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川口士

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 11 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉11 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 11】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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記憶を取り戻したティグルはジスタート王国にて新年を迎え、因縁浅からぬ戦姫たちと感動の再会を果たす。また、彼はジスタート王に謁見し、思い描く未来の甘さを指摘される。ブリューヌに戻ったときろで残してきた巨大な武勲が、決して彼を以前と同じままにはしておかない。王の言葉に、ティグルの胸中は大きく揺らぐ。一方、ブリューヌ王国ではレギン王女暗殺が企てられるも、未遂に終わる。だが、事件はそれで終わりではなかった。陰謀の背後に見え隠れしていた隣国ザクスタンが、剥き出しの野望をブリューヌに向ける。故国の窮地に、英雄となった若者はいま、再び大動乱にその身を投じようとしていた―最強美少女ファンタジー戦記、新章突入の第11弾!
七戦姫勢揃いのなんというド迫力。サーシャ抜きなので六戦姫だけれど。よく考えると、こういう形で戦姫たちが勢揃いする機会って今までなかったんですよね。それが公式の場で、こうしてティグルを取り巻くように戦姫たちが揃うインパクトときたら。しかも、ティグル中心、戦姫をティグルが引き連れるような構図になってるんですもんねえ。ジスタート内でも、これはもうティグルという存在を無視できないんじゃないだろうか。
それにしても、他の戦姫があれだけティグルと好を通じてしまっている中で一人だけヴァレンティナだけが蚊帳の外という疎外感(笑
思ってた以上にリーザとエレンに和解ムードが漂っていたのが、そこに拍車をかけるわけで。ほとんどのメンツとは初対面となるオルガも、ソフィーがわりと傍に寄ってる感じでしたしね。まあ、いきなりオルガは再会した途端に爆弾を投下してましたが。ティグルとの男女関係というのは、それぞれの立場もあってか戦姫の誰もが保留というか、あんまり考えないようにしていたっぽいところに、オルガが空気読まずに、同時に結構その立場にも考慮した爆弾発言で否応なくそれぞれの胸中に波を立たせたわけで……速攻でその波に乗って食いつくソフィーの肉食っぷりには笑ってしまいましたがw
めっちゃ食う気満々のソフィーに対して、他の戦姫が思いの外ティグルと親しい関係なのを目の当たりにして、焦りながら自分も呼びたいし呼んで欲しい、といそいそと申し込むリーザがなんか可愛らしかった。このメンツの中では何だかんだとリーザが一番乙女っぽい内面があるんだよなあ。ミラもあれでけっこうそっちの卦があるけれど。お陰でこのリーザとミラ、意気投合しつつ打ち解けられないんじゃなかろうか。
と、男女関係云々だけではなく、オルガの投じた爆弾というのは、ティグルの在り方を「王」のそれだ、と言及してのけた点こそが大きかったように思う。ティグルはこれまでの旅路の中での体験の中で王という存在について徐々に思うところを蓄積していってたと思うんだけれど、戦姫たちにとってティグルという男に「王」をみるという考え方は今まで殆ど持ってなかったんじゃないだろうか。ところが、オルガの発言によってそれが現実的か非現実的かというところは脇において、ティグルという男を表す在りようとして「王」という考え方がある、という発想が植え付けられたわけだ。これは、今後について大きな布石になりそう。
むしろ、もっともティグルという男と「王」という存在を結びつけて考えていたのは、こうしてみるとジスタート王なんじゃないか、とすら思うんですよね。ジスタート王って、当初エレンがけちょんけちょんに貶してたもんだから、随分な小物な王様なのかと序盤は思ってたけれど、中盤から直接登場するようになってその内心や考えが読めないところから得体の知れなさ、不気味さが感じられてた上に、今回の含蓄あるティグルへの助言とも警告とも野心の植え付けとも取れる言葉の数々は、このジスタート王がどのような性質の持ち主であるかは未だわからないものの、少なくとも「賢人」のたぐいであることは間違いないと確信させられた次第。ティグルの在り方とは違うにしても、確かに「王」たることを忠実に勤めてる、って感じなんだよなあ。
ぶっちゃけ今の段階だと、ヴァレンティナではジスタート王に対してまだまだ及ばないように見えるのよねえ。いろいろ暗躍している彼女だけれど、まだ浅いというか、ジスタート王やガヌロンレベルに比べると深慮や遠謀が足りてない気がする。
ジスタート王の在りように、強く「王」という存在を意識させられたティグルに対して、間髪入れずに届くのは、ブリューヌへのザクスタン王国の侵攻。そして、それを手引きしたと思われるブリューヌ内の新女王への抵抗勢力の存在。既に他国にも名望響くブリューヌ最高の英雄となってしまったティグルは、もはや辺境の小領主という立場では居られず、ブリューヌ国内での政治闘争に必然的に巻き込まれることになるのだと、ジスタート王の予見通りになりそうな流れ。第三部に入り、明確に空気が変わった感があるのは、このティグルの政治中枢へ問答無用に係ることになりそうな流れそのものなんだろうなあ。そして、それはティグル単体ではなく、ジスタートという異国の影が常に付き纏うことになるわけだ。もう誰がどう見ても、ティグルのバックにはジスタート王国がついている、と思われて仕方ないもんなあ。いくら英雄とはいえ、他国の紐付き、という印象は常に悪感情を伴って付き纏うことになる。どれだけ健常で公正な考えの持ち主でも、疑念は抱いてしまうだろう。ザクスタンの侵攻にともなってエレンの軍を連れて戻ってきたティグルへの視線には、その萌芽が幾つも散りばめられていた。今後、もつれるだろうなあ。
あと、戦姫の結婚についてはなんか具体的な話というか、一般的な貴族や豪族との違いなんかが語られて、より身近な話ともなってきたんだけれど……なんかティグルって、今の段階でわりと好きな相手居そうじゃない、これ?
それから、もう一つ重要なイベントが。ついに、サーシャの後継。操炎の双剣「バルグレン」を継ぐものが現れる……って、んんん? これって、もしかして、一番最新の戦姫にして、一番年長になるのか、この人!?
エレンの傭兵時代、以前の子供時代も知ってるみたいだし、もしかして、リーザとエレンの過去イベントを掘り起こしてくれるきっかけにもなりそうな予感。リーザはエレンとの過去については絶対口を開かなさそうだし。そのくせ、エレンを超好き好きなのは、ミラがエレンの悪口言ったら超不機嫌になってるあたり、未だ衰え知らずみたいだし、そろそろ本格的に和解させてあげてほしいのよね、この二人。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 15 4   

千の魔剣と盾の乙女15 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 15】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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魔王ケンコスの手からエリシアを救いだすも、ロックらの力及ばず、伝説の竜クロウ=クルワッハが永い眠りから目を覚ました。それと呼応するかのように各都市に大型竜たちが出現し、バルトゥータスやニーウらは都市防衛戦を展開する。世界崩壊のときが近づく中、ロックとエリシアは魔剣ホルプとともに最悪の破壊竜クロウ=クルワッハを再び封じることができるのか。ついに完結!
近年においては15巻まで辿り着くような長期シリーズはお目にかかれないので、その意味でも貴重だった本シリーズもこれにて完結。書ききったなあ、うん余すこと無く書くべきこと書きたい事を全部書けた、という達成感が伝わってくる結末でした。残念ながら数巻で幕を閉じざるを得なかった【星図詠のリーナ】の後日談というか本番の話もさり気なくホルプの過去回想で盛り込んでくれたお陰で、何となく欲求不満だったあっちのシリーズもケリをつけてくれたような側面もあって、二重の意味で大満足。どうやら、あとがきによるとロックは当初の作者さんの考えを超えて成長し、自分なりの目的を見つけ、師匠の後追いだった魔王討伐のその先へと突き抜けていったのは、ご覧のとおり。そして、ついにエクストラボスともいうべきクロウ=クルワッハとの決戦に、世界の都市に放たれた竜の眷属たちと、かつて旅の中でロックたちが出会った人たちの戦いが同時展開されて、うん最終決戦に相応しい盛り上がりでした。
このシリーズの一番のピークはやはり王道魔王戦の極地と言えた魔王バロール戦だったと思うのだけれど、本身を現したホルプとともにケンコスの残した妖剣を携え、魔王バロールの力をも借りて、仲間たちと共に滅びの竜と立ち向かう、という文字通りの総力戦はバロール戦に負けぬ大舞台だったと思います。
なんか、ロックとエルシアが盛り上がりすぎて、先走ったというか抜け駆けしてしまった模様ですが。うん、最終決戦前にはありですよね。でも、それなら他の二人にも……。生き残れるかも分からない戦いの前だったのに(苦笑
正直、この展開だとホルプについては色々と諦めてた部分があったので、あの結末はむしろ救いでありました。今生の別れではあっても辛い別れでも哀しい別れでもなく、竜としての正しい在り方の末でありまた「いつか」……ロックとホルプ当人同士ではないにしろ、「いつか」を夢見させてくれる「さようなら」でありましたから。
唯一「えーー」と思ったのは、ヴァル師匠ですけどね。あんたには、弟子と同じくらいの甲斐性を期待したんだがねえw ニーヴ師匠、二年後に帰ってきたというし、そこからの粘り腰の寄り切りを期待するばかりです。
大作、ほんとお疲れ様でした。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉10 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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エリザヴェータの力を借りバーバ=ヤガーを退けた“ウルス”ことティグルだったが、その矢先に魔物の力で見知らぬ森の中に飛ばされ、ムオジネル人ダーマードと出会う。ティグルの消息を探るダーマードに剣を突きつけられ、ティグルは絶対絶命の危機に。一方、エレンの命令を受けたリム、マスハスとティッタの三人はついにルヴーシュの公都にたどり着いた。同じく公都に帰還したエリザヴェータは、あらためてバーバ=ヤガーと戦うことを決意する。さらにガヌロンが暗躍し、ブリューヌとジスタートに新たな動乱の火種を撒く。混沌が加速して世界が人知の及ばない狂気を帯びていく中、時代が、英雄の復活を待ち望んでいる―大人気美少女ファンタジー戦記、第10弾!
マスハス卿が有能で便利すぎる! 何この万能爺ちゃん。凄い痒い所に手が届くよっ! 亀の甲より年の功と言いますけれど、マスハス卿のそれはまさに円熟した経験の賜物。勿論、単に年を経ただけでは得られないような機微や発想、手練手管の数々で、若い頃からこの方はいったいどのような人生を送ってきたのか、非常に気になります。ただの貴族ではとてもじゃないけれど出来ないような事をひょいひょいとやってのけるのですから。若いころのマスハス卿を主人公にした話で、一作書けるんじゃないだろうか。ティグルよりモテてそうじゃないですか。
案の定というか、エリザヴェータの側近でも文官筆頭というべきラザール老も見事にティグルに完落ち。これで武官のナウムさんと合わせ技一本である。ついでのように、ティグル暗殺を命じられてジスタートに潜入してきたはずのムオジネル王国の王弟の側近であるダーマードまで、なんだかんだと友情を交わしてしまって惹きつけちゃってるし。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、じゃないけれど、意外なことにティグルってわりとまず射止めるべき人間の周囲の人間から、その魅力で落としていってるんですよね。戦姫にしても他国の王族にしても、その立場上のしがらみもあってか、その本心とは別に安易にティグルに対して全面的に肩入れ出来ない場合が多いのですけれど、そういう時はむしろ身分的に自由の効く周辺の側近クラスがティグルに傾倒して、何かと手を差し伸べ援助し協力してくれるケースが実に多い。だから、いざティグルに力を貸す、という段階になった時に反対の声が起きずにむしろ積極的にその判断を盛り立て後押ししてくれたりするんですよね。
これはなにげに恐ろしい地ならしであります。
文官武官双方の筆頭が、あれだけティグルという人間を気に入ってしまったとなると、エリザヴェータのルヴーシュ公国も、今後ティグルに対して便宜をはかる事に対してよっぽど悪条件でなければ異論は出にくいでしょうし、今回の一件を通じてルヴーシュ公国は、それまで若干の溝があったエリザヴェータと先代からの旧臣との関係も改善され、エリザヴェータ自身の心の余裕と側近との信頼関係の醸成も相まって、国力も今後充実していくでしょうし、何より修復不能だったはずのエレンのライトメリッツ公国との間に和がなったのがとてつもなく大きい。
ヴァレンティナが着々と自分の勢力を広げているけれども、誰も知らないうちにティグルを中核とした繋がりも無視できない広がりを見せてるんですよね。あのダーマードとの交流も、場合によってはムオジネル王国とのコネクションになり得るわけですし。

