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峰守ひろかず

絶対城先輩の妖怪学講座 十二 ★★★★   



【絶対城先輩の妖怪学講座 十二】 峰守 ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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傍若無人な黒衣の妖怪博士・絶対城の活躍を描く伝奇譚、第12弾!

『真怪秘録』をまとめる中で、妖怪学の限界を感じたという絶対城。熱意を失った彼は、文学部の非常勤講師として妖怪学を教えてくれないか、という織口からの誘いも断ってしまう。
そんな中、礼音が何者かに狙われていることが発覚。大切な人を守るため、事件の調査に乗り出す絶対城だったが、一方で、その一件の解決をもって妖怪学徒を廃業するとも宣言し――。
猫また、猫ばば、五徳猫。事件の鍵を握るのは『猫』!?
絶対城阿頼耶、最後の事件!

礼音さんがタフすぎるw 礼音が狙われてた案件、あれ彼女じゃなかったらほとんどが普通に事故死しちゃっているケースのはずなんだけれど、素の身体能力の高さからひらりひらりと回避して当人ケロリとして最近ちょっと運が悪いなあ、くらいの認識でしか無いあたりがさすが礼音である。このあっけらかんとした性格が、絶対城先輩の心の助けにどれほどなってきたか。
今回なんぞ見てて微笑ましいほどの仲睦まじいカップルでしたもんね。礼音は元より絶対城先輩もわりと素直なので今更好意を照れ隠しとかしないので、率直にお互いを気遣い合う関係は見てて温かいものでした。かと言ってそれほどベタベタしないサッパリしたところは二人らしいのですけれど。
はからずも同棲生活になってしまってからも、まるで色っぽいことにはなってませんでしたし。いやそう言えば恋人になる前も一緒に住んでた時期があったっけか。その時より関係は進んでいても、それでイチャイチャしだすかというとそういう二人ではないんですなあ。
それでも、旅行に行った時のあのギューッと抱き合ってぬくもりを伝え合うシーンは、恋人というよりも、そして夫婦というのでもなく、なんというかこれからもずっと人生のパートナーとして共に歩んでいくという仲睦まじさを感じる場面で、二人の関係の結実を思わせてくれてジーンと来たんですよね。
白鐸という目下の脅威を退けて、『真怪秘録』の編纂も一区切りついてしまったところでいわゆる「燃え尽き症候群」のようなものに罹ってしまった絶対城先輩。一方の礼音も大学三回生に進級するにあたって今までのまま経済学部で勉強していくのではなく、今最大に興味ある妖怪学の道へと進んでみたいと考えるようになり、とお互い次の段階を考えるところに来ていたんですね。
そこでこの「猫」の事件はさて最後の後押しになったのか。絶対城先輩に妖怪学の奥深さをもう一度教えてくれる、という意味ではよいきっかけになったのでしょうけれど、何気に今までで最大のピンチとなりかねない最大の敵だったんじゃないですか、これ!?
杵松さんとの雑談で出てきたパソコンの連結についての話が伏線だったとは思いませんがな!
本作では実際に本当の「妖怪」は出さない、という方針で一貫していたと後書きでも触れていましたけれど、今回の「猫」を含めてどれもある意味本物の妖怪よりも突拍子もない「正体」で、いやあぶっ飛んでたなあ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、じゃなくて幽霊の正体見たりビオランテ、みたいな感じのものばかりで、その突拍子もなさがまた面白かったんですけどね。
でも、それで不気味だったり得体の知れなさが陰気な感じにならなかったのは、礼音の明るさに牽引されるどこか作品全体に流れる呑気な雰囲気ゆえだったのでしょう。メインとなる絶対城先輩も、傍若無人なんてあらすじに書かれていますけれど、実際は非常に紳士で人柄が伝わってくる優しいキャラクターでしたので、この人を見てて嫌な感じになった事はなかったですし、相対する「敵」はみんな想像を遥かに超えた存在でありつつ、今回の猫のようにどこか「スットボケた」愛嬌を持っていたのが、和やかさにつながっていたように思います。この物語の持ち味というか特色でもありましたね。
礼音と阿頼耶くんには幸せになってほしいものです。二人の将来、についても具体的に色々と考えているようでしたしね。心残りは、杵松さんと織口先生の関係がどうなってるの? と、そこんところ不明のまんま終わってしまった所ですけれどw
これで終わってしまうのが本当に寂しくなる、慣れ親しみを抱かせてくれた作品でありました。


シリーズ感想

新宿もののけ図書館利用案内 ★★★☆   



【新宿もののけ図書館利用案内】 峰守 ひろかず/Laruha  メゾン文庫

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気弱な司書の再就職先は妖怪専用図書館!?

新宿・舟町の住宅街にひっそりと佇む深夜営業の「新宿本姫図書館」。
本を返す時には必ず別の本を添えなければならないという奇妙なルールがあるこの館には、
人間でないものばかりが訪れる――。
人間の身でありながら、訳あって本姫図書館で働くことになった末花詞織。生真面目な館長代理の牛込山伏町カイルとともに、今夜も化け猫や化け狐などの新宿妖怪を相手に奮闘するが!?
気弱な司書と新米館長代理が紡ぐ、優しいもののけ図書館物語。

そう言えば、最近は図書館に行ってないなあ。自前の積本が1000冊超えちゃってるんで、図書館に行く暇があるならそれを崩さないと、となってしまって随分と足が遠のいている。それでも、そのときは既にバーコードで貸出の記録はとっていたし、パソコンで検索も出来ましたけどね。
本の裏付けに貸出カードを挟んで、という形式はさすがに30年前くらいでも既になくなりはじめてたやり方だったんじゃないかなあ。学校の図書館なんかは、当時はそんな形式でしたけどね。
さて、峰守ひろかずさんの妖怪もの、ご覧の通り今度は私設図書館と新宿という土地が舞台となっております。登場する妖怪たちは、知名度のある有名な妖怪とは少し違っていて新宿限定のローカルな妖怪伝説・伝承からの出演になっていて、いやそんな狭い地域の中にこれだけ様々な妖怪の伝承が残ってるの? と、驚くくらいに多士済々な逸話があるんですねえ。もちろん、長々としたお話が残っている妖怪ばかりではなく、ほんの一文だけの正体も具体的な姿形能力も不明なあやふやな存在も居たりするのですが、いやさ妖怪というものは実に面白いものだと改めて思わされるものでした。妖怪学なる学問大系が出てくるのもよくわかる深度と密度であります。
しかして本編のメインとなるカイルくん。彼がまたいいんですよ。
峰守さんって、絶対城先輩もそうでしたけれど他の方が書いたら愛想とか愛嬌とか欠片もないキャラになるだろう
クールでスタイリッシュだったり堅物で生真面目だったりする青年を、ものすごく可愛らしく書くのが本当に上手い! イケメンのシュッとした青年が可愛いって、変に思えるかもしれませんけれど、この人が書くと固い部分が素晴らしく愛らしい感じになるんですよね、不思議!
カイルくんはまさにその権化という感じで、なんていうんだろう……まんまですけれど、「真面目な猫」ってなんかそれだけで可愛げの塊みたいじゃありません?w
内気で気弱なヒロインである詞織さん、他人に意見なんてするの以ての外、という引っ込み思案な女性で前職の図書館司書として働いていたときも、騒いでいる客に注意も出来ず理不尽な理由で契約解除の通達をしてきた上司に対しても文句も言えず、という感じの人だったのに、カイルくんに対しては最初は当然どういう人柄の人なのかもわからず、カイルくんも気を使って遠慮したり気を回しすぎて婉曲になったりとお互い距離感のとり方に悩んでいたところなんですけれど、馴染んでくるにつれてむしろ詞織さんの方が、カイルくんの行動や決断を促したり、背中を押してあげたり、引っ張ったり、とイニシアティブを取る場面が多く見受けられるようになるんですよね。
もちろん、彼女も妖怪相手の図書館業務に勤しむことで成長や見識を得たり、というのはあるんですけれど、何よりカイルくんの人柄がついつい気弱な詞織さんをして、手を差し伸べてあげたと思わせたり、彼の頑張りを支えてあげたい、助けてあげたいと思わせられるようなキャラなんですよ。
なんかもう、可愛いのよ。
妖怪で化け猫なので、詞織よりもずっと年上なのかと思ったら、何気に実年齢年下だったりするのも結構ズルいなあ、と思うところで。いやそりゃ、猫としては大変長寿であらせられますけども!?
それでカイルくんは頼りないのかというと、そんなことは全然なく、いざというときは男らしいですし、詞織が滅入ってしまった時には懸命にフォローして言葉を尽くして支えてくれるんですよね。いやもうメッチャいい男やないですか。
各話も、どこか人情物らしい風情が漂っていて、本を借りたまま返さない化け猫の話とか、狸と狐の落語話なんか、非常に味わい深く楽しいものでした。せっかくなら、本姫さまちょいとだけの顔見せ出演じゃなく、もっとあのギャップをいかしてガッツリ出番確保してくれればよかったのに。
相変わらず読後感が清々しくほんのりと温かい、良い一作でありました。

峰守ひろかず作品感想

妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ ★★★★   



【妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ】 峰守 ひろかず/七原しえ メディアワークス文庫

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鷹橋川で発見されたミイラ化した遺体の上半身と、それに合致する巨大な魚の下半身。
怪事件に悩まされていた新米刑事の御堂陸は、手がかりを求め、美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかけることに。私生活はちょっぴりだらしないが、妖怪、特に人魚について語り出すと止まらない彼女は、陸が追う事件についても何か知っている様子で──。
生真面目な刑事と妖艶な解析官が人魚の秘密を解き明かす! ……ただし、人魚は嘘をつくことがあるのでご注意を。

終わってみると、陸くんってよくまあこんな真っ当な正義感に育ったよね、という境遇なんですよね。偽善もまた善と言いますけれど、たとえ表面上だけ繕われた正義であっても建前だけで鎧われた言葉であっても、虚であろうとそれを信じた人がいるのなら、良きモノは生み出せるということなんでしょうかねえ。
この主人公の御堂陸くんは自分が正しいと信じたことの為には猪突猛進するきらいがあるのだけれど、彼はこの手の迷惑な正義感、或いは正義という棍棒を振り回していきり立つ輩とはまた根本的に違う人間でありキャラクターなんですよね。どうしてなんだろうと物語を読みながら考えていたのだけれど、彼の「正しさ」って否定じゃなくて肯定なんですよ。正義に当てはまらないものを敵として攻撃したり排斥したり認めないのではなく、正しいと信じたことを、人を、心情を受け入れることなんですね。
勿論、邪まな欲望や思想などは決然と否定するし妥協もしないのだけれど、彼の脇目も振らぬ真っ直ぐな正しさというのは、闇に惑う人たちにとっては眩しいくらいに差し込んでくる光なのである。自分自身が信じきれずに疑いながら、疎みながら、倦みながら、それでも諦めきれずに手繰り寄せようと足掻いていた宇路子さんにとっては、彼の真っ直ぐな信念は、肯定は光そのものだったのである。アナタは正しい、アナタは間違っていない、自分はアナタを信じる! と、どんな誘惑にも社会的な強制にも揺るがず、一顧だにせず、一瞥すら向けず、即答で応えてくれる陸くんのそれに、果たして彼女はどれだけ救われた想いを抱いたのか。ぜひ、作品を以って確かめてほしい。
あの「即断即決」にはホントに感服させられた。あれほど迷いなく、間髪入れず自分のすべてを否定するだろう黒幕たちの思惑を蹴っ飛ばしてくれて、自分を選んでくれたら、自分のあり方生き様を信じて肯定してくれたら、これほど報われたと思えることはないんじゃないだろうか。

