榊一郎

おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~ ★★★☆   



【おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~】  榊一郎/ 鶴崎 貴大 講談社ラノベ文庫

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二つある心臓のうちの一つを〈勇者〉に捧げ、人類との講和を求めた女の〈魔王〉が、戦争の継続を望む魔族に殺害されてしまったという話を上司から聞かされたクレトは、魔王復活の任務に就くように命じられる。吹けば飛ぶような木っ端役人に、選択の余地などない。人類と魔族の戦争に終止符を打つためにクレトは〈魔王〉の側近である犬耳しっぽの魔族の少女や、〈魔王〉復活に必要な心臓を持つ人類最強の〈勇者〉たちと共に、魔族領域へと向かうことに。そこで待つトラブルを解決するのは……役人特有の小賢しさ!?『アウトブレイク・カンパニー』の著者と『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のイラストレーターが贈る、新作ファンタジー開幕!!

これホントに、魔王さんなんで死んじゃってるんですか!? て話だなあ。
人魔講和の鍵となる魔王の死によって、講和ムードから一転戦争継続へと世間の空気が変わる中で、一縷の望みを託して魔王復活のために魔族領域に送り込まれることになった小役人クレト。
……こんなショタ坊やにこんな重大事を任せる時点で、もう諦めムードもイイ所なのですが。未だ戦争が続いている中で、魔族領域から魔王を復活させるのを手伝って欲しい、なんて個人で偲んできた魔族なんか信用し難い、というのはよくわかるし、リスクを減らすために損なっても惜しくない人材を派遣するという手段も理解できるのだけれど、そんな中途半端してどうするんだ、とも思うわけで。
クレトは、別に秘めたる実力とか来歴が在るわけではなく、特別優秀というわけでもない孤児上がりの別に将来性もあるわけじゃない非エリート階層。そりゃ捨て駒にして惜しくはないだろうけど。
実際、勇者から魔王復活の鍵となる魔王の心臓の回収からして、そんな期待されてた様子もないんですよね。おそらく、そこで頓挫するんじゃないかとすら思われたんじゃなかろうか。
それがどうしてか、勇者がクレトのその場のノリの誤魔化しに乗ってしまい、一緒に魔族領域まで同行、というよりもクレトの行く所ならどこでもどこまでもついていく、という風になってしまったので勇者という最大戦力が加わるという望外のことがあったわけだけれど。

クレトには志も理念も野心もなにもない。役人になったのも、食いっぱぐれないためだ。孤児として辛酸を嘗めてきた彼にとって、公務員というのはそれこそ望みうる最高の食い扶持だっただろう。
逆に言うと、食い扶持でしかないんですよね。彼は保身的ではあるけれど、役人としてありがちな組織内での立場を守る或いは立身出世を目指した保身とは縁がない。孤児で天涯孤独、というのもある意味しがらみのなさとも言えて、実際この出張任務を任されてから逃亡を幾度も図っている。
小心者で心身ともに身の丈の小さい人間だけれど、だからこそあんまり「小役人」という感じでもないんですよね。
組織内での立場に拘りがないからこそ、そこに足を取られずに自由に振る舞うことが出来、後先をあんまり考えずに現場判断で大胆に行動できるとも言える。
官僚の中にも稀にいるんですよね。破天荒と言っていいくらい、官民巻き込み政財界を引きずり回して大胆不敵に大仕事をやってのけるような特異点が。
彼がその類かというと、小役人ならずとも性格的に小人物であることは間違いないはずなんだけれど……視点もそんなに広く高いわけではなく、目の前に突きつけられる戦争の現実、魔族と人間との解消できない民族対立、貧富の問題や治安や倫理の低下による人心の荒廃、そこから芽生える悪心や俗欲、それによって傷つけられた人々の憎悪の連鎖。
利害と感情の問題が複雑に絡み合って、此処まで来るともう利を説いても人の善心に訴えても紐解けないくらい、社会全体の問題は複雑深化していると言っていいでしょう。
人魔の戦争の終結は、それらを解決するための最初に一歩であり、大前提であると言えます。そのために、魔王を復活させる、というのは目指すべき大目標でしょう。それを達成するためには、結局目の前に立ちふさがるトラブルを一つ一つ片付けていくしかない。
正しい理念や信念、正義の志という大上段から振り下ろす刃では、容易に切り崩せない茨の道です。だからこそ、小役人の出番なのかもしれません。クレトのような子は、結局目の前のことしかわからないから、そこから一歩一歩切り崩していくしかない。組織の人間は、前例やら組織の利益に囚われて目の前の事よりも後ろのこと上のこと先のことに引っ掛けられて、動けなくなる事が多いのだけれど、クレトくんの場合は彼に保身にはそういうの関係ないですし、彼自身の守りは勇者ちゃんが完全に担ってもらえるので、ある意味怖いものなし、とも言えるんですよね。
だからといって、あの発想の自由さ、大胆さ、やれそうだからやってしまおう、というスタンス。現場感覚で目の前の人たちを口車に乗せ、空手形じゃなく実務的にも説得力のある結果を導き出す、という手腕は、ちょっとおかしいくらいなんですけどね。小役人じゃないよなあ、これ。

だいたい、このクレトくんショタすぎでしょう。仮にも役人やってたにしては、ちびっこすぎる。ショタコンが湧くじゃないですか。本人は魔族に忌避感を持たないどころか、ケモミミ尻尾属性というちびっこのくせに業が深すぎるところがあるのですけれど、魔族領から逃れてきた人魔ハーフのミユリからして、かなりヤバいショタ属性の持ち主なので相性は良いのかもしれませんけど。
というか、お互い属性を目の前にすると正気を失うレベル、というのはやはり業が深すぎる。ひとつ間違えるとズブズブになりそう。
そもそも、この魔王復活を目指すパーティー、全然仲間意識ないんですよね。完全に仕事上の付き合い。同行者という以上のものはなく、護衛の騎士さんは任務と割り切って交友深める気ないですし、エルフさんはこれまた講和そのものに対してもやる気なさそう。勇者ちゃんはというと、元が名前も与えられていない幼児の頃から無機質な作業で創り上げられた暗殺者というほかなく……よくこの娘、魔王の説得に聞く耳持ったなあ。
兵器として作られながら、なんだかんだと自分で考える事がこの時から出来ていた、とも言えるのだろうけれど。それでも、クレトにくっついてきたのはいびつな価値観と刷り込みに近いものがあるわけで。
病んでる様子がないのが幸いか。野生動物とロボットの間の子みたいな無感情だけど、これで理性的で理知的な面も見受けられるので、懐いている様子はある意味本当の意味で感情と理性に則ったうえで懐いている感じがするので、信頼できるのではないだろうか。

ともあれ、小役人というには大胆すぎる大仕事をやってのけたクレト。これ、寄り道トラブルと言えるので本道はこれからなんだけれど、巻き込まれ系でありながら最終的に全部手のひらの上で転がしているという軍師タイプの主人公となりそうで、かなり殺伐とした世界観だからこそ映えてきそう。
続くのなら、なかなか先が楽しみなシリーズの始まりでした。


いつか仮面を脱ぐ為に 2.棄てられ軍師と悩める姫君 ★★★★   



【いつか仮面を脱ぐ為に 2.棄てられ軍師と悩める姫君】  榊 一郎/茨乃 角川スニーカー文庫

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王国を覆う「疑念」と「不安」――。見えない敵に護国鬼神、敗北す――!?

《鬼神》レオ・アラモゴードは王国を護る最強の戦士。だが、いま王国は見えない敵の脅威に動揺し、レオもまた立ち向かう術を無くしていた。国内に流行る奇病、表層化する国王の後継者争いに加え、国境に敵軍の影!?

やっぱり、この主人公のレオくん。榊先生の作品の中ではとびっきりに思春期の男の子していて好きだなあ。
両親を暗殺され、若くして護国鬼神を継いだレオ。対外的には仮面を被って冷酷非情の鬼として振る舞いながら、実質は引きこもりのオタク少年であり、女の子にも興味津々の年相応のエッチい欲望に色んな意味で忠実な男の子なのだ。
こういう子は年上のお姉さんからは弄りやすいし、同年代の女の子とはお互い赤面してしまい、純真無垢な少女相手にはその無防備さ故にあたふたしてしまう、初々しいところが実に良い。変に生真面目すぎないところもいいですしね。
王国で流行りだした奇病が、なぜかケモミミと尻尾が生えてくるものだと知ったら、狂喜乱舞。性癖隠さないでいいんですか、レオくん。
おまけに、婚約者候補として送り込まれて今では傍に侍ってくれている騎士マリエルにも耳が生えてきて、いや可愛いよ? 実際可愛いよ? でも、少年正気失いすぎじゃね?
マリエルも満更でもないあたり……ねえ? いや、何がねえだよ、うん。まあマリエルさん、既にベタぼれ状態なので楚々としつつ積極的なんですねえ。立場的にも公的に婚約者で、王国から縁を繋ぐために送り込まれている以上、むしろお手つきにしないといけない相手なわけで。
そんな娘が、さらにレオの性癖どストライクのケモミミ娘になってしまったのですから、少年がイカレてしまっても、うん仕方ないよね。

ただ、王国内の情勢は奇病が流行り病ではなく、帝国の謀略であることが発覚し、感染した人間は何らかの魔術的爆弾を仕掛けられてしまったのではないか。或いは操られて暴れだすのでは、という疑念が世間に生じて、ケモミミになった人間は偏見と猜疑の目で見られるようになってしまう。
ひいてはそれは排斥に繋がり、それを王国首脳部が収拾するどころか、むしろ敵国の謀略を阻止しようとして逆に煽ってしまう始末。まあその影には、わざと謀略であることを知らしめて情勢不安を助長させる某軍師の策謀があったわけですけれど。
あっさりと流言飛語に乗っかってしまい、不安を解消するために短絡的な行動に出てしまう集団心理の愚かさがこれでもかと突きつけてくる展開でした。
いやでも、呪いに感染した人間たちになにか仕掛けられているのでは、と疑うのは当然と言えば当然なんですよね。まさか、ただケモミミと尻尾が生えてくるだけの呪だとは思うめえ。
いやだって、そんな風に呪詛を広められるなら幾らでももっと直接的に害を与える内容の呪い撒き散らしますやん。疑われている通り、操ったり正気を喪わせて暴れるようなものを仕込んでも良い。
なんでそんな迂遠な真似するんだ、って話じゃないですか。まあ相手の軍師からすると、自分たちの愚かさで滅びるが良い、みたいな感じで自分たちで自分の首を締めて自殺していくのを楽しもうという悪趣味さ、性癖のゆがみが根本にあるのかもしれませんが。
ともあれ、感染者は被害者でもあるのですから、もっと国の側が庇護するべきなのに率先して排斥、排除、疑わしきは罰せよとばかりに一方的に処分しようとしてしまったら、そりゃ国としての信用が喪われてしまいますわなあ。まあ、それを支持しているのは国民自身だったので救いようもなかったのですが。それに、軍師の傀儡人形が浸透して指導者を誘導していたのですから、まあ良いように弄ばれていた、と言わざるを得ない。
いやでも、国民にこれだけ呪を浸透させ、国の意思決定機関の最上位ともいうべきあたりに工作員を浸透させていて、やることがこれ、というのはちょっとやっぱり迂遠すぎやしませんかね、軍師様。

こういう、自分たちと違ってしまったものを排除しようとする集団心理に対しては、大なり小なりみんな思ったことありますよね。じゃあ、全員変わってしまったものと同じものになってしまえばいい、同じものにしてしまえばいい。そうすれば、差別もなくなる、と。
往々にして、それやろうとするのは意識高い系のラスボス系の人たちだったりするのですけれど。
まあ敵役の人たちがやろうとする場合、だいたい酷い事になる前提だったり人間盛大にやめて社会崩壊しかねなかったり、と救いがない結末が待っていることが多いので、素直に享受できずに戦うことになってしまうのですが。
今回に関しては、その意味ではリスクが殆ど見当たらないパターンだったんですよね。だからといって、これを主人公サイドがやろう、というのはあんまり見たことなかったぞw
それにこう……人間の愚かさとは別に人間の業というか性癖を感じさせられる展開でもあり……おおう。もうこれいっそ、戻るという選択肢を用意せずに不可逆にしてしまい、王国=ケモモミ人、ということにしてしまっても良かったのに、とか思ってしまった。まあそうなると、他国との軋轢を生じさせてしまいますか。そうなったらなったで、人類総ケモミミ計画とか発動しそうですが。

ともあれ、バックグラウンドで進行するなかなか重たい展開とは裏腹に、主人公周りはノリのよいコメディタッチで、キャラクターも「イイ性格した」人が多くて、まー読んでて楽しかったです。
完全にレオ君より上位にいる女執事のハイエットだけでも充分レオくん周り引っ掻き回していたと思うのですけれど、ここにあの姫様加わると相乗効果になってしまうのではないでしょうか、と思うくらいにはあの第一王女もイイ性格してたなあ。
タイトルは悩める王女だけれど、実はあんまり悩んでなかっただろう、と言いたくなるんですけど。それとも、悩んでた王女は第二王女の方ですかい?w
本来なら一番腹黒で然るべきだろう、元軍師の娘の方が全然真っ当というか、真面目に見えますよぉ。



覇逆のドラグーン 2.彷徨王国の竜機士たち ★★★☆   



【覇逆のドラグーン 2.彷徨王国の竜機士たち】 榊 一郎/もねてぃ HJ文庫

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一夜にして変貌してしまった「世界」。正体不明の敵に精神を支配された大人たちに追われ、同じ16歳の仲間たちと旅を続けるクロウ。ルティエ姫を頂点とする「彷徨王国」となった浮走艦ジェナス号だったが、思わぬ人物が彼らに襲いかかる!その後訪れた悲劇―仲間の死―をきっかけに、クロウとベアトリスとの絆は急速に深まっていく。そしてなおも続く絶望的な状況の中、ついにクロウの中で異形の力が目覚めて…?若き竜機士たちによる英雄譚、待望の第二巻!