しかし、エリザヴェータは一連の事件を通じて、ホントに正ヒロインっぽさを発揮してましたよね。傍目には悪役全開で嫌味なお嬢様気質の人なんだろうな、というシリーズ当初のイメージはどこへやら、生真面目で不器用で未熟さを自覚し、コンプレックスを抱えつつもそれに負けない根性の持ち主で、実はエレンよりも不遇な幼少時代からの叩き上げ。意外と健気で一途でもあり、女性としての弱さと強さを兼ね備えたヒロイン性は、間違いなく戦姫全員の中でも随一、というタレントでした。場合によっては、ほんと彼女がメインヒロインになってもおかしくなかったくらい。
魔物との契約疑惑も、その敢然とした誇りと正義感で払拭してくれましたしね。
この娘は、もうちょっとわがまま言ってもいいんじゃよ、と思ってしまうくらいには立派すぎるところもありましたけれどね。だからこそ、記憶を取り戻したティグルに抱擁してみせた時には、思わずなかなかやったじゃないか、とニヤリとした次第。うんうん、それくらいしないと、要らんものが溜まってしまう。そうやって、もっとエレンを刺激して欲しいものである。まあ、本当はちゃんとエレンと胸襟を開けて仲直りして欲しいのですけれど。本当は昔の幼いころのお礼をして、あの頃のような仲になりたいと思っているのに、それが出来ずに居るのが伝わるからこそ尚更に。ティグルを通じて、ちょっとでも打ち解けた今後には、そういう機会もあると思いたい。その意味では、二人の本当の和解は先々の楽しみとなる展開でもあるんですよね。

魔物たちの密かな台頭が始まる一方で、ヴァレンティナ、ガヌロンのそれぞれの暗躍に、ムオジネル王国の蠢動、そしてジスタート王の不気味な動き、など戦乱の予感は募るばかり。
記憶を取り戻したティグルの帰還と共に第二部も終了とあいなったわけですけれど、第三部はこれまでに輪をかけて大規模なスケールの話になっていきそうで、本当に楽しみ。死んだと思われていたティグルの復活に、戦姫たちを含めた世間の反応がどう炸裂するかも、ニヤニヤと想像するだけで顔がニヤける楽しみですなあ。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 14 3   

千の魔剣と盾の乙女14 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 14】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ルーの虹を手に入れたロックたち一行は、エリシア救出のため砂漠を越えゴリアスを目指す。いにしえの竜クロウ=クルワッハを目覚めさせて地上を滅ぼさんとする新たな魔王ケンコスは、魔物たちをゴリアスへと集結させていた。数に勝る魔物の大軍に苦戦しながらも、フィル、ナギ、ファーディアの力を借り、いよいよケンコスとの対決を迎えるロック。しかし、ケンコスはかつての魔王バロールと同等の魔力を手にしており、ロックらはかつてない苦戦を強いられることに。ロックたちはケンコスを倒す事ができるのか、そして囚われのエリシアの運命は?!本格魔剣ファンタジー、いよいよクライマックス目前!

ヴァル師匠の頭を、背伸びしてナデナデしてるサーシャがめっちゃ可愛い。サーシャが勇者として魔王討伐に向かった頃はまだ幼い子供だったヴァルが、今や自分よりも年齢も年上で背丈も見上げるような大男になってしまって、性格だって随分と厳ついものになってしまったのですから、彼女ももうちょっと距離感に戸惑うのかと思ったのだけれど、さすが勇者だけあって大物というか、あのヴァル師匠を子供扱いとかさすがだなあ、と。
さすがにメインとは行かないけれど、ヴァルとサーシャとニーウの関係についてもさり気なく進めてくれているので、彼ら三人についてもこのまましっかりと行く末を描いて欲しいですねえ。というか、弟子の方はみんな自力で今の関係を構築していったにも関わらず、師匠の方はというと周りが手取り足取りお膳立てしていて、どれだけ世話かけているんだと笑えてくる。特にニーウについては、周囲の人がしきりに発破かけるわ、わざわざ三人で生きていけるようにわざわざ状況を整えてくれたりと、背中押されっぱなしなんですよね。弟子のエリシアも随分面倒臭かったけれど、彼女はちゃんと自分でロック捕まえたぞ、っと。まあ、甲斐性のあるロックと違って、ヴァル師匠はほんとダメだからなあ(苦笑
紆余曲折を経て、なんとかエリシアを救い出すための宝具を手に入れ、タイムリミットが迫る中彼女の救出に向かうロックたち。ファーディアの愛想の無さがえらく女性陣には不評なのに、それをロックやホルプが宥めたり庇ったりという構図はなんだか面白い。普通は男同士が反発し合い、角を突き合わせて、そこからライバルと言う名の親友になっていくものなんだけれど、この二人の場合対立自体は女性陣そっちのけでふたりきりである程度やっちゃったし、ロックの性格的にファーディアのあのキツい性格はあんまり気にしないタイプだから、女性陣よりも先に受け入れちゃった、というのもあるんだろうけれど。
でも、ファーディアも最初の頃と比べるとだいぶ丸くなったよ、あれでw
焦点であるケンコス戦は、さすがに先の魔王戦は越えられなかったか。そもそも、ケンコスはあくまで魔王の側近であって、王の格ではないんですよね。いや、格が低いというわけでもなく、キャラクターが浅薄というわけでもないのですけれど、あの用意周到で人間のように策を弄する個性は、将としては非常に強敵だし、実際たちの悪さでは先の魔王よりもよっぽどだったかもしれないですけれど、やっぱり「魔王」としては弱いんですよね。
それに、精神的にケンコスはもうロックたちのことを上から傲然と見下ろすのではなく、対等の怨敵と見ているというのもあって、どうしても同じステージで真っ向からぶつかり合う相手、以上ではなかったわけです。
でも、最初から魔王より凄い相手、として見るのではなく、対等の立場から敵意を剥き出しにして、あらゆる手段を使ってエリシアを助けに来るロックたちを倒そうとしてくる強敵、として見るならば十分以上に歯ごたえのある戦いでした。ロックたちからしても、最大の目的はケンコスの打倒ではなく、エリシアの救出なだけに、お互い相手の手を読み合いながらの戦いでしたしね。
それに、あれだけロックへの敵意に囚われながらも、本来の目的を見失わずに着々と手管を巡らしていたあの手腕は、ラストバトルの前哨戦としてはまさに十全の敵だったんじゃないでしょうか。
しかし、エリシアは体を乗っ取られ、精神を侵食され、とえらい目にあったわけですけれど、最後の役得を思うと差し引きとしてはプラスだったんじゃないですか。ご馳走様です(笑
最後の展開はある程度予想していたとはいえ、まさにクライマックスに相応しいワールドクライシス!!
お膳立ては全部揃った。あとは、最終巻のみ。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉9 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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ジスタート王国の次期国王の座をめぐる騒乱を鎮圧するために、自軍を率いて出立したエレン。出向いた先で合流した“雷渦の閃姫”エリザヴェータの側に、行方不明だったティグルを発見する。しかしティグルは記憶を失っており、エリザヴェータの従者“ウルス”と名乗った。エレンのことも思い出せないという。その言葉にショックを隠せないエレンだが、おとなしく引き下がれるわけはない。だが、エリザヴェータもはじめての部下である“ウルス”を手放すつもりはなかった。戦姫同士の激突は避けられないのか。ジスタート国内の陰謀や思惑も加わり、ティグルの運命は嵐よりも大きな動乱に飲み込まれようとしていた。大人気美少女戦記ファンタジー、第9弾!

今回から絵師交代、ということでどうなったか楽しみだったんだけれど、いいんじゃないデスか? ちゃんと誰か分かる範囲で上手いこと自分なりにアレンジしてらっしゃるし。個人的には、ミラのおぱーいがどうなってるかが早く見たい。彼女、丘陵が非常に貧しいという特徴があるのに、前はどう見ても巨乳にしか見えんかったもんなあ。
さて、エリザヴェータ陣営にティグルを発見したことで、一触即発となるエレンとエリザヴェータ。こりゃもう、軍事衝突まっしぐらでしょう、という緊迫具合だったというのに、土壇場でエレンがグッと踏みとどまったのには驚かされた。凄い、ちゃんと戦姫としての立場を見失ってない。
ことがティグルの生存に関することだけに、ここは激発しても仕方ないかと思っていただけに、エレンも、それにエリザヴェータも必要以上に感情に引きずられずに、冷静に引いてみせたのには正直参った。まだまだこの娘さんたちを見縊っていたかも。エレンは特に、先日サーシャを看取ることで大きく戦姫としての自覚を新たにしていたのかもしれない。この件に関しては、エレンも去ることながらエリザヴェータの方も感情的になっていたので、こりゃあかんと思ったんだけれど、エレンだけではなくエリザヴェータも取り乱したまま暴走しなかったのはホント偉かった。この娘も、ぶきっちょだけれど過去から現在進行形でずっと苦労してきたせいか、戦姫の中でも自分を律する事については一際目立つところがあるんですよね。言い方変えると苦労性というかなんというか。エレン並に、とは言わないまでももうちょっといい加減にやれたらいいんだろうけれど、性格的に無理か。環境が許してくれなかったというのもあるし。
しかし、ここでティグルの正体が半ば明らかになったことで、むしろエリザヴェータが開き直ったかのようにティグルを引き止めんと距離感を縮め出してるんですよね。自分のものではない、とはっきり悟ったからこそ、子供が拾ったペットを元の飼い主に返すのを拒むように、必死にしがみつく様は、エリザヴェータという少女がこれまで必死にこらえてきたものが一気に決壊していっているようで、見事にヒロイン株をあげてるんですよね。
これは、記憶が戻らなくてもいずれエリザヴェータの元から去るつもりだったティグルにしても、情が湧くというものでしょう。拾ってもらった恩を感じ、またちょっと突っ張って危なっかしい彼女に心配げに接していたティグルですけれど、むしろエレンたちと顔を合わせて以降の方が、エリザヴェータに親しみを持って接していたような気がします。お忍びで二人で街を散策とか、どんなお姫様デートだ。でも若干これ、妹扱いしているような気配が……。
ちなみに、記憶をなくそうが相変わらずの女殺しのティグルさんですが、実のところメロメロにしているのって女だけじゃなくて、同じ頻度で男の方もその魅力で撃墜しまくってるんですよね。むしろ、シリーズ通して見ると、女性よりも男性キャラの方が陥落率高いんじゃないだろうか。今回も、エリザヴェータの側近のナウムさんをあっさり味方につけちゃってますし、文官筆頭のラザール老もこれは時間の問題ではないかとw

以前からひっかかっていた、エリザヴェータが例の魔物の一体と何やら契約をしてしまっている疑惑だったのですが……これは返品! クーリングオフ可能な事案です! どうも正体を明かさず、しかも一方的に押し付けたもので、エリザヴェータも不気味に思ってかなるべく使わないようにしていたようですから、これはクーリングオフ対象でしょう。あれです、勝手に商品送りつけてあとで代金請求する詐欺行為みたいなもんで。
良かった。エリザヴェータってある意味オルガ並に「良い子」だったので、そんな娘があの連中と繋がっているというのもヤな感じでしたし、騙されているようでしたら尚更ですもんね。
とはいえ、余計なハンデを背負ってしまったのは間違いないようですけれど、やっぱ根性座ってていいわぁ、この子。

一方で、薄っすらと大丈夫か?という怪しい雰囲気が出てきたのがヴァレンティナ。イルダー公が軍を起こしたのまで彼女の策かと思ったら、彼の行動は予想外ってどうも片手落ち。もっと全部掌の上みたいにコントロールしているのかと思ったら、ちょっと見通し甘いところがあるんじゃないかと逆に心配になってきた。匿ってるブリューヌのガヌロンたちについても、イマイチちゃんと把握していないっぽいし。
むしろ、ジスタート王の方がまだ怖いよなあ。何考えてるかさっぱりわからないし。

魔物たちの動向が激しさを増しはじめ、そこにさらにムオジネル王国の蠢動まで確認され、まとまったと思われたブリューヌでも、ガヌロンの手引で乱の予兆が。もしかして、大荒れはむしろここからなのかしら。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 13 4   

