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有沢まみず

スイート☆ライン 4.ユニット結成編4   

スイート☆ライン〈4〉ユニット結成編 (電撃文庫)

【スイート☆ライン 4.ユニット結成編】 有沢まみず/如月水(RED FLAGSHIP) 電撃文庫

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ちょっと訳ありな女の子が加わり、新たなプロジェクトが始動!?

 アニメ業界注目の「シックスティーン」の声優オーディションに参加し、大役をもらった新島永遠、山川舞、トンガちゃん。いったん落ちた神楽坂はるかも追加のオーディションでリベンジをはかる。
 そんななか、なにやら訳ありな女の子・友坂千秋が加わり、アニメプロデューサーの正午の姉から、新たなプロジェクトが提案されるが……。
 無口で男性恐怖症の新人声優と、熱血高校生のスイートラブコメディ、第四弾
2月の出版の時にちゃんと購入はしていたんだけれども、運悪く魔窟の奥に沈んでしまい、さらに次々と新刊が降ってくる中でついつい発掘を後回しにしていたら、すでに5月も中旬に差し掛かってしまいました。久々に魔窟を整理していたら発見できたので、最新刊にして完結編が来月に刊行を控えていることもあり、これ幸いと手にとった次第である。
さても前巻が出たのが二年前。結構間、空いてたんですよね。その間に、イラストレーターの人、絵の印象かわってないですか、これ? なんかカラーにしても挿絵にしても、ものすごく可愛くなってる気がするんですが。線のタッチが明快かつまろやかになったというか。前巻までそんなに絵のイメージ残ってなかったんですけれど、今回はどの挿絵も思わず何秒か固まって凝視してしまうほど良かったです。この巻では、はるかや千秋がもうやたらと可愛くて、押し押しなんですけれど、これ挿絵の方もかなり強力にその印象を後押しするブースターになってますよ。
と、いきなりイラストの話になってしまいましたが、語るべき中身はというと、前回までがエントリーで今回がスタートラインに並ぼうかという始動編、というべきか。
いや、改めて繰り返しになる気がしますが、この主人公の正午くんって……マジ凄いっすね。この子、本当にまだ高校生なんですか? 安定感というか、色々と話してみての安心感が桁違いすぎるんですけれど。これはもう年齢の問題じゃないですよね。いい年をした大人だって、こんなにどっしりとした安定感ありませんよ。
正直、ここまで「この人に任せれば大丈夫」という絶大な安心感を与えてくれる主人公見た事無いですよ。それもこれ、ついつい依存してしまうのではなく、自主性を重んじ、精神的にも自立させ一人で立てるようにしてくれる。厚かましくなく、押し付けがましくなく、聞けばちゃんとした答えを見せてくれるけれど、そこに手取り足取り引っ張っていってくれるんじゃなくて、常に、その人の意見や主体性を尊重した上で、ポンと背中を押してくれるんですよね。
振り返れば、そこに居てくれる。ちゃんと見守ってくれている。もし間違えたらちゃんと教えてくれる。いや、たとえ間違えていても、それが自分の選んだ道なら、迷わず応援してくれる。そんな安心感が、勇気をくれる。顔を上げ、前を向いて、余計なことに足を取られず、しっかりと踏み出していける力になる。
皆が挙って、正午のもとに集まってくるのも当然ですよ。自然すぎるくらいに当然。自分の不安を打ち明けて、胸の内をぶちまけて、話を聞いてもらおうとするのも当たり前。
誰だって、この子になら全部話してしまいたくなりますよ。
それでいて、上から目線でも一歩退いた形でもなく、親身に、対等に、気のおけない優しい位置に居続けてくれるのですよ。
惚れるわー。男女問わず、これは惚れる。
とはいえ、この段階でまさかはるかがこれだけ捲ってくるのは予想外でしたけれど。正午によって、これまでずっと自分を縛ってきた鬱屈を振り払う事が出来たはるか。少なくとも、自分を客観的に見つめた上で前向きにはなれたわけです。その前向きさ、勇気がまさか恋愛の方にも作用してくるとは。直球ですよ、直球。ちょいと助走をつけてからでしたけれど、自分の気持を偽らずに真っ向から表に出して、そして告白まで突っ走ったはるかの、そりゃもう可愛いこと可愛いこと。いやあ、はるかってここまで魅力的な子でしたっけ? と思わず目を疑うくらいの変貌でした。自分を変に繕う事をしなくなっただけで、ここまで見違えるとは。唖然呆然の領域ですよ。メインは永遠で間違い無いと思うんですが、この勢いなら正午と結ばれるのがはるかであっても全然おかしくない雰囲気でした。実際、ここで結果を求めずに三年保留にしたのも良かったんじゃないでしょうか。声優として一番大事な時期ですし、仕事と恋愛を中途半端に天秤させるのは良くないですから、ここで決着させずに保留して一方に打ち込むのは精神的にも異常な上下をせずに済みますし。ってか、三年間正午さんも誰とも付き合わないで、というのを約束させたのが最高でしたけどね。上手いなあ、はるかは。
まあ正午の反応も満更ではなかったですし、このままなら三年後、はるかと結ばれてもなんらおかしくない……のですけれど〜〜、前巻でもそうだったんですけれど、正午の女性の好みドストライクなのって、やっぱり千秋なんですよね。本格的に作中のレギュラークラスに入ってきて、正午と接触する機会も増えた千秋なのですけれど、これはるかに告白されてなくて、普通にこのまま接していたら、そのうち正午の方から告白してたんじゃないか、というくらいに千秋への反応がふわふわしてるんですよ。もう、好意が恋に化学変化する直前、みたいな。
その意味では、はるかの告白は絶妙のタイミングだったのかもしれないし、答えを求めず据え置きにしたのもナイスな判断だったと言えましょう。

仕事の方も、皆それぞれに前向きなヤル気を得る事ができ、姉貴の提示したユニット結成にも弾みがついた。これから、どーんとみんなが弾けるんだ、と期待に胸を膨らませるところなのに、ラストで紡がれるのは不穏な気配。
次でもう完結なのに、そんな先行きを不安に陥れるような終わり方をされるとハッピーエンドで終われるのかまで恐れるようになっちゃうじゃないですか。正直、来月の最終巻が読むの怖いです。今回わりと順調だった分、余計に。

1巻 2巻 3巻感想

ラッキーチャンス! 104   

ラッキーチャンス!〈10〉 (電撃文庫)

【ラッキーチャンス! 10】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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天草家の大バトル大会、ついに終結!
次期当主となる勝者の栄光は誰の手に!?


 霊能力者を喰らうために暴走を始めた砂入道。鏡を自在に操り最上階を目指すトリックスター、ムガル。そして、圧倒的な力を持つ天草家の陰の支配者、ザ・レディ。
 雅人とキチ、天草沙代は、それぞれの想いを胸に、彼らへ最後の戦いを挑む!
 天草家の次期当主をかけた大バトル大会“奉り”が、ついに終結! 果たして、真の勝者となり、次期当主の栄光掴んだのは誰!?
ザ・レディの外見が想像を超えて塩沢ときだった! って、最近の子は知らないでしょう。……カラーでは見たくなかったっ。
という訳で天草編完結! 場合によっては沙代さんがヒロインレースから離脱しかねないんじゃないかと危惧していたんだが、むしろこれまでの曖昧な立ち位置や気持ちを払拭して、堂々と私もメインヒロインになる! とばかりに名乗りをあげてきて、沙代さん派としては正直テンションあがったーー!!
結果として沙代さんとしては非常につらい思いをする形になったのだけれど……いや、ある程度予想はしていたとはいえ、まさかここまで下衆だったとは。もう一人の大反転がなかったら、たとえ雅人の存在があったとしても沙代さんの心は完全に壊れてしまってたんじゃないだろうか。彼女についてはどうも妙な動きをしていたからもしかして、とは思っていたんだが、ここまで劇的にその変転を見せてくれるとまでは考えてなかったので、これは嬉しい誤算。やっぱり直前で奈落の底まで叩き落されたのが大きかったんだろうなあ。これ以上ない絶望を突きつけられ、心をぐちゃぐちゃにひき潰されたところで、即座に貴女は独りじゃないと沙代さんの心を救ったタイミングがまた絶妙でしたし。このタイミングや演出の妙はさすがベテラン作家という技ですわ。
そして何より、最高のタイミングで飛び込んでくる雅人の声。
そりゃ惚れる。あれは惚れる。心が弾む。心が奮い立つ。体中がトキメキで満たされる。指の先まで痺れ尽くす。
カッコイイ、カッコイイよ“ごえん”使い!! 

こっからは完全無欠のパワーゲーム。御託抜きの力押し。小細工抜きの絶対直進。どれだけボロボロになろうと、命を削ろうと、止まらず荒ぶり暴威によって真っ向正面からぶっ飛ばす。
なぜならあの娘が呼んだのだ。助けに来てと呼んだのだ。

「おねがい」
吠えて
わたしの狼

ここはね、この展開だけはね、何より力でねじ伏せるのが一番なんですよ。そうでないとイケない場面だった。暴力と悪意で弱いものたちを蹂躙してきた奴らが相手だったからこそ、それ以上の力で、でも真っ直ぐで他人を想う気持ちの篭った圧倒的な力で、蹂躙しなきゃならなかったのだ。
それを、雅人は成し遂げたのだ。まさに、「最強」を名乗るに相応しい力の行使でした。痺れたね。

東家の塔子ちゃんも、あれだけボロボロにされながら、きっちり意地を見せ、覚悟を押し通してみせたのには惚れ惚れした。この子はこの子でイイ女じゃないか。東家関連はまた後々出てきそうだ。


しかし、単体でも他のヒロインを圧する存在感を示していた沙代さんなのに、素直になれないツンデレという状況によっては足を引っ張るだけの沙代さんの性格を矯正し、調教し、サポートしてくれる人材が彼女の傍らについたというのは、これめちゃくちゃ大きいアドバンテージなんじゃないだろうか。沙代さんの性格だと、自分の気持を自覚しながら、いやしたからこそ余計に自分で拗らせて進展しないという状況も考えられただけに、あの人が補佐についたのは本当に大きい。果たして二宮さん、母親というワイルドカードがあるとはいえ対抗できるのか? ちょっと二宮家の母娘はヒロインとしては「怖すぎ」るんだがw

そして、ラストにはついにあの人達が登場。啓太きたーーーー!!
とうとう【最高の霊能者】も本編登場かー。これはワクワクが止まらない! って、なんか“ともはね”が育ってるーー!?

