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森田季節

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、
いつのまにか――子供になってました!?

ハルカラが焼いた毒きのこをうっかり食べてしまったせいです…(蒼白)
おかげで家族は目の色変えて私をあやそうとする始末(やめてー! )
ベルゼブブと魔王の城に行ったら、今度はペコラに捕まってしまい(もうどうにでもして…)、
なんとか戻ったと思っても、今度は村に来ている変な吟遊詩人と出会ったり、娘二人が世界精霊会議という謎の会議に招待されたりで――!?

巻き込まれ体質だからって、
私はスローライフを諦めないんだからね! !

本書だけの書き下ろし短編を収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第4弾!
ハルカラがいると大概のトラブルをスムーズに巻き起こしたり巻き込まれたりしてくれるので、便利だなあハルカラさん。
というわけで、子供になっちゃったアズサ。高原の魔女の家で何が足りないかというと、まず幼女!
 いや、それはスライムの精霊であるシャルシャとファルファの双子がファミリーの子供たちとして日々活躍してくれてはいたものの、彼女たちの妹がほしいなあという要望に体を張って応えるアズサお母さん、さすがの献身である。
旦那さん見つけて今から仕込んで〜、とは行きませんもんね。それはそれで家庭の危機である。森田さんだとわりとそのあたりの渋いホームドラマも書こうと思えば書けると思うのですけれど、シリーズのジャンルが全然違うものになってしまうものなあ。
みんなの母性本能を擽りまくる幼女アズサであるが、いつまでもみんなに抱きかかえられて頭撫でられているわけにもイカず、治せる薬を求めて魔族領は世界樹の頂上付近で営業しているという魔法薬店に、ベルゼブブから差し向けられたリヴァイアサン姉妹と共に向かうことに。
世界樹ダンジョンに登頂だ、と意気込んだものの、かつて幾多の冒険者たちを阻み続けたダンジョン世界樹は、今や観光名所として観光客で賑わっていたのでした。
古い遺跡の観光地化は、文明文化が発展すればアルアルですよねえ。富士山なんかだって、そんな感じですしね。少なくとも麓の方は気軽に車なんかで乗り付けられますし。
普段は仕事で忙しいリヴァイアサン姉妹が、久々に姉妹で旅行を楽しむ感じでアズサを案内してる様子は微笑ましいものでした。サクッと、この姉妹にもスポットあてて掘り下げてるんだよなあ。
ベルゼブブの仕事している様子を見物に行こう、なんて話もありましたけれど、農相として働くベルゼブブはホントに忙しそうで、その秘書であるリヴァイアサン姉妹もそりゃ、二人で一緒に休暇とって旅行、なんて真似はなかなかできなかったでしょうからね。
ベルゼブブ当人は忙しいはずなのに、ちょくちょく暇作ってはアズサのところに遊びにくるわけですけれど。でも、召喚なんかで呼び出されたときは割合いつも会議とか控えてたりする事も多いんで、マジで忙しいんだろうな、あれ。

さて、本巻で一番白眉なのは、売れないデスメタ系吟遊詩人のククが成功するまでの物語でした。
デスメタ系吟遊詩人というだけでパワーワードなんですが。まあこの場合吟遊詩人というのは、シンガーソングライターそのものなんですが。
そうして、細々とドサ回りで地方を回りながら吟遊詩人として青息吐息で生きてきたものの、そろそろ本当に限界で、というこの心身ともに擦り切れそうな人間の描写が何気に真に迫ってるんですよね。
これまでずっと続けてきた吟遊詩人を、もう諦めてしまうか。辞めるか。もうキッパリと未練を断ち切って、これからの人生を生きるために仕事を見つけて働いていくのか。
そういう絶望とすら呼べない、虚無に近い燃料というか気力が尽き果てたようなククの姿、なんか実感籠もってるんですよね。こういう世間の片隅で誰にも見向きもされないまま擦り切れていくような人の描写、森田さんって他の作品でも生々しいくらいの表現で描いていくので色んな意味でゾクゾクしてしまいます。
そんなククにとって、住むところと温かい食べ物を提供してくれて、擦り切れた心が回復するまでウチでいつまでもゆっくりしていけばいいんだよ。焦って振り切って諦めずに、ゆっくり身の振り方を考えていいんだよ。もう一度落ち着いて自分の音楽を作り直してみてもいいんだよ、と保護してくれたアズサは、もうククにとってはたまらんくらいの救世主だったんだろうなあ。
でも、それでコロッと復活できるほどククが歩いてきた売れない吟遊詩人という人生は易いものではなく、それでも音楽を諦められなかったククは、デスメタ系というジャンルそのものを諦めて、これまでと全く異なる方向性に進み始める。
それは悩みに悩んだ末の路線変更だけれど、これまで歩んできた自分を曲げた、という意味ではその決断もまた諦めの一つではあったんですよね。諦めだけれど、それは前へと進む諦めだったけれど。それでも諦めではあったわけだ。
だから、その後ククが魔族の開催するフェスに参加して売れっ子シンガーになっていったとしても、それは奇跡のサクセスストーリー、という輝かしい栄光の道を描いた物語ではなく、自分を変えてしまった小さな痛みと苦渋を抱えながら、それでも僅かな後悔と安堵を噛み締めながら前に進み続ける傷だらけの成功者の物語になっているのである。
ククのあの落ち着きながらもどこか切ない歌声は、悼みの歌でもあるのだろうか。
だから、最後のフラットルテの。吟遊詩人フリークとしてククに対して常に感情的にならず、客観的な視点から助言と苦言を呈し続けたフラットルテが。最後の最後に、ククが捨てたデスメタをかき鳴らして、ククの今まで歩んでいた長い長い苦しいばかりだった人生の歩みを肯定しての、声援と激励、そして祝福は、だからこそ胸に響く以上に深く奥まで沁み入ったのでした。
フラットルテの新たな側面、というか今までに見たことのない、刹那的な感性だけで生きていた動物みたいなブルードラゴンの彼女が、あんな論理的に評論家みたいに冷静に論理的に吟遊詩人界隈の話や技術論などを語り尽くしていく姿は、新鮮でもありなんか笑ってしまう感じでもあり。
でも、だからこそあのラストのフラットルテの熱い言葉、贈る歌は良かったんです。フラットルテというキャラの魅力を後押ししてくれるエピソードでもありました。
なんか、語れば語るほど登場人物の新たな側面、今まで見えていた姿からもさらに掘り下げたような様子が見えたりして、キャラクターに行き止まりを感じないんですよね。
さすが、現状18巻まで出てるような長期シリーズになるだけありますわー。

それはそれとして……ちょくちょく幽霊のロザリーの闇の深さが垣間見えるのがちょっと心配になったりもするぞw




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか家族がふえていました。
そろそろスローライフは諦めて、家族との平和な日常を楽しもう、と思ったのですが……。

そんな! ファルファがスライムの姿から戻れなくなっちゃった(でも可愛い)!
何とか解決したと思ったら、今度は私を騙る魔女が登場で国中が大騒ぎに(目立つのは困ります!)!?
――「高原の家」はいつも賑やかトラブルが絶えません!

けれど継続は力なり。
今度こそ平和な日常をつかんでみせるから!!

本書だけの書き下ろし短編3作品を大収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第3弾!

ブルードラゴンのフラットルテ、おバカの野生児なんだけどちゃんと家事スキルは普通以上にあってライカと張り合えるくらい女子力はあるというのは可愛らしいなあ。
ドラゴンが二人になった事で仲良しのスライムの精の双子であるファルファとシャルシャとは違う、いつも喧嘩ばかりしているけど何だかんだと息があっている新しい姉妹みたいな関係が誕生して、なんともほっこり。性格はバチバチ火花散るくらいあわないんだけど、ドラゴンとしての生態が一緒なせいもあって今までのライカだけだと彼女が遠慮して表に出てきていなかった、ドラゴンならでわの生活欲求なんかが露呈してきて面白かった。
そりゃ、ドラゴンなんだから肉、喰いたいよね!
焼肉大会、最初は原始的なひたすら焼いて食う、だったのが料理できる人が加わってだんだん文化的で趣向を凝らしたものへと移っていって、ひたすら肉を食うだけの集まりだったのが和やかな宴会になっていくの、なんか良かったなあ。
そして、つまみ食いが見つかって恥ずかしそうにしているライカ、可愛かった。
あとの話でカードゲームやボードゲームなどの娯楽が持ち込まれて、家族間で流行ったりなどするのだけれど、この焼き肉の話でもちょっと高原の魔女の家での食事環境が変わってるんですよね。
ここで暮らす人達はこれ以上無くお互い大切にしている家族同士なんだけれど、同時にみんな種族が違うバラバラの存在でもあるんですよね。それが共同生活を送り、家族として一緒に暮らしている。その生活をみんなが心地よくストレス無く本当の意味で誰も我慢したり堪えたりせずに楽しく過ごすためには、それぞれの種族のことをもっとちゃんと知らなくてはならない、という結論に至ったのなんか、ただ漫然と家族として一緒にいるだけじゃないんだなあ、というのが伝わってくる。
ドラゴンはもっと肉が食べたい、御飯の量もほんとはもうちょっと欲しい。そんなささやかな部分だっておろそかにすべきじゃない。なぜなら、家族のことなんだから。
みんな育ち盛りなんだから、もっと食べさせてあげないと! なんて、ほんとアズサさん一家のお母さんですよねえ。
ファルファがスライムに戻っちゃって人間の姿になれなくなっちゃったときも、スライムの精という未知の存在ゆえに対処法がわからなくて、アズサたちが国中を駆け回らなくちゃいけなくなったのも、家族のことをもっと知らないと、という話に繋がってくるんですよね。
そんでもって、ファルファをもとに戻すために今までになく余裕なく必死に駆け回るアズサは、これまでで一番お母さんしていました。子供のピンチのときほど母親が奮起するものだもんなあ。
今回は家を出て、あっちこっちの街に行き来することが多かったけれど、家族の大黒柱として、みんなのお母さんとして家族の危機に立ち上がり、みんなを取りまとめて、みんなを安心させるアズサさんのお母さんっぷりがより顕著に見受けられたような気がします。
あと、あれこれ問題が起こることで逆に雨降って地固まるという感じで、高原の魔女の家の生活環境がさらに最適化されて充実してってる感じなんですよね。食事事情の改変とか、娯楽環境の充実とか。家族が増えるのはフラットルテでひとまず定員みたいだけれど、これくらいが一番いい塩梅の人数ですなあ。外からはいつも遊びに来てくれたり助けに来てくれたりするベルゼブブや魔族たちもいるわけですし。



スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか世界最強になってました。
おかげで面倒ごとに巻き込まれはしたものの、
最終的には新しく家族になった4人の娘たちとスローライフを始められそう、だったのですが……。

ええっ、エルフのハルカラが経営する工場で幽霊騒動? 収まったと思ったら今度は違法操業とかで逮捕されちゃうし! さらには私の活躍(?)が魔族に評価されて、魔王の城へご招待!?
――って、今回もトラブルの予感しかしません!

それでも私は負けずにスローライフを目指すからね!!


