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橙乃ままれ

ログ・ホライズン 8.雲雀たちの羽ばたき4   

ログ・ホライズン 8 雲雀(ひばり)たちの羽ばたき

【ログ・ホライズン 8.雲雀たちの羽ばたき】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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マジックバッグを入手するクエストのため、トウヤら年少組はアキバを離れてはじめての五人旅に出発!
訪れた村や町で<吟遊詩人>の五十鈴を中心に音楽を演奏するライブツアーのような旅路。
そんな道中に出会ったのは、昼が苦手な<吸血鬼>ロエ2、旅の物書き<大地人>ダリエラ、元の世界へ帰ることを至上目的としたオデッセイア騎士団。
初めての旅と出会いが、五人にこれまでと違った世界の景色を見せる。
胸が高鳴るまま、西を目指して進む年少組の成長と変貌!
なんだか、いろんな側面から胸を締め付けられる今回の一連のストーリー。同じ世界に生きながら、これほど見ている景色が違うものなのか。違いこそ多様性なんだろうけれど、そこに広がりを見るのではなく、閉塞を戴いてしまっているナンバの「Plant hwyaden」の人たちや、生きている事実すら否定したがっている望郷派のオデッセイア騎士団の有り様が、胸を締めつける。そんな考え方は間違っているだろう、と指摘するのは簡単だけれど、彼らの苦しい思いを安易に否定して良いものか。彼らもまた苦しんで苦しんで、あがき続けているのだから。でも、それが既に狂気の淵に足をかけてしまっているのなら、何とかして解放出来るようにしてあげるべきなんだろうけれど……。
人が、当たり前のように幸福を抱ける事のなんと難しいことか。簡単だけれど、簡単じゃないのよね。シロエが円卓を作ってアキバに街に蔓延っていた停滞と閉塞を吹き飛ばしたように、彼らの苦しみを何とか出来たらいいのだけれど……にゃん太班長をして、彼らの慟哭に立ち尽くさざるを得なかった事が辛かった。にゃん太班長の人生訓には、どんな人間だろうと境遇だろうと解きほぐす熟達した賢知があると信じてたからなあ。
あのにゃん太班長ですら無力感に打ちひしがれる、そんな痛みにどう向き合えばいいのか。
その答えの一つとなるのだろう鍵が、きっと同時進行で描かれた、トウヤたち年少組の笑顔と幸せに満ちた旅だったのではないでしょうか。何をしても楽しく、充実して心満たされる日々。笑いに満ちた掛け替えの無い時間。方やこの世界を偽物と感じ、自分たちが異物でしかないと感じて絶望に身を浸しつつある者たちが居る一方で、同じ世界でそこに輝きを見出し、自ら輝かんとしている子供たちがいる。
何が本物で、何が偽物なのか。
図らずも、いや図った結果なのかトウヤたちと出会い旅路を同じくしたロエ2とダリエラという二人は、その素性を伺うならば、偽物の塊のような存在である。しかし、ロエ2と名乗り皆のお姉ちゃんを自認するこの女性を、ダリエラと名乗りトウヤに素顔の一面を覗かせて行った彼女を、まるごと偽物と切って捨てる事が適うだろうか。
そして、42しか歌が存在しないというエルダー・テイルの世界に、新たな旋律を届けた五十鈴の歌は果たして偽物だったのか。
少なくとも、五十鈴は何の覚悟も信念もなく42に区切られていた世界に安易に、そして自分のモノではない歌を伝え広めてしまったことに怯え、恐怖し、図らずも偽ってしまった事に苦悩しながらも、しかしそこで立ち止まらず、屈み込まず、彼女は本物になろうとしたのです。誰が認めるでもない、自分が「本物」だと信じ認められる自分になるために。

心押しつぶすような暗い影が多いつつある物語だけれど、五十鈴の指し示した勇気と子供たちが生み出し離さなかった輝きこそが、笑顔を絶やさぬ光へと続く道を切り開く可能性なのだと、信じたい。

しかし、いい加減クラスティさん、戻ってきてよ。リーザさんがリアルに死ぬからッ。ってか、リーザもあれ、リアルは高校生だったのよねえ。ミノリもスーパー中学生ですけれど、アキバ最大のギルドであるD.D.Dを一人で支えているリーザの手腕は、あれで十分スーパー高校生だと思うぞ。そんな彼女が潰れずに要られるのは、先のギルドの枠を超えた乙女同士の友情同盟のお陰と思うと、あのアカツキを中心とした乙女レイドのイベントは、本当に重要だったんだなあ。ってか、アキバの主要な女性プレイヤーが軒並み横でつながってるというのは、円卓を遥かに超える裏組織ですよねw

ロエ2については、先にシロエが別垢のキャラについて言及していたことと、あからさまにシロエと同じ見てくれと装備なことから、すぐにそれとわかったのですけれど、その「中身」については判断がついてなかったんですよね。アキバの大人たちの性格からして、密かにトウヤたち年少組の旅には誰かがこっそり見守ってるんじゃないかなあ、とは薄々思ってはいただけに、まさかとは思うけれどシロエがなんかして別垢を動かして同行してきたんじゃ、と疑ってしまったのは仕方ないかと。いや、女体化とか別垢を動かすとか出来るのか、というところから無理だよなあ、とは思ったんですけれど、以前召喚士が自分の召喚した魔獣に意識を移してかなり離れた地域で動かしていた、という事例が「海外編」であったものですから、可能性としては否定しきれなかったわけです。まあ、あのロエ2のハッチャケた性格は、シロエでは無理だな、とすぐに首を横にふる結果になったのですが。
それにしても、ロエ2の存在は海外編のコッペリア並にありえないものであると言えるのですけれど、本人の口からかなり重要なキーワードも出てきたからなあ。現在のところ、意味不明という他ない発言なのですけれど、これも9巻のカナミを主人公にした海外編に触れることで、いくつか紐解かれていくことになるはず。
一応、アニメ放映中には次も出るはずだし、そこまで手薬煉引いておきますか。

シリーズ感想

ログ・ホライズン 7.供贄の黄金4   

ログ・ホライズン7 供贄の黄金

【ログ・ホライズン 7.供贄の黄金】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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シロエは、八兆の金貨を求めて北の大地に旅立った。だが、そこで突きつけられたのは大規模戦闘(レイド)の予告。

アキバを頼れない状況下で、シロエがレイドメンバーに選んだのは、自称銀河系アイドルのてとら、<円卓会議>入りを拒んだマサチューセッツ率いる<シルバーソード>、ススキノでの戦闘に敗れ、未だシロエを恨むデミクァスら。

一度は別の道を進んだ男たちが協力し、最難関のレイドに挑む。
前人未到の地へ軍師シロエの真骨頂!!
あれ? 濡羽さんラスボス候補じゃなくて、本気でヒロイン候補だったのこれ? ミナミでの立場が思いの外脆いというか、これじゃあ傀儡みたいじゃないか。もっと俗な意味で黒いのが調子乗っているのがいるみたいだけれど、これは小物の範疇を超えるとは思わないので置いておくとして、対決するべきはシロエが感づいている第三極、そして濡羽が構築してしまったミナミの価値観か。真の敵は、これもさておくとして、当面ぶつかり合うことになるだろうものは、どうも決定的に食い違ってしまったアキバとミナミの、この世界へのスタンスというか、考え方、生き方の鬩ぎ合いになるんだろうなあ。
いずれにしても、衝突の前振りとして、シロエの行動はこれ本当に大事なことになりそう。8兆ってなんぞ、と思ったら、そうか、ラストにその答えが出てようやく腑に落ちた。確かに、これは以前から危惧されていた問題でしたよね。ただ、根幹に纏わる問題だけに、これは「そういうもの」として受け入れなければどうしようもない、とそこで思考停止していたんだが……スゴイなあ、それを「そういうもの」として考える事を止めてしまわないのが、このシロエという青年のとんでもないところなんだろう。そもそも、円卓会議の設立からして、「現状を変える」という事の意味を他の人とまるで違う見地から捉えたからこそ生まれたものだったわけですし。ルディの件だって、常識にとらわれない発想の外に答えを求めた結果だったもんなあ。この青年の、盤上を限定しない思考の広がりは、やはりとんでもない。
そもそも、モンスターが落とす金貨、という点にそんな視点から着目するか? たまらんなあ、これ。

さて、ミナミの監視の目を交わすために極秘裏に北の地にとんだシロエと、離れずについてきた直継やん。ススキノで出会ったのは、まさかのギルド<シルバーソード>。ウィリアム、円卓会議の席蹴っ飛ばして出てって以来、まったく名前聞かなくなってなにしてるのかと思ったら、おいおい、ススキノに拠点変えてたのか。なるほど、それはアキバじゃ名前聞かなくなるわけだ。
ここで狷介そうだったウィリアムと、武闘派ギルドとして名高い<シルバーソード>の実体が明らかになってくるのだけれど、ここで描かれるウィリアムたちが、またこう……心擽る連中なんですよね。元々屈指のゲーム廃人の集まりだった彼らが、いかにしてこの異世界で生きているか。彼らの鬱屈とプライドが、ゲームではなくなったこの世界で彼らがどういう生き様で、どういう気持ちでなおも剣を取り、戦い続けているかがまざまざと描かれるわけです。そして、彼らが戦いの果てに、そして敗北の果てに剥き出しの心をさらけ出していくすべてが……。
そして、それは内へ内へとどうしても回帰していってしまうシロエに対しても、再び目を見開き、心を開く、外へと繋がっていく鍵へとなっていくわけです。なるほど、にゃん太師匠でもアカツキでもなく、直継が何故この旅路の同行者だったのか、何故彼が無理やりくっついてきたのかが、終わってみるとこれ以上ない人選だったんだなあ。というか、直継の良い男っぷりが身にしみる。
ウィリアムが、シロエの事を実はとても尊敬していて、憧れてすら居た、というのは彼の現実世界での姿や彼が抱えている鬱屈、そしてエルダーテイルで手に入れたものからすると、なるほどと思うんだけれど、同時にウィリアム自身は気づいていないかもしれないけれど、彼もまたシロエから見るとシロエが長らく出来なかったこと、逃げてきたことを、ちゃんと成し遂げ、またやり遂げようと諦めない尊敬に足る男だったんですよね。そもそも、同じく人付き合いが苦手な孤独な立場から、ギルドを立ち上げ、みんなをまとめ、引っ張ってきたというだけで大したもんなんだから。
だからこそ、最後の彼の涙ながらの真情の吐露が、あれほどシロエの心を揺さぶったんじゃないだろうか。
この世界での死が、冒険者たちに課す最大のリスクは、現実世界での記憶をなくしていくこと……とされていたけれど、今回それ以上に死が冒険者たちに強いるものが明らかになったわけだけれど……これは、すごく漠然としたイメージの産物なんだけれど、何故かとても実感できたんですよね。もし、確かにこれをより迫真性を持って、魂にダイレクトに突きつけられたら……何度もこの気持ちを増幅されて味わわされるとなったら、ちょっと耐えられないかもしれない。
ああ、なるほどなあ、最初の頃で初心者の子たちが、ハーメルンに囚われていた時、神殿送りにされることを恐れていたのは、単に暴力によって逆らう事への恐怖を刷り込まれていただけじゃなく、死んだ時にこの気持ちを味わわされる事が大きかったのかもしれない。いくら死んでも大丈夫でも、死にたくないと強く思ってしまっても仕方ないかもしれない。ただでさえ、痛みないとはいえ、自分の肉体が損壊するビジュアルを見たら心挫けかねないのに。アニメじゃ、身体が傷つくことに関して殆どちゃちなエフェクトで処理されてしまっているけれど、どうやら本当は見た目リアルに怪我してるみたいで、血もドバドバ出てるみたいだし。

