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柴乃櫂人

キングメイカー! 戦野の隅の大英雄 ★★★★   



【キングメイカー! 戦野の隅の大英雄】 串木野 たんぼ/柴乃 櫂人  GA文庫

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「やめてくれ!た、助けぇえぇ!」
観客の盛り上がりが選手の力に変換されるバトルスポーツ・ヨルムンガンド。その日、六道昴哉は“命乞いの演技”によって『ピンチに駆けつける味方の登場』を演出。チームを勝利に導いた。だが彼は―(俺は駆けつける側がやりたい!)内心ブスブスくすぶっていた。そんな彼はある日、軍事の名門・長舟家から家出してきた剣豪少女すばると出会う。無一文で出てきたすばるは、お金を稼ぐために昴哉のチームに入ることになり―!?“歩兵”の少年が、少女を助け真の“英雄”へと翔け上がる!!劇場型バトルアクション、開幕!
これ、好きだわー。
スタジアムで行われるスポーツとしての戦争。観客の盛り上がりがポイント加算されて選手の力に変換される、というのが味噌でただ強いだけじゃなくて、演出が大事になってくるスポーツなんですね。
だからか、とにかく目立つ戦い方が注目されるのですけれど、そんな中で主人公の昴哉は幼馴染のサキとともにチームの花形である「英雄(メサイア)」を目指してヨルムンガンドをはじめたものの、サキがチームの英雄に駆け上がったのに対して、彼は兵士(ポーン)に燻ったまま。
でも、その実態は周りのチームメイトを目立たせ、支援し、カッコよく演出する献身的な立ち回りで駆け回る、いわばチームの屋台骨であり縁の下の力持ちなのである。
当人としては、現状は忸怩たるものがあるものの、決してやらされていることじゃなく、献身的な演出支援は彼自身が率先してやってること。ついついやってしまっていることなので、これ性分なのでしょう。
だから、自分が抱きかかえている夢、幼馴染と交わした約束を果たしたいという想い、自分こそが一番格好いい役をやりたいという願望と、自分以外の仲間たちを助け喜ばせ目立たせることへのやりがい、楽しさ、喜びといった性分という矛盾した本心に挟まれて苦悩することになるのである。
両方とも昴哉の本音であり本心だからこその、苦悶なんですよね。もっとも、性分の方はあんまり自覚なかったようだけれど。

でもね、彼の所属するチームが素晴らしいのは、この昴哉の献身をみんな一兵士がやるべきアタリマエのこと、なんて思わず、彼の献身を心から感謝して、彼のことを都合のいい存在なんて考えずに、昴哉のことを好きで居てくれるところなのである。彼の頑張りに対して、報われるべきだ、報いてやるべきだ、とみんなが考えてくれていて、昴哉のことを信頼して彼ら自身にとっての色んなものを、大事なものをまるっと笑って預けてくれるのである。
昴哉にとっての幸いは、まさにこのチームに入ったことなんじゃないかと思うのです。
いやまあ、対戦相手のチームを見てもみんなカラッとしたいい人ばかりで、目立ちがりやでカッコつけという側面はみんなが持っているのだけれど、切った張ったの戦争がテーマのスポーツだけれど、このスポーツ自体が快活で好漢の集まりなんだよなあ。まあ、切った張ったとはいってもまず怪我をしないように調整してある特殊な武具を使っているので、血なまぐさいことにはならないし、負ける時も散りザマ演出というのを負ける側が嬉々としてやるようなゲームなので、ドロドロとした因縁が生じにくいのでしょうけれど。いやもう、みんな楽しそうなんですよね。善き哉善き哉。
というか、このスポーツ云々がというよりも、作者の作風によるものと言ってもいいかもしれないですね、登場人物が好漢ばかり、というのは。
小気味の良いスタッカートの効いた文章は、作品の軽妙さに良い意味での切れ味みたいなものを付与していて、コメディタッチなノリにもかなり快速なテンポを与えてるんですよね。
この手の、短く切るような文章のスタッカートを効かせていることに成功している作品は、大概かなり面白くなってる所感があります。同時に、内面描写にもこの手法ってアップテンポを与えやすいんだよなあ。個人的にかなり好きな語り口だったりします。
メインヒロインはこれ、すばるになるんでしょうけれど何気に嫁ポディションはしっかりと下宿先の綾ちゃんがガッチリと握りしめて離していないので、幼馴染のサキとすばるが争うことになるのはヨルムンガンドにおける昴哉と並び立つポディション、ということになるわけか。
と言っても、サキはそれこそが主体なのだけれど、すばるの方は家の事情が主体なわけで、そこに昴哉をどえらい予想外の形で巻き込んでしまうことで、昴哉の迷いながらもこうと決めたら命がけでも譲らないという気合入った生き様を目のあたりにすることで、めっさ引き込まれてしまうわけですが。
しかし、その点に関してはむしろすばるのお父ちゃんの方が昴哉に男惚れしてしまっているような気がしないでもない。クライマックス、完全にお父ちゃんの頑なな心を陥落させろ、になってるし。メインヒロイン、お父ちゃんじゃないのかもしかして。
すばるはかっこよさよりもあのスットコドッコイなポンコツ具合の方が魅力ですぞ、うん。
手に汗握る燃える展開もさることながら、カッコつける演出シーンが何気にマジでカッコよくて観客とチームメイトと一緒にうひゃーーとはしゃいでしまうんですよね。読んでて素直に登場人物と同じノリで「楽しい」を堪能できる、実に良い作品でした。これは続きも大いに期待。

シキガミ×クエスト 異世界のモンスターを式神にして強くなる ★★★  



【シキガミ×クエスト 異世界のモンスターを式神にして強くなる】 ヒツキノドカ/柴乃 櫂人 角川スニーカー文庫

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妖怪と契約して自らの力とする“式神使い”。その末裔・水門アキラは、天才である幼馴染と比較される日々を送っていた。対抗心を燃やして修行するも、妖怪の減った現代では強くもなれない―はずが突如妖怪(モンスター)溢れる異世界に転移!?出会った健気な冒険者・リーシェの案内で異世界を探索するアキラは、現代仕込みの荒業で次々とモンスターを討伐→契約し、成長していく。そして遂に幼馴染に匹敵するほど強力なモンスターと対峙した時―アキラは立ち塞がる全てを超え、不遇な過去に逆転劇をもたらす!!スニーカー大賞“優秀賞”受賞、いずれ最強へと至る式神使いの異世界冒険ファンタジー!!

あらすじが微妙に事実と違うような気がする。この主人公、確かに妖怪→モンスターを倒して契約して式神にして、その能力を利用した力を使えるのですが、折角異世界に来て地球にはいない多種多様なモンスターと遭遇するんですけど……全然契約しないんですよね! なんかえらい選り好みして、弱いモンスターとは契約しないとかいうスタンスなんで、結局元から契約していた雷獣の式神の能力を使うばかりで、色んなモンスターゲットして、色んな能力を次々と覚えてそれを使って様々な場面に対応する戦闘シーンが、なんてのを期待していたので盛大に肩透かしを食らってしまいました。
陰陽師要素も殆どなかったしなあ。元から強かった、というアドバンテージはあっても異種格闘戦みたな面はあんまり感じられなかったですし。符はどうした、符は。なんか途中、符術云々の話が出たのに結局使ったっけか?
天才で人格的にも優れていて非の打ち所のない幼馴染に対抗意識を拗らせてついには異世界にまで来てしまった主人公。と言っても、アキラ自身決して弱くないどころか優秀な部類の式神使いなので、なんでそこまで陰口叩かれるのか不思議なところではあるんですが……これ、能力の問題じゃなくて当人の性格の問題じゃないのか、これ? と思いたくなるほどに、目的のためなら周りを顧みないんですよね。いや、もうちょっと考えようと、と言いたくなるほどに。異世界に偶然とんでしまった際にも、地球には居ない妖怪の存在に浮かれてよっしゃー、ここで強力なポ○モンゲットだぜとはしゃぐばかりで……帰る方法についてはまったく考えてないんですよね。いや、ここで強くなっても帰る方法がなかったら意味ないじゃん、と思ったんだけど、全然心配も方法を考えることもなく放置。
そもそも、式神対決のみならずあらゆる勝負で負け続けているにも関わらず、強い式神ゲットすれば勝てる、と思ってるあたり浅はかというか、視野狭窄というか、ああもうこれ絶対勝てないですよね、って感じなんですよね。
こういうキャラって、主人公というよりも序盤に最強キャラに対抗意識燃やしてるけれど、ポッと出の脇から現れた主人公にけちょんけちょんにやられてしまい、より強い武器とか能力とかを無理やりゲットして再戦してきて、やっぱりけちょんけちょんにやられて潰れたところを、黒幕みたいなのに利用されて闇落ちする序盤の中ボスキャラみたいなキャラクターな気がするw
ただ、最終盤になってようやくアキラも自分のこと、目的のこと以外にも目が行くようになるんですよね。
リーシェという無能だけど根性だけはあるヒロインの姿に、飽きなく勝てない幼馴染に挑み続ける自分の姿を透かし見て、自分にとって譲れないものに固執し続ける彼女に共感を覚えて、彼女の成長に手を貸すことになるのである。
彼に必要だったのは、そんな他人を顧みる余裕、というものだったのではないだろうか。最終的に、アキラは自分ひとりの力で全部やろうとするのではなく、リーシェに力を借りるという形で他人と協力して事を成し遂げる、という経験を得ることになる。
強力な式神を手に入れる、という最初の目的は達せられたけれど、彼の成長というのはそういうところじゃないんじゃないのかな、この場合。
そうした自身の在り方が変わることで、幼馴染に勝つ、ということの意味が、負けないということの意味が以前と変わっていることを願うばかりである。周りからの目も、今の彼ならもうちょっと変わりそうだし。

漂海のレクキール ★★★★   

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

【漂海のレクキール】 秋目人/ 柴乃櫂人 ガガガ文庫

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帆を張れ、碇を上げよ、針路は未知の最果て。

 万能の源・エルにより圧倒的な文明と栄華を誇っていた世界があった。
しかし突如にしてエルが消失し、同時に陸地のほとんどが水没。かつての技術も失われ、全ての権力は唯一の陸地リエスを治める聖王家が握った。
 リエスから追われた人々は寄り集まり、『船団国家』を形成し、海で生活を送るようになる。親王派のアレム、中立派のファシェン、急進派のザレグの3国家が海上権を巡り航行していた。
 そんな中、リエスで突如政変が。聖王の弟が反旗を翻し、王位を簒奪。策略によって故郷を追われた聖王家の末姫・サリューは、父王から謎の海図を託され命からがら逃げのびる。
 その先で彼女が出会ったのは、海に生き自由と未知を求める船乗り・カーシュ。『不沈』の異名を持つ彼に、サリューはある取引を持ちかける。
「わたしを、この海図が示す場所に連れていって」
 航海へ出た二人は様々な思惑を乗り越え、人々がまだ見ぬ『新天地』への手がかりを掴むことになる。
『騙王』の秋目人がガガガ文庫に参戦!イラストは『ベン・トー』や『神殺しの英雄と七つの誓約』の柴乃櫂人! 海を漂い、最果てに想いを馳せる海洋戦記ファンタジー、出航!

せーのっ、海だーーー!!
海です、海である。海なのだ。そう海といえば冒険、そこが宇宙という海だろうと大空という海だろうと、海洋という海だろうと、海であるならばそこには冒険が詰まっている、冒険の世界が広がっている。古今、海という世界を舞台に描かれるのは常に、果てなき未知の世界へと漕ぎ出す冒険譚だった。本作もまた、その王道をど真ん中で突っ走っている。
はぐれものの船乗りの前に現れる逃亡者たる王女様。彼女が握りしめるのは古の海図、求めるのは王家に伝わる未知の大陸への航路。彼女の持つ地図を頼りに訪れた場所に隠されていた、古代文明の遺産。王女を追いかけて襲いかかってくる海軍船団。もうジブリか!というほどの王道の海洋冒険ロマンそのままの展開であり、その展開を持ってきたに恥じぬ堂々たる物語なのであるこれが。
王女さまがお客さまではなく、小さな船の船員として仲間として認められて、お姫様だからではなく自分たちの仲間サリューだから、彼女を護り助けるのだ、という流れもいいんですよね。お姫様にとっても、船での生活はそれまでの王宮での生活では知り得なかった出来事であり、まさに目の前に開かれた新世界であり、そこで出会った人たちの仕事と仲間に誠実な人柄は、そして船長カーシュの彼女を一人の人間として目線を合わせて接してくれるその姿は、身近な人間にも裏切られて傷ついた野生動物のようになっていたサリューの心を解きほぐしていく。小さな船での生活が、一人の王女様を一人の船乗りにしていく様子は、切った張ったの派手な展開ではなくても広い海での航海そのものが冒険であるのだと現しているようで、これがまた良かったんだなあ。そして、ちゃんと後半ではド派手は船同士のドンパチあり、相手の船へと切り込んでいく切った張ったあり、と抑えるところは抑えているのですよ。主人公のカシューは少年というにはあまりにもとうが立っているおっさんだけれど、冒険心をたぐらせている男はみんな少年なのです。そして、自分を待っている女の子のもとへと真っ先に切り込んでいくそれは、立派な主人公なのですよ。おっさんだけど。まだ若い彼をおっさん呼ばわりしてしまうとリアルおっさんなこっちがダメージくらってしまうのですが、ビジュアルイケメンの格好いい若者風なのに対して、言動かなり普通に歳食ったおっさんっぽいので、お前の方がおっさんだこの野郎、と思うことで心は凪ぎます。
それにしても、海水が真水ではないけれど塩水ではなく、不味いけど飲める、という世界はなかなかに意表を突かれました。ある意味、この一点で違う惑星の話という感じが出てるよなあ。

東京ダンジョンスフィア ★★★☆  

東京ダンジョンスフィア (電撃文庫)

【東京ダンジョンスフィア】 奈坂秋吾/柴乃櫂人 電撃文庫

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最新のVR技術が暴走し、使用者の脳内世界がダンジョンに!そのダンジョン攻略を行う『冒険者ギルド』に、高給&様々な特典を目当てにして、軽い気持ちで入隊した赤峰光。しかし、入隊後すぐに突入したダンジョンでは、右も左も分からず、武器の具現化にも苦労して後れを取るハメになってしまう。パーティーを組むのは、長剣と氷を操る蒼倉、精霊を杖で使役する桜白、スナイパーライフルで戦場を支配する緑の三人。リーダーに指名され、何か深刻な事情を抱えている様子のメンバーたちと攻略に挑む赤峰は、仲間と協力してダンジョンの秘密を解き明かす!ダンジョン創造主の脳内世界を攻略せよ!