ハルカラには意外な一面が!?
本書だけの書き下ろし短編「迷い猫が来た」も収録でお届けです。

お祭りでの喫茶店話はアニメでは最終回だったのですが、なるほどアニメで最後に回したのはグッドでした。この段階ではロザリーもフラットルテも家族に加わってなかったですもんね。彼女たちの給仕服姿はまさにガンプクでしたから。
ちょうどお話としても、家族が出来て家族と一緒に旅行して、と外に出る機会が増えてきたところで、家族みんなで外とつながるナニカのイベントをしよう、というタイミングだったのでしょう。
家族の中だけで完結しているのもいいのですけれど、外とつながることでより深く家族同士の繋がりを感じる事もありますから。
それにしても、ライカは美少女ですなー! ドラゴン娘ってわりとワイルドだったり美人系の傾向があると思うのですけれど、ライカはむしろ可憐系なんですよね。性格的にもお淑やかだし、清楚可憐系なんですよ。この娘が最初、最強を名乗って襲ってきたのが不思議なくらいお淑やかなんですよ。
同性をも魅了してしまう絶世の美少女っぷり、どうも元々お洒落で衣装のセンスも抜群みたいですし、家事能力も高いのだから女子力も抜群だし。
マジ可愛いです。
そして、いつもなんだかんだと助けてくれるベルゼブブ。ほんま、この人お姉ちゃんやなあ。アズサがお姉ちゃんと呼ぶのも良く分かる。しょっちゅう様子見に来てくれるママのお姉ちゃん、つまり伯母さんって感じなんですよね。居る居る、こういう親戚のオバちゃん。いや、年齢的にお姉さんと呼ばないと怒られますが、いや年齢を言い出すとオバちゃんどころじゃないのですが。
普段偉そうな喋り方してるのに、給仕役に回った途端にちゃんとTPOに合わせた丁寧な言葉遣いできるの、ほんと社会人レベル高くて好き。
そもそも、このベルゼブブさん、魔族国家でも偉い人は偉い人なんだけど、宰相とか国務長官とかじゃなくて農相なのが結構ツボなんですよねw

というわけで、この巻から新たに幽霊のロザリーと、ブルードラゴンのフラットルテが家族に加わることに。ロザリーは世界一元気な幽霊と呼ぶに相応しい快活な娘でハルカラとは別の意味でムードメーカーなんだけど、元々地縛霊だけあって闇は持ち合わせてるんですよね。
まあアズサも過労死して転生してるくらいなので、そっち系の闇は深いのですけれど、かつてをちゃんと反面教師にして、家族にも自分の限界を越えて無理とか無茶しそうになると、きっぱり止める所はアズサ自身のトラウマ感じると共に、自分自身の体験談も交えているので非常に説得力があります。
ゆるく軽くをモットーにしているような物語ではあるのですけれど、時折挟まれる人間社会の中で生きていく中で押し付けられる圧力や圧迫、強制力への戒めや、心の負担や精神的な疲労といった人が抱えがちになってしまうものへの真摯な手の差し伸べ方、言葉の選び方は時に鋭く貫くように時に優しく包み込むようで、ふと考えさせられたり感じるものがあったり、じわりと染みたりするものがあり、決して薄っぺらいお話ではないんですよね。
そして、家族を取り巻く愛情に癒やされる、ヒーリングされるのであります。
あのシャルシャとファルファの双子への愛情を伝えるためのほっぺたへのキス。そして娘たちからのお返しのキスのシーンは、ほっこりを通り越して尊さに解脱しそうになりました。
アズサって独身のはずなのに、かなりママレベルが高いんだよなあ。あとのフラットルテにもバブ味で陥落させちゃってるし。若い身空で小さな双子の娘を抱えて笑顔で頑張るお母さん味が強すぎる。
この物語に出てくる登場人物はみんな、アズサの事大好きなんですけれど、その好きってホントに家族への好きなんですよねえ。温かくて瑞々しい家族愛。
いや、ベル姐さんはまたちょっと違うんでしょうし、魔王ペコラがお姉さまと慕ってくるのも、あれ家族愛とはちょっち違っていますけれどさ。

こうして家族として加わってくるメンバーを見ると、全員寿命とか一切考慮しなくていい人外メンツばかりなので、この家族の時間はずっと続く、というのもなんかほっこりしてしまいます。
そう考えると巻末の描き下ろしの猫拾ってくる話は、そのまま飼うことになると将来色々と辛い想いをすることになるだけに、ああいう展開で良かったのかもしれません。
永遠に変わらない家族、となるとファルファとシャルシャがずっとお子様で居続ける、という所に引っかかるものがあるかもしれませんけれど、何気にこの二人、社会性は高くてそれぞれ趣味が高じて分野の研究者として認知されはじめているので、家族の家では可愛い娘たちですけれど、外との繋がりでみると会社社長なハルカラ並みに広く深くいろんな人脈を広げているのは、ハルカラが逮捕された一件で各分野の学者たちにアポ取りまくったことからも明らかなので、実は社会人としては何百年も一所にとどまってて世間が狭いアズサよりも大人だったりするあたり、こうバランス取れてるなあと感心したり。
なにはともあれ、面白かった!




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました】  森田季節/紅緒 GAノベル

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現世で過労死した反省から、不老不死の魔女になって、スローライフを300年続けてたら、いつの間にかレベル99=世界最強になっていました。
生活費を稼ぐためにこつこつ倒してたスライムの経験値が蓄積しすぎたせいみたいです……。
そんな噂はすぐに広まり、興味本位の冒険者や、決闘を挑んでくるドラゴン、果ては私を母と呼ぶモンスター娘まで押し掛けて来るのですが――。

「だから、道場じゃないんだから道場破りに来ないでよ……」

冒険に出たことないのに最強……って、どうなる私のスローライフ!?

アニメの方がもうどストライクで好みな上に大変面白かったので、原作の方も読みたくなり手を出してしまいました。元々森田季節先生のゆるい系の作品は好きな方なんですけど、ちょっとお高いレーベルだったので何となく手を出しあぐねてたので良い機会でもありました。
それにしても、森田さんの作品がアニメ化されたのってこの【スライム倒して300年】が初めてだったのかー。もうベテラン作家の域に達しているので意外と言えば意外なのですが、言われてみるとアニメ映えする作品ってあんまりなかったかもしれない。すごく軽い作品もアレば、通好みだったり、人間の業や人生観をえぐるように掘り下げた作品など、多種多様あるんですけどね。

そういう意味では本作は軽妙洒脱なカテゴリーの作品なんですけれど、そんなライトなノリの中にもちゃんと「人生」という生きること日々を過ごすこと生活すること、という普遍にして不変の営みへの哲学が土台の部分にしっかり根付いているのが垣間見えるのが、森田先生の作品らしくてなんか好きですわー。
尤も、その哲学の自己主張は極めて低いんですけどね。でも、主人公のアズサには人生哲学というものがしっかりと芯となって通っているので、彼女の言動にはぶれない指針が伺えるのです。だから、ここぞという時の判断に迷いがなく明朗快活なんで、なんかこうスッキリしてるんですよねえ。

にしても、一巻でレッドドラゴンの結婚式まで行ってたのか。フラットルテまで一巻の段階で登場してたのね。フラットルテが登場するのってアニメでは中盤くらいでしたぞ。アニメの方ってこうしてみるとかなり丁寧に作ってたんだなあ。

それまで300年間一人でのんびりと暮らしていたアズサに、レベルが99である事が発覚してしまった事がきっかけで、次々と家族が増えることに。
一人で誰にも煩わされずにのんびりと生活することにも何の不満もなかったアズサ。300年間生きてきて、寂しいとか辛いとかホントに一切思っていなかったようで、これはこれで満ち足りた生活ではあったんですよね。
でも、レッドドラゴンのライカをはじめとして、次々と一緒に暮らす家族が増えていくという大きな変化が訪れる中で、アズサはその変化を喜びとして受け入れて、新しい家族を歓迎するのである。もちろん、一緒に生活すること、一緒に過ごすことが楽しい、新鮮である以上に彼女たちと過ごす時間に幸せを感じるからこその歓迎なのですが。
幸いにして、家族として加わってくる面々は人外ばっかりで、不老不死のアズサと同じ時間を過ごすことの出来る面々ばかりで、生きる時間のギャップみたいな問題は最初から排除されているわけですが。
アニメが面白かった分期待値も高かったのですが、なんかもう期待以上にほわほわとした空気感で、家族と過ごすなんでもない日常への多幸感が素晴らしい作品でした。スローライフと銘打ちながら、やたらと働きまくる物語が絶えない中で、本作は本当の意味でスローライフを完成させているといえるのでしょう。無理しない、頑張りすぎない。かと言ってだらだら……はしているけれど、充実感のあるダラダラなんですよね。家事は家族と分担して、負担とせずに楽しくこなしているし。いい加減で適当にするのではなく、ゆったりとして余裕を保ちながらもやるべき事はきっちりやっているからこその、気持ちの良い日々なんだろうなあ、これ。それが、家族と一緒にわいわいと笑い声が絶えないなかで毎日が流れていく。何十年何百年続いても、飽きないだろう退屈しないだろうただただ幸せな日々。もっとも、エルフのポンコツ娘、ハルカラみたいなトラブルメーカーもいることだし、様々な方向からトラブルやら御祝い事やら新しい出会いやらイベントやらが飛び込んでくるので、変化がない生活とは程遠い賑やかさになるわけですが。
なにはともあれ、思いの外楽しくてあったかくて思わずニコニコしてしまう、実に心地の良い作品でした。
しかし、ベルゼブブの姐さん、ほんと面倒見良くて頼りになって良いお姉ちゃんだなー!
なるほど、彼女が主役のスピンオフが出来るのも納得だわ。
ちょうどシリーズの何冊かが割引セールしていたので、まとめて購入。このままちょくちょく読んでいくぞーー。


物理的に孤立している俺の高校生活 3 ★★★☆   



【物理的に孤立している俺の高校生活 3】  森田 季節/shirakaba ガガガ文庫

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残念系異能力者でも友達と文化祭回りたい!

波久礼業平には友達がいない……わけでもない。むしろ、あわやぼっちで過ごすと思われた夏休みを人研メンバーとともに無事乗り越え、本人はなんとなく成長した気さえしていた。
しかし、業平の持つ異能力「ドレイン」はもちろん健在で、オン・オフができるようになったわけでもなんでもない。やっぱり学校レベルで物理的に孤立している。せつない。
それでも、これなら二学期の文化祭も乗り切れると安心していた中、同じく不遇な異能力に悩む高鷲えんじゅから脈絡もなく連絡が来る。
「男友達作り、早くしないとまずいことになるわよ。うちの高校って修学旅行が二年生の二学期途中にあるから」
いやいや、そんなこと言ったってお前も人研メンバー以外の友達いないじゃんと思う業平だったが、高鷲の言葉は確かに事実。蘇る中学時代のトラウマ。現状、限りなくぼっちな二人は、売り言葉に買い言葉で「文化祭が終わるまでに友達を作れるか」勝負をすることになってしまう。
お互いこいつにだけは絶対負けないよなと思うのだが……あれ、そもそも友達ってどうやって作るんだ!?
残念系異能力者たちだって友達と文化祭を回りたい! 大人気青春未満ラブコメ第3弾!!

友達ってどうやって作るんですか?
いや、真面目な話、学生時代友達どうやって作ったか、とか覚えてないですよ。何となく喋ってたら一緒に遊んでいたらいつの間にか友達になってた、て感じですよね。友達になってください、友達になってよ、みたいに直接言葉にして「友達」という関係になった事はなかった気がする。
でも彼ら、業平と高鷲にとっては友達という関係はそんなに簡単でも軽いものでもなかったのだ。これまで友達という存在が出来なかったコンプレックスもあるのだろう。でも、それ以上に友達という存在に対して真面目なのだ。真剣なのだ。何となくいつの間にかなっているものではなかったのだろう。それこそ、彼氏彼女の関係に勝るとも劣らない、人生における重大事だったのだ、友達を作るという事は。
もっとも、彼氏彼女の関係ですら人種によっては気軽にホイホイとくっついたり離れたり何となくで始めたり終わらせたりしてしまうものなのだけれど。
人間関係というものは本当に人それぞれで同じ名称の関係ですら中身は、いや中身ではなく受け止め方、というべきだろうか、受け止め方が全然異なってきてしまうものなんだなあ。
文化祭の折に、人研部以外の友達をどちらが先に作るか、という勝負をはじめてしまう業平と高鷲。それからのこの二人のノリはというと、完全に男女交際の相手をゲットするつもりみたいな本気度、真剣さなんですよね。形は違えど、仲の良い友達とどっちが先に恋人を作るかの勝負をガチではじめてしまった、みたいな感じになってるんですよね。
そう、冗談ではなくガチで。だから、勝負しているはずなのに、業平ときたら高鷲がクラスの女の子となんだかうまくいきそう、性格に大変問題のある高鷲でも何とか友達になれそうな雰囲気、というのを見て取った途端、内心で応援し始めてしまうのですよ、こいつ。
勝負を忘れているわけじゃないんだけれど、高鷲に感情移入してうまく行ってほしいと本気で祈り始め、便宜だって図り始めてしまう。
イイ奴なのだ。拗らせているけれどこの男、いいヤツなのだ。
その業平も、生徒会から応援できてくれた大福という男の子と、これまでになく自然に気負いなく会話できることで、これ友達になれるんじゃないか、と浮かれだしてしまう。いや、いいんですよ。友達になれそう、と思うことになんの悪しきもない。
実際この大福、いいヤツなんですよ。1メートル以内に近づいた他人の生気を吸い取ってしまうという「ドレイン」の異能を持つがために、タイトル通り物理的に孤立してきた主人公。物理的のみならず、やっぱり近くとヤバいということで心理的にも距離を置かれ、場合によっては拒絶されてきた業平くん。でも大福はもちろんちゃんと距離には気をつけているけれど、業平がドレインという異能を持つ事に対しては常にフラットな対応で、同情も嫌悪もなく、自然とそういうものとして捉えた上で自然に付き合ってくれる人だったんですね。
別に内心で違うことを考えていたりとか、なにか企んでいたり、とかいうこともなく、本当にただいいヤツだったのです。
ただ、彼はそういう業平みたいな人間とも何の偏見もなく付き合える人だからこそ、他人との距離感が軽い人でもあったんですね。人と人が繋がることに、深い意味も重たい価値も特に見いださない、普通に仲良くなって簡単に恋人という関係を作ることの出来る人種だったわけである。
業平とは、どこか価値観が異なっている相手。
軽々に、あの娘なら付き合えそう。別に好きじゃなくても告白されたら、相手が可愛いなら付き合うよ、という大福に違和感を感じてしまう業平。相手に対して、それは真剣じゃないんじゃないか。真摯じゃないんじゃないか、と考えてしまうわけだ。
でも、それはちょっとした価値観の違いなんですよね。どちらが悪いとか間違いだとかいうわけじゃない。はじまりのきっかけや態度が軽いものでも、友達として恋人として付き合いだしたら何かが変わってくるのかもしれない。そもそも、軽い関係ってのが悪いかどうかって話もある。軽くて、なにがダメなんだ? そういう関係も、あっていいじゃないですか。
そういう事は、業平もちゃんとわかってると思うんですよね。彼が、嫌な思いを感じてしまったのは、実は大福に対してじゃないんですよね。好みの問題というのを踏まえた上で、そういう人との接し方が好きではない、と業平は感じたその時に、彼は自分を省みるのである。
あれ? 大福のそういう人との接し方に嫌悪を感じている自分は、大福のことを友達になれるようn相手か「品定め」していなかったか? と。大福が、あの娘なら付き合えるんじゃないか、と思っているのと同じように、こいつなら友達になれるんじゃないか、と打算で考えていなかったか、と。自分のことしか考えずに、友達を作りたいと大福をはじめとする周りの人間たちを選別の目線で見ていなかったか、と。

