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新シリーズ

悪役一家の奥方、死に戻りして心を入れ替える。1 ★★★☆  



【悪役一家の奥方、死に戻りして心を入れ替える。1】  丘野 優/TEDDY エンターブレイン

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「心を入れ替えて生き直そう」ーーそして始まる貴婦人無双!!!

国家転覆を企てるほど悪逆を尽くした公爵夫人エレインは自らの娘によって命を奪われた。
死の間際、大罪を後悔するも時すでに遅し。公爵家は滅び、その悪名は時間と共に忘れられるはずだったーーしかし、気がつけばエレインは出産中で!? なんと長男を出産した30年前に時間が巻き戻っていたのだ。
嘘と暴虐に塗れた人生を改めるため、
我が子に親殺しをさせないため、
前世の経験と知識を総動員したエレインの快進撃が始まる!!
人妻! 主人公、夫のある人妻である。しかも子持ち! 奥様、子持ちの人妻にも関わらず、そのボディスーツはちょっと攻めすぎじゃないでしょうか、大変結構!
国家転覆企てて王家に反逆したけれども大失敗したので、死に戻った今回はもっと上手くやろう。じゃなくて、反省して後悔して今度はもっと穏やかに家族を愛して生きよう、となるのか。
いや、わりと盛大に心変わりしすぎじゃないだろうか。かなりの悪逆非道で政敵を排し、障害となる者たちを謀略で抹殺し、と相当な悪役ムーブを貫いた人生を送っているにも関わらず、今際の際にまるで憑き物が取れたかのようにそうした自分の人生を悔いているんですよね。
それだけ、自分の娘に親殺しをさせてしまった事がショックだったのか。それとも本当にナニカに憑かれていたのか。
新たな人生でも、エレインは大逆罪の自分を討ち果たす役目を負わされた末娘リリィに殺されないようにと、史上に残る天才大魔導師だったリリィに対抗できるようにと、未来の技術と経験を生かして自分を鍛え上げていくのです。……いや、これ真っ当に生きてたら普通娘と殺し合いにはならないんじゃないだろうか。何気に、いつか殺し合いになるかもしれない、という前提がエレインのどこかにあるみたいなのですけど。
なにか、運命の収束みたいなものがあると感じ取っているのだろうか。
でも、死に戻ったエレインの行動によって歴史は前回から大幅に変わっていってるんですよね。本来なら死んでいるはずの人が生きていたり、敵対していた者同士が仲良くなっていたり、エレイン自身も前回は疎遠だったり敵対することになった相手と交友を持つことになったり、と。
今の所、そこに改変された歴史の揺り戻しみたいなものは見えないのだけれど、エレインは油断せずに自身の研鑽を怠らないし、魔導具の開発や事業の拡大など周りの環境の強化に勤しみ続けるのである。
……全然、大人しくなってないどころか別の意味で突っ走りまくっている気がするんだが、二度目の人生。
ただエレイン自身、二度目の人生を見ていると冷静で他人の心情も察することの出来る深い人格の持ち主で、情にも厚く何より家族への愛情に満ち溢れた人物なんですよね。野心家だったり権力志向だったり、という素振りもなく、なんで前回の人生ではあんな大逆罪に走り、家族をも利用して、他人を陥れることも厭わない人物になったのか、ちょっとわからないんですよね。
前回も家族への愛情は変わらなかったけれど、その愛情の扱い方を取り違えてた、とはエレイン自身が自戒しているところだけれど。
だいたい、彼女の周りに居た人達。友人知人、旦那の交友関係やファーレンス公爵家の臣下たちなど、有能である以上にまず人格者であり、心からエレインの事を心配してくれるような人達ばかりなんですよね。
特に親友のセリーヌなんかは、エレインの暴走を案じて彼女の野心の最大の障害として立ちふさがりながらも、最期まで親友としてエレインを諌め彼女を止めようとしてくれたほどの人で。
エレイン当人も旦那のクレマンも、周りの人達もこんなにマトモなのに、本当になんでエレインが大逆を犯すに至ったのか、そんな野心を抱くに至ったのかわからないんですよね。
エレイン当人が、なんであんな事をしてしまったんだろう、と考えているくらいですから、ちょっと異常ですらある。これって、何か外的な要因があったんだろうか。それこそ洗脳とか思考誘導とか、何者かの意思に取り憑かれたとか。
だからこそ、エレインも無意識に警戒か危惧が残っていて、この二度目の周回で自身を含めた周囲の強化に勤しんでいるとか。未来予知能力者であるセリーヌに、死に戻りや前回の自分の所業なんかを打ち明けているのも、セリーヌが誰よりも信頼できる人物だからというだけでなく、自分以外の外の視点があった方が良い、という考えもありそうですし。
幾らなんでも、娘リリィに殺されないように、というだけでは頑張りすぎなんですよね、エレイン。
……いや、単に社畜気質というか、働き出すと止まらないタイプ、という可能性もあるのですが。
なんやかんや、働きすぎで家庭を疎かにしだして、ついに旦那のクレマンにちょっと君まとまった休み取りましょうよ、と強引に長期休暇とらされたくらいですしね。まだ幼い長男もほったらかし気味でしたし……だいたい、まだあと三人子供産む予定なのにこの奥さん、働きすぎで家帰ってこないものだから子作りとか全然してないじゃん! 大丈夫!? 予定通り二男二女産めるの? そもそも末娘のリリィはちゃんと生まれてきてくれるの!?
奥さんとラブラブのはずだし実際ラブラブなんだけれど、なんでかあんまり構ってもらえない旦那さんがちょっと不憫である。まあ、前回の人生ではお互い愛し合っているにも関わらずだいぶすれ違ってしまって、ちゃんと表立って愛情を向けて貰えなかったらしいので、それに比べれば大変仲睦まじい夫婦関係になっているはずなんですけど、旦那としてはもうちょっとイチャイチャしたいだろうなあ、これ。
ただ、結婚当初から長男出産まではなんでかエレインはやさぐれていたらしく、前回の人生ではどうやらそのあたりから夫婦関係すれ違ったまま、エレインの野心の暴走がはじまってしまったみたいなんだけれど、なんでエレインがやさぐれていたかについてはなんかエレイン語ってくれないんですよね。
しきりと、その頃のことは反省しているにも関わらず。いったい、彼女に何があったんだろう。どうやらそこが重要なポイントの一つではあるみたいなんだけれど。

ともあれ、前回の色々と踏み外してしまった人生を後悔して、新しい人生ではできるだけ周辺との関係を良好に保ちながら、特に権力など求めず、でもわりとガンガンと自分と公爵家の強化に勤しみ続けるエレインの快進撃。かつての人生では袂を分かった人々ともより親交を厚くしながら、大体においてWin-Winの形で進んでいくので、実に痛快な物語となっている。
果たして、今のエレインに立ち塞がることの出来るナニカは存在するのだろうか。
珍しい子持ち人妻主人公でありましたが、なかなかに派手に立ち回ってくれる面白い作品でありました。続きが楽しみ♪

腹ペコ聖女とまんぷく魔女の異世界スローライフ! ★★★   



【腹ペコ聖女とまんぷく魔女の異世界スローライフ!】  蛙田アメコ/KeG ドラゴンノベルス

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ごはんを食べたら聖女パワー全開! 聖女と魔女の異世界ほっこりライフ!

常に腹ペコの聖女見習い・エミリアは修道院を追放されてしまう。
彼女を救ったのは魔女のアビゲイル。
実はエミリアの空腹は膨大な魔力が原因で、さらに女神の生まれ変わりだった!?
アビゲイルの手料理で心もお腹もぽかぽか。
ごはんで得た聖女の力でケガを癒やしたり、伝説のフェンリルを従えたりと大活躍!
聖女と魔女コンビのほっこり生活、開始!
美味しいご飯をお腹いっぱい食べる、というのは一番根本的な幸せだと思うし、お腹をすかせている子供にお腹いっぱいに食べさせてあげる、というのは最も素朴で尊い善行の一つなんじゃないだろうか。
なんなら、そのお腹空かせている子供が本当に美味しそうにご飯食べてくれるのを見るのは、食べさせてあげるのは最高の幸せの一つなんじゃあないだろうか。
相手が子供に限らず、ペットとか動物なんかでもついつい際限なく、パクパク食べてるところに次もこれも、と食べ物を与えてしまうのは、こういう麻薬的な幸福感によるものなんじゃないだろうか。あと、単純に楽しい!
世の中のお祖父ちゃんお婆ちゃんが、孫とかにあれもこれもと食べてせてしまうのは、こういう心理もあるんだろうなあ。
と、思わず食べさせ語りをしてしまいましたが、このエミリアもまた本当に美味しそうに食べる子なので、アビゲイルとしても食べさせ甲斐があるんですなあ。エミリアの聖女としての力だなんだ、というのは、口実以外のなにものでもないのでしょう。ただただ、彼女が食べてくれるのを見るのが楽しいのだ。ご飯与えて美味しいっと笑顔になるのが嬉しいのだ。
まあ、エミリアのことを幼女と思っていたら、まさかの一歳違いの同年代だったというのが発覚してしまったのですが。
いくらなんでも発育不良すぎるだろう。修道院での過酷な毎日は眉をひそめざるを得ないものでしたけれど、いったいどれだけの虐待だったんだろう。これだけ食べることを好きな子が、まともにご飯食べることが出来なかった。お菓子どころか甘いものも口にしたことがなかった、とか可哀想すぎるじゃないですか。
どう見ても修道院、聖職者を育成するための場所じゃなくて、負の感情を育てるための場所になっているんですよね。本来そこまで性質が邪じゃない人も、ここで暮らしていたら歪んでしまうんじゃないだろうか。衣食足りて礼節を知る、とイイますけれど、エミリアへの仕打ちは特に酷いものの全体的にも食事に関しては極めて制限かけてるみたいでしたし、空腹は精神をヤスリにかけますからなあ。イライラやギスギスが常態的になっていてもおかしくない環境でしょう、これ。
こんな中で性格が一切歪まずに純真無垢な善人として育ったエミリアは……ある意味これも歪んだ結果なのかもしれません。むしろ研ぎ澄まされた純粋無垢、穢れのなさすぎる善へと濾過されてしまったんじゃないでしょうか。
己が飢え死にしそうな状態で、持ち合わせのなけなしの食べ物をお腹をすかせた子供に与えてしまったり、途方も無い借金を抱えた人の肩代わりをしてしまったり。困っている人を助けたい、というエミリアの想いは、これ半分狂気の領域に足を踏み入れたかのような善の衝動へと駆られているんですよね。自分を一切顧みない救済。
でもその救済は、与えられた食べ物を食べてしまえば、またすぐお腹をすかせてしまうだろう姉弟を果たして救えたのでしょうか。借金を肩代わりしてもらった娘ですが、でも無計画に借金を雪だるま式に増やした挙げ句に彼女を借金のかたにした父親は何の反省もペナルティーもなく借金がチャラになったわけですから、さて娘の運命やいかに、てなもので実際は何も解決していない。
エミリアの底なしの優しさに意味はないことはないでしょう。目の前で困っている人が助けられたのは確かで、でも目の前の出来事しか救えておらず、そしてそのために負った困難や負債を彼女は自力で解決できず、今度は周りの人の助けの手を必要としてしまっている。
それは果たして、手放しで褒められるべき善行なのか。
エミリアが確実に行えた救済は、ある意味アビゲイルの孤独と傷心をそばに寄り添うことで癒やした、その一点だけじゃないんだろうか。その一点で十分とも思えるのだけれど、それは彼女の困っている人を助けなければ、という一方的なそれによるものではなく、アビゲイルとお互いにお互いの温もりを必要とした、その結果なんじゃないだろうか。
最後の、自分を追いかけてきたココナたちに、お腹がすいたから一緒にごはんをたべよう、と誘って結果としてココナの心を縛り付けていた戒めを解き放ったのは、エミリアなりの成長と思いたい。
一方的な救済を押し付けるのではなく、自分が幸せに感じたことを共有することで幸せを分け与えること。自分が我慢して相手にだけ救いを与えるんじゃなくて、「私、とてもお腹が減ったので!」と自分の欲求を正直に告げて、一緒に幸福感を享受しようというその姿勢は。
最初のどこか破滅的ですらあったエミリアの聖女としての姿よりも、どこか人としてのぬくもりのある優しさが垣間見えた気がしました。
そう考えると、アビゲイルと出会ったことはエミリアにとって、救いである以上に大切なことだったのかもしれませんね。
まあでも、難しいことを考えなくても、人はお腹いっぱいになることで幸せになれる、という単純な真理こそが大切、ということで。



逆行の英雄 ~加護なき少年は絶技をもって女勇者の隣に立つ~ 1 ★★★★   



【逆行の英雄 ~加護なき少年は絶技をもって女勇者の隣に立つ~ 1】 虎馬チキン/山椒魚 MFブックス

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逆行した加護なき少年は、今度こそ幼馴染の女勇者を救う――!
とある田舎の村に住む少年アランは、勇者と呼ばれる少女ステラの幼馴染だった。
ステラは人々の希望として奮闘し、魔王討伐まであと一歩という所まで迫っていたが、最後の戦いに敗れ、人類は再び絶望の底へと落とされてしまう。
幼馴染を奪われたアランは加護なき無才の身でありながら、比類なき努力で格上殺しの秘剣を編み出し、遂には魔王と刺し違える事で復讐を果たすのだった。
しかし仇を討っても彼女は帰って来ない。悲しみと喪失感の中でアランは命を落とし――気づけば幼馴染が勇者となる前の時間へと逆行していた!
絶望の未来を知っているアランは誓う。
「今度こそ二人で生きて魔王を倒して、ハッピーエンドで終わってみせる」
絶技をもって大切な幼馴染を守り抜く、王道剣戟バトルファンタジー開幕!!

