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東出祐一郎

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 7 ★★★☆  



【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 7】 東出 祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫

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さあ――わたくしたちの決戦を始めましょう

白の女王によって攫われた響。そして白の女王の正体――。絶望的な状況を前に狂三たちは、第二領域にて白の女王率いる軍勢との最終決戦に臨む。響、奪還の鍵は「わたくし、婚約した覚えはないのですが」悪役令嬢!?

いや、悪役令嬢要素は殆ど一つまみ程度もなかったぞ!
狂三のキャラクター的に昨今の悪役令嬢像ならノリノリにやったら結構はまり役になってもおかしくはなかったのでしょうけれど、さすがに白の女王との最終決戦ということであんまり遊んでも居られなかったか。カラー口絵の花魁狂三はそんな中でも僅かでもサービスを、という熱意を感じられて好き。
貴族令嬢のドレスは、むしろ普段のゴスロリよりも大人しく見えてしまう不思議。
さて、響が狂三の弱点として狙われるのを逆手にとって、響とともに練り上げた埋伏の毒の作戦。これを立てる時点で響が自分にとっての弱点、喪われる事でダメージを受けてしまう大事な相手である、というのを狂三自身がもう言い逃れできないくらい認めてしまっている、ということで響が調子に乗るのも仕方ないよね。
そして、白の女王の正体。ズバリストレートに、というわけじゃなく複雑な要素が絡み合った結果の存在であり、素直に狂三の反転体でもなく、山打紗和の亡霊というわけでもなく、という所だったのですけれど、あの紗和さんの声と姿は決して偽物、というわけではなかったのか。
その時点で、これは親友との対決であり自分の罪との対面でもあったわけだ。もっとも、狂三は分身体で本体ではなく、紗和さんも決して当人と言い切れない存在で、という写し身同士の相克というあたりが本作の悲哀を表しているようにも見える。この隣界という世界自体がまほろばのような場所であり、死んだ少女たちの魂が集ったような儚い幻のような世界。
でも、分身体であろうと狂三は狂三当人であり、この隣界で生きる準精霊の少女たちもまた、本物だ。かつて死んだのだろうと、今ここで生きている少女たちなのだ。
だから彼女達が今この世界で胸に抱いている如何なる想いもまた本物だ。ここで育まれた想いも気持ちも本物なのだ。
だから、時崎狂三がここで出会った緋衣響という少女とともに歩んだ旅も、二人の間に芽生えて育っていった「友情」という想いもまた、確かなものなのである。
思えば、時崎狂三という悪夢の精霊の在り方は恋に生きる少女であるという以上に、親友のために世界を敵に回すというまさに友情に殉じたものでした。
様々な思いを基に精霊となった少女たちの中で、一際「少女同士の友情」という根源を秘めていたのが時崎狂三だったのです。
そんな彼女が旅してきた隣界で出会った準精霊たち。各領域を治める支配者(ドミニオン)たちがそれぞれ胸にかかえていたもの、戦う理由として掲げていたもの、命をかけるに相応しい命題として携えていたものもまた、様々な形であったとはいえ同じ少女同士の友情でありました。時として生命を奪い合う結果となっても、後を託すことになったとしても、そこには彼女達が身命を賭すに能うだけの友情があったのです。
そして、今狂三たちとともに隣界の命運を担う第二領域を守るべく、その秘密を守り続けていたハカラ、真夜、アリアドネたちもまた、友情によって結ばれた三人だった。第二領域の秘密を三人で抱えることで、出し抜かれることを恐れて距離を起き、相手がいつ裏切るかを疑い、実際他の二人を出し抜く策を企んだ三人は、しかしついに疑い続けた末に……誰も裏切ること無く今白の女王という侵略者を前に立ちふさがるべくここに集った。
疑うということは、裏切ってほしいからじゃない。それだけ信じたいと願っているから。
「疑って疑って、それでもお互いが裏切らなければ。そこにあるのは『信じたい』っていう気持ちだけなんだと、わたしは思うなあ」
好きだから、信じたいから、だから疑ってしまう。
彼女達は、確かに友達だったのだ。そして、それを貫いてみせた。自分の中の、友達のことが好きだという気持ちをこそ、裏切らなかった。
友情に殉じたのだ。
それ以前も、これまで狂三と響が旅してきた隣界の領域を巡る物語は、そこで生きる準精霊たちが、まさに自身の友情に殉じる物語だったのではなかったか。
だからこそ、今この白の女王との決戦に、皆が駆けつけようとしている。自分たちの友情の行く末を、結末を、そのさきを、看取って見守って導いてくれた狂三たちを助けるために。
いやそうではない。それだけじゃない。そうじゃなくて、そんな余計な理由なく。

ただ、友達の助けを求める声に応えるために。

このシリーズは、この物語は、このお話は、だからきっと友情の物語だったのだ。
少女同士の睦まじい、儚くも力強い、キラキラと輝く友情を描いた物語だったのだ。

だから、狂三と決する相手は親友であるが相応しい。立ちふさがるのは、相対するのは、何よりも時崎狂三という精霊の根幹を為す山打紗和であるが相応しいのだろう。
最後の敵は、唯一無二の親友であるべきなのだ。
そして、だからこそ、狂三と最後まで、最初のはじまりから寄り添い続ける者もまた、唯一無二の親友であるべきなのだ。
最初から最後まで、狂三と紗和の二人一緒でありながらどうしようもなく一人であった白の女王と違って、狂三を絶対に1人にしなかった親友として。
緋衣響は、きっとそこに辿り着こうとしている。最初から、彼女にはその資格があったんじゃないだろうか。
もう一度時崎狂三にとって一番の友人になる。
そんな決意を胸に、その緋色の衣の下で全開で狂三への好きという思いを響かせている者、めくった奥にさらなる正体は存在するのか。
次回、最終巻。少女たちの世界のフィナーレがどんな形になるのか。楽しみで、少し怖くて、少し寂しい。

シリーズ感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 6 ★★★☆   



【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 6】 東出 祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫

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白の女王の軍勢攻め入るファンタジー世界の第五領域へと辿り着いた狂三たちは、ギルドで冒険者登録をすることに。名称:時崎狂三、レベル:死シ死シシネネ、冒険者ランク:?天使:理解不能能能能能能能能ノウノウノウノウノウノウノウノウ“刻々帝”
「本当に『わたくし何かやりまして?』案件ですよ」
パーティメンバー(響、アリアドネ、蒼)も驚愕のステータスで、白の女王の目的を阻止するため、ダンジョンでチート無双する狂三だったが…。「彼女はわたくしと同じ精霊。恐らく、その反転体ですわ」最深部のラスボスは、いてはならないはずの精霊で―。

第五領域はリアルMMORPG。ゲームについての知識皆無な狂三さんのわからないまま響に手取り足取り?戸惑いながら教えられるのかわゆすぎる。そして、ビキニ鎧の凶悪さ加減よ。この鎧で剣ではなくて、銃を装備というのもまた趣深いよね。
ただ肝心のステータスが完全に「窓に!窓に!」案件だったのには笑ってしまった。普通にバグってるのと違う冒涜的恐怖でイカレ狂ってる風味ですし。へいへい、ステータスさんビビってる?
響は響で数値的にはアレでしたけれど、ジョブとかスキルやらなんやらが山師とかプロの三下っぽいのがさすがである。
ここでついに、この世界にいる準精霊たちがどういう存在なのかがわかってきたのだけれど、彼女たちが既に死んでしまっている存在だったとしたら、どうして狂三がこの世界に落ちてきたのか。理由が謎だったけど、そうかそうだったのか。彼女もまた、同じだったわけだ。
この狂三が分身体であることは既に判明していたわけだけれど、「どの」狂三であったかはまだ明言されてなかったですよね。おおよそ想像は出来ていたのだけれど、ここではっきりと明言してくれたのはありがたい。そうだよなあ、狂三の中でも特に「彼」に対して恋い焦がれ一途に思いを寄せているのって、「あの」狂三がもっともふさわしい。圧倒的な納得である。
もっとも情が深く、どこか純真で冷酷になりきれない優しい個体。そうか、あそこで潰えたはずだった彼女の物語は、今ここにこうして続いていたのか。そう思うと、感慨深いというかじわりと胸に湧き上がってくるものがある。
そして今の狂三には、新しく大切なモノが出来てしまっている。心通じ合わせることが叶ってしまった仲間たち。自分の恋を理解してくれて、応援してくれる多分本当の友達を。
でも、もしこのまま「彼」に会うためにこの臨界を出ていくということは、響をはじめとする仲間たちと別れることになってしまう。いや、別れるだけならまだしも、狂三の脱界が臨界の崩壊に繋がるのなら、それは明確な選択になってしまう。はたして、狂三は大切な友達を見捨てることができるのか。
それ以前に、友達と「彼」を天秤にかけることができるのか。

狂三の恋を誰よりも応援しながら、でも今新たに狂三と離れがたい狂おしいほどの思いを胸の奥で渦巻かせている響。想い人のために脇目も振らず突き進んでほしい、でもこれからもずっと自分と一緒に居てほしい。両方ともに響の本心で、張り裂けそうに高鳴る思いで、響ちゃん闇落ちするか女神になるか、いずれにしても第一巻で速攻本物の精霊相手にジャイアントキリングを決めたように、三下のくせにラスボスのポテンシャルを秘めた彼女こそが、やはり最後のキープレーヤーになりそう。
だいたい、この子が素直に囚われのお姫様とか洗脳された駒とかで落ち着いているのは想像できないし。