千の魔剣と盾の乙女13 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 13】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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死闘の末に魔王バロールを打ち倒したロックたち。だが、生きていたケンコスがエリシアの身体を奪い、新たな魔王と化して姿を消した。失意の底に沈むロックだが、仲間たちに支えられ、エリシアを解放するための旅に出る。一度別行動をとり『文化都市』ベアルフェルで合流を果たしたとき、ロックの心は荒み、変貌していた…。一方、ケンコスはクロウ=クルワッハ覚醒の準備を進めるとともに、己が目的の妨げになる者を葬り去らんとして動きだした。ロックは新たな魔王を倒すことができるのか。そしてエリシアを救いだすことができるのか。本格魔剣ファンタジー緊迫の第三部!
ケンコスさんのセンスがイカしすぎてる!! 何を思ってこんなアグレッシブすぎるファッションを身につけてるんだ。あまりにも如何にもすぎて、逆にちょっと笑えてきすらしましたよ。ああ、ケンコスってそういう趣味の人だったのね、と(笑
それはともかくとして、エリシアを奪われたロックたちの荒れっぷりが酷い。本当に酷い。エリシアの意思がどれだけ持つかのタイムリミットもあり、彼女の体を取り戻すための方策も見つからず、と絶望する要素は満載なのだけれど、それにしてもロックの荒み方が、こいついったい誰だ!? というくらいになっていて、さすがに愕然としてしまった。このロックを見てしまうと、普段のロックってすごく大らかで温厚で朗らかな青年だったんだなあ、と今更のように納得してしまった。これまでだって、精神的に余裕が無い窮地はいくらでもあったはずなのに、ロックは切羽詰まりながらも、その柔らかな性格にはブレがなかったですもんね。それだけに、これだけロックが荒んでしまった姿を見るのは、なかなかショックでした。荒んでいると言っても、無愛想になったり寛容さが薄くなったり周囲に対して反応することを面倒臭がるようになったり、といった感じで社会性、社交性を失うほど荒れきっているわけではないのが、逆に身に詰まるものを感じさせられ、かなりキツかったです。こうなってみて初めてわかったんですけれど、自分、このロックという主人公のキャラクターがかなり気に入っていて好きだったんだなあ、と今更のように実感させられた次第。フィルやナギも、こんなロックには戸惑いを隠しきれず、エリシアを助けるために一致団結しなければならないパーティーは、自然とギスギスして居心地の悪い空気が流れることに。ナギやフィルの方も、ロックの変化を受け止め宥める事が出来るだけの余裕を失い、彼女たちも荒んでいた、と言えるのでしょうね、これ。特に、プライヴェートでも後衛として余裕を持ってみんなを誘導してきたフィルがあれだけ余裕を喪ってバタバタしていたのが印象的でした。なんだかんだとこのパーティー、要はこのフィルだったんですよね。その彼女に余裕がないと、これだけ不安を助長させるのか。
何気に、これまでで一番のパーティー崩壊の危機だったんじゃないでしょうか。それでも、こういう歪みを乗り越えられてこそ、家族になろうという男女の仲というもの。これまで出会った人たちの、助言や助けがあり、相棒であるホルプの献身的な慰めもあり、ちゃんと危機を乗り越えられたロックたちは、えらいですよ。正直、エリシアが戻ってくる前に修復できて良かった。エリシアを取り戻してから、じゃ格好が悪すぎますもんね。いくら、エリシアが正妻とはいえ。旦那さんにしてもお嫁さんにしても、それじゃあ情けなさすぎル。
それにしても、エリシアが居ない分、ホルプがちょっと献身的すぎるでしょう。あんた、雄じゃないのかよ。まさか、ホルプの龍身を見る機会がこのシリーズでもあるとは。世界よりも相棒であるロックや、エリシアたちを優先することを明言するホルプは、彼がこれまでなしてきたこと、彼の性格を思えばかなり衝撃的な事で、だからこそホルプの、傷つき荒れ果ててしまったロックへの慈しみが伝わってきて、思わずジンとしてしまいました。ほんと、最高のバディじゃないですか。
さり気なくリャナンシー復活フラグを立てつつ、エリシアを助けるための手段も無事見つかり、あとは決着をつけるだけ。ファーディアが何気にチョロすぎる気もするんですけれど、彼も仲間に加えて、さあクライマックスだ。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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トルバラン率いる海賊の残党によるレグニーツァ襲撃を受け、双剣の戦姫サーシャは病身を押して決死の出陣をする。普段は敵対するエリザヴェータとの共同作戦の下、消えゆく命の灯火を燃やしながら壮絶な戦いを繰り広げるサーシャの美しい姿は、見るものにある“伝説上の生物”を連想させた。一方、ティグル行方不明の報を受けて傷心を引きずるエレンは、サーシャの危機に駆けつけようと戦地へと急ぐが―。そして、静かに暗躍するヴァレンティナの企み。海賊の残党が潜んでいた海岸でエリザヴェータが出会った“ある男”とは…?時代を揺り動かす大きな波に呼応するように、新たなる伝説が生まれていく!大人気最強戦姫ファンタジー第8弾!
戦姫サーシャ、最後の戦い!!
登場当初から死病に冒されていたサーシャ、死亡フラグというにはあまりに頑強で塔のようにそそり立ったその死へのカウントダウンは、だからこそ逆死亡フラグになるんじゃないかと、仄かな期待を抱き続けていたのですが、彼女の目前の死に対する静謐にして凄絶な覚悟は、そんな甘い期待の届かないものでした。生きたいと願いながらも死から逃げず立ち向かい、最後まで戦い続けたその姿は荘厳ですらあり、心震わせる雄姿でもありました。それだけに、子供を産んでみたかった、という願いがあまりにも切ない。
この時代の海戦は、いや海上戦はこの時代に限らないんですけれど、逃げ場のない船上ということもあって、敵も味方も死にまくる殲滅戦になるんですよね。帆船の海戦もえげつないですけれど、今回のガレー船同士の壮絶な潰し合いも凄まじかった。本格的な戦記モノとなると、こうした海戦も手を抜いていないというか、よっぽど力入れて書かれていたのが伝わってくる迫力満点、或いは血みどろの戦いでした。作品通じても、屈指の一戦かも。
その最後を飾る、死戦に立つが故に余人の及ばぬ高みへと至ったサーシャの、トルバランとの決戦。これまで戦姫の並外れた戦いっぷりには見慣れていたつもりですけれど、今回のサーシャは格が違ったようにすら思います。武器の格ではなく、彼女自身の純粋な業が神懸かりの域にまで達していたのでは、と。それは、死の瀬戸際に立ったからこその、蝋燭の炎が燃え尽きる最後の輝きだったとしても。

そんな彼女の最後の戦いを共に戦った戦友が、彼女の最期の戦いを目の当たりにしたのが、エレンではなくエリザヴェータであったというのは、サーシャやエレンではなく、エリザにとってここは大きな意味を持って欲しいものです。
エリザもねえ、この娘は前から色々と不器用な娘だとは思ってたんですけれど、こうして本格的にその性格や戦姫としての努め方、周りの環境なんかを見る機会を得てしまうと、凄く同情心が湧いてくる。生真面目なんですよね、エリザって。義務や責任を必要以上に背負ってしまうタイプみたいで、先代から受け継いだものをそのまま活かそうとして、自分の色を出せないまま四苦八苦している様子が、ちょっとかわいそうになるくらい。そこは、戦姫としてもっと自分の思うとおりにしたらいいだろう、と思ったりもするのだけれど、生真面目な分自分に対しても凄く厳しい見方をしていて、自分の方に理が薄いと感じるとどうしても強く押せない、つまりワガママを言えない、という窮屈な性格で。
そんな彼女が唯一ワガママとして身近に置こうとした記憶喪失の男に、ついつい拘って縋ってしまう姿にもついつい情が湧いてしまうのです。
死んだと思って、諦めてはいないけれど覚悟はしていた相手が目の前に現れた、というエレンたちの気持ちも痛いほど分かるんですけれどね。
しかし、記憶もないまま堅物で余裕のないお嬢を一発で魅了してしまうティグル御大は、さすがです。不在になることで、決定的にエレンに対しても意識を変えさせてしまうあたりも。エレン、ティグルが生死不明になるまでは、無意識にはどうかわかりませんけれど、少なくとも意識に浮上するまでティグルを男として認識はしていなかったと思うんですけれど、一度死んだと思わせたことで果たしてどこまで存在の楔を打ち込んでしまったのか。
ともあれ、エリザがかわいそうなのは、そうやってはじめてのワガママでティグルを帰すまいとすると、自動的に戦姫の過半数を超える四人の戦姫とブリューヌ王国を敵に回して熱狂的に袋叩きに遭いかねないところなんですよね。なんという無理ゲーw
これまでずっと我慢して我慢して堪えて耐えてきて、そうしてようやく初めてワガママ言って一人の男を身近に取り立てようとしたら、その一回で破滅コース一直線直滑降とか、可哀想すぎじゃありませんかw
許してあげてぇ。

どう拗れて、どうほぐれるかわかりませんけれど、これでエリザが報われなかったらちょっと悲し過ぎます。さすがに味方サイドに加わってくれると思いますけれど。
しかし、サーシャが亡くなってしまったことで、戦姫全員がティグルの元に集う、という展開はやはり望まれないようで、ヴァレンティナも自動的に完全敵サイドということか。今回の暗躍っぷりなんぞ、黒幕としては凄まじいと言っていいくらいの手練手管だもんなあ。あの政敵二人に対する接し方なんぞ、本気で間を取り持とうとしたのか、と思ってしまったくらいに表向きには仲介役として完璧ななさりようでしたし。
まさか、あそこからこんな拗れることになるなんて。両者とも並み以上の好漢だっただけに、悪辣さが半端ない。問題は、国王陛下がどこまで関わってるか、なんだよなあ。まったく無関係ともとれるし、最初から謀っていたとも可能性としては考えうるし。どちらにせよ、この国王の考えや目的が見えてこないことには何もわからない。エレンの見方はどうやら一方的すぎて参考にならないようですし。

シリーズ感想

千の魔剣と盾の乙女 12 4   

千の魔剣と盾の乙女12 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 12】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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熾烈を極める魔王城の戦い。難敵ケンコスをついに退けたロックたちは、バルトゥータスとの久方ぶりの師弟再会を果たす。しかし、再会を喜ぶまもなくバルトゥータスはロックに真剣勝負を挑む。魔王との最終決戦を前に、愛弟子が魔王との戦いについてこられるか、その実力を見極めんとしているのだ。バルトゥータスにはたしてロックは打ち勝つことができるのか。そして、魔王との最終決戦。バルトゥータスとロックは魔王を倒すことができるのか、そして蒼輝の勇者サーシャを助け出すことができるのか。川口士が贈る本格魔剣ファンタジー、ついに魔王バロールとの最後の戦いへ!
ふわぁ……いやあ、これだけ正統派の魔王戦って果たして今まであっただろうか。この場合の正統、というのはドラクエ3とかあの辺ですね。魔王城に突入して、一番奥の玉座で待ち構えている巨大な怪物状態の魔王に立ち向かうスタイルでの魔王戦。意外と、このスタイルの魔王戦って小説系統では全然浮かんでこないんですよね。なんかあったっけ。
ラスボスが等身大の人間サイズだとまた違うんですよ。ちゃんと巨大サイズで知性があり、様々な特殊攻撃を仕掛けてくるという醍醐味がないと、RPGで味わったようなラスボス戦じゃないんですよ、こここだわりね。
その意味では、このバロールは百点満点と言ってイイラスボス魔王でした。初手の魔眼による即死攻撃から、肉弾攻撃、大威力の範囲攻撃に状態異常、などなど読んでてなんだか無性に嬉しくなってくるほどの魔王らしさで、今回ページの大半を割いての膨大な分量で魔王戦が描かれることになったのですけれど、最初から最後まで手に汗握りっぱなしの白熱した大激戦で、これもう文句なしの大満足のラストバトルでした。最近どころか古典までさかのぼっても、ホントここまで立派な魔王決戦見たことないよ。
しかも、囚われのお姫様ならぬ勇者様を救出するという王道イベント付き、ってあれ? 主人公バル師匠じゃね、これ? バル師匠絶体絶命の際に彼のために手を差し伸べられた救いの手がまた完全に主人公イベントなんですよね。まあ仕方ないか。こればっかりはバロール相手の戦いはバル師匠がメインでしたもんね。ぶっちゃけこの手の師匠キャラは死亡フラグ立ってるものなんですけれど、彼に関しては師匠キャラというよりももう一人の主人公だもんで、そういう気配全力で振り切ってたもんなあ。
それでも、バル師匠はともかくとしてサーシャの方が大丈夫なのかと不安が残っていたところだったんですけれど、文句なしに見事に救って見せたもんなあ。二十年近い執念が結実したわけで、大したもんである。
挙句、巻末ではバルトゥータス関係ないところでサーシャとニーウが仲良くなっちゃってる始末。あかん、こっちも嫁が二人になりそうだ。これでサーシャが一番年下で、ニーウがお姉さん、しかしサーシャの意識ではバルはまだ十歳の子供で弟みたいなもんだけれど、実際バルは三十超えたおっさん、という倒錯した三角関係なんですよね、なにこれ面白い。
しかし、バロール戦から間を置かずにそのままクロウ・クルワッハ戦になるのかと思ってたら、完全に予想外のとんでもない展開に。なるほど、今回の表紙がエリシアなのも相応の理由があったのか。
いやあ、バロール戦があまりにも激戦すぎたので、ほんとに今回で終わるのかと思ってしまいましたがな。まさか、リャナンシーがあんなことになるとは予測もしてなかったもんなあ。彼女の思惑が、あそこまで決意篭ったものだったとは思わなかっただけに。もうちょっと感情として冷たいものと思ってた。これも妖精の情、というやつなんだろうけれど、切ないのう。

ともあれ、二部関係でそのまま三部突入という思わぬ自体に。もっとも、続きは残り二巻だけみたいですけれど、バル師匠の旅はこれで終わり、これからは本格的にロックたちの物語だ。いやでもこれ、パーティーバランス的に彼女抜けたのめちゃくちゃ痛いんじゃね?