有沢まみず作品感想

ラッキーチャンス! 93   

ラッキーチャンス! 9 (電撃文庫 あ 13-33)

【ラッキーチャンス! 9】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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天草家の後継者を巡るバトルは大混戦!!
大切なキチを奪われた雅人の運命は!?


 天草家で始まった次期継承者を決定する大バトル。しかも、優勝者への副賞は天草沙代自身!! 霊能力者名家としての権力が欲しい者、最強の称号を求める者、沙代目当ての者や単なるお金目的の者まで、日本中から猛者が集まって、バトルは大混戦に! 
 そんななか、雅人は大切なキチを失い、感情を逆転され愛のモンスターと化した二之宮・兄に追われることに。いったいこのバトル、どうなっちゃうの?

か、仮名さん。あんた、シリーズ跨いでもそんな扱いなのかよっ。ひでえ、酷過ぎる(爆笑
あかん、仮名さんが出てくるとギャグの切れ味がもはや妖刀レベル。せっかく【ラッキーチャンス!】では真面目な立ち位置で居られると思ったのに、結局変態になってしまうのか。違う、違うんや。仮名さんはほんまは全然変態なんかやあらへんのや。本物のジェントルマンなんや。単に状況が、運命が、この御人を変態という名の紳士として扱ってしまうだけなんやーー!
仮名さんが酷い目に合うのって、【いぬかみっ】の頃はケイタに関わったからだと思われていましたけれど、こうしてみると仮名さん個人の資質というか、属性だったんだなあというのがよくわかる。
ホントに性格も温厚で善良でイイ人だし、頼りになるし、頭脳明晰で強くてカッコイイという非の打ち所が無い人なのに、なんでこんな事になってしまうんだろう。もう可哀想すぎて笑いがとまら、もとい涙が止まらないッ!

もう一人のヘンタイは、誰だよあれを挿絵指定したのは! 軽く見た人を発狂させるレベルだよ、あれは!
あの風体、いやあの顔で職業が殺し屋とかじゃなく、単なる天才スリというのもギャップが酷過ぎる。スリってのはもっと目立たない風体の人じゃないのかいな。あんな恐ろしく目立つ風貌でスリとかこなしているのなら尋常じゃない。とか言ってる以前に、あの顔であのセーラー服姿という存在しているだけですでに爆発中の爆弾みたいな異様な存在感を醸し出している状態で、歴戦の霊能者たちからメダルをかたっぱしからすりとっていたというのだから、尋常どころじゃないのかもしれないが。
とりあえず喋ってよ。無言だと余計に怖い。夢に観そうなほど怖い。ってか、夢に見たらオレ会社休む。

もう二ノ宮・兄が取り返しの付かない事になってしまって、もうこれは宇宙から消し去ってしまった方がいいんじゃないだろうかという有様になってしまっているのはさておいて。なんとか通くんの機転で人生最大のピンチから逃れられた雅人だけれど、微妙に話が進まないなあ。沙代編はあと一冊で終わりのようだけれど、せっかく沙代さんを助けに来たというのに、キチは攫われるわ自分は二ノ宮兄に色々な意味で狙われるわ、と何気に自分のことで手一杯で、沙代さんの心を完全に鷲掴みにしてしまうような劇的な合流にはならず。それどころか、沙代さんをはからずも傷つけてしまうことに。鈍感は罪とは思わないが、それで女の子を傷つけてしまうのならそれはやっぱり悪業よな。沙代さんの事だからもっと割り切った対応をするかと思ったけれど、あんなに傷つくとは。それだけ、雅人が自分を助けに来てくれた事が嬉しかったのでしょう。雅人の優しさでズタズタにされた沙代さんの気持ちを思うと、雅人の首を締めたくなる。沙代さんは、二ノ宮さんと違ってタフじゃないんだよ。わりと心の強度が脆弱な子なんだよ。

ちょっと気になったのが、雅人が天草家の人間についてちょっと違和感のようなものを感じていたシーン。何を気にしていたんだろう。というよりも「誰を」気にしていたんだろう。
ここ、雅人が誰を気にしていたかによって、もしかしたら沙代さんのメインヒロイン競争からの脱落もあり得る可能性が出てくるんですよね。とりあえず、このまま行くと沙代さんマジで雅人とのラブコメからおりかねないので、予想が当たって欲しいような、でも沙代さんの気持ちを考えると当たって欲しくないような。

にしても、天草家の面々の傍若無人っぷりは頭にくるなあ。そろそろ、誰かガツンと圧倒的にたたきつぶしてほしいところだけれど。期待の一人だった東塔子は敗走と言っても仕方のない形で対戦から撤退している始末だしなあ。まあ、彼女の目的、かなりシリアスなものだったので黙ってこのままやられっぱなしにはならないだろうけど。沙代編ラストでは、あのレディを含めて、ギッタンギッタンに爽快感を感じるくらいにずんばらりんとやっつけて欲しいですなあ。


有沢まみず作品感想

ラッキーチャンス! 84   

ラッキーチャンス!8 (電撃文庫)

【ラッキーチャンス! 8】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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 bk1


ちょっ、ちょっ、ちょっ!?(爆笑
怖っ! 目茶苦茶こわっ!! あれはダメ、最後のイラストは反則。あははははははっ、いやいやいや、あれは駄目だろう。正方向でもゾゾゾッとするくらい壊れてて怖かったのに、そのベクトルを真反対なんかにねじ曲げてしまったら、もう怖いなんてもんじゃないよ。某所が縮み上がりそうだww
アァーーーーーッww


というわけで、天草沙代の身柄を景品にした、天草家の次期当主争奪戦の大バトルが開始。てっきり、天草家の身内を含めてもかなり少数で繰り広げられるバトルなのかと思ったら、参加人数千人越えって、なんだよ!? いったいなんなんだよ!?
でも、おかげで妙な伏兵や意外な人材などが紛れ込んでて、かなり面白いことになってる。まさか、こんなところで川平家と双璧を為すと以前から名前が聞こえてきていた、もう一つの犬神遣いの家、東家のご令嬢にこんなところでお目にかかることができるとは。多分、この東塔子って以前【いぬかみっ!】の後日譚の短編かあとがきだかどこかで、「せんだん」が東家に出向しているようなのだけど、その時何らかの関わりがあった娘なんじゃないだろうか。どうやら、東家の方でも何かと騒動みたいなのが持ち上がってるみたいだし。
そう言えば、今回は川平家の話もこれまでになくたくさん出てましたね。仮名さんの口から度々出ていた川平の刀自とは川平榧ばあちゃん以外ないし。それに、以前から雅人が面識があると言っていた川平家の人とは、どうやら啓太で間違いないようだ。颯爽に卑怯とか言われるような人、他にいないでしょ(笑
まあ、今回一番目立ってたのは、あの謎のセーラー服のおっさんだったけどな!
ほんと、なにこいつ!? ですよ。一言も喋ってないにも関わらず、あの異様な存在感はなんなんですか!? なんか、ポイントポイントにしか出てないにも関わらず、インパクトが強すぎて一人で全部持ってっちゃってる気がするんですがww

今回のラスボスは、ザ・レディーでどうやら揺るぎなさそうだ。この化物を何とかしない限り、沙代の境遇は変わらないし、当主の座を勝ちとっても意味が無い。最後には相対しそうなんだが……今のところ、自分で一番強いと名乗っているわりに、あんまりそういうイメージは湧かないんだよなあ。今まで自分より強い奴に出会ったことがない、自分の強さに絶対の自信を抱いている、という話ですけど…ねえ?(苦笑
あの大妖狐や三神の凄まじさまでの強大さを見ていると、正直何言ってんのこいつ、と思ってしまうのも仕方ないんじゃないのかなあ。
結局のところ、力の強さ、能力の強さを競うのではなく、強さの意味、強さの意義を問うことになるのだろうけど。キチが疑問に思ったように、雅人があの引っ込み思案で控えめな性格の上に自分の強さについて非常に客観的かつ精密に把握しているにも関わらず「日本最強」という看板を自ら掲げている理由。彼が抱く強さというものへの考え方。恐らくは、彼の過去に根ざす彼のその信念こそが、今度のラスボスに対する雅人の武器になるのだろう。
考え方同士の衝突というのは、思想のせめぎ合いであり、決闘でもある。これほど楽しい闘争はなかなか無く、それに実際の派手なバトルが乗っかれば、相乗効果でさらに楽しい。相手が勘違いした完璧な悪役ということで、カタルシスにも事欠かなさそうだし、楽しみ楽しみ。