この現代日本において極めて危険な職業である冒険者として成功しなければならないだけの、ヘヴィな理由を抱えている仲間三人に対して、主人公の赤峰くんはぶっちゃけ後戻りできるところにいるんですよね。あらすじでは軽い気持ちで、とは書いてあるのだけれど母子家庭で金銭的に非常に苦しく母親が過労気味、という彼の家庭環境はそんな軽い気持ちで冒険者をやろうとしているものではない。実際、共に試験に挑んだ学友たちは実戦の恐ろしさに怖気づいて辞退してしまっている。
決して軽い気持ちではない。相応の覚悟、というものが彼にはあった。それでも、後に引けない仲間となる同期の三人に比べれば、冒険者を辞めて危険のないアルバイトで頑張る、という選択肢はあったはずなのだ。
彼の母親も、息子がどれほど高い報酬と引退後の社会的な立場が優遇される特典があったとはいえ、危険な職に就くことは望んでいない。
そんな退路が用意されている状況で、彼自身冒険者として仲間たちに比べて才能に乏しい結果も思い知らされて、それでもなおそれこそ軽い気持ちで、安易な英雄願望で、赤峰くんを前に進ませることなく、ちゃんと悩ませ躊躇わせ怯ませた上で、強制ではなく誘導でもなく、ただ彼の意思をもって選択させた展開は、こう言っちゃ何だけれど「頼もしい」ものでした。
力で突出してるわけでもすごいカリスマがあるわけでもない、ちょっとお調子者であんまり自信をもって言葉を発することの出来ない彼が、リーダーとしてみんなを引っ張っていくだけの「ナニカ」をはっきりと見せてくれてるんですよね。命を預けることができるだけの信頼を。彼の言葉に従えるだけの信用を。
特別な力も才能もない、性格も凡庸である本当に平凡な少年である彼が見せるリーダーとしての振る舞い、責任感、仲間を思う心。シンプルで平凡な在り方だけれど、その見せ方の堅実さはばっちり読み応えとして返ってくるものだったんですよね。
ダンジョン化したマンションの、核となった人物の背景や執心しているものを反映したダンジョン内部の様子や、ボスキャラの隠れ場所や正体など、それぞれダンジョンによって特徴があって、攻略も力押しではなくある種の謎解きみたいなクエストになっていて、登場人物たちの切実な人間関係も相まってか、なんか味のある面白さのある作品でした。
今回は初対面だし、仲間として繋がるための踏み込み具合だったキャラクター同士の関係だけれど、続くなら今度は個々人同士の関係として新たなものを見せてってほしいところですねえ。



それぞれ冒険者

デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。 ★★★☆  

デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。 (GA文庫)

【デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。】 山貝エビス/柴乃櫂人 GA文庫

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伝説の傭兵ルーウィンが出会ったのは、可愛い見た目と裏腹に、誇り高きハイ=エルフとは思えないほど人使いが荒く、金に汚い少女だった。地上げ屋…もとい不動産屋で働く事となった元傭兵の運命やいかに!?
『下僕募集 年齢性別不問 あご あし まくら 恵んでやる』
「ひでえなこりゃ……」
ボロボロの求人広告にはそう、書かれていた。伝説の傭兵【双剣の餓狼】と呼ばれたルーウィンだったが、今はとある事情で仕事も宿も金も、ない。わずかな望みをもって訪れたそこは、(見た目は)可愛いエルフの少女が営む不動産屋だったのだが――。

「……はぁ!? この誇り高きハイ=エルフのあたしがぁ?恥知らずで守銭奴でクソったれの浅ましい欲にまみれたチンピラみたいな地上げ屋だってぇ!?あたしはね不動産屋! そんなクズと一緒にしないで!!」

かくして、エルフの地上げ屋×元・傭兵の最凶不動産屋が超爆誕!!

なんだ、ガチで不動産のお仕事モノ、というわけじゃないのか。千年単位で生きる不老長寿のハイエルフが土地を転がす、というのだから超ロングスパンで土地の購入と転売を行うファンタジーならではの斬新な不動産屋のお仕事モノなのかと思ったのだけれど、時間的に見るとむしろ超お急ぎモードで土地を守るスプリガンをブチのめして土地の支配権をゲットするや、即座に転売してしまうという……いやどう見ても地上げ屋でしょうっこれ。デボネアが一緒にするなと怒っている他の地上げ屋と何が違うのかさっぱりわからん!!
守銭奴を通り越して金に汚いデボネアは、単にお金が好きというのではなくちゃんと急いでお金を貯めなければならない理由というものを持ってカネ集めに終始しているのですが、それでもこれはヒドイ金の亡者だよなあ。GS美神の美神さんだって横島くんに時給250円は払ってたぞ……あれ? 飯と足代と住居の世話してもらっている分、まだルーウィンの方がマシか? 無給とは言え、頑張ったら少々は特別給もらえるし。
とはいえ、扱いがヒドイのは間違いなく、ツンデレのツンがキツすぎるのよねえ。ちらっと垣間見せるデレはなかなか悪くはないのだけれど、分量が少量すぎる。その分、ココの優しさに癒される毎日です。
ルーウィンが大人というか、あんまり不遇や理不尽に怒らず流す飄々とした性格なので拗れてないですけれど、あの当たりは普通怒るよなあ。でも、最初の方はともかく、中盤以降はデボネア、そのルーウィンの怒らない性格に甘えて遠慮無くやらかしてた節もあるんだけれど、怒らなくてもそれでは好かれないと思うんだがなあ。
勿論、無償で使用者から愛されていた魔法人形を修復したり、呪われてしまった哀れな貴族を解放してあげたり、ココへの情愛の深さなど根っこでいい人なところがあるからこそ、ルーウィンも離れずくっついているわけだけれど……それでも金汚さといいちょっとご勘弁を、というような性格だよなあ。
ルーウィンの呪いのリミットが迫っているのを知って焦ったり、と悪い人じゃないんだけれど……。
こういう傲岸不遜で居丈高なヒロインをデレ蕩かしていくのがまた妙ではあるんですけどね。ラストでルーウィンと重大な契約を結んでしまった以上、ただの雇用関係としての主従じゃ居られなくなってしまったわけですし、関係を改新していくのはこれからか。

神鎧猟機ブリガンド 4 ★★★☆  

神鎧猟機ブリガンド4 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 4】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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高校へ襲撃してきた“悪魔憑き”を狩ることには成功したが、事件を機に亜麻音たち“フォスファー”は連志郎たちの正体を掴んでいた。連志郎と大悟はそれぞれ“ブリガンド”と“ブレイバー”を駆り悪魔狩りを続けるが、ある日“ブレイバー”が奇襲を受け、大悟や優羽が重傷を負ってしまう。翌日、それを知った紫織が心配している矢先に、再び“悪魔憑き”が現れる。出撃する連志郎に、自分も一緒に行くと言い出す紫織。仕方なく“ブリガンド”に同乗させ戦うが、人質を取り、二体で連携する“悪魔憑き”に連志郎は苦戦する。そこへ怪我を押して“ブレイバー”を駆り大悟が出撃してくるが―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、クライマックス!
人としての真っ当な在り方を見失ってしまったところから、血の通った人間に戻っていき人を守るヒーローになる、という点においては作者の書いた作品の中では【ストレイト・ジャケット】を彷彿とさせるものがあったんだけれど、あちらの主人公がいい年をした大人の男性だったのに対して、此方の主人公がまだ未成熟の若き高校生という違いは何気に顕著に出ていたのかもしれないなあ。
あちらが絶望と諦観という停滞状態にあったのに対して、連志郎は復讐とヒーローという存在への反感という暗い情動ではあっても、動的な意思を備えていたからかもしれないが、ともあれまだ連志郎は若いが故に何者にも定まっておらず、故にこそ激しい衝撃に対してその心ばえの変化も大きかった。
それ以上に、取りこぼしてしまうものが多くあったのだけれど。
力及ばず、或いはまるで手の届かないところで喪われていく大切なもの、という衝撃。それは連志郎が見ないふりをして遠ざけようとしていたものを、無理矢理にでも直視させる力を持っていたのだけれど、容赦がないなあと胸をつまらせてしまう。彼らの犠牲がそのまま連志郎の復讐をさらに憎悪の輪の中に追い込まなかったのは、喪われた彼らが最期まで示した高潔な意思だったのでしょう。かつて、連志郎が憧れたヒーローの姿がそこにあった。その鮮烈な姿には、ヒーローの存在を否定する連志郎の心を否応なく揺さぶる強烈な力があった。でも、それだけでは彼の道は拓けなかったでしょう。
この物語には、受け継がれる意志。誰しもが、誰かを守れるヒーロになれる、という主題みたいなものがあったと思うんだけれど、やっぱりそれを独りでやってのけるのは、繊細な若者には厳しいモノがあるんですよね。
彼の弱い部分を全力で支え続けたのが、紫織だったわけだ。彼女の出しゃばらないくせに肝心なところでは譲らず、守ってくれる強さはまさに内助の功というべきで、ここぞという時にいつも彼女が完璧な方向修正を施してくれた上に、最後にはあれですよ、ただ連志郎が戦いに行く姿を見上げ、見送るだけではなく、戦場ですら彼を孤独にしない選択を掴んだわけだ。
叔父さん、という理解ある頼もしい大人の庇護があり続けた、というのも大きいんだけれど、やはりヒーローにはパートナーの存在は、それも人生まるごと共有できるパートナーは不可欠なんだなあ。
彼が本物のヒーローとして立つまでに必要だった贄は、あまりにも大きすぎるものでしたが、それでも希望を背に戦う孤独ではないヒーローの誕生は、彼と彼女が幸せになる未来の可能性を掴んだのも含めて、祝福されるべき結末だったのではないかと。
これが、ヒーローという偶像に対する、榊さんの一つの結論か。

シリーズ感想

神殺しの英雄と七つの誓約<エルメンヒルデ> 1 ★★★☆  

神殺しの英雄と七つの誓約<エルメンヒルデ> 1 (オーバーラップノベルス)

【神殺しの英雄と七つの誓約<エルメンヒルデ> 1】 ウメ種/柴乃櫂人 オーバーラップノベルス

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「――みんな、俺の事を誤解してるんだ」
異世界より召喚されし十三人の救世主の一人、山田蓮司(ヤマダレンジ)。
彼は他の十二人と力を合わせ見事に“魔神”討伐を果たすも、その栄誉を捨て仲間と袂を分かち、行方をくらます。
時は流れ、正体を隠し相棒の“喋るメダル”エルメンヒルデと共に旅をする蓮司は、その日暮らしだが穏やかな生活を送っていた。
しかし、彼の平穏は魔術学院の生徒フランシェスカとの出会いをきっかけに終わりを告げる。
オーク討伐を請け負った蓮司たちの前に現れたのは、かつて滅ぼしたはずの“魔神”の眷属で――!?
『七つの制約(エルメンヒルデ)』が解放されし時、最強の英雄が再び顕現する!!
“神殺しの英雄”の称号を得ながら「英雄ではない」と言い張り続ける男の紡ぐ英雄譚、ここに開幕。
なるべく楽に過ごしたい。面倒事はかんべんしてほしい。わりとそんな風に嘯いて楽隠居を決め込んでいる主人公は多いけれど、このレンジくんは妙に実感が篭っていて、実際ダラダラと自堕落な生活を営んでいるのに、親しみを感じてしまいました、苦笑混じりだけれどw
酒飲んでクダ巻いてたり、美人なお姉さんに目移りしたりしているのもそうなんですけれど、本当にダラダラ生活するのを堪能してるらしいところがねえ……羨ましいw
まあこの生活出来るだけぼちぼち稼いで、だらだら過ごすという生活は先を考えると胃がキューっとしてくるので、自分には到底無理なんでしょうけれど、あんまり先のことを心配せずにサボっていられる余裕には嫉妬してしまいますねえ。いざとなればなんとでも出来るから、なんだろうけれど。幾ら自分なんて大したことがない、と自己評価低くても、そんだけ余裕あるんだからまあ……この野郎、って感じですよね、うんw
でも、メダル状態で人型にはならないものの、エルメンヒルデは完全に女房格ですなあ、これ。尻叩いて叱咤激励するタイプの。撫でられて機嫌よくしているあたり、チョロいようですけれど。ってか、人型にならないのにこれだけ正妻感があるのは凄いというか何というか。
でも、うんこうやって嫁さんにちゃんと働けと叱られながら楽そうな仕事をつまんで小銭稼いで、お酒飲んでへらへら過ごす、というのはある意味究極の平和なんじゃなかろうか。堪能してますねえ……。
昔の仲間達、特に年少組は本当にレンジのことを誤解してるっぽいですけれど。ダメ人間生活を堪能してるとはつゆほども思っていなくて、人知れず世直し旅してる、と思っているらしいですけれど。お兄さん、あなたちょっと頑張らないと恥ずかしくて子供らの前に立てないですよ、これw
ただ、子供らに慕われているだけあって、実に面倒見が良い男である。英雄の旅の当時、自分が年長だったというのもあるのでしょうけれど、ツライ場面や大人としての責任が必要な場面では子供たちの前に立って盾になり、一方であくまで自分は引き立て役として縁の下の力持ちに徹していたあたりは、実に出来た大人だったようで。そのわりには、場面場面でイイトコロ掻っ攫っていたようですけれど。肝心な場面にしか役に立たない能力の持ち主であるとはいえ。
仲間とたもとを分かって、などとあらすじに書かれているのでそれこそ決別したのかと思ってたら、仲間連中とはみんなと普通に仲良さそうで、安心した。あまりギスギスしてても、なんですもんねえ。子供というのはできてる子はちゃんと見てるところは見ているもので、レンジ君が敢えてしんどい役回りを背負って自分たちに華を持たせてくれていた、というのをよくわかっているようで、これは随分と懐いて慕っているようで、なんとも微笑ましい。
貴族のお嬢様で魔術師とはいえ才能もなく、外のことなど何も知らない世間知らずのフランシェスカのことも、あれこれと親身になって面倒を見つつ、前のめりにならずに彼女の意思ややる気を尊重して立ちまわってるあたりに、レンジが子供らや仲間たちとどうやって付き合っていたのかが透けて見えて、なんだか微笑ましくなってしまった。フランシェスカ嬢がえらい素直で真面目で聞き分けがよく聡明な子、というのもあるんだろうけれど、告げたことを真剣に考えて、丁寧に受け答えしてくれる様子にはすごく好感が持てたのですけれど、こんな子相手だとそりゃあ親身になっちゃいますよねえ。あの英雄の年少組もこんなんだったのかなあ。
エルメンヒルデとのツーカーのやり取りも含めて、鐘を打てば響くような意思の疎通が滞り無く出来て、レスポンスが素直に返ってくるやり取りというのはキモチイイですねえ。