くわーーっ、こいつはカッコいいなあ。願いに向かって脇目も振らず一心不乱。前世というべきか一周目というべきか、かつての人生で勇者として覚醒し旅立っていった幼馴染を無為に見送り、ただその惨死を伝え聞くしかなかった全身を掻き毟るような後悔や無念を糧に、もう一度幼い頃から送ることになった二度目の人生を、今度こそ幼馴染のステラを守るために費やさんと努力し続けるアラン。
まさに王道で、正道の地べたから這いずり上がる英雄譚なんだけれど、アランの心根心意気が本当に真っ直ぐで、ステラを守る!で一貫してブレがないから、ほんと気持ちいいんですよね。
その一途な想いも、悲痛なまでの後悔や絶望を背景に打ち立てたものだから決して軽々しいものではなく、二度とあんな思いを味わいたくないという必死さ以上に、かつて孤独だっただろう前世のステラの寂しさや痛み孤独絶望感なんかを思いやりながら、自分以上にステラにそんな想いを二度と味わわせるものか、という懸命さに彩られたものだから、もうまっすぐというか健やかなんですよ。
自分のことだけに内向きになっていたら、かつて復讐鬼として無才にも関わらず魔王を倒すまでに至った狂気、或いは負の感情みたいなものに引っ張られて、もっと危ういピーキーな感じになっていたんじゃないだろうか、とも思うのだけれど、とにかくステラのために一途だからその真っ直ぐさに危うさは感じられず、むしろ分厚い柱を感じさせるどっしりとした目的意識で安定感すら感じさせてくれるんですよね。
ステラを守るということに一途なわりに、ステラに盲目的というわけじゃなく、勇者としてハチャメチャに強くなっていくステラに対して上から目線になれるはずもなく、必死に対等な立場として隣に立ってやる、という負けん気を発揮し続けていたのも良かったのでしょう。ステラは守るべき存在じゃなく、追いかける存在だったから。
それでも、前世の記憶を元に自分を鍛え上げまくって、幼いときからステラに対して勝ち越しし続けてきた、というのは男の子だなあ、と微笑ましくなる向こう意気じゃないですか。お互い、負けるかこらーと切磋琢磨し合う幼馴染関係というのも、お互いへの信頼感が振り切っててニマニマしてしまうんですよねえ。
ステラからすれば、ちっちゃいときからメチャクチャ一途な気持ちぶつけられ続けて、オマケに宣言通りどんどん強くなって、カッコよくなっていくアランにはもうひゃわわわわ〜、てなもんですよ。
それで大人しく護られるお姫様にはならずに、彼が追いかけてくるに相応しい勇者になろうとするの、この娘はこの娘で実に勇者らしいカッコいい娘なんですよね。一方で内心いつかもっと強くなって隣に立ってくれるのを、守りにきてくれるのを信じ切って待っている、というのもまた実に乙女らしい恋する少女してるのも可愛かったなあ。
本来なら加護を持つ人間と、それを与えられなかった人間とでは身体能力から何から別次元の差が生まれてしまう。それを敢えて乗り越えようとせず、弱い自分を認めた上で弱いまま格上を倒す技法を復讐の果てに編み出し、ついに幼馴染を殺した魔王を相打ちで倒すまでに至ったアランの格上殺しの殺法。
ステラが勇者として目覚め王都へと旅立つ日、加護を持つ聖騎士の頂点たる老剣聖と戦って敗れた日、アランはもう一度自分を追い詰めるだけ追い詰めボロボロになるまで努力と鍛錬を積み重ね、かつて習得した格上殺しの技法殺法をマスターするため、彼もまた一人冒険者として旅立つのである。
あのイラストの、二本差しにズタボロの羽織を羽織った流離いの浪人みたいなスタイルが、雰囲気でそんな格好してたわけじゃなく、ちゃんと強くなるために積み上げ手に入れていったものの果てに出来上がった彼の生き様で形作られたスタイル、というのが彼の成長譚の中でしっかり描かれていたのは嬉しい所。
無才の少年が、ただ幼馴染を守るために加護持ちたちすら圧倒し、最強の剣豪すらも打ち破ってその強さを証明する、という誰にも文句言わせないどころか、きっと世間受けするだろう物語を、勇者ステラの出陣式に現れて、公衆の面前でやってのける、というのはかっこよかったなあ。
英雄譚というよりも完全にロマンスの類ですもの。おまけに、実質公開告白でしたし、一世一代のラブロマンス、そりゃあ周りも世論も盛り上がりますわ。
戦闘シーンも柔よく剛を制すを念頭に、ケレン味のあるスピード感を感じさせるアクションであり、剣戟であり、読み応えある面白いものでした。
まずもって、勇者ステラと並び立つ資格を、パーティーの一員として戦うことの出来る立場を手に入れたアラン。とはいえ、勇者の旅はまだこれから。今度はステラと、もう二人いる勇者パーティーの面々と一緒に旅になるわけで。
……いやこれ、実質ラブラブ幼馴染夫婦な二人についていくことになる、あとの二人色んな意味で大変なんじゃなかろうかw
まあどんな旅になるのか、是非想い叶い想い遂げるだろうアランとステラの旅の続きを見てみたいです。

見える子ちゃん 1 ★★★★   



【見える子ちゃん 1】 泉 朝樹 MFC

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異形な“ヤバいやつ”との遭遇を全てシカトで凌ぐ。新感覚ホラーコメディ!

ある日突然、普通の人には見えない異形な存在が見えるようになってしまった「みこ」。彼女は彼らから逃げるでもなく、立ち向かうでもなく…精一杯シカトしつづける事に。怖いようで怖くない、新感覚ホラーコメディ!

こちらから見えるということは、向こうからも見えるということ。
見えていると気づかれたら、果たしてどうなってしまうのか。
以前からウェブ連載の方は読んでいたのだけれど、アニメ化ということで改めて単行本を手にとってみました。
あらすじにある通り、ある時から他の人には見えていない異形、霊の姿が見えるようになってしまった「みこ」。その異形たちは、亡霊なのか何なのか。人に気づかれないまま、でも人にまとわりつくように彷徨っているのである。中にはなんか全然違うのもいるけれど。
でもその多くが、見えていると気づくと近寄ってくるんですね。見えてる?見えてる?とつぶやきながら。

本作のとびきり素晴らしいところは、やはりその亡霊たちのデザインでしょう。もう見るからにヤバい。グロテスクでおどろおどろしく、たとえ人の形をしていても人の理性を欠片も残していないのがひと目で見て取れるヤバさ。気色悪いし怖いし人を冒涜してるような有様だし。とにかく、とてもじゃないけど意思の疎通が図れるわけがない見てくれなんですね。コミュニケーションなんて以ての外。
そんな見ただけで絶対に悲鳴を上げるか白目剥きそうな化け物が目の前に突然現れても、声一つあげないのがこの子「みこ」なのである。
怖がっていないわけじゃない。そりゃもう、漏らしそうなほどビビり倒して内心半泣きになっているにも関わらず、そうした心のパニックを押し殺して見えてないふり、素知らぬふりを貫き通すのである。思わず反応してしまったときも、まるで別のことに反応したかのように独り言をつぶやいてみたり、目にゴミが入ったかのような仕草でごまかしたり、とたゆまぬ努力でスルーしつづける。
そんな少女の必死な、必死過ぎる……ある意味、一つ間違えれば死ぬよりヤバいことになりそうなシチュエーションなだけに、必死を通り越してもう決死の思いでのシカトっぷりを堪能するのが、本作なのである。なるほどホラーコメディだ。
いやもう絶対怖いって。まだ遠くから見えていて心構えが出来てるならマシだけれど、ロッカーあけたらいきなり中に居たり、振り返ったら鼻触れ合いそうなところにそびえ立ってたりとか、相手が亡霊とか怨霊じゃなくても声上げるわ! ビビるわ! それをこの子は、声一つあげずに耐えきるのだから、すげえメンタルである。
外で歩いている時だけならまだしも、学校の中や風呂入っている途中、挙げ句に自分の部屋の中にまで脈絡なく現れるのだから、頭おかしくなりそうなのに。
耐える、耐える、耐える。耐えてスルー、耐えてシカト。誤魔化し下手な演技も交えながらなんとかやり過ごす。ほんま、ようやっとる!

いや、あまりにも見事に耐えきるものだから、てっきり幼い頃からこういう異形が見えていて、耐性が出来ているのだと最初読みだしたときは思ってたんですよ。ところが、実際は見えるようになったのはごく最近。霊感があるわけじゃなく、こんな化け物なんて今まで見たことも気配を感じたこともなかったにも関わらず、よくまあ見ないふり、知らんぷりなんて、何気に難易度高い対処法を選んで貫き通しているものである。
考えても見てくださいよ。夜寝ている時に、なにか変な気配がしたら……見るじゃん。確認するでしょう。なにか居るのに、見ないふりなんて出来ない。絶対見る。見ても怖いけど、見ないほうがもっと怖いもの。
そう考えると、怖がりながらビビリながらもなお意思を貫き通せるこの子は繰り返しになりますが、メンタルすげえです。

アニメの方はまだ見ていないのですが、これはもうあの化け物たちのデザイン次第だろうなあ。ちょっとでもマイルドになってしまってたら、全然面白さも違ってきてしまうんじゃないだろうか。

猫の話や、お父さんの話などちょっとほんわかしたり、切なさを抱いたりという話もあって、普段の当たり前の生活の中にも死というのはいろんな形で寄り添っているんだなあ、というのがふわりと伝わるエピソードでありました。
でも、亡霊同士共食いしてたりとか、あれ死んだ霊にとってはこの世相当ヤバいところなんじゃないだろうか。早く成仏してあの世にいった方がいいんじゃないだろうか。あの世とかあるのか、成仏なんて概念あるのかすら定かではないけれど。

王様のプロポーズ 極彩の魔女 ★★★★   



【王様のプロポーズ 極彩の魔女】  橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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世界を統べる魔女の身体と力を手にした少年の、最強の初恋!

久遠崎彩禍。三○○時間に一度、滅亡の危機を迎える世界を救い続けてきた最強の魔女にして、魔術師が通う学園の長。

「――――君に、わたしの世界を託す――」

そして――玖珂無色に身体と力を引き継ぎ、死んでしまった初恋の少女。無色は彩禍の従者、烏丸黒衣から彩禍として誰にもバレないよう学園に通うことを指示されるのだが……。クラスメイトや教師にさえも恐れられ、再会した妹からは兄のことを好きという相談を受ける波瀾の生活が待ち受けていた!

「お静かに。手元が狂います。――いえ、口元が、でしょうか」
さらには油断すると男性に戻ってしまうため、女性からのキスが必要不可欠で!?

「デート・ア・ライブ」のコンビが放つ新世代最強の初恋!
大長編となった人気シリーズ【デート・ア・ライブ】を完結させた橘先生が、新たに送り出してきた新シリーズがこれ。おなじみ、イラストはつなこさん。
新しいシリーズはじめるのは久々なだけに、どうなるかとも思ったのですがそこはさすがベテランというべきか。盛り上げどころというのを把握しきっていて、この一巻の中に見所がどれだけあるか。その上でクライマックスには幾つもの予想外の展開を襲いかからせて、盛り上がる盛り上がる。
まさに怒涛の勢い。
これぞシリーズ開幕のお手本というくらい、理想的な第一巻だったんじゃないだろうか。正直、引き込まれました。現状で既にめちゃくちゃ面白く、これから広がっていくだろう物語はメチャクチャ面白そう、なのですから。
肝心要の主人公・玖珂無色は真面目にぶっ飛んでいますなあ。いや、変態とか異常者の類じゃないと思うんですよ、多少頭おかしいだけで。
デート・ア・ライブの士道はあれで基本無味無臭タイプだったんですが、それと比べると明らかに頭おかしいです。まあ橘さんの作品の主人公は基本頭おかしいので、それらと比べると大人しい部類なのでしょうけれど。ましてや、橘作品のガチの変態たちはガチの変態なので、それこそ比べるまでもありません。それと比べてしまうと大概のキャラは常識人になってしまうので、相対的に見ると無色も常識人に違いありません。
いきなり死にかけている女の人を見て一目惚れしてしまっている時点でどうかとも思いますが。
そして、自分も殺されかけた上で意識を取り戻したらその一目惚れした女性・彩禍に自分がなってしまっている、というとんでもない状況に驚く前に彩禍さんとお近づきになれた(融合してます)わーい♪ となっている時点でどうかしていると思いますが。
それだけでもとんでもない状況なのに、そこから久遠崎彩禍に成り代わり、周囲にバレないように魔術の学園の理事長になったり平均300時間に一回世界滅亡の危機が訪れているこの世界を救ったりしなければならない、という立場に追い込まれてしまった無色。
まるで知らなかった世界の現状に魔術という要素、そして突然世界守護の要として彩禍の代わりを勤めなければならない、という状況はかなり追い詰められたもののはずなんですが、無色ってわりとこれを卒なくこなしていくんですよね。普通ならパニックになって焦って周囲からどうしたんだろうと変な目で見られながら、自分の無力さに打ちひしがれて、なんていうイベントをこなしていくのがテンプレートだと思うのですが。
無色の場合、彩禍さんの代わりを見事務めたら彩禍さん喜んでくれますっ!というウキウキ感でサクサクっとこの辺軽くこなしていくの、彩禍しか眼中になくて、うんヤバいやつですね。
これで、自分のものになってしまった彩禍の身体とか自分で弄って喜んでたりしたら変態なのですが、そういう変態性は全然ないんですよね。無色くん、紳士である。究極的にお近づきになれたのに、彩禍を自分のものにしたという認識だけは絶無なわけだ。
後々、彩禍が戻ってきた時に良い印象を持ってもらえれば、くらいの控えめな立ち居振る舞いですし。その意味では、わりと傍観勢というか推しは積極的に絡まず距離をおいて愛でるべし、派なのかもしれない。その上で、よければお近づきになりたい、という気持ちもある、という体で。
そう考えると、妹の瑠璃と趣向はそっくりという事なんですよね。彩禍信者の瑠璃の、あの彩禍萌えで彩禍のことになると頭おかしくなるのに、ちょっと関われただけで大満足してるってな感じの瑠璃のあの彩禍への距離感というか態度みたいなの、まんま無色にも当てはまるんじゃないだろうか。
無色の場合はもっと達観しているというか、彩禍や黒衣が若干引いてしまったり置いてけぼりにされるほど、彩禍推し、彩禍ラブで突き抜けているのですけれど。
いずれにしても、頭おかしい方向性で無色と瑠璃って、確かに兄妹だわな。そっくりだわ!

この自分ではどうしようもない状況に放り込まれながら、振り回されるどころかわりと周囲を振り回しまくる無色。そんなマイペースにガンガン突き進む無色=彩禍の行状に魔術師養成機関<空隙の庭園>は大混乱、という学園コメディでありつつ。
世界は平均300時間に一回滅びの危機に襲われている、という「週刊世界の危機」を上回るペースでえらいことになっている世界の裏事情。それを陰ながら防いでいる魔術師という存在。
なにより、世界最強の魔女、誰も敵うことがない無敵の存在を殺したのは一体誰なのか。様々な謎が、その驚愕の真相と新たな謎を伴って怒涛の勢いで襲い来るクライマックス。
登場人物も主人公の無色をはじめ、見事に最初から個性的で色づいていてキャラ立ちしていました。
あのヤンキーみたいなやさぐれてガラ悪い兄ちゃんなのに授業内容めっちゃ真面目で堅実なアンヴィエット先生とか大好きですw と、現状唯一無色以外の男キャラだけどイイキャラしてますわー、アンヴィエット。うん、とそれ以外のヒロインたちも色んな意味で出揃ってますし……瑠璃は単純なコメディからラブコメから兄バカに彩禍信者という頭おかしいキてるキャラな上にシリアスなバトルまで全部一線級でこなしてしまうので、ちょっと万能すぎやしませんかね!?
そして、唯一彩禍=無色という秘密を知り、その傍らで彩禍の身代わりをする無色のサポートをしてくれる烏丸黒衣の見事なツッコミの数々w
うん、本当の面白かった。一巻から見事に掴んでくれました。物語の行く先として特大の爆弾を置いていってくれた一話の黒幕に、ラブコメとしては常に爆弾の導火線に着火しつづける無色くん。
これは続きが楽しみです。またぞろ、でっかいシリーズになりそうだ。


公務員、中田忍の悪徳 ★★★☆  



【公務員、中田忍の悪徳】  立川 浦々/楝蛙 ガガガ文庫

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未知との遭遇ーー地方公務員×異世界エルフ

区役所福祉生活課支援第一係長、中田忍(32歳独身)。
トレードマークは仏頂面、責任感が強く冷酷で誠実、他人に厳しいが、自分自身にはもっと厳しい男である。
無感動、無愛想、無慈悲の三拍子揃った生き様は、他の職員に“魔王” “爬虫類” “機械生命体“などと評され陰口を叩かれているが、忍はどこ吹く風であった。

ある日の深夜。
仕事から帰宅した忍は、リビングに横たわるエルフの少女を発見した。
濡れタオルで鼻と口を押さえつつ、知恵の歯車を回し始める忍。
仕方あるまい。
忍は、地球の危機を悟ったのだ。

異世界からの来訪者と遭遇した際、まず警戒すべきは“異世界の常在菌”である。
仮に異世界エルフの常在菌が、人類絶滅系の毒素を放出していた場合、焼却処理では間に合わない。ダイオキシンの如く、半端な焼却処理が土壌を侵し、その灰が風に乗り雲になり、毒の雨となって大地に降り注ぐ可能性も否めないのだ。
ならばエルフを即座に、極低温で凍結し、最善で宇宙、あるいは南極、最悪でも知床岬からオホーツクの海底へ廃棄するしかない。

