徒然雑記

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文庫

魔法少女育成計画 limited(前) 4   

魔法少女育成計画 limited (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法少女育成計画 limited(前)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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「あなた達は魔法の才能を持っているのよ」放課後の理科準備室に現れた妖精は、そう告げると、室内にいた女子中学生達を魔法少女へと変えてしまった。「魔法少女になって、悪い魔法使いからわたしを助けて!」まるでマンガやアニメのような展開に、色めき立つ少女達。誕生したばかりの七人の魔法少女は、妖精に協力することを約束するが…。話題のマジカルサスペンスバトル、ついに第三幕スタート!
バトルロワイヤルにはじまり、続いてはデス・ゲーム。そして今度はリアル鬼ごっこ! と見せかけて、これってモロにスパイスリラーじゃないっすか!! 魔法少女を某国のスパイとか工作員に置き換えたら、まんまスパイ・サスペンスの出来上がりである。
長年行ってきた不正が発覚し逃亡した犯罪者を追いかけるために派遣された捜査官。しかし、人間界に逃げ込んだその犯罪者たちを追うために、外務部や人事部など他のセクションから「協力者」が送り込まれてくる。そして、犯罪者ごと街は封鎖され、脱出不可能になってしまう。あからさまに怪しげなこの干渉の意味は何なのか。逃げている犯罪者は、どこかの部署の重大な秘密を握っているのか、はたまたこの逃亡劇は初めから「裏」の意図があったのか。
セクショナリズムからくる疑心暗鬼に手足を縛られながら、ぎこちない協力体制で犯罪者たちを追う魔法の国のエージェントたち。一方、逃げた犯罪者は事情を知らぬ無自覚な魔法少女を大量に生み出し、正義の魔法少女のつもりの彼女らを駒とし盾として追撃者への反撃を開始。さらに、魔法の国の反体制勢力が刑務所から伝説的な超危険人物を脱獄させ、その一団は第三勢力としてこの封鎖された街へと介入してきたのであった。
とまあ、今回の粗筋をぶっちゃけてしまうと、まさにこんな感じである。同じ魔法の国内部でも、セクションによってすさまじい駆け引きとテリトリー争いがあり、泥沼の足の引っ張り合いが繰り広げられている様子が伺える。場合によっては、謀略・陰謀によって死人もダバダバ出ていそうな雰囲気。さながら、冷戦中の旧ソ連のセクショナリズムもかくや、という有り様である。魔法の国とやら、相当のブラック国家じゃあるまいか。
そんな中で、無茶しがちな友人スノーホワイトを援護するため、組織の中で出世しようとしているのが、1巻より久々に登場のリップルさん。あの社会不適合者だった彼女が、今や真面目に研修を受ける社会人である。立ち居振る舞いはかつての相棒に倣っているというのだから、今は亡き彼女の流星のような生き様は相棒によって受け継がれている、そう思えば、少しでも心慰められようというものだ。あれから随分と魔法少女は死んだけれど、その中でも彼女の死は未だに痛みを伴い忘れられない傷跡だけに。

さて、そんな様々な生き様を示している魔法少女たちの中には組織の猟犬として働くものや、それこそサラリーマンとして組織の歯車となって生活している者もいる。給料があがればテンションあがり、ちょっとオシャレに凝ってみたり、とそこいらのOLと変わらない生き方をしている魔法少女も、魔法少女を仕事、魔法の国の公務員と考えれば存在して然るべきもの。専任魔法少女として戦闘方面とはあんまりかかわらずに生きてきた7753も、そんなOL魔法使いの一人である。それが、何の因果か、スパイアクションさながらの、セクション同士の駆け引きの結果生まれた汚泥のような現場に、偶然かそれとも誰かに意図によるものか、研修対象のリップルと共に放り込まれてしまったのでした。ある意味、一番可哀想な人である。
とはいえ、直属の上司の誘導もあってか、現状彼女が一番イニシアティブを握っているのは面白いところ。7753当人は何が何だかさっぱりわからずまったく埒外に置かれてしまっているのに、気がつけば事態のど真ん中である。
この直属の上司という人も、以前登場した人なんだろうか。どうも、かなりのやり手なのは間違いなさそうなんだが。

驚くべきことに、前編では誰も死なない(実際は一人、合流前に捜査員の一人が殺されているが)まま次回に続いてしまったが、伝説の凶悪犯罪者たちの介入に加えて、新規魔法少女たちの中にどうやら黒幕が混じっているようで、裏切り者は、スパイは誰だ!? という要素もあり、さてこれは一気に雪崩を打って血が流れそうな予感。普通なら7753とリップルは安全枠に思えるんだけれど、この作品の場合そういう既存の概念は捨てて掛かった方が良さそうな気配もあるわけで、希少な前作までの生き残りであるリップルだってそうそう油断は出来ないぞ。意外とハリウッド映画だと、前作の生き残りがサクサクと死んでしまうんですけどね。あれは、でも萎えるんだよなあ(苦笑

シリーズ感想

暗黒魔王なオレ様TUEEE!3   

暗黒魔王なオレ様TUEEE! (このライトノベルがすごい! 文庫)

【暗黒魔王なオレ様TUEEE!】 夏緑/伍長 このライトノベルがすごい! 文庫

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中二病魔王降臨!ひょんなことから最強『魔王』にクラスチェンジした平凡庶民の羊飼いロキ。そんな彼が恋をしたのは“元”中二病の『勇者』アストロメリア姫だった!?中二妄想大暴走で彼女にアタックしまくるロキだが、まじめなアストロメリアはドン引き状態。その上、ロキLOVE!の名門魔貴族のお嬢様・デビリアが現れて「触手プレイ」で修羅場に発展ってどういうこと!?人気作家・夏緑が贈る、オレ様TUEEE!系ラブコメ開幕!
この作者の人、もうだいぶ古参のはずなんだけれど大昔に「ぷいぷい」シリーズを読んだっきりだったなあ。
個人的に、実際生身で演じてしまう方の中二病の痛々しさというのは、妄想の類を現実であるかのように振る舞うその乖離にあると思うんだけれど、実際に能力が発揮されるのであれば全然妄想と現実が乖離しているわけじゃないので、多少はしゃぎ過ぎのきらいはあっても、痛々しいという風にはあんまり見えないんですよね。実力も伴っているわけだし。かと言って、実力もあって調子に乗りまくられると手に負えないですし、痛々しいと憐れみや忌避感を感じるよりも、単純に「イラッ」とさせられてしまうのですが。
その点、ロキの場合は図に乗っているというよりも、アストロメリアの影響でそれが正しい振る舞いだと若干思い込んでいる節もあり、また魔王になりきる事を心から楽しんでいる様子で、根っこの部分の純朴な羊飼いの少年らしいところがチラチラと垣間見えるせいか、むしろ微笑ましいキャラクターである。個人的にはアストロメリアのチョロさの方にこそドン引きなんですが、あの押しに押し切られるってどれだけ男慣れしていなかったんだか。え? その段階でときめいちゃうの? というレベルだったからなあ。もうちょっと付き合いが深まってくると、ロキの良い部分がどんどん見えてきて好感持ってもおかしくない、と思うんだけれど、それより遥か以前にああいう反応見せちゃうとねえ。チョロいとしか見えない。

あまりに説明ゼリフ満載の掛け合いに抑揚のない地の文、派手に見えてあんまり動きのないシーンの連続に、これは学芸会の劇の脚本かなんかか、とげんなりしたですが、ロキの微笑ましい素朴で一途な恋模様に、学芸会の劇みたいなチープさだろうと、これだけほんわかな気分にしてくれるんだったらまあいいかな、という気になってきました。

スクールライブ・オンライン 3   

スクールライブ・オンライン (このライトノベルがすごい! 文庫)

