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平坂読

変人のサラダボウル ★★★☆   



【変人のサラダボウル】  平坂読/カントク ガガガ文庫

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異界の麒麟児、混迷の時代に笑顔をお届け!

貧乏探偵、鏑矢惣助が尾行中に出逢ったのは、魔術を操る異世界の皇女サラだった。

なし崩し的にサラとの同居生活を始める惣助だが、サラはあっという間に現代日本に馴染んでいく。
一方、サラに続いて転移してきた女騎士リヴィアは、ホームレスに身をやつしながらも意外と楽しい日々を送る。

前向きにたくましく生きる二人の異世界人の姿は、惣助のほか、鬼畜弁護士、別れさせ工作員、宗教家といったこの地に生きる変わり者達にも影響を与えていき――。

平坂読×カントクコンビがこの時代に放つ、天下無双の群像喜劇、堂々登場!

国が滅びた際に「門」を通って逃げてきた帝国の姫サラがたどり着いたのは、現代日本の岐阜であった。どこだよ岐阜って。と言われれば、美濃ですと返します。少なくとも、関西者としては関東圏に比べればまだ良くわかる。歴史ものでも信長主役となると、一番最初に濃厚に描写されるところですもんね。
でも、信長って尾張出身だからね! 美濃は斎藤さん家じゃないですか。まあ岐阜城築いて拠点としたのだから、信長の本拠というのは間違いじゃないけれど。
いやでも、あんな堂々と黄金の織田信長像を駅前に建ててるのってなんか凄いですよね。あれ、実際にあるのか。存在するのか。凄えな。凄えな。色んな意味で凄いとしか言いようがない。
ああでも、サラがどうして岐阜に現れたのかはちゃんと理由があったのか。

さても、異世界から現代日本に異世界の姫と女騎士が現れて、となると現代日本と異世界とのギャップによって生じるドタバタ劇が、と言いたい所だけれど、この姫サラと騎士リヴィアと来たら速攻で現代に馴染み、或いはサラに至ってはおっさんの領域に足突っ込んでいる探偵鏑矢惣助よりもよほど現代のツールに通じてしまうくらい、まあ毒されてしまうので、あまり異世界の少女達、という風情ではない。魔法とか使えるけどね。
リヴィアに至ってはなんでか練達のホームレスへと馴染んでしまい、たくましく現代日本の一番底らへんの世界を生きている。いや、異世界人にしても元はエリートだった騎士なのに、どうしてホームレスなんて生き方に慣れ親しんでしまったんだろう。素質があったらしいのだが、ホームレスの素質才能って……。
ともあれ、サラは貧乏探偵の居候兼助手として事務所に潜り込み、リヴィアも一度はサラと再会したものの鏑矢の元に転がり込むには鏑矢の稼ぎでは二人を養うことは出来なかったので、早々に事務所を出て再びホームレス生活に勤しむことに。いやさ、わりとハマったんだろうかホームレス生活。
まあ戸籍もなければ外国人としてのビザもない者としては、定住も難しいしまともな職につくのも難しいので仕方ないのだが。
というわけで、リヴィアの元には胡乱な仕事やちょっと法律に引っかかりそうなヤバいあれこれ、さらにはカルトの勧誘など、東京みたいな大都会じゃないけれど、地方都市でもありえるアングラな仄暗い事案が次々と飛び込んだり巻き込まれたりすることになる。
ホームレスに馴染んだとは言え、リヴィアはある意味現代社会とは隔絶した世界で生きてきた人間だ。適応力は十分にあるが、現代社会の闇を見るにはその視点はまだまだフラットだと言える。そんな彼女から見た、仄暗い真っ当ではない生き方をせざるを得ない人々の姿、そんな彼らへのリヴィアの好悪のない率直な感想はなかなか来るものがあるし、彼らからみたリヴィアという馴染みながらも染まらない得意な目立つ存在は色んな意味で注目を引いていくのである。

一方でサラの方はというと、案外マトモに鏑矢の探偵業の手伝いをしてるんですよね。食っちゃ寝してばかり、なんてことはなくなんだかんだと生意気言いながらもお手伝いに勤しんでいる。好奇心の為せるところだろうけれど、それなりに働き者とも言えるじゃないか。むしろ探偵の方が、あんまり教育に良くない探偵のお仕事にまだ子供のサラを連れ歩いていらんものを見せるのを忌避している。
いやしかし、探偵がメインの話で浮気調査や民事トラブル解決など現実の探偵らしい探偵業にひたすら勤しんでいる探偵って、何気に珍しいんじゃないだろうか。
事件を解決したり謎を解いたりする探偵こそフィクションの存在、というのは周知の事実だけれども、創作物に出てくる探偵ってのはまさにそっちの探偵ばかりだから、むしろ現実の探偵業の地道な仕事っぷりが描かれる本作は新鮮でもあり、探偵業務のあれこれが相応にちゃんと描かれているので、知らなかった事を知れるのは面白いなあ。
しかし、アラサーのおっさん予備軍が、名探偵コナンのコナンくんに憧れて探偵を目指してしまった、という話にはちょっとじゃない衝撃を受けてしまった。
え? もうコナンくんに憧れるような子供がおっさんになるような時代なの!? コナンくんって、はじまったのまあまあ前だとは思ってたけれど、まあまあ以前どころかもう大昔なの? いやそりゃもう100巻達しちゃってますけれど。
……そうかー(ショック

サラ姫は御年13歳。対して人生にうらぶれている探偵鏑矢は29歳。まだまだ若いよ! しかし、もう子供が居てもおかしくはない年齢でも有り、でもまだ13歳の子供がいるには若すぎる。
生意気で偉そうで、でも何だかんだと懐いてくれているサラに対して、探偵が抱くのは慈しみの感情であり、自分の子供を見守るような父性、とまあ本人は思っているようだけれど、さてその真実はいずれにあるのか。まあ少なくとも女性を見る目ではないわなあ。若いお父さん的な感情と言えばそうとも言えるし、でも年齢差からいうと兄妹でもおかしくはないんですよね……かなり年齢差あるか。
16歳差、というのは何とも絶妙な塩梅ですよね。サラの13歳という何とも言えない年齢も相まって。
丁度主だった登場人物が出揃ったようなところなので、本格的に話が動き出すのは次回からなのか。
それとも、ずっとこんな調子で日常が続いていくのか。いずれにしても、ついつい目で追いかけてしまいそうな、地方都市に生きる人々のあるがままの日々である。


妹さえいればいい。10 ★★★☆   



【妹さえいればいい。10】  平坂 読/カントク ガガガ文庫

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妹がいる生活、はじめました。

ついに千尋の抱えていた大きな秘密が、伊月たちの知るところとなってしまった。千尋から事情を聞かされ、表向きはそれを喜んで受け容れた伊月は、これまでどおり那由多とイチャイチャしたり、千尋を可愛がったりして、妹がいる生活を満喫する。『妹すべ』のアニメも好評を博し、招待された台湾のイベントでちやほやされるなど、売れっ子作家としても満たされた日々を送る伊月だったが……? 一方、重荷から解放された千尋にも、新たな物語が始まろうとしていた――。大人気青春ラブコメ群像劇、運命の第10弾登場!!

ウチの弟が妹だった件について。
改めて伊月のお父さんが奥さんを喪い傷心しながら幼い息子のために一心不乱に働く中で、今の新しい奥さんに出会うまでの回想を見せられたのだけれど、伊月パパも、千尋のお母さんである義母も真面目な人なので、千尋の性別を誤魔化すなんて非常識なこと余程のことがないと一蹴してただろう事がよくわかる。
それだけ、伊月のデビュー作の衝撃がよほどの事だったのだろう。まあ、性別を偽るのは伊月に対してだけで、学校など公共の所では普通に女の子として過ごしているのだから、書類を偽装したりという危険な行為に手を染める必要はなかったので、親側のハードルは低かったのだろう。
ただ、千尋は学校に通う制服はともかく、普段は外出する時なんかでもユニセックスな服装を心がけてただろうから、結構大変だったんだろうな。まあそれが日常と化していたから、はじめのころはともかくいい加減慣れてはいたのだろうけれど。
しかし、パパの回想を見ると伊月との断絶はかなり厳しいものになってますね。新しい奥さんとの出会いを中心に描いているので、息子に向ける気持ちなんかはあまり描かれていないから、なのかもしれませんけれど、パパの方には伊月を放置していたという自覚は殆どないようでしたし。

さて、千尋の性別がバレた、じゃなくてあれは千尋が我慢しきれずにバラしてしまった、が正しいか。ともあれ、ついに千尋が弟ではなく妹だと発覚する……この作品が【妹さえいればいい。】というタイトルであることの意味を思えば、妹バレというのはこのシリーズはじまった当初から最大の山場であり最大の修羅場、と目していたものでした。
ただシリーズはじまった序盤の頃の狂的な妹属性だった伊月と違って、今の彼は小説家として幾つもの経験を経て、ついにアニメ化という目標まで達成するに至り、自分の中の妹狂いをある程度飼い慣らして小説にアウトプットする事が出来るようになっているかに見受けられていました。
さらに、私的にもカニ公と正式に交際をはじめ、恋愛感情も健全に進捗させ、彼女への愛情に小説家としてのコンプレックスも自分の中に呑み込んでおけるだけの制御が叶うようになっているようでした。
さらに、千尋との関係は年単位で密接に積み上げられ、再婚の連れ子同士という関係は今や父と疎遠になっている以上、唯一の大切な家族、という認識に至るまで育つものになっていました。
千尋が、自分が弟ではなく妹なのだと我慢しきれずに暴露してしまったのも、家族ゆえの距離感だったのでしょう。彼女なりの親愛であり、兄への我儘で甘えでもあったわけだ。それが出来るほどの距離感になっていた、とも言えます。
伊月の人格的にも、千尋との関係としても、この上なく安定を見ていたのが現状でした。
ここまで安定していると、とてもじゃないけれど弟が妹だったという事実を突きつけられたからといって、そうそう揺らぐものではないんですよね。今更、修羅場になりようがなかった、とも言えます。
だから、千尋の暴露が大した騒ぎにならず、知らなかった面々を仰天はさせたものの、ある意味伊月たちを驚かせただけで終わったのでした。拍子抜けなくらい、そうだったのかー、で終わっちゃったんですね。
これまでのシリーズの積み重ねて、前述した安定性について実感していた読者側の身としても、そのあっさりとした特に波乱もないまま終わってしまった展開は、まあそうなるな、という妥当と感じる反応で得心のいく結果だったと思います。
むしろ、変に拗れずに安堵した、と言ってもいいかもしれない。
だから、ラストの展開には「そう来たかー!」と思わずのけぞってしまいました。うん、そっちは不覚にも想定していなかった。
なるほど、これは「安定」していたからこそ、千尋の性別告白が伊月が致命傷になってしまったのか。小説家としての伊月が安定してはいけなかった部分まで、見事に真っ当に安定してしまったのか。それは、千尋が本物の大切な家族になっていたからこそ、でもあるのか。
これはちょっと……どうしようもないんじゃないか? 現実の妹と願望の妹はまったくの別物、と頭じゃなくハートと下半身で感じることが出来るようにならないと、もう無理でしょう。
というか、これはもう性癖を推進力にして感性を変換器にして書いていたがゆえの躓きか。
原因が明らかなのに、対処の方法がまったく見当たらない、というのがこれは辛いなあ。伊月も八つ当たりなんか出来ないだろうし。カニとの関係も順調だったのに。
取り戻すのか、それとも一から全く別物になるか、それとも潰れるのか。小説家としての岐路に立たされた伊月の明日やいかに。

ちょっと驚きだったのだけど、千尋……気になってるのまさかその人なの!? これも全然想定してなかったんだけど。
そしてえっらい実感の篭もってる台湾レポート。これ、実質ノンフィクションじゃないんですか?
前にもラノベ作家が主人公の作品で海外のイベントに招待される話見ましたけれど、ほんとにVIP扱いで大歓迎されるんですなあ。


〆切前には百合が捗る ★★★☆   



【〆切前には百合が捗る】  平坂読/ U35 GA文庫

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美人小説家と家出少女の日常系百合ラブコメ!

