川口士

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉9 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

Amazon

ジスタート王国の次期国王の座をめぐる騒乱を鎮圧するために、自軍を率いて出立したエレン。出向いた先で合流した“雷渦の閃姫”エリザヴェータの側に、行方不明だったティグルを発見する。しかしティグルは記憶を失っており、エリザヴェータの従者“ウルス”と名乗った。エレンのことも思い出せないという。その言葉にショックを隠せないエレンだが、おとなしく引き下がれるわけはない。だが、エリザヴェータもはじめての部下である“ウルス”を手放すつもりはなかった。戦姫同士の激突は避けられないのか。ジスタート国内の陰謀や思惑も加わり、ティグルの運命は嵐よりも大きな動乱に飲み込まれようとしていた。大人気美少女戦記ファンタジー、第9弾!

今回から絵師交代、ということでどうなったか楽しみだったんだけれど、いいんじゃないデスか? ちゃんと誰か分かる範囲で上手いこと自分なりにアレンジしてらっしゃるし。個人的には、ミラのおぱーいがどうなってるかが早く見たい。彼女、丘陵が非常に貧しいという特徴があるのに、前はどう見ても巨乳にしか見えんかったもんなあ。
さて、エリザヴェータ陣営にティグルを発見したことで、一触即発となるエレンとエリザヴェータ。こりゃもう、軍事衝突まっしぐらでしょう、という緊迫具合だったというのに、土壇場でエレンがグッと踏みとどまったのには驚かされた。凄い、ちゃんと戦姫としての立場を見失ってない。
ことがティグルの生存に関することだけに、ここは激発しても仕方ないかと思っていただけに、エレンも、それにエリザヴェータも必要以上に感情に引きずられずに、冷静に引いてみせたのには正直参った。まだまだこの娘さんたちを見縊っていたかも。エレンは特に、先日サーシャを看取ることで大きく戦姫としての自覚を新たにしていたのかもしれない。この件に関しては、エレンも去ることながらエリザヴェータの方も感情的になっていたので、こりゃあかんと思ったんだけれど、エレンだけではなくエリザヴェータも取り乱したまま暴走しなかったのはホント偉かった。この娘も、ぶきっちょだけれど過去から現在進行形でずっと苦労してきたせいか、戦姫の中でも自分を律する事については一際目立つところがあるんですよね。言い方変えると苦労性というかなんというか。エレン並に、とは言わないまでももうちょっといい加減にやれたらいいんだろうけれど、性格的に無理か。環境が許してくれなかったというのもあるし。
しかし、ここでティグルの正体が半ば明らかになったことで、むしろエリザヴェータが開き直ったかのようにティグルを引き止めんと距離感を縮め出してるんですよね。自分のものではない、とはっきり悟ったからこそ、子供が拾ったペットを元の飼い主に返すのを拒むように、必死にしがみつく様は、エリザヴェータという少女がこれまで必死にこらえてきたものが一気に決壊していっているようで、見事にヒロイン株をあげてるんですよね。
これは、記憶が戻らなくてもいずれエリザヴェータの元から去るつもりだったティグルにしても、情が湧くというものでしょう。拾ってもらった恩を感じ、またちょっと突っ張って危なっかしい彼女に心配げに接していたティグルですけれど、むしろエレンたちと顔を合わせて以降の方が、エリザヴェータに親しみを持って接していたような気がします。お忍びで二人で街を散策とか、どんなお姫様デートだ。でも若干これ、妹扱いしているような気配が……。
ちなみに、記憶をなくそうが相変わらずの女殺しのティグルさんですが、実のところメロメロにしているのって女だけじゃなくて、同じ頻度で男の方もその魅力で撃墜しまくってるんですよね。むしろ、シリーズ通して見ると、女性よりも男性キャラの方が陥落率高いんじゃないだろうか。今回も、エリザヴェータの側近のナウムさんをあっさり味方につけちゃってますし、文官筆頭のラザール老もこれは時間の問題ではないかとw

以前からひっかかっていた、エリザヴェータが例の魔物の一体と何やら契約をしてしまっている疑惑だったのですが……これは返品! クーリングオフ可能な事案です! どうも正体を明かさず、しかも一方的に押し付けたもので、エリザヴェータも不気味に思ってかなるべく使わないようにしていたようですから、これはクーリングオフ対象でしょう。あれです、勝手に商品送りつけてあとで代金請求する詐欺行為みたいなもんで。
良かった。エリザヴェータってある意味オルガ並に「良い子」だったので、そんな娘があの連中と繋がっているというのもヤな感じでしたし、騙されているようでしたら尚更ですもんね。
とはいえ、余計なハンデを背負ってしまったのは間違いないようですけれど、やっぱ根性座ってていいわぁ、この子。

一方で、薄っすらと大丈夫か?という怪しい雰囲気が出てきたのがヴァレンティナ。イルダー公が軍を起こしたのまで彼女の策かと思ったら、彼の行動は予想外ってどうも片手落ち。もっと全部掌の上みたいにコントロールしているのかと思ったら、ちょっと見通し甘いところがあるんじゃないかと逆に心配になってきた。匿ってるブリューヌのガヌロンたちについても、イマイチちゃんと把握していないっぽいし。
むしろ、ジスタート王の方がまだ怖いよなあ。何考えてるかさっぱりわからないし。

魔物たちの動向が激しさを増しはじめ、そこにさらにムオジネル王国の蠢動まで確認され、まとまったと思われたブリューヌでも、ガヌロンの手引で乱の予兆が。もしかして、大荒れはむしろここからなのかしら。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 13 4   

千の魔剣と盾の乙女13 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 13】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

死闘の末に魔王バロールを打ち倒したロックたち。だが、生きていたケンコスがエリシアの身体を奪い、新たな魔王と化して姿を消した。失意の底に沈むロックだが、仲間たちに支えられ、エリシアを解放するための旅に出る。一度別行動をとり『文化都市』ベアルフェルで合流を果たしたとき、ロックの心は荒み、変貌していた…。一方、ケンコスはクロウ=クルワッハ覚醒の準備を進めるとともに、己が目的の妨げになる者を葬り去らんとして動きだした。ロックは新たな魔王を倒すことができるのか。そしてエリシアを救いだすことができるのか。本格魔剣ファンタジー緊迫の第三部!
ケンコスさんのセンスがイカしすぎてる!! 何を思ってこんなアグレッシブすぎるファッションを身につけてるんだ。あまりにも如何にもすぎて、逆にちょっと笑えてきすらしましたよ。ああ、ケンコスってそういう趣味の人だったのね、と(笑
それはともかくとして、エリシアを奪われたロックたちの荒れっぷりが酷い。本当に酷い。エリシアの意思がどれだけ持つかのタイムリミットもあり、彼女の体を取り戻すための方策も見つからず、と絶望する要素は満載なのだけれど、それにしてもロックの荒み方が、こいついったい誰だ!? というくらいになっていて、さすがに愕然としてしまった。このロックを見てしまうと、普段のロックってすごく大らかで温厚で朗らかな青年だったんだなあ、と今更のように納得してしまった。これまでだって、精神的に余裕が無い窮地はいくらでもあったはずなのに、ロックは切羽詰まりながらも、その柔らかな性格にはブレがなかったですもんね。それだけに、これだけロックが荒んでしまった姿を見るのは、なかなかショックでした。荒んでいると言っても、無愛想になったり寛容さが薄くなったり周囲に対して反応することを面倒臭がるようになったり、といった感じで社会性、社交性を失うほど荒れきっているわけではないのが、逆に身に詰まるものを感じさせられ、かなりキツかったです。こうなってみて初めてわかったんですけれど、自分、このロックという主人公のキャラクターがかなり気に入っていて好きだったんだなあ、と今更のように実感させられた次第。フィルやナギも、こんなロックには戸惑いを隠しきれず、エリシアを助けるために一致団結しなければならないパーティーは、自然とギスギスして居心地の悪い空気が流れることに。ナギやフィルの方も、ロックの変化を受け止め宥める事が出来るだけの余裕を失い、彼女たちも荒んでいた、と言えるのでしょうね、これ。特に、プライヴェートでも後衛として余裕を持ってみんなを誘導してきたフィルがあれだけ余裕を喪ってバタバタしていたのが印象的でした。なんだかんだとこのパーティー、要はこのフィルだったんですよね。その彼女に余裕がないと、これだけ不安を助長させるのか。
何気に、これまでで一番のパーティー崩壊の危機だったんじゃないでしょうか。それでも、こういう歪みを乗り越えられてこそ、家族になろうという男女の仲というもの。これまで出会った人たちの、助言や助けがあり、相棒であるホルプの献身的な慰めもあり、ちゃんと危機を乗り越えられたロックたちは、えらいですよ。正直、エリシアが戻ってくる前に修復できて良かった。エリシアを取り戻してから、じゃ格好が悪すぎますもんね。いくら、エリシアが正妻とはいえ。旦那さんにしてもお嫁さんにしても、それじゃあ情けなさすぎル。
それにしても、エリシアが居ない分、ホルプがちょっと献身的すぎるでしょう。あんた、雄じゃないのかよ。まさか、ホルプの龍身を見る機会がこのシリーズでもあるとは。世界よりも相棒であるロックや、エリシアたちを優先することを明言するホルプは、彼がこれまでなしてきたこと、彼の性格を思えばかなり衝撃的な事で、だからこそホルプの、傷つき荒れ果ててしまったロックへの慈しみが伝わってきて、思わずジンとしてしまいました。ほんと、最高のバディじゃないですか。
さり気なくリャナンシー復活フラグを立てつつ、エリシアを助けるための手段も無事見つかり、あとは決着をつけるだけ。ファーディアが何気にチョロすぎる気もするんですけれど、彼も仲間に加えて、さあクライマックスだ。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

トルバラン率いる海賊の残党によるレグニーツァ襲撃を受け、双剣の戦姫サーシャは病身を押して決死の出陣をする。普段は敵対するエリザヴェータとの共同作戦の下、消えゆく命の灯火を燃やしながら壮絶な戦いを繰り広げるサーシャの美しい姿は、見るものにある“伝説上の生物”を連想させた。一方、ティグル行方不明の報を受けて傷心を引きずるエレンは、サーシャの危機に駆けつけようと戦地へと急ぐが―。そして、静かに暗躍するヴァレンティナの企み。海賊の残党が潜んでいた海岸でエリザヴェータが出会った“ある男”とは…?時代を揺り動かす大きな波に呼応するように、新たなる伝説が生まれていく!大人気最強戦姫ファンタジー第8弾!
戦姫サーシャ、最後の戦い!!
登場当初から死病に冒されていたサーシャ、死亡フラグというにはあまりに頑強で塔のようにそそり立ったその死へのカウントダウンは、だからこそ逆死亡フラグになるんじゃないかと、仄かな期待を抱き続けていたのですが、彼女の目前の死に対する静謐にして凄絶な覚悟は、そんな甘い期待の届かないものでした。生きたいと願いながらも死から逃げず立ち向かい、最後まで戦い続けたその姿は荘厳ですらあり、心震わせる雄姿でもありました。それだけに、子供を産んでみたかった、という願いがあまりにも切ない。
この時代の海戦は、いや海上戦はこの時代に限らないんですけれど、逃げ場のない船上ということもあって、敵も味方も死にまくる殲滅戦になるんですよね。帆船の海戦もえげつないですけれど、今回のガレー船同士の壮絶な潰し合いも凄まじかった。本格的な戦記モノとなると、こうした海戦も手を抜いていないというか、よっぽど力入れて書かれていたのが伝わってくる迫力満点、或いは血みどろの戦いでした。作品通じても、屈指の一戦かも。
その最後を飾る、死戦に立つが故に余人の及ばぬ高みへと至ったサーシャの、トルバランとの決戦。これまで戦姫の並外れた戦いっぷりには見慣れていたつもりですけれど、今回のサーシャは格が違ったようにすら思います。武器の格ではなく、彼女自身の純粋な業が神懸かりの域にまで達していたのでは、と。それは、死の瀬戸際に立ったからこその、蝋燭の炎が燃え尽きる最後の輝きだったとしても。

そんな彼女の最後の戦いを共に戦った戦友が、彼女の最期の戦いを目の当たりにしたのが、エレンではなくエリザヴェータであったというのは、サーシャやエレンではなく、エリザにとってここは大きな意味を持って欲しいものです。
エリザもねえ、この娘は前から色々と不器用な娘だとは思ってたんですけれど、こうして本格的にその性格や戦姫としての努め方、周りの環境なんかを見る機会を得てしまうと、凄く同情心が湧いてくる。生真面目なんですよね、エリザって。義務や責任を必要以上に背負ってしまうタイプみたいで、先代から受け継いだものをそのまま活かそうとして、自分の色を出せないまま四苦八苦している様子が、ちょっとかわいそうになるくらい。そこは、戦姫としてもっと自分の思うとおりにしたらいいだろう、と思ったりもするのだけれど、生真面目な分自分に対しても凄く厳しい見方をしていて、自分の方に理が薄いと感じるとどうしても強く押せない、つまりワガママを言えない、という窮屈な性格で。
そんな彼女が唯一ワガママとして身近に置こうとした記憶喪失の男に、ついつい拘って縋ってしまう姿にもついつい情が湧いてしまうのです。
死んだと思って、諦めてはいないけれど覚悟はしていた相手が目の前に現れた、というエレンたちの気持ちも痛いほど分かるんですけれどね。
しかし、記憶もないまま堅物で余裕のないお嬢を一発で魅了してしまうティグル御大は、さすがです。不在になることで、決定的にエレンに対しても意識を変えさせてしまうあたりも。エレン、ティグルが生死不明になるまでは、無意識にはどうかわかりませんけれど、少なくとも意識に浮上するまでティグルを男として認識はしていなかったと思うんですけれど、一度死んだと思わせたことで果たしてどこまで存在の楔を打ち込んでしまったのか。
ともあれ、エリザがかわいそうなのは、そうやってはじめてのワガママでティグルを帰すまいとすると、自動的に戦姫の過半数を超える四人の戦姫とブリューヌ王国を敵に回して熱狂的に袋叩きに遭いかねないところなんですよね。なんという無理ゲーw
これまでずっと我慢して我慢して堪えて耐えてきて、そうしてようやく初めてワガママ言って一人の男を身近に取り立てようとしたら、その一回で破滅コース一直線直滑降とか、可哀想すぎじゃありませんかw
許してあげてぇ。

どう拗れて、どうほぐれるかわかりませんけれど、これでエリザが報われなかったらちょっと悲し過ぎます。さすがに味方サイドに加わってくれると思いますけれど。
しかし、サーシャが亡くなってしまったことで、戦姫全員がティグルの元に集う、という展開はやはり望まれないようで、ヴァレンティナも自動的に完全敵サイドということか。今回の暗躍っぷりなんぞ、黒幕としては凄まじいと言っていいくらいの手練手管だもんなあ。あの政敵二人に対する接し方なんぞ、本気で間を取り持とうとしたのか、と思ってしまったくらいに表向きには仲介役として完璧ななさりようでしたし。
まさか、あそこからこんな拗れることになるなんて。両者とも並み以上の好漢だっただけに、悪辣さが半端ない。問題は、国王陛下がどこまで関わってるか、なんだよなあ。まったく無関係ともとれるし、最初から謀っていたとも可能性としては考えうるし。どちらにせよ、この国王の考えや目的が見えてこないことには何もわからない。エレンの見方はどうやら一方的すぎて参考にならないようですし。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 12 4   

千の魔剣と盾の乙女12 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 12】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

