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新シリーズ

剣と魔法の税金対策 ★★★★   



【剣と魔法の税金対策】  SOW /三弥 カズトモ ガガガ文庫

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勇者と魔王、税金対策のために偽装結婚!?

「我が配下となれば世界の半分をくれてやろう!」「え、マジ! わかった!」
とある“奇妙な法則”が支配する世界。勇者と魔王が手を取り合いかけたとき、現れたのは「贈与税がかかります」絶対なる税金徴収者である天使。
そう、この世界の“奇妙な法則”とは、神への“税金”であった。“世界の半分”という莫大な資産にかかる超高額の贈与税に焦った勇者は税金逃れのために魔王と偽装結婚をする!
そんな二人を助けるのは『ゼイリシ』の少女?
お人好し魔王と銭ゲバ女勇者の財産分与と偽装結婚からはじまる、異世界税制コメディ!

国とか魔王軍が、神様に税金払わないといけないの!? しかも、お金で。
いやそれって国民とかからすると、二重課税って事にならないの!? と、思ってしまったのだけれど、話を読んでいくうちに作中の国家や魔王軍は「国」じゃなくて「企業」と捉えるべきなんだな、と理解した。法人税は!? とも思ったけれど、それはそれでちょっと棚上げしておいて、はい。
細けーところはいいんだよ、てなもんである。
つまるところこれ、税制とは単なる理不尽な富の収奪ではなく、社会が叡智を集めて築き上げた誰もが幸せになるためのシステム。徴収と分配の機構なんだ、ということがわかってくる。
ただし消費税、テメーはダメだ!w 
あと、人類の叡智を結集しすぎていて、常人にはまったく理解できない難物になっているので、素人では対処できません。ちゃんと専門家、税理士に頼りましょう、という話にもなっている。
先日、支配というのは本来「配って支える」ことなんだよー、という言説を目にする機会があって、なるほどなあ、と思った所だったのですが、こうしてみると税制というのもまた、再分配にまつわるものなんですよね。単純に税を集めてそれを徴収した人たちに還元する、というところに留まらず。
税天使による税務調査によって発生した魔王軍の未納の税金の追徴課税を解消するために、納税控除が可能になる項目を、税理士の女の子とともに辿っていくことになるんだけれど、その控除内容って大半が経費計上から福利厚生、超過勤務手当といったもので、言わば税金を経ずに直接企業の財産を還元してるから、わざわざ税金を減る必要ないよね、というものなんですよね。これもまた、分配。
途中から、これ税理士の範疇じゃないよね、という国家規模の財務の話にもなってくるのだけれど、ってかゼイリシのクゥ・ジョちゃん、それ財務大臣のお仕事じゃないですか!? というくらいのすさまじい財政出動をやりはじめるのですけれど、彼女の目的こそは「誰もが幸せになれる状況」の構築だという。あくまで「状況」の構築であって、手ずから幸せを配るわけじゃないのですけれど、ある意味「ゼイセイ」と同じ分配のための状況の構築なんですよね。これもまた、言わば「支配体制」の構築なわけだ。
翻ってみると、銭ゲバ勇者メイが漠然と抱いていた大目標ってのは、最底辺の環境で一方的に搾取されていた幼い頃の自分のような人間を減らすために、富がかつての自分のような者にも行き渡るような再分配を行えるような立場を手に入れたい、というものでした。
そんな彼女にとって、魔王による世界の半分上げるよ、というお誘いはある意味渡りに船だったのでしょう。彼女が世界の半分の「支配」にあれだけ拘って、贈与税をかわすために魔王と偽装結婚してでもしがみついて確保しようとしたのは、まあ一度手に入れたものは離したくない銭ゲバ根性もあったのでしょうけれど、それ以上に彼女メイの最終目標にダイレクトに近づけるのが、世界の半分の支配だったからなのでしょう。
もっとも、その支配のやり方を彼女は何も知らなくて、だからクゥや魔王ブルーと一緒に追徴課税の解消のために駆け回るなかで、税理士クゥが教えてくれる税制の実態を通じて、具体的に富を分配するというのはどういう事なのか、というのを体験していくわけですなあ。

その過程で、一緒に駆け回ることで魔王ブルーと親密になっていき、彼の人となりを隣で実感し、また彼と自分が同じ方向を向いて走っていることがわかってきて、と偽装夫婦が段々と偽装じゃなく成っていくラブコメ成分もまた濃厚で素晴らしかったんですよね。
魔王よりも魔王らしいと魔王から太鼓判を押された苛烈過激なワンオペ勇者メイ。彼女もまた、幸せの再分配の当事者だった、というのもお話の妙でありました。
敵の黒幕達の陰謀を打破するきっかけが、魔王ブルーがお忍びで配り歩いていた「不幸をせき止める幸い」のおかげだったんですよね。これも、魔王の支配、の一つだったと思えば面白く。そのブルーの分配が回り回って、みんなの幸せへと還元されていく。メイも、そのサイクルの中に入っていた一人で、魔王が配った幸いのおかげで志を得て、勇者になって、その結果ブルーの元に幸せを運び一緒に受け取る人になる、というのはなんともこう、微笑ましいというか素敵なお話じゃあないですか。

実際の税制がそんな有徳なシステムになっているかというと、まあそこは人間社会の限界とか不具合とか理不尽が相まって、どうしたって機能不全を起こしていて、不満がたまるものになっているのですけれど。現実は厳しい、辛辣。でも理念、そう理念として税制とは、支配のシステム、幸せの分配機構として在るのだと、それを感じることが出来ただけでも、なんか読んで良かったなー、と思える作品でした。
いやほんとにこの理念的なもの、財務省各位には是非とも身に沁みてほしいなあ。

ツボったのが、勇者専用装備が個人専用のために市場価値がまったくなし、資産価値ゼロ! と評価され、芸術品、歴史的遺物としての価値を問われても、人類共有財産なので、つまり勇者へ貸与、レンタル品だから、税の徴収対象には当たりません! と味方のはずのクゥちゃんに無茶苦茶言われてて、メイがへこむシーンでした。いやこれ、ドラクエなどのRPGで専用装備が店で売れないの、そう理由だったからなのか! と、めっちゃ納得した。そりゃ、リース品だったら売っちゃダメだよね!


おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~ ★★★☆   



【おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~】  榊一郎/ 鶴崎 貴大 講談社ラノベ文庫

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二つある心臓のうちの一つを〈勇者〉に捧げ、人類との講和を求めた女の〈魔王〉が、戦争の継続を望む魔族に殺害されてしまったという話を上司から聞かされたクレトは、魔王復活の任務に就くように命じられる。吹けば飛ぶような木っ端役人に、選択の余地などない。人類と魔族の戦争に終止符を打つためにクレトは〈魔王〉の側近である犬耳しっぽの魔族の少女や、〈魔王〉復活に必要な心臓を持つ人類最強の〈勇者〉たちと共に、魔族領域へと向かうことに。そこで待つトラブルを解決するのは……役人特有の小賢しさ!?『アウトブレイク・カンパニー』の著者と『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のイラストレーターが贈る、新作ファンタジー開幕!!

これホントに、魔王さんなんで死んじゃってるんですか!? て話だなあ。
人魔講和の鍵となる魔王の死によって、講和ムードから一転戦争継続へと世間の空気が変わる中で、一縷の望みを託して魔王復活のために魔族領域に送り込まれることになった小役人クレト。
……こんなショタ坊やにこんな重大事を任せる時点で、もう諦めムードもイイ所なのですが。未だ戦争が続いている中で、魔族領域から魔王を復活させるのを手伝って欲しい、なんて個人で偲んできた魔族なんか信用し難い、というのはよくわかるし、リスクを減らすために損なっても惜しくない人材を派遣するという手段も理解できるのだけれど、そんな中途半端してどうするんだ、とも思うわけで。
クレトは、別に秘めたる実力とか来歴が在るわけではなく、特別優秀というわけでもない孤児上がりの別に将来性もあるわけじゃない非エリート階層。そりゃ捨て駒にして惜しくはないだろうけど。
実際、勇者から魔王復活の鍵となる魔王の心臓の回収からして、そんな期待されてた様子もないんですよね。おそらく、そこで頓挫するんじゃないかとすら思われたんじゃなかろうか。
それがどうしてか、勇者がクレトのその場のノリの誤魔化しに乗ってしまい、一緒に魔族領域まで同行、というよりもクレトの行く所ならどこでもどこまでもついていく、という風になってしまったので勇者という最大戦力が加わるという望外のことがあったわけだけれど。

クレトには志も理念も野心もなにもない。役人になったのも、食いっぱぐれないためだ。孤児として辛酸を嘗めてきた彼にとって、公務員というのはそれこそ望みうる最高の食い扶持だっただろう。
逆に言うと、食い扶持でしかないんですよね。彼は保身的ではあるけれど、役人としてありがちな組織内での立場を守る或いは立身出世を目指した保身とは縁がない。孤児で天涯孤独、というのもある意味しがらみのなさとも言えて、実際この出張任務を任されてから逃亡を幾度も図っている。
小心者で心身ともに身の丈の小さい人間だけれど、だからこそあんまり「小役人」という感じでもないんですよね。
組織内での立場に拘りがないからこそ、そこに足を取られずに自由に振る舞うことが出来、後先をあんまり考えずに現場判断で大胆に行動できるとも言える。
官僚の中にも稀にいるんですよね。破天荒と言っていいくらい、官民巻き込み政財界を引きずり回して大胆不敵に大仕事をやってのけるような特異点が。
彼がその類かというと、小役人ならずとも性格的に小人物であることは間違いないはずなんだけれど……視点もそんなに広く高いわけではなく、目の前に突きつけられる戦争の現実、魔族と人間との解消できない民族対立、貧富の問題や治安や倫理の低下による人心の荒廃、そこから芽生える悪心や俗欲、それによって傷つけられた人々の憎悪の連鎖。
利害と感情の問題が複雑に絡み合って、此処まで来るともう利を説いても人の善心に訴えても紐解けないくらい、社会全体の問題は複雑深化していると言っていいでしょう。
人魔の戦争の終結は、それらを解決するための最初に一歩であり、大前提であると言えます。そのために、魔王を復活させる、というのは目指すべき大目標でしょう。それを達成するためには、結局目の前に立ちふさがるトラブルを一つ一つ片付けていくしかない。
正しい理念や信念、正義の志という大上段から振り下ろす刃では、容易に切り崩せない茨の道です。だからこそ、小役人の出番なのかもしれません。クレトのような子は、結局目の前のことしかわからないから、そこから一歩一歩切り崩していくしかない。組織の人間は、前例やら組織の利益に囚われて目の前の事よりも後ろのこと上のこと先のことに引っ掛けられて、動けなくなる事が多いのだけれど、クレトくんの場合は彼に保身にはそういうの関係ないですし、彼自身の守りは勇者ちゃんが完全に担ってもらえるので、ある意味怖いものなし、とも言えるんですよね。
だからといって、あの発想の自由さ、大胆さ、やれそうだからやってしまおう、というスタンス。現場感覚で目の前の人たちを口車に乗せ、空手形じゃなく実務的にも説得力のある結果を導き出す、という手腕は、ちょっとおかしいくらいなんですけどね。小役人じゃないよなあ、これ。

だいたい、このクレトくんショタすぎでしょう。仮にも役人やってたにしては、ちびっこすぎる。ショタコンが湧くじゃないですか。本人は魔族に忌避感を持たないどころか、ケモミミ尻尾属性というちびっこのくせに業が深すぎるところがあるのですけれど、魔族領から逃れてきた人魔ハーフのミユリからして、かなりヤバいショタ属性の持ち主なので相性は良いのかもしれませんけど。
というか、お互い属性を目の前にすると正気を失うレベル、というのはやはり業が深すぎる。ひとつ間違えるとズブズブになりそう。
そもそも、この魔王復活を目指すパーティー、全然仲間意識ないんですよね。完全に仕事上の付き合い。同行者という以上のものはなく、護衛の騎士さんは任務と割り切って交友深める気ないですし、エルフさんはこれまた講和そのものに対してもやる気なさそう。勇者ちゃんはというと、元が名前も与えられていない幼児の頃から無機質な作業で創り上げられた暗殺者というほかなく……よくこの娘、魔王の説得に聞く耳持ったなあ。
兵器として作られながら、なんだかんだと自分で考える事がこの時から出来ていた、とも言えるのだろうけれど。それでも、クレトにくっついてきたのはいびつな価値観と刷り込みに近いものがあるわけで。
病んでる様子がないのが幸いか。野生動物とロボットの間の子みたいな無感情だけど、これで理性的で理知的な面も見受けられるので、懐いている様子はある意味本当の意味で感情と理性に則ったうえで懐いている感じがするので、信頼できるのではないだろうか。

ともあれ、小役人というには大胆すぎる大仕事をやってのけたクレト。これ、寄り道トラブルと言えるので本道はこれからなんだけれど、巻き込まれ系でありながら最終的に全部手のひらの上で転がしているという軍師タイプの主人公となりそうで、かなり殺伐とした世界観だからこそ映えてきそう。
続くのなら、なかなか先が楽しみなシリーズの始まりでした。


戦姫アリシア物語 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし ★★★★☆  



【戦姫アリシア物語 婚約破棄してきた王太子に渾身の右ストレート叩き込んだ公爵令嬢のはなし】  長門佳祐/葉山えいし アース・スターノベル

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「アリシア・ランズデール! 貴様との婚約を破棄し、反逆罪で……へぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅう!」
王太子に会心の右ストレートを放つとともに国外へ脱出した公爵令嬢アリシア。元帥号をもつ将校かつ、戦の天才でもある彼女を助けたのは、敵国の第一王子で、しかも理由は「嫁にしたいから」だった!?
帝国軍にアリシアを迎えることで、長く続いた王国VS帝国の戦は、最終局面に突入。反逆罪ものの大事件の行く末は? ほのぼの優しくてくすくす笑える、ドタバタ戦乱コメディ。

超大ウケ!!
やばい、なんだこれ、めっちゃ面白かったんですけど!?
あらすじの「ドタバタ戦乱ラブコメ」ってなんだよ? と思う所なんですが、読むとドタバタ戦乱ラブコメなんですよ、確かに。しかも「ほのぼの優しくてくすくす笑える」、てのもその通り。
何しろ、登場人物の殆どがアリシアを筆頭に愉快な愛すべき馬鹿ばっかり。戦記物でシリアスな場面も血腥い場面も確かにあるのだけれど、基本的に敵も味方も憎めないやつらばかりなのである。
優しい世界、なのだ。
王太子をぶん殴る、という言い逃れできない大逆罪をやらかしてしまったアリシア、なのだけれどそれまでずっと王太子からパワハラを受け続けていたのをグッと我慢してきたので、むしろ周りは「よくやった!」と拍手喝采。しかも、アリシアは帝国との戦いでは軍事強国相手に見事に国境を守り続け、北の蛮族の大侵攻には逆に大侵撃をかましてぐうの音も出ないほど叩きのめした大英雄。個人的武勇でも軍略でも天才の名を恣にする軍神である。軍部は東西南北の諸侯軍から本来王族を守るべき近衛軍に至るまで、アリシアの支持者を通り越して信奉者。ちなみに、敵である帝国軍も彼女の熱烈なファンである。筆頭が、会戦にて出会い頭にぶっ殺されかけた経験者の帝国皇太子である。部下たちからは、あれはキモいと称されるほどのもうべた惚れ。ちなみに、お前らも相当にキモい同類だからな、帝国軍諸氏諸君よw
とまれ、アリシアが我慢の限界ぶっちキレてやらかしてしまった殴打事件を引き金に、反アリシア派の王妃派閥が王族権限で近衛軍を動かしてアリシアの捕縛、謀殺に動いたために、アリシアは王都を脱出せざるを得なくなったわけだけれど、もう初っ端からドタバタお祭り騒ぎなんですよね。
アリシアの脱出を支援するのは、アリシアの影響で血の味を覚えてしまった宮廷の淑女軍団。いや、お嬢様方、なんでそんな血に飢えた狼みたいな人種なんですか!? 統制された餓狼の群れのように迫りくる近衛軍(士気どん底)を蹴散らして王宮への逆撃をかまそうとする淑女たち。
淑女とは!? あまりの凶暴さに、アリシアもドン引きである。
というか、アリシアの支持層めちゃくちゃ分厚いのに、何がどうして帝国に亡命するなんて事になってしまったのか、よくわかりませんよ!? 軍部だけでなく、平民宰相のシーモアおじさんも味方サイドですし、何気に王太子エドワードの取り巻きである近衛軍司令官の息子のアランも、宰相の息子のレナードも、幼い頃からのアリシアの馴染みで仲良いんですよね。とどめに、ゲームで言うところのゲームの主人公である所のアンヌもまた、幼馴染の腐れ縁。マブダチと言っていいんじゃないかしら。
ちなみに、アリシアの亡命劇をプロデュースしたのは彼女アンヌである。王妃のアリシア粛清謀殺の動きを察知したアンヌの王国と帝国を巻き込んだ大謀略、というのが真相だ。
おかげで、理は完全にアリシアの側にあると理解し心情的にもアリシア支持なんだけど、エドワードを見捨てられないレナードとアランが、えらい苦労するハメになるんですよね。
国力差から絶対敗北を避けられない帝国との戦争を軟着陸させつつ、王妃派の粛清劇を逆手にとってのアリシアを女王に奉るクーデター、というのが真相というべきなのか、これ。アリシア自身は、帝国に勝てない事を悟りつつうまく双方に被害も遺恨もなるべく少なく負ける事は企図していたものの、自身が登極することはまったく考えていなかったので、誰かの明確な意図あってのことではなかったみたいなんですよね。ただ、王妃が引き金を引いてしまったことで、愛想を尽かした皆が逆の方向に怒涛のように流れ込んで走ってしまったわけだ。
実際、諸侯軍根こそぎアリシアに寝返るし。
そして、亡命してきたアリシアに、帝国皇太子ジークハルト率いる対王国侵攻軍総員大はしゃぎ。君たちちょっと喜びすぎw
この帝国軍の面々がまた面白い連中で、やたらテンション高い愉快な馬鹿たちなんですよね。ジークハルトの事は慕いながらも全く遠慮なく罵倒しますし、からかうし雑に扱いますし、皇太子への不敬罪とかないんですか、ほんと!? 
ノリが体育会系というよりもいつも全力で大騒ぎしている文化系クラブのノリなんですよね。騎士道なんぞくそくらえの歴戦の戦争屋で実に楽しそうに戦争をピクニックする連中であるはずなんだけど、アリシアが帝国軍の指揮も取ると決まったのに反対するどころか大はしゃぎだし、軍議は酔っ払いどもの酒盛りかというくらいテンションあげあげで、アリシアの立てる作戦に大盛りあがりで、挙げ句じゃんけんで配置決めだすのはさすがにヤメレ。これでも世界最強の軍隊である。
これだからこそ、なのかもしれないが。
決戦前のアリシアの演説に、アリシア麾下に入った諸侯軍と一緒に「王国万歳ー!」とテンションマックスになって叫んでる帝国諸卿、控えめにいってもバカばっかりで大好きであるw
もちろん、皇太子のジークハルトもまたそのバカどもの筆頭で、でも同時に何だかんだとカッコいいんですよね。色んな意味で隙だらけではあるんですけれど、周りのバカたちに弄り回され、自由奔放なアリシアに振り回され、でもそれ以上のノリの良さでうまいことウケながら、アリシアラブを貫く姿は気持ち悪いけどイケメンw
アリシアの方も自分のことを大事にしつつアプローチを欠かさない彼のことは満更でもなく、なんだかんだとイチャイチャしてるのが微笑ましいんですよね。いいじゃない、ラブラブカップルじゃない。

これ、書籍版はウェブ版から結構中身変わっていて、アンヌやアラン、レナードと言ったゲームの主人公と取り巻き連中、雑にフェイドアウトしてるんですよね。自分ウェブ版は冒頭あたりだけ読んだのですが、断罪イベントで完全にアリシアの敵に回っていて、物語上からもキレイに排除されてしまっていたのが、アランとレナードは書籍版では王国側の主人公と言っていいくらい頑張って、自体の収拾とソフトランディングに努めていて、大活躍してるんですよね。活躍というよりも、作中でもっとも苦労しているというべきか。アリシアとエドワード、王国の要人としての立場の板挟みに合いながら、筋を通し義理を果たし友情を捨てず誠実であろうとし、道理に合わせようと頑張った、というべきか。もうおバカのノリでイケイケドンドンな連中ばかりの中でほんとようやったよ。王妃派閥の無能無知無見識の暴走を可能な限り抑え込みながら、でしたからね。
彼らのお陰で、王国サイドにも気持ちを割きながら読めましたし。この大幅な改変は実によいものだったんじゃないでしょうか。噛めば噛むほど味のあるキャラがメインに増えて悪いことはないですし。
元凶であるエドワードですら、ある程度汚名返上する機会がありましたしね。これも最後まで見捨てなかったレナードたちの尽力のお陰なのですが。追放後に備えて農業スキルをあげる、という某野猿系悪役令嬢の考えは間違いじゃなかった、と何気にエドワードくん証明しとるがなw
楽しそうに戦争するやつら、というと血と硝煙を背景に血走った目と凄惨な笑みで彩られた戦争狂どもの話になりそうなのだけれど、これは本当にこいつら楽しそうだなー、と思わず微笑ましくなってしまうような、愛すべきバカどもによるドタバタ馬鹿騒ぎ。
ひたすら、愉快痛快、笑ってちょっと胸があったかくなる、なんだかんだとみんなに優しい楽しいお祭りでした。
この調子、このノリで、帝国の学園編、やってくれたら嬉しいです。あー、面白かった。ウケたウケた。

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル ★★★★  



【裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル】  宮澤 伊織/shirakaba ハヤカワ文庫JA

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ネット怪談×異世界探険
「検索してはいけないもの」を探しにいこう。

仁科鳥子と出逢ったのは〈裏側〉で爐△"を目にして死にかけていたときだった――その日を境に、くたびれた女子大生・紙越空魚の人生は一変する。「くねくね」や「八尺様」など実話怪談として語られる危険な存在が出現する、この現実と隣合わせで謎だらけの裏世界。研究とお金稼ぎ、そして大切な人を探すため、鳥子と空魚は非日常へと足を踏み入れる――気鋭のエンタメSF作家が贈る、女子ふたり怪異探検サバイバル!

