有馬記念

第67回有馬記念 G1 レース回顧  



パーフェクトだ、イクイノックス!
【名刀】イクイノックス、開眼である。

春先は触れるものを切り裂くような鋭さを感じさせたものの、その分細身で折れてしまいそうな脆さを感じさせるものがありましたけれど、夏を経て秋に至ってからの充実っぷりはさながら真っ向から唐竹割りにして刃毀れなしのの名刀の如しでありました。

ぶっちゃけ、もう直線に入る前の4コーナーの時点で勝利を確信した人も多かったんじゃないだろうか。手応え、尋常じゃなかったもんなあ。
手応えよすぎて、道中ルメールが宥めてたくらいだし。ゴーサインが出て抜刀されたあとは、もう一直線に切り裂いて前に塞がるものあらず、ですよ。
文句なしに強かった。文句の言いようを許さないほどの勝ち方でした。おう、ドゥデュース、これ次戦うときはよほどの覚悟決めて挑まないとヤバいくらいになってるぞ。
とはいえ、今回はもうやばいくらい仕上がりが極まってましたからね。正直、ここまで見事に仕上げられるのって今後出来るんだろうかというくらい。馬の調子を整えるって、やっぱり難しいですからね。
今年のエフフォーリアや今回のタイトルホルダーを見ても分かる通り。

エフフォーリアは頑張りました。よく5着入りましたよ。牛みたい、なんて言われるくらいになっちゃってましたしね。陣営、めっちゃ頑張ってエフフォーリアに気合入れまくってたみたいだけど、馬の前向きさがねえ。いっそ、ガンガンレースを走らせた方がいいんじゃないだろうか。

タイトルホルダーはわかりません。フランス帰りの疲れが残ってたんじゃないか、なんて言われてますけれど。スタートの出は良かったし、前に飛び出してから横山和生くんがうまくペースに乗せたところではいい感じ、と思ったんですけれど、1000メートルで1分1秒越えてるくらいのタイムが出たあたりで、アレ?って感じはあったんですよね。 いや、タイム的にも思ったよりも遅かったし雰囲気的にタイホのいつものペースじゃないというか、彼のスタイルであるスピードにノリつつスタミナ任せに後ろの馬に消耗戦を強いるような迫力がなかったんですよね。逃げて粘る、という馬じゃなかったんですよ、タイトルホルダーって。それがトップスピードに乗れないまま走りにくそうにしてるなあ、と。
そうこうしているうちに、直線に入ったらあっという間に後続に呑まれて脱落。まさかの9着である。去年の5着よりも悪い。和夫くんの乗り方に問題があったようには見えなかったので、これはもう言われている通り凱旋門激走の疲れが残っちゃっていたのか。海外は難しいねえ。

と、2着はイクイノックスと同じ3歳馬。菊花賞2着のボルドグフーシュがこれがラスト騎乗の福永さんの鞍上で、見事に古馬どもを撫できっての2着。菊花賞はレベル低いレースじゃなかったんだよ! と叫びたくなるじゃないですか。レースに出なかった菊花賞馬アスクビクターモアの面目も守ってくれる走りでした。
今回、積雪の影響で関西馬の多くが輸送でトラブルに巻き込まれて、軒並み7時間以上余計に時間かかっちゃったみたいで、それでもうアカンことになってる馬もいたなかで(キミだよ、ディープボンド)、フーシュくんは大丈夫だったんですかね。大丈夫じゃなかったかもしれないけど、それでもこれだけ走れたんだからそれだけ地力あるって事なのでしょう。まだG1どころか重賞も勝ってないんですよ? まだまだ成長過程、身体も出来上がってないみたいですから、これは来年が楽しみな馬です。福永さんの気合も入りまくってたという事もあるでしょうけれど。
ただ、このままだと歴戦のシルバーコレクターになりそうで怖いんだが。