ちなみに大福くん、業平がどもりながらもそういう見方はよくないんじゃないか、相手に対して失礼じゃないか、という言葉にちょっと驚きながらも真剣に受け止めて、確かに自分も親しい人をそんな風な見方で言われたらあんまりいい気分じゃないよね、と反省してくれるんですよね。
特に何の気もなしに軽く雑談めいて喋っていた内容に、そんな真面目なトーンで反駁されたとして、反発したりドン引きしたりするのは論外としても、曖昧に流してしまったりなんか悪いこと言っちゃったかなと取り敢えず謝ったり、というくらいの対応は珍しくないと思うんですよね。
彼のように、本気でちゃんと考えて、良くなかったと謝ってくれる人は決して多くないと思う。大福くん、マジでいいヤツなんだよなあ。
でもあそこで、迷いどもりながらも、ちゃんと苦言を呈することの出来る業平もまた、大した人だと思うんですよね。それも、大福のことをそれはダメだろうと否定的に思いながら、じゃないんですよね。あそこで彼は、自分を省みて、自分もまた大福以上に失礼な事を考えながら彼に近づこうとしていた、と恥じ入りながら、その大福に対して苦言を呈するという事に何様だとさらに恥じ入りながら、それでも告げているのである。
あの違和感から嫌な気分を感じてしまった場面で、一方的に相手の上位に立った気になってしまうのではなく、そこで自分を省みる業平が。恥じ入りながら、それを自分の中に押し込めてしまうのではなく、相手に告げることの出来た彼が、本当にえらいと思うのですよ。
敬意を抱く。

そして、高鷲もまた、無意識に友だちになろうとしていた娘にマウントを取ろうとしていた事に気がついて、咄嗟に身を引いてしまうんですね。彼女の場合は、ココロオープンという目を合わせると自分が心のなかで思っている事が全部テロップに出てしまうという異能のせいで、相手との関係が決定的に壊れてしまう事を怖れてしまった、というのもあるのだけれど。
業平にしても高鷲にしても、本当に友達という関係に対して真剣だからこそ、真面目だからこそ、その関係に対して真摯すぎるほどに誠実足らんとしてるんですよね。異能のせい、というのも大きいでしょう、適当にこなせない不器用さ、というのもあるのでしょう。性格がこじれてたり捩じれてるのもまあ致命的ですよね。
でも、この誠実さは、真面目さは敬したい。これはたしかに意識高い系の範疇なのかもしれないけれど、胸を張って意識高い!と言ってもいいんじゃないかしら。
それでも、二人はこれまで、ずっと人間関係に惨めな思いをしてきた。異能によってハンデを負って、寂しい思いをしてきた。こうしてみると、誰よりも相手のことを理解しわかっている二人なんですよね、高鷲と業平は。だからこそ、勝負しているのに相手を応援してしまう。挫けそうになっている高鷲を、一生懸命フォローして自分たちは同盟者じゃないか、と背中を押す業平はお世辞抜きにカッコいい……いや、カッコいいというのとは違うかもしれないけれど、高鷲にとっては彼の必死さは胸が一杯になるものだったんじゃなかろうか。

お互いに支え合って、友達作りという一歩を踏み出せた業平と高鷲。そこで友達作りの勝負をなかった事にしないあたりがさすが高鷲えんじゅ、と思う所だけれど……。この勝者の権利を保留にしたの、あとあとに大きな影響をもたらしそう。業平への命令権。この文化祭の中で生まれた二人の間の「空気」の様子に、本当に「ここぞ」という場面が巡ってきそうで、ちょっとワクワクしてしまうラストでした。


女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい ★★★☆   



【女賢者の明智光秀だが、女勇者の信長がパーティーにいて気まずい】 森田季節/ yaman** LINE文庫エッジ

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Kindle BOOK☆WALKER

前世で殺した相手とパーティーを組む!?それってめちゃくちゃ気まずいんですけど!

明智光秀です。
なぜか転生を繰り返していたら、異世界で女賢者になっていました。
そこまではいいんですけど、賢者ひとりで戦うのは大変なのでパーティーに応募してみたら、信長様が女勇者として目の前にいました。

……いや、ムリ。
前世で殺した相手とパーティー組むとかムリムリ。
ほら、なんかすっごい目でこっちを見ているし。絶対うまくいくわけないですって!

「サルもパーティーに入ります~♪」(秀吉)
「わらわも入ってあげるわ」(義昭)
信長様だけでも気まずいのに、秀吉さんや義昭様も参加しちゃったんですけど!
心の平穏はどこー!?

前世でとっても因縁のあるパーティーメンバーたちの異世界冒険(日常)?物語。
このパーティーは今日も気まずいです。


じゃあ組むなよ! とまずは言いたくなる所ではあるんでしょうけど、敢えて光秀と信長がパーティー組むことにした理由がまた生々しいんですよね。
曰く、自分を殺したやつが他のパーティーにいるの、怖い!
そりゃそうだよね、自分の殺害実績あるやつが自分の手の届かない所で何してるかわかんない状態で野放しにされてたら、影で何されてるかわからないし何仕掛けてこられるかわからないから怖いよね。
でも、だからって身内に入れてたらもっと怖いって思うんだけど、そのへん自分ちゃんと監視してたらなんとかならあな、という自信家な所が流石のノッブである。
もう先に予防措置的に殺しておけよ、と思うのは鎌倉武士風に毒されているのだろうか。

というわけで、かの勇名な戦国武将である所の織田信長と明智光秀と豊臣秀吉と足利義昭が生まれ変わって冒険者となり、一緒にパーティー組んでダンジョン攻略するぞ、というどうしてそのメンツで組むことにした、というお話である。
一応、戦国時代から直で異世界、ではなく一度現代日本に転生してそこで死んでからまた転生して異世界に、というワンクッション置いているのが味噌である。さすがに戦国時代から直だと感情的にも相容れないものがあったんだろうけど、一度別の人生、それも女のものを挟んでいるせいか、感情的にも一旦落ち着いて怒りや憎しみというものは収まってるんですね。さらに、現代でみんな相応に自分の辿った生涯やその後の歴史についても勉強しているので、それぞれに思う所あるわけですよ。
ただ、光秀とノブの関係だとやはり殺った殺られたという事実があるし、秀吉なんかも光秀ぶっ殺した上に織田家乗っ取っちゃってるわけですから、信長からすると素直に昔みたいに可愛い臣下としては扱えないんですよね、微妙なんですよ、複雑だしコイツなに考えてるか実際の所わかんねー、って怖いわけですよ。
感情的には収まっているけれど、お互いにやらかしあった事実が厳然とある身同士としては、やはりどうしても気まずい! なんか、空気がぎこちない! 心から打ち解けられない! 
このどうしようもない空気感の表現がまた、なんというか絶妙なんですよね。
しかも、それぞれ個性も違う。うちに引っ込めて中々思うところを口にできない光秀に対して、信長はこうズケズケ言っちゃう。言いたい事ははっきり言うし言いにくい事も聞きにくい事も敢えて聞く! 秀吉なんかは愛想ばかり良くて何考えてるか実際わからない得体の知れない腹黒さを感じさせるギャルで、なんかこう信用できない。そして、足利義昭はなんにも考えてない!
わりとノッブがこう気まずさに停滞しそうな空気感を、敢えてそれ聞いちゃう!?みたいな感じで切り込んで行くことでどうしようもないくらいぶっちゃけた話になっちゃうわけですが、ぶっちゃけてしまえばしまったでそれはそれで気まずい話になってしまうわけでw

ちなみに、この四人ともが転生した現代日本で女性として生まれ変わり、それぞれに人生を送ったものの若いうちに盛大に人生失敗し若いうちに死んじゃっているので、わりとアカン方へと転がり落ちてる皆さんですw

面白いのがこれ、何気に信長を初めとして戦国武将の皆さん、わりと新しい方の説に基づいたと思われるキャラ造形されてるっぽい所なんですよね。
特に織田信長、実際は革新的というよりも保守的な傾向があり、横暴に見えて何気に気遣いの人、というのが結構透けて見えるキャラクターになってるのである。
めちゃくちゃズケズケ言いたいことを言っているようで、言うべき事聞くべき事を聞かずお互い本心を明かさずにいることで危うくなるだろうパーティーの関係を回避するために、あえて空気を読んでお互いをさらけ出し合うために自分から地雷を踏んでまわっている節もありますし、好き放題する足利義昭を叱りながら何くれとなく気遣って一生懸命面倒見ている所とか、なんかもうすごい織田信長っぽいんですよね。
やんやとお互いぶつけ合う歴史ネタも、使い古された過去のものは殆ど見当たらずに、結構最近のものでまとめられているようですし。長宗我部説も、原因の一旦くらいの比重で済ましてますしね。
秀吉の人物分析なんかも非常に興味深い所で、わざわざ秀吉をなんで媚媚なギャルにしたのかというのもわかって頷くところであったのですけど、秀吉の「友だち少ない」という人格面を安易に非難したり否定しない信長様が、なるほどと思わせられる「人物」っぷりだったんですよねえ。そういう所がカリスマだったんだろうなあ。
まさか、ここからイイ話になるとは思わなかったので、尚更に「おおっ」と思わせてくれるところであったのですけれど。
しかしイイ話になった所でそこでスッキリ気持ちの良い終わり方なぞするはずもなく、お互いのどうしようもない部分、どうしても神経に触る部分、噛み合わない部分、ムカつく部分というものはあるわけで。
立場も冒険者として対等という建前になり、お互いどういう人間かというのも前世を通じて理解し合い、今世でも曝け出しあったという事で、主従だったり時代背景もあり殺伐とした情勢もあり損得に縛られた関係だった前前世と違って、言いたいことを言い合える関係であり妥協しあい許し合い受け入れあえる仲間となった今だけど、でも気まずくなった時はどうしようもないよね! というこの微妙極まる空気感は、ここまでやってもらえるともうなんかひたすら楽しかったです。
当人たちは気まずいんでしょうけど、傍から見てて居た堪れなくなるような辛く痛々しい空気感ではなく、素直に苦笑できるあたりは実に良質の、人間関係にスポットを当てたコメディだったと思いますよこれ。こういう繊細な人と人との感情の機微を描かせるとやっぱり絶妙なんですよね、森田さんて。
期待していた以上に、面白かった♪ しかし、このメンツだとやっぱり家康は必要不可欠ですよなあ。次回があるなら、まず間違いなく参戦かしら。

森田季節作品感想

きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった ★★★☆  



【きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった】 森田季節/紅林 のえ  GA文庫

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「失敬な。私はプロのニートだ」
「プロというのは、お金をもらう立場のことだろ」
「私はちゃんと親から毎月、お金を得ている」
「違う! そういう意味じゃない! 」