一方で、本来のラスボスである白の女王。そうかー、こちらも予想外でありながら納得の正体。いや、本当に白の女王が「彼女」であるかはまだ定かではないのだけれど、ここが死んでしまった女の子たちが集まる場所、である以上、そして狂三に殺されたという来歴は彼女を狂三の反転体という存在に座らせるにふさわしい存在とも考えられるんですよね。
それに、この狂三にとって「友達」という存在がこの臨界の旅の中で無視できない最重要の重さをなしてきた中で、「親友」というキーワードがこちらの方向からも投げ込まれてくるのもなるほどなあ、と思わせる展開だ。

しかし、今回はやたらと蒼が可愛かった。戦闘狂で脳筋で勇んで突っかかってくる何を考えてるかよくわからない娘、という印象だったのが全部ひっくり返りましたよ。純粋一途で、むちゃくちゃ可愛いじゃないか。それに、考えなしではなくて彼女なりにとてもよく考えていて、狂三の想いをちゃんと理解していて、それを認めながらももし叶うならばという蒼の素直な好意の吐露は胸にくるものがありました。
いい子じゃないかー。

東出祐一郎 作品感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 5 ★★★☆   



【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 5】 東出 祐一郎/NOCO  富士見ファンタジア文庫

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「第六領域への扉を開かせたいなら―お金を稼いでね」
第七領域の支配者―佐賀繰由梨から提示された条件を満たすため、時崎狂三と緋衣響はカジノでお金を稼ぐことに。スロットでスリーセブンを出すも目標金額には、まだ遠く。時同じく第七領域に集う第二、第四、第六領域の支配者たち。
「つまり皆様、わたくしと敵対するおつもり…ということでよろしいですわね?」
支配者たちと全財産を賭けてポーカー対決をすることになった狂三は勝つための手段として、夜の街でバニーガールに!?さあ―わたくしたちのギャンブルを始めましょう。
バニー超似合いますね、狂三さん。そう言えば、かの伝説の「僕だけの動物園」では狂三のバニー姿だけは拝めなかったので非常に眼福。狂三的にはバニーガールってありなんだろうか。自慢のゴスロリとはだいぶ方向性が違うのだけど。
今回は第二、第四、第六、第七の領域支配者が一斉に集っての盛大なギャンブルパーティーとキャラも揃えてまいりました。ここで顕著に白の女王と領域支配者たちとの対立に狂三がキーパーソンとして重要な役どころを担う、という構図が定着してきた感がありますが、恐ろしいのは誰が白の女王の手駒になっているかわからないところ。「恋」を感染させることによって領域支配者ですら容易に駒へと引き落としてしまえる白の女王は、単身でありながら既に隣界全体を敵に回しても押しつぶせるくらいの勢力になってきてるんですよね。そもそも白の女王自体が狂三の反転体なら、彼女もまた準のつかない精霊になるわけですし。
ともあれ、第七領域はギャンブルによって成り立つ世界。次の領域に行くには一定のお金を稼がないといけない。となると、いかな正規の精霊と言っても狂三も力押しでは攻略できない。
めっちゃ強盗で強奪する気満々でしたけどね! 力押しでぶち抜ける気満々でしたけどね!
それでもまあ、各領域支配者を相手に回し、ポーカー勝負で通行権をかけて勝負することに。時崎狂三といえば、数いる精霊の中でも決して脳筋型ではなく、戦闘脳ではなく、むしろ影に潜んで暗躍して手のひらの上ですべてを操ってみせる、いわば精霊の中でも屈指の知略派。この手の騙し合いペテンの掛け合いに関してはスペシャリストでもあったわけで。
でも、このギャンブルに関しては策や寝技ではなく、思いっきり女は度胸! で押し切ったようにも思えます。ポーカーこそ、ポーカーフェイスの語源の通り感情を揺らさないこと、で勝敗が左右されると言えるので、その肝を抑えきっての勝利なのでしょうが。
だからこそ、勝負に際しての感情を隠しきってみせた狂三が、勝負のあとの響の本音に赤面しきってしまったのって、余計に来るんですよねえ。いやもう、狂三の響への信頼度親愛度がパないことになってるなあ。
後半のミステリー編。犯人は誰だ、という推理パート。ここでようやく七罪が該当する第七領域らしくなってきた、と言えるのでしょうか。いや、騙し合いというギャンブルも、本編での七罪担当回を振り返ると当てはまっている気もしますけど。
カラー口絵のシャーロック風のインバネスコートと鹿撃ち帽の狂三コスプレは、これまたご馳走様でした。このシリーズ、狂三ファッションショーとしての側面も大いにあるよなあ。
このミステリーパートも、終わってみればこのシリーズで一貫している「恋」の物語でした。恋に足を滑らせ、恋に狂い、恋に沈み、恋に潰える。無残で憐れで独り善がりで他人をも巻き込む凶行で、しかしそこに一切の後悔を残さない、そんな恋の残酷な物語。
白の女王のもたらす恋は、そんな破滅の恋ばかり。狂三の在り方にも多分にそうした在り方があるからこそ、反転体の白の女王の振りまく恋は凶悪な疫として引き立っているようにも見える。次々とそんな白の女王が感染させていく恋を目の当たりにし、対峙する狂三は己のうちに燃え盛る熱い熱い恋情を、果たしてどのように扱うのか、花咲かせるのか。
そろそろ、クライマックスも近づいてきましたか。

シリーズ感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 4 ★★★☆   



【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 4】 東出 祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫

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白の女王が支配する第三領域から脱出し、第八領域に辿り着いた時崎狂三。第八領域では支配者側の絆王院華羽と、叛逆軍の銃ヶ崎烈美による終わりなき戦争が繰り広げられていた。次なる領域に行くため戦争を終わらせようと狂三は、絆王院側につくのだが…。離ればなれになった緋衣響はなぜか叛逆軍側で着々と上官としての地位を固めていて―。
「わたくしも折角ですから全力を出すことにいたしましたの」
「全員撤退!あそこにいるのは自意識を持った爆弾です!」
少女たちのひと夏の思い出は、花火のように鮮烈ながらも、散ってしまう儚さと寂しさもあり…。

響って実は有能なのか!? 前回もアイドルプロデューサーとして伝説作ってましたし、今回もトントン拍子で現場昇進を繰り返して最終的に叛逆軍の副司令官格に収まってましたしねえ。そもそも、初登場時では狂三を謀り倒して時崎狂三に「成って」いたわけですしねえ。言動はひたすらポンコツにも関わらず。まあそのよくわからない有能さは一貫した目的のために行使されるのではなく、なんか成り行きでどんどん目の前のことに注ぎ込んでいく節があるので、役に立っているのか迷惑振りまいているのかいささか不明なところもあるのですが。
そんな相棒というには無軌道な響のことを、さて狂三はどう思っているのかと思ったら案外素直に「友達」だと認める発言が。ここの、というよりも「この」時崎狂三は素直だなあ。
現世の時崎狂三が、愛する者も大切な人も何もかも切り捨てて、果たす目的があったからずっと孤高を貫いていましたけれど、こっちの狂三には思えばそういう縛りはないですもんね。だから、周りの人を遠ざけるような真似もせず、本来の彼女はどちらかというと情が深く他者とも良く交わる性質だったのを思えば、こちらが本来の彼女に近いのかもしれません。
それでも、かの冷徹さは兼ね備えていますし、記憶が定かではないにしても、狂三にとって「友達」という存在は決して軽々しく作れるものではなかったはず。その意味でも、狂三にとっても響の存在はかなりの比重が置かれている相手になってるんでしょうなあ。
そんな人が、自分がせっかく心配して探しに来てあげたのに、超遊び呆けてたら、そりゃ狂三ちゃん激おこですのよ。
激おこぷんぷん丸すぎて、普段の冷静さを思いっきり取りこぼしてテンションあげあげのまま誘い込まれて、響にジャイアントキリング決められてしまってるあたり、狂三マジで色んな意味で浮かれてたんだなあ、と生暖かい表情になってしまうところでありますが。ある意味、どれだけ響のこと気に入ってるんだよ、と。
逆ギレしたり拗ねたりせず、ちゃんと素直に敗北を認めて大人しくしているところなんぞ、なんとなく育ちの良さが伺えてしまいますが。

さて、本編はというと夏の世界。バカンスではないけれど、きっとそれは遊びの延長で、真剣勝負ではあっても命のやり取りはしない、楽しく愉快に思いっきり戦える……友達と、好きな人と本気で向き合えて、応えあえる楽園のような世界。
でも、そんな世界も白の女王による侵食は進んでいて、抗うにも屈するにもいずれにしても、夏の終わりは近づいていた。絆王院華羽の時間は終わりに近づいていたのである。
だから、華羽は最後まで抗うことにしたのだ。抗って、楽に身を委ねず苦しみもがくことを選んで、そうして最期まで好きな人と一緒に遊ぶことを選んだのである。全力で、本気で、彼の人と心通わせるために。
夏は明るく鮮烈で、そして同時に儚くあっという間に遠ざかっていく季節である。それは陽炎のように揺らめいて、薄っすらと消えていく。空気のように、風のように。
これは一人の乙女が、最期まで頑張って頑張って恋に生き、恋に殉じ、願ったゴールへと辿り着くまでの物語である。

シリーズ感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 3 ★★★☆  

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット3 (ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 3】東出 祐一郎/NOCO 富士見ファンタジア文庫

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謎の少女、白の女王との戦いに敗れ、時崎狂三は第三領域に囚われてしまう。
「彼女は、時崎狂三の反転体。わたくしたちとは絶対に相容れない存在ですわ」
同じく、囚われの身となっていた狂三の分身体から告げられる白の女王の正体。緋衣響の協力もあり、第三領域からの脱出を試みるのだが…。第三領域のトラップによって、狂三は七歳の姿になってしまい―!?迫るタイムリミットの中、逃げ切れるのか?