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 11 4   

千の魔剣と盾の乙女11 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 11】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ホルプの帰還を喜ぶロックたちだが、一連の回り道で魔王城攻略戦には今からでは間に合わないとわかる。焦るロックだがしかしホルプの提案で大陸のあらゆる場所へと移動できる転移門があるという天空の塔へと向かうことになる。その頃、ガーリャに集結していたバルトゥータスら魔剣使いの軍勢は、ついに魔王城攻略戦を開始。しかし、魔剣使いたちの前に復活した魔王とケンコスに操られた勇者サーシャが立ちふさがる。最大の難関にバルトゥータスは…、そしてロックたちは最終決戦に間に合うのか。川口士が贈る魔剣ファンタジー。
今回の表紙絵は相当に衝撃的でした。何しろ、これですからねえ。バル師匠クライマックス!!て感じで。いや、こういう表紙持ってこれるなら、もっと早く色々なのやればよかったのに、と思ってしまいます。イラストのアシオさんって融通多芸がききそうですし。冒頭のカラー口絵の漫画、毎回面白いんですよねえ。今回のエリシアの餌食っぷりは、眼福そのものでしたし。ってか、酔ったロックってここまでやらかしてるのか。普通にエロス直前じゃないですか。
というわけで、ようやくホルプが帰還し、装備・仲間ともに完全モードに達したロックたち。ところが、魔王城攻略戦にはどうやっても間に合わない、というどうしようもない状況に。
しかし、ホルプが帰ってきてくれたこの安心感は大きいなあ。助言者として、ある意味年長者として見守ってくれる存在としてのホルプの存在感は、改めて帰ってきてくれたことで実感できます。何よりロックの余裕が違いますもんね、ホルプがいると居ないとでは。でも、ホルプが居ない間の成長は、よりホルプとの相棒関係の深化を促したようにも見えますし、この別れていた時期というのは思いの外意義あるものになったなあ。
一方で、師匠サイドはある意味オールスターキャストの濃いおっさん連中の連合によるもので頼もしいはずなんだけれど、それを上回って魔王サイドの油断のなさが恐ろしい。おまけに、件のサーシャの友人の竜のお姉さんが、何をトチ狂ったのか一人で魔王城に侵入して、魔王にやっつけられて食われてパワーアップの食材&知識の補給にあてられてしまい、さらにサーシャの魂にダメージを与える、という完全に敵の強化アイテムになってしまってて、一体何しに行ったんだあんた!!
一応、サーシャの魂がまだ生きている事は明らかになったので、その点は安心材料なんだけれど、逆に言うとそれしか良いネタがないという。でも、このバル師匠死亡フラグびんびんに立ちまくっていたところで、辛うじて生き延びてくれたのは良かった。ある意味、此処さえ凌げれば師匠も生き残れそうだもんなあ。師匠については、サーシャだけじゃなくてニーウというアンカーが二人も居るので、実のところ死んでしまうことは無さそうだと踏んでるんですけどね。今回、ニーウがバル師匠のこと諦めかけてきた時にナイジェル師匠が諦めんなと発破かけてたのを見る限り、ハーレム王としてもバル師匠はロックの師匠として先例を見せてくれそうな期待が膨らみますw 大体、魔王討伐はバル師匠の本懐ですからね。ロックの方はクロウ・クルワッハという本命が待っているわけで、魔王は師匠がやっつけてくれないと。
と、ここで師匠と弟子の本気対決が魔王城の中で行われる展開になるとは。場をわきまえろ、と言いたくなるけれど、この頑固さ、真っ直ぐさ具合は嫌いじゃありません。捻くれたところのない、ホントに師を慕い弟子を可愛がってる師弟関係なんですよねえ、この二人。
ちょっと印象的だったのは、ロックの靴屋スキルの発揮具合でした。エリシアの毎度のエロイベントが、ラッキースケベじゃなくて自発脱衣というのはなかなかインパクト高かったのも確かですけれど、ロックの戦士という生き方以外の地に足がついた、というか手に職がついてるのが何とも印象的で。戦いが終わったあと、何をしたいかについても、ある意味ホルプの琴線に触れそうな話をしていて、いい意味でちゃんと先を見通している主人公だなあ、と。ってか、甲斐性あるよね、ロックって。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 74   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉7 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 7】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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海賊団を率いて城砦に攻めよせるエリオット王子。それを迎え撃つティグルは、オルガやマトヴェイ、タラードの協力を得ながら巧みな攻防を展開し、ついに囚われのソフィーを救出する。黒弓の力に驚くタラードたちの追及をなんとか躱し、ジスタートに戻る船路につくのだったが、そこに生きていたトルバランと海竜が襲いかかる! 船が破壊された衝撃でティグルは海に投げ出されてしまい――!?
一方トルバランは再びレスター将軍となり、残党を従えレグニーツァを襲う。応戦するのは二人の戦姫、“雷渦の閃姫"エリザヴェータと“煌炎の朧姫"サーシャ。「もってくれよ、僕の命の炎……! 」大人気戦記ファンタジー第7弾。いま、最強の焔が舞い降りる――!
これ、てっきり七戦姫全員がティグルの嫁になるものだと思っていたけれど、何人かは脱落するのかもしれないな。ヴァレンティナがその本性を明らかにした時は、かなり悪者サイドでこれは改心して野心を収めてティグルにデレるのとかなさそうだなあ、とは思ったものの戦姫で一人だけハブ、というのはどうなんだろう、と思って今ひとつ彼女の扱いについては確信がモテなかったんだけれど、此処に来てサーシャが死亡フラグを立てるどころか最期を迎える流れに乗ってしまったんですよね。もう完全にアレクサンドラ=アルシャーヴィン最期の戦い、って感じになっていますし。こうなると、サーシャ一人だけ脱落、という展開は考えにくいんですよね。
でも、此処に来て脱落した戦姫に変わって新たな戦姫が誕生する、というのはなかなかハードル高そうですし、さてどうなるんだろう。
アスヴァール王国での戦いでは、ティグルの将帥としての才能が見事に開花。ブリューヌの内乱でその実力は既に見られていたけれど、何だかんだとあの時は神輿としての立場も大きかったんですよね。一方でアスヴァール王国での戦いは兵士は他国の者だしエレンの配下たちみたいに心通じ合うものがあったわけでもなし。それに、今回はエレンなど対等、或いは目上の同盟者などの協力者がおらず、オルガという戦姫は居るものの彼女はティグルに全面的に従う立場を取っていて、ティグルが指揮官として軍勢を独りで統率し自分で考え判断する形となっていたわけです。つまり、誰の補助もなく純粋に彼の軍事的才覚が試される環境だったのですね。そこで、彼は敵の進撃路となる村々を焼く、という非情の決断も含めて、大きな戦果を上げてみせた。頼ることの出来る相手が居たブリューヌ内乱と違って、全部自分で判断しなければならない今回の戦いで、ティグルは見事に人の上に立つ、という器を示してみせたわけである。
ハッキリ言って、オルガなんてジスタートの戦姫という身の上でありながら、ティグルを自分の上に立つもの、自分を導くもの、王として見てしまっている節がある。ソフィーに敵意むき出しだったのは、女の子らしい妬心であり、ティグルを異性として慕う気持ちが思いっきりだだ漏れになってますが、それだけではなくオルガがずっと求めていた王としての姿を、彼女はティグルに見てしまっていたのでしょう。
こうなると、果たしてオルガが元の自分の所領に戻った所で、ジスタート王に唯々諾々と従うものかどうか。この娘、かなり頑固者で腹芸が使えないタイプなのでわりと拗れるのは早いかもしれない。
ある意味、ジスタートに戻る段階でティグルが行方不明になったのは不幸中の幸いだったかもしれない。このままオルガがティグルにベッタリなままだと、思いの外早い段階でえらいことになっていたかもしれないですし。幾らなんでも、その時を迎えるには今は早すぎますからね。
にしても、ソフィーの陥落っぷりは想像以上に盛大でしたw
いやあ、あの監禁されて精神的に追い詰められまくってたところに、他国にいてこんなトコロで出くわすはずのないティグルが、当たり前みたいに助けに来てくれた、となったら気丈なソフィーでもそりゃあ崩れるか。ある意味、どれだけ強くても戦姫の中で一番女性的だったソフィーだからこそ、の反応なんだろうけれど、ちょっとミラでも見てみたいシチュエーションだったな、これw
なんかえらいぐだぐだと自分に言い訳しているソフィーですけれど、あきませんよ、もう完全に墜ちてますからそれ。オルガという番犬が居たのでちょっと冷静になりましたけれど、もしオルガという歯止め役がいなかったらわりと半端なくメロメロになってたんじゃないかと想像してニヤニヤw
さて、では次はエリザヴェータか。エレンからは嫌われているけれど、実はものすごい良い子、ということがある程度わかっているだけに、いろいろ楽しみ。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 10  4   