妊婦のお腹の中にいる時期に一年に一度、特定の日に輝くオーロラの光を浴びる儀式がある世界。そこで、火山の大噴火が原因でオーロラの光が見えずに儀式を行えなかった世代がある。それがクロウたち主人公の世代なのだけれど、ある日を境にして世界中の人間がこの「祝福されざる世代」の子らの存在に気づくと、途端に意識や精神がシャットダウンされたように無機質化し、機械的にこの世代の子供たちを殺害にかかる、という虐殺が行われるようになってしまったのです。親子であろうと、恋人であろうと全く見ず知らずであろうと関係なく。そして殺戮のあとは何事もなかったかのように死体も、その世代の子の存在すらも見向きもされなくなったまま、人々は普段の日常の営みに戻っていく、という狂気の世界。
まあ明らかに、オーロラの光によって全人類の精神が支配されている、どころかどうも脳に寄生されてるっぽいんですよね。そんな虐殺の中を軍学校の生徒たちが辛うじて生き残り、何とか集まり協力して奪取した大型飛空艦で逃げ延びて、自分達だけで生きていく事を覚悟するために建国宣言をする、という所まで描かれたのが一巻でのお話でした。
自分達のグループ以外とは意思の疎通も叶わず、気づかれれば襲われ殺されるという完全に世界から孤立してしまった状況は、ゾンビパニックのようなバイオハザードもの、社会の崩壊と世界の終末を描くアポカリプスものとも言えるのだけれど、それらとは異なってくるのは彼ら祝福されざる世代の生き残りを除いて、世界は普通の営みが続いている、という事なんですね。飛空艦から足元を覗き込めば、そこでは人々による当たり前の日常が続いている。しかし、彼らは絶対にそこには入り込めない。こっそりと世代のものであることを隠して忍び込む事は出来るのだけれど、気づかれれば即座に人々は町ごと、ロボットかゾンビのようになって襲いかかってくる。
これほど周りから拒絶され、孤立して、取り残された感覚に見舞われる状況はそうはないですよね。
だからこそ、クロウたちは余計に連帯感を強めていく、どころじゃなくて運命共同体……国という建前を使ってますけれど、無人島とかゾンビばかりになった世界で創り上げたコロニーのように、生き残り続けるという事を主眼にしたコミュニティを形成しだしている。
それは、もう他の全人類とは一切交われない、という諦めと覚悟。だから、自分達だけで生きていかなければならない、ひいては自分達だけで世界を作り、子供を作り、次世代へと繋いでいかなきゃんらないんじゃないか、という考えが彼らの中にうまれはじめてるんですね。
だから、グループのなかで男が三人だけ、という事に関してもまだ先のことをちゃんと考えられないにしても、ある種のねっとりとした、或いは切迫感のある感情が入り交じるのである。男女間の恋愛感情にしても、青春の甘酸っぱさよりももっと追い詰められつつ、急き立てられつつ、本能的に求め合うような空気感があって、独特なんですよね。
明日をも知れない、という刹那的な想いと、先々子供を作って自分達の中だけで次の世代を育んでいかなければならない、というどうしようもなく未来を見据えた考えが並列的に存在している不思議な感覚。これは、アポカリプスものでも見受けられるものなんだけれど、この手の孤立した集団サバイバルでこそ得られる感覚なんですよねえ。
登場人物みんなが多かれ少なかれ生存本能をたぎらせているような状況、とでも言うのか。生存本能を掻き立てられる状況、とでも言うのか。
群像劇、という体もなしているので尚更そのあたり盛り上がってるというか、テーマの一つになっているような気がします。

意外とメンバーの中ではクロウが一番慎重、とにかく今後も生きていけるだけの環境を整えるのが優先で、男女間のあれこれは落ち着くことが出来てからにしてほしい、という考えなのは偉いというべきか、それだけリーダー格の一人として全体を見ているという事なのでしょう。
でも、グループの精神的支柱であるルティエ王女はそのへん難しく考えていないポワポワした人ですし、実質全体の指揮を取っている「仕切り屋」のクラリッサは、クロウよりも口うるさいようでいて責任感故に精神的に不安定になる部分を、唯一の年上な男性のカイルに預けまくってて、何気に一番生存本能にかまけてるのがクラリッサである可能性もある、というような有様なんで、やはりクロウが一番風紀を気にしているんですよね。
まあ、そんなクロウが結局一番先に先走ってしまうのですが。

ともあれ、世界がずっと祝福されざる者の世代とそれ以外、に分けられてしまったままなのか、というと全人類を洗脳した、或いは寄生したと思われる謎の生命体、宇宙人? みたいなのの存在は確認されているわけで、それの正体を突き止めて対峙していくことで、何らかの形で人類の洗脳が解かれて、という可能性はあるにしても、結局は意思疎通不可能、相互理解不可能な相手との戦いであり、彼らだけの生存をかけた孤独なサバイバル、という体は続くはずだったのですけれど……。
クラリッサの父親である軍高官だけ、前回の怪我が原因で半端に意識が戻って人間的な感情、それが謎の生命による誘導なのか、それとも機能不全を起こしての事なのかわからないけれど、人間的な憎しみという感情をもってクロウたちを襲ってくるのである。
これ、ちょっと微妙に余分だったかな、と思わないでもないんですよね。謎の生命体も、支配された人間たちも、無機質なくらい何の感情もなくただバグを排除するためのように、クロウたちを殺しにかかってくるから不気味さ悍ましさが増すわけで。
そんな中で憎しみをもって襲われるというのは、ちゃんとこっちを認識してくれている、ある意味人間扱いしてくれている、とも言えるわけで、逆に孤立感が紛れる感覚すらあるわけです。
結構キツイ展開もあるのですけれど、ゴミのように処理されるより、変な話ですけれど無常観や無力感は目減りしたような気がするんですよね、自分にとっては。
展開的に、敵の中に明確な敵意を持って襲ってくる相手が居ないと話が進まない、というのがあるのかもしれませんけれど、あの人の存在はちょっと世界観というか物語の趣旨からすると蛇足じゃないかな、とちょっと思ったり。

なんにせよ、色んな意味でみんなそれぞれ一線を越えた所があるだけに、次回以降の人間関係も含めた変化は気になる所。犠牲が出たことでより切羽詰まった感情も芽生えてくるでしょうし。


覇逆のドラグーン 1 ~落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる~ ★★★☆   



【覇逆のドラグーン 1 ~落伍竜機士は運命の姫と、暁の極光世界を翔け上がる~】 榊 一郎/もねてぃ HJ文庫

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16歳の竜機士たちの反逆英雄譚!

科学と竜の力が共存する世界。竜機士を育成する軍学校に通う少年・クロウは、ある日突然、異常事態に遭遇する。空を覆うオーロラの下、大人たちが突如、劣等世代とみなされていた「16歳」の少年少女を虐殺し始めたのだ。
学内随一の戦闘力を持ちながらも、反抗的態度から落伍者扱いされていたクロウは、混乱の中、同じく16歳の王国の姫・ルティエと出会い、軍の浮走艦を奪取。仲間とともに謎の敵と戦いつつ、一団を結成し空に旅立つ……!
若き竜機士たちが「世界」を取り戻すべく牙を剥く、反逆の英雄譚!

群像劇、群像劇ですぞ。今までとはアプローチを変えて、敢えて難しい多数の登場人物を描こうという意欲作。さすがはベテラン榊先生というべきで、短い描写やシチュエーションで見事にメインの登場人物たちのキャラを立てることに成功している。むしろこれ、脇の連中の方に力入ってないだろうか、と思うくらいに。
男性キャラも三人いるのだけれど、何気にそれぞれが今までの榊作品の主人公っぽいキャラ立てがされてるような気がするぞ。ヤサグレ系に真面目な優等生タイプにうらぶれた退廃系という三点セット。その中でもうらぶれた三十路のおっさんが委員長キャラな娘とガッツリフラグ立ててしまっていたのには唆られてしまいましたがな。生真面目系のお嬢様が頼りになるけどだらし無い大人の男性に絆されてハマってくというのは、こう、うん、いいね!!
いやまだ、フラグがたったくらいでなにも始まってもいないのだけれど、心折れて立ち直れなくなりそうになっていた所に、そっと背中を支えられて大人の包容力にキュンと来て、みたいな展開があったらそりゃあねえw
今回は群像劇ということで、これまで培ってきたストックを惜しげもなく投入するかのように、最近得意の無感情に見えて感情豊かな我道をゆくタイプのヒロイン、しかも幼馴染というキャラも登場。この娘、完全に【棺姫のチャイカ】のアカリタイプだよなあ。

さて肝心のストーリーですけれど、生まれて来る子を祝福するのに年に一度輝くオーロラの光をお腹に赤ちゃんがいる妊婦に浴びさせる、という世界で気候変動によりオーロラの光を浴びることの出来なかった世代、祝福されざる者たち16歳の男女が主人公となるわけですが、ある祭りの日を境に突然、この16歳の子どもたちをそれ以外の年代の人間たちが無慈悲に、というか無感情に殺戮しはじめるのが、物語のはじまりとなります。
差別感情とか信仰とかによる個々の意志や社会の雰囲気によるものではなくて、この世代の子たちを殺そうとしている時の人間たちは、まるで意志を失った人形かロボットかみたいな感じになってるんですね。そこに意志や感情はなく、まるで原理原則に基づくように機械的に殺戮が行われていくのである。元は仲の良かった親子や知り合いであっても、突然無感情にゴミを廃棄するように殺しにかかってくるのですから、これもうホラーである。
そんな、世界中の人間が敵に回ったような、自分たち以外が全部怪物と化してしまったかのような悪夢の中で、必死に集い身を守りあい生き抜くために戦う少年少女たち。
異世界ファンタジーでありつつも、どこかコズミックホラーかゾンビパニックものの様相もていしている本作。この惑星外からの光とか電波を定期的に浴び続けていた人間たちがおかしくなって、世界が狂ってしまう中でその光だかを浴びることがなかった人たちだけが正気を保っていて、その原因を探りながら生き延びようと抗うサバイバルもの、って前にも似たようなのを読んだような気がするのだけれど、なんだったかなあ、思い出せない。
ともあれ、孤立した少年少女の集団が生き残るために結束して集団を作り、というサバイバルなシチュエーションはやはり燃えるものがあるんですよね。カップル厨的にも色々とくっつきそうなカップルが既に幾つも見受けられるし、メリダ、シビル、カトリーナの三人トリオがまたいい味出してるんですよね。何気に、全員修羅場潜ったのが良い方に作用して、覚悟も決まってて、無闇に暴走する方向に走っていないのも好印象。覚悟が理知に繋がってるんですよね。主人公のクロウも、粗野に見えて非常に気遣い上手な方ですし、この凄惨な状況に一番ダメージ受けていた委員長なクラリッサもアラサーなおっさんのカイルのおかげで立ち直っていますし、メリダたち含めてみんないい意味で自立した優秀さを兼ね備えているので、よく纏まったグループになってるんですよね。
まあこのシチュエーションだと、誰かが馬鹿やってしまった途端に全体がデッドエンドになってしまいかねない過酷さなので、みんなが最善を尽くさないとどうしようもないのですが。
取り敢えず、この絶望的な状況を打破するための糸口が見つかって、そこへと進むことに。でも、この段階で姫を中心に建国を宣言するあたり、最悪自分たちだけで生きていくという覚悟も決まっているんですよね。これは次回以降の展開が非常に楽しみ。

榊一郎作品感想

いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~ ★★★☆   



【いつか仮面を脱ぐ為に ~嗤う鬼神と夢見る奴隷~】 榊一郎/茨乃  角川スニーカー文庫

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戦場にて、英雄の少年は奴隷の少女に一目惚れをする―。ウォルトン王国の最終防衛用兵器―“護国鬼神”の異名を持つ少年・レオ。敵国ネプツニスの使い捨て魔力供給源として、特攻魔導兵器に組み込まれていた少女・フェルミ。二人は出会う。が、露わになる敵は―美少女妖精で!?大層な二つ名とは裏腹に、兵器として引き籠もり生活を送っていたレオは、あっさりとその可愛さに心奪われ―!?英雄と奴隷が紡ぐ、歯がゆくて不器用な恋の物語。

本作、敵の外道さやレオを始めとする登場人物たちの過去、人種間の差別意識やネプツニスとの戦争の残酷さ、護国鬼神に求められる冷酷残虐さなど、舞台設定はダークな要素で敷き詰められているいわば「黒榊」作品なのですけれど、面白いことにキャラ同士の掛け合いや騎士たちなど一般市民のノリは徹底したコメディ寄りなんですよね。これほどコメディなノリ全振りなのって、「まかでみ」や「アウトブレイク・カンパニー」以来なんじゃなかろうか。それでいてストーリー展開そのものはやっぱりダークそのものだったりするので、そのダークさとコメディがブレンドされて何とも不可思議な空気感になってて面白いんですよね。
珍しく、榊作品の主人公としては感情豊かでドタバタノリに自分から相乗りしていくタイプの男の子、というのも作品全体のリズム感に躍動を与えている気がします。榊作品の主人公、特に男の子はどこか面白味のない真面目な子が多くて、どうにもノリにノレない子が多かっただけに。それに、マリエルのセリフじゃないですけれど、とても可愛げのある男の子なんですよね、レオって。なれない人間関係にあたふたどたばたする姿、ハリエットにイジられてる姿とか、色々と擽られてしまうのもよくわかる。彼の執事として幼い頃から付き従ってるハリエットも、あれ性格がSというよりもレオの反応の良さについついイジってしまうのが習慣習性になってしまったんじゃなかろうか。
生真面目だった騎士のマリエルも、なんか速攻で影響受けつつありますし。
まあマリエルの場合、ただの生真面目騎士じゃなくてやたらと押しが強くてグイグイくる礼儀正しい傍若無人さが面白キャラになってる所があるのですが。護国鬼神という国の機密にして禁忌の存在に政略結婚することになって、その在り方に対してどう解釈するべきか理解するべきか受け止めるべきか、もっと迷って恐る恐る接してくるかと思ったら、びっくりするくらいガンガンいこうぜとグイグイくるところとか、なかなか新鮮でヒロインとしても存在感示してたんじゃないでしょうか。
むしろ、メインのフェルミの方がそのバックグラウンドからしても仕方ないのですけれど、キャラ的にもまっさらな所からはじめたので出遅れ感があったり。
いや実際、敵の黒幕さんってば急ぎすぎじゃなかったですかね? レオがフェルミに入れ込むまでは実のところもう少し時間があっても然るべきだったんじゃないだろうか、というくらいには二人の仲が深まる期間がちと短かった気がしますし。まあレオは実質一目惚れみたいなものですし、フェルミも真っ白な分塗りつぶされるのは早かったとも言えるのでしょうけれど、フェルミがあれだけ頑張れるだけの積み重ねはもう少しだけ欲しかったかなあ、と。このへんは好みかしら。二人のエピソード、十分と言えば十分とも言えなくもないですし。
しかし、最近先生R元服な作品の方手掛けたせいか、えっちい展開に今までよりも妙に雰囲気というか艶というか色気があった気がします。さすがだ。

榊一郎作品感想

妖精狙撃 エルフ・ウィズ・サイレントアサシン ★★★★   



【妖精狙撃 エルフ・ウィズ・サイレントアサシン】 榊 一郎/森沢 晴行  富士見ファンタジア文庫

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「…悪い妖精は死体になるお時間です。にひ」
厳重な警備が敷かれた妖精族の結婚式で、新婦を撃ち抜いた一発の弾丸。妖精族を専門に狙う殺し屋“妖精刈り”。その正体は―“異界”から持ち込まれた自身の髪色と同じ朱色の狙撃銃“サイレント・アサシン”を愛用の武器にした妖精の少女アグネータ。生活能力皆無なアグネータの世話兼相棒を務める記憶喪失の普人ユーゴ。二人は今日も妖精の命を刈り落とす。それが使命だと信じて―。ファンタジースナイプアクション!

