新人作品

わたしはあなたの涙になりたい ★★★★☆   



【わたしはあなたの涙になりたい】  四季大雅/柳すえ ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

これは、涙で始まり、涙で終わる物語。

全身が塩に変わって崩れていく奇病「塩化病」。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、小学校の音楽室でひとりの少女と出会った。

美しく天才的なピアノ奏者であるその少女の名は、五十嵐揺月。鍵盤に触れる繊細なその指でいじめっ子の鼻を掴みひねり上げ、母親の過剰な期待に応えるべく人知れず努力する。さまざまな揺月の姿を誰よりも近いところから見ていた八雲は、我知らず彼女に心惹かれていく。

小学校を卒業し、ますます美しく魅力的に成長した揺月は、人々の崇拝と恋慕の対象となっていった。高校に進学する頃、すでにプロのピアニストとして活躍していた揺月はイタリアへと留学してしまう。世界を舞台にする揺月と、何者でもない自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。

揺月との再会はある日唐突に訪れた――その再会が、自分の運命を大きく変えるものになることをその時の彼は知る由もなかった。

これは、涙で始まり、涙で終わる物語。

第16回小学館ライトノベル大賞にて、最高賞である大賞を受賞。

続きを読む

ミミクリー・ガールズ ★★★☆   



【ミミクリー・ガールズ】  ひたき/あさなや 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

///第28回電撃小説大賞《銀賞》受賞作///

2041年。人工素体技術――通称《ミミック》が開発され幾数年。

作戦中、不慮の事故により重傷を負ってしまったクリス・アームストロング大尉は、素体化手術を受け前線復帰……と思いきや術後どうも体の調子がおかしい。
鏡に映った自分を見るとそれは白い柔肌にさらさらヘアーの良く似合う――美少女だった!?!!?

謀略と怨嗟が蠢く戦火の陰で突如結成された、4体の少女型素体からなる即席部隊。
その名は――『ミミクリー・ガールズ』。
射撃、格闘、潜入。あらゆる分野のスペシャリストである彼女たちに与えられたミッション。それは謎の国際犯罪組織"バル・ベルデ"に狙われた大統領の娘の護衛だった。

クールなティータイムの後は、キュートに作戦開始!
少女に擬態し、世界の巨悪に立ち向かえ――!

続きを読む

竜殺しのブリュンヒルド ★★★★   



【竜殺しのブリュンヒルド】  東崎 惟子/あおあそ 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

愛が、二人を引き裂いた。

竜殺しの英雄、シギベルト率いるノーヴェルラント帝国軍。伝説の島「エデン」の攻略に挑む彼らは、島を護る竜の返り討ちに遭い、幾度も殲滅された。
エデンの海岸に取り残され、偶然か必然か――生きのびたシギベルトの娘ブリュンヒルド。竜は幼い彼女を救い、娘のように育てた。一人と一匹は、愛し、愛された。
しかし十三年後、シギベルトの放つ大砲は遂に竜の命を奪い、英雄の娘ブリュンヒルドをも帝国に「奪還」した。
『神の国で再会したければ、他人を憎んではならないよ。』
復讐に燃えるブリュンヒルドの胸に去来するのは、正しさと赦しを望んだ竜の教え。従うべくは、愛した人の言葉か、滾り続ける愛そのものか――。
第28回電撃小説大賞《銀賞》受賞の本格ファンタジー、ここに開幕!

続きを読む

この△ラブコメは幸せになる義務がある。 ★★★★   



【この△ラブコメは幸せになる義務がある。】  榛名千紘 /てつぶた 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

ラブコメ史上最も幸せな三角関係! これが三角関係ラブコメの到達点!

「なんであんたが麗良に好かれるのよ!?」
平凡な高校生・矢代天馬は偶然にも、同じクラスのクール系美少女・皇凛華が彼女の幼馴染の清楚系美少女・椿木麗良を溺愛していることを知ってしまう。
そこから天馬は、凛華が麗良と仲良くなれるよう協力することになるのだが──。
「矢代君が凛華ちゃんと付き合ってないなら、私が彼女に立候補しちゃおうかな?」
「矢代、あんたなにしたの!?」
その麗良は天馬のことが好きになり、学園の美少女二人との三角関係へ発展!
複雑に絡まったこの恋の行方は……!?
電撃小説大賞《金賞》受賞! ラブコメ史上、最も幸せな三角関係が始まる!

続きを読む

16年間魔法が使えず落ちこぼれだった俺が、科学者だった前世を思い出して異世界無双 ★★★☆   



【16年間魔法が使えず落ちこぼれだった俺が、科学者だった前世を思い出して異世界無双】  ねぶくろ/花ヶ田 ファミ通文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス

第2回ファミ通文庫大賞優秀賞受賞作!

生まれた時から魔法が使えず落ちこぼれと言われてきた貴族の少年、ロニー。彼は十六歳の誕生日に偶然、科学者だった前世の記憶を思い出す。そして好奇心から魔法の謎を科学の力で解明したいと思い立った彼は、弟ヨハンの力を借りて研究を開始した。そんなある日、魔法を人間に与えたという「精霊」を祀った祠が屋敷の近くにあることを知り、祠へと赴いたロニーはそこで自らを精霊と名乗る蛇のような生き物・セイリュウと出会う。さらにセイリュウは「君にも魔法が使えるようになる方法があるぜ」といってきて――!?


続きを読む

火群大戦 01.復讐の少女と火の闘技場〈帳〉 ★★★☆   



【火群大戦 01.復讐の少女と火の闘技場〈帳〉】  熊谷 茂太/転 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
復讐を誓う少女が辿り着いたのは、【火】で殺し合う戦場だった。

すべての人には加護がある。
しかしそのどれもが祝福されているわけではない。

「禍炎」と呼ばれ、忌み嫌われる【火】の精霊を宿す少女は、
自らの同胞を殺した仇を探していた。やがて彼女が辿り着いたのは、
共和国最大の祭典――通称<帳>。
少女と同じく【火】の精霊の加護を持つ人々を集め、殺し合いをさせ、
そして見世物にするという残酷極まりない狂宴だ。

同胞の亡骸のもとに、まるで招待状のように遺された<帳>への
参加票を手に、少女は激戦の舞台へと臨む。決勝トーナメント出場者、
全8名。暴き出せ。この中に、仇がいる……!?
第34回ファンタジア大賞《金賞》受賞作、開戦!!

続きを読む

姫騎士様のヒモ ★★★★   



【姫騎士様のヒモ】  白金 透/マシマ サキ 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

悪徳の迷宮都市を舞台に、 一人の『ヒモ』とその飼い主の生き様を描く!

★第28回電撃小説大賞《大賞》受賞作★

灰と混沌の迷宮都市『灰色の隣人(グレイ・ネイバー)』。
数多のモンスターと財宝を孕むダンジョンの鮮烈な灯りの影には、必ず害虫が潜む。そんな掃き溜めに咲く汚れなき深紅の花が姫騎士・アルウィン。王国再興を志し秘宝を求めるダンジョン攻略の急先鋒――そして彼女に集る元冒険者・マシューは、この街に数いる害虫の一人だ。
仕事もせず喧嘩も弱い腰抜け、もらった小遣いを酒と博打で浪費するクズ、そう人は罵る。

――しかし、彼の本当の姿を知る者はこの街にはいない。

「お前は俺の飼い主(おひめさま)の害になる――だから殺す」
「おい、てめぇ! ただの腰抜けじゃ……ッ!」
「内緒にしてくれよ。俺たちみたいな害虫が何をしているかなんて、彼女は知らなくていいんだ」

――彼は自らの手を汚すことを厭わない。

「マシュー、お前は私にとって大切な命綱だ」
「君が必要とする限り、俺はこの手を離さない。言っただろ。俺は君の『ヒモ』だって」

――全ては姫騎士様のために。

選考会騒然! エンタメノベルの新境地をこじ開ける、衝撃の異世界ノワール!



続きを読む

嘘つき少女と硝煙の死霊術師 ★★★★   



【嘘つき少女と硝煙の死霊術師】  岸馬 鹿縁/ノキト ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

死は別れではなく、新しい出発だった

死霊術ーーそれは死者を蘇らせ使役する魔導の秘奥。
それを繰る術師たちは国にあだなす存在を密かに粛清するという役割をもって、ヴェルサリウスという国家の陰なる基盤となった。
その術師の一人であるウィリアムは、相棒の”死骸”ライニーとともに龍を使役する盗賊の粛清を行うなか、国を、そして死霊術師たちそのものを揺るがす第二の革命の存在を知る。
革命派の襲撃によってライニーを失いかける絶望の底で、ウィリアムは彼女との再会を願った最初の夜の記憶を思い出していく。
これはたった一人の少女のために、死を否定した少年の物語。
第15回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞作!
続きを読む

暗殺者は黄昏に笑う 1 ★★★★   



【暗殺者は黄昏に笑う 1】  メグリくくる/岩崎美奈子 オーバーラップ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
少女のために――世界を殺せ。

かつて医者として多くの人を救ってきた荻野知聡。
そんな彼が異世界転生時に授けられたのは、「暗殺者」の天職であった――。
彼は助手の少女ミルとともに遺体の検視を行うかたわら、もしそれが他殺であれば、万物を殺しうる《切除》の異能を振るい、確実に犯人へ復讐を果たす『復讐屋』として日々を過ごしていた。
だがある日、彼の日常は一変する。
『復讐屋』のもとに持ち込まれた子供の変死体。
それを皮切りに頻発する怪事件に、知聡は巻き込まれることになり……?
「僕には、才能があり過ぎた。誰かを殺すという、不快極まりない才能が」
第8回オーバーラップ文庫大賞《金賞》受賞。ファンタジーサスペンス第1幕。



続きを読む

純白令嬢の諜報員 改編 1.侯爵家変革期 ★★★☆   



【純白令嬢の諜報員 改編 1.侯爵家変革期】  桜生 懐/ファルまろ 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
「こんな結末、馬鹿げている」愛読書の最終巻に憤激したまま、世界最高の諜報員・ラプターは散った。だが彼が転生したのは、まさにその小説内の世界。最愛の令嬢を救うため"最強の読者"は謀略を開始する!


続きを読む

海鳥東月の『でたらめ』な事情  



【海鳥東月の『でたらめ』な事情】  両生類 かえる/甘城 なつき MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER



史上最高の応募総数2332作、その頂点! 第17回MF文庫J新人賞最優秀賞作品登場!

「財布? 携帯? ぜんぜん違うよ。私が盗まれたのは――鉛筆さ」仲良しのクラスの女子・奈良芳乃から突如、謎の相談を受けた海鳥東月。だがそれは奇妙奇天烈な事象の始まりに過ぎなかった。海鳥の自宅に現れた謎のネコミミパーカー『でたらめちゃん』。彼女によって引き起こされるトイレの貸し借り、裏切り、脅迫、掴み合いからの一転攻勢、そして全力の命乞い……全てを終えた後、でたらめちゃんは海鳥に告げてくる。「海鳥さん。私と一緒に、嘘を殺してくれませんか?」海鳥は訳も分からぬまま『嘘殺し』に協力することになり!? 
第17回MF文庫Jライトノベル新人賞〈最優秀賞〉作は奇妙奇天烈! だけど青春ストーリー?
それは、絶対に嘘を吐けない海鳥東月と嘘しか吐けないと主張する『でたらめちゃん』によるドタバタ劇。うん、ドタバタ劇としか言いようがないよね、これ。ドタバタというかバタバタというか。非常に忙しない息継ぎしようよと言いたくなるような、息もつかせぬどんでん返しの連続でありました……連続すぎて、つまるところどんでん返し、ちゃぶ台返ししかないお話だった、とも言えるのかもしれませんが。
だいたい、物語におけるどんでん返し、或いはそれまでの前提をひっくり返すちゃぶ台返しが行われるのは、ここぞという時なんですよね。まさに一撃必殺。もちろん、中には一撃必殺を幾度も繰り出すような「ここぞ」という展開、山場、盛り上がりどころを一冊の中に幾度も用意できるツワモノたる作家さんもいるのですけれど。
本作においては、一歩話が進むごとにこのどんでん返しが起こるんですよね。この物語の主人公である海鳥東月のそれまでの様子とは一転する本性が暴かれ、そうかと思えば「でたらめちゃん」の登場によって彼女の秘められた性癖が全然秘められなかった事が暴かれ、と話が一歩進むごとに「な、なんだってー!?」と言わんばかりの暴露が繰り広げられていくのである。前提となる設定がひっくり返され、それまで描かれていたキャラクター像がひっくり返され、さらにそこからもう一回ひっくり返され、とどんどんひっくり返されていくのである。
伏線とかあったかな? なかったよね。いきなりそれまで何の前触れもなかったのに唐突な展開、唐突な出現、唐突な性癖バラシ。バタバタと忙しいことこの上ない。
まあここまで連続で繰り返されると、そういう芸風なんですね、と言いたくなってくるものなのですが。そもそも、話の内容いかんより、この勢い任せの唐突な急展開の連続そのものが主体、メインという風に見えてきて、どういう話だったのかがいまいち頭の中に入ってこないところがありました。
一時期流行った、大声でまくしたてながらドンドン掛け合いそのものを加速させていく漫才みたいな感じで。あれ、漫才の内容云々よりも勢いで笑わそうとしてるみたいな感じだったんですよね。
本作はなにやら途中から異能バトルみたいなことになっていくのですが、肝心の嘘憑きに関する情報が出揃わないまま、なんか勢いで敵キャラがどんどん登場してきて勢いのまま退場していったので、なにやらよくわからないまま通り過ぎていってしまいました。これ、設定どうなってるんだろう。
でたらめちゃんも色々とぶれ過ぎでどういうキャラなのかよくわからなかったんですよね。そもそも、最初この娘、自分は嘘しか吐けない、吐けません! とか自信満々に主張していたのですけれど、以降まったく嘘つかないんですよね。嘘しか吐けないという設定忘れたんじゃないか、というくらい普通の発言しかしないんですよ。途中まで真剣にこの娘のセリフが全部嘘だとするとどういう事になるのだろう、と考え込んでいたのですが、ほんと言葉づらの意味しかなかったんですよね。全然嘘つかないじゃん! 普通にホントのことばかり喋ってるじゃん!
奈良芳乃という娘の思想も、いやもうちょっと奥深いなにかがあるのかと思ったら、特に深く何も考えてないみたいで、いいのかそれ。それに話の展開上、海鳥ちゃんの顔変わっちゃってるのだけれど、以降特に触れられてないの、あれどうなったんだろう。顔変わったまま? 奈良顔のまま? 元に戻った描写あったっけ。絵面的にはメインキャラの殆どが同じ顔というなかなかシュールな事になっていると思うんだが。漫画になったらコピペで済ませられるからちょっと楽になるんだろうか。
舞台的にも殆ど海鳥の部屋で次々と畳み掛けるように事が起こっていくというコントみたいな事になってましたね。さいごちょろっと外に出ましたけれど。それも忙しなさを感じさせる要素だったかしら。
まあ何にせよ、自分にとってはあまりにも乱雑にバタバタしすぎていて、あんまり頭に内容が入ってこない作品でありました。この勢い、息継ぎしてなさそうな畳み掛けの連続は大したものだと思いますけれど。