【スクールライブ・オンライン】 木野裕喜/hatsuko このライトノベルがすごい! 文庫

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MMORPG《3R》――「楽しみながら学ぶ」を目標に授業にオンラインゲームを取り入れ、大きな成果を上げた私立栄臨学園。だがその結果、今日では生徒たちの間に「レベルこそがすべて」という風潮が広がっていた。新藤零央はそんな現状に疑問を抱き、ひとり孤独なプレイを続けていたが、ある日の大型アップデートを境に、彼の学園生活は大きく変わり始める――。リアルとゲームが交錯する、新感覚・学園×オンラインゲーム小説、始動!
【ワイルドアームズ2】というプレイステーションのRPGをご存知だろうか。名作と名高い作品だけに、古い作品だけれどプレイした人も多いのではないだろうか。その主人公であるアシュレー・ウィンチェスターは、正義感の強い生真面目な青年であまり冗談も口にしないどちらかというと堅物なキャラでありました。ところがところが、この彼、密かに隠れツッコミ属性で、敵キャラの中に「トカ」と「ゲー」なるお笑い担当キャラが居るのですが、彼らが登場するとスチャラカなボケを連発するトカに対して、突然アシュレーはキャラが別人になったかのように、切れ味が鋭すぎるツッコミを披露しだし、シリアスな雰囲気を粉砕して爆笑漫才を始めてしまうのでありました。いや、ほんとお前誰だよ、というくらいにアシュレー、イキイキとし出すんですよね、トカ&ゲーが現れると。
斯くの如く人生においては、時に自分の中に秘められていた本性が真の在り様というものが、運命的な出会いによって開花しすっぽりとハマってしまう、というケースが少なからずあるものです。
本作の主人公、新藤零央にとってそんな出会いこそあの瀧先輩とのそれであり、彼女との出会いによって彼の中に眠っていた「ツッコミ属性!」が見事に開花したのでした。
いやね、零央くんがツッコミ属性に目覚めるまで、かなり物語としてはテンションが停滞してたんですよね。それまでの彼ときたら、現状の学園の在り方に対してつまらないつまらない、と連呼して背を向けながら、しかし孤高に反抗の念を募らせるでもなく、卑屈にヘタレて拗ねて僻んで、と見るに耐えない底辺をゴロゴロと転がっているばかりでしたから、正直鬱屈がたまるばかりだったんですよ。挙句、彼を懸命に肯定して一緒に歩こうとしてくれる幼馴染の沙耶に八つ当たりするわ、卑下して突き放そうとするわ、なかなか見るに耐えないどん底っぷりを曝け出していたのです。さすがに、こんな主人公では応援も出来んしお話も楽しめんなあ、と思っていたところで登場するのが、沙耶と同じギルドに所属する瀧先輩。
やー、この人がまた頭の良い享楽主義者で、口から飛び出してくるのはお馬鹿な発言ばかり。いや、沙耶の事を心配する良い先輩であり、同じく学園の現状を憂い色々と画策したり零央をけしかけたり煽ったりと、参謀職的な理知的な面を持つ人なんだけれど、普段の言動がとにかく自由すぎるだろう、というたぐいの人なので、とてもじゃないけれどボケ流し出来ないネタのオンパレードなんですよね。
結果として、ツッコミに目覚める主人公!
そして一度目覚めてしまうと、ただ健気で献身的に見えた幼馴染が、実は極めてイイ性格をしてオンマイウェイな所のある強引でこれも自由すぎるキャラだということが自然とツッコミ返しの発生で発覚してしまったり。
マスコットとしても戦力としても凶悪なアビリティを有するユマの参戦も相まって、ここらあたりから急にキャラがイキイキとし出して、途端に話が面白くなってきたんですよね。
それまで主人公の頭を塞いできた鬱屈が、沙耶の決断と瀧先輩の誘導で取っ払われた事も大きいのでしょうし、安易にシステム変更で有利になった点に囚われず、勿論それを有効に利用したのは間違いありませんけれど、後ろ盾あっての踏ん切りじゃなくて最終的に自分の不明、至らなさ、恥ずべき言動を自覚し猛省した上で、幼馴染を見舞った理不尽に怒り、自分たちの手によって覆そうとする現状への反逆を志したことが、物語に加速と躍動を与えた気がします。
やっぱり、主人公に覇気がないと話は盛り上がりませんもんね。これが身の程知らずの調子に乗った馬鹿だと鼻につくばかりですけれど、散々自身の愚かさ、みっともなさを曝け出して立ち止まり蹲ってしまった情けなさを踏まえての、決意であり前進であるからこそ、自然と応援したくなるものです。
ちょいと良かったな、と思えたのがあの忍足とのやり取りでしょうか。普通、あそこまでろくでなしに描かれたキャラはそのまま使い捨てられるのがオチですけれど、彼の執着と未練、そして恥ずかしいまでのみっともなさを繕わず、これもまたさらけ出すように描いたことで、まあ零央くんと打ち解けて友達になる絵面はやっぱりそれまでの彼の態度を思い出してもとても思い描けないのですけれど、ただの嫌なやつではなくどこかでお互いを尊重しあえる関係になれそうな余韻を残して書かれたのは、なんだか心に残る展開でした。

しかし、ゲームをそのまま学業に結びつけてしまうという、有り得ねえよなあ、というシステムはともかくとして、本来その楽しくゲームをすることで個々の能力を伸ばすという本来の趣旨が、過程ではなく単なる目に見える結果にすぎない部分についてのみ重視するようになってしまう、それも生徒たちのみならず運営側の学校まで結果主義に、ってこういういつの間にか全体が本末転倒になってしまってるところはえらく現実の日本的なものを感じさせて、やけに生々しかったですね。

零央くん、前向きになりイキイキとしだしたのはとても素敵だったのですが、そのすりつぶしたような鈍感さは正直みっともないので、敏感になれとは言いませんけれどちょっと露骨すぎるくらいのそれは辞めてほしいなあ。どうもそういうキャラ付けは作者の都合以外の何者にも見えなくて、いびつに感じてしまうものですから。
そういう点を除いたら、途中からホント読んでて楽しくなるお話でした。キャラの掛け合いは、なかなかのはじけっぷり。続きが素直に楽しみです。

木野裕喜作品感想

おんせん部!   

おんせん部! (このライトノベルがすごい! 文庫)

【おんせん部!】 河里一伸/しまちよ このライトノベルがすごい! 文庫

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のぞき×バトル!
それがおんせん部だ!

桃源郷を目指す男たちの
熱い戦いを見逃すな!!!!!

「一緒におんせん部に入ろう!」幼馴染みの原田由香から、おんせん部に誘われた主人公・高宮健吾。中学の頃に事故で痛めた腰を湯治により癒したことのある健吾は、入部を承諾。しかし、おんせん部は桃源郷(=女湯)への到達を目指す男子と、それを阻止する女子による競技「温戦」に青春を燃やす部活動だった!? 温泉以上に熱い戦いが、今始まる……。

ちょっと待って、結局ご褒美無しとかどんな寸止めですか!?
女の子が入る温泉を覗くために正式にルールが敷かれたスポーツ「温戦」、ということで無軌道に覗きをやるわけじゃなく、女の子の同意の元に男女で勝負するスポ根モノ、ということになるのでしょう。どちらかというと、男子諸君も女子部員の入浴シーンを拝むためというよりも、その過程である真剣勝負にこそ熱中しているようですし……って、それってなんか本末転倒じゃねぇですか!?
男の原動力というのは、もっとこう原始的で根源的な欲望、女の子の裸を見たい、というエロスがあってこそなのに、このおんせん部の男子メンバーはその辺りの欲求が薄すぎる気がします。主人公の高宮こそ、入浴シーンに興味あり、という素振りを見せていますけれど、目を血走らせて身体能力が限界を超えてアップするような、そんな激しいリビドーの滾りはというと、とんと見当たらないんですよね。そんな根性でエロが務まりますかってんだ。そのうち、健全な勝負への欲求という方向へと流れていってしまうし。
全般的に、エロスを擽るような情景描写や、男子たちの興奮、女性たちの見られることへの恥じらいや照れ、開き直りといった要素が薄いんですよね。その上、肝心のご褒美シーンがないと来たもんだ。
ちなうんです、ちなうんです。タイトル見て期待するのは熱く清々しいスポ根ものじゃなくて、ちょっとエッチで恥ずかしいラブイチャものなんですよぅ。
女性陣公認で温泉覗いてイイ、ってどれだけそそられるシチュエーションか。嬉し恥ずかし要素満載で、温泉ものの醍醐味が詰まってるシチュなのに……うぐぐぐぐぐ(血涙