幼女つおい……いや別に全然強くなってないんですけどね。普通に弱くなってるんですけどね。
ただ可愛いは強い、という概念は真理です。なので、響ちゃんが狂乱するのも当たり前なのです。ただ、狂三人妻バージョンも凶悪過ぎる威力なだけに、単に狂三がどの年代でも関係なく美人で可愛すぎるだけなんじゃないかという疑惑が。さすが、ヒロインの中で単体でスピンオフが作られてしまうだけあります。
まあ単体じゃないですけどね、狂三の場合。
敵も味方も狂三、ということでイッツ狂三パーティー。
そもそも、時崎狂三の最強の能力というと誰が見ても、あの分身体増殖能力であることは間違いがなく、それが使えないという時点で狂三の弱体化は著しかったわけですから、たとえこの狂三さんが幼女になってしまわれたとしても、他にも分身体の狂三さんが味方になってくれた、という状況は単に味方が一人増えた、という以上に大きかったのではないか、と。
でも、その分身体の狂三さんが別の名前を名乗るのは驚きでしたけれど。狂三は狂三だから狂三だからして、他の名前を名乗ってしまうとそれってもう狂三じゃなくなるんじゃないのか、という恐れがあったわけですけれど、顛末を見るに多少中身が抜き取られて別の名前を名乗ったとしても別の存在に変貌してしまう、という事はないようで。
実のところ今回幼女化してしまっているこのスピンオフの狂三さんからして、本来の狂三さんからすると結構変わっている節はあるんですよね。あの響への全幅の信頼、自分にも勝るとも劣らない信用……は怪しいか。でも、この上なく響のことを友達として大切にしている、そのことを隠すことも秘めることもせずに堂々と詳らかにしている、というのは非常に狂三らしくない明け透けさではある。
本来の狂三からして、実際は友情に厚くあの絶対の目的完遂意思がなければ友達に対しても甘めのところがある娘であるのは、本編の物語によって明らかになっているところではあるので、むしろこの狂三さんの響への傾倒っぷりというのは、色んな記憶が失われている分、ひねたり隠したりする性質が削れて、ある意味素の狂三さんが出ているのかもしれない。
あの「あの人」への一途な想い、というのも本編の狂三さんだともうちょい表向きには隠してますもんね。その意味では、本来の狂三さんが見られる、というのがこのスピンオフの醍醐味にもなっているのかもしれない。
白の女王の方も一旦打倒した、と想いきやあちらはあちらで相当な複雑怪奇な有り様を有しているようで、ただの反転体では終わらないかー。

1巻 2巻感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 2 ★★★   

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット2 (ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット 2】 東出祐一郎/NOCO 富士見ファンタジア文庫

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「この領域で我を通したい、と言うのであれば―アイドルになって頂けないと」
「意味が、わかりませんわぁぁぁぁ!?」
第九領域に辿り着いた時崎狂三が、支配者の絆王院瑞葉から突き付けられた次の領域を開く条件は―アイドルになること!?
「わたし、こう見えても割と凄腕プロデューサーここでやってたんですってば」
緋衣響―ひびP指導の下、AAランクアイドルデビューを目指すことになった狂三だが道は厳しく…。
「狂三さんがなるべきアイドルは“ケイオス”です」
「まあ、混沌とは、どのような?」
「イロモノです」
「誰がドS中二耳年増乙女ですの」
さあ―私たちの戦争を始めましょう。
第一巻の第十領域とあまりに世界観が違ってて、確かに意味がわかりませんわぁぁぁ!?
それぞれ対応する精霊に影響された世界になってるのか、この隣界というやつは。となると、前の第十領域のひたすらに殺し合ってるあの世界が、十香の世界というのはやはり意味深だわなあ。
そして、この第九領域は実にわかりやすく美九の世界というのが如実にわかる世界で……。デート・ア・ライブの精霊たちって、何番目の精霊と呼ばれているのと装備している神威霊装の番号合ってないんで、けっこうややこしいんですよね。美九も、第六の精霊だけれど実際は九番目を司ってますしね。これに関しては名前に振られてある番号がそのまま各領域を担ってる番号と捉えたらいいんでしょうけれど。
というわけで、殺したもん勝ちだった第十領域と違って第九領域ではアイドルとしてのランクがそのまま強さとして判断されるアイドル界! ってか、キュート・スタイリッシュ・ケイオスってアイドルのジャンルとか、評価方法とかまんまアイドルマスターじゃないですかね、これ!? いや、他のアイドルゲームとか詳しく知らないんで、同じようなの他にもあるのかもしれませんけれど。でも、ひびPとかいきなり担当プロデューサーがついちゃって、育成からプロデュースとかはじめちゃうの、やっぱりアイマスですよね!?
いやもう作中でもツッコまれてますけれど、究極的に自分の存在を入れ替えてしまうほどに狂的に復讐の修羅道をひた走っていた響が、その過程、以前第九領域を通過したときにここで伝説の名プロデューサーとして雷名を轟かせていたとか、やっぱり意味がわからないんですけど!? 復讐鬼だったくせに、なにしてんだこの娘!?
もうなんか、こうなってくると響が便利すぎて、やりたい放題もいいところですよね。一巻での衝撃的展開から、響をどうやって絡ませていくのか、と思う部分もあったのですけれど、かなり難儀な性格の狂三をここまでいい具合に引きずり回せるキャラは早々いないんじゃないでしょうか。
狂三って、狂気迸らせてる見るからに危険人物ですけれど、根本的なところでマトモな面があるので、ガチで頭おかしかったり、物凄い天然相手だったりすると常識人枠に押しやられてしまったりするので、意外と自分のフィールドに乗っかってないと、ツッコミ役もこなせるんだなあ、と新発見した一実でした。まあ、ツッコミするどすぎて、ややもすると相手死にかねない危険性もあるのですが。迂闊にツッコませると危険極まる相手、という認識を持ったうえで、なおもやってしまう、という意味で天然モノはやっぱりヤバいw
でも、あの派手な衣装ですし、ケイオス枠だろうとなんだろうと狂三もアイドル全然イケるっぽいんだけどなあ。ステージでの描写、もうちょっと詳細にやってもらえると嬉しかったんですけれど、そのへんあっさり終わってしまったのがちと残念だったり。
そして、ラストのなんかわけのわからないキャラの登場なんですけど、なにこれ、このスピンオフ独自のキャラじゃないの? なんか、後書きみると本編の丁度現在進行系の部分にがっつり噛んでくるみたいで、そもそもこの狂三主人公の作品が本編ではどの時系列に当たりのかが明らかになっていないのも含めて、かなり本編と連動しているっぽいのな、これ。
このペースで行くと、一巻につき一領域という感じなので、丸々十巻かかってしまうことになるのだけれど、さすがにそこまで広げないよなあ。どない話を広げてたたんでいくんでしょうか。
一巻感想

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット ★★★★   

デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット (ファンタジア文庫)

【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット】 東出祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫

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「…わたしに名前はありません。空っぽです。貴方のお名前は?」
「わたくしの名前は、時崎狂三と申しますわ」
隣界と呼ばれる場所で目覚めた記憶喪失の少女エンプティは、時崎狂三と出逢う。彼女に連れられ辿り着いた学校には準精霊と呼ばれる少女たちがいた。殺し合うために集まった一〇人の少女たち。そしてイレギュラーの空っぽの少女。
「わたしは狂三さんの連れで囮…囮ですか!?」
「ああ、囮が嫌ならデコイでも」
「同じ意味じゃないですか!」
これは語られるはずのなかった時崎狂三の物語。さあ―私たちの新たな戦争を始めましょう。
あれ? このスピンオフ、作者だけじゃなくてイラストレーターの方も違う人だったのか。ジャケットデザインのみならず、挿絵の方もほとんど違和感なかったわ。
スピンオフを手がける作者は、propellerのライターにして昨今ではFGOのシナリオも手がけ、ライトノベル作家としても【ケモノガリ】を始めとして、そりゃもう血生臭さと硝煙臭さには定評がある人であり、時崎狂三の物語を描く人としてはうってつけの人材と言っていいんじゃないでしょうか。
それにしても、舞台が「隣界」。精霊たちがもともと居た世界、の方というのは予想外も予想外でしたけれど。何しろ、本編では隣界の描写ってほとんど皆無に等しく、精霊たちもあちらの世界についてはまったく言及しませんでしたしね。どうも、現実世界に現れるまでは隣界で「生活」していた、という様子はどの精霊からも見受けられなかったので、むしろ保管倉庫みたいな感じになっていて、あちらの世界ではまともに生き物として稼働してなかったんじゃないか、とすら思ってたのですが。
まさか、こんなことになっていたとは。
こんなにもたくさんの準精霊なる存在が、隣界に存在していたとは。しかも、そのすべてが元人間。前世の記憶の在る無しには個体差があるみたいだけれど、十香たち正規の精霊たちの他にこれだけの「死者」が取り込まれている、というのは何気に衝撃的な事実だったんですよね。
その突然明かされた世界観のインパクトに覆い隠されて、もっと細かい部分の違和感にさっぱり気づかなかったり、あんまり気にも留めずに居たりしていたのですが、とんでもないカラクリが物語の構造の中に仕込まれていたわけで。
いやまあ、おかしいとは思っては居たんですよね。おかしいというよりも、足りないというべきか。最悪の精霊が、そんなものなのか、という違和感。キャラクター的には不自然さはなかったし、能力の制限自体も状況が読めない以上、奇妙ではなかったわけですが、それでもやはり狂三特有の「狂気」と「愛」が物足りていなかった、というべきなのでしょう。それでも、完璧に等しいものでしたけれど。
そもそも、本作の時系列が本編のどの時点なのか、という事から考えないといけないんですよねえ。そもそも、この時崎狂三がどの時崎狂三なのか、も、何しろ時崎狂三って、どれもが本物でありながら時間軸によって微妙に違ってたりしますからねえ。何気に、本編の方で同時に狂三がメインの話を展開していたことも心憎いコラボレーションだったりするですよね。もし本作が本編以降の時系列だったとしたら、狂三が士道に対してあれほどの情愛を抱いているのも不思議ではない。でも、本編以前の時系列だったとしても、あの最初にデートした初期狂三がベースだったりすると、士道を想っていても不思議ではないわけで。
そう考えると、狂三って設定的にもなんでもありに使い放題なんだなあ、と。現段階だと、この狂三は自分がどういう狂三なのかも自分でもわかってないみたいだし。
そもそも、この隣界の真実、準精霊なる存在の秘密なんて世界観の謎は本編の核心にも通じているはずなので、これ同時進行で本編と一緒に進めていかないととんでもないことになりますよ。というわけで、追いかける読者の方も並行して追いかけなくてはいけなくなってしまったのですが。
準精霊というと、あの「蒼」さんもまた他の子たちと比べると圧倒的に違和感あるんですよね。あの子だけ、なんでただの「蒼」なんだろう。この子もただの準精霊とは思えないし、あっちゃこっちゃに仕込みがなされてるっぽい。