ただ制服を着てるだけ ★★★★☆  



【ただ制服を着てるだけ】  神田暁一郎/40原 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

同居相手は19歳 彼女が着てる制服は、ニセモノ。
若手のエース管理職として働く社畜 堂本広巳。日々に疲れていた広巳は、偶然から関係を持った少女 明莉が働く、ある店にハマってしまう――
「今日も……抜いてあげるね――」
そんな毎日の中、休日の職場トラブルで呼び出された広巳を待っていたのは、巻き込まれていた明莉だった!?
「私行くとこないんだよね―― お願い、一緒に住ませて! ! 」
突如始まった同居生活の中、広巳と明莉は問題を乗り越え、二人で新たな道へと歩み始める。
社畜×19歳の合法JK!?
いびつな二人の心温まる同居ラブストーリー、開幕。
JKリフレって良く知らなかったんだけど、リフレクソロジーというのは簡単なマッサージの意。それにJKになりきった女の子にマッサージしてもらったりお喋りしたりという演技型のお店の事を言うそうだ。
一応、明莉が所属している店は健全の範疇にあり、いかがわしい行為はしていない。しかし、JKリフレ自体はJKビジネスと呼ばれる未成年を性風俗の働き手として搾取する社会構造のコンテンツの一つとして利用されてきた一面を持つという。そのへん、詳しく作中でも説明されている。
明莉は今は純粋に癒やしを提供する健全なタイプのお店に勤めているけれど、以前はガッツリとこのJKビジネスに関わっていたという。
ハマり込んでいたと言ってもいい。
現役の女子高生という売りを利用して、自分の身体で春を鬻いでいたのだ。
同じJKビジネスの沼にハマりこんで抜け出せなくなった同輩たちが、本当にどうしようもない悲惨な形で人生を失っていく様子を目の当たりにしていく事で、明莉はこのまま行けば自分も彼女たちのように破滅する、という自覚を持つに至り辛うじてビジネスに関わる人間たちの悪意や欲望が、しがらみが彼女を捉える前に自力で抜け出すことが出来たのだという。
でも、ドップリとそうした日本社会の陰の部分にはまり込み、そこから徒手空拳で放り出された時、明莉は何も出来なかった。何にも成れなかった。現役女子高生という肩書から脱却し、しかしまだ成人にもなっていない19歳の彼女は何にもしがみつけないまま、またJKビジネスという陰の軒下に舞い戻ってしまう。たとえ健全な業務内容だとしても、彼女は自分を切り売りするコンテンツから抜け出すことが出来なかったのだ。
今はまだいい。ギリギリ瀬戸際で踏ん張っている。でも、彼女自身予感している。遠くないいつか、自分もまたズルズルとかつての同輩たちと同じ沼に沈んでいくと。

また、明莉は今、男と同棲している。
友人の紹介から知り合い、そのまま何となく付き合う事になり男の家に転がり込んだのだという。だが、果たしてそこに恋愛が介在するかというと、微妙な所だ。
ラブコメなお話に慣れた身からすると忘れがちになってしまう事だけど、現代の男女交際はそこに恋愛感情がなくても成立することが少なくない。彼氏彼女の関係というのは、思いの外ハードルが低いのだ。ただ彼氏が欲しい彼女が欲しいという考えが先に来て、関係が成立する。そこから関係が本物になっていくかは二人次第。合わなければ別れるし、場合によっては合わなくても別れない。別に好きじゃなくても、一緒に居るという距離感にこそ縋ってズルズルと関係を続けてしまう事も多いのだという。
藤村明莉は恋をしたことがあるのだろうか。
少なくとも、この作中では彼女はそんな感情を抱いた様子は一切見せない。この物語のもう片方の主役である堂本広巳に対してもそうだ。彼の人となりへの好意や感謝はあるだろうが、そこに恋愛感情という淡いものはまるで見えない。
彼女にあるのは独りで生きてきた、という自負心か誇りか矜持か。そこには人を利用することはあっても、頼り切ったり甘え切ったり、誰かに依存する事を良しとしない強烈なまでの自立心がある。それが薄っぺらなハリボテにすぎないという自覚をどこかで持ちながら、それでも彼女には矜持があった。
だからだろう、一方的に搾取されることも逆に一方的に対価もなく養われる事も明莉は受け入れられなかった。
同棲相手の部屋を飛び出したのも、ただでさえギスギスしてきていた所に自分が都合の良い女にされそうになったからだ。愛想が尽きた、というのだろう。自分の要求ばかりを押し付けてきて、搾取してこようとするダメ男にのめり込んでしまうほど、対処に困る男の趣味をしていなかったのは幸い、というべきなのだろう。
でも、彼女の場合は逆の立場でも許容できなかったんですよね。
リフレの常連客で友人の上司、という間柄の堂本広巳と縁あって、上手いこと彼の部屋に転がり込んだ明莉だけれど、ただでさえ思っていたのと違って対価を求めず無償で部屋に住むことを(しぶしぶだけれど)許してくれただけでも彼女にとっては想定外だったのに、それ以上の返しきれない借りを明莉は広巳に負ってしまう。
あるいは、広巳が居なかったらこの一件が明莉をもう一度身体を売って金を稼ぐ二度と逃れられない沼に沈むきっかけになっていたのかもしれない。それは間違いなく、彼女にとっての人生の分岐点だったはずだ。
それほど大きな借りを、広巳は僅かなりとも返させてはくれなかった。
その事実は、明莉をどうしようもないほどに動揺させ、怒りすら抱かせ、揺らがせてしまう。
彼女がどうしても、堂本広巳から与えられるばかりで何も受け取って貰えない状況に耐えられなかったのは、きっと対等ではないと思ってしまったからじゃないだろうか。対等の同じ人として見てもらえていないと感じてしまったからじゃないだろうか。
惨めさを、感じてしまったんじゃないか。

堂本広巳が過去の心の傷から、保護者たらんとしなければ耐えられない、与え受け入れ守り続けなければ心が持たない、そんな今も血が止まらない心の傷口をそんな風にしか押さえられない彼のあり方と、明莉の自らを辛うじて奮い立たせている心の芯は合わなかったのだ。
広巳にとって、明莉を保護するというのは明確な代償行為だった。それは独り善がりと言われても仕方ないものだったのだろう。でも、彼女から対価として肉体関係を提供してもらうことは、明莉が庇護しなければならない弱者であるという認識がある以上、彼の心傷には耐えがたいことだったのだ。
明莉にとって、対価を受け取らない無償の……野放図ですらある厚意は不安でしか無く、一方的に与えられ庇護される状態というのは自分の力で生きてきた彼女にとって居たたまれなさと惨めさと共に拠り所をなくしてしまうような恐怖ですらあったのだろう。
二人共お互いに、孤独に寂しさに途方に暮れていたというのに。ようやくそれを埋めあえるだろう可能性と出会えたのに。
広巳にとって明莉は突然現れた迷惑な居候だった。同時に、自分の喪失感と虚無感を埋めてくれる代償行為の相手でもあった。ずっと空っぽだった彼の心の隙間を、代替えとはいえ確かに埋めてくれていたのだ、彼女は。
結局、広巳は自分の過去を明莉に語ることはなかった。それでも、彼の心の空隙は明莉にも伝わったのだろう。それを、自分が確かに一部でも埋められていたことも、感じ取れたのだろう。
ただ与えられるだけではなく、微かにでも自分も彼に与えられていたのだという実感は、彼女のプライドを、寄って立つ柱を立て直すに足りているかはわからないが、それでも足しにはなったのだろう。
詳しく話を聞かなかったのは双方にとっても良かったのだろう。もし詳しい広巳の心の傷を知ってしまえば、明莉はそこに付け込まずにはいられなかっただろうから。それが彼女の処世術であったから、多分彼女自身が好きになれない自分のあり方の一つだっただろうから。

彼らは改めて同じ部屋で暮らし始める。
そこに恋愛感情はない。肉体関係もない。心も繋がっていない。信頼もあるだろうか、疑問だ。
それでも、二人はしばし一緒にいることを選んだ。そこに二人は確かにささやかでも「幸せ」を見出したのだ。
二人にとって縁遠かった、その手に掴むことがないと思われた、その手に届くことがないと思われた、当たり前の幸福感が。
それが本物になるのかは、まだわからない。愛は、まだきっと目覚めていない。

ついに、というべきなんだろうか。ライトノベルというジャンルでここまで直球で、社会構造の搾取と収奪の最下層に位置するだろうアングラ界隈の実像と、その際で足掻いている人間たちの生々しいまでの息遣いを描く作品が出てくるとは。
ぶっちゃけ、一般文芸で出ててもまったくおかしくないんだけれど、ライトノベルだからこそのインパクトか。最近流行りの同居モノの範疇ではあるんだろうけれど、土台となる部分の毛色がまったく違っている。似たような構図として某髭を剃るが思い浮かぶかもしれないけれど、男のあり方も女側のスタンスも彼らが立っている土台もだいぶ違っているように見える。
人の生き辛さ、当たり前の幸せというものの意味、現代社会の虚、心を蝕む寂しさ、そういったものを苦味とともにじっくりと味わえてしまう、刺さるものが多い一作だった。
是非、続きを、彼らの行く末を、顛末を見届けたい。

母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください ★★★☆   



【母親がエロラノベ大賞受賞して人生詰んだ せめて息子のラブコメにまざらないでください】  夏色 青空/ 米白粕 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

俺のことが好きすぎる母親のせいで、人生がハードモード過ぎる!

母・美礼が書いた母×息子の近親相姦エロラノベが大賞を受賞した。なぜか俺が受賞したことになってた。……いやふざけんな!? しかも同期受賞の現役JK作家は俺が好きなあいつで――あ、終わった。人生詰んだわ。

後半に行くほど加速度的にテンポが良くなりリズムに切れ味が増していくぅ。いやこういう勢いマシマシの畳み掛けるようなテンポのコメディは結構好みなんで楽しかった。
最初の頃は結構手探り感あったんですよね。
なにしろ、大賞を受賞したものの、ヤベえ内容過ぎて社会的に死ぬので息子に自分の身代わりになってくれ、と頼む(事後承諾)母親とか、完全に毒親に見えるじゃないですかー。
しかもなかなかいい具合に壊れたお母様で、あんた世間体とか気にするようなタイプじゃなかろうに。書いたの小説じゃなくてノンフィクション(予定)のつもりだったんじゃないだろうか、と思えてくるぐらい、ガチの息子ラブ。ってか、この主人公これまで貞操は大丈夫だったんだろうか。わりと真面目にこの母親危ないと思うんだけど。
ともあれ、母親の身代わりに作家としてデビューする羽目になった霜村春馬。その名も「種付けプレス」というどこに出しても恥ずかしい雄大無辺なペンネームである。昨今エロ小説家でもエロ漫画家でもこれほどダイレクトなペンネームの人、なかなかいないんじゃないだろうか。
と、思ったらこの業界キメセク先生とか立ちバック先生とか緊縛セーラー服先生とか、同類は枚挙にいとまがないようで。この世界のライトノベル業界どうなってるんだ!?
というかこれ、わりとエロラノベの社会的立場が確立されてるんじゃないだろうか。エロラノベ部門とか大々的に他のジャンルに負けない勢いで出版社あげて授賞式とかやってるわけですし。
キメセク先生がラノベ界の神として崇め奉られてるくらいなんだし。

それはそれとして、授賞式を通じて先輩作家たちと知り合い、そこで業界の闇ならぬラノベ作家たちが抱える心の歪みや人生を傾がせる後悔を目の当たりにするのである。
授賞式直後の新人作家に何を背負わせているんだ、と言いたくなる先輩たちの絡みっぷりだ。受賞作の改稿とかデビューにむけての準備とか本当なら忙しいんじゃないんかい!
なぜか、速攻で作家人生を賭けて先輩作家との執筆バトルに挑むことになってしまった種付けプレス先生。まあ春馬は本当は種付けプレス先生じゃないのですし、自身デビューに向けて何度も投稿して三次あたりで容赦なく落とされる日々を送るラノベ作家志望に過ぎないので、むしろ自分の可能性を突き詰めるための手段として、千里エビデンス先生とのバトルは登竜門でありラストチャンスにも成り得る機会であったわけですけれど。
ともあれ、家庭の事情から家族愛を徹底して否定する千里先生。それは、家族愛をテーマにした種付けプレス先生の受賞作や、同時受賞した同級生のカリン先生の作品のテーマを根底から否定するものであり、骨子を捻じ曲げてでも改稿しろ、と迫る千里先生に敢然と否を突きつけるために必須の決戦ではあったわけだ。
このあたりから物語が軌道に乗ったのかスイスイと話が転がり始める。それに合わせて、作品そのものの勢いが加速度的に増していくんですね。会話掛け合いのテンポがどんどんと早くなり、ボケツッコミの連鎖も畳み掛けるようなリズムへと発展していく。
主人公の春馬も、母親に振り回されているだけの受け身の主人公ではなく、こいつはこいつでわりと言いたい放題思ったことを言いまくるヤバいやつなんですよね。先輩だろうが大人だろうが関係なし、勢いとノリで思ったことをズバズバと指摘し、言い放つ一言居士。年下や後輩という立場に甘んじで言葉を濁したりしない、なかなか度胸の据わった男なのでツッコミの切れ味たるや辻斬りもかくやという所なのである。
わりと勢い任せに生きているような節もあるし。
そもそも、彼が小説家としてデビューを目指しているのは、同級生で読書仲間で高嶺の花である同級生、今となっては同期の作家となった凛夏に、一端のプロの作家になって告白するぜ、という志?からだったはずなのに、この男そのへんの動機のこと途中から忘れてやしなかっただろうか。目の前の執筆バトルやら何やらに夢中になって、どんどん凛夏の扱いが雑になっていってるしw
まあ、この凛夏さんが面白いことに雑に扱われることで輝く系のヒロインだったのですが。

実は売れっ子イラストレーターだったという引きこもりの妹も含めて、この母にこの子あり、と言った感じで母一人子二人のこの霜村家、ほぼほぼ勢いとノリだけで生きてやしないだろうか。最初の頃は母親だけ変なのかと思ったけれど、ちゃんと親子だったよこの一家。
というわけで、後半あたりになるとほどこの霜村家が作品のノリを支配してしまったかのような怒涛の勢いで、小ボケとネタが叩きつけられツッコミが応酬し、なんかもう大騒ぎでついつい楽しんでしまいました。
はじめの段階では母親がアレすぎるし、シモネタもポンポン放り込まれてちょっと引き気味に読んでいたのですが、勢いつき出してからはなんだかもう面白くなってしまって、いやあこういうパワフルさ、強引なくらいの勢いはコメディ作品には大事ですよね、というのを再認識した次第。
これだけドタバタやってくれたら、ひたすら楽しかったです。


恋は双子で割り切れない ★★★★☆   



【恋は双子で割り切れない】 高村 資本/あるみっく 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

いつまでも、ただの幼なじみじゃ居られない。初恋こじらせ系双子ラブコメ!

我が家が神宮寺家の隣に引っ越してきたのは僕が六歳の頃。それから高校一年の現在に至るまで両家両親共々仲が良く、そこの双子姉妹とは家族同然で一緒に育った親友だった。
見た目ボーイッシュで中身乙女な姉・琉実と、外面カワイイ本性地雷なサブカルオタの妹・那織。そして性格対照の美人姉妹に挟まれてまんざらでもない、僕こと白崎純。いつからか芽生えた恋心を抱えてはいても、特定の関係を持つでもなく交流は続いていたのだけれど――。
「わたしと付き合ってみない? お試しみたいな感じでどう?」
――琉実が発したこの一言が、やがて僕達を妙な三角関係へと導いていく。
初恋こじらせ系双子ラブコメ開幕!