熾烈を極める魔王城の戦い。難敵ケンコスをついに退けたロックたちは、バルトゥータスとの久方ぶりの師弟再会を果たす。しかし、再会を喜ぶまもなくバルトゥータスはロックに真剣勝負を挑む。魔王との最終決戦を前に、愛弟子が魔王との戦いについてこられるか、その実力を見極めんとしているのだ。バルトゥータスにはたしてロックは打ち勝つことができるのか。そして、魔王との最終決戦。バルトゥータスとロックは魔王を倒すことができるのか、そして蒼輝の勇者サーシャを助け出すことができるのか。川口士が贈る本格魔剣ファンタジー、ついに魔王バロールとの最後の戦いへ!
ふわぁ……いやあ、これだけ正統派の魔王戦って果たして今まであっただろうか。この場合の正統、というのはドラクエ3とかあの辺ですね。魔王城に突入して、一番奥の玉座で待ち構えている巨大な怪物状態の魔王に立ち向かうスタイルでの魔王戦。意外と、このスタイルの魔王戦って小説系統では全然浮かんでこないんですよね。なんかあったっけ。
ラスボスが等身大の人間サイズだとまた違うんですよ。ちゃんと巨大サイズで知性があり、様々な特殊攻撃を仕掛けてくるという醍醐味がないと、RPGで味わったようなラスボス戦じゃないんですよ、こここだわりね。
その意味では、このバロールは百点満点と言ってイイラスボス魔王でした。初手の魔眼による即死攻撃から、肉弾攻撃、大威力の範囲攻撃に状態異常、などなど読んでてなんだか無性に嬉しくなってくるほどの魔王らしさで、今回ページの大半を割いての膨大な分量で魔王戦が描かれることになったのですけれど、最初から最後まで手に汗握りっぱなしの白熱した大激戦で、これもう文句なしの大満足のラストバトルでした。最近どころか古典までさかのぼっても、ホントここまで立派な魔王決戦見たことないよ。
しかも、囚われのお姫様ならぬ勇者様を救出するという王道イベント付き、ってあれ? 主人公バル師匠じゃね、これ? バル師匠絶体絶命の際に彼のために手を差し伸べられた救いの手がまた完全に主人公イベントなんですよね。まあ仕方ないか。こればっかりはバロール相手の戦いはバル師匠がメインでしたもんね。ぶっちゃけこの手の師匠キャラは死亡フラグ立ってるものなんですけれど、彼に関しては師匠キャラというよりももう一人の主人公だもんで、そういう気配全力で振り切ってたもんなあ。
それでも、バル師匠はともかくとしてサーシャの方が大丈夫なのかと不安が残っていたところだったんですけれど、文句なしに見事に救って見せたもんなあ。二十年近い執念が結実したわけで、大したもんである。
挙句、巻末ではバルトゥータス関係ないところでサーシャとニーウが仲良くなっちゃってる始末。あかん、こっちも嫁が二人になりそうだ。これでサーシャが一番年下で、ニーウがお姉さん、しかしサーシャの意識ではバルはまだ十歳の子供で弟みたいなもんだけれど、実際バルは三十超えたおっさん、という倒錯した三角関係なんですよね、なにこれ面白い。
しかし、バロール戦から間を置かずにそのままクロウ・クルワッハ戦になるのかと思ってたら、完全に予想外のとんでもない展開に。なるほど、今回の表紙がエリシアなのも相応の理由があったのか。
いやあ、バロール戦があまりにも激戦すぎたので、ほんとに今回で終わるのかと思ってしまいましたがな。まさか、リャナンシーがあんなことになるとは予測もしてなかったもんなあ。彼女の思惑が、あそこまで決意篭ったものだったとは思わなかっただけに。もうちょっと感情として冷たいものと思ってた。これも妖精の情、というやつなんだろうけれど、切ないのう。

ともあれ、二部関係でそのまま三部突入という思わぬ自体に。もっとも、続きは残り二巻だけみたいですけれど、バル師匠の旅はこれで終わり、これからは本格的にロックたちの物語だ。いやでもこれ、パーティーバランス的に彼女抜けたのめちゃくちゃ痛いんじゃね?

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 11 4   

千の魔剣と盾の乙女11 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 11】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ホルプの帰還を喜ぶロックたちだが、一連の回り道で魔王城攻略戦には今からでは間に合わないとわかる。焦るロックだがしかしホルプの提案で大陸のあらゆる場所へと移動できる転移門があるという天空の塔へと向かうことになる。その頃、ガーリャに集結していたバルトゥータスら魔剣使いの軍勢は、ついに魔王城攻略戦を開始。しかし、魔剣使いたちの前に復活した魔王とケンコスに操られた勇者サーシャが立ちふさがる。最大の難関にバルトゥータスは…、そしてロックたちは最終決戦に間に合うのか。川口士が贈る魔剣ファンタジー。
今回の表紙絵は相当に衝撃的でした。何しろ、これですからねえ。バル師匠クライマックス!!て感じで。いや、こういう表紙持ってこれるなら、もっと早く色々なのやればよかったのに、と思ってしまいます。イラストのアシオさんって融通多芸がききそうですし。冒頭のカラー口絵の漫画、毎回面白いんですよねえ。今回のエリシアの餌食っぷりは、眼福そのものでしたし。ってか、酔ったロックってここまでやらかしてるのか。普通にエロス直前じゃないですか。
というわけで、ようやくホルプが帰還し、装備・仲間ともに完全モードに達したロックたち。ところが、魔王城攻略戦にはどうやっても間に合わない、というどうしようもない状況に。
しかし、ホルプが帰ってきてくれたこの安心感は大きいなあ。助言者として、ある意味年長者として見守ってくれる存在としてのホルプの存在感は、改めて帰ってきてくれたことで実感できます。何よりロックの余裕が違いますもんね、ホルプがいると居ないとでは。でも、ホルプが居ない間の成長は、よりホルプとの相棒関係の深化を促したようにも見えますし、この別れていた時期というのは思いの外意義あるものになったなあ。
一方で、師匠サイドはある意味オールスターキャストの濃いおっさん連中の連合によるもので頼もしいはずなんだけれど、それを上回って魔王サイドの油断のなさが恐ろしい。おまけに、件のサーシャの友人の竜のお姉さんが、何をトチ狂ったのか一人で魔王城に侵入して、魔王にやっつけられて食われてパワーアップの食材&知識の補給にあてられてしまい、さらにサーシャの魂にダメージを与える、という完全に敵の強化アイテムになってしまってて、一体何しに行ったんだあんた!!
一応、サーシャの魂がまだ生きている事は明らかになったので、その点は安心材料なんだけれど、逆に言うとそれしか良いネタがないという。でも、このバル師匠死亡フラグびんびんに立ちまくっていたところで、辛うじて生き延びてくれたのは良かった。ある意味、此処さえ凌げれば師匠も生き残れそうだもんなあ。師匠については、サーシャだけじゃなくてニーウというアンカーが二人も居るので、実のところ死んでしまうことは無さそうだと踏んでるんですけどね。今回、ニーウがバル師匠のこと諦めかけてきた時にナイジェル師匠が諦めんなと発破かけてたのを見る限り、ハーレム王としてもバル師匠はロックの師匠として先例を見せてくれそうな期待が膨らみますw 大体、魔王討伐はバル師匠の本懐ですからね。ロックの方はクロウ・クルワッハという本命が待っているわけで、魔王は師匠がやっつけてくれないと。
と、ここで師匠と弟子の本気対決が魔王城の中で行われる展開になるとは。場をわきまえろ、と言いたくなるけれど、この頑固さ、真っ直ぐさ具合は嫌いじゃありません。捻くれたところのない、ホントに師を慕い弟子を可愛がってる師弟関係なんですよねえ、この二人。
ちょっと印象的だったのは、ロックの靴屋スキルの発揮具合でした。エリシアの毎度のエロイベントが、ラッキースケベじゃなくて自発脱衣というのはなかなかインパクト高かったのも確かですけれど、ロックの戦士という生き方以外の地に足がついた、というか手に職がついてるのが何とも印象的で。戦いが終わったあと、何をしたいかについても、ある意味ホルプの琴線に触れそうな話をしていて、いい意味でちゃんと先を見通している主人公だなあ、と。ってか、甲斐性あるよね、ロックって。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 74   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉7 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 7】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

海賊団を率いて城砦に攻めよせるエリオット王子。それを迎え撃つティグルは、オルガやマトヴェイ、タラードの協力を得ながら巧みな攻防を展開し、ついに囚われのソフィーを救出する。黒弓の力に驚くタラードたちの追及をなんとか躱し、ジスタートに戻る船路につくのだったが、そこに生きていたトルバランと海竜が襲いかかる! 船が破壊された衝撃でティグルは海に投げ出されてしまい――!?
一方トルバランは再びレスター将軍となり、残党を従えレグニーツァを襲う。応戦するのは二人の戦姫、“雷渦の閃姫"エリザヴェータと“煌炎の朧姫"サーシャ。「もってくれよ、僕の命の炎……! 」大人気戦記ファンタジー第7弾。いま、最強の焔が舞い降りる――!
これ、てっきり七戦姫全員がティグルの嫁になるものだと思っていたけれど、何人かは脱落するのかもしれないな。ヴァレンティナがその本性を明らかにした時は、かなり悪者サイドでこれは改心して野心を収めてティグルにデレるのとかなさそうだなあ、とは思ったものの戦姫で一人だけハブ、というのはどうなんだろう、と思って今ひとつ彼女の扱いについては確信がモテなかったんだけれど、此処に来てサーシャが死亡フラグを立てるどころか最期を迎える流れに乗ってしまったんですよね。もう完全にアレクサンドラ=アルシャーヴィン最期の戦い、って感じになっていますし。こうなると、サーシャ一人だけ脱落、という展開は考えにくいんですよね。
でも、此処に来て脱落した戦姫に変わって新たな戦姫が誕生する、というのはなかなかハードル高そうですし、さてどうなるんだろう。
アスヴァール王国での戦いでは、ティグルの将帥としての才能が見事に開花。ブリューヌの内乱でその実力は既に見られていたけれど、何だかんだとあの時は神輿としての立場も大きかったんですよね。一方でアスヴァール王国での戦いは兵士は他国の者だしエレンの配下たちみたいに心通じ合うものがあったわけでもなし。それに、今回はエレンなど対等、或いは目上の同盟者などの協力者がおらず、オルガという戦姫は居るものの彼女はティグルに全面的に従う立場を取っていて、ティグルが指揮官として軍勢を独りで統率し自分で考え判断する形となっていたわけです。つまり、誰の補助もなく純粋に彼の軍事的才覚が試される環境だったのですね。そこで、彼は敵の進撃路となる村々を焼く、という非情の決断も含めて、大きな戦果を上げてみせた。頼ることの出来る相手が居たブリューヌ内乱と違って、全部自分で判断しなければならない今回の戦いで、ティグルは見事に人の上に立つ、という器を示してみせたわけである。
ハッキリ言って、オルガなんてジスタートの戦姫という身の上でありながら、ティグルを自分の上に立つもの、自分を導くもの、王として見てしまっている節がある。ソフィーに敵意むき出しだったのは、女の子らしい妬心であり、ティグルを異性として慕う気持ちが思いっきりだだ漏れになってますが、それだけではなくオルガがずっと求めていた王としての姿を、彼女はティグルに見てしまっていたのでしょう。
こうなると、果たしてオルガが元の自分の所領に戻った所で、ジスタート王に唯々諾々と従うものかどうか。この娘、かなり頑固者で腹芸が使えないタイプなのでわりと拗れるのは早いかもしれない。
ある意味、ジスタートに戻る段階でティグルが行方不明になったのは不幸中の幸いだったかもしれない。このままオルガがティグルにベッタリなままだと、思いの外早い段階でえらいことになっていたかもしれないですし。幾らなんでも、その時を迎えるには今は早すぎますからね。
にしても、ソフィーの陥落っぷりは想像以上に盛大でしたw
いやあ、あの監禁されて精神的に追い詰められまくってたところに、他国にいてこんなトコロで出くわすはずのないティグルが、当たり前みたいに助けに来てくれた、となったら気丈なソフィーでもそりゃあ崩れるか。ある意味、どれだけ強くても戦姫の中で一番女性的だったソフィーだからこそ、の反応なんだろうけれど、ちょっとミラでも見てみたいシチュエーションだったな、これw
なんかえらいぐだぐだと自分に言い訳しているソフィーですけれど、あきませんよ、もう完全に墜ちてますからそれ。オルガという番犬が居たのでちょっと冷静になりましたけれど、もしオルガという歯止め役がいなかったらわりと半端なくメロメロになってたんじゃないかと想像してニヤニヤw
さて、では次はエリザヴェータか。エレンからは嫌われているけれど、実はものすごい良い子、ということがある程度わかっているだけに、いろいろ楽しみ。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 10  4   

千の魔剣と盾の乙女10 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 10】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ホルプの復活を急ぐロックたちは、竜の少女から教えられた竜の墓場を目指す。コノートで得た手がかりをもとに目的地があると思われる大陸へと上陸した一行は、墓場を守護する不死の骸骨剣士たち、そして侵入者を狙う数多くの危険な罠に命を狙われる。ときを同じくして、新たな力を得た魔王軍最凶の魔物アレンが、ロックを葬るべく再びその姿を現す。ロックたちはこの危機を乗り越えることができるのか。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、怒濤の第十弾。
ああ、なるほどなあ。ずっと違和感はあったんですよ。結局のところ、魔王を倒すべき役割を担っているのは最初っからバル師匠なんですよね、この物語。師匠筋のパターンとしてよくある、弟子にすべてを託して逝ってしまうという展開も、バル師匠の目的からすると有り得ない。彼の目的というのは誰か他人に託せるものじゃありませんからね。サーシャを助けることを託して自分は死んでしまう、という悲劇的パターンも考えないではなかったのですけれど、この師匠サーシャを助ける役割を他の誰かに任すつもりは毛頭ないようで、そもそもサーシャとロックたちに接点らしい接点も無いままここまで来てしまっている以上、ロックたちがバル師匠の代わりにサーシャを助けるという展開は物語としてお粗末なほど穴が出来てしまう状況にあるわけです。それに、バル師匠にはサーシャとは別にニーウ姉さんというアンカーが別に在ることからも、限りなく死亡フラグは立ってない人なんですよ。
そうなると、どうしても魔王討伐に関してバル師匠とロックは被ることになってしまう。これまで何だかんだとロックたちが魔王を倒すという理由付けに繰り返し丹念に説得力を持たせようとしてきたことで違和感そのものは薄れていたものの、何れにしても最後にロックかバル師匠が割りを食って決着を付ける役をどちらかに譲らなければならない事は避けられなかったわけである。
自分としては、最大の目的がサーシャの救出にあるバル師匠が、何らかの形でサーシャだけ先に助けて、魔王討伐についてはロックたちに譲る形になるのかと考えていたのだが……。
さてさて、どうやらロックたちが倒すべき、他の誰でも無くロックたちこそが倒すべき敵がちゃんと用意されているようじゃあないですか。これで、美味しいところを持っていかれるのはファーディアだけ、ということに(オイ
だ、大丈夫大丈夫、ファーディアもデレたら仲間に加えてあげるよ? とか思ってたら、何を考えてるのかリャナンシーにちょっかいかけてやがるし、この男。ちょっと待てあんチャン、そこでロックの真似をしようとか変なフラグが立っちゃうよ? 上手くイケばダブル瘴気アタック! みたいに協力必殺技になるけど、失敗フラグの方が立ちそうなのが怖い。いや、大丈夫だ、あれでファーディアもかませ役じゃなくてちゃんと主人公格だから(多分ネ
しかし、正直魔王の強さが半端ないだけに、それ以上の敵なんてどうやって太刀打ち出来るんだろうとビビってしまう。何しろ、ロックたちが遭遇し半ば蹴散らされた魔王は分身体にすぎず、その力も本来のものからすると及びもつかないくらい弱体化してるというじゃないか。勇者サーシャって、よっぽどデタラメだったんだなあ。
尤も、ロックたちもだいぶ強くなったとはいえ、まだまだ成長の余地があることは、ドゥガルドとの模擬戦でフィルとフィオナが二人がかりでかなり良いようにあしらわれてしまったことからも明らかであり、フィルの成長のヒントが得られた事でまだまだ強くなれる実感が得られたんじゃなかろうか。何より、ついにロックの元にホルプが帰ってきた時の安心感の大きいこと。
随分と長く手元を離れていた気がするが、やっぱりこの物語ホルプが居てくれないと締まらないよなあ。彼がロックの相方として鎮座してくれていないと、ハーレムもどこか落ち着かなかったですもの。やっぱり、ホルプが居てくれた方がロックも精神的に落ち着いているというか、女所帯の中に男一人というのはやっぱり何だかんだとやりにくかったんじゃないか、こいつ。ファーディアが加わった時も何気にテンションあがってたし。エリシアもナギもフィルも全員大事にするぜ、と覚悟しても、心許せる男友達がいるかいないかはまた違う話しなんだよなあ、うんうん。
しかし、ホルプって想像以上に大物だったのか。竜の中でも桁違いもいいところじゃないですか。伝説どころか神話上の存在といってもいいくらい。半ば竜神と呼ぶに相応しい力の持ち主。ってか、大陸全土の地図を完成させるんだ、と意気込んでたリーナさんたち、その大陸の形を変えてしまうほど盛大にふっ飛ばしちゃってたってなにやってんですか。せっかく作ってた地図、自分たちで台無しにしちゃってたのね。まあ彼女の場合、改めて測量に走り回っていそうですけれど。