陸くん、あれで杓子定規ではなくて法的にはアウトじゃないの、というような宇路子さんのやり方にもめっちゃ懊悩しながらだけど目を瞑って協力してくれるので、陸くんの精神的な負担を無視すれば良いコンビなんですよね。
さすがにこの街、ほんとに日本かよというくらいなんか悪徳の都と化していましたけれど、何気にこの日本でありながら微妙に異界のような俗世でありながらおとぎ話の世界のような雰囲気、というのは高橋留美子さんの「人魚の森」リスペクトなんですかねえ。人魚の効能云々に関しては、あの名作を特に意識していらっしゃったようですし。
しかし、あの宇路子さんのオフィシャル向け人見知りキャラは、作中で宇路子さん自身がこんな設定するんじゃなかった、と後悔してましたけど、ほんと特に必要ないキャラ付けでしたよね。本来の宇路子さん、ジャケットデザインから想像するようなシャープでアグレッシブな格好いい系のお姉さんで、わりと無茶苦茶する乱暴なところも含めて魅力的なキャラだっただけになおさらに。まあ、ほんと人見知りキャラは冒頭だけで、陸くんと行動はじめてからはずっとこっちだったので全然オッケーなのですが。
今回は一巻まるごと「人魚」にまつわる話でしたけれど、続編あった場合なにやら違う種類の「妖怪」話も盛り込まれそうなネタがラストにツッコまれてきましたから、ぜひ続きも出してほしいものです。

峰守ひろかず作品感想

絶対城先輩の妖怪学講座 十一 ★★★★   



【絶対城先輩の妖怪学講座 十一】 峰守 ひろかず /水口十 メディアワークス文庫

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『白澤』の脅威は、ついに杵松にまで及ぶ。親友を救うため手掛かりを探す絶対城と礼音は、郊外にある国立文書館へとたどり着く。そこで白澤の正体と目的を知った二人だが、白澤の追手から逃れるため身を隠すことに。しかし、その先にも魔の手が迫る―。白澤に対抗する手段を探し、師匠のクラウス教授や、同じ妖怪学徒の櫻城晃の協力も得る。しかし白澤は絶対城を取り込むべく、妖怪知識の全てを得られると誘惑し…。最愛の先輩を救うため、一人残された礼音は―。

今回の表紙絵の絶対城先輩はいつもにも増して妖しい雰囲気だなあ、と思ってはいたのですが、なるほど今回の話には相応しい姿ではあったんですなあ。
まあ絶対城先輩って各表紙の妖しい怪しい雰囲気とは裏腹にえらい実直な人なんですけどねえ。見た目と存在の胡散臭さはほんと見た目だけで、付き合ってみると不器用だし生真面目だし誠実だし、非常に可愛らしい人だもんな。そういう人だから、礼音みたいな娘が対等にお付き合いできているんじゃないかと思うんですよね。
今回なんぞ特に、礼音の側が弱気になってる絶対城先輩をずっと支えてましたからねえ。
てっきり敵側になってしまった杵松さんがしばらく暗躍するのかと思っていたら、さすがは絶対城先輩、速攻で見抜いてしまうのだからこの人やはり凄い。決して疑り深い人間じゃないのに、誰よりも信頼しているはずの親友が裏切っていたことに気づいてしまうのですから。気づいてしまうからこそ傷ついてしまうとも言えるのかも知れませんが。
でも、バレた途端に杵松さん、キャラ変わりすぎですよ。元の杵松さんの方が泰然自若として何事にも動じず何を考えているかわからないところがあって、でもなんでも出来るし頼もしいしとこの人がラスボスでも黒幕でも何らおかしくないという底知れなさを感じる人だったのに、白澤になった途端にえらい小物じみた言動しだして……杵松さんはそんなこと言わない!w
ただ見知っているどころか信頼している人が次々と敵側に回ってしまうという追い詰められ方はさすがに緊迫感がありました。白澤には社会的に相手を抹殺するような権力も握ってましたし、さすがにあの人が敵に回ったときには人物が人物だけにたまらんものがありましたし。
ただ、今回の一件に関しては弱気になっている絶対城先輩に対して、礼音の方が慌てず騒がずどっしりと構えていて、絶対城先輩の精神的支柱として踏ん張っていたので、追い詰められていたわりには切羽詰まった感じはなかったような気がします。絶対城先輩自身はそりゃもう切羽詰まってましたが。今回に関しては先輩的に打開の手段がなく為す術なし、という状況だったからかもしれませんが。それに、知識に関する誘惑も効いてましたし。
だから、その分本当に今回は礼音が頼もしかったです。全然怯えずパニックにもならず変に気負うこともなく、精神的に参っていた絶対城先輩の解説の聞き役をうまくこなしてストレスもうまく逃してあげてましたし。パーフェクトサポートですよ。
とどめにラストの一本だたら=すいとんフォームでの登場はなんだかヒーロー見参!って感じで実に格好良かったですし。
あの格好というか装いというか装束? はビジュアル的にもキマっていてあれは挿絵がアレば是非見てみたかったかも。
しかし、先輩なんだかんだと全部謀っていたのか、と思ったら全然そんなことなかったのね! 単に衝動的にしただけだったのね!
それだけならまだいいんだけれど、あとでしたり顔で後付の説明を付け加えて知らん顔しようとしていたあたり、この人もう可愛いなあという印象しか出てこないんですけど。

なんか色々と懸案も片付いてしまって、これで締めと言われても不思議ではない終わり方だったのであれ?もしかして完結した!? と驚いてしまったのですがもう一巻出るようでちょっと安心した。もうちょっと余韻に浸りたかったですしね。
次はついに最終巻。結構な長期シリーズになりましたが、どう〆るのか楽しみです。

シリーズ感想

六道先生の原稿は順調に遅れています 三 ★★★☆   



【六道先生の原稿は順調に遅れています 三】 峰守 ひろかず/榊 空也 富士見L文庫

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文芸編集者の滝川詠見は、作家にして妖怪の六道〓馬(そうま)を担当中。新刊発売に文学賞受賞と、場数を踏んだ二人には、新作の立ち上げもお手のもの―ということもなく、相変わらず原稿は遅れていた。そんな折、六道先生の書いた昭和回顧エッセイが評判に。それなら先生の半生を描いた自伝小説も面白いのでは、と新作企画が立ち上がる。さっそく縁の地へ取材に向かう詠見たちだったが、やがて六道先生の記憶にない“六道〓馬”の足跡が見つかって…?編集女子と妖怪作家の、怪奇×お仕事物語、集大成!?

これまで編集者と作家のパートナーシップを中心に描かれてきた本作ですけれど、改めて詠見の立場から編集者とは、という在り方を見つめ直すような第三巻にして完結編でした。
と言っても、編集者としてどう働いていくか、どう作家と接していくか、どうやって協力して作品を作り上げていくか、という部分についてはこれまで六道先生との共同作業の中で探り探り見つけ出していき手応えを得てきたものですから、むしろここからは「編集」という仕事の苦しみや意義、クリエイティブに携わる仕事でありながら自ら創造するわけではない立場に対するモヤッとした思いに、詠見が向き合うことになるお話でもあったわけです。
尊敬する別の出版社の先輩女編集者の、折からの出版不況からくる志を折られた無情な末路。詠見の趣味であったハンドメイドアクセサリーが講師の人から認められ、プロとして働かないかと誘われることで生じる、モノを創るということへの自らの関わり方への疑問。
小説家視点から、本を作る、物語を描き出す、小説家として働き社会と関わってく、という主題について描かれていく作品は多々ありますけれど、そんな自分に置き換えて描ける小説家のお話と違って、対面にいる編集者を主役とした作品、そして編集者の立場や視点から業界や小説家たちとの関わり方を描いた作品って、比べるとやっぱり少ないと思うんですよね。
そこからすると、本作は穏やかながらその辺徹底して編集者視点で描かれた物語で、その意味でも新鮮なものでした。
自伝的小説を書いていくことで、自分のアイデンティティそのものと向き合うことになり、存在意義と自分の相反する側面に直面し、自己そのものを揺るがすことになる六道先生に対して、これまで生きてきた「小説家六道馬」を全肯定し、その存在を証明し認めることができたのは、この場合女性としての滝川詠見ではなく、文芸編集者としての滝川詠見以外はなかったんでしょうね。
物語の中で、あくまでこの二人が作家と編集者という関係で在り続けたのは、進展がなかったというよりも、それこそが重要であったから、と考えるべきなのでしょう。
もっとも、そんな作家と編集者という関係の中でもプライベートとして醸成されていく気持ちの部分は当然存在していて、ここからどう変化していくか、進展していくか、発展していくかについては六道先生の決定的な変質も加わって、ご両者に応相談というところでしょう。
見たところ、むしろ詠見よりも六道先生の方にこそ多く意識する部分があるようで、早晩なんらかの変化はあるのではないでしょうか。
でも、世間一般的には六道先生って孫が居てもおかしくない年齢ということになっているので、表向きには老いらくからの関係になってしまうのかw

シリーズ感想

帝都フォークロア・コレクターズ ★★★☆  

帝都フォークロア・コレクターズ (メディアワークス文庫)

【帝都フォークロア・コレクターズ】 峰守ひろかず メディアワークス文庫

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きまじめ書生と噺家崩れの優男が妖怪の伝承を追う、帝都発あやかし伝奇譚!