必死に足掻く忍の前で、エルフの両瞼がゆっくりと開きーー

第15回小学館ライトノベル大賞優秀賞を受賞した、紛うことなき問題作。
……こりゃあまた、とんでもねー奇作怪作問題作だわー。
落ち物系ヒロイン、あるいは異世界や別世界から突然自分の部屋に見知らぬ女の子が現れて、というわりと古典にもなるだろう古くからある物語の導入から始まる異様な展開。
これ、まず前提として突然部屋に見知らぬ宇宙人だか魔物だか女神だかエルフだか、人間じゃないけど可愛い女の子が現れて、という物語のテンプレートが存在するという共通認識がないと「テンプレートを思いっきり外している」という掴みが得られないんですよね。逆に言うとテンプレートとして周知される展開であるからこそ、幾多の類似して差異がわからなくなってしまうほどの大量の同類項の中から派生形としてこうしたぶっ飛んだものが生まれてしまう、というのもまた面白い話で。
いやいや、まずは本作の話をしよう。
まず、おかしいのは主人公の公務員中田忍の在り方である。生真面目で誠実で面白みのない四角四面の性格をした公務員、というだけでは計り知れない、どこか思考がいつも限界ギリギリかそこを突破した所を歩んでいるかのような特異な人物である。有能ではあるが人の心がわからない、なんてわかりやすく分類できない。人の心がわからないパターンとしても、機械みたいとか怪物みたい、という種類があるけれど、この中田忍の場合人の心がわからないというよりも解釈が違っているというか、感情の存在を知っていてもちろん彼自身もそれを備えているし、理解もしているはずなのだけれど、理解の仕方がちがうというか、同じのハズで他人と共有も出来ているはずなんだけれど、どこか激しくズレているというか。わからん。非常に表現が難しい人物である。
冒頭の、生活保護受給者に対して暴走して入れ込んでしまっていた部下に対して叱責した中田忍は、決して人の心がない、情がない人物じゃないんですよね。むしろ、暴走してしまっている部下の危うさを見抜き、厳しくも鋭くフォローしていたと言っていい。対処法として、それは正しい解釈のはずだ。でも、そこにある真面目さ、硬質さ、理論武装された在り方はどこか非人間的ですらあり、彼の正しさを周囲の人間は畏れてすらいる。
とてもじゃないけれど、付き合いたくない人間だ。プライベートでも仕事でも、だ。
気難しいわけじゃない、話せばわかってくれる。理路整然と説けば、理解して受け入れてくれる。自分が間違っていると思えば素直に正してくれる。でも、その正しさすら四角四面すぎて、なんだか困惑してしまう。
彼に、学生時代から続いている親友関係の人物がいる、という事実にすら驚きを覚えてしまう。まあ、付き合い方さえわかっていれば付き合いやすい人物なのかもしれない。義理堅く友情に厚いとすら言えるだろうし。その発露の仕方は常人の温さと異なっているかもしれないけれど。硬すぎて、痛いかもしれないけれど。親友・直樹義光氏が非常によく出来た器の大きい人物であることは満場一致で賛成をいただけるだろう。もっとも、おおらかに中田忍の言動をニコニコと全部受け入れていられるほど異常人でもなく、ごくごく普通の常識人であるが故に中田の余りにも四角四面なやり方についていけずに振り回されることになるのだが。ほんと、よく友達やってるなあ。
それ以前に、中田にはかつて同棲寸前までいきかけた恋人までいたらしい。ありえない。よほど奇矯な人物か趣味人なのだろう。ある種の生物観察の趣味でもないと付き合えないと思うのだが。
そう考えると、中田忍の特異性をいじって遊ぶ、という楽しみ方を見つけ出している一ノ瀬由奈という人物は、中田への理解の深さも相まって付き合い得る可能性のある人物なのかもしれないけれど、これが恋愛に発展すると安易に考えてしまうこともできにくい。はっきり言って、遊びならともかく真面目には真面目すぎて付き合いきれないんじゃないだろうか、一ノ瀬由奈でも。

さても、本作はエルフという現実の世界には存在しないはずの異生物が突如部屋に現れた際に、中田忍が取ったテンプレとは大幅にハズレた対応を懇切丁寧に描いた怪作である。
異世界交流というよりも、宇宙人との第三種接近遭遇とか第五種接近遭遇とか、そんな方向性の話である。E・Tだって、事態が発覚した際は防護服着込んで家はパッケージングされて封鎖されたよね、というたぐいの話だ。
まああらすじ見ただけで、中田の突拍子もない反応は見て取れるだろう。
一言だけ言わせてもらうと、それだけするならまず警察だか保健所に電話しろよ。自分ひとりで対処しようとするなよ! と言いたい。
その意味では、この中田忍もまた歳こそ行っているものの、悪名高き独善独行的ラノベ主人公を名乗るに相応しい人物なのかもしれない。
社会秩序を独りで背負おうとしなさんなって。防疫の専門家に任せなさいって。

強いて言うなら、それをしなかった、あるいは出来なかった。そうしてしまった場合の「エルフ」の末路を考えた時に本来彼が当然のように行うべき社会秩序を護るための行動を取れなかったことこそが、彼の悪徳のはじまりだったのかもしれない。
荒唐無稽で現実的に実行不可能もいいところな、凍結して知床湾に沈める云々と言い募っていたのも、自分の中に生じた悪徳を誤魔化すためだったのかも知れない。
彼にとって正しいこととは、社会を保全することだ。自分たちが生きているこの社会を、安定させつづけることだ。彼の務める役所の、生活保護受給関連の仕事も突き詰めればこの国の安定を担う仕事であり、彼はその仕事を正しいものとして行っている。
彼が暴走した部下を叱責したのも、それが彼女の独善であり自己満足であり、生活保護受給の理念に反するものであり、彼女自身も生活保護受給者自身も救われない、真っ当な人間として扱われない自分を認められなくなるものだったからだ。国も国民も、損なわれる行為だったからだ。
それは、彼が考える正しさに則っている。
そして、中田の在り方にとっては、エルフは存在してはならないものだった。エルフを保護し守るということは、彼にとって独善であり自己満足であり正しくない、悪徳であったのだ。
それは、形こそ違えども先日部下に叱責した内容がそのまま自分に返ってくるものだった。少なくとも、彼自身はそう捉えていたのではないだろうか。あの部下の自分に酔いかけ暴走しかけていた仕事の内容とは、情けのかけかたが全然違うとは思うのだけれど、それでも彼にとって自分の行いが社会正義に反するという負荷を感じていた事は否めないだろう。
彼の苦悩は、公的機関の介入を許さず、親友の義光と一ノ瀬由奈という部下の意見と手を借りる事となってしまい、悪徳を成す言い訳を手に入れてしまう。
混乱し悩みながら、エルフとコミュニケーションをはかりながら、彼は悪徳を受け入れる。エルフを保護するという選択肢を選んでしまう。それは、軽く見ればどこかで拾ってきたペットをこっそり飼うようなもので、未だ対等な人格を持つ異世界の人類との接触とは言い切れないコミュニケーションにも見えるのだが、それでも彼は悪徳を成した。
彼もまた、ただの情持つ人間だったのだ。どれほど特異で異常に見えても。この物語は、その証明であったのかもしれない。


黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~ ★★★☆   



【黒猫の剣士 ~ブラックなパーティを辞めたらS級冒険者にスカウトされました。今さら「戻ってきて」と言われても「もう遅い」です~】  妹尾 尻尾/石田 あきら ダッシュエックス文庫

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魔力値が限りなく0に近く【無能】と見なされているナインは、冒険者とは名ばかりの雑用を奴隷のように押しつけられていた。食事もまともに与えられない中、パーティのリーダーに難癖をつけられて父の形見の黒剣を勝手に売りさばかれ、唯一の家族である猫のエヌを足蹴にされたところでナインの我慢は限界に達する。「も う 辞 め ま す !」 宿を飛び出したナインは、大陸最強の魔術師――『閃紅』のダリアからスカウトを受けることに。ダリアは偶然見かけたナインの戦い振りから、彼の潜在能力を見抜いていたのだった! 【無能】とされた少年が活躍の場を見つけて成り上がる! 超速の異世界ファンタジーアクション!!

ナインくん、いい子だなあ。まだ幼いくらいの少年で、初々しく直向きで義理堅い。何より純真でだからこそ人には悪意があるという事実に疎くて、イイように搾取され利用されてしまうんですね。
下手に我慢強いものだから、自分だけが不当な扱いを受けていただけなら「恩」を受けていると思っている以上ずっと我慢し続けたんでしょうけれど、相棒の黒猫エヌが痛めつけられた事でようやく今まで所属していた、所属させられていたパーティーから抜け出すのでした。これだって、これ以上一緒に居たらエヌに何をされるかわからないからで、自分ごとじゃないんですよね。
こういう真っ直ぐで可愛げのある子だからこそ、真っ当に報われて欲しいと思うのは当然のことで、こういう今まで理不尽に扱われていたパーティーを抜けて新しいパーティーで大活躍、というストーリーの主人公として相応しいキャラクターでありました。
捨てる神あれば拾う神あり。いや、この場合捨てたのはナインくんの方になるのでしょうけれど、パーティーを飛び出した彼にすぐ声を掛けてきた「紅鷹」の三人がまた、気持ちの良い人達なんですよね。
年少のナインくんに対して三人とも一回り年上なのですけれど、ナインの実力を以前から見かけていてゾッコンだったダリアだけでなく、いきなりダリアが連れてきた何れともわからない少年に対して、残る二人のユージンとリンダもただ優しいというだけじゃない、大人や年上の気遣いや面倒見の良さを見せてくれて、実に良いお兄さんお姉さんしてくれるのである。
元々、やんちゃで無鉄砲なダリアに対しても二人はお兄さんお姉さん的に振る舞っている節があったので、かわいい弟分が出来たという感覚だったのかもしれないけれど。
実際、ナイン君のあの素直さはついつい猫可愛がりしたくなるものがありますからね。あれだけ素直に驚き、目をキラキラさせて頑張ってくれると何でもしてあげたくなっちゃうじゃないですか。
現実として、ナインの実力は大陸最強クラスの「紅鷹」の面々をして瞠目するばかりのもので、手放しで称賛すると逆にナインくんからも凄いです凄いですっと飛び跳ねるようにはしゃぐように称賛が帰ってくるのである。もうめっちゃかわいい年下の子である。そんな子に普段から可愛がってる妹分がぞっこんで一生懸命構っているのも見てしまったら、お姉ちゃんお兄ちゃんとしたらもうこの年下の子たち可愛くてしかたないですわ。ユージンとリンダの気持ちよくわかるわー。

面白かったのが戦闘シーンで、「紅鷹」に加入して速攻で対竜戦闘というとんでもないバトルイベントへと突入してしまうのですが、そのスケールが並のファンタジーとは一線を画してるんですよね。
ファンタジーの4人くらいのパーティーでの戦闘というとせいぜい数十メートルでのお互いが視界に入る範囲で連携しながら戦うというイメージですけれど、本作での対ドラゴン戦闘の場合だと転送や超高密度のバフによる高速移動などによって、数十キロ四方に展開して戦うのである。
それも、個別に勝手に戦うのではなく、これだけの距離に展開しながら相互に緊密に支援とフォロー、連携を行いながら、である。移動は殆どかっ飛ぶように縦横無尽に疾駆して、魔術や支援攻撃の類はキロ単位で的確に届き、あるいは広範囲に降り注ぐ。スケール感とスピード感が地べたの上を走り回るそれとは桁違いの高機動戦闘なのである。
此処まで来ると、もうファンタジーというよりSFアクションのスケールなんですよね。疾走感といい、ド迫力の攻防の数々といい映像になればどれほどの見栄えになるのか、というド派手さで実に痛快でした。
ここらへんは、作者の妹尾さんがかつて書いてた【ディヴィジョン・マニューバ 】とか【終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?】などのSFアクション作品の戦闘シーンを連想させてくれるものでしたね。これらの作品の戦闘イメージから着想を得ていたのでしょうか。
いずれにしても、ド迫力で読み応えあるバトルシーンでありました。

はっきり言って、このレベルの強さだとその辺の街のマフィア相手だと次元が違うどころじゃないなあ。監査役員の老人がまた意味不明レベルの武術の達人で、ポンポン人間横回転や縦回転で吹き飛ばしてパーンと破裂させて倒していくのはまた別種の痛快さがありましたけれど。

追放モノの王道として、有能極まるナインくんが抜けてしまったあと物凄い勢いで凋落していった元のパーティーがザマぁな結果になるのは当然なのですけれど、思いの外徹底してその末路が酷いありさまになっていたのは、まあご愁傷様でしたとしか……。それだけ酷いことをあのナインくんにしていたわけですし、因果応報因果応報。

ある意味、ナインくんとダリアたちの出会いのお話であり、世界観やキャラの紹介とも言える展開でありましたし、本格的にナイン君が加わった最強パーティ「紅鷹」のお話となるだろう次の巻はぜひ読んでみたいので、続き出て欲しいですねえ。
何やら、ナインくんには出自に謎があるみたいですし、相棒の黒猫エヌもただの猫じゃないみたいですし。





『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで ★★★★   



【『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで】  岩柄イズカ/maruma(まるま) GA文庫

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男だと思っていたゲーム友達が、実は白い髪がコンプレックスの内気な女の子だった!?
引っ込み思案な少女と織りなす、もどかし青春ラブコメディ!