しかし、こうやってスピンオフの主人公になるわけですから、時崎狂三というキャラの人気と存在感の大きさを今更のように実感する。確かに、別作品の主人公やれるほどのキャラって、デートの中でも決して多くはないと思うんですが、さらにダークヒーローやらせようと思ったら狂三しか居ないわなあ。
一端の主役を担える子って、折紙やマナ含めてそれなりに居ると思うんですけれど、バトルロイヤルや殺し合いの中で、バリバリの無双や圧倒的な蹂躙戦や凶悪な痛快感を醸し出せるカッコよさって狂三以外考えられませんし。


シリーズ感想  東出祐一郎作品感想

ケモノガリ 8 4   

ケモノガリ 8 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 8】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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それでは、旅の終焉を始めよう。

才能は必ずしも発揮しなければいけないわけではない。

爆弾を作る天賦の才があったとしても。爆弾を作れば誰かが傷つくだろう。
人を殺す才能があったとしても。人を殺していいわけでもないはずだ。
なのに、僕は人殺しを選んだ。その時点で、誰が何と言おうと許されない。
罪は背負うと決めていた。その先に何が待っているかも理解していた。
それでも。ケモノを狩るためにケモノガリと成り果てた。
悪を狩るために、悪を許容することを選んだのだ。
正義ではない。正義を掲げるほどに、己の手が綺麗なはずはない。
だが全くもって躊躇いはない。あるのは幾許かの恐怖と高揚感。
様々な苦難を乗り越え、結末が、やっと見えてきた。
決着をつけよう、同じ才を持ちながら異なる道を選んだ者よ。
赤神楼樹は、最後の戦いに挑む。

アスライアとの最終決戦を控えた楼樹は家族の記憶を、友人の記憶を忘れ、人間らしさを捨てていく。そうやって殺すことだけに特化した存在になりながら、楼樹は決死の戦いへと歩を進める――。

殺人の才能をもつ少年の物語、ここに終幕! 興奮必死の終焉を見よ!!
これ、帯の鋼屋ジン氏のアオリ文が素晴らしいですね。
旅とは行きて帰りし物語である。そう。生きて還るのだ。

個人的にはさ、悲劇や虚しく寂寥とした結末を予定調和として整えている物語にこそ、ハッピーエンドを期待したいんですよね。絶望からの大逆転には燃えたぎるような力強い興奮を与えられるけれど、悲しみや嘆きからの大逆転には、救われたような気持ちにさせれるんですよ。痛みの向こうに見出す美しさも良いけれど、私は痛みを癒してくれる優しい物語がやっぱり好きなんだと思います。
その意味では、この物語はこれだけ殺し殺して殺し尽くすお話にも関わらず、とてもやさしい話だったように思います。例えばイヌガミとその妹にしても、アストライアにしても、終わることで癒やされた悲しい者たちですけれど、それも彼らと共に戦い、或いは刃を交えた相手であるロキが救われたからこそ、彼らの終わりにも報いがあったと思えるのです。たとえ、ロキに彼らとの記憶が残されていないとしても、彼の存在自身が、生存し、ケモノとしてではなく人としてこの後も生きていく事が、その証明となっていく。あやなという観測者が、その証人となってくれる。ちゃんと、遺して先へと持って行ってくれる。それだけで、十分に優しさが込められた物語だったんじゃないでしょうか。

正直、「悲哀」の噛ませっぷりが理想的すぎたので、残るクラブの「虚無」とアストライアとの決着が果たしてどこまで物語としてもエンターテイメントとしても意味のあるものになるのか不安だったのですが、「虚無」というクラブそのものの業との対決とその決着は、思いの外濁すことなく徹底してその狂った理念を踏みにじるものになってくれてスッキリしましたし、それ以上にアストライアのキャラクターがこの最後の局面にてここまで引き立つとは思っていなかったので、望外に感慨深い結末になりました。
特にアストライアは、その名前の本当の意味といい、想像以上にロキと相似にして対照的なキャラクターだったんだなあ、と。彼が、あやなに対してあれほど不可解な態度をとっていたのも、なるほどと納得させられたわけです。同情や共感を呼ぶようなキャラではなかったですけれど、最後の最後でアストライアの事はなんだか無性に好きになってしまったなあ……。
そして、ここに来て本当の意味で重要な要となってきたあやな。本来なら、最初の段階から外側に排出される立場だった彼女が、最後まで食らいついてきた挙句に核心部分そのものに成り果ててみせたのは、いっそ感嘆すら覚える力強さでした。彼女が一切揺るがなかったことが、物語そのものも最後まで一本芯を通して揺るがなかった要因じゃないかと思うのです。まさにキープレイヤーでした。

それにしても、メイン格がこれだけ大暴れしている一方で、CIAの連中もちゃんとみんな目立っている事に歓喜w
最強のCIA工作員たちが、お約束通り全滅してしまうのではなく、ちゃんとしぶとく生き残ってみせてくれるあたり、最高じゃないですか。それだけじゃなく、老兵たちにグレタにもちゃんと見せ場があり、決着があった事も……。

シャーリーについては、知らなかったんですけれど、なんか他の作品と繋がりあるらしいですね。
東出さんがシナリオライターやった【エヴォリミット】というゲーム。
というわけで、俄然そちらにも興味が湧いてきました。エロゲーのたぐいはずいぶんと長くやってなかったんだけれど(時間の問題で)、ちょいと調べてみたら、メインの雫がかなりストライクなんですよね。合間にポツポツやってみるかなあ。

というわけで、始まった当初からは多分想像だにしなかった、帰らぬはずの旅路の果て。よくまあ、たどり着いてみせた、いや帰り着いてくれたと感謝すら抱いた優しいエンディングでした。生き残った人も死んだ人も殺された人も、総じてお疲れ様でした。。

シリーズ感想

ケモノガリ 74   

ケモノガリ 7 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 7】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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――旅は終わり、終わりが始まる。

――終わりにしよう、と誰かが言った。
――まだまだ終わらぬ、と誰かが言った。
――終わらせる、と誰かが言った。
――続けさせる、と誰かが言った。
――殺してやる、と誰かが言った。
――殺されない、と誰かが応じた。
――戦おう、と誰かが言った。
――戦う訳がない、と誰かが言った。
――何故戦わぬ、と誰かが問うた。
――僕は答えた。
――お前などと戦うものか。お前は殺される側なのだ。

かくして、終わりが始まった。


天才ハッカー・シャテアの解析によりクラブの本拠地である島を発見する。その島は対空ミサイルを備えるなど厳重な武装警備状態で準備を要した。
上陸の前夜、楼樹たちは思い思いに過ごす。
一匹は姉との因縁を、一人は計画を円滑にするための作戦を、一人は思い出を忘れ人間らしさを消していく――そうしなくては勝つことはできない
から。それぞれが決意を固め、潜水艦に乗り込み決戦の地へと向かう……。

残る“聖父”はあと四人! 楼樹の果てなき戦いはついに最終局面へ!!
これが【ケモノガリ】ではなく、ケモナーガリだったなら、もっとファンシーなお話になったのかしら、などと頭の脳裏によぎったり。どうせ、エロゲになるんじゃないのかって? それもまた然り。まあイヌガミの取り扱いが非常に気になるところだけれど。

さて、本編はというとついに最終決戦ということで、楼樹の独壇場になるのかと思ったらば、敵の本拠地に攻め入るのは楼樹とイヌガミ、そしてシャーリーのいつもの三人だけではなく、なんとCIAから十人の最強の工作員が参加することに。いつものように殲滅戦を繰り広げる楼樹たちの一方で、シャーリーと凄腕エージェントたちの決死の潜入工作戦が行われるというまさかの展開。このエージェントたちがまたみんな個性的でカッコいいのなんの、というこっちサイドもコッチサイドで熱いやら燃えるやら、もう片方の主人公になってます。なんという冒険小説。アパッチ最強!!
CIAの工作員でありながら、クラブの非道を前にして、国のためではなくただ人としてやらねばならない、と決意した男女たちの決死行。それ以前に、このクラブとの決戦に挑むべきかがCIA内部で多数決によって決められるんだけれど、これがまた熱かったんだなあ。会議上では冷静に、クラブと敵対することへの損得を分析し話し合いながらも、結論として導き出されたものは……。
この作品、人間という存在の下衆っぷり、救われなさを「クラブ」という組織の存在だけでほぼオーラスに浮き彫りにしているにも関わらず、常に「人間って捨てたもんじゃない」というのを示し続けているお話でもあるんですよね。ケモノガリとして人の身から逸脱し、ついには人間の枠組みからこぼれ落ちようとしている楼樹だけれど、彼は常に憤怒し続けながらもついに絶望に陥ることはなかった。それは、常に戦う先々で人の道、人の心、人の誇りを守り戦おうとする人々と出会い続けてきたからなのでしょう。殺して殺して殺し続けながら、彼の血塗られた道には何も残らぬわけではなく、希望が残り、未来が残り、彼に続いて武器を手に取り戦おうとする「人間」たちが続いていこうとしています。立ちふさがる獣の群れに、抗う人の集いが動こうとしている。
その先兵として、切先として、敵の本拠地に乗り込む楼樹たち。うむむ、長い戦いも、まさかこうも世界を動かす熱い物語になるとはなあ。
CIAも去ることながら、この法王猊下の熱さはちょっとした見ものです。これほどの人物が、世界最大の宗教の長に就いて、味方になってくれることほど頼もしい事はないよなあ。そんな法王さまの方にも妙な情報が行っていたようだけれど、あれはなんだったんだろう。今回は明らかにならなかったけれど、最終回に繋がる大きな伏線のようだ。

