新人作品

現実でラブコメできないとだれが決めた? ★★★☆   



【現実でラブコメできないとだれが決めた?】 初鹿野 創/椎名くろ  ガガガ文庫

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データでつくる最高の理想郷(ラブコメ)!

「ラブコメみたいな体験をしてみたい」

ライトノベルを嗜むすべてのラブコメ好きは、一度はこう思ったことがあるのではないだろうか?
ヒロインとイチャラブしたり、最高の友人達と充実した学園生活を送ったり。
だが、現実でそんな劇的なことが起こるわけもない。
義理の妹も、幼馴染も、現役アイドルなクラスメイトもミステリアスな先輩も、それどころか男の親友キャラも俺にはいない。
なら、どうするか?
自分で作り上げるしかないだろう!

ラブコメに必要なのは、データ分析と反復練習! そして――

第14回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作。

ライトノベルに憧れた俺――長坂耕平(ながさかこうへい)が、都合良くいかない現実をラブコメ色に染め上げる!

ラブコメみたいな体験をしてみたい。言っている意味はわかるけれど、じゃあどうするのかと言えば、まさかの自分で全部作り上げる、それもこの現実世界で。と言い出した日には何言ってるんだコイツ、となるし、実際やってるのを見てると相当にキモい。
彼、長坂の夢中になっているラブコメ世界を自分で作るという夢? いや目標? を知ってしまった、そして実際の作業を目の当たりにする上野原彩乃が「キモい」と「大馬鹿者」を連発するのもまあ当然。いや、実際相当にキモいです、この男。
なんでこれに付き合おう、ラブコメ時空を作るための仕込みに協力しよう、実際調査や支援などで結構労力も掛けているわけで、なんで彼女がそこまでしようと思ったのか、ヒントめいたものは散らばらせているものの、よくわからないまま話は進んでしまうんですね。というか、長坂も勢いで巻き込んだものの、もうちょっと躊躇しろよ、と思わないでもない。あまりに有能すぎて、便利だったからというのもあるのだろうけれど。
とは言え、実際にラブコメするためには登場人物の性格から過去来歴、行動原理などなど。生活環境や学校の設備、周辺地域のスポット調査など、凄まじい規模の調査を行っていて……いや、調査の仕方これガチすぎない? むしろ、調査による情報収集がメインになってるんじゃないだろうか。実際、目的と手段が逆転してしまってラブコメするための調査が調査のための調査、情報収集になってしまって本末転倒になってしまった時もあった程ですし。
これ個人でできる範疇の最大限なんじゃないだろうか。手法もプロじみているし、とりあえず必要不必要の判断をせずに手当たりしだいに情報を集めて、そこから分析精査するというやり口とか、探偵よりも情報機関のやり方みたいじゃないですか。はては情報分析官、アナリストかなんかじゃないのだろうか、こいつ。
しかし、一方で実際にそのデータを運用してラブコメするにしては、ヘボ役者ぽくもあるんですよね。とにかく、クラスメイトを前に委員長として演じる姿が胡散臭い。嘘くさい。実際問題、想定した脚本通りに喋っているのだから、仕方ないのかもしれないけれど、それ何のキャラなんだろう。少なくとも、ラブコメの主人公っぽくはないんですよね。
そもそも、自分以外の生徒たちにはラブコメ適性という分析をしているけれど、自分自身に対してラブコメ主人公適性をちゃんと鑑みた事はあるのだろうか。
それ以前に、ラブコメするって何なんだろう。
冒頭の長坂の宣言からこっち、その趣旨や言いたい事やりたい事は何となくわかったし、うんうんと頷きながら読んでいたのだけれど。
ラブコメをするためには、まず現実をラブコメが繰り広げられる舞台にしなければならない、という事で長坂くんは、集めたデータを駆使しながらラブコメの登場人物を選出し、イベントの準備をはじめ、舞台を設営しようと奮闘しているわけだ。その過程で、彩乃にバレて彼女を共犯者に引き込んで、一緒にラブコメをはじめるための舞台を作り上げようと色々とやっているわけだけれど。
これって、つまるところ企画側であり、脚本側であり、監督側であり、演出側であるんですよね。全部自分で用意して、展開も想定し誘導して、脚本通りに話も進める。それに、自分が主人公になって乗っかる、というのはこれ、マッチポンプの類になってしまうんじゃないだろうか。一から十まで最初から知っている、というか自分が準備した話の通りに演じて、それって本当に楽しいと思えるのだろうか。脚本通りの展開のままに、恋をしてドキドキできるのだろうか。
それはもう、ラブコメの主人公になるというよりも、ラブコメのゲームの主人公に転生する、という方が近いんじゃないだろうか。それも、自分が作ったゲームの主人公に、である。
その末に、ハッピーエンドにたどり着いたとして、現実はゲームや本のようにそこで終わりじゃない。昨今ではゲームや本でだって、エンディングのその後については手配りを欠かさない作品も多いのだけど。現実では、ハッピーエンドのその後は脚本なしで進んでいく。自分で全部準備して整えたラブコメを踏破してエンディングにたどり着いたとして、予定外にはとにかく弱くて咄嗟に対処できない長坂くんは、果たして脚本皆無のその先をどうするつもりなのだろう。
実際、彼がラブコメを現実に再現したいと思うに至った中学時代のエピソードでは、彼は裏方に徹しているんですよね。自分が主人公になろうとしたわけではなく、仲間たちのために舞台を整えていたわけだ。今彼がやっている事も、果たして自分が主人公の役におさまるにはどうも適さないようなやり方をしているように見えるんですよね。ちゃんとそのへん、考えているのだろうか。

とはいえ、そういう問題が現実に立ちふさがってくるのも、実際にラブコメをやる状況、舞台が整ってから。現状では長坂はその舞台づくりに終始していて、完成というかラブコメをはじめるに至る設営の段階で奮闘しているに過ぎない。その段階で、問題が噴出し、彩乃がトラブルに巻き込まれその解決のために設定の大改編をやってしまう、みたいな現状だ。
つまるところ、結局のところ、そうなんですよね、なるほどなるほど。
お祭りもゲームも、作っている最中が一番楽しい、というやつだ。長坂は、気づいているのだろうか。
今まさに、自分がラブコメ真っ最中だという事実に。
それも一人遊びではなく、彩乃を共犯者として同じ目論見に巻き込んで、一緒に本気のやりたいことをはじめた時から、それが始まっていることに。
一から十まで自分が考えたとおりに物事が運んでいくのではなく、他人の思惑が介在し何が起こるかわからない状況で、相手が何を考えているかわからない状況で、目の前で起こるトラブルを誰かといっしょに解決していく。協力して、心つないで、新たな関係を構築していく。それが自分の周りで繰り広げられはじめていることに。
彼の周りではじまっているそれをきっと、ラブコメと言うのだ。

しかし、幼馴染がいないなら作ってしまえばいいのだ、という発想には脱帽した。いやどう考えても無理筋だし、これが単にラブコメ企画のために無理やり作り出すというのならアレだったのだけれど、トラブル解決のための豪腕でのことで、人造幼馴染にされてしまった彼女にとっても予想外とはいえ決して満更ではなかったようなので、なんか痛快でもありました。
長坂としてはラブコメの中では幼馴染枠というのは相当推しの強い枠だと、あの強弁からしても思われるので、それをわざわざ彼女にあてがったというのは、それだけあの幼馴染への熱弁に値するものを彼女に感じている、というのは邪推でしょうかねぇ。
そして、メインヒロインの叛乱。前とは大いに多難で、まさにラブコメ渦中だなあ。なかなか先がどう転がっていくかわからないだけに、次回以降楽しみです。

型破り傭兵の天空遺跡攻略 ★★★   



【型破り傭兵の天空遺跡攻略】 三上 こた/坂野 太河 角川スニーカー文庫

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人智を超えた技術の獲得のため、天空に浮かぶ太古の遺跡を攻略する空挺騎士団。その一つ“叡智の雫”に、副団長アリアの部下として雇われた“歴戦の傭兵”アインハルト。その名に恥じぬ活躍で、遺跡を守護する偽神をねじ伏せ、罠を解き明かしていくアインハルトだったが、超技術の大国すら滅ぼした驚異的な強さの偽神に遭遇し全滅の危機に瀕し…!
「ここは任せな。俺は俺の仕事をこなすだけだ」
どんな窮地であろうと仲間の命は護り抜く型破りの傭兵が、百戦錬磨の経験と知識を武器に、謎に満ちた空を翔け巡る!第25回スニーカー大賞特別賞受賞のヒロイックファンタジー、ここに開幕!
見捨てた、切り捨てた対象がその場を切り抜けて生きて戻ってくる。それは喜ばしいはずの事なのだけれど、見捨てたという事実は消え去らない。どうしたってそれまでの関係に影を落とす。
本作においては、見捨てた側の人間が見捨てた相手が生き残った事を喜ばなかったり、邪魔者扱いしたり死をすら願ったり、というクズめいた事はせずにちゃんと喜んでくれるのだけれど、それでも見捨てた事実が負い目となって過剰な気遣いや今度こそ見捨てまいと無理をすることになり、結局関係は破綻していく。
必死の思いで生き延びた者の方が、生き残るべきじゃなかった、死んでおくべきだったんだ、と思ってしまうことは悲惨以外のなにものでもない。
そうして生まれたのが、死にたがりの傭兵だった。それも周りを巻き添えにするのではなく、自分以外を生き残らせて今度こそ価値ある死を迎えるために自ら捨て石になる死にたがり。
自己犠牲型の破滅願望の持ち主って、なんかもう手に負えない。この人物、アインハルトの場合は自分から暴走して危地へ飛び込んでいったり、危機を招いたりという真似は一切せずに、周囲へのアフターフォローまで考えて自分の言動をコントロールしている上に、雇い主には自分の在り方を隠していないので、そもそも万が一の捨て石要員として最初から雇われるので、齟齬も生まれないんですよね。この手の破滅願望の持ち主というのは、周りを巻き込むパターンが多かっただけに、これだけ気遣いが行き届いて自分を使い捨てにしやすいように動いている人物というのは、手を出しにくいんですよね。
いざという時は、本当にどうにもならない時ですし。絶対に、彼を捨て石にしなければたくさんの犠牲が出てしまう、という状況でなければ、アインハルトも無駄死にしようとはしませんから。
彼は正しさを突きつける。正しい選択の元に、切り捨てられる事が正しかったと。自分が死ぬことで、生き残った人たちが命だけでなくその後の生き方までも未来までも救われるように、と願ったのだ。それが生き残ったことが間違いだったと思ってしまったアインハルトの、自分の始末の付け方だったのだろう。
でも、本当は死にたかったわけじゃない。諦めたかったわけじゃない。それは、万が一にも助からない状況で這いずり回って生き延びた事でも明らかだろう。これまでずっと死にたがりの生き方をしながら生き残り続けた事からも間違いないのだろう。
彼は本当は死にたかったわけじゃない、生きたかったのだ。いや、それが正しい事だとしても自分が心から置いていってくれ、自分を見捨てて生き残ってくれと願ったとしても、心の何処かで思っていたのだ。置いていかないでくれ、見捨てないでくれ。そこが終わりの地獄だとしても、一緒に帰りたいのだと。
それは人として当たり前の感情で、当たり前の願いだ。しかし、それは誰も生き残れず、誰も幸せになれない結末で、だからこそ彼は胸の奥にそれを封じてきた。
だから彼のその後の人生は、今度こそ自分の価値を損なって綺麗サッパリ後腐れなく死ぬためのものでは本当はなく、自分の価値を認めてくれる誰かに出会うためのものだったのだろう。
ただし、それを見つけた時はその相手と共に死ぬしかないときだ。
それを思えば、何ともまあ救いのない在り方にも見えるのだけれど、この世界における魔法……その人それぞれのあり方を物語り体現する力が、蜘蛛の糸となる。
とまあ、主人公含めた登場人物の人となり、在り方がストーリー展開にそのまま直接根幹をなしていて、魔法の設定なんかも含めて最初から最後まできれいな放物線を描いた物語となっている。キャラの心情描写も丁寧で、理解と共感。懊悩と決断が筋道立てて描かれている。
よく練られた脚本に掘り下げられた登場人物、瑕疵のあまり感じられない、非常によく出来た作品と言えるでしょう。押さえるところもきっちり押さえていて、ほんとにここがダメという所も見受けられないし、アインハルトが心の奥底で捨てされなかった思いなど、むしろ人間味を強く感じさせるものでとても良かったと思いますし。
ただ個人的に、何となく印象に焼き付かなかったんですよね。全体的にスルスルと飲み込めて、そのままスルスルと引っかからずに出ていってしまったような。こればっかりは好みの違いなんだろうなあ。いや、読んでいる時は普通に面白いと感じながら読んでいたので、好みではなかったという訳でもないと思うので、ほんとなんなのかな。もうちょっとこう、自分の中に引っかかって留まってくれる特徴的なものがほしかったのかもしれない。自分の中でも曖昧模糊として具体的なことを何も言えないのがもどかしく恐縮なのですけれど。

シュレディンガーの猫探し ★★★   



【シュレディンガーの猫探し】 小林 一星/ 左 ガガガ文庫

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探偵嫌いの僕と迷宮落としの魔女

妹にまつわる不思議な現象、「やよいトリップ」。未来視とも思えるその力が原因で巻き込まれたとある事件をきっかけに、訪れた洋館。
洋館の表札には『探偵事務所 ラビリンス』。
そして、古めいた書架に囲まれるように彼女はいたーー。
魔女のような帽子に黒い服。書架に囲まれた空間そのものが一つの芸術作品のように美しい佇まい。
「解かれない謎は神秘と呼ばれる。謎は謎のままーーシュレディンガーの密室さ」
彼女ーー焔螺は、世界を神秘で埋め尽くしたいのだと言った。
「私は決して『探偵』なんかじゃない。神秘を解き明かすなんて無粋な真似はしないよ」
探偵じゃないなら、いったい何なんだ。
問えばふたたび、用意していたように即答だった。
「魔女さ」
まったく、時代錯誤も甚だしいと嘆かずにはいられない。
神秘的で、ミステリアスな一人の魔女に、この日ーー僕は出会った。

第14回小学館ライトノベル大賞・審査員特別賞受賞。
ゲスト審査員・若木民喜氏絶賛の新感覚「迷宮落とし」謎解き(?)開幕!