これ、「妖精の狙撃手」とかじゃなくて「妖精狙撃」というシュッとしたタイトルだからこそビビッと来るものがありますなあ。
榊先生、今までの作品の中でも極め付きに銃器趣味に走った作品だったのではないでしょうか。「妖精刈り」と呼ばれる謎のエルフ連続殺人犯。その正体は、狙撃手を担うエルフの少女アグニと、彼女に拾われその助手を務めることになったユーゴの二人組の殺し屋コンビ。
彼らが狩るのは、妖精族のみ。なんだけれど、この妖精族……エルフと呼ばれるそれはファンタジー定番の不老にして悠久を生きる事実上死から最も遠い生物、ということになってるんですね。ここからが面白いところでこのエルフたち、先の異世界人たちの来訪があった時代に天敵であったオーガやゴブリンが絶滅した上に医療技術の発展もあって病気などの外的要因による死が完全に遠ざかってしまったために、長く生きた個体ほど生命体として精神的に変質しはじめてしまうのですが……。
長く生きたために精神が摩耗して感情が薄くなっていく、という設定はよく聞くのですけれど、その結果として外界への興味が失せたり変化を厭うようになったり、という変質はよく見るものだったのですけれど、この世界のエルフたちは心を失うことで静的になるのではなく、むしろ刺激を求めて欲望へと忠実になっていってしまっているのである。個としてひたすらに快楽を求め、悪しき欲望の権化へと化していく。それが露骨に表に出るのなら社会的に制裁を受けようものなのだけれど、数百年を生きたが故の強かさと社会的な立場によって、その誰もが社会的には名士として表の顔を保っていて、陰で権力を駆使して自分の欲を満たすための邪悪を、死から最も遠ざかったという意識ゆえの傲慢さから享受しているのである。
アグニとユーゴは、名も知らぬ謎の依頼人から指示を受け、そんな世に罰せられないエルフたちを剪定する、そんな立場に立っている。
ただ、彼らには正義を行使しているという意識はない。あらすじには使命と信じて、なんて書いてあるけれどどこをどう見ても使命なんか見出している様子もない。信念があるわけでも思想的観念があるわけでもない。怒りや憎しみという感情に則って復讐を果たしているわけでもないし、同じエルフとして許せないと憤っているわけでもない。
ユーゴに関しては、どうやら異世界人らしく記憶喪失を伴って迷い込んだこの世界で保護された先で、それはもうトラウマになるような悪夢を味わい、その果にアグニと出会って拾われたわけだから、奴隷商人などに対するドロッとした負の感情、怒りや憎しみは煮え立っているのだけれどだからといって、正義の味方として振る舞っているわけでもそういう意識を持っているわけでもない。彼は彼なりに、自分がなぜアグニを手伝って悪を為しているエルフを殺して回っているかについて、答えを探していくのだけれど、一方でアグニの方はというと上記したように実のところなんにもないんですよね。ただ、言われたからやっているだけ、という主体性の無さで自分の狙撃の腕に自負があるわけでもなさそうだし、その仕事に熱意を持っているわけでもなさそう。
やる気もなくいつも気だるげでシモネタが大好きで生活能力皆無な駄目人間。これ、ヒロインとして大丈夫か、というレベルで女子力も皆無、人としておおむねダメというありさま。あとがきで野良猫風?とのたまっていらっしゃいますけれど、野良はもうちょっと野性味というかやる気があるんじゃないだろうか。エルフとはいえ、まだ見た目相応の……長寿のエルフにとって場合によっては見た目以下の精神年齢かもしれないアグニですけれど、はたして彼女に心はあるのか、とふと思ってしまうほどには感受性が薄い感じなんですよね。ふにゃふにゃしていて、だるだるーとしている有様は無機質とは言えないんだけれど、その根底には人形めいた主体性のなさが見いだせてしまう。
唯一、執着を示しているのはユーゴに対して、なのかは今の所まだハッキリとわかりやすい反応を示したわけでもなく、でも愛用のL115A3を紅く塗ったりしているのは趣味趣向が出ているんだろうか、これ。
キャラとしては辛うじて【棺姫のチャイカ】のアカリが似てるかも知れないけど、あれは単にシモネタ好きがかぶっているだけかしら。ただ中身の空疎さを唯一身近にいる人間で埋めようとしはじめている、という点で結構似た感じはするんですよねえ。
作品として見ると、アグニとユーゴの二人で完結している閉じた世界でもあるんですよね。あとにミリアムという獣祖族の少女がチームに加わるのですけれど、依頼者でスポンサーである相手は全くの謎で接触らしい接触もなく、狙撃対象とは個人的な繋がりもなし。外界から遮断された彼らだけの閉ざされた人間関係、というのはユーゴたちが殺し屋という職業なのを加味してしっとりとした黒さを雰囲気として醸し出している。
サブキャラとして、事件を捜査する刑事二人が登場しているのだけれど、果たして彼らの存在は重要な役どころになっていくのだろうか。閉ざされた世界に穴を穿つ相手になるのだろうか。

殺し屋稼業としては、どちらかというと必殺仕事人的な雰囲気もあるんですよね。狙撃でありながら、その尽くでヘッドショットではなく胴体をぶち抜いているのが何気にミソなんじゃないでしょうか。殺された当人がわけも分からず突然死ぬのではなく、じわじわと今から自分が死ぬのだという痛みと恐怖を味わいながら死んでいくという末路を、心を失い感情を喪失し死を克服したと増長していた悪に味わわす。因果応報というものである。
また、スナイピングのみならず、いやアグニはもう狙撃しか出来ないポンコツなのだけれど、ユーゴの方は結構近接での銃撃戦のシーンも多いんですよね。それも拳銃で撃ち合うのではなく、短機関銃しかもスコーピオンというのがまた、やっぱりここぞというときはスコーピオンですね、という感じでw いやまあ、最終的に手持ちの最後の武器である拳銃で撃ち合うことになる、というのは銃撃戦の定番ではあるんですが。
久々にどっぷりと黒い榊さんバージョンを読めて、大変満足でありました。アグネータ、ヒロインとしては大変アレなんだけれど、先の見えない暗殺者という生き方において、ああいう退廃的で刹那的で自堕落で女子力皆無な在り方というのは、逆にそのまま後先考えずにズブズブになってもいいじゃないという沼的な魅力がなきにしもあらずなので、ここからミリアムも加わってどうなっていくのか楽しみでもあります。

榊一郎作品感想

誰が為にケモノは生きたいといった 3 ★★★☆  



【誰が為にケモノは生きたいといった 3】 榊一郎/ニリツ
 富士見ファンタジア文庫


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タビタを連れて現世へと帰るため、指輪の示す方向に向かうイオリたちは、海辺の村で新たな棄界人の少女カチヤと出会う。罪人たちに『聖なる島』を奪われ、現世人を憎んでいたカチヤだったが、なぜかイオリを巡ってタビタと決闘することになり!?さらに『聖なる島』には、タビタを狙う罪人たちが集結していた―。生きるための戦いを決意するイオリは“棄界”誕生の秘密を知ることになり…。少年は誰が為に決断を下すのか!

うわー、これちょっと勿体ぶりすぎたんじゃなかろうか。残念ながらこのシリーズは三巻で打ち切り。さすがはベテラン作家さんということで、本来描くはずだった要素をうまいこと纏めこんできれいにラストシーンまで整えていたんだけれど……。
ラストの現世に戻ってからの展開ってめっちゃ面白そうだったんですよね。
あとがき曰くの国盗り編。棄界で得た新たな仲間たち、世界の真実、そしてタビタに与えてあげたいと思ったもの。野心とも志とも少し違う、でも世界を変える意志。そういうものを武器にして、自分たちを捨てた世界に殴り込み、ってまたワクワクが全然違ったんですよ。これは絶対読みたかった!
でもそういう気持ちがラストシーンで湧き上がってくるのって、構成として自分の興味・盛り上がりをもり立てることには失敗していた、ということでもあると思うんですよね。実際、棄界をウロウロする展開は各巻内ではきれいに一つのお話として起承転結していたものの、シリーズ物として先行きにワクワクをつのらせてくれるものがあったかというと、盛り上がるための積み立てみたいなものがあんまりなくて、若干ダラダラ進んでいたという感触もあったわけです。
じっくり棄界で物語を育て、キャラクターを繋げていくことは先々の展開のためには必須であったでしょうし、それを展開が遅いとは思わないんですけれど、これは読みたいと思わせてくれる国盗り編をチラつかせてくれるような餌巻きは、もう少ししておいて欲しかったように思います。
ちと、タビタがヒロインとしての存在感に欠けていたのも辛かったかな。同じようなタイプの【棺姫のチャイカ】と比べて何が違ったんだろう、と首をかしげるところなんですけれど、チャイカと比べても主体性というか自己主張に足りないところがあったのかなあ。こればっかりは、よくわかりません。ユーフェミアも、彼女の生き方が仕切り直しされるところに終始してしまって、彼女の魅力に切り込んでいくのはこれから、というところだったのでもったいなくはあったんですよね。素直になってイオリとの関係に自分から踏み込んでいく段階と、中の人とのあれこれなど、これからなんぼでもよくなりそうなヒロインでしたし。その意味ではタビタもこれからだったんだよなあ。ラストシーン見ると、彼女の「王族」としての立場って飾りじゃなくて、彼女のヒロインとしての重要な要素になる可能性があったみたいだし。
いずれにしても、どれもが書かれずに終わってしまったという意味で実に勿体無い作品でありました。

1巻 2巻感想

終末のアダム ★★★   



【終末のアダム】 榊一郎/藤城 陽 講談社ラノベ文庫

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高校生・御槌錬は、何度も夢に現れる朱い眼の少女が数人の男に襲われている場面に出会い、関わる事で暴行されてしまう。ゲーム開発者の幸司郎と、彼の協力者の現役の傭兵美女・エイプリルは、偶然その現場を目撃して事件に巻き込まれる。そして、エイプリルは錬の異常な戦闘能力を目撃する。それは錬をめぐる巨大なミステリーの始まりだった。事件の翌日に転校してきた超絶イケメンの藍堂宗司と、あの朱い眼の少女・加具羅依乃里、二人は異様な親しさで錬と妹の楓に接近する。彼等の思惑は?その背後に見え隠れする宗教組織“四賢会”の目的は?錬と楓は、否応なく陰謀に巻き込まれ、次々と大事なものを失っていき、同時に、錬の戦闘能力はますます強力になっていく!
こういう現代を舞台にしたサスペンス・アクション的な作品って、一時期の電撃文庫の独壇場だったんですよね。現代異能モノの派生型ではあったんだけれど、どちらかいうとオカルトの中でも超能力寄りという感じだったんですよね、この手のって。
本作は、というとキリストをモチーフとした話っぽいんだけれど、宗教色は極力抑えられているんでぶっちゃけ主人公の頭に浮き出る荊冠も、その意味が即座に思い至らなかったくらいで宗教としてのキリスト教とか救世主とかはこの際殆ど関係ないのだろう。
あるいは、超人崇拝こそが着想のスタート地点なのかもしれないが。
しかし、ここまで不安定な身の上の主人公というのも珍しいな。家族だったはずの両親は何やら裏の思惑があったようで家族の情が介在しない関係であったようだし、彼の保護者となる幸四郎は味方というにはあまりにも独自の利益と享楽を追求していて、単なる損得上の関係にすぎないんですよね。エイプリルさんも、プロフェッショナルで情に厚いタイプではないし。
そもそも、主人公である錬に寄って立つ信念も目標も大事なものもなにもない。彼を主人公として駆動させるものが殆ど見当たらない、空虚な人間なのである。
せめて平凡な日常に戻りたいという欲求でもアレばそれが動機となり得るんだろうけれど、なんだろう、彼にはそういう日常への希求すら薄い。
これ、彼がある種の特別な人間であったとしても、その力を振るう意志となるものがなにもないのなら結局受動的に降りかかる火の粉を払い続けるだけで何も残らないし何も生まないんじゃないか、と危惧するところだったのだけれど、唯一彼に残された「家族」であった妹の楓、彼女をこの突如見舞われた非日常から護る、という衝動的な欲求が錬の中に生じることでようやく物語としての動力が発生したのである。
このことから鑑みても、本作のヒロインってなにか意味深にアピールしてくる加具羅依乃里よりも、もっと直接的に訴えてくる楓の方が本物のメインヒロインなのかもしれない。どうやら血も繋がってないようだし。依乃里の方はあまりにもこう、ミステリアスが高じ過ぎてなんか主体性に欠けてしまってるんですよね。錬と依乃里が本能的に呼び合う関係だったのだとしても、お互いに積極的にガンガン絡もうという主体性能動性に著しく欠けるんで、むしろこれ藍堂宗司がひたむきに突っかかってこなければ何も始まらなかったんじゃないか、とすら思えてくる。藍堂宗司くん、こう言っちゃなんだけれど、物語に対して献身的なんだなあ。本人は錬を排除しようとして図らずも仲人役を買って出てるとしか見えない。その上で、錬くんは楓の方が大事なので余計なお世話極まっていると。
役柄の配置上やっぱり依乃里の方がメインっぽいんだけれど、ここは敢えて楓推しで行って欲しいなあ。ラストの楓の身に起こった現象は、錬の起こしたものという捉え方で合っていると思うんだけれど、楓自身にも何らかの隠された役割みたいなのがあるんだろうか。依乃里と対になる形での。だとしたら、楓にも大いにチャンスありそうなんだけれど。
しかしまた、作中に随分と懐かしいタイトルが。【ストラグルフィールド】って榊先生の作品の中でも初期も初期じゃないですか。また、イラストレーターの藤城陽さんは、ストレイト・ジャケット以来の榊さんとのコンビで。ちょっと印象変わってて表紙からは気づかなかった。

榊一郎作品感想

Zの時間 ★★★☆  

Zの時間 (HJ文庫)

【Zの時間】 榊一郎/活断層 HJ文庫

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久しぶりに外に出ると、世界は滅亡していた。

廃人FPSゲーマー・出庭博明が久しぶりに外に出ると、世界は既に滅んでしまっていた。
偶然にも出会ったゾンビオタクの少女・樹堂乙羽と共に、生き残るための準備を整えていく博明。
一息ついた頃、彼はゲームサポートAI・レイヴンが不審な挙動をとっていることに気づく。
画面にに表示されたのは、見慣れぬキャンペーンとメッセージ――『生き延びろ。世界をやり直す為に』
誰も見たことがない最高のハッピーエンドを、一芸に秀でたオタクたちでつかみ取れ!!