千の魔剣と盾の乙女10 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 10】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ホルプの復活を急ぐロックたちは、竜の少女から教えられた竜の墓場を目指す。コノートで得た手がかりをもとに目的地があると思われる大陸へと上陸した一行は、墓場を守護する不死の骸骨剣士たち、そして侵入者を狙う数多くの危険な罠に命を狙われる。ときを同じくして、新たな力を得た魔王軍最凶の魔物アレンが、ロックを葬るべく再びその姿を現す。ロックたちはこの危機を乗り越えることができるのか。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、怒濤の第十弾。
ああ、なるほどなあ。ずっと違和感はあったんですよ。結局のところ、魔王を倒すべき役割を担っているのは最初っからバル師匠なんですよね、この物語。師匠筋のパターンとしてよくある、弟子にすべてを託して逝ってしまうという展開も、バル師匠の目的からすると有り得ない。彼の目的というのは誰か他人に託せるものじゃありませんからね。サーシャを助けることを託して自分は死んでしまう、という悲劇的パターンも考えないではなかったのですけれど、この師匠サーシャを助ける役割を他の誰かに任すつもりは毛頭ないようで、そもそもサーシャとロックたちに接点らしい接点も無いままここまで来てしまっている以上、ロックたちがバル師匠の代わりにサーシャを助けるという展開は物語としてお粗末なほど穴が出来てしまう状況にあるわけです。それに、バル師匠にはサーシャとは別にニーウ姉さんというアンカーが別に在ることからも、限りなく死亡フラグは立ってない人なんですよ。
そうなると、どうしても魔王討伐に関してバル師匠とロックは被ることになってしまう。これまで何だかんだとロックたちが魔王を倒すという理由付けに繰り返し丹念に説得力を持たせようとしてきたことで違和感そのものは薄れていたものの、何れにしても最後にロックかバル師匠が割りを食って決着を付ける役をどちらかに譲らなければならない事は避けられなかったわけである。
自分としては、最大の目的がサーシャの救出にあるバル師匠が、何らかの形でサーシャだけ先に助けて、魔王討伐についてはロックたちに譲る形になるのかと考えていたのだが……。
さてさて、どうやらロックたちが倒すべき、他の誰でも無くロックたちこそが倒すべき敵がちゃんと用意されているようじゃあないですか。これで、美味しいところを持っていかれるのはファーディアだけ、ということに(オイ
だ、大丈夫大丈夫、ファーディアもデレたら仲間に加えてあげるよ? とか思ってたら、何を考えてるのかリャナンシーにちょっかいかけてやがるし、この男。ちょっと待てあんチャン、そこでロックの真似をしようとか変なフラグが立っちゃうよ? 上手くイケばダブル瘴気アタック! みたいに協力必殺技になるけど、失敗フラグの方が立ちそうなのが怖い。いや、大丈夫だ、あれでファーディアもかませ役じゃなくてちゃんと主人公格だから(多分ネ
しかし、正直魔王の強さが半端ないだけに、それ以上の敵なんてどうやって太刀打ち出来るんだろうとビビってしまう。何しろ、ロックたちが遭遇し半ば蹴散らされた魔王は分身体にすぎず、その力も本来のものからすると及びもつかないくらい弱体化してるというじゃないか。勇者サーシャって、よっぽどデタラメだったんだなあ。
尤も、ロックたちもだいぶ強くなったとはいえ、まだまだ成長の余地があることは、ドゥガルドとの模擬戦でフィルとフィオナが二人がかりでかなり良いようにあしらわれてしまったことからも明らかであり、フィルの成長のヒントが得られた事でまだまだ強くなれる実感が得られたんじゃなかろうか。何より、ついにロックの元にホルプが帰ってきた時の安心感の大きいこと。
随分と長く手元を離れていた気がするが、やっぱりこの物語ホルプが居てくれないと締まらないよなあ。彼がロックの相方として鎮座してくれていないと、ハーレムもどこか落ち着かなかったですもの。やっぱり、ホルプが居てくれた方がロックも精神的に落ち着いているというか、女所帯の中に男一人というのはやっぱり何だかんだとやりにくかったんじゃないか、こいつ。ファーディアが加わった時も何気にテンションあがってたし。エリシアもナギもフィルも全員大事にするぜ、と覚悟しても、心許せる男友達がいるかいないかはまた違う話しなんだよなあ、うんうん。
しかし、ホルプって想像以上に大物だったのか。竜の中でも桁違いもいいところじゃないですか。伝説どころか神話上の存在といってもいいくらい。半ば竜神と呼ぶに相応しい力の持ち主。ってか、大陸全土の地図を完成させるんだ、と意気込んでたリーナさんたち、その大陸の形を変えてしまうほど盛大にふっ飛ばしちゃってたってなにやってんですか。せっかく作ってた地図、自分たちで台無しにしちゃってたのね。まあ彼女の場合、改めて測量に走り回っていそうですけれど。

ついに物語は、ガーリャを擁して大陸に突っ込む人間たちと、復活した魔王とともに待ち受ける魔族たちとの最終決戦に。ロックたちとファーディアはこの大会戦に間に合うのか。ラストに向けて盛り上がって来ましたよっと。
にしても、エリシアの全裸担当エロ要因は安定してるなあ(笑

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉6 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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ブリューヌの動乱より半年。客将としてライトメリッツで過ごすティグルは、ジスタート王の要請を受け、霧と森の国アスヴァールへと旅立つ。密使としての航海中、ティグルは薄紅色の髪の幼げな少女と出会う。立派な作りの斧――“崩呪の弦武"ムマを持つ彼女こそ、放浪の戦姫オルガ=タム。なりゆきで彼女と同行することになるティグルだったが、アスヴァールの地にはさらなる“運命の出逢い"が待っていた。容姿、人望、才能――そして確かな野心を持つ青年の名は、タラード。一将でありながら“王"の形を平然と説く青年に、ティグルの胸に去来するものとは……? いくつもの邂逅が新たな伝説を刻み征く! 最強美少女ファンタジー、待望の第2部開幕!
あれ? あれれれ!? 残る最後の戦姫。就任して直後に旅に出てしまい、他の戦姫たちも詳細を知らないという謎の存在だったオルガ=タムが、まさかの幼女形態で登場である。幼女形態ってなんだよ、ロリババアじゃなく、普通に幼女です。いや、本文中読むとそこまで幼女って感じでもないんだけれど、表紙は完全なロリっ子だよなあ。ただ、意外にもこの娘、見た目のイメージと違ってこんな媚びたようなロリロリっとした感じでも性格でもありません。むしろ、今まで居なかったタイプの頑固で堅物で融通が効かない生真面目さん。旅に出た理由も、自分のような未熟者が戦姫として領主を勤めるのは駄目だ! と本人曰く逃げ出してしまった、と言っているが中途半端に妥協できない性格の賜物というべき出奔である。しかしこれは、面白い形で接触したなあ。オルガ当人が、他の戦姫と違って他人の上に立つという意識を持っていない、んじゃなくて正確にはまだ自分では人の上には立てない、と思っている娘なので、今まで出会った戦姫たちは多かれ少なかれ領主としての立場からティグルと接しないといけなかったのに対して、彼女は一人旅の身軽な身空で、任務を受けたティグルに従う形でついてくるわけです。つまり、初めて下の立場、下の視点からティグルという若者を見守る戦姫となったわけですね。
そして、ティグルはジスタート王の要請で外交交渉を担って訪れたアスヴァールにて内乱に巻き込まれ、オルガとサーシャがつけてくれた案内人の敏腕出来物のおっちゃんだけをお供に、動乱の中を斬り泳いで行くはめになるのですが、つまるところ彼はこの何の支援も後援もない異国の地で、たった一人でその資質を試されることになったのです。いやあ、この旅の空のティグルを見てると、何やら今までよりも自由というか、重たい荷物から解放されたというか、実に伸び伸びとしているように見えました。特に、アスヴァールに派遣された本来の目的が有耶無耶になってしまい、ティグル個人の独自の判断が必要となったあとの行動を見ていると、ジスタート王は虎を野に放ってしまったのではないかという実感も(尤も、それ以前からかなりガンガンと独自判断と行動に打って出てましたけれど。判断力と決断力は並外れてるよなあ)。これを見てると、ティグルって周りに合わせて器が小さくまとめられてしまっていたのでは、とすら思えてくる。この短期間で当人の考え方や変わったり成長したわけではないですし、彼の本来の資質と環境が咬み合ってしまった、としか言いようがなく、繰り返しますが檻から虎を野に放ってしまったように思える。むしろ、こうなってようやく今まで彼が得た過分なまでの称号が、実体を伴ってきた、というべきか。何にせよ、今の束縛から解き放たれた姿こそが、身の丈にあったティグルの本来の姿といえるのではないでしょうか。そこにオルガが見た、王の資質……これは本物ですよ。
第二部になって、これは落ち着くどころかさらにスケールアップして面白くなって来ましたよ。にしても、次回に続いた事件も含めて、ティグルへの戦姫の支持率は随分えらいことになってきたんじゃないかしら。エレンとミラにひき続いて、オルガまで完落ち状態になり、サーシャも最大限好意的なポティション。元々好感度が高かったソフィーもこの一件を通じてどうやら完落ちしかねない流れだし、エリザヴェータは実際の人となりを見る限りかなり直接対面してしまえば、ティグル寄り。反抗勢力となりかねないのは、ヴァレンティナくらいか。いやはやはてさて。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 93   

千の魔剣と盾の乙女9 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 9】  川口士/アシオ 一迅社文庫

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単独で魔王城を目指すファーディアの前に現れた魔妖精リャナンシー。有利に戦いを進めるファーディアだったが、そこに復活した魔王バロールが現れる。
一方、ホルプを失ったロックはエリシアの励ましやナギの空回りする気遣いの数々に戸惑いつつも、かつてホルプを見つけた神殿に赴き、魔剣ホルプ誕生の秘密へと近づいていく。
うお!? なにこれ、カラー口絵の冒頭の漫画って、【星図詠のリーナ】のリーナとダールじゃん!! これまでも、このシリーズとの関連性は随所に語られていて、ホルプがダールに宿っていた銀の竜だったんじゃないかという話はこれまでも持ち上がっていたんですが、かすかに残っている伝承やホルプの記憶からだとイマイチホルプに関わっていたのがあの二人だった、という確証に至るまでの詳しい情報はなかったんですが……イラストになったら一目瞭然、間違いなくあの二人だ!!
となると、この【千の魔剣と盾の乙女】の世界は【星図詠のリーナ】の未来の世界ということになるんだけれど、リーナがあれだけ歩きまわって無記入の広大な白紙を埋めようとしていた広い広い世界が、今やこうして汲々と島を守るばかりで、大陸は歩きまわることもできなくなった狭く閉ざされた世界になってしまった、というのは何とも皮肉な話だなあ、と思わざるをえない。
さて、剣身を折ってしまったホルプを何とか復活させられないか、と苦悩するロックの前に現れたのは、ただ一人で魔王を倒さんと駆け回っていたファーディア。偶々、復活直後の魔王と遭遇し惨敗をきして命からがら逃げ出してきた彼は、仕方なく同じく魔王を倒すという目標を掲げているロックを仲間に勧誘に来たのである。ただし嫁共、お前らはいらねえ。ロックを嫁にするのは俺様だ、失せろ女ども! というわけで、まさかのファーディア、ロック争奪戦への奇襲参戦である。即席で組んでみたところ意外と相性も悪くなく性格的にも思ったよりも反発無く馬が合ってしまったロックは、周囲の予想を裏切って結構その気になってしまう。焦るのは、嫁たちである。ロックが盗られる! とばかりに錯乱して大騒ぎ。あんたら、今までロックと他の女性がお近づきになってしまった時でもそこまで余裕なく慌てなかっただろうに。
まあ、それだけファーディアが強敵であることを肌で悟ってしまったのだろう。なにしろ、コイツは新たに嫁に加える、というわけにはいかない本物のおじゃま虫、自分たちの旦那様を嫁にしようとしている仇敵である。
結果として巻き起こるは、史上最大の修羅場!!
……なんでついにきた修羅場がこうなったw
しかしまあ、あれだけ性格傲慢でひねくれているファーディアも、ちゃんと付き合ってみるとなかなかイイ所もあるし、聞き分けのいいところもあるんだよ、ってそのパターンはヒロイン参入の構成だよなあ(笑
でも、確かにあれだけとんがっていたファーディアと仮にもパーティーが組めるとは思っていなかっただけに、ロックの包容力、受容力にはびっくりである。別に女性限定の人間力じゃなかったのねw いやいや、あのファーディア相手にあれだけ気にすることも苛つくこともなく平然と受け答えして、流したり誠実に応えたりできるのは大したもんですよ。まあ師匠もあんなだから、この手の人間には慣れてるのかもしれませんが。
ともあれ、これは大きな戦力増強になるんだろう。か。ホルプを失っている現状のロックは戦力的に厳しいものがあっただけに、ファーディアの参加は非常に心強いものでしたし。なんとか、ホルプ復活の道筋はついたみたいですし。
一方で、復活した魔王のフットワークが軽すぎて戦々恐々なんですよね。魔王城の奥ででんと構えて動かない、ってなどころか、復活してまだ力も回復していない段階で自由に動き過ぎだ。いきなりフィールドで魔王と遭遇しました、なんて洒落にもならない。その上、サーシャに封印されたことで人間への軽視と油断は拭い去られていて警戒も密にしており、未だ力戻っていないとはいえこれは強敵すぎる。
本来、このあたりで師匠キャラのバルは死亡フラグが立ちそうなんですが、この人の場合は師匠キャラである以前に根っこが主人公キャラなんで、サーシャやニーウとの関係からして全然生き残りそうな気配もあり、どうなるかわからないという意味では、ロック以上にその動向が興味深いんですよね。生死の見通し以上に、エリシアたちみんな嫁にしてやるぜ、と覚悟も完了してしまったロックに対して、サーシャとニーウの二人の女性とどうなるのか、という意味でも興味募るひとなんですが。ラストでまたえらい相手と遭遇してますけど、はてさて。

川口士作品感想

千の魔剣と盾の乙女 83   

千の魔剣と盾の乙女8 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 8】 川口士/アシオ 一迅社文庫