魔女である。探偵ではない。謎を暴く存在ではない。謎をそのまま神秘として喰らい上げる存在である。すなわち事件を解決するのではなく、迷宮入りさせてしまうのだ。
人呼んで【迷宮落としの魔女】。
そして、本物の魔法を使う魔女である。

そう、本物なのだ。本当に魔法を使うのだ。ならば、彼女の存在そのものが論理的帰結によって謎を解き明かし事件を解決する探偵のお仕事の天敵である。意図を持って、事件解決を邪魔して謎を神秘に昇華させるのだから、尚更に明確なる敵対者だ。
まあ、名探偵諸氏が果たして彼女を本当に本物の魔女として認識しているのかは定かではないが。明智くんは知らないよね? 金田一さんは知っててもおかしくなさそうだけれど、知ってたっけ?
でも魔女なる彼女、焔螺さんがやってるのって詰まるところ「証拠隠滅」であり「偽装工作」ですよね。
興味深いのがそれをやる立ち位置として、通常の「犯人サイド」からではなく、完全な第三者、或いは依頼されて、或いは巻き込まれて事件に遭遇しその対処に取り掛かる、という「探偵サイド」に互換される立ち位置から行っていることでしょう。
だから、不思議と焔螺さんのやってる事は名探偵のそれと同じに見えてしまい、同時に名探偵がやる謎解きの正反対である謎隠しに見えてしまう。ややこしいんだけど、探偵VS犯人じゃなくて、探偵VS探偵という範疇に見えるんですよね。
しかしやってる事は証拠隠滅偽装工作である。犯人がやることであり、犯人を擁護したい介入者がやることである。
……これ、警察沙汰の場合普通に犯罪ですよね、うん。
なので、ここで起こる事件はおおむね警察案件ではない。日常の範疇で、探偵へ依頼された失せ物探しの範疇である。だってこれ、警察に捜査されたらわりと普通に科学的な検査とか監視カメラや聞き込みでのアリバイなんかでバレそうな偽装工作ですし。
あくまで対象は、「名探偵皆を集めてさあと言い」に代表される探偵の謎解き推理を成立させないためのおじゃま虫、と考えればいいのだろう。
それでも、探偵側が主役だったりするとこの手の偽装工作なんぞは、込みで簡単に暴かれてしまうのが常なように思えるので、あれくらいで「証明」が出来なくなってしまう明智くんはちょっとがっかりだぞ、うん。
まあ殺人事件などのように、犯人の指摘こそが最大の目的である案件と違って、これらの事件は決して犯人のあぶり出しが必要ではなく、不安の解消だったり予定の時刻通りの消化が目的だったりしたので、明智くんも金田一さんも手段が目的より優先になるタイプの探偵ではないちゃんとした人だった、という事なのかもしれません。
それでも明智くんとは、謎は謎のままであった方がいい場合もある、という見解に関して決定的に決裂はしているのですが。
でも、とある謎を暴けば主人公の妹である弥生の心が致命的に傷つく、というあの案件に関してはそこまで主人公が強迫観念に駆られるほど致命的な謎であったかというと……ちょっと弱い気もするんですけどね。妹に対する過保護で心配しすぎ、と言ってしまうのは酷だろうか。
ちょっとこの件に関しては主人公、余裕なくし過ぎててフラットに見れないところもあるのですけれど。それでも、それだけ余裕を無くしていたにも関わらず、自分ひとりで背負い込みきれず、それでも背負い続けて潰れる、ではない最後の最後で魔女さん炎螺に頼ることが出来た、というのは主人公が縛られていた自縄自縛が解けた、と見ていいのだろう。
向こうが求めてくるまで無理押しせず、しかし優しく寄り添い続けて主人公が致命的に損なわれるのを防ぎ続けていた炎螺さんは、言動見た目エキセントリックというか派手というか魔女魔女しい人だけれど、基本的に包容力の人なんだよなあという印象を受けるのでした。
そんな魔女さんからお母さんと呼ばれる芥川さんの、あのあんまり出番ないのに出たら出たでやたら安心感を与えてくれる存在力は何なんでしょうね。ガチ母性? これぞ包容力?
ってか、あの人がお母さんならお父さん誰だよ問題。
個人的に金田一探偵が大人でマイルドな聡明さと渋さがあって、ああいう探偵カッコいいです。明智くん、あんなの目指しなさいよ。まあ主人公も青いと言えば青いので、明智くんとならどっこいどっこいなのかもしれませんが。
謎は謎のままで、真相は闇の中、真実は箱の中。それこそが神秘のはじまりで、この物語の趣旨でもあるのだけれど。
……いやうん、実際の所謎が本当に謎のままだったり、犯人にさっぱり言及がいかないのって、ぶっちゃけモヤっとするというか、スッキリしないというか、引っかかるというか、気になっちゃうんですけどね! 
気になるのよ?

サンタクロースを殺した。そして、キスをした。 ★★★★☆   



【サンタクロースを殺した。そして、キスをした。】 犬君 雀/つくぐ ガガガ文庫

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クリスマスを消すため僕は少女の恋人になる。

聖夜を間近に控え、街も浮き立つ12月初旬。
先輩にフラれた僕は、美しく輝く駅前のイルミネーションを眺め、どうしようもない苛立ちと悲しさに震えていた。
クリスマスなんて、なくなってしまえばいいのに……。
そんな僕の前に突如現れた、高校生らしい一人の少女。

「出来ますよ、クリスマスをなくすこと」

彼女の持つノートは、『望まない願いのみを叶える』ことが出来るらしい。
ノートの力で消すために、クリスマスを好きになる必要がある。だから――

「私と、疑似的な恋人になってください」

第14回小学館ライトノベル大賞、優秀賞受賞作品。
これは、僕と少女の奇妙な関係から始まる、恋を終わらせるための物語。


寂しいってなんだ? 人恋しいってなんだ?
心を絞め殺されるように、この物語の登場人物は、主人公や女子高生は寂しさや人恋しさに打ち震えている。水に沈められて、息ができず、溺れかかるように自分以外の誰かとの繋がりを求めている。
そんなに必死に、それがなければ死んでしまいそうなほどのたうち回って、心掻きむしる感情だったのか。寂しいってことは。人恋しいって思いは。
知らなかった。それが寂しいという事だというのなら、それが人恋しいという事なのだとしたら、自分はそれらを多分、本当は知らないまま生きてきた。
だからきっと、自分は彼らにはどうしたって共感を抱けないだろう。かと言って彼らが遠くに望んでいる幸せいっぱいな人たち、という存在もまた自分にとっても遠い存在だ。
どうにも、この世界において幸福と不幸は概ね人と人との関係の間に成立しているもののようだ。他者との関係の中に完結している。人と関わることが嫌いだろうと煩わしかろうと上手く出来なかろうと、しかし前提として当たり前としてまず人と関わり触れ合う事が人の在りようとして成立している世界だ。
概して他人に対する関心が薄いように思える自分のようなタイプの人間は、この世界の中には存在していない、或いは成立していない。ここにあるのは、価値観の断絶した自分にとって向こう側の世界だ。
でもそんな断絶した隔てられた向こう側に居ても、伝わってくるものがある。感じ入るものがある。それだけ訴えてくる強さ、いや必死さのある物語だ、これは。共感できなくても、美しいと……食い入るように見つめてしまうものがある作品だ。
小説というツールは凄い、とふと感激すらしてしまった。作者は、小説という形を持って、本来なら届かない伝えられないだろうほどに理解も価値観も隔てられた向こう側に、コチラ側に確かにわからないはずのナニカを、その片鱗だけかもしれないけれどあるがままそのままに、届かせてきた。
受け取ってしまった。

好きか嫌いかでいうと、多分自分はこの作品をあまり好きとは言えないのだろう。正直、好みじゃあない。
だが、今自分はかつてない程衝動にかられている。受け取ったものを、吐き出して刻んでおかないと、という切迫感に。
こうなると好き嫌いじゃないのだ。共感もできず理解も遠い、だからこそこの作品はきっと自分の中には何も残らず忘れて落ちて消えていく。
だからこそ、今のうちにこの感じた、届いた、なにかがあったという事実だけでも書き残しておかないと。

彼らは、主人公である大学生の青年やヒロインである女子高生の少女は、うまくいきることの出来ない人間だ。生きることそのものが下手くそだ、と言っていいかもしれない。泳げないくせに、水の中で生きていて、いつだって溺れていて、いつか力尽きて水面に顔を上げて息も吸えなくなって沈んでいくのを待っているかのような人間だ。
溺れる者は藁をも掴む、という言葉のように彼らは掴める藁たる誰かを求め続けている。人とうまく接することが出来ず、人と人との繋がりの中で自分を確立できず、いつだって辛い思いをしているのに、そうやって誰かを求めている。そうしないと、寂しくて生きていけないのだ。
掴んでいた藁である「先輩」から別れを告げられ、溺れて半分死んでいた状態から辛うじて死んでいない状態に戻れていた彼は、少女に出会った。
出会うべくして出会ったのか、それとも本当に奇跡の賜物だったのか。いずれにしても、それは運命でもあったのだろう。
上手く生きることの出来ない二人。でも、それはそれだけ真面目に「生きる」事に向き合っているからなんじゃないだろうか。適当に生きてたら、漠然と生きていたら、果たしてこんなに苦しいと思うだろうか。悲しく感じるだろうか。必死だからこそ、一生懸命だからこそ、本気だからこそ、それが上手く出来ないことに失望してしまう、絶望してしまう、ぽっかりと穴があいてしまうんじゃないだろうか。そうやって真面目に向き合ってしまうこともまた、生きることそのものが下手くそだという一要素なのかもしれない。
寂しい、苦しい、哀しい。惨めで歯がゆく、幸せが憎く、自分たちを苛む生き辛さを内側に押し込むことが出来ない。それを主人公と少女は二人で共有し、寄り添う事で耐え忍ぼうとしている。
一緒に寂しくなりましょう。そう言って、お互いにボロボロに欠けた部分を嵌めあわせて溺れないように繕おうとする。
不幸と不幸をかけ合わせて重ね合わせて、彼らは幸せになれたんだろうか。かつてあった幸せを、取り戻せたんだろうか。それは、凍えて遠ざかる意識の端でマッチの火に照らし出された幻だったのだろうか。
寂しいまま寂しくなくなる。悲しいまま笑うことが出来る。何もかもがどうしようもなく不幸なまま、幸福になる。相矛盾するそれらは、確かに彼らの間に在った、気がする。
そんな風に、描けるんだ。

これだけゆらゆらと不安定に揺れる精神のもとで、心の中身を剥き出しにしたように情動を吐き出して、描かれる物語なのに不思議とこの作品は理性的だ。視点は読者を置き去りにせず、むしろ苦しみもがく彼らを突き放したように淡々とそのもがきようを描写していく。感情のままに語られれ吐き出される言葉は、支離滅裂のようでどこか整理されていて平易にその奥底にある心情を伝えてきてくれる。
吐き出すがままに描かれた物語は本来もっと主観的で、勢いや感情の強さ激しさ痛切さで押し切ろうとするものが多い。しかし、本作はそういうものを本質的に忌避したのだろう。だからこそ、共感のない自分のようなものにまで届き得たのだ。小説として、この作品は整え切られている。読まれるものとして、見事なまでに理路整然と描かれている。このセンシティブで脆く儚い作品は、物語としての美しさ以上に、小説という枠組みとして美しい。

アガートラムは蒼穹を撃つ 1.三日月学園機関甲冑部の軌跡 ★★★☆   



【アガートラムは蒼穹を撃つ 1.三日月学園機関甲冑部の軌跡】 山口隼/たかまる  オーバーラップ文庫

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空を飛ぶ鎧“機関甲冑”の開発により、簡単に空を楽しめる世界。そんな機関甲冑を身に纏って空で競い合う、流行のスポーツ“機関甲冑競技”。高校2年生のHQ・松原優が、幼なじみでプレイヤーの少女・高坂凪と挑んだ全国大会は準優勝に終わった。雪辱を果たすため、今度こそ優勝を誓う優たち。しかし、競技人数の変更によって部員不足となり、部は大会出場すら困難な状況に陥ってしまう。一度は辞めたプレイヤー復帰の選択を迫られた優は、前回覇者であるフェリシアたちとも競い合いながら、再び全国の空を目指す―!蒼穹に憧れた高校生たちの織り成す青春ストーリーが幕を開ける!第6回オーバーラップ文庫大賞・銀賞。
ロボットもの、なんだけれど大きさも2メートルから2.5メートルくらいと本当に小さいので着込むという感覚で甲冑というのは正しい表現なのでしょう。
それに戦闘シーン、空中戦の様相を見ているとロボットものというよりも戦闘機のドッグファイトを連想させられるんですよね。より「飛ぶ」という側面に力が入った描写ですし、人型の印象があまりなくて戦闘シーンをイメージするのが結構難しかった。頭の中に浮かんでこないというか。
いっそ、馬上槍試合(ジョスト)的なものだと思えばいいんだろうか。一瞬の交錯の際の攻防がメインですし。かと言って一直線にぶつかり合うのではなく、広い空の三次元を十分に使い、速度をいかして相手の認識外から一気に詰め寄るのはまさに航空戦のドッグファイト。もうちょっと戦闘シーンのイメージが湧きやすかったらもっと熱くなれたかもしれない。
一度中学で選手として退き、HQ……試合を管制して選手に指示を飛ばす司令の役を担っていた主人公優が、大会規定変更から大会参加のための選手不足に陥ってしまった状況から現役復帰することに、という展開なのだけれど。
かつての名選手が復活して、というわけではなくブランクもあり元々普通に優秀な選手というくらいで壁にもぶち当たっていたレベルなので、復帰したとしてもまず元の技量を取り戻すのに一苦労、センスを取り戻してもそこから伸び悩み、と決して優れた選手とは言えないんですよね。
そもそも、中学の時に一度選手としての自分に見切りをつけてしまった身。潔く見切ったというよりも、心折れてしまったという方が正確な結末を一度迎えていたのである。その折れた心はまだ繋がっていなくて、一番踏ん張らないといけない場面で逃げ腰になってしまう、諦めてしまうくせがまとわりついているのである。そういう悪癖が露骨に露呈してたら対処もしやすかったのかもしれないけれど、この主人公って理屈屋で理論家、ロジック重視の人間なんですよね。だもんだから、一瞬の判断における退きの選択にも、やたらと完璧な理論武装を自然としてしまうのである。冷静に考え分析して判断した結果、退く事にしたのだ、負けてもいい場面だったのだ、と踏ん張れずに諦めて逃げてしまった事について上手いこと言い訳して理由づけして、糊塗してしまう。それも無意識に。だから、自覚もなく薄々気づいてはいるのだけれど直視しなくて済むだけの言い訳を用意できてしまう。それが彼の迷走を長引かせるのである。
そう、イイわけではあっても筋は通っているわけだ。一面において正しいのである。だから、指摘され否応なく自分の心がまだ折れ続けていることに気付かされても、なかなかそれを克服できない。気合と根性は十分で、憧れと目標はちゃんと目の前にあり、それに手を届かせるための努力は欠かさず、必死に身も心もイジメるのだけれど……なかなかそう簡単に一度ハマってしまった陥穽を克服するのって出来ないんですよね。
思考力分析力に優れていて戦闘中でも様々な戦術を練り、状況を考察し可能性を走査していく。頭の良さを現場で活かせる人材である事は確かでHQとしても本当に優れているのだけれど、そのひたすら考える深く思考するというスタイルが、彼の場合戦いにおける集中力を阻害していたんじゃないでしょうかね。秋子を部活に勧誘したさいの勝負で見せたあのギリギリでの局面での集中力はまさしく彼の武器であっただけに、彼の思考が逆に目の前のことに意識散漫になってると思わせられる場面も多かった。なかなか難しいもんですねえ。
そんでもって、理論家であっても感情的にはクールと真逆の激情家な面もある主人公なだけに、鬱屈はわりと用意に表に出る。そうなると、仲間同士の関係も不用意な衝突が発生する。それが幼馴染相手となると、そりゃもう拗れる拗れる。なまじ何でも曝けあってきたと信じるもの同士。一緒に暮らすて気楽に部屋に入り浸るほど、もうビタビタの間柄だからこそ、隠し事したり相手への過剰な感情を持て余して自然に振る舞えなくなると、そりゃもう酷いことになる。
これも幼馴染という関係故なのだろう。でも、そんな拗れた関係を簡単に修復できてしまうのもまた幼馴染という特別な関係ゆえなんですよね。自身の不調、停滞ごと乗り越え克服し、自分をまっさらにして新しく出来るのも、心から信頼して過去から未来までずっと一緒に居続けるという確信があり、望みがある比翼の関係だからこそ、一緒に飛べる空がある。幼馴染万歳三唱、だわねこれ。

声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない? ★★★★☆   



【声優ラジオのウラオモテ #01 夕陽とやすみは隠しきれない?】 二月 公/さばみぞれ 電撃文庫

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ギャル&地味子の放課後は、超清純派のアイドル声優!?

第26回電撃小説大賞選考会において、選考委員満場一致で2年ぶりの《大賞》を受賞!
電撃文庫が今とどけたい、青春声優エンタテインメント!

「夕陽と~」「やすみの! せーのっ!」 「「コーコーセーラジオ~!」」
偶然にも同じ高校に通う仲良し声優コンビが教室の空気をそのままお届けしちゃう、ほんわかラジオ番組がスタート!
でもパーソナリティふたりの素顔は、アイドル声優とは真逆も真逆、相性最悪なギャル×根暗地味子で!?
「……何その眩しさ。本当びっくりするぐらい普段とキャラ違うな『夕暮夕陽』、いつもの根暗はどうしたよ?」
「……あなたこそ、その頭わるそうな見た目で『歌種やすみ』の可愛い声を出すのはやめてほしいわ」
オモテは仲良し、ウラでは修羅場、収録が終われば罵倒の嵐!こんなやつとコンビなんて絶対無理、でもオンエアは待ってくれない…!
プロ根性で世界をダマせ! バレたら終わりの青春声優エンタテインメント、NOW ON AIR!!