これ、あらすじだと琉実の一言から波乱のラブコメがはじまるかのような語りになっていますけれど、実はこの一幕があったのは中学の時。この物語がはじまる高校一年の時点では、なんと琉実と純はすでに別れているのである! そして、純は那織と付き合っているのである! それも、琉実のたってのお願いで。冒頭からこの双子と純の三人の独白から物語ははじまるのですが、このはじまった時点で三人の関係が絡みに絡まった沼に首まで浸かった状態、というのはちょっと凄まじくないですか?
端からここまで拗れた関係ではじまったラブコメは覚えがありませんわ。
試し読みして、初っ端からのあまりの濃さに躊躇なく予約してしまいましたが、このビリビリくるような感触は間違いありませんでした。むちゃくちゃ密度濃くて想いが深さゆえに拗れまくった面白いラブコメだ!

物語はこの三人が交互に一人称視点で語ることで進んでいくのですが、さらに面白いのは状況だけじゃなくてキャラ描写そのものにもあるんですよね。一人称ってのは、その対象となる人物の心象と語りによって表現されていくものなんですけれど、これびっくりするくらい三人が三人ともその語り口が全然違うんですよね。頭の中身がまったく違うというか、思考の成り立ち方というか色彩というか、とにかく考え方の質がそれぞれ三人とも全く違うのである。これ、ここまで一人称を毛色違うようにそれぞれの特色持たせて描いてる作品ってなかなかないんじゃないだろうか。
特に異質なのが、妹の方、神宮寺那織でこの娘、頭の中身がほんと並と違うんですよね。根本的にメチャクチャ頭いいんだろうなあ、というのがひと目でわかるし、思考の密度が異様に濃いのである。その知性の大半をサブカル方面に費やしているとはいえ、根っこの部分の思考の速さ、広がり方は天才と呼ばれる人種のそれなんだろう。サブカル方面とはいえ、教養の深さは尋常じゃないし、なんだろう、気取ってるわけじゃなくナチュラルにシェークスピアの引用を使いこなしてる人種と同じ類なんじゃないだろうか。
ただ、頭がよい人特有の自分は全部わかっている、という万能感に若干なりと彼女自身、那織自身が振り回されてる感があるんですよね。三人の関係を俯瞰し、姉である琉実の想い、幼馴染である純の抱いている想いを見通した上で、主導権を握って状況を整えてコントロールしようと目論んでいるのが彼女なのだけれど、案の定というべきか、自分がどう見られていたか、どう思われていたかについては自分で勝手に合点してしまっている所があって、それが彼女を若干迷走させることになるのである。
いやこれ、最後に至る前に教授から、純の初恋は自分である、と知らされたから良かったけれど、知らないまま動いていたら、彼女が導き出していた結論は違ったんじゃないだろうか。
最初から最後まで全部自分はお見通して思い通りに引っ張り回しましたよー、みたいなしたり顔してましたけれど、結構な方向転換したんじゃないだろうか、これ。
終わってみると、このタイトルってほんと秀逸なんですよね。
琉実は、妹に初恋している幼馴染をいきなりの告白で横から掻っ攫った事への罪悪感から、一年で別れを告げて、今なお純に恋している妹の那織と付き合って貰うことで罪を精算し、無理やり恋を割り切ろうとしたものの、未練を引きずりに引きずることになる。
純は、那織を掴まえられず初恋を諦めようとした所で琉実に告白され、付き合っているうちに本当に好きになったのに突然別れを告げられて、初恋がまだくすぶっている那織と付き合うことになって彼女のコトも今改めて好きだと自覚して、どんどん割り切れなくなっていき苦しむことになる。
那織の動向はなかなか謎なんですよね。この娘、地の文でも現実の方でも実に雄弁多弁で怒涛のようにいろんなことを喋っているし、考えているのだけれど、その多量さで本当に何を考えているかについては微妙に迷彩かけている印象があるんだよなあ。姉の気持ちには気づいていて、純が今も琉実に未練があることにも気づいてた。ただ、幼い頃から中学の頃まで純が自分に恋していた事は知らなくて、自分のことを一生懸命追いかけていることにも気づいていなかった。自分がずっと好きだった人が、自分のことをずっと好きで、その独特さ故に他人ともちょっとした距離感を感じていた自分をずっと追いかけてくれていた、と知った時の那織の様子と来たらもうメロメロじゃないですか。
でも、この娘がそれからしようとした事は、その恋を独占することじゃなかったんですよね。こいつ、お姉ちゃんの事も好きすぎるだろう。そして、根っからの享楽主義者なのか、これ?
この娘だけ、割り切れないなら割り切らなきゃいいじゃん! というスタンスなんですよね。そのために、企み謀ってみせたわけだ。一旦関係をリセット、するんじゃなくて。三人が抱いている「好き」という気持ちを詳らかにして、お互いの中にあった誤解や思い込みを解消してみせたのだ。その上で、引けない所までお互いの関係を踏み込ませてしまわせた。
割り切れないからこそ、一旦双子両方と別れて距離を置こうとした純の退く根拠を雲散霧消させてしまい、自分たち双子の事がどうしようもなく好きだという気持ちだけを引っ張り出してみせた。
琉実についても、純が義理で自分と付き合っていたという誤解を解き、燻ぶらせている未練を後ろめたさを消し去って、姉ゆえに妹たる自分に感じていた責任感や引け目も感じないように状況を整えた。まあ、姉妹関係については琉実は一歩退こうとする気持ちはなくなったものの、余計に妹への愛情を拗らせてしまった感があるようにも見えるのだけれど。
ともあれ、那織は割り切れない恋を苦しいもの、辛いものじゃなくて、割り切れなくていいじゃん! 三人ともお互い胸の内をさらけ出しあった、好きという気持ちも全部ぶちまけた。機会は平等、チャンスも同等、ならばあとは楽しくラブコメしよう。恋を楽しめ、好きにときめけ、駆け引きは後ろ暗さなく、誘惑は正々堂々と。牽制は笑ってつつき合え。てなもんで、こう泥沼でネガティブに陥りそうな要素を見事なくらいにふっ飛ばしちゃったんですよね。
いやあ、すげえわ。琉実も純も苦笑いしながら、こいつには敵わねえ、と誇らしく思うのもよくわかる。色んな意味でとんでもねーヒロインでした。エロいし、エロいし。エロすぎじゃねえかい、この天才巨乳w

生中のオタクを軽々と突破した、深層の趣味人とも言うべき那織の語りは元より、その影響を濃く受けている純も、普通の体育会系JKであるはずの琉実も、微妙にサブカルの沼にハマっているところがあって、会話や地の文の各所にサブカル系の引用やネタが散りばめられていて、普通に読んでてもやたらと濃厚で読み応えある文章でありました。
その上で、さらに濃いキャラたちの生々しいような躍動感のあるような、息遣いを感じる学生生活に、溌剌としたデートなど外で遊ぶ様子に、趣味に生きるじっとりとした日常感。
読み終えたときには、もう久々に「読んだわー」と満腹感を感じさせてくれる、満足度マックスとなる作品でした。いやー、読んでて楽しい作品は多々アレど、こんな濃厚さで楽しさを味わわせてくれる作品は滅多ないですわー。色んな意味で最高でした。良かった良かった。
そして、ぜひ続きが読みたい。ある意味、制限解除されたこの三人の然るべきラブコメ、読んでみたいです。

少女と血と勇者先生と ★★★   



【少女と血と勇者先生と】  蒼木 いつろ/POKImari 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

蘇りし勇者の指導の下、勇者候補の少女たちは激突する

勇者・クロムは世界を救い、そして死んだ筈だった。 だが《生ける屍》として現世に呼び戻され、少女より「私を《勇者》にしてください」という願いを受ける。その願いの裏には、ある悲しい理由が隠れていて――

これって世界を救う勇者の話なんだけど、作品としては世界はわりとどうでもいいって感じなんですよね。あくまで、勇者という立場にまつわる個人のお話。
勇者クロムと、彼の後継となる新たな勇者候補生の三人の心の納得の話なのだ。進行上、世界は瘴気が漏れ出てくる裂け目の侵食によってピンチなんだけど、あくまで舞台設定でしかなくて、刺身のツマなんですよね。究極的に、メインの登場人物たちにとって世界を救うというのは前提でしかなくて、それを成すための「勇者」という立場に対してそれぞれが抱いている複雑な心境を整理し昇華していく事が話の肝となっている。
そこには、根本的にこの世界の裂け目が出来るのを止めるとか、人柱や生贄も同然である勇者というシステムを変える、という意思は存在しない。与えられた役割を敷かれたレールの上を走った上でゴールまで走って使命を果たす、だけなんですよね。
クロムは仲間を戦いの中で無為に失い、勇者として生きてきた意味を見つけられず虚無を抱えたまま死ぬことになる。その上で死霊術師の友人にアンデットとして期間限定で復活させられ、仲間の妹を勇者候補として鍛えて本物の勇者に仕上げるよう頼まれ、妹を立派に育てることで勇者という存在が人類にとってどれだけ大切かを見つめ直し、次世代の勇者を育てる事で自分が生きてきた意味を見出す、納得を得て満足して消えていってしまうのですけれど……。
登場人物たち当事者の間合いに入って見ていれば、それは生きた意味の証明、大切な人の遺志や在り方を受け継ぐ継承の物語として整っているのだけれど、一歩後ろにさがって世界の物語として見ると世界の危機は何も変わっていなくて、勇者という生贄のシステムが変わらず引き継がれ、封印が成功しても短いスパンで裂け目が復活して同じことが繰り返されていく、という地獄めいた状況が続いていっているだけ、に見えるんですよね。
新たな勇者となりクロムとともに再び封印に成功し、師匠の名誉を回復したライラ。でも、また何年かすれば同じように裂け目は復活し瘴気が溢れ魔物が増殖しだしたら、また同じ旅に出て聖剣が使用者の生命を削る代物である以上、今度は助からないかもしれない。また新しい勇者候補が選ばれ、ライラはその娘に高潔な遺志を継承するのかもしれないけれど、これって現状維持が続いているだけで何か救われているんだろうか。
この世界に生きている人たちは、生き延びることが出来た。つかの間の平和を掴むことが出来た。確かな勝利だ。クロムは納得して眠り、ライラは哀しみを抱きながらも師匠の名誉を回復し目的を果たした。勇者候補だったリーリアとゼシアも、それぞれ抱えていた迷いや疑念を晴らし、彼女たちも心の中のモヤを払い昇華できたと言っていい。彼ら個人としては、大いに成すべきを成してるんですね。
ただ世界観としてはあまりにも行き詰まっていて、物語としても一定のレールの上での事として完結していてそこから逸脱することがなく、何とも閉塞感を覚えて息苦しいと感じるものでした。
続刊があるとしたら、この閉塞をなんとか打破して欲しいところなのですが。


武装メイドに魔法は要らない ★★★★☆  



【武装メイドに魔法は要らない】  忍野 佐輔/大熊 まい 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

銃の存在しない異世界で、そのメイドはあまりに最強。

元・民兵の仲村マリナは転生した異世界で辺境公女のメイドとなる。異世界に存在しないハズの銃火器を繰り出し、遍く刺客を圧倒するマリナ――公女に仕えるただのメイドは、現代兵器で魔導士の軍勢をも凌駕していく!
全然最強じゃない、最強じゃないよ武装メイド!
いや、彼女マリナに与えられた能力は規格外と言っていいものなんだけど、それ以上にこの異世界側の戦闘に携わる人種が意味わからん強さすぎ。その中でもとびっきりなのが「騎士」たちである。
こいつら、もう人間じゃないだろう。「超生物」という他ない意味不明さである。
いや、意味不明ではないんですよね。理屈のわからない強さというわけじゃないんですよ。ただ単純に純粋に硬い、速い、強い。なんですよね。
……騎士全員「アイアンマン」じゃないのか、これ?

なので、マリナが引っ張り出してくる現代兵器、勿論この異世界では未知の武器であり相手の想像の埒外にあるものではあるのだけれど、ファンタジー世界に近代兵器を持ち込んでくるような作品と違って全く無双とか出来ないんですよ。拳銃とかアサルトライフルとか程度は、鼻で笑う豆鉄砲。そもそも、小火器類は最初から出番すらありませんからね。
初手『ブローニングM2重機関銃』である。12.7ミリ徹甲弾。最初からもう対人兵器の範疇はみ出してるんですが。いや、最初は人間相手じゃなくて魔獣相手というのもあったのですが。
これがいきなり通じない! 初っ端重機関銃持ち出して速攻効かないって、なんぞそれ!?
と、このこの時点で現代兵器無双とは程遠い、ある意味ガチの戦争ものだという事を実感させられたのですが……。
マリナさん、その火力もうロアナプラの婦長じゃなくてヘルシングの婦警の方じゃありませんか!?

ともあれ、この異世界での「騎士」階級ってほんとにヤバいんですよ。この世界の戦争って下手すると現代戦よりも地獄じゃないのか。
理不尽な意味不明な理屈で攻撃が通じない、というのと違って純粋に「硬い・速い・強い」というヤバさは、シンプルであるが故に余計に強さを実感できるので、ただただ怖いんですよね。
なんというか、地べたから戦闘ヘリを見上げているような、対地攻撃機に追い回されるような圧倒的な力によって蹂躙されるような怖さというべきか。
しかし、戦争映画なんかでは兵士たちはその地べたを駆け回り、建物の間を行き来し、ビルの屋上に駆け上がったり、路地を車で突っ走ったりしながら、その圧倒的な力の権化に対して抗い反撃していくのである。
硝煙のたなびく中を潜り抜け、地面を匍匐で這いずり、崩れ落ちるビルの瓦礫を乗り越えて、降り注ぐガラスで血まみれになりながら、泥水の中に身を隠し、反撃の機会を伺うのである。
工夫を重ね、罠を張り、策を仕掛け、敵を自分のフィールドへと引きずり込んで、叩き潰す。
それこそ正しく都市戦闘であり、ゲリラ戦術であり、弱きが圧倒的強者を地面へと引きずり下ろすジャイアントキリングだ。
その意味でも、本作はファンタジー世界を現代兵器で無双するたぐいの物語ではなく、武装メイドに憧れた民兵崩れの少女が、誇り高く意地汚い「戦争の猟犬」と呼ぶに相応しい戦いを繰り広げる、戦争小説なのである。

同時に、本作こそ崇高なる少女と少女の物語。ガール・ミーツ・ガールの粋である。
主人公のマリナは日本人として生まれるものの、彼女の生きた時代の日本は内乱によって分断され、軍閥とイデオロギーに支配された戦闘集団が日々理由らしい理由もなく、血で血を洗う戦争を繰り広げる地獄のような世界だ。彼女はそこで生きるために民兵となり、ひたすらに殺し殺しおのが心を絶望によって殺され、ついに体もボロくずのようになって殺された、という境遇の娘だ。
そんな彼女の憧れは、拾った漫画で見かけたキャラクター。武装戦闘メイド。確たる志も理由もなく殺し殺されを続ける日々に精神を擦り切らせた彼女にとって、武装メイドとは心より敬愛する主人の為に戦うという、胸を張って生きることの出来る、誇りを持って戦うことの出来る、そんな職業だったのだ。今の糞みたいな生き方をしている自分にとって、手の届かない夢。
そんな世界と自分に絶望しきった彼女の魂を、引き寄せ形の体に定着させたのがエリザベートという没落した貴族家の娘であった。
マリナは少年兵として気がつけば兵士として戦っていた娘だ。メイドの経験なんて漫画で呼んだ程度の知識しかない。
エリザベートは、貴族家の娘だけれど今は人一人雇うことの出来ない没落した身の上だ。
二人共、メイドとしても主人としても初心者以前の問題。はじめましてのはじめて同士。生まれ変わっても野良犬だったマリナにとって、エリザは落ちぶれたにも関わらず理想にしがみつく頭お花畑の気に食わない偽善者に過ぎなかった。
そう、見えたのだ。最初は。
これはそんな最初からすれ違った少女たちが、お互いの本当の姿を見つけるお話。
この巨大な理不尽が当たり前のようにまかり通る地獄のような世界で、折れず曲がらず気合い入りまくり、根性据わりまくり、覚悟も矜持も信念も極まりきったイカレてイカした少女たちの心がこれ以上無く共鳴するお話。
エゴとエゴがぶつかって衝突して、混ざり合って溶け合って、そうやって出来上がるのは無二の親友としてのあり方だ。命を捧げあってお互いの全てを与え合う比翼の主従というあり方だ。
少女たちの尊くも微笑ましく美しくも輝かしい、この上ないガール・ミーツ・ガール。
端的に言おう。ぶっちぎりに面白かった!
熱く、痺れて、震えるほどにカッコいい。これぞ、誇り高き少女たちの戦争である。

ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 ★★★★   



【ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒】  菊石 まれほ/ 野崎つばた 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

孤独な天才捜査官。初めての「壊れない」相棒は、ロボットだった。
★第27回電撃小説大賞《大賞》受賞作!!★
最強の凸凹バディが贈る、SFクライムドラマが堂々開幕!! 