魔法少女育成計画 episodes 3   

魔法少女育成計画 episodes (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法少女育成計画 episodes】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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『魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画restart』で、過酷な死のゲームを繰り広げた魔法少女たち。そんな彼女たちに魅せられた読者の声に応えて、本シリーズの短編集がついに登場! 少女たちのほんわかした日常や、不思議な縁や、やっぱり殺伐とした事件などなど、エピソード山盛りでお届けします! 本編と合わせて楽しんでいただきたい一冊ですが、この本からシリーズを読み始めるというのもアリ、かも!?
いやあ、むしろこの本からシリーズ読み始めた方が精神的ダメージ大きいんじゃないかな。とは言え、黒幕もネタバレされてしまっているので、あんまりオススメは出来ませんが。
という訳で、【魔法少女育成計画】【魔法少女育成計画restart】にて登場した魔法少女達一人ひとりにスポットを当てた短篇集。在りし日の魔法少女達を描いた物語。作中では早々に退場してしまったり、その背景も明らかにならないまま退場してしまったり、という娘たちも多かったので、改めてこんなふうに一人ひとりを掘り下げていってくれるのはありがたい限り。そのトップバッターが「ねむりん」というのは、やはりまともにセリフもなく一番最初に見せしめみたいに退場させられてしまった彼女については救済が求められていたのかしらん。何気に重要な働きをしていたことに驚き。ある意味、概念存在みたいになってるんじゃないか、これ。
本編では傲慢で嫌なやつでしかなかったルーラが、平時では居丈高でも親切で面倒くさくても投げ出さない娘だったり、マスクド・ワンダーが元はガリ勉で遊びも解さないやや破綻した人格の持ち主だったり、と本編読んでいるだけではなかなか窺い知れない魔法少女達の素顔なんかも見れたりして、かなり印象が変わった娘も多かったりする。
そんなゲーム、試験が始まる前の日常風景を描いた中で、やはり一番ダメージ大きかったのはトップスピードですねえ。今回、表紙も飾っている彼女。本編で彼女がどうなるか既に知ってしまっているだけに、余りにも幸せそうな新婚生活を見せられると、そりゃもうへこむへこむ。もう、幸せの絶頂だったんだよな。それが、何の因果かあんなことになってしまって。特にお腹の中に赤ちゃんが居た、というのが重ね重ね凶悪すぎる。いい旦那さんじゃないですか。この人が、妻もお腹の中の子も突然訳もわからない原因で喪ってしまった時の絶望に思いを馳せると、本当に落ち込んでしまう。当人も素晴らしくイイ女だっただけに、きっついなあ。
【restart】本編では、過去に何があったか結局わからないままだった、茜や@娘々についても彼女たちを見舞った惨劇が何なのかを予想させる、まだ何の憂いもない幸せだった頃の話が描かれている。殆ど正気を失っていてクラムベリーへの復讐に狂っていた茜がなぜそこまで狂気に侵されてしまったのかも、あれを見たら納得できる。あれを壊されたのだとしたら、もう正気なんか保っていられないだろう。
もうねー、どの魔法少女の娘たちも何だかんだとそれなりに、或いはそれなり以上に魔法少女としても日々を生きる一般人としても上手くやってたんですよね。ややアウトロー入ってる娘たちも居ましたけれど、余計なことをされなければ、何も問題なくやれてたし、幸せで居られたのに、こういうの読まされるとさらに魔法少女達を踏みにじったクラムベリーたちへの憤りは収まるどころか増すばかりです。
せめてもの救いは、生き残ったプフレたちが和気あいあいとやれていることくらいでしょうか。同じく生き残ったスノーホワイトは、あの娘はどうも人生をやや踏み外してしまった感があるので、せめてプフレとシャドウゲールとクランテイルがこのまま良き人生を歩めれば、と願うばかりです。

シリーズ感想

ロゥド・オブ・デュラハン 2.不死の都と守護精霊3   

ロゥド・オブ・デュラハン2 不死の都と守護精霊 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【ロゥド・オブ・デュラハン 2.不死の都と守護精霊】 紫藤ケイ/雨沼 このライトノベルがすごい! 文庫

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アルフォンスにかけられた「絶望すると死ぬ」死術を解除する手がかりを求め、領都イスルを訪れたリィゼたち。だがそこは、異形の不死者が徘徊する地獄と化していた。「すべての不死者を滅ぼしてほしい」―都を守護する精霊スプリガンの願いを受けて、リィゼは単身都へと潜入。そのころイスルには、都を奪還せんとする大帝軍が迫っていた。絶望の都に、新たなる戦いの炎が上がる!第3回『このラノ』大賞・大賞受賞作、早くも第2巻刊行。
ふぅむ。これは……うむうむ。いやあ、これは読み終わってからも頭を悩ませてしまいました。こんな読後感を味わったのはちょっと記憶になかったもんで。うーん、無理矢理に言語化するならば、本作はエピソードではあっても物語ではない、とでも言うんだろうか。一見、ちゃんと起から結に至る物語としての形は整っているから一概に違うとは言い切れないんで困惑してしまいました。エピソードとして見るならば、非常に面白い出来栄えであったことも、戸惑いに拍車をかけた要因なのでしょう。いや、面白かったんですよ、ほんとに。
ただ、所々で踏みしめるべき地面がなくてスカッと足が空振りしてつんのめるような凄い欠落があるような感覚が読み終わってから付き纏っていて、なんなんだろうこの感覚。一体、何が欠けていたんだろう?
そもそもなんでこれを一つの物語の体をなしていないエピソードというふうに感じてしまったのか。自信はないのですが、一番大きな原因は不死者の都での出来事と、門での戦いを完全に分離しきってしまったからじゃないのかな。両者の戦いは連動しており、それぞれで戦う領姫とスプリガン、リィゼとアルフォンスにもきちんと自分の役割を果たし、違う場所で戦っている大切な人のために全力を振り絞る、というちゃんとした繋がりは生じているはずなんですけれど……。うーん、多少瑕疵らしきものはあるとはいえ、キャラの掘り下げも繋がりも欠かしていないし、重要な部分は怠っていないように見えるんだけれどなあ。その上、実際にお話としても面白かったし、キャラクターの想いの描き方や活躍のさせ方などもよく出来ている。マクロ的にもミクロ的にも、ここがどうよ、と突っ込むような明確な不備は見当たらないんですよね。これで面白くなかったら単に好みの問題ですが……繰り返しますけど、全体的なお話のスクローリングにしても、シーン毎の見栄えにしてもほんと面白かったし、十分楽しめたんですよ。だから、あー面白かった、とページを捲り終えたはずなのに、こんこんと湧き上がる物足りなさというか欠落というかチグハグさというか、んんん?という感覚は、とんとお目にかかったものがないもので、戸惑ってしまった次第です。
うーん、表層を撫で浚っていて踏み込みが足りない、ということなのか。領都と門の戦いがそれぞれ独立して決着してしまったからなのか。肝心の主人公とヒロインであるリィゼとアルフォンスが向き合うお話が放置されて一巻から引き継ぐべき彼ら二人の物語の根幹がぶつ切りになってしまったからなのか。そうであるような気もするし、微妙に的はずれなような気もする。兎に角、自分が感じた感覚についてこれだけ論拠が見えてこない、という事はあんまり無い経験なので、すんごいモヤモヤしてます。……ふむ、面白い。
これは、作者の他にシリーズ2作目を読んでからまた判断するべきなのかもしれないな。
なんか、変な感想になってしまいましたが、面白さの可否を言うのなら間違い無く面白かった、一巻に引き続き優れたファンタジーの良作だと思います。

1巻感想

ドラゴンチーズ・グラタン 竜のレシピと風環の王4   

ドラゴンチーズ・グラタン (このライトノベルがすごい! 文庫)

【ドラゴンチーズ・グラタン 竜のレシピと風環の王】 英アタル/児玉 酉 このライトノベルがすごい! 文庫

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いつかこの手で命を救う料理を創り出してみせる!骨太ファンタジー、ここに始動!!

「なにか食べると気持ち悪くなっちゃうの……」病気の少女クレアを助けるため、マンドラゴラを求めて旅立つシェフ見習いの少年レミオ。彼は、食で病気を治療する医学――食療学を極める夢を抱いていた。しかし、旅先でアイソティアの美少女アトラと、聖獣殺しバレロンの争いに巻き込まれ、封印していった過去を解き放たざるを得なくなり……「風環、形成――ヴェルキア器官、起動!」。

Marvelous!! 

新人作品としては出色の出来。いや、出来という観点からすると新人らしい荒削りというか、調律ができてなくてとっちらかっていて、もうちょっと突き詰めたり整理したり練り込んだりしないといけないだろう、という傍目に見ても砥ぎが甘いところが散見している、まあ新人さんらしい熟成の行き届いていない作品ではあるんですが、そういう不出来な部分を気にしないで済むほどに、この作品には魅力が詰まっていました。
もうね、なんか冒頭から一発で魅了されてしまいましたから。読み始めてすぐに、「あ、これはヤベえ」と食いつかされるモノがありましたから。
どうしても同じようなパターン、類型からのスタートを余儀なくされる昨今、これだけ「掴み」から鷲掴みにしてくる作品は稀有と言ってもいいですよ。それだけ、最初の方は試行錯誤を重ねて何度も塗りなおしたんだろうなあ。