さて、楼樹の戦いは量産型のエンターテイナーたちとの殺し合いによって幕を開ける。おなじみというべきか、復活怪人はヒーロー物の定番だったような気がするんだけれど、いやはやそこまで自分を改造してまで殺しを楽しみたいものですかねえ。もう、自分の名残が全然ないじゃないですか。劣化型の量産怪人と成り果てて、万能感なんて得られるものかしら。まあさくさくっとやられていく劣化怪人はモブとして、今回のメインはやはり最強最悪の兵士ジャック。問答無用の人間を明らかに越えてしまったスペックを持ち、何より心が残虐に歪みきった最凶の悪魔。あまりに品性も下劣すぎて、かつて戦ったロビンフッドや、ククリナイフを譲ってくれた戦士と比べるとどうしても怖さを感じないのだけれど、しかし強さに関してはどうしようもなく一級品。そんな相手を、どう殺すのか……って、こいつって明らかに最高の殺され役を与えられたキャラだよなあ、うん。カタルシス
そして、楼樹の同士であり戦友であった男の最後の戦い。自らの最後の戦いを果たし終え、自分そのものを失ってもなお友のもとに駆け続けた、その姿と最期にはただただ涙するばかり。演出も最高でした。
シャーリーについてはかなりビックリしましたけれど。いや、彼女がそういうつもりだったとは。気持ちとしてはわからんでもないんですが、これまで全く素振りも見せてなかったもんなあ。流石はエージェント、或いは流石は大人の女性というべきでしょうか。翻って、少女でありながらもうひとつの怪物的な存在感を見せ始めているのがあやな嬢。この娘も、いい加減一般人とは言いがたいメンタルですよねえ。覚悟を決めているとか、そういう範疇とは思えない。幼い頃からその片鱗を見せていた楼樹と育ち、あの事件を経ることで彼女もまた決定的に変質したのか。でも、これくらいでなければ、多少覚悟を決めた程度では楼樹を引き戻せるとは思えないので、彼女には徹底的に人という怪物になって貰わないと仕方ないのかもしれない。
いずれにしても、決着はすぐそこ。思いの外長い旅になりましたが、こうやって決着がつこうとしているのは何とも感慨深いです。

シリーズ感想

ケモノガリ 63   

ケモノガリ 6 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 6】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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クラブ壊滅へ。新たな戦いが始まる――。

――予感があった。
――決戦は近い。限りある命をガソリンのように消費している気分。
――予感があった。
――宿敵はすぐ手の届くところにいる。怨敵の影が見える場所まで近付い ている。
――予感があった。
――終焉は近い。何もかもの決着がつき、僕は消えて四散する。
――予感があった。
――別離は近い。それが一体誰との別れなのかは分からないけれど。
――これだけは、未知だった。
――全てが終わったとき、果たして僕は僕なのだろうか。それとも、僕以外 の何かなのだろうか?


楼樹たちはブラジルでクラブの会員に監禁されていた一人の少女を救う。だがそれは偶然ではなく必然。
そう、彼女の持つ才能がクラブ壊滅への新たな足掛かりとなるのだ――。
一方その頃、クラブでは7人の“聖父”が一堂に会する“聖霊会議”が開かれ、不穏な動きを見せていた。
楼樹たちにふりかかる新たなゲームとは!?
終わりに向かう始まりの戦いがここに!!
このCIAのオールドエージェントたちはみんな元ネタでもあるんだろうか。途中で出てきた引退したエージェントの爺さまたちがちょっとしか出番がなかったにも関わらずえらい存在感があったのでちと気になったのでした。あとで調べてみよう。
さて、ローマはバチカンという世界最大級の宗教上の聖地にて死のゲームを闘いぬいた楼樹たちの今度の戦場は、ラングレー。そう、すなわち世界最大の諜報機関であるCIA本部である。
CIA本部に潜入せよ!
いったいどんな鬼ゲーですか。ただ、此方には幸いにしてシャーリーというCIA職員の味方が居たおかげで内から崩すことができたわけだけれど、このCIA攻略戦は何気にシャーリーやシャテアが居なかったらどうなっていたか薄ら寒くなる。楼樹の力なら正面突破も容易かっただろうけれど、それもマトモに攻めてCIA長官のルシアン・カウフマンを掴まえられたかどうか。仮に成功しても、合衆国そのものを敵に回してしまったでしょう。それが、CIAと敵対するどころか世界規模でクラブ包囲網を構築出来るだけの体制を整えることが出来たのを考えると、シャーリーと出会えたのは運命的なものすら感じます。未だに、何がシャーリーを楼樹の味方となることに駆り立てたのかは微妙にわからんのですけどね。複雑な仮面を幾重にもかぶった彼女ですけれど、案外、アメリカ人らしい素朴な正義感が根底にあるのかもしれないなあ、と今回のCIAの申し子、というよりもCIAに関わる人達みんなにとっての愛娘みたいな立場にあったシャーリーの姿を見て、そんなことを思ったり。
ようやくクラブの最高幹部会の全メンバーが登場したわけですけれど、この怪物揃いを見ると最初に楼樹に殺された「節制」のミスタってどう考えても格下だわなあ。はっきり言ってここまで人間としての思想とか在りようから逸脱した怪物揃いだと、あんまりクラブの活動と彼らの実態とが合致しないというかそぐわない気がするんですよね。この連中が人狩りなんかして楽しいのかな、と。もっとも、当人たちがクラブの現状について嘆いていたので、彼らが目指しているクラブの姿はもっと違ったものなのでしょうけれど。個人的には自分だけ安全なところに居て下衆な行為を楽しんでいる連中を、同じ舞台に引きずり下ろして叩き潰すのが痛快さでは一番なので、クラブの幹部たちとの戦いには実のところあんまりカタルシスは感じないんですよね。
その意味では、悲哀のジャックには結構期待している。自信を世界最強で無敵と信じて疑わない幼稚な怪物が豚のように泣き喚く姿はそれはそれは胸のすくような光景でしょう、うんうん。

というわけで、ついにクラブの最高幹部会にまで手をかけ始めた楼樹。それは、この戦いにもついに終わりが見え始めたということでもあり、戦いが終わった後にも意識が行き始めるということでもある。もはや、人間の範疇すらも逸脱し始めた楼樹は、戦いの後に既に自分の存在の継続を認めていない。本物の怪物になろうとしている自分に、はや決着を付けるつもりである。しかし、それに待ったをかけるのが楼樹の幼馴染の少女だ。アストライヤをして恐ろしいと言わしめ、グレタをして狂気を宿すと畏怖された貴島あやなその人である。日常の象徴でありながら、彼女もまた常識どころか条理をも逸脱した、一種の怪物であることが徐々に明らかになりつつある。普通の娘には、楼樹はもはや近づくことも触れることすら出来ない果てにある。シャテアが楼樹に恋焦がれながら、実質全くといっていいほど噛み合っていない事からもそれは明らかだろう。もしかしたら、このシャテアという少女は凄腕のハッカーという以前の役割として、あやなの対比となる事を意味付けられた存在なのかもしれない。あやなが如何にして、破滅していく楼樹と対決するのか。実のところ、此処に至り一番ワクワクと胸を高鳴らせている戦いは、それなのだ。どのような形で終わるにしろ、この物語の終わりに相応しい結末をあやなが導いてくれることを期待するばかりだ。

シリーズ感想

小夜音はあくまで小悪魔です!? 34   

小夜音はあくまで小悪魔です!?3 (講談社ラノベ文庫)