激動の大正。帝都東京に見える怪しき影は、二人の青年。黒のマントに詰め襟学生服、生真面目な銀髪の青年・射理也(いりや)。そして、女物の鍔広帽に着流しを纏い、軽薄な笑みを浮かべた噺家崩れの淡游(たんゆう)だ。
求職中の少女・静が見つけた新たな職は、『彼誰会(かわたれかい)』なる奇妙な組織の書記担当。彼らの目的は「百年使える妖怪事典の編纂」だという。
静は同僚の射理也、淡游と共に、日本各地に残る妖怪伝承を集めることになる。だがやがて三人は不思議な事件に巻き込まれていき――?
『絶対城先輩の妖怪学講座』の峰守ひろかずが贈る、帝都発あやかし伝奇譚。

柳田國男って、そんな偉い人やったんかーー!? ここがもう一番の驚きでした。民俗学者なんていうと、やはり自身の足でフィールドワークしてまわる権力や金銭には縁が薄い人種、と思ってしまうじゃないですか。そういうイメージで固定されてしまってる現代があんまりよろしくないんでしょうけれど。それにしても、貴族院の書記官長って、当時の官僚制度の中でもかなり高い地位なんですよね。これだから、戦前の帝大関連の人は侮れないのだ。
それでも、実際自分の足でフィールドワークして、日本の民俗学というジャンルを確立するに至る研究をされたと思ってたし、実際に全国各地を調査旅行してまわったようなのだけれど、この人の経歴を見ると高級官僚として働き、また国連でも活動していたり、と相当忙しい身分だっただけに自分一人で調査して回るには時間も余裕もなかっただろうし、そう考えるとエージェントを雇って現地の情報を収拾してきてもらう、なんてことも実際していたのかもしれない。
そんなこんなで、某御大尽の肝いりで全国のフォークロア……民間伝承などを集めてまわるために雇われた三人の男女の、大正時代という近代化の波が全国津々浦々にまで押し寄せつつも、まだ色濃く古い世界の名残が残っていた時代の不思議探訪譚がこれである。
同じ作者の【絶対城先輩の妖怪学講座】と趣旨的にはよく似ているのだけれど、何しろ現代と大正時代とではやはり違うんですよね。リアルタイムで旧時代の闇が払われていっている真っ最中、という感がある。静たち三人組は、言わば近代の側から消えていく闇を記録して残していこうという立場の人間なわけだけれど、面白いことにこの三人、同時にその消えゆく闇の側に深く関わる、というかむしろ彼らこそがそちら側、という人たちでもあるんですよね。そこを皮肉ではなく、消えゆく側であったはずなのに、うまいこと近代化していく光あたっていく側へと馴染んだり、潜り込んだり、と生き残る、或いは適応したような対象としても描かれている。
彼ら自身が、闇は消えてなくならない。形を変えても、ちゃんと生き残って未来へと続いてく、というのを証明しているのである。そんな彼らが、失われていく民間伝承を記録し残して伝えていく側としても活躍するわけで、それが回り回って絶対城先輩たちが喜んでかぶりつくだろう資料を残したり、自身たちが血を残し記憶を残していくことで、妖怪のようなものや異能者みたいなのが現代でもなんだかんだと元気に潜んで生き残っていく、という形になっていくのであると思えば、また面白いものじゃないですか。
最終話で静さんが「弱くて古くて小さくて、いつかは消えていく側で充分です!」と啖呵を切ってましたけれど、それを堂々と誇れるのなら、むしろそういう方がしぶといものなんですよね。

しかし、噺家の淡游さんが喜々として、日本語じゃない「フォークロア・コレクターズ」なんてのを自身で標榜して名乗ろうとするのも面白いなあ。言葉に対して敏感、というのはときに保守的になるものであるとともに、逆に革新へと走るものなのかもしれません。

あと、時代が時代だけに、さらっといずれ著名となる文豪たちが生の人物としてそのへんうろついてたり、すれ違ったりと行き会うことがあるのは、この時代の醍醐味ですねえ。こう、同じ時代を生きている、という感じがすごくしました。

峰守ひろかず作品感想

六道先生の原稿は順調に遅れています 二 ★★★☆   

六道先生の原稿は順調に遅れています 二 (富士見L文庫)

【六道先生の原稿は順調に遅れています 二】 峰守ひろかず/榊 空也  富士見L文庫

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文芸編集者の滝川詠見が担当するのは、怪奇を喰って物語を綴る、妖怪で作家の六道〓(そう)馬。なかなか原稿の上がらない六道から、詠見が努力の末にもぎ取った久々の新作が、なんと文学賞を受賞した。ところが六道は妖怪故に受賞式には出られない。詠見が代理で壇上に立つものの、同じ受賞者で気鋭の作家・踊場漂吉に怪しまれる始末…。とはいえ先生を売り出すチャンス!と新作を求めて日参する詠見だったが、またもや怪奇事件に遭遇して…?編集女子と妖怪作家の、怪奇×お仕事物語、第二弾。
これは作家と編集者の関係の理想形の一つだなあ。六道先生って作家としては数十年来の経歴を持つ大御所作家なのだけれど、妖怪としてはまだ若くて自分の生き方、在り方が定まっていない人でもあるんですよね。メンタルは老成していて幼いとは決して言えないのだけれど、それでいてひ弱というか未熟というか、自分にあまり自信を持っていなくて不安定な部分がある。決して頼もしい人とは言えないんですよね。でもやっぱり大人としての落ち着きもあり、しかし見た目はまだ十代後半の子供然とすらしている若者で、とこうしてみると編集者として付き合う滝川さん、大変だなあと思ってしまう相手なんですよね。まあ気難しかったり面倒くさかったりというところが全然なくて、非常に付き合いやすい人ではあるんだけれど、だからこそ繊細に触れなければならない相手でもあるというわけだ。
ここで滝川さんが直面するのは、編集者としていかに作家先生に作品を書いてもらうか、という依頼の段階ではなくて、どんな形で作家とともに作品を一緒に作り上げていくか、というところなんですね。書く作品の内容を要求して丸投げしてはい終わり、というわけでもなく、かと言って必要以上に内容にまで踏み込んでいくわけでもなく、そもそも編集者としてのスタンスとして作家に何を求めるのか。作家との共同作業って、どこまで踏み込んで、どんなふうにやるべきなの?というところで。
これにはもちろん正解なんてなくて、作家や編集者本人の性格や仕事の仕方、出版社としてのスタンス、その時の依頼内容や執筆状況、環境の違いなどによってやり方は全部違うだろうし、唯一の正解を求めるような話でもない。ただ、六道先生と滝川担当編集のビジネスパートナーとしての、そして六道先生の秘密を知る友人としての、そんな関係における仕事のやり方のピッタリとハマる形というのを、今回の話でたどり着くことになったんじゃないでしょうか。
長い六道先生の作家生活の中で、生み出した作品によって人生を変えられた人との出会いがもたらした衝撃。自分の書いた話によって、追いかける夢を見つけてそれに全力で挑んでいる人に出会えた感動。そして、かつて自分が書いたものによって生み出されたものによって、人に不幸をもたらしてしまった恐怖。六道先生は作家生活長いとは言っても、外との接触を極めて制限してきたせいか、自分の作家として世間にもたらす影響力を直接目のあたりにする機会が得られることはやっぱり殆どなくて、それらを直接見知った時の衝撃というのは作家としての経歴が長い文、もしかしたら新人作家が初めて感じるそれよりも、よっぽど密度も重さも濃いものを食らうことになるのである。彼当人のメンタルが打たれ弱いというのもあるのでしょうけれど。滝川さんは、もちろんメンタルケアに優れているという人ではなく、でも担当編集として、彼が妖怪であるという秘密を共有している友人として、それぞれの立場から真摯に親身に彼に言葉をかけることによって、本当に支えになってるんですよね、これ。一方で、作家のことを慮るばかりではなく、ちゃかり編集者としてあれこれねじ込む鬼な部分もしっかり持っていて、甘いだけじゃなくなかなか厳しくどぎつい面も兼ね備えているという根っからの編集者、みたいな側面も見せてくれて、六道先生も苦笑を禁じ得ないのである。でも、これほどやる気を掘り起こしてくれて、手助けしてくれて、弱った心を励ましてくれて、一緒に悩んで苦しんで、一緒に喜んでくれる担当編集が居てくれる、というのは限りない幸せであるんですよね。先生、これ噛み締めてるんだろうなあ。
そして滝川さんの方も、若さや未熟さから暴走したり見当違いのことをしでかしそうになったとき、落ち着きある先生の示唆や言葉によって、一呼吸置いて物事に取り組めたり、結構細かなフォローなんかも先生の側からしてもらってて、まさしく助け合う関係なんですよね。改めて見ても、いいなあと思える関係です。いや、一つ一つ積み重ねてそうなっていっているその過程を余すこと無く描かれている、と言えるのでしょう。今回は、六道先生とまったく正反対のスタンスで作家として活動している踊場漂吉先生の登場と介入によって、色んな意味で話にはずみがついてて、良い新キャラ投入だったんじゃないでしょうか。チャラくて押しの強い風貌とは裏腹にこの人もめっちゃいい人でしたし。良い意味で今後もこの人の介在によって話広がっていきそうですし。

1巻感想

絶対城先輩の妖怪学講座 十 ★★★★  

絶対城先輩の妖怪学講座 十 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 十】 峰守ひろかず メディアワークス文庫

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四十四番資料室の怪人・絶対城が紐解く伝記ミステリ、待望の第10弾!

『白澤(はくたく)』に襲撃された狐からの情報を受け、警戒を強める絶対城たち。そんな中迎えた夏休み。つきあって初めての長期休みにもかかわらず、礼音は一人、牧場で短期のアルバイトに励んでいた。
優しい夫妻が営む牧場を気に入る礼音だが、いるはずのない子供の影を見てしまう。心細さを感じつつ、休日に近くの川で水浴びをしていると、そこには礼音を心配した絶対城の姿が。二人は牧場主夫妻の発言に疑いを持ち始め──?
“予言”に纏わる妖怪たちの謎に迫る第10巻!
前巻のラストの急展開に胃がキューッとなってたんですが、良かった、さすがは狐さんである。せっかく、絶対城先輩と礼音が付き合い始めたというのに、あんな事があったら浮かれてなんていられませんもんね。
もっとも、この二人が付き合うって具体的になにするのよ? と想像もつかなかったのだけれど、どうやら当人たちにとっても全くイメージが湧かなかったようでお互いどうしたらいいのかわからず、何となくぎこちなくなってしまっているご様子で。
それでも、傍から見てる感じだと本人たちが気にしているほどギスギスしてる事はなくて、当人たちは居心地悪いのかもしれないのですけれど、普通にイチャイチャしてますよ、貴方たち。変に会話が続かないってわけでもないですし、反応に失敗して気まずい雰囲気になったりということもなく、なんだかんだと柔らかい空気感が二人を包んでますし。まあこの二人の場合、定番の妖怪話というネタがありますからね。絶対城先輩はウンチク語らせてたらそれだけでペラペラ喋ってくれますし。それに、こうして見てると礼音ってかなり聞き上手なんですよね。合いの手を入れるタイミングも絶妙だし、疑問に思ったことも良いタイミングで尋ねるし、的はずれなことを聞いて相手を閉口させるような真似もしませんしね。無知だったり素人だったりしても、相手の話をちゃんと興味を持って聞いていたら、変なことは聞かないんだよなあ。お陰様でか、絶対城先輩も随分と喋りやすそうで。
そうやって普通に妖怪の話をしているだけでも、二人の間に流れる空気はポカポカしていて、ご馳走様ですってなもんであります。世間一般の恋人同士とはそりゃあ全然違うんだろうけれど、この二人はこれで十分ラブラブカップルしてますよ、うん。