一方で恋愛パートだけど、天草家が舞台ということで沙代さんが一方的にアドバンテージを稼ぐのかと思ったら、二ノ宮さんがまた凄まじい楔を打ち込んできましたがなっ!? これは作者巧い、絶妙に巧い。これで、良子は一切この事件に立ち合う事が無いにも関わらず、どういう形で終わっても彼女のお陰がついてまわり、沙代さんは大きな借りを良子につくることになってしまったわけですから。少なくとも、ここでの逃げ切りは先回りして完璧に封殺されてしまったわけだ。もう、沙代さんが雅人に対してとろっとろに蕩けきってるだけに、これはご愁傷さまとしか言えない。これ、ツンデレしてる場合じゃないよ、沙代さん。今回の一件で、貴女も雅人に対して良子並みにしっかいとした意思表示を雅人にしないと、一気に押し切られてしまう。いや、だからこその今回の沙代さんの立場なんだろうけど。もう、雅人に対してまるごと身投げするくらいしないと、どうしようもないもんね。さすがに、良子さんは女としてしたたかになりすぎてしまった感があるので、まだ隙のある沙代さんの方が可愛げがあっていいと思うんだが。
雅人も、かなり意識しだしてるしねえ、沙代さんのこと。まさか、嫉妬めいた感情まであの雅人が抱くことになるとは。あのへんの雅人の心の動きには、思わずニヤニヤしてしまった。
だがしかし、ここに来てキチが本格的に幼い子どもから恋を知る少女へと一気に成長してきた。これまで、あくまで妹ポディションでどうやっても恋愛対象外だったのに、まさかの乱入だなこれ。まさか、この娘がこんな女の子なイイ顔をするとは思わなかったので、驚いたなあ。絶対可憐チルドレンの小学生編の頃の薫と今やってる中学生編の薫くらいの規模で変化してるんじゃないか?

それにしても、恐ろしきはラストシーンである。何度見ても縮み上がる!(爆笑


追記:あれ? 調べてみたら、東塔子ってコミックスの方に掲載された外伝で登場してたみたいですね。ただ、能力の秘密は同じみたいだけど、性格や容姿がだいぶ違うようですし、年代も相当違うことを考えると同じキャラではなくて流用なのか。でも、せんだんが後々派遣されて犬神として仕えるのはやっぱりこの娘なんでしょうね。

有沢まみず作品感想

ラッキーチャンス! 74   

ラッキーチャンス!〈7〉 (電撃文庫)

【ラッキーチャンス! 7】  有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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  bk1

二宮さん怖いっ、マジ怖い!! 前回、この娘にはヤンデレの資質あり、などと書いたけれど、とんでもない。ヤンデレなんかよりこの娘、よっぽど厄介だよ。ヤンデレというのは文字の通り、愛情のあまりに病んでいると表されるような言動をとってしまうことである以上、どうしても対象者にドン引きされる危険性が高いんですよね。社会的にも問題のある行動であるケースも多いし。結果として、社会的にも当事者同士の感情的にもリスクが高い割に効果が高いかというとそうでもないんですよね、ヤンデレって。
ところが、二ノ宮良子のそれは徹底した結果主義。最終的に相手が自分を愛してくれる状況を成立させるためならば、あらゆる手段と方法を許容するという、蟻地獄を彷彿とさせる姿勢なんですよね。相手が不快にならないように、相手が悦ぶように、慈母のように寛容に、真綿で優しく包み込むように、蜘蛛の糸で絡めとるように、蛇に締めあげられるように、骨抜きにしていく所業。
こ・れ・は・こわい!!

高天の女はアゲマンらしいけど、これはヤバいですよ。ある意味これ、男が飼育されているようなもんじゃないのかしら。勿論、双方ともに相手のことをメロメロになるまで愛しぬいているのでしょうけれど、なんとなくの印象ですが、高天の女が嫁いだ相手が出世したり研究などで成果をあげるのは、本人の力が十全に発揮されたというよりも、なんかドーピングめいたイメージが(笑
実のところ、こういう女性って、しっかりと自立ししっかりとした克己心を持つ雅人とは相性悪いんじゃないだろうか。逆に、なんか堕落してしまいそうな気さえする。

ちょっと、マジで沙夜さんを応援したいな、これ。とはいえ、キチが順調に女性としての心身を成長させていく一方で、雅人とキチの関係が兄と妹という形で周囲の認識も一致しているあたりが、逆にフラグっぽいんだよなあ。良子は高天の本性が目覚めたことで、そして沙夜さんは今回の天草の家の事件によって、当人たちの感情とは裏腹に、どうもフラグが折れかねない流れがきてしまってるし。

ともあれなにあれ、天草沙夜のターンはじまるよ? の回だったはずなのだけれど、本当に始まるよ? で終わった巻だったな。まだ始まらなかった、と。なんかえらく殺伐とした、というか沙夜本人の知らないところでシリアス極まる展開へと流れ込んでいるけれど。
前振り回としての備えは十分、といったところか。雅人の素性に関する伏線も徐々に浮かび上がってきたことだし、ここにきて<最強>の冠がつく雅人の、正真正銘の本気が見られそうな展開になってきたし。
あの天草家の連中のえらそうな態度には、イライラッときましたもんね。<最高>の霊能者とその仲間たちの戦いを見てきた身とすれば、てめえら程度が偉そうに<最強>を名乗るんじゃねえ、とw
ここは一発、あの人が認める雅人が、決めて欲しいところ。
そう、ついにあの【いぬかみっ!】から、仮名史郎登場!! 仮名さんきたーーーー!! 前回、旅猫さんが登場してましたけど、ついに仮名さんきたかー。以前から沙夜さんの上司としてそれらしき人の存在は提示されてましたけど、実際登場すると感慨深い。この人、変態的状況に陥ってなかったら、本気でカッコイイんだ。仮名さんが、啓太のことについて触れた時は、なんかもう感激してしまった。

しかし、前回なんかとんでもない目にあっているように見えた沙夜さん、あれはまだ一応冗談の範疇で済む話だったみたいだけれど……ちょっ、これ天草当主争奪戦の結果次第ではあれってただの擽りで済まずに、リアルに鬼畜調教に移行するってこと!?
これはもう、先んじて雅人が沙夜さんを手篭めにするしかッ!(違
良子がああなった以上、そろそろ沙夜も本気でデレる時期が間近に近づいてると考えるべきだし、デレ期の沙夜さんかー……えへへ(w

そういえば、雅人が雀の宿で手に入れた術、あれってよーこの術と同じ「しゅくち」なんですよね。あの瞬間移動とアポートの術が、どうしてこの世界観だと服や下着を消し飛ばす術になるのだろう。よーこが使ってたときは概ね啓太を裸王にするのに使ってたけど……お、恐ろしいな、雅人が使うと、沙夜が……脱がされるのか!! ただでさえラッキースケベを沙夜相手にやりまくってたくせに、「縮地」まで手に入れたら鬼に金棒じゃないか!ww

スイート☆ライン 3.オーディション編4   

スイート☆ライン〈3〉オーディション編 (電撃文庫)

【スイート☆ライン 3.オーディション編】 有沢まみず/如月水 電撃文庫

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ああそうか、そういう事だったのか。
前巻の感想において主人公の正午の事を、私はこう触れていました。

彼の役割というか、立ち位置は。不思議といつのまにか、多くの人の土台、支え、大黒柱みたいな存在になってるんですよね。応援団長、というのは云い得て妙かも。

つまるところ正午の存在というのはこの【スイート☆ライン】という作品の主人公ではあっても、主役ではないわけだ。あくまで主役は声優である永遠やはるか、そしてまだ焦点があたっていないけれど舞に、友坂千秋。恐らくは将来的にユニット<スイート☆ライン>を形成するこの娘たちこそが、この物語の主役であり、正午はその彼女たちを支え、応援し、その全力を引き出すために尽力するサポート役として活躍することになるのだろう。
面白いと言うか、興味深いのは主人公をここまで明確にサポート役、補助者としての役回りを割り振っているというところ。正午は物語の中心軸ではあっても、重心ではないんですよね。多数の女の子と男一人という構図のライトノベルとしては、この重力分布は異色と言っていいのかも。
彼の役回りと言うのは、最近のエンタメ作品を見渡して似たようなのを探した場合、小説じゃないのだけれど、ゲームの【アイドルマスター】でプレイヤーが操作することになるプロデューサーという役割が、それに一番近いかもしれない。
さすがに活動方針や仕事を取ってきたりということはしないけれど、担当アイドルのテンション管理などは正午がやっていることと概ねかぶるんじゃないだろうか、これ。