「シュヴァルツって、女子……だったの……?」
オンラインゲームで相棒としてやってきたユーマとシュヴァルツ。男同士、気のおけない仲間だと思っていたが……リアルで対面した“彼”は、引っ込み思案な女の子だった!?
生まれつきの白髪がコンプレックスで友達もできたことがないという彼女のために、友達づくりの練習をすることにした二人。“友達として”信頼してくれる彼女を裏切るまいと自制するが、無自覚で距離の近いスキンシップに、徐々に異性として意識してしまい……。
内気な白髪美少女と織りなす、甘くてもどかしい青春グラフィティ。
ふぁーー。これはイイなあ、主人公とヒロインの初々しさに心洗われてしまいそう。
杉崎優真と上城ゆいがはじめて出会ったのは、リアルではなくオンラインゲームの中でした。その頃はまだ中学生の年代だった二人ですけれど、現実でうまく人付き合いできずウチに籠もって自然と他人を拒絶して生きていました。それはゲーム上でも同じで、なるべく人と関わらないようにしながら遊んでいたのです。そんな中で偶々一緒に行動するようになった二人は意気投合、ゲームの中で相棒として一緒に遊ぶようになったのです。
それまで他人を遠ざけるようにして生きてきた優真にとって、相棒…シュバルツと過ごす時間は自分の価値観を塗り替えてしまうほど楽しく、彼と遊ぶことをきっかけにして現実での自分の在り方も変えてみようと思い、努力を重ねることになります。以降、優真のリアルは見違えるように彩りを変えていきました。上手く行っていなかった家族関係も良い形で回るようになり、優真は自分の人生を変えるきっかけになってくれたシュバルツをリアルでは会った事もないけれど親友と思うようになったのです。
このように、二人はお互い本名も本当の顔も知らないネット越しの関係だけれど、そんな事は関係ないくらい信頼を寄せ合う友達同士だったのです。でも、そんな二人だからこそ、もっと相手の事を知りたい、もっと仲良くなりたい、と思うことは必定だったのでしょう。
高校への進学を機に、お互いのリアルの情報を話し合った時偶然、自分たちが同じ学校に通うことになっていて、家も思いの外近所だとわかったとき、リアルで会おうとなったのもまた当然のことでした。
でも、それはシュバルツ……ゆいにとっては途方も無い勇気がいる事でもありました。
白い髪という他人にない特徴のせいで、幼い頃からいじめられていたせいで、酷いトラウマとコンプレックスで他人とまともに目を合わせる事も喋ることもできない、対人恐怖症に近いものを抱えているゆいにとって、人と会うために外出するということは本当に勇気のいることでした。
その相手が、自分を受け入れてくれるのか。この白い髪に変な顔をしないか、今まで女の子だというのを黙っていた事を怒らないか。不安や恐怖でどれほど胸を締め付けられていたでしょう。足が震えていたでしょう。
でも、その勇気を振り絞るだけの絆を、優真に会ってみたいという願いを抱くほどに、出会う前の段階で二人の仲は深まっていたんですね。
そうして出会った男の子は、彼女の想像を超えるほどに優しく、自分の怯えや痛みを理解してくれる人でした。
他人とうまくコミュニケーションを取れない時期が長かった優真にとって、ゆいの焦ってうまくしゃべれない様子やそんな自分に嫌悪を覚えて余計にパニックを加速させていく姿は、身に覚えのあることで、だからこそどうすれば彼女の緊張を紐解いていけるか、よく理解できていたんですよね。
上から保護する形ではなく、寄り添って傍らから支える形でゆいと交流していく優真のそれは、もうパーフェクトコミュニケーション以外のなにものでもありませんでした。これから高校に通うというくらいの年齢なのに、ほんとよく出来た子だわー。
でも、同時にみたこともないきれいな女の子にドキドキしてしまう思春期の男の子であることも間違いではなく、相手が女の子だとわかった途端に初めて友達と会うというそれとは違った浮ついた気持ちになってしまう自分に、下心をどうしても抱いてしまう自分に嫌な思いを抱いてしまうところなど、誠実でもあり可愛くもあり、いい子なんですよね。
そんな男の子に対して、ゆいがどんどん心を開いていくのも当たり前で、高校に進学する前にゆいの人と接することへの忌避感を弱める練習として、いろんな所に連れ出して一緒に遊んでくれる優真への信頼が加速していくのである。しばらくしたら、もうべったりと懐いて無防備なくらいにくっついて離れなくなってしまった所なんぞ、ワンコみたいな所もあり、可愛らしくて仕方ないんですよね。
そりゃもう、優真も困る。
優真の義姉がまた破天荒な人物で、自分でブティックなんかも経営している才媛なんだけれど、このお姉さんがまた良い相談相手になってくれるんですね。
お姉さんの手で、それまで人前に出る事がなかったので髪の手入れや服装など野暮ったい格好しかしていなかったゆいが、見違えるように身だしなみを整えられて、素材だけでも傑出していたのに、それを磨ききった形でとてつもない美少女として完成されて出てきた彼女を、ただでさえ全力でしっぽを振りながら懐いてきてくれるゆいにグラグラしていた優真がノックアウトされないはずがなく、完全に女の子として意識するようになってしまうのである。
最初に、恋をしたのは優真の方だったんですね。でも、友達として慕ってきてくれるゆいにこんな気持を抱いてしまうのは不誠実なんじゃないか、こんな下心を抱いて接してしまうのはダメなんじゃないのか、と悩む少年に率直な助言を与えてくれるのがネネお姉さんなのである。
まあ、傍から見ていてお互いを深く信頼していてピトッと引っ付きながら恋にもまだ至らずにふわふわと寄り添ってる二人は、初々しいやら尊いやら、見ていてたまらなくなる関係なだけに、ネネさんが悶絶するのもよくわかるんですよねえ。
下手に手を出さなくても、意識するかしないかの境目で甘酸っぱい雰囲気をたたえている二人は、応援せずには居られないでしょう。悩める少年に細やかなアドバイスを与えるのは、ほんと良いアシストでした。
この時点では、まだゆいは恋に至ってはいなかったんですよね。優真のことが大好きで大好きでたまらなくて、彼のことを信頼しきって頼りにしきって彼の喜ぶことなら何でもしてあげたい、と思うまでになっている彼女ですけれど、それはまだ恋じゃなかったのである。
それは、どうにも自分を異性として意識しはじめているらしい優真の様子に気づいて、優真は自分が彼女として付き合ってくださいと言ったら喜んでくれるかしら? なんて悩み始める姿からも明らかでした。
彼女のそれが恋ならば、そんな風に優真のためだけに、彼が喜んでくれるから、という理由で彼女になろうとなんてしなかったでしょう。
でも、そうした些細な機微に気づくのが、ネネの助言で腹を決めてゆいと一緒にいると決めた優真だったんですね。彼女が自分のことを好きになってくれたら嬉しいし、好きになって貰うために頑張るし努力するつもりだったけれど、これはちょっと違うんじゃないか、と。
ちゃんと察してあげられる。無分別にがっつかずに、しかし安易に拒絶せずに、彼女の心の動きをしっかりと理解してあげられる優真少年のそれは、本当に良く出来ていたと思います。
ゆいへの友情と愛情と優しさが、気遣いが、心配りが、行き届いているんですよね。こんなイイ男の子はいないですよ。
そして、そんな彼の良さを、素晴らしさを一番理解しているのもまたゆいなんですよね。彼がどれだけ自分のことを大切にしてくれているか、想っていてくれているか。これまでも十分伝わっていたけれど、それがオーバーフローするくらい自分の器を満たして溢れ出して、そうして彼女はついに自分の中のドキドキを発見するのである。
彼のことを考える時、思う時、自分でも制御できないくらい心が弾むことを、押さえきれないくらい胸がドキドキしはじめる瞬間を、彼女は自覚するのである。
恋が、そうしてはじまるのだ。

この物語は、二人の男の子と女の子がかけがえのない親友になり、そこから恋がはじまるまでの過程をとても丁寧に柔らかく描き出してくれたとても素敵な作品でした。
作中時間としては結構短いんですよね。学校が始まるまでの春休みの期間。でも、そんな短い時間だけれどとても密度の濃い、人生が書き換えられていく、人の心が、想いがページをめくるように進展していく様子が描かれたものでした。色づく季節、とでも言うんでしょうか。ああ、春なんだなあ。
まさにこれ、タイトル通りのお話でした。

ここからは、恋しはじめた二人のお話。高校という新しい生活に、二人で踏み出すお話であり、意識せずには居られなくなった初々しく可愛らしいカップルのお話。
ぜひ、ここからの二人のお話、読んでみたいです。もう、二人共めちゃくちゃ可愛かったッ。

岩柄イズカ・作品感想

プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~  



【プリンセス・ギャンビット ~スパイと奴隷王女の王国転覆遊戯~】  久我 悠真/スコッティ  電撃文庫

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奴隷王女×スパイが挑む、学園に集う傑物との王座を賭けたロイヤルゲーム!

【王位選争】――次代の国王の座を王の子たちが奪い合うロイヤルゲーム。
傑物ぞろいの王族が通うロアノーク王立学園に足を踏み入れたのは、奴隷の少女・イヴ。現王と奴隷の間に生まれ、このゲームに巻き込まれた頭脳明晰な才女。そして、彼女を補佐する少年・カイは、国益のために傀儡政権の樹立を狙う敵国のスパイだった。
人間の本質をさらけ出す数々の頭脳戦。候補者同士が《騙し》《謀り》《裏切り》《潰し合う》、このゼロサムゲームの先に待ち受ける揺るぎない真実とは――?
女王になれなければ無惨な死と嘲笑を運命づけられた少女と、彼女を利用しようとするスパイの少年――奇妙な共謀関係にある二人による、命を賭した国奪りゲームが始まる。

こういう知力を振り絞り、駆け引きや謀略を駆使して相手を陥れ、場を支配して勝利を目指すゲーム系の物語というのは、ポッとでの真面目さ誠実さだけが売りの主人公では乗りこなせない。そのせいか、在る種の超常的な精神の持ち主や知力チート、曲者食わせ者といった常人とはかけ離れた突き抜けた人物が主人公になることが多い。賭博黙示録のカイジみたいな俗物の塊みたいなのはむしろ珍しい方なんじゃないだろうか。
同じ作者でもアカギの方だったり、【賭ケグルイ】の蛇喰夢子みたいな向こう岸に渡ってしまっている狂気を孕んだ人物が主人公というケースが、このたぐいの作品では多い傾向にあるんじゃないだろうか。そして、怪物たるその主人公たちゲームを、物語そのものを支配して対戦相手を、観客たちを、読者たちを魅了し夢中にさせてしまう。
そんな主人公たちは、怪物であるからこそ人知を超えたキャラクターである。彼ら彼女らは得体が知れず図りしれず未知であり理解が及ばない存在だ。だからこそ、畏れを抱きその狂気に魅せられてしまう、引き寄せられてしまう。絶対にわからないそれを理解したいと思ってしまう、もっと見たいと思ってしまう。
未知であるからこそ、彼らは魅力的であると言える。
だから、この手の作品の主役となる人物が得体が知れず、正体が知れず、何を考えているかわからない、というキャラクターであるのはむしろ方向性としては王道であると思うんですよね。
しかし、奴隷王女であるイヴの未知は、はたして魅力的だろうか。彼女の理解できない部分をもっと覗いてみたい、と思うだろうか。
奴隷という生まれにも関わらず、人を手玉に取り言葉巧みに取り込んで本人の意思のまま操ってみせる人身操作の手腕。それを元手に奴隷である彼女を買った主人を籠絡し、とても奴隷とは思えない境遇を得て教養や知識を得て王女らしい品格を手に入れたという彼女。それは、生まれながらの資質だったのか。彼女はどうして、王位を狙っているのか。いったい、その腹のそこで何を考えているのか。味方につけたスパイである主人公に語った内容はその奥底を見せること無く、上辺だけで踊っている。彼女が何を考えているか、何を思っているか、その薄ら笑いの向こうで何を望んでいるのかわからない。
わからなさすぎて、なんだか遠い。遠すぎて、共感を抱かない。ゲームのプレイヤーとして読者側の登場人物という感じがあんまりしないんですよね。
だから、誰にも肩入れできることもなく、淡々と目の前で繰り広げられるゲームを眺めている感じ。その勝敗に一喜一憂ができない。ぼんやりと眺めている。
ゲーム自体が面白ければ、そこから没入できるのだろうけれど、ルールばかりがぐるぐるとこねくり回されて、プレイヤー同士の攻防にそこまで動きを感じられなかったりする。
そもそも、奴隷王女の事前の予告どおりにしか状況は進まない。そこには予想外も予定外もなく、彼女が言った通りに事が運び、彼女が言ったとおりに他の人間たちは物事を考え、行動し、発言する。
こうなってこうしたら、彼らはこう考えこのように行動するでしょう。と彼女は語り、で、そのとおりに話が進む。
でも、だからといって奴隷王女すごい、というふうには感じられないんですよね。彼女が言った結果ありきで物事が進んでいるだけで、最初から脚本展開としてそう決まっていたから、というくらいにしか見えないんですよね。そこに彼女の説明、予告がそのとおりになる論理に説得力を与える、補強する状況や背景、論理はあまり見えず。
だから、カタルシスのたぐいを感じることがなかった。
ゲームにも関わらずドキドキもワクワクも出来なかった段階で、まあこれはあんまりあわなかったかなあ、というところで。


わたし、二番目の彼女でいいから。 ★★★★★   



【わたし、二番目の彼女でいいから。】  西 条陽/Re岳 電撃文庫

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俺たちは「二番目」同士で付き合っている――危険な三角関係の行方は?

「私も桐島くんのこと、二番目に好き」

俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――

「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」

お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。

これは凄いっ、凄い作品が来たぞッ!
タイトルやあらすじから、爽やかな青春モノとは裏腹のドロドロの男女関係をねっとりと描いてくれそうなラブストーリーとして期待を募らせていたのですが……。

期待を遥かに上回る不純で倒錯的で不健全な恋物語だったっ! これは本気で凄いし、それ以上にやべえよ、やべえよ、不健全だよ、倒錯してるよ!
でも、恋物語なんです。ドロドロの泥沼のような話でありながら、予想外に青春の物語でした。恋に盲目的なほど全力な若者たちの物語でした。
でも、性癖歪んじゃってるよこれーー!!

二番目だけれど恋は恋。早坂も桐島も、二番目の恋を決して疎かにはしていない。たとえ一番ではなくても、その好きは本気の好きだから。みんなには秘密にしているとは言え、二人は彼氏彼女の関係だから。
この時点で倒錯しまくっているのだけれど、主人公の桐島くんがまた性癖歪んでるんですよ、こいつやばいよ。彼が密かに思いを寄せている橘ひかりにはもう既に彼氏がいるという。その彼氏と思しき男の人と一緒の親密そうな写真を、橘は毎日のようにSNSにあげているのだけれど、桐島はマメにそれをチェックしているのだ。好きな人が自分以外の男と仲良くしている、という胸が掻き毟られそうな写真を食い入るように見入って嫉妬に血を吐きそうになって悶えながら……この男、その狂おしいまでの嫉妬心に恍惚となっているフシがあるんですよね。
……それ、寝取られ属性だよ!!
もう趣味習慣になっていると思しき桐島のその行為を、もちろん早坂あかねは知っていて、同時に嫉妬もしている。二番目の好きな彼が自分以外の女に夢中になっている姿に、いずれもし彼がうまく言って一番目に好きな彼女と上手く行ったとしたら、喜んで送り出してあげると決めておきながら、心定めておきながら、早坂あかねは嫉妬に狂うのだ。脳髄を、焼け付くような妬心に湯だたせるのだ。
そしていずれ、橘ひかりもまた、桐島のそんな性癖を、自分のSNSを偏執的にチェックして嫉妬心を募らせている実情を知ってしまうのだが、この娘は……橘ひかりはドン引きするどころか、むしろ前のめりにその事実を利用して、彼の嫉妬心をかき乱すことになる。
彼女の過去、そして現状が徐々に明らかになっていくことによって、この娘もまた倒錯と執着に囚われまくって歪んでいる娘だとわかってくる。

早坂あかねも、橘ひかりもイラストデザインからすると小悪魔的というか自己主張の強そうな娘に見えるのですが、早坂の方は大人しくて引っ込み思案でクラスのマスコットみたいな可愛い系。橘ひかりの方は無表情で感情的にならない人形のようなクールな美少女。と、決して押しの強いタイプの少女ではないんですよね。
それは、基本的に桐島と二人きりになっても変わるわけじゃない。二人共、猫をかぶっているわけじゃなくて、それが決して器用ではない彼女たちが表で出せる顔だから。
でも、桐島相手には心許せる相手だからこそ、隙を見せてくれて緊張を解した顔を見せてくれる。でも、それ以上に恋という感情が彼女たちを急き立てるのだ。冷静さを、理性を、取り繕うべき外面を、恥ずかしさを、何もかもが引き剥がされていく。
でももし、その恋がお互いを見つめるばかりの落ち着いたものだったら、彼女たちはもっと冷静に穏やかに自分の中に芽生えてくる恋心を制御できただろう。
でも、桐島を含めて早坂あかねも橘ひかりも、その根源に在るのは好きな人が絶対に自分のものにならない、という焦燥であり、狂おしいまでの嫉妬心だ。
それでいて、その恋は届かない所にあるわけじゃない。恋する人は、触れられる近さに居てくれる。その身体を捕まえていられる、抱きしめていられる場所にいてくれる。なんなら、心だって寄せてくれている。一番目だろうと二番目だろうと恋は恋だ、好きは本当の好きなのだ。でも、独占だけはできない。その人の心は、自分だけのものじゃない。いつだって、自分と違うあの人に向けられている。それが正気を発狂させる。なまじ、触れられるだけに抱きしめられるだけに、夢中になって求めてしまう。
そうなると、容易に理性は剥がれていく。夏の外気にさらされたアイスクリームのように、とろとろと溶けていくのだ。そうなれば、現れるのは剥き出しの欲望だ。独占欲だ。この人を自分のものにしてしまいという、原初の欲望だ。
この作品が倒錯しているのは、そうした溶け切った理性の果ての感情が誰か一人の一方的なものではなく、少なくとも桐島くんと早坂あかね、そして橘ひかりの三人の間で完全に共有されてしまっているところなんですよね。そして何より、その狂おしい感情を抱え込んでいる事を三人共が認めあっている、知っている、わかっている、という所なんですよ!
そして、お互いに彼氏彼女という関係を見せつけることで、一番目に好かれているという事を見せつけることで、決して結ばれないという現実を見せつけることで、見せつけ合うことで恋敵を、恋する人を嫉妬で悶え苦しませて、悦に浸るのである。
もう、倒錯してる以外のなにものでもないよ、これ。
そしてその倒錯は、四人目の当事者。早坂あかねが一番に好きな人、橘ひかりの付き合っている人、そして桐島くんが最も信頼し信頼されている人物が、同一人物であることがわかった時に、そしてその人と橘ひかりとの本当の関係が明らかになった時に、圧倒的なまでに加速していくことになる。

改めて見ても、もうむちゃくちゃエロいんですよね、この話。あらゆる場面にエロスが充満している。でも、決して直接的なエロがあるわけじゃないんですよ。誰も裸になんてならないし、肉体的接触もせいぜいキスが一番上。
でも、死ぬほどエロい。好きという気持ちが募りすぎて、理性がポロポロと剥離していく早坂あかりのエロスが、果たしてどれほど突き抜けているか、これは見てもらわないとわからないだろう。理性が吹き飛んでしまった時の男女が、どれほど獣のようになってしまうのか。頭から冷静に考える機能がなくなってしまうのだ。目の前に好きな人が居て、その人に触れるという事実だけが体中を支配する。その甘くてとろけていくような快感が、天上にも登るような心地が、ここには余すこと無く描かれている。
そして、橘ひかりとの逢瀬はそれにも勝る官能だ。部室の奥に眠っていた恋愛ノートと呼ばれるかつてのOBが書いたという、女の子と仲良くなれるという頭の悪いゲームを、橘ひかりに請われて二人きりでプレイしはじめたときの、あの頭が茹だっていくような時間と空間。ねっとりと、理性が蛇のようなものに絡め取られ動けなくなっていく空気感。
甘く囁かれる声が吐息が、全身を痺れさせていく。触れる指先が、唇が、舌先が、理性をドロドロに溶かしていく。体温が際限なくあがっていくのが、目の前にモヤがかかって目の前にいる人のことしか見えなくなっていく様子が、目に浮かぶようだ。ただ、目の前の人を求める原始の感情。
これを、官能と言わずしてなんというのだろう。
ってかこれもう、官能小説だろう!?

