有馬記念

第69回有馬記念 G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)

最後の直線に入ったところから、ずっと「シャフ! シャフ! シャフ! シャフ!」と連呼してました。
凄かったよシャフリヤール。マジで大外からぶっ飛んで来たのを見た時は、胸の奥から感動がブワッと吹き上がって頭の中熱くなったもん。

ドウデュースが出走回避したのを知ったあと、彼の秋古馬三冠達成が潰えてしまったのを知ったあと。
じゃあ、この有馬記念。どんな形の結末が、ドウデュースの伝説になる終わり方に匹敵する競馬史に残る劇的な結末となるんだろう、と考えてしまったんですね。
そうして想起されたのが、今まであと一歩の所まで指先がかかりながらついぞ手が届かなかったG1の悲願を達成するディープボンドか。
或いは、お前が居ないのなら先輩である俺がやる、とダービー馬として歴史に残る偉業を海外を飛び回って残し続けたシャフリヤールが、最後に国内に戻ってきてこのグランプリG1で有終の美を飾る。
って、絵面だったんですよね。

しかし、シャフリヤールに立ち塞がったのは、有馬記念に置ける最悪の魔の枠順、大凶の数字である大外8枠。
そして、6歳以上は走らないとされている歴然としたデータ。
有馬記念ではディープインパクト産駒は結果を残せていないという記録。
前走はアメリカでのレースを終えての海外輸送帰り。
突風吹きすさぶ環境は、騎手をして前に馬を置いて壁にしないといけないというさらに大外枠に厳しい状況。
逃げ馬不在の展開からくる、ロングスパート戦が想定されるシャフリヤールに不向きな展開。
ありとあらゆる条件が、シャフリヤールお前には無理だ、と突きつけているような状況でした。
去年、シャフリヤールは内枠を引きあて、そこで完璧に等しい競馬をして5着でした。あれからさらに一年歳を重ね、条件は前年を遥かに越えて過酷でした。
10番人気だったのも、理解できるんですよ。あまりにも、あまりにも不利条件が重なりすぎていた。

でも、そんな壁を乗り越えてきた馬こそが「空飛ぶダービー馬」だったのです。
前年の同じ大外枠だったスターズオンアースのように、スタートダッシュから一気に内に切れ込んで外枠の不利を消滅させてしまったルメールマジックみたいな戦法ではなく、スタート抜群に良かったわけではなかったシャフは、そのまま後方10番手あたりにつけました。当然、外々を回らされる位置。
レース前は逃げるのもありだ、と述べていた陣営ですけれど、こうなればどうしようもなく地力勝負。
実際、なかなか前に馬を置けることもなく、ずっと外側走ることになってるんですよね。
しかし、向正面で前半1000メートル62秒のスローペースにかこつけて、ジワリと前に位置取りを進めたシャフリヤール。ここから4コーナーのマクリは本当に寒気が走るかと思いました。直線に入るところで一気に加速。あのカーブの急な中山の4角をギュンギュンと加速しながら小回りで回りきる。
普通、大外回ったらどんだけ加速していても、大回りした分直線入ったところで横並びになった際には位置的に後ろになっちゃってるものなのに。
直線入ってくるところでは中団大外にいたシャフが、直線入った段階では逃げるダノンデサイルと追随するベラジオオペラを捉える3番手の位置に、既に食らいついていたんですよ。
痺れましたね。一気に頭に血が上りましたよ。
そして、あまりにもシャフばかり見ていて気が付かなかった。
内側を、神がかった進路取りで文句のつけようのないパーフェクトな走りで貫いてきた、レガレイラの存在に。
内から、そして外から軌跡を残すように滑らかに直線に進入したこの二頭が、前にいるベラジオオペラを躱す進路を確保するために1頭分外に出したレガレイラと外から切り込んできたシャフリヤールが。
示し合わせたように馬体が並んで隣り合うんですよ。
そのタイミングが、まさにここからギア全開。フルスロットルだァ! という瞬間。ちょうどアールカーブが終わり直線に入った瞬間。
なんど映像を見直しても、この瞬間は芸術的です。
そして繰り広げられる中山競馬場直線300メートルどちらも譲ることのない一騎打ち。
1996年の阪神大賞典マヤノトップガンVSナリタブライアンの。
或いは1993年天皇賞・秋のヤマニンゼファーVSセキテイリュウオー。
これら歴史に残る死闘に並び立つ、令和の名勝負でありました。

結果は、頭の上げ下げでわずかに鼻差前にあったレガレイラが、3歳牝馬としては64年ぶりの有馬記念制覇の快挙。ヒシアマゾン、ダイワスカーレット、ブエナビスタという名だたる名牝が2着で涙をのんだ3歳での牝馬によるグランプリ制覇を、牡馬たちのクラシックに殴り込みながらついに念願果たせなかったレガレイラが達成して見せた。凄い。この娘ならダービーをとれる。絶対にG1級の馬なんだ、と信じ続けた陣営と、そして彼女を有馬に投票で導いたファンの祈念が届いた劇的な勝利でした。
そして、負けたシャフリヤール。負けた、とか言えんですよ。こんなん、言えんですよ。強かった。21年世代こそが最強なんだと言わんばかりの神がかった激走。あらゆるデータを覆す魂の疾走。
もうあかん、感動や。シャフゥゥゥ、シャフゥゥゥ!!(号泣

新世代も頑張った。菊花賞馬アーバンシックは、スタート出遅れがあまりにも致命的でしたが、それでも最後伸びて6着に入りましたし。
まさかのノリさんの逃げで、先頭で牽引したダノンデサイル。これも前半はスローでしたけれど、残り1000から一気にペースあがって消耗戦となり前有利と言えなくなった展開で、最後の最後まで踏ん張ってみせました。この馬、ほんと根性ありますわ。ただ調教師先生は、あまり走りに満足していないどころか危機感を抱いている様子。こういっちゃなんですけど、この先生面白いッ。
主導権をパパにとられた横山和生のベラジオオペラですが、これも距離の壁を乗り越えて食らいつき続けて4着入線。
5着にはジャスティンパレス。この展開で後方からではここがやはり限界でしょう。毎回毎回、どうしても展開不利になってしまう。にも関わらず、掲示板には毎回乗るんですからホントに勿体ないよなあ。後方末脚勝負では、ローシャム、アーバン、ブローザホーンには負けん、というところでしたね。
7着にローシャムパーク。道中、スロー展開のせいか馬群の中で折り合いをかいてるところが見受けられてしまいましたね。そこで消耗してしまいました。いっそ、そこで前に行かせてもよかったんじゃないかと。
8着にはスタニングローズ。ざっと色んな人の調教評価見回した感じ、一番仕上がっていたのはこの娘だったのかもしれません。しかし、位置取りは悪くなかったと思うんですけれど、4角では既に手応えが怪しくなってましたね。あのエリ女の迸るような手応えが残っていませんでした。4コーナに差し掛かって加速していく段階でちょっともたつくというか走りが乱れる瞬間があったので、ちとカーブに乗り切れなかったところがあったのかな。距離も厳しかったのでしょう。これで引退ですが、未来の子どもたちが楽しみです。
9着ダノンベルーガ。上がり最速を記録していますけれど、最後方ポツンから追い込みだけした、って感じですからまあこんなもんで。
10着シュトルーヴェ。この馬も大外を回らされてましたが、中盤までシャフリヤールの後ろくらいにつけていたのに、4角ではあっさり置き去りにされ、大外ぶん回して後方一気狙ったものの、頑張ってもここでした。大外走らされたこうなるんですよね、普通は。ほんと、シャフはすげえなあ!
11着プログノーシス。この子も出遅れてしまって、前につけたいこの馬としてはあんまりにも致命的すぎました。中距離馬ですから、そこから脚使ってスタミナ消耗するわけにもいきませんし。どうしようもありませんでしたね。
12着はブローザホーン。さすがに追い込みのこの子が、外の列に馬を置いて内側走ってるのを見た瞬間、こりゃ無理だ、となりましたね。どう考えても行き場なかったですし、進路空いた時には遅すぎますもの。2枠4番はこの子としては外枠よりも厳しいものだったかもしれません。かといって外でもキレるイメージ湧かないのですけれど。
映像を見ていると、スタートから鞍上の菅原くんがガンガンしごいているのに全然行かない。あれ、できるだけ前の方につけたかったんでしょうね。出遅れたアーバンシックにも抜かれて位置取り後ろになってしまった時点で苦しかった。中盤、位置を押し上げるくらいの思い切りがあっても良かったかもしれません。
13着ディープボンド。
正直、このレースも夢を見ました。まさかの3番手につけての競馬になりましたからね。幸さんが跨るようになってから、かなり理想的な位置につけるようになったの、あれ手があってたんだろうなあ。
前半がスローペースと判明したのがわかったあとは、もう向正面から早仕掛けてスタミナ勝負の消耗戦に持ち込めーーっ!と念を送っていたのですけれど、3番手から動かず。でもこれラップタイムみたら残り1000メートルから全体に加速してるんで、実際はスピードアップしてたんでしょうね。頑張って、あそこだったわけだ。でも、もっと早く仕掛けても良かったんじゃないかな。4角での幸騎手がグイグイ押していたものの、前に進んでいかずにズブさがもろに出ていて、ズルズルと後方に。
終戦でした。そしてプボくん、これが引退レースになるそうです。種牡馬に離れず、京都競馬場で誘導馬になるそうで。そうかー、ついに第二の馬生かあ。お疲れ様、ほんとうにお疲れ様でした。よー頑張った。G1タイトル、取ってほしかったなあ。取りたかっただろうなあ。
14着スターズオンアース。道中、ちょっともうまともに走れてなかったみたいですね。レース前からどうも不穏な感じでしたし、トラックマンの人達も大丈夫? これどうなん? という感じのコメントが多くて、これ鞍上の川田も下手に追うつもり最初からなかったんじゃないのかな。
15着ハヤヤッコ。大外枠で前に馬を置けなかったせいもあるのか、道中ずっとはしゃいでました。なんか、正面通るところでずっとカメラ目線で走ってたぞこいつw
ともかく折り合いがあわなかったんでどうしようもなかったですね。ただカメラ映りのアピールに冠してはめちゃめちゃ良かったと思います。

改めて、大本命でありドラマの集大成でもあったドウデュースのラストランがなくなり、しかしその消沈を見事に消し飛ばしてくれる、素晴らしい歴史的名レースとなってくれました。
勝ったレガレイラは、来年同期のステレンボッシュ、チェルビニア。クイーンズウォーク、ボンドガールといった面々と改めて決着つけてほしいですね。そして、復活のお嬢様リバティアイランドとも対戦して欲しい。次回はドバイか大阪杯か。ベラジオやダノンデサイル、アーバンシックらとも激戦を繰り広げる25年になりそうで、楽しみ。
シャフリヤールは、なんかもう衰え知らずもいいところで、現役引退もまだ決まっていないみたいですし、これが最後じゃなくてもう一度ドバイまで行くかもしれませんね。あとひとつふたつ、この馬ならG1もぎ取れるよ!!
もし現役続行なら……やったれ、シャフリヤール!!