永遠のように男性恐怖症から若干のコミュニケーション不全に陥っている娘を私生活から支えて、そのチカラを発揮出来るように尽力したり、はるかのように自分の進む道を見失っている娘の目をしっかりと見開かせたり、と彼の働きは獅子奮迅のそれである。
特に今回驚かされたのは、はるかに対するアプローチだ。彼女が陥っていた精神状態は、正論を説いても心まで届かず、おそらくどんな言葉を尽くしても受け入れられるものではなかったはずだ。どれだけ正しく、どれだけ真摯な想いが込められ、本当の救いとなるだろう言葉だったとしても、時に人間はそれを素直に受け入れられない状態がある。話しあえばわかるはずだ、なんてものは妄言でしかない。
そんな状態の侭坂道を転がり落ち欠けていたはるかに対して、正午が取った手段は、こいつ本当にただの高校生か? と思うような手の込んだやり方だった。正直、手段そのものについてはまだまだ拙いと言ってしまえるものだったように思うが、巻き込んだ人間の人選が同じ業界で働く人間たちからしたらきっと空恐ろしいもので、そんな人をうまく利用して場に引き込んだ時点で、伝える手段の拙さは補われて有り余るものになっている。
陸上選手として自分の限界を見切り、自らの力で戦う世界から一歩退いた正午にとって、今彼が尽力している、姉を通じて知り合い、大切な友人となった彼女たちを支えるという行為は、彼が好きでやっていることであり、その熱意は単純に彼女らの作り出す素晴らしい作品を楽しみにしているからというだけではなく、誰かを助け、支え、応援するという行為そのものが彼の天職なのだろうと予感させるものだ。
ただ、現状彼の立場を難しくしているのは、彼が今永遠たちに対して行っているサポート行為は、あくまで友人としてのものであって、いうなればボランティアの好意にすぎないわけである。
まだ表面化はしていないが、声優業界の中で彼はあくまで姉のおまけであり、カリスマ豊国のお気に入りであり、今アニメ化に向けて盛り上がっている作品の原作小説家の知人、という立場にすぎない。いうなれば、部外者だ。正午自身は、自分が部外者であることをちゃんと理解し、身の程を弁えて行動しているが、それでも何度かその場の流れから、仕事場に入り、永遠たちを助ける行為に出てしまっている。それで怒られ追い出されてはいないように、決してでしゃばりすぎた真似をしているわけじゃあないんだけれど、確かに部外者の余計な行為に眉を潜めている人たちが、何人かは間違いなくいるんですよね。
もし正午が声優の担当マネージャーなど、ちゃんとした役職につき、仕事として声優の娘たちについているのなら、問題は何も無いのだろうけれど、単なる部外者という彼の立場は、後々大きな問題になってくるのかもしれない。
ただ、今の正午にとって仕事じゃなく好きでやっている事だからこそ、自由に動けるという所もあるから難しいんですよね。仕事だったら、担当している娘以外にまで気を回している余裕はないだろうし、何より許されない。それに、仕事である以上、どうしてもビジネスライクになってしまう面は免れないし、所属している組織の意向を無視できなくなる。色々と制約が生じてしまうんですよね。
今の正午はただの高校生という立場だからこそ、今大車輪で動き回れている、という事は言えると思う。まあ、でも将来的には仕事としてそちらの方向に進むのがいいんでしょうけどね。

今回はオーディション編ということで、サブタイの通りオーディションの情景が描かれていたけれど、ほんとにこんなパッと出来るんですか? ほんとだったら、いや、凄いわー。
プロって、そこまで出来ないとやっぱりやってけないもんなんですかねえ。

順当に行けば、次は舞編になるんだろうか。彼女もなんか、私生活でえらい問題抱えてそうだし。ただ、はるかのような心持ちの問題ならともかく、彼女の場合はけっこう面倒そうだし、それこそ高校生に過ぎない正午の限界が試されているような……。
ラブコメパートは、今回の一件ではるかはもう完全に意識しちゃってますねえ。ただ、正午の方は相変わらず色恋にはまったく興味なし……かと思ってたんだけれど、あれ?
な、なんか千秋に対する態度だけはえらい違う気がしてきたんだが。他の娘が永遠含めて完全に「友達」という所に固定されちゃっているのに対して、千秋と対面してる時だけ妙にあたふたしている正午。というか、話しかけようとして頭で考えている内容が明らかにアレなんですがw
いやいや、これは面白い! なにこれ、どうなるんだろう。こっち方面でもなんか、面白くなってきたw

一巻 二巻感想

ラッキーチャンス! 64   

ラッキーチャンス!〈6〉 (電撃文庫)


【ラッキーチャンス! 6】  有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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 bk1


前回、住む家をなくしてしまった雅人に対して、二ノ宮さんと天草さんが一緒に住みませんか? と提案してきてどちらを選ぶか決断を要する事態になったとき、ついにこのラブコメも一気に進展を迎えるのか!? と息を呑んだものでしたが……なるほどなあ。
言われてみればその通り。実のところこのラブコメ、まだ始まってもいなかったと言うことか。これまでハプニングやらゴタゴタが頻繁に起こっていたせいではっきりと整理されず、距離感も把握されないまま複雑に入り組んでしまった人間関係を、一度きっぱりと詳らかにした上で、まずスタートラインに立たせよう。今回の話は割り切って言ってしまうとこんな形になるんじゃないだろうか。
というわけで、今までいまいち目立たずヒロインとしては地味だった二ノ宮良子、ヒロインとして異能の側の存在として覚醒爆誕!!
これまで一巻の最初から登場したメインヒロイン級にも関わらず表紙絵に一度も選ばれなかったのは、まさに満を持してこのエピソードを待っていたがため、と思えてくるほど、かなりの強烈な個性を獲得し、これまで遅れに遅れていたヒロインとしてのレーシングポディションが、俄然上位に食い込んできましたよッってなもんですよ。。
ちゅーか、怖いよ、良子さん(w
この温厚篤実な優しい笑顔の奥底に秘めた、静謐で狂的な圧迫感と妄執は、あれだな、【いぬかみっ!】でいうならなでしこタイプ。
ヤンデレの素質充分でございますよw

今までもやもやとしたままだった雅人への気持ちを、はっきりと恋だと認識し、雅人の事が好きで好きでたまらないと自覚した二ノ宮さん。
ところが逆に、雅人の方はこれまで二ノ宮さんに抱いていたほのかな甘い気持ちが、二人きりで無人島で楽しく過ごし、これまでになく彼女の素顔に触れたことで、逆にその想いが恋ではなく憧れに近いものだと理解してしまったんですよね。
驚いたことに、今までヒロインとして劣勢だった二ノ宮さんの唯一のアドバンテージだった雅人からの好意が、彼女がヒロインとしてメキメキと頭角を現した途端に仕切りなおしとばかりに消えてしまったわけだ。
とはいえ、マイナスにひっくり返ったわけではなく、横一線に戻っただけの話。しかも、雅人は女の子に関心がないわけではなく、むしろ二ノ宮さんを含めて、自分の身の回りにいる女の子に対して、強い関心、淡い胸の高鳴りを感じているわけだ。何気に気の多い男とも言えるけど。
こうなってくると、もう一人のメインヒロインであることの天草沙代もまた、この流れで行くならば明確にこのラブコメレースに参加してくるはずなんですよね。今までどおり、雅人へのもやもやとした想いの正体から目を背けて、自分の本心と向き合わないままツンデレを続けていたら、とてもじゃないけど今後の二ノ宮さんや、トトやキチ。そしていずれ現れるだろう真打ちである幼馴染に対して、とてもじゃないけど太刀打ちできない。
あとがきでも、次回は沙代さんのターンと言ってるし、こりゃあ次回、デレるぜきっと。

の、はずなんだけど、その沙代さんがまたラストでえらいことになってるんですけどw
これ、文章をそのまま読んだら、まんま鬼畜系のエロゲー展開なんですが……ドキドキ。沙代は、なんかこう、エロくいたぶられるのが恐ろしく似合うところがあるからなあ。
……まー、この世界観からして、ある種のド変態がフェティシズムを満足させる流れなんでしょうけど。


そういえば、にゃんこ出てましたね、にゃんこ。あの【いぬかみっ!】主要メンバーの一人にして流離う風来坊にゃんこ。それから【北の神獣】と呼ばれる犬神の存在に触れられてましたけど、こりゃあ【いぬかみっ!】とのリンクも濃くなってきた。北の神獣って誰だろう。まだ若くて可愛い子、という時二郎の説明と、トトとキチがかかった初恋風邪の特性からすると、多分ともはねかな。しかし、既に現時点で神獣とすら呼ばれるくらい、力あがってるのか?

スイート☆ライン 2.オーディション準備編4   

スイート☆ライン〈2〉オーディション準備編 (電撃文庫)

【スイート☆ライン 2.オーディション準備編】 有沢まみず/如月水 電撃文庫

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有沢まみずという作家の特異な才能の一つに、登場人物の感じた感動、興奮などといった感情の熱量を、ほぼダイレクトに、直列接続しているかのようにそのまま読者にシンクロさせる事が出来る、というのがあると思っているのですが、この【スイート☆ライン】という作品はまさに有沢さんのそのダイレクトシンクロニシティをふんだんに駆使していると言っていいんではないだろうか。
物事や人間の姿を余計な偏見なく、ありのまま素直に直感的に受け取り、それを論理的に解釈し、時に感動を、感嘆を、時に畏怖や寒心たらしめる心地をやや過剰なくらいの(こいつ、感動屋の類いだよな)情動によって出力する主人公の感覚をダイレクトに伝えられる事で、この作品に登場する人物たちは、それぞれが様々なオーラを漲らせて見惚れるような意気込みを握り込みながら闊歩し、作中において紹介される小説やアニメは此方もぜひ見たくなるような素晴らしい傑作の気配をたなびかせ、これから制作されるであろうアニメーション作品は、その制作段階から噴火寸前のマグマのような熱気をうず巻かせながら胎動している、そんなひりつくような熱量もまた、ダイレクトに伝わってくるのだ。
否応なく、そう否応なく高揚感が高まってくる。祭りを前にしたような、凄まじい嵐を待つような、このテンションの高鳴りが、また凄いんだ。
まったく、こればっかりは正午の高揚に中てられたとしか言いようがない。逆にいえば、正午がこんな風に感じていなかったら、決して感じとることのできない気配なんですよね。私はあんまり作中のキャラクターに感情移入しないタイプで、実際正午に対してもその考え方や他のキャラへの想いの在り方など、完全に外から見ているんですけど、ただその誰か、もしくは何かに対する感情の発露については思いっきり引っ張り込まれるんですよね。抵抗もなんもあったもんじゃない。彼がすげえ、と思ったらこっちもすげえ、と思ってしまい、彼が怖いと思った人は、こちらもなんかわかんねえけどこええ! と思ってしまう。彼が素晴らしい才能の発露を目撃して興奮しまくれば、同じように興奮し、彼が面白すぎる作品にのめり込めば、此方もビリビリと痺れるような思いに打ちのめされる。まったく、直列シンクロしてるとしか思えないじゃないですか。
【いぬかみっ!】でも、クライマックスで全員のテンションがあがりまくったときとか、思いっきり引き摺られた記憶があるけど、この人の書く話の感情回路の持っていかれっぷりは、毎度毎度参るわ、ほんと。
しかも、まだ前哨戦も前哨戦。準備段階で始ってすらいない状態。ようやく、キャストが揃いだしたという段階でこれなんだから、はじまったらどうなるんだと震えすら起こってくる。いやはや。