一方で、かなり鬱陶しかったのがレンジくんが何度も何度もしつこく同じことを繰り返す言い回しですか。主に自分弱い発言なんですけれど、それ以外にももう聞いた、というような内容を何度も何度も短いサイクルで繰り返しつぶやくので、いい加減うんざりした次第。はいはい、聞いた聞いた、もういいから、と何度思ったことか。このあたりはもうちょっと何とかならんものか、とため息が漏れてしまいました。

神鎧猟機ブリガンド 3   

神鎧猟機ブリガンド 3 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 3】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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『ブルー・オーシャンズ・ガーデン』の事件後、損傷を負った“ブレイバー”と大悟は修復と再調整に入っていた。一方、連志郎と“ブリガンド”も和晃を中心に『武器』の試作をするなど、対“悪魔憑き”の緊張感は高まっていた。そんな中、“悪魔憑き”が同時多発的に五体現れる。一対一の戦闘しか経験のない“ブリガンド”に対する、亜麻音たち“フォスファー”の次なる一手だった。“ブレイバー”と“ブリガンド”は共に出動し制圧に向かうが、混乱の中で効率的な動きが取れない。そして苛立つ連志郎たちの目の前で、悲劇が起きる。局面打開のため再び共闘を呼びかける大悟に、連志郎は―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第3幕!
凄いな、フラグをちゃんと立たせてすら貰えずに退場させられてしまったぞ。あんまりあっさりしていたので、裏があるんじゃないかと勘ぐってしまうくらいに。
容赦無いといえば容赦無いんだけれど、盛り上げるだけ盛り上げて突き落とされるよりもダメージは少ないのかもしれない。連志郎ってあれでかなりメンタルが繊細であることが明らかになっているので、もし本格的に踏み込んできた段階でああなっていたら、ちょっと立ち直れないほどのダメージを食らっていたかもしれない。
何者も寄せ付けない鉄壁、を装っているようで大吾のヒーロー主義に対してムキになるところや全然冷酷に徹しきれてないところなど、何というか自分から他人を拒絶するほどの主体的な反応は示せてないんですよね。向こうから近づきたくなるようなキャラを振舞っているだけで。自分から突き放すことも拒絶することも出来かねるような、受動的な少年であるわけだ。
だから、紫織のささやかな不満やヤキモチの理由である、自分に対して彼が反応してくれない、興味を示してくれない、相手をしてくれない、というそれは、内気な少年の繊細な反応として見たら可愛いものなんですよね。紫織が考えているほど、連志郎は紫織のことをスルー出来ていないような気がするのです。敢えて見ないようにする、というのも意識している反応の一つと捉えるなら。
大吾の連志郎への馴れ馴れしさには、彼の「可愛げ」というものを無意識に把握しているからじゃないかなあ、という向きもあり……まあ、単に無神経、というところもあるんでしょうけれど。
いずれにしても、もうこの段階にまで至ってしまえば、単なる復讐者として復讐以外のすべてから背を向けて生きることは叶わないでしょう。ブレイバーとしての大吾の正義に共感を覚え、知り合いや友人が理不尽に死んでいくことに耐え切れず、敵を倒すためではなく守るために戦うことを選んだ時点で。
しかし、それだと単なるヒーローものになってしまうのも確かなんですよね。ダークヒーローものとしては、安易に世の正義と相容れてはいけないのである。そのための鍵となるのが、紫織の存在となってくるわけか。
彼を復讐しか考えない修羅の生き方から血の通った人間へと戻るための要だった存在が、彼を見守る者となっていた紫織だったのだけれど、彼女が再び「悪魔憑き」として世の中から排斥される存在になったとき、それも自分を庇って日常から、自分の前から消え去ろうとした時、彼が寄って立つ側はどちらなのか。
ヒーロー見参。しかし、それは正義のヒーローではなく、ただ一人のための英雄に。離れ行く彼女を引き止めるために、紫織の腕をつかみとる。あのラストシーンはなかなかに叙情的で、静かに盛り上がるシーンでした。いい具合に佳境に入ってきたんじゃないですかね。

シリーズ感想

神鎧猟機ブリガンド 2 3   

神鎧猟機ブリガンド2 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 2】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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鋼鉄の鎧“ブリガンド”を駆り、『悪魔狩り』を続ける斯波連志郎。情報統制されている中でも“ブリガンド”の映像はネット上に出回っており、その正体が何かという憶測が飛び交っていた。当の連志郎はあくまで復讐者であるという姿勢を貫くのだが、ある日その信条を揺るがす事件が起きる。そして亜麻音たち“フォスファー”は対“ブリガンド”の分析を進めており、反攻の機会をうかがっていた。そんな中、紫織が福引きで当てた優待券で、連志郎や綾たちみんな揃って海沿いのアミューズメント・パークへ行くことになる。するとそこへ“悪魔憑き”が現れ―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第2幕!
この紫織というヒロインの振る舞いは面白いなあ。基本的に彼女、連志郎に対して何か申し立てたり物言いをつけたり意見したり、というようなことは何もしていないんですよね。殆ど、何も言わないヒロイン。だけれど、決して思うところがないわけではなく、何も言わないからと言って意志薄弱な流されやすい性格をしているわけでもない。押し付けがましくないだけで、紫織という娘はけっこうはっきりとした明瞭な意思を以って連志郎にプレッシャーをかけてるんですよね、これ。本人は戸惑い迷い自信なさげに振舞っているけれど、一方で連志郎を傍らで「見続ける」という行為に関してはかなり強い目的意識と確信をもって行っている。
あの「見守る」という観測行為は連志郎に対してかなり「促してる」感じなんですよね。
押し付けがましい言葉ではない分、余計に彼女の視線は連志郎に自分を省みる機会を与え続けている。ずっと見られている、或いはずっと見ていてくれているというのは、どうしたって自分がどう見られているか、が気になってしまうもの。恥ずかしい振る舞いは出来ないし、無様な真似も見せたくない。そう頭をよぎるものがあれば、じゃあ自分にとって何が恥ずかしいのか、何が無様なのか、彼女にどんな風に見られたいのか、というところに意識はあてられていくものです。彼女の視線に、自分への信頼があるなら尚更に。
さて、そんな視線を無視できるほどに視界が狭くなっているならともかく、連志郎はなんだなかんだと復讐者を名乗るには、心をガチガチに固めた壁で覆っている、というわけではないからねえ。好きなものがあり、そこに拘りがあり、執着があり、好意がある。それは、心の余裕だよ。
その意味では、最初からダークヒーローなどには成りきれない主人公でありましたけれど、これほど早くチョロい側面をみせはじめたのには、紫織の影響は無視できないんじゃなかろうか。あんまり何もしていないようでいて、何気に存在感の大きなヒロインである。すでに、無言で寄り添い支える献身的ヒロイン、という風情で鉄板の様相をみせはじめてるし。
まあだからこそ、余計に阿川の勘違い行為は気持ち悪さ覿面だったんですが。うん、幾らなんでもこれはキツイ。自分の痛々しさにまったく内省がないタイプというのはなんともなあ。
さすがにおじゃまがすぎたので、生贄扱いにもむしろ安堵を覚えたくらい、というのはさすがにアレかしら。

1巻感想

神鎧猟機ブリガンド 3   

神鎧猟機ブリガンド (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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きみに問う。ヒーローとは、なんだ?
若槻紫織は、正体不明の奇病〈悪魔憑き(デモノマニア)〉の患者であり、明日にもその命を終える運命にあった。
ある日、収容所に〈魔神態(ルシフェリオン)〉と化した〈悪魔憑き〉が進入し、紫織にも運命の時が迫る。
しかし、その時突如現れた鋼鉄の巨人が『悪魔』を殺し、紫織を救った。その事件後、紫織に〈悪魔憑き〉の
兆候が見られなくなり、退院して新たな高校に通うことになる。
そして登校初日、紫織は鋼鉄の巨人の中にいた少年・斯波連志郎と再会する。連志郎も〈悪魔憑き〉であると同時に、
『悪魔狩り』の特殊能力を持っていた。悪魔の力を御する鋼鉄の鎧〈ブリガンド〉を駆り、「悪魔」を狩っていて――。
鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、開幕!
ああ、これは思いっきり【ストレイト・ジャケット】の系譜だなあ。ただ、あちらに比べて少年少女が主人公で、舞台も日本のせいかダークさ、救いの無さは幾分かマイルドになっている……ような振りをして、実は絶望のどん底から希望を掴むに至る物語だった【ストジャ】に対して、こちらはまだ「堕ちる」余地が残っているとも言えるので、油断はできないんですよね。<悪魔憑き>になってしまった人に対する対応も、現状でかなりキツいようで世間的にはまだ噂レベルでとどまっているので、今後<悪魔憑き>にまつわる事件が頻発することで、世論が強圧的になり紫織や連志郎への当たりが酷くなる可能性もありますしね。実際、既にブリガンドが悪、ブレイバーが正義という一方的な認識による虐げの気配は出てきてますし。
もっとも、連志郎という少年はそもそも人間に対して何の期待も感情も向けておらず、正義の味方・ヒーローという存在についても隔意を抱いているので、世間の敵意をそのまま絶望として受け取る事はないのだろうけれど……本当に人間に何の期待もしておらず、ヒーローを憎んでいるわけではない、というのは紫織の視点からも透けて見えてきている要素なので、振れ幅は充分準備されていると考えてもいいのでしょう。
となると、やはり鍵となるのは連志郎の真実の姿を知っていて、自身<悪魔憑き>の因子を抱え持っている怪物であり虐げられる側でもある紫織という少女の存在になるのでしょう。誰にも理解されない事を前提としていたはずのブリガンドの活動に、初めて現れた外部からの理解者、受け入れてくれる人。そう、彼をヒーローとして見てくれる人。
私は、世界の、社会の、秩序の為の、無辜の一般市民の平和を守る正義の味方ではなく、ただ一人の少女の為のダークヒーロー、という路線も決して嫌いではないのですけれど、さすがにその路線はないか。紫織が、そんな孤高を認めないだろうし、連志郎自身学校の友人たちを含めて本当の意味で人と距離を置いているわけではなく、情をなくせるほどスレているようには見えないからなあ。ただただ、彼は幼いころに傷つけられた傷の痛みに苦しんでいる、とも言えそうだし。それに、ブレイバーの操縦者とオペのコンビの二人からして本当に良い子らなので、よっぽどの事がないと偏向した正義の味方にはならなさそうだし。まあ、よっぽどの事があればわかりませんけれどw
しかし、このブレイバーって、どうみてもパトレイバーっぽいんですけど(笑

ベン・トー 11.サバの味噌煮弁当【極み】290円4   

ベン・トー 11 サバの味噌煮弁当【極み】290円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 11.サバの味噌煮弁当【極み】290円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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狼たちの集大成!
半額弁当争奪戦、ここに極まる!!
半額弁当バトルに青春を賭ける佐藤洋は魔導士に拒絶され、涙する槍水を見て以来、HP同好会の部室へ向かう足が遠のいていた。そしてその夜を境に佐藤、槍水共に弁当の奪取率が急激に落ち込んでしまう。この状況を変えるために、白粉は一人魔導士へ戦いを挑むのだが…。そして悩める佐藤が狼として、男として槍水に告げた決意とは…? 「最強」の称号と【極み】と名付けられた弁当を手にするため、今、狼たちが集結する! 半額弁当をめぐる青春シリアスギャグ・アクション、史上最大の特盛りで贈るクライマックス!!

ちょっ、ちょっと待て。もしかして、狼を極めてしまうと必然的にスーパーの半額神へとクラスチェンジしてしまうのか!? 最強へと至った狼の就職先はスーパーなのか!?
実は先刻読んだ【ベン・トー】の漫画版でチラッと未来編みたいなパートがあったんだけれど、これは茉莉花の夢、という形にはなっているのだけれど、オルトロスの二人も半額神になってるんですよね。今回明らかになった、狼の前代とも言うべき「騎士」たちの頂点に立った男の征く果てを見てしまうと、さてはウィザードも将来半額弁当争奪戦に携わる職業についてしまうのではないかと想像してしまったじゃないか。日本みたいなスーパーの形式を持たないアメリカなどでは、半額弁当争奪戦などは無いそうなのだけれど、そこはウィザードがどうにかしてしまいそうな。なにしろ、天才だしな!!