第69回有馬記念 G1 出走馬   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)

アアアアアアアアアアアアアアアアアア


しょっく。


一報を聞いたのは、車のAMラジオの一般ニュースでした。普通の番組の合間に流れるニュースで事件や事故の報道を流すコーナーであり、普段こんな競馬のニュースは流れないんですよ。少なくとも自分は初めて聞いた。
それがいきなり、ドウデュースの名前が出たから運転しながら頭の中「???!!」
ドウデュースの出走回避を聞いた時には車内で「うあああああ!」。叫んでしまいましたよ。

今が絶頂、今こそが最も強い。そんな最盛期に至っていた、ピークに至っていたドウデュースがレースに出ないまま引退。眼の前に迫っていた秋古馬三冠達成が、間違いなく歴史の1ページになるはずだった伝説が、こうして夢のまた夢の向こうへといってしまったのでした。
残念、ひたすら残念。当事者である厩舎関係者やオーナーや武さんの無念はいかばかりか。
武さんがこの土日、病気で乗り替わりって、これ本気で気落ちしちゃったんだろうな、と思っちゃいますよ。
残念、本当に残念。残念としか言いようがありません。
それでも、無事にぱくぱくご飯食べてて、これからは種牡馬として新たな活躍の馬に迎えるんですからね。それに関しては、確かにホッとした気持ちもあるんですよ。
秋古馬三冠の達成を見たかった、という思いと、無事に競走馬生活を終えられて安堵した、という気持ちはどちらも並んでこの胸の内にあります。

それに、今回の有馬記念はこのぽっかりと胸に空いた穴を即座に埋めてくれるに足る、とんでもないメンバーが揃った「恐るべき有馬」じゃないですか。
たとえドウデュースの伝説が刻まれなくても、この1番から16番までヤベえ奴しか居ない歴代でも屈指の強豪が揃った有馬記念。勝った馬は語り継がれますよ。


1枠1番 ダノンデサイル 横山典弘 牡3
言わずとしれた本年度のダービー馬。横山ノリさんをワンアンドオンリー以来10年ぶりにダービージョッキーに、それも最高齢ダービージョッキーの記録を更新させた若駒である。ドウデュースが健在なら、シャフリヤールとともに三世代ダービー馬の対決となったのが実に惜しい。
菊花賞では6着という結果でしたが、兎に角展開不利でほとんどスムーズに競馬出来なかったのが一番大きな原因でしょうし、ラストあそこから6着まで追い込んできたという所で意地は見せたかと。
距離も短くなって、ここで実力改めて証明ですよ。


2枠3番 アーバンシック クリストフ・ルメール 牡3
そして、こちらが本年度クラシックの三冠目。スワーヴリチャード産駒初めてのG1馬でもあり、最も強い馬が勝つと言われる菊花賞を制した馬であります。決して目立つ強さを見せつける馬じゃないのですけれど、春の皐月賞4着からコツコツコツコツと積み上げて、淡々黙々とスケールを大きくしていったような揺るぎのない不動の強さを身に着けてきたみたいな迫力が感じられるんですよね。ここに鞍上のルメールの上手さが合わさると、恐ろしいまでの安定感が生じそう。とはいえ、まだその真価を見たわけじゃない。古馬との初対戦となるここが見どころとなるでしょう。


2枠4番 ブローザホーン 菅原 明良 牡5
今年、420キロ台の小さな身体で宝塚記念を制し、菅原騎手に初G1をプレゼントしたのがこのブローザホーンだ。まさに小さな巨人。今年に入ってからは日経新春杯を勝って以来、前年のOP特別を連勝してきた上り馬、という勢いを一気に貫禄に変えて風格すら感じさせるビリビリとした迫力を醸し出していたんですよね。阪神大賞典3着、春天2着、そして宝塚記念でグランプリホースへと駆け上がったあの時は、確かに現役最強の座に手をかけていた。ドウデュース、あのレース6着だったんですぜ。
それが、秋のに入ってみると意気消沈。秋はこの馬が主役かとまで見ていたのに、調子が上がらず、京都大賞典・ジャパンカップと大敗。
ですが、ここに来て中山に2500という非根幹の長距離舞台。調子も一時期の絶不調からはやっとこ曲線が上向いてきた感もあって、秋の走る姿が全然想像できないという状態は脱したかと。
となれば、グランプリホースはグランプリに強いという法則は無視できません。


3枠5番 ベラジオオペラ 横山 和生 牡4
今年の大阪杯の勝ち馬です。おいおい、G1馬ばっかりだな!
現4歳世代では唯一の参戦となりましたが、この馬が世代最強という声も大きいだけに役者に不足はないでしょう。勝った大阪杯ではまだ発展途上。やや夏負けして秋頃は調子も上がってきていない状態で、秋天では6着でしたが十分見せ場は作りましたし、あれから間隔置いてだいぶ仕上がってきたみたいなので、本領を発揮したなら十分勝ち負け余裕でしょう。
同世代のダービー馬タスティエーラや皐月賞馬ソールオリエンス、菊花賞馬ドゥレッツァが出走しない以上、この世代の強さを証明するのはオペラの役目。そして3歳の若駒たちをぶちのめし、先輩型を蹴散らしてドウデュースの現役最強の座をこのレースで勝って後継するのだ、くらいの意気は見せておくれよベラジオオペラ


3枠6番 ローシャムパーク トム・マーカンド 牡5
こと追い込みに関しては電光の末脚。大マクリからの怒涛の後方一気、という戦法に関してはこの揃いに揃ったメンバーでも屈指のものでしょう。G1タイトルこそ取っていませんけれど、大阪杯ではベラジオオペラの2着。そして、先のブリーダーズカップターフでは、22戦15勝うちG1を7勝というアイルランドの名馬レベルスロマンスをあと一歩まで追い詰めています。オールカマーであのタイトルホルダーを差し切ったのもこの馬だ。同期のジャスティンパレスとだって末脚勝負で負けられないでしょう。イクイノックス・ドウデュースの同世代として、ここでその強さを証明して欲しい。


4枠7番 スターズオンアース 川田将雅 牝5
人呼んで地上に輝く一番星。一昨年の桜花賞・オークス2冠馬であり、ジャックドール、イクイノックス、ソングライン、ドウデュースと化物みたいな連中と渡り合うことG1レース9連投。桜花賞からG1レースしか出走していない決戦牝馬であります。勝ち星こそオークス以来ないのですけれど、G1レースでずっと2着と3着ばかりが並んでいる番組表はいっそ壮観ですらありますよ。
今年に入ってのドバイ、ジャパンカップの2レースはあまり良いとこの無かったレースなのですけれど、去年の有馬記念では死の大外枠を賜りながら、まさかのルメールマジックで2着に食い込み、ジンクスを打ち破ってみせた娘です。牝馬の中ではこの娘が筆頭格。同期にしてクラシックのライバルだったスタニングローズとの久々の対決も楽しみです。


4枠8番 レガレイラ 戸崎 圭太 牝3
牝馬ながらにホープフルステークスを勝利して2歳王者に。そのまま牝馬クラシックではなく、皐月賞・ダービーに参戦しウォッカ以来の牝馬ダービー馬を狙った女傑であります。
ただ皐月賞直前にパートナーであるルメールが怪我して乗り代わったり、ダービーでは囲まれて抜け出せなかったり、と運がなかった。ダービーでは上がり最速を記録しているように、実力不足ではなく展開が向かなかったとしか言いようがないんですよね。夏を超えて更に馬体が唸りを上げてパワーアップしているのは皆が口を揃えて仰っているのですが、秋も2戦不発。スタートからの行き足の悪さのせいで戦法を後方一気しか選択できない幅の狭さに押し込めているのが非常に勿体ない。
実力、才能に関してはこのメンバーの中に入ってさえ随一である。


5枠9番 ディープボンド 幸英明 牡7
我らがプボくんももう7歳。若い頃から風格は既にG1馬と言わんばかりの威風を醸し出していたものの、どうしてもG1に手が届かないままここまで来てしまった。でも、歳を重ねてなお意気軒昂。春天では4年連続、4年連続ですよ、4年連続で馬券3着圏内に入り、京都大賞典でも2着と7歳になってなお勝ち負けに食らいつき続ける衰え知らずの不屈の闘将。
ここでプボくんが勝ったなら、それはそれで語り継がれる伝説になりますよ。


5枠10番 プログノーシス 三浦皇成 牡6 
ここまで16戦7勝。昨年の金鯱賞と札幌記念、今年の金鯱賞とGIIを3勝している中距離界のトップランナー。こういうG2大将はG1に行くと途端にサッパリ、というイメージなのだけれど、彼に関してはG1に5回挑戦して2着3回3着1回5着1回と馬券に絡まなかったのが一度だけ、というギリギリのせめぎ合いを戦ってきた雄なんですね。しかも、その相手が香港の怪物ロマンチックウォーリアーだったり魔王イクイノックスだったり、と戦ってきた相手が化物すぎる。主に海外戦線を駆け回ってきた彼が初めて挑戦するグランプリ。鞍上にはこれまた最長G1未勝利を続けている三浦皇成。今年は初G1を奪取した騎手がたくさん出ている。三浦皇成の悲願が達成されたなら、これも長きに謳われる有馬記念となるでしょうね。