料理人見習いにして食療学の研究者を志す少年が主人公、ということでまず厨房からお話はスタートするのですが、日常生活に根ざしたこの世界独特の風環と呼ばれる技術がまた設定として丁寧に練積まれてて、世界観の厚みにつながってるんですよね。その上で、最初の段階で主人公の性格や目的、行動原理の由来なんかも大まかに紹介することでまず身近に主人公を感じさせることに成功してるんですね。さらに、感心させられたのが、彼が働く料理店の同僚たちのポディション。年の離れた親や師匠格という、近いけれども年齢や人間の格としてやや距離感を感じさせるキャラにせず、本当に兄や姉と呼んでおかしくない近しい関係にしてあるんですよね。精神年齢的にもそれほど離れておらず、気のおけない関係でありながら、きちんと上司であり師匠でもある。その上で恩人であり人生の指針であり、私生活では家族でありやや頼りないところのある兄ちゃんだったり、頭の上がらない姉ちゃんだったり。
実に豊潤といっていいくらい、脇を固めるキャラクターとしては要素が詰まっている。実際、レミオを抜いても彼ら三人だけでまた別の物語を作れるんじゃないか、というくらいに良いキャラクターなんですよね。これだけキャラ立ったキャラクターが周りを固めていてくれたら、そりゃあお話自体がどっしりと落ち着いて歯ごたえのあるものになりますよ。そして、物語のテーマが料理を通じて病気を治療していくという食療学。患者の病状を診療し、病の原因を推理し、そこから食材を吟味し、治療に通じる料理や調理法を吟味し導き出していく。そして実際に調理してみて、美味しそうな料理が描写される。これをしっかり出来れば、そりゃあ面白くなりますよ。
実際、兄貴分たちとの日常シーンや、病気の少女との出会いから食療学の研究者として病気や治療法に関する考察を深めていくシーンや調理、実食のシーンに終始している前半は文句なしに面白いんですよ。
ただ、食材集めのために旅立ち、バトル展開へと転がっていく後半からちょっとアレアレ?となってくる。まあ単刀直入に言ってしまうと、あんまり戦闘シーンは上手くないんじゃないかな。描写がとっちらかってて、状況がわからないというわけじゃないんだけれど、無茶苦茶読みにくかったし把握に非常に苦労した。それに、レミオの秘密や過去からの因縁についても、アトラが抱えている絶望と絡めて見せるにしても、バレロンのそれと絡めてみせるにしても、どうも上手く連動していない。というのも、レミオが同じような絶望を抱えながら今は異なり、未来に対して明確な指針を持っている先駆者として、アトラやバレロンに影響を与えるための要素とは、レミオがかつて一杯のスープで人生を一変させたように、彼が今志している食療学であるのが必定のはずなんですよね。断じて、バトル展開の途上で行われるべきものじゃないんですよ。そのせいか、後半はえらくチグハグな印象を受けてしまったんですよね。食療学を志す少年の物語であるはずなのに、比重として料理や医療以外の要素が大きすぎる気がしました。もっと、バトルシーンなんかはエッセンス程度でいいんじゃないかと。
個人的に好き勝手言わせてもらえば、バトル展開無しですらイイんじゃないかと思うくらいですから。それだけ、料理と治療考察、日常パートでの登場人物たちの人間関係の温かい描写が素敵で面白かったんです。まあそれだけだと、どうしても作品として地味になってしまうので仕方ないのかもしれませんが、もっとバランスやポイントを見極めれば、それだけで際限なく面白さも増々そうな、大きな可能性を感じさせてくれる良作でした。
何よりまず、料理が読んでてお腹空くほど美味しそう、というのはそれだけで料理モノとしては大きな武器なので、どんどん生かして欲しいなあ。

魔法少女育成計画 restart(後) 4   

魔法少女育成計画 restart(後) (このライトノベルがすごい!文庫)

【魔法少女育成計画 restart(後)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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ひたすらに激化していく、囚われの魔法少女たちによる生き残りゲーム。残酷かつ一方的なルールの下で、少女たちは迷い、戦い、一人また一人と命を落としていく。警戒すべきは姿の見えぬ「マスター」か、それとも背後の仲間たちか。強力無比な魔法が互いに向けられる時、また一人新たな犠牲者が生まれる――。話題のマジカルサスペンスバトル、第二幕の完結編! 最後まで生き残る魔法少女は、いったい誰なのか!?
なるほどなあ、前回感じたこのゲーム全体に漂っていた違和感の正体はそういう事だったのか。

一応これ以上書くとネタバレになるので、収納しておこう。

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千の剣の権能者(エクスシア) 3   

千の剣の権能者(エクスシア) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【千の剣の権能者(エクスシア)】 紫藤ケイ/キムラダイスケ このライトノベルがすごい! 文庫

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人智を超えた力・権能を宿した〈権能兵〉の一人、クアディカ。
失われた魂を求め、彼女は千の剣を振るう――。

権能――それは、特定の事物を自在に操る力。世界は、権能を持つ代償として魂を抜き取られた〈権能兵〉を有する帝国によって統治されていた。“英雄”を求める青年クオンは、〈権能兵〉でありながら帝国の支配を受けない少女クアディカと出会う。流れぬ涙を流さんとするかのように、彼女は〈剣〉の権能を振るう。その手に、失われた魂を取り戻すため――。第3回『このライトノベルがすごい!』大賞受賞者、受賞後第1作。
デビュー作の【ロゥド・オブ・デュラハン】でもそうだったのだけれど、本作においても救いのない悲劇の果てに、悲劇を経たからこそたどり着ける救済と和解が眠っている。人々がそうした結論にたどり着くために、これほどの痛みと哀しみの中を突っ切らないといけないような流れになっているのはそりゃもう酷い話ではあるんだけれど、いずれも根底にあるのは善性の肯定なんですよね。甘えを許さず自ら痛みを背負わなければ救いを得られないというのは厳しいようにも見えるけれど、どれほどの絶望が待っていてもその先に救いや許しが待っていてくれる、というのならこれらはきっと「優しいお伽話」なのでしょう。
ヒロインの少女クアディカは、権能兵として奪われてしまった魂を追い求める少女。普通の権能兵が、意志のない人形のような有様であるのに対して、彼女だけは何故か自我を持ち決して無感情とはいえない意志の発露を見せている。しかし、それでも彼女には魂はなく、魂のないにも関わらず彼女は急き立てられるように、焦がれるように魂を求めている。その欲する心はどこから生まれているのか。心とは魂と不可分ではないのか。この魂に関する見地と描写がなかなかに面白く、同時に少女クアディカの動機と根源となるものを引き立たせていて、彼女の泣けない慟哭と共にグイグイと引き込んでいく。
面白い。
しかし、同時に性急でもあるように感じます。それぞれのキャラの掘り下げとなるエピソードや、物語の焦点や転機となるシーンが味わい感じ入る前にスタスタと過ぎ去って行ってしまうんですよね。ややも忙しない。話を膨らます余裕は、それぞれのエピソードにポテンシャルとして備わっていると思うのですが、そこを広げずに必要な分だけ残して素っ気ないほどにそぎ落としている。無駄がないのはいいけれど、噛み締めるべき余韻までもがなくなっているのは、ちょっと勿体無い気がしましたね。傾向として情感に訴えかける内容の物語だけに、ふっと立ち止まって染み込ませるだけの間が欲しかった。

魔法少女育成計画 restart (前)3   

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔法少女育成計画 restart (前)】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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「魔法の国」から力を与えられ、日々人助けに勤しむ魔法少女たち。そんな彼女たちに、見知らぬ差出人から『魔法少女育成計画』という名前のゲームへの招待状が届く。先に進むたびに大きな自己犠牲を要求する、理不尽なゲームに囚われた十六人の魔法少女は、自分が生き残るために策を巡らせ始める……。話題のマジカルサスペンスバトル『魔法少女育成計画』に続編が登場! 新たな魔法少女たちの生き様に刮目せよ!
……あれ? なんだこの違和感は。前回の魔法少女たちの殺し合いバトルロイヤルから参加者の魔法少女たちも一新されて始まってしまったのは、オンラインRPGに似た仮想世界におけるデスゲーム。とは言え、前回のように強制的に人死が出る仕様ではなく(少なくとも最初は)、まず四人パーティーを組んでクエストを進めていき、他のパーティーとも協力が可能、というゲームをクリアするにもわざわざ殺しあう必要はない設定になっている。
にも関わらず、何者かによって思わぬ形で命を落としていく魔法少女たち。形としてはデスゲームになっているけれど、状況はクローズドサークルにおける殺人ミステリーと言ってもいいだろう。一体この中の誰が犯人なのか。その犯人は一体どうやって被害者の魔法少女を殺したのか。このデスゲームを主催している謎の魔法少女「マスター」とは一体どういう関わりがあるのか。魔法少女の中に探偵タイプが居るように、今回の話は誰が犯人で、一体どんな動機が、という展開なのだと思われる……今のところは。
でも、なんか変なんだよな。凄い違和感が残ってる。というのも、どうも最初から正気を逸している節があった侍型魔法少女の言動である。彼女はどうも「音楽家」……そう、前回の黒幕だった魔法少女の存在を執拗に追いかけている素振りがあったのである。しかし、このアカネなる侍の魔法少女は、前回のバトルロイヤルには存在していなかった。この侍魔法少女は、その怪しい言動で謎を残したまま早々に脱落してしまう。幾らなんでも早すぎる脱落だ。この少女の存在は、意味がわからない。
そして、もう一人……@娘々という中華風の魔法少女である。この子もまた、途中までは普通にしていたにも関わらず、仲間を失って精神的に不安定になった時に、突然意味不明の発言をしているのである。その内容を鑑みると、@娘々という魔法少女は彼女のものではないような記憶を思い出しているのである。そして、その記憶はやはり前回のバトルロイヤルに関わりがあるようなのだ。
……今回参加している十六人の魔法少女のうち、既に何人かは変身を解いた後の日常での正体とその様子を描写されている。この子たちは、恐らく描かれた通りの素性なのだろう。しかし、未だ変身を解いた後の姿が描かれていない面々については……非常に強い疑惑が募っている。この内の何人かは、果たして「今も生きている魔法少女」なのか?
何やら、目に見えている範囲でのこと以上に、このデスゲームには裏側が存在しているような気配がして止まないのだ。となると、この前回に比べて微妙にヌルいような設定のデスゲームも、現状のままでは進むまいて。
その意味では、非常に美味しい所で止められてしまったと言える。これは続きはよお、と叫ばざるを得ない。
……車椅子少女は、あれ実は結構イイ子、という流れですよね、うん。
あと、前回の生き残りであるスノーホワイトがかなり精力的に正義の味方として活躍しているようで、通常ならゲームに巻き込まれて根幹に辿りつけない今回の魔法少女たちの代わりに、裏のシステムを攻略してくれる役、と見るのがいいんだろうけれど……果たして、素直に正義の味方として機能してくれるのかどうか。