サークルにも行かず暇をもてあました京都の大学生、日之出は学内でミステリアスな女性に出会う――。
しかし、高階さんというその女性は学生ではなく、ニートだった!
そして、日之出が暇であることを看破した。
「なら、ちょうどいい。私と付き合わないか?」
森田季節×紅林のえが贈る、無職と大学生のスローライフだらだらラブコメディ!
付き合ってないじゃん!!
いやタイトルからして、無職と男女交際はじめました、な内容だと思いますよね、よね?
付き合ってないじゃん!!
確かに、高階さんの暇つぶしに付き合うようになったわけですから、間違っていないですけど、違うくはないですけど。
無職と付き合うというと、そりゃ相手が男か女かの違いはあるとはいえ収入のない相方をヒモとして養っていくような、色々と世知辛い男女交際についてのお話か、なんてものなのかと思ったのですが。
就活に追われる前のモラトリアム期間な大学生活スローライフ、なお話でした。色恋のビビッドな駆け引きなどは殆どなく、がちんこでダラダラしているだけのお話、というには少し意味深なところがあるか。
大学生活というのは、中学や高校時代の学生時分とはまた全く異なる時間の流れや人間関係が生まれていく期間であります。勉学に費やすそれとはまた異なる、無為のような有為のような消閑の日々。それは、もしかしたら何もしてないニートと親和性があるのかもしれないけれど、大学に所属している・ある一定の期間をすぎれば社会人にある、という敷かれた線路の上にいるという意味において、ニートとはやはり決定的な違いがあるのでしょう。
ニートとは、現実から逃避するか決然と生き様として貫くという以外に成しえない立ち位置ですし。
そんなニートの中でも、高階さんは確固たる決意を以って働かぬ!という生き様を貫こうとしている女性。だからこそ、その消閑にはニートなら常に備え持つだろう後ろ暗さや焦燥感、罪悪感や居場所の無さに狼狽えるような後ろ向きな気持ちは微塵も見当たらない。
無論、ダメな生き方である。しかし、自分だけの時間の使い方として、これほど贅沢なものが果たして他にどれだけあるだろう。私も、将来はこんなニートになりたい。
しかし、高階さんは高段者のニートではあっても、他人を必要としない一人を楽しめ孤独を苦痛に思わないというタイプのニートではないんですよね。でなければ、タダ飯狙いとはいえサークルの新歓なんかに紛れ込まないでしょうし、日之出くんをあんなふうに自宅に招くことだってなかったでしょう。寂しさを我慢できるとしても、我慢している時点で求めているものはあるということ。日之出くんは、それをとびきり優しく埋めてくれる人だったのでしょうな。
高階さんが、彼のことをどれだけ大切に思っているかは、彼女の価値観の中でもっとも尊く譲れないものを、彼のためならば躊躇いなく消費してしまえたところにも見受けられます。彼女の生き様ともいうべきものを費やして、いやそれだけ自分の誇りであり根幹であったものだからこそ、日之出くんのために費やすことでそれがどれだけ価値あるものなのかを証明したかった、というのなら随分とぶきっちょだけれど可愛い女性じゃないですか。
それもまた、一つの献身なのではないでしょうか。
まあそれも、高階さんが自分がニートであることに至上の価値を見出しているからこそ、なのですが。間違っても、日之出くんのために主義を捨てたわけでも生き方を変えたわけでもないところは忘れるべからず。
しかし、どうして大学生モノ、特に大学生活というところにスポットをあてた作品となると、舞台が京都になるケースが多いんでしょうね。いや、実際多いのかどうかは定かではありませんけれど、印象に残るとなるとやはり京都が舞台というのが多い気がするわけで、それだけ大学生のメッカなんですかねえ、京都。

森田季節作品感想

若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!2 ★★★   



【若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!2】  森田 季節/ 47AgDragon  ダッシュエックス文庫

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超ホワイトな黒魔法の会社で働いています! 今日もフランツはネクログラント黒魔法社で楽しく働いている。 使い魔であるサキュバス・セルリアがお見合いをすることに!? 望まぬお見合いを阻止するために休暇を使って魔界に乗り込んで大騒ぎ! 男爵としてもらった領地は限界集落だった!! フランツは領主として町の過疎化を食い止め、新しい産業を興せるか!? 黒魔法業界のヘンテコ研修で新たなチョロイン登場!? 帰省した地元で女子社員全員とバカンスしたり、フランツの社会人生活はゆるく楽しく進行中。犬耳社長も頼れる先輩も、妹系悪魔っ娘もサキュバス使い魔も、沼トロールも研修仲間もみんな笑顔の超カイテキ☆お仕事ファンタジー、話題沸騰の第2巻!!

親父殿の心の叫びが苦笑いを誘ってくる。そりゃあねえ、都会に行って就職した息子が突然たくさんの可愛い女の子とお近づきになってリア充化してたら、なんかもう心の内から吹き出すものがあるよねえ。長年、堅物として自分に蓋をし続けていたのならなおさらに。
でも、親父殿、ちゃんと息子がいるように奥さん貰って家族養って社会的にも真っ当に生きてきたんだから十分じゃないか、とも思うんだけれどそれはそれとして、息子羨ましい! となるのはまあわかる。わかるけど、お母ちゃんの前で実際に叫んじゃダメだから。熟年離婚一直線だから!
社会の闇ともいうべきブラック企業については、昨今どの界隈でも泡を飛ばして語られるのだけれど、逆にホワイト企業なんてものは奇跡の逸話として語られるばかりでなかなかそれを題材にした作品というのは見かけないのだけれど、こうしてホワイト企業努め、聖人のような社長のもとで働き、存分に休み! 女性関係も次々に華やいだ関係を結び、仕事内容も充実したやりがいのある業務に終始し、とまあ夢物語もここまで来ると癒やしのように感じるものです。
この天国みたいな環境で図に乗らず、ひたむきに頑張り誠実に人と接し自分の得た幸福を他人に配ることに躊躇を抱かなない主人公のフランツくんは、文句なしにいいヤツなのでその境遇は羨ましくはあっても妬ましくはないんですよね。
良き頑張りが正しく報われる世界こそ、幸福な世界というやつじゃないんでしょうか。
まあこの青年、草食系の大人しい男の見えて据え膳は断らずにまめに全部食べてしまう、ある意味お行儀の良い肉食系なんですよね。日和ったりヘタレたりしないのは、ラブコメ主人公の範疇に収まらない並々ならぬ逸材なのではないでしょうか。黒魔法の才能よりもそっちの才能の方が驚異的すぎる。
でも、自分からガツガツ行かないので、その意味では安全な男でもあるのですけれど。ただ、困ってたり本当にピンチになってたりすると、ひたむきに助けてくれるので頼り甲斐も並々ならぬのである。……まあモテるよね。
ただ、性的なハードルが低いサキュバスやそのへん気軽な社員さんたちはともかくとして、あの田舎出身の黒魔法使いの女の子は、あれは単にちょろいだけだと思うぞ、うん。

それにしても、ケルケル社長はなんなんだろう。天使? ケルベロスだけど、天使? 能力もあり人格的にもまともで善人にも関わらず、社会で上手く行かずに路頭に迷いそうになっている人の前に忽然と現れて、うちで働きませんかと勧誘してくれるこの社長さまはなんなんでしょう。女神?
黒魔法使う人限定ではなかった、というのが今回発覚して、なんかさらに神聖度がアップしちゃったんですが。
ってか、社長入社した人にはみんな儀式やってるんですか?w

シリーズ感想

物理的に孤立している俺の高校生活 2 ★★★☆   

物理的に孤立している俺の高校生活 2 (ガガガ文庫)

【物理的に孤立している俺の高校生活 2】 森田季節/MikaPikazo ガガガ文庫

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こ、これが友達のいるベタな夏休みの力か!

波久礼業平には友達がいない……こともない。自慢ではないが、最近友達ができた。彼と同じく残念な異能力という悩みを抱えた、菖蒲池愛河と高鷲えんじゅの二人だ。(高鷲えんじゅは頑なに業平を友達と認めようとしないが)
とはいえ、業平の持つ異能力、無意識に半径1m以内の人間のエネルギーを吸い取る、「ドレイン」はもちろん健在である。相変わらず、物理的に孤立していた。
もの悲しい状況だが、業平にとって久方ぶりの「友達がいる夏休み」が目前に迫っていた。夏休みの計画を立てようとする矢先、彼のクラスに季節外れの転校生がやってくる。さっそく、えんじゅは彼女に狙いを定めようとする。

「よく考えてみなさい。あの子は夏休み直前の時期に、この学校で友達がいない。友達候補として勧誘するには、かなりのチャンスだと思わない?」

確かに一理あるかもなあ、と思った業平だったが、案の定転校生もまた残念すぎる異能力を持った少女であったのだ。しかも、そんな中で犬猿の仲となっている幼馴染・竜田川エリアスと仲直りしろという命令まで下されてしまい――!?

残念系異能力者たちが夏休みを満喫(?)する、青春未満ラブコメ第2弾!!
本作って、明確な言語化したテーマを設定した上で描いてるんだろうか。物理的に距離を置かなければならない業平を主人公として、人間関係の距離感に主眼をおいて物語を書く、みたいな。
今回主に描かれているのは、業平と彼の幼馴染……というには些か微妙に距離感の遠い、敵同士を自認しあう竜田川エリアスとの距離感の再構築。彼女との距離感というのは本当に微妙というか曖昧で、幼馴染という言葉から連想される仲の良さというものは幼い頃からとんとなく、友達というにも縁が薄い状態からはじまり、業平が見せた自身の能力へのスタンスを目の当たりにしたエリアスが自分の能力と業平の能力の対比からくる煩悶から生じた敵愾心が、二人の関係の歴史の大半を埋め尽くしている。
本来縁が薄かった二人が曲がりなりにもお互いを強く意識し続けている要因が、エリアスの敵意にあるという出発点からして複雑で、またエリアスが業平に対して敵意はあっても人格に嫌悪の類いは抱いていない、というのがまたややこしさを煩雑なものにしていて、とにかくよくわからん関係なんですよね。
周りから仲直りしなよ、と言われてもいやそもそも仲直りするような関係じゃないし、とうそぶくのはわりと真剣な返答だったのかもしれない。そもそも、お互いの関係、お互いの距離感について定義付けがなされていないせいで、当人同士もなんかよくわかっていなくて、はっきりしているのはエリアスがどうして業平に敵意を抱いているのか、という部分だけ。いやそれすらも、二人が顔を突き合わせて話し合った結果として浮かび上がってきた事実なのかもしれない。だから結局の所、二人に必要だったのはその関係の定義付け、だったのだろう。
まあ、それに成功したかというと怪しい所なのだけれど。それでも、お互いにもやもやした気持ちを自分だけで抱え込んだままだった現状を、お互いそのもやもやを話すことで共有することが出来たお陰で、相手が自分をどう思っているのかというのをある程度把握しあえた、というのは二人にちょっとした「すっきり感」をもたらすことには成功してるんですよね。
それでもやっぱり二人の関係は定義付けも明確なわかりやすさも固定できず、曖昧模糊としたつまり何なんだろうというほか無い関係として継続してしまうのだけど、敢えて言うならそれって「友達」でいいんじゃない?というところにまでは辿り着いたのかなあ、というところ。

新しく登場した転校生の汐ノ宮さんは、面白いことにこの手の曖昧な距離感の人間関係、というものをさっぱり理解できないタチの人らしく、非常に明確な区分を以って分け隔てないと混乱してしまうようで。ただ、前の学校でそのあたりで大失敗をしているために、はっきりとした基準に基づかない曖昧模糊とした関係や、ふわふわとしたその場の状況や雰囲気、関係によってその言動の意味する所が変わってしまう、というような状況が存在する、そしてそれを自分はうまく把握や認識が出来ないというのをちゃんとわかっている。
わかっているけれど、判別できないのでどうしても空気が読めない言動をしてしまいがちで、えらく慎重な物言いに終始するところがある、というキャラになっているっぽい。
出来ないことをわかったからと言って、それが出来るようになるかと言うとそうじゃあないのが辛い所なんだよなあ。あっさりメイド長を切り捨ててしまったときのように、自認していても自覚できない場合もある。エリアスとの微妙な関係にスポットをあてる脇で、その微妙さを踏みにじり、微妙さに踏みつけられる登場人物を放り込んでくるあたり、何気にピーキーな構成というか、物語の積み重ね方をしてるんじゃないかしら、と思ったりもするのでした。
でもどう話が転がっていくにせよ、物理的に他の人に触れない、というのは女の子と仲良くなるという点については先行き詰んでるんだよね。