6枠11番 ジャスティンパレス 坂井 瑠星 牡5
ディープインパクト産駒のラストクロップの中で唯一の活躍馬でありG1を取りまくったオーギュストロダンが先のジャパンカップで引退。ということで、その一つ下の世代であるジャスティンパレスがディープインパクト産駒最後のG1世代となりました。現役最強のディープインパクト産駒の座は、この舞台で大王シャフリヤールと競り合うことになるでしょうけれど。
この子も、後方でじっくりと脚を貯めて最後に爆発させないと全力を発揮できない融通のきかないタイプ。それだけに、上手く展開がハマらないとどうしても後手後手を踏んでしまい、届かない結果に終わってしまいガチなんですが、毎回毎回あれだけ展開の不利を喰らいながら必ず目の覚めるような豪脚で馬群を切り裂いていくものだから、ほんと毎回負けて強ぇぇぇ、と感嘆のため息をついてしまいます。
それだけに、展開さえハマれば無類の強さを見せてくれるでしょう。あの破壊そのもののような末脚。このメンバーの中でも一頭上の火力。あのイクイノックスに迫った脚は伊達じゃあないです。
鞍上は今年もう覚醒したと言っていいでしょう。完全に充実期に突入し若手からトップジョッキーの並びに堂々と立つようになった坂井瑠星。今の彼なら、パレスの脚を導けるはず。


6枠12番 シュトルーヴェ 鮫島 克駿 せん5
日経賞・目黒記念と春の長距離G2を連勝して一気にG1戦線に名乗りをあげてきたシュトルーヴェ。しかし続く宝塚記念、そしてジャパンカップではG1の壁に跳ね返されてしまったのですが、この有馬記念中山芝2500は日経賞で一度勝った舞台に距離。ジリジリと伸び続けて止まらないスタミナ抜群の持続力マックスな脚はこの長距離の舞台にこそぴったりでしょう。一度ジャパンカップを走ったことで馬にも気合が入った模様。頑張れ、騙馬の☆。


7枠13番 スタニングローズ ライアン・ムーア 牝5
スターズオンアースやナミュールらとバチバチ火花を飛ばし合って競った牝馬クラシック。令和に蘇った薔薇の一族、その結晶として秋華賞で三冠のうちの1つをもぎ取って名を知らしめた艷なる薔薇も、それ以降はずっと鳴かず飛ばずで華もしおれたままでした。
しかし、11月のエリザベス女王杯で劇的な復活勝利。4コーナーからブースターに火をつけたが如く外から一気にまくりあげていく姿はまさに女王の激進でありました。
往年の切れ味が蘇り、今がまさに最盛期。調子は女王戴冠の先月から衰えないまま、今まさにピークが来ております。
彼女もこれが引退レース。このレースを最後に繁殖入り。薔薇の一族の血を繋いでいくことになります。未来の子孫にその栄光を伝えるため、もう一つタイトルをもぎ取っていきたいところでしょう。


7枠14番 ダノンベルーガ 松山 弘平 牡5
イクイノックス、ドウデュースらとともに最強世代を形成した22年クラシック世代も多くの僚友たちがターフから去りました。若い頃は、この綺羅星のごとき同級生たちの中で才能はピカ一と謳われていたのは誰でもない、このベルーガだったんですよ。あのダービーで一番人気だったのはあのイクイノックスでも勝ったドウデュースでもない、このベルーガだったんですからね。
あれから随分と時間が流れ、多くの同輩たちがG1を勝ち、しかし彼はまだあと一歩のところでその美酒を味わえないまま、ここまで来てしまいました。最後に勝ったのは3歳の共同通信杯。あれから、ずっと惜しい競馬を続けながら2勝馬のままです。でも、彼はずっとG1を走り続けました。最前線に立ち続けました。総賞金額4億3742万9400円。クラシックのライバルであったドウデュースが無念の欠場と相成った今、その代わりを務めるのは同期で同じハーツクライ産駒の彼の仕事でしょう。


8枠15番 ハヤヤッコ 吉田 豊 牡8
今や日本競馬界を席巻しているシラユキヒメの系譜。白馬の一族。白毛連盟。その中で、白毛馬ではじめて重賞を勝った馬を覚えていますか?
あのG1を総なめにした純白のアイドル・ソダシよりも前に、白毛の強さを世に知らしめた馬こそ、レパードSを勝ったこのハヤヤッコだったのです。
あれから5年。ソダシが華々しい成績を残してアイドル引退したあとも、未だハヤヤッコは元気に現役です。それどころか、8歳という老境に達してなお未だ衰え知らず。ついに東京はアルゼンチン共和国杯を制してG2馬に。そのまま、グランプリにはじめて出走する白毛馬として歴史に名を残しました。
でも、参加する事に意義がある、なんてもんじゃ物足りないでしょう? 前走勝ってこの舞台に立ったのだから、堂々勝負の権利はあるんですよ、ハヤヤッコ。


8枠16番 シャフリヤール クリスチャン・デムーロ 牡6
毎年有馬記念で悲喜こもごもとなるのが、枠順抽選会。このレース、明確に外枠不利なんですね。だから、外枠を引いた陣営は悲嘆に暮れて天を見上げる顔を覆うことになり、内側の方を引いた人達なんかはニッコニコになるんです。
去年の大外枠スターズオンアースは、まさに例外も例外。ルメールマジックもいいところでした。
今年、その最悪の大凶クジを引いてしまったのが、「空飛ぶダービー馬」「偉大なる王」シャフリヤールでありました。
エフフォーリアやタイトルホルダーらと鎬を削った21年クラシック世代。その頂点に立ったダービー馬でありながら、彼は日本国内に留まらず、世界中のG1を走り回ることになります。ついたあだ名が「空飛ぶダービー馬」。
コントレイル、イクイノックス、オーギュストロダン、レベルスロマンスという歴史に残る名馬たちと走り続けた彼は、結局22年のドバイシーマクラシックを勝って以来、勝ち星こそ残せなかったものの、年を経ても常に2着3着とゴール際まで勝ち負けを譲らず、強いダービー馬であり続けました。前走BCターフでもレベルスロマンスに迫る3着。
これだけ長きに渡って走り続け、常に結果を残し続けたダービー馬はこれまでいなかったんじゃないでしょうか。長く現役を続けたダービー馬はマカヒキなどそれなりに居ましたけれど、不調の時期が長く成績の波も大きかったですからね。シャフみたいに、最初から最後までずっと強いままこうして6歳まで走り続けた。それも、海外を主戦場にして、なんて馬は今度も出てこないんじゃないでしょうか。
明言はされていませんけれど、シャフリヤールもこれがラストランになるのでは、と噂されています。
彼もまた、ここで有終の美を飾って伝説を残すにふさわしい名馬。大外枠の不利はやりようによっては覆せると、去年ルメールが証明しています。シャフも前で勝負し自分で競馬を主導できる馬です。
我らが君主に栄光の花道を。


さあ、いざ今年最後のグランプリだ。



第68回有馬記念 G1 レース回顧   


ああ……凄いレースやった。もうブルブル震えるようなレースやった。敵わんなあ、たまらんなあ。

1着 ドウデュース。

武豊、復活の勝利。怪我で秋にこの馬に乗れず、しかしこのおドウに乗るために50を超える年齢にも関わらず、驚異的な回復力で帰ってきた男。この日曜日、武さんが乗ったのはこの一鞍のみである。
こんなんもう、劇的すぎるやろう。イクイノックスが去ったあと、そこで最強を証明したのはイクイノックスに勝ったこの牡である。あのイクイを倒した馬が、易易と負けてたまるかよ。
お前がいなくなっても俺がいる。それを名実ともに証明してみせた、最強の走りでありました。そして、人馬一体最高のコンビってのはこういうのを言うんだよ。松島オーナーも、なんかもうたまんないでしょうね、これ。
レースの方はまさかの後方から。しかも後方2番手あたりで序盤進めましたよね。これは意図的だったんでしょう、武さん前行かす様子も見えませんでしたし。このレースにおけるドウデュースにとっての最適解がそこだと見込んだのか。後方でじっくりとおドウの走る気を落ち着かせつつパワーを溜めて、ってこの塩梅の見極めはまさに相棒たる武豊にしか出来ないコンビプレイ。
リリーフした戸崎さんがあかん、ってわけじゃないんですけどね。むしろ、天皇賞秋、ジャパンカップと難しい馬であるドウデュースをすごく丁寧に乗りはったと思うんですよね。武豊は十全ドウデュースの力を引き出せる相棒でしょうけれど、その十全に足るパワーを損なわずに充填したままバトンタッチした戸崎さんには頭さがります。
白眉はやはり3コーナーから馬なりで上がっていくシーンでしょう。この時点で手応えがもう化け物だった。このドウデュースがダービーだけに一発屋じゃない本物の怪物級だと思い知らせてくれた京都記念のすさまじい勝ち方を彷彿とさせる馬なりで位置をグイグイとあげていくあの走りは、痺れたなあ。
そして最後のスターズオンアースとの叩きあい、ゴール寸前で粘るタイトルホルダーをきっちり躱してゴール板を突き抜けたシーンは、もう今年もこれ伝説の有馬記念でしょう。最高じゃないですか、なんだこれ、もうなんだこれ!?


ふぁあああ

あと、青嶋アナのゴール前の実況はもうこれ最高でしょ。


2着スターズオンアース。
だからこの馬もルメールも怪物か!? 魔の8枠絶望の16番を引きながら、ついに馬券圏内に叩き込んできましたよ、この一頭と一人と来たら。
スタートがまた素晴らしいのなんの。あのロケットスタートが大外枠ながらあの絶望領域を突破する最大要因だったんじゃないでしょうか。あれでほんと大外のロスを最低限に減らせたと思う。抽選会であの枠順引いちゃってからずっとルメさんこのスタートに賭けることを考えてたんだろうなあ。このスタートをクリアすることが、スターズにとっての勝ち負けになる条件だとルメール覚悟据えたんでしょう。
対照的にこの大外枠の不利を思いっきり踏んでしまったのが15番のスルーセブンシーズ。スタートから後方に置いていかれ馬群の一番外側を回らされ、しかも前に他馬を置けない状態になり馬が落ち着かずにもうかかりっぱなしになってしまいました。ドリジャ産駒のアウトなところがもろに出てしまった感じ。目一杯の仕上げもメンタルのキレキレ具合に繋がっちゃったんでしょうか。馬群の中で脚をためる展開になっていれば違ったんでしょうか。いずれにしても、持ち得る力を発揮できずに沈んでしまったレースとなりました。
対してスターズはもうルメさんマジックですよ。それに応えるスターズの実力も半端ない。
惜しむらくは、本当に惜しむらくは3コーナーでスターズうちによれちゃったんですよ。柵に激突して急減速してしまった。ここから再加速して再び2番手に出るんだけれど、このロスが本当に大きかった。まじでこの分だけドウデュースに遅れを取ったって感じなんですよね。まさに同じこの時に馬なりで位置あげていったドウデュースと対称的な展開になってしまった。
まじでこれなかったら勝ってた可能性十分あります。惜しい。もうめちゃくちゃ惜しい。
ともあれ、本調子で走った時のスターズオンアースはやっぱり怪物です。リバティにだって負けないよ!