その天才様の顔を青くさせた白粉は、間違いなく今回のMVPだったんじゃないでしょうか。もしかしたら、ラストの魔導士との最終決戦よりも、白粉の死戦の方が熱かったかもしれないというほどに。正直、白粉があんなにかっこよくなるなんて想像だにしていませんでしたよ。もうずっと「モンスター」化してしまっていたのに、最後の最後にあんなに覚悟決まった誇り高き狼になるなんて、ズルいよ。
覚醒した白粉の能力もまた凄まじかった。あれ、単純に弁当をゲットするだけなら、魔導士に勝ててましたし。能力を悟られるまで、実際圧倒してましたし、取れる場面もありましたから。ってか、もはや弁当争奪戦という舞台で使うには能力のスケールがパなすぎるよ!(笑
まあ、スーパーという限定空間でしか使えない能力だろうから、まさに弁当争奪戦にしか使えないんだろうけれど。白粉の敗因というか、魔導士が指摘するところの彼女の狼としての足りなさは、結局「食べたい」という飢餓感の少なさなのかな。彼女は最初から空腹に対する飢えた感覚、美味しい弁当を食べたいという意気が他の狼に比べて薄いところがありましたし。彼女が「腹の虫の加護」を十全に受ける事ができるようになったら、とてつもない狼になれそうなんだがなあ。肉体的な弱さってのは、この半額弁当争奪戦の場合概ね「腹の虫の加護」で克服できるものらしいのは、白粉以外の女性陣がまったく力勝負で引けをとってないことからも明らかですし。

しかし、今回は魔導士との戦い、最強の称号を巡る動きがあまりにも中心すぎて、「うまい弁当を食べるコトこそ至上」という物語の芯とのバランスが非常に危ういものだった気がします。確かに、佐藤の勝利の要因はうまい弁当を食べたい→誰かと一緒に食べる弁当こそ最高の味、という結論で、主題こそ貫けていましたけれど、どうしても最強の座や、恋愛修羅場が話につきまとい続けていたので、戦う理由の研ぎ澄まされ方がぼんやりしていた感じなんですよね。その意味では、広部さんの回に比べて純粋さに欠けてしまうし、逆に戦いの価値がメインだったオルトロス回と比べても、戦う人たちの心に余分が多かった気がする。そもそも、肝心の魔導士がラスボスとしてはやや下衆になってしまって、品格を落としてしまってたからなあ。図らずも、2巻のモナークことパッドフットと似たような雰囲気になってしまった気がする。そのパッドフットが今なお狼として健在で、佐藤と一緒に弁当を食べるシーンに至ったのは、ちょっとじゃなく感動してしまいましたけれどね。
場に出れる人は集えるだけ集まり、出れない人もその最強を決める最後の戦いに思いを馳せ、はじまった最終決戦。これは火が盛り上がるというよりも、聖火リレーみたいな感じで、最後の魔導士と佐藤の激突まで戦いの中でも皆が橋渡ししていくような雰囲気で、そうですねえ、劇場版のクライマックスシーンみたいな流れそのものでした。だから、幕が引いていくのをぼんやりと見送っているような感覚でしたね。
なんだか興奮するよりも、終わっていく感じが……寂しかったです。
個人的に、圧倒的に著莪派だったんで、先輩エンドは佐藤の気持ちは本気度はともかくわりと一貫していて納得は出来ましたけれど、だからといって嬉しくはなかったですね、こればっかりは正直な気持ちとして。著莪の内助を見てしまうと尚更にねえ。先輩、全然気持ち向いていませんでしたし、ずっとヘタレたまんまで狼としてもヒロインとしても見せ場らしい見せ場は殆どありませんでしたし。
むしろ、白梅ルートもありだったんじゃないか、と思える今回の白梅さん。いや、恋愛的に脈ナシなのはわかってるんですけれど、バレンタインでチョコくれたあたりから彼女の佐藤への当たりがものすごく柔らかくなってて、さらに今回のあの態度でしょ? ガチレズだけれど、結婚くらいならしてくれるんじゃないか、とか思っちゃうじゃないですか!!(逆ギレ

ちなみに、佐藤がついに魔導士に打ち勝つ「真理」に辿り着いたのは、狼としてでも先輩への想いゆえでもなく、ひたすらに「真のセガユーザー」だったが故、にしか見えないのは自分だけだろうか。
いやだって、ようやく得た最後の答えを語るシーン、ほとんどセガ語りだったじゃないか!! セガを愛する心こそが、佐藤洋を魔導士をも上回る真の騎士の高みへと導いたようにしか見えない。つまり、セガ最強! というのが、このベン・トーの結論だったんだよ! って、弁当全然関係ねえ!! 
つまり、このベン・トーの真のタイトルは「セガガガ2!」だったんだよ!
……お後が宜しいようで。

物語的にはここで終わってもおかしくないのだけれど、どうやら最終巻はもうひとつ先の模様。もう少し続くんじゃよ、ですか? こっから、どう収集つけるんだろう。

シリーズ感想

ベン・トー 10.恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円5   

ベン・トー 10 恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 10.恋する乙女が作るバレンタインデースペシャル弁当350円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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甘いだけじゃ、満足できない。
狼たちのターゲットはビター&スウィートな半額弁当!
そして乙女たちのイベントをきっかけに起こる事件とは…!?

半額弁当バトルに青春を賭ける佐藤洋は、節分の日限定の特別な弁当『鬼斬り弁当』に狙いを定めるが、そこへ新たな狼が現れる。「退魔師」という二つ名を有するその狼は弁当だけではなく、なんと白粉を標的として現れたのだった。さらに白粉につきまとう悪しき虫がついたと認識した白梅が介入し、状況はより混乱する一方に。そんな中、間近に迫ったバレンタインデーを前にそわそわする佐藤に、槍水は予定を空けておくように言うのだが…!? 庶民派シリアスギャグアクション、狼たちの想いが交錯する第10巻!!
あれ? これ誰だ? と思ったら、帯の方に書いてあった。って、ウルフヘア!? ちょっ、茶髪差し置いてお前が表紙飾るんかい!!
いや、でもこの娘最近にいたっては確かに茶髪よりもよっぽど出番増えてきていましたし、今回なんぞ殆ど準メインクラスで出ずっぱりでしたからね、この抜擢もありなのではないかと。しかし、中の挿絵でもまだ描かれてなかったんじゃないかな。思ってたよりもずっと可愛かった。実際、この娘性格もかなりマトモな部類で可愛いんですよね。男勝りのワイルド系なのかと最初の頃の印象で思っていたら、意外なほど優しくて情に厚いし、人の良さも見受けられて、けっこう「佐藤くん佐藤くん」と懐っこく佐藤にも接してくる。この「佐藤くん」の君付けが何気に新鮮というかポイントなのです。これが呼び捨てだったら、ここまでキュンとは来なかったでしょう。この娘、同じ学校なんだからハーフプライサー同好会に入ってもおかしくなさそうなんだけれど、なんでか縁がないというか、佐藤たちにも彼女を加えようという発想がないようなので、仲間入りとかはなさそうだなあ。
さて、本編の方ですが相変わらず濃厚というか濃密というか、なんか読んでて実質二冊分あったんじゃないか、というボリューム。実際、毎度のごとく嵐のように削りまくったそうで、随所に「この話はまた別の機会に」と、面白そうなネタがトバされてしまってるパターンが見受けられて、別の機会って何時なんだよ!! と頭掻き毟りたくなります。いやもうほんとに面白そうなんですよ、そのトバされたネタが。絶対笑えるに決まってるのに。もう一冊出すごとに、削ったネタで短篇集か掌編集も一冊作ったらどうなんだ、と言いたくなるほど。
しかし、今回は退魔師編とバレンタイン編と本当に大まかにニ編に分かれていたものだから、退魔師編があらかた片付いたあたりで、そろそろ終わりかと思ったらまだ半分近くページが残っていたときには「うおっ」と素で驚きましたね。もうガッツリ一冊読み切った気で満足してましたから。この大盛り感はお得だわなあ。

前半の退魔師編は、東北の金糸雀の歌につられてやってきた新たな狼、退魔師がよりにもよって白粉につきまといだすという、ある意味飛んで火に入るなんとやら、の展開だったのですが、何気にいつもの腐った思考に走るのではなく、白粉が熱くなっていたのが印象的な話でした。白梅が首を突っ込んだせいでそれどころじゃなかった、というのもあるんでしょうけれど、というか普通にけっこう白粉クリーチャーなネタはふんだんにあったはずなんですが、あの程度ではもうなかったも同然に動じないあたり、相当読んでる此方にも腐海が侵食してきているような気がします。しかし、白粉も当初からトリッキーな狼としての資質は見せていましたけれど、ここ数巻での半額弁当争奪戦での成長っぷりは見間違いではなかったらしく、ついに【幽霊(ザ・ゴースト)】の2つ名が彼女にもつくことに。サラマンダーを出しぬいたときのように、ハマった時の白粉はちょっとすげえ格好良いんじゃないか、と思えるくらいにキレキレのハンティングをするようになったもんなあ。
白粉も二つ名持ちに成長するのにあわせるように、佐藤の変態振りがそろそろリアル犯罪の領域に突入してきたような気がするんですが……。まだ以前【変態】の二つ名がまかり通っている時期のほうがまともだったぞ。あの頃はまだ偶発的、事故的に変態行為に走ってしまっていた傾向があったのに、最近ときたら思考が完全に危ない変態そのものである。今なら二つ名が【変態】でも何も違和感がないんですがw もう気を失っている白梅への変態行為が、筆舌しがたいもので、こいつ極めてやがる。なぜそこで自分が脱ぐという発想にすっ飛んでいく!!w
肝心のスーパーでの戦いでは、久しぶりに二階堂と佐藤の「ツードックス」が見られて大満足。やっぱり、このコンビいいわー。今や【カペルスウェイト】という二つ名を得た佐藤ですけれど、この戦いではもう一度「ツードックス」に立ち戻っての共闘コンビ戦。この二人を見て白粉が猛るのも、段々と理解できそうになってきてしまったぞ。

さて、後半は恋の炎が燃え盛るバレンタイン編。重ね重ね不思議なんだが、この極まってる変態がなぜか「リア充」なんですよね。後半のバレンタイン編でのチョコレート回収率の高さは、普通に笑っちゃうほどなんですけど。いや、意外とみんな「普通」にチョコくれるんですよ。ギャグとか仕方なくとかじゃなく、普通に自然に女の子たちが佐藤洋にチョコをあげてくるのです。なにこのボーナスステージ。
特に白梅さんとか、これ何気にガチじゃありません? 本人は白粉一筋ですし、そんなつもりはないのかもしれませんけれど、義理チョコにしたって彼女、佐藤以外には誰にもあげてないんですから。そりゃ、周りも勘違いしますって。普通に見たら、マジチョコにしか見えないですもん。
一方で、マジで恋話に発展したのが、オルトロスのまともな方こと妹の沢桔鏡。前々から彼女の二階堂への態度にはそれっぽい雰囲気がちらほらとにじみ出てたんだけれど、バレンタインに託けてこれほど直球でアタックしてくるとは思わなかった。まさに青天の霹靂!! 相変わらず二階堂はモナークの人妻松ちゃんに未練タラタラで、店員である彼女のチョコがオマケでついてくるバレンタイン弁当にご執心なんだけれど、それを知ってなお覚悟を決めて勇気を振り絞って、チョコと同時に告白してのけた鏡の、恋する女の子の頑張りには思わず感動。うわー、いいなあ、こういうのいいなあ。ちゃんと告白込みで受け取ってもらえた後、姉の胸で思わず泣いちゃう鏡の姿に胸キュンですよ。こういうこっ恥ずかしいくらいド直球の恋話も書けるんだから、侮れんよなあ、この人。しかし、このシーンがあとで対比となって効いてくるとはこの時点では思いもしなかったのですが。
女子高生が純真無垢な恋心をキラキラと輝かせる一方で、こちらの小学生は妖艶極まる色気でもって迫ってくるわけで、世の中いろいろ歪んでくる。相変わらず、槍水茉莉花のエロさは頭ひとつ抜けている。小学生にも関わらず、なんだこの圧倒的な妖艶さは。完全に魔性の女そのものじゃないか。これ、佐藤じゃなくてもロリコンじゃなくてもヤバいですよ。陥落しますよ。食べられちゃいますよ、小学生に。
「センパイ、早く……お姉ちゃん帰ってきちゃう」
「センパイ……今の、大胆です」
「ふぁあっ、そこっ! センパイ……センパイッきちゃうっ! あっ、もうっ……もうっ!」
おまえら、いったいなにをやってるんだw
この小学生に負けず劣らず、最近やたらと婀娜っぽさを垣間見せて来るのが、幼馴染の著莪あやめ。出番は決して多くないんだけれど、彼女の場合逆に存在感が大きすぎて出番が多いと他ぜんぶ食っちゃう傾向があるんですよね。だから、出番が少なくても出てしまえば強烈な印象を残していく。
ここしばらく、佐藤と著莪の関係というのは非常に土台がぐらついてきていて、著莪も思うところあるのか微妙に佐藤に対する当たりを変えてきているんですよね。自分との恒例行事を差し置いて、槍水センパイとの約束を優先してしまった佐藤に対して、表立って文句は言わないものの露骨に拗ねたような、不満たらたらのような、寂しそうな顔をみせもって、何かをやきつけるように濃厚なキスマークを彼の首筋につけて送り出したあたり、ちょっと壮絶なくらいの女の情念がかいま見えて、なんか凄かった。
佐藤もそろそろ、自分の身辺についてちゃんと考えるべきなんだろう。まあ、槍水先輩のあの無自覚な無防備さにコロッと行ってしまっていたのも仕方ないんですけどね。あの人は、男心を全然理解してない節があるからなあ、妹と違って。あれだけ男に期待を持たせて、餌を見せびらかして、結局食べさせてあげないとか、あれはあれで妹と違うベクトルの悪女ですよ。
槍水先輩の想いの先については、多分そうなんじゃないかな、という素振りがあったんでその意味では意外と言うよりもやっぱり、という感が強かったのですが、ウィザードの態度はあんまりっちゃあんまりだわなあ、あれは。いやでも、突き放すような言葉とは裏腹に槍水先輩の頭を軽くポンと叩く仕草は優しさが垣間見える気もする。金城先輩も決して無神経な人でないのはこれまでのエピソードで示されていたと思うので、彼があれだけの態度に出るだけの何かが、やはりHP部崩壊の際にあったのでしょう。烏頭みことと槍水先輩の関係の拗れというのは一端にすぎないんだろうなあ。ついに、長年の懸案であったHP部の過去に踏み入る展開になるか、これは。
考えてみると、佐藤洋が本気を出すのはいつだって自分が報われるためではないんだよなあ。ならば、これもまた必然か。

アサウラ作品感想

ベン・トー another Ripper's night4   

ベン・トー another Ripper's night (愛蔵版コミックス)

【ベン・トー another Ripper's night】 漫画:柴乃櫂人/原作:アサウラ 愛蔵版コミックス

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半額弁当を奪い合う戦場に雨の日にだけ現れ、他の狼たちに切り傷を残して誰にも見られずに弁当を奪って行く謎の『狼』、「ジャック・ザ・リッパー」。そんな噂を聞き、興味を持った著莪あやめはひとり調査をはじめる。不可視の狼の意外な正体とは…!? 一方、双子の狼「オルトロス」も「ジャック・ザ・リッパー」に目をつけ動き出していた――。コミックだけでしか読めない誇り高き『狼』たちの半額弁当争奪戦!!
半額弁当争奪戦【ベン・トー】のスピンオフストーリーを、原作のイラストレイターである柴乃櫂人さんが漫画として描いた第二弾。第一弾が、まだ漫画としてこなれていない部分が多々見受けられたのと比べても、この二巻はあれ?と思うような違和感が綺麗に消えていて、抜群にうまくなっていた。元々原作の挿絵も手がけているだけあって、描かれるキャラはそのままだし、長い付き合いでもあるのでキャラの特性も充分に掴んでいるため、ベン・トーの漫画化としては非常にスムーズかつ自然な出来栄えになっている。アニメはあれでちょっと独特の路線に進んでしまった分、この漫画の方はそれだけ原作に親しい映像化、とも言えるだろう。その上、この第二巻は元々アサウラさんが原作用のプロットとして仕上げた脚本を元にしているため、ボツネタとして日の目をみないはずだったお話を読める、ということで多重に美味しい話でございました。
主役は、本編では出ると鉄板ヒロイン過ぎて存在感がありすぎるために何気に出番を減らされている感のある著莪あやめ。そして新登場のゲストキャラは雨の日にだけ現れるという謎の切り裂き魔「ジャック・ザ・リッパー」。そこに、強者を付け狙うオルトロス姉妹も絡んできて、と狼という存在の孤高さと誇り高さ、そしてただひたすらに弁当を欲し、戦って勝ち取ったが故の、そして誰かと食べる美味しさをこれでもかと堪能できる実に【ベン・トー】らしいストーリー。著莪の何気に面倒見よくて好奇心旺盛なところや、最近シモネタ連発の変態さばかりが際立ってる沢桔梗のオルトロスらしい怖さと、オルトロス姉妹が常に求めていると同時に与えようとしているものが存分に描かれていて、実に満足でした。色んな二つ名持ちの狼が出てきてますけれど、そんな中でオルトロスは未だにキャラの濃さでも、過去のトラウマから現在に繋げ求めようとしている狼としての在り様も、頭ひとつ抜けて別格ですからね。ラスボスとしても頼もしい仲間としても火花散らすライバルとしても、どんな立場にでも立てるオールマイティさには瞠目するばかりです。あと、他の追随を許さない女子型変態性についてもw まあこれについては妹の鏡は完全に姉の煽りを食ってますが。妹は普通なのにw
ともあれ、一冊完結で大変おもしろかったです。ラスト近辺の著莪とジャックが同じ弁当の袋の持ち手と持ち手を持って、手をつなぐみたいにして歩いているシーンは出色でした。良かった良かった。

ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~4   

ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~ (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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欲深い、味わい。
狼たちの至極の箸休め!