3着はジェラルディーナ。いや、3番人気は伊達じゃなかったなあ。ちょっと前まで重賞で善戦するのがいい所だったとは思えないくらい、雰囲気と格を感じさせるようになってきた。
とはいえ、今回スタートで大きく出遅れてしまったのはやはり大きかった。主導権全くないところから、とにかく良いポイントを見つめ潜り込み狙い定めて、と不利を鞍上の手腕に大きく寄って挽回していかざるを得ない展開になってしまいましたからね。
しかし、乗っていたのがクリスチャン・デムーロですよ。ほんと、出稼ぎにきた外国人騎手の腕前ときたら、とんでもないですわ。ポルトグフーシュのさらに外を回すんじゃなくて、いつの間にか内に切り込んで、空いたスペースをスーッスーと抜けて来てるんですから。それも偶々空いたスペースじゃなくて、周囲の馬の流れからここが開くだろうな、と見越してるルート選択してるのか、これ?出遅れがなくて、ポディションをもっと前につけていたら、2着3着はわからなかったですよ、これ。

4着はイズジョーノキセキ。内にピッタリとつけて走った馬の中では、この馬が一番来ましたか。岩田パパの剛腕唸る、という感じで、よくまあ2500を最後まで走らせたもんです。もし適距離ならゴール前でもっとバビューンと伸びたでしょうね、これ。鞍上も岩田パパとか和田竜二みたいなタイプが相性いいのかもしれませんね。

5着は頑張ったエフフォーリア。今年はこれが最後ですけれど、むしろエフフォーリアとしてはここがスタートですね。まずは再スタートの第一歩を踏めたという感じじゃないでしょうか。ここで一旦切らずに、そのまま立て直してなんとか春を迎えてほしいところですけれど。

6着はウインマイティー。マイティー来たんか! 前走エリザベス女王杯では馬場の悪さに泣き、今回は調教でもあんまりピリッとしてない、という話も聞いていたのですが、ばっちり入賞してくるあたりやはり地力は高いんだよなあ。出来ればもう一個、ちゃんとG2あたり勝っておきたいところ。

7着はジャスティンパレス。菊花賞3着馬はここでしたか。この馬もまだまだこれからが本番って馬ですからね。来年がどんな感じになってくるか楽しみです。

ディープボンドはここかぁ。8着。もう、なんか不運が束になって襲いかかってきた、みたいな。生涯最高の仕上がり、だったはずなのに、枠順抽選では最悪の大外枠。おまけに輸送トラブルでかなりダメージ食らったらしく、走る前になんかもうボロボロじゃないですか。
川田がおっつけて前で前で勝負に行っていたはずなんですけれど、なんかびっくりするくらい存在感を感じませんでした。2,3番手付けてたのに、居たの!? って感じでしたからね。
位置取りとしては文句なしだったはずなのですが。直線入ったあとはもうどこへいってしまったやら。
いつもなら、どこに居てもやたら存在感は発揮しまくってど迫力カマしてたはずなのに、もう今回はほんとダメでした。今回こそチャンスだと思ってたんだがなあ。

9着にタイホくん。そして10着にはジャパンカップを勝ったヴェラアズール。ヴェラはまあ参加賞でしたね。さすがにジャパンカップからここはこの馬としては辛かった。調子は下降線だったし輸送遅延の巻き添えくらった分もあったでしょう。元々、中山向きじゃない走り方っぽいですしねえ。


まあ何にせよイクイノックスです。これ、年度代表馬レースでもトップに躍り出ましたかね。春を席巻したタイホをここで下したというのも大きいですし、天皇賞秋と有馬記念を3歳で両方勝ったというのはやはり大きいですよ。何より勝ち方が強かった。
とはいえ、来年になったらタイホも立て直してくるでしょうし、エフフォーリアだって黙っちゃいないでしょう。ヴェラアズールも舞台が変わればあの閃光の差し脚は必殺技です。ジェラルディーナもまだまだこんなもんじゃない、というくらいの充実度。そして同じ同世代の連中だってドゥデュース、アスクビクターモア、そしてポルトグフーシュとさらなる本格化を迎えることでしょう。
香港組だっているわけです。
さあ、来年も盛り上がっていきましょう!