ついに物語は、ガーリャを擁して大陸に突っ込む人間たちと、復活した魔王とともに待ち受ける魔族たちとの最終決戦に。ロックたちとファーディアはこの大会戦に間に合うのか。ラストに向けて盛り上がって来ましたよっと。
にしても、エリシアの全裸担当エロ要因は安定してるなあ(笑

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉6 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

ブリューヌの動乱より半年。客将としてライトメリッツで過ごすティグルは、ジスタート王の要請を受け、霧と森の国アスヴァールへと旅立つ。密使としての航海中、ティグルは薄紅色の髪の幼げな少女と出会う。立派な作りの斧――“崩呪の弦武"ムマを持つ彼女こそ、放浪の戦姫オルガ=タム。なりゆきで彼女と同行することになるティグルだったが、アスヴァールの地にはさらなる“運命の出逢い"が待っていた。容姿、人望、才能――そして確かな野心を持つ青年の名は、タラード。一将でありながら“王"の形を平然と説く青年に、ティグルの胸に去来するものとは……? いくつもの邂逅が新たな伝説を刻み征く! 最強美少女ファンタジー、待望の第2部開幕!
あれ? あれれれ!? 残る最後の戦姫。就任して直後に旅に出てしまい、他の戦姫たちも詳細を知らないという謎の存在だったオルガ=タムが、まさかの幼女形態で登場である。幼女形態ってなんだよ、ロリババアじゃなく、普通に幼女です。いや、本文中読むとそこまで幼女って感じでもないんだけれど、表紙は完全なロリっ子だよなあ。ただ、意外にもこの娘、見た目のイメージと違ってこんな媚びたようなロリロリっとした感じでも性格でもありません。むしろ、今まで居なかったタイプの頑固で堅物で融通が効かない生真面目さん。旅に出た理由も、自分のような未熟者が戦姫として領主を勤めるのは駄目だ! と本人曰く逃げ出してしまった、と言っているが中途半端に妥協できない性格の賜物というべき出奔である。しかしこれは、面白い形で接触したなあ。オルガ当人が、他の戦姫と違って他人の上に立つという意識を持っていない、んじゃなくて正確にはまだ自分では人の上には立てない、と思っている娘なので、今まで出会った戦姫たちは多かれ少なかれ領主としての立場からティグルと接しないといけなかったのに対して、彼女は一人旅の身軽な身空で、任務を受けたティグルに従う形でついてくるわけです。つまり、初めて下の立場、下の視点からティグルという若者を見守る戦姫となったわけですね。
そして、ティグルはジスタート王の要請で外交交渉を担って訪れたアスヴァールにて内乱に巻き込まれ、オルガとサーシャがつけてくれた案内人の敏腕出来物のおっちゃんだけをお供に、動乱の中を斬り泳いで行くはめになるのですが、つまるところ彼はこの何の支援も後援もない異国の地で、たった一人でその資質を試されることになったのです。いやあ、この旅の空のティグルを見てると、何やら今までよりも自由というか、重たい荷物から解放されたというか、実に伸び伸びとしているように見えました。特に、アスヴァールに派遣された本来の目的が有耶無耶になってしまい、ティグル個人の独自の判断が必要となったあとの行動を見ていると、ジスタート王は虎を野に放ってしまったのではないかという実感も(尤も、それ以前からかなりガンガンと独自判断と行動に打って出てましたけれど。判断力と決断力は並外れてるよなあ)。これを見てると、ティグルって周りに合わせて器が小さくまとめられてしまっていたのでは、とすら思えてくる。この短期間で当人の考え方や変わったり成長したわけではないですし、彼の本来の資質と環境が咬み合ってしまった、としか言いようがなく、繰り返しますが檻から虎を野に放ってしまったように思える。むしろ、こうなってようやく今まで彼が得た過分なまでの称号が、実体を伴ってきた、というべきか。何にせよ、今の束縛から解き放たれた姿こそが、身の丈にあったティグルの本来の姿といえるのではないでしょうか。そこにオルガが見た、王の資質……これは本物ですよ。
第二部になって、これは落ち着くどころかさらにスケールアップして面白くなって来ましたよ。にしても、次回に続いた事件も含めて、ティグルへの戦姫の支持率は随分えらいことになってきたんじゃないかしら。エレンとミラにひき続いて、オルガまで完落ち状態になり、サーシャも最大限好意的なポティション。元々好感度が高かったソフィーもこの一件を通じてどうやら完落ちしかねない流れだし、エリザヴェータは実際の人となりを見る限りかなり直接対面してしまえば、ティグル寄り。反抗勢力となりかねないのは、ヴァレンティナくらいか。いやはやはてさて。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 93   

千の魔剣と盾の乙女9 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 9】  川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

単独で魔王城を目指すファーディアの前に現れた魔妖精リャナンシー。有利に戦いを進めるファーディアだったが、そこに復活した魔王バロールが現れる。
一方、ホルプを失ったロックはエリシアの励ましやナギの空回りする気遣いの数々に戸惑いつつも、かつてホルプを見つけた神殿に赴き、魔剣ホルプ誕生の秘密へと近づいていく。
うお!? なにこれ、カラー口絵の冒頭の漫画って、【星図詠のリーナ】のリーナとダールじゃん!! これまでも、このシリーズとの関連性は随所に語られていて、ホルプがダールに宿っていた銀の竜だったんじゃないかという話はこれまでも持ち上がっていたんですが、かすかに残っている伝承やホルプの記憶からだとイマイチホルプに関わっていたのがあの二人だった、という確証に至るまでの詳しい情報はなかったんですが……イラストになったら一目瞭然、間違いなくあの二人だ!!
となると、この【千の魔剣と盾の乙女】の世界は【星図詠のリーナ】の未来の世界ということになるんだけれど、リーナがあれだけ歩きまわって無記入の広大な白紙を埋めようとしていた広い広い世界が、今やこうして汲々と島を守るばかりで、大陸は歩きまわることもできなくなった狭く閉ざされた世界になってしまった、というのは何とも皮肉な話だなあ、と思わざるをえない。
さて、剣身を折ってしまったホルプを何とか復活させられないか、と苦悩するロックの前に現れたのは、ただ一人で魔王を倒さんと駆け回っていたファーディア。偶々、復活直後の魔王と遭遇し惨敗をきして命からがら逃げ出してきた彼は、仕方なく同じく魔王を倒すという目標を掲げているロックを仲間に勧誘に来たのである。ただし嫁共、お前らはいらねえ。ロックを嫁にするのは俺様だ、失せろ女ども! というわけで、まさかのファーディア、ロック争奪戦への奇襲参戦である。即席で組んでみたところ意外と相性も悪くなく性格的にも思ったよりも反発無く馬が合ってしまったロックは、周囲の予想を裏切って結構その気になってしまう。焦るのは、嫁たちである。ロックが盗られる! とばかりに錯乱して大騒ぎ。あんたら、今までロックと他の女性がお近づきになってしまった時でもそこまで余裕なく慌てなかっただろうに。
まあ、それだけファーディアが強敵であることを肌で悟ってしまったのだろう。なにしろ、コイツは新たに嫁に加える、というわけにはいかない本物のおじゃま虫、自分たちの旦那様を嫁にしようとしている仇敵である。
結果として巻き起こるは、史上最大の修羅場!!
……なんでついにきた修羅場がこうなったw
しかしまあ、あれだけ性格傲慢でひねくれているファーディアも、ちゃんと付き合ってみるとなかなかイイ所もあるし、聞き分けのいいところもあるんだよ、ってそのパターンはヒロイン参入の構成だよなあ(笑
でも、確かにあれだけとんがっていたファーディアと仮にもパーティーが組めるとは思っていなかっただけに、ロックの包容力、受容力にはびっくりである。別に女性限定の人間力じゃなかったのねw いやいや、あのファーディア相手にあれだけ気にすることも苛つくこともなく平然と受け答えして、流したり誠実に応えたりできるのは大したもんですよ。まあ師匠もあんなだから、この手の人間には慣れてるのかもしれませんが。
ともあれ、これは大きな戦力増強になるんだろう。か。ホルプを失っている現状のロックは戦力的に厳しいものがあっただけに、ファーディアの参加は非常に心強いものでしたし。なんとか、ホルプ復活の道筋はついたみたいですし。
一方で、復活した魔王のフットワークが軽すぎて戦々恐々なんですよね。魔王城の奥ででんと構えて動かない、ってなどころか、復活してまだ力も回復していない段階で自由に動き過ぎだ。いきなりフィールドで魔王と遭遇しました、なんて洒落にもならない。その上、サーシャに封印されたことで人間への軽視と油断は拭い去られていて警戒も密にしており、未だ力戻っていないとはいえこれは強敵すぎる。
本来、このあたりで師匠キャラのバルは死亡フラグが立ちそうなんですが、この人の場合は師匠キャラである以前に根っこが主人公キャラなんで、サーシャやニーウとの関係からして全然生き残りそうな気配もあり、どうなるかわからないという意味では、ロック以上にその動向が興味深いんですよね。生死の見通し以上に、エリシアたちみんな嫁にしてやるぜ、と覚悟も完了してしまったロックに対して、サーシャとニーウの二人の女性とどうなるのか、という意味でも興味募るひとなんですが。ラストでまたえらい相手と遭遇してますけど、はてさて。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 83   

千の魔剣と盾の乙女8 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 8】 川口士/アシオ 一迅社文庫


Amazon

『サヴァンの日』。それは本格的な冬のはじまりを告げる日、そして死者と生者の境がかぎりなく薄くなる日。伝説の武器『魔石(タスラム)』を手に入れるため、極寒の地カリアッハヴェーラを旅するロックたち一行は、サヴァンの日の前後三日しか足を踏み入れることができないという幻の神殿を目指す。その頃、魔王バロールの眷族の中でも一、二を争うほどの力を持つ狂気の魔物アレンが、ロックたちの命を奪わんとカリアッハヴェーラを目指し、秘めた願いを持つ魔妖精リャナンシー、魔王復活は近いと悟った魔将ケンコスもおのおのの目的を胸についに動き出す。最大の危機を前に、ロックたちは大切な仲間を守りぬけるのか。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、激戦と喪失の第八弾。
熱砂の砂漠に海底の妖精郷と来て、今度は極寒の氷原と来ましたか。旅から旅への冒険モノでも、これほど極端に極地ばかりを巡るというのも珍しい。しかも、そうした秘境を訪れる目的が伝説の武器や魔法を手に入れるため、というのだからある意味王道のRPGゲームを踏襲しているのかもしれないね。むしろTVゲームじゃなくてTRPG、と言ってもいいか。という訳で、ロックにエリシア、ナギといったパーティーメンバーが軒並みパワーアップしてしまったために、独り足手まといになってきてしまったフィルが、伝説の魔法(武器?)『魔石(タスラム)』を手に入れようと、ロックたちに頼み込み、カリアッハヴェーラを目指す、という展開に。元々、フィルについては錬成士としては優秀ではあってもわりと平凡な腕前、だと常々本人の口からも語られていた事で、これまではそれでも何とか不備なくやってこれたものの、メンバーがパワーアップすると同時に、戦うステージまで上がってきたお陰で、このままでは本気で戦力として機能しなくなりつつあったんですよね。それで焦るのは当然としても、タスラムが手に入らなければパーティーから離脱する、と自分を追い込みつつも、多少の無茶をパーティーにお願いできるあたりが、フィルらしいといえばフィルらしい。ナギやエリシアだと、もうちょっと遠慮してしまうと思うんですよね。フィルは、自分が甘やかされている、というのをいい意味でも悪い意味でも良く解ってる。甘えることの出来るウチは、甘えていいと思いますよ、私は。この娘は、その甘えが皆の足を引っ張ったり、パーティーの方向性を悪い方向に捻じ曲げるような所まで逸脱させない、秀逸なバランス感覚を有しているようですし。
ただ、その甘やかされている、という点が恋愛関係という観点に立った時に些か違和感とも錯誤感ともつかないものを感じる要因になってきているのでは、と考えつつあるようで、彼女もこれまであっけらかんと言い募ってきたロックのハーレム構築についても、色々と思いところが出てきたようだ。と言っても、それを否定する方向ではなく、自分たちの関係が現実のものとして固着していくには、どうした感情を交えて人間関係を構築していくべきか、みたいな感じで冗談ではなくガチで成立を目指しつつあるような感じになってきてるわけだがw
その話題となると、ナギは何気に結構乗り気だし、エリシアは世間の倫理観、という点を気にしているようだけれど、二人とも独占欲はありつつも、このメンツならいいか、と思っているようで、女性陣の方はあんまりハードル高くないんですよね。問題は、根っこが庶民なロックの方で……こいつ、みんな好きだからみんな纏めて面倒見るぜ! みたいなご大人な恰幅の良い態度は取れないと思うんですよね。キャパはそんなに大きくないんだよなあ。
ただ、川口士作品の主人公は概ねそんな多くの女性を抱え込むような甲斐性を持っていなさそうなキャラばっかりなくせに、ガチなハーレム成立度が結構高かったりするので、甲斐性ないんじゃね、という心象はあんまり関係ないのかもしれない。何しろ、ロックもホルプがお墨付きを与えてるくらいだからなあ。
しかし、ここに新しくハーレムパーティーが加わるとなるとどうなんだろう。あの子の参戦は、かなり意外だったんだが。というか、再登場しても誰? という感じで思い出せなかったし。フィルの姉弟子の人は覚えてましたが。

とまあ、ハーレム談義にパーティーの強化編、と割りきって見てたら、いきなり怒涛の勢いで話が進展していく。
これまで、金環持ちのモンスターと激闘を繰り広げているうちに、その力量から魔王の強さ、というものをだいたい当て推量できていたつもりだったんだが……これ、魔王って倒せるの? いや、これ普通に伝説の武器で強化して技術も高めれば普通に良い勝負出来るものだと思い込んでたんだが……あの勇者の人、どうやってこんなのと戦って封印したんだ? 無理ゲーじゃないのか、これ?

