮肉にもまるで動じなくなった上にやり返すようにすらなったし。ありゃあ、主人からしたら可愛げがなくなった、と言いたくなる態度かもしらんけどw
何にしても、あの懐の深い男っぷりには感嘆させられる。瞠目したのは、あのシャルロットを迎え入れた時の遼太郎の訥々とした語りだ。言ってる内容自体は決して珍しいものじゃない、よくあるパターンのそれのはずなんだけど、彼の口から紡がれるとこれほど違うものか、と驚かされた。とてつもなく大きな包容力。優しく思いやりに満ちた言葉の連なり。正直ね、めちゃくちゃ感動させられてしまった。あんな風に言葉を贈られて、シャルロットからしたらどれだけ心安らかに、思い詰めた気持ちが解きほぐされたことだろう。受け入れられ、家族と呼ばれ、どれだけ嬉しかったか、どれだけ温かい気持ちになっただろうか。
このシーンはほんと凄かった。これは、並みの作家じゃとてもじゃないけど、至れない領域だよ。ほんとに、圧巻だった。

続きは出来れば年内には来てほしいなあ。このクライマックスの盛り上がりは、何年も放置されたくない。

神様のメモ帳 35   

神様のメモ帳 3 (3) (電撃文庫 す 9-8)

【神様のメモ帳 3】 杉井光/岸田メル 電撃文庫


そうか……あのナルミも大切なもの、守りたいものを見つけたんだなあ。誰かのためじゃなく、自分がそう望むため、こぶしを握る探偵助手ナルミ。
この子はこのままずっと受け身に物事と向かい合い、なんとか折り合いをつけてゆっくりと前に進む子なんだと思っていたのだけれど、この巻で見せた彼の行動はまるで違っていてびっくりした。そして、胸が熱くなった。
君は、今間違いなくカッコいいよ。
戻ってきた彩夏との以前とは違う関係、降って湧いてきた園芸部廃部の動きに、仲間と信じていたテツ先輩の信じたくない過去。戸惑い、迷い、ためらい、悩みながら、苦しみながら、ナルミが選んだのは立ち止まり、眼の前の突きつけられた現実を受け止め飲み下すことではなく、わからないまま迷いながら、それでも自分の心が導く方へ、敢然と突き進むことだった。
四代目やテツのように強くもなく、アリスのように物事を解する頭を持っているわけでもない。それでも、彼はそのか弱くなんの力もない存在の全てを使って、自分の信じた道を行く。戦いの道を。決意の道を。自分が信じたものが正しいことを証明するために、自分が望んだ光景を実現するために。
やがて、自分のやっていることが彩夏のためじゃなく、なにより自分のためであることに気付くナルミ。言葉も拙く、誰かに正しく想いを伝えることも苦手で、それ以前に自分が何を考えているかも論理的にわかっていないあやふやで不器用な自分の在り様に歯噛みしながらも、それに拗ねることも膝を折ることもなく、諦めず見っとも無くも、無様ながらも戦うことを選ぶナルミ。
どうしてこんな少年をアリスが気にかけ、四代目やニートたちが大切な仲間と認めているのか、嫌というほどわかった気がする。
その場で動かず立ち止まってしまいそうな彼らを、今回ひっぱり突き動かし、導いたのは間違いなく、この弱くて頭が悪くて大人しく自信なさげなナルミという少年だった。
傍目での無様さが、どうしようもなく、身震いするほど格好良かった。誰にも否定できない。今回の彼は、間違いなく漢だった。惚れた。
今なら四代目のところの連中に兄貴と呼ばれ尊敬されるのも、分不相応とは思わない。
決して行動力があるとかパワフルとはかけ離れたキャラだと思ってたのに、それどころか後ろ向きでいつも現実から逃げだしたくて仕方がないやつだと思ってたのに……成長したんだなあ。
その彼に影響されるように、周りのニートたちも少しずつ変わってきているような気がする。そのナルミが憧れ、好きになった奔放なあり様はそのままに。
そして、アリスも。
一番大きく変わってきているのは、きっとアリスなんだろう。最初にナルミが関わったころより、探偵助手として彼が傍で彼女に引っかき回され、逆に彼女を引っ張り回すことで、アリスが世界を見る目は少しずつ色と匂いを増しているような気がする。
加えて戻ってきた彩夏。深い心の傷を負い、記憶を失い、それでも戻ってきた彼女。失われた自分との関係を大切に思い、そのために傷つくナルミの姿に自分もまた傷つき、でもやがて過去ではなく彼が今の自分をちゃんと見ていてくれたのだと知った彼女は、今の自分との関係を守るためにボロボロになるのを厭わなかった彼の背中を見送った彼女は、いったい何を思ったのだろう。
アリスと彩夏とナルミ。恋愛としての関係を透かし見るには、彼らの関係はどこか儚く、深く繋がり過ぎているようにも思えるけど、それでも人が人に惹かれるのは自然な流れ。いつか、そういう関係を彼らが意識することはあるのかもしれない。でも、それはまだ先の話なのかも。彼らの関係は、あまりに近く、遠く、安らぎの中に浸っているのから。