怖ぇぇぇ! なにこれ、何がピクニックですか! 散歩気分で行くところじゃないでしょうこれ!?
昨今氾濫している「異世界」じゃなくて「裏世界」ってなんだろう、とタイトル見る度に思っていたのですけれど、これは確かにファンタジーとしての異世界じゃないですわ。
オカルトだ、オカルトだよこれは。

確かに行ったきり帰って来られない一方通行の世界と違い、裏世界は条件は色々あるものの、行き来は出来るし、扉となっている場所はどうやらあちこちにあるらしい。
かと言って、気楽にピクニック!とばかりに遊びに行くような場所では断じて無い。そこにうごめいているのは、本物の怪異たち。都市伝説やネット怪談で語られたこの世ならざるものたちだ。
ということは、裏世界ってもうあの世とこの世の狭間というような世界なのか。それにしては世界の有り様は生々しく異質であり頭がおかしくなりそうな狂気がべったりと張り付いたような世界だ。
とても好んで自分から飛び込むような世界ではない。どんな理由があるにしても、だ。
それを、この二人の女性は自らの意思で飛び込んでいく。片や、そこで行方不明になった親友を探すため、片やそんな彼女を見捨てられないために。
それだけ見るなら、真っ当な理由に見えるんですけどね。
怖くても恐ろしくても、大事な人のために勇気を振り絞って、悍ましい異形の世界に挑んでいく。
そう聞くと、まともに聞こえるんですけどね。
果たして、本当に彼女たちは真っ当なのか、まともなのか……正気なのか。まだ人間なのか。
この裏世界を知る人はみんな言うのですよ。その世界に関わっていたら、マトモじゃなくなっていく。段々と、人間を逸脱していってしまう。頭がおかしくなる。
そして二人は、初めて出会ったそのときに、もうベッタリとこの裏世界の洗礼を受けてしまうのである。身体に、痕跡が残ってしまうほどに。
それは、裏世界の要素が身体の中に残ってしまったということ。あの世界と、チャンネルが合わさってしまったということ。
それ以降彼女たち、空魚と鳥子は別に裏世界に行こうとしていない時でもふとした拍子にあちらの世界に迷い込んでしまったり、それどころか現実世界の方にあの世界が侵食してくるような、そんな現象に苛まれることになる。現実世界にいるはずなのに、じわじわと常軌が逸していく感覚。狂気に見ている景色が塗りつぶされ、ぐるりと世界が反転してしまうかのような……。

いや怖いから、これ本当に怖いから。
なんかメインの二人の女性がタフなのか精神的に壊れているのか、わかりやすくキャーキャーと怯えずにビビりながらもずいずいと突き進んでいくタイプなために、無為に登場人物を恐怖のどん底に陥れてパニックを誘発させ、恐ろしさを煽るような描写にはなっていないものの、起こっていることだけ見ててもそれだけで怖いから。
てか、もっと怖がれよ、空魚と鳥子も! こっちが泣きそうだよ!
一見まともに見える二人なんですけど、鳥子は危険を感じる感覚がぶっ壊れているのか、何も考えずに突っ込んでいくし、空魚もこの娘はこの娘で唐突に爆弾持ちだというのを暴露してきやがるんですよ。本人、まったくわかってない、自分がどれほど異常なことを平然と口にしているのか自覚してないのが、もうヤバいのなんのって。あれはゾッとした。それまでは本当に感性に関しては普通に見えていただけに、余計に「静かに狂っている」感が伝わってきて、絶句してしまった。
これ、空魚が鳥子のブレーキ役になっているように見えるけれど、もしかしたら鳥子の方がストッパーというか錨になっているんじゃないの? と思えてくるほどのインパクトだった。
空魚がどうしても鳥子を見捨てられず、突っ走っていってしまう彼女を追いかけ引き止めるのは、鳥子の存在が自分にとって「あっち側」に行ってしまいそうな自分を引き止めてくれる存在になる、と無自覚に察しているからなんじゃないだろうか。
その担保となるのが特別な友情、というある意味人同士の絆、繋がりとしては真っ当以外のナニモノでもないものでもあるのですが。いや、だからこそ、か。

ともあれ、正気と狂気の天秤がジェットコースターにでも搭載されているかのように激しく上下して振り回されるような展開の悍ましさ、気色悪さ、恐ろしさは正直マジ怖いです。
裏世界に行くエレベーター、毎回毎回ある特定階で向こうから走って乗ってこようとする女がいるけど、絶対に乗せてはいけない、とか普通に怖くないですか? ちょっと閉ボタン押し損ねたらタイミング的に乗ってくるんですよ、そいつ!? というか、そうでなくても、毎回閉じていくエレベーターの扉の隙間からこっちに走ってどんどん近づいてくる女の姿が見えるとか、怖すぎてもうそのエレベーター絶対乗れないですって!
なんでこの空魚と鳥子の二人、平然としてんの? 絶対恐怖心とか頭の中ぶっ壊れてるってばww
裏世界の方も、まあ当たり前みたいにデストラップやらどう戦っていいかすらわからない怪異がわんさかといて、普通に人が死にまくります。出入り口が世界中にあるからか、迷い込んでくる人も自分から飛び込んでしまう人もけっこう居るみたいで。
これ、異世界のダンジョンとかだったら、脱出さえすればもう安全なんでしょうけれど、この裏世界の場合、現実に戻れても安心できないというのが冗談じゃねーですよ。

うう、ホラーというほど恐怖を煽る内容じゃないのですけれど、都市伝説もの特有の不気味さというか得体のしれなさ、ヤバいところに手を突っ込んでしまったようなゾワゾワする感覚を味わえてしまう作品でした。

『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。 ★★★☆   



【『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。】  凪木 エコ/白クマシェイク 角川スニーカー文庫

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全てのおっぱいフレンズに捧ぐ――理想のバカップルラブコメ!!

「おっぱい揉みたい!」俺の魂の叫びに答えたのは天使のような女の子、未仔ちゃんだった。
「お、おっぱい揉ませたら、私と付き合ってくれますか……?」
甘々でイチャイチャな理想の毎日。彼女がいるって素晴らしい!

【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。】(富士見ファンタジア文庫)の凪木エコさんによる新作ラブコメディは、バカップルによるバカップルのためのひたすらバカップルするバカップルラブコメディ。
バカップル事始め、である。
自分の虚しい欲望を叫んで発散していたら、「おっぱい揉みたい!」というドン引きの叫びでありながら、むしろそれを取っ掛かりにして突然後輩の女の子に告白され、そのままお付き合いをはじめてしまう主人公夏彦。
いいのか、それで、と思う所だけれど、馬鹿は深く考えない。まあ、相手が妹の友達で以前からの知り合いだった、というのも大きいのだろうけれど、難しく考えないというのは時として大きな武器である。なんでどうして? などと考える前に付き合ってください、とお願いされたんだから、相手可愛いし知り合いだし、彼女欲しかったし、となにか秘められた理由とか妖しい企みがあるんじゃないか、などと考えずに脊髄反射で応えられるのはこの際長所なのでしょう。
まあ普通はイタズラでもなければ、告白に企みなんぞありませんからねー。
実際、変な謀略なんかもなく、普通に好きが高じて未仔も告白してきたのですから、何の問題も障害もなくカップルが成立してしまうのである。
始まったその時からもう既にバカップルである。
いやこの作品ね……起! 承転は飛ばして、結!な気がするんですけど、どうですか?
バカップル誕生! めでたし! 終わり! あとはずっとバカップルがイチャイチャイチャするだけ! みたいな。
いやだって、波乱とか特にないじゃないですか。別に付き合い出したこと秘密にするわけではなく、仲の良い友達にはすぐに伝えますし、未仔ちゃんがクラスまで顔を出しにくることで顔見せもすぐに済みましたし、あとは初めて付き合い出した初々しいカップルが仲睦まじく一つ一つ定番の恋人ムーブを重ねていくばかり。
突然出来た恋人ばかりに構って友達との付き合いが激減して友達との仲が微妙になる、なんてことにもならずにちゃんと友達付き合いの方も蔑ろにせず、かと言って女友達と変にベタベタして折角付き合い出した恋人を不安にさせたり、なんてのも巧いこと回避して。
交際でわからないところがあれば、ちゃんと彼女居る親友に相談して、女の子の事がわからなかったら女友達の琥珀に相談して、未仔ちゃん個人のことについては友達である妹にちゃんと話聞いて……この主人公、アホの子のように見えてなかなか卒なく初交際こなしてるんじゃないのか、侮れないぞ!?
かと言って冷静にクールに女の子に接しているなんてことは一切なく、告白された時から浮かれっぱなしでテンション上がりっぱなし。初めて出来た恋人に夢中で彼女のことで頭がいっぱい、という様子を漲らせているので、同じく浮かれてテンションあがって夢中になってる未仔ちゃんの方とガッチリとギアが噛み合うのである。
なので、ひたすら最初から安定してイチャイチャイチャイチャイチャイチャ。特に問題らしい問題も起こらずに順調にイチャイチャ交際を進めていくのを見守るのみ。いやもうほんとに、イチャイチャしてるのを見てるだけなんですよね。

……いったい、自分は何を見せられているんだろう。

なんだかこう、遠い目になって彼方をぼんやりと見上げていたい透明な気分になっていく、というトラブル……これはトラブルなんだろうか、ともかく色んな意味で悟りを開けそうな作品でした。
冷静に考えると、先輩と一緒の学校に通いたいがためにエスカレーター式だった中学から夏彦と同じ学校を受けて入学してきた、というのはかなり重たい理由で、そういう風に迫られるとプレッシャーも一入だと思うのですけれど、良い意味で馬鹿なのかこの主人公、それを重たいというふうにはまったく感じていないようでしたしねえ。
未仔のお父さんも、随分前に娘には好きな人がいると教えられていたようなのに、いまさらグジグジ言っても仕方ないでしょうにねえ。そりゃ反発もされますよ。いやまあ、未仔ちゃんの方ももう少し隠すかオブラートに包んで伝えてあげないと、お父さんとしてもそこまではっきり言われてしまうと流せない、というのもあったのかもしれませんが。
なにしろ、この娘と来たら父親の前でキスするわ、胸揉ませるわ、主人公とは別の意味でバカですものねえ。だが強い。一途さもここまで振り切っていると強い。下手に反対すると容易に家飛び出して帰ってこない、というのは速攻で証明してしまいましたし。こりゃ、お父さん勝てませんわ。
幸い、交際相手はちゃんと筋通しに来る人間であり、まあ娘を大切することは疑いようがない人物であることは間違いなさそうなので、諦めなさいな。

凪木エコ・作品感想

元世界最強な公務員 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました ★★★★   



【元世界最強な公務員 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました】  すえばし けん/キッカイキ HJ文庫

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隠遁した元勇者がお世話役……!?

久住晴夏はかつて、地球と繋がってしまった異世界を勇者として救った。その闘いの日々に嫌気がさした彼は、地球に戻った後に安定を求め公務員を目指して就職活動を始める。
しかし、異世界に飛ばされたことで職歴も無し、学校も中退の彼が選べる仕事は少なく、その知識を利用して異世界交流課に勤めることに。
その最初の仕事とは、ワケありな三人の新人女子冒険者をサポートすることで――。
隠遁したい元勇者による、現代バトルファンタジー開幕!

ほぼ4年ぶりくらいの、すえばしけんさんの新作だー! あとがきの書き方だと、別名義でなんか書いてたのではないか、という風にも見えるのですけれど。
今どき寄りのタイトルですけれど、ちょっと世知辛いくらい生活感ある登場人物たちの日常風景に、わりと重めの政治的要因が絡んでいたりするあたりは、変わらぬすえばし作品で染み入りますわー。
主人公にしてもヒロインにしても、そして敵役にしても一人ひとりじっくり寄り添ってその心の在り方を浮き彫りにしていく描き方は相変わらずなんですよねえ。そして、自分そんなキャラ描写が好きで好きでたまらなくて、この作者さんのファンであり続けてるわけです。
もう好き。

今回の話の主人公である久住晴夏は、異世界で邪竜を倒した元勇者。普通の異世界召喚ものと違って、異世界と地球が繋がった上に日本の地方都市が崩落のような形で異世界に落ち、凄まじい数の死者行方不明者を出し、異世界に遭難する形で大量の日本人が異世界に放り出された、という大災害になってるんですね。
ハルカは、その災害で家族を失い、紆余曲折あって適合した神具を使って、その災害を引き起こしたという邪竜を倒した人物であり、ノインの名だけが知られる謎の勇者、だったわけです。
本名名乗らなかったのはファインプレイなんだろうなあ。お陰で、再び異世界と日本が繋がってゲートが固定された際に、誰にも気づかれずに日本に戻れたのですから。
下手に有名人、それも戦略兵器に匹敵する勇者としての力を持った個人、となるとまともな人生は送れなくなりますし、個人情報特定された人間がどうなるか、昨今の情報社会では明らかですからねえ。
軽い感じの話だと身分とか英雄勇者だった事実を隠して隠遁するのって、奥ゆかしさとか実力を隠して過ごす俺カッコいい、という感じの代物でしたけれど、重めの話となるとガチのリスク回避だったりするんですよね。そうでなくても、有名税とか力あるものの義務とかで片付けるには面倒どころじゃない事になりますし。自己承認欲求とか英雄願望とか目立ちたい気質がなかったら、持て囃される毎日というのは本気で苦痛でしかないので、正体を隠して生きるというのは結構切実な面も大きいと思うんですよね。これは、物語のタイプにもよるんでしょうけれど。

ただ、本作においては……これらとはまたちょっと理由が違うんですよね。
これが明らかになった時には、ちと絶句してしまいました。ハルカが元勇者という正体を隠し、さっさと日本に逃げ帰ってしまったのも、これは無理からぬ事ではなかったでしょうか。彼本人が語る内容から推察するしかないですけど、当時は精神的にもほんとにギリギリ一杯だったんじゃないでしょうか。
というか、神具に適合して以降、よく持ったなあ、と。この事実をよく受け止められたなあ、と。いや、今も受け止めきれていないのかもしれませんが。
邪竜討伐の旅、あんまり仲間が居た様子もありませんし、実質妹の玖音との一人旅だったんじゃないでしょうか。ほんとにメンタルよく持ったなあ、と繰り返しになりますけど。
彼当人の責任なんて一切ないはずなのに、彼はすべての責任を背負って生きていく羽目になったのですから。

でも、彼が世界を救ったのは、事実だったんだなあ。ハルカはそのことに何の意味も価値も見出していなかったわけだけれど、三人の新人冒険者との交流が彼に違う見地を与えてくれたということなのか。

バイト生活に汲々としていたハルカが、募集を見つけて応募したのは公務員と言っても市役所の非常勤職員。それも、異世界との交流プログラムで市に常駐することになった新人の冒険者三人の案内役で、まったく戦闘とかとは関係ないお世話係みたいなものでした。
その新人たち。エウフェミア、リュリ、マリナの三人は、多少経験のあるリュリを除いて、冒険者になりたて。実力を見込まれて送り込まれてきたのではなく、あくまで市の交流事業のシンボル的な扱いだったのですけれど、それぞれ邪竜との戦争の様々な形の被害者でもあったわけです。
あの戦争で人生に大きな影響を受け、戦争が終わった世界でそれまでと違った生き方を得ようと、このプログラムに応募してきた子たち。それぞれ志があったり、家族の生活のためだったり、平和になったが故に放逐された身の上だったり、と事情は様々だったのですけどね。
最初はそれぞれが抱えている事情なんかわからないので、第一印象から深くまで踏み込まない段階でのコミュニケーションから受けるそれぞれのイメージなのですが、これが付き合えば付き合うほど目まぐるしく印象が変わっていくんですよね。
人となり、というのは絶対にシンプルでは収まらない。若くとも十数年の歩んできた人生に基づく、様々な側面がヒトには根付いている、というのがなんとなく伝わってくるんですよね。覗けば覗くほど、色んな顔が見えてくる。こういう幾層も重ねたようなキャラクター付けと、それを一枚一枚広げて様々な方向からヒカリを当てて見え方を変えていく、キャラの掘り下げ方はこの作者であるすえばしさんらしさが色濃く出ていて、なんとなく染み入ってしまいました。
それに、三人が影響を与え合うことで三人娘たちは新しく違う自分を見つけたり身につけたりしていくわけです。刻々と成長もしていくわけだ。
特に顕著なのが、対邪竜の兵器として扱われてきたが故に、戦闘狂という側面ばかりが磨き上げられ、それ以外の情緒がまったく育っていなかったエウフェミアでした。
いや、ここまでガチの戦闘狂って珍しいくらい、強さ以外に何の価値観も持っていないエゲツない子で、それを温厚でぽやぽやしたキャラクターでキレイに覆い隠していた、色んな意味でヤバい子だったのですが、この子が他の弱っちくて何の関心も持っていなかったはずのリュリとの衝突から、自分の中に芽生えた経験のない感情に戸惑い、そこから手繰り寄せて一つ一つ階段を登っていく様子は感慨深いものがありました。

そんな三人娘の現状というのは、ハルカが邪竜を倒して世界を救ったことによって発生したものであるんですね。邪竜を倒した後すぐにとっとと異世界から帰ってきてしまったハルカにとって、邪竜を倒すことというのが清算であり、証明に過ぎずにその後のことなんて何の意味も見出していなかった彼にとって、彼女たちはある意味自分が成したことの結果そのものだったわけです。
自分がやったことの影響を、彼はこの仕事を通じてはじめて目の当たりにして実感することになったのでした。勇者なんて、自分で名乗ったわけではなく、すべてが終わったあとで誰かが勝手につけた称号。世界を救った自分は、しかし誰も救ってくれなかった。
でも、自分が救った世界で救われた人がいる。救ったはずの世界で苦しんでいる人たちがいる。自分が成した事を仰ぎ見て、それを追いかけている人がいる。その先を、未来を自分の力で掴み取ろうとしている人がいる。
その事実は、誰も救ってくれなかった勇者の心を、確かに救ってくれた。

後始末で戦後処理が多く絡むお話でしたけれど、それ以上に終わった後にしっかりと前に進めるようになる、未来に向けた話だったんだなあ、と。それを、戦って勝ち取るのではなく、隣人となった異世界の人たちとの交流で、寄り添うことで紡いでいく。育てていく。
そんな噛みしめれば噛みしめるほど味わい深さが滲み出してくる、そんな逸品でありました。
堪能した!!