さてさて、物語の方はというと、ついに白澤と呼ばれる何者かの謎へと踏み込むことになってきた絶対城先輩たち。また、白澤に近しい「予言獣」と言われる妖怪たちが今回のテーマにもなってましたけれど、たしかにこの予言獣ってわりと最近の言葉なのかなあ。「件」などの話で他の作品でも予言獣という言葉はチラホラと見たことはありましたけれど。
しかし、一連の様々な予言獣の正体をこう関連付けていくとは。実在する予言獣の真実をこのような形で位置づけたのは面白かったんだけれど、同時に予言獣と白澤との関連性にも言及していた以上は、あの予言獣の正体ってのは白澤の正体とも無関係ではないってことなんでしょうねえ。
前回のラストにも引けを取らない最後の衝撃的な展開も、あの予言獣の正体に関連付けてみると色々と想像の翼も羽ばたいていきますし。しかし杵松さん、ずっとこう「あれ」なポディションだなーと思いながらも四巻あたりで怪しい役回りを請け負って以来、一切変なとこを見せなかったものですからそろそろうがった見方するのはやめようと思ってたらこれですよ。ついに来たなあ、という感じですねえ、うんうん。
それにしても、準レギュラーの礼音が通う道場の小学生・蒼空くんが一つ年上の剣道少女の海晴ちゃんとと同級生の子清香、二人共以前事件で知り合った子たちだけれど、二人の女の子と面白い関係になってて、この野郎である。まあ三角関係というより、海晴←蒼空←清香という一方的なそれなんだけれど、小学校六年生でこの野郎である。長ずれば主人公だなあ、うんうん。

シリーズ感想

六道先生の原稿は順調に遅れています ★★★☆   

六道先生の原稿は順調に遅れています (富士見L文庫)

【六道先生の原稿は順調に遅れています】 峰守ひろかず/ 榊空也 富士見L文庫

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中堅出版社に勤める文芸編集者の滝川詠見は、なかなか原稿が上がらないことに定評のあるベテラン作家・六道〓(そう)馬の担当をすることに。さっそく詠見は六道のもとへ挨拶(と催促)に向かうのだが、初老だと思っていた先生はなんと憂いを帯びた見目麗しい男子で、しかも街に潜む怪奇を喰って創作をする妖怪だと知ってしまう。出合い頭こそ驚く詠見だが、妖怪だろうと相手は作家。原稿をもらうため、取材代わりの怪奇事件に首を突っ込むことになり…?編集女子と妖怪作家のコンビが綴る、不思議×出版お仕事物語!

作家にとっては債権者の督促に匹敵するような心身ともに追い詰められる言葉。
「原稿をください」
でも、要求する、欲する、求めるという言葉だからこそ、それを持ち得る人そのものを肯定する台詞にもなり得るのだなあ、とラストシーンにおけるこの台詞の使い所に打たれたのでした。
それ以上に、滝川詠見という人は生粋のプロ編集者なんだなあ、と。あの場面において、愛を語るでも善を語るでもなく、原稿をくれと言えるのは編集者以外の何者でもなく、だからこそ作家と編集者という組み合わせは不可分なんだろうなあ、というのを実感できたというかなんというか。作家という存在を成り立たせる上で、編集者という立場の存在が如何に関わることが出来るのか。時に足を引っ張ることすらあり得る存在ですけれど、深い部分に関わるということはプラスになるにしてもマイナスになるにしても、何らかの影響を与えることは考えてみれば当然のことなのでしょう。その上で編集者という立場の人はどういうスタンスで本を作るということに対して向き合うべきなのか。
こうして振り返って見ると、本作は作家モノというよりもむしろ徹底して編集者という存在に対してスポットを当てた作品だったのでしょう。
40年来の大御所作家である六道先生ですけれど、ベテラン作家でありながら妖怪としては若い存在であり、老成したというよりも枯れたような部分と幼いと言ってすら良いかもしれないハツラツとした活力を相合わせ持った不可思議な、というか矛盾を内包したような先生は、だからこそ自分の作家としての在り方にまだ定まったものを有していなかったですよね。自分なりの作家論、というものを持ち得ないままあやふやなまま小説家をなりわいとしてきていた。大御所でありながら作家になりたての卵の殻を背負ったような幼生体。
そんな曖昧にして定まっていない存在だからこそ、自覚を持たずとも編集者としての確固とした在り方を備え持っていたものの、実績を持たず自信を持たず持ち得ている確信を体現する術を持てないまま右往左往していた詠見と、不思議なくらい噛み合ったようにも見えるのです。
どちらがどちらかを導く話ではなく、お互いの存在がお互いの作家としての、編集者としての成長を促すことになる化学反応の物語だった、というべきか。まあ、途中で大御所先生の方が盛大にヘタレてしまうのは、仮にも社会人として一端にやっていた若くも大人な詠見に対して、六道先生は大御所だろうが妖怪としてメンタル幼いお子様だったからなのかもしれません。中身子供な部分があるくせに、妙に分別がある分我儘とか無鉄砲とは縁がない性格だったからというのも大きいのでしょうけれど。
それでも、これも面倒くさい性格の作家、という分類になってしまうのでしょうか。トータルしてみると、扱いに関しては難しいどころか易しいくらいの人に思えるのですけれど。詠見さんとしても、これからはガンガン原稿を搾取できそうな勢いでしたし。

惜しむらくは、肝心の六道先生の「取材」のパートが詠見が殆ど介在しないまま影で片付いてしまっていたところですか。ある意味本作の見せ場ともいうべきパートのはずなんですが、全部影で進行してしまってラストまで詠見は蚊帳の外で進んでしまいましたからね。ラストの黒幕についても唐突感がありましたし。
もし続編があるなら、これからは詠見も全部事情知っているわけですし、作家の取材には編集もついていく場合は決して珍しくないのですから、一緒に行動してくれるともっと面白くなりそうなんですけどねえ。

峰守ひろかず作品感想

絶対城先輩の妖怪学講座 九 ★★★★   

絶対城先輩の妖怪学講座 九 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 九】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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絶対城を頼り四十四番資料室を訪れた、「狐憑き」に悩む女子学生、葛木葉子。こっくりさんの儀式でお祓いを行う絶対城に対し、葛木は「笑わせないでよね!」と言い放ち、真怪秘録覚書『狐』の資料と共に姿を消してしまう。突然の事態に動揺する一同。しかし、何故か礼音は葉子の声に聞き覚えがあった。声を頼りにして、お祓いと同じ日に礼音が巻き込まれた事件を調べ始めると、海辺のリゾートホテルで開催されるマジックショーに辿り付く。そこで待ち受けていたのは―。
おう、絶対城先輩がこれだけ見事にしてやられたのって初めてじゃないだろうか。クラウス教授にも散々っぱら誂われたけどもうちょい予防線は張れたと思うし。
しかし、ヤラレっぱなしでは済まさないのが絶対城先輩である。やられたらやり返す、と安易じゃないところも絶対城先輩である。相手の土俵で勝負するにはまず相手の土俵って何なのよ、というところから地道に調べ始めるあたりが、フィールドワーク主体、調査主体の妖怪学の徒なんですよねえ。奇術師のフィールドに、ちゃんと妖怪学で勝負しに行ってるのだから面白い。あくまで自分は妖怪学士であるという自負と挟持がなす業なんだけれど、だからといって違うルールで殴り掛かるのではなく、あくまで相手の土俵で挑むあたりは意地っ張りではあるんですよねえ。
まあ、普段から詐欺師紛いのネタを仕込んだだまくらかしをやってるもんだから、似た者同士なのかもしれないけれど、だからこそ余計にしてやられたのが悔しかったんだろうなあ。
しかし、それで感情任せに振る舞わずに礼を失わないのがこの先輩のカッコイイところなんですよねえ。傍若無人に見えてその実、この人礼儀正しさや他者への敬意は事欠かないですからねえ。礼音に対してあれだけぞんざいなのは、まあ甘えであるし肝心な場面になるとすげえ気を使いまくってるしなあ。肝心の礼音には残念ながらあんまり伝わっていないのだけれど、一番根幹の大事にしているという部分についてはちゃんと伝わっているのであんまり問題ないのだけれど。
そう、問題ないことが問題だったんですよね。今の関係で上手く行っちゃってたもんだから、両者ともに踏み込むに踏み込めなかった、とも言えるわけで。お互い、自分の評価というか、相手からどう思われているかについては全く自信持ててなかったですからねえ。傍から見るともうあからさまに好きすぎでしょう、という反応してるのに、肝心の相手がそれにさっぱり気づいていないという鈍感カップルでしたからねえ。さすがに、織口先生も杵松さんも黙って見ていられなくなって、よちよち歩きの幼児の手を引っ張ってあげるような感覚で誘導してくれましたけれど、よっぽど焦れったかったんだろうなあと微苦笑が浮かんできてしまいました。だって、二人ともいちいちそういうお節介するようなタイプじゃないんだもの。その二人が背中押しに来るまでに我慢できなくなったんだから、よっぽどだったんだなあと。

さて、今回の主題は『狐』。妖怪譚としては定番かつ大物でありながら、実在の動物でもあり、また伝承にある狐の話はどれも実際の病気や自然現象などで説明できるものも多く、ネタの豊富さのわりに今回は当初は絶対城先輩も乗り気じゃない感じであんまりテンションあがってなかったんですけれど、本物の「狐」の登場によって、というか見事に狐に騙されたことで俄然やる気を漲らせてたわけですが。
これまでのシリーズだと、その正体は古代の巨大生物だった! みたいな突拍子もないネタが待ってたりしたんだけれど、狐に関しては狐なんだから真怪としての超生物は存在しないんだろうなあ、と思ったら思わぬどんでん返しが。
いやいやいや、うん。クラウス教授の蝉に比べると愛嬌もあってもうマスコットでいいんじゃないか、と思うくらいの代物だったんで良いんですけれど、良いんですけれど。やっぱり狐はイメージ通りの「狐」がいいなあ。

んでもって、ラストでは随分と不穏な展開になってたんですが、幾らなんでも狐舐めすぎてないですかね、それって。あれだけの海千山千がそうそう簡単に脱落するとは思えないのだけれど。
あと、例の人物、身近の誰かって話みたいだけれど普通に考えたらあの人以外考えられないんだが、いやそれにしても、今まで怪しい素振り見られなかったんだが。まあ存在自体当初からずっと微妙に胡散臭い人ではあったけれど。なかなか謎が深まってきた。

にしても、絶対城先輩と一緒でなくても、目を離すと一人で勝手に詐欺師集団と激闘を繰り広げてたりする礼音さん、根っからのヒーローだなあw

シリーズ感想

絶対城先輩の妖怪学講座 八 ★★★★   

絶対城先輩の妖怪学講座 八 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 八】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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絶海の孤島を舞台に、妖怪博士・絶対城が「ダイダラボッチ」の謎に迫る第八巻!