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、冬休み明けの部室で槍水の掃除を手伝うのだが、そこで起きたアクシデントをきっかけに禁断のフェティシズムの世界へと飛翔することになり…!? そして白粉が初体験した年末年始のビッグイベントにおける豊潤なエピソードや、それを見守る白梅との過去が明らかに!
書き下ろしの他にウェブ掲載された短編や、雑誌掲載の『間食版』、白粉花の新作『獣道』をアツくレビューする『ANの5時の読書会』まで収録! 様々な意味で濃厚に仕上げた(当社比)庶民派シリアスギャグアクション、狼たちの欲望うずまく9.5巻!!
先の短篇集【箸休め】を、箸休めというには厚いし濃すぎるよ! と喚いたら、今度の短篇集は濃厚と自ら銘打っていた(笑
今度はサブタイトルに偽りなく、濃いは厚いは……そして味わい深いなかなかしっとりとしたお話もあり、と何だかんだと盛りだくさんで、これもまたパーティーサイズとでも言うのか。


【ボーダーをブレイク】

佐藤が基本的に白粉と対して変わらない高レベルの変態だというのを改めて実感するまでもなく奴は変態なのだけれど、それでもなお変態性を畳み掛けてくるあるフェティシズムの局地を、しかし局地と見せずに平常運転で運行している事が尚更に変態性を極めて居るのだということを実証している実録挿話である。
槍水先輩の太ももをモミモミ。
女性の御御足を蹂躙したことはともかく、その感覚を後生大事に寮にまで持ち帰って長く反芻するつもりだった佐藤キモいw
揉む奴も揉む奴、揉まれるヤツも揉まれるヤツ。さり気なく先輩も無防備なので、あらゆる場面で反対の餌食になっているのである。この人もその内悪い男に引っかかりそうだな。ウィザード、なんとかしてやれ。

【簡単な質問】
沢桔梗は末期である……。
この人、ホントになんでこんな得体のしれない方向性に突っ走っちゃったんだ? 「どうしてこうなった?」の実例である。最初からこうだったのなら、なおさら嫌だなあ。しかし、この姉は恋人は姉妹で共有というのは考慮するまでもない自明の事実以外の何物でもないのか。それはそれで凄いが完全にエロマンガの住人である。鏡の苦労が偲ばれる。が、妹が逃げ出さずに何だかんだとこの姉といつもいっしょにいるのは、この面倒くさいほど手間のかかる姉が好き、なのか姉の面倒くさい世話がかかる部分が好きなのかは興味の湧く部分である。もし後者だったならば、案外男の趣味も姉に似た面倒くさい男なんじゃないだろうか。自分では、自分と一緒になって姉の暴走を食い止めてくれる自分側のタイプ、と言っていたけれど。私は、案外高清水くんはこの姉妹と波長の合うタイプの男だと思うのだが。性欲はまあなんとかなる……ならんか。やっぱり、佐藤とその寮のメンツくらいの変態性がないと持たないのか。


【有明の狼】
白粉の夢とは言え、それだけ半額弁当奪取戦とこのお祭りには共通性があるということなのか。レギュラーが茶髪、坊主、顎髭だというのは、白粉の認識の中で彼らの比重は他の二つ名持ちの狼たちよりも大きいからなのか、単に身近だからなのか。顔見知り程度、という距離感がいいのかな。


【間食版4 その存在価値】
間食版は、槍水先輩が新米のぺーぺーで先輩たちに囲まれて居た頃のお話である。こうして見ると、槍水仙って烏頭というひねくれた先輩に、最初はちゃんと可愛がられてたんですよね。性格は悪いけれど、烏頭は烏頭なりに仙を育てようとしていて、仙もそれに応えている。理想的な先輩後輩とは、相性も良くないし、行かなかったんだろうけれど、それでもちゃんとした先輩後輩ではあったんだな。
あと、酢豚とパイナップルの関係は知らなかったよ!!


【白粉花の年末】
……血迷ったことを言うようだが、【獣道】って凄く面白そうじゃね? アンさんの紹介記事が抜群に上手いからなのか、普通に白粉の本が面白いように見えてしまったw
そして、白梅が持ってきてくれたサンドイッチとサラダの美味しそうなこと美味しそうなこと。ただのサンドイッチとサラダのはずなのに、なんでこんなに美味しそうに描写できるんだ!?
どん兵衛の描写も去る事ながら、この作者の美味いもの描写はオリジナル弁当のみならず、むしろこうした普段から食べて味を知っている軽食やジャンクフードの時こそ引き立つのかもしれない。

【だいたいいつもそんな感じ】
佐藤と著莪の平常運転だそうである。特にオチやら前フリがあるわけでもない日常ネタだそうである。
何と凄まじい日常生活風景だよ!!
 佐藤の両腕が著莪の胴にゆったりと巻き付けられてきた。
「……なんだよ」
 佐藤は応じず、膝立ちのまま寄りかかるように体を密着させると、著莪のうなじに唇をつけるように長い金髪に顔を埋めてきた。鼻から大きく息を吸い、そして吐き出した彼の吐息がくすぐったい。
「少し……こうしていたい」
 あまりはっきりとは言わなくても、佐藤がこうして自分の髪に鼻をうずめて犬のように匂いを嗅ぐのが好きなのは、著莪も流石に知っている。だが、ここまでストレートにされたことはあまりなかった。
 著莪はグラスを傾けながら苦笑する。
「別にいいけど、今日のは佐藤のと同じシャンプーとトリートメントだよ」
それでも……こうしていたい。それはいつものような張りのない、佐藤の声。でも、耳のすぐ近くで囁かれると、どこか重みがあるように聞こえた。
他に誰もいない家の中で、二人きり、しかも風呂あがりという状況でこのしっとりとした空気感。ってか近い、距離感がチカすぎるよ、あんたらは!!
この後、普通に二人ちゅっちゅしてますし。キスするくらいはもうなんでもない事なんですよね、この二人。

【やっぱりいつもこんな感じ】
ノーブラTシャツ一枚とショートパンツの著莪と一緒にお風呂に入って抱き合うお話。
いやマジでw
結構……いや、滅茶苦茶エロいです、この話。著莪と佐藤の二人の話は大概エロいんですが、そろそろ限界突破しだしてる。ってか、エロ漫画の領域です、もう。

【間食版 特別編 いい塩梅】
ウィザードこと金城って、わりとくたばってるシーンの印象が強い。最初期の、弁当をダッシュしたものの力尽きて路端で倒れ伏しながら弁当を食ってた、というシーンが焼き付いているからか。倒れても倒れても弁当を離さない、という姿が結構ウィザードのイメージアップに貢献しているような気がする。ああいう姿勢がないと、容易にスカした兄ちゃんになってしまいそうなくらいスタイリッシュで格好良い人だもんなあ、金城って。

【波の音】
著莪と佐藤が二人で遠出して初日の出を見に行く話。この話で著莪と佐藤が、物心付く前から普通にチュッチュしていたという事実が明らかになる。というか、高校生になった今でも同じようにチュッチュしていることが明らかになる。ってか、初日の出を見ながらチュッチュする話である。
……さて、一体誰がどのようにしたらこの二人の間に割って入れるんだ? 


【白梅梅】
白梅梅の愛情が、決して浮ついた思春期の迷いだったり勘違いだったりするのではなく、人生を賭けた熱量の賜物だというお話。その恋は本気であり、その愛は本物である。たとえ、それが同じ女性へ向けたものであったとしても。たとえ、未来に待っているのがどれほど困難で世間から認められない苦行の道だったとしても、既に覚悟は完了しているのでありました。ここまでガチで、冷静に理性的に覚悟しているのなら、むしろ応援したくなる。いいんじゃないですか、その道を征くは。梅さんは、けっこうイイお嫁さんになれるタイプの人だと思ってたんで勿体無いっちゃ勿体無いのだが。ってか、唯一彼女だけは佐藤とくっつける可能性があると思ってたんですけどね。梅なら、著莪も咥えたまんま佐藤を踏みつけられるし……って、発想が沢桔梗の方に走ってる走ってるw
ところで、本作ってちょっとアレを思い出します。
【バニラ A sweet partner】。作者のアサウラさんのベン・トー以前のガチ百合ガンアクションピカレスクロマンの良作。またこの頃からすると随分と違った道に進んだものだなあ、と感慨深い。また、こっち方面も読んでみたいところですけどね。


シリーズ感想

ベン・トー 9.おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円5   

ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 9.おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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おかずたっぷり!ご一緒にいかがですか?
HP同好会、冬の雪山合宿!
そして奇跡のイベントが…!?
半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会は正月明け、冬の合宿へ向かう。槍水仙の愛妹・茉莉花も同行し、佐藤の心は密かに躍る。しかしその合宿地では元HP部の《大厄の闘牛士》と呼ばれる狼が待ち受けていた。彼は槍水と深い因縁があるのだと言うのだが…。さらに佐藤たちは《ギリー・ドゥー》こと禊萩真希乃とも再会を果たし、田舎のスーパーは激闘の最前線と化す! そんな中、茉莉花と佐藤がゲレンデでアクシデントに遭ってしまい、そして…!?
雪山に響く狼たちの咆哮! 香辛料が青春にピリッと効く、庶民派シリアスギャグアクション、第9巻!!
これでも結構ライトノベルは読んでいる方だけれど、この作者は本当に頭がおかしいと思ったのは古今を鑑みても三人しか居ません。川上稔、ろくごまるに、そしてこのアサウラ先生であります。
もうね、一方向ならまだしも、変態としても狼としても物語としても、多方向にキ印に至っちゃってて一体これ、何処に行こうとしているのか、何処まで行こうとしているのか。いろいろな意味で限界を探求しすぎだろうw
ともあれ、本巻のカラー口絵を開いてそこに描かれていた狼の姿を目の当たりにしてしまった時の、あの逆流してきたかのような筆舌しがたい感覚を、いかに表現していいものか恥ずかしながら全く思いつかない。思いついたらついたで人間としての大切な何かを踏み外してしまいかねない気もするのですが。
いやあ【ベン・トー】でけったい極まる狼が出てくるのも、狼のみならず変態についても大概こう、慣れてきたつもりだったけどさ、まだまだ全然舐めてたわ。あのビジュアルは、ホントにありえんて。思いつかんて。想像できへんって。ドヤ顔で「いいだろう、俺も本気を出そう。大厄の闘牛士、その名の意味を知れ」と物凄い格好良いセリフを吐いて、実際このシーン、クライマックスもクライマックス。物語も最高潮に達した最高の燃えシーンなんですけど、絵で見ると何度見ても吹く。笑ってしまう。思い出しても笑ってしまう。
明らかに、見えてる光景が狂ってるw
これを本気でやってるんだもんなあ。実際、茶化しようのないくらい真剣で熱い勝負なんですよね。劇燃えも激燃えなんですよね。
やっぱり、こんなの書く人、頭がおかしいとしか言いようがない。

という訳で、今回は年も明けての冬休み。以前からいくども話題に登っていたHP同好会の冬合宿がこの度の舞台である。かつて、槍水仙が腰巾着の異名を返上し、そして彼女を残してHP部が崩壊した発端となったという因縁の冬合宿。その出先で待ち受けるのは、かつてのHP部のメンバーであり過去に起こった悲劇を精算するために槍水への復仇を目論む【大厄の闘牛士】秋鹿雅であった。
と、以前からこの物語の最大のミステリーであり、根幹を担っているとも言えるHP部崩壊の真実が明らかに……なりそうでならない!! 秋鹿さんの物言いだと、別に槍水仙に対して恨みを抱いているとかそういうんじゃないっぽい。それどころか、自分が彼女を倒し、さらにウィザードを倒して最強の座を手にすることで、槍水先輩に科せられた何かを取り払おうという親心ならぬ先輩としての優しさが言動の端々から見え隠れするのである。尤も、槍水先輩その人は単純に他のメンバーとは決裂してしまい意趣を抱かれている、と思っているようで、心当たりはなさそうなんだが。
あるトラブルから結局、槍水先輩と秋鹿先輩との直接対決はお流れになってしまったものの、ここで漢を魅せるのが変態・佐藤洋である。最初は眼中にすら入れて貰っていなかった彼が、槍水先輩の教え子であり秋鹿から連綿とつながるHP部の栄光を担う後継者であることを認められ、死力を尽くして戦いながらも敵としてではなく、先達と教え子として教授し学びながら勝負を昇華していく光景は熱いと同時に感動すら覚える輝かしさだった。
そして、HP部を離れ、学校を卒業してなお置き去りにしていた心残りを、可愛い後輩である槍水の救済を、佐藤に託す秋鹿の無念と安堵の篭った清々しい敗北感が、また心に沁みるんだ。これほどの重く熱い決意と信念を、覚悟と後悔を……託せる相手に巡り合えたというのは、どういう気持なんだろう。わからないなりに、それも男の本懐なんだろうなあ、と思い馳せるばかりだ。