そうなると、傷つくこと、死ぬことを恐れず前に出続けるデミクァスに対して、シルバーソードの面々が勝手さにイライラしながらも認めているのもなんとなくわかってくる。
うん、デミクァスは……まさかここで再登場、どころかこんな重要な役どころになるなんてなあ。読むのが遅かったので、ネタバレ食らってたんだけれど、何も知らずに読んでたらもっと仰天してたかもしれない。彼に嫁さんができていた、という情報も含めて。いや、肝っ玉姉さんみたいな人かと思ってたんだが、話を聞く限りだと全然違うみたいじゃないですか。元々大らかだったり、楽天的だったりしたわけじゃなく、本当は最初はものすごく怖くて泣きそうだったのを、歯を食いしばって負けまいとこの大男を睨みつけていたのが、なんとなく脳裏に浮かんでくる。弱くても、強い人だったんだなあ。この乱暴な男の価値観を変えてしまうほどに。今ではどれだけ尻に敷かれているのか、具体的に見てみたかった気がする。

さて、今度の大規模レイドに参加するメンバーで、メイン級となる新キャラは唯一一人、自称銀河系アイドルのてとらちゃん。いやあ、もうなんか明らかに痛そうな子、というようなキャラクターにも関わらず、何気にこの子が一番の功労者だったんですよね。絶望的な難易度で皆の心が挫けそうになる中で、彼女がムードメーカーとして盛り上げ続けてくれなかったらどうなっていたことか。決して天然お馬鹿な子じゃなくて、色々考えめぐらしている節もあるし、これは侮れん子ですよ。直継やんと思いの外距離近くなってるし、マリ姉さん、盤石なのは揺るぎないですけれど、それでも油断大敵ですよ。

とまあ、アキバの方ではアカツキをはじめとする女の子たちがガールズパーティーを繰り広げ、この北の地ではシロエがこの世界の根幹に挑んでいるさなか、他でも色々動きがあったようで……って、鬼畜眼鏡がこれえらいことに!?
次回は初心者パーティーズがメインになって動くようですし、ミナミとの本格的接触もあるか。って、このレベル、もう初心者どころじゃないなあ。凄く高くなってますやん。

シリーズ感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  84   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (8) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  8】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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長らく続く人間との戦争に和平をもたらすべく、魔族の大会議・忽鄰塔(クリルタイ)を招集した魔王。各氏族の思惑を調整するための交渉と工作の末、光明が差したかに思えたその時、思いもよらぬ事態が――。
これまでほぼ人間界サイドでの描写が続いていた「まおゆう魔王勇者」ですが、この「忽鄰塔」から本格的に魔界サイドの描写も増えてくるんですよね。この8巻など、ほぼ全編にわたって魔界編。それも、忽鄰塔での高度な交渉戦が主体となるという贅沢な作り。
相変わらず、情報の取捨選択と伝達が抜群に上手いですわ、この漫画。交渉戦がメインというだけあって、各氏族の思惑や妥協点、それに当て込む魔王側の手練手管や彼女たちの外側で蠢く様々な思惑など、非常に情報量が多い上に、ちょっとでも重要な要点を逃すと何がなんだかわからなくなりかねないという危険性がかなり高い場面だったのですが、事前の下交渉や緊迫の駆け引き、そして大逆転の一手に至るまで過不足なく描かれていて、本当に面白かった。この構成力は特筆に値すると思う。
惜しむらくは、関門都市の砦将の登場のインパクトがもう少し大きければ、というところか。あれは、蒼魔族の思惑をギリギリでひっくり返すという大逆転の一手を、魔王や勇者の思惑の外から火竜大公などが動いて導いてくるまさに肝となるシーンであり、その辺りは実に痛快に決まっているのだけれど、あの「人間」を代表とする集団が魔界の大氏族の一角として最高決定機関の一員に加わる、という意味合いがちょっとまだはっきりと伝わっていなかった気がするんですよね。
あのシーンは、原作で読んだ時は価値観とか魔界と人間界の対立二極構造を根底から覆すというパラダイムシフトを決定的にしたシーンでしたからね。ここから、表舞台としても本当の意味で世界は「人間対魔族」という構図が消え去って混沌としていくわけですから。
とはいえ、十分といえばまずはこれで十分か。なにしろ、その後の魔王暗殺! がインパクト全部持ってっちゃいましたからねえ。あれは、執事の爺さんの仕事じゃないかと思っちゃうよなあ。爺さんの「弓兵」という肩書がどんなものか、この時点ではよくわかっていませんでしたから。

しかし、一番ニヤニヤさせられたのは火竜大公と青年商人のやりとりか。あの青年商人の嫌そうな顔が素晴らしい(笑
この人があそこまで主導権を誰かに一方的に握られてしまったことって、今までなかったんじゃないだろうか。勇者に振り回された時以来か。あそこでの出会いが年貢の納め時のスタート地点だったわけね。

シリーズ感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  7  

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 -7 (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  7】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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歴代魔王の汚染から生還した魔王が過ごす、勇者たちとの穏やかなひと時。それは温泉や酒宴で大騒ぎしながらも、絆を再確認するものだった。しかし、忽鄰塔を控える魔界では、新たなる脈動が始まっていた――。
アニメ化されたのは、ちょうどこの冒頭あたりまでか。なにがあかんかたって、ご機嫌殺人事件の映像化がサッパリだったところだよな、うん。という訳で、頭のおかしい作者の綴る超人気作品「ごきげん殺人事件」シリーズが初めてビジュアル化されたのはこの石田あきら版が初めてです、初めてです。ななこーー!!

しばらく、魔界に篭っていたことで人間界の激変からはオミットされていた魔王だけれど、それはつまりこの激変には魔王は関与していないということ。メイド姉が紡ぎだした自由主義の萌芽をはじめとして、自分の手を離れ、想定していた範囲を超えてそれぞれの能力と意志で世界を広げていっている。手を引いて導くばかりだった世界が、撒いた種が芽吹くように独り立ちしていく、その事を感動の涙を流しながら祝ぐ魔王。このシーンは原作でも感動したものだけれど、こちらでも思わず目尻が熱くなるくらい魔王の気持ちに共感してしまった。

たぶん、私はちょっとだけ誇らしいんだ。
私の手柄じゃないけれど

ゲートは勇者の手により破壊され、地上と魔界を繋ぐ大穴は確実に両世界の距離を縮めるだろう。実際、同盟の正式な使者が開門都市と接触するに至っている。青年商人の主導によって、徐々に魔界との通商の可能性が導かれ出している。
そこで改めて問題となるのが、魔界と人間は共存できるのか。実のところ、両世界が繋がってしまった以上、共存は可能というのが両世界と関わったモノたちの共通認識ではあるんですね。開門都市という必要に迫られ生まれたとはいえ、実現している場所もある。ただ、その共存が安定した結果として常態化するまでに生まれる存在こそが、ここで問題視される。かつて、魔王がメイド姉に語った、戦争とは2つの存在が接触した時に発生する相互理解の為の必要なプロセスだ、というお話。そう、戦争は避けられない。ならば、魔王が志しているのはその際に発生する血をどれだけ少なく収めるか。世界を滅ぼさずにソフトランディングさせられるか。
そして、その想いをどれだけ多くの存在と共有できるようになるか、ということなのでしょう。
丘の向こうの世界を見たい、という想いを。
魔王と勇者という特別な存在だけが世界を導き結果をもたらすのではなく、無数の世界の中心となる存在が生まれ、多くの意思がそれぞれに世界を導き結果をもたらす世界。魔王と勇者が唯一無二ではない世界。
魔王が感動して涙したのは、まさにその萌芽を見たからなのかもしれません。

そして始めるは、魔界の意識改革。その端緒として、魔界八大氏族を中心として魔界全土からあらゆる部族を招いて行われる大部族会議「忽鄰塔(クリルタイ)」の開催を行うこととなる。
魔界の方向性を決めるこの大会議で、これまで人間界側中心だった描写が、ついに魔界側も並行して行われる事になるわけですが、八大氏族の族長たち、さすがみんな見た目インパクトあるなあ。

他、ちょこちょこと。何気にお客さんだった火竜公女が、ここで青年商人の生き方に大きな指針をもたらしてるんですよね。ここら当たりで、魔王と勇者に匹敵するパートナーが誕生しているわけです。
そして、人間側最大の英雄である王弟元帥の初見参。この人は、後々になるほど魅力の出てくる人物だけに、登場時はこのくらいの悪人顔でいいのか。
何故かある温泉回w
女魔法使いのモザイクがエロすぎますw いや、まじで自主モザイクがない他のシーンよりダントツにエロいからw
誰か偉い人が来て全員から武器を取り上げれば、そりゃ平和になるかもしれない。
だけどそんなものは、お父やお母にゴチンとやられてケンカを止める子供みたいなもんでしょう?
そんなのが本当に平和っていうんですかね?
武器を持ったままでも握手をできるから、平和っていうんじゃないですかね。by.東の砦将


シリーズ感想

ログ・ホライズン 6.夜明けの迷い子5   

ログ・ホライズン6 夜明けの迷い子

【ログ・ホライズン 6.夜明けの迷い子】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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いよいよ、新章開幕!!

<アキバ>の街中で起こるはずのない殺人事件が発生!
アカツキは「天秤祭」を機に芽生えた焦燥や戸惑いを抱えたまま、
震える心を駆り立て<アキバ>の夜を奔走する。
力を得たい──彼女は今までためらっていた一歩を踏み出した。
前回、「天秤祭」でミノリのシロエの立つ頂きに共に立とうとする意志、志しの輝きを目にし、如何に自分が楽に甘んじ、立ち止まってしまっていたかを思い知ってしまったアカツキ。シロエの一番近くで共に立っているつもりだった自分が、彼と同じものを見ようともせず、ただ依存し自ら立つこともなく寄りかかっているだけだった。大学生である自分などより、中学生であるミノリの方が比べるのもおこがましいほど自立して、シロエと同じ高さで歩もうとしていた。人間として、女性として、大人として敗北感に打ちのめされ、しかし焦燥に駆られたまま何をどうしたらいいのかわからぬまま無様にもがく彼女は、そのまま負のスパイラルへと落ち込んでいく。
このみっともないほどに落ち込んで、迷子の子供みたいに下ばかり見てさまよい歩くアカツキの姿は、もうもどかしくて胸を締め付けられるようで。でも、だからと言ってどうしたらいいのか、なんてわかんないんですよね。こういう問題は、方程式みたいに決まりきった答えがあるわけでもないし、はっきりと単語として表現できる回答があるわけでもない。何かしらの実感を以って、納得と確信を得なければならないのだから。
そのあやふやにして形にならない到達点へと、アカツキが手探りでたどり着いていく過程が、また素晴らしいんだ。一人ではどうにもならない足掻きに、他の女性達との交流が触れることで反応が起こり、その変化の瞬きの中にきっかけを見つけていく。
今回、主人公のシロエを含めた男性陣は殆ど出演しません。シロエについても、あの一瞬の彼岸のカナタでの交流のみ。まあ、あのワンシーンが凄く大きくて、アカツキにとってもついに辿り着いた瞬間ではあったので、その主人公にしてアカツキの慕う男性としての存在感はいささかも揺るぎないのですが。
でも、今回は男性たちはお役御免。さっさと自分は今回は立ち入らないよ、とあれだけ事件にのめり込んでいたのにさっさと場を譲って去っていったソウジロウは、伊達にハーレム主人公じゃありません。女性の立て方を本当によくわきまえている。ありゃあ、大したタマですよ。
自分の世界に閉じこもって迷子になっていたアカツキが、同じく自らの構築した世界に立て篭もっていたレイネシアと図らずもお互い滅多と踏み込ませなかった自身の領域のうちに迷い込んでしまった時、何かがはじけたわけです。この何か、については是非作中にて堪能していただきたい。でも、その弾けた何かによって彼女らを取り巻いていた世界の色は、確かに明らかになったのです。それは衝動であり、また勇気でもあったのでしょう。それは、彼女たちを自らの意志で外の世界に踏み出させ、その輝きは彼女たちを取り巻く様々な女性たちの元へも届き、その心をつないでいく。
そう、そこから始まるお祭りこそ、乙女たちの戦い。ギルドなどといった組織集団の枠組みを超えて、一人ひとりが自立した乙女たちが、手を取り合って全力全開で舞い踊る絢爛豪華なダンスパーティー。