そして3着。3着にタイトルホルダーですよ。感動した、もう感動した、頑張った、よく走った。引退レースに相応しい激走でした。横山和生ジョッキーのカッコよかったというコメントが全部代弁してくれてますよ。めちゃくちゃ格好良かったよ、タイトルホルダー!! ラップ見たら、和兄さんまあ完璧なタイムですよ。タイトルホルダーに求められる最適の走りをしてみせた。
惜しむらくは、全盛期からはやはり衰えが見られたことか。スタート、全盛期ならもっとスルスルと抜けて先頭に立って、もっと勢いの余裕稼げていたんじゃないかな。そして最後の直線、かつての無尽蔵のスタミナをもってすればもう一声残せたと思えてしまう、願ってしまう。
それでも、このラップで引きずり回して皆の切れ味叩き潰してくれましたからね。往時の殲滅戦を彷彿とさせる、後ろを引きずり回す圧巻の走りの一欠けを最後にもう一度見せてくれたことが嬉しい、本当に頑張った、カッコよかった。そして、ジャスティンパレスに最後の最後まで前を譲らなかった意地。
エースの引き際、見せてもらいましたよ。


4着にジャスティンパレス。
スタートで行き足が伸びず最後方からの競馬になってしまいました。元々後ろから行く馬ですけれど、タイホにこのペースこの展開にされるとやはり苦しい。それでも、4着にまで伸びてくるのはこの馬の強さと思っていいでしょう。ドウデュースにこそイクイの後継の称号を持っていかれてしまいましたが、来年もう一度まっこうからドウデュースと世代最強、現役最強を競うがよい。

5着シャフリヤール。
完璧ピークに持っていった香港に出られず、この海外からの緊急輸送という体調整えるのが難しい状況で、まじで掲示板外さなかったな、シャフリヤール。これは万全だった香港で走ってたら絶対勝ってたよ、と考えちゃうよね。そして、どんな状況でも常にベストを尽くし、常に結果を残してきたシャフリヤール、まさに偉大なる馬でした。これで彼も引退ですよ。いやああんたもすげえダービー馬だったよ……あれ? 引退じゃないの!? 現役続行なの!? どっちなの!?

6着タスティエーラ
3歳の牡馬たちはまだまだこのメンツの中に入ると1段力不足……なんかないってばよ!! 最後の直線、内に切り込んできたジャスティンパレスと内にいたスルーセブンシーズとの間に挟まれて思いっきり進路潰され急ブレーキ進路変更。そっからもっかいギア入れ直して再加速して猛追したの、根性ありますし実際強かったと思いますよ。あそこパレスに一歩負けずに身体ねじ込めていたらパレスと同じ勢いでゴールまで伸びてたくらいありそうでしたよ。プラス18キロ分一瞬の瞬発力が必要だったんだろうか、この場合。いやでも、こんなもんじゃないってレースはしたと思う。来年、この馬の本気を是非見てみたい。

7着ウインマリリン
しれっとこのメンツの中で7着に入っちゃってるマリリン、まじ名牝すぎませんか!? いやもうまじでタイホに追いつけ、おドウとスターズに負けるな、とばかりに追随してギアあげてぶっ飛んでくる集団の中にしっかり混ざってるんですから。最後までみっともないレースはしない、最後まできっちりと走り切る22戦して半数を超える12戦をG1で走った最前線の散らぬ花のような強い女性でありました。これからは繁殖にまわりスクリーンヒーローの、グラスワンダーの、ダイナアクトレスの血を母系で繋いでいってください。


8着ソールオリエンス
案の定、最内枠1番で苦しみ馬群で揉まれ、前を塞がれ行くに行けないまったく競馬できないレースとなってしまいました。行こう行こうと馬はしてるんですけどね。やっぱり川田ジョッキーはこういう展開だとこうなっちゃうよなあ。

ハーパーはまだまだこれから。上澄みの同世代と比べるとどうしても格が違ってるけど、ここから成長して追いつけるかしら。
ライラックもちょっとまだ力不足でしたね。後方から前に行けなかった。
ディープボンドは良いところ無しでしたねえ。こういうレースの場合は前で前でで競馬してほしかったけれど、そういう位置取りがほんと出来なくなってきている。馬にかつてのみなぎるような覇気ややる気がだいぶなくなっちゃってる感じなんだよなあ。


いや、改めて振り返ってももう素晴らしいレースでした。一年を締めくくるレースに相応しいドラマが満載で、勝った馬も負けた馬も総じて「強い!!」と思わせてくれる感じさせてくれるレースなんて早々ありませんよ。
個人的にはタイトルホルダー推しだったんで、もうタイホタイホで感動しっぱなしの有馬記念でした。
菊花賞のあの幻惑の逃げで脳をやられ、天皇賞(春)の殲滅戦で脳を焼かれ、以来ずっとタイトルホルダー推しだった身としては、この最後のレースはたまらんものがありました。
ようやった、本当に格好良かった。もう泣くわー!!
これからは種牡馬として、早世した父ドゥラメンテの後継種牡馬として、イクイに負けない産駒の活躍を期待させてください。タイホの子供かーー、今から想像しただけであがりますわ。




第68回有馬記念 G1 レース展望   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)


さあ、今年の集大成。競馬界の魔王イクイノックスがジャパンカップを最後に引退してしまい、主役不在の有馬記念……なわけあるかーー! 主役ばっかりだわーー!!
イクイノックスなくとも、屈指の歴戦の馬たちが揃ったドリームレースになりました。
シャフリヤール・ドウデュース・タスティエーラと三世代のダービー馬が揃った滅多とないレースになりました。
そして凱旋門賞4着と海外帰り。あのイクイノックスに宝塚記念でもっとも迫ったセブンスルーシーズ。
ジャパンカップこそ3着でしたけれど、実力ではリバティアイランドに決して引けを取らなかったイクイノックス引退後ならばこのリバティと最強を競い合うことになるだろう地上の星スターズオンアース。
今年の天皇賞春でG1制覇。イクイノックス世代として競馬界を引っぱるエースに名乗りを上げるジャスティンパレス。
これが引退のレース。花道を飾るべく王者タイトルホルダーなどなど、役者は揃いました。
なにしろ有馬記念ですからね、今年の〆ですからね(ホープフルとかしらん)。全頭一頭一頭語らって書いてみましょう。


1番 ソールオリエンス 牡3 川田 将雅 
今年の皐月賞馬。ダービー、菊花賞とクラシックを完走しその全てで3着以内に入った素質では間違いなく世代ナンバーワンだろう。ただこやつ、右回りのコーナーリングはぶっちゃけ下手くそ。京成杯・皐月賞とこの中山で2勝してるんだが、京成杯では外にぶっ飛び、セントライト記念でもコーナーあんまりバランス良くない走り方してたんですよね。あと、前は馬群を怖がる傾向があったんだけれどこのあたり大丈夫になったんだろうか。最内枠だぞ。皐月賞も1番だったけど、あのレースでは横山武史がスタート直後に内枠放棄して外に持ち出してるんですよね。重馬場で内側避けたかったというのもあるのですけれど。ダービーでは馬群で我慢してるんで、大丈夫だとは思うが。菊花賞では大外から内を締める形で競馬をしていたのですけれど、このあたりの関係か、後方から大外ぶん回して最後の直線でぶっ飛んでくるスタイル。
鞍上が今回川田なんですよね。この騎手は、勝負どころでは前目につけて主導権を握りたがるスタイル。このスタイルだと完成形に近いんだけれど、馬が言う事聞いてくれないと途端に崩れる支配タイプでもある。おまけに、事前にレースプランを構築してレースに挑むタイプでもあり、展開に紛れが多くなる長距離レースだと途端に勝率が爆下がりする。
正直、今回は川田騎手とソールは合わないと思う。距離は持つと思うんだけどねえ。


2番シャフリヤール 牡5 松山 弘平
三世代前のダービー馬。ダービーだけの一発馬ではなく、その後ドバイシーマを勝利し、日本ダービー馬として初の海外G1を制覇した馬となった。その後もアメリカやイギリスなども渡って勝ちこそなかったものの、海外では掲示板を外さずジャパンカップでも馬券圏内。今年の秋では世界的名レースであるブリーダーズカップで3着に入るなど健在を主張。堅実に成績を残し続けた名馬である。香港のレースを最後に引退のはずが、向こうでドクターストップを受けて出走が叶わず、急遽有馬記念を引退レースとして出走することになった。
実力的には人気を集めても不思議ではないのだけれど、流石にピークに仕上げていただろう香港戦から急遽転戦となって2週間。海外輸送から間をおかずの実戦ですし、何気に中山競馬場ははじめて。
不安要素は有り余るくらいにある。陣営は絶好調を維持している、と述べているけれど。
鞍上は松山弘平。これが初コンビではあるのだけれど、松山弘平に初めてG1勝利をプレゼントしたアルアインはシャフの全兄である。まさに縁ある一人と一頭なのだ。


3番ホウオウエミーズ 牝6 田辺 裕信
クラシックにも縁がなく、長い長い下積みを続けてきた馬なのですけれど今年後半に入って覚醒。もしかしたら去年のエリ女に出た事がきっかけかもしれないけれど。ともかく、6月以降人気薄ながら突然重賞で馬券圏内に入る好走を連発するようになり、ついに前走福島記念で重賞初勝利。覚醒が本物と証明してみせた。とはいえ、流石にこの有馬記念はハードル高いか。