もちろん、登場人物みんなが前向きなのではありません。思いつめ、道なき道を行こうとしているもの。新たな段階に踏み出そうとしているもの。意気込みに身体がついていかないもの、様々な難事が今まさに始まろうとしている祭りの奥で蠢いているわけです。
本来ただの高校生で、アニメ制作とは何のかかわりもないはずの正午の、この存在感というのはホント何なんでしょうね。面白いなあ、彼の役割というか、立ち位置は。不思議といつのまにか、多くの人の土台、支え、大黒柱みたいな存在になってるんですよね。応援団長、というのは云い得て妙かも。
たとえばラストのはるかとのシーンなんか、並みの男じゃあんな対応できませんよ。カッコ良すぎます。そもそも正午に最後の意見を聞きにくるという時点で、どれだけ精神的な頼みとされているのかがよくわかるというものです。

そうか、彼の存在にこれまで一番助けられてきたのは、お姉さんだったんだな、きっと。だからこそ、前の巻で永遠の件で助けを求めてきたのか。やり手でキレ者、バイタリティにあふれたバリバリ働くキャリアウーマン、という様相の完璧超人系の流れをくむお姉さんだけど、一巻の頃からさりげなく無理してる部分は描かれてたんですよね。というか、身体は決して強くなく、我も他人を圧倒するような無茶苦茶な人とは違う、という風には触れられてた。多くの人に慕われ頼られるような完璧超人に見える人になっていったのは、それこそ正午の支えがあったからで、元々はもっと弱さに縮こまる人だったのかもしれないなあ、と今回ふと思ったり。
なんかこう、いい姉弟だよなあ、この二人は。

恋愛パートは相変わらず、永遠が拗ねたり嫉妬したりしてるけど、進展と言うものは殆どなし。まー、正午がまるで恋だの何だのというのは頭にないからな。仕方ないと言えば仕方ないんだが。まさかのトンガちゃんルートはまずないだろう。
そもそも、面白い事に正午の好みからは永遠は完ぺきに外れてるんですよね。お陰で、正午は永遠のこと、意識としてはまるで意識していない。パンツ見えたり無防備さに困ってたり、ちょと恥ずかしい思いはしてるけど、そこで永遠のこと意識したり、と言うのが完膚無きまでにないのが、まさに永遠のこと眼中にない、というのが分かってしまって、なんともはや。永遠からすれば前途多難である。

一巻感想

ラッキーチャンス! 53   

ラッキーチャンス!〈5〉 (電撃文庫)

【ラッキーチャンス! 5】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫

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……この表紙の可愛い子、誰? と思ったら、これトトですか!? いや、もっと幼女っぽいイメージ持ってたんで、こうしてカラーになると存外艶っぽくて驚き。作中でも、幼いながらもキチと違って艶めかしい色気がある、という感じの描写もあるので、なるほどなあ。
しかし、表紙に抜擢ヒロイン。沙代さんときて、次にトトと来ましたかメインヒロインズの一角であるはずのニノミーはまたもや落選。それどころか、口絵にも登場せず。これは苦しいなあ(苦笑

ところでトトだけど、どうやら相当格の高い魔神であるらしい話が出てきてるみたいだけど、実際どのくらいなんだろう。雅人が、今まで出会った霊能力者、人外の中で出力で敵わないと思ったのは彼女が二人目、とか言ってたわけだけど。じゃあ一人目は誰なんだ、って思うよねえ。
まあさすがに大妖狐とか赤道斎クラスとは面識ないと思うけど。
そういえば、今回、何気に川平啓太なんじゃないか、と思しき人の話題が出てたりしましたね。これまで【いぬかみっ!】の登場人物らしい人って、沙代さんの直属上司(たぶん、仮名さん)くらいだったので、折角世界観共通してるんだからもっといろいろ出てきてもいいのに、と思ってたところなので、微妙ににおわしてくれるだけでもうれしい所。行間読むと、なんか雅人は過去にその啓太と思しき人となんかあったっぽいんだよな。これ、将来的にはけっこう深く絡んでくるんだろうか。赤道斎も鎮霊局の非常勤顧問みたいなのやってるっぽいし。


相変わらず、この作者が描く主人公はホームレス(苦笑
啓太も相当酷い生活してたけど、まだあっちはバイタリティにあふれてたからなあ。雅人の方がなんか身につまされるw
今回、やっとテント生活から脱却して、時二郎校長がプレハブを用意してくれるのだけど……いや、時二郎さんよ。電気水道のインフラ完備。トイレに台所、シャワー室も設置されたプレハブ小屋をわざわざ建築するより、その辺のワンルームマンションだか、アパートを借りた方がだいぶ安く付くんじゃないんでしょうかw
だいたい、どうせすぐ壊れるんだから、そんなに豪華にしなくても。と、思ってしまう時点で酷い境遇だよな、雅人って。


4巻でもあったけどまたぞろ、決定的な場面で重大な選択を迫られる雅人。またこっちでもタイミングが合わなくて有耶無耶になってしまうわけですけど……これってよく読むと、彼の中ではその時、どちらを選択するか決めちゃってるんですよね。どっちなんだろ? 気になるんだよなあ。
最終の選択については、これはまず間違いなくあっちの娘の方を選んだんだろうな、というのは察しがつく。でないと、きっちり絡むためのフラグ立ててるもう一方の子と違って、こっちの子はまともに絡みようがなくなっちゃうもんなあ。

とはいえ、ラブコメレースでは、沙代さんが圧倒的に先行しているようには見えるんですよね。少なくとも、沙代さん本人は毎回雅人と顔を合わせるたびに、確実に彼への恋愛感情をふくらませて行っているのは間違いない。なにしろ、雅人を前にした時の態度が、どんどん可愛くなってってるんだもんなあ。持前の意地っ張りとプライドの高さで自分の感情にそっぽを向いて目を逸らしてるけど、実際には雅人と逢うたびに彼の事をとても一生懸命観ているし、その人となりを知り、彼がどんな人間かを理解しようと努めている。こういう子は、一旦自分の感情を受け入れて素直になったら、強いし速いよ。
個人的にはやっぱり沙代さんを応援したいので、彼女には頑張って欲しいなあ。


スイート☆ライン4   

スイート☆ライン (電撃文庫 あ 13-26)

【スイート☆ライン】 有沢まみず/如月水 電撃文庫

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力こそパワーッ!!
と、なんか意味不明なことを口走りたくなるほど、この作品に出てくる登場人物たちのエネルギッシュなこと、エネルギッシュなこと。
いやあ、これだけ活力にあふれた人たちの姿を見てると、なんか圧倒されちゃうよね。でも、それが圧迫やプレッシャーにならないのが、有沢まみずという作家の絶妙のサジ加減、というところか。
コミカルな雰囲気でこのハイテンションな熱量をマイルドにしている、というのはむしろ表層的な部分の話で、面白いのは主人公にしてもあの大物プロデューサーにしても、自分自身が発している暴力的なまでのエネルギーを、実のところ完全に理性のもとにおいて制御しているところなんですよね。その熱量の起源から方向性、その活用法まで驚くほど完全に掌握し、コントロールしている。
有沢まみず作品の主人公の多くにこれは共通するところで、奴らが完璧超人だと思うのは、こういうところなんですよね。やつら、自分という人間の最適な使い方というのを非常に論理的な形で(感覚的ではない、というところがみそ)理解し、手のうちに入れている。
こういう輩は強いですよ。油断も隙もなく、あれよあれよと徹底した形で目的を達成してしまう。
この物語の主人公である花沢正午は、ある意味その究極的な形の一つなのかもしれない。
この男、熱血であり、情熱と感情を原動力としているものの、その迸るエネルギーによって動き出す行動の論拠となる部分は空恐ろしいほど冷静な理性によって管理され、目的達成までのルートを緻密に構築している。
熱血ではあるが、間違っても熱血バカとは程遠い人種だ。ヒロイン、新島永遠に対しても感情移入すると同時に、客観的な人間観察を繰り返し、姉を含めた周辺の人間に聞き取り調査をすることで、彼女の男性恐怖症の原因などの、目的達成のための問題点を洗い出し、その解決法を検案しているあたり、むしろ周到な人間であることが伺える。
とはいえ、リミットが少なかろうと怯むことなく自らを奮い立たせて立ち向かっていくあたり、情熱の人、熱血の人である事も間違いなく、熱さと冷たさを理想的な配分で内包している人物であることがわかる。
正午の姉ちゃんは、自分の弟の事をよく見てるんだなあ。というよりも、人を見る目がある、というべきか。よっぽど正確に自分の弟の才能を評価していなかったら、自分の将来すらかかったこの懸案を、本来なら無関係の弟に任せようとは思わんだろうに。
無論、不安や心配はあっただろうことは、言動の端々から見て取れる。弟に丸投げしてがんばれー、なんて心境とは程遠いものがあっただろう。でも、任せたからには信頼し、信用し、ドンと構えて待つそのでっかい姿勢。たまんないね。これはこれで、この姉ちゃんからも迸るようなエネルギーが漲ってるのが伝わってくる。
それは、男性恐怖症で野生動物みたいに逃げ回り、怯えた挙句にスタンガンまで取り出すようなマイナス方向にぶっちぎってるヒロインの新島永遠ですら同様なのだ。人見知りで内向的で男性恐怖症、と熱量とは程遠そうなキャラクターに見えるけれど、ところがどっこい。声優という職業にかける思い。そのためには自分のトラウマと戦う事を恐れない、歯をくいしばっても這いつくばってでも前に進もうという激烈な意思。自分に手を差し伸べてくれた正午への信頼感の強さ。そして、正午の応援魂に火をつけ、聴く人の魂を奪い去り、天才を山ほど見てきたプロデューサーや同業者をものけ反らせる、その声の演技の才能のぶっぱなされる瞬間。そのどれもが、他のキャラクターに負けないほどの活力に満ち溢れていて、自己の存在感を主張するパワフルなエネルギーが漲っている。
他にも、ライバルであり友人でもある同じ世代の声優少女たちの雌伏された想いといい、どこを見てても中てられるような躍動的な活力に満ち満ちていて、なーんか読んでるこっちまで元気になってくる感じですよ。