その託した相手は、生粋の変態なんだがな!! やっぱりこいつ、カペルスウェイトなんてイカシタ異名なんかじゃなくて【変態】で十分だよ!!
しきりと自分はロリコンなどではないと強調し、槍水茉莉花は幼すぎてあと1,2年は経たないと手は出さないぞ、と断言する佐藤洋。
だが待って欲しい。だが待って欲しい。
……槍水茉莉花は、現時点で満十歳である。
一年や二年経ったところで、まだ小学生だろうがこらーーーー!!!!
こいつ、この野郎、小学生を襲う宣言を堂々としやがったぞこの野郎!!!ww

そして、一、二年すら待つこと無く、本当にやりやがったこの変態ww マジでやりやがったww

こ・い・つ・は〜〜〜〜

ピッキングツール片手にガチで夜這いかけようとしている時点で既にアウトにも関わらず、ガチでアウトなことしちまいやがりましたよ、先生。もはや、再アニメ化など眼中にもないと言いたげな暴挙である(笑
これについては、茉莉花が魔性の女すぎる、という点も考慮に入れないといけないかもしれない。まさか、著莪の最大のライバルが槍水先輩ではなく、幼女・茉莉花だったとは。
ぶっちゃけ、佐藤と著莪の仲というのは既に一線越えたところで癒着ちゃって引き剥がすと死にそうな勢いなんで、他人が割って入る余地など何処にもないのですけれど(詳しくは公式サイトの短編を御覧じろ)、それでもなお可能性があるとすれば、この幼女である。この娘だけは、ガチで佐藤を喰い兼ねない凄みと迫力が備わってる。著莪との仲を目の当たりにしてなお、だからどうしました? と鼻で笑いそうな魔が潜んでいそうだ。
此処に来て、白梅のセクシーアピールが偉いことになってきてるんし、実際一番嫁度が高そうなの彼女なんだけれど、それでもなお対抗筆頭はこれ、槍水茉莉花だわなあ。まさかのダークホースだ。

しかし、白粉は白粉で佐藤と伍する変態で、HP同好会のメンバーは逸材揃いにも程がありすぎる。この二人が部を率いることになる世代は、いったいどんな惨劇になるんだろう。順調にイケば、あの頼もしいギリー・ドゥが入学してきそうなんだが、この娘は数少ない良心なだけに、本気で彼女頼りになりそうだなあ。
狼としては白粉も、ついに異名持ちになりそうな動きを見せ始め、そちらは楽しみなんですよね。白粉って、実は最初からかなり面白い動きをしていて、狼としての才能は最初佐藤よりも高そうだったし、実際奪取率はかなりのものだったから、どうなるかと思ってたんですが、しばらく「あっち」の方が忙しくてあんまり狼としての活動を目の当たりにする機会がなくて微妙にやきもきする部分もあったんですが……いや、今回はなかなか凄かった。かなり状況に左右される能力なだけに、安定した力は発揮できないかもしれませんが、それを言うなら佐藤だって発揮するパワーの振り幅がちょっと大きすぎるきらいがあるだけに、HP同好会に安定を求めるのはやはり間違ってるかw

意外な登場だったのが、まさかのサラリーマン・レッド再誕!! こいつ、短編のあの結果として人生オワタ、と思ってたら……何気に運いいよな、こいつw 
そのうち、絶対にまた警察のご厄介になりそうな……ってか既に何度かなってそうな生き様なんだが、悪い人じゃないんだよなあ。というよりもむしろ現代には存在できない類に正義の人なんだよなあ。結構、その語りには含蓄もあるし、社会人としての経験則に基づく見識ある言葉も多くて、良いことたくさん言ってるんですよ。やってることも親切で気配りも効いていて、とても助かる事が多いのに……なんでだろう、この残念感はw
こいつ、独りだと絶対アカン方向にすっ飛んでいきそうだから、首輪つけてしっかり捕まえていてくれて、しつけもちゃんとしてくれる相手を見つけたほうがいいんじゃないだろうか。誰か、いいオンナの人紹介してあげてください。
間違っても、佐藤の母みたいなのはダメでありますw
この母親、ある意味あのオヤジよりも凄いよな。というか、既に巻二桁に達しようとしている今まで、この母親がネトゲーしている以外のシーンを過去回想ですら見た記憶がないんだがw

シリーズ感想

ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円4   

ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 8.超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会ではメンバーの白粉に元気がないことを気に掛けていた。佐藤たちは彼女を元に戻そうと奔走する一方、クリスマスに合わせるかのように、『最も最強に近い狼』と呼ばれる猛者、サラマンダーが徐々に街へと近づきつつあるのを警戒していた。そんな中、槍水はHP同好会のメンバーと伝統である聖夜のパーティをしようとしていたのだが、白粉、そして佐藤も著莪と別の予定を立ててしまっていて大変なことに―!?トナカイより多忙な「狼」たちの聖夜。庶民派シリアスギャグアクション、全国の同志へ贈るクリスマス・ギフト。
おおおおっ、ついに、ついに佐藤にまともな二つ名が付いた!? 毛玉がサラマンダーが名づけ、ウィザードが立ち会い、毛玉が聞き届けたとなるとちゃんと定着しそうだ。特に情報通の毛玉の前で命名されたとなると、確実だろうし。しかし、ちゃんと「変態」も意味に込められてる二つ名になったんだ。もっとも「HENTAI」じゃなくて「メタモルフォーゼ」の方みたいだが。ある程度ムラがある、というかモチベーションの差によって大きく強さが変わってくる佐藤のことをよく考えてくれた二つ名じゃありませんか。調べてみると、懐っこい「ワンコ」としての特性も強いみたいですし。
一方で、冒頭から我らが「茶髪」にも【シリーコート】なる二つ名がついに命名。これまでの戦歴や印象度からも、彼女に二つ名がないのは違和感を覚えるレベルになってきていたので、むしろようやくと言った感じである。立場が人を作る、じゃないけれど、二つ名が付いたことで茶髪の立ち振る舞いにも風格のようなものが出てきたのは興味深い。折角二つ名がついたのに、無様は見せられないものな。
もしかしたら、槍水先輩も【氷結の魔女】の二つ名が付いた時からこんな風に威風棚引かせるようになったのかもしれないな。よく考えてみると、茶髪と先輩は同学年。どうやらデビューの時期も同じくらいだったようで、今回ようやく同じ高みに辿り着いた茶髪と、並び立って背中合わせで戰う二人の姿には燃えました。以前のダンドーと猟犬群相手に、【オルトロス】を引き連れて立ち向かった時と同じくらい、有象無象の【アラシ】の群れに、たった二人で立ち向かう魔女と妖精。カッコいいなあ、もう。

そんないつもどおり、かっこいい姿を見せてくれつつも、今回の槍水先輩はやたらとみっともない姿を見せることに。以前からチラチラと垣間見せてはいましたけれど、この人本当に面倒くさい性格してるよなあ。この頑なさは、将来絶対に何度も付き合ってる男と揉める原因となりえる要素だぞ。このシリーズ、何気に女性陣の多くは多かれ少なかれ面倒くさい一面を持っている。恋人持ちの連中は元よりとして、その他でもあの広部さんや著莪なんか、その代表だ。でも、広部さんも著莪も、一時的に見境はなくしても、常に冷静に一歩退けるだけの冷めた部分は持ち続けている。
著莪なんかその最たるもので、この女ほど相手との距離感を冷静かつ大胆に弄んでいる女は珍しいだろう。と言っても、それは佐藤相手だけみたいだけれど。普通の男友達相手にはむしろ慎重なくらいだし。
其れに比べて、槍水先輩は根本的に男慣れしていない分、加減がさっぱりわかってないんですよね。鳥頭みことに子供だと嘲られ軽蔑されるのもまあ仕方ない。あんな下手くそな甘え方を目の前でされたら、人によっては生理的に受け付けないだろうし。
佐藤はある意味、著莪との付き合いから甘えられる事自体には並の男性よりも遥かに慣れていると言えるんですが、実際は著莪の甘え方って完全に佐藤に合わせたものなので、傍目から見ると度の過ぎた理不尽でひどい甘え方でも佐藤の許容範囲は絶対に超えず、彼に不快感を与えないように制御されきっている。
加えて、佐藤って大らかというか鈍いというか、理由が明快な理不尽に対しては全く気にもしないので、白梅梅の横暴なんかも肉体的ダメージにはなってもあれ、精神的なストレスには一切なっていなかったりするのが興味深い。案外あの二人、相性いいんだよなあ。白梅の親父さんが妙に佐藤のこと見込んでいるのもあながち節穴ってわけではない。まあ、相性がいいだけで愛情が生まれる余地がさっぱり見当たらないのだけれど。
ところがだ、こと槍水先輩の我儘に関しては、佐藤はまるで対応が取れないのである。著莪に甘えられているようで実は甘やかされている佐藤は、さらに鈍感で大らかである分、実際にストレスを受ける事に耐性が乏しかったりする可能性もあるんだが、とにかく拗ねる女性への対処能力にちょっと欠けてるところがあるっぽいのだ。その辺り得意そうな山乃守さんを見習えばいいんだろうけどさ。でもまあ、今の佐藤だと咄嗟に反応できない。上手く宥めたり、相手の期待する言葉を並べ立てたり、という器用な真似はまあ無理なのだ。広部さんみたいな計算ずくで拗ねられる女性なら、そんな下手糞相手でも上手いこと言って欲しい事、やって欲しい事に誘導していくものなんだけれど、「子供」である槍水先輩は計算度外視で本気で拗ねているだけなので、むしろムキになって余計に拗らせようとしてくるものだから、まあ佐藤はイライラとストレスを貯めることしかできないわけだ。
そりゃもう、うまくいくはずがない。
著莪はよくまあ黙って見てるもんだなあ、と感心するね。ほんとこの娘、佐藤には甘いよなあ。確かにこの辺の佐藤に好きにやらせているところは兄弟同然に育った血の繋がった身内だと思う。多分、幼馴染みでも此処まで許容は出来ないよ。こいつは絶対に自分のものなんだ、一心同体なんだ、自分の手元から離れないんだ、ぐらいの確信がないと。その点、著莪は余裕ある。確信、あるんだろうなあ。
まあ、男子トイレに一緒に入って佐藤が小用たしているのを見物するのも両方平気な関係なんだから、そりゃあ余裕だわなあ……ねえよなあ、こんな関係。どんな変態だよ!! ベッドの中でも乳繰り合ってるしさ。佐藤のやつ、関心ないふりして著莪の体触りまくってたのかよ、このやろうw

ベン・トーバトルの方は、サラマンダーの南下に合わせて最近出てなかったキャラクターたちの近況も交えつつ、オールスターキャストの賑わいで。ちらっとしか触れられてなかったけれど、サラリーマンレッド、脱サラしたのか、おい。というか、会社クビになって無職ですか!?(笑
パッドフットは完全に引退したと思っていたので、偶に狼活動しているとはちょっと驚き。

もはや弁当なのか、想像もつかないクリスマス限定の超大物「超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版」をめぐる攻防は、クライマックスに相応しい盛り上がりの末の、まさに大団円、クリスマスらしい結末で、ほんとこの作者は上手く締めてくれますよ。こんなにニコニコ満面の笑みで幸せに終われるとは思わなかった。奪い合い、しかし支え合う。まったくもって、いいライバルたちじゃないですか。

そして、相変わらずまったく脈絡なくSEGAのウンチクに突入して平然と数ページを浪費する作者の情熱には痺れた。この人のSEGAネタは単なるちょっとした遊びのネタじゃなくて、いつだって本気だというのが伝わってくる。アニメもさ、バーチャとはわかりやすいネタじゃなくて、もっと一般人にはまるで意味不明だけれど、SEGA魂の人ならば理解できるだろうと信じる事ができる、くらいのきわどいネタで攻めればよかったのに。ネタは突っ込まれてこそだ、というのがよくわかる今回のSEGAネタだった。いやあ、さっぱり何を言っているやらわかんなかったもんな♪

あと、最近ニワカに新人のウルフヘアが台頭してきた感じ。まだまだ未熟とはいえ、これは次の年中くらいには二つ名がついてもおかしくないんじゃないだろうか。
今回はオルトロスのお二人がこれでもかというくらい堪能できましたし、ともかく豪華特別版という感じでお腹いっぱいでした、はい。

シリーズ感想

ベン・トー 7.5 箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜4   

ベン・トー 7.5  箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 7.5 箸休め 〜Wolves, be ambitious!〜】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP(ハーフプライサー)同好会は、槍水の妹・茉莉花のおねだりに端を発した一泊二日の旅行に行くことに! 季節外れの観光地に向かう一同だったが、途中で予期せぬアクシデントに遭ってしまう。そこへかつて出会ったあいつが現れ…!?
その他に、佐藤たちの旅行のウラで静かに起きた著莪とその友人たちの日常編や、ウェブ掲載された短編、雑誌連載で大反響をよんだ「間食版」も書き下ろし分を加えて収録! もはや短編集ではないボリューム感満点でお届けする、メガ盛りの箸休め、庶民派シリアスギャグアクション、狼が大志を抱く7.5巻!!

【1章 3.5倍】
サラリーマンレッド再び!! 冒頭、恒例の佐藤の中学時代のクラスメイトの武勇伝に腹を抱えて大爆笑し、体も温まったところでいざ、旅行編である。って、初っ端から掴みが濃すぎるよ、このシリーズ。延々と中学時代や佐藤家の過去のエピソード書き綴るだけでも死ぬほど面白い作品が出来てしまいそうだ。こんだけ腹が痛くなるほど笑える話ってそうそう無いぞ。
さて、旅行編においてどうやらサラリーマンレッドは準レギュラー化してしまったらしい。こいつ、そろそろ会社クビになるんじゃないのか? 色々と思い込みの激しい人ではあるが、決して悪い人ではないしこんな報われない人生を歩んでしまう人じゃないと思うんだが、世の中だいたいこのたぐいの人は七転八倒して面白い方へと転げ落ちていくのである。ご愁傷さま。
面白いのが、普段の半額弁当争奪戦が格闘強奪戦であるのに対し、旅行時における駅弁の場合は電車の発車時間を睨んだ障害物競走的なタイムアタックになるところ。普段の狼同士の戦いとはかなり毛色が違っている。前回の妨害ありの競争と違って、今回は文字通りのタイムアタック。それも事前に入念に作戦を練った上での協力プレイ。新鮮さの中に見ごたえもあって、面白かった。さらば、サラリーマンレッド!!
「うなぎ茶漬け弁当」ウマそうだなあ。めちゃくちゃ美味そうだなあ……。

旅館では白梅さんの若奥様というか若女将らしい上品な佇まいが拝めて大満足。このシリーズ、女性陣の数は多いけれど本気で佐藤とカップルになれそうなのって、著莪を除けばこの白梅だけのような気がする。まあ、白梅の場合佐藤にお似合うというよりも、賢妻としてどんな男だろうと見事に立てつつ完全に首根っこ抑えて理想的な家庭を作ってしまいそうなスペックの高さの持ち主なのだろう。
まさにパーフェクト嫁、なのだが残念ながら真性の百合であるために男全般に興味皆無なのだ。なんというスペックの無駄!!