4番タイトルホルダー 牡5 横山 和生
王者タイトルホルダー、ラストラン。凱旋門賞に行く前は、この馬こそが現役最強であったことは間違いない。無尽蔵のスタミナで後続馬を引きずり回し息も絶え絶えに消耗させる中で自分だけが息も切らさず悠々とゴールする、というイクイノックスとはまた違う殲滅戦を行う見たことのないタイプの逃げ馬だった。この馬に関しては逃げという言葉自体が違和感を感じるほどに。
しかし凱旋門賞以来この気勢は衰えを見せ、日経賞で復活したと見えたもののその後の天皇賞春でまさかの心房細動でのレース中止。それ以降、調教でも攻めきれず、彼のスタミナを活かすだけの行き足がつかないレースが続いてしまった。それでもジャパンカップあの展開で5着に粘ったのはむしろ流石というべきかもしれない。
今回は最後という事もあって花道を飾るためにもびっしりと調教追えたんじゃないだろうか。陣営は手応えを感じさせるコメントを出している。とはいえ、見る人によってこれ意見も違うんだよなあ。
調子さえ万全なら、2枠4番という絶好の枠、小回りで機動力を活かせる中山2500という舞台との相性。可能性は十分ある。


5番ドウデュース 牡4 武 豊
あのイクイノックスをダービーで下した武豊の愛馬である。古馬になってからも、京都記念で凄まじいレースを見せて、イクイノックスのライバルの名に相応しい実力を見せてくれた。
ただドバイで足元に違和感が生じて出走回避でケチが付き、秋は鞍上の武さんが馬に脚を蹴られて怪我をしてしまい、天皇賞秋では戸崎騎手が急遽乗り代わったものの無類の強さを見せたイクイノックスに文字通り蹴散らされ7着と惨敗。ジャパンカップでは4着まで巻き返したものの、本来彼に期待されたレースからするともう一つ物足りないものを感じさせた。
しかし、年内は休養かと目されていた武豊騎手がもう50代にも関わらず執念で復帰、有馬記念に間に合わせてきた。タッグ復活。やはり、ドウデュースには武豊。このコンビこそが至上である。
問題は距離。馬を見る人の多くが口を揃えるのが、ドウデュース馬体がもうはち切れそうなくらいの筋肉質なんですけれど、こういう馬体って完成度が高くなるほどむしろ距離的には中距離向きになっていくんですって。長距離には適さないらしい。衰えではなく成長によって距離の適正が短くなっていくタイプの馬があるらしいんですわ。ドウデュースはどうもこのタイプなんじゃないか、という話。
とはいえ、現状ドウデュースのレースに具体的に距離の壁を感じたことはない。このレースはその試金石となるんじゃなかろうか。


6番ディープボンド 牡6 トム・マーカンド
6歳の冬である。プボくんもついにG1に届かないままここまで来てしまった。彼にもっとも合うG1は天皇賞春か、この有馬記念なんだがここに来ても以前のG1何勝もしている馬のような貫禄、威風は漂ってこない。和田竜二騎手から同じくズブい馬をぐいぐい追えるマーカンド騎手に乗り替わりとなって新味を求めたみたいだけれど、そもディープボンド自身が調子上がってこない感じ。さすがに衰えが見えてきたのか。せめて京都大賞典で勝ってくれていたら展望も見えてきたのだけれど。


7番アイアンバローズ 牡6 石橋 脩

前走ステイヤーズステークスを勝って乗り込んできた名ステイヤー。ちなみに、ジャスティンパレスの2つ上のお兄ちゃんである。この有馬記念、兄弟対決でもあるのだ! 兄より優れた弟などいない!(天皇賞春14着→パレス1着)
大逃げ宣言してるんですか? ただ、タイホががちで逃げに入った場合よっぽど無理しないと前に出るの厳しいぞ。


8番ライラック 牝4 戸崎 圭太
未だ重賞も勝っていないのに有馬記念に乗り込んできた華姫。なんだけどさ……秋に入っての2戦。府中牝馬とエリ女、3着4着と勝ち負けにはなってないんだけれど、この秋バチバチに馬が出来上がってきた感があるんですよね。なんか見違えたというか。元々クラシックでも小柄な馬体で切れ味鋭くぶっ飛んでくるかなり印象強く残ってた馬だったんですけれど、さらにもう1段馬の格があがった感じがするんですよ。エリ女はちょっと立ち回りがロスありすぎて、スムーズに行ってたらもっと上に行けたでしょう。この有馬では本格化の結実が見られるかも知れない。


9番ヒートオンビート 牡6 坂井 瑠星
重賞番長。と言っても勝ってるのは目黒記念だけなんだが、やたらと成績が安定していて馬券圏内・掲示板にとにかくしれっと入ってくる。
これだけ走っているにも関わらず、G1に出走したことがそもそも春天一回だけなんですよね。
最強クラスの一線級との対戦経験もあまり多くなく、人気も単勝番馬券と薄いのですけれど実力は軽視できない。にしても、今回はさすがに相手が悪い、と言える相手が山程いるんだよなあ。


10番ジャスティンパレス 牡4 横山 武史
人気は割れまくっているものの、土曜日時点で一番人気がこのパレス。本命候補のスターズオンアースとスリーセブンシーズが魔の8枠に入ってしまった、というのも原因の一つなんだろうけれど。
イクイノックスが引退し、菊花賞馬のアスクビクターモアが早世してしまった今、同世代最強を担うのはドウデュースかジャスティンパレスかなんですが、今のところ古馬として春天を勝ち宝塚記念・秋天でイクイノックスに続いたパレスがやはり最強後継候補筆頭なんですよね。
後継者は誰だ。
この有馬で、彼はそれを証明できるのか。この暮れにイクイノックスを筆頭としてごっそりとこれまで最前線を担ってきた化け物たちが引退してごっそり現役から抜ける事になった今、まさに来年の競馬界を背負う馬になれるか、というのが問われるレースでもあります。


11番ハーパー 牝3 岩田 望来
今年ジャパンカップで魔王に敗れるまで無敵を誇ったリバティアイランド。その怪物令嬢を相手にクラシック三戦で食い下がり続けたのがこのハーパーでありました。同世代のリバティのライバルと言えばこのハーパーでしたでしょう。エリ女でブレイディヴェーグというまたとんでもないのが同世代に出てきてハーパーの前に立ちふさがってきたのですが。
クラシック全3戦にさらにエリザベス女王杯にまで出走するというタフなスケジュールをこなした上で最後に有馬記念にまで出るって、何気にすごいんじゃないだろうか。


12番ウインマリリン 牝6 ルーク・モリス
オークスでデアリングタクトの2着、とタクトのライバルを上げろと言われればまず名前があがってくるだろう名牝は、その後牝馬限定戦のみならず、牡馬の一流どころも混じった重賞を幾つも勝ち、G1にもいつも出走馬として名を連ねるG1戦線の常連として名を馳せた彼女。
ジェラルディーナのエリ女で2着のあと、ついに香港ヴァーズで念願のG1制覇を遂げた彼女もこれで引退。さすがに6歳となった今年に入ってからは苦しい競馬が続いていましたが、前走ブリーダーズカップフィリー&メアターフでは4着と善戦して健在をアピール。牝馬を牽引するような活躍を続けたまさに名牝でした。お疲れ様、最後まで無事に走っていただきたい。


13番タスティエーラ 牡3 ライアン・ムーア
今年のダービー馬だ! ちなみに来年のJRAカレンダーの表紙は彼だ。額のハート型にも見える流星がチャームポイント。父サトノクラウンに種牡馬として初めてG1をプレゼントした孝行息子であり……派手さはないんだけれど、実は地味にめちゃくちゃ強いんじゃないか、という雰囲気があるんですよね。未だ真価をみな確信できていないんじゃないか、と。勝ったダービーはもちろんとして、むしろこの馬本物じゃないの?と思えた菊花賞。あれはルメールが巧すぎた感がある。あの展開で2着に入ってくるのすごいんですよ。
ただこの有馬記念、なるべく前めにつけておきたいタスティエーラとすると、大外枠ではないにしろ13番もかなり厳しい外側である。一番いい位置につけるのに相当に脚を使ってしまう。果たしてここで脚を使ってしまった場合、最後に決め手を残せるか。ムーア、名手ムーアならやってくれるか?


14番プラダリア 牡4 バウルジャン・ムルザバエフ

前走京都大賞典で青葉賞以来の重賞勝利を果たして有馬に乗り込んできた、これもイクイノックス世代。なんだけれど、彼らと比べると一枚も二枚も格落ちという感じでクラシックを終え、競馬の上手さで重賞善戦マンとして今年を走ってきた感じだったプラダリア。
前走も勝ったけれど、調子がこれ以上無いピークの絶好調だったのと鞍上の池添騎手の好騎乗でボッケリーニを押さえられた事が勝因で、未だもう一つ決め手に欠ける部分は埋められていない感じ。G1、しかも有馬記念ともなるとまだまだ足りない感じなんだよなあ。その決め手を、剛腕ムルザバエフが乗ることで補えるかどうか。


15番スルーセブンシーズ 牝5 池添 謙一
クラシックは秋華賞の前哨戦である紫苑Sこそ2着だったものの、オークス・秋華賞と大敗。翌年中山牝馬で初重賞を制覇したものの、この時点では牝馬限定戦を勝っただけですし強い相手とも当たっていなかったので、牡馬相手にもバチバチやっている牝馬のトップクラスと比べると眼中にすらありませんでした。彼女が一躍名を挙げたのが、宝塚記念。あのイクイノックスにあと一歩まで迫った2着、というこの一点だけでした。とはいえ、この時点では果たしてこれが偶然の産物、フロックという可能性も無視しきれなかったですし、秋の走りを見て確かめるか、くらいの気持ちだったんですよね。
それが陣営はまさかの凱旋門賞参戦表明。いや、さすがにそれは大丈夫なの!? というのが大半の人の思いだったんじゃないでしょうか。何しろ実績が殆どない。決して格が高いと言えない牝馬限定戦のG3だけが重賞実績。宝塚記念の2着という成果だけで凱旋門賞に挑むのは無謀じゃないのか、と。
今年は日本からの参戦馬がこのセブンシーズしかいなかったのですが、さすがに誰もこの馬の勝利を期待はしていませんでした……いや、本音はどんな馬でも期待はしちゃうんですけどね。それに、イクイに迫った2着というのは、そんなん当てにならないよと言いつつ思いつつ、もしかして、とうっすら期待しちゃう部分はありましたし。そんな複雑な思い渦巻く日本からの戸惑いの視線を前にして、このセブンシーズは凱旋門賞を4着と好走したのでありました。それも、その4着がこれまでの日本馬が先行して粘っての上位入線というパターンだったのが、後方からの鬼脚で海外の名だたる名馬たちを追い抜いて勝ったエースインパクトたちに迫ったのでした。歴代の凱旋門賞の中でもこれほどワクワクドキドキさせられたレースはなかなかありませんでした。
そんなスルーセブンシーズの凱旋レース。彼女の真価がこの日本で改めて見られる、と思ったのですが……。
まさかの大外8枠。この有馬記念、スタート位置がカーブからはじまるというまたとんでもないコース設定で、外枠ってほんとに不利なんですよ。この枠を引いたときの池添ジョッキーの絶望顔は、えらいものがありました。この馬を本命に考えていた人も多いでしょうけれど、15番を引いたことで一気に3番人気になってしまいました。むしろ、3番人気まで維持している時点で凄いんじゃないでしょうか。調子はやべえくらいです。まじやべえ。これ真ん中に入ってたら文句無しで一番人気なってた可能性も。