「〆切直前に遊ぶゲームって、なんでこんなに楽しいのかしら……」
家出少女の白川愛結は、従姉妹の白川京の紹介で、人気作家、海老ヒカリの世話係&監視役のバイトをすることになる。
原稿をサボってゲームをしたり釣りや旅行に出かけるヒカリに翻弄されながらも、そんな日常に幸せを感じる愛結。
一方ヒカリも、突然始まった愛結との同居生活の中で、これまで感じたことのない気持ちが芽生えるのだった。
社会から排斥された少女と、容姿才能家柄すべてに恵まれながらも自堕落に生きる小説家、二人の関係の行き着く先は……?
"普通"に生きにくいすべての人に贈る、珠玉の日常系ガールズラブコメディ、誕生。

家出娘というから、もっと不良じみた理由とか自由を求めて家を飛び出してきて、なんやかんやと作家先生の家に上がり込んで、そのフリーダムさで引っ掻き回して引きこもりの固定されがちだった作家生活を破壊して、という想像を勝手にしていたのだけれど、白川愛結が家出するに至った理由が本気で深刻だった! 
いや、これは家出と言っていいのか? 現代では家出としか言いようがないのかもしれないけれど、出奔とか絶縁に等しいものですよ。もう家に戻るという選択肢がない、実家や故郷と縁を切るに等しい二度と戻れない家出じゃないですか。
友人や家族との関係が破綻するに至った理由こそが、愛結のセクシャルマイノリティ、自分がレズビアンである事の告白でした。どれほど口で理解を示していても、それも所詮他人事だからこそ。自分の寛容さを表現するためにあれこれと理解あるような事を宣う人は多いですけれど、いざ自分が当事者になると関係者になると途端に嫌悪と拒絶を示す人の何と多いことか。あくまで少数であるだけで正常の一つであり当たり前の一つである事を理解しようとしない人は決して珍しくない。
そもそも考え方自体が古臭い家族にも自分を全否定され、強固な偏見に居場所を失って家を故郷を飛び出さざるを得なかった愛結が頼ったのは、東京で働く従姉の白川京でした。
って、京!? 【妹さえいればいい】のメインキャラクターの一人だった白川京!? しまった、妹さえの方、あと数冊のところで積んじゃってた。あれからどうなってるんだ!? 幸い京が正式にライトノベルの編集者になっている事以外はあちらの作品については特に関係ある話は入ってこないので、あっちをさっぱり読んでいなくても途中で読むの止まっていても問題なさそうなんですけどね。
そう言えば、作家先生の海老ヒカリこと海老原優佳理は【妹さえ】の終盤に出てきた新人賞受賞作家たちの、その次の世代、次の新人賞の大賞受賞者で尊敬する作家がカニらしいのですけどね。エビのくせにカニを尊敬しているのか。
ともあれ京は自分を頼ってきた従妹を、担当作家の一人でありまともな生活を遅れていないヒカリのもとに住み込みバイトとして送り込む。わりと思いつきみたいに決めちゃったように見えるけれど、前作から京を知っている身からすると、かなり深刻な事情を抱えている風情の親戚の子を考えなしに他人に預けてしまうような女性ではないと知っているだけに、いやそれどころか非常に面倒見が良い上に人間関係にも敏い人で海老ヒカリのみならず、社会不適合者も含む変人クリエイターと何人も深い交流をして信頼関係を築いてきた人物だけに、愛結をヒカリの元に送り込んだのも何らかの考え、或いはそうした方がいいという感覚があったのでは、と思えるんですよね。これは前作を知っているがゆえのキャラに対する信頼なのでしょうけれど。
さても、そうやって生活サポート、家政婦めいた仕事を振るという名目でヒカリのマンションに住み込むことになった愛結。東京に来た際に勢いで派手な服装や髪型を決めた愛結ですけれど、本来は古風な家柄故に礼儀作用や花嫁修業として家事一切を厳しく仕込まれている少女であり、どちらかというと固い真面目寄りの娘であり、だからこそ自分の性向についても深く悩んでしまった所もあるのでしょうが。
ともあれ、最初に想像していたようなフリーダムさで相手を振り回すのは、飛び込んできた家出少女の方ではなく、むしろ飛び込まれた作家先生の方だったのです。
そうですよね、平坂先生の描く作家なんてどいつもこいつも、アレですもんね!
自由人、或いは自堕落民なヒカリ先生に振り回され、からかわれしながらも、その実家で鍛え上げられた家事能力と生来の几帳面さ、ひたむきさで一生懸命ヒカリに奉仕するなかで、美しくも優しく、自分を東京という知らない世界に、都会に、大人の世界に連れ出してくれるヒカリ先生にどんどんと惹かれていく愛結。
一方の優佳理の方も、いつも可愛らしい反応を見せてくれて無垢に自分に懐いてくれる愛結に、今まで知らなかった感情が芽生えてくるのを自覚し始める。
優佳理の方が抱えている闇もこれ、相当なものが伺えるんですよね。複雑な家庭環境ながら、過剰なほどの愛情を注がれて育ってきた優佳理。その家族からの愛情を疎んでいるわけではないのだろうけれど、どうにも彼女は他人からの干渉を鬱陶しいと思っているようで究極的に他人を必要としていない人のようなんですね。
それどころか、他人から求められる事を拒否しているような向きも伺える。新人作家の時代に、相当なことがあったようなのだが。
だからなのか、衣食住に満たされた彼女は本質的に何も欲していない。誰にも何も求めていないし、逆に自分を重く見られる事も何かを背負わされる事も嫌っている。作家としての活動も、どこか本来海老ヒカリという作家が必然的に書かざるを得ない方向性をあえて無視して逆方向に進んでいるように見える。
白川京は、そのへんどう考えているのだろう。愛結を送り込んだのも何かを期待しての事なんだろうか。ヒカリ先生の内側を垣間見ると、この人に担当編集として信頼されるのってかなりの難事であったことが想像できるんですよね。京が担当する前に、海老ヒカリという作家としてズタズタになる何かがあったと思しきことが伺えますし。
遠慮なくズケズケとヒカリ先生に言いたいことを言ってガンガン背中蹴っ飛ばして急き立てているように見える京ですけれど、まだ本当の意味では踏み込まずにじっくりと様子を伺っている段階なのではないかしら、今のこれ。編集者として、海老ヒカリに賭けているという凄みすら見える白川京の姿からみると、今の海老ヒカリはどうにも全力ではないように見えるだけに。
踏み込んでいない、という意味では愛結もまた海老ヒカリの最奥には足を踏み入れていないと言える。まだ愛結は海老ヒカリという外側しか見ていない、見せてもらっていない、というべきか。
最初の分岐点に気づいて、愛結との決別を怖れて愛結の内側に踏み込んだのは海老原優佳理の方でしたが、いざ二人の関係がより深いものに変化した以上、愛結もまた海老原優香理の闇に触れざるを得なくなってくる。
本番は、これからなのだろう。
わざとかき分けているのか、愛結視点のパートだと作家先生はヒカリと呼称されているのだけれど、作家先生視点の方だと自分のことは優香理と表記されてるんですよね。一人称ではなく三人称の作品なので、地の文での事なのだけれど、この書き分けを明確にしているのはちゃんとした意味が込められているんでしょうね。
果たして、この地の文の書き分け部分が変化する時が訪れるのでしょうか。いずれにしても、二人の百合生活の本番はこれがスタート。自堕落が、堕落しきった生活!にならなければ良いのですがw

妹さえいればいい。9 ★★★★   



【妹さえいればいい。9】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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相生初に続き、第15回新人賞受賞者たちの作品が続々と刊行された。那由多に憧れる笠松青菜もどうにかデビューを果たすのだが、待っていたのは酷評の嵐だった。伊月はそんな彼女の姿に自分のデビュー当時のことを思い出し、励ましの言葉をかける。一方、いよいよ放送が近づいてきた『妹のすべて』のアニメ制作ではさらなるトラブルが相次ぎ、京はいよいよ就職活動が始まり、千尋の前にもお掃除ロボットではなくちゃんと人間のライバルが登場する。大人気青春ラブコメ群像劇、妹がいっぱいの第9弾登場!!
アシュリー先生とマキナさんの大人の関係、と一言で言ってしまうには勿体無い人生の大波に翻弄されて砂浜に流れ着いたもの同士のなんとも言えない関係、好きだなあ。
同志でもあり共犯者でもあり敵対者でもある、友達であって他人であって人生の最も深い部分が交錯したもの同士。惚れた腫れたでは語りづらく、一定の距離を置きたい関係であり、しかしどこか離れるのが勿体なくて多分大切であるかもしれない関係。こればっかりはまだまだ若い連中では届かない境地なんかしら。いやまあこれも人それぞれか。平坂先生はこういうなんとも言えない距離感の人間関係ってこれまで書いてきた作品見ても、なんとなく好きっぽい気がするなあ。

さて、今回は妹尽くしの回でありました。妹さえいればいい、というタイトルにも関わらず、何気に妹が妹であることを隠している千尋と、時々登場する春斗の妹ちゃんくらいだった本作。
ある意味、妹としての立場は弟であると思われていることを除けば安泰であった千尋くんなのですが、デビュー作を酷評されて凹んでいたところをアドバイスしたら懐いてしまった青葉と、新人お爺ちゃん先生のお孫さんである小学生が、「お兄ちゃんお兄ちゃん」と伊月を慕ってベタベタしだす、つまり疑似妹の出現に伊月がデレデレしまくり、お兄ちゃんと呼んでくれる女なら誰でも良い(意訳)、というなかなかのクズっぽいコメントについに千尋追い詰められる、の回であります。
自分こそが本当の妹なのに! 自分こそがもっとお兄ちゃんに妹として可愛がられるべきなのに! というなんかもう妹を拗らせている嫉妬の仕方が、わかるんだけれど気持ちわかるんだけれど、冷静に考えるとそれはどういう嫉妬なんだ?と疑問に思ってしまうところでもあるんですよね。
そいつ、彼女持ちの義理の兄だぜ? 異性として意識して女として嫉妬している、のではないのが味噌というか肝というか。あくまで妹として妹として認められていないために妹可愛がりされてるニセ妹たちに妹的な嫉妬を募らせているわけで。ありそうでなかなか見ない嫉妬なんではないだろうか。
TRPGで弟キャラではなく妹キャラとして演じていたところから、本当の自分をさらけ出してしまう展開にはなかなか唸らされました。これ、最初から筋書きとして図ってたのか。

一方で京の就職活動も本番化。いろんな企業に面接に行くわけですが、うちに来いと言われているGF文庫にはコネは良くないと避けちゃうところは潔癖と言うか不器用というか。コネじゃなく実力を評価されてのことなのにね。ただ、就活始めた時点では編集者になる、ということにまだそれほどの意志を持っていなかっただけに、流されるようにGF文庫にお世話になるのはしっくり来るものがなかったのかもしれない。土岐さんの流されまくった挙げ句に座礁したみたいにGF文庫に入った経緯を先に聞いていたら違っていたかもしれないけれど。
ただ、明確に編集者になりたいと意識したあとの動きとしては考えさせられるものがあるんですよね。たまたま遭遇した蒼真くんの事件、そこで感じたこと投げかけられた言葉は京ちゃんの人生そのものを左右することになるのでしょう。彼女の生き様を決める出来事になったのかもしれない。神戸さん、その業界の理屈を彼女に理不尽にも見える形で示してしまったのは悪手ではなかったかと。
時として、作家さんとは会社ではなく人についていくことだってあるんだから。逃した魚は大きいどころじゃないかもよ。


妹さえいればいい。8 ★★★☆  

妹さえいればいい。 8 (8) (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。8】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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土岐健次郎、切腹……!?

年が明け、『妹のすべて』のアニメ化発表が着々と近づいていたある日、なにげなくエゴサーチをした伊月が見たものは「妹すべ、アニメ化決定!」という新刊の画像付きツイートだった。その画像の出所はなんとギフト出版の公式サイトで……。伊月やアニメ関係者からの信用を失ったGF文庫編集部が放つ、起死回生の一手とは……!? 伊月や土岐がアニメに翻弄される一方で、春斗や京、他の新人作家たちの物語も進んでいき、千尋の心にも大きな変化が訪れて――。
動き続ける青春ラブコメ群像劇、第8弾登場!!