恋愛パートに関しては、今のところあくまで正午は永遠のことを応援し、その才能を存分に発揮させることばかりに頭が行っていて、彼女たちが自分たちに向ける感情の変化には、まったく注意を払ってないので、まだまだ動き出す前の段階ですけど、決して鈍感というわけではないみたいですし、女の子たちの方も既に鞘当てが始まっているみたいなので、続いたら面白いことになりそうなんだが。

いぬかみっ! EXわんわん!!5   

いぬかみっ!EXわんわん!! (電撃文庫)

【いぬかみっ! EXわんわん!!】 有沢まみず/松沢まり 電撃文庫

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【いぬかみっ!】、最後の最後の後日譚。これで最後。ほんとのラスト。
ああーーー、面白かった。やっぱり、このシリーズ、この作品、ここに出てくる全部の登場人物キャラクター、みんな大好きだ!
両手を天に広げて空を見上げて大きく絶叫「みんな大好きだ!!」

いやいや、しかし最後に色々と驚きのネタが満載で、吃驚したり仰天したり楽しかったり、切なかったり。色々と据え置かれていた伏線にも決着がついたようだし、ああこれで本当に終わりなんだなあ、と。
啓太とようこの話はこれで終わりなんだなあ、と思うとなんだかしんみりしつつ、でもどこか明るく気持ちよく。心地の良い終わり方でした。
とはいえ、この【いぬかみっ!!】の世界観はそのまま現在進行中の【ラッキーチャンス!】でも引き継がれているわけで、いずれこの中の誰かがあちらに出張出演、なんで機会もおそらく虎視眈々と狙われているでしょうから、寂しがる必要はないのかもしれません。
この作中でも、あちらの主人公の話らしい話題が一瞬、仮名さんの口から出てますしね。

冒頭の一作は、かなりキツいホラー描写の入った古の約定が若い母子に襲いかかる現代怪奇譚。お気楽ドタバタコメディを中心に書いている有沢まみず氏ですけど、この人本気出すとかなりマヂ怖いホラー書けるからなあ。だからこそ、この作品が何だかんだと場面場面で引き締まって、単なる変態が闊歩するコメディではない代物になっているんだと思いますけど。
その、典型的ホラーを吹き飛ばす啓太とようこのつうかいにして爽快感。暗く奈落のように深い圧倒的な絶望感を、そう啓太とようこはこうしてぶっ飛ばしてきたわけだ。このいぬかみっ!!の濶たる部分を凝縮したような話でした。なんでこのエピソードをこの最後の後日譚に入れなくてはいけなかったのか、うっすらと理解できたようなできなかったような。


そしてラストエピソードは、宗家の引退に伴い、啓太と薫、どちらかが河平宗家を継ぐことになるというお話。
いやー、啓太自身は自覚なかったんだけど、確かに死神事件以降、邪星、三神と尋常でない試練を潜り抜け、大小様々な事件でその大きな器振りを示してきた啓太は、いつの間にかみんなに認められてたんだなあ。
その象徴というべきなのが、薫の犬神たち。みんな当初の毛嫌いが嘘のように、今の懐きよう。でも、実際啓太はそれだけの事をやってきて、皆に慕われるだけの態度を見せてきたんだから、それが皆に認められているというのは、付き合ってきた読者としても何となくうれしくなる。

それでもヤッちゃうのが、啓太なんだけどね(大爆笑

後継者指名の大事な席で、とんでもないことをしでかしてしまう啓太殿w
こいつの可哀想なところは、決して啓太本人が望んでやらかしるわけでなく、彼本人に責任があるわけでないところか。
変態、もしくは変態的出来事が向こうから押し寄せてくる体質、と(笑
後継者問題棚上げの理由も、啓太の人格や能力は今更疑わないが、あの変態体質は川平家の代表としてどうなのよ? と、至極首を上下に動かしてしかるべき代物で。そりゃ、霊能界でも有数の名家である川平家の当主様が、毎度ことあるごとに変態的出来事を巻き起こしてたら、……単純に嫌だよなあ(爆笑

というわけで、なんだかんだとお祭り好きな川平家の血が騒ぎ、宗主の後継者は啓太と薫が直接対決して決めることに。
仮名さんが薫に味方する理由があまりに切実で爆笑したよ。確かに、仮名さん、啓太に巻き込まれさえしなければこの作品でも稀に見る常識人だもんなあ。でも、過去を顧みると一番変態的なことをになってるのも仮名さんなわけで。いやいや、ほんと凄まじいまでに変態だもんなあ(大爆笑

と、その影で薫の犬神たちの色々な思いも垣間見えてきます。
特に印象的だったのが、人間と犬神との種族を越えた、でも寿命という運命に隔てられた哀しい関係。明るい雰囲気の裏側で、この問題は常に逃れられない重たさを以って話の裏側で流れていたからなあ。
その傷を一番深く負っているのがあのフラノ。ごきょうや曰く、愛した人との別れに心を凍らせてしまっているという。そして、その痛みを知らず恋を知ったのがたゆね。今回の、啓太への想いを素直に告白するたゆねは、本当に可愛らしくなった。潔癖なボーイッシュな突進少女が、恋する女の子として花開いていくその集大成みたいな話で。
……そうか、君、愛人体質だったのかー!(どかーーん
まあ、この子の性格じゃ、ようこを押しのけることなんか土台無理な話か。でも、ちゃっかり傍に侍っている雰囲気の子でもある。そんで、初めての恋で、大きな傷を負うんだろうなあ。この子は、人間との恋がどんな結末になるかを本当の意味で知らないから。
そして、現在進行形で傷を負い続けているのがごきょうや。こっそりと私が一番好きだった犬神。もとは啓太の父親の宗太郎の犬神だった娘であり、彼に恋したが故に遠ざけられた犬神。
今回描かれるのは、彼女が胸にひっそりと抱き続けた切ない恋の終わりの話。なでしこの話を聞き、遂に自分の想いに決着をつけるごきょうやの想いが、なんとも切なく哀しく、でも美しかった。
やっぱり、自分は一番この人が好きだったわ。
そして、ごきょうやとの酒席で明らかになった、なでしことようこが天地開闢医局に通っていた理由。
これは本当に驚いた。とてもとても驚いた。
そうか、二人はそういう選択をしたのね。
でも、それは残される連中からしたら、やっぱり哀しいことなんだろうねえ。みんな、許してくれるだろうし、祝福するんだろうけど。寂しい、と思わずにはいられない。

もう一つびっくりしたのが、せんだんの恋。
ああ、まさかまさか、そう来たか(笑
うんうん、これはまったく頭になかったけど、言われてみるとすっごいお似合い。とびっきりにお似合いだ。あの人にとっても、ようこが上のような選択をした以上、彼女が傍にいてくれるということはとてもいいことだと思うし。
祝い事である。

新藤ケイは、やっぱりやっぱり最大のようこのライバルであり続けると思うんだ。ヘンタイたちが味方にいるからじゃないけど(あれはケイが可哀想だぞ(笑
たゆねはあの愛人体質からして、上手いこと傍に侍りそうだけど、ケイはどうなんのかなあ。普通はようこと啓太の間には入る隙間なさそうなんだけど、この娘だけはたとえ隙間が溶接されててもえいやと腕力で観音開きに開いて足突っ込んでマテやこら、と割って入りそうなパワフルさがあるんですよね。啓太に対する引け目もないし。
ようこと啓太は間違いないベストカップルだとは私も思うけど、それでも頑張って欲しいね、彼女には。

そして、決戦。楽しい楽しい、お祭りごと。
ああ、楽しい、楽しい最後の大騒ぎ。薫と啓太、やっぱりこの二人はとびっきりの大親友だわ。犬神たちが嫉妬するくらい、がっちりと気持ちがかみ合ってる。この二人が内外から支える川平家は、今までで一番の繁栄を迎えるに違いない。

楽しかった。とっても楽しかった。最高のお祭り騒ぎを堪能させていただいたとても楽しく素敵な作品でした。

ごちそうさまでした♪

ラッキーチャンス! 44   

ラッキーチャンス! 4 (4) (電撃文庫 あ 13-24)