……って、だから有馬で終われば気持ちもスッキリキレイに片付くのに、なんでまだもう1日あるんだよぉ。ホープフルステークス、ほんと日程考えてくれないかな。





第67回有馬記念 G1 展望   


さあ、今年も来ました本年度のシメたるグランプリ。有馬記念。
近年はジャパンカップの方が有力馬が集まったりしていたのですが、今年に関しては圧倒的に有馬に現役最強馬たちが集結!

まずは一番人気 イクイノックス。よほど天皇賞秋の勝ちが鮮烈だったのか、タイトルホルダーを退けて前日人気では若き3歳馬のイクイノックスが上回りました。
夏を超えて体質の弱さを克服。覚醒のときを迎えて、古馬を蹴散らし圧巻の天皇賞秋制覇。まあ今一番充実しているのがこの馬でしょう。鞍上ルメールというのも安心材料。切れ味鋭くもどこか繊細な雰囲気だった春から、切れ味そのままに質実剛健の身が入ったような強さを感じさせてくれます。

2番人気はタイトルホルダー。日経賞・天皇賞春・宝塚記念の春の三連勝は圧巻の一言でした。秋は凱旋門賞で無念の11着。そこから記憶して調整してここ有馬に乗り込んできたわけですが、現役最強の頂きを譲らずに維持できるか。なんて問われる事すらおこがましい、というくらいの勢いでないと。
レースのすべてを支配するかのような圧巻の逃げ、いや堂々と他の17頭を引き連れたパレードを見せてもらいたいものです。

3番人気はジェラルディーナ。ついにエリザベス女王杯にて冠を頂いた彼女こそ、猛女ジェンティルドンナの息女にして後継者。7冠女帝の再臨を期待されての3番人気でありましょう。それを期待してしまうくらいには、女王杯が堂々とした横綱相撲でしたから。
鞍上がクリスチャン・デムーロというのも大きいはず。


4番人気は、ジャパンカップを鮮烈な差しで貫いた青き閃光ヴェラアズール。
あの瞬間移動さながらの内枠をぶち抜いての差しはとんでもなかったですからね。この馬も足元が弱くてずっとダートでしか走れなかったのが、ようやく芝で走れるようになった途端の本格化である。弱いはずがない、まぐれなはずがない。
ただこの馬、乗り方が難しそうではある。父エイシンフラッシュとよく似ていて、脚を溜めて溜めて此処ぞという時に解き放つ、というスタイルでないと必殺技が炸裂しにくいタイプっぽいんだよなあ。そして前走は鞍上のムーア騎手の手綱捌き、位置取りから馬群を馬に無理させずにスルスルとすり抜けさせる業前が神がかりだったんですよね。今回の鞍上は松山くん。文句なしの一流ジョッキーだけれども、ちょっと前回のムーアが凄すぎただけにハードルあがっちゃってるよ?

5番人気はエフフォーリア。3歳時は無敵の競馬マシーンとでもいうくらいに勝って勝って勝ちまくったF4だったが、4歳となり古馬になると成績が落ちる父エピファネイアの因果が原因か、それとも牝馬相手にキョドってしまうメンタルのせいか、春の2戦はまともな戦績を残せず、秋も雌伏の時を過ごして一戦もせずにいきなりこの有馬記念に挑んできた。さあ、立て直しは済んだのか?
その実力さえ発揮できるのなら、当然その能力は他の追随を許さず。去年このレースを勝ったのを誰だと思っている。人呼んで撃墜王エフフォーリア。名だたる強豪たちを撃ち落としてきたその名を再び輝かせられるか。

6番人気は来年の引退・調教師デビューが決まりこれがラストのグランプリとなる福永祐一騎手がまたがる、菊花賞2着馬ポルトグフーシュ。勝ったアスクビクターモアとはクビの上げ下げによる僅か数センチのハナ差決着だ、決して負けてない強さだった。

そして、生涯最高の出来栄えだと噂される無冠の帝王ディープボンド。今度こそ、今度こそとG1を期待されながら届かなかった栄冠は、いつ奪う取れるのか。今でしょう!と言いたくなるほど気配が高まっておりました。
のに、まさかの18番大外枠。凱旋門賞から引き続き川田騎手が鞍上。悔しいが今日本人で一番上手いの彼でしょう。大外枠でも彼なら何とかしてしまえるかも。ただこのにぶにぶなプボくんを果たして和田騎手じゃなく、川田が追い切れるのか。