しかし、あのリュリの意識高い系キャラは面白かったなあ。何気に現代地球の科学技術への理解や習得も柔軟で早いし、意識高いが故に自分にも他人にも厳しくてほかを置いてけぼりにしそう、に見えて急き立てながらも他の二人とちゃんと歩調をあわせる機微もありますし、キャラがわかってくればわかるほど頼もしく思えてくる良いキャラでした。
エウフェミアの方はもうすげえ、としか言いようがないヤバい子でしたけれど。いや、あのぶっ壊れ方はほんと凄いよなあ。なまじ、傍目にはまともに見える分、余計に。インパクト大でした。


すえばしけん・作品

古き掟の魔法騎士 1 ★★★  



【古き掟の魔法騎士 1】  羊太郎/遠坂 あさぎ 富士見ファンタジア文庫

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「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」羊太郎、新シリーズ!

「お前の王道を見せてみろ」――伝説時代最強の騎士と謳われると同時、野蛮人の異名を持つシド=ブリーツェ。キャルバニアの若き“王子”によって復活を遂げた男は、魔法騎士学校の教官として、新たな生を決意する。

いやいやいや、全然野蛮人じゃないじゃん! せいぜい、物腰がワイルドで口ぶりがぞんざいというくらいで、いわゆる粗でも野でももちろん卑でもない。ぶっちゃけ、イラストがもっと見た目蛮族なおっさんだったら、野蛮人呼ばわりも仕方ないかなと思わないでもないけれど、細マッチョの爽やか黒髪イケメンですし。
まああくまで野蛮人というのは、伝説で伝わる異名ですので現在に蘇った彼を見て評された呼称ではないのですけれど、それにしてもむしろ性格も全然野蛮っぽくないんだよなあ。
堅苦しい所がなく自由人っぽいのは宮仕えしてる騎士には確かに見えないのだけれど、怒鳴ったり威圧したりせず、常に落ち着いた言葉で語りかけてくる当たり温厚そうにすら見えますし、いつも騎士たる者云々と騎士格言を口癖みたいに口ずさんでいるあたり、ちょっと騎士好きすぎるだろうというくらい騎士然としてるんですよね。
その騎士格言も、武や強さ云々に関わるものではなくて精神性、心構え、騎士としての在り方を語るもので、騎士道の探求者であり体現者であることを常に志しているような高潔さが見え隠れするんですよね。
旧主から頼まれて仮の主君となったアルヴィスへの対応も、これまた非常に柔らかい。
あくまで主君に頼まれたから守るのであって、忠誠を誓っているわけではない、と前置きしておきながらも、アルヴィスを試すような真似をしたり旧主と悪い意味で比べたりせずお前なんぞ主人とは認められんなあ、と突っかかったりせず、ほんとに仮ですか? と言いたくなるくらい親身に接してくれるのである。いい加減な対応は絶対にしないんですよね。
紳士的ですらある。
いやほんとに、どこに野蛮人要素が?

なぜ彼が伝説で悪名を謳われるようになったのか、忠誠を誓いながらなぜ主君アルスルに討たれる事になったのか。今なお結ばれるアルスルとの約束とは。など、彼の過去にまつわる謎、秘密に関しては今回では語られることはなかったのですけれど、いやほんとになんでこの人が野蛮人なんだ?

ちょっと面白いのは、千年近く前の伝説の騎士が蘇った、という突拍子もない話がわりと普通に受け入れられてしまっている所なんですよね。
シドの正体を隠すことなく、むしろ喧伝する形でアルヴィスが王家に伝わる秘術でシドを復活させ、騎士に列っした、と公に明らかにしているのである。それを、誰も嘘だと思わず疑わずに、シドに対する感情はともかくとして、彼が本当にシドであることについては誰も文句は言っていないのである。
千年も前の騎士が蘇る、そんな出来事が普通に受けいれられてしまう土壌が、この世界観にはあるわけだ。妖精がその身を変えて形作ってくれた妖精剣を騎士たちが身につけ、魔法が存在し、古き盟約が今も息づき、亜人や巨人、半妖精が人間と別け隔てなくヒトとして生きている世界。この世界は神話・伝説とまだ地続きの神秘が当たり前のように残っている世界に見えます。
未だ神代に片足を突っ込んでいる時代。そんな中では古き騎士の復活というのは滅多とない奇跡でありつつもあり得ないと疑うほどの出来事ではないのでしょう。
大概の異世界ファンタジー世界は、神話時代が遠くに去ってしまった時代なことが多いので、こういう時代感はちょっと新鮮でふわふわした感触がしていいなあ。

物語は、アルヴィスが男装の姫ながら弱き民を守る王としての資質を見せ、シドから真の忠誠を得るまで。シドが真の騎士としての在り方を、未熟で落ちこぼれの従騎士たちに示し、彼らに騎士として教官としての真の尊敬を得るまで、のお話。なんですけど。
アルヴィスについては最初から覚悟決まっていて、常に自分らしくあるままで、それをシドもわりと最初から好ましく見ていたので、彼らが真の主従となるのはわりと順当な流れだったんですよね。
むしろ、自分こそがアルヴィスの騎士であるとシドに反発し、しかし自分の未熟さを痛感して挫折しかけ、それでもシドに叱咤されて立ち上がる、というアルヴィスの幼馴染であるテンコの方が紆余曲折たどってるんですよねえ。
他の従騎士仲間たちのメンツは、まだちょい役すぎて名前もキャラクター性もあんまり覚えられず。この段階で、この中からあれを出してしまったのはちょっと早計だったんじゃないだろうか。まあ紛れ込んでいたという形である以上、長く居着いているとすぐバレてしまう、というのはあったのでしょうけれど、ほぼ衝撃としてはなかったわけで。もっと、長く親しく付き合ってたら、衝撃度も高まっていたのでしょうが。
しかし、この王国、王家にろくに権威も戦力もなく、戦力的にも政治的にも三公爵家が牛耳ってるのって、しかもどの公爵家も自家の利益しか考えておらずに王家にとって変わる気満々で、王国全体のこと全く考えてない、って現在魔国とほぼ戦争状態にも関わらずこれは亡国一直線すぎるでしょう。
王家の影響力を拝して国政を牛耳ろうとするにしても、あまりにも雑な力押しすぎて、ただの無能じゃないのか、こいつら。権謀術数の欠片もないじゃないか。
おかげで、アルヴィスが頑張ればそれだけで王家の権威と発言力がある程度以上取り戻せてしまったのですが。

結局、向こうの黒幕の思惑もまだ全然見えてこず、何人かの敵サイドの人間の動きを見せている分相手がどういう体制をとっているのか、よくわかんないんですよね。アルスルとシドの過去もまだ不明のままだし、取り敢えずは主人公サイドのメインの顔見せと立ち位置の構築、が主だった一巻だったと見るべきでしょうか。


〆切前には百合が捗る ★★★☆   



【〆切前には百合が捗る】  平坂読/ U35 GA文庫

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美人小説家と家出少女の日常系百合ラブコメ!

「〆切直前に遊ぶゲームって、なんでこんなに楽しいのかしら……」
家出少女の白川愛結は、従姉妹の白川京の紹介で、人気作家、海老ヒカリの世話係&監視役のバイトをすることになる。
原稿をサボってゲームをしたり釣りや旅行に出かけるヒカリに翻弄されながらも、そんな日常に幸せを感じる愛結。
一方ヒカリも、突然始まった愛結との同居生活の中で、これまで感じたことのない気持ちが芽生えるのだった。
社会から排斥された少女と、容姿才能家柄すべてに恵まれながらも自堕落に生きる小説家、二人の関係の行き着く先は……?
"普通"に生きにくいすべての人に贈る、珠玉の日常系ガールズラブコメディ、誕生。

家出娘というから、もっと不良じみた理由とか自由を求めて家を飛び出してきて、なんやかんやと作家先生の家に上がり込んで、そのフリーダムさで引っ掻き回して引きこもりの固定されがちだった作家生活を破壊して、という想像を勝手にしていたのだけれど、白川愛結が家出するに至った理由が本気で深刻だった! 
いや、これは家出と言っていいのか? 現代では家出としか言いようがないのかもしれないけれど、出奔とか絶縁に等しいものですよ。もう家に戻るという選択肢がない、実家や故郷と縁を切るに等しい二度と戻れない家出じゃないですか。
友人や家族との関係が破綻するに至った理由こそが、愛結のセクシャルマイノリティ、自分がレズビアンである事の告白でした。どれほど口で理解を示していても、それも所詮他人事だからこそ。自分の寛容さを表現するためにあれこれと理解あるような事を宣う人は多いですけれど、いざ自分が当事者になると関係者になると途端に嫌悪と拒絶を示す人の何と多いことか。あくまで少数であるだけで正常の一つであり当たり前の一つである事を理解しようとしない人は決して珍しくない。
そもそも考え方自体が古臭い家族にも自分を全否定され、強固な偏見に居場所を失って家を故郷を飛び出さざるを得なかった愛結が頼ったのは、東京で働く従姉の白川京でした。
って、京!? 【妹さえいればいい】のメインキャラクターの一人だった白川京!? しまった、妹さえの方、あと数冊のところで積んじゃってた。あれからどうなってるんだ!? 幸い京が正式にライトノベルの編集者になっている事以外はあちらの作品については特に関係ある話は入ってこないので、あっちをさっぱり読んでいなくても途中で読むの止まっていても問題なさそうなんですけどね。
そう言えば、作家先生の海老ヒカリこと海老原優佳理は【妹さえ】の終盤に出てきた新人賞受賞作家たちの、その次の世代、次の新人賞の大賞受賞者で尊敬する作家がカニらしいのですけどね。エビのくせにカニを尊敬しているのか。
ともあれ京は自分を頼ってきた従妹を、担当作家の一人でありまともな生活を遅れていないヒカリのもとに住み込みバイトとして送り込む。わりと思いつきみたいに決めちゃったように見えるけれど、前作から京を知っている身からすると、かなり深刻な事情を抱えている風情の親戚の子を考えなしに他人に預けてしまうような女性ではないと知っているだけに、いやそれどころか非常に面倒見が良い上に人間関係にも敏い人で海老ヒカリのみならず、社会不適合者も含む変人クリエイターと何人も深い交流をして信頼関係を築いてきた人物だけに、愛結をヒカリの元に送り込んだのも何らかの考え、或いはそうした方がいいという感覚があったのでは、と思えるんですよね。これは前作を知っているがゆえのキャラに対する信頼なのでしょうけれど。
さても、そうやって生活サポート、家政婦めいた仕事を振るという名目でヒカリのマンションに住み込むことになった愛結。東京に来た際に勢いで派手な服装や髪型を決めた愛結ですけれど、本来は古風な家柄故に礼儀作用や花嫁修業として家事一切を厳しく仕込まれている少女であり、どちらかというと固い真面目寄りの娘であり、だからこそ自分の性向についても深く悩んでしまった所もあるのでしょうが。
ともあれ、最初に想像していたようなフリーダムさで相手を振り回すのは、飛び込んできた家出少女の方ではなく、むしろ飛び込まれた作家先生の方だったのです。
そうですよね、平坂先生の描く作家なんてどいつもこいつも、アレですもんね!
自由人、或いは自堕落民なヒカリ先生に振り回され、からかわれしながらも、その実家で鍛え上げられた家事能力と生来の几帳面さ、ひたむきさで一生懸命ヒカリに奉仕するなかで、美しくも優しく、自分を東京という知らない世界に、都会に、大人の世界に連れ出してくれるヒカリ先生にどんどんと惹かれていく愛結。
一方の優佳理の方も、いつも可愛らしい反応を見せてくれて無垢に自分に懐いてくれる愛結に、今まで知らなかった感情が芽生えてくるのを自覚し始める。
優佳理の方が抱えている闇もこれ、相当なものが伺えるんですよね。複雑な家庭環境ながら、過剰なほどの愛情を注がれて育ってきた優佳理。その家族からの愛情を疎んでいるわけではないのだろうけれど、どうにも彼女は他人からの干渉を鬱陶しいと思っているようで究極的に他人を必要としていない人のようなんですね。
それどころか、他人から求められる事を拒否しているような向きも伺える。新人作家の時代に、相当なことがあったようなのだが。
だからなのか、衣食住に満たされた彼女は本質的に何も欲していない。誰にも何も求めていないし、逆に自分を重く見られる事も何かを背負わされる事も嫌っている。作家としての活動も、どこか本来海老ヒカリという作家が必然的に書かざるを得ない方向性をあえて無視して逆方向に進んでいるように見える。
白川京は、そのへんどう考えているのだろう。愛結を送り込んだのも何かを期待しての事なんだろうか。ヒカリ先生の内側を垣間見ると、この人に担当編集として信頼されるのってかなりの難事であったことが想像できるんですよね。京が担当する前に、海老ヒカリという作家としてズタズタになる何かがあったと思しきことが伺えますし。
遠慮なくズケズケとヒカリ先生に言いたいことを言ってガンガン背中蹴っ飛ばして急き立てているように見える京ですけれど、まだ本当の意味では踏み込まずにじっくりと様子を伺っている段階なのではないかしら、今のこれ。編集者として、海老ヒカリに賭けているという凄みすら見える白川京の姿からみると、今の海老ヒカリはどうにも全力ではないように見えるだけに。
踏み込んでいない、という意味では愛結もまた海老ヒカリの最奥には足を踏み入れていないと言える。まだ愛結は海老ヒカリという外側しか見ていない、見せてもらっていない、というべきか。
最初の分岐点に気づいて、愛結との決別を怖れて愛結の内側に踏み込んだのは海老原優佳理の方でしたが、いざ二人の関係がより深いものに変化した以上、愛結もまた海老原優香理の闇に触れざるを得なくなってくる。
本番は、これからなのだろう。
わざとかき分けているのか、愛結視点のパートだと作家先生はヒカリと呼称されているのだけれど、作家先生視点の方だと自分のことは優香理と表記されてるんですよね。一人称ではなく三人称の作品なので、地の文での事なのだけれど、この書き分けを明確にしているのはちゃんとした意味が込められているんでしょうね。
果たして、この地の文の書き分け部分が変化する時が訪れるのでしょうか。いずれにしても、二人の百合生活の本番はこれがスタート。自堕落が、堕落しきった生活!にならなければ良いのですがw

グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む ★★★★   



【グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む】  佐伯 庸介/花ヶ田 電撃文庫

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図書委員の仕事は……迷宮探索!? 異能の力を秘めた魔書を見つけ出せ!

国内有数の蔵書数を誇る宇伊豆学園の図書館には、広大かつ深遠な《地下迷宮》が存在した。
高等部に所属する図書委員の守砂尊は、ある日、立入禁止の《閉架書庫》に足を踏み入れ、この図書館に隠された真実を知る。――地下に収められた奇書や希覯本、異能の力を秘めた魔書を手に入れるため、図書委員たちが果てなき迷宮探索に挑み続けていることを――。
秘密を知った守砂は、他の図書委員とチームを組んで、妖魔が跋扈する迷宮で未知の蔵書を探す《地下レファレンス》をすることに。しかし、それは楽しくも波乱に満ちた日々の幕開けで……!?

なんかフブルさん居るんですけどー!? 佐伯先生の現在進行中のもう一つのシリーズ【昔勇者で今は骨】のかつての勇者パーティーメンバーで大魔導師にして宰相のザ・ロリババアなフブルさんが、しれっとこっちでも司書先生してるんですけど。しかも既婚で子持ちとな!? 情報量が、情報量が多い!
一瞬、昔勇者の方と一緒の世界観なのか、と疑ってしまったがこっちはあくまで現代ベースの世界観で魔法関連も基本的に一般的に存在も知られてないようなので、あくまでスターシステムと思われるのだけれど、フブル先生の場合平行世界に並列的に存在していても不思議ではないのでなあ。

ともあれ、世間一般には魔法だのダンジョンだのは周知されていない現代。そんな中で、宇伊豆学園の図書館地下には地下迷宮が存在し、学園の図書委員達は日々未発見の蔵書を探すためにパーティーを組んでこの書庫ダンジョンへと潜っているのだという。
なにしろ、学園の名前からして「宇伊豆学園」……「ういず学園」と読むそうで。ういず、ういず、ウイズ、ウィズ……Wiz……「Wiz学園」!!
ちなみに、本家ウィザードリィと違ってロストが存在しない親切設計。ロストの代わりに迷宮に潜るための魔書との適合が不可能になるという、迷宮探索から永久に弾かれることになるというリスクはあるものの、実際に死ぬことに比べたら随分と軽いリスクだ。
それに、迷宮に潜れる期間も十代で魔書との適合率が落ちてしまうとのことで、実質探索に費やせる時間は学園に通っている間だけ、なんですね。
そして、この迷宮が存在することで人類に危機が訪れる、なんて事も今の所確認されておらず、迷宮探索に対して切羽詰まった切迫的な事情は存在していないのである。
なので、図書委員達の大半はこの迷宮の図書探索を部活かバイト感覚で行っているのだ。死亡後数日、迷宮に死体を置き去りにされたままだと資格を失ってしまうが、この切迫感のなさ故に殆どが自己責任で処理されてしまっている。死体をわざわざ持ち帰ってくれるのは自分のパーティのみであり、他のパーティーとの協力関係なんぞ殆どありえない。ましてや、わざわざ他のパーティーの遭難を救援して、死亡者が居た場合は連れて帰る、なんて慈善事業は皆無に等しかったわけだ。
もし、このダンジョンに人類の存亡の危機が備わっていたり、それでなくても本当に死んでしまったり取り返しのつかない後遺症が残ってしまう、という危険が存在するならば救援に関するシステムは早晩構築されていただろう。それがなければ、迷宮探索事業そのものが立ち行かなくなる可能性が高いからだ。
しかし、この書庫迷宮ではあったら助かるけれど、決して必要不可欠なものではないからこそ、依頼があれば他のパーティーの遭難を助けて回る、なんて事をするやつも考えるやつもいなかったわけだ。
彼にとっては、必要でないのにやる、という事が重要だったようだ。

主人公、守砂尊は元探検家である。そして、事故によって激しい運動が不可能になり二度と秘境や高山などの難所に挑むことのできなくなった、夢の果てた残骸であった。
そんな身体機能を損なった彼でも、全盛期以上の動きが魔書との適合によって叶うようになり、彼はもう一度二度と見ることの出来ない景色を夢を見るだけの可能性を得ることができたのだ
探検家としての夢をもう一度。