なんとなく、かつて存在した伝説的なパーティー。【放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)】がどういったものだったのか、形は違えどわかったような気がするなあ。
これまでは、いまいち普通のギルドと、ただみんながなんとなく集まって一緒のことをしていただけ、という【放蕩者の茶会】の違いがよくわかっていなかったのだけれど、このアカツキとレイネシアを中心として集まった女性たちだけの集いの、甘酸っぱいまでの一体感を通じて、なんとなく実感として【放蕩者の茶会】がなんだったのか。あの集まりがなぜ参加者たちにあれほど大切な思い出として大事にされているかが、ストンと腑に落ちるように理解が染み入った気がします。ああ、素晴らしい。これはギルドの集いとはまた異なる大切さ。あやふやで、しかしビックリするくらいに確かな繋がりの形。なんて、素敵な在りようなんでしょう。

起こり得ない殺人事件が起こってしまった背景には、終わったかに思われた異世界の変容が未だ激変を続けているという衝撃的な内容と共に、シロエがアキバに不在であり、彼も何らかの形で動いている、という事が明らかになり、さらなる激動の展開が待ち受けているのだと知れたわけですけれど、ここで構築された繋がりと希望の光りは、そんな不安を「なんぼのもんじゃい」と思わせてくれる、とにかく素敵で素晴らしい人と人との間に育まれた煌めきでありました。熱いなあ、眩しいなあ、無性に何かに抱きつきたくなるようなこみ上げてくるようなものが抑えきれない、そんな興奮冷めやらぬ女子会でありました。やっぱ、面白いわ。最高。

シリーズ感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  6 4   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (6) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」  6】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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決戦を控えて対峙する南方連合軍と中央軍。しかし、戦端は卑劣な悪意によって開かれる。鉄の国になだれ込んだ奇襲軍、その前に立ちはだかるのは意外な人物だった。一方その頃、冥府宮で歴代魔王と戦う彼女は――。
月刊誌掲載にも関わらず、出るのが早い早い。前の五巻が出たのって確か12月ですよ。
これを読むまで、魔界のことをイマイチ理解していなかったのをようやく把握した。地下世界というのは当然わかっていたんだけれど、二層式になっているのじゃなくて斥力場によって天地が逆転して地上側の地面が地下の魔界側から見ても地面になっていたのね。これを理解していなかったので、後々出てくるゲート跡の勇者があけたでっかい穴に建設される橋の構造がよくわからなくて、ずっと「???」のまま置きっぱなしにしていたのだけれど、ようやく理解の取っ掛かりが出来ましたよ。
だからこそ、むしろここに橋を架ける、という事業の難度にも理解が及んで……土木子弟の才覚ってやっぱりパなかったのなー。いずれの彼と奏楽子弟の登場にも期待しつつ、現状は軍人師弟の独壇場。この辺りから、商人貴族軍人の三子弟たちが、文字通りの主役級として世界の前面に出だすんですよね。
白夜国の騎兵隊の奇襲を迎え撃つ、国境警備隊という二線級の軍と民兵の連合を率いる軍人師弟。この騎兵の突撃を目前としながら、全兵に講義をはじめるシーンは何度見てもしびれる。騎兵の突撃というのは場合によっては、実際に接触するよりも前に士気が瓦解して戦列が崩壊しかねないインパクト、凄まじい恐怖心を呼び起こす迫力のものなんですよね。そして、こういう場合指揮官は叱咤激励、もしくは勇壮な雄叫び、或いは心を揺さぶるような演説。そんな手段を講じて兵たちを鼓舞して士気を保とうとするものです。
「さて、講義の時間でござる」
名将の誕生である。後に、彼はただ戦が上手い将という以上の称号を得て、世界変革の中心の一つとなっていくのですが、そのきっかけであり端緒こそがこの戦いであり、何より勝利が彼を変えたのではなく、勝利によって得られたものが彼の成長に明確な方向性を与えるのであります。
その答えが、またこの白夜国との戦いの後に起こる出来事で見ることが出来るのですが……ござるがホントかっこええなあ。
ちなみに、原作読んでた時はこの時軍人子弟とメイド妹にフラグ立ったと思っちゃいました。あとあと考えると全然違ったんですけどね。
この巻は、女騎士の名指揮官ぶりも、先の極光島以来久々に見られます。女騎士って、一戦士としてよりもやっぱり姫将軍としての方が断然映えるよなあ。鎧も付けず、手甲だけ身につけシスター服で騎馬を駆る姿はかっこいいなんてもんじゃありませんよ。そりゃ、将兵に崇拝されるわけだ。

一方で、魔王と勇者はこの辺りから表舞台での牽引を次々に生まれつつある自立した中心核となる人物たちに譲り、より世界の深い場所へと立ち位置をスライドさせて行きます。まおー様の魔王覚醒と、それに相対する勇者。つまり、正当な形での魔王と勇者との邂逅と、しかし旧来のあるべき勇者の姿から敢然と逸脱した今の勇者による旧魔王の在り方の粉砕は、まさにプロローグの終わりの象徴とも言うべきシーンなのでしょう。
「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」

タイトルともなったこの魔王と勇者の交わすセリフが、再び違う、本来の意味を持って交わされ、しかしこれまでと全く違う形で幕を下ろした時、世界は間違いなく最初にこのセリフが交わされた時からさらにもう一歩、まだ見ぬ世界へと踏み出したのである。

さあ、ここからが本当の開幕だ。

シリーズ感想

放課後のトラットリア 1 4   

放課後のトラットリア 1 (メテオCOMICS)

【放課後のトラットリア 1】 漫画:水口鷹志/原作:橙乃ままれ メテオCOMICS

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「まおゆう魔王勇者」の橙乃ままれが、新鋭・水口鷹志とのタッグで描く、新たな物語。
夏の合宿の最中、突如ファンタジーな異世界へと転移してしまった女子高生四人組@料理研究部員。
いざ始まる大冒険! ――と思いきや、待っていたのは異世界観光ときどき料理のまったり生活。
ところが四人の持っている「料理」の技術が、異世界の人々に思わぬ影響を及ぼして……?
同じ橙乃ままれ作品にあてはめれば、【まおゆう魔王勇者】の魔王か青年商人、或いは【ログ・ホライズン】のシロエの立場にあるのが、彼女、海燕院あやめである。
突然異世界に放り込まれてしまった四人の女子高生のまとめ役。その見識と観察力、そして判断力は生半の大人を凌駕している、どころかこれほど傑出した人物は社会を見渡してもほんの一握りだろう。
彼女の凄味は、言うなれば「価値」というものを熟知していることにある。価値というものは、示さなければ何の意味も成さないものであると同時に、やたらとひけらかすことで容易に失われてしまうものだ。価値を示しつつ安易に消費させない。あやめたちの持つ現代の知識は、異世界ではまさしく珠玉の価値を持つものだ。それは、もはや武器だと言っていい。
そう、彼女たちの知識は武器そのものなのだ。強力すぎる武器を考えなしにぶんぶんと振り回して暴れる人物は実のところ危険人物でしか無い。そして、自分の持つ武器の力と価値を正しく認識せず考えもしないものは、簡単に良いように利用されその力と価値をしゃぶり尽くされてしまうだろう。だからと言って、自らの価値そのものを秘密にして隠してしまえば、取るに足らない存在として異邦人である彼女たちは頼る足場のない異郷で身一つで放り出されてしまうことになる。
だからこそ、価値は誇示して力を示しつつ、その行使は惜しんで価値そのものを高めなければならない。
自分たちを庇護する若き領主に、そんな自分の価値とスタンスを示して見せたあやめという少女は、まさしく異世界における自分たちの価値を十全理解しきった上で、自分たちは貴方達に利用されるだけの道具にはならないけれど、利用価値のある存在としては協力をするよ、と言外に言ってのけたわけだ。つまり、庇護を受けながら独立性を固持してみせた、ギブアンドテイクの関係、つまり対等の立場を守ってのけたのです。その権力との近づきすぎず離れすぎずという政治距離感覚と、環境と状況を読み取る観察考察能力、若き領主エルステインの人柄や誠実さ、政治スタンスなどを見抜く人間観察力に、それに対応した交渉力。
ぶっちゃけ、異世界の知識なんかなくっても、あやめという少女はあまりにも図抜けている。その協力が得られるのなら、国際政治経済上の最前線である若き都市に赴任し、いくらでも人材を欲しているエルステインにとって珠玉の価値を持つものだ。言わば、彼女は異世界の知識という商材を売らないまま、自分たちを売りつけることに成功したと言っていい。まったく、とんでもない少女である。

で、その事実を前提にもう一度この物語を見直すと、異世界の料理というファクターは非常に面白い立ち位置で回っているんですよね。普通、こういう展開だと料理人が異世界に転移して、自分たちの未知の料理で異世界の価値観そのものをひっくり返していく、という現代料理の衝撃、という要素が物語の十全を担うことになるのだけれど、本作は彼女たちが居を構えた都市の政経情勢と、エルステインとあやめの交渉による異邦人としての彼女たちの立場というバックグラウンドを精密に設定して、物語の本筋そのものを都市の発展と周辺諸国、本国との鬩ぎ合いという観点に置いたことで、料理部の料理は政経動向の発端であり出力単位として扱われようとしているわけである。
勿論、あやめ以外のくいなたちは、純粋に美味しいものを食べたい、みんなに食べさせてあげたい、という含みのない思いから走り回るのですが、本作の料理という「武器」の振るい方、というよりもその振るい方への考え方が非常に面白く、この辺りが橙乃ままれという人の独特の振舞い方だなあ、と深く首肯した次第。
巻末には原作の橙乃ままれさんの短編、あやめとエルステインの静かで鋭い交渉が描かれているのですが、これがまた歯ごたえたっぷりの内容。
まったく、ひと味ちがう面白さでした。オススメ。

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 5 5   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (5) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 5】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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メイド姉の決死の演説はその場にいた人々を、そして世界を動かした。冬の国をはじめとした南部諸王国は中央への従属から独立を果たす。だが、世界のひずみが彼らに迫っていた。そしてその頃、魔王にも危機が――!

表紙は青年商人と辣腕会計。特に、青年商人はこの巻の実質的な主人公であり、作品全体でも有数の重要人物なので、彼が表紙を飾るのはまったくもって納得の一言。

激動 始まる!!