他にもココに来てエリザベス女王から調子が戻りつつあるように見えるアカイイト。
マーカンド騎手が跨る菊花賞3着のジャスティンパレス。
タイトルホルダーが強いる消耗戦なら一番適正あるだろう混戦でこそ映える大阪杯の覇者ポタジェ。
前走ジャパンカップこそ大敗したものの、大きなG2で常に連対してきた安定感の鬼ボッケリーニ。
長き下積み時代から一気にアルゼンチン共和国杯制覇で重賞ウィナーの仲間入りをしたブレークアップ。
グランプリに相応しいメンツが揃った本年度の集大成。結果がどうなるのか、楽しみ楽しみ。

さらばゴールドシップ  



この馬に関しては、もう最後は勝つ負ける度外視で買っちゃいましたね。暴君オルフェーブルとはまた全く異なる暴れん坊、気まぐれ、オン・マイ・ウェイな馬だったゴールドシップ。これだけ個性的な馬が、この時代にこれだけの足跡を残していくとは思いませんでした。
変な馬だったなあ。馬券的には随分と恨まれてもいるでしょう。予想屋にしても鞍上やテキですら、この馬に関しては出来だとか適正とかもう関係なしに、馬が走る気になるかならないか、で完結していましたからね。
そんなん、予想のしようがないじゃないですかw もう、走ってみなきゃわからない。
こんな馬居ませんでしたよ。空前にして絶後だ。
でも、愛された馬でした。憎めない馬でした。返ってこないだろうなあ、と思いながらも投票してしまう馬でした。
最後のレースも、どうしようもなくゴールドシップの走り方でしたね。最後まで自由でした。どこかで、鞍上内田に戻って奇跡の復活、なんてチラリと期待もしましたけれど、まあそんな殊勝な馬じゃあなかったよなあ。ふてぶてしいまでに自分勝手なこの馬が、そんなストーリに乗っかるものかよ。
でもいいです、最後までゴールドシップらしかったですから。
楽しかったよ、ありがとう。

有馬記念は、ゴールドはゴールドでもシップではなく、ゴールドアクター。狙い目ズバリ、だったにも関わらず……キタサンっかーーーっ。ノリさんに乗り代わって、どうかと思って外したんだけれど、これは悔しい……。

しかし、先のモーリスといい、このゴールドアクターといい、まさかの父スクリーンヒーローの大活躍。果たして、こんな産駒が大活躍するとか誰が思ったでしょうか。グラスワンダーの血統だぜ。そして、母系を遡ると、ダイナアクトレスがお祖母ちゃんだぜ。SSが噛んでるとはいえ、ロベルトとノーザンテーストが入ってるスクリーンヒーローがここまで産駒排出するとは。
その肝心のゴールドアクター、母系がまたマイナーすぎる。この繁殖牝馬のレベルで、よくぞまあ……。
モーリスだって、母系は大概ですし。今後、繁殖牝馬のレベルは激烈にアップするでしょうし、そうなった時にスクリーンヒーロー、種牡馬として果たしてどの領域まで行くのか。面白いことになってきたなあ。

吉田隼人くん、初G1おめでと。


第54回 有馬記念(GI)  

やってまいりました、本年度のトリ。ドリームレース、冬のグランプリ【有馬記念】。
残念ながら、人気投票第一位のウォッカは前走JCのレース後に鼻血を出し、規定によって一ヶ月の出走停止となり、参戦がかなわず、ジャパンカップ二着のオウケンブルースリ、三着のレッドディザイアも未参加という、秋競馬を賑わした上位陣が不在のレースとなってしまった。
特にウォッカとブエナビスタ。最強の座に君臨し続けるウォッカと、デビューからこっち鮮烈なレースでファンを魅了し続ける新世代女王候補ブエナビスタとの女王対決には注目が集まっていただけに、非常に残念な形となってしまった。
とはいえ、それで盛りあがりに欠けるメンバーかといえば、なんのなんの。戦歴をズラリと並べてみれば、今年を代表するに相応しいメンバーががっつりと揃ったと言える。