なんて、単純な夢の再生話、とはいかなかったんですけどね。主に、尊という主人公の在り方において。
探検家生命を失った遭難事故は、守砂尊の生き方や価値観を根底からぶっ壊したと言えるのでしょう。彼は、その探検家人生においてまったく価値を感じていなかったものに、その生命を繋ぎ止められ助けられた。それはこれまでの彼の在り方を根っこから破壊してしまうものであり、たとえ身体能力が戻ったとしてももう二度と同じ在り方には戻れなかったんですよね。
まあ、それがわかってくるのはだいぶ後半なのだけれど。尊という人物の内面は最初から多く語られているのだけれど、さらにその奥からチラチラと垣間見える獰猛な唸り声ややけどしそうな吹き上がる火の粉は、彼が決して一筋縄ではいかない人間であることを示していたのですが、同時に容易にその本性を覗かせることがなかったんですよね。
彼の口からこぼれる言葉や態度は偽りではなく本物であると同時に、語られない側面を抱えているように見えたのです。真っ当なことを言っているけれどそれは本心からのものなんだろうけれど、でもそれは善意とか正義感に基づくものじゃない、という感覚が。
やがて、尊の昔の野心や欲望剥き出しの在り方と、遭難事故の際に何があったのかが語られたわけですが。
それで反省したとか心を入れ替えた、とかじゃないよなあ、こいつ。というのはもう明らかだったんですよね。単純に、ごくごくシンプルに、感化されたんじゃないかと。あれを、やってみたい、と思うようになったんじゃないかと。方向性が変わっただけで、あの自分の衝動や欲望に対して貪欲で傲慢で素直で一途なところは何も変わっていないんじゃないかと。
いや、事が終わったあとにエピローグでフブル先生たちが思いっきり直接的に尊の本質について言及して暴いてくれて、その辺明言してくれていたのですけどね。
ただ、全く彼が遭難前と何も変わっていないのか、というとそうではないと思うんですよね。
新しい嗜好の方向性が、人を助け送り届ける、という所にある以上はかつてのように傲岸不遜に振る舞うことは害悪にしかならず、あらゆる手段を使って目的を達して楽しみを得る、衝動を発散し、欲望を満たす、という彼の在り方からしてもわざわざ悪手を取らずに、社交性を保ち人当たりを良くして、というのはまあやって然るべき外見の繕いだと思うんですよね。交渉を優位に進めるにあたっても、コミュニケーション能力は高く維持しなくてはならないし、他人との関係は良好にしておくにこしたことはない。
ただ、利害関係だけで人間関係を捉えているのかというと、かつて人を人とも思わなかった尊とは、そこんところが決定的に変わっている、と思うんですよね。
周りとの交渉でも、うまいこと利益誘導してWin−Winの関係を作り出す巧みに人の間を泳いでいる彼だけど、ミカ姉とあの後輩二人、エスキュナと大国だけは尊に対して利益度外視なんですよ。自分に何のメリットもないのに、何の利益ももたらさないどころか彼らにとっては苦労ばかり背負うような提案を、彼らは何の存念もなく快く承知してくれるのである。尊の方も、彼らに対しては変に利益を与えようとせずに率直に頼ってるんですよね。その代わり、彼らに対しては自分の出来る限りをしようとしている。慕い慕われ、信頼しあう関係。自分さえ良ければそれで良かった過去とは、決定的に違う他人との関わり合い方。その中でも利益の介在しない関係であるミカ姉と後輩二人とのそれは特別に見えるんですよね。同じパーティーメンバーでも津久澄先輩についてはちょっと微妙に違う感じなんですけどね。この人は、実利じゃないんだけど尊に色々と求めててきっちりそれを回収してますし。趣味とか嗜好を満たす意味で。まあ信頼に関してはこの人に対してこそ尊は絶大なものを寄せているようにも見えますけど。
いずれにしても、今の彼にはちゃんと「仲間」がいるわけだ。生命を預け信頼を寄せて、命運を託せる人たちが。そういう人たちを大切に思えるようになった。確かに彼の本質は変わらなかったのかもしれないけれど、人生観は変わったんでしょうなあ。

ところで、今回の登場人物たち。主人公の守砂尊がスサノヲ、のようにキャラの名前って日本神話モチーフ、なのかな? 津久澄先輩はツクヨミ? 大国はオオクニヌシ、他にもアメノウズメとか迦具土とか。ミカ姉は武御雷か天津甕星かしら。そんな中でエスキュナだけわかんなかったんですよね。この娘外国人なんで、日本神話関係ないという場合も。なんて思いながら今、ウィキペディアをつらつらと見てたんですが、当てはまりそうなのスクナビコナかしら。大国主の相棒的なポディションだし、外国人説がある神様だし性格的にイタズラっ子みたいだし。ちょっとすっきりした。

しかし、本作ってメインヒロインって一応ミカ姉っぽいんですけど、表紙は尊のパーティー限定なのがちょっとめずらしい。あの集合写真的な表紙絵好きなんですけどねー。エスキュナーは後輩に徹しているので、あんまりヒロインという感じではないですし。だいたいミカ姉はもう愛が深すぎて、ライバルキャラなんぞ出たら即座に切り捨てそうなんですが。実際、ちょっと魅了の魔術かけただけのモンスターまであばずれ呼ばわりでズンバラリン、でしたしw
これ割って入るの、命がけだぞー。

佐伯庸介・作品感想

七人の魔剣姫とゼロの騎士団 ★★★☆   



【七人の魔剣姫とゼロの騎士団】 川田 両悟/GreeN MF文庫J

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七人の魔剣姫が支配する学園に風穴を開ける男―魔剣の学園ファンタジー!

七人の魔剣姫が支配するキールモール魔術学園に突如現れた、赤毛の少年ナハト。「この学園にあるんだろ『七つの魔剣』が。そいつを全部いただきに来た」転入早々に学園中を敵に回した不敵な少年の狙いは、全ての魔剣を手に入れ、伝説の騎士団を蘇らせること。当然、同級生のシャーロットやアリアをはじめ魔剣姫たちが彼を黙って見逃すはずがなく――「なんつーか。あんた、すごい美人だな」「ちょ、ちょっとジロジロ見ないでよ。金とるわよ」ナハトの持つ伝説級の魔具、飛島を巡る騎士団、大陸中を跋扈する魔物の脅威――巨大な学園を巻き込み、少年と七人の魔剣姫達の戦いが始まる!

あれ? この表紙の女の子、メインヒロインじゃないの!? てっきり、このツインテールの娘アリアがメインヒロインなんだなー、と思って読み始めたら……違うよ!? もっとガッツリとメインヒロインの娘がいるよ!? 
そのメインとなるシャーロットは、一国の姫ながら国元が飛島探索の盛大な失敗によって破綻したため生活にも汲々としている貧乏姫。本来魔剣姫というのは自前の船と騎士団を揃えて飛島の探索を行うことが半ば義務付けられているのに、貧乏が故に、金がないが故に、実力はあるのにそれを発揮できる場を持てないお姫様。おかげで、金金金と金を稼ぐのが最優先のなかなか世知辛い学園生活を送っている。
個人的にはもっとがめつい守銭奴か金の亡者でも良かったと思うのだけれど、あくまで騎士団の創設や船を購入するためにお金を欲しているという目的がはっきりしているので、実は目的関係なしにお金も好き、というキャラクターではなかったんですよね。
シャーロットの初動の動機、同じボッチのナハトとある意味対等の立場で勝負をしなければならないポディションのために、貧乏という属性がついていたようものなので、船が手に入ったりと金銭面で追い詰められなくなると、金無し貧乏という属性が薄れてしまったのはちともったいなかったような気がする。
まあ金はなくても貧乏でも、気概と矜持は一級品というもともと非常に男前の気合の入ったお姫様なので、守銭奴という要素は不純物だったのかもしれないのですが、苦労してるなあというある種のクレバーさが備わっているのが伝わってくるので無意味ではなかったか。
対する主人公の方はというと、これがまた珍しいくらいアクの強い主人公。昨今ではむしろライバルキャラ向けのキャラクターなんじゃないだろうか。どこか大型の猫科肉食獣を彷彿とさせる落ち着きと猛々しさを兼ね備えたような立ち居振る舞いなんですよね。
堂々と、7人の魔剣姫を下して学園を統一するという野望を公言しながら、脳筋とは程遠い強かな立ち回りを見せつつ、食いつくときは躊躇なし。一方で愛嬌もあって、相手のプライドや信念を擽るような強者は強者を知る、とでも言うような所もあり、結構女殺しな言動もあり、と強烈なカリスマを感じさせる主人公なんですよね。
珍しいくらい、パワフルなタイプの主人公だなあ。
ヒロインである魔剣姫たちも、それぞれ一国を代表する姫君であると同時に、自ら騎士団を率いる指揮官でもあり、とみんな強固な意思と指針を備えた気の強い娘さんたちばかりなものだから、同じく色んな意味で存在感の強烈なナハトとはどうやったって衝突することになる。
まあナハト、ガンガン行く一方でわりと柔軟に突っかかってこられてもからかって絡め取ったり、と硬軟自在の対応が出来るタイプなので、変にいがみ合うことは少ないのだけれど、いい意味でバシバシと言葉でも行動でも丁々発止が繰り広げられるんですよね。それが対立でも協働でも、衝突でも一致団結してでの進撃でも、仲良くイチャつくみたいになるシーンでも、なんかこう話のテンポにしても流れにしてもパワフルな感触がするんですよね。
冒険を主体とするお話なんだから、それくらい人間関係でも話の展開でも力強くなければ、ドキドキしないじゃないですか。パワフルであればあるほど、ワクワクしてくるじゃないですか。
自分の我を通し、夢を貫くために譲れぬものを賭けてぶつかり合い、そうやってぶつかって衝突して仲間を集めていき、空を駆けるための船を手に入れ、魔物がひしめく秘境の地を探検するため、自分たちだけの騎士団を結成する。学園モノである以上に、冒険を志す若者たちの無鉄砲で夢にあふれる躍動は、やっぱり見ていてワクワクさせてくれるものでした。

スタートダッシュとしては充分な力強さを見せてくれた、期待を大いに持たせてくれるシリーズ開幕でありました。続き、楽しみ♪

ヒロインの方はシャーロットがもう文句なしにナハトの相棒感を出していて、表紙を飾ったアリアの方は二番手から羨ましそうに臍を噛むポディションになってしまっていますけど、デレを堂々と押し出せるようになったらこの手の娘は侮れないぞお。


生活魔術師達、ダンジョンに挑む ★★★★   



【生活魔術師達、ダンジョンに挑む】 丘野境界/東西 宝島社

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エムロード王立魔術学院は戦闘魔術科、召喚術科、精霊術科、錬金術科、呪術科、心霊術科、生活魔術科などといった科によって、将来王宮や軍、院などに進む人材を育成する学校だ。そんな学院で一番人気の戦闘魔術科の圧力によって、生活魔術科は今年の予算をたったワンコインにされてしまう。真っ当に活動するための予算を手に入れるため、今まで学院内で行ってきた活動を止め、金策に走ることにした生活魔術科の生徒達。続々と勤め先が決まっていく中、ケニー、ソーコ、リオンの三人は手っ取り早く大きな稼ぎを得るべく、危険の溢れるダンジョンに挑む!ケニー達がバカにされてきた生活魔術を使って大きな成果をあげる一方で、生活魔術師達に去られた学院では様々な支障が出始めていて…。学園サクセスファンタジー、ここに開幕!

これ、まんま生活魔術科って学園のインフラ担ってるじゃないですか。魔術学院という社会を支える基盤。これが止まると、何もかもが動かなくなる。
生活家電が全部止まってしまうと思いなセエ。
収納スペースが全部なくなると思いなせえ。
必需品の供給が停止し、必要なものが必要な時に必要な場所に来なくなる。自給自足じゃないけれど、何から何まで自前でしなきゃいけなくなる。
学校なんかで、本来やるべき学術研究や訓練に費やすべき時間を庶務・雑務・事務・生活行動エトセトラエトセトラに費やさなければならなくなる。甚大なコストの増大であり、プロフェッショナルでありスペシャリストであったインフラの担い手を欠いた以上、どれほど尽力しても作業効率精度は旧来のものから遠くなる。
必要必需は普遍になるほど目立たなくなり、存在感は希薄化していく。あって当たり前のものを人はありがたがらないけれど、あって当たり前なものほど無くなると困るどころじゃなく機能不全に陥ることを、人間どうしても認識できないんだよなあ。
しかもこれ、生活魔術科の学院内での活動って義務でも責任を課せられた業務でもなく、研究成果の確認と実践を兼ねたボランティアっぽいんですよね。食堂なんかはちゃんと利益あげてるみたいだけど。そりゃ、予算削られたら活動自体を停止しないと損するばかりだし、犠牲を払って奉仕する義務なんかどこにもない。
これまでだってずっとやってたんだから、これからもやりなさいよ。それが当たり前だったんだから、続けるのが当たり前でしょう。やらないとみんなが困るんだからやらない方が悪いじゃないか。金は払わないけど。報酬は出さないけど。
こういう考え方、多かれ少なかれ根付いちゃってるんですよね、世間様には。人間、当たり前にあるものに、金やコストをかけることを無駄遣いだと考えるところがあるし、コストは削れば削るほどよいことだと思ってる。それでサービスの質が低下するのを当然とはまったく思わないのだ。理不尽だと考えるし、努力が足りないと罵倒する。邪悪であり陰謀だとすら考えるのだ。

いやこれ、なかなか皮肉っぽいテーマが根底にありますよね。
いわゆる「ざまぁ」が今回にあるお話ですけれど、その対象である戦闘魔術科の指導教官や考えなしにエリート風吹かせている学生たちは特別な存在じゃなく、回り回って軽薄な世間そのものの映し鏡みたいなものなのでしょう。
大きな声を張り上げればその意見が通り、見栄えのよい成果ばかりが持ち上げられる。
地味な基本や基礎は疎かにされ、取り扱いばかりが難しいハイエンドばかりが取り上げられ、それを使えることがトロフィーになる。使えたからなんやねん。それをどう使うのか、どう活かすのか、どう還元していくのかも、研究開発のうちでしょう。
生活魔術科というのは、誰でも使える生活に根ざした魔術を覚えるカルチャースクールみたいな学科などではなく、むしろ最先端技術を普遍的に使えるものに手順や効率、コストを簡略化したり、限定的だった使用目的を異なる発想で多方面に広げて新たな使用法を開発したり、とある意味時代の最先端を突っ走っている学科でもあるんですよね。
基礎部分の蓄積が半端ないものだから、あらゆる分野に対する深い学識やノウハウが集積されている。一時的に転科してきた他学科の学生たちが、カー先生の指導でこれまで伸び悩んでいた部分を克服したり、自分の本来得意としていたものを認識できたりしたのは、基礎研究のたゆまぬ推進によってそれだけ各分野の大元となる部分への理解が日々深まっているから、なんでしょう。
即座に実績になったり実益が出る研究だけじゃなく、基礎研究は大事よ、というお話でもあるのか。

ただ、メインの主人公となる生活魔術科の生徒たち。ソーコ、ケニー、リオンの三人はというと、明らかに生活魔術云々のレベルを逸脱した独自の魔術を扱っていて、これ生活魔術の範疇に入るんだろうか。入れていいんだろうか。
とはいえ、能力が突出しているのみならず、頭の回転は早く権威に屈っさず、相手が教師だろうとえらいさんだろうと、鋭い舌鋒と正論と皮肉を武器に正面からぶっ飛ばし、同時に巧妙な交渉と根回しで実益を掻っ攫う強かな一面も兼ね備え、と痛快な面々でもあるんですよね。
リオンがパーティーの良心を担っているおかげで、アクの強いソーコとケニーとバランスも取れていて、強権的で厭味ったらしい教師や学園の風潮に対して、ビシッバシっと良い一撃を食らわしてやる展開でもやりすぎずいい意味で皮肉と愛嬌があって、気持ちのよい痛快さを感じさせてくれる作品でありました。
かーなり面白かったので、以降の続刊も一気に買い揃えてしまいました。買っちった!
なので、ぼちぼち読んでいくつもりです。

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 1 ★★★☆   



【ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~ 1】 ハム男/藻 アース・スターノベル

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「何々……終わらないゲームにあなたを招待します、だって」
ヌルゲー嫌いの廃ゲーマー、健一が偶然たどり着いた謎のネットゲーム。
難易度設定画面で迷わず最高難易度「ヘルモード」を選んだら――異世界の農奴として転生してしまった!
農奴の少年、「アレン」へと転生した健一は、攻略本のない異世界で、最強への道を手探りで歩み始める――


難易度ヘルモード、と言っても同じヘルでも種類というか方向性が色々とあると思うんですよね。たとえばシューティングゲームとクトゥルフ系TRPGとでは同じヘルモードでもその意味は異なっているでしょう。RPGでもゲームのシステムの難易度がヘルなのと、ストーリーの難易度がヘルなのとでは全然意味合いが異なってくる。
本作は、というと所謂ゲームシステムの難易度がヘルモードって奴のようでした。人生ヘルモードじゃなくてよかったね! 人生がヘルモードだと、環境そのものが地獄であり主人公の人間性や正気度をゴリゴリと削っていくようなイベントが目白押し。家族は悲惨な死を迎え、幼馴染は惨たらしく殺されて、親友には裏切られて、みたいな展開が生きている上で引っ切り無しに続いたら、廃ゲーマーとか意味ないですもんねえ。
アレンに転生した主人公に課せられたのは、リスクとしてはノーマルモードよりも百倍経験値を必要とするスキル上昇率であり、メリットとしては限界無しの再現の無さ。というわけで、他人よりも何倍も、どころか百倍以上努力しないとマトモに成長できないという縛りを追う事になる。
普通にやってたら、周りの人よりも完全に能力的に劣ってしまってただ生きていくのもハードになる、という意味では確かに難易度高いのだろうけど、元来やりこみ系なだけあってあれこれと手探りで検証をしながらも、ガンガンと経験値を溜めていくアレン。
これ、自分の経験値を溜めていけるのもそれだけある程度生活に余裕があるからなんですよね。身分としては最底辺の農奴という立ち位置なんだけれど、この世界の農奴って確かに権利に制限はあるもののわりと融通きいてるんですよね。パパさんがかなりデキる人で、狩りなどで小作農以外のところで食い扶持をしっかり稼いでいる、というのもあるんですけれど、それでも平民や騎士階級からも虐げられているというわけではなく、農奴もそれなりに権利が与えられている環境はかなり過ごしやすいものがあったんじゃないだろうか。
最初の職業選択での話を聞いていると、上級職については下層身分から主に発言するように設定されているようで、過去にも何人もの剣聖や賢者といった超一流の人材が定期的に下層から排出されているようなので、この世界では農奴や平民でもある程度の地位が保証されているのかもしれない。