そ、そうですよねえ。お父さんとしては、自分の息子の偏執的なまでの妹への執着を知ってしまったら、新しく出来た連れ子の娘に何をされるかわからん、と危機感を抱いてしまうのも無理からぬこと。
他人の性癖なんて家族だろうと傍からはそう簡単に認識できるもんじゃないし、妹属性なんて言われてもまあ妹が好きなんだろう、程度の把握で終わってしまうだろうところを、伊月の場合本という形で恐ろしいほどに赤裸々にその趣味趣向を語り尽くした狂気の沙汰の代物を実際お父さん読んでしまったわけですから、こいつやべえ! と思うのも仕方ないよ、うん。
そこはそれ、書いている内容がそのまま筆者の内実であるわけはないのだけれど、伊月の場合は完全に一致しているし、これほどの危機感を覚えるということはお父さんとしても日常の中に家族としてそういう傾向を見出していたんだろうし、うん。
千尋本人としては、伊月に対して性別を隠す理由は何もなくて、それどころか自ら望んでそうしている風でもなかったので、なんでだろうとは思っていたのだけれど、これほど伊月の父の意向が働いていたとは。
ただ、現状では千尋が妹だということが伊月にバレることは、当初危惧していたほどの爆弾にはならなさそうではある。それだけ、伊月と那由多の交際が真剣かつ順調で、いまさら妹が出来たところで伊月が心変わりするような関係ではなくなっている、というところが大きいからだ。
ほんと、最初の方は妹バレがシリーズの中でも最大級の爆弾として物語を激震させるかと思ってたんだけれど、平坂さんは前々からこういう定番たる展開の仕込みをあっさりと無力化して流してしまうところがある。そういうのを肩透かしに終わらせるのではなく、物語の中の妙味として活かしているのだから、流石だなあ、と。
ただこれ、妹バレした時点では起爆しなくても、何気にあとあとで効果発揮してくる場合があるだけに油断ならない。今の所伊月は那由多の作家としての天才性に対等に戦ってみせる気概に満ちあふれているけれど、地雷はふんだんに埋設されているだけに……。
しかし、当面はバレても問題にならないところには来ているだけに、お父さんのもう正体を明かしてもいいなじゃないか、という判断は決して間違ってはいないのだろう。
問題は、千尋の女性としての交友範囲が義兄の伊月だけに限定されずに、いつの間にか伊月の周囲の面々にまで広がってしまったことにある。既に伊月を介在せずに多くの友人関係を構築してしまっているだけに、いまさら千尋の性別を明かすことが伊月相手だけで済む問題じゃなくなってるんですよね。
これは千尋としてはかなり困ったことになっている。まだ未成年の彼女としては、多くの友人を騙していたという事実を明らかにして関係を再構築する、というのは大変な勇気を必要とする件になってしまっていて、これはちょっと足踏みしてしまうわなあ。
せめて相談できる相手がいればいいんだけれど。これに関しては、大人組であるアシュリー先生と千尋は知らないけれど独自に気づいてしまっている土岐さん、という二大頼れる大人が彼女の正体を知っている、というあたりにセーフティゾーンが敷かれている、と思えばいいんだろうか。
まあそうそうひどいことにはならないだろうことは、みんな関係者いい人だけに安心は出来ているのだけれど。

とりあえず、シェアハウスで一緒に暮らすことになって速攻、家に伊月連れ込んで隣の部屋にみゃーさん居る状態でにゃんにゃんしようとしていた那由多、鬼畜であるw
エロマンガだとその流れで行き着くところに行き着いてしまいかねないのだけれど、これエロマンガ先生じゃないからなあ。
しかし、みゃーさんバイトの段階で編集長から部屋紹介されて家具とかも手配してもらって、って同居人が那由多と蚕先生という重要人物であるとしても、尋常じゃない優遇のされ方だというのを全く自覚してないのな。意外と自分のことについてはわからんもんなのよねえ。

シリーズ感想

妹さえいればいい。7 ★★★★   

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。7】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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ついに付き合うことになった羽島伊月と可児那由多。恋も仕事も充実して、ますますリア充真っ盛りとなる2人。そんな2人の交際をきっかけに、羽島千尋、白川京、不破春斗、それから何故か大野アシュリーの心境にも変化が訪れるのだった。千尋の前には新たなライバルが出現し、春斗は彼を慕う新人作家(巨乳)・相生初に熱いアプローチを受ける。近づいてくるクリスマスの足音。変わりゆくもの、変わらないもの。大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第7弾!作家や税理士や女子大生たちの、新たな物語が幕を開ける―。

那由多は、一時期そのエロ回路が甘酸っぱさに機能不全を起こして乙女回路へと変換されてたのに、いざ付き合いだしたらもとに戻ってしまったなあ。そこまでひたすら肉食で在り続けて大丈夫なんだろうか、この娘。ぶっちゃけ伊月はそこまでタフじゃないぞ。肉体の疲弊がそのまま精神の疲弊につながって行きかねないところがあるし。ってか、そのうち逃げ出すんじゃないのか、こいつ。
それはそれとして、主人公が一人の女性と結ばれたとしても物語は終わらない。伊月の作家としての人生においての目標である那由多と並び立つ作家になる、というものはむしろ結ばれたからこそ必要不可欠なものになったし、現状アニメの放映も迫っている。やることやらなければならないことは盛り沢山だ。そして、本作は群像劇であり、伊月の周りにいる人たちの人生もまだ道半ばだ。まだ、何かをやり遂げるに至らない途中なのである。
そんな中で、一人のやり遂げてしまった作家の話が語られる。多くの作家に、人間に影響を残して逝ってしまった一人の天才作家の物語だ。いや、そんな彼女に置いて行かれた者たちの物語か。
不思議と、本作においては作家同士でその生き方、在り方に多大な影響を、或いは生き様に傷跡を残して変えてしまうケースが散見される。作品の中身だけではなく作品に挑む作家の姿勢、背中、生き様が、それを観測してしまったものに無視できない変質をもたらすのだ。
海津さんが凄いなあ、と思うのは彼がそれを傷跡のままにしないで、自分の作家としての生き様に昇華させて、今の業界を生き抜いているところなんだろうと思う。それは誇りか、証明か。それは誰に示すでもない、自分の中の決意であり信念として完結して、表に出しもせず誰かに伝えもしていない。しかし、それこそが彼の強さとしてライトノベル作家として今を生きる原動力となっている。そんな彼の目に、悩み苦しみながらも思うがままに突き進む伊月の姿がどう映っているのか。一方で、その伊月を眩しそうに見つめている春斗がどう映っているのか。なかなかに興味深いところではある。
海津さんと比べても、アシュリーは色々と踏み外してるよなあ、と思わないでもないけれど、彼女は彼女でその外れてしまった道を軌道修正するつもりは毛頭なく、このまま外れてしまった道をてくてくと歩いて行く気でいらっしゃるのは伝わってくるだけに、それもまた人生よなあ。……この人、何気にそっちのけがある、というか芽生えてしまった過去があるということは、春斗よりもむしろ妹ちゃんの方がヤバくないかしらw
作家から作家に伝わっていくもの、同世代ゆえにリスペクトし合うものもあれば、先達と後続との間で引き継がれていくものもある。自他ともに認める那由多のフォロワーである青葉のそれと、春斗との出会いによって自分の中で描くべきものを確立させた相生初。その作風の軽重と違って、青葉のそれがまだ表層しか捉えられていないような描写であるのに比べて、相生 初の方は春斗の言葉から自分が知りもせず拒絶してたものを見つめ直し、その上で自分の中で書きたいもの、書くべきもの、表現したいナニカを徹底的に吟味して、掘り下げて、自分自身を解体しきった上でもう一度組み上げたような「実」がこもってて、春斗が感じたようにこの娘、すげえ作家になるかもしれないのねえ。
春斗って、京ちゃんに恋してしまった瞬間でもそうだったけれど、この男自分の理解者に徹底的に弱いのなあ。いや、それは大概の人間に当てはまるものなのかもしれないけれど。
今回の話は、道半ばで早逝なされた作家への想いや、作品だけではなく作家への人格攻撃すら行う心無い者たち、自分たちを取り巻く環境への情念ともつかない熱量と。それでも……その上で、その先に歩み続けることを、それを体現するこの物語に登場する作家たちというキャラクターたちへの愛情を感じさせる回でもありました。

シリーズ感想

妹さえいればいい。 6 ★★★☆   

妹さえいればいい。 6 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。 6】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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可児那由多、本気出す。

告白ひとつで人間関係が一変してしまうほど、彼ら彼女らは子供ではない。けれども、心は確実に変化する。心の変化は物語に新たな潮流を作り出し、登場人物たちを否応なく巻き込んでいく。それとは関係なく、アニメ化という荒波もまた伊月を容赦なく押し流す。さらにはGF文庫にも、新しい作家たちが登場する。新展開、新人、新しい仕事、新しい日常。それはそうとぷりけつは相変わらず千年に一人のケツを持つ少女を追い求めていた。そんな彼にも大きな変化が……!?同じようで変わりゆく、青春ラブコメ群像劇第6弾!!

ぷりけつさんは普通に警察案件だと思うんですけどこれ如何に。
アニメスタートしている本作ですけれど、6巻ですでにここまで人間関係激変してるんだわなあ。京と春斗は告白に至る雰囲気がとても良くて、春斗の台詞は京ちゃんにとってもかなりぐぐっと来る言葉だっただけに、このまま付き合っちゃうかとも思ったのですけれど、京ちゃんからの伊月へのケジメとも言える告白が皮肉にも待ったをかけた感があるんですよね。伊月はきっぱり振って、京ちゃんはきっぱり振られたわけだけれど、振られた直後に春斗とお付き合いをはじめる、というのも確かに塩梅が良くない。想いを打ち明ける、つながることを求めるというのはとても大切なことであるがゆえに、伊月への告白が単なる清算になってしまうというのは京自身にとっても不本意だし、伊月に対して京ちゃんの性格からして失礼だと思っちゃうだろうし、それは先に告白されていながら伊月に告ったという春斗に対しても不誠実すぎるありさまになってしまう。
そのへん、ファジーでも良かろうにとも思うんだけれど、この娘誠実だからなあ。ぶっちゃけ、自分でいうほど伊月への未練とかじゃあないと思う。
しかし、熱りをさますにしても、仕切り直しするにしても何かきっかけが欲しいところだったんだけれど、てっきり京ちゃんの就職関連から動かしていくのかと思ったら、まさかの春斗の方への別の肉食系女子からのアプローチと来たか。そっちから揺さぶられたら、男女関係動かざるをえないよなあ。
そんでもって、こっちも決定的に動いた伊月と那由多の恋愛模様。こっちも、まさかこんな形で伊月が自分に対する縛りを覆すとは思っても見なかった。男の意地よりも、自分の心に素直になった、というべきなのかもしれないけれど、作家として対等になるよりも男としてこの娘を放っておけなかった、という方が適しているのか。とはいえ人生=作家・物書きである以上、そこで引け目を感じ続けるというのは変なところに負荷がかかり続けて、徐々に歪みが生じていく危険性もあるものです。男の意地云々もあるのだろうけれど、対等になりたいという願いの奥底には、そうした危機意識もあったと思うんですよね。伊月はそうなんでもかんでも柔軟に受け止められるほど柔らかい性格はしていないですし。一方で、今回の一件でもそのへん露呈していたけれど、那由多という少女はその破天荒ぶりとは裏腹にメンタル的にめちゃめちゃ脆い。何気に現状、そんな那由多を一番理解して、一番受け止めきっているのが京ちゃんなんですよね。もしかして伊月に対してよりも懐いてるんじゃ、という京への慕いっぷりも、京が伊月に告白したと打ち明けたときの反応にしても、京ちゃんもう伊月や春斗じゃなくて、那由多と結婚すればいいんじゃね? というくらいのパーフェクトコレクションでしたし。
この脆い同士の二人が付き合いだしても、かなり不安が募ってしまうのですけれど、周りがどれだけサポートしてやれるか、というところなんでしょうかねえ。とは言え、みんなも自分で手一杯になりかねない導火線に着火済の案件を抱えているだけに、いざという時に構える余裕が果たしてあるのか。
佳境である。

シリーズ感想

妹さえいればいい。5 ★★★★   

妹さえいればいい。 5 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。5】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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Kindle B☆W

出版社はブラック企業!!