1巻感想

ロゥド・オブ・デュラハン3   

ロゥド・オブ・デュラハン (このライトノベルがすごい! 文庫)

【ロゥド・オブ・デュラハン】 紫藤ケイ/雨沼 このライトノベルがすごい! 文庫

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死の運命を弄ぶ者たちを狩る、デュラハンの物語

領姫の不可解な死の真相を追う傭兵アルフォンスは、死体を操る死術師と対峙し窮地に陥ったところを、白銀の髪を持つ女に救われる。彼の者の名はリィゼロット。永き時を生き、死の運命を弄ぶ者たちを狩る、精霊デュラハンの一人。漆黒の鎧を身に纏い、純白の大剣を振るいながら、彼女は不自然に歪められた命を狩りつづける。茫洋としたまなざしに、深い悲しみをたたえながら――。第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・大賞受賞作です。
凄いなあ、片っ端から血みどろだ。これでもか、これでもかとばかりに片っ端から人が死んでいく。それも惨たらしく見るに耐えない残酷な死に様を晒していく。人間の死を冒涜するような有様が、饗宴のように催される。
まさに、この世の悪夢だ。血まみれのパレードだ。
何よりも、これらの地獄が尽く、人の悪意からではなく、善意や愛情から生まれ出てしまったという事が救いがない。はからずも死術に手を出し、この世の理を超越して望むものを手に入れようとした人達は、これらの陰惨極まる事件を引き起こした犯人たちは、決して悪意や俗な欲望によって災禍をもたらしたわけではないのだ。ただ、ただ、愛する人を想いやり、自分の大切なものを護ろうとし、失ってしまったかけがえのないものを取り戻そうとしただけなのだ。しかし、強すぎる思いはボタンを掛け違い、錯誤となり、その在り様を歪めてしまった。否や、死術という可能性がそれらの歪みを手繰り寄せてしまったのだろう。
すべては、惨劇であると同時に加害者被害者を問わずの悲劇である。悲劇でしか無い。その、なんと無残で哀れなことだろう。

で、あるにも関わらず、本作には驚くほど鬱屈した、淀んだ空気は見当たらないのだ。それどころか、読後に感じたものは清涼ですらあったのだ。とても、綺麗なものを目の当たりにしたような気すらした。
何故だろう、と振り返ってみると……本作には、実のところ悪人や邪悪に値するような人間が一人も登場していなかったんですよね。すべての事件は善意や愛情が歪んだ結果だったのかもしれないけれど、言い換えればすべての事件は善意や愛情に根ざしたものではあったのです。すべてに、人を思いやる優しさが満ち溢れていた。それらは結果として歪み変質し、悪夢であり悲劇という形になってしまったけれど……それはとても哀しいことで、辛いことだけれど……でも、発端である人の善性を否定するものではないんですよね。本作は、それらを決して否定していないんです。むしろ、尊いものとしてとても大事に扱っている。
矛盾するようだけれど、悲劇の根底に人間の善性があったことにこそ救いのない無常があり、同時に根底に善意があるそれこそがこの悪夢に満ちた絶望の世界における救いの拠り所にもなっているのです。
その矛盾であり世の無常の救われなさと救いそのものを体現するのが、このリィゼロットという少女であり、そしてそんな彼女を全肯定して絶望を否定する者こそ、主人公のアルフォンスなのでしょう。

普通、ここまで繰り返し繰り返し救われない惨劇を目の当たりにしてしまうと、読み終えたあとまでやりきれなさに消沈してしまうのですけれど、本作では逆に欠けたピースをはめ込めたような、満ち足りた優しい安息感を得ることが叶ったんですよね。その意味では、不思議な作品でもあり、充足感を得られる良い意味での重厚感あるファンタジーでありました。こういうのが大賞に来ると、大きな納得感があるなあ。
作者紹介によると、この人TRPG畑の人なんだそうですね。やっぱりTRPGやってる人はお話を作る事が上手いんでしょうかねえ、なるほどなあと思ってしまった。
さらにこの人、来月以降も随時ファンタジー作品を出してくるそうなので、これは要注目ですよっと。

オレを二つ名(そのな)で呼ばないで!3   

オレを二つ名(そのな)で呼ばないで! (このライトノベルがすごい! 文庫)

【オレを二つ名(そのな)で呼ばないで!】 逢上央士/COMTA このライトノベルがすごい! 文庫

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俺の二つ名、マジ残念すぎ!
学園異能力バトルスタート!!


全国から特殊な才能を持った子供達が選抜して集められた私立神賀茂学園に晴れて入学を果たした御手洗新(みたらいあらた)は、ひょんなことから屈辱的な二つ名がついてしまう。二つ名は能力を引き出す触媒となる言葉で、後から変更はできない。もうひとつの二つ名を求めて、GW中に行われる〈黄金杯〉での優勝を目指すアラタ少年の戦いが始まった。抱腹絶倒のバトル・コメディ!第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・優秀賞受賞作です。
これは発想が良かったですね。「二つ名」というものは大概にしてその人の持つ能力やキャラクターから後付けで付与されるものなのですけれど、この作品のシステムだと前後が逆になっていて、二つ名を付ける事でその名称から想起される能力が与えられるようになっているわけです。
その能力の発現は、あくまでシステムが設置されている学園内にのみ限定されており、能力による人体への影響は痛みを除いて怪我など負わないように極力安全性も考慮されている、と完全にゲーム感覚なわけです。いや、ぶっちゃけこの学園のシステムが教育的に何の効果があるのかについてはさっぱり理解できないのですが、単純に娯楽として見るならば、確かにこれは非常に楽しい。主人公をはじめとして、生徒たちも諸々ややこしいことは度外視して、如何にこの学園のシステムの中で自分の能力を伸ばしていくかについて心から楽しそうに環境を受け止めていて、「二つ名」についてもあくまで自分の持つ能力を決めるための要素として肯定的に受け止めていて、中二病云々と揶揄する向きはないのである。なので、タイトルとは裏腹に「二つ名」関連について、読んでいても体中痒くなるような痛々しさとかは全然ないので、ある意味安心仕様でありました(笑
ただ、読み始めた当初は、名乗った二つ名に対して対応する能力が一つだけ、というのはバトルになっても戦術の幅が狭くて単調になってしまうんじゃないかな、と危惧してたんですよね。ポンポンと出てくる登場人物たちの能力は、ちょっと笑っちゃうほど汎用性にかけていて、これでどうやって話を広げていくんだろう、と危ぶまざるを得なかったのですが……ところがどっこい!
これが意外とフレキシブル。能力の効果が記された条文に拘っているとやれる事は非常に限定的に想えるんですけれど、これが使用する側の解釈次第で能力はびっくりするくらい柔軟に応用が利くようになっているのです。思わぬ発想から、使えないと思われた能力に様々な使いようがあることが発見できる。どんな能力だろうと、使用者次第でどんな風にも伸ばしていける。繰り返しになりますが、これが何の教育になるのかはさっぱりわからないのですけれど、この学園で行われている事をゲームとして捉えたら、プレイヤーが夢中になる要素がこれでもかとばかりにつぎ込まれ、こっそりと用意されていて……いやはやこれは楽しいですよ、ホントに。
さらに、タッグ戦、チーム戦に能力の追加要素なんかも準備されていて、プレイヤーも読み手の方も飽きる暇なく没頭できる仕様になっております。主人公が常に前向きな熱血野郎、というのもグイグイと話が盛り上がってくテンポの良さの一助になっているようですね。ぶっちゃけ、幼馴染ちゃんが勝手につけてくれやがったあの「二つ名」は、付いた時点で拗ねてふてくされても仕方ないレベルの酷いものだったんだが、それでもこの主人公は嘆きながらも前向きに状況を受け止め、クズ能力としか思えなかった自分の二つ名の可能性をどんどんと発見し、周りも一緒に盛り上げながら進んでいくわけです。その楽しそうなこと楽しそうなこと。見てるこっちも楽しくなってきますよ、これ。前向き熱血少年と言っても単細胞とは程遠く、意外なほど気配りがきき、同時に目端もきく何気に食えないところのある少年、というのもストレスを感じない要因でしょうか。此処ぞという時の頼もしさには瞠目する部分がありましたし。良い主人公でしたよ。
まあ、あの二つ名には爆笑してしまいましたけれど。あの幼馴染ちゃん、セカンドネームも含めて全部わざとやってるんじゃないだろうな(笑
主人公のみならず、登場人物の多くが二つ名派生の能力を柔軟に応用しまくることで、能力バトルものとしても予期せぬ展開、引き出しが随所に見られて、非常に面白かったです。物語の完成度としてもなかなか堅実にまとまっていて、安定感ありましたし。
難しく考えずに楽しい気持ちになれる良作でした。