【ラッキーチャンス! 4】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫 Amazon


沙代さんかわいいよ沙代さん!
けっきょく、二ノ宮さんを差し置いて、キチに続いて表紙に抜擢されたのは天草沙代。
この娘、よっぽど絵師さんにも気に入られているのか、彼女の登場する話ではかつて【いぬかみっ!】で猛威をふるったあの衣装チェンジ風見鶏が登場して、いろんなコスチュームを着せられる沙代さんですが、なんか全部イラスト化されてるし。全裸もそうですけど、あの黒ストパンモロは反則だ(w
厚遇という意味では絵師さんだけでなく、ストーリー的にも実はメインヒロインじゃないのかと疑っている。前々からちょっと思ってたんだけどね。巧妙にメインヒロインはキチと二ノ宮さんみたくなってるけど、話の持って行き方やキャラの配置を見てると、実のところ天草沙代の立ってる人間関係の立ち位置って、キチや二ノ宮さんより遥かに強力なんですよね。
今回、二ノ宮さんの家柄にまつわる事情が匂わされて、ヒロインとしての立場が強化されてますけど、マサトのキャラクターの性質や立場からすると、彼女の置かれた境遇を引っくり返すことはできても、それが恋愛を動機とする、もしくは恋愛に繋がるものとは非常になりにくいような気がするんですよね。
こう考えると、ある程度精神的に大人として完成されてるマサトのキャラクターって結構厄介なんですよね。
思慮深いから、ジワジワと想いが醸成されるタイプだから。
キチ相手でも、キチがちっちゃすぎるというのもあってか、まず妹的存在としてカッキリ枠組みができちゃってるんで、突発的に彼女が恋愛対象にはなかなかなりにくいように思えるわけで。
一方、沙代さんはというと、元々何の面識もないところから、徐々にマサトの意識に浸食してる感じがするんですよね。しかも、マサトの方はかなり嫌われていると誤解している所がポイントとして大きいわけで。
占い師のおばちゃんがマサトに出した占いの対象者が明らかに沙代だったのも、単純にドタバタネタというには色々と意味深。それに、あそこで沙代が自分から踏み止まったのは、後後大きいと思いますよ。


可愛いと言えば、佐野ちゃんがさり気にポイント高いわ。まだ恋も知らないと断定されてしまったけど、和尚とのコンビはけっこういい雰囲気なので、もっと仲良くなってほしい所。両方ともいいやつだし。

銀色ふわり5   

銀色ふわり (電撃文庫 あ 13-23)

【銀色ふわり】 有沢まみず/笛 電撃文庫


嗚呼、これは間違いなく【インフィニティ・ゼロ】の系譜だ。
【いぬかみっ!】や【ラッキーチャンス!】とコメディが続いたため久しく忘れていたけど、この人の原点はここなんだよなあ。
いや、ここに原点があるからこそ【いぬかみっ!】や【ラッキーチャンス!】も底抜けに楽しい雰囲気の裏にひんやりとした暗闇が広がっていて、作品に深みを与えていたんだよなあ。

動くものひとつない無音の雪原にも似た冬の静かな絶望。ひとりぼっちの世界の中で、孤独に震える心を救うのはお互いの手の感触。握った手のひらから伝わる暖かさ。それは寄り添う身体の温もりであり、寄り添う心の優しさ。


黄昏のこどもたち。機会を通してしか人間には認識ができない新たな世代の子供たち。そして、彼らもまた機会を通してしか人間を、生きているもの動物・植物に至るまで認識することができない子供たち。
そんな黄昏のこどもたちの一人、イエスタデーと街頭ですれ違った少年春道は、機械を通さず彼女のことを普通の女の子のように認識することができ、それはイエスタデーからも同じで。
イエスタデーにとって、初めて生で存在を感じ、ふれあい、認識できる相手。
二人の出会いが紡ぎ出す、静かな終局に至る、でもきっと無駄ではない、これは優しい絶望の物語。
二人の歩く道のりを、さいごまで、見守っていきたいです。

ラッキーチャンス! 2  

ラッキーチャンス! 2 (2) (電撃文庫 あ 13-21)

【ラッキーチャンス! 2】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫


性格的に面倒くさいキャラ来たッ♪
この作品、主人公の雅人といい、ヒロインのキチといい二ノ宮さんといい、みんな純粋でまっすぐでいい子たちばっかりだったんですよね。それはそれでよかったんですけど、やっぱり中にはひとくせ歪んでる子が絡んできてほしいのがラブコメの需要というもので。
というわけで、居丈高なコンプレックスの塊、天草沙代登場の回。ただ、コンプレックスにとらわれて意固地な態度に終始してるけど、言動の端々を見てるとこの子も、すごくまっすぐで善良な子なんですよね。
もともと有沢作品って、一癖あってもみんな根っこは善良なキャラクターが多いんですけど、この【ラッキーチャンス】は変態分が抑えられている分、そちらの善性の成分が強調して感じられますかねえ。
ただ、前作【いぬかみっ】のなでしこに代表されるように、純心であるがゆえのただならぬ歪みや黒さの描写にも定評があるこの作者。沙代との対決で噴き出しかけたキチの疫病神としての本性の、一瞬とはいえかなりの凄絶さに、知らず知らず仕込みは為されている感もあり、その点でも先々かなり楽しみなんですよね。
穢れを知らぬ無垢さゆえに、キチが反転してしまった際はいったいどうなってしまうのか。今からドキドキ。
でも、主人公の雅人が生活力はのぞいて、とにかく頼もしいからなあ。ケイタもそうだったけど、何があってもなんとかしてくれる、という信頼感があるんですよね。その分、この雅人については過去も含めて未だに底知れない部分があるのですが。
その観点からみても、この雅人ってケイタよりもカオルによく似たタイプに思います、やっぱり。

あと、ちらっと仮名さんらしき人が電話越しですけど登場してましたよね(笑

変態分は、二ノ宮兄の登場で補充ですか。でも、シスコン変態化する前の有能プレイボーイ振りが凄まじすぎたので、むしろそっちの路線でもいいような(笑

それにしてもキチのかわいさは尋常じゃないなあ。尋常じゃない。きっと【ゆのはな】のゆのはからあらゆる邪まな部分を取り除くとああなるんですよ(マテ
今考えると、ゆのはの邪神ぶりは酷かったなあ。そこがまたよかったんですがw

ラッキーチャンス!  

ラッキーチャンス! (電撃文庫 (1528))

【ラッキーチャンス!】 有沢まみず/QP:flapper 電撃文庫


くわぁぁっ、やっぱり私、有沢まみず、好きですわーっ! なんかもう、フィーリングが最高にフィットしてるのかしらん。
今回の主人公外神雅人は、めちゃめちゃナイスガイっすね。前作【いぬかみっ】の主人公ケイタから、女癖と変態分を取り除いたような。というか、むしろカオルに一般人的俗っぽさと不幸体質を植え付けたようなキャラ?
前作の主人公と比べるとアクのなさがなんやかんやと言われるかもしれないけど、ハッキリ言ってケイタはアクが強すぎて物凄いことになってた節もあるので(裸王)とか。むしろこのくらいでちょうどいいんじゃないだろうかと思う所存であるところ。
カオルと違って、こっちの雅人は親しみやすいタイプですし。
しかし、この作者の書く主人公というのはどうしてまともな家に住めないんでしょうか(汗
既に登場時点から学校のプレハブ小屋に住んでるし。途中でテント暮らしになってるしww
まあ、ケイタも雅人も、そうした境遇に瞬間的には絶叫して頭を抱えながらも、めげず堪えず拗ねず捻くれずに、タフネスに順応してるあたり好感度高いんですけどね。……なんの好感度だ?
一方のヒロインのキチは……どうしても【ゆのはな】のゆのはを想起してしまいますなあ(笑
でも、あそこまであこぎな守銭奴じゃないですし、非常に純朴で初々しいく一生懸命で感情に素直なあたりはトモハネっぽくもあり…いや、トモハネとはまた少しタイプ違うか。でも、ほんとに一生懸命で気持ちのいい子。
主人公にヒロイン、両方が気持のいいキャラクターなんで、読んでても気分いいですわ。書いてるのが有沢まみず氏なので、いい子っぷりが決して嫌味にならないし。
そうした心和むほのぼのコメディを展開しつつ、しっかり不穏な影を仕込んでるあたり、油断できないんですよね、この人。
こりゃ、クライマックスにはまたぞろ激燃え展開は必定かもしれません。なんにせよ、まだ始まったばかりの第一巻。もっとキャラも増えてほしいところですし、世界観も広がって欲しい(いぬかみっ、と繋がるのかな?)ところ。長編展開を期待するですよ。

いぬかみっ! EXわん!  

いぬかみっ!EXわん! (電撃文庫 あ 13-19)

【いぬかみっ! EXわん!】 有沢まみず/松沢まり 電撃文庫


これで今度こそ本当に終りの【いぬかみっ!】最終巻。外伝というよりも、ほとんど「もしも」シリーズだとか番外編ですね。
軽い設定集みたいな項目を読んでると、ちらっと本編最終巻以降の話にも触れられてるんですよね。東家なんて存在、出てましたっけ? なんかせんだんがそっちに関わるみたいだし、今度出る新作ってもしかして世界観はこの「いぬかみっ!」とおんなじものなんだろうか。
新作は燃えが増えるとか言ってるけど、この「いぬかみっ」だって最初はちょっとえっちなよくある女の子がいっぱい出てくるラブコメのはずだったのに、女の子よりもむしろ変態がいっぱい出てくる話になっちゃってたのであんまり信用できません。まあ、死神編以降予想だにしていなかった激燃え展開をああも効果的にキメられたら、今度はさらに燃える話と聞いて期待せずにはいれないんですが。

さて、今作では「もしもケイタの犬神が○○だったら」というIFストーリーなんてものが挟まれているので、やれあの子がいい、あの娘がいい、という話題が飛び交っているはずですので、私も便乗させてもらって。
まあこういうのは、もともとどの犬神の娘がお気に入りだったかというところなんでしょうけど。
多分にもれず、私も結局本編で好きだった娘に目が行ってしまったのですが。人気はやっぱりたゆねなのですかねー。私は誰しおうごきょうやです。マイナーだろうがなんだろうが、ごきょうや。

ごきょうや!