 伊月の担当編集である土岐健次郎(趣味:風俗通い)の推薦でGF文庫編集部でアルバイトすることになった白川京だったが、彼女を待ち受けていたのはバイトの領域を超えた恐るべき労働の日々だった。伊月や那由多といった問題児作家からの原稿回収、蚕のマンガのモデル(全裸)、那由多の取材(全裸)、連日の飲み会、作家や編集者からの無茶振り……。労働基準法なにそれおいしいの? 社会の厳しさを知り大人の階段を登る京(全裸)に、恋愛方面でも変化が……!? 
 身も心もさらけだす出版業界ラブコメ、衝撃の第5弾!!
なんという挿絵:カントクの贅沢な使い方!!
こういうイラストの使い方って、作者・イラストレーター両方がスケジュールきっちりしてて、編集と連携取れてないと無理だよねえ、というところで、今回出版社側からライトノベル業界を見た内容が多い巻でしたけれど、本作は上手くまわってますよー、という感じですか、はい。
那由多の真・デッドゾーン領域突破を見てしまうとわらえねー話なのでありますが。
というわけで今回は、出版社。それもライトノベルレーベルであるGF文庫編集部でアルバイトすることになった白川京ちゃんがどう見てもメイン! いやあこれ、初っ端から那由多の原稿取ってくる、というスマッシュヒットを打って、狂乱寸前だった編集部から喝采を浴びた京ですけれど、仕事内容見てると普通に業務こなせるだけでアルバイトとしては当たりの方なんじゃないだろうか。編集長は「顔!」とか評価ポイントを謳ってたけれど、最初からそつなく雑用からなにからこなしてくれたら、アルバイトは十分ですよ。出来ないやつって一定量どうしたって出てくるわけだし。幾つかの失敗例は、どちらかというと京の無知が原因であり、それは先に雇用側で教えておいてくれないとわからない内輪ネタでもあったわけで、彼女自身に責任はなかったわけですしね。
とはいえ、現段階ではあくまでアルバイト。ひょんなことから、蚕の進退に関わったり、伊月のアニメ化に際しての会議で伊月の背中を押したり、と大きな結果をもたらす機会があったとはいえ、それって責任のある「仕事」としてやったことではなく、あくまで偶然遭遇した場で影響力を発揮しただけ、とも言えるわけです。そういう場に巡り会える運や、そこで皆の考えや行動を変えるだけのナニカをし得るというだけで十分大したものではあるんですけれど、まだ京は編集者としてその仕事内容のける困難にも理不尽にも試練にも関わっていないわけだ。同時に、土岐さんや那由多の担当である山城さんの感じている仕事の楽しさ、喜びに関してもまだ味わっていない、とも言えるのである。まだまだこれから、スタート地点を模索している段階、とも言えるのだけれど、京という子は今公私に渡って、そこにたどり着こうと足掻いてるんだな、というのがよくわかる回だった。
特にプライベートの方でも、恋愛関係についてついにあやふやな状態から、自身が向ける方も向けられる方もついに停滞から脱してしまったわけですし。不破くんはよくやった。告白の場面としては実にスマートで良い場面だった。いやもう、雰囲気良すぎて逆にどうか、と思うくらいなんだけれど。実際どうなんだろう。直後の、あの伊月と京の気安い雰囲気を見てしまうと、伊月と京のその直後の展開をわかっていてもあの気取らない雰囲気が、京にとってもとてもリラックス出来る空気感なんだろうな、というのが伝わってくる。
とはいえ、不破くんとの二人きりのときの雰囲気も決してぎこちないなんてことはなくて、あれはあれでくつろいだ雰囲気になってるんですよね。あの瞬間は特別であっても、それがそのまま日常にスライドしても悪くないような。相性は絶対良いと思うんだよなあ。口説き文句としても、あの時京が一番欲しがっていたものを、思わぬ方向から提示してみせたわけですし。
ただまあ、京が一番ラブラブしてるのってどう見ても那由多なんですけどね。すっげえイチャイチャしてるし。那由多って、そりゃあ伊月にメロメロですけれど、甘酸っぱい関係築いちゃってますけれど、普段イチャイチャしてるのどうみても京ですからね。お前、京のこと好き過ぎるだろう、というくらいデレッデレのベッタベタですしね。
挙句、一緒にいるとき常に全裸とか。全裸とか。全裸同士でイチャイチャとか。もう京の方も那由多と一緒に居るとき服脱ぐことに違和感持ってないし。いや変だからねそれ。
なんかもうこれ、アニメ化に対して完全に挑戦状つきつけてるよね。アニメ化だからって、無闇に裸のシーン増やそうとしてますよね。というか、もう全裸しか出さねえ、という気概を持って頑張ってますよね。
これはもう一言申さねば気が済まない。

そのまま頑張れ!!

シリーズ感想

妹さえいればいい。 4 ★★★☆   

妹さえいればいい。 4 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。 4】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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Kindle B☆W

『妹のすべて』のアニメ化が決定し、さらにはコミック化も決まり絶好調の羽島伊月。しかし満場一致でコミカライズ担当に選ばれたマンガ家・三国山蚕にはとんでもない秘密があり、それはぷりけつや可児那由多、そして何故か普通の女子大生の白川京まで巻き込んだ珍騒動へと発展していくのだった。果たして伊月は、初めてのメディアミックスという荒波を無事に乗り越えることができるのか!そして伊月と那由多との関係にもついに変化が…!?大人気青春ラブコメ群像劇、待望の第4弾!今、すべてを懸けた戦いの幕が上がる!

散々っぱら、実の妹が居ないからこそその妹への憧れ、渇望、飢餓感から狂気の妹作家としての筆を奮えている、という言が述べられているけれど、どこまでこれを引っ張ることになるんだろう。既刊が既に6巻まで出ているのでネタバレに関しては慎重に対処しよう。
ただ、実際に妹の実在が発覚したとして、それで伊月が満足してしまうかというと既に妄想の妹への渇望しかなかった当初と違って、那由多への想いがしっかりと形を経て出来上がってきていることには留意しておきたい。
作家としてのモチベーションにはっきりと、那由多と同格の作家になる、というものが形作られてますからね。それが、妹の出現でガス欠になるかというと……まだ怪しいところですけれど、着実に伊月は作家として次のステージにあがりかけているわけだ。つまるところ、妹バレはそれこそ伊月が妹から独り立ちできる段階まで進んでから、ということになるのかなあ。
一方で、伊月と那由多の作家観の違いというものも、爆弾として着々と敷設しているようなのだけれど。
平坂さんって、あからさまに仕込んだ伏線、ずっとチラつかせるくせに起爆はなかなか起こさないのが、何気に質悪いw

さて、ついに自作のアニメ化企画が持ち上がった伊月。まさかの代打のアニメ化、なんてものがあるのか。別の作品のアニメ化の為に準備されていたスタッフや制作会社を、当該作品がポシャったために急遽他の作品をあてがってアニメ化する、なんて事が実際にあるんだ。
でも、普通そんなん、作る側にも原作への傾倒とか一切ないし、そもそも体制が前の作品用に整えられたものだから、作風とそもそも合ってない可能性があったり、と不安要素だらけじゃないですか。
これは、敢えてアニメ化を断る、という選択肢も間違ってはなかったんでしょうなあ。自分の作品への愛情を思うと、無茶苦茶にされる恐れが高い状況に敢えて飛び込む、というのは勇気とは別の決断が必要なんじゃなかろうか。
特に、今は同じくアニメ化でそれはもうヒドイことになってしまった親友の春斗という実例が真横に転がっていたわけですしね。でも、チャンスには違いないだけに、決断だよなあ。
案の定、いかな急遽の代打のアニメ化だろうと、アニメになるのならコミカライズなどのメディアミックスはほぼ必ずついて回ってくれるわけですけれど、このコミカライズも相手の漫画家の選定は大切なんですよ、うん。
これに成功すると、たとえ原作終わっても漫画のほうがずっと続いてくれるケースも少なからずあるわけですしね。
そして、新たなる変態の登場!
いやこれって、変態なんだろうか……いや、蚕さんは普通に変態っぽいんだが、下着派と全裸派は単に主義主張、生き様の問題であって変態かどうかではないと思う。全裸で本を書くことの何が変態か。
……パンツをリボンにして平素から頭に飾っていたり、絵を描く時パンツを顔にかぶるのは普通に変態だと思うけど! そも、己の拘りを押し通して原作を改変してしまう、というのはまず絶対にやっちゃいけない部分だと思うんですけれど、その改変がより原作を、原作のキャラを魅力的にするのであれば、それは否定されるべきじゃないと思うんですよね。特に、蚕さんは原作者である伊月を、真正面から納得させ、満足させ、頷かせてしまったのですから。
でも、その後に那由多が蚕のコダワリを、また真正面から突破して、誰もが納得できるところに着地させるあたり、何というか作者が欲している理想の着地点、というのが色々とすけて見えてる気がする。
最後のボードゲームのドタバタでもそうだけれど、これだけキャラみんな立たせておきながら、同時に作者の様々な本音を赤裸々に垂れ流すのを両立させているのって、ある意味すげえよなあ。このバランス感覚には感嘆を隠せない。
ともあれ、実際のアニメ開始までは進展しなかったものの、京ちゃんが編集部にアルバイトで出入りすることになるなど、状況は刻々と変化し前に進んでいる。
那由多の乙女心も、あれは進化している、と言っていいんだろうか。ただの痴女からはレベルアップしてる、と思いたいところだけれどw

シリーズ感想

妹さえいればいい。 3 ★★★★   

妹さえいればいい。3 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。 3】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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妹モノの小説ばかり書いている妹バカの作家・羽島伊月は、様々な悩みや問題を抱えながら慌ただしい日々を送っている。原稿の締め切り、恋、そして家族のこと…。アニメ化で大ダメージを負った友人作家の不破春斗から恋愛相談を持ちかけられたのを皮切りに、伊月の周囲の人間関係も動いていく。果たしてその先に待ち受けるのは激動か、平穏か―。一方、天才イラストレーターぷりけつは千年に一度のケツを持つ少女を捜していた…!羽島兄妹の事情も明らかになるかもしれない、大人気青春ラブコメ群像劇第3弾!!