「のっぺらぼう」の力を持ち、真怪でもある妖怪学徒の桜城晃(さくらぎあきら)。彼女が四十四番資料室に持ち込んだ女神像は、「ダイダラボッチ」の謎に迫る手掛かりだった。
すぐさま御場島(おんばじま)と呼ばれる絶海の火山島へ向かうことを決める絶対城と晃。そんな二人のやりとりを見た礼音(あやね)は、女性として、そして絶対城のパートナーとして、晃には遠く及ばないと感じてしまう。
火山島へは一緒に行かないと宣言した礼音は、杵松(きねまつ)と一緒に織口(おりぐち)の「二口」の治療を行ったり、一人でオカルト絡みの相談を解決していく。
そんな中、島にいる絶対城との連絡が途絶え──。
こ、この二人は……。もうね、いい加減両思いにも関わらず、恋愛に対して不器用とか恋愛ベタを通り越して、パソコン触ったこと無いのにいきなりパーツだけ揃えて与えられて、はい自作してみて、と言われた人みたいに「????」が乱舞してるんですが。
ただの無自覚なら自覚認識したらある程度でもなんとかなりそうなんだけれど、絶対城先輩にしても礼音にしてもそういう文化が一切自分に関わらないところで生きてきたもんだから、鈍いとかそういう段階じゃないんですよね。まず、「恋愛」という概念が自分の中にも結実しえるものなのだ、という現実を知覚しないことには始まらないんだろうなあ。ほんと、今の段階だと自分の中に生じている感情についてアホみたいにポカーンとなりながら「???」と首を傾げて右往左往してるばかりだし。これには、ライバルを自称したい晃にとっても苦笑モノなんだろう。現段階においても戦いようがないし、もし礼音が本当の意味でライバルとして機能してしまったら、その瞬間勝負は決してしまうのだろうし。
まあお互い何にもわかっていない状態でも、手探りと本能でわりといい感じに甘酸っぱいことにはなっているので、周りの人たちもおせっかい焼く必要もないでしょうし、みんなこれに関しては結構放ったらかしだよねえ。あの絶対城先輩の礼音への過保護っぷりを見たら、要らんこともしたくなくなるか。絶対城先輩、最初の頃は率先して礼音を引っ張り回してけっこう危ないことにも首を突っ込ませてたのに、今となっては晃さんに巻き込まれただけでも、血相変えてるくらいだし。最近、いちいち礼音への反応がお可愛いんですけど、先輩w
うんうん、こうなると杵松さんにしても織口先生にしても、いい意味でも悪い意味でも余計なことはしないタイプですしねえ。その意味では、率先していらんことをしたがるだろう晃さんをぶっ込んだのは、刺激を与えるという意味においては重要だったのかもしれないけれど、礼音は反応せんからなあ。それでも、モヤモヤ抱えてくれるだけまだ自意識に進展があるのだろうか。
ともあれ、今回のお話の主題はダイダラボッチである。なにかと巨大化ネタを投入してきた本作だけれど、これぞとびっきりも良いところの原典からして超巨大幻想体だもんなあ。それをどう扱うのかと思ったら、まさかの巨大化からの逆回転捻り。
また、最近ちょっとおとなしかった織口先生の悪女っぷりがフル回転していて、個人的には大いに堪能させていただきました。織口先生はやっぱりやりたい放題やってくれてた方がいいですわー。この人が頭抑え込まれておとなしくしているというのは何故かストレスが溜まってくる。だけに、自身のしがらみやら織口先生らしくない生き方を強いられる境遇に対して、快刀乱麻をバシッと断ってくれたのは痛快でした。この人って敵に回すよりも味方してるときの方が頼もしいというなにげに珍しいタイプだし。
ってか、この作品って味方黒い人たちばっかりのような。絶対城先輩と礼音のカップルが一番素直でピュアな気がしてきたぞ

お世話になっております。陰陽課です ★★★☆   

お世話になっております。陰陽課です (メディアワークス文庫)

【お世話になっております。陰陽課です】 峰守ひろかず メディアワークス文庫

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妖怪だって市民です! 京都の町を舞台に、妖怪たちの生活を守る新米公務員の奮闘記!

念願の公務員に採用され、京都市役所で働くことになった火乃宮祈理。入庁式を終えて彼女が配属されたのは、通称・陰陽課。京都の町には人間に紛れて暮らす妖怪がたくさんいて、そこは市民である彼らの生活を守る部署だというのだ。
混乱する祈理の教育係についたのは、白銀の髪に赤いシャツでガラの悪い、公認陰陽師の五行主任。妖怪の次は陰陽師……? と、訝しむ祈理は、陰陽師らしからぬ風貌の五行と、町を治める鬼や狐の親分との顔合わせに向かうことになるのだが……。
不良陰陽師×マジメ女子の凸凹コンビによる、不思議な公務員生活が始まります。
ずっと妖怪ものを書いてる印象だった峰守さんだけれど、実際に妖怪が出てくる作品書くのは久々だったのかー……いやぁ絶対城先輩のあれやこれやは実質妖怪と呼んでも過言じゃない存在だったような気がしないでもw
ヒロインとなる火乃宮祈理は、ちょっとお目にかかった事がないような四角四面の融通がきかない娘で規則規則と口うるさく、誰も読んでないような規約の隅々まで暗記しているような堅苦しい娘さんである。学生時代は生徒手帳を普段から手放さず、今の時代では意味がないような校則までカッチリ守ってるような娘だったんだろうなあ。学生時代の話とかは一切持ち上がらないのですが、友達とか居なさそうとか思ってしまうタイプである。
勉強家で暗記も得意ということで、むしろ法曹界の方に適性がありそうなものなんだけれど、彼女の場合なんとなく公務員になったのではなく、市民の奉仕者という市役所の職員という理念に本気で共感して市役所で働きたいがために、全国各地の公務員試験を受けてまわったという強者なのでやる気としては不必要なくらいに十分なのだが、回された部署が「いきいき生活うんたらかんたら」という何をやっているかわからないところで、居るのは年配の課長に、ガラの悪い主任の青年の二人だけ。意識高く勇んで働こうとして配属された部署がこれなら、拗ねたりやる気をなくしたりしそうなものなのだけれど、この娘の生真面目さというのは折り紙付きでそこが「陰陽課」なる珍妙な仕事内容の部署であるとわかってそんな怪しげな世界には全く関わりも関心もなかったにも関わらず、全然ひねたりせずに真面目に仕事に取り組み、必要な情報や覚えないといけない知識についても積極的に図書館に通ったりして習得していくのである。真面目最強だなあ、と思うのはこういうところで、自分の不満や不安を別枠において手を抜かないところは素直に凄いと思うし、武器でもあるのでしょう。一方で、そういう真面目さが物事をこじらせていく、という事もあったりするのですが。

この話、妖怪ものではあるんですけれど実のところ妖怪だ人間だというのは根本では関係なくて、規則規則と枠組みに縛られていた主人公が、実際に市民と接してその声を聞き、その思いを汲み取ることで市民のために働く、奉仕するということの意味を学んでいき、見た目では不真面目にしているようにしか見えなくても実際には真摯に自分のできる範囲で手をつくして、市民に奉仕し街を守る先輩職員の姿を追うことで、規則に使われるのではなく、規則とは目的のために使うものだ、という柔らかさを堅物娘が学んでいくお話なんですよね。
糞真面目な堅物の主人公とは正反対に見えるけれど、目指し願うところは同じだった先輩との共同作業。そこに、妖怪……この作品では「異人さん」と呼ぶのか、そんな異なる人たちが醸し出すもう一つの京都という不思議な、でもほんのりとした歴史と懐かしさがある生活感が根付いている世界観がくっついてきて、峰守ワールドがここでもきっちり構築されてるんですよねえ。
面白いのがこの先輩となる五行主任。まあ柄悪いし態度悪いし面倒くさい人なんですけれど……最後のあれみてしまうと、印象がガラッと変わってしまうというか、この人わんこ属性なんじゃないのか?
二巻でどうなってしまうのか心配になってしまうくらい、なんか従属属性醸し出してたんですけれどw

絶対城先輩の妖怪学講座 七 4   

絶対城先輩の妖怪学講座 七 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 七】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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「顰衆」との一件で、『妖怪学』への意識が変わった絶対城。自分なりの妖怪学論を執筆するため資料整理にあたっていると、紫から「座敷わらし」に関する情報を耳にする。一行は山間の巨木が佇む廃村神籬村を訪れ、座敷わらしの正体を突き止めることに。一方、東勢大学では謎のドラッグが広まりつつあり、絶対城のもとに織口が相談に訪れる。大学と神籬村という、遠く離れた場所での、一見関係のない出来事が次々と繋がってゆき…そしてその脅威は礼音にまで及ぶのだった。
おやおやまあまあ、絶対城さんがそんなことを口に出して言うなんて。妖怪学への意識だけじゃなくて、別の部分も大分変わっちゃってるんじゃないですか?
まあ、彼が礼音をどう思っているかなんて、今までも態度でバレバレではあったのですけれど、当人ではなく杵松さん相手とは言え、あの捻くれ者が思っていることを素直に告白するなんて、随分と人が変わったというべきか、それだけ惚れ込んでいると言うべきか。まあ杵松さんからしたら、あの絶対城が本音を自分にだけ打ち明けてくれた、というのは絶対城本人は実感ないかもしれないけれど、これは嬉しいですよね。杵松さんからすると、友達甲斐のあるやつなんだろうなあ、この変人は。
まあ付き合いの長い人たちからすると、この人のつっけんどんな態度は可愛げでしかないんだろうなあ。見ようとして見てたら、わりと何考えてるかわかりやすい人ですし、その優しさとか気配り上手なところとかも本人が思っているほど隠せてないですし。
段々、絶対城先輩を愛でるお話になってきた気がするぞww