そして、それだけ理性を蕩かせながら、その相手を彼も彼女も独占できないのだ。自分だけのものに出来ないのだ。三人とも、人並み以上に独占欲が高く深いにも関わらず、心も体も手に入れられるのにそれを別の人に分け与えなければならないのだ。その狂いそうな感情を、この子たちは甘く苦い飴玉のように舐り尽くしている。苦しみながら、悦んでいる。
なんて、不健全!! 不純! 倒錯的!! 

ラストシーンの橘ひかりのあの台詞は、その極地でもあり、同時にタイトルに多重層の意味を持たせる構成の凄まじい妙を見せつけるすごすぎる台詞でもあって、あれを見せつけられたときには思わず放心してしまった。全身が痺れて震えるほどに、キてしまった。完全にヤられてしまったと言ってイイ。
うわああああ! もう、うわああああ! ですよ。叫ぶしかねえ!

なんかもう脳内物質がぶっ飛んだ。ヤバいですよ、これ。やばいやばい。すげえラブストーリーが来た!! 来たぞーー!!

悪役令嬢、拾いました! しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います 1 ★★★   



【悪役令嬢、拾いました! しかも可愛いので、妹として大事にしたいと思います 1】  玉響なつめ/あかつき聖 アース・スターノベル

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転生者として、ファンタジー・ゲーム知識を魔法に生かし、“幻影"という二つ名で知られるジュエル級まで上りつめた冒険者アルマは、ひょんなことから“追放された悪役令嬢"イザベラを拾う。イザベラの身の上話を聞いて
「この子……前世の漫画の子だ! 」
と一瞬大混乱の彼女だったが、漫画よりも謙虚かつ聡明なイザベラを気に入り、引き取って妹にすることを決意。イザベラは庶民の生活を学びなおし、「自分にとっての幸福」とは何かを考え始める。そこへ元婚約者である王子がやってきて……

ちょっと王子側の動きがガバガバすぎて、ほぼほぼ自滅だったんじゃないだろうか、これ。
いわゆる婚約破棄のシーンは省略されてなかったものの、追放された悪役令嬢を主人公が保護して、という流れから逆襲に転じて王子の断罪と令嬢の名誉回復までの展開、早かったなあ。
いやね、最近は令嬢追放から主人公に拾われるにしても、新天地で令嬢自身が主人公として頑張っていくにしても、肝心の婚約破棄にまつわる一連の事件は話の都合上後回しにされてしまったり、逆にサクッとプロローグで片付けられてしまったり、と喫緊の問題としてあんまり扱われないことが多かったので、本作のようにそこに焦点を当てて追放から逆転裁判までを一連なりのお話として第一巻でやっちゃうのは昨今珍しい部類なのかも、と思いまして。
わりと、それ以外の話に横道それることなかったですからね。
令嬢のイザベラが冒険者で主人公のアルマに保護されてから、平和な日常をアルマの元で過ごしてイザベラが落ち着き、またアルマに懐いてこれまでの次期王妃として固められていた価値が解きほぐされていく、という話の流れがありましたけれど、具体的に特徴的なイベントがあったわけじゃないですからね。
作中時間ではそれなりの期間、王都から放置されていたようですけれど、展開としてはわりとすぐに王都から王子が襲来してきて、という話になりましたし……当事者の王子が自分で突撃してくる、というのも珍しいなあ。それも改心したとか事情があったとかじゃなく、勝手に飛び出してきてイザベラを勝手に連れ戻しにきたという勝手っぷりで、勝手勝手。ガキか、この王子。
これはもう放っておいても早晩王子周りはダメになってたんでしょうけれど、一方的に婚約破棄された事で名誉を失っていたイザベラの名誉回復、あとこんな王子を野放しにしていた王国首脳部にナシをつけるため、アルマはイザベラの保護者として仲の良い冒険者の青年二人組と王都に乗り込むのであった。
これ、ただの冒険者なら無謀だけれどジュエル級という王族も一目置かなくてはならない、在る種の権威ある存在であったアルマが権威振りかざしてうちの妹いじめるやつに一発食らわしたる、と直接暴力じゃないけれど、口撃で一言一発かましたる、という勢いで乗り込む話でしたね。
いやまあ、こういう場合は権威も必要なんですけど。あの王子の教育に失敗していた時点でどうしようもないんだよなあ。エドウィン君も、最初の態度酷すぎたのであんまり弁解の余地ないと思うんだけれど。心改めたとはいえ。いや、こんな好青年ならもうちょっと最初のあの歪みまくった態度はマイルドな描写にしておいた方がよかったんじゃないだろうか。好感持てる要素なかったぞ。

珍しいと言えば、主人公のアルマは女性なのだけれど、拾ったイザベラの可愛さに夢中、は夢中なんだけれど、それとは別に友達以上恋人未満の冒険者仲間が居て、わりとベッタリなんですよね。
イチャイチャしてるとまでは言わないけれど、まだ拾われたてで不安もあるだろうイザベラが、拠り所であるアルマが別の男性に気もそぞろ、というのは凄く可愛がってくれてるにしても、不安定な時期だけに大丈夫だったんだろうか。なんか姉に理解の在る即座に出来た妹、みたいな振る舞いをしていましたけれど。

寄り道せずに、サクサクっと婚約破棄から始まったイザベラの追放事件を一巻で解決。と、なってしまったのであんまりアルマの冒険者としての強さはアピールされなかった気がします。イザベラの庇護者としての振る舞いに終始してましたしね。冒険者としては宝石級という権威を振りかざす事で自己主張はしていましたけれど。

まあ肝心のイザベラがこれで完全に国元から自由になって、悪役令嬢でなくなってしまったので、ある意味元貴族のただの妹になってしまったのだけれど、これからどう話広げていくんでしょうね。

王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~ ★★★   



【王都の外れの錬金術師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~】  yocco/純粋 カドカワBOOKS

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ハズレ職だけど家族や精霊に支えられ、ほのぼのモノづくり生活!

ハズレ職を理由に家を追い出され、孤独に生を終えた少女は、子爵家の次女・デイジーとして転生する。
だが、今世の職業もハズレの「錬金術師」。怯えるも、今世で待っていたのは家族からの温かい言葉と、真新しい錬金道具!
しかも、希少な「鑑定」を持つデイジーにとって、実は天職で……!?

国家相手にポーションを売ったり、精霊の加護で楽々素材が集まったり、たまにはパンを作ってのんびりしたり……。

チートな錬金術師の明るく楽しい毎日が始まります!

前世で家族から望まれぬ職業を神から授かってしまい、家族から捨てられ病で寂しく孤独にこの世を去ってしまった主人公。生まれ変わっても、前世の記憶があるからこそ、その時のトラウマが彼女を怯えさせていたのも無理ない事なのでしょう。
それが、今世でも同じように望まれた魔術師ではなく、錬金術師というハズレと言われている職業を授かってしまったなら、なおさら前世の恐怖が蘇ってきてもおかしくないはず。
魔術師の家系であるプレスラリア子爵家は、宮廷魔術師を排出する魔道の大家でもあり、一族はみんな魔術師の職業を受けていた中での、全く別の職業ですからね。
さらに錬金術師という職業は、過去には多大な業績が残っているものの、誰もそれを引き継いでおらず、今いる錬金術師はせいぜいが低品質のまともに使えないポーションを作るくらいで、一般にろくでもないハズレ職と見做されているらしい。
それにも関わらず、怯え悲しんで部屋に閉じ籠もってしまった娘を普通に心配して、傷ついただろう彼女のことを絶対守ってやるのだ、と両親が決意するあたりはまだ、親として当然のこと(その当然を出来ない貴族も多いのでしょうけれど)、としてそれだけではなく、デイジーが就いた錬金術師という職業そのものも否定せずに、デイジーが望んだからではありますけれど、娘が錬金術師として学ぶための教材をかき集めてきて、彼女が自分の職業を誇れるようになるための環境を整えてあげようとした、というのは魔術師という別系統の大家であるからこそ、そこにこだわらない柔軟性はお父様尊敬できる人だなあ、と思う所でありました。
デイジーとしても、前世とは裏腹の家族の厚い愛情はトラウマを払拭する温かいものだったでしょう。嬉しかったでしょうね。それどころか、錬金術師として大成するために手厚い援助までしてくれて、とやる気MAXになるのも無理からぬこと。高価な道具類も揃えてもらい、古い錬金術の本なども手に入る限り入手してもらったわけですから。

しかし、デイジーに鑑定という余人にない精密というか解説付き測定方法が備わっていたからとはいえ、錬金術初心者向けの本を読んで作れる程度の普通のポーションも、現在の錬金術師は作れていなかったって、どれだけ他の錬金術師は不勉強で怠け者で不見識だったんだろう、と首をひねってしまいます。
肝心の錬金術も、蒸留水を作ってそこに草をみじん切りにして容器に放り込んで、加熱するだけ、というのが基本ベースなんですよね……小学生の理科実験でしょうか?
沸騰するかしないかの瀬戸際を見極めて火力調整しつつ、数時間ほど温めるだけで素材から抽出できるエキスが、高品質のポーションとなるという……なんだろう、このコストのわりに得られるリターンの破格さは。部位欠損の回復までできるポーションが水に漬けて温めるだけで出来るって、簡単すぎないですかね!? これなら、鑑定なくても普通に試行錯誤してたら易易と出来るレベルに見えるんだけれど。もうちょっとこう……錬金術というからには高度なそれを見せてほしかった気がします。繰り返しになりますけれど、これなら小学校の理科室でできそうw

錬金術の内容はともあれ、両親の手助けもあり、幼い時分にもう将来の夢を描いてそれに邁進できる、というのは幸せな人生でありましょう。錬金術のアトリエを作って、そこでお店をやるんだ♪ とだけいうと、子供の夢のお話そのものなのですけれど、彼女は既にポーションを含めて、この国にはないパンをはじめとした食べ物を作って国王一家に献上したり、モンスターとの戦いでポーションを配り歩いて後方支援で実績をあげたり、と功績をあげてるわけで、夢物語じゃないんですよね。
幼女が戦場に勝手に入ってきて、ポーションを配り歩くとかちょっとどうかしてる状況だとも思いますけれどw

デイジーはまだ年齢二桁になる前に、献上品などで得た収入を家で貯蓄してくれていたものを使って、早々にお店を建てて独立。他の子供達、デイジーの兄や姉たちも学校の寮に入ることになり、一気に幼い子供達が手元から離れていき、寂しそうなパパさんの姿がちょっと沁みるシーンでした。
まだ年齢でいったら小学生くらいだろう子供達が、みんな家を出ていっちゃうって親としては寂しいどころじゃないだろうなあ。いくらなんでも早すぎて、若干かわいそうになってしまった。子供達に深い愛情を注ぐことを厭わない両親なだけに、なおさらに。
こうなっては、もっとどんどん子供を作って寂しくないようにするしかないよね♪

 


シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱 ★★★★   



【シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱】  高殿円/雪広うたこ ハヤカワ文庫JA

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2012年、オリンピック開催に沸くロンドン。アフガン帰りの軍医ジョー・ワトソンは、早々に除隊したものの、物価の高さと仕事のなさに鬱々としていた。このままでは路頭に迷ってしまう。そんな折、友人ミカーラからフラットシェアをすすめられた。シェアの相手はシャーリー・ホームズ。ちょっと変わった女性だという。だが、実際に会ったシャーリーは、ちょっとどころではなく変わっていた。乗馬服に身を包んだ清楚な美貌、人工心臓を抱えた薬漬けの身体、初対面で経歴を言い当てる鋭い観察眼、死体置き場で寝起きする図太い神経。なにより驚いたのは、彼女が頭脳と電脳を駆使して英国の危機に立ち向かう、世界唯一の顧問探偵であることだった。 ベイカー街221bで同居を始めてまもなく、ヤードの女刑事グロリア・レストレードが訪ねてきた。死体がピンク色に染まる中毒死が続発しているらしい。いまだ無職のジョーはシャーリーに連れられて調査に赴く。それは二人がコンビを組む、初めての事件だった。 表題作に短篇「シャーリー・ホームズとディオゲネスクラブ」を加えた、目覚ましい独創性と原作への愛に溢れた、女性化現代版ホームズ・パスティーシュ登場!
登場人物全員女性! 高殿さんの作品はもっとガンガン読みたいんだけれど、なかなかタイミングがなかったんだけれど、いざ読み出すとめちゃくちゃ面白くてサクサク読めてしまうので、まずページさえ開けばいいんだよなあ。