16番スターズオンアース 牝4 クリストフ・ルメール
もう一頭の本命候補。にして、大外枠を引いたためにえらいことになってしまったもう一頭であります。この8枠は突出して成績が酷い。過去30年で勝ったのはシンボリクリスエスとダイワスカーレットのみ、らしいんだけれどこの二頭が勝ったレースってフルゲート割れしていて、クリスエスのときは12頭立て。スカーレットのときは14頭立てだったらしい。
有馬記念枠順抽選会は動画配信もされていましたけれど、池添・ルメールの掛け合いというかやり取りというか、あれは競馬史に残る名場面になりました。迷場面?
まああのルメールをして、16番を引いたあと頭抱えてましたからねえ。あんた、池添くんの絶望顔をムヒヒ、と笑ってるからそんなことになるんだよw
池添とルメールで片組んで壇上に行くシーンはもうなんか笑うしかありませんでした。実際おもしろw
枠こそえらいことになりましたけれど、スターズオンアース自身は蹄の影響もあってまだ完調ではなかったジャパンカップと比べても、だいぶ完成度上がってるんじゃないでしょうか。その本調子に届いていなかったジャパンカップで、大外じゃなかったらリバティと順位変わっていてもおかしくない走りを見せたわけですからね。馬は間違いなく強いです、そしてその強さを発揮できる状態でしょう。
あとはルメールがどう乗るか。抽選会からこっち、ルメさんずっと考えてるでしょうね。




第67回有馬記念 G1 レース回顧  



パーフェクトだ、イクイノックス!
【名刀】イクイノックス、開眼である。

春先は触れるものを切り裂くような鋭さを感じさせたものの、その分細身で折れてしまいそうな脆さを感じさせるものがありましたけれど、夏を経て秋に至ってからの充実っぷりはさながら真っ向から唐竹割りにして刃毀れなしのの名刀の如しでありました。

ぶっちゃけ、もう直線に入る前の4コーナーの時点で勝利を確信した人も多かったんじゃないだろうか。手応え、尋常じゃなかったもんなあ。
手応えよすぎて、道中ルメールが宥めてたくらいだし。ゴーサインが出て抜刀されたあとは、もう一直線に切り裂いて前に塞がるものあらず、ですよ。
文句なしに強かった。文句の言いようを許さないほどの勝ち方でした。おう、ドゥデュース、これ次戦うときはよほどの覚悟決めて挑まないとヤバいくらいになってるぞ。
とはいえ、今回はもうやばいくらい仕上がりが極まってましたからね。正直、ここまで見事に仕上げられるのって今後出来るんだろうかというくらい。馬の調子を整えるって、やっぱり難しいですからね。
今年のエフフォーリアや今回のタイトルホルダーを見ても分かる通り。

エフフォーリアは頑張りました。よく5着入りましたよ。牛みたい、なんて言われるくらいになっちゃってましたしね。陣営、めっちゃ頑張ってエフフォーリアに気合入れまくってたみたいだけど、馬の前向きさがねえ。いっそ、ガンガンレースを走らせた方がいいんじゃないだろうか。

タイトルホルダーはわかりません。フランス帰りの疲れが残ってたんじゃないか、なんて言われてますけれど。スタートの出は良かったし、前に飛び出してから横山和生くんがうまくペースに乗せたところではいい感じ、と思ったんですけれど、1000メートルで1分1秒越えてるくらいのタイムが出たあたりで、アレ?って感じはあったんですよね。 いや、タイム的にも思ったよりも遅かったし雰囲気的にタイホのいつものペースじゃないというか、彼のスタイルであるスピードにノリつつスタミナ任せに後ろの馬に消耗戦を強いるような迫力がなかったんですよね。逃げて粘る、という馬じゃなかったんですよ、タイトルホルダーって。それがトップスピードに乗れないまま走りにくそうにしてるなあ、と。
そうこうしているうちに、直線に入ったらあっという間に後続に呑まれて脱落。まさかの9着である。去年の5着よりも悪い。和夫くんの乗り方に問題があったようには見えなかったので、これはもう言われている通り凱旋門激走の疲れが残っちゃっていたのか。海外は難しいねえ。

と、2着はイクイノックスと同じ3歳馬。菊花賞2着のボルドグフーシュがこれがラスト騎乗の福永さんの鞍上で、見事に古馬どもを撫できっての2着。菊花賞はレベル低いレースじゃなかったんだよ! と叫びたくなるじゃないですか。レースに出なかった菊花賞馬アスクビクターモアの面目も守ってくれる走りでした。
今回、積雪の影響で関西馬の多くが輸送でトラブルに巻き込まれて、軒並み7時間以上余計に時間かかっちゃったみたいで、それでもうアカンことになってる馬もいたなかで(キミだよ、ディープボンド)、フーシュくんは大丈夫だったんですかね。大丈夫じゃなかったかもしれないけど、それでもこれだけ走れたんだからそれだけ地力あるって事なのでしょう。まだG1どころか重賞も勝ってないんですよ? まだまだ成長過程、身体も出来上がってないみたいですから、これは来年が楽しみな馬です。福永さんの気合も入りまくってたという事もあるでしょうけれど。
ただ、このままだと歴戦のシルバーコレクターになりそうで怖いんだが。

3着はジェラルディーナ。いや、3番人気は伊達じゃなかったなあ。ちょっと前まで重賞で善戦するのがいい所だったとは思えないくらい、雰囲気と格を感じさせるようになってきた。
とはいえ、今回スタートで大きく出遅れてしまったのはやはり大きかった。主導権全くないところから、とにかく良いポイントを見つめ潜り込み狙い定めて、と不利を鞍上の手腕に大きく寄って挽回していかざるを得ない展開になってしまいましたからね。
しかし、乗っていたのがクリスチャン・デムーロですよ。ほんと、出稼ぎにきた外国人騎手の腕前ときたら、とんでもないですわ。ポルトグフーシュのさらに外を回すんじゃなくて、いつの間にか内に切り込んで、空いたスペースをスーッスーと抜けて来てるんですから。それも偶々空いたスペースじゃなくて、周囲の馬の流れからここが開くだろうな、と見越してるルート選択してるのか、これ?出遅れがなくて、ポディションをもっと前につけていたら、2着3着はわからなかったですよ、これ。

4着はイズジョーノキセキ。内にピッタリとつけて走った馬の中では、この馬が一番来ましたか。岩田パパの剛腕唸る、という感じで、よくまあ2500を最後まで走らせたもんです。もし適距離ならゴール前でもっとバビューンと伸びたでしょうね、これ。鞍上も岩田パパとか和田竜二みたいなタイプが相性いいのかもしれませんね。

5着は頑張ったエフフォーリア。今年はこれが最後ですけれど、むしろエフフォーリアとしてはここがスタートですね。まずは再スタートの第一歩を踏めたという感じじゃないでしょうか。ここで一旦切らずに、そのまま立て直してなんとか春を迎えてほしいところですけれど。

6着はウインマイティー。マイティー来たんか! 前走エリザベス女王杯では馬場の悪さに泣き、今回は調教でもあんまりピリッとしてない、という話も聞いていたのですが、ばっちり入賞してくるあたりやはり地力は高いんだよなあ。出来ればもう一個、ちゃんとG2あたり勝っておきたいところ。

7着はジャスティンパレス。菊花賞3着馬はここでしたか。この馬もまだまだこれからが本番って馬ですからね。来年がどんな感じになってくるか楽しみです。

ディープボンドはここかぁ。8着。もう、なんか不運が束になって襲いかかってきた、みたいな。生涯最高の仕上がり、だったはずなのに、枠順抽選では最悪の大外枠。おまけに輸送トラブルでかなりダメージ食らったらしく、走る前になんかもうボロボロじゃないですか。
川田がおっつけて前で前で勝負に行っていたはずなんですけれど、なんかびっくりするくらい存在感を感じませんでした。2,3番手付けてたのに、居たの!? って感じでしたからね。
位置取りとしては文句なしだったはずなのですが。直線入ったあとはもうどこへいってしまったやら。
いつもなら、どこに居てもやたら存在感は発揮しまくってど迫力カマしてたはずなのに、もう今回はほんとダメでした。今回こそチャンスだと思ってたんだがなあ。

9着にタイホくん。そして10着にはジャパンカップを勝ったヴェラアズール。ヴェラはまあ参加賞でしたね。さすがにジャパンカップからここはこの馬としては辛かった。調子は下降線だったし輸送遅延の巻き添えくらった分もあったでしょう。元々、中山向きじゃない走り方っぽいですしねえ。


まあ何にせよイクイノックスです。これ、年度代表馬レースでもトップに躍り出ましたかね。春を席巻したタイホをここで下したというのも大きいですし、天皇賞秋と有馬記念を3歳で両方勝ったというのはやはり大きいですよ。何より勝ち方が強かった。
とはいえ、来年になったらタイホも立て直してくるでしょうし、エフフォーリアだって黙っちゃいないでしょう。ヴェラアズールも舞台が変わればあの閃光の差し脚は必殺技です。ジェラルディーナもまだまだこんなもんじゃない、というくらいの充実度。そして同じ同世代の連中だってドゥデュース、アスクビクターモア、そしてポルトグフーシュとさらなる本格化を迎えることでしょう。
香港組だっているわけです。
さあ、来年も盛り上がっていきましょう!