くわーーっ、面白かった、面白かったぞ! 声優に関してはアニメ一通りみるだけにある程度は知っているけれど、個人の活動については全く追っておらず、声優ラジオというのも聞いたことはないのだけれど、そんな事関係なく滅茶苦茶面白かった。
声優業界ネタとかもあまりなく、あくまで本作は声優という仕事に全身全霊をかけて挑む若くもプロフェッショナルな少女たちの物語。
そう、この子たち。佐藤由美子と斎藤千佳は未だ高校生であっても、その意識はしっかりとプロなんですよね。その片鱗は随所に見られる。自分の仕事に誇りを抱き、より良い仕事が出来るために自身を高めることを厭わない。なかなか売れなかったり、自分の思っていることと違うことをやらされたりと決して上手くいっているわけではないし、そのことに対して思うこともあるのだけれど、凄く仕事に対して真摯で一生懸命であることは、ふたりとも変わらない。
だから、個人同士では出会いの最悪さもあって、喧嘩ばっかり。喧嘩するほど仲がいい、てなもんじゃなくて本気で相手の性格が性に合わなくて苛立ちむかつきぶつかり合う相性最悪の二人なんだけど、個人の好悪は決して仕事には持ち込まない。そのプロ意識の高さはお互い何だかんだと認めあっていて、それ以上に声優としての在り方、その仕事っぷり、意識の持ち方に対して一緒に仕事をすればするほどその姿が見えてきて、認め合っていくわけです。
嫌い同士でも認め合える。性が合わなくても、声優としての相手は尊敬できる。とことんいがみ合いながらも、同じ仕事を成功させるためなら協力し合える。
決して馴れ合わず、しかし本心からぶつかり合える同士。悪いこと間違ったことをしたら、誤魔化さずに指摘できるし、それを悪いと思ったらちゃんと謝れるし、手助けしてもらったらお礼も言える。打ち解けるわけじゃないけれど、そうやって仕事にも同僚にも背を向けない、裏切らない姿はまさにプロ。ほんと、カッコいいんだこの二人。
そして、自分たちの戦場で共に戦う者同士、緩く仲良く結ばれていく友達関係とはまた違う、火花飛び散るような信頼によって結ばれる関係。これを「戦友」というのでしょう。「ライバル」と呼ぶのでしょう。
自分が本気だからこそ、相手の本気も感じ取れる。だから、一緒に戦える。そいつの背中を追いかけられる。ああ、めちゃくちゃ熱い物語だった。

実際、全部曝け出しあったあとのラストのラジオって、それまでと段違いに面白いんですよね。
歌種やすみこと由美子のキャラクターって清純派より圧倒的に普段のギャルの方が魅力的でしたしね。ただ、気合い入れて声優モードになった時のオーラは由美子も千佳も、思わずお互い見とれてしまうものがあるだけに、二人共普段と声優の時との良いところを上手くハイブリッドして出せるようになったら、今以上にブレイクできる手応えというものを確かに感じ取れるんですよね。
特に由美子はあれ、色んな意味で頼りがいがありすぎて、あらゆる方面から慕われる大御所にゆくゆくはなってしまうんじゃなかろうか。今ですでに姐さん的な貫禄と気風の良さと気遣いの深さと速さが感じられるし。あれ、小さい頃から母のスナック手伝ってたという経歴故なんだろうか。さり気なく相手の懐入るフットワークの軽さがすごいんですよね。それでいて、自分のためじゃなくて相手のために動くし気遣いもほんと細かいので、大抵の人が心開いてしまう。千佳のお母さんとの時なんて、あまりの無造作っぷりに「え? ちょっ!?」と面食らってるうちに手慣れた様子でお世話しながら、踏み込んだ話をするに至ってましたもんね。あれは凄かった。千佳が嫉妬混じりに憧憬を覚えるのも無理ないですわ。
でも一番心震わされるのって、自分が認め尊敬する相手から、こいつは本当に凄えと思っている人から、同じかそれ以上に認められ尊敬される事なんですよね。そこに、友達ゆえの好きという感情が混ざっていないことは、嫌い同士誰よりもわかっているから、余計に刺さる。余計に伝わる。
それはとんでもなく、嬉しい。とびっきりに、痺れてしまう。
だから、一緒に戦える。だから、本気で競える。だから、全部つぎ込める。二人でなら、どこまでも行ける。
いいなあ、熱いなあ。素敵だなあ。
最高のお仕事ものであり、女の子の友情の…そう仲が悪くても嫌い同士でも結ばれる事のある友情の物語でした。
わりと綺麗にこの一巻でまとまってはいるのですけれど、ここからどんな風に話を広げていくのか次巻も楽しみ。


―異能― ★★★☆   



【―異能― 】 落葉沙夢/ 白井 鋭利 MF文庫J

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この世界には確実に主人公側の特別な人間がいる。でも、それは僕じゃない。

自分の凡庸さを自覚している大迫祐樹には成績優秀で野球部エースの赤根凜空と学校一可愛い月摘知海という友人がいる。――自分は二人の間を取り持つモブキャラなのだ。しかしある日大迫は知海と二人で映画に行くことになってしまう。「デートだね」とはにかむ彼女に戸惑いながら帰宅した大迫の前に、見知らぬ少年が現れて問う。「君の願いは、なにかな?」それは異能を秘めたモノたちへのバトルロワイヤルへの招待だった。「僕……の中にも異能があるのか?」だがそれすらも完全な思い違いだったのかもしれない――!! 予想を覆す怒濤の展開。審査員評が完全に割れた事件的怪作、刊行。

やたらとタイトルが長くなる昨今に敢えて単語一つのタイトルを持ってくるとか、ガガガ文庫みたいじゃないですか。MF文庫Jは特に口語なタイトルが多い印象だっただけに、敢えてこのタイトルで攻めてきた所に本作の特殊な立ち位置を連想させる。
それにしても、いきなりのちゃぶ台返しには驚かされた。いや、それだけならよくある手法で珍しくはなかったかもしれないけれど、注目スべきは一回ひっくり返しただけでは終わらなかった所だろう。
いや、この「ちゃぶ台返し」こそが本作のルールだったわけだ。そして、それが物語の構成という作者のぶん殴ってくる武器としてだけではなく、ちゃんとストーリー上でも確かな意味を持っていたことがラストに突きつけてくる。
いや、そんな事になっていたとはホント、最後の方まで全然気づいていなかったし、まさかそんな方法で引き戻されるとは。ちょっとあの娘の能力って桁外れじゃね? 致命傷まであっさり回復させちゃっているし、やれる範疇が蘇生どころじゃないですし。それも彼の異能があってこそ成立したんだろうけど。
ちなみに、ラストの戦いって何気に相手の方が完全に詰んでいたんじゃないだろうか。相手の方、最後まで気づいてなかったようだけど、あの場合勝っても負けても生き残るのは彼だったわけですし。彼の異能の正体を知らずにあそこまで油断してるのなら、直前のときみたいに「身体」を動かして、というのも難しくなかったような気がしますし。

もっとも、あれで本当に倒せたのかまだ微妙に怪しい気がしてますし。というか、あからさまに怪しい人がひとり残ってるんですが。あの人の力も異能の類だとすれば、どうして選ばれなかったのか。月摘刑事の認識がまだ誤魔化されてるっぽいのがどうにも、ねえ? そもそも、どうしてタチバナが選ばれたのか。一応、次回に繋がる要素は残してある、ということなのか。ここで終わるのも綺麗ではあるんですけどね、微妙にスッキリしないものは残るにしても。

正直、個々のキャラに関してはそれほど立っているとは思えないですし、話の転がし方はともかくストーリーの流れそのものはアカが辿った末路を見れば、パターンとして固定されて目新しいものはなかったですし、次々と決して行く勝負に関しても劇的なものではなく、バトルとして見てもキャラ同士の関係にしても当たり障りのない感じに終始していた気がします。
それでも、ついつい先が気になってグイグイ引っ張られるような牽引力には確かなものがありました。あの次々と変わる視点こそが、牽引力の源だったのでしょう。続きを読みたいと思わせられるパワーがあった、それは間違いなく「面白さ」だったのではないでしょうか。

スパイ教室 01.《花園》のリリィ ★★★☆   



【スパイ教室 01.《花園》のリリィ】 竹町 /トマリ 富士見ファンタジア文庫

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陽炎パレス・共同生活のルール。一つ 七人で協力して生活すること。一つ 外出時は本気で遊ぶこと。一つ あらゆる手段でもって僕を倒すこと。
――各国がスパイによる“影の戦争“を繰り広げる世界。任務成功率100%、しかし性格に難ありの凄腕スパイ・クラウスは、死亡率九割を超える『不可能任務』に挑む機関―灯―を創設する。
しかし、選出されたメンバーは実践経験のない7人の少女たち。毒殺、トラップ、色仕掛け――任務達成のため、少女たちに残された唯一の手段は、クラウスに騙しあいで打ち勝つことだった!? 世界最強のスパイによる、世界最高の騙しあい! 第32回ファンタジア大賞《大賞》受賞の痛快スパイファンタジー!

そうかー、そういう事だったのか。さっぱり気づかなかったのですよ。
ボーッと読んでんじゃねえよッ! と叱られそう。
これは丁寧に描写を追って、一人一人区別して注視して認識して把握して捉えて読んでいたら気づいていたんだろう。でも、なんとなーく流して読んじゃってたんですよね。なるほどなあ、特定して識別する対象というのは必要なものなんだな。名前とか愛称、コードネームでもあだ名でもなんでもいいけれど、名付けるという行為は存外重要なものであるというのを再認識させてもらった。
と、今書いてて気づいたんだけれど、普通に考えたら個人でならともかく組織単位で盗聴してたなら、コードの振り分けくらいはしてそうなものですけどね。特に、内容を吟味するためにも誰が何を喋っていたか、というのは重要でしょうし。まあそういうの言い出すと、こんな年端も行かぬ少女をエージェントに仕立て上げて、という時点からあれなのでしょうけど。
ともあれ、おかげさまで誰が誰かちゃんと把握しないままラストまで行ってしまって、ちゃんとキャラクター認識できていたのって、最初から名前が出ていたリリィと途中から個別に描かれだしたエルナだけだったんですよね。
ふたりとも非常に個性的なキャラをしていて、内面描写なんかかも振れ幅大きくそれぞれを強く印象づける描かれ方をしていたので、他の面々も今後ちゃんと描かれるようになったら誰が誰かわからない、なんてこともなくちゃんと存在感を示してくれるんじゃないかと思う。
その意味では構成上仕方なかったとはいえ、印象に残らない描き方をされていたのはちと勿体なくはあったんですよね。
まあその御蔭か、メインのリリィのキャラの強さが凄まじいまでに目立っていたのですが。いや、この子の場合周りの印象が薄くなくちゃんと描かれたとしても、その目立ちようは変わりなかったかもしれませんけど。
なにしろ「イイ性格」しまくってるもんなあ。これは元の「学校」では随分と教官たちを疲れさせてたんじゃないだろうか。それでも結構可愛がられてそうな感じではありましたけど。
図抜けた楽天家だけれど脳天気な楽観主義ではないのは、自身の置かれた立場に危機感を感じて即座に行動に打って出るあたりからも見受けられるんですよね。まあその行動に間が抜けてる場合が多々あるのは致命的な気もしますが。
それでも、自分の立場や能力を客観的に見ているあたりは非常に冷静な部分もありますし、その上で厳しい状況にも堪えた様子もなくあれだけ前向き楽天的で居られるというのは、相当タフなメンタルしているかネジが何本か外れているか。
この子リリィは決してリーダー向きだとは思わなかったのですけれど、この環境下において彼女は旗振り役としては得難い資質の持ち主だったのかもしれません。この子が先頭に立ってニコニコと旗振って進んでいる限りは、みんな折れずにすみますし。物語そのもののムードメーカーで有り続けてくれましたもんね。
しかし、リリィって決して無能ではなく身体能力なんかも普通に凄いですし、とても落ちこぼれには見えないのですけれど、これで成績やばい部類だったというのは養成されてるエージェントの水準レベルって無茶苦茶高いんだろうか。

ともあれ、次回以降はリリィとエルナ以外のメンバーにもスポット当てていってくれると思うので、そのあたりも期待したいです。ある意味作中で一番すっとぼけている天然なクラウス先生、リリィと絡んでる時だけでも相当に面白かったですけど、誰と絡んでも愉快なことになりそうですし。

小泉花音は自重しない 美少女助手の甘デレ事情と現代異能事件録 ★★★☆   



【小泉花音は自重しない 美少女助手の甘デレ事情と現代異能事件録】 高町 京/東西 GA文庫

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突然変異によって生物に異能力が発現するようになって40年。俺は幼馴染の小泉花音とコンビを組んで、異能犯罪を取り締まるフリーランスの捜査官をしている、のだが……
「さあれー君、一緒にお風呂しよう。大丈夫、なんにもしないから!」
俺はなんでこんな変態とコンビ組んじゃったんだろうなぁ……
発電能力を操る花音は当代随一の能力者。俺たちの元には面倒な事件が次々やってくる。街の平和のため、そして因縁深いとある能力者を捜すため、俺たちは今日も街を駆ける!
「だってれー君、一人じゃ何にもできないんだから!」
ウザヒロイン×異能の現代バディアクション開幕!
これ、微妙に表紙詐欺じゃない? いや、詐欺じゃないか。間違ってるわけではないものね。
事件の大筋と主人公のれー君が置かれた状況が明らかになった時には「ああ、そういう事だったのか!」と大いに頷かせてもらいました。
これ、違和感の催し方が上手いというか引っ張り上手だったんですよね。明らかに変だという違和感を突きつけながら、何に違和感を感じているのかわからないという絶妙のニュアンスで鼻面摘んで引っ張り回されてしまいました。うん、れー君に対して、周りの反応が妙なのはすぐに気づくことだったんですよね。最初は彼のことが見えてないのか、それとも居ることはわかるけれど認識できないとか人がいることはわかっていてもそちらに意識が向けられない、みたいな阻害を仕掛けられているのかとまず考えたわけですけれど、普通に花音以外の人もれー君の事そこに居るって認識してるみたいだし、話しかけてくる事もあって、ずっと「あれ? あれ? あれ〜?」と首を傾げてた始末でありました。
わりと答えは最初の方から開示されてたんですけれど、そっちの話とまったく繋げて考えられなかったのは不覚もいいところでした。
例の異能を発現させた動物の暴走事件も、単に箱か檻かに動物を収納して現場で開放してたんじゃないの? と思ってたんですよね。
うん、その発想はなかった。というか「異能」で何がどこまで出来るのか、という定義がはじまったばかりでわからなかったのもあるんでしょうね。これ、魔法なんかよりもよっぽど「なんでもあり」なんじゃなかろうか。花音の発電能力とかかなりオーソドックスの部類なんじゃないだろうか。
その上で、れー君の能力はむちゃくちゃも良い所である。こいつだけ出るマンガが違うというか世界観が違いやしませんか!?
イキってた敵役さんの能力、確かに便利だし防御能力高いけど、あの程度の能力ならダメージ与える手段なんていくらでもありそうだし、ぶっちゃけ国に一人で喧嘩売れるほどのもんじゃなかったよなあ。
ただそんな相手でも、バンバンと死んでいく公務員。ハウンド・ドッグの皆さん、ちょっとポンポン酷い死に方しすぎじゃないだろうか。あの調子で死んでたらすぐに人員不足に陥りそうで心配である。すでに管理官の琥珀さんがこのまま行くと過労死コースに順調に乗っちゃっているのを見ると、すでに手遅れなんじゃ、というゾーンに入っている気がする。有望な新人にも結果的に逃げられちゃったしw
死傷率の高そうな対異能部隊の皆さんのみならず、今回の事件はちょっと被害者多すぎてドン引きしてしまう。あの能力の犠牲者って、結局保護できた人たちも助からなかった、という事になっちゃうわけで、何気にかなり殺伐とした世界だよなあ。
そんな世界で、お互いを拠り所にして生きる花音とれー君のコンビは終わってみると尊い関係なのかも。れー君の事情になかなか気づけなかった理由の一つには、それだけ花音がれー君に対してちゃんと対等の人間として接していたから、というのも大きいと思うんですよね。彼女がもうちょっと今のれー君相応の態度に出てたら、違和感のもとにはすぐに気づいたかもしれませんし。それだけ花音の姿勢が真摯だからこそ、れー君は今のまま保たれているんじゃないでしょうか。そのあたり、彼自身も花音のお陰、と公言してはばかりませんし。でも、それを加味しても花音の態度はウザいを通り越して若干キモいのレベルに足を突っ込んでいるようなw つまり、変態美少女である。残念!

竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― ★★★★  



【竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から―】 筑紫一明/ Enji GA文庫

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「この杖、直してもらいます! 」
半人前の魔法杖職人であるイクスは、師の遺言により、ユーイという少女の杖を修理することになる。
魔法の杖は、持ち主に合わせて作られるため千差万別。とくに伝説の職人であった師匠が手がけたユーイの杖は特別で、見たこともない材料で作られていた。
未知の素材に悪戦苦闘するイクスだったが、ユーイや姉弟子のモルナたちの助けを借り、なんとか破損していた芯材の特定に成功する。それは、竜の心臓。しかし、この世界で、竜は1000年以上前に絶滅していた――。
定められた修理期限は夏の終わりまで。一本の杖をめぐり、失われた竜を求める物語が始まる。
今回のGA文庫の新人賞作品の中では一番好きです、これ。深く深く胸に沈み込んでいくような面白さでした。
伝説の魔法杖職人の最後の弟子であるイクス。半人前とされていますけれど、職人としての登録を済ませていないだけで腕前は未熟とは程遠いものなのですけれど、とかく職人気質の取っつきにくい偏屈者なんですよね。本人曰く、弟子の中では話が通じやすい方だ、とのことなんですが実際姉弟子の凄まじいばかりのコミュ障っぷりや、伝え聞く師匠の変人さを聞くに確かにマトモな方なのでしょう。コミュニケーション能力も人並みにはありますし。でも、物語の主人公というよりもRPGなんかで伝説の武器を作ってくれる事になる名工の親方みたいなキャラを若くしたような、もうひたすら生き様から魂まで職人に染まったような、杖のことしか頭にない男なのです。
そんな彼に壊れてしまった杖の修理を頼むことになるユーイという少女。彼女もまた複雑な背景を持つ娘でした。彼女の手にあるこの杖は、先年戦争で家族が一族ごと皆殺しにされた際に父が彼女に託したもの。その杖が壊れた理由も含めて、彼女にとってこの杖は因縁でもあるのです。
その理由は、杖を修理するための素材を手に入れる旅の中で、ユーイの心情とともに徐々に明らかになっていくのですが。これがまた色々と考えさせられるものだったんですよね。

壊れた杖を治すための芯材となる素材は、すでに千年前に絶滅してこの世界から消えてしまったという竜の心臓。この世に既に存在しないはずの素材を手に入れるために、イクスとユーイは手がかりを求めて探索をはじめるのです。
それは当て所もない旅の始まり、などではなくちょうど民俗学のフィールドワークを思わせる行動を彼らはとりはじめるのです。面白いことに、伝承や各地の伝説を訪ね歩く、みたいな悠長な真似は何しろ時間制限があるので出来ないので、ここで彼らは一次資料、それも冒険者ギルドの百年単位で塩漬けになっている(依頼が達成されないまま放置されている)依頼書や、図書館の書庫の奥に放置された古い日記という、日常生活に根ざした古い資料からかつて竜が存在したと思われる場所、大昔に竜にまつわる素材が扱われたと思しき地域を探していくんですね。このアプローチは面白かった。
そうして浮き彫りになってきたのが、積み重なっていく時間の中で不自然に消されていると思しき情報、とある村の今や誰もそんなものがあったとは知らない、覚えていない、百年以上前に途絶えた祭礼の話。
その村を訪れて、誰に訪ねて見てもそんな祭りの事は知らないのです。でも、注意深く村の様子を見ていると、不自然に思える箇所が幾つも見えてくる。これは村人たちが隠している、というわけではなく、彼らは本当に知らなくて受け継がる情報としては完全に断絶している、にも関わらず彼らはその意味を知らないまま、かつてあったものの痕跡を無意識に保持していたんですね。それも年代を重ね、世代を重ねるたびに無意識の中からもこぼれ落ちていき、今や本当の意味で消え失せようとしている。そのギリギリのところで、イクスとユーイは微かな手がかりを頼りにたどり着くのです。
新しく強力な宗教の波及によって、古くから伝わる伝統的な祭りが存在を抹消され、その痕跡すらも時間の流れにより記憶からも消えていく。古き文化風俗の風化と喪失を、歴史の澱の中から掘り起こしていく、これはそんな探索行の物語でもありました。
そして、それは戦争によって消えてしまった少数部族の僅かな生き残りであるユーイにとって、まさに彼女の話でもあったんですね。
埋もれた記録を掘り返し、遠く薄れてしまった人の記憶を訪ね歩く。そうして少しずつ少しずつ分厚く積み重なった時間の堆積を取り除き、そこから見えてきたのは壮大な人の歩んできた歴史のうねりそのもの。
その壮大さを目の当たりにしたとき、今をこうして生きている自分たちもまた、巨大な流れ行く歴史という大河を構成している一部なのだ、と実感する。今、自分たちはまさに歴史の中に居るのだと。
それは、過ぎ去ってしまえば誰からも顧みられることのない小さなものかもしれない。忘れられ、そこにあったはずの意味は喪われていくのかもしれない。
今、現在だけを見ても、人同士はわかりあえない。お互い向き合い話し合いながら、ユーイは圧倒的孤独の中にいる。親しい友人たちとの断絶を目の当たりにし、彼女は激しい失望に見舞われ、立つ力すらも失ってしまう。
でも、この旅で彼女は知ることになる。杖を治すことによって彼女が何をしようとしていたのか、それを踏まえた上で、彼女は自分の立ち位置を知ることになる。
彼女がイクスとともに訪ね、探し、調べてたどり着いた先に現れた、壮大な……壮大過ぎる歴史の生き証人が、彼女に示してくれたのだ。
それは、師匠の遺した言葉に縛られ、いや自らしがみついているのではないかと迷うイクスにとっても、未だ答えが出ないままなれども、自分の道行きを照らす出会いであった。
二人はこの壮大な歴史の流れの一部分に、自分もまた飲み込まれ、しかし確かな痕跡を残しているのだと理解したとき、彼女は自分が真の意味で決して孤独ではなかったと知る。
今はまだ分かりあえないという事実は、きっと絶望ではないのだと知ることになる。たとえ、そこから意味が喪われ、真実の姿が残らなくても、歴史の向こう側に消え去っていったとしても、それは形を変え連綿と続いていく。
続いていく限りは、孤独ではない。
それは、想いは、繋がりは、確かにあった。
それは、未来において形を変え、祝福に成り得る。

……残るものは、あるのだ。


あの探索行のゴール、終着点でイクスがたどり着いた答えの果てに、現れたものには正直息を呑みました。あの雄大な、壮大な、歴史そのものと言わんばかりのスペクタクル。そして、時を超えたかのような対話。
この胸の震えは、感動と呼ぶのがふさわしいのかもしれません。

振り返ってみても、イクスやユーイが得た自分なりの答えというのは、わかりやすく一言で言えるようなものではない、彼ら自身その具体的な姿をつかめていない難しいものなのかもしれません。思わず、深々と考え込んでしまいます。思索し、耽ってしまいます。寂寥の中に、でも期待がある。思い描く未来に、希望があるというのはこんなにも胸に沁みるのだなあ。ユーイの、トマへの最後の答えはそんな遠い未来への希望が込められているようで、憂いの取り払われた良い笑顔でした。
……でもあれ、何も知らないトマからすると、ユーイの台詞は完全に拒絶されたとしか受け取れられないかもしれないのが、トマくんちょっと可哀想かもw
まあどうしたってわかりあえない二人である以上、そのあたりの理解の断絶も加味した上でのユーイの物言いだったのかもしれませんけど。

この巻で見事に物語として完成しているようにも見えるのだけれど、次巻も可能性はあるのか。それはそれで、一体何を書くのか、何を書きたいのか、何を描き出してくれるのか楽しみで仕方ない。実に読み応えある一品でした。

城なし城主の英雄譚 彼女のファイアボールが当たらない! ★★★☆   



【城なし城主の英雄譚 彼女のファイアボールが当たらない!】 阿樹 翔/八葉 GA文庫

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アンタとアタシは「最高の家族」になれるんでしょ?
GA文庫大賞《奨励賞》受賞の、古城攻略ファンタジー!

「僕の将来のクラン・メンバー、家族になってくれないだろうか」?
モンスターが跋扈する遺跡・古城を攻略し、所有する集団――クランの設立を夢見る少年・レオン。
彼はある日、ノーコンな自称天才魔導士の少女・リシアと出会う。
「家族って、こ、公私ともに」?
「いや、僕のクランはハーレムにしたいし」
「アンタわりかし最低ね!」
そんなノリで組みはじめた二人はしかし、大型古城を支配する竜人姉妹や、有名クランを率いる獣人王と出会い戦っていく中で、彼らだけの城、彼らだけの最高のクラン(家族)を創り上げていく――!

二人の絆でどんな強敵も討ち倒せ!
攻城戦から始める剣と魔法の英雄譚!!
いきなりハーレムしたいとか言いだすからどんな女好きな主人公かとおもったら……レオンくん、むしろ今の所そんなに女の子には興味ないんじゃないの!?
今は城主になるという夢に夢中でハーレム云々言ってるのは育ての親である義姉が逆ハーレム作ってた大城主だった影響のようで、本人今の所そんな女の子のお尻を追いかけてる暇なさそうなんですよね。その意味ではまだ子供っぽいというか童心のまま突き進む初々しい若者っぽさが前面に出ている男の子なのである。
でも誠実で直向きで結構小器用で仲間に対しても気配り上手でコミュニケーション能力や交渉力も優れている上に世話好きなところもあり、と目標に夢中である事以外にはちゃんと地に足がついているというか、人間が出来ている子なんですよね。で、親しい人の前では小狡い所やセコい所とかヘタれる弱気な一面も素直に見せてくれるので、頼もしいと同時に庇護欲を掻き立てられるタイプでもあるわけですよ。相手のメンツを立てる配慮もあり、男の子として譲れない部分は絶対に譲らない頑固さもある。この子、女の子にモテるだけじゃなくて老若男女問わず好かれるタイプなんじゃないだろうか。敵対した相手からも認められ、好かれるような人物とでも言うべきか。
彼に誘われたリシアが、あとで自分こいつの仲間で居ていいんだろうか、と引け目感じてしまったのも無理からぬ所なんですよね。リシアと来たら能力的にもアレだし、性格的にも結構歪んでる、という自覚もあっただろうし。
そんなリシアに対して親身にノーコン治す工夫を一緒に考えたり、なにくれとなく面倒見て、一方で結構遠慮なくズケズケとした物言いで彼女の欠点やらを論ったり、その性格の悪さを前提とした予防線ちゃっかり引いてみたり。と優しいだけじゃない姿勢はむしろリシアに負い目を感じさせず、凄く付き合いやすいあけっぴろげな関係を構築できてるんですよね。意図してやってるわけじゃないんだろうけど。
リシアもこれで聡明な子だから、自分の問題点と照らし合わせてレオンという今はまだ名前も売れてないミソッカスの剣士くんがどれだけ可能性を秘めた子か、どれだけ人間として出来た子か、というのはやっぱりわかるんですよね。果たしてそんな彼に自分は仲間として家族といてふさわしいか、なんて悩みを抱くのも当然でしょう。面の皮が厚い少女でも、臆面もなく寄生できるようなプライドの無さとは無縁の誇りある自称天才魔導士ですからね。
そんな心境の時に、向こうから率直に求められ、認められ、一緒に頑張っていってほしいなんて請われたら、グラグラに揺れ動くってなもんですよ。ってか、ちょっと見てればとんでもない優良物件だと丸わかりだもんなあ。
とはいえ、これを一目見て一目惚れしてしまったオリヴィアは、見る目ありまくりだったんでしょうけど。
レオンとリシアの遠慮皆無の屈託ない、でも信頼し合った関係はほんと出会ったばかりとは思えない息の合いっぷりで、相性バッチリだったんだろうなあ。レオンって、決して女慣れしてる方じゃなくて女性相手には多少なりとも緊張しちゃうっぽい所があるのに、リシアにはまったく心理的な壁なかったですもんねえ。まあそういう気後れを必要としないくらいリシアが出会いからハチャメチャだったというのもありますけど。

対抗馬となる有力城主の獣人王も、その生き様にブレのない芯の一本通ったかっこいい王様で、今はライバルよりもずっと格上ですけれど、立ちふさがる壁であり、自身が勇躍するレオンと同じ城主としての野望を滾らせる先達として、実に粋な敵役でありました。
これだけカッコいい王様なのに、初登場事の傍若無人さはむしろ男を下げる振る舞いだっただけに、ちょっと勿体なかったなあ、と。まあその後は株はあがるばかりで下がることはなかったのですけれど。仲間に対しても情熱と愛情たっぷりで、連れ添い甲斐のあるリーダーでしたし。

オリヴィアとミネットの竜人コンビやフリッツ会長もそうですけれど、この物語に登場する城主たちはそれぞれに相応しい矜持と誇りを以て城主として振る舞っていて、うん全員カッコよかったなあ。
どうやらレオンには本人も知らない、簡単に城主にはなれない秘密が隠されているようで、リシアとコンビを組みながらしばらくは城無しのまま、野良で過ごさなければならないようで、ハーレムの道は遠そう……モテ度に関してはまったく心配なさそうですが。いやだって、文句なしにイイ男だもん、この子ってば。

ひきこまり吸血姫の悶々 ★★★   



【ひきこまり吸血姫の悶々】 小林 湖底 /りいちゅ GA文庫

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「……ふぇ? な、なに」?

引きこもりの少女テラコマリこと「コマリ」が目覚めると、
なんと帝国の将軍に大抜擢されていた!

しかもコマリが率いるのは、下克上が横行する血なまぐさい荒くれ部隊。

名門吸血鬼の家系に生まれながら、血が嫌いなせいで
「運動神経ダメ」
「背が小さい」
「魔法が使えない」
と三拍子そろったコマリ。

途方に暮れる彼女に、腹心(となってくれるはず)のメイドのヴィルが言った。

「お任せください。必ずや部下どもを勘違いさせてみせましょう! 」

はったりと幸運を頼りに快進撃するコマリの姿を描いたコミカルファンタジー!