えっ……伊月ってそんなにカニちゃんの事好きだったの? いや、普通に考えてあんな良い子にあんなド直球(危険球込み)の好意を投げつけられて、それも一方的じゃなくて普段から一緒に遊んで過ごすわ、家でダラダラ一緒に過ごすわ、と生活的にもリズムが合っていて、条件的には悪いなんてもんじゃないんですよね。勿論、恋愛なんてものは条件さえ揃えば成立したりするものじゃあないんだけれど、条件が揃えば成立しやすくはあるわけだ。その意味では伊月にそういう感情が生まれる、というのは何ら不思議ではない環境だったにせよ、ここまでハッキリと好きだと言わさしめるとは思わなかったなあ。しかも、カニちゃんの攻勢に押し切られたとかそんな感じでもなく、わりと自然に芽生えて育んできたみたいな雰囲気じゃあないですか。
すごく、上手くいきそうなんですけれど。似た感じで言うと秋★枝さんの【煩悩寺】のカップルみたいで。
しかし、そこで伊月がどうしても踏み切れないのが、作家としてのプライドというわけか。現状、圧倒的に作家としてはカニちゃんの方が売れっ子。比べるのもおこがましいほど知名度や人気に差がある。勿論、収入も。そのあたり、気にしない人は気にしないんだけれど、結婚が上手くいかない傾向としては確かに無視できない要因ではあるんですよね。伊月も、コンプレックスには事欠かない神経質なタイプですし。
一方で、どうもカニちゃんの方にも作家として持ちたるものは持っているようで、今まで比べられる相手というのが居なかったのかもしれないけれど、いざ比較された時に負けたくない、という思いが生じるのは極々自然なことだと思うのですよ。それが、ついにカニちゃんにも芽生え始めたというのは作家としては喜ばしいのかもしれないけれど、その対象・ライバルとして伊月を意識し始める、というのは恋愛的には自分でハードルを上げにかかってしまっていそう。これ、お互いに負けたくない気持ちが募っちゃうと、相手に勝ってから、というゴールじゃあどっちも永遠にたどり着かなくなってしまいかねないし。その辺の調整が問題になってくるのかなあ。
と思い巡らせてしまっているあたり、どうも伊月の相手としてはもうカニちゃんに決定、と自分の中で決め込んでしまったのかもしれない。京ちゃんの長年拗らせ続けてきた想い、というのも掛け替えのないものだと思うんだけれど、今のところ伊月の方には脈なさそうなんだしなあ。それなら、春斗の方を素直に応援してあげたい。お似合いといえば、春斗の方がお互いを補い合えそうな性格ですし。京ちゃんの気持ちにさっさと気づいて、伊月に間取り持って、なんてややこしくなりかねないお願いをさっさと取り下げるあたり、見事な修羅場回避能力ですよ、春斗くん。登場人物の中でも人間関係の機微の敏感さに関しては、彼だけかなり突出してるんだなあ。それに、周りの友人たちは随分助けられている気がする。問題は、彼が機能しなくなった時、ということになるのか。
あとは、伊月が自分に実は妹が居た、という事実を知った時か。伊月が本気でカニちゃんのことを好きだとわかってしまうと、何気にこの地雷は結構深刻なものだと思えてくる。妹に溺れるか、妹を卒業するのか。彼の妹作家としての小説家人生をも左右しかねない案件なだけに、爆発するのが楽しみでも在る。段々と、妹ちゃんの性別を知る人も増えてきてますしねえ。今のところは漏れ出る筋には漏れてませんけれど。

しかしなー、何度読んでも社会人として悠々自適も良いところ、な毎日にしか見えなくて、楽しくもじわじわと脇の下あたりから羨ましいという怨念がにじみ出てきてしまうぜ……。

シリーズ感想

妹さえいればいい。 2  ★★★☆  

妹さえいればいい。2 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。2】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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妹バカの小説家・羽島伊月は、人気シリーズ『妹法大戦』最新巻の執筆に苦戦していた。気分転換のためゲームをしたり混浴の温泉に行ったりお花見をしたり、担当への言い訳メールを考えたりしながら、どうにか原稿を書き進めていく伊月。彼を取り巻く可児那由多やぷりけつ、白川京や義弟の千尋といった個性的な面々も、それぞれ悩みを抱えながら日々を生きている。そんな中、伊月の同期作家で親友・不破春斗の『絶界の聖霊騎士』のテレビアニメがついに放送開始となるのだが――。
妹と全裸に彩られた日常コメディ、第2弾登場!!
一話から救いようのないくらい終了してしまってるアニメって……。いや、無いことがないのが恐ろしい。
原作者からすると、そりゃあショックでしょうねえ。誰も糞アニメにしようと思って作っているわけじゃない、と言ってもさ、事実クソアニメなんですから。実際問題、アニメ化というのは原作者サイドにとっても色々と手間暇増えるわけで、アニメ制作に深く関わらなくても、あいさつ回りや打ち合わせに出たり収録に顔出したり、色々資料をまとめて提出したり、反映されるかわからないけれどチェックしたり、アニメ化イベントや特典物に関するあれこれに従事したり、とアニメ放送に合わせて新刊が組まれたり、とそれまでの執筆生活とはガラリと変わるスケジュールが詰め込まれるわけです。
どうやったって、ただの傍観者じゃいられないんですよねえ。そうやって普段のペース崩してあれこれ頑張った結果、自分の作品がクソアニメとなって出てきたら、心折れますよ。落ち込まずに耐えれる人って、そんなに多くないと思いますよ。
酷いアニメ化じゃなくても、やはりアニメ化作業によってペース崩して、それまでから刊行ペースが激減してしまう人も珍しくないわけで。
一方で、成功すれば原作も売れてウハウハ、モチベーションもあがってワハワハ、となるわけですから、いずれにしても大きなイベントなんですよねえ、アニメ化って。
でも、どんな失敗も成功も、当事者以外にとってはどうやったって他人事なわけです。親密な友達なら心配し、同情することもあるでしょうけれど、京ちゃんみたいに本気で泣いて悔しがってくれる人はほんとに良い子なんだよなあ。これは惚れても仕方ない。
ただ、これで人間関係はより複雑化してしまう形になるのだけれど、伊月や京がグダグダやってて進展のしようがなかっただけに、春斗のこの積極性はむしろ好感が持てますね。伊月の、今の生ぬるい楽しい友人関係をいつまでも続けたい、というのもわかるんですけどね。制限時間のある学生時代ならともかく社会人でこれだけ日常的に友達が家にきてグダグダ遊んでってくれる環境を崩すというのは、勇気のいることだと思うし。それにしても、那由多のあのアプローチを袖に出来るというのは信じられないけれど。那由多も、変にルーチーンになってしまってて、伊月から本気で受け止められてないというのもあるんでしょうけれど、シチュエーションというか雰囲気って大事なんだなあ。だからこそ、那由多の同棲作戦はわりとイイトコロついてたんですよね。あれ、ちゃんとやれてたら何気に陥落してたんじゃないだろうか。




妹さえいればいい。4   

妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

【妹さえいればいい。】 平坂読/カントク ガガガ文庫

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「アマゾンレビューは貴様の日記帳ではない!」
荒ぶる小説家・羽島伊月は、未だ見ぬ究極の妹を創造すべく日夜奮闘する現代のピグマリオンである。彼の周りには、作家やイラストレーターや編集者や税理士など個性的な人々が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。闘志を秘めたイケメン王子、不破春斗。人生ナメてる系天才イラストレーター・ぷりけつ。頼れるけど頼りたくない鬼畜税金セーバー・大野アシュリー。闇を抱えた編集者・土岐健次郎――。
それぞれ迷いや悩みを抱えながらも、ゲームをやったり旅行に行ったりTRPGをやったり、たまには仕事をしたりと、賑やかで楽しい日常を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、ある重大な秘密があって――。

各界から絶賛の声多数(本当)! 『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ、日常ラブコメの到達点にしてライトノベル界の現実を赤裸々に晒す衝撃作。言葉の鋭刃が今、世界と担当編集の胃に穴を穿つ――!!!!
楽しきことは良きことかな。いや、実際には楽しいわけではないのかもしれない。息苦しさ、不安、妬ましさ……ネガティブな感情がたゆたっている様は、この賑やかな光景の向こう側にうっすらと透けて見えている。作家として生きて稼いで積み重ねていく生活が、こんなにもただただ楽しいばかりなんてことはないだろう。
でも、好きなのだ、という事だけはこれ以上なく伝わってくる。
物語を書くということが。作家であるということが、このライトノベルという業界の中にいることが。この仕事を通じて知り合った人たちと交流することが、とても好きなのだということは凄く伝わってきた。
だったらいいじゃない。好きなら、いいじゃない。こうして、好きでい続けられるのなら、いいじゃない。
それこそ、とても素晴らしいことで、とてもうらやましい。
しかし、願望と現実の境目がどのへんにあるかで、いささか見る目も違ってきますよ。微苦笑からジト目を経由して白目剥くまで如何様にも。

【はがない】シリーズ長く続いていたけれど、本作はちょいと巻き戻って【ラノベ部】を彷彿とされる掌編をわんさと詰め込んで、様々なシチュエーションで登場人物を動かしその魅力を盛り上げていくという形式で、こうして読むとやっぱり自分は好みとしてはこっちの方が好きなんだなあ。
でも、千尋くんの設定はあれなにがどうしてこうなってるんだろう。最初に身の危険でも感じてしまったんだろうか。実のところ、伊月が妹狂いというのは今のところ作品の味付けに過ぎず、核心には全くなっていないので、千尋くんの話も実際は対して重要なものとしては転がらないのかもしれないが。
伊月の、那由多に対するコンプレックスも不毛であって先行き皆無だしなあ。この辺一切転がさないまま終わってしまっても不思議なさそう。

平坂読作品感想

僕は友達が少ない 9 3   

僕は友達が少ない9 (MF文庫J)

【僕は友達が少ない 9】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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冬の日の夕暮れ。友達との本気のぶつかり合いによって前に進むことを決意した羽瀬川小鷹は、逃げ出してしまった告白の返事をする。それと時を同じくして、三日月夜空から隣人部の部員たちに一通のメールが届くのだが……。新たな局面を迎えた隣人部は、生徒会と共にスキー研修で宿泊する旅館の下見(という名目の慰安旅行)に行くことになる。小鷹の迷走によって結果的にもたらされた“外側のコミュニティ"との交流は、どんな化学反応を引き起こすのか? 大人気シリーズ第十弾、複雑な人間模様の織り成す残念な恋と笑顔の物語、開幕! ポロリもあるよ!
むむむむ……この巻、小鷹すごく頑張ってたんじゃないか? 何か起こりかけても、結局そこから進まずに停滞したままだったこれまでの隣人部だけれど、小鷹の決意とともに明確に雰囲気が変わっている。逆に言うと、これまで小鷹がどれだけ何もしようとしてこなかったのかがよく分かる構図でもあるのだけれど、前向きに色々と頑張る小鷹はちゃんと好感が持てる男の子でしたよ。落とした株のぶんはなんとか取り戻せたんじゃないだろうか。肉の告白にもキチンと応えてくれましたし。これ、どういう返事するのかと思ったら随分と気張った告白返しだったなあ。
だがちょっと待って欲しいw
この野郎、異性との恋愛に背を向けないでキチンと向きあおうとした結果、ちと見境いなくしてないか?(苦笑
星奈にちゃんと好きだ、と言ったのは偉いと思ったんだけれど、その直後に幸村についてもドキドキしている、と理科に吐露してるのを見る限り、どうも現状異様に惚れっぽくなっちゃってるんじゃないか、という疑いが。理科に対しても、今回の一件で「友達!!」という風に刷り込まれて固定化しかけてたのが、コンプリートで理科自身がガツンと崩してきましたしね。小鷹、人間関係が充実して今思いっきり浮かれているみたいだけれど、近日中にいい具合にドツボに嵌りそうで、微妙にワクワクしてきたぞ(笑
しかし、そんな浮かれた小鷹をして、ドン引きせざるを得ない夜空クオリティw
こ、この女……家出して出て行ったはいいけれど、逃げ込んだ先がまさか小鷹の家とか、どんだけ小物なんだ。あまりにちっちゃすぎて、笑えてきたぞ。異様に小鳩が懐いてるからまだいいけれど、星奈もなんでこれを見込んでしまったのか。ただ、開自分の卑屈さ、器の卑小さを受け入れてダメ人間なり! と開き直ってからは、どうしようもないなりに困った娘からは脱却したような様子が見られる。内側に篭って僻むよりも、底まで落ちて外にひしゃげる方がまだ周囲からアプローチが叶う分、だいぶマシだ。これまで夜空が過去に拘り、頑なに周囲とコネクトしようとしていなかった事を考えるならば、小鳩を通じてとはいえ殻の外に出てきたのは良い兆候なのだろう。
そんなタイミングで、夜空の家庭の事情が明らかになったのは無関係ではあるまい。さすがに、あの生徒会長と関わりがあったというのは驚きだったけれど。微妙にヘヴィな話になってきたのだけれど、少なくとも今までの夜空に比べれば、そして今の小鷹なら、同じ所をぐるぐる回るのではなく、一つステップを前に進ませることが出来るんじゃないだろうか、と思えるくらいの信頼は小鷹は稼げたんじゃないかと思う。その前に、なんかボッチ化してきた理科を何とかしてあげてください、とイイたいですけど。幸村を筆頭に、徐々に社会復帰しつつある隣人部のメンツの中で、唯一まともな方と思われ小鷹の背中を押した理科が、押した反動で後ろにひっくり返って取り残されそうな勢いになってしまったのは、なんともはや笑うしかない。もうこれ、友達路線はオール壊滅状態だったのだから諦めて、恋人路線狙っちゃいなよ、理科先生w