……って、だから有馬で終われば気持ちもスッキリキレイに片付くのに、なんでまだもう1日あるんだよぉ。ホープフルステークス、ほんと日程考えてくれないかな。





第67回有馬記念 G1 展望   


さあ、今年も来ました本年度のシメたるグランプリ。有馬記念。
近年はジャパンカップの方が有力馬が集まったりしていたのですが、今年に関しては圧倒的に有馬に現役最強馬たちが集結!

まずは一番人気 イクイノックス。よほど天皇賞秋の勝ちが鮮烈だったのか、タイトルホルダーを退けて前日人気では若き3歳馬のイクイノックスが上回りました。
夏を超えて体質の弱さを克服。覚醒のときを迎えて、古馬を蹴散らし圧巻の天皇賞秋制覇。まあ今一番充実しているのがこの馬でしょう。鞍上ルメールというのも安心材料。切れ味鋭くもどこか繊細な雰囲気だった春から、切れ味そのままに質実剛健の身が入ったような強さを感じさせてくれます。

2番人気はタイトルホルダー。日経賞・天皇賞春・宝塚記念の春の三連勝は圧巻の一言でした。秋は凱旋門賞で無念の11着。そこから記憶して調整してここ有馬に乗り込んできたわけですが、現役最強の頂きを譲らずに維持できるか。なんて問われる事すらおこがましい、というくらいの勢いでないと。
レースのすべてを支配するかのような圧巻の逃げ、いや堂々と他の17頭を引き連れたパレードを見せてもらいたいものです。

3番人気はジェラルディーナ。ついにエリザベス女王杯にて冠を頂いた彼女こそ、猛女ジェンティルドンナの息女にして後継者。7冠女帝の再臨を期待されての3番人気でありましょう。それを期待してしまうくらいには、女王杯が堂々とした横綱相撲でしたから。
鞍上がクリスチャン・デムーロというのも大きいはず。


4番人気は、ジャパンカップを鮮烈な差しで貫いた青き閃光ヴェラアズール。
あの瞬間移動さながらの内枠をぶち抜いての差しはとんでもなかったですからね。この馬も足元が弱くてずっとダートでしか走れなかったのが、ようやく芝で走れるようになった途端の本格化である。弱いはずがない、まぐれなはずがない。
ただこの馬、乗り方が難しそうではある。父エイシンフラッシュとよく似ていて、脚を溜めて溜めて此処ぞという時に解き放つ、というスタイルでないと必殺技が炸裂しにくいタイプっぽいんだよなあ。そして前走は鞍上のムーア騎手の手綱捌き、位置取りから馬群を馬に無理させずにスルスルとすり抜けさせる業前が神がかりだったんですよね。今回の鞍上は松山くん。文句なしの一流ジョッキーだけれども、ちょっと前回のムーアが凄すぎただけにハードルあがっちゃってるよ?

5番人気はエフフォーリア。3歳時は無敵の競馬マシーンとでもいうくらいに勝って勝って勝ちまくったF4だったが、4歳となり古馬になると成績が落ちる父エピファネイアの因果が原因か、それとも牝馬相手にキョドってしまうメンタルのせいか、春の2戦はまともな戦績を残せず、秋も雌伏の時を過ごして一戦もせずにいきなりこの有馬記念に挑んできた。さあ、立て直しは済んだのか?
その実力さえ発揮できるのなら、当然その能力は他の追随を許さず。去年このレースを勝ったのを誰だと思っている。人呼んで撃墜王エフフォーリア。名だたる強豪たちを撃ち落としてきたその名を再び輝かせられるか。

6番人気は来年の引退・調教師デビューが決まりこれがラストのグランプリとなる福永祐一騎手がまたがる、菊花賞2着馬ポルトグフーシュ。勝ったアスクビクターモアとはクビの上げ下げによる僅か数センチのハナ差決着だ、決して負けてない強さだった。

そして、生涯最高の出来栄えだと噂される無冠の帝王ディープボンド。今度こそ、今度こそとG1を期待されながら届かなかった栄冠は、いつ奪う取れるのか。今でしょう!と言いたくなるほど気配が高まっておりました。
のに、まさかの18番大外枠。凱旋門賞から引き続き川田騎手が鞍上。悔しいが今日本人で一番上手いの彼でしょう。大外枠でも彼なら何とかしてしまえるかも。ただこのにぶにぶなプボくんを果たして和田騎手じゃなく、川田が追い切れるのか。

他にもココに来てエリザベス女王から調子が戻りつつあるように見えるアカイイト。
マーカンド騎手が跨る菊花賞3着のジャスティンパレス。
タイトルホルダーが強いる消耗戦なら一番適正あるだろう混戦でこそ映える大阪杯の覇者ポタジェ。
前走ジャパンカップこそ大敗したものの、大きなG2で常に連対してきた安定感の鬼ボッケリーニ。
長き下積み時代から一気にアルゼンチン共和国杯制覇で重賞ウィナーの仲間入りをしたブレークアップ。
グランプリに相応しいメンツが揃った本年度の集大成。結果がどうなるのか、楽しみ楽しみ。

さらばゴールドシップ  



この馬に関しては、もう最後は勝つ負ける度外視で買っちゃいましたね。暴君オルフェーブルとはまた全く異なる暴れん坊、気まぐれ、オン・マイ・ウェイな馬だったゴールドシップ。これだけ個性的な馬が、この時代にこれだけの足跡を残していくとは思いませんでした。
変な馬だったなあ。馬券的には随分と恨まれてもいるでしょう。予想屋にしても鞍上やテキですら、この馬に関しては出来だとか適正とかもう関係なしに、馬が走る気になるかならないか、で完結していましたからね。
そんなん、予想のしようがないじゃないですかw もう、走ってみなきゃわからない。
こんな馬居ませんでしたよ。空前にして絶後だ。
でも、愛された馬でした。憎めない馬でした。返ってこないだろうなあ、と思いながらも投票してしまう馬でした。
最後のレースも、どうしようもなくゴールドシップの走り方でしたね。最後まで自由でした。どこかで、鞍上内田に戻って奇跡の復活、なんてチラリと期待もしましたけれど、まあそんな殊勝な馬じゃあなかったよなあ。ふてぶてしいまでに自分勝手なこの馬が、そんなストーリに乗っかるものかよ。
でもいいです、最後までゴールドシップらしかったですから。
楽しかったよ、ありがとう。

有馬記念は、ゴールドはゴールドでもシップではなく、ゴールドアクター。狙い目ズバリ、だったにも関わらず……キタサンっかーーーっ。ノリさんに乗り代わって、どうかと思って外したんだけれど、これは悔しい……。

しかし、先のモーリスといい、このゴールドアクターといい、まさかの父スクリーンヒーローの大活躍。果たして、こんな産駒が大活躍するとか誰が思ったでしょうか。グラスワンダーの血統だぜ。そして、母系を遡ると、ダイナアクトレスがお祖母ちゃんだぜ。SSが噛んでるとはいえ、ロベルトとノーザンテーストが入ってるスクリーンヒーローがここまで産駒排出するとは。
その肝心のゴールドアクター、母系がまたマイナーすぎる。この繁殖牝馬のレベルで、よくぞまあ……。
モーリスだって、母系は大概ですし。今後、繁殖牝馬のレベルは激烈にアップするでしょうし、そうなった時にスクリーンヒーロー、種牡馬として果たしてどの領域まで行くのか。面白いことになってきたなあ。

吉田隼人くん、初G1おめでと。


第54回 有馬記念(GI)  

やってまいりました、本年度のトリ。ドリームレース、冬のグランプリ【有馬記念】。
残念ながら、人気投票第一位のウォッカは前走JCのレース後に鼻血を出し、規定によって一ヶ月の出走停止となり、参戦がかなわず、ジャパンカップ二着のオウケンブルースリ、三着のレッドディザイアも未参加という、秋競馬を賑わした上位陣が不在のレースとなってしまった。
特にウォッカとブエナビスタ。最強の座に君臨し続けるウォッカと、デビューからこっち鮮烈なレースでファンを魅了し続ける新世代女王候補ブエナビスタとの女王対決には注目が集まっていただけに、非常に残念な形となってしまった。
とはいえ、それで盛りあがりに欠けるメンバーかといえば、なんのなんの。戦歴をズラリと並べてみれば、今年を代表するに相応しいメンバーががっつりと揃ったと言える。