引きこもりだけど、コマリは「やればできる子」!?
コマリ隊の荒くれチンピラどもがチョロすぎる! こいつら、美少女だからもてはやしてるだけだろう!?
何にも出来ないコマリンの実力を勝手に誤解して周りがヤンヤと持ち上げる勘違いものなんだけど、特に誤解されるような奇跡的な展開、とかはないんですよね。事故で初っ端突っかかろうとしてきた部下のヨハンをドアで挟んで殺してしまいますが(生き返る仕様の世界観)、これで普通は勘違いしないよなあ。めっちゃ態度ビビってたし。あいつ雑魚だろう、と主張するヨハンの反応が普通だと思うのですが、それくらいで勘違いしてコマリン教徒になってしまう隊員たちが色んな意味で残念すぎる。
いや、もうちょっと勘違いモノにしても誤解させるに納得させてくれる要素が欲しかったような。あれだけ直前、新任の上司に一発かましてやるぜー、ぶっ殺してやるぜー、と気勢を上げていた連中がコロッとですもんねえ。アホしかいないとは言え。唯一頭が回りそうなカオステルは真性のロリコンでロリならなんでもいいという感じで手に負えないし。
わけのわからん高評価にドン引きしながら、ナチュラルに大言壮語繰り返すコマリんも大概調子ノリまくっているわけですが。なんで演説する時はそんな無茶苦茶偉そうなセリフがポンポンと出てくるのか。実は普段からそういう事妄想してたんじゃないのか、というくらいスルスルと飛び出すハッタリ。
そして実質何もしないコマリちゃん。
はったりと幸運を頼りに快進撃、とあらすじでなってるけど、部下に丸投げしてたら勝手に進撃して勝手に勝ちまくってるだけで特にコマリンてば何もしてないんですよね。偶然だよりの超展開、とかもないし。
ただこの子がマメにやっているのは、あれこれと可愛い美少女上司とコミュニケーション取ろうと接してくる部下の相手だけ。段々と相談会になっていちいち部下の相談事やお願い事を解決するために駆けずり回ってるの、コマリちゃん根が働き者で世話好きっぽいんだよなあ。サボらないで一生懸命働いてるし。これは休日とか関係なしにスケジュール埋め尽くしてくるメイドのヴィルのせい、というのもあるのですけれど、嫌だーとか言って逃げ出さないし。
彼女が引きこもりから引きずり出されたのは、将軍やらないと爆死してしまう仕様を添付されちゃったからだけど、別にそこまでマメに働かなくてもサボってもいいところまでちゃんとやってるあたり、彼女の本質が見て取れるんですね。
そもそも、彼女が引きこもってしまったのは怠惰が原因ではなく、深く負った心のキズが理由だったわけですし。
本来の彼女は小心者だ。いつもビクビク周りを気にしている。本来の彼女は弱虫だ。怖いことからいつも逃げ出したいと思っている。
でも、この子は本当は勇気を持っている子だ。弱くて怖くても、なけなしの勇気を振り絞って前に出ることの出来る子だ。大事な場面では、決して逃げることの出来ない子だったのだ。
それが、彼女を引きこもらせる傷を負う要因となり、救われた一人の少女がコマリに人生を捧げることになる。
そうして、テラコマリという少女はその優しい勇気を以て、引きこもらなくてもいい自分の居場所を作っていく、これはそんなお話だ。

まあそんな少女の敬愛が、どうしてあんな変態的変愛百合へと怪物化してしまったのかは大いに謎であるのですが。四六時中脇に侍る側近メイドから常に貞操の危機を感じながら世話を受け続けるというプレッシャー、ハゲるんじゃないかコマリン。

しかしこれ、ミリセントの方も結構かわいそうなんですよね。親からDVを受け続け、師からは偏った思想と虐待を受け続け、努力し続けても目標を達成できずに逃げ場のない所まで追い詰められた所で、他者への暴力に走ってしまった挙げ句に何もかもを喪ってしまう。これまで辛い思いをしてきて積み上げてきたもの一切を無駄にしてしまう。
ヴィルやコマリにやった事は同情の余地ないのだけれど、この子が救われる余地がどこにもなかったというのは哀れに思ってしまう。

特殊能力統轄学院 叛逆の優等生と悪魔を冠する少女の共犯契約 ★★★   



【特殊能力統轄学院 叛逆の優等生と悪魔を冠する少女の共犯契約】 ひなちほこ/シエラ MF文庫J

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偽りの優等生と悪魔の名を持つ少女。過去を取り戻すため二人は契約する――

夜空に輝く純白の翼。降りそそぐ無数の雷撃。そんな超常の現象を引き起こす≪脅威≫と呼ばれる力。特殊な力を身に宿した少女たち≪観測者≫を保護、養成するための機関『特殊能力統轄学院』。しかし実態は理外の力を持つ彼女たちを隔離、統制、そして利用するための施設であった。日常を奪われた監獄のような学院島で、かつて機関に連れ去られた幼馴染のことを調べるため優等生を演じ監理官を目指す紫門。ある日、機関に隷属し、悪魔『アスモデウス』の称号を持つ少女と行動を共にする仮契約を結ぶことになり――。
君を絶対に助けに行く、たとえ世界のすべてを敵に回したとしても


口絵でのキャラ紹介の中に主人公の紫門詠哉の立ち姿はあっても名前は無いのは意図的か。
果たして彼、主人公紫門は善人なのか悪人なのか。偽善者なのか偽悪者なのか。優等生であり信念と覚悟のある正義感。皆を救うのだと宣誓し、身を挺して実践する硬骨漢。その献身は、心に訴えてくる必死さは、傷つき絶望する少女たちを諦めの底からすくい上げていく。言動一致の力強く頼もしい青年だ。その姿だけで主人公にふさわしいと言えるだろう。
誰にも知られないように策をめぐらし暗躍し、安全マージンを着実に取り、信頼を得るために小細工を弄し、邪魔者を排除していく冷徹にして酷薄な裏の姿がなければ、の話であるけれど。
ほぼほぼ、そんな裏の姿を垣間見せることなく終盤まで突き進むので、本当に紫門という少年の正体は見えている部分で概ねすべてだと思っていただけに、その裏の顔は、特にあの一件の黒幕が彼だったのはなかなか衝撃的ではあった。
でも、全部が彼の手のひらの上だったか、というと最後の最後で敗北しながら彼を嘲笑い弄んだのはあの先生だったんですよね。
紫門は目的のためにやるべきことをすべてやろうとしている。どちらが果たして彼の本性なのか、と言えば決して彼が表で見せていた顔は嘘ではないと思うんですよね。演技であれほどの迫真を出すのは難しい。あれこそが、彼の本音であると言えるのではないだろうか。
しかし、彼は自分の求めるものすべてを切り捨てて、過去の後悔を、かつて失った人を取り戻そうと、そのためならば何を犠牲にしても構わないと決め込んでいる。そのためならばどんな悪行も成そうと思ってる、自分を慕う子たちを、自分を慕うように誘導した子たちを生贄に捧げても構わないと思っている。
しかしそれは果たして覚悟なのだろうか、信念なのだろうか。
彼の芯の部分は表でも裏でも、実のところ一貫している。彼の優しさは本物で、あの敵役の悪行に憤っていたのも本当だ。冷酷に敵を排除するようで、その実目的のためという以上に感情的なものが含まれていたようにも見える。優等生の彼も裏の冷酷な彼も、その行動原理は一緒であり一貫していると言っていい。だからこそ、彼のもっとも芯となる部分は表と裏、どっちつかずでフラフラと中途半端にふらついている、とも見て取れる。決して、徹することが出来ているわけではないのだ。
彼が抱え込んでいるのは覚悟ではないのだろう。過去に、自分の手で殺してしまったという従属特待生の少女。一人の少女を自らの手で殺してしまったという事実が、罪が彼を追い込んでいるように見える。彼のそれは、覚悟ではなく後戻りできない所に追い詰められて、急き立てられて焦燥のままに足掻いているだけではないのか。優等生として語る建前を本音として語れなくて、偽りの戯言のように振る舞うのは、殺した自分がそんなきれいな建前を本当の自分の気持ちとして吐き出すことに耐えかねるからではないのか。それでも、どうしても堪えきれない思いがああして発露しているのではないか。
だから、あれはどうしようもなく彼の本音に、本心に見えるのだ。
すべてを手球にとっているようで、紫門にはあまりにも余裕がない。敵役との対峙で、圧倒していた彼が結局感情的にならざるを得なかったのは、彼の必死さゆえだろう。余裕の無さ故だろう。一心不乱で一途だからこそ、必死で限界まで自分を振り絞っているから、周りを省みる余裕がない。その意味では彼はアスモデウスとよく似ている。似た者同士だ。
だから、お互い、気づかない。
あれだけ恋い焦がれ自分の魂を売り渡すように求めていながら、それが傍らにあることに気づかない。気づかないまま、自らの手で葬ろうとしている。喪わしめようとしている。求めたものを自らの手で潰そうとしている。
ああ、なんて哀れ。哀れで愚かで、痛ましい。
彼の内包する「破滅」の気配は、実に甘やかで芳しくて、垂涎してしまう自分はいささか趣味が悪いだろうか……。

アキトはカードを引くようです ★★★   



【アキトはカードを引くようです】 川田 両悟/よう太 MF文庫J

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女神が人類に与えたカードの力で全てが決まる時代―労働者・高槻アキトは、いつの日か世界の覇権を争うカードマスターの一人として、世界中の強力なバトルカードを手に戦う途方もない野望を抱いていた。そして迎えた人生を賭けた運命の“重労働ガチャ”―大量のガチャチケットと共に人生の夢も希望も溶けていく極限の運試しの末、アキトは一枚のカードを引き当てる。「いやっほう、マスター!私こそは、金銭特化秘書にして、秘書カードの中の秘書カード!キャロルちゃんでーす☆」ここに、世界中の強者達を震撼させる、とあるカードジャンキーと強欲な秘書による最強のバトルアクションが幕を開ける!
原作は「やる夫はカードを引くようです」というAA(アスキーアート)を駆使して描かれた「やる夫スレ」の一作。これを小説という形に組み直したのが本作なのであります。
このアスキーアートというのが色んなアニメとか漫画とかゲームとかライトノベル作品のキャラクターを引っ張ってきて、使っているのですが勿論書籍化にあたっては元キャラをそのまま使えるわけがなく、まったく新規のキャラとして仕立て直さなくてはいけないのです。
そうなると、元のキャラであるがゆえに使えていたネタやキャラクターの特性も使えなくなったりおとなしくさせたりしなくちゃいけないんですよね。そして、元ネタを知っているが故に読者が共有できていたキャラへの共通認識が失われてしまう。登場した瞬間から、このキャラはこんなんだから、という前提がなくなっちゃうんですよね。
これらが、単に掲示板でのAAを使った形式の話を小説に仕立て直す、というだけでは済まない大幅な改変を必要としてしまう所なのである。殆ど、一から作り直し、と言っていいのではないだろうか。
先人たるゴブリンスレイヤーがどれだけ秀逸なのか、改めて実感させられてしまう。

私自身はこの原作である「やる夫はカードを引くようです」は読んでいないのだけれど、一からキャラを生み出してキャラ立ちさせないといけないという部分で、冒頭からかなり試行錯誤している感触はなんとなく伝わってくるんですよね。特に主人公であるアキトは元がやる夫ですからねえ。相棒であるキャロルが登場してくるまでは非常に手探り感が強い。
このガチャに支配された世界観の説明にも多くの手間を取らされて、やはり本番のカードバトルが始まるまではテンポがどうしても悪い感じが残る。まだまだ出会ったばかりのアキトと秘書カードのキャロルもお互いをよくわかっていなくて、相棒感も薄いですしね。
だからこそ、本番となるのはキャロルがツッコミキャラとして大いに機能し始めるナイト・ロメオが現れてから、になるのでしょう。
やたらと個性の強いナイト・ロメオのしっちゃかめっちゃかな言動にキャロルが我慢できずにツッコミを入れる、という形式の完成によって段々と元がAAスレだった時らしいノリとテンポが戻ってくるんですね。カードバトルシーンも本格化する事によってここらへんから、感触も掴んだのか作品全体的に地に足がついた軽快さが増してくるのである。
とはいえ今の所、まだ新たにチームを組んだメリッサとナツメもキャラがよく掴めないし、他の連中が使うカード類もイマイチ印象に残らなくて、どういうカードなのか伝わってこないのが辛いところ。原作を知ってたら、あのカードは元キャラがあれだから、という風にわかるんだろうか。
一応、読み終わってから原作のウィキなどを見て、元ネタ調べたりしているのだけれどやはりちゃんとスレ見ないと頭に入ってこないものですねえ。
元キャラに基づくネタなんかも、随分とスポイルせざるを得なかったのでしょうし、なかなか手探りの難しい構築となるでしょうけれど、段々と熟れていく感触は伝わってくるので次の巻ではもっと面白さが加速していけばよいのですが。


探偵はもう、死んでいる。 ★★★   



【探偵はもう、死んでいる。】 二語十/うみぼうず MF文庫J

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君、私の助手になってよ」
四年前、地上一万メートルの空の上で聞いた台詞から、俺と彼女の物語は始まり――終わった。

俺・君塚君彦は完全無欠に巻き込まれ体質で、謎の黒服に謎のアタッシュケースを持たされたあげく、ハイジャックされた飛行機の中で、天使のように美しい探偵・シエスタの助手となった。
それから――
「いい? 助手が蜂の巣にされている間に、私が敵の首を取る」
「おい名探偵、俺の死が前提のプランを立てるな」
俺たちは、世界中を旅しながら秘密組織と戦う、目も眩むような冒険劇を繰り広げ――

やがて死に別れた。

一人生き残った俺は高校生になり、再び日常というぬるま湯に浸っている。
なに、それでいいのかって?
いいさ、誰に迷惑をかけているわけでもない。
だってそうだろ?
探偵はもう、死んでいる。

これ、タイトルに凄く惹かれたんですよね。
「探偵は、もう死んでいる」ではなく「探偵はもう、死んでいる」。このニュアンスの違いですよ。
そこに句読点を打つことで、探偵の死をすでに過去のものとして処理してしまえているのではなく、今もまだ探偵の死に心引きずられ、振り返ったまま懐旧にむせんでいる。そんな感情が伝わってくるタイトルなのだ。
君くんの心は、遠くに去ってしまったかの探偵についていってしまって帰ってこない。迷子の子犬のように本体から転げ落ちて、くっついていてしまった君くんの心を前にシエスタはずいぶん困り果てたのではないだろうか。
いや、彼女は探偵だ。なにしろ名探偵だ。そんな事は死ぬ前から全部まるっとお見通しだったに違いない。そんな風に彼を仕立て上げてしまったのも彼女自身だ。マッチポンプも良い所だろう。
だから彼女は帰ってきたのだ。死してなお、迷子の君くんの心を元の宿主の元に連れて帰るために無理を押して帰ってきたのである。
助手にしかなれないように仕立て上げたあの少年に、新たな名探偵と出会わせるために。
だから、これはそういう話なのだ。出会いと、再会と、ちゃんとした別れの物語なのである。
そういう眩いばかりの素材によって彩られた物語、のはずなんですよね……。
うーん。
折角の素材に対する調理と味付けが、個人的には薄味だし出汁が抜けてるしとっ散らかっててどうにも食べた気がしない、というのが正直な所でありました。
冒頭からの名探偵とその助手の冒険に、人造人間を有する謎の組織との攻防とか、懐かしくも西尾維新さんを想起させてくれるようなメフィスト系の新伝奇ミステリーっぽさを感じさせてくれてワクワクしてたのですけれど、そこから広がっていかないというか踏み込んでいかないというか。
最初の心臓の話からして、えっそこで話決着しちゃうの? 登場人物たち、それであっさり納得しちゃうの? とえらく簡単に話が纏まってしまって、次のエピソードにという展開にふわふわと地に足がつかないままベルトコンベアーで次章に流されていくような感覚だったんですよね。
キャラ同士の軽快な丁々発止の掛け合いはそれ事態は普通におもしろいと思ったのですけれど、うーん、彼らの言葉の力強さや行動に込められたものに、物語そのものを推し進めるような、或いは登場人物の心を動かしたり熱を帯びさせるだけの「中身」をどうしても実感として感じ取れなかったものですから、そこで戸惑い、物語そのものから距離感を感じたまま、流れていくそれを見送るしかなかったのです。他の読者の評判は良いようなので、どうにも「合わない」作品だったのかなあ、といささか残念に思う所でありました。

帝国の勇者 世界より少女を守りたい、と“まがいもの"は叫んだ   



【帝国の勇者 世界より少女を守りたい、と“まがいもの"は叫んだ】 有澤 有/なのたろ GA文庫

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「〈勇者殺し〉はどこだぁぁぁぁ!!」
ベルカ帝国が誇る無敵の異能兵士、【帝国の勇者】が反乱軍に殺害された!? 事態を重視した帝国は、勇者カイムを報復のため派遣するが……。
「……まるで、死んだシオンに……」
カイムの前に現れた標的は<勇者殺し>に殺された仲間のシオンだった!!
しかも、古の英雄が振るった伝説の聖剣を掲げ、帝国の殲滅を宣言!?
「俺はすべてを捧げて、お前を救う」
聖剣に支配されたシオンを救うため、カイムは〈勇者殺し〉こと、蘇った英雄に挑むが苦戦。力量差を覆そうと、最後の切り札を使う――。
「――ゆくぞ〈リンドブルム〉!」
第11回GA文庫大賞奨励賞。英雄の理想と少年の誓い、勝ち残るは!?