森田季節作品

若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です! ★★★☆  

若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です! (ダッシュエックス文庫)

【若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!】 森田季節/47AgDragon ダッシュエックス文庫

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魔法学校に通う青年フランツは、卒業間近にもかかわらず就職先が決まらなくて焦っていた。フランツはダメ元で、白魔法と違って「キモイ・キタナイ・キケン」の3K魔法業界と言われ、若者に全然人気のない黒魔法の会社を受けてみた。すると、その会社は若者でも快適に働けるように、職場環境を改善しまくっていた。しかも、フランツと黒魔法の相性がよく、いきなり上級使い魔のサキュバスまで召喚できてしまう!就職できない彼をバカにしていた同級生をやり返しつつ、天使のような犬耳娘の社長に認められ、優しいエルフの先輩と一緒にドラゴンスケルトンに乗って出張へ!かわいい使い魔も一緒に、ゆるく楽しい社会人生活が始まります。

ひたすらホワイトな職場環境を描くだけで一作品になるのかー。森田さん、ガガガ文庫で芸能界に即した業界モノで、働く社会人の世知辛いというか身につまされるお話を書いてたんだけれど、その反動ではないんだろうけれど、なんかもうひたすらホワイト、ホワイト、ホワイトな会社で働くというネタで作品一つ作ってしまうとは。
昨今、みんなブラック企業に勤めて社畜化し続ける話か、ドロップアウトしてニートと化したりアングラ入りしてしまったり、あの世に旅立ってしまったり、そのまま異世界まで転生してしまったり、と忙しいご時世だけれど、そうだよね、異世界に行く前に現実世界でホワイト企業に勤めるほうが幸せを掴むには近距離だよね。チート能力貰うよりも、ホワイト企業に就職できる方が色々と早いよね!
というわけで、初任給は一般企業の倍。勤務内容は従事者の事をよく考えた健康にも優しくやりがいのあるもので、勤務時間や有給取得も自由度が高く、コンプライアンスはしっかりしていて、会社福利厚生も充実。会社の業務は多大な社会貢献にも通じていて、働けば働くほど世のため人のためになる。上司や同僚の先輩は優しく頼りになって、何より美人だったり可愛かったり。そしてなにより、努力は正当に報われる。
という夢のような会社に就職してしまった新社会人の夢のような新社員生活なのである。
そんな会社、経営やってけるのかよ、と思いたくなるところですけれど、結局従業員や社員に負担を、それも要らん余計な負担を強いないと利益をあげられない、というのは経営者の不徳の致すところなんですよね。まあ待遇あげればそれで全部上手く回るか、というとそう簡単なものでもないのですけれど、少なくともこの黒魔術会社の社長は超やり手です。多岐にわたる手腕を持つ彼女ですけれど、その一番の経営者としての才覚はやはり人材発掘、人を見る目、なのでしょう。不遇をかこつ人材を直接スカウトしてくる社長、それは単なる救済ではなくちゃんと自分の会社で活躍できるかを見極めた上でのスカウトでもあるので、少数精鋭の社員たちみんな業界でもそれぞれ唯一無二であろう能力や才覚の持ち主なんで、そりゃ新入社員にあれだけ出せるだけの稼ぎはじき出してますわー。
それでいて、自分の会社だけ儲ければ良し、という姿勢ではなく業界全体をイメージアップさせて底上げさせていこう。その為なら、別に自分とこの社員が別の会社に転職したり独立したりしても構わないという一貫した方針を立てているわけですけれど、いやこれ出ていくわけないでしょうに。のんびりやりたい人も、ガンガン自分を高めて行きたい意識高い系の人でも、両方思う存分やりたいようにやれる会社ですし、上司ですし、社長ですし、これだけ大切にしてもらったら社長への恩を感じて、とてもじゃないですけど出ていきたくならないでしょう。
これもまた、ある種の読者に対するストレスフリーを徹底した、夢を見させる作品、というやつなんだろうなあ。なぜか、若干自分の目から光が失われていくような心地も並行して味わったような気がしないでもないですが……ふふふ。

森田季節作品感想 

不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ) 7 ★★★★☆   

不戦無敵の影殺師 7 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ) 7】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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どれだけ強くなっても、俺は悩むんだな。

「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。

俺――冬川朱雀はとまどっていた。
「人間になると決めたら、教えてね。そのための異能力者を紹介するから」
小手毬の前で両手を広げて、天児奈はいつもの軽い調子で言った。
しかし、話はそうメリットばかりではなかったのだ。小手毬が不老不死である煌霊から人間に戻れば、人として生きられる。だけど、『天上』になったことで現状俺は不老不死だ。俺たちの人生は共に歩めなくなってしまう。すれ違ってしまう。そうなると俺は『天上』を辞めるだろう。しかし、天児奈によって大きな問題に気づかされた。
「『天上』というのは世界が大きく悪い方向に行かないように管理する組織なの。じゃあ、最も管理しないといけないのは『天上』そのものでしょ。『天上』レベルの異能力者を放置していれば、世界は重篤な危機に陥りかねないよね?」

つまり『天上』から抜けた異能力者が無事に生きていけるって保証はどこにもなかったのだ――!

真の最強になることが唯一残された道!? 苦悩し続ける異能力リアルアクション最終巻!
人間、手の届く範囲の人を幸せにするだけでも精一杯なのだ。そして、それさえもひたすらに難しい。
本作は、異能者たちとその業界という特殊な舞台を扱っているわけだけれど、それはあくまで外装だけで内実はただただ社会に出た若者たちの物語なんですよね。生々しいまでの社会人の物語であり、フラフラと定まらない若者たちが「大人」になっていく物語でもあった。
最近、様々な職種にスポットを当ててその仕事ぶりをフォーカスしていくお仕事モノというのが一つのジャンルを形成するほどに至っているのだけれど、これはそこからさらに一歩踏み込んで大人たちがどんな風に日々の生活や仕事や未来への展望や友人たちとの人間関係、愛する人との向き合い方を生々しく、或いは迫真性を以って描いていた作品だと思うんですよね。まともに稼げない底辺の生活、友人とのすれ違い、最愛の人との離別といった苦しい日々もあれば、仕事が成功し破綻していた人間関係を取り戻したり、お互いに抱いていた愛の形を共有のものにすり合わせることが出来たり。どん底まで落ちることもあれば、そこから這い上がり、また浮き上がるときもある。波乱万丈というには、彼らの経験した歲月というのは特異な体験でありながらも誰もが経験する人生の一片でしかなく、だからこそ凄く身に沁みたんですよね。
若い人たち、まだ社会に出ていない人たち。大人なんてものはね、みんな往々にしてこんな風にジタバタもがいてもがいて、踏んでも泥濘んで滑ったり沈んだり抜けなくなったりしない地面を求めているんだよ。こうやって、悩んで苦しんで間違って、みっともない姿を晒して恥じ入り後悔して蹲って身を縮めて、それでも確かなものを求めて足掻いているのだ。
大人なんてその程度なのだ。どれほど傍から見たらカッコよく見えても、中身はみっともないもんなのだ。大人だから偉いなんてもんじゃない。大したもんじゃないんだよ、大人なんて。
でもね、でもだ。そうやって足掻いて足掻いて、自分の力で人生と呼べるものを手に入れる人もいる。自分の本当に大切なものを見つけることの出来る人もいる。そんな人は、文句なく偉くて大した人で、カッコいいんだよね。それを見失わず、ずっと持ち続けることの出来る人はなおさらに。それを、多くの親しい人たちと共有し続ける人はさらに増して。
そして、またみっともなくてかっこ悪いままでしか生きられなくても、それはそれで絶望でもないんですよね。それぞれに生き方があり、人生の歩き方があり、何が幸せかなんて一人ひとりが胸にいだいていればいい。
それを理解するのもまた、己の人生を知る、ということなのかもしれない。
大人と呼ぶに足るだけの人間になれるまでの、沢山の苦労や悩み。それを切々と描いた作品だからこそ、ライトノベルとして、まだそういう経験を得る前の段階である子供たちが読む機会が多いライトノベルとして、本作が出たことには大きな意義があると思いたいですよね。「人生」を実感するって、こういう感じなんだよ、というのを既に体験している、体験しつつある人達が共感とともに眺めるのと同様に、まだ体験する前の子たちが生々しく垣間見る機会として。自分の人生を知ることを恐れ、憧れ、親しむきっかけとして。

取り敢えず、滝ヶ峰さんが、もう別人レベルになるまで幸せを堪能している姿が、ある意味小手毬よりもインパクト大だったんで、余計に行き遅れ確定っぽい舞花さんとの対比が……まあ独り身ネタが微妙に持ちネタと化している節もあるので、これもまた人生……。

シリーズ感想

不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 6 ★★★☆  

不戦無敵の影殺師 6 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 6】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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『最強』を追う生き方の終わり――

「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。俺――冬川朱雀は相棒の小手毬を救うため、『天上』の一員になった。
「『天上』だろうが、悪魔だろうが、なってやるよ!」
それは俺の偽らざる気持ちだった。俺が『天上』になるという取引をしなければ、小手毬の命が保証されないからだ。小手毬を救えるのならなんでもよかった。けれど、癇癪を人にぶつけてしまった時の後味の悪さのようなものが残った。
『天上』になるというのは、つまり、どういうことなのだろうか?
何かを得るということと、何かを失うということは、いつの時代もほぼ同時にやってくる。『天上』のように浮き世離れした神のような存在たちの一員になるとしたら、よほど多くのものを失わないとイーブンにはならないだろう。
その予想は当たっていた。
俺は今までの生き方を変えなければいけなくなったんだ――。

誰もが幸せになれるなんて幻想だ!
新たな展開をみせる異能力リアルアクション第6弾!
これもなー、要約してしまうと世知辛い話ですぜ。
随分と慕ってくれていた後輩、自分も可愛がっていたんだけれど、結婚を約束した同棲相手が難病に罹ってしまったことで身辺がごたごたしてしまい心身ともに疲弊して他者に構う余裕もなくなり、何とか同棲相手が回復してくれたあとも病気治療の為に多額の負債を背負ってしまったことでこれまでと同じ仕事ができなくなって、自然と後輩との付き合いも疎遠になってしまった。ようやく、身の回りが落ち着いてきたのを機会に改めて知人たちと連絡を取るようになったのだが、自分がバタバタしている間に後輩はどうも良からぬ怪しげな輩と付き合うようになっていて……というような具合で。
天上とか大仰な構えで表現されていますけれど、ようは小手毬を助けるために手をつくしたが為に色々と負債を背負ってしまって、今までみたいな表舞台で脚光を浴びるような身の上では居られなくなった、という意味ではまあ莫大な借金背負った、しかも質の悪いところから借りてしまった。返済のために後ろ暗い仕事もしなくちゃいけなくなった。みたいなもんですもんねえ。
それでも、小手毬が助かったのだからそれに勝る喜びはないのですけれど、今までの生き甲斐であった仕事ができなくなったわけで、何かを得るために取り戻すためには、何かを喪わなければならなかった、という構図ではあるんですよねえ。
ただ、朱雀はあれですよねえ、わりとワーカーホリックなのか、この男。楽に生活が出来るならそれに甘んじればいいだろうに、他に趣味をみつけるとか。やりがいのない仕事ばかりやらされてノイローゼ気味になって、お金はイラないから仕事をやらせろ、とか言い出した日にはそれもう仕事じゃないですからw
一方で、小手毬さんの方は「子供が欲しいなあ」とわりと堅実な願望を漏らしてたり。朱雀さんよ、相方さんはもう現実の中で生きてますよ。ちゃんと、未来のカタチへの希望を思い描いてますよ。仕事に不満を漏らしている暇があったら、まずこう、小手毬との関係をちゃんとしないと。

とまあ、自分の一番近い距離の範囲で汲々とするばかりだった朱雀にとって、可愛がっていたとは言え他者であるみぞれに対して、色々と察しろとか様子の変化に気づけ、というのは無理だったんだろう。ただでさえ、一杯一杯だったわけですし。
それでも、みぞれが手を出してはいけないものに手を出してしまったのは、彼女の朱雀への憧れに端を発するものだったわけですから、まあ責任は感じてしまうわなあ。
男一人が手を差し伸べてあげられる範囲というのは本当に狭くて、それは舞花とのことで十分わかっていたことなんですけれど、更にみぞれからもそれを思い知らされるというのは辛いなあ。少なくとも、舞花については自分が決断を下し、自分の手で彼女を傷つけることが出来たけれど、みぞれについては全部彼女の責任と判断においてなされたことだけに、どうしようもなかったのがなお辛い。世知辛い。
間に合った、とは口が裂けても言えないけれど、手遅れだったかもしれないけれど、でもみぞれに選択できる余地を与えてあげられただけ、朱雀は頑張ったのかな。そう思いたい。