父親の元犬神で、ケイタにとっては乳母のような姉のような複雑な存在、と本編では明らかにほかのイヌカミとはケイタの態度が違うんですよね。ごきょうやにとっても、ケイタは元のご主人の息子で、惚れていた男の子供。その横顔にはあの人の面影が……という気になる存在。
正直、けいたとごきょうやのIF話はかなーーり気になるんですけどね、なんか背徳的で(w

いぬかみっ! 14.完結編(下)〜fly high high〜  

いぬかみっ! 14 完結編 下 (14)
【いぬかみっ! 14.完結編(下)〜fly high high〜】 有沢まみず/若月神無 電撃文庫


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震えた。
体の芯から震えが来た。来た。来た!
熱狂の大嵐! 燃え尽きて悔い無しの大活劇!

間違いなく最高傑作! 

もう読んでて作者の筆がカッ飛んでるのが伝わってくるような、怒涛の勢い。興奮のスパイラル。素晴らしい。これがエクスタシーでなくてなんなのか。

薫復活のために、独りで呼び出した太古の三神に課せられた試練をクリアできず、命という代償を払うはめに陥ったなでしこ。
そのなでしこの命を救うために、三神の試練に挑む啓太。試練の内容は制限時間内に世界を一周してくること。プラス三神による実力行使の妨害アリ。

絶望的なまでに圧倒的な力を振るう神々の力の猛威。無敵としか思えない神々に、力押しから智謀策謀まであらゆる手段を駆使して立ち向かう啓太たち。
まさにこれまで出たキャラクター総出演のフルキャストオールスター総力戦!!

短編でのコメディ回の一発ネタかと思っていた大人化ともはねの再臨。
眠れる天才川平カオルの覚醒。
最強の犬神なでしこの真価。
他にも、薫の復活。姐御と化した新堂ケイ率いる変態軍団の活躍。猫の留吉をはじめとした妖怪たちの支援。やっぱり最後まで変態行為を強要されながらも何故か格好よくて仕方の無い仮名史郎。薫復活の儀式のために集めた精霊達の援護。婆ちゃんとはけの最強犬神使いの大盤振る舞い。親友の危機に駆けつける仙蛙白山名君。ここにきてようやく集結した川平薫の犬神十匹による完全版破邪走行発露。
とにかく興奮しっぱなしの中に、真打登場とばかりに満を持して登場する、大妖狐と赤道斎の【いぬかみっ】ラスボスコンビ。
絶対無敵かと思われた三神相手にガチに渡り合う二人に激痺れ。伊達にボスキャラじゃなかったのね!

そして、これらすべての味方を指揮し、ようこを傍らに伴って神々を圧倒していく我らが裸王 川平啓太(笑

ここまで盛り上がりに盛り上がり倒したラストバトルはそうはお目にかかれないかと。あまりの熱さと疾走感に酩酊すら覚えながら、最後まで楽しい雰囲気を損なわず、これからもこいつらは大宴会さながらに愉快に楽しく過ごしてくんだなあ、と感慨に浸りつつ完結のページを閉じるのでありました。

14巻という冊数もアリ、随分たくさんのキャラが登場したこの【いぬかみっ】ですけど、敢えて一番好きなキャラをあげるなら、わたしは「ごきょうや」だったりします。
啓太の父の犬神だったごきょうや。主人である彼に女として想いを寄せるものの、啓太父は人間の女性と結婚し、心ならずも彼の元を遠ざけられたごきょうや。未だに失恋の傷心を抱えつつ、主人の息子である啓太の成長を慈愛ある目で見守っていたり、啓太の横顔に垣間見える想い人の影に心を揺らす、そんな彼女の物凄い女っぽいところにモロにノックアウトされたんですよねえ。
自分がフラノなんかも好きなのも、どうやら彼女が過去に人間の男と恋をして、その彼と死別しているらしい、というあたりの秘められた過去からふと垣間見せるほかの犬神の女の子とは一線を画した大人の女の色気みたいなのに惹かれたのかも。

最初は誰が誰かわからないくらいだった薫の犬神十人衆も、巻が重なるたびに愛着が湧いて、最後はみんな、好きになりましたねえ。
でもやっぱりごきょうやが一番好き。
二番目は新堂ケイかな。なんやかんやのうちに変態たちの姐御になってしまった二十歳女子高生、頑張れ、新堂ケイ。たゆねの躍進はあったけど、ようこの対抗馬は君だと私は思ってるぞ。応援したるけえのう(笑

いぬかみっ! 12  

いぬかみっ! 12 (12)
【いぬかみっ! 12】 有沢まみず/若月神無 電撃文庫
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こりゃあ、もう芸術的だなあ(感嘆
11巻でもそうだったのだけれど、この12巻における仮名さん主役の中篇は、コメディとしての一つの極じゃないでしょうか。
この誤解と勘違いが積み重なり、偶然に偶然が重なって、事態が加速度的にわやくちゃになっていく展開は、三谷幸喜の舞台脚本を連想させる。
お見事。これはただのノリと勢いでは絶対に書けない。非常に細やかな計算に基づいた、精緻な芸術品と呼べるものである。もし、これを深く考えずにノリと勢いだけで書いてるのだとしたら、それはもう天才の御業という他ない。
しかし、この人も完全に自分の作風というのを確立したなあ。たとえ、作者の名前が伏せられていても、一読してすぐにわかるであろう余人に真似できない独特の作風。実際の真価は、いぬかみ。とは違う新作・新シリーズを書いたときに分かるんだろうけど、本当に続きを読むのが待ち遠しい作家になりました。
成長といえば、ようこの女としてのスキルアップには目を見張るものが。冒頭の女同士の駆け引きは、あれ上手いこと書いてるなあ(笑
やってることはハーレムものにありがちな、女同士の男の奪い合いなんだけど、この書き方が素晴らしいのなんの。なんで、こうも手に汗握らにゃならんのか。読んでるこっちまで熱くなる激烈な心理戦。
最後のようこの鮮やかな勝利には、思わず喝采。
ものは書きようですなあ、ほんとに。
手に汗握る攻防といえば、最終編の古城の精霊とのチームバトルは、尋常でない盛り上がりで。燃える燃える盛り上がる、大興奮。
この辺、完全に読者のモチベーションをコントロールし切ってますわ。この作者の手のひらで踊らされる心地よさときたら。
そろそろ物語りもクライマックスに向かっているようですが、最後までこのテンションで走りきって欲しいです。
あー、面白かった。大満足。

いぬかみっ! 10  

体力ないときゃ一言感想。
のつもりだったんだけど、書いてると長くなってしまったので、いつもと同じ形式に。

いぬかみっ!〈10〉
【いぬかみっ! 10】 有沢 まみず  電撃文庫
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 実はポンテンシャルはともはねが一番だったのか。
 妹キャラとしてカオルが新たな立ち位置に。そういえばこの話ってともはね以外そういうのいなかったか。ともはねは幼すぎて完全に妹という立場に落ち着いちゃっているし。
 さらにあの死神の話で登場した新堂ケイがここで再臨。これには驚いた。
 実をいうと、ここに至るまで女性キャラは沢山出ているのだが、本当に啓太に対して異性としての好意を抱いているのはようこだけだった。二人の関係はおおむね、逃げる啓太に追うようこと、よく言われるように「うる星やつら」パターンだったわけだ。
 ところが本筋での物語がクライマックスを迎えて一段落ついたところで、啓太が観念してしまい、二人の関係は恋人同士と呼んでも過言ではない程度のイイ感じになってしまったわけだ。
 面白いのは、そうなった段階で川平カオルと新堂ケイが投入されるこの展開。
 カオルの方はまだ微妙だが、新堂ケイの方はようこ以外で唯一啓太にぞっこん惚れてる女性。しかも、この【いぬかみっ】全編通しても1,2を争う秀作、なにより熱くて啓太が格好良かった対死神戦でのヒロインである。絶望の淵にあった彼女が啓太によって救い上げられ、彼に惚れてしまう一部始終を読者は余す所なく見ているわけで、その辺のポッと出の主人公にデレデレキャラとは一味違う風格がある。
 すなわち、ようこと真っ向から張り合えるポンテンシャルを持ったヒロインキャラというわけだ。

 8巻で話が纏まり、そのまま多少短編を綴ってはいおしまい、と思ったこの【いぬかみっ】だけど、どうやらまだまだ続けたい意志が、彼女らの投入から窺えると思うのは穿ちすぎだろうか。
 明らかにこの巻でキャラの再編成を行っている。カオルの参加はもとより、薫の犬神たちを、失踪した薫の探索という形で一旦退去させ、ひなぎくやたゆね、せんだんといった啓太たちに絡むことの多かった面々を遠ざける。と同時に、フラノというこれまで脇の方にいて目立たなかったやつを、自分は立ち位置を揺るがさないまま周囲を混乱に陥れるトラブルメーカー・タイプとして再配置。
そして本命、新堂ケイをラストに再投入と来た。
元いた啓太・ようこ・ともはねの三人組にフラノ・カオル・ケイの三人を加え、さらにおなじみの仮名史郎に、赤道斎と大妖狐がプラスされ周りの賑やかし要員もきっちり配置され、話を続けていく体勢はしっかり整えられた感がある。
このキャラ配置を見る限り、今までよりもラブコメ要素が増えるんでないかなあ、と期待してしまう。まあようこと啓太の関係が鉄板なので、まじな恋愛話になるとかなり拗れそうだから、本気のガチンコモードはなさそうだが。
しかし、相変わらず仮名さんは美形のクセに服着てない方が多いなあ。もはや【裸王】の冠は啓太よりも仮名さんの方が相応しいんでないだろうかw
 
11月26日

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