シリーズ感想

僕は友達が少ない ゆにばーす 24   

僕は友達が少ない ゆにばーす2 (MF文庫J)

【僕は友達が少ない ゆにばーす 2】 著:平坂読,アサウラ,あさのハジメ,岩波零,白鳥士郎,鏡貴也/イラスト:みやま零,トモセシュンサク,狐印,榎宮祐,柴乃櫂人,切符,菊池政治,皆村春樹 MF文庫J

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あの『僕は友達が少ない ゆにばーす』が、さらにパワーアップして帰ってきた! ・アサウラ(集英社スーパーダッシュ文庫『ベン・トー』他) ・あさのハジメ(MF文庫J『まよチキ!』他) ・岩波零(MF文庫J『そんな遊びはいけません!』他) ・白鳥士郎(GA文庫『のうりん』他) ・鏡貴也(ファンタジア文庫『いつか天魔の黒ウサギ』他)などなど、豪華執筆陣が集結! さらに原作者・平坂読の幻の短編も収録……!? ここだけでしか読めない、爆笑必至の残念アンソロジー第2弾!
ほんとに、この「はがない」のアンソロジーは意欲的だ。前回の【 俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる】の裕時悠示さんに【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】の渡航さん、という二頭を持ってきたのにも驚かされたものですけれど、今度は各レーベルから屈指の変態作家を集めて来ましたよ! 集めてきてしまいましたよ!! 主要作品のイラストレーターとセットで、というところから本気度が伺えます。やっちまった度、と言うべきか。

【鳥と豚】 アサウラ/柴乃櫂人

どうしようもなくアサウラさんです、ありがとうございました。
いや、もう名前見た段階でわかってたんですけどね。どうやったって、【ベン・トー】路線になることは。そもそも、それを期待して呼ばれてきたんでしょうし。その期待に如何なく応えまくった無謀編である。
そして、誰もが小鷹に言ってやりたかったことをこれでもかとぶちまけてくれた、痛快作でもある。さすが、非モテと変態を描かせたら天界レベルの怪作家。ってか、ベン・トー本編では毎回削られてしまって出来ない神田くんたち悪友たちの独演会をやりたかっただけじゃないのかww
個人的には天馬さんとのわっしょいは、あらたな世界が切り開けそうで怖いもの見たさで読みたかった。

【俺たちにはまだちょっとレベルが高い】 あさのハジメ/菊池政治

安定といえば安定、無難といえば無難な「はがない」の短編として混じっていても気が付かないくらいの普通のはがないの話でした。いやこれ、アンソロとはいえ「はがない」の短篇集なのですから、それで何もおかしくなないのですが、この濃いメンツに混じっていると逆に目立つというか目立たないというかw


【理科のせいで俺の様子がおかしい】 岩波零/皆村春樹

実はこの人も、MF文庫では屈指の変態キャラ書きなんだよなあ。著作の【そんな遊びはいけません】のメインヒロインの変態さには、ガチでドン引きした記憶がw
実のところこの【僕は友達が少ない】のキャラクターは、残念度が非常に高くはあっても変態度についてはみんなシャイで真面目なタイプばっかりなので、あんまりどころか殆ど高くはないんですよね。そんな「はがない」のキャラが直球突貫キャラになってしまったら。
小鷹暴走編、である。
正直、かなり笑った。ここまで引かぬ媚びぬ躊躇わぬ、となってしまった押せ押せの小鷹が凶悪になってしまうとはw 一方的に翻弄されまくる理科がまた可愛くて可愛くて。もう理科一択で可愛がってあげたい、という作者の邪な欲望が透けて見えてくるくらいに理科押しな作品でした。


【部長選挙】 白鳥士郎/切符

あんたら自重しろ!!! ええい、やりやがった、やりやがったww
他人の庭だろうが関係なしのいつもの白鳥・切符コンビの大暴れ。いつものイラスト芸の炸裂に、笑い死ぬかと思うたわ!! 
あかん、何度見ても笑ってしまう。ほんとに酷い、これはヒドいw


【伝説の小鳩の伝説】 鏡貴也/榎宮祐

榎宮さんのガチ吸血鬼な小鳩のイラストが非常に格好良いです。本物の小鳩は、格好良い、はさすがに演出出来んからなあ。


【鍵】 平坂読

富士見ファンタジア文庫の【生徒会の一存】とのコラボ企画。とは言え、あちらの話とこの「はがない」では相当ジャンルが異なっているので上手く噛み合わないんじゃないかな、と思ったら案の定あんまり「はがない」らしい雰囲気ではない話になっていた。むしろこれ、前に作者が手がけていた【ラノベ部】をどことなく彷彿とさせる流れだったんですよね。と言っても、【生徒会の一存】という作品について懇切語られているシーンからの連想だったのですけれど、自分の読んだ作品について誰かに熱く語って聴かせる、という形が【ラノベ部】らしくて、ちょっと懐かしい気持ちになった次第。
ちなみに【生徒会の一存】は一巻しか読んでません。

僕は友達が少ない CONNECT3   

僕は友達が少ない CONNECT (MF文庫J)

【僕は友達が少ない CONNECT】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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三日月夜空は、十年前に離ればなれになった親友との物語を再び始めるために動き出そうとしていた/高山ケイトは、妹の幸せを喜びながらも寂しさを覚えていた/天才少女志熊理科は、その能力ゆえの孤独を抱えていた/孤高の男子高校生柏崎天馬は、自分に付きまとってくる同級生に戸惑っていた/柏崎家の新しい家令ステラは、お嬢様に対して複雑な想いを抱いていた/そして羽瀬川小鷹が主人公になった時、その裏では……。『はがない』待望の最新刊!
小鷹以外の人物達によって綴られる、一つの奇跡へと続いていく、煌めく奇跡達の軌跡――“繋がりの物語(CONNECT)”登場!!
表紙が公開された時から一体誰なのか気になって仕方なかった金髪少女と幼女の正体は、小鳩と女学生時代の小鷹と小鳩の母親アイリだったようです。アイリが高校の制服を着ているから、時系列が合っていなくて面食らったんですが、そこは時空を超えて、というシチュエーションだったんですなあ。アイリが若くして急逝してしまったのを思うと、親世代の若かりし頃のエピソードを読むとなおさらに、胸にじんとくる良い表紙絵だったように思います。
というわけで、普段は主人公の小鷹視点で送られる【僕は友達が少ない】の世界を、登場人物それぞれの視点から描く短篇集がこのつなぐ物語。
……本編のバカバカしい、どこか夢みたいで現実感がない雰囲気と比べると、いろんな意味で生々しい部分があるんですよね、そこに少々驚かされました。そういう現実的な部分は、【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】サイドの専売特許、というか住み分けみたいなのがなされていると勝手に思い込んでいたので。ただ、わりと平坂さんは【ラノベ部】の頃からむしろラブコメの世界に冷水を浴びせかけて現実に立ち戻らせるようなやり方をむしろ容赦なくガンガンとやってくタイプだった覚えがあるので、そういう意味ではちぃと懐かしい気分にもなりましたか。実際問題、本気で恋愛をするなら、結婚という人生のイベントを迎えるなら、セックスをして子供を作り、親になり、社会に出て生きていくなら、夢みたいなフワフワした楽しい世界を放り出さずとも、その中でも最低限の現実を踏まえなければならない、そんな生真面目といえば生真面目な作者のスタンスを垣間見た気がします。何より、親しい人との別れを、家族との死別を経るならばなおさらに。
今回の一連のエピソードでやはり一番印象的なのは星奈の父親である天馬さんの人生でしょう。本編ではそのキラキラネームとブレーキのきいていない突拍子もない暴走っぷりからギャグキャラみたいに定着してしまっている人ですけれど、こうして彼のこれまでの人生を目の当たりにすると相応の人生を歩んでいるんですよね。
この人の話で一番印象的なシーンは、実はステラが来た時にノエルと電話越しに話していたシーンでした。あのシーンを見た時、ああこの人の中ではもうちゃんと青春は終わっていたんだなあ、としみじみ感じたんですよね。小鷹の父親への度の過ぎた友情からどうも若い頃を引きずったままの人なのかというイメージが少なからずあったのですが、ノエルが去った時にか、それともアイリが亡くなった時にか、既にこの人の中ではちゃんと区切りはついていたんだなあ、と。それでいて、自分の学校を面白くしたい、というノエルが残した言葉から生まれた夢はずっと大事に守り叶えようとしている。
印象、ガラっと変わりましたよ。
同時に、やはり平坂読という人はモラトリアムをキチンと終わらせることの出来る人なんだ、という印象を新たにした次第。
これまで繰り返し繰り返し、同じような場所で足踏みしてきたような描写を毎回毎巻じれったいまでに広げて見せてきた本編ですけれど、激震の8巻はついにこの終わらない時間が次のステージに向かった事を示していたのかもしれません。今回の一連のどっか生々しい雰囲気は、そんな確信をより強固にしてくれました。
ステラさんもそろそろモラトリアムなんとかしないと、本格的に行き遅れますよ? 何だかんだとこの人、流されまくってる気がするw

しかし、こうして見ると一番真面目に恋する乙女してるのって、圧倒的に理科ですよね。近刊、もう頭の下がる思いで見直しまくってる彼女ですけれど、天才で浮世離れしているはずの彼女が一番現実にしっかり足をつけて頑張ってるというのは皮肉な話なのか、純粋に賞賛すべきなのか。でも、一番頑張ってるのに一番報われなさそうって、切なすぎるよ。
そして、やっぱりいちばん残念なのは夜空なのか。なんというぶっちぎり残念娘w

シリーズ感想

僕は友達が少ない 84   

僕は友達が少ない 8 (文庫J)

【僕は友達が少ない 8】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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聖クロニカ学園学園祭本番、前座のような体育祭はつつがなく終わり、いよいよ文化祭当日となった。自主製作映画を上映する予定の隣人部だったが、映画の仕上げを担当していた理科が倒れてしまい、映画は未完成となり上映は中止に。残念な結果となった学園祭ののち、これまでの馬鹿馬鹿しいけど賑やかで楽しい活動の日々へと戻っていく隣人部。互いに絆を深めていく隣人部の面々と過ごしながら、小鷹は隣人部への思いをいっそう強くする。そんなおり、星奈を敵視する生徒会の遊佐葵が隣人部に対して不穏な動きを見せ、小鷹、夜空、星奈、理科、幸村の関係にも大きな転機が訪れる――。残念系コメディ、ついに終幕……!?
わはははは、へたれだ。見事なくらいに華麗なヘタレが居る。みっともなくて無様で不細工で根性なしで勇気がなくて情けない、これほど完璧なヘタレが居ただろうか。
隣人部を壊したくなかったから、なんて言い訳をしていたけれど、とても本気だとは思えない。それこそただの言い訳、言い逃れ、それも自分への言い訳だ。必死にそれらしい理由を探しだして縋り付いていたようにしか見えない。逃げ出したことにすら言い訳で繕わなければ心を保てないこの情けなさ。
本当に、もうどうしようもない奴である。何処に出しても恥ずかしい、完璧なヘタレである。
でも、そのヘタレさが痛々しい……じゃなくて、愛おしい。ここまでかっこわるい姿を見せてくれると、なんかこう突き抜けちゃうんですよね。下手に繕って格好良いこといって状況をごまかしてなあなあで済ます中途半端な凡百のヘタレに比べれば、羽瀬川小鷹は徹底して無様である。情けないことこの上ない。ダサくてかっこ悪くて悲惨で失笑モノで、笑いものにされて晒されても文句が言えないくらいに酷い体たらくだ。
醜態である。
羽瀬川小鷹という人間の底の底のどん底までひっくり返してぶち撒けた、彼の本当の姿だ。
それを見て、指さして、「あはははは」と笑えるか? …………冒頭で思いっきり「わはははは」と笑っていたが、それはノーカウントで。
無様さにも、格好悪さにもきっと色々あるのだろう。見ていて、嫌悪を催す醜悪さがある。虫酸が走る愚行がある。ドン引きして関わり合いたくなくなる不細工さがある。失望してしまう情けなさがある。
でも、不思議と小鷹のそれには負の感情や黒い想いは浮かんでこない。どこか苦笑いとともに生暖かい眼差しを送ってしまうみっともなさだ。彼がそういう人間だと知っていたのを加味しても、不思議なくらい穏当な気持ちで居られている。
さて、それは最初から彼に期待していなかったからなのか、その無様さを踏まえてなお彼はそれを乗り越えられる男なのだと信じているのか。……どちらかというと前者なような気もするけれど、彼にはヘタレであることを許容してしまう愛嬌のようなものが備わっているのかもしれない。或いは、彼のヘタレさの当事者とも言うべき彼女たちが、彼がヘタレ者であることを許容した上で親しんでいるからなのかもしれない。大体彼女たちからして、小鷹にとやかく言えるような大した人間ではないのだから、似たもの同士それでいいのかもしれない。
いや、だった、と過去形で言うべきなのだろう。
少なくとも、理科と星奈は現状維持を良しとしなかったのだから。