【小夜音はあくまで小悪魔です!? 3】 東出祐一郎/吉田音 講談社ラノベ文庫

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一崎嶽人は元・最強自宅警備員にして死後その魂が人類を救う“魂遺物”となる少年である。現在守護契約中のメフィストフェレス小夜音、四大天使・ガブリエルの二人の美少女とキャッキャウフフの(!?)同居中の嶽人。そんな彼に神の御名の下にくだされた使命は「世界を救いたいなら死んで魂遺物となれ」だった!現在地球激突コース上にある巨大隕石をうっちゃって人類を救うためには、嶽人はさっくり死んで“魂遺物”にならねばならないらしい…困惑する嶽人と、状況を受け入れられない小夜音たちは起死回生の策を練り、神の意志に乾坤一擲の反撃を企てる!そして神の“真意”とは!?天と地を駆けめぐるアクションラブコメ第3巻登場。
おおっ、これは面白かった! てっきり東出さんの事だから、最後は神に対する反逆だー、とばかりに血みどろのバトル展開になると思ったら、最初の方針のとおりにポップでラブなお話のまま世界を神の滅びから救うお話になりましたよ。いやいや、いったいどこまで「作者=血みどろ」のイメージを固めてるんだか(苦笑
しかし、これが中々妥協しない突き詰めたお話で、結構読み応えあったですよ。自分一人が死ぬことで、大好きな人を含めた世界全体が救われることに対して、少年が感受し巡らす想い。この嶽人の心の成長というか、他人との関わり方、自分を含めた世界の中で生きるという事への受け止め方の変化へのアプローチが非常に実直といって良い真摯さと丁寧さで、思わず感嘆してしまったくらい。こういう、他者からのアプローチで主人公の意識が変革していくという展開は、結構なあなあで済ましちゃう人も多いんですよね。えらく何となく、で済ましちゃうような、流れでそういう風になっちゃう、という説得力が感じられない、ある意味キャラクターと向き合っていないというか、キャラクターの内面を掘り下げて解体し暴いていく作業を蔑ろにしているというか。そういうの、えらくしんどい、面倒くさい、というのは分かるんですけれど、それをやるとやらないとではやっぱり大違いだと思うんですよね。キャラクターに真に実と肉を与えるのは、そのキャラの裏も表も奥底までも暴いて解析して理解して行く事なのですから。
実のところ、ノベルゲームのシナリオライターはわりとそういう作業、得意な人多いと思うんですよね。ヒロインを攻略するのって、そういうキャラの内面を解体していき、同時に変革していくような展開が多いと思うし。まあ出来てるかどうかは人それぞれでしょうし、更に言うとそれが出来るのは長大なシナリオがあってこそ。一冊の文庫サイズに圧縮して、コンパクトに出来るかというと、それもまた難しい話だとは思うのですけれど。
でも、東出さんはそのあたり、完璧に適応すんでるんだなあ、という印象。特に今回は、嶽人くんが空虚な献身から、メフィストたちの愛情を受けて生きたいと願うようになり、そこからお祖母ちゃんに世界を見せてもらって、世界の素晴らしさを知り本当の意味での献身を心に抱き、そして神と直接対面し現状に対して疑問を覚える、という流れが性急さを欠片も感じないくらい丁寧でありながら、ほぼこの巻の前半部分までに収めてしまう、というコンパクトに纏め切っていた事からも間違いないかと。あの嶽人の心の移ろいの過程は美しいといっていいくらいスマートでしたし、その鏡写しのように、彼を取り巻くメフィストたちの切実な心情も描ききれていましたし。
嶽人とメフィストたちがもう夢中になってお互いを求め合うまでの気持ちに至るシーンなんて、想いと本能が綯い交ぜになって高まり切ってて、切実さといい純愛性といいエロさといい、最高だったですよ。
エロゲだったら、完全に本番突入でしたねw
正直、アレはもうヤッちゃってても話の展開的にも何らの問題もなかった気がするんだが、なんかレギュレーションでもあるんだろうか。

ともあれ、嶽人があれ? と疑問を覚えるまでの話の流れでも十分おもしろかったんですけれど、ここからまさかのちゃぶ台返し、前提の転換が行われる。というか、神様の隠された真意が明らかになるんですが、これはまるで予想もしていなかっただけに、「なんとーっ!?」と驚いたの何の。いや、これは面白い、実に面白い。
チェスをやっていたと思い込んでいてチェックメイトを打たれた、と思っていたら、実は将棋で必至にかかっていた、という感じか……いや、まったく説明になっていないな。
何にせよ、嶽人くんからすると根本的には状況は変わっていないんですよね。いや、ある意味余計に悪化したというべきか、大切なものを失ってしまう、という意味においては。
ただ、ここで自分が犠牲になれば、という選択肢が完全に消えてしまったのは、実に面白い。同時に、ここで彼が選んだやり方というのは、自分一人で頑張る、というやり方じゃなかったのも面白い。結局、嶽人とメフィストフェレス、そしてガブリエルや陽奈多、そしてお祖母ちゃんとの関係は一巻で得た結論と変わらず、一緒に手を繋いで、一緒に頑張ることが当たり前の関係。愛とは与え合うもの、という事をたとえ世界の危機を前にしても体現した、より純粋に高めた形に収まったということだったんですねえ。
詰まるところ、最後まで本作は素晴らしいラブ&ポップなハートフルストーリーだった、と言うことなのでしょう。二巻がかなりグダグダで大丈夫か、と思った本作ですけれど、エピローグの緩すぎる終わり方も含めて、とても大好きなお話でした。完結、オメ。

1巻感想

ケモノガリ 5 3   

ケモノガリ 5 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 5】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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ローマ編最終章“十二使徒のゲーム”開始!

楼樹の前に立ちはだかる第二の“ゲーム”

さあさあお立ち会い!
この世のあらゆる快楽を貪り続けた皆々様!!
第一のゲームはいかがでしたか?
続きまして、第二のゲーム。このゲームの勝利者が、かつてミスターと呼ばれた男の権利を継承できるのです!
そう、即ち七人目の“聖父”となるのです!
ただし今回賭けていただくのは、皆様自身の命!
勝利すれば“聖父”になれるなら安いものですよね?

貴方がたは究極の快楽に溺れるため自身の命を賭けるのです!
しかし、ご安心ください!
赤神楼樹でも今回のゲームで生き残る確率はほぼ皆無です!
なんせ、彼は悪鬼羅刹たる十二人の娯楽提供者を相手にしなくてはいけません!
そう第二のゲーム“十二使徒のゲーム”!
最凶にして最悪なる大戦争になることは必然です!!
さあ皆々様!
自身の命を懸ける娯楽提供者をお選びください!
そして、『ケモノガリ』赤神楼樹を殺すのです!!

前巻から続いたシリーズ最大のスペクタクル『ローマ編』完結巻!!
いきなりオチから入るのは反則じゃありませんか?
これまで様々な奇人怪人たる娯楽提供者が出てきましたけれど、この夜叉刀だけは最後まで忘れられそうにありません。あらゆる意味で印象が強すぎて脳裏に焼き付いてしまいましたがなw
なんかもういっそ「癒し系」と捉えた方がいいんじゃないでしょうか。血風吹き荒ぶ殺伐とした空気の中で、彼が登場していたシーンは一種の清涼剤として作用していた気がします。凄いぜ夜叉刀。素敵だぜ、夜叉刀。
しかし、癒し系和み系のエンターティナーなど早々居ないのも当然のこと。残る十一人の娯楽提供者は多種多様の怪人揃い。完全にイカレ狂った怪物系から、その戦闘技能を極めきったプロフェッショナルまで様々なタイプのそれが並び立つ。ローマ編に入ってから連戦が続いていたとは言え、先の小国では一昼夜休むこと無く戦い続けたほどの楼樹くんである。スタミナに関してはそれほど問題はなかったはず。それなのに、どの娯楽提供者も一蹴とは出来ず、かなり瀬戸際の苦戦が続くことになる。無辜の罪なき相手を殺しかけてしまったことで、ケモノと人間の境界から転げ落ち掛けた事は想像以上に彼の精神を疲弊させていた、というのもあるのだろうけれど、それでも事ここに至ると出てくる娯楽提供者たちも相当の強者揃いということなのだろう。
だからこそ、夜叉刀さんが清涼剤となり得たのですがw
ゲームのプレイヤーであるクラブの会員たちが、それこそ自分の命をベットして挑むゲームですからねえ。生半なものじゃありません。逆に言うとこんなゲームでバンシーやファイアスターターみたいな連中に自分の命を賭けてしまえる人達はちょっとギャンブルが過ぎるんじゃないだろうか。あんな正気を失ってしまった連中によく運命任せてしまえるものだ。それだけ、クラブのメンバーたちもイカレているということなのだろうけれど。

そして、十二人の娯楽提供者の中に居た、人類最強の男。これまで出てきた敵の中で、本当に一番強かった相手って、ゲテモノやバケモノみたいな連中ではなく、あのロビンフッドだったと思うんですよね。純粋に戦闘技術と殺戮本能を昇華させた戦場の怪物。今回の最大の敵は、そんなロビンフッドさえはるかに上回る、ただ戦いと強さを求めた戦いの求道者。鉄量と火薬が決する戦争ではなく、血と剣が謳歌していた古の戦争こそが相応しい時代を間違えた英雄。純粋に、楼樹を超えた実力の持ち主。
近現代における自他共に認める最強の兵士 グルカ兵。
そう言えば、ロビンフッドもあれ、ネイティブアメリカンでしたっけ。やっぱりいまの時代の精悍な戦士って、そっちの人たちが担ってるイメージ強いのかなあ。グルカはガチですけどw
今回ばかりは、楼樹一人ではとても乗り越えられなかった苦境。イヌガミやシャーリーが居なかったらどうなってたか。特に、シャーリーはサポート役としても戦闘補助役としても多芸多才で本当に頼りになるんですよね。キレ者中のキレ者だし。CIA内部で問題児を通り越して危険人物扱いされて任務にかこつけて抹殺されかかってる、というのも分かる気がする。これで、なんだかんだと支持者が多そうなのも。
このローマ編は、ただ目の前の悪しき敵を殺戮していく、というこれまでの単純な戦いと違い、誰が本当の敵なのか、悪意はどこに眠っているのかというのを掘り起こし、探り当てなければならないところからはじまり、さらについに日常に戻したはずのあやなの身までも再び危険に晒し、と楼樹を精神面から追い詰める展開がなかなか厳しかった。最後に殺す敵なんぞ、彼にとっては初めてのシチュエーションでしたしね。場合のよっては、致命的な破綻すらあったかもしれない。クラブの上層部の不気味さはいや増すばかりですし、戦いもどんどん泥沼化してきたなあ。
そんな中で、一般人にすぎないあやなの動きこそが何気に目立つ。解放された彼女が向かったのは、日本ではなく、かつて楼樹が解放に参加した独裁国。そこで彼が出会ったあやな以外唯一心を許し預けた相手、ゲルタの元に。そんなヒロイン同士の出会いは、この血まみれの物語に何か影響をもたらすのか。彼女らの動向にも注目したいところである。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

小夜音はあくまで小悪魔です!? 14   

小夜音はあくまで小悪魔です!?1 (講談社ラノベ文庫)