目に見える形では、南部諸王国連合の独立による人間世界の動乱こそが世界の激動を象徴いているようだけれど、その実戦争の勃発は氷山の一角に過ぎず、その海面下では凄まじい勢いと規模で価値観のパラダイムシフトが起こりだしているのであります。その端緒こそ前回のメイド姉の「人間宣言」であり、そこからこの物語の主人公は勇者と魔王という二人の特異点から、無数の人間・魔族へと移っていくのであります。貴族・軍人・貴族各師弟たちの勇躍であり、また青年商人と火竜公女の邂逅であり、様々な人達が誰かに与えられた役割を何も考えずに引き受けるのではなく、それぞれが個人に考えを巡らせ、世界を動かしだす、そんな激動の時代がまさにここから始まっているのであります。
見よ、世界の中心点が無数に拡大していく壮観な光景を。
そんな新しい世界の萌芽こそ、勇者と魔王が夢見目指したもの。それが、今や二人の手を離れて勝手に芽生えて成長していく光景は、感動すら覚えるものなのです。それを、この漫画はまた余すこと無く描き出している。
同時に、まだ魔王が即位する前から勇者との出会いを待ち望み、その胸に希望を滾らせて、その唯一無二のタイミングを待ち続けた回想を差し挟むことで、彼女が抱いた夢が芽吹きだしていく光景がより鮮明に、眩しく浮き上がっていくのであります。この回想の挟み方は、絶妙の間合いですなあ。
もちろん、まだ世界の変化は芽生え始めたばかり。ここから、またぞろ多くの試練や障害が待ち受け、変化を絶やそうと動き出すのです。どんどん凄いうねりとなって、激流は勢いを増していくのですが、漫画版でまたその感動を感激を味わえるのかと思うと、胸踊る心地ですなあ。
出来れば、アニメでも同じような感動を味わえたら、と期待をふくらませるばかりです。
そう言えば、女魔法使いはここが実質の初登場なのか? 勇者もデタラメだけれど、女魔法使いも相当に桁外れだぞ、これ。
次回は軍人師弟の見せ場。登場した当初はただの突撃軍人馬鹿だった彼の成長を刮目してみよ。

2巻 3巻 4巻感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 44   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (4) (カドカワコミックス・エース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 4】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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紅の学士として活動する魔王の活躍により、自立の道を歩み始めた南部諸王国。だが、それを快く思わない中央大陸と聖教会は、紅の学士を異端者として弾劾して捕らえようとするのだった――。
この四巻の見所と言えば、この物語を通しても最大級の名シーンとも呼んでいいでしょうメイド姉の「人間宣言」、或いは「人権宣言」。
ここをどう描くかが、この作品の漫画化の一つの試金石だとも捉えていたのですが……いやあ、すごかった。言葉が、意志が、思想が、自由の心が、メイド姉の語りかけることで民草に伝わり、沁み通っていく描写がまた素晴らしいんだ。このシーン、メイド姉は元々こんな事を語るつもりで居たわけではなく、なんて言うべきなんだろう、常々彼女が劣等感のように心の内側に溜め込んでいたものが、この瞬間紐解くように答えを得たんですね。そして、その思想は自分一人で結論として抱え込んで満足するべきものではなく、自分と同じような境遇の人達と共有スべきものなのだと察した。使命、運命、或いはそんな形どおりの言葉で括るべきではない、「来るべきその時」だったのでしょう。そんな、自分の内側から溢れでてくるものを、決然と言葉となして皆に伝えようとするメイド姉の姿が余すところ無く描かれていて、満足なんてものじゃありませんでした。実に素晴らしい。
このシーンは、この作品の中でも大きなターニングポイントであり、本当の意味で「誰も見たことのない丘の向こう」を意識した瞬間でもありました。
こっからなんですよねー、本当に。
固定観念、既成概念、そうした凝り固まったこれまでの枠組みから、次々と皆が自由を得て飛び出していく。冬寂王や女騎士が率いる冬の国、南部連合、湖畔修道会、三人の馬鹿弟子たち、そして青年商人に火竜公主。魔王と勇者だけではなく、一人ひとりが飛躍をはじめ、同時に魔王と勇者を中心とするのではない、一人ひとりが中心となって他者と繋がり、世界が自由に広がっていく感覚。
いずれより大きな障害が再び立ちふさがるのですが、それまではそんな自由の飛躍と拡大を堪能してください。
このシリーズは、途中で終わらずに本気で最後まで走り抜けてほしいなあ。それだけ、この石田さんに描いて欲しいシーンが一杯ありますから。

2巻 3巻感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 34   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 (3) (カドカワコミックスAエース)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る! 」 3】 石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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戦争の終焉のために力を合わせる魔王と勇者。しかし、様々な思惑が彼らを飲み込もうとしていた。極光島と開門都市、二つの土地で勃発する戦いがもたらすものは破滅への予兆か、それとも――。
水浴びのシーンでの女騎士の裸体の美しさには、思わず言葉を失ってしまった。いや、ペチャパイだからなんだというんだ。その鍛えあげられたスレンダーさは、もはや芸術じゃあないか。まおーさまが駄肉駄肉と自分の豊満な肉体を卑下するのも、ちょっと致し方ないんじゃないかと思ってしまった程である。美しい。
魔王が見たら、結構深刻に精神的ダメージを負うんじゃなかろうか。逆に、女騎士の方もダメージを負う気がするけれど。

物語は女騎士を指揮官とした南部諸国軍による極光島奪還戦の顛末から。
原作から更に描写を盛った戦争シーンが実に素晴らしい。実際、どのようにして極光島が攻略されていき、如何にして膠着状態へと陥っていったのかが詳しく描かれている。特に流氷橋の制圧から橋頭堡の確保と仮設砦の構築については思わず感嘆してしまった。物凄くわかりやすく戦況が描かれてるんだもの。本当に一見しただけで、何がどうなっているのかが一発で理解できたもんなあ。それが理解できていたからこそ、勇者の誘導で現れた魔界からの「援軍」がどれほどの意味を持っているのかも嫌というほど納得できるというものである。
それにしても、この石田あきら版に限らず、ファミ通クリア版でもそうだったんだけれど、南氷将軍がみんな堂々たる武人として描かれてるんですよね。自ら殿を務めるとか、正直、惚れるレベル。
だからこそ、そんな南氷将軍と女騎士との一騎打ちが栄えるというもの。いやいや、マジで女騎士がめちゃくちゃカッコイイんですけど。さすが、一人でヒロインとヒーローを兼任するだけありますなあ。ってか、勇者にもここまで栄える場面ないんじゃないだろうか。これで、ヒロインとしても抜群の魅力を発揮するのだからたまらない。
魔王とのラブコメもココらへんから加速していくんですよね。妻妾同衾とか、勇者美味しすぎるだろうこれ。

でも、この巻の一番好きな場面は、ラストの勇者と青年商人が酒を酌み交わすシーンだったりする。勇者と青年商人が絡むシーンというのは実は本当に少ないんですけれど、腹に一物も二物も持ってなかなか本心を見せない青年商人が、まさに胸襟を開けた姿を見せる滅多とない場面として漫画では描かれてるんですよね。原作でも、青年商人が勇者の示した新たな可能性にまだ見ぬ地平へと羽ばたく素晴らしいシーンだったのですが、いやいや、漫画版素晴らしいわ。ここで火竜公女と青年商人の顔合わせをしてたりするのなんか特に。やっぱり、青年商人最初から火竜公女が好みだったんだw

さあ、次からはついにメイド姉の見せ場だ。

2巻感想

まおゆう魔王勇者 5.あの丘の向こうに5   

まおゆう魔王勇者 5あの丘の向こうに 特装版

【まおゆう魔王勇者 5.あの丘の向こうに】  橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン

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希望か?絶望か?――ついに最終決戦へ

歪んだ欲望で、崩壊寸前の世界。
勇者の気迫、魔王の葛藤、女騎士の啖呵、女魔法使いの覚悟、メイド姉の祈り――戦いの終結を探り、それぞれの思いが交錯する!!

魔王と勇者が手を取り合った新世紀の冒険譚、堂々完結!!
それぞれが見た「丘の向こう」とは――!?
ヤバイなあ、もう読んでいる途中からなんだか泣けてきてしまいました。一度、ウェブ上でのまとめサイトで読んでいたにも関わらず、クライマックスでの盛り上がりは再び自分の心を揺さぶるに充分だったという事なのでしょう。魔王と勇者、たった二人の特異点が背負ってきた世界の行く末を、この物語は名も無き個人であったはずの一人ひとりが自立していくことによって、世界はそこに暮らす人々一人ひとりがそれぞれに背負っていくものへと変化させていきました。その到達点とも言うべき事象が、メイド姉の勇者宣言であり、青年商人の魔王宣言だったのです。この世に唯一無二だった魔王と勇者が、それこそこの世に無数に現れだしたのです。それも、与えられた使命ではなく、自覚を持って自ら担い手として名乗り出ることで、その責務を負わんとして。
これって、所謂神からの人間の自立であり、近代の夜明けなんですよね。第一巻の表紙に書き記されたキャッチコピーにはこうありました。
魔王と勇者が手を携えて、暗黒の中世に火を灯す物語
この文句は、正真正銘この物語の本質を表現していたのでしょう。この作品の凄いところは、単なる未来技術の導入による時代の革新を描いたものではなく、人間の意識の革命を一つの箱庭をモデルケースとして具体的な筋道を辿らせ、わずか数年という短く勢いあるスパンでダイナミックに描ききってしまったところにあるのではないでしょうか。なぜ、この作品が熱狂的に支持されたのか。それを読み解くキーワードは、多分その辺にあるんじゃないでしょうか。此処には、人の歴史の罪と罰、そして間違いと破綻が数多く書き連ねられたその上で、それでも人間は、人間たちが積み上げてきた歴史は素晴らしいもので、肯定されるに相応しいものなのだという確信が座している。
過ちは乗り越えられる。停滞は動かせる。閉塞は打ち破れる。未来は、広がっている。丘の向こうの未知なる世界に、人はきっと辿りつける。そんな肯定が、一杯一杯詰まっている、夢物語じゃない夢の様な物語なのだ。
泣けて来るのも、当然でしょう?

最終的にとてもたくさんのキャラクターが登場することになった本作ですけれど、好きなキャラはと問われたなら、やっぱり女騎士だと答えちゃいますねえ。作中でも随一の男前で、それと同時に随一のイイ女でした。ラストバトルに挿し込まれたイラストには、正直身震いさせられました。toi8さんいい仕事しすぎ。
火竜公女と青年商人のコンビをはじめ、実に心くすぐられるキャラクター揃いで、それぞれについて語り出したらきりがないくらい。今後続くであろう漫画などの展開で、その辺は存分に堪能するとしましょう。
こうして世に出、読みきる事が出来たことに感謝を捧げたい、稀代の傑作でした。ありがとう。

橙乃ままれ作品感想

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 (2)4   

まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 (2) (角川コミックス・エース 264-5)

【まおゆう魔王勇者 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 (2)】  石田あきら/原作:橙乃ままれ 角川コミックス・エース

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人間と魔族の戦いに終焉を――。その想いで手をとりあった魔王と勇者。その道は決して平坦ではない。それでも彼らは歩みを止めることはないのだった。ネットを沸かせた異色ファンタジー第2巻登場!
まおゆうのメディアミックス展開がはじまってからこっち、コミカライズはいったい何作出てるんだってくらいに何作も出ているのだけれど、これチェック出来た範疇は概ね良作だから何気に困る。元ネタ原作がスレッドタイプの書き物なだけに、漫画化において想像をふくらませる余地が多分に在るがゆえに、同じストーリーラインでありながら各作それぞれに演出表現が異なってきていているのである。お陰でこのこっちの人はこの場面をこんな風に描いてるのか、などとそれぞれに楽しめたりするので、これがまた困るのである。キャラクターのデザインも結構変わってきているので、それらを比べてみるのもまた楽しみだったり。特に火竜公主はみんなイメージ勝手に膨らませてるよね。
この石田版では中華風のちょっと幼げだけれど勝ち気そうな容姿がまたタマランです、はい。
そんなこんなで各種出ているまおゆうのコミカライズですが、その中でも本作は先鞭をつけただけあってか、やはり一際面白い。元々実力あるベテラン作家というのもあるのでしょうが、この作中にグイグイと引き込まれていく感覚は心地いいの一言。戦闘シーンもさる事ながら、白熱迫真の交渉シーン、紅の学士と青年商人の初顔合せのあのシーンなど、魔王言うところの「女におべんちゃらを言っている時よりもよっぽどいい顔」を始めとして、交渉決裂の際にはそのまま命のやり取りへと発展しかねない緊張感漲る緊迫した鬩ぎ合いが見事に描かれていて、文字通り手に汗握らされました。
一転して、魔王と勇者が久々に再会した祭りの夜。二人が広場から聞こえてくる祭りの調べを背景に、雪の降るなか二人きりで寄り添いダンスを踊るシーンなど、しっとりとして静かなラブシーンがこれまた情緒的、幻想的に描かれていて、この緩急がまたたまらないのです。
魔王と女騎士、勇者を巡る恋のライバルである二人の間に育まれていく友情もまばゆい。女騎士がまたかっこ良くて可愛いんですよー。
次はついに第二次極光島奪還上陸作戦の開始。本格的な戦争シーンが描かれそうで、また楽しみです。

しかし、冬寂王がちゃんと若いイケメン王子に描かれていてホッとしましたよ。おっさんのヒゲ王子なんぞ、スレイヤーズのセイルーン聖王国のフィル王子だけで十分ですわぃ。

ログ・ホライズン 5.アキバの街の日曜日4   

ログ・ホライズン5 アキバの街の日曜日

【ログ・ホライズン 5.アキバの街の日曜日】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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乙女たちが切ないため息をつく秋の午後、新たな敵がアキバの街に侵入した!!
次の敵は、モンスターより手ごわい「人間」。
その攻撃目標は、〈円卓会議〉というアキバのシステム。
剣と魔法ではない、情報戦の応酬がはじまる!
腹ぐろ眼鏡シロエは、この危機をどう乗りきるのか!?