……あれ? あれれ? 
本作、いわゆるオーソドックスなゾンビ映画っぽいゾンビもの。突如発生したゾンビパニックによって現代文明が崩壊してしまった中で、生き残った僅かな人間たちがサバイバルしていく、という映画や漫画だとよく見る展開なんですよね。本邦だけでも、あまりにも有名な【バイオハザード】をはじめとして、【ハイスクール・オブ・ザ・デッド】とか最近では【がっこうぐらし!】とか。
ただふと振り返ってみると、ライトノベルだとこの手のオーソドックスなゾンビものって実は殆どなかったんじゃないだろうか。全然、読んだ記憶がないんですよ。
辛うじて、大樹連司さんの【オブザデッド・マニアックス】(ガガガ文庫)が思い出されるくらいか。
他はというと、十文字青さんが異世界でのゾンビハザード【断末のミレニヲン】なんてのを描いてらっしゃるのだけれど、やっぱり思いの外少ない!
他にもあるのかもしれないですけれど、少なくとも自分は知らないです。
他の媒体ではわりと定番なジャンルなだけに、これはちょっと意外でした。何気に話作るの難しいのか?
ともあれ、本作を手がけているのはベテランも超ベテランな榊先生であるからして、堅実な王道路線をしっかりと描いてくれるので非常に安心感が在る。その上で、オーソドックスな展開にも関わらず他に類型が見当たらないせいか新鮮味が多分にあって、これがまた面白かったんですよねえ。
そんなメイドが居てたまるか、というのもまたご愛嬌。アメリカのホームセンターならともかく、日本のホームセンターってそんなに凶器になりそうなものあるかしら、てなところもご愛嬌。いや、ホームセンター根城にしつつも、そんな大した活用はしていなかったあたり、ゾンビオタクの乙羽ちゃんの兎にも角にもホームセンターに籠もらねば、という使命感によるものだったような気がしないでもない。
なぜか要塞化された高級住宅があって、そこに知り合いが籠もっているのも定番ですよね!
一応、世界は殆ど滅亡しているようで、まともに生きている人の気配はなく、将来も未来も絶望的、という状況なのですが、そのわりに登場人物たちはそこまでネガティブにならずにどこかコミカルに描かれているのも特徴的と言えば特徴的。特にヒロインの乙羽がゾンビオタク、という以上にどこかピントの外れたキャラクターをしていて、面白い子なんですよね。榊先生、【棺姫のチャイカ】のチャイカ以来、わりとこの手のキャラクターを武器にしてヒロインとして多用してきてるなあ。
しかし、作品の雰囲気自体暗くせずわりと呑気というかライトに展開していく一方で、この災害の中で主人公もヒロインたちも身内を亡くしているのも確かな話で、家族仲が良くなかったメインの二人はショックを受けつつも、まず目の前の対処を優先していくのですが、あとで出会うもうひとりのヒロインであるところのお嬢様は、自身の家族との別れを真正面から克服しなければならない場面に直面していくことになります。
生きるために戦い、活路を見出し、先のない未来に閉じこもるのではなく、当て所のない果てを目指して旅に出る。結局のところ、ゾンビものの中でも世界崩壊してしまうものは、安住の地を求めてのロードムービーみたいなものになっていくのですかねえ。
ただ、本作に関しては果たしてこれ「現実」なのか、という謎がまだ残っているのですが。果たして大どんでん返しのひっくり返される舞台がどこまで広く深く根ざしているのか。乞うご期待、って感じで楽しみです。

榊一郎作品感想

誰が為にケモノは生きたいといった 2 ★★★  

誰が為にケモノは生きたいといった2 (ファンタジア文庫)

【誰が為にケモノは生きたいといった 2】 榊 一郎/ニリツ 富士見ファンタジア文庫

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「美味しいご飯が作れるのは、いい嫁の条件なんだよ?」
新たな街でイオリたちが出会った棄界人の姉妹・ハンネとマルテ。彼女たちへの対抗心からタビタは―
「ん。夜這いする」
イオリに積極的なアプローチを仕掛けてきて!?さらには王族の末裔を探し出すことを命じられた罪人のひとり、ケネスと再会したユーフェミアも、イオリの背負った罪の真相を知り、ある決意を胸に抱くことになり…。
「穢れようが汚れようが生きてくれよ。胸を張って生きてくれ」
交錯する感情。変わろうとする者たち。復讐と贖罪の想いがぶつかり合うとき、イオリたちが進むべき未来とは―!?

イオリがユーフェミアの父親である上司を殺害した件、本当に誰も幸せにならない話でこれはイオリとしてもユーフェミアには言えんよなあ。
でも、ユーフェミアとしても真相を知らないことには中途半端のままどこにも行けなくなってしまっていたので、何らかの形で真実を知ることは必要だったのだろうけれど、イオリに話せよ、とはこれとても言えんですし。
その意味では第三者から教えてもらうというのは最善がどこにもない以上、最低限の条件だったんじゃないかな。ユーフェミアのイオリへの思慕と憎しみが入り混じった自暴自棄は放って置くと治らないまま膿み続ける傷になってしまいそうでしたし。
まあ、知ってしまったら知ってしまったであまりに重たいものを背負ってしまう羽目になったのですが。生きて苦しみ、しかし死んで楽になることは決して許されなくなったわけで。生きることそのものが贖罪、いや彼女自身が原因であっても何の罪もない以上、逆にちゃんと背負いきれない面もあるんですよね。だからこそ、イオリの方もユーフェミアへの対応について悩みきってしまっていたわけですし。
でも、そう考えるとユーフェミアの中のチヅルの存在って、ユーフェミアにとっては呪いではあるのだけれど、同時に言い訳となる存在であり、自分を許してくれる存在でもあるんですよね。チヅルの存在はユーフェミアにとって忌まわしき救いなのか。

しかし、臓器の移植手術まで高度医療とはいえ実現しているということは、イオリたちの世界の技術レベルって相当に高いんだなあ。製鉄すらままなってないゲヘナと比べると、そりゃ天界扱いされるか。
今回は、他に棄界人とイオリと同じ天使と呼ばれる異世界人とのカップルを登場させることで、タビタとイオリに二人の関係について改めて考えさせると同時に、上層への帰還の問題と絡めてユーフェミアの父親、イオリの罪についての真相を明らかにすることで、ユーフェミアとの関係も一気に整理しようという展開ではあったのだけれど、どの場面にもなかなかうまく踏み込めずにサラッとあっさり進んでしまった感が若干ある。特にタビタは終始、自分自身よくわからないままイオリにアプローチするばかりで、この娘の好きは本気ではあるんだろうけれど、まだ無垢なままで火が灯りきっていないままでしたし、ユーフェミアは真実に翻弄されるばかりで彼女自身確固とした想いをまだ抱けてないし、イオリはなんかこう意思がはっきりしないままだし、なんとなく全般的になあなあで進んでしまった感じなんですよね。
肝心の王族の血を引くものを連れて帰る、という一番の目的についても、裏で暗躍しているものがいる、ということが判明しただけで、詳しいところは何もわかってないし、とにかく全体的にはっきりしない感じでした。
もうちょい腰を据えて盛り上げてほしいなあ、と思うものの続き出にくい状況なんだろうか。

1巻感想

誰が為にケモノは生きたいといった ★★★☆   

誰が為にケモノは生きたいといった (ファンタジア文庫)

【誰が為にケモノは生きたいといった】 榊一郎/ニリツ 富士見ファンタジア文庫

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「目のやり場に困ってるんだよ。それとも誘ってるのか?」
上官殺しの罪で現世には二度と戻れないという絶対流刑の地『棄界』に送られた魔術猟兵のイオリ・ウィンウッドは、湖で溺れかけていたところを少女に救われる。獣の耳と尻尾を生やし身の丈ほどの大剣を持つ全裸の少女はタビタと名乗り、匂いを嗅いだりとイオリに興味津々で…。
そして父親の仇であるイオリを殺すため自ら『棄界』に来た女騎士ユーフェミアも巻き込んで、タビタの地竜狩りを手伝うことになるのだが…。
「イオリが行く所、私、行く」
生きなければいけない呪いを背負った少年と、ケモノの少女が紡ぐサバイバルファンタジー!
これ、髪の毛と大剣が繋がってるってイラストからじゃわからんなあ、と思ってよくよく見ると、表紙絵にしても口絵にしても巧妙に連結部分を隠すような配置になってて、そもそもわからないようにしてあった、のだろうか。作中ではタビタ登場から程なく髪と大剣が繋がってる描写はあるのでネタバレではないと思うのだけれど。
片言の小動物系ヒロインというと、榊さんの作品ではやはり【棺姫のチャイカ】のチャイカが思い起こされるのだが、こっちのタビタは見事なまでにケモミミ少女である上に大剣使いという属性付き。まあ、チャイカのあの対物ライフル型の魔法杖というアクセントの強烈さをもってするとなかなかインパクト勝負では抗いがたいのだけれど。
個人的には、榊さんの作品では厭世型の青年が主人公の方が真面目だけが取り柄みたいな少年が主人公の話よりも好きなので大いに期待している。このタイプの主人公、みんなその道のプロフェッショナルなので安定感があって、動的な場面でもどっしりとして基盤になってくれるので安心して読める、というのもあるんですよね。
特に今回の物語では、『棄界』という得体の知れない異界を舞台にして、かつてこの地に墜とされた王族の末裔をゲットして地上世界に連れてかえらなければならない。そのためには、同じ任務で落とされた罪人たちに支給された地上帰還用の指輪を連れ帰る王族の分も含めて確保しなければならない、というサバイバルとバトルロイヤル要素が物語の根幹に備わっていますからね。その上、『棄界』に来る際にいきなり想定外のトラブルが降って湧いているあたり、既にこの段階で「陰謀」が巡らされている節もありますし、早々に生き残るための算段と勝ち残るための作戦を練らないといけない状況にあり、そこで主人公のイオリの魔術猟兵といういかにも特殊戦に慣れ親しんでいるようなプロの判断力と決断力は頼もしい限りでしょう。彼と行動をともにすることになるタビタとユーフェミアは「戦闘」に対する適正はともかくとして、それ以外に関しては素人っぽいですし、ユーフェミアに至っては「くっ、殺せ!」が口癖という、そろそろ一周回って珍しくて逆に新鮮味を感じるポンコツさんですし、これイオリ一人だけ負担重くない?
と、思ったんだけれど、なにやらユーフェミアの方に変な「ナニカ」が取り憑いているみたいで。そもそもイオリが犯罪者となった上官殺し、ユーフェミアの父親の殺害に関して一切何があったか語られていない事も含めて、まず主人公の過去、背景周りから殆ど情報があがってきてないからなあ。ここまで殆ど何も明かさないまま話を引っ張る、というのはなかなかに珍しいことかも。特に榊さんはそのあたり明快なことが多いですし。それだけ、根幹にまつわる話なのか。
まあともかく、明かされる情報が少ないだけに物語の大筋としては、前提となる『棄界』に送られ王族を見つけなければならない、という任務の再確認とタビタという少女の出会い、にほぼ限定されるので、敵さんも黒幕からは縁も遠い殆ど現地の山賊、みたいなのが相手だったので、実は物語的には大きな動きはあんまりない、キャラと舞台設定の紹介という導入の一巻らしい内容でした。
あまり掴みのために派手にしない、という意味では堅実というべきか地味というべきか。

榊一郎作品感想

パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1 ★★★☆  

パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1 (講談社ラノベ文庫)


【パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1】 榊一郎/足立慎吾 講談社ラノベ文庫

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『地球は、狙われている』
遙かなる太古より地球は数々の生命体に狙われていた。その地球を守るための組織“サキモリ”は、今、司令官不在という未曾有の危機に陥っていた…。主人公・阿倍野晴克は何のへんてつもない高校生。いや強いて挙げれば貧乏なことだろうか。
「普通」というものに憧れている極貧高校生だった。しかし突如現れた自称・姉によって晴克は拉致されてしまう。しかもその上、謎の組織までが彼を拉致して驚天動地の拉致合戦。どうやら地球を守る運命は、この極貧高校生に託されたようなのだ!宇宙怪獣、ナントカ星人にetc.…。とんでもない侵略者たちから地球を守れ!
あれ? 萌える侵略者ってタイトルがついているから【アウトブレイク・カンパニー】と同じ世界観の作品なんだと思ってたら全然関係ないの!? タイトルもカンパニー繋がりで似せてあるし、凄い紛らわしいんですけれど。どこで関連してるんだろう、と気にしながら読んでいたのだけれど、全然それっぽい話や設定が出てこないので「???」と頭の片隅でモヤモヤさせながら最後まで読んでしまいました。こういうのは止めてほしいなあ。
しかし、単体の作品として見るとしても、本作は面白かった。こういうポンコツなノリの作品は榊さんの著作では案外珍しい。【まかでみ】なんかはそれ系統なんだけれど、あちらは主人公が真面目で性格に遊びがなく面白味がないタイプだったんで、作品のテンションとキャラのノリが自分には微妙に合わなかったんですよね。
その点、こっちの晴克くんは貧乏・貧困をややブレイク・スルーしてちょっとヤバい領域の沼にハマりかけていたこともあってか、普通に対する執着がそんじょそこらの普通愛好家とは比べ物にならない偏執的なもので、その拘り方がなかなかに素っ頓狂なところもあってか、実に作品のノリに波長が合ってる主人公なんですよね。
概ね、大人だけれど無気力系と、真面目で堅い少年という二系統に別れる榊作品の主人公のキャラクターに当てはまらない新鮮味のある主人公でした。
いやもう色んな特撮系とかのパロディが仕込んであるモザイク感も楽しいのですが、何より一番輝いているのが「悪の組織」の面々のポンコツ具合なんですよね。本人たちは至極真面目に侵略活動に勤しんでいるわけですが、どうしても所帯じみているのと庶民感覚あふれる言動と見事に毎回やらかしてしまうあれやこれやで、むしろ頑張れ悪の組織! な雰囲気になってしまう。切実に貧乏そうなのも含めて。サキモリ側はなんだかんだと公務員(?)なのか微妙にわかんない組織なのですが、資金に関しては潤沢なようでしてお給料から福利厚生に至るまで充実しているようですし、ナニかと爪に火を灯すようなやりくりをしているであろう悪の組織と比べると……うん、比べちゃダメですね。
一方で防衛側であるサキモリの方も、多々問題を抱えており、それは組織の問題のみならずヒロインの天王寺ミオのような個人で抱えているものもあり、腰掛けというか血筋によるものから司令官に押し込められてしまった晴克はそういうのも背負わなくちゃいけなくなってしまったんですよね。
とにもかくにも、なにかやらせるなら説明はちゃんとしましょう。リスクに関しても状況説明についてもまったくせずに、切迫しているからと行ってやってちょーよ、と迫るのはなかなかに卑怯である。いきなり包帯ぐるぐる巻きのストレッチャーで運ばれてくる綾波ネタをやってる時点で意図的なんだろうけれど。晴克にまったくネタが通じてなかったのって、あれジェネレーションギャップなんだろうか。それとも家庭環境から来る知識の欠落なんだろうか。
しかし、細かいことは抜きにして、普通を命がけで志しながらも、普通を逸脱しているであろう地球防衛隊の司令官なんて仕事を引き受けるに至る決断を、いや一人の女の子の一生懸命頑張る姿を、守り応援してやるために、色んな責任を背負い込む勇気と覚悟を決める心意気は、ちゃんと「普通」に格好良かったですよ、主人公。幸せ家族計画的にも十分当たりの人材なんじゃないかなあ、これ。決してミオがチョロいだけではないと思われ。

榊一郎作品感想

永き聖戦の後に 2.スケイプ・ゴート ★★★   

永き聖戦の後に2 スケイプ・ゴート (角川スニーカー文庫)

【永き聖戦の後に 2.スケイプ・ゴート】 榊一郎/ 猫缶まっしぐら(ニトロプラス)  角川スニーカー文庫

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魔族との大戦争が終わって七年。魔物は人類に飼われ、魔力源として利用されていた―。魔王を討伐した英雄の生き残りであるジンゴと、都市の議会からも魔族からも追われる少女・メイベル。魔王の亡霊に頼まれて、メイベルを匿うジンゴの前に現れたのは、歌姫にして訓練された強力な勇者、“ミスリル・チップス”の少女3人だった!囚われの身となったメイベルを待ち受けるものとは―!?本格マジックパンク・ファンタジー第2弾!
アイドル三人組がなあ、登場からいきなり特殊部隊というか、新型勇者として出てきてしまったので、せっかくのアイドル要素が殆ど感じられなくてそれがちと残念。もっと、アイドルしている活動描写があったら、アイドルの時との違いの意外性とギャップがあったんだろうけれど、読者としては殺伐としてる「ミスリル・チップス」たちしか知らないわけで、魅力としてはどうしても限定的になってしまったかも。
そもそも、メインヒロインのメイベルがどうしても動性の低い受け身の立ち位置であったがゆえに、ヒロインの側から燃料を焚べることができないので物語としての馬力に欠けるきらいがあったんですよね。メイベル自身、自分が何者であるか、これからどうするのか、何に対してどう思うのか、という点が彼女自身何も知らず知らされておらず把握しておらず、振り回されるしかない状態であったので、指針というものをどうしても持ち難い状況だったんですよね。こればっかりは彼女のせいじゃないだけに、実際どうしようもなく……。
なので、ジンゴ側の動機が燃料にならざるをえないのだけれど、彼自身抜け殻状態になっていたところからどうにかこうにか「約束を守る」という理由と呪いを解くため、という消極的な動機からはじまっているので、動き出してからもなかなか「ビシッ」とした芯が形成されるまで時間がかかってたんですよね。
それがどうしても、物語自体の熱量が終盤まで溜まらなかった感があるんですよね。ある意味、この二巻までがプロローグ的なもの、目的を定めた旅が始まるまでの準備が整うまで、という体でしたので、なかなかねえ。
ミスリル・チップスも、今回は顔見世的な出方でしたし、彼女たちがはじまるのもこれからなわけですから、敵キャラとしてもヒロインとしても、魅力的に掘り下げられていくのはこれからなんですよねえ。
メリンダ議員に関しても、黒幕という立場上あれこれ策謀をめぐらしているのだけれど、その根源に在るのは徹底した人類の利益への正しさなのである。それは倫理的には間違っていても、実益として、そしてそれによって助かる人が、弱者の救済が絶対の中に含まれているので、どうしても反論しにくいところがあるのがなんともはや。そもそも、メリンダ自身が人類のために自爆することを最初から定められていたタイプの自爆型勇者だったために、「必要な犠牲」という定義はアイデンティティに関わってくるだけに、妥協の余地が一切ないのである。ただの狂信者や正義狂いとも違うだけに余計にたちが悪い。ジンゴが仲間と自分の復讐に走ることすら出来ずに腐っていくしかなかったのも、無理からぬところがあるんですよね。
彼女を納得させる、得心させる、解放させることのできる言葉が果たしてあったのだろうか、と俯かざるを得ないのである。難しいね。