何にせよ、主人公は幼さも相まってかなり自由に時間を使える環境にあったと言える。生きるだけで精一杯の環境なら、まず日々生きることを、明日まで生き残ることを優先にして毎日を過ごさないといけなかっただろうし、両親や近隣の大人たちの理解もあったということだ。廃ゲーマーが廃ゲーマーらしく、時間を消費できていた、と言えるのかも知れない。
しかしそれは同時にモラトリアムでもあったのだろう。神様がゲーム運営そのままな活動をしていて、環境設定している世界だけれども、決してゲームの世界ではなくここは人が生きているリアルの世界であり、主人公もまたこの世界で生きる一人の人間だった。決して、アバターでもなければプレイヤーでもない。
その事実をアレンが突きつけられるのは、保護者であり庇護者であった父ロダンが狩りの際に大怪我をして働き手としての力をしばし失ってしまった時だろう。幸い、ロダンたちの親友でもある幼馴染の両親など村の大人たちの援助もあったものの、家族の危機にアレンは強烈に自覚を促されることになる。自分が、父の代わりに家族を守り支えなければ!!
このときに、彼は確かにこの世界に生きる人間として覚醒したのだろう。ヘルモードのゲームを攻略していくための日々ではない、この世界の人間として、この愛する家族の長男として、この世界で生きていくために。家族を守るために、幼馴染の両親たち優しい村人たちの差し伸べてくれた手に応えるため。
スキルを鍛え、強くなる。それ自体が目的だったのが、この時から強くなるのもスキルを鍛えるのも、家族を支えていくために必要な成長、と認識が変わったのだ。まあもちろん、ゲーマー気質は変わらないので趣味的な好奇心とやりこみ癖は全然衰えなかったのだけれど。
それでも、生活に必要なスキルの成長にリソースを分けるようになったし、この時を境にアレンは一気に大人びていくのである。
異世界に来た後世界をゲーム的に捉えて自分を成長されていく作品は数多あるけれど、やっぱりただただ自分本位に強くなっていくものよりも、異世界に転移して、転生して出会った新しい家族をちゃんと愛して慈しんで一緒に笑って喜んで泣いて怒って、と感情を心を分かち合うお話の方が好きなんですよね。家族は、大事にして欲しい。成長も、一人で強くなるよりもそれを喜んでくれる人、褒めてくれる人、一緒に頑張ってくれる人が居てこそ、嬉しいものじゃないですか。
本作はその辺、両親含めて周りの人たちも気持ちの良い人たちで、このちょっと変な子供であるアレンの事も本当に愛して大切にしてくれる人たちなので、家族の為にと奮起するアレンの姿は嬉しかったですし、幼い弟や幼馴染の妹なんかを優しく見守る様子はやっぱり良かったです。

さて、家族の為に頑張りすぎてある意味やりたい放題やってしまったために、領主様に目をかけられて、ひたすら地道にやりこみしてりゃいい環境から飛び出すはめになったアレン。でもまあ、いいじゃないですか。小さな村の農奴として移動もできず同じ視界の中で日々を過ごすのも、ひとつの幸せであり、やりこみし続けることのできる環境ってのは幸せなのかもしれませんけれど、広い世界に出て同じスキル上げでも違うアプローチを見つけることができるかもしれない、という可能性を広げられるというのは、それはそれでゲーマー冥利に尽きるじゃないですか。
というわけで、次回から辺境領主の姫様の従僕編のはじまりである。将来、剣聖な幼馴染との学園生活フラグが立っているだけに、相当の長丁場が目算として立てられてるんだろうか。わりと一巻ごとにサクサクっと進みそうな気もするけれど。

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1 ★★★☆   



【月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 1】 黄波戸井ショウリ/アサヒナヒカゲ オーバーラップ文庫

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社畜の松友裕二(まつともゆうじ)が残業から帰ると、隣に住むOLの早乙女ミオ(さおとめみお)が家の鍵をなくして立ち尽くしていた。雨でずぶ濡れのミオが不憫になった松友はベランダからミオの家に入り、玄関を開けて言う――「おかえりなさい。今日は大変でしたね」
そんな何気ない「おかえり」が心に刺さったミオに、松友は衝撃の提案を受ける。
「私の月収は五十万です。月に三十万円であなたを雇います」
実は生活力ゼロで極度の人間不信だったミオと、彼女の身の回りの世話をする仕事を引き受けた松友。ゆっくりと距離を縮めていく二人の間にあるのは単なる雇用関係かそれとも――。孤独なお隣さんとのアットホームラブコメディ。

お隣さん、ミオさん本気でいっぱいいっぱいだったんだにゃー。
生き甲斐がないどころか、もう精神的に死にかけてたんじゃないだろうか、これ。30万で裕二を雇うというのも、金持ちの道楽なんかじゃなくて溺れる者は藁をも掴むという方が相応しい縋りなんですよね。
本気で、ただ家で待っていてくれて「おかえり」と言って欲しい、それだけだったんじゃないだろうか。それ以外何も望んでいなかった、というより望む余裕もなかったように見える。
幸いというかなんというか、裕二は家事も一通り出来るしこれ以上無く気配りできる面倒見の良い男だっただけに家政夫的な事もするようになったのだけれど、ミオさんが求めたのは「癒やし」だったんだよなあ。
もっとも、当初ミオさんが求めた「癒やし」と裕二と過ごすようになってから日々が過ぎてから裕二から与えられるようになった「癒やし」とは違ったもののようにも見えるけれど。
さて、裕二が得た仕事というのは結局具体的にはなんなんでしょうね。
ヒモ? 家政夫? 疑似家族? 
どれも少しずつ違うような気がする。或いはそれらすべてをまぜこぜにしたものか。
ストレスを負えば負うほど家の中では精神年齢が退行してしまうミオさん。辣腕のキャリアウーマンとの生活ってどんなものになるのか、と思ったら家での彼女は舌っ足らずな幼女みたいな感じになってしまっていて、裕二は甲斐甲斐しくそんな彼女をお世話するという、良い年した大人同士じゃなくてベビーシッターな裕二である。この男も嫌な顔一つせず、若干壊れてると言っても良い彼女の世話をまめまめしくこなすんですよね。そこまで付き合わなくても、と思うくらい。
仕事に対して真面目、というのもあるんでしょうけれど、さて彼自身はどこまでこれを仕事と捉えているのか。ビジネスライクに割り切っているようには全然見えない。むしろ、彼女への親愛がこれだけ彼に甲斐甲斐しさをもたらしているようにも見える。恋とかじゃあないんだよなあ。もちろん、女性として魅力は感じているけれど、普段の幼児退行の相手をしていることもあってか保護者のような微笑ましく見守る、守ってあげたいという感覚が強いようにも見える。
それに、本当に楽しいのだろう。彼女の面倒をみることにやりがいを感じているのだろう。
そんな彼の気持ちは、ミオにも伝わっているはずである。それでも、雇用関係に拘ってしまうのがミオが患っている宿痾なのだ。
彼女の人間不信は、相手への不信というよりも自己不信の方が近しいように思う。相手に信じてもらうに足る人間だと自分を思えないのだ。何かあったら相手じゃなく自分が悪いと思ってしまうのだ。そんな在り方がどんどんと彼女自身を追い込んでいき、彼女を孤独にし、寂しさに打ち震える日々を招いてしまったのだろう。
どれほど相手が良い信頼に足る人物だとわかっていても、そんな立派でイイ人に相手される人間じゃないのだと自分のことを思い込んでいるミオにとって、金銭による契約関係というのはあくまで賃金に寄って結ばれた関係だからこそ、自分という人間性を担保にせずに済む。だからこそ、雇用関係にこだわり続けるし、デートにも出張費や休日出勤手当てをあててしまう。
いやそこまでせんでも、と誰もが思うのだろうけど、彼女にとってそれが拠り所なのだ。
裕二が偉いのは、そのへんごちゃごちゃ言わず、お金なんて要らないなんて御高説をたれず、彼女の怖れを尊重したところなんでしょうね。彼女のよすがを、自分の価値観で破壊して押し付けようとせず、一方的に否定してしまわず。大切に守り続けた。
でも、何もせず従順に従っているのではなく、ちゃんとそんな彼女の怖れやトラウマを解消するために手を回し、動いているのだ。こっそりと、雇用関係を逸脱しながら。こういうのが、気の利いたイイ男って奴なのでしょう。
幾ら大金を払っても続けていきたい大切な時間。ミオにとって、裕二が待っていてくれる生活というものはどんどん掛け替えのないものになっていく。いつしか、彼の存在はいっときの慰めや癒やしでは収まらないものになっていく。
そうなった時、彼との間を繋いでいた雇用関係という間柄は、逆に行き詰まりになると思うんですよね。より踏み込んだ関係になるためには、お金を払って一緒に居てもらうという繋がりがむしろ障害になってしまう。裕二の方はそのへん最初から気にしていないので、あまり問題にならないと思うのですが、ミオの方こそが自分から望んだ関係だけに、拘った関係性だけに、そして彼女自身の対人能力の不器用を通り越したポンコツなところをみると盛大に迷走しそう。
まあ、今の所は現状でこの上なく幸せに至っているだけに、しばらくこの状態を維持することになるのだろうけど。

大人の女性の幼児化というのは絵面としては若干キツイものがあるのかもしれないけれど、字面だとあの理屈じゃないフリーダムっぷりと大人としての体裁を持たぬが故の甘えっぷりが、裕二の甲斐甲斐しいお世話も相まって大変可愛らしかったです。外ではカッコいいくらいの女性に、これだけ無防備に甘えられたら男の方もなんかこう、くるものがありますよね、うん。確かに、楽しいでしょうw

お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について ★★★☆  



【お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について】 桜木桜/clear 角川スニーカー文庫

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嘘の婚約から始まる同級生の美少女とのピュアラブコメディ、開幕。
お見合い話を持ってくる祖父に「金髪碧眼色白美少女なら考える」と、無理難題な条件をつきつけた高校生・高瀬川由弦。数日後、お見合い会場にいたのは同級生の雪城愛理沙!? 由弦が予想外の事態に戸惑っていると、愛理沙から養父の強引な勧めでお見合いを受けていると聞かされ、お互い婚約を望んでいないことに気づく。共通の話題から少し距離が縮まったと感じた由弦と愛理沙は、面倒なお見合い話を避けるため偽りの『婚約』をすることに。二人は嘘を貫き通すため、由弦の家でご飯食べたり一緒に勉強するなど同じ時間を過ごすのだが、同時に愛理沙の由弦に対する気持ちや態度に変化が表れはじめ……。

さらっとなんか「男女とも15歳から結婚可能」と法律が変わってるんですが、一体何があった!?
現状、15歳で結婚する子たちが増えてるなんて話もなく、作中でも結婚なんて早くても大学出てから、という話になっているので流石によほど特殊なケースに限られているようだけれど。
それでも、実際に高校生から結婚できるという状況は子供たちにも結婚というものに現実感を与える要素になっているのかもしれない。さらに、大人達にも子供たちの将来に思う所が出来るきっかけになっているのかもしれない。
お見合いなんて話が持ち上がるのも、決して関係ないとは言えないだろう。まあ、一般家庭で今どきお見合いなんてものを家族親族が主導して推し進める、なんて事はないだろうから、いわゆる血筋や家同士の繋がりを重視する上流階級だからこその話なのだろう。
ちなみに、本作の主だった登場人物は主人公・ヒロイン・親友たち含めて全員上流階級である。なんだそれ、少女漫画か!? と思うところだけれど、あそこまで浮世離れしていない分、旧家で財力があり権威がある家柄、というのがこの場合えらい生々しく感じられるんですよね。
当人達に、あんまり金持ちとか他者に影響力がある家の子であるという自尊心みたいなものがなく普通の学生として過ごしている一方で、ちゃんと自分の家が特殊であるという自覚は持っていて、自然と高い意識は持っている、みたいな所なんぞは地に足のついた感じがして現実的なんですよねえ。
主人公もそういう家の子なので、自分にお見合いの話が持ちかけられる立場にあるという事自体は受け入れているんですよね。その上で嫌がっているのですが、一般家庭の子がいきなりお見合いなんて話持って来られて意味分からんと嫌がるのとは意味合いが違っていると言うかなんというか。
いざというときはちゃんと覚悟がある、とでも言うのだろうか。
だからか、家庭の事情もあって愛理沙から偽装でいいので婚約という形を結んでは貰えないか、と頼まれたときも由弦は決して軽薄に後のことを考えずに受けたわけじゃなくて、彼女の事を慮った上での配慮という形で偽装婚約を受けいれているんですね。ここのどっしりと落ち着いた対応は、性格的に大人びているというのとはまた少し違う、しっかりと教育されている感があってこういう所に彼の上流階級の人間という香りを感じるんですよねえ。

ともあれ、偽装だろうとなんだろうと、実質的にはお見合いしてそのまま交際をはじめたのと全く同じ形である。
当初は二人共お互いに、いい人だけど別に恋しているわけじゃない、と考えてるんですが。
いや、当たり前じゃないそれ? 
お見合いして交際をはじめる、って一目惚れではなかったらまず付き合ってみてそこでお互いに相手を知っていくという行程の途中であって、本当にお見合いして交際はじめた人もいきなり恋なんかしてないですよ。当初から、相手の良い所を見つけて一緒に過ごしていて普通に楽しかったり、となっている時点で普通にお見合いしていてもこれ以上無いくらい順調な滑り出し、くらいの塩梅ですよ。
両家とも、強引に結ばせようとしているわけでもなく、ダメだったらダメで構わない、というくらいの姿勢で良心的ですし。
ぶっちゃけ、由弦にも愛理沙にも敢えてこの婚約を破談で終わらせる理由ってないんですよね。お見合いに気乗りしなかったのも別に特別な理由があったわけではなく、押し付けられる事への面倒さというのが大半だったわけですし。愛理沙の方は家庭の事情が複雑で、彼女の立場上何度か行われていたお見合いを断り続けていて、これ以上断り続けることが難しくなっていた、というのがあったわけですけれど、由弦とのそれは文句なしに良縁だったのですから。
まあ愛理沙の方はむしろ由弦に惹かれていくほど、引け目を感じていってしまいそうな傾向がありますが。
この娘、愛理沙って何気に面倒くさそうな面がありそうなんですよねえ。両親がいなくて、伯父の家に引き取られている関係もあって肩身の狭い思いをしているようなのですが、義母に相当嫌われて虐げられている事もあってかなりメンタル追い込まれているようで。余裕が全然ないなかで鬱屈溜まっていてそれを吐き出せないままどんどんと溜め込んでしまっているようなんですよね。
結構愚痴や不満を内心でグツグツ煮込んでいるような所もあって、言いたいことを相手に言えない子なのかと思ったら、由弦には結構本音や我儘をぶつけることが増えているのを見ると、なんだろうわりと相手を見て態度を変えてしまうタイプでもあるんじゃないだろうか。
それだけ、由弦に心をひらいているから、とも取れるし、頭ごなしに一方的に言ってくる相手には何も言えずに怯えてしまうタイプなのかもしれない。
ただ……わりとあの伯母さんと似てる所もあるんじゃ、と感じる所もあるんですよね。ただイイ子ではないんだろうな、と。
でも、現時点で愛理沙は別に嫌な人間的な言動をしたことはないですし、そういう子とは思わないのですが。でも、面倒なところはありそうだよ、という事で。まあ由弦の方がそういう面も加味して受け入れそうな器の持ち主っぽいので……いや、そういう所が余計に愛理沙に引け目感じさせそうでもあるんだよなあ。同時に、そういう所にこそ惹かれているんだろうけど。
ともあれ、ずっと縮こまって生きてきたせいか、些細なことでも敏感に恐れを感じてしまい大仰に構えてしまう所があるこの娘の心を、由弦がどれほど解きほぐしていけるか、という所でしょうね。そして由弦が落ち着いて紳士的で気が回る分、強引に自分の欲望や望みを相手にぶつけることをしたがらない事が予想できるだけに、この婚約を本物にしたいと思った時に彼がどんなふうに行動できるのか。待つのではなく、自分から行動して愛理沙を頷かせるような振る舞いに打って出るのか。そのあたり、興味をそそられる所なんですよね。愛理沙の方は、自分から望むことを戒めそうな立ち位置でありますし。

しかし、親友にして幼馴染の宗一郎の方がまた、同じ幼馴染二人に好かれていつも三人一緒にいる、とかこっちもラブコメの主人公みたいな事してるんですが、二股も法律的にありな世界なんですか、ここ!?


桜木桜・作品感想

剣とティアラとハイヒール〜公爵令嬢には英雄の魂が宿る〜 ★★★☆   



【剣とティアラとハイヒール〜公爵令嬢には英雄の魂が宿る〜】 三上テンセイ/希望 つばめ 富士見ファンタジア文庫

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魔物と争い続ける王国の英雄・オルトゥス(♂)は、生涯をかけ国を守る約束を果たせず戦死した。
――はずが目を覚ますと、公爵令嬢・セレティナ(♀)へ転生していた!
可愛らしい美少女でも変わらず、今世も国を護る騎士になろうと決意する。
しかし、病弱な身体な上に、過酷な淑女の宿命も立ちはだかる。
恐ろしい鬼母のマナー教育、したくもない男との結婚と難題ばかりで騎士への道は遠ざかっていく……。
その折、王城へ向かう道中、魔物の襲撃で誰も知らない彼女の真の力が明らかになる!
魔族を一刀両断する強さ、社交界でも踊りぬく可憐さで
人々を瞬く間に魅了する新ヒロイン誕生――?
見た目は可憐、中身は大胆不敵!
病弱令嬢の騎士道ヒロイック・ファンタジー開幕!


TS転生モノ。それも異世界じゃなくて、同じ世界に生まれ変わる形なので年代ギャップはあるものの、前世からの知り合いが沢山いる、という形になる。
TS転生(男→女)の難しい所は前世は男であったにも関わらず生まれ変わったら女だった、という肉体と魂の性差によって生じるブレをどう表現するか、という所にあると思うんですよね。
肉体こそ女であるものの意識としては男としての意識が非常に高いパターンから、肉体の方に魂の方が馴染んでいって女性としての自認が高まっていくパターンまで色々あると思うのです。この濃度に関しては個々人の好みにもよるのでしょう。なかにはTSしてる意味あるの?というものもあるし、やけに男を忌避してしまってラブコメ要素を自ら消し去ってしまっているものもあるので、塩梅にも難しいものがあるのでしょう。
個人的には女に染まってしまうパターンが好きです、はい!