本年度牡馬クラシック戦線において皐月賞を制し、三歳三強の一角を担った、人呼んで<我に敵無し> アンライバルド。
未勝利戦勝利から実に伍連勝。常に展開の不利を受け続けながら、牝馬クラシック戦線で猛威を振るい続けた他馬が止まって見える鬼脚は、未だに真価を発揮してはいないと言って良いだろう。ヤネが横山典に乗り替わり、ついに彼女の全力全開が日の目をみるか、新世代女帝ブエナビスタ。
これがGI初挑戦ながら、既に目黒記念、アルゼンチン共和国杯、七夕賞という多くのGIウイナーを輩出した重賞レースを三つも買っている、云わばこれからのGI戦線の主役を担う馬、ミヤビランベリ。
淀の三千二百を先頭で駆け抜けた栄えある天皇賞・春の戴冠馬。金杯、AJCC、日経賞と初冬の中山競馬場で好走を重ねた中山巧者でもあるマイネルキッツ。
実にこれがGI参戦26戦目という本物の古強者。コスモバルク。
本年度ジャパンカップ出走馬の最先着馬であり、先年有馬記念で三着に入り、万馬券を演出した張本人。齢既に8歳ながらも今なお意気軒昂、エアシェイディ。
まさしくこれ、中山の権化。中山競馬場での戦績12戦8勝2着3着各一回。馬券を外したのが競走中止となったセントライト記念と去年の有馬記念のみという恐るべき中山の鬼。マツリダゴッホ。
この馬の前を走る勇気のある相手はいないと、武豊は豪語する。クラシック三強の一角、常に最前線の前の前、先頭を逃げ続けたリーチザクラウン。
ウォッカが居ない今、古馬の代表格として若駒どもを迎え撃つ大将格は間違いなくこの馬だろう。祖父にメジロマックーン、父にステイゴールドという人によっては感涙に咽ぶ血統の末裔にして、宝塚記念を制した春のグランプリ馬、ドリームジャーニー。
伝説の新馬戦と呼ばれた2008.10.26。京都第五レース。かのレースにて後塵を拝したアンライバルド、リーチザクラウン、ブエナビスタという世代のキラ星たちの活躍を横目に雌伏を続けて一年。条件馬から一気に菊花賞馬へと駆け上り、今かつての雪辱を晴らさんと三頭に堂々と挑戦状を叩きつけた、遅れてきた最後の最強、スリーロールス。
春は条件戦、夏は地方をドサ回りという三歳クラシック戦線の華やかな舞台とは縁のない前半期を乗り越え、秋の到来とともに神戸新聞杯にて鮮烈なクラシック戦線への参戦表明。勝ちこそ得られなかったものの、その名を世に知らしめた、ハワイの言葉で<頂上へ> イコピコ。
本年冒頭、日経新春杯にて皆を仰天させる大逃げを炸裂させ、とんでもない額の馬券を演出して急遽引退を撤回。その後鳴かず飛ばずのまま引退かと思われたところで、エリザベス女王杯でのまさかまさかのクィーンスブマンテと連れ立っての逃亡劇。一年で二度も超万馬券を引き起こした、忘れた頃にやってくる、テイエムプリキュア。
世代最初の統一GI、朝日杯を制しながら、ついぞクラシック戦線でロジユニヴァース、アンライバルド、リーチザクラウンの三強から一歩下の評価を受け続けた。しかし見よ、最悪の不良馬場だったダービーを除き、皐月賞で、神戸新聞杯で、菊花賞で、距離も新戦力の台頭ももろともせず、常に三着を譲らず上位に居続けたのはこの馬である。勝ちはなくとも不動の強さは世代随一、セイウンワンダー。
本年初冬のAJCC勝利以外見るべきものは無いながら、あらゆるデータが荒れる有馬はこの馬を抑えろと指している。今年穴をあけるのはこの馬、ネヴァブション。
その父の名は黒雷ダンスインザダーク。その母の名は女傑エアグルーヴ。日本競馬会における斎場にして最強、至高にして至上の超々良血馬。だがその良血は気品ある華麗さではなく、豪放にして鮮烈。両親は共に剛にして鋭たる凄まじい馬だった。今、その豪壮たる魔物の血が覚醒の時を迎えている。もう一頭の遅れてきた最強馬 フォゲッタブル。