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉54   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

ムオジネル軍との戦いから十日。“銀の流星軍”はぺルシュ城砦に駐屯し、きたる決戦の準備を進めていた。一方、五頭の竜を従えたテナルディエ軍は北上し、ガヌロンの本拠地アルテシウムへ向かう。三つ巴の戦いが勃発しようとするそのとき、ジスタート王宮にもひとつの出会いがあった。「ヴァレンティナ……」「おひさしぶりですね、ソフィーヤ」巨大な鎌の竜具“虚影エザンディス”を持ち、儚げに微笑む戦姫、ヴァレンティナ。ソフィーも警戒する彼女の目的とは……? そして遂に切り開かれる戦端のなか、ティグルは大切なものを失い、なお前に進むことを求められる。そのとき、背中に吹くのは力強き銀色の風――。最強戦姫ファンタジー、第1部堂々完結!
やっぱり、ティグルの戦場での弓働きの描写が凄すぎます! 戦線が瓦解しかけた時に最前線に踊りでたティグルが見せた神業には、思わず読んでるこっちまで息を呑みましたもの。戦場だって静まり返るわ。威力や派手さなら、エレンやミラの竜具の方が遥かに上ですよ? 実際、竜をも薙ぎ払った二人の強さ、活躍は今回の合戦の中でも際立っていましたけれど……それでも、ティグルの弓術の方にこそ心を鷲掴みにされてしまうのです。見せ方が抜群に上手いんだよなあ。あれは、味方の士気もあがりまくるよ。あんなの魅せられて、興奮せずに居られるなんてとても無理。人間のなせる限界を突破した神業であると同時に、あくまで人間がなし得る領域の範疇である事こそが、逆に凄みを帯びる形になってるんでしょうね。
今回のティグルについては、瀬戸際の判断の凄みもまた効いている。あの場面、ティグルは総大将であるにも関わらず躊躇なく最前線に飛び出したのですけれど、決して勇み足や自分が何とかしなければならないという独り善がり、自己満足などが全く介在してないんですよね、あれ。あの場面、あそこはティグルがあの行動に打って出ていなければ、間違いなく戦線は崩壊し、戦いは負け戦に転がり落ちていた。まさに分水嶺であり、決断を有する瞬間であったわけです。その瞬間を彼は見逃すことなく把握し、その上で一毛の迷いもなく選択という概念すら想起せず、成すべき行動に打って出たわけです。
あれは、震えたなあ。その後の弓の神業に魅入ったのも、この下ごしらえがあったからというのも大きいと思う。ここまで圧倒的に傾きかけた戦いの流れを叩きなおしたシーンって、そうそうお目にかかれないですよ。弓の実力以上に、ここで彼が示したのは大軍を率いる将器であり、名将の器でありました。しびれたなあ。
面白いのが、戦場でのティグルの雄姿に興奮し喝采をあげる兵士に、ジスタート、ブリューヌの国の区別がないところ。両国の兵士が共に自分たちの英雄として、ティグルを見てるんですよね。この状況は注目しておいていい部分かも。

一方で、終始戦場の華であり主役出会ったのは、当然この二人、エレンとミラの戦姫。この二人も変わりましたよね。キャラが、じゃなくて犬猿の仲だった二人の関係が。以前は本当に「仲の悪い仲の悪さ」でありましたけれど、ティグル率いる銀の流星軍にて共闘と相成った二人は相変わらずツノを付きあわせて喧嘩三昧なのですが、本気の険をはらんでいた以前と違ってなんか今は「仲の良い仲の悪さ」という感じがしたんですよね。嫌い合い殺しあう関係だったのが、ツンツンとじゃれ合う関係になったみたいな?
相変わらずティグルはとばっちりを食う係なのですけれど、まあこれは悪くないとばっちり?

敵役の方も、此処に来て映えてきましたね。テナルディエにしてもガヌロンにしても、当初勝手に抱いていた権力を壟断する腐敗貴族の親玉、という印象を覆す大物っぷりにはかなりびっくりさせられました。テナルディエなんか、まさかここまで武断派の人だとは思わなかったもんなあ。それ以上に、ガヌロンの黒幕っぷりには驚きを通り越して唖然ですよ、唖然。なに、この怪物?
ロランを気まぐれで殺した時には、頭のおかしいトリックスターの類とも思ったものですが……、こいつ相当にヤバいんじゃないか? 少なくとも、これほどの人物が地位からも自由というのは全くの脅威ですよ。相応に地位につくというのは権力を暴力的に振り回せるという恐ろしさはあるものの、地位に縛られ選択や行動が限定されるという欠点もあるものです。ところが、このガヌロンときたら、保守性がまったく無い、皆無であり、尋常じゃなく自由でフットワークが軽いという……黒幕としても敵役としてもこれは脅威ですよ、脅威。
敵がこれほど大物だと、話も引き締まるというものです。
そして、これほど底知れない敵と通じている新登場の戦姫ヴァレンティナもまた、不気味極まる。これまで登場した戦姫は何だかんだありつつも最終的にティグルの味方になりそうな雰囲気だったんですけれど、このヴァレンティナだけはわからんかもなあ。

今回の戦いで一気にブリューヌ国の内戦は終結。ティグルはその後どうなるんだろう、とそのあまりに複雑な立ち位置から不安混じりに首を傾げていたんだが……にょはははははw
当初のあの契約って、そのまま生きてたんだ。正直、ティグルは捕まった当初の辺境の小さな一領主に過ぎなかった頃と立場が違いすぎてるんで、そのあたりけっこう考慮せざるを得ないと思ってたんだが……エレンにしてもティグルにしても当事者二人とも結構身も蓋もないよなあ、これw
レギン様が頭抱えるのもわかるわー。救国の英雄が、こうもあっさりと持ち去られてしまったら、頭抱えるよ。それが、内戦直後の政治的にも有効だったとしてもw

さて、これである意味ブリューヌという一国のくびきから逃れる事が出来た、とも言えるティグル。ブリューヌで張り巡らされていた陰謀は、潰えるどころかむしろ他国にまで拡大しつつ有るようで、第二部はそれこそ多国間に跨るでっかい騒乱になりそうな予感。そして、その中心になってしまうのは勿論……♪
第二部、実に楽しみです。

しかし、リムは最近、エレンにティグルと結婚しろとからかわれても、拒否や否定をしなくなってきたな、おい。満更じゃないを通り越して、そろそろ本気でこの流れに乗ろうとしてないか?(笑

1巻 2巻 3巻 4巻感想

千の魔剣と盾の乙女 73   

千の魔剣と盾の乙女7 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 7】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ロックの故郷シュリガッハを訪れた一行は、ロックの幼なじみの少女、ノエルと出逢う。海に沈む伝説の都市アルモリカの財宝を探すノエルの夢に共感し、同行を申し出るロック。エリシアは自分の知らないロックを知るノエルの態度にもやもやした感情を抱くが、不満を言いだせず口をつぐんでしまう。そんなエリシアに挑発的な言葉を投げかけるノエル。ロックをめぐる二人の対峙により事態は思わぬ方向に…。アルモリカに待ちうける怪物の影、そして財宝の正体とは一体何か。魔剣ファンタジー、急転の第七弾。
ちょっ、ちょっと待ったぁーーー!! 今、聞き捨てならないセリフを聞いたぞ!?
銀を食べる竜、だと!?
そのセリフを聞いた時の、ホルプの反応。おいおい、こりゃ魔剣ホルプが【星図詠のリーナ】の傭兵ダールの左腕に宿っていた「魔銀」であるのは確定か。以前、前の自分の持ち主は傭兵だった、って言ってたもんなあ。それを事実として鑑みると、ホルプの堅物な性格の合間に見える妙に性格の悪いところや諧謔味というのは、ダールの性格の影響を受けている部分もあるのかもしれないなあ。

さて、今回は後から仲間になったナギに先を越される形で伝説の武器を手に入れられてしまったエリシアのパワーアップ回。であると同時に、エリシアがロックの魔王を倒すという夢に最後まで付き合う覚悟を決める回でもあった。ここまで一緒にパーティーを組みながら、今に至るまでロックの故に最後まで付き合うかを迷っていたエリシア。だけれど、最初の頃の荒唐無稽な夢を否定はしないけれど、自分が同行するのは現実味が無いし、実際問題として倒せるとは思えない、という立場だった頃に比べると、彼女の迷いはこの巻あたりではもう、自分の力量では足手まといになってしまうんじゃないか、という不安に基づくものに取って代わってるんですね。ロックがある程度呪いを克服した上に、それを利用した金環持ちでも倒せえる力を手に入れたのと、ナギが伝説の槍を手に入れ、ナギ当人もロックと運命を共にする気満々、という状況を前にしたら、出来ないだろうから真剣に考えない、という段階はとっくに通り過ぎてたんでしょうなあ。
ぶっちゃけ、この時点でついていけるものなら、付いて行きたい、という気持ちは固まっていたと思われる。
でも、同時にロックの夢に付き合う覚悟を決めるというのは、エリシアにとっては別の覚悟……ロックへの好意を認め、肯定して受け入れる、という事も意味していたのである。何しろ、伝説の武器の取得に技量の向上という以上に、ロックへのアプローチを全く自重しなくなったナギに、あらゆる意味で先を越されてしまっている以上、ロックへの気持ちをなあなあで誤魔化せる段階は通りすぎちゃってましたしね。
そう考えると、ロックの故郷で幼馴染と再会するという展開は、というか幼馴染にして魔剣使いであるノエルの存在は、エリシアの対比として用意されたと見ていいでしょう。好意を持っていても、ロックの夢について行けずに見送るしか無い娘、という役での登場というのは結構、残酷なことだとも思うけれど、だからこそああいう天真爛漫でサバサバした強かタフガールというキャラ付けで出したのかもしれないですね。誰にとっても後味の悪くないサッパリした道の分かたれになりますし。

それよりも、ちょっと意外だったのがリャナンシーである。以前から魔物となりながら妖精としての特質を残している、という話はあったけれど、未だに妖精たちと交流があり、彼らを守ろうという意志を残しているというのは予想外だった。
元々、その行動は得体のしれない面があったけれど、和解出来るかどうかはともかく、思ってた以上に交渉の余地があるのかもしれない。少なくとも、一概に邪悪と言える存在ではない事は明らかになったわけですし。
となると、逆に魔物たちの勢力争いの方をもうちょっと情報公開してくれるとありがたい事になってきたな。これ、思っていた以上に複雑で、人間サイドから見てもどうも全部一緒くたに敵は敵、と剣を向けなくても、思惑によっては何らかの駆け引きが出来るかもしれないですし。

さて、今回はあの魔王を倒すと公言して憚らないファーディアも登場。最近、この人ネタキャラなんじゃないかと思えてきた。物言いこそ傲慢で高慢で人を人とも思わないものだけれど……異様にチョロいんですよね。最初こそ、魔王は俺が倒す! 貴様らは邪魔するな、或いは部下になって傅くなら使ってやるぞ、という偉そうな言い草にはカチンと来るものがありましたけれど、会うたびにおんなじ事ばっかり言ってるものだから、段々と生暖かい目で見るようになってきたし。大体、足手まといは要らん、みたいに強がってるけど、毎回ボッチだし、こいつ。ほんとに仲間が要らないなら、毎回勧誘なんかしないもんなあ。
これで実力がなかったらただの道化なんだけれど、なまじ実力があるだけに余計にネタキャラになってる気がする。何しろ、結果的に見ると毎度ロックたちパーティーに上手いこと利用されてる形になってるしw 今回など、あの天然のナギに上手いこと言いくるめられて協力するハメになってたわけだし。
まああれだ、おまえもがんばれよ。

と、エリシアまで強力な武器を手に入れ、一皮むけてしまった以上、独りだけ一流半のままのフィルだけが取り残されてしまうことに。いいんですよ、貴女はそのままマスコットで。と言うわけにもいくはずがなく、次回はフィルパワーアップ回。ある意味、ハーレム完成回になる予感も無きにしもあらず、はてさてどうなる?w

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 44   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉4 (MF文庫 J か 11-4)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 4】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

ムオジネル軍、襲来す! エレンとリムの不在、疲れきった兵、自軍の十倍の敵兵。様々な困難を抱えながら、ティグルは“銀の流星軍”を率いムオジネル軍に挑む。圧倒的な戦力差に窮地に陥るティグルだったが、そこに意外な人物が現れ……? 一方ジスタートに帰還したエレンは、病床の親友サーシャとの再会もつかの間、“雷渦の閃姫”エリザヴェータとの戦いに臨む。「一度だけ機会をやる。いますぐ這いつくばり、レグニーツァの民に許しを請え」「お断りしますわ」「ならば――くたばれ」 交錯する想い。巻き起こる戦火。そして、明かされる驚愕の事実とは――。大ヒット美少女戦記ファンタジー、第4弾。いま、“英雄”は産声を上げる。
新たに登場した戦姫の一人、“雷渦の閃姫”エリザヴェータ。アレだけ仲の悪い天敵であるリュドミラに対してすら、その人品を認めて憚らなかったエレンがそりゃもう口汚く罵ってたので、戦姫の中にもろくでもないのは居るんだなあ、なんて思ってたら……あれ? 全然イイ子じゃね?
むしろ、自分の未熟を噛み締めた上で、常に努力を惜しまない向上心にあふれた直向きな娘のようにすら見えます。ややムキになる傾向はあっても、エレンよりも冷静沈着に見えますし。ただ、結構不器用であんまり何事を為すにもまず失敗から入ってしまいそうな所があるのかな。
エレンには心底嫌われているようですし、エリザヴェータの方もエレンへの対抗心は剥き出しなのですけれど……これ、エリザヴェータの方は周囲が思っているような、エレン憎しという負の感情をベースとした因縁じゃないんじゃないだろうか。むしろ、目標や憧憬の対象としてリスペクトしている? 立派な一角の戦姫となるのだ、という目的の為に敢えて自分を強く律し、敬愛しているエレンにつっかかり、対抗することで、彼女と同じ高みへと辿り着こうとしているようにも見えるんですよね。エリザヴェータの父親の死に絡む因縁も、彼女が幼少時に市井に居てむしろ貧しい暮らしをしていたのを考えると、父親に対して親愛があったか怪しい所がありますし。
でも、エレンって多分エリザヴェータが思い描いているような理想の戦姫からは、わりと程遠い大人気ない娘さんですよ?w
というわけで、これエリザヴェータもティグルに会ったらすぐに転びそうである。というよりも、この生真面目娘さんの性格は、他の戦姫やヒロインたちの中に居なかったワンコ属性っぽい気がするんですよね。となると、わりと上から目線で接してくる他の娘と違って、一旦味方となるとなったらかなりの忠犬になるんじゃないかなあ。

折しもエレンがティグルから離れたのを見計らうように侵攻を始めたムオジネル軍。勿論偶然などではなく、何者かが手繰る糸が背後でうごめいているようだが、結果として戦姫エレンの影に隠れてオマケ扱いだったティグルが孤軍奮闘することで亡きロランに変わって国内屈指の騎士としての名望を得ることに。
自分の領地を守るために、エレンの協力を受けて国内の大貴族に反抗して以来、銀の流星軍という独立軍を立ち上げたものの、とても王国の二代派閥に抗するべくもない、いつ踏み潰されても仕方のない弱小勢力だったというのに、その小さな勢力を保つことに執心するのではなく、弱き者を庇護して理不尽と戦うという理念を持って常に前に進み続けた結果として、ここまで短期間に第三勢力として躍進を果たすとは、驚くばかりである。
実際、良将だったムオジネル軍先鋒集団の将をたった二千で討ち取った手腕は手放しでほめられるべきものですし、本隊との会戦は偶然と戦場の霧に助けられたとは言え、さらに大軍たる敵軍相手に粘り強く戦い続けたことが引き寄せた勝利でした。バルバロッサ王の喧伝は、宣伝工作とは言え彼自身の本音と実際のティグルの戦果があってこそ、ですしね。ロランに変わるブリューヌ王国最強の騎士の名は、実態を持って王国内に響き渡るはず。
とまあ、そんな名望だけならまだ貴族たちも早々靡かないでしょうし、第三勢力として立脚するには弱い。ところが、ティグルの元にはロランが残した守護剣デュランダルがあり、宰相への手蔓とも言うべき国王の真実があり、そしてついには最強の大義名分と成り得る存在が転がり込んできたわけで、まさにトントン拍子の勢いで一大勢力へと成り上がってしまったのでした。
そして、そんなティグルの躍進を肝心なときに傍で助けたのは、エレンではなく……りゅ、リュドミラさん!?
うははは、リュドミラの介入タイミングは殆ど神のごとしである。これほどティグルが絶体絶命の時に、エレンが不在でリュドミラが代わりに助けに入った事で、一度敵対したことも帳消しになった上でエレンとも対等にティグルに対して大きな顔ができることになりましたし。
ティグルってよっぽど庇護欲を掻き立てるタイプなのか、どうも一緒に戦うとどうしても自分が助けてやらないと、と思ってしまうようで。あの鉄壁のリュドミラさんの、会戦後のティグルの甘やかしっぷりには思わず笑ってしまったほど。リムといいミラといい、厳しい性格の娘ほどグデグデにティグルを甘やかす傾向があるなあw
とまあ、物凄い勢いで女殺しの才能を発揮しているティグルさんですが、別に女性相手ばかりじゃないんですよね、その才能。ジスタートのハゲことルーリックはエレンやリム以上にティグル大好き! な状態でエレン不在の今回はティグルの副官格としてかなり存在感を見せていましたし、以前からティグルに随分と辛辣な姿勢をとっていたジェラールも、実はそれはティグルを見極めるための……まあ性格的なものもあるようですが、方便だったようで、ルーリックと丁丁発止を繰り広げながら、兵站参謀として卓抜な手腕を発揮して、とティグルの後見役の爺さんたちとあわせて、何気に男衆もちゃんと魅力的に描かれているのは好印象でした。敵さんも、やられ役とは程遠い、一癖も二癖もある大人物でしたし。ホントにMF文庫ではあまりない戦記ものとして十分以上に歯ごたえのある作品です。面白かった。そして、面白くなってきた!