さて、今回のお題は、家に繁栄を呼ぶあやかし、そしてそれが出て行ってしまうと家が滅びるという幸福と不幸の両方を体現している不思議な妖怪である「座敷わらし」。
今回は、その正体をどういう古代生物、或いは巨大生物で持ってくるのかと思ったら、なるほどこれは面白い「座敷わらし」の正体だなあ。一応筋が通っている……のか? 個々人が感じる幸福感と、実際の家の繁栄は違う気もするけれど、相変わらず突拍子もないネタを実に面白く料理して、妖怪話に仕立てあげるものである。この荒唐無稽さが面白いんだよなあ。
しかし、回を重ねるごとに礼音の女性離れした、というか人間離れしたタフネスさが際立ってきますねえ。今回なんぞ、普通の人間なら意識すら保てないくらいの状態だったはずなのに。絶対城先輩がいい所で颯爽と登場してくれるのですけれど、わりと放っておいても礼音さん、一人で切り抜けてしまいそうなほど頑丈というか打たれ強いので、段々と絶対城先輩も微妙に介入するタイミングに余裕見るようになって気配すら……w
でも、礼音のピンチとなると顔色変えてすっ飛んでくる度合いというか焦りっぷりについては、増し増している感もあるので、礼音のタフさを信頼しててもべた褒めしてる弱みかなあ、このあたりw
絶対城先輩も覚悟を据え、礼音は礼音で自分と絶対城先輩との関係について目を逸らさないように決めたためか、当人たちの想像以上に何とも甘やかな雰囲気が流れてしまって、ラブですか? ラブ寄せですか? みたいな感じになってきましたよ。正直、晃はタイミング遅すぎたような気もするのですけれど、いやでもむしろ絶妙のタイミングで三角関係となるべく割り込んできた、と考えるべきかこれは。礼音煽る気満々だよなあ、晃さん。

シリーズ感想

絶対城先輩の妖怪学講座 6 3   

絶対城先輩の妖怪学講座 六 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 6】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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「『鬼』の正体は探るな」。クラウス教授にそう忠告された絶対城だが、妖怪学における『鬼』の真相を探るため、節分の時期に行われる厄払いの儀礼「修正会の儀」に参加することになる。
政財界の有力者が集まるパーティで、絶縁した家族と対峙した絶対城は、『鬼』の正体はこの国のタブーであったことを知る。さらに、幼い頃に絶対城の世話をしていた元執事の高岩と再会し、秘匿されていた櫻城晃の死の真相を告げられることに――。
妖怪学最大の禁忌に、黒衣の妖怪博士絶対城が迫る! シリーズ緊迫の第6弾!
惚れたら負けよ、を地で行ってるよなあ、この先輩。礼音もなんで気が付かないかな、と思うくらい絶対城先輩の彼女への惚れっぷりはこっ恥ずかしいんだけどねえ。ドレスアップしてウィッグもつけた礼音を見た時の狼狽えっぷりなんて、そりゃもうむしろアンタを直視できないよ、というくらいなのさ。普通、絶対城先輩みたいな頭が良くて居丈高で何でもお見通し、みたいなキャラは容易に内心をさらけ出さない鼻につくキャラが多いんだけれど、絶対城先輩は他のことに関してはともかく、礼音に関する事柄については本当に態度が実にわかりやすいんで、そこが愛嬌というか微笑ましいんですよねえ。まあ、礼音の事以外でも情に厚くて結構感情的になることも多いんで、言うほど内心がわかりにくいキャラじゃないんですけどね。偉そうであっても意固地ではなく、自分が悪いと思ったら相手がだれでもきちんと礼を尽くして頭を下げる素直さや謙虚さもあるのが、好感度あげてるんだろうけど。
その意味でも、礼音への意地の悪い態度はあれ、完全に甘えてるとも言えるんですよねえ。小学生か。そのくせ、礼音になんかされたら簡単にぶちきれるくせにw
さて、今回はこの国の最大の禁忌、触れること能わずとされ、その謎に近づくものには謎の集団の魔の手が迫る、という「鬼」の秘密に迫る展開。政財界の重鎮たちですら、その影に怯え、実際絶対城先輩の妖怪バカ仲間がかつて鬼の秘密に挑んだが為に、謎の死を遂げ、新たにクラウス教授も警告を受けて危うい目にあった、というこのシリーズ最大の難関であり関門が訪れた、と思ったのだけれど……。
この国において、鬼の伝説はそれこそ無数にあり、「鬼」を定義することすら難しいくらい多種多様の鬼の正体が存在する。とはいえ、一番有名な鬼はなにか、というとやはり大江山酒呑童子の名が上がるわけで、今回もその路線へと入っていくわけだが……あの「古代生物」ネタは何があっても欠かさないのね(笑
ワニの話は、もっと突き詰めていっても面白かったと思うなあ。与太話としても、楽しめる。それよりも、個人的にはあの「街」の話の方が荒唐無稽でしたけどね。山の奥に孤立した隠れ里みたいな集落、とかだったらまだしも郊外都市とはいえ、インフラが普通に繋がって交通機関もアクセスしていて情報的にも物理的にも全く隔絶していない街が、あんな有り様になれるもんなんだろうか。
思いの外、チョロいというか前振りの大仰さに対して中身の浅薄さが顕著だったので若干拍子抜けしていたのだけれど、なるほど本命はあくまでそっちだったのねw
なんだよ、最初から格付けは全然逆だったってわけだ。結局、たちが悪くて手に負えないのって、絶対城先輩の周囲の人間ばかりじゃないか。類が友を呼ぶというのかなんというか。いや、クラウス教授にしても、今回の人にしても、絶対城先輩いいように振り回されてる節があるので、偉そうな態度のわりに実は立ち位置あんまり高くないんじゃないだろうか、絶対城先輩って。杵松さんにも何だかんだ手綱取られてるし、一番下っ端である礼音からして、惚れた弱みで何だかんだ弱いし……礼音相手に傍若無人に振る舞ってるのが、本当に可愛らしく思えてきたw

シリーズ感想

絶対城先輩の妖怪学講座 五4   

絶対城先輩の妖怪学講座 五 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 五】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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古い知り合いに年始の挨拶をするという絶対城に、荷物持ち要員として豪奢な屋敷へ連れてこられた礼音。二人を出迎えたのは、清楚な和風美女・櫻城紫だった。
研究の同志である絶対城と紫は、妖怪談義に華を咲かせる。疎外感を覚えた礼音は、近所の河原へと飛び出してしまうのだった。
そんな礼音の前に、朝霧シアンと名乗る不思議な雰囲気の少年が現れる。シアンは大学に戻ってからも、たびたび礼音の周囲をうろつくように。
その頃、礼音がシアンと出会った川に再開発の計画が持ち上がり、紫の周囲にも不審な噂が出始めるのだった――。
うん、これはもう絶対城さんが悪いね。親しき仲にこそ配慮あり、てなもんですよ。幾ら気心の知れた礼音だからと言って、いや気心の知れた礼音だからこそあんなふうにぞんざいに扱われてしまっては傷つくというもの。多少礼音も過敏になっていたものの、あんな風に扱われて何も感じないと言うことはむしろその相手に対して無関心と言っていいくらい何も感じていないという事になってしまう。好きだからこそ、大事に思っている人だからこそ、そんな相手から配慮を欠いた扱いを受ければ、痛いですよ。
まあ絶対城先輩が傲岸不遜で横暴な人物でありながら、嫌な人間ではないのは、悪いと思ったらキチンと謝れる事なのでしょう。この人、あれだけ偉そうにしながら、決して肝心な所では意固地にならず素直に頭を下げられるんだよなあ。本当の意味で誠意を込めて心から謝れる人って、案外少ないですからね。要らんところで凄まじく大人気なかったりもするのですけれど、それも愛嬌というもの。むしろそこが可愛らしかったりするのであります。
一方の礼音も、この娘も女性としては尋常じゃないくらいサッパリしてますよね。普通、あんな酷い言われようをしたら、根に持つ、とまではいかない間でもしばらくは引きずりますよ。でも、この娘の場合は一回泣いたらそこでキッチリと気持ちを切り替えられるんですよね。絶対城先輩があれだけ素直に謝れるのも、礼音の方にそれを引っ張りだす下地があるからなのかもしれません。性格的にも相性ピッタリなのよねえ。今となっては、何やら普通に絶対城先輩が礼音の部屋までご飯作りに言ったりする機会もあるみたいだし、場合によっては泊まってくケースも無きにしもあらずみたいだし。それで全く色っぽい話がないというのも、いい歳した男女でありながら変な話なんですが。ってか、礼音に危機感とか警戒心が全くないもんなあ。こいつ、本当に女か?
今回なんて、弱っていたとはいえ逃げ出した大型の野生動物を素手で押さえこんで捕獲してたりしましたし。あの、それってもう女性には無理というレベルじゃなくて、人類には不可能なレベルの所業にみえるんですけどw
合気道って確か人間相手の武術だったと思うんですけれど。

さて、今回も一連の展開は最初は勘違いが原因の妖怪話から、本物の怪異が相手となる真怪を巡る話となっていくのですが、一連の様々なエピソードがどんどん繋がっていって、本筋に束ねられていくミステリー小説みたいな展開はやっぱり面白かったなあ。
ある意味、今回もオチは古代から生き残っていた巨大生物、という範囲内なんでしょうか。河童だもんねえ。
さて、主題となる妖怪は最初から比べると段々メジャーなものになってきているのですが、知名度が高く有名な妖怪の方が、実は踏み込めば踏み込むほど奈落のように深くて広い奥底が広がっているもののようで、どうやら物語の核心となる妖怪は、おそらく日本において最も有名なあの存在……これはワクワクしてきましたよ。
何だかんだと、絶対城先輩と礼音の関係も熟しだしたようで、突拍子もない娘ですけれど、礼音もちゃんと女の子し出してる気がします……気がします! もうちと女子力! 女子力あっぷ!!