本作はというと、前世の記憶が戻った当初は英雄オルトゥスの意識が強いものの、段々とセレティナとしての自分に馴染んでいっていて、オルトゥスとしての記憶や志ははっきりと残ってはいるものの、今世で家族となったアルデライト公爵家の人たちへと注ぐ愛情は、娘セレティナとしてのものであるようなんですよね。
幼い頃から厳しく母メリアに躾けられた淑女教育のおかげで、所作振る舞いは完全完璧に意識せずとも貴族令嬢のものとなっていますし、感情の高ぶり方や窮地に立っての勇ましさも、男の英雄としての雄々しさではなく、女性としての凛々しい麗しさ、といった風情なのでもうその在り方はほぼ女性に寄っていると見ていいのでしょう。何より物腰や思考の柔和さが、多少お転婆な所も含めて完全に少女のものなんですよね。
正しく、生まれ変わった別人であると言っていいのかも。
ただ、その国王陛下への強烈な忠誠心であり、王室への敬愛も変わらず、オルトゥス時代の知人友人への意識や捉え方は前世から変わっていないので、年上の人たちに幼い少女らしからぬ目線となっているのがまた妙に面白いんですよね。それも男目線じゃなくて、女性的な感覚になっている所なんぞが特に。オルトゥス時代にはまだ生まれるか生まれていないかくらいだった王子たちへの目線は、どこか親友の子供を見るかのようなものなんですが、王子からすると年上のように感じつつそれは雄々しき英雄からの如きものじゃなくて、母親のような慈母のごとき包容力を感じているわけで、その辺りからもオルトゥスではなく女性であるセレティナの方が本質になっている感じがあるんですよね。
さながら別人でもあり同一人物でもある。この融合の塩梅がなかなか絶妙な具合なんですよ。

また転生ものは、新たな家族を得る物語でもあります。本作においては当初は公爵家の家族たちは騎士を目指すセレティナの障害となる存在のように見えていました。厳しく貴族令嬢としてのマナー教育を躾けてくる母は、女性は女性らしくという凝り固まった思想にしがみつく旧来の貴族の夫人の典型のようでしたし、父である公爵や兄もまさに貴族らしい貴族、という感じに見えていたんですね。
しかし、それはセレティナが騎士になるという、守旧貴族の価値観からすれば異端とも異常とも言える夢を、本心を打ち明けたその時から一変する。
今まで教え込んできた貴族令嬢としての常識、淑女としてのマナー、女としての在り方を蹴り飛ばすようなセレティナの夢に激怒して、初めて反抗するセレティナに思わず手を上げてしまう母メリア。
でもそれは、型にはまった公爵家という枠組みの中に自らをはめ込んでいた彼らを、アルデライト家という家族に戻すきっかけになる一発でもあったんですね。
今まで人形のように母の指導に言いなりに従ってきた妹の初めての反抗に感心して、妹の勇気に寄り添って彼女を外の世界に連れ出した兄に、娘を叩いた手のひらの痛みに今まで自分がどれだけ頑なになっていたかに気づき、自分の原点を思い出した母メリア。
セレティナとなって生まれてはじめて剣を握って命のやり取りをすることになる事件を通じて、彼らは心から通じ合った、お互いへの愛情を十全に感じて信じられる家族となるのである。
オルトゥスの時代、孤児であった彼は王への敬愛や戦友たちとの友情こそ交わしたものの、家族の愛情だけは縁がなかったんですね。それを、今世では初めて無償の愛というものを両親や兄から与えられ、また自らも惜しみなく家族へ愛を捧げることの出来ることの幸せを知るのである。
かつて、国王陛下への強烈な忠誠心と、ともに戦う戦友たちとの共感が英雄オルトゥスの強さの源だったとしたら、今世のセレティナはそこに愛すべき人守るべき人のために戦う、というさらに強力な動機、戦う理由、命を懸けて全身全霊を振り絞るに十分な原動力を手に入れたと言えるのでしょう。
肉体的には非力な少女となり、その上生来の病弱さでどう鍛えても体力がつかないという前世と比べれば大きすぎるハンデを背負ったセレティナですけれど、ある意味彼女は前世よりもさらに強くなるファクターを手にしたのではないでしょうか。
愛する人達のために戦う時、人はもっとも強くなれる。
ありきたりだけれど、決して色褪せることのない強さの源だ。セレティナの戦う姿には、儚い姿で血に塗れながら凄絶に舞う美しさと同時に、気圧されるような迫力が感じられる。全身に漲る強い意志には、それに足る戦う理由が乗っている。これぞ、オルトゥスのときとはまた違う、新たな英雄像であるのでしょう。やっぱり、背負うもの強く希うものがあるほど、盛り上がるんですよね。
まあオルトゥスの時代も、彼が狂信的なほど忠誠を誓っていた国王陛下が、それに相応しいこの人のためなら死ねる! という人物だったんで、それはそれでオルトゥスが気合い入りまくってるのも当然だったんですけどね。啓蒙君主的な人であり、情に厚く孤児だったオルトゥスに身分に寄らず手を差し伸べ、彼の成長を見守り続けた王様なんですよね。激烈に支持を受ける層と、激烈に反発する層を生みそうな人物でもあるのですが、カリスマであることは疑いようがないよなあ。政治家として甘い所もありそうなんですけど。でも、王妃を失いながら子供たちを実に真っ当に育て上げたのを見ると人の親としても立派この上ない人ですし。
セレティナが、王様好きすぎて後添えになります、とか言い出さないか心配になるくらいなんだが。
王子たちや姫のことも、同世代というよりもどこか親世代な目線で見てる所あるし。

作中、一番度肝を抜かれたのはやっぱりメリア母様でしょう。いや、事情がわかれば彼女がどうしてあれだけ峻厳に子供たちに貴族教育を施していたのか大いに理解できるのですが、その来歴が明らかにされたときはまじかー!となりましたよ、うん。
まさか、この人が作中でも屈指の存在感を示すキャラになるとは、予想もしていなかった。でも、このお母様がセレティナに注ぐ愛情の強さ、深さがこれでもかと伝わってきて、うん終わってみれば本当に好きなキャラになっていました。
パパである公爵も娘のことを溺愛してるんですけれど、それだけではなくて嫡男であるお兄ちゃんののシーンがあれ、好きなんですよね。父と息子の交流であり、輝く妹姫のかげに隠れがちだけれどしっかりと次期公爵として努力し、同時に妹の事も兄として守っている息子をしっかりと認めて可愛がる、父親の鑑みたいなやり取りで。一方的にセレティナが愛されるだけの関係じゃなくて家族四人が深い絆と愛情で結ばれているのがわかるシーンでもあったんですよねえ。

黒幕である魔女と、オルトゥスの関係がまだ明らかになっていなかったり、裏で何が動き出しているのかまだまだ不鮮明だったりと、話はまだはじまったばかりの感はありますが、それだけにこれからどんどんとスケール大きな話になっていきそうで、実に楽しみです。
てか、ヒロインはエリアノール姫とウェリアス王子二人なのかこれ。なんぞ、兄妹でヒロイン競争はじめそう。実は魔女が真打ちっぽいけれど。

好きで鈍器は持ちません! ~鍛冶と建築を極めた少女は、デカいハンマーで成り上がる~ ★★★   



【好きで鈍器は持ちません! ~鍛冶と建築を極めた少女は、デカいハンマーで成り上がる~】 山田 どんき/希望 つばめ 富士見ファンタジア文庫

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一撃必殺の冒険譚! 鈍器少女の圧勝劇!!

万年落ちこぼれの少女ハンナが冒険者学園を追放されたある日、目覚めたのは鈍器の才能! 竜を倒したり、店を建てたり、国を救ったり――憧れの剣姫レイニーに追いつくため、今日も元気にハンマーで成り上がる!

タイトルの「好きで鈍器は持ちません!」って、鈍器なんか持ちたくない!って意味じゃないのこれ? いいのか?
ちなみにハンナ自身は、鈍器に目覚めたのは冒険者学園を追い出された後ではあるのですけれど、鈍器に偏見や嫌悪があるわけではなく、行き倒れ寸前だった彼女を助けて仕事を与えてくれた大工職人たちへの恩義や親愛もあって、鈍器を振るう事にちゃんと誇りを持っていますし、鈍器に対して偏見を持つ世間に対して憤りを感じているほどなので、タイトルちと中身とハズレてるよなあ。
そもそも、鈍器スキルに目覚めた以上大工としてなら幾らでも栄達を目指せそうなハンナが冒険者を再び目指したのは、育ての母で世界最強の冒険者であるエルフのレイニーを助けるため、というこれまでの目標以外に、世間にはびこる鈍器への偏見、ひいてはハンマーなどの鈍器を扱う職業の人たち、大工や鍛冶職人といった人たちへの見る目を変えるため、人々から蔑まれ差別される彼らの立場を向上させるため、自分が鈍器を振るって英雄となり鈍器の地位そのものを上げるため、なんですよね。
崇高な志である。
まあ、鈍器を司る神が邪神扱いで、魔物たちを操る存在の大元であり、今現在世界の討伐対象真っ盛り、というあたりが世間の風当たりの強さに繋がっているのですが。
いや、人々の生活に根ざしている社会に必須な建築や道具の作成に携わる職人たちが、被差別階級というのはなかなか無理がありそうなんですけどね。建物や道具を作る人が犯罪者があてがわれたり、といった人たちなら、幾ら経っても技術レベルも向上しないだろうし、これらの技術が上がらないと生活レベルそのものが酷いものになってしまうんじゃないだろうか。社会にそんな扱いをされたら、職人たちも向上心なんて持てないだろうし、どれだけ頑張っても報われないどころか虐げられるばかり、となると、ねえ。

現在進行系の世界の危機にまつわる邪神絡み、というのもまたマズい。直接的な危害を食らっているわけですし、脅威を感じているわけですしね。鈍器を扱う人たちには直接関係ないとはいえ、この偏見や差別は相当に根深いものになっている。これを果たしてどうやって覆していけるのか。
統治者階級や、英雄だった人が一番熱心に差別を推進し、正義を謳ってこれらの人々を虐げることに勤しんでいるのですから、権力や権威がそのまま敵に回っているのですしねえ。
しかも、相当に悪辣なやり方で。尊厳を踏みにじり、相手を全否定する形で。
ハンナは楽天家、というかいい意味でも悪い意味でも鈍感で前向きな娘であり、気っ風の良いカラッとした娘なのですが、それは自分がやられた事をさっぱり忘れられる、というのとはまた違うんですよね。虐げられ踏みにじられた者は、それをした側と違ってずっとその屈辱を、悔しさを、怒りを忘れられない。それは、ハンナのような娘ですら変わらない。
学園で自分をいじめていたローザを、謝ってきたからといって容易に許さずにいる所なんぞは深くうなずいてしまう。ローザは謝ったと言っても、仁義通してないもんなあ。とはいえ、本人は本当にハンナと仲良くしたいという気持ちを持っているのは確かなので、微妙にハンナが絆されているのもわかるんですよね。
でも、セシルはだめだ。その父親の学園の理事長はもっと度し難い。当人達は正義をなしているつもりで、実際は傲慢で自分の価値観以外を認めないし許さないという狭量さ、そして他人を貶め尊厳を踏み躙って正しいことをしていると胸をはる悍ましさ。自分の卑しさ、醜さに気づきもせず、理解する気もない厚顔さ。
これを、どう矯正しようというのだろう。いっそ、ハンマーで叩き潰してしまった方がスッキリするんじゃないだろうか。叩いて治るもんじゃないだろうし、もし叩いたくらいで治ってしまうのなら、改心してしまうのならそれはそれで興醒めってやつである。
こういう連中こそ「ざまぁ」を食らわせてやらないと、スッキリしないです。というか、もういいから有無を言わせずぶん殴って叩き潰した方がスッキリしそう。心入れ替えられたら逆にもやもやしそうです。
全体的に大雑把というか雑というか、世界観適当風味なんですけれど、主題として偏見差別に立ち向かう、というちょっと気合入ったお話にしている以上、雑に改心しましためでたしめでたし、とはしてほしくないなあ。
いいからぶちのめせよ、とは言わないから改心するにしても、安易にせずしっかり納得できる形でケリをつけて欲しいものです。

世界一かわいい俺の幼馴染が、今日も可愛い ★★★★  



【世界一かわいい俺の幼馴染が、今日も可愛い】 青季 ふゆ/Aちき 富士見ファンタジア文庫

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してみますか? ハグでも。……幼馴染ですから。

ネットから小説家を目指す高校生・米倉透。優等生の浅倉凛に片想い中だが、幼馴染という距離感が邪魔して告白できずにいた。
ある日透は、小説を投稿した後SNSに思いを発信する。

『俺は幼馴染が超超超大好きなんだああああーー!!!!』

以来、クールな凛の態度が変わりはじめて……。
手料理を振る舞ってくれたり、映画デートに誘ってくれたり、「私とハグ…してみますか?」とのお誘いも!?
「勘違いしないでください。あくまでも、疲労回復のためです」
「……(その割には準備万端だな)」
あと一歩素直になれない幼馴染たちの純度100%青春ラブコメ!


幼馴染というだけで幸せなら、そこからもう一歩進んだ関係になったらもっと幸せになるんじゃない?
と、思って幼馴染から恋人にジョブチェンジしてみると、なんかぎくしゃくしてしまって、というパターンの話があったりするけれど、本作の透と凛の二人についてはそれは絶対ないんだろうな、という確信がある。
それだけ、彼らは幼馴染から恋人に至るまでの過程を丁寧に歩んでいったから。幼馴染の恋を、しっかりと育んでいたから。
幼馴染キャラとの関係の利点というのは幾つもあると思うのだけれど、そのうちの一つが「理解」だ。ときに、幼馴染は家族を越えた理解者だったりする。熟年夫婦なんて言われることもあるけれど、透と凛の場合は空気のように馴染んだ関係、とはまた一味違う関係だ。
お互いがお互いの事をずっと見続けた関係だ。この歳にして、今までの人生の大半を相手と寄り添って生きてきた関係だ。相手のこと、幼馴染なのにわかっていなかった、と悔やむ場面が二人共にあるけれど、そんな事はない。誰よりも、幼馴染のことをわかっていて、考えていて、ちょっとした変化にも気持ちの上下にも気づくくらい、相手のことばかり考えていた二人だ。決して、致命は見逃さなかった。ピンチに陥ったとき、いつも急いで駆けつけてきて助けてくれたし、手を握ってくれたし、叱咤し声援を送ってくれた。
それは、お互いに抱きしめ合うように支え合う関係だった。
素晴らしいのは、それがお互いに依存になっていない所なんですよね。二人の中で完結もしていない。幼馴染のために生きていながら、同時に自分のために生きている。ちゃんと夢を持っていて、それに邁進している。そして、夢に向かって生きている事が、そのまま幼馴染の人生に寄り添うことになっている。今までも、これからも。
挫折しかけた透を、凛が励まし叱咤しあなたなら出来るともう一度立たせたあのシーン。下手をすれば一方的な期待の押しつけになっていた場面だった。出来るか出来ないかわからないことに人生を賭させる無責任な後押しになりかねないシーンだった。でも、凛は無責任に勝手に期待して勝手に理想を押し付けたわけじゃなかったんですね。幼馴染として、透の中にくすぶるものがあることを見抜いていたから。どれほど泣き言を言って諦めを口にしても、どうしても振り切れないものを抱えていることが分かったから。幼馴染だからこそ伝わる透の本音を受け止めたからこそ、引っ張ったのではない、透の本心を後押ししたシーンだったのだ。
甘やかすも、甘やかさないのも幼馴染の自由自在。これこそ、最大の理解者としての幼馴染のアドバンテージだ。そして、どうなっても人生を共に歩むと決めた、自分の根源に刻み込んだ幼、馴染の覚悟の強さだ。
そして、それは一方的ではなく幼馴染同士であるがゆえに、透の方からも還ってくる想いなのである。
くるくると永遠にお互いを循環し続ける無限の愛情。まさに幼馴染の恋は無敵だ。それを、余すこと無くまさにそこに焦点をあてて描いてみせた本作は、幼馴染ものの純粋結晶と言えるのでしょう。

嗚呼、素晴らしき哉幼馴染――。
堪能させていただきました。

余談ですが、読者視点からすると、ただ巧い作品よりも熱い気持ちのこもった作品の方が読んでて楽しいのは間違いないです。不思議と、書きたくてたまらないものを叩き込んだ作品ってわかる、伝わる、気がするんですよね。そういうのを読むと、なんかねーなんでかねー、嬉しくなるんです。
ああ、読んだー!という気持ちにしてもらえる、そういう喜びがあることをわかってほしい。
本作も、そんな作品の一つでした。でしたよ。

限界超えの天賦は、転生者にしか扱えない 1 -オーバーリミット・スキルホルダー- ★★★★   



【限界超えの天賦は、転生者にしか扱えない 1 -オーバーリミット・スキルホルダー-】 三上 康明/大槍 葦人 富士見ファンタジア文庫

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全てを司る森羅万象者として立ち塞る敵を滅し仲間・世界を救え!

レイジと少女・ラルクは人に能力を付与する天賦珠玉の発掘を行っていた。ある日最高レアリティの珠玉を見つけたレイジ。それは森羅万象を理解するもので、鉱山で別れてしまったラルクを探すため彼の冒険が始動する。
ウェブ版読了済み。現在ほぼ毎日連載中で、欠かさず追っている次第です。ベテラン作家ながら小説家になろうなどでの連載作も幾つも持っている方ですけれど、個人的には本作が一番面白いですわー。
あらすじからすると、まるで万能全知のスキルを手に入れたように語られるレイジですけれど、その森羅万象のスキルは決して万能無双なものではなく、便利は便利ではあるんですけれど使う人次第、なんですよね。まだ身体は10歳の子供に過ぎない、いや鉱山奴隷として劣悪な環境で育ったレイジくんは実年齢よりも発育不良の肉体で、得たスキルを使いこなせているかというと全然そんな事なくて。むしろ、自分の未熟を痛感することばかり。そして自分が分不相応のとてつもない天賦珠玉を手にしてしまった自覚もある。度々、天賦珠玉を外す機会があってその際に自分の中からごっそりと力が抜ける感覚を思い知っているので、それが自分の努力で身につけたものではない借り物の力だという恐れと自覚をちゃんと感じ取って、戒めてるんですね。
だからか、万能の力を振りかざすというよりレイジくんのスタイルはコツコツと自分の中に取り込んだスキルを努力して鍛え上げていく、センスよりも地道な叩き上げの熟練者という風情になっていくのである。もっとも、この段階ではまだまだ子供に過ぎず庇護される存在、自分が取り込んでしまった森羅万象の天賦珠玉の使い方を模索しつつ、周りに助けて貰いながら戦う術を身に着けていっている段階。といっても、そうは言ってられない局面へと、クライマックスにはなっていくのですが。

とまあ、こんな風に主人公のレイジくんの性質って、兎に角イイ子なのである。それも無差別の善良さや薄っぺらな正義の持ち主とかじゃなくて、人の心に寄り添える、相手の心を感じて、相手の思いを汲んで、それを力に変えることのできる子。素朴な勇気を振り絞れる子。懸命で献身的な子なのである。だから、そんな子の頑張りを間近で見て感じてしまった人たちは、この子のために何かをしてあげないと、という気持ちになる。こいつを守ってやらないと、と思ってしまう。この子が向けてくれる好意や善意を倍返しにして与えたくなる。そんな子なんですね。
利益だの恩義に報いるだの、そういう理屈抜きに、このレイジくんという子は咄嗟に人のために動ける子なのである。思わず、動いてしまう子なのである。森をさまよっているときに、たまたま見かけた冒険者パーティー、銀の天秤のメンバー。その彼らが気づかぬまま危地に陥りそうになったのを、自分の置かれた状況や立場も忘れて、思わず咄嗟に頭で考えるよりも早く、声を掛けてしまった場面が彼の本質を象徴しているのではないだろうか。
鉱山を逃げ出すときに、余命幾許もないヒンガ老人を陽の光の元へと連れて行こうとした行為に、打算などがあっただろうか。
そんな彼の行動、思いに応えるように、彼と知り合った人たちは目一杯の善意や信頼をレイジへと向けてくれる、与えてくれる。そんな時、少年の小さな胸の内は喜びや誇らしさで一杯になるのだ。優しく頼もしく尊敬できる人たちの在り方に、打ち震えるのだ。そんな彼らもまた、この小さな子どもの勇気と健気さに満ちた姿に胸打たれ、感動し、勇気をもらい、なんとしてでもこの優しい子のために、という思いを抱いているのと同様に。
そんな温かくも力強い思いが、両者の間を行き交っていく様子には思わず読んでいるこっちもグッとくるんですよね。
あの頼もしくとてつもなく大きなダンテスさんが、子供に過ぎないレイジを信頼して何も聞かず何も問わず、レイジに任せて預けてくれる姿も。
荒れ狂う嵐を心の奥に秘めたライキラさんが、いつしか生意気なガキなレイジを弟のように慈しみ、レイジの方も最初は刺々しい態度を取るばかりだったライキナに兄のように懐く姿も。
そこからより、相手の心のうちに踏み込んだ時。揺るぎない生き様を目の当たりにした時、決して余人には明かさないだろう自身の深い部分を曝け出すのを受け取ったレイジが強くも切ない想いを溢れ出させる時、心が激しく揺さぶられるままに叫んだ時。
ほんとに、胸に来たんですよねえ。グッと締め付けられるような、温かく擦られるような。ダイレクトに心に響く感触に、思わずこみ上げるものがあったのでした。
そして、折ある度にレイジが胸の内で反芻する姉・ラルクとの思い出。彼にとっての人格形成が、価値観が、その優しい在り方そのものがラルクとの思い出を根幹にしているのが伝わってくる。彼にとって、姉がどれだけ大事な人なのかが伝わってくる切ない想い。彼女を探してもう一度会うことが、レイジにとって人生の目標なのだというのがよく分かるんですよね。
これはレイジという少年の成長譚であり、広い広い世界をめぐる旅の話であり、彼を導き慈しみ様々なものを与え示し教えて注いでくれる素晴らしき人たちとの出会いを語る物語なのだ。