神様のメモ帳  

神様のメモ帳
【神様のメモ帳】 杉井光/岸田メル

 また、なんつーニュートラルな筆致か。
 己が内から湧き出してくるものを何の手も入れずにそのまま文章にしたような自然体の筆遣い。それでいて脳内思考の垂れ流しではなく、精巧なデッサンに基づき構築されたブレのない一本芯の通ったしっかりとした枠組み。
 なるほど、絵画のような、といえばそうなのかもしれない。
 緑豊かな庭先の日溜りの中で、キャンバスに向かうような穏やかな筆致のもとに描かれたお話。ただし、話の中身もそうだとは言わないけれど。
 ただ、源泉というか根底というか、そういう部分はこの認識でいいと思われ。少なくとも自分はそう感じ、そう受け取り、そう納得したわけだ。
 自分が何を書きたいのかが細部まで自覚できていないと、なかなかこうはいかない。自覚していても、実際にそれを書き出せるかというとこれがなかなか難しい。それを成立させている時点で、もうお見事としか言いようがない。
 作風としては、同じ電撃を見渡してみると壁井ユカコに似ていると言えば似ているけど、あの人に比べると物語に対するスタンスが冷淡で突き放している感がある。その分、距離感が躓かずに一定していて、最終的に優しさを感じるのが不思議なところ。見守る優しさというのか。けっこう自分の作品に対しては可愛がりすぎて逆に水をやりすぎた観葉植物みたいなことになってしまってる本って、けっこう多いだけに、この作品は作者と物語との関係がフラットな感じがして、好きだなあ。
 と、見返してみるとなんかわけわからんこと書いてるぞ、私(苦笑
 しかしまあ、電撃文庫はわりとこの手の感じの話を書かせる事に躊躇しないですよね。少女系レーベルを除けば、辛うじてこの種の話を書かせているのは富士見ミスかしら。スニーカーはまたベクトル違うよね。
 これだけのものが書けるなら、この杉井光氏もじきに単行本の方にも名前を見る事になるかもしれない。できれば【火目の巫女】シリーズを完結させてからにして欲しいけど。感想では偶々書きそびれてたんだけど、これもかなりお気に入りのシリーズなので。
 
 ところで、このニート探偵という煽りは、正直引きますなあ(苦笑
 最初、火目の巫女の作者とは気付かず、購入予定からサクッと省いてたし。
 でも、読んでみるとこれは正しくニート小説。と書くとまた回避したくなる人も続出するんだろうけど。うん、自分もそうだからそれは分かるんだが、多分字面から想像するのとはまた違うものなので、その辺は誤解しないでほしい。いやさ、自分が想像してしまうそれと、他の人のそれとが同じとは限らないので、保証はできんのだが。
 ニートというのは生き様、というのは現実としては少々飲み降せない文言なのだけれど、作中でニート探偵アリスが語るニートとはつまるところどういう人なのか、という解釈については物凄く得心がいったわけで。まあ、そうなんだよなあ。そしてそれは、決して見つからないものなんだよきっと、うん。
 
12月2日

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(Mノベルス)
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11月27日

(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(アクションコミックス)
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11月26日

(エンターブレイン)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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11月25日

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(ガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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