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『サヴァンの日』。それは本格的な冬のはじまりを告げる日、そして死者と生者の境がかぎりなく薄くなる日。伝説の武器『魔石(タスラム)』を手に入れるため、極寒の地カリアッハヴェーラを旅するロックたち一行は、サヴァンの日の前後三日しか足を踏み入れることができないという幻の神殿を目指す。その頃、魔王バロールの眷族の中でも一、二を争うほどの力を持つ狂気の魔物アレンが、ロックたちの命を奪わんとカリアッハヴェーラを目指し、秘めた願いを持つ魔妖精リャナンシー、魔王復活は近いと悟った魔将ケンコスもおのおのの目的を胸についに動き出す。最大の危機を前に、ロックたちは大切な仲間を守りぬけるのか。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、激戦と喪失の第八弾。
熱砂の砂漠に海底の妖精郷と来て、今度は極寒の氷原と来ましたか。旅から旅への冒険モノでも、これほど極端に極地ばかりを巡るというのも珍しい。しかも、そうした秘境を訪れる目的が伝説の武器や魔法を手に入れるため、というのだからある意味王道のRPGゲームを踏襲しているのかもしれないね。むしろTVゲームじゃなくてTRPG、と言ってもいいか。という訳で、ロックにエリシア、ナギといったパーティーメンバーが軒並みパワーアップしてしまったために、独り足手まといになってきてしまったフィルが、伝説の魔法(武器?)『魔石(タスラム)』を手に入れようと、ロックたちに頼み込み、カリアッハヴェーラを目指す、という展開に。元々、フィルについては錬成士としては優秀ではあってもわりと平凡な腕前、だと常々本人の口からも語られていた事で、これまではそれでも何とか不備なくやってこれたものの、メンバーがパワーアップすると同時に、戦うステージまで上がってきたお陰で、このままでは本気で戦力として機能しなくなりつつあったんですよね。それで焦るのは当然としても、タスラムが手に入らなければパーティーから離脱する、と自分を追い込みつつも、多少の無茶をパーティーにお願いできるあたりが、フィルらしいといえばフィルらしい。ナギやエリシアだと、もうちょっと遠慮してしまうと思うんですよね。フィルは、自分が甘やかされている、というのをいい意味でも悪い意味でも良く解ってる。甘えることの出来るウチは、甘えていいと思いますよ、私は。この娘は、その甘えが皆の足を引っ張ったり、パーティーの方向性を悪い方向に捻じ曲げるような所まで逸脱させない、秀逸なバランス感覚を有しているようですし。
ただ、その甘やかされている、という点が恋愛関係という観点に立った時に些か違和感とも錯誤感ともつかないものを感じる要因になってきているのでは、と考えつつあるようで、彼女もこれまであっけらかんと言い募ってきたロックのハーレム構築についても、色々と思いところが出てきたようだ。と言っても、それを否定する方向ではなく、自分たちの関係が現実のものとして固着していくには、どうした感情を交えて人間関係を構築していくべきか、みたいな感じで冗談ではなくガチで成立を目指しつつあるような感じになってきてるわけだがw
その話題となると、ナギは何気に結構乗り気だし、エリシアは世間の倫理観、という点を気にしているようだけれど、二人とも独占欲はありつつも、このメンツならいいか、と思っているようで、女性陣の方はあんまりハードル高くないんですよね。問題は、根っこが庶民なロックの方で……こいつ、みんな好きだからみんな纏めて面倒見るぜ! みたいなご大人な恰幅の良い態度は取れないと思うんですよね。キャパはそんなに大きくないんだよなあ。
ただ、川口士作品の主人公は概ねそんな多くの女性を抱え込むような甲斐性を持っていなさそうなキャラばっかりなくせに、ガチなハーレム成立度が結構高かったりするので、甲斐性ないんじゃね、という心象はあんまり関係ないのかもしれない。何しろ、ロックもホルプがお墨付きを与えてるくらいだからなあ。
しかし、ここに新しくハーレムパーティーが加わるとなるとどうなんだろう。あの子の参戦は、かなり意外だったんだが。というか、再登場しても誰? という感じで思い出せなかったし。フィルの姉弟子の人は覚えてましたが。

とまあ、ハーレム談義にパーティーの強化編、と割りきって見てたら、いきなり怒涛の勢いで話が進展していく。
これまで、金環持ちのモンスターと激闘を繰り広げているうちに、その力量から魔王の強さ、というものをだいたい当て推量できていたつもりだったんだが……これ、魔王って倒せるの? いや、これ普通に伝説の武器で強化して技術も高めれば普通に良い勝負出来るものだと思い込んでたんだが……あの勇者の人、どうやってこんなのと戦って封印したんだ? 無理ゲーじゃないのか、これ?

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉54   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉5】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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ムオジネル軍との戦いから十日。“銀の流星軍”はぺルシュ城砦に駐屯し、きたる決戦の準備を進めていた。一方、五頭の竜を従えたテナルディエ軍は北上し、ガヌロンの本拠地アルテシウムへ向かう。三つ巴の戦いが勃発しようとするそのとき、ジスタート王宮にもひとつの出会いがあった。「ヴァレンティナ……」「おひさしぶりですね、ソフィーヤ」巨大な鎌の竜具“虚影エザンディス”を持ち、儚げに微笑む戦姫、ヴァレンティナ。ソフィーも警戒する彼女の目的とは……? そして遂に切り開かれる戦端のなか、ティグルは大切なものを失い、なお前に進むことを求められる。そのとき、背中に吹くのは力強き銀色の風――。最強戦姫ファンタジー、第1部堂々完結!
やっぱり、ティグルの戦場での弓働きの描写が凄すぎます! 戦線が瓦解しかけた時に最前線に踊りでたティグルが見せた神業には、思わず読んでるこっちまで息を呑みましたもの。戦場だって静まり返るわ。威力や派手さなら、エレンやミラの竜具の方が遥かに上ですよ? 実際、竜をも薙ぎ払った二人の強さ、活躍は今回の合戦の中でも際立っていましたけれど……それでも、ティグルの弓術の方にこそ心を鷲掴みにされてしまうのです。見せ方が抜群に上手いんだよなあ。あれは、味方の士気もあがりまくるよ。あんなの魅せられて、興奮せずに居られるなんてとても無理。人間のなせる限界を突破した神業であると同時に、あくまで人間がなし得る領域の範疇である事こそが、逆に凄みを帯びる形になってるんでしょうね。
今回のティグルについては、瀬戸際の判断の凄みもまた効いている。あの場面、ティグルは総大将であるにも関わらず躊躇なく最前線に飛び出したのですけれど、決して勇み足や自分が何とかしなければならないという独り善がり、自己満足などが全く介在してないんですよね、あれ。あの場面、あそこはティグルがあの行動に打って出ていなければ、間違いなく戦線は崩壊し、戦いは負け戦に転がり落ちていた。まさに分水嶺であり、決断を有する瞬間であったわけです。その瞬間を彼は見逃すことなく把握し、その上で一毛の迷いもなく選択という概念すら想起せず、成すべき行動に打って出たわけです。
あれは、震えたなあ。その後の弓の神業に魅入ったのも、この下ごしらえがあったからというのも大きいと思う。ここまで圧倒的に傾きかけた戦いの流れを叩きなおしたシーンって、そうそうお目にかかれないですよ。弓の実力以上に、ここで彼が示したのは大軍を率いる将器であり、名将の器でありました。しびれたなあ。
面白いのが、戦場でのティグルの雄姿に興奮し喝采をあげる兵士に、ジスタート、ブリューヌの国の区別がないところ。両国の兵士が共に自分たちの英雄として、ティグルを見てるんですよね。この状況は注目しておいていい部分かも。

一方で、終始戦場の華であり主役出会ったのは、当然この二人、エレンとミラの戦姫。この二人も変わりましたよね。キャラが、じゃなくて犬猿の仲だった二人の関係が。以前は本当に「仲の悪い仲の悪さ」でありましたけれど、ティグル率いる銀の流星軍にて共闘と相成った二人は相変わらずツノを付きあわせて喧嘩三昧なのですが、本気の険をはらんでいた以前と違ってなんか今は「仲の良い仲の悪さ」という感じがしたんですよね。嫌い合い殺しあう関係だったのが、ツンツンとじゃれ合う関係になったみたいな?
相変わらずティグルはとばっちりを食う係なのですけれど、まあこれは悪くないとばっちり?

敵役の方も、此処に来て映えてきましたね。テナルディエにしてもガヌロンにしても、当初勝手に抱いていた権力を壟断する腐敗貴族の親玉、という印象を覆す大物っぷりにはかなりびっくりさせられました。テナルディエなんか、まさかここまで武断派の人だとは思わなかったもんなあ。それ以上に、ガヌロンの黒幕っぷりには驚きを通り越して唖然ですよ、唖然。なに、この怪物?
ロランを気まぐれで殺した時には、頭のおかしいトリックスターの類とも思ったものですが……、こいつ相当にヤバいんじゃないか? 少なくとも、これほどの人物が地位からも自由というのは全くの脅威ですよ。相応に地位につくというのは権力を暴力的に振り回せるという恐ろしさはあるものの、地位に縛られ選択や行動が限定されるという欠点もあるものです。ところが、このガヌロンときたら、保守性がまったく無い、皆無であり、尋常じゃなく自由でフットワークが軽いという……黒幕としても敵役としてもこれは脅威ですよ、脅威。
敵がこれほど大物だと、話も引き締まるというものです。
そして、これほど底知れない敵と通じている新登場の戦姫ヴァレンティナもまた、不気味極まる。これまで登場した戦姫は何だかんだありつつも最終的にティグルの味方になりそうな雰囲気だったんですけれど、このヴァレンティナだけはわからんかもなあ。

今回の戦いで一気にブリューヌ国の内戦は終結。ティグルはその後どうなるんだろう、とそのあまりに複雑な立ち位置から不安混じりに首を傾げていたんだが……にょはははははw
当初のあの契約って、そのまま生きてたんだ。正直、ティグルは捕まった当初の辺境の小さな一領主に過ぎなかった頃と立場が違いすぎてるんで、そのあたりけっこう考慮せざるを得ないと思ってたんだが……エレンにしてもティグルにしても当事者二人とも結構身も蓋もないよなあ、これw
レギン様が頭抱えるのもわかるわー。救国の英雄が、こうもあっさりと持ち去られてしまったら、頭抱えるよ。それが、内戦直後の政治的にも有効だったとしてもw

さて、これである意味ブリューヌという一国のくびきから逃れる事が出来た、とも言えるティグル。ブリューヌで張り巡らされていた陰謀は、潰えるどころかむしろ他国にまで拡大しつつ有るようで、第二部はそれこそ多国間に跨るでっかい騒乱になりそうな予感。そして、その中心になってしまうのは勿論……♪
第二部、実に楽しみです。

しかし、リムは最近、エレンにティグルと結婚しろとからかわれても、拒否や否定をしなくなってきたな、おい。満更じゃないを通り越して、そろそろ本気でこの流れに乗ろうとしてないか?(笑

1巻 2巻 3巻 4巻感想

千の魔剣と盾の乙女 73   

千の魔剣と盾の乙女7 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 7】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ロックの故郷シュリガッハを訪れた一行は、ロックの幼なじみの少女、ノエルと出逢う。海に沈む伝説の都市アルモリカの財宝を探すノエルの夢に共感し、同行を申し出るロック。エリシアは自分の知らないロックを知るノエルの態度にもやもやした感情を抱くが、不満を言いだせず口をつぐんでしまう。そんなエリシアに挑発的な言葉を投げかけるノエル。ロックをめぐる二人の対峙により事態は思わぬ方向に…。アルモリカに待ちうける怪物の影、そして財宝の正体とは一体何か。魔剣ファンタジー、急転の第七弾。
ちょっ、ちょっと待ったぁーーー!! 今、聞き捨てならないセリフを聞いたぞ!?
銀を食べる竜、だと!?
そのセリフを聞いた時の、ホルプの反応。おいおい、こりゃ魔剣ホルプが【星図詠のリーナ】の傭兵ダールの左腕に宿っていた「魔銀」であるのは確定か。以前、前の自分の持ち主は傭兵だった、って言ってたもんなあ。それを事実として鑑みると、ホルプの堅物な性格の合間に見える妙に性格の悪いところや諧謔味というのは、ダールの性格の影響を受けている部分もあるのかもしれないなあ。