【小夜音はあくまで小悪魔です!? 1】 東出祐一郎/吉田音 講談社ラノベ文庫

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引きこもりにして最強自宅警備員の一崎嶽人の前に現れた悪魔、メフィストフェレス小夜音。彼女は歴史上の偉大な聖人レベルくらいの価値がある嶽人の魂を売買するために地上にやってきた。…が。“今の”嶽人の魂の価格は、なんと13円。なんでですか!?自宅警備員も、立派なお仕事ですっ!!?初仕事がこれでは有名悪魔の孫娘の名が廃ると、小夜音と嶽人は魂の価格上昇をめざし共同作戦を開始!!おかしな同居生活を始めた二人のもとに小夜音の姉やら謎ありげな天使までが絡んできて…!?キュートな小悪魔&ニートなヒッキー。摩訶不思議な日常開始。

小夜音ってこの子、営業向きではありませんね。初仕事の相手が嶽人だったから良かったようなものの、本来なら単なる契約者、顧客に対して入れ込みすぎ、親身になり過ぎなんですよ。もっとビジネスライクに私情を挟まず、しかし誠実に顧客と自分の両方が利益を得られるように立ちまわる、というのがきっと正しいビジネスマン、もとい悪魔のスタンスであるべきなのでしょう。でも、小夜音は違いました。或いは、最初の仕事の相手が嶽人だったからなのかもしれません。でも、嶽人に善行を積ませて下落しきった魂の価値を高値に戻そうとする小夜音の行動には、悪魔として営業職として利益を確保するためというビジネスとしてのスタンスよりも、これまで人生を薄っすらと無価値に生きてきた嶽人がもっと充実した人生を歩めるように、幸福に成れるようにという自分のことよりも嶽人の為を思った気持ちが込められていたのです。仕事のことを忘れているわけじゃなく、むしろ職務は誠実に的確にキチンと果たしているのですが、やっぱりそのスタンスは営業としては相手に入れ込みすぎなんですよね。なので、あくまで自分と彼の関係が顧客とのそれに過ぎないものなのだと、自社から担当業務の撤退を言い渡された時に直面した時、それを思い知らされ、途方に暮れる事になってしまった。
でも、そんな小夜音だからこそ、嶽人は自分の持っていたものを全部投げ出しても後悔しなかったのでしょう。考えてみれば、小夜音はまったくもってメフィストフェレスそのものじゃないですか。その魅惑を以って相手を魅了し尽くし、その魂から何から全てを捧げさせてしまったのですから。あるいは、最後に天使に顧客かっ攫われたお祖母様の本家メフィストフェレスよりも、良い仕事をしたといってもいいかもしれません。まあ、本人たちからすれば、もう途中から仕事抜きでしたけれどね。
うん、いい子なんですよ、小夜音。本当にとても善良で真面目でパワフルで純粋で、素敵な小悪魔。その相手である嶽人もまた、心に曇りのない純真で素直でまっすぐな少年で、そんな二人が出会ったことはまるで奇跡のような運命だったのかもしれません。仕事の為よりも相手のことを思って善行を積むように指導する小夜音に、嶽人は強制されたからでも流されたからという訳でもなく、自分の明確な意思によって動き出します。これまで漠然と何もせず何も感じず生きてきた虚無的な人生に差し込んだ光。差し伸べられた手を握り歩き出す事によって初めて知ることになる、生きることの喜びや幸せの実感。そうやって急速に無色透明だった人生が色彩を帯びはじめたとき、嶽人はとても大切な物を、掛け替えのないものを自分が手に入れていた事を知ったのでした。
好意が通じて好意によって循環する相手を想い合う関係。一方的に引っ張り合うのではなく、二人一緒に手を繋いで、一緒に頑張ることが当たり前の関係。それが小夜音と嶽人の関係で、もう見ているだけで心温まる、微笑が浮かんでくる、とても素敵でハートフルな物語でした。まったくもって、最高でした。
しかしまあ、かの東出祐一郎から血生臭さを除去すると、ここまでポップでラブな物語が転び出てくるのですか。驚嘆ですね♪

東出祐一郎作品感想

ケモノガリ 43   

ケモノガリ4 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 4】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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少年よ、ローマを目指せ。殺人のために!!教皇が危篤状態に陥っている。そのニュースは全世界を駆け巡り、多数の信者がローマへ押し寄せていた。騒乱の中で暗殺のチャンスを伺う"ケモノガリ"赤神楼樹。標的は次期教皇最有力候補のヴァレリオ・ロベルティ、殺人クラブのメンバーである彼の息の根を止める! 自称CIAのシャーリー、人間の脳を移植された生体兵器イヌガミを引き連れ、ローマのホテルに潜伏する赤神。だがクラブの調停者アストライアにより突然ホテルが爆破され、新たな殺人ゲームの開始が告げられる。聖都バチカンは完全に包囲された――!
楼樹くんの精神面でのタイトロープが半端ない。こと実践面での無敵っぷりは周知の通りなのだが、彼の強みはむしろその鋼鉄の精神だったと言っていい。その鋼のごとき硬く冷たく揺るぎのない強靭な意思こそが、肉体を牽引して標的をずんばらりんと狩り倒していたのでした。ところが、今度の敵はその楼樹くんの揺るがないはずのケモノガリの精神を揺さぶってくる戦術に打って出てきたのです。
そもそも、彼の鋼鉄の精神というものは、人間とケモノの狭間に立っているからこそ成り立っているもの。人間として破綻しながらも人間として壊れず、ケモノのごとき殺意を燃やしながらも心までケモノに堕ちきらない。そんな絶妙のバランスの上に立っているからこそ、赤神楼樹は人の心を持ったケモノとして活動できているわけです。そんな彼がもし、人の心を失えば、或いはケモノの本分を忘れて人に戻ろうとしてしまえば……それは彼の破滅を意味してしまう。
この物語が凄いのは、主人公が人間としてのマトモな心を取り戻すことが、愛情に身をゆだねることが、そのまま主人公がゲームオーバーになってしまう、という制約を課しているところでしょう。普通なら逆ですよ。非人間的だった登場人物が人らしさを手に入れることで、より意味のある強さを手に入れる、というのが王道といえば王道の展開なのに、赤神楼樹が置かれた環境はそんな優しくぬくもりに満ちた展開を一切許してくれない。過酷で残酷で冷酷な、ただただ暴力によって物事が決してしまう状況においては、人である事は弱さ以外の何者でもなく、弱さはすなわち死に直結している。しかし、同時に一切の人間性、人の心を失ってしまえば、それは彼が戦っている相手と同じ存在になってしまう。彼が戦う理由、行動原理そのものが破綻してしまうという、綱渡りのような精神面のバランス感覚を要求されているわけです。
そこをまあ、イヤというほど攻めてくる攻めてくる。
まさにこの時のために、これまでこの手段はとっておいたのでしょうね。赤神楼樹の最愛の人、あやなを人質に使うという手段は。
まさか、また再びこうしてあやなが出てくるとはなあ。いずれ何らかの形で登場するだろうとは思っていましたけれど、このタイミングは想像していませんでした。第一巻以来の本格登場のあやなでしたが……やっぱりこの娘こそが真ヒロインだわ。
赤神楼樹という異常な殺人者をそのまま受け入れた女性だけある。覚悟が尋常じゃない。たとえ離れ離れになったとしても、彼女には楼樹くんと共にあり続けている、という気概が感じられる。共に在り続けるってのは、
楼樹くんがやっていることを全部承知した上で、彼が負うであろう負債も苦痛も、彼の行動の結果のすべてを共に背負うということ。だから、彼のせいで自分がひどい目にあっても動じない。そりゃもちろん、怖いし辛いし、彼が心配でたまらないのは当然です。でも、彼を待つと決めた時点で、それは最初から覚悟していたものだったのでしょう。彼のために苦しむ覚悟、彼を苦しめる覚悟を彼女は日常の中に置き去りにされながら、ずっと保ち続けていたのです。彼女の覚悟は、あのアストライアをして、恐ろしい人だと言わしめるほどでした。
こりゃあ、敵わないわ。あやながこのあやなで在り続ける以上、楼樹くんにとっての絶対者は揺ぎ無く彼女で在り続けるでしょう。残念ながら、他の娘がはいる余地は微塵もありませんね、これ。そして何より、このあやななら、楼樹くんを幸せに、誰もが思い浮かべる通りの幸せを与えてあげられるんじゃないだろうか、と思わせてくれる何かが、彼女にはあったんですよね。これまでは、どんな形で決着するにしても、血に塗れすぎた主人公にハッピーエンドなんてシロモノは存在しないと考えていたんですが、その考えを覆すほどのナニカが貴島あやなのはあったのです。ほんと、大したヒロインですよ。

ローマ中を巻き込んだ破壊と暴力のデスゲームは、この四巻で終わりきらずにそのまま五巻に続きます。表紙を飾ったヒロインのセシリアは、今回は特にこれといった活躍をしないまま、というか楼樹くんの足を引っ張るよう配置された役でしたが、次回はなんらかの重要な役割を担うのでしょうか。

1巻 2巻 3巻感想

ケモノガリ 34   

ケモノガリ 3 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 3】 東出祐一郎/品川宏樹 ガガガ文庫