ファウストなう3   

ファウストなう (このライトノベルがすごい! 文庫)

【ファウストなう】 飛山裕一/HRD このライトノベルがすごい! 文庫

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これは、デブが金網に挟まる物語だ。高校入学以来、すっかり無気力になった平原不破人の前に現れた美少女・かがり。自らを悪魔と称する彼女は、人生に満足してもらうため、不破人の望みを叶えようという。焚き火、力士、悪魔の革新、合コン、女体化、そして親友の命の危機。人と悪魔が化かし合う、そう、これは、デブが金網に挟まる物語――。あの歴史的名作を下敷きに贈る、第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・優秀賞受賞作です
いや、そんなデブが金網に挟まるを強調されても。考えてみると、確かにそのシーンこそクライマックスであり主人公のブレイクスルーに当たる場面になるのかもしれないけれど、別にデブが金網に挟まることそれ自体は状況の流れの一環に過ぎないんだが……。
さても、最初読み始めた時にはなんだこのド素人丸出しの文章は、と思ったものである。ハッキリ言って、外国人のカタコトの日本語を聞いているようなもの。伝えたい意図がところどころ断線してブツ切れなのである。文脈がいきなり間を抜かして飛んでしまい、筆者は伝えたつもりになっているのかもしれないけれど、こっちは当然面食らうばかりで目を白黒、というところが点在どころじゃない、全体に散在している。まだ、人に読ませる文章として成り立ってない、とまで言ってしまうと言いすぎだろうか。
ただ、そんな文章力をして本作が受賞に至った理由は判らなくもない。中盤以降のお話それ自体の盛り上がりが非常に良好なのだ。やる気を失った主人公の魂に火が灯り出すと同時に、カタコトの文章も気にならなくなるくらい読み手のこっちも気分が乗ってくる。勢いがほとばしってくるのだ。無論、勢い任せのところも大きいのだけれど、盛り上がりというものを波に乗せるのは存外難しい。それを中盤以降、ロングスパンで成功させているのだから、物語を作るという観点においては秀でたものがあるのだろう。何気に、事態の真相が明らかになるに連れて、本作が非常に「熱い」物語だと発覚していくのもいい。そして何より、テンションの高さが変な方向に走り出しているのが、力士型悪魔の奇天烈な介入のさせ方などの変なセンスと相まって、奇妙な面白味となって良い味付けになってるんですね。
まだまだド素人丸出しであることは間違いないんですけれど、文章が下手くそなんて要素は書き続けりゃどうとでもなることですしね。面白い物語を書く上での重要な要素をちゃんと掴まえているのなら、先々期待できるんじゃないでしょうか。

剣澄む TSURUGISM3   

剣澄むーTSURUGISMー (このライトノベルがすごい! 文庫)

【剣澄む TSURUGISM】 ますくど/ricci このライトノベルがすごい! 文庫

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西暦2020年、日本には特別に帯刀を許された「御三家」と呼ばれる組織があった。あるとき、「刀狩り」と呼ばれる謎の剣士が現れ、御三家の剣士の刀を次々と奪っていくという事件が発生する。父もまた「刀狩り」に襲われたと知らされた上泉綱義は、実家に戻り、蔵に捕えた「刀狩り」と対面する。それは縄でぐるぐる巻きに縛られた、自らを妖刀村正と名乗る少女だった――。第3回『このライトノベルがすごい! 』大賞・優秀賞受賞作!
ちょっと待て、君等兄弟でイチャイチャしすぎだろう、それ。お前らは新婚夫婦か、というラブラブっぷりである。これが兄妹ならまだしも……という考え方も実は充分狂っているんだろうけれど、それでも男同士でこれはちょっとアレだろう。いろいろ疑われても仕方のないレベル。ってか、これがアレなんですか? 腐ってるってやつなんですか? 初・体・験?

とは言え、無意味にラブラブしているわけでもなく、ちゃんと最後の展開に掛かっているので無駄ではない、無駄ではないのだが……やっぱりこう、男同士より片方が妹だったり姉だったりした方がまだ精神的な安息が得られると思うんだ。これは、その……気まずい!!
本来ならロリっ子妖刀とチュッチュしてる方を問題にするべきなんだろうが、弟とのラブラブイチャイチャがインパクト強すぎて、そっちはもうどうでもいいんじゃないのか、という気分に。お前さん、幼女とチュッチュすることに躊躇えを覚える前に、弟とそんなふうにイチャイチャする方に疑問を感じようよ、ねえ(苦笑

さて、舞台は架空の現代。剣士が未だに残っている、という設定だけれど、正直あんまり現代、という要素を生かせているようには見えなかった。沈黙する書割、程度のものだね。ただ、時代考察とかを考慮せずに済む、という点においては楽かもしれない。でも、御三家以外の家は帯刀禁止って、特殊技能の独占ですよね。広く浅く、は容易に変質と衰退を産むとはいえ、この独占設定はむしろ御三家が腐敗と停滞の象徴として悪役に回る配置なのだけれど、本作の場合は剣に対する執着の純化、という方向に進んでいるのが興味深い。登場人物はどいつもこいつも剣に魅入られた剣鬼なんだけれど、ひどく澄んだ方向へと昇華されているので、こう……ニトロとか山田風太郎方面に見るような、剣の道を極めすぎて魔性魔道に堕ちてしまう、という形にはなっていない。お陰で作品全体に暗い、とか闇、夜、という雰囲気が見当たらず、タイトルにも字が現れているように清流めいた清々しさ、清涼感が漂っている。剣への求道が高じて、殺し愛めいたところまで到達してしまっているにも関わらず、人間のダークサイドが見当たらないというのはなかなか大したものなんじゃないだろうか。これを良しとするか物足りないと見るかは読む側の好み次第でしょう。
個人的には、両サイドが混在するスタイルのほうが好みなんですけどね。
御三家の家名や刀などの固有名詞については、少々安易なところがあるかな。名前を使っている以上、その伝統を掘り下げているのかというと、名前からくる印象の上澄みだけを攫っているだけで雰囲気だけみたいだし。ややも軽々しい感があり。
村正の事情周りも、いささか焦れったい。大事な試合を前に村正ははっきりしなさ過ぎだし、綱義は綱義で痛快な人物像とは裏腹に気を使い過ぎでもたもたしすぎてて鬱陶しい。柳生の兄ちゃんに面倒かけすぎである。どうも人間関係の描写についてはもって回り過ぎるきらいがあって、若干ストレス溜まったかな。ウジウジされてるとどうしても、ね。
まあ一巻これで綺麗に終わっている。これ以上やると、なかなか清涼感を保つのは難しいだろう。血を見ずには居られないだろうし。

魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!?3   

魔王討伐! 俺、英雄…だったはずなのに!? (このライトノベルがすごい! 文庫)

【魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!?】 遊馬足掻/しゅがすく このライトノベルがすごい! 文庫

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魔術と体術を極め、魔王を倒した英雄ラグナが望んだものは、小さな幸せ――仲間との楽しい語らい、愛する人と過ごす平穏な生活――だったのに!!!圧倒的すぎる力の前に、仲間は去り、仕事もうまくいかない……失意のラグナは「弱くなる方法」を求めて、評判のロリ美少女占い師ルーチェを訪ね、自分の強さが「10008の呪い」のせいだと知る。理由はわかった!では、どうする?呪いを解くべく、ルーチェと共に旅立つラグナの弱くなるための冒険、“逆”RPGが今、始まる!第3回『このライトノベルがすごい!』大賞・栗山千明賞受賞作です。
これは酷いなあ。いや、何が酷いって、魔王を倒した時のラグナへの仲間たちの態度である。あれは幾らなんでもないわー。特に野心もなく純粋に人のために努力して、世に仇なす魔王を倒した人間に対して、あの言い草はひどすぎる。ラグナの努力も心意気も誠意も友誼も、何もかも否定して唾かけて後足で砂引っ掛けるようなものだもの。よくまあ、ラグナはグレなかったと思う。そこで、自分が弱くなろう、と考えるのって結局自分が悪いって思ったって事でしょう? 違うでしょう、君なにも悪くないでしょう。強くなったこと、それ自体には何の罪もなかったはずなのだ……うん、手加減は覚えておいた方が良かったけどな。
……というか、自分が弱くなる、なんて難しい方法を探す前に特訓して手加減覚えようよ、と言っちゃダメなのか。あの魔王討伐隊の仲間たちの態度こそ酷いものの、ラグナの力が制御できてない部分は一般の生活が出来ないレベル、ほぼ暴走状態に至っているので、そりゃそこから何とかしないとさ。
後半見てると、必要なとき事態は押さえていられるようにも見えたけど。
まああれだ、根っこが小市民な奴が分不相応な力を持つと不幸になる、という典型である。そういうレベルに収まらない気もするけど、ラグナの力は。
それでも、どんどんエスカレートしていく社会に破壊と混乱をもたらしていく惨状については、ラグナがおとなしくしていればよかったんじゃ、と思わないでもない。ある種の誘導があったにせよ。国一つを崩壊させて滅ぼしてしまったのは、ギャグで済まされてるけれどあれ現実として考えると凄まじい数の難民と世情不安をまき散らしたようなものだしなあ。いっそ、ラグナが魔王となって開きなおって自分を蔑ろにした人間たちに復讐するためにやっているのならまだしも、当人たちは無自覚で悪意なし。ハッキリ言って、ラグナを討伐しようと奮起している面々は最初から最後まで道化そのもの、というのも虚しい話である。結局、どこもかしこも空回り。その発端が、あの仲間の一言だったとなると、彼の罪は大きいぞ。ラグナにとって、その一言は完全にトラウマになってて、彼があれほど迷惑を振りまきながらも何だかんだと周りを巻き込みながら自分を弱くすることに執着し続けたのも、その一言を払拭するため、というのが原因のようだし。
まあ、相応の報いを受けてしまっているのだけれど、その人も。
なんだかヒューマノイドタイフーン、人間災害みたいな身も蓋もない大迷惑存在になりつつも、結果として、落ち着いて周りを見渡してみると、ちゃんとした友人や理解者ができていたのだから、人類社会に多大な迷惑とそれなりの革新を与えながらも、ラグナは弱くなるという目的こそ達成できないままだけれど、その奥にあった本当の望みは手に入れる事が出来たのだろう。
報われない人が、ちゃんと相応の報いを得られたというのなら、きっとこれは幸いの話なのでしょう。なので、めでたしめでたし。