汝、隣人を愛せよ

ふと、そんな言葉を思い浮かべて噛みしめる機会を得る事の出来た作品であり、登場人物たちでありました。この次の巻にあたる第二章は、この作品でも最も好きなエピソードなだけに、是非続刊して欲しいです、いやほんとに。

週4で部屋に遊びにくる小悪魔ガールはくびったけ! ★★★☆   



【週4で部屋に遊びにくる小悪魔ガールはくびったけ!】 九曜/小林ちさと GA文庫

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転校してきた無気力な高校生の比良坂聖也。その彼にやけにかまってくる女の子がいる。黒江美沙――マンションのお隣りさんの彼女は中学生ながらスタイルもよく、大人びていて、聖也をからかうのが得意。それも体を使って。
彼女は聖也のことを気に入り、週4のペースで部屋に遊びにくるように――。プロをも目指したバスケをあきらめ、無気力な『余生』を過ごす聖也は、戸惑いつつも彼女と日常を過ごしはじめる。
小悪魔ヒロインによるおしかけ系ラブコメディー、開幕です。

いくら何でも初対面でこの好感度、このぐいぐい来る姿勢はおかしいぞ、とは思ったんですよね。本当に初対面から好感度MAXなんてラブコメ、よっぽどですからね、よっぽど。
むしろ、やたら最初から構ってくる年下の美少女を、鬱陶しく思ったり面倒に感じたり、という感触は持っているにも関わらずさして「疑問」を抱かない時点で、聖也くんアレなんですよ。
これを疑問に思わなくても差し支えない環境に適応した人類なんですよっ。自分を陰キャと主張する聖也に転校先で親しくなったクラスメイトが「お前が陰キャかよ」と嘯くのも、当然ですよ、当然。
なんちゅーか、青いなあ、としみじみ思ったり。彼、そういうキャラとして描かれてるんだろうか、それとも作者さんの素で意識されずにそういうキャラになってるんだろうか。
利き腕の怪我でこれまで人生そのものを費やしてきたバスケを辞めるという挫折真っ最中の聖也。
打ちひしがれ絶望し、何もかもを失って、これからも得られる事はないのだと諦めきってしまっている彼は、心機一転という心づもりもなく、自らを抜け殻と評し、あとはもう余生を過ごすだけ、と自認している。そのくせ、未練がましく町中で見つけたバスケコートに度々足を運び、もうコートを見ても動揺なんてしないんだぜ、と自己確認しながら落ちてるボールを見つけると、ついつい手にとってしまう。選手時代は絶対にしなかった足でボールを扱う、なんて冒涜的な真似をしてみたりしつつ。
あーおーいー! なにこの子、なんかもう色々と突き抜けすぎて青臭さが可愛らしさに見えてきてしまうんですけど。
いやいやいや、彼は本気なのである。若者の絶望感を、今が全てという在り方を年寄りが後ろからどうこう言うのはナンセンスなのはわかるんですよ。それは傲慢てもんだ。って、理解を示してみる事すら傲慢のうちなんでしょう。若者にとって、本当に今現在こそが全てで未来とか実感のないものなのだ。これからもずっと長い長い時間が君には待っている、なんて訳知り顔で言った所でその実感は決して伝わらない。彼らの絶望感を、年寄が思い出せないように。
それを加味しても、加味しても、ちょっとこの子ナルシー入ってるよね!?って言いたくなっちゃうんですよね。現状に、陶酔してるよね!?って言いたくなっちゃう! ごめんね!? ほんっとごめんね? でも、抜け殻云々、余生云々、全部自認なんですよね。空っぽだってのも自分で言ってる。別に、周りの人からお前はもう抜け殻みたいだ、とか指摘されたわけでもなく。
繰り返すけど、彼は本気でそう思ってるし、本気で絶望して、人生を諦めて気力を失って自棄にもなってる。本心で純粋にそう感じて、重くて黒くて苦いものを噛み締めながら足を引きずって俯いて歩いている。その絶望感は恥ずかしいものじゃない。若者の特権、なんて若者括りにしてしまうのもあれだなあ、上から目線だよなあ。うん、難しいなあ。
バスケを捨てたと言いつつ、試合に参加すれば本気出しちゃったり、その癖過去をつつかれると激高しちゃって心にもない事言っちゃったり、昔の仲間に後ろ足で砂をかけるたり。まあ、昔のチームメイトに対しては、彼らのやった事の酷さとそれを謝って勝手にスッキリされたくない、という聖也の心情は「然るべき」だと思ったので、それはそれでいいと思うのだけれど。
ともあれ斜に構えて偽悪振るというあたりも青臭いなあ、と。若いなあ、と。未成熟のある種の一途さなんですよね。迷走しているようで、青々しい一途さという点できっと選手全盛期と一貫しているのではないだろうか。
美学、なんだろうか。バスケ選手としての理想の自己像というのがあって、それに自己を重ねられなくなったから選手としてまだやれるのに辞めてしまったという所があったわけで。それは同時に、挫折した自分の理想像、というものも彼の中にあったんじゃなかろうか。挫折してバスケをできなくなった自分のあるべき姿。それは若くして全てを喪った抜け殻でないといけないし、残りの長い人生をだらだらと余生として過ごすだけの存在でないといけない。バスケを捨てたようで、バスケに未練を感じ続けて、しかし遠くから斜に構えて眺めているだけでないといけない、みたいな。
バスケ、本当に好きで、大事だったんだな。大事だからこそ、バスケを忘れてなかった心機一転新しく生きる聖也、じゃなくてバスケを失ってその欠落を埋められなくてずっともだえ続ける自分でなければならなかった。それだけ自分にとってバスケが大事だったと証明できるから、と。
そんな風に考えると、なにげに自己陶酔してませんか。とかちょっとナルシスト入ってね? と感じちゃった部分は少し違ってくるかもしれない。
すべてを持っていようとも全てを失おうとも、彼にとってバスケこそが基軸で基準だったのだ。

黒江美沙という存在は、そんな聖也にとって初めて現れた「バスケ」以外だったのかもしれない。
一方で、彼女と自分を繋いだのもまたバスケであり、かつての自分のバスケ選手としての雄姿だ。まったく関係ない所から飛び込んできた異物ではない。
それが許容の理由、というには美沙が聖也を知っていた事を告白するシーンは随分とあとなので、異なってはいるのだろうけれど。彼女の存在を最終的に自分の価値観の中に受け入れることにおいて、決して意味がなかったとは思わない。
バスケ馬鹿、なんだよなあ。青春かよ。うん、青春だ。青々とした青春だ。ただ、やっぱり陰キャとかとは程遠いぞ、美沙ちゃんも含めて。
だいたい美沙ちゃん、この娘中学生って主張するのもう犯罪じゃね? というくらい育っちゃってるんですが。ファッションも含めて、なにこの娘へそ出しコーデを当たり前みたいに着こなしてるんですけど。
中学生って、まだ子供だよ? というのが通じない人種が存在するからなあ。まぢで同じ中学生か? その辺通学してる子ら、ほんとただの子供だよ?
ちなみに、彼女の方が抱えていた悩みに関してはあんまり掘り下げず。よくある話、以上には踏み込まないまま、表層の所で片付けちゃったんですよね。
そのあと、彼女のお母さんが件のことについてはあっさり撤回しちゃった事からも、黒江美沙というキャラクターを描くにおいてその問題は重きを為す部分ではなかったのでしょう。彼女については、聖也との関係を通じて描いていくという事か。
ってか、そういう理由で撤回しちゃうって事は、美沙のお母さんかなり認識が甘かったんじゃないだろうか。どう転がってもしち面倒くさいことになってたと思うぞ。
ともあれ、今回の一件が美沙の意識をひと味変えてしまったのも間違いなく。憧れが恋に、ってやつだろうか。まあそれに相応の事を彼女にしたわけですしねえ。
そして、自分ひとりで完結していた所で黒江美沙という少女に引っ掻き回された末に、自分自身で彼女の存在を自分の世界の中に受け入れることを選んだことで、いつまでも自分の世界に酔っ払ってるわけにはいかない、と思ったのかそうでないのか。ともかく彼女と自分をさらけ出して本音で話すことで、色々と整理ついたのかな。母親と二人で支え合って暮らしていく、お母さんの事についても思う事があったのかもしれない。自分の内側にだけかまけてたら、母親に対する意識も薄れてしまいますしね。もう一度改めて、母親の事を考える機会にもなったのかもしれない。
美沙に対して年上ぶって偉そうなことを言った手前、ひねてるわけにはいかない。なんて、襟を正そうと思う所がまた、青いんですよねえ。一途で真っ直ぐな良い青さ。涼やかな青なのである。こういう青臭さは、ほんと可愛らしいと思ってしまう。こういうイケメン系の青年に対して可愛いなんて褒め言葉じゃないのでしょうけどね。ただ、それもまあ年寄りの特権ってやつなのですよ、きっと。

九曜・作品感想

完全無欠の新人魔術生 伝説の最強魔術師、千年後の世界で魔術学校に入学する ★★★☆   



【完全無欠の新人魔術生 伝説の最強魔術師、千年後の世界で魔術学校に入学する】 五月 蒼/ nauribon 角川スニーカー文庫

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魔神を討伐した六英雄の1人である魔術師・ギルフォード。魔神との戦いで瀕死の重傷を負ったギルは永い眠りにつき――目覚めた時、何故か千年が経過した上に若返っていて!?
千年前とは違う平穏な日々や常識――本来は秘匿するべき『特異魔術』をひけらかす魔術師達に戸惑うギル。それでも、「俺たちが手に入れた平和なら、謳歌しても文句はないよな」第二の人生を楽しむべく、最高峰の魔術学校に難なく入学し、常識外れの言動と能力で数々の伝説を打ち立てていく! 
名門魔術学校での青春、そして謎の組織・アビスの暗躍――最強魔術師による新たなる王道魔術学園ファンタジー、開幕!!

いやいやいや、ギル君きみってば千年間ずっと眠ってて起きたら千年経ってたんだから、千年分ずっと生きてたみたいな時間感覚は持ってないよね!? 
なんか鼻の穴膨らませて千年ぶりにどーのこーの、と宣う場面が時々あって、こいつちょっとノリだけで生きてる瞬間があるぞ、と苦笑してしまった。
かといって調子に乗ってるわけでもないんですよね。実のところ、タイトルみたいな完全無欠とかの最強感はギルくんあんまりないんですよね。結構迂闊というか、気が付かないうちに間合いの内側に入られてて「いつの間に!?」とか驚いているシーンが結構あるし、敵の気配や攻撃に気づかないで隙をつかれるシーンなんかもあったりして、物心ついてからずっと戦場に居たみたいな人生歩んできていた割には「普通」なんですよね。あんまり化け物じみたところがない。
実際、学校に通いだしてからはクラスでも最強格ではあるのは間違いないのだけれど、桁違いとか次元違いという感じはなくて普通に優秀、叩き上げの地に足のついた強さ、という感じなんですよね。
他にこの千年で魔術が全体に衰えた、とは一概には言えずにある面では千年前よりも秀でてたり進化していたりする部分もあり、千年前の魔術師であるギルが一方的にマウント取れるわけではないようで、またこの現代にもギルが瞠目し太刀打ちできるかと考えてしまうような達人もいて、決してギルが図抜けて突出している、というわけではないのである。
でもそれが逆に良かったのかな。変に増長せず能力に関してはフラットで客観的な見方をしているし、隔絶した力の持ち主というわけでもないので周囲と意識や認識の壁や隔意が殆どないんですね。
なので、等身大の年頃の男の子として普通に同世代の男女と交流を育んで、普通に青春を謳歌しているのである。元々、仮死状態になった時も21歳とまあ大人というには中途半端な歳だったし、目が覚めた時に身体が幼児に戻っていたときもそれからずっと森暮らしで変にスレるコトもなかったせいか、精神年齢が見た目相応なんですよね。なので、同年代と過ごしてても上から目線にならずに、同じ目線で騒ぎはしゃぎ、暴れて遊んで、うんギルを千年守ってきたクローディアが千年前には出来なかった青春を堪能して、友達作って楽しめ、と送り出してくれたのを、ちゃんと叶えてるじゃないか。
ドロシーをはじめとして、学園で出会った同世代の魔術師たちは若者特有のギラギラした輝きを有し、思春期特有のざわめきを心のなかに内包し、闇と光を持て余している、まさに青春まっさかりの少年少女たちだ。難関のエリート校に自ら飛び込み、狭き門をくぐり抜けて、それぞれに目指すものにしがみついてでも辿り着こう、叶えようと滾らせている若者たち。同時に、繊細で傷つきやすい心に痛みを抱えながら歯を食いしばって耐えている十代の少年少女でもある。
みんな、自分のことで精一杯で必死で懸命で、だからクラスでも最優秀なギルの力はただただ「すごいすごい」と遠巻きに称賛するものではなく、現実の脅威であり目の前にそびえ立つ山であり、でも食らいついて追いついて乗り越えるものだという姿勢なんですよね。これ、このギラギラした意欲的な若者たちの姿にはついつい惹かれてしまう。
でも、張り合うだけじゃなくてちゃんと友達として心許しあい認め合い、だからこそ負けたくない、というライバル関係にちゃんとなっているの、好きだなあと思うんですよね。ギルの方もそんな初めて出来た同世代の友達たちを見下しも見縊ってもいなくて、その直向きで正々堂々と貪欲さに目をキラキラさせている。いい関係じゃないですか。だからこそ、ギルの最強を隔絶したものにしなかったのは、こういう学園モノの物語としては良かったと思うんですよね。
また一方で、アビスという謎の組織の暗躍が学園の内部に忍び寄り、実際に犠牲者も生まれ、と緊張感あるミステリー風味の要素もあるんですね。いったい、誰がアビスの関係者なのか。何気に誰がそうであってもおかしくない、身近な人物にも「?」がつく怪しい動きや引っかかる描写が撒き散らされてて、なかなかそっち方面でもグイッと興味を引っ張ってくるんですよね、面白い。
ぶっちゃけ、ギルと今回一緒に戦ったドロシー以外は全員怪しい要素があるんですよねえ。
こういう面でも次回に読みたくなる期待を持たせてくれていて、なかなか楽しみな新シリーズでありました。
でも、こういうタイトルだと他と似たような単語を組み替えただけで差別化できなくて、すぐにタイトル思い出せなくなって埋没してしまいそう。まあ、そんなの今どき本作に限らないんだけど、特に本作はタイトルと内容があんまり合ってないだけに、もったいなあと思ってしまう。


 

1月22日
【彼女は僕の「顔」を知らない。】
古宮 九時
(メディアワークス文庫)

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【オルコスの慈雨 天使と死神の魔法香】
染井 由乃
(メディアワークス文庫)

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【おとなりの晴明さん 第八集〜陰陽師は金の烏と遊ぶ〜】
仲町六絵
(メディアワークス文庫)

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【声が出なくなったので、会社を辞めて二人暮らし始めました。】
神戸遥真
(メディアワークス文庫)

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【転生佳人伝 寵姫は二度皇帝と出会う】
三川 みり
(角川文庫)

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【作ってあげたい小江戸ごはん 3.ほくほく里芋ごはんと父の見合い】
高橋 由太
(角川文庫)

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【茶寮かみくらの偽花嫁】
あさば みゆき
(角川文庫)

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1月21日
【エゴに捧げるトリック】
矢庭 優日
(ハヤカワ文庫JA)

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【追い出された万能職に新しい人生が始まりました 4】
東堂大稀
(アルファポリス)

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【装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます 7】
tera
(アルファポリス)

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【異世界に飛ばされたおっさんは何処へ行く? 10】
シ・ガレット
(アルファポリス)

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【勘違いの工房主 6〜英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話〜】
時野洋輔
(アルファポリス)

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【大自然の魔法師アシュト、廃れた領地でスローライフ 5】
さとう
(アルファポリス)

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【神スキル『アイテム使用』で異世界を自由に過ごします 3】
雪月花
(アルファポリス)

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1月20日
【魔王2099 1. 電子荒廃都市・新宿】
紫 大悟
(富士見ファンタジア文庫)

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【魔女と始める神への逆襲 道化の魔女と裏切られた少年】
水原 みずき
(富士見ファンタジア文庫)

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【母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください】
夏色 青空
(富士見ファンタジア文庫)

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【転生王女と天才令嬢の魔法革命 3】
鴉 ぴえろ
(富士見ファンタジア文庫)

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【シェアハウスで再会した元カノが迫ってくる】
くろい
(富士見ファンタジア文庫)

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【織田信奈の学園】
春日 みかげ
(富士見ファンタジア文庫)

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【魔術士オーフェンはぐれ旅 ハーティアズ・チョイス】
秋田禎信
(TOブックス)

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【白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます IV】
やしろ
(TOブックス)

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【ガリ勉地味萌え令嬢は、腹黒王子などお呼びでない】
鶏冠勇真
(TOブックス)

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【氷の侯爵様に甘やかされたいっ!〜シリアス展開しかない幼女に転生してしまった私の奮闘記〜】
もちだもちこ
(TOブックス)

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【成り行きで婚約を申し込んだ弱気貧乏令嬢ですが、何故か次期公爵様に溺愛されて囚われています】
琴子
(TOブックス)

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【異世界からの企業進出!? 3 ~元社畜が異世界転職して成り上がる! 勇者が攻略できない迷宮を作り上げろ~】
七士七海/鵜山はじめ
(ヤンマガKCスペシャル)

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【少年マガジンR 2021年2月号】

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1月19日
【ウマ娘 シンデレラグレイ 1】
久住太陽/杉浦理史
(ヤングジャンプコミックス)

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【アサシンズプライド 7】
天城ケイ/ニノモトニノ
(ヤングジャンプコミックス)

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【ふたりぼっちのオタサーの姫 1】
クール教信者
(ヤングジャンプコミックス)

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【メイド・イン・ひっこみゅ~ず 6】
サンカクヘッド
(ヤングジャンプコミックス)

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【メイド・イン・ひっこみゅ~ず 7】
サンカクヘッド
(ヤングジャンプコミックス)

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【もののがたり 12】
オニグンソウ
(ヤングジャンプコミックス)

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【電波的な彼女 1】
片山憲太郎/平岡滉史
(ヤングジャンプコミックス)

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【電波的な彼女 2】
片山憲太郎/平岡滉史
(ヤングジャンプコミックス)

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【EX-ARM Another Code エクスアーム アナザーコード 2】
久麻當郎/古味慎也
(ヤングジャンプコミックス)

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【漆黒のジギィ 3】
やまむらはじめ
(サンデーGXコミックス)

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【ダンベル何キロ持てる? 11】
MAAM/サンドロビッチ・ヤバ子
(裏少年サンデーコミックス)

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【月刊サンデーGX 2021年2月号】

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【月刊ヤングキングアワーズGH 2021年3月号】

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【まんがタイムきららMAX 2021年2月号】

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【ウルトラジャンプ 2021年2月号】

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【育ちざかりの教え子がやけにエモい 3】
鈴木大輔
(ガガガ文庫)

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【董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 3】
伊崎 喬助
(ガガガ文庫)

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【双血の墓碑銘 3】
昏式 龍也
(ガガガ文庫)

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【剣と魔法の税金対策】
SOW
(ガガガ文庫)

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【弱キャラ友崎くん Lv.9】
屋久ユウキ
(ガガガ文庫)

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【僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場 2】
赤城大空
(ガガガ文庫)

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1月18日
【BE BLUES!~青になれ~ 42】
田中モトユキ
(少年サンデーコミックス)