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いま、“クラブ”の真実が紐解かれ始める!
罪無き人を狩る“クラブ”がこの世には存在する。罪無き人を狩る“ケモノ”がこの世に蔓延っている。世界は相も変わらず騒がしい。どこかで戦争が始まり人が殺されたという。事故が起こって人が殺されたという。おそらくその報道の九割ぐらいは、事実がありのまま晒け出されているのだろう。だが、残る一割は、ひょっとしたら──違うのかもしれない。人を狩ることに喜びを見出した権力者(ケモノ)と、彼らの手先となって動く娯楽提供者(エンターティナー)による仕業なのかもしれない。それが、この僕──赤神楼樹の敵である。
さすがに二巻の「アレ」ほどインパクトのあるキャラは居ませんでしたが(居てたまるかッ、という意見も大いにありますが)、敵の人外化は留まるところを知らず、というかもはや人間じゃないし!!
いやあ、でも今回もあのカラー口絵の壮観さは、二巻のあれにも引けはとってないかもしれない。そういうものだ、と受け入れずに冷静に眺め直してみると、相当に狂ってるもんなあ。一瞬、生ゾイドかと思ったし。っていうか、元ネタゾイドだろ、これ(笑
生物兵器、というネタ自体は珍しくもないものかもしれませんけど、ここまで身も蓋もない改造をされてしまった生物兵器って、案外といないんじゃないですか? 普通はもっと技術的にも凝るもんなあ。作中で楼樹くんが呆れてますけど、確かに「ぼくのかんがえたさいきょうの〜〜」をそのまま具現化したような代物で、それを実際にやられてしまうと醜悪を通り越して馬鹿馬鹿しいとしか言えなくなるわな。ただ、その材料が生きている動物となると、途端に笑えなくなる。そうなんだよなあ。二巻の「アレ」はもう笑ってしまったけど、今回のは笑えませんでしたよ、全然。ヒドイ話にも程がある。

今回は楼樹くんもこれまでのような殺戮スキルを存分にふるえる状況ではなく、苦戦を強いられる。やはり、戦いの基本は相手より強力な力で押さえつけるのではなく、得手を封じて力を振るえなくする事が一番というわけだ。特に、一人無双状態な人物が相手なら。CIAのネーちゃんがサポート役になってくれてなかったら、相当ヤバかったかもしれないですね、今回は。まあ、民間人の救助を諦めたら一人で力技で全部抜け出せたかもしれませんがw

さらに、今回は楼樹くんのライバルとなろう相手の登場と共に、楼樹くんに比肩する力を持った仲間が加わることに。そうだよなあ、楼樹くんみたいなキャラの相棒となるには人間のキャラじゃ無理だもんなあ。孤高のダークヒーローにもし仲間が加わるなら、まさに今回登場したこの子みたいなのでないといけないわけですよ。やっぱり分かってる、この作者はこの手のパターンはまさに掌握しまくってる。かゆいところに手が届くってなもんですね。
ただ、敵に楼樹くんと対等の力を持った敵が現れるというのは、諸刃の剣になりかねない展開かもしれない。これまでは、どれほど強大な敵ではあっても、狩りだったんですよね。楼樹も敵も、相手を獲物を見定めて狩り合うハンティングだったのが、今回現れた魔人アストライアとの戦いは、狩りではなく闘争なんですよね。【ケモノガリ】というシリーズのコンセプトからどうしてもズレるであろう、アストライアとの戦いがはたしてこのシリーズをどう導き変質させるのか。
次こそがある意味、見所でしょうね。

1巻 2巻感想

ケモノガリ 24   

ケモノガリ 2 (ガガガ文庫)

【ケモノガリ 2】 東出祐一郎/品川宏樹  ガガガ文庫

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 bk1

いやいやいやいや(爆笑
あれはないだろう、あれは!! ものすごくシリアスな場面であり、予想の斜め上どころかまったく想像の埒外にあった展開に見舞われて度肝を抜かれた直後だっただけに、これでどうだと言わんばかりのあの挿絵にはね、もうね、どう反応したらいいものか、完全に頭真っ白になってしまいましたよ(苦笑
あまりと言えばあまりの絵面に、どっかでストッパーが掛かったのか、どうやら自分の中ではあの絵は見なかったことになってしまったらしく、何事もなかったかのようにスルーして最後まで読みきってしまいました。おかげで、素直に感傷に浸れたぜ(ふぅ
あとでもう一度じっくり見直したときは、おもいっきり爆笑してしまいましたが。いや、だってあれはないでしょう!!
当人たちは至って真面目で深刻にこの悪夢めいた状況に対して立ち向かっているのだけれど、変なところでギャグになってる部分があるんだよなあ。メイド服とか、メイド服とか。その発想はまともを装っている分、明らかにおかしいヨ。

僕の名前は赤神楼樹。つい数ヶ月前まで平凡な日本の男子高校生だった僕は、馬鹿げた殺人ゲームに巻き込まれた。友人は死に、先生も死に、それでも僕は生き残った。そして、僕は僕が生きた日常に別れを告げ旅へ出た。世界中で殺人ゲームを愉(たの)しむケモノたちを一人残らず抹殺するために──。僕は赤神楼樹。僕は、ケモノガリだ。リストに刻まれた名前がまた一つ減る。「問題は、次か」リストの名前を見て呟く。コリキア・リンドマン……北欧の小国バレルガニアの終身永世大統領。つまり僕は──今から、一国を相手に戦いを挑まねばならないのだ。
ついに一国の中枢丸ごとを相手取ることになった楼樹。この主人公が凄いというか特異なのは、魔術や異能などの特殊能力や、戦闘技術云々ではなく、単純に、純粋に、人を殺すのが上手い、という部分のみを特化して最大化している点にあるんですよね。そこには力の強弱や技能の上下など一切関係なく意味がない。楼樹って、余程の相手以外は「戦って」ないんですよ、「殺して」いるだけで。彼の場合、「殺した」という結果が先にあって、殺すための殺人行為はオマケにすら思えてくる。
最近だと富士見ファンタジア文庫の【火の国、風の国物語】のアレスなどがリアル一騎当千の無敵キャラとして認知されているけれど、ああいう強さとは一線を画していると思うんですよね、楼樹くんは。原初的な意味での「死神」というのが程良く似合っている。
チートキャラには違いないんだけれど、彼が常に見ている側にとって痛快であり続けるのは、その在り様がもはや呪詛や天災に近い無茶苦茶なものであると同時に、精神性が弓から放たれた矢であり、既に撃ち放たれた銃弾であるがために、一切ブレがないからなのでしょう。と、同時に人間で在り続けようとする努力を惜しまない。惜しんでいないにも関わらず、自分がほとんど人外の存在と化している事に苦悩も後悔もない。故に、見ている方に変なストレスが溜まらない。そして、この人たらんとしている撃ち放たれた銃弾は、同情の余地の一欠片もない極悪人を片っ端からなぎ倒していく。これを痛快と言わずして何を痛快というのか。
今回は最初から楼樹くんが覚醒しているからか、エンタメ作品としては一巻よりも明らかにレベルアップしている。話の展開も、単純な一本道ではなく、二度三度と大どんでん返しが待っていて飽きさせてくれない。実際、この北欧の小国で起こっていた惨劇の真相は予想を遥かに上回るものだったし、その後に待ち受けていた展開はそれまでの驚愕を完全に上塗りしてしまうほど衝撃的だった。もっと単純なアクションモノかと思って、おもいっきりミスリードされてたもんなあ。
今回のヒロインとなるグレタは、一期一会となるだろう逢瀬の相手としては最上級。如何に人たろうとしていても、最愛の人と別れて殺人の権化として異国の地で独りさすらう少年が、果たして人らしい心をどれだけ保っていられるか。そんな中で、彼女との一時を過ごしている時の楼樹くんは、確かに年頃の少年らしい顔をしていたし、彼女の幸福を願い、彼女を守ろうとする少年の心は十分人らしいものだった。大切に思う人が増えれば増えるほど、それは彼にとって良い事のはずだから。
……クールに見えておもいっきり泣き虫とか、完璧です、はい。

個人的には新たにできた旅の道連れに興味津々ですよ。この人はいい具合に引っ掻き回してくれそうだなあ(笑

1巻感想

ケモノガリ4   

ケモノガリ (ガガガ文庫)

【ケモノガリ】 東出祐一郎/品川宏樹  ガガガ文庫

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 bk1

お見事!! これはもう、お見事と称賛するほかどうしようもない。これだけ思う存分に書きたいことを書き倒されちゃった日には、ねえ。
自分の好きなものを好きなように好きなだけ書き倒したそれが、これだけ面白かったらもう申し分ないわな。
筆者の手掛けたゲームや小説(原作付き)には、これまでどうにも楽しみきれないもやもや、っとした部分があったんですけどね。自分の好きなものに夢中になってて、提供された立場の此方はちょっと置いてけぼりにされているような、そんな感じ。エンターテインメント作品でありながら、どこかエンタメであることを蔑ろにしているような。
でも、この作品にはこれまで著者の作品に感じていたある種の歪さは見事に払拭されていたように思える。全体を俯瞰しても非常にバランスのとれた構成は、最初から最後まで疾走感の途切れない。余分なものを削ぎ落とし、徹底して精査し錬磨されながら、自身の<好き>な部分は一切取り落とさず完全に凝縮して詰め込みこんだストーリー。
まったく、お見事としか言いようがない。これは、書いた当人も満足、読んだこっちも満足、という良縁だな。

これだけダークなストーリーにも関わらず、完全にヒーローものとして立脚しているのは、やはり幼馴染の存在が大きいなあ。主人公の人格云々はあまり問題ではなく、この惨劇の中で開花させてしまった主人公の才能、人間としての領域を踏み外してしまった主人公の在り方を、幼なじみの彼女が拒絶も躊躇もなく、そのすべてを受容し、受け入れ、抱擁しているからこそ、この物語は主人公の苦悩や迷いという停滞を一切とりいれず、一瞬たりとも止まることなく、怪物と化した主人公に熱い血潮をたぎらせたまま、その決意と覚悟を奮い立たせ、その最後まで突っ走ることができたのだろう。

なんにせよ、面白かった。隙間なく、ピッチリとはみ出すことなく面白かった。
 
12月2日

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11月18日

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(裏少年サンデーコミックス)
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(角川書店単行本)
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エンターブレイン
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