累計25万部の大ヒットシリーズ、いよいよ第1部完結!!
もうアカツキがヤバいくらいに可愛い。ヤバイヤバイ、どうしようこれ、破壊力が戦略級なんですが!!
ウェブ版を読んだ時も悶えたものですけれど、ハラカズヒロさんのイラストが付くと付かないとじゃ、桁が違ってきますね。小袖でお洒落したアカツキがもうヤバイ。ヤバイなんてもんじゃないくらいにヤバい!!
うーん、改めて読むと、恋する乙女たちのフワフワとした綿菓子のようで、しかししっかりと方向性が根づいた心理描写がまた卓抜した出来栄えなんですよね。語彙が弾んでるっていうのかな。ここまで華やかで彩色豊かでありながら論理的な明晰さにあふれた内面の表現力は、キレキレにキレまくっている時のあざの耕平さんのそれにタイプが似ていると感じた。あざのさん大好き、な自分としては当然のごとく大喜びなんですよ。
更に言うと、ここでしっかりとアカツキとミノリのシロエに抱いた想いのカタチと、その欲する方向を明快に描いていたからこそ、後々の彼女たちのスタンスの違いが明確に目に見える形で現れてくるんですよね。
シロエに憧れ、彼が立つ頂きに自らも立とうとするミノリと、シロエの傍らに安息を得て現状に満足してしまったアカツキ。アカツキのそれは、実のところ異性に恋する女性としては何も間違っていないと思うんですよ。シロエは間違いなく、アカツキと同じくすぐ傍に居てくれる小さな美少女の存在にやすらぎと居心地の良さを感じ始めていたのですから。ただ、アカツキがこの世界で最初に欲したのは、現実世界でのようにただ愛され慈しまれる事ではなく、容姿など関係なく対等の存在として認められ、受け入れることだったのです。ところが、アカツキはいつの間にか自分がその為の努力を怠り、居心地の良い場所で安穏と過ごしている事に気づいてしまった。常に精進を重ね、努力を積み重ね、意識高くシロエと並び立とうと頑張り続けるミノリを目のあたりにすることで、自分が立ち止まってしまっていた事に気づいてしまった。シロエの傍で、彼と同じ景色を見ているのは自分ではなく、まだ中学生の幼い女の子の方だと知ってしまったのです。
今まで自分が胸を張り、誇っていたものが、自分を形作っていたものが一瞬にして色あせてしまった瞬間。そんな自己崩壊にも似た瞬間を経ながら、やっぱり彼女がすでに成人を迎えた女性だと認識させられたのは、そうした内面の崩壊を全く外に見せず、他人に変化を悟らせなかったところでした。自分は弱っている、困っている、泣いている、そんなアピールをしてみせて同情を引き、関心を求めようとする欲求をねじ伏せようとするそれは、所詮見栄です、意地です、でもそれは大人の矜持というものなのです。
アカツキがこれからどうやって、失ったものを取り戻すのか。これ以降はウェブ版で描かれていない書きおろしの部分になるので、これからの展開が楽しみで仕方がない。ミノリも素敵な女の子なのですけれど、この娘はぶっちゃけ人間力が高すぎてヒロインというよりも主人公としての格の持ち主なんですよね。陰というか、捻れた部分のあるシロエよりも、もしかしたら純粋に高みに至れる資質の持ち主かもしれない。彼女は自分の力をすごく真っ直ぐに使える子なんですよ。多分、まだシロエを追いかけるのに一生懸命で、だからこそ一途に進めるのだろうけれど、でもたとえ前を行く人を追い越しても、この娘は決して振り返らずに背筋を伸ばしてそのまままっすぐに進んでいくはず。だからきっと、誰かの、というよりも多くの人の目指す星になれる子だと思うんですよね、この娘は。だから、ちょっと眩しすぎて、大人だけれど不器用で難しいところのあるアカツキの方をやっぱり応援したくなってしまうのです。
ヘンリエッタさんもイイんですけどねえw

さて、サブタイトルのアキバの街の日曜日。日曜日というと、どうしても休日のような気がしてしまうのですが、社会人、特に商売人や管理職の人間にとって日曜日というのはさり気なく平日より忙しかったりするパターンもあるわけで……個人として動いていた前半はみんな休みの日のお祭りを純粋に楽しんで遊び回っていたのだけれど、お客として祭りを回る側から、出店を出し祭りでモノを売り、イベントを仕切る側に回ると尻に火がついたように大忙しの様子となり、さらに大祭に外部からの悪意、円卓会議の運営処理能力をオーバーフローさせようとする「攻撃」が加えられている事に気づいてからの段になっては、現場から管理運営のステージへと移っての高度な管制撃滅戦に。
剣を振り回し、魔法をぶっ放す物理的な戦闘とは異なる、しかしそれをも上回る勢いで熱いフィールド制圧戦闘。面白いなあ。一応これ、ファンタジーのはずなのに、普通のそれとは全然立っている場所や目線が違うんですよね。こういうのを目の当たりにすると、やっぱりあの【まおゆう魔王勇者】を書いた人なんだなあ、というのがよくわかる。

ついにその姿を表した西の冒険者の街「ミナミ」の総領、濡羽。この人のシーンは気合入ってたなあ。イラストと合わせての黒塗りの見開きページ。背筋がゾワゾワしましたよ。この時シロエが感じていた気持ちの悪さと魅入られるような陶酔感が、ダイレクトに伝わってきて、なんだか悪酔いした気分。
はたして「ミナミ」がどうなってしまっているのか。本格的に交わるのは次回以降なんでしょうけれど……どうなるんだ、これ。

そして、シロエがずっと気にかけている、茶会のリーダーの「彼女」。この女性については濡羽も思う所がある、というよりも強く敵視している? ようだけれど……彼女の話はどうやら一旦飛ばされるのかな。実はウェブ版では彼女が今何をしているか、の話が描かれていたんだけれど……。あっちは番外編だもんなあ、あの形式だと。いずれ、何らかの形でアプローチしてくるとは思うのだけれど。はてさて。

ラブラブな空気はシロエたちだけではなく、色んな人の間でも流れ出しているようで……ソウジロウは別だけどな。あそこはどうやら万年だw というか、あのハーレムはどうなってるんだ!? あれだけ高度に組織化されていながら、実質序列なしの平等って…一種の魔界かなんかか!?
個人的にはマリ姉の初々しさに一票。ああもう、直継のことあんなに意識しちゃって、可愛いなあ!!

1巻 2巻 3巻 4巻感想

ログ・ホライズン 4.ゲームの終わり(下)4   

ログ・ホライズン4 ゲームの終わり(下)

【ログ・ホライズン 4.ゲームの終わり(下)】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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異世界化した<エルダーテイル>で、はじめての大規模戦闘へ――
海岸沿いでみられたモンスターの大量発生は、サーバー全体と思われる異常事態に発展。
チョウシの町を救うべく急ぐ新人チーム、大遠征軍を指揮する“狂戦士”クラスティと参謀の“腹ぐろ眼鏡”のシロエ、そして貴族の誇りをすて声をあげる〈大地人〉の姫。
異世界の危機に、〈冒険者〉と〈大地人〉が手を取りあった共同戦線がはじまる!!
ミノリの作戦立案センスがこれ、中学生離れしてるよなあ。チョウシ防衛戦なんて見事なくらいの機動防御による各個撃破戦術ですよ。彼女の思考の優れた点は、防御能力が無いに等しく戦力も乏しいチョウシを守りきらなければならない、という状況において、如何にしてチョウシの防衛力をあげるかではなく、徹底して敵戦力の集中を阻害することに傾倒したことでしょう。机上で考えるのは簡単かもしれませんが、現場で突然モンスターの大軍が街を蹂躙するコースで進軍してきたという生の、しかもタイムリミット付きの急報が飛び込んできて、なかなか咄嗟にこういう発想はできませんよ。彼女の際立った視野の広さは、パーティー戦闘指揮にも現れていて、ここで描かれた「全力管制戦闘」という概念には正直全身に電流が走りましたよ。これ、単なる息のあったコンビネーションとかチームワークとは完全に次元が違う話なんですよね。
情報整理と分析による未来予測を導き出した上で、電撃的な戦術判断の連続で戦域を支配し切る。やってることは実質航空戦における早期警戒管制機「AWACS」みたいなものなんじゃないか。
いや、むしろこれは、TRPGで磨かれるような能力と考えるべきか。実際、TRPGのリプレイなんかを見てると度々ベテランのプレイヤーが、何ターンも先の流れを完璧に読み切ってプレイヤーに指示を出して、戦闘を支配するシーンを見たことがあります。ただそれをリアルタイムの本物の戦闘でやれとなると全く別の話ですし、そういう観点・アプローチからバトルシーンを描いた作品はあまり見たことがない。
そして実際に描かれてみると、これがもう凄まじいと言っていいくらいの凄味があって、体中に電気走りまくり。戦っている子たちは決して特別な能力を持っているわけじゃなく、レベル的にもまだ中堅にも達していない新人の殻からはい出たくらいのヒヨコたちなのだけれど、そんなの何の問題にもならないですね。もう痺れるほど燃えた。

こよなく怠惰を愛し自堕落たらんとしながら、誰よりも貴族らしく高貴なる義務を果たすべく、冒険者たちに誠意と敬意を以て飛び込んできたレイネシア姫。恩恵も何も無いにも関わらず純粋な憧れから冒険者になろうとしたルンデルハウス。二人の大地人の見せた気概と見るものを奮い立たせる魂の輝きは、彼ら大地人が<冒険者>と対等の存在であることをこれ以上なく示したと言える。
それ以上に、最後にシロエが編み出した本物の魔法は、大地人と冒険者の境界を無に帰すものであり、気持ち的な問題だけじゃなく、世界を織り成すシステム上の観点からもNPCだったはずの大地人と、ゲームのプレイヤーだったはずの<冒険者>が存在として伍するものだと証明されちゃったんですよね、これ。
クラスティーの証言から、不死と思われた冒険者たちも死ぬ事によって現実世界の記憶が失われていくというリスクがあることが明らかになり、もはやこの異世界で日々を過ごしていくということは、この異世界で「生きていく」という事そのものになろうとしている。未だゲームの延長線上という意識から逃れられていない者たちは、ススキノは他の国のサーバー上で好き勝手暴れている連中のように、捨て鉢になって無軌道に、刹那的に過ごしているのだろう。或いは諦観や絶望感に苛まれて、無気力に過ごしているのかもしれない。
でも、このアキバの皆のように、ゲームの終わりを実感し、自分たちがこの異世界で生きていかなければならない、と理解した者たちは、覚悟を決めはじめているのだ。いつか、どうにかして元の世界に戻る方法を探しだすにしても、まずそれまで、この世界の一員として生きていく覚悟を。大地人という隣人と交わり、友人たちと普通に笑って、今日を勤しみ、明日の事を考える、そんな当たり前に一日を過ごしていく覚悟を、だ。
そして、その覚悟を持ってこそ、未来という希望を抱ける。
このアキバが素晴らしいのは、その覚悟と希望をみんなで共有できた事なんでしょうね。レイネシア姫のお願いに明るく活況を以て応えれたのはその証かと。他のサーバーなどでも、個人やギルド単位で前向きに生きる覚悟を決められた人たちはたくさん居るでしょうけれど、それでも狭いグループ内だけだとやっぱり辛かったり苦しかったりする事は多いはず。その点、街ぐるみ、生活空間ぐるみで共同体意識を構築できたアキバは素晴らしく恵まれた環境として機能している。シロエがあの時立ち上がらなければいったいどうなっていたか。西日本がどうなっているかが後々明らかになるのですが、その事実を踏まえるとアキバの在り方は奇跡的にすら思えてきます。
ミノリたち新人プレイヤーたちが、あんなふうに素直に<冒険者>の本分に身を任せることが出来る環境。レネイシア姫の思いに、あんなに明るい笑顔で応えられるだけの心の余裕を以て、この異世界に生きる事ができている事。シロエがあの時守ろうとしたものが間違いなくアキバの街に根付いて、ゲームとしての終わりを迎える事が叶ったのがわかるシーンをこうして目の当たりにすると、何だか今更ながら妙な感動が沸き上がってきた。