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【よふかしのうた 6】
コトヤマ
(少年サンデーコミックス)

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【MAO 7】
高橋留美子
(少年サンデーコミックス)

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【絶対可憐チルドレン 60】
椎名高志
(少年サンデーコミックス)

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【双亡亭壊すべし 20】
藤田和日郎
(少年サンデーコミックス)

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【天野めぐみはスキだらけ! 23】
ねこぐち
(少年サンデーコミックス)

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【switch 11】
波切敦
(少年サンデーコミックス)

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【ポンコツちゃん検証中 7】
福地翼
(少年サンデーコミックス)

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【麗の世界で有栖川 4】
安西信行
(少年サンデーコミックス)

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1月16日
【クラス最安値で売られた俺は、実は最強パラメーター】
RYOMA
(電撃の新文芸)

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【悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。2】
翅田大介
(電撃の新文芸)

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【東方Project二次創作シリーズ 妖世刃弔華 わか思ふ地は ありやなしやと】
草薙 刃/東方Project
(電撃の新文芸)

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【ばいばい、アース 1】
冲方丁/麻日隆
(YKコミックス)

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【ばいばい、アース 2】
冲方丁/麻日隆
(YKコミックス)

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【少年マガジンエッジ 2021年2月号】

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1月15日
【それでも歩は寄せてくる 6】
山本崇一朗
(KCデラックス)

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【左手のための二重奏 3】
松岡健太
(マガジンエッジKC)

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【カノジョも彼女 4】
ヒロユキ
(講談社コミックス)

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【カッコウの許嫁 5】
吉河美希
(講談社コミックス)

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【ネクロマンス 5】
堂本裕貴
(講談社コミックス)

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【獣の六番 2】
永椎 晃平
(講談社コミックス)

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【なれの果ての僕ら 5】
内海八重
(講談社コミックス)

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【魔女に捧げるトリック 2】
渡辺静
(講談社コミックス)

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 【俺の死亡フラグが留まるところを知らない 1】
乙須ミツヤ/泉
(このマンガがすごい!comics)

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【ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド エイジ オブ スカーレット オーダー 6】
環望
(コロナ・コミックス)

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【星斬りの剣士】
アルト
(アース・スターノベル)

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【姉に言われるがままに特訓をしていたら、とんでもない強さになっていた弟 〜やがて最強の姉を超える〜】
吉田 杏
(アース・スターノベル)

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【わがまま王女に仕えた万能執事、隣の帝国で最強の軍人に成り上がり無双する】
すかいふぁーむ
(アース・スターノベル)

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【花街の用心棒 二 雪が宮廷の闇を照らす】
深海 亮
(富士見L文庫)

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【江戸の花魁と入れ替わったので、花街の頂点を目指してみる】
七沢 ゆきの
(富士見L文庫)

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【氷室教授のあやかし講義は月夜にて】
古河 樹
(富士見L文庫)

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【附子の弁舌】
沼矛 トモ
(富士見L文庫)

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【瑠璃宮の花守り人 一輪末々を知る】
伊藤 たつき
(富士見L文庫)

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【女神「異世界転生何になりたいですか」 俺「勇者の肋骨で」】
安泰
(宝島社)

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【吾輩は歌って踊れる猫である】
芹沢 政信
(講談社タイガ)

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【あくまでも探偵は】
如月 新一
(講談社タイガ)

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1月14日
【転生魔王の大誤算 2 〜有能魔王軍の世界征服最短ルート】
あわむら赤光
(GA文庫)

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【忘れえぬ魔女の物語】
宇佐楢春
(GA文庫)

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【貴サークルは"救世主"に配置されました】
小田一文
(GA文庫)

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【カンスト村のご隠居デーモンさん 〜辺境の大鍛冶師〜】
西山暁之亮
(GA文庫)

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【俺とコイツの推しがサイコーにカワイイ】
りんごかげき
(GA文庫)

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【ひきこまり吸血姫の悶々 4】
小林湖底
(GA文庫)

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【たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語 11】
サトウとシオ
(GA文庫)

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【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 15】
森田季節
(GAノベル)

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【変な竜と元勇者パーティー雑用係、新大陸でのんびりスローライフ】
えぞぎんぎつね
(GAノベル)

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【異世界賢者の転生無双 7〜ゲームの知識で異世界最強〜】
進行諸島
(GAノベル)

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【ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。6】
えぞぎんぎつね
(GAノベル)

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【未来職安】
柞刈湯葉
(双葉文庫)

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【後宮の花は偽りに惑う】
天城智尋
(双葉文庫)

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【あやかしよろず相談承ります】
伽古屋圭市
(双葉文庫)

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1月13日
【ログ・ホライズン 外伝 新たなる冒険の大地】
池梟 リョーマ/木村 航
(エンターブレイン)

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【メイドさんは食べるだけ 2】
前屋進
(イブニングKC)

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【未熟なふたりでございますが 8】
カワハラ恋
(モーニング KC)

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【パリピ孔明 4】
四葉夕卜/小川亮
(ヤンマガKCスペシャル)

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1月12日
【カワセミさんの釣りごはん 3】
匡乃下キヨマサ
(アクションコミックス)

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【弧を描く 3】
木下 聡志/岩井 良樹
(アクションコミックス)

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【乙女戦争外伝供_个魴僂絢圓燭繊幣紂法
大西巷一
(アクションコミックス)

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【おとなの防具屋さん 3】
斐宮ふみ
(アース・スター コミックス)

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【俺んちに来た女騎士と田舎暮らしすることになった件 6】
秋乃かかし/裂田
(アース・スター コミックス)

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【きららファンタジアイラストレーションズ 2】
きららファンタジア製作委員会
(まんがタイムKRコミックス)

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【スローループ 4】
うちのまいこ
(まんがタイムKR フォワードコミックス)

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【月刊少年ガンガン 2021年2月号】

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【まんがタイムきららフォワード 2021年 02 月号】

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【ゲッサン 2021年2月号】

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1月10日
【川上稔 短編集 パワーワードの尊い話が、ハッピーエンドで五本入り 1】
川上稔
(電撃文庫BORN DIGITAL)

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【川上稔 短編集 パワーワードの尊い話が、ハッピーエンドで五本入り 2】
川上稔
(電撃文庫BORN DIGITAL)

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【新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち】
佐島 勤
(電撃文庫)

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【娘じゃなくて私(ママ)が好きなの!? 4】
望 公太
(電撃文庫)

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【神角技巧と11人の破壊者(上) 破壊の章】
鎌池和馬
(電撃文庫)

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【わたし以外とのラブコメは許さないんだからね 2】
羽場楽人
(電撃文庫)

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【ダークエルフの森となれ 2―現代転生戦争―】
水瀬葉月
(電撃文庫)

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【つるぎのかなた 4】
渋谷瑞也
(電撃文庫)

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【Re:スタート!転生新選組 3】
春日みかげ
(電撃文庫)

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【絶対にデレてはいけないツンデレ】
神田夏生
(電撃文庫)

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【先輩、わたしと勝負しましょう。ときめいたら負けです! イヤし系幼女後輩VS武人系先輩】
西塔 鼎
(電撃文庫)

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【来タル最強ノ復讐者 〜救いなき監獄都市で絶望を容赦なく破壊する〜】
哀歌
(電撃文庫)

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【男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ?】
七菜なな
(電撃文庫)

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【犯罪迷宮アンヘルの難題騎士】
川石折夫
(電撃文庫)

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【役立たずと言われたので、わたしの家は独立します! 〜伝説の竜を目覚めさせたら、なぜか最強の国になっていました〜】
遠野 九重
(カドカワBOOKS)

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【捨てられ白魔法使いの紅茶生活 2】
瀬尾 優梨
(カドカワBOOKS)

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【スライム召喚無双 2 〜ゲーム技術は異世界でも最強なようです〜】
可換 環
(カドカワBOOKS)

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【百花宮のお掃除係 3 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。】
黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)

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【悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です! 5】
明。
(カドカワBOOKS)

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【魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする 10】
流優
(カドカワBOOKS)

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【痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。11】
夕蜜柑
(カドカワBOOKS)

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【蜘蛛ですが、なにか? 14】
馬場 翁
(カドカワBOOKS)

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【ティアムーン帝国物語 VI 〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜】
餅月望
(TOブックス)

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【特級ギルドへようこそ! 6 〜看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる〜】
阿井りいあ
(TOブックス)

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【レア・クラスチェンジ! VII 〜魔物使いちゃんとレア従魔の異世界ゆる旅〜】
黒杉くろん
(TOブックス)

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【打撃系鬼っ娘が征く配信道! 3】
箱入蛇猫
(TOブックス)

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【ヤングキングアワーズ 2021年 02 月号】

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1月9日
【最果てのソルテ 1】
水上悟志
(BLADEコミックス)

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【魔導具師ダリヤはうつむかない ~Dahliya Wilts No More~3】
住川惠/甘岸久弥
(BLADEコミックス)

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【シネマこんぷれっくす! 6】
ビリー
(ドラゴンコミックスエイジ)

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【さまよえる転生者たちのリライブゲーム 3】
サイトウケンジ/火野遥人
(ドラゴンコミックスエイジ)

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【魔術師たちの混乱 1】
奇仙
(ドラゴンコミックスエイジ)

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【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 2】
天海雪乃/タンバ
(角川コミックス・エース)

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【合鍵くんと幸せごはん 1】
黒麦はぢめ
(角川コミックス・エース)

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【蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常 3】
馬場翁/グラタン鳥
(角川コミックス・エース)

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【東島丹三郎は仮面ライダーになりたい 7】
柴田ヨクサル
(ヒーローズコミックス)

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【まんがタイムきらら 2021年 01 月号】

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【コミックフラッパー 2021年2月号】

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【ドラゴンエイジ 2021年2月号】

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【別冊少年マガジン 2021年2月号】

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1月8日
【可愛いだけじゃない式守さん 7】
真木蛍五
(KCデラックス)

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【メイドの岸さん 2】
柏木香乃
(KCデラックス)

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【幼女とスコップと魔眼王 1】
茅田丸/丁々発止
(シリウスKC)

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【よくわからないけれど異世界に転生していたようです 4】
内々けやき/あし
(シリウスKC)

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【ラストオーダー 1】
松葉サトル/浜松春日
(シリウスKC)

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【時間停止勇者 4】
光永康則
(シリウスKC)

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【お嬢様の僕 8】
田口ホシノ
(シリウスKC)

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【この世界は不完全すぎる 2】
左藤真通
(モーニング KC)

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【進撃の巨人 33】
諫山創
(講談社コミックス)

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【赫のグリモア 5】
A−10
(講談社コミックス)

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【我間乱−修羅−14】
中丸洋介
(講談社コミックス)

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【アサルトリリィ League of Gardens -full bloom- 1】
月並甲介/阿羅本景
(KADOKAWA)

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【ヤングエース 2021年2月号】

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【スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 心をつなぐスープカレー】
友井 羊
(宝島社文庫)

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【毒をもって毒を制す 薬剤師・毒島花織の名推理】
塔山 郁
(宝島社文庫)

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【ゴールデンタイムの消費期限】
斜線堂有紀
(祥伝社)

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1月7日
【ゆるキャン△ 11】
あfろ
(まんがタイムKRコミックス/フォワードシリーズ)

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【若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です! 6】
森田季節/出水高軌
(ガンガンコミックスUP!)

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【冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する 6】
斧名田マニマニ/唯浦史
(ガンガンコミックスUP!)

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【good!アフタヌーン 2021年2号】

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【私、能力は平均値でって言ったよね! 14】
FUNA
(SQEXノベル)

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【万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ 〜村ですが何か?〜】
九頭七尾
(SQEXノベル)

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【転生したらドラゴンの卵だった 〜最強以外目指さねぇ〜 13】
猫子
(SQEXノベル)

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【勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖女、お前に追って来られては困るのだが?】
初枝れんげ
(SQEXノベル)

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【大日本帝国の銀河 1】
林 譲治
(ハヤカワ文庫JA)

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【そいねドリーマー】
宮澤 伊織
(ハヤカワ文庫JA)

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1月6日
【1日外出録ハンチョウ 10】
上原求/新井和也
(ヤンマガKCスペシャル)

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【アダマスの魔女たち 5】
今井ユウ
(ヤンマガKCスペシャル)

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【ヤングマガジン サード 2021年Vol.2】

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1月5日
【願いを叶えてもらおうと悪魔を召喚したけど、可愛かったので結婚しました】
shiryu
(ドラゴンノベルス)

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【田中家、転生する。2】
猪口
(ドラゴンノベルス)

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【虐げられし令嬢は、世界樹の主になりました 2 〜もふもふな精霊たちにかこまれて、私、聖女になります〜】
桜井 悠
(ドラゴンノベルス)

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【最強錬金術師の異世界開拓記】
猫子
(ドラゴンノベルス)

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1月4日
【国防特行班E510】
神野オキナ
(小学館文庫)

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【呪術廻戦 14】
芥見下々
(ジャンプコミックス)

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【Dr.STONE 19】
稲垣理一郎/Boichi
(ジャンプコミックス)

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【チェンソーマン 10】
藤本タツキ
(ジャンプコミックス)

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【ぼくたちは勉強ができない 20】
筒井大志
(ジャンプコミックス)

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【ワンパンマン 23】
ONE/村田雄介
(ジャンプコミックス)

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【ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミアILLEGALS- 11】
古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)

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【すいとーと! 3】
沖野ユイ
(ジャンプコミックス)

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【第9砂漠 3】
出口景
(ジャンプコミックス)

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【姫様“拷問”の時間です 5】
春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)

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【ぼくらの血盟 1】
かかずかず
(ジャンプコミックス)

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【夜桜さんちの大作戦 6】
権平ひつじ
(ジャンプコミックス)

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【終末のハーレム ファンタジア 6】
LINK/SAVAN
(ヤングジャンプコミックス)

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1月1日
【嫌な顔されながらおパンツ見せてもらいたい漫画】
40原
(ナンバーナイン)

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12月28日
【SPY×FAMILY 6】
遠藤達哉
(ジャンプコミックス)

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【SHOW BY ROCK!! 1】
邪武丸
(角川コミックス・エース)

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【スーパーのお兄さん 2】
河田雄志/行徒
(角川コミックス・エース)

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【高校事変 2】
松岡圭祐/オオイシヒロト
(角川コミックス・エース)

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【どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。1】
釜田/六つ花 えいこ
(フロース コミック)

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【まんがタイムきららキャラット 2021年01月号】

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【コミックライド 2021年1月号】

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【元勇者の公務員はゆっくり暮らしたい 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました】
すえばしけん
(HJ文庫)

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【聖剣士さまの魔剣ちゃん 2 〜孤独で健気な魔剣の主になったので全力で愛でていこうと思います〜】
藤木わしろ
(HJ文庫)

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【最弱無能が玉座へ至る 2 〜人間社会の落ちこぼれ、亜人の眷属になって成り上がる〜】
坂石遊作
(HJ文庫)

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【お知らせ:最強魔王はダンジョン経営で荒稼ぎを始めます! 2】
坂本一馬
(HJ文庫)

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【異世界迷宮でハーレムを 11】
蘇我捨恥
(ヒーロー文庫)

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【ワールドオーダー 5】
河和時久
(ヒーロー文庫)

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【落ちこぼれ竜騎士、神竜少女(バハムート)に一目惚れされる 2】
深山鈴
(ヒーロー文庫)

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【ファントム オブ キル 死の国の守り人】
櫂末高彰
(ファミ通文庫)

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【彼女できたけど、幼馴染みヒロインと同居してます】
桐山なると
(ファミ通文庫)

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【異世界のんびり農家 09】
内藤 騎之介
(エンターブレイン)

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【人類滅亡して最後の1人になったら?】
三河 ごーすと/フェルミ研究所
(エンターブレイン)

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【幼女信長の異世界統一】
舞阪洸
(エンターブレイン)

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【転生七女ではじめる異世界ライフ 〜万能魔力があれば貴族社会も余裕で生きられると聞いたのですが?!〜】
四葉 夕ト
(エンターブレイン)

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【ラピスの心臓 3.深紅の狂鬼】
羽二重銀太郎
(エンターブレイン)

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12月26日
【隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた 3】
荒三水
(モンスター文庫)

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【初級魔術マジックアローを極限まで鍛えたら】
ぺもぺもさん
(モンスター文庫)

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【冒険者をクビになったので、錬金術師として出直します! 〜辺境開拓?よし、俺に任せとけ! 5】
佐々木さざめき
(Mノベルス)

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【白衣の英雄 2】
九重十造
(Mノベルス)

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【最強陰陽師の異世界転生記 4 〜下僕の妖怪どもに比べてモンスターが弱すぎるんだが〜】
小鈴危一
(Mノベルス)

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【幼女戦記 20】
東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)

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【幼女戦記 20 限定版 】
東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)

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【フェイト/エクストラ CCC FoxTail 9】
たけのこ星人
(角川コミックス・エース)

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【シャバの「普通」は難しい 4】
ばたこ/中村颯希
(角川コミックス・エース)

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【戦争は女の顔をしていない 2】
小梅けいと/スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
(KADOKAWA)

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【ざつ旅 ―That’s Journey―4】
石坂ケンタ
(電撃コミックスNEXT)

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【この美術部には問題がある! 13】
いみぎむる
(電撃コミックスNEXT)

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【タプリスシュガーステップ 3】
ばふぁこ/うかみ
(電撃コミックスNEXT)

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【姉なるもの 5】
飯田ぽち。
(電撃コミックスNEXT)

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【スーパーロボット大戦OG ―ジ・インスペクター― Record of ATX(7)BAD BEAT BUNKER】
八房龍之助
(電撃コミックスNEXT)

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【外道魔術師の憑依譚 2 〜最強剣士を乗っ取ったら、自分の身体を探すことになった〜】
羽鳥ぴよこ/新嶋紀陽
(電撃コミックスNEXT)

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【無職転生〜4コマになっても本気だす〜 3】
野際かえで/理不尽な孫の手
(電撃コミックスNEXT)

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【東方Project二次創作シリーズ 人間たちの幻想郷(前)】
芦山
(電撃コミックスEX)

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【魔王様、リトライ! R 2】
身ノ丈あまる/神埼 黒音
(モンスターコミックス)

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【農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。 6】
樽戸アキ/しょぼんぬ
(モンスターコミックス)

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【ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング 9】
大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)

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【桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? 10】
ぽんとごたんだ
(アクションコミックス)

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【少年エース 2021年2月号】

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【コンプエース 2021年2月号】

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【月刊少年シリウス 2021年2月号】

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【電撃マオウ 2021年2月号】

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【月刊コミックアライブ 2021年2月号】

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【月刊コミック 電撃大王 2021年2月号】

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【コミック電撃だいおうじ VOL.88】

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【Comic REX 2021年2月号】

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【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 5 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】
タンバ
(角川スニーカー文庫)

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【『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。】
凪木エコ
(角川スニーカー文庫)

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【恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる】
夏乃実
(角川スニーカー文庫)

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【強気なお嬢様が俺の料理で甘々に】
雨宮 むぎ
(角川スニーカー文庫)

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【元カノと今カノが俺の愛を勝ち取ろうとしてくる。】
はむばね
(角川スニーカー文庫)

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【ひげを剃る。そして女子高生を拾う。5】
しめさば
(角川スニーカー文庫)

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【悪役令嬢、ブラコンにジョブチェンジします 3】
浜千鳥
(角川ビーンズ文庫)

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【グランドール王国再生録 破滅の悪役王女ですが救国エンドをお望みです】
麻木 琴加
(角川ビーンズ文庫)

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12月25日
【ロード・エルメロイII世の冒険 1.「神を喰らった男」】
三田誠
(TYPE-MOONBOOKS)

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