冒頭からアフガン紛争帰りの軍医ジョー・ワトソンの登場で引き込まれてしまう。本来のワトソン君もアフガン戦争帰りの軍医だったのに、舞台が現代になっても変わらずアフガンに首突っ込んでるイギリスになんだかなあ、という気持ちになる。まあ、現代のアフガン紛争は9.11を端緒にはじまった対テロ戦争の一貫でアメリカ主導だったんだけれど。でも、巡り巡ってそもそもこの地域の紛争がはじまった原因はイギリスだからな!
というわけで、時代背景はがっつり現代。2012年のロンドンオリンピックが開催されている真っ盛りの頃。それでももう10年前になるのだが。
高殿先生、めっちゃロンドンに取材にいっている上に短期だけれど実際に旅行じゃなくて住んだりもしてたんじゃなかったっけか。それだけに、ロンドンの情景描写にはリアルな色彩と息遣い、そして生活感を感じさせるものがあって、眼に心地よい。
とはいえ、ワトソンちゃん、戦地から帰って早々就活に失敗して引きこもるわ、金なくて住む所もなくて、モルグ……病院の死体置き場に勝手に潜り込んで、死体袋を寝袋代わりにして宿代わりにする、というすげえことを平然とやらかしてくれるのだが、そこで図らずも同じく死体袋に入って仮眠を取っていたシャーリー・ホームズと運命の出会いをかますのでありました。
出会いの絵面が酷いなんてもんじゃないんですがw
ホームズシリーズのワトソン君と言えば、凡人の聞き役として頭脳明晰なるホームズ氏の推理に実にわかりやすい反駁と疑問を呈してくれる狂言回しの王様みたいな存在で、この作品におけるワトソン女史も普段のホームズの奇行に苦言をていして常識を諭したり、事件の推理パートに際してはわかりやすい答えにとびついて、と実にワトソンしているワトソンなのである。見事なワトソンっぷり、と言っていいでしょう。
しかし、彼女が平凡か、凡人か、というと……実際の所シャーリー・ホームズに勝るとも劣らない奇人なんじゃ、と疑ってしまうんですよね。ダメンズ趣味なのを除いても。
いや、その前に物語の主役であるシャーリー・ホームズを語らねばなるまい。
自分には心がない、と語る彼女は、胸に人工の心臓が埋め込まれた半機械化人間である……いや、マジで。ただ心臓疾患で人工心臓を胸に埋め込んでいる、というだけならアンドロイド呼ばわりはしないのだけれど、彼女の場合その心臓がどうにも特別性である上に、ネットワークと繋がりミセス・ハドソンというAIと連携していたりするんですね。
ハドソン夫人が人間じゃないんですけど! というのもアレなんですが、シャーリーの電脳との繋がりっぷりが、2012年が舞台なのに一人だけ攻殻機動隊!
ハドソン夫人も「Hey Siri!」とかでは済まない異様に高度なAIですし。ちゃんと元のハドソン夫人という人間は居たらしく、亡くなった彼女の人格モデルを用いているAIらしいのですが、いずれにしてもシャーリーってばホログラムとか普通に使ってるし、技術レベルがひとりだけ100年単位でおかしくないですか? という様相なんですよね。
ワトソン、なんで気にしてないんだ? なんかもうそういうものなんだ、とさらっと受け流しているのですが、彼女の受容力ってちょっと異様なんですよね。
シャーリーのどこかロボットじみた非人間的な挙動、停滞した感情、絶世の美貌が余計に人形めいた雰囲気を増しましているところなど、最初の頃こそシャーリーの異様さがワトソンの目を通じて浮き彫りになるのですけれど。
ワトソンとのシェアハウス生活の中で、一見してわかりにくい中でシャーリーは実は結構表情が動いていたり、感情的な部分が見え隠れしてくるんですね。家族……姉の突拍子のなさに振り回され、自分に与えられた役割に頑ななほどに拘る意地の張り方、そして自分の存在意義、生きる価値についての苦悩など、シャーリーの人間性、人間臭い部分は後半に行くほど顕著に見えてくるのである。
んで、面白いことに逆に平凡な人間に見えたワトソンの異様さがチラチラと見えてくるんですね。その人生の岐路に、いつも男の影がある、男運の悪い要領も悪いお人好しのハーレクイン好きの医者崩れ、というわりとダメっぽい女性という姿の奥底に、シャーリーと普通に友人として付き合えている、シャーリーを取り巻く異常な環境を特に気にせず受け入れて何の隔たりもなく一緒に暮らしている、という所からなにやらワトソンという女性の得体のしれなさが垣間見えてくるんですね。
それは、彼女のアフガン紛争での戦地での経歴が明らかになった時に、はっきりと突きつけられるのである。
いや、ジョー・ワトソンのアフガン時代のプロフィールがちらっと開示された時の、あのゾッとするような感覚は忘れられない。アフガンでなにやってたんだ、このワトソン女史!? そして、なんで平然とした顔でロンドンに戻ってきてるんだ?
巻末の中編で、シャーリーの姉がワトソンの人となりを危惧して個人的に喚び出して面談したその気持も、その危惧も、ワトソンという女性の中にある異様さを見せられると、わからなくもないんですよね。
そんな姉に呼び出されたワトソンを、めっちゃ心配するシャーリーが可愛いのですが。あの姉のちょっとやべえくらいの変態っぷり、人間として明らかに踏み外している人格を身内としてこれ以上無く思い知っていたら、そりゃ心配だわなあ。ジョー・ワトソンが喰われちゃうッ!(性的に)と焦りまくるシャーリーは十分以上に人間らしくて、可愛かったです。
個人的に、シャーリーって妹属性強いし、ワトソンからも普段からよくお世話されているのを見ると、妹属性強い感じがして、イメージとしてはチンマイ容姿を連想してしまうのですが、実際はワトソンよりも背が高い女性としては長身のスラリとしたスタイルなんですよね(ブラはしなさい)。
イメージはメチャクチャ綺麗だけれどちびっ子、なんだけどなあ。

っと、事件の方はシャーロック・ホームズ最初の事件である「緋色の研究」のシナリオとはだいぶ異なっていると思われる。主要人物が全員女性になっている、という事もあってかもちろん、刑事であるレストレード警部や被害者、犯人も全員女性となっている。てか、レストレード警部、ママさんデカなんですが。シングルマザーで、子供もいる中国系の切れ者刑事で、仕事が忙しい時はなんでか子供をシャーリーとジョーのアパートメントに預けていく、という最初からの親密さ。
まあそれはそれとして、事件の方は殺害方法がわからない、被害者たちの共通点がわからない、という謎の連続殺人事件。そもそも殺人なのか、それも連続殺人なのかすらわからない状況で、にも関わらず連続殺人事件じゃないかと想定して動いていたスコットランドヤードは素直に優秀なんじゃないか、と思う。被害者の全員が女性ということもあるのだけれど、様々な意味で女性的な事件であり真相であったと言える。これ、解決側が男だったらなかなか平静な顔して推理とかしにくかったんじゃないだろうか。
と、本作の注目点はこの連続殺人事件が単発の事件ではなく、最初から某教授が絡んでいた、という所なんですよね。宿命の敵は、既にシャーリー・ホームズと運命の糸によって結ばれているのである。そして、その運命に対して、シャーリーは決して超然としていられない。彼女は真実に怯え、IFに苦悩し、正義を果たすことが正しいのか迷い果てている。
そんな彼女を、ジョー・ワトソンは傍らで見守ることになる。果たしてジョーは、シャーリーの友人で居られるのか。その異様な受容性は、彼女たちを救うのか突き落とすのか。
いずれにしてもこの物語において、ライヘンバッハは既に約束された未来なのだ。

そこに至るまでに起こるだろう様々な物語が、シャーリーとジョーの冒険は想像するだに楽しみなんですけれど、まだ続刊一冊しか出てないんですよね。コロナが収まらないとロンドンを訪れることも難しいでしょうし、首を長くして待ちたいところです。その前にバスカヴィルを読まねばですが。


高殿円・作品感想

厄災の申し子と聖女の迷宮 1 ★★★☆   



【厄災の申し子と聖女の迷宮 1】 ひるのあかり/桜瀬 琥姫  ドラゴンノベルス

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死闘と混沌に満ちた迷宮を攻略する最強冒険者は現地生まれの狩人だった!

神が創りし迷宮のある世界。狩人の少年シュンは、現代日本から召喚された双子の少女ユアとユナと成り行きでパーティを組んで迷宮を攻略することに。銃と剣と魔法で戦うRPGのような迷宮で、シュンの"狩り"が始まる! しかし、それは、異世界からの召喚者、果ては神までもが驚愕を超えて苦笑するほどの超絶廃プレイそのものだった――!?
コミカライズの連載がはじまったのを見たのですが、これが一話からえらい面白い内容だったので、原作の方はどうなのかな、と読んでみた次第。
なぜか、漫画が連載されているのは【B's-LOG COMIC】だったりするのですが。まあ【カドカワBOOKS】などからも漫画化されて連載されてる作品が多い雑誌なのですが、だいたい女性が主人公の作品が多いので、本作みたいに男の子が主人公で、というのは珍しいというのもあったのですが。
そもそも、異世界転生モノでありながら純粋な現地人が主人公という点から結構珍しいと思うんですよね。それも、転生者の若者とパーティーを組む形での。
主人公のシュンは、若いながらも育ての親たちの仕込みで名うての狩人として、そしてソロの冒険者として活動する少年でした。
この世界では、孤児にはダンジョンを探索する義務が課せられていて、シュンもその義務を果たすために故郷から旅立ち、潜ったダンジョンでこの世界の神が行っている悪趣味な遊戯の存在を知ることになる。自分たちもまたその神の遊びの駒であるということも。
そして、異世界……この場合は地球から神が毎年のように集団召喚によって、少年少女たちを呼び寄せ、無理矢理に神がプロデュースしたダンジョンの探索に投入されているということを。
シュンは、そこで召喚された学生たちに混じって、ダンジョン攻略を行うように命じられるのだった、という内容。まあそこまでも細かく紆余曲折あるわけですけどね。

このシュンという少年が歳のわりに達観しているというか、ずっと独りで活動してきたせいか非常に狩人として研ぎ澄まされていて、まさにプロフェッショナルなんですよね。
突然、異世界に転生させられチートを与えられたといっても右も左もわからないところから、いきなり命がけのダンジョン攻略を強いられた学生たちの素人丸出しの姿を比べると、転生モノのテンプレとかスラング、用語、概念から全然知らないものの、冷静さを失わずにじっくり観察を重ねながら黙々と目的を達していくシュンの様子がまた頼もしいのである。
狩人という生業ゆえの我慢強さ、慎重さがそのまま廃人プレイ紛いの行動に繋がっていくのは面白かった。予断を持たないが故に安易に不可能と判断せず、検証と実証を繰り返していくところとか。
また現地人で銃なんて存在自体知らなかったのに、弓や弩の延長にある遠距離武器だと把握するやどんどん使いこなしていくところとか。

そして興味深いのがヒロインとなる双子の姉妹なんですね。双子キャラにも色々あると思うのですけれど、双子といっても個性が正反対だったり見た目は一緒でもキャラや性格は随分違っていたり、とヒロインとして扱われるキャラクターは特に個々の個性を重視した形で描かれることが多いと思うのですけれど、本作のユアとユナはぶっちゃけ全く差別化する様子がないのである。
双子二人セットで描かれると言うと、最近では【クロの戦記】の双子エルフのアリデットとデネブが思い起こされるけれど、二人セットで掛け合いという点でもユアとユナはアリデットとデネブもコンビと良く似てるんだけれど、なんだかんだと姉と妹で性格が違っててちゃんと二人別々にわかるように描写されている双子エルフと違って、こっちの二人は完全に不可分の二人一組で描かれていて、区別する様子が見受けられないんですよね。完全に二人で一人、という様相を呈している。
挙句の果てには、あの合体ですからね。あんなの、個々に自律した意識があったら出来ないことでしょう。生まれる時に無理やり二人に分けられた、という双子の妄想はあながち間違っていないのかもしれない。
いや、こういう自分自身と双子の姉妹との間で自己と他者であるという認識が曖昧になっている、という双子キャラはたまに登場したりしますけれど、それがメインヒロインとなるとちょっとお目にかかったことがない気がする。
とはいえ、二人差別化されていないとはいえ、双子というひとくくりでみるとこれが面白いキャラなんですよね。喋ってる内容はアーパーでお調子者というのは、プロというか職人気質なシュンと案外相性が良くってこの双子がいると雰囲気も自然と明るくなっていますし。
見るからに幼く実年齢からしても同世代と比べてもかなりちんまい双子は、シュンをして庇護欲を湧き立たせるのか面倒見よく扱っていますしね。……まあ過労死寸前になりそうな何日も跨ぐような長時間戦闘を当然のように強いたり、と現地人らしく労働基準法の概念は存在しないので、儲かるし強くなるけれどブラック!という環境なのですがw
とはいえ、双子もクラスメイトたちから見放され、そのままなら衰弱死するか魔物に殺されるかという運命を辿るはずだったところを、シュンに拾って貰って生きる術、戦う術を教えてもらい、一緒にパーティー組んでくれたという恩もあり、最後まで運命を共にする気満々なのですが。

しかし、悪質なのがこのダンジョンを運営して、無理やりプレイヤーを現地や異世界から引き込んで遊んでいる神様である。シュンたちがゲームマスターが本来想定していないクリア方法やモンスター攻略を行った際は、あとで修正してモンスターの強化をしてたりするんですよね。
バグや不具合をなくすのはわかるんですけれど、攻略されたから二度目はないように強化するって単純にGMとしてズルいし卑怯な気がするんですよね。
本気でダンジョンを攻略させる気があるとは思えないムーヴしてるんですよね。とにかく、どんどん脱落者を出すような運営ばっかりしていますし。
でも、シュンの国の偉い人には日本人らしい名前の人もいるらしく、ちゃんとクリアしてダンジョンから出ることの出来た者はいる、という体になっていて、それが新たに召喚された若者たちの希望になっているんだけれど……どこまで本当なのやら。
今の所駒に過ぎないシュンたちは、神様の言われた通りにダンジョンを攻略していくしかないし、シュンからして孤児の義務を果たしてダンジョン攻略を終えてさっさと帰る、くらいしか思っていないようなので、神様への反発とかはないみたいだけれど、さて果たして本当にダンジョンの攻略は可能なのか。
あとがきだと、どんどんとあの少年神の顔色が青くなっていくそうなので、ちょっとザマァ展開も期待できるかも?

刹那の風景 1.68番目の元勇者と獣人の弟子 ★★★☆   



【刹那の風景 1.68番目の元勇者と獣人の弟子】 緑青・薄浅黄/sime  ドラゴンノベルス

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二度目の人生は棄てられ勇者、三度目の人生は獣人のわんこ族と旅に出ます。

68番目の勇者として異世界に召喚されつつも病弱で見放されていた杉本刹那は、23番目の勇者カイルからその命と共に大いなる知識と力を受け継ぎ、勇者の責務からも解放される。三度目の人生にしてようやく自由を得た刹那は、冒険者として生きていくことに。見るもの全てが新しい旅の中で生まれる出会いと別れ、それが彼とそしてこの世界を変えていく。

不知の病で若くして死んで、異世界に転生させられたと思ったらそこでも同じ病気で動けず、ってどんな地獄なんだ。
絶望のダブルバインドですべてを諦めてしまった刹那の前に現れたのは、23番目の勇者だというカイル。かつて、同じように勇者から力と知識を受け継ぎ悠久の時を生きてきたカイルは、二人分の勇者の力と長く生きた知識と経験を刹那に託してこの世界から消失する。
一時間にも満たない僅かな邂逅でありながら、まるで生来の親友のように或いは兄弟のように打ち解けたカイルと刹那。それでいながら、同じ時を生きることが出来ず、託すという形でカイルは刹那に未来を与えて去っていった。
まさに、一期一会の邂逅だったのだ。
世界を旅したい、生まれてこの方病室に閉じ込められつづけた刹那が抱いた願いは、こうして異なる世界で叶えられることになった。でもそれは、一所に留まること無く流離い続ける旅から旅への人生が約束された、ということでもあるんですよね。
実際、最初に冒険者ギルドに登録して居を構えた街では、良き出会いに恵まれ続ける。ギルド長には随分と親切にされて良く面倒を見てもらったし、宿では女将(?)に我が子のように慈しんでもらった。そして、まだ冒険者として右も左もわからない刹那に、臨時パーティを組んだベテラン冒険者は冒険者としての様々な心得や心構え、ノウハウを教授してくれて、先々の心配までしてくれた上で刹那を一廉の男として見込んでくれた。
それでも、刹那は居心地のよかったこの街を、旅立っていく。それはこの国ではひどい扱いを受ける獣人の子アルトを拾い弟子にした事がきっかけだったかもしれないけれど、アルトと出会っていなくても早晩旅立っていたのは、ベテラン冒険者のアギトの誘いを丁寧に断っていたことからも明らかだろう。
刹那の風景というタイトルは、主人公である刹那のいる風景というだけではなく、彼の一所に留まらない人生の常に移り変わる景色を表してのことなのかもしれない。
悠久の時を生きることになる青年の人生の旅路を、刹那の風景と名付けるのもまたどこか詩的じゃないですか。

この物語は、主人公刹那の人生の旅路を描いたお話だ。きっと、長い長い話になるのだろう。人と違う時間を生きることになった刹那は、本質的に人の集まりの中に留まることが出来なくなった存在だ。彼の人生は、一つの場所で送られることはない。でもだからなのだろうか、彼の物語はどこか人との出会いに比重が傾けられているように見える。
上記したように、彼の旅立ちは最初からかけがえのない出会いに恵まれ、そして別れを内包していた。長く付き合うことも出来ただろうギルド長やアギトさんと言った人たちとも、惜しみながらも手を振って別れを選んだ。これからもきっと、刹那の旅には出会いと別れが寄り添い続けるのだろう。
そんな中、奴隷商人に虐げられていた獣人の子供を刹那は引き取ることになる。アルトという名の獣人の子は刹那に懐き、この子は弟子という形で刹那の旅に連れ添う。
最初、もしかして実は女の子の可能性も、とボロボロの風体や栄養不良からの成長不足から性別がわかりにくくなっていたものだから、ちょっと期待したんですけれど、一緒にお風呂に入って丸洗いする、という誤解しようのない入念な確認作業が介在してしまったために、性別誤認という可能性はきっぱりとなくなってしまった。
とはいえ、男の子だろうと女の子だろうとアルトの可愛さはかわらない。なんかもう、健気で一生懸命慕ってくる幼い子供の可愛らしさはなんなんでしょうね。無条件で庇護欲が湧いてくる愛おしさに、ギューッと抱きしめてあげたくなる。きっと、そうすれば向こうも嬉しそうに抱きついてきてくれるだろうから。
でも、刹那はアルトを目一杯可愛がりながら、最初からいつか大きくなって自分の手元から巣立っていく日の事を考えているんですよね。アルトが一人前になり、師匠の自分が心配する必要がないくらい自立して、旅立っていく日のことを思い描いている。それを、とても嬉しいことだと考えながら。
それは、刹那にとっては寂しくても哀しくはない、良き別れ、なのでしょう。今は、懸命に離れまいと抱きつき手を握ってくる幼子を優しく包み込みながら。
刹那のこの穏やかで優しく、しかしどこか遠い精神性がこの作品の空気感を形作っているような気がします。
果たして、刹那が一人の弟子を連れながら歩く世界が、次に見せてくれる風景はどんなものなのか。
どこか切ないような、落ち着くような、穏やかな気持ちにさせてくれる作品でした。


となりの彼女と夜ふかしごはん ~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~ ★★★☆  



【となりの彼女と夜ふかしごはん ~腹ペコJDとお疲れサラリーマンの半同棲生活~】  猿渡 かざみ/クロがねや 電撃文庫

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となりの彼女が「おかえりなさい」と「いただきます」を言ってくれる生活。

大手スーパーの文具部門で新任マネージャーとなった俺・筆塚ヒロトは、仕事漬けの毎日にすっかり憔悴しきっていた。そんな俺の唯一の楽しみは、深夜帰宅後につまみを作って酒を飲むことだけだった、んだけど……いつの間にか、隣に住む腹ペコ女子・朝日さんと賑やかな半同棲生活をすることになってました。

「し、深夜に揚げ物は犯罪なんですよ!」
「今夜こそ誘惑に負けませんからね…!」
「こんなに美味しいなんて優勝ですぅ…」

優勝――それは大切な人と美味い料理で食卓を囲う瞬間のことを言う、らしい。
腹ペコ女子があなたの暮らしを彩る深夜の食卓ラブコメ、召し上がれ!