シリーズ感想

絶対城先輩の妖怪学講座 四4   

絶対城先輩の妖怪学講座 四 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 四】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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『大日本護法息滅会』。東勢大学で最近問題となっている新興宗教団体である。織口准教授によると教祖は理工学部のOBとのこと。大学側からの相談に傍観を決め込む絶対城だったが、教祖が『憑きもの使い』との情報に、早速教団へ妖怪調査に向かう。
しかし、いつも絶対城に協力してくれる杵松が別行動を取ると言い出し何やら様子がおかしい。仕方なく礼音と二人で教団本部に到着すると、そこで待ち受けていたのは長身痩躯の青年教祖、罵王院光陰。
対峙した絶対城は教義の矛盾を突き、見事教団の正体を暴いたかに見えたが、その瞬間、礼音の身体に異変が起こり……。
もしかして、この絶対城先輩って……チョロい?
気むずかしく狷介でひねくれ者で、と性格も面倒くさそうに見える絶対城先輩だけれど、存外可愛らしくてマメなところもある、というのは前回のお話でよくわかったつもりだったんですけれど、今回の絶対城先輩ってそれどころじゃなかったような……。
ちょ、ちょっと礼音さん。あんた、目が節穴じゃないですか? 幾らなんでも女子力少なすぎやしませんか? 実は鈍感なのってあんたの方じゃないんですか?
これ、明らかに絶対城先輩、あんたのこと好き好きじゃないですか。傍から見てるとよく分かるのですが、絶対城先輩の礼音への扱いが劇的に変わってるんですよ。いや、変わっているというと違うのかもしれませんけれど、確かに前までも礼音のことは口ではぞんざいに言いながらも、結構大切に扱っていたのですが、それはどちらかというとまだ絶対城先輩の性格によるもののように見えました。なんだかんだときっちり者でマメで優しい先輩は、身内である礼音の身の安全やメンタル面には結構気を使ってたんですよね。礼音と来たら、自分からあっけらかんとトラブルに首を突っ込むくせに、わりと落ち込みやすいところもありますし。まあ、リカバリーも早いというか易いんですけれど。だからまあ、この危なっかしい後輩に対して、絶対城先輩は乱暴に使い倒すようにしながら、実際はかなり繊細に接していたように思います。
とまあ、ここまでは大切に扱いつつも、あくまで後輩の範囲だったと思うんですよ。礼音が絶対城先輩のことを意識するくらいには、先輩の方も礼音のことを意識はしてたと思いますけれどね。
でも、今回における先輩の礼音の扱いを見ていると、ちょっとそれどころじゃないような素振りが、あからさまに……。相変わらず礼音は、パカーっと口をあけて気がついてないというか気にもしてないようなのですが、先輩から礼音に対して、お前もっとちゃんと女らしく振る舞え、という光線がビシビシと放たれてるのです。まともに服も持っていない礼音に、ちゃんとしたドレスを贈ったりしてるのなんぞその最たるもので、他にも礼音からの恐る恐るのデート(仮)のお誘いにかなり前のめりにデート(本気)として了承してたり、偽装としての恋人設定に先輩のほうが実はノリノリだったり、となんか傍目の仏頂面とは裏腹に、中身の方浮かれてたり色呆けてたりしませんか、先輩!?
先輩の数少ない友人であり、礼音の他では唯一と言っていい相棒である杵松さんが、今回の一件では妙な動向を見せて先輩と礼音から距離を置いていたせいもあってか、普段よりも余計に先輩が寂しそうにしていたのも、礼音に余計に構っていた原因の一つではあるんでしょうけれど、それにしても先輩のアプローチはなかなか笑えましたよ、礼音が女子としては目も当てられないポンコツっぷりで、それらを受け止め損ねていたせいで。まあ、効果がなかったわけではなく、礼音の方もちゃんと理解してないながらも、何となく距離を縮めて行こうという素振りが見えたので、成果はあったんでしょうけれど。
まともな人間づきあいが出来なさそうな絶対城先輩と、食わせ物ながらもまともな人に見える杵松さん、この二人がどうして友人関係になったのか、その馴れ初めから今に至る信頼関係が築かれるまでのお話が語られて、その意味でもなかなか面白く興味深いエピソードでした。思ってた以上に杵松さんの影響力って大きかったのね。意外と親しくなった相手には依存するというわけではないけれど、結構のめり込む傾向が先輩にあるのはよくわかった。クラウス先生についても、前に対立した際は先輩のメンタルが面倒なことになったし。寂しがり屋かッ!
そのクラウス先生は今回も色々と引っ掻き回してくれた気がしますけれど、この人敵として立ちまわると本当に厄介というか面倒くさいというか鬱陶しいんだけれど、味方となるとやっぱり面倒ではあるんだけれど頼もしさが段違いだわな。絶対城先輩だけで十分頼もしいんだけれど、クラウス先生が助言をくれると安定感が違う。

肝心の怪異については、相変わらず前半の常識的かつ民俗学的見地からの怪異現象の解体から、後半のとんでも展開のギャップが楽しい。もう、普通に本物の妖怪だった、という方が安心できるようなぶっ飛んだ存在が出てくるもんなあ。普通に、黒幕の正体はそれまで登場した人物の中から予想していたのに、あれはちょっと予想の斜め上過ぎましたよw

杵松さん、以前からの実はこの人物語全体を通しての黒幕なんじゃ、という疑惑については概ね払拭できたと思うのですけれど、ちょっと違う方面で微妙に怪しい素振りが、ラストなんかでも垣間見えてきたような……。
まさかの三角関係フラグですか?

シリーズ感想

絶対城先輩の妖怪学講座 33   

絶対城先輩の妖怪学講座 三 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 3】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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東勢大学文学部四号館四階四十四番資料室。そこに収められた妖怪学に関する膨大な文献は、絶対城が師匠であるクラウス教授から引き継いだものだった。ある日、四十四番資料室に、独逸語の手紙と謎のスケッチが届けられる。そこに描かれた妖怪の正体とは何なのか。見事スケッチの謎を解いた絶対城の前に、クラウス教授が現れる。久し振りの再会に話が弾む師弟。しかしクラウス教授は突如、資料室を文献ごと返し、妖怪学をやめるよう絶対城に迫り―!?
あれれ? 小さな山小屋で冷えた身体を温めあいながら一晩すごしたり、同じ屋根の下で同棲生活とか、甘酸っぱくもちょっとビターでアダルトなラブシチュエーションが満載だったはずなのに、色っぽさが欠片もないのは何故なんだ!? 疑問を抱く余地もなく、女子力皆無の礼音のせいなんですけどね!! あんた、もうちょっと女の子らしくトキメキなさいよ、ほんとにも〜〜こいつは女らしさというか女っ気が全然ないんだから。大学生にもなってそんな健康的なわんぱく小学生みたいなキャラクターでいるの、なんとかしなさいよ。化粧どころか、女らしい服を買うにも四苦八苦してるとか。ってか、10月になってまでなんちゅう薄着でいるんだ、こいつは。小学生か!!
私生活ではまともに自炊もしてないみたいだし。もう、絶対城先輩を嫁に貰うしかないじゃないか。意外と主夫が似合うことが発覚してしまったわけですし。意外とマメなんだよなあ、この人。律儀なところあるし。行くところがなくて礼音が自分の部屋に連れて帰って住まわせていた、というとヒモみたいに見えるんだけれど、礼音に甲斐性がさっぱりなかったせいか、全然そんな風に見えなかったのはなんともはや。先輩、後で色々と言い訳していたけれど、あの時点で意気消沈していたのは間違いないだろうし、本気で凹んでいただろうから、礼音がちゃんと世話しておけば躾けられたかもしれないのに、むしろ餌付けされてたもんなあ、この娘は。だから、いい年した男女が狭い部屋に同居しながら、なんでここまで色っぽい話にならないんだか。この娘はもう……(苦笑
不遜に見えて、絶対城先輩って無茶苦茶可愛らしいところもあって、むしろ女子力がない少年のような礼音とはお似合いのところもあるのかもしれませんが。こういう男のタイプは、同じく大人っぽい女性とのカップルも絵になるんですが、礼音みたいなタイプと噛みあうと妙に微笑ましくなるんだよなあ、それがいいんですが。

しかし、何がに作者、古代種好きですよねえ。前回の怪物の正体にも度肝を抜かれましたけれど、今回のはそれにある意味輪をかける怪で……いや、これならまだ真怪の方が理解できるんですけれど。クライス教授の秘密、コッチのほうが怖いわ!! 羽根の種類からして、クラウス教授が自称していたモノとは違うんだろうなあ、とは想像ついてましたけれど、妖精さんを期待したワクワク感を返せ!!w いや、実際にはマシンの類なんじゃないかと疑っていただけに、これには度肝を抜かれました。
驚いたといえば、鵺の正体についても、絶対城先輩の出した答えはびっくりしましたけどね。マジでそんな説あるの? 言われてみると、鵺の姿ってその動物に当てはまる気もしないでもないですが。これは面白い話だなあ。

絶対城先輩の妖怪学の師でありながら、再び現れた今、妖怪学の危険性を訴え手を引くように強引な手に打って出たクラウス教授。彼の言うとおり、実際にこれまでも妖怪に纏わる話で危険な目にあってきたのも確か。しかも、それは妖怪によるものではなくて、歴史の影から妖怪という存在に関わってきた人間たちの手によるものなんですよね。クラウス教授の残した警告は、絶対城先輩の過去も相まって不穏な空気を漂わせていくのだけれど、礼音の根っからの明るさが暗い雰囲気を吹き飛ばしてくれるので、随分と楽である。女子力ないけれど、場を明るくすることについては信頼がおけるもんなあ、礼音は。これでもう少し女子力が……というのはどうやら絶対城先輩も同意見のようで、そのうちいい加減我慢できなくなって自らコーディネートはじめるんじゃないか、この人。
怪しいと言えば、なんか回を重ねるごとに杵松さんが怪しく思えてきてしまう不思議。いい人で信頼できる人であることは疑いないのになあ。

1巻 2巻感想

絶対城先輩の妖怪学講座 二3   

絶対城先輩の妖怪学講座 二 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 二】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室の妖怪博士・絶対城阿頼耶の元には、今日も怪奇現象の相談者が訪れる。長身色白、端正な顔立ちながら、傍若無人で黒の羽織をマントのように被る絶対城は、資料室の文献による知識と巧みな弁舌で、数多の怪異をただちに解決へと導く。夏休み。絶対城と礼音は織口准教授の誘いで、とある田舎の集落を訪れる。そこで二人は、古代より続く奇怪な風習に巻き込まれるのだった。四十四番資料室の怪人が紐解く伝奇ミステリ第2弾。
絶対城先輩、いつの間に貴方そんなに可愛らしくなっちゃって。
確かに前巻でも最初の傍若無人な印象からどんどんと意外と気遣いの出来る人だというのがわかってきて、愛嬌というか可愛い人だなあ、と思える部分は垣間見えてたんですが、礼音と十分打ち解けてきたこの巻ではちょっと他人行儀だったところがなくなって、ほんとに礼音に対していい意味も悪い意味でも遠慮がなくなってきたぶん、彼女に対する対応がえらく可愛く見えるようになってるんですよね。
あーた、ホントは礼音のこと滅茶苦茶可愛がってるだろう(苦笑
これが女性に対する感情によるものか、それとも後輩を猫かわいがりしているのかは判断の難しいところなんですけど、ともかく礼音の事を大事にしているのが随分とあからさまになってきて、思わずニヤニヤしてしまうシーンが多発してきたものだから、こちとら溜まったもんじゃありません。前はもっと絶対城先輩の礼音に向けた言動って、無関心に根ざした辛辣で突き放したようなものの方が強かったのになあ。比べてみたら、随分と態度変わってるんじゃないだろうか。
その辺、無意識に礼音本人も感じ取ってるのか、以前のように彼の言動に腹を立てることも少なくなり、むしろこう満更じゃない感じでデレデレっとし出したのには、参ったというか意外と聡いなあと思ったというか。
何気にあれだけ酷かった女性として最低限の格好も、結構改善してきているようですし。1巻ではさすがにこれはないわー、とドン引きしたもんなー。