とりあえず、誰か舞花さんを幸せにしてあげてください、ほんとに。滝ヶ峰の一件には仰天しただけに、なおさらに舞花さんのことが……世知辛いのう。

シリーズ感想

封神演戯 2 3   

封神演戯  2 (ダッシュエックス文庫)

【封神演戯 2】 森田季節/むつみまさと ダッシュエックス文庫

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殷(いん)は滅ばない――聞仲(ぶんちゅう)によってもたらされた情報の真偽を確かめるために一度崑崙(こんろん)に戻った太公望(たいこうぼう)。そこで、聞仲の強すぎる殷への執着によって歴史に変動が起きうる可能性を元始天尊(げんしてんそん)に語られる。どちらの歴史を選択するか、殷の存亡をかけて崑崙と金鰲(きんごう)による仙界大戦が勃発!! 聞仲は幹部の呂岳(りょがく)、趙公明(ちょうこうめい)と共に崑崙を急襲! 太公望もまた崑崙に残っていた太乙真人(たいいつしんじん)、竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)たちと策を考える。だが、そのころナタが応援に向かった人間界では、妲己(だっき)姉妹と紂王(ちゅうおう)がなにやら妖しい動きを見せていて……!? 楊センと太上老君(たいじょうろうくん)の太公望をめぐる恋のバトルも勃発!? 宝貝(パオペエ)と美少女が入り乱れる新解釈「封神演義」待望の第二巻!
これ、太公望の根本のやる気が全然ないにも関わらず、責任背負い込んで死にそうになるまで頑張ってしまう所って元日本人っぽいなあ。これが変に前向きになると、スープーみたくうざくなってしまうのでどっちもどっちなんだけれど、嫌だ嫌だと思いながら手を抜けない、というのは小心者の特徴でもあるんですよね。もし手を抜いたり適当にやってしまった時に起こってしまうあれこれを想像してしまうと、もう不安で仕方なくて耐えられなくなるわけですよ。がっつりストレスが溜まってしまう。そんな精神状態で、サボって遊んでなんていられないのです。遊ぶなら、ダラダラするなら憂いも懸案も全部片付けてからでないと、心から安らげない。この太公望は、さらに関わった人間たちに対しての責任感も感じているから、輪をかけちゃってるんですよねえ。損を引き受けてることは誰よりも自分が理解しているにも関わらず、それを投げ出せない。それこそ、そんな性格なんだよねえ。幸いなのは、そんな太公望の在りようを周りの人達が利用しようとしていないことか。いや、利用はしてるんだけれどね、元始天尊も楊センも彼を踏み台にして使い潰そうというつもりだけは一切ないですし。楊センとは価値観こそ違えど、彼女は太公望のそんな損してる部分をこそ、愛おしんでいる節もありますし。だからこそ、彼には損だけじゃなく、もっとその働きに応じた相応しい得るべきものを得て欲しい、と思ってもどかしい思いをしてるんでしょうけれど、その彼女が得るべきと思ってるものを太公望は全然欲しがってないわけで、その食い違いにやきもきしてるんだよなあ、楊センは。
彼女の苛立ちは、その理由からして実に可愛らしくて好きなんだけれど、なかなか解消は難しそうなのよねえ。その点、太上老君の方が太公望の理解者ではあるんですけれど、でも応援したいのは楊センの方なのです。
自分の置かれた立場に対する苦悩、という点では紂王のそれも、面白いと思うんですよね。ただの善人にすぎない姫昌などよりも、ずっと王としての資質に優れていた紂王。だが、その優秀さに時代や人間がついてこれず、国を創造ではなく破壊へと傾けてしまうが故に、故意に愚者たらんとする彼の苦悩、もどかしさ、悔しさ。そんな彼が出会ったのは、出会ってしまったのは国の行く末など眼中に無く、ひたすら音楽に傾倒してオンリーワンの誰も聞いたことのない最高の音を探し続け、王としてではなく音を奏でる奏者としての紂王の才能を欲する妲己であったわけで。
真面目に世界の、歴史の、国家の行く末、未来を思い、様々な立場から自分の守るべきものを守ろうと、果たすべき役割を果たそうとしている崑崙と金鰲、殷と周の人々の中で、妲己たちだけが完全に違う方向向いちゃってるのが、なんともはや。妲己たちの第三勢力の動向がちょっと読めないんですよね、これ。目的ははっきりしているのだけれど、そこに至る過程をどう突き進むつもりなのか、さっぱりわからない。何しろ、妲己がその辺まったく考えてないんだもんなあ。妹分で実務面を担当している胡喜媚が、ある程度常識的に対応しているんでまだわかりやすい金鰲と妲己勢力がゆるい協力状態にある、という形に収束しているものの、妲己の気まぐれ次第ではどうなるものか。何しろ、紂王からしてえらいことになってるわけで、これ聞仲が知ったらどうなるのやら。

1巻感想

不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ)54   

不戦無敵の影殺師 5 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ)5】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。

俺――冬川朱雀と相棒の少女・小手毬は無能力者との戦いが終わり、いつもどおりの生活に戻れると思った。しかしその矢先、小手毬が血を吐いて倒れた。そして意識を失い、俺の隣に眠っている。どうかこれを眠りだと、定義させてほしい。たとえ息をしていなくたって、眠りと言わせてほしい。ふとももに小手毬の重さを感じているから、よりそう思えるのかもしれない。小手毬の重さは意識がなくても変わらない。あいつの頭の重さが俺の脚を支配する。

どうして、お前の首元、こんなに冷たいんだよ――。
誰かを倒せば小手毬が目を覚ますのか?
――そんな敵は存在していない。
最強を目指してあれだけ悩んで、戦って、傷ついた。
強くなった。なのに俺にはなにもできない。

俺が何をすれば、小手毬が戻ってくるんだよ!
・・・・・・誰か、教えてくれ――。

無能力者との戦いの末に、煌霊でも人間でもない状態に陥った小手毬。果たして彼女を救う手段は存在するのか――。予想外の展開をみせる異能力リアルアクション第5弾!
いや、今回の話、凄かった。元々この作品は冬川朱雀という男が置かれた状況・環境の中で延々と懊悩し続ける様子を描き続ける作品ではあったのだけれど、今回のそれは極限も極限、というべき状況でしたからね。
主従どころか人と人の関係でもなかった小手毬との関係を、恋人のそれへとようやく手繰り寄せた途端に訪れた、小手毬の昏睡。いや、実質死んでいるのと変わらない状態に陥ってしまった彼女、助ける方法があるのかもわからないまま、仮死状態のまま安置されてしまった小手毬に、置き去りにされてしまった朱雀。
直後の精神の均衡を崩しかける朱雀の様子を描いた場面も、壮絶といってイイくらい迫真だったのだけれど、今回の話の真骨頂はむしろその後だったのではなかろうか。
ことが起こってしまった直後、というのはむしろ波打つ感情を抑えたり、振り回されたりすることに忙しくてそれに夢中になっていれば時間は流れていくのだけれど、時間が経過していくごとに波立っていた感情も落ち着いてきてしまうのである。小手毬の不在に苦しみ寂しさに心掻き毟られていたのが、徐々に彼女が居ないことが常態になっていく、普通の日常になっていく。
何も出来ない自分、何をしたらいいのかもわからないことへの無力感、無常感が気力を喪わせ、感情を摩耗させていく。周りの人たちは、いろんなことを言ってくるのだけれど、それが煩わしく、辛い。
この苦しみの長期化による心理面の変化の描き方が凄いんですよね。その後また、朱雀は周りの人の助言や家族のサポートなどによって、自分のなすべきことを取り戻していくのだけれど、そうした人間関係を含めて朱雀のメンタル面の爆発、滑落、停滞、再起動、奮起と諦観、そうした浮き沈みを実に生々しく描いているのですよね。そんな中で、傷つき苦しむ朱雀に寄り添い支える舞花との人間関係の再構成も強いられていくわけですが、舞花に対する朱雀の姿勢というのは誠実なんですよ、嘘で繕う事も誤魔化すこともせず彼女の献身に対して誠実であろうとするわけですが……誠実だからこそ人間のクズみたいなことになってるんですよね。
これは朱雀自身も自分がどれほど舞花に対して酷い事をしているか、舞花も自分がどれほど酷いことをされているか、を承知したまま受け入れてしまっているのが、ちょっと泣けてきてしまう。二人共、もうちょっとズルくなれば楽になれるだろうに。
小手毬を失ってからも、朱雀がずっと小手毬の事ばかりを考えながら、抜け殻になってしまった時ですら小手毬の為に燻り、再起動したときも小手毬の為にと、なにもかもを小手毬を中心において行動し日々を送っていたからか、小手毬当人が不在にも関わらず彼女の存在感の大きさは作品そのものを覆うかのようだった。だからこそ、場合によってはこのまま小手毬が戻らない展開すらもアリかと思ったんですけどね。
そんなバッドエンドすら許容して、物語を先に進めるだけの迫真が、今回の話にはあったと思う。
しかし、朱雀は最後まで諦めきれず、舞花はそんな諦めない朱雀をこそ愛してしまった。自分を後回しにして、彼の幸せを願ってしまった。
舞花がこの結末を心から喜びながら涙する様子が容易に浮かんできてしまって、とにかく切なくて切なくて。朱雀も小手毬も、そんな舞花の気持ちをちゃんとわかって居れる人間なだけに、彼女の残した想いを一生引き受けていくんだろうなあ。

シリーズ感想

封神演戯 3   

封神演戯    (ダッシュエックス文庫)

【封神演戯】 森田季節/むつみまさと ダッシュエックス文庫

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古代中国の伝奇「封神演義」をモチーフに、人間・妖怪・仙人が”戯れる”まったく新しいファンタジーの幕が上がる!
並行世界の歴史を管理する組織「崑崙」に所属する仙人・太公望。
だが太公望は有休を取り続けてまったく仕事をしない”ニート”の仙人だった。
ある並行世界の「殷」という国の歴史が、妖しい仙女・妲己によって歪められていると知った崑崙は、正しい歴史に導くため、太公望を派遣する。
激しくやる気のない太公望の仲間は、体育会系気質バリバリの霊獣・スープーシャンに、
超絶ドS美少女天才仙人・楊戩(ようせん)、さらに最強宝貝少女・哪吒(なた)とクセ者ばかり。
相性最悪のチームで妲己封神計画は前途多難!?
【封神演義】というと、本邦ではやはり藤崎竜版の【封神演義】の影響がとてつもなく大きい。原典である【封神演義】も有名ではあっても、その内容を知ったのは藤崎版の漫画から、という人は多いでしょうしね。というわけで、封神演義というとどうしても藤崎キャラが頭に刷り込まれてしまっているもので、これを打破するのは相当難しいはず。派手な宝貝や仙人大戦というマンガやラノベのネタとするには芳醇すぎるくらいの世界観でありながら、殆どこの作品が取り上げられなかった理由の一旦には、藤崎版があまりにも強烈過ぎた、というのもあるんじゃなかろうか。
その意味では、本作もその影響から脱しているとはいえないでしょう。むしろ、それを踏まえて挑んでいる、というのは封神演義の象徴とも言えた「スープーシャン」が、もろに藤崎版リスペクトキャラだったことからも見えてくる次第。見た目がどうみてもカバなあたり、デザインからもろですし。もうスープーシャンといえばあの「――ッス!」のキャラで固まっちゃってるもんなあ。でも、逆に言うとスープーシャンの印象が強いぶん、それさえ抑えておけば、ほかはわりとどうなろうと気にならない感じではある。
というか、楊戩とか覚えてないしなーw
どうやら本作のメインヒロインは楊戩らしいのだけれど、言われても「え、誰だっけ?」状態でしたし。考えてみると、楊戩のみならず超メイン級以外は殆ど覚えてなかったので、そりゃあ誰が女体化しようとあまり気にならないか。
とりあえず、太公望当人も主張していましたが、有給で休んでいる分には無職ではありませんし、ニートじゃありませんから! 精神的にニートでも、休みの間一歩も外に出なくても、実際にはニートじゃないですから! 有給は正しい権利、権利!!
スープーうざいです、あの前向きな体育会系精神論は勘弁して下さい、付き合ってると精神的に死にます。眼の色が死んだ魚の色になっていってしまいます。その点、ざっくりとスープーの精神論を一刀両断して、怠惰を執行しつづける太公望先生はえらいです、尊敬します。ニートの鑑です……だからニートじゃないです。
いや、実際ニートじゃないんだよなあ、この太公望。効率主義で無駄な労力をきらい、だらだら過ごすの大好きなんだけれど、仕事を疎かにしないどころか、実際は非常に真面目に取り組んでいて、責任感も強くて献身的なんですよね。過程に対しては手を抜ける部分は徹底して抜いても、結果を出す段階に至っては決して手を抜かない。むしろ、自分を消費することをもいとわないあたりは、勤勉を通り越してる感じすらあるわけです。真面目か!
頑張ればそれで満足か、結果が伴わなくても過程でやる気さえ見せてりゃいいのか。導き出される結果に対して、太公望が示してみせた責任の果たし方は、なかなか痛切ですらありました。
天才であり、また根が真面目っぽくて色々面倒を抉らせてしまっている楊戩なんかにとっては、彼の見せたあり方は鮮烈ですらあったようで、チョロいとか言うなかれ。彼女は彼女なりに自分の天才としてのあり方と周囲との距離感にずっと悩み続けていて、その気高さが故に孤独であり続けたわけだ。不器用なのもあるんだろうけれど、その寂しさは彼女を苛み続けていたのだろう。それでも譲れない一線があり、それを守るためにただでさえ面倒な性格をさらに抉らせていたところで、ようやく彼女は自分を天才のまま使ってくれる相手に出会ったのだ。自分をそのまま受け入れてくれる相手に出会ったのだ。運命である。そして、彼は同時に天才である自分が守ってあげないと何を仕出かすかわからない、大馬鹿ものであったのだ。天才である自分が理解してあげないと、自分以上に孤独になってしまうハグレ者だったのだ。唯一無二の運命である。出会ったのだ、それをチョロいというなかれ。
でもなるほど、その意味では太上老君の立ち位置も、楊戩が至ったそこと一緒なのか。こりゃあ、強烈なライバルになりますよ。
どうやら、こっから大きく本来の「封神演義」とは話の筋立ても変わってきて【封神演戯】としての物語となっていくようで、崑崙からして信じられない誰が味方かわからない錯綜した展開になってきそう。