さて、今回は後から仲間になったナギに先を越される形で伝説の武器を手に入れられてしまったエリシアのパワーアップ回。であると同時に、エリシアがロックの魔王を倒すという夢に最後まで付き合う覚悟を決める回でもあった。ここまで一緒にパーティーを組みながら、今に至るまでロックの故に最後まで付き合うかを迷っていたエリシア。だけれど、最初の頃の荒唐無稽な夢を否定はしないけれど、自分が同行するのは現実味が無いし、実際問題として倒せるとは思えない、という立場だった頃に比べると、彼女の迷いはこの巻あたりではもう、自分の力量では足手まといになってしまうんじゃないか、という不安に基づくものに取って代わってるんですね。ロックがある程度呪いを克服した上に、それを利用した金環持ちでも倒せえる力を手に入れたのと、ナギが伝説の槍を手に入れ、ナギ当人もロックと運命を共にする気満々、という状況を前にしたら、出来ないだろうから真剣に考えない、という段階はとっくに通り過ぎてたんでしょうなあ。
ぶっちゃけ、この時点でついていけるものなら、付いて行きたい、という気持ちは固まっていたと思われる。
でも、同時にロックの夢に付き合う覚悟を決めるというのは、エリシアにとっては別の覚悟……ロックへの好意を認め、肯定して受け入れる、という事も意味していたのである。何しろ、伝説の武器の取得に技量の向上という以上に、ロックへのアプローチを全く自重しなくなったナギに、あらゆる意味で先を越されてしまっている以上、ロックへの気持ちをなあなあで誤魔化せる段階は通りすぎちゃってましたしね。
そう考えると、ロックの故郷で幼馴染と再会するという展開は、というか幼馴染にして魔剣使いであるノエルの存在は、エリシアの対比として用意されたと見ていいでしょう。好意を持っていても、ロックの夢について行けずに見送るしか無い娘、という役での登場というのは結構、残酷なことだとも思うけれど、だからこそああいう天真爛漫でサバサバした強かタフガールというキャラ付けで出したのかもしれないですね。誰にとっても後味の悪くないサッパリした道の分かたれになりますし。

それよりも、ちょっと意外だったのがリャナンシーである。以前から魔物となりながら妖精としての特質を残している、という話はあったけれど、未だに妖精たちと交流があり、彼らを守ろうという意志を残しているというのは予想外だった。
元々、その行動は得体のしれない面があったけれど、和解出来るかどうかはともかく、思ってた以上に交渉の余地があるのかもしれない。少なくとも、一概に邪悪と言える存在ではない事は明らかになったわけですし。
となると、逆に魔物たちの勢力争いの方をもうちょっと情報公開してくれるとありがたい事になってきたな。これ、思っていた以上に複雑で、人間サイドから見てもどうも全部一緒くたに敵は敵、と剣を向けなくても、思惑によっては何らかの駆け引きが出来るかもしれないですし。

さて、今回はあの魔王を倒すと公言して憚らないファーディアも登場。最近、この人ネタキャラなんじゃないかと思えてきた。物言いこそ傲慢で高慢で人を人とも思わないものだけれど……異様にチョロいんですよね。最初こそ、魔王は俺が倒す! 貴様らは邪魔するな、或いは部下になって傅くなら使ってやるぞ、という偉そうな言い草にはカチンと来るものがありましたけれど、会うたびにおんなじ事ばっかり言ってるものだから、段々と生暖かい目で見るようになってきたし。大体、足手まといは要らん、みたいに強がってるけど、毎回ボッチだし、こいつ。ほんとに仲間が要らないなら、毎回勧誘なんかしないもんなあ。
これで実力がなかったらただの道化なんだけれど、なまじ実力があるだけに余計にネタキャラになってる気がする。何しろ、結果的に見ると毎度ロックたちパーティーに上手いこと利用されてる形になってるしw 今回など、あの天然のナギに上手いこと言いくるめられて協力するハメになってたわけだし。
まああれだ、おまえもがんばれよ。

と、エリシアまで強力な武器を手に入れ、一皮むけてしまった以上、独りだけ一流半のままのフィルだけが取り残されてしまうことに。いいんですよ、貴女はそのままマスコットで。と言うわけにもいくはずがなく、次回はフィルパワーアップ回。ある意味、ハーレム完成回になる予感も無きにしもあらず、はてさてどうなる?w

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 44   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉4 (MF文庫 J か 11-4)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 4】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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ムオジネル軍、襲来す! エレンとリムの不在、疲れきった兵、自軍の十倍の敵兵。様々な困難を抱えながら、ティグルは“銀の流星軍”を率いムオジネル軍に挑む。圧倒的な戦力差に窮地に陥るティグルだったが、そこに意外な人物が現れ……? 一方ジスタートに帰還したエレンは、病床の親友サーシャとの再会もつかの間、“雷渦の閃姫”エリザヴェータとの戦いに臨む。「一度だけ機会をやる。いますぐ這いつくばり、レグニーツァの民に許しを請え」「お断りしますわ」「ならば――くたばれ」 交錯する想い。巻き起こる戦火。そして、明かされる驚愕の事実とは――。大ヒット美少女戦記ファンタジー、第4弾。いま、“英雄”は産声を上げる。
新たに登場した戦姫の一人、“雷渦の閃姫”エリザヴェータ。アレだけ仲の悪い天敵であるリュドミラに対してすら、その人品を認めて憚らなかったエレンがそりゃもう口汚く罵ってたので、戦姫の中にもろくでもないのは居るんだなあ、なんて思ってたら……あれ? 全然イイ子じゃね?
むしろ、自分の未熟を噛み締めた上で、常に努力を惜しまない向上心にあふれた直向きな娘のようにすら見えます。ややムキになる傾向はあっても、エレンよりも冷静沈着に見えますし。ただ、結構不器用であんまり何事を為すにもまず失敗から入ってしまいそうな所があるのかな。
エレンには心底嫌われているようですし、エリザヴェータの方もエレンへの対抗心は剥き出しなのですけれど……これ、エリザヴェータの方は周囲が思っているような、エレン憎しという負の感情をベースとした因縁じゃないんじゃないだろうか。むしろ、目標や憧憬の対象としてリスペクトしている? 立派な一角の戦姫となるのだ、という目的の為に敢えて自分を強く律し、敬愛しているエレンにつっかかり、対抗することで、彼女と同じ高みへと辿り着こうとしているようにも見えるんですよね。エリザヴェータの父親の死に絡む因縁も、彼女が幼少時に市井に居てむしろ貧しい暮らしをしていたのを考えると、父親に対して親愛があったか怪しい所がありますし。
でも、エレンって多分エリザヴェータが思い描いているような理想の戦姫からは、わりと程遠い大人気ない娘さんですよ?w
というわけで、これエリザヴェータもティグルに会ったらすぐに転びそうである。というよりも、この生真面目娘さんの性格は、他の戦姫やヒロインたちの中に居なかったワンコ属性っぽい気がするんですよね。となると、わりと上から目線で接してくる他の娘と違って、一旦味方となるとなったらかなりの忠犬になるんじゃないかなあ。

折しもエレンがティグルから離れたのを見計らうように侵攻を始めたムオジネル軍。勿論偶然などではなく、何者かが手繰る糸が背後でうごめいているようだが、結果として戦姫エレンの影に隠れてオマケ扱いだったティグルが孤軍奮闘することで亡きロランに変わって国内屈指の騎士としての名望を得ることに。
自分の領地を守るために、エレンの協力を受けて国内の大貴族に反抗して以来、銀の流星軍という独立軍を立ち上げたものの、とても王国の二代派閥に抗するべくもない、いつ踏み潰されても仕方のない弱小勢力だったというのに、その小さな勢力を保つことに執心するのではなく、弱き者を庇護して理不尽と戦うという理念を持って常に前に進み続けた結果として、ここまで短期間に第三勢力として躍進を果たすとは、驚くばかりである。
実際、良将だったムオジネル軍先鋒集団の将をたった二千で討ち取った手腕は手放しでほめられるべきものですし、本隊との会戦は偶然と戦場の霧に助けられたとは言え、さらに大軍たる敵軍相手に粘り強く戦い続けたことが引き寄せた勝利でした。バルバロッサ王の喧伝は、宣伝工作とは言え彼自身の本音と実際のティグルの戦果があってこそ、ですしね。ロランに変わるブリューヌ王国最強の騎士の名は、実態を持って王国内に響き渡るはず。
とまあ、そんな名望だけならまだ貴族たちも早々靡かないでしょうし、第三勢力として立脚するには弱い。ところが、ティグルの元にはロランが残した守護剣デュランダルがあり、宰相への手蔓とも言うべき国王の真実があり、そしてついには最強の大義名分と成り得る存在が転がり込んできたわけで、まさにトントン拍子の勢いで一大勢力へと成り上がってしまったのでした。
そして、そんなティグルの躍進を肝心なときに傍で助けたのは、エレンではなく……りゅ、リュドミラさん!?
うははは、リュドミラの介入タイミングは殆ど神のごとしである。これほどティグルが絶体絶命の時に、エレンが不在でリュドミラが代わりに助けに入った事で、一度敵対したことも帳消しになった上でエレンとも対等にティグルに対して大きな顔ができることになりましたし。
ティグルってよっぽど庇護欲を掻き立てるタイプなのか、どうも一緒に戦うとどうしても自分が助けてやらないと、と思ってしまうようで。あの鉄壁のリュドミラさんの、会戦後のティグルの甘やかしっぷりには思わず笑ってしまったほど。リムといいミラといい、厳しい性格の娘ほどグデグデにティグルを甘やかす傾向があるなあw
とまあ、物凄い勢いで女殺しの才能を発揮しているティグルさんですが、別に女性相手ばかりじゃないんですよね、その才能。ジスタートのハゲことルーリックはエレンやリム以上にティグル大好き! な状態でエレン不在の今回はティグルの副官格としてかなり存在感を見せていましたし、以前からティグルに随分と辛辣な姿勢をとっていたジェラールも、実はそれはティグルを見極めるための……まあ性格的なものもあるようですが、方便だったようで、ルーリックと丁丁発止を繰り広げながら、兵站参謀として卓抜な手腕を発揮して、とティグルの後見役の爺さんたちとあわせて、何気に男衆もちゃんと魅力的に描かれているのは好印象でした。敵さんも、やられ役とは程遠い、一癖も二癖もある大人物でしたし。ホントにMF文庫ではあまりない戦記ものとして十分以上に歯ごたえのある作品です。面白かった。そして、面白くなってきた!

1巻 2巻 3巻感想

千の魔剣と盾の乙女 6 3   

千の魔剣と盾の乙女6 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 6】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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魔王を封じた魔剣クラウソラスにも匹敵するとされる、伝説の魔剣ガラドボルグ。それを手に入れるため大陸へと向かったバルトゥータスは魔剣を守護する精霊と出逢い、ロックの師となる以前、エリシアの師であるニーウと出逢ったときのことを想起していた。一方でロックたちは、新たな槍を手にしてすっかり元気になったナギの何気ないひと言から、エリシアそしてフィルがロックとパーティーを結成するにいたったかつての出来事を思い返す。大人気の魔剣ファンタジー、早くも第6巻が登場。
実質、今回は短編集か。しかし、ようやく表紙がエリシアじゃなく、違うヒロインになったというのに、その表紙を飾ったナギが今回まったく出番が無い、というのはどうなんでしょうw ニーウ先生にしろとは言わないまでも、せめてフィルにすればよかったのに。
という訳で、今回はバル師匠とニーウ先生の初めてを綴った回想と、フィルやエリシアがはじめてロックと組んだ時のお話という過去編集。メインはバル師匠とニーウさんの馴れ初めですね、これは。にしても……ニーウの報われなさオーラは半端ないなあ。バルトゥータスってば、昔から今に至るまで完全にニーウの事眼中にないじゃないか。どう見ても、ああこりゃダメだ、と諦めることを推奨するレベル。誰もニーウに忠言しなかったんだろうか。それとも、恋するオトメは聞き入れなかったんだろうか。このままだと間違いなく行き遅れになってしまいそうな勢いである。まだこれ、バルが女に興味がないようなタイプの男ならば縋りようもありそうなものだけれど、彼にはちゃんと意中の人が居て、その人を救うために人生なげうっているわけで、ニーウ先生ってば叶わぬ恋を追いかけて三十路くらいまで突入した末に、入れ上げた男が意中の人と結ばれてしまうシーンを目の当たりにして放置されてしまう、という惨劇が待ち受けていそうで、非常に居た堪れない!!
ニーウ先生の想いが叶うのって、バルが失恋してしまった場合のみ、というのもなかなかキツいんだよなあ。封印されている想い人が助けた甲斐なく亡くなってしまうとか、助けられたけれどその人の趣味がショタでおっさんには興味ないの、と手酷くフラれてしまうとか、そういう色々な意味で残念な結果に終わってしまったケースのみ、ニーウがアプローチする余地が残されているという時点で、もうなんとも居た堪れないw
まあそれ以前に、バル師匠は死亡フラグをプンプンさせているんで、まずバル師匠が死なないように頑張らないと始まらないんですけどね。ハードルが高すぎるにも程がある。
今の時点からバルがハーレムします、というのはロックのそれと比べるとちょっと無理がありすぎるし。ニーウさんニーウさん、それ無理ゲーです。
その意味では、今回のニーウとバルの馴れ初めの話って、ニーウが人生踏み外してしまった話でもあるんだよなあ。そう考えると、前巻の二人を描いた4コマ漫画の身も蓋もなさも相まって、苦笑いが浮かんできてしまう。
なんだ……ご愁傷さまでした。出会ってしまったのが運の尽き。惚れたが負けの人生ですか。
まあでも、この二人の師匠が出会ってくれなかったら、エリシアとロックは出会っていなかったんですよね。そうなると、ニーウ先生はロック・ハーレムの犠牲になったのだ! と言えなくもない。まあ傍目から見てどれだけ報われなさそうでも、当人が幸せならいいのかもしれませんが。現状にある程度満足してなかったら、十代の小娘から二十代後半に指しかかろうという現在まで現状維持のまま来なかったんだろうし。