さて、肝心の真贋が混在した怪異とそれに纏わる人間たちとの対決、または真相究明は、1巻に引き続いて民俗学に基づいた妖怪モノ、と構えていると椅子ごとひっくり返りそうな展開が待ってます。いや、さすがにそれは予想の斜め上すぎるわーー! とはいえ、件の怪物については某直木賞なんかでも取り扱われたように、こういったケースで登場することについてはそこまで驚かなかったんですけれど、このジャンル跨ぎはやっぱり意表突かれたなあ。いや、この神様の正体そのものよりも、その生き血云々の効能の方が胡散臭さたっぷりですよw
むしろ、ゾッとさせられたのは裸祭りの原型についての薀蓄でした。あれ、マジなん!? そんな話、初めて聞いたんですが、これ本当だとガチで怖いんですけど。

ともあれ、思っていた以上に絶対城先輩と礼音のコンビがしっくりとハマってきた上に、お互いの心がしきりと動いてお互い目を離せなくなってきたので、面白さが本格化してきました。これは、このまま長期シリーズ化所望ですよ。

1巻感想

絶対城先輩の妖怪学講座 3   

絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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 妖怪に関する膨大な資料を蒐集する、長身色白、端正な顔立ちだがやせぎすの青年、絶対城阿頼耶。白のワイシャツに黒のネクタイ、黒の羽織をマントのように被る彼の元には、怪奇現象に悩む人々からの相談が後を絶たない。
 季節は春、新入生で賑わうキャンパス。絶対城が根城にしている東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室を訪れる新入生の姿があった。彼女の名前は湯ノ山礼音。原因不明の怪奇現象に悩まされており、資料室の扉を叩いたのだ――。
 四十四番資料室の妖怪博士・絶対城が紐解く伝奇ミステリ登場!
はじめは現代版【巷説百物語】かと思ったら、最後はMMRになっていた。
ぬらりひょんの正体は○○だったんだよっ!! なっ、なんだってー!?
いやいやいや、いくらなんでもそのネタは面白すぎますよ。それまでの実直な妖怪薀蓄から一転して奇想天外すぎるフリに、思わず吹いてしまいましたがな。それはない、それはないw
基本的に妖怪は存在するも実在せず、という学問的スタンスで進行していただけに、ユーレイちゃんが長年悩まされ続けていた耳鳴りの真相から、ぬらりひょんの正体に基づくある旧財閥の秘されし罪業という展開にはさすがに面食らったのだけれど、傲岸不遜な妖怪狂いの怪人・絶対城阿頼耶と彼の小間使いとして働かされることになったユーレイこと湯ノ山礼音の軽妙な掛け合いと、妖怪に絡んだ、或いはこじつけた事件を次々と解決、もしくはでっち上げて金銭を巻き上げていく、それ詐欺じゃね? というお話の数々は、得意の妖怪ネタをより学問的な方向から掘り下げながら、今までの著作とは違った新境地を構築していて、峰守ひろかずを知らない人も元からのファンの人も区別なく楽しめる作品になっていたんじゃないでしょうか。
実は前から妖怪薀蓄についてはもっとやりたかったんだろうなあ。【ほうかご百物語】では経島先輩がそりゃもうこれでもかと喋り足りなさそうに語りまくっていた薀蓄ですけれど、此方ではさらに深く長くひたすら絶対城先輩が語る語る。遮ったら絞め殺されそうな勢いで語る語る。でも、京極堂以来、こういう薀蓄話は私も大好物なので思わずニコニコしながら絶対城先輩の熱の篭った論に聞き行っておりました。いやー、幽霊って厳密には妖怪のカテゴリーなんだ、あれ! この幽霊の話については初めて知るような情報や目からウロコの内容もあって、思わず礼音と同じく「へぇ!」と唸ってしまいました。いや、この話が本当だとすると、今まで当たり前のように思っていた幽霊の既成概念がけっこう崩れるんですよね。落ち武者の幽霊とか、わりと根本から存在否定されてないですか、これw

さて、鉄甲はしないんですか、と尋ねたくなる怪しい風貌の絶対城先輩ですが、その風体や横行な名前は商売柄(?)の看板のようなもので、ちゃんとした場面ではきちんとTPOをわきまえた格好や言動に移行するあたり、実は社会性については礼音よりもしっかり備えているんじゃないだろうか、と思えてくる。礼音の方が、無地のTシャツにホットパンツという女子大生にあるまじき格好をどんなシーンでも改めないあたり、なかなかどうかしている。ってか、コンパにその格好はないよ、さすがに。それどころか、口絵の礼音ちゃんの格好はどう見ても油断してる部屋着以上のものに見えないんですけれど。これで外うろつくとか学校行くとか、ないわー。この娘に、絶対城先輩の格好を云々言う資格はあんまりないように見える。
まあ、格好はともかく、あの傍若無人な性格について文句をいうのは、それに振り回されている限り権利ありとは思いますけどね。なかなかの絵に描いたような傲岸不遜、傍若無人、居丈高で性格も悪く口を開くと罵詈雑言が自在に行き交う、とてもお付き合いしかねる人格の持ち主である。
早々にこれに慣れてしまう礼音は、なかなか大した打たれ強さというか、精神的に鈍感というか、実は大物なんじゃないだろうか。
とはいえ、確かに深く付き合ってみると、この歪んだ性格が拗ねたわんこみたいに可愛く思えてくるから不思議である。意外ときめ細やかに気遣いが行き届いてたり、口ではなんやかんや言いながら実は結構礼音のことを大切に扱ってたり、時々ストレートに素直だったり優しかったり、と後半に差し掛かるにつれて違う側面が見えてくるので、心憎い限りである。礼音にしても、仕方ないなあこの先輩はデュフフフ、みたいな感じでハマっていってるような気がするが、それはドツボだぞ、お嬢さん。まあ、こういう偉そうなのに時々もろにデレたりされたら、たまらんものがあるよね、わかるわかる。
次があるかまだわからないそうだけれど、これはもう少し続き読みたいものだなあ。

選ばれすぎしもの! 3 3   

選ばれすぎしもの! 3 (電撃文庫)

【選ばれすぎしもの! 3】 峰守ひろかず/京極しん 電撃文庫

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異世界の王女マヤが加わり7人となったヒロインたちと暮らす、僕こと水尾護。勇者として異世界の平和を護る…はずが、何故かビーチで男だらけ!でもビーチということは水着に着替えたヒロインたちも勢ぞろいですよね。しかし、水着をも凌ぐ更なるお色気イベントが僕を待ち構えていた!果たして僕は襲いくるヒロインたちから逃げ切れるのか?ってなんで襲われてるの!?そんな苦難?を乗り越えた僕だが、偽勇者ゴルディアスの正体を暴くため旅立つ決意をする。一緒に行けるのは1人だけだというが―?こき使われ系勇者の物語、完結。
最初からおおよそ三巻くらいで締める予定だったと思われる書き方だったので、おそらく順当な完結編。もうここらへんになると、護はフラウディアと完全にいい雰囲気に収まってしまっていて他のヒロインズとはフラグが立ちようもなくなってしまっている。まあこの作者さんは、主人公は一人に一途だった方が主人公自体がイキイキし出すのでそれで良かったと思うのだけれど、それで他のヒロインたちがやや中途半端な立ち位置になっちゃってたんですよね。あとがきを読むと、ハーレム・スタイルの作品なのでヒロインが主人公以外と明確なカップルを作ることを止められてたみたいなんだが、この人の場合いっそ推奨して沢山カップル作ってラブラブさせた方が全体に躍動感が生まれてきそうなものなので、掣肘が作品自体の勢いを止めてしまった感があるので残念であります。だいたい、殆どみんなカップル成立寸前だったじゃないですか! これじゃあもどかしいったらありゃしないですよ。叢雲さんが二人の男性からアプローチされて右往左往する話や、みんなのお姉さん・キトラが恋に目覚める話しなんか、凄く読んでみたかったですよ? 特にキトラ姉さんは自然児でありながら非常に出来た人なだけに、ハリさんとの間に育む恋愛感情がどんなふうに現れるのか、とても興味引かれるところだったのに。
そして、個人的には博士の恋愛話こそ一番楽しみにしていただけに、エピローグでさらっと流されてしまっているだけなのは微妙に悲しかった。ラブコメ的に一番映える性格してたのはこの人だったろうに。完全にただの貧乳担当になってしまっていたw
そんな博士を裏切って、成長すると他の女性陣を圧倒するスーパーダイナマイトボディになることが発覚したアーニー。乱暴者で荒くれ者の拳銃使いで何より年齢的に一番子供だったにも関わらず、実は一番理性的で周りが無茶苦茶やりだすと正論吐いて抑えに回るというキトラ姉さんに負けず劣らずに第一印象と実体が間逆だった彼女だけれど、そこにわがままボディまで加わるとなると、成長した時のキャラクターが思いっきりチグハグになりそうで面白いんだよなあ、この娘。前巻ではまだ子供だから相手となる人居ないから護兄ちゃんにベッタリか、かと思ってたら、そもそも精神的に大人すぎてあんまり甘えてこないわ(だからこそ、此処ぞという時に頼ってくるのが可愛いのですが)、キトラの弟と実はイイ仲になってたりとか、おのれキトラ姉の弟め、将来はしっかり者の巨乳姉ちゃんをゲットかよ。
しかし、並み居る履歴経歴の持ち主であるヒロインたちを押しのけて……というほど押しのけてもいないけれど、他の娘さんたちがフラグらしいフラグも立てないまま、ほぼ順当に護との関係を育んだフラウディア。魔法は使えるけれど実はただの食堂の娘さんだったこの娘がヒロインの座をゲットした、というのはある意味画期的だわなあ。唯一、護に対して恋愛感情を差し向けた魔界のお姫様マヤには、きっちりとお断りを入れ、ちゃんとフラウディアと付き合いだすあたり、護のきっちりした誠実さが伺える。言動見てると、外見ほど真面目じゃないんだけれどね、こいつ。まあ、でも身の丈というか価値観がぴったりと合ったカップルで、見ていて微笑ましい恋人同士でした、といってもこの作者が書くカップルはだいたいみんな見ていると自然と顔が綻ぶ微笑ましさなんですけどね。ともあれ、みんなお幸せに。
とは言え、何だかんだとデビュー作である【ほうかご百物語】のハードルは高いご様子。あれは面白かったからなあ。次回作は河岸をメディアワークス文庫に変えつつ、もう一度妖怪をテーマにしたお話になるようで、心機一転頑張って欲しいところであります。

峰守ひろかず作品感想
 
12月1日

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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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