シオンシオン言い過ぎ!! カイムくん、あんまりにもシオンシオンしか言ってなくて、それしか頭にないのか、と。いや勿論、カイムがシオンを一番大事にしている、帝国よりも世界よりもシオンが大切、というのがカイムという人物の根幹であり何より物語の肝となる部分というのはわかるのですけれど、それにしてもシオンシオンばっかりで他に何も考えてなさそうに見えてしまうのが主人公として大いに辛かった。実際は軍務についても真面目にこなしていましたし、仲間たちの事も気遣っているので何も考えていないというわけではないのですけれど、何かあるとそれらを全部放り出してシオンシオン言い出すので、やっぱりシオン以外何も考えてないようにしか見えないんですよ!
掛け替えのない大切な人、自分にとって命にも魂にも等しい無二の人物というのを表現する方法は色々とあると思うのですけれど、カイムのそれはシオンの事となると知能が下がってるんじゃないか、という風に見えてしまうので表現方法としては稚拙に見えてしまうんですよね。これじゃあ、ただのアホの子じゃないか。いっそ、狂気の領域までシオンという存在に執着し囚われているように見えればいいのですけれど、シオンシオン、勇者殺しはどこだーっ、と状況も踏まえずただ叫んでいるばかりでただ頭が足りない、視野が狭いようにしか見えなかったのです。
視野が狭いと言えば、相手のレオンもわりと極端な視野の狭さなんですよね。自分の考えに凝り固まって、周りの考えも状況もそもそも理解するつもりもなく、現状と自分の考えが食い違えば理解を示す素振りを見せつつも実際は現状のほうが間違えているのだ、と固執する。あれは暗殺されますよ。そして死んでもまったく治ってない。よほど暴君になりかかってたんじゃなかろうか、あれ。
勇者と名乗りながらただ独りの幼馴染に固執するカイムと、勇者として個を一顧だにせず全体の最良を優先するレオン、と勇者の在り方を鏡合わせのように対比させたかったようにも見えますけど、カイムのそれは恋だの愛だのを突き詰めて世界の行く末を振り切って一人の女にこだわる、という体では全然なく、そもそも世界とか国とか端から頭になく天秤に乗せる要素ですらなく、しかしシオンへの執着は愛情にまで昇華されていなくて、ただの子供が自分の宝物を掴んで離さずキャンキャン鳴いてるようなものに見えるんですよね。対するレオンも全体を考えて、とか言いつつあれ完全に自分の思想勇者像に酔っているような感じがして、そこに大切なものを引き換えにする悲哀や信念の尊さが見えてこない。全体のためを謳いながら個の我執に見えてしまう。在り方を代表して対峙するには両者ともなんかもう塩っぱい。

これなら、カイムもシオンも私のもんじゃー、と言い切ってるミーナさんの方がいい意味で振り切っていて、良い歪み方してるんですよね。
エリーゼも敗戦国の王族として、責任の取り方に悩んでたり将来国をどう動かしていくか希望と絶望を綯い交ぜにしながら、歯を食いしばって掴み取っていこうという根性を見せてたり、セエレくんの大切な仲間を失った喪失感に耐えながら今一緒に戦っている仲間たちを守るべく立ち回る健気さとか、カイムたちの部隊の隊長の少数民族出身の複雑な背景と裏腹の姉御肌なところとか、脇を固めるキャラクターたちの方がむしろ豊かな側面を見せていて、作品を底支えしてるんだよなあこれ。
ってかあそこまでシオンシオン言い続けておきながら、彼女に対する感情への自覚が全然足りないってカイムくんどうなの? それってどうなの? 
死んだ殺されたと思っていた家族同然の大切な女性が、実は……という展開は非常に美味しいシチュエーションのはずなんですけど、その当事者であるカイムとレオンがどうにもこうにも自分にとってはどうにも中途半端でしっくりこなかったのでした。ってか決着もつかないのかよ!
シオンの出自とか伏線もあるみたいなんだけど、カイムがもうちょっとなんとかならんと辛いかなあ。

解術師アーベントの禁術講義 ★★★☆   



【解術師アーベントの禁術講義】 川石 折夫/ HxxG 電撃文庫

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待ち受けるのは生か死か――異端の魔術医が石化の呪いに挑む!

魂に直接メスを入れ患者を蝕む『呪い』を除去する異端の解術師(げじゅつし)・アーベント。
通常の治癒魔術では治せない呪いでさえも解いてみせるその奇跡の施術は、失敗すれば死亡率100%の禁忌の術だった。
闇医者と疎まれながらも、魔術講師として神学校に勤め、とある目的のために『解術』に取り組む日々。
そんな中、天才魔術師・レイミュの襲撃に次ぎ、校内で生徒が石化される事件が発生。アーベントの手腕をもってしても一筋縄ではいかない呪いの魔の手は、ついに彼の教え子にも及んでしまい――。
外道魔術医の戦いが今、幕をあける!

ファンタジーで医者を主役として取り上げる作品自体は少ないとは言え相応に在るのですけど、テレビドラマなどでよく見かける「医療現場」を舞台とした作品はなるほど珍しいんではないかと。
犯人の動機や主人公のアーベントが異端者として扱われているのも、ライバルとなる名医との軋轢も、その本質的なところにあるのは医療現場における旧弊に根ざす問題だったわけですし。
主人公のアーベントは解術と呼ばれる異端の医療を扱うことから、同業者からも蔑まれ疎まれていて、本人も斜に構えた態度に終始していてアウトローを気取っている、気取っているというと言葉が悪いけれど、あまり柄の良い人間ではないという風に振る舞っている。なので、腕は良いけれど人間的に問題が在る人物なのか、と思いきや……。
いや、なんかね、見てれば見てるほどこのアーベントって言ってしまうと「立派」な人物なんですよね。医者としては何よりも患者第一で病巣を駆逐して患者を救う事に情熱を傾ける熱い人物であり、教師として生徒たちには熱心に技術と医者としての精神を教え導いてて非常に生徒思いであり、ただの人間としても迷いを抱えている人を見過ごせずに何くれとなく手を差し伸べる人間性の持ち主なんですよ。
真っ当を通り過ぎて、これ立派としか言いようがないじゃないですか。
とはいえ、彼が扱う解術と呼ばれるものは異端呼ばわりされるのも無理ない危険性を有していて、失敗すれば100%患者が死亡するという危ういもの。しかし、その解術でなければ救えない患者がいるのなら果たして見過ごすことが出来るのか。
彼が闇医師として要求する報酬は、あまり風聞の良いものではないのは確かで、彼がその報酬を必要としているのは間違いない話では在るのですけれど、彼が手術を執刀するのはやはり患者を救うため、なんですよね。その本質がブレさせない事こそ人間性を喪わないことこそがアーベントの目的にも叶うわけですけれど、彼の場合はそれこそが素でもあるっぽいのがまたいいんですよね。
闇を背負いながらも、その本質はあまりにも人、というのは実に真っ当な主人公らしさじゃないですか。

肝心の手術シーンもなかなか他に類型が見られない独特なものではあるんですけれど、現実の外科手術らしさと魔術を用いた特殊な医療という2つの特性を見事に併せ持った映えるものなんですよね。それだけ独特なものにも関わらず、その解説説明がわかりやすく伝わるものでこれがイメージしやすかった。おかげで、手術シーンの臨場感も十分であり本作の見せ場となる手術のシーンがちゃんと緊迫感ある盛り上がる展開になっていて見応えあるものでした。
一方でストーリー展開の方はちょっと容易に先が見通せるもの過ぎたでしょうか。あまりに見え見えすぎたんで実のところ解明編になるまで裏があるのではと疑ってたんですよね。でも、結果はそのままその通りでちょっと拍子抜けしてしまいました。
ヒロイン?になるのか、レイミュはラストの展開にも欠かすことの出来ない非常に重要な役割を担うキャラではあったんですけど、微妙に立ち位置がふわふわして定まってなかった気がするなあ。いや、立場としては弟子入りすることからもはっきりしてるわけですしキャラもパリッと立ってるのですけれど、微妙に存在感を示しきれていない感があった感じがして。まだ彼女自身自分の存在意義、レゾンデートルをはっきりとさせられていないままだったのもあるでしょうか。だからこそ、あっさりと転向してしまったわけでもありますし。最後の選択が彼女なりに芯を通すものであればよいのですが。
まだ字の文章も微細なぎこちなさ硬さみたいなものを感じさせられて、文字を追う目がリズムに乗り切れなかったというのも確か。ただこれは書いているうちにこなれてくるものなので、あまり気にするようなものでもないですけれど。
好敵手となる若き魔術医とのお互いを認め合う関係なんかも良かったですし、次回はさらなる飛躍を期待したい新人作品でありました。

異世界でタコ焼き屋はじめたけど、わりと簡単につぶれた ★★★   



【異世界でタコ焼き屋はじめたけど、わりと簡単につぶれた】 七色春日/キンタ  HJ文庫

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河川敷で生活する男の名は暁平助。転移した異世界でたこ焼き屋を開業し、一山当てた時の人だ。しかし、ある事件により事業は頓挫。瞬く間にホームレスに。
そんな平助が一日の糧を賭け、バーガー屋のゴミ捨て場でカラスや野良犬と激闘を繰り広げていると、凛とした女性の声がかかる。
「お久しぶりねご主人様。しばらく見ない間に愉快になったじゃない」
実業家時代に拾った奴隷メイド・サーファイアとの再会が、最底辺から始まる人生逆転劇の幕開けとなるのだった……!
わりと簡単に潰れた、というから調子に乗って放漫経営やってしまって経営失敗しておじゃんになったのかと思ったら、いやこれ権力者の横暴じゃないですか。
お忍びで評判のたこ焼き屋に食べに来たお姫様がタコが嫌いだったために激怒。こんなものを食わせた店主は処刑だー、と騒ぎ立てたために平助は命からがら逃亡、という顛末。いやいや、平助の方に全然非はないじゃないこれ。経営的にも順調に儲けていたわけですし、見た所他に没落の予兆があったわけでもないので、ひたすら理不尽だよなあ。
しかし、ホームレスやりながら拾ってきた建材やホームレス仲間の助けで作った屋台で、河川敷でほそぼそとたこ焼き売りを続けていた、ってタフというかアグレッシブというか、あれだけの目に遭いながら心折れずに諦められなかったところに、平助のたこ焼き作りへの情熱、あるいは執念が単なる金儲けのための道具でなかったことが伺える。何もかも失ったあとのただの拠り所だったのかもしれないけれど。それもまた、理不尽に排除されてしまうのだけれど。いやまあ、河川敷で勝手に食品売ってるって、衛生的な問題もあるし無許可営業は商法的にもマズイし全般的にアウトっぽかったのですが。
拠り所だった仮設屋台も破壊され、助けてくれていたホームレス仲間たちも散り散りになって、本当に何もかも失ってしまった彼が、それでも食いつなげられたのは皮肉にもこの国のこの時代が飽食の時代だったからなのか。もったいない、なんて単語産まれてないんだろうなあ。食べ残しは平然と打ち捨てられ、売れ残りはそのままゴミ捨て場に積み上げられていく。
これ、決して実際に食品を取り扱っている人たちがこれらの廃棄物に関してなんにも思っていないわけじゃないのは確かなんですよね。サーファイアも奴隷メイド時代はこうした廃棄品に関して嫌悪感を感じていたにも関わらず、経営者側になったら否応なく廃棄物を出さないと経営をやっていけない、という状態に自分の中から沸き起こる嫌悪感を押し殺して、出さなければならないものを出しているところからも伺える。
一度社会がそうなってしまうと、個々の経営者がどう考えようとなかなか流れには逆らえないんですよね。生き馬の目を抜く世界が、そうした余裕を奪っていく。だからこそ、行政側からのアプローチが必要になってくるわけですけれど、この異世界って物資が豊かになっていく一方でそういう社会福祉の意識はまだまだ未発達の現代に至らぬ近代未満の王政国家っぽいんですよねえ。
とはいえ、奴隷出身のサーファイアが何だかんだとファーストフードチェーンの経営者になれているくらいだから、身分の流動性はあるようなのだけれど。それでも、権力者との癒着がまだまだ必要不可欠、というのは辛い現実である。一度の破滅から復活を遂げることになる平助もまた、再び貴族同士の権力争いの駒に仕立て上げられ、その志を試されることになるわけで。
一度破滅するまでの平助は、成功者らしくちと他者に対して傲慢になっていたようなんだけれど、具体的な話はあんまり回想でも出てこなかったし、それほど心いれかえてより良い経営者になった、というのは前と比べられないからあんまり感じられなかったのだけれど、それでも改めてなぜたこ焼きという具材に拘るのか、自分の背中を見て実業家になったサーファイアに恥ずかしくない商売が今の自分に出来るのか、と自問自答しながら自分のたこ焼きへの想いを真っ正直にぶつけていくスタンスは……成功したのでギリギリセーフ? いやこれ、失敗してたら感傷に負けました、という感じでいい話にはなれなかったんでしょうけどね(苦笑
サーファイアもあれだけえげつない経営しておきながら、ちと平助が盤外戦術使ったら失望を垣間見せるのズルい気がするよ。
まあサーファイアの方は追い詰められると速攻で犯罪に走ろうとするそのゲスさが魅力になってるんですけどね。なんという酷いヒロインw でも、平助へのあの一途さというか憧れを抱いている姿は普通に可愛いですよ、うん。
しかしサーファイアの方はともかく、あの姫様の方はフォローの余地が全然ないと思うぞ。あのラストだけではちょっと許せる範疇ではないし。そのうち革命とかで落ちぶれそうなくらい、民衆の人気もないしなー。

のけもの王子とバケモノ姫 ★★★   



【のけもの王子とバケモノ姫】 平尾 隆之/足立 慎吾  富士見ファンタジア文庫

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長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の感染病にかかった第三王子シュウは、壁の外に追放されてしまう。そこは異形の民モール族が生きる荒れ果てた大地…未来に絶望するシュウ。そんな彼に手を差し伸べたのは、モール族でも異端の美しさを持つ王女ミサキで―「ひとつだけあるわ。お前の居場所になるかも知れないところが」新天地で出会う彼らの文化や生態にシュウは驚き、魅了され、いつしか人間とモール族が共に生きることこそが希望だと気づき!?ふたつの種族の間に横たわる大きな『壁』に、それぞれの異端のふたりが立ち向かう、王道冒険ファンタジー!
あとがきを読んでから知ったのだけれど、この平尾さんってアニメ監督やってる人なのですね。なるほど、言われてみると本作ってオリジナルのアニメ映画的な作りであるんですよ。一時間から一時間半の放映にすっぽりと収まるくらいのこじんまりとした世界観、それぞれの対立民族の置かれた状況設定、その狭間に放り込まれることになる主人公と、ヒロインであるお姫様の「のけもの」同士のボーイミーツガール。そこからの、長く固定化されていた現状の破綻からの破局。それを回避するための戦い。オーソドックスであり、王道的な展開なんですよね。その物語の流れにともなくエピソードの摘み方が熟れているというか、まとめ方にソツがない感じが読んでてしていたのですが、作者の本業を知ってなるほどなあ、と納得した次第。
ただ、小説という媒体がはじめてなせいか、どうにも冒険や遊びが少なくてきっちり纏めよう纏めようという感覚が伺えるんですよね。物語を正常に運行しようというスケジュール管理がしっかりしすぎていて、キャラの掘り下げなどが表層だけで片付けられてしまっているような。モール最強の剣士であるあのちっちゃいキッカに関するエピソードなんかは特にそんな感じで、モールの王族の次兄の酷薄さをアピールするための要素になってて、キッカ自身の存在感を示すものにはなってませんでしたし。
でも、後半に入ってからちょっとしたギャグが挟まれるようになって、シュウが右往左往したりツッコミいれたり、という場面が増えてきたのは、あれ物語の進行上では余分ではあるんですけど余分であるからこそ作者の筆が乗ってきたような感じがして、良かったと思うんですよ。脚本の上の駒という役割から、書いているうちにキャラとして自由に振る舞い出したというか、作品として完成させるという最終目的だけではない、キャラへの愛着が湧いてきたような感じが伝わってきて。
そうなってくると、シュウとミサキのやり取りなんかもずっと生き生きしたものになってくるんですよね。二人が段々と惹かれていく、という関係の変化もあるのでしょうけれど、ベアトリーチェとの気のおけないやり取りも含めて、前半の頃よりもずっと躍動感が出てきてるんですよね。
もし続くなら、この生き生きとした雰囲気は作品全体に広がっていきそうな、もっともっと良い作品になっていきそうな感触がありました。
どこかすっとぼけたベアトリーチェも、恥ずかしがるミサキも終盤ほんとに可愛くなってたので、これは続きを見てみたいですね。モール王の意味深な台詞もありましたし、ミサキの出自もまだ謎が多かったみたいだし、引き出しはまだ十分にあるはず。