 脳の縫い糸――通称〈ユア・フォルマ〉ウイルス性脳炎の流行から人々を救った医療技術は、日常に不可欠な情報端末へと進化をとげた。
 縫い糸は全てを記録する。見たもの、聴いたこと、そして感情までも。そんな記録にダイブし、重大事件解決の糸口を探るのが、電索官・エチカの仕事だ。
 電索能力が釣り合わない同僚の脳を焼き切っては、病院送りにしてばかりのエチカにあてがわれた新しい相棒ハロルドは、ヒト型ロボット〈アミクス〉だった。
 過去のトラウマからアミクスを嫌うエチカと、構わず距離を詰めるハロルド。稀代の凸凹バディが、世界を襲う電子犯罪に挑む! 
 第27回電撃大賞《大賞》受賞のバディクライムドラマ、堂々開幕!!

おおっ、SFだ! 設定がどうのじゃなくて、作品の雰囲気がライトノベルでありつつも「ハヤカワ文庫」風味が効いてるんですよね。敢えて言うなら、【マルドゥック・スクランブル】風味というべきか。
いや、設定も非常に硬派の近未来SFとしての根が張り巡らされていて世界観だけでもとても読み応えあるのですけれど、そこにガッツリとした外国ドラマ的な刑事バディもの、クライム・サスペンスとしての要素が満載されているので、作品の雰囲気そのものが洋風なんですよね。変に緩い和テイストを混ぜてないのも硬め感があって直球のSF作品としての体となっている。

また、物語の主体が電子犯罪の追跡にある一方で、ガンガンと主人公のエチカの内面へと切り込んでいく登場人物の心理面を丹念に掘り下げていき解体していくテイストになってるんですね。
キャラクターのトラウマ、精神的な傷をグリグリと抉りあいぶつけ合うという、精神的な殴り合いみたいなバディの衝突というべきかコミュニケーションというべきか、ともあれそうした一種の容赦ない対立をもって人間関係を構築していく、そして個々を掘り下げていく手法というのは外国ドラマや外国小説のバディもの、近未来SFでも人間にスポットをあてた作品なんかでは顕著に見られるパターンだけに、余計に洋モノの味わいを感じるのかも知れません。

それはそれとして、エチカの相棒として派遣されてくるアミクス…ここではアンドロイドやロボットというべき機械じかけの存在であるハロルド。彼は人間の隣人にして親愛なる友人たるべき存在として定義されているアミクスの中でも、特別な製造品として作られた存在なのですけれど、彼個人の特別な体験を経ることでさらに特殊な個体へと成長? 進化? 発展? している個体です。
人間味が普通のアミクス以上、というだけでなくちょっとした特技なのか、名探偵めいた観察力と推理力を持ち合わせて、それに独特の話法、よく回る口をもって自分の望む方へと誘導する技法を得意としてるんですね。
それを彼は刑事としてのテクニック、あるいは探偵みたいなスキルとして振る舞っているのですけれど……よくよく見ると、或いは聞いているとこれってある種の「詐欺師」の論法なんじゃないだろうか。それもあれです、結婚詐欺師的な?
女の人をうまく騙して良い気分にさせて、自分の思う通りにコントロールして誘導してしまう、的な?
そんな彼のことを胡乱な目で見ているエチカは、アミクスという存在自体に忌避感を強く抱いている人であり、彼が相棒として派遣されてきた段階から拒絶感をあらわにし、慇懃でありながら妙に馴れ馴れしいというか「イイ性格」をしているハロルドに対して嫌悪に近いものを抱いて、かなり辛辣な対応に終始するところからはじまるのです。
そもそも、エチカはアミクスだけじゃなく、人間そのものに対しても盛大に距離を置いていて、幼少からのネグレイトを主体とした虐待の体験から、深い心の傷を抱いている。人と接するのを毛嫌いしている、或いは恐怖に近いものを抱いているのかもしれない。最初から諦めていると同時に、刺々しい対応をとることで相手からも拒絶されることで、安心感を抱いているような……それでいて孤独感に震えている。人を遠ざけながら、どこかで人を求めている。アミクスへの拒絶感も、かつて父と暮らしていた頃のことが深く絡んでいるんですね。
ともあれ、自身の孤独に翻弄されている、独りである事を強く望みながら独りである事に耐えられない寂しさを抱いてしまっている、そんな女性だ。
こういうハリネズミみたいな人は、決してチョロいとか絆されやすいとかとは程遠い、一種の難しい人間である。この手の人の内側に入るのは容易ではない。
容易ではないのだけれど……往々にしてこういうタイプの人ほど結婚詐欺のカモになりやすい、というパターンだったりするんですよね。
チョロくはない、チョロくはないよ? でも、正しい手順を踏むとびっくりするくらい、コロッと行っちゃうのだ。非常に押しにくいところにあるけれど、押してしまうとコロッと全面反転してしまうスイッチがあったりするのだ。
そして、ロボットにして結婚詐欺師(違)な手法に長けているハロルド氏の登場である。
……なんかこう、エチカさんまんまと餌食になってませんかね、これ?
ハロルドがその心の深奥にそれはもうドロドロとした情念を抱えていて、エゴイスティックな目的を持っていて腹黒一直線だったりするので、余計にその手管に絡め取られてしまった感ががが。
ただ、本来人造の創造物として純真無垢な精神構造をしていただろうハロルドが、ロボットにも関わらず尋常ならざる情念を、狂気を抱えてしまうほどの凄まじい惨劇を味わってしまっているからこその、闇落ちなんですよね。かといって、本当に狂いきってしまっているわけではなく、被造物としての純真さはある意味失われていない。失われていないからこそ、彼は闇をはらまなければならなかったとも言えるのでしょう。被造物であるからこそ壊れてしまうことで、本物の心が芽生えてしまった、というべきか。元々、彼の心は本物だったからこそ、あの惨劇を目の当たりにして壊れてしまった、という順番も考えられるのですけどね。
しかし、どれほど深い情念に囚われていようとも、彼の精神は正常に動いている面も確かにあるわけで。その正常の部分が、エチカという存在に激しく反応してるんですよね。それを、恋と呼んでいいのか。少なくとも、アミクスである彼にとって計算ずくの範囲の外に見つけたそれは、とても素敵で心浮き立つものなのだろう。
不協和音を奏でていた二人が、本当の意味で心から通じ互いを認めたパートナーとなり、再出発を迎えるラストはこれからも続いていくシリーズものとして素晴らしいスタートを切ったような爽やかな幕引きで、実に心地よい幕引きでありました。
この巻ではずっとお互い探り探りで、エチカの拒絶もあって意図も気持ちも混ざり合わない重なり合わないギスギスとした居心地の悪さがずっとつきまとっていたコンビですけれど、次回以降は息ピッタリ、とまでは言いませんけど、同じ方向を向いて呼吸を合わせられる以上の関係にまでは至れたと思うので、そんな二人の事件簿を見るのは実に楽しみです。

ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います ★★★   



【ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います】  香坂 マト/がおう 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

強くてカワイイ受付嬢が(自分の)平穏のため全てのボスと残業を駆逐する!
 デスクワークだから超安全、公務だから超安定! 理想の職業「ギルドの受付嬢」となったアリナを待っていたのは、理想とは程遠い残業三昧の日々だった。すべてはダンジョンの攻略が滞っているせい! 限界を迎えたアリナは隠し持つ一級冒険者ライセンスと銀に輝く大槌(ウォーハンマー)を手に、自らボス討伐に向かう――そう、何を隠そう彼女こそ、行き詰ったダンジョンに現れ、単身ボスを倒していくと巷で噂される正体不明の凄腕冒険者「処刑人」なのだ……!
 でもそれは絶対にヒミツ。なぜなら受付嬢は「副業禁止」だからだ!!!! それなのに、ボス討伐の際に居合わせたギルド最強の盾役に正体がバレてしまい――??
 残業回避・定時死守、圧倒的な力で(自分の)平穏を守る最強受付嬢の痛快異世界コメディ!

 第27回電撃小説大賞《金賞》受賞作!

往々にして自分は受付しにいく側で、受付する側になった事はないのだけれど、あれはあれで大変なお仕事だというのは多少なりとも理解しているつもりである。
ただ笑顔浮かべてお客さん相手に受け答えしているだけじゃないのだ。受付業務というのは、まーあれやこれやアホみたいに事務処理だのなんだのが積み重なっているものだというのはよく聞く話。お客さん相手に話しているのなんて氷山の一角なのである。そのへん、ちゃんとわかった上で敬意と礼節をもって接しましょうね。
なんて言っても、受付カウンターを隔てたあっちとこっちはまさに別世界。あちら側の苦労や悩みなんてのはどうやったって理解はされないし、理解も出来ない。
冒険者なんてヤクザで夢見がちな職業に人生賭けている連中は、当然「価値観の隔たり」なんてものは概念すら知らないだろう。受付カウンターの向こうでニコニコと笑っている受付嬢たちの笑顔の下で一体どんな罵声と呪詛と怒声と怨念が飛び交っているか、なんてのはまー想像すらしていないに違いない。
……こういう荒くれ者相手の受付業務って、平素でも結構なハードワークだと思うけどなあ。しかも単純な肉体労働者ではなく、冒険者というのは命かけて切った張ったをしている連中でもある。見知った人が突然来なくなることも度々だろうし、直接死亡報告が飛び込んでくることもあるだろう。救援要請依頼、なんてのもあるかもしれない。必然、受付嬢って人たちはお得意様の死を間近で体験することの多い仕事、ということにもなる。精神的にもなかなか来るものがある職業だと思うがなあ。

アリナが選んだのは、そういうお仕事ということだ。本当に心の平穏が保てて安全で安定した仕事、というのなら選ぶ先は幾らでもあっただろう。なにげに事務処理、というのはこのくらいの文明度なら十分高等な職務にあたるはずですし。大きな商家や官庁でも普通に重宝されると思うスキルである。
にも関わらず、アリナは自由だけど不安定でローンも組めない保証のない、いつ死んでもおかしくない人たちの相手をする受付嬢を職業として選んだ。安定を、安全を望みながら、それを放り投げて生き急いでいる人たちを見送り迎え入れる仕事を選んだ。
最初、特に難しい理由があるとは思っていなかったんですけどね。単純に話として面白いから、ギルドの受付嬢というのを主人公にしただけの、メタな理由しかないお話だと思ったんですけどね。
でも、アリナにはアリナなりに、ずっと冒険者という人たちを間近で見続けたい、という彼女自身意識していたかどうかわからない、ちゃんとした彼女なりの理由があったわけだ。
なんらかの形で、カウンターを隔てていたとしても、冒険者という人たちと関わっていたい、という願いが彼女の中でポゥと火を灯していたのだなあ、というのが後々になってちょっとだけわかってくるんですね。

それはそれとして、定時に帰りたい! 残業したくない! お休みの日はのんべんだらりとゆっくり過ごしたい! という切実な願いは別なのである。
残業ってほんと嫌だよね。わかるー。
いまだかつてないほど主人公に共感してしまったかもしれない。
命が掛かっているわけじゃないかもしれない。人生の行く末がかかっているわけじゃないのかもしれない。でも、早く家に帰りたい!! という願いだって、心の底から吹き上がるような鮮烈で強烈で切実で迫真に迫った願いなのである。心の叫びなのだ。切羽詰まって、悲鳴のように響き渡る魂の絶叫なのだ。
それがその日、街の中で誰よりも何者よりも強く強く心の中で願われた願いだとしても、さもあらん、としか思いませんな、はっはっはっ。

なんでそれが、攻撃系スキルになって与えられるのかはよくわかりませんが。
ただ、アリナのスキルの活用法を見る限りでは、神様の意図は的外れではなかったようなんですよね。パワーあげるから自力でなんとかしんしゃい、ってなもんにしか思えませんけどw
ただ、パワー与えられたからって、それを使って業務滞る原因となってるモンスターやダンジョン、取り敢えず自分でぶっ壊しにいって、すっきり滞りをなくして定時帰れるようにしましたー、という風にヤるのって、それはそれでこうなんというか、別方向に働いてませんかね、これ?
休みの日とか退勤してからいそいそと出かけていって、暴れ倒してくる、という行程、これはこれで勤勉なような気がするなあ。わりとサービス労働じゃないですか、これってw

しかしこのアリナさん、神域スキルが使える身ではありますけれど、生粋の受付嬢なんですよね。
ギルドの受付嬢が実は強い!みたいなパターンの話はそれなりにあったと思うのですけど、そういうキャラってだいたい前職が冒険者とか英雄職で実績をあげていて、それがひっそりと隠居したり転職したりして受付業務につくようになった、というパターンでつまり技術職とか現場職からの転向組で、受付相手の事はよくわかっている。戦闘なんかも経験者、なのですが。
アリナさん、別に冒険者でも何でもなかっただけに、実はこれ素人なんじゃないの? 素人でも押し切れる人外魔境のパワーゆえのゴリ押しプレイ、みたいな所があってなんともはや。いやアリナ当人も真面目に冒険者したりダンジョン攻略しようとしているわけではなく、業務の滞りを解消するため以外眼中にないので、これでいいのかもしれないけれど。
正体を知ったにも関わらず、それまで「処刑人」をパーティーに引き入れようと運動していたのに、アリナが本当に嫌がっていると知ったらピタリと勧誘をやめたジェイドくんはなかなかのイケメンだと思う。
それはそれとして、かわいい女の子だったので欠かさずちょっかい掛けにいくようになったのは、ストーカーとまでは言わないけれど結構しつこい系男子ですよね、こいつ。
それでなんだかんだと絆されてるアリナさん、チョロいとは言わないけれどわりとうん、そうだね、こういう余分なものは眼中に入れようとしない娘は、無理矢理にでも眼中に押し入っていないとそもそも意識もしてもらえないだけに、彼のやり方は相応に成功だったのかもしれない。

ただ、お話としては1巻できれいに纏まっているものの、発展性があんまりあるように見えない、個々の主だったキャラクターはみんな書ける所書いちゃったようにも見えるので、続けていくにしてもどう話を広げていくのかちょっと心配ではある。

貴サークルは"救世主"に配置されました ★★★☆   



【貴サークルは"救世主"に配置されました】  小田一文/肋兵器 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

GA文庫大賞《金賞》受賞作
100部売れなきゃ世界が滅ぶ!? 同人誌に懸ける青春ファンタジー
「ずっと……ずっと、あなたを探していました、世界を救うために」
自分の同人誌によって、魔王の復活が防がれる。突如現れた女子高生ヒメにそう諭された同人作家のナイト。
ヒメの甲斐甲斐しい協力のもと、新刊制作に取り組むのだが……
「えっ、二年間で六部だけ……?」
「どうして『ふゆこみ』に当選した旨を報告していないのですか?」
「一日三枚イラストを描いて下さい」
「生きた線が引けていません」
即売会で百部完売しないと世界が滅ぶっていうけど、この娘厳しくない!?
「自信を持って下さい。きっと売れます」
同人誌にかける青春ファンタジー、制作開始!