このあたりになると、段々とカップリングらしきものも見えてくる。いきなり鉄板のようになってしまったレイネシア姫とクラスティーや、最初からにゃん太を気にしている様子が明らかだったセララ以外にも、マリ姉と直継が何気にいい雰囲気だったり、五十鈴とルンデルハウスが実に面白い形で相性の良さを発揮していたり(お手は正直酷すぎると思うぞw
しかし、一番の注目はシロエを取り巻く女性たちでしょう。今のところはピッタリと寄り添うアカツキが不動っぽく見えるんだけれど、一途にシロエを慕うミノリが中学生ながら、その純粋なまでの憧憬を元手にして一気にまくりあげてくるんですよね。ミノリのひたむきさと勤勉さは物凄く好ましいんだけれど、やっぱりアカツキには頑張って欲しい。頑張れ、小さなお姉さんw

1巻 2巻 3巻感想

ログ・ホライズン 3.ゲームの終わり(上)4   

ログ・ホライズン3 ゲームの終わり(上)

【ログ・ホライズン 3.ゲームの終わり(上)】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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シロエがいない初めての戦闘(バトル)!!
<円卓会議>に届いた書状により、シロエたち<円卓会議>の代表らは、大地人同盟との交渉にのぞむため、アキバを離れた。同じ頃、各ギルドの新人プレイヤーを鍛える夏季合宿が開始。同レベルの仲間とともに、トウヤとミノリもダンジョンに挑むものの失敗の連続。戸惑い、衝突、敗北……新人プレイヤーに訪れた初めての試練。彼らの力が、今、試される!
我らがぐうたら姫、レイネシア姫登場の回である。彼女ともう一人の大地人の登場と自由都市同盟との交渉、そして新人プレイヤーたちが直面する事件は、この三・四巻のサブタイトルである「ゲームの終わり」という文言に強く関わってくることを覚えておいた方が良いだろう。大地人はノンプレイヤーキャラクターではなく、自分の意志を持った生きた人間である。このシロエが円卓会議発足の際に発表した事実は冒険者たちに凄まじい衝撃となって走り抜けたわけですけれど、読者である自分にとってはまだ実感の伴わない、そういう設定なんだという単なる事実の把握に過ぎなかったのでした。
本当の意味で、元々はゲームの中のNPCに過ぎなかった大地人たちが大災害以降、<冒険者>と同じ生きた人間になっていたのだという事実を実感したのは、まさにこのレイネシア姫が現れた瞬間だったのでしょう。
この外面と内面の食い違いが激しすぎる個性的なお姫様が、<狂戦士>クラスティとエンカウントしたあのシーンで、彼ら大地人が現実世界の住人だった<冒険者>と対等の存在として生きているのだと実感したのです。
それは、そのままこのゲームの中を再現したと思しき異世界が、単なる仮想空間などではない、本物の人間がちゃんと生きて根付いている世界なのだと感じいった瞬間でもありました。これ、地味に円卓会議成立の際にシロエが引き起こしてくれた価値観のパラダイムシフトに匹敵する衝撃だったりしたんですよね。
そこからサブタイトルに目を転じてみて、ようやくこの「ゲームの終わり」が何を意味しようとしているかがうっすらとわかってきたわけです。そこからさらに怒涛の展開あって、この「ゲームの終わり」と様々な観点から実感していく事になるのですが……それは下巻の為に据え置いておきましょう。

宮廷内でのあれこれは、ある意味クラスティさんの独壇場でした。というか、彼とレイネシア姫とのやり取りが素敵すぎて、シロエは周りから腹黒腹黒と言われまくってるけれど、クラスティも相当だよ、これ(笑
レイネシア姫のぐーたらすぎる内面を見抜いていじり倒すクラスティの楽しそうなこと楽しそうなこと。

一方でシロエはこの世界の秘密の切れっ端をつかみとると同時に、不死である<冒険者>の秘めた死のリスクの真相にたどり着いてしまう。いくら死んでも生き返る事ができる、という<冒険者>の特典はズルイとは思っていたものの、ちゃんとペナルティはあったわけだ。


新人プレイヤーたちの方は、チームプレイの難しさに直面しているのだけれど、この「ログ・ホライズン」って戦闘へのアプローチが非常に面白いんですよね。俺つええは世界観じゃあり得ないシステムになっていて、直接的な攻撃力のない技や魔法にリソースがとても多く割かれている。それもスリープやポイズンといった状態異常や、単純に身体能力があがったりする支援魔法と違って、それ単体では説明されても何の意味があるのか分からない術などがたくさんあるんですよね。
これが、パーティー戦闘となると思いもよらない形で凄まじい効果を発揮していくのです。ソロプレイでは決して生まれない、レベルの低いプレイヤーであっても戦術連携によって相乗していく壮大なほどの戦果の拡大。
でも、そうした能力を活かすためには一人ではどうしようもないのです。一人ずつが集まっただけの集団では、チームでも何でもない。バラバラだった子たちが一致協力することでチームになっていく、それはよくある王道パターンのお話ですけれど、ここで描かれていた五人の新人冒険者たちが、パーティーになることが出来たお話は、単なる仲良しごっこではないもっと具体的でシステマティックなスタイルを学び勝ち取っていくことで、一味違うものになっている。それは、さらに下巻で巻き込まれる戦闘においてより劇的な発展を見せて、こちとらその戦闘への考え方、概念に衝撃を受けることになるのである。既にその萌芽はここできっちり描かれていたわけだ。
何れにしても、このパーティー戦闘の捉え方、描写の仕方は何気に独特で痺れるような面白さがあったのでした。
そして事態が風雲急を告げたところで下巻へ持ち越し。

一巻 二巻感想

ログ・ホライズン 2.キャメロットの騎士たち5   

ログ・ホライズン2 キャメロットの騎士たち

【ログ・ホライズン 2.キャメロットの騎士たち】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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〈腹ぐろ眼鏡〉のシロエ、いよいよ本領発揮!!
表面的な穏やかさは取り戻したものの、一方ですさんだ空気をまとい続ける<アキバ>の街。教え子たる双子・トウヤとミノリの拘留が発覚し、アキバの情勢に嫌悪感をぬぐいきれなくなったシロエがついに動く!歴戦を制した猛者11人を結集させ、無法地帯アキバに「希望」を取り戻す!!
このあらすじ、微妙に誤解を招く内容だよなあ。ミスリードを誘っている、というのとも少し違うし。
さて、ウェブ版では第一部【異世界のはじまり】の後半部分にあたる第二巻。まさに<腹グロ眼鏡>の真骨頂を目の当たりに出来るスペシャルなパーティーの始まりである。
世紀末の荒野じゃないけれど、どれほど無秩序と混沌に陥ろうとも、ある程度以上の人間が集まっていれば、そこにはいずれ何らかの秩序が生まれてくるものです。でもそれは大概にして、弱肉強食というルール。これまでの社会が崩壊し、秩序が無に帰した状況の中では、必然的に求められるのは純粋な力なのは仕方がないことなのだろう。力さえあれば、ルールのない世界ではどんな有無をも押し通せる。力こそがルールとなるのだ。そして、得てして大きな力は「無私」では居られない。大きな力は、それを拠り所とする多くの意思によって簡単に左右されてしまう。力さえあれば何事もまかり通ってしまうのならば、集団意識は簡単に帰属する集団の利益を優先しようとするものなのだ。
だからこそ、ルールが必要なのである。それも、理知に基づき公平が保たれ人の尊厳を守る事を目的としたルールが。
それこそが【法(ロゥ)】であり、そのルールを至上として構築される社会秩序こそ、法治国家というものである。
本来法治とは、弱者と強者の区別なく、人を人として公平に扱うためのものなんですよね。勿論、それは建前に過ぎないところも多いのですけれど、それでも無法よりかはよっぽどマシ。
シロエかクロエかわからない、白い名前のくせに真っ黒な彼が志したのは、力に対して力でねじ伏せ押さえつけるという剣で剣を折るやり方ではなく、彼のサブ職業「筆写師」が示すように、ペンを以て剣を封じること。まあ、実際には「ペンは剣よりも強し」という有名な台詞を小説の中で述べるフランス宰相リシュリュー卿の如く、悪辣極まる手段を取るのでありますが。清廉な人物に対して「腹ぐろ眼鏡」などというあだ名はつきません。かと言って、彼が性格まで黒い人物かというと、むしろ恥を知る人物であると言っていいでしょう。恥を知るからこそ、理性ある人として恥ずかしさを覚えるアキバの街の現状に義憤を覚え、彼は行動に出たのですから。そして、手段はともかくとしても、彼の意思が伝わったからこそ、あるいは彼が抱く、今のアキバを許容している事への恥ずかしさに共感したからこそ、無政府状態は脱却され、円卓会議は成立したと言ってもいいでしょうし。
それに、彼がこの会議で語ったものは、文字通り理念と言っていいかもしれない。これから、このアキバが寄って立つべき理念と。そう考えると、我々がここで目の当たりにしたものは、まさに新しい国家の誕生の瞬間だったのかもしれない。シロエが語ったものは生まれたばかりの国が寄って立つ為の理念であり、シロエがにゃん太班長の発見した概念から導き出した可能性は産業革命と同質かそれ以上の革命であり、この異世界でアキバが経済活動を活性化させ、ひいてはアキバの冒険者たちに生きる目的を与えるもの。そして、ノンプレイヤーキャラクター(大地人)への既存の概念を破壊するパラダイムシフトと、彼らとの関係性への意識の喚起は、アキバという街に異世界の中の国際を意識させる外交基本方針、なんて風にも捉えられる。

この瞬間、世界の色が変わったように感じた人も多いはず。灰色だった世界観に彩が散りばめられたように。薄暗かった靄が一気に晴れ渡って夜明けが訪れたように。のしかかるようにそびえていた壁がガラガラと崩れ去ったように。狭く閉塞していた牢獄のようだった世界が、地平線の向こうまで見渡せるような広々とした世界へと一瞬にして変化したように。

きっとこの瞬間、この物語はそれまでとは全く違うステージに移ってしまったのです。在り方そのものを変えてしまったと言っていい。
異世界に転移して、そこで生き残るために力を尽くすというサバイバルものから、全く別の物語へと。
それは、これまでの異世界転移モノやゲームの世界に入り込んでしまった、MMORPGタイプではこれまでお目にかかったことがない境地を舞台とした物語。
次の三巻からはじまる第二部【ゲームの終わり】。ウェブ版サブタイトルの意味を、そこで目撃できるはず。


それにつけても、一連のシロエの暗躍は戦慄ものと言っていい。彼が目論んでいた事が明らかになった時の、いやそれを実現する為の手段を見せつけられたあの瞬間の、体の底から震え上がるような感覚はなかなか味わえるものじゃない。体の芯に火がついたように熱くなり、興奮が湧き上がる。血沸き肉踊る、そう彼の繰り広げる政略戦は、そこらのバトルよりもよっぽど血を滾らせてくれる。
一度既にウェブ版で読んでいたにも関わらず、感電したみたいに痺れたもんなあ……あふぅ。