理科って子は、何なんでしょうね。本来なら、この娘は外野から野次を送り物を投げ込んで状況を引っ掻き回して楽しんでれば、それでいいはずの子だったんですよ。中心核となる小鷹、夜空、星奈があとほんのちょっとまともであったならば、彼女はいらん労力を傾ける必要はなかったはず。でも、この三人は異端者にして破綻者である理科からしてなお、まともに見ていられない、口を出して手を出してちゃんとしてあげないと、と思わざるをえない残念な子たちだったのです。なんかあれだね、結局まともな人が割り食うんですよね。知らんぷりしてりゃいいものを、理科って子は我慢できなかったんだろうなあ。キャラじゃなかろうに。なんで、女の子にも関わらず、親友の男キャラみたいに主人公と殴り合いして馬鹿の目を覚まさせてやらにゃあならんのですか。ヒロインがやらなきゃいけない仕事じゃないですよ。でも、それをやってくれる人は周りには他に誰もおらず、挙句に当の小鷹からして、それを理科に期待している節があったのです。糾弾者は、弾劾人は、理科意外にないだろうという、無形の期待。
天才というのは、もっと人心を理解できない人間であるべきなんでしょうに。この娘は残念ながら、人として残念になりきれなかった子なのでしょう。
それを、そんな貧乏くじを引く、苦労を引いてしまう、孤高の天才に在るまじき自分を、理科は果たしてどう思ったのか。満足し、充足を覚え、自分はよくヤッた、と思えているのならいいのですが。泣いてなきゃいいのですが。
間違いなく、最大の功労者は彼女であり、報われて然るべき子のはずなんですから。

そして、もう一人。もうあらゆる意味で空気を読まざることメテオの如しな柏崎星奈。
この女、ガチで凄いわ。前々から人間的に矮小極まる夜空と違って、この娘は本当の大物だと思うこと度々だったのだけれど、それでもまだ舐めてたのかもしれない。
テンプレなんて欠片も意識してやがらねえ。あまりにも行動が突拍子なさすぎて、本気でぽかんとなってしまった、あのシーンは。小鷹が全くリカバリーできなかったの無理はない。あれは、絶対に無理だ。奇襲も奇襲、殺されたのも気づかない完璧な不意打ちである。
果たして、あんな奇襲を余人がなし得るものか。ちょっと、同じマネが出来るような馬鹿を他に思いつかない。こいつ、本気で空気とか読まないよな。予兆とか前ふりとか全然なかったし。
平坂読ってちょっと違うよな、と思うところはこういう所である。パターン繰り返しておきながら、時々突然完全な奇襲を仕掛けてくるのだ。まずもって、こういう時の一手を読めた試しがない。それも、小手先の一手などではなく、物語の前提をひっくり返しかねない凄まじい必殺の一手を、ポンと肩を叩くみたいにさり気なく仕掛けてくるのだ。この、読者の期待通りに話を転がしているように見せかけておいて、突然裏切って方向転換して泡を食わせるスタイルは前々からのものだったけれど、回を重ねるごとに洗練されていっている気がする。
ともあれ、今回については本気で不意打ちだった。あれは、あのタイミングは予想できんわーー。

今回は、というか今回も引きは凶悪極まるものでしたけれど……果たしてアレ、小鷹吹っ切れたのか? 本当に吹っ切れたのなら、この【はがない】という作品は決定的な方向転換を迎えたことになるんだけれど、なんかテンプレどおりに進むに見せかけて気がつくと全く予想通りに転がしてくれない作者だけに、疑心暗鬼が募るんですが。根っからのヘタレがヘタレ解消出来るのか? あれだけ大見得切っておいて次巻に続く、と引いておいていざ本番となってまた逃げたら、さすがに踊るぞ(笑


平坂読作品感想

ラノベ部 14   

ラノベ部 1巻 (ガムコミックスプラス)

【ラノベ部 1】 漫画:もずや紫/原作:平坂読 ガムコミックスプラス

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『僕は友達が少ない』で大ブレイク中の小説家・平坂読と、月刊コミックガムのニューヒロイン・もずや紫が贈る、抱腹絶倒学園部活コメディ。
ラノベを読んだこともなかった高1の文香は、ひょんなことから軽小説部(ラノベ部)に入部。
一癖もふた癖もある部員達からネタのシャワーを浴びて、ラノベの魅力、本を読むことの楽しさに目覚めていく…。
この作品を読み終わったとき、あなたは漫画が、小説が、きっと読みたくてたまらなくなっていると思います。
あらすじにもあるとおり、現在【僕は友達が少ない】で売れ売れの平坂さんがはがないの前に書いていたシリーズがこれ【ラノベ部】である。個人的にははがないよりもこっちが好きなんですよね。そんな【ラノベ部】がコミカライズされた作品が素晴らしく出来栄えが良いという話は以前から聞いていたので、機会があれば読んでみたいと入手のタイミングを図っていたのですが、この度手に入れることが出来たので早速読んでみたのですが……た、確かにこれ、これ、これ、素晴らしいわ!!
ぽわぽわぽわ、ですよーー。
あの文香が醸し出している独特のテンポが見事に再現……というよりもこれ、空気感の表現としては原作よりも文香分の純度が増しているんじゃないだろうか。あの人よりもワンテンポ遅れて違う地点に着地してしまうような文香のコミュニケーションスタイルが、漫画としての演出法で見事に編みこまれてるんですよね。お陰で、これまで国語嫌いでまともに本を読んでいなかった文香が、どんどんラノベに引きこまれていく様子が如実に伝わってくるのです。夢中になって寝るのも忘れてあるだけの本を読みふけってしまったり、誰かのおすすめではなく、自分の判断で面白そうな本を選んでみようと本屋の中を歩きまわってみたり。どこかぽわわんとして茫洋とした性格の文香から、確かに伝わってくる新しい本の世界へのワクワク感に、なんだか読んでいるこちらまで嬉しくなってくる。そっけない竹田くんが、ついついそんな後輩の様子を気にかけてしまうのもわかるわかる。自分の好きなものを、他の人が喜んで楽しんでいる様子を見るのって、嬉しいし気になるし、ついつい様子を伺ってしまうんですよね。わかるわかる。
そんな竹田くんと幼馴染の美咲の微妙な関係は、まだ本格的には表沙汰になっていないのだけれど、その予兆だけであの切なくも淡い交錯が思い出されて、これは続きを読まないと耐えられんなあ。

至高は、あのリレー小説の再現ですよ。いやあ、これはもう最高だった。なんちゅう楽しい話になってるんだか。目に見える形になるとこんな惨事になってたのか(笑
しかしハートフルであるw
目に見える形というと、暦がちゃんと無表情系と見せかけて、一番感情豊かな女の子というのがちゃんと一目でわかるようになっていて、大満足。もうビンビンですよw

既に2巻の方も最近刊行されているので、なるべく急いで読みたいな。噂に違わぬコミカライズの最高傑作の一つでした。良かったよー。

僕は友達が少ない ゆにばーす3   

僕は友達が少ない ゆにばーす (MF文庫J)

【僕は友達が少ない ゆにばーす】 平坂読/裕時悠示/渡航/志瑞祐/さがら総 イラスト:QP:flapper/ぺこ/ぽんかん(8)/るろお/カントク/ブリキ/桜はんぺん MF文庫J

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『僕は友達が少ない』の世界を、いま大注目の人気作家たちが描き上げる! ・裕時悠示(GA文庫『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』他)・渡航(ガガガ文庫『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』他)・志瑞祐(MF文庫J『精霊使いの剣舞』他)・さがら総(MF文庫J『変態王子と笑わない猫。』)さらに平坂読&ブリキの原作コンビも参加した超豪華版! フレッシュだけどやっぱり残念、「はがない」初の公式アンソロジーノベルが登場!
よくぞまあ、ここまでタイムリーな人材を他レーベルから引っ張り込んでやったもんだ、凄い。特に【俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる】【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】は今のところ同じ残念系サークルものとしては【はがない】と並んで代名詞的なタイトルになってきている作品なだけに、その作者二人を連れてきたのは純粋に大したものだと感心させられた。今、はがないのアンソロを書かせてみたい一番の二人でしたものね。オマケにちゃんとそれぞれの作品のイラストレイターも引き連れているあたり、完璧である。
面白いなあ、と思うのはやはりそれぞれ色濃く各々の筆致がお話に滲み出てるんですよね。

【「ふふん夜空、あたしに友達ができたわ!」「あ? ぞ?」】 裕時悠示/るろお
いやいや、夜空はそんな事絶対しないから! と断言できてしまうところに、原作の夜空の酷さが垣間見えてしまう。人気ないのは仕方ないのよ自業自得。
ともすれば反発を繰り返しながら、何だかんだと根は良心的で博愛に溢れている所なぞ、裕時悠示さんらしいキャラクター造形である。じゃあ原作の連中は何だかんだとイイ子じゃないのかよ! というツッコミが起きそうだが、概ねいい子じゃないよ!! 肉がなぜ人気かというと、あの子がメンバーから頭ひとつ抜けてイイ子な面が見えるからなんでしょうね。


【ぼっちは変化球が投げられない】 渡航/ぽんかん(8)
だからなんでこの人、こんなにぼっち描写が生々しいんだよ!!(笑
はがないの方はある程度ファンタジーという認識を得られるのでいいのだけれど、渡航さんのは的確にぼっち経験のある人の心を抉ってくるので全然油断できない。あるある、どころじゃないレベルの高さに、何やらこう生温い視線というのを自然に体得で来てしまう勢いである。少なくとも、一人野球をやったことがある人はさすがに少ないんじゃないだろうか。それとも、これも「あるある!」なのか!?
あと、幸村が変な達人になってるんだが、いったい何を目指してるんだこいつw


【三二四駆】 志瑞祐/桜はんぺん
おい、こいつら何歳だよ! なんか話題がこの子の年齢よりも一昔まえのような気がするんだが。
ちなみに、どうやらこの子たちが話題にしている昔話はどうやら第2次ブームの頃らしいので、微妙によくわからないところがある。あたしは第一次ブーム直撃世代だからな!!
そんでもって、プラモデルとか改造とか全然やる気おきねータイプだったので、全く作ったことないままだったけどな!! 友達に自慢されても、まるで羨ましいとか自分でも作りたいと思うこと無くふーんと流すあの頃のスルースキルは今なお健在であるw
プラモデルの類、ガンプラも含めて殆どやらなかったもんなあ。例外はニッパーとか道具使わずに作れたゾイドのみ。ゾイドは未だに処分してしまったのを後悔している。


【将棋はとっても楽しいなあ】 さがら総/カントク
何気にこれ、読んでると将棋やるたくなる話でした。えー、将棋面白そうなんですがw 小鳩じゃないのですが、将棋の定石って何やら中二病全開のが多くて、思わず食指が伸びてしまいます。技とか叫びながら指せたら楽しいんだろうなあ。というか、普通にこの人将棋をネタにした話書いても面白いんじゃないだろうか。結構燃えるスポコンモノ、行けそうなんだが。ちょくちょく入る将棋のうんちくも読んでて興味惹きつけられるものでしたし、実際に指してる時の描写もテンション上がりそうでしたし。


【魔法少女うんこ★マリア】 平坂読/ブリキ
おいこらちょっと待て原作者。頼むから、三十路超えてしまった自分にこんな単語書かせんとって! もうなんかテンションがしょわしょわですよ! というか原作者ーー!! よりにも寄って原作者ーー!!
おまっ、これいわゆる「反省部屋」行きじゃねえか。なにやってんのーーぉ!?
ちょっともう、前後左右東西南北天上天下にむかって土下座して回った方がいいんでないかい? ないかい?