本年度牡馬クラシック戦線において皐月賞を制し、三歳三強の一角を担った、人呼んで<我に敵無し> アンライバルド。
未勝利戦勝利から実に伍連勝。常に展開の不利を受け続けながら、牝馬クラシック戦線で猛威を振るい続けた他馬が止まって見える鬼脚は、未だに真価を発揮してはいないと言って良いだろう。ヤネが横山典に乗り替わり、ついに彼女の全力全開が日の目をみるか、新世代女帝ブエナビスタ。
これがGI初挑戦ながら、既に目黒記念、アルゼンチン共和国杯、七夕賞という多くのGIウイナーを輩出した重賞レースを三つも買っている、云わばこれからのGI戦線の主役を担う馬、ミヤビランベリ。
淀の三千二百を先頭で駆け抜けた栄えある天皇賞・春の戴冠馬。金杯、AJCC、日経賞と初冬の中山競馬場で好走を重ねた中山巧者でもあるマイネルキッツ。
実にこれがGI参戦26戦目という本物の古強者。コスモバルク。
本年度ジャパンカップ出走馬の最先着馬であり、先年有馬記念で三着に入り、万馬券を演出した張本人。齢既に8歳ながらも今なお意気軒昂、エアシェイディ。
まさしくこれ、中山の権化。中山競馬場での戦績12戦8勝2着3着各一回。馬券を外したのが競走中止となったセントライト記念と去年の有馬記念のみという恐るべき中山の鬼。マツリダゴッホ。
この馬の前を走る勇気のある相手はいないと、武豊は豪語する。クラシック三強の一角、常に最前線の前の前、先頭を逃げ続けたリーチザクラウン。
ウォッカが居ない今、古馬の代表格として若駒どもを迎え撃つ大将格は間違いなくこの馬だろう。祖父にメジロマックーン、父にステイゴールドという人によっては感涙に咽ぶ血統の末裔にして、宝塚記念を制した春のグランプリ馬、ドリームジャーニー。
伝説の新馬戦と呼ばれた2008.10.26。京都第五レース。かのレースにて後塵を拝したアンライバルド、リーチザクラウン、ブエナビスタという世代のキラ星たちの活躍を横目に雌伏を続けて一年。条件馬から一気に菊花賞馬へと駆け上り、今かつての雪辱を晴らさんと三頭に堂々と挑戦状を叩きつけた、遅れてきた最後の最強、スリーロールス。
春は条件戦、夏は地方をドサ回りという三歳クラシック戦線の華やかな舞台とは縁のない前半期を乗り越え、秋の到来とともに神戸新聞杯にて鮮烈なクラシック戦線への参戦表明。勝ちこそ得られなかったものの、その名を世に知らしめた、ハワイの言葉で<頂上へ> イコピコ。
本年冒頭、日経新春杯にて皆を仰天させる大逃げを炸裂させ、とんでもない額の馬券を演出して急遽引退を撤回。その後鳴かず飛ばずのまま引退かと思われたところで、エリザベス女王杯でのまさかまさかのクィーンスブマンテと連れ立っての逃亡劇。一年で二度も超万馬券を引き起こした、忘れた頃にやってくる、テイエムプリキュア。
世代最初の統一GI、朝日杯を制しながら、ついぞクラシック戦線でロジユニヴァース、アンライバルド、リーチザクラウンの三強から一歩下の評価を受け続けた。しかし見よ、最悪の不良馬場だったダービーを除き、皐月賞で、神戸新聞杯で、菊花賞で、距離も新戦力の台頭ももろともせず、常に三着を譲らず上位に居続けたのはこの馬である。勝ちはなくとも不動の強さは世代随一、セイウンワンダー。
本年初冬のAJCC勝利以外見るべきものは無いながら、あらゆるデータが荒れる有馬はこの馬を抑えろと指している。今年穴をあけるのはこの馬、ネヴァブション。
その父の名は黒雷ダンスインザダーク。その母の名は女傑エアグルーヴ。日本競馬会における斎場にして最強、至高にして至上の超々良血馬。だがその良血は気品ある華麗さではなく、豪放にして鮮烈。両親は共に剛にして鋭たる凄まじい馬だった。今、その豪壮たる魔物の血が覚醒の時を迎えている。もう一頭の遅れてきた最強馬 フォゲッタブル。


競馬ファンなら心踊らせるのは、およそ14ヶ月の間をおいてのかの若駒たちの再戦だろう。伝説となった新馬戦。一着にのちの皐月賞馬アンライバルド。二着にダービー二着のリーチザクラウン。三着には桜花賞、オークスを制したブエナビスタ。そして四着には先日、菊花賞を制したスリーロールスという、およそ信じられないメンツが揃った新馬戦。その四頭が今、ここに再び集い、相まみえるというのだ。しかも、そのレースとはその年の有終たるグランプリレース<有馬記念>。
ドラマティックにも程があるというものだろう。


今年は驚くべきことに毎年主役を担うはずの四歳馬の出走が一頭もなく、台頭著しい三歳の若駒たちの攻勢に、一頭ドリームジャーニーが立ちふさがる、という形になっている。
人気はブエナビスタが前日一番人気3.9倍。ドリームジャーニーが四倍台で二番手となり、以降フォゲッタブル、マツリダゴッホが9倍台で、三歳の有力馬たちが十倍台でつづいている。端的に言って、混戦模様と言って良い。人気は完全に割れている。


さて、肝心の馬券であるが、毎年有馬記念は固く決まるか、大いに荒れるかという2パターンに分かれるそうだが、どうも今年の気配は大荒れ、というのが各所から伝わってくる気配だ。
そこで注目すべきは、まず大穴をあける人気薄の馬。有馬記念の行われる中山競馬場は非常に厳しい小回りを要求される競馬場で、他場に比べてコース適性をかなり厳しく要求されるコースである。自然、中山巧者と呼ばれる馬が存在し、有馬記念で穴をあける人気薄の馬にも必然的にこの中山巧者という特性が要求される。加えてこれまでの傾向によると、これら穴馬はそれまでGIでの戦歴が非常に乏しいという傾向があるらしい。ちなみに、前走までの着順はあまり考慮しなくて良い模様。ただし、本年度中に中山競馬場での好走経験アリ。これに当てはめると、自然と浮き上がってくるのがミヤビランベリとネヴァブションということになる。
ここは、GI初参戦ながら今アルゼンチン共和国杯を勝つなど完全に上り調子なミヤビランベリは敢えて外して、ネヴァブションの方を押さえておきたい。往々にして有馬記念の穴馬は気配があるよりも、こうして埋伏している方が来るものなのだ。
さあ、穴馬は抑えたところで、次は中核と為る有力馬なのだが……これがまた難しい。
一番人気のブエナビスタはアンカツから横山典に乗り替わりして、これは好材料なのだが、枠順はウチの二番。後方大外まくって一気、のこれまでのスタイルだと、小回りで直線が長くない中山では非常に不利、なのだが、そこはノリさん、なんとかしてくれるんじゃないだろうか。内枠も、逆に言えば常に経済コースを走れるということだし、ウチで馬群を捌ければ、彼女の鬼脚が本領を発揮するシーンを目撃できるかもしれない。
ドリームジャーニーは脚質からして、中山の方が合っているというのが各所共通の見解のようだ。元々右回りの方を得意としているみたいだし。
注目はスリーロールス。重賞は春にG3の毎日杯で凡走して以来、あの勝った菊花賞が二回目という大舞台での経験不足が心配されるところなんだけど、逆に言うとこのままとんとんとクラシックまで勝ってしまいそうな勢いも伺えるところなんですよね。未経験ゆえの軽やかさがある。ただ、まだ彼の実力が如何ばかりなのか未知数なところが大きいので、このレースで真価が試されていると言えるのかもしれないけど。
真価と言えば、ここで真価を試されようとしているのは、セイウンワンダーのような気がするんですよね。常に三着を譲らなかったこの馬が、同世代、上の世代の有力馬が集ったこの舞台で、どんなパフォーマンスを発揮するのか。何気に三歳で一番侮れないのが、この馬のような気がしています。
そして、超良血フォゲッタブル。人気も三番手と、注目も集めているみたいですね。今年前半は燻っていた実力も、セントライト三着から完全に開花したっぽいですし。
ただ、この大外枠という位置と、トントン拍子で勢い良く着ている気配が逆に不安どころなんですよね。そろそろ一息ついてしまいそうな。菊花賞二着から、次のステイヤーズを貫禄勝ちしたのはやっぱりすごいんですが。ただ、感覚が中二週しか開いて居ないのも……。


というわけで、自分は

ブエナビスタ
ドリームジャーニー
スリースロース
セイウンワンダー
ネヴァブション

の五頭で勝負。

結果


す、スリーロールスっぅぅ!! まさかの故障発生で競走中止。うああああ。浅屈腱不全断裂という症状で、これって先日の朝日杯のトーセンファントムと同じ症状。幸いにも予後不良はまぬがれたようだけど…まず引退だよなあ、これは。将来が楽しみだった馬だけに、これはあまりにも残念。

さて、結果の方はだが、ドリームジャーニー…強かったぁ。右回りダとジャーニー、本気で強いわ。出遅れたものの、今回どうやらかなり早いペースだったらしく、先行馬がことごとく潰れたところを、後方から一気差し。好位から抜け出したブエナをかわし、食い下がる彼女と猛烈な叩き合いを繰り広げながら、後方を置き去りに。
これほど強い勝ち方を見せてくれたら、古馬一番手を名乗って恥なしですよ。来年は、少なくとも右回りコースではジャーニーから買いで行ってもまず間違いないでしょう。
あー、それにしてもおやじさんのステイゴールドがついに勝てなかった有馬をとっちゃったかあ。しかも、メジロマックイーンの系譜ですよ。あの小さな馬体で俊敏鮮烈なレースっぷり。惚れる惚れる。
そして二着にはブエナビスタ。この女、破れはしたがやっぱり格が違いますよ。鞍上が横山典に代わって注目されたレース運びは、初めての先行好位待機。どうなるかと思いきや、早いペースで先行馬が軒並み沈んで行く中、彼女はときたら逆に抜け出し突き放す突き放す。後方からまくってきたジャーニーにかわされたものの、そこで置き去りにされず食いさがる粘り強さ。
全力を発揮した彼女は、確かに本気で強かった!!
これは、まさしく来年、ウオッカやダイワスカーレットに連なる女帝の系譜を継承することに為るでしょう。来年、ウオッカが引退レースとするドバイのレースに参戦するという話ですが、是非ともそこで決着をつけて欲しいところ。とりあえず、典さんの騎乗は安心できるわー。
三着には古豪、エアシェイディが、先年に続いて三着に入賞。これは、侮っていたなあ。今年も馬券にはならないものの、好走つづいていたけど、展開もハマったとはいえ、これはやられた。
四着にはシェイディの頭差でフォゲッタブル。この馬の本番は来年からだと思うので、大外枠からのレースでありながらここで四着は上等上等。来年からの活躍を示唆するような、よい走りでした。スリーロールスがああなってしまった以上、代わりにガンバッテ欲しい。
セイウンワンダーは、四コーナに差し掛かるところでグゥンと一瞬良い足で伸びかけたんだけどなあ。どうも、内枠で前塞がれた感じで足が止まっちゃったっぽいのが勿体無かった。6着に入ったのをどう評価するか。とりあえずは来年まず一つ勝たないとねえ。

馬券の方は、エアシェイディを勝っていなかった時点で終了。それ以前にスリーロールスで終了でした。あー、将来有望な馬に故障されるとヘコむなあ。


今年は結局、馬券成績はプラス6950円。小遣い程度にはなったけど、稼ぎと言えるほどではなかったなあ。マイナス収支でなかったのを喜ぶべきなんだろうけど、まだまだ未熟。来年はもっと研ぎ澄まし、我慢と勇気を持ってより大胆かつ繊細に攻めたいと思います。

とりあえずは、まず金杯よー。


横山典
 

10月9日

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