1巻 2巻 3巻感想

千の魔剣と盾の乙女 6 3   

千の魔剣と盾の乙女6 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 6】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

魔王を封じた魔剣クラウソラスにも匹敵するとされる、伝説の魔剣ガラドボルグ。それを手に入れるため大陸へと向かったバルトゥータスは魔剣を守護する精霊と出逢い、ロックの師となる以前、エリシアの師であるニーウと出逢ったときのことを想起していた。一方でロックたちは、新たな槍を手にしてすっかり元気になったナギの何気ないひと言から、エリシアそしてフィルがロックとパーティーを結成するにいたったかつての出来事を思い返す。大人気の魔剣ファンタジー、早くも第6巻が登場。
実質、今回は短編集か。しかし、ようやく表紙がエリシアじゃなく、違うヒロインになったというのに、その表紙を飾ったナギが今回まったく出番が無い、というのはどうなんでしょうw ニーウ先生にしろとは言わないまでも、せめてフィルにすればよかったのに。
という訳で、今回はバル師匠とニーウ先生の初めてを綴った回想と、フィルやエリシアがはじめてロックと組んだ時のお話という過去編集。メインはバル師匠とニーウさんの馴れ初めですね、これは。にしても……ニーウの報われなさオーラは半端ないなあ。バルトゥータスってば、昔から今に至るまで完全にニーウの事眼中にないじゃないか。どう見ても、ああこりゃダメだ、と諦めることを推奨するレベル。誰もニーウに忠言しなかったんだろうか。それとも、恋するオトメは聞き入れなかったんだろうか。このままだと間違いなく行き遅れになってしまいそうな勢いである。まだこれ、バルが女に興味がないようなタイプの男ならば縋りようもありそうなものだけれど、彼にはちゃんと意中の人が居て、その人を救うために人生なげうっているわけで、ニーウ先生ってば叶わぬ恋を追いかけて三十路くらいまで突入した末に、入れ上げた男が意中の人と結ばれてしまうシーンを目の当たりにして放置されてしまう、という惨劇が待ち受けていそうで、非常に居た堪れない!!
ニーウ先生の想いが叶うのって、バルが失恋してしまった場合のみ、というのもなかなかキツいんだよなあ。封印されている想い人が助けた甲斐なく亡くなってしまうとか、助けられたけれどその人の趣味がショタでおっさんには興味ないの、と手酷くフラれてしまうとか、そういう色々な意味で残念な結果に終わってしまったケースのみ、ニーウがアプローチする余地が残されているという時点で、もうなんとも居た堪れないw
まあそれ以前に、バル師匠は死亡フラグをプンプンさせているんで、まずバル師匠が死なないように頑張らないと始まらないんですけどね。ハードルが高すぎるにも程がある。
今の時点からバルがハーレムします、というのはロックのそれと比べるとちょっと無理がありすぎるし。ニーウさんニーウさん、それ無理ゲーです。
その意味では、今回のニーウとバルの馴れ初めの話って、ニーウが人生踏み外してしまった話でもあるんだよなあ。そう考えると、前巻の二人を描いた4コマ漫画の身も蓋もなさも相まって、苦笑いが浮かんできてしまう。
なんだ……ご愁傷さまでした。出会ってしまったのが運の尽き。惚れたが負けの人生ですか。
まあでも、この二人の師匠が出会ってくれなかったら、エリシアとロックは出会っていなかったんですよね。そうなると、ニーウ先生はロック・ハーレムの犠牲になったのだ! と言えなくもない。まあ傍目から見てどれだけ報われなさそうでも、当人が幸せならいいのかもしれませんが。現状にある程度満足してなかったら、十代の小娘から二十代後半に指しかかろうという現在まで現状維持のまま来なかったんだろうし。

フィルとエリシアのロックとの初めては、意外なことにエリシアよりもフィルの方が最初ロック相手に厳しい姿勢だったんだ。エリシアの方がむしろ自然に大した反発や対立もなくスッとパーティー組めたのは驚きでした。ロックってあれで師匠と違って人当たりがいいですからね、最初から隔意のあったフィルとはそれなりに時間が掛かったのは仕方ないとしても、特に隔意も好意もなくフラットな状態でパーティーを組むことになったエリシアともめることもなかったのは別におかしくもなかったか。
ともあれ、彼らの話で面白かったのは人間関係よりも冒険初心者が手探りで必要なものを用意し、おっかなびっくり実践に挑むという、あの初々しくも危なっかしく、それでいて微笑ましいやりとりでしょう。今でこそ歴戦のパーティーとなりましたけれど、最初の頃は何を準備して持っていけばいいかもわからず右往左往する初心者だったんだなあ、というのがわかってほっこり。と言っても、フィルとロックのふたりきりで挑んだ最初の冒険は随分と危ない橋を渡ることになってしまったようですが。そう考えると、ロックって最初の頃から度胸だけは座ってたんだなあ。あの冷静さは大したもんですよ。
って、師匠たちの過保護なのか放任なのか分からない、こちらも初心者師匠としての手探りのやり取りも初々しくて、微苦笑を誘われました。バル師匠もナイアル先生も一匹狼でやってきた人だからなあ、勝手分からないのも無理は無いですが、もうちょっと何とかしろよw 師匠としてはニーウが二人に対して大きな顔をしているのが、なんとも面白かった。っていっても、ニーウはあれで過保護だと思うぞw

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 34   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

テリトアールに陣を進めたティグルたち。そこに、ガヌロン公爵の配下、グレアスト侯爵が現れる。不躾な恭順命令を断るも、エレンへの執着を隠そうともしないグレアストに、ティグルは内心穏やかでない。間をおかずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し、事態は急変する。団長は、ブリューヌ最強の騎士ロラン。戦姫の技すら破る“不敗の剣”を前に、ティグル軍はかつてない危機に陥ってしまう。“光華の耀姫”ソフィーヤの助けで辛くも窮地を逃れるのだったが、エレンを庇った傷でティグルが倒れてしまい……!? 血風と光波が戦場を駆け抜ける刻、黒き魔弓は解き放たれる! 大人気美少女バトルファンタジー、心を射抜く第3弾!

なんと、ロランほどの人材をこんな風に使うのか。これほど巨大なキャラクター、それこそただ辺境に置いておいて何もさせなくても大きな影響力を発揮するはずなのに、大胆なことをするなあ。逆に言うと、それほどの大きな存在だからこそ、こういう形で片を付けてすら、今後に大きな影響を残し続ける、という風にも捉えられるのですが。
彼が置いていったものをどう扱うかも気になるところですし。これって主人公が使うようなものじゃないですし、戦姫たちも同様。と言うことは、これに相応しい人物が現れるということなのか、それとも既に傍に居る人が使うのか。居るとすればリムくらいなんだが、正直彼女じゃいくら何でも力不足だろうしなあ。どうするんだろう、これ。勿論、本来の用途ではなく御印として扱うには十分なのですが、それだけに限定してしまうにはあまりにももったいない代物ですもんねえ。
ということで、此処に来て辺境の最前線を守ってきた精鋭騎士団と対峙することになってしまったティグルたち。地味にこの時代(に限らないが)の軍隊が戦力を保持したまま駐屯し続けることの困難、さらには異国の軍勢との混成軍故のトラブルなど、本来なら避けては通れない難事をきっちり書いているあたり非常に好感高い。
たとえばドイツの三十年戦争なんかを見るとよく分かるのだけれど、中世から近世にかけての欧州の軍事活動というのは兵站関係がえらいことになってて、極言するとこの頃の軍勢はイナゴの群れみたいに補給物資を求めてさすらう集団みたいになってて、最終的には軍事的政治的な目標よりも軍の飢えを満たせる土地を優先して目指さなくちゃならなくなるという本末転倒な顛末まで繰り広げられたり。
そんなこんなで、略奪、というのは重要かつ正当な補給手段として認知されているのがこの文明レベルの時代背景なのですが、それでもそれが自国内で、となると話は違ってくるわけで。
それを自分の派閥の貴族の土地じゃないから、と遙々と大貴族たちが許可し、それどころか恩賞として与えようとするあたり、国内の乱れっぷりがよくわかるというものである。もはや王権が破綻しているという紛れのない証左ですよ。この点、同じ国内での争乱が平然と行われているジスタートの方がまだ、戦姫同士の衝突を逆に王権維持の為に利用しようとしている所でマシだと言える。まあ、国王の器量からして果たして御しきれるものかと疑問符がつくところだけれど。
ともあれ、そんな感じの部分も踏まえた上でちゃんと戦記ものやってるんですよね、これ。ナヴァール騎士団がこっちに出張してきたことによる大きな波及効果も、後々明らかになったりしていますし。
単純な戦場での戦術運動のみならず、もっと大きなグランドデザインに基づいて戦争を描いているあたり、相当にやる気ですよ、MF文庫なのに。

しっかし、これはまたどう決着つけるのかしら。ブリューヌ王国も今回明らかになった極秘情報からして、とてもまともな手段では落ち着かないだろうし、どうやらジスタートの方も戦姫全員がティグルに味方することはないっぽいのが明らかになったし。そも、ティグルがどういう立場に立てるか、というところが肝なんだよなあ。ラストの展開も、彼の行く先に大きく影響してくるんだろうか。一旦、彼女が離れたというのもティグルの存在がエレン抜きで世間に注目されるために必要なプロセスだったのだろうし。
さてさて、ブリューヌもジスタートも国内が纏まらず勢力図がわやくちゃになっているところに第三国も介入してきたことで、盛り上がって来ましたよっと。
恋愛模様の方も、もうリムさんが完全にデッレデレで。最近ティグルのこと甘やかしはじめたんじゃないか、この女w 周囲にも嫁候補と捉えられているみたいだし、でも噂知ってしまっても今となってはまんざらじゃない態度取りそうだなあ。そうだったら、もう末期ですけれど。
あとエレン、ディグルのこと自分のものだとちょっと主張しすぎです。手ぇ出したら噛み付きそうな勢いですし、それもあからさま過ぎますってw

1巻 2巻感想

千の魔剣と盾の乙女 53   

千の魔剣と盾の乙女5 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 5】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ガーリャの戦いを生き延びたロックたちは、武器を喪い放心状態のナギの新たな魔槍を探すため、大図書館を擁する学術都市ベアルフェルを訪れていた。古代の文献を調べ、ガーリャで共に戦った魔剣使いファーディアの情報通り太陽神ルーの槍が実在すること、砂漠の廃墟都市ゴリアスに存在する可能性が高いことを知る。初めての砂漠に戸惑う一行は、砂漠案内のプロを雇うことにするのだが、紹介されたのはグラーニャというエリシアよりも豊満な胸と成熟した艶美さを併せ持った美女で、なぜか彼女はロックにときどき過剰なまでの好意を向けるため、エリシア、フィル、ナギは気が気ではなく…。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、新展開の第五弾。
正妻枠は既にエリシア、フィル、ナギの三人で埋まっているので、現地妻始めました……間違ってないよね?
とまあ、パーティーはこれ以上加わる余地もなく、今の四人でほぼ完成しているので、今更新キャラがレギュラーの座を射止める事はまずないのだろうけれど、ゲストキャラの現地妻化は有り得ますなあ、という展開でありました……じゃなくて!
ハーレム事情はさておいて、何気に今回ガーリャ戦を超える大きなターニングポイントだったのではないだろうか。まだガーリャ戦での活躍の際は、ようやく一線級、トップクラスのパーティーになったなあ、というくらいの感触だったのだけれど、今回伝説上の武器であった「光の槍(ブリュナーク)」をナギが手に入れ、ロックもまた同じ呪いを受けた剣士の亡霊からの教授によって魔剣を喪う瘴気の呪いを逆手に取ったパワーアップを果たしたことで、一気に魔王を倒す最終目標が現実味を帯び始めたのだ。
リャナンシーと伍する金環、魔王配下の大幹部であろう魔物をロックたちだけで倒してのけたのだ。それは、彼らのパーティーが伝説に謳われるだけの実力を備えつつあるとみて間違いないだろう。
問題は、今回武器無しで引け目を感じて縮こまっていたナギがブリューナクを手に入れ、さらにロックもパワーアップしたことで、逆にエリシアとフィルの力が一歩遅れを取り始めてしまったことか。エリシアは戦い方次第でまだ全然戦力として見落としはしていないのだけれど、フィルが術使いな分ちょっとマズいんですよねえ。フィルって一流どころではあっても、まだまだ未熟で超一流って位置には達していないからなあ。こればっかりは一足飛びに実力アップできるものでもないわけですし、何とかバランスを取っていくしかないのか。
いや、でもナギがブリューナクをちゃんと賢者エスラスから受け取ったとなると、もしかして他の三人もトゥアハー・デ・ダナンの四至宝を手に入れる展開になるのかしら。でも、ヌアザの剣たるクラウ・ソラスや運命の石リア・ファルならともかく、ダグザの大釜とか手に入れてどうするんだ?
一応、ホルプなんかはあからさまにただのインテリジェンス・ソードではなく、曰くありげな魔剣ですし、それこそ伝説の武器っぽいからクラウ・ソラスという可能性もあるんだが、どうもホルプの正体は竜じゃないか、という伏線が出てきているのを考えると、逆にクロウ・クルワッハだったりする可能性もあるのか。そうだと面白い展開なんだがな。
ともあれ、思いの外早く状況が揃いつつあるので、クライマックスは近いのかもしれない。肝心のロックのハーレムも、推進派のフィルは元よりとして、エリシアも凹むナギにロックが優しくすることで急速に距離感が親密になっていくのを見ても大してヤキモチも焼かずに、ナギならいいか、と思っちゃってるあたり既に末期である。ナギも二号さん三号さんでオッケーです、みたいな心境だから、こりゃ後はロックが諦めるか、酔って既成事実を無してしまうまでのカウントダウン状態ですね、ご愁傷様です。酔ってセクハラ大魔神になってもあの程度のスキンシップで止まってしまうロックの初心さを見るかぎり、逆に女性陣から押し倒さないとこれ以上進展なかったりする可能性もあるが。
彼らの関係の方も、旅が終わる前にはっきりと決着して欲しいものである。いい加減じれったいぞ。もうちょっとフィル頑張れ。

しかし、なんでこのシリーズ、表紙をエリシアだけにしてるんだろう。印象も薄くなるばかりだし、勿体無いなあ。カラー口絵でのコメディ漫画や挿絵見てたら、絵師さんなんぼでもいろんなデザインやってくれそうなのに。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

千の魔剣と盾の乙女 43   

千の魔剣と盾の乙女4 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 4】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

冒頭のカラー口絵で描かれた、エリシアもドン引きのニーウ師匠のバル師匠に相手にされなさの悲惨な歴史には泣いていいものか笑っていいものか。出会ってから十年。片思いし続けてもう七年。此れに比べると、エリシアは恵まれてるよなあ。ってか、ニーウももう結構イイ歳だろうに、未だに諦めてないのか。ある意味ここまで来ると根性だよなあ。世界観的に見ても、二五歳は行き遅れと言われても仕方ないはずだし。まあ、ニーウ師匠は前線でバリバリ働く名望高い超一流の魔剣使いですから、肩身が狭いと言うことはないでしょうけれど。
それにしても、バルトゥータスに脈はこれっぽっちもなさそうなのが本当に悲惨だw