クロス・エデン 2.魔法王国ミシュリーヌ編(後)2   

クロス・エデン2 魔法王国ミシュリーヌ編(後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【クロス・エデン 2.魔法王国ミシュリーヌ編(後)】 吉野匠/村上ゆいち このライトノベルがすごい! 文庫

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リアルワールドに魔法が飛び交い、剣の音が響く。オンラインRPG『クロスエデン』の世界が、現実を侵食し始めたのだ。野望を抱く魔導師・バルドールに命を狙われながら、浩介と仲間たちは少しずつ真相に近づいていく。王女セシルの運命は?そして浩介に秘められた力とは…。実力派作家・吉野匠が贈るサイバーファンタジーの新シリーズ。第一幕・魔法王国ミシュリーヌ編、ここに完結。

うーん、前半の盛り上がりに比べて、後半は何故か一気にスケールからストーリーからキャラの関係から萎んでしまって、なんともショボショボとした空気に。
まあ色々と理由はあるのだと思うけれど、個人的に一番なんだかなあ、と思ったのが主人公の背景ですかね。自分としては前半で感じたこの子の魅力は天才や優秀な連中にコンプレックスを抱きながらも、何の力もないなりに侠気を失わずに前向きに頑張れるヤツだったからなんですよね。何の裏付けも保証もない徒手空拳で、ビビって腰引けてそれでも逃げず、足掻いて自分の成すべきだと思ったことをやれるやつ。そして、シュンやヴェルナーといった実力者に、自分の大切なものを預ける「勇気」。なんでも自分が自分が、じゃなくてね、出来ないことを受け止めて、それを心から信じたヤツに託すのも勇気だと思うんですよ。そういう類の勇気も持っているヤツだと思ってたんですよね。自分は、そういうのを決してかっこ悪いとは思わない。
なんだけどなー。
なんか、浩介の背景が判り彼の前世の記憶が戻ったのと同時に、これまでの彼のがんばりとか勇気みたいなものが、全部陳腐に思えてしまったのですよ。所詮、それらも「特別」によって保証されていただけのものだったのか、と。
威厳も何もあったもんじゃない、序盤のプロローグで倒されるのが関の山、みたいな超小物の悪役だったバルドールにも、その貧相な有様にガッカリさせられましたけれど、そんな相手にすら過去の箔がないと対抗できなかったこの主人公は、せいぜいお似合いでしたよ、と言いたくなるくらい。
そして、そんな「覚醒した主人公」を崇め奉るヒロインや他のキャラたち。ごめん、ちょっとこういうの無理。受け付けんですわ。それに、舞台は世知辛い現代の隅っこで、やってることはちまちまとした小競り合い。
自分としては前半の盛り上がりに期待したんですが、正直がっかりでした。ざんねん。

1巻感想

アニソンの神様3   

アニソンの神様 (このライトノベルがすごい! 文庫)

【アニソンの神様】 大泉貴/のん このライトノベルがすごい! 文庫

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「はじめまして!エヴァ・ワグナーです。一緒にアニソンバンド、やりませんか?」―アニソン好きが高じて、ドイツから日本へとやってきた少女、エヴァ。彼女の夢は、アニソンの聖地・日本でアニソンバンドを組むこと。今、その夢が動きだす―。第1回『このラノ』大賞作家が描く、音楽と青春、『CHA‐LA HEAD‐CHA‐LA』から『太陽曰く燃えよカオス』まで、すべてのアニソン好きに贈る、友情物語。
いやー、これは面白かったですわ。良質の二時間ドラマを見終わったみたいな満足感。見事にこの一冊でやりたいことを見せ尽くしている、という点では完成度高いと言えるんじゃないでしょうか。例えば、実のところ登場人物の掘り下げはそれほどなされてないんですよ。バンドのメンバーになるエヴァ以外の四人は入谷を除けばそれぞれバンドに入ることになる周辺事情を表層的にさらっとなぞっているだけだし、一番の難物となる入谷だって家庭の事情も含めてそれほど深く掘り下げているわけでもない。でも、それが何の問題にもなっていないんですよね。決してキャラが個性的だったりあからさまに立っているわけでもないのに、この一冊の物語の中でバッチリ輝いてるんですよ、こいつら。非常に魅力的に描かれている。なんて言うんだろう、この物語の要としてごく自然に馴染んでいるとでもいうのか、居るべくして居るというべきか。それぞれの抱える事情なんてものはそれこそ理由付けに過ぎず、別に深く知らなくたって、理由なんてなくたって、居ることだけが重要で、居ることそのもので存在感を示している、とでもいうのか。
そんな在るべくして在るように、この四人を位置づけてしまった中核こそ、主人公であるエヴァという娘の価値なのでしょう。なんか凄いわ、このエネルギーの塊は。輝きの中心は。バンドのメンバー集め、という基本の基礎からはじまるこのお話ですけれど、分量も対して割かれてないしそれほどドラマティックな展開があったわけでもないのに、一人ひとりどこからとも無くメンバーを見つけてきて、仲間にしていく話の流れは、素直に楽しかったしワクワクさせられた。これぞ、仲間集めのお話だよね、というお手本のような盛り上がり。
何気に、メンバーの幾人かはアニソンに特にこだわりも好みもない、というのもなかなかおもしろいポイントだったんじゃないでしょうか。あくまで、エヴァという人間に惹かれた、という意味合いが強いんですよね。
実際この作品、強烈にアニソンをプッシュしているように見えて、実のところアニソンあんまり興味なくても関係無く楽しめる本になってると思いますよ。勿論、曲を知っている人は知っていることで盛り上がれると思いますけれど、知らなくても関係なく楽しくなれると思う。こういうのは、クラシック音楽やオペラ、オーケストラなんかを題材にしている作品なんかで、その方面に知識が無くてもその音が聞こえてくるように楽しめる、という風情とおんなじように。
実際、自分なんかここで演奏される音楽はだいたい知ってはいるものの、知っている曲が歌われたから、という理由で盛り上がったりはしませんでしたしね。一つ一つの曲を「リスペクト」するという感じに掘り下げたり、物語の流れに深く噛ませたり、という風でもありませんでしたし。
その意味では、タイトルとは裏腹に敷居そのものは非常に低い気がします。
いや、なんにせよ、これは予想以上に面白かったです。主人公を留学生の外国人にしたのは、これ提案した人大ファインプレイですよねー。この純粋一途さをなまじ日本社会で育った日本人の少女にやらせてしまうと、とたんにその純朴さに胡散臭さが入りまじてしまったでしょうし。純粋にしてパワフル、思慮深さと躍動感がブレンドされているこのキャラクターは、そして多くの一般人がそっぽを向くアングラなサブカルチャーに、これほど衒いなく飛び込み、そして周囲にアピーるできたのは、異邦人という特性があったことを見逃せないのじゃないでしょうか。なんか、物語を作る最初の第一歩で大正解を選んだみたいなところ、あるのかもなあ。勿論、そこから何も落とさずに見事にてっぺんまで築きあげて完成させた腕前には、素直に喝采したいと思います。
まあでも……これ一冊で綺麗に終わっておくのが一番イイ気がしますけど。

グッドナイト×レイヴン2   

グッドナイト×レイヴン (このライトノベルがすごい! 文庫)