競馬ファンなら心踊らせるのは、およそ14ヶ月の間をおいてのかの若駒たちの再戦だろう。伝説となった新馬戦。一着にのちの皐月賞馬アンライバルド。二着にダービー二着のリーチザクラウン。三着には桜花賞、オークスを制したブエナビスタ。そして四着には先日、菊花賞を制したスリーロールスという、およそ信じられないメンツが揃った新馬戦。その四頭が今、ここに再び集い、相まみえるというのだ。しかも、そのレースとはその年の有終たるグランプリレース<有馬記念>。
ドラマティックにも程があるというものだろう。


今年は驚くべきことに毎年主役を担うはずの四歳馬の出走が一頭もなく、台頭著しい三歳の若駒たちの攻勢に、一頭ドリームジャーニーが立ちふさがる、という形になっている。
人気はブエナビスタが前日一番人気3.9倍。ドリームジャーニーが四倍台で二番手となり、以降フォゲッタブル、マツリダゴッホが9倍台で、三歳の有力馬たちが十倍台でつづいている。端的に言って、混戦模様と言って良い。人気は完全に割れている。


さて、肝心の馬券であるが、毎年有馬記念は固く決まるか、大いに荒れるかという2パターンに分かれるそうだが、どうも今年の気配は大荒れ、というのが各所から伝わってくる気配だ。
そこで注目すべきは、まず大穴をあける人気薄の馬。有馬記念の行われる中山競馬場は非常に厳しい小回りを要求される競馬場で、他場に比べてコース適性をかなり厳しく要求されるコースである。自然、中山巧者と呼ばれる馬が存在し、有馬記念で穴をあける人気薄の馬にも必然的にこの中山巧者という特性が要求される。加えてこれまでの傾向によると、これら穴馬はそれまでGIでの戦歴が非常に乏しいという傾向があるらしい。ちなみに、前走までの着順はあまり考慮しなくて良い模様。ただし、本年度中に中山競馬場での好走経験アリ。これに当てはめると、自然と浮き上がってくるのがミヤビランベリとネヴァブションということになる。
ここは、GI初参戦ながら今アルゼンチン共和国杯を勝つなど完全に上り調子なミヤビランベリは敢えて外して、ネヴァブションの方を押さえておきたい。往々にして有馬記念の穴馬は気配があるよりも、こうして埋伏している方が来るものなのだ。
さあ、穴馬は抑えたところで、次は中核と為る有力馬なのだが……これがまた難しい。
一番人気のブエナビスタはアンカツから横山典に乗り替わりして、これは好材料なのだが、枠順はウチの二番。後方大外まくって一気、のこれまでのスタイルだと、小回りで直線が長くない中山では非常に不利、なのだが、そこはノリさん、なんとかしてくれるんじゃないだろうか。内枠も、逆に言えば常に経済コースを走れるということだし、ウチで馬群を捌ければ、彼女の鬼脚が本領を発揮するシーンを目撃できるかもしれない。
ドリームジャーニーは脚質からして、中山の方が合っているというのが各所共通の見解のようだ。元々右回りの方を得意としているみたいだし。
注目はスリーロールス。重賞は春にG3の毎日杯で凡走して以来、あの勝った菊花賞が二回目という大舞台での経験不足が心配されるところなんだけど、逆に言うとこのままとんとんとクラシックまで勝ってしまいそうな勢いも伺えるところなんですよね。未経験ゆえの軽やかさがある。ただ、まだ彼の実力が如何ばかりなのか未知数なところが大きいので、このレースで真価が試されていると言えるのかもしれないけど。
真価と言えば、ここで真価を試されようとしているのは、セイウンワンダーのような気がするんですよね。常に三着を譲らなかったこの馬が、同世代、上の世代の有力馬が集ったこの舞台で、どんなパフォーマンスを発揮するのか。何気に三歳で一番侮れないのが、この馬のような気がしています。
そして、超良血フォゲッタブル。人気も三番手と、注目も集めているみたいですね。今年前半は燻っていた実力も、セントライト三着から完全に開花したっぽいですし。
ただ、この大外枠という位置と、トントン拍子で勢い良く着ている気配が逆に不安どころなんですよね。そろそろ一息ついてしまいそうな。菊花賞二着から、次のステイヤーズを貫禄勝ちしたのはやっぱりすごいんですが。ただ、感覚が中二週しか開いて居ないのも……。