と、今回は金環の魔物が待ち構える、かつて陥落した都市ガーリャの奪還戦。数百人規模の魔剣使いが参加しての、人類側戦力の相当数をつぎ込んだほぼ戦争と言って過言ではない規模の戦いである。これまで大陸と島都市との接触による魔物たちの上陸侵攻を防ぐ形での防衛戦と違い、今度の戦いは防衛拠点がない逆侵攻戦である。そもそもの難易度が桁違いな上に、完全に待ち伏せを食らった形になっていたので、これ殺意が高い作家なら、かなりの規模で死人が出てたんじゃないかなあ。ニーウ師匠と老戦士のサイフォスなんかは完全に死亡フラグ立ってたもんなあ。特にニーウ師匠はヤバかった。作家というのは少なからず嗜虐心があるもので、これ途中まで本気でニーウ殺すか迷ったんじゃないかなあ。殺してしまうと作品の雰囲気がガラっと変わってしまうし、登場人物たちの今後の生き方にも変化や影が落ちてしまい、相当の方向転換を強いられるだろうからまずそれは出来ない選択ではあったんだろうけれど、シチュエーションが刺激的すぎたし、ヤッてしまってもいいんじゃないか、という誘惑にはだいぶかられたんじゃないだろうか。まああくまで自分の感性なので、正確なところは分からないけれど。
振るうだけで魔剣を壊してしまう呪いが自分に掛けられていた事を知ったのと、魔王を倒すという目的の、動機の弱さを指摘された事実が丁度合わさってしまい、モチベーション低下中のロック。
この主人公ってとことん普通のメンタリティの持ち主だよなあ。
こればっかりはエルシアたちも横から口だしするわけにもいかず、しかし突き放すでもなく程良い距離感で接する三人娘たちの心遣いが若いながらも丁寧で好感が持てる。馬鹿みたいにキャンキャンと自分の気持ちを主張するだけの無神経な子でも、勝手に遠慮ばかりして腰が引けてビビってるのを相手のためと言い訳するだけの卑屈な子でもない、何だかんだと自立した娘さんたちなんですよね、エルシアもナギもフィルも。
もしロックが魔剣使いを辞めることになったら、というこの時のロックの状態を鑑みるなら現実にあり得る未来に対して、それぞれがきちんと答えを持っていたのもその証拠。しかも、それはロックを甘やかすものでも、自分たちを甘やかすのでもない地に足が着いたものなんですよね。エリシアたちがあれだけキッパリと別れる選択肢を口にするとは思いませんでしたし。彼女たちはあくまで自分たちの為に魔剣使いをやっているのであって、決してロックのためじゃないんですよね。でも、だからこそ命を預けあえるし、心置きなく叱咤激励も出来る。これぐらいちゃんと自分で立っていないと、嫁にはなれんよなあ(笑
酒の勢いとはいえ、三人とも俺の嫁宣言をするロックに惚れるw まあ素面に戻るとまったく覚えてないのですが。でも、フィルの誘導もあってなんとなくいつの間にかエリシアもナギも嫁呼ばわりを受け入れてしまったようで、最近のパーティーの雰囲気、なんかアレです(w
さすがにロックもこれはなあなあで済ませなくなってきたようで、よりにもよって魔剣ホルプに目を逸らしてないでちゃんと彼女たちとの関係をはっきりさせるべきであるとお説教される始末。いいじゃんもうみんな嫁で。

戦闘シーンを見ていると、パーティーの実力が格段に上昇しているのがよくわかる。今では息もピッタリだし、既に現状では最上位クラスのパーティーになってるんだろうな、これ。ナギにもここでパワーアップフラグが立ったみたいですし、ストーリー展開の方もそろそろクライマックスかという所に差し掛かってきたようで……。
いや、今一番先の展開が気になるのは、もはや安牌なロックたちよりも、バル師匠とニーウと勇者サーシャの歪つな三角関係がどう決着するかどうかだよなあ(笑

一巻 二巻 三巻感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 24   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉2 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 2】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

テナルディエの軍勢を退け、つかのまの平穏を得たティグルたち。避けられなくなった戦いに向け、ティグルは仲間になってくれる貴族を探して動き出す。一方、国王への説明のためジスタート王都に赴いたエレンは、七戦姫の一柱にして腐れ縁の天敵、“凍漣の雪姫”リュドミラと遭遇する。険悪な応酬のはて、その場は別れる二人だったが、ティグルに興味を持ったリュドミラがライトメリッツを訪れ、状況は一変する。「ジスタートが誇る戦姫の一人。『破邪の穿角』が主、リュドミラ=ルリエよ」「帰れ」 しかも、彼女はテナルディエと交友関係があるらしく……!? 戦姫対戦姫、人智を超えた戦いが今幕をあける! 話題沸騰の美少女バトルファンタジー、待望の第2弾!
え、エレンさんエレンさん、あんた大人気なさすぎ!!
一巻の感想で、あたしゃあ貴女の事をいわゆる「大人のキャラクター」として礼賛していたんだが、いったいどうしてくれる!w
案外好き嫌いの激しい人だったんだなあ、エレン。そう言えば自分の国の国王陛下には軽侮を隠していなかったっけ。それでも、リュドミラとの対立は利害や政治的背景を抜きにした完全に感情的な相性の悪さに基づくもので、罵り合いも明らかに子供の喧嘩レベル。あまりに程度が低い、というかガキっぽい口喧嘩に、それまで描いていたエレンというヒロイン像がガラガラと崩れて行きましたよ。
この人、全然大人なんかじゃないよ。ちょっと背伸びしてお姉さん面して得意げにしてるだけのお子様だよ!!
もちろん、七戦姫の一角として、ジスタートの有力地方領主としての才幹、判断力などには陰りはないのだけれど、プライベートで見せる顔は以前よりも遥かに子どもっぽいものになったように思う。
リュドミラにティグルを自慢しまくったり、ティグルの真価を見抜けないリュドミラに優越感を隠しきれなかったり、逆にティグルに関心を示し出したらムキになって「こいつは私のもの!!」と牙を剥いて威嚇したり……って、ティグルがもうお気に入りの玩具扱いだな、これ。果たしてこれが恋愛感情にまで至っているかというと、微妙なところ。自分の側近であるリムがティグルに恥ずかしい目に合わされた時など、実に楽しそうに笑ってからかい倒しているくらいですからね。
その点むしろ、最初はティグルを胡乱な目で見ていたリムの方が、真っ当にティグルに惹かれている気がしますよこれ。ティグルが不甲斐ない様子を見せていたら内心やきもきしたり憤慨したり、んで彼が立ち直ったら内心でほっと安心したり喜んでしまったり、ティグルが侮られたら思わずむかーっとなって反論してしまったり、自分の可愛い物好きという秘密を知られてしまった時には、ティグルに趣味の話し相手になることを約束させたり、いやいやリムさんや、自分ではティグルとの関係は事務的なものに徹していると思ってるようだけれど、傍目には完全にデレまくってるから(笑
最初の印象値がマイナスだったせいか、プラスに転じると留まるところを知らないようだ。今回は特に前半はエレンが自国に戻っていたお陰で殆どリムと二人で行動しているようなものだったし、むしろリュドミラよりもリムの方がせっせとティグルとの仲を進展させてたようなかんじだな。それも、主が天敵と喧嘩している合間にw
さて、今回表紙にもなっているリュドミラだが……なんか作中では貧乳ちびっ子扱いされているんだが、イラストではとてもそうは見えないんだが、というかデカいだろうこれ。
上から目線の言動に棘の多いタカビー娘なのだが、基本的に誇り高く気性もまっすぐでいい意味でも悪い意味でも貴族の娘さん。元が在野の傭兵の出だというエレンとは、出自や感情的な対立もあって衝突してばかりなのだけれど、ある意味二人の仲の悪さって上でも書いたように子供のケンカじみたものなんですよね。実は政治的にはそこまで対立しているような利害関係があるわけではないようなんですよね。領地が隣接している以上、いざこざは常にあっただろうし、歴代の戦姫同士もライバル同士だったみたいだけれど。
改めて二人の関係を顧みてみると、感情的な対立があるとは言っても、そこまで陰惨な憎悪が入り交じった対立ではない。あくまでお互いが気に入らないという子供レベルの喧嘩。少なくともちゃんと顔を付き合わせて罵り合い、掴み合いの喧嘩をする程度には本音で向き合った関係ではあるんですよね。これは、まだキッカケさえあればきちんと和解できる手合いの仲の悪さなんですよね。
今回はリュドミラの家とテナルディエ家との経済的政治的な繋がりが、エレンとティグルが繋がったことで個人的な対立から領主としての対立へと発展したわけだけれど、そこではからずもお互いに相手を嫌いあっては居ても憎んではおらず、何だかんだと戦姫として認め合っていたというのがわかったわけで。
最後、お互いにちょっとだけ素直になったシーンは微笑ましかった。

戦記ものとしての展開、描写も堅調で個人の無双で戦局を動かすのではなく、あくまで戦術、作戦レベルで戦場を演出する描写はなかなか歯ごたえのあるものだった。この手の戦記ものは意外と数が乏しいから、こんなふうにちゃんと描いてくれるとやっぱり嬉しいですよ。ページ数にかなり制約があるだろうMF文庫じゃガッツリ書くというわけにはいかないだろうけれど、これからもこのペースで行ってほしいところですね。

1巻感想

千の魔剣と盾の乙女 33   

千の魔剣と盾の乙女3 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 3】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

ロックのラッキースケベっぷりが同じ川口作品の主人公の中でも他の追随を許さないくらいにすごいな、恵まれてるな。というかここまで来るとエリシアがただの汚れ役のような気がしてきた。もうそこはフィル並におおらかになって全部許してしまえばいいのに。あれだけベタボレなんだから。まあ、偉そうに煽ってるフィルはフィルで自分がラッキースケベの当事者となったら動転しまくるあたり、まだまだハーレムの要としては未熟者だな。
とは言え、一応フィルこそがこのパーティーの女性関係の管理者として機能している、というか働いているからこそ面倒くさい性格のエリシアが人間関係拗らさずになんとかやってけてるんでしょうけどね。ナギが加わったことで本来ならもっとややこしい事になってたはずですし。ロックはそっち関係まったく無能ですしねえ。
こうして鑑みると、やっぱりハーレムというのは女性陣の中で全体を管理調整する、出来る人員が居ないと、とてもじゃないけど維持なんて出来ないのがよくわかる(これを今まで読んだ中で一番見事にこなしていたのは【カンピオーネ!】のエリカである。しかも彼女の場合自分を最上位に据え置いてだから大したものなのだ)。よっぽど男がオラオラ系だか気遣いとマメさとバランス能力に長けていない限り、みんな仲良くなんて出来ないし、それができてもただの仲良しごっこになりかねない。或いはよっぽど女性陣同士が仲良くて、それこそハーレム主に対する感情と同等同質の想いが女性同士の間に巡っている状態か。少なくとも女性間にちょっとでも反目や意趣、独占欲が芽生えてたら管理者のいないグループなんてすぐに崩壊してしまうんだろうなあ。
その点、フィルはよくやってる。自分は一歩引いてエリシアを立てているあたりも機微がわかってるし。それでいて引ききってしまわず、それとなくポディションは確保してるんですよね。今回は自分の未熟さを単に発して、自分のポディションに自信を失い、ロックやエリシアへの想いを再確認する、言わばフィル担当回だったのだけれど、パーティーにおける彼女の縁の下の力持ちっぽりがより存在感を増した感があるなかなか重要な回だったんじゃないだろうか。
そろそろ、ロックの目標についても本格的に疑問を呈されてきだしましたし。それは師匠の夢の横取りなんじゃないのか、という指摘はなかなか厳しいものだったんじゃないだろうか。他人の夢に相乗りするには、ロックというキャラクターは軽くも薄くもないんですよね。彼自身、今回発覚したことだけれどかなりキツい呪いをかけられ、金環の魔物に目をつけられているわけですし。ロックは決して主体性がないキャラなんかじゃなく、かなり一本芯が通って信念も固いキャラにも関わらず、彼の夢自体は借り物という状態はどうにも矛盾に満ちてきて、妙な違和感というか座り心地の悪さを感じていたのだけれど、どうやらその辺のブレがガンガンと叩かれて一つの筋道として鍛えられてきた感があり、面白くなってきた。

にしても、大陸に対する探索って本当に沿岸部に限られてるんだなあ。殆どが日帰りって、半日程度で進める距離って、交通が整備されてない土地であることや次々に襲いくる魔物の事を考えると殆ど無いも同然だろうし。せめて大陸に拠点を確保できれば、そこから徐々に支配地域を広げることも可能なんだろうけど……いや、僅かな接触だけで海上都市を蹂躙されかけてる戦力差を考えれば、大陸に拠点をなんて絶対無理か。これで魔王を倒すとか、無理ゲーもいいところだよなあ。殆ど詰んでるぞ、この状況。
せめて敵方が知性のない魔物ばかりだったら遣り様もあるんだろうが、ちゃんと人間以上に頭を使える幹部クラスが居るとなると、難易度が高すぎるw

巻末のオマケの川口スーパー大戦はマジで面白そうだな。いつの間にか川口さんってもうそんなに作品出してたんだなー。


1巻 2巻感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉  

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

Amazon

竜より与えられし武具を振るい、戦場を駆ける美しき少女たち――“戦姫”。王の下、7人の戦姫は7つの領地を治め、“ジスタートの七戦姫”として隣国に恐れられていた。ブリューヌ王国の小貴族の少年ティグルは、ある時かりだされた戦で、一人の戦姫と出会う。白銀の髪に紅の瞳、幻想的な美しさと他を圧する威容をあわせもつ少女、“銀閃の風姫”エレン。敵の総大将であるエレンを討ちとろうとするティグルだったが、彼女の人間離れした剣技の前に失敗してしまう。しかし、弓の腕に一目惚れしたというエレンに、「きみは、わたしの捕虜(もの)だ」と宣言されてしまい……!? 痛快無比なる最強美少女ファンタジー、ここに開幕!
弓強ぇ!! いやそれよりも、弓という武器にこれほど見栄えがあるとは。アウトレンジから一方的に必中の矢で敵兵を片っ端から射抜いていく戦闘シーンの無双がまた栄えるんですわ。どうしても主人公の武器は剣など近接武器の類という固定観念があり、弓の使い手は神がかった腕前を持っていても大体は仲間の一人というサブキャラというポディションのケースが多いわけで、活躍の目立ち方はある程度抑えたものになりがちなんですよね。
主役が弓を持ったら、こうなるのかー!
いや、単に主役だからという訳じゃなく、見せ方の描写が上手くないとこうも「無双」って雰囲気は出ないですよね。単に弓の腕前が神懸っているだけでなく、戦闘シーンにおけるその腕前の使い方がまた絶妙なんですよ。特に瞠目させられたのが、ティグルとエレンの邂逅シーン。両者の唯一の対決でもあるのですが、残り僅か数本しか矢が残っていない中で、ティグルはその必中の腕前に胡座をかいて直接エレンを狙い撃つのではなく、冷静に狡猾に手持ちの弾数、相手との距離、敵将とその供回りの位置関係などを図った上で、詰将棋のようにエレンの打つ手を無くしていくのです。技量ですでに必中の弓が、さらに相手に抵抗も回避も逃走も許さない状況に追い込んでの戦術的必中に機していく、ここの戦闘シーンは短いながらも見ごたえありました。
1000を超える軍勢同士の合戦描写もエレンとティグルの無双に頼り切らず、ダイナミックな戦場シーンが演出されていて、戦記モノとしても読み応えがあるものじゃないかと。うん、そうなんですよね、これって戦記物なんですよね。現状では隣国の小貴族の少年が、ジスタートの戦姫の一人に囚われることで縁が結ばれただけなのですが、ブリューヌ王国内での内乱、形の上ではエレンの軍がブリューヌ王国の領土に侵攻したこと、そしてそもそものジスタートの国の在り方とその現状を鑑みると、ブリューヌとジスタート両国が根底からひっくり返る大再編を伴った戦乱の発端とも言うべき出来事が、この巻の話だったと見ることも出来るわけで、これ結構な大長編になるポテンシャルを持ってるんじゃないでしょうか。
肝が据わっているというか、敵陣に囚われながらわりと鷹揚に構えている主人公の性格も面白いものでしたし。誠実さと、まあ何とかなるさ、という楽天的というか細かい事は気にしないところがミックスされた性格は、妙に大人物っぽいんですよね。それでいて、故国では侮蔑と嘲弄の対象だった自分の弓の腕前を褒められ敬意を寄せられることに純粋に喜びを感じる可愛らしいところもある。同じく心身のバランスが安定していて、少女らしさと領主であり軍司令官であり姫である部分が無理なく同居している、いわゆる大人なキャラクターなエレンとのコンビは見ていて安心できるものだった。大人同士であるが故に、逆に素直に愛嬌や隙を見せ合える関係、というのか。冗談を交えた掛け合いにも余裕があるんですよね。お互いに余裕があるからこそ、稀に相手の反応や言動に面食らって余裕を無くしてしまうシーンが栄えるわけで、こういう川口さんのラブコメ、やっぱり好きだなあ。
何気に、性懲りも無くハーレム街道へと突入している気配があるし。この人、作風が地味だ地味だと言われる割に、ハーレム思考は筋金入りなんですよね。しかも、浮ついたハーレムじゃなくて地に足の着いたハレムなのがなお素晴らしい(笑