1巻感想

永き聖戦の後に ストレイ・シープ ★★★   

永き聖戦の後に ストレイ・シープ (角川スニーカー文庫)

【永き聖戦の後に ストレイ・シープ】 榊一郎/猫缶まっしぐら(ニトロプラス) 角川スニーカー文庫

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魔族との大戦争が終わって七年。魔物は人類に飼われ、魔力源として利用されていた―。魔王を討伐した英雄の生き残りであるジンゴは、城塞都市の片隅で騎士に追われる少女・メイベルを成り行きで助けてしまう。少女を知人の“宿”に預けようとするジンゴだったが、突如現れた魔王の亡霊から「メイベルを守ってやってくれ」と不可解な頼み事を持ちかけられて―!?元・勇者の孤独な戦いを描く、本格マジックパンク・ファンタジー!

図らずも先日読んだ【暗極の星に道を問え】と同じく、魔王討伐の任を果たしたはずの勇者が帰還したところを権力者に裏切られて仲間たちを殺され、自身はようやく逃げ延びてドロップアウト、という構図なのだけれど、あちらが虐げられた存在の救世主として復讐者ながら王道を歩み出すのとは裏腹に、こっちはさっさと首謀者は逆襲して抹殺したものの寄って立つものを失ってドロップアウトしてしまう、というなかなか厳しい環境で。
面白いのは、勇者と名前がついている存在は称号ではなくてある種の記号であって、戦闘用に改造された改造人間が勇者という名称で呼ばれているに過ぎない、ってところですか。変身こそしないものの、仮面ライダーとか人造人間、或いは戦闘サイボーグってノリなんですよね。主人公のジンゴも、手のひらに接続端子がついてて専用武器と接続連結して体内の蓄積魔力を武器に付与するという機能付きですし。
この魔法文明ながら機械機械した世界観こそが、あらすじ曰くのマジックパンクなんだろうなあ。そして、榊さんの得意ジャンルでもあるわけなんだけれど、今回は特にスチームパンクっぽさが出てて雰囲気としては非常に好み。好みといえば主人公が中身が枯れまくった青年なのもいいんですよね。作者の描く主人公ってだいたい真面目で面白みの薄い男の子か、若干人生に疲れたか精神的に枯れてる青年なんだけれど、だいたい好きなのは後者の方なんですよね。【棄てプリ】から【ストレイト・ジャケット】から【棺姫のチャイカ】なんかね。
枯れている分だいたい受動的なせいか、わりと状況のほうがよく動いて主人公を無理やり動かそうとするのと同時に、ヒロインの方がけっこうガンガンと自分から動いてくれるので目立ちやすい、というのもあるのかなあ。
その点においては、本作のヒロインであるところのメイベルはまだ自分の置かれた立場に対する理解も自覚もなく、能力的にもほぼ一般人でしかないので自分から動けるところにおらず、今のところ何もできていないのだけれど。精々掃除くらいで。
そもそも物語自体がまだ導入段階過ぎて、何が起こっているのか、何が起ころうとしているのかが読者含め作中の主要人物たちも殆ど見地を得ておらず、取り敢えず一通りの役者が舞台の上にあがったところ、というくらいなのでやや進展は遅いかもしれない。
その分、このマジックパンクな世界観の描写に筆が割かれている、という感じはあるのかなあ。この、人類存亡の危機を脱して復興を果たしつつある世界、というわりにある種の退廃感が濃厚に漂うアングラな空気はほんと好きなので、堪能したと言えば堪能したんだけれど、物語としてまことに楽しむをはじめるのは次巻を待たないといけないかもしれない。

榊一郎作品感想

蒼鋼の冒涜者<ブルースチール・ブラスフェマ> 3 ★★★   

蒼鋼の冒涜者<ブルースチール・ブラスフェマ>3 (HJ文庫)

【蒼鋼の冒涜者<ブルースチール・ブラスフェマ> 3】 榊一郎/赤井てら HJ文庫

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再び現れた宣教騎士団を前に、ベルタの才能が目覚める!!
順調に発展を始めたフリートラントに、宣教騎士団に追われていた傭兵が流れ着いた。それをきっかけとして訪れた宣教騎士は、街が教化済みでないことを見破ってしまう。戦力を整え、再び襲い来る宣教騎士団を前に窮地に陥るユキナリたち。
《教会》を前にしたアーロンと戦う力を手に入れたが人を傷つけることを厭うベルタ。それぞれの決断とは――。
なるほど、神という崇められる立場に立たされながらも、ユキナリは孤立していくのではなくむしろ仲間を増やしていくのか。一方的に背負うのではなく、守るべき対象だった村人たちと協力して今の環境を守ろうとする。地神への生け贄であり、今はユキナリの巫女という立ち位置に収まっていたベルタもまた、受動的にあるがままを受け入れるのではなく、自分の意志としてユキナリに仕え、自分の考えでユキナリと村をどう守るかを思い巡らせ、その上で自分の出来ること出来ないことを自らに問いかける。
思考停止して与えられた役目に没頭するのではなく、考えて考えて自分の欲しいもの、自分のやりたいことを見つけていく。その意味では、アーロンや今傭兵に身をやつしているヴェロニカも同様で、自分の道を自分で選択することを問われるのですな。神としてのユキナリは、決して周りの人間たちに何かを促しているわけではないのですけれど、そうして何も強制しない姿勢こそが、常に自らの考えではなく与えられた役割を果たすだけの生き方をしていた人たちにとっては選択であり思考を誘発させるものだったのでしょう。
そこで、何も強制しない神に対して撃発しないあたり、この村の人たちにしろアーロンにしろ、柔軟だなとは思うところですけれど。特に宗教や生きる指標としての価値観は早々覆るものではないだけに、アーロンくんはチョロいな! と微笑んでしまうところです。

しかし、表紙にもなってる宣教騎士アンジェラ、何気に重要なキャラみたいだけれど、敵のままなのか味方になるのか。彼女、宗教的な純真さの持ち主であると共に俗的な野心家でもあって、思考停止して現状を受け入れているのではなく、恣意的に利用しているタイプなだけに、敵になると厄介だけれど味方になるとクセのある面白さがあると思うんですよねえ。
まあチョロインを爆走しているアーロンくんと同様、今後に期待。

榊一郎作品感想

神鎧猟機ブリガンド 4 ★★★☆  

神鎧猟機ブリガンド4 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 4】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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高校へ襲撃してきた“悪魔憑き”を狩ることには成功したが、事件を機に亜麻音たち“フォスファー”は連志郎たちの正体を掴んでいた。連志郎と大悟はそれぞれ“ブリガンド”と“ブレイバー”を駆り悪魔狩りを続けるが、ある日“ブレイバー”が奇襲を受け、大悟や優羽が重傷を負ってしまう。翌日、それを知った紫織が心配している矢先に、再び“悪魔憑き”が現れる。出撃する連志郎に、自分も一緒に行くと言い出す紫織。仕方なく“ブリガンド”に同乗させ戦うが、人質を取り、二体で連携する“悪魔憑き”に連志郎は苦戦する。そこへ怪我を押して“ブレイバー”を駆り大悟が出撃してくるが―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、クライマックス!
人としての真っ当な在り方を見失ってしまったところから、血の通った人間に戻っていき人を守るヒーローになる、という点においては作者の書いた作品の中では【ストレイト・ジャケット】を彷彿とさせるものがあったんだけれど、あちらの主人公がいい年をした大人の男性だったのに対して、此方の主人公がまだ未成熟の若き高校生という違いは何気に顕著に出ていたのかもしれないなあ。
あちらが絶望と諦観という停滞状態にあったのに対して、連志郎は復讐とヒーローという存在への反感という暗い情動ではあっても、動的な意思を備えていたからかもしれないが、ともあれまだ連志郎は若いが故に何者にも定まっておらず、故にこそ激しい衝撃に対してその心ばえの変化も大きかった。
それ以上に、取りこぼしてしまうものが多くあったのだけれど。
力及ばず、或いはまるで手の届かないところで喪われていく大切なもの、という衝撃。それは連志郎が見ないふりをして遠ざけようとしていたものを、無理矢理にでも直視させる力を持っていたのだけれど、容赦がないなあと胸をつまらせてしまう。彼らの犠牲がそのまま連志郎の復讐をさらに憎悪の輪の中に追い込まなかったのは、喪われた彼らが最期まで示した高潔な意思だったのでしょう。かつて、連志郎が憧れたヒーローの姿がそこにあった。その鮮烈な姿には、ヒーローの存在を否定する連志郎の心を否応なく揺さぶる強烈な力があった。でも、それだけでは彼の道は拓けなかったでしょう。
この物語には、受け継がれる意志。誰しもが、誰かを守れるヒーロになれる、という主題みたいなものがあったと思うんだけれど、やっぱりそれを独りでやってのけるのは、繊細な若者には厳しいモノがあるんですよね。
彼の弱い部分を全力で支え続けたのが、紫織だったわけだ。彼女の出しゃばらないくせに肝心なところでは譲らず、守ってくれる強さはまさに内助の功というべきで、ここぞという時にいつも彼女が完璧な方向修正を施してくれた上に、最後にはあれですよ、ただ連志郎が戦いに行く姿を見上げ、見送るだけではなく、戦場ですら彼を孤独にしない選択を掴んだわけだ。
叔父さん、という理解ある頼もしい大人の庇護があり続けた、というのも大きいんだけれど、やはりヒーローにはパートナーの存在は、それも人生まるごと共有できるパートナーは不可欠なんだなあ。
彼が本物のヒーローとして立つまでに必要だった贄は、あまりにも大きすぎるものでしたが、それでも希望を背に戦う孤独ではないヒーローの誕生は、彼と彼女が幸せになる未来の可能性を掴んだのも含めて、祝福されるべき結末だったのではないかと。
これが、ヒーローという偶像に対する、榊さんの一つの結論か。

シリーズ感想

神鎧猟機ブリガンド 3   

神鎧猟機ブリガンド 3 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 3】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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『ブルー・オーシャンズ・ガーデン』の事件後、損傷を負った“ブレイバー”と大悟は修復と再調整に入っていた。一方、連志郎と“ブリガンド”も和晃を中心に『武器』の試作をするなど、対“悪魔憑き”の緊張感は高まっていた。そんな中、“悪魔憑き”が同時多発的に五体現れる。一対一の戦闘しか経験のない“ブリガンド”に対する、亜麻音たち“フォスファー”の次なる一手だった。“ブレイバー”と“ブリガンド”は共に出動し制圧に向かうが、混乱の中で効率的な動きが取れない。そして苛立つ連志郎たちの目の前で、悲劇が起きる。局面打開のため再び共闘を呼びかける大悟に、連志郎は―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第3幕!
凄いな、フラグをちゃんと立たせてすら貰えずに退場させられてしまったぞ。あんまりあっさりしていたので、裏があるんじゃないかと勘ぐってしまうくらいに。
容赦無いといえば容赦無いんだけれど、盛り上げるだけ盛り上げて突き落とされるよりもダメージは少ないのかもしれない。連志郎ってあれでかなりメンタルが繊細であることが明らかになっているので、もし本格的に踏み込んできた段階でああなっていたら、ちょっと立ち直れないほどのダメージを食らっていたかもしれない。
何者も寄せ付けない鉄壁、を装っているようで大吾のヒーロー主義に対してムキになるところや全然冷酷に徹しきれてないところなど、何というか自分から他人を拒絶するほどの主体的な反応は示せてないんですよね。向こうから近づきたくなるようなキャラを振舞っているだけで。自分から突き放すことも拒絶することも出来かねるような、受動的な少年であるわけだ。
だから、紫織のささやかな不満やヤキモチの理由である、自分に対して彼が反応してくれない、興味を示してくれない、相手をしてくれない、というそれは、内気な少年の繊細な反応として見たら可愛いものなんですよね。紫織が考えているほど、連志郎は紫織のことをスルー出来ていないような気がするのです。敢えて見ないようにする、というのも意識している反応の一つと捉えるなら。
大吾の連志郎への馴れ馴れしさには、彼の「可愛げ」というものを無意識に把握しているからじゃないかなあ、という向きもあり……まあ、単に無神経、というところもあるんでしょうけれど。
いずれにしても、もうこの段階にまで至ってしまえば、単なる復讐者として復讐以外のすべてから背を向けて生きることは叶わないでしょう。ブレイバーとしての大吾の正義に共感を覚え、知り合いや友人が理不尽に死んでいくことに耐え切れず、敵を倒すためではなく守るために戦うことを選んだ時点で。
しかし、それだと単なるヒーローものになってしまうのも確かなんですよね。ダークヒーローものとしては、安易に世の正義と相容れてはいけないのである。そのための鍵となるのが、紫織の存在となってくるわけか。
彼を復讐しか考えない修羅の生き方から血の通った人間へと戻るための要だった存在が、彼を見守る者となっていた紫織だったのだけれど、彼女が再び「悪魔憑き」として世の中から排斥される存在になったとき、それも自分を庇って日常から、自分の前から消え去ろうとした時、彼が寄って立つ側はどちらなのか。
ヒーロー見参。しかし、それは正義のヒーローではなく、ただ一人のための英雄に。離れ行く彼女を引き止めるために、紫織の腕をつかみとる。あのラストシーンはなかなかに叙情的で、静かに盛り上がるシーンでした。いい具合に佳境に入ってきたんじゃないですかね。