というわけで、自分は

ブエナビスタ
ドリームジャーニー
スリースロース
セイウンワンダー
ネヴァブション

の五頭で勝負。

結果


す、スリーロールスっぅぅ!! まさかの故障発生で競走中止。うああああ。浅屈腱不全断裂という症状で、これって先日の朝日杯のトーセンファントムと同じ症状。幸いにも予後不良はまぬがれたようだけど…まず引退だよなあ、これは。将来が楽しみだった馬だけに、これはあまりにも残念。

さて、結果の方はだが、ドリームジャーニー…強かったぁ。右回りダとジャーニー、本気で強いわ。出遅れたものの、今回どうやらかなり早いペースだったらしく、先行馬がことごとく潰れたところを、後方から一気差し。好位から抜け出したブエナをかわし、食い下がる彼女と猛烈な叩き合いを繰り広げながら、後方を置き去りに。
これほど強い勝ち方を見せてくれたら、古馬一番手を名乗って恥なしですよ。来年は、少なくとも右回りコースではジャーニーから買いで行ってもまず間違いないでしょう。
あー、それにしてもおやじさんのステイゴールドがついに勝てなかった有馬をとっちゃったかあ。しかも、メジロマックイーンの系譜ですよ。あの小さな馬体で俊敏鮮烈なレースっぷり。惚れる惚れる。
そして二着にはブエナビスタ。この女、破れはしたがやっぱり格が違いますよ。鞍上が横山典に代わって注目されたレース運びは、初めての先行好位待機。どうなるかと思いきや、早いペースで先行馬が軒並み沈んで行く中、彼女はときたら逆に抜け出し突き放す突き放す。後方からまくってきたジャーニーにかわされたものの、そこで置き去りにされず食いさがる粘り強さ。
全力を発揮した彼女は、確かに本気で強かった!!
これは、まさしく来年、ウオッカやダイワスカーレットに連なる女帝の系譜を継承することに為るでしょう。来年、ウオッカが引退レースとするドバイのレースに参戦するという話ですが、是非ともそこで決着をつけて欲しいところ。とりあえず、典さんの騎乗は安心できるわー。
三着には古豪、エアシェイディが、先年に続いて三着に入賞。これは、侮っていたなあ。今年も馬券にはならないものの、好走つづいていたけど、展開もハマったとはいえ、これはやられた。
四着にはシェイディの頭差でフォゲッタブル。この馬の本番は来年からだと思うので、大外枠からのレースでありながらここで四着は上等上等。来年からの活躍を示唆するような、よい走りでした。スリーロールスがああなってしまった以上、代わりにガンバッテ欲しい。
セイウンワンダーは、四コーナに差し掛かるところでグゥンと一瞬良い足で伸びかけたんだけどなあ。どうも、内枠で前塞がれた感じで足が止まっちゃったっぽいのが勿体無かった。6着に入ったのをどう評価するか。とりあえずは来年まず一つ勝たないとねえ。

馬券の方は、エアシェイディを勝っていなかった時点で終了。それ以前にスリーロールスで終了でした。あー、将来有望な馬に故障されるとヘコむなあ。


今年は結局、馬券成績はプラス6950円。小遣い程度にはなったけど、稼ぎと言えるほどではなかったなあ。マイナス収支でなかったのを喜ぶべきなんだろうけど、まだまだ未熟。来年はもっと研ぎ澄まし、我慢と勇気を持ってより大胆かつ繊細に攻めたいと思います。

とりあえずは、まず金杯よー。


横山典
 

12月1日


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