とにかく、近年の作者のシリーズでも特に面白い出だしで、期待のシリーズとなりそうです。

千の魔剣と盾の乙女 23   

千の魔剣と盾の乙女2 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 2】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon

育った島を出て冒険の旅へと出発したロックとエリシアたち。
最初の目的地にエリシアの生まれ故郷の島を目指す旅の途中、予想外のトラブルに見舞われたロックたちだったが偶然出会った魔斧槍使い(ハルバート)の少女に助けられるのだが、エリシアはそれが気に入らず、ロックとの仲がギクシャクする羽目に。
発売直後に増刷御礼、大人気魔剣ファンタジー、早くも待望の第二弾登場!
え;つ?あらすじにあるようなナギが原因でエリシアとギクシャクするような展開ってあったっけ。エリシアは突然に見舞われた結婚問題でそれどころじゃなかったんじゃなかったかな。というわけで、久々に帰郷したエリシアを待ち受けていたのは父親からの結婚しろという命令。エリシアとしてはもちろん承諾できる話ではなく、彼女としては実家と縁を切るのも厭わず、のつもりだったようだけれど、それは両親の居ないロックが強く引き止める。自分に家族が居ないから、家族の居るエリシアには両親をちゃんと大事にして欲しい、というロックの想いはこの青年の健やかさを示しているかのようだ。でも、心根こそ真っ直ぐで健やかで人間性は認められても、果たして結婚相手としてはどうなのか。エリシアからすれば、好きな相手なんだから何の問題も障害もないのですが(あるとすれば彼女当人のヘタレ根性か)、エリシアの父親からすれば娘を託す相手としてどうなのか、って所なんですよね。
エリシアに頼まれて、彼女と結婚を約束した相手として父親と対面する事になったロック。そこで彼は自分の所信を忌憚なく語るのですが……。いや、このシーンはちょっと笑ってしまった。シチュエーションとしては、完全に娘さんを嫁にください、と家に押しかけてきた馬の骨に、お父様お冠、という娘が家に結婚相手を連れてきました、というものなんですよね。そこで父親が対面した娘が連れてきた相手というのがまた、財産も安定した職もないくせに、夢物語みたいな目的を目をキラキラさせて語る若者、という典型的な「貴様なんぞに娘はやれん!」と叫びたくなる類の輩であったわけです。これは、エリシアの実家が都市有数の資産家であるというのを抜きにしても、普通の家のお父さんでも、「え、いや、ちょっと待って」と言いたくなる相手だよな、ロックってよくよく見ると(苦笑
それでも条件付きとはいえ、ロックにちゃんとチャンスを与えてくれたお父さんは、何気に懐の広い人なんじゃないだろうか。そして、ロックは自覚のないうちに自分で外堀を埋めていることに気づいていない、と。まあ、お父さんしっかりした人なので、ロックが自分の娘をまだちゃんと異性として見ていない事は気づいていらっしゃるようでしたが。しかし、どう間違ってもこいつと付き合ってたら娘が苦労する、と分かっていながら、試練を経てロックの人となりを見聞してのち、エリシアにじゃあ苦労してこい、とばかりに送り出せるこの人はやっぱり大物だと思う。いい両親じゃないですか、エリシア。どうして熟考と果断を合わせ持つ両親の娘が、肝心なところでロックに気持ちも伝えられずにマゴマゴしているヘタレになってしまったんでしょう(苦笑
家を飛び出し、親族筋の師匠に弟子入りして魔剣使いなんていうヤクザな業界に飛び込むような思い切りはあるのに。今回の試練についても、ロックにだけ任せてらんない、と自分も飛び込みで参加してるように、果断さについては充分あるんですよね、エリシア。ということは、彼女のヘタレさは男関係限定か(苦笑
今回のロックのライバルであり、エリシアの父親が結婚相手として連れてきたファビアスは、偏見も強く冒険を嫌うという意味では保守的だけれど、ちゃんと他人を認め、自分と違う考え方についても受け入れるだけの器量の持ち主であった事を考えると、お父さんの見る目ってのは全然間違っちゃいないんですよね。彼と結婚してたら、エリシアでなくても大概の女性は苦労しないし、普通に幸せになれたと思う。まあ、エリシア相手だとファビアスの方が苦労してたかもしれないなあ。ただ、彼女の面倒くささは付き合いに苦労してもそれを楽しいと思えるような種類の面倒くささだと思うのよ。ロックもエリシアのこと時々持て余しているようで、結構楽しそうですしね。男性に限らず、フィルなんかもそんな感じだよなあ。だからこそ、彼女と一緒に二人でロックの嫁に、なんてことを目論んでいるのかもしれないなあ。

ちょっと気になるのは、ロックの「魔王を倒す」という目的に対して、それがロックという人間に根ざしたロックの願いなのか、というところに疑問が差し込まれた所か。前巻でも師匠のため、という所に多少気になった所があったんですが、どうやらその辺の主体性が今後、ロックの道行に影を落とすことになりそう。

新登場のナギは、無事仲間として合流したものの、実のところあんまりこの巻では目立ってなかったような気が。取り敢えずは次の巻からかなあ。

1巻感想

千の魔剣と盾の乙女4   

千の魔剣と盾の乙女 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女】 川口士/アシオ 一迅社文庫

Amazon


魔王バロールの侵攻により、窮地に追い込まれた人類は、魔物を倒すことができる古代の魔剣、その量産型を精錬する技術を編み出し対抗した。
それから150年――剣士ロック、魔法盾を操る美少女エリシア、魔剣練成師の少女フィルの三人は、魔剣の材料を求めて魔物たちが跋扈する暗黒の大陸へと旅立つ!
川口士がおくる魔剣ファンタジーの決定版!
ほんとに川口士さんは、筋金入りのハーレム大好きですねっ!!(笑
作風はいまどきのハーレム系からすると明らかに違うし、色んな女の子相手にキャッキャウフフするような内容にもならないんだけれど、その分実直にハーレムを構築しに行っている感じ。自分で書いておきながらなんだが、実直に、ってなんだよ!?ww
少なくとも、パーティーの人間関係の要であるフィル嬢がその気満々なので、既にロックもエリシアも虎口に閉じ込められているようなもののようですが(笑

さて、今回のシリーズはというと、また凝った設定の世界観をひねり出してきましたね。ある意味、一迅社で出していた前シリーズの【星図詠のリーナ】とは対極に向かう方向性なんじゃないだろうか。外向きにいくらでも広がる余地を踏まえていた【星図詠のリーナ】と違って、非常に限定された局面に集約された世界観、というべきか。なるほどなあ、同じファンタジーにしても色々と描き方を変えてくるのは当然の話なんだけれど、こんな根っこのところから今までと違った方向に持っていくのは、色んな描き方に挑んでやろうという作者の意欲みたいなものが伝わってきて、正直ワクワクしてきますね。
主人公のロックも、これまでの主人公像とは少しズラしてきている感じがしますね。俺が俺が、という我の強さが少なく、弄れてもいない、非常に素直な人柄。人柄というよりも、これは子供らしい純真さというべきか。既にロックはガタイ的にもメンタル的にも青年期に入っているので最初読んでいた時は気付かなかったのだけれど、小さい頃から苦労しているお陰でとても世慣れているくせに、心ばえに癖や嫌味、スレた所や思考に固まった所がなく、表面的には分かりにくいんですが、根っこのところでとても素直。いい意味で子供っぽさが随所に垣間見ることのできる青年なのです。逆に、悪い意味での子供っぽさは殆ど見えない。思慮の浅さや短慮さ、理性よりも感情に走ってしまうところなどは全然無いんですよね。そうした性質は、特にメンツに拘らない、という面に強く出ていて、結構面倒くさい性格をしているヒロインのエリシアとしょっちゅう喧嘩しているにも関わらず、後に引きずらずにすぐ仲直り出来ている事からも伺える。と言っても、何も考えてないような脳筋系ではないんですよ。エリシアと喧嘩したあと、相手の理不尽に憤慨し、自分の悪かった点について頭を抱え、仲直りするまでの微妙な空気にどう接するべきかグルグルと悩み、とむしろ性格的には繊細な方なのかも。それでも、子供らしい素直さが余計な意地を張らせないものだから、人間関係を拗らせる事は少ないし、立場的にけっこう微妙な所に居る割に、対立する理由がある相手以外には交友関係が広く、多くの人に好かれているんですよね。
うん、こうして見ると、やっぱりとても良質のいい主人公だ。
こういう子だからこそ、師匠は彼を鍛えるにしても自分と同じやり方をせずに、多くの人と関わらせる形で育てる方針にしたんだろうな。その点、確かに魔剣ホルプは自分の主となったロックという青年を、ちゃんと観ていなかったのだと納得出来る。
ホルプの考え方も、全然間違ってはいないんですけどね。ズバリとダメだしをされたエリシアが凹みまくったように、魔剣の指摘は的を射た正論であるのは間違いなかった。ただ、やっぱり考え方や視点が頑なすぎるんですよね。
この知性ある剣ホルプのキャラクターは、なかなか斬新で面白い。これまでのパターンだと、この手の喋る武器は、だいたいどんな性格をしていても最終的には主人公を導く役割を得ているものだけれど、このホルプはというとかなり理性的で教導的な思考をしているわりに短気だわ視点が一方的だわ変なところに拘りが強いわ、と実際はあまり導くのとか出来てないという……(苦笑
これで人の話に耳を貸さなかったり、自分勝手だったりしたらタチが悪いだけなのだけれど、頑固者のわりに聞き分けるところはちゃんと聞き分けてくれるし、自分が間違っていると理解したらすぐに改善し、謝る事も躊躇わない。主人や周りの人間にもきちんとすべき配慮をして気配りしてくれている、と堅物だけど難物じゃないんですよね。面白いわ、この剣w
丁度、主人公のロックが素直でまっすぐな分、この剣とはよく釣り合いが取れているのかもしれない。

話はもどるけど、ロックの素直さは彼が目標とする「魔王を倒す」という所にも如実に現れている。彼が魔王を倒そうと思っているのは、彼の師匠が初恋の人を助けるために魔王を倒すことを宿願としているから、なのである。その目的は師匠の目的であってロック個人のものとは少し違うかもしれない。正確には、彼は魔王を倒したい、のではなく、魔王を倒すことによって恩ある師匠に想い人を助けさせてあげたい、言わば恩返しが目的であると言える。それは、立派な主体的な目的なんじゃないだろうか。そして、世界を救うためだのといった大それた夢ではなく、恩人に報いたいから、世話になった師匠に幸せになって欲しいから、というそれだけの為に、何百、何千の魔剣使いが倒せず骸を晒していった魔王という絶大なる存在を倒そう、と。周りの人間達が夢物語と信じようともしない目的を、本気で達成しようとしているのだから、十分大した主人公なんだと、私は思います。
夢物語だと親しい人からさえも哂われても、気にせずにこやかに笑って、でも決意も覚悟も一切揺らがないところなんぞ、カッコイイじゃないですか。
師匠もこりゃ、面映いだろうなあ(笑

漂う書庫のヴェルテ・テラ 43   

漂う書庫のヴェルテ・テラ4 (富士見ファンタジア文庫)

【漂う書庫のヴェルテ・テラ 4】 川口士/雛祭桃子 富士見ファンタジア文庫

Amazon
 bk1

聖堂から追われる身となったジグウォルと「万巻の書」レジィナは、“断罪”の星導師と名乗り、焚書の現場を襲いながら新たな「五賢七書」の情報を集めていた。一方【聖堂】はついにジグウォルの抹殺を決定し――!?


おおっと!? これはまた巡りが良いというか、タイミングが良かったというべきか。先のシグウォルの枢機卿襲撃事件での顛末から、聖堂の幼馴染たちとの仲はもっと拗れてヒドイことになると思っていたのだけれど、リシェルは結局何が起ころうとシグウォルへの信頼は揺るがず、タルドールも風聞に惑わされるタマではなく、何だかんだと幼馴染の絆は揺るがず、兄を殺したと誤解しているサリナが思い込みも激しくて一番厄介だったのだけれど、幸いなのか偶然とタイミングが合致してしまい、シグウォルが隠していたオルトの死の真相が明らかになることで誤解も解けてしまったわけで、人間関係がひどいことになる前に和解出来たのは、まあよかったんだろうなあ。
聖堂側も、どうも組織の暗黒面が無茶をやらかし始めたことで亀裂が生じ始め、歴史の闇に葬り去られた神の真実が明らかになりはじめたのと相俟って、どうやら以前からシグが切望していた聖堂の良い面と悪い面が乖離してきたみたいで、段々と落しどころが見え始めてきた。
しかしなるほど、聖堂がこれほど躍起になって焚書に勤しんでいたのは、単に聖堂に都合の悪い情報を封殺する為ではなくて、歴史の改竄と神の真実を闇に葬り去ろうとしていたからなのか。幾ら何でも偏執的なほど徹底しすぎているな、とは思っていたんだがこの真実が明らかになった時、聖堂の権威が失墜するどころの話じゃなく聖堂そのものが組織として成り立たなくなる可能性すらあるとするなら、どれほど乱暴で汚い手を使ってでも真実を消し去ろうとするのもあながち暴挙とは言えないか。どうやら聖堂が成立した当初からの方針だったようだし。

にしても、だ。聖堂が強硬手段に出だしたことで、それまで立場上身動きが取れなかった聖堂騎士のリシェルや、プルガトリア女王アンジェリナが一時的にとはいえフリーハンドを手に入れてしまったというのは、物語上は緊迫した情勢にも関わらず、シグの女性関係として見ると突然彼のハーレム環境が整いだしたような感じになりだしているんだがw
誤解の解けたサリナも、なんかシグにべったりになってるし。あれあれあれ? と思っているうちになんでかシグの所に彼に想いを寄せる女性陣が集結していく流れになってますよ?(笑
お陰でなのか知らないけど、本来の彼の相棒であるところの「万巻の書」レジィナの存在感が偉いことになってしまっているような。さり気無くシグの行く末とか気遣って、デルミッシュ師匠を問い詰めたりとかわいい行動をしているにも関わらず。
このままだと、次回以降合流してきそうなアンジェリナ女王やリシェルに全部持ってかれかねないぞ。いや、自分はリシェル派なのでそれはそれでいいのですが。

まあ最終的に一番美味しいころはタルドゥールが掻っ攫っていきそうな雰囲気ですけど。

川口士作品感想

星図詠のリーナ 34   

星図詠のリーナ〈3〉 (一迅社文庫)