シリーズ感想

神鎧猟機ブリガンド 2 3   

神鎧猟機ブリガンド2 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 2】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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鋼鉄の鎧“ブリガンド”を駆り、『悪魔狩り』を続ける斯波連志郎。情報統制されている中でも“ブリガンド”の映像はネット上に出回っており、その正体が何かという憶測が飛び交っていた。当の連志郎はあくまで復讐者であるという姿勢を貫くのだが、ある日その信条を揺るがす事件が起きる。そして亜麻音たち“フォスファー”は対“ブリガンド”の分析を進めており、反攻の機会をうかがっていた。そんな中、紫織が福引きで当てた優待券で、連志郎や綾たちみんな揃って海沿いのアミューズメント・パークへ行くことになる。するとそこへ“悪魔憑き”が現れ―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第2幕!
この紫織というヒロインの振る舞いは面白いなあ。基本的に彼女、連志郎に対して何か申し立てたり物言いをつけたり意見したり、というようなことは何もしていないんですよね。殆ど、何も言わないヒロイン。だけれど、決して思うところがないわけではなく、何も言わないからと言って意志薄弱な流されやすい性格をしているわけでもない。押し付けがましくないだけで、紫織という娘はけっこうはっきりとした明瞭な意思を以って連志郎にプレッシャーをかけてるんですよね、これ。本人は戸惑い迷い自信なさげに振舞っているけれど、一方で連志郎を傍らで「見続ける」という行為に関してはかなり強い目的意識と確信をもって行っている。
あの「見守る」という観測行為は連志郎に対してかなり「促してる」感じなんですよね。
押し付けがましい言葉ではない分、余計に彼女の視線は連志郎に自分を省みる機会を与え続けている。ずっと見られている、或いはずっと見ていてくれているというのは、どうしたって自分がどう見られているか、が気になってしまうもの。恥ずかしい振る舞いは出来ないし、無様な真似も見せたくない。そう頭をよぎるものがあれば、じゃあ自分にとって何が恥ずかしいのか、何が無様なのか、彼女にどんな風に見られたいのか、というところに意識はあてられていくものです。彼女の視線に、自分への信頼があるなら尚更に。
さて、そんな視線を無視できるほどに視界が狭くなっているならともかく、連志郎はなんだなかんだと復讐者を名乗るには、心をガチガチに固めた壁で覆っている、というわけではないからねえ。好きなものがあり、そこに拘りがあり、執着があり、好意がある。それは、心の余裕だよ。
その意味では、最初からダークヒーローなどには成りきれない主人公でありましたけれど、これほど早くチョロい側面をみせはじめたのには、紫織の影響は無視できないんじゃなかろうか。あんまり何もしていないようでいて、何気に存在感の大きなヒロインである。すでに、無言で寄り添い支える献身的ヒロイン、という風情で鉄板の様相をみせはじめてるし。
まあだからこそ、余計に阿川の勘違い行為は気持ち悪さ覿面だったんですが。うん、幾らなんでもこれはキツイ。自分の痛々しさにまったく内省がないタイプというのはなんともなあ。
さすがにおじゃまがすぎたので、生贄扱いにもむしろ安堵を覚えたくらい、というのはさすがにアレかしら。

1巻感想

熾天使空域 銀翼少女達の戦争3   

熾天使空域 - 銀翼少女達の戦争 (C・NOVELSファンタジア)

【熾天使空域 銀翼少女達の戦争】 榊一郎/BLADE C・NOVELSファンタジア

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東京の女子校に合格して田舎から上京してくる、はとこの澪をむかえに行った将一郎。駅で待ち合わせをし、そのまま寮へ移動しようとした途端、二人は謎の空間に取り込まれてしまった。頭上を飛び交うのは、戦闘を行う美しい少女たち。だがその姿は戦闘機―しかも、第二次世界大戦時のものだった。将一郎らは、その中でも零式艦上戦闘機二一型を模した少女に助けられ、一緒にこの窮地を乗り越えることになり!?榊一郎×BLADEの人気コンビが贈る、新たな萌ミリ、ここに開戦!
萌ミリって、ガチな殺し合いじゃあないですか。しかも、かなりの理不尽系。最近、というには結構息が長くなっているけれど、ミリタリー系要素の擬人化モノ。第二次世界大戦期の航空機を対象にしたものなんだけれど……普通の少女に後付で人体改造を、というパターンは可能性としては語られながらも、実際の設定として用いられる作品は今まで意外となかったんじゃなかろうか。このパターンはどうしても内容がエグくなりがちだし(何しろ人体改造)、改造のネタになった兵器なんかよりも、改造を受けた少女の境遇や内面描写に焦点が当たることになるので、肝心の兵器ネタの扱いが蔑ろになりかねないという危険性が大きいですから、手を出すのはなかなか難しかったんじゃないでしょうか。
そこを敢えて突っ込む榊先生はさすがというかなんというか。イコノクラストとか、前々から女の子を理不尽で悲惨な境遇に追いやって戦わせる展開はお手の物でしたからねえ。
しかし、いきなりワイルドキャットからじゃなくて、ヘルキャットとコルセアで攻めてくるとかどんなハードプレイですか。既にこの段階でスペック的に二一型どころか五二型もキツキツでしょうに。この作品は、一機種につき一人、というわけじゃなさそうだけれど……どの戦闘機があたるか、というのは何か必然的な理由があるんだろうか。澪なんかは曽祖父が五二型に乗っていた、という歴史があったからっぽいけれど。バッファローとかデファイアントなんかに当たったら、悲惨どころじゃ済まないぞ(苦笑
にしても、少女たちに明確な戦う理由が存在しないのが、かなり厳しい。無理やり戦いの場に引きずり出されて、訳もわからないまま戦わされる。戦闘が行われる理由は、謎の存在による戦闘実験、みたいな感じで彼女たちには一切の益はないわけだし。とにかく、生き残るために戦う、しかも同じ人間で女の子であろう相手をどうしたって殺さなくてはならない、というのは普通の戦争なんかよりもよっぽどマトモじゃないわけで。主催のフーファイターは、人間の生体について殆ど理解していなくて、常識が通用しない相手だし、心の問題とか内面とかも全く関知していないようだから、メンタルケアなんて一切してないんですよ。
仲間になる二一型の娘が、かつて一緒に翔んでいた親友が殺されて以降、殆ど人が変わってしまった、みたいな状態も宜なるかな。航空戦闘での死に方なんて、まともに亡骸も残らないですし、親友が五体バラバラになりながら墜落していく様子を目の当たりにした年頃の女の子が、むしろこの程度の精神変容で収まっているのはかなりマシな方なんじゃないだろうか。
一応、殺さずに戦闘を終結させることは可能なようだけれど、航空戦はそんな加減が出来るような代物でもないわけで。こんな物語のメインヒロインに、澪みたいな内向的な娘を持ってきて果たして能動的に動けるんだろうか。
で、肝心の戦闘機としての要素だけれど……此処の機体のスペックって、こうなると大きなファクターではあっても、あくまで一要素って感じなんですよね。何しろ、デジタル無線の搭載による相互連携の確保と、将一郎が要撃管制指揮をとることでほぼ戦域を掌握することが可能なわけで……レーダー搭載してもいない第二次大戦期の戦闘機相手にこのアドバンテージは凄まじくデカイと思うんですけどw
ラストのシーンは、フーファイターの理解不能な不条理感をこれでもかと詰め込んだえげつなさで、衝撃的すぎる引きだったけれど、この調子だとどう転がっても救いとかなさそうなんだよなあ。

榊一郎作品感想

棺姫のチャイカ 123   

棺姫のチャイカ (12) (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 12】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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ガズ皇帝との激戦後、消息不明となったトールとチャイカ。二人を探す旅に出たアカリと紅チャイカ。フェルビスト大陸に訪れた束の間の平和の中で、彼らは、彼女らは、どこで何をしているのか?そしてガズ皇帝亡き後も『チャイカ』という存在を警戒するジレット。いまだ明確な『終わり』が見えない中、ダチア子爵領で『ガズ帝国軍』―旧ガズ帝国の正統後継を名乗る少女を旗頭とした武装集団が現れ―。「我が名はチャイカ・ガズ」そう名乗った彼女のそばには、機杖を持った少女と黒衣の若者の姿が…。『チャイカ』サーガを締めくくる真のエンディング!!
後日談、これは騙されたわー。これ、あらすじからミスリードしてるし。
というわけで、ガズ皇帝との決戦で行方不明になってしまったトールとチャイカ+フレドリカ。彼らを探して赤チャイカとアカリがコンビを組んで旅に出る、というところで前巻が終わっていたので、そりゃあそのまま続きかと思うよねえ。
後日談の話としては、ちょうどアニメのオリジナル回でもあったガズ帝国の残党が偽物のチャイカ姫を旗印にして抵抗運動っぽい山賊活動をしていたお話をそのままアレンジしたような展開でしたけれど、そのアレンジの度合いがかなり大胆というか、パないよ!!
トールたち、もうちょっと田舎に引っ込んでおとなしい生活を送るものだと思い込んでましたがな。ちょっとあのメンツでラストの展開持って行くには、人材の質が偏りすぎてるような気がしないでもないのですが。内政家とか外交官とか、政治家と官僚がいません!! 実は傭兵と乱破ばかりで正規の軍人も居ません!! 個人戦闘力については、尋常じゃないのはわかってるんですが。あ、亜人兵たちはあれでも本職の軍人か……特殊兵だけど。
いやでも、トールやアカリが辣腕だというのはわかってましたけれど、チャイカもあれ、凄腕だったんですねえ。赤も白も。そう考えると、赤チャイカの仲間だった二人の傭兵コンビも、同じ傭兵の業界じゃあ相当に名前の売れてた人たちだったのかも。子供が出来て落ち着いたあと、どうやらまた合流することになったみたいだけど。
いや、この後日談で何が驚いたって、フレドリカがトールの子供産めるという、ドラグーンなんでもあり設定だったんですけどね!!
何気にボケ役しかいなかったヒロイン衆の中で、最後の最後になって正統派ヒロインが現れて、何気に美味しいところ持って行きそうな雰囲気だったのには笑いましたけれど。トールから見て頭痛いヒロインばっかりでしたから、最後の娘はトールの精神的にも癒し系になってわりと大事にされそうな感じだったんですよねえ(苦笑
とりあえず、こっちのトールと愉快な仲間たち帝国はいいとして、ジレット隊長とヴィヴィさん、ご結婚おめでとうございましたw トールが、ジレットたちの不在が新婚中だからと知らされて、素でそれはおめでとう、と祝辞してたのにも笑いましたけれど。でも良かったよ。ジレット隊長の鈍さからしてもっと拗れるかと思ってたし。
ズィータとニコライがわりと良い雰囲気な感じだったのは気のせいかなあ。イケメンのジレット隊長よりも、いかついニコライの方がその辺気になるのでした。

もう一つの中編は、八英雄の一人の弓士グレン・ドンカーブートから遺体の一部をもらうために、彼の依頼を果たすお話。アニメだと、赤チャイカたちに遺体奪われてた人だけれど、こっちだと小説の中では八英雄の中でも随一の強さを見せる。【弓聖】の異名を取ってたみたいだけれど、作中でも語られているようにその本質は狩人。それもマタギとかそっち系統の人だよね、これ。普通に実力勝負していたら、完全にトールたちが敗北していたパターン。八英雄はどうしても、実際に英雄と呼ぶには微妙な人たちも多かったけれど、実際にその程度の連中だったら、突入部隊の精鋭として選抜されたりしないものねえ。

結局、本物のチャイカ姫。本物は居ないと言われてますけれど、実際ガズ皇帝討伐の際に城の中で首を切られた白チャイカそっくりの娘は居たわけで、白いチャイカがどういう素性だったのかも語られないままでしたが、そのへんは触れぬが良しかしら。
なんか意外と意表を突かれる結末でしたが、明らかに死亡フラグを立てていた赤チャイカとその一行も生き残れましたし、登場人物の多くも概ね幸せになれましたし、綺麗にまとまった完結編だったんじゃないでしょうか。榊氏のシリーズとしては、【スクラップド・プリンセス】系統の話として、大変おもしろかったです。満足。

シリーズ感想

棺姫のチャイカ 11 3   

棺姫のチャイカ (11) (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 11】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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神を討ち滅ぼした“禁断皇帝”アルトゥール・ガズ。彼の次なる行動はシン、トール、ジレットに世界の三分の一を統べる王という『役目』を与えるというものだった。三つの勢力による未来永劫の戦争状態。世界を、再び戦乱の渦中へと戻す提案に対し、乱破師と騎士それぞれの応えは…。生きる目的、自分という役割、存在の理由。『棺担ぐ姫』と『従者の少年』。二人の旅路の終着点はもうすぐ―。壮大なる『チャイカ』サーガ、ついに完結!
結局、他者から課せられた役割から逃れられなかった者と、誰に与えられたものでもない「自分」という存在を掴みとった者同士の戦い、という形でガズとシン対トールとジレットたちという構図になったわけだけれど、面白いことに相手の在りように憤っていたのはトールたちの方なんですよね。ガズもシンは最初から与えられた役割の中に完結していたわけではなかったはず。ガズは神を弑逆しようと思い至ったのは自分に与えられた役割に不満を抱いたためだし、シンがハスミンを殺害し、乱破師失格という印を押したトールとアカリに執拗に乱破師としての生き方を説き続けたのも、思えばそれだけシンが乱破師という在りように心もとない不安を抱いてしがみつこうとしていたからではないだろうか。
それは、役割の中に収まるという事に対して、心揺れていた、ということ。
ところが、ガズもシンもその揺れの果てに自分自身で選んだ選択は、道具として生きること、システムに組み込まれるということ。それが彼らにとっての自由であり、安息であり、満たされた生き方だったのだ。満足してしまった彼らは、だから彼らと違った生き方を選んだトールたちに対して、怒りも反発も嫉妬も抱かず、トールたちが選んだ道に対しても、それを選んだトールたち自身に対しても、全く無関心で興味の欠片も抱いてなかったんですよね。
これだけ一方通行なラスボスと主人公サイドとの関係も、なかなか珍しいんではないだろうか。
実のところ、ガズやシンの生き方、役割の中に収まる事に充足を覚え、安心するという在りようは……さすがに自らを道具、システムにまで規定してしまうのは行き過ぎだとしても、決して全否定されるものでもないと思うんですよね。一つの選択として、そういう生き方があってもいいのかもしれない。
ただ、それを他人に強いるようになってはいけない。それを社会の正しい通念に規定してしまってはいけない。それは他者の尊厳を脅かす行為である。他者の在りようを踏みにじるものである。
結局、トールが許せなかったのは、そこだと思うんですよね。チャイカに貰った、掛け替えのないと思うに至った自分という在りようを、容赦なく踏みにじり、自分が輝いていると思った価値を否定する行為。ガズがやろうとしたことは、だからトールの逆鱗に触れたのではないか、と思う次第。
紆余曲折あって、ようやく掴んだ在りようだもんなあ。
それに比べて、ガズの方はやや哀れである。シン兄は、まだ自分を貫き通した結果、とも見て取れるけれど、ガズについては、自分の創造主に反逆するところまでたどり着きながら、結局自分を組み込んでいたシステムから離れることも飛び出すことも出来なかったわけですからね。出来なかったどころか、思い浮かべる事も出来なかったというべきか。彼は、螺旋階段を昇ることしか出来ず、その階段から外れるという事を思い想像する事すら出来なかった。ある意味、最終決戦の階段上に佇むガズと、自由な翼でその螺旋階段の周りを飛び回るトールたちの構図は、彼らの在りようの縮図そのものだったのかもしれない。

と、トールにしてもガズにしても、自分のレゾンデートルを失う事になったチャイカたちにしても、騎士として戦後世界での生き方に迷いをいだき続けていたアルベリックにしても、トールたちを観察し問いかけ続ける事で自己を探索していたフレドリカにしても、それぞれに自分の在りようを掴みとるまでに紆余曲折あったのに対して、ただ一人最初から首尾一貫して「アカリ」という自分を持ち続け、小動ぎもしなかったのがあの妹だったんですよね。ほんと、彼女だけは最初から最後まで一瞬足りともブレなかった。それが頼もしくもあり、微苦笑を誘う恐ろしさでもあり。ただ、そんな彼女がずっと側に寄り添い続けたからこそ、トールは安易に自分を投げ出さずに自分を探し続けることが出来たのかもしれません……結果として、チャイカと出会うまで相当のダメ人間になりかけてましたけど!