これ、誰にとっての青春かというと、ナイトよりもヒメの方かもしんないね。
同人誌即売会で100部も同人誌を売らないと世界が滅ぶ、なんてフレーズを聞かされると、ついついコメディよりのラブコメで、その世界の危機というのもゆるい感じの話しなのかな、と思ってしまうのですがどうしてどうして。

ガチで人類滅亡じゃないですかー。

人類文明そのものが崩壊しちゃってるし、種の存続そのものがヤバいことになっちゃってるし。ガチのアポカリプスである。
それも予測ではなく確定未来。ヒロインのヒメが実際に何度も体験してきた正史であり、タイムリープによって何度も何度もやり直した末にそれでも変わらなかった未来、という当事者実体験済みの代物である。
いやこれが、なんで同人誌売るのと関係してるんだよ? と思うくらいのシリアスさである。
これでいきなりヒメが、同人誌100部完売してください、でないと世界滅びるから! と押しかけてくるトンチキならコメディ路線一直線なのですけど、ナイトを探して訪ねてきた時はヒメ自身も彼が世界を救うための重要な鍵となる人物であり、救世主なのだ、という事実は知っていても、彼がどのような役割を果たして世界を救うのかはわかってなかったんですよね。
彼女も最初は、ナイトがとてつもない力を秘めた勇者様的な救世主だと思っていたようですけれど。普通はそう思いますよね。強大な「人類の敵」を打ち破るのにはそれ以上に強力な力を持った存在の助けが、と考えるのは破壊と死が渦巻く戦場でずっと生きてきた人間にとっては当たり前の思考のたどり着く果てなのでしょう。
しかし、ようやく見つけた救世主には、何の力も秘められていなかった。
このあと、ヒメがナイトの住むアパートの隣に引っ越してきて、彼の同人誌づくりを手伝い始めるまでにはしばらく間がある。
同人誌なるものの存在すら知らず知識を持たなかった彼女が、それを調べるまで。自分が仲間からもらった最後の、「ナイトと彼の所属する星霜煌炎騎士団同盟が世界を救う。ナイトを支えることが貴女の役割」という預言を、ナイトが同人誌を作ることを支え守ることが世界を救うことに繋がるのだと解釈して、自分の使命を果たすために訪れるわけだけれど。
そんな解釈に至るまでにヒメの中にはどれだけの葛藤があっただろうか。そもそも、ナイトに何の力もないと解った時に絶望を感じなかったわけがないだろう。あれだけストーカーじみた事までして必死に脇目も振らずナイトの存在にたどり着き、彼のもとまで押し掛けてきた彼女である。それが素直に一端引き下がった、というのはそれだけ彼女も混乱しショックを受けていたとは考えられないだろうか。
ヒメがそれでも諦めず、自分が仲間から託された預言を必死で解釈し直してこじつけでも無理矢理にでも納得できる理屈をみつけるまで、決してすんなりいったとは思えない。
そもそも、売れっ子でもない即売会で一部も売れない事も少なくないなんて底辺同人作家の同人誌作りを手伝って、それに何の意味があるのか。同人誌、という存在自体を理解していなくて即席で知識を身に着けたことが逆に偏見を抱かなかった、というのもあるんだろうけれど、もうヒメに預言を疑うだけの余地が、余裕がなかった、とも言えるんですよね。
それだけ、彼女は絶望を繰り返してきた。世界の破滅を目の当たりにしてきた。人類が滅ぶ光景を目にしてきた。何度も何度も、大切な仲間たちが目の前で死んでいくのを、自分の腕の中で冷たくなっていくのを体験していた。
これが最後だと、本当に最期だと思い定めてきたタイムリープである。果たして、平和な時代を生きてきたナイトには想像もつかない感じ取ることもできない狂気が、不退転の覚悟が、彼女の中に蠢いていたとしても全然不思議ではないんですよね。
それ以上に、ヒメにとって預言を託して逝った仲間である、恐らく年齢としてはだいぶ下になるだろう妹みたいな娘であったクラリスという子の遺した言葉を、預言を、疑うなんて出来なかったのだろうけど。

100部、という部数はヒメやナイトの間から出た数字ではない。たまたま、仲の悪い同業者とのトラブルから偶然飛び出した条件だ。しかし、それを目標とすることで彼らは具体的に達成に向かって動き出すことになる。
それまでは、ヒメのナイトへのお世話、日常生活のサポートや同人誌制作のお手伝い、というのはどこか責任感とか義務感に後押しされたものであって、熱量のベクトルはあくまで世界を救うため、あの未来をもう見ないため、というベクトルに向かっていて、必ずしもナイト個人や同人誌というものに向いていたわけじゃないと思うんですよね。
でも、具体的な目標が定まってそれに向けて、プラス1名加わった二人だけのサークル「星霜煌炎騎士団同盟」が動き出したときから、ちょっとずつヒメの意識は変わってくるように見えるのだ。

これまで何度も何度も、彼女の言葉を信じるならば延べ数百年にもなるだろう長い長い時間、繰り返し繰り返し、「魔王」の送り出す正体不明の怪物と戦い続けてきた、戦うことが、破壊と死がいつも隣り合わせで日常だったヒメにとっての、もう思い出せないくらい昔に遠ざかっていた平穏な日常。一つの目標に向かって、毎日毎日ドタバタと大騒ぎして、時に大声を張り上げて意見をぶつけ合い、主張を叩きつけ合いながら、仲間たちと一心不乱に邁進する日々。それは確実に、ヒメの中の熱量の向かう先を変えていく。脇目も振らない、振る余裕もない切羽詰まっているのが常態だった日々が、いつしか「夢中」のなかに埋もれていく。
それは、時守緋芽にとっての、間違いなく青春だったのだ。数百年越しの遅れてきた青春。

これ、本当は主人公ってヒメの方じゃなかったのかな、とすら思えるほどに、彼女は生き生きとしてウンウンと唸るナイトの背中を叱咤激励する。
未来では共に戦った戦友の、平和だった頃の想像もしなかった思わぬ姿を目の当たりにして、でも中身の芯の頼もしくも一本気通った所は何も変わっていないのを実感して、地獄のような未来がどれほど多くの人の将来を歪め潰えさせてしまったのかを改めて実感する。
また今の自分と同じように、いやそれよりも遥かに入れ込んで自分の趣味に、好きな事に夢中になって一途に直向きに邁進した結果を持ち寄ったコミケットというイベントの凄まじい熱気を、集った人々の尋常でない数を目の当たりにして……平和だからこそ人はこんなにも好きな事に打ち込める、こんなにもいっぱいの人たちが夢中になって好きな事に挑める。お祭りだ。こういうものが、自分が守ろうとしてきたものなんだ、と。
ずっと戦ってきたいつしか擦り切れて摩耗してわからなくなっていた平和、いつしか自動的に妄執的にただ世界を救うのだと思い定めて突き進んでいたことを実感し、その救おうとしていた世界がどんなものだったのかを、今こうして思い出し噛みしめることが出来たことに喜びを感じる。
責務でも義務でも使命でもない、ただ心からこの世界を守りたいと思えた。

ヒメとナイト、二人三脚の努力に他にもデスメイドなど手助けしてくれる人たちの友誼も加わり、今までろくに売れることがなかった同人誌が、はじめてどんどん売れていく、その流れと熱を逃さないようにナイトがさらに力を振り絞ってスケブなんかをスタートして場を盛り上げていくという熱さと、会場の外で思わぬ敵からの横槍を未だかつてない意気込みで世界を守るという願いを叶えるために激闘するヒメの熱量が、折り重なって上昇していくクライマックスは実に素晴らしい流れでありました。
トンチキな条件に思えた、同人誌100部売らないと世界が滅びる、逆に言うとナイトが同人誌100部売ったら世界が救われる、という条件がちゃんと真っ当な意味を持っていた。それが本当に世界を滅ぼす、あるいは世界を救う鍵でありきっかけだった、という所なんぞはストーリー展開としてピッタリとピースがキレイにハマる感覚があって、うん良かったです。

これ、続くとなると妙にハードルあがりそうな感じもあるのだけど、これ1巻でもうまく纏められていて面白かった。

魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿 ★★★★   



【魔王2099 1.電子荒廃都市・新宿】  紫 大悟/クレタ 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

統合暦2099年――新宿市。究極の発展を遂げた未来都市に、伝説の魔王・ベルトールは再臨した。巨大都市国家の輝かしい繁栄と……その裏に隠された凄惨な“闇”。新たな世界を支配すべく、魔王は未来を躍動する!

これはまた、やりたい事ごた混ぜにしてやってやったぜー!感があって好きだなあ。
伝統的魔王と勇者の戦いに破れ、滅び去った魔王ベルトールが500年の時を経て復活してみれば、そこは見慣れたファンタジー世界アルネスではなかった。かと言って、単純に文明文化が発展して技術水準が上がった「現代系異世界」でもなく、異なる次元の魔法のない科学文明世界「地球(アース)」でもない。
そこは、別次元同士の衝突によって生じた魔法文明惑星アルネスと機械文明惑星アースが融合した世界。異文明の衝突によって起こった大戦争によって、神も国家も秩序も滅び崩壊し、魔法と科学の文明が融合して発展して80年の月日が流れた未来世界。
ファンタジーも現代も通り越して、魔導と電脳が支配するオカルトサイバーパンクと化した世界。人間も魔物もすべてがファミリアと呼ばれる電脳具を体内に装着してネットワークに繋がった電子都市・新宿。
そんな見知らぬどころじゃない、見たこともない考えたこともない想像すら出来なかったわけのわからない世界に放り出された旧世界の魔王の明日や如何に。

不死の魔王として数千年に渡って君臨し続けた魔王ベルトールは当然一般ピープルに紛れるような言動は出来ないわけで、尊大にして傲岸……シンプルにいうとどこのお大尽かというような偉そうな物言いしか出来ないのですけれど、別に物事の道理がわかってなかったり現状についていけない、というような周りが見えてない人ではないんですよね。
世界征服の志こそ失わなかったものの、この新宿という場所が自分の想像もつかないロジックで成り立っている世界で、自分がまったくそれについていけていない事もちゃんとすぐ理解しますし、いくら魔王と名乗っても誰も相手にしてくれない事も勿論わかっている。
そもそも彼ベルトールは、魔王と言っても邪悪の化身というわけではなく、不死人と呼ばれる様々な要因で不死者に至った者たちの王、という立場であって、世界征服も自分の野心や欲望という以上に理念のため、という人物なのである。
だから、王としても崇められて当然、奉仕されて当然、というような傲慢な意識は持っていなくて、忠節に対してはちゃんとそれに相応しい報いを与えてやらなくてはいけない、という部下に対しての責任感も感謝や情も持ってるんですよね。また、直接自分に関係ない相手でも自分を助けてくれたり、何かを与えてくれたら、この魔王素直にお礼言えるんですよね。
多分、道を訪ねて教えてくれてもちゃんとありがとうと言うだろうし、道すがら落とし物をした時拾ってもらっても「ありがとう助かった」と言える人物なんですよね。こういう人として当たり前の側面を備えているのは、何気に大事なところだったように思います。
かつて魔王全盛期だった頃は、権力者特有の酷薄さや残酷さを持っていたようですけれど、そういう当たり前の部分は新宿に復活して苦労してから身につけたものではなく、そもそも備え持っていたものなんじゃないかな。
だからこそ、500年ずっと待ち続けて自分の復活を助けてくれたかつての側近、マキナが魔王軍の崩壊や「現想融合」と呼ばれる次元融合事件や世界大戦を経て、長きに渡って苦労し、今や小さなプレハブ規模のアパートメントの一室に居を構え、日銭を稼いで糊口をしのぐような生活を送っているのを目の当たりにした時。
魔王たる自分を迎えるのにこんな惨めたらしい環境しか用意できないのか、みたいな不満や哀れみを覚えるのではなく、こんな苦労をしてまで自分を復活させてくれたことに深い感謝と、こんな辛い日々を可愛い部下に送らせてしまったことに感極まって謝罪と労りを込めてマキナのこと、ギューッと抱きしめるんですね。
その直前、ベルトール自身、かつての臣下に裏切られ、自分が時代遅れの存在だと突きつけられ、誇りも矜持も打ち砕かれて惨めな思いに打ちのめされていたのも大きかったのでしょう。自分が今味わっている惨めさ、屈辱に倍するものを、この少女然とした腹心は500年に渡って味わい続けた、辛酸を舐め続けた。その上でなお、自分の復活を待ち続けてくれた。激動の時代を生き続けたマキナは、きっとベルトールが復活したとしてもかつてのように魔王として君臨する事も復権する事も難しいかもしれない、とわかっていただろう。それでも、魔王としての価値を喪っているだろうベルトールを、迎えてくれた。かつてと変わらぬ忠義を、親愛を、捧げてくれた。その価値を、重さを、掛け替えのなさを、ちゃんとこの魔王様は十全理解し感じ取ってくれたんですよね。マキナも、これほど報われたと思えることはなかったでしょう。ベルトールのこういう人間味の在るキャラが好ましくてねえ。
ここでマキナに衣食住全部任せて、お前が働いて養え! と魔王ならぬヒモにならず、速攻でとりま生活のために働くぞ! となるところ、ベルトール偉いと思うし何気に適応力高いですよね。
マキナとしては、ワンルームに魔王様とたった二人きりの睦まじい生活、というだけで満たされていたみたいですけど。むしろ、ヒモになってほしかったんじゃw
まあ案の定、面接で片っ端から落とされて存在全否定された就活生みたいになってしまうのですが。就職活動、あれほど自分の存在価値を見失ってしまうものないもんなあ。イオナズン・ネタをここで見ることになるとは思わなかったが。

でも、攻殻機動隊の電脳化に代表されるようなサイバーパンクの定番とも言える脊髄に装着する情報端末、ここではファミリアと名付けられた魔導機器となっていますけど、こういうネットワークに接続していないと身分保障も仕事も得られない、というのはディストピア感がありますよね。
そして、スラムにたむろする身体の違法改造を施した半機械のアウトローたち。この中に、オークやゴブリンといった魔物たちが当たり前のように混ざり、電脳ハッカーが情報屋としてビルの一角に棲家をこしらえて潜んでいたり。やっぱりこういうサイバーでオカルトな世界観、好きですわー。
そして、そんな世界のネットワークで、ユーチューバーとして生計をたてはじめる魔王様w
人気配信者になってるし。魔王のカリスマをそんなところで発揮していいのか、おい。