札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド ★★★☆   



【札幌市白石区みなすけ荘の事件簿 ココロアラウンド】 辻室 翔 /霜月 えいと  富士見ファンタジア文庫

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人類の一部が代償つきの超能力を得るようになった世界―の札幌。白石区にあるみなすけ荘には個性豊かな能力者たちが住み、増加する超能力犯罪に挑む自治組織を営んでいた。住人の藤坂工輝は「死ぬと生き返る」能力を駆使し、高校生ながら事件解決に一役買っていた。そんな彼の最大の関心事は新住人の女子高生・八野心。なぜか自分の能力を明かさない彼女の秘密に、ある事件をきっかけに触れることになるが―
「…わ、私の能力を知っても、味方でいて、くれますか?」
だがその事件は、心を巻き込み、札幌を危機に陥れようとしており!?心を救うため、みなすけ荘メンバーが立ち上がる!第31回ファンタジア大賞“銀賞”受賞作。
工輝と久地中さん、みなすけ荘の男性陣二人、ふたりともホントに気持ち悪いからね、それ! 気持ち悪い系男子だからね! 愛が気持ち悪い!
しかし、そのしつこく粘っこく重たいすなわち気持ち悪い偏愛もまた、一途だと愛おしくなるもので。いやもう、本当に気持ち悪いんだけど本人は本気だし真剣だし愛しているからこそ語り倒すわけですよ。工輝くんの場合は、小胸に対する愛なんだけれど理想的な小胸の持ち主である心からすると、気持ち悪いんだけれどそれだけ夢中に純真に愛してくれると嬉しいんですよね。そりゃ、相手が人間そのものから気持ち悪い相手だと生理的にごめんなさいかもしれないけど、工輝は人生の恩人であり筋金の入った優しさの持ち主であり、彼の献身と一生懸命さは傍目から見ていても庇護欲を掻き立てられますし、その一生懸命さと一途さが自分に向けられたときたら、キュンキュンしてしまうのも無理はなく、止めに心にとっての長年のわだかまりや不安を一掃して心を晴らしてくれた人なのでありますから、そりゃあ絆されますよね。……ほんとに気持ち悪いんだけど!
おなじみなすけ荘のメンバーで、恋人である佐山花恋への愛がおもすぎて気持ち悪い久地中さんの方も、あれ花恋さんとめでたくラブラブになるまでいったいどんな紆余曲折があったか若干気になるところであります。花恋さんが花恋さんで元ヤンの魔法少女系超能力者という属性過多すぎる伝説持ちなだけに、本当に何があって今結婚資金を貯めてる同棲関係、みたいなところまで関係が進展したのか過程が気になる。久地中さんって能力からして元ストーカーだったんじゃないのか、と疑ってしまうんだけど、今となってもあの彼の愛の重さを何だかんだと受け止めてイチャコラしてしまえてる花恋さん、そういうの本来は耐性なさそうな人なだけにこの二人、微妙に彼らの物語のハッピーエンド後、てな感じがあるんですよね。
工輝くんもまた、闇堕ちしかけてたり人生に挫折しそうになってたり、と暗黒時代を経て今の情けは人の為ならずをモットーにひたすら人助けしまくって情けをばら撒いている、人呼んで困ってる人狩りな日々を送っている、色々あって今に至るの主人公なんですが。わりと壊れてるというか人生踏み外しかけてる生き方しているわりに、独りよがりにならずに周りの人に頼ったり生き方と現実とのバランスのとり方が上手いんですよね。これは、死ぬたんびにあの世とこの世の狭間か普段は異世界転生用の面接室か、というような空間でメンタルケアやカウンセリングをしてくれて現世にお繰り返してくれる女神様のおかげなんでしょうけど。優しく労りながら、無茶したらちゃんと叱ってくれて、となんでしょうこの現地嫁のような癒やし系お姉さんキャラは。工輝の小胸主義って小胸な女神様に出会う以前なのか以後なのか。以後なのだとすると、結構重症なのかもしれない。あれだけホイホイと簡単に死んでしまえるのも、信念ゆえだけではなく死んだら女神様に会える、という点は無視できないものだろうし。
でも、これだけ気持ち悪いタイプの人なのに、そのばっさりした所は気持ちよくもあるんですよね。今回の事件の犯人の自己正当化を、一言で切って捨ててくれたのは一番の痛快どころでありました。彼が、女神様に会わなかった場合の自分の末路だったかもしれない、という向きはあったにしても。

しかし、あの園山さんの格好、能力とは厳密には関係ないよね? 能力の発動条件聞く限りでは別にブルマとか関係ないよね!? あれ絶対趣味のただの痴女でしょう!?
あと、人助けして回っていたその報いとして、工輝に助けられた人たちが集まりましたけど……あれ、最初の母娘が通報してくれた以外は特に意味なかったような。たくさん人が集まって目立つことで、みなすけ荘のことを知ってる人と巡り会えた、という理由付けなんだろうか。

よく見ると男のみならず、女性陣の方にも何人か気持ち悪い系の人がいる(牧下さん貴女だ)気持ち悪い系キャラ過多な作品でしたが、そんな彼ら自身は気持ちいい人たちばかりで、能力の弊害への苦しみなど重いテーマもありながら、痛快に楽しめる良作でありました。デレてる心のおずおずとしながらも積極的なところは、非常に可愛いものがありましたよ、うん。

クラスメイトが使い魔になりまして ★★★★   



【クラスメイトが使い魔になりまして】 鶴城 東/なたーしゃ ガガガ文庫

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「その貧乳で使い魔は無理だろ」「死ね!」

クラスの美少女を侍らせてみたい。

誰もが一度くらいは考えるんじゃなかろうか。でもまあ、正直オススメしない。
落ちこぼれ魔術師の俺、芦屋想太には藤原千影という使い魔がいる。彼女は魔術師の名門出身で、ついでに誰もが憧れる学年一の美少女だ。
え、羨ましい? まじか、じゃあ譲ってやるよ。
まず、こいつはご主人様に求める理想が高い。負けん気が強く、中々反抗的で、絶望的に貧乳だ。
それでもいいならぜひ引き取って……あ、うそ! 許して、藤原さ―――

この物語は主従関係からはじまる、ふたりの恋(?)のヒストリー……らしい。
ストーリー展開にも世界観にも特筆スべき部分がなく概ねオーソドックスにも関わらず、ついつい没頭してしまう面白さというのは、やっぱり語り口の上手さということになるんでしょうね。どれだけお話が面白いネタであっても、それを伝える喋りが下手ならその面白さなんてものはさっぱり伝わらない。いやこれ、なんでこんなに面白いんだろう、と思わず首をひねってしまう作品は大概これなんですよねえ。
主人公は控え目に言ってもろくでなし。やる気のないクズ。実は熱い心を秘めていて情にも厚く義理堅い、というわけでもない。とはいえ、正真正銘のクズ野郎でも悪人でもゲスの類でもないんだけど。そこまで悪くはないんだけど、という中途半端さは実に一般人らしい範疇である。こういうのを、意識が低いというのか。
対してヒロインにして事故で使い魔になってしまった藤原千影は自分にも他人にも厳しい意識高い系。そりゃ相性悪いよね、という所なんだけれど事情が明らかになってくると千影の想太への当たりの強さは彼女の意識の高さとは関係ない、いや極めて強い関連性はあるんだけれど、想太の向上心の無さ実力の無さが自分の美意識と合わない、許せない、という類の苛立ちとは種類が異なっていたことがわかってくる。
これ、最初想太の使い魔になってしまったこと、千影は本気で絶望して錯乱して嫌がっていたのだと思っていたのだけれど、わりとさっさと諦観に飲まれてしまったというか想太の使い魔として一生仕えなければならない、という悪夢を白目剥いて虚ろになりながらも現実のものとして受け入れてしまっていたんですよね。それを不思議には思わなかったのですけれど、考えてみるともっと現実逃避したり、もっと必死になって使い魔の楔を解く方法を探し回ったり、想太に対して敵愾心を剥き出しにしてもおかしくはなかったんですよね。いや、もう想太とバチバチ文句言い合って暴れて罵倒しまくって、としていたからあんまり違和感感じていなかったのだけれど。
でも、最後まで読んで想太と千影の過去を垣間見てしまうと……千影さん、実は渡りに船だったのじゃないのか、これ。嫌がらせで、このままならアンタを婿入させて名家の当主に仕立て上げて権力闘争の渦中に放り込んで一生苦しめてやる、死なばもろともだー、とかほざいてたのも、いやわりと的確に想太が本気で嫌がる未来絵図だったので真実嫌がらせだと思ってたんですけど……実はわりとマジだったんじゃないのか?
意識して意図的だったかは怪しいけれど、無意識に望んでいたことをぶちまけていた可能性は十分にある。現場、千影自身の罪悪感や名家の後継者として決して望んではいけなくて叶うはずもなかったことを、周りにも実家にも自分自身にも言い訳できる形で、これは仕方ないことだから仕方ないのだ、と受け入れさせることができるチャンスだったわけですから。
実際の使い魔生活は、実質同棲生活そのもの。お互い距離感を図りながらのそれは、はじめて一緒に暮らし始めてお互いうまくやれる範囲を探り合う、という点で同棲じゃん、としか言えないし、その中で魔力供給のためとはいえ、週一回映画を借りてきて手を握りながら一緒に一本見るのを決まりごとにしている、とか完全にお家デートじゃないですかー。
これでどうにかならない主人公は、それほど徹底した貧乳排外主義なのか。ただ、どうにも過去の呪いの影響で記憶への干渉があるのは確かとしても、それ以外にも何らかのリセットが度々掛けられている可能性はあるんだよなあ。もしくは、自分自身で千影という存在に対してセーブをかけているか。
でも想太、呪いによって記憶だけじゃなくて人格そのものに影響を受けている可能性もあるにしても、やっぱりクズの資質はあると思うんですよね。ソフィアに対してのあのラストの仕打ちは、なかなか出来るもんじゃあないですもんね。
でも、あれはソフィアが悪いしなあ。人の話を端から聞かず、要望も懇願も無視して好き勝手して自分のやってほしいことを無理やり押し付けてくる。嫌だ嫌だといってるのをあれだけスルーされて強要されたら、現実的には弁護士案件の範疇と言えなくもない。縁切りは、相手を慮っていてはキリがないもの。
でも、それを加味した上でもあれは恨まれるよなあ、酷いよなあ、鬼畜カレシよなあという切り捨て方ではありました。浮かれてたんだよ、浮かれきってたんだよソフィアさんは。あれを可哀相、と思ってしまうのは仕方ないよなあ。ソフィアさんといいスケバンといい、感情的に一杯一杯になった時のあの描き方は、テンパってる様子や頭のなか本当にぐちゃぐちゃになってる様子がダイレクトに伝わってきて、特にいいなと思うところでありました。
一連の出来事の引き金をひいたあの召喚事故の本当の黒幕は、結局わからないまま次回へ続くか。あからさまに怪しい人が一人いるけれど、さてそれが本命かそれとも釣り餌か。なにはともあれ、面白かった。

上流学園の暗躍執事 お嬢様を邪魔するやつは影から倒してカースト制覇 ★★★   



【上流学園の暗躍執事 お嬢様を邪魔するやつは影から倒してカースト制覇】 桜目 禅斗/ハリオ  角川スニーカー文庫

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財界・政界のトップに裏社会のボス…そうしたエリートを親に持つ生徒が集う名門校・星人学園。彼らが“主人”となり、一般生徒を“執事”として従える、煌びやかな学園生活で行われるのは―買収脅迫なんでもありな、実力主義の謀り合いだった!学園での序列=卒業後の人生の優劣!!そこに足を踏み入れるのは執事一家の末裔・片平遊鷹。その秘めたる実力を見いだした財閥令嬢・三神黒露は遊鷹を執事に指名し、序列を決める初戦“学級代表選挙戦”に臨むことになるのだが―遊鷹は定石や校則をも覆す奇策の数々で、並み居る秀才たちを出し抜いていく!!掟破りの主従×学園×頭脳バトル、開幕!第24回スニーカー大賞特別賞受賞作。

タイトルからすると、相当にガツガツと生徒同士で序列争いする学園闘争がテーマの作品に見えるけれど、ぶっちゃけ序列争いにそんな入れ込んでるのって極々一部だけで、だいたいの登場人物はほわほわと過ごしてるぞ、これ。そもそも、黒露お嬢様は総資産百兆(笑)の学園内の頂点であり(ボッチだけど)、最高ランクの人物なのでカースト制覇とかあんまり関係ないし、そもそも遊鷹くんってあんまり暗躍とかしてないし、影から闇討ちみたいなことも全然してないんだけど!?
それ以前に、邪魔してくる人たちを倒していたかというと……逆に敵愾心をうまく和ませて、友達がいなかったお嬢様に友達を作ってあげたり、と倒すどころか友達の輪を広げているような形で収めているので、相当に穏当だったような。
黒露お嬢様も、遊鷹を執事に指名したときは、常に面白いことをして期待に応え続けないとすぐにクビにする、みたいなマウントを取ってきて、クール系完璧お嬢様が退屈と才能を持て余して執事になった遊鷹を振り回すのかと思ったのですけれど、遊鷹くんてば無茶振りされてもわりと飄々とクリアしてしまうわ、黒露お嬢様が実は色々と隙あるわ、自分でフラグ立ててマメに回収してくるわ、そもそもボッチだわ、と人間味の薄い完璧超人の裏側にあった普通の年頃の女の子の部分を着実に引っ張り出してくるんですよね。
黒露お嬢様も、決して実はポンコツ!!なんてものではなく、本当に最優秀で何でも熟してしまう人なのだけれど、人付き合いになれていなかったり、天才ではなく実際は努力型で努力だけではどうにもならない部分には瑕疵があったり、と普通に接していたら気が付かないであろうところが、遊鷹と一緒にいることで引き出されてくるわけで。むしろ、そうした部分が見えてくることで彼女を遠巻きにしていた周りの人間たちが近づいてくるんですよね。遊鷹自身も、すぐに黒露にとって自分の知らなかった自分を引き出してくれて、自分に友達というものを触れさせてくれて、ほんとうの意味で面白い世界を見せてくれた人ということで、掛け替えのない人になっていくわけです。
遊鷹というキャラ、なかなか掴みどころがなくて序盤は優秀なのか凡庸なのか定かではないのですけれど、小ボケを常に挟みながら終わってみたらあらゆる課題を悠々と、期待以上の形でクリアしてるのですから、やっぱり優秀なんだろうなあ。言動はどうにもホントに、ふわふわしてるというか飄々としていると言っていいのかわからない塩梅なんだけど。
ただ、常に主人の「心」に寄り添う執事というスタイルは一貫していて、一見忠実一途とも見えないのだけれど、実際は常に主人のためを考えてあれこれこなしていく姿は、素直に格好良いものがありました。

中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入! ★★★☆  



【中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入!】 猿渡 かざみ/ 天瀬晴之  角川スニーカー文庫

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最低ランクの小規模ダンジョンを、わずか1年で中堅冒険者パーティですら退ける大迷宮へと造り替えた中ボス・“千手”のナルゴア。しかし魔王を倒した最強クラスの勇者一行が襲来、愛すべき従業員たちを守るため、ひとり勇者に挑み敗れ―どういうわけか文明の衰退した100年後の世界に、しかも人間として転生する!召喚術師の少年となり、あまたの魔法を操る“千手”と、いまや伝説級となった部下たちを召喚したナルゴアは、魔王軍再建のため、各地のダンジョンを改革していく!
「勇者の生まれ変わりなんかじゃない―俺は、中ボスさんだ」
中間管理職と頼れる部下たちの、壮快リビルドファンタジー!