【星図詠のリーナ 3】 川口士/南野彼方 一迅社文庫

Amazon
 bk1

前回の感想で、パルヴィ姉さまはリーナのこと認めているし期待しているけれど、感情としては自分で口にしているようにリーナのことは嫌いなんだろう、なんて言ってましたけど……いやこれ、やっぱりパルヴィ姉さま、リーナのこと好きだろう!(笑
前回でだいぶ印象変わったけれど、パルヴィのことはまだまだ誤解していたのかもしれない。というか、今回はもうパルヴィ姉さま回と言っても過言ではなかったような気すらする。何気にこれ、最終巻なのに(笑
こうして見ると、このシリーズ、表の主人公はもちろんリーナでありダールなのですが、密かに裏でもう一人主人公してたのがパルヴィなんですよね。リーナたちが関わっていった事件、それを解決していったのはリーナたちですが、同じ事件にパルヴィもリーナたちとは別の側面から関わり、結果的にパルヴィの支援があったからこそ、リーナたちが難局を乗り越える事が出来た、という一面があるわけです。パルヴィはそれに対して、自分がやるべきことをやっただけだ、というそっけない態度しか見せてくれなかったわけですけど、今回の話を見てるとこれまでの事件もどうもパルヴィの行動原理の要の所らへんに、リーナを助けてやりたかった、というえらく私的な理由が混じってるような気がしてきました。
それくらい、パルヴィってリーナのこと気にしてたんですよね。自分、これまではもうちょっとパルヴィはクールに、リーナには王族らしくはないけれど類まれなる才能と感性を持ち、それを王家のために役立てたいという思いがあるから、目をかけ期待しているのだと思っていたのですが……パルヴィの回想で出てきたリーナとの初めての出会いで起こった原体験。それは思いのほか強く、パルヴィの心に根をおろしてたんでしょうね。
リーナを猫可愛がりする兄や姉たちとはやり方、接し方が違うとはいえ、パルヴィも単純にリーナのことを妹として愛して、可愛がってたって事なんでしょうね。それも、ある意味自分の愚かな母親よりも多分に。

そんなこんなで、リーナは初めてパルヴィとともに旅をすることに。しかし、これまでの少人数での自由気ままな旅路と違って、パルヴィとのそれは気を遣ってばかりの窮屈で疲れる旅路で……あ、あははは、リーナって本気でパルヴィのこと苦手だったんだな。ちょっとは打ち解けたかと思ってたのに、パルヴィの厳格さはリーナに甘えや気の緩みを許してくれず、常にピンと背筋を伸ばし、緊張感も解けないまま寡黙な姉とひたすら馬車の中で向き合うだけの長い時間、これは辛い(苦笑
よくよく見てると、パルヴィはパルヴィなりに彼女の王族としての価値観に基づき、あるいはリーナに妥協して、妹に対して非常に気遣っている事がわかるのだけれど、全然伝わってないし(苦笑
なんともまあ、かみ合わない姉妹だなあ。逆に、これほど気が合わないにも関わらず、この二人が何だかんだと憎み合いもせず、仲は良いとは言えないものの、お互いがお互いなりに気遣い相い認め合いながら、同じ任務について助けあうようになるなんて、人間関係というのも不思議なものである。特にパルヴィなんか、リーナが原因で実の母が国家反逆罪で捕縛される、なんて境遇を経ているのだし。まあ、告発したのはパルヴィなんだが。

そのパルヴィ、庶民の生活によく親しみ、自由奔放に育てられたリーナと違って、彼女は気位の高い母親のもとで育ったせいか、生粋の王族であり元からの性格なのか非常に厳格で自分にも他者にも厳しく、怠惰を許さない、と同時に知識優先のちょっと世間知らずな所もあるお姫様なのですが、後付の余計な物を取っ払うと何だかんだとリーナと良く似た所があるんですよね。ダールとのやりとりなんかを見てると、高飛車で人を人とも思わないような下々の者との接し方も、教えられた固定概念に従っているだけだったんじゃないのかな、と思えてくる。王族を王族とも思わないダールの態度に当初は怒っていたものの、慣れて感情が落ち着いてきて冷静になって自分のこれまでの在り方に対して振り返る余裕が出てくると、ダールに対して無礼だから、という理由ではあんまり怒らなくなるんですよね。でもまあ、やっぱり怒るんですけど(苦笑
なんにせよ、リーナとは違う頭の良さと行動力があるので、ちっちゃい姉さまは頼もしいですよっと。今回も、始終状況の牽引役としてみんなを引っ張ってましたしね。
リーナも緊急事態で切羽詰まると怖い姉に対して縮こまってもいられないから、てきぱきと行動しだすんですが、リーナがパルヴィへの苦手意識を克服し、パルヴィももう少し接し方を柔らかくすれば、この二人はお互い足りないところを補い合えるいいコンビになると思うんですけどね。
実際、パルヴィは幼い頃のトラウマとまでは言わないけど、リーナへの負い目を今回の事件で解消し、リーナもパルヴィの事をやっぱり怖いけど、でも尊敬するだけじゃなく身近な姉妹として思えるようになったようなので、これからこの二人は国内外で一目置かれるコンビになれるんじゃないかな。
と、二人で組んでさらに色々とできそうだっただけに、この三巻で幕を下ろすというのはやっぱり惜しいよなあ。ダールの竜の問題も、結局解決できなかったし。
ただ、傭兵とお姫様の道ならぬ淡い恋の物語は、ちゃんとお互いに想いを伝え合い、ひとつの方向性を指し示したことで、ある程度いい具合に収まったんじゃないだろうか。
幸い、リーナは第五王女で、母親は市井の人(実は特殊な一族だったみたいだけど)なので、王族の中では重要な立場じゃないんですよね。ダールも身分違いだから諦めるのではなく、リーナを堂々と引き受けられるだけの何かを手に入れようとまで考えてるみたいだし。それが叶うか叶わないかはまた別の物語になってしまうのだろうけれど、ひとまずの区切りとしてはいい終わり方だったんじゃないでしょうか。サラの想いがけっこう意外でしたけどね。いやでも、ある意味リーナよりもサラの方がダールとはよく一緒にいたわけですし、別に意外でもなんでもないか。


1巻 2巻感想

桐野くんには彼女がいない!?4   

桐野くんには彼女がいない!? (一迅社文庫) (一迅社文庫 か 3-3)

【桐野くんには彼女がいない!?】 川口士/美弥月いつか  一迅社文庫

Amazon
  bk1


ほほーー、川口さんがエロゲ的なハーレムラブコメを書くとこうなるのか! いやいや、この人もハーレム系ラブコメなんか書けるようになったのかー。作風広がったなあ。
いやいやわかってますよ、実はこういうの好きだったなんてこと。他のシリーズ【ライタークロイス】や【漂う書庫のヴェルテ・テラ】なんか見ても、さり気なくそういう要素満載ですもんねえ。ただ、作風が変に媚び媚びしていなくて、実直で抑制の効いた地味めな文章だから目立ってなかった、というか迷彩されていただけで。
面白いのは、この作品、ハーレム系ラブコメ! という点を主題とすると、全体的にまったりとした日常ものになってしまったというところか。実直で丹念な描写法が、ラブコメにありがちはアホみたいにハイテンションな馬鹿騒ぎを許さず、日常の何気ない交流を一つ一つ地道に折り重ねるみたいに節制の効いた、じっくりと堪能できる青春モノになってるんですよね。
とはいえ、それが重たく濃密な青春モノになっているというわけでもなく、一生懸命軽く軽くしようとしているところが逆にエッセンスになって、訥々とした雰囲気の割にテンポのよいラブコメにちゃんとなってるんですよね。
これを逆に浮いている、と取る人もいるかもしれないけど、異能の話の挟み方といい、この危なっかしいアンバランスさこそ、ある意味川口さんの醍醐味だよなあ、と最近そういうところが楽しくなってきている私でありましたww
キャラがわかりやすく定形化してないのも、この場合いいように作用してるのかな。幼馴染や帰国子女、みんなそれなり以上に主人公に好意を持っているというテンプレこそ踏襲しているものの、性格や考え方は変に固定化されてないんですよね。流動的と言うかフラットというか。毒舌家や意地っ張りという特徴となりえる傾向はあるものの、あくまで傾向であってそこだけに突出したキャラ付けはしてないんですよね。そのせいか、キャラ同士のやりとりもつまらない退屈なラブコメの方程式みたいに決まりきったやり取りにならず、似たような話になったとしてもなかなか新鮮な気持ちで読めるんですよね。
そして相変わらず、此の人の描く女同士のギスギスした鍔迫り合いは秀逸の一言。おまえら仲いいなあ、とは決していえないぐらいに明らかにギスギスしてて仲悪いんだけど、修羅場ってるというほど険悪ではないこの絶妙のバランス感。
おいおいいいかげんにしろよー、と行き過ぎヤリ過ぎになりそうになったときは仲裁に入りはするものの、基本的に沙由里とレナの対立を面白がってる康介と麻耶は大物だよなあ。普通、胃がキリキリしそうなもんだけどww
18までに童貞捨てないと死ぬって、それなんてエロゲ?!
数奇な運命に翻弄される桐野くんの切実な悩み。
それは彼女がいないことでした……orz
『星図詠のリーナ』の川口士が贈る超変化球ラブコメついに登場★

と、あらすじではなってるですけど、康介ってあんまり切実に困ってもいないし、ガッついてもいないんですよね。好きな人と結ばれたいとこだわっているところなど、親族身内がとっとと誰でもいいからヤッちゃえと急かす事を思うと古風ですらあるし。
かと言って女嫌いとか潔癖というんでもなく、普通にすけべえでもある、と。ハーレムモノの主人公としては、びっくりするくらい鈍感という感じがしないのは珍しいよなあ。かと言って、じゃあ他人の気持ちに敏感かというと、沙由里とレナの仄かな想いにはさっぱり気がついていないんですが。それなのに鈍感というイメージがないのは不思議だなあ。男女の距離感が、川口さんって独特なところがあるんですよね。近いのか遠いのかわからんところが。それが、ラブコメ書いてても作用してしまっているのか。そのへんも、ハーレムものとしては妙に新鮮なカンジのする理由なのかも知れない。
なんにせよ、事前に想定していたよりも遥かに筆者の特色が出てて、面白かったです。これは続きも期待したい。
 

7月8日

南野 海風
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


神無月 紅
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


千月さかき
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


アルト
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


神山 りお
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


港瀬 つかさ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM

7月7日

ゆずチリ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


桑原太矩
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


光城ノマメ/しまな央
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


SNK/あずま京太郎
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


福田直叶/むらさきゆきや
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


やつき/澄守彩
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


内々けやき/あし
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


石口十
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


田口ホシノ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


川上泰樹/伏瀬
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


伏瀬/柴
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


園原アオ/割田コマ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


錬金王/五色安未
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


FUNA
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


佐賀崎しげる
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


葉月秋水
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


ももよ万葉
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM

7月6日

四葉夕卜/小川亮
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM

朝賀庵
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


岡本倫
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


細川忠孝/山村竜也
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


硯昨真
(宝島社文庫)
Amazon

7月5日

Kindle B☆W DMM


にゃんたろう
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


八華
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


二八乃端月
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM

7月4日

レオナールD
(一迅社ノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


松本直也
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


稲垣理一郎/Boichi
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


藤本タツキ
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


阿賀沢紅茶
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


マポロ3号
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


yatoyato
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


土田健太
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


橋本悠
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


辺天使/津田穂波
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


伊藤砂務
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


三条陸/芝田優作
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


有馬あるま/フカヤマますく
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


田中靖規
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


堀越耕平
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


神江ちず
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle DMM


路生よる/藤堂流風
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


蝉川夏哉/ヴァージニア二等兵
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


三上康明/田中インサイダー
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM

7月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


メソポ・たみあ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


shiryu
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


ミヤ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


榊一郎
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


たすろう
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


シクラメン
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


かみや
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


ぎんもく
(FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


晩野
(FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


明地雫/霜月緋色
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


森山ゆっこ/はむばね
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


黒野ユウ/遠野九重
(B’s-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W DMM


大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W DMM


kawa.kei
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W DMM


槻影
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W DMM


白水 廉
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W DMM


丸山 くがね
(エンターブレイン)
Amazon


鹿角フェフ
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


力水
(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


蒼井美紗
(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


よねちょ
(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


あきさけ
(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


中野 在太
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


新城一/海月崎まつり
(KCx)
Amazon Kindle B☆W DMM


キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W

6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


深山 鈴
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


右薙 光介
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W

6月28日

Amazon Kindle B☆W DMM

6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


幌田
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W

6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


寺王
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


雨川水海
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


江口 連
(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W DMM


和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W DMM


KK
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W DMM


雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


志瑞祐
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


長月 達平
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


長月 達平
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


月見 秋水
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


三月みどり
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


花間燈
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


衣笠彰梧
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W DMM


常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


甘岸久弥
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


yokuu
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


天ノ瀬
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ラチム
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


櫻井 みこと
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


御手々 ぽんた
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


支援BIS
(KADOKAWA)
Kindle B☆W DMM


藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
Amazon Kindle B☆W DMM


ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


水無月すう
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


人生負組
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM

6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


優風
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W DMM


クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


泰三子
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


ハナツカシオリ
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


瀬下猛
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W DMM


殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM

6月20日

風間レイ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ほのぼのる500
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


楢山幕府
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


リッキー
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


こりんさん
(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Kindle B☆W DMM

6月19日

Amazon Kindle B☆W DMM

6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


双龍
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


松江名俊
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


福井セイ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


安西信行
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
Amazon Kindle B☆W DMM


日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


寺嶋裕二
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ヒロユキ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
Amazon Kindle B☆W DMM


伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
Amazon Kindle B☆W DMM


羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


綾里けいし
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


伊崎喬助
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


平坂 読
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


緒二葉
(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


川上 稔
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


草薙 刃
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM


時田 唯
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


松岡健太
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


あだちとか
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


猫田パナ(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


佐々木禎子(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


仲町鹿乃子(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


竹岡葉月(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


竹岡葉月(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


鍋敷(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


LA軍(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


天然水珈琲
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


西尾維新(講談社文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


葛城阿高(ビーズログ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


小田ヒロ(ビーズログ文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


綾河ららら
(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


バッド(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


真安一(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


カヤ(サーガフォレスト)
Amazon Kindle B☆W


コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


星奏なつめ(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


冬坂右折(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


白石定規(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


星崎崑(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


えぞぎんぎつね
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


三木なずな
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


カイシャイン36
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


よっしゃあっ!
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W DMM


6月13日


Amazon Kindle B☆W DMM

6月12日

Amazon Kindle B☆W DMM

6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


リムコロ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


春花あや
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W DMM


経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W DMM


ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W DMM


森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W DMM


顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W DMM


加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W DMM


竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W DMM


竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W DMM


こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W DMM


白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W DMM


オジロマコト
(ビッグ コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


田村由美
(フラワーCアルファ)
Amazon Kindle B☆W DMM


もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
Amazon


東崎惟子(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


三雲岳斗(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


三雲岳斗(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


和ヶ原聡司(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


白金透(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
Amazon B☆W


佐島勤(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


二月公(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


鏡遊(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


真代屋秀晃(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


周藤蓮(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


壁首領大公
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


KK(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM


うみ(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W DMM

ふか田 さめたろう
(宝島社)
Amazon Kindle B☆W DMM


魔石の硬さ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


地雷酒(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


サンボン
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


蒼月海里(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


椹野道流(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


桑原水菜(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM


仁木英之(角川文庫)
Amazon Kindle B☆W DMM

6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


奈良一平
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


小玉有起
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


横田卓馬
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


高田裕三
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


冬葉つがる
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


光永康則
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W DMM


原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


一二三
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


がしたに/MITA
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


うかみ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


桜野みねね
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


森野きこり
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM


Amazon Kindle B☆W DMM

6月8日

かみはら(早川書房)
Amazon Kindle B☆W DMM


西尾維新(講談社)
Amazon Kindle B☆W DMM


ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
Amazon Kindle B☆W DMM


佐藤二葉
(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W DMM


Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索