こうして、それぞれ個々に、自分の生き方というものに対して結論を出し、その結果として許容できない部分の衝突と生存を賭けて闘争が発生し、その点での決着はついたのですが……でも終わってない、これは物語として終わってないよ!!
棺姫のチャイカ一行の旅の物語としては、まだ決着付いてないよ、これ!!

というわけで、本編が終わってもまだもう少し続くのじゃ、という展開でして。もう一冊、後日談がつくであろう最後の短篇集を待て。
しかし、赤チャイカ一行は存在自体が死亡フラグだっただけに、最後まで生き残れてよかったよ。特に、随行のセルマとダヴィードは死亡率相当高そうだっただけに、感慨深い。

シリーズ感想

神鎧猟機ブリガンド 3   

神鎧猟機ブリガンド (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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きみに問う。ヒーローとは、なんだ?
若槻紫織は、正体不明の奇病〈悪魔憑き(デモノマニア)〉の患者であり、明日にもその命を終える運命にあった。
ある日、収容所に〈魔神態(ルシフェリオン)〉と化した〈悪魔憑き〉が進入し、紫織にも運命の時が迫る。
しかし、その時突如現れた鋼鉄の巨人が『悪魔』を殺し、紫織を救った。その事件後、紫織に〈悪魔憑き〉の
兆候が見られなくなり、退院して新たな高校に通うことになる。
そして登校初日、紫織は鋼鉄の巨人の中にいた少年・斯波連志郎と再会する。連志郎も〈悪魔憑き〉であると同時に、
『悪魔狩り』の特殊能力を持っていた。悪魔の力を御する鋼鉄の鎧〈ブリガンド〉を駆り、「悪魔」を狩っていて――。
鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、開幕!
ああ、これは思いっきり【ストレイト・ジャケット】の系譜だなあ。ただ、あちらに比べて少年少女が主人公で、舞台も日本のせいかダークさ、救いの無さは幾分かマイルドになっている……ような振りをして、実は絶望のどん底から希望を掴むに至る物語だった【ストジャ】に対して、こちらはまだ「堕ちる」余地が残っているとも言えるので、油断はできないんですよね。<悪魔憑き>になってしまった人に対する対応も、現状でかなりキツいようで世間的にはまだ噂レベルでとどまっているので、今後<悪魔憑き>にまつわる事件が頻発することで、世論が強圧的になり紫織や連志郎への当たりが酷くなる可能性もありますしね。実際、既にブリガンドが悪、ブレイバーが正義という一方的な認識による虐げの気配は出てきてますし。
もっとも、連志郎という少年はそもそも人間に対して何の期待も感情も向けておらず、正義の味方・ヒーローという存在についても隔意を抱いているので、世間の敵意をそのまま絶望として受け取る事はないのだろうけれど……本当に人間に何の期待もしておらず、ヒーローを憎んでいるわけではない、というのは紫織の視点からも透けて見えてきている要素なので、振れ幅は充分準備されていると考えてもいいのでしょう。
となると、やはり鍵となるのは連志郎の真実の姿を知っていて、自身<悪魔憑き>の因子を抱え持っている怪物であり虐げられる側でもある紫織という少女の存在になるのでしょう。誰にも理解されない事を前提としていたはずのブリガンドの活動に、初めて現れた外部からの理解者、受け入れてくれる人。そう、彼をヒーローとして見てくれる人。
私は、世界の、社会の、秩序の為の、無辜の一般市民の平和を守る正義の味方ではなく、ただ一人の少女の為のダークヒーロー、という路線も決して嫌いではないのですけれど、さすがにその路線はないか。紫織が、そんな孤高を認めないだろうし、連志郎自身学校の友人たちを含めて本当の意味で人と距離を置いているわけではなく、情をなくせるほどスレているようには見えないからなあ。ただただ、彼は幼いころに傷つけられた傷の痛みに苦しんでいる、とも言えそうだし。それに、ブレイバーの操縦者とオペのコンビの二人からして本当に良い子らなので、よっぽどの事がないと偏向した正義の味方にはならなさそうだし。まあ、よっぽどの事があればわかりませんけれどw
しかし、このブレイバーって、どうみてもパトレイバーっぽいんですけど(笑

棺姫のチャイカ 10 4   

棺姫のチャイカ (10) (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 10】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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全ての『遺体』が集まり、黒チャイカの儀式によって現世に復活を果たした“禁断皇帝”アルトゥール・ガズ。しかしそれは同時にチャイカの生きる目的だった父親の『遺体』を集める行為は、ガズ皇帝によって使い捨ての道具として仕組まれたものであるという真実を知ることになる。与えられた使命すらも無くし、生きる目的を失ったチャイカに、トールは声をかける。
「我が主。初めて会った時の事を覚えているか?」
かつて自分が言われた言葉を今度はチャイカに向けて―。再び。見つける。今から。もう一度。
トールの焦らしプレイに、フレドリカ焦る焦る!
いや、いきなし喉笛食いちぎっちゃったあんたが悪いんだけれど。体の一部を交換すればいいのなら、もう少し穏当な場所があっただろうに、勢いとノリだけでやっちゃうから。あれだけ素で焦ってるフレドリカは初めて見たなあ。
とはいえ、最近のフレドリカは当初の「異質な生物」らしい感覚がだいぶ失せて、真似事に過ぎなかった感情豊かな演技もなかに実感が伴ってきている気がするんですよね。事実、トールと契約したにも関わらず、今までのフレドリカとパーソナリティがまるで変化していない。ドラグーンは、契約した人間の人格にそのパーソナリティが影響を受けて形成される、とされているはずなのに、だ。これは、もうフレドリカが「フレドリカ」という個性を獲得している証左なんじゃなかろうか。
面白いことにこれ、フレドリカはトールと契約することでむしろ「道具」としての自分から脱却したとも言えるわけです。アカリがフレドリカに対して「ヤる気」漲らせだしたのも、そのせいかと。
図らずも、じゃなくて図ってるんだろうけれど、ちょうどこのターンでフレドリカにしても、そして自らがガズを復活させる道具の一つに過ぎなかったと知ったチャイカが、赤チャイカも含めて道具としてではなく、人として生きる事を選ぶに至ったお話だったわけですな。それを先導したのが、誰よりも道具であることを規定されていたサバターであるトールであり、彼が道具足らんとするよりも人として生きようと思うようになった原因こそが、チャイカであった事を思えば、面白くも善き相互関係とも言えるのだろうこれ。
そして、かのアルトゥール・ガズもまた、自ら道具足ることに叛意し、自らを生み出した神に対して周到かつ大胆に反逆してみせたわけだけれど、一方で彼はチャイカたちを使い捨て、未だ在り方に迷うシンを道具として規定し、ニーヴァ・ラーダを杖として以外見ていないというように、むしろ積極的に自ら以外を道具として見做し、扱おうとしている。相互の関係によって、道具としての自分から手を携えあって脱却しようとしたトール一行、そして赤チャイカたちと比べると、どうしても相容れぬ点がそこにあるんですよね。
それでもまだ、ガズが神を殺す云々については、どうぞご勝手にやってください、ともう役目から解かれたチャイカたちからすると関係ない話で、あとは逃げ出せばもう一切関わる必要もない、と思ってたんだけれど、ラストのガズ皇帝の宣言を聞いてしまうと、さすがにそうも言っていられなくなってしまうのか、これ。
いやいや、まさかそう来るとは。意外と盲点だったぞ、この流れは。いや、普通に考えるとガズがこの考えを温めているというのは不思議でもなんでもなかったのだけれど、神との対決、そして神殺しなんて途方も無い事を企んでいて、上ばかり見上げているものとばかり思っていたから、その究極の反逆をどうして抱くに至ったか、何を欲して神を殺そうと思ったか、については自由を得たい、というところから先を想像してなかったからなあ。自由になって、その先彼が何を考えているか、については不思議なくらい頭になかった。
ぶっちゃけ、それでも極論するとジレット隊長たちと違ってしがらみも正義感も持たないトールたちは、ガズの宣言に対して背を向けて逃げちゃって関わるまいとしても、何の問題もないはずなんだけれど……そうもいかないのかなあ。意外と、再会して語り合った、あののんびりとみんなで一緒に普通に暮らそうという展望こそが、新たな戦乱を起こそうというガズに対決する動力になるのだろうか。
ともあれ、ついにというか、赤と白のチャイカがちゃんと意思を通じ合わせて共闘するシーンを目の当たりに出来て、十分堪能しました。赤チャイカパーティーは、いつ惨劇に見舞われるかハラハラしてたんだけれど、さすがにこれ、シチュエーション的ピークを越えて、フラグ折れたかなあ。

シリーズ感想

棺姫のチャイカ 94   

棺姫のチャイカIX (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 9】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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賞品の『遺体』を手に入れるため、ハルトゲン公国の武芸大会に出場したトールとフレドリカ。無事予選通過を果たすも、双子のチャイカの策略によってチャイカ、アカリ、ニーヴァが捕らわれてしまう。引き渡しの条件として、これまで集めてきた『遺体』との交換を提案されるのだが…。「トールにとって、一番大事なのは、何?」チャイカの望みを叶える事。それがトールの…。ではそのためのチャイカの死は?生命と目的。決断を迫られるトールが出す答えは…。絶望と希望が交錯する中、真の『黒』が姿を現し、ついにすべての『遺体』が揃う!
ぶっちゃけ、そこまでまだ黒くないと思いますよ。何しろ、死亡フラグ全開だった赤チャイカパーティーが無事でしたからね。勿論、今後も予断は許されない状況ではあるんだけれど、死亡フラグとしては今回がピークもピークだったので、ギリギリ回避できたんじゃないのか、と。少なくとも、赤チャイカの二人の仲間については、一番危ない立場でしたからね。
乱破師(サバター)としては精神的に未熟で、俗世寄りの感情を制御しきれないために一人前としては認められずに居たまま、乱世が終わり世間に放り出されたトール。むしろ、一人前として認められていなかったからこそ、そうなった原因の事件も相まって、サバターである自分にこだわり、だからこそサバターの活躍する場のない平和な世界に対して、自分の存在自体を否定されたように感じて絶望を抱え続けていた彼は、だからこそサバターとしての自分の力を必要とするチャイカとの出会いに歓喜し、彼女を主として自分の存在意義を打ち立てようとチャイカとの旅を始めた……はずだったのだ、当初は。
しかしここで、一流のサバターとして今なお活動する義兄のシンと敵対、という形で再会して、自身のサバターとしての未熟さ、以上に中途半端さを自覚させられ、同時に自分の中でチャイカと旅を続ける中で、トール・アキュラという存在の前提として「サバター」という価値がある、という考え方に疑問を抱くようになっていたことにも気付かされた主人公。
そう、ここはトールの分水嶺でもあったわけだ。
このまま、自分はまず何よりもサバターである事にこだわるか、それともサバターとしての自分はあくまで能力上のものであり、その上位としてトールという個人の意思を持つ事を、望みを持つことを認めるか否か。
人として生きるか、を自問する事になったわけだ。面白いことに、彼はそれを自問自答に留めず、武術大会で一緒になった赤チャイカやヴィヴィ、として共に戦うフレドリカとも語らう事で、彼女たちにも自分の在り方について考えることに影響を与えることになるんですね。
特に、チャイカという呪縛に囚われている赤チャイカ。ドラグーンという自分の行く末についてトールの動向と照らしあわせていたフレドリカ。彼女たちにも、トールの自問というのは大きな岐路になってるんですね。
赤チャイカは、あの時トールに助けられ、またその後訪問を受けて、チャイカという生き方に対しての疑問を呈されなければ、もしかして物語の上での危うい一線を超えていたかもしれない。この辺、それらしい描写はなかったけれど、もし彼女が自身のチャイカという在り方に対して一切疑問を持っていなかったら、ラストの展開というのは単なる衝撃という以上の危機だったと思うんですよね。もし、疑問という心構えができていなかったら、安易な暴発もあり得たんじゃないかと想像するわけです。もしそうだったら、彼女の死亡フラグを潰したのはトールということになるので、……心憎い男じゃのう。
というわけで、分水嶺を超えたトールの選ぶ道が、そして一連の「チャイカ」という存在の謎が解明される、物語としても大きな山場となる一話でありました。
だいたい想像していた通りだったけれど、想像していた以上にエグいパターンだった。もし白チャイカや赤チャイカがこうなっていたか、と思うと必要以上にドキドキしてしまいますがな。
そして、想像の埒外だったのが、あの人の再登場。って、カラー口絵で盛大にネタバレされてますけれど。私、純粋にガチで死んでたのだと思ってましたがな。信じてたのに!! まあでも、ヴィヴィさん良かったね、と言っとこう。こういう娘が報われないのは哀しいしね。どうやら、芽は十分あるみたいだし。
しかし、またぞろ「すてプリ」みたいに壮大な話になってきたなあ。ギィの正体不明さは、決してチャイカサイドだとは思っていなかったけれど、スケールが並外れてしまいましたがな。それよりも何よりも、トールのあれですよ。
それ、違うけどシャノン兄といっしょじゃん!! 主人公は結局そうなるべくしてなるのか!?(笑


シリーズ感想

棺姫のチャイカ 8 3   

棺姫のチャイカVIII (富士見ファンタジア文庫)

【棺姫のチャイカ 8】 榊一郎/なまにくATK 富士見ファンタジア文庫

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禁断皇帝アルトゥール・ガズを討ち滅ぼした『八英雄』のひとり―シュテファン・ハルトゲン公王。彼が統べるハルトゲン公国で開催される武闘大会の賞品は、なんと『皇帝の遺体』そのものであるという。しかも公王の傍らには、双子のようにそっくりな二人の“黒き”チャイカが付き従っていた―。優勝して『遺体』を手に入れるために、大会への参加を企図するトールたちは、それぞれ同じ目的で集った紅チャイカとダウィード、そしてジレット隊のヴィヴィとニコライと、因業深き再会を果たす。三者三様の想いと、仄暗き策謀が渦巻く武闘大会の“戦場”で、命を賭した争闘の幕が切って落とされた!
なるほど、少なくとも禁断皇帝が死ぬ以前から「チャイカ」が存在したのは事実なのか。もっとも、その皇女が真実の意味でガズの娘なのか、それとも前巻で明らかになった「チャイカ」と同じモノなのかは定かではないのだが。
そう言えば、ガズ皇帝が討たれる場面が描かれたのはこれが初めてになるのか。これを見る限りでは、少なくとも八英雄の方に純粋にガスを討伐する以外の裏の意図を持って動いていた輩は居ないように見えるけれど、あくまでシュテファンの視点からだから窺い知れない部分もあるかもしれないし、暗躍していた者もいるかもしれない。結局はわからないわけか。
何にせよ、前回のヴィヴィの「変容」に端を発して明らかになったチャイカの真実には度肝を抜かれたもんなあ。いや、チャイカの真実はそこまで驚かなかったけれど、仰天させられたのはそこにヴィヴィが入ってたということで。まさか、彼女がここまで重要キャラになるとは思ってなかったですし。さらには、彼女サイドからトールにチャイカの真相の情報がここまで早く流れるとはなあ。
まあ腐らせる情報でもないか。早めにトールに流して、彼を悩ませる材料として活かしてこそ、先の展開が生きるわけですしね。少なくとも、これまでのようにトールはチャイカの願いを叶えるため、という風には動けないはず。彼女のため、という理由は揺れなくても、サバターとしての範疇を超えた判断、或いは決断が必要とされ、主のチャイカの命令ではない、彼自身の意思が重要となってくるでしょうから。となると、この時期に純然たる
乱破師であるトールたちの先達であるシンを登場させ、トールやアカリに乱破師たるべきの何たるかを問う状況をスムーズに持ってくるあたりは、さすがベテラン作家という滑らかさ。
しかし、主人公サイドはいいんですけれど、赤チャイカがやっぱり思いっきりフラグ立てまくってるのは胃に差し込むなあ。白チャイカと違ってちょっとツッパっている性格といい、一応敵対している立場であるけれどついつい一生懸命懐いちゃうあたり、ほんと可愛いんですよね。ダウィードじゃないけれど、つい生暖かい目で見守ってしまいたくなる。白チャイカとは違う庇護欲を掻き立てるキャラなんですが……明らかに作品上の立ち位置が不穏を通り越してアウトの所にいるんですよね。魅力的になればなるほど、いざというときのダメージが計り知れないことになりそうで、今からダウナーw
できればフラグちゃんと折って欲しいんだけれどなあ。