【間食版】
ジャンプSQの漫画連載にオマケとして掲載されていたという掌編。さり気なく今までで初めて見る、槍水先輩の一年生時の記録である。【魔導士】こと金城との先輩後輩関係。いったいどんな風なのだろうとは気になっていたのだけれど、これホントに懐いてたんだなあ。慕っている、というのを通り越して子犬みたいに懐いている。色々と構ってもらえるのが嬉しくて仕方ない、という金城と一緒にスーパーに居る時間が楽しくて仕方ない、というのがひしひしと伝わってくる。金城は金城で、仙のこと可愛くて仕方なかったんだなあ。ただ、まだこの時点では仲のよい先輩後輩、にとどまってたんだろか。烏頭がまだ仙のこと目の敵にしてないもんね。まだ仲が拗れていない頃の烏頭先輩は、あれはあれで仙のことかわいがってたんだなあ。確かに、この頃の仙って年上から無条件で可愛がられるような懐っこさがあるんですよね。なるほど、妹の茉莉花はこの頃の仙とよく似てるわ。
過去のHP部がどんな雰囲気だったのか、今までずっと謎のベールに覆い隠されていたのでちょっとすっきりした。でも、烏頭の一件以降にさらにこのHP部壊れていくんだよなあ。ほんとに何があったんだろう。


【モモとカズラと】
紫華先輩ェ……。
HP部とは関係ない、槍水先輩がいつも学校でつるんでいる二人の友人、木之下桃と紫華鬘の人となり、なんというかこいつらもか……。別に半額弁当を狙い打つ狼たちだけが変人じゃないんだよな、この作品。押し並べて変人ばかりなんだ、うん。
カズラさん、途中までは極普通の人に見えてたのに。というか本人は全然そんなつもりないんですよね。なのに、行動は明らかに偏執的なストーカー。いや、むしろ佐藤にイカレて頭がそれだけになってムチャクチャやらかす、というのよりも、逆に何の執着もないにも関わらずナチュラルにああいう行動を取ってしまうほうが怖くないか!?


【天使の贈り物】
……表沙汰にならない勢いで既に犠牲者出てるんじゃないか? 偶然死体が発見できない形でどうにかなってしまって、たまたま捜索願が出されないように状況が転がってしまって、とか。あれで死人が出ていない方が不思議だ。【死神】あせび。著莪もよくまあ付き合っていられるものである。そのへんわりと素直に尊敬する。あれ、よっぽどこまめにお札仕入れてるんだろうし。忘れたら本気で死にかねんもんなあ。
なんというか、神仏のご利益ってほんとにあるんだなあ、と実感できるお話である。


【男子寮と従姉とバレンタインデー】
ごちそうさまです。
なにこの普通にチョコあげたりもらったりするよりも濃厚な話は。著莪と佐藤の関係ってむしろチョコやり取りする方が野暮なんじゃないのか!? これは矢部くんや神田くんが佐藤を追い出すのも無理ないわ。
佐藤って絶対恋人出来ても、著莪を優先するよな、これ。しかも、何の葛藤も疑問も抱かず。こりゃあかんは。鉄板とかいう以前に既に終了してる。


【ある日の著莪あやめ】
あのサッパリとして快活な性格から、普通に男友達も居て仲良く遊んでいるだろうなあ、とは思っていたけれど、仲良くしているからこそ、佐藤との接し方との明確な違いがくっきりと浮き出てくるわけで。
あれだけベタベタと佐藤と男女の垣根を平然と乗り越えるようなスキンシップを繰り返し、自分の財布のように佐藤にたかり倒している著莪が、実は他人とはちゃんとキッパリ一線を画して、体には軽いスキンシップだろうと一切触れさせず、ちょっとした食べ物飲み物の奢りすらやり取りしようといない事にはなかなか驚かされた。軽そうに見えて、むしろめちゃくちゃ身持ち固いのか、著莪って!!
しかも、マジ告白されて断った上で理想の男のタイプを聞かれた時の著莪が動転したまま答えてしまった、恐らくは何も繕わない素の理想像。これはもう、明らかに特定の誰かを指している一言で……あー、咄嗟に出ちゃったかー。こりゃ、著莪当人もびっくりだ。びっくりだけど、納得だろうなー。もう鉄板とか本命とかどころの話じゃなく、好きとか愛してるとか通り越してるよね。難しいことなんて何もない、ややこしい事になんて陥らない。もうどうしようもないわ、これは。
幼なじみスキーとして、今まで色んなカップル嗜んできましたけど、この二人だけはホンマ凄いわ。こんな凄い幼なじみ見たことないわー。堪能させていただきました、はい。

そういえば、久々に狼として戦う著莪を見たのだけれど、かなりの強豪になってるんじゃないですか、これ。二階堂と咄嗟に組んだとはいえ、あのオルトロス相手にイイ勝負して弁当もちゃんとゲットしているあたり。あんまり著莪が佐藤と同じ戦場で戦ってるシーン、最近は特に見ないので、本編ではそっちも久々に見たいものである。

にしても、短篇集というのは厚い、濃い、と特濃すぎる内容で。どこが一体箸休めだ!!
満足!

シリーズ感想

ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円5   

ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 7.真・和風ロールキャベツ弁当280円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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美味しいものには、毒がある!?
「このライトノベルがすごい!2011」第5位ランクイン!シリーズ第8作!

半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、ひょんなことから未曾有の経済危機に陥り、『変態』の二つ名を体現する日々を送っていた。そんなある日修学旅行で槍水が不在になる間、佐藤は彼女の縄張りであるスーパーを託されることに。しかし槍水と入れ替わるようにHP同好会に烏頭みことと名乗る美人OGが現れ、佐藤は彼女に翻弄されてしまうのだった。烏頭はかつてHP部が解散するに至った原因は槍水にあると告げるのだが――。毒を食わらば皿まで!「狼」の誇りを持って落とし前はきっちりつけろ!庶民派シリアスギャグアクション第8作!
まさかのアニメ化の一報に界隈が湧き立つ中で登場したシリーズ最新作。読んで改めて思ったが、この人天才だろう。完全に狂気を制御しきっている。それも、あらゆる種類の狂気を、だ。
これって、アニメ化にあたっての問題は、この【ベン・トー】という作品が内包する「狂気」を如何に見せるか、だよなあ。眼に見える部分である表層をなぞる事は幾らでも出来るけれど、はたしてそれだけではこの作品の本質とも肝ともいうべき部分をまるで見せることが叶わない気がする。差し当たっては、主人公佐藤洋のエキセントリックで一本スジの通った思考回路を映像という媒体でどれだけ見せられるのか、という所である。此処を取り逃がせば、この作品の本質は七割り落としたも同然だし。近年、ライトノベルがアニメ原作となるケースが物凄い勢いで増えているけれど、【ベン・トー】みたいな作品は、文章によって起こされた物語を映像に変換する難しさを思い出させてくれるような作品で、正直アニメ化についてはそれほど期待し切れないんだよなあ。
アニメ化の話はさておいて、本編の方はついにこれまで引っ張られたHP部解散の謎の一端を抱えて、OG【ウルフズペイン】烏頭みことが現れる。
まさか、ここまでべっとりと粘度の高い女の情念を、ベン・トーで見せられる事になるとは思わなかったなあ。今回当事者の一人である槍水仙は修学旅行で不在、著莪あやめも実家に帰っているなどして出番は非常に少ないのだが、なるほど今回の話に置いては槍水仙と著莪あやめは言わば登場してはいけない役だったんだなあ、と納得。洋にとって、二人は憧憬と安らぎの象徴みたいな所があるんですが、烏頭みこととの対立が深まる状況下で洋が二人と逢う事は精神的な敗北へとつながっていたわけです。修学旅行に行っていた槍水先輩はともかく、著莪については週明けには戻ってきてたわけで、逢おうと思えば逢えたはずなのに、実際一度心の安定を求めるかのように著莪に逢いに行こうとする機会があるのですが、結局二人の介入を許すこと無く洋の戦いは続くことになる。今回の話は洋にとっては完全にとばっちりなんですが、それでも女の愛憎入り交じった情念とも執念ともつかない怨念に絡め取られ、心竦んでしまう話であるわけです。そんな折に、毒に侵され心折れかけた有様であの二人に逢うというのは、やっぱりダメなんですよね。心の弱り方に「女」が絡んでいる以上、洋たち当人が意識していなくてもやっぱり関係性として「女」という括りが絡み付いているあの尊敬して慕う先輩と、気心のしれた幼馴染では、洋の狼としての部分を取り戻すどころか余計に殺してしまう可能性すらあったわけです。他のケースなら、二人ともこれ以上ないくら位頼もしい支えになれるんですけどね。
だからこそ、今回洋を復活させる役割を得たのは【オルトロス】や茶髪たちのような戦友たちでなければならなかった訳です。アレほどドロドロに渦巻いた人間関係の破綻と拗れ、縺れを半額弁当争奪戦という舞台に引き込みながら、最終的に、上手い弁当を激闘の末に奪取し、喰って堪能する、という狼の原点に立ち返る事の出来るこの作品は、やっぱりとてつもない。しかも、その原点こそが在るべき人の心の営みを取り戻し、傷ついた心や迷いを癒し、導く事になるわけだから、殆ど魔法みたいなストーリー構成である。
あれほどぐちゃぐちゃドロドロの話の流れの中で、しっかりと今回の【和風ロールキャベツ弁当】が究極へと至っていく過程がこれでもかとしっかりと描かれ、【真・和風ロールキャベツ弁当】という月桂冠の本命がドーーーンと登場する衝撃をきっちりと支えてるんだもんなあ。特に今回の最終決戦は、今まででも例を見ないくらい凄まじいメンツの揃った頂上決戦だった訳で、そんなメンツが奪い合う最上の財宝として【真・和風ロールキャベツ弁当】はばっちりちゃんと格を得ていたわけで……くっそう、やっぱりこの作品の食い物は有り得ないくらいウマそうだ。
でも、残念だったのは頂上決戦が本物の頂上決戦にはならなかったことだよなあ。正直、あのメンツでの本当の決戦をぜひ見たかった。特にウィザードは現れる事自体稀なレアキャラなだけに。オルトロスだって普段は狩場が違うんだし。
いやしかし、まだこれからも機会はあるか。ウィザードは帰国してしばらく此処にいるみたいだし、実のところHP部解散の真相は未だ全容は明かされてないわけですし、ウィザードと魔女の関係もまだ本当のところは見えてないですしね。

にしても、やはり茶髪はもう二つ名持ってもいいんじゃないのかな、という位に凄腕だよなあ。今回だって何気に一番イイところ持ってったし。というか、此処ぞという決戦で毎回いいところ持って行くわけだし。さらに、名無しの狼としてさらにウルフズカットの少女が登場。そうか、新入生か。まだまだ未熟で幼い狼なのが、そうか洋たちも戦場に立ちだしてもう後発が出てくるくらいになったんだなあ、という実感が。しかし、なんでおんなじ学校にも関わらずHP同好会に入ってくれないんだよ! まあ明らかに洋のせいなんだがw
その洋の爆笑過去回想は今までの中でもこの巻が一番絶好調だったんじゃないだろうか。本数も多かったし。こいつとその仲間の話はそれだけ本に纏めてもベストセラーになりそうなくらい面白いよなあ。革命話なんか、笑い死ぬかと思った。どんな光景だよ。

シリーズ感想

ベン・トー 6.和栗おこわ弁当310円4   

ベン・トー 6 和栗おこわ弁当310円 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【ベン・トー 6.和栗おこわ弁当310円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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毎度毎度このシリーズ、というかこのアサウラさん、削ってる量が半端ないなあ。今回も後書きによると百ページくらい削ってしまっているらしい。自分などはそんなに削らなくても、むしろもっと読みたいと思う方なんですけどねえ。
いったいどの辺が削られているのか。なんとなくですが、白梅会長の大活躍というか大凶行が削られてそうな気がするんですよね。白粉が不当な扱いを受けた事への逆襲、仕返し、権力を乱用した大盤振る舞いが。いやだって、あの白梅さんがアレ見て黙っているはずがないでしょう。そのままにしておくはずがないでしょう。我慢するはずがないでしょう。一緒にキレてる佐藤も巻き込んで、であの白粉のクラスメイトの女がギッタンギッタンに社会的に抹殺されるシーンがあったんじゃないかなあ……なんて想像してみたり。

というわけで、またも文化祭である。前巻であやめたちの学校の文化祭の話をやっていたのでつづいている巻があるけれど、今回は佐藤たちの学校の文化祭。こっちもこっちで盛り上がってるなあ。白梅さんが会長らしいことをやっているのを初めて見た気もするけれど(気のせい)、なるほど有能だ。活気があり自由度が高く、生徒たちがいい具合にはっちゃけている、いい意味で高校の文化祭らしくない、大学のお祭りめいた奔放さが実に楽しそうだ。忘れてたけど、顎髭や坊主も佐藤たちと同じ高校の生徒だったんだよなあ。狼たちの戦場でしか巡り合わない連中だけに、学内で連中と話しているのはなんだか不思議な感じがする。坊主のコスプレにはこっちも大ウケしてしまったw あれは反則だろう。ああいう時、佐藤と同じテンションで爆笑してツッコミ入れられるあやめはいいよなあ。

さて、文化祭の準備で佐藤たちの学校が盛り上がる中、その余波は佐藤たちが毎夜挑むスーパーにも波及してくる。夜遅くまで文化祭の準備に勤しむ生徒たち(この学校は文化祭前日のみではなく、普段から夜中の校舎の使用を許容しているらしい。考えてみると、佐藤たちもHP同好会で毎晩奪取してきた弁当を食べてたっけ)が、腹をすかせてスーパーに来店し、まだ半額に下がりきっていない弁当を根こそぎ掻っ攫っていくのだ。
ただでさえ半額弁当の供給が乏しくなる中、佐藤は今まで知らなかったスーパーを発見、やや高級志向のそこで彼は一人の偉大な半額神と、彼の創りだす伝説的な弁当を狙い続ける女狼と巡り合う。