森田季節作品感想

ストレンジガールは甘い手のひらの上で踊る 3   

ストレンジガールは甘い手のひらの上で踊る (MF文庫J)

【ストレンジガールは甘い手のひらの上で踊る】 森田季節/文倉十 MF文庫J

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一色佐奈は、地下鉄が好きなちょっと変わった女の子。そんな彼女は今、クラスメイトの浦上彰人に恋をしていた。ところが彼には、万里花という美少女の幼馴染がいることを知る。二人は何かの秘密を共有していたようだったが、恋敵と思っていた万里花の協力もあり、彰人とより親密になることができた。そんなある日、彰人から秘密を打ち明けられる。―それは古い集落に代々伝わる不思議な風習。彰人と万里花、二人の秘密の中に部外者の佐奈を迎え入れたことで、物語は大きく動き出す―。誰が彼女を殺したのか?苦して甘い、トライアンギュラー恋愛ミステリー。

ふわふわと綿菓子みたいな甘やかさの一方で、ヌメるような粘っこさが付きまとい、サッパリとしているようでドロドロの感情が渦巻いている。ほろ苦く、甘酸っぱい。森田作品の中でも特に先鋭的だったこの雰囲気。懐かしいなあ、まるで【ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート】じゃないか……と思って読んでたら、んんん!? なんか聞き覚えのある曲名が出てきましたよ? あれ? タマシイビトとかイケニエビトとかいう単語が出てきましたよ!? ってか、この作品のイラスト文倉十さんじゃないか! 
まさかの【ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート】、【プリンセス・ビター・マイ・スウィート】に続く第三作でした。いや、気づかんですよ。六年ぶりですよ。しかも、タイトルにビター・マイ・スウィートついてないし。
しかしこれ、趣味で個人的に書いていたモノと後書きで述べていはりますけれど、なるほどこれはとことん好きな様に書いてる感が諸々出ていて、思わず色んな意味のこもった半笑いが浮かんでしまいました。この、万華鏡みたいな恋愛感情のややこしいことややこしいこと。その複雑怪奇さは、当人たちを含めて読んでいる人にもはっきりとした答えを与えるつもりが、そもそも存在していないあたり、潔いと言っていいくらい。ただ青春を謳歌する若人の煩悶を描くだけならば、もうちょっとわかりやすい矢印や、ベクトルとなるんだろうけれど、そこに伝記的な要素が絡むことによって本来の青春模様の中では生じ得ない秘密の共有が、彰人・佐奈・万里花の間に生まれてしまい、それが想いの進む進路をグニャグニャに捻じ曲げていくのである。非日常であるものが日常化することによって、容易に越えることが出来てしまった心理障壁。そこで犯してしまった罪は、化け物になったからではなく、恋する少年少女であり続けようとしたからこそであり、しかし罪を犯す事で彼女たちは純粋な恋に耽溺することができなくなってしまうわけだ。しかし、罪の意識を抱えながら後悔のない彼女たち。立ち止まって近寄ることができなくなっても、お互いにずっと見つめ合っていればそこに改めて生じるものもある。さて、すべての元凶であり罪を犯すことを促し、行き詰まりかけていた彼らを送り出すことにした白は、それを見て苦笑い。万里花への声援は、さて純粋な好意なのかちょっとした意趣返しなのか。
改めてもう一度、今度は純粋に三人による三人のための三角関係を修羅場ってほしいものである。個人的には、旧悪女にして乙女たる万里花の巻き返しに大いに期待したい所。なんだかんだで散々に割食い続けてたのは彼女なんだから、もう好きにしていいと思うのよ。そうして生じる不幸は、きっと良い不幸なのだから。

森田季節作品

不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 4 3   

不戦無敵の影殺師 4 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 4】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。第二回KCで敗退したことで元・最強となった朱雀と小手毬。自分たちが少しでも異能力業界に貢献できたことを誇りにしつつ、もう一度最強を目指し、仕事に勤しんでいた。しばらくして朱雀は普通の人間が異能力を使う「無能力者ガールズ」というアイドルユニットが人気上昇中であることを知る。彼女たちの存在が、朱雀自身に困難をもたらすキッカケであることを彼はまだ知らない―。異能力vs科学力!?新たな戦いが巻き起こる第4弾!

今回のお話、朱雀と小手毬が相棒だから煌霊だからと拘ってきた建前を排して、お互いの関係を見つめなおし本当の気持ちを確かめ合う、という実に青春的展開のはずなんだけれど、この作品の雰囲気だと何故か「内縁関係にある女性とズルズル続いていた曖昧な関係を、きちんと精算して家族とも相談してちゃんと身を処すまでのあれこれ」という感じになってしまう不思議と面白味(笑
まあこの主人公ももうすぐ三十路という年齢ですしねえ。小手毬との関係も、こっ恥ずかしくも初々しい恋愛模様の段階はとっくに通りすぎて、上記したようにほぼ内縁の奥さん的な感じでしたし。今更青春模様なんてやってらんないでしょうし。なんせ、もう夫婦間の収入格差問題まで克服してる関係ですし、ですしッw
二人の関係については、もっと家族の方から駄目出しが入るんじゃないかとも危惧してましたけれど、意外と両親はその辺頓着ないみたいですし、妹の白虎なんざ小手毬への接し方、殆ど兄のお嫁さんというか義理のお姉ちゃんみたいな懐き方でしたし。
となると、問題は小手毬の意識であると同時に、煌霊という一度死を経て主に命を吹き込まれてる使役物、という存在そのものにあったようで、小手毬的にはそれを相当気にしていたみたいなんですよね。口では自分は煌霊だ、と言い聞かせるように繰り返しつつ、朱雀の家族は自分の家族も同然だ、という幾度かの発言の温度からは、煌霊の主の家族というよりも夫の家族、というニュアンスが強かったように見えましたし。それに、どうも自分に子供が出来るのか、産めるのか、というのをしきりに気にしてた素振りがありましたからね。
気持ちとしてはもう名実ともに朱雀のお嫁さんになりたいけれど、自分が煌霊であることがネックになっていて、半ば諦めて自分は煌霊であると頑なに主張しながら、内心はどうにかならんもんかと苦悶している、というような感じで。
だからこそ、冷静沈着な小手毬としては珍しく、フラフラと誘惑に乗ってしまったわけで。まああの時は朱雀も反対も抵抗もせず、無言で後押ししちゃってたからなあ。仕方ないっちゃ仕方ないのですが。怪しげな不妊治療詐欺に思わず引っかかっちゃう若夫婦、みたいな?
とまあ、メインは朱雀と小手毬の関係再編の話だったんだけれど、一方でもう一軸はというと無能力者、という枠組みを押し出しての、力を持つものへの僻みやコンプレックスに焦点を当てながらも、その気持は良くわかるがやっぱり筋違いであって、頑張る方向をちゃんと考えないと、という趣旨の話を懇々切々と語りかけてくる内容で、これがまた世知辛いというか、バッサリ切って捨てずに朱雀が自分の身や経験に照らし合わせながら諭すように語っているのが身に沁みるんですよねえ。
滝ヶ峰万理の言うように、明らかになってみれば本当につまらない話で、子供みたいに八つ当たりするばかりでそのコンプレックスやらをうまく利用してパワーゲームを仕掛ける事も静かに能力者を追い落としていくような謀略を企むでもなく、バタバタと手足を振り回すだけのみっともない話でしかなかったのだけれど、だからこそ朱雀の哀れみが沁みるわけです。
ああいうみっともないの、目の当たりにしたのも、朱雀がきちんと身を処す事を考える理由の一つになったんだろうなあ。
ところで、煌霊って子供とか産めないんだろうか。確かに主から命を吹き込んで貰わないとすぐに動けなくなってしまうような不自由な体ですけれど、「生命」を吹き込んでもらっているということは死体を動かしているわけじゃなくて、ちゃんと生きているともとれますし。体が成長しないのは、不安要素だけれど……。親父の煌霊が、離れた場所で暮らしながらちゃんと今も存命してる、というあたりにヒントがありそう。
なにしろ、ラストでえらいことなっちゃったからなあ。

シリーズ感想

不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 3 3   

不戦無敵の影殺師 3 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 3】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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「異能力制限法」により異能力者はすべて社会から管理され、戦う機会が奪われた現代。アンダーグラウンドの異能力者組織「御大」を撃退したことで、御大の異能力者から狙われることになった朱雀と小手毬。裏社会で生きる異能力者たちは規格外の強さで、何もできないまま敗れてしまう。彼らの狙いは、エンターテインメント産業として成り立つ「異能力者業界」自体の解体だった!? 俺は、俺たちは偽物だったのか―朱雀と小手毬に訪れる、コンビ解消の危機。現実の異能力者が苦闘するリアル・アクション、風雲急を告げる第3弾!
相変わらずメンタルの弱さが豆腐か鶏の卵並の男である、冬川朱雀。ちょっとでもぶつかると、すぐに割れたり潰れてしまうので、持ち運びには十分お気をつけください、てなもんだ。人格的には健全な部類にも関わらず、ダメ男臭がどうやっても消えないのはこういう側面からなんだろうな。しかし、この程よいダメさが母性を擽るのか、何気に女受けは良いっぽいんですよね。尤も、それは一人で大概の事をこなせてしまう自立した女性に寄るようですけれど。小手毬だったり、滝ヶ峰だったり、舞花だったり。みぞれは微妙なところだけれど。
根っから腐ってたりクズ野郎だったりするのとダメ男はまた違うというのが、朱雀を見ているとよく分かる。その彼を、支えるか引っ張るかまるごと受け入れてしまうか、それもまた人それぞれ。三者三様の在り方があって、見ていて面白い。と、面白がってたら小手毬が、朱雀を支えきれなくなって二人もろとも潰れかかって焦ることになってしまいましたが。
小手毬が、煌霊となったエピソードが綴られていましたけれど、彼女は彼女でまず妻である前に朱雀という煌霊使いの煌霊であるというプライドがあって、それに寄って立ってるんですね。なので、その部分でのプライドを折られると、思いの外弱かった。肝心の朱雀は、煌霊使いとしてフォローしてくれるどころか、小手毬の自信もプライドも余計に弱らせてくれるような態度で接してくるわで、惨めな想いにさせられるばかり。
ダメ男に男らしいところなんか期待するのが間違っているのだけれど、さて朱雀が小手毬に、大事に大切に思っている、という気持ちがどういうものかを告げていれば、果たして彼女の態度も変わっていたのだろうか。具体的に、煌霊としてというよりも一人の女性として云々と告げていれば、さてどうなっていたのかは興味深い。
煌霊としてプライドと生きる存在価値を規定している彼女にとって、妻として愛して欲しいなどと願ってはいないのだろうけれど、実態として事実上の夫婦、内縁関係にあるようなものであるのを思うと、まあ嬉しくはないはずはないだろうし、それはそれで彼女にとっては堕落になるのか。