ただ、魔王としての力を取り戻すには信仰度という認知が必要らしく、ポジティブでもネガティブでも認識され強い感情を向けられることで、それぞれ正と負の信仰の力を得られるという寸法なので、ネットワーク上で知名度をあげる、というのは見事に時代に適応している、と言えるのかもしれない。
そして、幾ら技術的にいくら時代遅れになろうと、彼が魔導師として天才を越えた存在であることは変わりなく。時代遅れ、なんてのは過去に固執さえしていなければ、時間さえあればいくらでも更新していけるんですよね。ベルトールの場合、一々発展史を丁寧に辿らずとも、理論さえ理解すれば容易にブレイクスルーしてしまえる、どころか新たな理論に到達できる、というあたりやはり本物の化け物なんだよなあ。

この時代まで生き延びて、目的も見失って流浪していた勇者との再会や、魔王としての在り方の変化など、新たな時代に復活して自分の価値を見失い辛酸を舐めたからこそ、かつての魔王としての自分とは違う、新しく見出したもの、ベルトールとして大事に思えるものが出来る、というあたりこそ、物語の主題だったようにも思うのですけれど、ちょっとそのあたり突き詰めきれずに物語の進行の流れに任せてしまったかな、と思う部分もありました。
マキナとの二人きりの狭い部屋での生活、ちゃぶ台囲んで過ごす日々の様子、もうちょっと見てみたかった気もしますし。
まだ未登場で行方不明の六魔侯たちも、ただ不死狩りから身を隠している、という風でもないですし、裏切った臣下もずっと秘めていた野心を開放した、というだけではない何らかの事情もあったようですし、むしろここからさらに世界観も広げていく余地もありそうで楽しみ。
ベルトールさまのキャラが本当に良かったので、サイバーパンクな世界観を発射台に、主人公をはじめとしたキャラの魅力を推進力に、ここからグイグイと面白くなって欲しいものです。期待したい♪

俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ ★★★   



【俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ】  りんごかげき/DSマイル GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「お前ッ!! いつからギンガちゃんの正体に気づいてた!?」
俺こと、南アズマは電脳アイドル『∞ギンガちゃん』の激推しフォロワー。そんなギンガちゃんの中の人は幼馴染の星夜アゲハなのだが――。

「お前じゃない!……西条院ロコよ」
もう一人の幼馴染・ロコもギンガちゃん推しと判明し、俺たち二人でこっそり応援しようと結託するが??

「ふふ……心から、愛しあっている」
なぜかアゲハちゃんは俺×ロコが【恋人同士】と勘ちがいしちゃう!?

すれ違う幼馴染たちは本当の友達になり、ギンガちゃんをメジャーにできるのか?
これはネットと現実が交差する、ぼっち三人組の交信録。
第12回GA文庫大賞<銀賞>作品。

こ、これって幼馴染なのか? 馴染んでないぞ? 全然馴染んでませんよ!?
正直、これだけ疎遠……昔は仲良かったけど大きくなって疎遠になりました、じゃなくてはじめから今までずっと疎遠! 仲良くないどころか、ろくに話したこともない、というのは果たして幼馴染と言えるのだろうか、と最初真剣に首を傾げてしまいました。
とは言え、小さい頃から同じ学校同じクラスだった三人。アズマとロコとアゲハは、生来のボッチ気質ということもあり、友達同士でグループ作ってー! というアレ、あれをやられると見事に毎度余ってしまう屈指の三人だったがために、幼い頃からなにかと三人一緒にまとめられ、一緒に行動していた、という三人でした。
それなのに疎遠て。ほとんど喋ったことがないて。……逆にもう、すごいな!
あらすじなどから、この作品って仲の良い幼馴染三人組が、一人がこっそり電脳アイドルデビューをしたのをきっかけに、残りの二人もこっそりファン活動をはじめて、それがラブコメに繋がっていくみたいなのを想像していたので、まさか全然仲の良くない幼馴染同士、というシチュエーションはまったく予想していませんでしたぜ。
本来、幼馴染というのはそれだけ人間関係が「完成」されている関係でもあります。ラブコメにおいては、その揺るぎない完成度を楽しむ関係でもあり、その完成された関係を揺るがすような爆弾を投下することで起こる関係の距離感の撹拌を楽しむものでもありました、幼馴染というのは。
ところが、この三人は完成されるどころかまるで始まってもいなかったわけで、アゲハの電脳アイドルデビューをきっかけにして始まったそれは、三人にとって全部が初体験だったわけです。
電脳アイドルデビューしたものの、まったくフォロワーが集まらずに、元からそれがアゲハだと知っていて追いかけたアズマとロコ以外ファンがいない、という閉じたサークルでもあったわけです。
そこで、唯一のアゲハ……ギンガちゃんフォロワー同士ということで交流することになったアズマとロコが、相手の正体を知ってしまった上で協力して推し活動をはじめるわけですが……、ギンガちゃんのファン活動とは別に、ずっと気にしていた幼馴染の一人と仮にも打ち解けて、一緒に行動することになって、という方にアズマもロコも完全にウカレてしまってるんですよね、これ。
もう距離感もむちゃくちゃ。突き放せばいいのか、ベタベタすればいいのか、さっぱり判断できずにテンパったように時につたなく、時に前のめりに交流する様子は、幼馴染の完成度なんてどこにもなく、不器用で初々しいばかりなんですよね。
孤高でいながら、実はアズマとロコのことずっと気にしてずっと見守ってきたアゲハが、二人のこと付き合いだした、と勘違いしたのこれ無理ありませんよ。街でなんかおしゃれして一緒に歩いている二人とバッタリ会ってしまった、というのが決定打ではありますけれど、以前は視線も合わせなかったのがあれだけ露骨に意識しあっている様子を学校でも見せてたわけですから、そりゃなんかあったなー、と思いますし、それだけじゃなくなんかいい雰囲気になってる、と見えてしまうのも仕方ないですよ。
実際、いい雰囲気になってたわけですし。

この三人、これだけ今まで疎遠だったのに。ろくに話もしなかったくせに。まともに視線も合わせられなかったくせに。三人とも、実はお互いの事よく知ってるんですよね。ずっと、相手のこと気にして見続けていたから、相手がどんな人かすごくわかっちゃってるんだ。
だからこそ、アゲハが電脳アイドルはじめたのも速攻気づく、というかその前身であるブログからずっとチェックしていたわけですが。アズマもアゲハもロコのやたらと攻撃的な理由も、その本質が臆病でメンタル弱々な所もちゃんと知ってるし、ロコもアゲハもアズマがどういう男の子かちゃんと知っている。もちろん、アズマとロコは自分たちが推しまくってるギンガちゃんの中の娘がどういう娘か知っているから、あの娘が大好きで応援しているわけだ。
でも、三人ともお互いが自分のことを知っている、見ている、気にしているなんて微塵も思っていなかった。お互いを見つめ合う勇気を持てなかったからこそ、今までずっと疎遠なままだった。
それが、アゲハが自分を変えたいとはじけた電脳アイドル活動をきっかけに、それを追いかけた残る二人が勢い余ってぶつかって、お互いが相手のことをどう思っていたのか、知ることになるのである。
自分のことをわかってくれている、と知ることは、勇気の後押しになるんだなあ。

個人的に、どうしてもあの主人公アズマの茶化したような口語の一人称、合わなかったんですよね。真面目なシーンでも本人は真剣なのかもしれないけれど、茶化したようなふざけたような軽薄なノリと口調で浮ついたように語っていくので、なかなか話にも入り込めなくて、正直読みづらくはありました。
電脳アイドル……Vチューバーのことなんでしょう。これも、さっぱりわからなくて、ギンガちゃんの動画面白いのかどうか全然わかんないし、推しコメントのほうも面白味があってノリのよいというものではなくて、正直何が推しポイントなのか本当にわかんなかったんで、これに関してはわかりませんでした、としか言いようがなく……。
ただ、幼馴染とはとても言えない昔から一緒にいる機会の多かった顔見知りが、本当の意味で幼馴染となり、友達になり、とてもとても固い絆で結ばれるお話としては読み込ませられるものがあったと思うのです。
唯一二人だけ、はじめた時からずっと見ていてくれて、応援してくれていて、ずっと支えてきてくれたファンが、ずっと気にしていつか仲良くなれたらと思っていた幼馴染二人だった、と知ったときのアゲハの想い。あの、ギュッと抱き竦める抱擁がすごく伝えてくれるんですよね。あれは本当に良かった。良きよ、良き。

竜歌の巫女と二度目の誓い ★★★★☆   



【竜歌の巫女と二度目の誓い】  アマサカナタ/ KeG GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

大切な誓いはね。
違えた時に“呪い"になるの。

これは果たされなかった誓いを巡る
再会と約束の物語。


「私を守ってくださいますか」?
かつて幼き騎士ギルバートと誓った約束は呪いへと変わり、竜歌の巫女は名もなき少女となり再びこの地に生を受けた。
少年に裏切られ、全てを呪いながら生涯を終えたこの世界。十二年の月日が経ち、生まれ変わった少女は奴隷として売られそうになっているところ、青年となった騎士ギルバートに拾われる……それは彼女にとって望まぬ再会。ルゼという名前を与えられ、やがて始まった彼の屋敷でのメイド生活。新鮮な日々、暖かい人たちとの触れ合いと久々に訪れた優しい時間は止まっていたルゼの時間をゆっくりと動かし――。
世界を呪った少女と英雄となった騎士。誓い合った二人が、輪廻を超えて再び巡り合う再会と約束の物語。

傑作。
これだけ、登場人物の心の内側を掘り下げてくれると読み応えがあるなんてものじゃなかった。それに内面と言っても、単純に直滑降に掘り下げてそこから見えない感情を汲み出していくものではなくて、矛盾……そう、相反する矛盾した想いを抱えたまま二度目の生を生きる主人公である少女の心の行方を描ききった傑作でした。
竜たちと通じる一族として繁栄しながら、圧政を敷き悪徳を振りまいた領主一族が、ついに蜂起した民衆によって族滅の憂き目にあったその中に、彼女は居た。
竜歌の巫女。領主の末娘であり、竜たちと交感する能力を継いだ巫女として隔離され、孤独に過ごしていた少女は、革命の折に領主一族の血を引いている事から囚われ、一年の牢獄に閉じ込められた後に断罪の場に引き出され、領主の血を引くという罪によって処刑される事になった。
一族からは遠ざけられ、人里離れた館に隔離されて生きてきた彼女は圧政について何も知らず何も関わりなく、ただ悪徳の一族の血を引いているというだけで、民衆から責められ詰られ罵声を浴びせられ、咎人として殺されることになった。何もしていないのに、何の恩恵も受けていなかったのに。
そして、彼女を捕らえ彼女を殺すのは、館で暮らしていた穏やかな日々に彼女の元を訪れ、親しくなり、やがて誓いを交わす間柄になった少年でした。何があっても絶対に守ると、世界中が敵になろうと自分だけは味方になると、そう騎士の誓いを交わした少年は、革命の立役者たる英雄の弟として、断罪者として処刑台の上で彼女の前に立ったのです。
幼い少女の無垢な思いを、淡い思慕を、踏みにじる裏切りでした。彼女にとって紛れもない理不尽であり、何もかもを信じられなくなる絶望でした。優しく穏やかだった少女の心に、憎しみが宿ることに何の憚りがありましょうか。自分の預かり知らぬ理由で人としての尊厳を踏みにじられ、石を投げられ、言葉で傷つけられて、どうして怒りを抑えられるでしょうか。
呪いあれ、呪いあれ。真っ黒な感情に塗りつぶされながら、彼女は少年を、自分を殺そうという民衆を、こんな末路を負わせた世界を憎みながら、呪いながら、壮絶な自死を選ぶのです。
魔法で、自らの首を切り落とすという凄まじい死に様を、少年に見せつけながら。

さながら、魔王でも生み出してしまいそうな一つの結末からの、生まれ変わり。
記憶はすべて前から引き継がれ、しかし竜と意思を疎通する竜歌の巫女としての力は喪われ、目覚めた場所は自分が死んだ街のスラム。そこで一人、這いずるように孤児として生きながらえながら、彼女は自分の血族によって荒廃し人々が死んだように生きていた灰色の街が、みるみると力を取り戻し、人々の顔に笑顔が浮かび、活気があふれ色彩をおびていく街の姿を、新たな生の中で見続けるのです。再生の、恩恵が殆ど受けられない底辺の世界から、見上げるように見続けたのです。

怒りも憎しみも、消えては居ない。でも、革命はきっと正しかったのだ、という納得が彼女の中に生まれていきました。人々の間に笑顔が戻っていく様子を見て、自分はどうしても死ななくてはならなかったのだ、という理解が得心が、彼女の中に根ざしていきます。
裏切りは悲しく辛く、悔しく、どうしたって許せない。でも、彼の行動はきっと正しかった。人々は彼の行いによって救われた。自分には、確かに罪はあったのだ、と。
ならば、生まれ変わってしまった自分は何なのか、という疑問が彼女の中でずっと渦巻くのです。
存在自体が罪として裁かれたのが正しいのなら、この身に生きる価値はあるのだろうか。
疑問を抱え、生まれ変わってしまった事に迷い苦しみ、何も選べず何も決められず彷徨うように生きていた彼女は、12年の時を経てついに再会してしまうのです。
かつて少年だった、そして今、青年となった、この街を統治する身となった彼に。

憎しみの対象であり思慕の対象であった彼、ギルバートとの再会から、彼に引き取られて彼のもとで従者として暮らすようになってからの、彼女の中で生じる葛藤の複雑さ、その懊悩を丁寧に紐解いていく描写は、凄まじいものがありました。
ギルバートのことをどう捉えればいいのか、ルゼと名付けられた彼女自身、自分の心が分からず彼の姿に、言葉に、揺さぶられ揺れ動く様子の迫真たるや。
そうなんですよね。人の心とは決して単純ではないのです。自分でも全くわからないくらい、幾つもの側面を重ね持っている。同時に並列的に矛盾した感情が併存している。混在している。それは相反する気持ちかもしれないけれど、あるんだから、確かにそこにあるんだから、どうやったって否定できない。
時として吹き上がりそうになる怒り。ふとした瞬間に過去に帰り、胸を締め付けるかつてと同じ淡い情動。場合によっては、その相反する2つの気持ちが、同時に湧き上がってくる。それどころか、言い表せない不定形の感情としてルゼの心を締め付け、急き立てるのである。