いやこれ、腹ペコJDと深夜ご飯食べるのがメインじゃなくて、職場の総合スーパーで働く模様を描く方がメインのお仕事モノじゃないですか。
てっきり、仕事で疲れ切って帰ってきたところを、JDとイチャイチャしながらご飯食べて癒やされる日常ものというスタイルかとタイトルや粗筋から想像していたのですが、思っていたよりもかなりガッツリお仕事モノでした。
突然前の部署から慣れない文具部門のマネージャーをやらされて、売上も現場管理も部下との関係も何事も上手くいかず疲弊しきった主人公ヒロト。そんな彼が疲れ切って自宅のマンションに帰ってきた時、隣室のJDが居酒屋で鍵をなくして困っていて、縁あって彼女を部屋に入れて深夜ご飯を振る舞うことに。
そこで実に美味しそうにご飯を食べ、缶ビールを飲む朝日さんと愚痴を言い合うなかで、ヒロトは朝日さんに職場での部下への姿勢にお叱りを受けてしまうのです。
不本意だった部署の移動に余裕を失った事と不満から内向きになったことで、部下とちゃんと向き合わず現場を把握せずいい加減な仕事をしていた事に気付かされたヒロトは、心入れ替え今の部署のマネージャーとしてやるべき事をやり、部下ともちゃんとコミュニケーションを取って、おかしくなっていた現場を立て直し始める。
まあ言ってしまえばこういうことか。だいたい誰が悪いかというと、文具部門がおかしくなったのはヒロト自身の問題だし、彼のモチベーション管理を全くせずに放り出した人事部門の問題だし、しわ寄せは全部現場に来ていました、というのは仕事あるあるだよなあ。
実際、ヒロトはほぼ現場の人間の信頼を失っていたので、いきなりあんな新しい事をはじめようとしても、知らん顔されても不思議なかっただろうに、よくまあ助けてもらえたものである。パートの人たち、聖人だろう、これ。
まあ破綻状態にあった現場の環境が改善される、となったら協力するのもやぶさかじゃないのかもしれないですけど、いきなり一人でやろうとされてもねえ、というところもあるし。今まで現場出てこなかったのに、いきなり顔出すようになって特に話通さず相談もなく勝手にあれこれ動かされだしたら、相手が偉い人でもなんやねん、と思っちゃうんじゃないでしょうか。
去年の売上の百%超えも、前年がよっぽど低かったんじゃない?と意地悪なことを考えてしまう。
正直、心改めたからってそれからの彼のやり方はうまいもんじゃなかったと思います。本当にパートの皆様のお陰サマサマじゃないでしょうか。

さてJDの朝日さんとのお話の方ですけれど、女子大生っつっても高校卒業したばかりで右も左もわからない上京したての初々しい女の子、というわけじゃなく。そんな娘を餌付けしてご飯食べさせて癒やされる話、というふうではなく、朝日さんもう二十歳になってるんですねえ。なったばかり見たいではあるんだけれど、酒が飲める年齢である。
というわけで、夜食作って一緒にご飯食べて一緒にパカパカとビールの缶開けながらゲームしたり愚痴言い合ったりと二人して管を巻く、これ普通に宅飲みじゃないですか?
合コンの居酒屋で鍵なくして、部屋に入れなくて困っていた朝日さん。なんかぐだぐだな理由でヒロトの部屋に入り浸り、というほど図々しくはなく、むしろ申し訳無さそうに家事手伝ったり、と決して居心地良さそうにしているわけではなかったので、あんまり半同棲とかそういう雰囲気ではなかったですね。後半、住居侵入トラブルがあったあとは別の人の部屋に避難してしまったから、結局ヒロトの部屋にいたのは3日程度でしたし。
ただ、変に半同棲なんて言わず、夜中に宅飲みしてぐだぐだになって、ついつい二人して寝落ちして朝になってた、という実際の状況の方がよくある話である分生々しくて二人の間の雰囲気としては良かったんじゃないでしょうか。意図せず同じ部屋で寝ちまった、というのが何度か続いた方が意識してしまう所も大きいでしょうし。
それに、朝日さん、なんか最初こそ頼りなかったものの、よりどころ無くフラフラしてる女子大生じゃなくて、学生ながらしっかりと稼ぎを持ち、それ以上に自分の生き方をしっかりと見定めている大人の女性だったんですよね。むしろ、今現在迷走して鬱屈を溜め込んでしまっていたヒロトよりも、ここぞというとき大人びていたかもしれない。だからこそ、ヒロトは彼女の芯ある言葉に影響を受け、自分を見つめ直すことになったのですから。
とはいえ、彼女の方も自分の生き方を定めていたとはいえ、周りからそれを叩かれ否定されることも少なくなく、彼女の方もまたヒロトに負けず劣らず精神的に疲弊していた部分は少なくなかったのでしょう。
彼が困り果てていた自分を助けてくれたこと、そりゃもう美味しい夜食を振る舞ってくれて、お酒かぱかぱ煽る余裕をくれたこと、色々と吐き出させてくれたことは、間違いなく救いであり、張り詰めていたものへの癒やしだったのでしょう。他でもない彼に、自分の書いた2冊の本についての講評を求めたのは、彼が抱えていた仕事の苦しみの中に自分が耐えているものと共通したものを見出したから、だからこそこの人の意見を聞きたかった、というのもあるのでしょうけれど。
優しくしてくれた彼にこそ、自分の選択を認めてほしかった、という風に見えたのはラブコメフィルターの働きですかね。

あと、最後のは間違いなく犯罪なので、ちゃんと警察に通報しましょう。勝手に取引のネタにするの、余計に拗れると思うし、朝日さんの身の危険に直接関わるだけに、拙いんじゃないかなあ。



聖女様は残業手当をご所望です ~王子はいらん、金をくれ~ ★★★☆   



【聖女様は残業手当をご所望です ~王子はいらん、金をくれ~】 山崎 響/伊吹 のつ エンターブレイン

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教皇・王子・ギャングにお嬢様。みんなまとめて叩きのめします!
儚げな美貌と強大な聖魔法を持つ心優しき聖女ココ・スパイス……というのはあくまで表の顔。素顔の聖女様は引退後を睨んでちまちま貯金に励む超しっかり者だった。それもそのはず、ココはもともとはストリート・チルドレン。「他人をあてにせず、自分の力で食って行く」その矜持は聖女になった今でも変わらない。教皇の威光? 王子様からのラブコール? ギャングの魔の手? どんな相手だろうが、気に喰わなければありとあらゆる手段で叩きます!

「ジジイ、毎年毎年一時金でごまかしやがって! いつまでも日給銅貨八枚でこんな仕事をやっていられるか!? 今年こそベースアップを要求する!」
「いい加減信仰心を身に着けんか聖女! 日給月給の聖職者なんておぬしだけじゃ!」

教皇だろうが王子だろうが遠慮なし! いつだって自分を忘れない、規格外聖女ココちゃんのドタバタ日常コメディ登場!

日給銅貨8枚って、完全にブラックですよね!? と、作中で描かれた貨幣価値からしてもこれ日給じゃなくて時給換算じゃないの? という薄給ですからね。
むしろ、聖女様の春闘って正当行為じゃないの? と思う所なのだけれど、これ教皇の爺さんの悪意とかじゃなくて、ちゃんとした教会の事情があるらしい。
なんだかんだと、この僅かな小遣いの金額で受け入れているあたり、ココって別に金にがめついとかじゃないんですよね。本当の守銭奴だったら、ココのあのイイ性格と才覚なら金の集めようなんて幾らでもありそうですし。傍若無人で頭の回転が早く、多分聖女として召し上げられずそのまま路上ぐらししていても、路地裏の顔役の一人にでも成り上がってたんじゃないか、というアグレッシブさからしても、教会の運営にいっちょかみして集金システム作り上げても不思議じゃない悪党の素質はありそうなんですよね。
それが、与えられた小遣いだけをコツコツと貯めて、18歳での聖女という役割の年季明けに備えているあたり、あんまり無茶無道はする気ないんだなあ、と。
あれだけ自由に振る舞って、教皇はじめとした教会の偉いさんたち相手にも権威をもろともせず言いたいこと言って行儀作法なんざ知ったこっちゃねえとばかりにふんぞり返っているけれど、別に教会に対して反逆してるって訳じゃないんですよね。むしろ、明日をもしれないストリートチルドレンという身の上から、衣食住ちゃんと面倒見てくれる聖女という立場に拾い上げてくれた教会にはちゃんと感謝してるっぽいんだなあ、これが。
なので、聖女という役割も放り出すことなく、本性表すのは限られた身内の前だけで外ではキッチリ猫かぶって立派な聖女として振る舞っていますし、あれで教会への帰属意識はちゃんとあって客観的に見るとかなりちゃんと聖女やってるんだよなあ。
まあ、それも12年聖女やったら引退できる、という年季明けの制度があるから、拾ってもらった恩返しもそれで返し終えて、あとは自由! 娑婆への脱出! と目論んでいるようですが。
その普段からの大暴れっぷりから、魔王のように畏れられているココですけれど、教皇様はじめとして叱り怒りながらも、わりとみんなそんなココに順応してるというか、ある意味慣れちゃってるのが面白いw
もちろん、その低い出自もあって蛇蝎のように嫌っている層もあるんでしょうけれど。ココは喧嘩売られたら百倍返しが基本みたいな所がありますからね。変なちょっかい掛けて痛い目見た連中は多いんじゃないでしょか。作中でもモノ知らずの新人貴族娘に絡まれて、逆に徹底的に泣かす! をやらかしていますし。完全に周囲の反応が、触らぬ神に祟りなしのヤバイ奴に喧嘩売りやがったぞあの娘、でしたからね。むしろ周りがココにしばかれる娘相手に「ざまぁ」だったの、色んな意味でココに毒されてやしないでしょうかw
わずか6歳のときまで路上で逞しく生きてきたココ。そこから聖女として召し上げられ、今14歳。ということは、既に路上生活していた時期よりも聖女として生活してきた日々の方が長くなっているにも関わらず、覚えた行儀作法や淑女教育は身につかず……いや、猫かぶってる時の様子を見るとほぼ完璧に身についているはずなのに、それがあくまで外面にしかなっていないの。三つ子の魂百まで、というべきか、登場人物みんなが思っているように、生まれ育ちゆえにあの性格根性になったんじゃなくて、あれ生来の性格だろう!? というのは間違ってないんでしょうね。
一方で、その幼児時代の親に捨てられ地べた這いずって生きていたストリートチルドレンの頃の辛さ、世間の冷たさ、底辺の生活の酷さはココの中で今も忘れられることなく息づいていて、ふとした瞬間、含蓄ある言葉が飛び出したりするんですよね。
一時、教会を飛び出したときもあっさり下町生活に馴染んでいましたし、彼女の魂は今も路地裏にあるのかもしれません。
だから、聖女の年季明けたら下町で暮らす気満々なんですよね。この国の王太子セシルとの結婚話があるにも関わらず。
このセシル王子も、ココの本性をがっつり知っている人物にも関わらず、むしろそのイイ性格なココを面白がって嫌がる猫を構うみたいにして毎度からかってくるココの天敵なのですが……。
いや、ココ様ってばけっこう満更じゃないじゃないですかw
あれだけ毛嫌いして面と向かって罵倒して追い払おうとしながら、実は全然嫌いじゃないどころか、あのイイ性格なところ気にいっていて、満更じゃないって可愛いか!
本気で王子と結婚する気はないものの、王子が自分に構ってくるのは聖女と結婚するという政略とココの本性を面白がっているだけで、女性としては見られていないんだと期待しないようにしているとか、可愛いか! 王子関連が唯一、ココの可愛い面が見られる所っぽいんですよねえ。
まあ、マジで王妃になるの嫌がってるんですが。聖女と違って年季明けはありませんし、一生自由が束縛されてしまうわけですから。
果たして、王子は甲斐性見せれるんですかね、これ。王子も軽薄に見えてちょっと踏み込むのビビってるところあるみたいですし。王子とのラブコメももうちょっと見てみたいですよ♪

田中家、転生する。 ★★★☆   



【田中家、転生する。】 猪口/kaworu ドラゴンノベルス

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家族いっしょに異世界転生。平凡一家の異世界無双が始まる!?

平凡を愛する田中家はある日地震で全滅。
異世界の貴族一家に転生していた。
飼い猫達も巨大モフモフになって転生し一家勢揃い !
ただし領地は端の辺境。魔物は出るし王族とのお茶会もあるし大変な世界だけど、猫達との日々を守るために一家は奮闘 !
のんびりだけど確かに周囲を変えていき、日々はどんどん楽しくなって――。
一家無双の転生譚、始まります !