改めて読んで実感しなおしたのが、にゃん太班長の存在感。若者たちの相談役として影に日向に支えとなってくれる人なのですけれど、何気にこの人みたいに自分を年寄りと標榜するのって難しいと思うんですよね。シロエの推察によるとこの人の実年齢は三十代後半から四十代のようですけど、むしろこの年代の方が自分を若造扱いしたいはず。年寄りを名乗るって、それだけ「ちゃんとした大人」であると言ってるようなものなんですよね。それって、若者に頼られ、正しい指針を求めら期待されるということでもある。その上で、自分から手を引き導くような意欲的な行動は取らないよう抑制を求められる。まだ自分を若い若いと言ってるほうが楽なんですよ。若いと言うのは、まだまだ自分はやれると表現していると同時に、自分はまだまだ未熟であると言い訳しているとも言えるのです。自分が自分が、という我を出しながら、でも自分そんなに責任持てないよ、という言い回しにも出来なくもないわけです。悪い見方をするならですよ。別に若さを強調するのが悪いと思ってるわけじゃないのですが。
何にせよ、年寄りを名乗るのって言うほど気楽じゃないんですよね。それなりの覚悟と責任感がないと自信を持って出来ないと思うんですよね。
そんな事を考慮してからにゃん太班長を見ると、この人は見事に年寄りたらんとしていらっしゃる。ちゃんと若者を立て、縁の下に徹し、その上で時に迷う若者に柔らかく指針を示し、どっしりと支えてみせる。これほど頼れて安心できて尊敬に値する「大人」はなかなか居ないですよ。
アカツキや直継、マリ姉やヘンリエッタ。にゃん太班長と、シロエはホントに人に恵まれてる。上や横だけじゃなく、シロエを慕う初心者プレイヤーのトウヤとミノリだって、子供としては破格と言っていいしっかりとした人格の持ち主でしたし。ソロプレイヤーとして長くギルドという集団を嫌って活動してきたシロエですけれど、どうしてどうして人の縁には恵まれ、彼自身も恵まれた縁を決して蔑ろにしなかったことが今日の彼と、彼にもたらされた支えの手を導いた、と言えるのでしょうか。
こうして人の良き部分、人と人との関係の良き流れを見せてくれると、じんわりと胸が熱くなります。しびれるような刺激的な部分だけじゃなく、こうやって穏やかに心潤してくれる所も多いから、この作品好きなんだよなあ。

1巻感想

ログ・ホライズン 1.異世界のはじまり4   

ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

【ログ・ホライズン 1.異世界のはじまり】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン

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廃墟アキバから世界を変える!
老舗オンラインゲーム「エルダーテイル」の世界に
日本人ゲーマー3万人が閉じ込められた!

モンスターとの戦闘、味を失った食料、死ぬことのない境遇。
昨日までプレイしていた「剣と魔法の世界」が今日からの「現実」。
未だ、混乱続くエルダーテイルで、
<腹ぐろ眼鏡>で<引きこもり体質>の主人公・シロエが、
旧友直継、美少女暗殺者アカツキらと、世界を変える冒険を開始!
あれ? あらすじだと日本人限定みたいな言い回しになってるな。あくまで日本エリアに三万人であって、実際は世界中で取り込まれているのだが。
いやあ、こうしてイラスト付くと映えますねえ。アカツキちっちぇえー。ちみっこ可愛いっ! これで二十歳過ぎというのが味噌なのですよ。ちびっ子というのはどうしてもリアル幼女か幼女にしか見えない高校生。もしくは完全に成人したロリババア、というパターンばかりで実は二十歳前後の若い女性のちびっ子というのは完全にエアポケットなのである。子供っぽさと大人っぽさがバランスよく、或いはバランス悪く同居しているこの年頃で、同時に外見もアンバランスであるアカツキのキャラクターは実に大きな魅力を秘めている。今のところはまだ優秀なプレイヤーとマスコット的な立ち位置に終始していますけれど、将来的に世代的外見的アンバランスさを起因としたヒロインとしての大きな変動を見せ始めるので、彼女には注目なのでありますよ。
シロエも、ウェブ版で読んでいたときはもっと線の細い印象があったのだけれど、こうしてみるとクレバーさが引き立つなあ。なるほど、これは腹黒メガネというあだ名がよく似合う。主人公というよりも、むしろフィクサーだよ(笑 まあ一番ガツンと来たのは、マリ姉ですけどね。なにこのカワイイ生物。うははは、マリ姉だ、マリ姉だ。

さて、第一巻は文字通り導入編。ゲーム内に取り込まれるタイプの小説は今の流行りでもあるのですけれど、この作品の興味深いところの一つに、リアルな部分とゲームの部分のアンバランスさが挙げられる。彼らが取り込まれてしまった世界は、まさに異世界そのもの。なのだけれど、リアルというにはあまりにも大きくゲームの要素が残されている。死んでも蘇ってしまう、というあたりはその最たるもの(尤も、完全にノーリスクでないことはのちのち明らかになるのだが)。故にか、【大災厄】と名づけられたこの事件に巻き込まれたゲームユーザーたちは、ここが今まで暮らしてきた現実とは全く世界を異にした新たな現実であるという認識や覚悟が定まらず、現状をどう捉えたらいいのかわからずに混乱ばかりが広がっていくわけです。その混乱が、突然現出してしまった万を超える人間たちの社会を、無秩序な惑乱へと転がり落としていくのである。
この一巻はシロエたちが自分たちの現状を把握していくのと同時に、新たな現実となった世界が秩序ある社会を構成できずに無秩序と混沌に染まっていくさまをシロエの目と感情を通して捉え、ススキノからの救出劇を通じて現状が看過出来ない状況である事を実感させるための話となっている。これまでソロプレイを嗜んできたシロエが、世界そのものに関わる意思を芽生えさせるためのプロセスと言えよう。尤も、覚悟が定まるまでまだもう少し紆余曲折と、大きな事件が必要となるのだが。それでも、今のこの有様を許せない、という気持ちが生まれるというのは大きな事ですよ。
これって何気に凄いんですよね。現状がどれほどひどくても、ほとんどの人は自分の手が届く範囲の改善にばかり意識が行くものです。普通の人の視野や視点というのは、決して遠くまで広がらないものですから。ですが、シロエが抱いたのは社会状況そのものへの不満であり、危機感。
根本から、社会構造の仕組みをひっくり返し、新しく構築しないといけない、と考える発想は、普通の人には無いものなのです。彼のこの視点の高さは、戦闘において後方から全体をプロデュースするスタイルとも絡んでいて、なかなか興味深い。
この【ログ・ホライゾン】、先に橙乃ままれさんが書籍デビューした【まおゆう】とは全く表現方法の違う作品ではあるんですけれど、「世界を変える」という一点においては全く同じ、と言えるんですよね。
明確な敵がいるわけでもない。分かりやすいクリア目標のあるクエストでもない。そもそも、どうすれば思い描く世界へと辿りつけるかがわからない。いや、望む世界が何なのかがまず見えていない。そんな手探りで進むしかない中で、個人の力の強さ、というのは有効な武器や道具の一つではあっても、逆に言うなら武器や道具の一つにしかならないんですよね。何もかもを解決してくれる便利なアイテムとは到底成り得ない。
シロエの最大の武器とは何なのか。知恵や智謀といったものとは階梯が違うところにあるもの。体中に電気が走ったような思いを抱かせてくれた、あの【まおゆう】の「魔王」と同じものを見せてくれる事件は、次の二巻になるのか。既に手元にあるので、近いうちに読んでおきたいと思います。うん、やっぱり面白いなあ。

まおゆう魔王勇者 3.聖鍵(せいけん)遠征軍5   

まおゆう魔王勇者3 聖鍵(せいけん)遠征軍

【まおゆう魔王勇者 3.聖鍵(せいけん)遠征軍】 橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン


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世界を闇で覆いつくさんとして人間の世界に侵攻してきた魔のモノたちを率いる魔王を、光の勇者が討ち倒す。そんな在るべき世界の形を、魔王と勇者が手を携える事で変えようとはじまったのがこの物語でした。
とはいえ、魔王と勇者が結びついた事は人間にとっても魔族にとっても裏切りであり、人間と魔族という両存在は不倶戴天の敵同士であるという価値観は揺るぎないものだったのです、これまでは。
そう、この三巻、忽鄰塔の大会議で起こった出来事は、そうした価値観を粉微塵に打ち砕く、衝撃的な革命でした。
ここは、ウェブ版で読んでいたときには本当に衝撃だったんですよね。ショックだったとすら言ってもいいかもしれない。なにせ、魔界における主要な氏族が集い魔界の方向性を決定づける忽鄰塔の大会議に新たに加わる事になった氏族が、あれですもの。この物語が常識をひっくり返す為のシロモノと承知していながら、それでもどこか固定観念に囚われていたのでしょうな。火竜公が連れてきたあの人が、新たな魔界の氏族を名乗った時には頭をハンマーでぶん殴られたようだったのです。そして、直後の起こった魔王の一時的な退場劇により発生した、魔界の意思決定権の、魔界の民の代表者たちによる会議への移行。「議会」が生まれた瞬間である。
まさに此処から魔王と勇者の結びつきによって生まれ、彼らの薫陶や影響を受けて種となり、己が見たいと願う世界のために動いていた人々の働きによって密かに進行していた世界全体のパラダイムシフトが、誰の目にもわかる形で起爆していくのである。
世界全体が、怒涛の勢いで再編されていく。
それは、保守であり既存の価値観を守ろうとする勢力をすら、以前のままの姿で在る事を許さない。旧来の魔王たる権威を取り戻そうとする蒼魔族と、既存の権益である人間の思想を守ろうとする聖教会勢力。その本来なら人間と魔族、不倶戴天の敵同士の主体とも言うべき両勢力が利用しあうという間柄とは言え手を結び、同じ魔族を、同じ人間を打ち払おうとした姿からも明らかであり、聖王国の王弟元帥がマスケット銃の運用を基軸にはじめた軍事革命が、中央集権化や産業革命へと至る萌芽となろうとしている一事を見ても、彼ら自身の意識は別として、新たな価値観の担い手となろうとしていることがわかる。
故にこそ、これは一見古い価値観と新しい価値観の衝突に見えるものの、実質的には方向性の対立へと移行しつつあるのでしょう。
既に、世界の方向性は魔王と勇者の制御の手を離れてしまいました。でも、彼らが蒔いた種は芽吹こうとはしており、それぞれが目の前の困難を打開しようとすることで中世の闇を切り開こうとしているものの、まだ足りないんですよね。世界を担う意思が足りない。目的意識、あるいは丘のむこうに何を見たいと願うのか、という未来像を持つことかもしれない。それを持ち、担い、目指そうとしているのは、まだ勇者と魔王のふたりだけなのです。パスファインダーたるものが居ない、足りない世界を待ち受けているのは混乱であり、混沌だ。明快な意思と思想に基づいた先導のない急激な変革は、創造よりも破壊を多くもたらしてしまう。そこには、魔王が恐れるカタストロフが待ち受けている。
だからこそ、この巻において一番重要な動きをみせているのは、他の誰でもない メイド姉 なのである。
誰もが目の前の壁に汲々とし、魔王と勇者の二人ですら押し寄せる波を切り払うのに必死な中で、彼女だけが一人先をみつめようとしている。まだ何も見つけておらず、何も見いだせず、漠然とした思いを胸に探し求めて大陸を放浪しているだけですが、実のところ彼女が一番先頭を歩いているのです。それを、近い将来読者はまざまざと見せつけられることになる。
あるいはもう一人、魔王と勇者以外ではもっとも早く「丘の向こう」を意識し始めた「彼」が、メイド姉に続いていると言ってもいいかもしれない。
経済的にもはや離れがたいまでに結びついた魔界と南部諸国の現状を、正しく政治が拾い上げ誰の目にも明らかな形で現れだした大変革。世界の構図は魔族対人間ではなくなり、しかし血で血を洗う戦乱の広がりは留まるところを知らず、新しい世界は産みの苦しみを迎えている。破滅か、あるいは新生か。第四巻のサブタイトルは「この手でできること」。何を求め、何を成すのか。随分と多くのキャラクターが跋扈するようになったけれど、次の巻ではそれぞれが求める世界を垣間見ることが出来るはず。そして、それこそが新しい世界を導くのだ。

1巻 2巻感想

まおゆう魔王勇者 2.忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀5   

まおゆう魔王勇者 2忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀

【まおゆう魔王勇者 2.忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀】 橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン

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こうして分割されたものを読むと、初期には精力的に新たな概念を持ち込み、硬直した世界を揺さぶりに掛けていた魔王が、この時期はパタリと活動を停止しているのがよく分かる。
だが、主体的な先導者が一時的に消失したとはいえ、既に動き出した既存の世界を揺るがす激動のうねりは消え去ること無く、南部諸国に在する人々は旧来の体制を維持しようという変革への強烈な敵意を前に、岐路に立たされる。
そこで飛び出したのが、あのメイド姉による人間宣言だった。
此処から始まった事こそ、手を引かれて歩く赤子から自分の足で立って自分の思い描こうとする世界に辿り着こうと歩き始める、自立した人間たちの物語だ。魔王が撒いた種が芽吹き始め、人々は自分の意志で、魔王と勇者が夢見た「まだ見ぬ丘の向こう側」を自らの夢として望み始め、それを勝ち取るための戦いを始めるのだ。
そして生まれ始めるものこそ、多様性である。
勇者が提唱した、聖教会からの湖畔修道会の独立と南部諸国による国教化。青年商人が南部諸国をまるごと数回は国ごと買い占められるという同盟の巨大な財力を全力で駆使した凄まじい仕手戦によって描き出した、経済圏の分割。そして、完全悪であり人類の敵、意思疎通の余地のない滅ぼすべき敵に過ぎなかった魔族、そして異世界と思われていた魔界が、交渉の成り立つ隣人であったという、固定観念の撃滅。これらはすべて、多様性の獲得であると同時に、自分と他者を分けて認識することによって発生する相互理解と受容と刺激、それに伴う発展の萌芽であり、人が認識している世界の拡大なのである。
まだこの時点ではごく僅かな人だけが気付き始めているだけだが、彼らがこれまで生まれ持ってきた価値観が根こそぎひっくり返るような、とてつもないパラダイムシフトが既に起こり始めている。その事実を一番初めに捉え、率先して加速させ初めているのが、青年商人や商人子弟といった経済という概念を武器として戦っている面々である事は、魔王が自らを経済学者と名乗っている事からも興味深い話である。これは、彼らが国や慣習といった枠組みに囚われずに、流動する経済といううねりを知覚し、その解析と運用を常にロジカルに徹して行っているからなのだろうが。それが結局、時代の先鞭を付ける結果となっているのは実に面白い。
そして、目先の利益追求にとらわれず、青年商人が火竜公主の意見を汲んで仕掛けた戦争を止めた事は、彼もまたまだ見ぬ世界を望み、創りだそうとしているクリエイターの一人となった事の証左なのだろう。本来その商才を以て世界を変革する第一人者となっていく役割のはずの彼が、何がどうしてこうなったのか、情縁をもって価値観をひっくり返す先駆者となっていくのもまた、洒落がきいているというかなんというか。
彼以外にも、メイド姉の人間宣言を受けて立ち上がった南部三国の王侯たち。紅の学士(魔王)の薫陶を受けた軍人師弟、貴族子弟、商人子弟もまた、それぞれが望むべき「まだ見ぬ丘の向こう側」を自らの内に発見し、それを創りだすための戦いを開始する。

魔王と勇者、たった二人の特異点を中心に生まれた激動は、この巻を始まりとして、無数の焦点を産み始めるのだ。勿論、その点たるモノたちは未だ萌芽である。種から芽吹いたばかりの若葉に過ぎない。だが、次の三巻では種の芽吹きは魔界からも生まれだし、生まれた焦点たちは点から繋がって線となり、やがて面となって世界そのものをとてつもない衝撃と共に塗り替え始めるのだ。
そして、撒いた種を芽吹かせる雨と肥やしを撒くための、魔王と勇者の戦いが忽鄰塔(クリルタイ)にて今まさに始まろうとしているわけだ。
まさにこれ、革命前夜である。

さて、挿絵の方であるが、温泉話にきっちり挿絵つけてくれてるのはよくわかってる、よくわかってる!! これから見る限り、女騎士は本気でチッパイのなっ! それに比べて、魔王様とメイド長のけしからん事けしからん事。これが駄肉というものかっ!!

1巻感想

まおゆう魔王勇者 1.「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」5   

まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」

【まおゆう魔王勇者 1.「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」】 橙乃ままれ/toi8 エンターブレイン

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ネットで話題騒然の『まおゆう』が遂に登場!
ネットで最もアツイといわれる物語『まおゆう』が遂に登場!! RPGにありがちな魔王と勇者の対立から始まる物語は、世界全体を巻き込んで大きく動き出します。書籍化にあたり著者による大幅な加筆修正を加え、さらにゲームデザイナー桝田省治が完全監修!
読み終わった今、私はジワジワと湧きあがってくる喜びを噛み締めている。あの日、この物語の原作をウェブ上で目の当たりにしたときの確信が間違っていなかった事への歓喜である。単なる一時の狂騒に、その場限りの熱に浮かされはしゃいだだけの錯誤では無かった事への、一過性の幻でなかった事への喜びである。
あの日感じた想いは、何一つ間違っていなかった。
これまで、多くの傑作と出会ってきた。感動し、涙にくれ、感情をかき乱され、人生すら左右された物語と、これまで幾作も出会ってきた。だが、「自分はこの物語を読むために、本を手に取ってきたのだ」という形の想いに駆られたのは、今までの三十余年の中でたった二作だけである。それがおがきちか氏の【Landreaall】と、この【まおゆう】だ。
この二作は、自分にとってまさか実在するとは思わなかった、理想の終着点なのだ。いや、それ以上に自分が無意識に求め思い描いていた夢物語を遥かに超える形で、自分が出来る想像の範疇を越え、限界点を軽々と飛び越えて、自分ですら知らなかった己が理想の夢のカタチを、震え上がるほど明確に、明快に、具体的に描いてしまった夢にすら成り得なかった夢物語の結晶なのだ。
こんな物語を読んでみたい、漠然と心のなかで思い描いていた理想。それを、思い描いていた形を遥かに遥かに遥かに上回る、そんなもので良かったのかとせせら笑うかのような途方も無いスケールで描かれてしまったのだ。
目の当たりにしたときのあの狂喜と忘我が綯い交ぜになった衝撃を、未だに自分は消化しきれていない。
だからなのだろう。もしかして、あの時受けた衝撃は一気にそれを飲み込んでしまったが故の、思い込みによる勘違いだったのでないか、という不安は尽きなかった。もう一度改めて、書籍となったこの作品を読んだ時、自分は果たしてあの時と同じ感慨を感じ取れるのだろうか、と。もしかして「あれ、こんなものだったのかな」という落胆を得てしまうのではないかと、本当に不安だったのだ。自分がたどり着いてしまった確信が勘違いだったと分かることほど怖いものはない。
でも、それ以上に、それ以上に楽しみで仕方なかった。期待で胸が張り裂けんばかりだった。ウェブ上にある文章をもう一度読み直すのと違って、本になったものを改めて読みなおすというのは、もう一度初めて物語に出会うような新鮮な趣が待っているという事でもある。
改めて、あの物語に出会い直せる。それは、不安が現実のものとなりさえしなければ、あの衝撃をもう一度改めて、新しい形でぶつけられるということ。至福じゃあないですか。こんな至福は無いじゃあないですか。
そして読み終えた今、自分が抱いていた不安など全く杞憂に過ぎなかった事が証明された。あの丘の向こう側を、自分はもう一度新しい気持ちで見ることが出来るのだ。
それが、もうすっごく嬉しい。
本当に嬉しい。

全五巻であることが既に知らされているこのシリーズ。最初に一巻は魔王と勇者が世界のあり方そのものを変えようと手を携えるところから、あのメイド姉の人間宣言までが描かれている。
改めて読み直すと、まだ始まって五分の一に過ぎないこの段階で、魔王と勇者のふたりきりの戦いは既に限界に差し掛かっている事が分かる。勇者が、魔王がどれほど優れていたとしても、二人の力だけで世界の有様を変える事は、現実として難しいという事実が露呈を始めるのだ。同時に、この物語が個人としての勇者と魔王の世界変革の旅から、全く別の次元の階梯へと羽ばたき出す萌芽もまた、既に各所で芽生え始めている。勇者と魔王の撒いた種は、早くもこの一巻で既に芽を出し繋がり始めていたのだ。その先鞭をつけるのが、のちにおいて勇者と魔王を追い越さん形で変革の先頭に立ち次代を切り開いていく青年商人とメイド姉の二人であったというのは、今となっては得心が行く。
未だ物語の顛末を知らない人は心して覚えておいて欲しい。この【まおゆう】という物語が真の姿を見せ始めるのは、まさにあのメイド姉の「人間宣言」からなのだということを。魔王と青年商人の邂逅、そして勇者と青年商人の再会によって垣間見えた丘の向こうの景色は、メイド姉が立ったあの瞬間に、勇者と魔王の二人きりの望んだ夢ではなく、世界に遍く存在する魂もつ存在が目指す果てになった事を。まだ、魔王と勇者、そしてメイド姉を含めて誰も気づいていないし、その胎動は生まれたばかりでただ一瞬冬の国の寒村できらめいた星の瞬きのようなものなのだけれど、でもそこで生まれたものは、彼女の思想という以上に世界を変える意志となって、世界中に伝播していくのだ。
ここで一先ず一巻が終わり、息をつくことになるのは恐らく正解なのだろう。何しろ、ここから始まるものは、ひとえに圧巻としか言えない筆舌しがたいほど凄まじい奔流そのものなのだから。
だが同時に、このまま次に進めない事にこれほど居ても立っても居られない心地にされるとは予想していなかった。毎月刊行ということで、すぐに来月には読めるのだと考えていた自分が馬鹿みたいだ。一ヶ月先がこんなに、こんなに、こんなに遠いなんて。なんで明日じゃないんだ。なんで今日じゃないんだ。うがあああああっ!!
助けて、ドラえもん。

さて、不安に思っていた事と言えば、もう一つあって、いわゆるあの掲示板形式の、桝田監修の言葉を借りれば戯曲風の書式は、本となって読むにあたって大丈夫なんだろうか、ちゃんと話に入り込めるんだろうか、と危惧していたものですけど、これも杞憂でしたね。
これは、作品の揺るぎない面白さと同時に、さりげないながらも書籍化に携わった人の熱意と努力と試行錯誤が垣間見える。思っていた以上に読み易かったですもの。これには、良いお仕事でした、お疲れ様です、ありがとう、という感謝の言葉を贈りたい。
そして、表紙のカバーデザインを手がけているtoi8さん。表紙見たら素晴らしいって、一目でわかりますよね。ちゃんと、本文にも挿絵が何枚かあって、これがまたいいんだ。南氷将軍と女騎士の一騎打ちのシーンなんて、女騎士のカッコイイことカッコイイこと。南氷将軍がああいうモンスターだったのには驚きましたけど。いやあ、あれは予想してなかったけど、なるほどあれこそ南氷将軍だ!
それ以上に、魔王様のあれやこれやの可愛いこと可愛いこと。すっばらしいですよ。
そして極めつけの、人間宣言の時の挿絵。参りました。ほんとに、もう。
文句があるとすれば、それこそもっと枚数見せてくれーー、てなもんくらいですよね。まあ、何枚挿絵があっても、もっともっとと強請りそうなんですが。
希望が多かっただろう地図がきちんとついてたのもありがたかったなあ。まだ南部諸国の地図だけなのですが、いずれ中央や魔界の地図も付随してくるのでしょう。氷の国が思っていたよりもかなり小さかったのには驚いたな。

魔王と勇者が手をたずさえて 暗黒の中世に灯をともす物語
この最高のキャッチフレーズを何度も舌の上で転がしながら。ああ、一ヶ月先がひたすらに待ち遠しい。
 
11月26日

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11月25日

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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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11月6日

(角川書店単行本)
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(SQEXノベル)
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(SQEXノベル)
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11月5日

エンターブレイン
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(エンターブレイン)
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(ドラゴンノベルス)
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(PASH!コミックス)
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(フロース コミック)
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(アフタヌーンKC)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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11月4日

(ジャンプコミックス)
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(JUMP j books)
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(ジャンプコミックス)
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