フィルとエリシアのロックとの初めては、意外なことにエリシアよりもフィルの方が最初ロック相手に厳しい姿勢だったんだ。エリシアの方がむしろ自然に大した反発や対立もなくスッとパーティー組めたのは驚きでした。ロックってあれで師匠と違って人当たりがいいですからね、最初から隔意のあったフィルとはそれなりに時間が掛かったのは仕方ないとしても、特に隔意も好意もなくフラットな状態でパーティーを組むことになったエリシアともめることもなかったのは別におかしくもなかったか。
ともあれ、彼らの話で面白かったのは人間関係よりも冒険初心者が手探りで必要なものを用意し、おっかなびっくり実践に挑むという、あの初々しくも危なっかしく、それでいて微笑ましいやりとりでしょう。今でこそ歴戦のパーティーとなりましたけれど、最初の頃は何を準備して持っていけばいいかもわからず右往左往する初心者だったんだなあ、というのがわかってほっこり。と言っても、フィルとロックのふたりきりで挑んだ最初の冒険は随分と危ない橋を渡ることになってしまったようですが。そう考えると、ロックって最初の頃から度胸だけは座ってたんだなあ。あの冷静さは大したもんですよ。
って、師匠たちの過保護なのか放任なのか分からない、こちらも初心者師匠としての手探りのやり取りも初々しくて、微苦笑を誘われました。バル師匠もナイアル先生も一匹狼でやってきた人だからなあ、勝手分からないのも無理は無いですが、もうちょっと何とかしろよw 師匠としてはニーウが二人に対して大きな顔をしているのが、なんとも面白かった。っていっても、ニーウはあれで過保護だと思うぞw

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 34   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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テリトアールに陣を進めたティグルたち。そこに、ガヌロン公爵の配下、グレアスト侯爵が現れる。不躾な恭順命令を断るも、エレンへの執着を隠そうともしないグレアストに、ティグルは内心穏やかでない。間をおかずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し、事態は急変する。団長は、ブリューヌ最強の騎士ロラン。戦姫の技すら破る“不敗の剣”を前に、ティグル軍はかつてない危機に陥ってしまう。“光華の耀姫”ソフィーヤの助けで辛くも窮地を逃れるのだったが、エレンを庇った傷でティグルが倒れてしまい……!? 血風と光波が戦場を駆け抜ける刻、黒き魔弓は解き放たれる! 大人気美少女バトルファンタジー、心を射抜く第3弾!

なんと、ロランほどの人材をこんな風に使うのか。これほど巨大なキャラクター、それこそただ辺境に置いておいて何もさせなくても大きな影響力を発揮するはずなのに、大胆なことをするなあ。逆に言うと、それほどの大きな存在だからこそ、こういう形で片を付けてすら、今後に大きな影響を残し続ける、という風にも捉えられるのですが。
彼が置いていったものをどう扱うかも気になるところですし。これって主人公が使うようなものじゃないですし、戦姫たちも同様。と言うことは、これに相応しい人物が現れるということなのか、それとも既に傍に居る人が使うのか。居るとすればリムくらいなんだが、正直彼女じゃいくら何でも力不足だろうしなあ。どうするんだろう、これ。勿論、本来の用途ではなく御印として扱うには十分なのですが、それだけに限定してしまうにはあまりにももったいない代物ですもんねえ。
ということで、此処に来て辺境の最前線を守ってきた精鋭騎士団と対峙することになってしまったティグルたち。地味にこの時代(に限らないが)の軍隊が戦力を保持したまま駐屯し続けることの困難、さらには異国の軍勢との混成軍故のトラブルなど、本来なら避けては通れない難事をきっちり書いているあたり非常に好感高い。
たとえばドイツの三十年戦争なんかを見るとよく分かるのだけれど、中世から近世にかけての欧州の軍事活動というのは兵站関係がえらいことになってて、極言するとこの頃の軍勢はイナゴの群れみたいに補給物資を求めてさすらう集団みたいになってて、最終的には軍事的政治的な目標よりも軍の飢えを満たせる土地を優先して目指さなくちゃならなくなるという本末転倒な顛末まで繰り広げられたり。
そんなこんなで、略奪、というのは重要かつ正当な補給手段として認知されているのがこの文明レベルの時代背景なのですが、それでもそれが自国内で、となると話は違ってくるわけで。
それを自分の派閥の貴族の土地じゃないから、と遙々と大貴族たちが許可し、それどころか恩賞として与えようとするあたり、国内の乱れっぷりがよくわかるというものである。もはや王権が破綻しているという紛れのない証左ですよ。この点、同じ国内での争乱が平然と行われているジスタートの方がまだ、戦姫同士の衝突を逆に王権維持の為に利用しようとしている所でマシだと言える。まあ、国王の器量からして果たして御しきれるものかと疑問符がつくところだけれど。
ともあれ、そんな感じの部分も踏まえた上でちゃんと戦記ものやってるんですよね、これ。ナヴァール騎士団がこっちに出張してきたことによる大きな波及効果も、後々明らかになったりしていますし。
単純な戦場での戦術運動のみならず、もっと大きなグランドデザインに基づいて戦争を描いているあたり、相当にやる気ですよ、MF文庫なのに。

しっかし、これはまたどう決着つけるのかしら。ブリューヌ王国も今回明らかになった極秘情報からして、とてもまともな手段では落ち着かないだろうし、どうやらジスタートの方も戦姫全員がティグルに味方することはないっぽいのが明らかになったし。そも、ティグルがどういう立場に立てるか、というところが肝なんだよなあ。ラストの展開も、彼の行く先に大きく影響してくるんだろうか。一旦、彼女が離れたというのもティグルの存在がエレン抜きで世間に注目されるために必要なプロセスだったのだろうし。
さてさて、ブリューヌもジスタートも国内が纏まらず勢力図がわやくちゃになっているところに第三国も介入してきたことで、盛り上がって来ましたよっと。
恋愛模様の方も、もうリムさんが完全にデッレデレで。最近ティグルのこと甘やかしはじめたんじゃないか、この女w 周囲にも嫁候補と捉えられているみたいだし、でも噂知ってしまっても今となってはまんざらじゃない態度取りそうだなあ。そうだったら、もう末期ですけれど。
あとエレン、ディグルのこと自分のものだとちょっと主張しすぎです。手ぇ出したら噛み付きそうな勢いですし、それもあからさま過ぎますってw

1巻 2巻感想

千の魔剣と盾の乙女 53   

千の魔剣と盾の乙女5 (一迅社文庫)

【千の魔剣と盾の乙女 5】 川口士/アシオ 一迅社文庫

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ガーリャの戦いを生き延びたロックたちは、武器を喪い放心状態のナギの新たな魔槍を探すため、大図書館を擁する学術都市ベアルフェルを訪れていた。古代の文献を調べ、ガーリャで共に戦った魔剣使いファーディアの情報通り太陽神ルーの槍が実在すること、砂漠の廃墟都市ゴリアスに存在する可能性が高いことを知る。初めての砂漠に戸惑う一行は、砂漠案内のプロを雇うことにするのだが、紹介されたのはグラーニャというエリシアよりも豊満な胸と成熟した艶美さを併せ持った美女で、なぜか彼女はロックにときどき過剰なまでの好意を向けるため、エリシア、フィル、ナギは気が気ではなく…。正統派ファンタジーの気鋭、川口士が贈る魔剣ファンタジー、新展開の第五弾。
正妻枠は既にエリシア、フィル、ナギの三人で埋まっているので、現地妻始めました……間違ってないよね?
とまあ、パーティーはこれ以上加わる余地もなく、今の四人でほぼ完成しているので、今更新キャラがレギュラーの座を射止める事はまずないのだろうけれど、ゲストキャラの現地妻化は有り得ますなあ、という展開でありました……じゃなくて!
ハーレム事情はさておいて、何気に今回ガーリャ戦を超える大きなターニングポイントだったのではないだろうか。まだガーリャ戦での活躍の際は、ようやく一線級、トップクラスのパーティーになったなあ、というくらいの感触だったのだけれど、今回伝説上の武器であった「光の槍(ブリュナーク)」をナギが手に入れ、ロックもまた同じ呪いを受けた剣士の亡霊からの教授によって魔剣を喪う瘴気の呪いを逆手に取ったパワーアップを果たしたことで、一気に魔王を倒す最終目標が現実味を帯び始めたのだ。
リャナンシーと伍する金環、魔王配下の大幹部であろう魔物をロックたちだけで倒してのけたのだ。それは、彼らのパーティーが伝説に謳われるだけの実力を備えつつあるとみて間違いないだろう。
問題は、今回武器無しで引け目を感じて縮こまっていたナギがブリューナクを手に入れ、さらにロックもパワーアップしたことで、逆にエリシアとフィルの力が一歩遅れを取り始めてしまったことか。エリシアは戦い方次第でまだ全然戦力として見落としはしていないのだけれど、フィルが術使いな分ちょっとマズいんですよねえ。フィルって一流どころではあっても、まだまだ未熟で超一流って位置には達していないからなあ。こればっかりは一足飛びに実力アップできるものでもないわけですし、何とかバランスを取っていくしかないのか。
いや、でもナギがブリューナクをちゃんと賢者エスラスから受け取ったとなると、もしかして他の三人もトゥアハー・デ・ダナンの四至宝を手に入れる展開になるのかしら。でも、ヌアザの剣たるクラウ・ソラスや運命の石リア・ファルならともかく、ダグザの大釜とか手に入れてどうするんだ?
一応、ホルプなんかはあからさまにただのインテリジェンス・ソードではなく、曰くありげな魔剣ですし、それこそ伝説の武器っぽいからクラウ・ソラスという可能性もあるんだが、どうもホルプの正体は竜じゃないか、という伏線が出てきているのを考えると、逆にクロウ・クルワッハだったりする可能性もあるのか。そうだと面白い展開なんだがな。
ともあれ、思いの外早く状況が揃いつつあるので、クライマックスは近いのかもしれない。肝心のロックのハーレムも、推進派のフィルは元よりとして、エリシアも凹むナギにロックが優しくすることで急速に距離感が親密になっていくのを見ても大してヤキモチも焼かずに、ナギならいいか、と思っちゃってるあたり既に末期である。ナギも二号さん三号さんでオッケーです、みたいな心境だから、こりゃ後はロックが諦めるか、酔って既成事実を無してしまうまでのカウントダウン状態ですね、ご愁傷様です。酔ってセクハラ大魔神になってもあの程度のスキンシップで止まってしまうロックの初心さを見るかぎり、逆に女性陣から押し倒さないとこれ以上進展なかったりする可能性もあるが。
彼らの関係の方も、旅が終わる前にはっきりと決着して欲しいものである。いい加減じれったいぞ。もうちょっとフィル頑張れ。

しかし、なんでこのシリーズ、表紙をエリシアだけにしてるんだろう。印象も薄くなるばかりだし、勿体無いなあ。カラー口絵でのコメディ漫画や挿絵見てたら、絵師さんなんぼでもいろんなデザインやってくれそうなのに。

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