シリーズ感想
 
5月27日

まかろに◎
(電撃コミックスEX)
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ZUN/秋巻ゆう
(電撃コミックスEX)
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蛇野らい/槻影
(電撃コミックスNEXT)
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緋呂河とも/ながワサビ64
(電撃コミックスNEXT)
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なじみ
(電撃コミックスNEXT)
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うかみ
(電撃コミックスNEXT)
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きぃやん
(電撃コミックスNEXT)
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アズマサワヨシ
(電撃コミックスNEXT)
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苗川采
(電撃コミックスNEXT)
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石坂ケンタ
(電撃コミックスNEXT)
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廣瀬アユム
(電撃コミックスNEXT)
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柊ゆたか
(電撃コミックスNEXT)
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仲谷鳰
(電撃コミックスNEXT)
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川崎命大
(電撃コミックスNEXT)
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奏ヨシキ/徳川レモン
(電撃コミックスNEXT)
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カサハラテツロー/ゆうきまさみ
(ヒーローズコミックス)
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5月26日

(TYPE-MOON BOOKS)
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(TYPE-MOON BOOKS)
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此見えこ/志岐佳衣子
(REXコミックス)
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りすまい
(REXコミックス)
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とまとすぱげてぃ/はみ
(REXコミックス)
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kiki/ 多㐂
(REXコミックス)
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syuri22/冬瀬
(REXコミックス)
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たかぎ七彦
(角川コミックス・エース)
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福井晴敏/大森倖三
(角川コミックス・エース)
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竹内清人/安彦良和
(角川コミックス・エース)
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葛木ヒヨン/海冬レイジ
(角川コミックス・エース)
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メイジ/ウスバー
(角川コミックス・エース)
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暁なつめ/まったくモー助
(角川コミックス・エース)
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藍藤唯/杠憲太
(角川コミックス・エース)
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もすこんぶ/天乃聖樹
(角川コミックス・エース)
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三ッ葉稔
(角川コミックス・エース)
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ぽんとごたんだ
(アクションコミックス)
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中山幸
(まんがタイムKRコミックス)
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逸見
(まんがタイムKRコミックス)
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伊藤いづも
(まんがタイムKRコミックス)
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ウスバー
(エンターブレイン)
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丘野境界(宝島社)
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錬金王(宝島社)
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5月25日

初鹿野創/椎名くろ
(ビッグガンガンコミックス)
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地主
(ビッグガンガンコミックス)
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ホリチカ
(ヤングガンガンコミックス)
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舘津テト/白青虎猫
(ガルドコミックス)
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にわリズム/可換環
(ガルドコミックス)
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しゅにち/友橋かめつ
(ガルドコミックス)
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しろいはくと/大崎アイル
(ガルドコミックス)
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みずのもと
(ガルドコミックス)
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やもりちゃん/じゃき
(ガルドコミックス)
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鵜吉しょう/内々けやき
(ガルドコミックス)
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RoGa/白米良
(ガルドコミックス)
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びび/五示正司
(ガルドコミックス)
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庵田 定夏
(MF文庫J)
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鈴木 大輔
(MF文庫J)
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夏目 純白
(MF文庫J)
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てにをは
(MF文庫J)
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天乃 聖樹
(MF文庫J)
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日々花長春
(オーバーラップ文庫)
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としぞう
(オーバーラップ文庫)
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黄波戸井ショウリ
(オーバーラップ文庫)
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美月 麗
(オーバーラップ文庫)
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ぺもぺもさん
(オーバーラップ文庫)
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小野崎えいじ
(オーバーラップノベルス)
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徳川レモン
(オーバーラップノベルス)
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たまごかけキャンディー
(オーバーラップノベルス)
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麻希くるみ
(オーバーラップノベルスf)
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冬月光輝
(オーバーラップノベルスf)
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あーもんど
(オーバーラップノベルスf)
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橘 由華
(オーバーラップノベルスf)
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アトハ
(ダッシュエックス文庫)
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ウメ種
(ダッシュエックス文庫)
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しめさば
(ダッシュエックス文庫)
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三木なずな
(ダッシュエックス文庫)
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火野あかり
(ダッシュエックス文庫) Amazon Kindle B☆W DMM

【塔の諸島の糸織り乙女 〜転生チートはないけど刺繍魔法でスローライフします!〜 1】 渡来 みずね(MFブックス) Amazon Kindle B☆W DMM
 【塔の諸島の糸織り乙女 〜転生チートはないけど刺繍魔法でスローライフします!〜 2】 渡来 みずね(MFブックス) Amazon Kindle B☆W DMM
 【春菜ちゃん、がんばる?  フェアリーテイル・クロニクル 7】 埴輪星人(MFブックス) Amazon Kindle B☆W DMM
 【佐々木とピーちゃん 5.裏切り、謀略、クーデター!異世界では王家の跡目争いが大決着 〜現代は待望の日常回、ただし、ハードモードの模様〜】 ぶんころり(KADOKAWA) Amazon Kindle B☆W DMM


冬馬 倫
(メディアワークス文庫)
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紅玉 いづき
(メディアワークス文庫)
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木崎 ちあき
(メディアワークス文庫)
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鳩見 すた
(メディアワークス文庫)
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戸津 秋太
(宝島社)
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5月24日

小野はるか
(角川文庫)
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太田紫織
(角川文庫)
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5月23日

楠本弘樹/Y.A
(MFC)
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戸流ケイ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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sorani/三河ごーすと
(MFコミックス アライブシリーズ)
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山口つばさ
(アフタヌーンKC)
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綾辻行人/清原紘
(アフタヌーンKC)
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藤島康介
(アフタヌーンKC)
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Fiok Lee
(アフタヌーンKC)
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幸村誠
(アフタヌーンKC)
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小山宙哉
(モーニングKC)
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榎本あかまる
(モーニングKC)
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5月20日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
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<
kattern
(富士見ファンタジア文庫)
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進九郎
(富士見ファンタジア文庫)
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飴月
(富士見ファンタジア文庫)
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凪木 エコ
(富士見ファンタジア文庫)
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七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
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氷高 悠
(富士見ファンタジア文庫)
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下等 妙人
(富士見ファンタジア文庫)
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下等 妙人
(富士見ファンタジア文庫)
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イスラーフィール
(TOブックス)
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ヤマモトユウスケ
(TOブックス)
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早瀬黒絵
(TOブックス)
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望月淳
(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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はくり
(ガンガンコミックスpixiv)
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はくり
(ガンガンコミックスpixiv)
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5月19日

渡航/伊緒直道
(サンデーGXコミックス)
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5月18日

久住太陽/杉浦理史
(ヤングジャンプコミックス)
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わだぺん。
(ヤングジャンプコミックス)
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クール教信者
(ヤングジャンプコミックス)
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オニグンソウ
(ヤングジャンプコミックス)
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雪森寧々
(ヤングジャンプコミックス)
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辻村深月/武富智
(ヤングジャンプコミックス)
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武田綾乃/むっしゅ
(ヤングジャンプコミックス)
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錆び匙/ひびぽん
(ヤングジャンプコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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椎名高志/高橋留美子
(少年サンデーコミックススペシャル)
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サンドロビッチ・ヤバ子/MAAM
(裏少年サンデーコミックス)
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村崎久都/アトラス
(裏少年サンデーコミックス)
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ほりかわけぇすけ
(裏少年サンデーコミックス)
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のんべんだらり/山悠希
(裏少年サンデーコミックス)
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さと/小田すずか
(裏少年サンデーコミックス)
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川岸殴魚
(ガガガ文庫)
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境田吉孝
(ガガガ文庫)
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冬条一(ガガガ文庫)
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虹元喜多朗
(ガガガ文庫)
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5月17日

吉河美希
(KCデラックス)
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赤衣丸歩郎
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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sigama
(マガジンエッジKC)
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阿部花次郎
(マガジンエッジKC)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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音羽さおり
(講談社コミックス)
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金城宗幸/ノ村優介
(講談社コミックス)
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水森崇史
(講談社コミックス)
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吉河美希
(講談社コミックス)
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片瀬茶柴/城平京
(講談社コミックス月刊マガジン)
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森下真
(講談社コミックス月刊マガジン)
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えんじゅ
(電撃の新文芸)
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こはるんるん
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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仏ょも
(アース・スターノベル)
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らる鳥
(アース・スターノベル)
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5月14日

福成冠智/柊遊馬
(コロナ・コミックス)
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abua/ナカノムラアヤスケ
(コロナ・コミックス)
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ありのかまち/箱入蛇猫
(コロナ・コミックス)
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烏間ル/紅月シン
(コロナ・コミックス)
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勝木光/香月美夜
(コロナ・コミックス)
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5月13日

あわむら赤光(GA文庫)
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只木ミロ(GA文庫)
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佐野しなの(GA文庫)
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佐伯さん(GA文庫)
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ケンノジ(GA文庫)
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海月くらげ(GA文庫)
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小林湖底(GA文庫)
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浅名ゆうな
(富士見L文庫)
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久生 夕貴
(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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道草家守(富士見L文庫)
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来栖千依(富士見L文庫)
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綾里 けいし
(講談社タイガ)
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汀 こるもの
(講談社タイガ)
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広路なゆる
(サーガフォレスト)
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yocco
(サーガフォレスト)
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和田 真尚
(サーガフォレスト)
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内々けやき/佐伯庸介
(リュウコミックス)
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5月12日

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酒月ほまれ/アルト
(アース・スター コミックス)
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かじきすい/左リュウ
(アース・スター コミックス)
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青辺マヒト/十夜
(アース・スター コミックス)
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名苗秋緒/九頭七尾
(アース・スター コミックス)
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沢田一/夾竹桃
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス(月刊アクション))
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ワタヌキヒロヤ
(メテオCOMICS)
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いしいゆか
(まんがタイムKRフォワードコミックス)
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須賀しのぶ/窪中章乃
(サンデーうぇぶりコミックス)
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しょたん
(サンデーうぇぶりコミックス)
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川岸殴魚/so品
(ビッグ コミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックススペシャル)
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大井昌和/いのまる
(夜サンデーSSC)
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大井昌和
(夜サンデーSSC)
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鎌池和馬/近木野中哉
(ガンガンコミックス)
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緋色の雨/菖蒲
(ガンガンコミックスONLINE)
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わるいおとこ/彭傑&奈栩
(ガンガンコミックスUP!)
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5月10日

佐島勤(電撃文庫)
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逆井卓馬(電撃文庫)
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西条陽(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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入間人間(電撃文庫)
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岸本和葉(電撃文庫)
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有象利路(電撃文庫)
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西塔鼎(電撃文庫)
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和泉弐式(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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餅月望
(TOブックス)
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古流望
(TOブックス)
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ひだまり
(TOブックス)
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内河弘児
(TOブックス)
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内河弘児/よしまつめつ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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TYPE-MOON/コンプエース編集部
(角川コミックス・エース)
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じゃこ
(角川コミックス・エース)
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5月9日

黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)
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少年ユウシャ
(カドカワBOOKS)
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yocco
(カドカワBOOKS)
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たままる
(カドカワBOOKS)
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明。(カドカワBOOKS)
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ジャジャ丸
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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草壁レイ/紙城境介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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緑青黒羽
(ドラゴンコミックスエイジ)
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碇マナツ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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潮里潤/三嶋与夢
(ドラゴンコミックスエイジ)
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渡真仁/三嶋くろね
(ドラゴンコミックスエイジ)
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サイトウミチ/高橋徹
(ドラゴンコミックスエイジ)
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小虎
(ドラゴンコミックスエイジ)
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七菜なな/Kamelie
(電撃コミックスNEXT)
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門司雪/アルト
(KCデラックス)
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石沢庸介/謙虚なサークル
(KCデラックス)
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真木蛍五
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
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志瑞祐/青桐良
(シリウスKC)
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閃凡人/木緒なち
(シリウスKC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニングKC)
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蒼井万里
(ワイドKC)
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奈央晃徳/山川直輝
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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5月7日

ケンノジ/松浦
(ガンガンコミックスUP!)
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道草家守/ゆきじるし
(ガンガンコミックスUP!)
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宇佐楢春/やまだしゅら
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉/硝音あや
(ガンガンコミックスUP!)
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柊一葉
(SQEXノベル)
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九頭 七尾
(SQEXノベル)
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守野伊音
(SQEXノベル)
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5月6日

CLAMP
(KCデラックス)
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雨隠ギド
(アフタヌーンKC)
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細川忠孝/山村竜也
(ヤンマガKCスペシャル)
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植野メグル
(ヤンマガKCスペシャル)
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藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
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南勝久
(ヤンマガKCスペシャル)
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山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
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あっぺ/明石六郎
(PASH!コミックス)
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航島カズト/タンサン
(PASH!コミックス)
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明石 六郎
(PASH!ブックス)
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まえばる蒔乃
(PASH!ブックス)
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深凪雪花
(PASH!ブックス)
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5月5日

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5月2日

東冬/三田誠
(角川コミックス・エース)
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金丸祐基
(角川コミックス・エース)
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古橋秀之/別天荒人
(ジャンプコミックス)
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和月伸宏/黒碕薫
(ジャンプコミックス)
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龍幸伸
(ジャンプコミックス)
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平方昌宏
(ジャンプコミックス)
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天野明
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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浅倉秋成/小畑健
(ジャンプコミックス)
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朱村咲
(ジャンプコミックス)
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春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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肘原えるぼ
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ジャンプコミックス)
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村田 雄介/ONE
(ジャンプコミックス)
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猪口(ドラゴンノベルス)
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しんこせい(ドラゴンノベルス)
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猫又ぬこ
(講談社ラノベ文庫)
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倖月 一嘉
(講談社ラノベ文庫)
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御子柴 奈々
(講談社ラノベ文庫)
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はにゅう
(Kラノベブックス)
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子日あきすず
(Kラノベブックス)
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茨木野
(Kラノベブックス)
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せきはら/柚原テイル
(フロース コミック)
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iNA/Yuna
(フロース コミック)
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Minjakk/Liaran
(フロース コミック)
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西山アラタ/春野こもも
(フロース コミック)
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榎戸 埜恵/涙鳴
(フロース コミック)
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