【グッドナイト×レイヴン】 深沢仁/serori このライトノベルがすごい! 文庫

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「断る権利なんて、お前にはない」――怪しい男・ワタリヤにはめられ、謎のバイトを始めることになった鈴人。急造チームのメンバーは、女装癖のある美少年・遊、スピード狂の無口美少女・倉日。一回7万円の仕事内容は、あるアイテムを盗んでくること!訳がわからないまま仕事を続ける鈴人だったが、ある日トラブルが発生し……。第2回『このラノ』大賞優秀賞作家が贈る、放課後クライムノベル、ここに始動!
宝島社さまより献本いただきました。
根本的に、話の趣旨というものがどこにも見当たらない。読んでいても、つまりこの作品はこういうものを書きたかった、というのがついに最後まで出てこなかったんですよね。キャラクターを掘り下げるわけでも、物語を深めていくわけでも、少年少女の空虚な在り方を突き詰めていくわけでもなく、薄らぼんやりと流されるまま表層をタラタラと伝い流れていくだけで、盛り上がる部分も一切なし。デビュー作はまだシャンとした物語の芯があっただけに、このちゃんとした物語にもなっていない有様にはため息しか出てこなかった。
主人公の中身も何もない空虚で無気力な、今すぐこの世から消えてしまっても当人含めて誰も何も気にせず影響もないような在り方は、ホントぶん殴ってやりたいような鬱陶しさで、そういうキャラクター自体は雰囲気も含めてイイと思うんですよね。この子自体は、非常に動かし甲斐のあるキャラだと思う。それに、作品全体に漂う退廃的で鬱々と重たい裏路地にうずくまっているような空気感、雰囲気はとても良く行間からにじみ出てると思います。
でも、話の動かし方、見せ方まで無気力に停滞してしまっては何にもならない。残念ながら、これでは雰囲気は作ることはできても、物語を作る力が無いのでは、と首を傾げるほか無い。厳しい言い方だろうけど。

深沢仁作品感想

クロス・エデン 1.魔法王国ミシュリーヌ編(前)3   

クロス・エデン1 魔法王国ミシュリーヌ編(前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【クロス・エデン 1.魔法王国ミシュリーヌ編(前)】 吉野匠/村上ゆいち このライトノベルがすごい! 文庫

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恋した相手は、オンラインRPGのキャラクター!?
ゲーム世界と現実が交錯し、少年の運命が動き出す!

高性能AIを搭載し、ゲーム中のキャラクターと自然な会話ができると評判の、オンラインRPG『クロスエデン』。平凡な高校生である片山浩介も、このゲームにハマったひとりだった。ある時、浩介は、イベントで出会った囚われの姫君・セシルに恋をする。ゲームのキャラとはいえ姫を見捨てられない浩介は、救出作戦を立てるが……。シリーズ累計100万部突破『レイン』の吉野匠が贈る現代ファンタジー。1、2巻2ヵ月連続刊行でシリーズ始動!
これはまた、随分と錯綜してるな。最初はゲーム世界から現実世界にゲームキャラクターが受肉してきた、という展開かと思ったら、どうも単純にそういう事ではないらしく? 
……ああ、そう言えば同じ作者の【三千世界の星空】、あれの設定を思い出すと色々と合致する面が出てくる。なるほどなあ、現実世界の人間がゲームの中にアバターを作って入り込む、というのは「チェンジリング」を引き起こすには持って来いの設定じゃないか。オンラインRPG『クロスエデン』の世界が、実は現実側から構築されたオンラインゲームワールドではなく、コチラからのアプローチはあったとしても、その根本が異世界側から構築されたシミュレーションワールドだとしたら……異世界と現実世界を繋ぐ媒介として機能していると考えればわかりやすい。しかも、異世界観移動が物質的な肉体を維持したままでは難しい、と捉えると……。
まだまだ情報が乏しいし、わかりにくい描写も多いので、何とも断言しにくいのだけれど、この錯綜した侵食現象はなかなかワクワクさせてくれる。まだ話の方向性自体が定まっていないというか、ちゃんと見せてくれていないので話自体はまだおもしろい面白くないと言えない段階なのだけれど。その中途半端さがわかっているからこそ、二巻を連続刊行としたのかな。
主人公は天才肌で変人である親友に比べて、見るからに凡庸で性格的にもどこにでもいる浮ついた高校生なのだけれど、過去のシュンとのエピソードや隣のひきこもり幼女の月緒とのやり取りを見て伝わってくるように、此処ぞという時に侠気を見せるイイ奴なんですよね。シュンがほんとに天才な分、自分を弁えているというか自意識過剰にもならず自分を過小評価する傾向もなくフラットに自分を捉えてるカンジがするんですよね。それでいて無茶もできて頑張れる、という熱い魂の持ち主。同時に、平凡な少年らしく肝が据わるまではビビリやすい、というところも親しみが持ちやすい。つまり、主人公としては標準以上の好漢なんじゃないかな。
大きく話が動き出すのは次回からのようなのでまだ様子見だけれど、今のところは掴みOK?

創世の大工衆(デミウルゴス)2   

創世の大工衆(デミウルゴス) (このライトノベルがすごい! 文庫)

【創世の大工衆(デミウルゴス)】 藍上ゆう/ぴょん吉 このライトノベルがすごい! 文庫

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デミウルゴス―かつて武力ではなく圧倒的な建築技術で戦乱から民を救った伝説の大工。時は流れ、伝説に憧れながら亜人の国で奴隷工として暮らす少年・カナトの前に、一人の少女・シアが現れる。高度な建築技術を持ちながら、性格に超難アリの彼女こそデミウルゴスを継ぐ者だった。そんな二人の元に、この国の女王・シャロンからある建築の依頼が舞い込むのだが…。シアとカナト、二人が出会う時、新たな伝説の幕が開く。第2回『このラノ』大賞優秀賞作家が贈る新感覚・建築ファンタジー。
宝島社さまより献本いただきました。
デミウルゴスとは、ギリシア語で職人という意味を内包しているのだという。同時に、グノーシス主義の創造神話においては造物主に位置づけられ、不完全なる物質界を創造した神なのだという。
そして、本作においては、彼ら「創世の大工衆(デミウルゴス)」は過去において建築技術で完全な平和を実現せんとした集団だ。
果たして、作者はどういう意図で「デミウルゴス」なんて名前をつけたんでしょうね。グノーシス主義において、不完全性故に悪と見なされる物質界を創造したデミウルゴスは、一種の悪神と見做されている。彼の神が、イデアの模倣から物質界を創造し、それが完全な世界とは程遠い「悪」なる世界となったのは、意図的なものなのか、はたまた能力の欠如、愚かさに基づく意図しない結果なのかは、過分にして勉強不足なせいか解釈に迷うところなのだけれど。

で、面白い、というべきなのか、興味深いことに、本作におけるデミウルゴスが目指した完全な平和な世界というのは、どう見ても進化と発展が停止した緩やかな滅びを迎えつつ在る世界なんですよね。
デミウルゴス以降の建築関係の技術が、デミウルゴスの遺構のあまりの完全性によって存在する意味をなくし、一般的な大工技工も含めて失伝してしまった事など、その顕著な例でしょう。恐るべきことに、この世界には「大工」という職業が技術の失伝から、失われてしまっているのです。

満たされれば、それ以上のものを必要としなくなる。人間の文明の発展というのは、常に欲することを原動力にして促されてきました。彼らの望んだ完全な平和とは、相争うことすら必要としない完全に満たされた世界だったように思えるのです。
でも、そんな誰も先を見ない、満たされきった世界なんて、朽ちるのを待つだけの成長の止まった、余生みたいなものじゃないですか。
ものすごく、キモチワルイ。

で、よくわからないのが、作者がはたして、彼らデミウルゴスの思想を肯定的に扱っているのか、許容しがたいものとして捉えているのかが不明瞭なところなのです。全体的に、創世の大工衆の存在とその意志を肯定的に描いている以上、彼らの思想もまた正しいものとして描いているように見えるんですが……本当にそうなんだろうか。だとしたら、どうにもこのお話って居心地が悪いというかすわり心地がわるいというか、とにかくなんかヤなんですよね。

まあ、タイトルから期待した建築関係の専門的な技術や知識の取り扱いについては、殆ど描写もなく、魔工具を使ってジョバンニが一晩でやってくれました、みたいなそれ技術なの? と首を傾げる能力だよりで、殆ど知識欲を掻き立てられ、満たされるような話もありませんでしたし。会話や掛け合いも、杓子定規でお決まりのパターンを機械的に配置したようなもので、正直読んでて白々しいやら薄っぺらいやら、身も入りませんでした。
なにより、個人的な感情だけで国の行く末をぶん回そうという主権者。相手がにくいからせんそうだ。せんそうはわるいことだからやめましょう。仮にも一国の動向が、そんな幼稚な論理で動いてしまうなんて。
ともあれ、全体的に終始微妙でした。残念。
 
10月22日

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10月9日

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10月8日

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10月7日

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10月6日

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10月5日

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10月4日

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10月1日

(角川スニーカー文庫)
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9月25日

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