中ボスさん、レベル99とか謳っているけれど本質的に彼の強さというのは関係ないんですよね。彼がうらぶれた最低ランクのダンジョンを立て直せたのは、ナルゴアの強さのゴリ押しなどではなく、そこのダンジョンで燻っていた魔物たちに輝きを取り戻させたその人材活用術なのである。
管理職として、部下たちの存在価値を認めてあげて、その能力に合わせた働き方を指導して各々に手応えを感じさせ、その上で手厚い手当で保障することで後顧の憂いをなくさせる。
そうして部下にやる気をもたせる手腕は、まさに管理職の鑑であります。
ただ、実際に中ボスやってた折にはダンジョン立て直しの実績に加えてその誠実な人柄から部下の魔物たちからは慕われたんだけれど、ナルゴアの方からは部下たちに対して距離感があったみたいなんですよね。魔王の下に出向し、中ボスとして働き始めるまでずっと孤高ともいうべき立場で過ごしてきた弊害なのか。一番肝心なときに、彼は自分が育てた部下とともに戦うのではなく、独りで脅威と戦うことを選んでしまうのである。
でも、客観的に見てあの場面においては、まだ成長途中だったダンジョンの育成状況を考えれば、ナルゴアが独りで迎撃する、というのが一番被害少なく片付けられる可能性のある手段だとも思えるので、あの選択は間違いとは言えないとも思うんですけどね。
ただ、あの戦いをナルゴア自身は、パーティーという仲間たちとともに向かってきた勇者を、自分は孤独にたった独りで迎え撃つ、という寂しさのような感情を抱いていた以上、最適な選択ではあっても最良の選択ではなかったのでしょう、中ボスとして、ナルゴアにとって。
彼の本願が叶うのは、皮肉にも人間に転生して正式な中ボスという管理職から降りたあと、ということになります。

でも、人間転生後のナルゴアって魔王軍という職場からは離職している状態のはずなので、中ボスとは言えないと思うんだよなあw 現役中ボスさんって、後継指名したアウラウネだったり森のダンジョンの中ボスだったオウルベアの方であって、ナルゴアもう関係ないですもんね。
とはいえ、召喚魔法でアウラウネたち喚ぶわ、あれやこれやを召喚するわをしているので、あれって個人契約雇用という形になるんじゃないだろうか。なので、中ボスじゃなくて直のボスにあたるんじゃなかろうか。
というか、そもそも魔王軍自体が運営どうなってるかわからないし、それどころか魔王を子会社出向社長として派遣してたみたいな親会社みたいな「塔」があんなふうになっちゃってるのを見ると、各ダンジョンの運営って各地で独立してやってる現状になってるのかしらこれ。給料とかどこから来てるの? 有給ってどこに申請して受け付けてもらってるの? とかわりとどうでもいいところが気になってきたぞ。
後輩チャンの言い草じゃないけれど、ナルゴアくん中ボスやってる場合じゃないんじゃないだろうか。既に、ラストの展開なんて実質2つのダンジョンを指揮下においての共同作戦みたいなものですしね。上役がいなくなった中ボスなんて、さながら群雄割拠の独立君主とか軍閥の長とかみたいなもんだし、さてこのまま中ボスなんて規模でやっていけるのか。ラストの不穏な世界情勢も相まって、続きも期待でありまする。

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 ★★★★   



【葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王】 一ツ屋 赤彦/紅緒  角川スニーカー文庫

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第24回スニーカー大賞≪金賞≫受賞作!
様々な種族がひしめき合い、“葡萄”のように国が乱立する大陸の小国ランタン。流浪の少年メルは、多言語を話せる特技をランタン王に買われ、豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢される。己の奔放な振る舞いにも常に優しいメルに、徐々に惹かれていくシャルネ。そんな折、大国との政略結婚を控えた彼女は相手の王を怒らせ、婚姻は最悪の形で破談に。二国間の緊張が高まる中、次期ランタン王に任命されたのは、なんとメル!? 王として彼が取った起死回生の策は、“シャルネと結婚し、豹人族の支援を取り付ける”というものだった! 言葉を操り、人を繋げ、敗戦必至の大戦に挑む! 弱小王国の下克上ファンタジー、ここに開幕! ※電子版特典として、電子限定書き下ろし短編『キリン様の憂鬱』を特別収録!

先代ランタン王が偉大すぎるんだよな、これ。
実のところ、本作のこの一巻ぶんにおけるランタン国が辿った道筋はほぼ先代ランタン王が描いた筋書き通りに進んでいる。自らの病による死の時期すらも織り込んだ大戦略は、恐るべき事に受動的な部分が殆ど見当たらない。未来を予測して備えるのではなく、望んだ道筋に誘導し現実を予定の方へと引きずり込んでいるのだ。これは自国のみならず敵国となるバツ国ですら変わらない。どころか、バツ国と敵対状態になりバツ国が攻め込んでくることすら、誘導によるものだというのだから戦慄すら覚える。
これ、バツ側からするとどこからどう見てもバツ側の意志によって侵略を開始しているはずなんですよね。しかも、大陸中に知れ渡った英雄であったランタン王の死を契機として攻め込んでいるのだから、ただでさえ普通に攻めても簡単に滅ぼせるだろう弱小国に、万難を排して挑もうという戦いであったはずなのだ。尤も、バツの政治を司る宰相アーデルハイドから言わせれば、早すぎる侵攻であったわけだけれど、宰相たる彼をして開戦を遅らせられないほどに政局が固められてしまった段階で、先代ランタン王の掌の上だったんですよね。
そして、ランタン王の大戦略の最後にして最大のピースであったのが、本作の主人公、流民の少年であったメル・アルカートなのでありました。
すべてはランタン王の掌の上、と言いつつもお膳立てされた舞台の上で踊るのは言われた動きしか出来ない駒などではなく、自分の意志で立ち自分の胸で理想を抱き、そして夢を語ることの出来る人間なのであります。駒では、決して自体を打開できない、この場をしのげても、ランタン王亡きあとのそのサキを続けていくことが出来ない。そして何より、そこにはランタン王が思い描いた夢が無い。
王が求めたのは、国の行く末……夢を託せる次代なのでありました。だから、彼が用意したお膳立ては、黙って乗っかればそれで全部キレイに片付く、なんて簡単な代物などではなく、そこに立った者たちが皆全力を尽くさねば乗り越えられない試練であり、その試練を超えてこそランタン国を、夢の地を続けていける、その先へ広げていける可能性を得られる、そんな残された者たちへの、託された者たちへの宿題でもあったのです。
ランタン王がその生涯をかけて築き上げてきた宝を、メルとシャルネに継承するあのシーンは、この巻においてもっとも美しい場面でもありました。王の言葉には力があり、想いがあり、慈愛があり、その一言一言が胸に響く玉音でありました。これほど強く優しく染み渡る言葉の連なりが果たしてどれほど今までに目の当たりにしたことがあったでしょうか。
感じ入るばかりでした。

先王に託された夢は、メル少年にとって彼自身も抱き続けた夢でした。しかしそこに、国という重石をつけられて、それまで流民として彷徨い続けた子供にすぎない彼は一人ではとてもその重さに耐えきれなかったでしょう。しかし、王はこうも言い残したのでした。
「君は人に支えてもらえる王になれ」
そして、彼の隣には勇気ある姫シャルネがいる。表紙絵で、二人背中合わせでしかししっかりと手を握り合っている姿は象徴的だ。彼らは二人でこのランタンの王となる。そして、ここで冒頭でメルがシャルネの無聊を慰めるために語ったこの葡萄大陸の主となる王の資格を語るおとぎ話が、差し込まれてくるんですよね。きれいなきれいな伏線の回収でありました。あの荒唐無稽とも矛盾の塊で実現の可能性がかけらもない、だからこそおとぎ話にしか思えなかったあの話が、こういう形で実在性を帯びてくるなんて。

実際のバツ国の侵攻に対する防衛戦も、非常に面白かった。ここで軍師ギンが存在感を増しましてくるんですよね。戦争にも関わらず人の死をなるべく回避しようとするメルの願いは、甘いもののようにも見えますけれど、実際のところこの戦場、この戦争だけに終わるものではない将来のランタン国の進むべき道を思えば、そして何よりランタン国が体現しようとしている人々の夢を思えば、それは大局的に正しい方針なのでしょう。感嘆するべきは、メルの方針を将来の布石にするまでもなく、この場の負うべきリスクにせず、この戦局における極めて強力な武器へと昇華せしめた軍師ギンの奸智でしょうか。裏で現実主義者を気取ってるわけでもないんですよね。理想を叶えるために汚れ仕事を引き受ける、なんて後ろ向きな真似……理想や夢を神輿にして現実から遠ざけて守ろうなんて真似をせず、きちんと一緒に真正面から夢を叶える同志として寄って立つ、そんな気概を見せてくれる軍師っぷりでありました。性格はひねくれてるっぽいですけど。
バツ国側も面白くて、侵攻軍の最高司令官である宰相アーデルハイド。彼は間違いなく傑出した人物なんですよね。その才覚は、組織運営者として極まったもので運用が極めて困難な大軍を全く何の問題もなく滞りなくスムーズに他国の首都まで進め、その後も全軍の手綱を握ってほぼ思う通りに動かせていたことからも明らかで、数々のシーンから彼の並外れた能力が伺えるわけです。同時に、その才覚はあくまで軍政家であり、組織運営者であって作戦家ではなかったというあたりが非常に面白かった。軍事的に無能、というわけではないのは現場での対応能力の高さや速さからも確かだと思うのですが、教科書以上の対応が取れないというのはホント、アーデルハイドさん前線指揮官向いてなかったんだろうな、というのが伝わってくるわけです。ただ彼の場合、それが無能に見えるのではなく逆に、明らかに向いていないにも関わらずここまで出来てしまうその能力のべらぼうさに度肝を抜かれてしまう、という感じなんですよね。
今回の適性ではない仕事を押し付けられてた件に代表されるように、アーデルハイドさんそのバグってんじゃないかとすら思える能力を十分に発揮できない環境に置かれているの、敵ながらもったいなさすぎと感じていただけに、ギンちゃんの「貴方の使えるべき国はそこではない」という伝言には、グッと来たんですよね。然り然り、と。

未だ幼き二人の子供、大陸すべての種族の言葉をしゃべることの出来る少年メルと、野良猫と呼ばれる豹人族の姫シャルネ。二人は出会い、恋をして、共に同じ夢を頂いて、偉大なる王から未来を託された。
彼らは二人で一つの王。幾多の種族が混在し手を取り合って暮らす小さな国を統べる王となった。
これはそんな二人が治める小さな国が、葡萄大陸と呼ばれる世界に大きく羽ばたく、そんな歴史の幕開けの物語である。

ピンポンラバー ★★★  



【ピンポンラバー】 谷山 走太/みっつばー ガガガ文庫

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かつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星は、怪我のため卓球界から姿を消した。それから数年後、私立卓越学園の入学式に彼の姿があった。
そこは日本全国から集まった卓球エリートたちがひしめく最高峰の学園。翔星がこの学園に進学した目的は小学生時代に唯一敗北を喫した名も知らぬ少女を見つけ出し、そして勝利することにあった。
だが、入学初日にして彼は本物のエリートによる厳しい洗礼を受けることになる。
一年生最強の女子・白鳳院瑠璃に、怪我をしていた膝の弱点を見抜かれ、あっけなく敗北してしまう。敗北しうなだれる翔星に、瑠璃は「あなた、私のパートナーになりなさい」と告げる。彼女の目的は、才能のある彼とダブルスを組み、これまで一度も勝てたことのない相手、姉の紅亜を負かすことにあった。そして、その紅亜こそが、翔星が捜し求めていた、あの日の少女だったのだ。
学園最強女子・紅亜という共通の敵を倒すため、翔星と瑠璃は共闘関係を結ぶことになるのだが……。
その身を焦がすほどに卓球を愛し、すべてを捧げた少年の燃えるような青春。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。

イラスト担当の絵師であるみっつばーさん。【転生したらスライムだった件】でもイラスト担当している人だけれど、この人の最大の特徴ってキャラの「つり目」なんですよね。ヒロインも主人公もみんなかなりキツイつり目揃いなのである。おかげで、登場人物全員揃った集合絵の眼力の強さがえらいことになってて、強キャラ揃いのやべえ奴らだ!な感じになっちゃってるわけですよ。やべえ奴らが集った卓球野郎どもの巣窟!みたいな。
まあ実際の所、国内の天才卓球少年少女たちを集めた卓球専門のエリート校のわりに人材の密度は極めて薄い気がするんですけどね。これ、各学年の一位二位くらいしか全国レベルいないんじゃないの?というくらい。その一位二位だけが図抜けて強いのですけれど、それ以下との差がちょっと酷いことになっていて、ほんと全校生徒全員卓球やっているにも関わらず上澄みを掬い取った僅かな人数しか強くなっていないとなると、これ教育方針間違ってるんじゃないの?
中学時代を棒に振るほどの大怪我を負った主人公の翔星が復帰して卓球を再開してまだ半年、しかも怪我も完治とまではいっていなくてサポーターでガチガチに固めている状態で大いにハンデあり、という状態で殆ど敵なしで勝ってしまうのだから、看板に偽りありだわなあ。
そんな無双状態で駆け上がる翔星が、格上に当たると手も足も出ないでこてんぱんにやられてしまう、というなんていうんだろう、強さの強弱の差が激しすぎるというか拮抗した状態がないというか。弱い相手にはひたすら強く、強い相手にはひたすら弱いという感じで、このあたりの強さの並べ方というか見せ方にいささか工夫が足りないと言うか映えがないというか。
そもそも、必殺技めいた得意技をそれぞれが持っているのですけれど、あんまりイメージ湧かないんですよね。技の説明は多分にシてくれているのですけれど、その解説があんまり動作となって浮かび上がってこない。瑠璃も結局強いんだか弱いんだか。彼女の必殺技もなんか中途半端でしたしねえ。

かつての幼馴染の約束を固く守って、もう一度彼女と再会するために辛く苦しいリハビリ生活を耐え抜いて、今一度戦場へと舞い戻った翼折れし【音速鳥】。という、スポ根らしい熱い復活劇と、ラブコメと青春劇を合わせたようなあの約束をもう一度、という展開は筋書きとしては十分なものがあると思うんだけれど、やはり実際の試合の場面でギラギラと映える描写があまり見られないと盛り上がりきらないところはどうしても出てきてしまうかなあ。
次回以降、もう少し手に汗握るものがあったり、キャラの存在感が出てきてくれればいいのだけれど。

 

7月4日

松本直也
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稲垣理一郎/Boichi
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藤本タツキ
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阿賀沢紅茶
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マポロ3号
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yatoyato
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土田健太
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橋本悠
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辺天使/津田穂波
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伊藤砂務
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三条陸/芝田優作
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稲岡和佐
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有馬あるま/フカヤマますく
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田中靖規
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岩田雪花/青木裕
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堀越耕平
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古橋秀之/別天荒人
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神江ちず
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路生よる/藤堂流風
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蝉川夏哉/ヴァージニア二等兵
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三上康明/田中インサイダー
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7月1日

紙城 境介
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メソポ・たみあ
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ナナシまる
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shiryu
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あまさきみりと
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ミヤ
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榊一郎
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たすろう
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シクラメン
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かみや
(HJ文庫)
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ぎんもく
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晩野
(FUZコミックス)
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明地雫/霜月緋色
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森山ゆっこ/はむばね
(HJコミックス)
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黒野ユウ/遠野九重
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大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
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丸山 くがね
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
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あきさけ
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唐澤 和希
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中野 在太
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
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6月29日

榊 一郎
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弥生 志郎
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雨宮 和希
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虎走 かける
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謙虚なサークル
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
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猫夜叉/亀小屋サト
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たくま朋正/伊藤暖彦
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綾村切人/ナフセ
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結城鹿介/髭乃慎士
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幌田
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
Amazon


東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
Amazon B☆W


佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
(ガンガンコミックスUP!)
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雨沢もっけ
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/松元こみかん
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
(ガンガンコミックスUP!)
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リキタケ/三木なずな
(ガンガンコミックスUP!)
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琴子
(SQEXノベル)
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猫子
(SQEXノベル)
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平成オワリ
(SQEXノベル)
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榛名丼
(SQEXノベル)
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蝉川夏哉
(宝島社文庫)
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貴戸湊太
(宝島社文庫)
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