虚像となりきることが出来ずに、能力者としての力に拘り、幸いにして戦うものとしての在り方を曲げることなく、最強の能力者として売り出すことに成功した朱雀。ところが、今回無残にも最高の看板を軽々とへし折られてしまったことにより、図らずも表の世界で最強という虚像で自らを演出する者になってしまい、その現実と虚構の違いに苦しむことになるわけですが、どれほど偽りのない本当の姿を見せようとしても、どこかで実情と食い違いが生じて、虚像が生まれて真実とは違う姿に育っていってしまう、という現実にもある身も蓋もないというか、世知辛い話が、今回もまた根底に流れておりました。
そのあたりを割りきった上で、虚構も現実も両方武器にして、戦い育て、皆の居場所を作ろうと奮闘する滝ヶ峰の強さと凄さと頑張りが、今となってなおさらに伝わってくるような気がします。
不動にして揺るぎないと思われた彼女が不意に見せた胸の内、どれほど彼女が張り詰め無理を重ね、気を張っていたかが、彼女にも弱い部分があった、というか弱さをねじ伏せて戦っていたのかが分かると、なおさらに凄さが身に沁みると同時に、一気に身近な人になったようなほだされた気持ちにさせられてしまった。
なんという凶悪なヒロインアピール。
いや実際彼女がホントに色々と精神的に一杯一杯だったと知ってしまうと、2巻からこっちの朱雀を何かと裏の件に引き込んで使おうとする態度も、違う風に見えてくるんですよね。便利で使える駒、というのではなく、今まで一人で抱え込んでいたもの、裏の事情や真意に基づく様々な負担を共有してくれる相手と何時しか見ていたんじゃないだろうか、と思えてくる。突き放すようで、その実期待を寄せ続けていたわけですし、彼女の立場でアレだけ期待を寄せるということはもう寄りかかっているということでもあるわけです。
あの大会前のお前以外とは戦いたくない、というのはわりとすごい台詞なんだよなあ。まだどう転ぶかわからないですけれど、小手毬からすると舞花よりもかなり強敵の登場になるんじゃないでしょうか、これw

1巻 2巻感想

不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 2   

不戦無敵の影殺師 2 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージンナイフ) 2】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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俺たちが、本当に戦うべき「敵」は--?

――俺たちは、何と、なんのために戦えばいいのか――
俺、冬川朱雀と相棒の少女、小手毬はこの世に必要とされていない異能力者だった。「異能力制限法」により、現代、異能力の無断使用は厳禁され、異能力者はすべて社会から管理されている社会。強さには自信があるが、戦う機会が与えられなかった俺たちだったが、ガチのトーナメント大会で優勝したことをきっかけに少しは仕事が舞い込むようになった。
しかし、それと金を稼ぐことは別問題で……。
理不尽な世の中の反応、嫉妬、不協和音、新たなる敵の影……俺と小手毬を待ち受けていたのは、異能力者の光と闇という現実だった。
――俺たちは正義のヒーローじゃない。どこにも、戦うべき敵なんていないのかもしれない。それでも、戦うことを、異能力者をやめることはできない――。
「現実」の異能力者たちが交錯する、異能力者苦闘アクション!
誰も彼もが思い通りにならないままならない人生を送っている。
ようやくトーナメント優勝をきっかけに仕事が増えてきた朱雀だけれど、それで成功者の仲間入りをしたわけではなく、仕事が増えたわりに収入は上がらないし、相棒の小手毬との仕事上のすれ違いは増えていく。同業者からは何故か嫉妬され陰口を叩かれ、折角手に入れたゴールデンの出演番組は空回りばかり。
ほんと、人生ままならない。
一方で、芸能界で成功者として売れまくっている人も、それはそれで思う通りの人生を送っているわけではなく、憤懣やるかたないものを抱え込んでいる。芸能界でやっていけず、異能者を引退し一般社会で働いているかつての同輩も、また忸怩たる思いを掻きむしりながら、今もなお芸能界にしがみついている朱雀を仰ぎ見ていた。あの業界トップをひた走る滝ヶ峰だとて何もかも思い描いた通りの理想の人生を歩んでいるわけではない。それどころか、汚濁を飲み込みながらむしろ歯を食いしばって理想を打ち立てようと無様にあがいている真っ最中だ。その為に、多くの大切なものを溝に捨てている。脳天気に見えるみぞれだって、決して純真無垢で居られるわけじゃない。
誰も彼もが、ままならなさに喘ぎ、その営業用のスマイルの下に陰鬱な素顔を押し殺しているのだ。
もうこっちのタイトルも【人生】にしてもいいんじゃないですか?という勢いである。

とにかく、内容が生々しい。異能バトルものに見せかけた芸能界残酷物語なんだけれど、芸人という芸能界を本職としている立場の人たちじゃなくて、あくまで異能を売りにして芸能界に乗り込んでいる彼ら異能者芸能人たちが主人公というのがポイントなのでしょう。芸人は、芸能界で売れる事こそが本意であり目標そのものなんでしょうけれど、彼ら異能者芸能人たちは本来なら違う場面で使うべき能力を切り売りして、それで芸能界をわたっている。引退したスポーツ選手や声の仕事が本職の声優、作家や弁護士、大学の教授なんかが、慣れないバラエティやトーク番組で自分を切り売りしているようなものだろうか。
いや、戻れる場所がある彼らと違って、異能者たちは戻れる場所がない。異能者が異能者として能力を振るえる場所は、表の世界ではもはや芸能界だけであり、そこにしがみつくしか自分の異能を活かす場面は存在しない。しかし、本来と違う使い方をすることで芸能界で地位を築いていくということは、芸能人としては成功でありながらも、異能者としてはむしろ堕落しているような心地に陥ってしまう。そんな二律背反を抱えながら、売れる異能者も売れない異能者も儘ならない現実に憂鬱を抱えているのだ。
滝ヶ峰が異能者たちの行く末に危惧を抱き、自分たちの社会における地位を揺るぎないものにしようと、泥をすすりながら頑張っているのも、このあたりが原因なんだろう。成功してもしなくても、これだけの鬱屈を異能者が抱えている以上、遠からず暴走を始める異能者が雪崩を打ち出しても仕方がない。
実際として、裏社会に身を投じて、強さを基準とした異能者本来の生き方に殉じようという人の道を外れたものたちが、少なからず現れはじめているのだから。
誰だって、本分を尽くしたい。そんな中で、異能者本来の基準である強さを売りにしたまま、芸能界で一つの成功を得た朱雀の存在は、様々な方面に衝撃を与えたに違いない。その当事者である彼はというと、トーク力に優れた川内に憧れ、自分よりも注目を浴びて売れていく小手毬に焦燥を募らせるという、一発屋芸人特有のスパイラルにハマり込んでいるのだけれど。
朱雀にとって幸いだったのは、彼には小手毬という全てを共有できる存在がいた事なのでしょう。一時はその絆を疑ったものの、異能者としても芸能人としても、そして一人の男としても、得難きパートナーとして傍らに居てくれる小手毬の存在は、さて支えなのか救いなのか、はたまた許しなのか。一緒に泥沼の底へでも沈んでくれる相手というのは、よく出来た嫁というのは、もしかしたら男にとっては堕落なのかもしれないなあ。まあそれも、男次第の話なんでしょうけれど。

1巻感想

不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ)3   

不戦無敵の影殺師 (ガガガ文庫)

【不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ)】 森田季節/にぃと ガガガ文庫

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ヒーローになれなくても、俺たちは無敵だ!

――この俺、冬川朱雀と相棒の少女、小手毬はこの世に必要とされていない異能力者だ――

「異能力制限法」により、現代、異能力の無断使用は厳禁され、異能力者はすべて社会から管理されている。活躍の場は安全が約束されているTVやエンターテイメントの中でショーアップされた戦いを「演じる」時にしかない。
だが、暗殺者の末裔で、苦しむ暇も与えず殺す「暗殺異能」に特化した俺と小手毬じゃ、地味かつ邪悪でTV出演など不可能、人気も出ないし仕事も来ない! 実力だけなら、どんな奴にも勝てる自信もあるのに、戦う機会が、異能力を使う機会がない!
そんな俺たちのところに、TVの中で最強と謳われる異能力者、滝ヶ峰万理からとある依頼がやってくる。それは本物の暗殺依頼だった。究極の選択を突きつけられた。俺たちは「悪っぽくて売れない」異能力者か、「本当の悪」の異能力者になるか決めねばならない……!?

「現実」の異能力者たちが交錯する、真の最強異能力者決定アクション!
いや、これ異能者とかアクションとかは表向きで、実態は売れない役者とか芸人の業界モノじゃね? 自分が自信を持っているモノが、業界的には全くウケず、売れないままグダグダと日々を凌いでいくだけの毎日。このまま、自分の武器を信じて貫くか、それとも売れる路線に無理にでも走るか、全部諦めて田舎に帰るか。決意も覚悟もキメられず、自分は凄いんだというプライドだけにしがみついて、みっともなく地べたを這いずる惨めな生活。
ここで何気に生々しいのが、同期の連中と定期的に飲み会をやってて、管を巻いたり、愚痴ったり、売れ出してる同期や後輩連中に濁った羨望の眼差しをむけて落ち込んだり、というのを繰り返している所。地味にキツい。それ以上に生々しいのが、売れないくせに結婚してて奥さんがいるとか……いや、奥さんでも恋人でもないんですけれど、小手毬は。仕事上の相棒なんですが、実態は明らかに売れない芸人の妻です、これw いやいや、結婚してるならまだしも、これが内縁で同棲中とかだったら余計に酷いよね♪ 奥さんじゃないから、むしろこっちか。売れないくせに必死にならずグダグダやってるどうしようもない夫を、健気に支え続けるしっかりものの奥さん。これで叱咤激励する強い人ならまだいいんですけれど、小手毬ってしっかりしているくせに朱雀に対して尻を叩くような真似も、いい加減どうするか決めろと急き立てるような真似もしないんで、口が悪いようで従順系なんですよね。そのせいで、余計にこう……世知辛い業界最底辺の生々しさが。
貧乏さというか、先の見通しが全然ない感じがリアルすぎて、ギャグっぽさが全然ないんですけれど。貧乏がネタになってないから、世知辛スぎる。
挙句、ついになけなしのプライドまで折られてしまい、夢も希望も失って、俯いた先に見える現実に従って地道に生きようとしだした朱雀に対して、小手毬が水商売に足を突っ込んで生活を支え始めた日には……。
一方で、眩い光に包まれているはずの業界トップの滝ヶ峰万理の周囲も、しがらみばかりで窮屈な現実があるばかり。万理にも夢があり、大義があり、その為に身を粉にして働いて、そこにプライドさえ抱いているのだけれど、結局しがらみに囚われ、自由を失い、雁字搦めでいつの間にか求めていた夢も色あせている始末。それでも、貫けばいつかは大義は叶うはず、と信じているのだけれど、見ているだけで苦しそうなんだなあ。
下にいても、上にいても、苦しいばかりの現実に、せめて自縄自縛を振りほどいて、思うとおりに死ぬ気で頑張ってみることで抗ってみよう。悔しさの果てに歯を食いしばって俯くのをやめた男の、せめてのも反逆の物語がこれである。
それで世の中が変わるわけでも、業界の構造が変わるわけでも、生活が激変するわけでもないけれど、後悔だけは無きように。……でも、ヒモとか女に養われる人生も悪くないんじゃないかしら、とこの小手毬とか舞花という女性陣を見て思ったり。当事者になったら居た堪れないんだろうけど。いや、マヒして気にならなくなるもんかもね。ダメ人間って、憧れるわぁw
にしても、森田さんはこういう、ネオンの光に照らされて影が落ちる夜の街の薄暗がりを舞台にした作品が、個人的にはやっぱり好きなんだよなあ。

シリーズ感想
 
12月3日

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12月2日

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11月27日

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11月20日

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11月19日

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11月18日

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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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11月10日

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11月9日

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