そもそも弁当が半額になる前に売り切れてしまい、狼として戦えない、というシチュエーションが続くのはなかなかストレスが溜まるものがある。佐藤なんか、今回殆どどん兵衛三昧だったもんなあ。でも、その分、槍水先輩が獲得してくる弁当や、文化祭での屋台の食べ物など、食べ物の描写についてはむしろ普段よりも力が入ってた気がする。もう、これがメチャクチャ美味しそうで美味しそうで、読んでてリアルに腹減ってくるんだよなあ、このシリーズ。飯前に読むと、その後に食べるご飯がマジで美味く感じるし、食後に読むと先程までの満腹感が、いつの間にか空腹感に変わっているというこのマジック(笑
半額弁当の争奪戦というふざけたシチュエーションに、本気の情熱と血の滾りを感じさせるのはストーリーだけじゃなくて、なにより戦った結果勝ち取った弁当が本当に美味そうだからこそ、説得力が出てくるんですよね。これで、弁当の描写が普通だったらここまで読んでて燃えないし、彼らが半額弁当に掛ける情熱も共感も理解も出来ないような気がする。安易に余人が手を出せない領域だ。

厚いページ数に反映されるように、今回は見所が多い。ビッグ・マムと呼ばれる半額神のいるスーパーでの攻防を主軸に据えつつ、文化祭のお祭り騒ぎも手を抜いていないもんね。他の人なら二編に分けて書くような話を、美味く混合させてブレずぶっとく仕上げているのだから凄い。
戦うことすら出来ないまま、ビッグ・マムの店に通い続ける佐藤の意地。文化祭でクラスの演劇の脚本を任され、腐り果てた普段の姿とは違う賢明に情熱を傾ける新たな顔を見せる白粉(その反動か、腐り方も普段の倍増しだった気もするが。落ち着け)、そして最愛の妹の来訪にHPの、狼の先輩としてではない様々な表情を見せてくれる槍水仙。
うん、見所は沢山あれど、やっぱり今回のメインというか主軸となるのは槍水先輩だったな。以前のメイン回とも違って、今回は先輩としてではない、仲の良いクラスメイトに見せる気安い顔、妹に見せる甘い姉の顔、それらが佐藤と接する時にも波及してきている感じで、佐藤と一緒に居るときも普段とちょっと今回は違う感じなんですよね。ちょっと甘いというか優しいというか、まだ微妙に残ってる先輩らしく威厳を保って、という風な肩を突っ張ってるところが溶けて、佐藤に対してもかなり感じが柔らかかったんですよね。いつもより、より素の、先輩としてではない槍水仙が出ていたみたいで。
やっぱり、この人はこの人で魅力的だなあ。自分はおもいっきりあやめ派なんですが、今回については槍水先輩にかなりメロメロにされました。

でも、それで終わらないのがこのベン・トーの真髄。緩急自在の効果を十分以上に弁えている。普段よりも甘く柔らかい姿を見せていたからこそ、クライマックスで現れるのは最近直接見ることの少なかった、近隣屈指の、最高峰の実力を誇る狼【氷結の魔女】の偉容。最近は佐藤の戦いがメインで、そういえば氷結の魔女の実力を間近で見る機会が減ってたんですよね。忘れてた忘れてた、この人、本当に強いんだ。今まで出てきた名うての二つ名持ちの狼たちをして上に立つほど、抜きん出た存在だったんだ。
それを、久々に思い知らされた。やっぱり氷結の魔女、つええ。かっけえ。そんじょそこらの二つ名持ちを上回る実力を身につけた佐藤だけれど、こりゃあまだまだ槍水先輩は憧れの先だ。

久々に槍水先輩の本気の戦いを克明に見れたので、佐藤ちんはいまいち良い所なかったけれど、大満足。うん、佐藤は今回は槍水先輩の露払いとして、充分役立ってたよ。まさに彼女の活躍の場を用意するために、佐藤が全部地均ししてたもんなあ。
まあ、その一方でさらに変態度が増してしまっていたわけだけど。ついにロリコンにまで食指を伸ばしてしまったか……毛玉の方はなんか真正っぽくて、ヤバげなんだが(笑

さり気無く、ウィザードが帰国しているなんて情報もあり、そろそろHP同好会の過去にまつわる話、くるかなあ……というネタふりを毎巻の感想で書いているので、そろそろ当たって欲しい(苦笑

オルトロス姉妹は、出番少ないくせに存在感がぱねえなあ。あのオルトロス姉のキャラが際立っているというか極まっているせいなんだけど(笑

シリーズ感想

ベン・トー 5.5 箸休め 〜燃えよ狼〜4   

ベン・トー  5.5 箸休め~燃えよ狼~ (集英社スーパーダッシュ文庫) (ベン・トーシリーズ)

【ベン・トー 5.5 箸休め 〜燃えよ狼〜】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、HP(ハーフプライサー)同好会の面々と共に、従姉の著莪あやめの高校の文化祭に繰り出す。高校生の一大イベントを楽しんでいたが、あの引きが強すぎる少女・あせびちゃんの手作り弁当が事件を巻き起こし事態は一変。佐藤は命懸けの弁当争奪戦に参戦することに…!? その他にベン・トーファンタジー編や、名もなき「狼」をフューチャーした短編、そして禁断の「筋肉刑事(マッスル・デカ)」の一部ストーリーなどを収録! 「狼」たちよ、考えるな、感じるんだ! 箸休めにならない箸休め、庶民派シリアスギャグアクション、灼熱の5.5巻!

ちょっ、巻末の注意書きが本気で怖いんだが!? ま、まあ読者よりも遥かにあせびちゃんに近しい作者や編集部が大丈夫なんだから、読者は大丈夫だよね? ……ま、まさか読者様を差し置いて、自分たちだけお守り実装とかしてるんじゃないだろうな!? 月桂冠半額シールをオマケで付けるよりも前に(いや、これはこれで何気に良かったんだが。ちなみに自分のは槍水先輩Ver.でした)、対あせび用のお守りをオマケとしてつけておくべきだったんじゃないのか!?
これで、そのオマケのお守りシールがボロボロに風化してたらマジ怖いけどw

というわけで、今回は短編集。半額弁当をゲットするために日々スーパーマーケットで激闘を繰り広げる狼ではないために、常に出番の少ない<死神>あせびちゃんも、巻末に注意書き、もしくは責任回避の一文が添付されるほど出ずっぱり。さすがにこんな番外編じゃなきゃあ、彼女が表紙を飾ることはないわなあ。そして、背景のお弁当は劇中を阿鼻叫喚の渦に叩き込んだあせび特製弁当。この弁当の恐ろしいところは、凡百の絶叫手作り料理と違って、味についてはまったく問題ないどころか素晴らしい所なんですよね。食材についても別に特殊なものを使っているわけでもなく、ごくごく普通の食べられるものを使っているに過ぎない。実際、このお弁当の描写ときたら、普段の半額弁当のそれに勝るとも劣らない、ヨダレがたれてきそうな美味しそうな代物で。
それなのに、何故阿鼻叫喚となるのか。それは是非、本文を御覧くださいませ。察しの良い方、観察力の鋭い方は、表紙のお弁当を見たらわかるのかも。<死神>あせびの恐ろしさを、真に味わうはめになるでしょう。いや、マジで美味しそうなんだけどなあ、これ。恐ろしい罠だ。だいたい、「あっちの」お母さんってどういう意味だよ(笑

【鳥になった男たち】
そんなあせびちゃんの大活躍を観覧できるのが、あやめたちの通う高校の文化祭にみんなで繰り出すこの話。淡雪と真希乃の中学生二人組、てっきり佐藤たちの学校に進学するつもりなのかと思い込んでたら、勘違いであやめたちの高校の方だったのか。HP研究会の後輩が出来るのかと思ったのに。まあ、レギュラー化して出番が増えるタイプじゃないしなあ。え? キャラが薄いとかは別に言ってないよ? オルトロス姉妹とか白梅がヤバいとか言ってないよ?
相変わらず、佐藤の中学時代の悪友たちとの武勇伝がアホすぎて面白すぎる。筋肉刑事は風紀的にも危険なのでおいておいてむしろこっちを単行本化するべきなんじゃないだろうか(笑
白梅やオルトロス姉妹にドレスを着せられ、キョドりまくる槍水先輩が、この人はやっぱりかわいいなあ。普段はクールなカッコいい系の美人なんだけど、それが作ったキャラクターというのはもう今となっては明らかで、彼女の本性って間違いなく小動物系なんですよね。いろいろな意味で肉食獣ばっかりのこの作品の女性陣の中で、実は彼女が数少ないカワイイ系というのが、この時の仔犬みたいな先輩の様子からよくわかる。うんうん、かわいいなあ。
一方で白粉はー、この子はーー。黙って大人しくしてれば普通にカワイイ子なのになあ。なんでこんな大残念娘に。なぜかこの子の題材になってしまうようなガチムチなハプニングに巻き込まれる佐藤も佐藤だけど、白粉ははしゃぎすぎだ(苦笑


【首なしの白い巨人】
ベン・トーのキャラクターたちが織りなすファンタジー。そう言えば、元々作者のアサウラさんってベン・トーを書く前はかなりシリアスよりのハードボイルドなタイプの作品を手がけてた人なんですよね。もちろん、これはその頃の作品と違って、ベン・トーに沿ったライトな雰囲気の話なんですけど、ファンタジー作品としてお為ごかしで終わらないしっかりとした世界観の話になっているのがまた素晴らしい。此の人が奇を衒った小手先の人じゃなく、しっかりと実力を有した作家だと言うのがよくわかる。そうなんだよなあ、ベン・トーの最初の一巻の感想じゃあ、「なまじ実力のある作家が本気で手抜きなしにバカやるとこんな恐ろしいものが現実に顕現してしまう」なんて風に書いてたんだっけ。
主人公はあやめ。佐藤は何故かひとりだけ人間ではなく犬畜生のブルドックw こうしてみると、あやめの佐藤の扱い方って、人間が相手でも犬が相手でも変わんないのなー。
いやマジな話、あやめって佐藤が人間の時でも流れ次第で普通に一緒に風呂に入ってきそうなところがあるんだよなあ。
そして、ここでも振るわれるあせびちゃんの猛威w そしてここでもわりとひどい目にあっている槍水先輩。此の人いつからこんな役回りになっちゃったんだ?w


【佐藤洋、十六歳の誕生日】
そっか、あやめと佐藤って誕生日も一緒だったんだよな。彼女が初登場した時にそんなこと言ってたっけ。槍水先輩の優しさが身に染みる、何気によいお話。彼女はこの作品の常識と良識の良心だよなあ。


【名もなき狼たち】
掌編。なんか読み覚えがあると思ったら、スーパーダッシュ文庫の公式サイトで掲載されてたのを読んだ事があったんだった。無名にも関わらず、ほぼレギュラー出演している坊主・顎髭・茶髪の三人の無名の狼たちのお話。無名とは言えこの三人は二つ名持ちとなってもおかしくないような実力派なんですよね。雑魚とかモブとかとは程遠い存在感。何気に挿絵で坊主と顎髭のビジュアルデザインが明らかになったのは嬉しかった。でも、肝心の茶髪はこの期に及んで顔隠されてて残念。ううっ、でもしっかりと特徴であるところの胸は描かれていると言う、なにこのわかってる感は(苦笑


【白粉花の週末】
あ、ある意味自分の趣味趣向に対して一途だよなあ、彼女は。探究に余念がないというか、突き詰める意欲に溢れているというべきか。でも、彼女の嗜好って男同士が云々というのとは別に、単純に筋肉フェチという部分もあるんじゃないだろうか、と美容室のエピソードを見ながら思ったり。でないと、あんな風に触られて喜ぶというのがわかんないし。

【著莪あやめのお見舞い】
発熱でぶったおれたあやめを佐藤が見舞うお話。
この二人の仲って、なんかもう幼馴染とか超越しちゃってるよなあ、というのを改めて思い知らされたり。兄弟とかいうのとも違う、この遠慮の無さ。一緒にいることが自然という距離感の近しさ。
普通に佐藤の前でたんすから下着出すし、彼が部屋にいるときにお風呂入ることにも何も頓着しない。風呂上りに佐藤に髪を梳かしてもらうのは当たり前。熱が高くなって動けなくなったあやめをお姫様だっこでベッドで運ぶのも当たり前。どちらかが熱を出したときは、一緒のベッドで寝るのも自然なこと。逆にいないと違和感ありありで、心細い。
とか、もうそこらの幼馴染とは格が違うから!
今後、佐藤かあやめかに恋人なんかが出来たとしても、その相手は恋人に自分よりも遥かに身近な相手がいるという現実に耐え切れるとは思えない。逆に言うと、こいつらの恋人になれるような人間って、それを受容出来る人間じゃないといけないってわけで……とてもじゃないけど、そんな人間がいるとは思えない。
とはいえ、じゃあもう二人がくっついちゃえよ! というのもなんか違うんですよねえ。恋人同士になるというのは、この二人については非常に違和感がある。でも、その過程すっとばして結婚しちゃうケースはわりと易々と想像できちゃうんですけどねえ。


【白粉花の夏休み】
白粉花、夏の祭に出陣する決意を固める! の巻。と見せかけて、普段何を考えているかよく分からない彼女が、HP研究会に入ったことで何を感じ、どう変わったか、その彼女の心境を目の当たりに出来る、ちょっといい話。傍目には奇人にしか見えないのに、案外素顔は普通なんだよなあ。それがどうしてああなるんだ?(苦笑


【電話の後で】
鳥になった男たち、のその後のお話。書下ろしの最後の短編。あやめは、佐藤のことをぞんざいに扱っているようで、その実よく面倒を見てるんですよねえ。まあ、佐藤もあやめの面倒をよくみているので、二人でお互いに甲斐甲斐しく世話しあっているとも言えるのかもしれませんが。
なんにせよ以心伝心、気心の知れた相手の掛け替えのないこと。
仲イイな、ほんとに。
しかし、ジャーキーでポッキーゲーム紛いのことを、遊びでやっちゃってるのは、本人たちほんとに何も思ってないんだろうか。
あまりにもスキンシップが自然すぎて、お互いに意識もしないもんだから、果たして此の二人、この先どうなっていくんだろうか、と言うところが気になってしまう。

シリーズ感想
 
12月2日

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