そして同時に、そうした懊悩は彼女だけのものではなく、登場人物の殆どが抱えているものだったのですね。あの革命が、竜歌の巫女の壮絶な自死が遺したものは、悪夢の時代が過ぎ去り希望の時代が訪れている真っ最中のこの街にも根強く残っていて、人々の中にしこりとしてこびりついている。
革命の当事者たちなら、尚更だ。
そこにあるのは、後悔。多くの後悔だ。それを、皆が抱えている。
ルゼは、ギルとの再会でそれまで知らずにいた事を多く知ることで、さらに新たな後悔を得ることになる。抱えきれないほどの、後悔を抱くことになる。
こんなにも辛い思いをするために、彼女は生まれ変わったのか、と思ってしまうほどに、彼女は後悔を積み重ねていくのである。
それでも、これは奇跡だったのでしょう。彼女の再誕は、無数の後悔に縛られて囚われて、その重さに辛さに虚しさに耐えられなくなって潰えるはずだった悲劇を、回避する唯一の道だったのです。
ルゼの後悔こそが、皆の後悔という呪いを祓うために必要な鍵だったのではないでしょうか。そして、それこそがルゼ自身の清算へと繋がる橋だったのです。
あの日、わからないまま突き放されたギルバートの心の在り処を知ることで、今度こそ嘘偽り無く心から語り合うことで、怒りも憎しみも後悔も抱えたまま、それでもケリをつけることができた。
許すことを、選べた。許されたいと、望むことが出来た。
竜歌の巫女ではなく、ただのルゼとして生きることを選ぶことが出来た。
そして、彼女を本当の意味で救ったのは、この街の過去と関係ない、革命とは関係ない新しい時代に生まれ、今この時を生きている若者たち。同じメイドのリンナと人の世界に交わるようになった若い竜たちだったのでしょう。何の縛りも過去の後悔もなく、ただ純粋に心からルゼのことを守ると言ってくれたリンネ。そんな彼女と連れ添ってルゼの元を訪れた青の兄弟竜。これはきっと、タイトルにある二度目の誓い、ギルと交わした二度目の誓いに勝るとも劣らない、ルゼにとっての祝福のような守るという誓いだったのではないでしょうか。
人の心の激しさ、繊細さ、奥深さに直接触れるような一作でした。
心に触ると、心が震えるのがよく分かる傑作でした。


こわれたせかいの むこうがわ 〜少女たちのディストピア生存術〜 ★★★★☆   



【こわれたせかいの むこうがわ 〜少女たちのディストピア生存術〜】 陸道 烈夏/カーミン@よどみない 電撃文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

飛び出そう、この世界を。知恵、勇気そして大切なともだちの想いとともに。

《フウ》――最下層の孤独少女。
友は小鳥のアサと、ジャンク屋の片隅で見つけた、古いラジオのみ。
《カザクラ》――マイペースな腹ぺこガール。
出会った瞬間からフウを「お兄ちゃん」と慕い、陽気な笑顔でつきまとってくる。
そんな二人が出会ったここは、世界にただ一つ残るヒトの国。異形の怪物たちが支配する果てなき砂漠の真ん中で、ヒトビトは日々の貧苦を喜びとし、神の使いたる王のために生きねばならない――。
だが、彼女たちが知る世界は、全部大ウソだった。
たくさんの知恵と一握りの勇気を胸に。今、《世界一ヘヴィな脱出劇》が始まる。
第26回電撃小説大賞《銀賞》受賞作。
風の名を持つ、二人の少女の物語。

【このライトノベルがすごい2020】のランキング内に名前があがっていたのをきっかけに手にとった作品だったのですが、これがまたもうすげえすげえ作品でした。こういうきっかけがなかったらなかなか読む優先順位をあげることはなかったでしょうから、このラノをはじめとした多くの人がこれは面白いんだ!と好きな作品を持ち寄る企画は得難い出会いのチャンスなんだなあ、と実感しました。
チオウと呼ばれる砂漠の国。その最下層で暮らす少女フウは、自分の無知故に病気の母を死なせてしまう。苦しむ母のため死地をくぐり抜けて薬を貰って帰ってきた彼女を待っていたのは、母の死。でもそれは、病による死ではなく脱水症状によるものでした。母に必要だったのは薬ではなく水だったのです。でもフウはダッスイショウジョウなんて言葉を知らず、人が水と塩を必要とする生き物だということを知らず、生きるために最低限の知識すらも有していない無知で無学な子供でしかありませんでした。
それでも、母に教えられたチオウのシステムの元、ただ生きるための方法に従うことで日々を乗り越えていた彼女は、ある日なけなしの水と食料を配給してもらうための金券で、亡き母が口ずさんでいた歌と同じ歌詞のメロディが流れる「ラジオ」という機械を衝動的に買ってしまいます。
遠い過去に滅びた旧世紀のラジオ音源を、物好きな誰かが電波に乗せて放送しているのだというその古びたラジオは、ただ漠然と生きるために生きるフウの慰めとなります。
でも、それはただ心地よい音楽を流すだけのものではありませんでした。はるか遠い昔にもういなくなったラジオの中の人たちが、様々な学問の先生とともにかつて人類が持っていた多種多様な知識を丁寧な解説と説明とともに送る教育番組チャンネルだったのです。
基本的な科学知識も物理現象も社会のシステムについても、本当に何も知らなかったフウは、最初ラジオの中の先生たちが何を話しているかも理解できませんでした。意味不明な単語を積み重ねてわけのわからない理屈を組み上げていく彼らの話を、しかし彼女は飽きること無く聞き続けます。やがて、繰り返し繰り返し聞くことで一つ一つの言葉に、単語に理解が及んでいき、連鎖的に話の内容へと理解が及んでいきます。そうして、ゆっくりとゆっくりと、フウの中に知が蓄積していくのです。
彼女の中に、知識と智慧が息づいていくのです。
この世界の成り立ちを、この大地と空が織りなす世界の仕組みを、それは物理学であり地面を形作る土と砂と岩の意味を語る地学であり大気の組成であり、自分たち人間の体、人体の仕組みや医療という概念であり、心理学などに基づく人同士のコミュニケーションの方法であり、人が集まって形成される社会という存在の構造であり、人が集まることで生まれる経済という概念であり、経済活動の中で起こる様々な人間行動学であり、お金のやり取りの考え方からはじまる商売の仕組みであり、交渉や取引といった行動であり、機械や流通や金融、心の問題社会の問題肉体運動の問題。
そうした、人類という種が長い歴史の中で積み重ね学び取っていった知識を、智慧を、フウは身につけていくのです。独学で、いやラジオの中の先生たちの教えによって。彼女は貪るように知識を欲して、蓄えていったのです。
そうして、人が生きるには水と塩が必要という事すら知らなかった少女は、いつしか王都の商人たちとしたたかに駆け引きをして多大な金銭を左右するまでになってました。ラジオの電池を手に入れる僅かなお金を手に入れるのにも体中傷だらけになって必死に走り回っていた彼女が、社会を知り人間関係の機微を知り商取引の通念を身に着け、経済活動の真理を頭に叩き込み、王都の商売人たちの間でも知る人ぞ知る存在になっていったのです。

何も知らない何の知識も持たない何の智慧もない、無知で無学で無教養だった子供が。
何も知らないが故に、何も出来なかった娘が、学ぶことでここまで何でも出来るようになる。
これを「叡智」というんじゃないでしょうか。
これこそが「人類の叡智」の証明なんじゃないでしょうか。
かつての人類の繁栄が遠い過去となり、人という種族が大地の隅っこの砂漠の上にへばりつくように生きる世界になってしまったからこそ。人間社会の恩恵を何も受けず、獣同然に生きてきた娘が対象だったからこそ。
その喪われた遠い過去から届けられた人類がこれまで積み上げてきた「知」を受け取って、賢人となるフウのような娘の存在はまさに「人類の叡智」の体現者に思えたのです。叡智の結晶であり、人類の歴史の証明に見えたのです。

この感動たるや!!

人類の終末後、ポストアポカリプスのその果て。それ以上行く先のない閉塞の終着点としてのディストピア。それが、フウたちの生きる街「チオウ」の姿に見えました。
真実を覆い隠され、ウソの言葉に事実を塗り固められ、必要以上の知識を得ることを害悪として罪として定められ制限され断罪されるディストピア「チオウ」。ただ生きていくにはきっと充分で、しかし人類の可能性の行き止まり。そんな閉ざされた発展性の乏しい世界で、それでもここが自分の生きる場所だと生きてきたフウの前に、もう一人の少女が現れたのでした。
カザクラというその娘は、いつの間にかフウの生存圏の中に入り込みいつしか無くてはならない人生のパートナーとなっていきます。
どれほど賢くなろうとも、ただ自分のために生きる事は寂しいと感じるものでした。ラジオから送られる言葉によって日々賢くなっていく事は楽しみでありましたが、それでもその楽しさを共有する相手がいないことは孤独でした。
人は、誰かと共に有りたい。それもまた、人の可能性を広げるための原動力なのでしょう。
知恵と勇気と欲する心が合わされば、人は立ち止まり続けることは出来ません。チオウという街は、二人にとって真の意味で「生きる」には狭すぎる世界になっていきました。そして、チオウの側も自分たちの世界を逸脱する者の存在は、許容出来ない以上に絶対的に否定しなくてはいけない存在だったのです。
何より、カザクラには時間があまりありませんでした。今ある叡智では、彼女がこの先もフウと一緒にあり続けるためには足りなかったのです。
そこに留まっていては、可能性は途切れてしまう。あらゆる意味で、彼女たちは走り出さなければならなかったのです。
でも、果たしてこの閉ざされた世界から飛び出して、その先に望むべき世界はあるのか。喪われた過去から送り込まれてくる叡智は、既に喪われたものである以上いつかはすべてを吐き出し尽くして途切れてしまうのでしょう。果たして、外に飛び出しても可能性は続いているのか。
「人類の叡智」は終末のその先にもまた、羽ばたいていけるのか。

フウたちを全否定して追いかけてくるチオウの社会を維持するための部隊に追われ、カザクラ自身の時間も限界に近づき、絶望がひたひたと迫る中、それでも足掻き外の世界が存在する証拠を見つけ、外に飛び出すための資金を稼ぐために大企業との大勝負のプレゼンテーションに打って出るなかでさりげなくチオウの中にも発展の芽を植えながら、フウがある可能性に気づいた時。
そして、その可能性に希望を込めて、相棒の一人ならぬ一羽であるオオブンチョウのアサに託したものが、「あそこ」に届いたあのシーンは、もう言葉にならない湧き上がる感情に胸が一杯になっていました。
映画のクライマックスシーンのように、生き残るために必死に逃げながら戦うフウたちの姿を背景に、遠い遠いかの場所から、ラジオの中からフウたちに送り届けられるいくつもの声。希望の声援。閉塞を打破した先にある可能性の証明。そんな言葉を、声を背に、本当の今を生きるための疾走をするフウたち。

そしてたどり着くゴールと、そこを終点とするつもりなんて毛頭ないフウたちの輝く笑顔が胸に焼き付く。何も知らず孤独に死ぬはずだった少女が、智慧を得て知識を得て家族を得て友を得て、まだ見ぬ果てを自ら望んで歩いていく。
ここから先が、「壊れた世界の、向こう側」だ。

胸躍る、心をガンガン弾ませてくれる、凄い作品でした。とんでもねーとびっきりの物語でした。
やー、もう良かったよー!!


殺したガールと他殺志願者 ★★★   



【殺したガールと他殺志願者】 森林 梢/はくり MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

思わず殺されたくなる甘くて歪なラブコメ。第16回新人賞《優秀賞》受賞!

『最愛の人に殺されたい』と願う高校生・淀川水面は、死神を名乗る女から一人の少女を紹介される。
「貴方が殺されたい人ですか?」出会い頭にそんなことを尋ねる少女。名前は浦見みぎり。『最愛の人を殺したい』という願望を持つ少女だった。
互いの望みを叶えるために、二人は協力関係を結ぶ。水面はみぎりに愛されるため。みぎりは水面を愛するため。
「貴方には、私の理想の男性になってもらいます」「……分かった」「殺したくなるくらい魅力的な男性にしてあげますから、覚悟して下さい」
こうして始まった、歪な二人の歪な恋路。病的で猟奇的で不器用な少年少女が最高のデッドエンドを手に入れる物語、開幕。

登場人物、みんなある種の歪んだ願望に囚われた在り方をしている人たちばかりなのですけれど、印象としては裏表のない素直な人たちだなあ、というものでした。歪んで捩じれて捻くれているような人たちなのですけれど、よくよく見ると自分の願望という枠組みにピッタリ収まった、付与された設定?属性?どういうべきなのかちょっと悩みどころなのですけれど、定められた在り方に対して純粋で真っ直ぐなんですよね。
何て言うべきか。
彼らは自分の願望を叶えるために苦悩し、現実との間に苦慮し、自分たちが願望を叶えることによって起こる弊害に心軋ませるわけですけれど、自分の願望そのものについては一切疑わないし迷わないのである。それについては一切ブレない。自分の根幹については揺るぎがない。
それは前提であると同時に定義付けでもあるのか。
その定義づけに沿って、物語は展開していく。それは定規で線を引くようにゴールまで一直線に見えるのだ。トラブルも、迷いも寄り道も、分岐ではなく撓みですらない。二人の抱える在り方からすれば、その二人が結ばれようとするならば在って然るべき展開である。
教科書どおり、というのとはまた違うんですよね。未知数を解いていく方程式、というべきか。投入された数字が同じなら、ぴったり同じ答えが出るような。ただ、その中でも複雑な計算を要する方程式ではなく、平易でシンプルな式に基づいているようなそんな方程式だ。
そのぶん、性急で遊びがなく迷いがなく予想が外れる余地がなく変数の幅が狭く見えている範囲が限られていて、見えない部分の奥行きが乏しい。
そこに書かれているものですべて、と言う感じだろうか。
淀川水面がなぜ、最愛の人に殺されたい、という願望に囚われているのか。
浦見みぎりがなぜ、最愛の人を殺したい、という願望に囚われているのか。
それもまあ、書いてある。語るまでもなく。推理や考察の余地がないくらい。右から左だ。
むしろ、これに関してはなぜその願望を抱くに至ったかを当人に語って欲しいくらいだったのだけれど。自問し自答もしてませんでしたよね。なぜ、という考察が当人にはなかったように記憶する。
あるが前提、なのだ。ないと、始まらない。
人間関係、水面とみぎりの間に生じる感情、好きという気持ちについても、遊び無く直線的にはじまって成り立ってしまう。ないと、はじまらないから、というのは過言だろうか。
二人の間で出る結論まで一直線だ。
水面の持つ願望なら、こう悩むだろうな。それがみぎりの願望と掛け合わさったらこういう反応になるだろうな。と、いう既定路線をテクテクと歩んでいく。まったくもって、ブレがない。
分かれ道、分岐のない舗装された道路を躓くこともなにかに引っかかることもなく、バリアフリーでゴールまで歩いていくような読感でありました。
そういう意味で、全体的に構造的にもストーリー的にも登場人物的にも素直で覗き込む部分があんまりなかったんですよね。
面白いと言うか興味深かったのは、底が浅いとか中身がないとかそういう感じじゃないみたいだった、という所かなあ。登場人物、水面やみぎりは生き急いでいるのか何なのか、余裕がないのか、前ばっかり見てる感じなんですよね。自分を見ていない、前ばっかり見ていて顧みていない。でも、視線がそっちに向かないだけで、置いてけぼりにしているだけで、なんか感触というか奥を覗いていけばごっそり掘り起こせそうなものがありそうなんですよねえ。ただ、それを勢いよく無視して放置してしまっているような。キャラの造形段階でそういう余地が既にあるような構造になってるっぽいのになあ。でも、覗けないんだよなあ。見えてる部分しか見えてこないんだよなあ。表層しか捉えられない。
なんかうん、もどかしい。

水面の抱えている爆弾は、みぎりが知る事で彼女の中で劇的な化学反応が生じておかしくない代物だけに、二巻があるのならもっとこう、二人の中を覗き込んで中から色々と摘み上げて並べて舐め回すようにイジれるだけのグチャグチャしたものが見たいなあ。透明度低めの。

パワー・アントワネット ★★★   



【パワー・アントワネット】 西山暁之亮/ 伊藤未生 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「言ったでしょう、パンが無いなら己を鍛えなさいと!」
パリの革命広場に王妃の咆哮が響く。
宮殿を追われ、処刑台に送られたマリー・アントワネットは革命の陶酔に浸る国民に怒りを爆発させた。自分が愛すべき民はもういない。
バキバキのバルクを誇る筋肉(フランス)へと変貌したマリーは、処刑台を破壊し、奪ったギロチンを振るって革命軍に立ち向かう!
「私はフランス。たった一人のフランス」
これは再生の物語。筋肉は壊してからこそ作り直すもの。
その身一つでフランス革命を逆転させる、最強の王妃の物語がいま始まる――!!
大人気WEB小説が早くも書籍化!