一家丸ごと異世界転生! いやこれはなるほど。異世界転生モノでまず最初に気になってしまうのはやっぱり元の世界に残された家族の事なんですよね。特にまだ十代の若者、それも一人っ子なんかが事故やらで死んでしまったら、残された家族のそれからの事を思うと胸が痛いものがありました。
それを思うと、一家丸ごとで転生してしまうというのは、元の世界への心残りが一つ解消されるパターンなんですなあ。まあ冷静に考えると、元の世界では一家丸ごと全滅しているわけですから、悲惨極まりない話では在るんですけれど。
まあ、転生することになった田中家の人たちは楽天的と言うか根っから明るく呑気な性格なのであまり引きずることはないようですけれど。
ある日突然、前世の記憶を一家みんなが思い出す、という展開はまあ生まれた時から記憶があるとこの場合混乱してしまいますので、自然な成り行きというべきなのでしょうか。
でもこれ、ある意味パパさんとママさん、生まれ変わっても結ばれていたということなのですから、何気にロマンチックなシチュエーションなんじゃないですか?
あと、特徴的なのが猫である。猫でかいな!!  完全に猫という名の巨大生物じゃないですか。これだけデカイ猫ってもはや虎なんじゃないですか? 猫科がデカイとそれもう猛獣ですよ? じゃれつかれると普通に死にそうなんですけど。
幸い、この猫たちは元の世界に居ることから半ば妖怪みたいな存在で非常に知性的であり、田中家の人々を慈しんでいたので、ちょっと機嫌が悪くなると猫パンチ、などという危険もなさそうなのですが。
でもこういう人間よりも巨大な質量を備えてしまうと、不思議と猫というよりも犬的な挙動に見えてしまうんですよね。犬みたいな忠実な振る舞いとはもちろん違うのですけれど、自由気ままで自分たちこそが一番偉くて人間たちは下僕!という風な振る舞いを見せる猫らしいところが目立たず、自分よりも小さな存在を護るように気を配って動くようすなんか、大型犬っぽく見えるんだよなあ。

とまあ、記憶が戻ったことで皆の無事(?)を喜ぶ田中家の人々。呑気だ。
でも、本人たちのこののんびりした善良温厚な気質とは裏腹に、田中家が転生したスチュワート伯爵家は、魔物が侵攻してくる辺境を任された貴族であり、これが想像以上に過酷な土地なんですよね。
実際、周りの辺境領は統治する貴族家が軒並み破綻していて、スチュワート伯爵家も長女のエマが偶々開発に成功した高級絹と、商材を的確に稼ぎに変換してくれるお抱え商人がいなけりゃ、一家総出で内職してても早晩財政破綻していたくらいですしね。
それに、魔物の恐ろしさがゲームのモンスターのようなちゃちなものと違って、まさに存在そのものが厄災級。突然、湧いて出てくるところといい、強さの基準がまともに人間の手に負えるものじゃないところといい、魔物の侵入が「ハザード」と呼ばれるのに相応しい脅威であり、それと真正面から向き合っているのが辺境地域なんですよね。
スライム戦でここまで絶望的でエグいことになる戦いは、早々見たことなかったですわ。場合によっては生きたまま喰われるの前提で生き残りの選別をしなければならない、ってそれまでのんびりコメディやってたのが嘘のような緊迫感と絶望感で、そのギャップが凄かった。普段あれだけ呑気にすごしているのに、いざという時あれだけの覚悟を備えていたわけだ、スチュワート伯爵家の人々は。

彼らと知り合い、それまで宮廷政治の陰湿さから精神の均衡を崩し家族間の仲も壊れかけていた王妃とその子供たちは、スチュワート家の人々の明るさと善良さ、その純朴さに心救われることになるのですけれど、それだけではない辺境に暮らす者たちの覚悟と、彼らの置かれた過酷で理不尽な状況を目の当たりにすることで、国内の政治的な不均衡と向き合うことになっていくのか。
ちなみに、スチュワート家こと田中家の人々は腹芸とか全然できないので、政治的にはまったくアレなのですが、彼らの場合はそのアレさがまた武器となっていくんだろうな、これ。
次からは辺境から王都に一家乗り込んでの大騒動になるようなので、彼らの動向によって何がどうシッチャカメッチャカになるのか、楽しみです。
しかし、長男と次男と結婚してくれそうな相手、出てくるんだろうかw

主人公じゃない! 01 ★★★☆   



【主人公じゃない! 01】  ウスバー/天野 英  エンターブレイン

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「ただのサブキャラ」がゲーム知識で世界を塗り変える!

女の子をかばって車に轢かれ、「俺」はRPG世界の「レクス」に転生していた。
あらゆる分野の技能を備えたイケメン・レクスだが彼は序盤のお助けキャラ。
低過ぎる成長率、残念過ぎる固有技、器用貧乏過ぎるステータスでレクスが無双出来るのは最初だけ。
あっという間に役立たずになってしまう危険性を前に俺は決意した。

「世界を救う」ことも「魔物との命懸けの戦い」もゲームの主人公様に任せて、のんびりしよう!

これは「主人公」を探す凡人が、なんだかんだで世界を救う英雄になってしまう物語

ゲーム序盤の最強キャラが、中盤以降なんだか使えなくなってきてお役御免、後方待機、予備役入してしまうのはゲームあるあるだよなあ。
というわけで、RPGのそんな序盤のお助けキャラへと転生してしまった主人公。いや、主人公じゃないのか。タイトルがタイトルなので主人公という言葉使いづらいな、これ。
というわけでゲームの主人公じゃないけれど、この物語この作品の主人公はこの序盤最強キャラのレクスである。最強キャラなんだけれど、無双できるのは序盤だけ、というだけあって兎に角ステータスを中心にショボい要素が満載で、あんまり最強キャラという感じがしないのは上手いなあ、と思うところ。実際、序盤の負けイベントでレクスではどうやっても太刀打ちできないような敵キャラもどんどん出てくるので、むしろレクスの低すぎるポテンシャルでどうやって不可能を可能にするか、という雑魚キャラ縛りプレイ的な展開の方が多くて、これがまた面白い。
それにしても、レクスの成長率はすでに終わってる状態だし、そもそもの初期の素質が周りの特別ではない冒険者たちと比べても貧相を通り越して酷いの一言で、周りの有望さと自分の悲惨さを比較してしまってのたうちまわるレクスさん、可哀想だけど面白すぎるw

これは、自分を主人公だなんて、間違っても勘違いできないよなあ。

でも、実体がどうあれ内実がどうあれ、レクスという人間の内面がどうあれ、彼の姿は周りの、特に冒険をはじめたばかりの少年少女を中心とした冒険者パーティーの面々からしたら、レクスこそが勇者であり主人公なんですよね。

自分は主人公なんかじゃない。

それを、主だった登場人物みんなが痛感して、自分は特別ではない事を噛み締めている。でもそれで挫折して膝を折ってしまうのではなく、レクスも、そしてラッドたち若き冒険者たちも諦めること無く自分が主人公になれない世界でも強くなる事を目指す。それを彼らに促したのが、それぞれお互いなんですよね。
ラッドたちは、レクスという世界のシステムを覆す可能性を見せてくれる憧れの冒険者の姿に心を滾らせ。
レクスたちは、ラッドたち初心者がひたむきに頑張り、自分の訳のわからないだろう指導についてきてくれる一途さに魂を震わせられて。
自分は主人公じゃない、という絶望を乗り越えるのである。いやあ、面白い。

レクスは現状ではレベル50という序盤の街では突出したレベルの持ち主なんだけれど、実は同じレベル50まで成長する他のキャラと比べたらステータス的にはせいぜいレベル30相当。そして、ここからも殆ど成長の余地がない。
現状で既にイベントボスだけれど、レクスではマトモに戦っても勝てないような敵が出てくる状況なので、ここで行き詰まっている、と言ってもいい。
ならばレクスが武器にすべきなのは、この世界の常識にはない外から来たゲームプレイヤーの持つ埒外のゲーム知識。ゲームシナリオの方はかなりぐちゃぐちゃになって早々に役に立たなくなりつつあるので、彼が活用しようというのはプレイヤービルドの知識だ。この世界の人間が経験則や曖昧な勘で行っていて効率的とは程遠い、場合によっては成長が行き詰まってしまうレベルの上げ方をしている中で、最適にして最強のビルドを素質の優れたラッドたち初心者パーティーに叩き込んで、彼らを世界最強のパーティーへと育てていく、という目標。
これ、ゲーム知識をふんだんに利用したものではあるのだけれど、意外とその訓練模様はゲームゲームしたものじゃなくて、スポーツ選手に施すような成長戦略っぽいんですよね。
スポーツ医学やスポーツ人間工学なんかが発展した現代では、必要な部分だけ伸ばすための練習法、みたいなものがあるけれど、満遍なくすべてを鍛えるのではなくそれぞれ個人の特性に合わせた、ジョブに合わせた最適なビルドを組んでいく、というのはむしろ生々しい生きた訓練法という感じがして、このへんの描写は面白いなあと思うと同時にそんな風に感じさせる所が上手いなあ、と思うところでした。
ラッドくんの、レクスへの捻くれた憧れがまたイイんですよね。可愛い。
顔を突き合わせているときはおっさん呼ばわりで突っかかってばかりなのに、陰では師匠とか読んでるの生意気なのに健気で可愛すぎやしないですか?w
本来のシナリオでは死んでしまうはずのレクスの妹の、レシリア。この娘だけが唯一、レクスの中身が実の兄とは別人と知っている、ある意味レクスの相棒キャラなのですがこの娘はブラコンを拗らせているのか、それともレクスの中の人に対して拗らせているのか。なんかややこしいことになってるなあ。レクスの肉体の方は実の兄のもの、というのもややこしいのを加速させている気がするぞw


「私と一緒に住むってどうかな?」 1.見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる ★★★☆   



【「私と一緒に住むってどうかな?」 1.見た目ギャルな不器用美少女が俺と二人で暮らしたがる】  水口敬文/ろうか HJ文庫

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放課後はふたりで同棲・・・・・・のための家づくり!?

手先が器用な男子高校生・高村劉生と、料理だけ上手な不器用美少女・伏見扇奈は親友同士。家に帰りたくない事情のある二人は、古民家をリフォームし、放課後の居場所にしようと動き出す。
すると、「二人きりなら思う存分イチャイチャしまくれる! 」と気付いた扇奈が劉生に猛アピールを開始!!
一緒に食卓を囲んだり膝枕したりと、友達から同棲カップルのような雰囲気に……!?
いつも一緒なのにじれったい、傍目バカップルな二人が繰り広げるイチャイチャDIYラブコメディ!!

これ、タイトルだけ見たら最近流行りの同居モノかと思ったら、まず同居するための家をボロボロの空き家状態からDIYして直しましょう! というお話だったのか。そもそも、主人公別に同居するつもりとかさっぱりないし!

幼馴染同士の扇奈と劉生、二人にとって思い出ある扇奈の祖父が生前に暮らしていた家が、長く空き家になっていたため今度取り壊されることになったと聞いた二人は、この家を暮らせる状態まで直して取り壊すという判断を撤回して貰おうと考える。
とはいえ、家をまるまる一件リフォームするのを高校生二人でどうにかするのは流石に難しいと思うのだけれど、流石にいきなり職人顔負けのスゴ技、とかは使うこと無く、二人は高校生が出来る範疇であれこれとボロボロになった畳や障子、壁紙や庭などに手を入れていく事になる。
意外と堅実だ。
まあ技術だけじゃなく、家をリフォームするとなると材料費も馬鹿になりませんからね。工具の類もあまり持っていないみたいですし。実際、作業の大半が庭の雑草抜きだったりして、扇奈が早々に根をあげたりも。地道に雑草抜き続ける劉生、飽きて放り投げないところとか結構偉いよなあ。
電気水道ガスとインフラも止まっている中なので不自由も多いのですが、それでも弁当を持ち込んだり、井戸から水を汲み上げて上手く工夫してお湯を沸かしてお風呂に入ったり、バラしてあった耐火レンガを使って竈を作りキャンプみたいに料理作ったり、とこれはこれで本格的な秘密基地作りみたいなノリで、二人きりの時間を楽しむ劉生と扇奈。
さても周りからはバカップル呼ばわりされ、実際傍から見るといちゃついているようにしか見えない二人ですが、現状付き合う様子は皆無なんですよね。
扇奈の方はもう劉生しか目に入っておらず、必死にアプローチしているのですが。
この娘、なんでか友達もおらずぼっちなんですよ。これだけコミュ力あったら昔なにかやらかしてても高校生にあがったところで変わってくると思うのですが、劉生にべったりひっついていることもあってか他に友達一切おらず。劉生の方はそれなりに友人がいるのにね。
そもそも、扇奈が孤立してしまったのは周りよりも早く二次性徴を迎えて、突出して一人だけ成長して大人っぽい女の子の身体になってしまったために、男の同級生たちからは酷い色眼鏡で見られ、同性の女の子たちからもハブられ、本人もかなり心傷ついた状態で孤立してしまったんですね。
そんな彼女を、変に女扱いせずに友達として接し続けた劉生だけが、傍で扇奈の親友で居続けたわけだ。これ、劉生自身けっこう意識して女扱いしてなかったみたいなんですよね。そのせいで扇奈が孤立してしまい、彼女が自分の女らしさを強く気にしてしまっていた事も気が付き理解していたため、彼女が嫌がることを避けながら扇奈の傍らに居続けたという気遣いの男なのである。
惜しむべきは、思春期を迎え高校生になっても、その当時の意識のまま扇奈に接してしまっている事なのでしょう。これまでの経緯から、劉生の優しさや気遣いに惚れ抜いた扇奈はそのまま異性として彼の事を好きになり、だからこそ自分が女性である事を受け入れて、むしろ女の子らしさや色気を武器にして劉生にアプローチしまくるようになっている。
のだけれど、劉生は扇奈を女の子扱いするのは彼女を傷つけることだと思いこんでいるので、扇奈の必死のアプローチを徹底して無視してスルーしてるんですね。
単純な主人公の鈍感、というわけじゃなく、ある種の気遣いの結果、というのがまた残念な現状維持に落ち着いてしまっているわけだ。大切にしているからこそ、気をつけて適切な距離を保っている。保ってて、あのイチャつきっぷり、という時点で劉生の距離感の方もだいぶ狂ってはいるんでしょうけれど、それでも肝心の所ではどうしても距離が詰まらず扇奈は空回りしつづけるのである。
いやもうそれ、はっきり告白したらいいんじゃない? と、思う所なのですけれど、それが出来ないのが彼女の不器用極まるところ、なのでしょう。

登場人物それぞれが、親に対して不満や不平、距離の隔たりを感じているのですが、さてそれがただの反抗期なのか、親にも問題があるのか。
まあ問題があるのは確かなのですが、子どもたちが思っているほど親の側に愛情がない、という訳でもないようで。少なくとも扇奈の親子関係の方は親と娘両方の不器用さが拗れてしまっている、というくらいなのでしょう。劉生はちょっと父親のダメさ加減が子供側からの視点ではかなりあかん所なのですが、これ父と母の夫婦間ではまた違う了解があるのかもしれないので、なんとも言えず。
ただ寺町奏の方はこれ両親に完全に失望してしまっているので、ここが一番修復無理っぽいのかなあ。
ともあれ、扇奈のパパさんは頑固で融通きかなさそうだけどちゃんと娘を心配してるし、条件付きとはいえ家のリフォームも許してくれたので、理解ある親の範疇なのでしょう。どうせ、高校生二人でちゃんとしたリフォームなんて無理に決まってる、という判断はわりとまっとうにも思えるし。
ただ、この残念な娘さんに対して劉生はかなり得難い理解者なだけに、邪魔するのではなくむしろ積極的に娘を応援して貰ってもらう方針に変換した方がいいと思うんだがなあ。
父親の方も、あれこれ娘空回りしてないか?と気づいた節もあるので、娘のポンコツ具合を承知すれば劉生みたいな物件は逃がす手はないと思うのだけれど。

しかし、このタイトルとなってる台詞の使い所は面白かった。散々引っ張っといてそこでタイトル持ってくるかー。そして、タイトルにするぐらい密かに気合入った台詞にも関わらず、劉生の塩な対応である。……どんまい。


水口敬文・作品感想
 
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10月12日

(まんがタイムKRコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックス)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(ガンガンコミックスONLINE)
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(アース・スターコミックス)
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(メテオCOMICS)
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(メテオCOMICS)
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10月9日

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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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10月8日

(カドカワBOOKS)
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(電撃文庫)
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(ニュータイプ100%コミックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ヴァルキリーコミックス)
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(ヴァルキリーコミックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(アルファライト文庫)
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(アルファライト文庫)
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10月7日

(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(ガンガンコミックスUP!)
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10月6日

(KCデラックス)
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(KCデラックス)
Amazon


(ヤンマガKCスペシャル)
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10月5日

(フロース コミック)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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(ドラゴンノベルス)
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10月4日

(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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10月1日

(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(講談社ラノベ文庫)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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(PASH!コミックス)
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(PASH!コミックス)
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(FUZコミックス)
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(FUZコミックス)
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9月30日

(バンブーコミックス)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(モンスター文庫)
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(ファミ通文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(楽園コミックス)
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(楽園コミックス)
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9月28日

(ヤングアニマルコミックス)
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9月27日

(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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