あと、なんで揃いも揃ってマリアがうんこうんこしか言わないんでしょうか!? うんこ言い過ぎ!! 
なんか、書くにあたってマリアについてはそういう縛りでもあったの!? なかったらなかったで総じて色々と問題な気もするんだが。

こういう明確な方向性のある作品のアンソロを、今一線級にいる作家が集って書いてみるというのはなかなか面白い企画だと思うので、はがないに限らずもっと色々なケースで試みてほしいなあ。特に、今回はレーベルの枠を超えて意欲的にやってくれたのは何やら嬉しいくらい。
またを期待しております。

僕は友達が少ない 74   

僕は友達が少ない7 (MF文庫 J ひ 2-25)

【僕は友達が少ない 7】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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『なんだって?』じゃねえよ、ばーか……。
羽瀬川小鳩の誕生日パーティーも無事に(?)終わり、ふたたび学園祭に備えての活動を開始する隣人部のメンバーたち。紆余曲折の末、文化祭の出し物の内容は映画作りに決定し、脚本は夜空が担当することに。だが、やたらと小鷹との過去の関係を強調する夜空と他の女子部員たちとの間に不穏な空気が流れ始める。そんなおり、小鷹と星奈との間にも実は『特別な関係』があったことが発覚し、さらには隣人部のジョーカー、志熊理科までもが動き出す。大人気残念系ラブコメディ第7弾、リア充たちの祭典を前にして物語はついに佳境を迎える……かも。

うはぁ……ちと忘れてたなあ。【ラノベ部】で平坂読という人の近しい仲故の距離感の取り方のあれこれの凶悪な描き方は散々思い知っていたはずなんだが、もう【はがない】で二年近く慣らされたせいでここまで直裁的な一撃だと不意打ち同然にまともに食らってしまった。
今回は何より、『なんだって?』じゃねえよ、ばーか……。の一言に尽きる。そうかー、そういうことだったのか。どうも視点がヒロインたちの方にばかり行ってしまっていて、肝心の小鷹の方はノーチェックだった。
この野郎、さすがは夜空の親友だよな。完全に夜空と同レベルの同類じゃないか。前回の6巻の感想で夜空のヘタレ具合を散々扱き下ろしたものですが、その言葉まるまる小鷹にも当てはまるぞこれ。
夜空も小鷹も二人して……ある意味この二人お似合いなのかもしれないし、この同類同士がくっついてしまうともうどうしようもない事になってしまいそうな不安感が湧いてくるよ。とはいえ、夜空も小鷹も意図的に進展しないように真剣に目も耳も塞いでうずくまっている状態なので、この二人がくっつくのは難しいを通り越して不可能なんじゃないのかとも思われるが……前回でも指摘した夜空の虚栄、自分だけが小鷹と特別な関係なんだという幼馴染の親友という過去の拠り所が、今回肉と小鷹の婚約者関係が暴露された事によって完璧に吹っ飛んじゃったんですよね。親同士が親友同士で、星奈と小鷹も小さい頃によく会っていたらしく、さらに冗談とは言え父親同士の約束で婚約した仲。夜空がしがみついていた過去、小鷹との特別な関係など鼻で笑って吹き飛ばしてしまうような濃密な関係が、小鷹と星奈の間には存在したわけです。夜空が大事にしていた過去は、実は星奈の持っていた過去にも勝てないものだったのでした。その上、星奈は過去なんかどうでもいい、と公言してやまないわけです。完敗食らった夜空の放心状態を見る限り、果たして彼女がこれまでどおり過去にしがみついて現状を維持しようとするのか。自分の殻の中に閉じこもったままでいられるのか。件のエピソードの直後、さらに転落人生に直面して大人しくなり、その後のエピソードでも目立った動きを見せなかった夜空。というか、彼女に関する描写がそれ以降極端に少なくなってしまい、彼女が今どういう状態にあるのかわからないのだけれど、果たして今までの価値観が全部台無しになってしまった夜空がどう動くかこそが、小鷹の真実が発覚した今、事態を動かす重要な鍵になるのかもしれない。
これで夜空が変わらないままだと、状況は完全に停滞しちゃうもんなあ。理科の決死のアタックは、華麗にすかされてしまったわけだし。理科は貧乏くじだよなあ、これ。理科だけがまともな分、一番割りを食うポディションに収まるしか無い。これ、理科当人もわかっていることだろうから、辛いぞ。

しかし、今回はまた章タイトルパロディで遊びまくってるな。「これはゾンビですか?」ネタはまだしも、「俺の婚約者と幼なじみが修羅場すぎる!」とかまんまじゃないか! はからずも元ネタの方はちょうどそのとおりの話だったわけだしw
巻末で大きく事態が動いたと見せかけて何事もなかったように次の巻がはじまるのがこのシリーズのスタンダードなので、次も冒頭から大きく話が動くことはないのだろうけれど、さり気なく人間関係の変転は着実に進んでいるのもこのシリーズ。何だかんだと振り返ってみると話は動いているので、次回も注意深く進展を見守りたい。特に夜空。私はまだあのジャージについては怒ってるんだぞ、この女。今回もデートなのにジャージのままとは、許せん。夜空に関してはジャージを脱ぐまで絶対に許さない♪

平坂読作品感想

僕は友達が少ない 64   

僕は友達が少ない (MF文庫 J ひ 2-24)

【僕は友達が少ない 6】 平坂読/ブリキ MF文庫J

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理科の発明品がきっかけで、夜空と小鷹の秘密が他の部員たちにもバレてしまった。『元友達』という(友達がいない人にとっては)極めて特別な関係を前にして、隣人部の人間関係にも変化が……!? 一方そのころ、学園の他の生徒たちは一ヶ月後に迫った学校生活最大のイベント、学園祭に向けて盛り上がっていた。いつかリア充になったときのため、隣人部も学園祭に向けて動き出――そうとするのだが……。例によって迷走を繰り広げる彼らは、果たして学園祭を成功させることができるのか!? 学園祭だけでなくリア充には不可避の「あのイベント」にまで果敢に挑戦する、大人気残念系青春ラブコメ第六弾、どこまでも残念に登場!

もうこの夜空とかいう女、ホントに誰か何とかしてくれ!!

買い物回での、もう本当に残念な気分にさせられたアタシの心をいったいどうしてくれるんだっ!! ガッカリだよっ、巨大にガッカリだよ!! うがあああっ、残念にも程があるわーーっ。なにしてくれるだーーっ!!
なんて残念な女なんだ。もう救いようがないくらい残念じゃないか。なんでそこでジャージなんだよっ。自分がなんでこんなに憤慨してるのか訳がわからないが、とにかくこのガッカリ感には憤りを抑えきれない。いや、作者に憤ってるんじゃないんだ。それはぜんぜん違う。作者としてはそう書くしかないのはよくわかる。だって夜空だもん。そりゃあ、ああいう行動取るさ。だってそういう女なんだもん。ぶっちゃけ、作者がどういう勝手に操作出来るような話ではないのだ。
だから、憤慨しているのはああいう行動をとっちゃう夜空に対してなのである。なんでそんなに憤慨してるのか自分でもホントによくわからないんだが、それだけ期待してたということなのか。うーん、そうなんだろうな。あたしは彼女にそれなりの「期待」をしていたんだろう。ある程度、部内の人間関係のバランスが変化しつつある中で肉が意欲的に行動し、理科が非常に頑張って自己改革を行っている中で、夜空にも相応の革新を期待していたのである。実際、彼女は失敗したものの彼女の方から小鷹にアプローチをしかけ、ちゃんと「お洒落」をして現れたのだ。表面化こそしていないものの、裏で激化しつつある女同士による鞘当てに対して、夜空もまた正面から立ち向かうのだ、と喝采をあげながら期待したのに。
この女、とんずらこきやがった!!
逃げたのだ。勝負自体から逃げやがったのだ。同じ舞台に立たないことで肉や理科や幸村たちと正々堂々と張り合う事を避けてしまったのだ。しかも、不戦敗じゃなくてそんな勝負自体認めねえ、という意味での逃亡である。結局のところ、夜空はまだ肉たちを恋のライバルとして対等な相手と見ていないのだ。それどころか、自分は小鷹にとって特別な存在だと位置づけてすらいる。先に、小鷹に幼なじみである事実を打ち明けて、それを二人だけの秘密として小鷹に自分を印象づけながら、この度その幼なじみという事実を皆に暴露して皆を牽制したように。夜空はもしかしたら他にメンツに対して優越感すら抱いているのかもしれない。が、その優越感はどちらかと言えば自負に基づくものではなく、虚栄によるものだ。実際は彼女は不安だらけなのだろう。自分と小鷹が特別な関係であるという思いにしがみつかなければ、本来二人きりだった隣人部に勝手に集まってきて小鷹と仲良くする他の女たちの存在に耐えられないのだ。
だからこそ、彼女たちと同じステージに立って戦うことなどあってはならない。それは彼女たちが自分と対等であり、自分と小鷹は他人が割っては入れない特別な関係、でもなんでもない、と認めることになってしまう。
登場ヒロインの中でもブッチギリに心が弱いヘタレである夜空には、それは絶対に受け入れられない話だ。
だから、彼女はジャージに着替えたのである。
相手を対等と認めない。存在を受け入れない。ちゃんと向き合わない。同じ場所に立とうとしない。それってつまり、友達じゃないって事ですよね。
私は、夜空もそろそろ他のみんなのこと、友達だと思うように、受け入れるようになってきてたと思ってたんだ。素直な肉やわりと人間出来てる理科なんかは、もうね、夜空の事を友達と思うようになってて、夜空も滅茶苦茶な言動はとりつつも、内心は、あるいは無意識ではもう「友達」という存在を受け入れるだけの器を作れてると「期待」してたんだな。
それをあの女、みっともなく後ろ足で蹴っ飛ばしやがったのであった。
夜空よ、あんまり影でこそこそと狡っからいことばかりにかまけてたら、本当に肉や理科に持ってかれてしまうぞ、と本気で心配になってきた。肉はイイ子だから、本当にイイ子だから夜空のヘタレっぷりの正体に薄々気づきながらも、あんまり深く考えずになあなあで澄ましてるけど、本当ならわりとマジで友達無くしそうな事してるんだよなあ。しかも、あんまり効果あがってるわけでもないし。その点、肉はアホだろうと何だろうと女としては明らかに一枚も二枚も夜空より格が上なんだよなあ。小鷹が「アレ」なので目に見えた効果も変化もないけれど、わりと大事な場面で押さえるところ押さえてるんだわ。ヒロインとして成長著しい理科に、正式に女性と認可されたことでなんか見違えてしまった幸村という下からの押し上げも最近強烈だし、夜空の相変わらずさには強度の危機感を覚えてしまう。

間怠っこしい屁理屈はさておいて、単純に「ジャージ」になりやがった事実にものすげえガッカリさせられた、というのも憤慨の大きな理由である事実は否定出来ない。だって男の子だもん。

にしても、アニメ化については昨今の人気からして当然だと思ってたし、楽しみにも思ってたんだけど、改めて本作読んで、なんか不安になってきた。
だってさ、この作品って本気で「残念」な話ばっかりなんだよ? めちゃくちゃ面白いし、ヒロインはカワイイ、それは間違いない。間違いないんだが、とてつもない「居た堪れない空気」が流れる話であることも確かなのだ。
たとえば、今回の話でも「誕生日パーティー編」がアニメになったものを想像してみよう。
なんか物凄い空気流れない? 見てるこっちまで身の置き所がなくなるような、思わず笑い顔がひきつりながら「……うわー」というつぶやきを漏らしちゃうみたいな。
お茶の間に広がる微妙な雰囲気。何やら変な意味で怖くなってきた(苦笑

平坂読作品感想

 
11月26日

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11月25日

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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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