16世陛下、処刑されちゃってるんですけど!?
力こそパワー、筋肉こそフランス。おー、筋肉万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)。
そう、究極にまで鍛え上げられた筋肉には美が宿る。
王族として民の声に殉じてギロチン台の露と消えるつもりだったマリー・アントワネットは、己の子供たちをも虐げ貶めようとする民衆の声に憤激し、ついに立ち上がる。
その太首を切り落とすはずだったギロチンブレードを逆に武器として握りしめ、いきり立つ革命の歌声にそのバルク(筋肉量)のみで立ち向かう。
目指すは王政復古。なぜならば我が筋肉こそがフランス、我こそがただ一人のフランスだから。

うん、ある意味一発ネタですね。ヨーロッパ各国の宮廷はどんな虎の穴揃いなんだこれ? 王家とはあれか? 連綿と武を伝える筋肉戦士の血族なのか? ロイヤル・ファミリー=コナン・ザ・グレートなのか? ハプスブルク家とか、そんな武門の家系とは程遠いはずなのに完全に世紀末覇王の家系じゃないですかー。
まー、わりと最初から最後まで同じノリの連続ではあるんですよね。最初のインパクトで最後まで押し通すパターンの作品であるので、さすがに慣れてくると言いますか。
それに、ラスボスの革命軍が完全にヤラレ役のゲス野郎というのも、いささか盛り上がりに欠けたかもしれません。
最高潮は、同じ宮廷武闘の体現者であるデュ・バリー夫人との頂上対決。
あれこそは、女として至高の地位に立とうというデュ・バリー夫人の気高き闘争心に対して、マリー・アントワネットという女性が何を心に戦い、筋肉をバキバキにしているかを突き詰める戦いでもありました。
彼女が死を拒絶し立ち上がった理由、我が子テレーズとシャルルを守るという母親としての決意。そして愛する我が子に国を引き継がせるため、愛するフランスという国を守り導くためという王妃としての矜持。女を貫く女と国母となった女とのプライド決戦。あれこそ誇りをもってお互いを高め合った至高の戦いであり舞踏であり、マッスルファイトでありました。
それに比べて共和制の共和筋肉は、筋肉に対するスタンスが曖昧で、単に筋肉と名乗ってるだけの肉なんですよね。肉になにも宿っていない。意思も魂もなにも宿っていない。
高潔なる筋肉義務(ノブレス・オブリージュ)がどこにもない。中途半端で貧相なものでしかなかった。あれでは少々、役者として足りない。
民衆の掌返しも、あんな程度の説得で転向するんだったら市民、ただのアホじゃんw 
というわけで、クライマックスはちとお粗末だったかな。スタートダッシュの勢いがラストまで持たなかった、とも言えるのかもしれませんが。おー、シャンゼリゼ(ゴリ押し)。
ローズ・ベルタンやシュヴァリエ・デオン、フェルセン伯爵、デュ・バリー夫人など革命当時の著名人が色んな意味で活躍してたのは、まあ歴史モノの醍醐味でありますなあ。
しかし、処刑人サンソンがこの場合ヒロイン枠なのか? 実際デオンよりもまっとうに男の娘してましたし。
出色だったのがイラストで、カラーはちょっと濃ゆくて自分的には「おおうっ」ってなったのですが、挿絵の方はマリーの女性としてのスタイルと鍛え上げられた筋肉のラインの調和がなかなかに美しくて思わず唸ってしまいました。
デュ・バリー夫人との決闘舞踏のシーンは二人揃ってるシーンで見てみたかったなあ。というか、デュ・バリー夫人のイラストなかったし。
ともあれ本作、このひたすら筋肉なノリが面白ければ、楽しめるのではないかと。

 

9月30日

綾里けいし
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


慶野由志
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


三上こた
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


ヤマモトタケシ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


桜目禅斗
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


タンバ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


伏瀬
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


棚架ユウ
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


アロハ座長
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


万野みずき
(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


支援BIS
(エンターブレイン)
Kindle B☆W


ぺもぺもさん
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


とくめい
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


飯田 栄静
(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


竹井 10日
(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


小鈴危一
(モンスター文庫)
Amazon Kindle B☆W


川井 昂
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


アネコ ユサギ
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


朱雀 伸吾
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


岩船 晶
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


陽山 純樹
(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


ひだかなみ/山口悟
(ZERO-SUMコミックス)
Amazon Kindle B☆W


おだやか/クレハ
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


藤丸豆ノ介/友麻碧
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


一メルカ/深海亮
(B's-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


太田垣康男/矢立肇
(ビッグコミックス スペシャル)
Amazon Kindle B☆W


万乗大智
(少年サンデーコミックス スペシャル)
Amazon Kindle B☆W

9月29日

いのうえひなこ/棚架ユウ
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


餅田むぅ/新山サホ
(ライドコミックス)
Amazon Kindle B☆W

9月28日

三雲岳斗/Mika Pikazo
(新潮文庫nex)
Amazon Kindle B☆W


吉上亮/Mika Pikazo
(新潮文庫nex)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月27日

異識
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ひさまくまこ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Koi
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


相崎うたう
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


セトユーキ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


こめつぶ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


福きつね
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


メイス
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月26日

えすのサカエ/宇野朴人
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


相野仁/市倉とかげ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


平未夜/之貫紀
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


大和田秀樹/矢立肇
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


今ノ夜きよし/イノノブヨシ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Ark Performance
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


前田理想/沢村治太郎
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


鏡/丘野優
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


東方Project/芦山
(電撃コミックスEX)
Amazon Kindle B☆W


笹倉綾人
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


苗川采
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


Dormicum
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


山路新
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


宝乃あいらんど/震電みひろ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


小早川ハルヨシ/金斬児狐
(アルファポリスCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


くろの/永島ひろあき
(アルファポリスCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月25日

涼樹悠樹
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


友橋かめつ
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ネコクロ
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


ネコ光一
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


白米 良
(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


白米 良
(オーバーラップ文庫)
Amazon


でんすけ
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


出井 啓
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


一分 咲
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


筧千里
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


カヤ
(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


波多ヒロ/あまなっとう
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


やもりちゃん/じゃき
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


もちろんさん/猫子
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


吉川英朗/月夜涙
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


吉乃そら/ネコ光一
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


卯乃米/桜あげは
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


綾北まご/冬月光輝
(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W

9月24日

棚架ユウ/丸山朝ヲ
(バーズコミックス)
Amazon Kindle B☆W


天乃咲哉
(バーズコミックス)
Amazon Kindle B☆W


洋介犬
(バーズコミックス)
Amazon Kindle B☆W


かくろう/石神一威
(バーズコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小林立/五十嵐あぐり
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小林立/五十嵐あぐり
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小林立/めきめき
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


長田悠幸/町田一八
(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小林立
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小林立/めきめき
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


福田晋一
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田尾典丈/三雲ジョージ
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


戌森四朗
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


六本順
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田澤裕/友井太郎
(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月22日

十文字 青/原作・プロデュース:Eve
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


総夜ムカイ/原作・監修:みきとP
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


両生類 かえる
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


木緒 なち
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


長月 達平
(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


川口士
(ダッシュエックス文庫)
Amazon


川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
Kindle B☆W


川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
Kindle B☆W


赤金武蔵
(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


河本ほむら/尚村透
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


河本ほむら/斎木桂
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


昆布わかめ
(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


サラ イネス
(イブニングKC)
Amazon Kindle B☆W


ハナツカシオリ
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


江口夏実
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


瀧下信英/津田彷徨
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


千嶌オワリ/津田彷徨
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


森高夕次/足立金太郎
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


一乃ゆゆ/佐島勤
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


杉井光/篠アキサト
(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


ぐう/水無瀬
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


柏木郁乃
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月21日

Amazon Kindle B☆W

9月20日

大和田秀樹
(ヤングチャンピオン・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


クール教信者
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W


いとうえい
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W


小宮地千々
(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W


一色一凛
(GCN文庫)
Amazon


風間レイ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


やしろ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


もちもち物質
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


夕立悠理
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


鳴沢明人
(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W


はぐれメタボ
(HJ NOVELS)
Amazon Kindle B☆W

9月19日

Amazon Kindle B☆W

9月16日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


いつきみずほ
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


ラマンおいどん
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


ラチム
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


紫大悟
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


朝陽千早
(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


コイル
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


相原あきら
(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W



イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


坂崎ふれでぃ
(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


了子
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


神内アキラ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


柊一葉/じろあるば
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


内藤マーシー
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮島礼吏
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


久世蘭
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ヒロユキ
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


裏那圭/晏童秀吉
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


むちまろ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


さゆこ
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


あるてぃ/染井由乃
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


雪森寧々
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


小瀬木麻美/宮田ダム
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


キナミブンタ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


大河原遁
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


武田綾乃/むっしゅ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


子新唯一
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


グレゴリウス山田
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ヤマザキマリ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


瀬尾つかさ/bomi
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


川口士/的良みらん
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W

9月15日

コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


松江名俊
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


福地翼
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


青山剛昌/阿部ゆたか
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


かんばまゆこ/青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田中現兎
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


川田暁生
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


ひな姫/猫又ぬこ
(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


水森崇史
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ひととせひるね
(講談社コミックス月刊マガジン)
Amazon Kindle B☆W


杜乃ミズ/餅月望
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


中島鯛/ほのぼのる500
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


まいたけ/生咲日月
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


わかさこばと/春の日びより
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


羽尻伊織/鉄人じゅす
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


ハム男
(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


友麻碧
(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


柚原 テイル
(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


七沢 ゆきの
(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W

9月14日

鳥羽徹
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


神田暁一郎
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐伯さん
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐伯さん
(GA文庫)
Amazon


海空りく
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


海月くらげ
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


柚本悠斗
(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


白石定規
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


白石定規
(GAノベル)
Amazon


守雨
(GAノベル)
Amazon Kindle B☆W


金明豪×KJ
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


こだまはつみ
(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W

9月13日

横島日記
(リュウコミックス)
Amazon Kindle B☆W


わらいなく
(リュウコミックス)
Amazon Kindle B☆W

9月12日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


河添太一
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


宮澤伊織/水野英多
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


南海遊/村山なちよ
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


高津カリノ
(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


オジロマコト
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ゆうきまさみ
(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


源素水
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


空谷玲奈/昴カズサ
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


高野裕也
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


礼島れいあ
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


長岡マキ子/カルパッチョ野山
(ガンガンコミックスONLINE)
Amazon Kindle B☆W


森貴夕貴
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


咲メギコ/師裏剣
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


瑚澄遊智/漂月
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


しろ
(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


檜山大輔
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


浜田よしかづ
(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ピロヤ
(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


火曜
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


カエルDX
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


霜月絹鯊
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


そめちめ
(まんがタイムKRコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月10日

餅月望
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


もちだもちこ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


岡崎マサムネ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


榛名丼
(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

9月9日

アサウラ/Spider Lily
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


アサウラ
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐伯庸介
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


西 条陽
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


宇野朴人
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


三河ごーすと
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


佐島 勤
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


鎌池和馬
(電撃文庫)
Amazon B☆W


駒居未鳥
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


逢縁奇演
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


ミサキナギ
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


丸深まろやか
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


岬 鷺宮
(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


夏 みのる
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


遠野 九重
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


明。
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


流優
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


ヤマザキコレ
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ツクモイスオ/三田誠
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


住川惠/甘岸久弥
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


yoruhashi
(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W



(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


横山コウヂ
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


福原蓮士/つちせ八十八
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


稲葉白
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


二式恭介
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


遠野ノオト/流優
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


はっとりまさき
(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


神谷ユウ/桜木桜
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


吉岡剛/菊池政治
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


唐澤和希/藤本れもち
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


皇ハマオ/月夜涙
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


緒原博綺
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


げしゅまろ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


ヨシラギ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


RYOMA/カンブリア爆発太郎
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


レフトハンド/伽藍堂
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


窪茶/涼暮皐
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


ゼロキ/雪村ゆに
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


蟹丹/トネ・コーケン
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


TYPE−MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Team RWBY Project/スエカネクミコ
(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


コトバノリアキ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


金田陽介
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


大森藤ノ/青井聖
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


中丸洋介
(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月8日

エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


ヤチモト/resn
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


茅田丸/丁々発止
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


内々けやき/あし
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


マツモトケンゴ
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


くうねりん
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


光永康則
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


亜希乃千紗
(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W

9月7日

赤堀君
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


伊口紺/保志レンジ
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


LEN[Aー7]
(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


深山鈴/茂村モト
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


森田季節/出水高軌
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


ケンノジ/松浦はこ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


羽柴実里/zinbei
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


鈴木竜一
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


初枝れんげ
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


十夜
(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W

9月6日

西尾 維新
(講談社)
Amazon Kindle B☆W


智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


二階堂 幸
(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月5日

和成 ソウイチ
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


白水 廉
(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


釜田/六つ花えいこ
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


御守リツヒロ/柚原テイル
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


轟斗ソラ/柏てん
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


ORKA/Spice&Kitty
(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

9月2日

(TYPE-MOONBOOKS)
Amazon


浅野りん
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


ナカノ/八木羊
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


日月ネコ/渡辺恒彦
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


バラ子
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


赤羽ぜろ
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


三部けい
(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


縞野やえ/MB
(角川単行本コミックス)
Amazon Kindle B☆W


葦原大介
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


マポロ3号
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


空もずく/十森ひごろ
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


横山左
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


叶恭弘
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


LINK/SAVAN
(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


桂イチホ/ふか田さめたろう
(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


むらさきゆきや/春日秋人
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


空埜 一樹
(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


延野 正行
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


都神 樹
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


天宮暁
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


カラユミ
(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W

9月1日

枯野 瑛
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


桜木桜
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


入栖
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


ケンノジ
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


穂積 潜
(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


海道左近
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


藤木わしろ
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


榊一郎
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


結石
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


坂石遊作
(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


海野アロイ
(アース・スター ルナ)
Amazon Kindle B☆W


井上みつる
(アース・スター ルナ)
Amazon Kindle B☆W


長谷川哲也
(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


塩野干支郎次
(YKコミックス)
Amazon Kindle B☆W


保志あかり/大木戸いずみ
(B’s-LOG COMICS)
Amazon Kindle B☆W


白川祐/チョコカレー
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


森野眠子/みたらし団子
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


浅葱洋/ニシキギ・カエデ
(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


きららファンタジア製作委員会/鴻巣覚
(FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


白尾こじょ
(FUZコミックス)
Amazon Kindle B☆W


ミナミト/六升六郎太
(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W



Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索